07/05/30 平成19年5月30日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所    平成19年 5月30日(水)  14:00〜 厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(11名)五十音順    飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 庵 原 俊 昭、 上 原 至 雅、     守 殿 貞 夫、 田 村 友 秀、 土 屋 文 人、 早 川 堯 夫、   ○堀 内 龍 也、 前 崎 繁 文、 三 瀬 勝 利、   (注)◎部会長 ○部会長代理      欠席委員(5名)   新 井 洋 由、 岡   慎 一、 竹 内 正 弘、 溝 口 昌 子    山 口 一 成 3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、    森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、    佐 藤 岳 幸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、    坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、    望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、    田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)  別 井 弘 始(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長)  他 4.備  考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会医薬品第二部 会を開催いたします。本日は、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございま す。当部会委員16名のうち11名の委員に御出席いただいております。したがって、定足 数に達しておりますことを御報告申し上げます。本日は、新井委員、岡委員、竹内委員、 溝口委員、山口委員から欠席の御連絡をいただいております。以後の議事進行は池田部会 長にお願いいたします。 ○池田部会長 委員の先生方におかれましては、本日もお忙しいところをお集まりいただ きましてありがとうございます。まず、事務局から配付資料の確認と、資料作成に関与し た委員及び先生方にいろいろ御申告いただいておりますけれども、利益相反に関する申出 状況について報告をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日は、席上に議事次第、座席表、当部会 委員名簿を配付しております。また、議事次第に記載されている資料1〜4についてはあ らかじめお送りさせていただいております。そのほかに資料5「審議品目の薬事分科会に おける取扱い等の案」及び資料6「専門委員リスト」を配付しております。  平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく、資料作成に関与された委員の確認で ありますが、本日の審議事項の議題1「ジェニナック錠」について、前崎先生が関与され ていらっしゃいますので、前崎先生におかれましては、議題1の審議の間は別室で御待機 いただきますようお願いいたします。  また、本年4月23日の薬事分科会申合せに基づく利益相反に関する申出については、 議題1「ジェニナック錠」については、退室委員はいらっしゃいません。議決には参加し ない委員は前崎委員です。議題2「ベセルナクリーム5%」については、退室委員、議決 には参加しない委員ともにいらっしゃいません。以上です。 ○池田部会長 本日は議事次第にありますように、審議事項が2議題、報告事項が2議題 となっております。議題1に入ります。前崎先生は、本議題が終了するまで別室へお願い いたします。 ── 前崎委員退室 ── ○池田部会長 議題1について、機構から概要の説明をお願いいたします。 ○機構 議題1、資料番号1、医薬品ジェニナック錠200mgの生物由来製品及び特定生物 由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指 定の要否について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  ガレノキサシンは、富山化学工業株式会社にて創製されましたピリドンカルボン酸系合 成抗菌薬であり、フルオロキノロン系抗菌薬に必須とされていた6位のフッ素置換基がな い化学構造を有することで、抗菌活性の増強並びに安全性の向上を目的として開発された 薬剤でございます。本剤の専門委員といたしましては、資料6にございますとおり、大石 委員ほか8名を指名し、御意見を賜りました。  本剤の開発につきましては、海外・国内並行して実施がなされておりますが、本剤の本 邦における審査におきましては、国内臨床試験成績を基に審査を行っております。国内臨 床試験につきましては、第I相試験が1999年から開始され、その後第II相、第III相と開 発が進められております。  機構は、提出された国内臨床試験成績に基づき審査を行いました結果、レボフロキサシ ンを対象とした比較臨床試験や、そのほか一般臨床試験の成績から、本剤の有効性は確認 されているものと判断いたしました。安全性についても、承認にかかわる大きな問題はな いと判断いたしました。  また、本剤はMPC(mutation prevention concentration)も加味した、PK/PDの観 点から用法・用量の設定が行われた薬剤であり、有効性のみならず、耐性菌発現抑制とい う観点からも有用である可能性があるとも判断いたしております。  しかしながら、本剤についてはキノロン系薬に共通の血圧低下、そしてまた本剤特有の 色素沈着なども報告されておりますことから、医療従事者のみならず、患者に対しても注 意喚起を行った上で使用していくことが重要だと思っております。したがって、安全性に ついては引き続き情報を収集し、適宜評価を行っていくことが重要であると考えておりま す。  具体的な方策といたしましては、審査報告書の72ページの「製造販売後調査等につい て」の項に記載いたしましたとおり、本剤は経口剤であることから、医療機関の外での使 用がほとんどであると考えております。したがって、医療従事者向けの情報提供のみなら ず、副作用が発現した際にいち早く検出すべく、患者向けの情報提供資材を作成すること が重要であると考えております。