07/07/27 第11回多様な雇用形態に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会議事録 第11回多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会議事録 1日時 平成19年7月27日(金)15:30〜17:30 2場所 厚生労働省 共用第8会議室(6階) 3議題 (1)報告書(案)について (2)その他 4資料  資料1「多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会」報      告書(案)  資料2 第10回研究会における主な意見 ○座長  ただ今から、第11回多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関す る研究会を開催いたします。今日の委員の出欠状況についてでございますが、鈴木委員、 舘委員、そして松友委員が御欠席ということでございます。  それでは、早速今日の議事に入ることにいたします。今日は、報告書(案)について ということで、これまで、この研究会で行ってまいりました議論を踏まえて、事務局の 方で作成をしていただいております。そこで、まずこの報告書の案につきまして、事務 局の方から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局  まず、配布資料の方を確認させていただきます。資料1といたしまして、「多様な雇 用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会」報告書(案)というこ とでお配りしております。次に、資料2といたしまして、前回第10回研究会における 主な意見ということでお配りしております。さらには、資料3といたしまして、「障害 者の派遣労働に対する障害者雇用率制度の適用について」ということで資料の方をお配 りしておりますので、御確認していただければと思います。  それでは、資料1の報告書案について御説明したいと思います。  まず、1ページ目をご覧いただきますと、報告書案の目次になっております。前回研 究会でお出ししました骨子案をベースにいたしまして、報告書を取りまとめております。  2ページ目でございますが、「はじめに」ということで、これは骨子案にはなかった 部分でございます。  1つ目の丸といたしまして、経済・産業構造の変化を背景として、労働者の就業意識 とともに働き方も多様化する傾向にある。働き方の多様化は、障害者にとって、就業場 所や就業時間といった面での選択可能性が広がることにより、社会参加の制約要因を除 去し、就業機会の拡大をもたらす可能性を有する点で、大きな意義を持つと言える。  近年、短時間労働者が増加し、また、派遣労働が働き方の一つとなっている中、この ような就業形態の多様化に対応した障害者の雇用促進のための取組については、平成1 7年の障害者雇用促進法の改正の際に、衆議院及び参議院の厚生労働委員会の附帯決議 において課題として指摘され、必要な措置を講じることが求められている。  本年2月には、政府の「成長力底上げ戦略」において、障害者の就労支援が大きく位 置づけられ、短時間労働や派遣労働を活用した障害者の雇用促進のための障害者雇用促 進法制の整備が、重点戦略の一項目として位置づけられている。  今後の障害者雇用対策の在り方を考えると、障害者雇用促進法の改正及び障害者自立 支援法の施行により、福祉的就労から一般雇用への流れが今後より一層強まっていくも のと考えられ、今後とも週所定労働時間が30時間以上での雇用機会の確保を基本とし つつも、就業形態が多様化する中で、短時間労働や派遣労働といった就業形態に対する 障害者のニーズを踏まえ、このような就業形態への対応について、障害者雇用を一層促 進する観点から検討を進める必要がある。  本研究会は、以上のような観点から、多様な就業形態に対応して障害者雇用を促進し ていくための施策の方向性について検討を行ってきたところであり、このたびその結果 をとりまとめたので、報告する。  以上が、「はじめに」です。続きまして、3ページですが、大きな塊の1つとして、 「障害者の短時間労働について」ということであります。  1で、「障害者の短時間労働の現状」、(1)で、「障害者雇用率制度における短時 間労働の取扱」ということで、この部分は骨子と同じ部分でございますが、1つ目の丸で、 現行の障害者雇用率制度は、事業主に対して、その雇用する週所定労働時間が30時間 以上の常用労働者数に対し、その一定割合(1.8%)以上の、週所定労働時間が30 時間以上の身体障害者及び知的障害者を雇用する義務を課す制度となっている。その中 で、平成4年の法律改正において、障害の重度化への対応を進めるため、短時間労働( 週所定労働時間が20時間以上30時間未満)の重度身体障害者及び重度知的障害者に ついて、特例として実雇用率の算定に加える改正が行われた。また、平成17年の法律 改正においては、精神障害者を実雇用率の算定に加える際に、精神障害の特性を踏まえ、 短時間労働の精神障害者についても、特例として実雇用率の算定に加えられた。  このように、障害者の短時間労働については、その一部が特例として実雇用率の算定 の対象となっている状況にあり、また、重度以外の身体障害者及び知的障害者は、当該 特例の対象にもなっていない状況にある。  (2)で、「障害者の短時間労働の状況等」ということで、1つ目の丸で、雇用保険被 保険者数の推移を見ると、平成8年から平成18年までの10年間で5.9%増加し、 3,525万人(約195万人増加)となる一方で、短時間労働被保険者(週所定労働 時間が20時間以上30時間未満)については、約3.5倍に増加し、203万人(約 146万人増加)となっている。  障害者である雇用者数に占める短時間労働者(週所定労働時間が20時間以上30時 間未満)の割合は、平成15年の「障害者雇用実態調査」(厚生労働省)によると、身 体障害者が8.0%、知的障害者が2.8%、精神障害者が4.4%となっている。ま た、同調査によれば、身体障害者の短時間労働者については、平成10年に1.1万人 だったものが、平成15年には3.0万人となっている。  次に、毎年6月1日時点の障害者雇用状況報告によると、企業における障害者の雇用 者数については、平成8年から平成18年までの10年間で、実雇用率に算定される重 度身体障害者の短時間労働者が、約3,000人に増加(平成8年は約700人)して おり、重度知的障害者の短時間労働者は、約1,200人に増加(平成8年は約100 人)している。  さらに、平成17年の(独法)高齢・障害者雇用支援機構の調査によれば、障害者の 求職者のうち約24%が、授産施設等利用者のうち約30%が、週30時間未満の労働 を希望しており、また、求職者のうち、重度障害者では約29%が、軽度障害者でも約 22%が、週30時間未満の労働を希望している等、短時間労働について、障害者に相 当程度のニーズが存在している状況にある。  2で、「関係者からのヒアリング」ということですが、別添ということでおつけをし ておりますので、後ほどご覧いただければと思います。  続きまして3でございますが、「障害者雇用における短時間労働の位置づけ」です。  障害者雇用対策においては、従来、障害者の職業生活における自立を図る観点から、 通常の労働者と同様の常用労働による雇用機会の確保を基本として講じてきており、今 後とも、希望する障害者が通常の労働者と同様の就業形態で働くことができるよう、障 害者の雇用機会の確保を一層促進していくことが、重要である。しかしながら、障害者 の短時間労働者も増加している中で、障害者の短時間労働に対するニーズも相当程度存 在することから、障害者雇用における短時間労働の位置づけについて、あらためて検討 すべき時期に来ている。  障害の特性や障害の程度、さらには、加齢に伴って体力等の面で課題が発生する場合 等を考えると、週所定労働時間が30時間以上では働くことが困難な場合であっても、 短時間労働であれば企業で働くことができる場合もあることから、短時間労働は、障害 者の就業形態の選択肢の一つとして有効な面があると考えられる。また、企業の側にお いても、短時間労働であれば通勤や通院等に関する配慮がしやすくなるという面や、短 時間労働の活用によって高齢となった障害者の雇用継続がより容易となるという面があ ると考えられる。  