07/08/09 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会平成19年8月9日議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 添加物部会 議事次第   【日時】 平成19年8月9日(木) 9:57〜11:22   【場所】 航空会館201会議室   【出席委員】(五十音順)      井手委員、北田委員、佐藤委員、棚元委員、長尾委員、      堀江委員、米谷委員、山添委員、吉池委員   【事務局】國枝基準審査課長、光岡補佐、磯崎補佐、小山田専門官 ○事務局 それでは、若干定刻よりは早いですが、先生方がおそろいになられましたので、これか ら「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会」を開催させていただきたいと思います。  本日は、御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお 願いいたします。  本日は、石田委員、井部委員、山川委員、山内委員より欠席との御連絡を事前にいただいており ます。現在、添加物部会の委員13名中9名の先生方に御出席いただいておりますので、本日の部 会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  次に、7月6日付で事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきたいと思います。  基準審査課長の國枝卓でございます。 ○國枝基準審査課長 國枝です。どうぞよろしくお願いします。 ○事務局 基準審査課課長補佐の光岡俊成でございます。 ○光岡補佐 光岡でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは、座長を長尾部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○長尾部会長 それでは、配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。 ○事務局 本日、先生方のお手元に置かせていただきました資料は、議事次第、委員名簿、資料一 覧をとじましたものが1セットと座席表がございます。  そのほかに、本日の議題(1)〜(3)の資料といたしまして、右肩に資料1−1と記載してお ります、ポリソルベート類の新規指定の可否に関する薬事・食品衛生審議会への諮問書でございま す。同じ冊子の3ページから、添加物部会の報告書(案)でございます。同じく45ページから、 食品安全委員会の食品健康影響評価に関する審議結果でございます。  資料2−1といたしまして、ケイ酸カルシウムの新規指定の可否に関する薬事・食品衛生審議会 への諮問書でございます。同じ冊子の3ページ目から、添加物部会の報告書(案)でございます。 同じく17ページから、食品安全委員会の食品健康影響評価に関する審議結果になっております。  資料3−1といたしまして、L−アスコルビン酸カルシウムの新規指定に関する薬事・食品衛生 審議会への諮問書でございます。同じ冊子の3ページ目から、添加物部会の報告書(案)でござい ます。同じ冊子の15ページ目から、食品安全委員会の食品健康影響評価に関する審議結果(案) になっております。  次に報告事項の資料といたしまして、左肩に「報告資料」と記載してございます「食品安全委員 会への意見聴取及び食品健康影響評価結果について」でございます。  本日、お手元にお配りしております資料は以上でございますが、もし不足等がございましたら、 お申し出いただきたいと思います。皆さんおそろいでしょうか。特段問題なければ、審議の方に入 りたいと思います。 ○長尾部会長 では、最初に議題(1)ポリソルベート類の新規指定の可否について審議を行いた いと思います。  事務局より、資料の説明をお願いします。 ○事務局 では、まず背景から御説明させていただきます。  ポリソルベート類につきましては、国際的に安全性が確認され、かつ、欧米で汎用されている添 加物として、厚生労働省において資料をとりまとめ、指定手続を進めている品目でございます。  本年7月4日に当部会において、初回の検討を行ったところでございます。その際に幾つか御指 摘を受けておりましたので、その点について、経過審議となっておりました。今回、そのとりまと めが完了いたしましたことから、再度、御審議いただくものです。  では、資料に沿って御説明させていただきたいと思います。  資料1−2の報告書(案)につきまして、前回からの修正点は、8ページからの「8.新規指定 について」という部分、 11ページから「コーデックス、米国、EUと日本の比較」という比較表 がございまして、この中の日本の基準の部分について、あとは19ページ以降の成分規格について、 一部修正をさせていただいております。  本来であれば、前回からの修正点は、見え消しの形でお示しさせていただいておりますが、非常 に見づらくなったものですから、今回は反映させた形でお配りさせていただきました。その点を御 了承ください。規格の修正に関しましては、従来どおり、見え消しで修正しております。  前回の部会では、小児における最大推定摂取量がADI比で1をオーバーする結果になっており まして、それを踏まえて「最大摂取量の推定」「3)使用基準(案)」を、再度、整理検討するよう にという点と、それを踏まえた上で、報告書の記載ぶりをもう少しわかりやすく整備するようにと いうことで御指摘をいただいておりました。  そこで、対象品目の精査とそれに基づく摂取量の推定を再度実施し、今回、それらの天を修正し た形で資料の方を準備させていただきました。  では、8ページの「(1)使用基準について」からでございます。  「1)設定方針」といたしまして、ポリソルベート類につきましては、今般、コーデックス基準 の策定が大幅に進む状況でありますので、国際基準であるコーデックス基準を勘案しつつ、以下の ように基本方針を設定いたしました。  1点目として、コーデックス基準が設定されている食品とそれに対する最高使用濃度を原則とし て採用するということ。  2点目として、コーデックス基準が設定されている食品であって、更に米国またはEUにおいて、 使用が認められている食品を対象食品とすることとしております。  コーデックス、米国、EUにおける使用基準と我が国の使用基準案の比較は、11ページ以降に掲 載しております。  今、申し上げました上記の(1)、(2)の基本方針を原則としておりますが、コーデックスの食品分類 の07.2の高級ベーカリーの最高使用濃度は、コーデックスにおいて現段階では検討中であるとい うこと、コーデックスでの最高使用濃度の案である5g/kgで推定摂取量を計算いたしますと、成人 で32.1、小児で33.6mg/ヒト/日となり、その量が多いことから、これについては、EUの基準で ある3g/kgを採用いたしました。  