07/07/19 第76回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第76回 労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2007年7月19日(木) 10:00〜12:00 場所:厚生労働省省議室(9階) 出席者:  労側委員:岡本委員、鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、龍井委員  使側委員:川崎委員、吉川委員、松井委員、山崎委員、山本委員  公益委員:林分科会長、今田委員、奥山委員、佐藤委員、田島委員、樋口委員 ○林分科会長  定刻になりましたので、第76回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。 田島委員がまだお見えになっていませんが、後からお見えになると思います。  それでは、早速議事に入ります。本日の議題は、「『短時間労働者の雇用管理の改善等 に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱』について」および「短時間労働者 の雇用管理の改善等に関する法律第14条に基づく指針の改正について」の2点です。 まず、省令案要綱については、本日厚生労働大臣から労働政策審議会長宛の諮問が行わ れましたので、これを受けて当分科会において審議を行うこととしたいと思います。  それではまず事務局から資料の説明をお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  おはようございます。それでは、私からお手元にお配りしています資料No.1に基づ いて、ご説明させていただきます。表紙に諮問の文が付いていますが1枚めくっていた だいて、2枚目以降に省令案要綱を付けています。中身については、前回6月の労働政 策審議会雇用均等分科会において、省令で措置しようとしている事項の一覧表という形 で示したもので、ご意見を伺ったところ特段のご意見がなかったところですが、それに ついてその後作業を進めて、本日省令案要綱として示し、諮問申し上げていこうという ことです。中身について簡単にご説明をさせていただきたいと思います。まず、「第一」 の労働条件の「明示事項及び明示の方法」の部分ですが、「一」の最初の部分については、 今回パートタイム労働法において労働基準法第15条に定める事項以外で、パートタイ ム労働者、短時間労働者に明示しなければならない事項を省令で規定するとされていた 部分ですが、三つありました。そこにありますとおり、「昇給の有無」「退職手当の有無」 「賞与の有無」という三つを規定させていただきたいということです。  次に「二」ですが、ここの部分については文書による交付以外の方法というものを省 令で規定するということになっていました。中身について、そこにありますとおり「フ ァクシミリを利用してする送信の方法」と「電子メールの送信の方法」というものを規 定させていただくわけですが、若干省令案の段階で追加させていただいた点についてご 説明しますと、その部分の端書きの2行目のところで「次のいずれかの方法によること を当該短時間労働者が希望した場合」とさせていただいている部分です。これについて ご説明いたしますと、今回紙媒体以外のものについて認めるのは、決して規制緩和など という趣旨ではなく、今日的な情報化社会の中において紙媒体と同じ程度の保護が図ら れているものについて広げようという趣旨ですので、そういう意味で今回追加するとい うものです。そういう意味から、例えば事業主が選べるというような形になりますと、 これは要するにパートの方が自らファクシミリやメールの受信機を買わなければならな いということになるわけで、そんなことはおよそあり得ないです。と言いますのは、こ れはそもそも事業主が明示するという義務を負っている部分ですので、一義的には事業 主の方の負担ですべて完結しなければいけないという部分なのです。あるいは、同意と いうことになると交渉事になりますので、交渉で選んでいただくというのも趣旨として 若干おかしいだろうということで、やはりそれは紙が基本でありつつも、労働者が希望 された場合についてはそれ以外のものも認め、かつその結果として何か、例えばメール であれば受信後消してしまったなど、いろいろなそういうようなことで問題があったと します。それは、労働者の方が希望されたということをもって、事業主は免責されると いうことでバランスを取っているという考え方で、希望する場合というようなことです。 これは、他の法で、職業安定法施行規則においても、求人者が求職者に求人情報を明示 する場合の方法で同じような規定を置いています。そこの部分とも並びを取っていると いうことで、いわばこの形のものについてはそういう形で対象を広げる。横並びという ことでもありませんが、先ほど言いました法益等を勘案して書いているということです。 ファクシミリの方はいいのですけれど電子メールの方法については、かっこ書きの所で すが、「短時間労働者が当該電子メールの記録を出力することによる書面を作成すること ができるものに限る」と書いてありますが、この趣旨は、要するに全文がメールで向こ うに行かなければならないということです。例えば、容量なり何かの関係で途中までし か行かないなどや、あるいは全部が見えないというような状態では駄目だということで す。あるいは、例えばそれが保存できない、見て閉じたら消えてしまうということでは 意味がないのです。これは明示することに意味があるのではなく、将来の紛争等を防止 するために後々のために残しておけるというところに趣旨の主眼があります。そういう 意味からしますと保存できるものでなければならないということで、そういう意味を規 定するものです。要するにそこにあるようなことに限らせていただいているという趣旨 はそういうことです。もちろんこれは、打ち出されなければならないということではな く、最終的にはそれをどういう形で保存されるかは、受け取った方が希望した以上は、 ご判断でやっていただくということになるわけです。  次に1枚めくっていただいて、ただ、ファクシミリなり電子メールの場合には、電気 信号で送るわけですので、どの時点で到達したものとするかということをやはりきちん とはっきりさせておかないと、事業主の方には過料もかかっているわけですので、法制 要件的にもそこはきちんとしていなければならない。ということで、「三」の所にありま すとおり、それについてはみなし規定を置かせていただくことで考えています。ファク シミリ送信の場合はそのファクシミリ装置が受信した場合、電子メールの場合はそれに 使った通信端末機器がその情報を受信したときに、「短時間労働者に到達したものとみな すとさせていただくというものです。要するにそれは最終的に着いているにもかかわら ず、労働者が開かないからといって明示したことにならないということでは、事業主の 方に多大な負担を強いることになりますし、法的安定性も欠きますので、そこはそうい う形でみなし規定を置かせていただきます。これは通例そのような形でさせていただい ているものです。  次に「第二」の部分ですが、「第二」の部分については今回パートタイム労働法におい て、賃金に関する均衡待遇の努力義務の対象となる賃金とならない賃金を省令上規定す るという法制になっていたところだと思いますが、その中身については、そこの(一)か ら(七)にあるように「通勤手当」から始まって「子女教育手当」、および(七)のところに ある通り「名称の如何を問わず支払われる賃金のうち職務の内容に密接に関連して支払 われる賃金以外の賃金」ということです。それ以外のこれらのものについては、法律上 の均衡待遇の努力義務の対象とはならないということで、明記させていただいているも のです。  続いてもう1枚めくっていただいて、「第三」の部分です。この部分については、パ ートタイム労働法の教育訓練に関する義務規定、職務の遂行に必要な訓練についてはし ていただくという義務を事業所の方に課させていただいているところですが、その例外 として、既にその方が職務の遂行に必要な能力を有している場合については改めてする 必要がないわけで、それについてはしなくていいという例外の規定を置くことになって います。その場合を省令上規定するというものです。その部分についてはそこにあると おり「職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者が、既 に当該職務に必要な能力を有している場合」と規定させていただくというものです。  次に「第四」ですが、ここはパートタイム労働法の福利厚生施設の利用に関する配慮 義務の対象施設を規定するということになっていた部分ですが、これもご案内のとおり 3施設、「給食施設」「休憩室」「更衣室」の三つを規定させていただくというものです。  次に「第五」の部分ですが、ここについては今回パートタイム労働法上導入されまし た調停制度について、男女雇用機会均等法の調停に関する規定を準用するという形で手 続き規定を整備するということにしていた部分について、そこにあるとおり男女雇用機 会均等法施行規則の規定を準用して、当然読み替えが必要になりますので、そういうも のを措置させていただくというものです。  「第六 その他」は形式整備ということで、例えば条ずれ等について整備させていた だくという部分です。  次にもう1枚めくっていただいて4ページ、「施行期日等」の「施行期日」について は、平成20年4月1日からとさせていただくというものです。「その他」で「関係省令」 とありますのは、例えば社会保険労務士の方が調停に関する申請の代理をできるという ことで、今回法的手当をしていますが、それについての関係する社会保険労務士法の施 行規則の整備等を行うというものです。以上、簡単ですがご説明です。 ○林分科会長  それでは省令案要綱についてご意見がありましたら、お願いいたします。特にありま せんか。それでは特にご発言がないようですので、当分科会として「『短時間労働者の雇 用管理の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱』について」を概ね 妥当と認めることとして、その旨の報告を私から労働政策審議会長宛に報告したいと思 います。これについて事務局から案文が用意されていますので、配布をお願いします。 それでは、報告文は案文通りでよろしいでしょうか。