07/08/10 第7回診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会の議事録について 第7回診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会          日時 平成19年8月10日(金)          14:00〜          場所 都道府県会館101大会議室 ○医療安全推進室長(佐原)  定刻になりましたので、第7回の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り 方に関する検討会」を開催させていただきます。委員の皆様方にはご多用の中、また大 変お暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。はじめに、本日の委員の 出欠状況についてご報告いたします。本日は、楠本委員から欠席との連絡をいただいて おります。また、鮎澤委員から若干遅れるとの連絡をいただいております。松谷医政局 長、審議官、総務課長も若干遅れます。  次に、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、委員名簿 のほか、資料1としてこれまでの議論の整理(案)と、参考資料として参考資料集。以 上ですが、資料の欠落等がありましたらご指摘いただきたいと思います。ないようでし たら、以降の議事進行を前田座長、よろしくお願いいたします。 ○前田座長  本日も本当に暑い中、お集まりいただきありがとうございます。早速議事に入らせて いただきたいと思います。前回、前々回と2回にわたりこれまでの議論を踏まえて、全 体を整理した資料について議論をいただいたわけですが、本日は前回第6回の検討会で のご指摘を踏まえて、修正を加えた資料を事務局に用意していただいておりますので、 この資料について議論していただくという予定です。今回も含めて7回にわたり精力的 に検討を重ねてまいりました。前回もお伝えしたわけですが、本日は本検討会のこれま での議論を資料1のとおり、これまでの議論の整理としてまとめていきたいと考えてお ります。是非ご協力をお願いいたします。もちろん秋以降も、継続的な議論をしてまい りますし、論点によっては継続的なものが必要だということは含まれているわけですが、 それに関してこのメンバーで議論を続けてまいりますので、引き続きよろしくお願いい たします。  それでは事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○医療安全推進室長  お手元の資料1をご覧ください。この検討会のこれまでの議論の整理(案)というも のです。  1頁のいちばん上には下線部で、新しい文章ですが、これまでの経緯が書いてありま す。平成18年に国会決議があり、本年3月に厚労省としての試案を公表し、4月以降、 検討会を開催してパブリックコメントや有識者ヒアリングでの意見も参考にしつつ、7 回にわたって議論を行ってきたところである。今回は、試案の各論点にそって、これま での主な議論の整理を行ったということで、以下、囲みの中に試案、その下に本検討会 での各委員の意見を記載しております。  2頁、「共通の願いとしての医療安全」というところで前回ご議論がありましたのは、 b)の所で、患者は医療が安全・安心であることに加えて、「納得」がいくものであること を望んでおり、そのためには医療従事者は十分説明を行う必要がある、というご指摘が ありましたのでこれを書き加えております。次の「医療界の在り方」という所の2行目 以降ですが、国民の信頼が得られるような調査組織を創設するためには、医療界は従来 の傾向・風潮を認めた上でそれを打破していく必要がある、というようなご指摘があり ましたので変更しております。次の「国民と医療従事者の医療に対する認識の齟齬」と いう所で、「ように思う」というところを「ではないか」と直しております。これは以下、 この文章全体にわたって「と思う」という所は、大変役所的な都合で申し訳ありません が、「ではないか」と語尾を直しております。  2頁のいちばん下「現行の司法制度の限界」という所で、次の頁のいちばん上のb)の 所は、前回、京都大学の事件を例にしたご指摘がありましたので、その際の判決文を参 考にしながら、より正確に以下のように記載しております。「裁判所は当事者の責任の量 を検討し相当な刑罰を定めるために必要な限度においてのみ、その職務環境や上司の指 導監督の適否等判断すべきものであり、当事者の責任とは離れて、医療過誤を引き起こ した実質的原因を解明することは裁判所に与えられた権限をこえるものである、という 趣旨の判決もあるように、刑事訴訟による真相究明は必ずしも再発防止につながるもの ではない」というご指摘がありました。  次の大きな2に「中立性・公平性」というのがありますが、そのa)の所で、従前は「肝 要」と体言止めで書いてあったところを「肝要である」と直し、次のb)の所も同様に「必 要」と体言止めであったものを「必要である」と直しております。以下同様の修正をし ておりますが、続いて5頁、「調査組織の創設に当たって」という所で前回、航空・鉄道 事故調査委員会や食品安全委員会等の例も参考にしながら検討を進めてはどうか、とい うご指摘がありましたのでその点を加えております。7頁は、従前は「医師の確保」と 書いてあったところですが、前回、医師だけではなくて、看護師をはじめとした医療従 事者がこれをやっていかなければいけないというご指摘がありましたので、b)とd)に関 して「医師」と書いてあった所を「医療従事者」と修正し、これ以降も必要に応じて「医 師」と書いてある所は「医療従事者」と修正しております。  次の7頁の「人材育成」という所のd)で「メディエーターといわれるようなという文 言を加えております。これも前回メディエーターといったものについても重要である、 というご指摘がありこのように修正しております。3の「届出制度の在り方」について は大きな変更点はありません。11頁は「調査組織における調査の在り方」という章です が、こちらについても基本的には大きな変更はしておりません。  12頁のいちばん下に下線で新たに文章が加わっておりますが、これはこの頁としては 新しいという意味でして、従前はこの吹き出しにありますように「6行政処分、民事紛 争、刑事手続との関係」という所にあったものをこちらに移動したというものです。こ の吹き出しの所に19頁と書いてあるのは21頁の誤植ですので訂正をお願いいたします。 14頁の「解剖」という所で2つ削除しておりますが、これは11頁にすでに同様の記述 があり、重複しておりましたために削除しております。14頁の下に「院内事故調査委員 会」のことがありますが、これも前回、次の頁のe)の所です。外部委員を加えた事故調 査委員会を作ることが重要であるということで、4行目からになりますが、外部委員の 存在は公正さを確保する意味でも、議論を深めていく上でも重要であり、例えばシステ ムエラーの観点から調査を行う専門家や、患者側で医療過誤訴訟等の経験のある弁護士 等が、外部委員として加わることも検討してはどうかというご指摘がありました。16頁 の「再発防止のための更なる取組み」については大きな変更はありませんでした。  17頁にいって6「行政処分、民事紛争及び刑事手続との関係」。こちらについては前回 かなり精力的にご議論をいただきましたので、再度事務局のほうで文章の構成等も含め て変更させていただきました。したがって下線で書いてある文章の中には、前回のご指 摘を踏まえて新しい考え方として入ったものと、従前からあったけれども場所が移った りしているものとの2つがあります。その2つを分けながら説明をしていきたいと思い ます。  まず、「行政処分と民事責任、刑事責任との関係」ということで、a)の所は、行政・民 事・刑事とのバランスを見直す必要があるという従前からのご指摘がありました。次の b)は、これは新しいご指摘であったかと思いますが、医療界には自ら医療従事者の処分 を行う仕組みは十分に整備されていない、刑事処分の対象になっているような者をはじ めとして、未熟な医療従事者を法医学界でどのように処分や教育をしていくのか、その 方策を考える必要がある。c)も同様に新しいご指摘かと思いますが、また学界・職能団 体における処分や行政処分が適切に行われる仕組みが整備されることが重要である。こ れらが適切に機能すればそれに加えて刑事処分まで必要となることは少なくなるだろう ということでした。d)は場所の移動の関係で下線が入っております。e)は、これも新し いご指摘だったと思いますが、医療事故が起きた際に、医療従事者は遺族と向き合おう としない傾向があった。このため遺族としては仕方なく刑事司法に訴えてきた。医療従 事者が遺族と向き合い事実を認めた上で、行政処分や学界・職能団体における処分が適 切に行われるならば、刑事処分が行われなくても遺族は納得できるだろうというご指摘 がありました。以下、その17頁のいちばん下をはじめとして線が引いてありますが、基 本的に、どこか新しい下線の部分に吸収されているというように整理できると思います。  18頁は「行政処分の在り方」です。a)とb)につきましては従前からあった文章ですが、 場所移動の関係で下線を引いております。c)の所は、現在の行政処分は個人に対する処 分のみであるため、例えば医療機関に対する指導改善処分等、システムエラーに対応す る行政処分の在り方を十分に検討する必要がある。ここまでは従前もあったご指摘かと 思いますが、それ以降、こういうようにすることによって院内事故調査委員会等による 真相究明が、より行いやすくなるのではないかというご指摘がありました。