障害者自立支援法の施行により就労移行支援事業が創設される等、福祉施策の面から も障害者の就労支援策が強化され、障害者の希望や適性に応じて福祉的就労から一般雇 用への移行を進めていこうとしている現状においては、短時間労働は、このような福祉 的就労から一般雇用へ移行していくための、また、場合によっては一般雇用から福祉的 就労への橋渡しとしての、段階的な就業形態としても、有効であると考えられる。  なお、短時間労働について上記のように積極的に位置づけていくに当たっては、障害 者本人の希望・適性や職業的自立という点にかんがみ、週所定労働時間が30時間以上 でも働くことができる障害者やこのような働き方を希望する障害者が、その希望や適性 に応じた働き方ができるようにしていくことが適当である。  次に、4ですが、「今後の障害者雇用対策における短時間労働への対応」です。  (1)障害者の短時間労働に対する障害者雇用率制度の適用  上記3の障害者雇用における短時間労働の位置づけ・意義を踏まえ、障害者の短時間 労働者が増加している中で、障害者の短時間労働に対するニーズも相当程度存在する状 況にかんがみれば、今後は、事業主による社会連帯の理念の下で、新たに、短時間労働 も含めて障害者の雇用機会を確保・拡大していくことが必要であるという考え方に基づ き、障害者雇用率制度において、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間 労働についても、雇用義務の対象としていくこと、具体的には、雇用義務の基礎となる 労働者数及び雇用している障害者数の算定において、短時間労働者も加えることとする ことが考えられる。  このように、短時間労働を雇用義務の対象とする場合、短時間労働者及び短時間労働 の障害者について、具体的にどのように算定することとするかについては、本人の希望 や適性に応じた働き方へ移行することを阻害しないようにすることにも留意して、検討 する必要がある。この場合、現行制度においては、短時間労働の重度身体障害者及び重 度知的障害者に係る特例について、週所定労働時間が30時間以上の重度障害者を2カ ウントとしているところ、1カウントとして実雇用率に算定している。また、短時間労 働の精神障害者の特例においても、通常の1カウントに対し、0.5カウントとしてい る。このような現行制度にもかんがみれば、短時間労働者及び短時間労働の障害者につ いては、0.5カウントとして算定することが適当であると考える。  なお、短時間労働の重度身体障害者及び重度知的障害者については、現行と同様に、 引き続き1カウントとするとともに、短時間労働の精神障害者についても、特例として の実雇用率の算定(0.5カウント)を引き続き行うべきである。  (2)適用時期等  障害者の短時間労働については、障害者雇用率制度上、これまで重度障害者等につい て特例としての実雇用率の算定が行われてきたのみであることから、多くの企業におい ては、短時間労働という雇用形態で障害者を積極的に雇用している状況にはないものと 考えられる。特に、短時間労働者を多数雇用している企業においては、短時間労働が雇 用義務の対象となった場合の影響が大きいことも想定される。  このため、短時間労働を雇用義務の対象とするに当たっては、各企業に対して円滑か つ速やかな準備・取組を促すことにより、短時間労働による障害者の雇用機会が実際に 拡大していくよう、適切な一定の準備期間を設けることが必要であると考えられる。  続きまして、7ページですが、大きな3つ目の塊で、「障害者の派遣労働及び紹介予定 派遣について」ということです。  1 障害者の派遣労働の現状  (1)障害者雇用率制度における派遣労働の取扱  障害者雇用率制度においては、派遣労働についても、雇用関係のある派遣元事業主に 雇用義務が課されている。また、各種の助成金についても、一部の例外を除き、派遣元 事業主に対して支給されている。  なお、雇用義務の算定の基礎となる労働者数の算定に当たっては、特定労働者派遣事 業における派遣労働者である常用型と一般労働者派遣事業における派遣労働者に多い登 録型で取扱いが異なり、常用型については、派遣労働者以外の労働者と同様に算定され るが、登録型については、過去1年間の就業日数等の要件を満たす場合にのみ雇用義務 の算定の基礎となる労働者として扱われている。  (2)障害者の派遣労働の状況  派遣労働が働き方の一つとなってきている中で、厚生労働省が労働者派遣事業者に行 った調査(平成19年;下記2参照)によると、派遣労働者のうち障害者である割合は 0.35%と、きわめて少ない状況にある。また、派遣労働者である障害者について障 害種別にみると、身体障害者が97.5%を占めており、知的障害者や精神障害者はき わめて少ない状況にある。派遣労働者である身体障害者の内訳をみると、下肢機能の障 害(36.3%)、内部機能の障害(13.1%)、上肢機能の障害(11.5%)の順 となっている。  一方、派遣労働に対する障害者のニーズについては、(独法)高齢・障害者雇用支援 機構の調査(平成17年)によれば、障害者の求職者のうち、身体障害者で13.9%、 知的障害者で14.9%が、それぞれ派遣労働を希望している。  2ですが、「障害者の派遣労働の実態」ということで、以前、厚生労働省で実施しま したアンケート調査の結果をまとめた部分でございます。かいつまんでみますと、8ペ ージのところで、(1)で、「派遣元事業主の状況」ということでございます。  (1)のところの、「障害者雇用状況及び障害者である派遣労働者の派遣について」とい うことですが、1つ目の丸で、派遣元事業主のうち、法定雇用率を達成している企業の 割合は、22.8%となっており、平成18年の障害者雇用状況報告における全国平均 の達成企業の割合の43.4%を大きく下回っている状況である。  2つ目の丸ですが、派遣元事業主の障害者雇用状況については、全体の実雇用率が0. 93%となっており、平成18年の障害者雇用状況報告における産業別の実雇用率の最 も低かった情報通信業の1.18%よりも低い水準となっている。  次の丸ですが、障害者である派遣労働者をこれまでに派遣したことがある事業主は2 6.2%(145)であった。このような状況の中で、常用雇用である派遣労働者に対 する障害者である派遣労働者の割合は、0.35%と実雇用率よりも著しく低い水準と なっている。  そういった状況等を書いてございます。  9ページをご覧いただきますと、(2)ということで、(2)以降、派遣先の状況についての 調査ということで書いております。  (2)の(1)の2つ目の丸を御覧いただきますと、派遣先のアンケートによりましても、障 害者である派遣労働者については、現在、受け入れていない事業主が81.6%(21 7)と8割以上となっており、受け入れている事業主は18.4%(49)となってい る。また、現在障害者である派遣労働者を受け入れている事業主を含め、これまでに障 害者である派遣労働者を受け入れたことがあると回答した事業主も、19.5%(52) にとどまっている。  という状況になっております。続いて、10ページ以降、障害者である御本人の派遣労 働者の状況ということで、アンケートの結果を書いておりまして、12ページの(4)のと ころで、「派遣元事業主と派遣先の役割分担等についての考え方の比較」ということで、 アンケートの結果を載せております。  1つ目の丸ですが、障害者である派遣労働者に対する配慮についての役割分担について、 派遣元事業主の87.7%(485)、派遣先の82.3%(219)が派遣元事業主 と派遣先が分担すべきと考えている。  2つ目の丸は、障害者の雇用義務及び障害者雇用率制度のカウント方法についての考 え方については、「派遣元事業主と派遣先の分担を考慮して、双方」と答えた派遣元、 派遣先が多い状況になっている。そういった状況になっております。  下は大きな3ということで、関係者からのヒアリングですが、この部分につきまして も、後ろの方に別添ということでつけておりますので、後ほど御参照いただければと思 います。  続きまして、4ですが、「障害者雇用における派遣労働の位置づけ」です。  派遣労働が働き方の一つとなってきている中で、派遣労働で働く障害者は現状ではき わめて少ないものの、派遣労働に対する障害者のニーズが一定程度あることも踏まえつ つ、障害者雇用対策の面から、その位置づけや課題について整理することが必要である。  派遣労働においては、派遣期間が長期にわたる場合もあれば、短期間で派遣先を変わ る場合もあると考えられるが、障害者の場合は、職場定着に相当の配慮や時間を要する ことがあることから、派遣元事業主において、できる限り短期間で派遣先が変わること がないように配慮することや自ら配置するジョブコーチによって派遣先での就業を支援 すること等により、できる限り安定的な形態での派遣労働をすることができるようにし ていくことが望ましい。  