07/06/01 医療機関の未収金問題に関する検討会第1回議事録 第1回医療機関の未収金問題に関する検討会       日時:平成19年6月1日(金) 16時00分〜17時45分       場所:厚生労働省専用第18〜20会議室 中央合同庁舎5号館  司会 定刻となりましたので、ただいまから第1回医療機関の未収金問題に関する検 討会を開催させていただきます。  本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。私は 厚生労働省保険局国民健康保険課長の神田と申します。本検討会の座長が選出されるま での間、私の方で進めさせていただきます。  本日の委員の出席状況でございますが、国民健康保険中央会理事の田中委員が御欠席 ですけれども、それ以外の方が御出席ということでございます。  それでは、まず開催に当たりまして、事務局を代表いたしまして、水田保険局長から ごあいさつを申し上げます。  水田 保険局長の水田でございます。本検討会は、「医療機関の未収金問題に関する検 討会」ということでございますけれども、開催に当たりまして一言ごあいさつを申し上 げたいと思います。  まず、委員の皆様方、大変御多忙の中、検討会への参画くださいまして、ありがとう ございます。説明があろうかと思いますけれども、医療関係団体におきまして未収金問 題に関する調査がなされたわけでございます。この額が非常に大きいということで、こ れを見てさまざまな御議論があろうかと思います。  私どもといたしましても、医療機関の健全な運営ということが、医療保険制度にとり ましても基盤であるわけでございますので、やはり、この未収金問題は看過できない問 題であると考えております。  したがいまして、この検討会につきましては、関係者間で未収金問題に関して共通の 理解を得ると、これが一つだと思っておりますけれども、さらに、未収金の発生を未然 に防ぐためにどのような措置が講じられたその方策についても御議論していただきたい とこのように思っております。  この場を通じまして、医療機関の未収金の解決に向けて、具体的な検討というものに つきまして前進があることを望んでいるわけでございます。  以上、皆様におかれましては、それぞれお立場もあろうかと思いますけれども、未収 金問題に協力して取り組むという観点から御検討していただきますようにお願い申し上 げまして、ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  司会 それでは、最初に資料の確認をお願いいたします。お手元の資料でございます けれども、まず、一番最初の議事次第がございます。その次に座席表が出ていると思い ます。それから、資料1としまして、開催要綱でございます。資料の2は『治療費の窓 口負担』についての意識調査、結果方向(速報)というのがございます。  それから、枝番で資料2−1というところで、医師会病院の患者窓口未収金という資 料がございます。続きまして、資料3で、報告書、診療における患者自己負担の未収問 題について。  その次が、資料4で一部負担金等に関する資料でございます。続きまして、資料5で、 70歳未満の者の入院に係る高額療養費の現物給付化等に関する資料。  最後に参考といたしまして、改訂「詳解国民健康保険(昭和47年発行)」でございま す。以上でございますが、足りない資料等があれば言っていただければと思います。よ ろしくお願いいたします。  それでは、紹介でございますので、委員の先生方を御紹介させていただきたいと存じ ます。あいうえお順で御紹介をさせていただきます。  日本医師会常任理事の今村聡委員です。  今村 今村聡でございます。よろしくお願いいたします。  司会 東京大学法学部教授・岩村正彦委員です。  岩村 岩村でございます。きょうはよろしくお願いいたします。  司会 東北大学法学部教授の河上正二委員です。  河上 河上でございます。  司会 全日本病院協会常任理事の木村厚委員です。  木村 木村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  司会 弁護士の畔柳達雄委員です。  畔柳 畔柳です。どうぞよろしくお願いいたします。  司会 日本医療法人協会医業経営管理部会部会員の小森直之委員です。  小森 小森でございます。よろしくお願いいたします。  司会 日本病院会理事の崎原宏委員です。  崎原 崎原でございます。よろしくお願いいたします。  司会 政策研究大学院大学教授、島崎謙治委員です。  島崎 島崎です。よろしくお願いいたします。  司会 静岡県磐田市健康福祉部長の鈴木裕委員です。  鈴木 鈴木です。よろしくお願いいたします。  司会 健康保険組合連合会専務理事の対馬忠明員です。  対馬 対馬です。どうぞよろしくお願いいたします。  司会 NPOささえあい医療人権センターCOML理事長の辻本好子委員です。  辻本 辻本でございます。  司会 東京都日の出町町民福祉担当参事の原光男委員です。   原 原と申します。よろしくお願いいたします。  司会 社会保険庁運営部医療保険課長の松岡正樹委員です。  松岡 松岡でございます。よろしくお願いいたします。  司会 日本精神科病院協会副会長の山崎學委員です。  山崎 山崎です。よろしくお願いいたします。  司会 なお、先ほど申しましたように、もうお一方、国民健康保険中央会理事の田中 一哉委員がおられますが、本日は御欠席でございます。  続きまして、事務局を御紹介させていただきます。  先ほどあいさつをさせていただきました保険局長の水田でございます。  保険局総務課長の唐澤でございます。  唐澤 唐澤でございます。  司会 保険局保険課長の岩渕でございます。  岩渕 岩渕でございます。よろしくお願いいたします。  司会 医政局指導課長の佐藤でございます。  佐藤 よろしくお願いいたします。  司会 医政局医事課課長補佐の小澤でございます。  小澤 小澤と申します。本日は課長栗山の代理出席させていただきました。よろしく お願いいたします。  司会 それでは、続きまして、座長の選出を行いたいと思います。本検討会は、医療 関係の方と保険者の代表の方及び学識の方で御参集をいただいております。座長として は中立的なお立場の方が適任かと考えております。  医療保険部会の委員も務めておられ、この分野で造詣が深い岩村委員に事務局として は座長をお願いいたしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。  〔「異議なし」の拍手あり〕  司会 ありがとうございます。それでは、委員の皆様の御了解が得られたようでござ いますので、岩村委員にお願いをすることといたしまして、この先の進行は岩村委員に お願いいたしたいと存じます。恐れ入りますが座長席にお願いいたします。  座長(岩村) それでは、御指名をいただきましたので、議事進行役を務めさせてい ただきたいと存じます。皆様の御協力をいただきながら円滑に本検討会を進めていきた いと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  議事に入ります前に、この検討会の開催に当たりまして、会議の公開等の取り扱いに つきましては、この会議、議事録、資料については、原則公開という扱いでお願いした いと思います。よろしくお願いいたします。  次に、この検討会の開催要綱等につきまして、事務局から御説明をいただきたいと思 います。どうぞよろしくお願いいたします。  事務局 それでは、お手元の資料1に基づきまして簡単に御説明をさせていただきま す。「目的について」でございますが、医療機関の抱える未収金問題につきまして、法律 的な位置づけについて整理をした上で、未収金問題の解決に向けた方策を検討すること、 ということを目的といたしております。検討事項も今申し上げたこととなっております。  運営についてでありますけれども、今回第1回ということでございますが、1ヵ月か ら2ヵ月に1回ということで、半年から1年を目途に解決方策のとりまとめをしていき たいと考えております。  庶務につきましては、保険局国民健康保険課で行いますけれども、関係がございます 医政局指導課、医事課、関係課の協力を得て、国民健康保険課で行ってまいりたいと考 えております。以上でございます。  座長 ありがとうございました。それでは、早速、議事に入ることにしたいと存じま す。まず、今村委員から資料を御提出いただいておりますので、それにつきまして今村 委員から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  今村 それでは、日本医師会から資料を提出させていただいておりますので、資料2 及び資料2−1について御報告申し上げたいと思います。  まず、資料2ですが、『治療費の窓口負担』についての意識調査ということで、この治 療費の未収金問題というのも金額が非常に大きくなってきて、医療機関の経営上に大き な影響を与えているということはもう当然のことですが、一方、医療経営の側面からだ けではなくて、治療費を適正に負担している多くの患者さん、ひいては国民全体の立場 から問題解決に取り組む必要があるということで、この問題について国民や患者さんが どのように認識しておられるかということを把握して、解決の方向性を検討する基礎資 料としてこの調査を実施させていただきました。  1ページ目をごらんいただきますと、国民については、全国の満20歳以上の男女、サ ンプル数4,000ということで、調査機関に委託して、調査員による個別面接聴取という ことで、3月の上旬から中旬に実施をいたしております。  患者につきましては、できるだけ都会と地方ということで、7都道府県の13郡市区医 師会にお願いをして、満20歳以上の男女に3,250のサンプルで、協力医療機関の窓口に 来院していただいた患者さんに任意に記入協力を依頼して、3月の下旬から5月上旬に 実施しております。下に小さな字ですが、欄外に調査をいただいた都道府県及び郡市区 医師会の名前が記載されております。