07/06/07 「心身障害者扶養保険検討委員会」(第2回)の議事録について    心身障害者扶養保険検討委員会(第2回) 日時:平成19年6月7日(木)                            10:00〜11:30                         場所:厚生労働省共用第7会議室 ○山崎座長   それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回心身障害者扶養保険検討委員 会を開催させていただきます。  皆様、御多忙のところ検討委員会に御参集いただきまして、誠にありがとうございま す。  まず、議事に先立ちまして、事務局から委員の出席状況並びに資料の説明等をよろし くお願いいたします。 ○鈴木企画課長補佐   本日は、全委員が出席となっております。なお、横浜市におかれましては、本年4月 1日付で人事異動がございまして、佐々木委員から上野委員に委嘱換えをしております。 栃木県、横浜市におきましては、代理の出席となっております。  次に、資料の確認をさせていただきます。  資料につきましては、「第2回心身障害者扶養保険検討委員会資料」の1点でございま す。  参考といたしまして、委員の変更に伴いまして、委員名簿をつけさせていただいてお ります。  以上の2点です。  また、委員の席上に第1回の検討会での配付資料を御用意させていただいております。 御参考にしていただければと思います。  以上でございます。 ○山崎座長   それでは、議事に入らせていただきます。「心身障害者扶養保険制度の見直しについて」 につきまして、事務局から説明をお願いします。 ○鎌田企画官   おはようございます。企画官の鎌田でございます。  それでは、お手元にあります資料と、委員の方には1回目の資料をファイリングして おりますので、それも参照しながら御説明したいと思います。  それでは、第2回の資料をめくっていただきまして、1ページ、障害者の数でござい ます。本日は、前回御質問いただいたことを踏まえまして、現状について御理解を深め ていただいて、今後見直しをどうするかということでお話をしていただければと思うの ですが、前回我々の方から1にございますように、現在加入していらっしゃる方、受給 している方について、総体的に数は少ないと申し上げたときに、全体の割合を知りたい という御指摘もございましたので御用意した資料でございます。加入者の延べ人数、受 給者の延べ人数はこのようになってございまして、では、障害者全体についてはどうな るかということですが、障害者全体は直近で身体障害者が352万人程度、知的障害者が 55万人程度、精神障害者が303万人程度で、全体として709万人程度となっていると ころでございます。  では、709万人のうちどの程度の方が今、障害福祉サービスを利用していらっしゃる かということで、我々が実績等を元に出している数字でございまして、今は訪問系です とか、日中活動系という形で分類してございますけれども、全体としてサービスを利用 していらっしゃる方は65万人ということでございます。したがいまして、障害者の709 万人に対して加入者が9万5,000人、受給者が4万人ですが、それをもって絶対的な数 とするのか、どう評価するのかというのはなかなか難しいところがあるのではないかと 思います。  もう一つ、1回目の資料の1ページに加入要件ということで、加入者は知的障害者な どを扶養している65歳未満の保護者という形になっているんですが、そういった加入 要件に該当する障害者がどの程度いるかということで、いろいろ推計を試みたんですが、 やはり手帳所持者の数自体の推計ですし、また、精神障害者の方についても少ないので、 前提に前提を重ねることになるので、今お示しした障害者数全体の数、それから、障害 福祉サービスの利用者の数ということで、利用の程度ということをお考えいただければ と思います。また、後で東京都のデータもありますので、そのときにも御説明申し上げ ます。  次に、東京都の例でございます。前回も我々の方から東京都については独自にやって いて、それが本年2月末をもって廃止されて、一定の経過措置があると御説明申し上げ ましたが、その東京都の制度について若干詳しく御説明申し上げます。  東京都は受給者、既に親御さんが亡くなられて、お子さんがもらっている受給者につ いても加入者という定義を言っておりまして、受給者と掛金を納付している未受給者を 合わせまして2万9,793人、3万人弱の方が利用されていたという状況にございます。  その内訳は、受給者が1万人弱、それから、未受給者ということで残りの1万9,000 人強いらっしゃるわけですが、そのうち東京都の場合は保険料納付期間が20年でござ いますので、20年を納付し切った方が1万人強、20年の納付期間で途中の方が9,000 人弱という状況でございます。  右側のグラフはその方たちの年次推移でございますが、4ページで東京都の加入者の 方々の障害の別の分布を見ますと、左上の円グラフが全体、真ん中が受給者の方、右が 未受給者、納付者でございますけれども、やはり知的障害の方が多くなってございまし て、国においてもそういった傾向にあることは変わらないということでございます。  下の線グラフは、それぞれ東京都が発行している障害別の手帳所持者に対する加入者 の割合でございまして、全体が濃い青ですけれども、大体6%程度ですが、やはり知的 障害者の方の利用割合が多くなっているということがうかがえると思います。  こうしたことから、先ほどの障害者の中での利用割合ですとかそういうことは一定の 類推ができるのかなと考えているわけでございます。  次に5ページ、前回御紹介いたしましたが、東京都は今年2月末で制度をやめるけれ ども、国において今このように見直した後に東京都も参加できるようにしてほしいとい う御要望をいただいたところでございます。その辺について、制度との関係から御説明 申し上げます。東京都が廃止する際におきまして、どのような措置を講じたかというこ とでございますけれども、受給者につきましては、先ほど申し上げましたように1万人 弱いらっしゃるわけですけれども、今年2月末時点で現在受給されている方については、 引き続き現在と同額で同様の方法、つまり3万円を毎月終身で支払うという措置を講じ てございます。したがって、受給者については変わらないというところでございます。  それでは、未受給者についてはどうしたかということですけれども、まず(1)掛金、 保険料はどうしたかというと、まず、きちんと制度の終わりの2月分まで払込みをお願 いする、未納についても支払いをお願いする。仮に、未納のある場合は後で御説明しま すが、清算金のときにその分を除外いたしますとなってございます。  では、その清算金をどうするかということですが、制度が終わった翌日の3月頭の時 点で確定して、それを現在価値に換算して支払っているんですが、現在価値に換算する 方法をどうやっているかというと、未受給者の方は親御さんがまだ健在で、将来親御さ んが亡くなれば、その子どもに年金が出るという想定に立った制度でございますので、 親御さんの現在の年齢の平均余命を考えまして、親御さんが亡くなったらお子さんに一 時金を出すという考えのもとに、親御さんのその時点の平均余命を割引期間、長さと考 えて、また、割引率は東京都の資料によれば1.45%でやっているということでございま す。  まず、納付を完了された方は、東京都の場合は20年加入で1万人強の方が既に払い 切っているということでございますけれども、その方はどうしたかというと、まず、東 京都の制度は月3万円を出す制度でございますが、やめてしまうので全額を保障するこ とはできなので、もし東京都がやっていなければ、恐らく国の制度に加入していたであ ろうということで、全国制度と同じ給付額月2万円をまず保障しまして、その場合、東 京都の扶養年金の場合に平均受給期間24年となってございますので、その2万円を24 年間給付したと仮定した場合の額を576万円と算出して、それを先ほど申し上げました 現在価値に割り引いて支払うということを予定しているところでございます。  