それでは、この案文でもって私か ら労働政策審議会長に報告いたします。  次の議題に移りたいと思います。「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第 14条に基づく指針の改正について」前回ご審議いただいた内容を踏まえて、事務局に改 正案のたたき台を作成してもらっていますので、説明をお願いいたします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  それでは引き続き私の方から、お手元にお配りしています資料No.2と、参考資料No.1 とNo.2のご説明をさせていただきたいと思います。参考資料No.1とNo.2については、 前回この雇用均等分科会においてお配りしたものです。そういう意味では前回ご議論い ただいたものですが、参考として見つつ、資料No.2の方を見ていただければと思いま す。資料No.2は横長の資料です。これはまさに林分科会長の方よりご指示いただいて、 私ども事務局の方でご用意いたしましたパートタイム労働指針の改正案のたたき台です。 形式については大きな改正にもなりますので、お手元の資料のとおり、新旧対照という 形で示すということで考えています。なお、備考のところについては、前回と本日もお 配りしています参考資料No.1の、前回ご議論いただいた考え方の1、2、3、4のどの考 え方を当てて、この部分の改定が行われているかということを書かせていただくととも に、他の関係法令等との関係で措置されているものについては、何々法の第何条という 形で付けさせていただいています。順次ご説明いたします。  まず、「趣旨」については、今回パートタイム労働法の中身が変わったことに伴って、 具体的に言いますと通常の労働者への転換の推進等の措置が法律上規定されたこと等に 伴って、表現ぶりを若干手直しさせいただいたもので、いわば用語の整理という部分で す。以下、「第二」「第三」という2部構成でこのパートタイム労働指針は構成されてい ます。もう少し申し上げますと、「第二」というものはそこにもあるとおり、「事業主が 短時間労働者の雇用管理の改善のための措置を講ずるに当たっての基本的考え方」、要す るに基本的な考え方、総論的なもの、認識的なもの、あるいは留意していただくべき点 というのをまず「第二」で触れた後に、「第三」以下に事業主に講じていただくべく具体 的な措置を列挙しているという構成になっているわけです。その内のまず「第二」の基 本的な考え方の部分なのですが、この部分については、「現行」は見てのとおり、「第二」 の柱書きの部分では要するに労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、その他各労働 者保護法令が短期間労働者についても適用があるということを確認しているということ で、その後にいわゆる均衡待遇の関係の考え方について書いてあるというのが「現行」 のスタイルになっています。これついては「備考」のところを見ていただけると思いま すが、前回お示ししました考え方の1、2、3を踏まえるとあります。具体的に申し上げ ますと、まずいわゆる均衡待遇の部分については、今回法律上規定したということにな りますので、これについては参考資料No.1の第1の考え方、「現行のパート労働指針か ら法律上措置された事項を除くこと」いうことです。それについては法律に規定したと いうことで、二度書きはしないということでパート労働指針からは削除するということ になります。残るのは、「労働者保護法令を遵守する」という確認的な規定、これは「確 認的に述べる」という考え方の3のところの後段の部分です。それについては引き続き 残るという形になります。左側の「改正後」の方を見ていただければと思いますが、「イ」 の所です。その部分が残って、一応関係法で、「労働者保護法令では短時間労働者につい ても適用があることを認識しこれを遵守しなければならない」ということが、まず一つ 残っているということです。  次に「ロ」の部分ですが、「ロ」の部分の前半の3行は、いわば今回もパートタイム 労働法が変わりまして、パート労働法上もいろいろと措置をお願いしていますので、他 の労働者保護法令で並びということで、パート労働法もお忘れなくということで一応確 認的に書いているわけですが、中心は後段で、1ページ目の最後の行の後半からの所で すが、「多様な就業実態を踏まえ、その職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験等 に応じた待遇に係る措置を講ずるように努めるものとする」というものがあります。こ れは実は既に「現行」の規定にあります。  飛びますが、お手元の資料の10ページを見ていただければと思います。10ページの 「三」です。「職務の内容、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置の実施」 という所に、その旨の記述があります。ここはいわば各論の部分にぶら下がって原稿を 書いているわけですが、先ほど私が冒頭に申し上げました指針の基本的な構造に照らせ ば、この部分というのは、むしろ各論というよりは基本的な考え方の方に移した方が座 りがいいではないかと、今回私どもの見直しに際して事務局として判断し、そこの「備 考」の所にも書いていますが、「第二」の「基本的考え方」に移動させていただきたいと いうように思っています。それを受けたものが、恐縮ですが元に戻っていただいて、2 ページ目の一番上の部分なのです。要するにここは移してきたということです。それが、 「ロ」の部分です。  最後は「ハ」の部分です。「ハ」の部分は考え方の2に照らした部分です。すなわち 今回の国会の附帯決議の中で、特に周知および事業主に対する指導等をするべきという ことでご決議いただいた部分を踏まえて、今回書いた部分です。読みますと、「短時間労 働者の雇用管理の改善等に関する措置等を講ずるに際して、その雇用する通常の労働者 その他の労働者の労働条件を合理的な理由なく一方的に不利益に変更することは法的に 許されないこと、また、所定労働時間が通常の労働者と同一の有期契約労働者について は、法の定める短時間労働者とはならないが、法の趣旨が考慮されるべきであることに 留意すること」ということです。まさにこれは事業主の方が短時間労働者の雇用管理の 改善を図っていただく際に基本的に留意していただくべき事項ですので、指針の基本構 造に照らして、「第二」の「基本的考え方」の最後に「ハ」という形で1項目立てさせ ていただいて、その二つを入れさせていただくということでいかがということで、たた き台としてご提案を申し上げているところです。以上が、「第二」の「基本的な考え方」 の部分です。  次に「第三」の具体的な各論と申しますか、措置の中身について入っていきたいと思 います。右の「現行」を見ていただければと思いますが、まずその中の1番目のグルー プの「短時間労働者の適正な労働条件の確保」のうちの「(一)労働条件の明示」の部分 で、「備考」の所を見ていただければと思います。ここの部分は、要するに労働基準法第 15条及び施行規則第5条と同内容になっていますので、前回の考え方の3によって、そ の部分については、パートタイム労働指針上は規定をしないということで整理させてい ただきたいというものです。  次に3ページの「ロ」の部分です。この部分については、パートタイム労働法第6条 第2項の文書交付の規定、努力義務の所ですが、その中身について具体的に解釈を示し たものです。これについては、前回の考え方の4にあるとおり、解釈にかかわる部分に ついては、通達の方に移すというように整理したところですので、その考え方により整 理させていただくというように考え、具体的には通達の方へ移させていただくというこ とで考えている部分です。  次に3ページの(二)です。「就業規則の整備」の部分については、労働基準法第89条 と同じですので、考え方の3に基づいて整理させていただくということにしたいと思い ます。  次に4ページの「ロ」および「ハ」ですが、これは両方とも新しいパートタイム労働 法の第7条の解釈、パートにかかわる就業規則を作成する場合に、パートの「過半数代 表者」の意見を聞くように努めるという規定の具体的な運用に当たっての解釈、具体的 な中身を示している部分です。これについては、考え方の4に沿って、通達の方に移さ せていただくと考えています。  次に「ニ」ですが、これについては特に考え方によって整理する条項ではありません ので、残るということで考えています。これについては「備考」の所を見ていただけれ ばと思いますが、「不利益取扱いの禁止」の部分については、まとめて規定させていただ くということで、後ろの方に位置を移させていただきたいと考えています。後で出てき ますので、その際にご説明申し上げます。  次に4ページの「(三)労働時間」は、労働時間や日を決めるに当たって、パートの事 情を十分考慮するように努める、あるいはできるだけ残業させないように努めるという 部分です。これは、今回何ら手当をしたものでもありませんし、他の法令とだぶるもの もありませんので、これについては引き続き残すという形になりますので、残させてい ただくということです。  次に5ページですが、「(四)年次有給休暇」については、労働基準法第39条第3項お よび同施行規則第24条の3ですので、整理させていただきます。「(五)期間の定めのあ る労働契約」に関する部分についても、同じように労働基準法第14条第2項および基 準と同内容になっていますので、整理させていただくということで考えたいと思います。  もう1枚めくっていただいて、6ページの「(六)解雇の予告」の部分については、こ れも労働基準法の第20条と同じ内容になっていますので、考え方の3に基づいて整理 させていただくというように考えています。  7ページですが、「(七)退職時等の証明」についても、労働基準法第22条と同じもの ですので、考え方の3によって整理させていただくということで考えたいと思います。  次に7ページの「(八)賃金、賞与及び退職金」の部分ですが、これは現行の規定の内、 皆さま方にご案内の通り、一定部分については法律上措置したということですので、考 え方の1によってパートタイム労働法上措置したものについては指針上書かないという 整理で抜くということになります。しかし、すべてが法律上措置されたわけではありま せんので、残った部分については、これは引き続きパートタイム労働指針に位置付けて 規定し続ける必要があるわけです。