07/07/27 第38回独立行政法人評価委員会 労働部会議事録 厚生労働省独立行政法人評価委員会労働部会(第38回) 開催日時:平成19年7月27日(金)15:00〜19:15 開催場所:虎ノ門パストラルプリムローズ(新館4F) 出 席 者:井原部会長、篠原部会長代理、小畑委員、今村委員、堺委員、谷川委員、松田委員、 宮本委員、本寺委員 ○井原部会長  定刻になりましたので、ただいまから第38回独立行政法人評価委員会労働部会を開催させてい ただきます。委員の皆様におかれましてはお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとう ございます。  今回、寺山委員と川端委員がご欠席です。宮本委員が少々遅れていますが、出席される予定に なっています。また先般、7月9日に開催された委員改選後初の労働部会についてご欠席されて いた本寺委員が本日ご出席になっています。ご紹介させていただきます。本寺大志委員でござい ます。再任であり前期に引き続き勤労者退職金共済機構の起草委員をご担当いただくことになっ ています。それでは一言お願いします。   ○本寺委員  そういう意味では、気がついてみると3期目に入っております。大体の皆様には毎回お目にかか らせていただいております。今期もまたよろしくお願いいたします。   ○井原部会長  初めに事務局から、本日の議事について簡単に説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  本日の議事についてご説明申し上げます前に、まずは先般、7月12日に高齢・障害者雇用支援機 構が運営しております「国立職業リハビリテーションセンター」の視察を実施させていただきま したことをご報告申し上げます。  ご参加いただきました委員の皆様におかれましてはお忙しい中ご視察いただき、感謝申し上げ ます。ご熱心にご覧いただき、視察後も様々なご質問をいただいたところでございます。今般の 視察内容も踏まえ、今後予定しております高齢・障害者雇用支援機構の評価の際の参考にしてい ただければ幸いでございます。では、本日の議事についてご説明申し上げます。  最初に労働者健康福祉機構の関係です。評価の視点の変更・追加についてご審議いただいた後、 平成18年度個別評価についてご審議いただきます。それから、労災病院再編計画に基づく統合の 方法についてご審議いただきます。このあと5分ほど休憩をとっていただき、その間、事務局の入 れ替えをさせていただきます。  次に、勤労者退職金共済機構の関係です。これも労働者健康福祉機構と同様に、評価の視点の 追加についてご審議いただいた後に平成18年度個別評価についてご審議いただきます。その後、 重要な財産処分についてご審議いただくこととしております。以上ですが、ご審議いただく時間 が合計で4時間を超えて長丁場となりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。   ○井原部会長  それでは、本日の議題に入りたいと思います。評価の視点の変更・追加について、事務局から 説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  評価の視点の変更・追加について説明させていただく前に、資料について簡単にご説明します。  議事次第の下に置いてあります資料については、労働者健康福祉機構に関係する資料です。後 ほど後半でご議論いただきます勤労者退職金共済機構の資料については、右のほうに置かせてい ただいております。両法人共通してご覧いただく参考の資料については、左の手前の真ん中辺に 置かせていただいております。  それでは、評価の視点の変更・追加についてです。資料1−1と1−2をご覧下さい。資料1−1に ついては、評価の視点の変更です。労災疾病研究分野が12分野から13分野になったという去年の 中期目標、中期計画の変更を踏まえたものです。1−2の追加の部分については、各法人共通で昨 年同様に3月の部会で中期計画を変更した関係でその内容を変更したものです。   ○井原部会長  ただいまの評価の視点の変更と追加について、何かご質問、ご意見がありましたらお願いしま す。よろしいですか。それでは、この内容で評価の視点の追加について了承したいと思います。 (了承) ○井原部会長  では、次の議題に移ります。これより実際の評価に移りますが、最初に事務局から参考資料に ついての説明があります。お願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  参考資料についてご説明します。参考資料の1と2がありますが、1が前回もお配りしました昨年 の総務省政・独委のいわゆる二次意見の法人共通の部分でして、6項目あります。参考資料の2は、 7月11日に同じく政・独委から資料として出されているものです。内容としては、独立行政法人の 中期目標期間終了時の見通し及び業務実績評価に関する当面の取組方針となっています。後半の 業務実績評価がいわゆる年度評価となっています。3頁のいちばん上に、業務実績評価については 「こうした観点でチェックを行います」と政・独委の見解が述べられています。5頁の2も業務実 績評価、つまり年度評価で、政・独委はこのような観点で評価をいたしますということで書いて おります。  その中で「基本方針2007」、「また」以降、下から4行目ですが、こちらで骨太でも言及されてい るものを受けて政・独委でこういった観点から評価いたしますと、6頁にありますが、財務内容や 人件費、そういった内容を見ますというようなことがあり、先ほどの参考の1と参考の2に共通し て各法人で別途特出ししてご説明する必要のあるものについてご説明しているところです。  労働者健康福祉機構においては、参考資料の3、「役員の報酬・給与等の状況」、人件費の所です が、そちらの資料が1つあります。また、参考資料の5、これは「随意契約等の状況」というもの があります。これら資料について法人からご説明いたします。 ○労働者健康福祉機構総務部長  労働者健康福祉機構の総務部長の谷中でございます。参  考資料を説明してまいりたいと思 います。  まず参考資料の3、役職員の報酬・給与等についてです。1頁をご覧下さい。役員報酬   等 についてです。1の(1)、「業績反映のさせ方」にありますように、独立行政法人評価委員会が行う 業績評価の結果を勘案の上、職務実績に応じ100分の15の範囲内で理事長がこれを増額し、または 減額することができる旨を役員報酬規程に規定しております。この関係で期末特別手当の支給額 を平成18年6月期分については0.14月相当分、平成18年12月期分については、平成17年度も減額を していたわけですが、一般の職員と同様にさらに上乗せをいたし、0.25月分相当分を減額して支 給しているところです。時間の関係もありますので、ポイントだけご説明していきたいと思いま す。  3頁は職員の給与の関係です。職員の給与についての基本方針に関する事項という所です。中ほ どに四角がありますが、「能率、勤務成績が反映される給与の内容」ということです。「賞与:勤 勉手当」がそれに該当するわけです。(1)は、欠勤日数により逓減させるというこれまでの考え方 ですが、(2)は、職員の勤務する施設の前年度業務実績により支給月数を増減させるということで、 給与方針を進めております。  ウの所ですが、現実に平成18年度における給与制度の主な改正点を説明してまいりたいと思い ます。誠に恐縮ですが、資料2−7の3頁をお開きいただきたいと思います。業務実績資料に「新た な人事・給与制度の導入」という所があります。その中に、参考資料3ですが、ウの(1)、職務手当 の定額化があります。これまで管理職手当については定率制をとっていたわけですが、年功的な 要素を排除するということで、平成18年4月から定額制を実施しているところです。  呼出等手当の新設です。現実には医師になりますが、診療部門に直接関与する管理職員の実働 分を配慮する手当を設けております。これも、平成18年4月から実施しているところです。  (3)、特地勤務手当に準ずる手当の廃止です。生活が著しく不便な場所に特地勤務手当を支給し ていたわけですが、生活環境が改善されたということで、この手当を廃止しているところです。  (4)は、資料2−7の3頁の真ん中にある勤勉手当に対する施設業績の反映です。そこにありますよ うに、医療事業収支率ということで病院等の施設の実績を反映させるものです。5段階で収支率を 出し、経営状況指数というものを出します。これを勤勉手当に掛け合わせて反映させるというも のです。平成18年度から反映を始めまして、平成19年の6月期の勤勉手当から適用をしているとこ ろです。  2の職員給与の支給状況ですが、人員等はそこにお示ししているとおりです。また、ポイントだ け説明いたしますので、この部分は省略させていただきたいと思います。  参考資料3の10頁、職員と国家公務員及び他の独立行政法人との給与水準の比較です。事務・技 術職員については、対国家公務員では100.8、対他法人では93.8となっています。医療職員のうち 病院医師については、対国家公務員で115.9、病院看護師については、対国家公務員で104.5とい う数字になっているところです。  その下、給与水準の比較指標について参考となる事項です。医療職員、医師の給与が国家公務 員に対して高くなっているわけですが、その理由がここに記載されています。病院医師について は、本調査の対象となる医師のうち、職務手当(管理職手当)ですが、この支給対象者が84.1% を占めているところです。また、医師確保が困難である施設は11施設ありますが、これについて は、平成17年4月1日からその施設に勤務する医師全員に対して1カ月当たり5万円を俸給に加算す る措置(医師確保加算)と呼んでおりますが、これを実施しているところです。この点が指数の 上昇につながったと考えております。  職務手当の支給者が80%を超えている理由です。医師の採用に当たり、大学の医局の意向が非 常に強く反映されているところです。医師派遣の条件として、大学の医局から部長あるいは副部 長として採用するようにという条件などが示されているところです。どうしても医師確保の困難 な状況があり、結果として管理職である部長、副部長の割合が高くなっているところです。  11頁は総人件費の関係です。表の一番上、給与、報酬等支給総額の所です。平成18年度につい ては、大体1,020億円です。前年度は1,016億円ということで、比べますと、3億4,000万円の増、 0.3%の増となっています。  その下の参考となる事項ですが、増減要因です。給与費の削減の所です。平成18年12月期の期 末手当支給月数の0.1月削減、それから、管理職加算支給割合も期末手当、勤勉手当に合わせてや っているわけですが、これも支給割合を2%削減しております。これによる給与費の減が5.5億円 となっています。医療の質・安全の観点に関わる医師・看護師の増員に伴う給与費が20億円の増、 施設の廃止、大牟田、珪肺の2労災病院を廃止しておりますが、これに伴う給与費の減が11.6億円 という中身になっています。表の一番下、最広義の人件費については退職手当、福利厚生費を含 めているものですが、これについては、1.2%の減ということです。  行革推進法、行政改革の重要方針では人件費の5%の削減というものが定められているわけです が、私ども、病院事業をやっておりまして、医療の質と安全を確保していく必要があります。そ の点で人件費を減らすというところがなかなか難しいです。そういったこともありまして、(2)の 中期計画の所ですが、「中期計画の中では、医療の質や安全の確保、医療制度改革の動向に即した 経営基盤の確立を見据えつつ、5%以上の削減に取り組み」というような医療の質や安全の確保、 経営基盤の確立ということを入れまして、中期計画の変更をしているところです。現実には、在 院日数等が非常に短くなり、密度の濃い治療や処置が必要になってきています。また、新入院患 者も非常に増加している、あるいは救急患者、時間外患者も増加しているという状況で、医療の 質、安全を確保するために増員はやはり避けられないという状況です。そういったことが背景に ありまして、(3)にあるように、0.3%の増という形になっています。  ※の所にありますが、医療の質・安全の観点による医師・看護師増員等に伴う給与費の増を除 いた場合にどうなるかということですが、人件費の削減率は、−1.7%という形になっています。 平成17年度に比べて平成18年度は増加しているわけですが、今後も医療の質・安全に配慮しなが らアウトソーシング等を進めて人員削減を進めてまいりたいと考えております。平成22年度が最 終年度に当たるわけですが、5%に相当する額以上を減少させることを基本としてという行革推進 法の趣旨を達成するよう取り組んでまいりたいと考えております。人件費関係は以上です。  参考資料の5、平成18年度に締結した契約の状況です。契約件数、金額ですが、件数のほうは全 部で4,324件です。一般競争入札が1,466件、33.9%です。指名競争入札が29件、0.7%です。随意 契約が2,829件、65.4%です。金額のほうは1,122億円、総額になりますが。一般競争入札が390 億円、指名競争入札が8億2,000万円、随意契約が723億円余りになっています。厚生労働省が所管 する公益法人との契約は、110件ありまして、8億4,000万円の金額になっています。私からの説明 は以上です。 ○井原部会長  ただいまの説明内容について何かご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。よろしい ですか。 (了承) ○井原部会長  それでは先に進みたいと思います。まず実際の評価に移っていただくわけですが、お手元に「各 法人の平成17年度実績の個別評価」という資料をお配りしております。これは昨年度も同様にお 配りしたものですが、評点を付けていただく際のご参考にしていただければと思います。では、 まず労働者健康福祉機構の伊藤理事長よりご説明をいただきまして、次に平成18年度の法人業務 について労働者健康福祉機構より説明をお願いいたします。  なお、今年の夏の独法評価委員会においては、議題が多くありますので、説明時間等は例年よ り短縮しております。理事長の説明を含めまして、合計50分とさせていただきたいと思います。 時間を超過することのないよう、是非ご協力をお願いしたいと思います。時間厳守でお願いいた します。それでは、伊藤理事長よりお願いいたします。 ○労働者健康福祉機構理事長  労働者健康福祉機構の理事長を務めております伊藤でございます。よろしくお願い申し上げま す。  私ども、労働者健康福祉機構が独立行政法人に移行いたしまして4年目に入っております。当委 員会からの単年度ごとの評価も3回目を迎えております。これまでの間、委員の皆様方からは大変 貴重なご助言等をいただきまして、私ども、業務運営の面に生かしてまいりました。まずもって 御礼を申し上げさせていただきたいと存じます。  私どもが展開いたします事業は、労災病院の運営、これと車の両輪の関係にあります産業保健 推進センターの事業、これらが中心になりますが、そのほかにも大変多岐にわたっております。  ただ、その多くは、働く方々の健康問題と深く関わる事業が大変多くなっています。我が国も これから本格的な人口減少社会に入っていくわけですが、そうした中で、我が国のいわば唯一の 資源とも言っていい優秀な働き手が生き生きと健康で社会を支えていくことがこれから大変重要 になるかと思っております。私ども、そのようなことを胸に刻みながら、いままで培ってまいり ましたこの有形・無形の財産を活用させていただきたいと考えているところです。  時間の関係もございますので私からは、目下、我が国の医療が大変厳しい状況の中にあること、 これは先生方もご案内のとおりですが、そうしたことを踏まえまして、労災病院もその直中に置 かれているわけでして、そういったことを含めまして労災病院の事業に絞って話をさせていただ ければと思っております。  労災病院にありましては、生活習慣病を含めて働く方々と関わりの深い疾病、あるいは負傷、 そうしたものの予防、そして不幸にして疾病に陥った場合においても、その治療からリハビリと いう一貫した治療体系の中でいわば医療の側面から働く方々の職業生活が壊れないように、維持 できるようにということを念頭に置きながら医療を進める、そうしたことを理念として掲げてお ります。ただ、この理念を支えて活動していくためには相当の足腰の強さも同時に求められます ので、私ども、救急医療への積極的な対応などを含めた急性期の医療の展開、各地の労災指定医 療機関等を中心とした医療機関との病診連携、これの強化等に努めながら励んでいるところです。  一方ではアスベスト問題、働く女性の健康問題、あるいは近年頓に指摘されている過労死、あ るいはメンタルヘルスの問題等を念頭に置きながら、予防医療をした方面につきまして労災病院 が培ってまいります多くの知見と研究成果を関係の医療機関等を中心に発信していく、こうした ことに努めているところです。  労災病院の、これらの一連の活動はほとんどが診療報酬を中心とした自己収入によって賄って いるところですので、平成18年度に実施された過去最大という診療報酬のマイナス改定は大変大 きな痛手でした。ただ今、申し上げましたような活発な急性期医療を中心とした事業の展開とさ まざまな効率化の工夫により、その影響を半分程度に留めることができたのではないかと思って おります。  結果としまして、もちろん単年度の収支差という点では黒字ですが、その求められる損益ベー スの欠損の縮小についても、独立行政法人移行時の191億円という単年度の欠損をずっと圧縮させ てきており、平成18年度にも、42億円まで圧縮させることができました。これらの歩みにより、 平成20年度に求められております収支相償の達成ということを十分視野に入れるところまで進め ることが出来たのではないかと考えております。  振り返ってみますと、こうした診療報酬の改定等の厳しい環境の中で私どもは各病院と色々と やりとりを密接にしてまいりましたが、そうした中で地域医療支援病院、あるいはがん拠点病院 に発展していこうというような積極的な気運を各労災病院の医療現場から引き出していけたこと は、将来に向けてむしろ大きな意味があったのではないかと考えているところです。  目下、医療をめぐる環境を見ますと、こうした診療報酬の問題に留まらず、医師の不足の問題、 医療現場の過酷とも言っていい勤務状況等々、大変な問題があるわけです。労災病院ももちろん その例外ではありません。ただ、そうした中にありましても、労災病院のスタッフの方々が、な お士気を高めながら励んでくれているわけです。そうした背景には、私どもがかねてより実施し てまいりましたバランススコアカードを活用したPDCAのサイクル、これらによるマネジメントシ ステムがかなり定着しつつある、そして、それらを通じて私どもの理念と目標をそれぞれのスタ ッフが共有出来つつある、こうしたことが背景にあるのではないかと思っております。今後とも、 そうした点に留意しながら業務運営を進めてまいりたいと考えているところです。  最後に、1つだけ報告をさせていただきたいと存じます。この度発生しました新潟県の中越沖地 震への対応について報告させていただきます。  地震発生直後、情報収集に入りまして、被害状況が大変深刻だということで私ども、地震発生 の翌日には、まず横浜労災病院の医療チームに現地入りをしてもらいました。