回収につきましては、国民の方が2,622で65.6%、 患者様については、2,891で89%から回収しております。  ページをめくっていただきまして、このページは、調査客体のプロファイルというこ とで、地域別、市の規模別、男女別、年齢の階層別、職業別というのをそれぞれ国民の 方と患者さんに分けて記載させていただいております。  3ページ以降が結果でございますけれども、まず、「窓口の一部負担金の水準がいかが か」ということで、現在の窓口の負担金についての負担感というものを伺っております。  国民から62.8%の方が「高い」。患者さんは44.7%。「ほぼ妥当」というのが、国民の 方が36.7%、患者さんが54.7%ということですが、その下の欄外に、年齢別の負担感と いうのが書いてあります。  これはあくまで推測ですけれども、70歳以上の方たちが比較的「高くなりすぎた」と いう割合が低い。それ以下の方たちに、「高くなりすぎた」という割合が多いのは、窓口 の70歳以上の方が1割負担、それ以下の方が3割負担というようなことが影響している のかなと、これはあくまでも推測ですが、やはり、3割負担というものがかなりの負担 というふうに感じていらっしゃる方が多いのかなという印象を持っております。  その次の4ページ目が、未払いの問題の認知について、ということで、やはり、最近 のマスコミ市場でこういうことが取り上げられるということも多いということもあって、 ほぼ65%以上の方が、国民や患者さんで、こういうことを「知っている」ということで お答えをいただいております。  次の5ページ目が、未払いの患者さんに対して取り立てについて、ですが、取り立て という表現はあれですが、どうやって回収するかということですけれども、問いは、「健 康保険証を使って受ける医療は国民の税金と保険料で支えられています。一部の人が治 療費を支払えない。または、支払われないことについてどう思いますか」という問いで、 これもほぼ国民の方、患者さん同率ですが、「未払いの人から強制的に取り立てるべき」 という方が24%。「『払えない人』には一定の配慮をし、『払える人』からは強制的に取 り立てるべき」という方がほぼ60%弱。「強制的に取り立てるべきではない」という方 が15%〜20%の間となっております。  次の6ページをごらんいただきたいと思います。  未払いの治療費をだれが負担するかについて、「一部の人が支払わなかった治療費は、 その人が受診した医療機関の負担となっています。この負担についてどう思いますか」 ということで、今の制度をよく御存じないということを前提にしても、一応こういう認 識で、ということになるかと思いますが、「医療機関が負担すべき」という国民の方が 14%、患者さん6%、患者さんはかかっている医療機関のことを考えるとなかなか言い にくいということもあるんでしょうけれども、ちょっと差が出ております。  それから、「保険者(地方自治体、健康保険組合)が負担すべき」という方が、国民の 方は36%、患者さんは45%、「税金を投入してでも国が負担すべき」という方が50%弱、 これはほぼ同率というような感じになっております。  (5)が「窓口での支払いの利便性について」、つまり、現金払いということが何かこ ういう未払いにつながっているということがあるのかなということで、伺っている設問 については、「はい」という国民の方が20%、患者さんは15%、実際、患者さんはそん なに不便だとは思っていないということで、「いいえ」は62%と48%となっております。  こちらが我々の調査の結果報告でございます。  続きまして、資料2−1でございますけれども、医師会は、医師会病院というのを持 っています。きょうは、病院団体の方からも、実際の未収金の金額についてかなり詳細 な御報告があると思いますが、医師会として、医師会病院が全国で今87、これは医師会 立というものが69、その他、医師会が委託されて運営しているものが18ありまして、 あわせて87あるんですが、医師会病院と言われるところで、平成17年度末の時点でど れぐらい未収金が発生しているかということを昨年調査させていただきました。  それによりますと、上の段が17年度末で、未収金残高が1施設当たり1,939万、これ は医師会病院と言いましてもかなり規模に違いがありますので、これは平均的な数字と いうことになりますけれども、このような数字になります。これが年間の医業収益に対 する割合というものが0.8%ぐらいになっています。  さらに、請求後1年以上経過して、完全に回収がなかなか難しいと思われるような患 者未収金についての回答があった施設、これはすべてではないんですが、上記のうちか ら、このような設問で伺ったところ、これが1施設当たり696万円になっていて、これ が医業収入に占める割合が0.3%になっているという実態でございます。  以上、私からの御報告でございます。  座長 ありがとうございました。それでは、ただいま今村委員から資料2、資料2− 1について御説明をいただきましたけれども、これについて御質問等がございましたら お伺いしたいと思います。どなたからでも結構でございますので、どうぞお願いいたし ます。山崎委員、お願いいたします。  山崎 一般診療所における未収金の調査というのは行ったのでしょうか。  今村 これにつきましては、実は病院という大きな規模だと未収金が大変問題になっ てくるというのはわかっているのですが、一体、診療所ではどうなんだろうと。特に科 別、例えば、産科みたいなところと、そうでない科また都会と地方など、いろいろ問題 があるだろうというおおよその漠然たる想定はしているんですが、実際に調査はまだ行 っておりません。  今御指摘いただいたように、これはぜひ診療所レベルでもそういった調査が必要だと いうことですが、全国に数万ある診療所にいきなり調査することができないので、全国 に900弱ある郡市区医師会の方に予備調査ということで、医師会に対して実は調査をし ました。  きょうはちょっとデータをお示ししていませんが、医師会の中で、こういう未収金が 診療所の中で問題になっているかどうかや、実際に未収金額が相当あるところを聞いた ことがあるかなど、そういうことを伺いました。それから、医師会として、診療所のこ ういう実態調査をするべきかどうかというようなことの問いかけをさせていただきまし た。  その結果は、全国の、今、正確な数字を覚えていないですが、相当数の医師会で、こ れは本当に7割、8割という数だったと思いますけれども、未収金が診療所レベルでも 問題になっているのではないか。ぜひ、医師会として診療所の実態を調査すべきである。 もし調査をすることになれば協力してもいいというお返事はいただいております。  先に国民と患者さんのデータをまずとろうということになったものですから、今そち らはペンディングになっておりますが、ぜひそちらの診療所のレベルでの未収金問題と いう調査も調べてみたいとは思っております。今は数字を出せなくて申しわけございま せん。  座長 ありがとうございました。小森委員、どうぞ。  小森 質問ですけれども、この下の回答欄の、1年以上経過したときの残高ですが、 これはこの金額になるまで、おのおのの病院が回収した、回収できたという結果なのか、 それとも逆に言うと、1年以上残ったときに、医師会立の病院が何らかの形で経営的に 償却しまったといって減っているのか、どちらなのでしょうか。もし回収したというな ら、かなりの率できちっと回収ができていると思うのですけれども。  今村 いや、本当に御質問の意味はよくわかります。ただ、償却に関しては、これは 調査で正確に、これは償却しましたか、あるいは回収できましたか、という問いをして いませんが、私の地元でも医師会病院を運営しているんですが、実際には1年で償却す るということはほとんどしていないので、何らかの形で回収できたのかなと。これはあ くまでも私の想像ですけれども、今の直接のお答えとしては、その設問をしていないも のですから、正確にはちょっとお答えできませんが、償却ではないのではないかなとは 思っています。  座長 そのほかはいかがでございますか。それでは、今村委員から御説明いただいた 資料については、以上でよろしゅうございましょうか。  それでは、続きまして、山崎委員から資料3ということで御提出いただいております ので、それにつきまして山崎委員から御説明をいただきたいと思います。どうぞよろし くお願いいたします。  山崎 資料3を中心にお話ししたいと思います。  未収金問題については、平成16年の10月に、精神科病院協会の「病院経営管理委員 会」という委員会の中で、未収金が各病院でふえてきているが、これについてきちんと 整理をしてみようという意見がありまして、平成16年11月、「4病院団体連絡協議会」 つまり、日本病院会と全日本病院会と医療法人協会、日本精神科病院という4団体の正 副会長が出席する総合部会で未収金問題についての検討を4病院団体としてしたいとい う提案はいたしまして、各4団体から委員を推薦して検討会をつくりましょう、という 話になりまして、平成17年の3月に各団体からの推薦の委員が出てきたので、その年の 6月に第1回の「医療費未払い検討会」というものを開催いたしました。  その中で、とにかく未収金の実情について実態調査をかけてみようということになり、 アンケート調査を実施いたしました。  それがお手元の資料ですが、そのお手元の資料の12ページにありますが、平成17年 7月31日現在で、平成16年4月から平成17年3月までの1年間分と、平成14年4月 から平成17年の3月までの3年間分の未収金の調査を実施しました。  調査の回収率については、その13ページの6番目にありますように、会員病院は5,570 病院に発送して、3,273病院から回収をしてあります。この5,570病院というのは、幾 つかの協会に重複して入会している病院があるもので、それを事務局サイドで重複を避 けるようにして一つの協会でカウントしたならば、ほかの協会ではカウントはしないと いう手続を踏んでおります。  平成16年10月現在で、病院数というのは9,077病院ありますので、この5,570病院 というのは、大体60%の病院が加盟しているということになります。