また、それらに加えて情報を収集すべき事項といたしま しては、73ページに箇条書きとして挙げたような項目について情報を収集していくこと、 またそれを評価していくことが重要であると考えております。  特に、色素沈着については、臨床・非臨床とも得られている情報は限られていること、 また組織学的な検討がなされているものの、機能に及ぼす影響は不明であることから、臨 床のみならず非臨床においても引き続き詳細な情報収集を実施していくことが重要であ ると考えております。この点につきまして、機構は申請者に指示を行い、申請者もこれを 受け、現在実際どのような非臨床試験を行っていくかについて計画中です。  機構は、以上のような審査を行いました結果、本剤を審査報告書の2ページにございま すとおりの効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。なお、 再審査期間は8年、原体は劇薬に該当するものの、製剤は毒薬及び劇薬には該当せず、生 物由来製品又は特定生物由来製品にも該当しないと判断しております。  薬事分科会では報告を予定しております。よろしく御審議の程お願い申し上げます。 ○池田部会長 それでは、早速委員の先生方から御質問、御意見を伺います。新しいニュ ーキノロンということです。主に上気道感染に適応があるということですがいかがでしょ うか。 ○堀内部会長代理 有効性の高い薬かと思うのですけれども、これはMRSAについて は、申請者の方はMRSAと入っているのですが、そこは外してある。ところが、添付文 書を見ると何だかよく分からない。MRSAのことも書いてあるのだけれども、どうなの かよく分からない。これは、実際に使用する現場だとどうしたらいいかと。特に、これは 保険との兼ね合いが出くることになると、MRSAにもしこれを使ったら適応として何か 査定されるのか分からない、というような気がするのですがその辺についてはいかがでし ょうか。 ○機構 MRSAについては、私どもは本剤に感性のブドウ球菌属の中で読んでいただく ことを考えております。と申しますのは、MRSAに対する抗菌力自体は、非臨床試験の 成績等から見て効果が期待できるものとは考えております。しかしながら、MRSA感染 症を対象とした臨床試験というのは特に実施されておりませんでした。したがって、特に MRSAを適応菌種のところに別記する、すなわちブドウ球菌属に含めずに別記するだけ のエビデンスは得られていないと考えております。しかしながら、感性の範囲で読めるM RSAについては使用していただいて差し支えないと考えております。  そう申しますと、ペニシリン耐性肺炎球菌はいかに、という御質問を受けそうなので先 にお話を申し上げますと、そこにつきましては、PRSPを対象とした臨床試験をやって おりまして、そこで有効性が確認されていることから、肺炎球菌とは別に記載することが 妥当だと私どもは判断し、このような書き分けをしている次第です。 ○堀内部会長代理 分からなくはないのですけれども、それは審査する方の立場というこ とだろうと思うのです。実際にそれを使う現場では、そういうことをあまり知らないで使 うわけで、どうしたらいいのかということになってしまう。それから、特に保険を査定す る人たちはもっと素人集団であるということになるわけです。素人の人たちがそれを評価 するわけですから、ここでもってやるのか、また違う通知みたいなものを出すかは別とし て、はっきりさせていただかないと混乱を生ずるのではないかと思います。  ただ、添付文書が基本ですので、MRSAについてどのぐらいの濃度で云々という議論 はしているのですけれども、適応菌種のところには入っていないということですので、添 付文書の書き様を、もう少し分かりやすく表現をしていただければ大変ありがたいと思い ますが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 非常にプラクティカルには大事なことかと思いますが、いかがでしょう か。 ○機構 御指摘ありがとうございます。現場の先生方が混乱しないような情報提供をする ようにしていきたいと思います。 ○池田部会長 確かにMRSAは、ここに菌種別の菌消失率が一応書いてありますけれど も、それをどういうふうに位置づけるかということも含め、適切に記載するということで、 その記載がある程度必要だというのが先生の御意見ですね。ありがとうございます。 ○守殿委員 堀内委員が言われた、MRSA等の絡みからとかどういう理由か分かりかね ますが、開発の過程で、外国で商品化する過程において、その商品化上の理由とか、その 辺のことで二社が途中でやめていますよね。その辺について、ヨーロッパでの評価はどの 点で低く、ただ単に会社の事情によるのかその辺を教えてください。 ○池田部会長 ヨーロッパでは、審査中ということでしたね。 ○審査第一部長 はい。Schering-Plough Corporationが海外では開発企業になっており ますが、欧州におきましては欧州医薬品庁の方に現在申請中です。米国につきましては、 合併等の関係で、競合品が発生してしまった関係で、取捨選択してこっちを捨てた、とい う商業上の理由ということでした。  ただ、少なくとも我が国の、本品の承認審査に当たっては、海外で提出されたデータに 関しても、見た限りにおいては安全性・有効性の観点から問題になるようなデータという のはこの中からは見られておりません。アメリカの場合には、あくまでも商業上の理由と いうことで申請者の方からそういう回答が来ております。回答ベースではありますが、そ の回答についてはおおよそ妥当な状況ではないかと我々としては判断しております。 ○庵原委員 この薬剤の吸収のことなのですけれども、ラットの実験で、雌と雄とで吸収 率が異なっているデータが載っているのですが、人間ではこういう現象は起こらなかった と解釈してよろしいのですか。 ○機構 動態の試験ということでは、性差の確認は特になされていなかったと思います。 ○庵原委員 17ページのところです。 ○機構 確かに先生がおっしゃられました、非臨床試験のところにおいては、性差が認め られるような結果が得られております。臨床試験の方では、動態の試験という厳密なもの ではないのですが、有効性・安全性のところでも性差というものは特に認められていない ということです。特段大きな問題にはならないだろうと現状では考えております。 ○庵原委員 人において男女差による血漿中濃度測定のデータはないわけですか。 ○機構 はい、ありません。 ○庵原委員 ないけれども、臨床データで有効性・安全性に変わりはないから、たぶん男 女差の血中濃度は同じように上がっているだろうという推測ですね。 ○機構 はい、そうです。 ○池田部会長 イヌ及びサルでは差がないということは、雄雌で差がないということでは なくて、この次の文章はどうなのですか。