07/07/30 病院における薬剤師の業務及び人員配置に関する検討会議事録    第3回 病院における薬剤師の業務及び人員配置に関する検討会            日時 平成19年7月30日(月)          16:00〜18:00          場所 厚生労働省省議室(9階) ○専門官(飯村)  定刻となりました。先生方もお揃いですので、第3回「病院における薬剤師 の業務及び人員配置に関する検討会」を開催いたします。また、委員の先生方 におかれましては、ご多忙中のところ当検討会にご出席いただきまして、誠に ありがとうございます。初めに委員の出席状況についてご報告いたします。本 日は、手束昭胤委員と三村優美子委員より、ご欠席との連絡をいただいており ます。  次にお手元の資料の確認をいたします。議事次第と座席表のほかに、資料1 「病院における薬剤師の業務及び人員配置に関する検討会報告書(案)」、参 考資料として、前回報告した実態調査の集計表ということで、参考資料1「精 神病床のみを除く病院に関する集計表」、参考資料2「精神病床のみの病院に 関する集計表」、参考資料3は、その実態調査の調査票です。参考資料4「病 院における薬剤師の人員配置等の状況について」です。以後の進行につきまし ては、齋藤座長にお願いしますので、よろしくお願いします。 ○座長(齋藤)  本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。 早速、議事に入らせていただきます。本日は、前回、報告をいただきました 「病院における薬剤師の業務及び人員配置に関する実態調査」の結果と、それ に対していろいろいただいたご意見を基に、事務局で本検討会の報告書の案を 作成していただいております。本検討会では、病院における薬剤師のあるべき 業務について整理して、それらを踏まえた人員配置のあり方についても検討す ることとなっております。病院薬剤師のあるべき業務を中心として、報告書案 が作成されております。まずは、事務局からこの報告書案についてご説明をし ていただきます。 ○専門官  それではお手元の資料1をご覧ください。病院における薬剤師の業務及び人 員配置に関する検討の報告書の案としてお配りしております。まず、目次をご 覧下さい。本報告書案の構成は、1「はじめに」、2「病院薬剤師のあるべき 業務と役割」、3「あるべき業務と役割を踏まえた人員配置のあり方」、4「 おわりに」という4部の構成となっています。参考として、実態調査のうちの 関連するグラフを8つ載せています。最後に本検討会の名簿を掲載しています。  資料1の1頁、1「はじめに」です。これまでの薬剤師の配置標準の見直し と、本検討会の設置の経緯について説明しています。病院における薬剤師、こ れから病院薬剤師と言わせていただきますが、この人員配置の標準につきまし ては、長らく調剤数を基準としてきたが、平成8年に医療審議会において、調 剤技術の進歩とともに、服薬指導や薬歴管理等の病棟業務の増大という状況を 踏まえて、入院患者の数等を考慮した考え方に改めるべきとの指摘がなされ、 平成10年11月から入院患者数と外来患者に係る取扱処方せん数を原則とする標 準とされています。  平成10年当時の人員配置標準の見直しのときに、3年後を目途に見直しを行 うとされており、平成13年に「病院における薬剤師の人員配置基準に関する検 討会」が開催されました。当時の結論は「平成10年に定められた基準を、ただ ちに変更する必然性は認められない」とされまして、今後の薬剤師の需給や業 務内容、配置状況の変化、教育課程の充実等の進展を踏まえて、3年後を目途 にまた検討を開始すべきとされていました。  こうした経緯を受けて、平成17年12月にまとめられた医療部会での「医療提 供体制に関する意見」においても、再度、具体的な検討を行うべき等の指摘が ありまして、今般、本検討会におきまして病院における薬剤師のあるべき業務 と役割を検討し、そのあるべき業務と役割を踏まえた人員配置のあり方につい て検討を行ったということです。  2「病院薬剤師のあるべき業務と役割」です。病院薬剤師の業務は、患者に 対して適切かつ安全な薬物療法が行えるよう、調剤のみならず、チーム医療に 積極的に参画し、病棟における服薬指導等を行うことが必要であり、これらの 業務は医療技術の進展等により、高度化・多様化している。  一方、病棟での業務が増えてきていると言われているものの、その業務実態 に関する詳細なデータは存在しなかった。このため本検討会では、病院薬剤師 の業務実態・配置状況についてまず実態調査を実施して、その結果を踏まえた 上で、今後の病院薬剤師のあるべき業務と役割を整理することとしております。 あるべき業務につきましては、2頁から14項目挙げております。それらは(1) 医療・薬物治療の安全確保と質の向上のための業務、(2)医療の安全確保のた めの情報に関する業務、(3)その他取り組むべき業務等の3つに大きく分類し ています。それぞれに求められる主な業務に関する業務内容、実施状況、ある べき姿等に関して整理しています。  なお、ここは注意事項ですが、調剤所の医薬品管理、服薬指導、院内処方せ んによる調剤等、すべての病院で実施がなされていることが当然である業務に 関しては記載しておりません。また、本報告書に記載されたそれぞれの業務は、 病院の規模や機能に応じ、当該業務の必要性や重要性等は、当然に異なること に注意が必要であるということで、14項目について、すべての病院で必ず実施 しろとか、そういう性格ではないということに注意が必要だという注釈を付け ています。  2頁、(1)医療・薬物治療の安全確保と質の向上のための業務として、1) 医療の安全確保のための薬歴に基づく処方鑑査の充実です。薬剤師は処方せん に基づいて調剤をするときに、当然処方せんのチェックは100%実施するわけ ですが、1)は薬歴に基づく処方鑑査の充実ということです。今回の実態調査 では、薬歴に基づく処方鑑査の実施状況を見ると、ハイリスク薬、抗がん薬と か、免疫抑制薬ですが、こうしたものの処方鑑査のうち、薬歴に基づく処方鑑 査の実施については、薬剤師の数が多いほど実施割合が高くなってきたという ことで、図1に示しております。  こうした処方鑑査は、少なくともハイリスク薬が処方されている患者につい ては、事故発生等により、患者に重大な影響を及ぼすことを避けるために、薬 歴に基づいた処方鑑査を実施すべきであるというのが1)です。  2)患者情報に基づく服薬指導と薬学的ケアの実施ということで、いわゆる 病棟における医薬品関連業務への参画です。まず、今回の実態調査では、薬剤 管理指導業務の届出施設の割合は、薬剤師数が2〜4人の施設においても約70 %を占めていました。一方、全病棟または一部病棟に薬剤師が常駐している施 設は12.2%、全病棟に薬剤師が定期的に訪問している施設は43.9%です。 この辺は今後さらなる実施の推進が求められているのが実態調査の結果です。  ここでは病棟において服薬指導や、薬物治療のモニタリング、医薬品の管理、 医療スタッフ等への情報提供など、こうした医薬品関連業務に参画するために、 各病棟に薬剤師が常駐、定期訪問することは、医療の安全と質の向上の観点か ら重要であるということです。  3)入院患者の持参薬管理です。入院患者の持参薬に関する情報の不足が原 因とした死亡事故も発生しています。持参薬との重複投与は、相互作用などを 回避する必要があります。また、入院患者が一般用医薬品や、いわゆる健康食 品を摂取しているケースもあり、これらについても確認が求められます。  まず、実態調査については、全て又は一部の入院患者に対する持参薬の管理 については、薬剤師の増加に伴って実施割合が高くなっておりました。これは 図2に示しております。薬剤師は持参薬の確認と、それに関する情報収集・評 価を行いまして、必要な情報を医師や看護師等に提供していくことで、医療事 故の防止を図るべきであるということです。  4)注射剤の処方せんに基づく調剤の実施です。今回の実態調査によれば、 処方せんによる注射剤の調剤の実施率は、病床規模や薬剤師の1人当たりの入 院患者数に関わりなく、ほぼ70%の施設で実施されていました。しかし、注射 薬の形状、ラベルや文字の色、名称や薬効の類似した薬剤、規格の取り違え、 投与量、投与速度等の指示の受け間違いや、患者の誤認による注射剤の施用の ミスなど、多くのインシデント・アクシデント事例がこの注射剤に関しては報 告されています。  薬剤師が患者ごとに注射剤の処方情報を把握することによる薬物療法の適正 化が図られ、患者の安全確保が期待されることから、注射剤の処方せんに基づ く調剤というのをすべての患者に実施が求められるとしております。  5)がん化学療法への参画です。