07/08/08 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成19年8月8日議事録 07/08/08 中央社会保険医療協議会          第97回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成19年8月8日(水)10:00〜11:38 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 土田武史小委員長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 白石小百合委員        前田雅英委員 室谷千英委員        対馬忠明委員 小島茂委員 丸山誠委員 大内教正委員 松浦稔明委員        竹嶋康弘委員 鈴木満委員 石井暎禧委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員       古橋美智子専門委員        <参考人>       池上直己慢性期入院医療の包括評価調査分科会長       <事務局>       水田保険局長 白石審議官 原医療課長 宇都宮医療課企画官        阿部医療指導監査室長 他 (4)議題  ○慢性期入院医療の包括評価分科会からの報告について       ○今後のDPCの在り方について (5)議事内容  ○土田小委員長  ただいまより、第97回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催いた します。  まず、委員の出欠状況について報告いたします。本日は、全員が御出席になっておりま す。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日は、「慢性期入院の包括評価分科会からの報告」について議題としたいと思います。  同分科会の池上分科会長がお見えになっております。最初に御説明をお願いいたします。 ○池上分科会長  おはようございます。分科会長の池上でございます。それでは早速、中医協診−1とい うお手元の資料から御説明申し上げたいと存じます。中間報告で既に御報告申し上げたと ころはできるだけ割愛しまして、その後の進捗を中心に報告させていただければと存じま す。  まず、1ページをごらんになっていただきたいと思います。「1.調査の目的」でござ います。当分科会は、中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会の要請を受け、 平成18年度診療報酬改定において療養病棟入院基本料等に導入された、医療の必要性に よる区分(以下「医療区分」という。)及びADLの状況による区分(以下「ADL区 分」という。)並びに認知機能障害加算に基づく患者分類を用いた評価手法等について以 下の事項の検証を行うことを目的として、調査を実施した。  (1) 患者分類に基づく包括評価導入に伴う職員配置、患者構成、コストの変動  (2) 医療区分の妥当性  (3) ADL区分の妥当性  (4) 認知症加算の妥当性  (5) 患者分類に基づく包括評価導入前後の医療の質の変化  (6) 医療療養病棟の役割  (7) 患者及び施設の介護への移行の状況  この付託された目的を達成するために、タイムスタディ等調査、国保支払分についての レセプト調査、有床診療所の患者分類分布調査、介護療養病床のみを有する病院の調査を 行いました。  2ページをごらんください。中間報告と調査客体はほとんど変わりませんので、確認の 意味のところだけを申し上げますと、「(2)調査結果のまとめ」の(1)を読みますと、医 療療養病棟においては平成17年度と比較して、医療区分2、3の患者の割合が増加して いた。一方、介護療養病棟においてはそのような傾向は見られませんでした。  次に4ページでございます。「(2) 患者1人1日当たりのケア時間の状況」でございま す。上から3行目に、医療区分、ADL区分とも区分1、区分2、区分3の順にケア時間 が長くなっていましたと。前回の調査より、いずれも30分程度長くなっておりましたけ れども、順位についてはこの区分の順位に従っておりました。  次に5ページでございます。「(3) 患者1人1日当たり費用、収入の状況」についてで ございますが、患者1人1日当たりの費用、これは病院によって費用構成が異なるもので ございますので、ここでは平成16年度と全く同じ比較可能な12病院における患者1人 1日当たりの費用を比較しました。それによりますと、図表9の右端をごらんになってい ただけば、平成18年度の合計費用は1万6,532円、平成16年度は1万6,788 円と、若干低くなってございます。  続いて6ページでございます。患者1人1日当たりの収入はどうなっているか。コスト 調査対象となった69病院における医療療養病棟の患者1人1日当たりの収入は、レセプ ト請求金額等から算定すると1万7,673円であり、費用の1万7,351円を若干上 回っていた。なお、国保支払分のレセプト集計結果では、同額を若干下回る1万7,07 1円であった。この結果を、18年度調査について見ますと、コスト調査病院では、国保 レセプト集計分より高い、一番右端の1万7,673円が入ってございまして、その中に は、下の米印をごらんになっていただきますように、この中には、差額ベッド代、おむつ 代、クリーニング代などの収入は含まれてございません。また、食事代については、1日 1,920円として加えてございます。それが標準的な食事療養費を加えた場合の収入で ございます。  7ページでございます。患者分類ごとの患者1人1日当たりの費用の状況については、 2段目から読みますと、「患者1人1日当たりの費用は、医療区分及びADL区分の順序 と対応しており、患者分類は妥当であると考えられた。医療区分3・ADL区分3と医療 区分1・ADL区分1との差は、費用差最小の場合で4,842円、費用差最大の場合で 8,310円であった。」。費用差最大とか最小というのは、この按分の仕方を変えた場 合で、患者の特性による差を最大限に按分した場合と最小限に按分した場合を意味してご ざいます。「また、ADL区分ごとにみると、ADL区分3とADL区分1の間の差は、 費用差最小の場合は2, 462円、費用差最大の場合は、4,551円となっており、A DL区分ごとに相当の差があることがわかった。」。  職員配置については前回御報告申し上げたとおりでございますので、そこは飛ばしまし て、10ページにお進みいただければと存じます。「(6) 患者及び施設の介護への移行の 状況」で、入退院患者の状況でございます。11ページに移っていただいて、11ページ の上で、医療療養病棟における新規入院患者の医療区分2、3の患者を平成17年度と比 較可能な49病院でみると、包括評価導入前では64.2%、包括評価導入後の平成18 年度では71.4%となっており、医療療養病棟における医療の必要性の高い患者の受け 入れが進んでいるものと評価されました。  次に、時間の関係で少し飛ばしまして、17ページへ移っていただきます。質の変化と いうことを、今回分析が完了しましたので、それを御報告いたします。医療の質の変化に ついては、推測可能な項目を用いて質の変化について検討を試みました。その際、平成1 7年度調査と18年度調査と比較可能な41病院について、質の評価指標であるクオリテ ィーインディケーター(QI)を試行的に算出しました。その結果を比較したのが図表2 6−1でございまして、痛みや身体抑制の値は低くなる。低くなるということは、質が改 善したという意味でありますが、その他の項目はすべてやや高くなっております。ただし、 今回のアセスメントデータはリスク調整が不十分なために、何らかの明確な結論を得るこ とはできませんでした。  しかし、次のページをめくっていただきますと、この質の評価というのは病院ごとに見 るわけでございますが、明らかに外れ値を超えている病院については、QIを算定するた めに用いた患者データの質、及び病院のケアの質の両面から検討する必要があると考えら れます。外れ値というのは、著しく痛みを訴える患者が多い、あるいは褥瘡の患者が多い、 身体抑制の患者が多い、留置カテーテルの患者が多い、尿路感染が多い、あるいはADL の低下がほかと比べて著しく低下している。これは外れ値となっている病院が1〜2病院、 それぞれの指標について存在していますので、今後個別に病院にフィードバックして追及 する必要があるのではないかと存じます。  次に21ページに移っていただきまして、分科会の検討についてやや詳しく御報告申し 上げます。