07/07/26 平成19年7月26日社会保障審議会福祉部会議事録 社会保障審議会福祉部会議事録 1 日時:平成19年7月26日(木)10:00〜11:16 2 場所:KKRホテル東京11階『孔雀の間』 3 出席委員:岩田部会長、石原委員、石橋委員、井部委員、江草委員、小島委員、 京極部会長代理、木間委員、駒村委員、白澤委員、高岡委員、鶴委員、 堀田委員、村尾委員、森委員、吉岡委員   欠席委員:中島委員、福田委員 4 議事    「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」の 改正についての諮問 5 審議の内容 ○岩田部会長 まだ、お二方お見えになりません。ちょっと遅れられるとの御連絡が入 りましたので、既に定刻を回っておりますので、ただいまから「社会保障審議会福祉部 会」を開催いたします。 おはようございます。 ○矢崎総務課長 それでは、本日の委員の出欠状況についてでございますが、中島委員、 福田委員が御欠席との連絡をいただいております。今、部会長からお話がございました が、石原委員、吉岡委員、こちらに若干遅れるとの御連絡をいただいておるところでご ざいます。 このほか、7月10日付で、私ども事務局の方にも異動がございましたので、御紹介い たします。 社会・障害保健福祉・老健担当の審議官の木内でございます。 それでは、部会長、議事進行の方、よろしくお願いいたします。 ○岩田部会長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。この部会は、3月29日か ら4回にわたって、人材確保指針の見直しについて検討してまいりました。 前回、具体的な指針の見直しについて、見直し案を御議論いただきましたので、その 後、事務局と私の方で修正案を作成しまして、事前に先生方に御確認いただいておりま す。 その結果、委員の皆様の全員の御了解をいただける形で指針の見直し案というものが とりまとめできましたので、本日、厚生労働大臣より、「社会福祉事業に従事する者の 確保を図るための措置に関する基本的な指針」の改正について、諮問がなされておりま す。そこで、本日はこの諮問について結論を出すという方向で、最後の御審議を賜りた いと思います。 それでは、前回7月4日の見直し案から、変更点を中心に事務局より御説明をお願い したいと思います。よろしくお願いします。 ○成田福祉人材確保対策室長 それでは、資料1としてお配りさせていただいておりま す「諮問書」につきまして、御説明させていただきます。 最初のページでございますが、部会長からもお話がございましたように、本日付けで、 厚生労働大臣より社会保障審議会会長あてに「社会福祉法第89条第3項の規定に基づき、 社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針を別添のとお り改正することについて、貴会の意見を求めます」との諮問が行われております。 2枚目からが「別添」の指針の改正案でございます。今回お示しした案は、前回の福 祉部会で御議論いただいた指針の案を、当日の御意見等を踏まえて修正させていただい たものでございます。全文を読み上げますとかなり時間がかかりますので、前回からの 主な変更点のみを御説明させていただきます。 まず「前文」では、国民の福祉・介護サービスへのニーズが量的にも増大し、質的に も多様化、高度化している中で、最近の福祉・介護制度の充実の内容につきましては、 表現を簡素化し、他方、人材確保に取り組む必要性について、労働力人口の減少や他の 分野における採用意欲の増大に加え、離職率も高く、一部の地域、事業所では人手不足 が生じているとの指摘もあり、福祉・介護サービス分野は最も人材の確保に真剣に取り 組んでいかなければならない分野の1つであり、質の高い人材を安定的に確保していく ことが、今や国民生活に関わる喫緊の課題としております。また、関係者が連携を図 りつつ、それぞれ必要な措置を講じていくことが書いてございますが、経営者の定義に つきまして、福祉・介護サービスに係る事業を経営する場合の国、地方公共団体の役割 を明確化いたしました。前回御議論がございましたこの指針の性格につきまして、社会 福祉法に基づき、社会福祉事業における人材確保を図るために定めるものであるとしつ つも、社会福祉事業と密接に関連するサービスについても、この指針が人材確保のため の取組みの参考となるとの認識の下、これらを合わせて「福祉・介護サービス」と総称 して、人材確保のための取組みを共通の枠組みで整理することとするとしております。 「第1 就業の動向」につきましては、あまり大きな変更点はございません。「1 労働市場全体における就業の現況と今後の見通し」において、今後、労働力人口の減少 が見込まれ、「2 福祉・介護サービスにおける就業の現況」において、従事者が大幅 に増加していること、従事者の特徴として、女性が多い、非常勤職員の割合が増加して きていることなどが挙げられるとしております。4ページでは、介護関連職種の有効求 人倍率も高い水準になってきていること、いわゆる「潜在的介護福祉士」が多数存在し てきていること、社会福祉士につきましては、その専門性が有効に活用されているとは いえない状況にあること、保育士についても、資質の高い保育士の確保が求められてい るということを書いております。 「3 福祉・介護サービスにおける今後の就業の見通し」につきましては、今後、高 齢者に対する介護保険サービスの需要、障害者に対する障害福祉サービス、保育サービ スの需要がそれぞれ拡大していくことが見込まれるとしており、こういった中で、例え ば、介護保険サービスに従事する介護職員については、今後、10年間に約40万人から 約60万人の確保が必要となるという推計を御紹介した上で、前回の御議論も踏まえまし て、この推計は、労働力人口に占める割合で見ますと、約1.5%から約2.1から2.4%に なるということ、また、離職者を補充する人材等の確保も相当数必要であるということ を書いております。 「第2 人材確保の基本的考え方」につきましては、まず、福祉・介護サービス分野 では、他の分野に比較しても特に人材を安定的に確保していくことが求められており、 様々な就労形態の従事者がいることを念頭に置きつつ、必要な対策を重層的に講じてい くことが必要であるとした上で、就職期の若年層を中心とした国民各層から選択される 職業となるよう、他の分野とも比較して適切な給与水準が確保されるなど、労働環境を 整備し、キャリアアップの仕組みを構築するといった対応が必要であるとしております。 こういった観点から、人材確保の視点につきましては、前回同様、5つの項目を挙げて おり、 (1)「労働環境の整備の推進」、(2)「キャリアアップの仕組みの構築」、(3)「福祉 ・介護サービスの周知・理解」、(4)「潜在的有資格者等の参入の促進」、(5)「多様な人 材の参入・参画の促進」となっております。 