まず、今回の実態調査では、薬剤師が10人 以上配置されている病院では、抗がん薬の無菌調製実施率は、がん患者が入院 している施設の58.2%でしたが、2〜4人になりますと14.1%しか実施されて いない状況でした。未実施の理由としては、人手不足と安全キャビネット等の 設備の未整備を挙げた施設が多かったです。  有効ながん化学療法を安全に行うためには、薬剤師による処方鑑査や、抗が ん薬による治療計画、いわゆるレジメンの登録・管理、適切な支持療法への支 援、抗がん薬の無菌調製、さらには患者が安心してがん化学療法が受けられよ う、治療内容の説明、副作用対策等がなされるべきです。薬剤師はがん化学療 法に積極的にチーム医療の一員として参画して、その専門性を発揮すべきであ るということです。  6)手術室、集中治療室等における薬剤師による医薬品の適正管理です。こ の手術室や集中治療室等では、麻薬や麻酔薬、毒薬などの特別な管理が必要と される医薬品が大量に使用され、かつ、それらが緊急的に用いられている特殊 性がございます。  今回の実態調査からは、薬剤師数が多くなるほど、手術室、集中治療室への 常駐又は定期訪問、セットによる医薬品の管理のいずれかを行っている割合が 多くなっておりました。手術室に関しては図3、ICUに関しては図4で示して おります。手術室に薬剤師が定期的に訪問することのメリットとしては、事故 防止が61.9%、適正使用の促進が52.7%、経費削減が30.8%、請求漏れ防止 が19.9%と、メリットはあったという回答がありました。集中治療室に関して も、同様の結果がアンケートで得られています。  今後、手術室や集中治療室等における医薬品の安全な使用と適正な管理に関 しては、薬剤師が積極的に取り組むべきであるということです。  7)高齢者に対する適正な薬物療法への参画です。高齢者の特性として、複 数の疾患を合併することによる多剤併用が多くなります。また、腎機能・肝機 能の低下などによって、薬物の体内動態も変動し、副作用が生じやすく、さら に視覚・聴覚機能の低下により、服用方法を遵守できない場合もあります。  今回の実態調査では、服薬困難な患者に対する適切な剤形選択、嚥下補助剤 の選択等の服薬支援の実施状況は、薬剤師数が2〜4人の施設では58.9%であ るが、10人以上の施設では74.3%になっているなど、薬剤師の人数が多いほど 実施率が高いことが示されています。今後、高齢化社会を迎えるに当たり、患 者の状態等に合わせた最適な薬物療法の実施に、こうした服薬支援業務等で薬 剤師が積極的に参画して、その専門性を発揮すべきだということです。  8)精神科領域薬物療法における患者の服薬遵守の向上です。今回の実態調 査からは、薬剤師が精神科の患者さんやその家族に対して、適切な服薬指導を 実施することで「服薬の必要性を理解できた」や「治療に対する参加意欲が向 上した」「副作用を理解し回避できた」等の成果が期待されていることが示さ れており、図5に示しております。  精神科領域の薬物療法では、患者の積極的な参加による服薬遵守の向上が、 治療上重要です。こうしたものは患者と医療従事者間の信頼関係の構築により 達成されるものです。薬剤師が薬物療法に関する情報を患者さん、あるいはそ の家族に説明するとともに、医師、看護師等に対しては、服薬指導等により得 られた情報も含めて提供し、情報を共有すべきであるということです。  9)チーム医療への参画による安全性の確保と質の向上です。感染制御チー ム、緩和ケアチーム、褥瘡対策チーム、栄養サポートチームへの参画です。こ れに関しては、感染制御チーム、緩和ケアチーム、褥瘡対策チーム、栄養サポ ートチームにそれぞれ医薬品の専門家として、薬剤師が関与すべきだというこ とを書いております。  感染制御チームでは、抗菌薬や消毒薬の使用や管理に関する業務。緩和ケア チームでは、疼痛緩和のために使用される麻薬の施用状況の確認や、麻薬に関 する正しい知識や管理法の説明も含めた服薬指導等を実施すべきである。褥瘡 対策チームにおきましては、患者の状態に合った薬剤の選択や治療材料等につ いて助言を行う等の取り組み。栄養サポートチームでは、適切な輸液選択など への支援、嚥下・摂食障害患者への投与方法の検討などの業務に参画すべきで あるということを書いております。  これらのチームに関する参画状況に関しては、薬剤師数が多いほど高いとい うことは、図6に示しております。薬剤師が医薬品の専門家として、これらの チームに参画し、質の高い安全な医療の提供に貢献すべきであるということで す。  10)個々の患者に応じた薬物療法への参画(院内製剤業務の実施と薬物血中 濃度の測定・解析による薬物療法の最適化)です。院内製剤に関しては、治療 上必要であるが、市販されていない場合や、患者の状態等により、市販の医薬 品では十分な対応ができない場合などにおいては、院内で製剤化がされていま す。このような院内製剤業務は、個々の患者に最適な薬剤を提供し、薬物治療 の効果を最大限に引き出すためにも、薬学的知識と技術を持った薬剤師が実施 すべきである。  今回の実態調査からは、薬剤師数が多いほど、院内製剤の業務実施率は高か ったという結果が示されており、図7に示しております。また、薬物療法の有 効性と安全性を担保して、個々の患者さんの処方へ反映させるためには、薬物 血中濃度の測定と解析による投与設計が有効なことがあります。薬剤師は医師 の指示のもとで実施される薬物血中濃度の測定と解析に関与することによりま して、最適な薬物療法の実施に、チーム医療の一員として、その専門性を発揮 すべきということです。  11)夜間・休日における薬剤師の業務の実施です。夜間・休日の時間帯にも、 医薬品に関連する医療事故がありまして、それは増える傾向にあって、夜間・ 休日においても薬剤師が勤務する体制を整備して、医薬品使用の安全確保を図 るべきであると。  今回の実態調査によりますと、薬剤師が10人以上の施設では、65.6%が夜間 の宿直体制をとって24時間対応しているのに対して、5〜9人以下の施設にな りますと6.4%に落ち込んで、当直体制が組めなくなるという結果が出ており ます。救急指定施設をはじめ、重症度の高い患者の多い施設においては、24時 間対応ができる体制を整備し、それ以外の病院においても、病院の規模や機能 を踏まえた必要性に応じて、オンコール等により、医薬品の使用に関して薬剤 師が責任を持って夜間・休日でも対応できる体制の確保に努めるべきである。  続いて、(2)医療の安全確保のための情報に関する業務です。本来ここで すと、1)、2)に戻るわけですが、本日は便宜上、連番とさせていただきまし た。  12)医療安全確保のための情報の共有化としております。今回の実態調査に よれば、医薬品に関連する医療安全確保のための情報の共有化を図るために、 医師の回診への同行や病棟でのカンファレンス参加への状況については、薬剤 師の数が多いほど高い結果であったということを図8に示しております。  医薬品を安全かつ適正に使用するためには、薬剤師が製薬企業や厚生労働省 等からの医薬品に関する情報を収集して、服薬指導や回診同行、カンファレン ス等で得た患者情報を解析・評価して、医師、看護師等に提供し、情報を共有 化することで、ここでも適切な薬物療法の実施にチーム医療の一員として参画 すべきであるということです。  13)医薬品の採用に必要な情報の収集と提供です。これは新規医薬品の採用 時におきまして、国内外の治験成績、承認審査時の報告書、添付文書等の情報 を収集・評価しまして、さらに薬剤経済学的な検討も行い、それらを基に薬事 委員会での資料を作成するなど、薬剤師が適正な医薬品の採用に関与すべきで ある。  今回の実態調査では、薬剤師が10人以上いる施設では、新規医薬品の採用時 に薬剤師が評価・作成した資料に基づいて、薬事委員会等で審議しているとい う施設が86.3%と高いことが示されております。また、後発医薬品に関しても、 品質、安定供給及び情報提供等の観点を重視した採用基準を薬剤師が中心とな って作成することが重要となる。後発医薬品の生物学的同等性試験の結果等の 品質確保に関する情報提供や市販後の使用成績調査等の検証についても、これ は国や製薬企業がまず実施するべきことですが、病院の薬剤師にもこうした情 報について説明して、医療関係者や患者が抱えている後発医薬品への不安感等 の払拭に貢献していくことが求められるというものです。  (3)その他取り組むべき業務です。ここも連番とさせていただきまして、 本日は便宜上14番といたします。14)教育・研修への積極的な関与として、今 回の実態調査では、薬剤師数が10人以上いる施設では、88%が実習生を受け入 れておりましたが、2〜4人の施設となりますと、15.3%の結果です。  