07/05/28 平成19年5月28日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成19年5月28日(月) 14:00〜   厚生労働省専用第15会議室 2.出席委員(11名)五十音順   川 西   徹、 澤 田 純 一、○首 藤 紘 一、 鈴 木 洋 史、   千 葉   勉、 土 屋 文 人、◎永 井 良 三、 長谷川 紘 司、   林   邦 彦、 村 勢 敏 郎、 本 橋 伸 高 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名)   飯 沼 雅 朗、 五十嵐   隆、 中 澤 憲 一、 西 澤  理  3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   中 垣 俊 郎(審査管理課長)   伏 見   環(安全対策課長)   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、    佐 藤 岳 幸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、  田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催さ せていただきます。本日は、御多忙の中御参集いただきまして誠にありがとうございます。 当部会委員数15名のうち、10名の委員にすでに御出席いただいております。村勢委員は 遅れて出席されるのだろうと思いますが、いずれにいたしましても定足数を満たしており ますので会議が成立していることを御報告申し上げます。なお、本日は飯沼委員、五十嵐 委員、中澤委員、西澤委員から御欠席という御連絡をいただいております。それでは、永 井先生、以後の進行をよろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 それでは、最初に事務局から配付資料の確認、資料作成に関与された委員 並びに利益相反に関する申出状況について御報告をお願いいたします。 ○審査管理課長 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、 当部会委員の名簿を配付しております。また、議事次第の右側にあります資料1〜10ま ではあらかじめ送付させていただいております。このほかに、資料11として「審議品目 の薬事分科会における取扱い等の案」、資料12として「専門委員リスト」を配付してお ります。  平成13年1月の薬事分科会申し合わせに基づく、資料作成に関与した委員の確認です が、本日の審議事項の議題3のディビゲル1mgについて林委員が資料作成に関与されてお りますので、林委員におかれましては、議題3の審議の間は別室でご待機いただきますよ うお願い申し上げます。  また、本年4月の薬事分科会申し合わせに基づく利益相反について御報告申し上げま す。議題1のシングレア細粒等につきましては退室委員はありません。議決に参加しない 委員として永井部会長と鈴木委員のお二人。また、議題2のトラバタンズ点眼液について 退室委員、議決に参加しない委員はありません。議題3のディビゲルにつきましては議決 に参加しない委員として林委員が挙げられておりますが、先ほど申し上げましたように、 資料作成に関与されておりますので別室でご待機いただきますよう改めてお願いいたし ます。議題4のシアリス錠については退室委員、議決に参加しない委員はありません。議 題5の希少疾病用医薬品の指定につきましても退室委員、議決に参加しない委員はありま せん。議題6のイミグラン錠50の再審査期間の延長につきましては退室委員はありませ んが、議決に参加しない委員として鈴木委員、千葉委員、本橋委員のお三方、よろしくお 願い申し上げます。  なお、議題1のシングレア細粒等につきましては座長を首藤部会長代理にお願いしたい と考えております。以上、よろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 それでは、本日は審議事項が6議題、報告事項が4議題となっております。 議題1ですが、この議題につきましては部会長代理に進行をお願いいたします。 ○首藤部会長代理 それでは、議題1に入ります。議題1の審議については部会長の代理 としまして私がすることになりました。総合機構から概要を説明してください。 ○機構 議題1、資料1、医薬品シングレア細粒4mg他の輸入承認申請の可否等について、 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分であるモンテルカストは、ロイコトリエン受容体拮抗作用を有する抗ア レルギー薬であり、本邦においては既に10mgフィルムコーティング錠及び5mgチュアブ ル錠が、「気管支喘息」を効能・効果として、それぞれ「成人に対して1日1回10mg」 及び「6歳以上の小児に対して1日1回5mg」の用量で2001年6月に承認されておりま すが、今般の申請は、1歳以上6歳未満の小児用の剤型として細粒剤4mgを「1日1回4 mg」の用量で追加するというものでございます。本申請の専門委員としては資料12に記 載されております5名の委員を指名いたしました。  審査内容について簡単に御説明させていただきます。本申請については、薬理、非臨床 薬物動態及び毒性に関する資料は提出されておりません。  品質に関しましては、設定された基準について特に大きな問題はないと判断しておりま す。  臨床についてですが、今般の対象年齢である1歳以上6歳未満の小児における用量は、 9歳以上14歳未満の小児患者に推奨用量である本薬5mgを投与した際のAUCに最も近 くなる用量として、いずれの年齢においても4mgが設定されております。  臨床成績につきましては、2歳以上6歳未満の軽症から中等症の小児気管支喘息患者 48例を対象とした国内試験が実施され、主要評価項目である観察期からの小発作回数の 変化量において、有意な減少が認められております。また、1歳の患児18例を対象とし た同様の臨床試験でも本剤の有効性が確認されております。  安全性につきましては、国内安全性解析対象例137例のうち5例に副作用が認められ、 その内訳は頭痛、悪心、皮膚乾燥、発疹が各1例、血中アルカリホスファターゼの増加が 2例の計6例であり、臨床上大きな問題となる事象は認められておりませんが、国内臨床 試験では症例数が限られていることから、製造販売後の調査においても引き続き検討する よう指示しております。  以上の審査を踏まえまして、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会 でご審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新剤型医薬品及び新用量医薬 品であることから、再審査期間は4年間、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生 物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科 会には報告を予定しております。  