21ページの分科会の検討について、医療療養病棟の役割というのは、介護施 設との補完関係でございますので、現時点での介護施設における検討状況を踏まえての考 察となっています。  「(2) 分科会としての意見」を読ませていただきますと、「医療療養病床の役割として は、医療機能の分化と連携の視点から、急性一般病院での治療後の受け入れが期待され、 今回の調査結果からも、そのような患者の受け入れが実際に行われていた。また、急性期 治療後の患者を受け入れ、円滑な在宅療養等への導入を図る一方、在宅療養等の患者等が 入院治療を必要とする場合に対応する等、在宅支援の役割も担っている。」  「一方、医療の必要性が高く、継続的に医療療養病床での療養の提供を求められる患者 像として、終末期の看取りや緩和ケアを必要とする患者、神経難病、認知症の患者等を挙 げる意見もあった。」  「なお、喀痰吸引や経管栄養、膀胱留置カテーテル等の医療処置が継続的に必要な患者 については、介護施設においてそのような患者に対応できる位置づけができるまでは、医 療療養病床において療養を提供すべきではないかという意見が出された。」  続きまして、22ページに移っていただきまして、「医療区分、ADL区分、認知機能 障害加算の妥当性について」。まず「(1) 概括的評価」として、「医療区分及びADL区 分については、診療報酬改定後もタイムスタディ調査による患者1人1日当たりの直接ケ ア時間の順序性が保持されていることが明らかとなったこと等から概ね妥当と考えられ た。」  「(2) 医療区分に関する個別項目の検討」については、2行目の「点滴・注射やカテー テル等の医療処置により医療の必要性を測るよりも状態像から医療の必要性の高さを測る べきであり、高齢者の状態像に視点をおいて検討するべきであるという意見」が出されま した。また、昨年の7月に導入されたばかりでありますので、「医療区分項目の追加、削 除の範囲は最小限に留めるべきであるとの意見」が出されました。  そして、個々にaの医療区分3の評価項目とするものについて、いろいろ検討しました けれども、特に追加及び大きな変更はないと言う方がよろしいのではないか。  また、bの新たに医療区分2の評価項目とするべきものについても、検討の結果、特に ないのではないか。  次に、cの医療区分3から2の評価項目に変更するものについては、これもいろいろ検 討しましたが、最後の段落にございます「酸素療養」については、現在の規定を見直し、 今後、適切な要件とすることが必要であると考えられる。  次に、dの医療区分2の評価項目から除くものについては、ケア時間及びコストの点か ら除くべき項目の候補が挙がりましたが、24ページをごらんになっていただければ、 「うつ状態」、「問題行動」の項目については、適切な治療の方法が必ずしも実施されて いない可能性もあり、本来は、ニーズとして存在するため、項目を除外するよりも、現在 の規定を見直し、今後、適切な要件とすることが必要であると考えられる。また、難病に ついては、コスト的には除外の対象も候補になりましたが、医療療養病床として本来受け 入れるべき患者像であり、ケアの時間での評価ではなく、ケアの難易度から考えれば、項 目を除外するべきでないとの意見が出されました。さらに、「脱水」、「嘔吐」について は、「発熱の伴う脱水」、「発熱の伴う嘔吐」の患者については、全体の平均よりもケア 時間が長く、1日費用がかかっていました。  次に、eの経管栄養・胃瘻については、経管栄養等、ADLの低下に特に関連すると思 われる項目について、当該項目のみを選択されている者のうち、ADL区分3の平均ケア 時間を比較すると、経管栄養・胃瘻のみを選択している者の平均ケア時間は、全体のケア 時間に比べ、あまり差はありませんでした。  「(3) 認知機能障害について」は、認知機能障害の有無については、平成17年度の分 科会案において、ADL区分1の、医療区分1と2を対象としたが、今回の調査では、こ のうち医療区分1については、ケア時間も費用も若干の差は認められた。しかし、医療区 分2については両者に差が認められませんでした。  続いて25ページ、「患者分類と収入について」。この費用の分類としましては、妥当 であると考えられました。しかしながら、診療報酬における入院基本料の設定は、医療区 分それぞれに見ると、今回の調査結果から算出された費用と比べ、上下に幅が広くなって いることがわかりました。また、ADL区分の1から3がまとめられて5区分になってい るため、入院基本料の各区分における費用の上下の幅が広くなっていた。こうした収支差 は、医療区分1、2、3のいずれにおいても、ADL区分1よりもADL区分3が小さく なっていた。これは図表31をごらんになっていただきますように、入院基本料としては 医療区分1は一括されていますが、次のページをごらんになっていただくと、費用からす ると、このADL区分によって大きく違いますので、収入と費用の格差が生じていたと考 えられます。  最後に、「今後の課題」について、28ページ、「医療の質の評価について」でござい ます。今回の調査において検討が実施できなかった医療の質の評価については、安定した QIの指標を算出するため、入院時から継続的にアセスメントを行い、データベースを構 築することが重要である。今後、これに向けて検討が必要であるという結果でございまし た。  最後に恐縮でございますが、今後の課題について、分科会としての付託事項ではござい ませんが、2点申し上げさせていただければと思います。まず第1に、いわゆる急性期以 外の一般病棟に少なからず長期入院患者が入っていること、次に地域ケア構想ということ で、今後療養病床がなくなって医療療養病床の必要数についての試算に当たり、一般病床 にどれくらいの慢性期患者がいるといったところが加味されていないことという観点から、 急性期以外の一般病棟についても、この患者分類に基づいて長期入院患者の調査をすべき であるという意見があったことを御報告させていただきます。  お時間をとって大変恐縮でございました。以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの報告につきまして御意見、御質問などございましたら、どうぞお願いします。 ○竹嶋委員  どうも2度にわたりまして貴重な御検証をいただき、その結果を発表いただきましたこ とに先ず委員長はじめ皆さんに感謝申し上げます。その上で、今日の資料には多分ついて いないと思うのですが、前回中間報告をお出しいただきましたね、その中の12ページに こういう文言が入っておりますが、「医療区分1に関して入院医療を必要としない政策判 断がなされ、診療報酬についてもコストに見合わない点数が設定されていることについて は、当分科会として」、先生の御主宰の分科会、「当分科会として大きな疑問を呈さざる を得ない。」、そういう記載があるのですが、このことにつきまして、今度の調査との関 係の確認を一度させていただきたいと思います。 ○池上分科会長  まず、25ページに、現在の入院基本料の下での収入がございます。これは、医療区分 の差については配慮されていますが、ADL区分の差については大きくまとめられている ために、その差を十分反映していないわけでございます。その状況を、恐縮ですが、7ペ ージの図表12−1をごらんになっていただけば、これは患者の特性の差が最大限に費用 按分した場合の医療区分ごとのコストの差でございまして、これで見ますと、一番左端の ADL区分3・医療区分1のコストが1万6,875円でございます。それに対して右下 の方のADL区分1・医療区分3のコストは1万6,494円と、ほぼ同じ金額になって おります。しかしながら、先ほどの25ページ、確認させていただきますと、ADL区分 3・医療区分1の入院基本料収入は8,850円であり、ADL区分3・医療区分3の入 院基本料収入は1万7,400円でございます。したがいまして、前回の中間報告で申し 上げたことを、このような形で確認させていただいたので、改めてお答えして御報告申し 上げます。 ○竹嶋委員  続けさせてもらいます。この医療区分、ADL区分の分け方によります今回の調査の私 ども疑問に思っているところは後ほど鈴木委員の方がまた御質問させていただきます。私 は次に移らせていただきまして、前回おまとめを報告していただきましたときに、こうい うことを委員長はおっしゃっていらっしゃるのです。先生方がいろいろ分析されました資 料をもとに、実際に中医協がつける点数が、例えば764点と1, 740点で、実際のコ ストよりも格段に大きな点数を設けると同時に、9プラス2区分の分類をこのような5分 類に集約した点数を設定しました。