07/07/18 平成19年7月18日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日  時:平成19年7月18日(水) 14:04〜15:24 ○場  所:三田共用会議所 1階 講堂 ○出席者: 委 員  大野委員(部会長)、加藤委員、斉藤委員、佐々木委員、志賀委員、      豊田委員、米谷委員、山内委員、鰐淵委員 事務局  國枝基準審査課長、光岡課長補佐、河村課長補佐、束野課長補佐、近藤専門 官 関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 水野係長 1.開  会 2.議  題  (1) 食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について      ・ジクロトホス(農薬)      ・ビフェントリン(農薬)      ・ピラクロニル(農薬)      ・ペノキススラム(農薬)      ・フルニキシン(動物用医薬品)      ・マルボフロキサシン(動物用医薬品)    (2) その他 3.閉  会 ○事務局 それでは、定刻を若干過ぎておりますが、ただいまから薬事・食品衛生審 議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会を開催させていただきます。  本日は、お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしく お願いいたします。  また、7月6日付で部内幹部の人事異動がございました。この場をお借りいたしま して御紹介いたしたいと思います。前任の加藤課長補佐に代わりまして、光岡課長補 佐でございます。 ○事務局 光岡でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局 松田基準審査課長に代わりまして、國枝基準審査課長でございます。 ○基準審査課長 7月6日付で基準審査課長を拝命いたしました國枝と申します。ど うぞよろしくお願いいたします。  日頃より食品衛生行政について御協力をいただきまして、御礼申し上げたいと思い ます。この部会は、いわゆる農薬・動物用医薬品の残留基準の設定ということで、大 変御尽力をいただいているということで、厚く御礼申し上げます。ポジティブリスト ということで、非常に膨大な品目の設定について、これからまた引き続きやらなけれ ばいけないということで、いろいろ御指導いただくことになると思いますが、どうぞ よろしくお願いいたします。 ○事務局 本日は、青木委員、井上委員、尾崎委員、山添委員、吉池委員、また加藤 委員がただいまいらっしゃいません。加藤委員を除く4名の委員につきましては、欠 席の旨の御連絡をいただいておりますが、すでに農薬・動物用医薬品部会の委員14名 中8名の御出席をいただいており、部会委員の総数の過半数に達しておりますので、 本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。  それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議、よ ろしくお願い申し上げます。 ○大野部会長 後ほど加藤先生が来られて実質的な審議が始まるということで、お忙 しいところ集まっていただいて、どうもありがとうございました。  では、早速議事に入らせていただきたいと思います。  初めに、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。  お手元に配付しております資料でございますが、まず議事次第がございます。こち らが3枚綴りの次第でございます。  続きまして、資料1−1が農薬「ジクロトホス」の資料でございます。17ぺージ目 以降から部会報告書の案となっておりまして、総ぺージ数では24ぺージの資料となっ ております。  続きまして、資料2が農薬「ビフェントリン」の資料でございます。55ぺージ目以 降が部会の報告書となっておりまして、総ぺージ数では84ぺージの資料となっており ます。  次に、資料3が農薬「ピラクロニル」の資料でございます。45ぺージ目以降が部会 報告書の案となっておりまして、総ぺージ数では55ぺージの資料でございます。  資料4、こちらが農薬「ペノキススラム」の資料でございます。31ぺージ目以降が 部会報告書の案となっておりまして、総ぺージ数では40ぺージの資料となっておりま す。  次に、資料5が動物用医薬品「フルニキシン」の資料でございます。総ぺージ数で1 2ぺージの資料となっております。  次に、資料6、動物用医薬品「マルボフロキサシン」の資料でございます。27ぺー ジ目以降から部会報告書の案となっておりまして、総ぺージ数では36ぺージの資料で ございますございます。  最後でございますが、参考資料といたしまして、参考資料1は食品の摂取量の一覧。 また、5ぺージ目以降が参考資料2となっておりまして、食品安全委員会への意見聴 取及び食品健康影響評価の結果の取りまとめの一覧となっているものでございます。 総ぺージ数では24ぺージの資料となっております。  過不足等ございましたら、事務局の方まで御連絡をお願いいたします。 ○大野部会長 資料はよろしゅうございますでしょうか。  それでは、早速審議に入りたいと思います。  今日は、議事次第に書いてありますように、農薬が4品目、動物用医薬品が2品目、 これについて審議していただくことになっております。資料の作成に当たっては、関 連委員ですでに資料の内容について御検討いただいているところでございます。  それでは、早速ですけれども、農薬の「ジクロトホス」について、事務局から説明 をお願いいたします。 ○事務局 それでは、農薬「ジクロトホス」につきまして、資料1−1、1−2に従 いまして御説明申し上げます。  資料1−1でございますが、これは食品安全委員会がとりまとめた農薬評価書でご ざいます。11ぺージでございますが、総合評価ということで、動物試験等の評価がま とめられているところでございます。中段でございますけれども、in vitroの試験に おいて変異原性試験の一部で陽性との報告もあるが、発がん性、催奇形性は認められ なかったことから、生体にとって特段問題となるべき遺伝毒性はないものと考えられ たということでございます。  無毒性量等につきましては、12ぺージに一覧表で出てございます。今回、無毒性量 の最小値が決定できなかったということで、最小毒性量を用いましてADIを設定し てございます。EPA等の評価を参考といたしまして、安全係数 300をとりまして、 2年間慢性毒性・発がん性試験、ラットの試験でございますけれども、それの最小毒 性量を用いまして、安全係数 300ということで、ADIとしましては、0.000066mg/kg 体重/日という値で評価さいれているところでございます。  資料の17ぺージから、これは部会の報告書案ということで事務局の方でまとめたも のでございます。資料1−2でございますが、品名は「ジクロトホス」。殺虫剤でご ざいまして、有機リン系の殺虫剤ということでございます。本剤につきましては、我 が国の農薬の登録はございません。化学式、構造式、物性などにつきましては、3、 4でお示ししたとおりでございます。この物質につきましては、ポジティブリスト制 度導入時に、米国で綿実について基準を設定してございましたので、それを参考に、 綿実のみについて暫定基準という形で基準を設定しているものでございます。