なお、すでに承認されております5mgチュアブル錠に関しましては「小児における用法 ・用量設定の適切性及び安全性を確認するための市販後臨床試験を実施すること」との承 認条件が付されており、当製造販売後臨床試験成績が本申請に添付されております。この 試験成績の結果、6歳以上の小児における用量の適切性及び安全性が示され、承認条件の 内容が確認されたものと判断しております。以上、よろしく御審議の程お願いいたします。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方、御意見あるいは御質問はい かがでしょうか。 ○土屋委員 薬剤そのものというよりは包装の件ですが、分包させないことを注意すると いう話は書いてあるとおりですが、今このデザインをいろいろ見ますと、片方は現物が入 っておりますのであれですが、片方のキプレスは開けたらすぐに「残さずお飲みください」 というようなことが販売名の下に入っていて、おそらく、これが包装されるとそうなるの でしょうが、片方のシングレアは裏側の「保護者の方へ」という所の文章がずらずら書い てあった後に「開けたらすぐに残さず全部飲ませてください」と書いてあるのです。一つ は、そこは見やすさといいますか、薬の名前を確認しながらいくということからいって基 本があるとするならば、ここについて言えば、キプレス細粒の個装が、おそらくこれがそ うなると思われるので、すぐ飲みなさいということを注意するという意味ではデザイン的 にはいいのかという気はします。  一方で、分包しないことを薬剤師に対して注意するということからいくと、それはパッ ケージの箱の方にするということなのだと思うのです。そうすると、それに対しては、今 度は逆にキプレスの方は「再分包はできません」とは書いてあるものの非常に分かりにく い表示で、そういう意味で言うと、比較をすれば、シングレアの箱の方が箱を開けるとき の所に「再分包はしないこと」と。なぜこれが青い字のままで、右のスティック包装が赤 字なのかというのは全く理解できないですが、むしろ、本剤は再分包しないことというこ とを赤で書くべきだと思いますが、そういう薬剤師に対して分包をしないようにという注 意の話と、患者さんに対してすぐ全部飲んでくださいという話のところはきちんとしたほ うがいいのかという気がいたしますので、本体ではありませんが、その辺のことを御注意 いただければと思います。 ○首藤部会長代理 何かコメントありますか。 ○機構 御指摘ありがとうございます。検討させていただきます。 ○首藤部会長代理 それでは採決に入りたいと思います。永井部会長、鈴木委員におかれ ましては利益相反の関係で議決はご遠慮いただきます。ご異議ありますか。ないようです ので本件は承認可として、薬事分科会に報告としたいと思います。  個人的なのですが、この審査報告書を読んで気がついたことを一つ言わせていただきた いと思います。これは元来は10mgフィルムコーティング錠及び5mgチュアブル錠が承認 されて使われている。今回のこの議案では1歳から6歳までで一律に4mgということです ね。そういう(1歳から6歳まで一律という)仮定の下にこの臨床試験が組まれているとす ると、食事の影響や同等性を求めることは、企業に対しては少し厳しいというか、やらな くてもいいのにと思うことをやらされたのではないかという気がします。やるかやらない かは機構の判断、企業の判断だと思うのですが、いろいろとこういうところでオーバーク オリティにならないように、企業も注意しなければいけないけれども、機構にも注意して いただきたいと感じたところです。少し余計な感想を述べさせていただきました。 ○永井部会長 議題の2にまいります。最初に、議題2につきまして機構から概要の御説 明をお願いします。 ○機構 議題2、資料2、医薬品トラバタンズ点眼液0.004%の輸入承認の可否等につい て、医薬品医療機器総合機構より御説明させていただきます。本剤の有効成分はトラボプ ロストで、米国アルコン社により見出されたプロスタグランジン誘導体であり、今般の申 請は緑内障、高眼圧症を効能・効果とするもので、2007年1月現在、本剤は、米国、E U等101か国で承認されております。また、本剤は、当初保存剤である塩化ベンザルコニ ウムを含有した製剤として開発されていましたが、審査中に塩化ベンザルコニウムを含有 しない製剤に関するデータが提出され、本邦での承認申請製剤が塩化ベンザルコニウムを 含有しない製剤に変更されております。本申請の専門委員としては資料12に記載されて おります10名の委員を指名いたしました。  審査内容ですが、品質、毒性、薬理及び薬物動態については、特に大きな問題はないと 判断しております。なお、本剤の作用機序についてはプロスタグランジンF2α受容体刺 激により、ぶどう膜強膜流出経路からの房水流出量を増加させることにより眼圧降下作用 を示すと考えられております。  次に、臨床試験成績について御説明させていただきます。本申請は、ブリッジングコン セプトに基づき開発が行われており、海外で実施された第II相用量反応試験をブリッジン グ対象として国内で第II相用量反応試験が実施され、主要評価項目である全測定値をプー ルした各群のベースラインからの眼圧下降値は、プラセボ群で-2.1±0.6mmHg、本剤0.0001 %群-3.3±0.6mmHgと、本剤0.0015%群-6.7±0.6mmHg及び本剤0.004%群で-7.4± 0.6mmHgと、用量依存的に眼圧の下降を示しており、海外で実施された第II相用量反応試 験の成績と用量反応性は類似していたことから、ブリッジングに基づき外国試験成績を外 挿することが可能と判断いたしました。また、国内で6か月間投与の長期投与試験が実施 され、6か月にわたりベースラインからの眼圧下降値は有意な低下が示されております。  安全性についてですが、主な有害事象は目の充血、目のそう痒感等、眼局所の有害事象 が認められておりますが、特に重篤な事象は認められておりません。また、本剤はプロス タグランジン系点眼剤に特有な有害事象である、虹彩色素沈着、眼瞼の色素沈着及び眼周 囲の多毛化が国内外の臨床試験で認められておりますが、その程度は軽度であり、発現時 期等もラタノプロストと同様であることから、安全性プロファイルに大きな差はないと考 えております。なお、製造販売後にこれらの事象については調査することとしております。  以上の審査を踏まえ、本剤の輸入を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会 で御審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は8年、原体は劇薬に該当 し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のい ずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。 以上です。よろしく御審議の程お願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、御意見、御質問をお願いします。 ○鈴木委員 投与量と毒性との関係なのですが、実際の用量も、もう少し減らしても大丈 夫なのかなと思うのです。といいますのは、EC50の値でいくと、審査報告書の13ペー ジに書いてありますが、キサラタンに比べて7倍ぐらい低い。それから、血中濃度で、こ れも31ページに記載があるのですが、それと比べていくとキサラタンの3分の1ぐらい になってくる。そうすると、例えば子宮収縮とか、そういった全身系の副作用ということ を考えていくと2倍程度危険性が増すわけです。  それに少し呼応するのかもしれないのですが、気になったのが「1.7 同種同効品一覧表」 という資料なのです。キサラタンと比べていくと、キサラタンの方は妊娠ウサギに臨床用 量の80倍量を静脈内投与したときに流産及び後期吸収胚発現率増加ということがあるの ですが、この薬物の場合は同じように妊娠ウサギに臨床用量の2.5倍量を静脈投与で全胚 ・胎児死亡が観察されたとなっているのです。だから、キサラタンだったら投与量の80 倍入れてはじめて毒性が出てくるのですが、この場合は2.5倍静注しただけで非常にシビ アな毒性が出てくる。効果といろいろ比較していくと、これは0.0015%でも有意差が出 ないぐらいの効果があるわけですね。そうすると、最初に私が申し上げたリセプター、受 容体の占有率の計算からしても、今のこの0.004%の大体半分ぐらいで十分ではないかと 思うのですが、この投与量というのは若干高めに設定されすぎているのではないかという 気がいたします。そういう意味で、副作用に対する十分な注意が必要になってくると思う のですが、その辺りはいかがでしょうか。 ○機構 この薬剤に関しては、本剤の点眼における全身への暴露というところは確かに少 し全身に回るのは回るのですが、血漿中濃度としては少ないというところがあります。ま た、先生がおっしゃっているように、子宮収縮に対する作用というところは差が類薬と比 較して少ないところはあるかもしれませんが、本剤に関しては現状において、製造販売後 に海外で使われているような中でも流産が1例認められていることはありますが、本剤と の因果関係は不明であり、今のところその他重篤な有害事象は出ていないということも加 味しまして、子宮等への影響というところはそう大きくないかとは考えているところで す。  ただ、先ほど先生がおっしゃった濃度の観点ですが、機構でもこの点に関しては当初は 0.0015%というところに関して考えておりました。ここは審査報告書の中でも0.0015% の必要性というところは確認させていただいているのですが、有効性という観点からは、 0.004%がラタノプロスト及び0.0015%よりも、主要な評価項目では差がないということ はあるかもしれませんが、効果の持続性及びクリニカルサクセスレート、実際に眼圧を 30%程度下げるというところの観点からは十分な効果が示されるのはどちらかというと 0.004%という結果が示されているのではないか、と考えております。また、0.0015%に ついては以上の点を比較考察したところラタノプロストと同程度という結果が出ている ことから、有効性の観点では0.004%の方が高まっているのではないかということで考え ております。  また、安全性に関してですが、本剤の0.0015%で認められている有害事象及び0.004 %でも認められている有害事象の発現率を単純に比較すると、実際にはラタノプロストよ りも0.0015%、また、0.0015%よりも0.004%の方が若干高めに発現率が出ております。 ただ、発現している事象の内容からすると、すべて軽度及び中等度というところが認めら れておりまして、現時点ではそのリスクベネフィットを勘案したときに本剤の0.004%と いうところが今回承認する用量としてはその用量が妥当ではないかというところで機構 としては判断したところです。 ○鈴木委員 ありがとうございます。それと、流産が1例あったということなのですが、 キサラタンでの発現率に比べて異常に大きいというわけではないのでしょうか。市販後の 調査ですので母集団の数はそんなに大きくないと思うのですが、類薬に比べて非常に危険 というわけではないという理解でよろしいですか。 ○機構 そうですね。この海外の市販後等で出ている事象ですので、母数ははっきりして いるわけではありません。ただ、1例報告があったという事実はあったということです。 ○鈴木委員 分かりました。因果関係の問題を含めて、これからは必ずしも議論ができる わけではないと思いますので、また市販後のきちんとした調査を含めて解析していければ なと思います。 ○機構 製造販売後の調査の方で3,000例の調査をしていただく予定ではありますので、 その中でもし妊娠の影響というところを確認できる話は調査の中でもしていこうという ことはしているところでございます。 ○永井部会長 今の点なのですが、14ページで「妊娠中の女性患者に対する本剤の投与 は慎重に行うべき」とあります。この点は慎重投与の項で、14ページの11行目に、「妊 婦、産婦、授乳婦等は慎重投与として注意喚起する」と指摘されています。ところが、添 付文書は、確かに妊婦の所に慎重投与が書いてあるのですが、子宮収縮のことは書いてな いのです。そこは書いておかなくてよろしいのですか。いわゆる催奇形性の注意は書いて ありますが、流産の可能性という視点からの妊婦への注意喚起ですが。 ○機構 ここの中なのですが、確かに、子宮収縮というのは薬理作用としてこの薬剤は持 っているところではあると思います。ただ、先ほどもお答えさせていただいたのですが、 全身への暴露量というところを勘案しますと、その量からすると子宮を収縮するほどの濃 度というところへ達しないと。今回の認められている血漿中濃度等も、測定できた方だけ のポイントを使っておりまして、かなりばらつきも大きいものもありますし、血漿中濃度 としてはそこまで高くないということから、今のところはそこに関して記載をしていない というところではあります。 ○永井部会長 ただ、14ページの1行目には「流産が認められており、妊娠中の女性患 者に対する本剤の投与は慎重に行うべき」と書いてあるので、そこがうまく対応するかと 思うのですが、よろしいのでしょうか。 ○機構 こちらの方なのですが、この流産が起きている理由というのも本当に子宮収縮か というところで、原因のところは明確ではないというところもありますので、今後の調査 の中でそういった事例及び確認ができた場合にはそういった内容をきちんと記載させて 対応していこうかと考えているところです。 ○土屋委員 これも容器のことですが、おそらく、これは5ccの容器に2.5cc入っている のだと思いますが、一つは、すでに市販されたもので5ccの容器に2.5cc入れたものに対 して、患者さんの方から入れめが足りないというクレームが出ていること、あるいは薬剤 師が容器を見れば5ccと思ってしまって調剤過誤を起こしているということが報告され ているのです。しかも、その後、メーカーは、「この容器には5ccの中に2.5ccしか初め から入っておりません」というのを薬のしおりに付けているぐらいなのです。そういうこ とからいくと、ラベルの所で2.5が強調されているのかとは思いますが、結局、患者さん 向けに薬のしおりにそういうことを書かなければいけないぐらい患者さんからは「入れめ が足りない」と言われたりということがあります。