続いて「医 道審議会との関係」ということでa)b)ありますが、これはいずれも新しいご指摘ではな いかと思います。調査査組織は行政処分を行うことを目的とした組織ではなく、その調 査結果を活用して医道審議会等の別の専門機関で行政処分を行うことが考えられる。ま たb)では、行政処分を行うに当たっては、それを受ける医療従事者も納得できる形で専 門家組織による審議が行われることも考えられる、というご指摘がありました。  18頁のいちばん下、「民事訴訟における調査報告書の活用」ということですが、a)の 所は従前から変わるものではありません。19頁にいって「紛争解決における対話の必要 性」と「裁判外紛争処理の可能性」の所は、b)とc)の順番を入れ替えておりますが、内 容についての変更はありません。b)の所で、前回は山本委員がご欠席でしたので、その 後山本委員からいただいた文章を追加しております。読ませていただきますと、「こうし た民間の機関の取組みを含む医療分野における裁判外紛争処理制度の在り方を具体化し ていくため、金融庁が金融分野での苦情・紛争処理の改善のために取り組んでいる「金 融トラブル連絡調整協議会」を参考に、医療紛争解決の関係者間での情報・意見交換の ため、厚生労働省、都道府県、医師会・病院団体、患者・遺族関係者、弁護士会等が参 加して「医療紛争処理連絡調整協議会」(仮称)を設置することが考えられるということ でした。  続いて「刑事手続との関係」ということではまずa)の、調査報告書は刑事訴訟で活用 することも可能とすべき、というご指摘はすでにあったものですがb)が新しいご指摘か と思います。調査報告書が刑事訴訟に一切使えないとなると、警察は独自に捜査を行わ ざるを得ない。調査組織において専門的な調査・評価を行い、その結果を踏まえて刑事 手続が開始されることは、医療現場において警察による捜査が必要以上に行われる事態 を回避することにつながるのではないか。ここまでを新しいご指摘として追加させてい ただいております。  そのあと、場所移動の関係で下線がついておりますが、新しいご指摘としてはh)の所 で、「起訴便宜主義」という刑事訴訟法の大原則があり、検察官が起訴するか否かを考え る要素には事故後の対応、反省・謝罪、示談成立の有無というようなものがある。刑事 訴追に当たり医療従事者側の、「隠さない」「逃げない」「ごまかさない」という姿勢が評 価されるのであれば、医療事故の真相究明に誠実に対応しようとする医療現場の意欲を 向上させることにもつながるのではないか、という部分を追加しております。そのほか、 次の21頁は主に場所の移動に伴って削除されているところです。22頁については大き な変更はありません。修正については以上です。 ○前田座長  資料説明は以上でよろしいですね。 ○医療安全推進室長  はい。 ○前田座長  どうもありがとうございました。これを踏まえてご議論いただくわけですが、いまの ご説明の中にもありましたように、山本委員のご意見を追加して文章化している所があ りますので、この点についてはじめに山本委員からご意見をいただければと思います。 ○山本委員  前回は欠席して申し訳ありませんでした。資料の19頁の下の段、いま読み上げていた だいた部分は私の意見です。これは前々回も申し上げる機会があったと思いますが、私 自身はこの医療事故の民事紛争の解決は、裁判によらない紛争解決、ADRと呼ばれるよ うなものですが、これを用意することが望ましい分野だと考えておりまして、できれば 民間のレベルでそのような努力がされて、ここで議論されているような原因究明機関と 連携、役割分担をはかっていくことが理想だろうと思っております。ただ、ほうってお けば自動的にそのような理想的な状態が形成されていくかということについてはやや疑 問を持っております。また、現状のこの医療関係のADRの状況はかなり不確実な要素が 強い、流動的な状況にあるように私には見えます。そこで、いまの段階で「何をなすべ きか」ということを考えたときに、やはり重要なことは、国民的なレベルでこの問題に ついてあるべき方向に向かった検討ないし努力というのが、継続的にされていくことで はないかと思ったわけです。そしてそのためには、そのような継続的な努力を担保すべ き仕組みが必要ではないかということです。  利害あるいは関心を異にする関係者が、1つの方向に向かって継続的に努力をしてい くということは決して容易なことではないだろうから、何らかの仕組みが必要ではない かということで、具体的にはここに書かれているようなさまざまな関係者、医療界、法 曹界、患者遺族の方々あるいは行政を含めて将来に向けた継続的な対話、あるいは検討 がされていくべき場の設定が必要ではないかということです。  そのような観点で、ここにも書いてありますが、先行している類似の試みとして参考 になるのではないかと思ったのが、金融庁が行っている金融トラブル連絡調整協議会と いうものです。この金融トラブル調整協議会のことが記載された文章が、参考資料の110 頁以下に出ております。110頁はその委員の名簿です。行政機関、消費者団体、業界団 体、弁護士会、学識経験者、行政の当局といったメンバーで、具体的には111頁以下で、 どのような取組みがなされてきたかということについての資料があります。  詳しくは読んでいただけばと思いますが、簡単に言えばこの機関というのは、金融関 係の民事紛争について。金融商品販売法という実体法が整備されたことを受けて、紛争 解決についてもその顧客のための新たなスキームが用意されるべきではないか、という ことが金融審議会等で議論されたわけですが、結果としては、いまあるスキームを利用 しながら、このような協議会を設けて国民的なレベルで、その充実の在り方を検討議論 すべきではないかということになったものです。これが設定されて7年ぐらい経ってい ますが、金融関係のADRのモデルを作ったりその実施をフォローしたりするなど、大き な実績を上げてきているわけです。また、先般の司法制度改革の議論の中でも、このよ うな方法というのはADRを充実活性化していく1つのモデルとして議論されたものです。  そこで医療関係の民事紛争の解決システムについても、このような場を設定して、そ こで民間レベルの紛争解決手続の充実の試みを、側面的に支援していくとともに、原因 究明機関との連繋の在り方等についても、検討をしていってはどうかということを考え たということです。そのことによって患者側から見ても医療側から見ても、あるいは社 会的に見ても望ましい医療関係の民事紛争解決の在り方に、少しでも近づいていくよう な道が見い出せるのではないかということを考えまして、まだ、もちろん十分に煮詰ま ったものではありませんが、この場で提案をさせていただいた次第です。私からは以上 です。 ○前田座長  いまのご説明に対して委員のほうから何かご質問ありましたら、よろしいですか。そ れでは、こういうご定義があって、これも中間報告に盛り込むということで進めたいと 思います。  今回はどの部分からということではなく、全体についてご意見をいただいて、取りま とめたいと思います。最終的に報告書にまとめていくのですが、一言一句動かせないと いうことではなく、今日の議論を踏まえて、事務局で取りまとめさせていただく。ただ、 今まで7回議論してまいりましたので、大枠について大きく動かしてしまうような議論 はちょっと難しいことは、お含みいただきたいと思います。そういう前提で、是非今日 でできれば全員の方からご意見をいただきたいと思います。どなたからでもよろしいの ですが、お願いしたいと思います。 ○樋口委員  あるいは、もう少し早く私も気がつけばよかったのかもしれないのですけれども、い ま「これまでの議論の整理(案)」となっています。何らかの形で整理し、まとめようと いうことですが、大きく2つの点について。この構成ですが、1頁目から読んでいくと、 まず囲みがあります。これは、この検討会に課せられた、ある意味でアジェンダがこう して書いてあるわけです。それに対していろいろな意見が出たという構成になっている。 だから、振返ってみてまずこの四角の中が取りあえず我々の出発点だったから、非常に 重要です。  発言の第1点ですが、翻って、この囲みにあることで、必ずしも後の意見で触れられ ていないものが、少なくとも私が気がついた中では3つあります。このまま振返らずに やるのかどうかを確認しておきたいというのが1つです。  3つある中の第1は、3頁目の「診療関連死の死因究明を行う組織について」というこ とで、組織の在り方についての(2)、監察医制度等の現行の死因究明のための機構や制度 との関係を整理する必要がある。これは監察医の先生の方にも来ていただき、いろいろ 教えていただいたところです。私、後のほうの文章をちゃんと精査してないのかもしれ ないのですが、はっきりそれはどういう形で整理するというのはなかなか難しい問題で はあるのですが、どうかなというのが1点です。  2つ目は、5頁目で調査組織を作ろう、第三者組織を作ろうという方向性ははっきり出 ていると思うのですが、その設置単位について、こういうブロックでやるのか、都道府 県でやるのかという議論は、ここではもちろん詰められてないと思うのです。詰めるこ とがそもそもこの検討会でふさわしいのかどうかという点もあると思います。こうやっ て、一応アジェンダがあったのに、これはどうなっているのでしょうかというのを尋ね られるかもしれないし、当然問題になる。  もう1点は8頁目、同じような話ですが、「診療関連死の届出制度の在り方について」、 届出先としてこういうことが考えられるというのが(2)、その範囲について、現在既に ある医療事故、特定機能病院等に対しての医療事故の報告の関係をどうするかも考えな いといけないとあって、後の意見のところで、必ずしも直接には対応するような話が出 てきている。