07/07/04 第11回「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」議事録について 第11回 医療用医薬品の流通改善に関する懇談会 日時 平成19年7月4日(水)    15:00〜 場所 経済産業省別館10階  経済産業省共用会議室1028                       (照会先)医政局経済課 担当・内線 笹子(2524 )   代表 5253−1111 直通 3595−2421    ○渡邉流通指導官   定刻になりましたので、ただいまから「第11回医療用医薬品の流通改善に関する懇 談会」を開催いたします。委員の皆さまには、ご多忙中のところ当懇談会にご出席いた だきまして誠にありがとうございます。  最初に、委員の交代についてご報告させていただきます。井上委員、鬼丸委員、目黒 委員が委員を辞任されますとともに、新しい委員に加わっていただいております。ご紹 介させていただきます。医薬工業協議会流通適正化委員会委員長の鈴木勘次様、日本製 薬工業協会流通適正化委員会副委員長の鈴木良彦様、日本製薬工業協会流通適正化委員 会常任運営委員、森宏克様。  次に、委員の出欠状況ですが、本日は、明治大学大学院の上原様、日本保険薬局協会 の柏木様、日本精神科病院協会の長瀬様、青山学院大学の三村様からご欠席の連絡をい ただいております。なお、日本保険薬局協会の柏木様の代理として事務局長の三成亮様 にご出席いただいております。 ○渡邉流通指導官  次に、本日の配付資料の確認をさせていただきます。「議事次第」「座席図」「懇談 会名簿」資料1として「今後の運営方針(案)」、これは1枚紙です。資料1-1「医療医 薬品の取引慣行においてこれまで指摘されている問題点」。資料1-2当懇談会において 「中間とりまとめ」作成の過程で出された主な意見。資料2「未妥結・仮納入の改善に 向けた最近の取組状況」。資料3「医薬品卸業の経営の概況等」。資料4「医療用医薬品 へのバーコード表示の実施について」。最後に、参考として「医療用医薬品の流通改善 について『中間とりまとめ』」として1頁から3頁を配付しています。ご確認いただけれ ばと思います。不足や落丁等がありましたら、随時ご指摘いただければと思います。  以降の議事進行は、嶋口座長にお願いします。 ○嶋口座長   大変暑いところ、今日はご苦労さまです。早速、本日の議題に入ります。前回、3月 28日に開催されたのですが、そこの懇談会で、基本的には2つの確認がされました。1 つは、「未妥結・仮納入の現状について」ご議論いただいたわけですが、どうも長期に わたる未妥結・仮納入などの不適切な取引関係は改善傾向が現われていないことが明ら かになり、これは大変遺憾であると。流通改善を進めなければならないという共通理解 が確認されたわけです。  2つ目は、卸側の要望として、指針またはガイドラインのようなものが何か作れない かという要望があって、そういうことを受けて、是非この懇談会で議論できないかとい う経済課長からの意見があったわけです。  そういうことで、この2つが今日の関連したテーマになると思います。一応本日の懇 談会で、今後どのような議論あるいは議事を進めていくかについて、事務局に叩き台を 作っていただきました。したがって、事務局から関連資料を含めてご説明いただきたい と思います。そのあと、日本医薬品卸業連合会のほうでも関連資料が提出されておりま すので、併せてそのご説明をお願いし、そのあと、この委員会で質疑応答ならびに意見 の開陳をしていただくことで進めます。  早速ですが、事務局のほうから説明を最初に、そのあとで卸連委員のほうから説明を いただくということで、お願いします。 ○千葉首席流通指導官   経済課首席流通指導官の千葉です。よろしくお願いします。  私のほうから本日の配付資料、資料1、資料1の関連資料として資料1-1、1-2、資料 2の4点をご説明申し上げます。  最初に資料1、「今後の運営方針(案)」についてご説明します。今後の運営方針の 基本的考え方ですが、長期にわたる未妥結・仮納入や全品総価取引については、公的保 険制度下での取引としては、薬価調査の信頼性、あるいは個々の品目の価値が反映され ない取引として、平成16年12月に当懇談会でお取りまとめいただきました「中間とりま とめ」において、その改善を求めてきましたが、先ほど座長からもご紹介がありました とおり、残念ながら、これまでのところ改善傾向が見られてないという状況です。  また、長期にわたる未妥結・仮納入の改善については、一昨年12月に中医協におい てその是正を求められ、昨年から行政サイドにおいても改善指導を行ってきたにもかか わらず、平成18年度は、例年に比して低調な妥結率を示したことはご承知のとおりで す。  一方、「薬価改定の頻度を含めた薬価算定基準の在り方」を検討している中医協薬価 専門部会においては、今後の議論を進めるに当たって、流通の問題である未妥結・仮納 入や総価取引の改善が避けて通れない状況になっています。  このため、5月30日に開催された中医協薬価専門部会で、事務局より流通改善の検討 を行っている当懇談会において、今年秋ごろまでに一定の取りまとめを行った上で、ご 報告することをご提案し、ご了承をいただきました。  このようなことから、当懇談会において、公的保険制度下における取引当事者双方が、 現行薬価制度・薬価調査の信頼性を確保する観点から、個別テーマ毎に流通上の諸問題 を検証し、取引の際に取引当事者双方が留意すべき事項を当懇談会で取りまとめていた だくことをご提案させていただきます。  次に、主な検討内容です。留意事項の取りまとめを必要とする個別テーマとしては、 こちらに掲げていますように、「未妥結・仮納入関係」、「総価取引関係」、「リベー ト関係」を挙げさせていただいています。  このうち未妥結・仮納入関係は、全体適正化を図るための観点に立った留意事項を取 りまとめてはどうか、総価取引関係は、価値と価格を反映した取引を推進するうえでの 留意事項を取りまとめていただいてはどうか。また、総価取引に関しては、総価取引か ら除外する品目等について、メーカーの関与が必要なケースもあるのではないかとも考 えられますので、このような場合のメーカーの価格交渉の関与についてもご検討いただ いたらどうかと考える次第です。また、リベート関係は、仕切価、割戻し・アローアン スのあり方と留意事項を取りまとめていただいてはどうかと考えています。  また、これらテーマに関連する検討課題として、留意事項の取りまとめを踏まえたモ デル契約書の見直しの必要性について検証することも考えられます。さらには、こうし た留意事項を踏まえた取引当事者双方の取組を効果的に推進するうえで、行政が果たす べき役割についてもご検討いただければありがたいと思っています。以上の内容を検討 項目としてご提案させていただきます。  次に、(5)その他としてある「コード標準化の推進について」ですが、これは(1) から(4)の取りまとめのテーマとは別の扱いになりますが、このテーマは昨年9月に 医薬食品局で医療用医薬品のバーコードの実施要項が取りまとめられています。そのご 報告を本日当懇談会で行い、また、今後の取扱いについてご相談させていただきたいと 考えています。  次に、留意事項の取りまとめ作業を円滑に行う上で、当懇談会の委員であるメーカー ・卸・有識者代表の委員から構成する作業部会を設置することについてご提案させてい ただきます。この作業部会の設置趣旨は、これまでに各委員からいただいた意見のうち 未妥結・仮納入や総価取引のあり方については、これまでのご議論で大方の意見の一致 が見られていると理解していますが、いわゆる、川上の議論とされるメーカーと卸の取 引のあり方は、前回の中間とりまとめの際のご議論でも議論が不十分ではないか、引き 続き検討する必要があるのではないかという意見もあり、引き続き検討していくテーマ として位置づけられていると理解しています。  このため、今回の留意事項(案)の取りまとめに当たっては、主として川上の議論に ついて問題点を検証する必要があると考える次第です。また、川上の議論は、メーカー と卸それぞれが本音で意見交換をする場として運営する必要があると考えられますので、 非公開での開催とすることについてご提案させていただきます。  また、人員構成は、有識者代表として嶋口座長、三村座長代理のお二方にお願いして はどうか、そのうえで留意事項(案)の原案を有識者代表委員に作成していただくこと としてはどうか、併せてご検討いただきたいと考えます。  次に、今後の議事日程です。今後の議事日程のセットに当たっては、この秋までに一 定の取りまとめを行うことが前提となっていますので、委員の先生方にはタイトなスケ ジュール設定となり、大変ご迷惑をおかけいたしますが、作業部会は7月中下旬に開催 し、流通上の問題点の再検証と留意事項(案)の原案作成を行っていただき、8月下旬 に第12回流改懇を開催して、留意事項(案)原案を当懇談会に諮っていただきます。 