雌では雄に比べて血漿中、これはラットですよ ね。イヌ及びサルでは血漿中に性差は認めなかったということは、この動物種では差がな いということですか。 ○機構 はい。ほかの動物種では差が認められておりませんで、そちらのところは審査の 過程でもディスカッションは行っております。最終的な結論として、審査報告書の29ペ ージ辺りを見ていただくといちばん良いかと思います。29ページの「母集団薬物動態解 析法による解析」のところで、こちらで一応検討を行い、直接的なデータというよりも、 母集団解析のところではありますが、性差ではなくて体重差、結局女性の方が軽い方が多 くて、分布容積が小さいので、それが影響したというものではないか。すなわち、男性で も小柄な方だと同じような状況になり得るのではないか、という解析結果という形になっ ております。 ○飯沼委員 本質的な問題ではありませんが、名前がなんとかならないか。ジェニナック というのは、少し違うとジェネリックになってしまうのです。これは、富山化学に言った 方がいいのかもしれないけれども。 ○審査管理課長 せっかくの御指摘でございますから、富山化学に伝えたいと思います。 承認の可否という意味では、それはそれで差し支えないのだろうと思っております。 ○守殿委員 添付文書の4ページです。腎機能障害時の血中濃度のところで、正常者と対 しての表で、下の、透析を必要としない、あるいは血液透析、腹膜灌流、いずれもこのC maxが低いのはやはり患者の全身的な、例えば肝障害が皆さんにあるとか、そのような要 因でCmaxが低くなっているのでしょうか。この表だけを見ますと、どうしてかというこ とになるのですがいかがでしょうか。 ○機構 私どもも、そこのところは腎機能障害のある方だと曝露が大きくなるのであれば 理解しやすいのですが、こういう結果になっていて、それが一体どういうわけなのかとい うのが気になったところです。  今、守殿先生がおっしゃられたようなファクターが、何か特定できるかどうかというと ころを検討したのですが、詳細はよく分かりませんでした。実際に出てきた数字がこうい う形であったということになっております。 ○守殿委員 特定できなければ、これは掲載する必要があるというか、混乱するといいま すか、載せる必要があるのでしたら何かそういう説明がないと困るなと。 ○機構 一応説明としては、数値としてはこういうものになっていて、結論としては軽度 から中等度までの方であれば、特に用量調節の必要はないということを添付文書に記載し ております。重度の方だけは、やはり半量にするなりの調節をしていただきたいという、 アウトプットとしてはそういう形になっております。 ○守殿委員 むしろ高くなっている方が自然な感じで受け止められるのですけれども、低 ければ高用量使おうかという発想が出てくると困ると思います。単純な評価です。 ○機構 確かにおっしゃられるとおりですが、ただCmaxの方はそうなのですけれども、 AUCの方は大きくなってきますので。 ○守殿委員 AUCで、Cmaxのような血中濃度の高さなど、その辺は必要ないならとい う、そこまで考えてくれる人はいいのですけれども、そういうことです。 ○堀内部会長代理 これでかなり有効性があって、ペニシリン耐性の肺炎球菌だとか、M RSAにもある程度効くということの、キノロン系の薬物ということなのですが、そうし ますと、これはかなり使われる可能性があります。こういうキノロン系の場合には副作用 の問題があるのですが、これで見ますとあまり重篤な副作用はないかのごとく、違うもの と比べてあまり差がない、重篤なものはないというような感じに受け取れるのですが、本 当にそれでいいかどうかというのが一点です。  それから、耐性菌についてですが、審査報告書の記載では、他のものとほとんど相違が ない、耐性菌の現れ方は同等であるということが記載されています。そうすると、かなり の頻度でこれが使われる可能性があると思うのですが、その辺のことについては本当に注 意する点はないのでしょうか。 ○機構 まず副作用の方から、安全性の方からお話申し上げます。少なくとも、今提出さ れている臨床試験の成績、これは海外も含めてですが、そちらから判断する限りは重篤な もの等はないと考えております。しかしながら、そうかといって副作用について注意が必 要でないかというとそうではなく、先ほど申し上げましたけれども、ほかのキノロンでは 認められなかった色素沈着というような新しいものが認められていたり、また、ほかのキ ノロンと共通の血圧の低下ですとか、耐糖能異常といったようなものも認められておりま すので、それらについては十分な注意喚起を行っていくことが必要であると考えておりま す。  先ほど少し御紹介したと思いますけれども、外来で使われる薬だと思いますので、これ らを患者に気をつけていただくために、具体的に耐糖能異常、血糖異常が起こったときの 症状、例えば発汗だとか手足の震え、多飲だとか、そういう症状を書いて、こういうもの が起こったときには、医療機関にすぐ連絡をしてください、といったようなくすりのしお りのようなものを配ったりして、いち早く検出する、またそれらについて情報収集して分 析等をしていくことを予定しております。  耐性菌については、少なくとも開発の段階では先ほど御紹介したとおり、MPCを考慮 した用法・用量の設定がなされている薬剤ではありますが、ただ、それが広くたくさん使 われていくと、また経年的に使われていくと、どのように変化していくかというのは現状 未知というのが、データがないというのが事実だと思います。ですから、そこのところに ついても感受性を定期的にチェックするなどの指導を申請者にしております。 ○堀内部会長代理 添付文書を見ますとその辺の表現が、要するにこれだけ見ると何の問 題もない薬であると、少し強調しすぎているかもしれませんけれども、そういうニュアン スに取れるのです。問題点は、例えば耐性菌の問題についても、我々現場ではいかにして 耐性菌を出さないようにするかが極めて重要でありまして、例えば我々の所では、第四世 代とか、セフェム系等の抗生物質についても出てくると私が全部チェックして、それで疑 義があればそれをフィードバックしてから出していくぐらいのことをやっているわけで す。これだけ見ると、あまり問題のない薬だからチェックする必要もない、どうぞ自由に お使いください、ということになりかねないような気がするのですけれども、いかがでし ょうか。 ○機構 確かに耐性菌という観点からは、今、先生がおっしゃられたようなことは大変重 要だと思っております。ただ、私どもはこの薬剤の添付文書を組む上で、例えば既存の類 薬等の添付文書等も横に並べて確認をしながら、既存のものに対して特に強く注意をしな ければならないところは何か、といったような観点からも検討をいたしました。ですから、 クラスエフェクトとして共通の部分等については、同じように記載をしている次第です。  