平成19年8月9日(木)




厚生労働省政策統括官付
 労働政策担当参事官室
  参 事 官  山 田  亮
  企 画 官  村 山  誠
  室長補佐 武 田 康 祐
電話03 (5253)-1111 内線7992
夜間直通 03 (3502)-6734

 (独)労働政策研究・研修機構
  研究調整部
   部  長 小 山 浩 一
   次  長 吉 田 研 一
電話03 (5991)-5102(ダイヤルイン)


『雇用労働政策の基軸・方向性に関する研究会』報告書について

「上質な市場社会」に向けて〜公正、安定、多様性〜

人口減少やグローバル化が進む中で、均衡ある経済社会の発展を図るためには、より高い就業率の実現や人的能力の開発を進めていく必要がある。併せて、働き方が多様化する中で、非正規労働の増加、正規労働における長時間労働の増大、さらには格差の拡大等に伴う労働者の不安感の高まりなど、雇用労働をめぐる様々な構造的変化が生じてきている。

こうした中、厚生労働省としては、独立行政法人労働政策研究・研修機構に対し、労働政策の中期的課題に関する政策研究の実施を要請し、これを受け、同機構では、雇用戦略を始めとするプロジェクト研究(注)の一環として「雇用労働政策の基軸・方向性に関する研究会」(座長:諏訪康雄法政大学大学院政策科学研究科教授)を開催し、厚生労働省も事務運営に協力しながら、今後の雇用労働政策の基軸となる考え方の検討を行ってきたところである。今般、同研究会の報告書が別添(PDF:408KB) のとおり取りまとめられたので公表する。

なお、本報告書は、本日開催された第16回労働政策審議会(会長:菅野和夫明治大学法科大学院教授)において報告されたところである。

(注) プロジェクト研究とは、厚生労働大臣から(独)労働政策研究・研修機構に対し指示された中期目標に掲げられた中長期的な労働政策の課題に係る調査研究テーマ(我が国における雇用戦略、多様な働き方を可能とする就業環境及びセーフティネットなどのテーマ)に対応したプロジェクト方式による研究のことである。

報告書のポイント

○ 雇用労働をめぐる構造変化に的確に対応して、持続可能な経済社会を実現していくためには、中長期的に一貫性の高い雇用労働政策を策定する必要があり、このためには、雇用労働政策を策定する上で、常に念頭におき政策の妥当性を判断する「基軸」が必要
 中長期的に一貫性があり、かつ、実効性の高い雇用労働政策を策定するには、「基軸」について、雇用労働の事情に精通し、また当事者でもある労使の代表者が、それぞれの立場を超えて、学識経験者とともに、その共有に向けて、議論を行うことが重要。

○ グローバル化等の中で、企業の競争力の強化や経営の効率化を図る必要があるとともに、労働者は職業人であると同時に生活者であることから、生活の安定と自己実現を図っていくことが必要。
 また、労働は通常の商品のように一回的取引で完結するものではなく、継続性があり、そのことが労働者の能力・生産性とも深く関係しているという性格を踏まえるとともに、労働サービスが人間そのものと不可分であり、組織性や集団性を持つものであるという点をも考慮して政策を策定していくことも必要。
 以上から、「競争力の強化、経営の効率化」と「労働者の職業生活の安定、自己実現」との調和を図るために、適切に市場メカニズムを活用しつつ、(1)公正の確保、(2)安定の確保、(3)多様性の尊重の三つの要素を満たしていくこと、この意味での「上質な市場社会」に向けて政策を講じていくことが雇用労働政策を策定する上での基軸。

○ 具体的には、

(1) 公正の確保 〜豊かな活力ある経済社会にふさわしい「公正な働き方」の確保〜

(2) 安定の確保 〜「雇用の安定」と「能力開発による職業キャリアの発展、安定」の確保〜

(3) 多様性の尊重 〜多様な選択を可能とすることによる能力発揮、競争力の確保〜

であり、それぞれが満たされる雇用労働政策を策定していくことが必要。

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雇用労働政策の基軸・方向性に関する研究会について

1 設置趣旨

人口減少、知識社会化、グローバルな経済競争等に対応し、均衡ある経済社会の発展を図るためには、より高い就業率の実現と高度な人的能力の開拓を進めていく必要がある。また、働き方が多様化する中で、非正規雇用の増加に伴うキャリア形成の困難化や正規雇用における長時間労働の増大、さらには様々な格差の拡大等による労働者の不安感も高まっている。

こうした中で、労働政策研究・研修機構では、平成15年10月から19年3月までの中期目標期間において、労働政策の中期的課題に関する政策研究として、雇用戦略をはじめとするプロジェクト研究を推進し、現在、最終とりまとめを行っているところである。このような取組みを踏まえ、今後の労働政策の柱となる考え方を整理するため、今般、学識経験者の参集を求め、標記研究会を設置し、中長期的観点から、労働者が安心・納得して働きつつ能力を発揮し、経済社会の発展とも調和できる働き方のあるべき姿や、その実現のためにとるべき政策の基軸・方向性について検討を行っているものである。

2 検討事項

(1)働き方の現状と問題点、中長期的な変化の兆し・見通し

(2)中長期的な働き方のあるべき姿

(3)あるべき姿を実現するための政策の基軸・方向性

3 研究会メンバー構成(五十音順)

  荒木尚志        東京大学大学院法学政治学研究科教授
  稲上毅   法政大学経営学部教授
  今田幸子   独立行政法人労働政策研究・研修機構特任研究員
  今野浩一郎   学習院大学経済学部経営学科教授
  小塩隆士   神戸大学大学院経済学研究科教授
  清家篤   慶応義塾大学商学部教授
 ○  諏訪康雄   法政大学大学院政策科学研究科教授
  西川真規子   法政大学経営学部教授
(オブザーバー)
  濱口桂一郎   政策研究大学院大学教授
  金子順一   厚生労働省政策統括官(労働担当)
○が座長

4 事務運営等

(独)労働政策研究・研修機構研究調整部研究調整課において、厚生労働省政策統括官付労働政策担当参事官室の協力を得て行う。



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