したがって、その 9,077からの5,570を引いた病院の数というのが、いずれの協会にも加盟していないと いう病院数であります。  20ページをお開きいただきたいのですが、ここにありますように、5,570病院に発送 して、3,273病院から返ってきました。3,272という数は、これは全病院数でいくと59% の病院数になります。総病床数の72万9,000というのは、今、全病床163万床の大体 45%のベッド数にあたります。  21ページの表4のところに保険別内訳というのがありますが、この表は1年分であり ます。国保の入院が71億、外来が5億。社保の入院が31億、外来が4億、自費の入院 が39億、外来が14億という数字になっております。  これを法人別に見たときにどういうふうになるかというのが、26ページのところの法 人区分別累積未収金総額というのが出ております。それの3年累積でいきますと、公的 病院が236億、医療法人が135億ということで、公的病院の方がベッド数、施設数の割 には、病床数で言うと医療法人の方が倍ぐらいのベッド数なのですが、金額で言うと、 かなり公的病院の方が多いという形になっております。  ちなみに4病院団体に国立病院機構が入っておりませんので、国立病院機構の未収金 というのがどれぐらいあるのかというのも非常に興味があります。きょう現在で国立病 院機構は146の病院を持っていますから、その病院の未収金の実態というのをきちんと 国として把握をしているのかどうかということも知りたいところであります。  今回の調査では、医療保険だけではなくて、介護保険を一緒にやっている施設につい ても調査をしておりまして、27ページの表14に、法人区分別の介護保険の部分で2億 1,400万円という数字が出ております。  しかし、これは介護保険が単体でやっている施設の調査というのは入っておりません ので、介護保険の区分を含めると相当な金額に膨れ上がるのではないかと思っておりま す。  あと、30ページの表17ですが、そのアンケート調査がそこにありますように、5,570 病院に補正した数値をそこの推計値として挙げてありまして、累積は1年で373億、累 積3年分で853億という数字になっております。あくまでもこれは先ほども申し上げた ように、9,070病院のうちの5,570病院ですので、残りの病院数を含めると、優に1,000 億は超してしまうと思っておりますし、診療所が現在日本では9万7,000件あるわけで すが、この診療所で発生している未収金も含めると、かなりの金額の未収金が生じてい ると思います。  もう一つ、民間の病院で発生する未収金というのは、その民間病院が従来かぶってい たわけですけれども、公立病院で発生する未収金というのは、当然、赤字計上しますの で、その部分というのは税金で補てんされているわけでして、先ほど最初にも話があり ましたように、未収金が発生した部分に税金が投入されているというところが非常に大 きな問題なのではないかという気がしております。  以上、この報告書についての説明を終わります。  座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいま資料3につきまして山崎 委員から御説明をいただきましたので、それにつきまして御質問がございましたらお願 いをいたしたいと思います。  対馬委員、どうぞ。  対馬 大規模な調査をされたということで敬意を表したいと思うんですけれども、2 つほど質問がありまして、1つは、853億でしょうか。30ページ、これがマスコミ等々 でもよく出てくる3年間ですね。私は、これは調査した実額なのかなと思ったんですけ れども、今の説明を聞いていますと、そうではなくて、実額のこのアンケート、これは 20ページのちょうど真ん中あたりに、3年間で言いますと425億という数字があります けれども、どうもそれを単純に、回答があったところと、回答がなかったところ、比例 計算を伸ばしていると見えるのですが、それはそういうことなのかどうか、そういった 推計の仕方というのは余り見たことがものですね。  例えば、大調査の補正でありますとか、ないしはアンケートですと大概熱意のあると ころが、ないしは問題意識があるところがアンケートに協力するわけですから、そうい った部分についても補正をするなど、何かそういうことがあるのではないかと思うので すが、それが1点ですね。  もう1点ですけれども、26ページの一番上のところで、これは説明の中でも言及があ ったんですが、公的な機関については、病床数が少ないにもかかわらず、医療法人に比 べますと未収金が多いというお話をされていましたけれども、これはどういう理由なの か。  やはり、そういう未収金の回収努力といったところが医療機関の性格によって違って くるのかどうか、そのあたり実際、生のお話も聞いておられるのではないかと思います ので、わかればお願いしたいと思います。  座長 それでは、今、2点御質問だったと思いますので、山崎委員よろしくお願いい たします。  山崎 最初の質問については、お話にあったように、単純にアンケート調査の数を病 院の数でもって補正をしているという計算でしております。  それから、2つ目の質問については、これは私の方では、特別公的病院について聞き 取り調査をしたということではないですけれども、いろいろなマスコミ報道によると、 余り未収金に対しての問題意識もなかったし、それと、それ専門の職員を病院に置いて あるとか、あるいは、担当課があるという形をとってはいなかったので、当然、国公立 の病院の未収金は多いだろうというふうな報道は十分にあったように記憶いたしており ます。  座長 対馬委員、よろしいでしょうか。今村委員、どうぞ。  今村 公的な病院も、私も全体像はよくわからないんですが、実はこの委員会がある ということで、東京都の方の都立病院、都の病院経営本部というところにちょっとお話 を伺いに行ってきました。そちらのデータなので、私がこちらに出すということができ ないので、あくまでも聞いてきたお話の中ですが、都立病院に関してはマスコミでも随 分問題になっていて、金額がすごく多いと。  今、11か12だったと思いますけれども、全体で13億ということで、非常に金額も多 いし、診療報酬に受ける割合も、以前は0.8%ぐらいが1.34%までもふえてきていると いうことで、やはり、お話を伺っていると、受診者の中にもかなり甘えというか、税金 払ってやっている公的病院なんだから、という何となく患者さんの立場が非常に強くて、 中には確信犯的に払わない人たちが結構いるというお話も伺っています。  それから、公的な病院だから回収努力をしていないということはなくて、私も伺って きた範囲では、非常にシステマティックに回収の努力をされている。それに伴って、確 かに回収金額は徐々にはふえているんだけれども、公的病院がすべて民間病院に比べて 努力が弱いためにこういう未収金の金額が多いということでは必ずしもないのではない かなという印象を、私は伺ってきたときは思って、逆に、ここまで努力をされているの だなと。まあ、東京都だからかもしれませんけれども、ちょっとびっくりしたようなと ころも正直ありますので、ちょっと御報告というか、お話しさせていただきました。  座長 ありがとうございました。辻本委員、どうぞ。  辻本 私も御報告ということでお話しさせていただきます。  私は国立病院機構の評価委員をしておりまして、昨年8月の2年次の評価項目の中で、 やはり、この未収金という問題が出てまいりました。ただ、数字について、今、私は確 かなものを記憶しておりませんので、お尋ねになられればきっと出てくるものだと思い ますけれども、そのときに議論の中で出てきたのが、やはり、身障などで、昔の療養所 ですね。その病院の方でそういう数字が高くなっているというようなお話がございまし た。  昨年の8月の評価委員会のときに、私からの意見ということで、146病院が全国多岐 にわたる地域にあるので、なぜ払えないのか、という実態調査ということを少しすべき ではないかという意見を申し上げて、それは評価のまとめにも掲載されております。そ の後、どうお取り組になっているのかということの報告は受けておりませんが、国立病 院機構の方の未収金問題は悩みの種ということで出ておりましたので、御報告申し上げ ます。  座長 畔柳委員、どうぞ。  畔柳 私はこの種の問題の委員会というのは初めてです。そこでお伺いしたいのです が、先ほど今村先生の方からは診療所、山崎先生からは4病院団体についてのお話です が、その前に、医療施設、国立病院が、わかるかとか、わからないとか言っている。そ れは全体としてはどのくらいあるかというのは、実は私ども全然わからないのですね。 それが一つです。  それから、今回お二方からそれぞれ調査された数字が出てきているわけですが、従来、 それならどのくらい未収金があったのか、そういうデータがあるのかどうかということ です。多分ふえてきているのは間違いないと思いますが、前との関係はきちんと整理を しておかないと、後で議論が混乱するかと思います。できたら調査対象以前の状況を、 正確である必要はありませんからわかるようにしていただきたいと思います。  座長 小森委員。  小森 そういうことがはっきりしないから今回調べているわけで、基本的には、患者 さんの負担がふえていけばふえていくほど、我々、病院や診療所の窓口での徴収する金 額がふえるわけです。それに対して払う金額が、前は1割負担がない時代もあったんで すね。  そうすると、前は負担を100円しか払わなかったのが、今は3割といったら300円払 わなければならない。そうすると、その負担に対する支払いがなくなって、窓口での未 収金というのがふえていっているわけです。特に医療機関運営になりますと、1人頭の 支払う金額が大きくなりますね。昔は1割だったら10万だったのが、今は30万払わな ければいけない。それが大きくなってきて、たまってきたのを今回、数値として出した わけです。  先ほど病院の数は山崎先生の方から報告がありましたように、大体の大まかな数字が 9,000何百病院となっているのですけれども、そのうちの5,000何百病院に出して回収 したのが2,000何百病院ということになるんですね。  