これに対しては遺憾であるというような御説明がこの 前回ありましたけれども、分科会の先生方のお調べになるのは、その点数の配分というと ころまでは当然いかないと思うのですが、とはいいながら、やはり中医協の場では、その データをもとに点数を決める以外はどこにもならないわけです。そういうわけで、当然の ことですが大変大きな重きがあると。今度の見直しの中で、詳しいことは要りませんが、 実際に点数配分がつけられているところに対して、概括的に、これは妥当である、妥当で ないと言えるかどうか、あるいは、それについては全く私は言えませんというふうに御返 事いただけるかどうか、お願いしたいのです。 ○池上分科会長  点数をどう設定されるかというのは、分科会としては何とも申し上げにくいのですけれ ども、この9プラス2区分におけるコストの差はこのとおりであるということだけは申し 上げて、これに基づいて政策的判断でどのような点数をおつけになるかは、この基本問題 小委員会はじめ中医協で御検討いただければと存じます。 ○竹嶋委員  次に17ページで、医療の質についての検討をしていただいた結果を御発表になられま したけれども、そのときに、御説明では、痛みとか身体抑制、これは前に比べて減ってき ていると、これは質は上がったという御説明でございましたが、そのほかの褥瘡のハイリ スクとか、今度は、留置カテーテル、尿路感染というのは、これが増えていますよね。と しますと、これはやはり医療の質が逆に下がったと考えていいわけですね。 ○池上分科会長  そうは断定できませんけれども、少なくともイエローカードが出ている。これはどうい う理由かということは精査するべきではないかという気がいたします。例えば、褥瘡があ れば医療区分2になりますし、尿路感染があれば医療区分2になりますので、そういった 観点からも、質という面で評価するべきではないかということを、今後の調査研究させて いただければ、この辺に焦点を置きたいと存じますが、一応今あるデータの範囲でわかる ことをこのような形で御提示させていただきました。 ○竹嶋委員  私が質問した意図は、実はそこにあるので、介護の中には、医療というのはどうしても 必要だということで、ひょっとそこに何か手を抜くことがあれば、これは即患者さんに及 んでいくということがあるわけです。例えば褥瘡という問題についても、褥瘡をつくる前 の段階がある。褥瘡の処置自体ではなくて、褥瘡ができる前は、例えばやはり看護師の皆 さんとケアの皆さんが頻繁に体位を交換したりとか、そういうようなことがやはり要るし、 その褥瘡自体、医療的にしっかり観察していかなければいけないというようなことがある わけです。褥瘡防止の体位支援は3時間ごとにやらなければいけないと、看護の教科書に も書いてあるし、我々の医学書にも書いてあります。そういうことをやらなければ褥瘡が できるわけです。注意深くそういうことも観察しながらやっていかなければいけないとい うので、私は質問しました。質が下がっていることも否定できないという御返事をいただ きましたので、それで私としては結構でございます。  それから、これは先生に直接関係ないかもしれないけれども、今のような話もそうです が、我々は前から主張しているのですが、今、医療の必要な患者さんの受け皿がまだない と我々は考えているのですが、そういう中で、介護と在宅ということを進めていった場合、 先ほど出てきたような、施設の中でもこういうことがある、これは在宅に戻っていくとも っとひどいと思うのです。そういうふうなことは言えますか、それも言えませんか。 ○池上分科会長  これは医療療養病棟におけるデータしか分析できませんので、これがもし退院された場 合にはどうなるか、あるいは介護保険施設に移られた場合にはどうなったかというのは、 これは何とも言えないところでございます。 ○竹嶋委員  ありがとうございました。 ○鈴木委員  二、三御質問を含めてお話ししたいのですけれども、4ページと5ページに、ケア時間 と処置時間というのがございますね。まずそこの定義といいましょうか、その辺のところ をどんなふうに見るのか。例えば今褥瘡の話が出ましたけれども、予防のための体位変換 というのはもうケアになって、褥瘡に対する直接の処置はこちらの方、処置時間の方に入 れるというような考え方でいいのかどうなのか。それからまた、処置時間で見ていますと いうと、医療区分1でADL区分3のところと、医療区分3でADL区分1のところで大 分差があるように思われますけれども、その辺のコメントをお願いしたいと思います。 ○池上分科会長  まず、このケア時間というのは、職種別の給与で重みづけされたケア時間ですので、当 然看護師は介護職員よりも時給が高いので、その時間は重みづけされた時間として、この ケア時間として出てございます。ですから、これは重みづけされたすべての職種の時間が この4ページの方の時間でございます。  一方、処置時間に関しては、これは処置とはどんなものかということはあらかじめ定義 しまして、その処置を行った場合には別掲していただきました。その処置に関しては、看 護師と准看護師に限られていますので、それの時間がこの時間となっております。 ○鈴木委員  ありがとうございました。  次は、20ページの有床診療所についてちょっと先生のお話をいただきたいのですけれ ども、まず、この報告書に基づきました療養病床の施設の規模というのでしょうか、それ はやはり療養病床としては相当大きな施設が対象になっているかどうかということが1点。  あと、有床診は109の施設と先ほど冒頭でお話が何か書いてございました。これはレ セプト調査だけで特に具体的な調査等はされていないというふうに考えてよろしいのでし ょうか。 ○池上分科会長  後者についてはそのとおりで、有床診療所はレセプト調査だと記憶しております。  また、病院の方の医療療養病床については、ケアミックスもあり、また介護療養病床も ある病院もあり、できるだけ代表性をもってサンプルを選びましたけれども、御協力いた だけるなどの制約条件がございます。  失礼しました。有床診療所はアンケート調査です。 ○鈴木委員  アンケート調査ですか、109。 ○池上分科会長  すみません。いわゆる抽出して調査した結果です。 ○鈴木委員  これが私は最後でございますけれども、「医療療養病棟の役割について」というところ での報告書、21ページでございますけれども、「検討中であるため、現時点での介護施 設に関する検討状況を踏まえた上での考察となっている。」ということでございますが、 その辺を危惧されて移行状況等の御報告もいただいておりますと思います。が、そういう 意味で、これはなかなか難しいですし、報告書の中にうつ状態はペンディングになってい ますね、そう考えてよろしいのですね。 ○池上分科会長  今後、うつ状態はどんな対象患者にするか、また、どんなケアが適切であるか等を考え て議論してまいりたいと存じます。 ○鈴木委員  そういうことになりますというと、15万床というふうに頭から決めつけました医療療 養病床の再編問題なのですけれども、それはもう区分2を3割まで介護の方に移し込む。 しかし、介護に対する移行は全く行われていないような現状というようなことをよく現時 点で委員の方々に御理解いただきたいと思います。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。 ○対馬委員   私の方から、2つほど質問と1つ意見を言わせていただきたいと思います。  1つは、質問のうちの最初ですけれども、2ページ目の一番下のところに、「医療の必 要性に応じた医療と介護の機能分担が進んでいるものと評価できる。」と書いてあるので す。17年度調査では、例えば医療区分1が50%弱だったのが、18年度になると32. 5%と、例えばこういったところを見て言われているのではないかなと思うのですけれど も、ただ、実際に入れかわりがあって、医療の必要度が高い方が入院され、低い方が退院 されたということであれば、まさにそのとおりなのですけれども、対象者は変わらずに、 ただ評価の結果、重くなる人が医療療養病床に増えてきたのだという場合、実態的にここ に書いてある医療と介護の機能分担が進んでいるものと言うことができるかというのは危 惧するところです。といいますのは、12ページをごらんになっていただきますと、これ は、どういった方々が退院されているかということです。そうしますと、医療区分1あた りの人が退院が非常に多いということであれば、先ほどの推論などもやや裏づけるデータ なのかなと思いますけれども、医療区分別ですと、ほぼ医療区分3であれ、2であれ、1 であれ、あまり変わらない。