07/06/20 第1回糖尿病等の生活習慣病対策の推進に関する検討会議事録 ○日時:平成19年6月20日(水) 10:00〜11:30 ○場所:九段会館 瑠璃の間 ○議事次第 1.開 会 2.糖尿病等の生活習慣病対策を推進するための方策について 3.その他 4.閉 会 ○出席構成員(敬称略・五十音順) 井伊久美子、今村聡、春日雅人、北村惣一郎、笹月健彦、篠崎英夫、久道茂、二見大介 渡邊昌 ○オブザーバー 亀井国立成育医療センター運営部長 ○厚生労働省出席者 外口健康局長、矢島健康局総務課生活習慣病対策室長、平子医政局国立病院課指導官 ○照会先 健康局総務課生活習慣病対策室(内線2974,2971) ○矢島生活習慣病対策室長 定刻となりましたので、ただいまから、第1回「糖尿病等 の生活習慣病対策の推進に関する検討会」を開催させていただきます。  開会に当たりまして、外口健康局長よりごあいさつを申し上げます。 ○外口健康局長 本日は、委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集ま りいただきまして、誠にありがとうございます。  生活習慣の変化、そして高齢化の進展に伴いまして、我が国では、糖尿病等の生活習 慣病の有病者あるいは予備群が増加傾向にあり、生活習慣病対策は大変重要な課題とな っております。  そのような中で、来年度から、生活習慣病対策の充実と強化を大きな柱の1つとする 医療制度構造改革も本格実施されることとなっております。  具体的には、効率的かつ効果的に、生活習慣病のリスクの高い者を抽出して、早期に 行動変容を促し、そして疾病の発生を予防していくことであり、これは極めて重要なこ とでありますから、医療保険者にメタボリックシンドロームに着目した生活習慣病予防 のための健診、保健指導の実施が義務づけられたところであります。  また、糖尿病等の生活習慣病対策としては、勿論、予防だけでなく、治療体制の整備 も重要でありますことから、都道府県の医療計画においても、糖尿病や脳卒中、心筋梗 塞について、医療体制の整備を行うこととしております。  更に、先般とりまとめられました新健康フロンティア戦略においては、メタボリック シンドローム対策を推進するため、糖尿病等の生活習慣病対策に関する拠点づくりの必 要性も指摘されているところであります。高度な医療機能を有するナショナルセンター 等と各地域における糖尿病等の生活習慣病に関する予防、治療体制との連携を図ってい くことにより、生活習慣病対策をより一層推進することは、極めて重要であると考えて おります。  委員の先生方におかれましては、何とぞ活発な御議論をいただきますよう、よろしく お願いいたします。ありがとうございました。 ○矢島生活習慣病対策室長 続きまして、委員の紹介をさせていただきます。  資料1の2ページの参集者名簿に基づきまして、大変恐縮ですが、五十音順に御紹介 をさせていただきます。  席が順不同になっていますが、井伊委員でございます。  今村委員でございます。  春日委員でございます。  北村委員でございます。  笹月委員でございます。  篠崎委員でございます。  久道委員でございます。  二見委員でございます。  渡邊委員でございます。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  医政局国立病院課の平子高度・専門医療指導官でございます。  私は、生活習慣病対策室長の矢島でございます。  また、開催要綱にございますとおり、国立成育医療センターより、亀井運営部長に御 出席をいただいております。  ここで、外口健康局長は、公務のため退席をさせていただきます。  引き続きまして、資料の確認をさせていただきます。  議事次第、座席表のほかに、資料1といたしまして「糖尿病等の生活習慣病対策の推 進に関する検討会開催要綱」。  資料2といたしまして「糖尿病等の生活習慣病対策の現状について」。  資料3といたしまして「改正医療法に基づく医療計画の見直し(抜粋)」。  資料4といたしまして「医療政策の経緯、現状及び今後の課題について(抜粋)」。  資料5といたしまして「新健康フロンティア戦略〜健康国家への挑戦〜」。  資料6といたしまして「新健康フロンティア戦略(参考資料)(抜粋)」でございま す。  もし、不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し付けをいただきますよう、 お願いを申し上げます。  続きまして、本検討会の座長でございますが、久道委員にお願いをしたいと考えてお ります。  それでは、以下の進行を久道委員にお願いをいたします。 ○久道座長 それでは、指名をいただきましたので、座長を務めさせていただきます。  糖尿病等の生活習慣病対策の推進は、非常に重要な課題でありますが、委員の皆様の 御協力をいただきながら進めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたしま す。  それでは、早速、議事に移りたいと思います。  まずは、糖尿病等の生活習慣病対策の現状について、事務局より、説明をお願いいた します。 ○矢島生活習慣病対策室長 それでは、お手元の資料2〜4に基づきまして、生活習慣 病対策の現状について、御説明をさせていただきます。  まず、資料2の「糖尿病等の生活習慣病対策の現状について」でございます。  2ページ「生活習慣病対策の現状及び今後の方向性等について」ということで、この ような形で、現状につきまして、まずポピュレーションアプローチ(健康日本21等)や ハイリスクアプローチ(老人保健事業等の健診・保健指導)により、生活習慣病予防の 取組みをやってきたということが書かれております。  一方で、肥満者の割合が増加している。  日常生活におきましても、歩数の減少等が見られ、糖尿病等の生活習慣病の有病者予 備群が増加をしているという現実。  生活習慣病が医療費の約3割を占めている。  近年、国民医療費が国民所得を大きく上回っているという現状がございます。  そういう中で、課題といたしましては、ポピュレーションアプローチでは、総花主義 的で、ターゲットが不明確であったという課題がございます。  ハイリスクアプローチでは、市町村、医療保険者等の役割分担が不明確であって、ハ イリスク者の確実な抽出ですとか、保険者の徹底が不十分であったという課題がござい ます。  これを受けまして、先ほど局長からのあいさつに入れさせていただいたところでござ いますが、今後の方向性という形で、まず、ポピュレーションアプローチといたしまし ては、私どもは内臓脂肪型肥満、要するにメタボリックシンドロームの概念に着目をい たしまして、例えばエクササイズガイドですとか食事バランスガイドというツールの開 発をさせていただいております。  また、都道府県が総合調整機能を発揮するという形で、都道府県健康増進計画を改定 することによりまして、明確な目標を設定いたしまして、医療保険者、事業者、市町村 等の役割を明確にしていくということが、今後の方向性として、まず挙げられておりま す。  2番目のハイリスクアプローチとして、来年の4月から40歳以上の被保険者・被扶養 者に対しまして、メタボリックシンドロームに着目をいたしました健診・保健指導が新 たに実施されるところでございます。  目標といたしましては、平成27年度までに、メタボリックシンドロームの該当者及び 予備群を平成20年度と比べまして25%以上減少させるという目標を掲げて、具体的に 中長期的な医療費の適正化、国民健康増進・生活の質の向上を図っていくという大きな 流れを考えているところでございます。  具体的に、資料の御説明をさせていただきます。4ページでございます。  先ほどの肥満者の割合なんですが、これは「健康日本21」の中間評価を書いてござい ますが、私どもは2010年までには男性20〜60歳代はBMIで肥満と呼ばれる25以上の 方々を15%まで下げたいと考えたのですが、結果は逆でございまして、かえって増えて いるという現状がございます。そういう意味では、なかなか厳しい現実にあるわけでご ざいます。  女性の方も減少するという目標を掲げていますが、横ばいであるということです。  そのほか、野菜の摂取量を見ますと、かえって減っている。  朝食を欠食する人がかえって増えているという問題も指摘されております。  5ページの身体活動でも、歩数で見ますと、目標のところが、男性におきましては9,200 歩を目標にしていますが、かえって歩数は減っています。  女性も減っているという問題がございます。  ただし、運動習慣の割合は、意識して運動をしようと気持ちを持っている方は増えて はいるということが下のグラフでございます。  