何かどうかわからないのですが、やはり少ないような気がする。この3点 について、あるいは私の思い違いかもしれませんが、この議論の整理の仕方としてどう なのだろうというのを、自分が質問をする立場に回っていていいのかどうかという問題 ももちろんあるのですが、確認しておきたくてというのがひとつです。  もう1つは、この報告書の読み方の問題です。なかなかある意味で難しくて。例えば 20頁ですが、いま山本さんからこういうものがあるという情報提供があって、こういう ことを参考にして何らかの組織を立ち上げておくと、それが実際に少しずつ前にいくと いうのですか。「そういうことが考えられる」という表現にここでなっていますね。「こ とが考えられる」ではなくて、設置することが重要であるとか、そういう言い回しにし たほうが、いまの山本さんのご意見がもっと印象的に、つまり、整理したときに意味の あるものとして残るものかどうか。そこまでやはり気をつけるべきものかどうかという ことです。  これは私のオリジナルなアイディアではないのですが、今までの資料を読んだ人のご 意見、達見です。やはり先ほど説明にもありましたように、「何々ではないか」という表 現で終わっている所がある。これは、こういう意見があったということに場合によって はすぎなくて、しかし、「何とかである」と書いてある所は、その人の意見だけではなく、 もう少し広くこの中で、コンセンサスまでいかなくとももう少し重要な役割を与えられ ているような部分なのだ。こういうふうに深読みするのがいいのかどうかもよく分から ないのですが。そういう話があるのだったら、そのことが考えられると。1人の人が考 えた話ではなく、これが重要であれば、「ことが重要である」というようなところまで、 1つひとつの文章について今の段階でやっていくことは私はできないとも思うのですが、 この文章の全体の読み方をどう考えたらいいかについても、少しまさにこの委員の間で、 その点についてだけはある程度のコンセンサスを持っておいたほうがいいかなという。 今までの我々の議論の成果であり整理であることだけは間違いないのですが、それをど う読んでいただくかということに関連すると思うので、2点だけ、いちばん最初に意見 を申し上げました。 ○前田座長  いまのことですが、非常に重要なポイントだと思うのです。初め、この3点が落ちて いるという点ですが、議論について、応じた記述がないというところですが、確かに解 剖とか監察医制度の問題について、参考人のご意見も伺ったし、ある程度ご議論出たわ けです。この所は、非常に具体的に何か書くほうとまだまとまってないというのが本音 のところだと思うのです。これを軽視しているという趣旨では全くない。この2の囲み の部分を変えるつもりはもちろんないわけですが、これについては事務局では特に、で は室長お願いします。 ○医療安全推進室長  まず、ご指摘いただきました3点についてです。まず監察医のことについては十分、 この「議論の整理」には書かれてないと思っております。  それから、この組織の設置単位については、樋口委員ご指摘のとおり、5頁目のいち ばん下のb)、8つの支部を置いてはどうかということでご指摘ありました。この点につ いても特段異論はなかったと思っていますが、十分ご議論はいただいているかというと、 この中でたくさん議論をいただいたわけではないので、「ではどうか」という表現にはな っているということです。  最後のその届出のところは、では具体的にどういうものを届け出るのかについては、 今まで警察との関係のところではご議論いただいたのですが、調査組織にどういうもの を届け出るのか。いまの医療事故情報等収集等事業との関係等も含めた議論はありませ んでしたので、その点については、まだ必要であれば、議論していくことが必要かと思 います。秋以降またお願いしますときに、これは座長ともご相談させていただきながら、 その点対応させていただきたいと考えています。  2つ目の、この読み方のところです。全体的に「ある」となっているところと、「では ないか」となっているところがあります。例えば、「この組織の目的は、真相究明及び再 発防止が重要である」という形で書いてあります。これは、もともとは議事録から起こ していましたので、「ではないか」と書いてあったりする所があります。多くの議論の中 で、皆さん方ほとんど異論はないのではないかと思われる所については、「ある」という 形で書いています。特段の反論はなかったのだけどご指摘があってというところ、ただ 反論はなかったが十分議論してないのではないかということで、そうではない書き方に しているということです。  さらに言いますと、明確に両論あったところは、そこは別途わかるようにということ で、例えば、9頁、「届出に係る警察との関係」というところは、「この」がありますが、 a)b)c)d)e)までは1つの意見としてあります。e)があり、1行空けてありますが、f)以 降i)までは、また1つの意見として両論並記に、分かりにくいかもしれませんがそうい う形で書いています。以上です。 ○前田座長  いまのに関連して、樋口委員のご指摘の山本委員のものは、そうするともうこの会と して合意を得たものとしての語尾にしたらどうかという点は、事務局はどうですか。 ○医療安全推進室長  この点は、ご議論いただきたいと思います。 ○前田座長  今日初めて出てきたところでもありますのでね。ただ、ご異論がなければ、「設置する ことが考えられる」というのよりはもうちょっと積極的なものとして、この会の中間ま とめにすることは十分可能だと思います。樋口委員のご意見では、20頁の3行目、「設 置することが考えられる」をもうちょっと強く、「重要である」のような言い方でという ことですが如何でしょうか。 ○樋口委員  それは、山本さんには申し訳ないのですが、私はちょっと判断ができないので。1例 として、使わせていただいただけなのです。 ○前田座長  では、ここも含めて、いまのような観点で一応整理はしてありますので、この部分は やはりもうちょっと検討会として合意ができているのではないか、また、その逆だとい うご指摘があれば、もちろんこの場で直していくということで、具体的にご指摘いただ ければと思います。 ○堺委員  いまの事務局の説明で、この四角の囲みの中は試案で、その外にあるものは、議論の 中で出てきたもので、それに対して格別の、別な議論はなかったというご発言があった かと思います。そうしますと、例えば5頁目、調査組織の創設にあたってのb)、全国に 8つの支部を置くという部分があります。その上の囲みの部分には、「都道府県やブロッ ク単位」いう表現になっています。この下の部分では、「8つ」という具体的な数が出て います。8つというのは何を意味しているかと、いろいろな解釈があろうかと思います が、8つというと、何か検察庁の組織と整合するのかなという感じもいたします。厚労 省地方厚生局ですと7つということかと思います。いまの議論の段階ですと、ここで数 を規定するということはちょっといかがなものでしょうか。在り方をこれからさらに詰 めていきますので、もしここでもって異論がないと、このままということになるので、8 つというところには今後もう少し留保さしていただきたいと考えます。これが1つです。 ○前田座長  どうぞ、続けてお願いします。 ○堺委員  もう1つは、8頁、このd)の新しくつけ加わった、「このメディエーターといわれるよ うな」というところで、その次の部分の文章を読むと、機能は自ずとわかるわけですけ れども。この文章、かなり国民の方々が広くご覧になると思うのです。そうしますと、 できるだけこういうところは日本語で、パッと読むと分かるような言葉になっていると、 なおいいのではないでしょうか。メディエーターというのは、こういうことに携ってこ られた方にはかなりよく分かる言葉ですが、初めて見る方に、それがお分かりいただけ るだろうかと思いまして。今後もし工夫できるならば、日本語に置き換えていければと 思います。以上です。 ○前田座長  まず8つという点です。私はあまり深く考えなくて、法務省というか検察が8つ、裁 判所も8つ、同州制になんかになっても大体8つぐらいになるのかなぐらいのことで考 えたのですが、厚労省は7という数字が出てくるわけなのです。 ○堺委員  これはむしろ確認させて頂きたいと存じます。私の記憶がそれほど定かではございま せんので。地方厚生局は7つだったかと思いますが。 ○医療安全推進室長  地方厚生局は7つの局と、それから四国に支局というのがあります。法政局としては 7つです。この8つというご指摘をいただきましたときは、中国と四国をそれぞれ1つ と数えて、8つではどうかということで、ご指摘いただいています。その具体的な箇所 名は、ここでは省いて記載しています。 ○前田座長  「8つ」はどうかということで、こういうご提案もあったということです。その書き ぶりでも、この委員会としてのコンセンサスというところまでは行ってない、やはり「8 つ」という数字が具体的に出るのは、ちょっと生々しすぎるというご趣旨でしょうか。 そうすると、事務局としては、「いくつかの」としてはあまりにも漠としていますでしょ うか。 ○医療安全推進室長  例えば、全国にブロック単位でとか、そういうのは考えられるかと思います。もとも と試案のほうが、県単位なのかブロック単位なのかということを、まずご議論いただき たいということでしたので。 ○前田座長  それについては、やはり県単位というのはちょっと多過ぎてしまってというのは、あ る程度出ていたと思うのです。ブロック単位ということも、そのブロックの象徴として 8という数字が出ていたこともおそらく間違いないと思うのです。 ○堺委員  先ほどの繰り返しになりますが、他にもこういう所があるかもしれません。この外の 議論の部分で、反対の議論のないものはそのまま、この委員会が認めたというふうな取 り上げ方にはまだならないのではないかと思います。全体として、今後も議論が続くと いう理解でありたいと思いますので、7つとか8つとかそういう数字にこだわるわけで はありません。今後の議論の進め方がそういうふうであってほしいなと思って、要望い たします。 ○前田座長  それはもう当然の前提です。こういう「はどうか」という書きぶりは、こういう意見 も出たという仕切りです。今日もいくつか直させていただいてというのも、そういう趣 旨です。では、具体的には5頁の下から3行目で8つという意見が出たことは事実です ね。堺委員のご趣旨からいっても、このままはちょっとどうかということで残され、こ れをフィックスするという趣旨ではもちろんないということで、中間の整理としては取 りまとめさせていただきたいと思います。  ほかに、どのような分野、どの箇所でもいいのですが、ご意見をお願いいたします。 ○高本委員  先ほど樋口委員から届け出る範囲という議論がございましたが、これはどこに掛かっ てくるかというと、9頁に「届出の義務化」というのがあります。届出を怠った場合に はペナルティを科すべきと、あります。ペナルティというからには、この範囲はしっか りと決めておかないと、現場は極めて混乱してしまうわけです。  ですから、全国の医療施設で死亡例が70万とか80万とか言われているわけですが、 その全部を届け出ろというわけではもちろんないと思います。やはりこれは死因が不明、 わからない。あるいは、それが医療事故に関係しそうだというものに限られるのではな いかと思います。それを判断するのは、もう現場でしかありません。我々現場では今で も医師法21条がありまして、警察に届けるべきか届け出なくてもいいのかと、本当に迷 う、いつも困るわけです。その辺をはっきりするべきだろうと思います。  もう1つは、ここに「ペナルティ」という言葉があるのですが、ペナルティという言 葉は非常に強い言葉ですね。この後これでもって刑事処分もしようということも書いて あるわけですから。つまり、二重のペナルティという感じを与えます。これはむしろ医 療安全の体制を促進するというよりは、恐怖に陥れて、医療に対してネガティブに動く ことにもなるのではないかと思いますので、せいぜいこれは「行政指導」とかそういう 言葉のほうが私はいいのではなかろうかと思うのです。できるだけ届けなさいと。ペナ ルティというのはちょっと強いのではないかという感じがいたします。 ○前田座長  これも、ですから語尾が、「ペナルティを科すべき」という意見があったということな のです。これはもう科すべきということで一致したという感じで、事務局としてはまと められたのでしたっけね。だから、ペナルティという言葉はニュアンスなのですが、刑 罰とか医師法21条のような法的義務というよりは、ここでいうペナルティは私などはも っと緩いものとして使われて、何らかのノーサンクションではない、全く届け出なくて も何の痛痒もないよというのは困るよという趣旨のペナルティに近いのだと思うのです。 これは届出を怠った場合に刑罰を科すということになると、これは大問題で。行政処分 を行うというのでも、かなり厳しいのだと思うのです。ですから、一般の名詞としての ペナルティというのを、どう解釈するかだとは思うのです。全体の流れとしては、何ら かのサンクションはありますよと。届け出なくとも全く何の問題も生じませんというの では困るという趣旨だったように思うのですが、この言葉が独り歩きして危険だという ことであれば、またご了解を得て、直していかなければいけないということですが、他 の委員の方のご意見はいかがですか。 ○鮎澤委員  いままで出てきているご発言というのは、個別に出てきているようで、実は、この(案) 全体をどのようにまとめていくのかというところで皆さんが混乱しておられる、議論し ておられるということなのではないかと思います。  先ほど樋口委員が、山本委員のご発言に関する語尾の話をされましたけれども、あれ は決して山本委員のところだけをご指摘されたわけではなくて、ここに書かれているす べてについて、この(案)をどうまとめていくのかということに必ずしも皆で共通の理 解ができていないので混乱するのではないかというご指摘ではないかと伺っていたので すけれど、樋口委員いかがでしょう。  例えば、今のペナルティの話も、そういう意見があったというように読むだけでいい のならば、なるほどそうか、ということですけれども、それがここの検討会の議論の方 向性を強く示しているものであるというのであるならば、それは慎重に検討していかな くてはいけない。先ほどの「8つ」の話も、「ああ、そうですか。そういう意見もありま したね。」で済むならそれでいいですけれども、「8つ」ということでの実現を意識する ならば、これはかなりまた議論していかなくてはいけない。  確かに初めの所に、「これまでの主な議論の整理を行った」という説明はあるのですが、 やはりもうちょっと加えていただいて、この(案)の読み方というのでしょうか、位置 付けをもう少し親切に説明をしていただいたほうがいいのではないかと思います。それ によって、今でてきている議論もかなり解決するのではないでしょうか。 ○前田座長  それももちろんそのとおりです。基本的には、先ほど事務局が説明されたことが大き なガイドラインといいますか、筋です。いまご提起いただいた、このペナルティを科す べきという部分は、私もちょっと忘れてしまったのですが、個別の意見として出された わけです。それに対して、整理をして文章を作り上げていく流れの中では、強い異論は なかったから、全体の意見としてペナルティを科すべきだというものを入れ込んでおく という趣旨で、この文章を作られたということですね。 ○医療安全推進室長  はい、全般的に少し分かりにくくて申し訳ないのですけれども、今回のこの文章自体 はこれまでの議論の整理ということで、あくまで本検討会においてどのような議論があ ったかということの整理かと思っています。その点は、もう少し1頁目できちっと分か るように書き加えていきたいと思っています。 ○高本委員  もう1つ、これも細かなことでありますが、15頁の上のe)、院内事故調査委員会の2 行目に、「過半数の外部委員を加えた事故調査委員会を作ることを義務付ける」とありま す。外部委員が入ることは、私は非常に大事なことだろうと思っているわけですが、私 どもの病院の中で事故調査委員会なんかやりますと、中だけで7、8人ぐらい関係者を入 れます。それで過半数の外部委員となると、もう9人とか10人とか外部委員を入れなく てはならない。それは実際的に無理であります。  それで、この調査委員会というのは、決して採決でもって決めるようなことは、今ま でモデル事業でもなかった。皆の合意でもって決めるところですから、複数の外部委員 が入っていれば、私はある程度の結論に達することはできるだろうと思うのです。だか ら、必ずしも過半数は必要ではないだろうというので、私は「過半数」というのは省い ていただいたほうがいいのではないかと思います。これは細かなことです。  もう1つ、全体的に大きなことでいいますと、この報告書の中に、医療界が少しまだ 整備されてないとか、処分の体制が整備されてないとかいう話がありました。私は外科 学会の代表でもあると思っております。山口委員は内科学会を代表されておりますが、 学会として、こういう医療安全に対して皆さんとともに、いま非常に真剣に取り組んで いるということをお話させていただきたいと思うのです。  いまブロックごととか各県単位とかいうことがありましたが、外科学会では、医療安 全管理委員を各県で作り、ブロック単位でまとめて、こういうようなモデル事業に全面 的に協力する。また、将来これが制度化された場合に、積極的に真剣に取り上げようと 考えています。各学会には評議員というのがありまして、それが学会を運営しているわ けですが、評議員の義務として、こういう医療安全管理体制を担うことを学会でも決議 いたしました。そういうことで、基本的に医療というのは患者さんのためであるという ことも認識した上で、国民の信頼を得るべく学会としても努力をする覚悟でいるわけで す。今までも東京女子医大始めいろいろな医療事故の調査委員会であるとか、ライブ手 術でのガイドラインを作ったりとか、そういうこともやっているわけです。  処分に対して学会の体制が不十分ではないかという、このことは少し書いてあったと 思いますが、東京医大の事件に関しては、心臓血管外科の専門医認定機構、心臓血管外 科学会、胸部外科学会、血管外科学会が協力して作った機構ですが、関係者の処分をい たしました。それは、専門医の停止ということです。それから現在その再教育をやって いるというようなことです。この処分の体制に関してはもっと整備しなくてはならない と思っていますが学会としても、こういうような体制で、自ら姿勢を正すつもりでやっ ているわけです。その1つの大きな印というのが、モデル事業で、各学会が提唱して、 出来てきたわけです。  いまこれを見ますと、現在57例で、いろいろな事例に関して処理をしているというこ とです。その出た結論に関して100%、患者側も病院側も満足したというものは、多く ないかもわかりませんが、ほとんどの方は何とか満足されているという状況の中です。 その中から新たな訴訟というのは、私が聞いた限りでは起こってないのではないかと思 います。  そんなことですので、まだまだ医療界は信頼されない、信頼に足らないということも あるのかもわかりませんが、学会としては真剣にこの問題に取組んでいるということで す。