07/06/29 第10回多様な雇用形態に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会議事録 第10回多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会議事録 1 日時 平成19年6月29日(金)    15:30〜17:30 2 場所 経済産業省別館1014号会議室(10階) 3 議題 (1)報告書の取りまとめに向けて (2)障害者の派遣労働に対する障害者雇用率の適用について (3)その他 4 資料   資料1 「多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会」       報告書骨子(案)   資料2 第9回研究会における主な意見   資料3 多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する論点整理   資料4 障害者の派遣労働に対する障害者雇用率の適用について ○ 岩村座長   ただいまから、第10回多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関す る研究会を開催いたします。  まず、委員の今日のご出欠についてですが、舘委員がご欠席です。早速、本日の議事 に入ることにいたします。本日は、まず「研究会報告の取りまとめに向けて」というこ とで、研究会報告書骨子(案)について議論をします。その後に、これまで研究会で数 回にわたりご議論いただきましたが、「障害者の派遣労働に対する障害者雇用率制度の 適用」について、事務局のほうで考え方を整理しましたので、議論を進めたいと存じま す。最初に、1つ目の議題の「研究会報告の取りまとめに向けて」です。これまでの議 論で、多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する論点について、 一通りこの研究会で議論をしていただきました。今後は、これまでの議論を踏まえ、こ の研究会としての報告書の取りまとめを行っていくことになります。そこで、本日の2 つ目の議題としてご議論いただく「障害者の派遣労働に対する障害者雇用率制度の適用」 については調整中ではありますが、それ以外の部分について、「多様な雇用形態等に対 応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会報告骨子」(案)を事務局において作 成していますので、事務局からご説明をいただきます。どうぞよろしくお願いいたしま す。 ○ 事務局   まず、本日の配付資料について確認させていただきます。資料1として「多様な雇用 形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会報告書骨子(案)」、資料 2として「第9回研究会における主な意見」、資料3として「多様な雇用形態等に対応す る障害者雇用率制度の在り方に関する論点整理」、資料4として、議題2で説明いたしま すが、「障害者の派遣労働に対する障害者雇用率制度の適用について」の4点をお付け しています。  では、資料1の研究会報告骨子(案)について説明します。1枚目は、報告書骨子(案) の全体の構成です。Iとして「はじめに」、研究会の論点整理に沿い、IIとして障害者 の短時間労働について、IIIとして障害者の派遣労働及び紹介予定派遣について、IVとし て週20時間未満の短時間労働、グループ就労についてという構成になっています。  1頁のIIは、障害者の短時間労働についてで、1は障害者の短時間労働の現状です。 (1)障害者雇用率制度における短時間労働の取扱。1つ目の○では、現行の障害者雇用 率制度の短時間労働についての取扱を説明しています。現行の障害者雇用率制度は、事 業主に対し、その雇用する週所定労働時間が30時間以上の常用労働者数に対し、その一 定割合(法定雇用率1.8%以上)で、週所定労働時間が30時間以上の身体障害者及び知 的障害者を雇用する義務を課す制度となっている。その中で平成4年の法律改正におい て、障害の重度化への対応を進めるため、短時間労働(週所定労働が20時間以上30時間 未満)の重度身体障害者及び重度知的障害者について、特例として実雇用率の算定に加 える改正が行われた。また平成17年の法律改正においては、精神障害者を実雇用率の算 定に加える際に、精神障害の特性を踏まえて短時間労働の精神障害者についても、特例 として実雇用率の算定に加えられた。2つ目の○ですが、このように、障害者の短時間 労働については一部が特例として実雇用率の算定の対象となっている状況にあるが、ま た、重度以外の身体障害者及び知的障害者は、当該特例の対象にもなっていない状況に ある。  (2)は障害者の短時間労働の状況等についてです。1つ目の○ですが、雇用保険被保 険者数の推移を見ると、平成8年から平成18年までの10年間で5.9%増加し、3,525万人 (約195万人増加)となる一方で、短時間労働被保険者(週所定労働時間が20時間以上 30時間未満)については、約3.5倍に増加し、203万人(約146万人増加)となっている。 2つ目の○ですが、障害者である雇用者数に占める短時間労働者の割合は、平成15年の 「障害者雇用実態調査」によると、身体障害者が8.0%、知的障害者が2.8%、精神障 害者が4.4%となっている。3つ目の○ですが、平成17年の高齢・障害者雇用支援機構 の調査によると、障害者の求職者のうちの約24%、授産施設等の利用者の約30%が、 週30時間未満の労働を希望しており、また求職者のうち重度障害者の約29%、軽度障 害者でも約22%が、週30時間未満の労働を希望している等、短時間労働について障害 者に相当程度のニーズが存在している状況にある。続いて、関係者のヒアリング等を 報告書では書いていきたいと思っています。  2頁、3は障害者雇用における短時間労働の位置づけです。1つ目の○ですが、障害者 の短時間労働者も増加している中で、障害者の短時間労働に対するニーズも相当程度高 いことから、障害者雇用における短時間労働の位置づけについて、改めて検討すべき時 期に来ている。2つ目の○で、障害の特性や障害の程度、さらには加齢に伴って体力等 の面で課題が発生する場合等を考えると、週所定労働時間が30時間以上では働くことが 困難な場合であっても、短時間労働であれば企業で働くことができる場合もあることか ら、短時間労働は、障害者の雇用形態の選択肢の一つとして有効な面があると考えられ る。また、企業の側においても、短時間労働であれば、通勤や通院等に関する配慮がし やすくなるという面や、短時間労働の活用によって、高齢となった障害者の雇用継続が より容易になる面があると考えられる。3つ目の○ですが、障害者自立支援法の施行に より、就労移行支援事業が創設される等、福祉施策の面からも障害者の就労支援策が強 化され、障害者の希望や適性に応じて福祉的就労から一般雇用への移行を進めていこう としている現状においては、短時間労働は、このような福祉的就労から一般雇用へ移行 していくための、また場合によっては一般雇用から福祉的就労への橋渡しとしての段階 的な雇用形態としても有効であると考えられる。4つ目の○ですが、なお、短時間労働 について上記のように積極的に位置づけていくに当たっては、障害者本人の希望・適性 や職業的自立という観点にかんがみ、週所定労働時間が30時間以上でも働くことができ る障害者や、このような働き方を希望する障害者が、その希望や適性に応じた働き方が できるようにしていくことが適当であるとしています。  4は今後の障害者雇用対策における短時間労働への対応です。(1)は短時間労働に対 する障害者雇用率制度の適用です。1つ目の○で、上記3の障害者雇用における短時間労 働の位置づけ・意義を踏まえ、障害者の短時間労働者が増加し、障害者の短時間労働に 対するニーズも高まっている状況にかんがみれば、今後は事業主による社会連帯の理念 の下で、短時間労働も含め、障害者の雇用機会を確保・拡大していくことが必要である と考えられ、障害者雇用率制度において、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の短 時間労働についても雇用義務の対象としていくこと、具体的には、雇用義務の基礎とな る労働者数及び雇用している障害者数の算定において、短時間労働者も加えることとす ることが考えられる。2つ目の○で、このように短時間労働を雇用義務の対象とする場 合、短時間労働者及び短時間労働の障害者について、具体的にどのように算定すること とするか(例えば、週所定労働時間が30時間以上の場合と同様のカウントとするのかど うか)については、本人の希望や適性に応じた働き方へ移行することを阻害しないよう にすることにも留意して、検討する必要がある。この場合、現行制度においては、短時 間労働の重度身体障害者及び重度知的障害者に係る特例について、週所定労働時間が30 時間以上の重度障害者を2カウントとしているところ、1カウントとして実雇用率の算定 をしている。また、短時間労働の精神障害者の特例においても、通常の1カウントに対 し0.5カウントとしている。このような現行制度にもかんがみれば、短時間労働につい ては、週所定労働時間が30時間以上の場合と同様のカウントとするのではなく、短時間 労働者及び短時間労働の障害者については、0.5カウントとして算定することが適当で あると考える。なお、短時間労働の重度身体障害者及び重度知的障害者については、現 行と同様に引き続き1カウントとするとともに、短時間労働の精神障害者についても、特 例としての実雇用率を算定(0.5カウント)を引き続き行うべきである。  (2)適用時期等です。1つ目の○で、障害者の短時間労働については、障害者雇用率 制度上これまで重度障害者等について特例としての実雇用率の算定が行われてきたのみ であることから、多くの企業においては、短時間労働という雇用形態で、障害者を積極 的に雇用している状況にはないものと考えられる。特に、短時間労働者を多数雇用して いる企業においては、短時間労働が雇用義務の対象となった場合の影響が大きいことも 想定される。2つ目の○で、このため、短時間労働を雇用義務の対象とするに当たっては、 各企業に対して円滑かつ速かな準備・取組みを促すことにより、短時間労働による障害 者の雇用機会が実際に拡大していくよう、適切な一定の準備期間を設けることが必要で あると考えられる。  IIIは障害者の派遣労働及び紹介予定派遣についてです。大きな1として、障害者の派 遣労働の現状です。(1)は、障害者雇用率制度等における派遣労働の取扱についてです。 1つ目の○で、障害者雇用率制度において派遣労働についても、雇用関係のある派遣元 事業主に雇用義務が課されている。また、各種の助成金についても、一部の例外を除き、 派遣元事業主に対して支給されている。  (2)は障害者の派遣労働の状況です。1つ目の○で、派遣労働が一つの雇用形態とし て定着してきている中で、厚生労働省が労働者派遣事業者に行った調査によると、派遣 労働者のうち障害者である割合は0.35%ときわめて少ない状況にある。また、派遣労働 者である障害者について、障害種別で見ると身体障害者が97.5%を占めており、知的障 害者や精神障害者はきわめて少ない状況にある。