派遣労働においては、雇用関係と指揮命令関係が分離しているとともに、実際に働く 場所が派遣先であるという特徴がある。このため、障害者が派遣労働という形で安心し て働くことができるようにするためには、派遣元事業主が、その雇用関係に基づいて必 要な配慮を行うだけではなく、派遣先においても、その指揮命令関係に基づいて一定の 配慮を行うことが必要であると考えられる。  また、労働者派遣を通じて派遣元事業主が有する労働力需給調整の機能に着目すると、 福祉的就労から一般雇用への移行等に関して、派遣元事業主自らが支援体制を整備する こと、就労支援機関と連携すること、紹介予定派遣を活用すること等により、そのチャ ンネルの一つとして機能することが期待される。  5で、「今後の障害者雇用対策における派遣労働への対応」。障害者が派遣労働とい う形で安心して働き、十分に能力を発揮することができるようにするためには、派遣元 事業主及び派遣先の役割分担の明確化、障害者である派遣労働者を受け入れる派遣先へ の支援策、障害者雇用率制度の見直しなど、総合的に検討していくことが必要である。 また、これによって、労働者派遣が障害者の福祉的就労から一般雇用への移行等に関す るチャンネルの1つとして有効に機能し、これまで障害者を雇用したことのない企業に おける障害者の受け入れの促進にも資するものと考えられる。  (1)で、派遣元事業主及び派遣先の役割分担。障害者が派遣労働という形で安心して 働き、十分に能力を発揮することができるようにするためには、派遣元事業主が、その 雇用関係に基づいて必要な配慮を行うだけではなく、派遣先においても、その指揮命令 関係に基づいて一定の配慮を行うことが必要であると考えられる。  このような派遣元事業主及び派遣先の役割分担に関しては、厚生労働省の調査による と、派遣労働者である障害者に対する配慮について、派遣元事業主及び派遣先双方の8 割以上が「双方で分担すべき」としている。また、その具体的な分担については、概ね、 派遣元事業主には、「教育訓練の充実」や「障害者に適する職務の創出、職務の再設計」 に関する配慮が、また、派遣先には、「障害者に適する職務の創出、職務の再設計」、 「施設や設備等の整備」、「雇用管理に関するノウハウや職場の上司や同僚の理解等の 受入れ態勢の整備」に関する配慮が、必要であるとしている。  このため、障害者の派遣労働に関しては、派遣元事業主又は派遣先がそれぞれ配慮す べき事項、あるいは、ともに配慮すべき事項について、雇用関係と指揮命令関係との関 係を踏まえ、上記の調査結果も参考としつつ、具体的な整理を行い、派遣元事業主及び 派遣先に対して、明確にしていくことが適当である。  派遣先において上記のような配慮を行うためには、当該派遣労働者が配慮を要する障 害者であることを把握することが必要となることから、個人情報であることに十分留意 しつつ、派遣元事業主が配慮事項を派遣先に対して伝えることにより、派遣先において も当該配慮事項を把握できるようにすべきである。  派遣元事業主のなかには、特例子会社を設立して障害者雇用を進めているものもあり、 特例子会社で蓄積した障害者雇用に係るノウハウ等、障害者の派遣先での就業において も活用することが考えられる。  派遣元事業主や派遣先が必要な配慮を行うに当たっては、それぞれが自ら対応するだ けではなく、外部の就労支援機関を活用することも、より効果的であると考えられる。  (2)ですが、障害者である派遣労働者を受け入れる派遣先への支援策。障害者であ る派遣労働者を派遣先が円滑に受け入れられるようにするためには、上記(1)の派遣 元事業主及び派遣先の役割分担も考慮しつつ、派遣先における受入態勢の整備について、 支援策を検討していくことも重要である。  なお、この場合、派遣労働においては一定の派遣期間がある中で、派遣先が、障害者 である派遣労働者のために、施設・設備の整備や支援のための人的な配置を行うことは 現実的ではないと考えられるため、このような観点を踏まえつつ、障害者である派遣労 働者を受け入れた派遣先に対する支援策を検討する必要がある。  (3)ですが、障害者の派遣労働に対する障害者雇用率制度の適用。派遣労働者のう ち障害者の割合がきわめて少ない状況にある一方で、派遣労働で働きたいと考える障害 者のニーズが一定程度あると考えられることから、その機会を確保し、また、これによ り障害者の雇用機会全体の拡大も図っていくためには、実際に働く場所となる派遣先が、 障害者である派遣労働者の受入を前向きに考えるということが不可欠であると考えられ る。  そのためには、障害者である派遣労働者を受け入れた場合にメリットが生ずるよう、 障害者雇用率制度において、派遣先においても一定の評価を行うことが適当である。  この場合、障害者の雇用義務が雇用関係を基礎として事業主に課されている中で、派 遣労働においては、派遣元事業主と派遣労働者との間に雇用関係があることから、派遣 元事業主に障害者の雇用義務があることを前提とすることとし、障害者の雇用義務の算 定の基礎となる労働者数については、現行と同様に派遣元事業主において算定すること が適当である。また、障害者雇用率制度において、派遣労働者が一般の労働者よりも優 位に評価されることのないようにすることや、派遣先における障害者の直接雇用が後退 するようなことのないようにすることに留意しつつ、1人の障害者である派遣労働者に ついて、例えば、派遣元事業主及び派遣先においてそれぞれ0.5人分ずつ、重度身体 障害者及び知的障害者である場合には、1人分ずつ、と算定することが考えられる。  6ですが、障害者雇用における紹介予定派遣の活用。  (1)で、紹介予定派遣の現状。紹介予定派遣については、平成17年度において、 紹介予定派遣によって労働者派遣された労働者数が約3万3千人(対前年度比69.4 %増)、職業紹介を経て直接雇用に結びついた労働者数が約2万人(対前年度比85.6 %増)となる等、紹介予定派遣を活用して派遣先における直接雇用に移行する者が増加 している状況にある。  一方、障害者に係る紹介予定派遣については、厚生労働省の調査(上記2参照)によ ると、現時点においては、まだほとんど実績がない状況にあると考えられる。  (2)で、障害者に係る紹介予定派遣の活用。障害者雇用を促進していく観点から考 えると、派遣先における直接雇用に移行する可能性のある紹介予定派遣を活用していく ことは、労働者派遣を通じて派遣元事業主が有する労働力需給調整機能の活用の一つの 在り方として、特に有効な面があると考えられる。  特に紹介予定派遣の場合、一定の派遣期間を介することによって、企業は、障害者の 適性や能力等を見極めることができ、障害者は、自ら継続して働いていけるか、職場環 境に適応できるか等を見極めることができる点で、双方の不安感の解消にもつながるも のと考えられる。さらに、同一の企業において、派遣期間を経て直接雇用を目指すもの であるため、職場定着に相当の時間や配慮が必要な知的障害者や精神障害者の場合であ っても、また、福祉的就労から一般雇用への移行の場面においても、活用の可能性があ ると考えられる。  障害者に係る紹介予定派遣が有効に機能するためには、派遣元事業主において、十分 な支援体制や相談体制を整備することが不可欠である。この場合、派遣元事業主自らが 体制を整備するだけではなく、特例子会社を設置している場合は、そのノウハウ等を活 用することや、外部の就労支援機関と連携して支援を行うことも、より効果的であると 考えられる。  (3)で、紹介予定派遣の活用に関する支援策。障害者に係る紹介予定派遣について は、まだほとんど実績がない状況にあると考えられることから、今後はまず、これを活 用した障害者雇用促進のモデルを確立していくことが重要であると考えられる。  このため、このようなモデルが確立するまでの一定期間は、支援体制や相談体制の整 備等を行って、障害者に係る紹介予定派遣を実施する派遣元事業主に対し、一定の助成 措置を講じていくこと等、その支援策について検討を進める必要がある。  続きまして、17ページですが、大きなIVといたしまして、「週20時間未満の短時 間労働及びグループ就労について」ということでございます。  1で、「週20時間未満の短時間労働について」。