これも5ccで2.5cc入っているのかも しれないけれども、そういうことをいずれ説明せざるを得なくなるのかという気もいたし ますので、本来ならば小さい容器にと言いたいところですが、おそらく、それは工場の関 係というか、そういうことでやりたくないというのがあるのでしょうが、本来からすると エラーを起こしさせやすい、あるいは患者さんに疑問を持たせやすい容器であるというこ とだけはきちんと申し上げておきたいと思います。 ○機構 土屋先生の御意見に関しては申請者とも話をさせていただきますが、たぶん、今 回の場合に関しては変えるというところはできないかと思うのです。現場で、使われてい る中で、5ccの中に2.5ccしか入っていないという議論があるということは十分お伝えさ せていただこうかと考えております。 ○土屋委員 今後、製薬企業しかそういうことができない安全対策ですので、そういうこ とを是非お考えくださいということはお伝えいただければと思います。 ○永井部会長 それでは議決に入りますが、ご異議のある方はいらっしゃいますか。よろ しければ承認可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。続いて議題3につきま して審議に入りますが、林委員におかれましては本議題に関与されておりますので、審議 の間は別室で待機いただくことにいたします。 ── 林委員退室 ── ○永井部会長 それでは、議題3につきまして機構から御説明をお願いいたします。 ○機構 資料3、医薬品ディビゲル1mgについて、医薬品医療機器総合機構より御説明い たします。本剤は、エストラジオールを有効成分とする経皮吸収型ゲル剤で、更年期障害 及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)の治療薬として、フィン ランドで開発されました。製剤は、エストラジオール1mgを含有するゲル剤1g入りの分 包となっております。通常、1日1回1包を左右いずれかの大腿部もしくは下腹部に塗り 広げて使用します。  本品目の開発において、国内では第I相試験として皮膚安全性試験、単回及び反復塗布 試験、第II相用量設定試験、第III相比較試験及び長期投与試験が実施されました。海外で は、平成19年3月現在、欧州を中心とした35か国で承認されており、用法・用量は、通 常1日1回1gを開始用量とし、1日量0.5gから1.5gまで適宜増減が可能です。また、 米国では現在承認申請中です。国内における同種の医薬品として、エストラジオールを含 有する貼付剤及びゲル剤、結合型エストロゲンを含有する錠剤、エストリオールを含有す る錠剤及び注射剤等が承認されています。本品目の審査に関しまして、専門委員として配 付資料12に記載されております委員が指名されました。  機構における審査の概略を御説明いたします。品質及び非臨床については、審査の過程 において申請者から適切な対応がなされ、特に問題はないと判断いたしました。  臨床試験成績について御説明いたします。国内第II相用量設定試験では、更年期障害及 び卵巣欠落症状を有する女性患者を対象とし、プラセボ、本剤1日量1.0g及び1.5gが8 週間連日塗布されました。有効性の主要評価項目としたHot flush発現回数について、本 剤1.0g及び1.5gともプラセボに対する有意差が認められ、有効性及び安全性の評価に基 づき1日量1.0gが臨床推奨用量とされました。国内第III相比較試験では、既承認貼付剤 エストラーナ及び本剤1日量1.0gが8週間連日塗布され、本剤1.0gは、対照薬エストラ ーナに対して、有効性で非劣性、皮膚安全性で優越性が検証され、エストラジオール製剤 としての全般的な安全性はエストラーナと同程度でした。  以上、提出された試験成績より、更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状 (Hot flush及び発汗)に対し本剤1日量1.0gは有効であり、既存の貼付剤よりも皮膚刺 激が少なく、患者の状態に応じた経皮吸収型のエストラジオール製剤の選択肢を増やすと いう臨床的意義は示されていると判断いたしました。  また、Women's Health Initiative (WHI)試験以降のホルモン補充療法の安全性全般 の議論を踏まえ、ホルモン補充療法の長期施行によるリスクについて、適切に情報提供を 行うとともに、本剤の安全性に関する情報収集を市販後にも継続して収集すること、1.0g より低用量の有効性及び安全性の検討を行うことが必要であると判断いたしました。申請 者は、今後、より低用量における有効性等を確認する追加臨床試験を実施し、低用量製剤 の開発を検討する予定としております。  以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品 第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は、原体及 び製剤ともに毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、製剤は生物由来製品又は特定生物由来 製品に該当しないと判断し、再審査期間は4年、薬事分科会へは報告を予定しております。 御審議の程よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見を お願いいたします。 ○土屋委員 二点ございます。一つは、これを塗布する面積が400cm2ということで、外 国の手のひら1枚か2枚ということを厳しくきちんとするために400cm2とお書きになっ ているのですが、これは分かりやすいのですか。おそらく、手のひらが200cm2ぐらいな のですかね。そうだとすると、手のひら1枚の方がずっと分かりやすいのかと。それを添 付文書は400cm2の範囲に塗布すると書いてあるのですが、この説明は分かるような分か らないような、妙に厳しくするからどうのこうのという話と、数値化するといかにも厳し くしたように見えるかもしれないのですが、何か、海外の言い方の方がいいのかというこ とが一つ。  もう一つは、この包装を見ると心配になるのは、これを見て外用剤と思う人がいるだろ うかということなのです。今までの常識からいくと、こういうパッケージは基本的には内 服が多かったわけで、この印刷の原案を見ると、それに対して「飲まないこと」と書いて あるのです。こういう禁止する話を書くべきなのか、本来の使い方を書くべきなのかとい ったときに、本来はこれは外用剤なので塗布することを正しく書いて、そして注意として 飲まないことというのであればいいのです。しかし、これは「飲まないこと」というので、 飲まなければどうするのか、というふうに考えさせるのは包装の表示としてはいかがなも のかと思うのです。これはもう少し考えないと、もしその辺に置いといてお子さんがこう いうものを開けて飲んでしまったりすることがあるのだろうということがあって、この製 剤はそういう意味の使用の安全について言えば大きく疑問を持たざるを得ない、表示の方 法も含めてそう思います。 ○機構 表示等に関しましては、ご意見を踏まえて検討させていただきます。先生がおっ しゃるように、どういう製剤であるかということがはっきり分かるようにきちんと情報提 供しつつ、注意喚起として、飲まないということも製剤の包装を見ただけではっきり分か るような形でできると思いますので、申請者と協議をさせていただきます。  それから、用法・用量の部分なのですが、これは申請時には約400cm2との記載ととも にヨーロッパと同じように、「手のひら2枚分」という記載が括弧書きでありました。審 査の過程の中で専門協議等で御意見をいただきまして、逆に、手のひらというとどの辺り までか、指まで含むのかとか、その辺が明確ではないという議論もありました。また、本 剤はアルコールゲル剤なのですが、吸収のプロファイルとして、最大限塗り広げると吸収 が低下するという特徴を持っておりますので、どの範囲で塗布するということが、より明 確に分かるような記載がよろしいのではないかという議論もありまして、今回は400cm2 の範囲に塗布するという記載としております。塗り広げる点の注意喚起につきましては、 添付文書上では次のページの「適用上の注意」の所で、「塗り広げると吸収量が低下する ので用法・用量に従って塗布すること」という注意喚起をするとともに、患者用の説明文 書の作成をいたします。その中で400cm2というのはこのぐらいということが分かるよう な情報提供をすると会社の方も申しておりますので、適正使用の点からもこのような対応 となるよう考えております。 ○土屋委員 面積については患者さんが自分で体感すれば分かるので、この範囲ぐらいだ ということが分かればいいと思います。お伺いしたいのですが、海外もみんなこの包装な のですか。 ○機構 これは輸入ですので、海外と同じものです。 ○土屋委員 飲んでしまったとか、向こうではそういう例は1例も報告されていないので すか。 ○機構 その点につきましては、最新の情報を含めて詳細を確認いたします。 ○土屋委員 ひょっとすると、我が国は散剤がこういう格好になるものですから、海外に は散剤の分包品そのものがそもそもないということからいくと、海外はこういうものを見 たら飲むことを発想しないのかもしれませんが、こういう包装をしているのはOTCを含 めてたくさんあるのです。そういうことからいくと、一般人からしてみたらこの包装の形 態は危ないと思います。我が国だと、本来はチューブとか、そういう外用剤をイメージす るような包装容器にしておかないと、後からそういうことの事故が起きたときには悔やん でも悔やみきれないという気がいたしますので、いかがなものかと。 ○審議役 御指摘の点は検討させていただきたいと思います。ただ、先立って承認したこ れと同じ塗布剤のル・エストロジェルという製剤はポンプ式になっておりまして、吐出量 がなるべく均一にはなるようにしておりますが、逆に言うと、一定量を適用するというこ とに関して言うとそれなりの心配がある。こちらの製剤は1回の量をきちっと固定してあ りますので、その点ではよろしかろうと思います。  それと、実際に使われる場が、どちらかというと化粧品等のそういったコスメティック ユースに近いところで、お風呂上がりに塗布するなどのような用途を想定していると思わ れます。そういう局面になりますと、シャンプーのこういう一包のものなど、化粧品の領 域になると似たような形態が結構あったりするということもあって、それで考えられたよ うなところがあります。ただ、処方される、調剤される医療現場の方での品揃えでいくと、 確かにおっしゃるとおり、シングレアのような分包のスティック製剤のようなものがたく さん存在している所で扱われる。ですから、使われる場を考えたときの話と、処方や調剤 をされていく場のことを考えたときの話と、先生御指摘のように、日本のマーケットでど ういう製品がどういう使われ方をしているかということについての慣習的な部分と、これ らが相互に関連していると思いますので、どの点に落ち着けるかにしてもそれなりの誤用 のおそれもありますので、基本的には十分に情報提供をして注意喚起をしていくこと。そ れから、実際に問題が起きているかどうかということについてきちんとしたサーベイをし て、問題の発生を認知したら速やかに改良するようにしなければまずいと思います。御指 摘の海外で問題が起きていないのかどうかということについては、本日は十分に把握でき ていないところもありますので、早速、問い合わせをしてみたいと思います。重大な問題 が発生しているようなことであれば、こういう形態自身の改良を検討してもらうことも含 めて申請者に指示したいと考えます。 ○土屋委員 本人が間違えることはないと思いますが、家庭内にこういうものがあったと きにお子さんなどが来て見て、それこそ、昔、ほかのものでコンニャクゼリーみたいな格 好になってしまっているものがあって、これは容器として危険でしょうという話をして。 あったら子どもは口に入れてしまいますし、世の中ではこういうものがあったら飲むとい うのが通常の国なので、そういう意味で、こういうものの保管をよほど気をつけさせるこ とをやらないと、本人が間違えることはなくてもほかの人がそういうことをやってしまう 危険性はあるわけですから、全体として安全に保たなければいけないということから言う とそういう配慮も必要だと思います。 ○審議役 子どもの手の触れない所で管理してくださいということに関しては、これは十 分に注意喚起をするようにということですでに議論をしています。ただ、それ以上に何か 手がないかということで、今日の御議論・御指摘を踏まえてさらに検討させていただきた いと思います。 ○永井部会長 それでは議決に入りたいと思います。御異議がある方はいらっしゃいます か。ないようでしたら承認可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。 ── 林委員入室 ── ○永井部会長 続きまして議題4にまいります。総合機構から概要の御説明をお願いいた します。 ○機構 資料4、医薬品シアリス錠5mg、同10mg、同20mgについて、医薬品医療機器総 合機構より御説明いたします。本薬の有効成分タダラフィルは、□□□社で創薬されたホ スホジエステラーゼ5(以下「PDE5」)の阻害薬で、当初は□□□として開発が行われ、 □□年以降はLilly ICOS社により勃起不全(以下「ED」)の治療薬として開発されまし た。  国内の開発は日本イーライリリー株式会社により行われ、国内外の薬物動態並びに有効 性及び安全性の類似性の検討に基づき、海外臨床試験成績を外挿した臨床データパッケー ジにより、EDを効能・効果とする製造販売承認申請がなされました。海外では、2002 年10月、オーストラリアにおいて承認され、2007年3月現在、米国並びに英国、ドイツ、 フランス等の欧州各国を含む107か国で承認されています。国内では同種同効薬として、 クエン酸シルデナフィル及び塩酸バルデナフィル水和物が承認されています。  本品目の審査に関しまして、専門委員として配付資料に記載されております委員が指名 されました。  次に、機構における審査の概略を御説明いたします。品質及び非臨床については、審査 の過程において申請者から適切な対応がなされ、特に問題はないと判断いたしました。  