また、パンにつきましては、コーデックス基準が同じく検討中であるということと、最高使用濃 度を3g/kgとした場合に、パン由来の推定摂取量が、成人で114、小児で91mg/ヒト/日というこ とで、その量が多いことから、パンにつきましては、今回、使用対象品目とはしない形で整理させ ていただきました。  1)の方針に基づき、摂取量の推定を行ったのが2)からになります。最大摂取量の推定は、こ こに掲げております(1)、(2)、(3)に基づいて、算定を行いました。  (1)としまして、食品分類ごとの一日摂取量は、平成17年度食品添加物一日摂取量調査報告書に 基づきました。  (2)としまして、平成17年度報告における食品分類とコーデックス基準での食品分類の対応を整 理して、各食品分類の食品摂取量を推定しました。  (3)としまして、最大摂取量は以下の計算方法により推定しました。すなわち、食品分類ごとの食 品摂取量と食品分類での最大使用濃度をかけ合わせまして、そのトータルで最大推定摂取量として おります。  このような算定方法に基づき計算した結果を、8ページの下に「最大摂取量の推定」ということ で、表の形で掲載いたしました。今回、対象にする品目ごとに、上に掲げましたような計算方法で、 それぞれからのポリソルベート類の摂取量を計算したものをまとめた表になっております。  9ページにこれらをトータルした最大推定摂取量がありますが、成人では289mg/ヒト/日、小児 では157mg/ヒト/日ということになっておりまして、これを食品安全委員会で出されましたADI と比較いたしますと、成人で0.578、小児で0.993ということで、ADIの範囲内に収まる結果と なっております。  また、この推定につきましては、9ページの中ほどのなお書きにございますように、使用基準に 含まれる加工食品すべてにポリソルベート類が最高使用濃度で使用された場合の過大な見積もり であるということ、今回の使用基準案は、対象食品の範囲が米国、EUでの対象食品の範囲にとど めたものとなっておりますので、実際の摂取量は米国、EUでの1日摂取量として生産量から計算 されております12〜111mg/ヒト/日を超える可能性は小さいということを踏まえますと、ポリソル ベート類が日本で指定され使われた場合に、ADIを超えて摂取される可能性は低いと考えており ます。  9ページの下「3)使用基準(案)」は、11ページからの日本の使用基準案を告示上の規定ぶり に書き起こしたもので、前回の部会報告書(案)の場合と同様に、ポリソルベートには4種類ござ いますが、他のものと併用する場合、その合計量として基準値以下となることを規定しています。  これにつきましては、4種類のポリソルベートについて、食品安全委員会の評価でグループAD Iが設定されていることを踏まえ、個々のポリソルベートについて、個別に基準を設けるのではな く、もし併用されるのであれば、トータルとして基準値以下としております。  では、成分規格についても、今回若干変更しておりますので、御説明させていただきます。19 ページからが規格案になっております。修正箇所は、見え消しで記載しておりまして、前回「エチ レンオキシド」という言葉を使っておりましたが「酸化エチレン」が一般的ということで、エチレ ンオキシドは酸化エチレンにすべて修正いたしました。  19ページの一番下「純度試験」の(6)、酸化エチレンとジオキサンの基準に関する部分ですが、 当初は標準液の調整は、エチレンオキシドに水に加える方法を採用しておりましたが、酸化エチレ ンには毒性があり、また揮発性も高いことから、試験実施者の安全性を考慮して、ポリソルベート 用の酸化エチレン・テトラヒドロフラン試液を用いる方法に今回修正いたしました。  それに伴い、25ページの「一般試験法」になりますが、こちらを新しく今回追加いたしました。 今回用いる酸化エチレン・テトラヒドロフラン試液は、その含量の測定にNMRを用いていること から、一般試験法にNMRに関する記載を追記いたしました。この内容は、日本薬局方の一般試験 法における記載ぶりを参照しております。  同じく試液の関係で、27ページの「試薬・試液」の部分で、「酸化エチレン・テトラヒドロフラ ン試液、ポリソルベート用」を新たに追加いたしました。  こちらの定量法では、NMRを用いてプロトンを測定して、その積分値から濃度を求めるという 方法になっております。そのほかのポリソルベート60、65、80についても、今、御説明申し上げ ました形で用語の修正等を行っております。  今回、ポリソルベートに関しまして、本日御欠席の山内先生から事前にコメントをいただいてお りますので、御紹介させていただきます。  先生の方からは、「今回パンは使用対象食品としないとありますが、ショートニング、フラワー ペーストでは使用対象食品として使用基準案が設定されています。したがって、最終製品からポリ ソルベートが検出された場合、ショートニング由来なのか、またはフラワーペースト、乳化剤由来 なのか、なかなか分別しづらいと考えます。ということから考えて、基準がつくられた場合には、 製造者、検査担当の方たちが混乱するのではないかと思われますが、この辺りはどのようにお考え になりますか。」ということが1点。  2点目といたしまして、「食品安全委員会の評価書の16ページ、一番下に書いてありますページ 数で63ページになりますが、この中ほどに「ポリソルベート類に含有される不純物については」 という書き始めの部分がありますけれども、こちらのパラグラフの一番下の部分におきまして「但 し、リスク管理機関としては、引き続き、技術的に可能なレベルで低減化を図るよう留意すべきで ある」との表現がありますが、リスク管理機関として、この報告を受けて、どのような措置を講ず ることをお考えですか。」とのコメントをいただいております。  まず第1点目のパンを使用対象とはしておらず、ショートニングやフラワーペースト由来のもの への対応について、どのようにお考えかという点についてですが、もし検査の過程で最終製品であ るパンから検出された場合に対しては、事業者に対する製造に用いた使用原料についての情報の提 示の依頼ですとか、国内であれば、立入検査等によって確認して、最終的な判断を行うということ になってまいります。これまでもそのような原料由来のものに関しては、このような対応をしてお り、こちらについても、同様に考えております。  2点目の不純物に関してですが、食品安全委員会の評価書におけるこの部分の記載は、食品安全 委員会でパブリックコメントの手続を行いました際に、ポリソルベートの不純物について意見が提 出されたことを受けて、パブリックコメント後に評価書に追記されたものでございます。  ここでいう不純物たる酸化エチレンとジオキサンにつきましては、今回、規格の純度試験で限度 値を定める形にさせていただいております。