07/07/30 第40回厚生科学審議会科学技術部会議事録    第40回厚生科学審議会科学技術部会    議 事 録    ○ 日  時 平成19年7月30日(月)15:00〜17:00    ○ 場  所 厚生労働省 専用第21会議室(17階)    ○ 出 席 者   【委  員】  垣添部会長           石井委員 今井委員 岩谷委員 菊川委員 北村委員           木下委員 笹月委員 末松委員 竹中委員 西島委員            福井委員 松本委員 南(裕)委員 南(砂)委員 宮田委員           宮村委員 望月委員             【議 題】   1.厚生労働省の平成20年度研究事業に関する評価(案)(概算要求前の評価)     について   2.厚生労働科学研究費補助金配分機能の移管のあり方について   3.「疫学研究に関する倫理指針」の見直しについて   4.その他   【配布資料】   1−1.平成20年度科学技術関係施策および重点事項について(案)  1−2.厚生労働省の平成20年度研究事業に関する評価(案)(概算要求前の評価) 2.  厚生労働科学研究費補助金の配分機能の移管について 3−1.疫学研究に関する倫理指針(見直し案)   3−2.「『疫学研究に関する倫理指針』の見直しの内容に係る意見募集について」            に対して寄せられたご意見等について 4.  遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について(1件)     参考資料1.厚生科学審議会科学技術部会委員名簿   参考資料2.厚生労働科学研究費補助金の成果に関する評価(平成18年度報告書) ○坂本研究企画官 傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴にあたりましては、すでに お配りしております注意事項をお守りくださいますようお願いいたします。なお、本日 はクールビズということで事務局は軽装で失礼しております。上着をおめしになってい る方も適宜脱いでいただくなど、よろしくお願いいたします。  定刻になりましたので、ただいまから「第40回厚生科学審議会科学技術部会」を開催 いたします。委員の皆様にはご多忙のおり、お集まりいただき御礼申し上げます。本日 は金澤一郎委員、川越厚委員、佐藤洋委員、永井良三委員からご欠席のご連絡をいただ いております。また、今井委員、南(砂)委員から少し遅れるとのご連絡をいただいて おりますが、委員22名のうち、出席委員は過半数を超えておりますので、会議は成立い たしますことをご報告いたします。  まず、初めに7月12日付で本部会の委員に就任された委員をご紹介させていただきま す。菊川剛委員です。  続きまして本日の会議資料の確認をお願い申し上げます。資料の欠落等がございまし たらご指摘ください。議事次第の下の方に配付資料の一覧がございます。資料1-1が、 平成20年度科学技術関係施策および重点事項について(案)です。資料1-2が、厚生労働 省の平成20年度研究事業に関する評価(案)(概算要求前の評価)です。資料2が、厚生 労働科学研究費補助金の配分機能の移管についてです。資料3-1が、疫学研究に関する 倫理指針(見直し案)です。資料3-2は横長の資料で、「『疫学研究に関する倫理指針』 の見直しの内容に係る意見募集について」に対して寄せられたご意見等について、とい う資料です。資料4が、遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について(1 件)、という資料です。  参考資料1が厚生科学審議会科学技術部会委員名簿、参考資料2が厚生労働科学研究 費補助金の成果に関する評価(平成18年度報告書)という資料です。資料は以上ですが、 よろしいでしょうか。それでは部会長、議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○垣添部会長 皆さんこんにちは。ただいまから第40回の厚生科学審議会の科学技術部 会を始めたいと思います。委員の皆様方には大変お暑い中、またご多用中、お集まりい ただきまして誠にありがとうございます。前回に比べますと本日は大変いい会場を用意 していただきまして、ちょうど一雨きた後ですので、後ろから気持のいい風が吹いてお ります。約二時間、審議のほど、よろしくお願い申し上げます。  先ほど新しい委員として菊川委員をご紹介いただきましたが、この科学技術部会とし て、医薬品のことに関しては、随分いろいろなことが進んでまいりましたし、総合科学 技術会議でもいろいろ指摘されていることに対応ができてきたかと思います。これから 医療機器が非常に大きな問題になるかと思いますので、菊川委員をお迎えできたことは、 この科学技術部会としても大変喜ばしいことではないかと思っております。  まず最初の「厚生労働省の平成20年度研究事業に関する評価(案)(概算要求前の評 価)」ということですが、科学技術部会として評価に関する報告を取りまとめたいと思 いますので、ご審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。 ○坂本研究企画官 それでは、「厚生労働省の平成20年度研究事業に関する評価(案) (概算要求前の評価)」についてご説明いたします。毎年、研究費関係の概算要求を行 うに当たり、基本的な考え方について、当部会においてご審議いただいています。本日 の段階では予算要求の数字等はお示しできていませんし、項目等についても今後の予算 編成作業において修正があり得る状況です。今後、政府全体の予算編成の枠組みの中で 対応する必要があり、また、総合科学技術会議におけるいわゆるSABC評価への対応等も これからです。本日はこの部会において大きな方向、あるいは留意すべき点などについ てのご指摘、ご審議をいただき、それを踏まえて来年度に向けた各種の作業に対応して いきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。  資料は1-1、1-2、資料以外に、ご意見の記入用紙という一枚紙をお手元に置かせてい ただいています。まず資料1-1は「平成20年度科学技術関係施策および重点事項につい て(案)」です。一枚めくると、厚生労働省の科学技術研究の推進の基本的考え方とい う図があります。厚生労働科学研究は左下にある第3期科学技術基本計画分野別推進戦 略を踏まえて、キーワードとして、オレンジ色で書いてある「健康安心の推進(健康寿 命の延伸)」「先端医療の実現」「健康安全の確保」といった3つのキーワードで研究 を進めてきています。この図の中の金額については、この頁の右下の注にあるように、 本年度のものをご参考までにお示しているものです。  厚生労働科学研究は第3期基本計画が示す理念の実現、戦略の推進に貢献し、安全・ 安心で質の高い健康生活を実現しようという取組みになるわけです。  次頁です。平成20年度の科学技術関係施策の新たな動向についてお示ししておりま す。本年度の新たな動きのうちで大きいものとしては、まず左上にあります2025年まで を見据えた長期戦略である「イノベーション25」があります。こちらは本年6月1日に 閣議決定された長期戦略指針で、特徴としては、2025年度までを見据えた長期戦略であ ること、社会システムと科学技術の一体的戦略であることなどがあり、人口減少下でも 技術革新、新しいアイディア、ビジネスなどによるイノベーションで持続的成長と豊か な社会をどのように実現していくか、そのための研究開発、社会制度改革、人材の育成 など、短期、中長期にわたって取り組むべき施策を示したものです。生活者の視点から 2025年の日本の姿として、生涯健康な社会、安全・安心な社会、多様な人生を送れる社 会などが示されています。  次に右上に、健康寿命の延伸に向けた戦略である「新健康フロンティア戦略」があり ます。国民自らが行う健康対策として、子どもの健康力、女性の健康力、がん克服力、 介護予防力、メタボリックシンドローム克服力、こころの健康力、歯の健康力などが示 され、戦略を支援する家庭・地域・技術・産業ということで人間活動領域拡張力、研究 開発力などが示されています。  左下に世界最高水準の医薬品・医療機器を国民に提供するための「革新的医薬品・医 療機器創出のための5か年戦略」があります。こちらでは臨床研究・治験環境の整備、 官民対話などが示されており、革新的医薬品・医療機器の創出を目指す戦略ということ です。そういった戦略が策定されたわけで、これらを総合して、右下に矢印があります が、健康国家への挑戦、健康国家を目指すということです。  次頁です。