07/06/11 第2回国立高度専門医療センターの今後のあり方についての有識者会議議事録 第2回国立高度専門医療センターの           今後のあり方についての有識者会議 開催日時:平成19年6月11日(月)12:30〜14:30 開催場所:厚生労働省 共用第7会議室 ○ 関山国立病院課長  定刻より若干早めでございますが、皆様方お揃いになっておられますので、ただ今か ら第2回国立高度専門医療センターの今後のあり方についての有識者会議を開催いたし ます。委員の皆様方におかれましては、ご多忙の中ご出席いただき誠にありがとうござ います。なお本日は、辻厚生労働事務次官は他の用務がございまして欠席でございます。 恐縮でございますがよろしくお願いいたします。それでは以後座長にご進行をお願いい たします。 ○ 高久座長  最初に本日の資料の確認を事務局の方からよろしくお願いします。 ○ 堀江国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長  資料の確認をさせていただきます。本日の資料は資料1として前回もお出ししている ものでございますが、「今後の医療政策におけるNCの役割等(文章編)」でございます。 資料2として「主な意見の整理」です。こちらは文章編に前回、各委員・各総長より出 されました主なご意見を対比させたものでございます。資料3として「議論を深めてい ただきたい論点」です。こちらは前回、ご議論いただいた中で、高久座長より準備する ようご指示いただいた「特に議論を深めていただきたい論点」をまとめたものになって おります。資料4でございますが、「NCの役割への期待」として和地委員より医療機器 の開発に関して資料の提示がございましたので、お配りしてございます。後ほど和地委 員よりご説明をお願いいたします。また委員・総長の皆様の机上には既にご確認をいた だいておりますけども、前回の議事録案をお配りしております。今週中にも第2回の資 料とともにホームページに掲載させていただく考えでおりますので、さらにご意見など ございましたら事務局まで後ほどよろしくお願いいたします。なお前回の資料につきま してはファイリングしたものをご用意いたしました。3回目には本日の資料も追加させ ていただきます。以上でございます。 ○ 高久座長  それでは前回のこの会議の続きになりますが、「今後の医療政策におけるナショナ ルセンターの役割等」の中の3の「地域医療との連携など医療の均てん化と情報発信の あり方」、資料の5ページ目になると思います。これについて簡単に事務局から説明し ていただいて、その後皆さん方からご意見をお伺いしたいと思います。ではよろしく お願いします。 ○ 堀江国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長  5ページでございます。「3.地域医療との連携など医療の均てん化と情報発信のあり 方」ということでございまして、「視点」として「国民が適切かつ良質な医療が受けら れるよう、高度先駆的医療や標準的医療等について、医療の均てん化を進めるべきでは ないか。国民が適切な医療の選択が可能となるよう、また、医療従事者においても適切 な医療が提供できるよう、情報発信を担うべきではないか。」ということで「目標」と して、「厚生労働省において、NCと都道府県の中核的な医療機関等とのネットワークを 構築すべき医療分野を明確にした上で、医療の均てん化のための情報伝達、人材育成、 均てん化の進捗状況の確認等にNCが中心的な役割を担えるようにすべきではないか」と いうことで、「こうしたネットワークを活用しつつ、情報発信機能を整備すべきではな いか」ということでございました。「主な具体策」として「中核的な医療機関等を通じ た先駆的医療や標準的医療の普及」、「医療の均てん化の評価手法を開発して情報収集 ・分析を行ってその評価を行うということ」、「必要があれば技術的助言や指導をNCと して行うということ」、「こうした医療の均てん化を推進するためのNCの体制整備等」、 「都道府県の中核的な医療機関に対して国内外での最新知見を収集・評価して最良の情 報提供を進めるとともに、国民に対してもインターネット等による幅広い情報発信の実 施を行うということ」、でございます。以上でございます。 ○ 高久座長  「医療の均てん化と情報発信」と密接な関係があると思いますけども、「目標」、そ れから「主な具体策」と説明ありましたけども、どなたかこれに関して意見おありで しょうか。これ、「目標」の中に「人材育成」があるんで、「主な具体策」の中にも 「人材育成」という言葉を入れた方がいいでしょうね。この中には「技術的助言」とか 「指導の実施」とありますけども。他にどなたか。よろしいでしょうか。特にこの問題 についてはナショナルセンターとして当然任すべき重要な役割でございますので、特に ご意見なければ次に。どうぞ。 ○ 金澤委員  国民の皆さんが情報を得やすいようにというのは当然なんですけども、昔私は地区の 医者をやったこともあるんですけども、その地区でですね、例えばどんな専門家がおら れるのかというような情報というのはやっぱり非常に大事だと思います。そういう視点 も考えてみてはいかがかと思います。もちろんナショナルセンターを中心とする情報発 信というのは大事なんですけども。 ○ 高久座長  最初のところに、「国民が適切な医療の選択が可能となるよう、また、医療従事者に おいても適切な医療が提供できる」という、ここの所は日本語が難しい。要するに医療 従事者が適切な医療が提供できるように、医療従事者に対しても情報発信すべきという、 そういうことだと思います。「おいても」というのが少しわかりにくい表現となってい ると思います。よろしいですね。どうぞ。 ○ 国立精神・神経センター総長  1点だけ。これは独法化される側の立場からのお願い的なことなんですが、地域医療 に関して当然のことながら連携を深めて均てん化に関与していくというのは当然のこと だと思うんですね。ただ独法化されて1つのセンターが独法化後も1つの組織、ナショナ ルセンターということは変わらないでしょうけれども、そういうふうになった時にやは り全国を相手にした均てん化を図っていく、例えば「都道府県の中核的な医療機関等を 通じて」と書かれているんですが、こういうことになるとやはり本省との関わりといい ますか、本省が全体としては政策的には進めるとか、あるいは制度を作っていくとかい う、そういうところがないと、1つのセンターが全国を相手にして、特に地方自治体を 相手にしてとか、地方の医療機関を相手にしてというのは、なかなかそう容易ではない のではないか、という気がいたしますので、そのあたりをお願いしたいと思います。 ○ 高久座長  それは次のテーマである「独立行政法人化したNCに対する国の関与等のあり方」とい うことでご議論いただけると思います。どうぞ。 ○ 国立成育医療センター総長  成育医療センターですが今、樋口先生がおっしゃった「国からやっていただきたい」 というご発言だと思いますけども、小児に限ってですけども、日本小児総合医療施設協 議会という組織がございまして、それが全国のどちらかというと公立病院、子ども病院 関係の29施設のネットワークといいますか、年2回ほど会合を開いて、または巡り会い をしていくというような情報交換をしておりますが、そういうような方法でできる可能 性もないことはないんじゃないかというふうに考えておりますが。 ○ 高久座長  どうぞ、廣橋先生。 ○ 国立がんセンター総長  この分野、がんに関してはかなり取り組みを進めております。国立がんセンターには がん対策情報センターがつくられ、地域にはがん診療連携拠点病院を整備し、そこに相 談センターを作ると。がんセンターの方から情報発信し、地域の相談支援センターを支 援しながら全体として均てん化、情報発信を強化するという取り組みをしているわけで すね。この取り組みは本省の健康局にあるがん対策推進室と一体になって進めておりま して、がんセンターの中の予算ではなく特別な予算が措置されて行うということが必要 なのです。前回申し上げましたけどもこの取り組みは本省、国と一体になって進めるも のであり、特別な予算の配慮が必要だということだと思います。 ○ 高久座長  そういう話も出ましたので、次の「独立行政法人化したナショナルセンターに対する 国の関与等のあり方」ということで、これもまず事務局の方から説明お願いします。 ○ 堀江国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長  簡単にさせていただきます。6ページでございます。「独立行政法人化したNCに対す る国の関与等のあり方」ということでございます。「視点」でございますが、「独立行 政法人制度においては、法人の自立性・自主性を重視する観点から、大臣の当該法人に 対する指示監督は原則的に排し、大臣の法人への関与は必要最小限のものとして個別に 法令に規定されること」となっています。「独立行政法人化された後のNCは、基本的に は、大臣に認可を受けた中期計画に沿いつつ自主的な運営を行うものですが、中期計画 に規定される通常業務より優先しても対応すべき必要性がある場合の大臣要求の対象と すべき内容を検討し、もって、NCに対する国民の期待に応えることとすべきではないか」 ということでございまして、「目標」としまして、「厚生労働大臣からNCに対して業務 実施要求を行えることとすべき緊急の事態を検討し、法律上規定を整備する対象を明確 にすべきではないか」ということで、「主な具体策」ということで、「例えば、災害が 発生した場合や公衆衛生上の重大な危害が生じた場合等について、厚生労働大臣からNC に対して業務の実施を要求することができるようにすべきではないか」ということでご ざいまして、この下に絵を描かせていただいていますけども、「『緊急かつ一時的』な 場合」か「『緊急かつ一時的』でない場合」かということで、「『緊急かつ一時的』で ない場合」ということであれば大臣の指揮命令権の発動の対象ではないでしょうし、ま たあるいは本来業務外であれば、中期目標期間終了後の業務の見直しに応じて対応して いけばよろしいわけでしょうと、ただ「『緊急かつ一時的』な場合」ということの方が 大事でして、ここの論点になるわけでして、本来業務内であれば当然大臣が指揮命令し つつその必要に応じて中期目標等を見直していくということになりますが、本来業務外 のような場合に災害医療など想定されるものについて大臣の要求事項として個別法の位 置付けが必要となって、そういうふうに位置付けておけば業務実施要求というものが大 臣の方から可能になるとこういうことと考えておりまして、また前例なども見ながら対 応することになるかと考えております。 ○ 高久座長  ただ今の説明にどなたかご質問・ご意見ありますか。普通、中長期目標というのは何 年単位くらいで作るのですか。 ○ 関山国立病院課長  これは3年以上5年以内です。ちなみに国立病院機構においては5年の中期目標期間を 設定しているということでございます。 ○ 高久座長  他にどなたか。