なぜこんなことが問題になり出したかというと、1つは、窓口負担が非常に大きくな って、我々が窓口でもらわなければいけないお金が多くなったということです。それに 対して1人が支払わないとすごい金額になって、病院に残り出した、それが一つ大きな 問題点です。  実はこれは税法上の問題がありまして、「善管注意義務」というのがあって、患者さん に「お金を払ってください」という督促を出さなければいけない。その苦労をしないと、 今度は何年か後に、税法上で償却といって、利益がある場合だけ、実は利益の中から返 してもらえるというのがあるんですけれども、当然、病院が黒字でなれば、それは発生 しません。すなわち病院は非常に経営が今苦しいですから、未収金があればあるほど経 営が苦しくなります。  ですので、お金がほしいわけですけれども、負担がふえて、患者さんの方も支払う能 力がちょっと衰えているので、そうしてたまってきた金額が我慢できない金額に達して きだした。  ですので、今回、病院、特に民間病院の経営が困窮しているので、どれだけ金額があ るのか、みんな苦しんでいるのではないか、ということで調べたら、とんでもない金額 が発生したということで問題になってきているんですね。  ですので、当然、地域性があります。非常にいい地域は、開業医も開業の診療所も病 院も未収金がほとんどない施設も当然この中に出てきます。地域によっては、とんでも ない未収金がある病院もあります。  先ほど言われたように、公的病院は、特に地方のそういう地域を支えているところな どにすれば、ものすごい金額のそれは未収金があって、これも正しいのかもしれません。  ですので、それは先ほど山崎先生が言われたように、税金で補うことが正しいのか、 それとも我々のように、もっと一生懸命回収するのが正しいのか、そういうところの未 収金というのが、今現在、本当にどれだけあるのかということは、一応数字としてはお 出ししているわけです。なお一層、細かいというのはこれからまだ調べるのかもしれま せんし、例として若干あるのかもしれません。一応こういうことであります。  畔柳 私がお聞きしたのはそういうことではなくて、従来どうだったのですか、とい うことをきちんとしておかないといけないということです。もし、わからないのならわ からないでもいいので。  座長 今の御説明にもあったように、私の理解するところでは、会計的に多分未収金 の累積額なりを調査されたのは、病院会の方でおやりになったのも多分初めて。医師会 でおやりになったのも初めてだと。  医師会運営の病院については調査されたけれども、まだ診療所については調査はなさ れていないということで、多分、前どうなっていたかということについては明確な数字 というのがないというのが今の状況だと思います。  なぜなかったかというのは、今、小森委員が御説明なさったように、従来は未収金の 問題自体がそれほど重要でなかったとは言いませんけれども、一部負担金の負担率が低 かったというような、特に高齢者については低かったということがあって、余り大きな 問題にならなかったということです。  あと、医療機関の全体像については、いかがいたしましょうか、もしよろしければ、 事務局の方で大まかな種類と数字などをお示しいただくかというようなことでよろしい かとは思うんですが。  畔柳 別にきょうここでなくても結構です。従来からある程度の規模以上の医療施設 では、貸倒れ、未収金の問題があった筈です。その際、施設の規模によってそれぞれ全 体の何%を未収金のラインを超えたとか超えないとかいって議論してきたと思います。 つまり、これから議論するとき、感覚的でもいいから従来の数字を押さえておかないと、 どこまでどの程度増えたか、何がどうして増えたかがわからないということでお聞きし たいと思います。  座長 いずれにしても、なかなかそういう形で目に見えるデータというのがすぐには 入らないこともあろうかと思いますので、次回以降で結構ですので、1枚ペーパーかな んかで数字を示していただくのと、対象となる医療機関なりの範囲というようなことで、 もし事務局の方で今ある程度のお考えがあればお伺いするということだと思うのですが、 基本的には一番大きく問題になるのは、まず額の大きさからいって多分病院であると。  調査によっては、ひょっとすると診療所の問題も出てくるかもしれないということと、 あとは、地域差が、きょう御説明をいただいたところでは必ずしもよくわからないとい うことなのかとは思いますけれども。  では、神田課長、お願いいたします。  神田 基礎資料等については次回用意するようにいたしたいと思いますけれども、先 ほど座長がおっしゃったように、未収金そのものに着目した調査というのは、これまで されていないというふうに承知をしております。  先ほど畔柳委員からもお話がありましたような、国立病院の方の数値なり、その後の 状況などについては確認をして、可能であれば次回また資料をお出しするようにしたい と思います。  座長 国立病院については、先ほどもちょっと御議論もあったところですので、その 点については、資料をもしできましたら次回以降、御用意いただければと思います。そ うしますと、多分ある程度全体の状況が見えてくるのではないかと思います。  河上委員、どうぞ。  河上 先ほど畔柳委員がおっしゃっていたこととの関係なんですけれども、昔から1 割負担や、若干、未収金の占めている問題のウェートが小さかったから余り表立たなか ったけれども、実は結構払わない人がいたんだけれども、今は額が大きくなった。  額の大きさというよりも、払わない人がどのくらいいたのかというようなことを考え たら、今は少なくなっているかもしれなくて、だんだん皆さんが努力していて、未収の 量は全体としては減ってきているという状態で何かを議論するというのと、どんどん大 きくなっているときに議論をしなくてはいけない状態とでは、ちょっと議論の方向が違 うのではないかということで、恐らく畔柳委員の意見が意味を持つのではないかという ふうに個人的に思いました。  ですから、未払い者の状況というのは、例えば、国なんかの場合に、どのくらい未払 い者がいたのか、というそういうデータがあれば確かに議論はしやすいなという気がい たしました。  もう一つ、ちょっと山崎委員の報告について伺いたかったのですけれども、自費の分 に関して、産科と自賠責を特別に区別されて調査をなさっていて、特に自賠責に関して は、かなり突出して大きいという印象を個人的には受けたんですが、これは何か意味が あって、こういう分類の調査をなさっているんでしょうか。  山崎 これは保険種別の一つ大きな問題があります。それによって負担する金額が変 わってきますので、一つ大きい意味で分けたんですね。特にこの産科に関しては、産科 の施設からたくさん要望がありまして、今は直接、国から「出産育児一時金」というお 金が、実は病院に直接支払われるようになっていて、以前は子どもを産んだ後に親御さ んがもらえる。もらった後でお支払いをするというシステムになっていたのが、裕福の 方はそのままお支払いをして、後からもらうというシステムだったんですけれども、近 年になりまして、もらった後でお支払いします、という形で退院されて、そのままお支 払いになられない。すなわち一時金はいただくのだろうと思いますけれども、病院には 一銭も払わないということが非常に多くなりまして、特に産科はいろいろな問題があり ました。  そういう中で、実は産科は非常に苦しいんです、というお声がいっぱい上がってきて、 分けて書いてあります。そうすると、産科は自費なんですよ。すごい金額の実はお金を 支払ってもらえないケースがたくさんあったということをお示しする意味で分けてあり ます。ですから、病院の中でも産科が分かれている。特に産科単独の病院でも、かなり 実は苦しいんだということはそこにも一理あったわけですね。  今回、法整備をしていただきまして、直接病院の方に入るようになったので、かなり そこの金額は小さくなるんだろうと思われます。そういう意味でも、その結果はよかっ たかなと思われます。  自賠責に関しても、実は窓口で全額お支払いいただいた後、保険で整理するパターン があるんですけれども、実は保険が入ってきたらお支払いします、という形で支払いに 来ていただけないケースがあったりなど、いろいろなケースがある中で、それだけの金 額の実は病院の未払いが存在するというケースを分けてあります。  崎原 自賠責の問題ですけれども、自賠責は、基本的には保険会社が精算するべき問 題だと思いますが、責任割合というのでしょうか、どちらかが一方的に100%悪いとい う、はっきりとしたものであれば保険会社がスムーズに支払うということがありますけ れども、半分半分とか、双方に言い分がありますよね。  その間、国民健康保険でも受診をできるんですけれども、そういうのがスムーズに手 続上いかないケースが結構ございまして、それが解決してから支払うというようなこと も出てきたりなど、そういうような特殊な事情がございます。  座長 ありがとうございました。原委員、どうぞ。  原 参考までに、各病院での未収金問題については非常に深刻に受けとめているとこ ろだと思います。私どもとしても、一部事務組合の公立で病院を抱えておりますけれど も、そこでも未収金はあります。  その未収対策と未収の要因など、それらを分析しているんですけれども、やはり、未 収の原因として、生活保護受給者になる前の支払い困難な方々、それから、転居をして 住居が不明となった方、それから電話や郵便で再三再四督促してもなかなか応じてもら えず、できない。  この未収金収納の対応といたしましては、現状行っている高額医療費貸付制度、それ から、分割払いの相談、先ほど代理人制度と、35万というのは代理人制度の「出産育児 一時金」だと思います。自宅訪問や督促などで徴収を積極的に行って、病院としての経 営努力を進めていくという形で、押してはいけないのかもしれませんけれども、とにか く病院としても経営努力を一生懸命しているけれども、現実的にこういう問題が発生し てしまう。この問題をどうしようかということの未収の現状と今後の対策だと思います。 