先ほど申し上げました、この薬剤に特徴的な色素沈着のところですが、こちらは今非臨 床試験の成績では確認ができているのですが、臨床試験においては国内外ともその事実 が、すなわち色素沈着があったという事実がありませんでした。そちらについては、臨床 ではどうなのか、非臨床のところでも比較的大動物、イヌというようなところでしか認め られていないので、ヒトで起こるのか起こらないのか、起こっているけれども検出できて いないだけなのか、そこが今は分からない。そこについては注意深く観察をして、今後の 情報等を集積しながらいち早く添付文書にそれを反映させる必要があるのかどうか評価 をしていきたいと考えております。  したがって、現在製造販売後調査として、3,000例規模の調査を考えておりますが、そ れもだらだらと長年をかけてやるということではなくて、承認の早い時期に情報を収集し て、何か添付文書を変えていく必要はないかということを議論していきたいと考えており ます。 ○池田部会長 今の色素沈着のことですけれども、添付文書のその他の注意には「(2) 動物実験(マウス、ラット、イヌ及びカニクイザル)において、赤紫又は紫色の可逆性着色 が口腔粘膜、眼瞼結膜、皮膚、胃などの器管及び組織で認められている」とあります。今 の時点ではこれだけが書かれていて、これが何を意味するのかが分からないから、一応書 いておいて、市販後に調べようということになるわけですね。 ○機構 はい。現状につきましてはそのようになっております。ただ、それで私どももよ しと考えているわけではなく、例えば非臨床試験においても、その染まった組織が本来の 機能を維持しているのか否かといった検討等がなされておりませんでしたので、そういっ た機能に及ぼす影響等を、速やかに検討するように指示している次第です。また組織につ いても、今のところ光顕レベルまでですので、電顕レベルの検索なども行うように指示し ているところです。 ○池田部会長 おそらく皮膚とか口腔粘膜とか、見えるところは可逆性というのを確認し ていると思うのです。胃の辺りの色素沈着なり、あるいはそれが本当にどうなっているの かというのはあまり確認できていないのではないかという気がするので、その辺を早い時 期に確認するようなことが必要なのではないかと思います。 ○機構 御指摘ありがとうございます。今後実施する、まずは非臨床試験のところで、そ ういう点についても確認するように指示したいと思います。 ○土屋委員 参考に教えていただきたいのですけれども、この薬剤はアステラスが販売と いうことで、富山化学は販売をしないということなのでしょうか。販売提携というのは最 近製販のあれで。 ○機構 富山化学自体は開発で、販売には今のところ加わる予定はないと聞いておりま す。 ○土屋委員 大正富山も、要するにこれは販売が二社から行われるのか。実は、シートが 全部のマークを入れているので、今まではあまりこういうのはなかったものですから。 ○機構 大正の方は、途中から共同開発になっておりまして、富山化学側は、自らは販売 しないというのは確認しております。大正の方がどうするか、というのは確認できており ませんので、確認するとともに、おそらくマークを見て問合せ先を決めるといったような ことがなされていると思いますので、現場の混乱が生じないような包装にするように指示 したいと思います。 ○池田部会長 ニューキノロンもそれなりに意味のあるニューキノロンだということで、 いくつか解決すべき問題、あるいは市販後にきちんと調査をしなければいけないものも御 指摘いただきました。  本日は、議決には皆さん加わっていいということですけれども、これからは利益相反の ことで、審議には参加していただくけれども議決には加わらないという場合がありますの で、審議をした後に、一応議決という格好でお願いしようということで議決をしていただ きたいと思いますが、議決権のある先生方、オブジェクション等ございますでしょうか。 もしないようでしたら、本剤の承認を可とさせていただいて、薬事分科会に報告するとい うことにさせていただきます。どうもありがとうございました。 ── 前崎委員入室 ── ○池田部会長 それでは、議題2に入ります。ベセルナクリーム5%の製造販売承認の可 否について、機構から説明をお願いいたします。 ○機構 議題2、資料番号2、医薬品ベセルナクリーム5%の生物由来製品及び特定生物 由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指 定の要否について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  本剤の有効成分でございますイミキモドは、米国3M社によって見出された imidazoquinoline誘導体であり、IFN-αをはじめとする各種サイトカインの産生を促 進し、免疫応答を賦活化することにより、ウイルス感染症に伴う適応症に対して効果を発 揮する化合物として開発されております。  本剤は、米国で「外性器又は肛門周囲の疣贅/尖圭コンジローマ」を適応症として、1997 年に承認されております。それ以降2007年2月現在、欧州、米国など海外75か国で承認 に至っております。本剤の専門委員といたしましては、資料6にございますとおり、守殿 委員ほか9名を指名し、御意見を賜りました。  現在、本邦においては尖圭コンジローマに対する治療薬は承認されておらず、外科的療 法、具体的に申しますと凍結療法とか外科的切除などによる病変の除去が治療の中心とさ れております。昨今、尖圭コンジローマの国内患者数が増加していることから、有用な治 療薬の開発が望まれており、今般この薬剤が尖圭コンジローマの治療薬として開発申請さ れるに至ったとされております。  本邦での開発に際しましては、4本の国内臨床試験が実施され、その成績が申請資料に 添付して提出されております。機構は提出された資料に基づいて審査を行いました結果、 外性器又は肛門周囲に発症した尖圭コンジローマに対する本剤の有効性は確認できたと 判断いたしました。  安全性については、承認にかかわる大きな問題はないと判断するものの、びらんなどの 局所反応が認められておりますことから、医療従事者及び患者に対して注意喚起を行い、 その発生を最小限にとどめるとともに、更なる情報収集を実施することが重要であると考 えております。  また、本剤は本邦初の尖圭コンジローマ治療薬であり、既存の治療法である外科的療法 との使い分けなどについては、製造販売後に情報を収集し、必要に応じ適宜医療現場に情 報提供していくことが重要であると考えております。  機構は、以上のような審査を行いました結果、本剤を審査報告書の2ページにございま す、効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。