以後、4つの労災病 院から延べ81人の医療チームが現地入りして避難所を回る、こうしたことを中心に診療活動を展 開しております。現在も、1チームがなお活動中です。今後とも、こうした大規模災害については 労災病院のネットワークの強みと、今までこうした方面についても経験を培ってきておりますの で、そうした豊富な経験を活かして必要な貢献をしていきたいと考えております。  その辺のご報告をさせていただいて私の挨拶とさせていただきます。委員の皆様方には今後と もご指導をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。 ○井原部会長 ありがとうございます。引き続き、業務実績等についての説明をお願いいたします。 ○労働者健康福祉機構総務部長  評価シートが19ありますが、時間が限られていますので、ポイントだけをご説明していきたい と思っております。個別評価シートに自己評定の所があり、そこにポイントがまとめられていま すので、それで説明するのと、あと、資料の2−7のポンチ絵で説明していきたいと思っておりま す。  まず、評価シートの4頁をお開き下さい。業務実績資料、2の7ですが、併せて5頁をお 開き下 さい。こちらは一般管理費・事業費等の効率化です。一般管理費については、平成15年度と比べ ますと10.2%の減、事業費については8.6%の減になっています。ポンチ絵の右のほうにあります が、それをご覧いただければと思います。中期目標に対する達成率は、一般管理費については68%、 事業費については172%ということです。医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター の運営費の交付金の割合についても4.2ポイント改善しており、中期目標に対する達成割合は、 84.0%という実現をしているところです。  評価シートの2番目の○になりますが、2頁をお開き下さい。平成18年度新しい取組として労災 病院の、ポンチ絵の右上のほうになりますが、事務局の組織体制をスクラップアンドビルドして おり、経営企画課というものを7病院に設置しております。  ポンチ絵の真ん中のほうになりますが、経営推進会議を開催いたしまして、患者数等の推移、 病床利用率、収入・単価等の分析を行います。この経営推進会議で本部から各労災病院に対して 指導を行っているところです。  シートの4つ目の○ですが、先ほども話がありましたように、平成18年度診療報酬のマイナス改 定の影響が強かったということです。平成18年度の上半期の実績を踏まえて平成18年度下半期の 経営目標見通し計画、私どもは「リカバリー計画」と呼んでおりますが、リカバリー計画を策定 いたしまして、目標達成のための行動計画を策定しているところです。  ポンチ絵の真ん中で下のほうですが、経営改善病院、赤字が続いている病院ですが、こちらに 対しても特別な指導を行っているところです。  恐縮ですが、1頁をお開き下さい。経営方針の職員への浸透を図るということです。シートの4 ページになりますが、平成18年度の基本方針を全職員に配付いたしまして、機構の運営方針の周 知徹底を図っております。そのほかに職員アンケート等を実施しまして、好事例を紹介するなど 等の取組をしております。BSCについては、また後ほどご説明していきたいと思います。  ポンチ絵のほうですが、2−7の3頁をお開き下さい。これは先ほどもご説明しましたが、給与制 度の改定を行っているということです。施設別業務実績の給与への反映を図り、職員のモチベー ション、モラルの維持・向上を図っていきたいと考えております。こういった取組をいたしまし て、自己評定の方ですが、私ども、Aということで付けさせていただいております。  続いてシート2の説明をしてまいります。評価シートでは8頁をお開き下さい。資料は、ポンチ 絵ですが、7頁をお開き下さい。こちらは労災病院の再編の関係です。平成17年度までに再編計画 に基づき3病院を廃止しているところですが、平成18年度は岩手労災病院が対象になっていまし た。岩手労災病院については、厚生労働省、岩手県、花巻市、岩手県医師会による連絡会議を開 催いたしまして、関係者との打合せを図ってまいりました。そして精力的な調整を行い、2段目に ありますように市場価格を踏まえた鑑定評価を行い、評価委員会のご審議もいただいた上で適正 な価格で譲渡したところです。  どこに委譲したかということですが、花巻市を含む地元関係者との協議を積極的に行いまして、 資産を花巻市に譲渡いたしまして、花巻市が選定した医療機関である医療法人杏林会という所に 委譲することができました。平成19年3月31日に病院を廃止いたしまして、4月1日をもって委譲が 完了ということです。この地域は非常に医師不足の地域でして、花巻市との基本協定の中では脊 損医療の継続が謳われていたわけですが、整形外科と泌尿器科が必要なわけですが、医師の確保 がなかなか難しかったということがあります。後医療に円滑に引き継がれるよう、杏林会に対し て4月以降も労災病院グループから一定期間専門医師、泌尿器科の医師の派遣を続けているところ です。  平成19年度に統廃合を行うほかの病院ですが、8頁をお開き下さい。筑豊労災病院については、 飯塚市に委譲することが決定しています。美唄労災病院と岩見沢労災病院の統合については、ま た後ほどご説明します。  次にシート3に移らせていただきます。シートは11頁をお開き下さい。資料は9頁をお開き下さ い。BSCについては、昨年に引き続き実施しているところです。平成18年度、新しいところです。 ポンチ絵の左下のほうですが、BSCの確実な達成・定着化に向けた取組ということで、平成18年の 10月から管理職に対して個人別役割確認制度というものを導入しております。これは、管理職を 対象にして個人別の役割確認カードというものを設けます。そこで課題と進捗状況を書き込みま して、上位管理者がフォローを行っていくというものです。こういったことでBSCの定着を進めて いるというところです。  ポンチ絵の右のほうに業績評価委員会があります。これは、平成19年度から年2回開催というこ とにしているところです。以上ですが、自己評定のほうはAとさせていただいております。  次にポンチ絵の10頁をお開き下さい。私ども、労災病院は勤労者医療の中核的役割を果たすと いうことで、そこに掲げているような疾病の研究、地域との連携、予防に力を入れているところ です。この内容についてこれからご説明していきたいと思っております。そのうちの労災疾病の 13分野の研究について、医師としての専門的見地から関原総括研究ディレクターから説明をいた します。 ○労働者健康福祉機構総括研究ディレクター  関原と申します。13疾病の臨床研究も3年目を迎えまして、それぞれの分野から素晴らしい成果 が出て参りました。その成果をいま総務部長が説明に使いました説明資料のポンチ絵に記載して おりますが、何せ、かなりたくさんの成果が出ておりますので、本日は先生方の机に置いてあり ます冊子に各分野の成果をまとめておりますので、私の説明と併せてご覧いただければと存じま す。何卒よろしくお願い申し上げます。  ポンチ絵の11頁、アスベスト関連疾患分野です。先生方もよくご存じのように、平成17年の6 月にアスベストのばく露の問題が大きな社会問題となりました。このアスベストばく露の問題が 社会問題化すると同時に、各労災病院での悪性中皮腫の症例、132例ありましたが、それに関する 臨床像をまとめ、発表いたしました。この発表が我が国の中皮腫の臨床像を初めて明らかにした ということもありまして、実地医家の先生方から日常診療で中皮腫を診察する場合の基礎資料に なると大変高い評価をいただいております。そして、機構のほうにもその資料を提供してほしい というような申し出がございましたので、本年度はこれを簡単な冊子、わかりやすい冊子にまと めております。資料の中に置いておりますので、後ほどご覧いただければと存じます。この中皮 腫の臨床像の解明に引き続き、本年度は、アスベストのばく露による肺がんの臨床像及び良性石 綿胸水の臨床像を明らかにして冊子にまとめております。この冊子も資料の中に置いております ので、後ほどご覧いただければと存じます。このようにいたしましてアスベスト関連疾患の中で も主な疾患である中皮腫、肺がん、良性石綿胸水、この3つの我が国における臨床像、日本人を診 療する場合にどういう特徴があるかということを明らかにしてまいりました。  また、昨年発行いたしました「アスベスト関連疾患日常診療ガイド」ですが、このポンチ絵に 表紙の絵が飾ってあります。これも実地医家の先生から大変な支持を受けまして、腹膜とか精巣 鞘膜とかもっと珍しい症例もちゃんと記載してほしい、あるいは、その病理が診断にあたっては 大事なのでその所見をもっと詳しく記載してほしいとのご要望をいただきましたので、本年度は 増補・改訂版を発刊しております。そして、現在までに1万2,000部を発行しておりますが、医療 の世界では1,000部、2,000部というのが常識の数ですので、1万部以上というのは大変な数でして、 ベストセラーになっています。  このようにこの分野では、今後のアスベスト関連疾患の患者さんの診療に役立つ知識、あるい は基礎データをいままでの労災病院における臨床経験に基づいて明らかにしてきております。大 変先生方のお役に立っているのではないかと思います。  12頁、粉じん等による呼吸器疾患分野です。これはじん肺の分野です。先生方の中には、じん 肺と申しますともう過去の病気であるとお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、決してそう ではありません。従って、アスベスト以外の粉じんによる呼吸器疾患にも注意を払う必要があり ます。そこでこの分野の先生方が協力いたしまして、最近問題になりつつある溶接あるいは歯科 技工といった新しい粉じんによる呼吸器疾患の症例を加えた「画像で診る今日の職業別じん肺症 例選集」、先生方の資料の中に置いておりますが、このようなものを発刊いたしました。それに加 えまして、この分野からは、胸部レントゲン写真の画期的な成果が出てきました。ここに書いて おりますが、「経時サブトラクション法及び胸膜プラークのCT3次元表示法」の確立に成功してお ります。経時サブトラクション法について説明させていただきます。このレントゲンの写真が表 紙に飾ってあります茶色の冊子をお取りいただけたらと思います。  5頁に胸部レントゲン写真が2枚表示してあります。「平成16年10月、平成17年3月」と書いてあ ります。このようにじん肺の患者さんでは非常に複雑な陰が既にあるわけです。この患者さんの 場合にはそれに加えてペースメーカーが入っていますので、おそらく心不全の色々な陰も加わっ ているものと思います。このような非常に複雑な陰が既に存在しますと、例えば肺がんにかかっ て新しい陰が出てきてもごく初期の、どうしてもつかまえなければいけない初期の画像で、大切 な所見を見落すことがあります。見落とさないためには、どうしたらよいかということですが、 これはコメディカルの岩見沢労災病院のレントゲン技師の方たちが非常にご尽力いただいたわけ ですが、コンピューターを使って引き算をした画像を作ったらどうか、それで経時サブトラクシ ョンと呼ぶわけですが。その引き算をした画像を作成いたしますと、それが下の欄にありますが、 この平成16年10月と平成17年3月の間に出現した新しい肺がんによる陰がこの矢印で示しており ますように表示されてくるわけです。これは画期的な成果でして、この2枚の写真に加えてこのよ うなサブトラクションの画像を加えることによって診断精度が非常に良くなったということで す。  この冊子の2頁をご覧下さい。アスベスト関連疾患の中心をなしています悪性中皮腫の診断に胸 膜プラークということが非常に有効であるということがわかって参りました。2枚の写真が示して いますが、右の図が現在一般診療で使われている胸部CTの水平スライスをした画像です。胸膜プ ラークは、この画像を使いますと、青の矢印、黄色の矢印で示すように断面として診断に供して いるわけですが、コンピューターを使ってこの絵を再構成することにより、左側のような図が出 来るようになります。青の矢印、黄色の矢印を見ていただくと、このプラークの全体像がこのよ うにして把握することができます。こういったことで胸部サブトラクション法、あるいは胸膜プ ラークの3次元立体再構成による画像、ともに今後の医療の世界に非常にお役に立つ成果ではない かと考えております。これがじん肺分野からの成果でございます。  13頁、メンタルヘルス分野です。昨年ご報告申し上げましたように、この分野では労働者の方 がいつでもどこからでも簡単にアプローチできるインターネットを使ったメンタルヘルスチェッ クシステムを構築し、既に実用に供しているわけですが、本年度の検討、その後の検討から労働 者の方たちが簡便に利用できるということで、うつ病の早期発見、あるいは、自分はうつ病かそ うでないのかというようなスクリーニングに非常に役立つということがわかってまいりました。 これも画期的な成果でございます。また、この分野では、あまり言葉が良くないのですが、似非 うつという言葉があります。現在、うつ病の診断は、患者さんとの対話やアンケートといったも のによって診断していますので似非うつが入りやすいのですが、研究者会議で客観的診断法を確 立できないかということが話題となりました。そして、この分野の先生方が脳の血流の状態がど うかということに着目しました。そういうことになりますと、脳の血流を評価するspectというテ クニックがありますが、そのテクニックを使って脳の血流がどうなっているかをうつ病期と寛解 期でチェックいたしましたところ、ポンチ絵の所に示しておりますが、うつ病期にはこの青色の 部分が描示されますが、これは脳の血流が正常よりも低下していることを示しており、これが寛 解期に至ると正常に回復するということで、この青いものがあるかないか、それが元に戻るかど うかということで簡単にその客観的な診断法が出来るのではないかということが解明されてきて おります。 ○井原部会長  ここに時間をとりますとほかの方ができなくなりますから。 ○労働者健康福祉機構総括研究ディレクター  わかりました。そのようなことで、この分野からはこのような成果が出ています。もう一分野 だけ説明させていただきます。  次の頁、外傷分野です。手の外傷です。時間がなくて恐縮ですが、この赤い表紙の冊子です。 表紙に大変グロテスクな写真が載っていますが、このように手指切断というのは割合多いのです。 労災病院全体でこのような症例が年間80例ぐらいあります。ご当人にとっては非常にショッキン グな出来事なのですが、最近は、マイクロサージェリーという技術の進歩によってこのように再 接着が可能になっています。燕労災病院では、地場産業との関係でこれまでこのような症例が多 く、300例ぐらいの成功例があります。その症例を使って受傷されたときの状態をスコア化するこ とによって職場復帰をプロモートすることができるのではないかということで検討したわけで す。この冊子をご覧になるとわかると思いますが、色々な評価項目に従ってスコア化しまして、 10頁に結果が書いてありますが、スコア化することによって職場復帰ができるのか、あるいは職 場復帰はちょっと難しいのではないか、このようなことがわかるようになってまいりました。今 後、このような検討を重ねまして、職場復帰をする方が少しでも増えるように努めてまいりたい と考えております。  その他の分野からもさまざまな成果が出ているのですが、いま部会長からご指摘のように時間 がなくてこれ以上ご説明できないのは非常に残念ですが、後ほどお時間のあるとき恐縮ですが、 冊子をご覧いただければと存じます。どうもありがとうございました。 ○労働者健康福祉機構総務部長  3年目に入りまして以上のような成果が出来ているわけですが、評価シートの15頁をお開き下さ い。ホームページのアクセス件数などは年度目標を高く超えていますので、私どもとしてはSの評 価にさせていただければと思っております。続きまして、シート5に移らせていただきます。20 頁をお開き下さい。ポンチ絵は21頁をお開き下さい。  私ども、予防ということで勤労者予防医療センターを設けております。そこでの実績というこ とです。シート2、指導・相談の質の向上に向けた取組ということです。過労死予防対策としまし ては、生活習慣病予防ノートの改訂、ホームページを利用した食事指導などをしております。メ ンタルヘルス不全予防策としましては、勤労者の心の電話相談事業の事例集をまとめ、それを配 付するということをやっております。勤労女性の健康管理対策では、女性医療フォーラムを平成 18年度は2回開催しているところです。  ポンチ絵の22頁をお開き下さい。利便性の向上に向けた取組としましては、勤労者の利用しや すい時間帯での指導・相談の実施等を行っているところです。  ポンチ絵の23頁をお開き下さい。頁の下のほうですが、評価委員会からのご指摘をいただきま して、メタボリックシンドロームに関する共同調査研究などを実施しているところです。  24頁をお開き下さい。こちらに数値目標の達成度合を載せております。過労死予防対策、勤労 女性の健康管理対策については、中期目標を達成しております。満足度調査のほうでも、90%以 上の満足度が得られているという状況です。  次にシート6に移らせていただきます。シートでは23頁になります。ポンチ絵では25頁になりま す。これは労災病院と地域の連携を図っていくということです。患者紹介率については、44.7% で中期計画を上回る数字になっているほか、症例検討会・講習会の参加人数、受託検査の実施、 利用者満足度についても中期計画に立てた目標を上回るという状況でして、これについてはAとい う評価で考えているところです。  次にシート7に移らせていただきます。シートでは30頁をお開き下さい。ポンチ絵では27頁をお 開き下さい。ポンチ絵にありますように、平均在院日数の短縮や看護体制の充実を図っているほ か、救急搬送患者数も、年度計画を上回る6万7,942人ということになっています。それから、地 域での中核的役割を果たすために地域医療連携を強化しております。現在、地域医療支援病院、 地域がん診療連携拠点病院の承認取得に力を入れているところです。  ポンチ絵の31頁をお開き下さい。非常に医師不足が言われているわけですが、ポンチ絵の本部 のほうの絵を見ていただきたいと思いますが、労働者健康福祉機構独自の医師確保制度の新設、 あるいはガイドブックの策定等をやっております。右のほうにその成果が出ていますが、初期・ 後期臨床研修医の新規採用者数については、平成19年度は197名ということで、平成18年度を上回 る数字は残しているところです。  ポンチ絵の32頁をお開き下さい。非常に看護師不足も言われているわけですが、この中で上の ほうの看護師の確保に向けた取組、3つ目の○ですが、平成18年度新たな取組として、優秀な看護 師確保を図るため、理事による看護系大学の訪問を行っているところです。30校に対して行って いるということです。右の方にその成果が出ていますが、新規採用者数は943名です。看護師の離 職率ですが、平成18年度は、平成17年度より下がり、10.8%ということです。  ポンチ絵の35頁をお開き下さい。病院機能評価の関係ですが、外部評価機関による病院機能評 価です。