それから、掛金納付者、つまり、まだ20年払い切っていない方につきましては、576 万円は同じでございますけれども、一方で東京都扶養年金の掛金払込み期間に比例させ た金額、つまり20年ですから、分母20年掛ける12の240月として、その分子に掛金 を実際に払い込んだ数を掛けて、現在価値に換算して支払うということになってござい ます。  一方、国は1口2万円で2口まで入れますが、東京都の場合には1口3万円でもう一 つ特約として月1万円分がございまして、月1万円分についても同様に計算して192万 円を割り引いて支払うので、両者を合わせると一定の額が出ていると考えられます。  その清算金の受け取り方法でございますけれども、これはいわゆる東京都との契約の 解除・解約になりますので、そうすると、まず掛金を払っていらっしゃる方、つまり親 御さんには一括でお支払いしますということでございます。それは、通常の解約という ことでもありますし、親御さんが代わりに現在販売されている民間の保険商品を買う場 合には、一括払いができますように一定の額を渡す必要があろうということで、こうい う措置を講じているわけでございます。  他方、障害者につきましては、親御さんが亡くなればそれ以降一定の額を年金でもら えると考えた生活設計をされている場合がございますので、一括で受領するだけでなく、 年単位で2年から20年の範囲内で分割できるという制度も講じたというわけでござい ます。  次に、経過措置というのは手続期間ですとか、なぜ国の制度に、その後入らせてほし いと東京都が要望しているかということがございますけれども、(1)清算金の支払いに つきましては、清算金の受取り方法の選択、つまり一括にするとか分割にするか、そも そも掛金納付者がもらうか、子どもである障害者の方がもらうかどうかということを考 えたり、また、もらったお金でほかの商品を買うかどうかについて考える必要があろう ということで、今年3月1日から来年3月末までの経過措置を設けて、その間に手続等 をしていただくというわけでございます。  ポイントは(2)でございます。期間中に親御さんが亡くなった場合には、現行と同様 の仕組みでお子さんに扶養年金月3万円が支給できるということで、いわば保険期間と してみなされているというところにこの経過措置のポイントがあろうかと思います。  したがって、経過措置が切れる3月末までに国の制度に加入できるようにというのが 東京都から要望として来ているところでございます。  なお、(3)でございますけれども、仮に清算金の支払いの届出がない場合で、年金も 受給していない場合には、来年4月以降も清算金を支払うというのが東京都の方針と 伺っているところでございます。  以上が、東京都でございます。前回の議論の中で、東京都の方が入ってくるとしたら どのくらいかという御指摘もあったのですが、東京都に聞いたところ、そこはやはりそ れぞれの選択によるものでわからないということでございます。先ほど3ページのとこ ろで受給者は関係ないといたしまして、未受給者の方がいらっしゃるのですが、このう ち年齢構成を聞いたところ、65歳未満という方が8,000人程度ということでございます ので、その辺の数字の方がどう判断されるかということではないかと思います。実際に どういう行動をされるかはまだわからないところでございます。  7ページは、我々の方からこの制度は公的保障の上乗せの制度であるという御説明を 制度の位置付けとして申し上げましたし、一方で委員の方から、さはさりながら親の方 はそれなりの期待もしているし、ある意味障害者にとっては2万円というのはそれなり の意味もある収入であるという御指摘がございまして、現在の障害者の方の所得保障制 度について概観する絵をつくったわけでございますけれども、障害者の方について言え ば、障害の程度に応じて基礎年金の1級、2級がそれぞれ8万2,000円程度、6万6,000 円程度が毎月換算して出されているというところでございます。  また、20歳以上の在宅の方に関しては、更に特別障害者手当が毎月2万6,000円程度 出ているところでございまして、現在の受給者は左の括弧にございますような形で基礎 年金1級で65万人、基礎年金2級で75万人程度、特別障害者が10万5,000人程度と なっているところでございます。また、障害者方の働き方や暮らしによりますが、厚生 年金をもらっている方もいらっしゃるというところでございます。  障害児につきましては、それぞれ20歳未満の障害のあるお子さんは、家庭において 養育看護されている方に対して特別児童扶養手当がそれぞれ障害の程度に応じて1級、 2級で5万円程度、3万4,000円程度出ておりますし、更に、在宅の本人に対して障害 児福祉手当が1万4,000円程度出ています。それぞれ受給者の数は上に書いてあるとお りでございます。  こうした中で、昭和45年にこの制度が発足した当時の位置付けと現在の位置付けが 変わったのではないかという御指摘がありますし、また、それぞれ制度の趣旨なりござ いますし、障害の程度がございます。そういった方々がどういった状況にあるかをかん がみて評価というのはいろいろ変わってくるのではないかと見ているところでございま す。  次に、前回自治体の方から国が設計した制度以外に、自治体において独自の部分もあ るのではないか、その中に掛金について減免している場合もあるのではないかというこ とで、一度整理したらどうかということで、自治体の方に御無理をいただいてまとめた のが9ページ、10ページの資料でございます。これは各自治体においてやっている減免 制度について調べたものでございまして、ざっくりとした資料は去年調べたものがあっ たので、その後聞き取りで調整をしております。調査時点が必ずしも一定でないとか、 調べ切っていないところもありますので、大体の傾向を見るものとして御覧いただけれ ばと考えているところでございます。  それを見ますと、考え方としては基本的に同じでございまして、左の欄にございます ように、世帯によりまして減免の割合を決めてございまして、北海道で申し上げますと、 生活保護世帯では100%減免、つまり保険料を免除しているわけですし、市町村民税の 非課税世帯で半分にとどめておりますし、その市町村民税のうち所得割りの非課税世帯 については30%減免、つまり3分の2程度の負担で済んでいるということです。その減 免を受けている方の数でございますけれども、450人いらっしゃるということでござい まして、いろいろ減免者についても口数で把握しているところもあったりとか、調査時 点が加入者の調査時点と一致しないので、数字として出せないのですが、例えば北海道 でいいますと、前回の資料の5ページに加入者の現況を出しておりますけれども、更に、 北海道は備考欄にありますように、1口目の方のみ対象でございますが、去年3月末時 点で2,876人いらっしゃるので、そのうちの450名程度の方が対象と見ていただければ、 大体の傾向はつかめると思います。  そのように見ますと、生活保護世帯、市町村民税非課税、所得割非課税という形で分 類するような考え方になっておりますが、ほぼ一緒ですが、細かく見ると減免の割合が 違っている場合があるということがございます。  山梨などでは生活保護世帯でも8割減免ですし、千葉では5割の減免にとどめている ところでございますし、減免者数も違っているところでございまして、あと特徴的なの は石川県でございますけれども、備考欄を見ていただきますと、一般世帯は一律10%の 減免でございますので、基本的には保険料を払う方がすべて対象となっていると言えま すし、2口目は各市町村で別に定めるということで、県でもにわかにはわからないとい うところでございます。  