どうぞ、矢崎委員。 ○ 矢崎委員  中期計画・中期目標はこれから担うべき使命がそこで明確化されますので、法律を提 出する前にこれを相当明確にディスカッションして詰めておかないといけないと思いま す。 ○ 高久座長  よろしいでしょうか。どうぞ、金澤委員。 ○ 金澤委員  たびたびすいません。これ一見非常にわかりやすいんですけれども、「『緊急かつ一 時的』な」というのは、実際もう既にこの手のことはおやりになっているのかもしれな いんですけれども、この範囲をどう捉えるかによってずいぶん違ってくるように思いま す。例えば、ほっとくと困ったことが起こりうるから、今からいろいろ議論しておくべ きだというようなことが仮にあったとしますとですね、それは「緊急かつ一時的」では ないと見られるんじゃないかと思います。それは「中期目標云々」まで待つのかってこ とになってしまって、間が抜けちゃうと思うんですね。基本的には非常にいいことなん ですが、こういう「『緊急かつ一時的』な」っていうので実際にやっておられてうまく いってるのかだけちょっと伺っておきたいんだけど。 ○ 高久座長  そういう例はあるのですか。今まであったんですかね。 ○ 関山国立病院課長  今までは、国立病院機構ができた後においてこういう要求をかけたというのはござい ません。 ○ 高久座長  SARSの時には、対応は県単位でやったのですね。都道府県単位で。 ○ 関山国立病院課長  SARSの場合は感染症予防法に基づいて対応したものでありました。 ○ 高久座長  ちょっと違いますね。他にどなたか。中期目標は各ナショナルセンターごとってこと を考えているのですか。それとも共通の中期目標ということで。 ○ 関山国立病院課長  これについては法律事項になってまいりますので、各ナショナルセンター共通した事 項について議論をお願いします。 ○ 和地委員  民間ですと中期計画ってのは3年とか5年とかっていいますけど、毎年見直していくん ですね。かなりやっぱり環境の変化は激しくなりますから見直していかないと逆におか しな実態になるということなんです。この中期計画ってのは決めたらずっとそれをやる という意味ですか、それとも毎年のリニューアル、これは含んでるんですか。 ○ 関山国立病院課長  厚生労働大臣が中期目標を立てます。それに従いまして独立行政法人が中期計画を立 てます。毎年度、厚生労働省に設置された独立行政法人評価委員会においてこの計画等 を評価してまいりますので、その中で必要があれば独立行政法人評価委員会の方から意 見が出る、あるいは私どもの方で施策上必要なものがあれば中期目標を変更する、変更 する際にあたっては先ほどの独立行政法人評価委員会の中でご議論いただいてそして中 期計画を変えていくと、単年度ごとにプラン・ドゥ・シーで回しております。それを単 年度ごとやって中期目標終了期間、5年なら5年目で総ざらいをすると、こういうような 仕掛けで動いております。これに加え、総務省に設置された政策評価・独立行政法人評 価委員会がございますので、そこに毎年報告をしているという状況 でございます。 ○ 国立長寿医療センター総長  この「目標」というところで「厚生労働大臣から」と書いてあるんですが、この意味 をどう読み取るかによってずいぶん話が変わってくるような感じがするんですが、中期 目標を立てる時にナショナルセンター側だけに中期目標を、ある一定の目標だけ上げて おいて中期目標・中期計画をきちんと立てろと言われますと、だいたい医学的な課題が 頭の中に浮かんで来まして、医学的な課題に対する目標を中心に考えがちだと思うんで すね、そういう習慣になっていますので。しかし、この文章と全体の方向性を見てます と、むしろ政策的な課題がナショナルセンターには重点的に求められていると読み取れ ます。確かに今のように非常に大きく医療が変わりつつあって、特に高齢者の問題では ものすごく大きく変わりつつあります。長寿医療センターとしては、政策的な課題を、 たとえば10項目、20項目という形で国の方からリストアップされますとこれはたぶん相 当大変な課題をしょいこむことになるのかなという感じがするんですが基本的にはそう いうスタンスでこれからのナショナルセンターはあるべきかどうかということについて ご意見を伺いたいと思います。 ○ 高久座長  「大臣の認可を受けた中期計画」は、国、つまり厚労省が作るのではないのですか。 ○ 関山国立病院課長  平時の状況においては中期目標を国から示してそれに基づいて独立行政法人が計画を 立てると、こういう平時の状況なんですが、そういった平時の状況においてなかなか対 応しがたいというような場合が出てくる。それはすなわち本来業務ですと法律の中に書 いてある「業務の範囲」で読み切れます。ここでご議論していただきたいのは本来業務 外が出てきてしまった場合、これにどういうふうに対処するのかという危機管理で、ど ういうようなものを対象として念頭に置いたらよいのだろうか、その事例としてはやは り同じ医療の提供を行っております国立病院機構の個別法に書いてあります。「(3)具 体的政策」の「例えば」というところが文言でございます。これが文言に該当するのか という話であります。 ○ 高久座長  資料がないですね。例えばどんな。 ○ 関山国立病院課長  恐縮でございますが、法律の文章を提示しておりませんでしたので、読み上げさせて いただきましょうか。 ○ 堀江国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長  独立行政法人国立病院機構法の第4章の第19条に書いてございます。「緊急の必要が ある場合の厚生労働大臣の要求」ということでございまして、「厚生労働大臣は、災害 が発生し、若しくはまさに発生しようとしている事態又は公衆衛生上重大な危害が生じ、 若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、機 構に対し、第13条第1項第1号又は第2号の業務のうち必要な業務の実施を求めることが できる。」ということでございまして、そうした事態の場合に診療等の業務を行うとい うことでございます。第2項でございまして、「機構は、厚生労働大臣から前項の規定 による求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならな い。」と、こういうことでございます。 ○ 高久座長  はい、どうもありがとうございました。 ○ 青木委員  ちょっと基本的なことですが、中期計画にはそれに見合った予算計画が伴うと思うん ですけれども、業務外の場合には予算的な措置についてどうするかという基本的なこと は決めておく必要があるんじゃないでしょうか。 ○ 高久座長  それはどうなんですか。もちろん予算は当然付くのだと思うのですが、もっと細かい ところで確認しましょうか。 ○ 関山国立病院課長  今お話ございましたように、中期目標に基づいて出した場合、中期計画においては、 これは独立行政法人が立てていくんですが、この中期計画においてはこの5年を通算し た場合の予算なりあるいは中期計画なり資金計画というのを立ててまいりますし、ま た、緊急の場合については別途予算措置を講ずると、そういう二本立てではないかと 思います。 ○ 国立循環器病センター総長  これは独立行政法人化しても国との強い関連、国の組織として残るわけですから、あ る意味では当然であろうと、ただ、各ナショナルセンターで緊急時に対応する内容ある いは対応できる事例が大きく変わってくるかもしれませんけれども、例えば私どものと ころではもちろん大震災の場合のいろいろな緊急拠点としての整備も進めたいという意 図は持っていますし、こういった国との関連において国家的問題が発生した時に対応す るのはある意味当然だと理解してますので、ただ、各ナショナルセンターで対応が違う かもしれませんですね、それは。そこは事態々々に対応せざるをえないので、私はこれ はむしろナショナルセンターが担うべき機能としてはっきりと明記していただいた方が ありがたいという気がいたします。 ○ 高久座長  はい、どうもありがとうございました。 ○ 矢崎委員  よろしいでしょうか。緊急時の予算の関係ですが、国家の命令であれば国からの予算 が来ると思いますが、例えば中越地震ですとかですね、災害があって、必ずしも国から ではなくても我々で出ていかなくちゃいけない、そのときに問題はですね、国の施設だ と地方に行っても地方からのお金をもらえないんですね、地財特措法というものがあっ て。ですから今、医師確保の時に医師派遣の問題も、それから災害時の診療援助の際に もですね、地財特措法で国の施設が地方自治体から支援を受けられるような措置を例外 的に是非認めていただきたいと思います。   ○ 国立成育医療センター総長  成育医療センターですが、北村先生のご意見に賛成なんですけれども、ただ、ここに 書かれてある緊急、例えば災害とか公衆衛生上の重大な危害が生じた場合というのは既 に今、独法の病院機構の方でなされる業務になっているはずなので、それに参加するこ とは当然我々もやるべきだと思いますけども、ナショナルセンター独自としての何らか の特別な「緊急かつ一時的」なものを想定していただけるようなことがあった方がナ ショナルセンターとしてやりやすい。ですからむしろ今の機構と同じこともやるけれど も、ナショナルセンターであるがゆえに緊急かつ重大な時にはこういうことも求めると いうようなご提案はないものなのでしょうか。 ○ 高久座長  厚生労働大臣が決められるのではないのですか。SARSや災害の時にですね。今、急に 言っても無理だと思います。災害の種類にもよりますし。 ○ 国立がんセンター総長  ただ今の「『緊急かつ一時的』な場合」の本来業務外のことについては、同じ考えを 持っております。ここの項目は「独立行政法人化したNCに対する国の関与等のあり方」 という幅広い問題で、独立行政法人化する時の大枠の話が重要です。次の所にも出てく るのでどちらで議論すればよいのかよくわからないのですが、国とナショナルセンター の間の関係をどういう組織でつなぐのか、たとえばナショナルセンターを管轄する部署 がどういう部署になるだろうかと、そことはどういう関係でやっていくのだろうかと、 そういったことが非常に重要だと思います。この論点をはずさないように議論していた だければと思いますが。 ○ 国立循環器病センター総長  一つだけいいですか。今、3の「地域連携」と4を合わせて矢崎先生が言われた地域か ら国立の組織への資源の還元という地財特措法の方は大きな問題です。税源移譲が地方 に今年からまた増えて地方の税率が上がってますよね。そういう中で独法化した各組織 がこういう緊急対応を大臣の命令で動くということは当然としても、お金の動きは地域 から国立の方へ流れる仕組みもやはり考えていただかないと国から地方へは流れても、 地方から国はもらうことができないということはやはり問題であろうと思うんですね。 