その際、さらに作業部会での検証が必要というような判断がなされた場合には、第2回 作業部会を9月上旬から中旬に開催して再検討していただき、そのうえで9月下旬に第 13回流改懇を開催し、その場に最終原案をお諮りするというスケジュールで進めたいと 考えていますが、いかがでしょうか。以上が、今後の運営方針(案)についての事務局 の叩き台としてのご提案です。  次に資料1-1についてご説明申し上げます。「医療用医薬品の取引慣行においてこれ まで指摘されている問題点」です。この資料は、昨年来、経済課において卸、医療機関、 医療機関本部、チェーン薬局等とのヒアリングを行ってきた過程において、それぞれの 取引当事者から私どもに寄せられた意見を取りまとめたものです。時間の都合上、主要 な部分のみご紹介させていただきます。  未妥結・仮納入関係は、以前にもご紹介しましたが、卸、ユーザー双方から、価格の 乖離が大きな問題という指摘を受けていますが、特に卸売業者側からは、3つ目の・に、 「他の医療機関や、薬局の値引きの状況を見てから交渉を始める“様子見”が多く、実 質的な交渉がなかなか開始されない」あるいは「一度価格を決定しても、遡及値引きを 要求されるケースがある」あるいは「卸を叩けばメーカーから値引きの財源が引き出せ るだろうとの見方が根強くある」というような意見とともに、「総価取引が未妥決を助 長している」という指摘も挙げられています。  医療機関・薬局側からのご指摘としては、「卸の提示価格が年度末に近づくほど安く なるため、早期妥結はできない」「卸は薬局の個店や診療所など小口のユーザーの価格 を先に決めてから、大病院や大手チェーン薬局の値引き幅を決めるのではないか。その ために、実質的な価格が早期に出せないのではないか」あるいは「卸はある程度の販売 実績を基にして、メーカーとの間でリベートの交渉を行うため、早い段階での実質的な 価格を出せないのではないか」など卸側に起因する問題点や川上の取引に起因する疑問 なども挙げられています。  このほか、一般的な指摘事項として例えば2つ目の・ですが、「卸は、依然としてメ ーカーに依存する体質があるのではないか」あるいは「メーカーの高仕切価政策により、 卸が主体的に価格形成をする余地が少ないのではないか」など川上の取引の問題点に触 れる指摘も挙がっています。  次頁です。次に、総価取引関係の指摘事項を紹介します。最初に卸売業者側からの指 摘です。「医師や薬剤師でなく事務部門による交渉が多くなったため、総価での取引が 増えている」「また、交渉担当者の評価指標に値引率が用いられている」といったこと が総価取引の要因という指摘がなされています。  また、医療機関・薬局側からの指摘事項として、2つ目の・に「薬局は処方せんに基 づいて調剤をする立場なので、単品単価では見込みがずれた場合に予定した値引きある いは利益が得られない。このため、総価での取引を行わざるを得ない」との薬局側に起 因する要因も率直に挙げられています。また、「卸とメーカーとの取引が総価取引にな っているのではないか。このため、総価取引は元々卸の側からの提案で始まったのでは ないか」など、やはり川上の取引が起因しているとの指摘も行われています。  次に、リベート関係についてご紹介します。これは主として卸側からの指摘です。一 次仕切価関係ですが、「一次仕切価の設定水準が市場実勢価に比べて高いため、卸の一 次売差は現在マイナスとなっており、卸が必要経費や利益を加味して主体的に価格形成 をすることが困難である」「固定的な割戻しの中には一次仕切価に反映することが可能 なものもあるが、必ずしも仕切価への反映は進んでいるとはいえない」とのメーカー仕 切価設定についての指摘が挙げられています。  割戻しやアローアンスについては、「市場実勢価に比べて一次仕切価が高いため、結 果として卸の売上総利益に占めるアローアンスの割合が年々高まっているが、アローア ンスの支払基準の中には実際には期末にしか確定しないようなものもあり、卸の利益管 理を難しくしている」「メーカーと卸の間で年度末にアローアンスの見直し交渉を行う など、不透明な取引が一部にあるといわれており、ユーザーによる“買い叩き”を誘発 ・助長しているのではないか」などアローアンスの運用上の問題点を指摘されています 。 次に資料1-2、「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会において『中間とりまと め』作成の過程で出された主な意見」という資料を掻い摘まんでご説明させていただき ます。 未妥結・仮納入関係は、医療機関・薬局等の意見は、2つ目の・で「どういう理由にし ろ、1年を超えてまだ妥結しないというのは異常といわざるを得ない。6ヶ月でもそう。 ただ、薬局でも医薬品の備蓄は非常に品目が多く、これをそれぞれで価格交渉しようと 思うと大変時間がかかる」という意見が出ています。製薬企業側の意見は、「総価取引 は未妥結につながるケースが多いと報告があったが、未妥結・仮納入についての取引慣 行は、卸の体力を消耗させるとともに、卸と医療機関の間の債権関係を不透明にしてし まう。ひいては、メーカー卸間の不良債権の増大という問題も発生させることが危惧さ れる」、あるいは「四半期決算で会社の経営状況を公開する義務が生じてきているが、 このような企業の社会的責任を阻害しているということも考えられる」といった意見が 出ています。  次に、総価取引関係です。医療機関・薬局等の意見として、「病院の薬局も自然な状 態ではかなりの率で総価になってしまうというのが実態。経済学的にいうと、そちらの ほうがいいからそちらへ流れる。悪い悪いといっても、自由な競争ではこちらへ流れて いる。その辺を分析しなければどうしようもない」といった意見が出ております。  次頁で卸売業者側の意見として、2つ目の・の4行目からご説明します。「また、交渉 が全体の値引率に集約され、多くの医療機関、薬局が常に横並びで見る。そのため価格 交渉上の合意形成が困難になり、結果として交渉期間が長期にわたる」。次の・ですが、 「総価というのは、買う方から見れば薬価差益が読める。薬価差益を一定にしたいとい う要求が一番にあるのではないか」という指摘が出ています。  製薬企業側からの意見として、「新薬の薬価は開発段階における科学的根拠に基づい て行われ、メーカーにとっては財産。総価取引により製品の価値を無視した、薬価から 一律何%引きというのはご勘弁願いたい。不採算品目でも代替品のないものは供給しな くてはならない。厚労省に薬価の引き上げを陳情しても、総価の中で下げられてしまっ ては困る」という意見が出ています。  次にリベート関係ですが、これは学識経験者の意見です。「薬価制度は生命関連商品 としての医療用医薬品の特性に即した流通過程における品質管理と安定供給が必要な面 と、市場メカニズムが効率的かつ適切に機能するような自由かつ公正な競争を確保する ということだが、これを均衡させるロジックが必要ではないか」という意見を頂戴して います。  次頁です。医療機関・薬局等の意見です。2つ目の・を紹介します。「高仕切価と割 戻し・アローアンスは、メーカーによる薬価を下げないための手段だということになり ます。これは適正な流通ではないのではないですか」。  卸売業者側の意見を紹介します。「卸が医療機関・薬局との価格交渉を適切な利益管 理の下で主体性をもって行うためには、販売時点で正味仕切価を把握し、そのうえに流 通コスト等適正利益を加えた納入価を提示することができなければならない。多くのメ ーカーが仕切価修正的な機能を持つアローアンスを設定するなど、本来は報奨としての 機能を持つアローアンスの性格が拡大してきている」。  製薬企業側の意見です。「卸に対する経営支援をしたい、応援をしたいというような ことで一部不明朗なアローアンスがあるんじゃないか。アローアンスを明確化し、なお かつ明確なものはどんどん割戻しに振り替えていくことが流通改善につながると確信し ています」。  次に、メーカーとの直接取引関係についての意見をご紹介します。医療機関側・薬局 側の意見で、最初の・です。「メーカーと医療機関あるいは調剤薬局との価格交渉がな されない、やってはいけないというのが非常に不思議な、市場原理が働かないところ。 中間の業者が価格交渉に関わって間に挟まれて苦労し、そのために売差がなくなって仕 切価調整的なアローアンスが大きくなったというのは自然な流れ」という意見をいただ いています。  総論の部分の意見を紹介します。医療機関・薬局側の意見です。3つ目の・です。「 川下の議論はこれでかなり整理がついたが、川上はもう一つの印象。これから先は川上 の議論を多少やっていく方向で実施したらどうか」。  卸売業者側の意見として、「総価にしろ未妥結にしろ、いちばん安い価格が薬価には 反映されないのはおかしい。ジェネリックはそれがないのでどんどん薬価の切り下げが 進む」といった意見を頂戴しています。  