なお、再審 査期間は8年、原体は毒薬に該当するものの、製剤は毒薬及び劇薬には該当せず、生物由 来製品又は特定生物由来製品にも該当しないと判断いたしております。  薬事分科会では審議を予定しております。よろしく御審議の程をお願い申し上げます。 ○池田部会長 本日御欠席の溝口委員よりコメントが送付されているということですの で、事務局から紹介していただきます。 ○事務局 それでは、溝口委員からいただきましたコメントについて御報告させていただ きます。「尖圭コンジローマは性感染症であり難治性で、AIDSなど免疫不全のある患 者での治療は特に難渋いたします。また尖圭コンジローマを含むhuman papilloma virus(HPV)感染症は自然治癒もあり、HPV感染症に使用する薬剤はプラシーボとの 二重盲検法で有意差が出にくい傾向があります。  従来の外科的治療法(電気凝固、CO2レーザー、切除)は、いずれも再発率が20〜30% と高く、ショックの可能性もある局所麻酔剤を使用する必要があります。また液体窒素に よる冷凍療法は有効性が十分でなく、激しい疼痛があります。本剤は完全治癒率も対照よ り30%以上の差があり、再発率も少ない優れたものです。副作用も容認できる範囲と考 えます。患者が自分で塗布して治療できることも、利便性からも外科的治療法より優れて いると考えます。以上の理由から本剤の承認を是非お願いしたく存じます。  ただし、尖圭コンジローマは陰部に生じやすいHPV感染症であり、発癌のリスクのあ るボーエン様丘疹症及び梅毒の扁平コンジローマとの鑑別が難しく、本剤は皮膚科専門医 の正しい診断の上使用すべきものと考えます。」以上です。 ○池田部会長 溝口委員からの御意見を読んでいただきましたが、それも踏まえて先生方 から御質問をお願いいたします。守殿先生、専門協議のことも含めてコメントをいただけ ますか。 ○守殿委員 特別な発言はありませんが、本疾患は自然治癒ということがありますので、 有効性では60何パーセントという数値ですが、いくらかはマイナスした有効性という形 で理解していただいたらと思います。溝口先生のコメントですが、実際に臨床では、婦人 科、泌尿器科へ来られる方が多いものですから、皮膚科だけという形になると少し困りま す。 ○池田部会長 そのように思います。男性だったらおそらく泌尿器科に行かれますね。 ○守殿委員 コンジローマの大きいもので、陰茎の癌と間違うような症状もときどきあり ます。 ○池田部会長 それでは、委員の先生方はいかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 これは、IFN-αの産生を促進して免疫力を上げようということだ と思います。したがって、長く使っているとその効果が少なくなってくるということから、 最大16週間という設定をされたのかもしれませんが、添付文書でも最大16週間という形 になっていますが、16週間以降でも改善されている例は報告されていると思います。そ れにもかかわらず16週間と限定をされているわけです。これは、「原則として」とか何 か、16週間以降でも必要に応じて使えるというようなことが何らかの形で表現はできな いのでしょうか。 ○機構 そこのところの議論につきましては、審査報告書の71ページに記載があります とおり、私どもも審査の過程で議論を行いました。16週間といたしましたのは、ほとん どの海外の臨床試験も含め、16週間でその有効性が確認されており、その16週間投与で 60数パーセントという有効率が得られていること。  しかしながら、16週間を超えた投与の成績もあります。それらの中で、正しい解析か どうか分かりませんけれども、その後有効率が上がっていっているようなデータも認めら れているというところで、16週で切ることが必須とは考えておりません。ただ、今のと ころ安全性がきちんと確認されているのは16週までということですので、推奨できる投 与期間としては16週ということを考えております。しかしながら、現在調査データはな いので、その後何か新しい試験成績等が出てきて、16週以降の投与を推奨するようなデ ータが出た場合には、それらを否定するものではないとは考えております。 ○堀内部会長代理 これは、最大16週間という表現になっていると、16週間以上は使え ないということを意味するだろうと思いますので、「推奨する」とか、「原則」とかそう いう表現に変えていただけませんでしょうか。 ○機構 ありがとうございます。「原則」などの言葉を加えるようにさせていただきたい と思います。 ○前崎委員 安全性について少しお尋ねします。審査報告書で、最初は水洗のみで使用し た後、洗浄するとなっていて、後で石鹸でということになっているようです。そのような 処置をしないと残留するといいますか、皮膚に残るものなのでしょうか。 ○機構 当初水洗で、ということで申請者は記載してきたのですが、製剤見本を実際にい ただきまして、私どもが手に塗ってみて、水洗だけしたところ、やはりクリームの残存感 が残る状態でした。専門協議の際にも先生方にお配りし、先生方の中にも実際に手に塗っ た方もおられました。そのときの御意見からも、やはり水洗だけではきちんと落ちていな い、落とす必要があるのであれば、石鹸できちんと洗い流すべきだということで、やはり 油脂成分が残るのは適切ではないだろうということで、石鹸というのを入れた次第です。 ○前崎委員 プラクティカルに本当に石鹸で洗うという行為を、実際に使用する人が本当 にするかどうかというのは難しいところなのですけれども、その辺はきちんと指導すると いうことになるのでしょうか。 ○機構 この薬の使い方が大変難しいですので、塗って一定時間後に洗い流して、それも 毎日ではなくて週3日、1日置きに曜日でも決めてやるということになると思いますが、 それを本当に守っていただけるか、それが守られなかったときにはどういう形になってし まうのかというのを、私どもも大変心配しております。治験ではそのとおりきちんとやら れたので、この有効率、この副作用発現率、有害事象発現率だと思うのです。  今の段階で私どもが考えておりますのは、患者にもその使い方の絵などを用いて分かり やすくインプレッションがあるような形で、情報提供資材を作っていくということを考え ております。医療従事者にはその理由等もいろいろ含め、説明するときに使えるような資 材の提供というものを会社に求めているところです。 ○前崎委員 正常なセックスパートナーの膣の粘膜であるとか、そういうところに対する 安全性、あるいは毒性そのほかはいかがなのでしょうか。実際には性的アクティビティの 高い方に発症しますので、どうしてもセックスパートナーのことも考えないと、安全性は そこまで考える必要があると思いますが、その辺いかがなのでしょうか。 ○機構 この薬剤は刺激性がありまして、膣口ですとか尿道口の辺りに付きますと、腫脹 などが起こることが分かっております。