07/07/13 第23回中央最低賃金審議会議事録            第23回中央最低賃金審議会議事録             1 日 時  平成19年7月13日(金)17:00〜18:25 2 場 所  厚生労働省省議室 3 出席者   【委員】 公益委員  石岡委員、今野委員、鬼丸委員、勝委員、中窪委員、              藤村委員   労働者委員 石黒委員、勝尾委員、加藤委員、田村委員、中野委員、              吉越委員        使用者委員 池田委員、川本委員、原川委員、横山委員、吉岡委員   【事務局】厚生労働省 柳澤厚生労働大臣、青木労働基準局長、              氏兼勤労者生活部長、前田勤労者生活課長、              植松主任中央賃金指導官、吉田副主任中央賃金指導官、              吉田課長補佐 4 議事次第 (1)会長及び会長代理に選任について (2)平成19年度地域別最低賃金額改定の目安について(諮問) (3)その他 5 議事内容 ○前田勤労者生活課長  ただ今から「第23回中央最低賃金審議会」を開催いたします。本日はお忙しいとこ ろ御出席いただきましてありがとうございます。勤労者生活課長の前田でございます。 今回の会議は4月の委員の改選後初めてですので、会長が選出されるまでの間は私ど もの方で進行を進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  お手元に資料1として、新しい委員名簿をお配りしておりますので御確認いただけ ればと思います。今回新しく就任された委員を御紹介いたします。公益側として新た に就任された方は、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授の藤村 博之委員です。  次に、労働者側委員です。日本サービス・流通労働組合連合中央執行委員の石黒生 子委員です。日本労働組合総連合会労働条件局長の勝尾文三委員です。UIゼンセン 同盟労働条件局局長の田村雅宣委員です。日本食品関連産業労働組合総連合会中央執 行委員の吉越亜紀委員です。  次に、使用者側委員です。日本通運株式会社執行役員中部ブロック総括兼名古屋支 店長の横山敬一郎委員です。有限会社筑波山江戸屋常務取締役の吉岡鞠子委員です。 なお、この他、株式会社ベネッセコーポレーション執行役員Parentingカンパニープ レジデントの岡田晴奈委員が御就任されていますが、本日は欠席されております。  次に、事務局の異動について紹介いたします。勤労者生活部長に新たに就任した氏 兼です。主任中央賃金指導官の植松です。  最初の議事は、会長及び会長代理の選任についてです。会長及び会長代理につきま しては、最低賃金法第30条第2項の規定によりまして、公益委員のうちから委員が選 挙することとされておりますが、いかが取り計らいましょうか。 ○勝委員  公益委員の今野委員に引き続き会長、また、石岡委員に会長代理をお願いしたいと 思いますが、いかがですか。 ○前田勤労者生活課長  ただ今、今野委員を会長に、石岡委員を会長代理にという御提案がございましたが、 いかがですか。                 (異議なし) ○前田勤労者生活課長  それでは今野委員に会長を、石岡委員に会長代理をお願いいたします。それではこ れ以降の本審議会の進行は今野会長にお願いいたします。今野会長は、会長席へご移 動ください。 ○今野会長  御指名ですので、会長を担当させていただきます。御協力のほどをよろしくお願い します。  次の議題に入ります。「平成19年度地域別最低賃金額改定の目安について」です。 事務局からお願いします。 ○前田勤労者生活課長  大臣から諮問させていただきます。                (諮問文手交) ○柳澤厚生労働大臣  ただ今「平成19年度地域別最低賃金額改定の目安について」の諮問をさせていただ きましたので、その趣旨等につきまして、冒頭、ご挨拶の形で皆様方に申し上げます。  今日、我が国経済は緩やかではありますが、その回復過程にあると認識いたしてお ります。  この間しかしながら、パートタイム労働者など非正規雇用が拡大いたしまして、働 き方の多様化が進んでおります。そのような中で、労働者が安心、納得して働ける環 境整備が極めて重大な課題になっていることは申すまでもないことと考えております。  こうした状況の中で、最低賃金制度につきましては、賃金の低廉な労働者の労働条 件を下支えするセーフティネットとしてますますその重要性が高まっていると認識し ているところでございます。このため、公労使による労働政策審議会におきまして、 十分御議論をいただいた上で取りまとめられた、地域別最低賃金の水準について生活 保護の施策との整合性も考慮して決定することなどを内容とした最低賃金法の一部を 改正する法律案を先の通常国会に提出いたしたところです。しかしながら、国会の審 議の中で、残念ながらこれが継続審議となったところです。国会審議におきましては、 格差の固定化は適当でないという議論であるとか、生活保護との整合性、あるいは諸 外国との比較などの観点から、最低賃金を大幅に引き上げるべきだといった議論がな されたことを御報告申し上げる次第です。私からはそのような議論に対しまして、例 えば以下のように申させていただきました。  すなわち、「雇用の形態というものがどういうものであっても安心、納得して働ける、 そういう条件のもとで働いていただきたい、こういう考え方の下で最低賃金の見直し というものを打ち出させていただいているわけでございます。中長期的な最低賃金の あり方ということを考えますと、今後、ぜひこれを引上げの方向に導いていきたい。」 このように6月20日、衆議院の厚生労働委員会でも答弁をさせていただいたところで ございます。  法案は継続審議となりましたが、法案提出の前提となった事実認識というものは、 これは変わるものではないわけでございます。委員の諸先生におかれましては、この 事実認識に立って御審議を是非ともお願いしたいと申し上げる次第です。  政府におきましては、関係省庁が協力をしながら、成長力底上げ戦略というものに 取り組んでいるところですが、内閣官房長官が主宰をいたします「成長力底上げ戦略 推進円卓会議」におきましても、格差の固定化を防ぎ、賃金の底上げを図るという観 点から、最低賃金の引上げについて議論が行われているところでございます。  7月9日には、「中央最低賃金審議会においては、平成19年度の最低賃金について、 円卓会議における議論を踏まえ、従来の考え方の単なる延長線上ではなく、パートタ イム労働者や派遣労働者を含めた働く人の「賃金の底上げ」を図る趣旨に沿った引上 げが図られるよう、十分審議されるように要望する」旨の合意が取りまとめられたと ころでございます。  地域別最低賃金につきましては、最低賃金法改正法案の考え方が尊重されるべきも のと考えておりますが、平成19年度地域別最低賃金額改定の目安の調査審議に当たっ ても、こうした現下の最低賃金を取り巻く状況を踏まえまして、働く人の賃金の底上 げを図る趣旨に沿った引上げが図られるように、そういう方向での議論が行われるこ とを希望いたしております。そういう方向での御努力を切にお願いを申し上げる次第 でございます。以上、一言、冒頭に当たりまして、私から御挨拶を申し上げさせてい ただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○今野会長  大臣は所用のために退席されます。それでは、ただ今の諮問内容について、事務局 から説明をお願いします。 ○前田勤労者生活課長  資料No.2をご覧ください。諮問文の写です。