具体的にどうなるかということですが、左側の方を 見ていただければと思います。では、法律上手当されていない賃金は何かと申しますと、 そこにあるとおり、まず短時間労働者の退職手当、あと、通勤手当等の職務関連の手当 ではない手当というのが、法律上は対象となってはいない賃金、先ほど省令で規定する ことになっていた部分ですので、それについては指針上引き続き位置付けていくという ことになります。ただ、この点については前回の雇用均等当分科会の議論の中で、「法律 上のものとは違うのだ。次元として違うものなのだということが、見た人間がわかるよ うにきちんと整理した方がいい」というご意見もいただきましたので、その意見を踏ま えて書きぶりとしては、後も全部同じスタイルで書させていただいていますが、まず法 律以外だということを明らかにするという意味で、「事業主は」の後に「法第八条及び第 九条に定めるもののほか」というようにはっきり書かせていただきました。あと具体的 な中身を書いた上で、「手当についても」という形で、「の他何とか何とかについても」 という形で規定するというスタイルにさせていただければどうかと思っています。あと は同じで、「就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものと する」というように書かせていただければというものです。  次に7ページの「(九)健康診断」については、労働安全衛生法第66条および同施行規 則の規定と同じですので、考え方3に従って整理します。  8ページですが、「(十)妊娠中及び出産後における措置」については、これも労働基準 法及び男女雇用機会均等法の関係条文と同じものが書いてあるわけですので、「考え方」 の3によって整理させていただくということです。  以上が、「一」の労働条件の部分で、次に「二」の「教育訓練の実施、福利厚生の充 実その他の雇用管理の改善」の部分です。その内の8ページですが、(一)の「教育訓練」 の部分については、ステップアップ訓練も含めてすべて法律上手当をしたという整理に なっているので、考え方の1に基づいて整理しています。具体的には、パートタイム労 働法第10条の方に規定したということになっているわけです。  次に「(二)福利厚生施設」の部分ですが、これについては、先ほど省令の場でもご説 明しましたとおり、一定の三つの施設について、法律上の義務規定の対象になったわけ ですので、そちらの方に移したということです。指針上はそこを整理する必要がありま すが、すべての施設が法律上、手当されたわけではありませんので、残りの部分につい ては残るという考え方になります。それが、考え方の1および2ということです。どう するのかという点ですが、8ページの左側の「(三)福利厚生」という所を見ていただきた いと思います。先ほどと同じように法律に「定めるもののほか」と書いた後に、現行の 規定のうちの三つの施設にかかるものとして、具体的に当てはまるものは「給食」とい う言葉だと思いますので、この言葉をカットした残りのものについては引き続き指針上 に書くということで考え、「医療、教養、文化、体育、レクリエーション等の福利厚生施 設の利用」という部分が、残った部分として指針上まず引き続き位置付けるということ です。併せて、国会でもご議論がありましたが、施設以外の福利厚生の部分についてと いうことで、前回のこの分科会においてもご議論があった部分です。議論等を踏まえて 私どもとしてたたき台として提案させていただいていますのは、「及び」の後に「事業主 が行うその他の福利厚生の措置について」というのを入れさせていただく。先ほどと同 じように「も」とした上で、文尾の部分についてですが、「短時間労働者の就業の実態、 通常の労働者との均衡等を考慮した取扱いをするように努めるものとする」と書かせて いただければどうかということです。これは、「現行」が「同様の取扱いをするように努 める」と書いているのですが、施設以外の福利厚生の措置についても対象にする中で、 そこは同じ部分で行くというよりは、今回のパートタイム労働法の改正の基本的な考え 方であります、就業の実態、通常の労働者との均衡を考慮するという基本的な考え方に 即して、この部分についても書かせていただくということで考えたいと思っています。 なお、施設について「同様の取扱いをするように努める」という「現行」の規定ですが、 これは行政通達の方でも明らかにしていますが、合理的な理由がある場合を除いてはそ うだということです。もちろん合理的な理由があれば施設の利用について同様でない場 合も当然許容をしている指針上の規定でして、いわばその合理的理由という中身を今回 先ほど申し上げました「就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮した」と中身を書 き下したと私どもとしては理解し、その指針上の位置付けとして何ら従来のものと変わ るものではないと考えているところです。  次に9ページの「(三)育児休業及び介護休業に関する制度等」の部分ですが、これは 育児・介護休業法と同じですので、考え方の3によって整理させていただくというよう に考えているところです。  (四)は雇用保険法、(五)は高齢法および同基本方針と同じですので、考え方の3によっ て整理させていただくということです。  次に9ページの後段の(六)および次の10ページの(七)については、応募機会の付与等 や転換制度の整備という部分で、今回法律上、パートタイム労働法第12条に規定した わけですので、考え方の1に基づいて整理をさせていただきたいと思います。  次に10ページの「三」ですが、これは先ほどご説明しました通り、「基本的考え方」 の方に移動させていただくということです。  次に10ページの「四 所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者の取扱い」 の部分ですが、ここの部分については当均等分科会においての議論の経緯を踏まえまし ても、今回差別的取り扱いの禁止として、パートタイム労働法の第8条に移したという 整理をしているところで、考え方の1によって整理させていただくということです。  次に「五 労使の話合いの促進のため措置の実施」の部分ですが、まず(一)について は、処遇について説明を求めた場合に説明するように努めるという部分の指針です。こ れは法律上一定のものについては、法律上の義務というように措置していますが、すべ てが措置されたわけではありませんので、先ほど申し上げましたとおりの構造で、「事業 主は、法第十三条に定めるもののほか」とした後に、「短時間労働者を雇い入れた後、当 該短時間労働者から求めがあったときは、当該短時間労働者の待遇に係るその他の事項 についても」と書き「説明するように努めるものとする」と規定させていただくという ものです。(二)は形式的なものです。(三)は処遇について苦情を申し出た場合の自主 的な解決を図るように努めるという部分です。これも一部分につきまして今回パートタ イム労働法第19条に努力義務を入れさせていただいたのですが、法律上すべてこの指 針の範囲を規定したわけではございませんので、残りの部分について引き続き指針に規 定するという考え方で、新しい方の(三)「法に定めるもののほか」とした後に、「待遇 に係るその他の事項についても」という形で、残りの部分について引き続き同じ構造で 自主的解決の努力義務というものを規定させていただければと考えています。  次に新しい方の「三 不利益取扱いの禁止」ですが、これについては(一)の過半数 代表になったこと、あるいはなろうとしたことを理由として、不利益な取扱いをしない というのは既に上の方にありました。それをここに移して、引き続き規定させていただ くということがあります。もう一つ今回パートタイム労働法第13条に、処遇の決定に 際し考慮した事項の説明を求めることができるという規定がありますが、その説明を求 めたことを理由として不利益な取り扱いをしてはいけないというのは当然のことで、国 会でも議論があったところでございます。前回の分科会でもご発言があったところです が、これもそういう意味で並びとして、「不利益取り扱いの禁止」と指針上規定したいと 思います。そういう意味では不利益取り扱い禁止の中身が今回二つになりましたので、 上の方にありましたものも含めてここで三としてまとめて、二つを規定して読みやすく させていただくと考えています。  次に最後の11ページ下の「短時間雇用管理者の選任等」という部分ですが、1枚めく っていただきます。(一)と(二)の二つ部分からなっていますが、(一)の部分はパー トタイム労働法第15条の解釈ですので、行政通達へ移させていただくようにしたいと 思います。(二)の部分は、新たな措置を事業主に指針上努めていただくと規定している 部分で、これは変わっていないので、引き続き指針上残すということで、「短時間雇用管 理者の氏名の周知」として、12ページにありますように規定させていただきたいと考え ています。以上のような説明でございます。 ○林分科会長  ではこのたたき台についてご意見をお願いします。はい、山本委員。 ○山本委員  時間がありませんので、先に発言させていただきます。指針の7ページの左側の(二) 「退職手当その他の手当」で感じたことを申し上げたいと思います。「法第八条及び第九 条定めるもののほか」ということで、「短時間労働者の退職手当、通勤手当その他の職務 の内容と密接な関連を有しない手当についても」と書いてあります。もともとのこの法 令は均衡化を目指したものということで、その点についても事業者側の負担が相当ある ということが一つと、事業者の体力がまちまちであろうかと思われますので、この辺の ところがあまり一律的に決定されるのは具合が悪いのではないでしょうか。特に中小企 業などを運営している立場の人たちのものの考え方を斟酌しますと、この点は不適当で はないかと、意見として申し上げたいと思っています。以上です。 ○林分科会長  その他ご意見ございますか。 ○鴨委員  確認したい点があります。一つは9ページの「(六)通常の労働者への応募機会の付 与等」ですが、これに今までの指針の中に「通常の労働者として雇用されることを希望 するものに対し、これに応募する機会を優先的に与えるよう努めるものとする」となっ ています。国会の審議の中でも、いわゆる転換制度のところで、「転換試験がダミーであ ってはならない、試験を公正に実施してもらうことが重要である」というような答弁が されています。