今回は、 その部分の評価ということでございます。適用病害虫の範囲、使用方法はここに記載 のとおりでございます。  ページをめくっていただきまして、作物残留試験でございますけれども、分析の対 象といたしましては、ジクロトホス、その代謝物のモノクロトホスというもので作残 試験のデータを取ってございます。結果につきましては、21ぺージでございますが、 ジクロトホス海外作物残留試験一覧表ということで、綿実につきまして試験をした結 果を表にまとめてございます。これは、アメリカで行われている試験の成績でござい ます。  18ぺージに戻りまして、ADIの評価でございますが、先ほどの安全委員会の評価 のとおりでございます。  8番、諸外国における状況でございますけれども、JMPRで毒性評価はまだされ てございませんで、コーデックスの基準はございません。米国、カナダ、EU、オー ストラリア、ニュージーランドで調査したところ、米国においては綿実のみに基準が 設定されているということでございます。  9番、基準値案ということで、残留の規制対象でございますが、今回、ジクロトホ ス本体ということで記述させていただいたところでございます。先ほど、分析の対象 といたしまして、ジクロトホスとその代謝物でございますモノクロトホスを作残試験 の分析対象というふうに御説明申し上げましたけれども、モノクロトホスというもの も実は農薬として使用される物質でございます。9番の(1)の注のところでございま すが、モノクロトホスは、農薬として過去にコーデックス基準が設定されていました。 また、国内においても、過去に農薬取締法に基づく登録がなされていたということで ございます。米国、カナダにおいては現在も基準値が設定されているということで、 ポジティブリスト制度導入の際には、コーデックス基準、また国内での農薬取締法に 基づく登録保留基準、米国、カナダの基準を参考に暫定基準を設定しているところで ございます。ですから、この代謝物でありますモノクロトホスにつきましては、今後 農薬として今後、食品安全委員会の方に食品健康影響評価を依頼して、基準値の見直 しの検討を行うという予定をしてございます。ジクロトホスにつきましては、米国の 基準を参考に基準を設定してございますけれども、米国の方では、ジクロトホス本体 のみを対象に基準値を設定しているということがございますので、その整合性を考慮 して、規制対象としてジクロトホス本体と設定している案を提案したところでござい ます。  基準値案でございますけれども、22ぺージでございます。アメリカの現行基準0.05p pmを参考にしまして、基準値案として、0.05ppmとしてございます。  暴露評価でございますが、23ぺージ、別紙3で表がございます。国民平均、幼小児の 方、妊婦の方、高齢者の方ということで、それぞれTMDI試算でございますけれど も、ADI比もそれぞれ 0.1%、0.5%、0.1%、0.1%ということで、80%以下である ことを確認してございます。  20ぺージといたしまして、(5)のところでございますけれども、先ほど申しましたよ うに、モノクロトホスという代謝物が別途農薬で使用されているということでござい まして、今後これについても評価をいただくということになりますが、このジクロト ホスの基準につきましても、その代謝物であり、農薬としても使用されるモノクロト ホスの基準値の検討の結果を踏まえて、必要に応じ見直しの検討を行っていきたいと 考えてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明についての御質 問、御意見をお願いいたします。  この場合の解釈として、モノクロトホスも同じような毒性、場合によっては若干強 い毒性のものが出てくるけれども、それについては、国内においては農薬取締がなさ れているということと、アメリカでは本体にしか規制を加えていないということ。そ れと、今後、モノクロトホスの基準の検討があるので、その結果を踏まえて更に検討 するという御説明でしたけれども、特にございませんでしょうか。よろしいですか。  それでは、この報告書案をもって、この部会の報告といたしたいと思いますけれど も、よろしいでしょうか。  では、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。  それでは、次に農薬の「ビフェントリン」についての説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、「ビフェントリン」につきまして、資料2−1、2−2に従い まして御説明申し上げます。  資料2−1が食品安全委員会の方でまとめた農薬評価書でございます。資料2−1 の4ぺージを御覧いただければと思います。この剤は、1992年に初回農薬登録をされ ているものでございまして、非常に古くから使われている農薬でございます。今般、 適用拡大に基づく基準の設定依頼を農林水産省からいただきまして、それに基づいて 食品安全委員会の方に評価依頼をしていたということでございます。また、海外の基 準等を参考に、ポジティブリスト制度導入時にいわゆる暫定基準を設定したというこ とがございますので、その分につきましても、昨年の7月に食品安全委員会の方に評 価依頼をしてまして、今回、食品健康影響評価がまとめられたところでございます。  その評価の結果でございますが、資料の36ぺージに総合評価ということでまとめら れてございます。動物体内運命試験、植物体内運命試験、土壌中運命試験等の評価が あり、37ぺージから毒性評価が記載されてございます。急性毒性につきましては、ラ ット、マウス、ウサギ等で実施されてございます。また、急性の神経毒性につきまし てもラットで行ってございます。急性の遅発性神経毒性については、ニワトリ等につ いて評価が行われています。眼・皮膚試験等はウサギ、皮膚感作についてはモルモッ トということでございます。亜急性毒性については、ラット・マウス・イヌの試験結 果があります。発がん試験でございますけれども、慢性発がん試験で、ラットにつき ましては発がん性がないという評価でございますが、マウスにつきましては、腺がん 及び腺腫につきまして発がんが見られたが、これは有意差がなかったということでご ざいます。また、マウスの方でリンパ芽球性血病が認められていますが、これも用量 相関がなかったということでございます。  もう1つ、膀胱の粘膜下腫瘍というものが認められたということでございますけれ ども、試験に用いた系統のマウスで好発するということと、この種の腫瘍はヒトでは 発生が極めて低いということで、ヒトへの健康影響についてはリスクは非常に低いと いう評価です。繁殖毒性については、繁殖への影響はないということでございます。 発生毒性試験では、催奇形性が認められないということでございます。遺伝毒性につ きましては、細菌を用いた試験、または培養細胞を用いた試験等々が行われてござい ますが、すべて陰性ということでございます。  ADIの設定でございますが、ADIの設定の根拠となります無毒性量、最小毒性 量の一覧が39ぺージからでございます。この中で、ラットの発生毒性試験の結果です けれども、母動物の1.0mg/kg体重/日という無毒性量をADIの設定根拠ということで、 安全係数100で除して、ADI0.01mg/kg体重/日という評価でございます。  資料の55ぺージからが部会の報告書案ということで、事務局の方で作成しましたも のでございます。