聞くところによりますと国立大学法人はそれを解決していると聞いていますので、やは り国立病院、あるいは国立としてのナショナルセンターが例え独法化した後でも地域か らの財源が緊急対応する地域での活動に対しては還元できるようにやはり考えていただ かないといけないのではと。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。それでは次の「医療政策に対するナショナルセンタ ーの提言機能のあり方」について、これも事務局の方から説明いただけますか。 ○ 堀江国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長  7ページ、5でございます。「医療政策に対するNCの提言機能のあり方」ということで して、「視点」としまして「各NCが担当する対象疾患は、国民の健康に重大な影響を有 する疾患であり、NCがその機能を一層効率的に発揮できるよう、国の医療政策と一体と なって推進していくことが求められる。そのための一方策として、NCから国に対して、 政策提言ができる仕組みを整備すべきではないか。」と、「目標」といたしまして、 「NCが、研究、医療の均てん化等に取り組む中で明らかになった課題等について、国に 政策の提言を行うなど、保健医療の向上につながる仕組みを構築することが必要ではな いか。」と、「具体策」といたしまして、そうした機能が確実に発揮できますように 「NCの提言機能を法令上位置付けるとともに、NCの医療政策における位置付けを踏まえ、 各NCの代表を主たる構成員として提言ができる審議会(部会)を検討してはどうか。」、 以上でございます。 ○ 高久座長  具体策としてNCの代表を構成員とする会、名前はよくわかりませんが、そういう会は 是非作る必要があると思います。「検討してはどうか」ではなくて「作る必要がある」 というふうに書かれた方が良いと思います。他にどなたか、どうぞ。 ○ 本田委員  提言機能というのはとても大事で、是非ここに書いてあることは今、高久会長もおっ しゃったようにそういう審議会も必要だと思いますし、進めるべきことだと思います。 私も一つ疑問に思っているのは、先ほど廣橋先生がおっしゃいましたけど、特にがんの 場合になるのかなと感じるんですけども、がん対策室は本来がんセンターと一緒に提言 機能を発揮しなくてはいけない立場にあるんだと思いますけども、ここのところのがん 対策法をうけての基本計画策定の際のやりとりをみてますと、どうも健康局と医政局と の間にがんセンターがあって、そこの連絡がうまくいってないこともあったように私は 感じたこともありました。そこでその関係性というものをもう少しちゃんと明確に、私 がこういうことを言うのも僭越ですけども、がん対策室を医政局のナショナルセンター をちゃんと管轄する部署に置くのか、反対にがんセンターとがん対策室との関係性を強 めるのかわかりませんけれども、その辺の明確な関係がないと、とても連携がうまく いっていないことがありましたので、ご検討いただければと思います。今後のために。 ○ 高久座長  どうぞ、金澤委員。 ○ 金澤委員  今、高久先生と本田さん言われたことは間違いないことだと思います。実はこういう ことは私がまだナショナルセンターにおりました時にいろいろお話が出ている中で、こ の部分が非常に大事なことだとナショナルセンターの総長たちは考えておったんじゃな いかと思います。それはですね、政策提言は当然なんですけれども、そういう提言をす る組織といいましょうか、それがどういう位置付けにあるかということは非常に大事な んだと思うんですね。我々が当時考えたのはそれこそ事務次官に直属するくらいの非常 に高いレベルで討議をする場を作ってもらいたいというくらいに考えていたわけです。 ですからこの機能は作るのはいいんですけれども、特に部会なんて言われちゃうとどう にもならないんで、もっともっと高いレベルで考えていただきたいと私は思います。 ○ 高久座長  他にどなたか、この問題について。どうぞ。 ○ 青木委員  医療政策に対する提言とその中身についてですが、これはそれぞれの専門領域ごとの サイエンティフィックな提言と考えてよろしいんでしょうか。それとも財政も含めたも のなのでしょうか。これからの先端医療というのは財政的な問題だけでなく、人員的な 問題も伴うことが多く、サイエンティフィックな提言だけではすまないケースがあると 思います。財政等の問題が絡んできた場合にはNCだけでは対応できない、例えば他の医 療機関、大学病院や国立病院が入ってくる必要があると思うんですが、どう整理をする ことになるんでしょうか。 ○ 高久座長  よくわかりませんが、各NCの代表が構成員になるということになりますと、当然サイ エンティフィックなことだけではなくて、財政も含めた広汎なことについての政策的な 提言。そうしませんと、提言する意味が薄くなると思います。具体的にはどの程度まで カバーするかはわかりませんが、それで良いのですね。 ○ 関山国立病院課長  まずは財政的な面も出てくるんでしょうが、しかしながら政策医療を担っていただい ている、これを国民本位の総合的かつ戦略的な展開をいかに進めていくか、そういった 視点で方向性をきっちりとご議論していただく場が必要であろうと、したがってがんセ ンターと健康局とか医政局の関係とかいろいろございましたけれども、そういうきちっ と戦略的なご議論をしていただく場というような整理になろうかと思っておりますし、 またそういうようなことをやるというようなことになれば、結果としていろいろな財政 的な問題というのも出てくるかと思いますが、いずれにしてもそういう施策の方向性な りのご議論の場がまずは大事だろうと思っております。 ○ 高久座長  笹月先生、それじゃ最後に。 ○ 国立国際医療センター総長  ここにも書いてありますように、保健医療の向上につながる提言のための仕組みとい うことですが、それが審議会とか部会という風なことですとそこで提言して議論しても うそれで終わりましたということではどうにもなりませんので、それではどうつながる のか、さらにどこに行くのかというそこの仕組みまできちんと考えておかないと実効あ るものにはならないんじゃないかと思いますが。 ○ 高久座長  どうぞ、廣橋総長。 ○ 国立がんセンター総長  今も議論がいくつか出ましたけれど、ナショナルセンターを所管する部局が非常に大 事だということになってきたと思います。本田委員からがんセンターについて、それか ら金澤委員からはナショナルセンター全体をどうまとめていくかということについて話 がありました。確かに国の医療政策を一体となって、渾然一体となって推進していくと、 それを例えばがんならがんという分野で考える、そうすればがん対策推進室と国立がん センターが一番密接に一緒に仕事をしていると、したがってそこによって所管されてそ こが予算も取ってきて仕事をするというのが非常に解りやすい一つのやり方だと思いま す。もう一方で辻次官が発言されていたように、いろいろ違った分野ではあるけれども、 全体の医療政策を取りまとめるのにナショナルセンターは貢献していくべきであるとい うことであるならば、前の総長会議のようなものが具体的な組織になって、制度的に担 保されて厚生労働省の中に位置付けられて、そこの所管になるというのももう一つのや り方だと思います。どこに一番主軸を置くかは別ですけれども、私たち独立行政法人で 一応外には出るんですけども、いろんなやり方で国の中に入り込んだり、あるいは国か らも来ていただいたりして、一緒にやっていくという図を描くということが非常に大事 ではないでしょうか。 ○ 高久座長  ですから全体のNCの代表で構成する委員会とがん、精神・神経、循環器、各々に対応 する委員会と二本立てにならざるをえないでしょう。そうしないと具体的なことが進ま ないと思うのですが、今ここで議論しているのは全体の委員会を議論しているのだと思 います。またそれの名前が審議会になるかよくわかりません。対応する部署が厚労省の 中にできると、考えて良いのだと思います。他にどなたか。それでは最後に、「課題達 成に相応しいNCのあり方等」となっています。これを説明していただけますか。 ○ 堀江国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長  7ページ6、「課題達成に相応しいNCのあり方等」ということでございます。「各NCが 上記の研究、医療の均てん化等について『政策医療の牽引車』としての役割を十分に果 たせるように、既存の体制を見直しつつ、各NCが担う疾病分野において的確に機能が発 揮できる組織と効率的な運営管理体制を構築する必要があるのではないか。各NCの活動 成果に関して的確に評価できるよう、評価方式について検討すべきではないか。国民本 位の政策医療となるよう、患者等からの声を受け止め、NCの運営に役立てる仕組みを設 けるべきではないか。必要とされる医療の均てん化のあり方については、医療政策の中 で順次整理していく必要があるのではないか。NCは国の責務を果たすために政策医療の 牽引車であり続けることが必要であるが、求められる役割等が時代の要請に適応するよ う必要に応じて見直す必要があるのではないか。新たな政策医療については、現在NCが 担当している領域から見て、どこにも属さないようなものに関しては、基本的には国立 国際医療センターが担ってはどうか。独立行政法人化後の各NCの名称や中期目標の設定 については、本有識者会議の議論を踏まえ、検討に役立てることとしてはどうか。」、 以上でございます。 ○ 高久座長  ありがとうございました。かなりいろいろな問題が取り上げられていますが、どなた かご意見あるでしょうか。どうぞ。 ○ 本田委員  この2つ目の○の「各NCの活動成果に関して的確に評価できるよう、評価方式につい て検討すべきではないか。」とありますけども、一つ質問は、おそらく評価をするもの は中期目標に対してということになるんでしょうかということと、中期目標というのは NCの中だけで作られるものなんでしょうか。伺っている心はというのはですね、評価す るためにはちゃんとした目標が設定されなきゃいけないと思うんですけども、そういう 目標がやっぱり国民参加のもとで国民が望む政策医療になっているのかどうかというこ とを立てられているのかということと、それを評価する指標を開発していかないと評価 もできないじゃないかと思うので、その辺をどのように考えてらっしゃるのか伺いたい と思いました。 ○ 関山国立病院課長  中期目標に基づいた中期計画の評価というものは先ほど独立行政法人評価委員会で やっていただく。しかしながら、もう少しきめ細やかな評価ということになりましたら、 指標を具体的に立てていく必要があるんじゃないだろうかということが出てまいります ので、6の2つ目の○がそのような趣旨で、今後開発していこうということで整理した文 言でございます。 ○ 本田委員  ということはそういう指標を、今あるものはあるでやっていけばいいと思うんですけ ども、もっと開発する方向にお願いしたいということと、それから関係するんですけど、 3つ目の○の「国民・患者たちの声を受け止めて役立てる仕組み」というのをぜひ2つ目 の「評価」にも関係させていただきたい。