07/08/03 第3回糖尿病等の生活習慣病対策の推進に関する検討会議事録     第3回糖尿病等の生活習慣病対策の推進に関する検討会議事録 ○日時:平成19年8月3日 (金)18:00〜20:00 ○場所:霞が関東京會館 エメラルドルーム ○議事次第 1.開 会 2.議 事  (1)糖尿病等の生活習慣病対策を推進するための方策について  (2)その他 3.閉 会 ○出席構成員(敬称略・五十音順) 井伊久美子、今村聡、春日雅人、笹月健彦、篠崎英夫、久道茂、二見大介、渡邊昌 ○オブザーバー 亀井国立成育医療センター運営部長 ○厚生労働省出席者 矢島健康局総務課生活習慣病対策室長、平子医政局国立病院課指導官 ○照会先 健康局総務課生活習慣病対策室(内線2974,2971) ○矢島生活習慣病対策室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第3回 糖尿病等の生活習慣病対策の推進に関する検討会」を開催させていただきます。  まず初めに、本日の出欠状況について御報告をさせていただきます。北村委員からは 御欠席の連絡をいただいております。今村委員からは遅れて出席するとの御連絡をいた だいております。  それでは、以降の進行を久道座長にお願いいたします。 ○久道座長 それでは、皆様、よろしくお願いしたいと思います。今回で第3回の検討 会ですが、前回の会合の議論を踏まえまして、具体的な生活習慣病対策の推進方策につ いて、更に検討を進めていきたいと思います。  議事に入ります前に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○矢島生活習慣病対策室長 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。  まず、議事次第、座席表のほかに、資料1といたしまして、「糖尿病の医療体制構築 に関する指針」。資料2といたしまして、「国立高度専門医療センターの今後のあり方 についての有識者会議報告書の概要」。資料3といたしまして、「国立高度専門医療セ ンターのミッションについて中間報告(抜粋)」。資料4といたしまして、「糖尿病等 の生活習慣病対策を推進するための方策について 小児期の生活習慣病対策」。資料5 といたしまして、「国立保健医療科学院における糖尿病等の生活習慣病対策に係る研修 の概要」。資料6といたしまして、「糖尿病等の生活習慣病対策の推進に関する論点(案)」。  参考資料1といたしまして、「医療計画について(平成19年7月20日付医政局長通 知)」。参考資料2といたしまして、「疾病又は事業ごとの医療体制について(平成19 年7月 20日付の医政局課長通知)」です。それから、参考資料3といたしまして、「国 立高度専門医療センターの今後のあり方についての有識者会議報告書」。参考資料4と いたしまして、「今後の糖尿病対策と国立国際医療センターの役割」。参考資料5とい たしまして、「糖尿病予防のための戦略研究」。参考資料6といたしまして、「小児生 活習慣病 なぜ治療は難しいのか」。参考資料7といたしまして、「平成19年度研修募 集要項:国立保健医療科学院」。参考資料8といたしまして、「特定保健指導対象者の 選定方法に係る血糖値の考え方」でございます。  もし不足、落丁等がございましたら、事務局までお申しつけいただきますようお願い を申し上げます。 ○久道座長 それでは、早速議事に移ります。  まず、前回の会合以降、関係部局等において検討が行われておりました事項について、 報告書あるいは指針等が取りまとめられておりますので、事務局から説明をお願いいた します。 ○矢島生活習慣病対策室長 まず、資料1に基づきまして御説明をさせていただきます 前に、参考資料1を御覧いただきたいと思います。これは7月20日付の厚生労働省医政 局長通知ですが、「医療計画について」ということで、医療法の一部が改正されたこと に伴いまして通知が出ております。  今回の改正におきまして、医療計画制度の中で医療機能の分化・連携を推進するとい うことがうたわれておりまして、具体的に「医療提供体制の確保に関する基本方針」を 定めることになっておりまして、今まで医療計画の中には記載事項として基準病床数、 そういうふうなものの記載が義務づけられていたのですが、新たにがん、脳卒中、心筋 梗塞及び糖尿病に係る治療又は予防に関する事項、それから救急医療、災害時における 治療、へき地医療、周産期医療及び小児医療の各項に必要な事項に関する事項。更に、 これらの疾病及び事業に係る医療提供施設相互の医療連携体制に関する事項が定められ るということになっております。そういうことを踏まえたものが今回定められておりま す。  2ぺージのところを御覧いただきたいと思いますが、この中で、この医療計画作成に 当たっては別紙「医療計画作成指針」、これは後で御説明をさせていただきます指針、 特に糖尿病については「糖尿病の医療体制構築に係る指針」というのが出ているわけで すが、この指針を参考にして計画をつくるということになっております。  それから、2番目の医療連携体制のところの(2)ですが、ここにつきましても、(2) の(1)のところですが、疾病又は事業ごとに医療連携体制の具体的な方策を定める。それ から、(4)のところでございますが、医療連携体制が、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、 その他の医療従事者、介護サービス事業者、住民その他の関係者による協議を経て構築 されることというようなことがこの中に書かれております。こういうふうなものを踏ま えて、今、医療計画の見直しにかかるわけでございます。  それから、同じく参考資料2を御覧いただきたいと思います。これは、今回の局長通 知を踏まえまして、厚生労働省医政局の指導課長通知になりますが、疾病又は事業ごと の医療体制ということでございます。これが全体になりますが、この課長通知の41ぺー ジからが「糖尿病の医療体制構築に係る指針」ということになっておりまして、実は、 この課長通知の41ぺージからの部分がお手元の資料1になっています。ですから、医療 計画全体と、これから御説明をさせていただきます「糖尿病の医療体制構築に係る指針」 の関係は、そのような関係になっているということをまずあらかじめ御理解をいただけ ればありがたいと思います。  そういうことを踏まえまして、資料1でございますが、「糖尿病の医療体制構築に係 る指針」というのがありまして、1ぺージ目、これは糖尿病の現状に関することが書い てございます。これにつきましては、事実関係でございますので、ここのところは省略 をさせていただきます。1ぺージ、2ぺージ、糖尿病の疫学、それから糖尿病の医療、 現状のところがありますが、ここは飛ばさせていただきます。  3ぺージのところ、ここからが大事になります。3ぺージの(3)「治療・保健指導」 という形になります。糖尿病の治療は、1型糖尿病と2型糖尿病で異なるということで ございます。今回、私どもの生活習慣病の関係で特に注目していますのは2型糖尿病の 方になるわけでございますが、そういう意味で、きちんと1型糖尿病と2型糖尿病を分 けて考えていかなければいけないということでございます。  それから、大変大事なのは、3ぺージの一番下のパラグラフになりますけれども、慢 性合併症は、血糖コントロール、高血圧の治療など内科的治療を行うことによって病気 の進展を阻止又は遅れらせることが可能である。これは、私ども生活習慣病の今回の中 でも重症化予防ということが大変大事だということがうたわれているわけでございます。 その1つの例示といたしまして、血糖コントロールの指標としてということで、患者さ んの過去1〜2カ月の平均血糖値を反映する指標であるヘモグロビA1cが用いられる。 ヘモグロビンA1cが8.0%以上が持続する場合はコントロール不可の状態であり、教 育入院等を検討する必要があるということがこの指針の中に新しく記載をされておりま して、ここは連携のところで大変重要な1つの指標になるのではないだろうかと考えて います。そういう意味で、ヘモグロビンA1cが8.0%以上というのがここに記載をさ れています。  4ぺージのところに、実は糖尿病学会等、そういういろいろな学会との関係でお示し していただいていますコントロール指標と評価という形になっております。こういうふ うなものを参考にして役割分担の話が出てくるかと思います。  それから、5ぺージをお開きいただきたいと思います。「医療機関とその連携」とい う形でございまして、目指すべき方向性は大きく3つございます。(1)といたしまして、 糖尿病の治療及び合併症予防が可能な体制ということで、具体的に(1)といたしまして、 糖尿病の診断及び生活習慣等の指導の実施。2番目といたしまして、良好な血糖コント ロール評価を目指した治療の実施。(2)といたしまして、血糖コントロール不可の例。 先ほどのように、例えば8%というのが1つ出ているわけですが、そういうふうに血糖 コントロール不可例の治療や急性合併症の治療が可能な体制。例えば、教育入院等によ るさまざまな職種が連携したチーム医療の推進ですとか、急性増悪時の治療の実施。そ れから、3番目といたしまして、糖尿病の慢性合併症の治療が可能な体制ということに なると思います。  具体的に、各医療機能と連携という形で、(1)といたしまして、合併症の発症を予 防するための初期・安定期治療を行う機能という形で、初期・安定期治療をどういうふ うにやっていくのかという連携になる。これは、具体的には糖尿病の診断及び生活習慣 の指導をちゃんと実施する。良好な血糖コントロール評価を目指したものをやるという ことでございまして、医療機関に求められる事項としては、ここに掲げられているよう なものがあるわけでございます。  6ぺージのところをお願いしたいと思いますが、(2)といたしまして、血糖コント ロール不可例の治療を行う機能。これは専門治療という形でありまして、専門的にやる という形で血糖コントロール指標を改善するために、教育入院等の集中的な治療を実施 するという役割。  それから、(3)といたしまして、急性合併症の治療を行う機能といたしまして、急 性増悪時の治療という形で糖尿病昏睡等の急性合併症の治療が実施できる。  4番目といたしまして、糖尿病の慢性合併症の治療を行う機能ということで、慢性合 併症治療、これは6ぺージから7ぺージになりますが、合併症の専門的な治療ができる ことというふうなことがここに掲げられております。  それから、8ぺージ以降のところになりますが、8ぺージ以降は「構築の具体的な手 順」でございまして、例えば1番としては、情報の収集というのがあります。患者動向 ですとか、いろいろな医療資源、そういうような情報。指標による把握とか、いろいろ ございまして、これは8ぺージです。  9ぺージのところをお開きをいただきたいと思うのですが、2番目でございますが、 このような医療機能の明確化及び圏域の設定に関する検討という形でございまして、こ の中で特に(4)ですが、医療機能の明確化及び圏域の設定の検討を行う場合は、地域医 師会等の医療関係団体、現に糖尿病の診療に従事する者、住民・患者、市町村等の各代 表が参画する。また、糖尿病対策推進会議、これも前回、私どもがこの検討会の中でも お話をさせていただきましたけれども、糖尿病対策推進会議、これは医師会、糖尿病学 会、それから患者さんの代表であります糖尿病協会、そういうようなものが糖尿病の発 症予防等を目指して共同で設立した会議がございますので、そういうふうなものを活用 することというのがここに書かれております。  