07/06/21 平成19年6月21日薬事・食品衛生審議会 医療機器安全対策部会議事録について 薬事・食品衛生審議会 医療機器安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成19年6月21日 14:00〜   霞が関東京會舘「シルバースタールーム」 2.出席委員(19名)五十音順    井 部 俊 子、 内 田 恵理子、 甲 斐 知恵子、◎笠 貫   宏、    許   俊 鋭、 佐 伯 晴 子、 澤     充、○勝 呂   徹、    高 谷 節 雄、 土 屋 利 江、 土 屋 文 人、 那須野 修 一、    西 島 正 弘、 配 島 由 二、  古 幡   博、 松 谷 雅 生、    宮 村 達 男、 目 黒   勉、 横 井 英 人 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(3名)五十音順    天 笠 光 雄、 木 下 勝 之、 釘 宮 豊 城、      3.行政機関出席者   山 田 雅 信(安全使用推進室長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   別 井 弘 始(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長) 他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、ただ今から平成19年度 第1回の薬事・食品衛生審 議会 薬事分科会 医療機器安全対策部会を開催いたします。  本日の部会は、従前の取扱いと同様、公開で行うこととしております。なお、カメラ 撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方におか れましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、 ありがとうございます。本日は、定数22名の委員中18名の委員に御出席をいただいて おりますので、定足数に達しております。なお、天笠委員、木下委員、釘宮委員は、欠 席との連絡を、また、甲斐委員から、若干遅れるとの連絡をいただいております。  また、去る1月末に委員の改選が行われましてから、本日は初めての部会の開催でご ざいますので、まず、委員の先生方の御紹介をさせていただきます。順に、御所属とお 名前を紹介させていただきます。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授、天笠 光雄委員。聖路加看護大学長、井部俊子委員。国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医 薬部第一室長、内田恵理子委員。東京大学医科学研究所教授・附属実験動物研究所施設 長、甲斐知恵子委員。東京女子医科大学循環器内科学講座主任教授、笠貫宏委員。社団 法人日本医師会常任理事、木下勝之委員。埼玉医科大学名誉教授、許俊鋭委員。順天堂 大学医学部麻酔科学・ペインクリニック講座教授、釘宮豊城委員。東京SP研究会代表、 佐伯晴子委員。日本大学医学部教授(眼科学)、附属板橋病院長、澤充委員。東邦大学医 学部整形外科教授、勝呂徹委員。東京医科歯科大学生体材料工学研究所先端医療開発学 専攻教授、高谷節雄委員。国立医薬品食品衛生研究所療品部長、土屋利江委員。東京医 科歯科大学歯学部附属病院薬剤部長、土屋文人委員。横浜労災病院臨床工学技士、那須 野修一委員。国立医薬品食品衛生研究所長、西島正弘委員。国立医薬品食品衛生研究所 療品部第一室長、配島由二委員。東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター医用エン ジニアリング研究室教授、古幡博委員。埼玉医科大学国際医療センター病院長、包括的 がんセンター長、脳・脊髄腫瘍科教授、松谷雅生委員。国立感染症研究所長、宮村達男 委員。国立国際医療センター主任臨床工学技士、目黒勉委員。香川大学医学部附属病院 医療情報部講師、横井英人委員。  次に部会長の御紹介をさせていただきます。これまで部会長をお願いしておりました 笠貫委員に、引き続き部会長をお願いしております。続きまして、部会長代理でござい ますが、前回まで部会長代理をお願いしておりました外先生が委員を御退任されており ますので、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定によりまして、部会長に指名い ただくことになっております。審議会令につきましては参考資料1を御覧いただければ と思います。笠貫先生どなたか御指名いただけますでしょうか。 ○笠貫部会長 笠貫でございます。引き続き、本部会の部会長を務めさせていただくこ とになりました。皆様どうぞよろしくお願いいたします。また、部会長代理の指名です が、前回まで部会長代理をお願いしておりました外委員がお代わりになられましたので、 規定によりまして部会長が指名するということだそうです。部会長代理を勝呂先生にお 願いしたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、勝呂先生、部会長代理をよろ しくお願いいたします。 ○事務局 それでは、勝呂先生、大変恐縮ですが、部会長代理のお席へお移りいただけ ますでしょうか。 ── 勝呂委員、部会長代理席へ移動 ── ○事務局 それでは議事に入らせていただきます前に、一点、薬事・食品衛生審議会薬 事分科会における利益相反問題への対応につきまして、簡単に事務局より説明させてい ただきたいと思います。資料につきましては、委員限りですが、お手元に配付させてい ただいております。  本件につきましては、新聞紙上等でも取り上げられましたので、既にお聞き及びの先 生方もいらっしゃるかとも思いますが、薬事・食品衛生審議会における個別品目の承認 の可否や個別品目の安全対策措置の要否に関しまして、委員の先生方が当該審議品目の 製造販売業者から寄付金等を受け取っている場合に、審議に関与できない場合等を定め るルールを策定しようとするものです。  正式なルール作りにつきましては、ワーキンググループを設置しまして、年末をめど に検討が行われる予定です。また、座長の笠貫先生もワーキンググループのメンバーと して参加されております。  一方、当面の対応といたしまして、正式なルールがまとまります間の暫定ルールが、 去る4月23日の薬事分科会において了承されております。資料にその内容を記載してお りますが、簡単に御紹介させていただきますと、審議品目に関連しまして、過去3年間、 当該企業から年間500万円を超える寄付金等があった場合、当該委員の部会への参加は できません。500万円未満の場合は、部会等へ出席をし、意見を述べることはできます が、議決には加われないということです。なお、当該寄付金等が講演・原稿の執筆料で あって金額が50万円未満の場合に関しましては、議決にも加わることが可能となってお ります。以上が概要です。  それでは議事に入らせていただきますので、カメラ撮りはここまでとさせていただき ます。以後の議事の進行は、笠貫部会長にお願いいたします。 ○笠貫部会長 それでは、議事に入らせていただきます。始めに、事務局から資料の確 認をお願いします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。本日の資料といたしまして、順 に、座席表、委員名簿、議事次第、資料一覧を配付させていただいております。  資料一覧に資料番号が振ってございます。順に申し上げます。資料1-1「平成18年度 の安全対策について(まとめ)」、資料1-2「TAXUSエクスプレス2ステント及びチクロピ ジン塩酸塩製剤の適正使用について」、資料1-3「電波の医療機器等への影響に関する 調査研究結果を踏まえた「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を 防止するための指針」の改正の通知及び医療機器関係者等への周知について(依頼)等に ついて」、資料1-4「「人工心肺装置の標準的接続方法およびそれに応じた安全教育等 に関するガイドライン」の策定及び人工心肺装置等に係る「使用上の注意」の改訂につ いて」、資料1-5「経腸栄養用チューブ等に係る「添付文書」の改訂指示等について」、 資料2-1「医療機器の不具合等報告について(報告)」、資料2-2「医療機器不具合等報告」、 資料2-3「医療機器外国措置報告」、資料2-4「医療機器研究報告」、資料3-1「感染症 定期報告の報告状況」、資料3-2「報告文献別一覧表」、資料4-1「医療機器の回収報告 の状況」、資料4-2「平成18年度医療機器自主回収一覧」、参考資料1「薬事・食品衛 生審議会令(抜粋)」、参考資料2「石綿(アスベスト)を含有する医薬品・医療機器等の 実態把握調査に関する追加情報について(その3)」まででございます。  