例年の目安の諮問につきましては、い わば白紙諮問といいますか、改定の目安について、審議会の調査審議を求めるという 形で諮問させていただいておりましたが、本年度につきましては、従前と異なった形 の諮問となっております。「現下の最低賃金を取り巻く状況を踏まえ、成長力底上げ戦 略推進円卓会議における賃金の底上げに関する議論にも配意した」という部分が、今 回の諮問文には入っておりまして、今大臣が申し上げましたような最低賃金を取り巻 く状況、あるいは円卓会議における議論といったものを踏まえて、御審議をお願いし たいという趣旨のことです。  続きまして、資料No.3をご覧ください。これは大臣の挨拶の中にもありましたよう に、最低賃金法の一部を改正する法律案を、先の通常国会に提出したところです。  資料No.3の1枚目、主な内容のところの、「地域別最低賃金の在り方」ですが、生 活保護との整合性も考慮するということで、これを法律上明確にしている、という内 容を含んでいるということです。  経過については、昨年の12月27日、労働政策審議会で答申がまとめられ、今年の1 月に法律案要綱について諮問し、答申をいただきました。3月13日に、法律案が閣議 決定され、国会に提出されたということです。  その後、5月24日に衆議院本会議において趣旨説明・質疑が行われ、同じく、5月 25日、衆議院の厚生労働委員会で提案理由説明を行いました。6月に入りまして、衆 議院の厚生労働委員会において5回審議が行われましたが、継続審議になっている状 況です。  資料No.4は、通常国会におきまして、特に格差に係る議論が、予算委員会などから かなり行われたという状況にあります。また、民主党からは格差是正緊急措置法案と いったようなものも出されまして、そういった議論が行われたわけです。  資料No.4は、予算委員会、あるいは最低賃金法改正法案の審議の中で行われた質疑 をまとめたものです。  主なところを申し上げます。まず、最低賃金の見直しについての基本的な考え方に ついていろいろ質疑が行われております。これに対して政府としては、就業形態が多 様化し、非正規労働者が増加する中で、雇用形態にかかわらず安心、納得して働ける 環境整備という観点から、セーフティネットとしても最低賃金の重要性が増しており、 セーフティネットとして十分機能するように生活保護との整合性を考慮する、という ことを法律上明確にしております。さらに、中長期的に引上げの方向に導いていきた いということで、そのためには成長力底上げ戦略などによる中小企業の生産性の向上 と、最低賃金の引上げに取り組んでいきたいという趣旨で答弁しているところです。  特に、野党からは、地域別最低賃金を時間額で1,000円以上にすべきといったよう な議論がなされております。あるいは、平均賃金に対する最低賃金の比率の国際比較 などをみても、ヨーロッパでは4割、あるいは5割を超えているところもあることか ら、取りあえず5割を目標で、1,000円を目標にすべきといった議論がなされておりま す。また、イギリスやフランスの最低賃金も1,000円を超えており、さらにアメリカ でも今回引上げの法案が成立したという中で、日本は先進国の中でも非常に低いとい う議論があります。  一方、与党からは1,000円というのは理想論にすぎるのではないか、あるいは地域 の経済力に見合ったもの、支払能力も考慮すべきといった議論がされております。や はり、地域の経済水準や支払能力とかけ離れた水準とするということについては、中 小企業の事情も踏まえれば、非現実的ではないかという議論がありました。  政府としても、抜本的に大幅に引き上げるとなると、例えば1,000円については、 中小企業を中心にコスト増とか、事業経営圧迫といったことで、かえって雇用が失わ れるという面があり、非現実的であるという答弁になっています。  一方、生活保護との整合性については、与党、野党を問わず、やはり生活保護より も低いと働くという意欲がなくなる、モラルハザードの問題があるということが指摘 されており、今回、法律上、生活保護との整合性を考慮する等明確にしたということ です。政府としては、法案成立のあかつきには、地方最低賃金審議会において、改正 の趣旨に沿った議論が行われ、現下の雇用・経済状況を踏まえた適切な引上げ等の措 置を講じていきたいという趣旨で答弁させていただいております。  さらに、生活保護との整合性の配慮の意義は、少なくとも生活保護水準を上回ると いう趣旨で考えるべきということです。これも与野党を問わず、そういった国会での 議論がなされているところです。  具体的にどの程度上がるのかということもかなり議論されましたが、基本的には最 終的に地方最低賃金審議会の審議を経て決定されるものです。まず、働かず生活保護 を受けているという場合と、働いて最低賃金で収入を得るというときに、生活保護よ りも最低賃金の方が低いというと、やはり働く意欲がなくなる。モラルハザードとい う問題が出てくるということです。まず、衣食住という意味で、若年単身世帯で生活 扶助基準の都道府県内の人口加重平均に住宅扶助を加えたものと、手取額の最低賃金 を比較して、その逆転を解消していくことがまずは重要であろうと。その上で、最低 賃金と生活保護との整合性の在り方について考慮していく必要があるといったような 趣旨で答弁しております。  さらに中小企業との関係で、これについても与野党とも中小企業対策というものと、 最低賃金引上げというものを並行して進めるべきといったような議論をされておりま す。まさに政府としては、成長力底上げ戦略で、中小企業の生産性向上と最低賃金の 中長期的な引上げを図っていく、円卓会議で政労使合意の形成を図って、産業政策と 雇用政策の一体運用を図るといった答弁です。  全国一律最低賃金を導入すべきというのも、野党からかなり議論として出されてお ります。これにつきましては、政府としては地域によって物価水準等も差があり、生 計費も異なるということから、全国一律というのは適当ではないといった答弁をして おります。  なお、民主党から全国最低賃金、地域最低賃金の設定を内容とする最低賃金法の改 正法案も提出されております。民主党では、全国最低賃金を800円、地域最低賃金は 全国平均1,000円を目指すといったような主張がなされております。詳細はご覧いた だければと思います。  次に資料No.5、成長力底上げ戦略の関係です。まず、「成長力底上げ戦略」(基本構 想)が、今年の2月15日、官房長官を主査として、各関係省庁の次官等が構成員とな っている構想チームで取りまとめられたということです。大きく3本の矢と言ってお ります。1つ目が人材能力戦略、2つ目が就労支援戦略、3つ目が中小企業底上げ戦略 です。中小企業底上げ戦略の中で、生産性向上と最低賃金引上げに向けた政策の一体 運用を図っていこうということです。(1)円卓会議を設けて、生産性向上を踏まえた 最低賃金の中長期的な引上げの方針について、政労使の合意形成を図り、その合意を 踏まえ、産業政策と雇用政策の一体運用を図ることによって、生産性向上とともに最 低賃金の引上げを図っていこうというのがこの戦略です。その後、3月から政労使で円 卓会議が設けられまして、これまで3回開催されております。  次に、資料No.6−1、「最低賃金の中長期的な引上げについて」です。2頁、「(参考) これまでの会議で出された最低賃金引上げに関する意見」です。これは第3回の円卓 会議で出された資料で、これまで第1回目と第2回目の円卓会議で出された意見を取 りまとめたものです。  1番目は、最低賃金について労働者の生計費に即した水準とすべきという意見です。 基本的には、労働者の生活を保障するということで、その根拠としては労働者の生計 費に絞るというのが筋ではないかという意見です。仮に、最低賃金引上げによるコス ト負担でマイナスの影響を被るという企業が出てくるとしても、本来は企業努力で解 決すべきである。