臨床試験について御説明いたします。国内後期第II相試験がブリッジング試験として計 画され、日本人男性ED患者を対象として本薬5、10及び20mgの1日1回を超えない12 週間必要時投与の有効性及び安全性がプラセボ対照とした二重盲検試験として実施され ました。有効性の主要評価項目として、国際勃起機能スコア調査票の勃起機能ドメインス コア等が用いられ、本薬の有効性はいずれの用量群でもプラセボに優り、用量反応関係が 認められました。  また、安全性に関して有害事象発現頻度は、用量依存的に増加していると判断しました。 本試験とブリッジング対象試験である海外第III相試験との評価に基づき、海外臨床試験成 績の国内への外挿は妥当であると判断いたしました。用法・用量について、20mgへの増 量を検討すべき対象として、EDの病因学的分類別の評価等の検討を行い、器質性又は混 合型のED患者の中で、10mgの投与で十分な効果が得られず、かつ認容性が良好と判断 された患者に対してのみ最大用量を20mgとすることが妥当であると判断いたしました。 また、臨床試験での日本人患者のデータが限られていることから、国内臨床試験において 十分検討されていない基礎疾患を有する患者への20mg投与時の検討等、製造販売後の調 査において、本薬の有効性及び安全性に関する十分な情報収集が必要であると判断しまし た。  以上のような検討を行った結果、本薬を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品 第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。なお、原体は劇 薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、製剤は生物由来製品又は特定生 物由来製品に該当しないと判断し、再審査期間は8年とすることが適当であると判断して おります。薬事分科会へは報告を予定しております。ご審議の程よろしくお願いいたしま す。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、御意見、御質問をお願いいたします。 持続性がかなり長いということなのですが、これは薬理学的には酵素阻害作用のメカニズ ムというのはどのように理解されているのでしょうか。 ○機構 基本的に薬理作用が大きく異なるということはないのですが、現在までの類薬は 半減期がおおむね3時間前後なのですが、消失半減期が本剤については約14時間という ことで体内からの消失が非常に遅いということがありますので、それもありまして効果の 発現期間が類薬に比べて長くなっているということはあるようです。 ○永井部会長 シルデナフィルは何時間ぐらいでしたか。 ○機構 シルデナフィルはおおむね3時間で、日本人で1.8時間から3.2時間の消失半減 期です。 ○永井部会長 長いと何かメリットがあるのかどうかということなのですが、むしろ副作 用が後で残って、特にニトロ製剤を使っているような高齢者だと副作用だけが後に出てき てしまうという面があるかと思うのですが、そこは何かメーカーの方は考察されているの でしょうか。 ○機構 添付文書の中では本薬は性交為の約1時間前に服用すると記載しております。本 薬の持続時間が36時間ありますので、添付文書の中でそれも併せて情報提供するととも に、リスクだけが出てくるということもありますので十分な注意喚起を行っていくという 方向で対応することとしております。 ○永井部会長 数少ない例ですが、これを内服された患者さんで心筋梗塞を起こして救急 入院された方がいるのですが、そのことがドクターの方に伝わっていなかったものですか らニトロを使いました。そうすると、ものすごいショックになって、しかもなかなか血圧 が上がらないということを一度経験したことがあります。ですから、もちろん、患者さん もニトロ製剤を使用しないことを注意しないといけないのですが、発作があって病院にか つぎ込まれたときにドクターが、病院がニトロ製剤を使わないことが非常に重要で、本当 に命取りになりかねない状況になるのです。病院側への注意喚起という、そこまで配慮す る必要はないのでしょうかね。 ○機構 心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる患者は禁忌となってお りますので、本剤を処方する前の段階でそういうリスクのあるような患者さんは除外する 形になるかと思います。ただ、服用してしまいますと、その後でそのような薬剤を服用す ることは困難になるかと思います。 ○永井部会長 実は、そういうことが全然分からない患者さんが、飲まれた後に、そして 行為の後に心筋梗塞を起こしてCCUに搬送された。そうすると、型のごとくいろいろな 治療薬を使って、ニトロ製剤、ニトロールの点滴静注などを始めるわけです。そこで大変 なことが起こってしまうということなのですが、それは誰が誰に伝えればいいのか分かり ませんが、本人が早く病院にそういうことを言わないといけないということではあるので すが、決して患者さんだけの問題ではないのです。そこまで配慮しなくてもいいのかもし れませんが。確かに、ニトロ製剤との併用が非常に恐ろしいというのは事実のようですの で、そういう意味で36時間持続性があるということが本当にどういうメリットがあるの かという気はいたします。ただ、こういうチョイスがあっていいだろうということなので すね。後は使う方の判断で選ぶということなのでしょうか。  それでは議決に入りたいと思います。御異議のある方はいらっしゃいますか。ご異議が ないようでしたら承認可として、薬事分科会に報告させていただきます。続きまして議題 5に入ります。概要の御説明を事務局からお願いいたします。 ○事務局 それでは、ガルスルファーゼを希少疾病用医薬品として指定することの可否に 関して、資料5に基づいて御説明いたします。資料5を1枚めくっていただいた事前評価 報告書を御覧ください。医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめておりますの で、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点について御説明いたします。品目 の名称はガルスルファーゼ(遺伝子組換え)、対象疾病がムコ多糖症VI型、申請者がアンジ ェスMG株式会社です。最初に、対象患者数についてですが、ムコ多糖症VI型はムコ多糖 を分解するライソゾーム酵素であるN-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼの先 天的欠損により、ムコ多糖の不完全な分解物が全身に蓄積し、種々の臓器障害や機能障害 を引き起こす遺伝性の先天性代謝異常疾患であり、ライソゾーム病に分類されます。常染 色体劣性遺伝で男女差はなく、世界におよそ1,100名の患者が存在するとされておりまし て、本邦におきましては、平成10年度の厚生科学研究で、岐阜大学病院小児科において 過去16年間にムコ多糖症と確定診断された症例336例のうちの4例がVI型と報告されて おります。