派遣労働者である身体障害者の内訳を 見ると、下肢機能の障害(36.3%)、内部機能の障害(13.1%)、上肢機能の障害(11 .5%)の順となっている。一方、派遣労働に対する障害者のニーズについては、高齢・ 障害者雇用支援機構の調査によれば、障害者の求職者のうち身体障害者で13.9%、知的 障害者で14.9%が、それぞれ派遣労働を希望している。  大きな2は、障害者の派遣労働の実態ということでアンケート調査の概略を、大きな 3は関係者からのヒアリングを記載したいと考えています。  大きな4は、障害者雇用における派遣労働の位置づけです。1つ目の○で、派遣労働が 一つの雇用形態として定着してきている中で、派遣労働で働く障害者は、現状ではきわ めて少ないものの、派遣労働に対する障害者のニーズが一定程度あることも踏まえつつ、 障害者雇用対策の面から、その位置づけや課題について整理することが必要である。 2つ目の○で、派遣労働においては派遣期間が長期にわたる場合もあれば、短期間で派 遣先を変わる場合もあると考えられるが、障害者の場合は職場定着に相当な配慮や時間 を要することがあることから、派遣元事業主において、できる限り短期間で派遣先が変 わることがないように配慮することや、自ら配置するジョブコーチによって派遣先での 就業を支援すること等により、できる限り安定的な形態での派遣労働をすることができ るようにしていくことが望ましい。3つ目の○で、派遣労働においては、雇用関係と指 揮命令関係が分離しているとともに、実際に働く場所が派遣先であるという特徴がある。 このため、障害者が派遣労働という形で、安心して働くことができるようにするために は、派遣元事業主がその雇用関係に基づいて必要な配慮を行うだけでなく、派遣先にお いてもその指揮命令関係に基づいて一定の配慮を行うことが必要であると考えられる。 4つ目の○として、また、労働者派遣を通じて派遣元事業主が有する労働力需給調整機 能に着目すると、福祉的就労から一般雇用への移行等に関して、派遣元事業主自らが支 援体制を整備すること、就労支援機関と連携すること、紹介予定派遣を活用すること等 により、そのチャンネルの一つとして機能することが期待される。  大きな5として、今後の障害者雇用対策における派遣労働への対応についてです。(1) は、派遣元事業主及び派遣先の役割分担です。1つ目の○で、障害者が派遣労働という 形で安心して働くことができるようにするためには、派遣元事業主がその雇用関係に基 づいて必要な配慮を行うだけではなく、派遣先においてもその指揮命令関係に基づいて 一定の配慮を行うことが必要であると考えられる。2つ目の○で、このような派遣元事 業主及び派遣先の役割分担に関しては、厚生労働省の調査によると、派遣労働者である 障害者に対する配慮について、派遣元事業主及び派遣先双方の8割以上が「双方で分担 すべき」としている。また、その具体的な分担については、概ね派遣元事業主には、「 教育訓練の充実」や「障害者に適する職務の創出、職務の再設計」に関する配慮が、ま た、派遣先には、「障害者に適する職務の創出、職務の再設計」「施設や設備等の整備」 「雇用管理に関するノウハウや職場の上司や同僚の理解等の受入態勢の整備」に関する 配慮が必要であるとしている。3つ目の○で、このため、障害者の派遣労働に関しては、 派遣元事業主または派遣先がそれぞれ配慮すべき事項、あるいは、ともに配慮すべき事 項について、雇用関係と指揮命令関係との関係を踏まえ、上記の調査結果も参考としつ つ、具体的な整理を行い、派遣元事業主及び派遣先に対して明確にしていくことが適当 である。4つ目の○で、派遣先において、上記のような配慮を行うためには、当該派遣 労働者が配慮を要する障害者であることを把握することが必要となることから、個人情 報であることに留意しつつ、派遣元事業主が配慮事項を派遣先に対して伝えることによ り、派遣先においても当該配慮事項を把握できるようにすべきである。5つ目の○で、 派遣元事業主の中には、特例子会社を設立して障害者雇用を進めている者もあり、特例 子会社で蓄積した障害者雇用に係るノウハウ等、障害者の派遣先での就業においても活 用することが考えられる。6つ目、最後の○で、派遣元事業主や派遣先が必要な配慮を 行うに当たっては、それぞれが自ら対応するだけでなく、外部の就労支援機関を活用す ることも、より効果的であると考えられる。  (2)は障害者である派遣労働者を受け入れる派遣先への支援策です。1つ目の○で、 障害者である派遣労働者を派遣先が円滑に受け入れられるようにするためには、上記 (1)の派遣元事業主及び派遣先の役割分担も考慮しつつ、派遣先における受入態勢の 整備について、支援策を検討していくことも重要である。2つ目の○で、この場合、派 遣労働においては一定の派遣期間がある中で、派遣先が、障害者である派遣労働者のた めに施設・設備の整備や支援のための人的な配置を行うことは現実的ではないと考えら れる。3つ目の○で、このため、具体的な支援策の在り方としては、例えば助成金の支 給要件において、派遣先が直接雇用している障害者の数に、受け入れている障害者であ る派遣労働者の数を合算することができるようにし、障害者である派遣労働者も対象に 含めて措置が講じられるようにすること等が考えられる。  (3)は障害者の派遣労働に対する障害者雇用率制度の適用です。ここは調整中です。  大きな6で、障害者雇用における紹介予定派遣の活用です。(1)は紹介予定派遣の現 状です。1つ目の○で、紹介予定派遣については、平成17年度において、紹介予定派遣 によって派遣された労働者数が約3万3,000人(対前年度比69.4%増)、職業紹介を経て 直接雇用に結びついた労働者数が約2万人(対前年度比85.6%増)となる等、紹介予定 派遣を活用して、派遣先における直接雇用に移行する者が増加している状況にある。 2つ目の○で、一方、障害者に係る紹介予定派遣については、厚生労働省の調査による と、現時点においては、まだほとんど実績がない状況にあると考えられる。  (2)は障害者に係る紹介予定派遣の活用です。1つ目の○で、障害者雇用を促進して いく観点から考えると、派遣先における直接雇用に移行する可能性のある紹介予定派遣 を活用していくことは、派遣元事業主の有するマッチング機能の活用の一つの在り方と して、特に有効な面があると考えられる。2つ目の○で、特に紹介予定派遣の場合、一定 の派遣期間を介することによって、企業は、障害者の適性や能力等を見極めることがで き、障害者は自ら継続して働いていけるか、職場環境に適用できるか等を見極めること ができる点で、双方の不安感の解消にもつながるものと考えられる。さらに、同一の企 業において、派遣期間を経て直接雇用を目指すものであるため、職場定着に相当の時間 や配慮が必要な知的障害者や精神障害者の場合であっても、また、福祉的就労から一般 雇用への移行の場面においても活用の可能性があると考えられる。3つ目の○で、障害 者に係る紹介予定派遣が有効に機能するためには、派遣元事業主において十分な支援体 制や相談体制を整備することが不可欠である。この場合、派遣元事業主自らが体制を整 備するだけではなく、特例子会社を設置している場合は、そのノウハウ等を活用するこ とや、外部の就労支援機関と連携して支援することも、より効果的であると考えられる。  (3)は紹介予定派遣の活用に関する支援策です。1つ目の○で、障害者に係る紹介予 定派遣については、まだほとんど実績がない状況にあると考えられることから、今後は まず、これを活用した障害者雇用促進のモデルを確立していくことが重要であると考え られる。2つ目の○で、このため、このようなモデルが確立するまでの一定期間は、支 援体制や相談体制の整備等を行って、障害者に係る紹介予定派遣を実施する派遣元事業 主に対し、一定の助成措置を講じていく等、その支援策について検討を進める必要があ る。  IVは、週20時間未満の短時間労働、グループ就労についてです。大きな1として、週 20時間未満の短時間労働についてです。1つ目の○で、週20時間未満の短時間労働につ いては、週20時間以上30時間未満の短時間労働よりも割合は低いものの、これを希望す る障害者が一定程度存在するが、障害者である雇用者数に占める割合は、身体障害者が 1.2%、知的障害者が1.2%、精神障害者が3.6%と、きわめて少ない状況にある。2つ目 の○で、しかしながら、特に精神障害者の場合にはその障害の特性から、週20時間未満 の短時間労働を比較的長期にわたって続ける中で、段階的に勤務時間を延ばしていくこ とも、一般雇用へ移行していくためのステップアップとして有効であると考えられるこ とから、下記2のグループ就労に関する支援の見直しとも併せて、支援策を充実させて いく必要がある。  大きな2として、グループ就労に関する支援についてです。1つ目の○で、グループ就 労については、精神障害者をはじめとして有効な面があるとの観点から、平成18年より、 グループ就労訓練に対し、障害者雇用納付金に基づく助成金制度の運用を開始している。 しかしながら、グループ就労訓練に係る助成金については、制度発足以来利用状況が低 調なままであり、グループ就労を活かした障害者の雇用や訓練が進んでいない状況にあ る。2つ目の○で、このため、グループ就労については、現在設けられている助成金の4 つの類型ごとに課題を整理し、より効果的にグループ就労が活用されるよう見直しを行 うことが必要である。また制度の在り方の検討とともに、同助成金の請負型や職場実習 型に相当するものについては受入先となる企業の開拓が重要であり、その方策について も併せて検討する必要がある。以上です。 ○ 岩村座長   ただいまご説明いただいた報告書骨子(案)について、全体を一遍にやるわけにもい かないと思いますから、こちらで少し整理をさせていただきます。大きく3つに項目を 分け、それぞれについてご意見をいただく形で議事進行したいと思います。まず最初に、 骨子(案)のII、障害者の短時間労働についてです。どなたからでもご意見がありまし たら、お願いいたします。 ○ 村上委員   前回述べたことの繰り返しなのですが、やはり障害者雇用において短時間労働をどの ように位置づけるのかということについて、再度意見を述べさせていただきます。2頁 の3の「障害者雇用における短時間労働の位置づけ」の○の2つ目、3つ目に書かれてい るように、障害の特性や体力などの面で障害を持つ方が短時間労働で働くことの意義を 否定するつもりは全くありませんが、障害者の雇用全体を考えたときに、短時間労働を 障害者雇用率制度に位置づけるということが、本当に正しい選択なのかどうかというと ころは、もう一度考えなければならないのではないかと思っております。  障害者雇用の別の研究会では、障害者雇用を考えるときに女性の雇用を思い起こして はどうかというご意見が出されました。そこで考えるのは、パートタイム労働の議論で す。パートタイム労働の議論の際には、家事・育児の責任がある主婦が、働く時間や場 所を選びたいという働く側のニードというものが強調されます。またパートタイム労働 が、時間に制約のある主婦や女性の雇用機会を提供してきたというように、よく言われ るわけです。  