平成20年度の科学技術関係施策を踏まえた厚生労働省の取組みとして、 「イノベーション25」の関係として、社会還元を加速するプロジェクトの推進があり、 例として、失われた人体機能を補助・再生する医療の実現、高齢者・有病者・障害者へ の先進的な在宅医療・介護の実現などがあります。また、分野別の戦略的な研究開発の 推進の例として、治験を含む新規医療開発型の臨床研究、生活環境・習慣と遺伝の相互 関係に基づいた疾患解明及び予防から創薬までの研究開発といったものがあります。  新健康フロンティア戦略の関係としては、人間活動能力拡張力の例として、福祉機器 など障害者の社会参加を容易にする技術等、生活拡張技術の開発、また、研究開発力の 例として、医薬等ベンチャー・基盤産業支援対策、実用化における臨床現場と産学の融 合推進といったものがあります。  革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略関係では、医薬品・医療機器の開発 基盤研究への集中投入の例として、臨床研究・実用化研究、がん・精神神経疾患・難病 等の重大/希少疾病、新たな技術(テーラーメイド医療、再生医療等)があります。そ して、国内の橋渡し研究・臨床研究体制の整備、再生医療の推進、ベンチャー企業の育 成などの課題があります。  これらに基づき施策を推進し、厚生労働科学研究を進めて、研究成果を社会・国民に 還元しようということです。  4頁です。6月14日に総合科学技術会議において取りまとめられた「平成20年度の科 学技術に関する予算等の資源配分の方針」を踏まえた厚生労働省の取組みということで、 左側に資源配分の方針のポイントを記載しています。こちらについては前回の部会でご 説明していますが、第3期科学技術基本計画に示された中・長期的な戦略に基づき、優 れた研究の継続的支援等を行うこと、平成20年度においては特に「イノベーション25」 に基づき、早急に施策の具体化を図ることが必要とされています。「イノベーション25」 については、科学技術の観点から、重点的に対応すべき政策課題について総合科学技術 会議において検討した結果が数多く反映されており、これら重要課題に対して特に優先 的に資源配分を行わなければならないとされています。また、資金制度間の連携の強化、 年度を越えた研究費使用の円滑化、研究費の公正・透明で効率的な使用のための運用改 善などに積極的に取り組むとされています。  平成20年度の取組みとしては、戦略重点科学技術に該当する科学技術の推進につい て、戦略重点科学技術の例としては、ライフサイエンス分野、環境分野、ナノテク・材 料分野に関しての例を示しております。分野別推進戦略に対するフォローアップ、社会 還元加速プロジェクトの推進、この社会還元加速プロジェクトについては、どの事業が 該当するかといった検討は、今後総合科学技術会議のヒアリング等においてはっきりし てきますので、現時点ではどれがというところはまだ明確になっていませんが、先ほど 申しましたように当省関連としては、失われた人体機能を補助・再生する医療の実現、 高齢者・有病者・障害者への先進的な在宅医療・介護の実現といったものとの関係が深 いと考えています。それから、科学技術外交の強化があり、また、制度に関する検討、 早期執行等々の課題がありますので、こういったものに取り組む必要があります。  なお、ここに示している重点以外の課題についても、厚生労働省において実施する研 究等には、国民の健康、国民の安全確保のために必要な研究課題があるわけで、重点化 ということでメリハリを付けつつも、そういった課題への対応についても、国民の生活 と健康の安全を守るためには不可欠なところがあることから、着実に推進していく必要 があると認識しています。  続いて資料1-2は、報告書の案となっておりますが、確定する前には修正の必要なと ころがあるかと思います。昨年度に比べると、少し工夫をして頁数を減らしてみました が、まだかなり大部な資料になっていますので、本日はポイントを絞って説明させてい ただきます。3頁の2の評価方法の、3)評価対象で、厚生労働科学研究費補助金の各研 究事業、独立行政法人医薬基盤研究所運営費交付金のうち基礎研究推進事業費、予算額 が大きくて分野別推進戦略の戦略重点科学技術と強い関連がある、がん研究助成金を対 象としています。  6頁の表1に研究事業を示しています。大きく分けて研究分野としては、行政施策、 厚生科学基盤、疾病・障害対策、健康安全確保総合の四つの研究分野があります。研究 事業については17ありますが、総合科学技術会議から研究が細切れであるといったご指 摘もいただいていた経緯もありまして、今回いくつか研究事業の再編ができるところは 再編しています。したがって、新規となっている事業の中には、組み替え的なものもあ ります。また、事業の再編や統合はできなくても説明等は一緒にできそうなものについ ては、この資料において同じ項目の中で記載するといった整理を試みておりまして、こ の資料の項目としては14項目で整理しています。説明の際には14項目で説明させてい ただきます。  6頁の下から行政政策研究分野があります。行政施策との関連の深い分野で、他の研 究事業においても基本的なところは同じで、この事業のみということはありませんが、 8頁の(5)の平成20年度における主たる変更点に共通的なコメントが書いてあります。 公募型研究のほか、行政施策上の必要性が高い研究については、指定型研究として推進 することとしていること。また、全体的課題でもある若手育成型研究についてもできる だけ拡張する方向で進めるいうことが書いてあります。ほかのところでもこういったこ とは共通的なものでございます。  資料の17頁からは厚生科学基盤研究分野です。先端的基盤開発研究の創薬基盤推進研 究では、23頁に(5)平成20年度における主たる変更点があります。その全般的事項に ありますように、創薬及びその基盤を支える研究を創薬基盤推進研究事業の下に統合し ています。革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略に関係する研究事業で、新 規なものとして、創薬バイオマーカー探索研究(仮称)、次世代ワクチン開発研究(仮 称)などがあります。この冊子の34頁から、先端的基盤開発研究の再生医療実用化研究、 医療機器開発推進研究です。「イノベーション25」や新健康フロンティアの関係からも 推進すべき課題と考えられる領域であり、主な変更点に関しては41頁にありますよう に、より実用化段階にある研究に重点をおいた事業への改組等が行われて、新規に、医 療機器の開発を推進するため、工学者を医療機関でトレーニングするなどの内容を含む 医工連携研究推進基盤研究(仮称)などが計画されています。  続いて47頁から臨床応用基盤研究です。革新的医薬品・医療機器創出のための5か年 戦略に関係する事業です。臨床疫学基盤整備研究(仮称)などが新規に計画されていま す。  59頁から、III.疾病・障害対策研究分野です。(5)障害関連研究/長寿科学総合研 究では、63頁に主たる変更点がありますが、長寿科学総合研究では認知症総合研究分 野、運動器疾患総合研究分野に力を入れるといったことが予定されています。また、こ の分野は「イノベーション25」で指摘されている介護関係の研究分野もあり、研究の推 進を図ることとしております。  71頁から、(6)子ども家庭総合研究です。新健康フロンティア戦略などで取り上げら れているテーマで、研究の推進を図ることとしております。  76頁から、がんの関係については新健康フロンティア戦略で、がん克服力が示されて いるほか、80頁の研究事業の必要性の中に記載されていますように、平成19年4月に 「がん対策基本法」が施行され、平成19年度から平成23年度までの5か年間のがん対 策推進基本計画が策定されており、これらを踏まえた研究の充実を図るということです。 また国際共同研究への取組みも課題となっています。   84頁からは、(8)循環器疾患等生活習慣病対策総合研究/免疫アレルギー疾患予防・ 治療研究/難治性疾患克服研究です。この研究事業については三つの課題を統合したわ けではありませんが、この資料ではまとめて整理をさせていただいています。個々の事 業の中では一部再編も行っております。95頁にこの概要図を付けていますが、死亡の減 少や健康寿命の延伸、疾患の克服に向けて、予防法の確立、QOLの向上、診断・治療法 の開発、標準的な治療法の普及、臨床研究の推進と課題がかなり多く、取組みの必要な 分野です。  95頁からはエイズ・肝炎・新興再興感染症研究、105頁からは、こころの健康科学研 究です。これらも新健康フロンティア戦略に関連するテーマでもあり、資料にお示しし たような事業に関して推進を図ることとしております。  