資料1-1〜資料1-4につきましては事前配付資料でございます。また、資料1-5〜参考 資料2までにつきましては、当日配付資料でございます。過不足等ございましたら事務 局までお申し付けください。  なお、本日、審議事項はございません。すべて報告事項となっておりますので、先ほ ど説明させていただきました利益相反ルールにつきましては、適用なしという点を併せ て御報告させていただきます。 ○笠貫部会長 資料の御確認をお願いします。先生方、よろしいですか。それでは、本 日は審議事項はないということでございますので報告事項に入らせていただきます。で は、議題1について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 それでは、「医療機器の市販後安全対策について」、資料1-1〜資料1-5に 基づきまして御説明させていただきます。  まず、資料1-1「平成18年度の安全対策について(まとめ)」を御覧ください。1ペー ジを御覧ください。今回、平成18年度の市販後安全対策について取りまとめを行いまし たので、概略を紹介させていただきます。1.の(1)医薬品の報告件数その他については、 来週開催予定の医薬品等安全対策部会において詳細な説明がなされますので、省略させ ていただきます。  医療機器の報告件数ですが、直近5年間、平成14年度〜平成18年度までの不具合報 告等の件数を掲載しています。表の体裁ですが、前々回部会での委員からの御指摘によ りまして、医療機器のところも医薬品と同様「副作用報告」と記載していたものを、今 回から「不具合報告」と表記しています。最近3年間につきまして、医療機器の不具合 報告が10,000件を超えてきています。医療機器の不具合件数は、5年間で見ると非常に 増加しているように見えますが、後ほど詳細な説明をさせていただきますけれども、幾 つか報告件数を押し上げる製品がございまして、これら特定の製品を除いた場合の報告 件数は年間大体4,000〜5,000件と、ほぼ横ばいの状況です。平成18年度は12,190件と なっています。  2ページを御覧ください。安全対策上の措置数ですが、平成18年度におきましては、 使用上の注意の改訂1件、安全性情報への掲載が2件となっています。3ページを御覧 ください。その内容ですが、特に安全性情報に関する具体的な掲載記事の内容について 一覧表にしてあります。医療機器の記事については、224号の上段「採血用穿刺器具の 取扱いについて」と226号の上段「新方式携帯電話端末による植込み型医療機器への影 響について」の2件となっています。  続きまして、資料1-2「TAXUSエクスプレス2ステント及びチクロピジン塩酸塩製剤の 適正使用について」を御覧ください。最初に、薬剤溶出型冠動脈ステントについて簡単 に御説明させていただきます。心臓に栄養を送る冠動脈の内壁に、コレステロールなど が徐々に沈着します。このようなことによって血管の内壁が狭くなってくることで、十 分な酸素や栄養素が心筋に供給されなくなることがあります。このような場合、胸痛、 胸部の圧迫感という形で症状が出てきます。これが一般的な狭心症の症状ですが、更に 冠動脈が閉塞してしまう状況になりますと、心筋梗塞の症状になってきます。血液が供 給されず、その先の心筋が死んでしまうという状況になります。このような症例に対し、 薬剤による治療、外科的手術が行われてきていますが、90年代から、冠動脈ステント留 置術というものが相当普及してきています。  冠動脈ステントにつきましては、薬剤を塗っていない従来型のベアメタルステントは、 金属メッシュの筒状のものですが、物理的に狭窄部位を支えるもので、バルーン血管形 成術に比べて再狭窄率の改善が見られています。しかしながら、血管内皮細胞が増殖し てくるということで、再狭窄についてはそれでも2割〜3割程度の報告がされています。 この再狭窄を改善させるものとして、薬剤溶出型冠動脈ステントが開発されています。 このTAXUSステントが本邦で2例目の承認となります。実物がありますので、これから 皆様のお手元にお回ししたいと思います。細長いワイヤーになっていますので、取扱い には十分気を付けて御覧いただければと思います。  この薬剤溶出型冠動脈ステントを心臓に留置した患者さんについては、特に血栓症が 不具合として報告されています。血栓を起こさないために、このステントを留置した患 者さんには抗血小板薬の服薬が必須となります。特にチクロピジン塩酸塩については、 TAXUSステントに関しては少なくとも6か月間の投薬が必要となっています。近年、欧 米などにおいては、遅発性のステント血栓症の発生が問題となってきています。したが いまして、この抗血小板療法については、患者さんの判断で勝手にやめることのないよ うに、普通の薬以上に気を付けなければいけません。一方で、このチクロピジン塩酸塩 は、血液系、肝臓系に重篤な副作用が発現するおそれのある医薬品です。特に副作用が 投薬開始後2か月間に集中する薬ですので、この間の副作用の発現には十分に注意をし なければなりません。そのために、2週間に1回血液検査を行っていただくなど、十分 にフォローアップをして使っていただく必要があります。  今般の通知につきましては、このステントの安全確保の一環としまして、御使用いた だく医師の方々に、ステントの使用方法や注意点などを十分に御確認いただくための講 習会に御参加いただきまして、講習会に御参加いただいた医療機関に対してのみ当該ス テントを販売することをメーカーに指示させていただきました。さらに、このステント のリスクとベネフィットについて患者さんに十分に説明していただくための資材、例え ば患者手帳や重要な説明事項について記載した資料を作成し、納入先の医療機関に提供 して、インフォームドコンセントなどで御使用いただき、患者さん方にもきちんと御説 明、御理解をいただくというものです。また、このステント留置術を受けられた患者さ んが御自宅に近い医療機関に移られる場合が想定されます。転院された場合についても、 転院先の医療機関において、先ほど説明しました抗血小板薬をきちんと服用いただく、 投薬開始後2か月間はきちんと血液検査などを行っていただく、万一体調不良等が現れ た場合にはすぐに医療機関で受診いただくといったことについて、医療機器、医薬品両 メーカーの連携を図った安全確保策を講じるように、予防的な観点から指示をさせてい ただくことにしました。ここまでが、医療機器メーカーであるボストン・サイエンティ フィック ジャパン株式会社に対する指示事項です。1ページ〜6ページまでの通知とな ります。  7ページを御覧ください。このような医療機器の安全確保に加え、医薬品であるチク ロピジン塩酸塩製剤の安全確保のために、医薬品メーカーに対する安全確保の指示をさ せていただいています。内容については、先ほど説明しましたとおり、チクロピジン塩 酸塩製剤の適正使用のお願いと、併せまして、医療機器メーカーと協力して安全対策を 講じてくださいという趣旨の通知となっています。  それから、こちらの資料には載せてありませんが、医療関係者に対する周知をお願い する事務連絡を、都道府県等を通じてさせていただいています。  9ページを御覧ください。チクロピジン塩酸塩製剤とTAXUSステントの市販後安全対 策について、当方で発行している「医薬品・医療機器等安全性情報」の先月号に、今ま での説明と同様の趣旨の記事を掲載しまして、医療関係者の方々に情報提供をさせてい ただいています。  続きまして、資料1-3を御覧ください。こちらは、総務省で毎年行われている、電波 を発する機器が心臓ペースメーカなどの植込み型医療機器にどのような影響を及ぼすか ということの試験結果に基づく研究結果の報告と、その結果に基づいて総務省が策定し ている電波の防止指針が4月24日付けで改正されたことについて、医療機器メーカーに 対して、既に植え込まれた患者さんや医療関係者に対する周知を指示する通知です。  3ページ以降が総務省調査の概要になります。電波を発する機器の心臓ペースメーカ 等へ及ぼす影響に関する調査研究については、平成7年度から総務省において毎年実施 されてきています。総務省においては、毎年のこの調査に基づき、各種電波利用機器の 電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針を策定していますが、今般 実施された試験結果を受けて必要な改正を行ったというものです。  平成18年度の調査対象であるUHF帯のRFID機器について、簡単に御説明しま す。平成18年度の調査においては、1.7GHz帯の携帯電話、UHF帯のRFID機器の 実験が行われています。