これらの視点に立った具体的対策を着実に講ずることにより、必要な人材を確保する ことが可能であると考えられ、関係者が総力を挙げて取組み、国内における労働力を確 保していくことが重要であるとした上で、前回御指摘がございました外国人の問題につ きましては、「なお、今後、外国人労働者の受入れは不可避ではないかとの問題提起も ある」とした上で、「これについては、労働市場への影響、滞在の長期化や定住化に伴 う社会的コストの発生等の懸念等があることから、慎重に対応していくことが必要であ る」としております。 「第3 人材確保の方策」におきましては、5つの項目ごとに、関係者が取り組むべ き事項をまとめて記載しております。  1つ目が「1 労働環境の整備の推進等」の「(1)労働環境の改善」でございます。 この部分は、前回の御議論を踏まえまして、順番を変え、「(1) 給与等」、「(2) 介護 報酬等の設定」、「(3) 労働時間等」、「(4) 労働関係法規の遵守等」の順にしており ます。 「(1) 給与等」につきましては、アで、他の分野における労働者の給与水準、地域の 給与水準等も踏まえ、適切な給与水準を確保するとした上で、給与体系の検討に当たっ ては、福祉職俸給表等も参考とすることとしております。ウにつきましては、従事者に 対する事業収入の配分の状況について、福祉・介護サービス分野における経営者の全般 的な状況や個別の優良事例等を公表することとしております。 「(2) 介護報酬等の設定」につきましては、アは大きな変更はございませんが、イに おきまして、専門性の高い人材を配置した場合の介護報酬等による評価の在り方につい て、社会福祉士を追加しております。「(3) 労働時間等」、「(4) 労働関係法規の遵守 等」、「(5) 健康管理対策等」、「(6) 職員配置」、「(7) 福利厚生」につきましては、 ほぼ前回と同じ内容になっております。「(8) 適正な雇用管理の推進」につきましては、 「介護労働者」という用語につきまして、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律 という特定の法律に基づく事項であることを明確にする表現としております。「(9) 業 務の省力化等」につきましては、前回の御指摘を踏まえまして、「自助具」を追加して おります。「(10) その他」等に関連いたしまして、前回の御指摘を踏まえまして、福祉 人材センターが取り組む事項につきましては、福祉人材バンクにおいても取り組むべき 事項であるということを明記することとしております。 「(2)新たな経営モデルの構築」の部分につきましては、基本的に前回と同じ内容 になっております。(5)で、福祉・介護サービスを行うのにふさわしい経営理念や経営の 在り方の研究とその成果の普及について、「先進的な取組みについての周知」といった 例示を追加しております。 「(3)介護技術等に関する研究及び普及」におきましては、(1)で自助具や住環境の 整備等の研究を追加しております。前回、職能団体の活用という御意見がございました ので、一部の項目について、取り組むべき主体の例示として、職能団体などを追加して おります。 2つ目の視点の「2 キャリアアップの仕組みの構築」も、ほぼ前回と同じ内容にな っております。(1)におきまして、キャリアアップの構築の例示といたしまして、有資格 者等のキャリアを考慮した施設長等の資格要件の見直しや社会福祉主事から社会福祉士 へのキャリアアップの仕組みなどを追加しております。 「3 福祉・介護サービスの周知・理解」につきましては、前回、若い方々にこの分 野に就職していただくためには、教育が重要であるという御意見がございましたので、 (1)を1つ独立した項目として立てまして、生徒等が福祉・介護サービスの意義や重要性 について理解と体験ができるように働きかけを行うということを追加しております。 4つ目の視点「4 潜在的有資格者等の参入の促進等」も基本的には前回と同様でご ざいます。こちらでも、福祉人材バンクを潜在的有資格者等の参入の促進に取り組むべ き主体として追加しております。 5つ目の視点「5 多様な人材の参入・参画の促進」の最初の項目が「(1)福祉・ 介護サービス以外の他の分野に従事する人材の参入の促進」でございます。(4)におきま して、前回の御指摘を踏まえ、表現を変えており、第三者評価の結果の公表や情報開示 等は、本来、利用者のサービスの選択に資することを目的としたものではあるが、この 分野への就業を希望する者にとっても就業先の選択に資するものであることを踏まえ、 これらの推進を図るとしております。 「(2)高齢者等の参入・参画の推進等」につきましては、(1)の高齢者の参画の促進、 (2)の障害者の参入・参画の促進につきましては、前回とほぼ同様でございます。また、 「第2」におきまして、外国人労働者の受入れについて慎重に対応していくという基本 的な考え方を示したことを受けまして、(3)で、経済連携協定等に基づいて特別の枠組み で受け入れることとなる外国人介護福祉士等については、受入れが適切に行われ、現場 に混乱が生ずることのないよう、十分な研修体制や指導体制等を構築するとしておりま す。 「第4 経営者、関係団体等並びに国及び地方公共団体の役割と国民の役割」の「1 経営者及び関係団体等の役割」につきましては、基本的に前回と同様の内容になってお ります。  「2 地方公共団体の役割」につきましては、前回の御議論を踏まえまして、市区町 村の役割につきまして、1つは、介護保険制度の保険者として位置付けられているなど、 福祉・介護制度の実施主体としての立場という点を加えました。2つ目は、従事者に対 する研修の実施、相談体制の整備、経営者等のネットワークの構築などの地域の特色を 踏まえたきめ細やかな人材確保の取組みを進めるということを追加しております。 「3 国の役割」につきましては、4つ目の段落を新たに追加し、福祉・介護政策と 教育政策が連携を図りつつ、ボランティア体験等を通じて、生徒等が福祉・介護サービ スに接する機会を積極的に設け、国民一人一人が身近な問題として理解を深めていける ような環境を整備していくとしております。 「4 国民の役割」につきましては、前回、人的サービス依存型社会にしないという ような御指摘もございましたので、書き方を変えております。国民はサービスの利用者 であるとともに、税や保険料の負担者としての役割があり、サービスの利用者として質 の高いサービスを選り分けるとともに、こうしたサービスを伸ばしていくことに努め、 福祉・介護制度は、国民が拠出する公的な財源により運営されており、一人一人が大切 に、また、サービスを上手く利用しながら自立した日常生活を営むことが求められると し、必要なサービスの量や質の水準と併せて、これを確保するために必要となる負担の 水準も考えていくことが求められるとし、さらにボランティア等への参画を通じて、地 域社会における支え合いを充実させていくことも重要であるとしております。 