07/06/29 有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会 第8回速記録 第8回有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会 開催日:平成19年6月29日(金)    於:東海大学校友会館「望星の間」(霞が関ビル33階) ○ 中垣審査管理課長  それでは、第8回「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」を始めさせ ていただきたいと思います。本日は、柴崎委員、松本和則委員、南委員から欠席という 御連絡をいただいております。飯沼委員がまだ着席されておられませんが、今会場にお 見えになられまして、これで御出席の予定の委員はすべて揃いましたので、始めさせて いただきたいと思います。  事務局から、まことに申しわけございませんが、本日実はこの後、薬事・食品衛生審 議会の薬事分科会の開催も予定されておりますので、きょうの会合は3時45分ぐらい をめどにお進めいただければと考えておる次第でございます。まことに申しわけござい ません。  それでは高久座長、以降の議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○ 高久座長  最初に本日の配付資料の確認を事務局の方からよろしくお願いします。 ○ 山本承認審査等推進室長  はい。議事次第のところに配付資料の目録がございまして、資料1は開催要綱、資料 2は構成員の名簿、資料3は論点整理、これは今までと同じ資料でございます。それか ら、資料4として、「第8回検討会の検討課題に関する参考資料」という表紙を含めて7 ページの横長の資料、資料5として、「「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検 討会」報告書骨子(案)」という目次のほかに19ページの資料、以上が配付資料でござ います。おそろいでないものがありましたら、御指摘いただければお届けいたします。 ○ 高久座長  本日は最初に、前回議論をしていただいた「医薬品の適正使用」について、その後少 し時間をかけて、この資料に報告書骨子案とありますが、全体のまとめについて御議論 いただきたいと思います。最初に、「医薬品の適正使用」について、事務局の方から説明 をよろしくお願いします。 ○ 山本承認審査等推進室長  それでは、お手元の資料4をお開き願います。3ページをおめくりいただきますと、 今回の検討課題の位置づけで、左下の論点5「市販後の安全性及び有効性の検証のあり 方」、これに関しまして、前回に引き続き御検討を賜るものでございます。  ページをおめくりいただきまして5ページでございますが、前回検討会でいただきま した主な議論についてまとめております。  最初の○でございますが、添付文書上の特に重要な「患者の生命に重大な影響を与え うる警告事項」を目立たせるなどのメリハリをつけるなど工夫すべきである。さらに、 「患者向医薬品ガイド」など、患者への情報提供を進めることが必要である。まずそん なような御意見をいただいております。  2番目でございますが、医療現場においては、添付文書などの情報を収集した上で最 適な医療を選択することが求められており、医師の臨床研修などを活用して、添付文書 の重要性についての周知を図るべきである。また、医療現場においては、医師・薬剤師 などが、適正使用のためのさらに積極的な連携・協力が必要、そういった御意見をいた だいております。  3番目でございますが、製薬企業は添付文書による情報提供のほか、医師等を特定し た情報提供、これで不十分な場合には、さらに添付文書以外の手段を用いた注意喚起、 さらにはそれでも不十分な場合については、医薬品供給と適切な管理・使用体制の一体 化、といった段階的な適正使用の方策を個別品目ごとに実施すべきである、という御意 見をいただいております。これに対して行政も、承認前から製薬企業による必要な方策 の企画・立案に対し適切な指導を行うべき、という御意見でございます。  4番目でございますが、承認条件として、製薬企業が実施する市販後調査等の結果に つきましては、その実施状況や結果の概要を適時・適切に公表すべきである。さらには、 その市販後調査については、薬剤疫学的調査の活用について検討が必要である、という 御意見をいただいております。  「その他」という5番目の○でございますが、小児用医薬品についての御指摘でござ いまして、必要な医薬品がなかなか開発されない、あるいは既存の医薬品についても、 例えば使用上の注意に、「小児への安全性は確立していない」という記載になっていると いったような状況にある。このため、現在既に再審査期間の延長等の施策があるわけで ございますが、さらに小児用医薬品の開発促進(例えば、何らかのインセンティブを付 与する)の方策について検討が必要である、という御意見をいただいております。  次のページをおめくりいただきまして、本日の検討事項として事務局で整理したもの でございます。まず、医薬品の適正使用の推進を医療現場で行うためにということが1 でございますが、(1)といたしまして、添付文書にメリハリをつけるための方策につい てです。現在の警告欄については、添付文書の先頭に赤枠で囲って、医薬関係者の目に とまるような工夫をしているわけでございますが、この警告のうち特に重要なものにつ きまして、「警告欄より上位の注意」、スーパー警告といった欄をつくるということはど うだろうか。あるいは、添付文書の位置づけがわかるように目次を設けるというような 施策が考えられるわけだが、このほかどんなものがあるか、という点がまず論点でござ います。  それから、添付文書情報の周知に関してですが、この添付文書の重要性について、医 師等への研修を活用して周知を図るということ。それから、「患者向医薬品ガイド」によ る情報提供を一層進める。それから、添付文書改訂の際に、企業はその内容や理由につ いて、より積極的な情報提供を行う。それから、添付文書情報のほか、例えば個別医薬 品ごとのチェックリストを企業が作成して、特に重要な情報を医薬関係者に確実に周知 するといった施策があるが、このほかどんなものがあるかということでございます。  下の枠囲いに医療法、薬事法の関係した規定を、参考のために載せてございます。  次のページでございますが。「2.その他」といたしまして、市販後調査等による副作 用等情報の収集についてでございますが、承認までに得られる情報には限界があり、承 認後に初めて把握できる情報が存在する。これの情報を把握するために、承認条件とし て、市販後調査を実施し、再審査の結果として公表し、あるいは副作用情報を収集して、 その結果に基づきタイムリーな添付文書の改訂といった施策が現在行われております。  この副作用等情報の適時・適切な把握のための方策ということで、(1)製薬企業が実 施する市販後調査の結果については、現在、再審査の結果に合わせて公表されていると ころですが、これを厚生労働省に報告されるごとに進行状況や結果の概要を公表するこ とが考えられるが、このほかにどのようなものがあるかという論点でございます。(2) は個別医薬品ごとの市販後安全対策の検討で、現在、承認審査に当たっては、その過程 で明らかになった使用上の注意については添付文書へ反映、それから必要に応じて承認 条件を付し、さらに製薬企業による市販後調査といったことで情報を収集しているわけ でございます。これに対して、個別医薬品ごとに承認審査から市販後を通じて安全対策 を計画的に行うために、個別医薬品ごとに市販直後調査の期間にメリハリをつけること、 あるいは市販直後以外にも、ドクターレターを発出した場合などについては、必要に応 じて市販直後調査と同様の対応を行うこと、といったことが考えられるが、このほかに どのようなものが考えられるかということでございます。  以上でございます。 ○ 高久座長  ありがとうございました。この問題については、前回もかなり御議論いただきました が、また改めて少し時間をいただいて、医薬品の適正使用、特に市販後の結果をどのよ うに公表して、一般の方にわかっていただけるかという、これが一番重要な問題だと思 いますが、この問題についてどなたか御意見はおありでしょうか。どうぞ、青木委員。 ○ 青木構成員  適切に情報を流すということは必要でありますが、例えばここにスーパー警告欄をつ くるというアイデアがございましたが、これは私どもとしましては屋上屋を架すような 感じがいたします。現在の安全性情報につきましては警告、禁忌とあり、その後、効能、 用法、用量等がございまして、その後に使用上の注意ということで、必要な情報はすべ てそこに書いてあるわけであります。したがって、赤い字で書いてあります警告欄を見 れば、そこに重要な情報は載っていることになっておりますが、この辺のところは情報 ごとに異なっていて、非常に細かく書いてあるものがあったりして一覧性がない、すぐ にはわかりにくいというようなこともあって、さらにその上にスーパー警告を載せよう という考えかもしれませんが、むしろこの警告、禁忌、使用上の注意をもっとすっきり とさせて、警告のところを見たらすべて警告にかかわる問題がすっと入るように整理す べきであって、項目をふやすことが必ずしも安全になるというふうに思わないというの が、我々が検討した結果であります。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。赤い線を引けば―赤い字ですか、線ですかね―かな り警告の性格が強いと思うのですが。 ○ 青木構成員  製品によってはここが非常に長いページになっているものもありまして、そうすると 警告といいながらも長々と読まなくてはいけない。この辺のところの整理ということは 必要かもしれません。 ○ 高久座長  余り長いと問題でしょうね。ほかにどなたか。たしかアメリカにもブラックボックス のウオーニングを少し乱発し過ぎるのではないかという意見がありますから。どうぞ、 課長さん。 ○ 中垣審査管理課長  今、青木委員がおっしゃったことというのも、どのような形で医療現場の方々に情報 をわかりやすく伝えるかという工夫の問題だろうと思います。