一つ参考までに病院の例を調べてきましたけれども、累積で入院分は13,000万の未収が あるということです。  座長 ありがとうございました。恐縮ですけれども、マイクの関係で、発言が終わり ましたらマイクをお切りいただくようにお願いいたします。ランプがついているか、つ いていないかでわかりますので、よろしくお願いいたします。  そのほか、いかがでございますか。辻本委員。  辻本 きょう私ここに座っているのが非常に身が縮んでおりまして、患者の立場は一 人なので、払わない側の代表のような立場という状況がありまして、非常につらい思い をしながら現場のご報告をお聞きしております。  ただ、私ども電話相談を17年やっておりまして、最近そんなに多くはないんですけれ ども、私たちもびっくりするようなお電話が届きます。例えば、治してくれないのにお 金は何で払わなければいけないのか。頼みもしない検査をやっておきながら、請求する とは何事だとか、私たちの常識でははかり知れないような相談です。私はあえて思春期 反抗期の患者というふうに言ってしまっているのですけれども、そうした、払う、払わ ない以前の根深い医療不信の問題が、実はすべてではないにしても、潜んでいるという ことを感じます。  そして、日医の方のアンケートの御報告の中で、この(2)の「未収金問題の認知」 ですね。ここに患者が未払いの問題が社会化しているということを半数以上の人が「知 っている」と答えていることが、実は正直ちょっとびっくりしながら拝見いたしました。  本当にこんな多くの人が認知している問題なのかと思う一方で、だから、うちの電話 相談でも、「同じく受診している人は払わなくても済んでいるんですよ」というようは悪 しき情報ということで、このことが患者の側に流布されて、だから、私だって払いたく ないのよ、というような認識が、もちろんこれもすべてではないと思いますけれども、 悲しかな、こうした不払いが出始めているのではないか。  このグラフを拝見しながら、うがった見方かもしれませんけれども、そんなこともち ょっと感じたことを申し上げました。  座長 ありがとうございます。座長がいろいろ質問するのもよくないんですが、1つ だけお伺いしたいのですが、調査をされて、未収金がこれだけあると。もともとの原因 が、先ほど小森委員がおっしゃったように、一部負担金の問題から発生していると思う んですが、具体的に未収金が発生してしまうプロセスというか、患者さん側の行動とい うか、そういったものについて何か調査をされたとか、データをお持ちだということは ないんでしょうか。個別的にはもちろん皆様、事例としては御経験だと思いますが、何 かそれを統計的にとか、体系的に整理されたというようことは、もしあれば、というこ とでお伺いしたいんですが。  小森 データとしてとるべきというか、このデータの中にあって、実は大きな病院、 救急指定病院が一番多いと思いますね。要するに、救急で患者さんが運ばれてきたとき に保険証を持ち合わせていない。それと今までの医療の感覚でいくと、1万円も預け金 を置いていけば、十分にお金を払ったじゃないかと患者さんが思われていると思うので す。  ただ、夜間の救急で運ばれてきて、何らかの治療をして、本当に1万円で済むのかと いうと、そんな金額では済みません。保険証を持ってきていただければ、確かに7割支 払いいただけますので、もし現金を置いていかれなくても、ある程度病院は回収できる んですけれども、現金を1万円預かって、あとで、あれだけ払ったんだから、という感 覚で保険証すら提示がない場合は、実はかなりの高額の未収金がそこに発生します。  すなわち3割分の、1万円しか置いてないわけですから、例えば、傷を少し縫っただ けでも、薬をもらっていっただけでも、それではおさまらないということを、実は患者 様サイドの方はわかっていないのかもしれません。だから、この辺の周知徹底がないの で、未収金が発生します。  だから、大きなとか、夜間一生懸命頑張れば頑張れるほど、実は未収金が片一方で発 生する。それに対して一生懸命、電話や手紙を送るんだけれども、まあ、そんな大した 金額ではないし、保険証を持っていかなくてもいいんじゃないかという感覚が患者様側 にあるのかもしれません。  ですから、そこに派生する未収金というのも実はばかにできない金額があって、大き い病院ほど未収金があるというのは、そこに一理あるのかなというふうに思われている。  あと、もう一つは、「善管注意義務」を果たすのが難しいということと、我々は応召義 務がありますので、毎回お金を払わないとわかっている人が来ても、見ない病院は今の ところは多分ほとんどないと思います。  ですので、この人は、またきょうも払わないけれども、本当に状態が悪ければ治療す るという施設が大半ありますので、当然、診療所も一緒です。ですので、そういう意味 での未収というのも発生していますね。  だから、それはあくまでも感覚的な問題で、先ほど言われて、これはごもっともだな と思ったのは、未払いをしている人が何人いるのか、金額ではなくて、その数がふえて いるのか、減っているのか、というのはある意味調査をする必要性はあるのかなとそう 思っています。だから、先生がおっしゃるような実はデータというのは、そういう形で はとっておりません。  座長 どうもありがとうございました。鈴木委員、どうぞ。  鈴木 私は磐田市の市の職員でございますが、保険者の立場と、市立病院がございま すので、今回そういった立場で出席させてもらっておりますが、今回この検討会に出席 するに当たりまして市立病院の状況を一応聞いてまいりました。  今、確かに小森委員の言われたように、救急の患者さんは、そのときに保険証を持ち 合わせているわけではないし、事後の支払いとなるというので、そういうのも発生して おります。  うちの方の大変大きな問題というのは、地域事情がございまして、外国人の割合が人 口の5%、1万人おります。製造業を中心とした市でございますので、外国人が自由診 療で保険証も持たず、本当に悪くなって病院に来る。あと、よくなったら、一応、分割 で払いますね、と言っておいて、その後、もう出国してしまうというのが大変多いと。 これは磐田病院の未収金の約4分の1を占めているということで聞いております。  それにつきましては、今うちの方は、集住都市会議という中でやっておりまして、外 国人の医療・教育、そういった問題を何とか解決しなくてはいけないということで、今 できるだけ外国人は保険に加入する。間に入る人材派遣会社には社会保険に加入するよ うにということで働きかけをしているところでございます。以上です。  座長 今村委員、どうぞ。  今村 未収金がどうして発生するかという原因の分析は非常に大事で、払えるのに払 わないのか、本当に払えないからそうなっているのか、というのをきちんと調査して、 データとして持つ方がいいのかなと思っています。  ただ、小森委員の方から、先ほど救急の病院ほど発生が多いという、これは私、先ほ ど都立病院のことを申し上げたのですが、傍証で正確な数字ではないんですが、都立病 院の中で合計13億と申し上げたのですが、実はERという救急をやっている3病院で、 ほぼ55%の未収金になっている。一番多いところは4億円、だから、13分の4ですから、 4分の1が1つの病院で、ERのところで発生しているということを見ると、やはり、 救急での未収が非常に多いということが推測されている。あと、もう一つの都立病院は、 HIVの診療を行っていて、医療費が高額になるということで、そこで未収金が発生し ている。  この4つが明らかに突出して都立病院の中に多いということを見ますと、あくまでも 細かい議論ではないのですが、急性期医療、高額の医療というところに発生しやすいと いうことはわかるかなと思います。参考までに。  座長 お願いいたします。  崎原 未収金の発生の中で、本当にお金が払えないというか、生活に困っている人と、 それから、何らかの理由で、先ほど辻本委員の方から言われましたけれども、病院の診 療内容に不満があって払わんという確信的な方と、ある意味ではそういう2つあるわけ です。  それで私どもの病院といたしましても、本当に初めから医事課やケースワーカーの方 に、困っているんだ、というような意思表示があれば、いろいろな法的な手段などを使 って、それを解決していこうということなんですけれども、それでも払えない方がおら れるというのもまた事実だと思います。  それから、治療内容や検査内容、もともと払う気がないというんでしょうか、幾らこ ちらがやっても、初めから払いたくない、というような方もおられるということなので、 私どもが困るのが、後者のかなり確信犯的な方の方が困ると。そういうことが入院患者 さんについては言えると思っております。以上です。  座長 ありがとうございました。木村委員、どうぞ。  木村 まず、非常に生活が困窮していて払えないという中で、最近問題になっている のが、先ほど地域性ということを小森委員もおっしゃいましたけれども、国民健康保険 の保険金が払えなくなってしまって、国民健康保険の資格はあるんですけれども、使え ない。要するに、有資格者の資格証明書だけを持って出てくるという方が非常にある地 域だけふえているということがあります。  実際に資格証明だけですから、実際にはその資格証明を持って来たら全額払わなけれ ばいけないんですね。だけど、もともとお金がなくて、保険金を払えなくて資格証明を 持っている人は、窓口でお金を払えるわけがないわけですね。そういうところが未収金 になってしまう。  それから、本当に生活が困窮していて、生活保護一歩手前の人たち、そこまでいかな くても、かなり低所得の方に対しては、一定以上の金額を払う必要はないわけですね。  これは余り知られていなくて、払わなくてはいけないけど、こんなに払えませんよ、 ということを医療相談室の我々の窓口に言ってくるわけですけれども、そうすると、「そ れは一定金額以上、払わなくて済むんですよ」ということを教えてあげるとすごく安心 するわけですが、そういうことが余り知られていないということもあります。  