しかしながら、事業者に対してさらなる指導等が必要 ということで、部会報告書に触れるべきとの御意見がございましたら、検討したいと思っておりま すが、今のところ、純度試験の規格値を設けるという形で対応していると考えております。  御説明は以上になります。よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長 それでは、今お話のあった、山内先生からの2番目の質問のありました純度に関し て、御意見はありますでしょうか。  規定で酸化エチレンは1μg/kg以下、ジオキサンは10μg/kg以下ということです。例えば酸化 エチレンで発がん性が予測されるものは、100万分の1以下だということですので、いかがでしょ うか。特に部会報告書案に加筆した方がいいとか、ありますでしょうか。 ○山添委員 この濃度で守られていれば問題はないと思いますけれども、私がお伺いしたいのは、 現在の成分規格のところで、この方法の条件下でジオキサンやエチレンオキサイドが検出できる条 件になっているのかどうかということなんですが、ガスクロとNMRのことが出ていますね。この 基準の濃度がこの範囲で検出できるのかどうかということをお伺いしたいです。 ○佐藤委員 本件設定の根拠に書きましたが、一応EPの試験法に基づいて、こちらで確認をして おります。試験法としまして、EPで使用しているカラムですと、ほかの不純物とピークが重なっ てしまって誤認する可能性があるということで、当部糖分の方では揮発性物質でかなり分離のいい カラムを使用しまして、ほかのものを酸化エチレンやジオキサンと間違えないようにということを 慎重に測れるように条件検討をしました。  今、添加物ではない、別の用途で使われているサンプルについて、サンプル提供いただきまして、 実際に測りましたところ、ポリソルベート80は医薬品に入っていまして、エチレンオキサイドと ジオキサンは検出されない製品もあったんですが、物によりましては1ppmを超えるポリソルベー ト20とか別のものは、現在の段階では1ppmを超える酸化エチレンが検出されるものとか、10ppm を超えるジオキサンが検出されるサンプルもありましたす。ということで、この試験法ですと一応 この基準の濃度は分析可能です正確に読み取れるし、現在メーカーさんにも気を付けていただかな いと、超えるものもあるということです。 ○山添委員 ありがとうございます。 ○長尾部会長 いいですか。  では、ほかのことに関しまして、御意見、御質問等ありましたら、お願いいたします。吉池委員、 どうぞ。 ○吉池委員 摂取量の推計のところで、今回パンを使用対象から外すということですが、1点確認 したいことは、米国では使用基準があって使用されているという実態があり、一方EUの方ではま だないということでしたか。 ○事務局 EUでは認められておりません。米国だけでございます。 ○吉池委員 米国だけですね。食品安全委員会での評価書の中で、通しページの62ページのとこ ろに米国とEUの方での使用量からの推計があり、EU12〜21、米国60〜111と数値の乖離が大き いのですが、これはパンでの使用の有無が大きな原因と解釈してよいのでしょうか。 ○事務局 実はどれほど米国でポリソルベートがパンに使われているかということを確認するた めに、パン工業会の方とも話をいたしましたが、正確なところ、どれだけ使われているかという情 報を得ることはできませんでした。  ただ、パンに対して多用されているという状況ではないとは伺っております。あるとすれば、シ ョートニングなどにもともと入っていて、それ由来で使うものはあるかもしれないが、パンにダイ レクトに入れるというものは、そう多くないのではないかと、業界の方で調べた結果として、その ように申しておりました。 ○吉池委員 量的なところの推計はなかなか難しいにしても、12〜111の上の方はパン由来のもの も含まれているという解釈をするのであれば、それを日本での今回の最大摂取量の推計値と比較し て、日本はこれよりもっと低いだろうという話をするときに、111よりも更に低いレベルでまずパ ンを認めないということですので、十分にその範囲に収まるという解釈ができると思って確認をい たしました。  そういう意味では、成人、特に小児のところでは、ADIとの比較では、157で99%という数字 が出ますが、111という米国の数字からは割合高いかもしれないという危惧がありますが、実際に はそれよりも低い範囲に収まると間接的に言えるのではないかと思います。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。  今、検討中のものが、将来コーデックスで採択されるようになると、先のことなんですが、日本 でもそれに合わせて採択していくようになるんだと思います。だから、実際に含まれている量がそ のころまでに明らかになっている必要があるのではないかなと思いました。 ○事務局 そうですね。食品添加物につきましては、マーケットバスケット調査というものを従来 から行っておりまして、ポリソルベートにつきましても、指定後は同様な調査を行いまして、実際 にどれだけ摂取されているかということは確認してまいりたいと考えております。  もし今後コーデックスでパンでの基準が採択され、事業者からパンに追加で使いたいとの要請が 出て参りましたら、指定後の使用実態と、実際にパンなりを追加してどれだけ摂取量が増えるかと いうところをまた見積もった上で、使用基準として追加で設定していくことで差し支えないか否か を考えていきたいと思っております。 ○長尾部会長 ちょっと教えていただきたいんですが、パンというのは食パンとロールパンのよう なもので、クロワッサンみたいなものは焼き菓子に入るんですか。 ○事務局 パンに関するコーデックス基準案が15ページの07.1.1、07.1.3、07.1.4、07.1.5、07.1.6 といったところにありますが、ロールパン、ここにある蒸しパン、ブドウパン、こういったものは パンになりますので、このページの右側を見ていただければわかりますように、今回、基準は設定 しておりません。  クロワッサンにつきましても、イーストを使ったパンであるかと思いますので、パンということ でクロワッサンにも使えないことになるかと思います。 ○長尾部会長 そうですか。  もう一つ、ミックスパウダーも3g/kg、焼き菓子もそうですね。そうすると、実際に使うときに もしミックスパウダーに入っていたら、例えばショートニングが入っているものは使えない。でき 上がった焼き菓子が、とにかくどれにしても、3がアッパーリミットということで決まると解釈す ればよろしいんですか。細かいことで済みません。 ○事務局 そうですね。焼菓子で3、ミックスパウダーで3になっています。