例えばアメリカの添付文 書は、御存じの方も多いと思いますが、20ページ、30ページに及ぶような添付文書に なっております。我が国では、そのようなボリュームのあるものを提供してもなかなか 徹底できないのだろうということで、4ページとか5ページとか、そういうところを一 つの目安にしてやってきておるところでございます。今の添付文書は、特に新しい薬に なればなるほど、いろいろな試験もされ、科学技術のレベルも上がっているのだろうと 思いますが、いろいろな情報をできるだけ書くという方向でやってきているわけでござ います。  現実問題として警告がございますのは、前回の資料でお示ししましたが、240〜250 成分にもう既に警告が載っていると。そういう意味から申し上げますと、確かに警告の インフレと言ってはいけませんが、警告を乱発し過ぎたということもあるのかもしれま せんけれども、アメリカ等で確かにブラックボックスになっているものについて、我が 国でどうするかと言われますと、アメリカのブラックボックスが我が国の警告に相当す ることを考えますと、それと同じような形というのが一つの大きな参考になっているの もまた事実なのだろうと思うわけでございます。その中で、前回御議論をいただいたよ うな、人の生命にかかわるような非常に重要なものをどうするのかという点を考えます と、今の青木委員の御発言をもとに考えますと2つの方策があって、一つには警告の中 から人の生命にもろに影響するようなものだけを残して、それ以外のものは警告から外 すというやり方と、警告の中から、ここで書いているようなスーパー警告みたいな形で 上に上げるやり方と、どちらかのような方策をとらないと、先ほどの座長の言葉ではあ りませんが、ブラックボックスウオーニングがかなり多くなったという現状を含めると、 なかなか周知が難しいところもあるのかなと考えている次第でございますが、いかがで ございましょうか。 ○ 高久座長  その警告の中で生命の危険がある、非常に重篤なものだけ、赤い字で書くというのは どうですかね。それをなるべく少なく、赤い字で書くと目につきます。赤い字で書いて いるものは云々というコメントをつけて、研修医の方や若い人の教育のではこれだけは 気をつけろということを、指導医の人が強調すれば、抜き出すよりかえって良いのでは ないですか。それも余り長いと困りますね。ほかにどなたか。どうぞ。 ○ 倉田構成員  警告のところだけですべて網羅されているとは私は思えなかったのです。添付文書を 見てみますとそれだけではなくて、使用上の注意や重要な基本的注意の中にも、これは 決して見逃してはいけないというものがまさしく書いてあって、それはそれで例えば基 本的注意のところでもその中で絶対これは逃してはいけない、生命の危険に通じるよう なものは、そこの一番初めに四角で囲んでその中にそれだけをまた書いてみるとか、そ の四角の下は説明文のような形にはなるけれども解説のようにして書いていくとか、そ ういうのも考えられるのではないかなと思いました。  それから、もう一つまた別の話ですが、2番目の添付文書情報の周知というところの 「患者向医薬品ガイド」ですが、この構成員の中で患者に該当するのは私ぐらいなので、 いかにこの医薬品ガイドがすぐれているかという話をちょっとさせてください。どうい うふうにつくられているかといいますと、医療者に渡す添付文書とはちょっと違ってい まして、私どもが薬を使う場合に、まず薬を使う前に確認しておくべきことというのが 書いてあります。それを見た後に、この薬の使い方。それから、ではその薬を使用中に どんなことに気をつけなければならないのかというふうに、どんどん時系列のように進 んでいって、その中に副作用のことについても十分書かれています。特にこの副作用の ところで私がいいと思っているのは、重大な副作用の名前が書いてあって、その主な自 覚症状というのが書かれています。普通の説明書ですとそれまでで終わってしまうので すが、この医薬品ガイドでいいところは、その次に私たちの体のどの部位にその自覚症 状があらわれるかというのが書いてありまして、例えば頭で、頭痛がしたり目まいがし たりというふうに自覚すると、それによってその上に書いてあるどういう重大な副作用 の見当がつくというのでしょうか。そういうふうに逆に、じゃ、私はこういう副作用な のかもしれないといって早期に発見できて、医療者にそれを伝えることができるという ようになっていて、とてもそれがいいように思いました。最後に、この薬の製薬メーカ ーの薬相談室の連絡先も書いてあり、とてもよくできていると思っています。とうとう タミフルも出ましたですね。これから読ませていただきます。  ありがとうございました。 ○ 高久座長  これはメーカーさんがつくっているのですか。患者用。そうですね。 ○ 青木構成員  患者向けの医薬品ガイドです。 ○ 高久座長  これはドクターも読んだ方がいいでしょうね。池田先生、どうぞ。 ○ 池田構成員  今、倉田委員が言われた「患者向医薬品ガイド」ですが、実はきのう安全対策部会で この話が少し出まして、具体的にどんな書き方をしているのかと。今、倉田委員に御説 明いただきましたが、幾つかの薬剤についてダウンロードして見てみたんですけれども、 非常に患者さんにわかりやすいような格好で書いてあるということで、きのうお聞きし ましたらもう既に1,200品目ぐらいこれが出ているそうですが、仲間や若い先生たちに、 「こういうのが出ているの知っている?」と聞いたら、知らないんですよね。もちろん 患者さん向けですから患者さんが見るのでしょうけれども、医師としても現場で「あな たの飲んでいるお薬について、詳しくわかりやすい格好でこういうところもありますの で、見たらどうですか」というぐらいのことを言っておくのも非常に大事かなと。医師 向けの添付文書について、それもなかなか見ない医者もいるということで、その教育は もちろん非常に大事だということは論をまたないですが、やはり患者さんに説明すると きに、こういうものがありますよということを宣伝することは、医療の質を上げるとい うことでも非常に重要なことではないかなということで、私も本当に反省したのですが、 改めてこういうものが非常によくできているなということを認識しまして、ぜひこれは もう少し宣伝をしなければいけないと思いました。 ○ 高久座長  そうですね。どうもありがとうございました。ほかにどなたか。どうぞ。 ○ 寺脇構成員  我々も「患者向医薬品ガイド」は大変すぐれていると思います。私も医療現場で使っ ています。個々の薬剤師がつくった医薬品情報提供書がベースになるのですが、この「患 者向医薬品ガイド」を利用して服薬支援を行うようになり、薬剤師のレベルがかなり均 一化したのではないかなと感謝しております。  それから、添付文書の内容を医療現場で周知させることは薬剤師の責任であり、また 義務であるとも考えております。そのためには臨床薬剤師としての資質向上を図り、添 付文書の記載内容を深く理解する必要があるわけですが、薬学6年制になったというこ とは、そういう意味では非常に意義深いことだと思います。  ところで、今、池田構成員の方からちょっと意見が出ましたので、私もきょうこのこ とを発言しようかどうか迷って来たのですが、あえて発言させてもらいたいと思います。 常日ごろ現場に立って考えておるのですが、私の偏見かもしれませんが、国公立病院の 先生方や大学病院の先生方は、どうも添付文書の重要性というものを余り認識されてい ないのではないかなと、そういうことを考えております。保健医療という面も含めまし て、院内で添付文書の位置づけに対して、もっと教育を徹底していただけないものかな と、現場に立つ人間として感じております。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。5ページの一番上のところ、「「患者向医薬品ガイド」 を更に積極的に作成」、それから「普及」という言葉を入れた方が良いでしょうね。ほか にどなたか。どうぞ、青木委員。 ○ 青木構成員  ここに一つ、「添付文書に目次を設ける」という項がございますが、日本の添付文書は、 先ほど中垣課長のお話にもありましたように非常に簡潔にできておりまして、ほとんど 4ページ以内になっております。したがって、ここに目次をつける必要は我々はないと 考えています。構成も非常に簡潔で、この添付文書につきましては何回かいろいろな改 訂があって、望月先生をはじめ諸先生方が努力してくださったと思うのですが、非常に 適切に記載されているというように思いますので、視認性も非常によくて、この4ペー ジを頭に入れていただけば大体ほとんどの情報は入るのではないかと考えております。 ○ 高久座長  わかりました。どうぞ。 ○ 望月構成員  私も青木委員がおっしゃったように、目次をつけるほどのページ数もないですし、ち ょっとそこは少し別な形で、どの項目に何が書かれているというのを認識していただく 方法を使った方がいいかなと思います。  先ほどの警告欄のところの上のスーパー警告欄をどうするという話にちょっと戻らせ ていただきたいのですが、実は先ほどからお話にありますように、最近は本当に発売時 から警告がついている医薬品が多くなっておりまして、昔は発売時から警告がついてい る医薬品というのは、どちらかというととても珍しいケースだったのですが、今はもう 最初からほとんどの薬に、特に新医薬品で効果が強くてというたぐいのものにはついて います。その中で、過去に比べて最近の警告欄というのは、いろいろな情報がたくさん 入り過ぎていて、本当に大切なものと、その次ぐらいでいいかなと思うものが混在して いるような傾向があると思います。その警告欄にさらにメリハリをつけた方がいいだろ うというのが、多分スーパー警告欄の御提案だったのではないかなと思うのですが、も しそれをつくりますと、どうも過去からの経緯を見ていますと、昔の警告欄というのは 本当に重要なものだけだったような気がするのですが、最近はそれ以外のものも警告に 上がってきて、そうするとスーパー警告欄をつくると、今度はまたそこにほかのものが 入っていくような歴史をたどるのではないかなという懸念がちょっとあります。