先ほど、この調査で、人数が多いのか、少ないのか、というところが、この調査の中 でちょっと欠けていたというのは非常に反省していますけれども、これは私の推測です けれども、1件当たりの金額よりも、恐らく人数がふえているんだろうなと。これは推 測です。  先ほど皆さんがおっしゃったように、払いたくないという人がふえてきている。これ はあくまで推測なので正式なあれではないのですけれども、払いたくないとか、それか ら、給食費さえ払わないで当たり前というふうに考えている件数がふえている。ごく少 額なので、払おうと思えば払えるのに、払わないということが非常にふえているという 事実もあります。  実際には、非常に高額になってくれば一定以上、払わなくて済むわけですから、例え ば、全体で100万円で、そのうち3割負担で30万円でも、それ以下でも一定費、今は6 万幾らですが、それ以上、払わなくて済む人がいっぱいいるわけですから、払おうと思 えば払えるんだと思うんですね。それすら払わないという方たちが非常にふえているの ではないかと、これはあくまでも推測です。  実際は人数がふえているのではないかと思いますが、これはもう一回、調査をちゃん としっかりし直して、どういう形で、こういうのを払わなかったか、という実態を、今 回はあくまでも金額しか出していませんけれども、そういう調査をもう一度やってみる 必要があるのではないかと考えています。  座長 河上委員、どうぞ。  河上 だんだん問題がよくわかってきたんですけれども、無責任な人で、学校給食の 給食代を払わない人がふえていると同じような感覚で、本当は払うべきものを払わない。 そういう人がだんだん社会的にふえているという話は、余り大きな意味を持っていない のかなというふうに個人的には思っておりまして、それは医療に対する不満の問題であ ったり、それから、支払い義務そのものがないと考えている人がいるのではないかと思 うんですね。  先ほど自賠責のことをちょっと伺ったのはそのためなんですけれども、自分ではなく て、加害者が払うべきものなのだから、おれが払う必要ないんだ、と思っている人は、 恐らく請求書が来ても払わないと思うんですね。そういう支払い義務の存否について一 定の不満を持っている人。  それから、本当に生活困窮者の方ということで、生活困窮者の方に関しては、貸付や いろいろな経済支援という形で対応していかないとこれはいけないでしょうけれども、 それ以外のところは、例えば、治療への不満は、十分な医療についての説明義務を尽く すとか、別な形でそこは解決策を模索しないといけないと思います。  原因のきちんとした類型化や合意請求をすることが解決策の、今からの手当に対して も重要な作業だという感じがしますので、その辺は具体的なデータというか、経験的な ものでもいいから、原因を整理し出していただくとありがたいなと思います。  座長 ありがとうございます。まだ議題が残っておりますので、申しわけございませ んけれども、先に進ませていただきたいと思います。  次は資料4と5ということで、事務局の方から御用意をいただいておりますので、そ れについて御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  事務局(神田) それでは、お手元の資料4について御説明申し上げます。  一部負担金等に関する資料ということで、一部負担金の今の現行制度がどのようにな っているのかということですとか、過去の経緯などについて整理をしましたので、御報 告申し上げたいと思います。  まず、お開きいただきまして1ページ目でございますが、国民健康保険法の法律でど うなっているのかということでございますけれども、42条というところで、「保険医療 機関等について療養の給付を受ける者は、保険医療機関等に支払わなければならない」 ということで、法律上、被保険者は払わなければならないということは明記をされてい ます。  それから、2項で、保険医療機関等、等は保険薬局になりますけれども、「一部負担金 の支払いを受けるべきものとし」というふうに書いてあって、受領義務は法律上明定さ れているということでございます。  それから、先ほど若干お話が出ておりましたけれども、「保険医療機関等が善良な管理 者と同一の注意をもって支払いを受けることに努めたにもかかわらず、なお払わない場 合には、保険者はこの法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる」、 結果的には、保険料と同じように滞納処分ができます、という規定がございます。  それから、次のページの44条でございますけれども、先ほどから、払えるのに払わな い人と、払えない人がいて、後者には一定の配慮が必要だ、ということでありますけれ ども、44条で、特別の理由がある被保険者については、保険医療機関等に、一部負担金 を払うことが困難だという場合には、次のような措置をとることができます、という規 定がございまして、減額、免除それから徴収を猶予する。徴収を猶予しますと、当然そ の間、保険医療機関に収入はありませんので、この場合は保険者が徴収をすることとし て、後から保険医療機関にお支払いをするということになっているわけでございます。  具体的にここで言う事由というのはどういうものかというのは、12ページに通達で解 釈が示されております。  12ページの通達解除の第1の1というところで、徴収猶予、2で減免と書いておりま すが、事由は同じでございまして、1にありますように、災害の場合、2にありますよ うに、国保ですと、農作物の不作等で収入が減ったとき、それから、事業の休廃止、失 業等によって収入が減ったとき、その他これと類するような場合には減免ができます。  減免をしますと、その証明書を交付しまして、それを窓口に保険証と一緒に出してい ただきますと、その減免された額を納めればいいということになっているということで ございます。  それから、2ページに戻っていただきまして、45条でありますけれども、保険者は、 診療報酬は保険医療機関に払うわけでありますけれども、法律上は、療養の給付に要す る費用の額から、一部負担金に相当する額を控除した額を払いますよと、一部負担金は 差し引いて払うということが明定してございます。  それから、4項にございますが、費用の請求があったときには、40条に規定する準則 とは、これは療養担当規則と第2項に規定する額の算定方法ということで、診療報酬点 数表に照らしてお支払いしますよという内容になっております。  一部負担金の経緯というのを少し調べましたので、4ページ目以降をお開きいただき ますと、国民健康保険法ができましたのが昭和13年でありますけれども、当初は、国民 健康保険というのは組合主義ということで、地域住民の方が入る組合というのと、同種 同業の方でできております特別健康保険組合と、いずれも組合でやっていたわけであり ますが、一番最初できました当時は、一部負担金の割合や徴収方法はすべて組合にお任 せするということになっていた。法律上は一部負担金をとれますよ、という規定はあり ましたけれども、現実的には個々の組合に委ねられていたということでございます。  昭和23年になりまして、原則として市町村が国保をやりますということになりました。 この段階も条文上は保険者は、4ページの8条の8というところに書いてございますけ れども、療養給付の一部負担金はとれますよ、という規定はございました。  ただ、これは市町村が保険者となりますと、地方自治体の歳入ということになります ので、実際、法律上は、私人に委ねる場合には法律の根拠が要るということになります ので、特別の事由がないかぎり私人は公金を扱えないということで、保険者が市町村の 場合には、一部負担金を徴収することは事実上、義務づけられていたということでござ います。  ただ、実行上は一部負担金の徴収率というのがだんだん落ちてまいりまして、保険財 政が悪化したということで、実態的には徴収率を上げるということから、法律上はいろ いろ議論があるんでしょうけれども、実行上は窓口払いというのが既に半数に及んでい たということでございます。  昭和26年に至りまして、法的な根拠なく、公金であるのに、医療機関という私人のと ころで受け取っているということで議論がありますので、法的な根拠をちゃんとつくっ た方がいいのではないか。窓口のトラブルを減らすという意味で、特に保険者側から要 望がありまして、窓口払いと、保険者徴収とどちらでもできますよというふうになりま した。  5ページの上の方を見ていただきますと、従来、前段にありますように、保険者が取 れますよ、というだけではなくて、療養の給付を受けた者をして、療養担当者に払わせ ることができる、というような規定で、どちらでもよいというふうになりました。  昭和33年になりまして、国民皆保険に向けて国保法の全面改正が行われましたときに、 窓口払い原則に統一をされたということでございます。  なぜ統一をされたのかということで、もともと先ほど申しましたように、保険者側で 後から一部負担金を徴収するのは難しいということもありますけれども、従来、昭和33 年までの法律ですと、個々の保険者と個々の療養担当者、医療機関側が個別契約を結ぶ というふうになっていまして、うちは窓口払い、うちは保険者徴収でやりますよと、そ れぞれ決めればよかった。  したがって、病院の側も個別に契約をしていますので、自分が契約しているところは、 窓口払いか、それとも保険者がとって、まとめて払ってくれるのかというのがわかった わけですが、昭和33年のときに、医療機関側が申し出をして受理されると、その圏内に 住んでいる人は、みんな保険診療が受けられるというふうになりましたので、これは医 療機関側で、一つ一つの保険者がどっちかというのがわからなくなりましたので、どっ ちかに統一する必要が生じたということでございます。  したがって、その段階でどうするのかということになったわけでございますが、その 段階で既に健保法では窓口払い原則というのが確立されておりましたので、後から取り に行くより窓口でいただいた方が合理的であろうということで、窓口払い方式に統一を されたということでございます。  