もしミックスパウダ ーを使ってつくられたような製品ですと、最終的に出てくる製品は焼菓子の形の食べられる状況の ものになりますので、そこで測定した値で切っていくことになるかと思います。 ○長尾部会長 ほかにはいかがですか。佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員 9ページの「3)使用基準(案)」なんですが、一番下の行で「海藻の缶詰及び瓶詰 並びに野菜の缶詰及び瓶詰にあたってはその1kgにつき0.30g以下」となっているんですが、12 ページのコーデックスの表の04.2.2.3缶詰または瓶詰のところは30になっているので、使用基準 0.030gではないでしょうか。 ○事務局 申し訳ございません。その点は御指摘のとおり、9ページの記述が間違っておりまして、 0.030というのが正しい値になりますので、こちらは修正させていただきたいと思います。 ○長尾部会長 堀江委員、どうぞ。 ○堀江委員 9ページなんですけれども「3)使用基準(案)」で、今回の場合、ポリソルベート 80としてですので、ポリソルベートというのは、酸化エチレンの結合の仕方や側鎖につきますオレ イン酸とかそれらのものが、なかなかピュアなものがなくて、ミクスチュアであるというのが一般 的だったと思うんですけれども、ポリソルベート80というのは、単一成分として考えてよろしい んでしょうか。 ○佐藤委員 ポリソルベートに関しましては、報告書のところにポリソルベート20〜80、65の組 成がありまして、ポリソルベート80については、オレイン酸がメインという記載になっていると 思います。  試薬の方をメーカーさんにいろいろ問い合わせましたところ、ポリソルベート80につきまして は、オレイン酸のピュアの規格のものを販売できるということでしたので、そういった1つの標準 品的なものが供給できる80として分析すれば、標準が1つであれば、全体のミックス、トータル として考えやすいかなということで、60というパルミチン酸とステアリン酸が1対1の混合物にな っておりまして、これが一番使われているものだと思うんですが、標準品としてピュアなオレイン 酸からなるポリソルベート80をスタンダードにした方がばらつきがないだろうということで、そ うさせていただきました。 ○長尾部会長 堀江委員、どうぞ。 ○堀江委員 オレイン酸についてピュアなものというのは、提供されているらしいんですが、酸化 エチレンが総数で約20付いているらしいんですけれども、酸化エチレンのX、W、Yの付き方が もし製品によって違った場合に、単一成分として表品が加工されない場合に、例えば0.02という ような低レベルの規格基準が設定された場合に、その定量値を担保できるかというのがちょっと気 になりました。 ○長尾部会長 いかがでしょうか。 ○佐藤委員 分析法に関しましては、現在、検討中の段階で、0.20としてという1つの基準で、常 に供給されるものが1つの組成で、エチレンオキサイドの付き方も単一のものを供給していただい て、それをスタンダードとして、それよりどうかという話でやるしかないのではないか。結局、定 量法としましても、発色率で見ることになると思うんですが、そうすると、65というのは発色率が ほかのものに比べて低くなることはわかっているんですが、検出下限値が20ということで、恐ら く20以上出てはいけないもので20出たらアウトというような限度値として、20が設けられてい るのではないかと思います。済みません。 ○長尾部会長 いいですか。 ○堀江委員 はい。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。米谷委員、どうぞ。 ○米谷委員 前回欠席しましたので、もう既に議論された後かもしれないんですが、確認試験の位 置づけなんですが、こういうポリソルベート類で非常に似たものの確認試験としまして、例えば確 認試験1の方にIRスペクトル、参照スペクトルと比べてというようなことでございますけれども、 ポリソルベート60のスペクトルをはかったときに、当然ほかのポリソルベートと区別できるよう なスペクトルを、各ロットを調べる場合に得ていないといけない。そういうことが前提になってい るんですよね。 ○佐藤委員 IRスペクトルの方は、見ていただくと微妙に違います。この4つでは、一応差が出 るんですが、製品によって組成が違うと若干判断が付きにくくなってくるようなところもあります が、これはあくまでポリソルベートとほかのオキシエチレン基を持つ化合物とその他のものとの区 別ということで、IRを導入しています。  40との区別は、その次の脂肪酸の組成で調べるように確認試験は設定しております。 ○米谷委員 60と65はどうなっているんですか。 ○佐藤委員 60と65につきましては、脂肪酸の数が違うので、それは純度試験の方で押さえてお ります。 ○棚元委員 ちょっと追加させていただきます。  この確認試験のIR参照スペクトル法というのは、第8版のときにも大幅に導入したんですが、 確認試験としては、非常に情報量が多いということで、積極的に導入しています。その際に、参照 スペクトルを導入したものについては、ほかの確認試験法は原則として排除していいという形にし ています。ここで「原則として」としているのは、今回のような場合は除くということになります。 したがって、これを確認するための別の方法は、今回の場合も導入しているように、2番目の確認 試験が入っていると御理解していただければと思います。 ○長尾部会長 いいですか。 ○米谷委員 非常にいい参照スペクトルが出されているんですが、実際に試験をされるところでも これぐらいのスペクトルを得て、それで比較しないといけないというような、ここに同一波長のと ころに同様の強度の吸収を認めると書いてありますので、それはクリアーしていただかないといけ ないということでよろしいんですね。  昔ですと、IRスペクトルを非常に安易におはかりになっていたということがございますけれど も、こういうふうに出されて、同一波長のところに同一強度というようなことが書いてありますと、 はかる方の腕もかなり要求されるような気もするんですが、こういう解釈でよろしいんでしょうか。 ○棚元委員 米谷先生は多分実態を御存じですから、そのようなご質問が出てくると思うんですが、 参照スペクトルの場合、確かにこの表現としてどこまで厳密に見ているかというところが、いつも ポイントになります。これは端数規定の場合も同じことが言えます。そういう意味では、非常に厳 密にこうであるという定義は、今のところはありません。  ただ、参照スペクトルというのは、言うなれば1つのパターンリコグニションですので、その辺 の解釈は、かなりばらつきがあるのかなという感じはいたしますけれども、例えば、端数規定の問 題も含めて、今後どういった範囲で収まらないといけないかというようなところも検討していかな いといけないのかなとは考えております。ただ、現実として、そういったことは文章化されている わけではございません。 ○米谷委員 よろしくお願いします。 ○佐藤委員 済みません。付け足しさせていただきたいんですが、確認試験のところの29ページ のポリソルベート20の設定根拠のところで、IRはJECFA、EU、EPで採用されておりま す。ただ、JECFA、EUではポリオキシエチレン、ポリオールの特徴を示すスペクトルになる というような記載、部分的にポリオキシエチレン基の付いた脂肪酸のIRを示すというあいまいな 記載となっておりました。  これですと実際にはかる方がわからないと思いまして、EPでは参照スペクトルということで、 こちらも参照スペクトルをとりました。これは特徴的な吸収のところを見る人が見れば、ポリソル ベートだというような感じになると思いますので、参照スペクトルというのは、実際の端数規定と いうか、IRというのはそのものをとらえるのには、今回の場合はかなり有効だと思います。ちょ っと蛇足です。済みません。 ○長尾部会長 どうもありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。  それでは、一通り御審議をいただいたということになりますので、ポリソルベート類の新規指定 については可とするということでよろしいでしょうか。  では、部会報告書をとりまとめまして、分科会へ報告する手続を取りたいと思います。今後のス ケジュールについて、事務局よりお願いします。 ○事務局 部会報告書につきましては、先ほど、佐藤先生の方から御指摘いただきました「3)使 用基準(案)」のところで、数字の間違いがございましたので、そこを修正した上で、部会報告書 とさせていただきたいと思います。  今後のスケジュールにつきましては、今回の審議結果につきまして、食品衛生分科会での審議の ほか、パブリックコメント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したいと思っております。 ○長尾部会長 それでは、よろしくお願いします。  次に、議題(2)ケイ酸カルシウムの新規指定の可否について審議を行います。  事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○事務局 まず、背景から御説明させていただきます。  ケイ酸カルシウムにつきましては、平成14年7月に食品衛生分科会で了承されました、国際的 に安全性が確認され、かつ欧米で汎用されている添加物の取扱いに従いまして、厚生労働省におい て資料をとりまとめ、食品安全委員会へ平成17年8月15日に食品健康影響評価の依頼を行いまし た。  食品安全委員会では、平成19年2月28日から平成19年5月29日までの間に計4回にわたり、 添加物専門調査会で審議が行われ、その結果を踏まえた評価書がとりまとめられました。平成19 年7月26日付でその評価書について、厚生労働省に対して結果通知が行われたものでございます。  では、資料に沿って御説明させていただきたいと思います。  3ページ目の資料2−2になりますが、こちらが部会報告書(案)になります。  「1.品目名」はケイ酸カルシウム。  これは、酸化カルシウムと二酸化ケイ素と水がさまざまな割合で結合した組成物の総称でござい まして、3ページ中ほどに示しておりますような化学形態が知られております。  「3.用途」は、固結防止剤等として用いられます。  「4.概要及び諸外国での使用状況」でございますが、ケイ酸カルシウムは、ケイ酸塩類の1つ であり、我が国ではケイ酸塩類して、二酸化ケイ素等が既に添加物として指定されております。  このもののJECFAにおける評価については、二酸化ケイ素及びケイ酸塩類につきまして、「A DIを特定しない」と評価されております。  米国では、GRAS物質として、適正使用規範の下に、卓上塩に対して2%以下、ベーキングパ ウダーに対して5%以下の基準に基づき、使用が認められております。また、直接食品添加物とし ても2%以下の基準に基づいて、食品への使用が認められております。  欧州連合におきましては、「ADIを特定しない」と評価されておりまして、裁断されたプロセ スチーズといったものに関して10g/kg、食塩、代替塩について10g/kg。そして、dietary food supplementに対して必要量という基準の下、使用が認められております。  次に「5.食品添加物としての有効性及び使用実態」についてですが、「(1)基礎的性質」とい たしまして、成形性に関して調べたデータ等がございます。  「(1)成形性」に関しましては、各種賦形剤を用いて、ほぼ同じ硬度の錠剤を得るために必要な打 錠圧を測定しておりまして、その結果、賦形剤としてケイ酸カルシウムを用いた場合に、最も打錠 圧が低く、良好な成形性を示しております。  「(2)吸液性」に関しましては、油状物質としてフタル酸ジブチルを用いて、JISで定められた 方法により、各種賦形剤の吸液量を測定しております。その結果が、隣の5ページの図1にござい ますが、ケイ酸カルシウムで最も高い吸液量が得られており、このことからケイ酸カルシウムは高 い液体保持能力を有するということが示されております。  5ページ中ほどの「(2)食品等への使用実態」についてですが、米国では、ココアなどの粉末 飲料ですとか、調味料、甘味料に対して、固結防止剤として用いられております。また、このもの については、吸油性、成形性を有していることから、脂溶性のビタミンであるビタミンE製剤の粉 末化剤等として、医薬品の分野でも我が国の中で使用されてきているところでございます。  「6.食品安全委員会における評価結果について」でございますが、ケイ酸カルシウムが添加物 として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ、ADIを特定する必要はないと評 価されております。  6ページから「7.摂取量の推計」でございます。  「(1)海外における使用状況と一日推定摂取量」についてですが、食品安全委員会における評 価結果では以下のとおりとなっておりまして、米国における生産量調査では、ケイ酸カルシウムは 3mg/ヒト/日という結果が得られております。  英国における食品添加物の摂取量調査では、結果が7ページに記載してございますが、ケイ酸カ ルシウムで9.8mg/ヒト/日という結果となっております。  また、米国の住民を対象とした疫学調査において、食品からのケイ素の1日当たりの摂取量は、 男性で30及び33mg、女性で24及び25mgという報告がございます。  「(2)日本における一日推定摂取量」でございますが、日本におけるケイ酸塩類の摂取量です とか、食品からのケイ素摂取量の報告はございません。ただ、平成16年の厚生科学研究において、 食品添加物の微粒二酸化ケイ素について、食品向けの出荷量を基にヒト1日当たりの摂取量を推定 したところ、0.31mgとの報告が出ております。  このものの「8.