学識経験者の意見として、次の頁の上から4行目をご紹介いたします。「総価はビジ ネス理論からは否定できないという話もあるが、医薬品が将来日本を支える重要な産業 であるという意味では、価値を基準にして価格設定が行われるべきであるという共通の 考えに戻るべきだと思います」。次の・ですが、「今後は、相互にどういうふうにして 共同で問題を解決する仕組みをどう作るのか、そのような場を、今度はおそらく企業同 士とかあるいは業界の関係の中で作っていただく、こういう中間とりまとめを前提にし てやっていただくというのがいいのではないか」といった様々な意見が出されています 。  以上が、前回の「中間とりまとめ」過程で、この場で出された各委員からの意見の紹 介です。  次に、資料2の説明に入ります。「未妥結・仮納入の改善に向けた最近の取組状況」 です。前回流改懇、3月28日に開催した以降、経済課で取り組んできた経緯をご紹介し ます。3月29日に医政局経済課長、保険局医療課長連名通知の「医薬品に係る取引価格 の未妥結及び仮納入の是正について」を関係団体の長等に発出しています。それを受け て、4月23日から26日まで広域卸4社を対象にしたヒアリングを私どもが実施しています 。また、5月9日から15日にかけて公的医療機関を設置している本部等とのヒアリングも 実施しました。また、5月21日から25日までは、前年度未妥結が長期化した大手チェー ン薬局13社を対象にしたヒアリングを行いました。5月30日、先ほどご紹介いたしまし たが、中医協薬価専門部会において、「医療用医薬品の流通問題に関する議論について 」という資料を出して、ご了承をいただきました。  今後の取組として、平成19年度の第1回価格妥結状況調査を、7月取引分を対象に実 施したいと考えています。また、その調査結果を、8月に予定している第12回の当懇談 会にご報告させていただきます。  資料の7頁をお開きください。これはそれぞれの取引当事者とのヒアリング結果概要 を取りまとめたものです。広域卸4社とのヒアリングにおいては、厚生労働省から6つ の項目を要請しました。1つは、今年度の早期妥結に向けて、平成17年度の妥結率を上 回る取組を行っていただきたい、というお願いをして卸から「具体的に数値目標を掲げ て取り組む」というご回答があった所もあります。また、「営業本部が妥結状況を管理 して、直接交渉を行う」という意見も出ています。  また、平成19年度の交渉に当たって、いきなり価格交渉ではなくて、まず卸に対する 信頼の回復に努めるための話合いの場を設けたらどうか、というご提案をさせていただ きました。それに対しては、4社とも積極的な対応を行いたいというご回答を頂戴して います。  総価取引の解消に努めることについては、単品総価、オーファン等除外品目の設定と いった取組を行います、という4社からのご回答をいただいています。  経済合理性のある価格交渉についても、そうした取組を行うというご回答をいただい ています。  年度末に価格設定が遡るような契約の解消に努めることについては、毅然とした態度 で臨みたいというご回答も頂戴しています。  メーカーとの取引における問題点の改善に取り組むこと、については、割戻し等の仕 切価への反映。あるいは市場実勢価を踏まえた仕切価の改訂をメーカーに申し入れる等 々のご回答を頂戴しています。  次に、公的医療機関本部とのヒアリングの概要です。私どもの要請は、平成19年度の 早期妥結に向けて他の医療機関の模範となる取組をお願いしました。それについては、 傘下の医療機関に、3月の通知の周知徹底、あるいは、早期妥結への協力要請をすると いうご回答をすべての医療機関本部から頂戴しています。ただ、病院においては、病院 の中では独立採算の医療機関があるために、本部の指導には限界がある、というご回答 もいただいている所がいくつかありました。  卸からの「話し合いの場」については、そういった提案があれば、前向きに取り組み たい、という回答をいただいています。  銘柄別取引の推進についてお願いしたところ、公的医療機関本部の運営する医療機関 では、銘柄別契約または少なくとも単品総価契約となっていることが分かりました。  来年度薬価改訂が予定されていますが、平成20年度以降の早期妥結の方策として、 例えば都立病院や国立病院機構の取組を参考にした競争入札の導入とか、契約期間の見 直し等について検討していただきたい、とお願いしたところ、見積合わせによる随意契 約の方が、価格面で有利、と考えている医療機関が非常に多くありました。  一方で、都立病院が採用した上期・下期に分けた契約は、多くの医療機関本部で関心 を示していただきました。  次頁です。こちらは大手チェーン薬局とのヒアリング概要です。大手チェーン薬局に 対しては、薬価調査信頼性確保のため、早期妥結に対する協力を依頼しました。これに 対して、すべての薬局で、早期妥結の趣旨は十分理解をしていると受け止めています。 また、株式上場している薬局では、適正な決算処理のためにも、早期妥結を強く望んで いることが分かりました。中には、技術料だけの経営は困難であり、経営原資の一部を 薬価差益に頼らざるを得ないという主張も一部から聞かれました。  平成20年度以降の早期妥結に向けた取組は、病院本部と同様に半年ごとの契約など の提案をさせていただきました。これについては、契約期間の見直しについて、ほとん どの薬局で「検討可能」というご回答をいただいています。  「銘柄別取引の推進」の要請は、ほとんどのチェーン薬局で、全品総価取引ですが、 総価からの除外品目の設定は行われていたことが確認されています。処方内容の見込み がずれた場合の損失を危惧するために処方権がないことを理由に、銘柄別取引は困難、 という回答も見られます。一方で、大手のチェーン薬局のほうが、従来の実績から処方 内容を予測して、銘柄別取引を行っても問題ないとの見解も寄せられています。  以上が私どものヒアリングの概要です。  最後に、資料2の別添5をご説明申し上げます。当該資料は先ほどもご説明しましたが 、5月30日に中医協薬価専門部会に提出した資料です。この内容は、流改懇における医 療用医薬品の流通改善に向けた取組経緯と今後のスケジュールを説明したものです。 2番の「議論の概要」に記載してありますが、未妥結・仮納入、総価取引については、 当流改懇で引き続き議論を進めていくことをご紹介させていただいて、それを踏まえて 事務局から、今後の検討スケジュールとして、本年6月ごろから未妥結・仮納入や総価 取引の議論のほかリベートの在り方など個別テーマごとの議論を行い、秋ごろには流通 改善の取りまとめを行う予定ということで、流改懇でご議論したいということをご提案 させていただきました。それに対して、中医協から薬価専門部会でご了承をいただいた ということです。  私のほうからは、資料の説明は以上です。 ○嶋口座長   ありがとうございました。事務局のほうでかなり精力的に調査をしていただきました 。ご説明いただいたのは、資料1−1、資料1−2、並びに資料2ということで、ここを中 心にお話をいただいたわけです。もちろん、それに関連して決めていただきたいことが 冒頭でご説明があったわけです。それでは、今回のこのような問題の中心的プレーヤー は卸の立場ですので、引き続いて、日本医薬品卸業連合会からその関連資料ということ で、資料3に当たる所のご説明をお願いしたいと思います。 ○伊藤委員(日本医薬品卸業連合会)   卸連の伊藤でございます。私から、資料の概要について少し説明させていただきます 。  最初に「医薬品卸業の経営状況」です。平成3年度から平成17年度までの15年間にわ たる医薬品卸業の経営状態の推移を表させていただきました。売上高については、近年 、1%から3%の伸び率で推移しています。売上総利益率は、ご覧のように、年々低下傾 向という状況になっています。平成4年度には12%台であったものが平成17年度には7.9 %と、8%を割り込む売上総利益率になっています。その間、卸企業においては、合併、 業務提携等、再編を進めてまいったわけです。(7)にありますように、本社の数は、 既に134社という状況になっています。生産性については、従業員の数を見ていただけ ればわかりますように、まず平成3年度の7万3,000人が最終平成17年度においては5万2, 000人と、減少しております。数字は記載しておりませんが、ちなみに、平成4年度にお ける1人当たり従業員の売上高は約678万円です。平成17年度、従業員1人当たりの売上 高が1,589万円、平成4年を100という指数でいきますと234、このような形で生産性を高 める努力をしてきております。経営の合理化、効率化を図ってきたわけです。当然のこ とながら、そのことによって販管費、販売費及び一般管理費の圧縮も図ってきておりま す。10%強の販管費から平成17年度においては、7.1%まで圧縮をしてきています。し かしながら、売上総利益率の低下を補うまでには至っていません。