そのときに保険者側でもできる部分をするということで、先ほどから出ております「善 管注意義務」を果たして、それでも払われないときには、自治体の強制徴収権を媒介に して、一部負担金の徴収をして、その徴収したものを医療機関側にお支払いをするとい うふうになったということでございます。  6ページがその解釈でございますけれども、一部負担金については、健保法なり国保 法に書いてあるわけですので、公法上の債権債務から発生しているわけでありますから、 窓口払い、一部負担金も窓口で払うという関係は、あくまでも療養取扱機関の開設者と 被保険者との債権債務関係です。  それから、滞納処分をして取ってくるというときも、債権者として取ってくるという ことではなくて、強制徴収権を持っている者として取ってくるということになっており ます。  払えない人には減免徴収猶予を行うというふうになっておりまして、先ほど申しまし たように、診療報酬というのは、一部負担金相当額を差し引いた額をお支払いするとい うことになりますので、減額したり、免除しますと、これは当然、保険者がお支払いす るということになっているわけでありますけれども、そうでない人の分をどうするかと いうことについては、それはその払うことができるのに払わない人というのは、被保険 者の責めに期すべき理由ということですので、それをすべての被保険者の拠出金である 保険料でお支払いすることはできないということになっております。  したがいまして、強制徴収をして取ってきたものをお渡しするということで、法律上 の趣旨としては、立て替え払いをするというものではないということになっています。 最大限協力をするということで、今までのような強制徴収の規定があるということでご ざいます。  健保法は7ページ以降でありますけれども、基本的には一部負担金のところは同じで ありまして、減免規定のところは若干異なっておりまして、被用者保険でも75条の2と いうことで減免規定はございますが、これは具体的には16ページに貸借通知が出ており ますけれども、被用者保険の場合には、不作、不漁ですとか、失業すればそもそも被保 険者ではなくなりますので、基本的に被用者保険の場合には、災害による場合だけの減 免、徴収猶予があるということになっております。  国保の方が若干幅広くなっていて、健保法の方は、基本的には雇用されていて収入が ある方ということですので、災害の場合には減免だけが定められているということでご ざいます。  9ページのところで、健保法の経緯が書いてございますけれども、健保法は、先ほど 申しましたように、32年の段階で、既に法律上、窓口払いの規定を整備して、窓口で払 えということになっております。  さかのぼりますと、昭和17年ぐらいに、既に窓口で払うようにということになってい たということでございます。昭和55年に国保と同じように「善管注意義務」を尽くして も払わない場合には、保険者が取ってお支払いするというような規定が設けられたとい うことでございます。  10ページでございますけれども、保険者と保険医療機関との関係ということについて は、これは健保法の規定が書いてございますが、65条で、保険医療機関の指定をすると いうことになりますと、保険医療機関や保険薬局は、療養担当規則に従って、療養の給 付を担当するというふうになっております。  その下の【解釈】に書いてございますけれども、要は、公法上の契約を指定すること によって締結をする。その内容というのは、非常に平たく申しますと、療養担当規則に 従って療養給付を行った場合に、対価として一部負担金分を差し引いた診療報酬をお支 払いしますよという、そういう相務契約を結んでいるということでございます。  11ページのところに療養担当規則がございますけれども、先ほど法律上にも受領義務 が書いてありますけれども、療養担当規則上も保険医療機関は、一部負担金を受けるも のとする。そのほかの食事の負担金や生活療養標準負担という患者負担分について支払 いを受けるものとするということで、療養担当規則で支払いを受けるということが書か れているということでございます。  それから、12ページ以降の通達でございますが、先ほど言った善良なる管理者の注意 義務ということで、通達上どのような解釈が示されているかということについて簡単に 申しますと、13ページのところの、第2の2というところで、「善良な管理者と同一の 注意」というのはどういうものを言うのかということが書いてございます。  これは第2の2の3行目ぐらいからですが、「善管注意義務」というのは、保険医療機 関の開設者という地位にある者に対して要求される程度の注意義務だということで、義 務者の主観的・個人的な事由を考慮して行われるものではなくて、客観的な事情に基づ いて個別に判断されるということが書いてございます。  その後、それでは注意義務を尽くしたと言えない例として、単に払うことを告げるだ けとか、口頭で催促するだけとか、再診のときに催促しないということではだめですよ、 ということが書いてございます。  それから、健保法の方にも、今申しましたような「善管注意義務」に関する知識とし て15ページの第3の1のところに若干出ておりますけれども、注意の内容説明は同じで ありますけれども、第3の1の2段落目で、「善管注意義務」を尽くして、一部負担金の 支払いを求めたことの確認をするということですが、例えば、ということで、内容証明 付郵便により支払い請求を行った等の客観的事実に基づいて行うということが書かれて います。  それから、2のところでありますけれども、次のようなことを書いた請求書を提出し ていただくということになっておりまして、その請求書には「善管注意義務」を尽くし たということを示す書類を添付してくださいということになっております。また、被用 者保険ですので、一般的には住所まで全部把握していませんので、払っていない人の住 所やそういうことも書いていただくというようなことになっております。現行の一部負 担金に関する経緯なり、現行法の整理は今申し上げたようなことになっております。  続きまして資料の5ですけれども、先ほど若干お話が出ておりますけれども、「70歳 未満の入院にかかる高額療養費の現物給付化等に関する資料」ということでありますけ れども、お手元の資料の1ページ目をごらんいただきますと、この4月から70歳未満の 医療機関における入院につきましては、高額療養費を現物給付化する。70歳以上につい ては既に行われていたわけでありますが、この4月から70歳未満についても行われてい るということでございます。  下にございますように、本来患者さんにお支払いする高額療養費を医療機関に直接お 支払いをするようになったということでございます。  そこの例で言いますと、30万を1回払って、後から21万の高額療養費が出ていたも のを、9万だけ医療機関に払えばよくて、後は保険者が高額療養費の分を病院にお支払 いするようになったということでございます。  その次のページでございますけれども、どういうことになるのかということでありま すが、前のページで言いますと、100万円医療費がかかると30万払わなければいけなか ったものが、そこにございますように、普通一般の被保険者の方で、70歳未満の方であ れば、8万100円プラス、医療費の1%という範囲ですので、一般的には8万程度にお さまるようになるということでございます。  先ほどの4病協で実施された調査ですと、入院1件当たり11万ぐらいの未収金になっ ておりますけれども、先ほどの例で言いますと、30万の未収それから安い未収、いろい ろ平均して今は11万ということかと思いますが、そういう意味で言いますと、ならすと 平均8万以下にはなってくるのではないかと思われます。  それから、4ページの「出産育児一時金」についてでありますけれども、これにつき ましては、受取代理ということを現在進めております。先ほど小森委員の方からもお話 がありましたけれども、直接、出産育児一時金を病院にお支払いするということになっ ております。  5ページにその実施状況ということが出ておりますけれども、政府管掌健康保険では 去年の10月から実施をしているということでございますが、健保組合、国保は、今50% 強ということでございますが、今後の実施予定まで入れますと7割、9割というような 状況でございます。  最後に、国保の都道府県別の受取代理の実施状況でございます。これは実際に出産育 児一時金を事前申請しまして、医療機関に代理人のところに記入をしていただいて、医 療機関から直接35万円ほど提供していただくというふうになっておりますので、これは 先ほどから出ておりますが、できるだけ未収金が起こらないようにというということで、 逐次100%になるように進めていきたいと思っております。  以上でございます。  座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました資 料4と5について、さらには、この検討会の進め方も含めて御自由に御意見をいただけ ればと思います。  崎原 特に最後の資料のように、厚生労働省がこういう形できちんと助けていただけ れば未収金の金額も減ると思います。ただ、将来的に、最終的に未収金がなるべく発生 しないように努力していただくに当たって御報告を兼ねてですけれども、1つは、国民 皆保険の中の保険証というものが、非常に我々にとっては難解なものでありまして、写 真がないということで、本当に本人なのかどうかという確認が、昔はそんなことはあり 得なかったわけですね。1枚の保険証の中に家族がいて、特に診療所であれば、家族づ き合いをしているわけですから、それが子どもさんであるのか、だれであるのかという ことは非常に明確でありましたけれども、今のように個人が一人一人保険証を持つよう になって分かれていきますと、それが本人である確認は非常に難しいです。  なお、今、医療機関というのは、診療した後にその保険証が本当に有効であったかと いうのは請求をしてみないとわからないということがあります。すなわち本人さんが退 職された後も保険証を返していないで、それを持って医療機関にかかられた場合は、そ れは全額未収という形になります。  ですので、我々はこれから先、この未収金を減らしていくという検討会を進めていく 中で、保険証のあり方というのも一つぜひ検討していただきたいと思います。