07/06/28 労働政策審議会雇用均等分科会 第75回議事録 第75回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2007年6月28日(木) 10:00〜12:00 場所:厚生労働省省議室(9階) 出席者:  労側委員:岡本委員、鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、龍井委員  使側委員:川崎委員、吉川委員、松井委員、山崎委員、山本委員  公益委員:林分科会長、今田委員、奥山委員、佐藤委員、田島委員、樋口委員 ○香取総務課長  定刻になりましたので、ただ今から第75回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いた します。4月27日付で委員の改選があり、本日はその後の最初の会合ということで、ま だ分科会長が決まっておりませんので、決まるまでの間、暫時事務局が議事進行をさせ ていただきます。よろしくお願いいたします。  まず、委員の皆さま方のご紹介をいたします。お手元の資料No.1をご覧ください。今 回の改選により、公益委員が1名、労働者側委員が2名、使用者側委員が2名、計5名 の方が新しく雇用均等分科会の委員になられました。大変事務的で恐縮ですが、それぞ れお手元に辞令を置かせていただいております。よろしくお願いいたします。  それでは、新任の方々からそれぞれ簡単にご挨拶をいただきたいと思います。まず、 田島委員からお願いいたします。 ○田島委員  弁護士の田島でございます。昨年の均等法改正に際して、研究会に参加させていただ いたのがご縁で、このたびこの分科会にも参加させていただくことになりました。どう ぞよろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  続きまして、齊藤惠子委員、お願いいたします。 ○齊藤惠子委員  齊藤惠子(やすこ)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  斉藤千秋委員、お願いいたします。 ○斉藤千秋委員  電機連合の中央執行委員をやっております斉藤千秋です。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  続きまして、川崎委員、お願いいたします。 ○川崎委員  NTTドコモのダイバーシティ推進室の川崎と申します。よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  最後に、山本委員、お願いいたします。 ○山本委員  山本でございます。よろしくお願いいたします。東京商工会議所中小企業委員会の委 員長をしています。不慣れではありますが、よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  ありがとうございました。それでは、議題1「分科会長の選挙」に移りたいと思いま す。労働政策審議会令第6条第6項の規定によりますと、公益を代表する委員の中から 委員が選挙によって選出するということになっておりますが、この点につきまして、何 かご意見がありましたらお願いいたします。今田委員、お願いいたします。 ○今田委員  林委員にお願いできたらと思いますが、いかがでしょうか。 ○香取総務課長  よろしいでしょうか。ありがとうございます。今、林委員をというご推薦がありまし て、異議なしということでご了承いただきましたので、林委員に分科会長にご就任いた だければと思います。以後の進行につきましては、分科会長にお願いしたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○林分科会長  分科会長を務めることになりました弁護士の林です。私自身、2年前にこの審議会の メンバーになり、この2年間の大きな法改正の議論の中で、自分自身の知識不足と力不 足を痛感しておりましたので、このお役目には正直言って戸惑っております。横溝前分 科会長のような洒脱な議事運営はできませんので、公労使の各委員のお教えとご協力を いただきながら何とか進めたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  それでは議事に入りたいと思います。まず、分科会長代理についてですが、労働政策 審議会令第6条第8項では、分科会長が分科会長代理を指名することになっていますの で、私から指名させていただきます。樋口委員に引き続いて分科会長代理をお願いした いと思います。よろしくお願いいたします。  続きまして、家内労働部会に属すべき委員および臨時委員の指名についてですが、こ れにつきましては、労働政策審議会令第7条第2項において、分科会長が指名すること になっています。あらかじめお手元にお配りしていて恐縮ですけれども、資料No.2のと おり指名させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日の議題に入る前に雇用均等・児童家庭局長から一言ご挨拶があります。 ○大谷雇用均等・児童家庭局長  おはようございます。雇用均等・児童家庭局長の大谷でございます。本日の議事に入 ります前に、一言ご挨拶を申し上げます。  本分科会の委員の皆さまにおかれましては、ご多忙の中、雇用均等分科会委員をお引 き受けいただき、また本日も会議にご出席いただきましてありがとうございます。本分 科会では雇用均等政策に関する重要事項を調査・審議いただいており、前期においては 男女雇用機会均等法やパートタイム労働法の大きな改正につながるご議論をいただきま した。特に、昨年7月からご審議いただき昨年末に建議として取りまとめをいただきま したパートタイム労働法の一部を改正する法律につきましては、おかげさまで本年2月 に国会に提出し、審議が行われた後、4月19日に衆議院本会議で可決。また、5月25 日に参議院本会議で可決・成立をしたところです。この審議経過につきましては、後ほ どご説明申し上げますが、全体でも30時間を超える熱心な審議をいただいたところです。 また、分科会の委員の皆さま方におかれましては、審議会での長い時間にわたるご審議 をいただき、建議の取りまとめ、そして法案の要綱の諮問・答申にいたるさまざまな場 で大変な時間をかけてご尽力をいただきました。また、そのお忙しい中、国会審議にお きましても参考人としてご協力をいただいた委員もおられます。お世話になりましたこ とを改めまして心より御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。  今後は来年の4月1日の改正法の施行に向けまして、周知の徹底であるとか相談指導 体制の整備など、着実に準備を進めてまいりたいと考えておりますが、一方で行政の対 応もありますけれども、むしろその各レベルにわたる労使の積極的な取組こそが、この 法律の成否を決するのではないかという思いも持っているところです。このパートタイ ム労働法の国会審議の過程では、フルタイムパートの問題などさまざまな点について議 論が行われたところでありまして、附帯決議として示された事項もあります。これらに つきましては、行政としてどのように対応するかの検討が求められております。本日か ら早速ご検討をお願いしております省令や指針につきまして、このような国会での審議 経過も踏まえ、ご議論をお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○林分科会長  それでは、議題2に入ります。「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部 を改正する法律の経過について」事務局からご報告をお願いいたします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  短時間在宅労働課長の高崎でございます。お手元にお配りしております資料No.4と資 料No.5に基づき、パートタイム労働法の国会審議の経緯についてご報告をさせていただ きたいと思います。  まず、資料No.4をご覧ください。そちらの資料は、平成18年12月26日に当分科会労 働政策審議会よりいただきました建議以降、今日に至りますまでの短時間労働者の雇用 管理の改善等に関する法律、いわゆるパートタイム労働法の一部を改正する法律の成立 等の経緯についてまとめたものです。建議をいただいた後、まさにこの分科会におきま して1月に法律案要綱を諮問申し上げ、同月答申をいただいた後、私どもの方で法案の 作成作業を進め、2月13日に通常国会に閣法第37号として提出したところです。同法 律は予算関連法案ということもありまして、審議順としては比較的早く、4月3日に衆 議院の本会議におきまして趣旨説明・質疑を行いまして審議に入ったところです。以降、 衆議院の厚生労働委員会に付託されまして、質疑が3回、途中で参考人質疑も入れまし て最終的には4月18日に採決され、与党の賛成多数により可決されました。19日には 本会議において可決され、同日参議院に送付されたところです。参議院におきましては、 このパートタイム労働法は重要広範議案に指定され、5月9日には総理ご出席の下で本 会議におきまして趣旨説明・質疑を行った後、参議院厚生労働委員会に付託され、以後 質疑3回、参考人質疑、視察も含めて慎重なご審議をいただき、最終的に5月24日に採 決しました。後でご説明いたしますが、その際、附帯決議が付けられております。その 後、5月25日に参議院本会議で可決・成立したところで、同法律は6月1日に法律第72 号として公布されたというのが現状です。  この後の予定ですが、ご案内のとおりこの法律の中の短時間労働援助センターの関係 部分の規定につきましては、本年7月1日から施行されることになっております。