新規指定について」でございますが、ケイ酸カルシウムを食品衛生法第10条 に基づく添加物として指定することは差し支えない。ただし、次のとおり、規格基準を定めること が適当であるということで、使用基準案と成分規格案を策定しております。  使用基準案については、食品安全委員会におけます評価結果と我が国における関連物質の使用基 準を踏まえまして、8ページの上段にございますが、「ケイ酸カルシウムは、母乳代替品及び離乳 食品に使用してはならない。ケイ酸カルシウムの使用量は、食品の2.0%以下でなければならない。 ただし、微粒二酸化ケイ素と併用する場合は、それぞれの使用量の和が食品の2.0%以下でなけれ ばならない。」としております。  ケイ酸カルシウムにこのような使用基準を定めるのに併せて、既に指定されております微粒二酸 化ケイ素の使用基準案に、以下のように下線部を追加する形で修正させていただきたいと考えてお ります。修正内容としましては、「ただし、ケイ酸カルシウムと併用する場合は、それぞれの使用 量の和が食品の2.0%以下でなければならない。」ということで、両方の使用基準を整合を図ってお ります。  成分規格案は、9ページ以降にございます。これは、JECFA、ECCのほか、EUの添加物 規格、NFを参考に設定しております。  「確認試験」としては、ケイ素の反応とカルシウム塩の反応につきまして、それぞれ試験を設定 しております。  「純度試験」では、鉛の規格値は、FCCとEUの規格を参照して作成しておりまして、試験法 についてはJECFA規格に規定がございませんでしたので、FCCの試験法を準用する形で、た だし、一部試験時間の短縮と感度をアップさせるために、FCCの試験を若干改良して設定してお ります。  10ページ「(4)フッ化物」につきましては、規格値はJECFA、EUに基づいて設定してお ります。試験法につきましては、JECFA法が若干煩雑ということもあり、FCCの試験を基本 的に採用しております。ただし、回収率をアップさせるために、若干試験法の改良を行っておりま す。  定量法につきましては、JECFAで含量及び定量法の規定がございませんので、FCC、EU の規格を参照して設定しております。  ケイ酸カルシウムについての説明は、以上でございます。 ○長尾部会長 それでは、ケイ酸カルシウムの新規指定について、御意見をお願いいたします。い かがでしょうか。どうぞ。 ○米谷委員 成分規格の質問ばかりで申し訳ないです。これも確認試験なんですが、当然、ケイ酸 塩ですので、分解するときにフッ化水素酸を使うということです。最近の金属の分析とか元素の分 析でフッ化水素酸を使うときは、施設がフッ素の化合物を大気中に出してはいけないということで、 かなり大変なこともあるんですが、これは少量といいますか、5mlを使っての確認試験なので、 一般の実験室でしてよい実験とお考えなんでしょうか。  最後にフッ化水素酸をどうするかということで、それに対応したドラフトチャンバーとかも売ら れていたりしているんですが、少ないからよろしいということでしょうか。それとも、このケイ酸 カルシウムなどをおつくりになったりするところでは、そういう施設がきちんと整っていると考え てよろしいんでしょうか。 ○佐藤委員 はい。 ○米谷委員 では、そのように考えさせていただきます。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○棚元委員 大変難しい問題ばかり御指摘されるんですが、この試験法に関しまして、有害試薬を 使っているものについては、現在ほとんどのものについては、排除した形で別の試薬を用いるか、 あるいは代替法を導入するということで対応しています。  当然、今おっしゃられたような点につきましても、それが社会的にやはり問題になってくるとい うようなことになってくれば、試験法を変えていくというようなことも考えないといけないかなと 感じています。ただ、現状は御理解いただきたいと思います。 ○長尾部会長 これは字句ですが、7ページの真ん中辺で「わが国の河川水の平均的含有量は 20mg/l」を大文字のLにしてください。  ほかにはいかがでしょう。特によろしいですか。  それでは、一通り御審議をいただきましたようですので、ケイ酸カルシウムの新規指定について は、可ということにしてよろしいですか。特に御意見はないですね。  では、そういうことで部会報告書をまとめまして、分科会へ報告する手続をとりたいと思います。 今後のスケジュールを事務局からお願いいたします。 ○事務局 今回の審議結果につきまして、今後、食品衛生分科会での審議のほか、パブリックコメ ント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したいと考えております。 ○長尾部会長 それでは、適切に手続を進めてください。  では、次に議題(3)L−アスコルビン酸カルシウムの新規指定の可否について、審議を行いま す。  事務局から資料の説明をお願いします。 ○事務局 では、まず背景から御説明させていただきます。  L−アスコルビン酸カルシウムにつきましては、先ほどのケイ酸カルシウムと同様に国際的に汎 用されている添加物といたしまして、厚生労働省において資料をとりまとめ、食品安全委員会へ平 成17年10月3日に食品健康影響評価の依頼を行っております。その後、食品安全委員会におきま して平成19年3月23日から同年6月22日までの間に、計4回にわたり、添加物専門調査会での 審議が行われ、その結果を踏まえた評価書案がとりまとめられております。  では、資料に基づいて御説明させていただきます。  3ページ目から部会報告書(案)になります。  「1.品目名」はL−アスコルビン酸カルシウム。  構造式、分子式、分子量については、こちらにお示ししてあるとおりでございます。  「3.用途」としては、酸化防止剤、栄養強化剤等に用いられる品目でございます。  「4.概要及び諸外国での使用状況」でございますが、L−アスコルビン酸カルシウムは、ヒト の必須栄養素の1つでありますL−アスコルビン酸(ビタミンC)のカルシウム塩でございます。  米国では、GRAS物質として、適正使用規範の下、食品全般に対して必要量の使用が認められ ております。  欧州連合では、一般食品の酸化防止剤として必要量を使用できるとされております。ただ、一方 で乳幼児向けの食品であります果実・野菜飲料につきましては0.3g/kg、油脂を含むビスケットな どの小麦粉製品につきましては0.2g/kgまでということで使用が認められております。  JECFAでは、1973年にL−アスコルビン酸と、そのカリウム塩とナトリウム塩について安 全性評価が行われておりまして、その際のADIは0〜15mg/kg体重/日となっておりますが、そ の後、1981年にL−アスコルビン酸塩類にカルシウム塩も含めた形で評価が行われておりまして、 その結果、食品添加物あるいはビタミンCの栄養補助剤として使用される条件でADIを特定しな いとされております。  