RFID機器とは、Radio Frequency Identificationの略で、 電子回路を内蔵したタグとリーダーライタとの間で非接触で通信を行うもので、最近で は、駅の入場ゲートや物流など、様々なところで使用されている技術です。今回実験を 行ったのはUHF帯のRFID機器です。従来から、一般的なRFID機器については 広く利用されてきましたが、電波の有効利用ということで、これまでテレビのUHF帯 として利用されていた帯域が空いたので、このUHF帯を利用した機器が平成17年度か ら許可されることになりました。  なお、従来のRFID機器については、植込み型医療機器に及ぼす影響が見られてお り、携帯電話等と同じ22cmという指針値がありますが、平成18年度の調査においては、 このUHF帯の機器について、22cmを大きく上回る75cmという距離で影響が見られた ものがありました。これを受けまして、総務省の防止指針が改正されまして、UHF帯 RFID機器のうち、非常に出力が大きい950MHz帯の据置き型のものについては、1m 以内に近付かないようにという指針が策定されています。内容については7ページを御 覧いただければと思います。  また、従来のRFID機器は22cm、このUHF帯のRFID機器については1mとい う異なる基準値になりますので、この影響の大きい機種であることが患者さんに分かる ように、特別なステッカを貼ってもらうように、総務省から電波事業者あてに指示がさ れています。ステッカについては、8ページに掲載されていますが、ハートマークに100 cmという、距離が一目で分かるものになっています。このステッカが貼られているRF ID機器についてはUHF帯のRFID機器であるということで、この機器の1m以内 には近付かないようにという指針となっています。  2ページを御覧ください。総務省から、この指針値の改正について、患者さん、医療 関係者に対する周知依頼の通知がありまして、当省としましても、我が国でペースメー カを供給するメーカーの集まりであるペースメーカ協議会あてに、当該指針について、 患者さん、医療関係者の皆様への周知を徹底する旨の通知を発出したところです。  続きまして、資料1-4です。人工心肺装置の標準的接続方法及びそれに応じた安全教 育等に関するガイドラインです。こちらは、当省の医薬品等適正使用推進事業という、 医薬品などの適正使用のために、関係する学会にガイドラインを作成していただき、学 会会員の方々や関係者の方々に御活用いただくという事業の成果として取りまとめられ たものです。医療機器としては初めてのガイドラインです。  3ページを御覧ください。本ガイドラインの策定には、四つの学会と一つの団体に御 協力をいただき、取りまとめをお願いしています。また、当医療機器安全対策部会の委 員でもある許先生には、学会からの推薦で、編集委員長としてこのガイドライン策定に 御協力いただいています。ガイドラインについては、大部となりますので資料にはしま せんでしたが、印刷したものを回覧させていただきます。本ガイドラインの策定につい ては、平成13年に東京女子医科大学において起こりました、陰圧吸引補助脱血法を用い た体外循環事故を契機として、体外循環の安全性の確立を図るべきであるということが 根底にあります。我が国における人工心肺装置を用いた開心術の発展の歴史から、現在 でも、大学などによって装置の接続方法は相当のバラエティーがあります。また、実際 の体外循環回路は、チューブが複雑に絡まり合って、操作をされている方からすれば、 どこがどう接続されているのか一目で把握するには非常に複雑な機構の回路が多数あり ます。特に、若い心臓血管外科医の先生方にとりまして、この回路について本質的な理 解がないと、万が一トラブルが生じた場合に、どのように復旧させればよいのか迷うも のとなっています。このような実態について、事故防止のために少しでもできることは 何かと先生方に御相談させていただいたところ、初期教育をきちんと行うことが一番重 要であろうということでした。本ガイドラインでは、各施設において、この回路を安全 に使用するための人工心肺操作マニュアルや、トラブルが発生した場合に対応できるよ うな人工心肺危機管理マニュアルを整備していただくために、実例を踏まえたひな形な どをまとめていただき、教育訓練、研修の在り方等についても後半にまとめていただい ています。  さらに、教育するにしましても、様々な病院で実際に使われている回路について、あ る一定の類型に整理をして、標準的なものを使って教育すべきではないかということで、 試みに、教育に用いる標準的回路を5ページ目以降にまとめていただいています。これ は非常に大きなくくりになりますが、静脈血貯血槽を有する回路、動脈血貯血槽を有す る回路、PCPSと呼ばれる貯血槽を有さない回路、この三つを標準的な回路としまし て、それぞれに必要な注意点を、必須、推奨ということで整理させていただきました。 また、ガイドラインについては、関係する皆様方に広くお使いいただけますよう、厚労 省のホームページに掲載しています。  1ページにお戻りください。併せて、添付文書における記載について、回路の接続の 際にこのような最新のガイドラインを参考にしてくださいという趣旨の記載を指示させ ていただいています。  資料1-5は、経腸栄養用チューブ等に係る添付文書の改訂指示等についてです。まず 「経腸栄養用チューブ等」についてですが、一般的には、通常の食事等ができない患者 さんに対して、チューブ等を用いて栄養剤を投与するための医療機器ということです。 一つ実物がありますので、こちらも回させていただきます。現在流通している経腸栄養 用チューブに関する定義については、関連する医療機器が大変たくさんありますが、お おむね、胃内容物の除去、薬物投与又は経腸栄養を行うために鼻咽頭又は経口・食道経 由で胃や腸などの消化管に留置するチューブ類ということになろうかと思います。また、 経皮的・外科的に、お腹に瘻孔をつくってチューブを留置する胃瘻・腸瘻チューブも対 象としています。  経腸栄養用チューブについては、不具合報告で若干の事例が報告されていますと同時 に、日本医療機能評価機構で行っているヒヤリハット事例の収集・評価事業において多 くの報告がなされています。その内容については、このチューブは本来食道を通って胃 や腸に留置するものですが、誤って気管に挿入されてしまったケースであるとか、経管 栄養をとっておられる患者さんですので、このチューブを通して栄養剤の投与、いわゆ る食事をされるわけで、きれいに使ってあげないと、栄養剤などの残りが固まりまして、 ひどいときになると閉塞してしまうという事例があります。  もちろん、閉塞しないように、使用前後には常に微温湯でフラッシングをして、チュ ーブの内部をきれいにしておくわけです。しかしながら、長期使用されるものですと、 1か月など留置されますので、フラッシングの不備等が起こりますと、これが元でチュ ーブが閉塞してしまうことがあります。  それでは、閉塞してしまった場合、このチューブをその都度取り替えるのかというと、 これは、患者さんに再挿入の苦痛を与えますので、なるべくならばそのままで詰まりを 解消してあげたいということで、医療現場では、この詰まりを解消する措置が採られて いるわけです。その際に、どのような操作で詰まりを解消しているのかといいますと、 実は、これは誤った使い方ですが、留置するときに使うスタイレット、ガイドワイヤを 使って物理的に押し込むことで詰まりが解消するのではないかということで、このよう なものを使ってしまうわけです。正しい方法としては、シリンジに少しお湯を入れて、 押したり引いたりして開通を試みるわけですが、こちらも力が伝わりやすい小さなシリ ンジで勢い余って強く押してしまうと、チューブは破裂してしまうといった事例が報告 されてきています。また、破裂までいかなくても、あわやというような、ヒヤリハット 事例が相当数報告されています。  このような誤った使用方法に関する注意喚起については、既に添付文書に記載されて いますが、一方で、各社様々な記載となっている状況です。私どもとしては、医療関係 者において経腸栄養用チューブの正しい使い方については認知されていると承知してい るわけですが、この機会に添付文書の記載事項の整備をさせていただこうということで、 大きく3種類のチューブ類、経腸栄養用チューブのうちガイドワイヤ、スタイレットが あるものと、ないもの、胃瘻・腸瘻チューブについて、それぞれ注意事項等を整理させ ていただいています。  内容については、スタイレット等の操作を慎重にしてください、再使用はいけません、 スタイレット等は詰まり解消に使うものではありませんといった、使用方法に関する注 意事項、それから、詰まった際の標準的な解消方法を記載させていただいています。こ れには、各社のデータに基づくシリンジの大きさの基準など、トラブルシューティング 的な安全性に関する情報についても各社の添付文書の記載を整備していただくととも に、医療関係者に対して必要な情報提供を行うよう、都道府県等を通じて各社に対し指 示をしたところです。