ただ、 残りの大部分の規定につきましては、平成20年4月1日に施行されるということで、こ の4月1日の施行に向けて今後省で指針等必要なものを定めていかなければならないと いう手続きに入るということです。以上が資料No.4のご説明です。  続きまして、今も出てまいりました参議院の附帯決議になります、資料No.5です。な お、衆議院におきましては、附帯決議は付けられておりません。ですから今回のパート タイム労働法の改正に伴う附帯決議は参議院の附帯決議のみということです。なお、こ の附帯決議は与野党全会一致で決議されたものです。説明に入ります前に、読み上げさ せていただきます。 ○富田調査官  短時間在宅労働課調査官の富田でございます。よろしくお願いいたします。附帯決議 資料No.5につきまして読み上げさせていただきます。  「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附 帯決議、平成19年5月24日参議院厚生労働委員会  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一、本法の内容について、事業主、労働者等に対する周知徹底に努めるとともに、均 等・均衡待遇の確保のためにとるべき措置等について具体的かつわかりやすい事例を示 す等、事業主に対する指導を行うこと。特に、差別的取扱い禁止の対象となる短時間労 働者の要件については、雇用の実態を踏まえ、労使双方にとって公正な運用が行われる よう十分配慮しつつ、その範囲が明確となるよう、判断に当たって必要となる事項等を 示すこと。また、短時間労働援助センターによる助成金の支給等により、事業主に対し、 十分な支援に努めること。  二、短時間労働者と通常の労働者との均等・均衡待遇の確保を更に進めるため、参考 となる先進的な雇用管理事例のほか、職務分析の手法や比較を行うための指標(モノサ シ)について内外の情報を収集するとともに、事業主に対し、それらを提供することに より、その取組を支援すること。  三、法の実効性を高める観点から、都道府県労働局の雇用均等室においては、事業主 に対する報告徴収をはじめとする行政指導の強化や調停の活用を図ること。また、本法 の円滑な施行を図るため、都道府県労働局の雇用均等室等について、専門家の配置を含 めた体制を整備すること。  四、いわゆるフルタイムパート(所定労働時間が通常の労働者と同じである有期契約 労働者)についても本法の趣旨が考慮されるべきであることを広く周知し、都道府県労 働局において、相談に対して適切に対応すること。また、我が国における短時間労働者 の多くは、労働時間が短いことに加え、有期労働契約による問題が多い実態を踏まえ、 有期契約労働者と通常の労働者との均等・均衡待遇の確保を進めるため、有期契約労働 者に関わる問題を引き続き検討すること。  五、正社員の労働条件について、本法を契機として合理的理由のない一方的な不利益 変更を行うことは法的に許されないことを周知するとともに、事業主に対して適切に指 導を行うこと。  六、長時間労働が常態化している男性正社員の働き方の見直しを含め、短時間労働者 と通常の労働者の双方において、仕事と生活の調和の実現に向け、仕事と家庭の両立が しやすい職場環境の整備を進めること。あわせて、短時間正社員制度が社会的に定着す るよう一層の取組に努めること。  七、昭和61年度の税制改正により、103万円を境とする所得の逆転現象が解消されて いるにもかかわらず、今なお、就業調整が相当数の短時間労働者によって行われている 現状にかんがみ、誤解に基づく就業調整が行われることのないよう、短時間労働者や事 業主などに対する現行税制についての周知徹底に努めること。  八、正社員以外のあらゆる労働者の処遇の改善を図るため、その労働条件及び雇用管 理状況の実態把握を行うこと。右決議する。」以上です。 ○高崎短時間・在宅労働課長  ただ今読み上げました附帯決議ですけれども、冒頭、大谷雇用均等・児童家庭局長よ り挨拶申し上げました通り、この決議の1行目に「政府は、本法の施行に当たり、次の 事項について適切な措置を講ずるべきである」と書いてありますが、前回にも申し上げ ましたが、立法府から行政に対するいわば指示文書と言われるものであり、これらにつ きまして、私ども行政としては何らかのしかるべき対応をすることが求められていると いう関係になります。後半には、いろいろなものが含まれているのですが、特に本日こ の後ご議論・ご審議いただきます省令あるいは指針に関係すると思われる点に絞ってご 説明いたしますと、2枚目の第四項目の前半部分です。「いわゆるフルタイムパート(所 定労働時間が通常の労働者と同じである有期契約労働者)についても本法の趣旨が考慮 されるべきであることを広く周知し、都道府県労働局において、相談に対して適切に対 応すること」ということ。実はパートタイム労働法の審議につきましては、パートタイ ム労働法自体の議論よりもむしろフルタイムパートの問題に審議がある意味集中したと いう部分があり、それを踏まえての附帯決議になっています。この辺りにつきまして、 パートタイム労働法の適用ではないわけですけれども、どうしていくのかということが 求められているということです。  二つ目は、同じく国会の質疑において議論が集中した部分ですが、五項目目です。要 するにこのパートタイム労働法の施行に伴い、均衡な待遇を求められる際に正社員ある いはパート労働者の労働条件を、そこにありますとおり、合理的理由なく一方的な不利 益変更を行うことがあってはいけないという議論があり、それにつきまして「法的に許 されないことを周知するとともに、事業主に対して適切に指導を行うこと」という附帯 決議が付けられているということです。それ以外の項目につきましても、例えば、有期 契約労働の問題についての引き続きの検討なども含めた、いわゆるあらゆる労働者、非 正規労働者についての労働条件・雇用管理状況等の実態把握に努めるというようなこと についても、適宜、行政として取り組んでいかなければならないと考えております。以 上、資料No.4と資料No.5に関する説明です。 ○林分科会長  ありがとうございました。それでは、ただ今の事務局からの報告につきまして、ご質 問等があればお願いいたします。松井委員、どうぞ。 ○松井委員  事務局にお伺いいたします。私の知る限りにおいて、通常、附帯決議というのは衆議 院も付いて参議院も付いているということが一般的だと理解しております。そこでお聞 きしたいのは、衆議院では問題がない法律であったという理解をしたいのですが、それ でよろしいのでしょうか。それと申しますのは、参議院から政府に言われたものをやる のだというご説明だったと思いますけれども、衆議院ではそのような指示はなされてい ない。そういうことを踏まえて考えなくてはいけないのではないかと理解しております ので、事務局としてのお考えを伺いたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えいたします。冒頭申し上げましたとおり、またご指摘のとおり、衆議院の側に おきましては附帯決議は付けられておりません。附帯決議というのは、まさに立法府が 立法府の判断で付ける付けないも含めて判断されるところで、私どももなぜ衆議院の側 で付いていないのかということについては、当然承知はしておりません。ただ、私の理 解するところでは、必ず衆参両方で付けるということになっているということでもない のかとは思います。いずれにしても衆議院では付いておりませんので、事情を斟酌いた しますに、たぶん衆議院の方では民主党がいわゆる対決法案を出していたというような ことがあり、そういう環境の下で附帯決議を提出する、あるいはまとめていくという、 いわばマインドというものが衆議院の側ではなかったのではないかと考えるところです。 問題のあるなしという話はありますけれども、最終的には採決は多数決で決められるわ けで、衆議院の側においては与党の賛成多数をもって可決されたということです。参議 院の側では逆にそういう合意がなされて附帯決議が付けられたということではないかと 思います。 ○林分科会長  よろしいでしょうか。松井委員、どうぞ。 ○松井委員  今の説明は、聞き置いたということにさせていただきます。  それから、必ずしも厚生労働省の事務方が行っているわけではないかもしれませんが、 参議院では視察をしたということですが、どのような所へ行ってどのような視察をして きたのかということをご承知の範囲で教えていただければと思います。フルタイムまで 今後議論をするようであるならば、そういう実態もあったのか教えてください。 ○高崎短時間・在宅労働課長  視察につきましては参議院の側で行われており、具体的には「マルエツ」というスー パーの大塚の方の店に参議院厚生労働委員会として行ったということです。そちらの方 で、企業の方あるいは労働組合の方あるいはパート従業員の方から話を聞いたり、働い ている場面を見たということですが、フルタイムの方がそこにいらっしゃったわけでは ないと理解しております。 ○林分科会長  よろしいでしょうか。その他にご質問等があればお願いいたします。 ○奥山委員  たぶん具体的にはこれから施策になると思うのですが、今の時点で考えていらっしゃ ることがありましたら教えていただきたいのです。附帯決議の2枚目の三で法の実効性 の強化のところから行政指導の強化、それから労働局の雇用均等室において「専門家の 配置を含めた体制を整備すること」とありますが、この「専門家の配置を含めた体制を 整備」というところで、何か現時点でお考えになっていらっしゃるようなことがありま したら教えていただければと思います。特に専門家の配置のところを。 ○高崎短時間・在宅労働課長  この三項目につきましては、国会の審議の過程において、パート労働者の管理に限ら ないかもしれませんが、要するに企業の経営あるいは処遇・待遇の設計に対して、ある 程度専門的な知識のある人間が対応しなければ、十分な法の説明はできない場面がある のではないかという指摘が随分されまして、そういうことを踏まえての附帯決議だろう と考えています。  この対応につきましては、今まさに私ども行政の方で対応を検討しているところです。 例えば法律の中でも、いわゆる紛争調整委員会における調停の手続きも法律上入れてい ますが、そこにおける調停というのはまさに行政の職員ではなくて民間の専門家の方々 を紛争調整委員として委託して調停等に当たるということで法的な整理をしたところで す。そういうものも専門家の配置に当たるのではないかと思います。それ以外にどのよ うな体制整備があるのかは、具体的には来年度に向けての予算要求の過程という形にな ってくるかもしれませんが、現在検討していますので、今の時点で具体的なものを交付 できる段階にはいたっていません。 ○奥山委員  ありがとうございました。 ○林分科会長  松井委員どうぞ。 ○松井委員  附帯決議の一について教えていただきたいのですが、確かに均等・均衡待遇の確保の ために、具体的かつわかりやすい事例を示してくださるというのは企業側としても、重 要視しているところです。  ただ1点気になりますのは、均衡待遇については法律上、義務のところと努力義務あ るいは配慮の、といういろいろな形でのレベル感がある。レベル感において違いがある と思いますけれども、努力義務についても指導をするとすれば、どのようなことまでし ようとしているか。そこは含まれていないと解釈すればよいのか。その点を教えてくだ さい。 ○高崎短時間・在宅労働課長  その点につきましては、現行の改正される前のパートタイム労働法もそうですが、い わゆる努力義務の規定が現在入っていますが、それについてパート労働法上助言・指導・ 勧告するという形で進めていますが、当然今松井委員がご指摘になりました通り、法的 な要請に段階があれば、当然それを根拠にする行政上の対応について、それに応じたも のになるというのは非常に当たり前の話です。ただ逆に、現行もそうですけれども、努 力義務あるいは配慮義務だからといって行政指導の対象にはならないということにはな らないということです。ただそこは要請している強さの度合いに応じて、対応されるべ き助言なり指導なり、あるいは勧告なりの対応が変わってくるということだと思います。 ○林分科会長  他にご意見等ございますか。はい、山本委員。 ○山本委員  山本です。先ほどもご指摘がありましたが、この国会の審議の過程における意見がい ろいろ出たということなのですが、先ほどお話があったかも知れないのですが、どうい う具体的な内容があったのか教えていただけますか。もう少し教えていただけますか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  国会におきましては先ほどの経緯でご報告したとおり、審議回数についても衆議院の 側で3回、参議院でも3回ということで、ある意味非常に長時間にわたってご議論があ ったということで、当然そこで指摘された事項は非常に幅広くて、すべてを網羅的にこ こで報告するというわけにはなかなかいかないわけですけれども、非常に大きな点とし て、先ほど附帯決議の際に説明しました、いわゆるフルタイムの方の取り扱いの問題と、 いわゆる労働条件の変更の問題、特に不利益な変更の問題が非常に議論の中心になった ということです。実はそれ以外に差別的取扱いの禁止の対象がどれだけいるのかについ ても随分議論があったのですが、あまり今回のこの今後の議論の関係では出てきません ので、今後のこの関係でいえばその二つであっただろうと思います。  それ以外については、後で議論が出るのかもしれませんが、今ご質問いただきました のであえてお話をさせていただきますと、区分に分けて均衡待遇を求める度合いを変え てあるのですけれども、その区分がわかりにくいとか十分理解できるのかという区分の 合理性の問題、あるいは当然その中においては、差別禁止の対象者の要件が厳しすぎる のではないかというような、要するに狭すぎて対象者がいないのではないかという問題 も出ました。差別的取扱いの禁止ではそうです。  均等待遇の部分につきましては、まず賃金の部分については、対象が職務関連の賃金 になっているのですが、例えばそこから外れている通勤手当の問題などは、どのように 考えていくべきなのかについても議論があったかと思います。  教育訓練につきましては、特にあまり主だった議論はなかったと思いますが、福利厚 生の関係については、法律上福利厚生施設という形になっていますが、その施設の中で 例えば医療施設のような生命身体に直接影響を与えるようなものについては対象になっ ていないということについての議論もありましたし、さらには福利厚生のうち施設以外 の部分につきましても、どのように考えていくべきなのかについても議論があったと思 います。  もう一つの柱である正社員の転換制度の関係につきましては、入り口の段階で規制を かけているのですが、具体的に転換させる部分については事業主に判断を委ねるという、 この審議会での結論を踏まえて法的な手当てをしたのですが、それでは結局最終的に転 換が進まないのではないかという議論もあったように承知しているところです。  それ以外の点についても、例えば実効性の担保の問題や施行体制の問題など、幅広く 議論があったところです。一応私どもが思いつくところで主な点を申し上げると以上に なります。 ○山本委員  ありがとうございました。 ○林分科会長  佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  附帯決議四のいわゆるフルタイムパートのところですが、ここに「本法の趣旨が考慮 される」と書かれていますが、「考慮されるべきであることを広く周知」と。この趣旨と いうのはパート労働法の最初に謳っている「目的」の部分なのかあるいは全体、例えば 先ほど松井委員が言われたように差別的取扱い禁止から今出たような正社員への転換と いうような具体的に事業主に求めている取り組みを、いわゆる所定労働時間が通常の労 働者と同じである有期契約労働者にも適用するように考慮してくださいという趣旨。趣 旨というのはパート労働法の最初に謳っている目的のところを考慮しろということなの か。具体的な事業主に求めている施策を考慮しろということなのか、その辺は議論があ ったのかどうか教えていただきたい。 ○高崎短時間・在宅労働課長  その点につきましては、議論で申し上げれば、まさに具体的な規定の適用がない、あ るという話の中で、当然フルタイムの方についてはパート労働法の対象者ではありませ んので適用がないと説明したわけですが、その結果として、だとすると所定労働時間を 少し長くすれば、そこで適用から外れるということになってしまうというような議論が あったと承知しています。私どもは、この附帯決議について解釈するという立場にあり ませんので、ここでいう本法の趣旨という意味が何であるかというより、そういう議論 があったと、具体的な規定の適用についてのある・なしからの議論であったと承知して います。 ○林分科会長  松井委員、どうぞ。 ○松井委員  行政は国会から言われて何か対応しなくてはいけないけれども、これを解釈する立場 にないと言ったら何をやるのですかという疑念が、まずあります。  それと、ここで一つの意見を申し上げておきますと、例えば通常の労働者の方へ転換 をするという措置が義務化されています。そうすると別の読み方をすると今の高崎短時 間・在宅労働課長の説明では所定労働時間を長くすれば法の適用が免れるという説明で したが、転換をさせるということも、今の説明ですともしかして疎外するようなことも あり得るのではないですか。長くすれば同じだからと。だから今後こういう附帯決議に 基づいて何らかの措置をとっていこうとするとしても、やはり私どもとしましては、少 なくとも昨年末の建議に至るまでの議論を十分踏まえて対応していかないと。転換はし ろ、けれどもフルタイムにしてはいけないとか、そんなことを言われたら法律を守って どうやれと。対応できません。ですから国会の宿題は宿題として理解しないわけではあ りませんが、はっきり言って、やり方がうまくできないようなことになると非常に困り ますので、ぜひその点も踏まえて今後検討を進めてもらえればと思います。 ○林分科会長  お答えなさいますか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  先ほども申し上げましたが、そういう国会での議論があったということです。もちろ ん転換というのは、まさにパート労働者を通常の労働者へ転換させていくことを法律と して進めるということで、そのように切り替えするということだと思います。ただ国会 での議論があった部分については、そういう意味では少し場面が違うのかなというよう な感じです。いずれにしても、私どもとしてもそのように附帯決議等があったというこ とを今こうやってご報告させていただいていますが、言うまでもなく今後はパート労働 法の施行に向けて、関係する省令あるいはパートタイム労働指針の改定等の手続を進め なければならないわけで、それについてはこの審議会での議論を踏まえて対応していく ことを考えていればこそご報告しているということです。まさに今使用者側の委員のご 指摘がありましたような意味でこの附帯決議をどのように受け止めていくのかというこ とについては今後ご議論いただければと思っています。 ○林分科会長  樋口委員、どうぞ。 ○樋口委員  附帯決議の中で、この均等分科会の守備範囲を超えるものが幾つか出ていると思いま す。その点については、これはぜひ本審の方に報告していただいて何らかの対応をする のかしないのかを含めて、ご検討いただきたいと思います。  例えば六の項目というのは、長時間労働者が常態化しているというようなところは多 分ここでの守備範囲では解決できないところがあります。そのほかにも幾つか見られる と思いますので、この点についてご意見等お願いしたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  まさにそういう部分が含まれていますので、労働政策審議会に対する報告につきまし ては、担当と相談して対応していこうと思います。 ○大谷雇用均等・児童家庭局長  ここに書いていることは、ほとんど国会における審議の反映ということになりまして、 その席には大臣も出席し、担当局長も出席してお答え申し上げていますので、それぞれ の責任において、関係分については今後対応いただけるという経過になると思います。 ○林分科会長  他に特にはありませんでしょうか。非常に詳細な附帯決議になりましたので、この中 のどの部分を今後どのような形でこの審議会の中で取り上げていくかということも踏ま えて、今後の議論を進めたいと思います。  では、続きまして議題3「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則及 び事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針の改正 の方針について」に移りたいと思います。事務局から資料について説明をお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  引き続きまして、お手元にお配りしている資料No.6と7について説明させていただき ます。まず資料No..6ですが、今回の法改正を受けて、厚生労働省令に引用されている部 分があり、それらについて定める事項を案としてまとめているものです。この内容につ きましては、昨年末の雇用均等分科会あるいは労働政策審議会の建議の中で中身につい ては合意されている部分ですので、私どもとしてはそれに基づいて整理をしています。  まず、第6条第1項の「労働条件に関する文書の交付等」ですけれども、この規定は ご案内の通り、労働基準法上で義務付けられている事項以外の事項のうち、特にパート タイム労働者について文書で交付を義務付けるべきものについて、それを義務付けてい くという考え方ですが、具体的に何を文書によって交付されるのかということについて は厚生労働省令で定めるという法的な仕組みになっていました。その中身については次 の三つでということでした。具体的には「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」 という三つで議論がされたところで、それについてその通り手当てをしていきたいと思 います。  もう一つは、同項の中で文章の交付以外でも実質的に文章の交付に替わるような対応 であればそれは認めていくということで、具体的な中身は厚生労働省で定めることにな っていましたが、分科会においては電子メールの送信によっても、それが受け取り可能 な状況にあるということであれば認めてよいのではないかというご指摘があり、その旨 で建議が出されているところです。ただそれはそう定めますが、そのときは余り意識し ていませんでしたが、ファクシミリというものが世の中にはあり、これは最終的に紙が 排出されるということで文書の交付に当たるのかとも考えていたのですが、よくよく労 働基準法等、他局の運用等を見ますと、ファクシミリの送信は文書の交付とは読めない という形で整理されているようです。だとすると、私どものパートの方でメールを認め てファクシミリを排除するという合理的な理由がありませんので、そういう意味では、 この点だけは唯一建議の段階での議論を越える部分かもしれませんが、ファクシミリの 送信も入れてもよいのではないかと提案をしているものです。  続きまして第9条第1項の「賃金」です。ここはいわゆる均衡待遇の確保措置の中の 賃金の部分について、差別的取扱いの禁止ではない方々の部分について均衡待遇の努力 義務というものをお願いしていますが、その範囲については、基本給賞与等あるいは職 務関連の手当等の職務に関連する賃金について対象にしていくという考え方で整理をさ れたところです。ただ、その範囲につきましては、最終的には賃金といいましても非常 に幅広いので、厚生労働省令で中身を定めていくという形になっていて、具体的には厚 生労働省令で定めるものを除くという形ですね。厚生労働省で定めるもの以外の賃金が 均衡待遇の措置の対象になるという法律構成にされていたところです。ですから、ここ の第9条第1項の厚生労働省令では、均衡待遇の措置の対象にならない賃金を列挙して いくという形になります。具体的な中身については、職務関連の賃金でないものを否定 していくということになります。具体的にはそこにある通り「通勤手当」「退職手当」「家 族手当」「住居手当」「別居手当」「子女教育手当」といくわけですが、手当てについては 世の中いろいろなものがあって、それを列挙しきるということは現実的に難しいので、 最終的にはバスケット条項というか「名称の如何を問わず、職務の内容と密接な関連を 有する賃金以外の賃金」、職務関連の賃金以外の賃金はすべからく外しますよという形で、 最終的に職務関連の賃金が対象になるように手当てをしたいということです。これにつ いてもこの分科会での議論の結果のとおりだと考えています。  次に第10条第1項「教育訓練」の関係です。ここについては、第1項というのは職 務関連の職務遂行に必要な教育については必ず実施してくださいという規定ですが、た だ改めて教育をする必要のない場合もあるだろうということで、そういうケースについ ては厚生労働省令でしなくてもよいという形で除外するという考え方でした。そのとき に具体的には既に能力を持っている方、前の会社や前の職場で既にしていて、移ったけ れども教育訓練をする必要のない形については対象としなくてもよいという議論があっ たと思います。それを踏まえて、第10条第1項において、そこにある通り、「職務同一 短時間労働者が既に職務に必要な能力を有している場合」には改めて教育訓練をしなく てもよいという形に手当てをしたいと考えています。  最後の第11条「福利厚生施設」の関係については、利用の配慮義務をお願いしてい るところですが、施設の範囲については厚生労働省令で定めるとなっていたところです が、これについては、この分科会の議論で三つの施設と考えられていたところで、具体 的には「給食施設」「休憩室」「更衣室」というものでしたが、それをそのとおりに規定 をさせていただきたいと考えています。  それ以外に、欄外に書いていますが、今回のパート労働法の改正においてパート労働 者の関係についての調停制度というものを導入していますが、その調停の手続きについ ては厚生労働省令で具体的に定めることになっていますが、これについては既にご案内 の男女雇用機会均等法において調停という手続きが導入されていて、そこで手続が定め られておりますので、パート労働者の調停についてそれと替わるもの、違うものを設け る必要はないと考えていますので、中身を具体的には書いていませんが均等調停並びの 手続きを厚生労働省令で定めていきたいと考えています。以上が資料No..6の説明です。  続きまして資料No.7の指針の改正の考え方について説明します。今回の法律の改正を 踏まえてパートタイム労働指針の改正が必要と考えていますが、本日は初回ということ で、私ども事務局の方から改正に当たっての方針を案として提案したいということで作 らせていただき配っている資料です。中身に入る前に、とりあえず読み上げたいと思い ます。 ○富田調査官  読み上げさせていただきます。  「事業主が講ずべき短期間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針の 改正に当たっての考え方  短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下『パート労働法』という。)が改 正されたことに伴い、現行の事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のため の措置に関する指針(以下『パート労働指針』という。)についても見直しが必要となる。  その見直しに際しては、改正パート労働法に係る国会の附帯決議及び国会審議の過程 で指摘された事項に留意する必要がある。  また、パート労働指針は、改正パート労働法第14条に基づき、同法第6条から第11 条まで、第12条第1項及び第13条に定めるもののほか、第3条第1項の事業主が講ず べき雇用管理の改善等に関する措置等に関し、その適切かつ有効な実施を図るための指 針として策定するものである。しかしながら、現行パート労働指針は、平成5年の制定 当時のパート労働法の位置づけを大きく反映しており、パート労働者には一般的な労働 者保護法令が適用されないといった誤解を避けるため、他の労働関係法令の規定を確認 的に規定し、そのことを周知し、短時間雇用管理者にこれらの事項を管理させることに よりパート労働者の雇用管理の改善等を図ることに主眼があったことから、パート労働 法に定められている事項をはじめ、パート労働指針において幅広く規定されていた。今 回の改正により、パート労働法自体も均衡待遇を柱とする独立した法体系へと変化した ことから、今後はパート労働法本体に定められた事項の施行に重点を移すこととし、パ ート労働指針は、改正パート労働法第14条の本来の趣旨に戻って、再整理することが 適当である。  