添付文書の方にも、この薬剤を付けたまま性行為 等は行わないことということは書いております。この点につきましては、添付文書のみな らず、患者の情報提供資材についても記載することにいたしております。 ○庵原委員 in vitroのデータでも結構なのですが、この薬はランゲルハンス細胞を刺 激して、IL-12を刺激して、それからIFNを出し、それによりウイルス増殖を抑える ことによって効果があるというメカニズムと解釈してよろしいのですか。そうした場合 に、in vitroのデータで、刺激してIL-12がピークに達する時間というのは分かってい るのですか。逆に言いますと、塗布時間を決定しようと思うと、IL-12ないしはIFN がピークになる時間までは塗布する必要があるだろうということになるかと思うのです。 ○機構 薬理試験においては、IL-12などの測定も行っております。経時的なデータが あったかどうかについては今、手元に資料がないので、経時的な効果について測定されて いるかどうかというのは、確認した上でまた改めて先生にお答えしたいと思います。 ○土屋委員 また本体ではなくて包装の件です。今回、第一と第二と両方で出てきたので、 こういう単包化というものが今後出てくると思うのですが、その場合の注意喚起の仕方 で、包装の印刷は結構考えなければいけないのかと思うのです。例えばこれで言えば、エ ビデンスがなくてあれですけれども、勘で言えば切り口ということをわざわざここまでは っきりと「切り口」というふうに表示されるのであるならば、その切り取られてしまう上 の部分に「塗り薬」とか、そのようなことをはっきりと、もっと大きな文字で書いておく。 ここはしわしわになるので、熱でやられるので、たくさんの文字数を書くことはできない と思いますので、むしろそこに塗り薬というようなことをはっきりと書く。外用剤という のはいろいろな使い方があるものですから、この間に何も書いてなくて飲まないこととい うよりは、外用剤ですと書いてあるのは一歩前進かと思いますが、そうではなくて正しい 使い方を書いた上で注意をするということからいくと、これを見ると下がかなりごちゃご ちゃしています。しかもこのプラマークというのは、この大きさを変えることができない という法律上の規定があるものですからしようがないと思うのですが、そうすると空いて いるところをうまく使いながら注意喚起をしていく。  先ほど、患者向けの書類がいろいろ出るというようなことも聞いておりますので、そう いうところには十分大きく、保存の小児に対する注意とか、そういうことをきちんと書く ような文書を一緒に付けていただく。もし、ここで表現しようと思うのだったら、この上 の何もないところを、切るときにちょうどそこに目がいくということからいくと、そうい う最後の注意喚起という意味では、そこに表示をするというやり方もあるのかと思いま す。 ○機構 御指摘ありがとうございます。そのように指示したいと思います。 ○池田部会長 これは自然治癒があって、臨床試験では基剤でも結構消失率があるという ことです。ただ、5%製剤だと有意差があるということだったのですが、44ページの上 を見ると、女性の方はほとんど有意差が付かないのですけれども、これは何か理由がある のでしょうか。全症例で見ると確かに有意差が付いて、男性も確かに差があるのですけれ ども、女性の方にあまりその差がないというデータになっているのですが、この辺の議論 はどうなっているのでしょうか。 ○機構 その点は私どもも大変気になりまして、大きな議論が行われた一つの点です。審 査報告書では、53ページからその議論の内容を記載しております。こちらの方で、いろ いろな側面から検討を行いました。そこに記載がありますとおり、罹病期間ですとか、疣 贅面積の相違とか、いろいろ検討を行って、結論といたしましては90超えの疣贅の面積、 減少率が90超え100%未満の区分の例数が多かったことがその原因だと申請者は述べて いるのですが、この点についてはなかなか了承し難いところです。  やはり有病期間とかそういったこと、あとは女性の方が、例えば粘膜に近いような、吸 収率が高かったりする可能性などもあるのではないかと考えておりますが、その確証がつ かめるには至っていないというのが事実です。 ○池田部会長 基本的には女性でも効果があるだろうということですかね。 ○機構 そのように考えております。 ○堀内部会長代理 これを皮膚に塗った場合に、血中に未変化体が出てくるという話があ ります。そうしますと、違う部位のIFNだとか、いろいろなサイトカインも含めて産生 を促進するというようなことは起こっていない、起こる可能性はないのでしょうか。副作 用になるのかどうか分かりませんけれども、そういうことはどうなのでしょうか。 ○機構 結論から申し上げますと、有害事象としては、塗布部位だけではなくて、インフ ルエンザ症状だとか、鼻炎症状といった、他の部位の有害事象も認められております。た だ、それが今、先生がおっしゃられたように生体内でサイトカイン等が活性化なりされて 起こった障害なのか、それとも、例えば鼻症状とか鼻炎症状というのは、もしかしたら塗 布した手に残っていたものが付いてしまったりした可能性などいろいろ考えられまして、 実際本当に生体内でサイトカインが刺激されて起こったものなのかどうかというのは明 確にはなっていないのが実情です。  ただ、今のところ国内外の臨床試験を見ましても、特に大きな問題となるようなサイト カインに起因すると思われるような有害事象は認められていないので、この薬剤の承認の 可否に際しては大きな問題はないと判断しております。 ○池田部会長 先ほどのセックスパートナーへの影響ということなのですけれども、適用 上の注意の「その他」に、コンドームがこの薬剤の基剤によって品質が劣化して破損する という可能性があるというような記載がありますので、例えば男性がこの薬剤を塗って、 洗いを十分にしないでコンドームを使用した場合に、そのコンドームがあまり機能しない ということもあって、実際問題として性感染症がほかのことも含めてあるのではないかと いう危惧があると思いますが、この辺はどうでしょうか。コンドームの使用ということに ついて、この薬剤とは関係ないのですけれども、現実問題、現場で起こることというのは そういうことではないかと思うのです。 ○機構 この点につきましては、情報をきちんと提供する患者向けの資材にも書く予定で はおります。 ○事務局 補足ですけれども、コンドームの方に何らかのそういう注意喚起がなされてい ないかということを調べました。コンドームについては医療機器ですけれども、JIS基 準が定められておりまして、それに適合したものが流通を認められるというものです。  