同じぐらいの数の方が退院されていると、こういうことです から、入院の方はデータからよくわからないのですけれども、少なくとも退院の方々はあ まり変わらないということになる。入院の方も、仮に変わらないとするならば、中に入院 されている方々の実態は変わらないけれども、点数づけだけが変わったということになら ないのかなというのが1点です。  それからもう1点ですが、4ページ目の真ん中の図表6という資料です。これは16年 度、18年度のケア時間なのですけれども、これは前の中間報告においてもよくわからな かったのですけれども、16年度調査で全体としては、これは115.7分だったのが、 18年度調査になると143.3分ですから、これは約3割程度増えている。これだけケ ア時間が増えるということは、人も2〜3割増やさないといけないはずですよね。ですが、 人については、資料からは、若干増えてはいますが、ごく微増ということで、それがこれ だけケア時間だけが増えるというのは、どうもやはりデータのとり方、答え方、そういっ た問題なのか、常識論としては、こういう理由ではないかなと思うのです。これが2つ目 の質問です。  意見としましては、さらに口頭で、急性期以外の一般病床等についても調査してはどう かという意見があったという報告がありましたが、私はこれは大賛成でして、やはり急性 期以外の一般病床についてもぜひ調査をやっていただければなと、こういうふうに思いま す。 ○池上分科会長  それでは、まず1点目の患者構成は、本当に変わったかどうかという点でございますが、 この調査対象病院としては、前回やったときにはどのような形で医療区分が設けられたか ということはわかってございませんので、この項目のチェックの仕方も、調査の仕方も、 こう申してはなんですけれども、それほど細心の注意をして行ったわけではない可能性が ございます。それに対して今回はこれによって報酬が変わってきますので、より精緻にチ ェックされたという要素はあると思います。ですから、それは故意にやったというふうに は私は考えませんで、むしろそれが報酬に結びつくのであれば、より丁寧に見るようにな ったという要素は確かにあると思います。  御指摘の、退院患者における医療区分という点は、確かに医療区分1が圧倒的に多くな いということは事実でございますが、この退院の中には、悪化して急性期病院に再入院す るという場合も含まれますので、そういう関係で医療区分3というのはあっておかしくな いのではないかという気がいたします。  それから2番目の御質問の、重みづけケア時間が多くなっている。これも、特に同じ調 査対象となった33病院については、このケア時間の測定いかんによって、それはそのま まコストとして反映されて、そして、このコストに基づいて報酬が最終的に決まるという 認識が今回ありましたので、これは自記入、職員が自分で記入するケア時間の調査でござ いますので、これはより丁寧に御記入いただいた結果ではないかと私は個人的には推測し ております。 ○竹嶋委員  ちょっと関連してですけれども、こういう調査は大変難しいと思います。その中で、い つも思うのですが、医師不足という認識は大体定着したと言われてきました。同時に、7 対1問題で看護師不足も地方によっては起こっている。これももう一般的に皆さんお認め になっている。もう1つ、このごろ問題になっている介護福祉士不足、要するに、学校に 行って介護福祉士になるという方々がいなくなってきたというのが、本当にこの1〜2年 顕著です。そういう中で、その中で働く方、対馬委員も触れられたような気がするのだけ れども、その働く人の質、そこのところの、実際に施設で構成がどうなっているか。パー トの方がこの1年ぐらい非常に多くなってきている。そうしますと、そのパートの方々の 中に、高齢者の方も来ていただかなければできないような、そういう施設もございますの で、今度は間に合わないにしろ、やはりそういうところまで含めて十分今後は調査をお願 いしたいと思います。今一番困るのは人です。そういうことで、そのことについては何か そういうお調べになる項目はあったのでしょうか。 ○池上分科会長  それについては5ページをごらんになっていただけばと思います。パートの構成比が高 いのかどうかというのはわかりませんけれども、やや矛盾した結果が出ておりまして、図 表9の比較可能な12病院について見ますと、平成18年度の人件費は8,645円で、 16年度は9, 172円というふうに、下がっております。しかしながら、全部をざっく り比べて、この病院も入れかわった中で全体として平均をとると、次のページ、6ページ の図表10をごらんになっていただくと、平成18年度の人件費は1万343円で、16 年度は1万6円となっていまして、逆に増えているという矛盾した結果が出ておりますの で、人件費がどうなったかということはちょっと結論が出ない問題です。実際の病棟に専 従している職員の人件費というのは比較的把握できるのでございますけれども、例えば医 師などの場合を、それをどう按分するかということによっても変わってきますので、また 病院における、特にケアミックス病院の場合の按分の仕方によっても変わってきますので、 ちょっと即断できないので、今後また調査させていただけばと存じます。 ○土田小委員長  ほかにございますか。 ○石井委員  1つは、対馬委員が、今回の医療療養病床において医療度の高い人が多くなってきたの は、はっきりとアップコーディングではないかという御懸念をなされたと思うのです。特 に退院数があまり変化がないからと。ただ、我々は現場でのいろいろな話を聞いていると、 明らかに医療療養病床の方からも、そういう人が、インセンティブがありますから、2、 3を多くするというのがやはり多くなったと聞いていますし、また、急性期病院の人たち に聞きますと、やはり前よりも、急性期から転院する場合の受け入れが医療療養病床にお いては少なくとも一時的にはよくなった。ただし、みんなの意見を聞くと、やはり一時的 といいますか、ある程度そういう人に入れかわりがある程度進んでしまうと、ちょっとそ れからまた悪くなったということを聞いていますので、こういった結果が今後とも続くと は言えないと思うのですが、現状ではある程度そういう医療区分の高いところに医療療養 病床の全体としては少しシフトしたということは私も確かではないかというふうに思われ ます。  それから、あと、これはちょっと質問なのですが、最後の方に、どういう人が今後の医 療療養病床の対象かというところで、介護療養における医療行為といったものが現状制限 されているので、それが現状のままだと医療療養の方がそれを抱えざるを得ないという意 見だったと思うのですが、具体的には、介護療養でどういうようなことが可能になれば、 そういったことが、むしろそちらへの移行が、医療療養病床が扱わなくてよくなるのか、 その辺の具体的な何か意見が出ているのでしょうか。 ○池上分科会長  いえ、それについては議論は出ましたけれども、明確な結論は必ずしも出なかったと思 いますが、1つは看護師の常勤ということが話題になったと記憶しております。つまり、 介護保険施設における介護、看護師の24時間常勤という課題でございました。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。 ○古橋専門委員  今回の調査結果を伺っておりますと、例えば7ページには、ADL区分ごとに相当の差 があることがわかったというような御指摘がなされております。全体的に見ますと、医療 レベルの1、2、3については比較的区分設定に妥当性があったというようなことも書か れているのですけれども、今回の調査でより鮮明になったのであれば、ADL区分という もののいわゆる費用といいますか、評価の必要性というのをさらに詳細にとらえていくと いうことが必要であるというようなことに導かれるのかどうかということが1点です。  全体評価の中では、処置等を重視していくということよりも、療養病床では、患者の全 体的対応というものをやはり見ていく必要があるというようなことも書かれていると受け とめているのですが、そういう点で、最後に言われておりますクオリティーインディケー ターの評価ということは、今回試行的になされておりますけれども、この試行であっても、 どんな方法でこのインディケーターが算出されてきたかというようなことがいま一つ、も うちょっと詳しく教えていただければと思っております。ADL区分というものが、やは り医療レベルと同様、それ以上に重い、重要であるという視点は、介護の切り口からいい ますと、まさしくそうではないかというふうに考えられるのですけれども、そんなところ とあわせてお教えいただきたいと思います。 ○池上分科会長  ちょっと時間のことが気になっておりますが。 ○土田小委員長  私も大変気になっておりますが、そろそろこれでおしまいにしたいと考えております。 ○池上分科会長  よろしいでしょうか。 ○土田小委員長  はい。 ○池上分科会長  まず、分科会として出した案は、ADL区分は3段階で、医療区分も3段階の、マトリ ックスの9つのグループに、それに認知症加算を設けた11分類であったわけです。しか し、それに対して実際に設定された点数は、先ほど申しました25ページの図表31にご ざいますように、医療区分3についてはADL区分は全く考慮されてなく、医療区分2に ついてはADL区分2と3が一緒になり、医療区分1についてはADL区分1と2が一緒 になり、また、それぞれそのコストを反映していないということが、このADLについて の報酬上の評価とコストが乖離しているということを申し上げた次第でございます。  クオリティーインディケーターについては、簡単に申しますと、その病棟の患者さん、 例えば50人いらして、その中に例えば寝返りができない患者さんが30人いらしたと。 寝返りができないということは、褥瘡のリスクが高いわけですので、それがハイリスクの グループにおける褥瘡は、例えば30人の中で3人褥瘡がいらしたら10%という、3分 の30で10%。寝返りができる全体のローリスクの方は20人いらして、その中に1人 だけいらしたら20分の1で5%というふうになっております。ですから、痛みの場合は 同様に、50人の患者さんに痛みを訴える患者さんは何人いらっしゃるか。もしそれが5 0人中20人であれば、これは40%というふうになるわけでございます。  よろしいでしょうか。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。池上先生の方から時間の御心配をいただきまして、ど うもありがとうございます。ただ、これは一応今回の調査は最終報告でございますので、 少し丁寧にやっていきたいということで質問をお受けし、また丁寧に答えていただきまし た。どうもありがとうございます。  それでは、まだ御質問あろうかと思いますが、今日はこの後まだ幾つか議題を抱えてお りますので、今回の報告に関しましては、これで次の議題に移らせていただきたいと思い ますが、よろしいでしょうか。  池上先生、長い時間、どうもありがとうございました。  次の議題に移ります。「今後のDPCの在り方」について議題としたいと思います。  今日の議題の説明に先立ちまして、5月16日の本委員会において委員から依頼のあっ た一つは、DPC対象病院に対する指導の実施状況、2つ目は、調整係数の考え方につい て、事務局より資料が提出されております。説明をお願いいたします。 ○事務局(阿部医療指導監査室長)  医療指導監査室でございます。まず、診−2−1の資料をごらんいただきたいと思いま す。簡潔に申し述べます。  お尋ねはDPCにおける指導監査の状況ということでございました。私ども、DPC対 象病院に対しまして、特定共同指導を実施しておりますので、その実施状況を御報告いた します。  この特定共同指導と申しますのは、医育機関、大学病院や地域中核病院、研修指定病院 等につきまして、厚生労働省の医療指導監査室並びに都道府県の社会保険事務局と都道府 県庁の国保担当部局の三者による共同の指導でございます。  平成15年から17年度、DPC制度の施行に伴いまして、このDPC算定医療機関を 重点指導をいたしました。その結果がこの表でございます。平成15年度は、特定共同指 導の医療機関が18、そのうちDPC対象病院は13でございました。平成16年度は2 0医療機関、これはすべてDPC対象病院でありました。平成17年度は16病院でござ います。平成18年度はこの重点指導から外れておりますので、一応23医療機関を指導 しておりますが、そのうちのDPC対象病院11となっております。  参考までに、このうちの医育機関である大学附属病院が幾つあるかということを申し述 べますが、平成15年度はDPC対象病院のうちの11、それから平成16年度、この医 療機関20のうちすべてが大学附属病院でございました。平成17年度は16医療機関の うちの14医療機関が大学附属病院でありまして、平成18年度は11のDPC対象病院 のうち6病院が大学の附属病院でございます。このような共同指導を実施しておりますが、 現在この18年度の数字の中までに、監査に移行した医療機関はございません。  これは指導監査でございますが、監査はございませんので指導でございますが、この指 導の中で認められました適切でない請求例の代表例について若干申し上げます。  1番はここにありますが、包括評価部分を最大化するという意味で、不適切なコーディ ングというのが見られます。いわゆるアップコーディングであります。幾つかの診断群分 類が考えられるうちに、これはもう医学的な判断ではなくて、診療報酬請求額を比較して 最も高い金額になるコーディングをしてしまうというものであります。したがいまして、 「医療資源を最も投入した」とは言えない傷病名でコーディングされるということも起こ ります。  次に、この特定入院期間超過後の手術により、「手術あり」のコーディングをしている というようなことがございます。あるいは実際には手術ではなくて処置を行ったにもかか わらず、「手術あり」のものとしてコーディングするという事例もございました。  それから次は、特定入院期間のリセットでございます。これは「リセット入院」と私ど も言っておりますけれども、このリセットによりまして、より点数が高い入院期間Iの入 院に戻るということになるわけであります。退院後、極めて短期間で予定された入院をま たするという事例がございました。これは予期せぬ出来事で疾病が重症化したというよう なことがありまして、我々も了解可能なものもございますが、了解不可能なものもあると いうことであります。  あるいは包括評価対象外の病床との間で転棟を繰り返すというのがございます。これは 具体的に申しますと、同一医療機関内にある療養病床との間で転棟を繰り返して特定入院 期間をリセットしていくというものであります。医学的な必要性はもちろん乏しいという 事例もございます。あとは大学病院程度でございますと、医療機関とこの関連病院、本院 と分院の間で転院を繰り返して、特定入院期間をリセットしてくるという事例もございま す。  それから、包括評価されている項目につきましては、出来高請求の中に入れて請求して くるという事例がございます。代表的なものはこのCにございますが、一連の入院中に他 医療機関で実施された検査、処置等についてでございます。例えばDPCで入院する当日 に他院でMRI、PETを実施してくるというようなものでございます。  もちろん、その他院で実施した病院は、そちらの方で初診料から検査料等を請求すると いうことでございます。ですから、入院中の他院受診にほとんど該当するわけですが、対 診という扱いがございますので、対診扱いをしないでもちろん他院から出来高請求してく る。自院では、これらを実施しないことによってコストを下げることができるということ であります。  それから、出来高評価される算定項目として取り扱うというものがございます。術後に 病棟で行った点滴等でございますが、手術に当たりまして使用された薬剤以外の薬剤を手 術で使用した薬剤として出来高請求の部分に繰り入れて請求してくるというような問題で ございます。  それから、ここには記載しておりませんけれども、非常にわかりやすい事例としまして は、特定入院期間中に処方されている薬剤がございますが、この残薬を退院時処方に加え て請求を行うというようなものもございます。  ただ、幾つかこの適切でない請求例、私は申し上げましたけれども、これらはいずれも 単発に近い状態で私ども確認したものでございまして、事務手続上のミスでありますとか、 DPCに関する理解の不足、知識がなかったというようなこと、それから医師側と事務側 の連携のミスでございますとか、そういうことで発生したものでございまして、組織的に アップコーディングを次々に繰り返したとか、先ほどのリセット入院を次々繰り返したと いうようなことではございませんので、いずれも指導で終わっておるということでござい ます。  以上でございます。 ○土田小委員長  ありがとうございました。 ○事務局(宇都宮企画官)  医療課企画官でございます。引き続きまして、調整係数の御説明をさせていただきたい と思います。資料、診−2−2をごらんいただきたいと思います。横長の図が描いてござ いますが、まずこの調整係数というものを考えるときに、この資料の右側の上から2つ目 の四角でございますが、「医療機関別係数=調整係数+機能評価係数」という式がござい ます。