写真が入 っているきちっとした身分証明書であるということが最も望ましいわけであって、我々 病院で最もヒヤッとするのは、人の保険証を使って入院されていて、非常に生年月日が 似た様相である場合は、わかりません。  京都においても何回かそういう非常に近いミスというのが報告されています。他人な のにその人の保険証を使って入院治療まで受けていたというようなことが発覚しており ますので、そういうことも含めてぜひ検討していただきたいと思います。  座長 はい、どうぞ。  崎原 今の神田課長の方から御丁寧な法律のことも含めて御説明があったと思うので すけれども、この法的な問題がこの検討会のかなり大きな重要な意味を占めてくるので はないかというように思っております。  今の御説明の中で、善管義務を尽くした後で払わない者に関して、保険者が一部負担 金を減額するとか、支払い免除というようなときに、保険者の方が減額や免除をして、 その額が今度は医療機関の方にはどういうように保障されなければならないのかという 問題がやはり出てくると思います。  ですから、そこいら辺の法律的な不備があるのかもしれませんけれども、ここの検討 会でその免除された金額をどういうような形で医療機関の方に補てんしてくれるかとい うことをまず御討議いただきたいなというように思っております。  それから、それにも関係するわけですけれども、被保険者と医療機関の間の債権とい うような形であるということでございますが、これも今回の資料でお出しした4病協の 討議の中に、弁護士の先生も入っておられまして、その木の元弁護士の報告書が割愛さ れているんですけれども、その弁護士の説によれば、3割の負担する行為は債権譲渡と いうことで、本来は保険者が被保険者から債権として取るものの3割分を債権譲渡した という形であって、その債権が不良債権、払わないということは不良債権ということに なるんですけれども、そういうときには医療機関の方としては、不良債権を再び保険者 の方に補償してもらうということは、これはある程度一般的なものであるという、きょ うは弁護士の先生や法学部の教授の方が来られておりますので、そこら辺のこともお聞 きしたいと思うんですけれども、そういうことは一応可能であるというようなそういう 教えもいただいておりますので、そこら辺のところも今後この検討会で御討議していた だきたいなと思っております。以上です。  座長 ちょっとお尋ねの部分がございましたので、神田課長にまずお答えいただきま す。  神田 免除や減免猶予のときの取り扱いということで、お手元の資料4の条文の44 条のところの、減額、免除、猶予した場合にどうなるのかということでございますけれ ども、法文上はその42条の2項というところでごらんいただきますと、1ページのとこ ろに、保険医療機関は、通常ですと3割や2割や1割の一部負担金をいただくというこ とになっているんですが、44条1項1号の減免ですとか猶予の措置が講じられたときに は、減額のときには、その減額された一部負担金を受ければいいですよ、というふうに なっておりまして、あと、45条の診療報酬のところで、一部負担金を控除した額となっ ておりますので、控除するべきものがない場合には、基本的には保険者がお支払いする ということですので、払えない人については、基本的には保険者の方でお支払いするよ うになっていると。  それから、猶予の場合は、44条の1項3号のところに、窓口で保険医療機関に対する 支払いにかえて、一部負担金を保険者が直接徴収して、徴収を猶予するということにな っていますので、基本的には保険者の方が猶予した場合には取ることになる、となって いますので、その部分は少なくとも医療機関に御負担をおかけするということにはなっ ていないと思います。  座長 多分テクニックの話だと思いますので、ちょっと今日のところはその点につい てのやりとりは御勘弁いただいて、また次回以降、もし御質問があればお願いしたいと 思います。  では、島崎委員、お願いいたします。  島崎 崎原委員のおっしゃった見解については、4病協の報告書に添付されていたの か、あるいは別の雑誌で読んだのかは記憶は定かではありませんけれども、そういう説 があるということは私も承知してます。ただ、きょうはそのことを議論する時間は多分 ないでしょうが、恐らく座長あるいは河上先生も畔柳先生も、さらには私もそのことに ついてはいろいろ意見があるということは、申し上げさせていただきたいと思います。  ところで、先ほどの小森委員の御発言の関係でちょっと教えていただきたいことがあ ります。何を言いたいのかというと、保険者徴収とも関係するので教えていただきたい のですが、先ほどご紹介されました未収金問題についての4病院団体協議会の報告書の 保険別内訳のところですが、保険者が特定できない部分は、どういうふうに検証されて いるのでしょうか。  つまり、一応、国保や社保と区分されたような形になっていますね。例えば、極端な ことを言えば、先ほどあったように、仮の保険証を使ってしまっているという人がいた とします。あるいは、前の保険証を使った人がいて、保険請求がされたとしても、それ は保険者としては払わないですよね。  したがって、これはその基金から、あるいは国保連から突き返されてきますね。そう すると、それは未収になりますよね。  小森 ただ、先生、それは未収にはならないんです。  島崎 そうすると、この4病協の調査報告の中では、その部分は入っていないという ことになるのですか。  山崎 それはこの報告書の21ページのところに表4というのが入っているのですが、 保険別内訳ですが、1年分のこれは保険別内訳なんですね。そうすると、この合計が169 億ですね。左の表で1年分の累積でも218億円になっていますから、ここの間のこの差 の50億というのは統計上分類ができないのですよ。だから、多分その差額の中に入って しまっているのだと思います。  島崎 そうすると、その差額の相当部分は、保険者が特定できない、あるいは、居所 不明も含めて特定できないような人も含めて入っているというふうに理解しておけばよ ろしいということになりますか。  あと、救急がどうなっているかですよね。保険証を持ってこないケースもありますね。  座長 はい、山崎委員。  山崎 この検討会の中で最初に出た話なんですけれども、4病協でやったときに、ア メリカでは未収金が生じないのかねえ、という話をしたんですね。そのときに、そもそ もアメリカでどうして生じないのかというと、救急車が有料ですし、病院に行ったとき に、窓口でお金を持っているか、カードを持ってなければ病院に入れませんし、それと アメリカの場合は応召義務がないんですね。したがって、日本のように応召義務などな いわけですから、病院で患者さんが来ても断れるというのが基本的に違うわけなんです ね。  そこで医師法19条の「応召義務」という応召というのはどういう状態を応召と言うの かというのを、せっかく担当の方が来ているのでお聞きしたいと思います。  小澤 医師法19条におきましては、正当な理由がなければ診療を断ってはならない、 ということで規定をされております。過去にこの正当な理由に該当するかどうかという ことにつきまして、解釈通知は数が少ないのですが、今、簡単に紹介しますと、例えば、 1つは、まずは、医者が疲労しているときに、それで断れるかどうかということにつき ましては、それは断れないという解釈があるのと、それから、これも確か同じ地区に小 児の夜間の診療所があって、そちらの方に行ってくださいと。それについては解釈の中 ではいいけれども、ただ、救急、いわゆる救急に該当するような、患者の状態が重篤な る場合についてはやらなければいけないというふうなことでやっていまして、お金の問 題について、過去にこういったものを出しているかどうかにつきましては今の時点で確 認していないので、次回以降この辺は精査させていただきたいと思います。  ただ、今、アメリカの話で、実は私もアメリカにいたことがありますので申し上げま すと、これは最近変わったかどうかわかりませんが、一般の確かに医療機関へ行きまし たら応召義務はないと言われたのですが、救急、ERにつきましては、これは州によっ ても違うかもしれませんが、あれは確か断れないというふうになっていると思います。  私も住んでいて見たのですが、ERにメディケイドもない患者が集中するという現象 が起きていると記憶しております。  座長 恐縮ですが、予定していた時間が迫っておりますので、今の応召義務の点につ いては事務局の方からもお答えをいただいたように、次回以降もう少し整理をしていた だいて議論をさせていただきたいと思っております。  時間がきましたので、本日の議論はまだいろいろ皆様お話しになりたいとは思います けれども、申しわけありませんが、この辺で終了させていただきたいと思います。  それでは次回以降、その他の点について事務局の方からお話があればお伝えいただき たいと思いますので、よろしくお願いいたします。  事務局 次回以降の日程については、改めて正式に日程調整をした上で御連絡をさせ ていただきたいと考えておりますけれども、委員の方々の御都合ということで、日程が とれますのが金曜日のこの時間帯ということでございますので、金曜日のこの4時の時 間帯を念頭に置いております。  申しわけございませんが、現在の日程の調整状況で言いますと、8月の冒頭ぐらいま で皆さんの日程がとれるところがございませんので、また調整した上で正式に御連絡を させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  座長 1点だけお答えいたしますと、我々学者の方は冬学期になるとまた時間の変更 がありますので、9月まではその時間帯ですが、10月以降はまたどうなるかというのは またちょっと申しわけございませんけれども、調整をしていただきたいと思います。  それでは、きょうの会議はこれで終了させていただきたいと思います。どうもお忙し いところ、長時間にわたりありがとうございました。 (終了) 照会先:保険局国民健康保険課 電 話:03-5253-1111内3254 1