では、現実にパートタイム労働で働いている人たちが本当にそれを選択したのかとい えば、パートでしか職がなかったとか、正社員になりたいのに正社員の口がない、やむ を得ずパートタイムで働いている人も多数いるというのが現実であります。また、そう いった制約がなくなって、子育てが一段落したからといって、パートタイム労働ではな く正社員に、フルタイムに転換できるかといえば、そうしたケースはごく一部でしょう。 女性労働者の半分が、現在非正規雇用であるというのが現実です。そうしたことを考え る中で、障害者の短時間労働をどう位置づけるのかはもう一度考えなくてはいけないの ではないかと思っています。  報告書骨子(案)にも、障害者のニーズというものが強調されておりますが、例えば ここに出ているデータで、軽度障害者の22%が希望しているということをもって、それ が相当程度のニーズがあるとか、ニーズが高いというふうにすることには若干異論があ ります。また、仮に相当程度のニーズがあるとしても、雇用率制度に位置づけたことに よって、障害者の働く場がパートタイム労働ばかりになってしまう、あるいは、30時間 以上働ける障害者もパートタイム労働の場しかなくなってしまうという懸念もやはり拭 えません。また、30時間以上の場合、正社員であることは一般的なのかもしれませんが、 30時間未満になったときに、労働時間が短いだけでなく、3カ月とか6カ月とか、有期の 雇用に結びつくケースも相当程度あるのではないかとも考えられます。そのことによっ て福利厚生とか、あるいは賃金・一時金等々の差が出てくるのではないかと懸念されま す。また、前回も述べましたが、社会保険の適用にもならないということもあります。 雇用全般においてパートタイム労働の非正規労働者の増加の問題を振り返ると、障害者 雇用においても短時間労働を広げていくことや、そのために障害者雇用率制度に位置づ けるということは、やはり問題ではないかと私どもは考えております。  ただ、そうは言っても、百歩譲りまして、短時間労働を障害者雇用率制度に位置づけ たという場合であっても、そのときは人数というだけではなく、むしろ短時間労働者が 雇用労働者数において増えてきている中で、雇用労働者としてきちんと位置づけるとい う分母の面から考えていくべきではないか。その結果として、分子もカウントするとい う理屈であるべきではないかと考えております。以上です。 ○ 高齢・障害者雇用対策部長   いまのような懸念も一方ではあるかなと思います。ただ、私どもが考えているのは、 現行の制度でも30時間で切っていて、正社員か非正規社員かでは切っていない。したが って、現実問題としていうと、現在対象になっている方においても、正規か非正規かと いう判断をすると非正規の方が多いというのは事実としてあります。障害者については、 女性の場合とはややそういう意味で状況が違って、むしろ障害者の場合を真面目に考え れば、やはりその障害の特性や程度といったことを含めて考えた場合に、どういう労働 がいいかということを考えていくのが重要かなと。書き方はちょっとあるのかもしれま せんけれども。ただ、ここでご留意いただきたいのは、現行制度は30時間で切っていて、 正規か非正規かでは切っていないということですので、そういうことも含めてご議論い ただければありがたいなと思います。   ○ 松友委員   お答えいただいた後に言うのも変ですが、村上委員が指摘されたことについては私も 全く同感です。これは全部事前に読んでこいと言われたので読んできたのですが、最後 の「なお、短時間労働に関して」云々の「なお」書きの部分には何が書いてあるのかと 思いますと、結局これは、要するに短時間ではなくて、正規の時間の部分についても、 本人が希望してそれができるのならできるようにしてあげればいい、これは例外という 感じの書き方なのです。本来は30時間以上働きたくてもいいのですよみたいな感じでは なくて、やはり基本的な部分としては、障害があろうがなかろうが、現実はそうだと思 うのですが、いわゆる基本的なきちんとした労働で対応すべきだと。しかし、やはり現 実的にも、あるいは障害状態とか、本人の希望、ニーズ等においても短時間労働が広が ってもいますし、希望も多いから、それに合わせて雇用率等をこのように対応しなくて はいけない。主たるものと、流れとのものとが逆転していくと、やはり誤解や批判が生 まれると思いますので、その辺りの表現は、部長がおっしゃったように、少し順序等も 含めて整理されたほうがいいかなという感じはしました。趣旨はこの委員会で十分議論 し合っていますからわかるのですけれども、往々にして議論がわからなくて結果だけ見 た方は、場合によっては誤解したり、失礼な言い方すると悪用したりしますから、こう いう批判がありますと、この委員会の議論も意味がなくなってきますので、村上委員の 発言に対しては、私も非常に賛同いたします。   ○ 岩村座長   他にいかがでしょうか。   ○ 宮武委員  冒頭にご紹介したいことがあります。実は6月1日から国会職員として初めて知的障害 者の方が非常勤で採用されたのです。衆議院の人事課に雇用され、一部新聞報道もされ ましたが、この間雇用対策課にいろいろお骨折りいただき、私どもの施設の保護者も、 国会で初めて知的障害の青年が働ける場ができたということで大変喜びました。親御さ んにとっても、ご本人ももちろんそうなのですが、非常に大きな励ましや感想がたくさ ん寄せられています。ちょっとご報告までに。  いまのお話ですけれども、女性の場合には、パート労働で低位な労働状態に置かれる のではないかということですが、いま障害者の方は、特に知的障害、精神障害の方は福 祉的就労というような形で、実際の工賃が時給100円、その労働者性がどうかというこ とで、この間議論もありましたけれども、やはりちょっと違うと思うのです。実際に働 いているわけですけれども、それが訓練という形で福祉的就労の場にほとんどの方があ るのです。養護学校卒業の就職率は2割ですから、そういった状況があるわけです。で すから、やはり福祉から雇用へという形の社会参加といいますか、その意味でも働く場、 機会が、まずは拡大するように施策を作っていくべきだと思っております。 ○ 岩村座長  今までの議論を振り返ってみますと、短時間労働については、やはり今、宮武委員が おっしゃったように、短時間というところでまず福祉から就労へつなげるということが 1つ念頭にあったということと、それから、全体の議論としては、短時間労働について は雇用率制度の中で位置づけるとしても、従来フルタイムで働いていたような人たちを 短時間労働のほうへ誘導するようなものであってはならないということ自体、委員会と してもそういう認識、理解であったと私も思っております。それとの関係では、やはり 今回は雇用義務をかけるところがポイントで、いわゆる分子にだけ入れるのではなくて、 分母にも入れることが重要だろうと思います。ですから、何か積極的に短時間労働の方 に誘導していこうということではない、そこはご理解いただけるのかなと思っています。  あと、今、松友委員や村上委員からもご指摘がありましたように、特にこの3のとこ ろの書きぶりについては、先ほど部長もおっしゃいましたが、ちょっと検討する余地は あるように思いますので、そこはまた検討することにしたらいかがかと思います。 ○ 輪島委員  2頁の4の(1)の2つ目の○の下から2行目の括弧書きに、「例えば同様のカウントを するのはどうか」と書いてあって、3頁を読むと、「0.5カウントとして算定することは 適当であると考えられる」と、ある意味で結論が書いてあるのです。ここの「例えば」 は自問自答なのですか、位置づけがどういう流れになるのかよくわからないのです。   ○ 岩村座長   それでは、課長、お願いします。   ○ 障害者雇用対策課長  今ご指摘のあった点は、その直前の「具体的にどのように算定することとするか」 がこの言葉だけだとわかりにくいかなと思いまして、「例えば」と入れているのです。 いま輪島委員からご指摘がありましたように、その次に続いてくる3頁の現行制度の説 明との兼ね合いでいくと、ここでこういう例示を出して説明すると議論の流れとしては 混乱するということであれば、例示としてはあまりふさわしくなかったかなと。そこの 手前の所をご説明したかったというだけなので、そこは今後、書きぶりを整理していっ てもいいかなと思っております。 ○ 岩村座長   私もいま課長がおっしゃったような意味でこの括弧書きは読んでいたのですが、紛ら わしいですか。いかがですか。   ○ 輪島委員   括弧をとってちゃんと説明するのか。括弧があるのはここだけで、「例えば」という のは、何となく変ですよね。   ○ 障害者雇用対策課長   それについては、今私が申し上げましたように、おそらく次の段落が、「具体的にど のように算定することとするのか」の具体的な説明だと見ていただければ、流れがあり ますので、括弧書きはあえていらなかったのかもしれません。   ○ 岩村座長   そうですね。なくてもわかる気もします。では、今の輪島委員のご指摘も踏まえて、 文案の詳細は検討させていただきます。そのほかいかがですか。   ○ 松友委員   3頁の(2)「適応時期等」の下から2番目の○で、「適切な一定の準備期間を設ける ことが」云々はそのとおりだと思うのですが、大体こういう表現をしたときには、どれ ぐらいの期間設けられるのですか。大体、……というと、3年とか。というのは、もう 1つの中小企業の検討会でも、中小企業に対してもたぶん雇用率の適用があるので、準 備期間が設けられるときに、当然足並みを揃えるのではないかと思いますので。もう1 つは、これは文書の表現ではないのですが、実務的に、ある種念頭、心づもりというの は何かあるのでしょうか。   ○ 岩村座長  課長、どうぞ。 ○ 障害者雇用対策課長   具体的な期間は、この研究会の場で最終的に詰めるのか、次のステップの審議会で議 論を重ねて詰めていくのかと思っておりますが、ここに書いたとおりで、一定の期間は 要る。ただ、一方で、こういう制度を作るからには、そう遅くない時期に適用して、制 度が本来目指すべきところを確保していくことも必要だと考えていけば、もちろん5年 も6年も待つということではなく、普通の場合、これは私の個人的な見解ですが、2年か 3年という水準ではないかと思います。   ○ 岩村座長  研究会のこの報告書の表現としては、このようなところでよろしいのではないかと、 より具体的なことは審議会が議論をする上では適切な場かなと考えております。さらに また、実は政治プロセスのことも考えなければいけないので、研究会で先走って具体的 なことを書くのは控えたほうがいいかなとは思っています。そういうことでご理解いた だければと思います。 ○ 八木原委員   3頁の短時間労働の場合のカウントのことなのですが、精神に障害のある方は0.5カウ ントで、身体と知的の方、重度の方は1カウントです。これは第1回目に舘委員のほうか ら、このカウントは同じにはできないのか、その意味合いはどう違うのかということが 出ていたと思うのですけれども、やはりいまのまま、精神のほうは0.5になるのでしょ うか。   ○ 岩村座長   課長、お願いします。   ○ 障害者雇用対策課長   ここは短時間労働者をどうカウントするかという観点からの問題点と、それから、い ま八木原委員がおっしゃった点は、どちらかというと精神障害者をどうカウント上考え ていくかという観点と、両方の課題があると思います。