週20時間未満の短時間労働につ いては、週20時間以上30時間未満の短時間労働よりも割合が低いものの、これを希 望する障害者が一定程度存在するが、障害者である雇用者数に占める割合は、身体障害 者が1.2%、知的障害者が1.2%、精神障害者が3.6%となっている。  しかしながら、特に精神障害者の場合には、その障害の特性から、週20時間未満の 短時間労働を比較的長期にわたって続ける中で、段階的に勤務時間を伸ばしていくこと も、一般雇用へ移行していくためのステップアップとして有効であると考えられること から、下記2のグループ就労に関する支援の見直しとも併せて、支援策を充実させてい く必要がある。  なお、本研究会のヒアリングにおいて、障害者の希望やライフスタイルに応じて、複 数の企業においてそれぞれ週20時間未満で働くことを組み合わせる働き方が有効な場 合もあるとの指摘がなされたところであり、このような働き方への対応も、今後の課題 である。  2、「グループ就労について」です。(1)グループ就労を行っている就労支援機関 からのヒアリングということで、これも別添でつけておりますので、後ほど御参照いた だければと思います。  (2)で、「グループ就労に関する支援について」ということですが、グループ就労 については、精神障害者をはじめとして有効な面があるとの観点から、平成18年より、 グループ就労訓練に対し、障害者雇用納付金に基づく助成金制度の運用を開始している。 しかしながら、グループ就労訓練に係る助成金については、制度発足以来利用状況が低 調なままであり、グループ就労を活かした障害者の雇用や訓練が進んでいない状況にあ る。  このため、グループ就労については、現在設けられている助成金の4つの類型、請負 型、雇用型、職場実習型、派遣型ごとに課題を整理し、より効果的にグループ就労が活 用されるよう、見直しを行うことが必要である。また、制度の在り方の検討とともに、 同助成金の請負型や職場実習型に相当するものについては、受入先となる企業の開拓も 重要であり、その方策についても併せて検討する必要がある。  最後、18ページですが、「V おわりに」ということで、近年、短時間労働者が増 加し、派遣労働が一つの働き方となる中、自らのライフスタイルに応じて、このような 就業形態を希望した障害者が、このような就業形態を選択できるような環境を整えてい く必要があると考えられる。また、改正障害者雇用促進法や障害者自立支援法の施行な どにより、障害者を取り巻く環境が以前とは変わりつつある中で、ハローワークを通じ た就職件数が過去最高となるなど、障害者の就労意欲は着実に高まりつつあり、これま で以上に様々な就業形態へのニーズが高まることが予想される。さらに、多様な就業形 態は、福祉的就労から一般雇用への移行していくためのステップとしての有効性から、 福祉的就労にとどまっていた障害者が一般雇用へ踏み出す一つの手段として活用するこ とも想定され、これらの就業形態を通じて、障害者が安心して一般雇用へチャレンジす ることができるようにサポートをしていく必要がある。  今後、障害者一人ひとりが地域で活き活きとした生活をしていくために、本研究会に おいては、多様な就業形態におけるリスクにも十分配慮しながら検討を行い、障害者の 雇用機会を拡大し、また障害者の就業の選択肢を広げ、さらに福祉的就労から一般雇用 への移行をさらに進めていくために、障害者雇用率制度や障害者雇用対策について、大 きく前に踏み出すことを提言することとした。  本研究会としては、様々な検討を重ね、この報告を取りまとめたものであり、これを 受け、できる限り多くの障害者が自ら希望するステップへと踏み出すことができるよう 制度の見直しが行われることを期待したい。  以上でございます。 ○座長  どうもありがとうございました。それでは、ただ今御説明をいただきました報告書の 案につきまして、御意見をいただいていきたいと思います。そこで、進め方ですけれど も、前回と同じように、順序を追いながら、御意見があれば伺うということにさせてい ただきたいと思います。そこで、まず最初に、2ページの「はじめに」のところでござ いますが、これは、場合によっては全体を議論してからの方がいいのかも知れませんけ れども、今の段階でもしお気づきの点があれば、「はじめに」のところの御意見をいた だきたいと思いますが、いかがでしょうか。  それでは、ちょっと全体を議論してからの方がやりやすいという面もあろうかと思い ますので、「はじめに」については、また後ほど伺うということにしまして、その次に、 3ページから、IIの「障害者の短時間労働について」のところについて、御意見をいた だきたいと思います。斉藤委員、どうぞ。 ○斉藤委員  6ページの部分でございます。こちらの要望になるかと思うのですけれども、私ども の企業は、ここに書いているように、今まで短時間という切り口で仕事を切り出してこ なかったものですから、せっかくこの対策をつくっても、企業は本当に短時間でこれを していこうとはなりません。それをしていこうとするためには、そこで仕事を短時間な りに切り出しをしたり、移籍をしたり、創出をしていく必要がありますから、そうしや すくするために、その準備の取り組みを促すことでと書いてありますけれども、時間的 な猶予と併せて、何か対応の仕方というところで、定着していくための情報なり支援と いう面での運用があると取り組みがしやすくなると思いますので、そこも併せてお願い したいと思います。 ○座長  ありがとうございます。その他にいかがでしょうか。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  事実関係として、4ページ目ですけれども、3のところで、これまでの障害者雇用と いうのは、基本的にはここに書いてある通り、30時間以上の常用労働者による雇用機 会の確保を基本としていくというふうに書いてあって、今度、はじめて、この短時間労 働の位置づけということをも3項に書いてあると思うのですけれども、そういう観点か らいうと、ここの3の位置づけなのか、4の(1)の適用のところになるのかはちょっと分 からないのですけれども、これまで常用雇用中心だったものから、短時間労働を位置づ けるということは、これまでの制度設計からすると、大きなフレームワークの変更とい うか、枠組みの変更だと思うので、そういう非常に大きな政策的な転換であるというこ との認識というものを明確に書いておく必要があるのではないかと思っています。その 点でいうと、5ページ目の4の(1)の適用法のところなのかも知れませんが、その点を 少し明確に書いていただきたいなと思っています。  それから、2つ目ですが、特に、短時間労働を多く使っている業種・業態の方と最近 よくお話しをするようにしているのですが、その関係でいうと、そういう大きな枠組み の変更のなかで、先ほど斉藤委員がおっしゃったように、短時間労働の枠組みは、今ま で慣れていないというか、そういう意識でつくっていないので、本当にこれからの制度 が変わったときに、採用ができるのかどうか。とくに現状は、非常に雇用・失業情勢が よくなっていて、ただでさえ普通のパート労働者、短時間労働者の採用が難しいなかで、 障害をもった方の短時間労働の方も同じような比率で採用ができるのかどうかという と、そこは結構自信がないなというようなことをおっしゃる担当者が多いので、それは 書くのかどうかは別にしても、現状認識として、大きな枠組みの変更の後は、対応が結 構難しいこともあるのかなとは思っているところです。 ○座長  ありがとうございます。確かに、従来常用で30時間という基本枠で政策が展開して きて、今回、短時間労働、20時間以上30時間未満のところをカウントに入れるとい うことで、変化があることは確かなんですが、大きな枠組みの変化なのかどうかという ことになると、これは評価の問題だとは思うのですが、私自身の印象では、報告書全体 のトーンとしては、ここにも書いてある通り、要するに基本は30時間の常用で、直接雇 用なんだと思うんですが、それにプラスアルファーで、短時間に広げましょう。あるい は、派遣も考えていきましょうというスタンスではないかと思っているんですね。です から、大きな枠組みの変化という形で、例えば、この4の(1)というようなところで、 そういったことを表現するのがちょっとどうかなという気はするんですけれども。 北浦委員。では、先に輪島委員どうぞ。 ○輪島委員  今の点でいうと、5ページ目の4の(1)の一番上の丸ですけれども、最後の3行で すね。具体的には。雇用義務の基礎となる労働者数及び雇用している障害者数の算定に おいて、短時間労働者も加えることとするというふうに書いてあります。