人材育成の観点から、薬学教育6年制での長期実務実習の受け入れや、また、 がん薬物療法、感染症薬物療法等に精通した薬剤師養成等の卒後教育の充実へ の取り組みなども、薬剤師が積極的に取り組むべき社会的使命であり、今後さ らに努力が求められる。また、薬剤師は医薬品の適正な管理・取り扱いに関す る研修の企画立案など、院内の職員が常に最新の情報を共有するための教育研 修に取り組む必要があるということで、ここでは卒前教育、卒後教育、院内で の医薬品に関する教育の3点の教育に関しても関わっていくべきだということ です。以上、14項目が病院における薬剤師が実施すべき業務、役割に関しての 記述です。  3「あるべき業務と役割を踏まえた人員配置のあり方」です。(1)人員配 置に関する実態ということで、病院において勤務している薬剤師数に関しては、 病院報告によりまして、平成17年では4万119.6人であって、100床当たり勘算 で2.5人です。同様に25条に基づく立入検査の結果では、平成17年度の適合率 は90.7%で、前回の平成13年当時の検討会のときの85.4%よりは改善されてい ますが、北海道・東北地域では86.2%、近畿地域では96.3%などの地域格差が 見られます。  一方、今回の実態調査において現在の薬剤師数に関する認識の調査では、「 業務を遂行するのに十分な数が確保されている」と回答した施設は10.9%のみ で、これは病院の規模とは反比例の傾向がありました。また、業務を遂行する のに十分な人数には、あと1〜3人不足しているというのが35.5%、4〜10人 不足しているのは32.4%回答しておりまして、多くの施設では薬剤師が不足し ているとの認識でした。  さらに平成17年度の採用の困難性に関する調査項目では、常勤薬剤師の採用 が困難であると答えたのが19.7%、非常に困難と答えたのが34.1%、容易に採 用できたと回答したのは9.6%でした。このように医療法の人員配置標準に関 しては、9割以上の病院で満たしているものの、地域の格差がある。また、業 務遂行に十分な人員に達していないとの認識の病院が多いものの、採用は困難 であるとの実態が明らかとなっています。  (2)業務の多様化・複雑化、薬学教育6年制等による環境の変化です。今回 の実態調査におきましても、小規模な病院や薬剤師数の少ない病院でも実施し ているような病院がある一方、大規模な病院や薬剤師数の多い病院でも実施し ていない病院があるなど、その内容は多様化・複雑化している。また、病院の 規模に応じて求められる業務は異なるものである。さらにオーダーリングシス テム・電子カルテ等のIT化の推進による業務の効率化や、医薬分業の進展、平 成18年度から始まった薬学教育6年制への移行等の病院薬剤師を取りまく環境 が変化してきていることも、人員配置を考える上で考慮すべきであるというこ とです。  (3)人員配置のあり方です。病院薬剤師の役割の重要性が高まってきてい ることに関しては、本検討会においても改めて認識されたところですが、今回 の実態調査の結果と本報告書で提言した病院薬剤師のあるべき業務と役割を踏 まえた人員配置のあり方を検討すると、ということでポイントとして4点挙げ ております。  ア)現行の人員配置標準を満たしている病院は多いが、地域格差が見受けら れること。イ)勤務している薬剤師数は不足しているとの認識が多いが、採用 が困難であること。ウ)業務の内容は多様化・複雑化しており、その病院の規 模や機能により求められる業務は異なること。エ)薬学教育6年制が平成18年 よりスタートしたばかりであり、薬科大学・薬学部の新設、あるいは薬事法の 改正等の影響も踏まえた、今後の薬剤師の需給動向を見定めるべきであること。 こうしたことから、現行の配置標準をただちに見直す必要性までは認められな いものの、当該病院の規模や機能に応じて、個々の病院で必要な医薬品関連業 務の実施に十分な薬剤師数を確保していくことが重要と考える。  4「おわりに」、今回提言したあるべき業務を始めとする業務の実施状況、 薬学教育6年制の状況、IT化の進展等に注視し、それらの状況の変化に応じて、 必要が生じた時期に、改めてあるべき業務とそれらを踏まえた人員配置のあり 方について検討すべきである。  また、これら業務を実施することにより、患者の医療安全と薬物療法の質の 向上が期待される病院薬剤師の業務に関しては、診療報酬上の適切な評価がな されるべきとの指摘もあった。最後に、チーム医療への参画や、定期的な服薬 管理等の病棟業務を通じて、患者からも病院薬剤師の業務が理解され、患者の 信頼の下に「顔の見える薬剤師」と呼ばれるよう努力を求める、ということで 報告書案を作成しております。説明は以上です。 ○座長  どうもありがとうございました。ただいま検討会報告書の案について、詳し くご説明をいただきました。これからそれぞれの項目について、ご意見やご質 問を伺っていきます。報告書案の1頁目の目次、項目として1番から4番があ ります。1「はじめに」、2「病院薬剤師のあるべき業務と役割」、3「ある べき業務と役割を踏まえた人員配置のあり方」、4「おわりに」という構成に なっています。  これらの順番を追いながら、ご質問やご意見をいただきたいと思います。最 初に、1頁目の「はじめに」では、これまでの人員配置標準の見直しの状況や、 本検討会の設置の経緯について記載されております。まず「はじめに」につい て説明や資料に関するご質問も含めて、ご意見などありましたらお願いします。 よろしいですか。  それでは2番目の「病院薬剤師のあるべき業務と役割」についての議論をお 願いします。各業務に入る前に、1頁に記載されている部分について、説明や 資料に関するご質問も含めて、ご意見をお願いします。非常に業務が、医療技 術の進展によって高度化・多様化していることは、前回の調査をした中でもお 話が出てきておりました。そのようなことを明確にここに記載されております。 そういった認識の上に立って、いろいろなあるべき業務のことや、重要性、必 要性等々が述べられているところですが、よろしいですか。  続いて、病院における薬剤師の実施すべき業務として、14項目が挙げられて います。2頁目、(1)医療・薬物治療の安全確保と質の向上のための業務に 掲げられた、1)医療の安全確保のための薬歴に基づく処方鑑査の充実。2)患 者情報に基づく服薬指導と薬学的ケアの実施(病棟における医薬品関連業務へ の参画)。3)入院患者の持参薬管理。4)注射剤の処方せんに基づく調剤の実 施。この4項目について、ご議論をお願いします。 ○豊田委員  4)注射剤の処方せんに基づく調剤の実施のところで、この文章の読み方で すが、「今回の実態調査によれば」ということで、ほぼ70%の施設で薬剤師が 注射剤の処方を、調剤を行っているということで、2行目「実施されていたが 」、その次にいろいろあって「インシデント・アクシデント事例が報告されて いる」と言うのです。そのあと薬剤師がやるべきだと結んでいます。これはほ ぼ70%で薬剤師が注射剤の実施をしている。残り30%はしていない。これを含 めた全体で、それ以下のインシデント・アクシデントの事例が報告されている と、これは読めるわけです。最後の3行で、薬剤師が実施することが求められ るという結論に持っていくとすれば、この70%ではインシデント・アクシデン トは少ないがといったことになるのではないかと思いますが、いかがですか。 ○座長  まず、調査結果の事実からご説明をお願いします。 ○専門官  今回の注射剤の処方せんによる調剤を実施している施設と、そうではない所 とのインシデント等の発生率などの調査はありませんので、数字で実施してい る所では、インシデント・アクシデントの実施率が低いということは、説明で きる数字はないです。当然、実施している所でもインシデント・アクシデント は発生していると認識していますが、こういった処方せんによる調剤を実施す ることで、その率を下げることができるのではないかということで、提言とし ては注射剤の処方せんに基づく調剤を実施すべきではないかと書かせていた だいております。補足等がありましたら、伊賀委員にお願いしたいと思います。 ○伊賀委員  私からは、いまのご説明で事実に基づいた結果ということで、ご理解いただ ければと思います。 ○豊田委員  この部分は薬剤師によって注射剤調剤が行われていないとなると、誰がやる のかというと、実際は看護師がやっているという現状だと思います。そうしま すと、ここは非常に大事なのです。いままで看護師たちがそういうことをやっ てきているわけで、やはり、看護師ではインシデント・アクシデントに類する ことが多いので、だから薬剤師にやってもらいましょうと。この文章では、そ のほうがよろしいのではないかという言い方になりますよね。実際にそうなの かどうか。