6ページは、こういうことを受けまして、私ども厚生労働省では、平成9年と平成14 年に糖尿病の実態調査を行っているわけでございますが、これを見ますと、平成9〜14 年の間に、糖尿病が強く疑われる人、糖尿病の可能性を否定できない人を合わせまして、 1,620万人に上る。この5年間の間に約250万人、18%も増加しているという問題がご ざいます。  そのほか、高血圧症、高脂血症。高脂血症は新しく脂質異常症という名称で学会では 書いてありますが、そういう患者さんもかなり増えてきているという問題がございます。  7ページは「生活習慣病の医療費と死亡数割合」でございます。  医療費は大体年間32〜33兆円あるわけでございますが、その約3分の1が生活習慣病 関連の医療費だと言われていますし、悪性新生物も入っておりますが、約6割が生活習 慣病関係で亡くなっておるという現実がございます。  8ページでございます。  国民医療費は年々増えているわけでございまして、そういう意味では、国民所得に対 する割合がかなり高くなってきている。国民の負担がかなり強くなってきているという ことがこのグラフから伺われます。  9ページでございます。  医療費増加の構図はいろんな要因がたくさんございます。医療費が増える要因はたく さんございますが、その中でやはり大きく占めているのは、老人医療費の増加でござい まして、その中で特に一人当たりの入院の医療費が増えている。これは平均在院数が長 いということ。それから、平均在院数が長い原因の1つに、脳卒中によります生活習慣 病が原因していることもありますし、生活習慣病が増えることによりまして、一人当た りの外来の医療費も増えていくという問題がございますので、やはりこの生活習慣病対 策というものがいろんな意味で大変重要であると位置づけられております。  10ページでございます。  ちょうど1年前でございますが、医療制度改革関連法案が通りまして、いろいろな医 療制度改革が行われておりますが、その中の大きな柱は、ここにございますように「安 心・信頼の医療の確保と予防の重視」でございます。そういう意味では、予防の重視が かなり重要な位置づけになっております。  その中で、四角く囲ってございますが「(2)生活習慣病対策の推進体制構築」とい う形で、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の概念を導入した「予防」の重 要性に対する理解を促進していくという国民運動を展開する。  保険者の役割の明確化をし、被保険者・被扶養者に対する健診・保健指導を義務づけ る。  健康増進計画の内容を充実し、運動、食生活、喫煙等に関する目標を設定をするとい うことがここに掲げられています。  これを踏まえまして、健康保険法等の一部改正する法律の中で、医療費適正化の総合 的な推進という形で、医療費適正化計画の策定ですとか、保険者に対する一定の予防健 診の義務づけといったものが、今回の制度の中で位置づけられたわけでございます。  11ページ「老人保健法の改正内容」でございます。  現行は、市町村の健診は老人保健法を基にして行っております。そういうものが、改 正後の来年4月以降どういうふうな形になるかということをわかりやすくまとめさせて いただいたものでございます。  老人保健法にございます市町村における健診等が、高齢者の医療の確保に関する法律 の中で、市町村等医療保険者による特定健診・保健指導の義務化という形で位置づけら れております。  健康増進法にも、従来から国民の健康増進に関する基本方針等の作成、市町村におけ ます生活習慣病の相談等の事業を実施していたわけでございますが、今回の高齢者の医 療の確保に関する法律以外の部分につきましては、健康増進法に引き続き位置づけて、 従来と変わらないサービスが提供されるような形で、継続して実施できる体制をここで 確保しているわけでございます。  12ページ「健康日本21中間評価報告書」でございます。  この「健康日本21」におきましては、最初に御説明をさせていただきましたが、総花 主義的でターゲットが不明確だったという課題ですとか、目標達成に向けた効果的なプ ログラムやツールの展開が不十分だったという課題。  政府全体や産業界を含めた社会全体としての取組みが不十分であったという課題。  医療保険者、市町村等の関係者の役割分担が不明確であったという課題。  保健師、管理栄養士等医療関係者の資質の向上に関する取組みが不十分であったとい う課題。  現状把握、施策評価のためのデータの収集、整備が不十分であったという課題。  これを踏まえまして、今後の方向性といたしまして、まずポピュレーションアプロー チとして、健康づくりの国民運動化を推進していく。  ハイリスクアプローチとして、効果的な健診・保健指導を実施していく。  産業界と連携をする。  人材育成をする。  エビデンスに基づいた施策を展開するという形で、特にここのところは、分野別の取 組みをここで規定させていただきました。  栄養・食生活につきましては「食事バランスガイド」や食育の推進。  身体活動につきましては「エクササイズガイド」というものを昨年の夏につくりまし た。  休養ですとか、こころの健康づくり。  たばこ対策。  アルコール対策。  歯の健康。  糖尿病という形で、メタボリックシンドロームに着目した効果的な健診・保健指導の 実施。  循環器病という形で、これもメタボリックシンドロームに着目した効果的な健診・保 健指導の実施。  がん対策。  こういうものを総合的に進めていくという流れになっております。  13ページ「ポピュレーションアプローチ」について、簡単に御説明をさせていただき ます。  「健やか生活習慣国民運動」というものを来年に立ち上げるという形で、今年度、準 備を進めさせていただいております。今までの「健康日本21」の中のいろいろな課題が 総花主義的だったということもありましたので、今回は、2つ目の枠の「重点分野の設 定」という形で「健康日本21」のうち「運動・食事・禁煙」の3つに焦点を絞った形で、 健やか生活習慣国民運動というものを重点的にやっていく。ターゲットを明確にした国 民運動を進めていくということを考えております。  これには、産業界による取組みも一緒に巻き込んでいこうということでございまして、 国と各団体、学会、産業界、地方公共団体、マスコミ等とも連携をしながら、このよう な国民運動をしていきたいと考えております。  具体的には、15ページでございます。  18年度はこのための国民運動準備会議の設置の準備をしておりました。関係省庁とい ろいろと下準備をさせていただきまして、真ん中の列の一番下の「国民運動準備会議」 を、できれば今月中にまず設置したいということで今、関係のところと調整をさせてい ただいております。  まずは、いろんな企画、提案のコンペ等を7月にいろいろとさせていただきながら、 試行的な取組みをやっていただく。例えばいろんなマスコミでは、メタボ撲滅のキャン ペーンをしていただいておりますし、伊能忠敬の上映運動というものをやっていただい ております。  9月には、福井県で「健康日本21」の全国大会がございます。この中で先駆的ないろ いろな取組みの紹介をさせていただければと思っています。  今年度の年度末、3月になってしまうかもしれませんが、国民運動のプレイベントと いうものを都内で開催をしたいということで準備をしておりまして、20年度から新しく 始まります制度に向けまして、19年度の終わりに国民運動のプレイベントを開催し、20 年度から新たに国民運動として、いろいろな全国協議会を発足し、国民運動を展開をし ていくということを考えておるところでございます。  16ページは、この運動の推進体制でございます。  事務局は健康・体力づくり事業財団にお願いをしようという形で今、関係のところと 調整をさせていただいているところでございます。  17ページは、伊能忠敬の映画でございます。  これは厚生労働省推薦ということで、伊能忠敬の映画の主演の加藤剛さんは、健康日 本21推進国民会議の委員ということで、私ども厚生労働省としても、この映画を推薦を させていただいているところでございます。  18ページも同じものでございます。  19ページは「都道府県健康増進計画の内容の充実の基本的な方向性」という形で、地 域の実情を踏まえた具体的な目標値の設定ですとか、関係者の役割分担・連携促進のた めの都道府県の総合調整機能を強化する。各団体の取組みですとか進捗状況ですとか、 目標の達成度の評価等を徹底するということでございます。  