以上を踏まえ、パート労働指針の改正に当たっては、以下の考え方によることとして はどうか。 1 現行のパート労働指針から法律上措置された事項を除くこと。 2 国会の附帯決議及び国会審議の過程において指摘された事項について指針上必要な 措置を講ずること。 3 他の労働関係法令に規定している事項についてはパート労働指針上は規定せず、他 の労働関係法令も適用されるということを確認的に述べること。 4 解釈に関わる部分については、行政通達によって明らかにすること」 以上でございます。 ○高崎短時間・在宅労働課長  今読み上げたものですが、まさにそこに書いてあるとおりで、経緯的に申し上げます とご案内のとおりパートタイム労働指針は実はパートタイム労働法が制定される前から あったわけです。いわばパートタイム労働対策というものは、最初はパートタイム労働 対策要綱という通達レベルのものだったわけですが、それを指針に格上げして、いわば 指針行政といいますかパートタイム労働指針による行政を進めてきた歴史的な経緯があ る中で、平成5年にパートタイム労働法が制定されて、それ以降はパートタイム労働法 に基づく指針と性格付けを変えたのですが、従来の指針をいわば経緯的に受け継いで今 日に至っているというところです。それにつきまして今回平成5年の制定以降、実質的 には初めての大きな改正ということで、パートタイム労働指針の見直しというのが行わ れることになります。  私どもの提案としますと、いわば少し再整理をしたらどうかという提案で、具体的な 方針については下の1〜4に書かれていることです。  具体的に申し上げますと、1は現行のパートタイム労働指針は実はパートタイム労働 法則に書いてあることを改めて指針にも二度書きするという形になっていますが、法律 上は実はそこは住み分けされていて、法律以外のものについて書くというのが本来的な パートタイム労働指針の法的な位置付けですので、その点については今回法律上措置さ れた事項というのは指針から抜いていく。指針と法律で住み分けをしていくとしてはど うかというのが1点目の提案です。現行のパートタイム労働指針から法律上措置された 事項については除いていこうということです。  2点目は、先ほどから議論になっていますが、国会の附帯決議なり国会の審議の過程 において指摘された事項について、指針上必要な措置を講じていこう。必要なという中 身については議論があると思いますが、そういうことで進めてはどうかというのが二つ 目の提案です。  三つ目は、実は現行のパートタイム労働指針は大部分がここに当たるわけですが、パ ートタイム労働法だけではなくて、それ以外の労働基準法や労働安全衛生法、男女雇用 機会均等法、育児介護休業法、そういうさまざまな労働関係法での規定について、パー トの適用場面をいわば二度書きというか、改めて書いているということがあり、これに ついても他の法令等で手当てされているという部分ですので、これについてはパートタ イム労働指針の中からは整理をしたらどうかということです。ただパートタイム労働者 には例えば労働基準法の適用がない、あるいは年次有給休暇は与えなくてもよいという 誤解があって、具体的な問題があるというご指摘もあるわけですし、現状そういうもの もあるので、そういう他の労働関係法令はパート労働者にも適用されるのですよという ことについては、原則論としては引き続き確認的に位置付けてはどうかという提案です。  4点目は逆にパートタイム労働指針にはパート労働法の解釈にかかわる部分を書いて います。例えば典型的に申し上げますと、現行のパートタイム労働法において、第6条 で労働条件について文書交付の努力義務を掲げていますが、そこにおいては労働時間そ の他の労働条件に関する事項を文書で交付するように努めなさいと書いています。労働 時間その他労働条件に関すると書いていますが、では何がそこの中に入っているかにつ いては、法律を見てもわからない。そこは当然法律の条文の解釈になりますが、例えば 中身について指針にいろいろ書いているというものがあって、そういうものについてま さに法律上の解釈の部分で、法律以外のものについて規定しているわけではありません ので、そういうものは逆に行政通達で明らかにしていく。この行政通達はもちろん公開 のものですので、中身については広く周知されるわけですが、そういうものとして再整 理をするということです。  以上を一言でまとめますと、いわばパートタイム労働指針による行政であったものが、 今後はパートタイム労働法の施行あるいはそれに基づく行政に替えさせていただきたい。 その過程において、指針の見直しをさせていただければというご提案をしているところ です。以上でございます。 ○林分科会長  ありがとうございました。 住み分けということで指針の整理等も含めて新しい方針と いうのが説明されたわけですけれども、ただ今の事務局の説明につきまして、ご質問等 があればお願いいたします。 ○龍井委員  具体的な項目に移る前に、今お示しになった4項目について少しコメントさせていた だきたいと思います。 ○林分科会長  資料No.7ですね。 ○龍井委員  そうです。先ほど若干議論がありました国会の論議状況について、この指針の議論で どう反映していくかという問題提起もありましたけれども、これは今回の指針論議にか かわらず、この法案をめぐってもちろん建議段階での論点と重複する部分はあるとして も、新しい視点からの問題提起など、そうした論点について私は十分参酌していくべき だし望ましいと思っています。それが1点目。3項目目ですが、先ほど高崎短時間・在 宅労働課長の説明でかなりの部分が関係法令の周知に割かれているというご指摘があっ て、それはそのとおりだろうということは文面を見ればわかるのですけれども、ただ先 ほどご説明があったように、まさに指針をベースに行政が行政指導などを進めてきた、 あるいは法律についての周知も指針を通じてなされてきたという経過を考えると、先ほ どご指摘があったような原則的なものに絞り込みたいということがあったのですが、今 の周知ということが後退しないように、逆に言いますと指針が様変わりをすることによ って、その部分の必要性が後退しないような書きぶり、行政の対応をお願いしたい。ま ず総括的にその点について指摘したいと思います。2点目について、もしお考えがあれ ばお聞きしたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  他の関係法令について、パート労働者に適用になるということを周知の段階において 現状以上に後退しないようということ、それはまさにそのとおりだと思っています。具 体的には、私どもとしては、実際上はパート労働指針だけを文書化して、それを周知の 活動に使うという場面というのは基本的にはないわけで、何度か皆さま方も見ておられ ると思いますけれども、私ども行政としては、パンフレットやリーフレットなどのよう なわかりやすく中身を説明したような広報資料を使って具体的に周知活動を展開するの ですけれども、その場面においては、労働関係法のみならず例えば附帯決議にもありま したけれども、税制上のそういう逆転現象の問題あるいは労働分野に限らず社会保障分 野、年金適用の問題なども含めて周知をしていくことは現状もやってきたわけですし、 今後も指針の中でそれがどう整理されるかとは関係なく、国民なり事業主の皆さまにと ってパート労働法の適用関係はどうなっているのかを、よりわかり易く周知していくと いう姿勢は全然変えるつもりはございませんので、引き続きそういうことでわかりやす い広報資料を提供していったり、それに基づいて周知等に努めていきたいと考えている ところです。 ○林分科会長  他にご質問等ございますか。 ○斉藤千秋委員  斉藤千秋です。資料No..6の「厚生労働省令で定める事項(案)」ということで、現行 の考えというよりも今後の検討の中でぜひ考えていただきたいということで意見させて いただきたいと思います。まず、第9条第1項の「賃金」ということで、これまでの分 科会の中で建議の内容について論議されたものが例示されているというご説明だったと 思うのですが、職務関係ではないものということで、国会論議の中で通勤手当について のご意見があったと思っています。それをどうとらえていくのかと。建議を作る段階で は通勤手当は賃金ではないということになっていたと思うのですが、そういう附帯決議 の付く国会の論議の中で出てきたものですのでどう考えるかと。実態として、通常の労 働者が賃金として支給されている例もありますので、その辺についての考え方をもう一 回整理してもよいのではと思っています。また、仮に賃金ではないということで例示さ れているこの六つの「通勤手当」〜「子女教育手当」ということになっていますが、こ れを第6条第1項「労働条件に関する文書の交付等」ということで3点、これは建議の 内容だったということなのですけれども、それの有無という中にきちんと明記していか なければいけないのではないかと思っています。というのは、賃金ではないということ になってきますと、この諸手当の関係が支給されるのかされないのかというようなこと について、きちんと書いていくこと、特に通勤手当については、実態として採用の時に 一部支給あるいは定額支給ということで雇い入れられた後に、払われているものが一部、 3分の1ぐらいしかないというような実態があるようなので、その辺の支給の額をきち んと明記していくように定めていく必要があるのではないかということです。これは今 後の論議ということになると思いますが、少し意見をさせていただきたいと思います。 ○林分科会長  では、ご意見として承っておきます。その他にございませんか。 ○奥山委員  確認ですけれども、今おっしゃった話で「賃金ではない」「賃金である」という話をさ れましたが、これは労働基準法の定め方にもよりますが、通常は就業規則等で支払いが 定められていますと労働協約の賃金であることは間違いないのです。これとの関係では 今回は職務に関連するものについてだけ手当てをするということですから、そこが外れ ているわけで。賃金ではないという言い方は、少し誤解を受けるような気がしますので。 ○斉藤千秋委員  それは認識しています。整理を先ほどご提案された時にそのように言っておられまし た。それを前提ということで発言しました。 ○林分科会長  その他にご意見ございますか。 ○松井委員  事務局の案としてパート労働指針を整理をしていくことについては大変ありがたいと 思います。要するに指針で何でもかんでも盛り込んでいるというと事業主の方からする と、特に中小企業などにおいては「こんなに全部やるのか」という気にならざるを得ま せん。  先ほど高崎短時間・在宅労働課長からパンフレット等でパート労働法以外のことも含 めて周知を図るという説明がありましたけれども、ぜひそういう媒体を通じて全体の雇 用管理がわかるようなものは作っていただきたいと思います。その際、やはり指針には 今回の法律改正の趣旨が活かされるという原則を貫いていただきたいと思います。建議 の段階で、かなり前段では先ほどご指摘があったような通勤手当あるいは国会でもあっ たようですけれども慶弔休暇・慶弔見舞い金などについても、今回の法律はある程度仕 事に関連するものを中心に、そこを軸足に置いて均衡を図っていくというのが大きな流 れだったと思います。そういう大きな流れについて企業が自由に取り組むことは、それ はそれで差し支えないと思います。それは人材を引き留めるあるいはより良い人に来て もらう、そういうことをやることがいけないと言っているわけではありません。ただ今 回の法律は事業主に対して相当義務を図っていくような内容が多いと思います。ですか ら義務を図っていく内容は、基本的には仕事に密接に関係あるもの、そこに基づいた形 での均衡を図っていくというのが趣旨になっていると思いますので、その趣旨が貫かれ る形での指針とパンフレットなどの策定をお願いできればと思います。これは、お願い です。  それから質問なのですが、資料6の文書交付についてファクシミリが入っていないと いう、そもそもの理由は何なのでしょうか。入っていないから、とりあえず入れるとい うことなのですけれども、ファクシミリで送られたものも文書とみなされていない、文 書交付とされない理由というのは。もしわかれば教えていただきたいのですが。 ○高崎短時間・在宅労働課長  少し説明が足りなかったかもしれませんが、要するに今回のパート労働法第6条は、 その法律にも書いてありますが「労働基準法の定めるものの他」となっているわけです。 ですから、ベースにあるのは労働基準法の解釈ということに当然引きずられざるを得な いという前提で申し上げますと、現行の労働基準法の第15条に労働条件の明示の際の 文書の交付という規定を、いわば行政解釈しているのは労働基準局という担当部局です けれども、そこにおいては文書には当たると思うのですが、ファクシミリで送られて打 ち出された紙自体は文書であることは明白な話であると思いますけれども、ただそれは 文書の交付には当たらないということだと思うのです。そういう解釈というか運用され ているというわけです。そういう意味で、今回同じ文書の交付という言葉を使っていま すので、それ以外のものとして法律上紛れがないように今回は手当てさせていただきた いということです。 ○松井委員  それでは、文書を郵便などで送った場合は文書交付ではないのでしょうか。特に派遣 社員の文書交付について、携帯メールなどでは駄目だと言って直接来てもらわない時は 郵送しているケースもあると私は聞いていますけれども。それは違反になってしまうの でしょうか。 ○富田調査官  労働基準局の所掌になりますので正確なことは申し上げることはできませんけれども、 基本的にファクシミリと郵送の最大の違いは、郵送ですと文書そのものが届けられると いうことがあると思うのですが、ファクシミリですと途中で電子媒体に変換されるので す。だからそういう観点で、やはり差はあるのではないかと考えています。正確には、 この場ではお答えできませんが。 ○林分科会長  それは次回までに事務局の方との間で確認してください。その他にご質問等あります か。 ○鴨委員  今のところに関連しての質問なのですけれども、この時の文書の中身というのは、今 までですと雇入通知書のモデルケースというのがありましたよね。そういうものを基本 として文書の中身を考えているということでよろしいのかということと、それから電子 メールの送信も入っているのですけれども電子メールの送信は、その中身も今の中身な のかということと、それと確認事項になるのですけれども、電子メールで送ってそれに 対しての文書で、電子メールで中身を周知したという考え方ですよね。送ってイコール それは契約という考え方ではないですよね。それを確認しておきたいのですが。 ○高崎短時間・在宅労働課長  もちろんこれは労働条件の明示という場面の話で、労働契約自体はまさに民法の原則 に基づいて労使者間の合意、それはもちろん口頭による合意もあるのでしょうけれども、 そういうもので別途成立しているというわけですけれども、それ以外に労働基準法にお いては最低労働条件の確保という観点から、一定の事項については「文書で明示しなさ い」「中身について明らかにしなさい」ということを規定しているわけです。その中身と して今回の「労働条件の文書の交付」についてもそれが当てはまっているということで、 いわば委員がご心配のように、送り付けたから「それでもう受け取った」「それで合意だ」 というように擬制されるとか、みなされるとかいうようなものではないということは、 その通りだと思います。  もう1点目の方の雇入通知書ですけれども、これはもちろんいろいろな様式を法律の 要件に従って作っていただくことは構わないし全然問題ないのですけれども、他方でや はりそうは言っても自分で考えるのはなかなかという声があるのも事実で、現在でもそ うですけれども私ども行政の方でモデル様式としての雇入通知書を示して、それに基づ いて明示をしていただければというようなことで広報資料などに入れて普及していると ころです。そうやって引き続きやっていきたいと思っております。その際には、新たに 加わりました三つのものも含めた形の様式を考えて提示していきたいと考えています。 ○林分科会長  では、その他ご質問等ございますか。では岡本委員。 ○岡本委員  先ほどの議論の中で申し上げればよかったのかもしれないのですが、審議会の建議に 基づいてこの法案ができて、今回国会修正がなかったわけですけれども、国会での議論 の中身それからこの附帯決議をこの審議会でも重く受け止めるべきだろうと思います。 その上で、正社員の労働条件の不利益変更についてなのですが、先ほどもご説明があり ましたが、国会でもかなりの時間を割いていろいろと議論が出たところで、これは議事 録などを見ていただければわかると思いますけれども。その中で柳澤厚生労働大臣も「労 働条件の不利益変更を事業主の一存で合理的な理由なく一方的に行うことを労働組合法 的に容認されないものと考える」というようなお答えなどをしていただいています。ぜ ひこの不利益変更の取り扱いについて、どのようなものが不利益変更なのかという事例 も含めて、きちんとした形でできれば指針などに例示を書くことができないのかという ことを意見として申し上げたいと思います。特に正社員の不利益変更だけではなくて、 例えば国会の議論の中では今の文書の提示がありましたけれども、その労働条件につい て「なぜ自分は均等待遇ではないのか」ということを聞いた場合に、それによって何か 不利益な変更というものをしてはいけないというような議論もあったと思いますので、 いわゆる不利益変更というものについての一つの項目というのでしょうか、そういった ものをきちんと明示していくということが必要なのではないかということを意見として 申し上げたいと思います。 ○林分科会長  はい、松井委員。 ○松井委員  不利益変更の問題は、今の労働契約法案で規定されております。そこに至るまでの議 論は今田委員もよくご承知だと思いますけれども、労働条件分科会で相当やった結果ど うにかきているということがありますので、指針で書いてというレベルではなくて、こ れはやはり本法の範疇ではないということで、考え方としてパンフレットなどに書くこ とは差し支えないと思いますけれども、なぜそこまで書くのかという、では書くとした らここでもう一度ゼロから議論してやるということなのでしょうか。これは労働側が特 に労働条件分科会でああでもないこうでもないとたくさん言って、最終的に法案として いく時もものすごく大変だったこと、その辺については岡本委員は十分ご承知の上でご 発言されているのか。そこを確認したいです。私はいちいち指針に入れるべきものでは ないと思います。 ○林分科会長  では、岡本委員。 ○岡本委員  確かに建議のところでの議論では、あまりそこのところは触れてなかったと思うので す。ただ、ご存じのように労働契約法は今どのような状況になるかわからないわけです。 確かにその中で全部包括的に入ればその時点で変えるということはあるかもしれません けれども、少なくとも今回はパート労働法が先に法律化、施行されるという状況から考 えれば、まずそこのところをきちんと明示していくということは必要だと思いますし、 この場で時間があるのであればきちんとその議論をしていくことはやってよいのではな いかと思います。 ○林分科会長  はい、鴨委員。 ○鴨委員  今のことに関してですが、私も岡本委員と同じ考えです。きちんと指針の中にも不利 益変更について明示すべきだと思います。