07/06/28 第2回厚生労働科学研究における利益相反に関する検討委員会議事録   厚生科学審議会科学技術部会   第2回厚生労働科学研究における利益相反に関する検討委員会   議事録   ○ 日  時 平成19年6月28日(木)17:00〜19:00   ○ 場  所 厚生労働省 省議室(9階)   ○ 出 席 者   【委  員】  笹月委員長           岩田委員 木下委員 平井委員 福井委員           宮田委員 望月委員 谷内委員             【議 題】    1.厚生労働科学研究における利益相反への対応について   2.その他   【配布資料】   1−1.宮田委員提出資料(臨床研究・臨床試験における利益相反への対応)    1−2.厚生労働科学研究のあらまし    1−3.厚生労働科学研究費補助金における利益相反への対応等の流れ(案)    1−4.検討における留意点などについて(その2)    1−5.対象とすべき利益相反の定義等について(案)     参考資料1 Protecting Subjects, Preserving Trust, Promoting Progress - Policy and Guidlines for the Oversight of Individual Financial Interests in Human Subjects Research (Task Force on Financial Conflicts of Interest in Clinical Research Dec.2001) 全米医科大学協会(AAMU:Association of American Medical Colleges)    参考資料2 Protecting Subjects, Preserving Trust, Promoting ProgressII- Principles and Recommendations for Oversight of an Institution's Financial Interests in Human Subjects Research(Task Force on Financial Conflicts of Interest in Clinical Research Oct.2002) 全米医科大学協会(AAMU:Association of American Medical Colleges)    参考資料3 「厚生労働科学研究における利益相反に関する検討委員会」の運営に    関する要望書(薬害オンブズパースン会議)    常設資料 適正に医学研究を実施するための指針   ○坂本研究企画官 最初に、傍聴される皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりまし ては、既にお配りしている注意事項をお守りくださいますようお願いいたします。なお、 本日はクールビズということで、事務局は軽装で失礼しております。  定刻を過ぎておりますので、ただいまより「厚生科学審議会科学技術部会第2回厚生 労働科学研究における利益相反に関する検討委員会」を開催いたします。委員の皆様に はご多忙の折、お集まりいただきまして御礼申し上げます。まず、今回初めてご出席さ れた委員のご紹介をいたします。聖路加国際病院院長の福井次矢委員です。なお、本日 は北地委員、末松委員から欠席との連絡をいただいております。また、谷内委員は少々 遅れてのご出席との連絡がございました。  次に、本日の会議資料の確認をいたします。議事次第の紙の真ん中に配付資料の一覧 を記載しております。資料1-1は「臨床研究・臨床試験における利益相反への対応」、 資料1-2はパンフレットで「厚生労働科学研究費のあらまし」、資料1-3は「厚生労働 科学研究費補助金における利益相反への対応等の流れ(案)」、資料1-4は「検討にお ける留意点などについて(その2)」、資料1-5は「対象とすべき利益相反の定義等に ついて(案)」です。参考資料として3点、また常設資料として「適正に医学研究を実 施するための指針」という冊子を配付しておりますが、これについては前回もご説明し たように、次回以降の会議でも使用いたしますので机上に置いたままお帰りください。 お持ち帰りの希望がありましたら、事務局までお申し付けくださいますようお願いいた します。 ○笹月委員長 早速、議題1の厚生労働科学研究における利益相反への対応について、 資料1に基づき、利益相反について宮田委員から説明をお願いいたします。 ○宮田委員 「臨床研究・臨床試験における利益相反への対応」というタイトルでお話 させていただきます。前回の検討委員会では2人の委員から説明があったと思いますが、 私はなぜ利益相反といったものが問題になるかという社会的な状況と、利益相反が起こ ったときに皆さんを責め立てる側のメディアの立場からお話ししたいと思います。ちょ うどうまい具合に参考資料1と2がありますので、是非ご覧ください。  利益相反のガイダンスや規制を検討するときには、利益相反問題は一体何のためであ るかといったそもそも論を議論すべきだと思います。Association of American Medical Collegeのレポートのタイトル“Protecting Subjects, Preserving Trust, Promoting Progress”というのは、要するに研究者や、この場合厚労科研費という研究制度を守り、 なおかつ社会全般からの信頼を確保し、研究、あるいはこの場合は実用化という面も入 りますが、それらを進めるというのが、そもそも利益相反というものを私たちが設定し、 マネジメントすることによってこれが実現するということをまず押さえておきたいと思 います。東大の規定などを読むと、利益相反というのは悪いことのように書いてありま すが、これは決して悪いことを言っているわけではなくて、いま複雑な世の中になり、 科学が社会の発展にbuilt-inされたとき、純粋基礎研究というのはあり得なくなった。 しかも、いま総合科学技術会議はこれだけ国税を投入したのだから成果を返せという国 民の声を代表して、成果をどのように返すのかという道筋を明示するように言っており ます。  そういった状況にあったときに、純粋基礎研究で役に立たないことをやっているなら ばいいのですが、厚生労働科学研究費というのは国民がいま抱えている健康問題に対す るソリューションを提供するものですから、当然役に立つ。役に立つときには商業化と いう要素がどうしても必要となり、そのとき企業の参画、産学連携が避けられないので す。実はそのとき利益相反という問題が起こってきます。社会からの信頼を失わないよ うな形で、利益相反をどのようにマネジメントするかが今回私が申し上げたいことです し、是非この委員会で検討していただきたいことです。悪いことではなくて、避けられ ないことだから、どのようにして社会の信頼を得るような仕組みでマネジメントするか ということを是非皆さんと一緒に考えていきたいと思います。  それでは資料に沿ってお話いたします。2頁をご覧いただくと、アーンスト・ヤング 会計事務所が毎年バイオレポートというのを出しますが、上の線の数はFDAが承認して いる新薬のうち、バイオベンチャーから出てきた新薬の数です。下はビッグファーマと 言われる、いわゆる製薬企業が出したもので、2003年にクロスをして、2004年からはず っとバイオベンチャー群のほうが新薬の開発能力が高いことが示されております。これ は今後も続きますので、私たちが利益相反をやるときに、大企業と言われる非常に伝統 ある企業や、人材がたくさんいるような企業だけではなく、これからはベンチャーとい うものが利益相反の中で一つの大きな焦点になることを是非理解していただきたいと思 います。  次はカリフォルニア大学サンフランシスコ校から、いかにバイオベンチャーが出てき たかを示しておりますが、いま文部科学省及び他省庁、厚労科研費もそうですが、やは り実用化のためのドライビング・フォースとしてベンチャー創業ということを一生懸命 やろうとしております。そうなると、今後はいままでの大企業とは少し違う、どちらか と言うと少人数で資源も制約されており、なおかつ資金調達がうまくいかないと、彼ら は尻に火が付いていますから、そういった企業が大学発の知恵の実用化に参画してくる ことになります。これは一概に悪いことだとは言えませんので、利益相反でトラブルに ならないようにうまくマネジメントすることが今後の課題だと思っております。  次は経済産業省の数字ですが、大学発ベンチャーは1,500社を突破しており、そのう ちの4割、あるいは健康まで入れると5割以上が健康及びバイオに関係してきます。こ れらのベンチャー企業が大手の製薬企業、外資系の製薬企業、外国のベンチャーと一体 となって、我が国の大学及び研究機関の知恵を実用化しようとしているわけです。  次ですが、2004年6月にアンジェス MG誤報事件というのが起こりました。これは文 部科学省、経済産業省ともに違法性なしという見解を出したのですが、大阪のある新聞 社が第二のリクルート事件であると1面トップで報道し、一時大騒ぎになりました。こ れはどのようなことかと言うと、未公開株を持った臨床研究担当者が、アンジェス MG 社が開発した新薬の臨床試験をやっていたというのです。二つあって、一つはそもそも 利益相反のマネジメント体制ができる前の話であったこと、もう一つは、後ほどお話し ますが、極めて限られた臨床あるいは病気の分野においては、全く第三者的な研究者と いうのを見つけることができない、あるいは自ら一生懸命新薬を開発してきた人がいち ばんの専門家ですから、その人を外して臨床試験をやること自体がそもそも患者にとっ て良くないという事情があった。このような複雑な事情を、本当は利益相反マネジメン トによってクリアカットにする必要があったのですが、残念ながらこの時点では体制不 備ということでした。そのような意味では、文部科学省及び経済産業省が問題なしとい ったstatementを出すことによって事態が収まったという経緯があります。  以前アンジェス MG事件後に文部科学省と一緒に利益相反、特に臨床研究の利益相反 のシンポジウムを行ったのです。そのときの資料を平井委員からお借りしたのですが、 法令違反と利益相反は違うということです。