この欄 はこういうものが入っている欄なんだということをきちんと定義づけて、担当者がかわ っても継続的にそれが持続されるような仕組みになっていれば、そういうものをつくる ことというのは、メリハリをつけるというのは意味があるんですけれども、どうも今ま での経過ですとそこがだんだん薄れていってしまうところがありますので、そこは少し 方策を考えていただいた方がいいかなと思います。  警告欄がとても大事なことは確かですが、先ほど倉田委員がおっしゃっていましたよ うに、添付文書というのは基本的にすべて必須の情報が入っていまして、どの項目もか なり重要であるということは事実で、この前の議論にもありましたが、余り極端にメリ ハリをつけるとそこしか情報が伝わらなくなるという、ちょっとデメリットもあるかな と思います。やはり大事な情報は、せんだって佐藤構成員がおっしゃっていたと思いま すが、リマインドをかけるということもとても大事で、最初例えば緊急安全性情報が出 て、そうするとみんなびっくりして、それについて非常に注意をするのですが、ある程 度の時間がたちますと、たとえそれが警告欄に書いてあっても、まただんだん新人の医 療関係者が入ってきますと薄れていくという、そういう歴史があるように思いますので、 リマインドの書き方をどうしていくかということも一つの課題ではないかなと思います。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。この適正使用についてはいろいろまだ御議論がある と思いますが、きょうは資料5の「「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」 報告書骨子(案)」についても議論をお願いしたいと思います。こちらの方に移らせてい ただきたいと思います。これは非常に長い内容になっていますので、部分的に説明をし て、それで議論をいただいて、また進めるという形で、この資料5についての議論をし たいと思います。最初に「第1 はじめに」、それから「第2 承認審査等の現状」とい う、この2つについて事務局の方から、これは読むんですかね。はい、どうぞ。 ○ 中垣審査管理課長  座長の議事進行に事務局が何か言うのも非常に申しわけないわけでございますが、先 ほどの資料4で申し上げますと、6ページの部分というのは、スーパー警告欄をつくる というのは余り適当ではなかろうと。その警告の中でメリハリをつける、あるいはそこ の定義をはっきりするというような御意見を、また添付文書全体が重要だというような 御意見もいただいたわけでございますが、7ページについて御意見がなかったかと思う わけでございます。7ページについてもし何かございますれば、御意見を賜れればあり がたいと思っております。 ○ 高久座長  わかりました。それでは7ページについて、どうぞ、池田先生。 ○ 池田構成員  7ページの市販後の安全対策というのは非常に大事なことで、承認までに得られる情 報というのは本当に限界があると思うので、安全性を担保していくためにどういう対策 を立てるかというのは大事だと思います。現在、承認審査の過程においては、承認する ときにどういう条件をつけるかを随分議論しており最終的に承認している状況だと私は 理解しているのですが、そのときに個別の医薬品ごとに市販直後調査の期間のメリハリ とか、それぞれの特徴によって少しずつバリエーションがあってもいいのかなと私はい つも感じています。ですから、例えば8年の間に使用調査をして再確認をするというよ うな原則があるわけですが、やはり物によって市販直後の審査は確実にやってほしいと いうこととか、あるいは物によっては、8年でもちろんやるわけですが、報告をある期 間ごとに確実に公表していくとか、薬剤によってどの程度の市販後の調査をやった方が いいかを、調査会なりあるいは部会で議論してもいいのではないかなと私は思っていま すが、いかがでしょうか。ここに書いてあるのは、私はそのとおりではないかなと思っ ています。 ○ 高久座長  わかりました。それでは青木構成員、どうぞ。 ○ 青木構成員  只今の件につきましては池田先生のおっしゃるとおりだと思いますが、もう一つ報告 の頻度の問題がございます。我々としては安全性にかかわる問題につきましては、情報 が入り次第、医療機関には御連絡するということになっておりますが、半年ごと、1年 ごとという定期的な報告がございます。こういった使用成績調査というものは、一定の データが集まりますと途中のデータとまた変わってくることがございますので、緊急で ないものは定期的な報告ということにさせていただきたいと考えております。 ○ 高久座長  それでいいですね、池田先生。 ○ 池田構成員  はい。 ○ 高久座長  ほかにどなたか。どうぞ。 ○ 大澤構成員  この(2)の安全対策のことですが、先ほど周知の問題もあったのですが、学会が行 っている専門医の更新のときなどに、実際にそういう副作用の認識というのが確実に行 われたかどうかを、何らかの形でフィードバックするというような形で確認していくと、 副作用の周知徹底ということにもなりますし、安全対策にもつながるのではないかと。 各学会で自分たちが主に使う薬剤については、特に専門医の認定のときに副作用チェッ クについて見直すということでいかがでしょうか。 ○ 高久座長  それは池田先生、どうですかね。各学会の先生方は余りやっていないでしょうね。 ○ 池田構成員  そうですね。一部の学会では、市販後の安全対策も企業と学会が一緒に、あるいは行 政の指導も含めて、一体となって、行政、学術団体、企業、場合によってはそこに患者 さんも入ってくるというようなメカニズムで、これも恐らく個別の医薬品毎にという考 え方で、やはりそうした方がいいというような薬剤であれば、そういうふうにしていく ことになるのだろうと思います。その個別の医薬品の選択をどうするかということも、 非常に大きな問題だと思いますが、そういうメカニズムがあった方がいいという気はい たします。 ○ 高久座長  わかりました。ほかにどなたか。よろしいですか。それでは中垣さん、次に進んでい いですね。 ○ 事務局  それでは、資料5に基づきまして、骨子(案)の方を読み上げさせていただきたいと 思います。1枚おめくりいただきまして1ページ目でございます。 第1 はじめに  ○検討会設置の趣旨・目的等について記載 第2 承認審査等の現状 1.医薬品の研究開発から承認までの流れ  ○医薬品の研究開発に当たっては、1.基礎研究において発見された医薬品候補物質 の物理化学的性質等の検討、2.動物試験等の非臨床試験による毒性、薬理作用、体内 動態等の検討、3.ヒトを対象として、健康人での体内動態と認容性(第I相試験)、至 適用法・用量の設定(第II相試験)、有効性、安全性の検証(第III相試験)と段階をおっ た治験が行われる。それぞれの試験については、基本的な実施方法や注意事項に関する ガイドライン等が定められている。  ○このガイドライン等については、日米EU医薬品規制調和国際会議(以下「ICH」   という。)の活動によって、現段階では、そのほとんどすべてが日米欧で整合されたもの となっており、この基準を満たしている限り、試験の実施場所にかかわらず、日米欧の 承認審査に用いることができる。  ○しかしながら、臨床での効果や安全性については、ICHで合意したガイドライン   においても、民族的要因が影響を与えること及びその評価の必要性が指摘されており、 実際に日米欧で承認された医薬品をみても、その約3割で用法・用量が異なるとともに、 医薬品によっては日本人と欧米人との間で副作用発現の違いが見られるとの報告がある。 したがって、現段階においては、海外の治験結果を利用するにしても、国内において一 定の治験を実施し、その有効性、安全性を検証することを基本としている。  ○製薬企業は、非臨床試験や臨床試験の試験結果をまとめて、必要な解析等を加え、   国に承認を申請する。国は試験結果の信頼性を実際の試験結果の記録との照合や実   地調査によって確認するとともに、その時点における医学的・薬学的知見に基づき、   当該医薬品の治療上の効能・効果と副作用とを比較考量して承認の可否を判断して    いる。 2.承認審査の体制等  ○我が国では、承認は厚生労働大臣が行うこととされているが、厚生労働大臣は、医  薬品の承認のための審査及び調査を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下 「総合機構」という)に行わせることができることとされている。製薬企業は承認審査 に当たり総合機構に承認申請資料を提出し、その審査を受ける。総合機構は、当初の承 認審査資料の審査過程で何らかの疑問点が生じれば、それを製薬企業に問い合わせ、そ の結果を踏まえて必要な審査を行う。厚生労働大臣は総合機構による審査の結果を考慮 して、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いた上で、承認の可否を判断することとしてい る。  ○欧米諸国の承認審査の仕組みについては、我が国と同様、いずれの国・地域におい   ても、保健衛生上必要な基本的業務の一つと位置づけられており、審査担当部局が外部 の有識者の意見を聴いて、国・地域として医薬品の承認の可否について判断する仕組み となっている。  審査の方法としては、米国の食品医薬品庁(FDA)では製薬企業から申請資料の根 拠となる基礎データを提出させ、何らかの疑問点が生じれば独自に解析し評価する方法 が用いられている。欧州では、我が国と同様、審査過程で生じた疑問について、申請者 たる製薬企業に問い合わせる方法が採用されている。  さらに、米国のFDAは審査業務だけでなく、研究業務も担当しており、また、欧州 では、EU全域で販売しようとする場合、欧州医薬品庁(EMEA)に承認申請を行う こととなっているが、EMEAの業務は基本的に事務局的な業務であり、実際の個別品 目の審査は各加盟国の医薬品庁が分担して実施し、それをEMEAに報告し、各国代表 等からなる委員会で最終決定するという体制が採用されている。なお、欧米諸国では我 が国より審査人員がかなり多いとの指摘があるが、このように審査の方法や体制が異な るため、一概に比較することは困難である。 3.