何らかの形で国民・患者たちの代表、選び方 が難しいといろいろあるかもしれませんけれども、そうした方たちの声を聞きながら評 価していくという仕組みを入れていくべきだと思います。 ○ 高久座長  中期目標は3年?5年?この場合。 ○ 関山国立病院課長  3年以上5年以下で考えております。 ○ 高久座長  なかなか1〜2年で評価するのは難しいから、やっぱり少なくとも3年はかかるでしょ うね。ですから一応中期目標と中期計画を各センターが出して、それが目標なり計画に 沿って運用しているかどうかということを2〜3年目には是非評価する必要があると思い ます。 ○ 国立長寿医療センター総長  今、本田委員がおっしゃられることは本質的な問題のような感じが私はしておりまし て、例えばトップというのはどういう意味なのかというのは議論があるにしても、ナ ショナルセンターは世界のトップの医療センターを目指せという目標を立てていただけ れば、それはそれで一つの評価の方向というのが見えてくるような感じがするんですが、 少なくとも国民本位のという話が入ってきますと、世界のトップの医療センターを目指 せというような目標、そういう部分も確かにあるかもわかりませんが、それだけでくく れる話ではないと思います。となるとその評価の指標っていったい何なのということに なりますが、これは極めて大切な問題で、それによって中期目標の中身は何かというこ とはほとんど決まってきますので、そこのところはやっぱりよほどきちんとご議論いた だいてこうあるべきであるというような方向性を示していただけたらと思います。 ○ 高久座長  他にどなたか。どうぞ。 ○ 国立国際医療センター総長  今のちょっとそれは逆で、評価の指標があるからそれに従って中期目標を作ると言わ れたけどそうじゃなくて、本当に国としてナショナルセンターがどういう役割を果たす べきか、これが目標でありまして、その中に5年単位の中期目標というのが出てくる。 その目標が明確であれば逆に評価の指標も当然明確になってくるわけで、その目標をど れだけ達成できたかということになるんだろうと思うんですね。ですから一番クリティ カルなのはやはり目標をどう設定するのか、我々が国立から離れて独立行政法人化して、 どうやって国民の健康を守り命を守るのかというその目標を明確にする、憲法みたいな ものを明確にするということを存分に議論するということから私はスタートすべきだと 思います。 ○ 辻本委員  本田委員のおっしゃるように、患者からの声を聞くということはやはり抜いてかかる ことのできない大切なテーマだということを実感しております。ただ、今おっしゃった ように、患者や国民に中期目標の何たるかが見えないと何を言っていいのかもわかりま せん。具体的に中期目標が何であるのか、何を目指しているのかそのあたりが本当に国 民にわかるようにお示ししていただきたいというのが一つ。それから例えば国立病院機 構や国立大学病院の独法化とか、ナショナルセンターとかいろんな取り組みが始まって いくんですけれども、私たち国民にとってはそれがいったいどういうふうにリンクして いくのか、あるいは連携していくのかが理解できません。例えばこの議論の中にあまり 出てこないんですけれど、それぞれの学会などはこうしたことについてどう意見を言っ ているのか、その辺も国民としては全体を知る意味でも必要な情報と思います。大変高 い次元の問題で、一気にこうしたものが形作られてしまって、結局は国民・患者は置い てきぼりになって何を言っていいのかがわからないというような、今までと少しも変わ らない受け身の形にならないための、そうした方策も十分に議論をしていただきたいと いうことをお願いしたいと思います。 ○ 高久座長  中期目標という事が言葉だけで、具体的に何も出ていないものですから、評価も非常 に難しいと思うのですが、おっしゃるようにどういう目標を立てるかということがナ ショナルセンターにとって極めて重要なことですね。この後にこの前、十二分にディス カッションをできなかった「議論を深めていただきたい論点」がありまして、中に「ク ラスターの形成」でありますとか、「病院機能」に「医療の均てん化」とか、これも当 然中期目標の中で議論されていくことだと思います。まず資料3の1ページになります 「医療クラスターの形成」ということで、前回の時もいろいろご議論がありましたが、 何かご質問なりご意見はおありでしょうか。 ○ 堀江国立高度専門医療センター組織再編検討準備室長  資料3の方に入りましたので、一通りご説明させていただいてよろしいでしょうか。 「資料3 議論を深めていただきたい論点」ということで、前回最後のところで座長か らご指示あったものにつきまして主に3点にまとめさせておいてございます。1ページ お開けいただきまして1といたしまして「医療クラスターの形成について」ということ でございます。まず「NCの特定の疾患に係る高い患者集積性と専門家集団という特性と、 企業、大学等の高い開発・製品化能力とを組み合わせる観点から、NCと産学等の連携、 具体的には医療クラスターの形成、推進をどのように進めるか。」ということでござい まして、自明のものとしてあるというよりも各主体の強みを持ち合わせて引き付け合う 連携ではないかというふうに整理してございます。2番目といたしまして、「企業の自 主性と戦略的取組を尊重しながら、医療クラスターを進めるための条件は何か。NCの資 源の選択と集中を進める観点から、各NCが重点的に対応すべき分野(疾病分野・開発プ ロセス等)はどこか。医療クラスターを形成するにあたって、医療技術・システム、医 薬品、医療機器それぞれにおいてどのような点に留意していく必要があるか。」という ことでございます。2ページのところについては前回同様の資料を提出させていただき まして、今回それを微修正いたしたものでございます。「疾病による個別性、違いが大 きい」等のご指摘、それから「NCと企業等の役割分担は固定的でない」というご指摘な どを踏まえまして、NCと企業等の双方が疾病と各々の強み等に応じて研究開発を進める、 また連携を図るという整理にさせていただいているものでございます。3ページをお開 けいただきまして、「病院機能(病床規模を含む)について」ということでございます。 「NCの病院については、単に医療を提供するだけではなく、国が担うべき高度先駆的医 療・モデル医療の開発等の研究、医療の均てん化、人材育成、情報発信といった課題達 成に資する役割を重視すべきではないか。」ということでございます。「その際、人的、 物的資源等の制約から特定の疾患の患者の治療を行う機能には限界があり、診療機能に ついては、高度専門性を確保しつつ資源の選択、集中を図ることが必要ではないか。」 ということでございます。そうした上にも、ということでございますが、「NCの病院の 機能の明確化、集中化を図る観点からも医療の均てん化のための都道府県ネットワーク の構築は重要ではないか。」ということでございます。4ページは参考ですが、国会審 議の内容を紹介させていただいているものでございまして、下線の部分を少し追ってい ただくような感じにしますと、病院と研究所を分ける議論というのも考えられるのでは ないかという国会質問に対して局長の方から、病院と研究所というのはNCの機能として 不即不離ではないかと答弁し、それでは病院附属の研究所なのか研究所附属の病院なの かという質問に対して局長の方から、病院・研究所は並列のもので互いに有機的に機能 しているということではありますが、やはり研究あっての病院ということでそこは従来 の国立病院・療養所とは違う、そういう意味でいえば研究所附属病院という方が頭には 合うという答弁をしていて、それに対しまして議員の側より税金投入は正当化されるも のでないと組織としては成り立ち得ないということで、病院の経営という部分に税金を 投入するというのはなかなか認められないだろうと、研究所附属病院ということなので あればそれは特別の医療・研究として行っているだから、臨床をやっているんだからと いうことで認められる余地はあるのではないかということで、どういう病院なのかとい う性格が明確になっていくことが実は重要ではないかという質疑でございました。5ペ ージのところをご覧いただきますと3番目の論点といたしまして「医療の均てん化(ネ ットワーク)について」ということでございます。「国民の安心できる医療体制構築の ためには、高度先駆的医療やモデル医療の開発にとどまることなく、国民が各地域で良 質な医療を受けられるよう医療の均てん化とそのためのネットワークの構築が重要。医 療の均てん化を進めるため、NCと都道府県の中核的な医療機関とのネットワークについ て、どの疾病分野を優先的に構築すべきか。各政策医療分野において、現在NCが対応し ていない疾病分野はどのNCが対応すべきか。」といったことを論点として挙げさせてい ただいてございます。6ページは前回提出させていただいたものと一緒でございまして、 各政策医療分野についてどのNCが対応していて、またどういう地域の中核的な医療機関 等とのネットワークができているかということを整理したものでございました。それか ら7ページでございますけれども、そうした疾病分野別に見た患者数等を整理したもの でございまして、循環器病であれば患者調査等におきまして平成17年においては1,100 万人強の患者数がいる等といった整理、それから連携は難しいのでありますけども、 「主な関係する関連する年間死亡者数」を右の方に参考として併記した形になってご ざいます。この「循環器病」から始まる部分というのはその政策医療分野のくくりか らしての患者数の多い順に整理してあるものでございますけれども、ちなみに次のペ ージの8ページの方にはICD-10大分類に基づきます疾患別総患者数というものをやはり 順位別に並べてみてるものでございまして、概ね対応しているところもございますし、 消化器系疾患のようにそれとしては明確にはNCの対応分野と位置付けていないものも ございます。やや端折りましたが以上でございます。 ○ 高久座長  はい、どうもありがとうございました。引き続きまして和地委員から資料4として 「NCの役割への期待」ということで、クラスターなどに関係あることだと思いますけど も、説明をよろしくお願いします。 ○ 和地委員  このような発言の場を与えていただきましてありがとうございます。もう先生方、十 分ご承知のことかと思いますけど、医療機器に光が当たってきましたのはここ数年でご ざいまして、そういう意味で機器に関するインフラというのは大変未整備になっている のが実態でございます。法律を含めましてですね、ほとんどが薬の延長の考え方になっ てできておりますので、実態と大変大きく乖離しているのを私は危機感として覚えてい ます。例えばですね、ドクターが臨床研究する場合に、メーカーの作る未承認の機器の 使用は禁止されている。