こちらは、受審病院数が平成18年度は29病院、認定病院数が28病院ということで、90% 程度の高い受審率、認定率を受けているところです。  ポンチ絵の36頁をお開き下さい。医療の標準化ということで、クリニカルパスの適用件数、患 者数なども順調に増えているということです。DPCの導入についても、そこに対象病院が出ていま すが、現在9施設ですが、準備病院を併せまして、今年度は31施設ということになっています。  ポンチ絵の37頁をお開き下さい。安全な医療の推進ということです。そこに出ていますように、 全労災病院の医療安全チェックシートによる取組のほか、真ん中の所ですが、労災病院をグルー プに分けまして、そのグループ内で自分の病院以外の他の病院をチェックするという安全相互チ ェック制度を平成18年度から完全実施しているところです。それから、医療事故に関するデータ の公表をやりまして、平成18年10月からのデータを平成19年5月に公表しているところです。  以上が病院関係ですが、こういった取組を行っているということで、シートの30頁ですが、A を付けさせていただいているところです。  次にシート8です。シートでは34頁をお開き下さい。ポンチ絵では39頁をお開き下さい。ポンチ 絵にありますように、アスベスト問題への対応、国の設置する委員会等への出席、こういったも のに積極的に取り組んでおります。特に新規取組事項としましては、アスベスト関連疾患診断技 術研修の実施を行うほか、石綿小体の計測を行っているところでして、平成17年度を大幅に上回 る実績を上げているのではないかと考えています。シートの34頁になりますが、S評価で出させて いただきます。  次に36頁の9、ポンチ絵は41頁ですが、医療リハと総合せき損センターの運営状況です。社会復 帰率と患者満足度が目標になっているわけですが、それぞれ80%という目標を超えているところ です。ポンチ絵のいちばん下になりますが、職業リハビリテーションセンター等との連携も図っ ていて、私どもとしては自己評定Aとさせていただきました。  39頁のシート10、ポンチ絵43頁は、海外勤務健康管理センターです。こちらは総務省の政・独 委の二次評価では1カ所しかないし、健康診断をやっているので民間でもできるのではないかとい うご指摘をいただいたわけです。私どもは赴任前から帰国までの一貫した健康管理支援サービス を行うほか、ポンチ絵の下にありますが、専門的知見の蓄積と活用ということで運営を進めてお りまして、海外勤務健康管理の拠点としたいと考えています。ポンチ絵の44頁に実績をまとめて いますが、海外派遣労働者へのサービス向上、企業の健康管理スタッフ等の支援を進めています が、平成18年度の実績につきましては右に出ているとおり、年度計画を上回る実績を出しており まして、自己評定はAです。  次に、シート11の産業保健推進センターについて、説明したいと思います。シートでは44頁で、 資料45頁の下にあるように、労災病院をはじめとする連携を行いながら47都道府県でこの事業を 進めているわけです。ポンチ絵の46頁に成果が出ていますので、ご覧下さい。  研修・相談事業については延べ3,058回の専門研修を実施するほか、相談件数も1万2,000件を超 えておりまして、年度計画等を大幅に上回っているところです。また研修につきましては、実践 的研修の実施も拡大しているところです。  平成18年度の新しい取組みとしては、母性の健康管理研修の実施を行っています。ポンチ絵の 右下にありますが、満足度についても97%を超える高い満足度を得ていまして、私どもとしてはS 評価で出させていただいています。  評価シート10、シートの49頁は、産業保健推進センター情報提供の関係で、資料は48頁です。 こちらもホームページの内容の充実等を図っています。シートの2番目でポンチ絵では使用事例の 上にありますが、岡山産業保健推進センター等ではマスク漏れ率に関する調査の実施をして、こ の情報を公表して、行政として広く知らせるようにしています。その他広報誌の発行や実態調査 結果の公表をして、更に情報提供事業についても力を入れているところで、自己評定としてはA として出させていただいています。  シート13、シートのほうは54頁、資料は49頁は、助成金の関係です。こちらのほうは手続の迅 速化が目標になっていまして、ポンチ絵の下のほうです。それぞれの支給までの期間が小規模が 47日、自発的健康診断が24日で短縮を図っているところで、自己評定はAで出させていただきまし た。シート14の未払賃金の立替払いの関係ですが、56頁、資料は51頁です。こちらはご覧になる とわかるように、審査マニュアルや疑事事例集等を作り、標準化の徹底を図っています。原則週1 回払い、年間50回払いの堅持を図り、支給までの日数の短縮化を図って28.6日と、2期連続中期目 標を達成しています。  立替払い金の求償についても清算型、再建型とそれぞれありますが、督励措置や債権届につい て努力をしているところで、自己評定はAとさせていただきました。  シート15、58頁、資料52頁リハビリテーション作業所のほうは抜本的な見直しを評価委員会か ら受けているわけで、それを受けて内部というか外部の方を招いていますが、有識者懇談会から 提言をいただいているところです。その提言を受けまして、平成19年度中に2作業所の廃止を行う 予定です。残った作業所については作業内容の改善、社会復帰の促進等、運営改善をさらに強力 に進めていきたいということで、自己評定はAとさせていただきました。  シート16の納骨堂の関係は、資料は53頁で、シートでは60頁です。こちらのほうは満足度調査 を行っていまして、それぞれ中期目標の基準を上回っているところで、Aという評価をさせていた だきました。シート17の63頁、資料は54頁です。私どもには収支相償という大きな課題がありま す。それに向けてどのような改善を行ってきたかということです。ポンチ絵の真ん中をご覧いた だきたいと思いますが、平成15年度の当期損益が191億円あったわけですが、平成18年度には42 億円まで圧縮しているところです。私どもとしては診療報酬マイナス改定を乗り越えまして、平 成20年度の収支相償達成に目処をつけたのではないかと考えているところです。ポンチ絵の55頁 に、そのためにどのようなことをやったのかがまとめられております。理事長の話にもあります ように3.16%の診療報酬のマイナス改定があったわけですが、当初は78億円のマイナスが見込ま れたわけです。右にありますように上半期の状況を見まして、経営目標見直し後計画、リカバリ ー計画を作って病院への指導を強化しました。左に実際にどういうことをやったのかが書いてあ りますが、収益面では医療連携強化、上位基準の取得ということをやっています。費用面では給 与費の削減、材料費の削減、経費の見直しをやっています。さらに減価償却費の減が、会計基準 の関係でありましたことから、42億円までマイナスを圧縮してきました。これについてはシート 63にありますが、A評価でお願いしたいと思います。65頁のシート18は、短期借入金と重要な財産 の譲渡その他ですが、これは淡々と進めておりまして、B評価です。  最後に67頁、人事関係と営繕関係ですが、ポンチ絵は56頁です。こちらは人事関係ですが、平 成16年度800人の交付金事業の関係では定員があったわけですが、これを5年間で10%の720人まで 削減するということです。これについては平成18年度計画どおり780人に減少させているところで す。その他職員の活性化・能力開発に向けた人事政策の展開につきましては、事前にご説明して いますので省略させていただきます。  ポンチ絵58頁の営繕関係は昨年度も説明していますが、施設別の保全台帳を整備して、保全情 報システムを開発したところです。これに基づきまして労災病院の劣化の状況、保全情報の迅速 な把握が可能になっているので、さらに迅速な把握を進めていきたいということで、自己評定はA 評価です。以上駆け足になりましたが、シートの説明を終わります。 ○井原部会長  どうもありがとうございました。早速、質疑応答に入りたいと思いますが、評価シートの順に4 つに分けて進めていきたいと思います。なお、評点等の記入の時間は別途設けませんので、質疑 を経ながら各自評価シートの評点やコメントをご記入いただくようお願いします。最初に、評価 シートの1から5についての質問をお願いしたいと思います。 ○篠原部会長代理  1から5に該当すると思うのですが、BSCについての導入を非常に熱心にやっておられて、これは 非常に難しい方法だと聞いているので、継続的にはかなり苦労すると思うのです。まず範囲の話 ですが、これは運営費交付金でやっている業務の対象になっているのでしょうか。 ○労働者健康福祉機構経理部長  すべての施設で運営費交付金は、病院も含めて対象となっております。 ○篠原部会長代理  そうすると、毎年ほかの所に聞いて馬鹿にされていることですが、運営費交付金収益化を費用 進行基準でやっていますが、BSCという複雑なものでしたら、当然私は期間進行基準や成果進行基 準に行くのだろうと思っていますが、何で採用しないのか。その辺の理由をお願いします。 ○労働者健康福祉機構経理部長  以前から指摘されている費用進行基準の関係やそれ以外のものもありますが、現時点で費用進 行基準をやっています。BSCの関係との絡みもありますが、先生から色々とご指導を受けている中 で、それ以外の基準についても検討はしていますが、現時点においては、費用進  行基準でや っています。   ○篠原部会長代理   決定的に厳しいことを言わせていただきますと、給料や光熱費は、単純に期間進行基準で何も 考えなくてもできると思っており、BSCなんかを入れるよりももっと楽で、簡単に目標管理できる と思うのですが、推移性や客観性がないということでこれをやらず、BSCという非常に複雑な手法 でやられている理由を教えていただけませんか。 ○労働者健康福祉機構経理部長  BSCの仕方については色々な議論があるかもしれませんが、現時点においては各施設からいただ いたものについて、本部でも各施設からデータをもらいましてその中での問題点を整理していま す。そういった意味ではBSCの扱いの仕方について、先生がご指摘されているようなBSCの緻密さ も問題がありますが、当局においてまだ始まって3年目ですが、そういった意味ではBSCをどこま で踏み込んでやっていくか。その関係と費用進行の関係については、更に検討していきたいと思 っています。 ○篠原部会長代理   わかりました。   ○井原部会長   あと何かありましたらどうぞ。   ○堺委員   おそらくこのセクションに関係すると思いましてお尋ねしますが、平成18年度のバランスシー トを拝見しますと、繰越欠損金合計が243億ということかと思います。以前の経過は私は存じ上げ ないのですが、平成16年度に御機構が独法化なさって、それ以来この欠損金は減少しているのか。 それとも横這いか、増加しているのでしょうか。  もう1つお尋ねしたいのは、独法化したときに、例えば土地の評価額を変えるとか、何かそれま での欠損額を圧縮するようなことが行われましたでしょうか。以上の2点です。   ○労働者健康福祉機構経理部長  繰越欠損金の関係については、これも一時期日経新聞等にも出たことがありました199億円とい う数字が平成17年度にありまして、平成18年度段階では240億円です。結果的には毎年いまの段階 では欠損金は溜まっていますが、平成20年度収支相償という中では、当期の損益の関係について はプラスマイナスゼロに持っていくと。そういった意味ではまだ平成19年度のところでは若干欠 損金は出てまいりますが、結果的には、いま溜っている繰越欠損金については、それ以後の段階 で、平成21年度以降の中では解消していく方向に持っていくと思っています。平成16年4月の段階 で一回精算しました。そういった関係ではその時点の中で資本金の関係等々については、その以 前のものについて一回整理をしていまして、その中で減価償却の関係等については言及していま す。 ○堺委員   そういたしますと、今拝見している数字は、平成16年度の独法化以降の数字というように理解 してよろしいですか。 ○労働者健康福祉機構経理部長  繰越欠損金については、平成16年以降の段階においての欠損金でございます。 ○篠原部会長代理  その関連で質問します。行政サービス実施コスト計算書の最後に「行政サービス実施コスト」 というものがあり、今年は456億の行政サービスのコストがかかっています。これは今ご質問にあ ったように、病院事業の損益は、最終的には独自に欠損も消すという約束のもとですから、昨年、 赤字の部分は行政コストの中に入れるのは変だということを言いましたら、その回答は、積極的 な開示は行いませんという回答でした。それに対して私は何の反論もしていないのですが、いま 質問したように、これは非常に誤解を与えると思うのです。だから私は「それなりに説明をお願 いします」と言って、今期も同じよう質問しています。これを見ると、赤字の部分が、最終的に は自己努力でやるというところがどこにもない。おそらくこれを発表したら出てこないと思うの ですが、やはりどこかで説明しないと誤解を与えてしまう。これは行政サービス実施コスト計算 書自体の運営費交付金と公的企業というか、採算制をゼロにするものを一緒にして、いわゆる非 常におかしなことをやっているという制度的な欠陥はあると思うのですが、それをわかった上で、 そこに説明を付けてよりわかりやすくする努力はすべきだと思いますが、その辺をこの1年間どう いう検討をされたのか、去年と同じように積極的開示は行われませんという今の段階なのですか。 ○労働者健康福祉機構経理部長   先生のご質問は、行政サービス実施コスト計算書の書き方について、まだもうちょっと書き方 があるのではないかということですか。 ○篠原部会長代理   というよりは、いま質問したように運営費交付金でやる事業と、いわゆる労災事業とが、一緒 に出ているので、欠損とか色々な部分で非常にわかりづらい。私も財務諸表を分析していても、 両方をやっていて、わけがわからなくなってしまうのですね。その意味で最終的に行政サービス 実施コスト計算書に集約した場合でも、労災事業の赤字の部分は、最終的には労災事業は赤字解 消、あるいはそれ以後まだ赤字を抱えていたら国家で面倒を見ざるを得ないと思うのですが、当 面いまは5年10年計画で解消するという計画でいっているのだから、その辺の部分を、これは解消 するのだということを示さないと誤解を与えるのではないかと思っています。今は行政サービス 実施コストを集約して言っているのですが、全体的にも誤解を与えてしまうのではないかという ことでお伺いしています。 ○労働者健康福祉機構理事長   先生のご指摘される問題点は、私どもはよくわかります。交付金が入っている部分については 特定資産や何かの形を取って、減価償却資産なんかも発生させない。労災病院の事業については かなり膨大な減価償却費があって、今それをそこまで何とか解消していこうということに向かっ ている途中で、平成21年度以降は、おそらくそれの累積欠損の解消を逐次やっていける段階に至 るだろうと思っていますので、その辺のわかりやすさという点では先生がおっしゃるとおりだと 思いますので、私どもはこれから資料の作成なり対外的な説明に当たっても、ちょっとそこは工 夫いたします。また先生のご指導もいただくかもしれませんが、その辺は我々対応させていただ きたいと思っています。 ○篠原部会長代理   私は見解というか、おそらくみんなそうだと思うのですが、誤解を与えると思いますので、よ く説明責任という最低の部分をお願いします。そういう点から見たらまだ私はやっていないので はないかと。プラスアルファーの要求をしているとは、私は思っておりませんので。 ○労働者健康福祉機構理事長  先ほど先生からお話のありました交付金の成果の進行に応じた管理についても、以前からお話 を承っております。ただ私どもがずっと躊躇しているのは、多分どうやって成果を測るかの基準 がなかなか作れないところの問題があって、またBSCとどう絡むのか、中でも議論がちょっと錯綜 していまして、正直そこまでまだ行っていないのが実情です。ちょっとチャレンジさせてはいた だきますが、もう少しまとまりましたらまたご報告をさせていただきたいと思っています。 ○篠原部会長代理   あまりこの件でやると何ですが、皆さんにも理解してもらいたいのは、成果進行基準で成果を 測ると言っているのですが、業務進行度で測るのだと私は思っているのです。だから複雑な仕事 をやれば、それをそれぞれのタスクに分けて、それぞれにいくら時間が掛かって、これは民間な ら常にやっていて、その予算はいくらだと。その部分はそんなに難しい話ではないと思うのです が、成果という曖昧な方へ持っていってできませんと言っているように聞こえるのです。会計士 も99%そういうことを言っているのは知っていますが、独法会計基準の解説書を見ても、成果は そんなに難しい話ではなくて、業務進行基準ということであれば、先ほどのBSCも必ずタスクに分 けてやっているはずだから、監査のリークできるでしょうという気が私はあるのです。大雑把に 仕事を進めるのではなくて、かなり分解して管理しやすいような単位でやっている。それがその まま業務進行基準だと思っています。 ○労働者健康福祉機構理事長   よくわかります。たしかBSCが、例えば交付金の対象事業になっている事業をトータルで成果を いくら上げるかというより、たぶんその前段階のそのために何をやるかという部分について熱心 に目標を書き込んでいるものですから、直接トータルのいわば業務進行を測定して、交付金の管 理と絡めていくところまでは、まだそういう形にはBSCは必ずしも運用していない。BSCはトータ ルの成果を出すために、今年はこれとこれをBSCの目標に掲げているというのが、正直ないまのBSC の運営スタイルになっているものですから、そこのギャップをどう埋めるかの工夫にチャレンジ させていただきたいと思います。   ○篠原部会長代理  民間の専門家がいるので、おそらくその辺は色々と意見も違うと思います。 ○井原部会長  ほかにございますか。 ○谷川委員   病院ですので、労災病院のケースですと地域医療をやられるのは非常によくわかるのですが、 今、労災病院の統廃合をやっておられるというご質問があったのですが、地域医療に貢献してい る割合というのは、労災病院の場合の患者さんの受入れ度合は、一般的に見てどれぐらいなので しょうか。労災病院というのはどちらかというと職業性疾病を頭に置きながら、その部分に対応 する特化した専門病院だというように理解しているものですから。ただこれが全国のそれぞれの 地域に置かれれば、一般的に地域の方の通常の病院の機能も期待されるのはよくわかるのですが、 そうなるとその辺に期待されている割合、あるいはそれでサービスを提供している割合というの はどれぐらいなのでしょうか。 ○労働者健康福祉機構理事長  数字は今すぐにはわかりませんが、私どもはこういう構造で労災病院の事業を運営しています。 労災病院の土台は、基本的には地域での中核病院として地域の中で一定の役割を果たす、それに よって病院の経営基盤が出来上がるわけです。その経営基盤の上に、例えばアスベストの問題な ら他の医療機関はやらないが、労災病院はアスベストの問題について長年知見を培ってきて症例 を集めて医師を抱えておく、そういうことを地域医療で築いた地盤の上に背負っている形で進ん でいます。