つまり、調整係数というのは、単独でいきなり算定されるというのではなくて、ま ず医療機関別係数というものを考えるということでございます。では、この医療機関別数 というのは何かと申しますと、非常に端的に言えば、前年度並みの収入を確保するために 調整する、そのための係数ということでございます。では、どのように出すかということ ですが、左側の方に四角が4つほど描いた図がございますけれども、わかりやすく具体例 で言いますと、例えば今年度、7〜12月にDPC対象病院、調査をしていただいておる ところでございますが、その調査によって今年度医療費がどれだけかかったかと、そうい うコスト、実績というものが出てまいります。それがこの図の(A)に当たります。今年 度末、来年の3月ぐらいになりますと、DPCについても診断群分類の点数表というもの ができてくるわけでございますが、この今年度調査をしたときに、出来高の方でもいろい ろ診療行為についてとっておりますが、それをもとにこの来年改定した平成20年度の新 たなDPCの点数表によって幾らかかるかと、つまり、今年度と同じ診療行為を来年度の DPCの点数表を使うと幾らかかるかというのがこの(B)でございます。そして、当然 この(B)が(A)よりも多い場合、少ない場合ございますが、それを調整するというの が医療機関係数でございまして、この右側の四角の上から3つ目に書いてございますよう に、「(A)/(B)」であらわすということでございます。ただ、当然改定率というも のが入ってまいりますので、例えば18年度改定で考えれば、マイナス3.16%であっ たということから、この右側の一番下の四角には、例示として「1−0.0316」とい うような数字が書いております。これがすなわち「(A)/(B)」に改定率を掛けたと いうか、考慮したものが医療機関別係数ということになります。  この医療機関別係数を出した上で、さらにこの機能評価係数というのがございますが、 これは各病院について、例えば臨床研修病院である場合には幾らか加算がついたりしてお りますが、あるいは診療録管理体制加算とか、そのような幾つかのものについては病院に 対する機能評価係数として、例えば診療録管理体制加算であれば0.0008というよう な数字になっておりますけれども、こういったものが機能評価係数としてございます。病 院として幾つかの加算を持っていればそれを足し合わせたものになりますけれども、その 機能評価係数を医療機関別係数から引いたものが結果として調整係数になるということで ございます。  以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御意見、御質問などございましたら。 ○石井委員  前から調整係数、特に医療機関係数、いろいろ何度説明されてもよくわからないので、 再度お聞きしたい。出来高払いからDPCに移るに当たって、算定方式が違いますから、 これによってのデメリットもメリットも、防ぐということで、初年度においては出来高算 定とで同額にするという、このことは意味としてよくわかります。ただし、そのときには 診療報酬改定があるから、診療報酬改定による当然ながらのアップまたはダウンというも のもその係数に含まれるということで、2つの意味を持っていたと思うのです。翌年の係 数は、基本的には、診療報酬改定によるアップダウンを反映するという意味でとらえてい いのでしょうか。 ○事務局(宇都宮企画官)  これは改定のたびに計算し直すということでございます。 ○石井委員  というのは、1つは、診断群分類点数もそのたびに改良しているわけですね、まずそれ をお聞きしたいのですが。というのは、今度のマイナス3.16%、(A)の方からこれ は落としたわけですね。そうすると、診断群分類点数による一つの項目については、これ はいじっていないがゆえに3.16を減らしたと理解する。もしもこちらをいじっている とすると、これはマイナスにしたような場合にはこちらをいじるわけにいかないわけです よね。どこでこういった調整をしていっているのか、その辺がいつもよくわからないので すが。 ○事務局(宇都宮企画官)  先ほど申しましたように、診断群分類、改定のときに当然また変更するものがございま すが、その変更後の分類点数表を用いてこの(B)というものを計算するということでご ざいます。 ○石井委員  だから、その変更ということは、ある意味で診療報酬の改定なのですね、それ自身。だ から、基本的に、そこは全体としては実はそういうような改定をしていないと。そういう 意味では、例えばある疾患に関して言えば、その係数というのは実はあまり変わっていな いのだということを前提にして行われているという意味ですか。 ○事務局(宇都宮企画官)  ですから、変更というか、それはDPCのツリー、点数表というものをより実態に近づ けるという意味で変更を行うということです。ですから、いわゆるこういった改定率の話 とDPCの点数表の変更というのは、また別途分けて考える必要があると思うのです。 ○事務局(原医療課長)  医療課長ですが、ちょっと補足しますと、診断群分類点数表については、前年度の調査 期間におけるある分類項目の患者さんについて、どういう行為があったか、入院期間がど れぐらいあるか、そういうデータをもとにして、いわゆる出来高点数を積み上げていって 平均的なところをつくっていくわけです。ですから、それに対して、それで新しく、ある 病院でいろいろな患者さんがいたときに、新しい点数表でもってその病院の収入を見た場 合を、増えたり減ったりするわけです、その間を調整するのが調整係数という感覚なので す。ですから、点数表をつくるというところと調整係数は全く別の話です。  それから、ここのマイナス3.16のところは、これは本来ならば前年度の医療機関の 請求実績を保証しているわけですけれども、このマイナス3.16という改定率を今回は その請求実績から下げて、その部分までは戻すとか、増やすとか、減らすとか、そういう 調整をそこまで下げて比較している、そういう意味だということです。 ○鈴木委員  医療機関別係数の図ですが、医療機関別係数は調整係数と機能評価係数を加えたもので あるというのは間違いないと思うのですね。このカラムの中で、「入院時医学管理加算な ど」というところが「機能評価係数による部分」と書いてありますけれども、このカラム の一番左の方にも、調整係数による引き上げと引き下げの場合がありますから、矢印部分 がこの調整係数になる、こういう理解でいいですか。 ○事務局(宇都宮企画官)  そのとおりでございます。 ○鈴木委員  であれば、この以下の表に調整係数だけが各医療機関でリストが出ておりますけれども、 このDPC病院における医療機関別係数の平均値というのは幾つぐらいのものなのですか。 ○事務局(原医療課長)  機能評価係数、例えば7対1のときは足せますよということですが、年度の途中で例え ば7対1に変わった場合には、医療機関係数は当然変わってくるわけです。調整係数は、 これは改定の間は固定的にしていますけれども、機能評価係数はそういう加算的なもので すから、例えばここで例に出ている入院時医学管理加算などは、医者の数が減ったとか、 あるいは外来がとても増えたとか、そういう場合にはなくなっていくわけです。だから、 その変動し得る部分がありますので、そういう意味では、医療機関別係数というのを、全 体としての平均を求めた数値は今は手元にございません。 ○竹嶋委員  さっき、指導監査の状況ということで御説明いただきました。また後ほどの議論の中で も発言したいと思いますけれども、DPCの採択というか、これは御存じのように、柳澤 厚生労働大臣もああいう公式の場での発言で、5年間で1,000施設まで持っていくと いう発言もありますし、それから、聞くところによりますと、後ほど説明があるのでしょ うね、まだもっともっとたくさんのところが手を挙げているということであります。そう いうことがありまして、1号側委員の方から、それについていろいろな問題が起こってこ ないか、いろいろな病院の都合で、というようなお話があって、それについての御説明を 今いただいたのですが、そのまずは指導した医療機関の数がこの程度でいいのかどうかと いうことが1つです。  それからもう1つは、今のお話の中では、指導して監査まで行かなかったと、指導のと ころでよかったと、組織的なものではないというふうな御説明がありましたけれども、今 厚生労働省が政策として大きく進めている極めて大きな地域医療の中での医療政策だと考 えるだけに、これにつきまして、今のようなお答えでいいのか。例えばこの中で、さらに 1年後にそこをちゃんと再調査をしたか、あるいは実際にそこに行かれなくても文書でし たか、そういうふうなところです。