07/05/18 第4回がん対策推進協議会議事録 照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室             木 村(内線2945)     小 山(内線2946) 第4回 がん対策推進協議会 日時 平成19年5月18日(金)18:30〜22:30 場所 厚生労働省 専用第22会議室 ○出席委員(17名、50音順、◎会長、○会長代理)  内田委員、海辺委員、江口委員、◎垣添委員、景浦委員、関原委員、高嶋委員、  富樫委員、中川委員、仁昌寺委員、埴岡委員、廣瀬委員、○廣橋委員、本田委員、  三成委員、麦島委員、門田委員 ○議題  1.がん対策推進基本計画(事務局案)について  2.その他 ○武田室長 それでは定刻となりましたので、ただいまより第4回がん対策推進協議会 を開催いたします。委員の皆さん方には大変に遅い時間にお集まりいただき、誠にあり がとうございます。  本日は、柏木委員が御都合により御欠席との連絡を受けています。なお、現在、委員 総数18名中16名の皆さんに御出席いただいていますので、定足数に達していること を御報告します。それでは垣添会長、よろしくお願いします。   ○垣添会長 皆さん、こんばんは。大変に遅い時間に、しかも異例の長時間を予定して いる第4回のがん対策推進協議会ですが、委員の皆さん方にはこのように多数お集まり いただき、誠にありがとうございます。  本日は、前回たくさん頂戴した御意見をもとにして事務局案がつくられましたので、 それを十分に御審議いただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。  ではまず、資料の確認をさせていただきます。事務局、お願いします。   ○武田室長 それでは事務局より御報告、御確認をさせていただきます。まず資料です が、議事次第の次に委員名簿がついていますが、その次に資料1「がん対策推進基本計 画(事務局案)」。それからもう一つ、資料2「がん対策推進基本計画(事務局案)の概 要」。資料の過不足等がありましたら、お申し出ください。よろしいでしょうか。  それでは、ここでカメラ撮りは終了させていただきますので、御協力をよろしくお願 いいたします。   ○垣添会長 では、議題に入りたいと思います。本日は、がん対策推進基本計画(事務 局案)について御検討いただきたいと思います。資料については、事前に各委員のお手 元にお配りしていますが、一応、事務局から簡単に説明をいただけますか。   ○武田室長 それでは、事務局より御説明申し上げます。まず資料2をごらんいただき たいと思います。こちらの絵ですが、資料1「がん対策推進基本計画(事務局案)」の 概要を1枚に簡単に構造をまとめたものです。  まず、点線で囲まれている「全体目標」があります。これについては二つで、がんの 死亡者の減少。もう一つが、すべてのがん患者・家族のQOLの向上。このような内容 のもの二つです。このような全体目標を達成するために、その下に幾つかの四角があり ますが、左から見ていくとがん検診・予防、右はがん医療に関する相談支援・情報提供、 そして医療機関の整備というものがあります。それと並んで、放射線療法・化学療法の 推進、医療従事者の育成。そして、治療の初期段階からの緩和ケアの推進。このような がん医療に関するものの特に中枢のもの。  それから、上の二つ、放射線療法・化学療法の推進、官分けの推進というものの下に あるがん登録の推進。こういうものをもって、このシステムをもってこの二つのがん診 療の部分を引き上げていくと。この三つの柱をもって、重点的に取り組むべき課題とい うふうに、特にがん対策の分野として位置づけた絵です。  この各分野の取り組みというもの全般を下支えするものとして、がん研究の推進とい うものが一番下のところに据えられていると。これらをもって、それぞれの取り組みを さらに推進していくというような絵柄になっています。  全体的な基本的な概要についてはこのような形になっているので、この絵を横に置い ていただきながら、資料1「がん対策基本計画(事務局案)」について、簡単に構造を 中心に御説明させていただきたいと思っています。  まず1ページ目ですが、「はじめに」のところです。基本的にこの事務局案に関しま しては、前回の第2回のときに提示させていただいたたたき台、「計画イメージ(たた き台)」というものを中心に、そこを修飾する形、また入れかえるというような形。