更に、京都府266名となってございますが、これは左にございます生活保護世帯など についてすべて100%減免で、266名となっていますが、このほかに一般世帯について も3分の1ほど減免しているということでございます。基本的には保険料を払う方すべ てが減免の対象になっているという状況にございます。  そういうふうに見ていきますと、数が多いのは愛媛県でございまして、愛媛県の場合 は人数の把握でなくて口数の把握ということでございますけれども、4,418口の方が減 免の対象になってございますし、備考欄にございますように、一般世帯は県3分の1、 市町村3分の1をそれぞれ負担していますので、御本人は3分の1で済んでいるという 状態で、基本的に保険料を払われる方すべてが対象になっているという制度でございま す。  高知県につきましても、一般世帯について県25%、市25%減免になっているという ところでございます。  京都の場合、左の欄に該当する方だけの数でしたが、愛媛、高知に次いで、一般世帯 についても含めた数になっているわけでございます。京都市については、基本的に京都 府と同じように40名というのは生活保護世帯の減免者数でございますけれども、この ほかに1口目のみ全加入者に対して年齢区分に応じた減免を行っていると伺っていると ころでございます。  結局、国の全国制度に参加している道府県、政令指定市すべてにおいて、このような 減免措置がされていて、それぞれ割合も似たような傾向があると。細かく見ると違うん ですが、自治体独自の制度はこのような状況になっているという御説明でございます。  次に、前回私どもの方から過去の制度改正、保険料について、納付時年齢固定方式な のか、加入時年齢固定方式なのかで変更があったという御説明のときに、保険数理上ど うなっているのかということで、戸田委員から数理上はきちんとやっているのではない かという御指摘がございましたが、考え方を申し上げます。前回資料の3ページをごら んいただきたいのですが、心身障害者扶養保険制度の仕組みとして、それぞれ関係者、 つまり加入者ですとか、地方公共団体などが入っている図がありますが、その時間的な 移動を見ようというものです。まず、真ん中に制度のイメージがございます。前回の3 ページを簡略化したものですが、加入者・保護者の方は掛金を支払う。それは、自治体 と独立行政法人が代わりに保険会社と契約して生命保険を買うということになります。 加入者が掛金を支払う。加入者が死亡すると、保険金は一時金として支払われるところ でございます。この一時金を受け取るのが独立行政法人の福祉医療機構でございますが、 その機構が今度は保険金を原資として受給者に毎月2万円ずつ支払うと。そのときに信 託会社で運用しているということでございます。  それでは、保険数理的にどのように考えているかということでございますけれども、 まず、出発点は月2万円の終身年金でございます。この月2万円の終身年金を支払える ように保険金を設定するわけでございますが、そのときに運用投資しておりますから予 定利率というものを考えなければなりませんし、終身でやっておりますので死亡率につ いても換算して適正な保険金を算出すると。そうすると、今度は保険金に応じた適正な 保険料を算出するという仕組みになってございます。そのときに考えなければいけない のは、やはり長期にわたって掛けていただきますので、予定利率というものを考えなけ ればなりませんし、更に加入者あるいは障害者の方の死亡率というものを考えて適正保 険を算出するという形での仕組みになっているということでございます。そのときその ときこういった考え方に立って設計しておりまして、平成7年のときに保険制度に基づ いた厳選をやったんですが、前回の資料でお示ししたように、その後の予定利率の変化 あるいは寿命の伸長をきちんと見直さなければいけないんじゃないかという問題意識を お示ししたところでございますし、それを予定利率なり死亡率について影響があるので、 定期的な見直しということについても求められているということを御紹介したところで ございます。  次に、運用についてどのようになっているかという御指摘がございましたので、お示 ししたものです。現在、保険収支については資産残高691億円ございますけれども、そ れぞれ各生命保険会社が他の個人保険などと合同で併せて運用しているというところで ございます。つまり、ほかの保険商品と同じように運用していただいているというとこ ろでございます。  年金につきましては残高が541億円ありまして、それぞれ信託銀行5社に金銭信託と いう形をしているんですが、ここに5:3:2規制とありますけれども、参考にあります ように、国債、地方債等安全なものに5割以上、それから、株式、外貨建債券に3割以 下、不動産2割以下という形で資産配分をお願いして信託契約しているところでござい まして、聞きましたところ、今、不動産に投資はしていないということですが、こうし た運用規制の実態にあるというところでございます。  13ページからは、前回の資料で18ページ、見直しに際しての視点ということで、更 に付言したものでございます。今まで御説明したような現状にある制度について維持す る場合、廃止する場合についてどのようなことが考えられるかということで、前回のお 話などを踏まえますと、受給者については既に保護者が亡くなっており、年金の受給権 が発生していて、受給者の生活資金の一部になっているということについてどう考えて いるかということを考えていかなければいけないと思います。  更に、今入っていらっしゃる方でございますけれども、保険に入っていることで保護 者は自分が亡くなれば子どもが年金を受給できるんだという安心感がある、その辺につ いてもどう考えていくかということをいただきたいと思います。  更に、制度を維持する場合であっても、廃止する場合であっても、巨額の追加的負担 が必要となりますし、多少技術的でございますけれども、制度を維持する場合には制度 を廃止した場合に一次的に発生する巨額の追加的費用について、一定の規模の範囲内で 将来にわたって賄っていくことが可能だということも技術的なことでお考えいただけれ ばと思います。  制度を維持する場合のポイントとして、四角にあるのは前回お示しした18ページに 書いてあることでございます。制度を維持する場合には、過去の積立て不足への対応、 新たな積立て不足を発生させない対応が必要であると申し上げましたが、そうすると、 本制度が任意加入であるということにかんがみて、保険数理に基づいた保険料というも のが必要ではないか。先ほどの数理的な関係からお示ししたように、適正な保険料が必 要ではないかということが指摘されるところでございます。  更に、過去の積立て不足についても、本制度が任意加入だということを十分考慮した もので議論を進めなければいけないだろうと考えているところでございます。  更に、運用利回りが財政に与える影響は大きいので、やはり実態を踏まえながらも制 度の安定的な運営に資するような予定利率を用いて制度の設計を行う必要があるのでは ないと考えているところでございます。  もう一つ、制度を持続的・安定的に運営するために、財政の健全性を定期的に評価し て、それを踏まえてきちんと見直していくような仕組みが必要ではないかと考えている ところでございます。  なお、最後の「○」でございますけれども、前回も年金資産運用の改善が必要である と書いてございますので、維持する場合には年金資産運用の更なる改善が必要であると いう指摘がされるだろうと考えております。  それから、制度を廃止する場合には、前回やはり受給者及び既加入者への対応など廃 止に伴う対応が必要であると申し上げましたが、前回資料の12ページと併せてごらん いただきたいのですが、現有資産では現在は年金額や現在までの保険料納付実績に比べ て低い水準にしか給付できない現状にございます。