「第5 指針の実施状況の評価・検証」につきましては、前回、国の役割の中に書か れていた事項を独立した項目として立て、この指針が示す措置について、定期的に実施 状況を評価・検証し、必要に応じこの指針の見直しを行いつつ、人材確保対策を着実に 推進するものとするとしております。 資料の御説明は以上でございます。 ○岩田部会長 ありがとうございました。 一応、この改正案については、既に先ほど申しましたように、委員の皆様全員に事前 に御了解をいただいていると聞いておりますので、この内容については、これを了承す る形でとりまとめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○岩田部会長 その上で、この間、かなり熱い議論をいたしましたし、この案について も、なお強調したいこと、あるいは追加的な御意見等もおありかと思います。本日は最 後の機会ですので、皆様方に是非、御感想や御意見を一言ずつ賜りたいと思っておりま す。よろしくお願いいたします。 白澤委員の方から時計回りでお願いします。 ○白澤委員 最初ですから、どういう話をさせていただいたらいいかわからないですが、 正直、今回の指針は時半ばだという思いでございます。今からスタートだということで す。 最後にも書いていただきましたが、是非、実現に向けて、この指針を具体的に積極的 に進めていただきたいという思いです。 私自身は、社会福祉士の養成校という立場から出ているということで、介護の問題が 一番重要な問題であるということは重々認識をしておりますし、是非、介護職の社会的 地位を上げる、あるいは人材の確保をしていただきたいということですが、1つ、社会 福祉士という立場から、今回の審議会でのプロセスで今、感じていることを少し申し上 げたいと思います。 社会福祉士につきましても、これを機会に新しいスタートを切りたいなという思いが 大変強くございます。まだ法律も最終的には決まっておりませんが、法律が決まる中で、 我々としては、本当に優秀な人材を社会に輩出をしていきたいと思いが大変強くなって きております。 その意味では、大学を含めまして養成校で、非常に実践能力があり国民の期待に応え られる人材をつくり上げていきたい。この部会でも、仕事が見えにくいという話がござ いましたが、きちっと国民に理解してもらえる仕事にしていこうと思っております。 しかしながら、一方で、今回にもいろいろ御議論いただきましたように、介護福祉士 とは異なりまして、やはり社会福祉士特有の問題がございます。これはどういうことか と言うと、雇用領域がなかなか確保できない。介護の方は雇用領域はあるけれども、入 ってこないというのと、我々は働くところが余りないという問題がございます。 この意味では、これを機会にそういう確保を図って、同時に介護福祉士同様、給与体 系の問題を適正なものに改善をしていただいて、国民の役に立つ社会福祉士をつくって いくというスタートラインに立てた。こういう率直な思いをしております。 そのためには、是非、この指針を積極的に厚生労働省の方で進めていただくのが大変 ありがたい。同時に、私たちの領域というのは、厚生労働省を超えて、例えば、文部科 学省や法務省とも随分関係する職種でございますから、そういうところにも私たちは積 極的なアピールをしていくことも、今後必要だという認識をしております。 以上でございます。 ○岩田部会長 ありがとうございます。高岡委員。 ○高岡委員 私は、社会福祉事業を経営する者、立場として、これまでいろいろと御意 見をいただいて、いい指針をまとめていただいた。そういうことに対しては、お礼と感 謝を申し上げたいと思っております。 この指針の内容について一番大きな役割を果たさなければならないのは、我々、事業 を経営する者の責務だと自覚しております。この指針の内容、我々関係者に対して、あ るべき、やるべきことを周知することと、具体的には、どういうふうに進めたらいいか という研修等も積極的にやっていかなければ、事業そのものがもたないような状況であ るということも認識しております。 ただ、我々の力だけでは解決し得ない国全体の労働需給バランスが、今後どれだけ逼 迫した状況になっていくのか見えない。そのときのことだとか、あるいはここの中にも 述べていただいておりますが、介護報酬にも人材の育成等がリンクしていくようなこと とうたわれておりますけれども、私としては、そのことが別の審議会の介護報酬の委員 会、そういうところにどういうふうに決定して、これをベースにして考えていただける のかどうか。その辺も気になるところであります。 それともう一つ、地方自治体への役割も明確になっているんですけれども、地方自治 体がこの指針の役割ということを知る方法。この指針の周知徹底をどうされるのかとい うこと。国の方に対してのいろんな働きかけは、この委員会がしょっちゅう開かれるわ けではないでしょうから、どこの部局が窓口になっていただけるのか。 一番最後に、定期的な検証というのも書かれておりますけれども、定期的な検証をど ういう方法で、どの時点でやっていただけるかということもわかれば非常にありがたい なと思います。いろいろとありがとうございました。 ○鶴委員 岩田部会長や京極部会長代理、また委員の皆様方、更に、事務局の方々など の御尽力により、的確で適切な正鵠を得た指針ができ上がったのではないかと存じてお ります。まず、皆様方の御努力に敬意を表し、厚く感謝お礼申し上げたいと存じます。 これから、新たな人材確保指針の下、具体的にいろいろな施策などが実行され、その 効果が上がっていくことと期待しております。その実行に際しましては、福祉・介護サ ービス分野ばかりでなく、労働市場全体や我が国経済全般にも十分な目配り、考慮を払 いながら、推進していただきますよう希望したいと思います。 今までも述べさせていただきましたが、基本的に人材の採用・定着などの労務管理、 人材確保の在り方は、経営主体が自主的に決めるのがあるべき姿と存じています。福祉 サービス事業においても、環境が変化する中、積極的、主体的に改善や工夫、変革に取 り組まれる事業者が増えることを期待したいと存じます。 以上でございます。 ○堀田委員 私は、これという立場のない者でありますけれども、その割にはいろいろ とよく申し上げまして、大変事務局で御苦労も多かったと思います。いろんな御意見を 取り入れて、うまくまとめていただいたと思います。 大変細かく、例えば、「良好な労働環境」などという言葉についても、これは半ば冗 談で、「普通の環境をまず実現してほしい」と申し上げました。読みましたら、「良好 な」がちゃんと取ってありまして、そこまで御配慮をいただいたかと大変感謝いたして おります。 外国人の問題も、御無理であろうということで申し上げましたら、ちゃんと書いてあ るんですけれども、「慎重に」とくぎを刺してお書きになっておられます。