ここのところ が気になるわけで、そういう意味で、その後に、ただしというようなことなのかも知れ ませんけれども、先ほど申し上げたような趣旨を書いていただければ有り難いなと思い ます。  ここで短時間労働も加えることが考えられるということの意味合いは、全くこれまで の常用雇用を中心にしたものからは違うものになると思います。短時間労働についてい うとですね。派遣労働はそれはまた別の3項以降のところなので、そこは、直接雇用と 間接雇用の概念の切り分けのところで違うと思うのですが、ここの点でいうと、短時間 労働を法定雇用率ないし雇用率制度のなかに位置づけるということの意味合いは、少し これまでの対応とは違うという認識を書いておくべきだろうとは思います。 ○座長  それでは、北浦委員からお願いします。 ○北浦委員  おっしゃっているように、今回の短時間あるいは派遣も含めて、そういうような多様 な形態に対して、この雇用率制度を適用しようというのは、これまでからいくと、やは り大きな変化があるんだろうと思うんです。そういうようなことから、難しさもあると いうことも、おっしゃる通りだろうと思いますが、それの位置づけといいますか、書き 方としては、個々に書くというのも、それはそれで注意深く書くというのも大事なこと だと思うのですが、短時間だけではなく、実は派遣労働の方もこれまたやはりそれを取 り込んでいこうというのは、まだまだこれから、いろんな紹介予定派遣のようにモデル をつくってというようなものもあるように、これからの努力を相当要しないといけない ところもあるんだろうと思います。そういったような意味で、新しい流れであるという ことを指摘することはいいと思うのですが、もしそうであるとすれば、この今回の研究 会報告も全体にかかるような形になると思いますので、「はじめに」とか「おわりに」 とか、先ほど後ほどの議論ということでございましたが、そんなところで書くべきでは ないかと思います。  それから、もう1つ。この際、もう少し申し上げれば、その基本となっている部分で すね。基本となっている部分が実は忘れてはいけないということは、もうちょっと書か なければいけない。つまり、現状において、まだ障害者雇用率が達成されて、その結果、 その次のことを考えているという段階ではなくて、その現状においてまだ未達成のとこ ろもあり、そういったところの努力はなお要請されている。それに加えて、新しい時代 の流れのなかで、これは単に企業からのニーズというのではなくて、働く方々の御事情 にも合わせた新しい機会として、それが雇用拡大にも資する可能性もあるし、あるいは、 そういった働き方を求める方もいる。そういったなかにおいて、こういったような制度 を考えていくんだというような、何か基本論になるようなところを、「はじめに」か 「おわりに」に書けばいいのではないかと思います。  そういった意味で、個々に書いていくということも大事だと思うんですが、私は全体 としてそういうふうに触れることで、御趣旨は達成されるのかなという感じがいたしま した。これはまた、後ほど全体に触れるということですので、そんな意見でございます。 ○座長  ありがとうございます。今の北浦委員の御意見ということとの関係でいうと、「はじ め」の2のところの冒頭に、何か基本的なスタンスというのを書いてということになっ て、それとの関係でいうと、多分、輪島委員の今の御意見との関係でいえば、むしろ「 おわりに」のところか何かで、若干付加するかどうかという気もします。ちょっと私は まだ、大きな枠組みの変更だというところが、今1つどうなのかな。そこをそんなに強 調する必要性があるのかどうかということについては、ちょっと私自身は、はっきりと そうだという感触をもたないですね。輪島委員がおっしゃっていることとの関係でいう と、この5ページのところで、新たにというところから書き出していって、具体的には、 短時間労働者も加えていくというような書きぶりになっているということも考えますと、 輪島委員がおっしゃっているような趣旨というのは、ある程度反映されているのかなと いうようにも思うのですが、これでは足りませんか。 ○輪島委員  すみません。申し上げている趣旨は、こういうことを5ページに、具体的に書くとい うことは、基本的には、私どもとしては非常に大きなフレームワークの変更で、政策的 には、大きく、これまでの政策ではなくて、方向転換して、さらに進んでいくという認 識がありますので、そういうことを明記しておく必要があるだろうと思っています。な ので、5ページ目のここに書くということでなければ、「はじめに」というところにき ちんと位置づけとして、今度の議論の結果は、そういう意味合いがあるんだということ を明記していただきたいという趣旨です。「おわりに」には、ちょっとつらいかなとい う気がします。 ○座長  ただ、もう1度、しつこいようですが、ここの(1)の丸のところでは、上から4行目の ところで、「新たに」という表現も入っているところであるので、そういう意味での、 従来とは違うという趣旨は表現されているようには思うのですが。北浦委員、どうぞ。 ○北浦委員  座長おっしゃったように、確かに、そこにも十分出ているように私も思うのですけれ ども、もしそうであれば、これは書いてみないと分からないわけですが、「はじめに」 のところで、やはり基本のところをもう少し書くことで、その「新たに」というような 趣旨がもう少し鮮明になるのではないかなと思います。現在の、「はじめに」の書き方 は、今ちょうどそこには触れなかったんですが、これは、福祉就労から一般雇用への流 れのところはかなり丁寧に書いてあるんですが、それ以前のところは、触れているとい えば触れているんですけれども、そういう現在の枠組みのところをある程度前提の書き 方になっていますので、そういうものに加えて、さらにいろんな、こういったようなも のも、新しいといいますか、短時間であるとか、派遣であるとか、そういう新しい雇用 形態の多様化というのに対応したものを今回視野に入れた検討を行っているんだという ことが、もうちょっと明確になればいいのかなと思います。これは書きぶりではないか なという感じがいたします。 ○座長  ありがとうございます。宮武委員、どうぞ。 ○宮武委員  多様性というのが1つのキーワードだと思うんですね。実際に社会は多様化していて、 働き方も多様化している。1つ、障害という捉え方のなかで、障害というのは単一では ない、固定でないんだというような、それで、様々な障害の特性があって、そういう障 害の多様化というのが今非常にそれ自体が、障害者のライフスタイルを広げていくとか ですね。その背景としては、福祉から雇用へという大きな政策的な流れになっている。 だから、労働経済の多様化というのは、社会として進んでいる。障害者自身がやはり社 会参加していくときの多様性といいますか、障害の多様性と社会の多様化が進むなかで、 やはり雇用機会が拡大されていく。そういう大きなバックボーンがあると思うんですね。 だから、単に枠組みの大きな変更というところだけの問題ではないなと思っています。 そういう気がいたします。 ○座長  ありがとうございます。今、北浦委員、それから宮武委員から御示唆等もいただきま したので、輪島委員の御意見がどの程度反映できるか分かりませんけれども、「はじめ に」の総論のところで、障害者の雇用政策の全体の位置づけと、今回の検討の持つ意味 というものについて、どの程度書き込めるかということだと思いますが、ちょっとそこ は検討するということにさせていただければと思います。その他、短時間労働のところ で何かございますでしょうか。村上委員、どうぞ。 ○村上委員  前回も述べさせていただきましたが、短時間労働のところで、30時間以上のところ で働ける方、また、働きたい方が、そのように働けるということが必要であるというこ とを述べました。それについては、先ほどの4ページの3の上のところで、その基本と なるのはやはり常用雇用であってというところは書き込んでいただいておりますので、 その点は有り難いと思っているんですが、やはり、30時間以上でも働くことができる 方が、また、そのようなことを希望する障害者の方が、その希望や適性に応じた働き方 ができるようにしていくことが適当であるということを、その5ページの上の部分なん ですが、適当であるということをどうやって担保するのかというところは、まだやはり 十分ではないのではないか、この報告書のなかでは、きちんと触れられていないのでは ないかと思っております。障害者雇用率の算定のカウントのところで、0.5と1とい うカウントの仕方をすることで、そこは1にすることがメリットがあるので、30時間 以上に誘導していけるのではないかというのが、前回の議論であったのではないかと思 うのですが、これだけで果たして十分なのかどうか。