それから、3番目といたしまして、連携の検討及び計画への記載という形でございま して、10ぺージのところをお開きいただきたいと思うのですが、これにつきましても、 実際に連携の医療体制の構築をするに当たりましては、都道府県は関係団体等との連携、 特に日本糖尿病対策推進会議の活用により、標準的な治療の普及ですとか、協力体制の 構築を図るというようなことがございます。それから、保健所の役割ですとか、(3)は 医療計画には原則として各医療機能に合う医療機関の名称を記載するということがここ に入っています。具体的に医療計画の中にそういうふうな各医療機能を担う医療機関の 名称を記載しましょうということになります。なお、地域によっては、医療資源の制約 等により1つの医療機関が複数の機能を担うということもあるのではないだろうかとい うことです。  それから4番目で、数値目標及び評価というところでございます。これも、どうして も予防のところ、今回、メタボリックシンドロームの健診・保健指導のところもそうで すが、数値目標のいろいろな設定等がございます。これを行うということが大変大事だ ということと、それから、評価というところで、医療の質について客観的な評価を行う ためには、患者の症例登録等を行うことが今後必要であるというようなことがここにも 書かれておりまして、そういう意味で、今回の私ども健康局で行っていますメタボリッ クシンドロームのいろいろな予防、今回の糖尿病等の生活習慣病対策の推進に関しまし ても、医療計画のところと整合性をとりながら、今、準備を進めさせていただいている ということでございます。  以上でございます。 ○久道座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明について、何か皆さんか ら御意見、御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。もし何かありましたら、 また後で振り返って御意見をいただいても結構ですが、よろしくお願いします。  それでは、前に進みます。前回の会合のときには案として紹介されておりました資料 2のところでありますが、「国立高度専門医療センターの今後のあり方についての有識 者会議報告書の概要」。この報告書についてまとまったので、事務局から説明をお願い いたします。 ○平子医政局国立病院課指導官 高度医療専門指導官の平子でございます。それでは、 資料2と参考資料3、こちらの方が報告書の本体でございますけれども、御説明に関し ては資料2の概要を用いてさせていただけたらと思います。  御案内のとおり、国立高度専門医療センター、いわゆるナショナルセンターでござい ますけれども、行政改革の一環といたしまして、行政改革推進法であるとか、あるいは 閣議決定によりまして、平成22年度から独立行政法人へ移行するということが決定され ております。これまでも政策医療の牽引車としてナショナルセンターが国が担っている 政策医療に対する課題を解決し、国民の医療に貢献してまいりましたが、引き続きその 役割を担っていき、そして戦略的な取組を行っていくことが必要ということでございま す。  資料1ぺージの真ん中あたり、「NCの役割の明確化と持てる資源の選択と集中」と いうところでございますけれども、ここには今後のあり方が書いてございます。ここに つきまして、まず、これまでよりも一層効果的・効率的に政策課題を達成できるよう、 自己完結的でなく、産学等との連携を行い、持てる資源の選択と集中を行うということ でございますが、これは今後、政策医療の牽引車としては、統括調整者である役割であ るとか、あるいは調整支援指導者であるといった役割、こういったものが具体的に求め られてくるのではなかろうかと思います。そういった機能の具体的なものといたしまし ては、ナショナルセンターが研究所と病院の両方を持ち、高度専門性を有した上で、そ の連携を強化し、力を発揮していくということが考え方の基本として据えられておりま して、即ち医療研究センター的な機能、こういったものの確立を図っていくということ がまとめられております。また、NCの病院の機能につきましては、NCの強さの根源 でございますので、こういったものと研究機能とを合わせて、その成果を臨床に反映さ せていく。いわゆる「臨床研究重視型病院」といったことが重要ではなかろうかという ことでございます。その主な機能としては、臨床研究、医療の均てん化、人材育成、あ るいは情報発信、こういったものが一定機能の病床及び機能を確保した上で行っていく べきものであろうというものでございます。  1ぺージめくっていただきまして、具体的に今後の医療政策のNCの役割といたしま しては、政策医療の牽引車としては3つの役割があろうかと存じます。  1つ目は臨床研究の推進でございますが、この項目については、統括・調整者の役割 であろうと。具体的に基礎研究の成果を臨床の実用化へつなぐ仕組みの構築であるとか、 あるいは医療クラスター、治験中核病院といった今後整備されていくようなものである とか、あるいは人材の流動性を有した組織の構築等、任用面についても工夫する必要が あるのではないかなどの御報告をいただいております。  2番目といたしましては、医療の均てん化等の推進を積極的に行っていく場合、これ は調整・支援・指導者の役割というものを行っていく。医療の均てん化としては、情報 発信であるとか、あるいは都道府県の中核的な医療機関等を通じた先駆的医療、あるい は標準的医療等の普及などを行っていく。また、人材育成につきましては、指導者の中 の指導者といった方々、あるいは世界レベルの人材といった戦略的に精鋭の方々、ある いは地域の医療の指導者の育成といったことを中心に担っていく必要があるのではない か。  3点目といたしましては、情報発信でございますけれども、NCの行った研究成果等 につきまして、迅速かつわかりやすい形で広報・周知。あるいは都道府県の中核的医療 機関等に対しまして、診断・治療技術等に係る最良の情報を発信していくということで ございます。  3点目でございますけれども、今後は政策医療の総合的かつ戦略的な展開ということ で、政策医療に対する提言者といった役割といったことも重要ではないかということで ございます。  最後の項目になりますけれども、「NCの課題達成に相応しいNCのあり方等」とい うことでございますけれども、これにつきましては、各NCごとに法人化を行い、政策 課題を効果的・効率的に達成すべきというお話で、あるいは患者等からの声を運営に生 かせる仕組みを新たに設けていくということであるとかを提言としていただいていると ころでございます。また、どのNCにも属していないような分野につきましては、今後、 国際医療協力を目的として総合診療機能を有している国立国際医療センターが基本的に は担っていくべきではないか。こういったことを計3回議論をいただきまして、7月13 日に報告書としてお取りまとめいただいたところでございます。  以上でございます。 ○久道座長 今の説明に対して、何か御意見ございますか。 ○笹月委員 2ぺージの(2)「医療の均てん化等の推進」というところの丸の2行目 で、都道府県の中核的な医療機関等を通じた先駆的医療や標準的医療等の普及というこ とですが、実際に先駆的医療や標準的医療の開発と確立ということがNCとしては非常 に重要な使命だと思いまして、これは有識者会議の報告ですから私が云々すべきことで はないのですが、そこに陪席したものとして、その開発と確立というところをどこかに 書いておいていただきいたということを申したのですけれども、最終的にはどうもそう はなっていないようなので。これは私、ミッションとして大事なことだと思いますので。 ○久道座長 事務局から何かありますか。 ○平子医政局国立病院課指導官 これは、御意見としてもわれわれはいただいておりま すし、また、その部分につきましては、病院機能等につきましても、これまで研究機能 としてやっていく等で一応書き込めているのかなとは思っておりますが、御案内のよう に、一応これは有識者会議の報告書でございますので、この報告書を変えるという性質 のものではございません。 ○久道座長 この報告書に対して、この検討会から意見があったということを記憶して いただくということでいいと思うのですが。  私からもちょっと質問があるのですが、政策医療に対する牽引車の役割というのがあ りますね。本文の方を見ますと、各NCの代表を主たる構成員として、審議会に新たな 部会を設ける必要というふうなことで、法令上の位置づけをするというふうに書いてあ るのですが、普通、審議会とか各種の委員会というのは、諮問があって、それに対して 答申の形をとりますよね。自ら提言ができるというのはほとんどなくて、諮問がなくて も提言ができるのは学術会議ぐらいですよね。そこまでは考えていないのでしょう。ど うなんでしょうか。 ○平子医政局国立病院課指導官 その点につきましては、こういった報告書をいただい てから、どういった形でこの報告書の方向で実現できるかどうかというのはわれわれと しての宿題ということでございますので、現時点でどういう形がいいのかということだ と思います。 ○久道座長 これからの検討ですね。わかりました。  ほかに御意見、あるいは御質問ないでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、また前に進みます。続きまして、糖尿病対策の拠点として国立国際医療セ ンターの取組状況について、笹月委員より御説明をお願いします。資料3でしょうか。 ○笹月委員 資料3、それから参考資料4というのがございますが、私ども国立国際医 療センターが独法化を迎えるという1つの機会に、ミッションを新たに検討するという ことで有識者の方々にお集まりいただきまして会議を行いました。その報告というもの が6月に取りまとめられましたので、その中で糖尿病に関するところをかいつまんで御 報告いたします。  1ぺージを御覧いただきますと、1から一番下の5まで私どものミッションとして書 かれておりますが、もともと私どもは国際医療協力を旨として設立されたわけですから、 それが1.でありますが、当初は開発途上国ですから疾患としては感染症が主だったわ けです。開発途上国がだんだん近代化するに従いまして、疾病構造が変わり、糖尿病が 著しく増えてきた。これは参考資料4の3ぺージを御覧いただきますと、西暦2007年と 2025年の糖尿病人口の推移というものを推測されたものが報告されておりますが、現在、 世界中で約2億5,000万の人が糖尿病に悩まされている。ところが、2025年になると4 億近い3億8,000万〜3億9,000万の人が糖尿病に悩まされるであろうということで、 国際保健医療協力としても糖尿病というものが重要であるということが指摘されており ます。  資料3に戻っていただきますと、私どもが今後、ナショナルセンターとして担う疾病 対策、どのような疾病を対象とするかということに関しましては、(1)で最初に申しま した感染症がもともとあるわけですが、それに加えまして、ただいま申し上げましたよ うなことからも、糖尿病及びいわゆるメタボリックシンドロームを対象とするというこ とをこの有識者会議で御提言いただきました。  詳細は省きますけれども、糖尿病を中心とした予防・治療体系をつくることが重要で ある。