ただ、その影響が甚だしいというような場合には、新しい政策の中 で解決すべきであろうということです。  大きな2番目、これは生活保護水準との逆転現象を解消すべきというまさに今回の 最低賃金法改正法案などを踏まえた意見です。生活保護との逆転現象が起こらないよ うにし、それに耐えられるような対策も政府として講じていくことが必要であろうと いうことです。   3つ目は労働組合から出された意見ですが、高卒初任給に準拠した水準とすべきとい う意見です。これについては、最低賃金制度ができた当時は中卒で就職というのがか なり一般的であったということで、当時の最低賃金がある程度中卒初任給も考慮しな がら決定していたのではないか。その後、目安方式で毎年引上げをやってきているわ けですが、それが上げ幅の論理だけになっているという議論です。今中卒での就職は かなり例外的で、ほとんどが高校に進む時代になっているので、高卒の初任給という ものを1つの基準にするという考え方が主張されています。  4つ目が、平均賃金の一定水準とすべきとの意見です。これも労働組合から出された 意見ですが、日本の最低賃金は先進国の中でも低い。中長期的な引上げ方針について、 ある程度の指標などがいるのではないかということです。この一般労働者の平均賃金 の36.5%は、17年度の数字と思いますが、例えば50%とか、そういうことにしたらど うかという議論です。  5つ目は使用者側からの意見で、中小企業の生産性向上をまず先行させるべきという 意見です。まず大企業と格差が大きい、それから地域間の格差もあるということで、 その低いところを上げていくことが必要なわけですが、そのためには中小企業支援と いうものがないと、最低賃金だけを上げることは非常にきつい。まず中小企業全体の 底上げを図るのが先で、生産性向上を図った上で、結果として最低賃金を上げていく べきであるという意見です。  6つ目は、最低賃金引上げと中小企業の生産性向上を同時に進めるべきという意見で す。下請の適正化などを含め、地方への支援や中小企業への支援ということと、最低 賃金の引上げを並行して進めていくことをやっていただきたい。どちらか一方だけと いうことではないということです。こういった意見が第1回、第2回に出されました。  資料No.6−1に戻りますと、第3回の円卓会議では、第1回、第2回のときに出さ れた意見を事務局で整理し、中長期的な引上げについて3つ案を提示しています。案 の1が、「生活保護水準」への引上げを目指すということで、先ほどの1番、2番の意 見が基になっていると思います。労働者の生計費を基準とするということで、「生活保 護水準」を上回るような水準への引上げを目指すということで、一定期間かけて引上 げを行うという案です。ちなみに現行の最低賃金、全国平均673円ですが、生活保護 で生活扶助と住宅扶助を考慮した場合に698円ということで、25円ぐらいの引上げと いうことです。  案の2が、先ほどもありましたが、「高卒者初任給」を一つの考え方として引上げを 目指すという考え方です。常用雇用者で最も賃金が低い初任給の水準を考慮して、高 卒の初任給の水準への引上げを目指すということで、一定期間をかけて行うというこ とです。18年の賃金構造基本統計調査での高卒者初任給、平均で見ると914円です。 最も低い第1・十分位、かなり規模の小さい所の女子の第1・十分位が720円です。こ れは参考の数値です。  案の3は、平均賃金の一定水準という意見を受けて、「平均賃金の一定割合」への引 上げを目指すという考え方です。これも一定期間をかけて「一定割合」への引上げを 行うということです。参考として、18年の賃金構造基本統計調査で、平均賃金が1,807 円です。これは一般労働者の平均賃金です。仮に、40%とすれば723円、50%であれ ば904円となります。  第3回のときに、中長期的な引上げについてこうした案が提示され、それを基にさ らに議論が行われました。資料No.6−2は第3回で出された意見です。  まず生計費に即した水準とすべきという意見です。例えば、700円ぐらい、あるいは 時間額40円引上げというようなこともありましたが、一応700円ぐらいを着地点とす べきという意見が出されています。やはり生活保護を上回る水準にしないと、働かな い方がいいということになる。その場合に、生活保護水準について、例えば勤労控除 を含めるといった考え方も、合わせて意見としてありました。一方、使用者側からは、 生活保護についてはよく実態を調査してみてほしい。地域によってもかなり求人倍率 なども格差がある。雇用が一番重要であって、生活保護だけの関係で決めていくのは 問題であるという意見がありました。  中小企業支援と最低賃金引上げを別に考えるべきという意見がありました。中小企 業はやっていけないということについて、やはり最低賃金は生計費を保障するという ことから、中小企業支援とは別の切り口から考えるべきで、企業として努力すべきだ、 どうしてもできない企業についての支援は別途考えるべきという意見です。これに対 して使用者側からは、中小企業の生産性向上を先行すべきと、これは第1回、第2回 もあったわけですが、やはり零細企業にとっては支払能力が一番問題であって、それ がないことには賃金を上げると中小企業は潰れてしまうという意見です。日本でも 99.7%が中小企業で、その活力なしには日本経済の活力はないということで、経営者 としても賃上げに反対しているわけではないが、まず生産性を上げて、付加価値を増 やし、利益を確保しないことには、なかなか賃金を上げるところまでいかないという 意見です。  これに対して、引上げと生産性向上を同時に進めるべきという意見がありました。 第1回も第2回もあったわけですが、やはり引上げと中小企業サポートをリンクして 進めるべきである。全く切り離すということであると、やはり中小企業には酷なので、 そうした中小企業の生産性向上の支援が同時に行われるべきという意見です。  これに対して、最低賃金引上げを優先すべきという議論がありました。零細企業と いっても、ある程度の引上げはやはり今重要であって、零細企業でも吸収できる比率 は増えているのではないか。零細企業といっても従来の生業型の零細ではなく、企業 型の零細が増えてきている。零細企業に対して全く影響がないとはいえないわけです が、格差の固定化を防ぐことが優先されるべきで、最低賃金引上げを優先すべきとい うことです。それから賃金を安くして生き残っていくのは、やはり限界があり、ある 程度の賃金は払えることが、長期的にも必要であろうということです。  一方、5頁の8でやはり雇用との関係で、人為的に最低賃金を引き上げることで、雇 用が減少するという議論です。どのくらい失業が増えるかということも十分考慮すべ きという意見があります。ただ、これに対して公益委員からは、雇用と最低賃金との 関係についてはかなりいろいろ研究があるが、結論はなかなか1つではない。ある研 究においては、最低賃金引上げによって雇用が失われるとか、企業が潰れるとかいう のがある。最近のアメリカでは、それほどの影響はなく、生産生向上を同時に行い、 倒産しない状況をつくるのが重要だという議論もある。この点についての結論が必ず しも1つではないという意見がありました。  高卒初任給を用いることについては、需給関係で決まるので、最低賃金と結びつけ るのは無理だという、使用者側からの意見がありました。その他、円卓会議において 中長期について生活保護とか、高卒初任給、あるいは平均賃金といった議論をしてい ることを、中央最低賃金審議会の方にもつないでほしいという意見がありました。第3 回にこうした議論が行われたわけですが、最終的に資料No.7として、第3回の円卓会 議における合意がとりまとめられました。  