したがって、やめるとなれば追加的 費用があるということで、それをイメージしていただくために参考でお示ししているの ですが、保険資産は691億円、年金資産は541億円というのは先ほど申し上げたとおり ですが、これを単純に頭割りで割ると、加入者1口当たり約70万円になりますし、受 給者1口当たり130万円になります。前回資料の12ページにございますように、現状 では加入者の方は平均の加入掛金の総額は約180万円でございますし、受給者について は現在の平均受給額は330万円となってございますから、その辺のことをどう考えるの かということをイメージをしていただければと思います。  それから、既加入者に対しましては、一時金として支払うわけでございますから、巨 額の追加的費用が一時に必要になるというわけでございますし、受給者に対してもいろ いろ対応があろうと思いますけれども、給付を継続する場合には結局は年金の支払いは 今後も長期的に継続するので、その辺を考える必要があるのではないかというところで ございます。  以上、多少長くなりましたが、現状と今後議論していただく上で考えていただきたい 論点としまして、今後の見直しについての御議論を進めていただきたいと思います。  以上でございます。 ○山崎座長   ありがとうございました。ただいまの事務局の説明につきまして、御意見・御質問等 ございましょうか。 ○堀座長代理   資料の11ページの保険料設定の仕組みについての質問です。これは死亡率と予定利 率によって、給付固定で保険料を変えるという形だと思いますが、死亡率はどういう考 え方で決めているのかをお聞きしたい。加入者については保険料は年齢に応じて変わっ てくるわけですが、年齢に応じて変わるのは保険料を納める期間が違うということと、 年齢に応じた平均余命が違うということがあると思うのですけれども、そのことについ てお聞きしたい。多分、保険料納付期間というのは大体年齢によって決まってくると思 うのですが、平均余命は人口推計に基づいて決めているのでしょうか。  それと、障害者についても勿論年齢によって平均余命が違ってくると思うのですが、 一般の平均余命を使っているのか、それとも障害者用の特別の平均余命に使っているの か。そういうことはないとは思うのですが、その辺を教えてください。  それから、これは前回説明があったかもわかりませんけれども、予定利率はどういう 考え方で決めているのか、もう一度教えていただきたいと思います。 ○鎌田企画官   平成8年に行った見直しのときの考え方でございますが、死亡率、平均余命について は、受給者については実績を用いて、加入者については標準生命表というか、いわゆる 平均余命を用いて行ったところでございます。予定利率については、そのときの実績を かんがみて4.5%ということで設計したということでございます。  加入者については標準死亡率でございます。失礼しました。 ○堀委員   これは、前回推計と相当変わっていると思いますし、予定利率もそうだと思いますけ れども、この辺は将来予測も入ってくるので非常に難しいと思います。保険料の計算に 当たっては、その2つの要素が極めて大きいと思いますので、適正にやる必要があるの ではないかと思っています。 ○鎌田企画官   御指摘を踏まえて、今日の議論でいろいろ御示唆もあると思うのですけれども、今後 そういうことを考えるに当たっては今、堀委員がおっしゃったように適正にしなければ いけませんし、それこそここにございますように、予定利率、死亡率というのは変わり 得るものですし、我々の方で維持する場合の論点として挙げましたように、これをきち んと検証してやっていくんだと、データによっては取り方とか取りやすさとかいろいろ あるので、具体的にどうするかというのはあろうかと思いますが、考えとしてはきちん と現実に即して、かつ、制度を安定的にかんがみた設定として、それを定期的に検証す るというのが基本的な考え方ではないかと考えているところでございます。 ○山崎座長   ほかにございましょうか。 ○林委員   今の予定利率でちょっと追加的にお伺いをしたいんですけれども、前回も説明があっ たのかもしれないんですが、前回の決めたときというのは、例えば財政再計算をそのま ま引っ張ってきたというような格好なのか、それともこの制度として何か考えたという ような格好なのでしょうか。 ○鎌田企画官   細かいデータはないんですが、その当時も同じように、企業年金等の例を勘案したと いうのが考え方のようでございます。 ○矢崎総務課長   若干補足します。多分、財政再計算とおっしゃるのは公的年金の方だと思いますけれ ども、心身共済は平成7年、8年の見直しですから、その直近の公的年金の改正は平成 6年改正になると思いますが、そのときの予定利率は5.5%でありまして、それが平成 12年の改正のときに4.0%、平成16年の公的年金改正は、更にもう少し市場実勢を見 てコンサバティブな見方をしていて3%強ぐらいかと思います。また、多分、当時の企 業年金と言いますか、広い意味で言えば例えば国民年金基金とか簡保とか、いわゆるま さに私保険の世界で給付しているような制度の状況は、多分4.5%とかその近傍だった と思います。ただ、御承知のように、簡保にしても国民年金基金にしましても、その後 予定利率はずっと落としてきているということでございます。また、必要に応じて補足 資料を御用意したいと思います。 ○山崎座長   いずれにしても、寿命一般が延びていますし、特に障害者の方の寿命も延びているし、 金利状況もかなり下がっているということで、双方において財政的には非常に圧迫する 要因が新たに生じていると理解していいと思いますけれども、ほかにございますか。 ○堀座長代理   補足して言いますと、過去債務というか過去に起きた積立て不足分はどうしようもな いと思います。しかし、将来分については、基本的には積立て方式で維持するとすると、 余り甘めに見積もると、また将来債務の過去債務が出てくると思います。将来債務につ いてまたまた国庫負担、公費負担を投入せよとなりますので、繰り返しになりますけれ ども、そこは非常に気をつけてやった方がいいと思います。 ○山崎座長   ほかにございましょうか。  自治体の方いかがでしょうか。前回の質問もありましたけれども、各県の減免の状況 について事務局でまとめていただきましたが。 ○田中委員(代理:福田課長)   栃木の福田でございます。代理ですがお許しください。  この減免の関係でいきますと、資料の中にもありますように、低所得の方々に対して の支援を中心にして動いている部分があるんだと評価はしているんですね。全体像にな るのかもしれませんが、13ページにつながることであろうかと思いますけれども、この 制度をどう評価するかということになって、更には今の減免の関係も含めてということ であるわけですけれども、やはり親の方々にとってみれば、自分が亡くなったときのこ とを考えてということで入っていく制度であったということ。その上で、なおかつ加入 者のところでも知的障害の方が東京都でも5割を超えると。私どもも同じですが、当時 から今もそうかもしれませんが、知的障害者の方々については職に就く機会が少ないと いう状況がかつてはもっとあって、その上で所得が年金の低い状況のところで、今の段 階で2万円というのが多い、少ないという感覚的なものはあろうと思いますけれども、 その当時の言葉として「親亡き後の所得保障」の部分の期待は極めて大きいものがあっ たんだと思います。更には、自治体の方としても低所得の方々への支援の部分も対応す るという中で、非課税世帯の50%、30%の掛金減免という制度が全県的に、あるいは全 国的に対応されていたということがあるのだと、ちょっと言葉は不十分ですが、改めて この制度の福祉的な配慮というものの中で所得を考えていたんだなということが言える と思います。  