この剤につきましては、殺虫剤ということで、ピレスロイド系の殺 虫剤でございます。昆虫類の神経軸索の神経膜に作用ということで、広範囲な昆虫に 効能があるということでございます。すでに本基準がございますし、ポジティブリス ト制度導入時に、先ほど申しましたように、コーデックスの基準、登録保留基準、海 外基準を参考にして暫定基準を設定しているものでございます。また、今回、適用拡 大の申請がございましたので、適用拡大の部分についても検討いただくものでござい ます。  化学名、構造式につきましては、3、4にお示ししているとおりでございます。  また、56ぺージから、日本でのこの剤の使用方法について表でまとめてございます。 四角で囲んでございますのが適用拡大の対象というところでございまして、58ぺージ のりんご、みかん、かんきつというところでございます。これは、りんご、みかん、 かんきつについて、これまで登録のあったものと異なる剤形を適用するという申請と いうことでございます。  59ぺージから作物残留試験の結果をまとめてございます。これらにつきましては、 表としまして資料の69ぺージから、横表でございますけれども、まとめてございます。  また、74ぺージからは、可能な限り収集した海外における作物残留試験の結果とい うことで、海外の残留基準を参考にしているところにつきましては、この作残試験の 結果を参考にして基準の設定について検討してございます。  戻っていただきまして67ぺージでございますけれども、この剤につきましては、飼 料を経由して畜産物に残留するということも考慮されまして、乳牛における残留試験 が行われてございます。牛に対して、ビフェントリンを5、15、50ppmの濃度に含有す る飼料を28日間経口投与して、それぞれ投与開始後1〜28日目に各日、搾乳するとい うのと、最終的に筋肉、脂肪、肝臓、腎臓の含量を測定してございます。その結果に つきましては、その下でまとめてございます。米国におきましては、牛における飼料 負荷というものを2.7ppmで試算してございます。また、オーストラリアについては5p pmとしてございまして、この5ppm投与群が基準の設定の目安になる、参考になるとい うところでございます。これらも参考にしながら基準を設定してございます。それが 資料の76ぺージ以降でございます。  その前に、67ぺージ、ADIの評価でございますが、これは食品安全委員会の評価 のとおりでございます。  1枚めくっていただきまして68ぺージでございますが、諸外国の状況ということで、 コーデックス基準、米国、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージーランドにつき まして調べたところ、コーデックス基準については主に大麦、ホップ、乳、鶏卵等々 に設定されている。また、米国、EU、オーストラリアにおいて、穀類、野菜類、畜 肉類について基準値が設定されてございます。  基準値案につきましては、規制対象としましては、ビフェントリン本体ということ で設定してます。基準値案につきましては、76ぺージからまとめているところでござ います。76ぺージから縦表になってございますけれども、ここの若干色をつけて網か けにしているところ、基準値の現行のところで網かけにしているところがございます が、ここはポジティブリスト制度で海外の基準等を参考にして新たに基準を設定した 部分でございます。また、登録の有無のところで丸印がついていますけれども、これ は日本で登録があるものということでございます。77ぺージの真ん中あたり、みかん からちょっと下の方でございますけれども、丸印の横に「申」と入れてございますが、 ここは今回、適用拡大の申請があったものでございます。  それぞれにつきまして、海外の基準、その基準の根拠とする作残試験の成績等を参 考にしながら、基準の検討をしたところでございます。基準値現行で白抜きになって いるところは、すでにポジティブリスト制度以前から基準が設定してあるところでご ざいますが、これについては今回見直しを行っておりませんが、先ほどの丸印がつい て「申」がついているところ、今回適用拡大があった部分につきましては、今回新た な作残試験のデータが提出されたということで、そのデータを評価して基準値を見直 しているところがございます。それぞれ作残試験がないものにつきましては、今回新 たな基準値等の設定をしていないところがございます。試験の結果があるものを参考 に、基準を設定するという作業をしてございます。  これらにつきましてTMDI試算で暴露評価を行いましたところ、結果につきまし ては、80ぺージから3ぺージにわたる大きな表になってございますけれども、82ぺー ジの一番下のところでございますが、右からADI比、国民平均のTMDIが 89.7%。 それから、一個飛ばしまして幼小児で177.1%、妊婦の方で81.1%、一個飛ばしまして 高齢者の方で93.1%と、TMDI計算をするといずれも80%を超えるということがあ りました。このため、EDI試算で試算をし直してございます。そうすると、国民平 均で29.6%。一個飛ばしまして、幼小児の方で57.3%、妊婦の方で25.1%、高齢者の 方で32.9%とADI比80%以下になることを確認しております。なお、作物のところ につきましては、牛の推定残留量からブタ等の量を推計してEDIの試算の数字を算 出してございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。では、ただいまの事務局の説明について御 質問、御意見ございますでしょうか。 ○佐々木委員 76ぺージの一覧表の中の真ん中あたりですが、「米国のマスタードの 葉を参照」と書かれている、この「マスタードの葉」というのは、ハーブのところに ある「からし菜」とはまた別なんでしょうか。 ○事務局 同じでございます。 ○佐々木委員 からし菜のことですか。 ○事務局 はい。表記を変えたいと思います。 ○大野部会長 よろしいですか。 ○事務局 それともう1点、77ぺージのベリー類のところでございますが、ラズベリ ーとブラックベリーとございます。これは米国の基準値を参考にしているところなの で、1となっていますけれども、 1.0ppmという数字が入ります。 ○大野部会長 1.0 ppmに修正するということですね。 ○事務局 はい。 ○大野部会長 ラズベリーとブラックベリーのところですね。 ○事務局 はい。 ○大野部会長 ほかにございますでしょうか。 ○志賀委員 また大変細かいことですが、本部会の評価には直接関わりないかと思い ますけれども、56ぺージの適用病害虫のところで害虫名です。56ぺージの2%中和剤 のところで、りんごですけれども、一番上に「モモシンクイガ」とあります。それか ら、次の次の58ぺージの今回の適用拡大の申請に係る部分ですけれども、「モモシン クイムシ」とあります。これは同じ虫なんですよね。ただ、うちがこれを審議するこ とじゃないと思うんですけれども、再申請の方でそうなっているかと思いますが、本 来、害虫名というのは統一されるべきものだと思いますし、細かいですけれども、標 準和名ですと「モモシンクイガ」ですけれども、農業分野では通称「モモシンクイム シ」と言っていて、農薬登録上どちらかでやっているはずなので、うちの部会で直接 直す権限はないかと思いますけれども、世に出るときにやはり同じものは同じ名前で 出ていた方がいいと思いますので、一言。 ○大野部会長 ありがとうございます。いかがですか。 ○事務局 登録上の区分を確認いたしまして、これはどちらかに統一するような形に いたします。 ○大野部会長 では、なるべく統一するということです。  ほかにございますでしょうか。特にございませんでしょうか。よろしいですか。  それでは、この報告案につきまして、統一するというところで修正が若干入るとい うことを前提に、この報告案をもって当部会の報告とさせていただいてよろしいでし ょうか。  ありがとうございます。それでは、これを報告とさせていただきます。  では、次ですけれども、「ピラクロニル」についての説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、「ピラクロニル」につきまして、資料3−1、3−2に従いま して御説明申し上げます。  資料3−1、これは食品安全委員会の方でとりまとめた評価書でございます。この 剤につきましては、新規の登録に係る残留基準の設定でございます。資料の33ぺージ からでございますが、総合評価ということでまとめてございます。  動物の体内運命試験につきましては、ラットで行われてございまして、排泄経路は 尿中ということでございます。植物体内運命試験、この剤につきましては、水稲で新 規の登録ということでございますので、水稲で実施されてございます。代謝物等は、 記載のとおりでございます。土壌中運命試験ということで、半減期、非滅菌湛水中で あれば131〜139日。また、好気土壌中であれば6.8〜8.2日ということでございます。  急性毒性等につきましては、33ぺージの後段からラット、マウスの試験の結果があ ります。また、眼の刺激、皮膚の刺激につきましては、ウサギを用いた試験ございま す。皮膚の感作についてはモルモットで実施されてございます。これも陰性でござい ます。  亜急性毒性試験につきましては、ラット、マウス、イヌ。慢性毒性については、ラ ット、イヌということでございます。  発がん性試験につきましては、ラット、マウスの試験結果が評価されており、発が ん性はなかったということでございます。  繁殖毒性につきましても、繁殖性への影響はなしということで、発生毒性につきま しても、催奇形性は認められなかったということでございます。  また、遺伝毒性につきましても、細菌を用いた試験、また肺由来のCHL細胞を用 いた試験が行われてございます。肺由来のCHL細胞の染色体異常試験で陽性が出て ございますけれども、他の試験はすべて陰性ということで、遺伝毒性については非常 にリスクが低いという評価でございます。代謝物につきましても、細菌を用いた復帰 突然変異試験が行われてございますけれども、陰性ということでございます。  ADIにつきましては、35ぺージ、ラットの2年間の慢性毒性・発がん性の併合試 験で、雄の0.44mg/kg体重/日という無毒性量、35ぺージの表の上から3つ目でござい ますが、それがADIの設定根拠ということで、安全係数 100で除しまして、ADI といたしましては0.0044mg/kg 体重/日、36ぺージでございますけれども、という評価 です。  これに基づきまして、資料の45ぺージから部会の報告案ということでまとめたもの でございます。ピラクロニルということで、用途につきましては、除草剤ということ でございます。先ほども申し上げましたとおり、今回、水稲への使用で新規登録の申 請があったものでございます。  化学名、構造式につきましては、3、4で記載のとおりでございます。  46ぺージ目から使用方法についてまとめてございます。  作物残留試験の結果でございますが、資料の52ぺージのところでまとめてございま す。最大残留量として、M-1、PM-5というのは代謝物でございますけれど、それぞれ検 出限界未満という結果がでてございます。  ADIの評価でございますが、50ぺージでございます。これは、先ほどの食品安全 委員会の評価のとおり0.0044mg/kg体重/日でございます。  9で諸外国の状況でございますが、まだJMPRにおける毒性評価は行われてござ いませんで、コーデックスの基準もないということです。海外につきましても、残留 基準の設定はございませんということでございます。  10、基準値案でございますけれども、残留の規制対象といたしまして、ピラクロニ ルと設定してございます。食品安全委員会の評価書では、暴露評価対象物質としては、 ピラクロニルと代謝物M−1/PM−5を設定してございますけれども、実際の作物残 留試験の結果を見ますと、両者とも定量下限未満ということでございます。また、毒 性についても特記されていないということですので、食品中の残留基準の設定に関し ましては、規制対象としては本体のみということで考えてございます。  基準値案でございますけれども、別紙2、53ぺージでございます。先ほどの作物残 留試験の結果を踏まえまして、基準値案としては0.05ppmという値を設定してございま す。暴露評価でございますが、TMDIをしたところ、国民平均で3.9%、幼小児で7. 0%、妊婦の方で2.9%、高齢者で4.0%と。いずれも80%を下回っているということで ございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまの説明についての御意見、御質問 ございますでしょうか。 ○米谷委員 農林水産省の方にお伺いしたいのですが、この剤の登録のときの水質PEC の値とか、BCFの値は幾つぐらいになっているのでしょうか。教えていただければ と思います。 ○農林水産省 これは、食品安全委員会での評価が3月だったと思いますので、研究 班の魚介類の基準値の設定方法が決まる前でしたので、この部分については検討して おりません。今後必要ならば、基準値チェックの依頼を今後行うこととなると思いま す。 ○米谷委員 登録ときに必要なデータとして、環境庁の案の方で登録申請基準のとき に、そういう値を要求されてはいないのでしょうか。 ○農林水産省 現在、農薬の登録において、魚介類の残留基準は保留基準になってお りません。ですから、水質汚濁性試験については、水質汚濁だけでなくて、水生動植 物の被害防止の観点からは提示されていますが、水産PECについては現在手元に持ち合 わせておりません。 ○米谷委員 水産PECの方の値はそちらの方に上がっていると。PECの値がそちらの 方には全然出てきていないんでしょうか。 ○農林水産省 別の検討会でやっているので、ちょっとわからないですけれども。 ○大野部会長 それに対して、必要になったときには別途またここに上がってくると いうことなんでしょうか。 ○農林水産省 試算いたしまして、一律基準を超えるようなものでしたら、この部会 で検討していただくこととなると思います。 ○米谷委員 手続的に少しお話が違うと思うんですけれども、こちらとは関係なく、 農薬の登録時にそういう数値が必要だというふうに私は前から農水省や環境省の会議 に出ていまして、そういうふうに記憶していたものですから、新規に登録されるとき に、そういう数値がついて登録されて申請がされてきているんじゃないかというふう に思っているのですが、そういう数値はついてこずに登録申請がされているのでしょ うか。 ○農林水産省 水質汚濁試験というのが提出されて、あと水産PECの計算というのは出 てきていると思います。 ○米谷委員 水産PECはきているけれども、特にこちらでは要求していないので数値を 出せないということですか。 ○農林水産省 魚介類の基準の設定方法が決まる前に、すでに食品安全委員会での審 議が終わっておりましたので、ここに水産PECはありますけれども、基準値の設定が必 要かどうかというのは、その設定方法の前でしたので、今後の検討となるわけです。 ○大野部会長 この物質は水中で安定だと。加水分解で安定だということ、水中の光 分解試験でもごくわずか減少しということだから、近いうちにその評価をしてくれと いう話が出てくる可能性があるんじゃないかと思いますね。  ほかにいかがでしょうか。米谷先生、よろしいですか。 ○米谷委員 はい。 ○大野部会長 ほかにございますでしょうか。  それでは、この「ピラクロニル」の報告案について、特に追加の御意見がなければ、 これで了承したいと思いますけれども、いかがでしょうか。  それでは、そのように承認されたというふうにさせていただきます。 ありがとうございました。 ○課長 先ほど米谷先生の方から、登録時にそういうものが要求されていると思われ るので、もし今、手元にデータがあれば参考までにお知らせしてほしいということだ と思うのですけれども、それは、今、手元にデータがないということですか。 ○農林水産省 はい。 ○大野部会長 ただ、登録時には、そういうようなものは今後要求されるということ ですね。それでよろしいですか。ただ、恐らく今後、もしこの剤につきまして魚介類 の基準の設定ということで、必要があれば農水省さんからわれわれの方へ要請が上が ってくるわけですけれども、そのときには、そういうデータもついて上がってくるわ けですね。現状、農薬の登録時にはそういったデータもついているということでよろ しいんですね。 ○米谷委員 私もそういうふうに思っていたんです。ですから、登録申請のときにつ いてくるはずなので、それをちょっとお聞きしたかったのですが、ただ、今回は新規 ですので、当然ながら、そちらの方から個別基準を設定してくださいという要請がま だないと思うので、ここでは発表されないのかなというふうに思ったんですけれども。 ○大野部会長 よろしいですか。  それでは、「ペノキススラム」の説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、「ペノキススラム」につきまして、資料4−1、4−2に従い まして御説明申し上げます。資料4−1が食品安全委員会の方でまとめていただいて おります農薬評価書でございます。  資料の23ぺージでございますが、総合評価ということでまとめてございます。  動物体内運命試験につきましては、ラットを用いた試験を参考にしてございます。 植物体内運命試験につきましては、この剤につきましては水稲に用いられるというこ とでございますので、水稲での結果が記載されてございます。土壌中運命試験、水中 光分解試験等々の試験の記載がございまして、23ぺージの後段でございますが、動物 を用いた毒性試験の結果ということで、急性毒性につきましてはラットとウサギでご ざいます。神経毒性試験につきましては、陰性ということでございます。亜急性毒性 につきましては、ラット、マウス、イヌで試験を実施してございます。発がん性試験 につきましては、ラット、マウスということでございます。マウスについては、発が ん性は認められてございませんけれども、ラットの雄でLGLの白血病の発生頻度が 有意に増加したということですが、発生頻度に用量相関関係がなかったということ、 背景データの範囲内であったということ、また、本腫瘍が同系統のラットに好発して いるということ、また、遺伝毒性がなかったということ、ヒトでは同細胞由来の白血 病は存在しないということから、これら等々を含めまして、この発がん性につきまし て、ヒトへの外挿性は非常に低いという結論でございます。  24ぺージにまいりまして、繁殖毒性試験について、繁殖への影響はないということ です。発生毒性につきまして、ラット、ウサギで実施されてございますけれども、催 奇形性は認められないということです。遺伝毒性につきましては、先ほど申しました ように、遺伝毒性はなかったということでございます。  これらの結果をまとめたものが、無毒性量・最小毒性の一覧ということで、24〜25 ぺージにまとめられてございますが、ADIといたしましては、ラットの慢性神経毒 性試験の結果と、ラットの慢性毒性発がん性併合試験の結果、それぞれを根拠といた しまして、最終的には慢性神経毒性の5.0mg/kg体重/日という無毒性量最小値を用いま してADIの設定根拠としてございます。安全係数を100として、ADI0.05mg/kg体 重/日と評価されたところでございます。 資料の31ぺージでございますけれども、資料4−2といたしまして部会の報告書案 でございます。「ペノキススラム」という剤でございます。これは、ポジティブリス ト制度導入時に、米国の基準を参考にして、米にいわゆる暫定基準として設定してい たものでございますけれども、今回、日本でも米について登録申請がなされたという ことがあった剤でございます。用途といたしましては、除草剤でございます。 化学名、構造式につきましては、記載のとおりということでございます。 1枚めくっていただきまして、32ぺージでございますが、フロアブル使用方法を記 載してございます。 残留試験の結果につきましては、32ぺージの後段に記載しているとおりでございま す。表でまとめたものにつきましては、35ぺージ、これは我が国での試験の結果でご ざいます。36ぺージからは海外での作物残留試験の結果ということでございます。 33ぺージに戻っていただきまして、ADIの評価でございますけれども、先ほどの 食品安全委員会の評価のとおりということで、ADIとしては0.05mg/kg体重/日でご ざいます。 諸外国の状況でございますが、JMPRではまだ毒性評価はされてございません。 コーデックスの基準もないという状況でございます。米国、カナダ、EU、オースト ラリア、ニュージーランドについて調査したところ、米国で米の基準が設定されてお ります。これは、いわゆる今の暫定基準の設定の参考をしたという部分でございます。 34ぺージでございますが、基準値案といたしまして、ペノキススラム本体というこ とでございます。基準値案でございますけれども、38ぺージでございます。現行0.02 pmでございますけれども、我が国の作残試験の結果を踏まえまして、0.05ppm とい う案でございます。これに基づきまして、暴露評価をしたものが次の39ぺージでござ いますけれども、ADI比といたしまして、TMDI試算で国民平均 0.3%、幼小児 の方で 0.6%、妊婦の方で 0.3%、高齢者の方で 0.3%ということで、いずれも80% を下回っているというところでございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見、御質 問ございますでしょうか。 ○山内委員 基準値案を現行の 0.02ppmから 0.05ppmに上げた根拠を確認したいので すが、35ぺージの国内で行われた作物残留試験の結果の、特に下の段の稲わらのとこ ろの最大残留量が 0.05ppm以下ということからこれを考えられたということですか。  それからもう1つ、(♯)のところで「申請の範囲内で試験が行われていない」と いう表現がありますが、どういうことかをもう少し説明していただけますか。 ○事務局 この剤につきましては、作物残留試験の結果につきましては、上段の水稲 のところ、 0.01ppm未満というものを残留基準の設定の根拠にしてございます。それ を踏まえて、0.01未満という値から、ばらつき等を考慮して0.05ppmを設定していると いうことでございます。 ○鰐淵委員 本当に単純なことですけれども、山内先生の疑問と同じ気もするので、 現行が0.02ppmで、結果が0.01ppm以下ですよね。だから、別に上げる必要はないので はないかという気がするんですけれども、先ほど言われた0.05ppm未満ということにな れば仕方がないかなという気はするのですけれども、そこの説明が、なぜ上げたのか なという根拠が多分あると思うんですけれども。 ○大野部会長 いかがでしょうか。皆さん、疑問に思うところじゃないかと思うので すけれども。 ○事務局 この部分は、今回、国内の作残の試験が、両方とも圃場2カ所でやってご ざいますので、0.01未満ということでございますけれども、こういった場合、これま でも圃場2カ所ということがございますので、ばらつきといいましょうか、若干余裕 を持った形で基準を設定しているということでございまして、0.05ppmという値を置い てございます。  それと、先ほど山内委員の方から御指摘ございました適用範囲内で行われていない というところでございますけれども、これは今後、メーカーに聞いたところですと、 本来であれば、この使用方法、32ぺージを御覧いただければと思うのですが、フロア ブル剤を2回以内の散布というのが登録申請の内容にある使用方法でございます。た だ、この剤につきましては、今、粒剤の開発を進めているということでございまして、 今回、作残では粒剤を1回散布して実験をしているというようなことで、回数として 1回プラス2回となってございます。その分よけいに散布しているという部分がござ いますので、適用の範囲内で行われていないということでございます。しかしながら、 最終的に残留量をみますと、定量限界、検出限界未満、0.01未満ということでござい ますので、粒剤の影響というのはほぼないだろうと考えられますので、今回この作物 残留試験を採用して、基準値を設定したところです。 ○大野部会長 いかがでしょうか。日本では試験機関が少ないので、ばらつきが十分 外されていない。だから、0.01ppmでも0.05ppmにしておくということですね。よろし いですか。ほかの御意見ございますでしょうか。  ちょっと私から農水の方に質問ですけれども、「ペノキススラム」という名前が、 通常、このスペリングだと「ペノクススラム」というんじゃないかと思ったのですけ れども、農水の方では「X」というのは「キス」と発音するんですか。 ○農林水産省 アルファベットの綴りを片仮名に直すという一定のルールがございま して、それに従って字訳しているものです。それで、こうなったと理解しております。 ○大野部会長 文部省だと「クス」だったと思ったんですけれども、私の思い違いか もしれません。ありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、この報告書案をもちまして、本部会の報告とさせていただきたいと思い ますけれども、よろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは、これを本部会の報告書とさせていただきます。  それでは、次は「フルニキシン」について、説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして、動物用医薬品の「フルニキシン」について御説明いたします。 資料は5番の資料となっております。本フルニキシンにつきましては、前々部会で御 審議を賜ったものでございますが、資料の精査を進める中で、若干追加すべき事項が 確認されたことから、また改めてその内容を御報告するものでございます。資料の1 ぺージをおめくりいただきますと、(5)といたしまして、適用方法及び用量という部 分がございます。この中の1番といたしまして、ウシ用の製剤、この末尾に「豪州」 を加えております。確認を行った結果、以前は豪州についてはまだその使用が認めら れていないということで御報告を申し上げておりましたが、新たな基準が設定されて いることが確認されたので、その部分の情報を追加しているものでございます。ウシ 用の製剤につきましては、豪州で2.2mg/kg体重/日を5日間、静脈内投与を行いまして、 最終投与後7日間の休薬をとるというものでございます。  また、(2)といたしまして泌乳牛でございます。泌乳牛につきましては、次の3ぺー ジ目を御覧いただきますと、3ぺージ目の上から4行目でございますが、豪州で2.2mg /kg体重/日を5日間、静脈内投与いたしまして、最終投与後36時間休薬をとるという ことでございます。  また、(3)といたしまして、ブタでございます。ブタにつきましても、2.2mg/kg体重/ 日、これを1日2回、筋肉内投与を行いまして、その後7日間の休薬をとるという形 になっております。追加した部分につきましては、下線部を付して記載をしているも のでございます。これを追加することによりまして、何か基準値が変わるのかという ことでございますが、結論から申し上げますと、提案している基準値につきましては 変更はございません。と申しますのも、今説明しました使用方法、用法・用量に従っ て使った場合におきましては、従来、事務局から提案をしている基準値で十分管理で きるということが想定されるところでございますので、その基準値の変更は行わない というものでございます。  具体的に説明を申し上げますと、5ぺージ目を御覧いただきますと、ウシの残留試 験の結果が報告されております。豪州の基準につきましては、筋肉では0.02ppm、以降、 脂肪、肝臓と続きますが、本部会の案として現在提唱している基準値につきましては0. 03ppm、0.3ppm。腎臓、小腸につきましては0.1ppm、0.3ppmとなっております。この提 唱している数値におきまして、豪州の基準値を照らし合わせた場合に、現行の基準値 案で十分カバーできると考えているものでございます。  また、泌乳牛につきましても同様、ブタにつきましても同様に現行の案でカバーで きるものと考えておるところでございます。したがいまして、10ぺージになるわけで ございますが、こちらが前々部会におきまして御了解をいただいております基準値の 案でございますが、こちらについて特段の変更はないというものでございまして、当 然ながら、次の11ぺージにございますADIに対するTMDI評価につきましても、 数値の変更はないというものでございます。参考までに申し上げれば、TMDIで国 民平均、幼小児、妊婦、高齢者につきまして、各 2.7%、 8.7%、 3.0%、 2.6%と いう数字で、ともに80%を下回るというものでございます。  また、使用基準の追加に伴いまして、若干本文の修正がございます。8ぺージ目で ございますが、5番といたしまして、諸外国における使用状況につきまして、現在、 上から2行目でございます。EU、カナダ、その後ろに「及び豪州」という部分をつ け加えさせていただければと考えております。  また、9ぺージ目でございますが、こちらにも先ほど御説明いたしました使用方法 に従いまして、フィナジンという主な品名がございますが、このフィナジンの欄につ きまして、豪州の使用方法等を追加させていただければと考えているところでござい ます。  説明については以上でございます。 ○大野部会長 ちょっと申し遅れましたけれども、豪州で使用されているということ で、前回これについて審議していただいたわけですけれども、そういう情報が入った ということで、修正をさせていただきたいということで御審議いただくものです。今、 修正は8ぺージの5の2行目の「カナダ」の後に抜けているということで、「豪州」 を入れるということですか。 ○事務局 はい、そうでございます。 ○大野部会長 それともう1つが、9ぺージの馬のところにも入れるということです か。 ○事務局 9ぺージ目の四角囲みの上の表がございますが、この主な品名の中のフィ ナジンという商品名があると思います。この右横に下線を付しておりますが、豪州で ウシについては7日、泌乳牛については豪州で 1.5日、ブタにつきまして豪州では7 日という情報を追加させていただければというものでございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。そういうことで、この修正について御審議 いただきたいと思います。いかがでしょうか。  特に基準値案については変更がないということでございます。よろしいでしょうか。  それでは、前回承認していただいたわけですけれども、新たにそれに修正を加えた ものをこの部会の報告とさせていただくということでよろしいですか。  ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次に「マルボフロキサシン」について御審議していただきたいと思いま す。では、説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして、動物用医薬品の「マルボフロキサシン」について御説明をい ただきます。資料につきましては、資料6−1と書いてあります資料となっておりま す。  マルボフロキサシンにつきましては、食品安全委員会のパブリックコメントが7月 6日で終了している段階でございます。現時点では、まだ当方大臣あての通知がなさ れていないというものでございます。  経緯につきましては、おめくりいただきまして4ぺージ目を御覧いただければと存 じます。こちらに審議の経緯がございまして、平成18年11月に当方大臣から食品健康 影響評価についての要請を行っております。また、先ほど説明いたしましたが、食品 安全委員会におきますパブリックコメントの募集が、本年6月7日から7月6日まで 行われていたというものでございます。  食品健康影響評価の内容につきましては、次の5ぺージ目を御覧いただきますと要 約が記載されておりますので、こちらを用いて御説明をいたします。  マルボフロキサシンにつきましては、ニューキノロン系に属する抗菌剤でございま す。適用方法といたしましては、ウシ、ブタ等々に用いられるものでございます。評 価の内容といたしましては、上から6行目でございますが、まず遺伝毒性、繁殖への 影響、そして催奇形性というものは認められなかったというものでございます。また、 慢性毒性、発がん性試験については実施されておりませんが、一般にキノロン剤につ きましては発がん性は認められていないということ。また、マルボフロキサシンに人 体にとって問題となる遺伝毒性はないと考えられたことから、発がん性試験を欠いて もADIの設定は可能であると判断されているところでございます。しかしながら、 発がん性試験を欠いているというところから、毒性学的影響から導くADIにつきま しては、追加の安全係数が考慮されているところでございます。  また、ニューキノロン系抗菌剤につきましては、特徴的な副作用といたしまして、 未成熟な動物に対する関節障害と光毒性が知られております。今回の食品健康影響評 価につきましても、これらについて検討がなされておりまして、ビーグル犬を用いた 試験におきまして、関節影響に対するNOAELが得られています。また、光毒性に つきましては、構造的に強い部類には相当しないというところから、適切に管理され る限り、食品を介して生体にとって問題となる毒性が生じる可能性は無視できる程度 と報告されているものでございます。  毒性試験の結果につきましては、その下の行でございますが、13週間の亜急性毒性 試験が実施されておりまして、こちらから得られました4mg/kg体重/日という数値を 用いまして、毒性学的ADIが求められております。毒性学的ADIにつきましては、 先ほどの発がん性試験を欠くというところから、4mgに対しまして安全係数1000、こ れで除したものが報告されておりますが、一方、本物質は抗菌性物質であるというと ころから、微生物学的ADIが求められております。微生物学的ADIにつきまして は、in vitroの試験結果から0.0032mg/kg体重/日という数字が求められておりまして、 微生物学的ADIから求められる数値の方が毒性学的ADIよりも低いというところ から、食品健康影響評価につきましては、この0.0032mg/kg体重/日というものがAD Iとして評価がなされているものでございます。  続きまして、部会の報告書の案でございます。ぺージでいいますと、27ぺージを御 覧ください。こちらにマルボフロキサシンの概要について取りまとめてございます。  1の(1)としては品目名。そして、(2)といたしまして用途。こちらは、ウシ及 びブタの細菌性肺炎の治療を目的に使われるものでございます。なお、今般、食品安 全委員会におきます食品健康影響評価につきましては、まずは国内の承認に向けた新 規承認の申請がなされているということを踏まえてADIの設定がなされたものでご ざいます。  以降、(3)といたしましては化学名。(4)といたしましては構造式及び物性を記 載してございます。  また、(5)以降につきましては、用法・用量を記載してございます。  1ぺージおめくりいただきまして、28ぺージを御覧いただきますと、各国におきま すマルボフロキサシンの使用方法等を取りまとめてございます。まず、対象となって いる家畜でございますが、ウシ、ブタ、泌乳牛というものが対象に使われております。 また、使用が認められている国につきましては、EU、そしてニュージーランドが現 時点で確認できる使用が認められている国となっております。更に、その右横には休 薬期間をお示しているところでございます。  次に、2番の対象動物における分布、代謝でございます。(1)としましては、ウシ における分布、代謝試験が実施されております。分布、代謝につきましての内容は記 載のとおりでございますが、この本文の2パラ目以降になりますでしょうか、経口投 与の試験結果が示されております。その試験結果といたしましては、乳または糞等々 の排泄物等に含まれる本物質の代謝についての記載がございまして、ほとんど大半が 未変化体で存在しているということが報告されています。  また、次のぺージを御覧いただきますと、ブタについての分布、代謝試験がござい ます。こちらにつきましても、ウシと同様に、その代謝というものはほとんど行われ ておらず、排泄物等に認められる形態につきましては、そのほとんどすべてが未変化 体として存在しているということが報告されています。  このようなことを踏まえまして、29ぺージの3番として、分析の概要でございます が、分析対象化合物につきましてはマルボフロキサシン本体を対象としております。 分析法の概要につきましては、蛍光検出器付きの高速液体クロマトグラフにより残留 性が確認されております。  各組織における残留でございますが、3の(2)以降に記載してございます。1ぺー ジおめくりいただきますと、まずウシにつきまして報告がございます。最も休薬期間 等が短いものを勘案いたしますと、EUの休薬期間4日間というものがございますの で、表を照らし合わせるならば、30ぺージの表2にございます試験日(投与後日数) として4日、この点を勘案し、基準値を設定してございます。  