111頁から、IV.健康安全確保総合研究分野です。地域医療基盤開発推進研究は平成 20年度に組み替えてタイトルもこのように修正されています。「イノベーション25」や 新健康フロンティア戦略と関係する部分もありますし、適宜、他の研究分野とも連携し ながら推進する分野です。  122頁から食品医薬品等リスク分析研究です。この中には新健康フロンティア戦略や 革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略と関係する分野もあります。また、133 頁からの化学物質リスク研究では、新しい事業として化学物質の情動認知行動影響につ いて、毒性学的評価手法に関する研究に着手する予定です。  140頁から健康安全・危機管理対策総合研究があります。142頁に平成20年度におけ る主たる変更点があります。こちらは健康危機管理・テロリズム対策システム研究と統 合し、タイトルもこのように修正したものです。この資料の146頁から、がん研究助成 金、152頁からは基盤研関係の基礎研究推進事業費についての評価を記載しています。  本日は時間の関係もあり、網羅的な説明はしていませんが、先ほど申しましたように、 説明しなかったところや簡単な説明であったところが重要ではないというわけでは必ず しもなく、いろいろな制約の中でメリハリを付けながら、厚生労働科学研究全般をでき るだけ着実に推進していく必要があると認識しています。説明は以上です。よろしくご 審議をお願いいたします。 ○垣添部会長 ありがとうございました。大変膨大な内容をまとめていただきましたが、 平成20年度の科学技術関係施策及び重点事項についての案で、冒頭説明したように概算 要求前の評価ですから、これからいよいよいろいろ課題設定、さらに重点化が進められ ていくと思います。本日はまだいまのご説明に対するフリーディスカッションという形 になりますので、どうぞご自由にご発言ください。 ○笹月委員 各論で少し細かいかもしれませんが、資料1-2の23頁の(5)、平成20年度 における主たる変更点の創薬バイオマーカー探索研究に、「文部科学省ターゲットタン パク事業とのマッチングファンドを行い」と書いてあるのですが、実は午前中に文部科 学省のターゲットタンパクプロジェクトの推進委員会が行われ、私もそこに参加したの ですが、これと具体的にどのように連携し、マッチングファンドというのは厚労省と文 科省と両方がお金を出して事業を推進する、そういう理解でよろしいのでしょうか。 ○医政局研究開発振興課 担当課の研究開発振興課です。こちらの部分ですが、文科省 とも同じタンパクの事業ですので、何らかの連携ができないかという事務レベルでいま いろいろな調整をしているところです。まだ最終的に両省とも概算要求でフィックスす るところまでは至っていないので、どちらかというと、私どもの厚労科研のほうが、よ り少し踏み込んで希望的なところを書いている部分が現状ではあります。ただ、文部科 学省のほうも何らかの連携をしてやっていかなければいけないのではないかという認識 は持っているようですが、まだ向こうでは具体的にはそういった委員会に何か出せる玉 がいまの時点であるということではないと我々も聞いており、ここはまだ実際の概算要 求にいく過程で変わり得る部分だとご理解をいただければと思います。 ○竹中委員 いまのことですがマッチングファンドという定義は省庁間のマッチングフ ァンドなのですか。私のイメージでは、省庁と企業とのマッチングファンドをイメージ していたのですが、それをお教えいただきたいです。 ○医政局研究開発振興課 マッチングファンドの定義ということですが、いま経済産業 省と厚生労働省の間で医療機器の関係で実際に行われているのはどのようにやっている かというと、例えば厚生労働省はある研究プロジェクトをやっている医療関係者側の方 に研究資金を提供します。経済産業省のNEDOからは、それを共同研究している産業界側 の方に資金を提供する。そのような形で、一つの目標に向かって両方の資金を有効に活 用していくというやり方でやっています。そのようなことがここで文部科学省ともでき ないかという検討を水面下で行ってきました。 ○宮田委員 それに関連してですが、(5)のヒトゲノムテーラーメード研究に関しても 言及したいのですが、文部科学省が30万人のDNAを集める研究のポスト事業を来年度か らやるということをほぼ決めて、現在予算要求に入っています。これもいまのマッチン グファンドという言い方が正しいかどうかわかりませんが、厚生労働省と緊密な研究を しないと、なかなかもったいない。こっちは基礎研究的なマーカーが出て、こっちは臨 床評価をするみたいなうまい役割分担をして、国費で得られた研究成果をいち速く患者 にお返しするような連携を是非ともとっていただきたい。  一方で文科省のデータベースを使って重複を排除しようとしていますから、これは決 して重複ではないのだということも連携のためには必要だと私は考えていますので、是 非ともそこはご努力いただきたいと思います。 ○垣添部会長 大変重要なご指摘だと思います。いま三つご質問がありましたが、相互 に関連しているかと思います。私から質問ですが、資料1-1の2頁の「イノベーション 25」と新健康フロンティア戦略、革新的医薬品・医療機器創出のためのの5か年戦略の 三つの大きなプロジェクトに関して、いまの厚生労働省と文部科学省、あるいは経済産 業省の三省の間の連携に関してはどうなっているのですか。いま予算要求前ということ ですが、この段階でよく絞り込んでおかないとということで。 ○坂本研究企画官 革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略については、戦略 策定のときから連携し、共同でやっているものです。「イノベーション25」については、 社会還元加速プロジェクトを総合科学技術会議が取りまとめるということで、ヒアリン グをするという連絡もいただいていますので、その中で各省との連携は図られていくと 思います。新健康フロンティアについては政府全体の取組みについて調べをやっている 状況なので、その中で連携をとるべきところは考えていくことになろうかと思います。 ○末松委員 24頁のこれもマルチプルにいろいろ関連するところがあるのですが、生物 資源・創薬モデル動物研究(仮称、新規)という20年度の変更点に当たるところ、それ と18頁の下のほうの、生物資源の世界最高水準のものとして維持するというところで伺 いたいことがあります。実験用小動物、霊長類という記載がありました。これも各論的 なことで恐縮ですが、どうしても指摘しておかなければいけないのは、韓国や中国に臨 床研究や治験の大規模なものが英語のメディカルライティングでプロトコールが行って いるところにどんどん流れて、日本が非常に臨床研究をやるのにピンチの状態があると いうことがいろいろなところで言われています。この薬物の開発がご専門の先生がほか にいらっしゃるので追加していただきたいのですが、ヒトに入る手前の動物のモデルで、 新しい創薬モデルの研究が必要だということで、大体こういった文言が出てきますと、 個別の研究の提案は、研究者はもう研究をやりたくてしょうがないのでいっぱい出して くると思うのです。  各論的なことで言いますと、先ほどの非ヒト霊長類のコモンマーモセットという動物 がいます。遺伝背景が非常に揃っていて、日本はそのリソースを持っています。ほかの 外国ではそれが非常に少ない。実験動物の数の減少、クオリティーを良くして屠殺する 動物の数を減らす意味でも非常に重要なリソースであることが明らかです。厚労省がそ ういう生物資源を薬物毒性の検定とかできちんと押さえておく。日本のイニシアティブ を維持するためには、良い実験モデルをたくさん公募で取るのも結構なのですが、そも そもこの動物を安定供給をやったり、リソースとしてきちんとボトムを維持していくこ とがすごく重要で、ほかの国でやっているいろいろな臨床研究に持っていくときに、前 臨床、非臨床の段階にそういうものを日本がきちんと握っていることは結構重要な施策 だと思います。個別のモデル動物研究にお金をかけるのではなくて、そういうインフラ の整備をどのように考えているのか。文部科学省は文部科学省で、ナショナルバイオリ ソースというしっかりした枠組みを作られていますが、厚労省的な切り口で見て、そう いうインフラ整備とかリソースの維持に関して基本的な考え方がどうなっているのか、 少し教えていただきたいです。文科省とダブルで作っていくのか、先ほどの議論と非常 によく似ているのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○坂本研究企画官 答になっているかどうか自信がないところがありますが、先生が先 ほどおっしゃられたことは、レギュレーションの部分での活用ということになろうかと 思います。