そ れから、第3回のところで各委員の先生方から、それぞれ文書で御意見をいただきまし た。そしてまた、それに対しての補足の御説明をいただきました。また、それをもとに していろいろとディスカッションをいただいた。その結果をこの中に踏まえ、事務局案 というものをつくらせていただいています。  1ページの「はじめに」のところですが、まず最初にこれまでの取り組みを、政府の 取り組みを中心にここで記載させていただいています。対がん戦略、がん対策推進本部 の設置など、そのような取り組みについて記載させていただいています。  そして2番目として、がんをめぐる現状というところで、今現在のがんに関する統計 的な数値も含めて、どのような位置づけなのかということをこの中で述べさせていただ いているところです。  また2ページで、特に「こうした中」のパラグラフに関しては、がん患者を含めた国 民は以下のところに関して、がんに関するさまざまな情報、それからがん医療に対する 期待や希望、それに対するがん医療の水準の地域格差、施設間格差等のギャップという ようなものにつきまして、この中で述べさせていただいているところで、それに続くパ ラグラフに関しては、医師を取り巻く厳しい勤務状況等についても言及しているところ です。  また、3の今後の展開のところですが、これについては一番最初のパラグラフで、基 本法につきましての背景というものもここで述べさせていただいています。そして二つ 目のパラグラフのところで、そのがん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画につい て、ここで記載させていただいていて、長期的な視点に立ちつつ、5年間を対象として 計画的な推進を図るために計画を定めるという内容のことが書いてあります。  また、その次のパラグラフにおいても書いてありますが、がん患者を含めた国民が進 行・再発といったさまざまながんの病態に応じて安心・納得できるがん医療を受けられ るようにするなど、「がん患者を含めた国民ががんを知り、がんと向き合い、がんに負 けることのない社会の実現を目指すこととする」という今後の展開に関する根本の理念 について、書いているところです。  次に「基本方針」のところです。これについては、前回お示ししたイメージのところ から大きく変わったところです。中でも、特にこの部分のところが後ほどの重点項目で、 重点課題や目標のところとのつながりが非常にわかりづらいという御指摘を複数いただ いたということを受けてのものですが、前回は法律の基本理念のところについて記述さ せていただいていましたが、これに今回、まず1として、視点として、基本的な計画の 視点というものを述べさせていただいているところです。  この中でも特に真ん中あたりにありますが、基本法の中で「がん患者の意向を尊重し たがん医療の提供体制の整備」。これはまさに基本法の中の基本理念ですが、これにつ いて明示させていただき、これを受け、がん対策の恩恵を享受すべきはがん患者を含め た国民であるということを明示しています。  そしてさらに、「したがって」以下のパラグラフのところで、がん患者を含めた国民 ががん対策の中心であるという認識の下、がん患者を含めた国民の視点に立ってがん対 策を実施していく必要があるとの基本的な視点をここで述べているところです。  続いて、考え方のところにおいて、ここは二つ目のパラグラフですが、「また」以下 のところで、まずこのがん対策を実効あるものとして推進するためには、まず一つとし て、実現可能な目標を掲げるということが重要であると。それから、特に不十分な分野 についての取り組みに重点を置いて実施していくことが有効であると。この2点につい て記載しているところです。  そして、その下のパラグラフ、「こうしたことから」のところですが、この中でがん による死亡者の減少。それからもう一つ、すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減、 並びに療養生活の質の維持・向上という全体目標について、これを全体的な目標として 総合的かつ計画的にがん対策を推進していくということをここで述べています。  そして、「特に」以下のパラグラフのところで、5ページにもまたがっていますが、 4ページの下ではまず、放射線療法、化学療法の提供体制等を整備していくということ についての説明。