これからできますこの第三者機関も、我々のプロフェッションとして積極的に関わ っていきたいと考えています。やはりそれに関しては前回の会でも申しましたが、刑事 処分というのは本当に白か黒か、責任がその人に100%あるかないかとなります。その 処分に漏れれば、俺は無罪だというようなことになります。実際は責任がそれなりにあ りまして、刑事事件の処分に漏れた人でも、責任はあることもある。刑事事件で処分さ れても、そこまでひどくないだろうというのが結構あるわけです。  だから、やはりこの医療事故に関して、刑事処分が謙抑的にされるということですが、 できるだけ謙抑的にしていただきたい。我々医療界、学会は安心、安全な医療を目指し て頑張っておりますので、それをまた信頼していただきたいというのが、我々の切なる 願いであります。  例えば、今日もニュースを見ておりますと、冤罪事件に対して検察庁のほうで現場の 検察に対して指導といいますか、ありました。ああいう指導で本当に済むのが、私はい ちばんいいのだろうと思うのです。それがやはり刑事事件で処分というようなことにな ると、また混乱してしまうわけです。医療界は、何かそういうような事故が起こった場 合に、刑事事件で処分がされるというのは、どうしても現場でやっている医師にとって は、あまりにも辛すぎる。実際は、処分にあった人たちはほとんど医師の生命を奪われ るようなものです。できるだけこれを謙抑的にしていただきたいと思います。我々とし ても姿勢を正すつもりでおるということを、最後にお話したいと思います。 ○前田座長  ご趣旨は、非常によく分かります。医療の信頼が高まっていると私も思うのです。ま さに、この会で調査委員会ができるということは、より国民からの信頼を高めていく大 きなステップになります。そうするために、どう作っていくかということで、先生と思 いは全く違わないと思います。今日の最高検のものは、甲斐課長もいろいろご意見があ るかもしれません。ただ、あれが出るということは、担当した検事は、医者でいえば医 者をやめろと、医者をやっていけないということです。逆にいうと、それに対応する処 分が緩やかではないか。医療界では、即刑事に行ってしまって理不尽だというのは非常 によく分かるのですが、そうならないようにするための調査委員会があると思うのです。  ご指摘の、例えば15頁のe)ですが、この「過半数」をというのは1人の委員が、例 えばこういう組織には過半数の外部委員を入れたらどうかというご提案をされて。先ほ どの整理は、こういうのはどうか、一意見としてあったという載せ方なのです。ですか ら検討会として、この程度の国立病院であれば、過半数は外部委員にしなければいけな いということまで言っているわけではなく、例えば、こういうような形で外部的な意見 を入れながら公明性、透明性を確保していったらいいのではないかという意見も出され ましたということで、可能であればご了解いただきたいと思います。  やはり実質ご議論いただかなければいけないのは、新しくできる調査会に対しての届 出義務を怠ったときに、届出をしなかったことに関して何らかのペナルティといいます か、何かのサンクションをつけていいのではないかという、9頁の上から5行目、届出 を怠った場合のペナルティを科すべきだということで。もちろんこれが刑罰というよう にポンとなってしまうと、規制があったら、皆共通の認識だと思うのですが、ペナルテ ィという語感なのかもしれないのですが、何となく私はこれで、やはり届け出なかった 場合にはチェックが入りますというぐらいのことを書くことは、合意が得られたのかな と思っていたのです。それに異存があれば、ここのところは、届出を怠った場合にはペ ナルティを科すべきだという意見もあったという形に落とすやり方が1つ考えられる。 これも全部削ってしまうとバランスを失すると思うのです。こういう意見が出たことは 間違いないので、他の委員の方のご意見を承って、ここは整理して前に進みたいと思い ます。 ○加藤委員  この議論の進め方ですが、今いくつか出たことを1つひとつ議論していく場という理 解でいいのですか。議事の進め方について質問です。 ○前田座長  いま具体的に出されれば、それについてご議論をいただかないと、中間取りまとめに はならないと考えてはいるのですが。 ○加藤委員  読み方や、それぞれの議論の整理の位置づけをどうするのかということが、たぶん1 頁の策定の背景の前の段階でより詳しく書かれるという事務局からの話でしたね。 ○前田座長  室長のお話ですね。 ○加藤委員  例えば、議論の整理案の中に出てくるいくつかの部分というのは、ヒアリングのとき に参考人がお話になったことも入っているわけですよね。 ○前田座長  そうです。 ○加藤委員  それで議論で出たものも入っているしいろいろあって、それぞれこういう意見があっ たという意味合いのものなのか。それとも、先ほどの「である」や「ないか」という微 妙な言い回しが、実はそれぞれ深い意味をこの種の文章としては持っているという辺り になってくると、かなり神経質に議論しなければいけないことになるわけです。  例えば、15頁の「過半数の外部委員を加えた事故調査委員会を作ることを義務づける」。 「例えば」ということで、そういう発言があったと思います。そういうことに対して、 その発言を切り取ってここに載せているという意味であれば、そのままになるわけです。 それをみんなで合意したと読むことになれば、「義務づけることも考えるべきではない か」という表現になってくることになります。 ○前田座長  個別に申し上げますと、15頁は「ないか」なのです。文章の途中で「義務づける」、 これで○になっていますが、e)は完全に末尾のところは「よいのではないか」検討して はどうか」ということで書かれているのです。 ○医療安全推進室長  すみません。整理が十分でないかもしれませんが。あくまで、今回は中間報告という ことではなくて、これまでの議論の整理という形で今日はまとめていただきたいと思っ ております。それは1頁目に書いたとおり、これまでの主な議論の整理を行ったと。し たがって、全体として、いまだ結論に至っているものではなく、今後更なる検討を行う 必要があるとか、そういうような文章を入れていくことで、その辺の趣旨をもう少し明 確にしていってはどうかと思います。 ○前田座長  加藤委員のご発言のご趣旨は如何ですか。 ○加藤委員  そういうことで、なお、1つひとつに意見が出て、黙っているとそれがまた直ってい くことになるといけないので、例えば、15頁で言いますと、内部の委員が7、8人いて、 2人ぐらいの外部委員が入っているというような、特定機能病院の院内事故調査の在り 方というのは私はよくないと思っているのです。名大でフィティ・フィティで実際にや っていて、6人の委員の外部委員が3人という構成でやっています。愛知では、4大学の うち大体3大学が比較的患者側の弁護士を入れて、外部委員を半数近く入れるという構 造になっていると思います。実際の運用を念頭に置いて、私はこの意見を支持する立場 に立つわけです。  そういうことをいま1つひとつ、例えば、ペナルティーについてどうするかとかやっ ていく場なのか、どのように議論の議事は進めるのかということです。 ○前田座長  わかりました。いま仰ったように、すべてについて細かく詰めて、ぎりぎり賛否に詰 めるということではなく、基本はあくまでもこういう意見が出されたと。ただ、ほぼ異 論がないようなものについては、言いきる形でまとめたということで、基本は意見が出 されたものを並べてあるということだと思います。  先ほど、私が議論をしていただきたいと申し上げたのは、「届出を行った場合はペナル ティを科すべきかどうか」という部分に関しては大きな方向性といいますか、この委員 会を作る上でポイントになることです。事務局としては、これはペナルティを科すべき だと、大体固っているということでまとめられたわけですよね、如何でしょうか ○医療安全推進室長  そういうことも含めて、ご議論をいただければと思っております。座長がご指摘のと おり、ペナルティというのはいろいろな意味があり、刑罰や行政処分というようなもの がありますので、またそういうものではないものもあるかもしれませんが、どのような ものが必要かというのは、今後検討していく必要があると思います。何らかの形でペナ ルティという議論はあったのではないかと思います。 ○前田座長  そうしますと、今日のところはもちろん中間で、次にまたご議論をいただく機会はい くらでもあるわけですが、届出を怠った場合にはペナルティを科すべきだという意見も あったというか、まとめ方としては「科すべきではないか」という形でここはまとめて おけば、高本委員の今日のご指摘を受けてまとめさせていただくということでよろしい ですか。  そんなにガチガチに厳しく調査委員会をやる以上、きちんと医療側が届け出なければ、 何かやるよという趣旨ではなかったと思いますので、そこはそういう形でまとめさせて いただきます。他にご意見はいかがですか。 ○堺委員  この囲みの外の部分で、「ではないか」と言い切っている部分がありまして、言い切っ ている部分の中で、何か修正をお願いする必要があれば、この際、お願いしておいたほ うがいいかなと思います。9頁の医師法21条のb)のいちばん最後の所です。「法律はあ らゆる社会事象を対象にしているがゆえに抽象的であるため、それを正しく運用するこ とが肝要である。これは当たり前のことであり、大事だとおっしゃっているわけで、大 事なのは当たり前なのですが、どうやって正しく運用するかを書いてなければいけない と思います。法律を運用するのも人ですから、人は時には誤りを犯す可能性はございま す。例えば、この最後の所、「それを正しく運用することは肝要である」ではなくて、「そ れを正しく運用するための工夫が必要である」という表現にすると、それでは工夫して やり方を考えようということになると思いますが、いかがですか。 ○前田座長  いかがでしょうか、私はそう直して問題ないと思います。 ○医療安全推進室長  もし、そのように直したほうがよいのであれば修正したいと思います。 ○前田座長  異論がなければ、この場で全体の一致で、そう直させていただくということで。 ○加藤委員  もう少し大きな所の話です。先ほど、樋口委員が3頁で囲みの中の監察医制度の云々 というところに対応しての議論という意味で、例えば、ヒアリングでも、相当監察医制 度をめぐって説明をお聞きして、それはどのように反映されているのか、事務局にお尋 ねするわけです。  そのときに、昔から解剖等に携わるスタッフと言いましょうか、専門家の養成という ことが、それぞれの専門家集団から養成されていながら、その問題を積み残してきたと いうつけがいま来ていると私は思っています。  併せて、人員確保の問題は7頁に出てきますが、特に調査の組織を作っていくときに 病理の専門家の数や法医の数が問題になってきて、やはり、勤務の実状も踏まえて言い ますと、医者の数を増やさなければいけない、という辺りはどの辺に位置づいてくるの か。その点がどこに書かれているのか、という質問が先ほど樋口委員からあったかと思 いますが、そういう点は、例えば、今回の議論の中で落としていいことではないと思い ますので、どうしたものかということです。 ○医療安全推進室長  解剖の件については、病理法医の人材育成が必要だ、ということはご議論をいただい たと思っております。7頁のいちばん下の「人材育成」ということで、調査組織におい ては解剖担当医である病理医・法医学関係者の協力は不可欠であり、その役割について は社会的に高い評価が与えられる必要があると。また、人材育成が急務であり、そのた めの支援策が必要であるというご意見がありましたので、この点を書かせていただいて おります。  また、解剖自体の重要性については、11頁の4、「調査組織における調査の在り方」の いちばん最初のところで、「解剖の重要性」ということで、この仕組みを進めていくに当 たっては、非常に重要な基本となるものであるというご指摘がありましたので、その点 を記載しております。 ○前田座長  ですから、監察医との関係は、病理の先生たちの問題と比べますと書き切れないとい う段階で、確かに樋口委員がご指摘のように、対応した部分が欠落しているのですが、 秋以降の議論にということです。少しですから、ばらばらになって読みにくいというと ころがあって申し訳ないのですが、一応かなり正確にはここで議論は拾っていただいて いると思いますので、全部が入っていないのはご指摘のとおりだと思います。 ○豊田委員  15頁、「遺族にとってわかりやすい手続」の部分について、a)の文章だけですとわか りにくい部分もあるかと思いますので、少し補足させていただきたいと思います。  a)の部分で、「遺族にとっては司法解剖・行政解剖の違いはわかりにくい。また、これ までの司法解剖・行政解剖においては、その報告書等の遺族への開示が十分ではなく、 真相を知りたいという遺族の希望に十分応えられていない」という部分です。確かに、 医師のいまの現状は厳しい状況だと私も十分理解しているつもりですが、それでもやは り、遺族に対しての対応がこれまで十分でなかったですし、被害者の救済の部分につい ては、きちんと行われてこなかったと思います。今後は信頼回復につながる対応をして いくことで、おのずと医師が抱えている問題についても、自然と解決に向かっていくの ではないかと信じています。  a)の部分については、1例として私の息子のことをお話させていただきます。4年前に 行政解剖を受けたのですが、その4カ月後、解剖記録の開示請求をしました。それはど うして請求したかといいますと、病院が調査報告書を作成して、その報告書についての 説明を受けたときに、全く納得できない点がかなりあったため、もう少し調査をきちん とやってくださいとお願いしたところ、「詳細な解剖記録の所見を見せていただかないと、 私たちも解明していきたいのだけれどもできないのです」と言われたのです。それはそ うだなと私たちも思いまして、私と、代理人弁護士2名で東京都監察医務院のほうへ行 って、直接、実際に解剖してくださった担当の先生にお会いして、「記録を開示していた だきたい」と言いました。  ところが、そのとき「閲覧することはできますが、書面でお渡しすることはできませ ん」と断られました。それ以降、調査委員会はもうそこで解散して、報告書は新たに作 成されることはありませんでした。そのために本当に大変な事態になっていきました。 その後も信頼関係を回復することができないという状態で、月日が流れていきました。  今回、第3回の検討会の中で、参考人として監察医務院の院長である福永先生がいら したときに、たまたまこのお話をさせていただいたところ、「それは開示請求ができるは ずです」というご発言がありました。しかし、実際私はそれを受け取れていませんので、 再度フクナガ先生にお聞きしたのですが、「ホームページを見ていただければわかりま す」ということでした。解剖したのが平成15年3月ですが、ホームページ上は平成15 年4月、翌月から開示が請求できるということになっていました。しかし、遡って開示 できるということだったわけです。私が実際請求したのは8月ですので、4カ月経って います。確かに請求は可能な状態でした。手違いで私は受け取ることができませんでし た。  これには2つの問題点があると思います。1つは、当時私が依頼している代理人、弁 護士が開示請求できることを把握していなかったというのは事実ですが、医務院の中の 担当医でさえそれを知らなかったという実状がありました。  もう1つは、情報公開の仕方が非常にわかりにくいのではないかと思いました。ホー ムページにいつから公開されていたのかわかりませんが、一般の人たちでホームページ を見れる人というのは実は多くはないのではないかと思います。弁護士でもすぐに気付 けなかったような公開の仕方では、私たち遺族はもっとわかりにくい状況です。ですか ら、誰もが把握できる環境にしていただきたいと思います。  今回、私は解剖記録を4年ぶりに取り寄せました。この記録が早い段階で手に入って いたら、病院との関係は全く違う展開になっていたと思います。病院はこの記録を見る ことができない限り、調査をやり直すことは難しいと言っていましたし、4年経ってい まさら調査委員会を立ち上げるのは不可能ですし、もう二度とやり直しをしていただく ことができませんので、このような事実は、遺族にとって大変傷つくことです。それだ けではなく、当時、きちんと遺族に向き合いたいと思っていた医療者は必ずいたはずで すので、その人たちにとってもきちんとした調査を行うことができなかったという意味 では、やはり、辛い思いをされたのではないかと思います。今後の情報公開の在り方に ついては、遺族だけではなく、医療者にとっても重要なことですので、遺族にわかりや すく、円滑に手続を取れるようにしていただきたいと願っています。 ○前田座長  ありがとうございました。これは文章を詰めてしまうと味もそっ気もなくなってしま うのですが、15頁の真相を知りたいという遺族の希望が十分にかなえられていないとい うことは、まさに、いまのような思いを込めて書いてありますので、言葉は足りないの ですが、もう1文必要があれば、言葉を足すということも事務局にお願いしたいと思い ます。 ○木下委員  先ほど高本委員が院内事故調査委員会等の立ち上げに関して、今回の新しい仕組みに 対する基本的な考えをお話いただいたと思います。その具体的な内容の一つとして「過 半数の外部委員を設けた事故調査委員会を作ることを義務づける」という意見がありま したがこの第三者機関では外部の方が調査するわけです。従って当然、院内の調査委員 会においては少数の外部の方が入って厳格に調査をしていることをみてもらうことが現 実的だと思います。もちろん、過半数入れたほうがいいという判断をする施設はそれで いいと思いますが、義務づける必要はないと思います。各部委員の数は各施設の判断で 許されるのではないかと思います。  ペナルティの話についてですが、ペナルティという言葉は、21条の届出違反と同じ趣 きになり、刑事罰を想起します。診療関連死は、所轄警察に届ける代わりに第三者機関 に届けるということは、死亡診断書が書けないような事例ですから、医師は第三者機関 にその調査、原因究明を依頼するのが当然であり、届けるのが当たり前である、と考え るようになると思います。従って届出を行わなかったからといって、ペナルティを科す 必要はないと思います。 ○前田座長  2点目は、先ほどの高本委員との関係で、ペナルティを科すべきではないかというふ うに落とすということですが。  過半数の点も、例えば「ではないか」という形でこう書くということで、やはり、委 員会の強い意見として義務づけがあるということは、いまのお二方のご議論でも確認さ れ、そういうものではないと確認されたものとして整理はまとめて進めさせていただき たいと思います。 ○児玉委員  2頁、「共通の願いとしての医療安全」、「医療界の在り方」という2つの項目があり、 非常に重要な指摘が書かれていると思います。  冒頭の「共通の願い」というのは、患者様サイドと医療従事者サイドの共通の願いと いう趣旨であると理解しております。これまで実際にモデル事業等の営みを一生懸命支 えてきた医療従事者、この会、あるいはこの会に関連して、いろいろ発言されている医 療従事者の願いとして、2つ大事な言葉を付け加えていただくことが可能であれば付け 加えていただきたいと思います。「自浄作用」と「プロフェッショナリズム」です。