そのJIS基準の中を確認しましたが、現状では他の潤滑剤を用いる場合には、その特 性を確認して使うようにといった注意喚起がなされておりますけれども、薬剤に関しては そのような注意喚起は特段今のところはございません。 ○池田部会長 守殿委員、この辺はどうなのですか、あまり大きな問題にはならないです か。 ○守殿委員 あまり大きな問題ではないと思います。女性の場合は、粘膜的な尿道とか膣 周辺部等、膣を含めて粘膜的な形になりますので、こういう薬剤はよく刺激されやすいと いう素地があります。男性の包茎の場合には亀頭部の皮膚が弱くて、吸収性等については 包茎でない人たちに比べると吸収がいいと思いますので、余計周辺の合併症などが起こり やすいという形になってきますので、その点の注意が必要だということです。  塗布した後、トイレに行く度に洗浄するとか、そのような形のことも人によって心掛け れば、だいぶそういう副作用は少なくなると思います。ウォッシャブルというのでしょう か、ああいうトイレを使っている人には、それを積極的に勧めるようにした方がいいと思 います。 ○堀内部会長代理 塗ってから6〜10時間で洗うということなのですけれども、最初の ころの薬物動態は20時間まで見ているのですが、一日中付けているのではなくて、6〜 10時間というのはどういう意味があるのでしょうか。先ほどのサイトカインの合成等を 考えれば、ずっと付いていた方が効果は上がるのではないかと、素人的にはそういうこと を思うのですがいかがでしょうか。 ○守殿委員 一つは副作用のこともあるのでしょう。これは、局所の細胞の中でのサイト カインの上昇と、それから全身に吸収されての何らかのサイトカインへの産生と両方ある と思うのです。局所においては6時間ぐらいで十分効果が現れて、局所の細胞内には吸収 されるだろう、あとは周辺への副作用等を考えて洗い流す、というのが基本になっている のではないかと思います。 ○機構 守殿先生、ありがとうございます。今、守殿先生がおっしゃられたとおりでして、 1.8のタグの10ページの上の段のところで、結論という項の上のところを御覧いただき ますと、何日間隔、連日で塗るのか、週3回で塗るのか、また時間等はどうなのだといっ たことを比較検討すると、あまり塗っている時間が長すぎると有害事象がどんどん増えて きてしまうというところで、有害事象と有効率の兼ね合いでこの用法・用量といいますか、 週3日のこの時間とするのが適切だろうという判断に至っております。 ○堀内部会長代理 それは、添付文書には6〜10時間ということしか書いていないので すけれども、その理由を少し分かりやすく記載をした方が実効率が上がるのではないかと 思います。 ○機構 はい、かしこまりました、そのように努めたいと思います。 ○三瀬委員 パピローマウイルスによる子宮頸癌で亡くなる人が、日本には二千数百人い るわけです。そういう人の場合、16型とか18型とか31型とか、そういう悪性腫瘍を引 き起こすような型による性器のイボの場合、この薬に頼るだけでなくて、外科的手術を要 するときもあると思うのです。これだけではなくて、外科的手術が必要であるというよう なことを添付文書に書く必要はないかどうかということをお聞きしたいのです。 ○池田部会長 そうですね、これはおそらく治療ガイドライン等にも関係してくることか と思いますので、守殿先生から御意見をいただけますか。 ○守殿委員 一般的に安全を図るとすれば16週という区切りがあります。それで治らな い症例はバイオプシーをして、悪性的なものはないかどうか確認して、腫瘍面積が、コン ジローマの面積が減少傾向にあれば、良性コンジローマと確実に診断されれば、さらに薬 を続けるとか、腫瘍の疑いがあるものは直ちに外科的処置をするとか、それは医者本人の 裁量といいますか、考え方によります。無難な使い方としてはそうかと思いますが、それ を添付文書に書くかどうか、その辺は私には分かりません。 ○池田部会長 診断そのものは、臨床試験の場合には組織診をして、診断をしてから使っ ているわけですね。 ○守殿委員 一般的には、最初の診断時に採用する先生が多いかと思います。 ○池田部会長 そうですね、ただ日常臨床ではすべての先生がそれをやるということはな いということですね。 ○守殿委員 そうですね。 ○池田部会長 例えば、これを許可すると、一般の開業の先生方で、そういう領域で仕事 をされている方たちが使うことが多くなるのではないかと思って、大きな病院とか、そう いう面できちんと診断がつかない所で使われる可能性が非常に多くならないかというこ とが危惧されるのですが、いかがでしょうか。 ○守殿委員 臨床で、非常に小さい状態が見つかれば、そういう状態での判断というのは ほとんどコンジローマという形の診断は正しく診断できると思います。 ○池田部会長 視診で大丈夫。 ○守殿委員 はい。大きくなってきたときに、それが癌とか、そういう形の鑑別が必要に なってきます。男性のコンジローマの場合は子宮癌と違いまして、そのパピローマウイル スというマリグナンシーの形のものは少ないですから、その辺はそれほど心配は要らない のではないかと思います。 ○池田部会長 今までは外科的な、あるいはレーザーとか切除といったものに頼っていた ものに関しては、こういう外用薬で治療ができるということで、非常に有用な薬であると いうことで、もちろん海外ではずっと前から使っているということなわけですが、我が国 では初めてこのような薬剤が使われるということで、いろいろ先生方に御議論いただきま した。  添付文書は、海外でも長い経験があって、そこで患者向けに出している説明文書とほぼ 同じなのでしょうか。海外の場合は、本当に分かりやすく、使い方とか説明文書を書くの が上手ですが、その辺は実際に取り寄せて参考にしているのでしょうか。 ○機構 この薬剤の添付文書並びに患者への情報提供資材にどのような情報を書くかと いったことについては、海外のものを参考にし、海外の情報提供資材に記載があるにもか かわらず、日本の申請者が記載の必要はないと思っているものについては、なぜ記載の必 要がないのかといったことについて、一項目ずつ議論をして現在に至っているという状況 です。  内容が同じでも、記載の仕方で全然見やすさが違うのではないか、アピール度が違うの ではないかというのは御指摘のとおりだと思います。また、日本人とアメリカ人の印象の 受け方もいろいろあるとは思います。ですから、なるべく重要なことが一目で分かるよう な資材作りに努めたいと考えております。 ○池田部会長 先ほど庵原委員から出た御質問については、後ほど調べていただいてお返 事いただくということでよろしいですか。ほかにないようでしたら、先生方の御意見を伺 いたいと思いますけども、本剤の承認に関して御異議のある方いらっしゃいますか。よろ しいでしょうか。それでは本剤の承認を可としたいと思います。先ほど、いくつかの御質 問あるいは注文が出たと思いますので、その点については企業の方に確実に伝えていただ いて、混乱なくこの薬剤が使えるように指示をしていただきたいと思います。