そして、個体差に基づく医療の均てん化を目指すということが重要である。しか も、本年の4月に策定された、いわゆる「新健康フロンティア戦略」におきましても、 糖尿病等生活習慣病について、個人の特徴に応じた予防・治療に関する司令塔づくりが 求められております。そういうことから、栄養研とか、国立循環器病センターなど、関 係する諸機関が連携して、それぞれの分野において専門的機能を全国レベルで十分に発 揮する必要があるということが提言されました。それで、現在、厚生労働省において細 部の検討が進められておりというのは、本日のこの会議を指しているわけですが、その 結論に沿った仕組みの中で、私ども国立国際医療センターとしての機能を十分に発揮で きるよう対策を立てることが重要である。  その具体的なことを少し申しますと、地域の医療機関等への支援、いわゆる地域診療 ネットワークの強化を通じて治療レベルの向上ということが望まれる。更に、臨床開発 研究ということが重要で、これを推進し、エビデンスに基づいた標準化したいわゆるモ デル医療と申しますか、予防法・治療法の全国への均てん化が重要である。これらの機 能を十分に発揮するためには、仮称ですが、糖尿病・代謝症候群センターを整備して、 以下のような役割を担うべきである。即ち、臨床開発研究といたしましては、ゲノムの 解析による遺伝素因の解明。あるいは更に、タンバクの解析によるバイオマーカーの同 定。その他、内臓脂肪の非侵襲的な簡易測定法。あるいは、基礎代謝の測定法。糖尿病 合併症の発症リスク因子の同定。有効な健診・保健指導法の開発。これらを総合して臨 床指標・バイオマーカー・遺伝素因の組み合わせによる糖尿病患者の合併症のリスクの 予測法の開発などが臨床開発研究として重要であろうということが指摘されました。  臨床的には、病院機能といたしましては、診療部門をきちんと整備すること。それか ら、情報提供ができるような機能、それから研修を引き受ける機能、こういうものを構 築すべきであろう。それと、最初に申しました臨床開発研究部門が必要であるというよ うな御提言をいただきました。  参考資料で、6ぺージのところにただいま申し上げました国立国際医療センターの役 割、その他の機関との関連において記載されておりますが、都道府県の糖尿病対策連携 協議会、糖尿病対策推進会議などの協力のもとに、臨床研修支援、臨床研究の遂行、そ れから生体指標の解明など基礎的・応用的研究を推進し、更に情報を収集・解析、そし て発信する、このようなファンクションを担う必要があります。そして、そのためには、 そのような組織の構築が必要であろうということを御提言いただきました。  最後の8ぺージですが、これは、それらの提言をいただいて、私どもで考えました国 立国際医療センターとしてのフレームワークでありますが、研究所、病院が一体となっ て、左からACCというのはエイズ・クリニカルセンター、それからDCCは国際疾病 センターと申しておりますが、感染症のセンター、そこに新たに糖尿病・代謝症候群セ ンターがこの10月1日付でスタートすることになっております。それから、糖尿病とは 関係ありませんが、その右に、肝炎も私どもが引き受けるようにということで国の付託 を受けておりますので肝炎センター。それから、エイズとか感染症、肝炎などの感染症 をお引き受けするに当たっては、そのバックにある免疫というものが重要であろう。こ れは、私どもから発した私どもの希望として、ここに免疫アレルギーセンターというの を書かせていただいております。これらが一体となって、しかも、バックには総合病院 を持ってこれらをサポートする。いわゆる高度の先駆的な治療法開発のためには、上の 串刺しにございますように、臨床開発研究プラットフォーム、いわゆる医療クラスタの 構築。それから、標準化医療・モデル医療の確立のためには、下の串刺しでありますが、 国際臨床研究情報センターというものを組織して、国の付託に備えるべく盤石の体制を 構築したい。これは私どもの希望といいますか、でき上がり図でございます。  以上でございます。 ○久道座長 それでは、ここのセンターの糖尿病に係る取組について、補足説明を矢島 室長からお願いいたします。 ○矢島生活習慣病対策室長 それでは、お手元の参考資料5に基づきまして補足の説明 をさせていただきます。 まず、「糖尿病予防のための戦略研究」というものを現在進めております。この糖尿病 戦略事業でございますけれども、これは今、3つの大きな研究課題がございます。 研究課題1、2、3とあります。成果として求められているものは、耐糖能異常から糖 尿病型への移行率を半減させるという、そういう成果を期待したものが1つございます。 これは、地域・職域のいろいろな健診の結果、要指導となった方々を対象として、そう いうふうな耐糖能異常の人たちが2型糖尿病の発症を予防する効果を検証するものが1 つ目でございます。これはDOIT1と申しております。 それから2番目、DOIT2でございますが、糖尿病患者の治療の中断率を半減させる。 現在、糖尿病の患者さんは、治療、健診とか、そういうところで受診勧奨で糖尿病の治 療が必要だということが健診の結果わかって、保健指導したにもかかわらず、実際に治 療をしている方々が半数ぐらいしかいらっしゃらない。途中で治療を中断してしまった り、やめてしまったりということで、実際に治療を継続している方が半分ぐらいしかい らっしゃらないということがございますので、そういうことも踏まえまして、かかりつ け医で治療する2型糖尿病患者さんを対象といたしまして、そういう人たちの治療中断 率を改善する。どういうふうにやったら治療を中断しないようにできるかということの 効果を検証するための研究をしております。  それから、3番目でございますが、糖尿病合併症の進展を30%抑制するという形で、 糖尿病につきましては合併症が大変問題になります。そういう中で、特に今回のメタボ リックシンドロームがございますが、高血圧とか、高脂血症を合併する、そういう2型 糖尿病患者さん、将来これが重なりますと、心筋梗塞ですとか、そういう合併症の可能 性が強くなってくる患者さん、そういう患者さんたちに対して、厳格なコントロールを することによって糖尿病合併症の進展に及ぼすことをいかに減らしていくか。そういう ようなことの効果を検証する研究というものを現在行っておりまして、これは具体的に は国際医療センターの力をかなり借りまして、実際に糖尿病予防のための戦略研究を実 施しているものでございます。  以上でございます。 ○久道座長 今、お二方の説明がありました。何か御質問ございますか。あるいは御意 見でも結構です。よろしいでしょうか。  それでは、また何かありましたら後で御発言いただきたいと思いますが、先に進みま す。小児期の生活習慣病対策につきまして、この検討会のオブザーバーであります国立 成育医療センターの亀井部長さんから御説明をお願いしたいと思います。資料4になろ うかと思います。 ○亀井国立成育医療センター運営部長 国立成育医療センターの亀井でございます。お 手元の資料4「小児期の生活習慣病対策」と参考資料6を併せて御覧ください。  小児の肥満ですが、これは実は日本だけの問題ではなく、世界的な問題となっており ます。それにつきましては、参考資料の1ぺージを見ていただきますとおわかりいただ けると思いますが、WHOの報告でございますけれども、特に5〜17歳の肥満の現状で は、日本だけではなく、過体重を含める肥満というのは北米で30%を超えておりますし、 ヨーロッパでは20%、中近東で15%ということで、かなり深刻な状況になっております。 我が国ではその増加が極めて急速でございまして、特に現在、思春期の男子の12%、女 子の10%近くが肥満を有しております。これは、同じく参考資料の1ぺージの、2001 年度の文部科学省の学校保健統計調査報告書から明らかになっております。  肥満が高度化いたしますと肥満に起因する糖尿病とか、脂肪肝とか、あるいは高脂血 症などの、いわゆる生活習慣病も成人と同様に存在しておりまして、これを小児生活習 慣病と呼んでいるわけでございます。現在、肥満児の1割前後、大体5〜10%ぐらいの 方に小児生活習慣病が存在すると言われており、特に小学校の高学年以降、思春期の時 期に増加することが知られております。また、このころの肥満というものは、その後、 参考資料の2〜3ぺージに示されているとおり、小児生活習慣病が成人へ移行するとい うことも最近の調査でわかってきており、小児期の肥満、あるいは生活習慣病というも のは、成人のメタボリックシンドロームの遠因になっていることがわかってきておりま す。そのためには、やはり小児期から肥満等に対する早期発見、あるいは早期治療など の適切な介入を行うことが喫緊の課題というふうに考えております。  肥満は、基本的には生活習慣や食事環境などによって引き起こされるものではござい ますが、子どもの場合、特に御家庭の生活習慣や食事環境などに大きく左右されますの で、成人とはまた異なり、御家庭も含めた生活や食事の指導を行うことがとても大切に なってきております。更に、思春期におけます肥満や生活習慣病が悪化する要因の1つ といたしまして、心理的ストレスというものが挙げられます。これは、例えば昨今の受 験や過度の競争などといった現代社会の仕組みのもたらすストレスの増加等、あるいは 生活習慣のいわゆる遅寝・遅起きと同様に食事の習慣が乱れていること、こういったも のも心理的ストレスとなりまして、肥満に影響を与えると言われております。更には、 摂食障害の1つである過食症及びその予備群が潜んでいることもございまして、特に子 どもの場合ですと、食事指導や運動療法を試みるだけではなく、心理士の治療参加、心 理的なサポートということがとても有効だとも言われております。このように肥満や生 活習慣病の予防や治療に際しては、子どもの場合、特に多面的な取組が必要になると考 えております。  当センターといたしましては、モデル的に地域とタイアップした肥満健診、生活習慣 病健診の実施を行っておりますし、また、週1回、生活習慣病外来というものも行って おります。ここでは、先ほども申し上げましたように、チーム医療、いわゆる医師、栄 養士、看護師、心理士などが協力して、こういった生活習慣病治療に継続的に医療を提 供することで、継続した医療提供へのインテンシブ、いわゆる動機づけにもつながって おり、これが今後の生活習慣病の進展の予防に対してもヒントを与えてくれて寄与もす るものと考えております。  簡単にまとめますと、子どもの生活習慣病対策につきましては、第一に、特に本人だ けではなく、家族の方々も含めた生活習慣、あるいは食事の指導がとても大切である。 そして、子ども自身が必ずしも肥満でなくても、家族に肥満の方がいる場合につきまし ては、生活習慣や食事の指導といった早期介入することもとても大切であるということ でございます。  それから、第二に、心理的なサポート。小児の肥満の中には、先ほど申し上げました ような心理的ストレスや、あるいは不適応などが原因で過食が重なり、その結果、肥満 という形であらわれることも少なくないことがわかっておりますので、早期介入といっ た原則でもって専門医療機関への紹介とか、適切なカウンセリング等を行うことが重要 でございます。第三に、特に肥満は小学校高学年から中学校思春期にかけて特に顕著に なってくるということもございますので、学校教育とタイアップした食育を充実させて いくこと。