今の段階で は、そういうことなんだろうと思います。数年経ち、恐らくこの部会でいい外国人労働 者をどう入れるかという議論がなされるときには、私も老骨にむち打って参加させてい ただきたいと思っております。 何といっても基本はこの状況の下、いかに普通の待遇をするか。そこにかかっており ますので、その点を強調する目鼻立ちがすっきりした報告書にしていただきました。せ っかく、目鼻立ちもすっきりされた部会長をいただいているわけでありますから、報告 書もそういうすっきりしたものにしなければいけない。そういうふうになったと思って おります。 一番大事な待遇の点につきまして、財務省との厳しい折衝、官邸の経済財政諮問会議 もあるでしょう。御担当の方々、大変御心労の多いことと思いますけれども、選挙期間 中は少しお休みいただいて、福祉は、国の基礎でありますので、この辺が揺らいでおっ たのでは、どんな手を打ったって国はよくなりません。かぶとの緒を締めて、またしっ かりと頑張っていただきたいと思っております。 ○村尾委員 社会福祉士を代表して、いろいろ言わせていただきました。たくさんのこ とを盛り込んでいただきまして、誠にありがとうございました。 私自身は、措置が50年以上続いていたわけですけれども、利用契約に変わったという ことで、サービスを提供する側、利用する側ともに、大変戸惑いがあったと思います。 それが、かなりこの指針で整理ができてきたのではないかと思います。 特に人材が育っていなかったということは大変大きかったと思いますし、いろんなサ ービスを提供する環境、質のいいサービスを提供するという環境がまだ成熟していなか ったのではないかと思います。合理的なサービスの提供ということが期待されるかと思 います。その中で、専門職の役割、職能団体の役割ということがかなり明確に盛り込ま れたということにつきましては、感謝を申し上げたいと思います。 法案の審議が、残念ながらといいますか、幸いといいましょうか、これからの審議の 段階で、この指針の内容につきまして、部会決議等で可能な限り、何らかの形で反映す る形で御議論いただければ幸いかと思います。 具体的には、この中で、前文のところを大変基本指針としてわかりやすく整理をして いただいているかと思います。特に2ページの上段のところ、高齢者が3割を超えると いうことを書いておりますけれども、これからは、都市に限らず、地方、過疎地は勿論 ですけれども、1人住まい、2人住まいということが拡大することは私は大きな問題だ ろうと思っております。生活を維持するということの支援が重要になってくるわけです けれども、それはそれぞれの役割や分担があるんだということで、経営者、法人団体、 国、地方公共団体、国民ということで、特に第4にかなり詳しくお書きになっていただ いているということで、この役割分担というのを更に明確にして、それぞれ取り組む必 要があるかと思います。職能団体としても、こういうことを踏まえて、しっかり歩んで いきたいと思います。 もう一つは、具体的に2ページの下の方のところで「福祉・介護サービス」は総称し ているということでございますので、他の分野の人材確保ということも、引き続き御検 討いただければと思います。 特に、高齢者につきましては、難聴ということが大変問題になっていくと思います。 厚生科学研究の戦略研究の大きなテーマに今年は取り上げていただいているわけでござ いまして、そこに補聴器の関係の専門職の存在というのも大きくなってくるかと思いま す。福祉用具の専門職ということもそれに関連をしてくるわけでございます。 保育の関係とか教育、司法福祉、こういう広い分野で、福祉サービスというのは展開 されますので、それに伴った福祉サービスを提供する人材育成ということについても、 これから検討していただければと思うわけでございます。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○岩田部会長 どうもありがとうございました。では、森委員、どうぞ。 ○森委員 私は、地方自治体あるいはまた保険者という立場の中で、今回の指針という ものに対して、大変いろんな意味で大きな期待をいたしておりました。それだけに、ま ず、このような指針ができたということに対しまして、感謝を申し上げます。 そういう中で、先ほども堀田先生も申されましたけれども、やはりこの国の指針とい うことは、強いメッセージ性を国民の皆様方に、関係者は勿論そうですけれども、やは り国民の皆様方にすごいこういうふうにしていくんだということ。 例えば、それは保険料を払っている、あるいは1割負担をしているとか、いろんな方 たちにとって質の高いサービスが提供されるという保障が、今回のこの指針でできたの だということを是非、強く訴えていただければと思います。 そうしないと、現場は、ある面では、保険料を払う、あるいは費用を負担をするけれ ども、本当に質の悪いサービスだということは、ある面では社会保障制度そのものが根 幹が緩んでくるという懸念をいたします。 そういう中で、先ほど来、成田さんの説明を聞いている中で、実は、一番最初に経営 者が来ており、地方自治体が来ており、そして国が来て国民が来る。私は、伺っており まして、たとえ私ども、条例や何かでも市の責務とか市の役割。次に事業者の責務とか 役割。そして最後は市民のという条立てで来ているわけです。 最初に経営者という、ここに何か少し違和感を、要するにメッセージ性が強いという ことをもし顕著に出すならば、国はこういうふうにして、例えば、教育も含めてこのよ うにして人材を育成していくんだ。だから、例えば、労働環境を含めてこうなっていく んだとなれば、もっと強いメッセージができるのではないかなと後から感じました。 そういう意味で、是非とも、しっかりとしたこれを国民の皆様方にわかるメッセージ として伝えていただければと思います。 ありがとうございました。 ○岩田部会長 吉岡委員、お一方ずつ、今までの感想なりあるいは御意見をいただいて いるところですので、よろしくお願いします。 ○吉岡委員 重要な会議に遅刻しまして、申し訳ございません。 総論、各論とも非常にしっかりとした、いい指針ができた。極めて具体的に何をなす べきなのかということがしっかりと明示されている。 そして、経営者、事業者としては何をすべきなのか。国や自治体は何をすべきなのか。 国民についても、こうこうこうあってほしい。それぞれにわたって、極めて具体的に例 示された。後はこれをお互いが間違いなく実践をしていく。そのことによって、21世紀 が安心できる社会、安心して暮らしていける社会になっていくでしょう。この指針によ り社会福祉、社会保障の制度がよりしっかり機能していくだろうと思っております。そ んな感想を持っております。 以上でございます。 ○岩田部会長 では、石原委員お願いいたします。 ○石原委員 私は、特に現場の訪問介護事業者としての立場で発言をさせていただきた いと思います。 