医療機器というのはご承知のように改善・改良が命でございま すので、こういう未承認の機器が使用禁止というのは改善・改良できなくするような形 ですし、また、医師主導の治験というのは認められてますけども、その基準がいわゆる 薬に基づいたGCP基準のように非常に厳しいんで実績はゼロだというようなこととか、 審査もだんだん変わってきておりますけど、薬の方に引きずられた審査体制とかいろい ろございます。そういう点で、今回、NCというのは先ほどの議論じゃないですけど、研 究所と病院を両方持っているという特性がありますので、機器の治験とかあるい は改善改良に活用する余地というのは十分あるのではなかろうかというふうに思います。 そういう点で、先ほど申し上げたような実態に合わないものについての特例措置という のをクラスターで認めていただければ、私は医療機器のインフラ整備を加速することに なるのではなかろうか、こういうことで今日はあえてお話をさせていただきたいという ことです。くどいようでございますが、この資料をちょっとご覧いただきますと、1枚 目に医療機器と医薬品が大きく違うと、先生方もよくご存じだと思いますが、例えば、 ライフサイクルもですね、薬は15年ぐらいと長いですが、医療機器は1〜2年と非常に短 いのが大きく違います。それからイノベーションでもですね、技術の融合あるいは先ほ ど言いました改善・改良が非常に大事だということとか、あるいは販売もですね、特に 先端医療というのはトレーニングが不可欠でございますが、そういう整備がなされてい ない、あるいはアフターケアというのはこれも不可欠ですけどそういうシステムになっ ていない、挙げるときりがありませんけれども、本質的に目的は同じですが、本質的に は医療機器と医薬品とは異なるというのが一つ申し上げたいことであります。2番目の 2ページ目は、あえて申し上げることでもないんですが、日米関係のプロセスの比較と いうことで、日本の医療機器の開発では、一つはアイデアから開発段階に一つ壁がある、 言うなれば基礎研究は非常に進んでますけど、それがものに実現するというところが、 やはりネックがあるんではないか、特に技術移転の機能が弱いんではないかというのが 一つの問題です。それから、「臨床研究・治験」のところでもですね、一つの壁がある と思っています。治験の症例の確保が非常に難しい。センター・オブ・エクセレンスの 問題もありますが、難しい。あるいは治験中の改良が不可、これは不可というのはおか しいんですが、やはり治験をしようとしましても時間が非常にかかる、それから今申し 上げました臨床研究の停滞ということで、未承認機器の臨床が不可といった、このよう なものが壁になっております。それから審査は、今更申し上げるものでもないのですが、 今30万種、種類がございます。そういう点で専門家が圧倒的に不足しておりますので、 ここも大変遅いというようなことがございます。一方、アメリカの場合は、アイデアか ら開発まで、優秀な人間がベンチャーに行ってますので、そのベンチャーをベースにで すね、アイデアを吸い上げるという機能がありますし、また、ビジネスモデルとして、 ロイヤリティーの配分とか、こういうものが明確になっておりますので、この段階でも たもたすることはないというふうに思います。それから、臨床研究の治験の段階でも、 目的にあった臨床試験の制度とか、機器治験に精通したスタッフがいるとか、あるいは センター化が進んでいるというようなことで壁がありません。そういう点では、日米で 大きなプロセスの差が出てきているということが言えようかと思います。さらに言いま すと、国としてやはり医療機器に対して、産業として育成するという方針がはっきりし てますし、FDAは患者さんに早くいいものを届けるという姿勢が貫かれておりますので、 そういう意味では、アメリカの方が一貫したプロセスができているというふうに思いま す。次のページは、クラスターを活用した場合にどういうことになるかといいますと、 一つは先ほどのアイデアと開発の段階の壁を優れた技術を集積して、目利きの人材を配 置する、そして、スムーズな技術移転が可能になってくるんではなかろうか、それから 臨床研究につきましても、臨床研究の病床とか、あるいは未承認機器の提供の特例化と か、あるいは治験拠点のネットワーク化、専門家の配置等々でですね、先ほどの壁がか なり解消されるというふうに思います。できれば審査についてはですね、クラスターで 進めたものについては優先審査をするぐらいの特例措置を設けていただくということが できれば、私はアメリカのスピードに近づいていくんではなかろうかというふうに思い ます。4ページは、「医療機器開発スキーム」で、一応整理しましたけど、国立高度専 門医療センターと医療機器企業との関係ということで、センターの方では、「臨床研究 ・治験」をやっていただくと同時に、企業側としては、「共同研究費」とか「委託研究 費」とか、あるいは「ベンチャー投資」という形での投資をする。また「トレーニング センター」につきましては、むしろ今、企業の方ができているところがありますので、 こういう受託も企業側にするというような構図が成り立つのではなかろうかと思います。 次の5ページは、開発事例でして、一つは循環器病センターの場合ですが、「次世代補 助人工心臓の開発・実用化」、これを機器開発からトレーニングに至るまで、ある意味 で標準化をして、地域医療に展開していくというパターンができるのではなかろうか、 それからがんセンターの場合は、「安全な抗がん剤の投与システムの開発・実用化」を こういう形でできるのではなかろうかという一つの見本でございます。あとは6ページ、 7ページは今申し上げたことを文章化したわけでございますが、一つだけおこがましい ことを言いますと、民間の企業というのはやはり新しい採算性のある事業化を行ってい く場合に、やはり一番先に人とお金を考えて、採算性が、投資効果があるのならば、そ こに果敢に向かっていくというのが、事業拡大のベースなんですけど、私は個人的によ くわからないのが、独法化というのはむしろそっちの方向に進んでいくはずなんですが、 前回も今日も議論がありましたが、お金と人の問題というのは何かタブーになっていて いろんなことを開発していこうというのは、どうも民間人としてはピンとこないという のが、私の寝言でございます。以上でございます。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。それでは、今の和地委員のご説明を含めて、最初に 医療クラスターの形成ということで、これは前回も少しご議論がありましたが、今回も 少しご議論いただきたいと思います。和地委員がおっしゃったのですが、おそらくNCが 独立行政法人になったら民間からのお金も少し入りやすくて、クラスターを作りやすい という考えもあると思います。どうぞ。 ○ 和地委員  逆に言うと、全部それに期待されるとなかなか進まないということです。 ○ 国立成育医療センター総長  医療クラスターは、確かにこれはNCではなくて独法化になるとやりやすくなる、もち ろんNCであるとやれない可能性があって、独法化になればできるだろうということだと 思いますけども、逆に独法化になりますと、非常に運営上苦しい状況になることは間違 いないと思います。それで今、先生おっしゃった通り、民間がですね、資金をどんどん と導入していただくことであれば、私たちもどんどんやる気を出してやれるんですけど も、それがない限りはですね、どちらかというと、独法化になりまして経営していくと いう立場になりますと、場合によっては縮小していかなければならない方向にならざる を得ない可能性も中には含まれてくる可能性がある、従って、私が申し上げたいのは、 独法化になりますと、かえって、逆に人が増えてくる可能性がある、この医療クラスタ ーというのは、非常に素晴らしい構想なんですけれども、これをやっていく時にですね、 例えば私ども成育医療センターですと、非常に稀少性のある病気が多くございます。 従って、がんセンターであるとか循環器のように豊富なたくさんの方々を対象とするよ うな医療クラスターというのは作ることはできないかもしれない、そうすると民間の産 業の方々も魅力はあるんだけども儲かりそうもないから手を付けないというようなこと が起きないとも限らない。そういうようなことがありますので、是非、医療クラスター ということをもし国がご提案されるんだとすれば、是非とも国側からとしての資金源的 なもののバックアップというものも十分考えていただきたいというのが私の考えでござ います。 ○ 高久座長  ほかにどなたか、どうぞ辻本委員。 ○ 辻本委員  患者の立場としては、最新、最良の医療ということをやはり望むのは当然だと思いま すが、ここに企業というのが入って、GCPのお話もありましたけれど、やはり一抹の不 安ということを拭いきることができません。やっぱりモルモットにされるんではないか とか、そういった不安や不信も当然に付随する問題です。こうした問題を構成していく 時にやはり透明性とか倫理性とかということを今まで以上に国民にしっかりと知らしめ られるような仕組みも併せて考えていっていただきたいということをお願いしたいと思 います。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。おっしゃる通りだと思います。ほかにどなたか。医 療クラスターの形成というアイデアはいいと思います。ただ、具体的になるとまたいろ いろと工夫が必要だと思いますし、今、辻本委員がおっしゃったような透明性というこ とも重要だと思います。お金の問題とか、また各NCによっていろいろと方向性が違って くると思います。大学も独立行政法人化して、こういう形のことを積極的に進めている 国立大学もあると思いますので、将来の方向性としては、いいのではないかと考えてい ます。次のテーマが「病院機能(病床規模を含めて)」ということで、これは前回もか なりご議論になりましたが、病院機能は先ほどの事務局からの説明がありました厚生労 働委員会での議論などもありますので、この問題についてはかなりこの場で議論をして いただく必要があるのではないかと思います。これについてどなたかご議論・ご意見を、 どうぞ矢崎委員。 ○ 矢崎委員  やはり議論がありましたように、NCが独法化した後の運営がどういう姿であるかとい うのを明確にしない限り、果たす役割とかですね、中期目標、中期計画あるいは評価と いうのはなかなか難しい、ですから、やはり、はっきりと今、座長が言われたようにNC の将来のあるべき姿、特に病院がポイントではないかというふうに思います。例えば、 大学病院はかつては、高度専門医療を旗印に難病などの患者さんを対象に研究的な医療 を主に行ったという位置付けがありましたが、しかし、その位置付けが徐々に弱まって、 特に独法化後はその位置付けが不明確となって、今非常にその運営が難しくて、臨床研 究を推進するエネルギーが著しく減衰したのではないかというふうに指摘されています。 国としてはですね、今唯一残っているNCの本来の使命を果たすためにも明確なあるべき 姿を示す必要があると思います。