あるいは、生活習慣、特に睡眠時間でございますけれども、睡眠時間の減少 と肥満児の増加は有意の正の相関があるという結果も出ておりますので、学童期の小児 の生活時間を修正をすることによりまして、肥満の防止にも有効であり、社会全体で小 児の生活習慣病対策に取り組む必要があるということでございます。  併せまして、今後、小児生活習慣病予防法のための調査・研究、あるいは必要な人材 の育成といったようなものについても必須であると考えております。小児の生活習慣病 につきましては、社会・経済的状況とか、遺伝的要因とか、食事や睡眠をはじめといた します生活習慣などのさまざまな危険因子が関与していると考えられております。した がいまして、こうした危険因子の寄与の程度についての疫学研究の推進、あるいは、そ の研究結果をもとといたします小児期からの生活習慣病の予防法を確立する必要がある ということ。そして、多職種による指導が有効であるということがわかっておりますの で、こういった分野の専門的な人材を養成していくということで、これから当センター もその役割を発揮できるのではないかと考えております。  簡単でございますが、以上で説明を終わらせていただきます。 ○久道座長 どうもありがとうございます。ただいまの御説明に何か質問ございますか。 ○渡邊委員 何回か開かれているようですが、実績、成果はどのような具合なんでしょ うか。 ○亀井国立成育医療センター運営部長 現在、外来の内分泌代謝科が担当しています。 この科全体の受診患者は、月に800名を超えており、その1割近くが、肥満外来の受診 者です。特に生活習慣病外来に来られる方の多くは、肥満と2型糖尿病が多く、この背 景には、先ほども申し上げましたように、心理的問題が背景にございます過食症なども 含まれておりますので、チーム医療で取り組んでいるということでございます。 ○渡邊委員 私どもの研究所でも栄養教育プログラムで小児肥満の問題に取り組んでい るのですけれども、子どもの肥満者が成人でも肥満が続くかどうかというと、大体半数 ぐらいが続いていくみたいですね。それで、やはり大人の教育入院に対応するような形 で、肥満キャンプみたいなアメリカなどでやっているような形を取り入れたいと思って 考えているのですが、そういうのはお考えなのでしょうか。 ○亀井国立成育医療センター運営部長 まだそこまで対応しておりません。専ら今は外 来で継続して、対象となるお子様方をフォローしているという状況でございます。ただ、 今後、そのようなことも考えてまいりたいと思っております。 ○渡邊委員 もし対象者を御紹介いただけるなら、うちではすぐスタートできるような 体制になっていますから、よろしくお願いいたします。 ○亀井国立成育医療センター運営部長 承知いたしました。 ○今村委員 遅れて参りまして申しわけございませんでした。大変大事なお話だと思っ て伺っていました。それで、この参考資料の一番最後のところにありますように、問題 は2次検査から医療機関への受診の過程であって、十分に継続できないというような問 題も御指摘いただいていますし、私も学校医をやっているものですから、学校保健の中 で、非常に肥満度の高い学童に対して2次検診を受けていただくようにしても、なかな かそれが続かないという現状があります。具体的な取組として肥満外来をやられている 医師会とか教育委員会と連携して、こういう教育委員会と連携できるようなところとい うのは実は非常に稀なケースであって、ほとんどの地区では学校保健の現場とこういう 診療というか、医療とのつながりが非常に悪いのが現状ではないかと思うのです。あく までモデルですから、今こういうことをきちんとやられて成果を出されて、こういう取 組があるのだから全国的にという、それは当然わかるのですが、今後大事なのは、いわ ゆる教育委員会なり文科省とどのような連携を厚生労働省がとっていかれるのか。多分、 文科省は文科省でまたこういう取組をされる。厚労省は厚労省でというようなことでは なくて、もう少し何か一体的にできるのかどうか。あるいは、具体的にそういうお話を されているのかどうか、その辺を教えていただければと思います。 ○矢島生活習慣病対策室長 申しわけないのですが、今回はそこまでの議論では。今回 は、子どもにつきましては、私どもはあくまでもオブザーバーの参加で、でも、大事な のは、次は必ずこれが必要だろうと。私どもも新しく健やか生活習慣の国民運動の中で も、新しい運動と食事と禁煙の着火点というか、スタートは子どもの食育が大変大事だ という認識を持っておりまして、やはり子どものときからの取組が大事だと思っている のですが、まず今回は、来年4月から導入されます40歳以上のメタボリックシンドロー ムを念頭に置いたシステムを、今回、健康増進法というのは生まれてから亡くなるまで の方々の対策をしているのですが、まず40歳からのシステムをつくらせていただいて、 そのシステムができ上がってくれば、徐々にそれを広げていくということが次のステッ プとしては大事だろうとわれわれも思っていますが、今回は特に40歳以上のところのシ ステムをまず確立をさせていただきながら、でも、そうは言っても、将来的には、今お 話がありましたような子どものときからの対策というのは必ず次の議論に出てくるので、 それは次にどういうふうに持っていくのかということは大変大事なことだろうというふ うな認識は持っております。 ○久道座長 ほかに。 ○笹月委員 日本人の子どもの1型の糖尿病は欧米に比べて著しく少ないと言われてい ますけれども、こういう生活習慣の激変は、1型糖尿病の発症にも影響を及ぼしている のか、発症年齢が低くなっているのか、あるいは頻度が高くなっているのか、その点は いかがでしょうか。 ○亀井国立成育医療センター運営部長 参考資料の2ぺージの真ん中ぐらいで多少その 辺は触れてあると思います。 ○久道座長 参考資料6ですか。 ○亀井国立成育医療センター運営部長 はい、参考資料6でございます。2ぺージの2) 「肥満症の障害」というところの真ん中のパラです。小児の糖尿病は1型糖尿病の発症 率が10万人当たり1.5〜2人で、2型糖尿病が10万人当たり3〜5人の発症率ですが、 2型の方がやはり過去20年間で3〜4倍に増加しているということでございます。当セ ンターの1型糖尿病の患者の動向については、次の会議でお答えさせていただきたいと 思います。 ○久道座長 ほかに。 ○二見委員 先ほどの今村先生のお話と重なってくるのですが、資料4の2ぺージの下 から2つ目の「学校における食育の充実」の中に給食時間の十分な確保という問題があ ります。後段の方は、適量摂取であるとか、食事指導の充実ということについて、ご承 知のとおり、栄養教諭が配置されるようになり、それなりに取り組まれています。しか し、給食時間を十分に確保するということは、文科省の学校給食の位置づけそのものに 関わってくることですので、ぜひ厚労省からその取り組みの重要性について積極的に伝 えていただきたいと思います。 ○矢島生活習慣病対策室長 食育に関しましては、これは、われわれ厚生労働省だけで はなくて、政府全体で進めるということでありまして、内閣府が中心になりまして、農 水省も含めまして、文科省と一緒に食育、これは子どものときからの対策が大変大事だ というふうに思っておりますので、栄養教諭の問題もございますし、どういう形で食育 を進めていくのかというのは、政府全体として大きな議論だと思っていますので、厚生 労働省がというよりは、むしろ政府全体でどういうふうにやっていくかという形で議論 を深めていただければというふうに考えております。 ○久道座長 ほかにございますか。 ○井伊委員 子どもの問題ということでそういう御提案だというふうに思いますが、地 域保健領域の中では、地域保健と学校保健との連携事業で先進的に親御さんの健診をし て、そして小中学生の健診をして、その連携の中で、2ぺージの上に書いていただいて おりますお子さんの問題というのは親御さんの問題だというふうな実情というか、現状 というのを目の当たりにしているような状況というのはすでにあるというふうに思いま す。ですから、今、健診・保健指導を保険者に義務化をして検診をするとなりますと、 御本人の健康と家族の健康というのがどういうふうにトータルでみることができるのか というのが1つ課題になるだろうというふうに思いますのと同時に、お子さんの問題と いうのは、学校給食よりもさらに溯ると、母子保健の中で、子どもを生み育てるという 中でのお母さんたちへのアプローチというようなことも課題としては出てくると思うの です。この検討会の中の議論ではないのかもしれませんが、トータルに家族を見ていく とか、それから、家族の中での健康のあり方というのをアセスメントしていくとか、そ ういうことも大事かなというふうに考えております。 ○久道座長 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。  それでは、次にまいりますが、前回の会合で、今日は欠席ですけれども、北村委員か らの質問がございました。国立保健医療科学院において行われている生活習慣病対策に 関する研修についてですが、本日、資料がまとめられておりますので、篠崎委員から御 説明をお願いいたします。 ○篠崎委員 それでは、資料5と参考資料7でありますが、まず資料5の方で、1ぺー ジめくっていただいて2ぺージ目ですけれども、これは科学院のホームぺージでござい まして、そこをクリックしていただければ研修の内容がわかるようになっておりまして、 特に生活習慣病対策というのは1つ項が起きておりますので、そこで厚生省の関連の資 料なども見れるということになっております。  また、3ぺージには、保健医療科学院はこの間5周年をやったばかりですので、まだ 御存じない方もおられるかと思ってその資料を入れたのですが、17の部がございまして、 それぞれ部長がいて、室長がいて、主任研究者がいてという状況になっておりますので、 いろいろな部で糖尿病対策といいますか、メタボ対策の関連の仕事をしている、研究と 研修をしているということでございます。  それから、4ぺージ、これもまた募集要項のところであります。  それから、その次のぺージが、長期と短期の研修がありまして、長期はドクターコー スとか、マスターコースとか、こういう伝統的なコースを持っております。  それから、6ぺージが短期でありまして、この中に今の糖尿病の関係の研修も入って いるということでございます。  7ぺージ以降がそれぞれの研修のところですけれども、特に8ぺージのところで、黄 色い矢印がついているところがすでに今やっておりますメタボの関係の研修でありまし て、総合医療政策研修というのは、厚生省の委託を受けてやっておる研修でございます。  それから、ずっとぺージをめくっていただいて、11ぺージに国際保健コースというの がありまして、JAPAN−WHOインターナショナル・プログラム・ノン・コミュニ カル・ディディーズ・プリベンション・アンド・コントロールと書いてあります。これ は主に糖尿病の対策のことでございまして、笹月総長にも渡邊理事長にも特別講義をお 願いしているところでございます。これはWHOが年に一辺やるものでございまして、 我が保健医療科学院がこれを受け入れておるわけで、主に南太平洋の肥満の方が多いの ですけれども、行政官を対象にして研修をしておりまして、2週間ぐらいの間にある程 度効果が出るということでございます。そういうコースもやっております。  それから、12ぺージ以下が、今、厚生省から委託を受けて直近でやっておりますいろ いろな研修の中身の詳しいところが書いてございます。  