合意の内容は4つあります。1つ目の合意は、先ほどの中長期的な引上げの方針につ いて案の1、案の2、案の3ということで議論があったわけですが、これについては最 低賃金法の改正法案が継続審議になった状況もあり、さらに今後継続的に議論を行い、 地域での議論も喚起しながら、年内を目途にとりまとめるということです。  2つ目は、その意味で最低賃金法の改正案については次期国会で速やかな成立が望ま れるということです。  3つ目は、生産性向上について、中小企業庁等を中心に「中小企業生産性向上プロジ ェクト」という施策が取りまとめられており、そうした施策の具体的実施に全力を上 げて取り組むべきであるという合意です。  4つ目の合意は、特に平成19年度の最低賃金の問題についてです。まさにこの中央 最低賃金審議会でこれから御審議いただくわけですが、中央最低賃金審議会に対して、 「平成19年度の最低賃金について、これまでの審議を尊重しつつ本円卓会議における 議論を踏まえ、従来の考え方の単なる延長線上ではなく、雇用に及ぼす影響や中小零 細企業の状況にも留意しながら、パートタイム労働者や派遣労働者を含めた働く人の 「賃金の底上げ」を図る趣旨に沿った引上げが図られるよう、十分審議されるよう要 望する。」ということです。  円卓会議でも、従来の考え方ということが議論になったのですが、これまで目安に ついて様々な要素を考慮してきたわけですが、特に、賃金改定状況調査の賃金上昇率 を重要な参考資料としてきた、これは公益委員見解においてですが、そういう経過が あります。平成19年度の賃金改定状況調査でみると、0.7%です。仮に、その率を使 うと5円程度になるという説明を厚生労働省でさせていただいています。そうした5 円程度といったような従来の考え方の単なる延長線ではいけないというのが、基本的 な合意の中身です。  資料No.8をご覧ください。円卓会議における議論も踏まえ、平成19年度の地域別 最低賃金額改定の目安審議に際して留意すべき考え方を、事務局で整理いたしました。 「地域別最低賃金については、最低賃金法改正法案の考え方が尊重されるべき」とい うことについては、生活保護との整合性を図るということで法案を提出しており、そ れは成立していないということです。それ自体は法案成立すれば、そうした考え方で やっていくということです。現時点、今年度という意味で「当面」ですが、「平成19 年度地域別最低賃金額改定の目安の調査審議に際しては、現下の最低賃金を取り巻く 状況も踏まえ、以下のような考え方についても留意してはどうか。」。先ほどの円卓会 議の中長期的な引上げの案なども踏まえ、例えば、こうした考え方も留意したらどう かということです。  1つ目が、一般労働者の所定内給与に対する比率ということです。先ほどの円卓会議 の資料No.6−1でいくと、平均賃金の一定割合の引上げを目指すという考え方をベー スにしたものです。賃金構造基本統計調査で、平成18年度の一般労働者の所定内給与 は1,807円です。これに対して最低賃金が673円ですので、平成18年度においてはそ の比率が37.2%です。過去の最高は昭和54年の37.7%で、仮に0.5ポイント引き上 げると、681円となり、8円の引上げです。また1ポイントで、仮に38.2%まで平成 19年度で上げることにすると、18円の引上げです。先ほどの平成19年度の賃金改定 状況調査の賃金上昇率の速報では、0.7パーセントで5円というのがあります。それに 先ほどの8円なり、18円を上乗せすると、13円あるいは23円の数字になります。  2つ目は、先ほどの資料No.6−1でいくと、高卒初任給への引上げを目指すことをベ ースにしたものです。地域別最低賃金と高卒初任給、これについて一応2つあります が、平均の80%、あるいは小規模企業・女子の高卒初任給の第1・十分位数です。平 均の80%でいくと、731円になります。これと平成18年の地域別最低賃金673円で、 この格差縮小を図るということで、当面格差の2分の1を縮小する引上げですれば29 円です。小規模企業の女子高卒初任給の第1・十分位数が、平成18年度で720円です。 これまた673円との格差の2分の1を、当面平成19年度解消する形で引き上げると、 24円の引上げになります。これも平成18年度の数字ですので、先ほどの平成19年度 の賃金上昇分の5円にそれぞれ上乗せすると、29円又は34円という数字になります。  3つ目は、小規模企業の一般労働者の賃金の中位数の50%で、平均賃金とちょっと 似たようなものです。相対的貧困率などについては中位数の50%より下のところを、 相対的貧困とみます。かつてイギリスで最低賃金を導入するときに、当初考え方とし て一般労働者の賃金の中位数の50%という考え方もありましたが、最終的に採用され ていません。そうした考え方もあったということです。  仮に小規模企業で賃金の中位数を取ると、1,360円というのが平成18年の賃金構造 基本統計調査の数字です。その半分にすると682円ということで、673円の最低賃金に 比べると、9円の引上げの形です。これについても平成19年度の賃金上昇率に見合う 5円を足し合わせれば14円という水準です。  4つ目は、「成長力加速プログラム」を政府として策定しています。過去10年間の労 働生産性の伸びが、平均で実質ベースで1.6%です。これを5年間で5割増にするとい うことで、5年後に2.4%に伸ばそうというのが政府の計画として策定されています。 5年間で1.6を2.4に、0.8上げるということで、仮に毎年同じ率だけ上げていくこと を前提にすると、平成19年度は1.76%という数字です。それが実質ベースですので、 消費者物価の上昇率も、政府としては平成19年度0.5%の上昇という計画があります。 その2つを合わせると、約2.2%で15円の引上げになる。 これまでの円卓会議などの議論も踏まえ、当面の今年度の目安の調査審議に際しては、 こうした考え方にも留意してはどうかということです。説明は以上です。 ○今野会長  ただ今の説明について、御意見なり御質問がありましたら、よろしくお願いします。 ○原川委員  最初に、この審議会の進め方に関してお願いをしておきたいと思います。今回の最 低賃金の改定にあたっては、今説明がありましたように、円卓会議での合意の中の要 望、諮問文にもありましたような、こういうことが出てくる状況というのは分かりま したが、こういうことに配意しつつも、審議会の進め方については最初に最低賃金の 引上げありきという、そういうことが当然の帰結とした一方的な審議、議論が行われ るのではなくて、改正法にもありますとおり、最低賃金がこの審議会の議論を経て決 定されるとなっていますので、できる限りニュートラルな形での冷静な、そして実態 を踏まえた議論が行われるようなことで進めていただきたいと、切にお願いをいたし ます。  引き続き意見を申し上げます。私どもは、今説明がありましたように、中小企業の 立場で意見を申し上げたいと思います。中小企業の経営はここ10数年に及ぶ長期不況、 それから下請等に見られるように厳しい取引環境等を背景といたしまして、依然厳し い状況にあり、全体として余力がない。また、地域、業種、規模の格差がみられる現 状においては、最低賃金の大幅な引上げに対応することは、現実の問題として極めて 困難です。最低賃金の無理な引上げを行えば、中小零細企業は経営に大きな打撃を受 け、その結果、緩やかながら徐々に良くなってきております中小企業の景気も水をさ されることになり、倒産、廃業が多発し、全体の7割を担っている雇用の不安定化を 招くことになりかねません。まさに、最低賃金の大幅な引上げの議論は中小零細企業 の死命を制する問題をはらんだ、重大な議論でもあるので、くれぐれも慎重に行うべ きであります。  