以上で、資料1-1〜資料1-5までの説明を終わらせていただきま す。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。ただ今の事務局からの御報告について何か御質 問はございますでしょうか。 ○佐伯委員 資料1-2で、患者が6か月間きちんと、定期的に血液検査も受け、勝手に 薬もやめてはいけないということを周知徹底するための患者手帳を作るということです が、このサンプルはございませんでしょうか。それがきちんと心しなくてはと思えるよ うな書き方であるか、その辺りを見せていただければと思いまして。 ○事務局 患者手帳については持ち合わせがないのですが、患者ガイドということで、 患者さんに説明をするための資材が手元にございますので、そちらをお回しさせていた だきます。 ○佐伯委員 その資材は、患者は持って帰ることができるわけですね。 ○事務局 基本的にはこちらの資材は患者さんにお渡しして、それから、手帳もなるべ くいつも持ち歩くようにお願いをしております。 ○笠貫部会長 では、それは今お回ししていただくことにします。もしお回しいただい た資材について御質問があれば、後ほど伺います。ほかにはございますか。 ○古幡委員 資料1-2で、antiplateletの薬物はほかにもあるわけですが、ここで特別 にこの薬品名を挙げなければいけなかった理由はあるのでしょうか。 ○事務局 こちらの薬剤を提供しなければならないというのは、医療機器の審査の部会 で個別に審議をされ、必要な安全対策として入れられたものです。世界的にはクロピド グレルが標準的に使用されている状況ですが、我が国ではまだクロピドグレルの適応が ありませんので、チクロピジン塩酸塩が標準的な抗血小板療法剤として指定をされてい ます。 ○笠貫部会長 私の方から少し補足させていただきます。このDrug Eluting Stentは、 再狭窄は少なくなるのですが、ステント内の血栓が非常に大きな問題になります。従来 のベアメタルステントはアスピリンを使っているのですが、DESではアスピリンだけ では不十分であるという世界的なエビデンスがあって、欧米ではクロピドグレルとアス ピリンの併用が求められています。今御説明がありましたように、日本ではクロピドグ レルの心臓に対する適応がまだ認められていませんので、それまでは、抗血小板薬には いろいろな作用機序がございますので、その中で、クロピドグレルと同じ作用機序を持 つチクロピジンを推奨しているのです。それについては御指摘のような重篤な副作用が 非常にあるので、いろいろな方面にその安全対策を講じているという説明であったと御 理解いただけたらと思います。 ○古幡委員 よく理解できましたが、逆に、ほかの抗血小板剤を使うことは、ある意味 では不適切かもしれないという理解でよろしいのでしょうか。 ○笠貫部会長 作用機序からはそのようにお考えいただいてよろしいかと思います。 ○許委員 今の問題で、副作用が出たときに適切な処置を行うこととあちらこちらに記 載されておりますが、その適切な処置の内容についてのリコメンデーションはできてい るのでしょうか。チクロピジンは、外国でのエビデンスが随分あるわけですね。しかし、 それが肝機能障害や無顆粒球症などのいろいろな副作用を起こしてきた場合に、ここの 記載では適切に対処することとなっていますが、それに関してこういう方法があります よというのはあるのでしょうか。この注意書きを作られた一つの考え方に、患者が日本 国内あるいは外国をいろいろ動かれ、比較的慣れていない循環器の医者もこういう患者 をしっかり診なければいけないときに、副作用が現れたら、セカンドベストの方法、サ ードベストの方法としてこういうものがありますよというのがないと、適切にと言って も何をしてよいか分からないと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○笠貫部会長 私の理解している範囲でお答えしますと、チクロピジンの安全な使い方 については、メーカーサイドから、具体的な対処方法を書いたものが、ドクターの方に は回っていると思います。重篤な肝障害、無顆粒球症についてはほかのものと同じであ ると思うのですが、一番大きな問題は、血小板減少性紫斑病に対しては特殊な対処法が 必要になりまして、その具体的な対策についても、メーカーサイドの添付文書、あるい は「使い方」という特別な文書が出ていたと記憶をしております。私も、チクロピジン より安全なクロピドグレルの適応をできるだけ早く心臓の方に認めていただきたいと思 っております。今それを早めていただいていると思うのですが、その間の対応としてチ クロピジンを使うことについての安全対策は十分検討されているのではないかと思いま す。更にその検討を続けていただきたいと思っております。事務局から付け加えること はございますか。 ○安全使用推進室長 先生の御指摘のとおりです。添付文書そのものには、スペース等 の問題もございますので、個別具体的な対処方法を記載に入れるというのは、よほど特 殊なことが必要な場合以外は余り書いていないのが普通であると思います。特に注意す べき副作用の対処につきましては、部会長から御説明がありましたように、医薬品の製 造販売企業の方から、いろいろな資材を使って説明はされていると理解しております。 それから、クロピドグレルの関係については、まだ承認に至っておりませんので、それ も、必要性の高い医薬品ということで、今、鋭意対処していると承知をしております。 ○笠貫部会長 よろしいでしょうか。 ○許委員 臨床医としては選択範囲がある程度広い方が対処しやすいので、是非、笠貫 部会長がおっしゃったように、クロピドグレルの承認を急いでいただくとよいと思いま す。 ○笠貫部会長 では、よろしくお願いいたします。ほかにはいかがでしょうか。 ○勝呂部会長代理 資料1-3ですが、従来800MHz帯を使っていて、今は950MHz帯が使 えるようになった。これは非常によいことであると思うのです。何回か前にお話したと 思いますが、まだそれほど進んではいませんけれども、PLCが今後かなり用いられて くるのではないかと思うのです。そうすると、そこも無線LANの一つの局になるので、 ペースメーカの人などは困るのではないかと思うのです。今のところは800MHz帯ですか ら、それほど近づくことはないと思うのですが。前回お話したように、PLCを使った 場合、院内LANを作ったりするときには、コストが安いのです。私どものように光フ ァイバーを引いてあればいいですが、そうでないところで病院を再構築するときには、 PLCを使うと、非常に簡単にできるのです。ですから、PLCと医療機器の関係がそ の後どうなったか、そのようなものもきちんとどこかで検証する必要があるのではない かと思ったのです。 ○事務局 前回部会でも御紹介しましたとおり、PLCは新しい技術ということで、こ のようなものが医療機器に及ぼす影響は、現状の知見では恐らくないであろうというこ とですが、予防的な観点から、事業者に対して安全対策をきちんとやってくださいとい うことを、総務省に依頼させていただいています。万が一そういう不具合等が発生する 事象があれば、これは薬事法に基づく不具合報告の対象でありますので、医療機器メー カーからは報告が来るのですが、PLCのメーカーからも情報が取れるようにというこ とで措置をさせていただいたところです。幸いなことに、まだPLCに関連する不具合 報告については一例も上がってきていません。海外でもそういう報告は今のところない ということです。 ○勝呂部会長代理 ありがとうございます。 ○笠貫部会長 総務省報告のペースメーカ等に対する影響は、実験モデルでかなりシビ アな条件でのデータを基にして、実際の不具合報告がなくても、注意を喚起するという 意味では、日本は最も厳しい情報を提供しているのではないかと思います。裏を返しま すと、ペースメーカの患者にとっては非常に安全な情報を徹底されているのではないか という感じがいたします。ただ、ステッカはいいのですが、いろいろな種類のステッカ がこれから出てくると、ペースメーカの患者が共通して注意をできるステッカをどこか の時点で考えられるべきであろうと思っています。しかし、今の時点では、一つ一つ実 験をしながら、まず情報を提供しているという段階であると思うのです。先生のお話に も出ましたPLCの方は、まだ出ておりませんが、これも、どこかで実験をすることに なれば、出るかもしれないということです。いずれにしても、電波との共生というのは 大変大きな課題ですので、できるだけ早くこの不具合の情報を収集するということと、 一方では、実験も更に進めていただくということをお願いしたいと思います。それ以外 にはございますでしょうか。 ○佐伯委員 資料1-5の経腸栄養用チューブのことです。