参考資料7でこの募集要項がございますが、御存じの方が少ないかと思って申し上げ ますと、竹下内閣のときの国立の機関が東京23区から外に出て行った場合には特別の建 物を建ててあげるというプロジェクトがございまして、その厚生省第1号施設として、 それまで白金にありました国立公衆衛生院と戸山町にありました病院管理研究所がこち らに移転して、埼玉県の和光の地に移って新しくつくったものでございます。ただ、英 語の名前はニューパブリック・ヘルスという概念で保健と医療と福祉が含まれるんだと いうことで、英語ではナショナル・インスティチュート・パブリック・ヘルスという名 前を使っておりますが、日本語の名前では国立保健医療科学院と少々長い名前になって おりまして、サポーティングスタッフを入れて約300人の職員で、年間4,000人の研修 をやっております。今後は、メタボを中心として、地方自治体、都道府県職員、あるい は市町村職員の研修をやるのが主なミッションでありますので、そういうような形で貢 献をしたいというふうに思っております。ありがとうございました。 ○久道座長 どうもありがとうございます。どなたか質問ございますか。 ○今村委員 私も保健医療科学院に何回かお邪魔して、大変すばらしいところだと思っ ていつも感心しているのですけれども、ただいま教えていただいた研修は大変充実して やっておられるのですが、これは、今最後にちょっとおっしゃった行政職の方の研修が 主だということで、先ほどの国際医療センターの方でもいろいろな研修事業をこれから 担ってやっていかれるというお話で、その辺の整合性というか、役割というのは重なる 部分があるのか、全く別の対象になるのか、そこだけ教えていただけますか。 ○矢島生活習慣病対策室長 それは、今回の、まさにこれから御説明をさせていただき ます論点の中の1つの大きな柱ですが、これから御議論をしていただくわけですが、国 際医療センターには主に臨床の現場のドクターの研修は、やはり実際に患者さんを診て おられるドクターに対する研修はやはり国際医療センターが主になってくると思います が、実際に行政ですとか、医療保険者の中にいる方、あと、そういうようなところで保 険者として働く方であれば、ドクターとか、保健師さん、看護師さん、行政職の方々も いらっしゃいますが、そういう方は主に保健医療科学院で、どちらかというと、そうい うようなノウハウのほうを研修していただく。多分そういうような役割分担になってく るのではないだろうかというふうにしています。一応ここでの議論も踏まえて整理して いかなければいけないのではないかというふうに思っております。 ○久道座長 ほかにはございませんか。 ○二見委員 この研修の中で、特に資料5の12ぺージにあります内容を拝見いたします と、いわゆる公衆衛生コースで対象が都道府県の行政管理栄養士というふうに書かれて おります。こういったコースにあって、都道府県がそれなりに研修を重ねていくという ことは、いずれ拠点を全国に浸透させていく上では非常に大切だろうと思いますが、今、 市町村の声を聞いておりますと、実際の現場では市町村の力量が非常に問われています。 そこの底上げをしないと、保健指導というのは本当の意味できちんと実施できないので はないかというような気持ちを持っているのですが、保健医療科学院にあっては、市町 村はどのような視野の中にあるのでしょうか。 ○矢島生活習慣病対策室長 むしろそれは私どもの方が考えなければいけない話なので すが、主に私どもが保健医療科学院の研修でお願いしていますのは、都道府県ですとか、 そういうところのリーダーの方々の研修を保健医療科学院にまずお願いしようと思って います。都道府県の単位でいきますと、それはリーダー研修を終えた方々が各都道府県 単位で研修をしていただく。ですから、主に都道府県から出てきた方々が中心になって、 それをまた各都道府県で市町村の方々を集めて研修をしていただく、そういうふうなこ とを考えておりまして、すべての市町村がここに集まってやるというのは数だけでもす ごく大変ですし、それだけ収容することもできませんし、これだけということにはいき ませんので、やはり我々が今、国立保健医療科学院にお願いするのは、都道府県とか、 例えば然るべき政令市、中核市とか、大きなところの規模までは含めたものがあるので すが、今1,800あるそれぞれのすべての市町村というところまでは無理だということで、 むしろ都道府県にそういうふうなものをお願いしていくというふうな流れになるのでは ないだろうかというふうに整理をさせていただいているところです。 ○二見委員 実際に各県のリーダー研修を受けたケースが、末端の市町村の今おっしゃ られたような研修をどれぐらい実施しているのでしょうか。 ○矢島生活習慣病対策室長 今回、メタボリックシンドロームの研修を実施させていた だいたのは5月なのです。5月に各都道府県の方々に来ていただいて、2グループに分 けて、300人、300人、合計約600人近くの方々を、医療保険者も含め、都道府県も含め、 させていただきまして、今年度中に各都道府県ごとにやっていただいている最中であり ます。来年の4月までに各都道府県において、各市町村、医療保険者、そういうような 方々に対する研修をしていただくということは大事だと思っていますし、各医療保険者 の団体もそうですし、あと医師会、看護協会、栄養士会にもお願いして、そういう方々 の各団体の幹部の方にもこの研修に参加をしていただいていますので、各医師会、看護 協会、栄養士会の各都道府県にもそういうふうな形で一緒に合わせてお願いするような システムを同時並行的にやらせていただいていますので、国、都道府県、市町村以外に も医療保険者、それから各団体も含めて、併せて同時並行的にできる限りきめ細かくこ の研修をやらせていただければというふうに考えているところです。 ○久道座長 ほかにございませんか。  それでは、全体の質問事項に関連して、井伊委員から。 ○井伊委員 前回、御指摘がございました糖尿病認定看護師のことでございます。確か に、糖尿病看護の認定看護師数は現在大変少ないということで改めて御報告させていた だきます。現在、認定看護師として登録されている人は全部で3,383人ですけれども、 その中の糖尿病看護認定看護師は147名です。しかしなから、この方々は、病院の中で 糖尿病に特化してグッドプラクティスを共有するとか、それから認定看護師同士の相互 のメーリングリスト等を活用して、ネットワークをつくって御自分たちの実践をよりよ いものにしていこうというふうな仕組み、これはインフォーマルですけれども、持って いるというふうなことが実情としてはございます。  それから、もう1つが糖尿病療養指導師に関してですけれども、この糖尿病療養指導 師という方につきましては、現在1万2,730人の方が糖尿病療養指導師ということで登 録をされているということです。この中の看護師は6,004人という数ということになっ ています。ただ、この人たちにつきましては、個々につながりはあるのでしょうけれど も、それを全体にどのようなネットワークになっているかというふうなことを把握する という状況ではありません。ですから、登録の数が今のところ上がっている。そして、 それぞれの方が、糖尿病学会ですとか、糖尿病教育看護学会等々を活用しながら、お互 いにつながり合っているというふうな状況であるということです。それで、こういう人 たちは、すでに診断がついた方々を対象にして御支援するという立場の人ですけれども、 平成20年からスタートする特定保健指導につきましては、診断のつかない人たちが対象 のほとんどということになります。ですから、今申し上げた種類の看護職がどのぐらい 活用できるかというのはちょっとわからないというふうに思うところですし、現在、保 健師として就業している人は、所属を問わずに全部で4万6,000人おります。この所属 を問わずに4万6,000人いる人たちがどのぐらい生活習慣病予防に関わるかというのは、 まだこれからこの動きを見ていくしかないかなというふうな状況だと思います。  先ほど研修のお話がございましたが、この4万6,000人の保健師が本当にちゃんと保 健指導ができるような研さんができるのかというのは非常に大きな課題だというふうに 思います。各県でそれぞれ研修をして、私も講師として伺いますけれども、200人とか3 00人を一挙に研修をしますので、研修というよりも、伝達講習というのが今の実情では ないだろうかと思います。ですから、保健指導が進んでいくに当たりましての拠点の整 備もそうですし、実務者の支援をするネットワークとシステムというのが必要だろうと いうふうに考えます。  以上です。ありがとうございました。 ○久道座長 どうもありがとうございます。今、4万6,000人所属を問わずという保健 師さんの数ですけれども、在宅というか、仕事に就いていない保健師さんはどのぐらい ですか。 ○井伊委員 これは、就業届を出している保健師が4万6,000人ということです。 ○久道座長 では、どこかに勤めているわけですね。 ○井伊委員 はい。 ○久道座長 それ以外の保健師さんというのは把握されていないのですか。 ○井伊委員 それは今はまだ把握しておりません。 ○今村委員 その4万6,000人、就業届をされている方は保健師として仕事をされてい るのか。病院に看護師として勤めながら、実は保健師の資格を持っているというような 方と両方入っているんじゃないかと思いますが、その辺はいかがですか。 ○井伊委員 約4万6,000人ですが、このうち3万人強ぐらいの方が保健所、市町村、 事業所、訪問看護ステーションに所属をしているということです。それで、病院診療所 に従事をしている保健師が約1万人。それ以外の方は、福祉施設ですとか、介護老人居 宅サービス等の仕事に就かれているという状況です。 ○久道座長 健診機関も多いんじゃないですか。 ○井伊委員 健診機関は、この内訳の中には、病院か、あるいは事業所に分かれて入っ てというふうに思います。 ○渡邊委員 保健師さんというのはトータルで何人ぐらいいるんですか。10万人ぐらい ですか。 ○井伊委員 その実数が現在明確にはなっていないというところです。 ○渡邊委員 免許番号でわかるはずですよね。 ○久道座長 届出制になっていないんですか。 ○矢島生活習慣病対策室長 実は、発行した数はわかるのですが、発行した数だけで。 ○久道座長 現在、届出は必要としないんですね。 ○矢島生活習慣病対策室長 残念ながら、そこは把握できないということになっており ます。 ○久道座長 糖尿病療養指導士というのは保健師さんだけじゃないと思うのですが、認 定はどこが認定しているのですか。 ○春日委員 日本糖尿病療養指導士認定機構が認定しています。この機構は、日本糖尿 病学会、日本病態栄養学会および日本糖尿病教育・看護学会が協力して設立しました。 この機構は、定められた条件を満たす医療施設で2年以上糖尿病療養指導の業務に従事 した医療職(看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士)の人々を対象 に、年1回認定試験を実施しています。これにより、5年間の資格が認定されますが、 またその後の資格更新についても講習会への参加を義務づけるなど厳格に行っています ので、その“質”については担保されていると考えられます。 ○久道座長 ほかに質問ございませんか。 ○今村委員 今、糖尿病療養指導士さんがものすごくたくさんいらっしゃって、その中 に6,000人も看護師さんがいらっしゃるというのは大変びっくりして、がんばっておら れるんだなと思ったのですけれども、こういった療養指導士の資格を持っている看護師 さんと、また、それとは別に糖尿病の専門の看護師さんがいる。恐らく、両方資格を持 っておられる方もいるでしょうし、別々の方もいらっしゃると思うのですが、その辺の 役割というか、看護協会の方としては、2つ同じような、あるいは別なのか、その辺を もし教えていただければと思うのですけれども。 ○井伊委員 糖尿病看護認定看護師の方は、ほとんどが糖尿病療養指導士でもあるとい うが実情のようです。 ○久道座長 147名だけだからね。 ○今村委員 つまり専門医みたいに、より高度なことをやる位置づけとして考えておら れるのか。たまたま看護協会がいろいろな専門職を今養成されている中で、糖尿病とい うのを養成したら、それが療養指導士も持っておられたというようなことなのか。つま り、イコールの水準として考えていればいいのか。そこは私も実態がわからないので教 えていただければと、そういう意味で伺ったんですけれども ○久道座長 今、糖尿病に関係する認定看護師さんは147名のようですけれども、その 上に研究もする専門看護師というのがありますね。 ○井伊委員 はい。専門看護師につきましては、慢性疾患ということですので、糖尿病 に特化した専門看護師ではありません。 ○久道座長 ほかにございませんか。  それでは、前に進みます。前回の会合の議論で、今まで説明がありましたように、生 活習慣病対策に係る動向を踏まえて、事務局で今後の生活習慣病対策の推進に関する論 点を再度整理しておりますので、資料6になろうかと思いますが、説明をお願いします。 ○矢島生活習慣病対策室長 それでは、今日の御議論の部分がまだ含まれてはいないの ですが、実は、今までの議論を踏まえまして、これからの糖尿病等の生活習慣病対策の 推進に関する論点(案)という形でまとめさせていただいたものであります。一応、将 来のことも含めまして、どういうふうにするのかということの論点をまとめさせていた だきました。今日いただいた議論が含まれていない部分がありますので、その辺も含め て、また一緒に御議論いただければと思います。  まず1ぺージでございますが、最初の1番のところは現状ということで、これは事実 関係をまとめさせていただいたものでございますので省かせていただきます。  2番目からが現状及び課題という形で、最初の丸は先ほど御説明をさせていただきま したけれども、まず医療保険者に糖尿病等の新たな健診・保健指導が来年から義務づけ られるというような新しい動き。それから、医療計画の中でも4つの疾病、がん、脳卒 中、心筋梗塞、糖尿病が位置づけられていて、先ほど御説明させていただきましたが、 医療計画をその意味で新たな策定をすることになったということ。それから、適切な生 活習慣により予防や重症化の防止が可能であるにもかかわらず、先ほどの小児も含めて、 そういうような有病者や予備群が増加しているということで、「新健康フロンティア戦 略」においても、特にアンダーラインのところがそうですが、個人の特徴に応じた予防 ・治療(テーラーメイド予防・治療)の研究開発及び普及を行う重要性と、そのための 拠点づくりが求められているというふうな認識でいいのかどうかということでございま す。  がん対策については従来から国立がんセンターというものが研究、人材育成、情報発 信等について、わが国における対策の拠点という形で1つの役割を果たしてきたという 流れがありますので、そういう意味で糖尿病についても、今後の対策をより一層推進す るためには、同様の拠点づくりが必要であり、国立高度専門医療センターでは、国立国 際医療センターが中心的に取り組んでいるというようなものがございます。これらの状 況を踏まえて、糖尿病等の生活習慣病対策の推進方策について検討する必要がある、そ ういうふうな認識であります。  それから、3番目でございますが、これからの方向性というところでございまして、 1番目のところは、各地域における糖尿病等の生活習慣病対策の推進という形で、最初 の丸は、都道府県、それから今回、来年4月から実施されます新たな特定健診・保健指 導では医療保険者という形になります。それから、市町村は健康増進計画ですとか、医 療費適正化計画を策定するとともに、当該計画に基づいて生活習慣病対策を実施する。 具体的な対策としては、市町村によるポピュレーションアプローチですとか、医療保険 者によるハイリスクアプローチ(特定健診・保健指導)を実施する、そういうような方 向性があります。それから、都道府県は医療計画を策定をし、糖尿病、脳卒中、急性心 筋梗塞に関する医療体制を整備する。具体的には、疾病ごとに必要となる医療機能を明 らかにした上で、各医療機能を担う医療機関の名称、数値目標を記載する、そういうふ うな方向性になっています。これらの計画に基づき、医師、保健師、管理栄養士等の医 療関係者だけでなく、都道府県や市町村の職員等のさまざまな職種・機関が生活習慣病 対策を担うということになっております。生活習慣病対策を各地域において推進するに 当たっては、関係する団体、医療機関、地域医師会、看護協会、栄養士会等との連携を 十分に図ることが重要である。特に糖尿病については、各地域の専門機関においてのみ 診療を行うというよりは、初期診療を行う医療機関から専門的な診療を行う医療機関ま で、数多くの医療機関における対策が必要であることから、都道府県は多くの都道府県 においてすでに組織されている都道府県糖尿病対策推進会議、これは日本医師会、日本 糖尿病学会、日本糖尿病協会が、糖尿病の発症予防等を目指して共同設立した会議です が、そういうふうなものを活用することが有効である。  それで、最後のところ、これは大変大事なのですが、各地域において効果的・効率的 に生活習慣病対策を実施するためには、医療関係者等の生活習慣病対策の担い手に対し、 効果的な予防方法や治療方法に関する研修を実施することが有効ではないかという考え 方です。  それから、(2)といたしまして、地域における糖尿病等の生活習慣病対策の支援方 策といたしまして、1番目の丸ですが、支援体制ということで、糖尿病等の生活習慣病 対策としては、糖尿病、高血圧症、高脂血症の予防や治療だけでなく、合併症としての 急性心筋梗塞、脳卒中等の予防や治療まで幅広い対策が必要である。2番目の丸といた しまして、各地域における生活習慣病対策を支援するためには、各分野における専門機 関である国立国際医療センター、国立循環器病センター、国立保健医療科学院、国立健 康・栄養研究所が一体となって、生活習慣病対策の拠点としての役割を担うことが適当 であると考えられるという形であります。3ぺージでございますが、次の丸といたしま しては、生活習慣病対策としては、小児期からの対策が重要であることから、これらの 機関は国立成育医療センターと連携を図ることが適当である。また一方で、小児の食事 指導等の生活習慣病対策は、両親を含めて実施することが必須である。先ほども御指摘 があったと思いますが、親を含めて、両親を含め実施することが必要であり、国立成育 医療センターの立場からも、大人を対象とした各分野における専門機関との連携は必要 である。これらの組織が相互に有機的に連携を図り、各地域における予防体制、治療体 制と、有機的なネットワークを構築して人材育成、情報発信等を通じて、各地域におい て個人の特徴に応じた予防・治療、(テーラーメイド予防・治療)などの先駆的な予防 ・治療や、標準的な予防・治療の普及を図ることが望まれる。先駆的な予防・治療や標 準的な予防・治療の研究開発をするためには、糖尿病等の生活習慣病対策の拠点となる 機関が、それぞれの分野における研究を自ら行うとともに、国内外のさまざまな研究成 果や臨床データを収集・分析することが重要ではないかということであります。  2番目の情報発信といたしまして、現在、生活習慣病の予防や治療に関しては、さま ざまな媒体からの情報が氾濫している。生活習慣病の予防や治療を行う上では、個人個 人において適切な生活習慣を身につけることが重要であり、そのためには、正確な情報 をわかりやすく提供する必要があるのではないか。それから、次の丸ですが、すべての 地域において予防や治療の質を均てん化するためには、保健指導機関や医療機関に対し て、先駆的な予防方法、治療方法や標準的な予防方法、治療方法を幅広く公開して、い つでも誰でも入手できるようにするべきではないか。次の丸ですが、糖尿病については、 生活習慣病対策の拠点となる機関は、糖尿病対策推進会議等を活用して情報を発信する ことも有効であると考えられるのではないか。  (3)ですが、予防方法、治療方法等の研究開発ということで、糖尿病等の予防方法、治 療方法の開発を効果的・効率的に行う上では、さまざまな情報を収集・分析する必要が ある。効果的な予防方法の研究開発については、平成20年4月から医療保険者において 実施されることになる特定健診・保健指導のデータを収集・分析することが重要ではな いか。ただし、これは個人情報の保護に十分配慮することが必要であります。それから 次ですが、特定保健指導対象者の性別、年齢、健康に対する考え方、職場環境等に応じ て、効果的な予防方法は異なることが考えられるため、対象者の特性に応じて、さまざ まな介入方法による効果を比較できるよう、医療保険者と協力の下、特定健診・保険指 導のデータを収集・分析することが望まれるのではないか。それから、小児については、 将来、生活習慣病を発症する者については、遺伝的要因(学童の場合、学校給食を含め た)食事環境ですとか、生活環境、睡眠等のさまざまな危険因子が関与していると考え られるが、こうした危険因子の寄与の程度についての疫学研究の推進や、その研究結果 をもとに、小児期からの生活習慣病の予防法を確立する必要がある。さまざまな研究機 関において数多くの研究が行われることが予想されるため、これらの情報を収集・分析 して、効果的な予防方法を確立していくことが望まれるのではないか。効果的な治療方 法の研究開発については、従来、各研究機関において行われている研究(特に多施設共 同研究)の情報を収集・分析することが重要ではないか。医療体制構築に係る指針にお いて、医療の質について客観的な評価を行うために、患者の症例登録等を行うことが今 後必要であるとされている。また、日本糖尿病対策推進会議においても、さまざまな症 例のデータが収集されている。これらの症例登録のデータ(病態、治療方法等)を収集 ・分析することは、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞等の治療方法の研究開発に有効ではない か。これも、もちろん個人情報の保護に十分配慮することが必要である。「国立高度専 門医療センターの今後のあり方についての有識者会議報告書」では、ナショナルセンタ ーは、基礎研究の成果を臨床の実用化へつなげられるよう、臨床研究及びトランスレー ショナルリサーチの強化を図るとされています。それから、糖尿病等の生活習慣病対策 の拠点となる機関において、これらの研究をどのように推進すべきかということがある と思います。  それから、4番目は人材育成。これは研修ですが、生活習慣病の予防・治療に携わる 医療関係者や都道府県や市町村の職員、医療保険者等に対する研修、人材育成は重要で ある。