特に、これは罪ではないが、社会に対する 説明責任がある、そこを問われているのだということを是非理解していただきたい。法 令違反の場合は個人が問われますが、利益相反の場合は、それをきちっとマネジメント していなかった大学の問題、あるいは国研の問題、つまり組織の問題であることが非常 に重要だと思います。したがって、利益相反をうまくマネジメントできなかった、マネ ジメントに失敗していると判断するのは裁判所ではなく、それぞれの大学であり国研で あるということです。そのようなことはこの事件が起こる2年前の2002年に、既に立派 な報告書が出ておりまして、これに従って利益相反のマネジメント体制というものが行 われていれば、アンジェス MGもこれほど大きな報道をするまでもない事件だったと思 います。  特に、2年前のこの報告書では、医学、医療分野の特殊性、利益相反というのが起こ り得るから、そのためにはこのように考えなさいといった考え方も提示されております。 しかし、いちばんの問題は、これは文部科学省の報告書でしたから、専ら大学向けに作 られたものだったのですが、2年前に指摘していたにもかかわらず、大学が全く動いて いなかった。これは2004年6月現在の文部科学省の調査ですが、11大学しか利益相反 のマネジメント体制をつくっていなかったのです。たぶん、いまの段階でもこの状況は それほど変わっていないのではないかと思っております。つまり大学、私立大学におい ても似たような状況が起こっていると思います。そもそも我が国の大学、ここにきて国 研もそうだったことがよくわかってきたのですが、要するにナショナルセンターですら、 利益相反に対しては対応が遅れていますから、もっと急がなければいけないというのが 今回の検討委員会の一つの責務でもあると思います。  そのためにはどうしたらいいかと言うと、アメリカの例が一つあるのではないかと思 います。アメリカではNIH、NSFが資金を提供する場合、提供先の研究機関に利益相反の マネジメント体制がない場合は支出されません。この1行を厚労科研費で入れるだけで、 ナショナルセンターはたぶん2日後にはマネジメント体制を整備するだろうと思いま す。これは文部科学省にも言っておりますので、基本的には研究費を支出する側の責任 として、向こうの機関がそれに値する体制を持っているかを確認した上で出すべきだと 思っております。今回、特にここを強調したいと思うのです。こうでもしない限り、日 本の大学もナショナルセンターも動かないのです。なぜかと言うと、前回の谷内委員の お話から、東北大学がどのようにやっているかをご覧になったと思いますが、大変なの です。実際に懐状態まで聞くといったことに対する抵抗感、正しい調査を行うためのス タッフ、外部委員会に対する費用もかかりますから、そういったものを早急に整備する ためには、一種の強制的な措置が絶対必要で、これが今回の話の中でのメイントピック だと考えていただきたいと思います。  もう一つ、実はここを整理しなければいけないと思っているのですが、文部科学省の 例外措置として、自分の研究成果を基に作った大学発ベンチャーの役員に、大学の教官 がなっていいという規定があります。これはそもそも重大な間違いだと思います。たぶ ん平井委員もこの間の会で言われていたと思いますが、これはもうやめていただきたい。 利益相反、職務相反の巣窟となる可能性があるので、少なくとも代表取締役は降りてい ただきたい。最も理想的なのは、科学諮問委員会程度のメンバーになっていただき、経 営にはタッチしないようにすることで、そのようなファイヤーウォールをつくるべきだ と思います。京都大学医学部の利益相反ポリシーがやっとできましたが、彼らは上場前 には役員を降りてくださいという線を引いており、そろそろ何らかの形でファイヤーウ ォールをつくらなければいけないと思います。国研も国研発のベンチャーを作ろうとい う動きがありますが、これに関してはきちっと押さえておいたほうがいいと思います。 文部科学省の2000年の措置は、国際的に見れば全く非常識な措置ですから、厚生労働省 は轍を踏まないようにしていただきたいと思います。  臨床開発の特殊性というのは、厚生労働科学研究費ではやはり考慮すべきだろうと考 えております。医薬品や医療用具の研究は患者の命に関わります。臨床開発をするとき、 あるいは臨床試験をするときでも、患者の命に関わったり、何らかの障害を与える可能 性があります。そのためにも透明性、公開性、公正性を前提として臨床研究は進めなけ ればいけないと思います。一方で、本当に臨床研究をやるためには、最終的な商業化ま で踏まえないと、トランスレーショナル・リサーチは実を得ないと思っております。そ うなると、民間の資金導入は避けられない、ここに利益相反の問題が起こります。  もう一つ、医薬品製造承認のための臨床研究や審査は原則、経済的な利害、株式保有、 研究費供与などを持つ研究者は関与すべきではないと思っていますが、一方で産学連携 とは矛盾してしまうし、先ほど述べたある特定の疾患に関しては研究者が少ないとか、 いろいろな事情があって、これも利益相反の問題が起こる場所だと考えています。問題 は患者数や研究者数が少ない疾患をどう取り扱うべきか。国の研究費がふんだんであれ ば全く文句がありませんが、残念ながらそうではない。すべてのバイオに関して、日本 はアメリカの10分の1もないのです。そうなると、民間基金や財団の基金を入れなけれ ばいけないから、そこにも必ず利益相反の問題が出てくるわけで、上限を決めるなど、 やはり何らかの形でファイヤーウォールをつくらなければいけないと思っております。  もう一つ臨床研究に関して、ここは利益相反ではないですが、被験者保護の担保とい うことが重要になります。利益相反以前に、臨床研究をやるときには被験者保護の担保 の手だてが重要です。これはIRBだけではなく、被験者保護法のようなものをきちっと 作っていくことはこの検討会のテーマ外のことですが、厚生科学審議会科学技術部会の テーマにはなるだろうと考えております。いまの問題はタミフルの研究班の問題であり、 皆さんもよく認識していることと思います。  これが最後のstatementですが、利益相反マネジメントの眼目として、以下のものを 是非実現するような形で、利益相反の規制あるいはガイダンスといったものをこの検討 会で作っていただきたいと思います。1番目として、ルールと実施機関の明確化です。 先ほど述べたように、この場合は裁判所などといった問題ではなくて、研究費を受け取 る機関が責任を持って行うようなルールと実施体制というものをつくらなければいけま せん。2番目に、事前申告と相談です。タミフル事件の問題に関しても、事前にこのよ うなことがある程度わかっていたら、世間やメディアの反発は少なかったと思います。 そのような意味では、利益相反になりそうなケースが十分予想される場合、事前申告と 利益相反マネジメントにどう相談したらいいのかということを相談できるような体制が 必要だと考えております。  さらに重要なことは、事実関係の調査は担当する実施機関がしっかりやるということ です。申告したことに対して、少なくとも申告を鵜呑みにするだけでなく、しっかり調 査をした結果、公正性や透明性が保たれていることをここできちっと確認する必要があ ると思います。さらにデータの保存。さまざまな疑念が起こるのは直ちに起こるわけで はなくて、2年前はどうだったかのような話が出てきますので、遡求可能性ということ が重要になります。さらに、利益相反の判断に関しては内部の御手盛りの判断というこ とは許されませんので、外部の然るべきスタッフの参加が利益相反マネジメントの体制 には必要だと思います。これは委員会のようなものを作ることを私はイメージしており ます。  さらに公開と説明、これはmustです。ただし、その場合は個人情報とのバランスも付 けなければいけない。アメリカで1万ドルとか2万ドルといった話がありますが、それ を日本の社会で最も適した形でやるべきであり、そこはあまり紋切型でやるべきではな いかなと思っております。以上のことの中で最大の問題は、こういったことをやり遂げ る人材と費用の確保というのが問題になるということです。厚労科研費が間接経費3割 出すという方向で動いておりますが、3割の中には当然利益相反マネジメントのfeeが 入ってくるわけですから、本当に3割で足りるのか。厚労科研費として利益相反マネジ メントを、ある理想形を作る所に出すといったことも考えていただきたいと思っており ます。せっかくいいマネジメントのガイドラインができた、あるいは勧告書ができたと しても、実際に動かないと意味がないということを最後に申し上げて、私の発表を終わ りたいと思います。 ○笹月委員長 非常に明解なメッセージをいただきました。ただいまの資料説明に対し てご質問、コメントなどがあればお願いいたします。 ○望月委員 利益相反と法令違反の差に関して教えてほしいのですが、法令違反につい ては規定に違反した個人、法人の責任者で、利益相反については大学組織であると言わ れました。そのようなルールや組織を作っていなかった責任は大学組織にあるかもしれ ませんが、それをしたのは個人ということにはなり得ないのでしょうか。 ○宮田委員 要するに、利益相反をしたというのではなく、利益相反は別に悪いことで はないので、そのような利益相反状態を組織は認めたと、やむを得ないですと。しかし、 このような担保策をして社会にきちっと説明できるようなことをしてください、という ことで認めたということを、説明する義務が大学にはあるということです。例えば、ど こかで使い込んでしまったということがあったとします。あるいは製薬会社からお金を もらい、科学的事実を曲げて製薬会社のために弁護してしまったというのは法令違反で やればいい話なわけです。そのような意味では、明らかに個人が罪に問えるような問題 を起こした場合は法令違反でやるということです。ただ、そのような利益相反関係があ らかじめ予測されていたにもかかわらず、どのような経緯で大学はマネジメントし、認 めたかということに対する責任はあります。ただし、個人がそういった責任以外のとこ ろでズルをしていて、大学の信頼を裏切ったり、法を侵すようなことがあれば、それは 当然個人の責任になります。 ○望月委員 わかりました。 ○岩田委員 いまの点で、前回も伺ったことと全く重なるような話ですが確認したいと 思います。