個人的には、国会の質疑で医政局長が答弁されたこと に尽きると思いますが、いろいろご意見があると思いますが、研究所を中心に病院を運 営して、例えば研究所付属病院的な視点からですね、モデル医療を実践する、これには 辻本委員が言われたようにやっぱり透明性、倫理性を高めながら、研究にある程度特化 した医療、例えば、がんセンターであればがん化学療法の組み合わせ、比較試験などを 集中的に行うことなどをメインに据えて病院運営を行えば、我々が苦しんでるように、 単なる診療報酬の世界から抜き出るようなことをあるべき姿としてださないとですね、 このまま議論が進んでいって、先ほど笹月先生が憲法と言いましたけども、憲法という よりはもう少し具体化したあるべき姿を明確にして、それにのっとった計画とかですね、 そういうものを作っていかないと、これは目に見えて運営が困難になってしまう。です からあまりこれからは別立ての補助金とかはなかなか期待できないので、やはりシステ ムとしてしっかりとした、特に研究所もそうですが、病院のあるべき姿、運営の方針を 明確にされてですね、それをどういうふうにシステムとして実現可能かというのを議論 していただければ、私ども独法化の大変な苦労をして製薬会社の方からも大分いろいろ な批判があって申し訳ないんですけれど、ちょっとそういう世界から抜け出ないと、な かなか今後のNCの今まで培ってきた成果が大学病院のようにだんだん薄れていってしま う可能性があるので、是非その点を強調したいと思います。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。それでは廣橋総長。 ○ 国立がんセンター総長  病院の臨床研究を推進する、強化する、それを各NCの大きな目標に据えるというのはこ れは大賛成です。それによって新しい医療が作られ、それを均てん化していく。しかし、 そういう研究開発の機能と同時に、人材の育成、研修、そして情報発信という大きな機能 がありまして、そういった事業を全部行うためには、診療の全部が臨床試験であるという ことではなくてですね、それ以外に基盤になる高度な医療が行われているということも大 事であって、それに対する評価もあって初めて患者さんにきちんとした臨床研究も提案で き、実現できるのではないかというふうに考えております。きっと意見に大きな違いはな いんだろうと思うのですけれども、そのためには一定規模の病院がやはり必要であると思 います。ただし、目標は医療提供が第一にあるのではなくて、新しい医療の開発であった り、それに基づいた均てん化のための情報発信や人材育成、そういったことになるんだろ うと考えております。一方、臨床研究を強化するには、先ほどのクラスターにもつながる わけですけども、そういう新しい取り組みに投資をするわけですから、集中的にこの拠点 に対して投資し、強化していただかないとそういうふうにはいかないだろうと思います。 今申し上げた両方を進める必要があるのではないでしょうか。 ○ 高久座長  それでは、樋口総長どうぞ。 ○ 国立精神・神経センター総長  私たちがちょうどこの数年間、高久先生にもお入りいただいて、将来構想の検討委員 会を金澤総長時代にやってまいりました。その時にはまだ、独法化ということが出てく る前の段階だったんですが、その時から議論として中心的になされてきたのは、やはり NCでなければやれないこと、NCがやるべきことという、そういうところに中心を置くべ きであると、だからどこでもできる医療というのはNC以外にある意味ではお任せしても いいぐらいで、やはりそうなって突き詰めていくと、矢崎先生言われましたように、や はり担っていくべきことは、まだ今、我々解決できていない課題、それに対して研究的 に取り組んで一歩でも先に進んでいくというその役割が一番大きいんだろうということ で、そういう方向で検討しておりました。そのさなかに独法化の話が出てまいりまして、 結局それも加味して、やはり病床規模というのはかなり落とすと、その落とすというの はどういう意味かというと、やはりその研究所でいろいろ研究されたものを病院の病床 において検証をしていくと、そういうものを中心にするということになりますと、必ず しも非常に大きなベッドを持つ必要はないだろうという発想と、それからもう一方では、 独法化して巨大な病床を抱えているとやりきれなくなりますよという警告もありまして、 そういうことを含めてかなりダウンサイズをしたという経緯がございます。ですから、 やはり私たちに課せられているのは国民から見て、なぜそれがそこで行われなければな らないのかと、民間の病院でもできるじゃないかと言われるようなものについてはきち んと整理していく必要があろうかというふうに思っております。 ○ 高久座長  どうぞ、笹月総長。 ○ 国立国際医療センター総長  ここまで何度か出てきましたけれども、要するにNCの目標として高度先駆的医療の開 発、それからモデル医療の開発、この二つが出てきました。最初の高度先駆的医療の開 発のためには、組織としてこのクラスターが完成するというのが一つ非常に重要だろう と、医療機器それから医薬品の開発、これはまったくこれまでにない新しい組織ですの で、本当にきちんとしたものを作らなければいけない。それからもう一つは、モデル医 療といいますか、よくEBM、EBMと言われますが、本当にエビデンスに基づいた医療、こ れがモデル医療、標準医療で、それを均てん化すべきだろうと思うのですが、それを作 るためには、先ほどの先駆的医療のためのクラスターに相当する、臨床情報解析センタ ー、治験まで続いたそういうもう一つのこのクラスター、あるいは今、関山課長から示 されているクラスターの先端のところにはそこまでつながるんだろうと思うのですが、 その両方が必要だと思うんですね。そして、今度はNCの病院にやってくる患者さんに、 これは前回も申しましたけれども、先ほどモルモットにされるという言葉があったので ちょっと繰り返しますけれども、もうこのNCの病院は、そういう臨床レベルを上げるた めの臨床研究、開発研究をする病院です、だからそのことを了解した上で来ていただき たいという、そういうコンセンサスをきちんと独法化する時に示すことが大事だと思う んですね。そういうことによって、患者さんも理解してやってくる、それからこちらも そのミッションを明確に理解して進めるという両者の合意の基に事が進む形を構築する のが大事だと思います。 ○ 高久座長  はい、どうぞ。 ○ 国立循環器病センター総長  私もNCの担うべき使命というのは、やはり国会での議論で局長が言われた通り、研究 というものに近い臨床というところに幅を絞るということはまったく本質的にその通り だろうと思って、研究所とまったく無関係の疾病に対する医療を取り組む必要はなかろ うという本筋論は賛成であります。その時にですね、そういう医療について、しっかり やっていくためには、研究資金のコンスタントな獲得ということで公的資金を獲得しな さいということ、これはもちろんでございますけども、もう一つ民間からのいろいろな 共同研究に伴う寄付を自由に受け入れられる組織体を作っていただきたいということと、 もう一つは国立という名前は残りましても、民間からの寄付を独立行政法人として受け 入れる組織体ですね、それともう一つは、今、特別会計で運営されております各NCの委 託研究事業、これがどうなるのか、つまり特別会計がなくなるわけですからその時にこ れをどう取り扱っていくのか、あるいはいただけるのかというところですね、これは大 変重要な各NCの研究所と病院の中間から病院に持ってくる領域を多くカバーしていると ころが現実としてあります。臨床研究の多くがこれらでやられてるところがありますが、 特別会計廃止後のこのあり方というものも是非この会議で考えていただいて、取り組み をやっていく必要があるのではないかという気がしています。 ○ 高久座長  どうも、ありがとうございました。どうぞ、本田委員。 ○ 本田委員  様々な先生方がおっしゃられることに私も本当に同じ意見で、特に笹月先生がおっ しゃったことに関しては、まったく同じ、まったくといったら失礼ですけども、本当に そうだとすごく感じました。それで、国民の立場からということで意見したいと思うん ですけども、前回私が発言したことにちょっと誤解があったかもしれませんけども、私 ががん難民が出ているということに関して、臨床研究的な治療を受けるところだという ことを知らずに、最高の医療をしてもらえるところだと思い込んで行くと、中途半端な もの、中途半端というか両方をやっていかなきゃいけないということに対して、本当の 現場でやってらっしゃるドクター達もすごく困っていらっしゃいましたし、患者も勘違 いして、どうなのかわからないから追い出されたと感じてしまう、ここはこういう新し い治療を開発していく病院なんだっていうことをもっと明確に示していただくと、その 辺の誤解とそれに基づく不信というものがなくなっていくと思います。そういうところ なんだということを示すことで、じゃあ患者さんが来るんですかと一度言われたことが あるんですけども、それはがんセンターというすばらしい最高の技術を持っているとこ ろが、より新しい治療を開発していくっていうことは、それは最新治療でもあるわけで すから、そういうことをきっちり説明していくことが本当に一番重要なことになると思 うので、そういうことを進めていって欲しいと思います。 ○ 高久座長  どうも、ありがとうございました。私も時々、がんセンターや国際医療センターに紹 介状を書いていますが慎まなければならないですね。反省をしています。どうぞ、辻本 委員。 ○ 辻本委員  今の本田委員に引き続いてということで同じ趣旨の発言を重ねたいと思います。私自 身も乳がんの患者になって、治験に参加する時に多少の迷いと悩みとを引きずりました。 しかし、その時に思ったのは今、私ができる未来の医療への小さな小さな社会貢献だと いう位置付けで参加を決意したんですね。私がそうしたからということで申し上げるわ けでは決してありませんが、前回も申し上げたように患者の意識がすべて正しい方向に 進んでいるわけではない今日、そうしたことをむしろ、明らかに患者の役割ということ で、引き受けられるような患者の意識の改革というところへの寄与ということにおいて も、とても大切だと思います。 ○ 高久座長  おっしゃる通りだと思います。どうも、ありがとうございました。他にどなたか。廣 橋総長。 ○ 国立がんセンター総長  臨床研究に患者さんを案内する時にはですね、適切な説明をして進めております。が んセンターがそういう臨床研究を推進している場所だということも説明してるんですね。 しかし、患者さんは1回説明を聞いたからといって、すぐにそれを全部完全に理解され るとは限らない。言葉では理解してその時はOKしていても、やはり最高の医療が得られ るんではないかと思っているというようなことがあります。これからもますます説明、 そして情報を発信するということは続けていくわけですけれども、そんな簡単に1回説 明したあるいは情報提供したから、それで理解されるというものではないんだと思いま す。努力を続けなければならないものだろうと思います。