それから最低賃金の引上げに応ずるためには、まず生産性、すなわち付加価値の向 上を図り、中小企業全体の底上げを実現することが不可欠であると考えます。したが って、この資料No.8の4にもありましたが、生産性の向上を見込んだ引上げというよ うなこと、すなわち、初めに最低賃金の引上げありきというように聞こえますけれど も、こういうことではなく、あくまでも中小企業全体の底上げ、生産性の向上を図っ た、それを実現した結果としての最低賃金の引上げであるべきであると考えます。  最後に、最低賃金を改定するに当たっては円卓会議の合意にもありますように、こ れまでの審議の経緯を尊重するとともに、地域で最低賃金が適用される可能性が高い 中小企業、それも特に小規模零細企業の支払能力、それから雇用に及ぼす影響等、中 小企業の実態を十分見極めて慎重に審議をすべきであると考えます。どうかよろしく お願いいたします。 ○今野会長  他にございますか。 ○勝尾委員  私の方から労働側の意見を申し述べたいと思います。先ほど、厚生労働大臣からの 御挨拶の中にもありましたが、いわゆる働く貧困層、一生懸命働いても貧困から抜け 出せない、そういった層が多く、これが社会問題化していると思っています。そうい うことをマスコミでも多く取り上げられているということで、御理解いただけるかと 思っています。  こういったワーキングプアとか、ネットカフェ難民といった働く貧困層、こういう ような人たちに対して視点を当てた政策というものが必要と考えています。社会のセ ーフティネットの一つとして役割を担っている、この最低賃金制度もその一つだろう と考えています。そういう意味で、その役割を発揮すべき時がきたのではないかと考 えています。その上に立ち、いくつかの点について意見を申し上げたいと考えます。  まず最初に、諮問の中にもありましたが、繰り返しになりますが、「成長力底上げ戦 略推進円卓会議における賃金の底上げに関する議論にも配意」という文章があります。 また、円卓会議の中の合意の文書の4は、平成19年度の最低賃金について、「従来の 考え方の単なる延長線上ではなく」という文章があります。結びには、「働く人の「賃 金の底上げ」を図る趣旨に沿った引上げが図られるよう十分審議されるように要望す る。」と書いてあります。この文章が入っていることについて、労働側としては重く受 けとめているということをまず述べさせていただきたいと思っています。特に、円卓 会議では、底上げという観点から中小企業の生産性向上と最低賃金の引上げについて 議論が重ねられてきたわけですが、その上に立って合意された文章であるということ ですので、労働側としては本審議会におきましても、底上げの視点から最低賃金の引 上げを図るように求めていきたいと考えます。  前にも述べましたが、社会問題となっている、いわゆる働く貧困層の問題について、 セーフティネットであるはずの最低賃金制度が機能してないということが問題と認識 しておりますので、今年度の改定に当たりましては最低賃金がセーフティネットとし ての機能がきちんと発揮できるようにしなければならないと思っています。  また、円卓会議の場において労働側として、先ほど事務局からの御紹介もありまし たが、高卒初任給の水準、あるいは一般労働者の平均賃金の50%、最低賃金を決める にあたっての指標として採用すべきであることを問題として提起をしてきました。そ の水準については、労働側としては時間給換算で900円を上回るものを想定して、意 見を述べてきたわけです。また、連合は、最低賃金の水準は生活が可能なものである べきという考え方から、いわゆるマーケットバスケット方式によります最低生計費の 算出を行っています。この水準に見合う時間給は、法定労働時間どおり、きっちり働 いた場合で850円という水準になります。今年の最低賃金を、今申しましたような水 準、850円とか900円といった水準へ一遍に改定することは混乱も予想されるので難し いかと思いますが、今年度に限って言えば、平均的に見て、我々労働側としては50円 程度の引上げを図るべきではないかと考えているところです。  最後に、影響率について少し申し上げたいと思っています。影響率が年々低下して いることについてはご存じのとおりでして、我々側としては問題視をしてきたところ です。現在2005年度で1.6%という数字になっているかと思いますが、最低賃金の引 上げは影響率の引上げを伴うことが、今年度の場合は必要ではないかと思っています。 過去の水準ですが、1990年の影響率は4.5%あったわけで、この年の中央最低賃金審 議会の全員協議会報告では、最低賃金制の目的の一つは、低賃金労働者の着実な改善 を図ることにあり、ということを述べた後で、最低賃金はある程度の影響力を持つ水 準に設定する必要があるということが、報告に記載されています。いずれにしまして も、今年度において最低賃金の引上げによって多くの人が良い意味で影響を受けると いうことが、底上げの趣旨に合うと考えていることを申し上げます。以上です。 ○川本委員  まず、本日諮問がなされましたので、それについて一言申し上げたいと思います。 私どもも、政府の方で、この成長力底上げ戦略推進円卓会議を設定されて、その中で 中小企業の生産性向上と、その結果として最低賃金の中長期的な引上げが取り上げら れて、議論されているという状況については、理解をしているところです。したがい まして、諮問文にありますように、この円卓会議における底上げに関する議論にも配 意した審議をということについては、そういう議論をしてまいりたいと思っていると ころです。  その上で、今日出ている資料No.10について、ちょっと御意見を申し上げたいと思 います。資料No.10は日程案です。7月20日以降、目安小委員会をやって、8月3日 までという案です。実は、例年であれば5月に諮問があって、6月から7月にかけて審 議を重ね、7月の大体終わりに答申を出していくという日程でやってきたわけです。今 年度については、本日諮問という内容でして、そして8月3日には答申したい、とい う案です。あまりにも短期間の日程で設定されていることについては遺憾に思ってい ることは申し上げておきたいと思っています。いずれにしましても、今回示された日 程案については取りあえずの日程ということで受け止めさせていただいていることを 申し上げておきたいと思います。これが1つです。  資料No.8についてです。平成19年度の地域別最低賃金額改定の目安審議に際して の留意すべき考え方というのがあります。これについては2点質問した上で、意見を 申し上げたいと思います。まず1点は、この中の2行目、「当面の平成19年度地域別 最低賃金額の改定の目安の調査審議に際しては、」とありますが、この「当面」の言葉 の意味するところをもう一度御説明賜ればと思います。  それからもう1つ、先ほどの説明の中で、円卓会議の中における議論も含めて、と いう話がありましたが、これは要するに、円卓会議での資料ではなくて、今回事務局 の方で作られて、こういうことに留意すべき考え方として示されたものなのかどうか。 ちょっと確認をさせていただければと思います。 ○前田勤労者生活課長  まず、「当面の」ということにつきましては、基本的には最初にありますように、地 域別最低賃金については、最低賃金法改正法案の考え方が尊重されるべきというのは 基本的な考え方としてあるわけですが、それは法案が継続審議になっておるというこ とであります。当面のというのは、まさにこの平成19年度についてということに限っ た意味合いで使っているということです。  資料No.8については、これも円卓会議でのそういう議論も踏まえて、私どもの事務 局の方でそれを受けて、こういったものを作ったというものです。 ○川本委員  では、その上で少し意見を出させていただきたいと思います。