20ページは、今回の「糖尿病等の生活習慣病の発症予防・重症化予防の流れに対応し た客観的評価指標」という形で、私ども、糖尿病等の生活習慣病有病者予備群を25%減 少させるというのは、この黄色い境界領域のところと生活習慣病の赤いところが大変重 要だと考えております。  そういう意味で、従来、早期発見、早期治療が大事だったわけでございますが、一歩 進めまして、健診で予備群の段階から見つけていって、保健指導を徹底していく。発症 予防を取り組んでいこうという形で、特にこの黄色のメタボリックシンドローム予備群 のところを重点的に健診で見つけ出して、保健指導でその発症予防をしていくという流 れをつくっていくとともに、どうしてもこれだけでは対策は不十分でございます。どう しても生活習慣病になってしまう方がいらっしゃいますので、発症してしまった方につ いては、引き続き治療を徹底して、治療をコントロールしながら重症化、合併症を予防 する。特に心筋梗塞ですとか、脳血管疾患というものについての重症化を予防していく という大きな流れをやっていく必要があります。  そういう意味で、不適切な生活習慣のところをまず対策づくり、健康づくりに関して どういうふうにいろいろな普及啓発をしていくという流れ。  健診で予備群を見つけて、予備群に対して保健指導をしていく。  この保健指導をしても、どうしてもなってしまった方に対して、治療をどういうふう に重点的にやっていく必要があるのか。この治療を重点的にやっていくことによって重 症化を防止するわけですが、不幸にしてやはり心筋梗塞、脳卒中が起きてしまう方々も いらっしゃるわけでございますので、そういう方々に対してどのような対策をしていく 必要があるのかという一連の流れを総合的にやっていく必要があるのではないだろうか と考えているところでございます。  21ページ「ハイリスクアプローチについて」でございます。  22ページ「保険者による健診・保健指導の実施」ということで、平成20年4月から 実施されるわけでございます。  40〜74歳の医療保険加入者は、約5,600万人いらっしゃいます。その方々に今回の基 準に該当する方々を見ますと、メタボリックシンドローム該当者予備群は大体私どもの 調査で1,960万人いらっしゃるわけでございます。その中で、医療保険者に特定保健指 導の実施を義務づけるわけでございまして、生活習慣病のリスクの要因の減少を図る。 結果として、生活習慣病に起因する医療費の削減をしていくという考え方でございます。  後期高齢者医療制度の支援金制度が平成20年4月から始まりますが、平成25年度 より、これにつきましては、特定健診の受診率ですとか、特定保健指導の実施率、平成 20年の目標設定時と比べた内臓脂肪症候群の該当者・予備群の減少率というものを指標 といたしまして、後期高齢者医療制度支援金の加算、減算を導入する準備をさせていた だいているところでございます。  23ページは「標準的な健診・保健指導プログラム」の中の健診項目の、上が「必須項 目」、下が「詳細な健診の項目」でございます。  24、25ページに、今回のメタボリックシンドロームの概念を導入いたしました健診・ 保健指導対象者の階層化の考え方が書いてございます。  26ページは「標準的な保健指導」でございます。  基本的には、保健指導は「情報提供」「動機づけ支援」「積極的支援」の3つを考え ております。  先ほどの階層化基準のところで、リスクの数に応じまして、リスクの多い方々、24ペ ージのところにございますが、リスクの数に応じまして「積極的支援」「動機づけ支援」 「情報提供」レベルと設定をさせていただいております。  情報提供の方につきましては、健診結果と一緒に基本的な情報を提供する。  動機づけ支援というものは、リスクの出始めの方、リスクの数が少ない方に関して、 生活習慣の改善のための取組みに係る動機づけの支援、保健指導を1回行い、6か月後 に評価を行うというものです。  積極的支援は、リスクが重なり始めてきた方々に対して、一定期間、一応3か月以上 6か月未満までの間の継続した保健指導を行うという考え方でございます。  27ページが情報提供の具体的な中身でございます。  これは、ここに書いてあるような中身になります。  28ページは動機づけ支援でございます。  動機づけ支援には2つのパターンがございまして、基本的には面接でございます。1 人20分以上の個別支援、または1グループで80分以上のグループ支援のどちらかをす るという形です。6か月後には、その評価をするという形で、それは個別支援でもグル ープ支援でも電話でもe-mailでもいいという形です。  個別支援の具体的な支援内容は、下に書いてあるとおりでございます。  29ページは積極的支援でございます。  積極的支援も、初回に必ず面接をしていただく。これは動機づけ支援と同じでござい ます。  3か月以上の継続的な支援をしていただきまして、6か月後には評価をするという形 になります。  支援形態は個別支援、グループ支援、電話ですとかe-mailというものが使えます。  ポイント制になっておりまして、180ポイント以上にするという考え方です。  支援の形態には、支援Aと支援Bがございまして、Aが積極的関与です。いろんな行 動計画のアセスメントをしたり、そういうものをするという、懇切丁寧に積極的に関与 するタイプと、支援Bの励ましタイプという形で、計画に基づきまして、いろんな励ま しをしたり、いろんな取組みについての相談に乗るというものでございます。  それで180ポイント以上で、Aタイプが160ポイント以上、Bタイプで20ポイント以 上取るということが基本でございます。  6か月後についても同じような形で身体状況や生活習慣についての評価を行うという ものでございます。  30ページは、とかく先ほどのポイント制にいたしますと、どうしてもそこのところが 最低基準の方にいってしまう傾向がございますので、私どもといたしまして、やはり望 ましい積極的支援の例という形で、2週間後、1か月後、2か月後、できれば4か月後、 6か月後も含めまして、このような積極的支援の仕方が望ましいのではないだろうかと いう例をお示しをさせていただいています。  31ページは「保健指導のプロセスと必要な保健指導技術」という形で、考え方をまと めさせていただいたものでございます。  保健指導の準備をし、対象者との信頼関係を構築した上でアセスメントを行い、気づ きの促しを行うという形になります。  対象者の自己の健康行動と科学的根拠のある方法の理解の促進及びどのような教材を 使って指導するのかということを選定をし、具体的な目標を設定し、継続的なフォロー をし、評価を行うという一連の流れでございます。  32ページは、研修ガイドラインというものも設けてあります。実際に健診・保健指導、 特に保健指導を担当する従事者の方々の研修をどのような形で行うのが望ましいかとい うことで、その具体的な研修のガイドラインをここにお示しをさせていただいておりま す。  研修の実施体制でございますが、都道府県、市町村の保健師、管理栄養士、民間事業 者等を対象にしているもの。  医療保険者、都道府県の支部、医療保険者に所属いたします医師、保健師、管理栄養 士、事務職等を対象とするもの。  関係団体の都道府県支部または各団体の会員を対象とするものという形で、これにつ きましては、その指導者の育成レベルについては国立保健医療科学院で医療保険者及び 関係団体の中央レベルの研修を行うという考え方でございます。  研修において習得すべき能力といたしましては、いろいろな企画立案ですとか、行動 変容につながる保健指導のスキルアップに関するものですとか、個別的な生活習慣に対 して指導できる能力ですとか、適切な学習教材というものを開発できる能力をこの中で 研修をしていくということを考えております。  33ページが「リーダー育成プログラム」の例でございます。  34ページーが「実践者育成研修プログラム」の例でございます。  引き続きまして、資料3に基づきまして「改正医療法に基づく医療計画の見直し」に ついて御説明をさせていただきます。  1ページ「医療計画制度の概要(従来)」でございます。  従来の医療計画につきましては、5年ごとに基準病床数を設定するというものを従来 から医療計画の中でやっておりました。  2ページ、改正医療法におきましては、今回この医療計画の中に4疾病という考え方 が出てきます。  4疾病というのは、患者数が多く、かつ死亡率が高い等、緊急性が高いために、限ら れた医療資源による効率的な対応が必要。症状の経過に基づくきめ細かな対応が求めら れることから、医療機関の機能に応じた対応が必要であるというものでございます。  この4疾病でございますが、5ページにございます。  