同時にですね、国民の多くの 方が期待しているのは、一方では先端医療、新しい医療が開発され、それが標準化され るということでもありますけども、現時点での良い医療が広く均てん化されることでも あります。実際に格差はありますので、それが均てん化され、情報が提供されるという ことも大きく期待しているんですね。均てん化のための推進役をNCが担うということを 期待しているわけです。そのための十分な人材育成、研修ができるような体制というも のが必要だと思います。その両方を進めることが重要であると私は思っております。 ○ 高久座長  次の医療の均てん化ということに関係しますが、医療の均てん化のためにNCは当然、 人材の育成をしなければならない。均てん化というとスタンダードの治療を広げるとい うことになりますので、そのスタンダードな治療をやる人を育成するということと、今 ご議論のあった研究主体の医療ということとをどううまく組み合わせていくかというこ とが現実にはかなり重要な難しいテーマになります。均てん化や人材育成は非常に重要 なことだと思いますし、特に先ほど矢崎委員もおっしゃったように国立大学病院が少し 弱体化しているのと、大学の循環器教室といっても各講座ごとですからNCに比べると弱 い。NCですと循環器センターは循環器全部やっているわけですから、そういう意味では、 大学病院より遙かに強くなることができるはずです。しかし、人材の育成と新しい医療 ということ、これらの問題は、中期目標の中で十分考えて計画を練っていく必要がある と思います。どうぞ。 ○ 本田委員  一つだけ言い足りなかったことがあったんですけども、国民に説明していくっていう 中では、もちろん診察の中で患者さん一人一人に対してというのももちろん当然重要で すけども、やはり社会としてこういうものなんだというのをもっと広めていく必要があ るので、そういう中で私たちメディアも何らかの役割を担っていけるのではないかと感 じています。もう一つ疑問なのが、人材育成の部分というのは、ちょっとがんセンター ばかり例にしてしまって恐縮なんですけども、例えば、がんセンターだけでやるんでは なくて、がんセンターの全国の協議会の病院がありますよね、で都道府県のネットワー クをこれから作ろうというのががんの場合は進んでいると思うんですけども、そういう ところを上手に活用していくことですごくいっぱいいなくてもいいのではないかなと ちょっと個人的には感じていましたけども、またご検討いただければと思います。 ○ 高久座長  確かにおっしゃるように必ずしもそこだけでやる必要はないのかもしれませんね。 ネットワークを作って。 ○ 国立がんセンター総長  まさにそういう方向を目指していくのですけれども、指導者を育成すること自体がか なり大変な状態です。そして、人材育成の必要性が非常に大きいことは明白です。今の 段階でやっとシステムができ上がってきたNCの人材育成機能を、もし落としたら取り返 しのつかないことが起こってしまうだろうと思います。 ○ 高久座長  どうぞ、矢崎委員。 ○ 矢崎委員  おっしゃることはよくわかるんですが、NCの独法化のあるべき姿というのは、がんセ ンターが一つの象徴的な存在になるんではないかと思うんですね。非常にわかりやすい 医療をやっておられるんで、それでやはり本田委員が言われたようにもう少し、がんセ ンターの本来のあるべき姿を社会的認知が行くまでに高められておやりになった方がい い、それから樋口総長が言われたように、限定して病床を縮小するというのは必ずしも NCごとに違うと思うんですね。がんセンターは、やはりもし治験とか臨床研究をやった ら今あるベッドでも足りないくらいだと思うんですね。それだけ患者さんが集まる可能 性もある場所なので、だからあまり従来の枠に閉じ込もることなくですね、もう少し先 生、柔軟に考えていただいて、やっぱりがんセンターがどうなるかというのが一番大き く象徴的ですので、やはり是非その点は頑張っていただければと思います。 ○ 青木委員  今、病院における研究と診療について話題になっていますが、私は診療ということと 研究ということは若干方向性が違っていると思います。研究というのはどちらかという と非常に積極的、診療というのはある意味かなりコンサバティブな面があっていいん じゃないかと思います。というのは、例えばクラスターにおいて創薬を企業と医療担当 のグループと一緒にやる場合に、どちらかというと企業の方は「それいけどんどん」で やる、新しい薬、新しいメカニズムの薬を出したいというドライビングフォースが非常 に強くなりますが、医療側はむしろそれに対してある意味批判的な目、本当にそれが国 民のためにいいのか、治療に役に立つのかという目を絶えず持っていただかないといけ ないと思います。両方揃って突っ走っちゃうとちょっと困ると思うんですね。我々企業 側は突っ走る方ですので医療側には批判的な目を持っていただきたいのです。先端医療 に対して、逆説的に批判の目を持てるのはNCのような一番先端の医療を担当するところ でしょう。そうしたバランスをうまくとっていかないと先ほどから皆さんがおっしゃっ てるように国民のためになる医療、国民のためになる新しい医薬品につながらない。医 療というのは、科学技術的な面での勢いだけで研究を進めるのをある意味で牽制する役 割があると思います。 ○ 高久座長  どうぞ、大島総長。 ○ 国立長寿医療センター総長  がんセンターをNCの一つの典型モデルとして考えていくということは非常にわかりや すい話ですが、長寿医療センターっていう話になると、なかなかがんセンターと同じよ うなイメージで語ることができないんですね。今、青木委員が実際の診療と研究とは分 けて考えろという言い方をされたのがちょっと救いになったんですが、現実は65歳以上 の方が21%で、実際に医療を受けておられる方の40%以上の方が高齢者という状況にある わけですね。今、国でどんなことが問題になっているかというと、慢性期とか終末期の 高齢者に病院からできるだけ出ていってもらって、地域全体、在宅などで受け皿を作ろ うという方向に政策は動いています。しかし、中味がついていっていないという実状で 受け皿を作るのに、一体誰がやるのかという話になると、大学がそういった機能をして くれるのか、あるいは会長がいる前でこんなこと言って失礼なんですが、医師会が十分 に全部責任を持って受け皿を作ることをやってくれるのかという話になると、どこもや らないわけですね。では、NCである長寿医療センターっていうのは、そういった問題に 知らん顔してていいのかと、一年前に私は突きつけられました。しかし、先端医療を 担っていくナショナルセンターの立場として、在宅医療というのはNCでやることなのか と悩んでしまいました。現実は国民が必要としている医療と現実に行われている医療と にこんなに大きなギャップがある、このギャップをどこが埋めるのかという話になれば、 それはやっぱりNCの役割ではないか、これは総長会議でもいろいろお話させていただい たんですが、こういうのは研究と言えるんだろうかなんていう疑問を私が出しましたら、 その当時の精神・神経センターの金澤総長がそれこそがこれからの研究なんだって言わ れ、非常に力づけられました。何が言いたいかといいますと、人材育成にしましても、 今総合医の問題で大変な問題になっていますが、総合医が必要ということについては誰 も異論がないのに、どこかが準備してきたのかという話になると、何かどこか欠け落ち ているわけですよね、そして、NCとして、その欠け落ちている部分というのを責任を 持って埋めなければいかんのじゃないかという、強い要請がある部分からはあるんです ね。私は今、本気でそう思っているんですが、先端的なことも大事なんですが、本当に 必要な医療というのはその状況と時代とによって、求められているものがあると思いま す。そんなことはNCには必要ないと言っていただけるならそれも一つの選択だと思いま す。それは他でやるべきことであって、アルツハイマーの病態解明だとか、最先端のと ころにもっと力入れろと。しかし、私は今、これからの状況を見ていますと、ギャップ を埋めるという役割も避けられない重要な役割であると思っています。そういったとこ ろのご議論もきちんとしていただきたいと思います。 ○ 高久座長  この中に、先ほどのご議論いただきましたが、医療政策に対する政策提言というのが あります。これこそまさしく大島総長のおっしゃった政策提言として、やっていただけ ればいいのではないかと思います。笹月総長どうぞ。 ○ 国立国際医療センター総長  ですから先駆的医療というのは、何も新しい薬を作るとかですね、何か問題になって いる病気に対する薬を作るということだけではなくて、高齢社会になったその集団とし て、どのような医療を提供するのか、これはみんな世界中誰も回答を持っていなかった わけですから、それを提示するというのはやはり先駆的医療の開発そのものだろうと思 いますので、胸を張ってそれをやっていただければと思います。 ○ 高久座長  辻本委員どうぞ。 ○ 辻本委員  大島総長が欠け落ちているところということを強調なさったんですけれど、その一つ には患者の声があるんではないかというふうに思います。最近、少しご協力をさせてい ただいた例ということで、すみませんまたがんセンターに話が戻ってしまうんですけれ ど、この3月にがんセンターのお医者さん達がいろいろお考えになって、わりとルーチ ンな検査とか処置のオーダーをした時に、同時にアウトプットされるというような説明 書を45種類お作りになりました。そのデータを私どもの方に送って、患者の目で検証し てくれと依頼を受けました。この説明書が本当にわかりやすいものであるかどうかとい うことで、どうぞ忌憚のない意見をということを言っていただいたおかげで、添削して 真っ赤っ赤になってお返ししたんですね。そうしましたら、副院長からのメールに、 「私たちが今まで一生懸命説明してきたということはこういうことなんですな」と反省 的な率直なお言葉をいただいて、私たちも苦労のしがいがあったなということで、大変 嬉しい思いをいたしました。そんなささやかな経験ではございますが、やはり、患者や NPOなどとのコラボレーションというのでしょうか、協働の時代でもあると思います。 人材育成もさることながらもう一度原点に立ち戻っていただいた職員の意識改革もまだ まだ決して足りてるわけではないというところの見直しなども含めて患者の声というと ころを時代の要請に合わせた、欠け落ちている部分を埋めるためにも、是非取り上げて いただきたいというふうに思います。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 本田委員  大島先生がおっしゃった在宅医療のモデルを作っていくところというのは、まさに今 一番時代の最先端の部分だと思って、NCでモデルを作っていく、それを全国に広めてい くということは今一番重要な問題だと私は認識しています。また、がんで言うのも変な んですけども、がんの場合も、これから在宅で亡くなる、在宅で緩和治療を受けながら 生活をしていくということがとても注目されています。