今回の指針の人材確保のための措置で、労働環境の整備とキャリアアップの仕組みの 構築が明記されたことを本当にうれしく思います。労働環境の整備の中の介護報酬等に よる評価の在り方の検討で、今後この「等」の中で、訪問介護のヘルパーの在り方を、 是非御検討いただければと思います。 現在、施設に入居されますと、介護保険の上限が当然、支払われるわけですけれども、 その利用料の中で入居者の介護が行われています。すなわち施設経営のすべてが人件費 も含めて賄われているわけです。 在宅の場合は、上限まで介護保険を使うケアプランというのは、全体の5割前後と言 われております。家族がいるという前提とか、利用者に余り負担をかけたくないという ケアマネの思いとか、家族が余り費用負担増にならないようにという思いかもしれない わけですけれども、元来、上限があるということは、その利用者にはそれぐらいのサー ビスが必要だということだと私たちは考えています。使ってもいいよという考え方もあ りますけれども、利用者の自立支援を考えたり、尊厳を保つ介護を継続しようとすれば、 在宅の場合、この上限でも本当は困難な場合が多くあると私たちは考えています。 それはどう生きるかという選択の自由ではありますけれども、現在、在宅の訪問介護 の実情としては、巡回でケアプランが立てられるというケースはまだ非常に少なくて、 ヘルパーの利用が食事時間に集中しているというのが現状なわけです。そのために、ヘ ルパーの労働条件が改善されなくて、介護者が施設へ流れてしまっております。 今後、在宅への流れをつくるとすれば、在宅の介護者の労働環境を御検討いただけれ ばありがたいと思います。 以上です。 ○石橋委員 まず、これは当たり前のことでございますけれども、介護や福祉サービス というものは、人が人に対して行う対人援助サービスということであります。やはり質 の高いサービスを提供するというのは、質の高い人材の要請、確保が何よりも大切だと いうことも改めて再認識することが大切だと思います。 それを実現するための1つの大きな目標として、これから福祉や介護の仕事が、働き がいのある、魅力ある職業として社会的に認知されることが大切です。これは前文にも 書いていただいております。それを1つの大きな目標とすることも大切なことかなとい うことを感じております。 それを達成するためには、何といっても、給料の向上を含めた労働条件の改善、これ が最優先事項になるのではないかなということを思っております。 併せて、介護や福祉の職場に就きながら、その定着率が悪いというような問題もあり ますけれども、やはりそれを改善するためには、何といっても、介護や福祉の職業に就 きながら一生の仕事として生涯、やる気と意欲を持てるような、そういった職業になら なければいけません。そのための仕組みとして、いわゆるキャリアアップの仕組みを構 築することが今回の人材確保指針に示されていることは非常によかったと感じておりま す。 特に、この2つのことを柱として、今後、国などの行政、経営者、関係団体、職能団 体等も含めて、それぞれがそれぞれの役割をこの指針に対して真摯に取り組んでいくと いうことが、何よりも重要であると考えております。 そのことと関係して、この人材確保の基本指針の文章の中で、少し確認をしたいとこ ろがあります。 まず、10ページ、「1 労働環境の整備の推進等 (1)労働環境の改善 (2) 介護 報酬等の設定」のところでございます。 やはり、給与面等が非常に大きく変わってくるのは、これから、介護報酬の設定にな ってくるかと思います。アの部分の最後から2行目のところに「適切な水準の介護報酬 等を設定すること」こちらの方にきちんと書かれてはおります。この適切な水準という のは、具体的にどういうものなのかということを確認したいと思います。 適切な水準というのは、先ほど、ほかの委員の方からも御意見がありましたように、 サービスの質の確保が適切に図れるような水準でなければいけないと思っております。 そういう意味も含めてここに書いてあるのではないかと思っております。また介護報酬 の見直しの機会があれば、そこのところも留意して検討していただきたいと思っている ところです。 もう一つ、キャリアアップの仕組みのところでございます。これは16ページの「2 キャリアアップの仕組みの構築」の(1)に記載されております。 特に2行目のところで「また、有資格者等のキャリアを考慮した施設長や生活相談員 の資格要件の見直し」というところでございます。ここのところについては、この有資 格者というのは、当然、社会福祉士及び介護福祉士等の専門職がその施設長や生活相談 員の任用資格ともなり得るし、またそれぞれの資格職がキャリアアップの仕組みをつく ることが大切だということをここに書いてあると、私は認識しておりますが、それでい いのかという確認もさせていただきたいということを最後にお願いしたいと思います。 また、今回、外国人労働者のことが追加で記載されております。私どもとしては、基 本的には、特に介護・福祉の仕事というのは、人が人に対して行うものでございますか ら、やはり生活とか文化とか習慣とかそういった価値観を共有できるような人が介護を 担っていくのがふさわしいということで、本来であれば、やはり日本人の方が、きちん と介護の分野で働けることを最優先することが何よりも大切なのではないかなと思って おります。 もう一つ懸念がありますのは、例えば、今でさえ、かなりの外国人の方が日本の方に 来られて生活しているわけですけれども、ときどき、極端に言えば、特定の場所で、こ こは日本だろうかなと思うようなことも感じるところもありますし、将来、本当に外国 人の方がどんどん参入してくるということになると、本当の意味で、ここは日本なのか なという、先の懸念というのも少し感じざるを得ないということでありますので、外国 人労働者の受入れに関しましては、特に慎重に対応していただきたいということを最後 にお願いしたいと思っております。 以上です。 ○井部委員 私は、看護職の立場で参加させていただきました。福祉・介護サービスの 領域の問題、抱えている課題は、看護にも非常に類似しているところがあることがよく わかりました。 看護職には、人材確保法というものが以前に策定されていまして、人確法は看護にと って、さまざまなよい影響を及ぼしておりますので、今回の指針が福祉・介護サービス の領域に大きく貢献することを期待したいと思っております。 看護職は、保健師、助産師、看護師、準看護師は、福祉介護サービスにも多くの者が 働いているわけであります。これからこの指針に基づいた質の高い人材の確保によりま して、更にこの領域で、共同してよいサービスを提供するようにしていく役割があると いうことを再認識しております。 