いまの例で言うと、利益相反自体は悪くないと言われたのですが、先ほどの 例で、医者が自分でベンチャー企業を創り、医療機器か何かを作っていたと。それを発 展させたいために、患者の安全性をある種あまり考えないでやってしまったというのは、 まさに利益相反でもあるし、法令違反でもあるという事例だと思います。ですから、利 益相反自体が患者の安全性を害する場合もあるし、さらに十分な同意が得られていない ことでインフォームド・コンセント違反のようなことにもなり得ると思うのです。その ような意味では重なると思うのですが、この説明で宮田委員自身が焦点を当てている部 分は、むしろ組織のマネジメントのほうで、そうであればこのような表になると思いま すが、広い意味で考えると両方あるのではないでしょうか。 ○宮田委員 利益相反と何らかの過失というのは分けなければいけないのです。利益相 反とはあくまでも予防措置です。やってしまったことは利益相反というよりも、明らか な過失である場合があるわけです。例えば、患者の都合を考えないでやってしまったと いうのは、ひょっとしたら法令違反そのものです。しかし、利益相反というのは、今後 このような臨床試験を自分のベンチャーを含めて自分の大学でやるときに、例えば自分 は30%出資しているし、自分しか専門家がいないからやらざるを得ない。その際はこの ようなインフォームド・コンセントを取り、患者には自分が30%出資しているベンチャ ーのサポートをしていることも説明するなど縷々(るる)やるわけです。それをやった 上で、それでも社会にきちっと説明できると判断できれば、利益相反に関してはマネジ メントしたことになるのです。つまり、予防措置なのです。起こってしまったことに関 して言えば、例えばA教授が故意に大学当局をだまし、患者に対して意図的に非常に危 険な実験をやってしまったというのは法令違反の問題になると思います。 ○岩田委員 私が説明するよりも、むしろ平井委員から補足していただいたほうがいい と思いますが、きっと言葉遣いの問題だと思います。例えば民事責任、刑事責任などの 場合は過失があるかどうかが問題になるのですが、過失の中身として利益相反があれば、 利益相反があったことが過失だと認定されることも場面によってはあり得るわけです。 先ほどの例などはまさにそうです。自分の株であれ、企業の利益を患者の安全よりも重 くみたなどといった場合は、裁判所が民事責任があるとすることだってあり得るでしょ う。 ○宮田委員 民事責任や、あるいは患者が亡くなった場合は刑事責任を問われるべきだ と思います。 ○岩田委員 それが利益相反の問題ではないかというのが私の質問です。 ○宮田委員 利益相反というのは、ある種の関係を示しているのです。ですから、その ようなことが実行されてしまって、悪意を持ったA教授が形だけ利益相反のマネジメン ト体制をくぐり抜けてやってしまったとすると、それに関しては大学の利益相反のマネ ジメント体制はなってないではないかという批判を受ける価値はあります。ただ、利益 相反が起こったからといって、オートマティックに罪になるものではない、そこだけは 理解してください。 ○岩田委員 もちろんそうです。オートマティックに罪にはなりませんが、利益相反自 体で何か法的責任を負うということは十分あり得ます。そうだとすると、ここは重なる 部分があるのではないかというのが私の趣旨です。 ○宮田委員 利益相反だけで公的責任はないでしょう。オートマティックには公的な責 任にはならないと思いますが、どうでしょうか。 ○平井委員 非常に難しい問題提起ですが、岩田委員の考えはよくわかります。法的に ぎりぎりに詰めた議論と、利益相反というシステムの持っている考え方というところに ちょっと違いがあると思うのです。最初にシステムのほうの話をすると、大きく分ける と、フェイズはアピアランスの問題とバイアスの問題と二つに分かれるわけです。宮田 委員から説明があったように、利益相反が扱うのはあくまでもアピアランスの世界だと。 つまり、非常に真面目な研究者が二つの利害を持ってしまった状況に陥った場合にどう しようかというアピアランスの問題だと。実際にその研究者が何らかのバイアスをかけ て、弊害という言葉を使うのですが、弊害的なことをしてしまったかどうかというのは 利益相反の問題ではなく、法令違反の問題だと一応整理はするのです。これがシステム 上の概念整理ではあるのです。  岩田委員が言われたのは、ぎりぎりのところで因果関係や故意・過失の問題がどのよ うに及ぼされるかということで、確かに、何らかの損害が発生した場合、つまり亡くな るとか、何らかの法的な損害が発生した場合、法律上は因果関係というのがあって、因 果関係というのは遡っていくのです。風が吹けば桶屋が儲かる的な世界があるわけです。 そのような因果関係はどこで切れるかというのは、法的には相当因果関係という言葉を 使いますが、確かに非常に難しいです。相当因果関係や故意・過失のラインが、利益相 反で使っているアピアランスの弊害のラインとぴったり一致しているかと言うと、それ についてはわかりません。もしかしたら、微妙にずれている可能性があります。どうず れているかと言うと、アピアランスの世界に若干因果関係が入り込む可能性があること を否定はできない、それはあると思います。ただ、その一事をもって利益相反と法令違 反は100%重なっているとは絶対言えないのです。明らかに違うのは、違う思想と違う システムを持っているということで、法的にどこかに微妙にオーバーラップがあるかも しれないと言えば、それに関しては私も否定できないと思います。 ○岩田委員 ここは法律を議論する場面ではないし、あまり長くなると良くないと思い ますが、宮田委員自身の説明の中にも、いちばん大事なのは患者を守るというか、被験 者を守ることが一つの大きな課題だという話があったと思うのです。参考資料として出 ているAssociation of American Medical CollegeのタイトルもProtecting Subjects から始まっているわけです。あまり細かい議論はいいとして、利益相反のルールをつく ったときに、患者にもきちんとインフォームドコンセントを取らなければいけないはず なのに取らなかったとしたら、それはまさに利益相反の問題でもあり、自動的に責任を 負うという話にはならないにせよ、裁判所の判断の中で、そのようなものが法的な責任 の判断基準として使われる可能性があると思うのです。そのような意味では重なる。全 部重なるなどということを申し上げているわけではなく、一部は重なるので、わかりや すい説明ではあるのですが、完全に切れているような、利益相反の問題が全く法的な部 分と関わらないという話になると、私としてはちょっと納得できないのです。 ○平井委員 インフォームド・コンセントを取っていないケースはもう利益相反の問題 ではなくて。 ○岩田委員 大学において、利益相反についてはきちんと開示することというルールが あるにもかかわらず言わなかったとしたら、当然問題になるわけですよね。 ○平井委員 それは法令違反か就業規則違反かのどちらかで、利益相反の問題ではない です。もう弊害の世界です。 ○岩田委員 しかし、利益相反自体は新たにルールとして、これからこのような所では きちんと言わなければいけないということを決めるわけですね。先ほど宮田委員の説明 の中でも、そのようなことについてのガイドラインがある大学とない大学があるという ことでした。そうだとすると、ない大学においては言わない場合もあるわけですね。 ○笹月委員長 ですから、これからそれをきちんとつくりましょうということです。 ○宮田委員 Protecting Subjectsとは必ずしも患者だけではないのです。これは研究 者や研究機関も含まれている概念です。 ○岩田委員 Subjectsがですか。 ○宮田委員 そうです。いちばん重要なのは、先ほども述べたように、この会議はその 議論の場所ではありませんが、臨床試験をやる場合の被験者の保護法のようなものの枠 組みは別途きちっと作らなければいけない、そのような欠陥がいまの日本にはあるとい うことが共通認識だということです。 ○笹月委員長 宮田委員のメッセージは、いわゆる利益相反というのは行われたイベン トではない、関係性という言葉が適切かどうかわかりませんが、そのような関係性にあ るということだったと思います。それをどうマネージし、最終的に利益相反で問われる ようなことにならないようにするかがいちばん大事なところです。そのような意味では、 岩田委員が言われた、法令違反と重なる部分があるのではないかという議論は、突き詰 めればどうかわかりませんが、それをここで議論しても本来の目的には合わないと思い ます。利益相反はどのようなものであるかということで、法令違反と極端に対比させて みたのがこの表だと理解していただければと思います。 ○木下委員 利益相反という言葉が両方の視点から話されているようで非常にわかりに くくなっているのですが、宮田委員は利益相反は避けられない、悪いことではないとい うことが前提で、どのようにマネジメントするかをきちんと決めていくことが大事であ ると話されました。それはよくわかるのです。ただ、最後の「眼目」のところにあるよ うに、利益相反の判断を外部スタッフをもってやることになると、利益相反を判断する とはどのようなことを意味するのか教えて下さい。 ○宮田委員 それは非常にいい質問です。要するに、外部スタッフでやるのではなく、 外部スタッフも入れてやるということです。なぜ外部スタッフかと言うと、先ほど平井 委員が言われたアピアランス、つまり、このような利益相反に関してはこのようにマネ ジメントしているということを、機関は外部が納得するような形で開示なり、説明する 責任があるからです。そのために外部の知恵が必要になってくるわけです。このような 形で利益相反をマネジメントしていいかどうかという判断の際にも、外部の第三者的な 目が必要になるということです。 ○木下委員 そういったことで判断したときに、マネジメントはどのような場合がいけ ないのかを決めるということなわけですね。そうなるとアピアランスではなくて、むし ろ弊害などにならないような仕組みをつくればいいという意味ですね。 ○笹月委員長 ここでは臨床研究ということですが、例えば文部科学省などの科学研究 費の審査員と審査の対象などでは、金銭的なことは何もないが、例えば自分の教室の部 下などの申請書を、例えば私が評価員として審査することは、それ自身が利益相反であ る、関係性から見ればそれに問われるので、それはやめておきましょうということにな るのです。