だからその部分について必ずしも国からの交付金等は今はありませんから、私どもは 地域医療で足腰を強めておいてそういう使命を担う関係を作っています。だから地域医療がもし 成り立たなくなると、使命も担いきれない可能性が出てくる。その辺が再編整理と結び付いてき ていることもあろうかと思っています。 ○谷川委員  そうしますと、それぞれ地方公共団体が設立している病院があります。これは、はっきり地域 医療がベースになっているのだろうと思うのですが、その辺との間の仕事というかミッションの 配分、そういうところが統合やそれを進めるに当たっての調整のポイントになるという理解をす ればよろしいですか。 ○労働者健康福祉機構理事長   はい。労災病院の場合、伝統的に工場地帯、それから旧産炭地域等々に近く立地されている経 緯がありまして、労災病院の場合は市民を対象にした市の真ん中にある自治体設立の病院と比較 的競合していないケースが多いわけです。一定の医療圏を労災病院が中核として担いながら、そ こが働く人に向けた医療の拠点をそこで培っているという形が多いです。ただダブる場合には先 生がご指摘のように、いままで進めてきたように地方自治体に委譲するケースでいくつか再編整 理してきていることも事実です。 ○谷川委員  ありがとうございました。 ○堺委員  これは質問というより要望ですが、地域の中核病院であるケースがほとんどですが、それぞれ の地域の医療計画があります。自治体の行政がとかく遅れがちでして、こんなことを申し上げて いいかどうかはわかりませんが、例えば岩手の労災病院の今度の整理についても、その地域医療 計画の位置づけはどうかというのはなかなかすぐには書きにくいというご事情もあろうかと思い ます。  今の質問に関連しまして、個々の病院全部というわけにはいかないと思うのですが、それぞれ の地域医療計画の中の病院の位置づけをお書きいただくと、ただいまの質問に多少お答えをいた だけるかなと思いました。これは要望です。   ○井原部会長   それでは、ここで質問の対象をシート6からシート10まで広げたいと思います。1から5でも結構 ですので、どうぞよろしくお願いします。 ○宮本委員   資料27頁の一番上に、在院日数の短縮があります。目標からして在院日数が短縮されることは いいことであるということになりますが、ちょっと全体としてよく見えないのですが、短縮して 早く退院された方は、その先どうなっているのかというのは、どのようにして押さえるのでしょ うか。ということは、つまり評価ができにくいので、教えていただきたいと思います。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長   平均在院日数が最近では急性期の病院で短くなっているというのは、大体その下のほうに国か らパスというのがありまして、その中で医療の標準化というのを図っているわけです。労災病院 だけではなくて、日本全国の急性期の病院では前はドクターが1人でやっていたのがチーム医療に なって、医師、看護師、それからコメディカルがパスというか診療のスケジュールを組んで、そ のスケジュールをまた患者さんにも示すと。患者さんにも説明して、入院して2日目に手術して、 何日目には抜糸して、その後リハビリをやって退院ですと。そういうことが出来上がってきて、 だんだんと全国のパスがどこでも見れるようにな っていまして、だんだん共通化していると。 そういう形で在院日数も短くなっているのもあります。  もう1つは、下に地域連携パスというのが表の真ん中辺りにありますが、例えば大腿頸部骨折、 あるいは脳梗塞や脳卒中、糖尿病がありますが、急性期病院、国の方針としては病院を機能分担 させているわけです。急性期病院、後方病院、連携病院、それから在宅に行く。それで急性期病 院はここまでですと。そして次の病院に移していく。以前でしたら例えば大腿骨骨折というのは 50日ぐらい入院されていたと思うのですが、今早い病院では20日ぐらいで退院して、次の所でま たリハビリをして、同じように1つのパスが1つの病院だけではなくて、次の病院でも使っていく 形になっています。ちょっとお答えになっているかどうかはわかりませんが、よろしいでしょう か。   ○宮本委員  そういう形で機能分担していることは理解できますが、例えば利用者側というか患者側にとっ て、それがうまく機能しているかどうかという患者側の評価というものは、取っていらっしゃる のでしょうか。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  資料35頁に満足度調査がありまして、その真ん中から下のほうにあるように、毎年やっていま す。昨年は9月4日から10月1日に入院された患者さんに対して調査をやって、右にありますように 大変満足、やや満足が78%ぐらいの満足度になっています。 ○労働者健康福祉機構理事長  ちょっと補足させていただきます。在院日数短縮は、私どもの病院の流れの中では宿命ではあ るのですが、ではこの在院日数を短くするために闇雲に病院から出せるかといったら、実際問題 は出せないわけです。だからケースワーカーも含めて後方病院というのは、日頃から連携体制を 構築しているわけです。症状によっては後方病院と連携する中でそちらへ移っていく。  私どもの病院は整形外科のウエイトがかなり高いのが特徴でありますので、そういう所は自ら 亜急性期の病床を持ってもう少し抱えていくケースとか、あるいは外来として私どものリハビリ が優れていますので、外来としてリハビリに励んでもらうケース等を通じて在院日数が短くなる。 医療が進歩していくとどうしても標準化されていく中で、いまの医療費の問題もあり効率化が求 められる過程では在院日数が短くなることはしようがないのですが、それによって患者の皆さん に冷たくならないように、色々な流れを想定しながら、こうした多数によって在院日数の短縮の 流れを作っていくと。そのような作業で、そこは大変気を遣う病院の現場の仕事であるかと思っ ていますが、その辺は十分気を遣いながら進めさせていただきたいです。   ○宮本委員  わかりました。ありがとうございました。 ○井原部会長 どうぞ。 ○今村委員  若干シート4にも関係しますが、シート5、6で、確かに高度な研究成果を蓄積されていることが わかっていて、そこから例えばメンタルヘルスや地域医療にフィードバックしていこうというス タンスはよくわかります。ちょっとお伺いしたいのは、従来型の労災病院的な研究とメタボリッ クやメンタルヘルスケアの研究費の構成割合、人員体制割合はどうなっているか、あるいは今後 どのように考えているかということを教えていただけたら。というのは、確かに蓄積は従来型と いうと失礼ですが、物理的な疾病等に関する研究成果は蓄積されているのはよくわかるのですが、 メンタルヘルス等に関して今後向かわれている方向に関しての研究成果がどのくらいこれから人 員や資金を抑えて蓄積されているかを、もし教えていただければということなのですが。 ○労働者健康福祉機構経理部長  研究費だけということで、政策的なものをやっていく中での研究開発の関係でやりますと、約8 億円ぐらいの額のものが出されています。  あと人員増関係ですが、その中で先生方は一般診療をやりながら午後からやってもらうとか、 そういった区分けをやっていますので、そういった従前の診療行為の中のある部については対象 群と非対象群の関係をとらえながらやっているので、そういった意味で先生の中には専属でやっ ている先生も何人かおりますが、一般的には診療行為をやりながらという先生もおります。です から数的に何人かについてはいま手元にありませんが、そこまでは区分けしておりません。   ○今村委員  簡単に1つだけ。例えばメンタルヘルス的な精神的な部分と、フィジカルな外科的な部分との研 究員の構成、あるいは研究費の構成はわからないのでしょうか。 ○労働者健康福祉機構理事長  計画するところを出させて、それに応じて主たる研究者を決めて、それをやりたいと、分担す る研究者を各病院から募って共同で研究するのです。だから伝統的な職業病型と、こういう新し い時代でジワジワと働く人に問題になってくる疾病とで、特段初めから構成、割合を決めておく ことはありません。プロトコルを見て、それによって評価されたところで、あと研究者がそれに 付いてくる形になりますので、予め決めていることはないのです。実際上それによって決まって くると思います。 ○労働者健康福祉機構経理部長  すみません、ポンチ絵の20頁の予防医療センターの関係について先ほど総務部長が説明しまし たが、この関係については、事業全体では4件ぐらいのものがあります。先ほど13疾病の関係につ いては8億と言いましたが、それ以外に予防医療センターの関係につきましては収支差交付金事業 全体についてすべて賄えませんので、自前でもやりますが、運営費交付金を若干もらっています。 その中で予防医療センターについては、約4億6,000万ぐらいの経費の中でやっています。 ○井原部会長  1つだけ教えて下さい。海外派遣労働者に対する健康管理サービスがありますが、これは全海外 派遣労働者の中のどのぐらいを当機構でカバーしているのですか。 ○労働者健康福祉機構産業保健部長  毎年海外にどれだけの方が勤務という格好で出て行かれるのか、正確な数字はわからないと思 います。外務省の3カ月以上海外に在留されている方の在留届からのデータによりますと、平成17 年度では民間企業関係者で3カ月以上滞在されている方は、22万人という数字が出ています。です から、1年間でという話をしますと、その数字の1/4ないしは1/5程度の方が、新たに出国されるこ とになるだろうと思います。  海外勤務健康管理センターで行っている海外赴任者に関する健康診断の数字は、大体年間5,000 件程度です。これは労働安全衛生法に基づいた健康診断ですが、出かける前に、人間ドックを受 けられる方が多く、この場合ですと、この派遣前の健康診断の必要がありません。そういう諸々 の状況を考え合わせますと、労働安全衛生法の海外派遣前健康診断のうち、センターで実施して いる割合は、おそらく20〜30%ぐらいになっているのではないかと推測します。   ○井原部会長   その辺から民間でも出来るのではないかという意見が出てくるわけですか。あとは何か、よろ しいですか。   ○谷川委員  たぶん海外に出る場合は、私どものケースはみんな人間ドックを受診してそれから行くように 言ってありますので、基本的に規模の大きい会社のケースはほとんど自分でやっていると思いま す。ただ一般的に大企業だけかというと必ずしもそうではありませんので色々なパターンもあり ますし、ほとんど1人とか2人で出られる方もいらっしゃいますので、色々な形のサービスがあっ てもいいのではないかと思います。 ○井原部会長  次に、11から15まで質問の範囲を広げたいと思います。 ○篠原部会長代理  前のほうになると思うのですが、看護師の不足で色々対策を取っているのですが、いわゆる公 的機関は人員削減でだいぶ減らされてきて、医師対看護師の比率が何年か前には1対0.6〜0.7とか 言われていて、民間の病院は1対1か、あるいはそれ以上だと。比率が高くなればなるほど医療収 入も上がってくると言われていますが、その辺は今の労災病院はどの比率ぐらいですか。 ○労働者健康福祉機構総務部長  資料27頁、看護体制の充実の上のほうですが、ここに病棟入院基本料がありまして、7対1、10 対1、13対1となっています。ごく大雑把に言ってしまうと、患者が左側で看護師が右側で、7対1 が一番手厚い看護です。これは確かにこのほうが、入院基本料が高くなる状況になっていまして、 労災病院の場合は平成18年度が7対1が1施設、10対1が30施設という状況です。さらに7対1の導入 を進めようということで、平成19年度に4施設進めているところです。 ○労働者健康福祉機構理事長  これについては平成18年度の医療問題、診療報酬改定の問題が非常に深くかかわっております。 一番手厚い看護基準として7対1が新設されたのが平成18年度で、これを目指して各大学病院等を 中心に一斉に確保に走りました。それで看護師の確保競争が一気に問題になったという経緯があ ります。大学病院等が7対1を取得するためには、300人ぐらい一気に採るわけでして、大変全国各 地で私どもが募集にいくと色々競合するという場面はありましたが、おそらくこの辺も看護師必 要度を加味した形で、単に看護師がいればその病院は7対1の入院基本料が取れるというところか ら、今度変わってくるのではないかと思います。看護師必要度が本当に7対1をやるのに相応しい 病院であるかどうかということも加味されてくると思いますので、そういう状況を見ながら病院 の医療内容から見て、安全を守るために7対1が必要だという所には7対1に踏み切りますが、そう でなければその下の段階の10対1でやっていくという形に、反対していかざるを得ない状況だろう と思っています。 ○井原部会長  さらに広げてよろしいですか。では、16から19まで拡大して、ご質問をいただきたいと思いま す。前に戻っていただいても結構です。 ○松田委員  人件費についてお聞きします。繰越欠損が240億ありますが、また今期も41億の欠損になってい ると。独立行政法人に移行するときに6,000億を政府の出資金で相殺してしまったと新聞に出てい ます。そのことを考えますと、理事長の報酬や理事の報酬はほとんど期末当月手当で、それをち ょっと減らしただけでしょう。実際に標準的に当初お決めになった報酬は、どのぐらいなのです か。何パーセント増えているのですか、減っているのですか、あるいは横這いなのですか。 ○労働者健康福祉機構理事長  その点についてはあとでご説明しますが、私自身の給与で言えば、平成17年度に私どもの機構 全体が2.5%の一律賃金カットをやっており、その際に私どもはそれを超えて5%の賃金カットを 行っております。 ○松田委員 ですから、増えているのか減っているのか、それは何パーセントなのですか。 ○労働者健康福祉機構理事長  皆さんが平成17年度に賃金カットした際に、私どもは賃金カット率を倍以上で役員は私を含め て受けています。その後のボーナスカットの際にはそれを上回るものとなっております。 ○松田委員  ですから、何パーセントカットしたのか、それを聞いているのですよ。 ○労働者健康福祉機構総務部長  ちょっと経緯を申し上げます。役員の場合は平成16年度からカットを始めておりまして、平成 16年度の12月に16/100をカットしています。平成17年度6月期が14/100、12月期が16/100、平成18 年度が14/100。先ほど申し上げたように、12月期が25/100です。 ○松田委員  240億も欠損金を出す。そうすると原則にとらわれないで少なくとも25/100、あるいは30/100、 40/100の減額をして然るべきではないですか。何もルールに拘る必要は1つもないのですが、それ を見据えてもらいたいのです。 ○篠原部会長代理  反論というわけではないのですが、公的機関というのは、それを黒字に持っていくというのは ものすごく大変で、それを行うと、おそらくやってられないなという感じがします。だから、必 ずしも民間ならば赤なら駄目というものでもそうとは言えない。 ○松田委員  だからそういう決意があるかどうかを聞いているのですよ。 ○労働者健康福祉機構理事長  ご指摘のように、我々が同じく給与返上することについては全然抵抗ございませんので、そう いうことであれば給与を返上してでも経営改善をやっていきたいと願っております。そこは十分 そういう覚悟でいますが、ただ累積赤字、そして単年度で赤字が出ている状況で、今までの独立 行政法人移行以来その改善の填補というのは、猛烈なスピードで改善を進めてきていることも事 実です。だから内部留保はある程度減価償却が届きませんが、相当出来てきている。もともと独 立行政法人として私どもが引き継いだ施設の減価償却費というのは、国立病院、あるいは社会保 険でいうよりもはるかに高い減価償却比率の建物を引き継いでいますからどうしてもいま赤字が 残ります。ただ、猛烈なスピードで改善している最中に頑張ってくれている職員全体の給与カッ トとなりますと、いまの医師不足の中で医師が逃げていく、職員のモラルは落ちる、その辺を考 えながら平成20年度までに損益を均衡させて今度欠損を返し始めるというトータルの傾斜として の判断、そこはご理解をいただきたい。そうしないと、いまの段階で医師に逃げられたら、収支 相償という目標すら崩れていく。そういう事業の特性が医療事業だという点については、ご理解 をいただきたいと思っています。 ○篠原部会長代理  先ほども言いましたように、たしか相率はだんだん小さくなっていますね。ですから、その辺 の経年変化を示してくれると不十分とかあるのですが、毎年前期と比較してこうと言われている から、たしか平成21年度ぐらいがトントンで、あとから累積欠損を消していく計画のもとだと最 初聞いたのですが、その辺が計画どおり行っているかどうかですね。行っていなければ私は、あ る意味では刑事責任になると思うのですが、そこの部分が赤だからどうというよりは、本当は計 画どおり行っているかどうかが見えるようなものがほしい気がします。 ○労働者健康福祉機構理事長  それは何か計画を出させていただきたいと思いますし、正直に申しまして、労災病院が設立さ れてから50年以上経っているわけです。いまいる職員や医師が一生懸命回復を求めているわけで すが、何十年前に立てられた減価償却費がまだ返し切れてないからといっても、猛烈なスピード で日夜当直救急体制を含めて頑張ってくれている職員の給与をこれ以上カットしていくことは、 私どもはトータルでの経営を何とかいい姿に持っていきたい。そのためには若干時間をお借りし ていただいているわけですが、それを今やるとたぶんスケジュールが壊れてくる可能性があるこ とは私ども経営者としては判断をせざるを得ないものですから、そこは是非ご理解をいただいて、 生き物を扱っている形で事業を進めていかなければいけない点をご理解いただきたいと思いま す。 ○労働者健康福祉機構経理部長  すみません、ポンチ絵の54頁を先ほどご説明しましたが、もう1回。このところで平成15年段 階で独法化移行する前のところで、冒頭に理事長から説明しましたが、当期損益が△191億円あ ったものが、平成18年段階で△42億円と、この間で149億円の改善がなされています。  今、理事長が申しましたように減価償却の関係等がありますが、そういった意味では重い負担 があります。そういう中でも平成20年度の中期目標等の中では、収支相償ということで、それに 向かって職員全員で頑張っているところです。 ○篠原部会長代理  この計画に対してどうで、この計画を達成していないのは予定したより厳しい状況になったと いう形で説明していくと、そのとおりにいっているなと思いますが、前の年にやっていると、私 なんか聞いていて本当に計算どおりいってどうなるかと。それの集約として、先ほど行政サービ ス実施コスト計算書のことを聞いたのです。だから根底にはその部分というのはみんな持ってい ると思うのです。 ○労働者健康福祉機構経理部長  年度計画自体については、毎年年度が変わる前に出します。そういった意味では平成19年度の 関係についていま厚生労働省で出しているものについては、現段階で△30億円という数字で、平 成19年度の事業計画としては出しております。 ○本寺委員   ちょっと給料の話になって申し訳ないですが、参考資料で医師の方と医療職員、看護師の方の 国の平均給与額との対比という形で、こちら機構の状況が示されています。