障害者の雇用全体がまだ進んでい ない、あるいは、障害者の雇用の場における差別というものが、まだまだなくなってい ないという状況のなかで、それだけで、果たして十分なのかどうか。それは今後の検討 課題として位置づけていただければと思っております。 ○座長  ありがとうございます。その他にございますでしょうか。八木原委員。 ○八木原委員  「はじめに」というところなんですけれども、私は、4ページの3の短時間労働の位 置づけのなかにも書いてありますが、「はじめに」というところで、やっぱり福祉的就 労から一般雇用へというその流れだけではなくて、加齢とともに短時間就労にいく人も いるわけですので、そこの多様なという雇用形態のなかでの「多様な」という部分なん かも、高齢に伴ってまた戻って来る。下がってくるという、その辺りも含めていただき たいと思います。 ○座長  ありがとうございました。ただ、4ページの3の2番目の丸で、その部分は表現され ているというふうに理解しているんですが。 ○八木原委員  そうです。やはり、「はじめに」というところの多様な雇用形態ということを考えた ときに、上がっていくことだけが、多様なということではないので、そこのところも加 えていただければと思います。 ○座長  ありがとうございます。片岡委員、どうぞ。 ○片岡委員  私もこういう委員会に出て、私は障害当事者ですから、障害者よりもたくさんの体力 的だとか、いろいろ精神的なものもたくさんあるし、単に、20時間から30時間とい うよりも、雇用ということを考えた場合、こういう機会を得たということは、私は非常 に嬉しいことだと思っています。こういうことによって、企業意識も高まっていっても らえば、障害者の雇用が少しは安定していくんではないかと思っています。  それから、今、特にこういうことを考えた以上においては、今、盛んに小さいコンビ ニというのはどこにもたくさんできています。そういうものも雇用ができるんだ、雇用 しているんだということを、威張って言えるためには、こういう短時間労働というのは 非常に大事なことだと思います。そういうふうに私は考えておりまして、非常に有り難 いことだと思っております。 ○座長  ありがとうございました。短時間労働に関して、その他にございますでしょうか。よ ろしければ、派遣の方に進みたいと思います。  派遣の方はやや短時間労働に比べてボリュームがありますので、ちょっと区切りなが らということにさせていただきたいと思います。最初が、7ページから派遣労働の現状、 それから、派遣労働の実態ということで、ずっと記述があります。12ページの3で、 関係者からのヒアリングというところまでがございますけれども、ある意味、ここは淡 々と調査結果当を記述しているところでございますので、何か気になる点等の御指摘が あれば、承っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。  それでは、もしまたお気づきになれば後ほど御発言いただければと思います。そうし ますと、次が12ページからで、4の派遣労働の位置づけと、それから、5の派遣労働 への対応というところで、紹介予定派遣の前までですね。15ページの紹介予定派遣6 がありますが、その前までで、御意見をいただきたいと思います。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  13ページですけれども、5のところで、他のところとは別に、5はリードがあるよ うになっていて、しかし、ここは非常に整理されて分かりやすいかなと思うので、ここ はすごく分かりやすくかいてあるのではないかと思っています。  2点目は、13ページの(1)で、役割分担という言葉ですけれども、あまりこだわ りませんけれども、派遣法上での役割分担というと、労働基準法とか安全衛生法の配慮 で、派遣元と派遣先がどういうふうな役割分担をするのかということを、一義的には連 想するのですけれども、13ページから14ページにかけては教育訓練だとか、職務の 再設計とか、配慮というようなことを書いているので、ストレートに派遣元と派遣先の 役割分担というように、タイトルと中身とが、少し合わないというか、イメージが違う ような気がするので、むしろ役割分担という言葉でない方が、配慮事項とかですね。そ ういうような感じなのかなと思います。  それから、14ページ目の上から2つ目の丸の、個人情報であることに十分留意しつ つ、派遣先においても当該配慮事項を把握できるようにすべきである。こういうように、 さらっと書いてあるのですけれども、実際には非常に難しくて、今の個人情報保護の関 係でどうかというようなことで、ハローワークで事業主にどれぐらい障害をおもちの方 の情報が開示されているか。職業紹介をするに当たっても、開示されているかどうかと いうのは、疑問な点があるわけなので、書いてあるところはそうなのですけれども、実 態は結構難しいと思います。  それから、3点目ですが、15ページ目の(3)の雇用率の適用方法の部分ですけれ ども、ずっと議論してきたことなので、何といったらいいのか分かりませんが、まだ本 当に3つ目のポツにあるように、0.5人ずつというふうなことが書いてありますけれ ども、結局、今度の派遣についての検討項目というのは、派遣元の雇用率が非常に他の 産業と比べて著しく低い状況について、どういうふうに対応するのかという点と、それ と、それから派遣の働きか他をどういうふうに進めていくのかという点での議論の結論 として、0.5カウントが派遣先にあるという考え方について、最終的にメリットが、 派遣先にとってのメリットを感じるものが非常に少ないので、この制度で進めていった ときに、結果として、進んでいくのかというと、やはりそこのところは大きな疑問があ ります。  それから、16ページ目のところですが、上から2つ目のポツで、派遣元事業主にお いて、十分な支援体制や相談体制を整備することが不可欠であるというふうに書いてあ りますけれども、派遣先のことを書いていないのですけれども、派遣先もそういうこと の体制整備みたいなこととか、少なくともそういう認識が必要だというようなことは、 書いてあった方が、バランス的にいいのではないかなと思います。  それから、最後に、16ページ目の3の紹介予定派遣についての支援策ですけれども、 2つ目の丸で、派遣元事業主に対して一定の助成措置というふうに書いてありますが、 紹介予定派遣のところでも、先ほどの0.5カウントではありませんが、別に派遣先に 対しての制度上のメリットというのがあって、検討していただく必要があるのではない か。例えば、トライアル雇用のときは、3カ月ですけれども、トライアル雇用の開始日 と、3カ月後のトライアル雇用後の雇い入れ日で、雇い入れ日以降に直接雇用になった ときに、トライアル雇用の開始日に遡って雇用率のカウントをしていると思うのですが、 そこは制度上ちょっと難しいのはよく分かりますけれども、紹介予定派遣のときにも、 6カ月の紹介予定派遣の後に直接雇用になったときに、6カ月遡って雇用率のカウント ができるであるとか、というようなことも含めて、少し派遣先のメリットをお考えいた だいて、派遣元に対する一定の助成措置と併せて派遣先のメリットを御検討いただけな いかなと思います。以上です。 ○座長  ありがとうございました。何点かいただいたのですが、役割分担という表現だと、誤 解ではないと思うのですが、一般に関係者の方がぱっと見たときに、理解し難い感じと いうのはありますか。事務局の方で、何か、いかがですか。課長どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  今、御指摘のあった役割分担のところですが、実は、中身をお読みいただきますと、 先ほど輪島委員がおっしゃった通り、障害者に対する配慮の面でどうかということで、 この議論がされているわけでして、その意味では、障害者に対する配慮に関する役割分 担だというふうに、我々としては整理したつもりということでございます。そういった 意味で、表題は、13ページの(1)の項目名のところは、そこは少し端折った感じに している点があるので、もし、これでは一般的な労働者派遣の議論の関係とで、誤解を 生みやすいとか、そういうお話しがあるようであれば、もう少し丁寧に、長くはなりま すけれども、先ほど申し上げましたように、項目を障害者に対する配慮に関する役割分 担とか、そういうふうに補ってみるということはあり得るかと思いました。 ○座長  私は、13ページのこの役割分担というのが、そういうとられ方をするということは あまりないのかなと思っていたのですが、今、輪島委員の御指摘もありましたので、課 長がおっしゃるように、具体的に障害者に対する配慮についてなり配慮に関しての役割 分担という形で補って、ちょっとタイトルが長くなるので、やや気になるところがない でもありませんけれども、そういうような形にしておけば、輪島委員のおっしゃること はクリアできるかなという気がいたします。  それから、14ページの個人情報のところは、そういう御指摘があったということで、 いいと思いますし、それから、0.5ずつということについても、そこは議論した結果 として、今日の案ではそうなっているということですので、輪島委員の御意見として受 け止めるということにさせていただきたいと思います。  それから、紹介予定派遣のところで、もっぱら派遣元に対する支援なりというような ことで、ここはなっていると思います。それで、派遣先への考慮というのも必要ではな いかという御指摘ですが、ここはどうですかね。私の感じでは、紹介予定派遣自体が、 これから活用していきましょうという話のなかでの記述であるということからすると、 今回の研究会の報告書としては、まず、とにかく派遣元に働きかけるというところから 始めていって、派遣先についてどういう支援をするかというのは、今後の検討課題とい うことでなっているのかなという意識ではいるんですが、事務局の方で、そこを、派遣 先というところまで、今回具体的に何か考えているということがあるのかどうか。とい うのは、この研究会自体でも、その派遣先については、あまり紹介予定派遣については 議論していなかったということもあるので、ちょっと輪島委員のおっしゃるのは検討課 題ではあるかという気はしますが、今回の報告書にちょっと書き込むというのは、困難 かなという気がするんですけれども。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  中身についてははテイクノートしていただいて、課題として御検討いただければ、そ れでかまわないと思うので、ここに新たに書き加えるべきだといううにこだわるつもり はありません。意味合いとして、そういうふうなことで、できれば派遣先に対するメリ ットみたいなものも御検討いただければとは思います。 ○座長  ありがとうございます。それでは、今の御意見は事務局の方でもテイクノートしてお いていただいて、検討課題として、今後また考えていくということにしていただければ と思います。その他いかがでしょうか。村上委員、どうぞ。 ○村上委員  先ほどの14ページの(3)から、障害者雇用率制度の適用のところで、輪島委員と 同じなのですが、これまでの議論、経過を踏まえて、このように記載されているという ことは理解をしているのですが、しかし、その派遣先でのカウント、派遣先にインセン ティブを与えないと、労働者派遣における障害者雇用というものは広がっていかないの だということは、実態を踏まえても理解はできるところなのですが、しかし、それだか らといって、雇用義務はカウントにおいても、雇用義務は、分子は派遣元であって、分 子については、0.5ずつ分け合うということが、これは整合性がとれていることなの かどうかというと、若干まだ疑問があるところであります。また、インセンティブとい う面で、先ほど輪島委員は派遣先で0.5カウントされることが本当にインセンティブ なのかという御意見だったのですが、派遣元に立っても、1が0.5になるということ が、障害をもつ方を派遣するということのメリットになるのかどうかというところは、 やはりもう少し考えるべき課題があるのではないかと思っております。以上、これは意 見として申し述べておきたいと思います。 ○座長  ありがとうございます。他にいかがでございましょうか。これは内容に直接関わって いないのですが、私の間違いであればいいのですが、15ページの6のすぐ上の、0.5 人分ずつで、括弧のところなんですが、重度身体障害者及び知的障害者である場合には、 1人分ずつとなっているんですが、これは、「重度」が落ちているのではないでしょうか。 知的だけでよろしいんですか。 ○障害者雇用対策課長  すみません。ここは、「及び」の捉え方によるんですが、先生がおっしゃった通りで、 重度身体障害者と重度知的障害者の場合には、ダブルカウントになっていますから、1 人ずつという意味で書かせていただきました。誤解のないように直したいと思います。 ○座長  というのは、5ページのところは、重度身体障害者及び重度知的障害者となっている ものですから、どっちなのかなということがありましたので。何れにしろ、分かりやす く、誤解のないようにしていただければと思います。 ○片岡委員  重度知的というのはあるんですか。 ○障害者雇用対策課長  障害者雇用促進法のなかでは、重度知的障害者という概念がございまして、これは、 療育手帳をお持ちの場合ですと、既に重い方の手帳の判定をお持ちの方であれば、重度 障害者という扱いでダブルカウントするという制度になっておりますし、また、手帳で 十分判定ができていない場合は、障害者職業センターの方で重度判定を行って、その判 定を受けた方は、企業でカウントするときはダブルカウントするという制度がございま すので、ちょっと福祉の世界とは別な形で、重度知的障害者という概念があるというふ うに御理解をいただければと思います。 ○座長  ありがとうございます。その他、紹介予定派遣も既に議論になっておりますけれども、 そこも含めて、派遣のところで、御意見ございますでしょうか。それでは、次に進ませ ていただきます。17ページの大きなIVで、週20時間未満の短時間労働及びグループ 就労というところでございますが、そこについて御意見がございましたらお願いいたし ます。宮武委員、どうぞ。 ○宮武委員  1の丸の3つ目なんですが、前回私の方で20時間未満で複数の企業が短時間の組み 合わせ労働といいますか、短時間の組み合わせというのがヒアリングで、石巻の就労セ ンターからの例がお話しされました。やはり、これから地方においては雇用状況が閉息 的な状況もありますし、小さな企業が多いですから、これは非常に有効な方法だと思う のですね。本文に書いていただいたというのは感謝申し上げたいと思います。今までの なかにも出てきていますが、やはり就労支援センターの役割ということが非常にこれか ら大きくなっていくんですね。就業・生活支援センターもこれから400カ所に拡大し ていく。石巻の例のように、やはり就労支援センターのコーディネートする力によって 非常に障害者の雇用の拡大が進んだというのですが、その辺で、ハローワーク中心に職 場開拓をしていただいて、福祉サイドでは就労移行支援事業という新しい事業が今一斉 に立ち上がっていますから、そういう準備訓練をする。その、実際に雇用に結びつけて いくというのは、やはりコーディネートする力だと思うのですね。そういう意味で、就 労支援センターの役割というのはますます重要で大きくなると思っております。そうい う意味から、こういう形で、1つこちらに載せていただいたということは、これからの 展望が開けていくのではないかと期待をしております。 ○座長  ありがとうございます。他にいかがですか。よろしいですか。そうしますと、最後、 「おわりに」のところですが、御意見があればお願いいたします。なかなか格調高く結 んでいただいていると思います。村上委員、どうぞ。 ○村上委員  「おわりに」の一番初めの丸のところなんですが、自らのライフスタイルに応じて、 このような就業形態を希望した障害者がというふうになっているんですが、報告書の全 段のところでライフスタイルというよりは、障害の特性だとか、種類とか程度とか、そ ういったことが書かれていて、ライフスタイルということで必ずしも議論してこなかっ たのではないかと思いますし、ライフスタイルというと軽い感じがしますので、その辺 りは少し表現を工夫した方がいいのではないかと思います。 ○座長  貴重な御指摘をありがとうございます。そこは本文と見合うような形に表現を改めた いと思います。あと、全体を通して、「はじめに」のところは一番最初に議論させてい ただいて、冒頭のところを少し、全体の大きな組み立てなり、そういったものを書かせ ていただくということで、先ほどの議論でまとまっていると思いますが、最後に、全体 を通して、「はじめに」のところで何かまだ書くべきことがあるか、あるいは、他にも 御意見があればお願いしたいと思います。村上委員、お願いします。 ○村上委員  輪島委員の御指摘と同じなのですが、短時間労働を雇用率制度に位置づけていく、雇 用義務にカウントしていくということは、やはりこれまでの制度とは違うところに踏み 出していくというところでは、大きな転換であって、それによって、様々な影響も考え られるということもそこは下記述べていただければ、いろいろな影響が懸念されるとい うことにも是非触れていただきたいと思います。 ○座長  そこはちょっと検討させていただいて、なかなか、輪島委員のニュアンスと村上委員 のニュアンスをどう組み合わせるかということもあるので、そこはちょっと考えさせて いただきたいと思います。北浦委員、どうぞ。 ○北浦委員  今のような御指摘も多分あるんだろうと思いますが、新しい制度をつくろうとするわ けですから、頭から懸念ばっかり出てはいけないと思います。その取り組みが前向きに うまくいけば、そういう懸念も除去できるといった意味で、やって、それで多分いろい ろな問題が出てくるということについて、やはり注意深くそれをみていくというような 姿勢を、その「おわりに」というというところでも少し書いておけば、私はいいのかな と思っているんです。ですから、制度として、そういう懸念があまりにもあって、これ では取り組めないということになりますと、これはちょっと流れが変わってしまうと思 いますので、やはりそういうことについては期待している部分もありますので、それで やってみて、その中での問題というものが出てくれば、予期しない部分というのもある と思いますので、そういったものは注意深く見て、その対応策を考えていく。こんなよ うな書き方であれば私はいいのかなと思うので、今御指摘があったようなことは、もし 書くとすれば、むしろ最後のところで言及すればいいのかなと思います。そんな感じが いたしました。 ○座長  それでは、今の村上委員の御意見と北浦委員の御意見等も頂戴いたしましたので、ち ょっとどういう形にするかということは迷うところではありますけれども、うまく納め られるように考えさせていただければと思います。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  別件ですが、18ページの2つ目の丸の最後のフレーズですけれども、「大きく前に 踏み出す」というこの「大きく」なんですが、非常に意欲的なところを感じるんですけ れども、本当にそう思っているんですというか、どう思っているんですかというのがあ りますので、何が大きく踏み出したのかということを、もう1度明らかにしておいてい ただければと思います。 ○座長  全体の趣旨からすれば、やっぱりそれは短時間のところと、それから従来考えてこな かった派遣のところについて、今回このように、とりわけ雇用率の問題が大きいのかも 知れませんけれども、それ以外も含めて新しい方向でやりましょうということを、ここ で表現しているんだと思います。その意味では、この「大きく」というかかり方は問題 なんですけれども、多分、一番言いたいのは、雇用機会を拡大するということと、それ に併せて就業の選択肢や一般雇用への移行というようなことについて、大きく一歩を踏 み出すというところがここの心なのではないかと思いますが。 ○宮武委員  前の行で、「さらに」という文言が重なって出てきますね。 ○座長  そうですね。「さらに福祉的就労から一般雇用への移行をさらに進めていくために」 というところですね。分かりました。そこもちょっと表現を検討します。ありがとうご ざいます。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  その点でいうと、「はじめに」の4つ目の丸のところの最初の3行に、「今後」が3 つ出きますので、御検討いただければと思います。 ○座長  ありがとうございます。その他、よろしゅうございますか。  それでは、いろいろ御意見を頂戴しまして、先ほどお話しさせていただいたように、 報告書の今日お示しした案についての修文を必要とする部分と、それから、御意見とい う形で議事録その他で留めておくものということで整理させていただいたと思います。 そして、報告書の今日の案について、修文するところにつきましては、今日頂戴した御 意見を元にして、できる限りその御意見を盛り込むような形にしたいと思います。それ で、最終的な報告書としてのとりまとめでございますが、修文の部分については、皆様 からいただいた御意見を盛り込むというような形で、私と事務局の方にお任せいただく ということでよろしゅうございましょうか。そして、最終的に確定する段階で、皆様に 一応持ち回りで見ていただくということにはなろうかと思いますけれども、座長と事務 局の方にお任せいただければと思いますが、そのように取り扱わせていただいてよろし ゅうございますか。ありがとうございます。  それでは、そのようなことで作業を勧めさせていただきたいと思います。最後に、こ の研究会はこれで、本日をもちまして終了ということになりますので、この研究会を終 わるに当たりまして、高齢・障害者雇用対策部長の方から御挨拶をいただきたいと思い ます。よろしくお願いいたします。 ○高齢・障害者雇用対策部長  昨年の夏から1年間にわたりまして、今回11回目でございますけれども、ほぼ1カ 月に1回ずつご熱心に御意見をいただきました。今日もいろいろな御意見があったわけ でございますけれども、短時間労働の問題、派遣労働の問題、いろんな側面があって、 その見る側面によってそれぞれ捉え方が違う部分もありますけれども、こういう状況の なかで障害者雇用をどうやって勧めていくかという観点から私どもは考えていかなけれ ばいけないだろうと思っております。何れにしましても、まだ若干残った部分もありま すけれども、概ね報告書をまとめていただけることができました。さらに座長には最後 のところで御努力をいただくわけでありますが、私どもはこの報告書をいただきました ら、御承知のように他にあと2つの研究会をやっておりますけれども、それらを合わせま して、今度は私どもの労働政策審議会に障害者の雇用の分科会がございます。そちらの 方にこの報告書をもって報告し、様々いただきました御意見も踏まえながら、審議会で の議論に生かしていきまして、可能であれば、来年の通常国会に障害者雇用促進法の改 正案を出す、あるいは、当然、法改正のみならず、他の対策につきましても、いろいろ 御提言いただいておりますので、そういったことも含めまして生かしていきたいと思っ ております。私どもは障害者雇用につきまして、さらに一層努力していきたいと思って おりますし、委員の皆様方からもまたいろんな場面につきまして、御指導をいただけれ ば有り難いと思っております。この1年間いろいろと有り難うございました。 ○座長  どうもありがとうございました。最後に今日の議事でございますけれども、議事録に ついては、これを公開しても特に差し支えがないと考えますので、それでよろしゅうご ざいますか。  (「異議なし」) それから、この研究会の報告書でございますけれども、まだ確定したバー ジョンではございませんので、私と事務局の方で確定バージョンをつくらせていただい て、その上で発表ということになりまして、今の所、8月上旬頃を目途に記者発表を行 うという予定を考えております。発表の正式な日程については、事務局の方からまた皆 様の方に、追って御連絡するようにさせていただきたいと思います。ですので、それま で、今日のこの報告書の案の取り扱いにつきましては、十分に御注意をいただきたいと 思います。よろしくお願いをいたします。よろしゅうございましょうか。  それでは、事務局の方から、事務的な御連絡がありますので、それをお願いいたしま す。 ○事務局  お手元に第10回研究会の議事録の未定稿を配布しております。内容を御確認いただ いた上で、ホームページで公開したいと考えております。また、メールでも同じものを 御案内いたしますので、御意見等ございましたら、8月3日、金曜日までに事務局宛に 御連絡ください。以上です。 ○座長  ありがとうございます。それでは、これをもちまして研究会を終了させていただきた いと思いますが、委員の皆様におかれましては、これまでお忙しいなか、非常に精力的 に御議論をいただきまして誠にありがとうございました。これをもちまして終了いたし ます。どうもありがとうございました。 【問い合わせ先】  厚生労働省職業安定局 高齢・障害者雇用対策部  障害者雇用対策課 雇用促進係  〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL  03(5253)1111(内線5855)  FAX  03(3502)5394