例えば私が所属しております財団法人医療機能評価機 構、ここでは認定評価を行います。これはそこで指導に行きまして、後に必ず再調査をや ります。それまではペンディングということもやります。だから、そういうふうなことを やったのかどうか、それについてお伺いしたい。  2点、この数でいいのか、それからそういうところに対しての再調査をする意思がある か、あるいは書面調査でもやられるか、そこについてのお答えを願いたいと思います。 ○事務局(阿部医療指導監査室長)  まず、指導の件数でございますが、これは先ほど申しましたように、特定共同指導の対 象の数であります。私どもこれで必ずしも決して十分であるとは考えてございません。で ございますが、何分人員が限られております中でいろいろな問題が起こってきています。 平成15年度、16年度、16年度は、これは結構がんばった方だと思いますが、このこ ろは名義貸しの医療機関に対する指導監査が相当ございまして、それでもこの数でとどま ったというようなことで、できる限り指導件数は増やしてまいりたいと思います。  それから、ただ、指導しっ放しであるかという御質問でございますが、実はこのような 適切でない請求例、これは厳密に申しますと、不正請求に該当するものがかなりあるわけ でございますので、しかも、このような中核病院、大学病院の一般的な傾向といたしまし て、医学的な学術研究や医療技術の習得には先生方は非常に御熱心なのですが、このよう な保険診療のシステムの理解でございますとか、このようなものに関してはむとんちゃく な部分が相当多いということで、実は80%以上が経過観察並びに再指導でございますの で、1年もしくは2年以内にもう一度指導というか状況の調査が入るということでござい ます。  以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○事務局(宇都宮企画官)  補足させていただきたいと思いますが、竹嶋委員御指摘の、そういった不正についてど うするかというのは、まさに次の議題で委員の皆様方に御議論いただきたいと思っており まして、また、DPC評価分科会の方でも、既にさまざまなデータから見て、平均値から 大きく外れるようなものについてはヒアリングなどを実施して、実際にどのような状況か というものを調査しておるところでございます。  また、今年度についても、そういった調査を進めていく、あるいはルールづくりという ことも検討していくというようなことについて議論されているところでございます。  以上でございます。 ○土田小委員長  それでは、次の議題で、「今後のDPCの在り方」の方に移りたいと思いますが、その 前に、はいどうぞ。 ○対馬委員  一言だけですけれども、指導した中にいろいろなケースがあるのでしょうけれども、こ れは基本的には診療報酬について精算として、過誤の分については返還していただいてい るということでよろしいのですね。 ○事務局(阿部医療指導監査室長)  もちろんです。 ○土田小委員長  それでは、これは企画官ですか。 ○事務局(宇都宮企画官)  それでは続きまして、「今後のDPCの在り方について」ということで、診−2−3の 資料をごらんいただきたいと思います。1枚目に、これまでの目的と経緯ということで書 いてございますが、目的として、良質な医療を効率的に提供していく観点から、それまで 慢性期医療等を中心に進められてきた入院医療の包括評価を拡大することとし、大学病院 から順次導入が進められてきたということでございます。  そして、最初に平成10年11月の国立病院等における「急性期入院医療の定額払い方 式」、これはDPCというよりもDRG/PPSの試行開始ということなのですが、こう いった急性期の包括医療ということで、これがきっかけとなったということでこちらに入 れさせていただいております。このときの趣旨としては、国立病院等において急性期医療 の定額払い方式を試行することにより、入院期間や診療内容、病院、経営管理の変化等を 把握し、今後の医療制度及び保険制度改革の基礎資料とするということで始まっておりま す。その後、こちらをごらんいただくと書いてございますように、特定機能病院への導入 の提案、決定、それからそのほかに調査対象病院というものを92病院、平成15年4月 には加えておりますが、順次、こちらをごらんいただきますように、対象が拡大されてき ておるということでございます。  そして一番下に「DPCの基本方針」ということで、15年3月の閣議決定がございま すが、「急性期入院医療については、平成15年度より特定機能病院について包括評価を 実施する。また、その影響を検証しつつ、出来高払いとの適切な組合せの下に、疾病の特 性及び重症度を反映した包括評価の実施に向けて検討を進める。」というようなことが決 定されておるということでございます。  1枚おめくりいただきまして2ページでございますが、この現状といたしまして、これ は調査結果ということで出ておりますけれども、平均在院日数については年々短縮してお る。一方で、この包括払い方式の導入により、粗診粗療が起きる可能性というものが指摘 されていたところでございますが、調査ではそのような状況は認められず、在院日数の平 均が長い診断群分類の患者や救急搬送による患者も導入前と同様に受け入れていることが わかった。すなわち、軽い患者ばかり受け入れているというようなことではないというこ とでございます。こういったことなどにより、DPC制度の導入により医療の効率化が進 んでいると言えるのではないかということでございます。  2つ目の丸でございますが、この対象病院については、在院日数の平均や再入院率など 提出されたデータが公開されており、医療の透明性が保たれているということ。  しかし、この対象病院・準備病院については、導入当初と比較して、病床規模や診療体 制において、多様な医療機関により構成されるようになったと、こういう現状がございま す。  そこで、今後の在り方ということでございますが、今申しましたように、大きな総合病 院から、いわゆる専門病院まで幅広くDPC対象病院となったということで、またさらに 今年度も多数の医療機関が準備病院として応募しております。このような状況を踏まえて、 DPCが今後どのように運営されていくべきか検討する必要があるということでございま して、検討すべき課題として、大きく2つ挙げさせていただきました。  1つは、DPC対象病院の拡大に伴い、制度・運用の見直しが必要ではないかというこ とで、1つ目のぽつでございます。この「対象病院、準備病院には、満たすことが望まし いとされている基準に完全には合致していない病院も多く」ということですが、この基準 というのは、3ページの下の方の四角に囲ってございますが、これに完全には合致してい ない病院も多い、多様な医療機関が含まれているということで、今後どのような基準とす べきか。  それから2番目のぽつですが、診断群分類の決定が不適切な事例が認められている。先 ほどの報告にもございましたが、これにもかかわらず、レセプト上の情報のみでは審査を 行うことが困難なケースが存在するが、適切な算定・請求ルールをどのように構築すべき か。  3番目としては、粗診粗療の防止のために、新たなルールの設定をどのように検討すべ きかということ。  そして、大きな2つ目の丸でございますが、先ほどの医療機関別係数について、どのよ うに対応するか検討すべきではないかということです。  1つ目のぽつですが、多様な医療機関がDPC対象病院となり得ることを踏まえ、各医 療機関ごとの特性を適切に評価するための新たな係数が必要ではないか。2つ目は新たな 係数の導入について検討するとともに、DPC制度の円滑導入のため設定された調整係数 については、廃止することとしてはどうかというような提案でございます。  そして、3ページの上の方の四角でございますが、中医協答申の附帯意見として、「D PCについては、円滑導入への配慮から制度の安定的な運営への配慮に重点を移す観点も 踏まえ、調整係数の取扱いなど、適切な算定ルールの構築について検討を行うこと。」と、 これが平成18年2月の総会決定ということでございます。  最後のページ、4ページ目でございますが、これは御参考までにということで、DPC の対象病院・準備病院における病床規模でございます。一番上の表にDPCの病院数がご ざいます。その表の一番下の欄に参考として「病院全体」というのがございますが、これ がそれぞれの縦軸のカラムになります病院全体の数値でございまして、上から2番目の表 は、それぞれの病院全体の数値に対して何%かというような割合を出したものでございま す。