ですから、その根拠がなくて、もしそれを言い切ったとすれば、現 在、看護師も細心の注意を払いながら一生懸命やっている中で、その仕事がや や否定されたような形に受け取られ兼ねないです。 ○座長  大変重要なご指摘だと思います。 ○堀内委員  いまのところは、確かに病院における医療過誤の全体の中で、医薬品に関す る医療過誤が一番多いです。これは一般的に認められていることだろうと思い ます。それをどうやって防ぐのかということが、各病院で頭を悩ませている点 だと思います。その中で特に注射薬については、いろいろな要因によって過誤 が起こっているので、それを少しでも減らすために、ここに記載されているも のについて薬剤師がきちんとチェックして調剤を行う必要があります。当然、 病棟においては看護師と共同で仕事をやっているということになるわけです。 ですから、この言い方については、注射薬等に関する医療過誤全体の話をここ に持ってきて、調剤と結び付けるなど、文章の書きようは少し工夫する必要が あると思います。しかし、注射薬に関する医療過誤を減らすためには、注射薬 調剤を70%に及ぶ所でやるようになっており、通常の業務になってきていると いうことですので、それをすべての患者について実施すべきである、という意 味合いだろうと私は理解いたしました。 ○座長  豊田委員が危惧されていることを、私なりに推測しますと、いままで看護師 が多数行っていたから、いろいろな過誤が起こってしまったというふうに取ら れやしないか、ということをご懸念されておられると思います。それはまた別 として、やはり、薬のことを最も知っている専門家にこういった業務は委託す べきである、ということの後半はよろしいと思います。そこの表現の仕方を少 し工夫しないと、別な職種を非難するというようなことに取られ兼ねないと、 ご心配されているのではないかと思います。 ○廣瀬委員  いまの豊田委員のところですが、4)のインシデント・アクシデントの事例 というのは、医療安全ということで非常に重要なテーマですが、ここをこのよ うに言うというのは、調査結果のどれを基に言っているのですか。私はずっと 見て、照らし合わせているのですが、今回図が出ている中には、1つもそれは 該当しない図ですよね。それでしたら、前回の100項目の調査結果のうちのど この結果から、4)はこのような書き振りになっているのかという証拠みたい なものはどこなのですか。そこが私はわからないのです。 ○堀内委員  ここの具体的な例が出ているのは、一般的な注射薬等に関する医療過誤の要 因として、これまでいろいろな所で言われてきていることが挙げられていると 思います。ここに「実態調査によれば」という文章が入っているので、混同さ れる可能性があると思います。一般的にはこういうことが言われていることは 間違いないと思います。  どこに要因があるのかというと、薬剤師、看護師、医師などいろいろな職種 の人が関わっていますので、この文章を一番前に持ってきてしまうか、切り離 して書きようを少し改善したほうがいいかと私も思います。 ○専門官  事務局から補足いたします。おっしゃるとおり、この書き方ですと、あたか も今回の調査によればインシデント・アクシデントが多くなっているというふ うに誤解されてしまうので、不適切だというのはご指摘のとおりだと思います。  ここの部分に関しては、前回の資料で付けている「医療事故情報収集等事業」 において、薬剤関連の医療事故の報告が多いもので、インシデント・アクシデ ントの発生の要因として、注射剤の取り違いが多々報告されているということ を持ってきていますので、ここは出典として「医療事故情報収集等事業によれ ば」と追記したいと思います。 ○座長  少し文章を誤解のないように整えたいということです。そのほか、何かあり ますか。大変重要なご指摘をありがとうございました。よろしいですか。それ では次に進みます。  次は3頁の5)がん化学療法への参画、6)手術室、集中治療室等における薬 剤師による医薬品の適正管理、7)高齢者に対する適正な薬物療法への参画、 8)精神科領域薬物療法における患者の服薬遵守の向上、この4項目について 議論をお願いします。また、説明や資料に関するご質問も含めて、ご意見を賜 れればと思います。ここの項目では、薬剤師がいろいろな業務にチーム医療の 一員として参画していくべきである、あるいは参加するという役割について多 く述べられているようですが、何かありますか。よろしいですか。  次は4頁の9)チーム医療への参画による安全性の確保と質の向上(感染制 御チーム、緩和ケアチーム、褥瘡対策チーム、栄養サポートチームへの参画)、 10)個々の患者に応じた薬物療法への参画(院内製剤業務の実施と薬物血中濃 度の測定・解析による薬物療法の最適化)、11)夜間・休日における薬剤師の 業務の実施。3項目について同様にご議論、あるいはご質問、ご説明などして ほしいということについて、ご意見をいただきたいと思います。 ○山崎委員  11)夜間・休日における薬剤師の業務の実施のところですが、休日や夜間に おいて、薬剤師が病院で勤務しているときの診療報酬上の加算というのは、い まは付いているのですか。 ○伊賀委員  現在は付いておりません。今回、私どもとしてはそういった加算をお願い、 要望をしているところです。 ○山崎委員  それならそうで、この文章にそういう内容のことも書いてほしいと思います。 薬剤師をいろいろな所に付けることについては賛成ですが、それを付けたこと によって、病院の経営に支障を来たすような状態というのが、実際起こってい るわけです。現在も会員病院で薬剤師の給与を含めた計算をして、診療報酬上 どれだけの金額が病院に入っているのか、調査したことがありますが、薬剤師 の給与の半分ぐらいしか病院のほうには入ってこないのです。  したがって、薬剤師を雇いたくても、雇えばそれだけその経営を圧迫すると いう実態になるわけですので、いいことはいいことなのでしょうけれども、診 療報酬上の裏付けが必要になるとか、という文章も入れていただきたいと思い ます。 ○専門官  診療報酬の話は、前回の検討会の中でも先生方からご指摘をいただいており ます。これに関しては個別のところに書くのではなく、7頁の最後の「おわり に」のところに、こうした業務できちんと薬剤師が関与することで、医療安全 や薬物療法の質の向上が期待される業務に関しては、診療報酬上の適切な評価 がなされるべきとの指摘があったと、総論的に書かせていただいております。 ○座長  11)の一番最後の文章で「薬剤師が責任をもって夜間・休日に対応できる体 制の確保」ということは、そういった診療報酬なども含まれていると解釈して よろしいですか。 ○専門官  ここに含まれているというよりも、当然、確保されていくにはそういったも のも必要だというのは事実ですので、そういった意味では、含まれていると解 釈できると思います。 ○鈴木委員  確認だけで、問題がなければそれでいいのですが。褥瘡のところですが「薬 剤の選択と適切な治療材料等」というところがあります。「等」は問題ないと 思いますが、「適切な治療材料」もやはり薬剤師の業務になってくるのでしょ うか。これはどちらかというと看護師だと思っていますが。 ○専門官  ここは当然、看護師やドクターとチーム医療の一員としてということであっ て、薬剤師も治療材料に関しても、結局、医薬品メーカーが作っていることも ありまして、その辺の情報を持っていることもありますので、薬剤師が単独で ということではなく、チームの一員として、こういった材料に関しても、アド バイスなどをしていくべきだと書いております。 ○座長  そのほか、何かありますか。よろしいですか。次に5頁、(2)医療の安全確 保のための情報に関する業務です。12)医療安全確保のための情報の共有化、 13)医薬品の採用に必要な情報の収集と提供、(3)その他取り組むべき業務 として掲げられた、14)教育・研修への積極的な関与、この3項目についてご 議論をお願いします。 ○村上(恵)委員  12)医療安全確保ということで、下から2行目「医師、看護師等に提供し」 という言葉があります。病院にも歯科医師はいますので「等」に歯科医師が含 まれているという解釈でよろしいのですか。この辺のご確認をいただきたいと 思います。  この検討会で言う場所ではないかもしれませんが、訪問診療で、我々が病院 施設へ伺ったときに、よく義歯の裏に粉薬がべったりくっ付いているというケ ースがかなり見受けられ、多いのです。ここで言うことではないかもしれませ んが、ちょっとその辺のところもご配慮をいただければと思います。 ○専門官  ここで言っているチーム医療というのは、歯科を扱っている病院では当然歯 科医師も入りますし、歯科技工士などの医療従事者に関しても、「等」の中に 含めております。 ○座長  義歯の裏にそういった薬が蓄積してしまうという業務についても、やはり、 歯科医師の参画の下にコントロールがほしいということですね。そういったこ とは細かい各論にはなるのですが、役割の中で何か表現されているところはあ りませんか。 ○専門官  案の中ではそういったところはないですが、もちろん医師等、ここの情報を 提供してくる、情報をカンファレンスとかで得るといったところには、当然歯 科の病棟に関しては、その辺のカンファレンスに参加して、歯科医師や技士さ んが、あるいは歯科衛生士がそういったことが問題になれば、薬学的観点から その辺のアドバイスをすることも当然薬剤師の業務になる、ということでは明 確にはなっていませんが、少なくとも12)ではそういったこともやっていくべ きだと書いているつもりです。 ○村上(信)委員   これは一般病棟も含めるわけでしょう。 ○専門官  おっしゃるとおり、一般病棟でも、当然歯科医師さんが定期的に訪問されて 診ていると思いますので、そこで何かこういう問題が患者さんにあるよという ことであれば、当然、カンファレンスの中で歯科医師から出てくるでしょうか ら、そこでも薬剤師は同じく情報共有するということです。 ○村上(信)委員  歯科医師よりも、歯科衛生士ですよね。 ○専門官  もちろん、歯科衛生士も当然含まれております。 ○座長  これはあえて医師、歯科医師という項目として書かなくてもよろしいですか。 ○専門官  明記したほうがいいというご指摘であれば、「医師、歯科医師等」とか、直 すことは当然可能です。 ○座長  というのは、やはり、まだそういうことに関して、歯科医師とのコラボレー ションと言うのでしょうか、現実には、なかなかチーム医療に診療現場はいっ ていることが少ないように感じるので、あえてプロモートした方がいいのかな という印象なのですが、いかがですか。 ○村上(恵)委員  私としては入れていただければと思いますけれども。ご賛同いただければ。 ○堀内委員  義歯の裏に医薬品がくっついているとか、残っているというようなこと自体 は、ある面では薬剤師もまだあまり十分に認識していないことかもしれません。 それが何を起こすかというようなことも、是非教えていただきながら、適切な 対応を薬剤師がすることは大事なことだと思います。歯科医師は是非入れたほ うがいいと思います。 ○座長  案を作っていく上で、文章上は何か問題はありませんか。 ○専門官  カンファレンスや参加のところで、歯科医師や歯科衛生士とも情報を共有化 していくということで、歯科医師や歯科衛生士を記載することにさせていただ きたいと思います。 ○座長  そのほか、何かありますか。 ○豊田委員  この頁のここのところで表題が関わりますので、ここで言うべきか、あるい は一番最後に言うべきか分かりませんが、ここまでずっとやってきたところで、 非常に大事なことは、すべてについて服薬指導が非常に大きな役割をもってい る。要するに、薬剤師の業務として薬そのものを見る、あるいは他のスタッフ との情報の交換、もう1つは、患者さんと直接接するという、服薬指導という 業務を通じていろいろな問題がここに関わってきていると思います。  この頁の最後にもありますが、例えば後発品の問題などは、最近、それが効 くとか効かないとかという議論が出ていまして、あるデータによれば半分以上 の人たちが不安を持っているとか、そういった否定的なデータもあるわけです。 1つは、製剤そのものがそういう効果がないということもあるかもしれません。 一方では、後発品という薬は、長年同じ薬を飲んできて、それが新しい製剤に 変わるわけです。そうしますと当然、会社が変わったり、内容が同じでも、製 剤の形が変わるわけですから、患者さんというのはいままで一定の薬を飲んで いて、それが変わることに関しては、ほとんどの患者さんが不安を持ちます。 内容が同じで、全く同じものでも。私は薬が効かないのもあるかもわからない と思います。その辺は国の仕事でもあるということも書いていますが、その辺 の情報を薬剤師が集めることは大事でしょう。  もう1つは、実際に患者さんと接して服薬指導をするときに、その薬の説明 をすることについて、もちろん医師も説明しますが、十分に納得いくように説 明してあげることが、患者さんの療養に対する安心感を与えるということで、 非常に重要だと思います。一貫して、病院の薬剤師の業務の中には、そういっ た服薬指導、要するに対患者さんとの接点がありますので、この辺の質の向上 といいますか、この内容を充実させることによって患者さんの療養に非常に大 きな安心を与える役割を担っているということを、是非、どこかに。最初に、 これはどこでもやっているので服薬指導は除くと書いてあるのですが、非常に 基本的な問題だと思うので、是非、どこかにそれを入れていただきたいと思い ます。 ○座長  大変重要なご指摘だと思います。「はじめに」か「おわりに」の辺りで、文 章を作っていただくということでよろしいですか。是非、入れていただきたい し、病棟薬剤師といいましょうか、服薬指導といいましょうか、そういうこと も本質的なことだと思いますので、お願いしたいと思います。 ○山崎委員  13)医薬品の採用に必要な情報の収集と提供のところの2行目、薬剤経済学 的な検討というのは、どういうことをやるのですか。 ○堀内委員  薬剤経済学的検討というのは、最近、いろいろな観点から行われていると思 います。1つは、最近は病院の経営もなかなか厳しくなっておりますので、そ の中で、医薬品が占める割合は大変大きいわけで、それをどうするかという観 点。もう1つは、患者さんに対して、我々の病院では包括化されているので患 者さんには問題にならないかもしれませんが、外来の患者さんや、それ以外の 包括されていない病院等については、できるだけ医薬品費が安くなるように、 同等の効果を示すもので、どのような使い方をすれば経済的に有利であるかと いうような問題、特に新薬の採用の際に、どのような薬を使ったほうが妥当か というような情報提供はよくやっています。  経済的な面というと、病院としての面と患者に対しての面、両方の観点から 考えるというのがこれまでやっていることだと思います。 ○座長  そのほか、ございますか。 ○倉田委員  8)精神科領域薬物療法における患者の服薬遵守の向上というところで、薬 剤師が患者やその家族に適切な服薬指導を行ったことによる、それ以降のいろ いろな成果がここに書かれていると思うのです。精神科領域で働いている薬剤 師の人員配置は、今150人に対して1人ですが、これで満足しているとか、も っと人員を増やしてほしいというような要望はどこかに書かれていたのでしょ うか。 ○伊賀委員  これは厚生労働省の報告書なので、そういった具体的な数字を入れることに ついて、私どもとしては、ここで明確には述べられませんが、実際には、可能 な限り充足するような形でお願いしたいということです。 ○座長  具体的な数値よりも、是非必要な職種であるという記載にはなっているよう ですが。 ○伊賀委員  十分にこういったことが行えるだけの数を確保していただければと、私ども としてはそういった形でお願いしたいと思います。 ○座長  報告書案としては、そういう意思を含んだ表現にするということでよろしい のですね。委員のご意見は十分配慮します。数値としての表現はいろいろ検討 しなければならないのですが、必要であるという要望はしたいと。 ○倉田委員  よろしくお願いいたします。 ○専門官  この後ご議論いただく人員のところになるのですが、数値どうこうというよ りも、今回の提案では、個々の病院の規模や機能に応じて必要な数を確保すべ きだという結論にしておりますので、そこでは当然、精神科だけではなくて、 すべての業務に関して今足りないということであれば、そこを確保していくこ とが求められるということで、今回の報告書案は作成しております。 ○堀内委員  「その他取り組むべき業務」というところで、7)に高齢者についての取り 組みがございました。医療安全の観点から考えますと、小児に対する薬物療法、 未熟児に対するNICUでも同じことですがまだまだ経験でやっている所もありま すし、少量調剤、投与量の設定の問題等いろいろ難しい点があると思います。 処方設計の段階からディスカッションをしたり、処方せんに基づいて調剤をす る場合に、薬剤師が間違えないことが極めて重要になってくると思います。  もう1つは、治験に関して薬剤師がかなり関与する。実際上、薬剤師が関与 しないと、病院ではなかなか治験が進まないということもあると思いますので、 その点について、文言はどうでも構わないのですが、薬剤師の業務として入れ ていただければありがたいと思います。 ○座長  治験については、どこかに入っていますか。 ○専門官  今回、いまの案では14項目掲げていまして、量もかなり多くなっています。 