また、平成17年10月に厚生労働省で開催された第6回未承認薬使用問題検討 会議では、日本で確認された患者数は4名と報告されており、希少疾病用医薬品の指定要 件である5万人以下を満たすものと判断しております。  次に、医療上の必要性についてですが、ムコ多糖症VI型は、通常1歳から5歳の間には 診断され、重症度が高いほどより低年齢で症状が発現し、より急速に進行するとされてお り、20歳代から30歳代に肺炎や心不全などで死亡することが多いとされております。  ムコ多糖症の治療には、対症療法や造血幹細胞移植が行われておりますが、対症療法で は疾患の進行を抑制、抑止することはできず、造血幹細胞移植では治療効果は不十分とさ れており、生着不全や移植片対宿主病などといった重篤な副作用が発現する可能性もあ り、その適応は限定されております。  本剤は、欠損酵素の補充を目的として開発されました酵素製剤であり、ムコ多糖症VI型 の治療薬として医療上の必要性があると考えられております。  三つ目に、本剤の開発の可能性についてですが、海外で実施された臨床試験成績からム コ多糖症VI型患者における症状の改善が認められたとして、米国、EU諸国、オーストラ リアにおいてそれぞれ承認されておりますので、本邦においても開発の可能性はあると考 えられています。以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点を考えると、 本剤については希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。御審議の程 よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、御質問、御討議をお願いいたします。 ○川西委員 直接関係することではないのですが、これはアンジェスが国内で開発しよう ということでしょうか。 ○事務局 国内で申請するのはアンジェスMGなのですが、もともとはアメリカの企業の 方で開発されているもので、それをアンジェスMGで導入するということになっておりま す。 ○川西委員 分かりました。未承認薬のときにそのようなことを言っていました。 ○事務局 そうです。結局、その同じ話があって、国内企業の申請企業を見つけるという 話があって、それで契約を結ばれて申請されたものです。 ○永井部会長 それでは、議決に入らせていただきます。御異議のある方はいらっしゃい ませんか。ないようでしたら指定可として、薬事分科会に報告させていただきます。では、 議題6にまいります。事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 医薬品イミグラン錠50の再審査期間延長の可否について御説明いたします。 最初に、再審査期間の延長に係る制度を御説明いたします。お手元の資料6の1枚目に諮 問書が付いているかと思いますが、ここに薬事法第14条の4第2項の規定に基づきとい うことが書かれております。この薬事法第14条の4第2項には、厚生労働大臣は新医薬 品の再審査を適正に行うため、特に必要があると認めるときは薬事・食品衛生審議会の意 見を聴いて、調査期間をその製造承認のあった日から10年を超えない範囲内において延 長することができるという規定があります。この薬事法の規定を受けまして、平成12年 12月27日に医薬安全局長名で「医薬品の市販後調査の基準に関する省令の一部を改正す る省令の施行及び医薬品の再審査に係る市販後調査の見直しについて」という通知を出し ております。その通知の中で「小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合にあっ ては再審査期間を10年を超えない範囲で一定期間延長する」ということが書かれており まして、今回のこの再審査期間の延長の可否と申しますのはその通知を受けたものである というものでございます。  1枚目をめくっていただきますと「品目の概要」というページがありますので、これに 沿って簡単に説明させていただきます。申請者名はグラクソ・スミスクライン株式会社で す。対象となる品目はイミグラン錠50、有効成分名はスマトリプタン、効能・効果は片 頭痛です。現在の用法・用量は「通常、成人にはスマトリプタンとして1回50mgを片頭 痛の頭痛発現時に経口投与する。なお、効果が不十分な場合には、追加投与をすることが できるが、前回の投与から2時間以上あけること。また、50mgの経口投与で効果が不十 分であった場合には、次回片頭痛発現時から100mgを経口投与することができる。ただし、 1日の総投与量を200mg以内とする。」という書き方になっております。承認日年月日、 再審査期間はここに記載しているとおりでありまして、その下の再審査延長案の根拠とい う所ですが、本剤についての小児の用法・用量の設定及び小児集団における有効性・安全 性を把握する目的で、製造販売後臨床試験(多施設共同、プラセボ対象、無作為割付、二 重盲検、2期交叉比較試験)を計画しているということです。この試験の所要期間等を勘 案いたしますと、再審査期間を当初より4年間延長することが適当ではないかと考えてお りまして、そのことについて今般諮問させていただくものでございます。ご審議の程よろ しくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いいたします。 御意見がございませんでしたら議決に入らせていただきます。この件に関しまして、鈴木 委員、千葉委員、本橋委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして議決へ の参加を御遠慮いただくことにいたします。もし御異議ございませんでしたら再審査期間 の延長を可ということで薬事分科会へ報告させていただきます。続きまして報告事項にま いります。順次御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは、議題1、ヱフェドリン「ナガヰ」注射液40mg、塩酸エフェドリン注 「フソー」及び塩酸エフェドリン注「三研」の製造承認事項一部変更承認について報告い たします。資料7を御覧ください。本剤は、現在、気管支喘息等に伴う咳嗽、鼻粘膜の充 血・腫脹、脊椎麻酔時の血圧降下の効能・効果で、皮下及び筋肉内注射の投与経路につい て承認されております。  今般、大日本住友製薬株式会社ほか2社より、麻酔時の血圧降下に対する静脈内投与に 関する有効性及び安全性について、平成11年2月1日付け研究開発振興課長、審査管理 課長の二課長通知「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」に基づき、医学薬 学上公知として効能及び用法・用量の追加を行うとともに、安全性上の懸念及び使用実態 から、既承認効能も含めて「筋肉内注射」の投与経路を削除する一部変更承認申請がなさ れたものです。本申請に関して、日本麻酔科学会より要望書が提出されております。総合 機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。  続きまして、議題2、医薬品タンボコール錠50mg及び同100mgの製造承認事項一部変 更承認について報告いたします。