この中に1から4ま で、1つの考え方が示されているわけですが、少なくとも円卓会議の今日の資料を見ま しても、ひとつ「合意」という文があります。その後ろの具体的な話のところは、各 委員から出された意見を整理したものということで、そういう御意見があったという ことにすぎないのだろうと思っております。今回、この中央最低賃金審議会におきま して、留意すべき考え方としてこれを置いていくということについては、疑問を禁じ 得ないと思うということを言っておきたいと思います。  これまで最低賃金について、この目安審議についても様々な指標を全部使ってきて いるわけです。これは多角的な視点で捉えて審議するという趣旨であると思っていま して、したがって、ここにありますような、例えば4つの特定の指標、あるいは1つ だけの数式で決めるというような考え方自体については反対であることを申し上げて おきたいと思います。  また、その上で申し上げますと、実はこの1、2、3は平均賃金であったり、あるい は初任給というものとの対比という考え方が出されているわけです。初任給も含めて ですが、一般労働者、いわゆる正規従業員の賃金というものは、労働の対価という要 素だけではなくて、市場の需給関係も当然ございますし、企業の支払能力もあるでし ょうし、それから生計費というのも当然踏まえるわけです。その他に、その企業にお いて人材の確保・定着というのを、いかに図っていくかという企業内の雇用政策とし ての賃金部分、あるいは社員のモチベーションの維持向上というのをどうしていくか という、様々な要素で実は作られているものです。したがって、そういう様々な要素 で決定している賃金について、これとの比較で最低賃金を比べるということについて は、私どもとしてはあまり意味をなすものではないということを、まず申し上げてお きたいと思います。  あるいは、もう一つ所定内給与の平均値ということを申し上げますと、いわゆる年 功序列型の賃金カーブというのは、それの結果として平均に反映されているというこ とですし、年齢構成の変化によっても当然左右されるものです。そういう指標と最低 賃金の比較というのも、これはあまり比べる意味がないだろうと思っています。  それから4番目、生産性を見込んだ引上げというのがございます。生産性向上を目 指していくという考え方、これは大変良いわけですが、ただ、ここにあるのは「見込 んだ」ということです。したがいまして、生産性向上の結果として、企業の支払能力 を見つつ、最低賃金の引上げが可能かどうかということを検討すべきだろうと思って います。それが、この見込みで最低賃金だけを上げていくという考え方については、 これも受け入れることは到底できないということを申し上げておきたいと思います。  例えば法人企業統計です。財務省が作っておりますが、これはすぐ新しい数字が出 てきません。それを見ても、実は小規模企業の資本金別で見ますと、大体、労働分配 率自体が約90%、要するに9割弱くらいの数字でして、利益もはっきり言って出てい ない。これは、企業の平均値、平均でそういう状態です。したがって、生産性が上が り、付加価値が増えて、そして適正な利益が出てきたときに初めてという問題でして、 全体の生産性が上がったから上げられる、そんな簡単な話ではないということも、付 け加えておきたいと思っています。とりあえず私は以上です。 ○今野会長  他にございますか。 ○加藤委員  私も資料No.8の件です。先ほど川本委員からの質問に対する事務局の答で理解した わけですが、円卓会議の報告の資料No.6−1との関係で考えればいいのかと、私ども は受け止めます。  それで、この資料No.8については今後、平成19年度の地域別最低賃金の目安の審 議をするに当たって、円卓会議の議論を踏まえた一つの考え方として、参考にしたら どうかということだろうと受け止めさせていただきたいと思いますが、その上で1点 だけ、平成19年度の目安審議に当たって留意すべき考え方ということの条件付きです ので、最後までこだわるわけではありませんが、最低賃金を考える上での考え方とい うことで、1点だけちょっと意見を述べておきたいと思います。この中で2、あるいは 3の所で、小規模企業の女子の高卒初任給であるとか、3の所では小規模企業の一般労 働者の賃金であるというように、企業規模を限定した、特定した検討素材が示されて いるわけですが。 ○今野会長  すみません、加藤委員。今は資料No.6−1ですか。 ○加藤委員  資料No.8の2と3です。小規模企業ということで、企業規模を特定したデータとの 関係で考え方が示されているわけですが、先ほどの柳澤大臣の御挨拶、あるいは円卓 会議の合意内容なども踏まえて考えると、やはり最低賃金については格差の固定化に つながるものであってはいけない、格差の改善ということが趣旨として含まれている のだろうと受け止めます。そう考えますと、やはり今後、最低賃金を考える上では、 規模を特定するのではなくて、全労働者ベースのデータの中で最低賃金がどうあるべ きか、その適正な水準がどうあるべきかということを議論すべきではないかと考えて います。今後の在り方についての議論ということも、これから行われるでしょうから、 考え方として提起させていただきたいと思います。 ○今野会長  他にございますか。 ○池田委員  経営者側としては、お二人の発言がございました。重なる部分もだいぶあると思い ますが、それぞれ出ている立場が違いますので、御了解いただきたいと思っています。  まず7月9日の円卓会議で、私どもの山口会頭が申し上げたように、中小企業の労 働分配率は平均90%ということですので、「労働生産性上昇等見込んだ引上げ」とあり ますが、再三申し上げているように、最低賃金引上げの影響が大きいということを、 厚生労働省が示された案を考えた人たちに、順序が逆であるということを申し上げた いと思います。中小企業の経営を底上げ、支払能力を確保した上の賃上げでなければ、 経営が成り立たなくなる、失業を招くおそれがあるということを、申し上げたいと思 っています。  同時に労働環境の問題でありますが、この中にも書いてございますように、地域別 最低賃金の低い地域、青森、沖縄、高知ですが、有効求人倍率0.4程度。失業率がま だ6〜7%です。こうした地域の実態をよく見ていただきたい。こういう所で円卓会議 をやっていれば、また状況も変わってくるのではないかと思いますが、そういう最低 の所をよく注意していただきたいと思います。  それと、「円卓会議における議論を踏まえて、従来の考え方の単なる延長線ではなく」 という点と、「パートタイム労働者や派遣労働者を含めた働く人の「賃金の底上げ」を 図る趣旨に沿った引上げを図られるよう」と要望があり、これまでの審議を尊重し、 雇用に及ぼす影響、中小零細企業の状況に留意して審議すると謳われています。少な くとも最低賃金法第3条には、ご存じのように労働者の生計費、類似の労働者の賃金 及び通常の賃金の支払能力を考慮して決めなければならないと、明確に規定されてい ます。これは遵守すべきでありまして、賃金実態調査の結果を無視することなく、従 来の審議方法、要するに中小企業、零細企業の賃金実態を反映した、最近の5年間の 引上げの目安が0から4円の範囲で推移している結果を十分に踏まえて、審議をして いただくべきと思います。  私もこれに関係して、2ケタ上がったというのはオイルショックの前、それからバブ ルの最頂期のときだけではなかったかと思います。それは、やはり日本の経済がその 反省を踏まえて、これではグローバルに戦えないということで、あまり高すぎるので はないかという論議の中で、ゼロにしたり、また多少上げてきたというのが、日本経 済の一つの反省であると思っているので、ここで大幅にまた上げるということは、非 常に疑問を持つわけです。  