正直、事務局として、治験も当然重要な業務の1つだと認識はしていたのです が、案からは落としてしまいました。追加すべきであるということであれば、 項目立てしないまでも、小児に対する薬物療法の関与や治験への関与、地域の 薬局との連携、在宅医療への協力等の落としてしまったことを総論的に、15) その他という項目を起こす。それでよろしければ、是非ともそうしたいので、 ご意見をいただきたいと思います。 ○伊賀委員  薬物療法に関しては、小児と同様に妊婦、授乳婦といった婦人科領域も医師 の負担も大変大きいということで、私どもとしては、追加していただければと 思います。よろしくお願いいたします。 ○座長  では、項目を立てるというよりも、その他として、こういうことがあるとい う主張をしていただくということでよろしいでしょうか。そのように進めるこ とにしたいと思います。  まだご意見がおありかと思いますが、先に進めさせていただきます。次は人 員配置のあり方についての議論になります。報告書案の6頁の3「あるべき業 務と役割を踏まえた人員配置のあり方」についてから7頁の4「おわりに」ま で、記述を含めて、説明あるいは資料に関するご質問、意見等、ご議論いただ ければと思います。 ○大井委員  私どもは東京都で病院に対する監視をやっている立場ですが、最終的に今回 の検討の結論として、人員配置基準をただちに見直すのは難しいという結論は やむを得ないかと思っているところもあります。しかし、病院の規模や機能に 応じた薬剤師の配置や業務分担のあり方が当然あるべきだという部分について は、この病院ではこういったあり方が適切なのかどうかということについて、 本当に病院任せでよいのか。あるいは、例えば今、医療監視については医療安 全確保の状況にまで一歩踏み込んだ形で行われていますので、ある部分は我々 行政のほうが判断しなければいけないのかどうか、そこが分かりにくいのです。 これについて答えが出てくるとは思えませんが、そういう印象を受けています。 医療安全の観点から、業務内容まで指導を行うことがあるとすると、東京都で は今かなり厳しくやっているので、なかなか難しいと思います。  今回の1)〜14)までの記述を見ますと「であるべき」という記述がかなり 多いのです。薬剤師がやるというのは、職種、プロフェッショナルとしての薬 剤師の努力で参画すべきだとか、そういう表現が非常に多く、看護師ではなく て薬剤師がやるべきだというような表現はあまりないので、そういう意味では 大きな影響はないのかなと思っていますが。  ただ、1つだけお願いがあるのです。(3)のイ)に、勤務している薬剤師 数は不足しているとの認識が多いが、採用が困難であるというような表現がご ざいます。今日の議論の中でも、薬剤師は医療安全確保に関わっていくべきだ という議論が多くなされました。医療安全確保に関わっていくということは人 の命の問題ですので、採用が困難だからという理由で、やむを得ない、駄目だ という表現は適切ではないだろうと思いますので、ここの表現は、そういった 表現ではないものに変えていただきたいと思います。 ○座長  いくつかご指摘をいただきましたが、最初のところ、薬剤師業務が円滑に、 あるいは安全に行われているかということのチェックというのは、病院全体で、 いくつか監視を受けることがあるかと思うのですが、それとは違った特別なも の、薬剤師に特化したものがあるべきだというご意見なのでしょうか。 ○大井委員  そういうことではなくて、今回、配置は見直さないが、業務としてはこれを やるべきだというところだけが書いてある。そうすると、薬剤師の配置がない 中で、実際には数がいないから薬剤師はその仕事ができないという部分がある。 私たち指導する立場からは、どこを取って、どこを指導基準に置いてよいのか ということが難しくなるという印象を受けているのです。 ○専門官  今回掲げた14項目、そして、今日「その他」を追加すべきであるということ で15項目になるのでしょうが、それらは薬剤師がやらないと医療法違反に問う といった性格のものではございません。こういった努力をすべきだ、あるべき だというのが今回の整理でございまして、これをやっていないから医療法違反 として行政が指導をするということではない。規模に応じて、ほかの病院がや っているのであれば、お宅もやったほうがよいのではないか等、アドバイスレ ベルでは是非とも行政にお願いしたいと思うのですが、これは決して強制する ものではないということは、ご注意いただきたいと思います。  それから最後の、採用が困難であることを理由にして、配置標準を見直す必 要がないというのは、おかしいとのご指摘は、そうつながってしまうと、おっ しゃるとおりです。ここは他の委員からも事前に指摘されたところでもありま すが、採用が困難だから見直さないと、つなげるのではなくて、ここに掲げた ア)〜エ)のバックグラウンドがあるということを総合的に踏まえると、ただ ちに人員配置標準をいじる必要はないのではないかという書き振りです。より 適切な表現があったら、採用が困難であるという部分についても直したいと思 いますが。 ○倉田委員  いまの「薬剤師数は不足しているとの認識が多いが、採用が困難であること」 という文章に私も引っかかっています。その前の頁の人員配置に関する実態の ところで、実態調査において「業務を遂行するのに十分な数が確保されている」 と回答した施設は10.9%、わずか1割なのです。ほかの9割の方たちは、これ では不十分であると言っているにもかかわらず、この最後の1行になってしま うのは、やはり納得がいかないので、もう少し書き方を変えていただきたいと 私も思います。 ○座長  いかがでしょうか。 ○村上(信)委員  しかし、現実に採用は困難なのです。困難ではないのだから採用基準を決め ましょうと言ったら、病院は大変なことになるという現状があるのです。だか ら、確かに理想論でしかありませんが、現在はこういう形で、こういう方に向 かっていきましょう、今後の検討課題にしましょうというぐらいしか書きよう がないのではないかと思います。この文章をこれ以上いじることができるとは 私には思えません。 ○倉田委員  医療を受ける者の立場として、増えてもらいたいと。 ○村上(信)委員  そうですが、現実には、このようにしか書きようがないでしょうと、医療を 行うほうの立場としてはそう言いたいのです。申し訳ございません。これだけ のことをやりましょう、やるべきですよ、みんなでやっていきましょうと書い てあるわけです。しかし、医療の現実はまだこうだから、その改善を今後みん なでやっていきましょうと、そういうことで理解していただくしかないのでは ないかと思うのです。 ○座長  (3)の最後に「必要な医薬品関連の業務が実施されるのに十分な薬剤師数 を確保していくことが重要である」と記載してあるのですが、これでは片手間 なのでしょうか。 ○専門官  確かにイ)の書き振りで、「採用が困難である」と断定的になってしまって おります。しかし、それはあくまでも実態調査の結果で、不足しているとの認 識が多かったが、一方で採用は難しい状況であったと、断定するのではなくて、 今回の実態調査ではそうであったということが分かるような表現に直したい と思います。  それから、いま齋藤座長からご指摘いただきましたように、この検討会の結 論のところは、十分な薬剤師を確保することが重要であるということで、決し て薬剤師を増やす必要がないという結論ではございません。配置標準をただち に見直す必要性は認められないというのが、検討会の人員のところの結論の案 になっておりますので、決して薬剤師は要らないということにつながるもので はないということで、ご議論いただければと思います。 ○豊田委員  精神科の部分で山崎委員のご意見を伺いたいのです。3頁の8)精神科領域 薬物療法における患者の服薬云々の話ですが、ここの文章は、突然ほかの文章 と変わるのです。確かにこのとおりに、薬剤師に服薬指導をしてもらったら大 変よかったと、こういう事例があることも事実だと思いますが、精神科の心理 療法を含めて、患者と医師との対話の中では、薬物について、これを理解して 長期的に継続してもらうということは、常に非常に大きな問題なのです。治療 が中断しないように、医師もかなりのエネルギーを割いているわけですし、他 職種、薬剤師の専門の立場から言ってもらうこともある。全体を含めて、こう いった話は出てくるので、わりあい格調高く書かれているのですが、ここの表 現はちょっと。この辺の文章は書き直したほうがよいのではないかと私は思う のです。精神科というのはチーム医療の最たるものです。そういった意味で、 こういう事例を具体的に書きすぎではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○山崎委員  豊田委員も同じ精神科医で、精神科病院をやられているので、そういうご意 見なのでしょうが、私は、この文章でよいような気がするのです。