ドラッグ・ラグ(欧米で承認されている医薬品が我が国では未承認であって、国民 に提供されない状態)の顕在化  ○医薬品の開発から承認までに要する期間は、日本製薬工業協会の調べによると、9   年から17年とされている。2004年の世界売上上位100製品のうち同一成分の重複等   を除いた88製品について、その製品が世界で初めて上市された時点からそれぞれの   国で上市された時点までに要した日数の平均を見ると、我が国では約1,400日要し   ており、米国の約500日に比較して約2.5年の差が生じている。すなわち、現段階で、   米国に比べ約2.5年のドラッグ・ラグが生じている。この2.5年の遅れは、承認申請ま での期間の1.5年と、承認申請から承認されるまでの審査期間の1年のラグに分けられ、 さらに、具体的には、治験の着手が遅い、治験の実施に時間がかかる、審査に時間がか かるという3つに分析されると考えられる。  ○その原因については、1.審査の基準やその実施体制が欧米に比べ整備されていな い  という問題、2.治験の基準やその環境が整っていないという問題、3.医療保 険における薬価制度の問題、4.製薬企業の開発戦略の問題に大別されるものと考えら れる。  ○なお、欧米で承認されている医薬品を個人責任の下で輸入すること(個人輸入)は   法的に禁止されていない。 4.欧米等の動向  ○欧米諸国においては、現在、最新の科学技術を新たな医薬品開発へ円滑につなげる   ことが重要な課題の一つとされている。その一方で、医薬品の安全確保についても重要 な課題と位置づけられており、例えば、米国ではFDAによるクリティカルパス報告書 や米国科学アカデミーによるFuture of Drug Safety報告書、欧州ではEMEAによる 報告書等が公表され、より有効で安全な医薬品の開発に関する取り組みが行われている。  以上でございます。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。ただいま、第1はまだ内容が書いていませんが、「第 2 承認審査等の現状」を読んでいただきました。この事につきましてどなたか御質問、 御意見はおありでしょうか。これは大体このとおりなのではないかと思いますが。どう ぞ、青木構成員。 ○ 青木構成員  書いてあるとおりだと思いますが、このドラッグ・ラグの原因として、3/19ページ のところの下の6行に原因が4つ挙げられておりまして、そのうちの123のところは 制度的な問題というふうに考えております。この検討会は有効で安全な医薬品を迅速に 提供するということになっておりますので、そのうちの1だけを扱っているというふう に考えられます。したがって、2と3についても何かの手を打つ必要があるということ は、どこかで言及していただきたい。この会の事務局が医薬食品局の審査管理課である ということはよくわかっているわけでありますが、やはり迅速に提供するためにこれだ けの問題点があって、そのうちのこれだけをこの会で検討するということについては、 言及していただいてもいいのではないかというような気がするわけでありますが、いか がなものでしょうか。 ○ 高久座長  これはどうですかね。 ○ 中垣審査管理課長  4ページ以下第3のところで、この治験の問題、治験活性化5カ年計画でございます とか、あるいは医療保険の薬価の問題ですと現在の中医協の動きでございますとか、そ のあたりを紹介しながら、この検討会としては期待したいというような表現ぶりになっ ていたかと思います。そのあたりで十分、不十分という議論はあるのだろうとは思いま すが、一応の言及はさせていただいているつもりでございます。また具体的にその中で もっと正面から、たしか「なお書き」にしていたと思いますが、「なお書き」ではだめだ とかいろいろな御意見を賜れればと思います。 ○ 高久座長  第2のところは現状でして、青木構成員がおっしゃったことはその後で随時書き込ん でいけばと思います。よろしいでしょうか。それでは、第3の1について、読んでいた だけますか。 ○ 事務局  続きまして4ページ、第3のところについて、かいつまんで御説明させていただきま す。  1番の医薬品ごとに最適な治験・承認審査を実施するための方策として、まず我が国 においてはドラッグ・ラグの解消というのが、有効で安全な医薬品を迅速に提供すると いう観点で喫緊の課題であるということ。それから、民族的要因の影響を国内治験、あ るいは国際共同治験によって検討する必要があって、世界で早く、少なくとも欧米に遅 れないで国内に医薬品を提供するためには、製薬企業による治験の早期開始、治験実施 期間の短縮、承認審査の迅速な実施が必要であって、そのための観点からの改善が必要 であるということ。「なお」といたしまして、医療保険における薬価制度については、現 在革新的新薬などのイノベーションの評価等の観点も含めて、中医協で御議論いただい ておるので、その議論の結果に期待したいということが書いてございます。  5ページでございますが、(1)製薬企業による治験の早期開始のための方策としまし て、最初の段落におきまして、まず新薬のシーズについて、国内で開発されたものにつ いても早くそれが国民に還元されることが重要なので、こういったような知識と経験が 次の開発につながっていくというような、イノベーションの好循環というものが重要で あるということ。次の段落としましては、新薬について国内の医療ニーズを的確に把握 して、承認申請につなげていくことが望まれるということ。それから、ドラッグ・ラグ の解消を大きな目標として、国が主体的に必要な施策を展開することは当然であるが、 製薬企業もそのような施策に対応して行動することが強く望まれているということ。そ れから、国としては、申請前に必要な準備を適切かつ効率的に行うことができるように、 基準の明確化や承認審査に係る相談体制の充実強化、こういったようなことが求められ ているということ。ここの(1)の中におきましては、基準の明確化という観点から、 マイクロドージング、バイオマーカー、再生医療、小児用医薬品の開発について結論を 述べることとして、治験の問題、相談体制についてはその次に回しております。  6ページ目でございますが、まずバイオマーカーにつきましては、新薬候補物質の評 価に旧態依然の手法や概念の使用が余儀なくされていて、最新の科学技術を医薬品開発 に応用できていないのではないかという問題意識。これにつきまして、もう少し医薬品 開発に積極的に活用するといったような観点が重要で、基本的な考え方をガイダンス等 として取りまとめ公表するとともに、これを見直していくということ。あるいは承認申 請において迅速かつ適切に評価できるよう、審査員の資質向上や治験相談等の体制の整 備が重要であるということが記載されております。  再生医療につきましては、自家のもの他家のものというふうに大別されますが、現行 の薬事法上の規制については、この両者に明確な差が設けられていないといったような 指摘があって、現在、安全性評価基準の見直し等が行われているところでありますが、 検討会としてはこの作業が着実、適正に実行されることを期待するということ。  小児用医薬品の開発につきましては、小児の必要な医薬品がなかなか開発されないと か、既存の医薬品についても小児への用法・用量が明確でないといったような状況があ ります。このため、既に講じられている施策に加え、製薬企業による開発促進に資する インセンティブや、保健衛生上の必要な方策について検討すべきであるというようなこ とが記載されております。  7ページですが、(2)治験実施期間を短縮するための方策として、まず国内の治験に ついて、5年前、10年前は質が悪い、時間がかかる、費用が高いといった指摘があって、 最近では質の部分が改善されたという評価もできるかもしれないが、時間がかかる、費 用が高いといったところの改善が必要で、ことしの3月にまとめられた「新たな治験活 性化5カ年計画」の着実な実施が求められているということ。また、国外で開発された 新薬を、欧米に遅れずに提供するためには、国際共同治験が有効な手段の一つであると いうこと。それから、従来、ブリッジングという手法が用いられてきておりますが、こ れについては承認申請が遅れるという問題を内包している一方で、国際共同治験が行わ れれば、理論的には同時の申請が可能になるというようなことが書かれております。  当検討会においては、国際共同治験、GCP、信頼性調査、治験薬GMPなどについ て検討し、以下の結論を得たということで、8ページ目でございますが、国際共同治験 につきましては、まず基本的考え方を明らかにするということ。それから最初のポツで すが、日米欧の規制当局が連携して国際共同治験の治験相談に当たることが有用である との意見がある一方で、かえって時間を要するというような懸念もあるということで、 行政は欧米の規制当局と試行的な治験相談の実施などを通じて必要な検討を行うべきで ある。また、将来的には欧米と共同の審査の可能性についても検討していくことが望ま れるということが書かれております。それから、中国や韓国といった東アジアとの間の 民族差というのは、欧米に比べて小さいと考えられるため、欧米と体内薬物動態等が異 なる医薬品について、東アジアとの差について比較研究を行って、治験結果の相互利用 の可能性について研究すべきであるという記載がございます。  GCPにつきましては、ICH−GCPとで異なる規定について、あるいは現在GC Pの運用や信頼性調査のために求められる文書について、これを必要最小限なものと見 直すといったようなことが書かれております。  信頼性調査につきましては、現在、承認申請後に行われているものを承認申請前に行 うであるとか、過去の実績等を踏まえた調査を実施するなどの効率的な運用について検 討すべきであるという記載がございます。  9ページに参りまして、治験薬GMPについては、治験の特性を考慮した品質確保が 可能となるような見直しを図るということ。  その他としまして、治験関連の情報公開について、現状では、治験を実施している医 療機関名が情報公開されていない。現行制度上でも治験関連情報の提供というのが可能 であるため、より一層の充実が図れるよう、関係者が協力して対応すべきであるといっ たような記載をしております。  (3)審査期間を短縮するための方策としましては、現在、承認に当たっては6万〜 10万ページに及ぶデータを調査、分析、評価しておりますが、平成18年12月の総合 科学技術会議報告書におきまして、総合機構の人員をおおむね3年間で倍増するといっ たような必要性が言及されております。この検討会では、これらの指摘を受けた厚生労 働省や総合機構の対応について報告を受け、承認審査体制等の充実方策等について検討 して、以下の結論を得たという記載をしております。  まず、治験相談・承認審査体制の充実方策として、総合機構における取り組みとしま して、別紙1に具体的な方策が記載されておりますが、このような取り組みにつきまし ては着実な実施が求められているということ。  それから、総合機構における民間との人事交流という観点から、この検討会でも御議 論いただいておりますが、まず総合機構における治験相談業務及び承認審査業務につい ては、医学的・薬学的知見に基づいた判断が求められることから、関係諸分野から専門 性の高い人材を登用することが必要であるということ。こうした人材の確保については、 研修等で人材を育てていく方法もあるが、製薬企業で研究・開発等に従事していた者を 活用することも検討すべきである。現行では企業出身者を当該出身企業の品目のみなら ず、すべての品目の承認審査等業務に一定期間従事できないこととしているが、既にそ の審査員には守秘義務及びその違反に対する刑事罰を科すことができる規定も設けられ ており、また、総合機構の発足以降、承認審査業務等は公正に実施されてきているよう な現状を考えると、一層の透明性を確保した上で、就業規則の見直しを検討すべきであ るということ。※印のところについては、安全対策の業務に関しても同様の見直しが必 要であるというような記載をしております。  具体的には、企業出身者が当該出身企業の品目に関する承認審査等業務に5年間従事 させないこととする規則は、引き続き維持することが必要と考えられるが、総合機構採 用後2年間は企業出身者をすべての承認審査等業務に従事させないとする規則について は、5年間の承認審査等業務の従事状況について一層の透明化を図ることによって、廃 止すべきではないかということ。このことから総合機構において検討を行い、必要な対 応を図ることが求められるということが記載されております。  その他としまして、有効で安全な医薬品を迅速に提供するためには、行政機関、製薬 企業、医療現場のそれぞれにおいて、必要な人材を十分確保する必要があることから、 これらの分野に関する人材育成が急務で、大学の医学部・薬学部等における教育の充実・ 強化が望まれる、こういったような記載をさせていただいております。  以上でございます。 ○ 高久座長  この部分はかなり膨大な内容のものになっていますが、この第3の1では具体的なこ とが述べられています。この中で5ページ、細かいことですが、「イノベーションの好循 環」という、これは確かにそうですが、わかりにくい表現ですね。それから、9ページ の「6万〜10万ページに及ぶ」と。膨大なページ数ですが、国際的にもやはりそのぐら いの情報が要求されるのですか。日本は特に多くの情報を出さなければならないという ことはないのですね。 ○ 事務局  FDAはもっとたくさん。日本は一応資料として、ペーパーとしてまとまったものだ けとっていますので、それでもこの分量ということでございます。 ○ 高久座長  わかりました。どうもありがとうございました。ほかにどなたか。どうぞ、青木構成 員。 ○ 青木構成員  資料の件ですが、FDAは本当にトラックに1杯、2杯というふうに要りますので、 量的には日本よりはるかに多いように思います。  それから、またこういうことにこだわって申しわけないですが、第3のところで、や はり迅速に医薬品を提供するという方策として、臨床研究の大切さということをもうち ょっと強く述べていただきたい。例えば6/19ページの上の方でありますが、バイオマ ーカーとして今適切なものがなかなかないということについても、臨床研究をもうちょ っと活発化させることによって、医療現場から出てくるバイオマーカーに関するアイデ アというのも、大切だろうと思われます。単なる治験だけではなしに、臨床研究という のは、やはり医薬品に関連する研究のベースをなしているということを強調していただ けたらありがたいなと思います。この辺につきまして、池田先生、何か御意見があれば。 ○ 池田構成員  青木委員のおっしゃるとおりで、新たなバイオマーカーを開発していくことは重要で、 病態を十分に把握して、それぞれの薬物がどのように効いているかということを、客観 的にいろいろな角度から研究すること、そしてその過程を通じて出てくるものも随分あ ると思います。ですから、既知の薬でやる臨床試験、臨床研究等はこの点からも非常に 重要であるという今の青木委員の御意見に、私も全面的に賛成です。 ○ 高久座長  そうすると、これは臨床の人ですか。臨床薬理。 ○ 池田構成員  そうですね。臨床研究という格好になりますかね。臨床試験、臨床研究という、治験 ではないところの促進というのもやはり必要かなと思っています。 ○ 高久座長  わかりました。バイオマーカーというと、実際に具体的にはどういうものが考えられ るのですか。 ○ 中垣審査管理課長  この検討会でも東大の岩坪先生に御紹介いただきましたが、アルツハイマーで画像診 断を用いるものというようないろいろなものが今研究されている。もちろん膵臓がんに 伴うたんぱく質であるとか、いろいろなものが今研究されているところです。 ○ 高久座長  わかりました。 ○ 池田構成員  今、課長がおっしゃったように、PETの導入というのが、新しいトレーサーなどを 用いてどんどん開発されていくということになりますと、大きな進歩につながって行き ますし、場合によってはマイクロドージングなどにもつながってくるような研究にも発 展し得るのではないかなと思っています。 ○ 高久座長  ほかにどなたか。どうぞ。 ○ 大澤構成員  直接的には関係がないですが、臨床研究の促進という観点で考えましたときに、今大 学では学位の取得のことに関して、甲の学位をよりよいものにして、乙の学位を廃止す る方向でという議論が行われているということですが、臨床研究が学位と直接つながる かどうかは別ですが、かなり大きな研究を実施しようと思った場合には、現在は学位に もなり得るかなと思います。文科省の関係ですが、乙を廃止するというような方向にな っていると、ますます臨床研究は廃れていく可能性が強くて、そのあたりも少し意見と して述べていただければと思いますが。 ○ 高久座長  学部によって違うと思うのですが、医学部はなかなか乙を廃止するのは難しい。多分 廃止にならないでしょう。御安心されて良いと思います。ほかにどなたか。  私もよく書かれていていると思います。今企業からリクルートしてこられた方という 事がを書かれていますが、その他に病院や大学から総合機構の方に来て、また戻るとい う医師が、今までも例はあったと聞いていますが、そういう方が結構医師主導の治験な どで活躍しておられるので、この総合機構で働くことがキャリアパスになるというよう なことも考えるということ。最終報告でその事を入れていただくと、大学や病院、ナシ ョナルセンターなどから行きやすくなると思います。この事はまた御相談したいと思い ます。ほかにどなたか。  それでは、次の「2.医薬品の適正使用等について」、これは何ページになりますか。 ○ 事務局  そうしましたら、11ページにお戻りいただけますでしょうか。 ○ 高久座長  11ページですね。では、説明していただけますか。 ○ 事務局  はい。前回6月14日時点までのまとめとして書いております。これもかいつまんで お話しさせていただきます。  まず、医薬品というのは、基本的にヒトの身体に何らかの影響を及ぼして疾患の治療 や診断を行うということから、期待どおりの治療効果などとしてあらわれる一方で、期 待しない影響として副作用が起きることも避けられないということ。それから、治験と いうことを考えますと、1例、500例から1,000例程度行う。これらの治験に3〜7年 を要しているといったような報告があるということがございます。一方、ヒトにおける 安全性を検討しようとした場合に、発現頻度の低い副作用について、例えば発現率 0.01%程度のものを95%の検出力で検出しようと思うと、最低30,000例の症例が必要 となる。例えば1,000例で3年かかる前提で単純計算すると、90年以上要するという膨 大な時間がかかりますので、新薬を国民へ提供するという観点から、この例数を治験で 集めることは実質的に困難であるということ。  12ページですが、このため、治験等を通じて医薬品の承認までに得られる安全性に関 する情報には限界があるという認識があって、製薬企業は承認後に必要と考えられる方 策を個別に検討するとともに、行政は企業に対する適切な指導を行い、市販後安全対策 を迅速に講じていくことが必要である。最高裁の判決によりますと、添付文書の重要性 について書かれておりまして、特段の合理的理由がなくその使用上の注意に従わないで 事故が起きたときには、医師の過失が推定されるといったような記載もございます。こ のような観点から、本検討会においては、適正使用を中心に市販後安全対策について検 討し、以下の結論を得たということです。  まず(1)の市販後安全対策としては、例えば再審査につきまして原則8年後に有効 性・安全性を見直す再審査制度であるとか、市販直後調査といったような我が国独自の 制度を運用しており、欧米に比べて遜色ないものと考えられるということ。しかし、鋭 い効き目を有する一方で、重篤な副作用のリスクをあわせ持つものなど、医薬品の特徴 に応じた市販後安全対策というものが実施されるべきであるということ。  (2)の添付文書の改善とその周知徹底等としまして、13ページでございますが、製 販業者は添付文書を通じて、必要な情報を医療現場に提供する一義的な責任を負ってお り、添付文書の重要性、あるいはこれをできるだけわかりやすく配慮したものとする必 要があるということ。それから、「患者向医薬品ガイド」をさらに積極的に作成するなど、 患者への情報提供を進めることが必要であるということ。