ありがとう ございました。本剤は新有効成分ということで、既存の類薬はありませんので、薬事分科 会に上程して審議ということにさせていただきますので、また薬事分科会でも議論がある かと思います。  以上二つの審議事項が終わりましたので、次に報告事項に移ります。順次説明をお願い いたします。 ○機構 議題1、医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。資料3-1及び3-2 の医薬品再審査確認等結果通知書、「塩酸ラモセトロン」を御覧ください。資料3-1が1 日1回投与の経口剤、資料3-2が注射剤でございます。  これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査、特別調査の成績等に基づいて再審 査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事 由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項につい て変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものであります。 ○事務局 続きまして資料4を御覧ください。優先審査品目指定の審査結果について御報 告いたします。優先審査の取扱いについては、この資料の裏側の2ページ目にその概要を お示ししておりますが、薬事法第14条第7項に、厚生労働大臣は、承認申請された医薬 品が希少疾病用医薬品、その他医療上特に必要性が高いと認められるものであるときは、 当該医薬品の審査を、他の医薬品の審査に優先して行うことができるという規定がござい ます。その指定に当たりましては、(1)適応疾病の重篤性、(2)医療上の有用性を総合的 に評価して判断することとしています。  資料の1ページにお戻りください。今回報告する品目は「タキソテール注(成分名:ド セタキセル水和物)」です。本剤は、平成8年10月に、「乳癌、非小細胞肺癌」を効能 ・効果として承認され、その後「胃癌、頭頸部癌、卵巣癌、食道癌、子宮体癌」の効能・ 効果が承認されております。今般、本剤について「ホルモン不応性前立腺癌」に関する適 応追加の申請がなされたものです。  この適応疾病であります「ホルモン不応性前立腺癌」については、通常、前立腺癌はほ とんどが前立腺に発生し、アンドロゲンに依存して増殖する腺癌です。全摘出手術、放射 線療法、ホルモン療法などの治療法がありますが、これらの療法後、特にアンドロゲン非 依存性となった症例に対しては、あらゆる治療に対する反応性が低下し、周辺臓器・骨へ の転移等をきたし、予後が不良であることから、このホルモン不応性前立腺癌は「生命に 重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」であると判断いたしました。  次に、医療上の有用性についてですが、まず本邦においては、「前立腺癌」の効能・効 果を有する薬剤としてフルタミド、ビカルタミド、リン酸エストラムスチンナトリウム、 プレドニゾロンなどがありますが、「ホルモン不応性前立腺癌」については、標準的に用 いられる化学療法はないと考えられました。  本剤の有効性に関する主な臨床試験の結果を見ますと、米国において標準治療とされて いますミトキサントロン/プレドニゾン又はプレドニゾロンの併用療法を対照として、各 群約330余名を対象とした実薬対照ランダム化第III相比較試験が海外で行われておりま す。この際、全生存期間の中央値は、対照群で16.49か月、本剤投与群で18.92か月であ り、有用性が高いと考えられました。  安全性につきましては、本剤の前立腺癌患者における安全性プロファイルは、既に承認 されている他の癌腫で報告されているものと同様であったと考えられます。  そして、肉体的・精神的な患者負担については、海外の臨床試験において、既存の治療 法に比べて特段優れるとは言えないとの結果でありました。  以上の点を踏まえ、本剤の有用性の観点から、本品目を本年5月11日に優先審査品目 に指定したところでございます。以上でございます。 ○池田部会長 委員の先生方から御質問はございますでしょうか。 ○田村委員 優先審査の有用性に対する判断なのですけれども、メディアンサバイバルで 16か月から17か月。これは第III相で生存に関して、ポジティブであれば有用であるとい う考え方ですか。 ○事務局 基本的にはそうだということと、今回対照とされておりますのが、米国で標準 治療されておりますのは、ミトキサントロン/プレドニゾンでありますけれども、それと の比較でということであります。本邦におきまして、ミトキサントロンは前立腺癌の適応 もございませんということで、最初に言いましたとおり国内でホルモン不応性前立腺癌に ついて、標準的に用いられる化学療法はないということも一つ入っております。 ○田村委員 日本で現在使われている治療に対してどのぐらいの生存効果が見込まれる ということでしょうか。 ○審査第一部長 今回はあくまでも審査をほかのものに優先してやるぐらいのものでし ょうか、ということを我々の方で事前評価させていただいて、これはほかの品目よりも早 く審査を進めた方がよろしいのではないかということを我々として事前評価の結果を出 しました。それについて本日御報告をさせていただいて、よろしいでしょうかという御確 認をいただくことでございます。  先生の今の御指摘なのは、今後実際に我々の方で審査をやりまして、その中で本品目が 実際に有効性・安全性、ひいては有用性がどのぐらいあるのかという中で議論させていた だき、その中で一つ今のようなことが議論になるかと思います。 ○田村委員 どの程度の有用性が期待できれば優先にするのかと思ったのです。 ○審査第一部長 一律にいろいろな癌腫、あるいは疾患がありますので、これであればと いうのは一概に一般論で一言で片づけられるというのは難しいです。その中でいろいろな データから、あるいは疾患、患者数とかいろいろなことを考えて判断をした次第でござい ます。 ○池田部会長 ほかにないようでしたら、報告事項についても御確認いただいたというこ とにしたいと思います。本日の議題は以上ですけれども、事務局から報告をお願いいたし ます。 ○事務局 本日の議題は以上ですけれども、次回7月に予定しております当部会は、既に 御案内のように7月25日(水)の午後2時から開催させていただきます。よろしくお願い 申し上げます。 ○池田部会長 それでは、本日はこれで終了いたします。どうも先生方の御協力ありがと うございました。 ○事務局 どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 河野(内線2734)