結果として営業利益 率は、近年、1%を確保できない状況にあるということです。  次の頁ではグロスマージンの内訳の年次推移を表しております。価格交渉が非常に厳 しい状態で続いているわけです。卸のグロスマージンは、過去、12%台から、先ほど言 いましたように、平成17年度においては7.91%、約4.4ポイントダウンしたという状 況です。流通マージンに占める高率なリベートは卸のメーカーへの取引依存度を高める ことから、これまでも公正取引委員会やこの前の流通近代化協議会で再三にわたって、 マージンに占めるリベートの割合の縮小が提言されていたわけですが、逆に拡大を続け ているという状況です。平成17年度においては、売差がついに−2.37%という状況に なっています。割戻し+アローアンスの比率が100を超しているという異常な状態にな っているということです。営業利益率が、前の頁にもありましたように、1%を切る状 況下です。卸がより主体性を持って経営を行っていくためには、販売時点において仕入 れ原価がしっかりと把握できるといったことが重要になってくると考えております。そ のためには、市場実勢価を踏まえた柔軟な仕切価の変更や割戻し・アローアンス等の役 割をしっかりと見極めた中で見直しをしていく必要があるのではないか、このように考 えている次第です。  次の頁が未妥結・仮納入の実態です。上の段が200床以上の病院、下が20店舗以上 を有する調剤薬局チェーンの状況です。左に平成16年度の状況、右に平成18年度の状 況を表しております。主要卸による調査結果です。平成16年度については、妥結まで に6ヶ月を超える期間を要する取引が200床以上の病院で売上高に対して73%ありま した。20店舗以上を有する調剤薬局で52.2%であったわけです。平成18年度では、同 じようにこの妥結までに要する期間が6ヶ月を超える、要は未妥結の期間が6ヶ月を超 える部分においては、200床以上の病院で71.3%とほぼ横這い、20店舗以上を有する調 剤薬局で88.7%と大幅に拡大しているわけです。この辺のところも改善していかなけれ ばいけないと考えております。なお、妥結までに1年以上の期間を要する取引が、平成 18年度では200床以上の病院で13.3%、20店舗以上を有する調剤薬局で31.6%もある わけです。ここに関しては特別に何か対策を考えていかなければいけないと考えている 次第です。  次の頁が総価取引の実態についてです。これも、主要卸の平成17年度と平成18年度 の各年の9月の調査結果です。平成17年度においては、全取引のうちの総価契約が占 める割合は、200床以上の病院で売上高の63%、20店舗以上を有する調剤薬局で91.5% という状況です。平成18年度においては、総価契約が占める割合は前年度とほぼ同水 準です。200床以上の病院で61.5%、20店舗以上を有する調剤薬局で93%という状況 です。大手調剤チェーンとの取引は、各年度とも、全取引がほぼ総価取引で行われてい るという実態です。この辺についても、先ほどのお話の中にありましたように、改善し ていかなければいけないと考えている次第です。  次の頁が取引契約書締結状況の推移です。医療機関、調剤薬局等々、対等な立場で交 渉を行うことを可能にするためには取引条件の明確化が必要です。モデル契約書の作成 とその普及を図っているところです。その結果、徐々にではありますが、取引契約書の 締結率も増加傾向にありますが、まだまだ不十分な状況であり、一層の推進が必要です。 200床以上の病院、診療所、調剤薬局におけるそれぞれの率を記載させていただいてお ります。  また、取引契約書の内容についても、一部、官公立病院を中心にした所で各条項にわ たって片務的な内容になっているものが見られ、これについても改善を必要としていま す。我々、卸としてその改善に向けて自主的に交渉を行っていきたいと考えております ので、医療機関様、調剤薬局様におきましても是非ご理解を賜りまして、取引契約書の 締結について頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いしたいと、このように思 っています。以上で資料の説明を終わらせていただきます。 ○嶋口座長   どうもありがとうございました。事務局側のご説明とその中心プレーヤーである卸業 からの事情と現状、この辺りをご説明いただいたわけです。事務局側としては、結局い ま問題になっている取引としては、1つ目はやはり長期にわたる未妥結・仮納入をどう するか、2つ目は総価取引、特に全品総価取引、一体この部分をこれからどう考えたら いいだろうか、3つ目は仕切価と割戻し・アローアンスのあり方について、この辺りが これまでの流改懇の中でも議論されて何となく方向が出てきているにもかかわらず、こ こが相変わらずはっきりしないのです。そういったことでこの個別テーマごとに問題点 をもう1回検証し、その上で取引当事者が取引に当たって特に留意すべき事項を当懇談 会として取りまとめたいということです。  その背景としては、先ほどご説明がありましたように、中医協の薬価専門部会のほう から、いろいろ薬価を決めるに当たって、どうもこの辺りが非常に曖昧で一部不適切で ある。したがって、何とか今年の9月末くらいに結論を出してくれないかと。そのよう なことで今日は重要なディスカッションの場になっているわけです。それについては、 先ほども千葉さんから問題提起がありましたように、メーカーと卸の川上の議論が少し 不十分ではないかということで、そこについて改めて検討する機会を何らかで持ちたい という関連のご指摘があったわけです。  資料がだいぶ膨大になっているのですが、今日ご出席の各委員の方々からいろいろな 言い分とか、ちょっとこれは理解が違うのではないか、ここは誤解があるのではないか といったご意見があると思いますので、まずこれまでに説明された資料について、質疑 応答を確認を含めてお願いしたいと思います。特に資料の2と3の所でしょうか、もち ろん1−2のこれまで流改懇の中で出てきた意見、あるいは事務局がいろいろ調べたと ころで出てきた現在の少し不適切かなと思われる取引慣行についての取りまとめがあり ます。どのようなところでも結構ですので、ご質問をいただければありがたいと思いま す。いかがですか。  それでは個別に、メーカーサイド、医療機関・薬局サイド、最後に卸サイドから今日 発表された資料についてのご意見、質問をいただければ、ありがたいと思います。まず、 いちばん遠いように見えるのですが、実はいちばん近い立場であるメーカーさんから、 何か関連的なご意見はございますか。 ○禰宜委員(日本製薬工業協会)  製薬協の禰宜でございます。今回は川上がポイントになっているということですので、 基本的にそこの問題になるのは、ここで申します3のリベートの関係のところではない かと思っております。過去にも流改懇で仕切価の問題、あるいは、割戻し・アローアン スが不透明ではないかと指摘されていたと我々は理解しています。そのような指摘を受 けまして、メーカーとしてもできるだけ透明性を高めるということで、不透明なアロー アンスをできるだけ事前に提示できる割戻しのほうに一応向けており、この点は少しは 改善されていると理解しているわけです。独禁法上問題もありますので、仕切価あるい はアローアンス、割戻し等はメーカーが独自の考えで特約店さんに提示しているという ようなことで、大きな流れでは一応透明性が高まっていると判断しています。  少し卸連にお伺いしたいと思うのですが、その割戻しというのは、我々としてはその 仕切価を補正する、売上げを修正すると理解しているわけですが、メーカーによっては、 その項目が少し違うのではないかとは思っております。そういう意味でメーカーの割戻 し体系や方法等で何か問題になるようなことがあれば、ご指摘いただければと思ってお ります。 ○嶋口座長   それでは卸連のほうから、いまのご質問に対して。 ○松谷委員(日本医薬品卸業連合会)   いまお話がありましたように、メーカーさんの仕切価の設定の仕方、割戻し・アロー アンス等については、大筋ではこういうお話がいつもあるわけですが、各メーカーさん は、個々に決めていらっしゃる。その意味で言うと、メーカー間で大きな差があるとい うことも事実です。また、個々の価格設定の仕方のものが総価という同じ舞台の中に入 ってくると、得するメーカーさん、損するメーカーさんなどといろいろな問題が出てく るわけで、その総価の問題についても、仕切価、割戻しの設置の仕方が微妙に連動して いると私どもは思っております。その意味では今後、公取の問題ももちろんありますが、 割戻しについてもどういう項目がという項目も少し、留意点の中にこういう割戻しがあ るよ、こういうアローアンスがあるよなどと。卸は、多くのメーカーさんと取引をして いるのでいろいろなメーカーさんのいろいろなアローアンスのあり方については比較的 理解しているのですが、メーカーさんはそれこそ、他のメーカーさんのなさっているも のについてはなかなか知りにくい立場にいらっしゃいます。