私は規制緩和というのは、やはり規制緩和会議として、こういうことを規制緩和し ようという論議があって、それに沿って法律改正して、その上で規制緩和をしていく べきではないかと思っているので、単に円卓会議を踏まえて、この最低賃金法第3条 を無視してやっていくということが果たして正当なやり方なのかということを、やは り審議の過程でもよく論議をしていただきたいと思っています。  それから、厚生労働省の、一般労働者の所定内給与、高卒初任給、小規模企業の一 般労働者の賃金ということですが、いずれも最低賃金引上げの合理的な理由とは思え ないわけでして、これが労働者の所定内給与の材料だと示した理由が、大変不明であ ると思います。  それと、初任給の問題もありますが、高卒初任給というのは通常、長期雇用を前提 として採用しているものの水準です。一方、最低賃金近辺の賃金で働く労働者は、厚 生労働省の所管団体である労働政策研究・研修機構の調査によると、一般労働者より もむしろパートタイム労働者に多い。それにもかかわらず、高卒初任給の水準を最低 賃金の比較対象とすることは、不適当であると思っています。  ご存じのように、今は非常に少子化の時代ですので、間違いなく初任給というのは これから上がっていくと思います。むしろ高齢者よりも初任給が上がっていく時代に 入っていると思っています。そういう時代において、初任給を一つの目安とするとい うことは、給料を全体的に上げるということを将来的に目指したものと思われても、 致し方ないのでありまして、この初任給を対象とするということに対しては、非常に 疑問を持つわけです。  それと、小規模企業の一般労働者の賃金の中位数の50%ということですが、これも 水準の材料としては非常に不明であるということを申し上げます。  最後に成長力加速プログラムの問題ですが、中小企業、零細企業の経営を底上げし て、支払能力を確保した上で賃上げをしなければ、経営が成り立たなくなるだけでし て、失業を招くということは当然です。したがって、中小企業の経営の底上げや、労 働生産性の向上が確認できなければ、最低賃金の引上げは困難であり、見込みで引き 上げることは論外であると私は思います。最近の新聞に8円から58円、今日の新聞に 出ていますが、これについても非常に地方から心配した声が挙がっています。それか ら昨日の新聞も、最低賃金、官邸が主導、民主に対抗ということでありますが、この 公平であるべき審議会が、一つの政治の道具にされてよろしいのかということも、純 粋に思います。そして、この中には中小企業の経営者の死活問題にもなるということ がありまして、官邸が主導する最低賃金、中小企業にとっては新たな再編淘汰の引き 金になるかもしれないということが書いてあるわけでして、これが一時期の政治の流 れによって、中小企業に大きな影響が出ないように、一つ皆様の慎重な審議をお願い したいと思います。  それから長くなりますが、もう1点。今労働法制の改正の問題が継続審議になって いますが、この時点では、これだけ大幅な値上げがあるということは、私ども同じ審 議会に出た者としては、予想していなかったわけでして、これだけ大幅に上がった時 に、例えば罰金が50万になるとか、死活問題になるわけです。また、産業別最低賃金 も現在は残っているわけでして、最低賃金が決まった上に屋上屋を重ねる、産業別最 低賃金がまたより高い賃金を設定することも可能性があるわけです。継続審議になっ ていることを、今回、仮に大幅に値上げされたとして、罰金まで追い打ちで上げると いうことになると、まさに経営者にとっては死活問題ですので、今まで週休2日制の 問題、労働時間の問題にしても、やはり十分時間をかけて、本当に経営者にとってそ れが大丈夫なのかということを、労働省の所管の中で、いろいろな中小企業の地方の 意見も聞きながら、それで決めていったのではないかと思います。先ほど川本委員か らお話がありました、この短期間の中で、こういう論議の中で、端的に一括で上げて、 果たしてよいものかということを、私も疑問を感じるわけでありまして、上げたいの であれば時間をかけて、ゆっくりと最低賃金法を改正して、それで今度はこういう観 点から上げていこうということを、ゆっくりと地方の経営者の意見を聞き、また労働 者側の意見を聞いて、やるべきではないかと私は思っています。大変長くなりました が以上です。 ○今野会長  他にございますか。 ○中野委員  今年の最低賃金審議会は諮問の時からずいぶん御意見が出ておりますし、マスコミ の報道も多いですし、国内的に非常に注目されていると理解しています。ただ、なぜ それがこれほど注目されるのかと考えてみた時に、大きくいって二つあるのではない かと思います。一つは、今はもはや格差というよりも貧困という言葉がマスコミに踊 るように、低賃金労働者が極めて劣悪な労働環境の中に置かれていて、しかもその人 たちが増えているという実態がある。これに対して最低賃金制度が十分に機能してい ないと皆が思っているのではないか、と私は理解しています。  さらに、今度は国際的にみますと、アメリカが最低賃金を引き上げる決定をしまし たように、国際的にみても日本の最低賃金は非常に低い。そのことを国民が理解した ということだろうと思います。そうした意味から考えれば、今年の審議に当たっては、 もちろん最低賃金法の3条に基づいた決定要素の中で、きちんと議論をしなければい けないわけですけれども、とりわけ労働者の生計費なり、労働者がそれこそ安心、納 得して働けるような最低賃金制度として機能させるというところが、一番の眼目では ないかと思っています。これは私ども労側委員が納得するだけではなくて、広く国民 の皆さんが納得しなければならない性格のものだと理解をしています。その上で一言 申し上げたいわけですが、ただ今経営側の皆さんの御主張をお聞きしました。支払能 力が重要だと、そうでなければ潰れるという御意見は、私がこの委員になって、一貫 して毎年聞いてきた話です。この話を中心に議論されますと、最低賃金はいつまでた っても上がらないということになりかねません。したがって、今の置かれている労働 者の環境を、まず第一義的にお考えいただいて、今年の場合はそれこそ清水の舞台か ら飛び降りるような覚悟で、この審議に臨んでいただきたいということを、お願いし ておきたいと思います。以上です。 ○今野会長  他に御意見はございますか。 ○横山委員  意見ではなくて質問ですが、資料No.7に円卓会議における合意とございまして、そ の1番と4番の関係がよく理解できないのですが、1番で生産性の向上と最低賃金の中 長期的な引上げの基本方針について、年内を目途にとりまとめるとありますが、この 年内というのは、平成19年のうちにということでしょうか。 ○前田勤労者生活課長  年内というのは、平成19年という意味です。 ○横山委員  ということは、今は決まっていないということでよろしいのでしょうか。 ○前田勤労者生活課長  はい。 ○横山委員  4番の方ですが、今決まっていない、つまり基本方針がよく分からない中で、「従来 の考え方の単なる延長線上ではなく」とあるのは、そうするとどういう考え方に立て ばいいのか。 ○前田勤労者生活課長  中長期的な引上げ方針については、資料No.6−1にあるような考えで、円卓会議で 議論が行われたという経過です。ただ、例えば生活保護の問題なども含めて議論され ているわけですが、それについては法案が継続審議になっているということで、現時 点ではそれをすぐにできないという状況にあります。ですので、おそらくこれは円卓 会議の考えとしては、2番にありますように、法案の速やかな成立を望んだ上で、成立 すればさらに継続的に議論を行うという趣旨ではないかと思っています。  