取り 分け、市民に開かれたプロフェッショナリズムという2つのことが、これまでの医療従 事者側の取組の中で、2つの大きな柱になってきたのではないかと思います。  意見の形で、私自身ちょっと言わせていただくと、良識ある医療従事者によって担わ れる自浄作用と、市民に開かれたプロフェッショナリズムの形成に向けて、医療従事者 の主体的な参加が必要である。あるいは「必要であるのではないか」と、如何様な語尾 の捉え方でも結構です。それは医療界側の思いとして、私自身が感じてきたことですの で、この場をお借りして、ご指名ですので発言させていただきました。 ○前田座長  いまの言葉を2頁に詰めて入れて、a)の中に入れ込むとちょっとゴチャゴチャになり ますので、1行の中には単語として「自浄作用」と「市民に開かれたプロフェッショナ リズム」を入れる形で、委員の方のご賛同を得られれば、修文はお任せいただいて、中 間取りまとめの中に入れさせていただきたいと思います。 ○辻本委員  2頁の「共通の願い」のところですが、a)の2行目に「より良いもの」とありまして、 そのパラグラフの2行目にも「患者のための良い医療を」とあります。  実は、上の「より良いものである」というのは納得がいくものであると私は願いまし た。というのは、もちろん患者も納得ということが必要ですが、医療を提供する側も、 納得ということがすごく大事なことだと思います。a)の「医療が安全・安心で、納得で きるものであることは」と上を変えていただくことで、下の「より良い」は、私はこの ままでよろしいと思います。それから、b)につなげて、「納得」ということを「さらに」 ということで、もし検討いただければということをお願いしたいと思います。 ○前田座長  先ほどのご提案を受けて、途中に児玉委員の文章が入るので、つながり方が少し違う ように見えるかもしれませんが、ポイントは2行目の「医療が安全・安心で、より良い ものであることは」というのを、「したがって医療が安全・安心で、より安全、納得のい くものであることは」ということですか。これは納得する主体は、患者、家族、医療従 事者、全部が納得いくものという意味での納得になるわけですか。 ○辻本委員  はい。b)のほうは、自分が説明という意味では、「さらに」ということで、患者が主語 の1文を加えていただいていると理解しています。 ○前田座長  この「より良い」には、この意味の中にはまた別のニュアンスの意味も込められて読 んでこられたかもしれないのですが。いまのように直してご異存がなければ、そうさせ ていただきたいのですが。 ○加藤委員  2行目の「より良い」は、要するにクオリティーというか、質の高いものという意味 合いで私は読んでいたのですが。つまり、医療の適切さというか、安全や安心とは違っ て、クオリティーが高いということで、これは非常に大事な要素ではないかと思います。 それは医療を受ける側も、医療を提供する側もクオリティーの高いものをすべて共通の 願いとして持っている、という読み方をしたほうがいいところではないでしょうか。 ○前田座長  もちろん、先ほどチラッと申し上げたのですが、多くの方は「より良い」というのは、 クオリティーの高いという趣旨を含めて読んでこられたと思うのです。  ただ、辻本委員からご提案があったのは、クオリティーの高いというのは共通の土俵 として当然の大前提にあっていて、ここで事故調査会を作っていく上で重要なのは、患 者側と医療側が協力して、安全で安心で納得のいくものであることが、より良さの大き なものであると言いますか、それをより強調したいというご趣旨なのだと思うのです。 ですから、クオリティーの高さみたいなものが落ちてしまうように見えてしまうことに ついては、辻本委員どうですか。 ○辻本委員  下から2行目の「患者のためのより良い医療」ということを、私はフォーカスしてい ると理解したいと思います。 ○高本委員  それは協力するという中に納得というのが入ってくるのではないでしょうか。もっと、 私は協力のほうが、納得よりも次元が上のような気がします。それを乗り越えないと協 力というのはあり得ないわけですから。 ○辻本委員  患者の立場で申し上げれば、納得ということのためには、やはり、仕掛けや仕組みが 必要で、まさにシステム作りやこの議論そのものも、私は納得のために皆さんが時間と エネルギーを費やしていらっしゃると理解したいのです。  そうしますと、1行目で協力して、共同であるということを強調していますので、そ のもとで何を求めていくかということが、安全で安心で納得のできるという、いまいち ばん患者たちが求めている要素ということで、「より良い」という漠としたものを「納得」 と当てていただきたいというお願いです。 ○前田座長  ですから、そんなに趣旨が変わってしまうということではないと思うので。 ○高本委員  より良くて、納得のできるということにしたらどうでしょうか。 ○前田座長  どうでしょうか。 ○高本委員  基本的には同じなのではないでしょうか。私は協力というのはもっとダイナミックな お互いの関係で、むしろ、患者さんが納得している以上のものを、さらに医療者は提供 したいというぐらいのつもりもあります。ですが、「納得」もいい言葉ですから、一緒に 入れたらどうなのでしょうか。 ○前田座長  「納得」というのを入れながら、よりクオリティーの高いものというニュアンスも残 すようにできればいちばんいいのですが、ただ、全体として今回の議論をいままで動か してきて、医療者の側がいままでぶつかり合うものとして見ていたのが、議論していて 納得が深まってきた、というところがいちばん重要なところだと思うのです。その意味 で折角のご提案ですし、辻本委員のおっしゃるように、「医療が安全・安心で納得のいく ものであることは、医療にかかわるすべての人の共通の願いである」と修文させていた だくということでいかがですか。これで他のところの議論が動いてしまうという感じで はないと思うのですが。 ○加藤委員  ここは「納得」ということで飛んでしまうと、質の向上というか、そういう医療の質 を確保していくことが飛んでしまうという意味が裏面としてあるとすると、少しここは こだわっておきたいところです。  十分な説明を行い患者のためのより良い医療をというところとは、ある意味で違った ニュアンス、やはり、医療の質がやはり大事だ、ということをa)の中の文章の早い段階 で「より良い」というものを入れていた意味は、そういう意味だと私は理解するのです。 納得という部分は、b)のところで出てくるわけですよね。ここは質の向上ということに つないでいくところは、医療の根幹にかかわることですので、いまの点はちょっと慎重 にお願いしたいと思います。 ○前田座長  他の方、ご意見があればですが、何とか「より良い」の中に従来のただの医療の水準 の高いものだけでは、ニュアンスを入れ込めることができれば、うまく解決できること だと思います。「医療が安全で安心で納得のいくより良いものである」というのは、あま りにもイージーにつなげ過ぎていますかね。 ○高本委員  その下のほうに、「常に患者との信頼関係を維持しながら、十分な説明を行い」という のは、お互いに納得するということですね。 ○前田座長  そのつながりで、ダブるけれどもあえてそれを入れておくことに意味があるというご 指摘だと思いますが、南委員、何かございますか。 ○南委員  適当かどうかわかりませんが、例えば、「医療が良質で安全・安心であるだけではなく、 関係者すべてにとって納得のいくものであることが必要」という意味ですよね。それを 最初に入れてほしいという。ですから、「良質」という言葉をきちんとどこかに入れて、 なおかつ、「患者にとってだけでなく、関わるすべての人にとって納得のいくものである」 ということを最初に謳えば全部の意味は入るかなと思います。「良質」と「納得がいく」 を並べると、加藤委員がおっしゃるようにぼけるというのもそのとおりなので、「医療が 良質で、安全・安心であるだけでなく」とか、そのようにされたらどうでしょうか。 ○前田座長  それではご趣旨をいかして、ここで議論していますと迷路に入ってしまう可能性もあ るので、こういう整理をさせていただきます。辻本委員のご提案も受け止めつつ、やは り、基本は頭のところで「より良い」という中には、クオリティーの高い医療という趣 旨が入っていることは動かせない。ですから、そこを損なわない範囲で、医療側も患者 側も納得のいく医療というものを目指すことを入れる文章を修文して、私と事務局にお 任せいただいて、いま言った範囲のことは絶対に動かさないということでまとめさせて いただければと思います。 ○南委員  私はどこをどう変えていただきたいということではなく、先ほど高本委員が、医療を やっている側にとって非常に処分を行う制度が未整備だとか、そういうことが17頁に 面々と書かれていることに対して、いろいろ思いをおっしゃったのですが、それは心情 としては本当にそのとおりで、まさにいまの状況というのは医療者にとって全く納得が いっていないということだと思うのです。  ここで仕組みが十分整備されていないとか、前回、私もいろいろ申し上げたのですが、 しかし、どんなにしても、いまの法律の下では、学会がどんなに頑張っても、その学会 に強制参加になっていないので、結局は不心得の人や、何かを最終的には医療従事者の 中で自浄制度を100%発揮することはできない。そこは医療者にとっても非常に無念な ところというか、むしろ、心ある医療者にとっては、そこは制度上できないということ を考えますと、今回できる制度が心ある医療者にとっても、それに応えるものになると いう精神がどこかにないと、医療者側にとって非常に納得のいかないものになるのでは ないかという思いがあるのですが、それはうまく入らないものなのでしょうか。  