データに基づいて規制ということなので、そういった研究分野がありますか ら、当然、そういうテーマがあれば研究を行い、その結果を踏まえて通知等で規制をか けていくという動きは考えられると思います。 ○末松委員 規制の問題よりも、わかりやすく言うと、例えば各論的なことで申し訳な いのですが、50匹の動物を納品するのに二年半かかりますと、そういうフィールドなの です。文科省でもどこでも誰もそのリソースをきちんと国として維持していこうという ところにはお金がかからずに、個別のモデル実験の公募だけがどんどん増えていく可能 性があります。これは脳研究に相当のお金が文科省でかけられることが大体方向性とし て決まっているので、今後そういうことが必ず起こると思うのです。そうすると、厚労 省で新しい薬を作って、それをヒトにトライアルする前に非ヒト霊長類でトライアルす る非常に重要なリソースであって、それをどのように安定供給していくかは結構根本的 に重要な問題ではないかと思ったのです。非常に各論的で恐縮ですがお伺いしたわけで す。 ○垣添部会長 各論的でなくて、かなり重要な問題提起だと思いますが、何か事務局の ほうでお答えいただくことはありますか。 ○厚生科学課 厚生科学課です。生物資源の整備について補足します。生物資源の整備 についても現在内閣府で各省で連携して行うことと言われており、厚生労働省ではそう いった医薬品の実用化や医療の研究に直接つながるような部分で、特に活躍するように と言われています。そういったコモンマーモセットについても今後生物資源研究として 必要性がありましたら、供給の課題など検討することがあり得るかもしれません。なお 現在、基盤研を中心として行っております。当該事業は所管課のほうで補足をお願いし ます。 ○医政局研究開発振興課 ちょっと補足させていただきます。バイオリソースの関係の 問題は、厚生労働省だけでなく文部科学省その他関係する各省庁で連携施策という形で 取り組んできており、特に先生のおっしゃられたバイオリソースの安定供給の問題は、 一省庁だけではどうしても取り組めない問題でもあり、例えば創薬に使うようなことが 期待されるようなモデル動物等で胚がどこにあるかというと、必ずしもそれは厚生労働 省の機関にあるものだけではありません。そういう形で各省連携をしながら、そういっ た安定供給の問題にも取り組んでいけるように課題として我々も取り組ませていただこ うと考えています。 ○垣添部会長 いまの段階ではここまでにしましょうか。しかし提起された問題は、我 が国の国際競争力の上でも大変重要な問題ですので、是非、三省間できちんと話合いを して、的確な対応をしていただければと思います。ほかにいかがでしょうか。北村委員 どうぞ。 ○北村委員 20頁の戦略重点科学技術の該当部分の推進方策のところに、臨床研究推進 のための体制整備があります。この中では環境整備が書いてありますが、現時点でも医 師主導の臨床研究を行う場合、特に適応外の医薬品を使用したり、あるいは未承認の非 常に希な場合に使う機器などを使っての難病に対する臨床研究を医師主導で行う場合、 保険医療との兼ね合いを明確にしていく必要があるかと思います。ご存じのとおり療担 規則というのがありますが、これは昭和32年、いまから50年前にでき上がった法律で、 これに基づいて解釈しますと、適応外使用とか、未承認の非常に希な機器の使用に関す る臨床研究は全部患者負担によるものか、全部病院の研究費負担によるものか以外はし てはならないとなっています。これは非常に非現実的な状況を迎えており、これは主に 保険局の問題かもしれませんが、医師主導臨床研究を推進するにあたっては、解決しな いと実質的な医療現場ではできないという形が起こってきているので、是非、推進体制 の中にはルールづくりをして、どこまで保険医療として承認し、どこからはそれができ ないのかを明確にしていってもらいたいと思っています。 ○垣添部会長 ありがとうございました。これは別な話題ではありますが、我が国の臨 床試験を進めていく上で非常に大事な問題提起かと思いますが、何か事務局であります か。 ○医政局研究開発振興課 本厚生科学審議会の科学技術部会の下に臨床研究の倫理に関 する専門委員会を立ち上げることを、前回この部会でもご了承いただいています。北村 委員がおっしゃる制度の問題を、いまの問題意識等を踏まえながら、ご議論いただける ような場としてご活用いただけるようなことを、私ども事務局としては考えています。 非常に大事な問題と認識していますので、是非そういった倫理指針の中でまた改めて取 り上げてご議論いただければと考えております。 ○垣添部会長 ただ、北村委員のご指摘は倫理指針だけでなく。 ○北村委員 倫理から少しそれる財政的な研究のお金の部分をどうするかというので、 少しずれるかという気もしていたのですが、そちらでまた取り上げて検討してくださる なら、是非よろしくお願いしたいと思います。 ○垣添部会長 ポイントは我が国の臨床試験がスムーズに進められるような体制を作る ということですから、どの委員会であれ、倫理の部分から少しはずれても、いまの提起 の問題も含めてご検討いただければと思います。 ○笹月委員 95頁の国民を悩ます病の克服に向けてというところで、生活習慣病、稀少 難治性疾患、免疫・アレルギー疾患とあるのですが、稀少難治性疾患のところに神経難 病とあります。実はこの難病の8割はこういう括り方をすれば免疫難病なのです。そし て必ず難病の話が出てくると神経難病という括りはするけれども、免疫難病とは括られ ていないのです。免疫難病ということで、難病の8割は免疫学的なメカニズムが寄与し ている、だから免疫学的なところで追求すれば、病因の解明、創薬などとも共通項が出 てくるだろうという意味で、私は是非この免疫難病という括りを、最初にこういう括り が出たので、常にこういう形で出てくるのですが、この文言を活かしていただければと 思います。 ○垣添部会長 ありがとうございました。最後に竹中委員どうぞ。 ○竹中委員 資料1-1の2頁、新健康フロンテイア戦略に国民自ら行う健康対策といろ いろ書いてあります。最近感じたことだけを加えられたら入れていただきたいと思った のは、国民のワクチンの見直す力というか、再認識力、これらが最近起こってきたいろ いろな問題に出ているのではないかということです。ここに書いてあるように国民自ら 行う健康対策の中に、もう一度見直すようなことも考えていただけたらと思います。 ○垣添部会長 ありがとうございました。これも確かに新しい問題かと思います。それ では大変活発なたくさんのご意見をいただきましてありがとうございました。まだご意 見もあるかと思いますが、時間の関係もあり、本日の議論はここまでにさせていただき たいと思います。ほかにここで言い尽くせなかったご意見に関しては、お手元に配られ ている厚生労働省の平成20年度研究事業に関する意見の用紙にご記入いただきまして、 8月6日(月)まで事務局宛、お届けいただければ大変ありがたく思います。事務局に おいて本日の議論を踏まえ、かつ、いただきました意見を踏まえて必要な修正を行うこ とにいたします。修正した内容に関しては、私が事務局から報告を受けまして、最終的 な成案として取りまとめるということで、お任せいただきたいと思いますが、よろしゅ うございましょうか。                   (異議なし) ○垣添部会長 ありがとうございます。ではそのように進めさせていただきます。では 事務局、その作業をよろしくお願いいたします。それでは議事の二番目「厚生労働科学 研究費補助金配分機能の移管のあり方について」、よろしくお願いいたします。 ○藤井厚生科学課長 それではお手元の資料2に基づいて説明いたします。科学技術部 会においても何回かこの件について報告してきていますが、今回、試行中の状況を取り まとめるとともに、最近、総合科学技術会議から指摘された論点を整理しましたので、 ご説明させていただきます。  一番の経緯については、若干前回までのご報告と重複する部分がありますが、簡単に 触れさせていただきます。平成15年、総合科学技術会議において、厚生労働科学研究費 補助金については、その規模を考えると、独立した配分機関にその配分機能を委ねる方 向で検討すると指摘されました。これを受けて当部会において、「厚生労働省の既存施 設等機関の専門性に着目し、研究事業の内容に応じて、配分機関機能を付与する方向で 検討する」との方向性が示され、平成18年度から試行的に厚生労働省所管の施設に配分 機能を移管しています。今年になってから、「イノベーション25」の長期戦略指針や、 総合科学技術会議の報告において、さらに配分機能の移管について指摘がされています。  