ちょっと踏み込みますけれども、自立支援法の中で例えば、知的障害者の方の地域移 行であるとか就労の確保というところがテーマになっているわけですけれども、就労の 確保の中でも工賃額という言葉が出てくるように、まだ工賃であるわけだし、所得の保 障というところまでうまくつながるのかどうかということが大きい課題があるのも事実 なので、こういう共済の制度そのものについての評価はしっかりしておかなければいけ ないのかなと、そんなことを感じています。ちょっと長くなってしまいました。 ○山崎座長   横浜市さん、何かございますか。 ○上野委員(代理:外ノ池部長)   横浜市でございます。  今回、各自治体における独自制度というものをおまとめいただいたのは、本当にあり がたいことだと思います。やっていらっしゃるのはわかっていたんですけれども、他都 市さんがどのようなことをされているのかというのはわからなくて、この制度が全国制 度であるということと、それから、自治体がそれぞれ実情に応じたことをしているとい うことをうっすら承知していたところ、このようなデータをまとめていただいて、今後 の議論に大いに活用させていただきたいと思います。  もう一点は、今、栃木さんからもございましたけれども、この制度は歴史のある制度 だと承知しておりますが、歴史のある制度というのは制度が発足したときの目的とか意 味合いというものと、それが現在どういう意味合い、または目的になっているのかとい うことが、最近特に見直しという言葉がいろいろなところで使われますけれども、そう いう観点から見た場合に考えていかなければいけない点が幾つかあるだろうと。過去制 度が発足したときは多分、大変意味のあった制度だったと思いますが、あえて過去形で 申し上げましたけれども、現在他の福祉制度がどうなってきて、そして、これが公的制 度の上乗せとしてどういう位置付けにあるのか、そして、一つの特色は、所得のある方 の層が任意で加入される制度だというところにあって、それについて所得が低い方につ いて自治体の方で減免制度をやっているというのは、制度発足時には多分、福祉的な色 彩が相当色濃かったんだろうということの証だろうと思いますが、現在果たしてそれが どういう意味を持つのかというのは、それぞれの自治体、実情に応じてこれから考えて いきたいと思いますし、もう一点は、中央の制度としてはこれが持続可能な制度でこれ からいくのか、それとも、こういう会議が催されているということは、検討した結果廃 止というようなことも理論的にはあり得るのかもしれないんですが、受給者の方が既に いらっしゃるとか、いろいろなことを考えますと、基本的には持続可能な制度として見 直しをしていくんだろうと思われます。そういう制度として見直していくべきだと私ど もも考えておりますので、その際に、こういう自治体がやっているようなことをこのま ま継続するべきなのかどうかというのも、その観点からもう一度考えていきたいと思い ます。  以上、3点です。 ○山崎座長   ありがとうございました。  松友さん、いかがですか。今、存続するか廃止するかという……。 ○松友委員   結論は私が決めるわけではないですけれども、前回私の発言で若干いろいろなところ でインパクトがあったようですが、前回は東京都が廃止を決定して、真面目に加入して いた私のもとへ計算表が届いた直後だったので、それに基づいて要らん発言をしたんで すが、その後、全国からいろいろ意見が来ました。さまざまな意見がありまして、先日 の評議委員会という我々の諮問機関でかなり強い意見もありまして、一言で言いますと、 やはり制度は持続してほしいということであります。何でかなと、今、栃木の方がおっ しゃったように、ある面では加盟できる裕福層と言ったらおかしいんですが、制度であっ たんじゃないかと。いわばそうかもわかりませんが、必ずしもそうとは言い切れないと いうのは、減免制度もありましたし、一つは育成会の方々が、特に年配の方が主張され るのは、いろいろな考え方があるんでしょうが、当時は親の責任も果たしたいと。やは り社会や国だけに言うのではなくて、親も努力するところは努力したいと。だから、そ ういう意味では掛金も出すけれども、一番心配なのは親亡き後だから、よろしくねと。 こういう一つの考え方あるいはそういう出発時点における意識というのが非常に重要で もあるし、そういう意味では時代が変わっても意識と、更には、そういう親亡き後の不 安についてのある種心理的なことも含めて残してほしいというのが一つです。  2つ目は、障害基礎年金制度がその間にできて、大きく状況が変わったと言われてい るんですが、残念ながら、障害基礎年金、先ほどの金額で見て安心できる金額ではない。 明らかに少ないので、障害基礎年金をアップするか別の形のいわゆる所得保障制度を強 力に進めてほしいという要望をやっている、あるいはそういう現実があります。  3つ目は御存じのように、自立支援法における本人負担金というものが発生する中で、 やはり所得保障が別の意味でも負担が新しくできてきた面もあるので、御指摘があった ように、いろいろな形で持続可能はどうするかという議論はこれからあろうかと思いま すが、基本としては、この制度を残すというところで今度はちゃんと頑張れよと、いつ も厚労省の言いなりになっているんじゃないかと言われておりますが、そうではないん ですけれども、そういうことで、ほぼ全員一致で送り出されてきた感じがあります。  ただ、どちらかというと、ある面では現実的な要望が実は我々要望書で出しています が、一つには、現実的にも親御さんが亡くなって負担金をもらっている方がいますよね。 要するに、この収入がいわゆる自立支援法の中における収入認定になることについて、 これを除外してくれないかと。要するに、これは親亡き後として先ほど言ったように意 識的な、将来について子どもに責任を持とうと親たちが掛金を出した制度にもかかわら ず、その親の愛情に対して収入認定とは何事かという会員の方の要望が現実的には一番 強いんですが、その後の今回議論になっているような本制度の維持等についても、やは り同じように、更には、傲慢な言い方かもわかりませんが、ある面では育成会の先輩た ちがお願いして、あるいは努力して国との間でつくり上げた制度であるということも含 めると、やはりいろいろな意味においても今廃止するというのはないだろうと。ただ、 大きな改正のときから11年前ですから、ほかの制度等を見てもかなり手直しは必要だ ろうと。その手直しの幅で今後どうやりとりするかという形の意識と考えればいいと思 います。  ちょっと長くなりましたが、以上です。 ○山崎座長   秋山委員、いかがでしょうか。 ○秋山委員   今、松友委員からもお話がありましたが、私どもの会も先般、全国の都道府県の代表 者の会議がございまして、そのときに厚生労働省のホームページを見たところ、この扶 養保険の検討委員会があって、そこでいろいろ検討されているようだが、どうなってい るのかということが話題となりました。そこで、私は皆さんがどの程度加入されている のかという思いもありましたので、手を挙げてみてくださいと言いましたら、出席者の うちの3分の1の人が大体加入しているということでございました。これをもって全部 を推測するわけにはいきませんけれども、当会の親はかなり多くの人が加入していると いうのが実態ではなかろうかと思ったわけです。これは多いか少ないかという問題は勿 論あるんですけれども、やはり皆さんがこの制度に対して非常に関心を持って見守って おられるんだろうと感じたわけでございます。  この前も申し上げたんですけれども、障害者の所得保障と言えば、主要なものは年金 ということになるだろうと思います。そこで、実は厚生労働省の方で障害者の所得の確 保に係る施策の検討ということを今行われているように伺っております。