具体的に、 どこをどう変えればよいのですか。 ○豊田委員  括弧付きで文章が付いています。これによって良くなった、したがって薬剤 師を入れるべきだということですが、そういう単純な書き方ではなく、もう少 し一般化した書き方にしたらいかがかという意味です。 ○山崎委員  そういうことですか、わかりました。 ○専門官  カギ括弧で引用するのでなくて、一般論として、そういった服薬遵守の向上 が見受けられたというぐらいにするということですか。 ○豊田委員  そういうことです。 ○座長  わかりました。そうさせていただきたいと思います。この領域をまとめて書 くというのはそう簡単ではないのかもしれませんが、是非、そういうご意見も 取り入れて、まとめていただきたいと思います。まとめる経過中にはいろいろ 先生方のご指導もまた、よろしくお願いしたいと思います。では全体を通じて 何かございましたら、どうぞ。伊賀委員からは何か追加がございますか。 ○伊賀委員  この中で十分、私どもが従前からお願いしている体制整備についての重要ポ イント等もまとめていただいています。今日ご指摘いただいた点を含めて、私 どもとしては、これを受けて更に一層業務に励んで、我々の業務が評価され、 それが最終的には数の確保というものに結果として結び付く、また、診療報酬 の裏付けもしっかりといただける形になっていければということで、この報告 書については、今回ご提言いただいたものについて今後一層の努力をしたいと 考えます。 ○倉田委員  「おわりに」の最後の行に「顔の見える薬剤師」と書いてあるのですが、実 態調査をしていただいたお蔭で、私ども一般人にも分かるような、こういうこ とをしているということがたくさん出てきたと思うのです。折角これだけの業 務をしているということが分かったのですから、やはり情報公開をしていただ いて、一般の者たちにも、こういう業務があって、薬剤師はこうして活躍して いるということをもっと広く公表していただきたいと思います。それは行政の やる仕事でもありますし、病院薬剤師がしてくださる仕事でもあると思います ので、よろしくお願いいたします。 ○座長  公開ということで、どういう手法をとるのですか。 ○専門官  当然、今日参考資料でお配りしている集計表等は公開資料でして、今日、一 般の方にもお配りしております。最終的な報告書をまとめていただいて公表す る段階ではホームページに載せますので、この検討会でのアンケートの結果と その報告書も同じページに掲載することにしたいと思っています。 ○村上(信)委員  ホームページは見ないから、こんなのは読みはしない。ですから、こういう ことをやっていますということで、薬剤師会のほうでもどんどんこの結果をア ピールして出すべきだと思うのですが、どうでしょうか。 ○伊賀委員  薬剤師会の委員はそちらにおられますが、併せて私どもとしても、今回まと めていただいたものを、例えば冊子として作成し、それらを広く一般国民の方 や皆さん方に配布するようなことも、十分、今後させていただきたいと思いま す。 ○座長  日常業務でも、薬剤師自ら、こういうことをやっているとアピールされるの もまた一つかもしれません。 ○伊賀委員  「顔の見える薬剤師」として、一層配慮しますので、よろしくお願いいたし ます。 ○倉田委員  病院の薬相談のカウンター等、薬関係の所は結構あると思うので、そこに、 私たちはこういう業務をしておりますというように書いていただくと、私ども としては、一番分かりやすいのです。 ○座長  素晴らしいアイディアだと思います。 ○伊賀委員  病院薬剤師会としても、そういったものは作ってあるのですが、おそらく、 まだ十分普及していないということで、倉田委員のご指摘のように、今後一層 分かりやすくするということにさせていただきたいと思います。 ○鈴木委員  「はじめに」で「以下『病院薬剤師』という」と表現されています。2でも 「病院薬剤師の業務は」となっているのですが、先に行くと薬剤師だけで「病 院薬剤師」と、きちんと書かれていないのですが。 ○専門官  各業務の中で「病院薬剤師」としないで「薬剤師」と使っているのは、病院 の中での資格を表すという意味で、医師や看護師に対応する言葉で薬剤師とい う言葉を使っています。当然、ここは病院における業務を整理していますので、 ここでいう薬剤師は全て病院薬剤師になっています。 ○座長  委員としては「病院薬剤師」と。 ○鈴木委員  そうでないと、発信したときに、受け取る側が混乱するのではないかと思う のです。 ○専門官  「病院薬剤師」と明記すべきだというご意見ですので、そのように修正させ ていただきます。 ○山崎委員  薬剤師の将来像ということなのですが、病棟を中心にして調剤業務をしてい くことを目指すのか、あるいは現在のように、外来を含めて、調剤をしながら 薬剤指導をしていくという仕方をしていくのかというのをお聞きしたいと思い ます。アメリカの場合、薬剤師1人について調剤士が3人ぐらいいるという制 度がありますが、そういう形で調剤業務を薬剤業務から外すのか、あるいは薬 剤と調剤とを現在と同じ形で、2つを薬剤師の業務とするのかお聞きしたいの です。  病棟にそれだけ薬剤師を張りつけるということになると、薬剤師はかなり足 りないわけです。今日の参考資料の4にあるように、精神科の場合は一般科に 比べて薬剤師の配置が少なくてもいいという実態があって、一般科では90%台、 精神科の場合は80%台という実態があるわけです。そういうことを考えると、 もう少し薬剤業務の本体、薬剤師というのはどういうことを目指すのかという 将来ビジョンがあってもよいと思うのですが、いかがでしょうか。 ○伊賀委員  ご指摘のように、従前は確かに調剤を中心として病院薬剤師も業務を行って きました。しかし、今回の実態調査にもございますように、非常に広範な病棟 活動を中心とした内容で、現状では進んでおります。ただし、調剤は基本です ので、これを全く離すということはないと思います。テクニシャン的な方を採 用していただけるかどうか、それは経営上の問題といいますか、別問題ですが、 私どもとしては、調剤は基本的な業務と捉えております。その比率が、病院の 薬剤師においては今ではかなり低くなっていますが、逆に言えば、やるべき業 務がもっと多様化している。これに向けて、私どもとしては、より高い専門性 も加味して今後とも進めていきたい。これが6年制の薬剤師の将来像でもある と考えております。 ○堀内委員  私も、薬剤師にとって調剤は基本になる業務だと思っています。薬のこと、 調剤を知らないで病棟へ行っても、きちんと服薬指導も、医師や看護師との議 論もできないと思います。単に薬を取り揃えることが調剤ではありません。な かなか奥が深いものがあります。基本的には、薬剤を取り揃えるのは時間はか かりますが、調剤のごく一部です。薬について十分に理解をするという観点か らも、調剤は大変重要だろうと思います。したがって日本式の薬剤師が調剤全 般について責任を持ってやるというのは、妥当ではないかと考えております。 ○鈴木委員  いまの問題を私も考えているのですが、まず、1頁目の下から3〜4行目に 「当然である業務に関しては、記載していない」こと、また「おわりに」でIT 化の進展等に注視し、状況の変化に応じて改めるべきことは云々というような ことで、検討については書かれているので、その部分はあえて要らないのかと 理解しておりましたが。 ○廣瀬委員  今回の検討会は、1頁に書いてありますように、薬剤師の業務と配置状況に ついて、まず実態調査を実施して、その結果を踏まえて今日の報告書の記述に なっているのだと思うのですが、おそらく、今後の病院薬剤師のあるべき業務 と役割を整理するという意味で検討会の報告書というものが大きく影響して いくと私は思っているのです。  そのときに、2「病院薬剤師のあるべき業務と役割」の(1)で1)〜11)ま でありますが、優先順位の高いものから先に並べてあるのかと私は思ったので す。実際のアンケートでは順番が違っているわけです。もし、そうでしたら1) 〜4)まではすごく重要なことだと思うのです。それでしたら、11)までの中 で図が出ていないものは全部図を入れて、「今回の調査において」とセットで いけるような書き振りは必要だと思うのです。  例えば、2)服薬指導等には図がないですし、4)注射剤の処方せんにも図が ないのです。あとは、5)がん化学療法への参画にも図がない。7)高齢者も図 がないですし、11)にも図がありません。1回、2回の中で出された参考資料 の中からものを言っているというのが1点先ほどありましたが、そういう話と 込みになっているような気もするのです。  