ここで書かせていただいている のは、重度の30時間以上の方は2カウントになっているのに対して、短時間の方は1カウ ントだと。私どもが提示した案は、そこはそのまま維持し、加えて現在、重度以外の方 と精神の方は、30時間以上で1カウントですので、短時間の場合には、その半分という意 味での0.5カウントでいかがか。30時間以上と、短時間と、1対0.5で分けることをそのま ま踏襲するのでいかがでしょうかというように書いているつもりです。  いま八木原委員がおっしゃったのは、精神障害者については、身体障害者、知的障害 者と比較して、精神障害者全体について重度扱いをしてダブルカウントをしたり、30時 間の場合、1カウントにしたりという議論があり得るのではないかということだと思い ますが、ここでの議論は、どちらかといえば短時間の問題の整理ということにさせてい ただいておりますので、いまそういうご指摘があったことを踏まえて、これからの制度 検討の中では、また別の観点から必要に応じて検討していく必要があるのではないかと 思っております。 ○ 輪島委員   先ほどの3頁の「適応時期等」ですが、いちばん最初の○の3行目にあるように、「短 時間労働という雇用形態で障害者を積極的に雇用している状況にはないものと考えられ る」と。いまの雇用率制度上、短時間労働のカウントをすることになっていないので、 そういう人が企業の中に少ないということは現実だと思います。また、ヒアリングで、 パートタイム労働を多く使う業種は、現在の枠組みの中で実質雇用率をカウントすると 2.0%だけれども、もし仮にこの制度設計上やってみると、実質雇用率の試算は1.6%に 下がるということを聞いておりますから、その点でいうと、ここの部分が非常に強調さ れるべきだろうなと思っております。先ほど適切な一定の準備期間ということもコメン トがあったわけですが、もう少し長めであって然るべきだろうと思っております。   ○ 岩村座長  そういうご意見もあると。ただ、私の見方では、いまご指摘のあった点で言えば、(2) の1番目の○の中で、「特に、多数雇用している企業においては」とあるので、それは ヒアリングを踏まえた上での文章だと理解しております。  そのほか特にございませんでしたら、次のIIIの派遣労働及び紹介予定派遣に進みます。 ここについてもまた、どなたからでも結構ですので、ご意見をいただければと思います。 ○ 村上委員   3頁と4頁に、「派遣労働が一つの雇用形態として定着してきている」という表現があ るのですが、それはこれまでの論点などにも出てきていたのですけれども、このように 打ち出す場合に、これは、労働者派遣が現在どのような状況になるのかということを適 切に捉えたものとは言えないのではないかと思っております。確かに労働者派遣事業は 拡大して、派遣で働く労働者も急増していて、その派遣労働で働いていて満足であると かハッピーであるという労働者がいるのは確かなのですけれども、一方、特に登録型派 遣では、不安定な細切れ雇用や賃金の格差というものも生じておりますし、ワーキング プアの温床になっているという指摘もされているところでありまして、このような表現 でよいのかどうか若干疑問があります。  また、こうした中で、障害者雇用についても労働者派遣を活用するということが本当 にいいのかどうか、先ほどの短時間と同じような話なのですが、特に労働者派遣につい ては一定の注意が必要ではないかと思っております。自分が雇用していない労働者を自 分のところで働かせること、あるいは、自分が雇用している労働者を他人のもとで働か せるということは、禁止されていたわけですが、それを例外的に認めてきたのは労働者 派遣でありまして、その場合には、常用雇用の代替になってはいけないと、置き換わっ てはいけないという合意の下で制度が作り上げられてきたのだという認識をしておりま す。しかし、蓋を開けてみれば、多くの場合は自ら雇用する正社員などを減らしてき て、労働者派遣を活用しているというのが実態ではないかと。これはやはり、全部が全 部ではありませんが、紛れもない常用代替の状態と言えるのではないかと思っておりま す。  障害者雇用を考える場合も、やはり直接雇用を基本とすべきであって、労働者派遣を 受け入れることで雇用義務を代替させるのはごまかしではないのかと考えております。 また、一般の場合でもトラブルの多い労働者派遣が、本当に障害者雇用に馴染むのか。 よほどしっかりした派遣元でなければ、その労働者というか、派遣先も派遣元も混乱す るのではないかという懸念もあります。これらの課題を考えると、前から申し上げてお りますように、紹介予定派遣ということであれば、障害者雇用に馴染むのではないかと 思いますけれども、一般の派遣を促進していくことは若干懸念があると申し上げておき たいと思います。 ○ 北浦委員   ただ今の村上委員のご意見は誠にもっともなところがあると思うのですが、先ほどの 短時間雇用の問題も含めて、これ全体が、短時間雇用として障害者に雇用をつくるのだ とか、派遣だけでつくるのだとか、そのように誘導するものではないと。また、いろい ろな政策も、そういったバイアスのかかる形ではなくて、あくまでもそれぞれの事情に 応じて、いちばん適切な雇用形態を考えていった場合に、いまの選択肢が、一般雇用だ けではなくて、多様な形をつくることによって、より雇用の場が広がる。つまり、全体 的に障害者の雇用の場が少ない中、その事情、制約のもとで、なるべく多くの雇用の機 会をつくりたいということから、この研究会の議論が行われているという前提は、やは り崩してはならないであろうと思うのです。  懸念する点は確かにあると思いますが、それは、この研究会の場の議論なのか、そも そもの場の議論なのかといったところもありますので、そのような一般施策についての 問題点まで考えてしまうと、難しくなります。それはそれとしての配慮をできる限りし つつ、この場においては、こういう選択肢を作った場合に、できる限りそれが障害者に 対して不利な形にならないように配慮するというような方向づけを書くことで、このよ うな多様な選択肢を位置づけることは決して悪いことではないのだと思うわけです。  これは骨子の段階ですので、まだ「はじめに」という総論がありません。これら多様 な選択肢の位置づけというもの、どうしてこのように多様な選択肢を考えるのかという そもそも論がまだ書かれておりませんので、それを書いたり、また、そのような個々の 制約の中において、この選択を選ぶことが、むしろ雇用の機会を増やすために有益であ るというヒアリング例も踏まえて、こういったものを位置づけるのだということが、肉 付けされる中で書かれていくのかなと思っております。  ご懸念のように、まだまだ新しい雇用形態について、そういう不安な要素はあると思 いますが、それは一般施策の中においても同じ問題として、同時に取り上げながら検討 しつつ、なおかつ障害者の方に、それ以上に不安な面があるとすれば、その点を配慮さ せていくような手法を取るべきではないかと思っております。  それから、派遣について言えば、おっしゃいましたように、派遣先と派遣元で責任を 持たなければなりませんし、派遣先でもやはり同等の配慮をしてもらいたいというのが、 ニーズ調査にも出てきています。今回、制度設計はまた別の後の議論になっております けれども、いわば1人だけではなくて、両方において、それは決して責任を片方に押し つけ合うということではなくて、いわば両者の共同の下に、障害者の雇用の場を開くの だという考え方でいけば、決してこの派遣を消極的に取る必要はないのだと思っており ます。いずれにしても、制度的な運用に配慮を要することは全くおっしゃるとおりだと 思っておりますので、そういった要素も加味しながら議論すべきだろうと思っておりま す。 ○ 松友委員   先ほどの短時間労働と同じように、ご指摘の点は、そのとおりだと思いますし、障害 者雇用以前の問題として、雇用一般においての位置づけとか、それを初めの中でどうき ちんと押さえるかとか、あるいは、その全体の流れの中において誘導にならないように するということは大事なことだと思っております。それについてはいまのご説明でいい かと思いますが、この派遣に関していちばん大きな問題は、派遣元と派遣先です。派遣 元では働かないけれども、派遣先で働く。そして、雇用率は派遣元にやるという実に摩 訶不思議な状態をどうするかということだと思うのです。ですから、当然時代に応じて これは議論せざるを得ない。かなりいろいろな分野で実態として派遣が広がっているし、 また、率直に言って、労働者がそれを求めている傾向もあるので、これは我々から見る と、結構意外な感じもするのですが、ただ、そこにきちんと雇用率等をかませていく今 回のニーズというのはいいと思います。  それで、5頁の4つ目の○です。これは文章をどうするかではなくて、実態的なことな のですが、いわゆる情報伝達の問題で、「個人情報であることに十分留意しつつ」と書 いてあります。当該労働者が配慮を要する障害者である場合、どういうサポートが必要 かというと、障害特性等に伴ういろいろな情報だと思うのです。これは今回の派遣に限 らず、いちばん大きな問題で、教育、福祉との連携の分科会でも、その情報をどう共有 し合うかという議論がありましたので、たぶん同じ議論になろうかと思います。実際、 重要だとみんなは言いつつも、これは個人情報保護の理論が出来る前からありましたが、 やはり本人を支える意味においても必要な情報を相手に伝えるべきだと言われながらも、 では、そのことによって不利になる責任は誰が取るかと。方法を具体的に、総論的に言 うとこういうことになるのですが、実際上は大変重要で、かつ、非常に難しい課題なの です。表現はこのままで結構だと思うのですが、是非1つの仕組みを作り上げていただ きたいなという希望です。 ○ 岩村座長   やはり派遣については、先ほどの村上委員からのご指摘、北浦委員のご指摘、それぞ れありましたけれども、派遣をめぐる一般的な施策の問題と、それから、現在の制度を 前提とした中で、障害者の派遣についてどう考えるかという問題と、ちょっと区別して 考える必要はあるだろうと思います。たぶんいままでの議論のスタンスと、ここでの議 論のスタンスは、障害者の派遣労働に対して、よりバイアスをかけて進めていこうとい うことではなくて、多様な雇用の場を障害者の方々について考えたときに、1つの方策 として派遣があるが、実際、現実にはあまり利用されていないとすれば、もう少しその 障害者に適した形での派遣を利用できるような形にもっていってはどうかと。ただ、そ れ以上に、より積極的に派遣のほうに障害者の雇用を誘導していくということは、ここ ではたぶん、そこまでのコンセンサスを得ているとは私は思っていない。むしろそこは 逆だと思っております。  ですから、問題としては、若干表現の問題が村上委員からもご指摘があったので、そ こをどうするかということと、まだ、「はじめに」の所がないので、そこで、今回議論 している多様な雇用形態を障害者雇用全体の中にどう位置づけるのかを少し明確にする ことで、ご懸念については、一応応答ができるのかなと思っております。 ○ 村上委員  今の座長のまとめに、より積極的に進めるということではないということを是非入れ ていただきたいと思います。私はこの中身全体を否定しているわけではないのです。