今後の方向について、2頁の別紙1をご覧ください。厚生労働省の実施している配分 機能移管の試行についての状況です。Iの移管試行の状況にあるように、ナショナルセ ンターと国立試験研究機関それぞれ二つの機関に、昨年度から厚生労働科学研究費補助 金のうち、その機関に関係が深いものを試行的に移管してきています。  IIで、その4機関から配分機能の移管について現状、課題等を聞いたものを取りまと めています。最初に、体制としては、厚生労働省の決めた方針に基づき、課題の選定、 評価、交付事務を各機関で実施してもらっています。具体的には3頁ですが、厚生労働 省の研究事業の担当課が、配分を任されている機関の意見も聞きつつ、公募課題案をま ず作成し、この科学技術部会において決定します。その決定に基づき、研究費の配分機 能を試行的に移管された機関では、研究事業の研究評価業務として公募の受付け、課題 の選定・評価を実施し、課題の決定に伴い研究費の交付事務を実施する仕組みになって います。  3)利益相反への対応です。配分機能を移管している研究事業は、その機関と密接にか かわっているものになっていますので、その施設から評価委員が出たり、PD・POに出て いただいたりする場合は、研究事業には応募ができないことにしたり、また、委員の3 分の2以上は外部委員とするなど、委員の選定基準を作成しています。そのほか、委員 会の委員は応募した研究者と個人的に、または研究上も関係ないことの証明書を提出し ていただく。また、当該機関からの申請にはその機関からの委員は評価に参加しないこ とを統一的に決め、利益相反への対応をしています。3頁のいちばん下では、PD・POの配 置の現時点の状況をお示ししています。  4頁です。各々の機関の配分機能を移管するという最大のメリットが、研究費の交付 を早期化するということです。そこに示しているような各種の取組みを現時点ではして いただいています。その結果も含めて、2の配分機能の移管試行による改善点の説明を します。まず、一番の目的である研究費交付の早期化については、本省の各課で実施す るよりも、早期に交付がされています。その他、メリットとしては、POによる研究課題 の重複の調整、研究成果の普及活動の推進、より広範な研究者からの応募の促進が挙げ られています。  3で、この試行に関しての課題についてまとめています。課題として挙げられたもの のうち、一つ目の事項と三つ目の事項については、どちらも人員、予算の確保の問題が 挙げられています。二つ目の事項については、POが自分の分野の研究事業に応募ができ ないので、POを確保することが困難であることが示されています。四つ目の事項につい ては、配分機能をどこが担うかにかかわらず出てくる共通的な問題になっています。  続いて5頁の別紙2です。これは最近の科学技術会議等からの指摘の主要点をまとめ たものです。論点は二つあり、配分機関の形態と数です。配分機関の形態ですが、長期 戦略指針「イノベーション25」、総合科学技術会議の競争的研究資金に関する報告書で、 原則として独立行政法人に移行とされています。総合科学技術会議の報告書では、自ら が研究機能を合わせ持つ独立行政法人に移管する場合は、利益相反の厳格なマネージメ ントが必要であると併せて指摘されています。  それらの理由として、国が直接タッチするのでは単年度予算のため、研究費の配分が 単年度ごとになってしまうことから、いろいろな問題が出てきており、これが独立行政 法人が配分するようになりますと、複数年契約も可能になり、円滑な研究費の使用が可 能になる。また、国が直接タッチするよりは、公平性・透明性が担保されることが挙げ られています。  配分機関の形態については厚労省の状況をいままでも説明していますが、配分は現在 は本省で主にやっています。先ほど説明したようにナショナルセンター、国立試験研究 機関で一部のものを試行的に実施しています。  次の論点は配分機関の数です。総合科学技術会議の報告書では一つの制度は一つの配 分機関に集約されることが望ましいと指摘されています。ここでいう一つの制度という のは、個々の研究事業ではなく、厚労省の場合ですと厚生労働科学研究費補助金全体を 指しています。一つに集約することが望ましい理由として、研究費全体の統一的な制度 設計、運用のためということです。厚生労働省の現状については本省の関係各課で施行 しているほか、先ほども申し上げましたように、ナショナルセンターと国立試験研究機 関で二つずつ、試行的に実施をしています。  1頁にお戻りいただきたいと思います。2の今後の検討の方向性です。厚生労働科学研 究費補助金の配分について、試行の状況と外部の指摘については、別紙に基づきご説明 をしたとおりです。従前から、科学技術部会でも議論をされてきましたように、研究費 の配分機能については、本省ではなく、外部の配分機関に移管する方向性が大きな流れ であろうと考えております。その場合、どのような配分機関の形態、数がよいのかとい うことを、特にご議論をいただければと考えています。以上です。 ○垣添部会長 どうもありがとうございました。これも引き続きの議論でありますが、 いかがでしょうか。文部科学省と同じように厚生労働省も一つの配分機関にまとめるべ きであるという、総合科学技術会議のプレッシャーがずっとかかり続けていると。現在 は四つの機関で試行的に行っているという話はこれまで何度もご説明はしております が、いまのご説明に関して何か。 ○宮村委員 総合科学技術会等からの指摘で厚生労働科学研究費補助金の全体を一つの 配分機関にということですか。厚労省の傘下のNCとNI各々が極めて独立した専門性を 有しています。そして各々が多くのミッションワークと、しかもオールジャパンの努力 を結集して、結果を比較的短期間に出さねばなりません。これを画一的な配分機関にす る必然性は私にはまだよく理解できませんし、たぶんいままで試行している機関での結 果もそこを指摘していると思います。 ○垣添部会長 いかがですか。 ○宮田委員 よろしいですか。それはいろいろ意見が出たあとでお答えいただいたほう がいいと思います。私の意見は全く正反対です。一つは制度的にミッションオリエント したということはやらなければいけないと思いますが、今回ここで指摘しているとおり、 競争的資金、特にこの厚生労働科学研究の中で競争的資金をどのように公正に配分する かというところが議論の中心になると思うので、あえて申し上げます。「緑資源」の問 題もそうですが、やはり国税がきちんと使われたかということの説明責任、逆のことで 言うと利益相反に対する配慮が絶対に必要だと思うので、そういう意味では各ナショナ ルセンターで、その分野のことを分配するというよりも、一箇所のセンターで、それぞ れのナショナルセンターが専門的な知識をサポートするような形で審議をしたほうが、 透明性が保たれると考えます。  二番目にはコストの問題です。コストを考えると資源配分をするときに、各ナショナ ルセンターで似たような事務官や担当者のセットを置くことが本当に国税をきちんと利 用するために効率的か。特に厚労科研費のときに、まだ課題として、事務経費などの案 分まで負担をするかどうかも非常に明確でないときに、こういうことが行われると、実 際の研究費に事務経費が食われるような状況が出てくる。これは国立大学法人化で実際 起こっている問題ですから、できれば一つの制度の中で、効率のいい事務や、ハンドリ ングのための組織はなるべく集結させて、効率的にやるべきであろうと考えています。 くどいようですが、コストの面、利益相反の面からも、できれば一つの制度には一つの 配分組織が望ましいと私は考えます。 ○垣添部会長 ありがとうございました。宮村委員と宮田委員、ちょうど相反する意見 ですが、厚生労働科学研究費のあり方に関する、かなり本質的な二つの意見ではないか と思いますが、ほかにご意見はありますか。 ○笹月委員 私もどちらかというと宮田委員の意見に賛成なのですが、やはり理由は明 確に二つです。利益相反をどのように避けるかは、非常に難しいと思います。本当に国 民、第三者が見たときに、納得できる形で行うためには、充分な工夫が必要だろうし、 難しいだろう。それが一つ。もう一つは、細分化して六つのナショナルセンターとプラ ス国研で、これだけの額を細分化するということは、小さなお金なのにそれぞれ配分機 関としての組織は、8か10ぐらい作らなければいけない。効率ということで言われまし たが、逆にナショナルセンター側がそれを引き受けるメリットも非常に小さくなり、あ まり意味がなくなるのではないかと思います。  この金額を見ますと、厚労科研費はちょうど文科省のJSTの額と大体コンパラブルで す。