「医療連携体制を構築し医療計画に明示」という形で、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、 糖尿病が4疾病という形で医療計画の中に位置づけられているわけでございます。  3ページにお戻りいただきたいと思います。  医療計画の基本方針の中で、4疾病について、目標に具体的に位置づけるという形で ございまして、4疾病、5事業について数値目標を定め、少なくとも5年ごとに数値目 標の達成状況について評価を行う。  この4疾病、5事業については、それぞれ医療機能を踏まえ、業務の連携体制を構築 し、医療計画に明示するということがこの中に示されているわけでございます。  そのほか、医療従事者の確保ですとか、そういうものがこの中に規定をされておりま す。  そういう形で、医療計画の見直しが行われているわけでございます。  次、資料4で、抜粋がございますが、この中の15ページをごらんいただきたいと思い ます。先ほど御説明をさせていただきました医療機能の明確化。 ○久道座長 15ページないですよ。14ページまでしかないですよ。 ○矢島生活習慣病対策室長 私の資料が古かったようで、申し訳ございません。3ペー ジでございます。  3ページのところに「医療機能の明確化・分化の推進におけるナショナルセンターと 地方中核病院との連携」という言葉が一番下にあるかと思います。  各都道府県における医療機能の明確化・分化の推進に際しては、ナショナルセンター も重要な役割を果たすべきである。特に、がん対策等政策医療の臨床水準の均てん化と さらなる推進が求められている。  このため、現在がん対策で進めているようなナショナルセンターと地方の中核病院と の連携を念頭に置いて、都道府県の医療計画等との連携を図りつつ、ナショナルセンタ ーにおいては、がん、循環器病、精神・神経疾患、感染症、代謝症候群、成育医療、長 寿医療等の各政策医療分野の医療、研究、人材育成、情報発信の牽引車としての役割や、 高度先駆的技術の開発、高齢者の在宅医療システムの全国への普及等を行う役割を担う とともに、政策提言を行うことができる方向で、平成22年度の独立行政法人化に向けて、 その果たすべき役割や機能等について検討を進める必要があるということがここに位置 づけられているわけでございますので、そういう意味で、先ほどの4疾病の関係と医療 計画の関係、私どもが進めています生活習慣病対策、先ほどの予防から治療、重症化防 止という流れとの連携が必要になってくると考えているところでございます。  以上でございます。 ○久道座長 ただいま資料1〜4までの説明をいただきました。これまでのところで、 皆さんから何か御意見あるいは御質問ございませんでしょうか。何でも結構です。  どうぞ。 ○北村委員 全国で1,900万人ほどもおられる対象者に特定健診あるいは特定保健指導 を行う人の数は、都道府県にどのぐらい対象者が分布しているのかは存じませんが、カ リキュラムに従って、何人を養成すれば対応できるんでしょうか。  そして、その人たちの財源確保の20年度の見通しは立っているのか。 ○久道座長 どうぞ。 ○矢島生活習慣病対策室長 まず、健診につきましては、現行の老人保健事業がベース になっていますので、健診については、従来からの健診受診率をまず上げていただきた いという形があります。  平成24年までに大体70%ぐらい。制度によってちょっと違うんですが、80%のとこ ろですとか、市町村の国保は65%というのがあるんですが、大体健診受診率は24年ま でに70%を目指してください。  保健指導の実施率は45%を目指してくださいという流れになっています。  ただ、健診の方は、現行の体制があるわけですが、保健指導につきましては、全く新 しい流れになりますので、これにつきましては、最初から計画は各医療保険者について はできるところから設定をしていただくことになるのですが、徐々に増やしていただい て、最終的には45%を目指していただくということでございますので、余り最初から無 理をするよりも、まず制度をきちんと導入をすることが大事ですという形で考えさせて いただきます。  これの人材確保につきましては、先ほど国立保健医療科学院におきまして、いろいろ な各団体、医療保険者、都道府県の担当者も含めて、実際に約600人の方々を対象に研 修を終了いたしまして、それぞれの都道府県、団体で、これから医療保険者の研修がこ の1年間で行われている予定になっております。そういう意味では、かなり人材の確保 はできるのではないだろうかと思っています。  この財源でございますけれども、基本的にはこの健診・保健指導は医療保険の保険料 をベースに行いますので、そういう意味では、まずその保険料がベースになって、一部、 例えば国保ですとか、そういうものにつきましては、従来老人保健事業にありましたよ うな形で、国と都道府県の補助というものもこれから必要だということで、これからで ございますけれども、これは来年度に向けて、財務省とも協議をさせていただきながら、 予算を確保していくという方向で今、準備をしているところでございます。 ○久道座長 ほかにございませんか。  どうぞ。 ○篠崎委員 資料2の14ページの御説明で「健康日本21」を西暦2000年を1つの契機 としてスタートをさせて、中間年をここにありますように9分野70項目についてそれぞ れ見たところ、余り芳しくない。だから焦点を絞って、今度は健やか生活習慣国民運動 を展開するということで、大変いいことだと思うんですが、この9分野70項目のうち、 達成された項目は幾つかあるんでしょう。  例えばここに数が多過ぎたとか展開が不十分というので、もう少し具体的に、このぐ らいしかできなかったからこういくんだという方がインパクトがあるのかなと思いま す。 ○矢島生活習慣病対策室長 その辺の資料が抜けておりまして、申し訳ございません。  特に歯科の分野などはかなり達成をされていると認識しております。  ただ、従来の「健康日本21」も引き続きやらせていただくのですが、今回の、特に生 活習慣病の中のメタボリックシンドローム関係の肥満ですとか、うまく達成できていな い食事と運動、喫煙のところにターゲットを絞って、国民運動も併せてやっていければ と思っております。 ○久道座長 この9分野70項目を更に絞った重点項目というのはあったんではなかっ たですか。 ○矢島生活習慣病対策室長 済みません、その説明が抜けておりました。  今、座長から御指摘がありましたけれども、この9分野70項目の重点分野を25項目 に絞りまして、各都道府県については、そこについては必ず達成していただくような形 で、特に重点化したということもこの中でやらせていただいております。 ○久道座長 ほかにございませんか。  どうぞ。 ○今村委員 特定健診・保健指導の対象者というか、医療保険者に義務づけられたとい うことで、いわゆる保険料が未払いになって、資格証明のような形になっている方への 対応がどうなのかということと、無保険者の方がかなり増えてきていると、保険者がそ の方たちを把握できない。そういう方たちはこの国民の特定健診・保健指導から取り残 されてしまう形になるのかなと思いました。  資料2の11ページの健康増進法で、市町村にある程度いろんな健診などが健康増進法 の中でもできるように位置づけられているように見えるんですけれども、市町村では、 生活習慣病以外の健診の実施ということで、いわゆる特定健診に当たるようなものが市 町村で独自にできるような仕組みになるのかどうか。そういう取組みはそれぞれの市町 村に任されることになるのか。市町村としては、そういう無保険者の方たちが把握でき て、そういう案内がきちんとできるようになるのかという辺りを教えてください。 ○矢島生活習慣病対策室長 まず基本的に、保険に入っていない方がいらっしゃいまし て、具体的には生活保護の方々になるのですが、生活保護の方々で社会保険に入ってお られない方々は、今回の健康増進法の対象で、市町村で引き続きやっていただこうと考 えております。  国民健康保険ですから、資格証だけの方の扱いにつきましては、基本的に今、担当部 局で最終的な調整をさせていただいているのですが、やはり保険者の義務としてそうい うところをやる方向で今、検討していると聞いておりますが、最終的にそういうものの 整理ができました段階で御報告させていただくことができると思っております。 ○久道座長 今のは未払い者のこともですか。 ○矢島生活習慣病対策室長 資格証ですから、そうです。 ○今村委員 未払い者はやっていただけるということですね。  生活保護を受けていない、いわゆる保険料を払っていないような方たちというのも中 にはいると思うんですれども、そういう方はもうやらないということですか。 ○矢島生活習慣病対策室長 多分、そこはまた市町村の中でどういうふうに把握してや っていくかということで、基本的には市町村の責任の中でどういうふうにそれを把握し てやっていただくかという形になっていくと思います。細かいところはまたいろいろと 調整をしなければいけないところがあります。 ○今村委員 わかりました。ありがとうございます。 ○久道座長 ほかにございませんか。  どうぞ。 ○井伊委員 ハイリスクアプローチのことです。 ○久道座長 資料は何番ですか。 ○井伊委員 資料2の24ページです。  このステップ1のところで、内臓脂肪蓄積に着目してリスクを判定して、要するに肥 満の人を抽出するわけですけれども、肥満ではなくて、血圧が高いとか血糖が高いとい う方々の方が、実数としては非常に多いと思いますが、この人たちへの保健指導は、11 ページの「健康増進法等」のところに係るという理解でよろしいでしょうか。 ○矢島生活習慣病対策室長 基本的にまず、医療保険者としてもやっていただくことも できるのですが、医療保険者がやらない場合には、市町村の衛生部局、担当部局でやっ ていただくという考え方になります。 ○井伊委員 あとは相談しながらですか。 ○矢島生活習慣病対策室長 従来の保健指導の仕方も残っているという形です。それを 保険者がやることもできますし、市町村の衛生サイドでやるということもできます。  資料に入っていませんが、その部分につきましては、そういうことはできるというこ とが書いてあります。 ○久道座長 ほかにございませんか。よろしいですか。  どうぞ。 ○渡邊委員 11ページですが、要するに老人保健法は旧来のは廃止になって、健康増進 法と高齢者の医療の確保に関する法律になるわけですね。  産業保健の方の企業健診というのも非常に重要な要素だと思いますが、その人たちは どのようになるのでしょうか。 ○矢島生活習慣病対策室長 労働安全衛生法のところにつきましても、今回の特定健診 の健診項目と合わせていただくことになりました。ですので、産業保健のところにつき ましても、今回の健診と同じ健診項目を受けていただくという形になります。  保健指導につきましても、また今回の保険者との保健指導と連携をしていただくよう な形の中で、産業保健の中でも同じような保健指導をしていただくような仕組みもでき るような形になっております。 ○渡邊委員 そうしますと、法律的にはパラレルな感じですが、データとしては集まる のでしょうか。 ○矢島生活習慣病対策室長 まず、労働安全衛生法で受けていただいた健診結果につき まして、それを医療保険者の方にデータをいただくという流れを今、つくっているとこ ろであります。 ○久道座長 ほかにございませんか。  なければ、次の資料の説明をしていただきますが、また思い出したら、どうぞ御質問、 御意見をいただきたいと思います。  次は、資料5、6の説明をお願いいたします。 ○矢島生活習慣病対策室長 それでは、お手元の資料5「新健康フロンティア戦略〜健 康国家への挑戦〜」に基づきまして説明をさせていただきます。  4月18日にとりまとめられたものでございます。  1ページは、新健康フロンティア戦略の会議メンバーでございます。実は、春日委員 はこの新健康フロンティア戦略賢人会議のメンバーという形で御参加をいただいており ます。  3ページをお開きをいただきたいと思います。実は、この中に4つの分科会がありま して、3番目の「働き盛りと高齢者の健康安心分科会」というのがございまして、この 分科会の分科会長を春日先生にお願いをいたしまして、この新健康フロンティアのとり まとめをさせていただきました。  4ページに目次がございますが、その中で特にこの全体の新健康フロンティア戦略の 流れがあります。その中で「III.戦略の具体的内容」の第1部の3番目の「メタボリッ クシンドローム対策の一層の推進(メタボリックシンドロームの克服力)」という形で、 ここのところに大きくメタボリックシンドロームが取り上げられているところでござい ます。そういう流れになっております。  具体的に、この新健康フロンティア戦略、全体はここにございますように、子どもで すとか、女性、がん、こころ、介護、歯、食育、運動・スポーツも含め、大きくいろい ろな戦略が書いてあるわけでございますが、その中で特にこのメタボリックシンドロー ムにつきましては、お手元の資料の10ページのところをごらんをいただきたいと思いま す。  「3.メタボリックシンドローム対策の一層の推進」という形で「メタボリックシン ドローム克服力」とあります。  ここを読ませていただきます。  「我が国は、世界一の長寿国である一方、急速に人口の高齢化が進展している。多く の国民が一生涯を通じて充実した人生を送るためには、健康増進や疾病等の予防の推進 とともに、これらの疾病等を患っている国民に対して、治療や支援を行うことにより、 国民全体が前向きな気持ちで年を重ねること(前向きな加齢)を支援することが重要で ある。  また、働き盛りから高齢期にかけた国民全体の健康課題について、予防、治療、生活 支援、介護といった関連する種々の対応を一体的に捉えながら、メタボリックシンドロ ーム対策や4.のがん対策等の対策を推進することが必要である。  メタボリックシンドローム対策については、50歳代から脳卒中、心筋梗塞等の患者数 が増加している現状をふまえ、その年代に至る以前から、これらの発症の危険因子であ るメタボリックシンドローム対策、糖尿病予防を進めるため、以下のような対策を一層 推進させることが重要である」ということです。  メタボリックシンドローム対策ということでありますが、それに関連して、糖尿病、 心筋梗塞、脳卒中の話がこの中に一体的に書かれているわけでございます。  そういう意味で「(1)メタボリックシンドローム対策・糖尿病予防の重点的推進」 という形で、メタボリックシンドローム克服のための国民運動の展開というここにあり ますような形で、先ほど御説明をさせていただきましたいろいろな国民運動を展開して いく。  「食事バランスガイド」「エクササイズガイド」というものを普及していく。  日本糖尿病対策推進会議というものがございまして、これは日本医師会、日本糖尿病 学会、患者さんの集まりでございます日本糖尿病協会などが一体となりまして、糖尿病 の発症予防等を目指して、共同で設立した会議があり、これを活用する。  それから、産業医の活用というものもここに書いています。  11ページ「(2)民間活力等を活用した国民の継続的な取組みへの支援」という形で、い ろいろな動機づけ、支援ツール(e-wellness(health)等)による個人ごとのプログラム の提供ですとか機会の確保、運動、食事の生活習慣改善に関する支援。  一生涯を通じた内蔵脂肪量ですとか、運動量の自己チェック・改善の支援。  家庭用健康測定機器等を活用しつつ、個人の健康状態を生涯を通じて把握・活用でき る基盤の整備。  科学的根拠に基づいて確実に効果を生み出す健康関連産業の育成、発展の支援。  運動や食品の効果や機能の解明とか、適切な運動習慣、食生活の普及。  個人や地域・企業の生活習慣改善への動機(インセンティブ)の付与等の環境の整備。  地域や企業の取組みの普及、飲食店・社員食堂等での栄養表示の普及。特にこのエネ ルギー表示というものは私どもすごく大事だということで、いろいろと取組みをさせて いただいているところです。  運動等に親しむ機会の確保。  身近にある大衆薬の適切な利用というもの。  (3)番目といたしまして、個人の特徴に応じた予防。「テーラーメイド予防」という言 葉をここで出させていただいておりますが、テーラーメイド予防を研究開発する。要す るに、個々人と言うのでしょうか、個人個人の特徴に応じた予防の仕方のための司令塔 づくりという考え方。  発症リスク等に関する指標(遺伝子、生体指標(バイオマーカー))、ライフスタイ ル等の研究開発と普及。  予防のための個別に適応できる運動・食事プログラムとその提供システムの開発・普 及。  適切な生活指導、運動療法、食事療法、歯周病対策、治療等の実施。  (2)糖尿病から脳卒中、心筋梗塞、腎不全等の合併症への移行の阻止。  (1)どこでもだれでも「スタンダード(標準)治療」の普及という形で、関係団体等の 連携によりました標準的な治療を普及する。協力体制を構築する。特に、先ほどの日本 医師会、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会で一緒につくっております日本糖尿病対策推 進会議を活用していくという考え方。  (2)個人の特徴に応じた治療(テーラーメイド治療)の研究開発・普及。  個人の特徴に応じた治療(テーラーメイド治療)のための司令塔づくり。  患者の特性に応じた治療、重症化の防止方法の研究開発・普及。  