そして、5ページの一番上のパラグラフでは、治療の初期段階からの 緩和ケアの実施の推進。そして最後のパラグラフでは、がん登録を整備していくという こと。つまり、4ページの一番下のパラグラフから5ページの最後までのところにおい て、三つの重点課題について、ここで前もって基本方針の中で述べているという構造に なっています。  そして6ページのところでは、今述べた重点課題三つにつきまして、さらに細かく重 点的に取り組む課題として、ここで記載させていただいているところです。まず1とい たしまして、放射線療法及び化学療法の推進、並びにその専門医等の育成ということで、 これについて記載させていただいています。  特に専門的な医師の養成、それから専門を発揮しやすい環境整備等をここで記載させ ていただいています。また、2の治療の初期段階からの緩和ケアの実施についても、こ こで記載させていただいて、がん診療に携わる医師の緩和ケアの重要性に対する認識が 不十分であるという現状認識の下に、その点に関して補完していく対策を推進していく ということ等について、ここで記載させていただいているところです。また、この流れ の中で、在宅医療の充実等についてもこの中で触れさせていただいています。  また、7ページのがん登録の推進、重点的に取り組むべき課題の3番目、がん登録の 推進という中で、がん登録についてはがん対策の企画立案と評価に際しての基礎となる データを把握・提供する仕組みであると。また、患者を含めた国民に対しては、科学的 知見に基づく適切ながん医療を提供するために必要であると。この大きな二つの必要性、 目的について記述をさせていただき、最後に、個人情報保護を徹底しつつ、このような がん登録を円滑に推進するための体制整備を行っていく必要があるという記載をさせて いただいているところです。  続きまして8ページですが、8ページからは、全体目標並びに分野別施策及びその成 果や達成度を図るための個別目標ということで、こちらに目標に関して、それからその 目標を達成するための施策についてということを、系統的に記載しています。  また最初に、目標及びその達成時期の考え方ということですが、まず共通の目標を設 定するということが有効である。また、その成果や達成度を客観的指標によりはかるこ とが重要であるということとあわせて、全体目標を設定し、その全体目標を達成してい くための個別の施策、それに対する個別の目標の設定というものがあるということを、 全体の構成で述べさせていただいています。  そして8ページの真ん中のあたりから、全体目標について記載させていただいていま す。この中で(1)として、がんによる死亡者の減少というものを述べさせていただい ています。この中では、前回も議論いただきましたが、8ページの最後のところからで すが、今後10年以内に75歳未満の年齢調整死亡率の20%減少とするということを指 針に、その解説について述べさせていただいています。  また、もう一つの全体目標として、すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減、並 びに療養生活の質の維持・向上ということに関して、身体的な苦痛のみならず、精神・ 心理的な苦痛、そのほか療養生活において、このような苦痛に加えて安心・納得できる 医療を受けられないなど、いろいろな困難に直面しているという現状についても触れな がら、このようなことを全体目標の一つとして位置づけ、ここに記載させていただいて いるところです。  そして、9ページの真ん中から以下のところですが、この中では今申し上げた全体目 標を達成するための分野別施策、及びその成果や達成度をはかるための個別目標という ことが、これについても並べてあります。  まず、重点課題として掲げられていたもの。6ページで重点的に取り組むべき課題と ここで記載させていただいたように、がん医療に関することの重点課題ですので、まず がん医療について最初は放射線療法及び化学療法の推進、並びに医療従事者の育成とい うこと。それから、11ページのところでは緩和ケアについて。13ページでは在宅医療 について、15ページは診療ガイドラインの作成、16ページはその他の部分ということ で、それぞれに現状、取り組むべき施策、それから個別目標という順番で書いています。  また、16ページからは医療機関の整備ということに特化し、ここでも同様に現状、 施策、個別目標の順番で記載させていただいているところです。