例 えば5頁の、派遣元、派遣先の役割分担で、実際に障害者であって、派遣されて働いて いる方もいらっしゃるわけで、そういう方たちのために派遣先、派遣元はどんなことに 気をつけなくてはいけないのかということをきちんと整理することは是非必要だと思っ ております。ただ、より進めていこうということについてはかなり懸念を持っていると いうことです。 ○ 岩村座長   そのほかに、いかがですか。 ○ 輪島委員   3頁のIIIの(2)に「派遣労働が一つの雇用形態」とあり、4頁の4の1つ目の○にも「派 遣労働が一つの雇用形態」と書いてありますが、通常は「就労形態」で、「雇用形態」 とは言わないのではないかと思うので、そこの表現を適切なものにしていただければと 思います。それから、4頁のいちばん下から5頁にかけての「派遣元事業主及び派遣先の 役割分担」で、上の3つの○の意味するところの整理は必要なのだろうと思うのですが、 読んでいて、よく分からないのです。それから、現行の派遣法上の派遣元指針と派遣先 指針で講ずべき措置というのがありますが、そのものとここで書いてある中身が同じも のなのか違うものなのか、それがよく分からないのです。派遣元事業主には、特に「教 育訓練の充実や職務の創出、職務の再設計」と具体的に書いてあります。派遣法に引っ 張られる必要はないのかもしれませんが、少し文言の整理が必要なのではないか。そも そもの役割分担としては、例えば安全配慮義務、労働基準法、最賃等基本的な役割分担 はクリアになっているので、そのプラスアルファのところをどのように書くのかという 整理のほうが分かりやすいのではないかと思います。   ○ 岩村座長   5頁の2つ目の○の役割分担のところは、調査で表れたものを書いていると私は思って います。要するに、調査ではこういう回答が来ているということを例示して書いてあっ て、それを受けて、具体的に今後どうするのかというのは次の○のところで、「上記の 調査結果も参考としつつ、具体的な整理を行い」ということで、これから整理しましょ うと、そういう書きぶりだと理解しております。いずれにしても、確かにおっしゃるよ うな理解の難しさもあるようにも思いますので、そこは次回に向けて検討するというこ とで、いかがでしょうか。   ○ 輪島委員   具体的な整理は、どういう段階でどのようにするのでしょうか。それについてあまり 議論はしていないような気もするのですが、具体的にはどういう整理をするのですか。 ○ 障害者雇用対策課長   今出ていたお話との関係で言いますと、派遣元、派遣先の指針との関係で、この部分 の考え方を整理して、次回にはある程度盛り込むことを考えてみたいと思います。おそ らく、輪島委員がおっしゃっていることを元・先の指針との関係で言えば、それに既に 掲載されたものについて、障害者であるがゆえの上乗せ的な配慮が必要な部分のこと、 あるいは元・先の指針には載っていないが障害者であるがゆえの配慮が必要な部分、つ まり横出し的な部分、その両方がある、逆に言えば、根幹の部分は元・先の指針や派遣 法そのものにある程度ルールが定められているところがあるはずだ、こういうご意見だ と思います。もし、そういうことで差し支えなければ、そういった整理をして文章とし て表現しておきたいと思います。  その上で、具体的にどういった配慮が必要なのかというところについては、いま輪島 委員も少し触れられましたように、大変恐縮ですが、この場で議論が熟しているという ことではないように私どもも考えておりますので、そこは次のステップでご議論を深め ていただくということではないかと思います。 ○ 輪島委員   今踏み込んだご答弁だったので感謝しますが、はっきり言うと、派遣法で大臣告示に なっている指針があるわけです。それは講ずべき措置として規定されていますから、そ の余の障害を持った方についての特別な配慮というようなものに限って議論をし、整理 をしていただきたい。余計なことはしてほしくない、そういう趣旨です。   ○ 岩村座長   派遣については第2の論点としてまだ残っておりますので、そちらでも議論していた だくこともあろうと思います。特になければ、最後のIVに進ませていただきたいと思い ます。IVについてご意見がありましたらお願いします。   ○ 輪島委員   7頁で言うと「20時間未満」をどう位置づけるのかということだと思うのです。その 点で言うと、事例でお伺いした石巻のように、新聞配達でしたか、毎日朝2時間で、5 日間働いて10時間というような働き方をどう位置づけるのか。また、午後にもう1つ違 う職場に働きに行っていて、通算でも20時間に満たないところをどうするのか、という ことが難しい議論だろうと思われます。  その中で、ここに示されている2つ目の○の「しかしながら」というところの2行目で は、段階的に勤務時間を延ばしていくことも一般雇用への移行をしていくためのステッ プアップという記述があるわけですが、事例を伺う限り、延ばしていけるのかどうか。 また、ステップアップという位置づけになるのかどうかということがあまり明確に位置 づけられるのかどうか。もしくは、勤務時間が延びていくのだろうとはあまり思えない 中で、20時間未満をどう位置づけるのか。上がっていくところだけを評価しましょうと 言うのか、そこのところがどうなのかについて、あまり議論がないと思います。 ○ 岩村座長  宮武委員、いかがでしょうか。   ○ 宮武委員   前回、マイレージ方式といいますか、石巻のヒアリングの際も、地方において非常に 小規模な企業しかない。その中で雇用創出する場合に、1日6時間労働の提供はできない が、1日3時間で5日間という形で組合せ就労というのですか、短時間労働を組み合わせ る。精神障害の障害特性というものもあるのでしょうが、そういう地域特性ということ はあると思うのです。その中で、東京はある意味で特別な地域であるわけですから、こ れから石ノ巻等地域の中でそれを進める場合に、20時間未満の組合せ就労というのは、 就労の機会を拡大する1つの方法だと思うのです。ですから、今回どういう措置をとるか と言うよりも、その辺について新たな視点から小項目を1つつくっていただいて、20時間 未満の労働を提供する事業主に対して、障害者の雇用機会という観点から優遇措置等が 検討課題である、そういうことを付け加えていただきたいのです。これは前回からも議 論として出ていますが、この中には盛り込まれていない。   ○ 岩村座長  複数事業主の下で働くというような方法については、たしか前回、別の検討会で話さ れたということだったという気がするのですが、違いましたか。 ○ 障害者雇用対策課長   例えば、地域で考えましたときに、中小企業が共同でそういった働く場を用意すると いうような仕組みという意味では、中小企業の研究会で別途検討がなされている部分が あるのですが、宮武委員がおっしゃったような形は、むしろA事業主とB事業主、それぞ れと雇用関係を持つ形で、それぞれ短時間ずつ勤務するという中で障害者の働く機会を 確保していくという話だろうと思いますので、その意味では形が違うということはあろ うかと思います。   ○ 岩村座長  輪島委員のお話と宮武委員のお話と2つあって、1つは、1の2つ目の○の書き方だと、 「20時間未満の短時間労働を比較的長期にわたって続ける中で」という位置づけで考え ていって、後に延びていくでしょう、という位置づけだけで考えていいかどうかという ことが1つあって、そこは整理し直す必要があるかもしれないという気がします。しかし 他方で、政策的にはステップアップという位置づけがないとやりにくいということがあ るという問題が1つです。  もう1つ、宮武委員がお話になった点については、この場で具体的に詰めた議論もし ていないということもあるので、今回どこまでそれを盛り込むかというのは、ちょっと 考えなければいけない。また、具体的にどういうやり方があるかということも、すぐに は整理しにくいという気もするのですが、その辺はいかがですか。 ○ 八木原委員   宮武委員からマイレージという方法が挙げられておりますが、精神に障害のある方た ちというのは、過渡的雇用だとか短時間労働でそれぞれがグループで就労していくこと は形態としてあるのです。ですから、そういう人たちを積算によってカウントしていた だくという方法も、是非取り入れていただきたいと思います。   ○ 岩村座長   どうでしょうか。今回の議論の中でそこまで踏み込めるかどうかというのが難しいよ うな気もするのですが、課長、いかがでしょうか。 ○ 障害者雇用対策課長  いま座長からもお話がございましたように、この研究会の議論を伺っている範囲では、 こちらの進行管理の問題もありますが、いろいろご意見をいただいていますが、制度的 な面での対応というところまで踏み込んだご議論を十分にいただいた状態になったかな という点はあるのではないかと思います。ただ、研究会の場で一定のご意見をいただい ておりますし、また次につなげるという意味での検討課題として掲げるということは、 当然、議論の成果としてあると思いますので、その辺りをどのように扱うのがよいのか、 ご議論をいただければ幸いです。 ○ 岩村座長   私の感じとしては、今回の検討会でどこまでやれたかということ、それから、今回の 検討会では必ずしも十分に議論できなかったが、課題として持ち越して更に議論する必 要があるもの、という仕分けの仕方がある。今宮武委員や八木原委員からご指摘いただ いた部分については私も、この検討会で、具体的にペーパーに書くところまで踏み込ん で議論できたかと言うと、そこまでいっていないという感触を持っております。  もう1つは、このペーパーの7頁の「グループ就労」のところが、実際問題としては、 制度を作ったのだがあまり活用されていないという状況があるので、まず、こちらを使 えるようにしましょう。現在あるが実は使われていない、というものをなるべく活用し てもらうようにしましょう。その上で、さらに次のステップとして、今日ご指摘のあっ たような点について考えていきましょう、という順番になるのではないかと思います。 ですので、ご指摘のあった点を踏まえて、どう整理するかということはまた検討したい と思います。ただ、八木原委員や宮武委員からお話いただいたところをこのペーパーに 入れる、というところまでの議論が煮詰まってはいないという印象は持っています。 ○ 北浦委員   20時間未満の短時間労働が実態的に障害者の雇用の場を開くことに資しているという ことは、ヒアリングでもありましたし、私も、そういう例は大いに検討すべきなのだろ うと思うのです。ただ、いま座長もおっしゃったように、雇用率制度の検討会となると、 これが多様な選択肢として今考えていく段階に達しているのかどうか。多様な選択肢と 言うからには、雇用率制度の言うところの雇用の義務、つまり雇用する義務、そこまで を持った雇用の選択肢としてこれが熟しているかどうか、そこのところが1つあると思う のです。  今全体的に見て、派遣や短時間のウェイトが非常に高まってきている。そういう多様 な働き方と同じようなことで障害のある方が働けるような選択肢をつくっていく。その 中において、20時間未満の非常に短時間のものや複数就労も、世間的な実態として非常 に高まっていますが、それに対して、制度的にいろいろな問題もあるわけです。