これはメーカーへの注意です が、資料1-2で講習会をするというものもございます。これは現場では看護師が日常的 になさることと思うのですが、看護師向け、あるいは看護学生向けの講習会を開くよう になどの御指導はあるのかどうかということと、もう一つは、在宅の患者もこれでされ るのであろうかということです。これはかなりメンテナンスが難しいと思うのですが、 家でずっと過ごす場合に、これを使いながらできるのか、その辺りを教えていただけれ ばと思います。 ○事務局 この辺はむしろ井部先生に御説明をいただければ幸いなのですが、医療機器 メーカーが、例えば医療機関に製品を納入する際に、一般的に、最初にこの医療機器の 使用方法を、いろいろな種類のものがございますので、通常の使用方法と違うようなも のにつきましては、当然そのインストラクション、このように使うのですよというよう な情報の提供はされると理解をしております。ただ、一般論として、こういうチューブ 類の留置というのは、技術としてはもう確立をされているものであると思いますので、 個別の製品ごとに、各医療機関であるとか、各学校施設などに情報提供をするようにと いう指導は、今のところ考えておりません。  それから、在宅でもこのようなものは使用されているのではないかという理解ですが、 フラッシング等の必要性があれば、もし詰まって、これは抜かなければならない、再留 置しなければならないということであれば、医師がそのような措置をされると理解をし ております。 ○佐伯委員 誤って気管に入ったりなど、いろいろ書いてあるので、もう少し教育の機 会が必要なのかと思ったのですが、その辺りの実態を、井部先生、教えていただけます か。 ○井部委員 経腸栄養用チューブの問題は、看護の領域では一つの大きな課題になって おりまして、チューブ類の管理というのは、勉強しなければならない要因になっている わけです。今回の改訂はスタイレットやガイドワイヤを詰まったときに使うなというこ とがメインであると思いますので、添付文書にそのことをきちんと明記していただけれ ば、現場の医療安全管理者などはそれを取り上げて院内教育をするものと期待しており ます。このことだけのためにみんなを集めて講習会をするほどではないと思っています ので、各医療機関で添付文書の改訂に従って教育が行われるといいのではないかと私は 思っています。 ○笠貫部会長 ほかにはございませんでしょうか。一般的なという意味での教育、研修 の重要性というのは、先ほどの人工心肺装置のガイドラインの所にも載っていたと思う のですが、個々の問題とは別に、教育、訓練、研修を徹底して注意喚起していけたらと 思います。  それでは続きまして、議題2に移らせていただきます。事務局から御説明をお願いい たします。 ○事務局 それでは、「医療機器の不具合等報告について」、資料2-1〜資料2-4に基 づきまして御説明をさせていただきます。まず最初に資料2-1を御覧ください。不具合 等報告のまとめということで、1ページ目は薬事法の規定でございます。薬事法第77 条の4の4の規定に基づきまして、当部会に対し報告をすることとなっております。2 ページ目は、医療機器の不具合等報告につきまして、昨年10月〜今年3月までの6か月 間の報告受付分の件数でございまして、7,157件ということです。前回の部会から、こ ちらの内容につきまして、画像診断用機器等々、八つの分類に分けさせていただいてお りますが、前回と同様、(3)処置用・施設用機器等、(4)生体機能補助・代行機器、こちら の報告件数が非常に多い状況になっております。それから、国内報告ですが、7,157件 のうち、6,033件ということで、国内報告の割合が84%ほどとなっており、大変多くな っております。これは後ほど御説明をさせていただきますが、一つの大量に出回る医療 機器で回収がございまして、これに伴って国内の不具合報告件数が非常に多くなったと いうことで、相対的に国内の報告比率が膨らんだというものでございます。  補足ですが、資料1-1では、平成18年度の不具合報告件数が12,190件となっていま す。資料2-1では、半期分が7,157件となっています。実は、前回報告いたしました上 半期分 5,153件と合わせると12,310件になりまして、120件ほど違いが出てきています。こち らについては、上半期の報告以降、不具合報告の対象ではなかったということで、取下 げになったものがこの件数だけありました。そのような関係で、全体の報告件数が 12,190件となっています。そのほか、外国措置報告として246件、研究報告として9件、 感染症定期報告として31件の報告がありました。また、医療機関からの不具合報告につ きまして228件が報告されています。  資料2-2に移ります。「医療機器不具合等報告の集計結果についての注意事項」は、 特に変更はありません。今まで縷々改正をされてきていますが、その内容についてこち らにまとめて記載をしています。続いて、目次以降、第(1)分類〜第(8)分類まで、それぞ れ順に個別の品目ごとのラインリストを掲載しています。簡単に御紹介させていただき ます。第(1)分類、第(2)分類については件数が非常に少ないということで割愛させていた だきます。  3ページ目以降が第(3)分類です。こちらの報告件数は5,889件となっていまして、全 体の報告の82%がこちらの分類になっています。そのうちインスリンペン型注入器が 2,778件、医薬品・ワクチン注入用針が2,553件となっています。全体の8割超がこの 分野で、インスリンペン型注入器、医薬品・ワクチン注入用針の2品目で、この分野の 実に9割を占めるということです。  インスリンペン型注入器については、前回までの部会報告で、オプチペンプロ1とい うものにつきまして、1,000件程度の報告がされていたわけですが、こちらの製品に対 する対策が講じられた結果、今回の部会での報告数はゼロとなっています。オプチクリ ックについては、平成19年2月に回収措置が採られています。いわゆる交換プログラム による回収という対策が講じられているわけですが、今回報告しますのは3月までの報 告ということで、実際に回収の効果が現れてくるのはこれからのため、今回の報告数は 上半期に比べても若干多めとなっています。また、オプチクリックについては、不具合 報告の大半がディスプレイの不具合ということで、今夏、ディスプレイのない製品が上 市される予定と聞いています。次回報告時には、報告数が激減すると考えています。サ ンプルですが、現品がありますので、回させていただきます。  一方、インスリンペン型注入器で使用される針の部分、ニードルの不具合報告の中で ほぼ100%を占めている、日本ベクトン・ディッキンソン社のマイクロファインプラス については、平成18年11月に回収が行われています。回収措置に基づく製造ラインの 見直しが、平成18年11月、それから今年に入りまして2月、5月と、順次行われてき ています。ただ、一つの対策が講じられてから、その効果が判明するまでにタイムラグ がありまして、今回の報告では対策の効果が現れておらず、2,553件が報告されていま す。次回報告時も、3,000件ないし4,000件と、まだ相当数が報告されると思われます が、来年の当部会においては、報告数が相当少なくなってくると考えています。  それから、突出した報告件数ではないのですが、20件以上報告されているものについ て簡単に御紹介させていただきます。7ページ145番、自然落下式・ポンプ接続兼用輸 液セットが20件報告されています。8ページ157番、心臓・中心循環系カテーテルガイ ドワイヤが62件、8ページ171番以降、心臓用カテーテルイントロデューサキットが 20件報告されています。9ページ177番以降、水頭症治療用シャントが51件、13ペー ジ275番、バルーンポンピング用カテーテルが34件あります。13ページ293番、皮下 用ポート及びカテーテルが42件、15ページ343番、輸液ポンプ用輸液セットが37件で す。  輸入品が多い心臓・中心循環系カテーテルガイドワイヤを除きますと、基本的には国 内で発生した不具合報告が多くなります。大幅に報告数が減少した輸液ポンプ用輸液セ ットを除くと、上半期と大きな変動が見られるものはこの分類ではありません。ちなみ に輸液ポンプ用輸液セットについては、上半期は157件報告がありまして、下半期につ いては37件になっています。  第(4)分類です。こちらは1,124件の報告となっていまして、全体の15.7%です。第(3) 分類と第(4)分類で全体の98%を占めています。第(3)分類との違いですが、このカテゴリ ーについては、もともと外国の報告件数が比較的少ないということです。御参考までに 20件を超えるものについて御紹介申し上げます。29ページ669番、植込み型除細動器・ ペースメーカリードが30件となっています。30ページ691番以降、植込み型心臓ペー スメーカが38件になっています。