18ページには、(3) がん医療に関する相談支援及び情報提供の記載があります。(4)は、20ページの真ん 中から下のところでがん登録についての同様の目標までの解説が書いてあります。そし て22ページはがんの予防に関して、23ページはがんの早期発見について、最後に24 ページにはがん研究について同様の記載というふうに、個別の施策、個別目標について 順に記載しているところです。  そして26ページからは第4として、がん対策を総合的かつ計画的に推進するために 必要な事項ということで、各対策、分野別の対策について共通の推進するために必要な 事項ですが、それについて最後に、非常に重要な点なのでまとめて記載させていただい ているところです。  まず最初は関係者等。関係者も非常に広いので、関係者等の有機的連携・協力のさら なる強化について。そして2として、都道府県による都道府県計画の策定について、が ん対策推進基本計画との関係も含めて記載させていただいているところです。  27ページについては、3、関係者等の意見の把握について。4、がん患者を含め国 民等の努力について、今までの議論も踏まえつつここで記載させていただいています。  28ページからの5では、効率的・重点的な財政措置ということで、これらの対策を 進めるに当たっての措置について特記しています。また、6では目標の達成状況の把握 及び効果に関する評価。そして7の基本計画の見直しについても、ここで別途、記載さ せていただいているところです。  時間の都合上、非常に駆け足になってしまいましたが、全体の構成としてはこのよう になっています。以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。最初に説明のあった資料2の模式図に基本的な 構成は描かれていますが、その流れと一致するような形で本文が書かれているという内 容を概略、御説明いただきました。  それではこれから検討に入りたいと思いますが、前回のたたき台から相当に御発言、 あるいは御指摘の内容を取り入れて変更がされていますので、最初から順番に検討して いきたいと思います。まず1〜3ページの「はじめに」に関して、何か御質問や御発言 があればお受けしたいと思いますが。これはこれまで、「自画自賛的である」というよ うな御指摘も随分いただきましたので、トーンも随分変わっていると思いますが。   ○麦島委員 死因が第1位であるという中で、小児のがんも死因の上位を占めています ので御検討いただきたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。   ○高嶋委員 細かい文言でもよいですか。1ページの下から4行目、「食生活の欧米化 等により、肺がん」の次に「大腸がん」を入れていただきたいと思います。大腸がんは 非常にふえていますので。   ○垣添会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。   ○富樫委員 今の後ですが、ここに30万以上が亡くなっているということと、継続的 に医療を受けなければならない方が140万以上と推定。それから、新たにがんにかか る人は年間50万人以上ということが書かれているのですが、それに加えて、医療から 解放されたがん患者というか、「がんサバイバー」というか、そういう方も今はがん登 録が徹底されていないので、詳しい人数はわかりませんが、がん経験者が多数社会でも 現在活躍しているというようなことを一つでも入れていただければ、希望が見えるので はないかと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○関原委員 1ページの第2項のところの中ほどに、死亡者は今後ともふえると書かれ ていますが、一番重要なことは、罹患者がすごくふえるということです。そこのところ が「今は50万人以上」としか書かれていませんが、厚生労働省の調査などでは89万 人です。非常にふえるのが私は一番の問題だと思うので、ぜひその数字を入れるべきで はないかと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○高嶋委員 2ページの上から4行目ですが、がん医療の水準に地域間格差や施設間格 差が見られると。そのところに「進行・再発」とありますが、これは「早期」も入れて いただきたいと思います。