本来の業務の調剤の比率がすごく減ってきていると、先ほどどなたかがおっ しゃいましたし、院内処方が思ったよりも進んでいるということが、前回出て いたと思うのです。そうなったときに、医療・薬物治療の安全確保ということ を国民の側から見たときに、薬剤師がどこを「マスト」でやるべきか、そこの ところの書き振りがいま一つ甘いのかなと、皆さんのご意見を聞いてそう思い ましたので、1)〜11)までについては、どの実態調査からこれを言っている のかという図は、全部付けていただきたいのです。  もう1点。9)チーム医療への参画は、診療報酬上算定している4つを挙げ ているだけの話ですが、チーム医療と言ったときの言葉の使い方です。今でも、 診療報酬上の算定でないものについても日々チーム医療としてやっているので す。だから、ここも言葉が誤解を招く書き振りかと思っていますし、先ほどか ら出ているように、9)というのは、実態は何も出ていなくて「あるべき」で 終始した書き振りになっているので整合性を、今回の実態調査からこういう数 値が出ている、そして「あるべき」というようにする。ちょっと偏っていると ころがあり、バランスがちょっと悪いかと。  この検討会は看護師も注目して見ると思います。薬剤師に「マスト」でやっ てもらうというのは、1)以下の重点のどこに力を入れてもらって国民の安全、 安心の医療に貢献するのか、そこのところがもう少し見えたほうがいいかと思 いました。 ○座長  多くの人の目に触れ、見てほしいという願いがあるのは当然のことだと思い ますので、いまご指摘の点については調査データの引用を入れておけばよろし いと。図がたくさん入ってしまいますと、逆に読みにくいというところもある のではないかと思いますので、データとして、きちんと取ることのできたデー タについては、ご指摘のところに引用の形で図を作って入れておく、というこ とでよろしいかと思うのです。  チーム医療については、確かにこれ以外にもまだ公式化されていない、病院 独特のいろいろなチームがあるかもしれないので、そういったことを表現の中 に入れる、それはできますか。 ○専門官  まず、図についてはほかにも入れることは可能です。出典に関しては、基本 的には今回の実態調査が基本でありますが、先ほどご指摘を受けた、ハイリス ク、インシデント・アクシデントが注射剤の処方のところで多いというのが、 唯一この実態調査ではなくて、医療事故情報収集等事業によるものであるとい うことで、引用のところは明確化することで、基本はこの実態調査であるとい うことになると思っています。  1)〜11)までの順番なのですが、特に事務局としては、1)が一番重要だと いう意味で作成したつもりはございません。流れに沿った形ということで、実 際に処方する前、処方した後の服薬指導の話だとかという順番は多少意識しま したが、特にこれで優劣をつけるような意識はしておりません。 ○座長  いまのようなことでまとめていきたいと考えるのですが、よろしいでしょう か。 ○廣瀬委員  チーム医療のところは書き振りを少し直していただいて。 ○専門官  他のチームにも参画していくべきだということは、一言入れるようにいたし ます。 ○座長  すべてというよりも、このようなチーム医療が各病院にあるが、という話か もしれないのですが。そのほかには何かございますか。 ○堀内委員  今回のこの報告書は実態調査に基づいて、ただ実態の現状だけではなくて近 未来まで、どこまで病院薬剤師が業務を展開するかということを明文化したも のです。いろいろ「すべきである」という表現になっていますが、明確に示し ていただけたということで、これが薬剤師の業務として目に見えるようにする という問題もあるかと思いますが、大変結構だと思います。そのためには人が 要るので、医療機関の体制に応じて、十分な業務ができるための薬剤師数を確 保することが必要であることを明記いただきました。それぞれの病院にはいろ いろご事情があると思いますが、今後、実際に業務を進展できるような薬剤師 の配置体制が、各々の病院で作られていくことが期待できると思っています。 ○山本委員  先ほど調剤の議論がありました。これは、病院の中で、調剤は何かという議 論になってくるのだろうと思います。前回の会議のときに山崎委員からご指摘 があって、医薬分業率が高いというお話がありました。院内投薬がなくなると 調剤業務はどこへ行くのだという議論をされますと、本来は調剤そのものが外 へ出てくるわけです。開局薬剤師からすると、そのことも重要ですし、病院の 中でおやりになっているようなことも外来では同時に起こるわけです。  調剤そのものの概念は、今までは情報が付かない形で、実行行為だけが問題 であったものが、むしろ仕事が変わってきて、調剤そのものに加えて情報が付 いた形での調剤業務に変わった。それが実は病棟業務に入ることでありますし、 院外の我々で言えば、記録に基づく調剤ということになります。この辺りの調 剤の概念は、先ほど薬剤師の将来像をどうするのだというお話でしたが、かつ てのような物に特化した、そこに焦点を合わせた仕事のやり方から、物にまつ わる情報、あるいはその物を使う方々の情報、あるいは、それを共有する情報 がぐるぐる回りながら「調剤」という概念になっているということだけご理解 いただければと思います。  病院薬剤師がどこで働くか。病院の中で働きながら、実は調剤行為を捨てて いない、結果として薬を提供するという調剤行為が入ってくる。では外来はど うなるかと言うと、外来の患者については院外の保険薬局に任せつつ、必要な 部分だけ中に残す。外の保険薬局は何をするかと言うと、同じように地域の中 で情報提供しつつ、共有しながら、むしろ医療連携をとるということが問題に なるだろうと思います。  調剤という言葉が薬剤師にとっては極めて放せない概念なので、そこはどう してもこだわるわけですが、実は、調剤の質がどんどん変わってきている。非 常に幅も広がってきましたし、中の質が変わってきている。つまり「薬を管理 することが調剤」と取っていただいたほうがこの議論は分かりやすいだろうと 思います。今後将来像はどうなるのかという議論のときに、薬に関して、ある いは薬事に関する部分については、この文章では、医薬品関連業務という言い 方をしていると思うのですが、そこは幅広に薬剤師が関わるべきだと。それは 調剤とは申しませんが、その中の一部に昔ながらの調剤行為が入っている、と 理解していただいたほうが分かりやすいのではないかと思いますので、是非、 そうした面でのご理解をいただきたいと思います。 ○座長  何と言っても、薬は薬剤師にいろいろな意味でお世話にならなければならな いという現実があるわけでして、それらがいろいろに姿・形を変えて、時代と ともにいろいろな業務に変化しているということではないかと理解いたしまし た。ほかにはよろしいでしょうか。  大変長時間にわたってご議論いただき、ありがとうございました。この報告 書案のみならず、いろいろな意味で大変ご熱心なご討論をいただいたことで更 によいものにしていけると思っております。これからのことですが、今日ご議 論いただいた文言あるいは文章の追加、修正について、必要に応じて委員の先 生方にご確認をしていきたいとは思いますが、最終的には座長にご一任をいた だいて、改めて修正のための会議は設けないということで進めたいと思います が、よろしいでしょうか。 ○座長  ありがとうございました。では、そのように進めたいと思います。事務局か ら何か連絡事項等はございますか。 ○専門官  本日もお忙しい中検討会にご出席いただき、また、貴重なご意見をいただき まして誠にありがとうございました。今日のご指摘を踏まえました報告書案の 修正に関しましては、事務局で作業をし、齋藤座長と委員の先生方に確認した 上で報告書として確定させていただくことになります。  公表の仕方は、基本的には私どもの広報室に投げ込みをいたします。それか ら、厚生労働省のホームページにこの報告書と実態調査の結果を掲載し、公表 することとさせていただきたいと思います。それから、本検討会設置の経緯に ありましたが、もともと医療部会において病院薬剤師の検討を行うべきだとい う指摘でこの検討会が始まっておりますので、報告書の結果につきましては医 療部会に報告することになります。  お忙しい中、3回という短い間でしたが、非常に内容のある貴重なご意見を いただきまして、重ねてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうご ざいました。 ○座長  本日も大変お忙しいところご出席いただきまして、ありがとうございました。 これで閉会にさせていただきます。  照会先  医政局総務課 飯村  連絡先:03−5253−1111(内線2522)