サービスは、結局受け手側のサービスの質というのは、提供する従業員の満足に非常 に依存するという考え方がありますので、サービスプロフィットチェーンと言われてい るような理論からに基づきますと、堀田委員が、普通の待遇と表現されましたけれども、 提供者側の、つまり従業員の満足が提供されるサービスの質の向上につながるという考 え方に基づいて、是非、この指針がうまく機能して、福祉・介護サービスの領域の人材 の質の確保と向上を期待していきたい。私たちもそのために努力しなければならないと 思っております。 ○江草委員 それでは、私は2つのことを申し上げてみたいと思います。その前に、こ の指針の案を拝見しましたときに、よくできておるというのは偽らざる実感であります。 かなりいろんな意見があったものをうまくまとめてあるというのは、色がなくなったと いう意味でなくて、深められたという意味でよくまとまっておるというふうに思ってお ります。 その中で、2点申し上げたいと思います。1つは、ちょうど介護福祉士の養成が始ま って、ほぼ20年という月日が今、流れたわけでありますが、ようやくここにきて、役割、 地位をいかに向上させるべきか。そのためには、処遇はどのように向上させたらいいの か。そして、希望が持てるためには、キャリアアップの資金も考えなければいけない。 期待されている目標に接近するためには、専門介護福祉士、こういう言葉はそのままで はないのでありますけれども、そのような立場の人の養成も考えなければいけないので はないかということに触れてあることに、私は十分満足いたしました。 現在の介護福祉士の需給について申し上げるならば、潜在的な介護福祉士がたくさん おるということについて触れてあります。これは、ちょっと潜在的看護師の問題とよく 似ておると思います。 最近では、医者の場合も、特に女医さんの場合、潜在的であるという部分も多いわけ であります。こういうことを考えますと、なぜ潜在してしまうのかということを考える 場合には、介護にかかわらず、社会福祉サービスにかかわらず、看護、医療あるいは保 育、そうしたすべてのものに共通する多様な潜在的な立場の方々の参入を促進する条件 があるのではないか。これを考えてみなければいけないと私は思っておりますので、こ れについて触れてあることは大変結構だと思います。どのようなということは、今後の 問題であります。 2番目でありますが、これは私は高岡先生とほぼ立場を同じくするんですが、福祉・ 介護サービスの現場におる。つまり、介護福祉士を仲間として受入れて、一緒に働くと いう立場から申しますと、私は、国、地方公共団体の努力もさることながら、福祉・介 護サービスを提供する団体、主として社会福祉法人でありましょうけれども、この経営 力の向上ということをいろんな形で取り上げなければいけないとかねがね感じてきたわ けでありますが、そのことに触れてあるということも、私は大変いいことではないかと 思います。 恐らく、この指針というような形で、経営力の向上ということについて触れてあった ことは今までなかったのではないか、初めてではないか。高岡先生、どうでしょうか。 そう思いまして、私は大変大きな評価ができると思っております。 以上です。 ○小島委員 私は、労働組合の立場と、福祉・介護の分野のサービスを利用する立場と、 言わば2つの立場という形で、この部会には参加させていただきました。そういう立場 で発言してきたつもりであります。 今回の指針については、何といっても、この介護・福祉分野、良質なサービスを提供 するには、そこを担う人材をどう確保するか。そこの質をどう上げていくかということ が極めて重要という観点で今回の指針がとりまとめられたということだと思います。 そういう意味では、今回、様々な施策、方法が指摘をされており、経営者なり国、自 治体あるいは国民の役割ということも含めて提起をされております。これを具体的にど う実現するかで、初めて今回の指針が生きてくるということだと思います。 特に、人材確保法につきましては、まず第一に、労働環境の整備ということが出され ております。そこで働く者、労働組合の立場からすれば、良質な、あるいは良好な労働 環境の確保というのが必要だと思います。そこは堀田委員が指摘するように、今は劣悪 な環境なので、まずはそれを普通の環境にしろということは、まさにそうだと思います。 そういう観点からすると、一番に挙げられているのが、給与、賃金の改善、更には、労 働環境の労働時間等の管理改善の問題。 そして、2つ目に、キャリアアップ、キャリア形成というようなことが出されている。 私は、今回の部会での議論に当たりまして、新たな経営モデルについて触れてもおりま すけれども、そこで働いている者が、生涯、介護・福祉分野で誇りを持って働けること が描けるかどうか、まさにモデル的な、自分が今後キャリアを積んで生涯ここで働いて いく、そういうことがイメージできるような、そういう指針であるべきではないかと発 言をした記憶があります。 そういうものにするためには、今回示された内容をどう具体的に実現するかというこ とが極めて重要なことではないか。その意味では、最後に触れておりますけれども、定 期的な検証、評価ということが必要になってくると思っております。 それと、労働組合の立場から言いますと、必ずしも、この福祉・介護分野については、 労働組合の組織率といいますか、労働組合に参加されている方の比率が低いということ もあります。離職率が高いというのはそういう状況もあるということだと思いますので、 離職率を下げていくということは、まさに生涯を通じて働く、そういう職場としていく というためにも、労働組合の立場からも、その環境整備に努めていきたいと思っており ます。 是非、経営者の皆さんに対しては、良好な労使関係というのがあって、初めて良好な 経営、あるいは人材確保につながっていくということを改めて強調をしたいと思います。 最後ですけれども、これは堀田委員が指摘されました外国人労働の問題です。十分な 議論はできなかったが、単に介護・福祉分野が人材不足だからそこに限定的に外国人労 働者を入れるという話ではなくて、これは将来的に、日本の人口構成の中で労働力人口 が減っていくという問題についてまさに社会全体の問題として考えなければいけない問 題だと思っております。 その際には、単に短期的に外国人労働を入れるということだけではなくて、本当の意 味で、日本として移民政策を採るのかどうかというところまで含めた議論が必要になっ てくるのではないかと思っております。 というような最後の感想でありますけれども、以上であります。 ○木間委員 介護の分野だけではなくて、保育や障害者の分野で働く人たちの労働環境 が非常に厳しい状況にあります。とりわけ、少人数の利用者のニーズに応えようとして いる障害者のグループホームで働く人たちの労働条件は過酷なものです。 これまで私は、福祉・介護サービス契約時代における消費者の権利擁護という視点で 福祉・介護サービスの問題に取り組んでまいりましたが、今回の指針が、福祉・介護サ ービスと総称し、人材確保のための取組みを共通の枠組みで整理することとされました。 利用者が安心して質の高いサービスを受けられるためにも、労働条件の改善を期待し たいと思います。 ○駒村委員 私は、経済学者という立場で参加させていただきました。そういう意味で は、経済システムとしてこの指針をどう評価するか、感想めいたことを申し上げたいと 思います。 まず、この点は何回も申し上げたところですけれども、福祉・介護の分野というのは、 価格介護報酬に相当するもの、あるいは財源というのはともに政策的にコントロールさ れているというところがある一方で、労働や資本というのはマーケットで調達されてく るということが現実にあるわけです。結局、労働に対する分配というのは、この労使間 で、先ほど小島さんがあったように調整されてきたというわけです。 そういう中で、処遇賃金に対する目安というものが出され、そして能力開発のモデル が示されたということは、まずその1点目として大変評価すべき点ではないかと思いま す。 3つほどありますけれども、2つ目は、一方で、中・長期的には明らかに労働市 場が逼迫していくということ。一方で、介護サービスは、介護労働者の質に非常に依存 するという点がありますので、今後、定期的に介護労働市場の現状をチェックして、モ デルのバージョンアップをしていく必要があるのだろうと思います。 最後に、質の高い労働者を確保していけば、質の高いサービスを提供していけるのだ ろうと思います。そして、それが国民に介護保険の財源確保をお願いする、1つの重要 な根拠になっていくだろうと思います。こういう政策的努力を、今後も期待したいと思 います。 以上です。 ○岩田部会長 では、京極先生。 ○京極部会長代理 では、私からも一言。3点ございます。 1つは、非常に立場を超えて、幅広い議論ができて、よい答申ができた。これも名座 長の下での議論ということですけれども、中村局長を始め事務局が非常に熱心に取り組 んでいただいた、いろんな意見を組み入れていただいたということだと思います。 20年ぶりの法改正と絡んだ指針でございますので、その点では歴史的に見て画期的な ものではないかと思っております。 2点目は、ちょっと私個人の考えです。労働省と厚生省が合体しまして厚生労働省に なりましたけれども、新しい社会政策みたいなものが出てきてもいいのではないか。ま さにその成果が、この指針には出ていると思います。非常に高い評価をすれば、新しい 社会政策の見本ができたというぐらいに考えてもいいのではないか。 3点目になりますけれども、是非これを、マスコミ等でも積極的に取り上げて、また 国民的な議論にしていくということが必要で、できたから終わりということでふたを閉 めてしまいますとせっかくの指針が泣きますので、ひとつ、いろんな分野で、各般で議 論する。 そして、医学の方では、医療の方では、一般的に言われていますけれども、バリュー ・フォー・マネー(value for money)という言葉がありまして、拠出したお金に見合っ たサービスの質ということを言っています。今まで、社会福祉士の世界では、サービス をしてあげたので結構なのではないかということで、利用者の選択は勿論、昔はなかっ たわけですけれども、最近では、それに見合った質の高いものであれば、それに対する 待遇も勿論していくということで、国民の理解も得られるような方向になってきたと思 います。バリュー・フォー・マネーということを1つキーワードに、この指針が実行さ れていくことを期待したいと思います。 どうもありがとうございました。 ○岩田部会長 どうもありがとうございました。なかなか、人材問題というのは、今、 大変難しいところに来ておりまして、もうちょっと遅いかもしれないというくらい、大 変深刻な状態にあるということをこの部会で少し議論することによって、社会といいま すか、国民の皆さんにも是非わかっていただきたいということがやはり一番大きかった ように私は思います。 それで、同時に介護とか福祉というのは、先ほどの看護もそうだと思うんですけれど も、人材に尽きると言っていいほど、サービスの提供ですから、制度があっても人がい なければだめだということが繰り返し各分野で自覚されるといいますか、認識されると いうことが大変大事だろうと思うんです。 そのために、どのぐらいの社会の資源をそこに投入するかというのが、結局は社会の 判断になると思うんですけれども、その前提として、質の高さというのがキープされな ければならないという、なかなか難しい場面にあるとは思います。 しかし、戦前、社会局ができて、日本の社会事業というのが歩み出したときに、やは り一番最初に必要だったのは、人材の養成でございます。それが私どものような4年生 大学の社会福祉教育につながっていくわけです。 しかし、繰り返しそのことが、いろんな段階で出てきているというのは、多分、介護 とか福祉というのは、これは私の感想ですけれども、片方では、やはり無償の家事労働 につながっている。 もう一つは、非常にボランタリーな、やはり無償の助け合いというのに両端でつなが っているものですから、なかなかそこにきちっとした賃金や労働条件を確保した上で、 質の高いサービス労働を享受しようという場が、なかなか理解されにくいという状況が 今でもやはりあるような気がいたします。 その連続性というのは非常に大事なことですけれども、そのことと、職業としてきち っと一定の福祉や介護の職業を確立するということが、社会全体にとっても大変大事だ ということが少し伝わっていくということと、現実には、皆様方からいただきましたよ うに、今回の指針の改正というものを実質化していくために、定期的な見直しというの が、大変大事だろうと私も思います。 その前の人材の辺りから、皆様方に大変熱心に御議論いただきまして、また、堀田先 生始め叱咤激励をいただきまして、それで事務局に大変御努力いただきまして、何度も 何度も変えまして、かなり入るべきところは入って、また、なるべくわかっていただけ るように余計なものは取って、すっきりした形になったかなとは思います。 私どもとしては、何となくこういうものがこういう形でできるとそれで満足というよ うな感じにもなるんですが、問題はこの後ということになると思いますので、是非、関 係の団体、経営者の方たち、行政の方たちによろしくお願いしたいと思います。 どうもありがとうございました。それでは、皆様の御意見で、いろんな強調点ござい ましたけれども、そしてまた、例えば経営者団体は、まず国の姿勢を示すべきだという のは大変ごもっともな意見だと思いますが、一応、この諮問という形でこの案をいただ いたということで、諮問のとおり改正するということで、この部会の御了承をいただい たということにさせていただきたいと思います。 なお、大臣からの諮問に対する答申というのは、社会保障審議会が親審議会になりま すので、社会保障審議会の会長名で、この諮問に対する答申が行われます。