早期がんについても、いろいろな治療のやり方がたくさんあ りますので、「早期、進行、再発といった」ということで、早期も入れていただきたい と思いますし、ほかのところにも「進行・再発」だけではなくて「早期」を入れた方が よい箇所が何カ所かあったと思います。そのあたりの検討をぜひお願いしたいと思いま す。   ○垣添会長 これはやはり、がんで亡くなる人や、あるいはがんで困っておられる方の 進行・再発がんのところが重点的になるということで、そこをあえて意図的にやったと ころですが、御指摘のことはまさにそのとおりだと思いますので、承ります。  よろしいでしょうか。それでは先に参ります。次は4・5ページの基本方針に関して、 何かあるでしょうか。   ○関原委員 この部分が一番重要なところです。これは基本方針である以上、基本方針 はちゃんと書くべきだと思っています。何かと言うと、「1 視点」「2 考え方」では なくて、視点のところは方針を書くと。具体的に申し上げると、「視点」ではなく「国 民の視点に立ったがん対策を実施する」というのが基本方針だと私は思うのです。だか ら、タイトルとして「視点」とか「考え方」というのは、第1の基本方針になじみませ ん。1は「国民の視点に立ったがん対策を実施する」と。そして2の考え方に書いてあ るのは、「がんの死亡者の減少とすべてのがん患者の苦痛軽減及び向上を目標に置いて、 総合的な計画を進めます」というのが、基本方針だと思うのです。  それから3番目に、特に現在立ちおくれている三つについては、重点的にやりますと。 そういうふうに三つに並べるのがまさに基本方針であって、視点がどうだとか考え方が どうだというのは、これには相当に違和感があるというふうに思いました。   ○垣添会長 ありがとうございます。基本方針をもっと力強く打ち出せということです ね。   ○門田委員 今のこの形で言えば「考え方」のところですが、その最後の「特に」とい うところですが、「基本的にがん対策」とその前はずっと幅広いことを書いて、「総合的 かつ計画的に実施していくこと」という形になっている。そしてその次に、特にがんの 種類に対応した集学的治療を実施していくため、手術療法と比較して相対的におくれて いる放射線・化学療法となっているわけですが、均てん化という考え方とか、あるいは ガイドラインにしても、いろいろとまだ手術療法そのものも問題が完全にないわけでは ないので、比較として手術療法を挙げていただくだけではなくて、やはり手術療法の均 てん化等のことを触れていけば当然問題も出てくるので、手術療法体制のさらなる整備 と、相対的におくれているものを重点的に整備していくという形に変えていただく方が、 基本的な考え方には適しているような気がしますので、検討していただきたいと思いま す。   ○垣添会長 手術療法にもまだ問題があるということですね。   ○門田委員 そうです。   ○本田委員 二つ申し上げたいことがあって、一つは、先ほど関原委員がおっしゃった ような「必要がある」とか「〜こととする」というのは基本方針になじまないと私も感 じているので、やはり「実施する」というような形にしていただいた方が、国民として も読みやすいと思いますので、検討していただきたいと思います。  もう一つは確認というか、4ページの最後のパラグラフの2行目の「がん患者及びそ の家族の苦痛の軽減、並びに療養生活の質の維持向上」というふうに難しい言葉ではあ るのですが、ここの確認なのですが、ここは何度か患者、私も含めさまざまな患者委員 が、死亡数を減少するという視点だけではなくて再発・進行の患者もきちんとした治療 を受けつつ、緩和医療も受けつつということを明確にしてほしいというようなことが、 こういう言葉になっているのかということを確認したいのですが。   ○垣添会長 そのことも含めて、こういう形になっているつもりですが。どうぞ。   ○門田委員 これからずっと出てくるわけですが、今おっしゃった「がん患者・家族の 苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上」という、ここの「療養」という単語で限定 する方がよいのか、あるいはいろいろなものを含めた生活の質の維持向上という形で、 もう少し幅を広げてもよいのかなという気もします。   ○垣添会長 前回までの議論では、どちらかというとQOLといった視点の話だったと 思うのですが、それをそういう言葉を使わないでということで、「療養生活の質」とい う言葉になっているのですが、どうでしょうか。