その意味ではこういう席で もう少し留意点として割戻しやアローアンスのあり方について話ができるほうが、お互 いに透明だ、透明だと言っていても相手のことをわからないで透明だというのはあり得 ないので、わかり合えるようなそういうものをつくっていただければ、お互いにもう少 し同じ議論ができるのではないかという気がしております。 ○嶋口座長   それに関連して何かご意見はございますか。 ○禰宜委員   私自身もほかのメーカーさんの内容等を十二分に理解しているわけではありませんの で、卸連とメーカーとの間では、公式の場以外でも、いまのお話も含みながら、議論す ることを我々としても、前向きに検討していきたいと思います。 ○嶋口座長   事務局案のほうでも、その辺りのより詳細にわたる作業部会が必要ではないかといっ たご指摘がございましたので、いまのご意見はそういうところでさらに深めるというこ とを了解したいと思います。もう1つの立場である医療機関、薬局の立場、特に未妥結・ 仮納入、総価取引、この辺りが関わっていると思いますが、大塚委員、お願いします。 ○大塚委員(日本医療法人協会)   今回の運営の方針は、原因と結果の結果について改善を求められていると思います。 川下の結果について、未妥結・仮納入、総価取引等を不適切と位置づけられています。 結果は、原因があって、これに対応して起こるものです。原因である正味仕切価格が薬 価からR幅と消費税を引いたものである。川下のユーザーは、これでは薬剤に対する諸 経費はもちません。採算性に乏しく、未妥結や総価取引は、起こるべくして起こってい る状態と思います。解決には、川上の正味仕切価を川下の取引がリーズナブルな価格で 行われるように改善すべきであると思います。長期薬価基準収載、医薬品の薬価が下が ることは、これは納得されることでありましょう。新薬に対しては、画期性とか有用性 の加算率を正当に評価すべきでありましょう。要するに、川上の改善なくして川下のみ の改善は不可能だと思います。 ○嶋口座長   ありがとうございました。確かに、川上のほうがちゃんとやってくれないと川下のほ うだけでは全体がうまくできない、そういうご指摘ですね。川下と言うと変ですが、医 療機関、薬局側の対応として、今回の調査の中で自分としてはこのようにやったほうが いい、あるいは、このような心積りであるというところは何かありますでしょうか。や はり、基本的にはこの方針でいくということ、その中で川上のほうももう少し考えるべ きである、そういうご意見でよろしいですか。 ○大塚委員   そうですね。 ○嶋口座長   ありがとうございます。医療機関の森委員、お願いいたします。 ○森昌平委員(日本薬剤師会)   日本薬剤師会の森でございます。いまの大塚委員と同じなのですが。本来であれば、 川上から川下までこの流改懇という場がありますので全体を議論するのでしょうけれど、 もう、10回議論をしてきました。ある意味では、課題が整理されてきた中で今回は川上 だけで議論する、それはそれでいいことだと思います。ただ、そういう作業部会を作っ ていただけるのであれば、先ほど本音という話がありましたが、是非川上として一定の 結論を出していただきたいと思います。それと、川上が解決されることによって川下が 解決されることがあると思いますので、是非よろしくお願いします。今回、作業部会は 公開でやられるのですか。 ○嶋口座長   作業部会は非公開です。 ○森委員   非公開ですね。 ○嶋口座長   はい。 ○森委員   ということもあって、是非しっかりと結論を出すような形でやっていただければと思 います。 ○嶋口座長   結論というのは例えば川上としてはどういうところについての結論をいちばん期待さ れますでしょうか。 ○森委員   先ほど少しお話がありましたが、川上としての問題が整理されてきていますが、どう もこういう場で深く本音で議論ができなかったように思います。いろいろな意味でいま までどうも、もやっとしていた部分をはっきりさせていただければと思います。 ○嶋口座長   ありがとうございます。川下という表現がいいかどうかは別ですが、ほかに医療機関 あるいは薬局サイドからご意見はございますか。先ほど、いや、これは致し方ない部分 だという言い分はたくさん紹介されたわけですが、その辺りについて、そんなことはな いとか、これは誤解だ、そういうご指摘がございましたらいただいてもいいと思うので すが。よろしいですか。いずれにしても、またあとで意見をいただきたいと思います。 卸連の立場は先ほど伊藤委員からございましたが、さらに事務局の発表を踏まえて特に こういう点を意見として述べさせていただくということがありましたら、お願いしたい と思います。 ○飯沼委員(日本医師会)  日本医師会の飯沼です。3月29日に両課長からいろいろな団体に流通改善に関して何 かお出しになって、目に見える効果はあったのでしょうか。 ○千葉首席流通指導官   平成18年度において、効果は見られなかったと受け止めております。また、今年度 の取組につきましては、まだ実態を調査しておりませんので何とも言えないわけですが、 ヒアリングの過程では、卸側、薬局側あるいは医療機関側も、この問題についての理解 は進んでおり、精力的に行動されていると受け止めております。ただ、それが即妥結あ るいは全品総価の改善につながるかどうかは、今の段階では何とも言えない状況かと思 っております。 ○武田経済課長  今日資料でお付けしております3月29日付け経済課長、医療課長の連名通知は効果 があったのかというご質問に対して効果がないと、こちらのほうから申し上げました。 もう少し正確に申し上げますと、3月末に行った前回の流通改善懇談会の後でこの通知 を直ちに出しましたが、その時点で年度末まで2日残っておりました。その2日間、ぎ りぎりのところで未妥結が改善したと聞いております。平成18年度については、年度 末ぎりぎりまでご議論いただいたことにより、妥結率という意味では一定の改善を図る ことができたものと思っております。委員の先生方には、年度末にかなりご無理をお願 いして集まっていただいたことに、この場を借りて感謝を申し上げたいということが1 つです。  3月29日の通知の趣旨は、年度末まで2日しかないという段階でしたので、平成18 年度が非常に悪い年であったことを踏まえて、平成19年度は薬価本調査の年でもあり ますし、早期の価格交渉を含め、平成19年度の取組について改めて関係者のご努力を お願いしたものです。その通知の結果、私どもが把握しているところでは、各取引当事 者において、非常に妥結率が悪かった昨年度よりも早めに話し合いをしようという気運 が見られ、そういう意味では多少の受け止めをしていただけているのではないかと思っ ております。そうは言っても劇的に良くなるというところまではまだいっておらず、一 定の効果はあったと言うべきかとは思いますが、効果が出ていない面のほうが強い、そ ういう趣旨です。 ○飯沼委員 無理なら、お答えをされなくても結構ですが、未妥結のままの医療機関が どのぐらい残っているか、医療機関のベッド数と相関があるのか、それから、流通で動 いているトータルの薬の何パーセントぐらいが未妥結なのかというようなデータをお持 ちでしょうか。 ○武田経済課長   私どもで把握している妥結状況は1月取引分までで、3月取引分については卸連にお 答えいただきたいと思います。1月取引分については資料2の4頁に資料として出して おります。私どもの調査は薬価ベースで妥結率を調べており、価格が妥結したものの販 売額かつ取引先別に集計したものです。  1月取引分がいちばん新しい数字になっていますが、4頁のいちばん右側「病院・診 療所合計」を見ますと、200ベッド以上の病院で36.0%の妥結率、その他となっている 199ベッド以下の病院が68.1%、診療所が88.5%、トータルで見ますと61.4%の薬価 ベースでの妥結率です。一方、薬局については、20店舗以上保有のチェーン薬局が19% 、その他薬局が70.4%、合計で60.8%という妥結率になっています。医療機関主体別の 妥結率状況については5頁に具体名を挙げさせていただきました。3月末の時点で、ぎり ぎりの交渉の結果妥結した所も多かったと聞いておりますが、3月末の状況について私 どもは把握しておりませんので、もし卸連で数字をお持ちでしたらお願いします。 ○嶋口座長   いまのお話は資料2の4〜5頁のご説明で、事務局サイドで調べていただいた結果です が、妥結率は、医療機関・薬局では合計で61%、薬局のほうでも60.8%ぐらい、ただ、 卸連のほうで出されたデータでは、たしか妥結率が非常に低いという結果だったと思 います。資料3の4頁に医薬用の事業経営概況があったように思うのですが、そこにつ いてもう一回、いまのことを関連づけてご説明いただけますか。私が卸連からいただ いた「卸業の経営概況等について」の4頁では、200床以上の病院について、6〜12ヶ 月までの中で未妥結の状況が59.2%でしょうか。 ○松谷委員   この数字は3ヶ月、6ヶ月を超えるということで説明しておりますが、実際に平成19 年度の3月度がどういう形になったかということが分かるものを持ってきましたので、 それをまずご説明申し上げます。200床以上の病院で見ますと92.4%まで妥結をいたし ました。 ○嶋口座長  調剤薬局チェーンについてデータがありますか。 ○松谷委員   調剤薬局チェーンのほうは85.1%で、薬局全体が91.2%です。 ○嶋口座長   それは何月のものですか。 ○松谷委員   今年の3月です。 ○嶋口座長   ということは改善はされている、効果はあったと見てよいのでしょうか。 ○松谷委員   先ほど課長がおっしゃったように、最後に随分追い込みをかけさせていただいたとい うか、医療機関も感じていただいたということですけれども、それでもまだ91%以外の 残ったところというのは大変厳しい先、毎年わりと常連の先ですので、もうちょっと。 ○嶋口座長   なるほど。何となく、やればできるという感じが無きにしも非ずなのですが、そうい う状況だそうです。よろしいでしょうか。 ○飯沼委員   結論は、小さいところほど真面目というか弱いというか、そういうことですね。わか りました。 ○嶋口座長   この機会ですので、ざっくばらんにご意見を出していただきたいと思いますが、何か ございますか。ジェネリックのほうは直接こういう問題に関わっていないということは 承知しているのですが、何かご意見がありましたらどうぞ。 ○江口委員(日本ジェネリック医薬品販社協会)   今まで私ども、基本的には総価に未妥結のものはないと申し上げてきたわけです。た だ、ジェネリック・メーカーがこのごろ広域卸との取引を拡大されながらいかれている わけで、そういう面では広域卸の影響を受けて大手メーカーのような方向に進んでいる のではなかろうかという気持を持っております。この問題は、薬価の問題と同時に、企 業の取引の問題としてどう考えていくか。我々が一生懸命やってジェネリック医薬品協 会として力が付けば、広域卸に行かずに我々のところでやれるのかなと思うのですが、 体制としては、先ほどの川上の問題でなくて、川下との問題も相当あると思うのです。  作業部会の中で、もしもメーカーと広域卸だけが話をされたとしても、時代の流れと いうものがございます。今、調剤薬局がどんどん大きくなっています。ましてや、株を 公開して、どのくらいの利益を上げるのだということを、はっきりおっしゃっています 。そして3月ぎりぎりになって、公表している利益を達成するために、最後の最後は何 かというと、結局仕入れ値の問題です。ですから、3月28日29日と、ぎりぎりになるわ けです。しかし、今後調剤薬局が縮小するということは絶対にないと思います。合併は まだまだありますし、場合によっては広域卸と真正面から対峙するということになると 、これは利益の問題につながってくると思うのです。そういう面では、広域卸とメーカ ーと2者ということと同時に、もう少し深い考えで商取引というものをお考えいただい たほうがルールがはっきりするのではないかと思います。  また、本質的には公的な保険制度の中で自由競争などを持ってくるということは難し いことでありまして、そこをどのようにするか、作業部会のほうで公明正大なものを作 っていただく。それと同時に、先ほどのお話ではそういうものは非公開ということでし たが、進展状況においては我々のほうにもお知らせはいただきたいと考えております。 これはなかなか根の深い問題で、我々だけでは解決できない問題ではないかという印象 を持っております。 ○嶋口座長  ありがとうございました。現状については皆様方は既に資料をお読みいただいた上で 理解されたと思いますので、次に、事務局から提出されている資料1、今後の運営方針 (案)についてのご意見を伺いたいと思います。資料1について、事務局サイドから説 明をお願いいたします。 ○千葉首席流通指導官   今後の運営方針(案)のポイントの1つは、公的保険制度下での取引として健全なも のとするために、公正取引でいう独禁法上の問題があるわけで、独禁法に触れないよう な観点で、取引当事者双方が公的保険制度下での取引をより良くするための留意事項と いうものを取りまとめていただけないかということが1つです。その際の検討項目とし て(1)〜(3)に掲げてある項目についてご議論をいただければどうか。また、関連事 項としてモデル契約書の見直しも必要になるのではないか。さらに、その留意事項を踏 まえた取組を効果的に推進する上で行政側が果たす役割、そういったものも併せて検討 していただければありがたいと考えております。  この取りまとめ作業を円滑に行う上で、川上の取引が中心になります。売差マイナス、 割戻し・アローアンスの拡大が議論の中心になろうかと思いますので、そういった取引 関係にある先発メーカーと広域卸、有識者代表として嶋口座長、三村座長代理で構成す る作業部会としてはどうであろうかというご提案をいたしました。 ○嶋口座長   これは最初のほうでお話をいただいた点ですが、質問とは分けて、今回はこのように 行いたいのだがという方針の確認です。資料1の2「主な検討内容」で、(1)未妥結・ 仮納入関係、(2)総価取引関係、(3)リベート関係、(4)関連事項として、流通改 善を推進する上で行政が一体どういう役割を果たしたらいいかということです。(5) はその他の問題です。その他の問題のコード標準化については後で議論したいと思いま すが、今後こういうことを考えていきたい。そして、それに当たって作業部会を設ける ということです。その背景には、とにかく9月末までに中医協の薬価専門部会の結論を 出してくれということですから、こちらのほうで出した結論を受けて向こうのほうでい ろいろ作業を進めたいと、そういう状況があるわけです。9月というのはちょうど夏休 みが入るので大変なのですが、間に作業部会を入れながら3回ぐらい部会を持ちたいわ けです。そういう作業を進めるに当たって、一応これをご了承願いたい、こんなところ がいまの事務局サイドからのご提案なのです。  以前は、こちらで流通改善についての議論をするときに、薬価制度の問題は薬価専門 部会の結論が出ないとこちらのほうは言えないのだということで、どちらかといえば向 こうのほうに投げかけて、そちらで何か言ってくれたらそれに合わせて我々がやる、と いうようなスタンスが意見としてあったのですが、今回はむしろ向こうから、こちらの ほうをはっきり決めてくれと。それで、方向や結論は一応出ているが、実態について十 分な改善がまだ行われていないので、そこのところで何らかの具体的な形を示してほし い、そういう要望なのです。非常にタイトなスケジュールなのですが、何とか決めたい というわけです。冒頭に松谷局長とお話したら、今回は重い球を投げられたと言うので、 こちらのほうでそれをどのように受け止めるかということがあるのですが、いずれにし ても、長くズルズルやってもしょうがないのです。相当議論は重ねたわけですから、こ の辺りで短期のうちに早く結論を出したい、というのが今回の事務局案であり、皆様方 への提案であるわけです。そういうことで、何かご質問がありましたら出してください。 ○柿田委員(日本私立医科大学協会)  今回の議論は当然この3つなのですが、先ほどご提示いただいた資料1-1の未妥結・ 仮納入の卸業者側からの指摘事項、あるいは私ども医療機関からの指摘事項、特に卸業 者側からの3番目と医療機関側の2番目というのは、普段議論していることそのものが 正直に出ているように思うのです。実は、我々医療機関側で言うと、未妥結・仮納入の 状況は資料によりますと、医科大学協会は妥結率が5%の時期もあるわけですが、まさ に、この辺の各施設の感覚が数字で出てしまっているように思います。先ほど課長がお っしゃったように、3月29日の通達以後、我々の協会でも調べますと、格段に妥結率が 上がったのは事実です。そんなわけで、通達等がありますと妥結率は上がるのですが、 商取引上の自然の流れでそこまで持っていってしまっている環境がどうしても改善され ていない、という実態がどこかにあるのだと思うのです。  これは先ほど大塚委員がおっしゃったように、正味の仕切価プラス必要経費・コスト を乗せた、きちんとしたものが末端側にはっきり見えていれば、つまり、公正な商取引 の自由競争を阻害しないレベルでそれが透明化していれば、このような遅れはないのだ ろうと思うのですが、留意事項ではなく、その辺のきっちりしたところまで切り込む議 論ができるかどうか、そこが私のよく分からない部分なのですが、いかがでしょうか。 ○武田経済課長   大変貴重なご意見をありがとうございました。おっしゃるとおり、今回は妥結率が非 常に低いまま推移いたしました。年度末にはかなり多くの方々に妥結していただきまし たが、何で年度末までいかないと妥結できないのか。そこはメーカーと卸の間のリベー ト体系が年度末までいかないと固まらない要素がある、みんながそう思っているわけで すが、本当にそうなのかどうかというところも含めて議論していただきたいと思います。 