実際、これからたくさんの方が がんで亡くなるという方はたくさんおられて、これからも増えるであろうと、そういう 中でみんながみんな病院で死ぬわけではないですので、そういうモデルを作っていくと いう意味で本当はがんセンターも東病院がそういうモデルをやるとかやらないとかと 伺っているんですけども、その辺の問題もあるかと思うんですけども、役割分担がどう なっているのかよくわかりませんけれども、その辺、長寿医療センターが全国のそうい うことを担って、がんセンターなんかも巻き込んでやっていただければいいのかなと 思っていますので、最先端として期待したいと思いますし、マスコミとしてもお手伝い していきたいと思っています。 ○ 高久座長  どうぞ、簡単に。 ○ 国立がんセンター総長  緩和医療、それから在宅の問題については、築地は築地、柏は柏といった違った環境 の中でそれぞれモデルを作ろうとして取り組みを進める計画です。また、先ほどお話を いただいたように、患者さんからの視点を取り入れながら、これからの医療を進める方 針です。がん対策情報センターの運営にもそういう仕組みがありますし、基本法の実施 計画にも、国レベルでもそういう取り組みがなされているというそういう状況です。 ○ 高久座長  がんセンターはなかなか大変でしょうけども。 ○ 国立がんセンター総長  今議論されている方向で進んでいるんですけども、でも一方で研究開発だけではなく て、均てんと両方バランスを取ってやっていく必要があるだろうということを申し上げ ているわけです。 ○ 高久座長  この医療の均てん化、ネットワークの中で3番目のテーマお手元の資料の5ページです が、各政策医療分野において、現在NCが対応していない疾病分野をどのNCが対応するか という、これ非常に難しいテーマで、事務局が出された政策医療分野というのがわかっ ているようでわかっていない言葉なのですが、ある意味ではきりがないと思います。皆 さんおわかりのように循環器、がん、精神・神経、長寿などいろいろあります。糖尿病、 肝炎、エイズなどは国際医療センターがやっておられますですね。それ以外の政策医療 分野というと関山さん何がありますかね。 ○ 関山国立病院課長  6ページにお示しさせていただいたんですが、現在、政策医療分野ということで左に 書いております。そして、NCが現在対応しておりますというのがわかっておりますのが、 そこの部分については表示をさせていただいて、ちょうど表示されていない分野、明確 に手は挙げていない分野というような、例えば免疫異常とかですね、そういったところ などを空欄にしております。こういったところを全部埋めろということもありましょう が、やはりここは優先的に埋めていかなければいけない、それから先ほど樋口総長から もお話がございましたように、均てん化を行うにあたっても、がんの場合は中核、地域 で、○と医療のところが書いておりますが、それ以外については、○がついていないよ うな部分、こういったところをどういうふうにやっていくか、当然国が医療政策の一環 としてやっていくということが必要なんですが、そういう必要な分野は優先的にどう いった分野を予め我々認識しておかなければならないのかという点がございます。この 表ではそういったことを挙げさせていただいております。 ○ 高久座長  これについては何かご意見おありでしょうか。なかなか難しい。免疫異常は国際医療 センターがやっておられますね。 ○ 国立国際医療センター総長  エイズとか肝炎、感染症をお引き受けするわけですので、そのバックはやはり免疫で すから、これまでも研究所にたくさん免疫学の優れた人をリクルートして我々でやるの かなと感じております。 ○ 国立成育医療センター総長  免疫異常と一言で申し上げましても年齢というものもございまして、成育医療の方は その下にもございます血液・造血疾患(がん以外)というのがございますが、白血病等、 それから固形がん、小児もたくさんございます。それらは皆、成育が担当してございま すので、ただ疾患別だけに分けますと、空欄ができますけれども、年齢ごとに分けてい きますとまた違う空欄も出てくるかと思いまして、そういった意味で免疫異常の先天性 免疫疾患、私どもまさに遺伝子治療をしようかなというところにきておりますので、ま さにこういうところにも手を付けておると、それから白血病等かなりたくさんの数の方 々をお相手にさせていただいているというところでございますので、よろしくご理解お 願いしたいと思います。 ○ 高久座長  どうも、どうぞ北村総長。 ○ 国立循環器病センター総長  この6ページの表から○付けを各センターが言い出すと、我々ももちろんいっぱい○ 付けがあるんですけども、私はこれすべてNCに分類することなくですね、もう一度私は 国立病院機構と、特に私どものところのように地域にありますとですね、そことの結着 というのは大変重要な課題です。国立病院機構の方も同等な非公務員型になるとも伺っ ておりますし、そうした中でもう一度私はNCを中核として、あるいは中核となれない部 分はたくさんある、国立病院機構との連携を強化して考えればいいんじゃないかと思う んですね。それは、国立病院機構が先にしている、NCが遅れているから難しいというの か、そういう法律上の問題があるのかどうか私にはわかりませんけれども、私は特に地 域にある当センターのような場合には、国立病院機構との連携をもう一度強化する、現 在でも人材の交流とかはやっておりますけれども、診療体系の連携、地域連携というと ころにもかかってくるかもしれませんけれども、それが一つ重要ではないかなというふ うに思います。それから、先ほどから出ている地域連携とか、人材育成ということと、 最先端の研究から臨床へというのはどうしても相矛盾する点が多少あります。ですから これを一緒くたに書かれて皆やれと言っても、いろんな議論が出てくるんだと思うんで すね。その上にさらに人員を削減する、交付金を削減するというと、一体どっちを主体 にしていったら我々は一番無難にというか、よく生きていけるのかというようなところ もよくわかりません。それから、やはり研究主体性の病院としていくということがNCの 意義付けで大変重要であるということも十分理解できます。しかし、その際には、やは り交付金、あるいは研究人員の削減ということを我々の通則法から外すことができるの かどうか、やはり研究主体病院としていく場合には、そういうことが可能かどうかも検 討してもらえないかと。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。どうぞ、矢崎委員。 ○ 矢崎委員  そういうことにならないように、あるべき姿を考えるということなんで、初めにそう いうことを言ってこれをお願いしますというのはちょっと違うと思います。 ○ 国立循環器病センター総長  合わせて考えていただきたいということです。 ○ 矢崎委員  国立病院機構の病院は、やはり研究所を持っていませんので、治験とか、そういう視 点からの臨床研究はできますが、NCとは本質的に違いますので、臨床研究の方でご一緒 というのはもう喜んで、是非参加させていただきたいのですが、臨床研究をトップにし たというのは我々はちょっとなじまないので、是非NCにそこは頑張っていただきたいと 思います。 ○ 高久座長  人材の育成は一緒にできると思いますね。どうぞ、和地委員。 ○ 和地委員  人材育成の件でですね、最近アジアを歩いてますと、もうほとんどドクターがアメリ カに行っているという実態ですし、この間も台湾のドクターから、自分は昔、日本で教 育されたと、しかし、息子を今日本に連れて行くというような発想はできないというこ となんですが、この独法化とですね、NCでの人材育成をグローバルにはどう考えていく のか、言うなれば日本の医療の位置付けっていうのを上げていく場合に、やはりアジア のトレーニングセンターとしての役割というのはあるんではないかと思うんですが、こ の辺はいかがですかね。 ○ 高久座長  どうですかね、国際医療センターの国際協力は、主に派遣ですね、がんセンターは随 分養成をしていますね。 ○ 国立循環器病センター総長  循環器病でもJICA等を通して、年間何十人も。 ○ 高久座長  JICAとの関係でいろいろセンターが国際的な人材養成をやってきていると思うのです が、今までのNCの議論の人材育成は専ら国内の均てん化への道ということでした。アジ アまで均てん化することはなかなか難しいと思いますが。どうぞ、金澤委員。 ○ 金澤委員  国際的な話ではなくて恐縮なんですが、先ほどのネットワークの事に関してですね、 ちょっとコメントしておいた方がいいんじゃないかと思いますので、一言。当然ながら、 今はあまりアクティブではないっていう意味だけなんですが、かつて政策医療ネットワ ークというのがあったわけです。これにはやはり大きないろいろな問題がありました。 NCが国の全体を見回して、ある意味ではそれぞれの分野で唯一ということですから、そ こを中心に、国立病院機構だけじゃなくて、いろいろ大きな病院であるとか、私立で あっても、あるいは大学であるとか、そういうところも全部巻き込んで日本全体のネッ トワークをやはり考えていただきたいと思います。 ○ 高久座長  どうぞ。 ○ 国立国際医療センター総長  先ほど、矢崎先生がおっしゃった通りだと思うんですが、例えば、免疫異常はほか に国立病院機構でやってるじゃないかというような議論が時々なされるんですけど、 先ほど来、議論されたように、やはりNCというのは大きな研究所を持って、そして病 院を持ってやっていくところです。そういうところでしっかり私の言う憲法のような 大前提を揺るがせないようにしないとほかでやってるからそれはそっちに任せましょ うというのではNCのそのものも病院機構と一緒になってしまえばいいじゃないかとい うふうになるので、NCがNCであり続けるためには、やはり研究をしっかりやって、先 駆的治療法を開発する、それからEBMをしっかりやって標準医療を確立する、そしてそ れを均てん化するという、そこの揺るがぬものをちゃんと持ってれば、私はほかの国 立病院機構でやってるじゃないかなんていう意見は出てこないと思うんですね。です から、そこをもう一回、くどいようですけれども目標を明確にするということが大事 だと思います。 ○ 高久座長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。今日はいろいろとご議論をいただ きましてありがとうございました。前回もいろいろな議論がありましたが、本日、重 ねて議論することによってNCの方向性がかなり見えてきたんではないかと思います。 その意味で、本日のご議論まことにありがとうございました。次回は6月25日、月曜日 の13時半からということになっていまして、できればこの次回の時にこのNCの方向性 をもっとはっきりさせていただければと思っています。よろしくご参加ご議論の方を お願いしたいと思います。特になければ、これで今日の会を終わらせていただきます。 どうも、ありがとうございました。  照会先:  厚生労働省医政局国立病院課  TEL 03-5253-1111(内線2633、2676)  担当 岩下、岩城