また、我が国では、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸 2−グルコシド、そして2種類のアスコルビン酸エステルが既に食品添加物として指定されており、 食品の酸化防止剤や栄養強化剤として広く使用されているところでございます。  「5.食品添加物としての有効性」でございます。L−アスコルビン酸塩類は栄養強化、酸化防 止等による保存安定性の向上に有用とされており、酸化防止作用に関しましては、もともと食品中 に存在する、若しくは添加したトコフェロール等の相乗効果剤として働くと考えられております。  この酸化防止効果等利用した一般食品への主な利用を、5ページの表1にまとめております。  また、L−アスコルビン酸カルシウムには、カルシウム塩でありますことから、ナトリウム摂取 制限者向けの食品への利用ですとか、カルシウムも同時に摂取できるということで、ビタミンC配 合の栄養補助食品への利用も考えられるところでございます。  5ページの「6.食品安全委員会における評価結果案について」でございます。L−アスコルビ ン酸カルシウムが添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ、ADIを 特定する必要はないと評価されております。  6ページの「7.一日摂取量の推計等」については、食品安全委員会における評価結果(案)に よりますと、「(1)ビタミンC」は、平成19年の国民健康・栄養調査結果の概要によると、食品 から摂取されるビタミンCの1日摂取量は117mgと報告されております。また、2005年版の日本 人の食事摂取基準では、成人において許容上限摂取量(UL)を設定する根拠は十分ではないこと などから、現時点ではULは設定しないとされております。  「(2)カルシウム」については、平成16年国民健康・栄養調査結果の概要におきまして、食品 からの1日の摂取量は538mgとされております。また、平成16年度の厚生科学研究におきまして、 食品添加物の食品向けの生産量を基に算定されます1日摂取量は、カルシウムとして68.11mgと推 定されております。このことから、上にあります国民健康・栄養調査の結果を踏まえますと、食品 添加物由来のカルシウム塩は全カルシウム摂取量の10%程度となると考えられるところでござい ます。また、2005年版の日本人の食事摂取基準におきましては、成人につきましてULを2.3g/日 としております。  したがいまして、国民健康・栄養調査に基づく成人における摂取量平均であります538mg/日に、 食品添加物の食品向け生産量を基にした推定量であります68.11mg/日を加えた場合におきまして も、このULを超えないという形になっております。  「8.新規指定」についてですが、L−アスコルビン酸カルシウムを食品衛生法第10条に基づ く添加物として指定することは差し支えない。ただし、次のとおり、規格基準を定めることが適当 であるとしております。  使用基準案については、食品安全委員会における評価、あと米国、EUにおける使用状況を踏ま えまして、使用基準は設定しないことが適当である。ただし、その添加は食品中で目的とする効果 を得る上で、必要とされる量を超えないものとすることが前提であり、その旨を関係業界等に周知 することとしております。  成分規格案は、8ページからになります。このものにつきましては、JECFA、FCCのほか、 USP、EUの添加物規格、EPを参考に設定しております。基本的にはJECFA、FCCで不 採用の項目は、今回、設定しておりません。  「含量」につきましては、JECFA、FCC、USPの値を参照しておりまして、試験法はJ ECFA、FCCの方法を定量試験として用いております。  「純度試験」の「(5)フッ化物」につきましては、FCC以外ではフッ化物の規定がございま して、試験方法は、JECFAでは発色法を用いられておりますが、USPとEPでは電極法が用 いられておりまして、今回の成分規格案ではアセスルファムカリウムという既存の添加物でござい ますけれども、そちらで電極法を設定しておりまして、そちらの内容を準用する形で設定しており ます。  資料の説明は以上でございます。 ○長尾部会長 それでは、御意見をお願いいたします。どうぞ。 ○北田委員 表示のことなんですけれども、用途としては酸化防止剤と栄養強化と大きく2つがあ るんですけれども、酸化防止であれば用途名併記になりますし、栄養強化であれば免除規定が適用 される。その辺は、消費者にわかりやすい表示になるように指導お願いしたいと思いますので、よ ろしくお願いいたします。 ○事務局 わかりました。いただいた御意見を踏まえまして、そこのところは適切に対応したいと 思います。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○山添委員 済みません。食品安全委員会の報告のときに、本当はちゃんとチェックしておくべき だったんですが、間違いを見つけてしまいました。  食品安全委員会の報告では6ページ、一番下の方では22ページのところなんですが、そこのと ころで矢印の書いた図があるんですが、そこのところで「GSSG」これグルタチオンの酸化型な んですが、それから「2GH」ができると書いてあるんですが、これはGSHで、真ん中にSが入 る必要があります。済みません。 ○事務局 どうもありがとうございます。食品安全委員会の方にお伝えしておきたいと思います。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○吉池委員 言葉の修正だけですが、6ページで7の「(1)ビタミンC」の最後のセンテンスで 「成人において許容上限摂取量(UL)」となっています。一般的な言葉遣いではこれで正しいの ですが、日本人の食事摂取基準の中での表現が2005年版から短く、「上限量」になっていますので、 この文脈では「許容」と「摂取」を削っていただいた方が良いかなと思います。よろしくお願いし ます。 ○事務局 ありがとうございます。その点、修正したいと思います。 ○長尾部会長 ほかにはございませんか。 ○事務局 申し訳ございません。許容上限摂取量の記述は、食品安全委員会の評価書の内容をその まま引用しておりますので、この中では変更できませんが、注釈等を付ける形で対応させていただ きたいと思います。 ○吉池委員 一般的な言葉遣いとしては、元のものも誤りではないので、どちらでも結構です。 ○事務局 食品安全委員会では、今、パブリックコメント中ですので、もし修正が間に合うようで あれば、評価書を修正して、こちらもそれを反映する形とさせていただきます。 ○長尾部会長 それが、新しい表現なんですね。 ○吉池委員 厚生省のレポートの中では、短く表現をしています。 ○長尾部会長 では、そういうことでお願いします。  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。 ○米谷委員 確認だけなんですが、この化合物は、アスコルビン酸とカルシウムが結合した形です けれども、使用基準を設定しないということは、これは栄養機能食品のカルシウム摂取のための剤 としても、当然使ってよろしいということなんでしょうか。 ○事務局 そうですね。そちらの方にも使えるようになります。 ○米谷委員 そちらの方ですと、カルシウムをかなりたくさん摂りたいときに、これをたくさん摂 られるということになるんですが、同時にアスコルビン酸もたくさん摂るという形になりますけれ ども、そういう使用目的も含んで、今回指定しようとされていると解釈してよろしいでしょうか。 ○事務局 このものは、ADIは特定しなくても差し支えないと評価されておりますし、ビタミン Cの摂取量につきましても、先ほど食事摂取基準がございましたが、まだ上限は設定されておらず、 特段、今の段階で制限を設ける必要はないということですので、そのような使用目的で使うことも 差し支えないという前提になっております。 ○米谷委員 どうもありがとうございました。 ○山添委員 今のことで、アスコルビン酸の摂取のことなんですが、それも食品安全委員会の議論 には出たと思います。その際に、アスコルビン酸は大量服用しても、それほど吸収率が上がらない。 実際にはトランスポーターを介して吸収されるので、上限が自動的に決まるので、たくさんの量を 一度に摂取しても、その量に比例して吸収されることはないだろうということも1つの根拠になっ ています。 ○長尾部会長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。 ○佐藤委員 先ほどの成分規格の御説明のところで、8ページの化学名の次に「5743-28-2」とい うCASキャスナンバーがあります。実はこれはJECFAとFCCでは、無水物のCASナンバー キャス番号5743-27-1が入っていたんですが、こちらは実際に流通しているのが二水和物というこ とで、ニ水和物のCASキャスナンバーを採用しましたので、念のためにお伝えしておきます。 ○長尾部会長 ほかにはいかがですか。よろしいですか。  先ほどの北田先生の御意見のことに関しては、この報告書案に特に記載することはしないでしょ うか。その辺はどうなりますでしょうか。表示のことですね。 ○北田委員 そうです。 ○事務局 表示に関してでございますか。 ○長尾部会長 業者にその点を指示するという形になるんですか。 ○事務局 表示に関しましては、別に表示部会というところがございますので、所掌自体はそちら の方になりますが、いつも指定をする際に、同時に施行通知というものを出しておりまして、その 際に、表示に際しての別名を冠するものですとか、そういった表示に関する注意書きも通知の中で 記載しております。そちらの中で対応させていただくという形にこれまでもやってきておりますの で、今回のものもそのような形で対応させいただければと思います。 ○長尾部会長 わかりました。ほかにはよろしいでしょうか。御意見ありませんか。  それでは、御審議いただきましたので、L−アスコルビン酸カルシウムの新規指定につきまして は、可とするということでよろしいですね。  では、2〜3の細かい訂正がございましたけれども、それを訂正した上で、分科会へ報告する手 続を取りたいと思います。  その後の手続につきまして、事務局からお願いします。 ○事務局 今回の審議結果につきましては、食品衛生分科会での審議のほか、パブリックコメント、 WTO通報等の所定の事務手続の方を開始したいと考えております。 ○長尾部会長 審議事項としては、事務局から、ほかに何かありますか。 ○事務局 特段、追加で審議事項はございません。 ○長尾部会長 では、報告事項をお願いいたします。 ○事務局 それでは、本日お配りさせていただいております報告資料の「食品安全委員会への意見 聴取及び食品健康影響評価の結果について」について、御説明させていただきます。  こちらは、毎回、部会を開催する際にお配りさせていただいている資料でございまして、前回か らの変更点についてのみ、御説明させていただきます。  1ページ目は、中ほどに「添加物の指定(ポリソルベート)」がございますが、今回、添加物部 会で検討したものということで、日付の修正をいたしております。  2ページ目でございますが、中ほどの下辺りに「添加物の指定(ネオテーム)」がございますけ れども、こちらの方は前回7月4日の添加物部会の方で検討いただきましたので、日付の方を修正 しております。  3ページ目の中ほど上にケイ酸カルシウムがございます。これは今回御審議いただいた品目でご ざいますが、食品安全委員会からの結果通知の日程と、本日部会で検討したものということで「備 考」の日付を修正しております。  同じページで3行下になりますが、こちらも本日御審議いただいたL−アスコルビン酸カルシウ ムでございます。本日の添加物部会の開催の日付を修正しております。  その1つ下「添加物の指定(イソブチルアルデヒド)」につきまして、平成19年8月3日付で告 示されましたので、その日付を入れております。  その1つ下の「添加物の指定(ブチルアルデヒド)」につきましては、8月1日からパブリック コメントを開始しております。  更にその1つ下「添加物の指定(2−メチルブタノール)」につきましても、イソブチルアルデ ヒドと同日の8月3日に告示にて指定を行っております。  4ページ目の下から2つ目の物質「添加物の指定(プロテイングルタミナーゼ)」と、もう一つ 下の「添加物の指定(5−メチルテトラヒドロ葉酸カルシウム)」につきまして、どちらも事業者 からの指定要請品目でございますが、食品安全委員会の方に8月2日付で意見聴取を行っておりま す。  報告内容については、以上でございます。 ○長尾部会長 何か御質問ありますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、次回の予定について御説明をお願いします。 ○事務局 添加物部会につきましては、第4水曜日の午後を定例開催ということで、前回お話しさ せていただいたところでございまして、次回の開催は、来月9月26日の水曜日での開催を予定し ております。場所、議題につきましては、改めて御連絡させていただきたいと思います。 ○長尾部会長 水曜日の午後ですか。それはまだ決まっていないんですか。 ○事務局 そこのところも先生方に一度、御予定をお伺いさせていただいて決めたいと思います。 ○長尾部会長 わかりました。 それでは、これで本日の審議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品部食品安全部基準審査課     (03−5253−1111 内線2453)