適切な運動療法、食事療法等の普及というものがこの中にあります。  12ページ、3番目の大きな柱といたしまして、脳卒中、心筋梗塞等の治療の推進。  (1)発症後直ちに専門的な治療が受けられる体制の整備。  発症時に患者が直ちに受診するための初発症状等に関する知識の普及。  血管内治療、PTCA(冠動脈血管形成術)等の急性期治療の提供体制の充実。  搬送、医療機関の役割分担の明確化。  (2)脳と心臓のダメージを最小限に抑えるための治療方法の開発。  血管内皮の保護に着目した薬物治療の研究開発の推進  再生医療における治療法の研究開発の推進。  こういうものが「新健康フロンティア戦略〜健康国家への挑戦〜」の中に位置づけら れておりまして、これを4月18日に新健康フロンティア戦略賢人会議の報告という形で いただいたところでございまして、私どもといたしましては、この報告を受けて、これ を具体的にこれからどのように進めていけばいいのか。この新健康フロンティア戦略に 基づきまして、今後どのような形で、先ほどの予防、糖尿病になってしまう、糖尿病か らいろいろ重症化して脳卒中、心筋梗塞になっていくという大きな流れをどういうふう にこれからうまく具体的に施策を進めていくのがいいかということを、これからいろい ろ御議論していただければありがたいと思っているところでございます。  以上でございます。  済みません、資料6が抜けました。参考資料という形で、先ほどの肥満が増えている という話です。  メタボ退治のためのテーラーメイド予防・治療のためのいろいろな司令塔づくりをす る必要があるということをお示しをさせていただいているものが1枚目でございます。 「メタボ克服力(1)」。  「メタボ克服力(2)」でございますが、このような形で、戦略の流れです。  先ほどの糖尿病の実態調査のデータを基にいたしまして、耐糖能異常、可能性が否定 できない方々880万人、強く疑われる方々740万人いらっしゃいました。そういう方々の 中で、実際に治療を受けている方と受けていない方を見ると半分の方が治療を受けてい ないという問題が指摘されています。  治療を受けていても、やはりコントロール不良の方々がこの370万人のうちの250万 人近くが治療がうまくいっていないという問題。  そういうところに応じて、それぞれ今、糖尿病戦略研究という形でDOIT1、2、 3と3つの研究をしております。こういうものも踏まえて、糖尿病予防、合併症への移 行を防止するという流れでやっていく。  脳卒中が原因で要介護状態にある者に対する体制を強化するという意味で、早期に脳 卒中、特に脳梗塞の治療という形になりますが、組織性プラスミノーゲン活性化因子と いうものを投与することによって、血管に詰まった血栓を溶かすということをなるべく 早期に、3時間以内に投与することによって、発症したら即、専門治療ができるような 体制をこれから構築していくことも必要ではないかということがこの中に示されてござ います。  以上でございます。 ○久道座長 どうもありがとうございます。  今、事務局から新健康フロンティア戦略についての説明がありました。この戦略の賢 人会議メンバーの春日先生、何か補足することはございますか。 ○春日委員 ただいま御紹介いただきましたことで、ほぼ尽くされていると思いますけ れども、2点補足させていただきます。1つは、メタボリックシンドロームをメタボリ ックシンドローム/糖尿病/心筋梗塞・脳卒中/要介護という一連の流れのなかでとら え、特にそれらの流れの一番最初の入り口であるということで、メタボリックシンドロ ームの予防を重要視しているということがひとつです。  2つめは、テーラーメイド予防、テーラーメイド治療という概念がそろそろ架空の言 葉ではなくなって、実際にそういうことがこの5年ぐらいの間にできるようになるので はないかということで、そういう言葉を入れさせていただいたということが2点目です。 ○久道座長 どうもありがとうございます。  今、事務局の説明と春日先生からの補足説明がございました。このことについて、皆 さんからまた重要な御意見をいただきたいと思います。特に糖尿病等の生活習慣病対策 を行う上で関連する各センターがあろうかと思いますが、そこの役割について重要な御 意見をいただきたいと思いますけれども、何かセンター総長の方々からでもいいんです が、ございませんか。  笹月先生、どうぞ。 ○笹月委員 国際医療センターでございますが、私ども1つには、数年前に行われまし たゲノム解析、ミレニアムプロジェクトというのがありまして、5年間25億円という、 今にして見れば非常に大きな額を各センターがそれぞれの専門としている疾患につい て、資金を支援され、ゲノム解析を行いました。  私どもは、糖尿病を担当いたしまして、糖尿病の発症に寄与するゲノム遺伝子を解明 する。ネフロパシーとか、重症化するときに寄与する遺伝子を解明するということで、 解明を進めてまいりました。  現在はそのポストミレニアムということで、更にゲノム解析、最近はタンパク解析も 行っております。  そういう意味で、私どもは新健康フロンティアで示されておりますように、治療を担 当するということになると思いますが、それにつきましても今、春日先生からお話があ りましたように、そういうゲノム解析の結果を踏まえて、テーラーメイドの予防。どの ようなタイプの人は厳しく食事を管理すべきだ、あるいは運動をもっとやるべきだとい うことをきちんと示せるような、各個人の遺伝的な背景に即した予防法、治療法、更に は重症化の防止法というところを本当にきちんとやれるように、開発研究そのものも必 要ですし、それを実行する臨床部門の強化なども含めながら、本当の意味での、ここに 司令塔という言葉が使われておりますが、そういう役割が演じられるように整備してい かなければいけない。勿論、厚労省主導の下にそういうものを整備していかなければい けないと考えています。  それに必要な人材、研究者、臨床家というのは、リクルートしつつありますので、対 応できるような状況にあると思っております。 ○久道座長 先生の国際医療センターは、ナショナルセンター機能として、例えば感染 症とか災害の問題とか、いろいろ機能を持っていますね。現在の組織の中で、例えば糖 尿病の今、先生がおっしゃった研究部門とか、臨床の特化した組織というのは、現在は あるんですか。 ○笹月委員 私どもの病院は、まず、診療機能としては、他の例えばがんセンターなど と違いまして、総合病院でありますので、もともと内分泌代謝の診療科がございます。  それから、研究所にも内分泌、代謝研究部門というのがございまして、糖尿病の専門 家がそこの部長を担当しています。もともと基礎はあるわけですけれども、やはりこう いう中核といいますか、拠点を引き受けるためには、やはり少し強化しなければとは考 えています。 ○久道座長 ほかに、北村先生何かございますか。 ○北村委員 循環器病センターですが、私どもも3年前に委託研究費というものを使わ せていただいて、循環器病の対策10年戦略というのを、がんの10年戦略というのがあ ったのになぞらえまして作成した内容に大変よく似ております、  テーラーメイド予防あるいは治療といった、主に私どもの循環器病として後半の部分 を担当してきたわけですけれども、こうして新健康フロンティア戦略に取り込んでいた だいているというのは、大変うれしく思っています。  予防ということが強調された段階では、私どもの方にも予防健診部というものがあり まして、そこを中心にして、入り口の糖尿病、糖尿病の代謝部門というのも国立循環器 病センターにはございますので、この入り口から要介護の出口と言ったらいけませんが、 最重症例に至るまでの一貫した流れの取組みが、フロンティア戦略としてまとめられた ことによって、私どもの治療体系の流れを活発化させることができると思いまして、大 変ありがたいなと拝聴したところです。  ちょっとだけ別な意見ですが、例えば12ページにありますPTCAというのが上から 4行目に出てきますが、今は国際的にすべてPCIという名前に変換されております。 以前はPTCAと申しておりましたんですが、国際的にはもうPTCAという名前は余 り使われない。英語の論文もほとんどすべてPCI。我が国もPCIになっているので、 ちょっと御検討いただけたらと思います。 ○久道座長 日本語訳はこのままでいいんですか。 ○北村委員 いいと思います。日本語は余り言わないんですよ。私たちみんなPCIと 言っていますね。ちょっと検討していただけますか。IはInterventionですね。いろん な風船だけではなくて、ステントとかカッティングとかいろんなものが導入されてきた ので、全部含めた形での治療法だというものです。  