確認したいのは、この考え方は本人が応募したいという希望があった場 合、応募するという希望が優先するという考えでよろしいのかということです。例えば 実態的に、応募機会の中で、転換制度の中に事業主の推薦がなければならないというよ うな文言が入っているものがあるわけです。そういったときに本人が応募したいという 希望があれば、応募する機会があると考えてよろしいのかという意味で確認したいとい うことです。それからこの中身の中で、有期契約について国会答弁では、「期間の定めの ない雇用についての判断や反復更新の判断基準などを通達で示していきたい」という答 えがあったわけですが、それでよろしいのですかという2点を確認したいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えします。最初の部分ですが、今回のパートタイム労働法上では幾つか例示を出 した上で、通常の労働者に転換するチャンスを与えるということで、事業主に責務とし て規定させていただいているということになっています。その中で例えば「求人を出す 場合、その情報をパートタイム労働者の方にも教えて下さい」、あるいは「社内で公募す る場合に、パート労働者についても応募の機会を与えて下さい」とか、「転換制度を導入 してください」となりました。例えば「求人情報をパートの方にも教えてください」と いうことについては、それは教えてあげればいいのでありまして、勤続年数が何年とい うことに限る必要がないと思います。他方、例えば社内の公募の場合や転換制度という 場合に事業主の判断として、昨日から来ているパートにいきなり転換ということではな くて、自分の会社である年数ある期間パートとして勤務実績を見て、そこでのパフォー マンスやビヘイビアーなどを見た上でないと判断できないので、一定のそういうものが 必要だとか、登用する際に上司の推薦が必要とか、そういう合理的な要件があり得ると 思います。一律で駄目というものではないと思います。ただ、それは中身次第で、課し ているハードルがあまりにも高過ぎて、転換制度を実質的に形骸化するもので、誰も転 換できないのではないかという話であれば、当然法律上の義務を果たしているというこ とにならないので、行政指導の対象になると思います。その辺りについては私どもも指 導していきたいと思います。要するに、ものによって、一律に推薦制度や勤務要件を付 けることが不合理だということではなくて、ケース等の判断はあると思います。他方、 求人情報の周知は皆さんにお知らせしていただければと思います。転換を認めるかどう かは最終的に企業の判断として認めるわけですから、応募したら優先的に採用されると いうことは、今回の法律上で規定されたものではないということはご案内のとおりだと 思います。そこは担保されているということであれば、前の段階でハードルを高くし過 ぎるということは、今回の法律の趣旨に照らして適当ではないのではないかと考えてい ます。また有期契約の反復更新の考え方ですが、基本的には有期契約労働者全般にかか る問題ですので、それぞれ担当されるところで検討されると思いますが、私どもパート タイム労働法という法律を所管している雇用均等・児童家庭局という立場からしますと、 今回の差別的取扱いの禁止の規定の中に、3要件の一つとして、「反復更新して実質的に 無期になっているもの」という規定が入れてありますので、その部分について行政とし ての判断を示すという責任を持っています。それについては国会でも私どもより答弁し たとおりですので、私どもでもその規定につきまして、考え方は行政通達で挙げるよう にしていきたいと考えています。 ○林分科会長  では吉川委員。 ○吉川委員  先ほど山本委員が発言した7ページの「(二)退職手当その他の手当」の追加で、同 じような意見なのですが、「職務の内容と密接な関連を有しない手当についても」、「均衡 等を考慮して定めるように努めるものとする」とあります。職務の内容と関連ない手当 まで均衡を考慮する必要があるのかということは、先ほど山本委員もおっしゃいました が、結果的に中小企業の負担が多くなります。現行の指針でも事業主にそこまでは求め ていないはずですので、この項目については退職手当に限定してほしいとお願いいたし ます。それからもう1点は2ページの「ハ」についてです。従業員の待遇改善について は、企業の支払い能力が前提としてあります。企業の体力が問題となりますし、均衡待 遇の実現のためには、パート労働者の待遇を改善せよと言われれば、前にも申し上げた 記憶がありますが、正社員の待遇や労働条件についても引き下げを含めた見直しもあり 得るはずです。この意見につきましては、昨年の10月23日に公益委員からも同じご意 見をいただいたと思っております。不利益な変更かどうかというのは、最終的には第三 者や司法でしか判断できない部分があると思いますので、このような項目を盛り込まな いでいただきたいと思います。以上です。 ○林分科会長  はい、龍井委員。 ○龍井委員  今ご指摘があった点は誤解があるように受け止めました。後で事務局からも見解を披 瀝していただきたいのですが、まず1点目、7ページのご指摘になった手当ですが、右 側に対照がありますように、労働基準法で定めている賃金の範囲の中で今回法律に書き 込まれたもの以外、つまり賃金の中でそれ以外のものの範囲が残りますが、それについ て例示をしたということ、言い換えたということだけですので、新たに一律的に負荷が かかるとは全然思っていません。そういう表現もできると思いますので、そこは率直に 言って誤解されているのではないかと思います。2ページ目の「ハ」の指摘も、ここに 言わずもがなで書かれていると思っていますが、実際にどういう条件変更があるかとい うことは、おっしゃるとおり労使合意に基づいていろいろなケースがあり得ると思って います。ここで言われているのはそういうことではなくて、法的に許されないことにつ いて、改めて記載されているわけで、ご承知のように、合理的理由なき一方的変更、こ れは手続きはどうあれ、労使で確認するまでもなく、あり得ない、あってはならないこ となので、それが再確認的に記載されていると思います。今ご指摘があったようなこと を指しているのではないのではないかと思います。私はそう読んでいますので、違うの なら事務局から示していただきたいです。 ○林分科会長  事務局からご説明はありますか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えいたします。7ページの賃金に関する規定につきましては、私の冒頭のご説明 が言葉足らずだったかもしれません。龍井委員からご指摘がありましたとおり、現在の 指針の規定が7ページの(八)ですが、このうち法律上措置したもの以外のものを引き 続き規定するという考え方ですので、新たなものを入れたという考え方ではないという のは龍井委員のご指摘のとおりであると思います。他方、吉川委員からありました、職 務関連を有しない手当についてまでということですが、当然それはプライオリティがあ り、手当の種類によって均衡が求められる度合いや程度が違うということはおっしゃる とおりです。そういう意味で今回法律レベルのものと指針レベルのものを書き分けてい るということです。 例えば手当にもいろいろありますが、そこに例示として出してある 通勤手当であれば、この審議会でも法律の対象にすべきではないかと随分議論があった と記憶しています。実態的にも全く同じ条件であるかどうかはともかくとして、正社員 に通勤手当があるのとほぼ同じ割合で、パートの方にも必要な場合については手当が払 われているという実態もあったわけで、そういう意味からすると、例えばその他の手当 であっても、通勤手当については、そこで言うところの均衡が求められる度合いがある 程度高いのかと思います。逆にそれ以外の手当であれば、企業の判断なり、優先とは言 いませんが、より強く認められる部分がある手当もあるのだろうし、そういうものも含 めまして、多くの労働者の方の就業の実態なり、あるいは通常の労働者との均衡等を考 慮して下さいと、ざっくり書いてあるわけです。具体的にその中身の均衡をどう図るか は、一義的には事業主の方がお考えになるだろうし、求められれば労働者の方に説明も するのかもしれませんし、そういうことでやっていただければいいということです。こ の指針でこのようになったからといって、通勤手当を払わなくてもいい人にまで払うと か、手当について全部正社員と同じにしなければならないということが求められるとい うことでは決してございません。そこは就業の実態に応じて、通常労働者にどこまでや っていいのかを踏まえて、バランスを取ってくださいという、今回のパートタイム労働 法の基本的な考え方に戻ってご判断いただけるのではないかと考えています。  もう一つの2ページの部分ですが、これについて吉川委員から中小企業の体力や、そ もそも払えないものを払うという話がありました。まさにそのとおりで、10月23日の 日付がどうだったかはともかく、この審議会で議論があり、公益委員によって、正社員 の働き方や処遇のあり方の見直しは当然行われていくだろうし、決して認められないと かおかしいとかいうことではないというお話もあって、そのとおりだと私どもも思って います。今回均衡待遇をパートの方について図っていただく際に、全体の処遇を見直し ていただく中で、経営は経営としての支払能力などを考えながらご検討になるというこ とでありますし、先ほどの労働側委員からも一律排除していくわけではないとお話があ りました。その意味から言いますと、龍井委員が言われましたとおり、ここで書いてい るのはあくまで法的に許されないこと、要するに合理的な理由もなく、かつ契約なので 両者の合意が必要なのですが、一方的に労働条件を引き下げることは法的に駄目なので、 それが単に駄目だということを明らかにしている。まさにそれを端的に書いてあるとい うことで、ここの文意についてはご理解をいただけると思います。決して中小企業の実 情などを無視してどうこうというものが書いてあるのではないということでご理解いた だきたいです。 ○林分科会長  よろしいですか。 ○吉川委員  すみません。合理的な理由や一方的な不利益の解釈の仕方は、第三者や司法に判断し ていただかないと難しい問題ではないかと思います。こう書いてあるからといって、こ のまま自分たちに都合のいい解釈で終始してしまうのでないかと危惧いたしますので、 むしろ織り込まない方がいいのではないかと思います。 ○林分科会長  この件に関してですか。はい、松井委員。 ○松井委員  退職手当についてですが、高崎課長の説明を聞いてようやく通勤手当が書いてあるこ とが理解できたのですが、もし指針をそのまま書くのであるならば、通勤手当という特 出しをする必要性はないと思います。それならば「退職手当その他の職務の内容と密接 な関連を有しない手当についても」という書き方が、ぎりぎり譲れる範囲内なのではな いかと思います。冒頭に山本委員が申し上げたかったことは、私の理解では、職務内容 と密接な関連を有する手当については法律で事業主がさまざまな形で均衡を考慮して定 めなくてはいけないというものが既に求められているわけです。特に人事・労務に専門 的な人を配置できない中小企業の立場を踏まえると、まず法律で求められているところ を着実に実行するのであるならば、そこが何かということを十分知った上で、そこをま ず重点にやりたい。そういうことからすると、あえて別のものまで書かれるのは少し行 き過ぎではないのか。そういう趣旨で私は理解しました。そういうことからすると、今 まで指針に盛り込まれているものはそのままできる限り維持してという趣旨を理解しな いわけではないのですが、事業主サイドからすれば、あえてここまで書かれてしまうこ とで、誤解しかねないという懸念を山本委員は表明したのだと思います。そのことを吉 川委員も申し上げたと理解しています。本来ならこれはやめるべきであるというのが使 用者側の考え方になろうかと思いますが、一歩譲るならば、通勤手当まで特出ししなく てもいいのではないかと思います。 ○林分科会長  これに関してご意見がございますか。 ○斉藤千秋委員  今の通勤手当の件なのですが、私の解釈では特出しされている退職手当については、 先ほどの省令の中で有無を明示するということになって、通勤手当については何らかの 形で既に支払われているというような実態がある中で今回入れられているということで、 先ほどの龍井委員と同じ意見になるのですが、これを入れることへの影響度からすると、 別にご心配されているような影響度が本当にあるのかというと、実態としてそこまでは ないのではないかという印象を持っております。特出しをしたところで懸念をされてい るほど、実態として支払っていないというデータなどをお持ちになっているのか、意見 として言いたいと思います。 ○林分科会長  はい、松井委員。 ○松井委員  実態論で申し上げていることではなくて、申し上げたかったことは、法律上何をしな くてはいけないのかはそれなりに明確化されて、それを企業として積極的に取り組んで いかなくてはいけないという状況です。それ以外のものはもちろん企業の判断、あるい は支払い能力を含め、さらには従業員に対する福利厚生の向上という判断から、何を行 うかということが基本に据えられるべきだと思います。もう一つは先ほどの省令で、除 外すると明らかになっている賃金、手当は、具体的に言いますと通勤手当も退職手当も 除外されるということになっています。今まで書いてあったのが退職金だから退職手当 と書いても仕方がないかと理解しますが、あえて既に除外されますよと言っているもの をもう一つ書いてくるのはいかがなものか。それは企業側が、特にこういうことがあっ ては困るのですが、指針だけを見て対応するということでなくて、法律本体をすべて理 解した上でさらに指針の方への理解を深めて対応していただかなくてはならない。特に 中小企業を含め雇用管理に対して人を十分割けないということを踏まえて、考えてほし いという意見を申し上げました。 ○林分科会長  はい、龍井委員。 ○龍井委員  わからないのは、先ほども申し上げたように、別のものとか新たなものを付加したと いうように読めないのです。今あるものを整理をして残ったものをどのように表現する かということで、基本線に何か加わったということは、事実認識が違うのではないでし ょうか。 ○松井委員  7ページの右をきちんと読んでもらえば、「賃金、賞与及び退職金」と書いてあります。 もちろん通勤手当は賃金の中に入ると思うのですが、ここに表面上書かれていることは、 退職金ならば左側で退職手当ということでぎりぎり読めないわけではないということを 私は申し上げたかったのです。確かにこの中に含まれていることを全部見れば、それな ら通勤手当以外のことも書いたらどうですかという議論にもなり得るが、そこが違うの だということを申し上げたかったのです。事業主側にとってわかりやすく理解しやすい 指針にしてほしいという気持ちもあります。そうでないと中小企業を始めなかなか円滑 な施行にいかないのではないかという趣旨で申し上げた次第です。 ○龍井委員  この問題は中小企業だから、大手企業だからという話ではなくて、ここで言われてい る賃金の範囲について右側に書いてある再整理をしたという記載から言うと、賃金の範 囲外で幾つか基本状況もあって、そのうち今申し上げたように法律の中で、そして省令 の中で書き込まれたもの以外のものを誤解を与えないように整理しようということで、 以上でも以下でもないのではないでしょうか。 ○林分科会長  はい、斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  更に言えば、この文章を先ほどご説明いただいたとおり、それらの手当について「そ の就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定める」とその後に付いていますの で、通常の労働者との均衡の取れた待遇という法の趣旨からしたときに、通常の労働者 で通勤手当が払われていないという労働者があるとすれば、その企業においてというの はあるかもしれませんが、そういう解釈の中で言えば、通常の労働者で支給されていな い企業との均衡という観点からすれば、実態からすれば影響度はないのではないかと思 っています。 ○林分科会著  齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  関連してですが、今回の法律には除外の中に「通勤手当、退職手当、その他の手当を 除くもの」と入っていますので、今まで通勤手当や退職手当を入れ込んでいた企業が、 では払わなくてもいいのだと除いてもらっては困るということで、ここに改めて入れて もらうのだと思うのです。今まで約8割の企業が通勤手当を払っているのですが、それ を法律の中の賃金の規定では除かれているので、それを除いていいという解釈にならな いために、今までと同様の扱いにして下さいということで、あえて指針の中に言葉とし て入れているのだと思うのですが、そういうことではないでしょうか。 ○松井委員  今の解釈のようにするかどうかということを高崎課長からお伺いしたい。そういう趣 旨であるならば、余計入れてもらいたくないと私は思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  繰り返しになりますけれども、ここの指針の規定は私が申し上げたとおり、現在の指 針の位置付けから、いわば算数で引いたものの残りを書いていますが、ここでの審議会 の議論もありますし、国会の議論もありますが、手当として通勤手当というものがあり ますし、実態的にも支払いという状況が多く、それを例示することで、ある意味中身も わかりやすくなりますので、いいのかということで提案しているということです。先ほ ど、今払われている場合のという話がありましたが、それを防止するためにこの指針を 位置付けるということでは決してないです。趣旨はあくまで私が申し上げているとおり、 今まであったものの、要するに残りのものをわかりやすく書くということです。例えば、 そんな企業はないと思いますが、法律上除外されたからといって、いきなり通勤手当を 払うのをやめようというのは、法の趣旨に照らして適当かどうかといえば、適当でない ことは明らかで、そういう意味ではこの規定があることが一つの支えになるという側面 は否定できないと思います。ただ松井委員もその他の職務関連ではない手当は全部削れ と主張されているのではなく、要するに法律上求められていないはずの通勤手当が、ま た指針で復活することが非常にわかりにくいと。特に零細企業の場合。だから中身とし て含まれていることは当然だけれども、例として出すことについては、いかがなものか ということを言われているのです。そこは何か認識がずれているということではなくて、 要は職務関連ではない手当の例示として、通勤手当を入れた方がわかりやすいのか、入 れたことによって経営サイドで不要な困難が起こるということのどちらの方が、より今 のわが国のパートをめぐる雇用の現状に照らして可能性が高いのか。いわば判断の話で、 別に是非というか、入れる、入れないの話では水と油の議論ですが、今議論になってい るのは、私が理解するところ、例示として指針上書くことの是非ですので、そこはもし かしたら公益委員のご意見をいただいた方がいいのかもしれない。決して責任転嫁する わけではありませんが。 ○山崎委員  確かに一つ入れるか二つ入れるかということがあります。逆に言えば基準がなくて三 つ入れる場合もあると思いますが、ただ怖いのは、これからこういう指針を、中小企業 にも徹底的に普及しないといけないということがあると思います。今までこういうこと には関心がなかった所に指針が行き渡ったときに、諸手当を出さなければいけないとい うことに追いこまれるような、そういう混乱があることも考えなければいけないと思い ます。書かれていることに対しては、中小企業の場合、やらなければいけないという義 務感が生じて、実際かなり負担が増えるということも起こりうるのではないかと懸念す るのです。 ○龍井委員  あえて誤解という言葉を失礼ながら使わせていただいたのは、解釈の余地に全く心配 がないということではなくて、この整理が付加的に新たに追加的なものになるのかは、 誤解されることがあり得るとして、そうではないですねとまず確認したのです。何を例 示するかという解釈以前に、そういうものではありません。  もう一つは分科会の建議の前の議論でさんざんやったことですが、あくまでこれは義 務ではありません。通常労働者に払っている場合にバランスでという、その程度です。 我々からすれば不十分だと言いたいくらい、その程度のことが書かれているので、それ は正直言ってこの文章をどういじるかというよりも、そういうものではないということ を周知していただく他ないと思います。そういう心配があるとしたらむしろ逆に問題が ある。付加的なものが入ったように思われるとしたら問題だと認識した方がいいと思い ます。 ○林分科会長  付加したものではないというのは先ほどの課長の説明にもあったので、この点につい ては一応議論としてはこのくらいでいいですか。何か公益委員の方、ご意見があれば。 ○樋口委員  一つは均衡ということを考えたときに、例えば退職金であるとか、そういったものに ついては時間比例という考え方が基本的にあります。時間比例からあまりにも極端に外 れた場合には、均衡が達成されていないという議論になると思いますが、通勤手当とい ったときの、均衡というのをどう考えたらいいのか。例えば労働時間が半分ですから、 通勤手当の2分の1を支払いますということで均衡が達成されていると考えるか。ある いは距離によって何キロ以上のところは新幹線通勤は出しませんよとか、パートとして 特にそういうふうにしますと考えていくのか、非常にこの通勤手当というのは難しい例 示です。ある意味では時間に比例しないような、経済学的には固定費、準固定費という 言い方をしますが、そういったところで分類されるのがこの通勤手当ですので、逆にそ の点をどう考えたらいいのかという質問が出たときに、通勤手当についての均衡をどう 考慮し、定めるか。具体的にどう考えますかという質問が出たときに答えられないと困 りますので、その点は事務局はどう考えていますか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  通勤手当については昨年の当均等分科会での議論でも、そういう議論をされたと理解 しています。例えば今出ました新幹線通勤までパートは負担しなければいけないのか、 あるいはパートの方は通勤可能なところから募集をして採用するという企業の求人条件 が適当でないのかどうか、いろいろな議論をされました。そこの議論は私の理解すると ころ、両方とも同じにしなくてはいけないということではなくて、当然正社員の働き方、 あるいは求めるもの、パートに求めるものが企業にとって違う以上は、それに対する通 勤手当の設定の仕方も違い得るわけで、そこはまさに「就業の実態」というところに言 葉として反映されているわけです。結果的にパートの方を採用するエリアというものが、 正社員のように電車を使うまででないから、それについて通勤手当を現実問題に払うこ とがないので、それは手当が必要でないということであっても、それは均衡を失してい るものではないという議論であったと理解をしています。そういう意味からすると固定 費という話がありましたが、通勤手当については時間比例で均衡を図るのではなくて、 その方の就業の実態を踏まえて、ある意味出す、出さないのどちらかで、どこかで線引 きをするという筋合いのものかと思います。それは実費弁償的な側面も強いという議論 も随分ここでもありましたので、半分だけ払うというよりは、そういうことで考えてい くということではないかと思います。言いたいのは要するに、だからこそ、ここに就業 の実態と均衡を考慮して決めてくださいと書いてあると、私は通勤手当については理解 しています。 ○樋口委員  特出しすることの意味をどう受け止めたらいいのかということだと思います。例えば 単なる例示に過ぎませんということであれば、わかりやすいものを挙げた方がいい。そ うではなくて特にここで注目してほしいということで特出しするのであれば、この通勤 手当の特出しでもいいと思いますが、その点これが適切な例示になっているのかどうか。 「その他の職務の内容云々」について、例示として適切であるのかは、必ずしも適切な 例示であると思えないということです。 ○今田委員  事務局の整理で、一応本体のところで処理された賃金は除いて、残ったものとして指 針に出す、明記するということから論理的に出てきたのは退職金である。その枠組みは 非常に形式的な処理なので、今の整理から見れば労使とも問題がないということです。 さらになぜ通勤手当なのかという問題ですが、それは今までの審議の中で実態は関係な いとおっしゃいますが、いろいろこの審議会の議論で調査をやって、現実に雇用関係の 中で、普及している手当とそうではないものを吟味した。その中で通勤手当については 必要なのではないかという議論の積み上げがあったと記憶していますし、そういう意味 で特出しの、要するに形式的に決められたものだけで指針で通してしまうと、実態と乖 離がある。かなり一般化している制度もあるわけで、かえってそれを阻害する、阻止す る動きにならないように、指針の場合には少なくとも手当とか何かを豊かにし、働きや すい環境づくりは法律の趣旨ですから、そういう意味でかなり一般化しているものにつ いて出して、それも別にやれという命令ではなくて、均等を考慮してそういうものを考 えていきましょうという指針であるわけですから、そんなに混乱していないと思います。 ○佐藤委員  まずいろいろな方が言われたように、内容的には法律に定められたもの以外は残すと いうことは合意できている。それをやるときには、参考資料のNo.1、この整理の仕方に ついてはこの前合意されました。つまり法律にあるものは除いて等々の話です。その基 準から言うと、考え方1で通勤手当を入れるのは私は無理だと思います。そういうふう に整理して合意したルールでするしかない。ですから考え方1で通勤手当を入れるのは 無理です。もしやるとすれば2です。考え方1プラス考え方2、つまり国会審議の過程 で、あるとすることが合意できれば入れるということです。そうしないと他の整理と手 続き的には一貫性がない。もう一つはその国会審議等と入れるときに通勤手当が適切か は樋口委員が言われた問題があるのですが、手続き的に指針の定め方をこの前決めたわ けですから、この四つでやるということだと思います。そうすると考え方1でするとす れば通勤手当は入れない。ただし2の国会審議の中でということが労使で議論できて、 増やすわけではなく特出しする。ただそのときにそこでの議論ということと、特出しす るとき樋口委員が言われた通勤手当の話は難しい面があります。使用者側の誤解もある ということがありますので、そこは議論するということだと思います。考え方1であれ ば落とさざるを得ないかと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  先ほど樋口委員より質問いただいた点ですが、いわば法律上手当てされなかったこと について指針に書くことにはコンセンサスがあると思いますので、そういう意味からす るとお手元にある資料No.1の2ページを開いてください。具体的に指針の対象となっ た賃金が省令に書いてある賃金になりますので、そこに通勤手当、退職手当、家族手当、 住宅手当、別居手当、子女教育手当等々とあるわけで、退職手当については今も書いて あるから書きましょうと。ここまではいい。あとどうするかということですが、確かに 通勤手当については固定費的な側面が強いということで、均衡という部分になじみにく いという樋口委員のご指摘はそのとおりだと思います。他方、労側委員が言われますよ うに、実態的にしますと、均衡を考慮すべきものの例示として、それ以外の家族手当、 住宅手当、別居手当、子女教育手当等がなじむかというと、支払実績から見てもそれは いかがかと思います。そういう意味からするとベストの選択というよりも、例示という 観点からすると、通勤手当だと私ども事務局は考えています。ただそれを例示として書 くかどうかは、まさに佐藤委員が整理されたようなことです。国会においては言うまで もなく、国会の質疑においては、通勤手当は職務関連手当以上に当然の前提として、働 いてもらう以上、正社員に払っていなければいいのですが、正社員に払っているのであ れば、払うべき手当なのだという強い主張がありました。それについて随分議論もされ たと思っていますので、昨年末の建議においては対象にしていないということで分科会 としての整理がついているかと思いますが、佐藤委員が言われたように、考え方2の部 分です。ちなみに附帯決議には書いていませんので、附帯決議上要求されているもので はありませんが、国会での議論があったということを踏まえて、再度そこは議論される べきものと私どもとしては考えています。 ○龍井委員  私はベースは1だと思います。省令の整理と、斉藤委員が言われたように実態上どう なるかということよりも、理屈の上でこのように再整理されたことを受けてどう書くか。 仮に退職手当を外して、いきなり「職務の内容と密接な関連を有しない手当て」という 書きぶりでは逆に何なのということになる。私は反論があるのは、他の手当が皆、時間 比例が均衡ということにストレートに結び付けないほうがいいのではないか。従っても しも特出しの必然性がわからないというのなら、逆に通勤手当プラス生活関連手当に関 するものの例示をむしろ増やすということであれば、その解釈は狭まるものでもないし、 省令との関係も出てくるので、外すということについては不適切だと思います。 ○松井委員  申し上げたいことは、10ページの最後の行から11ページにかけてで、「短時間労働者 の待遇に係るその他の事項についても、説明するよう努めるものとする」というものが ここに書かれています。先ほど、これも法律でないのだからいいという整理をするなら ば、そのように理解できないわけではないけれども、企業としてはどこまでが法律で、 どこまでが法律でないということを事業主自身が理解することが重要だと思っています。 もう一つ重要なことは、労働者側もそれを理解しているというのが大前提だと思います。 問題としては、仮にこれを盛り込むとしたら、指針でもここに通勤手当が書いてあるで はないかと今後言われる可能性があります。そのときに樋口委員がおっしゃったような 説明を、企業側としてはうまくできなくてはいけないと思いますが、確かに国会で指摘 されたかもしれませんが、ここの部分について、私どもとしては実態論ではなくて、き ちんと説明しやすい形でできるのか。もう一つ、パートでも本当に短い時間で、例えば 2時間3時間で複数の事業主に雇われるケースは今でもたくさんいるということをご存 じだと思います。そういうところまで払うのですかということも、私としては年末にか けて問題提起をしたことは記憶があろうかと思います。ですから時間比例的に、あるい は均衡を考慮してといっても難しい。企業側も説明も難しいことについては、あえて入 れないでほしい。これは私どもの気持ちです。それが吉川委員が最初に申し上げたこと だと思います。時間もないので他の点にも行った方がいいと思います。 ○林分科会長  この点については議論はだいぶ出たと思いますので、どうしても今までの議論とは違 うという意見がありましたら、最後に1人。 ○斉藤千秋委員  この項目の中に、「その就業の実態」が入っているということは、通勤手当を最初から 採用のときに就業の実態がない人に支払いなさいとは言っていない。とすれば最初に通 勤手当の必要な人を採用しない、あるいは優先順位を低くするということは事業主はで きるということです。ここで就業の実態見合いで努めなさいということなので、仮に一 度雇用されて就業の実態があるような人が、たまたま引っ越してしまったという事情で 通勤手当が発生したという場合、そういうものの負担増というイメージでないのかなと いうことを言いたかったのです。要は「就業の実態」とここに入っているのですから、 実態のない人に手当を払いなさいとは読めないので、そこをわかってほしいということ です。 ○龍井委員  誤解された前提ですると議論が変なところに行くので、現行の右側のものでも今のこ とは求められています。手当について、賃金についてこうしなさいということは、皆さ ん新たにとおっしゃるけれども、現行でも求められています。どういう指導まで行って いるかは別にして、求められています。今求められていないことが新たにというのは絶 対に違います。そのときに特出しをどうするのかという議論なので、ぜひ検討していた だきたいのは、一つではなく、二つ三つやったらというのを是非検討していただきたい。 ○林分科会長  ではこの点については一応議論を終わらせて、他の点について意見がありましたら伺 います。川崎委員。 ○川崎委員  冒頭2ページの上段のハの項目ですが、短時間労働者の均衡待遇を旨として、「合理 的な理由なく一方的に不利益に変更することは法的に許されないこと」ということで質 問があったと思いますが、それに対する答えの中で、労働者の処遇については、合理的 な理由があり、なおかつ合意をすれば、不利益な変更とプラスへの変更が両方あり得る という説明があったと思います。もしそういう理解で正しければ、合理的な理由があり、 なおかつ一方的でない場合については、均衡待遇を旨とした変更があり得るということ を、この指針だけでは単純に読み取りにくい部分もあると思いますので、パンフレット とか何か補完するもので詳しく書くような対応をお願いしたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  今の川崎委員の発言の内容は事実関係としてそうだと思いますので、もしそれが伝わ らないことで混乱することがあっては逆にいけないので、どのようにするかは検討した いと思います。 ○山崎委員  附帯決議に、有期契約労働者について、本法の趣旨が考慮されるべきであることを広 く周知ということで、政策サイドでやるようなことを書いてあるのですが、2ページの ハの「また」以下にあるのですが、これで周知と見ているのか。あるいは別に周知する 方法をお考えなのかを聞きたいのと、ここに「法の定める短時間労働者とはならないが」 というふうに指針案がありますが、わざわざここに断ってまで書く必要があるのか。パ ートタイム労働法に直接関係あるものだけにした方が混乱が起こらないと思います。違 和感があるのですがどうですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えいたします。周知についてはもちろん指針で書くこととは別に、パンフレット とかリーフレットの類で、それについて周知することは当然していくべきだろう。それ は指針に書いてあるからではなくて、法律上のもの、あるいは他の関係法令、税制、社 会保障制度等も含めて、まとめて周知した方が事業主にわかりやすいので、考えていき たいと思っています。短時間労働者でない労働者について指針で書くのはいかがなもの かという指摘ですが、私どもとしては、「第三」の各論というか具体的に事業主にお願い している項目において書くことは適当でないと思いますが、他方パートの方の雇用待遇 を改善するに当たって、例えば今の例で言えば正社員の労働条件を合意的理由なく一方 的に引き下げることによって均衡を図ったということでは困るわけですし、あるいはパ ートの労働時間を長くして、通常の労働者とそろえることによって、フルタイムの人は パートではないのでパートタイム労働法は適用がないということで適用逃れされるとい う脱法的な行為もあってはならないわけです。そういう意味ではその二つは事業主が短 時間労働者の雇用管理改善に対する措置を講ずるに当たって基本的に留意するべき認識、 基本的考え方だと思います。そういう意味ですると「第三」ではなく「第二」の方に、 かつ留意事項として書くということで、そこは国会からの要請にも応えられるし、その こと自体おかしなことでないし、むしろ事業主にはそういうことがないようにと注意し ていただくということだと考えています。 ○山崎委員  「また」以下でいくと項目が付け足し的な意味に取られます。そうであれば附帯決議 は4として、一つの項目として大きくなっているのです。ですから逆にそういうことも 起こるので、ここは誤解も招くし、この辺はできれば削除することも考慮していただけ ればと思います。 ○松井委員  関連で申し上げたいのですが、今回通常の労働者への転換というのは法律で定められ たと思います。もう一つ、これを読むときに企業側の頭の中で非常に混乱が生じないの かという懸念もあります。というのは、これは前回の審議会でもこの場でも議論が行わ れたと記憶していますが、短時間労働法に基づいて、通常の労働者への転換を図って、 同じような形の所定労働時間に変えました。これはそういうことを言っている意味では ないと私自身は理解をしますが、こういうものを常日頃よく見ている人ならそれが理解 できるのであって、同じように変えてしまうことはいけないことなのか、そういう懸念 も持たないわけではありません。国会の附帯決議で出ていることも十分承知をした上で、 あえて指針でなく、別の言い方をするとパンフレットとかそういうもので周知するとい うこともあるのではないかと思います。と申しますのは、一方、本当に転換を進めてほ しいという労働側の要望もあって、法律の中に規定したことを踏まえると、ここにまで 書かなくてもいいのではないか。別の形での周知をきちんと図ればいいのではないかと 思います。そういう趣旨を山崎委員は申し上げたと思います。 ○岡本委員  経営者側が一生懸命解釈しようと、一生懸命周知しようとしていることは大変喜ばし いと思うのですが、ここは国会での議論の一番の争点だったと思うのです。フルタイム パートと言ってはいけないと前回ありましたが、いわゆるフルタイムパートの方たちの 均衡待遇をどうするのかは、一番の議論だったわけですし、対象者が5%もいないでは ないかということの議論から言えば、ここは基本的な考え方のところに、私たちは入れ ておくべきだと思いますし、これまでの前回のパートタイム労働法の議論のときもそう でしたが、いわゆるパートの方たちの大半が有期労働者だという視点から考えても、こ こはきちんと入れておいていただきたいと思います。むしろ先ほどの話にあれば、単独 で書いた方がいいくらいだと思います。 ○林分科会長  この点は附帯決議との関係があるので、抜くというのは難しいと思うのですけれども、 この点についての議論は一応ここまでということで、他の議論に移ってよろしいでしょ うか。何か別の論点について議論ありましたら。齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  11ページの「三 不利益取扱い禁止」ですけれども、「不利益な取扱いをしないよう にする」と書いてありますが、この「不利益な取扱い」というのはどういう扱いなのか ということを確認させていただきたいと思います。男女雇用機会均等法の中に、不利益 取扱いということで例示で列挙されているものがありますが、こういったものが該当す るのかどうか。そしてそれを事業主にどのような形で周知していただくのかというとこ ろを確認したいと思うのですが。 ○高崎短時間・在宅労働課長  不利益取扱いの中身ということですが、文字通り不利益な取扱いということですから、 幅が広い概念だということはご理解いただけると思います。ちなみに法律上は「解雇そ の他の」と書いていまして、不利益取扱いの最たるものである解雇ということを例示し ております。いわば一番ひどいことというと必ず代表者になりますと言ったらそんなや つは首だというのが典型的なものです。でも解雇だけかといえばそうではなく、例えば そのことをもって評価を下げる、人事考課を下げるとか、そういうものも当然入ってく ると思います。男女雇用機会均等法の範囲を今すぐ承知していないので、そこにぴたり と当てはまっているかわかりませんが、考え方が法律によって違うというのは変なので、 多分そこは同じ考え方でないかと思います。 ○松井委員  今回の男女雇用機会均等法の改正によって、不利益取扱いの範囲が、指針で非常にき め細かく決められたと私は記憶しております。今労働側の委員からあったように、では 不利益取扱いとは何かと言われたときに、大きな概念としては理解できないわけではな いのですけれども、ではどこをやったら本当に不利益になるのかというような懸念がな いわけではありません。もちろん考え方として、法律そのものに基づいて、従業員の方 がいろいろ説明を求めてきたのであるならば、それは事業主としてきちんと対応すべき である。それはしなくてはいけないと思います。  もう一つ問題なのは、先ほど申し上げたところと関連するのですけれども、同じ11 ページの一番上のところで、「その他の事項についても、説明するように努めるものとす る」ということも、ここの指針で改めて特出しして書かれております。問題はどこまで きちんとやったのかは、事業主としてもそれを法律および指針を相当理解した上でない と、なかなか対応できない。別の言い方をしますと、従業員からは法律に規定されてい ないことも説明を求められて、事業主としては、これは法律に求められていないから、 それは今はしませんといったときに、それはきちんと法律を遵守していないのではない かという、短時間労働者からの不満とか申し出等も起きかねないと私は理解します。そ ういうことからしますと、趣旨を理解しないわけではないのですけれども、三の(二)を 落とすか、10ページから始まる二の(一)を落とすか、どちらかにしてもらえないかとい う気がします。企業側の負担を十分理解してほしいと思います。以上です。 ○鴨委員  不利益取扱いの禁止については、私はたくさん入れた方がいいと思います。