しかし、これ は年金の制度に踏み込むということはできないだろうと思いますし、また、今、年金の いろいろな検討が行われていると思いますけれども、基礎年金の増額というものが期待 できるかどうかというのは、実はなかなか難しいのではないかという思いがしておりま す。特に、国の財源負担が今まで3分の1だったものが2分の1になったということも ありまして、そういうことは基礎年金の引上げを一層厳しいものにしているのではない だろうかというのが、私の思いであります。  そういう中で、先ほどからいろいろお話いただいて大変ありがたいと、自治体の理解 あるお話もいただいたので思っているんですけれども、この扶養保険というのはやはり 任意制度とは言いながらも公的年金の補完をしていると思われますので、障害者にとっ ては貴重な年金と思っているところです。一般の人たち、財務担当の関係者の方々とい うことになるのでしょうけれども、この扶養保険というのは私的年金であり、そして対 象者は先ほどの御説明にもありましたが、障害者のごく一部ではないだろうか、そうい う意見もあるだろうと思いますし、ここに公費を多額につぎ込むということは社会の理 解を得られるのだろうかというようなお話もあるかと思います。そのことは私もよくわ かっておりますが、そのように理解した上で、私の認識が間違っているかもしれません けれども、この扶養保険の対象者というのは一定の障害要件に該当すれば、先ほど御説 明がありましたが、誰でも加入できるのだと思います。したがいまして、特定のメンバー だけに特典として実施されているものではないんだと。障害者にとってはかなり広い範 囲で適用される、ただ、それに加入するかしないかという問題だと思います。  実際は、加入者が比較的少ないということについて、先ほどもいろいろお話がありま したが、親の人と私どもが接触していて感じていることは、制度発足当時の切実な思い ということで加入した時代と、年金手当額がある程度多くなった、その後で加入された 人たち、これはやはり制度普及に対する受け止め方にかなり違いがあるのではないかと 思われます。これは制度の趣旨とか、あるいは自治体も含めてでしょうけれども、広報 の仕方に工夫をしていただかなければならなかったのかなと思っております。また、あ るいはこの制度が持続できるかどうかという不安感も中にはあったのだろうと思います。  先ほどもお話がありましたけれども、平成8年から実施された、平成7年度の見直し によって現在、公費が投入されているということなんですが、これは制度継続、この制 度が自立のために助成するという選択がなされたのであろうと。あくまでも自力運営が できるまでの財政援助と、そういうふうに私は理解しております。このたびの見直しも、 そういう意味で自力運営に至る道筋をつけていただくということでお願いしたいと思っ ているわけです。  先ほどもお話がありましたが、親の人たちは将来のことを考えて、子どもたちの経済 的な営みを少しでも確保するために、これはこの制度があるからといってボーダーライ ンであるかもしれませんけれども、生保に移行しないようにという気持ちも勿論ありま す。親亡き後に自らの責任を持てる範囲内でこれを備えていく。先ほど親の責任を果た すと松友委員からお話がありました。まさに、これがこの制度の一番最初に興った根本 ではないだろうかと思います。  これからどういうことになっていくかわかりませんが、介護保険の見直しというもの もございます、そうした中で、障害保健福祉施策が介護保険に統合されるのではないか と思われてなりません。仮に介護保険に移行した場合、今、障害福祉の方ではかなり利 用料について軽減措置を図っていただいておりますけれども、これが介護保険に行った 場合には、なかなかそうはいかないということも危惧いたします。そうしたときに、こ の負担額があるためにサービスの利用が受けられなくなるということにならないように と思います。実は自立支援法が施行されて、かなり負担が大きいということで自らサー ビスの受給を抑制するという事態が起こりました。そういう方向があったということを 考えていきますと、やはり一定の収入がないとサービスを受けたくても受けられない。 本来受ける必要がある人が受けられないということになってしまってはならないと思い ます。  そういう意味合いにおいても、少しでも所得保障、しかも、年金という形で親がなく ても必ず支給されるんだという制度というのは、親はそこを求めてこの制度に入ったと 思いますので、是非ともこれは継続運営が可能なように制度設計をしていただければあ りがたいと思っております。私どもこの間、親の人たちと議論したときにもそのような 意見が結構たくさんありましたので、併せて申し上げさせていただきます。 ○山崎座長   事務局から何か補足することはありますか。よろしいですか。  西岡委員には資金の運用をお願いしているわけですが、いかがでしょうか。今後の議 論のために参考になるようなことがあれば御発言ください。 ○西岡委員   今後の運営ということで見直しをされる中で、ここに書いてありますことはほとんど 重要なテーマを全部指摘されておりますので、あとは具体的な数値で、例えば予定利率 にしても、死亡率は標準生命表を使っているわけですが、これは問題ないですけれども、 予定利率の設定については今後シミュレーションする中で実際に安全なものが使われる ように、そこを是非お願いしたいと思います。  それから、誤解がないように申し上げておきますと、再計算をする中で予定利率とか 予定死亡率というのは、あくまでも安全率を見込んで適正な数値を使いますが、実際の 運用の中で、それより予定利率を高く運用できたものは、結局は次の再計算のときに反 映されて、公費負担の減額とかあるいは保険料の低料に結びついていきますので、その 見直しをきちんとやる必要があるということで、また、逆に言えば、見直しをきちんと やるのであれば、予定利率はある程度実態より少し安全目に見込んでいても、結果的に 取り過ぎになるようなことはないということです。  保険料の運用(責任準備金の運用)につきましては、資金の性格からいきましても非 常に安全な資産運用が必要ですので、したがって、結局は長期国債とかそういうもので 運用せざるを得なくなり、結局は長期金利に連動することになりまして、それはある意 味では今が最低の状況ですので、現状より少しはよくなる傾向があるのではないかと思 います。  それから、ほかの点から申し上げますと、制度を維持する場合とやめてしまう場合と の御選択・御決定に当たっては、今までお話がありましたように、基本的にこの制度自 体の持っている意味合いというものをもう一度整理して、国の制度と自助努力の組み合 わせという2つの仕組みのよさといいますか、そういう部分を論点として少しきちんと しておく必要があるのではないかと思いますし、やめてしまうについても同じぐらいの、 あるいはそれ以上の巨額な公費が掛かるわけですが、これで同じ資金を使うのであれば、 やはり制度として残していくことによって思想を残していくといいますか、そういう観 点からの検討も必要ではないかと思います。 ○山崎座長   ありがとうございました。  戸田委員は数理の専門家としていかがですか。 ○戸田委員   先ほどの堀委員の質問との関係ですが、細かいデータは事務局の方にお願いするとし まして、私の記憶で補足させてもらいますと、平成7年に予定利率4.5%を設定したん ですが、当時の企業年金はほとんど5.5%を使っていた時代で、そういう意味では少し 控えめな設定をしたわけですが、しかし、その後は御承知のようにマーケットが急落し て、とても4.5%を維持できる状況ではなくなった。それが財政の悪化の一つの大きな 原因になっていると思います。  もう一つは、障害者の死亡率で、平成7年当時に比べると、その後12年経っていま すけれども、かなり死亡率が改善されてきていると見ています。扶養保険制度の実態か ら見ると、健常者と余り変わらないんじゃないかというところまで改善されてきている のではないか。