そうするとやはりJST的なしっかりした評価機関などすべてを手にした機構をやは り厚労科研費のために手にするというのが、私は長期展望に立ったときには絶対必要な ことだと思います。短期で試行してみるということでは、いくつかのナショナルセンタ ーにやらせるというのはいいかもしれませんが、長期展望に立ったときには、やはりJST 的なものを持つのか持たないのかという議論をしっかりすることが大事だと思います。 ○宮村委員 問題は研究方向の策定と交付と評価のすべでがフェアにゆくということが 大前提です。研究費が公明正大に使われているかということは、いかに研究費が正しく 使われ、成果をあげるかということだと思います。厚労省の研究の成果が直接国民の健 康に関与するわけですから、文科省等の競争的研究資金のソースとは根本的に異なる厚 労省傘下のNC、NIの使命、責任であると思います。 ○今井委員 いまの話ですが、私も宮田委員のご意見に賛成です。それにプラスして、 実際に既存の国立機関に任せるということなのですが、そこの専門の分野が本当に専門 の分野かどうかということもあるのではないかと思います。実はもともとの競争的資金 の項目の中の「こころの健康科学研究」という分野について、私は前回の委員会の中で も、こころ(脳)と必ず入れてくださいという話をしたのですが、こころ、こころとい う形なのだけれども、いまはどちらかというと脳生理学、脳科学も含め科学が進歩して きて、そちらの方向でいろいろと研究成果が上がってきているわけです。そうするとそ こにふさわしいような研究機関が判定をするべきだと思いますので、むしろ宮田委員が おっしゃるように一つのところにまとまって、そこに専門の人間たちが集まってくるほ うが効率的であり、的確な判断ができるのではないかなと思います。 ○垣添部会長 ありがとうございました。この議論は結局、一つの配分機関がまとめる としたときに、そこの事務機能、評価と、配分機能がきちんといくような予算と人員が 配備されるかということにかかってくるのではないかと思います。ほかにいかがでしょ うか。 ○北村委員 ナショナルセンターの者の意見は大変言いにくいところもあるのですが、 別紙2の5頁にありますように、独立行政法人化した組織に移管するということであれ ば、ナショナルセンターも平成22年をもって独立行政法人になるわけですが、やはり研 究する機関を持っておりますので、利益相反という問題はぬぐえないのです。しかし、 別紙2の5頁の備考にありますように、現在独立行政法人化している医薬基盤研究所も、 名前のとおり研究所としての事業を行っているわけですが、ここに託すという考え方も 成り立つと思いますが、独立行政法人医薬基盤研究所と、独立行政法人ナショナルセン ターというものとは、どこが違うから医薬基盤研究所が適切であるというこの備考の判 断が成立するのかなと。利益相反というところでは共通の部分が残ってしまうのではな いかという気もしますが、その辺どういう組織で、いまから考えていくべき材料の一つ で決まっていない点も多いのではないかと思いますが、もし言える範囲で結構ですので、 考えておられる点があれば。 ○垣添部会長 この点は、現在の段階でいかがでしょうか。 ○藤井厚生科学課長 5頁の備考に独立行政法人医薬基盤研究所を示しましたのは、厚 生労働省の研究費の中で、独立行政法人が配分機能を担っているというのが、例として あったものですから、ここにお示しをしています。たしかに医薬基盤研究所におきまし ては、自ら研究する部門を持っています。そしてお金を配分する部門も持っています。 中では仕組みとして、外へ配分する研究事業に、内部の研究者がアプライをするという ことはできないという仕組みになっております。 ○垣添部会長 それは前々回でしたか、アメリカのNIHの機構に関して議論があったと きに、イントラミューラル、エクストラミューラルの説明がありましたが、そのことを 指しておられるわけですか。 ○藤井厚生科学課長 同様のことだとご理解をいただいて結構かと思います。 ○笹月委員 NIHがすぐ例として出されますが、前回も申したとおり、NIHは厚労省厚労 科研費、文科の科研費全体を持った大きな額をターゲットにしていますので、いわゆる イントラミューラルの措置として十分な額ができるわけですので、さらにそれに加えて 外部へのエクストラミューラルに対しては、全く応募しなくてもやっていけるわけです。 そういう仕組みができているから、配分機関としての役割を持たせることができるとい うことで、本当に厚労科研費でもそういうことができるのであれば、それはまた議論は 別だと思います。 ○垣添部会長 いまの笹月委員の議論は、前回NIHの体制のことを議論したときや、そ れ以外のときも何度もご指摘があったとおりで、アメリカの体制をそのまま我が国に持 ち込むことはできないというご発言かと思います。 ○松本委員 私は学術振興会の仕事にしか関与したことがございませんので、厚労科研 の配分の審査方法が、文科省科研費とどれぐらい違うのかというのがわからないので、 ピント外れの意見になるのかもしれません。学振ですと、学振は一つの組織だけれども、 そこで評価に携わる人は、各大学、研究所から出てきているという感じですから、利益 相反は自分及び自己の所属している研究組織と審査対象との間では生じ得るから、それ はやらないということだけで終わっているわけです。学振のほうが厚生労働科学研究よ りは幅が広いわけで、厚労科研は医学ということにかなり特化しているから狭いと思う のですが、逆にミッションオリエンテッドなのだから、全国から審査委員を集めてきて やることはできなくて、特定の組織の内部で審査をすることが、ミッションオリエンテ ッドという性格からいくと適していると。だから利益相反になってしまうので困るとい うロジックで議論が進んでいるのでしょうか。  ナショナルセンターが事務的なことだけをやって、審査委員は全国から集めれば、そ れはミニ学振だと思うのですが、そうではないやり方でやっていて、それが望ましいと いうことから、新たな矛盾が起こってきて困っているというように理解してよろしいの でしょうか。 ○垣添部会長 総合科学技術会議のほうから一つの配分機関でやれという圧力がずっと かかり続けているということなのです。文部科学省のほうは、既にそういう形で対応し ているのだから、厚生労働省でもそれができるはずだということだと思いますが、いま お聞きおよびのように、厚生労働省の中の研究というのは、必ずしも文部科学省がやっ ているのとはまた違う部分があって、実際にやるとなると、かなりいろいろ困難を伴う ということで、様々なご意見が出ているのだと思います。方向としてはたぶん一本化す るという方向で流れているのだと思いますが、それを実現するためには相当いろいろな ことを考えなければならないのではないかということで、議論が出ているのだと思いま す。 ○西島委員 いまの松本委員のご議論にも一部関係するのですが、私たちは国立医薬品 食品衛生研究所ですが、今年度から始めているわけですが、実際に応募された中から選 ばれた課題のかなりの部分がうちの研究所の中からの課題になっています。それがいま 一番問題視されているわけです。私も一年間の僅かな経験ですけれども、いちばん重要 だと思うのは、評価する人材をこれからどのように育てるかということになるかと思い ます。私たちの研究所の研究のようなリスクに関係する、レギュラトリーサイエンスと 呼んでいるのですが、こういった研究者は、大学でやっている方はまだまだ非常に少な いという現状がありますので、将来的には一本化ということが、先ほどの利益相反、資 金の効率化の点ではいいかと思いますが、具体的にはすぐそこに行くというのは、非常 に無理が伴うと思います。もちろんこれは分野によって温度差が大変あると思いますが、 少なくとも私たちが関係している分野では、まだまだ人材的な面で非常に難しい状況に あるということが言えると思います。以上です。 ○垣添部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○末松委員 私はJSTのPOをやっていて、下から見たときの経験からお話したいと思い ます。私は宮田委員、笹月委員のご意見に賛成なのです。先ほど今井委員のおっしゃっ たように、ファンディングエージェンシーが基本的に管理はするけれども、レフリーや POを相当充実しないといけないのですが、実際JSTで、常勤のPOの方の負担はすごい 量で、非常勤のPOの方は大学の研究所や大学の教育機関におられる若手の方が入ってく るのですが、その方が、特定のJSTの振興調整費に、四年あるいは六年も応募ができな いという形だと、大抵の研究者はアクセプトしないのです。ですから、もしこれでファ ンディングエージェンシーを別にもう一つ作ってやった場合の一番の問題点は、ピアレ ビューを成立できるだけの十分なPOを果たして確保できるか。