31ページ730番、遠心型血液成分分離装置用血液回 路が25件報告されています。基本的にはコネクタリークの件で、対策品への切替えが既 に行われています。31ページ732番、冠動脈ステントが24件の報告となっています。 33ページ762番、後房レンズが210件報告されています。こちらはボシュロムのカルシ ウム沈着の件で、既に対策が取られています。対策が取られた以降の製品では不具合報 告はありません。33ページ773番、酸素濃縮装置が28件です。回収措置が採られたの で、上半期425件から、 28件と、報告件数が大幅に激減しています。34ページ797番、人工股関節寛骨臼コンポ ーネントが68件の報告となっています。36ページ851番、心内膜植込み型ペースメー カリードが112件報告されています。41ページ970番、全人工膝関節が22件の報告と なっています。41ページ982番、大動脈用ステントグラフトが39件です。こちらは平 成18年度の上半期承認の製品でして、上半期ではもちろん不具合報告はなかったのです が、今回の下半期の報告で新たに出てきたものです。内容については、血液リークです。 43ページ1021番、中空糸型透析器が160件です。44ページ1054番、半自動除細動器が 35件となっています。  第(5)分類です。こちらは91件とそれほど多くないのですが、その中で一つだけ20件 を超えているものがありますので御紹介させていただきます。50ページ1213番、白内 障・硝子体手術装置が33件報告されています。こちらはカッターチップの破損というこ とで、回収措置が採られています。  第(6)、第(7)、第(8)分類については、報告件数が少ないので割愛させていただきます。  資料2-3です。医療機器外国措置報告ということで、246報あります。海外で措置を 行った結果につきまして、おおむね日本においても同様の対応を取ることが多いわけで すが、回収等のトリガーとなる報告です。ちなみに回収が53件、改修が51件ありまし て、我が国において全体で104件の回収措置が採られています。報告が246報で大体4 割を超すくらいですが、こちらが国内でも回収措置が採られることになります。  資料2-4です。医療機器研究報告ということで、9報寄せられていますが、重複を除 きますと7報になります。そのうちの3件が冠動脈ステントの報告で、ステント血栓症 の関係と、抗血小板薬の投薬期間に関する研究報告となっています。そのほかの4報で すが、後房レンズ、体外式結石破砕装置、血球細胞除去用浄化器、グルコース分析装置 ということで、それぞれ患者の症例報告であるとか、使用成績調査などとなっています。 以上です。  ○笠貫部会長 ただ今の事務局からの報告について、何か御質問はございますか。 ○許委員 資料2-2でたくさんの医療機器の不具合報告がありまして、私もいろいろな 医療事故で調査などに入ったり、やらなければいけないことがあるのですが、この中で どう考えてもとんでもないことだと思うものが2、3ございます。1ページ10番の超音 波診断装置で、原因は不明なのですが、外国から死亡が出ています。これは爆発事故か 何かが起こらない限り、通常こういうことは起こらないと思うのです。それから2ペー ジ 19番の血液凝固分析装置で、これも死亡が外国から報告されています。  1件で内容はよく分からないのですが、とんでもないことが起こらない限り、とても 死亡に至るものではないので、こういうものは1例報告でも、何が起こったのか内容を 調べていただきたいのです。普通は非侵襲的診断装置で死亡などが起こる可能性はない と思うのですが、こういう報告も入っているのです。これは装置側にとんでもないこと が起こって患者に被害があったということなのでしょうか。 ○安全使用推進室長 今、個別の事例について具体的に分かるかどうかはあれなのです が、この不具合報告というのは、機器を使っていて何か重大な健康被害が起こったとき に、機器との因果関係の濃い薄いにかかわらず、全く否定はできないであろうと思われ るものがきています。常識的に考えれば、先生が言われるように、体外の診断装置や何 かで、それが直接的な原因で死亡ということはないと思いますが、何らかのつながりが どれほど薄くても完全に否定できないというものがきています。一つ一つのものについ ては、受け取った時点で当然、担当の者が詳しくその情報の収集をして分析をしていま すので、分かればまた総合機構の方から説明をさせていただきます。 ○許委員 個々のことはいいのですが、非常識と思われることが起こったときに、我々 がとんでもないことを見逃しているのではないか。温泉が湧き出てきて家が吹き飛ぶと いうこともあります。我々が見逃していることがあって、そういう情報が次の事故にか かわる場合があるので、常識と思えないことに関してもチェックしていただいた方がい いであろうということで、お願いしたいと思います。 ○安全管理監 海外の措置報告ということで背景のデータ等が少ないようですが、ここ でどういう事例かというのはお話できるようです。 ○機構 御指摘の超音波診断装置の方ですが、外国症例ということで情報が少ないので すが、死亡に至ったロケーションとしては、心臓の方の超音波エコーで、食道からずっ とプローブを通していたという症例で、その際に突然異常事態が起きたということです。 食道の穿孔など、何かしらの要因があったのかと考えていますが、比較的新しい症例で して、外国症例ということもあって、今、情報収集中ということです。食道から入れた 超音波プローブの方も、回収をして分析中という状況です。ですから、医師の手技か本 品の不具合か、まだ不明な点がある症例です。 ○笠貫部会長 不具合報告が出てきたときに、不具合というものと結果の因果関係、あ るいはそこに不適正な使用があったのかという意味での因果関係、そのようなものにつ いては、個々に機構で御検討をいただいているとは思うのですが、今、先生が御指摘に なられたような問題については、機構サイドで十分御検討いただけたらと思います。そ のほかにはございますか。 ○澤委員 資料2-3の7ページの95番に後房レンズがございますが、回収とされても、 眼内に入ってしまっているものを回収というのは実際は難しいわけです。こういう情報 収集の重要性がよく分かりますが、このセンサー等の名称は日本でも聞いたことがござ いますので、本当に国内未入荷なのかと懸念するところがあります。それから、最近は 医療機具もブリッジングシステムにより、外国のデータのみで審査の申請がくることが 見られますので、できるだけいろいろな情報を集めることが重要と思います。一方で、 本当にブリッジングで、外国のデータだけでいいものかどうかということは、慎重に判 断をいただくことをお願いしたいと思います。 ○笠貫部会長 事務局の方から、今のことについてよろしいですか。 ○安全使用推進室長 一般的には当然、埋込みをされている機器については、取り出し てまで回収はしないので、これ以上出荷をしないという意味での回収です。併せて、埋 め込まれている方にその情報提供ができるように措置を採るということになると思いま す。 ○笠貫部会長 以前も御指摘があったと思うのですが、リペアとリコールの日本語が両 方カイシュウで、先ほどの事務局からの御報告でもカイシュウということで、その結果 うんぬんというときに、どういたしましょうか。日本語で説明すると同じカイシュウに なってしまって、文章のときはきちんとリペアとリコールを分けて書いていただいてい るのですが、どこかで約束ごとを作っておいた方がよろしいと思うのです。例えばリペ アはリペアでもよろしいかもしれませんし、リコールのときは回収ということで、日本 語とカタカナでおかしいですか。何かいい日本語がございましたら、次回まで事務局で 御検討をいただけたらと思います。ほかにはございますか。 ○土屋(利)委員 直接この回収のところとは関係ないのですが、コンタクトレンズに使 われるケア溶液で、海外のケア溶液に問題が発生したとお聞きしているのですが、その ような情報は、医薬品の方で出るのでしょうか。 ○事務局 コンタクトレンズの洗浄液については、薬事法上は医薬部外品のカテゴリー に入るもので、医薬品の方の安全対策ということで情報をキャッチしていまして、国内 でも回収になったと聞いています。 ○土屋(利)委員 後ほどそういう情報を教えていただければと思います。 ○機構 先ほど澤委員が御指摘されました後房レンズの件ですが、こちらは、アメリカ での回収は表示ラベルのミスということで、ロットが限定されていまして、そのロット は国内に入荷されたものではなかったので、国内では該当するものはなかったというこ とです。 ○佐伯委員 今のロットの件で、これは少し古いかもしれませんが、今年の3月30日に 厚生労働省のホームページに、医療機器における情報化推進状況調査についてというこ とで、簡単なものが出ていて、医療機械では、データベースに登録しているものが約2 割であることが分かったのです。