この部会の 議決は、会長の同意を得て、審議会としての議決として扱うということにされておりま すので、私の方から会長に報告をしまして、そのような順序で手続きをしたいと思いま すが、よろしゅうございますでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○岩田部会長 ありがとうございました。それでは、最後に、中村社会・援護局長から ごあいさつをお願いします。 ○中村社会・援護局長 この人材確保指針につきましては、この委員会では、3月から 御審議を賜りまして、本日、福祉部会として了承の運びになりまして、本当にありがと うございました。 私どもが最初出させていただいた素案に対して、各委員から御意見をいただき、岩田 部会長とも御相談しまとめていただきました。我々が、随分ごたごた書いた部分もある ところを、部会長からむしろ短い方がわかりやすく、またかえって真意が伝わることも あると御指導いただき、例えば、前文の方などはかなり簡素にしていただきました。 私どもの素案とでき上がった案を比べていただければ、委員の方々から御意見をいた だいて直させていただきまして、ずっとよいものになったのではないかと考えておりま す。本当にありがとうございました。 各委員からお話ございましたように、これがまさにスタートでございます。部会長か らも、問題はこれからというお話がございました。御指摘ございましたように、これを いかに実現し、実行していくか。また、それがどの程度、実行されたかということを検 証していくということが大事ではないかと思います。 本日も御出席の各委員の方々から、最後に御感想なり御意見なりちょうだいいたしま したが、委員の皆さんおっしゃっているのはそういうことではないかと思います。 指針のとりまとめの作業を社会・援護局の方でさせていただきましたので、今後も責 任をもってフォローしてまいります。分野としては、高齢者介護、障害、児童、福祉万 般にわたりますし、御指摘ございましたように、法務省の分野、文部科学省の分野もあ るということで、その他の分野もあろうかと思います。私どもも、単に厚生労働省の範 囲だけ考えていればいいということではなく、関係省庁ともお話ししながら、あるいは 省内各局とも連携しながらこの指針が実現されるように努力してまいりたいと思います。 この部会が頻繁に開かれることではないので、今後、では意見があればどこに持って いったらいいのかというお話がございましたが、それぞれの担当部局でも結構でござい ますが、何はともあれ、私どもが定期的な見直しも行う部局でございますので、何かご ざいましたら、私どもの方に言っていただければと考えております。 つくったのでそのままお蔵入りすることなく、まずきちんと関係者の方々にわかって いただく努力をしたいと思います。地方自治体への周知徹底をどうするのか。国民の皆 さんにわかっていただくためにどうするのか。また、各団体、職能団体どうするのかと いうお話がございました。この部会そのものが、まさに関係団体の方々も御出席いただ いておりますので、その方々にもお願いし、また私どもの方からも、積極的にこの指針 について周知徹底を図る、そのことがまず実行、実現につながる第一歩だと思いますの で、そういう努力をさせていただきたいと思います。 その際、森委員からお話ありましたように、順番なりそういうことについても国民の 皆様にわかりやすいという観点から、指針は勿論、指針としてきちんとお伝えしますけ れども、伝え方などについては配慮してまいりたいと思っています。 駒村委員からお話ありましたように、実現、実行に当たって、また皆様の御認識、共 通していると思いますが、やはり財源なり必要とされる資金というものは、税、保険料 で決まってくるわけであります。具体的には、介護報酬なり、それぞれの制度での予算 ということで、堀田委員からも官邸財政当局に対して頑張るようにというお話がありま した。 また、石橋委員からは、適切な水準ということについてのお話がございました。これ はまさに実施、実行に当たって、この指針ができれば、関係者はみんなそれで決まりと いうことではなくて、それぞれそういう実現に当たって、一つひとつ課題を乗り越えて、 この指針の目指すところを理解していただいて、実現していただく必要があると思いま す。 我々は、関係部局ともよく相談しながら、この賜った指針に従って物事が進むように、 省内にあってはプッシュしてまいりたいと思います。そういう形で実現をしてまいりた いと思っております。 また、専門介護福祉士あるいは専門社会福祉士でございますとか、具体的な施設長や そういった方についての任用資格の問題など、さまざまな残されたこれから詰めていか なければならない課題がございます。 これは昨年9月からお願いしておりました社会福祉士及び介護福祉士法の見直し、資 格制度見直しのときから、この場でも議論されやってくべきだという方向性を示してい ただいております。 指針に書いたから終わりということではなく、ここに書かれたことを、新しい経営の 在り方なども含め、職能団体、関係団体の皆さんと一緒に、更に検討して、実現を図っ てまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。 なお、今日いただきました人材確保指針については、社会保障審議会の会長より答申 をいただいた後、官報で告示をするという取り運びとなっております。官報掲載につい ては、8月中旬、下旬までに載るように作業を急ぎたいと思っておりますことを御報告 申し上げます。 昨年9月から12月にかけて、資格制度の在り方について御審議いただき、それに基づ いて出した法案については、前回、御報告申し上げましたように、残念ながら、通常国 会では継続審議という形になりましたけれども、これについても、次の国会で是非、成 立させてまいりたいと思っております。 その国会においては、この指針のことについても改めて議論になると思います。こう いう議論の経過を経て指針がとりまとまり、我々としては、この指針に基づいて労働環 境の整備、キャリアアップ、そういったことを中心に人材確保に努めてまいりたいとい うことを国会で御報告してまいりたいと思っております。本当に、どうもありがとうご ざいました。 これを出発点として、頑張ってまいりたいと思いますので、引き続き、御指導、御鞭 撻をよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。 ○岩田部会長 ありがとうございました。皆様の御協力をいただきまして、今回でこの 改正案についてまとめることができまして、皆様の御協力に厚く御礼を申し上げたいと 思います。 今、局長の方からもおっしゃっていただきましたように、是非、厚生労働省におかれ ましても、着実にこの施策の取組みを進めていただきたいと思います。どうも長い間、 ありがとうございました。 ちょっと早目に終わりますが、以上で本日の部会を終了いたします。どうもありがと うございました。 照会先:厚生労働省社会・援護局総務課      03−5253−1111(内線2814)