それから、医師の臨床研修を 活用する等、添付文書の重要性について周知徹底を図るということ。また、医師・薬剤 師などの医薬関係者が、さらに連携・協力を図って、適正使用の確実な実施を図るべき であるということ。また、製薬企業は添付文書による情報提供のほか、必要な個別医薬 品ごとに、医師等を特定した情報提供、それで不十分な場合の添付文書以外の手段を用 いた注意喚起、それでも不十分な場合の医薬品供給と適切な管理・使用体制の一体化、 といった段階的な適正使用を推進するために必要な方策を、個別医薬品ごとに検討し実 施すべきであるということ。  その他としまして、市販後調査の適切な実施のために、その実施状況や結果の概要を 適時・適切に公表するということ。それから、市販後調査につきまして、薬剤疫学的調 査等の新たな調査手法の開発・活用について検討が必要である、といったような形でま とめさせていただきます。  以上でございます。 ○ 高久座長  今11〜19ページまで説明をしていただきましたが、これにつきましてどなたか御質 問、御意見はいかがでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  先生、よろしゅうございますか。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 中垣審査管理課長  12ページの2番目の○のところに最高裁の判決を引用しておりますが、これは引用で ございますから、そういう意味ではいつのどういう状況における判決なのか、出典を明 確にさせていただきたいし、言葉も正確に引用したいというふうに本文では直そう思っ ていますので、申しわけございません。 ○ 高久座長  そうですね。ほかにどなたか御意見はいかがでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  先生、よろしゅうございますか。私ばかり発言して申しわけないですが、ここの部分 は本日の御議論を踏まえて、例えば個別品目ごとに、市販直後調査についてある程度メ リハリをつけた方がよろしいのではなかろうかとか、個別品目ごとの特徴を押さえたよ うな対応でございますとか、警告のところはどういうふうに書けばいいのか、青木委員 の御発言も踏まえて考えるとなかなか難しいわけでございますが、いずれにしても知恵 を絞らせていただいて、きょうの議論を踏まえた形で再度まとめさせていただいた上で 御議論を願う余地がかなり大きいのではないかと思っております。 ○ 高久座長  学生には今ぴんとこない。臨床研修の最初のときにきっちり教えるのが一番重要です。 13ページの「医師・薬剤師の教育研修を通じて」とありますが、そのとおりです。特に 医師の場合最初にちゃんと現場で教えてから……。表現をどうするか微妙なところです が、「医師の臨床研修を活用する」という表現ではなくて、「臨床研修のときにちゃんと 教えろ」と書いた方が良いと思います。 ○ 池田構成員  先生がおっしゃられたとおりで、臨床研修の医師のプログラムについて、2年間をど ういうふうに有効に使うかという議論をいろいろしているところですが、その中にもぜ ひ何らかの形でここのところは盛り込むぐらいのことがあってもいいかなと私は思いま す。やはり医師となる者のやらなければいけないこととして位置づけた方がいいのでは ないかなと。それぐらいに医薬品の安全というものを重視するという姿勢が伝わるので はないかなと。今はやはり安全は医療におけるキーワードですから。 ○ 高久座長  そうですね。ほかにどなたか。よろしいですか。それでは、13ページの一番下、「3. 国の承認を経ない未承認薬の使用について」を説明していただけますか。3と4ですか。 ○ 事務局  そうしましたら、コンパッショネート・ユース制度につきまして、14ページをお願い いたします。医薬品を承認するに当たっては、有効性、安全性、品質に関するデータに 基づいて行っておりますが、そのために厳格な条件のもとで実施される治験を行って、 審査に必要なデータを収集するというのが一般的でございます。その条件に合致せず、 治験に参加できない、あるいは治験に参加できた場合においても、治験が終了した後の 承認までの間、その治験薬を治療目的で使用できないといったような話がございます。 このようなことから、治験の活性化や審査の迅速化を図ったとしても、重篤な疾患で代 替治療法がない場合などについては、やむを得ず未承認薬を使用せざるを得ないという 状況がございます。  また、海外の医薬品の輸入について、国内の承認を得ずして販売目的で輸入すること は薬事法上禁止されておりますが、患者またはその主治医が、治療目的で、その責任の もとに輸入することは禁止されておりません。この個人輸入の中にも、先ほどのその治 験外、あるいは治験が終わった後の提供と同じように、未承認薬を輸入して使用すると いったような実態がございます。他方、欧米におきましては、いわゆるコンパッショネ ート・ユースという制度が存在し、米国では治験の枠組みの中で、欧州では治験とは別 の制度として、それぞれ設けられていて、現在もさまざまな議論が行われております。  この検討会におきまして、この件に関しまして御議論をいただきまして、以下の結論 を得ております。  品質、有効性、安全性が確保された医薬品を国民に提供するためには、国内で必要な 治験を実施し、その結果等に基づいて科学的に検証して承認することが基本であって、 この原則はまず堅持すべきであるということ。  一方、やむを得ず未承認薬を使用せざるを得ない場合には、この原則を阻害しない範 囲で、医師の責任のもとで使用するコンパッショネート・ユース制度を我が国において も導入すべきである。  具体的には別紙2のような枠組みが考えられるということで、前回お示ししたような ものをまとめておりますが、承認に必要な品質、有効性及び安全性に関する十分な知見 がないが、未承認薬として流通することになりますので、その取り扱いについてさらに 詳細な検討が求められているということ。また、検討に当たっては、医療保険上の取り 扱いについても、あわせて検討されることが望ましい。  なお、本制度により供給される医薬品については、その安全性等について検討が十分 でない段階ですので、副作用被害救済制度等の対象外とせざるを得ないということ。あ るいは、製薬企業の承認申請のために実施される治験とは異なるものですので、その費 用負担を製薬企業に求めることは適当ではないということを記載しております。  (2)としましては個人輸入の制限等としまして、現在、海外で受けた治療の継続、 あるいは国内未承認の抗がん剤などを使用した治療法等への配慮から、1.他者に販売 目的や授与をしないことを前提に、2.自己の疾病治療等に必要な医薬品について、3. みずからの責任で使用するために個人輸入することまでは薬事法において禁止していな い。しかしながら、医薬品の個人輸入については、過去に個人輸入で入手したシルデナ フィルであるとか、あるいは経口妊娠中絶薬を服用した女性に健康被害が発生した事例 等があり、さらにインターネットの急速な普及に伴い、インターネット上で医薬品の輸 入代行をするといったような広告が氾濫し、医師以外の方がインターネットを通じて安 易に個人輸入し、医薬品を使用することによる健康被害の発生が危惧されております。 このようなことから、医薬品の安易な個人輸入を行わないよう注意喚起を図るとともに、 医師等以外の者による個人輸入については、保健衛生上の観点から一定の制限を加える べきであると記載しております。  16ページは「おわりに」としまして、まとめで、有効で安全な医薬品を迅速に提供で きるようにすることは、我が国の喫緊の課題であるということ。この検討会の提言を実 現するためには、行政のみならず、関係学会や関係業界を含め、協力して取り組むこと が重要であるということ。今後の科学技術の進展等を踏まえ、必要な取り組みが適時・ 適切になされることを期待するといったようなことの記載を考えております。  以上でございます。 ○ 高久座長  それでは、コンパッショネート・ユースの問題、それから最後に「おわりに」があり ますが、特に14、15ページについて御議論、御意見はおありでしょうか。 ○ 松本(恒)構成員  ちょっと質問ですが、今2つの、コンパッショネート・ユースと個人輸入の、コンパ ッショネート・ユースは緩和で、個人輸入は制限を加えると。その結果として、個人輸 入も医師中心にやってくださいという方向が出ているわけですから、そうすると対象が 違うのでしょうか。つまり、コンパッショネート・ユースの対象となる医薬品と、医師 による制限が加えられる個人輸入の対象医薬品というのは、違うから2つに分けて書か れているということなのか。この対象はどう違うのでしょうか。個人輸入の方は医薬品 でなくても、まがいものでもいいという感じなのでしょうか。 ○ 高久座長  はい、どうぞ。 ○ 中垣審査管理課長  最初に、コンパッショネート・ユースの対象をどうするかというのは、まだまだ詳細 な検討が必要だとは思っておりますが、この検討会で御議論いただいた範囲で申し上げ ますと、18ページに別紙2がございまして、本文中にもこれと同じ表現があるわけでご ざいますが、ここの1番として、重篤な疾病であってほかに代替治療法がないもの、端 的に申し上げますと、第II相が終わって第III相に入っているようなもの、あるいは欧米 で承認があるというようなものが考えられておるわけでございます。  一方、個人輸入されるもの、特に医師の個人輸入という形でされるものは、大きく分 けますと2つのカテゴリーがございまして、一つのカテゴリーはここで書いてあるもの に非常に近いだろうと思います。どういうものかと申し上げますと、がんの薬であると か難病の薬であるとかであって、ここでの違いというのは欧米で承認されているもの。 承認されていないと欧米でも手に入りませんので、承認されているものが一つのカテゴ リーとしてあります。もう一つのカテゴリーとしてございますのは、いわゆる美容的な もの。しわとりでございますとか何とかでございますとか、というのがあって、前者と いうのはそういう意味で申し上げますと、仮にコンパッショネート・ユース制度をつく れば、今度そちらの方に移行していく余地があるのかなと考えているところでございま す。  