例えばロット番号などが調査されていないものがかな りあったり、製品のメーカーの団体のデータベースに収められていないものも結構ある ようですが、それは今回のような情報が徹底していないということでもあるのでしょう か。日本医療機器関係団体協議会と加盟団体が所属の医療機器製造販売業者に調査票を 送って集計をしたところ、約9割は商品のコードを取得していて、データベースには約 6割が入っているということです。入っていない部分は追跡調査ができないということ ですか。 ○安全使用推進室長 それは、医薬食品局、それからこの部会の担当であります安全対 策とは関係のない話でして、流通の関係の話であると思います。日本標準商品分類とい うものがありまして、そのコードを付けておきますと、流通の際に、バーコードを読み 取ることによって、それがどういうものかというのは、データベースに接続するとすぐ に出てきます。コンビニで物を買うと、レジでバーコードを読み取りますね。それと同 じようなコード表示のことです。  医薬品の方では、まだ医療安全の関係でコード表示の標準化をやっていますが、それ とは別に医療機器の方でも、同じようにそのようなコード表示をして電子的に流通管理 をしようと動いていると思います。それは途中段階なものですし、医療機器は非常に千 差万別なものですから、まだ全ての品目にバーコード表示が付いている状況ではないと いう調査結果であると思います。 ○笠貫部会長 よろしいでしょうか。それでは続きまして、議題3に移らせていただき ます。事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料3-1と資料3-2に基づき御説明をさせていただきます。薬事法第68条の 8に基づく、医療機器の感染症定期報告の状況について御報告をいたします。資料3-1 は感染症定期報告の報告状況です。平成18年10月1日〜平成19年3月31日までの期 間、生物由来製品の製造販売業者等から報告された感染症定期報告のうち、文献の調査 について報告登録順に表にして並べたものです。合計で31件の報告が寄せられており、 これらの報告を同一の文献ごと、また感染症ごとに整理してまとめたものが資料3-2、 報告文献別一覧表です。今回も資料3-2に基づいて概要を御説明させていただきます。  今回の報告ですが、およそ20の感染症に関して、59件の文献等が提出されています。 文献が提出された主な感染症として、E型肝炎5件、2ページ以降の鳥インフルエンザ、 レンサ球菌などとなっています。これらの論文については、事前評価委員の先生方に御 確認いただき、国立感染症研究所の宮村委員と御相談しながら、感染研の先生方にコメ ントをいただくなど、措置を講ずる必要性を含め御意見をいただいております。  今回の文献等について主なものを御紹介させていただきます。1ページですが、E型 肝炎に関する論文で、3番の文献ではE型肝炎の遺伝子型の系統に関する報告等がござ います。2ページの14番からですが、鳥インフルエンザに関する論文で、インフルエン ザウイルスの起源に関する論文であるとか、アジアを中心とした各国の感染状況の報告 等が続いています。3ページですが、24番、25番については米国におけるウエストナイ ルウイルスの状況、そのほか、4ページ以降ですが、ニパウイルスやレンサ球菌に関す る報告などが続いています。いずれにしても、我が国の各製品については、ウイルス等 不活化工程があり、これらの感染症に対する安全性は確保されていると考えています。  これらの概要について、事前に宮村委員、甲斐委員、内田委員に御覧いただいたとこ ろ、流行地域は限定的であること、また製品の製造工程における病原体の不活化工程等 を踏まえると、措置を講ずる必要性はないが、今後とも情報収集に努めるようにという ことです。追加の御発言等がございましたらよろしくお願いいたします。  また、急用で先ほど席を外されましたが、宮村委員から事前にコメントをいただいて いますので、事務局から御紹介させていただきます。「論文の多くは海外での感染症の 発生や流行を報告したものであって、報告にあるような病原体を含むものを原材料とし て使われているわけではない。各メーカーが情報を収集しながら、原材料の安全性を確 保していくことが重要である。引き続き情報収集に努めていただきたい」というコメン トをいただいております。以上でございます。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。内田委員から、何かございますか。 ○内田委員 今回から事前評価を担当しております内田と申します。今回の報告に関し ましては、特に措置が必要な報告は見当たらないと思います。製造販売業者におかれま しては、引き続き情報収集に努めていただければと思います。 ○笠貫部会長 甲斐委員から、何かございますか。 ○甲斐委員 私も拝見しましたが、論文の多くは海外での人獣共通感染症の発生や流行 を報告したものでして、医療機器を介して人間の世界に直接入ってくる可能性は大変低 いと考えられます。特段に措置が必要な報告は見当たりませんでしたが、常日ごろの情 報収集が重要ですので、今後も引き続き情報収集に努めていただければと思っておりま す。 ○笠貫部会長 ただ今の御報告に御質問はございますでしょうか。内田委員、甲斐委員 からもコメントをいただきましたので、次の議題に移らせていただきます。それでは、 議題4になりますが、事務局から御説明をお願い申し上げます。 ○事務局 それでは、監視指導・麻薬対策課より説明させていただきます。資料4-1「医 療機器の回収報告の状況」を御覧ください。平成18年度の医療機器の回収状況について 報告させていただきます。平成8年の薬事法改正により、医薬品等の回収に着手したと きは、報告が義務付けられています。また、平成12年度からは、そのような報告をした ときには、すべての事例をインターネット上で公開することとしています。  1.回収件数年次推移の表を御覧ください。平成17年度からは、薬事法の改正により まして、製造販売業者が市場への出荷に対し一義的に責任を負うという規制になってい ますので、輸入と製造とは分けずに、合計の形になっています。平成18年度の回収は、 医薬品184件、医療機器365件、医薬部外品23件、化粧品103件の計675件になってい まして、医療機器については、平成17年度より若干増加しています。  2ページを御覧ください。平成18年度医療機器等の回収件数及びクラス分類の表を掲 載させていただきました。クラス分類は3段階に分かれています。クラスIは、その製 品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況です。クラスIIは、その 製品の使用等によって、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可 能性があるか又は重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況です。クラスIIIは、 例えば表示間違いが当てはまりますが、その製品の使用等によって、健康被害の原因と なるとはまず考えられない状況です。  クラスIの医薬品が64件とやや多く、突出しているように見えますが、下の方に注意 書きをさせていただいたとおり、すべて血液製剤の献血後情報等に基づく投与前の事前 回収です。また医療機器については14件ありますので、資料4-2に基づいて説明をさせ ていただきます。クラス別に日付順に載せています。これらはすべてインターネット上 で公開されていますが、1ページからはクラスI、5ページからはクラスII、62ページ からはクラスIIIのものを載せています。  1ページからクラスI回収のものについて御説明させていただきます。1番、センチ ュリーメディカル株式会社から回収報告のありました診断用心臓電気刺激装置ですが、 意図しない高頻度の刺激を開始することがある等の理由で、ハードウエア、ソフトウエ アの改善のために、自主回収を行っています。2番、日本光電工業株式会社の半自動除 細動器です。除細動を行うための初回の充電に時間が掛かる事例がありましたので、回 収したものです。3番、日本ガイダント株式会社から植込み型心臓ペースメーカについ ての回収報告が上がっています。出力不全の報告があったことから回収しています。4 番、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社の心臓・中心循環系カテーテルガイドワ イヤです。先端部分が離断し体内に残留したとの苦情報告があったために調査したとこ ろ、特定のロットに関して、規格の範囲内ではあるもののワイヤーのひねりに対して弱 くなっている可能性が考えられたため、回収しています。