また、31ぺージを御覧いただきますと、こちらにはブタの残留試験が報告されてお ります。ブタにつきましては、最も短い休薬期間が2日となっておりますので、表1 また表2について3日の欄を参照して基準値の設定を行っております。  また、泌乳牛につきましては、最も短い休薬が24時間となっておりますので、32ぺ ージを御覧いただきますと、乳中の残留試験が報告されておりますが、この乳中の残 留試験につきまして、24時間というものを参考として基準値の設定をしてございます。  次に、4番といたしましてはADIでございますが、これは、先ほども御説明しま したとおり、微生物学的ADIから算出いたしました0.0032mg/kg体重/日というもの が記載してございます。  5番といたしまして、諸外国における使用状況でございます。これは、先ほど来御 説明申し上げておりますが、米国、EU、豪州、カナダ、ニュージーランド、これら を調査したところ、EUとニュージーランドにおいてウシ、ブタに使用が認められて いるというものでございます。なお、JECFAにおいて、評価は現時点ではなされ ていないものでございます。  次に、33ぺージを御覧いただきますと、基準値の案を6番としてお示ししておりま す。残留の規制対象といたしましては、マルボフロキサシン本体でございます。また、 基準値の範囲でございますが、1ぺージおめくりいただきまして、34ぺージを御覧い ただければと思います。34ぺージに基準値の現行、これはポジティブリスト制度を導 入にするに当たりまして新たに設定した基準でございますが、これをお示しして、更 に、その左側に今般、部会で御審議をいただく基準値の案をお示ししております。筋 肉、脂肪、肝臓、腎臓、そして食用部分というものについて、それぞれウシ、ブタ、 そして最後に乳を記載してございます。  この基準値の案に対応しますADI比の評価でございますが、次の35ぺージに取り まとめてございます。35ぺージを御覧いただきますと、現行の基準値の案に対しまし て、国民平均、幼小児、妊婦、そして高齢者、それのTMDI試算によれば、おのお の 8.6%、35.0%、10.0%、 8.4%という形になっておりまして、ともに80%を下回 る値となっております。  2ぺージお戻りいただきまして、33ぺージを御覧いただきまして、6ぺージの基準 値案として、(3)のADI比につきましては、ただいま説明したとおりでございます。  (4)につきましては、現在設定されている基準というものがポジティブリスト制度 を導入する際に、新たに設定した基準でございますので、今回の御検討を受けて、そ の基準値を削除いたしまして、正式に審査がなされた基準として設定をしたいという ものでございます。  説明については以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明についての御質問、御意 見ございますでしょうか。 ○山内委員 細かい点で恐縮ですが、30ぺージのウシにおける残留の表2の4日のと ころが、2日目のところの筋肉の数値と比べますと、筋肉の一番小さい数値は 0.025p pm未満になっておりまして、それに比べると、4日の方は 0.035ppmで上がっているわ けですけれども、こういうのも幾つかあるデータのうちの誤差の範囲ということでよ ろしいんですよね。 ○大野部会長 いかがですか。この中で、2日目で 0.065ppmというのもありますので、 そういうこともあり得るかなと思いますけれども、事務局の方でデータか何かがあり ますか。 ○事務局 こちらにつきましては、申請者側から申請されました残留試験のデータに 基づいて、そのままの数字を記載しているものでございますので、実際そのようなこ ともあり得るのかと考える次第でございます。 ○大野部会長 よろしいですか。 ○山内委員 はい。 ○大野部会長 ちょっと細かいところですけれども、28ぺージで「ウシにおける分布、 代謝試験」の5行目のところに、糞中排泄率が 46.74、 41.16、 45.77とか、その後 も続いていますけれども、4けたになっていると思うんです。これは、3けたに四捨 五入していただけますか。4けたというのはちょっと恥ずかしいので。 ○事務局 わかりました。修正させていただきます。 ○大野部会長 ほかに御意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、ほかに御意見がなければ、マルボフロキサシンについての部会の報告案 を、この部会の報告としてよろしいでしょうか。  ありがとうございました。それでは、これを部会の報告とさせていただきます。  それでは、今後の手続について、事務局の方から説明していただけますでしょうか。 ○事務局 本日、御審議をいただきました農薬「ピラクロニル」、「ペノキススラ ム」、動物用医薬品の「マルボフロキサシン」につきましては、食品安全委員会から の通知をもちまして部会報告書とさせていただくことといたします。農薬「ジクロト ホス」、「ビフェントリン」、動物用医薬品「フルニキシン」につきましては、食品 安全委員会からの通知を受けていることから、本案をもちまして部会報告書とさせて いただきます。  なお、今後の手続につきましては、食品衛生分科会にお諮りするとともに、パブリ ックコメント、WTO通告の手続を進める予定としております。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。  では、今日の議題次第で「その他」というのがありますけれども、ほかに議題はご ざいますでしょうか。 ○事務局 次回以降の本部会の開催日程につきまして、この場を借りまして御連絡を させていただければと思います。次回の本部会の開催日程につきましては、8月29日 の午後を予定しております。詳細な場所等につきましては、追って御連絡を申し上げ たいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございました。その他ございますでしょうか。 ○豊田委員 直接審議には関係ないんですけれども、今、一番最後のマルボフロキサ シンを見ていたら、ブタのところとか、動物に投与するのに筋肉内に1回と書いてあ るんです。その前のフルニキシンの方を見たら、ちょうどブタのところだけ2回投与、 2回筋肉内注射となっているんです。ほかの外国はみんな1回と書いてあるのに、な ぜブタに2回投与しなければいけないのか。関係ないんですが、もしわかっていたら 教えてほしいと思っただけです。 ○大野部会長 これは農水の人に伺った方がよろしいんじゃないかと思いますけれど も、いかがでしょうか。フルニキシンは2回投与なのに、マルボフロキサシンが1日 1回と。 ○事務局 今、御指摘いただきましたフルニキシンでございますが、これは開発メー カーの方に確認をとっておりまして、基本的には1日1回が原則だそうでございます。 ただ、その症状等を見ながら、最大2回までの使用を認めているという状況でござい まして、当方といたしましては、2回と多い方の数字を採用して記載しているもので ございます。 ○大野部会長 大体、薬物の半減期によって違うんじゃないでしょうか。よろしいで すか。  ほかにございませんでしょうか。この機会に。今日は大分時間がありますけれども。 よろしいですか。  それでは、どうもありがとうございました。特に御意見がなければ、これで今日の 議事を終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2487、2489)