ちょっと質問のような形に入ってよろしいですか。  11ページの(2)の一番下にある身近にある大衆薬の適切な利用というのは、この中では その利用をしなさいということを意味しておられるのか、適切な利用は行われていない ので注意しなさいということを意味しているのか、どちらなのかなと思いました。この 辺り、大衆薬というのは、膨大な数。厚生労働省が指定されている特定保健食品といっ たものもありますけれども、利用と書いてありますから勧めておられるんだと思います けれども、いろいろ問題も指摘されているようで、この辺りの説明がもうちょっといた だけますか。 ○矢島生活習慣病対策室長 まさにこれも新健康フロンティア戦略賢人会議の中で御指 摘を受けたものでございますので、これを踏まえて、ではこれをこれからどういうふう に具体的にあるかという流れでございまして、逆に先生の方から御意見がありまして、 こういうことをこういうふうにした方がいいのではないかという具体的な御提案があれ ば、是非それはこちらの中で検討させていただければとありがたいと思っております。 ○久道座長 このこころは何ですか。 ○春日委員 薬局は全国にもたくさんあり、そこには薬剤師さんがおられるわけです。 地域におけるメタボリックシンドローム対策においてはこのような薬局の薬剤師さんに も御協力頂くことが重要で、例えば大衆薬についての正しい知識を普及して頂き、各個 人が服薬する際の参考にして頂いてはどうかという御意見がありました。 ○久道座長 ほかにございませんか。  どうぞ。 ○二見委員 お話をお伺いしていますと、最終的に「健康日本21」の中間評価も踏まえ たとき、改めてナショナルセンターの果たす役割とそこから発信されるさまざまな情報 などを受け止めた、言わば地域の基盤になるような拠点が必要ではないかと思います。 しかも、それは従来の行政のルートだけでなく、何か民間を含めたネットワークを地域 に構築していかないと、また絵に描いたもちに終わってしまうような気もする場面がち ょっと頭に浮かびます。是非この会議を通じて、そういった地域の拠点づくりにも目を 転じていただきたいと思います。 ○久道座長 どうぞ。 ○今村委員 そのことにつきましては、先ほど矢島室長の方から資料5の10ページの一 番下のところにあるんですけれども、私もこの第3分科会に委員として参加させていた だいております。日本糖尿病対策推進会議幹事ということで出席させていただきました。 この糖尿病対策推進会議は平成17年につくられたものなんですけれども、大きな目標と して、かかりつけ機能の標準化充実ということ、専門医等、地域のかかりつけ医の医療 連携、国民に健診をきちんと受診していただいて、早期発見、早期治療あるいは予防に つなげていきたいという目的でつくられました。日本全体としてつくられたんですけれ ども、全国47都道府県、一部こういう名前ではなくて違う名前で活動していただいてい るところもありますが、ほぼ全国にこういう組織がつくられている。その中には、地域 によって医師会、学会、協会の3つの団体以外にも看護師さんであるとか、あるいは薬 剤師さんであるとか行政とかに加わっていただいて、活動していただいています。  正直申しあげて、まだまだ地域による温度差がありまして、非常に熱心に取り組んで いただいているところとまだそういう組織がつくられて、これから活動するところもあ るんですけれども、先ほどの4疾病、5事業の中で、それぞれの地域で地域医療計画と してこの糖尿病対策をつくらなければいけないという意味では、専門医がいて、かかり つけ医がいて、そして患者さんを含んだ団体としての糖尿病協会が入っているというこ とで、治療の連携システムあるいは啓発のための組織として、是非これを活用していき たいと思っております。 ○久道座長 では、矢島さんどうぞ。 ○矢島生活習慣病対策室長 まさにこれから地域のネットワークづくりも含めて、まず、 国としての拠点。先ほどのいろいろなテーラーメイド予防、テーラーメイド治療という 具体的な御提案が新健康フロンティア戦略の中でございました。その中で、厚生労働省 といたしまして、まず、そういう研究ですとか、いろいろな情報発信ですとか、そうい うものをする拠点をどうしたらいいのかという話。それをこれから地域、各都道府県レ ベル、どのレベルまでどういうふうに広げていったらいいのだろうかということも含め まして、例えば今回の20年4月から新たに始まりますメタボリックシンドロームの概念 にありました特定健診・特定保健指導は、地域の医師会ですとか看護協会ですとか、栄 養士会も含めて、いろいろな団体の方々のいろいろな御協力もいただきながら、この予 防事業を進めていくという大きな流れがございます。そういうふうな中で、いろいろな 医療保険者の方ですとか、いろいろな市町村、行政の担当者の人たちとどういうふうに うまく連携をしていけばいいのかということも含めて、これからそういうものを構築し ていくということが大事なのではないかと思います。どういうネットワークをこれから 国と地域の中でつくっていったらいいのだろうかということです。  医療計画の中に4疾病という形で糖尿病、脳卒中、心筋梗塞も位置づけられておりま すので、そういうもの等を含めて、これからどういう形で連携をとっていったらいいん だろうかということがすごく大事になっていくのではないかと思っております。 ○久道座長 先ほど二見委員から出たお話は、重要なことだと思うんです。  例えばがん対策の全国均てん化を図るために、がん診療拠点病院というのが全国に20 件、約350ぐらいですけれども、そこに厚労省が指定した拠点病院がいろいろできてい ますね。できていないところは、レベルを上げて申請をしなさいという形で今、かなり 動いていますので、そういう拠点病院づくりも恐らくこれは必要なんだろうなと思うん ですが、そういう考えはございますか。 ○矢島生活習慣病対策室長 がん対策につきまして、今、座長から御指摘がありました ように、がんにつきましては、国の拠点、都道府県の拠点、都道府県の中におきます二 次医療圏ごとの拠点のような考え方がございますので、そういうものも参考にはなると 思います。  ただ、がんと違いますのは、かなり医療機関の数が多いのです。ですので、なかなか 都道府県の拠点という考え方になるのかどうかも含めて、ちょっとそこは今後、是非御 議論をいただければありがたいとは思っているのです。  これは、また関係の部局ともよく調整をしなければいけないところなので、そういう 流れでいいのかどうかも、いろいろな局にまたがるところもありますので、そこは中で 調整をさせていただきながら、まずは先生方からどんな方法がいいのかという御提案を いただけると大変ありがたいと思っております。 ○久道座長 がんとはちょっと違う感じがするけれどもね。  ほかに何か御意見ないですか。  どうぞ。 ○渡邊委員 国立健康栄養研究所は、一に運動、二に食事のまさに予防の入り口のとこ ろを責任を持ってやっているわけですが、いろいろ肥満克服のグラウンドで、肥満者な どを対象としてやっていると、やはり認知と行動変容というところが、室長もおっしゃ ったように非常に重要なファクターなのです。  それには、こうしなさいこうしなさいと言うばかりではなくて、やはり産業界とか食 品、レストラン業界とか、そういうところの協力が非常に大事だと思っております。  現在、食品表示はユーザー側にとっては必ずしもわかりやすい表示でないものですか ら、今度、食品の表示研究会などを立ち上げて、たばこの表示みたいに、自分はこれを 食べていいのか悪いのかというのをもっとわかりやすくした方がいいのではないかと思 います。  イギリスも食品表示を変えて、信号マークのように、赤、青、黄色というのを始める みたいです。ですから、EC、EUなどとも国際的な協調の下に、ある程度互換性がわ かるような形で進めるのが効率的と思います。  もう一点は、運動というのが非常に重要なファクターなのですが「健康日本21」で見 てもわかるように、歩数が減っていますね。これはやはり歩く環境整備が非常に大事で はないかと思います。  これは健康局だけではとてもできない話で、むしろ食育とか賢人会議という機関を通 じて、絶えず訴えていただければと思っております。 ○久道座長 ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。何かございますか。  どうぞ。 ○井伊委員 11ページの(2)の「個人や地域・企業の生活習慣改善への動機(インセンテ ィブ)の付与」というところなんですが、例えば先ほど健診の受診率を70%にする、保 健指導の実施率を45%にする。これはこれまでの実績からいくと、大分高い目標です。  