そうい うところも十分検討して、障害のある方に対してそれを提供していく、こういう段階ま でくると、雇用率制度の議論に馴染んでくると思うのです。  しかし、現状はまだそこまではいっていなくて、複数就労というような実態は、ある 意味では非常にいいわけですが、逆に言うと不安定さを増してしまう部分もあるわけで すから、そこのところをもう少し見極めたところで議論をしていく。実態としてそれが 1つの大きな選択肢になっていることは事実ですし、ステップアップはもちろんですが、 そういったことについて何かしらの支援策を。それはおそらく、先ほどの中小企業であ ったように、共同で雇用するということであれば、共同の所において雇用をしようとい う意思が働くし、そこの間の責任関係が明確になってくるわけです。ですから、そのよ うなものであれば、それは1つの道かもしれませんし、そのようなものを、もっときっ ちりと整理をしていく中でやるべきではないかと思っているわけです。短時間で複数の 就労をするような実態がもしあるとすれば、それをどのようにしてマッチングし、どの ように保障するかというシステム、それを作ることから考えていかないといけないのか なという感じがいたします。そういう大きな支援政策を考えていくということはここで は十分に書き得ていないのかもしれませんが、そこのところで謳っておいていただいて 今後の検討につないでいけばいいと思います。 ○ 岩村座長   八木原委員や宮武委員がおっしゃったことが現実のニーズとしてあるということは私 も分かるのです。ただ、それを何らかの形で施策の中に取り込んで制度化していくとい うことになったときには、そもそも、どういう実態にあるのかについて、もう少し調べ てみないと分からないところがあるのです。それから、法律関係をどのように整理する か。そういう位置づけもしないと、雇用率までいかなくても、支援策の中にどう組み込 むかというのは、一筋縄ではいかない部分があるように思うのです。必要性や重要性自 体については私もそのとおりだと思うのですが、今回そこまでの議論はできていないと 思います。必要性自体の認識は、この検討会でも皆さん持っておられるということなの で、あとは次のステップでどう取り組むかということではないかと思います。   ○ 宮武委員   皆さんの意見に同意する部分も多なのですが、本文ではなくて「おわりに」の中に、 そういうことも意見として出たというように触れていただければよいと思います。   ○ 岩村座長   そこは事務局と検討させていただきます。要するに、私自身は、そういう芽が出来て いる。重要性も必要性もあるというところで、制度を作らないで潰してしまうこと自体 は良くないことですし、現行制度が障害になって出来ないというのも、あまり良いこと ではないと思います。いずれにしても、そこは文章を考える中で検討して、何らかの形 で織り込めればと思います。そのほか、いかがでしょうか。 ○ 松友委員   今の議論の延長なのですが。従来からこの検討会で、いつも短時間労働と派遣労働だ けに限定して、いわゆる自立支援法に基づく雇用の部分にはあまり触れないのだという 話だったのです。改めてそれを復活させるわけではないのですが、週20時間未満の短時 間労働ということが出た背景の1つは、実態はどうか知らないとしても、理念的には自 立支援法に基づく就労継続A型の日割り計算という概念があったとき、当然これが絡ん でくるのではないかという気がするのです。あの制度そのものはいろいろな議論があり ますからどうなるか分かりませんが、あのときの理念的なこと、最初の自立支援法の、 いわゆる日割りでやろうと言ったときに、日割りのよさの1つにこの話があったはずな のです。つまり、これは都市部にしかあり得ないのでしょうが、月曜はAという、昔で いうところの福祉工場に行き火・水はBに行き木・金はCに行く。そうすると、変な話で すが、それぞれは20時間未満です。しかし、今回の通達から見ても、それらは雇用関係 のある雇用なので、20時間未満というのを概念的に、ある種積極的に利用してもいいの ではないかという議論があったのです。これは議論として全然深まっていないし、現実 は非常に違うかなという感じがしますから今回の委員会で深める必要はないと思うので すが、出てきた経緯から見ると、福祉的就労とは違う。労働者性のある雇用であるが、 概念としては自立支援法という福祉の給付法である。そのはざまの中で、こういうこと が議論としてあったのではないか。記録にとどめるかどうかは別として、最初の流れの 中に、そういうことがあったのではないかと思ったのです。   ○ 岩村座長   今のご指摘は重要だと思いますが、他方で、ここで前提となっている20時間未満の短 時間労働というのは、同一事業主の下での20時間未満を前提にしていますし、今までの 議論自体は全部その前提なのです。いま松友委員がおっしゃったような例を自立支援法 との関係でどう位置づけるかという問題はあるのですが、先ほどの議論と同じで、今回 の検討会ではそこまで踏み込んで議論していないということもありますので、また次の ステップで検討していくことになると思います。いずれにしても、自立支援法が動き出 して、まだそれほど間がないということもあるので、少しその後の実態等も見据えた上 で検討する必要があるだろうと思います。   ○ 松友委員   同一事業主における20時間内ということは、逆に言うと20時間しか働かない人がいる という前提があるということですか。   ○ 岩村座長   ここで想定している今までの議論というのは、フルタイム、30時間以上、20〜30時間 未満、そして20時間未満という切り方にしているのですが、その暗黙の前提としては、 同一事業主の下でということだと思います。   ○ 松友委員  20時間となると、同一事業主がもう1人出てくるということもないとは言えませんが。 ○ 岩村座長   理念的には考えられるところです。ただ、現行法上それはカウントされないのです。 仮にその人が20時間・20時間働いて実は40時間働いているという場合であっても、それ ぞれの事業主の下では半分ずつになってしまいますので、結局カウントとしてはゼロに なってしまうのです。   ○ 松友委員   しかし、多様な労働形態とか雇用形態と考えると、つまり、そういうこちらサイドの 制度を逆に組み合わせる中で多様性がさらに増してくるということがあるのかなと思う のですが。   ○ 岩村座長   それはあるとは思います。これは別の分野でですが、現に、雇用保険や労災保険でも、 複数就業者をめぐっての問題が健常者の場合についても議論され始めているところです が、はっきり言って、どうしようと言っているところが実際問題としては多く、あまり きれいに整理できていないところがあると思います。  この点はよろしいでしょうか。もう1つ大きな議論として、派遣の問題が残っていて、 それが今日の別の議題になっております。「障害者の派遣労働に対する障害者雇用率の 適用について」が具体的な議題です。事務局のほうで資料を作っていただきましたので、 その資料について最初に説明をいただきたいと思います。 ○ 事務局  資料4をご覧ください。「障害者の派遣労働に対する障害者雇用率の適用について」 ということで事務局のほうで考え方を整理しておりますので、ご説明いたします。まず 1つ目の○で、派遣労働者のうち障害者の割合がきわめて少ない状況にある一方で、派 遣労働で働きたいと考える障害者のニーズが一定程度あると考えられることから、その 機会を確保し、また、これにより障害者の雇用機会全体の拡大も図っていくためには、 実際に働く場所となる派遣先が、障害者である派遣労働者の受入を前向きに考えるとい うことが不可欠である。  2つ目の○で、そのためには、障害者雇用率制度において、派遣元事業主に障害者の 雇用義務があることを前提としつつ、障害者である派遣労働者を受け入れる派遣先にも 一定の評価を行うことが適当ではないか。  3つ目の○で、この場合、次のような点に留意すべきではないか。1つ目に、派遣労 働者が一般の労働者よりも優位に評価されることのないようにすること。2つ目に、派 遣先における障害者の直接雇用が後退することのないようにすること、以上です。その 後ろに、これまで雇用率制度の適用案として出してきた案(1)〜(3)、あるいは輪島委員か ら提出された案を付けてありますので適宜ご参照いただければと思います。 ○ 岩村座長   今事務局のほうからご説明があったところですが、障害者雇用率の適用についてとい うことで、一定の基本的な方向性自体は今日事務局のほうでお出しいただいているので すが、それ以上に具体的なところまでは検討が進んでいないので、次回に向けて作業を 進める上でも、是非、委員の皆様方からご意見をいただければと思います。   ○ 松友委員   いちばん下の「この場合、次のような点に留意すべきではないか」というところで、 「派遣労働者が一般労働者より優位に評価されることのない」というのは具体的にどう いうことでしょうか。賃金を高くしてはいけないというようなことですか。   ○ 高齢・障害者雇用対策部長   このことについては、案(1)〜(3)と輪島委員の案と4つあります。輪島委員がいながら こういう言い方をするのもどうかと思いますが、輪島委員の案で見ると、派遣元におけ る派遣義務という形で派遣労働者を評価しつつ、派遣先においても、派遣労働者を受け 入れたら、派遣労働者を受け入れたということで評価するという形になっております。 そうすると、派遣労働者という形で障害者を派遣された場合には、派遣元においても1 カウントし、派遣先においても1カウントするという意味において、一般の労働者より も派遣労働者のほうが優位にカウントされているということになりはしないかと。これ は輪島委員が案を出しているところではありますが、そういう面も考える必要があると いうことでお示ししました。賃金のことを考えたわけではありません。   ○ 村上委員   今のご説明で、3つの案と輪島委員の案ということでご紹介がありました。紙は出し てありませんが、私も発言しておりました。派遣先に分母も分子も付けるという案を出 しておりましたので、その点がどういう扱いになるのか。それから、資料4の○の2つ目、 「一定の評価を行うことが適当ではないか」というところの「一定の評価」というのは どのようなことを考えているのかお聞かせいただきたいと思います。   ○ 高齢・障害者雇用対策部長   村上委員の案を案として出していただいて恐縮ではありますが、そこをどう考えるか については、2つ目の○で「派遣元の事業主に障害者の雇用義務があることを前提とし つつ」とあります。それは案(1)もそうで、派遣先、つまり分母のほうにも一定の義務を 持たせる。我が国のこれまでの派遣制度全体の議論の中では、雇用義務があるというこ とについて、きちんとした評価を前提にしたほうがいいのではないかということで、2 つ目の○でそういうことを書いたという意味もあります。  それから、いろいろな関係団体・企業の方と話をする中で、派遣労働者を受け入れた 場合に、派遣先のほうで何人受け入れたかで分母管理をするというのは、1であれ0.5で あれ、現実問題としてはかなり難しい。これはいろいろな企業における実態もあるよう ですが、どうも、派遣労働者の受入は人事部門で管理していない。こういう言い方をし て何か言われるとまずいのですが、要するに、人件費の管理ではなくて、物品費の管理 で行われている部分もある。