なぜなら ば、今の現場の段階においては、力関係は圧倒的に違うのが前提としてあると思ってい ます。それでこの中身を入れることで、何か企業側にとって不都合があるということで もないと思いますので、これは入れるべきです。どちらも落とさないで、このまま入れ るべきであると思います。 ○岡本委員  これもその他の事項は特出しとおっしゃったのですが、多分そういうことではなくて、 一部が法律に格上げされたからそれ以外のところという意味で書かれているので、全く 今の指針と先行しているようには思えません。ですからそこも外す必要はない。むしろ 現行の指針では最低限きちんと守っていくべきものだと思いますので、そこは解釈とし て間違っているのではないかと思うのです。懸念があるのはわかります。 ○松井委員  不利益取扱いというのは附帯決議には書いてあるのですか。それとも国会で指摘され たか、どちらの範疇なのでしょうか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  国会で議論されたということでありまして、ちなみに国会の議論は、そういうことが あってはいけないのは当たり前の話で、そういうことで議論されていました。 ○林分科会長  それでは別の論点で何かご意見がありましたら。岡本委員。 ○岡本委員  今まで議論があったのですが、今回の指針はいわゆるパートタイム労働法以外の労働 法制の部分を一切削除されている部分が多いですね。  他にも、解釈でいきますよということが多くて、実際この改正後の指針を見ると、よ ほど関係法令をご存じの方以外は、非常にわかりにくいのではないかという印象を受け ます。ぜひ法律・省令・指針それから通達・解釈の部分を含めて、わかりやすいパンフ レット、体系的に見えるようなものを作っていただきたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  ご指摘はごもっともですので、そういうふうに用意していきたいと思います。 ○山崎委員  関連してなのですが、今までの指針も必ずしも十分に周知されていなかったという状 況があります。今度の改正でかなりの整理がされたということで、この経緯は十分に説 明といいますか、その経緯の趣旨を十分に伝えないと、何となくがたがたと混乱が生じ ることがあると思います。事業主が受け入れやすいような、そういうパンフレットなり、 省令なり、指針なり、そういうものを十分に考慮していただきたい。それは同じです。 企業が円滑にうまく受け入れられるような配慮を頂きたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  まさに現場の混乱があっては駄目なので、努力していきたいと思います。 ○川崎委員  次の項目になりますが、8ページの「福利厚生」の所です。福利厚生に関しても、現 行の指針に入っているものからの追加という形で、「事業主が行うその他の福利厚生の措 置についても」といったような言葉が、案に含まれていると思います。施設の利用以外 の部分の措置については、ここは企業側が従業員の待遇・処遇について考慮していく部 分もあると思いますので、ここについては今の規定の中にある現行の設備の部分、「医療、 教養、文化、レクリエーション等の施設」ここに限定したものにしていただきたいと思 いますので、よろしくお願いします。 ○林分科会長  他に。 ○斉藤千秋委員  今のご意見ですと、要は現行の方に戻すというご意見だったのかを確認をしたい。い わゆる「福利厚生施設」というのが現行ですが、これを「福利厚生」と項目を変えたも のを元に戻すということで、使側の意見はいいのですかということですが。 ○吉川委員  元に戻すと言うよりも、結局企業単位によってニーズも働く方によって違うと思いま すので、その企業の状況とか判断によってこれは企業側に任せていただいていいのでは ないかなと思います。 ○川崎委員  福利厚生に関しては考え方とすると、ここに規定されているもの以外については、従 業員のニーズ等々に基づいて企業が判断していくのが多いと考えますので、あえてそれ 以外の措置についてまで、指針の中に入れていく必要はないのではないかという意見で す。 ○斉藤千秋委員  ということは、現行の「福利厚生施設」という項目にして、内容の文章についても、 現行のものにすべきであるということでよろしいでしょうか。私自身の解釈が違ってい たのかもしれませんが、その「福利厚生施設」を「福利厚生」と変えることによって、 これまで「同様の取扱いをする」というような書き方をしていたものを、その「就業の 実態、通常の労働者との均衡等を考慮した」ということで、実態として従来のものと何 ら変わりがないけれども、受け取り方として通常の労働者と同様の扱いというと、これ は少し重くなるということもあって、こう変わったと認識をしています。実態としては 今のものと変わらないと認識していたのですが、その福利厚生の措置を取るということ は、現行の法案に戻すということでいいのかを確認したかったのです。 ○吉川委員  戻すか戻さないという問題ではなくて、福利厚生そのものが企業とか働く側の考え方 によって幅があることだと思いますので、そういう意味で企業の状況とか判断、働く側 の方との話の中で、結局は企業側に任せるべきであって、それを交替するという意味で はないのです。 ○鴨委員  このところについて、「その他の福利厚生」だと思うのですけれども、この点について はこの審議会の中でも、かなり慶弔休暇の問題も議論されてきましたし、国会審議の中 においても、その点については審議されているところであります。そういう意味でここ に入れ込むことについて、さらにこのことが今までの福利厚生施設の中では「同様の取 扱い」となっていますけれども、今回の指針の中においては「就業の実態、通常の労働 者との均衡等を考慮した取扱い」と入っておりますので、このまま入れ込むべきである と考えます。 ○吉川委員  入れ込むことを反対という意味ではなくて、その理解の仕方を申し上げたつもりです。 ○鴨委員  今の理解の仕方ということであれば、これから当然パンフレット等を作るだろうと思 いますので、そういった中で具体的にわかりやすいものを作っていただきたいと私ども も思っているところです。 ○林分科会長  ではこの点については一応議論が尽くされたということで、次の論点がありましたら、 どうぞご意見を発表してください。松井委員。 ○松井委員  不利益取扱いの件について、少し蒸し返しの議論をします。と申しますのは、不利益 取扱いそのものはあってはならないということは私どもも当然と考えております。しか しながら鴨委員はこれは絶対必要だとおっしゃいましたけれども、その内容たるや何な のかを企業側としても十分理解をしなくてはいけないと思います。例えばこの部分につ いての説明を求めてきたときに、説明義務を果たすということにはなっておりますけれ ども、昨年の議論においては、納得するか否かは別であるということが、ほぼこの審議 会の場での合意事項であったと思います。企業側としての懸念は、納得していなくても 早く職場に戻りなさいと言ったら不利益取扱いだなどと言われては困るわけです。もう 一つは、ここは法律に基づいた処遇の考慮事項ですから、それ以外のことについていろ いろ言われたときに、やはり従業員が納得しないという部分もあって、ここに入れてお くことについては、パンフレットなどで、きちんと周知するにとどめるべきだと思いま す。以上です。 ○龍井委員  実態をもう少し把握していただきたいのは、説明を求めるというのは法律事項でも一 番初歩的なことです。それが現実にはできないかできにくいというのは、本当に深刻な 問題だと思います。つまりおっしゃるように求めた後、納得いかないときにどうするか は別問題で、説明を求めるということは事実確認をする、あるいは例えば自分はこうい う契約だと思っていたのにこうなっている、それについてはどうなのですかということ。 現状では多くの労働相談の事例がそうであり、それすら大変だと、先ほど中小企業の負 荷ということをおっしゃいましたけれども、そういうものではないです。働く側からし てその当たり前のこと、場合によっては極端な話が法律事項であっても確認すること自 体が言えない、極端な場合は退職覚悟というような勇気を持たないとものが言えないと いう実態を踏まえて、少なくともおっしゃるように、不利益取扱いがどうかということ も、私は具体化できればしたほうがいいと思います。しかし問題なのは、それはないの だと、そういう心配をしなくていいのだというのが、まず第一義的な規定であって、そ ういう意味で私はここで規定すべく、この項目の中に記載すべきだと思います。 ○松井委員  同じページで苦情処理の努力義務が書かれております。考え方としていろいろあり得 ると思いますけれども、最後は不利益取扱いとは何ぞやということについて、さまざま な行き違いが想定されることであるならば、最後はとりあえずこの苦情処理の仕組みを きちんと活用してやることにとどめてほしいと、私どもの気持ちを述べさせていただき ます。ですからその同じページの(三)を削除しろとまでは申し上げるつもりはありませ ん。ここでどうにか処理をしてください。不利益といっても、いろいろな形で誤解が生 じるようなことがあってはならないと、私どもとしては理解しています。以上です。 ○龍井委員  問題を整理したいのですが、冒頭に提起があった不利益取扱いの中身についての明示 化、明確化という趣旨であれば、私も理解できます。ただそれが項目に入ること自体が 当然だと言われながら、これが負荷になる、負担になるというのは全く理解できないで す。そこは整理されて提起してほしいと思います。 ○林分科会長  それでは時間も迫ってきましたので、今かなり議論が出尽くしたと思いますので、本 日はこのぐらいにさせていただき、指針の改正につきましては、本日の議論を踏まえ、 事務局において改正案作成作業を進めていただきたいと思います。  次回の分科会においては、改正案要綱の諮問になるかと思います。本日の署名委員は 労側が龍井委員、使側が山崎委員にお願いします。最後に事務局より次回の予定につい て連絡をお願いします。 ○香取総務課長  ありがとうございました。次回の日程は、夏休みの時間帯もありまして、まだ調整中 ですので、追ってまた連絡をいたしますのでよろしくお願いいたします。 ○林分科会長  それでは本日の分科会はこれで終了といたします。 照会先:厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課(7876) 26