5番、株式会社カテックスの 同じくガイドワイヤです。製品の表面から薄片が剥離した事例が報告されましたので、 全ロットが回収になっています。6番、日本メドトロニック株式会社の半自動除細動器 です。電池が早期消耗し電源が入らなくなるという不具合がありましたので、回収して います。7番、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社の医薬品・ワクチン注入用針で す。針が詰まって薬液が出ないという苦情を受けましたので、回収しています。8番、 日本ビタトロン株式会社の植込み型心臓ペースメーカです。システムソフトウエアの不 具合が原因で、必要な電気刺激が出力されない事例がありましたので、回収されていま す。9番、日本ポール株式会社の心筋保護液用フィルタです。人工心肺回路に用いる心 筋保護液用フィルタの二次側に異物が発見されたので、回収しています。10番〜13番に 関しては、日本ポール株式会社のフィルターを用いて作っている人工心肺用回路システ ムですので、同じ理由で回収しています。最後になりますが、イーヴィースリー株式会 社の心臓・中心循環系用カテーテルガイドワイヤです。ガイドワイヤーの表面のコーテ ィング材の剥離が確認されたので、回収しています。以上です。 ○笠貫部会長 ただ今の事務局からの報告につきまして何か御質問はございますか。先 ほどのカイシュウという言葉ですが、3番のところで「市場在庫は自主回収、また医療 機関に対しまして情報提供(自主改修)」となっています。これは具体的にはどのように 使い分けていらっしゃるのですか。 ○事務局 市場在庫にある、まだ植え込んでいないものについては回収、取り返してき てしまうということです。それから、医療機関に対して、そのような情報提供を含めて、 既に埋め込んでしまった患者に対しては、回収することが不可能ですので、その後の定 期的なモニタリングを含めた改修ということで整理させていただいています。 ○笠貫部会長 植え込まれてしまった機器に関して十分なモニタリングをするという意 味にも、改修、リペアという言葉を使っているということですね。 ○事務局 改修と書いたリペアについては、患者のモニタリングを含めた対応とさせて いただいています。 ○笠貫部会長 この辺の言葉の整理を一度していただくと、以後分かりやすいと思いま すので、よろしくお願いいたします。ほかに御質問はございませんか。 ○土屋(利)委員 今の3番のところは、回収の別は改修となるのですか。市場在庫は自 主回収、医療機関に対しては。 ○笠貫部会長 まだ植え込まれていない方は、リコールに当たる回収でもいいと思うの ですが、植え込まれた患者については、十分情報を提供してフォローするという意味で す。その場合に、回収、改修の別をどのように表現するかというのが、共通した御指摘 であると思います。 ○安全管理監 部会長から御指摘がありましたように、こういう意味でこういう言葉を 使っているという、用語の整理をしませんと、「情報提供(自主改修)」だけでモニタリ ングなどを含んでいるというところまで必ずしも読めない部分がありますので、そこは 整理をいたします。 ○笠貫部会長 よろしくお願いいたします。目のレンズもそうですが、植え込まれた方 にどうするかという意味合いの新たな表現があるといいなという感じはいたしますの で、その辺も事務局で御検討をいただけたらと思います。ほかにはございませんか。 ○土屋(利)委員 いつも安全対策の方は大変であると思うのですが、日本の対策が早か ったために、米国等海外に比べて不具合件数を少なくできた例もあると思うのです。例 えばCypherステントの場合、かなり早期から安全情報を回されましたので、国内での不 具合は比較的少ないとお聞きしています。海外で薬の入ったステントというのは、米国 などを調べてみますと、今たくさん上がっていますので、今後気を付けないといけない とは思いますが、国内でこういう対策を安全対策課がされたので、海外に比べて日本の 安全性が非常に精度高く守られたということを発表していただけると、またいろいろな 意味でいい影響があるのではないかと思います。  ○笠貫部会長 いい御指摘をいただきましたので、そういうものも是非御検討いただけ たらと思います。 ○安全管理監 日本からFDA等に情報提供をして、向こうの対策に非常に役立てられ たというので、白血球の除去フィルターなどで前例はあると思います。いずれにしても、 そこは欧米規制当局との連携で、安全対策課と共に取り組んでいくということであると 思います。 ○笠貫部会長 先ほどのペースメーカ等に対する影響というのも、日本が最も進んでい る領域であると思いますので、そういうことを世界に発信していくこともこの部会の大 事な役割になるかと思います。これからそういう事例がありましたら、事務局も積極的 にここで御報告をいただけたらと思います。ほかにはございませんか。 ○許委員 先ほどの自主回収の話で、市場在庫は自主回収、医療機関に対しては情報提 供ということですが、患者個々人に対する情報提供は、企業と患者の間にある機関を介 しなければいけないというルールになっているのでしょうか。それとも、例えば我々登 録医療機関は、患者のことについては患者の承諾を得て登録をしているのですが、そう した場合は、患者に直接その情報が流れるようなシステムにはなっていないのでしょう か。患者が動くものですから、医療機関も最終的に、情報を受けても連絡のしようがな くなる場合もありますので、その辺はどうなっていますか。 ○事務局 医療機器等に不具合があった場合に、メーカーから直接患者にアクセスする ことは、一般的には想定されていません。主治医を通して、適切な情報提供なり安全対 策を講ずることが基本になるわけです。一方で、植込み型の医療機器など、許委員の言 われるように、即座に対応を取らなければならない、そのための仕組みとして薬事法第 77条の5で、特定医療機器ということで指定をさせていただいているものがあります。 そちらの医療機器については、もちろん主治医を通じてですが、患者の情報を収集して メーカーの方で緊急体制が取れるようにしてあります。 ○笠貫部会長 許先生の御指摘は、更にそれを一歩進めて、植込みの機器の患者が移動 して、医療機関あるいはメーカーで必ずしも把握できない場合でも、フォローできる、 そして重要な情報が提供できるシステムを今後検討していただけたらということだと思 います。これについては、今後の課題ということか、あるいは事務局の方で今検討して いることがございましたらお願いします。 ○事務局 先ほどの説明の補足になりますが、特定医療機器であれば、主治医から連絡 をとろうとしても、患者が引っ越してどこにいるか分からないという状況でも、提供す る情報がどれだけ緊急性があるかにもよるのですが、直接患者に対してアクセスするこ とは当然あり得ると考えています。その体制は現時点で取り得ると理解しています。 ○笠貫部会長 今後、御検討いただけるということです。ほかに御質問はございません か。大変難しい問題を御指摘いただきましたが、今後の課題にさせていただけたらと思 います。ほかにございませんでしたら、以上で、本日予定しました報告事項はすべて終 了となります。そのほかに、何か事務局からございますか。 ○事務局 一点、アスベストを含有する医療機器の実態把握調査に関する追加情報につ いて、御説明を申し上げます。参考資料2を御覧ください。アスベストを含有する医療 機器について、一昨年の12月に一度まとめまして、その後2回ほど追加の情報を出して いるわけですが、今回は3回目ということで、新たにアスベストを含有する医療機器が 判明いたしましたので、こちらについて情報提供するという趣旨のものです。製品名は アナログ式歯科用パノラマX線診断装置ということで、こちらの製品に一部アスベスト を使用しているパーツがあったという報告がメーカーからされています。この機器は通 常使用時に石綿が放出されるというものではありません。また、この製品は20年近く前 に販売を終えているものです。以上です。 ○笠貫部会長 ただ今の事務局からの御説明について、何かコメント、御質問はござい ますか。ございませんでしたら、全体を通して、何か御質問、御意見はございませんで しょうか。なければ、本日の議事はこれで終わりとさせていただきます。 ○事務局 次回の部会の日程につきましては、12月ごろを予定しておりますが、別途、 部会での審議等が必要な議題が生じた場合には、開催予定が早まることがございますの で御承知おきをお願いします。なお、日程調整等につきましては、事務局より先生方の 御都合を伺って決めさせていただきたいと思います。それでは、これで平成19年度第1 回の医療機器安全対策部会を閉会いたします。長時間ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 高橋(内線2751)      - 2 -