双方から言えるのは、 年齢が高い人ほど乖離が大きくなってくる状況が出ていると思います。何で国の平均給与額は、 こうやって低く抑えられるのかということを知りたい。先ほどの給与を抑え込めば人が定着しな いから抑えられないというのはよくわかるのですが、そういう原理があるのであれば、なぜ国の 平均給与額である医師や看護師の人たちはそういうマーケットで抑えることができる秘密は何な のか。それをこの機構で適用できるのであれば、国の平均給与並みに賃金のカーブを変化するこ とができるのではないかと思います。 ○労働者健康福祉機構総務部長  国の方は、結局俸給表はもう完全に決まっております。毎年の給与の引上げ、引下げは人事院 勧告に基づいてやるという形になっておりまして、全くその裁量が入り込む余地がないというと ころがございます。  私どものほうの場合はその点、民間と同様でございますので、やはり給与の条件によって人が 来てくれる、来てくれないというのが出てまいります。  特に医師の場合どうしても医師不足の状況にございまして、やはり国の場合と違った上乗せと いうものが出て来てまいりまして、こういう結果になっているということではないかと思います。 国並に押えられればいいんですけれど、やはりそうなると逃げてしまうというのが現実だと思い ます。 ○労働者健康福祉機構理事長  すみません、医師、看護師は特に医師の場合はそうですが、私ども地域、それぞれの地域に展 開しているものですから、給与の問題というのは自治体病院とか厚生連の病院等と競合になりま す。結果的にそこと比べると私どものほうは大分安いのが実情です。私どもよりもっと安いのが 大学で、大学も困っているわけですけれども。そういう関係の中で医師確保、看護師確保等とを 進めて事実上やることは、ご理解いただかなくてはと思っています、正直に申し上げて。 ○谷川委員  確か以前の話、都市部の医師の給料よりも、地方の医師の給料のほうが高いと聞いたことがあ るんですけれど、今はそれはないんですか。今のお話ですと、どっちかといいますと都市部より もいままで労災病院があるのは地域の首都圏とかそういうところではなくって、産炭地域だとか、 そういうところにあるというお話でした。そういうところにいるお医者さんというのは中々集ま りにくいという話がありましたけれども。 ○労働者健康福祉機構総務部長  先ほど申し上げたように、資料にも書かせていただきましたが、医師確保手当、11施設あると 申しましたけれど、これは医師の確保が困難な地域でございまして、そこに上乗せをしていると。 現実に地域のほうは本当に医師の確保が難しい都市部に比べると。 ○谷川委員  これは医療機関で地域にある、地方にある医療機関が全部が苦しんでいると聞いたことはある んですけれども。 ○労働者健康福祉機構総務部長  一般的にはそうではないかと思います。報道なんかでやりますけれども、やはり地方の病院が かなりの給与の条件を出して、医師を連れてくるということはあるんではないかと思っておりま す。 ○井原部会長  この件に関してはよろしいですか。                 (了承) ○井原部会長  最後に全体を通じて何か個別にご質問があればお願いしたいと思います。よろしいですか。そ れではこれで質問は終わりにしたいと思います。評価シートへの書込みが終わられていない方が いらっしゃいましたら、これは、評価シートはお帰りになるまでは回収いたしませんので引き続 きご記入をお願いしたいと思います。  それでは次の議題でございますけれども、労災病院再編計画に基づく統合の方向について、こ れは法人から説明をお願いいたします。   ○労働者健康福祉機構総務部長  それでは私のほうから説明させていただきます。資料3をお開き下さい。先ほども申し上げまし たが、労災病院再編計画、平成16年に出来たものですが、この中では平成19年度に美唄、岩見沢 の両労災病院を統合いたしまして、一方分院化させ機能の効率化・行動化をはかるとされていま す。資料の最後のほうに出ておりますが、いちばん最後です。廃止統合対象の労災病院というと ころで統合対象病院ということで出ております。また最初のほうに戻ります。統合の理由の1のと ころに同一の二次医療圏内に設置されていることから対象となったものでございます。  若干その後、平成17年4月に美唄市の方が新たな市立病院を作る構想、美唄市が美唄労災病院と 市立病院を統合しまして、市立病院として運営するとそういった構想を平成17年4月の美唄市地域 医療ビジョンの中で策定をしました。美唄市の構想は、そこにありますように、非常に医師確保 が困難な状況で、診療機能にまで影響が及んでおりまして、両病院がこのまま存続した場合さら なる経営状況の悪化や診療機能の低下を招く可能性が高いんではないかと。抜本的な対策を講じ ない限り両病院が共存することは困難であると。医療資源の有効活用で統合を考えたわけです。  3のところでは、美唄市はこの構想を実現するために私どもの機構に対しまして、労災病院の財 産譲渡を要望をしてきた経緯があります。  美唄市の方は、美唄労災病院がこれまで担ってきました脊損医療、これについても統合後の新 市立病院で継続するとのことでした。  4番目には、平成18年3月に厚生労働省の方から、当初の再建計画です、当初の労災病院の再編 計画どおり、統合を進めることが適当であるかどうか、検討し報告するように指示を受けており まして、私どもの方では、再編計画策定時に予想された経営状況、次のページでは、地域医療を 取り巻く状況の変化、市立美唄病院と統合した場合の当該地域における勤労者医療への影響と、 この構想の実現の可能性具体的な条件について、美唄市と協議を行ってきたところです。  主要な論点につきまして、美唄市と機構の方で意見の一致を見まして6月に中間取り纏めを策定 しております。この中で脊損患者に対する医療は美唄市に定着しているということ。市内に居住 の場を移している脊損患者に対する継続したケアが必要なことから機構といたしましては、脊損 医療を継続させるために専門医師の派遣、新市立病院における脊損医療の受診に支障がないよう な積極的な支援を行うこととしていると、この中間取り纏めの中に記述しております。  5番目には、新病院構想につきましては、医師の配置、診療態勢の効率化が計られつつ継続的地 域医療の提供体制の確保に資するのではないかと。美唄労災病院の特色であります、脊損医療を 継続させるための基盤の確立にも繋がるのではないかと、当機構としましては、市立美唄病院の 統合が望ましいのではないかと考えております。  なお、脊損医療研究部門、勤労者医療機能につきましては、岩見沢労災病院に集約することに よりまして、美唄岩見沢労災病院の統合を行おうと考えています。非常に医師不足の地域でござ いまして、この構想にそって必要な医師の確保など所要の条件整備を行って参りたいと考えてお ります。その目処が立った段階で国の最終決定を仰いで参りたいと考えております。以上です。   ○井原部会長   はい、それでは今の内容について何か質問はありますか。 ○松田委員  中核病院を位置付けるんですか。現在37あるんですね。 ○井原部会長  現在労災病院は33です。 ○松田委員  中核病院を位置付けるのは大体7つです。看護師も医師も集中できます。分散しているから思う ような医師も取れない。この33病院を半分位にするのですね、抜本的に。一つの改善にはできま せん、今のようなやり方では。 ○労働者健康福祉機構理事長  よろしいでしょうか、これは決して反論するわけではありませんがこの北海道美唄、岩見沢が 置かれた空知地区にかぎらず、本当にドクターはいません。市町村立の病院もかなり縮小あるい は診療所化していくという流れが出ております。本当に広大な地域で医療用のアクセスが保証さ れながら病院の集約化が進んでいる状況ではございません。いままで中核病院だったところもど んどんそういう意味では地域医療を展開することが困難な情勢というのはかなりうまれていま す。  労災病院が中核病院ということで、例えば岩見沢労災と美唄労災2つ合わせて医師確保できるか と言ったら、これはあの地域では相当な工夫をしないかぎり実際上医師の確保はできません。そ ういう意味では北海道、東北の一部等々についてよく言われる医療崩壊という現象が出てきてい ることは事実だろうと正直認識しています。中核病院と名乗れば医師が集まるという情勢では決 してありません。それは現地を歩かれ、医師を派遣している大学、またなんとか医師の供給態勢 を整えて医療機関の集約化を図ろうとしている道庁と毎日連絡を取っていますけれども、そうい う中で先生がおっしゃるような医師の供給状況に北海道等がないことが事実です。そういう中で 美唄と岩見沢で美唄地区の地域医療を守りながら、またあそこに住み着いている脊損患者のケア をしながら、どういう医療の提供体制を作れるかというのは、大変問題で、私どもも医師の確保 に向けて全国的に動いているわけです。中核病院だから医師が集まるということではございませ ん。  もうひとつ私どもには釧路がありますけれど、釧路に通っている患者さんは、100キロ、200キ ロ先からでも来ます。それは都市に病院がないからです。つまり病院がないよりも医者がいない からそうなってしまいます。そういう情勢が生まれている中での病院運営だということは、理解 してもらいたいです。一度歩かれたらわかると思います。   ○井原部会長  松田委員のようなご意見もあるということを踏まえて、今後検討をお願いします。それでは法 人のほうで、進めていただければと思います。  それでは次の議題に移る前に事務局の入替えをいたしますので、5分程度休憩いたします。ただ 今の時間は17時12分ですので、開始時間を17時20分にしたいと思います。                  (事務局入れ替え) ○井原部会長  引続き会議を進めたいと思います。  次に、勤労者退職金共済機構の評価の視点の追加について、事務局から説明をお願いいたし ます。 ○政策評価官室長補佐  先ほども説明いたしましたが、平成18年3月に中期目標を変更した関係で、これらを評価するた めの評価の視点を追加させていただいています。資料の4ですが、勤労者退職金共済機構につい ては業務システム最適化関係、人経費関係の2つについての追加となっています。以上です。 ○井原部会長  これについて何かご質問、ご意見があればお願いしたいと思います。よろしいですか。 (了承) ○井原部会長   それでは、この内容で評価の視点の追加について了承したいと思います。  次の議題の勤労者退職金共済機構の評価に移ります。最初に、事務局から参考資料についての 説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐   先ほど、ご紹介させていただきました参考資料1と参考資料2です。その2つの文章において、年 度評価の際に留意することとして言及されている項目のうち、先ほどと同様に、法人共通のもの として資料4及び資料5の人件費、それから随意契約の状況について、資料として出しています。  また、勤労者退職金共済機構においては、業務システム最適化に該当するシステムがあります ので、その条件についても参考資料6のとおり、お出ししています。これを踏まえてご評価をいた だければと考えています。 ○井原部会長 機構からの説明ございますか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長   それでは参考資料4に基づき、当機構の役職員の報酬・給与等についてポイントを説明申し上げ ます。  まず役員報酬についてです。1頁目の1の(2)にそれぞれ書いてあります。18年度においては国家 公務員の指定職の給与改定に準じ、当機構の役員についても役員俸給月額の引下げ、具体的には 7%程度の引下げを行っています。また特別調整手当は国における地域手当と同様のものですが、 これについては国においては1%引上げられていますが、役員については18年度からスタートする 人件費改革の実施にあたり、率先垂範する観点から1%引下げるということで、報酬の見直しを行 っているところです。  続いて2枚おめくり下さい。IIとして職員給与について記しています。職員給与については、国 家公務員に準ずるという方向で、これまでも取組みを行ってきているところです。18年度の主な 改正点としては、(2)のウ、中ほどですが、1つは俸給表の水準を全体として国に準ずる形で、4.8% 引下げています。その際、中高年齢層については、公務員給与が民間を7%程度上回っていること を踏まえ、さらに2%程度引下げる措置を行っています。逆に、若年層については引下げを行って いません。また号俸についても4分割し、特別都市手当、これは先ほど申しましたとおり、国の地 域手当と同様のものですが、これについても国に準じて1%の引上げを行っています。ただし、管 理職については役員と同様、率先垂範する立場から、手当については据置きにしています。  このような取組みを行ったところですが、参考資料4の後ろから2頁目をお開き下さい。中ほど に(5)として、職員と国家公務員及び他の独法との給与水準の比較の指標が出ています。まず国家 公務員との比較ですが、106.8となっています。他の独法との比較ですが、99.6で、独法の水準を やや下回った形になっています。今申しましたように、国家公務員と比較すると106.8ですが、当 機構は東京のみに事務所を所在しています。それと比較する上で、東京都特別区の国家公務員の 給与水準と比較すると、括弧内のように94.7ということで、国の水準を5.3ポイント下回る結果に なっています。  1頁おめくり下さい。独立行政法人についても、国における取組みと同様、18年度から5年間で、 17年度比人件費5%減の目標が掲げられています。その取組み状況ですが、(3)に数値を記していま す。基準年度である17年度の給与については、ここにあるように21億4,800万円になっていますが、 18年度においては先ほど申しましたような取組みの結果、20億8,100万円ということで、3.1%の 減を達成したところです。以上が人件費の状況です。  資料の参考5は、労働者健康福祉機構及び勤労者退職金共済機構の随意契約の状況についてで す。2頁目は当機構についての数値です。総契約件数は左端にありますように261件、金額では34 億800万円です。内訳は、一般競争入札は41件、15.7%、金額で2億1,700万円、率で6.4%です。 また指名競争入札は12件、4.6%、金額では1億5,600万円、率で4.6%です。また随意契約は208 件、率で79.7%、金額で30億3,500万円、率で89%を占めています。随意契約の見直しについては 国からも資料をいただいており、機構においてもこれまでも取組みを進めているところです。  機構の業務の実施に当たっては、中小企業退職金共済法上、事業主団体へ業務委託できること が規定されており、これまで事業主団体との随意契約が相当程度占めています。全体の約4割を占 めていましたが、これらについても見直し作業を進め、平成20年度契約分から競争原理を導入す ることとし、現在その準備を行っているところです。また退職金共済契約・給付等に係るシステ ムについても、従来のレガシーシステムで構成されており、随契で実施していました。金額的に は約2割を占めています。これについても後ほど説明いたしますが、業務・システムの最適化を通 じ、オープンシステムに切り換え、競争入札を実施する予定で現在作業を進めています。次の頁 に、随意契約によることができる限度額について記載しています。当機構は、この表で上から3 番目です。各分野において、国同様の水準で実施することとし、その基準についてはホームペー ジで公表しているところです。随意契約については以上です。  引続きまして、参考6により業務・システム最適化の状況について取組みを報告いたします。当 機構については1頁中ほどに記載しています。当機構においてはCIOとして総務担当理事を選任し、 それを補佐するCIO補佐官として、民間から企画競争を実施し、CIO補佐官を選任しています。ま た、最適化の対象システムは、総括すれば当機構において実施される退職金共済契約に係るシス テム全般を対象とし、実施しています。最適化計画については、18年度及び19年度の2年間で策定 する予定とし、20年3月を策定予定としています。なお、3枚めくりますと、当機構における業務 システムの最適化についての中期目標、中期計画より抜粋した資料があります。これについては 昨年3月に審議いただいていますので、本日は説明は省略させていただきます。以上です。 ○井原部会長  ただ今の内容について、何かご意見、ご質問があればお願いしたいと思います。よろしいです か。 (了承) ○井原部会長  それでは実際の評価に移りたいと思います。まず、勤労者退職金共済機構の樋爪理事長からご 挨拶説明をいただきまして、次に、平成18年度の法人業務について勤労者退職金共済機構より説 明をお願いいたします。なお、今年の夏の独法評価委員会においては議題が多くありますので、 説明時間等、例年より短縮させていただいています。理事長の説明も含めまして、合計50分でお 願いいたしますので、時間が超過することがないよう、是非ご協力をお願いしたいと思います。 それでは、よろしくお願いします。 ○勤労者退職金共済機構理事長  理事長の樋爪でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  現在の中期計画の4年度目に当たります18年度の実績を概括的にご報告したいと思います。例年 のことではありますが、一般の中小企業退職金共済事業を「中退共」、建設業退職金共済事業を「建 退共」、清酒製造業のそれを「清退共」、林業のそれを「林退共」とそれぞれ略称で呼ぶことをお 許しいただきたいと思います。資料5−5、の3頁をお開き下さい。18年度の業務実績を、基本的な ミッションとの関係で整理しています。まず、将来にわたる確実な退職金給付を実現するために、 必要な財務内容の改善については、資産運用が順調であったことなどから、中退共と林退共の累 積欠損金は併せて716億円の減少を見ました。特に中退共は、年度ごとの解消目安額であります180 億円を大きく上回る715億円の減少となり、残った累損は152億円と、ピーク時には3,230億円あり ましたので、これの5%弱の水準にまで落ちたわけです。こうした改善を支えた掛金収入ですが、 中退共では年度目標額の118%、林退共も95%と、概ね順調な成果を上げ、また資産運用の面でも 累積欠損金解消計画で達成すべきとされた運用利回りは中退共では2.2%、林退共では1.33%です が、これを上回る利回りを確保しました。ちなみに中退共では2.81%、林退共は1.51%です。  この点、先般開催された外部の専門家から成る資産運用評価委員会でも、30頁にありますよう に、おおむねベンチマーク等と同等のパフォーマンスとなっている経理が多く、各事業とも全般 として運用の基本計画、基本方針に沿った運用に努めていると評価できるとされたところです。  また、この資料の3頁、退職金制度への着実な加入とのミッションに関しても、4制度併せて約 57万人、年度計画を8.7%上回る増加を達成しました。ただ中退共が17.4%の超過達成になったの に対して、建退共、清退共、林退共はいずれも目標を下回る実績にとどまりました。こうした下 降的な傾向は昨年度から強まってきており、特定業種の退職金共済制度については、各事業本部 の努力にもかかわらず、各業種の業界事情が一段と厳しくなっている上、制度の成熟がさらに進 んでいることが影響しているように思います。  