先ほど委員が言われた、利益相反は避けられないというのは、私が審査員で あること、教室から申請書が出ていること、それ自体が避けられない現象なのです。そ れをどうマネージするかが利益相反に関する問題を解くことになるので、それのルール づくりあるいは組織づくりがこの委員会に問われていることだと思います。 ○西山技術総括審議官 保険局の医療課長をやっているときにいろいろな方から相談を 受けたのですが、二つの事例を挙げてみます。まず、循環器内科のドクターでステント をやっている方が結構いらっしゃいまして、ステントはほとんどがアメリカ製品ですが、 再狭窄が起きやすいので何とかしたいというのがアメリカの企業にもあったわけです。 そのドクターは独自に開発し、狭窄の少ないものを作り始め、企業にもこのようなもの を作ってくれとお願いし、新しいものができ、確かに再狭窄が少なくなったわけです。 そうすると、もっと作ってうちの病院に持って来いという話になったのですが、そのと き他の病院にもどんどん売れ出して、その企業は儲かって、そのお金を医者がもらった という場合を知っているのですが、そのようなことは完全に利益相反になる。いまの委 員のお話ですと、その医療機関に第三者からの外部委員も入った委員会があって、透明 性を高めて委員会でクリアすればいいのか、あるいはここに書いてあるように、研究費 の供与、経済的な利害がある場合には一律駄目だとするのかという点についてはどのよ うに考えていますか。 ○宮田委員 研究を遅らせるようなことはなるべく避けたほうがいいと思っています。 いまのケースで言えば、機関の中で知的財産が出たときに、どのような取扱いをするか というルールが決まっているか、あるいはそれをマネジメントする体制があるかどうか。 大学やナショナルセンターにおいては、最近それがやっとでき始めたという状況です。 次に、そういった発明を外部にライセンスアウトしたときに伴う収入に関して、どうや って分けるかという機関のルールができているかどうかです。例えば3分の1、3分の1、 3分の1といったように、きちっとそれができていれば、ルールがあった上でこのよう な形でライセンスアウトして、収入を得て、それを公平に、公明正大に分けるという形 で利益相反マネジメントの委員会にいけば、たぶん通るだろうと思います。  いちばんの問題は先ほどの被験者保護法もあるのですが、利益相反に至るまでの知財 やIRBの問題といった体制整備がやっと整えられ始めたということです。利益相反をマ ネジメントする要素、体制というのがそれぞれの機関で揃い始めてきたので、やっとで きるだろうと。その先生のときは、そのようなものがまだ何もなかったと思います。 ○西山技術総括審議官 この手の話は、私の知る範囲ではステント関係と、それから人 工骨頭など整形外科のドクターからよく聞いたものですから、ちょっと例として出した のです。いまの話ですと、ここにあるようなマネジメント体制をつくっている大学は非 常に少ないということですが、例えば聖路加にしても民間病院もそうでしょうし、医療 機器などはそのような所で開発される場合がありますが、同じようにそのような体制が 必要だとのご意見ですか。 ○宮田委員 私はそう思います。ただ、それを各病院が持てるかという問題があります。 IRBでも、例えばスウェーデンでは地域IRBのような形になっていますが、そのような やり方も検討してもいいかなと思います。そうでないと、大変なコストがかかってしま う可能性があると思います。 ○笹月委員長 いま審議官が示した例は、利益相反を理解するためのモデルとして、私 のセンスで言うと、おそらくそのような関係にはないと思うのです。まさに知財の問題 であって、ステントで、このようにすればいいと業者に言って、それを作ったらよく売 れたと。本人がその治験を引き受け、お金ももらっている、一方では治験も非常にいい 結果だというデータを出すとなると、それは利益相反という関係になるので、それはき ちんとマネージし、その人は治験から外れましょうとか、お金をもらうのはやめましょ うなどということになると思います。 ○平井委員 いまの話はちょっと難しいと思うのですが、審議官の話は利益相反的な典 型例だと個人的には思います。どのような意味で典型例かと言うと、委員長の意見とあ まり違わないかもしれませんが、要するに、悩んでいる方がたくさんいるということで す。一生懸命いい開発をして、たまたまライセンスをしてしまう、お金を手にしてしま うなどいろいろなことで悩む方がいるのです。いまのはステントの例で、私は他にもい ろいろ知っていますが、悩んでいる人にどのようにして道を示してあげるかが利益相反 だと思うのです。道の示し方として、黙って1人でやったら、納税者や他の人が疑問に 思うだろうから自己申告という道もつくるし、同時に、宮田委員が言われたような判断 の道、委員長が言われたようなお金や知財の問題といったことを整理する。ただ、それ を外部の人が入った委員会で判断、あるいはアドバイザリーボードのアドバイザーが判 断することによって安心して前に進める、そのような道を用意してあげることだと思う のです。  私はいろいろな大学や独立行政法人の利益相反委員会でヒアリングをし、さまざまな 相談を受けますが、ヒアリングに来た人のかなりの人は、話を聞いてもらって良かった、 いい道が見つかった、あるいは今度はそのようにやりますなど、非常に喜んでもらえる のです。そのような意味で、悩める研究者にいろいろな道を示してあげることが利益相 反ではないかと考えております。 ○笹月委員長 いちばん外枠だけを言えばそうなのですが、示された例は知財の問題を きっちりしておけば解決できるテーマです。そこには利益相反の関係性はないと思いま す。 ○平井委員 利益相反問題でかなり難しいのは物品購入です。実はいまのは物品購入の 話なのです。ライセンスの話もあるのですがそれはいいとして、自身が開発したものを ベンチャーに作らせて、それを自分の病院ないしは大学が買いますが、これは物品購入 になるわけです。ここの部分は利益相反上かなり難しいところです。しかも、これを自 身で患者に使うので、ケースから言うと、物がステントか生物素材かという違いはある にしても、ゲルシンガーのケースとnearly equalなわけです。 ○西山技術総括審議官 その場合、企業が出して、税金からは一切使われていないので すか。 ○平井委員 利益相反の問題は基本的には国費があることが多いのですが、interestが 2つあれば利益相反です。その先生が自身の研究をきちんとやるとか、患者をきちんと 治療するという本務があることと、もう一つ、そのステントを使ったら会社が儲かって 自分にお金が入るという利害の二つがある以上は、まさしく利益相反なのです。 ○木下委員 私どもも、基礎の研究者も実際に自分達に何か還元されることはなかった わけです。今日では、とにかくベンチャー企業を立ち上げ、自分たちの成果を事業にし てフィードバックされることが一つの魅力になっていると思います。今回目的として国 の科研費に対する利益相反の問題がでましたが、今日の話は、例えばベンチャー企業の 場合、そこでの成果は全部自分の所に入ってくることに対して問題があるということ、 先ほどのデータを見ても、アメリカなどでもそういった問題に対して、どのようにマネ ジメントしているか具体的に知りたいと思いますし、我が国とはどこが違うのかという ことも知りたいと思います。いま言われたように、駄目だという話ではちょっと困るな という気がします。 ○笹月委員長 先ほど述べたように、だからこそ知的財産権というのがそこに出てくる。 例えば発明者は何パーセント、国費を使ってやったのであれば、あるいはJSTならJST が何パーセントだとか、それに関しては初めからルールがありますので、それに則って いる限りは、自分の持ち分は入ってくることになると思います。 ○平井委員 誤解されたままでは辛いので申し上げますが、私はいまのようなケースで、 いかに開発した研究者がステントを堂々と買えるか、安心して買えるかということを進 めたいのです。それを禁止するつもりは全くありません。 ○笹月委員長 その関係において責められるような状況をどう回避するか、そのための ルールをつくりましょう、組織をつくりましょうということでよろしいですか。 ○宮田委員 冒頭に申し上げましたが、これは研究者を守り、もちろん患者を守り、企 業も守り、信頼を回復して医療を前に行かせるためのセーフティ・ハーバーをどのよう にしてつくるかだと考えていただきたいのです。利益相反がオートマティックに悪いと 言ってしまうと、全然違う次元の話になってしまうのです。先ほど平井委員がいいこと を言われましたが、二つの関係があれば必ず利益相反が起こるのです。それをどのよう にして悲劇にしないか、あるいは法的な問題が起こるような関係に持っていかないで済 むかというセーフティ・ハーバーをどうやってつくるかだと思います。 ○谷内委員 先ほど公的な研究費の問題が出ていましたが、アメリカの事例というのは、 公的な研究費が基盤になって利益相反のシステムを作ることができたという点です。や はり、フェデラル・ローがあるのです。公的な研究費を出した所には、利益相反をマネ ジメントする責務があるという考え方だと思います。そのような考え方ができているか らベンチャーをつくっても大丈夫だし、公的な研究費を付けても大丈夫だと考えられて いるのだと思います。 ○宮田委員 それは研究公正法のことを言われていますか。 ○谷内委員 利益相反というのは研究公正にも関係してきますが、利益相反に関して公 的な研究費、パブリックヘルスサービスのグラントをもらった所に関しては、利益相反 マネジメントを施設でやる責務があると法律で決まっているはずです。 ○笹月委員長 だんだん事が明解になってきましたが、よろしいですか。 ○岩田委員 議論を蒸し返すつもりはないですし、宮田委員に対する質問にはならない かもしれませんが、私自身知らないので教えていただきたいのです。委員の資料の中に、 アンジェスやタミフルの事件のことが書かれていたと思います。