資料8を御覧ください。本剤は、ナトリウムチャンネル 抑制作用及び比較的弱いカリウムチャンネル抑制作用を有する酢酸フレカイニドを有効 成分とする抗不整脈薬であり、現在、「他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効な場 合の頻脈性の心室性不整脈」の効能・効果で承認されております。今般、エーザイ株式会 社より、「頻脈性の発作性心房細動・粗動」の効能・効果の追加について、製造承認事項 一部変更承認申請がなされたものです。総合機構における審査の結果、本申請を承認して 差し支えないと判断いたしました。  議題3、医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。資料9の医薬品再審査確 認等結果通知書「プランルカスト水和物」を御覧ください。この品目につきまして、市販 後の使用成績調査、特別調査の成績等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事 法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、す なわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」 と判定したものです。 ○事務局 資料10を御覧ください。優先審査品目の指定について御報告いたします。優 先審査の取扱いについては資料の2ページ目にその概要を示しておりますが、薬事法第 14条第7項に、厚生労働大臣は、承認申請された医薬品が希少疾病用医薬品、その他医 療上特に必要性が高いと認められるものであるときは、当該医薬品の審査を、他の医薬品 の審査に優先して行うことができるという規定があります。その指定に当たりましては、 (1)適応疾病の重篤性、(2)医療上の有用性を総合的に評価して判断することとしており ます。  資料の1ページ目にお戻りください。今回指定の報告をする品目は、プラビックス錠 25mg、同75mgです。本剤は、既に「虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発 抑制」の適応により承認されておりますが、今般、「経皮的冠動脈形成術(PCI)の適応 が考慮される急性冠症候群患者(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞)における血管性イベ ントの抑制」の効能・効果で承認申請がなされたものです。不安定狭心症及び非ST上昇 心筋梗塞(以下併せて「非ST上昇急性冠症候群」)は、急性心筋梗塞や心臓突然死等の虚 血性イベントに移行するリスクが高い病態であり、非ST上昇急性冠症候群に対しては、 PCI又は冠動脈バイパス手術(CABG)が根本的な治療法とされています。しかしなが ら、PCIには急性あるいは亜急性血栓性冠閉塞が高頻度に発現するという問題、CAB Gには侵襲性の高い手術が患者に新たなリスクを負わせるという問題があり、いずれの場 合も生命に重大な影響を及ぼすと判断しております。  医療上の有用性については、本邦ではPCI後の急性あるいは亜急性血栓性冠閉塞の予 防に対して一般的にアスピリンと塩酸チクロピジンが使用されておりますが、塩酸チクロ ピジンには肝障害等の重大な副作用があること、これらの副作用が、主に投与開始後2か 月以内に発現するため、抗血小板療法が必要とされる期間は投与できない場合があること 等の問題があり、十分な治療法があるとは言いがたく、また、提出された資料により、ス テント留置を行った部分集団では、塩酸チクロピジン群と比べて本剤では安全性イベント 発現率は低いことが示唆されていると考えられることから、少なくとも、ステント留置後 血栓塞栓症の発現抑制に関しては、医療上の有用性が高い医薬品であると判断できるもの と考えております。以上より、本剤について優先審査品目に今月21日に指定いたしまし た。 ○事務局 続きまして同じ資料10の二つ目ですが、アログリセムカプセル25mgについて 御説明いたします。アログリセムカプセル25mgは一般名がジアゾキシド。申請者はシェ リング・プラウ株式会社。申請効能・効果は高インスリン血性低血糖症です。高インスリ ン血性低血糖症は主に新生児及び乳幼児に発生し、インスリンが過剰に産生されるために 低血糖を発生する疾患です。早期に適切な治療を行われないと死亡または高頻度に永続的 な知能障害や運動障害を残すとされておりまして、長期の治療が必要となるケースもあり ます。現在、国内で個人輸入によるジアゾキシドの継続治療患者は約200例から250例で あり、新規患者は毎年20例から35例であるとされています。  以上のことから、適応疾病の重篤性について生命に重大な影響がある疾患であること、 日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であると考えられることから、適応疾病の重篤性に係 る要件に該当すると考えております。  次に、医療上の有用性ですが、2005年4月に厚生労働省で開催されました第4回未承 認薬使用問題検討会議におきまして、国際的にもエビデンスが確立されており、国内にお いても個人輸入により本剤の使用実績が学会により取りまとめられていること等から見 て、本剤をヒトに使用する際の安全性は相当程度確認されているものと考えると評価され ております。  また、日本小児内分泌学会薬事委員会作成の「高インスリン血性低血糖症の診断と治療 ガイドライン」によれば、本薬は高インスリン血性低血糖症に対する内科的治療の第一選 択薬とされております。本疾患に有効と考えられる治療薬といたしましては、ほかにグル カゴン製剤及び酢酸オクトレオチドがありますが、いずれも注射剤であり、緊急治療時等 で使用されております。したがって、経口剤である本薬は長期に使用する上で有用な薬剤 と考えられます。有効性については1995年9月から7月までにジアゾキシドによる治療 経験がある国内施設のうち、58施設の調査により有効性が評価されております。また、 安全性についても、有害事象により治療が中断された症例はなく、海外で報告されている 有害事象と特に違いは認められませんでした。  以上のことから医療上の有用性はあるものと考えられます。したがいまして、本剤につ いて優先審査品目に指定することとし、今月21日に指定したところでございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。ただいまの御報告に御質問、御異議等がござい ますか。よろしければ、ただいまの御報告いただいた事項につきましては御確認したとい うことにいたしたいと思います。本日の議題は以上でございます。事務局から連絡事項等 がございますか。 ○事務局 次回の部会ですが、すでに御案内のように、7月26日(木)午後2時から開催 させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 それでは、本日はどうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 河野(内線2746)