もし6ヶ月単位でメーカーと卸の間のさまざまなものが全部明らかになるのであれば、 6ヶ月ということだって、できないことはないかもしれないのです。その辺りをどこま で透明化し、どこまでオープンな形でお示しできるかということになると思います。時 間が限られておりますが、その辺りは精力的に議論していただきたいと思っています。 ただ、これは民々取引ですので、行政としては流通を縛るところまではできないという ことで、いろいろ頭を悩ませた結果として、当初卸の皆様方から指針なりガイドライン なりでということがあったのですが、「留意すべき事項」ぐらいの位置づけにならざる を得ないのではないかと。留意すべき事項ではあっても、論点や中身の透明化が進めば 流通改善の効果はあると思いますし、そういうことも少し議論していただきたいと思い ます。 ○嶋口座長   議論が出尽くしたということはないと思うのですが、これ以上ないようですので、各 委員のご意見などを踏まえまして、9月末までという大変タイトなスケジュールですが、 今日を含めて3回程度検討を行い、その結果を当懇談会としての取引当事者双方の留意 事項ということで取りまとめていきたいと思います。留意事項の原案作成に当たりまし ては、メーカーと卸間の諸課題の検討についてウェイトがかなり高いと認識しまして、 そこでの自由な意見を求めるという意味から、メーカー、卸、それから有識者の委員で 構成する非公開型の作業部会、といっても全く秘密というわけではなくて、その結果に ついては様々な場で委員の先生方あるいは外に対して連絡はいくと思いますが、いずれ にしてもそういう作業部会を設置するという提案をここで了承していただくことでよろ しいでしょうか。                  (異議なし) ○嶋口座長   それでは事務局提案のとおり進めさせていただきます。作業部会の開催については、 後日事務局より各委員の方々に連絡させていただく予定です。その問題はここまでです 。  次に事務局のほうから、ここで取り上げるテーマとして5番目か6番目にあったコー ド標準化、いわゆるIT化推進の関連で報告がありますので、その説明をいただいてか ら、また意見交換をしたいと思います。 ○千葉首席流通指導官   資料4について説明させていただきます。資料4は、昨年9月15日付けで医薬食品 局安全対策課長から関係団体等に通知として出された「医療用医薬品へのバーコード表 示の実施について」です。医療用医薬品のバーコード表示の実施につきましては、平成 14年の薬事法改正の際に、生物由来製品等についてトレーサビリティが義務化され、メ ーカー、卸、それから医療機関等においても記帳義務が課せられたところですが、業務 の効率化という観点の1つとして、このバーコード表示が求められていたところです。 一方、医療用医薬品の取り違えによる医療事故防止の観点からもバーコード表示が必要 であるというニーズも併せてあったわけです。こういった状況を踏まえて平成16年に、 医薬食品局の安全対策課に検討会を設けまして、約2年間にわたってバーコード表示の あり方について検討をしていただきました。また、平成16年の当懇談会での中間とり まとめのご議論の中でも、この医療用医薬品のバーコード表示のあり方について、一度 皆様方からご意見を頂戴した経緯もございます。そういう意味で今回、遅ればせながら ということでお詫びを申し上げなくてはいけないし、もう少し早い段階でご報告すべき だったかと反省しておりますが、本日、その通知の内容について、まず報告させていた だきます。  資料4の2頁、(1)「表示対象及び表示するデータ」という項目がございますが、表 示対象は医療用医薬品とし、包装形態(調剤包装単位、販売包装単位、元梱包装単位) の包装単位の形態ごと及び医療用医薬品の種類に応じて、次のとおり商品コード、有効 期限、製造番号、製造記号、数量を表示するとなっております。それぞれの包装単位の 表の中で◎と○の表示がありますが、◎は(必須表示)項目とされておりまして、各製 造販売業者において必ず表示義務のあるもの、○は(任意表示)の位置づけで、各企業 の努力義務としての表示が求められております。  2の(2)でJANコードは次のとおり付番するとなっています。最初の・に「JANコ ードは個々の医薬品の包装単位の種類ごとに付すこと。ただし、元梱包装にあっては販 売包装と同一のJANコードとすること。したがって、調剤包装のJANコードは販売包 装のJANコードとは別のJANコードとなるものである」とされており、流通段階での 包装単位である販売包装単位と、医療機関や薬局で患者さんに使用する単位としての調 剤包装単位で用いるJANコードは別々のものにするという取扱いになっております。 その理由としては、医療機関や薬局での医療事故防止という観点からは、使用する医薬 品の管理を成分ごとに行う必要がある。流通単位のJANコードでは、1つの成分でも 100錠包装、500錠包装あるいは1,000錠包装と包装単位ごとにJANコードが振られ ておりますので、医療機関側の管理としては非常に煩雑になるためです。そういう意味 で、1つの製品でも使用単位と販売包装単位とでは別のJANコードが用いられることと 決められています。  次頁の4は「バーコードシンボル体系」です。国際的な流通標準化機関としてGS1 という機関があり、医療用医薬品のバーコード表示で用いるバーコードシンボル体系と してはGS1が定めた国際標準のバーコード「コード128体系」を用いることとされて おります。  次頁の6「新バーコード表示の実施時期」ですが、特定生物由来製品、生物由来製品 若しくは(生物由来製品を除く)注射薬のすべての包装単位、又は(生物由来製品を除 く)内用薬、外用薬の販売包装単位の表示実施時期については「平成20年9月以降に 製造販売業者から出荷されるものにはすべて表示する」とされております。また、生物 由来製品を除く内用薬、同様に外用薬の調剤包装単位、使用包装単位での表示について は現在、「関係業界等によって3〜5年後の表示実施を目標に包装形態ごとの技術開発等 が行われていることからその実施時期は別途通知する」とされています。  このような表示項目の実施時期が定められていますが、商品コード、有効期限、ロッ ト番号のすべての表示について必須表示(◎)とされているのは生物由来製品等の一部 の製品に限定されており、他の製品について有効期限やロット番号の表示が平成20年9 月以降速やかに表示されるかどうかという点は、危惧される声も上がっているところで す。このため、7「その他」の(3)で「必ずしも表示しなくて差し支えないもの(任意 表示)とされているデータについては、今後の表示状況及び利用状況を踏まえ、その後 の表示範囲の拡大について検討することとすること」と付記されています。  以上が昨年9月に定められた医療用医薬品のバーコード表示の実施要項の概要です。 経済課といたしましては、流通の効率化、高度化という観点から考えますと、すべての 医療用医薬品について、早い段階で全ての項目についてバーコード表示することが望ま れると考えております。このため、来年度以降、当課において各メーカーの表示状況に ついて定期的に調査を行い、必要に応じて「その他」の(3)、表示範囲の拡大の検討 を考えています。また、定期的な実情調査の結果等は当懇談会にもご報告をしながら、 当懇談会のご意見も踏まえて今後のあり方について検討していきたいと考えているとこ ろです。 ○嶋口座長  ただいまの説明に対して何かご質問がありましたら、どうぞ。 ○松谷委員   質問というより要望ということでちょっとお話させていただきます。平成20年9月 までに、特定生物由来製品と生物由来製品にはロット番号と有効期限が入ることになっ たのですが、これは今、医療用医薬品の流通で、物量として5%になるか、ならないか ぐらいの量です。それであってもバーコード表示が正式に義務化されれば、流通業者は バーコードリーダーを入れて物流、在庫管理、あるいはお得意さまにお届けする伝票に もバーコードを打ったり、いろいろなことをしようとしているわけですが、それをたっ た5%だけのためにやるのは大変もったいない。全製品がそうなっているほうが、医療 機関にとっても、患者さんにとってもはるかにプラスです。  今の実例で申し上げますと、卸業者がメーカーから依頼されて自主回収するものが年 間に100件ぐらいあります。100件ぐらいの商品を自主回収しておりますが、そのとき に、生物由来のものについては、どのお得意さんにどのロットが入っているから、これ を回収してくれということだけで単純に回収作業ができます。ところが、他の商品につ いては、その商品が入っている先はコンピュータで分かりますが、どのロットがいって いるかは、その時点では分かりません。したがって、その商品を納めているお得意さん に出かけていって、全部目で確かめて、その上で回収することしかできない。