いま西島委員のおっしゃ ったことと関係すると思いますが、そこがおそらくいちばんネックになると思います。  もう一つは、厚労省の場合も当然同じことだと思うのですが、政策決定型、政策主導 型の施策をやるための研究費を出すときに、それをレフリーする人が大学の研究機関で キーワードで適当に集めてくると、研究業績だけでセレクションしてしまって、政策主 導のこういうベクトルでいきたいということを厚労省が考えていたときに、それが正し くいかないジャッジが出てくる可能性があるのは事実です。そのときにプログラムディ レクターの方が、厚労行政に詳しい方で、大所高所からきちんとレギュレーションがで きるような方がPDクラスにいないと、大学の研究者のジャッジだけでやってしまうと、 国の施策としてどうなのかというところが、著しくジャッジ力が落ちる可能性があるの で、そこは是非ご留意いただきたい。繰り返しになりますが、POの非常勤の方をたくさ ん集めてくるのはすごく大変だということだけは申し上げたいです。 ○垣添部会長 極めて現実的な本質的なご指摘をいただきましてありがとうございまし た。 ○笹月委員 だけれども、いま現在行われているシステムを考えますと、厚労省がいま 我々が議論しようとしているファンディングエージェンシーの役割を演じているわけで すね。そこに全国から大学の人あるいはナショナルセンターの人を評価委員として集め てきてやっているわけです。ですから、新たにJSTみたいなものを作ったとしても、実 は実態はあまり変わらないのではないかと。ただ単に事務的なファンクションが厚労省 から新しいファンディングエージェンシーに移るということであって、評価の仕方、あ るいはPD、POというようなものは変わらないのではないかと思います。逆に新しく厚労 省から事務的なところは外して新たな組織を作るから、そこでもう一段ミッションに適 うような評価機構を作ろうというのなら、それは非常に結構なことで、いま行われてい ることがかくかくしかじか不都合だからという話ではないのではないかと思います。 ○宮田委員 試行錯誤をいまやっていらっしゃる機関があって、そこの意見は、重要だ と思います。資料の4頁の配分機能の移管に関する課題を見ると、改善点もいいことな のですが、先ほど末松先生がご指摘なさったことが、そこでやっても起こっているわけ なので、そういう意味ではわりとジェネラルな話だろうと。ですから、そういうことに 留意した上で、新しい組織を運営するというような、もう少し制度的な運用のところで 議論したほうがいいと思います。いまの箱の議論とはちょっと違うのではないかと思い ます。 ○垣添部会長 それもそのとおりです。ありがとうございました。 ○西山技術総括審議官 貴重なご意見をありがとうございます。資料の2の6頁を見て いただきたいのですが、いずれにしても各委員の先生方には、アイディアを出していた だきたいのですが、厚生労働省本省が、前回にご説明しましたように、483億のうちの 408億が本省でやっています。厚労省に出入りされている方はご存じと思いますが、私 も若い頃、研究費のハンドリングをしていましたが、要するに難しいのです。中身を見 てもわからない。ですから先生方に聞くと、なるほどと思うから、100人の先生方の研 究費は100人とも通してあげたいぐらいになってしまうのです。そうすると、主任研究 者にお願いすることになる。それと、国会が終わったのは7月5日ですから、7月5日まで は国会業務で仕事ができない。そこから夏休みを取らせていただいて、9月に入ってか ら、臨時国会がある。予算がどんどん遅れる。配分が遅れる。これが現実的な話です。 それを改善しよういうことで、先生方に考えていただきたいと思うのは、文科省を見て いただくと、JSTと学術振興会に全部割り振られているわけではなくて、おそらく文科 省も審議会の先生方といろいろ知恵を出して、例えば本省主導の21世紀COEプログラム が220億ですが、こういうものは本省でやっているのです。宮村委員が言われたように、 本省、厚生労働省がミッションとしてやらなければいけない研究は本省に残るのです。 だけれども、そうではないものは、少なくとも本省から切り離しましょうというコンセ ンサスはたぶん得られると思います。切り離したときに、効率性や透明性を考えたとき に、今度ナショナルセンターも六つとも独法化するといった場合に、六つにそれぞれ JST的なものを作るのかという議論なのです。  ですから、国でやるべき研究と、これは競争的資金制度の一覧ですが、競争的資金で あっても、文科省も農林も経産も、それぞれ本省に残しているのです。本省ではこうい うことをやる、競争的資金でもいう、その範囲は、少なくともこの部会の皆様方のご意 見があると思います。その区分けは私もできていないのです。その辺の議論をやってい ただければと思います。今日でなくてもいいのですが、問題の意識はそういうことなの です。 ○垣添部会長 短時間に大変有意義な議論が進められたと思います。まだ途中過程です が、引き続きこの問題は極めて重大ですので、よく考えてまいりたいと思います。今日 のところはここまでとさせていただきます。  続きまして、「疫学研究に関する倫理指針」の見直しについてお願いいたします。 ○坂本研究企画官 「疫学研究に関する倫理指針」の見直しについて、ご説明いたしま す。資料3−1と資料3−2です。まず資料3−2をご覧ください。4月に当部会でご了解 いただいて、5月16日から6月15日まで厚生労働省、文部科学省のホームページを通して 、パブリックコメントを実施いたしました。意見は11件いただきまして、指針の修正等 により対応するものが2件ございました。1頁の一番目と、3頁の三番目です。3頁の三番 目のコメントは、用語の修正に関するコメントで、適宜修正し、対応することとしてい ます。7月20日に疫学研究指針の見直しに関する専門委員会を文部科学省の委員会と合 同で開催して、ご検討いただきまして、1点目のコメントに対する修正内容を固めてお ります。考え方の所でも書いていますが、修正箇所について、資料3−1のほうでご説明 させていただきます。  背景としては、資料3−1の2頁をご覧いただきたいのですが、2頁に適用範囲に関す る細則がありまして、その表の右側の指針の対象外というところの診療と研究で、もと もとは書いてあったものを消したところがあります。書いてあった内容は、「特定の患 者の治療を前提とせずに、ある疾病の治療方法等を検討するため、研究者等が所属する 医療機関内の当該疾病を有する患者の診療録等診療情報を収集・集計し、院内又は院外 に結果を報告する行為」というものですが、この解釈がわかりにくく、本来疫学研究と して捉えるべき行為も診療として指針の対象外と思われるおそれがあるということで、 削除しました。そして、20頁の下のほうに、疫学研究の定義に関する細則という項目が ありますが、21頁の上にありますように、新たに疫学研究と判断される最低限の要件を 明確にしました。しかしながら、今回いただいたコメントは、所属する医療機関内で診 療録等の診療情報を収集・集計し、治療効果や予後に関して調べ、その結果を日常臨床 に還元するという行為の取扱いが不明確になるということで、いただいたコメントを踏 まえまして、所属する医療機関内の診療録等の診療情報を収集して行う研究であって、 もっぱら集計、単純な統計処理等により行われるものについては、倫理審査委員会があ らかじめ指名する者の判断により、倫理審査委員会への付議を要しないものとして、指 針を改正すると整理しています。資料3−1の6頁で、(3)倫理審査委員会への付議の (2)のところです。こちらで、「倫理審査委員会があらかじめ指名する者が、研究者等が 所属する医療機関内の患者の診療録等の診療情報を用いて、専ら集計、単純な統計処理 等を行う研究であり、倫理審査委員会への付議を必要としないと判断した場合」を設け ることによりまして、この指針の対象ではあるが、倫理審査委員の付議がいらない場合 があるというところをはっきりさせたということで、そういった場合の判断のやり方、 対応について示しました。疫学研究指針の対象であっても、倫理審査委員会への付議は いらない具体的な事例につきましては、Q&Aで示すことを予定しています。  なお、資料3−1の表題の下に書いてありますが、現在法令審査中であるため、実際に これを出す際には、技術的な観点からの文言の修正などがございますが、内容について は、パブリックコメントを踏まえて、このように固まったということです。資料の説明 は以上です。 ○垣添部会長  ありがとうございました。疫学研究に関する倫理指針の見直し案につ いてご説明いただきましたが、何かご発言ありますでしょうか。