そういう中で、現実的な問題として難しいのではないかと いう実務上の問題点もあるので、そういった点も含めて考えていただければ幸いだと思 います。 ○ 村上委員  障害者雇用において、派遣元事業主に障害者の雇用義務があるということは承知して いるのですが、雇用率制度を変えるということを考えるのであれば、少し発想を転換し て、派遣先が単に雇用して労働者を使用しているという現実を受け入れて、自分のとこ ろで仕事をしてもらっているということから、まず分母として考える。それに応じて、 分子についても、派遣労働者が障害を持っていれば障害者としてカウントすることを検 討できないだろうかというのが提案の趣旨でした。  他の法制度、派遣法との関係もあるのですが、しかし、例えば労働安全衛生法では、 常時使用する労働者で事業場規模を判定して、そこに派遣労働者も入っているというこ となども考えて、実際に働いている場を重視して制度を考えることも必要ではないかと 考えております。また、人事部できちんと労働者を把握し、管理することが必要だと思 いますので、そういったことをもっと促進する意味でも、派遣先に分母と考えていくこ とも検討してはどうかと思います。 ○ 高齢・障害者雇用対策部長   事務局の案として案(1)を出したということは、0.5にしろ1にしろ、派遣先のほうに分 母を含めて持っていくことはあり得ないと思って規定したわけではないので、それを含 めて議論していただければと思います。ただ、今回議論用のペーパーとして私どもが提 出した2番目の趣旨は、そうは言っても、現行の我が国の派遣法の体系その他を考える 中で法改正をすれば、持っていくことは理論的に不可能だと言うつもりはありませんが、 この研究会における議論の方向としては、障害者であれ通常の労働者であれ、雇用義務 が基本的にあるということを前提とした制度設計で持っていったほうが基本的にはいい のではないかと考えてご議論をお願いしていますので、ご議論の中で収斂していただけ ればありがたいと思います。   ○ 岩村座長   フランスには、村上委員のように考える立法例もあるのです。ただ、フランスの場合、 論理の整理として、派遣と有期雇用を同視しているのです。ですから、派遣先のほうに 全部義務を負わせているのです。実際にも、有期雇用の規制と派遣に対する規制が、派 遣元が入るという点は違うにしても、ほかは基本的に同じになっているのです。おそら く、そういうバックグラウンドがあって、派遣先に派遣労働者の雇用義務を負わせてい る。私も詳しく調べていないので分からないのですが、おそらく、そうではないかと思 っています。  日本の場合はどうかというと、派遣法の原理原則からいくと、雇用というのはあくま でも派遣元にあるということから出発しているのです。ただ、労働安全衛生が典型的で すが、実際の労務を提供する場で生じうる様々な問題については、派遣元に責任を負わ せても全然意味がないので、それについては派遣先にきちんと責任を負わせましょうと、 そういう整理の仕方でいまの派遣法の枠組みが出来ていると思うのです。  そうだとすると、今回のペーパーにある案(1)や村上委員のおっしゃるような案を、法 律で作ってしまえば、できると言えばできるのですが、他方でそれはある意味からめ手 から派遣法の基本的な発想を変えるという話になる部分があって、先ほど部長がおっし ゃった、現実的な実務上の問題と同時に、全体の派遣制度の枠組み自体をどうするかと いう問題に絡んでしまうと思うのです。そうすると、からめ手から派遣制度の根本的な 枠組みに触るようなものを行うのがいいのかどうかということが躊躇される、私自身は そういう気がするのです。  それと同時に、案(1)と村上委員の考え方のようなことをすると、これは程度の問題で すし、ここにある案(2)や案(3)も実はそうなのですが、雇用率制度の基本的な考え方自体 も変質させるのです。もし変質させるとすれば、なるべく変質度の少ないほうが歪みが 少なくていいということもあるという気はいたします。案(2)にしても案(3)にしても、変 質させることは確かなのですが、案(1)や村上委員の考えよりは変質度は少ない。そうい う意味では、現行制度とのずれが案(1)や村上委員の案よりは大きくないという気はして います。 ○ 村上委員  障害者雇用率の適用の在り方を変える場合に、常用型と登録型で変えるのかどうか、 同じようにするのかどうかというところは、どうなのでしょうか。 ○ 障害者雇用対策課長   派遣の場合には、現行制度の中でも、いまのお話であれば、どちらかというと常用雇 用されている派遣労働者を対象として制度を運用してきているという状況はあります。 登録型の方は、繰り返し派遣先が見つかっていて常用的であるという場合もその対象に はなるわけですが、基本的に、短期間の方は含まれていないというのが現行法の整理で す。そこを雇用率制度において確保していく機会というのは、障害者の方になるべく安 定的な雇用機会を確保していくという観点から、派遣に限らず、1年以上の雇用が見込 まれる常用雇用の部分を制度に乗せて評価の対象とする。そして、分母のほうもそれを 分母とし、障害者のほうの分子もそれを分子とするということでやってきて、適用の仕 方は一般の方と違う部分はありますが、派遣のところでも同じ考え方で行うという形に なっていますので、仮にこのように制度を動かした場合でも、そこの点は、元々の制度 の趣旨から言えば変える必要はないのではないかと思います。   ○ 村上委員   常用型、登録型と言ってしまったからややこしいところがあったかもしれませんが、 特定派遣事業と一般派遣事業があって、特定派遣事業はもちろん常用ですから、そちら でカウントされる。今、一般派遣事業を登録型が行っている場合、年間の稼働日数に応 じて常用労働者か否かを判断して労働者数を決めて適用されていると思うのですが、私 が質問したかったのは別なことなのです。登録型派遣というのは派遣されている期間し か雇用契約がないのですが、そこに着目して制度適用の仕方を変えるという発想はない のかという質問なのです。   ○ 障害者雇用対策課長  私どもとしては、特定か一般かというところであまり分けるつもりはないわけです。 ただ、そこで分けて考えますと、特定の場合には、いま村上委員がおっしゃったように、 派遣労働者であっても、派遣元との関係で常用雇用されているというのが前提になって きますので、その場合はすべての派遣労働者がこちらの制度でも対象になると思います。 一般の場合には、一般の中にもそういった意味で常用雇用されている方がいる可能性が ありますので、そういった方は制度の対象になりません。それから、登録型でやや細切 れ的に派遣先が決まってくる方でも、稼働日数を見て常用的であるかどうかの判断をし て、それで制度に乗せているというのが現状で、その点は、制度を仮に動かしたとして も、同じように考えていく必要があるのではないかと思います。 ○ 岩村座長  要するに、特定派遣で常用だけでやっている場合については、そもそも派遣についても 常用しかいない前提ですから、当然、それは派遣元で雇用率にカウントしている、そこ が第1ですね。 ○ 村上委員  そうです。 ○ 岩村座長   そこで疑問としてあり得るのは、常用型の場合でも、派遣先に一定の評価付けをつく るのか。もう1つは、一般型の登録型の場合でも、1つは派遣期間が当初から長く見込ま れているという場合には常用と見るので今でも当然派遣元では雇用率にカウントしてい て、今回の考え方の基本的な方向性から言えば、派遣先についても一定の評価付けをす るか、それらが村上委員のご質問だと思われます。さらに、もう1つの話は、労働者派 遣契約自体はサポート的なのだけれども、振り返って結果的に見ると、実は、複数の派 遣先に派遣されて、断続的なのかどうかは分かりませんが、派遣契約が結局1年間続い ていて、1年以上雇用が見込まれる状態と同じようになっているというときに、どうな るのかと。つまり、同一の派遣元との関係では複数の派遣契約が繰り返し継続している のだが、A社に行ってB社に行って、またA社に行ってC社に行ってと、いうように派遣先 がなっているときはどうなるのかということが、その先の質問だろうと思います。   ○ 障害者雇用対策課長   質問の趣旨を取り違えまして、申し訳ございません。その点に関して申し上げれば、 派遣先のほうで把握をしていただくときにいちばん細かな単位になるのは、納付金制度 や助成金制度では毎月末の状況で障害者数を把握することになりますので、月単位に見 ていくことなのです。しかし、1月はA社で、2月はB社でという方がいたときに、月々に 割っていって、月末にいた所で0.5ずつの評価をするというように細かにしていくのか、 それとも、より安定的な派遣就業という意味で、ある程度長期にわたる場合に初めて評 価を出していくという方法がより良い方法だと考えていくのか、いくつか選択肢はあり 得るのだろうと思います。そのときに、各月単位に評価するのが最小限の評価なので、 そこか、あるいは、何カ月以上ならその分について評価できるというようにしていくの か、あるいは、6・1は1年に1回ですので、その時点で1年分遡って見ていくのか、そこら 辺はいくつか考え方があるのではないかと考えます。   ○ 岩村座長   そこは派遣先にどういう評価をするかという先ほどの雇用義務の議論に当然かかるの ですが、ありとあらゆる場合を想定してこのペーパーに書き込むというのは難しいので、 一定の大枠の方向性を書いて、具体的な制度をどう仕組むかというところはその後のス テップだと思っています。いずれにしろ、いま中身が出された問題については、実際上、 制度を具体化するという話になったときには、どういう考え方をとるにしても整理せざ るを得ないところがあると思います。現在でも、派遣契約が反復継続しているのだがA・ B・C別々の所へ行っている、しかし派遣元では結局1年の雇用が見込まれる状態になって いるというときにはカウントする、現行においてはそういうことになるのでしょう。た だ、派遣先は今まで全然考えていなかったから、そこは現行上何も考えていないという ことになってしまうわけです。  ただ、現実問題としては講壇事例かもしれないです。反復継続してスポットの派遣契 約が同一事業者との間で常用的に続いていく、しかも派遣先がそれぞれ異なるというの は、ないわけではないでしょうが、やや講壇事例かもしれないという気がします。 ○ 村上委員  今のお答えですと、常用型については一定の評価を行うということではなく、現行の まま派遣元のほうで1・1でカウントしていれば十分ではないかと思います。 ○ 岩村座長   派遣による障害者の雇用機会、就労の機会をある程度拡大しよう、広げようというこ とを考える場合、調査やヒアリングでも出てきたように、現行法上は障害者を派遣で使 うということのインセンティブが派遣先に全くないのです。ですから、そこから何かイ ンセンティブを与える方策を考えることによって、多様な就労形態の1つとしての派遣 というものを障害のある方も利用できるような方向に持っていこうと、そういう議論だ と思うのです。そうしますと、結局のところ、現行では、常用型の特定派遣の場合であ れ、一般の中で実際上ある常用タイプの派遣であれ、派遣先に何かインセンティブを与 えないと、というところは変わらないのではないかと思ってはいるのです。