中退共が、17年度に引き続き好調であった背景には、近年におけるさまざまな加入強化に向け ての施策が、相乗的な効果を上げていると見られますが、18年度は、例年10月を強化月間として いるところを、新たに6月を加入促進の準強化月間に設定をいたしまして、力を注いだところです。 以上のほか、基本的なミッションを達成するために必要となる、業務運営の効率化やサービスの 向上の面でも、この資料の3頁左下と右端に整理しましたように、18年度中も地道な成果を上げた と考えています。  職員の意識の面でも、人事評価制度の実施2年目ということもあり、目標管理の取組み強化など、 次第に効率化マインドが育ちつつあるように見受けています。また、国のほうから強い指導を受 けている随意契約問題についても、事業主団体に対する業務委託契約などへの対応が迫られてき ましたが、これまでに大方の問題について、競争性を導入する方策を固め得たと、このように考 えています。次に、当面の業務運営方針について若干申し上げます。19年度は、現在の中期計画 の最終年度です。中計で掲げた目標の必達を目途に、着実に努力してまいりたいと思います。同 時に本年は、この後、中期目標期間終了時の業務実績評価や、それに伴う事務事業の見直しに関 する検討が予定されています。  また、経済財政改革の基本方針2007によれば、独立行政法人整理合理化計画が年内を目途に、 とりまとめられることになっています。私ども機構としても、こうした作業には真摯に協力して まいりたい、このように考えています。ただ、こうした検討について、機構は基本的には受け身 の対応になるわけでして、私自身としましても、まさにまな板の鯉の心境ですが、加入者が561 万人で、運用資産残高が4兆5,600億円に達します。この中小企業退職金共済事業の存在意義を考 えますと、今後の機構の事業や組織をめぐる検討にあたっては、退職金共済事業を維持発展させ ることを前提に、進めていただきたいものと、このように考えています。以上です。 ○井原部会長   引続き、平成18年度の業務実績等についての説明をお願いします。  ○勤労者退職金共済機構総務部長   それでは個別に説明申し上げたいと思います。資料としては、ただいま理事長が説明に使いま した資料5−5「18事業年度の業務実績に関する説明」資料」に基づいて説明申し上げます。4頁以 下で順次整理しています。  まず評価項目1、効率的かつ柔軟な組織人員体制の確立についてです。18年度の事業実施に当た っては、先ほど説明申し上げましたが、業務・システムの最適化への対応が新たな課題として与 えられたところです。これを確実に実施するために専任部署として、最適化推進室を設置し、体 制整備を行ったところです。また先ほど申しましたように、この見直しについては当機構の全退 職金共済事業に関わるもの、いわば屋台骨に関わるものですので、確実にかつ全体を整合性のあ るものとして進めるために、全部署のトップを招集しました、連絡会議あるいは、その下に幹事 会を設けて、円滑な運営に努めているところです。また、機構の職員の人材を育成する観点から、 研修にも力を入れてきたところです。  18年度の実施状況は中ほどの絵に書いてありますが、17年度の実施結果を踏まえて、必要な見 直しを行っています。例えば、メンタルヘルス研修については17年度が初年度の実施で、係長ク ラスを対象にしましたが、18年度においては対象を拡大し、管理職も含め全体に対して実施をし たところです。また、エクセル研修等についても内容のレベルアップを図っています。  昨年、当評価委員会でもご指摘いただきましたが、人材育成にあたっては中核的人材の育成が 重要である、あるいはコンプライアンス研修も必要だというご指摘をいただき、それについては 右のように、19年度の基本研修へ反映し、今年度実施することとしています。いまご覧いただい ている「コンプライアンス研修」の下に、「保険数理業務研修」とあります。これは、いわゆるア クチャリーの養成研修です。これについても数年をかけて機構として自前の専門家を養成すると いう観点から、19年度育成に着手したところです。このように事業の実績を踏まえ、あるいは評 価委員会等からのご指摘を受けて事業を実施したということで、自己評価としてはA評価としてい ます。  続いて評価項目の2、内部進行管理の充実です。機構においては、基本的に進行管理については PDSサイクルで実施しています。まず業務運営全般について、これも例年ご覧いただいていますが、 理事会、事業本部、それから業務推進委員会でのチェックということで、PDSサイクルを回してい ます。また資産運用については、外部の専門家の意見も積極的に聞き業務に反映するという観点 で、より客観的、公正な評価を得ながら、事業を展開しています。  そうした中で本日は2点ほど特に取り出して、説明申し上げます。9頁をご覧下さい。適格年金 からの移行については、加入促進を図る上で、当機構にとっては大きなウェイトを占めています。 これについては17年度初の移行に当たっての上限徹廃という追風も一段落し、やや中だるみの状 況が18年度予想されたわけです。そうした中で17年度においては、移行実績に応じた政策的資金 配分を講じて取組んだわけです。信託銀行については受託規模が小さいということで、その対策 の効果があまり見受けられなかったところです。これに対してテコ入れをする観点から、資金配 分の基準の下限を50億円から30億円に引下げ、対策の強化を行いました。信託銀行においても、 これに呼応する形で大きく取組みが進み、このグラフのように、第4四半期には倍増近い形での移 行実績が現れて、全体の底上げにつながったということです。  同じく加入促進においては、林退共については累損解消の観点からも加入促進が大きな課題で した。これに対する対策は10頁、右下の枠囲みにコメントを記しています。林業関係においても 建設業と同様、国有林関係の業務について労働者の福祉向上の観点から、林退共事業についても 確認対象になっています。これについては、従来は単に領収書ということで、金額しか記載され ておらず、詳細な履行状況が確認できなかったのですが、それをより明確に把握する観点から、 17年度に手帳更新状況あるいは新規加入者数なども記載した、加入履行証明書の発行システムを 開発したところです。しかしながら、なかなか利用が進まなかったため、業務推進委員会におい てその辺りの取組みを強化するということで、ちょうど国有林の登録事業体の更新が2年ごとに行 われるということで、それに向けて働きかけを行い、この絵のように、第4四半期においては履行 証明書が、それまでの期間に比べて10倍増の発行状況となり、新規加入者数も100人を上回る状況 となり、成果を上げたということです。このようにタイムリーな取組みを行ったということで、 自己評価としてはAとしています。  評価項目3、事務の効率的な処理です。12頁をご覧下さい。事務処理の簡素化・効率化の観点か ら、機構の事務処理の見直しを行っています。18年度は80件の見直しを実施しています。左側の 枠のように、新たな見直しが40件、従来の見直しの改善が40件です。具体例としては、下にあり ますが、システム関係の見直し、あるいは金融機関への振込データの電送化。従来はテープによ って行っていたものを電送化で行うように改めたものです。またホームページの管理の一元化、 ペーパーレス化の推進等の取組みを行っています。その結果、処理期間の短縮等はもちろんです が、データ電送化により個人情報の保護の観点からの大きなセキュリティの向上を見たところで す。また経費節減の面では、ペーパーレス化の推進によりコピー使用料も1割減を達成しています。 これについてはほぼ計画どおり行ったということで、B評価ということで自己評価をしています。  評価項目4、外部委託の推進です。14頁をご覧下さい。当機講の事業の実施にあたっては、冒頭 で説明いたしましたように、中退共においても金融機関、事業主団体へ業務委託をするというこ とで位置づけられていまして、外部の機関との連携のもとに効率化の事業の実施に努めてきたと ころです。18年度においても、それをさらに進め、単価の見直し等により効率化を努力したとこ ろです。さらに左下にありますが、業務・システムの最適化の計画策定にあたっても、支援業者 等について企画競争を行い、効率的でかつふさわしい業者の選定に努力している状況です。これ についても、計画どおり事業を推進したということで、B評価としています。  評価項目5、業務運営の効率化に伴う経費節減です。16頁をご覧下さい。一般管理費、国から受 ける運営費交付金を充当する退職金共済事業経費、いわゆる削減対象経費については左側の上の 枠内にあるように、印刷製本費の減、電算機借用料の減、口座振込手数料の減等により節減を図 ったところです。これらの節減により、その下にありますように、当初中期計画で予定されてい なかった業務、すなわち最適化計画策定のための業務に当てる経費を捻出したところです。こち らについては18年度、約1億円の支出になっています。それらを賄った上で、全体としてはさらに 右にあるように、削減対象経費としては1億3,000万円の減を達成したところです。また人件費に ついても、冒頭の人件費の状況で説明しましたとおり、17年度比で3%の減という結果になってい ます。以上を考えますと、自己評価としてはA評価としています。  評価項目6、加入者負担の軽減です。18頁をご覧下さい。加入者の行う手続等についても、加入 者からの電話相談あるいは来所相談等により要望等を受けていますので、それらに基づいて見直 しを行っています。手続の見直し関係については20件実施しています。この真ん中にありますよ うに、申出事項欄の記入にあたり、記入式から選択式に変え、負担軽減を図る。あるいは押印の 省略、記載事項の簡素化、様式を定めていなかったものについても様式を制定し、負担を軽減す る等の取組みを行っています。  また、電子化の関係については建退共事業において、支給事務の処理期間の短縮の観点からOCR 様式の導入に取組んできたところです。18年7月からOCR様式の取組みを本格稼働させ、これによ る場合には支給にあたっての処理期間を30日に短縮することが実現できたところです。またホー ムページからのダウンロードの活用についても前進させたところです。以上、積極的に取組んだ という観点で、自己評価としてAという評価をしています。  評価項目7、意思決定、事務処理の迅速化です。20頁以下をご覧下さい。当機構においては中期 計画において、被共済者についていちばん影響の大きい退職金給付に係る処理期間の短縮を大き な柱として掲げ、各事業において目標を定めて実施をしてきたところです。4年目に当たる18年度 において、各事業においてすべて当初目標を達成できています。個々に説明いたしますと、20頁 中退共制度です。これについては、当初30日間のものを5日短縮し、25日という計画を立てていま した。18年度の取組みの中心は、審査の実施段階で、左側の中ほどにあるように、事業所名称や 被共済者の氏名、振込金融機関、退職金額等々についてはそれぞれ別々の画面でチェックをし、 審査することで行っていましたが、相当手間がかかっていましたので、17年度に審査専用のオン ライン画面を開発し、18年度から稼働したところです。また課税対象の確認、処理等についても 一括してできる仕組みを構築し、これにより25日への処理期間短縮を達成したところです。  21頁は建退共制度における取組みです。これについては、先ほど申しましたように、OCRシステ ムを18年7月から本格稼動し、これによるものについては30日間での支給ができるようにしたとこ ろです。なお、18年度中は従来の紙による申請と並行処理していましたが、19年度からはOCRに一 元化するということで、被共済者、共済契約者に周知徹底し、19年度から一本化したところです。 従いまして、19年度からは全て30日で支給できるような体制になっています。続いて清退共、林 退共について22頁に整理しています。清退共、林退共についてはご覧のとおり、事業規模も、中 退共・建退共に比べてかなり小さいものですから、大幅な機械化は現時点では相当難しい状況に あったわけですが、これについても都道府県の支部との協議を行い、業務処理等について大幅な 改善を行い、清退共については18年4月、林退共についても19年2月に6日間の処理期間の短縮を達 成したところです。以上、18年度に達成できたということで、取組みとしてはAという自己評価を しています。  評価項目の8、情報提供の充実、加入者の照会、要望等への適切な対応についてです。24頁をご 覧下さい。当機構においては、先ほど申しましたように、各事業ごとにホームページを立ち上げ ていますが、17年度までは各事業のホームページの管理については、各事業本部が、それぞれ個 別に外部委託をして管理をしていたところです。これについて18年度から総務部で一括して直接 管理を行うということで、体制を改めたところです。したがいまして、それまで行っていた600 万円の更新に係る委託費についても不要となりました。また、職員が自ら行うということで、状 況の変化に対応して、直ちにタイムリーに更新が可能になったメリットも大きいものと認識して います。また、内容についても資産運用関係、あるいはQ&A関係についても充実を図り、使い易さ、 見易さの向上に努力したところです。その結果、右方にありますようにアクセス件数が100万件を 超え、前年比12%増の結果になっています。また日経BPコンサルティング社が、独立行政法人104 法人を対象として、それぞれのホームページについて、使い易さ、見易さについて独自に調査し たものがあります。それによると、当機構については104法人中7位ということで、高い評価を得 ているところです。  また加入者からの照会・要望への対応ですが、これまでホームページを通じて利用者からの意 見、要望を受け止めていたところですが、18年度においてはこれに併せて、2つ新たな取組みを行 っています。1つは、ホームページに掲載しているQ&Aについて、それぞれの項目について参考に なったかどうかということを把握し、Q&Aの内容の更改に役立てています。結果としては、205件 にとどまっていますが、参考になったというのは86%あります。また、相談窓口においてはアン ケート葉書を設置しています。これについて104件、12月からの実施でしたが、104件回答があり、 非常に役立ったというもの、あるいは役に立ったが、99%になっています。ただし、職員の対応 については全くよくないという結果が1%ありました。1件ですが、中身としては、職員が横柄な 態度で、言葉使いが悪いという厳しい指摘をいただいています。只今の意見、あるいはホームペ ージに寄せられた意見、クレーム等についてはその都度、対応方針等を明記した上で、職員ある いは相談員に周知し、改善に努力しているところです。また照会等の多かった項目については、 職員の応答マニュアルやホームページのQ&Aにも即時に反映して、利便性の向上に努力していると ころです。このように使い勝手の向上あるいは外部からの評価を得たことなどがありますので、 自己評価としては本件についてAという評価をしています。  評価項目の9、加入促進対策の効果的な実施についてです。加入促進対策については冒頭理事長 からのご報告にもありますように、全般としては右の中ほどにありますように、機構全体として 56万9,000人ということで、達成率108.7%という結果になっています。個々の状況について申し ますと、18年度における状況は、左肩にありますが、中退共については適年の上限撤廃効果が一 巡した、あるいは建退共については大きなウェイトを占めている公共工事が引続き減少で、対前 年12%の減少となった。清退共についても清酒ばなれで経営環境が悪化している。林退共につい ても、新規就業者が前年度比15%減ということで、大きく減少している。  その意味で、トータルして容易な関係ではなかったわけですが、左下にありますように、それ ぞれ努力したところです。中退共については、先ほど申しましたように、適年について政策的資 金配分基準の見直しなどに努力し、成果に結びついたところです。特に、適年の移行状況につい て右下に、推移を整理しています。18年度については、中退共への移行人数は8万4,000人でした。 これを企業ベースで見ますと、18年度中退共への移行企業数は2,700件。その年の解約状況、これ は大企業も含んだ数字しか取れませんが、6,200件ということで、適年を解約したうちの44%が中 退に移行しています。適年を解約した場合には、そのまま新たな制度を設けない企業も多数ある ということから考えますと、それぞれの企業の労働者の福利厚生の確保の観点からは、一定の役 割を果たしたものと自負しているところです。  また、建退共については、左側に戻りますが、現場標識の掲示の徹底、あるいは重点地区を設 け、当該圏内においてローラー作戦で各自治体を回り、履行確保措置の強化を個別に要請し、一 定の成果を上げたところです。ただし、残念ながら結果としては、先ほど申しましたように公共 事業の減少等を背景に、達成率90%にとどまっています。  清退共については、未加入事業所リストを基に個別につぶしていったわけですが、清酒業界に ついては実態としてはほぼ全加入という実態になっています。未加入は数十社にとどまっていま す。また新規開拓ということで、焼酎業界にも重点的なアプローチしたところですが、焼酎業界 は経営規模は総じて小さく、家族経営が中心ということで、なかなか加入に結びつかなかった。 逆に、大きい所は既に当機構の制度に加入しているということで、なかなか結果には結びつかな かったということで、達成率は87%になっています。  林退共については、先ほど申しましたように、加入履行証明書の活用などにより努力をしたと ころですが、何分にも新規事業者の減少等を背景に、達成率は68.9%となっています。なお、人 数については前年17年度では2,000を切りましたが、何とか2,000人台は回復した結果になってい ます。  なお、昨年の当委員会の指摘で、加入促進にあたっては費用対効果についても十分分析して取 組みを行うべしというご指摘をいただいたところです。これについて説明いたしますと、例えば、 中退共においては適年からの移行企業を除く一般の新規加入事業所を対象に調査を行いました。 これは18年度加入事業場を対象に、この春調査を行いましたが、まだ詳細な分析には至っていま せんが、速報段階で見ますと、加入にあたり、中退共制度を初めて知ったという項目で、いちば ん多かったのは社労士、税理士から聞いたというもので、全体の25%を占めています。また加入 にあたって誰に相談したかという場面においても、社労士、税理士さんたちが36%と、非常に大 きなウェイトを占めています。これについては、私ども当初予想していた以上のウェイトという ことで受け止めています。これらの社労士さん達の活用については、当評価委員会においても、 16年度ですが、より積極的に活用すべしというご指摘をいただき、当機構としても社労士会ある いは税理士会との連携を強化し、各県ベースでの会合等にも積極的に参加させていただき、周知 あるいは協力依頼を行ってきたところです。今回の結果を踏まえ、より一層活用しなくてはいけ ないということで、新たな知恵を出していかなければいけないと考えているところです。  