「生活の質」。検討させていただきます。   ○中川委員 先ほども富樫委員が言われましたが、がんになられた患者さんが、普通の 生活を送る中で医療を適切に受けるという視点に立つと、「療養」という言葉が、一種 の社会との距離を感じさせるように思います。ですから、思い切って「療養」をとって しまうというのも、一つの考えではないかと。「療養」はとって、「生活」は残すと。   ○垣添会長 なるほど。ありがとうございます。   ○海辺委員 療養を含むということで、それでも構わないのですが、ここで多分「療 養」という言葉が出てきたのは、これまで治らないがん患者が望むような医療を受けら れる環境がないというような部分を考慮して、「療養」とあえて書いたのかなという感 覚がありましたので、「生活」でもよいかなとは思いますが、そういう視点も欲しいな というところで、「療養」が入ったのかなと解釈しているのですが。   ○垣添会長 文言は、私と事務局に一任くださいということに前回申し上げていて、い ろいろ苦労してこういう形にしているのですが、今御発言いただいた幾つかの提案は、 いずれも大事なポイントだと思いますので、最終的にはもう一ひねりさせていただきま すが、一応、ここでは預からせてください。ほかにいかがでしょうか。   ○門田委員 もう一つ、これもこれからずっと出てくる言葉として、治療の初期段階か らの緩和ケアの実施ということに、少し医師として、どちらかというと外科医ですので、 早期のものなどいろいろ含めてやっていて、「緩和ケアの実施」という単語が、少し私 自身はひっかかるところがあります。だから、緩和ケア的な要素を持ってとか、観点を 持って医療を実践するというふうな形の方が、我々とすればわかりやすい。最初から、 初期の段階でも緩和ケアの実施という表現に、少しひっかかるものを感じるのですが。 これは私たちの専門のところではないので、専門の方々の御意見を伺いたいと思います が。   ○垣添会長 外科医として少し違和感があるというお立場ですね。   ○門田委員 「実施」ということに。   ○垣添会長 緩和ケアにかかわっておられる方で、何か御発言はありますか。   ○江口委員 私たちとしては違和感はありません。緩和ケアの必要性というのは個々の 患者さんにより異なります。早期がんであって、完全に治ったとしても本人が再発の危 険などを非常に負担に感じておられる場合には、緩和ケアとして何らかのサポートをし なければいけないということもあります。   ○垣添会長 よろしいでしょうか。では、先に行かせていただきます。今度は6、7ペ ージの重点的に取り組むべき課題。放射線療法、2番の緩和ケア、3番のがん登録。い かがでしょうか。   ○本田委員 6ページの上から4パラグラフ目の「このため」というところの3、4行 目、「こうしたがん医療を専門に行う医師が専門性を発揮しやすい環境整備を行う必要 がある」ということで前回、専門医の育成だけではなく、そういう専門性を生かすとい う提供体制を整備するという視点を入れてほしいと申し上げたことを生かしていただい て、大変にありがたく思うのですが、この「発揮しやすい」というのは「発揮できる環 境整備」と言い切っていただいた方が、私はよいかなと感じました。   ○垣添会長 ほかにいかがでしょうか。それでは先に進みましょうか。次は8ページか らの全体目標並びに分野別施策及びその成果の達成度をはかるための個別目標というこ とで、8、9ページはいかがでしょうか。   ○関原委員 まず最初の目標と達成の考え方の最後のところで、「目標の達成のみを追 い求めることがないようにする」というような記述はしない。これは、いかにも逃げを 打っているような感じがしますので、それは当然なので、これは落としてもらいたい。  それから、そもそもここに、その上に書いてある「基本計画においては、整合性を図 りつつ」と書いてあるのは、これは何となしに今までの延長だなという気がするもので すから、整合性を図りつつも、もう一歩踏み込んだ何かが欲しいと私は思ったのです。 「図りつつ何かやります」というのは、従来と同じことをやっていくというような感じ なので。  それから、次の全体の目標の最初の4行ですが、今回の全体目標は死亡者の減少とQ OLの向上ということを言っているのですが、そのまくら言葉になっている最初の2行 は、QOLのことだけを言っています。