それを見ると、宮田委 員がまさに強調していたアピアランスの問題が一つあり得ると思いますが、それだけで はなく、例えばアンジェス事件が本当に誤報で、患者に対するインフォームド・コンセ ントがきちんとあったのかといったような、個別の事件でなくてもいいのですが、この ような事例でこのような状況で、例えば被験者保護の観点から何も問題がなかったのか、 もしくは臨床研究でデータの科学性には問題がなかったのかどうか。さらに、そのよう なものがクリアされてもアピアランスが悪いから駄目だとか、どこで切っているのか。 タミフルの事件でも、先ほどの説明だと、どちらかと言うとアピアランスが駄目だから、 それ以上の分析は説明としてはあまりなかったように思うのです。タミフルの研究班で 判断したデータ自身が正しかったのかどうかなども含めて、具体的な事件の中で、この ような場面だと問題がある、ないなどというのを、今後の課題でもいいのですが教えて いただけると大変助かります。 ○笹月委員長 次回にでも事務局で何か典型的な例を紹介していただけますか。 ○坂本研究企画官 本当の具体例というのがいいかどうかという問題はありますが、今 後検討していく中では、このようなことがあったときはどうかというのをある程度お出 しして、議論していただく必要があると思っておりますので、そのための準備をさせて いただきます。 ○岩田委員 ちなみに、タミフルの事件について何らかの検証などはしているのでしょ うね。 ○坂本研究企画官 担当局のほうでやったものがあります。 ○岩田委員 そのようなことについても教えていただけるとありがたいと思います。 ○坂本研究企画官 お出しできるものについて、少し検討させていただきたいと思いま す。 ○宮田委員 アンジェスはトーマツも会計監査をしていたと思うのですが、あの事件に 関しては一応全部クリアになっていると思います。インフォームド・コンセントに関し てもそうだと思います。 ○岩田委員 被験者の権利の分類も特に問題はなくということですか。 ○宮田委員 そうです。問題があれば、いまごろフェイズ3が終了しているということ はあり得ないと思います。 ○福井委員 宮田委員に伺いたいのですが、アメリカの大規模臨床試験などを見ている と、製薬会社からそれなりの利益、例えば講演をして何ドルもらったとか、かなり細か く書いているのですが、アメリカでは論文にそのことを書くだけで許されることになっ ているのでしょうか。倫理的におかしいとか、そういった区切りが何もされなくて、単 に開示すればいいように捉えられるような論文が出ているように思うのですが、アメリ カではそのような傾向ですか。 ○宮田委員 研究機関によって全然違うのです。例えばNIHなどいろいろな所では1万 ドルルールみたいなものがあったり、1,000ドルルールになっていたり、テキサス大学 だと、ここはもう産学連携をやるのだから、もうちょっとファイヤーウォールの所は3 万ドルとか5万ドルに上がっていたりといろいろと違います。それは一律に決められな いのです。その研究機関が社会との関係で、ここは産学連携をしっかりやる、ここは基 礎研究をやる、ここは政府系の研究機関だからニュートラリティを大事にするなど、い ろいろなところでファイヤーウォールの高さを変えていると考えていただきたいと思い ます。たぶん、お金をたくさんもらっている研究者ははねられているはずです。 ○谷内委員 私の知っている範囲では、やはりある程度上限があると理解しています。 ですから、たぶん400万か500万が個人的な収入では最大限ではないでしょうか。例え ば1,000万円もらって、その人がプライマリー・インベスティゲーターになれるかと言 ったら、私はなれないと思います。日本ではなれると思いますが、アメリカではなれな いと思います。 ○笹月委員長 宮田委員からの説明でいろいろな点が浮彫になり、明らかになったと思 います。ありがとうございました。次に、事務局よりその他の資料についての説明をお 願いいたします。 ○坂本研究企画官 資料1-2から1-5及び参考資料について説明いたします。資料1-2 は「厚生労働科学研究費のあらまし」というパンフレットですが、これは広く一般に、 厚生労働科学研究費がどのようなものであるかをわかりやすく説明したもので、毎年改 訂したものを出しております。ここで検討していただく対象が厚生労働科学研究全般と いうことになりますので、全般のイメージをつかんでいただこうと思って用意いたしま した。  初めに、厚生労働科学研究費の概要というのがあり、概要のいちばん下の行に、17事 業で1,400近くの研究をサポートしているとの記載があり、課題は多いということです。 1頁の下には、大きく四つの分野として行政政策研究分野、厚生科学基盤研究分野、疾 病・障害対策研究分野、健康安全確保総合研究分野があり、かなり幅広くいろいろなこ とをやっているということです。  3頁からはどのような事業をやっているかを示しており、3頁の上にあるように、行政 政策のほうでは人口・少子化問題、社会保障の国際協力などといった研究もしておりま す。主に議論していただいている臨床研究系の課題が多いことは確かですが、4頁の健 康安全確保では、労働安全衛生、あるいは食品関係の分野など臨床研究以外にも幅広い ことをやっており、そういうもの全般に関しての利益相反ということも考える必要があ るということがございます。  資料1-2では、後ろのほうに研究事業の流れ、評価の仕組といった全般的な説明や、 具体的な研究課題例の概略も載せております。  次に資料1-3です。こちらは厚生労働科学研究費補助金における利益相反への対応等 の流れ(案)ということで、公募、応募などのときのそれぞれの対応について書いてお ります。利益相反のことだけ書くと、少しわかりにくくなるので、利益相反以外の一般 的なことも中に書いております。留意点等として○で書いているのが、厚生労働省側、 ●が応募者側の対応等となっております。ここに書いているのはまだ案で、イメージと いう感じで読んでいただければと思いますが、公募において、応募した場合に、提示す べき情報などを明確にする必要があるということです。採択されない条件などを明確に する。ここはあくまでも利益相反ということでの採択されない条件ということで書いて いるつもりでございます。採択された場合に遵守すべき条件を明確にすることも必要だ ろうと考えております。応募される際として、最初に書いているものは一般論で、研究 者が所属研究機関の長の承認を得た上で、研究計画書を添付して応募し、応募時に必要 な情報を示し、条件を満たしている旨を宣明する。これは利益相反の関係なのですが、 具体的にどうするかは議論があるところと認識しております。  事前評価では、書類審査により、応募要件に合致しているかなど事務的な確認をして、 評価委員会を開催し、採択課題を検討します。これは一般的な流れでですが、このよう な流れの中で利益相反に関しても見ていくことになると考えています。交付決定があり、 交付申請のときに主任研究者が補助金の交付申請書を提出するとなっていますが、その 下に、外部資金等に関する状況に変化があった場合には、その内容を説明と書いており ます。一応注釈で外部資金、ここで「等」が抜けておりますが、この外部資金等の範囲 を明確にする必要があると考えております。寄付金、便宜供与、そのほか先ほどからベ ンチャーの話もありましたように、株式などといったもの、こういうような範囲の明確 化というのが、検討課題としてあるという認識です。  それから交付では、申請書の内容に基づいて厚生労働科学研究費補助金を交付し、研 究中でも外部資金等に関する状況が大きく変化した場合には報告、と書いております。 こちらは前回の議論でも、外部資金の提供元が合併したりすることもあるというご指摘 もありましたので、大きな変化があったような場合には、どこに報告するのかなどの問 題もありますが、何らかの対応が要るだろうというイメージでここに書いております。  成果報告は、通常の研究成果の報告をしていただくほかに、もし外部資金等に関する 状況の変化等があったときには、やはり報告、そのようなことは必要だろう、締めくく りが必要だろうと考えております。注)にあるように、先ほど申しました、対象範囲の 明確化のほか、ここは一般的な自由競争、公募の場合で、指定型研究については対応等 の流れは異なると書いております。一度に二つのものを出すと、なかなか説明も難しい ので、今回は公募のときだけの形にしております。※で書いていますが、各研究機関な どにおける利益相反マネジメントを効果的に活用することがやはり必要ではないかと考 えており、研究者が大学等の所属機関において、そこにある利益相反関係の手続を仮に クリアした場合、さらに厚生労働科研費で同じような、二度手間になるようなことも問 題だろうと考えており、既存のマネジメントを効果的に活用して、徒らに煩雑な手続に ならないで、実効をあげるようにすることが肝要かと考えております。  すでにご指摘もありましたが、疑義がある場合の事前相談を積極的に奨励するという のは、全般的にかかる話であろうと考えております。この厚生労働科学研究を進めてい く全体の流れの中の、それぞれ利益相反問題でアクションを取るべきポイントを整理す ると、こういうことになるのかなというので、まとめてみた資料です。これはあくまで 議論の叩き台です。  資料1-4は、前回も「検討における留意点などについて」という資料を出しましたが、 前回のご議論を踏まえて少しバージョンアップ、付け加えております。下線を引いた所 が、付け加えた所で、最初の・では厚生労働科学研究全般に適用される指針であること に留意するという所を付け加えております。二つ目の・は括弧書きの中で、現実的な対 応を検討し、必要な知識・経験を有する研究者が適切に研究に参加できるようなマネジ メント方策も検討すべきというご指摘があった点を入れております。四つ目の・は、こ れも最終的な取扱いはなかなか難しいかなというご議論もあったかとは思いますが、研 究者のみならず研究者が帰属する組織の利益相反問題も視野に入れて検討する必要があ るということを書いています。  その次は、利益相反問題の対象となる行為等について、誤解が生じないように留意す るというなかで、無償での機材・薬剤の提供等の取扱いは、現場等で悩ましいというご 指摘がありましたので、それは具体的な検討課題になるだろうということで書いており ます。開示すべき情報の内容、十分性、方法等について慎重な議論が必要というご指摘 があったということ。先ほども申しましたが、大学等における既存の利益相反マネジメ ント等との整合性等について検討が必要ということです。