一方、行政についてもこれまで非常に協力依頼を行ってきたところですが、今回の調査により ますと、中退共制度を初めて知ったという項目において、自治体あるいは労働関係の行政機関に おいて初めて知ったという所は、残念ながら1割にも達していません。そういう意味で、行政機関 との連携についてはこれから効率的に行うということで、一定の見直しを行いつつ、より効果を 期待できる社労士さん達、あるいは事業主団体等の連携により充実して、力を注いでいきたいと 思っています。そういう意味で、この加入促進については、評価委員会等からの指摘を踏まえな がら結果に結びつけたということで、自己評価としてはA評価としています。  評価項目10、累積欠損金の処理です。これについては冒頭で理事長から説明申し上げましたの で、簡単に説明いたします。機構としての大きな柱の1つですが、中退共については先ほどのとお り、左側の上の表にありますように、18年度の当期利益金が715億円、累積欠損金については17 年度末の866億円から151億円と、大きく解消したところです。累損解消計画における1年での解消 目安額が181億円ですので、現在の市場環境が続くと19年度で解消できる見通しが立ったところで す。  一方林退共においては、先ほどの理事長のお話のように、決算利回りとしては目標の1.33を上 回る1.50%の実績を上げたところですが、右上にありますが、当期利益金としては3,900万円にと どまっています。この理由を説明いたしますと、表の下に※で注意書を入れています。決算処理 の変更に伴う責任準備金の増加等により、収益が圧縮され、年度ごとの解消目安額9,200万円に達 しなかったということです。具体的に申しますと、決算に当たり、当該年度に受け付けた加入申 込、あるいは退職金の給付請求等を反映して決算を行うわけですが、従来17年度までにおいては 本部において3月末日まで受け付けを行った件数を基に、決算処理を行い、責任準備金も算定して いました。ところが18年度においては、監査法人からの指摘により、より厳格に年度のカットオ フを行うべきであるという指摘を受け、実際の手続は都道府県の支部において受け付けを行い、 それから本部に回送する仕組みですが、支部において3月末日まで受け付けたものまでを対象とす るということです。従いまして、期間としては本部受付けですと、実際の支部での受付けは3月中 旬が締切だったのですが、今回3月末日ということで、半月分対象期間が長くなったということで、 責任準備金の対象期間が増えたことになっています。従って、それについてどのくらい影響が出 たかということで、決算データを持ってきて、コンピュータを回したところ、6,100万程度の差が 生じました。責任準備金が増加した結果になっています。これについては、いま申しましたとお り、18年度からの決算処理の変更ですので、単年度限りの影響ということで、極めてイレギュラ ーな数値になっています。その6,100万円を仮に利益に置き換えますと、3,900万円と併せて1億円 ということで、目安額の9,200万円にほぼ匹敵する結果になったのではないかと想定しているとこ ろです。そういう観点から、当項目については計画どおり事業としては達成できたということで、 B評価としています。  健全な資産運用についてです。31頁をご覧下さい。個々の経理ごとについての運用結果を書い ています。これについては、市場の平均的な運用動向との比較というのは大きなメルクマールに なりますので、各表の(2)としてベンチマークとして、平均的な市場の動きを書いています。それ との比較で整理しています。例えば中退共事業については、委託運用については市場と比べて 0.43%下回っています。一方で、自家運用については0.37%上回っています。また建退共の給付 経理については、運用は0.03%、自家運用は0.15%それぞれ減ですが、ほぼ市場と同程度の運用 は達成できたと考えています。なお、自家運用については毎年説明していますが、償却減価方式 ですので、見た目は若干ベンチマーク、参考指標の数値を下回る結果になっています。  30頁をご覧下さい。先ほどの理事長のお話のとおり、中ほどのゴシックで、全体で見ればおお むねベンチマークと同等のパフォーマンスとなっている。ただし、個別に見れば、その下にある ように、ベンチマークを下回っている経理もあるので、パフォーマンスの改善に向けた取組みを 行う必要があるというご指摘をいただいています。  これについて19年度委託運用をはじめ、各運用の場面において改善を実施していきたいと考え ています。  なお32頁をご覧下さい。これは17年度の運用実績についての評価です。資産運用評価委員会に おいては、個々の評価、詳細な評価については秋に行っていますので、当委員会への報告は1年遅 れになっています。この17年度については、上のところにアンダーラインを入れていますが、市 場の状況を踏まえて適切な運用が行われているという評価をいただいています。ただ、その場合 であってもリスクの高まりなどを踏まえ、よりきめ細かな基本ポートフォリオの管理を行う必要 があるという指摘をいただいています。これについては、18年度に各経理において総合的なリス ク管理体制の整備強化に努めたところです。以上、ほぼ計画どおり事業を実施してきたというこ とで、B評価としています。  評価項目12、積極的な情報の収集・活用です。34頁をご覧下さい。情報収集については1つの柱 としては外部の有識者から成る参与会を開き、制度運営に当たってのお気づきの点を伺っていま す。これらについては当機構の事業運営にも、もちろん反映させますが、制度としての対応が必 要と考えられる場合には厚生労働省へも報告をさせていただき、的確な反映に結びつけられるよ うお願いしているところです。また退職金制度の実態調査も行い、共済契約者あるいは被共済者、 皆さんからのご意見も反映して、事業運営にあたっています。これについては、計画どおり事業 を実施したということで、B評価としています。  評価項目13、建退共事業の適正化についてです。36頁の上にありますように、平成11年度国か らの指摘等を受け、建退共事業の適正化・改善方策が定められたところです。18年度においては、 主な対策として、1つは共済契約者に対する指導の徹底、履行の確保を行ったところです。これに ついては過去2年間手帳更新の手続を行っていない共済契約者に対して、手帳更新手続と適切な対 応を要請しています。それを受け、履行の意思ありと回答した所には、その履行確保状況につい てフォローアップの調査を行うという仕組みで構成しています。18年度においては、2年前に同じ ような調査を行い、履行の意思ありとした事業所について、特にフォローアップ調査を行ってい ます。これについては右の欄にあるとおり、3,000企業を対象として調査を行いましたが、内1,000 件については履行状況が、すなわち手帳の更新が確認できました。残り2,000弱については更新、 履行が確認できないということで、制度の適切な運営あるいは労働者の福利厚生の確保の観点か ら契約解除の措置を講じています。また被共済者についても、同じように3年間手帳更新してない 方については、手帳更新あるいは退職金の請求という手続を取っていたただくべく、事業主を通 じてアプローチをしたところです。これについては、最初に回答のなかった事業主に対しても電 話等で追いかけ、労働者に結びつくような形で取組みをお願いしています。その結果、全体とし て3万3,000件の要請を行い、結果としては右側にあるように、手帳更新3,000件、退職金請求2,000 件という結果となり、加入者の権利の確保、行使につながったと考えています。  また、新掛金納付方式についても、昨年申し上げましたが時期早尚ということで取組みは行わ ないという結論としたところです。以上、労働者の権利確保に積極的に取り組んだという観点か ら、A評価としています。  評価項目14、中期計画の定期的な進行管理についてです。これについては既に他の項目等で説 明していることを掻い摘んで記載しています。全体としては、計画どおり実施したということで、 B評価としています。  評価項目15、予算、収支計画・資金計画です。これについては先ほど経費節減等の際に説明し ていますが、40頁のとおり、18年度においては当初中期計画に予定されていなかった業務・シス テム最適化の事業が新たに追加されたところです。既存の事業の見直し、経費節減により、それ らの経費を賄った上で、全体としては約3億円の経費節減を、予算を下回る執行にとどめたという ことで、自己評価としてはA評価と記載したところです。  46頁をご覧下さい。最後の項目は人事に関する項目です。人事に関しては、研修等、職員の能 力の向上については冒頭の項目で説明しています。ここでは数字的な面について記載しています。 業務実施の効率化の観点から、職員数についても18年度においては5名減を実施し、また人件費に ついても冒頭申しましたとおり、国の閣議決定にしたがって実施を行い、18年度においては17年 度比で3%減になっています。従って人事に関する項目についても、確実に行ったということでA 評価としています。以上、ポイントだけですが説明を終わります。 ○井原部会長  質疑応答に入りたいと思いますが、評価シートの順に4つに分けて進めていきたいと思います。 なお、評価等の記入の時間を別途設けませんので、質疑を経ながら各自評価シートへの評点やコ メントをご記入いただくようお願いします。  最初に、評価シート1から4について、質問等をお願いしたいと思います。 ○篠原部会長代理  研修内容について2点お伺いしたい。1点は、個人情報保護法への対応が後ろのほうで出てきま したが、研修ではやられていないのですか。どこかの研修で、含まれているのでしょうか。それ と、独立会計基準の研修についてですが、これは主任などの下の方を対象にされているのですが、 他の独法にも質問している運営費交付金の収益化基準については独法の一番重要なものであり、 これは上の人も全部知らないといけないと思っています。運営費交付金の収益化は、決算書を作 るためのものではなくて、独法の経費節減のための、理事長を含めた体系だと思っています。そ う理解されているから、会計監査人も役員も研修がされていないといけないと思うのですが、そ の辺の見解をお伺いしたい。 ○勤労者退職金共済機構総務部長   まず、個人情報保護ですが、資料5-5の5頁です。一番左に平成17年度に行った研修が書いてあ り、一番左端です。個人情報保護についても役員を含めて、全職員を対象に実施しました。これ については専門の弁護士の方に来ていただき、実例を交じえて実施しました。特に当機構の資産 は約4兆5,000億円ぐらいの規模になっており、金融機関として個人情報については、きっちり管 理すべしということで、強く指導いただきました。その後は特にまとまった形での研修は実施し ていませんが、他の企業の事例、あるいは当機構においても問題になった事例が生じた場合には、 その都度必要に応じて実施しております。  また独法会計基準については、若手職員だけでは不十分ではないかというご指摘をいただきま したが、これについては当機構として今後どのように対応すべきかについては、今後検討してま いりたいと考えます。 ○谷川委員  2頁の表を見ると、退職金の支給状況が1年間で約4,300億円。1人当たりにすると1,000万円ぐら いかと思いましたが、平均値はそのぐらいでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  例えば中退共では、平均退職金は大体130万円前後です。ほかの事業においても、大体100万円 程度です。 ○谷川委員 100万円、そうすると年間の退職者数は40万ですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  そうですね。中退共の場合では大体月3万件程度の請求ですので、40万人弱です。概ね加入期間 としては10年前後で退職金を請求される方が多いです。 ○谷川委員  年金ではなく、退職金の一時金だけお支払いになるのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長 一定額以上の場合には、分割方式で支給する場合もあります。 ○谷川委員  それは期限を定めて延べ払いで。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  5年間でしたか。 ○谷川委員  5年間延べ払いですか。わかりました。 ○篠原部会長代理  たびたびすみませんが、7頁の内部進行管理、業務運営全般で、理事会の構成員で、全役員とい うのは監事は入っているのでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい、参加いただいております。 ○松田委員  3頁のサービスの向上について伺います。処理期間ですが、中退共は25日、建設が30日、清酒が 39日、林業が39日、それぞれの共済のやり方が違うからこういうことなのか。清酒、林業がそれ ぞれ人数が少ないといっても、中退共よりも2週間も処理が遅いというのは、どういうことですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  これは支部を通じて実施していますが、規模が小さく機械化等が困難な面があります。これに ついては今委員がご指摘のとおり、39日でも長いのではないかということは、十分私どもも認識 しております。現在、退職金についてはシステムの見直しを行っており、その中で出来るかぎり 取組みを行い、さらに期間短縮に努力していきたいと考えております。 ○松田委員  ではこれはほとんど機械化の差なのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい。 ○松田委員  清酒、林業は人数が少ないから、後手に回ってもいいという考え方ですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  いや、どうしてもこれはそれぞれ区分経理ということで、制度の中で必要な支出を行うという ことですので、どうしてもコストをすべてまかなう機械、当然、コンピュータを回したり、特に 外部委託で行っているので、その辺りの経費が相当かかっているため、今度システムを見直す中 で、できるかぎりコストダウンを図り、短縮につないでいきたいと考えています。 ○宮本委員  いまと同じ所で、機械化することでサービス向上ということがまず1点ありますが、機械化する ことで例えば人件費が削減されるというようなことにつながっているでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  例えば先ほど申したように、中退共においてもシステムの見直しを行い、アウトプットの短縮 につなげておりますので、現時点では人件費の削減という意味では、それほどの結果は出ており ません。ただしそれぞれ当機構においても人員減については、今回も5名減行っておりますので、 そういう面ではそれぞれ努力をして、そちらに反映させているということです。 ○松田委員  今の外部の委託ですが、これはほとんど随意契約ですか。 ○総務部長  冒頭で説明したとおり、システム関係についてはレガシーでの開発になっていたので、随意契 約です。これについては先ほど申し上げましたが、今システムの最適化の中で、オープン化を検 討しておりますので、実施に当たっては競争入札で実施することを考えております。 ○松田委員  随意契約をすると250万円でしょう。これは細切れにすればいくらでもできますね。皆さんの思 うとおりにするのではないですか。89%でしょう。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい。そのうちシステム関係は大体2割ぐらいを占めております。それについてはいま申したと おり競争入札に切り替える方向で考えております。事業主団体への委託費が大体4割程度占めてお り、これについても競争性のある契約の形に平成20年度から切り替えるということで、現在具体 的な作業を行っております。そういう取組みをこれからも引続き進めていきますので、システム のほうはもう少し時間がかかるかとは思いますが、随意契約の割合は相当程度下がってくるもの と考えております。 ○松田委員  因みにその随意契約の主な会社は、どういう会社ですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  例えばシステムでは、日立等が主です。 ○松田委員  日立は社会保険庁でも大変問題になっていますね。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  これについては現時点では、的確に業務を実施していると考えておりますが、さらに最適化の 中で、よりいい形で事業ができるように取組みを進めてまいりたいと思っております。 ○篠原部会長代理  関連して、こういう随意契約が結構多いので、随意契約の監視委員会のようなものを作るか、 あるいは監事、内部監査などが、そういうものを重点的に調べるというような対象にはなってい るのでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長 これについては現時点では、いわゆる業務実施内でのチェックに留まっております。 ○勤労者退職金共済機構理事長  格別の監視委員会を作っているわけではないのですが、確かに随契比率が高いことが1つ。それ から今、総務部長が説明したように、随契の中身を見ると、事業主団体に対する業務委託契約と いうものが、随契で4割のウェイトでずっときたわけですが、これは契約だけの問題というよりは、 むしろ制度の問題でしたので、理事長以下、事案ごとに鳩首会議を持ちまして、一つひとつそれ を解きほぐすように努力しております。そういう意味では、格別の委員会を特別に作っておりま せんが、それなりの取組みはしているつもりでございます。 ○松田委員 要するに各部門で自由にやっていたというのが、今までの体制だったわけですね。 ○勤労者退職金共済機構理事長  かつては、それに対する意識は確かに低い時代もございました。今はそれを正そうとして努力 しております。 ○篠原部会長代理  それでは少し広げてよろしいですか。次に評価シート5〜8までに広げてみたいと思います。質 問等をお願いします。 ○堺委員  この評価シート7のOCRの所です。先ほどの宮本委員のご質問と一部関連しますが、OCRの導入に よって、処理期間が45日以内から、30日以内に短縮されたということでした。日数の短縮はサー ビスの向上ですが、OCRは読み合わせもいまの技術段階ではまだ必要で、その分の人手も必要かと は思いますが、職員の残業代、あるいは委託費などの削減につながりましたでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構建設業事業部長  職員の人件費の削減には、はっきり言ってつながっておりません。むしろ今ご指摘がありまし たように、読み合わせ、チェックの必要が出てきましたので、その分非常勤の職員を雇い入れる ということで、コスト的には処理期間を短くするために、かえって上がったという状況です。一 方で、読み取りのチェック以外の作業が、手書きの旧様式に比べると、要らなくなった作業があ ります。例えばキーパンチャーの費用など、そちらのほうは削減できておりますが、全体的に見 ると、少し支出のほうが多いかというような状況です。 ○今村委員  評価項目8で、ホームページを充実させたという件に関してです。一方で内生化、内部の職員に よりホームページを充実させたと。ただ、そう簡単にホームページもいいものを作るには、素人 さんがいきなりスキルの高い仕事ができるというわけではないので、これは訓練をされたという ことになるかと思いますが、特に若い人を中心にして訓練をされて、こういう成果がもたらされ る。言ってみれば現有勢力で内製化すれば、やればできるのではないかという非常にいい例にな るわけですが、その辺をもう少し詳しく事情を教えていただければと思います。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  今ご指摘いただきましたが、もともとコンピュータに強い人間も配置しておりますし、同時に 平成18年度に、新規採用職員に理数系のコンピュータに詳しい人間を採用し、その職員を配置し て、実際の作業にも当たらせております。そういう意味で既存のメンバーと新規採用した能力が ある人間を組み合わせて、内製化を実現したということです。 ○井原部会長 よろしいですか。それでは9〜11までさらに拡大したいと思います。 ○篠原部会長代理  日本酒に興味があり色々と調べると、蔵元自体が3,000から1,500に減るなど、どうも昔と違っ て杜氏さんでなくて、企業化して従業員化しているような所が多くなってきている。ということ は、上の中退共に入っているのかなという気もしているのですが、ほとんど将来、杜氏さんはい なくなってしまうのかなと。その辺の見通しと独立したあれはどのようなものなのでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構清酒製造業事業部長  おっしゃるとおりで、いま杜氏さんは減少している状況ではございます。ただ杜氏組合に加入 している杜氏さんを見ると、まだ1,000人ほど杜氏さんはいらっしゃる状況です。ただ減少してい るということではおっしゃるとおりです。 ○松田委員  当機構はほとんど中退共で経営が成り立っていると。ですから建設、清酒、林業はこの仕組み は1つにして、そして中退共と競わせるということが、まず1つ。それから適年解約は平均は33% ですが、これは6割、7割という目標は立てているのですか。税制適格年金はほとんどもうやめで す。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  ただいまの最初のご指摘の中退共と清退共、建退共、林退共の事業についてですが、これは法 律上もそれぞれ区分経理をして事業を実施すると定められているので、それに基づいて事業を実 施しております。また適年移行の目標の設定ですが、ご指摘がありましたように、具体的な数値 目標を立てたいとは思っております。ただこれは生保会社、あるいは信託銀行がまさに個別に全 データを持っており、固有名詞については到底わからない。逆に言えば、いま3万5,000社ぐらい 残っていると聞いております。そのうち当機構の対象の中小企業はどのくらいの割合になるのか も、必ずしも明確にはつかみ切れていないというのが実態です。そういった中でそれぞれ金融機 関と連携して、説明会を開催して、当機構も職員を派遣したり、あるいは個別企業の中で中退共 に移行希望がある場合には、直ちに連絡をしていただき、資料を送ったり、説明をしたりという ことで、現在の結果に結びつけているという状況です。 ○谷川委員  28頁に運用の話が書いてあり、決算利回りが中退共と林退共と出ています。後ろの決算は決算 でいいのですが、目安が2つ違うのですが、まず目安はどのようにして出されているのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  これは中退共、林退共については、累積欠損金が生じております。それについて計画的に解消 すべきということで、総務省の政・独評価委員会等々からご指摘をいただき、平成17年10月にそ れぞれ中退共制度、林退共制度において、累損解消計画を策定しました。その中で具体的にどの ように解消していくかを定めているのですが、これは両事業においてはそれぞれ資産規模が違っ たり、あるいは資金繰りについても林退共の場合には、加入者数がどんどん数として小さくなっ ている。一方中退においては、適年からの移行具合で大きくなってくるという資金繰りの違い等 もあるので、毎年の累損解消に当てる金額も違ってくるというような状況の中で、それぞれどの ように解消しようかということで、中退共については13年間、林退共については18年間で解消す る計画を立て、それに基づいた必要利回りがここにある2.2%、あるいは1.33%です。 ○谷川委員  逆に言うと、2.2%利回りすれば、180億円か何か書かれていた欠損金の毎年の取り崩しができ る、解消が出来ると解釈すればよろしいわけですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい、そうです。ただし中退共制度の場合には、利益があった場合にはそれを加入者に還元す る、いわゆる付加退職金制度があり、そちらにも一部充てるということで、それを見込んだ上で の2.2%という数字です。 ○谷川委員  一般的には確定給付なので、給付を約束して計算して、本来運用すべき、運用を望まれる利率 を計算してということをやるので、目安が違っているというのがあまり理解できませんでした。 ありがとうございます。 ○篠原部会長代理  今の関係で、他の法人にも聞いているのですが、行政サービス実施コスト計算書で、6,600万円 の益になっていて、今の運用益は全部掛けてきた人に返してしまうのだから、その分は行政サー ビス実施コスト計算書から引かないといけないと思い、去年同じ質問をここではないのですがし て、会計監査人の回答は、会計基準どおりやっているから、何ら問題ないと。私は問題はあると 思っています。今年は何もやってくれていない。それに対する1年間の検討の結果はどのようなも のですか。同じような質問をして申し訳ないです。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  委員がご指摘の点については、十分受けとめなくてはいけないと考えています。ただし計算書 類については、監査人の承認のもとに作成するものですから、対応としてもどうしても限界があ るのですが、昨年も委員からご指導いただき、機構においては決算書類をホームページで公開し ております。その中で行政コストサービス計算書のページにおいて、いま委員がご指摘のとおり、 マイナスにはなっているのだけれども、これは共済契約者からの掛け金収入、あるいは運用収入 が反映されているもので、国民に必ずしも還元されるべきものではないということを記載させて いただいており、できるだけ誤解が生じないよう努力しております。 ○谷川委員  一般に給付会計と業務会計というやり方でやってもらうほうがわかりやすい気がしますが、そ れはやられないのですか。給付会計は完全に給付のための資産をどのようにして確保していくか という観点から作ってあります。業務会計はいま先生がおっしゃったように、本来給付で渡して しまう分との関係をはっきり金額的に表しているので、何でそのようにしないのかよくわからな いのです。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  それは会計の仕組みが規定されておりますので、それに則って現在対応している状況です。 ○篠原部会長代理  これは省令でいまの質問のように、分けてはいないのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  これはこの下にそれぞれ経理ごとに決算は作成しております。それを合算したのが今回提出し ている書類です。 ○篠原部会長代理  データとしてはあるのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  もちろんございます。 ○篠原部会長代理  当然なければおかしいですね。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  単に合算したもので報告しろという仕組みになっているということです。 ○谷川委員  何となくお預りしている金だから、そこの部分だけがどうなっているのかを、しっかりと報告 した方がいいのかなという感じがするものですから。 ○篠原部会長代理  もう1点、最近利回りが増えてきたのですが、ここの運営費交付金債務残高は1億6,800万円だか ら大したことはないのですが、運用でほかの法人を見ていると、国債、地方債でうまく運用して いる方向にきていますが、ここではどのようなものですか。いわゆる先ほど言った預かった金で はなく、運営費交付金、債務の余裕資金です。 ○勤労者退職金共済機構総務部長 すみません、当機構としては特に運用はしておりません。 ○篠原部会長代理  何もやってないのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい。 ○篠原部会長代理  余裕資金はないということですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長   いわゆる短期運用のような形での運用は行っていないのが実情です。 ○篠原部会長代理  このごろは法人を見ていると、やらないのは確かにあります。国立大学法人も含めて見ている と、やっている所とやっていない所があります。しかし運用がとても制限されているのはわかっ ていますが、国債の利回りも上がってきているから、余裕資金は多少は稼いだほうがいいのでは ないかなという気はするのです。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  その辺りは不勉強ですので、また勉強したいと思います。 ○堺委員  基本的な質問で恐縮ですが、31頁の資産運用のパフォーマンス、収益率や利回りの所ですが、 これはグロスでしょうか、ネットでしょうか。つまり手数料、税金は払ってないかもしれません が、グロスなのでしょうか、ネットなのでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  グロスの数値です。 ○井原部会長  それでは評価シート12〜16を付け加えたいと思います。ここを含めて質問をお願いします。 ○篠原部会長代理  36頁で色々な人に問合せをしているのですが、退職金の貰い忘 れのようなものは、非常にわ かりづらいのかなという気がします。そういう観点から見たとき、やはり多少はあり得るという のですが、例えば事故で死んでしまったなど、そういうことはないのですか。 ○勤労者退職金共済機構建設業事業部長  ご指摘のとおり、そもそも自分が、ここは建退共のページですが、建退共に入っていること自 体を失念されているということももちろんあります。私どもではそういう退職金の請求をし忘れ ている方に対して、確実に退職金をお支払いするという観点が1つあります。これがいちばん大き な目的ですが、それ以外に手帳に就労実態に応じて、適切に証紙が貼られているかどうか、それ を確認する意味で、証紙を貼った手帳は速やかに更新して下さいということで、そういう形で確 実に履行できるようにと、主に2つの観点からこの要請を行っております。 ○井原部会長  あとは何かございますか。それでは最後に全体を通じて個別に質問があれば、お願いします。 ○谷川委員  区分会計をやっているということですが、将来は統合される計画はございますか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  法律上で規定されているので、当機構としてはそれに基づいて事業を実施するということです。 ○谷川委員  将来的には統合されるということですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  現在、区分経理が明記されているので、当機構としては、法律に基づいて業務を遂行するとい うことです。 ○谷川委員 はい、わかりました。 ○篠原部会長代理  今の質問で、本省の生活課長さんがいますが、今の色々な質問で、将来 やはり一緒にしたほ うがいいかなという感じがみんなにあるのですが、これは当然提案して、法律改正をすればいい ことなのですが、その辺はやはり区分のメリットと一緒にしたメリット、どのように考えている のでしょうか。 ○勤労者生活課長  そもそも特定業種の制度については、それぞれ業界の退職金制度ということで、各業界の協力 を得ながらやっております。それで非常に区分経理が重要だというのが、これまでの経緯からあ り、その点がかなり大きな問題としてあるかと思います。 ○谷川委員  お金には色が付いていないので、運用という世界で言うと、まとめて運用したほうがはるかに いい運用結果が得られる気がして仕方ないので、区分経理と運用をうまくかみ合わせてやられた 方がいいような気がします。 ○勤労者生活課長  おっしゃるとおり、概念として区分経理と運用とは別ということは、理解することは出来る。 その点も含めて、今後検討する必要はあろうかと思います。 ○勤労者退職金共済機構理事長  今の点について、確かに区分経理は区分経理として枠は残しつつ、その中で運用の効率を上げ る方策はないのかということは、絶えず問題意識として持っており、そういう意味では私どもも、 何とか区分経理の枠内で運用効率を上げるような体制づくりをいま検討しております。この点は5 月の総務省の政・独委でも何とかならないのかというご指摘もありましたので、私どもとしては 今後ともずっと検討していきたいと思っております。 ○井原部会長  よろしいでしょうか。それでは評価シートの書き込みが終わらない方がいらっしゃるかもしれ ませんが、お帰りになるまでにご記入をお願いします。次の議題は、勤労者退職金共済機構の重 要な財産処分についてご審議をいただきます。まず、事務局から説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  今般、勤労者退職金共済機構より、厚生労働大臣に対し、重要な財産の譲渡に係る認可申請が ございました。独法通則法上は厚生労働大臣は認可をしようとするときは、予め独法評価委員会 の意見を聞かなければならないこととなっているため、今回皆様のご意見をお伺いする運びとな っております。なお本議題に関する資料等の取扱いについては、申請書に処分予定の不動産の評 価額が記載されておること。またその額が公開されてしまうと、入札に支障が出てきますので、 契約締結までは非公開とさせていただきます。委員の皆様方におかれても、資料の取扱いについ て特段のご留意をいただきますよう、お願いいたします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  それでは資料番号6に基づいてご説明します。今回ご審議いただきたい財産は、記1にあるよう に、埼玉県川越市にある土地です。これは3筆で、(1)と(2)は隣接しております。(3)が道路を挟んだ 反対側にある状況です。本件土地については、職員宿舎建設用地として昭和42年に購入し、昭和 43年に建物を建てて、管理、運営を行ってきました。建物については37年が経過し、老朽化が進 み、修繕費等が相当嵩む状況になってきています。また利用者も減少してきたということで、平 成17年度に不用決定を行い、平成18年度に建物を取り壊し、更地にしました。その土地について は特段業務において利用する予定はなく、5に書いてあるとおり、もともと職員宿舎用地として利 用してきたものであり、取扱いについて機構の運営上必要はないという判断から、売却すること としたものです。同じくこの頁の3に書いてあるように、譲渡先については公募して一般競争入札 により、売却する予定です。   1頁に戻り、評価額です。先ほどお話がありましたが。今後の契約の手続上、金額の読み上げは 差し控えさせていただきますが、鑑定評価機関2社において、お手元にあるような結果を得ました。 次の2頁、売却に当たっては、ただ今ご覧いただいた2社の評価書による平均の額をもって最低売 却価格としたいと考えております。なお添付書類等については、資料の関係で省略しています。 以上です。 ○井原部会長  それでは今の点についてどうぞ。 ○篠原部会長代理  2社から鑑定取るというのを今までもずっと見ていて、そうするとこの差が今回非常に大きいよ うな気がします。この大きな差はどのように分析されていますか。これほどの差は今までなかっ たような気がします。特に土地で比較的鑑定が同じようなことをやられるのではないかなという 気がします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  これについては当機構はなかなか財産処分の経験はないので、他の法人の取組み事例などを参 考に業者を選定し、決めたところです。従ってこの結果に基づいて対応したいと思っております。 ○篠原部会長代理  単純に平均するという方法でいままできましたが、これだけ差があると評価の仕方をチェック する必要があるのではないかなという気がするのですが、どのようなものでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  この地価については、それぞれ報告書をいただいていますが、それぞれの中を見て、適正に評 価をいただいていると受け止めているので、これで対応したいと考えています。 ○井原部会長  よろしいでしょうか。それでは法人で粛々と進めていただければと思います。 ○勤労者退職金共済機構総務部長 ありがとうございます。 ○井原部会長  それでは本日の議事は以上ですので、事務局から連絡事項があればお願いします。 ○政策評価官室長補佐  次回の第39回労働部会は、7月30日(月)14時〜18時15分に、場所は厚生労働省に戻り、厚生労 働省庁舎6階共用第8会議室にて開催いたします。議題としては「高齢・障害者雇用支援機構と雇 用・能力開発機構の個別評価」について行うことになっております。お忙しいところ大変恐縮で すが、ご参集いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。また評価シートについては、机 の上に置いたままお帰りいただくようお願いいたします。評価シートへの書き込みがまだ足りな いという方がいらっしゃいましたら、お帰りになるまで評価シートは回収いたしませんので、こ の場で引き続き記入いただいて結構ですので、よろしくお願いいたします。なお評価シート以外 の評価に関わる資料については、次回の部会においても使用いただくこともあるかと思いますの で、机上に置いたままでお帰りいただきますよう、お願い申し上げます。お持ち帰りになりたい という資料については、お持ち帰りいただいても結構ですし、事務局に申しつけていただけまし たら、事務局より後ほど郵送させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○井原部会長  では本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心なご審議をどうもありがとうござ いました。 <了> 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)