今、医薬 品の安全性等が非常に重要な時期に、ロット番号や有効期限を目で見て物事を行うとい う時代ではないのではないかと思います。そういう意味では、より早くこれが義務化さ れることがすべての方々にとってプラスになるものだと確信しておりますので、是非全 商品へのバーコード表示の義務化を早くやっていただけるように。今度の医薬品産業ビ ジョン懇談会のときにも私は申し上げたいと思っているのですが、全卸共通してロジス ティックの機械化等を行うときに、全商品の中でたった5%しか入っていないというの は大変残念なことだと思いますし、これが早く実現することを期待しております。 ○嶋口座長   生物由来製品については待ったなしですが、それ以外でも、流通の効率化だとか、安 全性をさらに向上させる、その他諸々の面でメリットが高いので、是非これを流通改善 の中で取り上げたい、というサポートのご意見として伺いました。 ○門林委員(日本病院薬剤師会)   いま医療法が改正されて、医薬品の安全使用のための業務手順書というものを作らな いといけないのですが、その中で、バーコードが入ってくると、そのことを手順書に盛 り込んで、きちんと管理できるということが可能性としてあるわけです。しかし一方で は、そのシステムの導入にすごくお金がかかるであろう。全品目に導入することが望ま しいのですが、それをきちんと管理し、医療現場の中でトレーサビリティを取るとなる と、時間とお金とが非常にかかり、そういったところの手当を何か考えていただかない と。バーコードが入ったので使えと言われても、なかなか使えるものではないので、そ ういったことのご配慮をお願いしておきたいと思います。 ○嶋口座長   医療機関側のご意見としては当然だと思います。 ○大塚委員   私の所は電子カルテ、それから、リストバンドをはめて、バーコードを使って、誰が いつ何の注射をしたかということは全部記録されます。内服については今のところまだ 行っておりません。内服、外用については難しいと思っておりますが、これについて何 か良い方法をどなたか教えていただければと思うのです。 ○嶋口座長   大枠として、こういう方向はいいと思うのですが、それに至るまでにテクニカルな問 題やオペレーションの問題は出てくるのではないかという感じがします。内服について、 武田課長からお答えをお願いします。 ○武田経済課長   これはかなり技術的な問題が絡みまして、PTP包装の上に印刷できるか、斜めになっ ているものの上にバーコードをうまく印刷できるか等の問題がございます。そうは言っ ても特定生物由来製品に義務づけをしなければいけないということで、日薬連の担当委 員会で何年かにわたって技術検討をしてきたと聞いております。その結果として内用薬、 外用薬についても、製薬関係業界によって3〜5年後の表示実施を目標に技術開発が行 われており、内用、外用など実際の調剤包装単位のコード化については実施時期を別途 通知ということになっております。目処はまだたっていませんが、かなり良いところま でいっていると聞いておりますので、そんなに遠くない時期に全製品に可能になると思 います。  それから医療現場ですと、坐薬等1つずつ付けるのが大変難しいものはシート単位で バーコードを付けてほしいと。病院で実際に使えるように、それを電子カルテに取り込 めるようにというお話でしたが、医薬品というのはそういう実際の調剤単位とパッケー ジ、さらに、それが全部詰まった段ボール箱とありますが、卸の方々が言っている要望 は、外の段ボール箱にきちんと付けてほしいということで、医療機関側の要望と卸売業 者の要望とはそれぞれ側面を別にしているようです。いずれにしても、皆さんがそれぞ れIT化を進めていらっしゃいますので、各方面のニーズに合うような形のバーコード 化の実施率を高めていくということを是非検討させていただきたいと思います。 ○嶋口座長   医療現場のほうにはかなり難しい問題があると思うのですが、調剤薬剤師会のほうか ら意見をお願いします。 ○森昌平委員   これはちょっとこの場の議論に馴染まないかもしれませんが、門林委員の話と関連す ることです。今、医療機関では医療安全のためのさまざまな設備機器等を導入しており、 バーコード化にしても大変費用がかかり、何とか国としても手当てをしてほしいという お話がありました。今、医療安全に資する機器に関しては特別償却ということで税制上 の優遇措置があります。しかし、それは医療機関だけが対象となっており、同じものを 入れても、薬局は該当しません。商業分類か何かで対象外となっているようですが、今 後バーコード表示が、流通の効率化、コード化、それから医療安全のために導入される ときに、当然、薬局でも導入します。税制上の特別償却に関して、薬局は全く該当外に なっていますので、是非今後、ご検討いただきたいと思います。 ○嶋口座長   医療現場でこれを進めるに当たっては、課題がいろいろあるということは重々承知で きることだと思うのです。ちょっと大きな負担になると思われるメーカー側から、この ことに関してまだご意見をいただいていません。中には相当進んでコード化をしている メーカーもあるし、遅れているメーカーもあるのですが、コード化推進について、ご意 見をいただけるでしょうか。 ○禰宜委員   先ほど武田課長からお話がありましたように、日薬連のプロジェクトの中で検討して おりますが、テクニックの問題でシート、PTP等にできるか。いかに効率よく、そして 安くできるかというところも含めて、実現性も含めて検討していただいている、3年と か5年の話であるということも私も漏れ聞いております。いまの流通のところも考えま すと当然必要ではないかと思いながらも、全メーカーさんが同じような形で経費投資で きるかどうかという問題も含んでいますので、立場として、これ以上のことは申し上げ ることはできません。 ○嶋口座長   方向としてはそうなっていくだろう、というご意見ですね。まだ少しご意見、ご質問 もあるかもしれませんが、今回のバーコード表示につきまして、現在のところは生物由 来製品に限定しているようなのですが、その他の製品についても、流通の効率化の観点 から速やかな導入がこれから必要であると考えられるようです。当面「任意表示」とさ れているデータについては企業努力を求めつつ、今後の表示状況及び利用状況を踏まえ て、その後の表示範囲の拡大について検討するとのことでもありますので、今後の実施 状況についてはこの懇談会でも報告をいただき、必要に応じて、この懇談会の中で意見 を述べていくようにしたいと思います。  本日予定していた議題は終了しましたので、最後に、松谷医政局長からご挨拶をいた だければありがたいと思います。 ○松谷医政局長   委員の先生方には、大変お忙しい中大変熱心にご議論いただき本当にありがとうござ います。本日は、当懇談会で今後どのように議事を進めていくかということについて事 務局からご提案をさせていただいたわけですが、大変熱心に、前向きにご審議をいただ きました。御礼を申し上げる次第です。  中医協の親部会に対しまして未妥結・仮納入、また総価取引、リベートのあり方等々 流通改善策につきまして今年の秋ごろまでに報告を行うということが求められているわ けです。大変重い課題で、私どもとしてはずっと議論してまいったわけでございますが、 中医協の議論に資するという意味で重さが増したということだと思いますので、委員の 皆様方には大変タイトなスケジュールで引き続きこの件についてご議論いただくことと なりますが、その趣旨をお汲み取りいただきまして、是非よろしくお願い申し上げたい と思います。  検討に当たりましては、独占禁止法における制約など難しい問題もあるかと思います が、公的な保険制度下におきます取引当事者双方が、今の薬価制度あるいは薬価情勢の 信頼性を確保するための取組をより一層推進するという意味がございます。そういった 観点から、取引の際に当事者双方が留意すべき事項ということで取りまとめができない かと私どもとして考えておりますので、その点よろしくお願いを申し上げます。本日は、 ご多用中にもかかわりませず、この懇談会のためにお時間を割いていただきまして本当 にありがとうございます。御礼を申し上げます。 ○嶋口座長   まだ少し時間がございますが、今日の予定の項目についてはほぼ議論いたしましたの で、ここで懇談会を終了させていただきたいと思います。次回の日程については、いま 事務局サイドで日程調整をしていただいているところですので、決まりましたら皆様方 のほうにご連絡をさせていただきたいと思います。この懇談会のテーマはいつも難しい なと思うのですが、不退転でやればできるのではないかという印象ももう一方にはある ので、皆様方が一致協力して、こういう方向で行こうとすれば、何かそのまま動くのか なという感じもいたします。そういう意味では、これから不退転の決意を持っていろい ろこの中で懇談していけたらいいと思っております。今日は本当に暑いところ、どうも ありがとうございました。