なぜならば、こういったパート労働法が作ら れるということが出た段階で、既にこの附帯決議の中では、正社員の労働条件について ということが入っていますけれども、いわゆる逆バージョンという形で、例えばある意 味ではほとんど正社員と同じ条件で働いていたパート労働者を、逆にこのパート労働法 を多分意識してであろうと思いますけれども、いわゆるフルタイムパート、雇用形態名 称を変えて、他の形態に変えていくというような具体的な例も既に動き出しております ので、この法律によってパート労働者が不利益を受けることがあってはならないという のが前提だと思います。だからこれはきちんと入れるべきだと思います。 ○林分科会長  では、松井委員。 ○松井委員  指針はパート労働者が不利益を受けることがあっては、すみません、附帯決議で言っ ているのはそういうことではないですよね。ただ恐らく国会の論議ではそういう議論が あったかもしれませんが、まず事実関係の整理だけをしてください。今、鴨委員は附帯 決議ではそこまで言っていることではなくて、いわゆる正社員、通常の労働者の労働条 件を下げるのは、合理的でなくて一方的であることは駄目だと。そういうことだけです よね。 ○林分科会長  では、附帯決議の件。 ○高崎短時間・在宅労働課長  それはそのとおりです。附帯決議に示してあります「五」項目を見ていただければと 思います。「正社員の労働条件について」と書いてありますので、正社員の不利益、労働 条件の不利益変更についての附帯決議だと理解しております。他方、国会の審議過程に おいてはパートタイム労働者の問題についても議論がなされたということも事実である と思います。 ○林分科会長  この件については。はい奥山委員。 ○奥山委員  今ので私個人は結構だと思っておりますが、今の点について意見というか感想を申し 述べさせていただきたいのですが。五の附帯決議について、国会の中で具体的にどのよ うな細かい議論がなされたかは知らないのですが、恐らくその趣旨は、一方でパート労 働者という短時間労働者を雇用することによって、少し言葉は適切ではないかもしれま せんけれども、引きずられて結果として正社員、通常の労働者の賃金等の労働条件も下 がるということを防ごうという、全体としてはそこの事業所においてパートで働いてい る人、あるいは通常労働で働いている人の労働条件の低下を全体として防ぐような趣旨 が入っているのではないかと思っています。それから、それに関連してこの五は正社員 の労働条件について不利益取扱いということですから、ここでいうパート労働者の指針 というのはあくまでもパート労働者の通常労働者との均衡を図るためのパート労働者の 労働条件についての具体的な指針が原則だと思っております。ですから、この五の正社 員の労働条件についての具体的な不利益取扱いの中身をここで書けというのは形式上無 理ではないかと思います。  それからもう1点は、これは私が労働法という法律をやっていることからくるのです が、通常こういう場合の正社員における労働違反、不利益変更というのは、やり方とし ては一般的には会社の就業規則を改定して条件の不利益変更するという形になろうかと 思うのです。その場合には裁判所の判例法理としては合理性の判断基準というのがあり ますから、その合理性の判断の中でパート労働者の労働条件を設定したことの関係で通 常の労働者の労働条件を改正しなければいけない必要性があるかなど、そういう個々の 事業所の中の具体的な諸事情に照らして、その変更の必要性と変更内容の相当性という のが判断を対象になろうかと思いますから、それはあらかじめこちらの例えば仮に通常 の労働者の不利益についての具体的な例を挙げてもそれは少し難しいだろうという気が しておりますので、趣旨はよく理解できるのですが、大きな枠としてそういうことをぼ んとどこかで書くということは非常に大事なことだと思いますが、それ以上に具体的な 不利益の例を挙げろというのはこれでは無理というか難しいと思っています。ご意見だ け。 ○林分科会長  はい、龍井委員。 ○龍井委員  国会の議論の中では、やはり大谷雇用均等・児童家庭局長も、パート労働法の適用に よって固有に起こる問題だけではなくて一般的な判例に基づいて立法的な不利益変更は できない、そのことを広く周知していきたいということを国会で答弁されているので、 当然まず一般原則として不利益変更がどういう対象であれ、あってはいけないというの はある意味では当然のこと。ただ問題は、やはり現に起きているトラブルからいっても、 あるいは今回の本来の趣旨が、我々が検討を求めた場合に、そこで生じる懸念されるこ とをあらかじめ回避しておきたい、それがまさにこの法律の趣旨ではないのだという面 では、この法律の運用にかかわる固有の問題との両方の面があって、やはりこの附帯決 議の中では前段に申し上げた一般的な原則と同時に今回のパート労働法の運用に当たっ て生じるものについてあらかじめその疑念を晴らすというか趣旨はこうだと誤解のない ようにする。その免役は指針に十分該当するレベルのことだろうと思っていますので。 書きぶりは今附帯決議が書かれているご指摘になった正社員の問題、これは附帯決議レ ベルで書かれていることと、それから短時間労働についての問題の書きぶりを分けるこ とは可能だと思います。両方ともそのレベルの問題として入れるべきだと。つまり指針 レベルの問題で入れるべきだと考えています。 ○林分科会長  それぞれご意見が出ましたので、そのご意見を踏まえて次回までに指針を。 ○齊藤惠子委員  今回の指針を改正するに当たって、国会で大臣の答弁にもありましたように法律の改 正により現行の指針の内容を後退させるということは一切考えていないという答弁があ りましたので、現行の指針に記載されている部分が、この法改正において新しく指針を 改正するに当たって省かれるということがないようにしていただきたいと思います。例 えば、福利厚生施設は省令で給食施設等3点ありますが、指針の中には体育、リクレー ション、医療施設などは「努めるものとする」と記載されておりますし、また国会の答 弁の中で慶弔見舞金や慶弔休暇などについても通常の労働者が受けているものについて はパートタイム労働者についてもこれを適用するようにした方が均衡の部分からよいの ではないかという答弁がありましたので、この部分については考慮して指針の方に入れ ていただきたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  今のご意見の前段部分、施設の部分について、まさに今回法律上の配慮義務の対象と なった3施設以外の施設についても現行の指針で医療、リクレーション等々書いていま す。今回法律上3つの施設を配慮義務の対象にする前提として、それ以外のものは省く というような合意がされたと私どもも当然理解しておりませんので、そこは私どもの提 案どおり指針から法律上措置するものを抜くとしても、残った部分は当然引き続き形式 的な整理はしますが、指針の上で残っていくのかなと考えています。もう1点後段言わ れました福利厚生施設以外の福利厚生の部分については、国会の審議でそういう議論が あったということは私どもも承知しておりますけれども、これはご案内の通り現行の指 針には何も書かれていない部分で、そういう意味では形式的な指針の整理の中では措置 されない部分かと思っていますので、多分そこは私どもの提案いたしました考え方で言 えば、4項目のうち2項目の中身として労働側の方でそういうご主張をされるのであれ ばしていただかないと、要は何と言いますか自動的に出て来るべき整理の中身ではない と私どもは理解しております。そこは少しレベルが違う問題ではないかと思っています。 ○林分科会長  はい、松井委員。 ○松井委員  繰り返し申し上げますけれども、今の慶弔休暇や通勤手当は建議をまとめる段階でも いろいろ議論があったところです。国会でも指摘されているのかもしれません。企業側 から見れば絶対やらなければならないのは何なのかということを、まずはっきりしてほ しいということ。それ以外のものについては、企業の判断で、あるいはその従業員を引 きつけるためにやることは構わないと思います。そうでないものまでもいろいろ盛り込 むということについては、私ども企業は何をやったらよいのか明らかでなくなるので非 常に困るということだけは申し上げておきたいと思います。そういう観点から、わかり やすい指針そしてやるべきものは何なのか、さらに指針でも今までのものが残ると言う ならば残すのは構いませんけれども、レベル感が違うということを企業としてわかるよ うなものをつくってもらわないと、「何でもかんでもやれ」というようなことを書くのは 困ります。それだけは申し上げておきたいです。そのときの考え方として、今回の法改 正というのは職務に注目したものであるということを踏まえてやってほしい。そうでな い部分については、労働者側が組合運動としてどんどん勝ち取ってもらうための努力を してくださることを私は否定しているわけではありません。以上です。 ○林分科会長  はい、龍井委員。 ○龍井委員  まさにレベル感を分けているからそういう主張をしているのであって、つまり指針の 今までの中身から、どこまで法律上に格上げしていくか。格上げでもご承知のようにレ ベルが違うわけですが、そのときに松井委員が指摘された経過があったことは事実かも しれません。ただ、今同時に考えなければいけないのは、それに伴って指針についての 見直しをするかという議論をしているので、格上げをすべき議論で合意に達した話と指 針について拡充していく話というのはまさにレベル分けをすべきであって、従って私ど もが今主張しましたような慶弔見舞金、慶弔休暇の扱いや通勤手当の扱いというのは、 もちろん法的義務の対象にならないとしても、指針上の今後広めていくべきあるいは拡 大していくべき分野としては当然ではないかと。