全体目標のまくら言葉なので、やはりがんの早 期発見などをここに一行、入れてもらった方がよいのではないか。それを受けて、死亡 率の減少とさまざまな病態に対して安心できるという、その二つを並行して言葉が入ら ないとおかしいと思います。   ○垣添会長 そうですね。このまくらの部分は、QOLのことが中心に述べられていま すね。ありがとうございます。   ○関原委員 それから、がん死亡者の減少というところは、ここに書いてあるのは、 「このため、専門医等の育成を含めた……がん医療を中心とした基本計画よる取り組み を総合的に推進することにより、がんの死亡者を減らす」というふうなことが書いてあ るのですが、放射線や化学治療の推進、専門医の育成というより、これはどちらかとい うと、廣橋先生のお話のように、死亡率を減らすというのは、予防と早期発見と均てん 化の三つで減らすということにしてあるわけなので、これを見ると、化学治療などで減 らすようになっているものですから、この記述はちょっとおかしいと私は思います。  だからむしろ、そこのところは、今の早期発見とがん医療の均てん化なり、あるいは 予防ということによって減らすとはっきり書かないと、ロジカルではないというふうに 思います。   ○垣添会長 資料2のポンチ絵に描いてあるとおりなのですが、ここのところはあえて がん医療の部分を強調しているということなのです。しかし、御指摘のように全部書か なくては、やはりがんで亡くなる人は減らないということからすると、予防や均てん化 のことも触れなければいけない。   ○関原委員 いえ、そうではなくて、ここに入っているのは放射線と化学治療、専門医 ということしか入っていないのですが、これだけを入れると、どうも死亡率とは余りリ ンクしていないということなので、死亡率が大きな目標ですから、それに結びつくこと を入れておかないと、おかしいのではないかと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。埴岡委員。   ○埴岡委員 9ページの上から4行目ですが、「5年生存率の改善にもつながるものと 考えられる」とあります。以前に一種の政府公約として、「5年生存率の20%改善」と いう数字があったかと思います。これは本協議会第1回の「我が国におけるこれまでの がんに係る目標等について」という資料にも出ていたかと思います。そしてこれは「健 康フロンティア戦略」「がん対策推進アクションプラン2005」にも掲載されていたと思 います。  従来の5年生存率の20%改善と、今回の75歳未満の年齢調整死亡率20%減少との 関係ですが、今回立てた死亡率の20%減少を達成したからといって、必ずしも5年生 存率の20%改善が含まれているとは限らないわけですね。ですので、論理構成として は別途ここに、例えばですが、「健康フロンティア戦略及びがん対策推進アクションプ ラン2005に掲げられている5年生存率の20%改善の達成も含むものである」と書く必 要があるかなと思います。  それから、年度の関係を申しますと、今回の年齢調整死亡率20%減少という基本計 画は、2013年までですか。それから、健康フロンティアが2014年まででしたか。そう いう達成目標の時期の関係もあります。この新旧の目標の関係を整理する解釈を知りた く思います。そして、5年生存率の20%改善という既存の目標、一種の政府公約がな くなってしまうということがないように、その達成は前提として言う形が必要かと考え ます。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○門田委員 先ほど関原委員がおっしゃったことにも関係するのですが、確かに私は関 原委員の意見に賛成なのです。どうもこの専門医育成云々ということとポンチ絵と、も う少し考え方を整理した方がよいのかなと。均てん化ということがずっと騒がれている 割には、ポンチ絵には一切載っていないのです。  