臨床研究とそれ以外など、研 究の内容によってマネジメントを改める必要があるか検討が必要。おそらく前回でも臨 床研究がいちばん厳しくマネジメントする必要があるだろうというご指摘がありました が、それを本当に文章として書けるのかどうかといったところが検討課題としてあるか なということで書いております。  続いて資料1-5です。利益相反についてはこれまでも定義はいろいろな所で出てきて おりますが、この検討を進めていく上で対象とすべき利益相反の定義について、粗々で も固めておかないと次からの検討が進みにくいかということで、(案)という形で書い ております。最初に、公的研究である厚生労働科学研究の信頼性を確保するためには、 個別企業との関わりについて、いわゆる利益相反問題に適正に対応する必要があるとい うことです。  2番目に、利益相反とは、狭義の利益相反と責務相反に整理できるとされている。本 委員会では基本的に狭義の利益相反を対象として取り扱う。具体的には外部からの重大 な経済的利益等によって、公的研究で必要とされる公正かつ適正な判断が損なわれる、 または損なわれたのではないかと第三者から懸念が表明されかねない事態をいう。公平 かつ適正な判断が妨げられた状態としては、データの改ざん、特定企業の優遇、研究を 中止すべきなのに継続するなどの状態が考えられる、として、注釈として、責務相反に 関しての注釈を書いています。資料1-5の後ろには、各種文献における利益相反の定義 として、抜粋したものを載せております。参考資料1と参考資料2は、AAMCの2001年 と2002年の資料で、前回谷内先生のご説明の中で出てきたものですので、参考資料とし て準備いたしました。参考資料3は、薬害オンブズパースン会議から厚生労働大臣宛に 出された要望書で、こういうものが出されているというご紹介の意味で参考資料として お配りしています。資料の説明は以上です。 ○笹月委員長 説明いただいた資料の中で、1-5はいわゆる利益相反の定義ですので、 これは後ほど議論するとして、1-4までの資料についてご質問、ご意見などどなたかい かがでしょうか。 ○谷内委員 前回も委員長が言われたように、厚生労働科学研究費を受けている者が、 全員厚生労働省に利益相反を開示するといった場合、一つに個人情報の問題があります。 すべて私たちの財布の中身をお見せするということなのですが、その辺の守秘義務とい うのはどのようにお考えになっているのでしょうかというのが1点です。それからこう いう形ですべての研究費を厚生労働省に全部開示するというのは、アメリカ、ヨーロッ パなどでもないのではないかと思います。あくまでも外国の例というのは、ボトムアッ プのものに関しては、施設のほうにお任せする。ただトップダウンのものに関しては、 確かにこういう形で開示していく必要があると思います。例えば、指定型研究に関して は、こういう形でやっていく必要があるだろうと思いますが、ボトムアップのものまで 全部やると、1,700件全部プロトコール・バイ・プロトコールで判断していかないと、 非常に難しい判断を迫られることがあります。決して簡単ではないです。ただ単に開示 すればいいというものではなくて、やはり考えないといけない。これはかなり対応を考 えないと難しい問題がたくさん出てくると思うのです。ですから私自身としては、これ をすべてこういう方向でやるかどうかは、少し諸外国の事例を研究されてから、提案さ れたほうがいいのではないかというのが私のコメントです。  もう1点は、先ほどの個人情報の関係もありますが、家族まで含めるかどうかは、非 常に大きな問題です。例えば、子どもまで含めるのがアメリカの事例ですが、そこまで 入れるかどうかもあります。これは研究者のみの開示であれば、私たちのレビューワー はコンペティターが多いですが、そういう方に私の財布の中身を見せても仕方ないとは 思いますが、家族、配偶者まで明らかにしなければならなくなってくる場合というのが あると思うのです。それをどうされるかという点をご検討いただきたい。以上です。 ○笹月委員長 この時点で事務局から何か回答はございますか。あるいはそれはここで 議論すべきテーマだと感じましたか。 ○藤井厚生科学課長 いまご指摘の点は、是非、この委員会として議論を深めていただ きたいなと思います。 ○宮田委員 先ほど申し上げましたが、実は利益相反というのは機関が責任を負うべき だと思っておりまして、原則は機関が対応する。ただ先ほど申し上げましたが、国立大 学ですらまだマネジメント体制が十分整備されていないので、経過措置は必要だと思い ますが、理想的状況から申し上げれば、機関の利益相反マネジメント体制は問題ありま せんという1枚の書類を作っていただき、厚生労働科学研究費の申請のときに入れると いうのが、基本だろうと思います。ただ先ほど谷内委員がおっしゃっていましたが、政 策的研究に関してはどうかという議論はしなければいけないと思いました。 ○平井委員 私もお二方の委員とほとんど同じ意見ですが、1-3に、下から2つ目の※、 「各研究機関等における利益相反マネジメントを効果的に活用する」と書かれておりま す。この中身をどのように具体化するかということだと思います。たぶんこちらを原則 にしたらいいのではないかなと思います。原則、各研究機関、グラントを受けた側で利 益相反マネジメントもしていただく。それについては然るべく報告をしていただく。た だ、厚生労働科研費の対象は広いということもあるし、場合によっては利益相反委員会 がない、あるいはマネジメントがしにくいという場合もあるでしょうから、そういう場 合には補充的にここにあるような流れで、一定程度のマネジメントを行う。そのような 形でやればいいのではないかなという気がします。そうすれば谷内委員からお話があっ たような個人情報の問題、ご家族の問題、それは各組織、大学病院等で対応すればいい と思うのです。それぞれ事情があるでしょうし。  そうした場合に、1点だけ言いたいのですが、もし各機関に利益相反マネジメントを お任せする、一義的にはそれを信頼するという場合であれば、これは議論しないといけ ないのですが、いわゆるオンサイトのチェックをどうするか。オンサイトレビューです。 それをするかどうかを決めないといけないと思います。米国ではオンサイトレビューを しております。先日聞いた話では、NIHが、ジョーンズホプキンスだと思うのですが、 これは間違えたら申し訳ありません。たぶんジョーンズホプキンスだと思いますが、オ ンサイトレビューしたら、適切に利益相反マネジメントされていなかったということで、 グラントが停止になりました。そういうオンサイトレビューをするかしないかを決めな ければいけないし、そういうものがきちんとされれば、各機関をある程度信用してもき ちんとやってくれるだろうということがあるのではないかという気がします。 ○西山技術総括審議官 その利益相反が起こっていない場合には、必要ないのですよね。 ○平井委員 現在の世の中では、利益相反が起きないということはほとんどあり得ない です。研究だけしかしません、論文しか発表しませんという方が、全員であればその機 関には利益相反はないと思います。 ○宮田委員 悩ましいのですが、やはり役に立つ研究をやれば、必ず起こります。だか ら厚生労働科学研究費というのが、やはり国民の健康を増進する、あるいは維持すると いうことを目的にすると、必ず出るということです。 ○岩田委員 早退しなければいけないので、二言だけ言わせていただければと思います。 いままで先生がおっしゃったように、基本的には各機関できちんと対応されるのが、や はりいちばんいいシステムだと思うのです。他方、そもそも私は医学研究のことがよく わかっていないので、競争的なものの中でも、例えばある一人しかできないような研究 で、利益相反が厳しいような状況があるようなとき、例外としてそういうものが何かあ り得るとしたら、そういうものを機関だけに担わせるのが、過度の負担になったりしな いだろうかというのが、少し気になるのです。だから基本はそういう形でいいと思いま すが、場面によってはそういう例外的な事例、先ほど平井先生が言われたようなオンサ イトのものがあり得るのかどうか、というようなことも是非、ご検討していただければ というのが一つ目です。  二つ目は、もしかすると少し先の話なのかもしれませんが、私だけが十分理解できて いないのかもしれませんが、利益相反で被験者の保護などということは非常に重要だと 思うのです。それをこの委員会でやるのか、別の委員会でやるのかは私自身は構わない のですが、先ほど宮田先生も保護の体制が必要だと言われていたので、そこを全く切り 離しておいて、ここは利益相反だけでいきます、被験者保護の所はほかに任せました、 やりませんでしたでは、やはりまずいと思うのです。何らかの形でそういうことも含め て検討していただければ、この場ではなくてもいいと思います。たぶん、私の印象では 谷内先生の所で、利益相反の委員会をやられているときにも、一部にはやはりこの利益 相反で、被験者の保護が十分できるだろうかというのは、絶対に議論されているのでは ないかと思うのです。だからそれも含めて、どういう方法がいいのかも、是非、ご検討 していただければありがたいと思います。 ○笹月委員長 いわゆる被験者保護でいちばんわかりやすいのは、治験の例です。です から治験を本当に日本がもっともっと推進しようというときには、必ず被験者保護をど うするのか。ここをしっかりやらなければいけないというのが、いまの一般的なコンセ ンサスです。ただしそれが具体的にどの程度進んでいるのかということでは、何か事務 局からありますか。 ○坂本研究企画官 お手元の冊子に、臨床研究に関する倫理指針などがありますように、 被験者保護がないような議論をされますと、それは違うということは申し上げないとい けないのかなと思っております。そういうものが背景にあった上での議論でして、先ほ ど笹月先生がおっしゃった治験であれば薬事法の規制があり、一定のものは既にありま すので、それが不足しているかどうかという議論をやり出しますと、たぶん、利益相反 とはまた別の議論にいくのではないかと思います。 ○岩田委員 いや、私も全くきちんとやられていないとは思っていないで、きちんとや られているというのはわかっているのですが、つまり私が申し上げた被験者保護という のは、利益相反との絡みで、被験者保護に何か影響を与えるようなものがあり得るのか どうかということです。