以上でございます。 ○ 高久座長  この14ページに書いていますように、重篤な疾患で代替治療法がない場合などに、 やむを得ず未承認薬を使用するのを、コンパッショネート・ユースと呼ぶとはっきり定 義をしているので、最後の方の個人で買って云々というときのバイアグラなどはコンパ ッショネート・ユースではないわけですね、基本的には。ですから、インターネットで 買うのを抑えることはなかなか難しいから、このようにちゃんと定義をして、ここで取 り扱うのはコンパッショネート・ユースですよとした方が、はっきりして良いのではな いですか。どうぞ。 ○ 大澤構成員  今の2種類の薬剤に加えて、小児科領域ではその他の場合があると思いますが、それ はあるお薬が特定の病気の患者さんにとって非常によく効くということで、開発が途中 まで行われたけれども、副作用が大きいということが判明し、治験が中止になった。で も、一部の患者さんではすごくよく効いていて、その患者さんたちはアジアの方から個 人輸入で使っている。あとは、かつて日本で承認されていた薬剤で、適応外使用で小児 に使われていて、その子供たちにはよく効いていたけれども、その再評価の段階で製薬 企業が利潤が得られないということで再評価申請をしなかった。それで取りやめになっ てしまって、日本にはなくなってしまった薬剤を、やはりアジアの方から個人輸入で使 っている、そういうものもございます。 ○ 高久座長  そうですね。それも広い意味ではコンパッショネート・ユースになるのではないです かね。 ○ 中垣審査管理課長  私が2つと申し上げましたのは、件数の多さからいうと大体その2つだと申し上げた わけでございまして、今御指摘のあったような件がないということまで申し上げている わけではないというのが1点目。  2点目といたしましては、今後代替治療法がないであるとか、あるいは重篤だという ようなコンパッショネート・ユースの定義をどのような形で定めていくか。これについ てはもう少し欧米の状況などを調査させていただくとともに、国内のそれこそ個人輸入 の状況なども調べさせていただかないと、何ともいえないところがあるのだろうと思い ますが、今の大澤委員から御指摘があったようなものを、すべてコンパッショネート・ ユース制度の中に包含できるのかどうかについても、時間をいただいてまた御議論させ ていただければと思っております。 ○ 高久座長  そうですね。この場合、大澤構成員にお伺いしたいのですが、それは患者さんが買う のですか。医者が買っているのですか。 ○ 大澤構成員  1つの薬剤については、輸入している医師のところに患者さんが行って使っている。 それから、もう一つの薬剤については、患者さんがアジアに行って処方してもらってき ているというようなことも聞いています。 ○ 高久座長  その2番目の場合は患者さんが買っているわけですね。わかりました。これはコンパ ッショネート・ユースを我が国においても導入すべきであるということで、ドクターの 場合に特定療養費みたいな形を考えているわけですね。 ○ 中垣審査管理課長  いよいよ答えづらい場面に入るわけでございますが、一応この報告書といたしまして は、15ページの上から2行目の末に。それで、先生のおっしゃっている趣旨がもう少し 書ければ書きますが、今のところそういうことでございます。 ○ 高久座長  まあ、この程度でいいのではないですか。わかりました。「望ましい」になっています から。どうぞ、佐藤委員。 ○ 佐藤構成員  先ほどのコンパッショネート・ユースの対象となる医薬品のところの、18ページに書 かれていることですが、前回国内で治験中のものについてかなり議論がされたと思うん ですけれども、また欧米で承認済みで日本で承認されていない医薬品は、これは当然対 象だと思うのですが、欧米で治験中だけれども国内では全く治験がまだされていないよ うなものがあったときに、それをコンパッショネート・ユースとして日本に入れて大丈 夫なのでしょうか。ちょっと素朴に心配なのですが。欧米で承認されていれば、承認さ れているのでかなり情報があるんですね。それから、国内で治験中のものは、国内の製 薬会社にかなり責任を持って情報を提供していただけると思うのですが、欧米で治験中 のものについて、その品質だとか有効性、安全性に関する途中のデータの情報を、日本 の方で十分得ることができるのかというあたりが心配なのですが、いかがでしょうか。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 中垣審査管理課長  佐藤委員から御指摘されたのはごもっともだと思います。当然のことながら欧米で治 験中のものと、欧米で承認されたものについての情報量が違うというのも、私もそのと おりだろうと思います。  一方におきまして、EUのコンパッショネート・ユースのガイドラインを見ますと、 端的に申し上げますと、地球上どこであっても治験中のもので差し支えないと、こう書 いてあります。これをどのような形で考えているかと申し上げますと、恐らく推測する に、医師の責任のもとで個別の患者ごとに使っていかれると。かなり厳格なところでそ こは使っていかれると。一方において、入り口論としては、だから外国で治験中のもの もある程度広く構えておって、実際の使用において厳重な監視というものを求めている のではなかろうかと考えておるわけでございます。すなわち、欧米と日本ということを 考えますと、当然のことながら民族差の問題を考えなければいけないわけでございます が、例えば余命幾ばくもない、あるいはほかにどうしようもない重篤なもので、そうい った患者さんにこたえていくということを考えますと、前提条件としてはEUの制度と いうのも念頭にあって、このようなことでどうだろうかというふうに考えている次第で ございます。 ○ 高久座長  確かに難しい点がありますが、本当に有効な薬は、治験の段階でその専門分野で話題 になりますね。それが患者さんの耳に入ってくると、治験中でも使ってもらいたくなる でしょうね。そういうケースは少ないとは思うのですが。池田先生、そうですね。 ○ 池田構成員  情報量が少なくても、やはりその情報によってかなり評価ができるという薬剤は、当 然あってもおかしくないと思います。ただ、ちょっと私も気になるのは、別の観点です が、もちろんこれは副作用の被害救済制度の対象には恐らくなり得ないと思いますが、 でも患者さんの立場からすると、こういう医師との話し合いの中でこういう薬を使って 治療してもらったときに、副作用等が起きたときにどういうふうに対処をしたらいいの かというところは、やはりクリアにしておいた方がいいのかなと。なかなかこれも難し い問題になるのだろうと思いますが。 ○ 高久座長  製薬企業に求めることはできないということでして、例えば医師主導治験などの場合 に、保険に入っているのですか。何か考えなければならないのですね。 ○ 青木構成員  それに関連してですが、その薬剤の品質の保証をどうするかということがございます。 ここに「又は欧米で治験実施中、治験を終了したもの」との記載があります。「又は」と 書いてありますので、国内の治験終了や実施中というのは条件に入っておりません。国 内では何もしていないで海外でだけ治験をしているというものということになりますと、 当然製剤の設計も国内でやるものと違う場合もあります。安全性の問題は別としても、 国内では普通は使わない製剤を使って海外で治験をすることもあるわけです。そういう ものを提供していいのか悪いのかの問題があります。  また、ここにコンパッショネート・ユース制度の対象者として、製造販売業者の記載 がありますので、どういう責任でどういう品質のものを提供する立場にあるのかという ことを、細則でも結構ですから、ケース・バイ・ケースではっきりしておいていただか ないと、我々としてもなかなか提供しにくい。治験外の提供と、それから治験後の提供 という、一番コンパッショネート・ユース的な使い方が多いところはいいのですが、そ うではなくて患者さんの必要性で提供してくださいといったときに、どのような責任で どのようなものを提供するのですかということは、やはりきちっとしておいていただか ないとやりにくいなという気はします。   ○ 高久座長  いいですか。はい、どうぞ。 ○ 望月構成員  先ほどの海外で治験中のものの情報のところにちょっと戻ってしまうのですが、やは り本当に難しい病気の場合、まだ海外で治験中であっても使いたいというケースは多分 出てきてしまうと思います。これは私の過去の経験ですが、医師からこういう医薬品が 日本にはないのでこの患者さんだけに特別海外から輸入してほしいというような相談が あったときに、ここの19ページのところに、前回も構成員の中から話がありましたが、 そういった日本でまだ使用したことのないものを使用していく場合には、医療機関内で IRBを必ず通すケースが多いと思います。そのIRBに対して情報をある程度まとめ て出していただいて、それをIRBが審議するというステップを踏みますと、医師もか なりのきちんとした情報を集めてきて、そちらの方に提出してくれて、御自身でもIR Bで説明をするというような形をとっていただきましたので、きちんとした情報を把握 しているということは、こうした仕組みがきちんと動いていれば確認はできるのかなと 思います。 ○ 高久座長  そうですね。おっしゃるとおりだと思います。ほかに。どうぞ。 ○ 倉田構成員  先ほど患者に対しての賠償、補償というものがないというお話でしたが、今回この検 討会でそのお話はできないと思いますけれども、そうしますと今後どこでどういうふう にしてこの話は進展していただけるのでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  賠償というのが、不法行為による賠償だということであれば、当然のことながらそれ がないということはそれこそないと思います。たしか前回の検討会で、どなたかから治 験の補償の対象になるのかと。要するに患者さんに使っているときに、治験でいうとこ ろの補償の対象になるのかというような御議論があって、いや、それはそもそもが治験 という製薬企業が承認申請のために行うものではないので、そういう対象にはならない ということを申し上げたわけでございます。