中長期についてはそういう状況ですので、まだ現時点で結論は出ておらず、今後さ らに継続的に議論を行うということであるのですが、当面、平成19年度の問題はまさ にこの中央最低賃金審議会で決めることであります。この円卓会議は、まず中長期的 な引上げ方針について議論しようということでスタートしたわけです。ですので平成 19年度の問題は、まさに最低賃金審議会の問題になるわけですが、ただ、円卓会議に おいてこれまで議論してきたようなことも踏まえて、平成19年度については従来の考 え方の単なる延長線上ではないと。この従来の考え方の単なる延長線上というのは、 先ほども若干申し上げましたが、従来の賃金改定状況調査などを重要な参考資料とし てきたということだけではなくて、という意味合いだと理解しています。 ○横山委員  もしそうであるということなら、従来の考え方の単なる延長線上ではない考え方と いうことの中身が、まだよく理解できないのですが。もし本日の諮問以降、短い間で どうしてもけりをつけなければいけないというようなことがあれば、従来の考え方の 単なる延長でなくということになると、相当時間がかかると思うのです。早くまとめ なければいけないということがあるとすれば、もう少しこれまでの論議というか、従 来のとおりやればいいということではないと思いますけれども、仕上げということを 考えるなら、こちらの基本方針も決まっていない中での、しかも額としては従来の考 え方の延長線上ではなくというようなことでいくと、簡単にはけりがつかないのでは ないかという気がします。  労働側の委員の方もおっしゃっていますけれども、早くけりをつけたいということ はおありだと思いますので、ここの整理をもう少し分かりやすく教えていただきたい。 それからどうも論議をする上で、少し定性的な言葉がいろいろ出てきているのではな いかという気がするので、その辺りの整理をしないと、論議がなかなか進んでいかな いのではないかと思います。例えば格差が拡大とか、ワーキングプアというような言 葉が出ていますが、その格差の拡大やワーキングプアという言葉、そういうもので論 議を進めていくと、これはどうしても定性的なもので、長くなってしまう。なるべく 定量的なものを背景にして、早くまとめるということを考えた方がよろしいのではな いかと思います。これは、最後の方は私の考え方というか、進め方についての意見で す。 ○今野会長  今おっしゃられた資料No.7の、従来の考え方と異なる延長線上という、この中身に ついては、今日、事務局から資料No.8がありましたが、考え方として提示されたとい うことで、この「従来の考え方の単なる延長線上ではなく」という中身をどうするか というのは、ここで議論していくということになります。ですから、ここの内容を事 務局に整理しろというよりは、それは我々の仕事だと。ただ、事務局としては資料No.8 のような考え方を提示したというように私は理解しているので、そのようにお考えい ただければと思います。  あとは時間の問題、日程の問題です。内容の問題ではありませんので、また後から 日程については御相談したいと思います。  それでは、だいぶ時間が過ぎましたので、次に進ませていただいて、また時間が余 ったら皆さんの御意見を伺うということにさせていただきたいと思います。まず今後 の進め方について、御相談したいと思います。既に日程の話等は出ていますが、その 前に中央最低賃金審議会運営規程の第3条で、「会長は、審議会の議決により、特定の 事案について事実の調査をし、又は細目にわたる審議を行うため、委員を指名して小 委員会等を設けることができる」ということになっています。これまでの例に倣いま して、本年度も目安に関する小委員会で審議を行いたいと考えています。お手元の資 料No.9に、小委員会の委員の原案をお示ししています。この方々に小委員会のメンバ ーになっていただいて、議論をしたいと考えていますので、御了承いただければと思 うのですが、いかがでしょうか。                 (異議なし) ○今野会長  そうなりますと、この目安小委員会の委員長をどうするかということですが、何か 御意見がございましたらお願いします。 ○石岡委員  大変だと思いますが、今野会長に小委員会の委員長を兼ねていただきたいと思いま す。いかがでしょうか。                 (異議なし) ○今野会長  それでは、私が小委員会の委員長を兼務させていただきます。この小委員会のメン バー、委員の方には大変御苦労をおかけすると思いますが、御協力のほどをよろしく お願いします。  では、次に今後の目安小委員会の日程について、事務局から説明をしてください。 ○前田勤労者生活課長  先ほど一部、既に御意見をいただきましたが、資料No.10をご覧いただきたいと思 います。従来、地域別最低賃金の改定については大体10月1日、あるいは9月30日 という時点での改定の発効というのが、慣行といいますか、そういう形になっていま す。その10月1日なりの改定発効を前提といたしますと、公示期間、あるいは異議申 立ての期間などを考慮すると、8月上旬までに地方最低賃金審議会の審議が終了してい るということが必要であるということで、当面、その10月1日というものを目指すと いう前提で、タイトなスケジュールになっていますが、7月20日、25日、31日という ことで3回、小委員会を開催して、8月3日にこの中央最低賃金審議会での答申をまと めていただければというのが、当面の日程の案ということです。 ○今野会長  一応、事務局としてはそういう案を出しています。先ほど経営側からはだいぶこの 点について意見をいただきましたが、これで一応やってみるということしかないので、 例年とだいぶ違う状況がありますので、そこで何か非常に難しい状況が出てきたら、 その時考えるということで、とりあえずはこういうスケジュール案ということをお認 めいただいて、これでやってみるという形で御了解いただければと思うのですが、よ ろしいでしょうか。                 (異議なし) ○今野会長  それでは一応そういう日程ということで進めたいと思います。これで今日用意した 議題は終わりですが、先ほど私が皆さんの意見を切ってしまったので、言い残したこ とがございましたらどうぞ。 ○田村委員  日程も決まりましたので、ぜひお願いしたいと思います。せっかく円卓会議の中で、 政労使のトップが決めた合意事項が出てきたわけですので、また、このタイトな日程 の中で物事を判断するというなかで、これが元に戻らないように、ぜひ出来上がった 合意のところは尊重してやらせていただきたいと思います。でないと、この日程では とても詰まらないという話になるのではないかという、御配慮のお願いをしておきた いと思います。  2つ目は、先ほど出ました資料No.8にありましたが、これも一つ一つどれを取るか という話ではないだろうと思います。その時に考えていかなければならないと思いま すが、その時にこの4つだけでいいのかどうかについて、我々は少し疑問を持ってお りますので、例えば賃金分布の問題だとか影響率だとか勝尾委員の方から言わせてい ただきましたが、その辺についても資料として出していって、総合的に判断するとい うことが大事ではないかという具合いに思っているので、よろしくお願いします。 ○今野会長  労側から意見はございますか。使側はよろしいですか。  それでは、これで第23回の中央最低賃金審議会を終了いたします。本日の議事録の 署名ですが、石黒委員と池田委員にお願いしたいと思います。  それでは、今日は終わります。ありがとうございました。                  【本件お問い合わせ先】                  厚生労働省労働基準局勤労者生活部                   勤労者生活課最低賃金係 電話:03−5253−1111(内線5532)