やはりそこだと思うのです。そこが全部が全部やられていない という話ではなくて、もちろんいままでの臨床研究の指針のようなものでも、絶対に対 応されているはずだと思うのです。先生方がいろいろな研究をされている中で、そうい う被験者はどうでもいいということは絶対ないと思うので、にもかかわらず新たな問題 なので、それによって何か新たな対応が必要なのかどうかを検討していただければと思 います。それこそ谷内先生はそういう委員会に関わられているので、そういうことも含 めて教えていただけると大変ありがたいと思っているということです。 ○笹月委員長 はい、わかりました。それぞれ例えば、臨床研究、遺伝子治療のガイド ラインがありますが、必ずその被験者保護をどうするかは議論されてきていますので、 それも次回にでも整理していただき、ご紹介いただければと思います。 ○木下委員 資料1-3で、科研費の場合の利益相反は、結局、外部資金等、これに対し てどのような実態かがいちばん問題になるということですね。私たちが大学におりまし たころは、研究費ではいかに民間の資金を入れるかが教授の能力の一つだったわけです。 ですからこの問題は総論としてはわかるのですが、現場の者からすると、民間からの研 究費を全部洗いざらい出すのかということになりますから、そのことが果たして科学研 究をやることにどういう支障をきたすかという気持になります。  ベンチャー企業の話は大事な話で、それは本当に大きな議論がなされなければいけな いと思います。この科研費の問題で外部資金を調査するとき、先ほど岩田委員が機関で 対応すればいいということでしたが、機関はどのように対応すれば問題にならないので しょうか、外部資金には寄付金、便宜供与、株式まで入っていますから。一体何を意味 としているのか、本来の趣旨からすると、どのような意味があるのかよくわからないの です。ですから実態に即したルールでいいのだという御墨付をまずいただきたいです。 その上でどこまで、どうするかという現実的な議論が必要なのではないかと思います。  特にこの科研費の問題に関してはそうだと思います。なぜかと言うと、億の単位の研 究費をもらっている方たちが、例えば笹月先生のような本当にリーダーの方たちがおら れます。我々の所も基礎系のリーダーの中には、そのぐらいもらう人はいます。一般の 臨床教室ではそんなことは普通はないです。せいぜい1,000万円、2,000万円単位です。 そのような単位の中でやっている、本当に苦労しながらやっているのが実情です。そう いう背景の下で現実的な対応を願いたいというのが我々の願いです。 ○笹月委員長 いまのお話も具体的な例を示していくと、だんだんご理解いただけると 思いますので、議論を進める中で明確になってくるのではないかと思います。 ○谷内委員 参考になるかもしれませんが、アメリカでは研究費に関しては、一応申告 はしますが、ほとんどフリーパスです。それが現状です。日本でどれだけ、どうしてこ れだけ委任経理金が問題になったかというと、私自身は不思議でして、通常は研究費に 関しては一応申告はしますが、フリーになっています。ただなぜそうなるかと言うと、 個人的な収入やエクイティと関連してくる場合があるので、それでたぶん、研究費も申 告する形になっているのだと思うのです。だから私たちの大学の基本的な考え方として は、研究費はアメリカの考え方を踏襲して、一応申告をしていただくけれども、一応自 由であると考えております。 ○平井委員 木下委員のお話ですが、これも利益相反の問題をやると必ず出てくる議論 だと思います。いちばん誤解されやすいのが、例えば、ある教授の方が100万円の奨学 寄付金をもらっていると。別の方が5,000万円の奨学寄付金をもらっていると。これで どちらがいいか悪いかというのがあるのですかと。そういう話に結構近いのです。利益 相反の基本的な考え方は、金額は問わないということだと思います。ある方が100万円 もらっても、1,000万円もらっても、1億円もらってもそれでいいとか、悪いとかという ことは言わないというのが基本だと思っています。この辺はどこにあるかと言うと、つ まり例えば、ある先生が複数の製薬企業からそれぞれ1,000万円ずつ、2,000万円ずつ もらっていると。合計年間5,000万円、あるいは7,000万円ぐらいもらっていますとい う方がいらしたとして、その方はそのことをどなたにも報告しないで、奨学寄付金とし て使っていると、非常に心苦しいのではないかと思うのです。そういう寄付金が、本当 に奨学寄付金として有効に活用されて、その研究室、講座の研究費、あるいはいろいろ な形で有効に活用されているのであれば、それをきちんと報告していただきたいと思い ます。利益相反委員会という外部スタッフも入っている中で、もちろん情報保護された 中できちんとそれを見て、この先生は確かに素晴らしい、たくさんのお金を外部から集 めて、有効に活用していると。是非、今後も推進してもらいたいというようになれば、 全然問題はない話だと思います。それを止める気は私自身は全くないと思うのです。す べて一律に100万円以下に抑えなさい。そんな馬鹿な話はどこにもないです。  ただ問題は、ではその先生が臨床試験のPIになりました。Primary investigatorで 入ります。治験責任者になりますというときに、たまたまその治験を依頼した企業と、 その先生がいただいていた委任経理金の先の企業が一致するということがわかりまし た。というときに、ではどうしましょうかということを皆が知恵を出して考えるのが、 利益相反です。それをやめなさいという問題ではないと思うのです。もし一致する場合 には、ではその方は残念だけれども、今回は代表責任者から降りていただいて、外部的 に側面から支援していただくと。いろいろなことは可能かとは思うのです。問題はそう いうマネジメントの手段をどのように講じるかがポイントです。だから金額ではないと 思います。常にこの問題は出るのです。  エクイティの問題もよくあるのですが、株式でたまたま100万円キャピタルゲインを 得た人。それからたまたま10億円のキャピタルゲインを得た人、利益相反上は透明だと 思います。ニュートラルだと思います。どちらがいい、どちらが悪いという問題ではな いと思うのです。ただ、一般社会的に見て、もしそれに疑念を感じるということがあり 得るとすれば、対処をしたいということです。だからもし10億円キャピタルゲインで儲 かった方がいたら、そのうちの幾分かを将来の留学生のために奨学金として使ってもら うなど、いろいろな使い方があるでしょう。そういうことを皆で知恵を絞って考えたい ということです。  アメリカの場合には、アメリカの大学が保有している財団法人、ファウンデーション にキャピタルゲインを入れてもらうということもあります。スタンフォードなどは確か そうでした。いろいろな工夫はあると思います。だからマネジメントはできるのです。 ただ金額ではないということです。そこは非常に強く私は言いたいと思います。 ○木下委員 よくわかりました。趣旨としてはそのとおりだと思います。やはり我が国 の実情からすると、すべてを開示しなければならないという方向だろうと思うのです。 研究費すべてがそうでありましょうし、私たち教授が研究費を集めてきたときに、どう いう背景であるかも含めて、全部開示する。これは非常に大きな問題です。その研究費 は教授から各グループに研究費として渡す形にいま現状としてはなっています。  我が国は研究に対して、寄付金を募って、寄付金であれば免税になるなどの税制上の 待遇処置を考えるようになれば、かなり違ってくると思います。  いまの実情からすると、あまり厳しくこのまま抑えていくと、資金の面からも我が国 の医学研究は遅れる心配があります。特に自分の収入をすべて公開することは、個人情 報と似ているようなことだと思いますが、そこまで要求されるようになっていくとする と、本当にみな受け入れるかなとも思います。学問の進歩にこれは帰結するだろうと思 います。それならば小額の研究費は要らないということになりかねないような現状です。  やはり実情を踏まえた形で、特に外部資金を明らかにしていくということに対しては、 これは慎重にどういうレベルで、どうするかはこれから議論されるのだと思いますが、 特に臨床系はそういうことを非常に感じます。 ○笹月委員長 しかしながら、ここで言う臨床研究と申請者との利益相反のときには、 やはりその問題は決して避けては通れないと思うのです。どこからどれだけの金額を手 にしているかということはです。何も金額の高さを言うのではなくて、どこからという ことはやはり明確にしないことには、マネージすることもできないということになろう かと思います。それは各論の所でまた議論したいと思います。 ○宮田委員 確かに日本は全体的にまだ意識も遅れているので、その実態を認識した上 で、どのようにしていいセーフティ・ハーバーをつくっていくかを議論しなければいけ ないと思うのです。本来のコストと本来の開示しやすさ、マネジメントしやすさを考え ると、どう考えても実施機関になると思うのです。先ほどの大学の実情を見ると、まだ まだ東北大学のように完璧に十分にやっている所はほとんどなく、そういう意味では先 ほども申し上げましたが、NIHやNSFは利益相反のマネジメントがない所にはもう出さ ないわけです。それは国としてのリスクマネジメントだと思うのです。厚生労働科学研 究費もそれはやらざるを得ないと思います。しかし今すぐできるかという問題を考える と、木下先生のご説明にもありましたように、そう簡単ではないです。例えば、3年後 ぐらいまでに利益相反マネジメント体制をつくってくださいと。これは文科省と共同歩 調をしなければいけないと思います。そういうことを明示した上で、経過措置としての 利益相反のマネジメント体制と、3年後に然るべき利益相反のマネジメント体制のよう な形で議論を分けていったほうがいいのかもしれないなと思います。それが実効性かな と思います。  先ほど谷内先生もおっしゃいましたが、例えば1,000件、428億円ですから相当な申 請件数になりますよね。そのようなものがきて、いくらぐらいファイナンシャル・イン タレストがありますと言われても、私たちは確かめられないでしょう。言い放しをその まま認めることになりますよね。