すなわち、念頭にございますのは、重篤で ほかに治療法がない、そういう状況下における患者さんへの投与の選択、さらにはそこ に説明と同意があるというインフォームド・コンセントの中で、今恐れられている、恐 らくは副作用が起きたときの対応についても、説明と同意の中でカバーされるべき問題 なのだろうと考えるわけでございます。 ○ 高久座長  そうですね。よろしいですか。どうぞ。 ○ 飯沼構成員  実際に運用されるときに、格好としては混合診療になるのですか。 ○ 中垣審査管理課長  直接お答えできないわけでございますが、一つのアイデアとしては、先ほど座長がお っしゃいました、昔でいうと特定療養費的な制度というのがあるのではなかろうかと考 えております。 ○ 高久座長  今の制度ではそれ以外はなかなかやりにくいのだろうと思います。 ○ 飯沼構成員  そうですよね。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 森田構成員  今のことですが、結局最終的にこれがまとまっていく段階で、別紙2のところの取り まとめの中身というのは相当具体的になっていますが、それの運用のところは全部生煮 えの部分が多いと思います。ですから、これは我々がここで議論する材料としてはこう いう項目が、大綱があるなということと、これに対して日本において好ましいやり方、 それから運用されている諸外国の実態、こういうことをさらに詰めた上で出ていかない と、いいとこ取りというか、ややこしくなると困る部分があると思います。この取り扱 いはぜひ十分慎重にやられた方がいいと思います。 ○ 高久座長  おっしゃるとおりだと思います。それでは、あと15分ほどありますので、この報告 書の骨子の全体について、もし御意見があれば何でも言っていただければと思います。 どうぞ。 ○ 望月構成員  先ほどの市販後の調査等のところに戻ってしまいますが、13ページの(3)その他の ところに、製薬企業が市販後調査を適切に実施、それから薬剤疫学的調査等の新たな調 査手法の開発・活用について検討が必要ということですが、これ全体を通じて読んでい ますと、添付文書をきちんと活用するということに関して、医療関係者側について要求 をしている部分はかなりはっきり打ち出されているのですが、市販後調査のところにな ると急に製薬企業だけにすべて求めているような書きぶりになっていまして、やはり市 販後調査の部分にも医療関係者を、一応薬事法で重篤な副作用が出たときには報告しな ければならないというのは、もう既に法文化されていますが、もう少しそのあたりも書 き加えていただいた方がいいのかなという感じがします。  それから、ここの薬剤疫学的調査等のところに関しては、単純なシグナルをディテク トする段階は、企業にある程度任せておいてもいいのかもしれませんが、ある程度因果 関係等を明確にしてきちんと掘り下げた研究をする部分で、企業がかかわらない方がい い研究のやり方というのもあるのかもしれないと思うんですね。第三者的にきちんと評 価をして、解析をして、情報を発信するという形の疫学的な研究の仕組みというのも、 考慮していっていただいた方がいいかなと思います。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。そうですね。ほかにどなたか。どうぞ、青木構成員。 ○ 青木構成員  全体のことについてでありますが、ここに「第4 おわりに」というのがございまし て、「喫緊の課題である」「重要である」「期待する」との記載があります。これは確かに そうですが、もう少し積極的に「適切になされるべきである」とか「取り組みたい」と か、多少意志と方向性を持った言葉にしていただきたい。本来でしたら私はこういうの はだれがいつまでに何をするというアクションプランに落とし込んでやるべきだと思う のですが、この検討会の中でそういうことをやるのはちょっと越権行為かもしれません。 それにつながるような言葉遣いをしていただいて、できればそれが実施に移されたとき に、ここに参加したメンバーにはフィードバックしていただけると、参加した意義が非 常に感じられるということであります。 ○ 高久座長  わかりました。恐らく次回のときに、きょうの御意見を参照した報告書の案が出ます ので、そのときに青木構成員のおっしゃったように、もう少しはっきりした語尾をつけ るようにします。どうぞ。 ○ 中垣審査管理課長  青木委員のおっしゃるとおり、「第1 はじめに」と「第4 おわりに」は完全に暫定 的な骨子になっておりまして、まことに申しわけございません。  望月委員の今の御発言に1点だけ確かめたいことがありまして、書きぶりとして確か めるわけでございますが、個々の医薬品の安全に責任を持つのはやはり企業、それは薬 事法からしてもどこからしても疑いがないのだろうと、こう思うわけでございますが、 今先生がおっしゃった企業がかかわらないやり方というのは、企業が責任を持つんだと。 あるいは場合によってはお金を出して第三者にやってもらうというようなこと、あるい は企業がやるのを一部チェックするために第三者がやるというようなことを考えておら れるのか。それとも、今の法制度の仕組みとして、あるいは製造物責任として、企業に 一義的な責任がある、それを覆すんだというようなお考えなのか。どのような形で書け ばいいのか、御示唆いただければと思います。 ○ 望月構成員  よろしいですか。済みません。前回、きょう御欠席の松本和則構成員がおっしゃった ことに関連するような内容と思っていただければいいかなと思います。因果関係等を明 確にしていく過程の中で、利益相反のような形のものが入り込むことで、いろいろな議 論になってしまうケースというのがありますので、それをもっと独立した形で、客観的 な形で検証していくような仕組みがあってもいいのではないかという、そういう意味で す。  特に、こういう迅速にいろいろな薬が出てくる中で、シグナルが検出されるというこ とはとても重要なので、それを企業が一生懸命市販直後調査とかいろいろな仕組みを使 って、早くディテクトして出していただくというのは大事だと思いますが、ただディテ クトしただけですと、大抵最初の整理は、「因果関係は不明であるがこういう副作用が報 告されている」で終了してしまって、医療関係者の方には、そのシグナルが本当にきち んと対応しなければいけないものなのかどうかというのは伝わらないですよね。そうす ると、やはりその次のステップの疫学的な研究調査というのが必要になって、そこの部 分でできるだけ第三者的な評価ができる仕組みというのがあった方がいいということで、 多分松本先生がおっしゃったのは、企業にお金を直接的に出させるのではなくて、一回 何かいろいろな企業が出したプールみたいなのがあって、そこからの資金を使って研究 をしていくみたいなイメージだったのかなと私は考えています。あのときたしか機構で という話を松本先生は出されていたと思うのですが。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 中垣審査管理課長  前回の議事録をもう一度繰ってみますが、たしかそこは前回かなり御議論があって、 私が先ほど申し上げましたように、薬事法、あるいは世界の薬事法のどこを見ても、や はり一義的には個別製品を売っている企業に責任があるのではないかと。ですから、何 か調査をする必要があれば、その企業がやる、企業が金を出すというのは、それは当た り前だと。仮にそういったプールをするとなると、これはとてつもない大きなプールを つくっておかないといけないし、それを使うということになると、また個別の製薬企業 に負担を願う。結局同じではないかみたいな話があって、最終的には企業がやることを 本旨としながら、一部それをチェックするようなやり方で、例えば機構が今やっている ようなやり方とか、そういうことがあいまいな合意としてこの場にあったのではなかろ うかと思うわけでございますが、もう一度そこは前回の議事録をよく見て整理して、ま た御相談させていただきたいと思います。 ○ 高久座長  どうぞ、佐藤委員。 ○ 佐藤構成員  今のことに関連するのですが、個別の医薬品に関しては、中垣課長がおっしゃるよう に企業の責任があると思いますが、医薬品の安全性の評価ということを考えるときには、 あるクラス全体としてどうかというような、例えばNSAIDsと呼ばれる消炎鎮痛薬につ いて、ある薬で心筋梗塞のリスクが高まるというようなことが前にありましたけれども、 ではほかの薬についてはどうなのか。NSAIDs全般についてそういうリスクがあるのか、 ないのか。あるいはNSAIDsの中でもそういうリスクが高い薬と低い薬があるのかとか、 そういう相対的ないろいろな位置づけを明らかにする研究というのは企業1社ではとて もできないわけで、そういうことに関して恐らく企業の個別の責任でないところで、別 途研究を実施できるようなファンドというのがやはり必要なのかなと思います。 ○ 高久座長  これはなかなか難しいですね。 ○ 中垣審査管理課長  今、佐藤委員がおっしゃったのは、企業がやった研究を幾つも持ってきて、総合的に 横並びで解析をしたりするやり方で、いろいろなところで大学等でやられていると思い ます。確かにそういうものを少し進行するというやり方もあるのだろうと思いますし、 そのあたりも含めて、先ほどの望月委員の意見も含めて整理させていただいて、また御 相談させていただきたいと思います。 ○ 高久座長  よろしいですか。それでは、そろそろ時間になってきましたので、きょうはこれでこ の会議を終わりたいと思います。事務局の方から連絡事項をよろしくお願いします。 ○ 山本承認審査等推進室長  次回の日程でございますが、7月27日(金)の14時から、場所については追って連 絡をさせていただきます。 ○ 高久座長  はい。なるべく涼しいところがいいですね。きょうはどうもありがとうございました。 (了)                      照会先                      厚生労働省医薬食品局審査管理課                      TEL:03−5253−1111