十分ご議論いただきま したか、よろしいでしょうか。ここで承認をいただきますと、あとの手続きはどうなり ますか。 ○坂本研究企画官 告示という手続きに向けまして、書いてありますようにいま審査中 でございますので、その後に告示をするということになります。 ○垣添部会長 よろしいでしょうか。                   (異議なし) ○垣添部会長 ありがとうございます。  「その他」になりますが、「遺伝子治療臨床研究について」、報告事項をお願いいた します。 ○坂本研究企画官 資料4についてご説明いたします。「遺伝子治療臨床研究に関する 実施施設からの報告について」ですが、遺伝子治療臨床研究につきましては、重大な事 態等が発生した場合には、研究機関よりご報告いただくことになっております。  一枚めくっていただき、遺伝子治療臨床研究の課題名を見ていただくとおわかりいた だけますが、九州大学で実施しております血管新生遺伝子治療臨床研究におきまして、 遺伝子治療を行った患者さんが、左下腿切断に至ったということで提出された重大事態 等報告書でございます。内容につきましては、3頁から、重大事態等の内容及びその原 因の所に細かく書いてあります。投与2例目ということですが、この患者さんは同意取 得時から左足に潰瘍、乾性壊疽があって、壊疽については既に回復が困難と考えられて いたということです。もともと臨床研究薬の影響がほぼ消失すると考えられる2週目以 降の適切な時期に、切断を判断することとされていましたが、臨床研究薬の投与直前か ら壊疽が急速に進行し、MRSAが検出されたこと、全身の炎症反応があり、足関節の温存 が極めて困難な状況であり、被験者及び家族に十分に説明した上で、左下腿切断術が施 行されたということでございます。  この有害事象と臨床研究薬との関連性につきましては、九州大学病院の先進医療適応 評価委員会において検討された結果、「臨床研究薬投与前より壊疽が存在し、感染も併 発していることから、臨床経過から判断をする限り、疾患の自然経過(自然悪化)と考 えることが妥当であり、今般の重篤な有害事象は本臨床研究の進行に特段の影響を与え るものではないと判断する。しかし臨床研究薬投与後に感染・炎症所見が悪化している ことを考慮すると、原疾患の自然経過に臨床研究薬投与が影響を与えた可能性について は、現時点で必ずしも否定は出来ない。従って、本症例のみならずこれまで投与された 症例、そして今後投与される症例についても、このような観点から定期的に注意深い観 察が必要である。」という結論に至ったということです。  また、この検討内容を踏まえて、遺伝子治療臨床研究審査専門委員会で検討され、こ ちらの判断を概ね妥当として、安全性に関する症例検討をより頻回に行うこと、インフ ォームド・コンセント取得時に現在までの症例の経過を追加説明すること、この委員会 への報告など四点の改善を研究者に勧告した上で、臨床研究の継続を可と判断したとい うことです。  本件については末梢性血管疾患遺伝子治療臨床研究作業委員会の永井委員長にご相談 した上で、委員会の先生方にもご報告を既にしております。なお、MRSA対策については、 別途ご説明もいただいています。いただいた書類の内容の確認や修正等に少し時間がか かっております。また本件について因果関係は完全には否定されていませんが、MRSA感 染例でもあり、今後とも有害事象等に十分留意して、注意深い観察の必要があるという ことで、そういった対応が取られるということです。本件に関する説明は以上でござい ます。 ○垣添部会長 ありがとうございました。九州大学の遺伝子治療に関する報告をいただ きましたが、何かご質問、ご発言はありますか。 ○宮田委員 この報告はもう少し早く上がらなかったのかということが一つ。もう一つ は、この症例にベクターを投与することが妥当だったかということに関しては、専門委 員会はどのように判断していらっしゃいますか。 ○坂本研究企画官 報告につきましては、先ほど説明しましたように、いただいた書類 の中に、例えば、議事録について、我々から見ましても再確認が必要と思われるところ があり、その旨聞きましたら、修正をしていないというお話があって、改めて修正をし ていただいたりというやり取り等で時間がかかったところがありました。 ○宮田委員 報告をいつ受け取っているのですか。 ○坂本研究企画官 正式なものは、この日付の頃でございます。すみません、いま手元 に時期の詳細というものはありませんが、速報もなされており、特に遅れて受け取った ということではありません。それから、報告された中に症例の妥当性についての議論も ありまして、特に否定するといったものではないということと理解しております。 ○宮田委員 わかりました。だとしたらそれをご報告のときに付け加えてください。そ うでないと私たちは判断できません。それから見かけ上ですが、1月に起こったことが 4月6日に文部科学大臣に報告されていることに関して、やはりどう考えても、受付けの 問題があったにしろ、もう少し早い対応が必要になると思います。ですから、この日付 の問題を、まず報告の一報目にこれがあって、正式な報告はこれでしたという形で、時 間経過を明示してご説明いただいたほうがいいと思います。そうでないと、3カ月以上 黙っていたのではないかと書かれてもしょうがないことになりますので、それに関して は気を付けていただきたいと思います。 ○坂本研究企画官 正式な報告の前に事前の連絡などはありましたので、今後、こうい った際には報告のやり方を考えさせていただきます。 ○宮田委員 もう一つですが、アメリカのFDAがAAVに関してクリニカルホールドをし ましたよね。これは筋道が違いますが、日本でAAVの臨床試験はいまやられていますか。 申請の可能性はありますか。 ○坂本研究企画官 関係の情報につきましては、関係者に既に情報提供をしております。 ただし、FDAも暫定的にすぐに情報を出したといった状況ですので、詳細な情報を取っ てから整理した上で、必要があればこちらにご報告させていただこうと思っています。 本日ご報告しようとしても、内容的にはFDAのホームページ以上はお出しできませんの で、本日はお出しておりません。 ○宮田委員 ただ速さというのが必要になりますので、FDAのホームページの情報でも いいですから、皆さんが共有する必要があると思います。 ○坂本研究企画官 専門委員会の先生方には、既に情報を送らせていただいております。 ○垣添部会長 笹月委員、専門委員長としてはいかがですか。 ○笹月委員 私も先週この情報をいただきまして、アメリカのラックの委員長でした、 テッド・フリードマンに、実情、詳細を知らせてくれという旨、メールを出しておりま す。 ○垣添部会長 ではこの報告事項に関しては、時間経過のことを宮田委員からご指摘い ただきましたが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。その他ありますか。 ○坂本研究企画官 事務局から一点ございます。本日お配りした参考資料2は、6月25 日の科学技術部会においてご審議いただいた平成18年度の厚生労働科学研究費補助金 の成果の評価に関する資料です。部会でご審議いただいてから、部会終了後に先生方よ りいただいたご意見も踏まえて一部修正をして、部会長のご承認を得たものを、参考資 料2としてお配りしております。修正箇所が三箇所ありまして、厚生労働科学研究成果 データベースのURLを書いておいたほうがいいのではないかというご指摘をいただいた ことに関し、9頁と38頁にURLを記載させていただきました。また、部会当日のご議論、 それからあとでいただいたご意見を踏まえて、42頁の真ん中あたりに、間接経費の充実 方策の検討についての指摘があった旨の記載を追記させていただいています。以上です。 ○垣添部会長 ありがとうございました。以上で予定された議題はすべて終わりました が、何かご発言いただくことはありますか。ありませんでしたら、本日は少し予定の時 間より早く終わることになりますが、次回以降のことに関して事務局からご報告はあり ますか。 ○坂本研究企画官 次回につきましては9月頃に開催をお願いしたいと考えています。 また別途、日程調整のご案内を送らせていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○垣添部会長 それではこれで、第40回の部会を閉じさせていただきます。どうも皆さ んありがとうございました。                               ―了―    【問い合わせ先】 厚生労働省大臣官房厚生科学課 担当:情報企画係(内線3808) 電話:(代表)03-5253-1111    (直通)03-3595-2171 - 1 -