例えば保健指導ですと、これは動機づけ支援に当たるようなことの呼び出しをして、 15%ぐらいが全国の平均かなと思ったりします。そうしたときに、こういうインセンテ ィブの付与といったときにアイデアというのは、何か具体的な議論がおありなのでしょ うか。 ○矢島生活習慣病対策室長 実はこの新健康フロンティア戦略の中の、我々にとっては 宿題のようなものでございまして、むしろこれをこれから具体的に我々は詰めて行くの ですが、1つの例としては、この環境整備という中で、例えば私ども今、いろいろな情 報収集をしているのですけれども、今回の新しい健診・保健指導が始まりましたことに よって、いろいろな健康保健組合で、例えば職員食堂について改善を始めたりとか、体 重を減らしたり、たばこをやめたりした人にはいろいろなポイントを出して、そういう ポイントがいろいろな福利厚生施設の利用に還元できるとか、人間ドックを受けたとき の一部負担金があるわけですから、そういうものを企業が負担をするとか、そういうこ とで健診を受けることに対して、生活習慣を改善することについてのいろいろな取組み を始めている企業というのは、ぼちぼち出始めてきていますし、そういうものも今、我 々はいろいろと情報収集をしているところなのですが、そういうアイデアを見させてい ただきながら、どういう取組みができるのかというのは、これから是非やる必要がある のではないかと思っているところです。 ○久道座長 今村委員、どうぞ。 ○今村委員 企業の役割というのは、非常に大きいと私も思っていますけれども、現実 に今、幾つかの企業がというお話もあって、非常に従業員の方に対する健康に対して熱 心な企業も当然あるんだとは思うんです。ただ、産業保健関係の会の中に参加してみる と、どちらかというとその生活習慣に対する取組みは個人の問題であって、企業の問題 ではないという議論が非常に強く出てきているような気がしています。  なおかつ、大企業でもそうであって、逆に言うと中小企業に勤めておられる方が国民 の大多数を占めている中で、そういう方たちの健康に関する問題というのも、地域の方 でそれを拾い出すかどうかというのは別として、すごく大きな課題なのではないかと思 います。実際に診療をしていると、そういう中小事業者の方の糖尿病というのは非常に 多くて、そういう方に対して中小企業はなかなか健康問題まで取り組む経済的な余裕は ほとんどないのが現状なので、なかなかそこは大きな課題だと思っております。 ○久道座長 ほかに何かございますか。  どうぞ。 ○矢島生活習慣病対策室長 今度の新しい制度では、医療保険者にデータが集まる形に なります。今まで、先ほど渡邊委員からも労働衛生のところとどういうふうになってい るのかという御質問がありましたように、労働安全衛生法の健診と従来の地域の健診と の間で、ちょっと不整合があったわけですが、今回はいろいろなデータも含めて、医療 保険者の方にデータが集まる形になりますので、今、今村委員から御指摘がありました ように、では具体的に地域の中小企業でのそういう課題というものも、今までちょっと 我々は他と比較して、評価だとか分析をすることができなかったのですが、今度は標準 的なプログラムに基づいて健診・保健指導がやられますので、同じような形でデータが 集まります。そういう意味では、地域、都道府県を含めまして地域、いろいろな医療保 険者同士でいろいろな課題を比較することが可能になってくると思います。  例えば糖尿病で言うならば、ヘモグロビンA1cですとか空腹時血糖の分布ですとか、 そういうものを比較しながら、どういうところに健康課題があって、その結果どういう 治療になって、寝たきりだとか介護のような話がありましたけれども、そういうところ にどういうふうに結び付いていくのかということも、一貫して見ていくということが、 今度のシステムでは可能になってきたと思っております。今まで漠然とした抽象的な、 何となくするものだったのですが、それをこれからは具体的に数値で評価をし、改善を していくということも可能になってくるのではないかと思っていますので、そういうこ とも含めて、いろいろな個人、地域、企業も含めて、やはり基本的な生活習慣を改善し ていただきませんと、どうしてもどんどん重症化していく流れは変わりませんので、そ このところをうまく今度の新しいシステムで持っていくことができればありがたいと思 っています。そこはまだこれから具体的に詰めていかなければいけないところだと思っ ております。 ○久道座長 どうぞ。 ○渡邊委員 今村委員に追加したいのですが、企業経営者にとって見ますと、やはり利 益というのが最大の関心になると思います。従業員が健康に仕事を続けるのが、企業に とって一番メリットが大きいというのをはっきり示せることが大事だと思います。  それには、コストベネフィットアナリシスとか、久道委員長の得意な分野で、少しモ デル計算のようなものをやっていただくと、やはり個人の健康にとって勿論一番いいわ けですが、企業にとっても健康を守ることが大事だというのが常識的になっていくと思 うのです。  例えばこの会館でも、廊下もすごくたばこ臭い。ここにはさすがに灰皿は置いてあり ませんが、よその会議室を見たら、全部灰皿が置いてありましたね。そういうのから取 っていくとか、そういうのを一般的な常識にするというのが大事ではないかと思ってい ます。 ○今村委員 灰皿は先生の御指摘どおりだと思いますし、我々もそういう場でそういう 主張は勿論させていただいているんですけれども、今のそれこそグローバルスタンダー ドで、企業としての生き残りということが物すごく強くありますから、そういうところ にどこまでお金をかけられるかということも多分あるんでしょう。  やはり、糖尿病のように重症化するまである程度長い年数がかかっていると、職域に いらっしゃる部分ではなかなか顕在化しなくて、地域保健に行ったときにそれが顕在化 するという状況があります。その辺もなかなか企業として、今、先生がおっしゃったよ うな、そこにきちんと手当てをすることによって、会社にとってメリットがあるという ことがなかなかわかりにくいのかなというふうに思っております。  今後、働く年数が延びていけばいくほど、企業の方としては高齢者の人の従業員が増 えてくる中で、やはりきちんと若いうちからそこをやっておかなければ、今度、高齢者 の人のいわゆる熟練した技術を持っている方たちが会社の中で働けないという状況も出 てくると思いますので、是非そういう形で会社の考え方を変えていただければと私は思 っています。 ○久道座長 どうぞ。 ○二見委員 古い話ですけれども、例のアクティブ80ヘルスプランが打ち出されたと き、運動に費やしたお金が、いわゆる医療費控除の対象になりました。しかし、これは 残念ながら広く国民各層に浸透しませんでした。  しかし、今回のメタボ対策の中で、改めて運動と食事と禁煙が重要だとしたとき、こ れらの予防活動に要した経費が何らかの形で、医療保険者だけでなく、個人に還元され るような仕組みをつくったら、相当効果は大きいんだろうと思うんです。  ただ、これはどうしたらうまくできるのかわかりませんけれども、それこそ財務省を 納得させなければきっといけないんだろうと思うんですけれども、一度、真剣に考えて みる必要も来たのかなという気がしています。 ○久道座長 どうぞ。 ○今村委員 これは通るか通らないかわからないですけれども、毎年医師会としての税 制要望というのをやっています。今、二見先生に御指摘いただいたことは、厚労省の医 政局が財務省に上げていただかなければどうにもならないのですが、今、いみじくも御 指摘いただいたそのもののことを税制要望として今年度出そうということで、今、準備 をしております。  ですから、そういういろんなところから応援していただければ、より通りやすいのか なと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○久道座長 これはいいアイデアですね。決定権の控除ですね。 ○今村委員 そうですね。医療費控除としてのですね。 ○久道座長 ほかにございませんでしょうか。資料1〜4に戻って、質問等はございま せんでしょうか。よろしいですかね。  それでは、議題1は終わりますが、その他として何か事務局、用意したものはありま すか。 ○矢島生活習慣病対策室長 特にございません。  今後の日程につきましては、後日、日程を調整させていただき、お知らせをさせてい ただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思っております。 ○久道座長 それでは、今日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうござ いました。