ですから特 定型の、つまり常用に限定されたものについては現行どおりではないと私は理解してい るのですが、そこは違うのでしょうか。   ○ 障害者雇用対策課長   派遣労働者の雇用の状況が常用的であるかどうかに着目しているので、その意味では、 派遣業者の形態が特定であるか、一般であるかということとはあまり関係がないのかな と私も思います。   ○ 村上委員  そうしますと、特定派遣事業の場合は、多くの場合は無期の雇用で労働者を雇用して いて、その労働者を派遣先に送っている。案(2)では0.5ですが、案(3)になると障害者が いてもゼロカウントになるわけで、それは特定派遣事業者にとってはマイナスなのでは ないかと思うのですが。 ○ 岩村座長  特定派遣については案(2)であれ、案(3)であれ、いずれにしても派遣元について厳しく なるのは同じです。 ○ 障害者雇用対策課長  前のアンケート調査の中では、はっきり分けて集計できていなかったと思いますが、 特定の場合は今おっしゃっているような、いわば常用雇用されているという意味での安 定性があるからということはあるとは思うのですが、では、そこで障害者の方が派遣労 働者として雇用されることが十分に実現できているかということになりますと、全体で は0.35という数字があるわけですが、特定だからそこの数字が別で上がっているとは考 えにくいと思います。その意味では、先ほど座長がおっしゃったような、派遣先にイン センティブを与えないと派遣先が前向きに考えるということが出てこないのではないか というところについては、特定でも課題は同じところにあるということになるのではな いかと思います。 ○ 岩村座長   特定の常用のほうは、派遣労働者も含めて、もともと常用しかいないという前提にな っているのです。ですから現行でも、雇用率との関係では常用のほうが充足しやすいの です。しかし、一般のほうは逆に難しくなっている。常用だけの部分を考えたときに満 たしにくいということはあるのかなという気はします。だから、特定か、一般かによっ て状況が変わるということは、あまりないのではないかという気がします。   ○ 宮武委員   私は案(2)がいちばんいいと思うのです。労働者の所属性の確保といいますか、きちん と派遣元の責任で所属性を確保する。その点と、たぶん知的障害のある方は特定のほう が進んでいくかなと思っているのですが、その特定を拡大するためにも、常用雇用する までの派遣期間があるわけですから、雇用率が適用になることでそこにインセンティブ が働く。その二重の意味で案(2)が適当だろうと私は思います。   ○ 輪島委員   最初の松友委員の質問と部長の答弁で、私の案は否定されたかのごとくに聞こえてし まったので改めて申し上げます。「優位に評価されることのないようにすること」がコ ンセンサスになると私の案が入らないのですが、私は私なりに一生懸命考えたので、否 定されることは大変残念ですし、私は私の案をまだ捨ててはいないのです。ただ、優位 に評価されることについては制度上落とすべきだと思いますので、その点において、何 がしかの工夫は当然に必要だろうと。私の案と(2)の案との近いところが取れるのであれ ば、それがいちばんいいような気がするのですが、それをどのように取るのかというの は制度設計上難しいのではないかと思います。そういうことで、私は私の案を諦めては いないということだけ申し上げます。   ○ 北浦委員   先ほどから議論が出ていますように、現行の派遣制度の枠組みを前提にした議論でい かないといけないのだろうと思います。趣旨から言っても、派遣元の雇用者(分母)算 定にしていく、それによって雇用義務というものを明確にしていくこと、この一線を崩 してはいけないのかなという感じがします。それを前提にして、バリエーションとして どう考えていくかということは言えるかと思います。現実に、派遣先の場合においても、 来られる派遣労働者の方というのは、派遣という関係の中においては特定できないわけ です。あくまで雇用という関係が成立している所で雇用主責任を見ていくという枠組み は、現行法を前提とする限りは崩せない。そうすると案(2)が近いのかもしれませんが、 自ずと選択肢が定まっていくのだろうと思います。  問題は派遣先のインセンティブ論、そして、そこで分断することの不可思議さをどう 考えていくかということですが、ここの考え方については、確かに雇用主(分母)がな いのに分子だけというのは理屈上おかしいのではないかという議論も無くはないと思う のです。しかし、考え方によっては、派遣の場合には派遣元と派遣先、両方の分担関係 の中においていろいろ配慮され、実態としての就労が成立している。使用の部分と雇用 の部分とが相俟ってそこのところで成立しているのだということで、それを0.5ずつに 見るのか、もっと違う比率で見るのか分かりませんが、そういったところでシェアして いくということは、ある程度実態的には分からなくはないのだろうと思うのです。確か に、制度の建前だけを貫いていくと、村上委員が言われたような議論も無くはないので しょうが、逆に、それは現行制度を否定することにもなってしまう面もあるということ。 それからインセンティブ論、つまり何のための雇用率制度の改革であるのかということ。 それは派遣先に対してのインセンティブを与え、派遣というものがそれによってよりき ちんとした形で成立しやすくする。そういった趣旨を考えた政策論であると考えるので あれば、派遣元と派遣先で分子の部分がシェアされる形はあっていいという感じがいた します。 ○ 岩村座長  今日いろいろご意見をいただきましたが、なかなか議論が尽きません。大きな問題で すが、予定した時間にほぼ到達しているものですから、もしご意見があれば、あと1人 か2人から伺いたいと思います。 ○ 松友委員   権利と義務を分担すると考えたら案(1)しかないような気がするのですが、これはそれ で始まる議論なのですか。つまり、ゼロにしているわけではないし、案(2)はインセンテ ィブ云々というのは分からないわけでもないのですが、派遣元だけに一応残して云々と いうのは何か違う。案(1)だとすると派遣制度そのものの否定になると言うわけですか。   ○ 岩村座長   案(1)でいちばん厄介なのは、0.5でもいいですし、村上委員のように1でもいいのです が、雇用義務が派遣先にいってしまう。派遣法との整合性を考えたときに、うまく整合 しない部分があるのです。もう1つは、最初に部長がおっしゃったように、実際問題と して、果たしてそれで動かせるか、そこがあると思います。   ○ 松友委員   今、雇用率は分子においてもカウントされていないわけですね。   ○ 岩村座長   今は何も派遣先ではカウントされていません。   ○ 松友委員   カウントしようと思ったら、義務もプラスマイナスゼロなのだから案(1)でもいい。派 遣先に関して言えば、負担と権利が一緒だから問題はない。それどころか、派遣元は助 かるという形になると思うのです。派遣労働そのものの基本と、今おっしゃった実務的 な云々というのはよく分かりますが、一般的に考えればイーブン・イーブンで、世の中 の常識から見ると(1)がいちばんだと。案(1)にしないとなると、別の意味の説明を逆にし ないと、社会的通念から見ると、という感じがしたのです。常識的に見ると、権利と義 務はバランスではないかと我々はいつも言われています。何で片方に義務だけ来て権利 が云々と言われたときに、いまの2つの説明では何か。それなら派遣法に手を入れれば いいではないか、ちょっと違うのではないかと言われたときに、国会の審議が大変だか らと言うのでは説明がつかない。ましてや現場において、部長がおっしゃったように、 これは人件費ではなくて物品費になっているのだと言ったら、ますます話がおかしくな るから、何かきちんとした説明を付けないと。実態は分かるし、構造的なものについて も分かるのですが、専門的によく知らない我々から見ると、何でかなという感じがした のです。   ○ 岩村座長   ご指摘ありがとうございます。むしろ、そういうご指摘のほうが重要かもしれないの で少し考えさせていただこうと思います。   ○ 北浦委員   今の議論からいくと、全部イーブンというものと、現行制度はどうなのかとかという ことも含めて、選択肢の中で考えることになるのだと思います。現行は今きれいになっ ているわけですから。   ○ 松友委員   現状より制度を発展させなければいけないというのはあるけれども、最初にボタンの 掛け違いをしてしまうと発展している途中からおかしくなってしまいますから、ある種 原則というか、社会通念をベースにしたほうが、いろいろな意味でいいと思います。当 事者というのはいろいろいます。派遣元もあれば派遣先もある、働く人もいます。です から、当事者全体をまとめる社会通念から見たときに無理のない形でいったほうが、良 い意味での将来的発展性があると思いました。専門的なシステムもありますから、そこ でちゃんと説明がつけばいいと思いますが。   ○ 岩村座長   いろいろな角度からご議論いただきましてありがとうございました。座長の不手際で 時間もすでに超過しておりまして、申し訳ございません。この辺りで今日の検討会は終 了させていただきます。次回の検討会では、最終的な報告書全体の案についてご議論を いただきたいと考えております。そこでお示しする報告書の案については、今日ご議論 いただいて報告書の骨子(案)についていろいろご意見を頂戴しましたので、それを踏 まえることになります。また、今日の骨子(案)では調整中となっていて、今ちょうど ご議論いただいていた障害者の派遣労働に対する障害者雇用率の適用という部分につき ましても、今日のご議論を踏まえて、事務局のほうで、報告書案全体についての取りま とめ作業を進めていただきたいと考えております。次回の日程等につきまして事務局か らご説明をいただきます。   ○ 事務局  次回は7月27日(金)15時30分から17時30分、場所は厚生労働省6階の共用第8会議室 を予定しております。また、お手元に次回研究会の出欠確認について用紙を配付してお ります。できましたら今ご記入いただき、お帰りの際に机の上に残していただくか、7 月13日(金)までにファックスで返信していただきますようお願い申し上げます。また、 第9回研究会議事録の未定稿を配付しており、内容をご確認いただいた上でホームページ に公開したいと考えております。メールでも同じものをご案内いたしますので、ご意見 等ございましたら、同じく7月13日(金)までに事務局宛にご連絡ください。   ○ 岩村座長   次回の出席、それから議事録についてはどうぞよろしくお願いいたします。  今日の議事ですが、内容にかんがみますと議事録を公開しても差し支えないと考えま すが、それでよろしゅうございますか。   (異議なし) ○ 岩村座長   ありがとうございます。これをもちまして本日の研究会を終了させていただきます。 お忙しいところ、活発なご議論をいただきましてありがとうございました。       【問い合わせ先】  厚生労働省職業安定局 高齢・障害者雇用対策部  障害者雇用対策課 雇用促進係  〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL  03(5253)1111(内線5855)  FAX  03(3502)5394