この2つが財政悪化の大きな要因になってきていますので、この委員会 としてはこの制度をどうやって維持しようかという方向で検討されると思いますけれど も、財政が悪化している状況をどう健全化させるかというのがこの委員会の大きなテー マではないかと思います。 ○山崎座長   ありがとうございました。  林委員、いかがですか。 ○林委員   少数なりとも切実に必要としていらっしゃる方がいるというのはよくわかりますし、 あと、低所得者の方、生保の方にとって民間保険で用意するというようなこともできな いでしょうから、唯一の選択肢みたいなことなのかなと思いますし、それ以外の方でも 公的なものであるからという安心感だとか、事務費の補助があって多少お得であろうと いうような、そういう意味というのは今もあると思うんですけれども、加入者の中でも 減免を受けている方が多いんだなというのがこの資料でわかりましたし、横浜の方とか 福祉的な意味合いが強いというお話もありまして、なるほど、そうなのかなと思ったん ですけれども、そこでわからないのが、それだけ必要とされている方もたくさんいらっ しゃるという中で、入れるのに入らない人がたくさんいるのはなぜなのかなというのが、 ちょっとよくわからないところなんですけれども、その辺、松友さんとか秋山さんに、 何か教えていただけることがあったらお願いしたいんですが。 ○松友委員   実際今の御指摘は非常に鋭いというか、若干データ的なものの中に、またそう言うと 事務局が作成するのは大変でしょうが、加盟される方の移動といいますか、多分ぐらつ き始めてから加盟者ががたっと減ったのだと思いますが、やはり以前から、今朝も教育 分野でやっていましたけれども、「何とか親」とかやっていましたが、いわゆる安全ある いはいろいろなものに対する認識の違いがかなり変わってきているなという感じもする んですね。ですから、これは賛否両論あるんですが、自己決定、自己責任という議論が 障害の分野では障害者自身の権利として最初語られたような気がしたんだけれども、最 近は逆に、否定的なあるいは人によって評価が違ってくるんですが、自己責任という議 論がよくも悪くも、かつては親責任論的な形で親が何とか責任をとらなければいかんと いうことで、先輩の親御さんたちは非常に真面目だったと思います。そのこと自体、私 はある面では評価しつつも、ある面では改善されるべきだという考えを持っています。 とは言いつつ、親責任ということは別として、自分のあるいは家族を含めて公的なもの だけで依存するというか期待するのも時代とともに考えるべきではないかと。  そういうときのバランスといいますか、その辺りが個人レベルになりますと整理し切 れていない。我々親の会としても十分その分まで、先ほどおっしゃっていただいたよう に、思想というかとらえ方というか、その部分の議論も踏まえて、民間のこの種の商品 とどう違うかとか、どういう意味があるかとか、あるいは公の年金が上がるとしても、 だったら本当に要らないのかとか、そういう部分についてきちんと議論しているのは非 常に弱かったという反省は今感じます。ですから、この制度だけではありませんが、今 後のいわゆる社会保障システムと自助努力とあるいは扶助、共助等のいわゆるそこに伴 う負担と給付の問題も含めて、これは将来のいわゆる20歳になった、今回の自立支援 法でも問題になりました大人の問題と、言うなれば同居している世帯の概念とか、そこ から来るいわゆる義務と負担とか、その辺りの全体的な整理をやっていく中で、この制 度をどう評価し、どう加盟するかしないかというのが、ちょっとなされていなかったと。 これは公的なPRの荒さも今、御指摘がありましたが、とともに、我々のサイドとして もある段階からかなり弱くなってきたなという感じがしますので、それは一つの責任が あろうかと。  ということは結論から言うと、今後どういうふうに見直すか、どういう結論になるか にしても、やはりそれは今加盟している方、あるいは加盟されていない方も含めて、き ちんと現在の状況、それに至った原因等も説明を果たすとともに、今後の対応について の加盟されるか、どうされるかはともかくとして、その人の責任というか権利というか、 それをバランスよくかかわって議論いただくというのが必要かなというのはつくづく感 じます。  ですから、この制度そのものがどうするかということは、今目の前でやらなければい けないから結論を出しますが、この制度ができた40年間、50年間の大きな流れの中で、 社会保障あるいは自助努力、経済の交流とともに、親というか国民の意識もいい意味で も、悪い意味でも大きく変わってきた中で、この制度に対するかかわり方も、特に最近 は加盟者がほとんどいないぐらいに落ちているんじゃないかと。そうすると、逆に制度 の持続という意味においても新しく入ってくる人が多い方がいいのか、少ない方がいい のか、そこも後で議論していただいて、今後この制度が持続した場合のアピールの仕方 も議論する必要があろうかなと。  ちょっとあちこち話が飛んだんですが、やはり親の会として、我々として要望してつ くったにもかかわらず、そことのかかわりについての整理等あるいは議論が不十分だっ たなという中で、商品と言ったら悪いんですが、制度としての利用がもう一つ十分でな かったなという感じを持っています。  以上です。 ○秋山委員   先ほどもお話し申し上げたんですが、制度発足当時は自分たちが切実性をもって加入 しました。したがって、仲間同士も積極的に加入しなさいと勧めたんですね。そういう こともあって、かなりそのときには普及していったと思います。おかげさまで、その後、 だんだん年金、手当が充実してきたということもありまして、後からついてきた人は年 金とか手当が充実していくなら、何も扶養保険に加入しなくてもいいんじゃないかとい うような感じを持つ人が結構あったと思います。そういうことで、制度に入ろうという 人がだんだん少なくなってきたということ。まだ年金手当がどんどん上がっていくん じゃないかという期待感も勿論あったのだろうと思いますが、そういう時代は既に終 わってしまったということでもあります。また、いろいろ制度が変わって、自分が自己 決定ができるようになったということは、20歳以上の方にとってみれば、今度はそれな りに自分が負担していかなければならないということになってきたんですね。そうなる と、この制度の意義が今度は見直されてきたのではないだろうか。  先ほどの2万円という金額は、今の水準で見れば決して適正とは言えませんけれども、 ある程度価値ある額ではないだろうかと思います。ということは、東京都が今制度を廃 止されまして、どのくらいの人が国の制度に来られるかという話もありました。私は東 京都の人たちに廃止になった後どうするのかという質問をしてみたんですが、自分たち は一時金をもらうということになり、一時金をどう運用するかは勿論あるけれども、そ れは限られた期間でしかない。自分たちが死んだ後、後を託すそのための制度として考 えていたことなので、国の制度に自分たちは入りたいということを言っておられました。 つまりは、年金で自分たちが亡くなったときにきちんと、そういうものが持続的に給付 されるということに魅力を感じているということです。今ここで、この制度が見直され てきて、これからPRの仕方というか、あるいは皆さんにどういう説明をしていったら いいかというのは勿論あるんですけれども、安定的にこの制度がいくんだということが はっきり言えれば、これからは加入の勧誘、普及について十分説明ができていくのでは ないかと。今までは若干、腰が引けていたところがありましたから、余り自信を持って これに加入しなさいということはなかなか言えない部分ありました。これが今後持続可 能であるということになれば、これから皆さんに積極的な加入の促進を図っていく、そ れは現実問題として必要とされてくるんじゃないだろうかと思います。 ○山崎座長   ありがとうございました。  横浜市さん、よろしいですか。 ○上野委員(代理:外ノ池部長)   2つありますが、1つは、なぜ自治体がこのような減免制度をやっているのかという ことを考えますと、やはり制度発足時には、これがいわゆる所得保障をする機能を持つ ものとして期待をされていたんだろうということを考えて、各自治体、ほとんど全国で なされているわけですから、そうだったんだろうと思います。今現在、この減免を単純 に表面だけを見ますと、生保世帯ですとか非課税世帯につきましては、極端な場合、掛 金ゼロで最終的には保険を得ることができるというのは、理論的には間違った話ですか ら、こういう任意加入のいわゆる生命保険に類似する制度としては間違っているという のははっきり言えると思います、表面だけを見れば。だけれども、それは制度発足時に は違う意味があって、今こうなってきているんだというところを今後抑えて議論してい かなければいけないだろうというのが1点。その議論の際には、これは保険数理がかな り難しいと思いますが、特に障害者の平均余命の推計等は難しいと思いますけれども、 保険数理を適正に、全く何の配慮もせずにというか、客観的に適用した上でこういう形 にすればこの制度は将来持続可能だということを公に示した上で、そして今現在加入さ れている方々、今後加入される方々、掛金は非現実的な数字になるくらい相当上がるだ ろうと思うんですけれども、それでもやりますかという選択を1回どこかでしなければ、 我々はきちんとした議論をしたということにならない、ちょっと厳しい言い方をすると、 そのぐらいの覚悟でこのデータを交渉して、今後議論を進めていくべきなのではないか と思います。 ○松友委員   今、非常に重要な御提案だったと思うんです。要するに保険システムから見た場合、 どう考えても一銭も払っていない人がもらうのはおかしいじゃないかと。東京都の場合 も私もそう思って、ところが結果としてもらう権利があると。権利があることが言うな れば計算上、清算金額として出てくると。これ都民が納得するかなと私個人的には思っ たし、今も思います。ただ、国民がそう受け止めているかという前提は確かにあるんで すね。それはどういう経緯だったのか、あるいは日本のシステムで介護保険制度と言い ながら、半分は国費投入じゃないかとか、裁判員制度といってもアメリカとは違うじゃ ないか、半分は専門家が入っているじゃないかみたいなところがあるので、なかなか国 民の受けとめ方というか、特によくも悪くも、大変失礼ですけれども、これは単なる企 業の方が利回り等いろいろやっていただいているんですが、建前は我々行政の制度とい う裏書のもとに動いているというのがあるので、これが保険システムなのか税制負担な のかというのは、個別に説明しても納得されるのはなかなか難しいんですよ。逆に言う と、だったら100%税システムをやればいいじゃないかという返事が来るのが大体想像 できると。ですから、その辺りは私は理論的にはおっしゃるように、きちんとした民間 の完全なあれでやった場合にこうなるんだよと。これに行政が絡むからこうなったんだ よ。ところが、今までこうだったから破綻したんだよという辺りで、かなりシビアなデー タを出すことが絶対に必要だと思います。これはいわゆる価値観を排除しながら客観的 なデータを出しながらですが、問題はこれを踏まえてどうするかとなると、よくも悪く も行政あるいは政治の配慮の中で国民の方も含めて、いわゆる落しどころはどこかなと いう感じかなと。ですから、そのプロセスが今まで少なかったので、そういう結論とあ れだけの間でいろいろ騒然とするなら、プロセスは今おっしゃったようにちょっと厳し くても規律を出しながら、結論についてはそれこそ自らの責任あるいは社会の責任も含 めてやっていくという形で議論いただければと思います。ちょっと蛇足ですけれども。 ○山崎座長   最後になりましたが、堀委員、お願いいたします。 ○堀委員   先ほど松友委員からお話があったのですけれども、この制度は、親が自助努力で障害 のある子の将来に備えるという、大変いい制度だと私は思います。国に頼らないという 形で発足したわけですね。ただ、途中でいろいろな事情で過去債務が生ずるようになっ た、公費に頼るということになった。現実的に見ると、この制度を廃止することは難し い。あるいは、私的保険の論理に従って、保険料の少なかった人は少ない年金しか支給 しないようにするというのは、非現実的だと思います。  ただ、率直に言わせてもらいますと、この制度は私的保険類似で、積立て方式でやっ ている。このため、積立て方式の欠陥というのがまさに現れているのですね。欠陥とは 何かというと、1つは、年金額が目減りしている。昭和44年の公的年金のモデル年金 額が、夫婦で2万円年金です。この制度の年金が月2万円ですから、同じですね。今の 基礎年金額が幾らかというと、1人で6万6,000円で夫婦だと13万2,000円です。で すから、公的年金では、年金額が2万円であったものが、現在は13万2,000円になっ ているということです。この公的年金と比較すると、この制度の年金額はかなり目減り しているわけです。もう一つは、先ほどどなたかが、給付を下げないとすると保険料を 上げざるを得ないとおっしゃいました。現在の利子率の状況とか平均余命の延びから見 ると、相当保険料は上がらざるを得ない。以上を要約すると、年金が目減りする可能性 がある、それから保険料が相当上がる可能性がある。今後更に寿命が延びるといった場 合、あるいは更に予定利率が低くなるといった場合に、相当保険料を上げていく必要が ある。そういったことを覚悟した上で、制度を維持するということではないかと私は思 います。  これも松友さんが言ったのですけれども、いつかの時点で、私的保険で行った場合に どうなっていたか、という資料を出していただくと、加入している人、あるいは加入し ようとしている人に対して、説得力があるのではないかと私は思います。 ○山崎座長   ありがとうございました。一通り皆さんから御意見をいただきました。  それでは、皆さんからいただいた御意見を基に、事務局において整理をしていただい て、次回の検討委員会の資料として提出していただくということでよろしいでしょうか。 ○矢崎総務課長   1点補足ですが、先ほど申し上げた数字がうろ覚えだったものですから確認いたしま したが、平成16年の公的年金の財政再計算時の運用利回り予定は3.2%でありまして、 また、3.2%というのは将来的にはそのくらいになるだろうということで、平成16年改 正時の足元値の予定利率はもっと低いものということでございます。  済みません、補足説明させていただきました。 ○山崎座長   それでは、事務局の方で取りまとめをよろしくお願いします。  その他事務局から連絡事項があればお願いいたします。 ○鈴木企画課長補佐   それでは、次回の心身障害者扶養保険検討委員会につきましては、毎月1回程度とい うことで7月下旬を予定しております。日程等後日メール等で皆様の御日程をお伺いし た上で開催することとしておりますので、よろしくお願いいたします。  以上です。 ○山崎座長   それでは、時間もまいりましたので、これで本日の第2回心身障害者扶養保険検討委 員会を閉会させていただきます。  ありがとうございました。               <照会先>   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課手当係                (担当・内線) 稲田、和田(3020)                (電話)    代表:03−5253−1111                        直通:03−3595−2389                (FAX)      03−3502−0892