国立保健医療科学院等では、これまでも都道府県の担当者等に対してさまざまな 研修が行われてきているが、今後、生活習慣病対策をより一層推進していくためには、 どのような研修が必要か。思春期において肥満や生活習慣病対策が悪化する要因の1つ に心理的ストレスがあり、また、摂食障害の1つである過食症及びその予備群が潜んで いることもある。単に食事指導や運動療法を試みるだけでなく、心理士の治療参加も推 進する必要があることから、当該分野を専門とする心理士の人材育成は重要である。各 地域において研修を実施する上で、リーダーとなる人材を育成していくことが重要では ないか。糖尿病等の生活習慣病対策の拠点が、関係団体と連携して、必要な研修を実施 することが必要ではないかというようなことでございまして、これはあくまでもまだ案 でございまして、今日の議論で一部そういうような議論に触れたところも若干入ってい るのですが、まだまだその辺のところがまだ不十分な点もあるかと思いますので、一応 これを踏まえて御議論いただければありがたいというふうに思っております。  以上でございます。 ○久道座長 どうもありがとうございます。今説明がありましたように、われわれがこ れまで議論したところをまとめた論点の整理とうい格好で今説明いただきました。自分 の発言とちょっとニュアンスが違うんだけれどもというふうなことがあればまた直して いただきたいと思いますし、それから、ここでよく「考えられるのではないか」とか、 「必要ではないか」というのは、「ではないか」というのはいずれ取れることになるだ ろうと思うのですが、そのあたりを、例えば科学院の研修のところもほとんど「ではな いか」というふうになっていますので、今日、院長から説明がありましたように、「な いか」は取ることになるのがほとんどですよね。そういうことも含めて、今の説明に対 して御質問があれば、あるいは御意見があればどうぞお願いします。 ○今村委員 幾つかあるので、まとめてでいいですか。 ○久道座長 ええ。 ○今村委員 まず、糖尿病の場合に治療中断者が非常に多いことが問題だということは Doit 2でも研究を今しているということで、今回の特定健診・保健指導の中でも、い わゆる治療中断者、あるいは未治療者を発見したときに、保険者としてそれなりのちゃ んとした対応をとることを指導するというようなことがプログラムの中にある程度書 き込まれているものですから、ぜひこちらの方でも、未治療者あるいは治療中断者に対 してどういう対応をとるのかということについてちょっと触れていただけると大変あ りがたいかなというふうに思いました。それがまず1点。  それから、(2)の支援体制のところで、「合併症としての急性心筋梗塞、脳卒中の 予防・治療まで幅広い対策が必要である」という書き込みになっているのですが、これ は、上の方のいわゆる4疾病の中に入っていて、個別にまた医療計画をそれぞれつくる というような位置づけになっている中で、この会でここまで書いてしまっていいのかど うかということが若干気になりました。もちろん、大事なことなのでぜひ触れた方がい いと個人的には思っていますけれども。  それから、3ぺージの(3)予防方法・治療方法の研究開発のところで、2つ目の丸と3 つ目の丸は実は同じことなのかなと思って、整理して1つにできないかなと。つまり効 果的な予防方法の研究開発ということが2つ目の丸で、3つ目の丸が効果的な予防方法 は異なることが考えられるためということで、最終的に特定健診・保健指導のデータを 集めて分析するということが重要だという表現になっていますので、実はこれは書き方 によっては1つにできるのかなというふうに思ったので、ちょっと御検討いただければ ということ。 ○久道座長 これは一緒にできますね。 ○今村委員 もう1つは、この部分で収集・分析は誰がするのか。誰でも利用できる、 いわゆるその地域に応じて関わっている方たちがみんな共通にそのデータを使って、独 自にいろいろな分析をして、いろいろな提案ができるような形なのか。収集・分析とい うところがちょっと主語がはっきりしなかったので、もし考えておられることがあれば 教えていただければと思います。  いろいろ申し上げまして済みません。よろしくお願いします。 ○久道座長 室長、どうぞ。 ○矢島生活習慣病対策室長 まだ関係のところとも調整ができていないので、そういう 意味では文言が厳格ではないところがありまして、むしろ逆に、これはもっと厚生労働 省が主体的にやるべきだという御意見をいただくと、われわれも動きやすいのですが、 まず最初のところは、治療中断者・未治療者、これも関係あるところとも調整をしなが ら、入れられるような方向で、これについても文言としてもう少し具体的に入れられる かどうか、これは検討させていただきたいと思います。  支援体制についても、脳卒中、心筋梗塞の話しです。これも、入れられるかどうかも また中で検討させていただきたいと思いますが、そこのところは関連性があるので、今 日はたまたま北村委員が御欠席ですが、多分ここのところは一貫性を担保しながらやっ ていくことが大事だろうと思っています。  それから、3ぺージのところの一緒にできるのではないかと。これも中で検討させて いただきまして、その辺のところの文言もうまくできるのかどうかもふくめて、検討さ せていただきます。それから、データの収集・分析も、まさにこれをどういうふうにや るのかということをいろいろな関係のところとも調整しなければいけないのですが、特 に治療の関係であれば、例えば糖尿病の治療に関しては、国際医療センターがやはりそ ういうような情報収集・分析をして臨床の現場に戻していくというようなことも大事で しょうし、予防のところですと、やはり健康・栄養研究所の役割になってくると思いま すし、いろいろな行政的な医療保険者とか、そういったデータに関しては、やはり国立 保健医療科学院も、医療保険者とか、そういうところの人たちのデータだということに なれば、また疫学的な話とか、それもまた保健医療科学院の役割も出てくるのではない かということで、それぞれいろいろと役割があるのではないだろうかというふうに思っ ておりますが、まだここはあくまでも論点でありますので、逆に、こうあるべきだとか ということをいろいろと御議論いただければありがたいと思っていますし、また、いろ いろな文言、言葉の使い方についても、やはりこういう言葉よりもっといい方法がある のではないかということがあれば、文言についても御指摘をいただければありがたいと いうふうに思っております。 ○久道座長 ほかにございませんか。 ○渡邊委員 これは、糖尿病対策ということで全体の規模を考えますと、食育のときも 問題になったのですが、やはり環境づくりが非常に大事だと思うのです。それで、よく 患者さんに「あなたは1,200キロカロリーの食事で、毎日1万歩歩きなさいよ」と言っ ても、じゃ、何を食べたらいいのかとか、1万歩どこを歩くんだというのがなかなかわ からなくて、熱射病になりかねないようなかんかん照りの中を一生懸命歩いて膝を壊し たとか、そんな話も起きかねないんですね。それで、運動の場所とか、わかりやすいカ ロリー表示の食品を広く社会に行き渡らせるとか、そういうことも視野に入るのでしょ うか。 ○矢島生活習慣病対策室長 どこまでできるかわからないのですが、そういう意味で、 いろいろと御提案をいただきながら、あくまでも論点の中で整理をいただいて、その中 でわれわれができるところから、すぐできるものと、やはり時間をかけてしなければい けないものがあると思うのですが、そういうことも含めて、まずすぐやれるもの、すぐ できるものの御指摘も必要ですし、時間はかかるかもしれないけれども、将来に向けて こういうこともしっかり視野に入れてやっていかなければいけないというものがあれば、 それをまた御提言をいただくという方法もあると思います。 ○二見委員 3ぺージの情報発信についてですが、一言、専門職種の役割の重要性につ いて何か書いていただければと思います。情報発信をする上での専門職種の重要性、そ の上で、正確な情報をわかりやすく提供する場合の、例えば、今あるのかどうかわかり ませんが、過去に優良図書などというのがありました。そういった情報の正確性を何か 担保するような審査と言うと大げさになりますけれども、振り分けができないんでしょ うか。一般の人たちがどういう情報が正確なのかを判断するため、そこに何かお墨付き があるといいかなと思うのですが。 ○矢島生活習慣病対策室長 優良図書みたいに、図書で言葉が一回決まってしまったも のが、それで確定するとありがたいのですが、やはり情報は科学の進歩で日進月歩があ りますので、去年正しかったことが今年新しい発見で変わったときに、では、そのタイ ムラグをどうするのか。去年いいと言ったものを、今年だめだと、一回シールを貼った ときに、優良とかいったときに、その情報をどういうふうにするのかとか、結構解決し なければいけない問題があると思います。でも、御指摘は大変大事な話だと思うのです が、そういうふうな方法というものは、なるべくわれわれはそういうようなものが確立 できれば、そういうようなものをやっていくということはできるのですが、情報につい ても、今回われわれは検討会でもいろいろなところで議論した中に、正しいとか、いろ いろな枕詞はつけられるのですが、では、誰がどういうふうに判断していいとするのか というのも、科学的根拠に基づいて判断するということになると、誰がそれを責任を持 って判断できるのかということも含めて、ちょっと体制をしてければいけないので、先 ほど渡邊委員からの御指摘もありますが、すぐできる提案というよりも、時間がかかる けれども大事な御提案というふうな感じになると思いますが、その辺も含めて中で検討 させていただければと思います。 ○久道座長 今の問題は、難しいけれども大事な話ですよね。特に、がんの情報などは インターネットで一般の人は引いていきますよね。そうしますと、最初はもっともらし いことが書いてあって、いつの間にか漢方薬の宣伝に行き着いたり、入会するとか。私 も、いろいろな相談事業をやっているのですが、インターネットで情報がきちんと一般 の人に紹介できるのは国立がんセンターとか、がん研有明病院とか、静岡がんセンター とか、大体数カ所決まっているんですよね。そういうのが言えるか言えないかですね。 これは正しいとか何とかと言うのは難しいですけれども。 ○矢島生活習慣病対策室長 がんにつきましては、先ほどがんセンターの例を出させて いただいたのですが、がんについての情報センターとしての役割はかなり整理をされて います。国立健康・栄養研究所でも、例えば食べ物についてのエビデンスが明確になっ ているものについては、国立健康・栄養研究所からも情報発信をさせていただいている のですが、一般の健康情報すべてまでできるかどうかというのはちょっと難しいのです が、ある程度ものを絞ってやるという方法はいろいろと検討できるのではないかと思い ますが、それにしても、これは大事ではありますけれども、どうやって具体的に科学的 根拠を明確にしていくのかということもきちんとつくっていきませんと、かえって間違 いを起こしてしまうということもあるので、そこはぜひいろいろとお知恵をいただけれ ばありがたいというふうに思っているところです。 ○笹月委員 私ども糖尿病、あるいは肝炎をお引き受けする立場に立ちますと、情報の 収集・解析、そして発信ということが求められるわけですが、その解析の結果を自分た ちの中だけでやらずに、外部の専門家にも入っていただいて、例えば糖尿病学会とか、 そういうところの有識者も入った上でのプロセッシング、ダイジェッションということ をやらなければいけないということは内部で議論いたしております。 ○久道座長 私の方から今村先生にむしろお聞きしたいのですが、2ぺージの(1)の(2) で、医療計画の策定の具体的なやり方として、各医療機能を担う医療機関の名称を記載 するとありますね。こういうのはどうなりますか。 ○今村委員 私も今御指摘いただくまでうっかりして見過ごしたのですけれども、具体 的に医療計画の策定の指針については、課長通知が医政局の指導課から出て、ここの資 料にありますけれども。 ○久道座長 資料がありますね。 ○今村委員 その中に、いろいろな医療機能についても、都道府県の方で、全部通知の とおりをやるということではなくて、できることでやるという理解で私はおりますけれ ども、この医療機関の名称というのは、何々病院とか、何々診療所という糖尿病診療を 担う機関名を書けばいいということですね。 ○矢島生活習慣病対策室長 今村先生がいらっしゃらないときに説明をさせていただい た中に入っているのですが、資料1の10ぺージのところを御覧いただきたいと思うので すが、これは課長通知です。厚生労働省医政局の指導課長通知のところで、資料1の10 ぺージを御覧いただきたいと思うのですが、その課長通知の中の糖尿病の医療体制構築 に係る指針の中の10ぺージのところで、(3)といたしまして、医療計画には原則とし て医療機能を担う医療機関の名称を記載する。なお、地域によっては、医療資源の制約 等により、1つの医療機関が複数の機能を担うこともあるという形で、原則とは書いて ありますが、なるべく新しい医療計画では、いろいろな地域の御事情もあるのだと思い ますが、なるべくこれを書いていただくというのは大変大事なことだということで,多 分そういうような議論がこれから各地域で行われることになるのだと思います。 ○久道座長 これは具体的にやろうとするとかなり難しいですよね。基準はどうなんだ とか、例えば糖尿病の専門のドクターがいるかいないかとか。 ○今村委員 そうですね。ただ、これについては、この中にも書いてあるように、全部 ではなくて、本当にごく一部まだないところがあるのですが、日本糖尿病対策推進会議 の都道府県のそれぞれいろいろな地域でつくられていて、学会、協会、それから医師会、 それから地域によっては看護協会であったり、栄養士会であったり、薬剤師の方、歯科 医師の方、いろいろな方が入っている組織です。その中である程度の把握は十分できる のではないかと思っています。例えば、インスリン治療をやるかかりつけ医の医療機関 は何々医院と何々医院、教育入院ができるところは何々病院、何々病院と多分そういう リストを出すというイメージで。今でも、医療計画ではなくて、医療機関の情報を今後 公開しなければいけないということになっていますので、それを糖尿病に関するいろい ろな医療の水準に合わせて今度書き直すというような、そういうイメージではおります けれども。 ○久道座長 ほかにございませんか。  それでは、だんだん時間が迫ってまいりました。続きまして、前回の会合で篠崎委員 から質問いただいた「特定保健指導対象者の選定方法に係る血糖値の考え方」、これに ついて事務局から説明をお願いします。 ○矢島生活習慣病対策室長 それでは、参考資料8に基づきまして御説明をさせていた だきます。  前回、特定保健指導対象者の選定方法について、わかりにくいという御指摘がござい ましたので、ちょっと御説明をさせていただきます。  1枚おめくりをいただきたいと思いますが、来年の4月から医療保健者によって新た に実施されます特定保健指導で、健診の結果、特定保健指導対象者となる方の考え方で すが、まず内臓脂肪が蓄積しているかどうかということがます第1ステップになります。 内臓脂肪の蓄積に着目をしております。まず、内臓脂肪ということで、男性の場合は85 センチ以上、女性は90センチ以上ということが1つ。そうであれば、まず(1)で対象 になります。85センチ未満、90センチ未満でも、従来肥満という形でBMI25以上の 方々、この方々も一応、特定保健指導の対象になります。これは、メタボリックシンド ロームの診断基準には入っていないのですが、従来から肥満だと言われていた人たちも 今回は入る形になります。  それから、ステップ2といたしまして、次の段階で血糖、脂質、血圧について、この 基準を超えているかどうかということでリスクの数を見ます。その場合に、(1)から血糖、 脂質、血圧のリスクのうち1つ以上ある場合には、たばこを吸っているかどうかをそこ でカウントします。喫煙歴を見て、たばこを吸っていればそれにプラスするという考え 方です。このリスクの数に応じまして、例えば(1)の場合には2つ以上の対象者は積極 的支援、これは3カ月から6カ月のプログラムを作成して積極的に保健指導してプログ ラムを実施していただくグループ。それから、1つの場合には、動機づけ支援といいま して1回だけの保健指導をするグループ。それから、ゼロの場合には情報提供という形 で、いろいろな健康に関します、例えば肥満があれば、内臓脂肪がたまっていると将来 どういう問題があるかどうかということの情報をしていただく。  (2)の場合も同じような形で、リスクが3つ以上の場合には積極的支援。1または 2の場合には動機づけ支援、ゼロの場合には情報提供という形であります。  次のぺージですが、ステップ4といたしまして、実際に健診で引っかかるわけですが、 治療を行っている場合、服薬中、生活習慣病で例えば糖尿病ですとか、高血圧症の服薬 治療をしている方々は今回の特定保健指導の対象とはしませんということと、それから 前期高齢者、今回の特定健診・保健指導は75歳未満まで、40歳から74歳までが対象に なりますが、そのうち前期高齢者、65歳から74歳までは介護保険の予防事業でありま す地域支援事業というのがございまして、そちらでも同じような健診がございまして、 むしろそちらの方はQOLの低下に配慮した生活習慣の改善ということも併せて行うも のですから、この場合には積極的支援の対象になった場合でも動機づけ支援とするとい う、こういうような考え方であります。  それから次でございますけれども、メタボリックシンドローム予備群を階層化で決め るときに、空腹時血糖とヘモグロビンA1cの値の考え方ですが、これは4ぺージのと ころを御覧いただきたいのですが、メタボリックシンドローム予備群検討のためのワー キンググループというのが日本糖尿病学会で、東大の門脇教授が座長という形で、ここ にいらっしゃいます先生方でメタボリックシンドロームの場合の予備群を階層化で判定 する場合について御検討いただきまして、この場合には空腹時血糖は100、これに対応 するヘモグロビンA1cとしては5.2以上のものがいいのではないだろうかということ のワーキンググループとしての報告をいただいておりまして、これを基準に、メタボリ ックシンドロームの場合、特定保健指導の対象とするかどうかというときの基準は、空 腹時血糖は100、もしくはヘモグロビンA1cとしては5.2という数値を使っておりま す。  これをもとにしまして、5ぺージでございますが、特定保健指導対象者の数というも のを推計をしておりまして、男女別に出しておりますが、大体このデータをもとにしま して、40歳から74歳の人たちの24.9%、右の一番下の枠ですが、約4人に1人が動機 づけ支援もしくは積極的支援の対象になるというふうに私どもは推計をしているところ でございます。これを踏まえて、各医療保険者に、来年4月からの特定健診・特定保健 指導の対象者の推計というのでしょうか、準備をお願いをしているとこでございます。  以上でございます。 ○久道座長 どうもありがとうございます。篠崎委員、よろしいでしょうか。 ○篠崎委員 平成19年7月20日付の課長通知、これの43ぺージあたりに診断、それか ら44ぺージあたりに血糖コントロールの指標と評価とあるでしょう。これを見ると、空 腹時血糖が126以上とか、あるいはA1cが6.5以上とか、こういう数字が並んでます。 ずいぶん乖離がありますね。それで、何%というところですが、これは分母は何ですか。 ○矢島生活習慣病対策室長 40歳から74歳の5,600万人。 ○篠崎委員 国民でしょう。 ○矢島生活習慣病対策室長 国民です。 ○篠崎委員 国民の4人に1人が引っかかってしまうということでしょう。 ○矢島生活習慣病対策室長 40歳から74歳の4人に1人が引っかかります。 ○篠崎委員 ずいぶん多い気がしますね。この数字を見たときに、どういうふうに説明 するのですか。 ○矢島生活習慣病対策室長 今御指摘がありました医療計画のところは、糖尿病の治療 をしている方のコントロールがどの程度のコントロールをしているのがいいのかという 考え方です。ですから、糖尿病の患者さんになって薬を飲んで、それでコントロールを するときには、どういうふうなコントロールが望ましいのかという基準が書いてあるの です。私どもの方はその一歩手前で、将来、糖尿病にならないようにするために、どこ から保健指導を開始したらいいのかという考え方、予防するための基準を書いてありま す。それが今回の基準になっております。 ○篠崎委員 だけど、例えば指導課長通知の44ぺージのところは、A1cが5.8未満は 優となっているでしょう。この対象は5.2ですが。 ○矢島生活習慣病対策室長 ですから、これは血糖の薬を飲んで治療している人がどう かということで、われわれは、内臓脂肪が原因で、放っておいたら血糖がどんどん悪く なって、将来悪くなっていく前に保健指導、要するに薬を飲む基準ではなくて、内臓脂 肪を減らす、保健指導を開始する基準が5.2で、ただ単に5.2ではなくて、内臓脂肪が あって5.2を超えたら保健指導の対象になるという考え方です。 ○久道座長 診断基準とちょっと違うという話ですね。それははっきりわかるようにし た方がいいですね。両方見ていると混乱する危険があるということで、今説明を受ける とすぐわかるんだけれども。よろしいでしょうか。  ほかに。予定の時間があと10分ぐらいしかありませんが、全体を通じて、皆さんか ら何か御意見、御質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、今日はこのぐらいで終わりますが、これまでの審議において、「新健康フ ロンティア戦略」を踏まえた今後の生活習慣病対策を推進するための方向性について、 ある程度見えてきたのではないかと思います。今日の検討内容を踏まえまして、追加す る論点の整理のところに、例えば他の省庁との連携をよくするとか、そういうことを強 く言われたと思うのですが、本日の議論も踏まえて、事務局においてこれまでの議論を 取りまとめていただければと思います。  そのほか事務局から何かございますか。 ○矢島生活習慣病対策室長 今日の、特に先ほどの資料6のところは大変大事な論点に なりますので、また御意見等がありましたら、適宜先生方から御意見をいただければと いうふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いします。今後の日程等につきまし ては、後日日程を調整させていただき、お知らせをしたいと思いますので、よろしくお 願いいたします。  どうもありがとうございました。 ○久道座長 それでは、今日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうご ざいました。