これをごらんいただきますと、病院全体としては今8.1%がDPC病院もしくは準 備病院ということになっておりまして、同様に、下の方、病床数がございますが、現在は 29万床ほどが対象病院あるいは準備病院ということで、32.25%を占めているとい うことでございます。  以上でございます。 ○土田小委員長  ありがとうございます。  あらかじめちょっと申し上げておきますが、今後のDPCの在り方については、今日だ けではなくてこれから基本小委で検討していくということになっておりますので、時間の 関係もありますから、ぜひとも今日一言か二言、質問なり意見を言いたいということに、 時間はある程度限らせてもらいますので、それで御了解いただきたいと思います。何かご ざいますでしょうか。 ○竹嶋委員  最も基本的なことで、これは十分御論議いただいたと思うのですが、私自身、そこのあ たりのところを把握しておりませんので、質問させていただきます。今お示しいただきま した「今後のDPCの在り方について」という協議するレジュメがあります。それの中の 経緯ということがありますが、もともとこのDPCは、特定機能病院ということで始まっ たというふうに私は認識しております。それは15年3月の閣議決定でもそのように書い てありまして、これを拡大するとかというような文言は一切ありません。そういう認識を しておりますが、これが16年4月から一般病院に拡大された。この数字に見るとおりで ございますね。ここのところの経緯、恐らく15年から16年にかけて、十分この中医協 の中でも御論議があったと、そういうふうに思います。その上であえてこれを拡大すると いうことに持っていった基本的な理念とか、そういう考えにつきまして御説明を願えたら と思います。 ○事務局(宇都宮企画官)  今の御質問については、まず、経緯を説明させていただくということ、どのような議論 があったかという…… ○竹嶋委員  これを一般病院に広げたということですね。 ○事務局(宇都宮企画官)  それについては、確かに平成15年、ただ、15年4月のあたりの議事録がなくて、ち ょっとここのところはわからないのですが、まず、15年5月にDPCに係るデータ収集 の対象医療機関の拡大についてというような議題が出されたというような記録が残ってお ります。その後、この資料には書いてございませんが、15年11月19日の総会で平成 16年診療報酬改定について1号側の提出意見書の中で、包括化・定額化の拡大というお 話がございまして、そこで議論をされておるということでございます。これにつきまして、 記録では、2号側から、「患者中心」という視点が抜けているのではないかというような 御指摘がございますが、1号側としては、民間病院等についてもいろいろな調査をやって おり、こういうことに沿って、データをとりながら議論していこうというような御発言が ございます。15年12月12日には、趣旨といたしましては…… ○竹嶋委員  ちょっと遮って悪いのですが、この次の議論でまたさせていただきますが、こういうふ うに急速にばっと拡大していくというところの、そこの一番基本になったところがこの1 6年4月だろうと思うのです。ですから、そこのところでしっかり御議論をいただいてい ると思うので、そのときの例えば医療の標準化とか効率化とか言われましたが、そのあた りのところをどういうふうにこの中医協でまとめられたのか、そこが私は知りたいという ことなのです。 ○土田小委員長  記憶ははっきりしておりませんが、たしかそのときの1月か2月に診療報酬改定を行い ましたが、そのときの附帯意見でしたかあるいは附帯決議か、そこでDPCの拡大という ことがたしか上がっておりまして、それでその後、基本方針の方でDPCを拡大していく という総会の合意を得たように記憶しておりますが、間違いじゃないでしょうか。 ○事務局(宇都宮企画官)  まず15年12月18日の中医協の審議報告の中で、「DPC、小児医療・精神医療等 を重点的に評価し、国民が納得できる改定とする。」という文言がここで合意されており ます。その後、御議論がいろいろあったわけなのですけれども、16年2月13日に、中 医協の大臣への答申として、「急性期入院医療については、DPCや手術の施設基準など について、必要なデータの整備や分析体制の強化等を図り、その評価の検証を行うこと。 」というようなことで出されています。これに基づきまして、16年4月から対象が拡大 されておるというようになっております。 ○土田小委員長  たしか私もそのように記憶しておりますので、事実でそういうことだということを確認 したいと思います。  ほかにございますでしょうか。 ○鈴木委員  1つだけ、この診−2−3の資料の一番後ろの表でございますが、100床以上200 床未満で、パーセントでいきますと準備病院を含めて4.42%、100床未満で1.2 1%というような病院がこれをやっておりますけれども、こういうDPCに対する一つの 位置づけというのが、このDPCをとれないと急性期病院として生き残れないという、そ ういうブランドになったのです。そういうことを意図したのかしなかったのか、そこのと ころを事務局にまず明確な返事を私はいただきたいと思いますけれども、そうでないとこ れからの在り方というようなことにも考えなければいけないと思いますので。 ○土田小委員長  これは事務局答えられますか。私の方から言いましょうか。 ○事務局(宇都宮企画官)  我々としては、ブランドとかステータスということを申し上げたことはございません。 ○土田小委員長  おっしゃるとおりです。ですから、当初から、ブランドとかそういうことを言っていた のではなくて、そういうデータの集積なり分析の対象になり得るということを手を挙げて いただきまして、それを審査して十分対応し得ると判断したものをDPC準備病院として 指定していく。それでそういうデータを集めてきたという、そういう経緯でございます。 ただ、検討すべき課題にありますように、その結果非常に病院が多様化しておりまして、 1つの評価ではなかなか難しくなってきたということで、今回そういうことを検討しまし ょうと、そういう流れでございます。よろしいでしょうか。 ○鈴木委員  質の担保のプラスアルファとしての位置づけみたいな形になっていかないとおかしいと 思いますので、当然のことながら、前年がそのまま担保されるというような考え方は間違 っているのではないかと思います。 ○土田小委員長  そういうことを含めてこれから議論していきたいと思います。  ほかにございますでしょうか。 ○松浦委員  また後で、時間をとっていただきますね。 ○土田小委員長  もちろんです。今日はほんのちょっと手をかけたという程度でございますから。 ○対馬委員  中身というよりは、むしろ進め方ですけれども、先ほど来、多少の議論もあったのです けれども、我々も正直なところ、この医療機関別係数や調整係数、機能評価係数について、 必ずしも十分理解しているわけではないのです。資料を見ても前年度の実績だと、説明さ れているようですが、どうも今の説明を聞いていますと、実績そのものというよりは出来 高払いをもとにしながらですから、言ってみますと、みなし実績のようなところをベース にしているようでもあるのです。 ○土田小委員長 それは違います。 ○対馬委員 ですから、もう少し丁寧に、ないしはいろいろな資料、データをきちんと出して議論を するにはやぶさかではありませんけれども、データをきっちり出していただきたいという のが要望です。 ○土田小委員長  みなし実績ではないと思いますが、それはどうされますか、一言答えますか。 ○事務局(原医療課長)  そういう説明はしていないと思いますけれども、入る前は、もちろん出来高のものしか ありませんので、それの実績になりますけれども、先ほど言いましたように、前年度の請 求実績ですから、当然DPCに入っているところはDPCの包括点数による請求実績を保 証している、そういう言い方。その他を含めてもう少し詳しいデータをつけながら議論し ていただけるようにしたいと思います。 ○土田小委員長  ですから、そういう評価係数を含めて今回もう一回基本小委で議論しましょうというこ とですから、その議論の段階でまたいろいろ御意見を拝聴したいと思います。  よろしいでしょうか。それでは、今日の基本小委は予定は11時ぐらいでしたが、大分 オーバーしてしまいました。大変司会がうまくいかなかったということですが、とりあえ ずこれで基本小委は終了したいと思います。  引き続いて総会がございますので、しばらくお待ちください。     【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係      代表 03−5253−1111(内線3288)