だからかえって詐欺罪を誘発してしまうのではないか という恐れもあります。ですからその辺をきちんと踏まえた上で、現実的な配慮をやる べきではないかと思います。 ○谷内委員 私も宮田先生の意見に非常に賛成で、ファンディング・エージェンシーが 基準を決めるということは、私たちのような大学あるいは研究費を受け取る所から見る と、非常に大きなインパクトがあるのです。これはやはりファンディング・エージェン シーがある基準を決めると、全部それになってしまいます。そういう面で私たちが気を つけるのは、金額のラインを決めるときは非常に気をつけてほしいのです。しかしやは りファンディング・エージェンシーがこれをしないと、研究費は出しませんよと言った ら、宮田先生は3年と言いましたが、私は1年でできると思います。それぐらい研究機 関というのはやはり研究費が欲しい。ですからそこを考えて制度をつくっていただきた いというのが、私の希望です。 ○笹月委員長 それでは時間も迫ってまいりましたので、資料1-5、いわゆるここで対 象とすべき利益相反の定義について、次回から各論に入る前に、もう一度ここの共通認 識、確認しておこうということで、先ほど簡単にご説明いただきましたが、この点につ いてどなたかご意見、ご質問をどうぞ。 ○平井委員 基本的にはこの1-5でよろしいかと思うのですが、1点問題があり、仮に 1-3を先ほど各委員からお話があったように、各グラントを受ける組織の側で、原則や っていただくというシステムにした場合には、やはり責務相反も入れていただかないと まずいと思うのです。というのは各組織は狭義の利益相反と責務相反と両方やっており ますので、本省として責務相反はやらなくていいよというように言うと、各組織の側の マネジメントとしては、非常に問題があるかなと。それはアディショナルで各組織が勝 手にやるのだと言えなくもないですが、それはやはり少し問題だと思うのです。1-3で 原則、各組織にそこはマネジメントしていただく。補充的にグランティングを出すオー ソリティであるということであれば、この定義も原則としては狭義の利益相反と責務相 反と両方を対象とする。ただ、省としてマネジメントを行う、あるいは情報の授受など を行う場合には、狭義の利益相反の範囲にとどめるというので結構ではないかという気 がします。 ○笹月委員長 この点に関して、東北大学は利益相反のマネジメントに関しては、責務 相反ということもこの間のお話では。 ○谷内委員 責務相反は別の所、人事規定で決まっていると思います。一応人事のほう で出てきて、利益相反マネジメント委員会は責務までは扱っておらず、基本的には責務 相反は人事で担当しています。基本的には同じかもしれないですが、一応委員会にそう いう事例が出てきますので、それに関しては利益相反マネジメント委員会では十分に注 意はしています。 ○笹月委員長 なるほど。事務局から何かありますか。 ○藤井厚生科学課長 確かに平井委員が言われたように、機関にお願いをしてしまうと、 そこは両方の部分について、議論を当然せざるを得ないという状況になるのだと思いま す。私どもがここで定義ということで出させていただいたのは、あくまでも厚労科研を 受けていらして、その厚労科研との利益相反という意味だけの限定的なものにさせてい ただいたので、むしろ責務相反をやらなくていいと言っているのではなくて、責務相反 は当然、施設側として別の観点からやっていただくのでしょう。厚労科研という視点か らは、この狭義の利益相反という形で抑えてくださいという趣旨だったので、こういう 形になっているということなのです。どうしてもそこが施設に機関のほうでマネジメン トをお願いをする場合に、切り分けられないのだということになると、もう少し定義の 書き方を工夫する必要があるなと思いますので、そこはご議論をいただきたいと思いま す。 ○平井委員 ご主旨はよくわかりますので、基本的にはもちろんこれでよろしいと思い ますが、組織で行う場合の手当を若干していただきたいなと思います。もう1点付け加 えると、これは文科省のあれになっていますが、徳島大学に委託事業として出して、臨 床研究に関する事例を集積したり、分析をしているのです。間もなく発表になるかと思 いますが、いわゆる狭義の利益相反、つまり外部資金などのお金の問題に加えて、やは り責務相反の問題もかなり出てきてはおります。難しい問題ですので、ここでどこまで それにタッチするかは別ですが、宮田委員もおっしゃったように、厚労省だけではなく、 文科省とも歩調を合わせてこの問題に対しては対応してもらいたいと思います。そうい う意味では全く切ってしまうのではなくて、若干一言でもいいので、そこに書いていた だくと徳島でやっていることが少し報われるかなというような気がします。  もう1点付け加えると、このグラントを出す際に、利益相反をある程度条件づけする ということについて、これは私が知っている範囲だけですが、文科省も検討はしていま すし、NEDOでも検討は進んでいます。ですからこれは厚労科研費だけの問題ではなくて、 政府が出すグラント、全部まとめて何と言うのでしょうか、全体として利益相反を条件 づけしようという方向にはいま動いていると思うのです。そういう動きとも合わせて私 は宮田委員の案に賛成ですが、組織の側で頑張りなさいと。具体的にいくら以上は駄目、 そういう基準づくりは本省としてはやらなくて、各組織に見合った基準をつくりなさい というような形がいちばんよいかなと思います。やはり東北大学などでも頑張ってやっ ていますので、そういう基準を一律にこちらで縛るのは、なかなか難しいと思うのです。 ○宮田委員 定義のところですが、・2で利益相反とは云々と書いてありますが、「ま たは損なわれたのではないか」と過去形は削除したほうがいいのではないかなと思って います。例えば、損なわれたらこれは刑事、民事、あるいは職務規定違反に問われるこ とになるので、過去形は入れないでください。そうでないと岩田委員のような混乱が起 こる可能性があるので、これはあくまでもセーフティ・ハーバーで起こり得る可能性に ついてマネージするのだということを認識するために、過去形の表現は削っていただき たいと思います。 ○笹月委員長 いかがでしょうか。いまの宮田委員からのご提案について、ほかの委員 の方々はよろしいでしょうか。福井先生は何かご意見はございますか。 ○福井委員 いや、これについてはありません。 ○笹月委員長 そのほか、どなたかございますか。 ○福井委員 少し切り口が違って申し訳ないのですが、資料1-3で、厚生労働科研の補 助金について利益相反という場合に、もう一つ気になるのが評価委員の利益相反という のは、全く考えなくていいのでしょうか。それに対する注意がほとんど述べられていな いように思います。 ○坂本研究企画官 前回もご議論ございましたが、それは少し別の問題として、ここは 取りあえず研究を行う方の問題で整理させていただいております。 ○藤井厚生科学課長 ただし福井委員がご指摘の点は大変重要な点だと認識をしており ますので、一応現行でも一定の規定はあるのですが、今回受ける側の方の利益相反をい ろいろ議論していただいて、何らかのものが出てきましたら、それに合わせて場合によ っては見直す必要も出てくるかなと思っております。 ○笹月委員長 それぞれの科研費の評価の仕方、あるいは評価の基準が、評価の場合に 配られるときに、利益相反はこういうもので、それに該当する方は云々という項目を書 いているものがたくさんありますね。ですからそういう形をもう1回全体をきちんと見 直すということではないかと思います。 ○木下委員 この委員会に出る前に、薬事・食品衛生審議会薬事分科会というのがあり、 実はそこで薬事・食品衛生審議会の委員の利益相反に関するルールづくりをするとの報 告がありました。望月委員が実は委員長なのです。またそこで利益相反の議論をするの です。つまりいまの福井委員のご質問もそうですが、これは評価委員会の委員のこと、 今度は審議会の委員の。つまりあちらこちらでやるのではなく、一本化していただきた いので、望月委員がいらっしゃるから基本的には、考え方は同じだと思いますが、皆さ ま方お互いに部署同士で調整していただき、一貫したものにしていただきたいと思いま す。 ○笹月委員長 ありがとうございます。 ○宮田委員 私も全く同じことを言おうとしていたのですが、やはり問題は分けなけれ ばいけなくて、資金を受けた場合と、資金を配分する場合とでの利益相反というのを分 けた上で、まとめて議論していただきたいと思います。タミフルの場合はその辺がごち ゃごちゃになっているところがあるので、両方引っ掛かっていると思っておりますので、 その辺を分けて国民のために明確に説明できるような、利益相反のルールをつくるべき だと思います。 ○望月委員 いま木下先生からご指摘ありましたが、今日も薬事分科会の委員会を先ほ どまでやっていました。岩田先生と一緒に出ていましたが、薬事分科会の場合には企業 から受ける奨学寄付金、委託研究費など、寄附金を受けた方々が審査に当たるのはどう かという問題を検討し、厚生労働科学研究とは多少意味が違うかと思うのです。そうい う意味で利益相反というのは、私が先ほどお聞きしたようなことが頭に残っているので、 個人の利益相反と法令違反いうことになってしまうのです。そういうことを含めて、最 終的には調整してわかりやすく皆に出すことが必要かなと確かに思います。 ○笹月委員長 そのほか何かございますか。よろしいでしょうか。それではたくさんの 貴重なご意見、検討すべき項目に関していろいろな案をいただきましたので、事務局で 本日の議論を踏まえて、次回からの議論の準備をしていただければと思います。一応本 日の議事は終了しますが、事務局から何かございますか。 ○坂本研究企画官 次回の開催について、すでに日程調整の連絡をしておりますが、7 月24日(火)午後5時からの開催を予定しております。正式のご案内については、後日 また送付させていただきますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。 ○笹月委員長 それでは時間もまいりましたので、本日はこの委員会はこれまでにした いと思います。どうも大変ありがとうございました。  ―了―    【問い合わせ先】 厚生労働省大臣官房厚生科学課 担当:情報企画係(内線3808) 電話:(代表)03-5253-1111 (直通)03-3595-2171 - 1 -