ましてやレベル分けを踏まえて主張し ていますので、それをご理解いただきたいと思います。 ○林分科会長  この点については、それぞれご意見を今日伺ったということで、次回までにたたき台 を出していただくときに、また再度ご意見を交わしていただくということになりますが、 それ以外に何か。 ○佐藤委員  今日お答えいただかなくてもよいのですが、指針の解釈になるかもしれませんので少 しご検討いただきたいことの一つは、パート労働法はパート労働者と通常の労働者の処 遇の均等・均衡なのですが、この通常労働者というのは誰なのか。一応解釈通達か何か に正規型の労働者と書かれていますが、では、正規型の労働者はまた誰なのか。無期契 約かというと短時間の無期契約の人もいるのです。パート労働者は短時間ですからわか ります。しかし、フルタイムとは何なのか。フルタイムだと、有期のフルタイム労働者 がいるわけです。ですから、通常労働者というのが誰なのかということ、つまりパート 労働法ができたときは、正規型の労働者で多分よかったと思うのですが。いわゆる正社 員、正社員が何かというのは法律上どこにも書いていないのですが、正社員も非常に多 様化しているのです。この前ある会社が相談に来たのですが、その会社は、正社員、こ れは当然無期契約なのですが、時間で見ると週40時間の人もいれば、35時間、30時間、 20時間の人も全部正社員なのです。本当にテンポラリー(temporary)な小売業ですから。 しかし、圧倒的に通常の会社が有期にしているのを無期契約でやっている会社なのです。 そうすると、「うちは何をすればよいのか」と。つまり、「みんな正社員だ」と。そうす るとパート労働法を適用する人は、ほとんどがテンポラリーな人で「うちは関係ないの ですか」という相談を受けたのです。つまり、通常の労働者は何かということをきちん と言わないと、企業は事実上処遇の均等・均衡をやれない時代になってきたということ で、それを少しご検討いただきたいというのが、一つです。  2番目は、フルタイムパート。附帯決議でも「いわゆる」と書いてあるからいいので すけれども、大事なのはパートという名前を付ければ、つまりフルタイムパートという 言葉が、いろいろなところで使われるのがよいのかどうかということです。基本的にパ ート労働者は短時間の人だということです。それをよくわかりませんがフルタイムパー トと言って、フルタイムだけどパート労働者だというのはやはり良くないだろう。つま り、パート労働者は短時間であるということを定着させていくということが大事だと思 っています。そういう意味では、まさか公共職業安定所などでフルタイムパートという 求人ができることはないだろうなと。基本的には労働時間がどうなのか、雇用契約がど うなのかということです。フルタイムパートなどという言葉が、いろいろな政策文書の 中に、基本的にはフルタイムパートという言葉を特に求人などに使ってほしくないと思 っています。パート労働者は短時間の人ですというように事業主が求人していただき、 求人にエントリーする人にパートという字が「これは短時間なのですね」とわかるよう にしていくということは、結構大事ではないか。フルタイムでパートなどという言語矛 盾のものは使われないようにしていくことがとても大事かと思いますので、よろしくお 願いしたいと思います。 ○林分科会長  山本委員。 ○山本委員  企業をやっていますと、今のご意見が非常に身に染みたといいますか、言っているこ とが正しいかどうか分かりませんけれども、フルタイムパートとは言わないです。契約 社員と言っていますから。何が違うかと言ったら、要するに月給制かあるいは時給をベ ースにしているかということが違うだけのことであって、1日8時間であることや通常 社員ということが一体どういうことかということが、今、規定の問題もありましたが、 一般社員と同じだけの時間を勤務するのだけれども、実際に月給制ではないので、それ と1年ごとの契約更改ということになるから、それは通常社員とは違うが、一般的にフ ルタイムパートとは呼ばないです。だからやはりそれは社員という概念を広くとらえれ ば、社員ともとらえられます。そこまでフルタイムパートと言ってしまってよいのかど うか。一体何がフルタイムパートなのだという疑問に今ぶち当たってしまったのですが、 社員に準ずるところの社員なのですが、これはやはり社員なのです。ということだから、 その辺は一律的な、単純にパートなどと一言で片付けきれない労働の多様性というもの はもう少し配慮しながら言葉を使っていかないといけないのかなという感じがいたしま した。意見です。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  今のところなのですが、山本委員のところではフルタイムパートは、きちんと契約社 員ということで契約されているということだと思うのです。私はそれで良いと思うので すが、ただ、実態的には全く労働時間も労働日数も同じであるにもかかわらず、賃金や 処遇において、正社員とかなりの格差を付けられている。契約書の中身はパート労働者 ですとなっている。そういった人たちも片やたくさんいるわけです。その意味において は、いわゆる附帯決議にも「フルタイムパートについて」ということが入っていますの で、そのところはきちんと指針の中にも入れていくべきだと考えています。 ○林分科会長  均衡待遇を考えていく上で、通常労働者ということを明確にする必要があるという佐 藤委員のご指摘も非常に重要だと思いますので、その辺も踏まえて事務局の方でも、今 後どのように指針なりパンフレットなりで、考えていらっしゃるのかを次回までに明ら かにしていただきたいと思います。 ○樋口委員  ちょっとよろしいですか。 ○林分科会長  はい、樋口委員。 ○樋口委員  まさに今出ている問題というのは、雇用形態の多様化に伴って、ある意味では従来の パート労働者を労働時間の短い労働者を対象としたというものの限界が議論されている のではないかと思うのです。一方においては、有期の労働者などを含めてもっと総合的 な法律体系を作るべきだというようなことが議論としては登場しているわけですが、今 回はもう法律は通った上での指針をどうするかというところの整理で今議論しているわ けです。そこまで守備範囲を広げていくと、恐らくまた別の法体系など、とてもここで は議論できないようなところまで行ってしまいますので、今問題になっているところに ついて限定して、議論を進めていっていただきたい。また別の問題というのは、当然雇 用形態の多様化の中で出てきていますので、それはそれなりの議論を別途にしないけれ ば。議論が混乱してきたのではないかと懸念します。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  しつこいようでごめんなさい。そこには非常にこだわりを持っています。ただ、国会 の審議の中においてもフルタイムパートの問題はかなり議論されているわけです。そう いった中で当然「この改正法案の考え方が考慮されるべきであると考えている」という 大谷雇用均等・児童家庭局長の答えもあるわけですし、「企業の雇用管理の実態を考えて もそうなっていくことが望ましいと考えている」という答えもあるわけです。こういっ たところについては、今回これ以降の指針のところできちんと生かしてほしいという意 味で言っているつもりです。 ○林分科会長  松井委員、どうぞ。 ○松井委員  では、少し鴨委員にお聞きするのですけれども、具体的にどういうことを書きたいな ど、イメージをおっしゃっていただきたいです。私は、指針でなくパンフレットなどで 周知することを反対しませんが、指針で書くというのは、どういうことを具体的におや りになりたいのか、そこが今一つよくわかりません。私は、全く問題が起きていないと いうことを言うつもりもありません。けれども、そこまでおっしゃるのなら、具体的に どうするのか。そこは、今までの審議会の議論の中でもやりとりがあって、それでとり あえずの整理をしたということもあります。そういう場合には、何か入れてほしいとい う意見を言うならば、入れてほしくないという意見だけは、まず言っておきます。 ○鴨委員  今、申しましたように、私もこの文言できちんと入れてくださいと言っているつもり はありません。ただ、この間の国会答弁の中での範疇で、文言としてどこかに入れてほ しいと言っているだけです。以上です。 ○林分科会長  他にはご質問、ご意見等はないですか。それでは、本日はこれくらいにさせていただ きたいと思います。省令に関してはそれほどの議論はなかったと思いますので、事務局 において省令案作成を速やかに進めていただいて、次回の分科会において省令案として 諮問されることになると思います。また、指針に関しては、今日は非常に多くの議論が なされましたので、本日の資料No.7および本日の議論を踏まえて、指針改正案のたたき 台を次回の分科会に事務局から提出していただくようお願いします。その上でもう1回、 次回にその議論を尽くしたいと思います。よろしいでしょうか。  では、今日の分科会はこれで終わりますが、本日の議事録の署名委員は、労働者側が 鴨委員、使用者側は吉川委員にお願いします。最後に、事務局から次回の予定について 連絡があるとのことですので、お願いします。 ○香取総務課長  本日はありがとうございました。次回の予定ですが、7月19日木曜日です。午前10 時からの開催を予定しています。場所等の詳細については、決まり次第改めてご連絡し ますので、よろしくお願いします。 ○林分科会長  では、これで終わります。 照会先:厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課(7876) 27