結局、それがあるので刑事というものの力を借りざるを得ないのが現状になっている と思います。 ○前田座長  これはいろいろな処分の問題ともつながって、今後の議論として行政処分をどう考え ていくか。医療界の自立性、先ほど児玉委員がおっしゃった「自浄作用」も問題ですよ ね。 ○南委員  そこはほとんど私も思いは同じです。 ○前田座長  つながっていると思うのです。ただ、今回のまとめの段階としては、この範囲にさせ ていただいて、秋からの議論として、どうしてもそこには必ず行かざるを得ないことに なってくると思います。 ○山口委員  私はモデル事業から1つは院内の調査委員会、あるいは院内の調査委員会だけではな くて、安全推進委員会のアクティビティが非常に重要なことを申し上げてきたと思いま す。  この委員会が最終的に非常に機能するかどうかは、結局のところ、その実行者である 院内の各種の委員会、あるいはこれを評価する各専門の医療関係者が積極的にこの事業 に参加するということでないと、組織ができてもちゃんと機能しない。その意味では、 是非そういう方々にある程度インセンティブが働くような形でこの組織ができてほしい と思います。  特に、これまでの院内の医療安全活動でヒヤリハットを含むような、医療安全活動で それなりに効果を上げてきていると思いますし、医療事故の細かいものがかなり減るよ うに動いてきていると思うので、それに水をかけるような話であってはならない。これ は非常に大きな原則かなと思います。そういう意味で児玉委員が挙げられた「自浄作用」 「プロフェッショナリズム」を織り込んでいただくのは非常によろしいのではないかと 思いました。  樋口委員がご指摘になられた3点のうち、9頁にある何を届け出るかというところに ついてはいろいろなご議論がありましたが、結局、あまり具体的な話がない。医師法21 条の問題も、結局何がいちばん問題かというと、何を届け出ればいいかというところが 実ははっきりしていなくて、具体的なイメージをつかまえないままで、右へ行ったり左 へ行ったりした議論がいまも行われていると思います。その意味で、現在すでに医療機 能評価機構のほうへ届け出るような事例の具体的な形が、資料の55頁にかなり挙げてあ ります。基本的にすでにこういうところで事例の収集が行われていることを考えますと、 ここに書かれている内容も届け出るものとしてかなり具体的ですし、そうおかしい範囲 ではないと思います。この届出制度を扱っていく基本的な事故、報告すべき診療関連医 師の範囲の例としては、こういう線に沿っていく話がよろしいのではないかと思います。 ここのところ議論がなしで、そのまま分からないという話よりは、1つのモデルとして これを強く意識した形で決められるのがよろしいのではないかと思います。 ○前田座長  最後の点は、紛糾するのを避けてと言いますか、もう議論はある程度行われたから触 れないという形で、前にずっと進めていきたいのですが。いずれ55頁のようなものは、 もちろんこれは出発点として非常に重要だと思いますし、こういうものを踏まえた議論 にしたいと思います。制度を作っていく上では、どうしても必要になってくると思いま すので、ご指摘を重く受け止めて、次の議論につなげていきたいと思います。オブザー バーということで警察庁、法務省からも何かご発言がありましたらお願いします。 ○警察庁刑事局刑事企画課長  折角の機会ですので、なかなかオブザーバーと言われますと、文字どおりオブザーブ しかできないのですが、機会をいただきましたので、今日の議論も踏まえて発言いたし ます。  私どもとしては、基本的には医療機関側からのものが圧倒的に多いわけですが、現場 の警察のほうにいろいろな形で届出、相談等がなされて、それを踏まえて事案として取 り組む。その背景には、患者さん側の死という大きなものがありますので、それ相応の 捜査というか、調査というか、活動しなくてはならない責務を負っているわけです。  現場のほうも相当負担という言い方をすると、患者さんに大変申し訳ない言い方にな るかもしれませんが、専門的知識は必ずしも十分ではない中で、そういう活動を展開し ていかなければならない。一方、患者さん側の切実な要望というか、訴えがあるのは現 実です。先ほど出た納得という部分は、私は非常に重要だと思っています。やはり、納 得されなければ結局はどんな機関ができても、刑事訴訟法に則った告訴、告発という形 で出てくる可能性が非常に強い。それは何のために第三者機関を設置するのかという気 もするわけです。そういうことで言えば、これもそういう趣旨ではないかもしれません が、届出を義務づけないというか、ペナルティを科さずに置くというのであれば、第三 者機関ができてもどこまで信頼できるのか。届けなくても罰則というか、ペナルティが なければ、これは意図的に隠そうと思えばどうなるのか。そうなると、21条でしっかり やってもらうしかないということになり兼ねないという意味で、私ども警察の立場で申 し上げていますが、第三者機関は国民全体から見ても信頼される公平公正なものである ためには、その辺は担保していただかないといけないのではないか、という気持でお話 を伺わせていただいておりました。  いずれにしても、先ほど申し上げたように現場の負担や、患者さん側の気持というこ とを踏まえれば、是非第三者機関が公平公正で、かつ機動性のあるものとして運用され て、そこの場で解決できるものであれば解決してほしい。それでもどうしてもこれは立 件すべきものというのであれば、私どもも責任としてきちんとやりますが、そこに至ら ない形で、段階できちんと対処できるものであれば、是非そういう機関をうまく運用で きるように今後議論していただければと感じております。 ○法務省刑事局刑事課長  特に内容の文言等について、私どもからコメントすることはございません。この問題 は非常に兼ねてから大きくクローズアップされてきた中で、検察としても非常に注目し ているところです。半年近くに当たるご議論で、相当大まかな方向性は出てきているの だろうと思います。  委員の先生方は医療の側、患者さんの側、学者の先生方、さらには私ども刑事処分に 携わる者の側ということで、一見すると相当立場の違う人が集まった中で、相当大きな 方向性が出てきているというのは、成果としては意義深いものがあるのではないかと思 います。  今日もいろいろご議論がありましたが、それぞれ細かい制度設計においては、まだま だ詰めていかなければいけないこともあろうかと思います。まずは、こういった仕掛け がきちんと出来ることが非常に大事ではないかと思います。感想だけ申し上げさせてい ただきました。 ○前田座長  どうもありがとうございました。本日いただいたご意見で、先ほどお約束したことは 必ず守るということで、もちろん不可能な部分というのが技術的にあるかもしれないの ですが、可能な限り修正させていただきます。もちろん、委員の皆さんにご確認をいた だいて動かして修正を進めていきたいと思います。最終的には座長にご一任をいただき たいと思いますが、いかがですか。 ○鮎澤委員  8頁の3番、「診療関連死の届出制度の在り方について」、囲み記事の最後の「届出先」 ですが、届出先がa)b)として、まず、a)医療を担当している厚生労働省、b)保健所の提 案が挙げられていますが、議論の中では「調査機関への直接の届出」というのが、何人 かの方からご発言としてあったと思います。  これだけ見ると、厚生労働省関係、もしくは保健所の議論だけだったかのようですが、 9頁のb)f)などでは、調査機関においてまず届出を受けるとか、調査機関に届け出ると いうことが書かれているように、「調査機関への直接の届出」といったご発言があったと いうこともここに書き込んでおいていただきたいと思います。 ○事務局  それはお約束できますね。 ○医療安全推進室長  わかりました。貴重なご指摘をありがとうございました。 ○前田座長  いまの点も含めての修正で、先ほど申し上げかけたのですが、ご一任をいただければ と思いますが、よろしいですか。 (異議なし) ○前田座長  そのようにさせていただきます。事務局から今後の予定について、何かありましたら お願いします。 ○総務課長  本日は大変ありがとうございました。私ども厚生労働省としては、本日までは夏休み 前の議論ということで7回ご議論をいただきまして、そこまでの議論ということで議論 の整理をお願いしたところ、本日、こういったような形でおまとめをいただきました。  前回も申し上げましたが、私ども役所の仕切で言いますと、8月末に来年度の予算の 要求をするといったようなことが一応の締切です。したがいまして、本日おまとめいた だいた議論の整理の中で大まかな方向が出ていて、そういった部分を参考にさせていた だいて、来年度の予算要求等を行っていきたいと考えております。  また、この問題については与党をはじめ、各政党におきましても大変関心が高く、委 員会やプロジェクトチームといったようなことが設けられて、検討が進められていると 承知しております。今後そういったところでもこの検討会の議論を聞かれることもあろ うかと思いますので、本日おまとめいただいた議論の整理を活用させていただきたいと 思います。  この検討会につきまして、これはあくまで夏休みまでの議論の整理ですので、秋以降 についても継続的な議論が必要です。引き続き、この検討会の皆様方にはよろしくお願 いいたします。具体的な日程等、詳細につきましては、後日追ってご連絡させていただ きます。本日は大変ありがとうございました。 ○前田座長  それでは本日の会を閉じたいと思います。どうもありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省医政局総務課  医療安全推進室   03−5253−1111(2579) 2