ですから、もう少しここの整理で、やはりがんの死亡者数の減少は、今の段階で5年 あるいは10年単位で考える場合には、先ほども基本方針のところで申し上げましたが、 ベースに流れるものという外科的治療も含めたものの集学的治療その他、あるいはそう いうものに対しての均てん化というものも含めて、やはりこれは重要なファクターにな ると思うので、ぜひ盛り込んでいただきたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○海辺委員 先ほどの関原委員の御発言と今の門田委員の御発言に関連して、ここで多 分あえて放射線や化学療法が出てきたのは、これまでのいろいろな流れでいくと、手術 療法では救えていたけれど、例えば放射線でも救える命が少し日本ではおくれているの ではないかという、そういう視点が入ったためにこれが入ったのかなと思います。  例えば日本では、補助化学療法というか、手術後のアジュバント療法などが少しおく れている感が患者としては感じる部分があって、例えばアジュバント療法などに関して は、それが研究が行われて十分に均てん化することによって、死亡率の減少に結びつく のかなという感覚が私にはあって、それでここにこれが入っているのかなと解釈したの ですが、ここにこれが入ること自体は、私は専門外なのですが、ただ、ここにあえてこ れが入った意味としては、そういう部分かなというふうに思ったものですから、発言さ せていただきました。   ○垣添会長 ほかにいかがでしょうか。   ○仁昌寺委員 9ページに、すべてのがん患者の苦痛という形で書かれていますが、こ こには身体的苦痛、精神的な苦痛が書いてありますが、私は住民と接していて、非常に 医療費に関する経済的な苦痛ということも多く聞かれます。前回も、日本は医療費の面 で余りかけていないのではないかというふうな発言もありましたが、そういった苦痛も 患者の気持ちを酌み取る意味で、ここに掲載してはどうかと考えます。   ○垣添会長 ありがとうございます。前回も確か、精神的・肉体的・社会的苦痛といっ た議論があったと思いますが、その部分に入るのではないかと思います。よろしいでし ょうか。それでは、もう少し先に進みます。9、10ページ、放射線療法、化学療法の 推進並びに医療従事者の育成で、現状、取り組むべき課題。それから緩和ケアの12ペ ージまで。   ○海辺委員 私は、ここに書いてあることが放射線療法及び化学療法の推進並びに医療 従事者の育成という項目だったので、推進という部分で化学療法に関して、例えば薬の 承認のことなどについては、患者の働きかけに国が答えてくれるような形で、以前と比 べ、かなり改善してきているという感覚を私は持っていて、それで現状のところでは、 進んできているという評価を書き加えてもよいかと思いました。  それから、さらにそれでも完全に十分というわけではないので、例えば有効で安全な 医薬品を迅速に提供するための検討会などでは、ドラッグラグの問題にもかなり目標を 掲げて、アメリカ並みの500日程度に収めるという目標が既に掲げられているので、 こちらにもそういう目標をさらに進めるということを加えてもよいかと思いました。   ○垣添会長 ありがとうございました。なるべく自画自賛的にならないように、抑制的 に書いていますので。   ○廣橋会長代理 放射線療法・化学療法を拠点病院で実施できるように広げていくとい うことですが、11ページの(3)の個別目標のところを見てください。拠点病院のうち、 少なくとも特定機能病院において、放射線療法部門、化学療法部門を設置することを目 標とするとなっているのですが、この拠点病院の制度の中にはもう一つ、都道府県の拠 点病院もありますので、そこでもこういう部門をつくってやるということで、より強化 できるのではないかと思いますので、「少なくとも特定機能病院」の「少なくとも」を とって、都道府県の拠点病院を加えてはいかがでしょうか。   ○垣添会長 なるほど。大事な指摘かと思います。特定機能病院と、それから都道府県 の基幹施設ということでしょうか。   ○江口委員 個別目標のところで、多臓器がんの専門家が定期的に診療に関しての会議 を持つという部分です。一般的には「腫瘍ボード」というような表現ですが、機能とし て、多臓器がんの専門家が定期的に集まり診療連携する場を持つということを、ぜひ盛 り込んでいただきたいと思います。拠点病院などがん診療を専門に行う病院の一つの機 能として必須なものであると思います。  個別目標のところで、「実施件数を評価の参考指標にする」と書いてありますが、単 なる実施件数は、今でも公表している医療機関がたくさんあります。診療の質がどうか ということが一番問題なので、ぜひ質がわかる指標を評価指標にしていただきたいと思 います。   ○垣添会長 ありがとうございます。診療体制にまで踏み込んだ御発言と思いますが、 腫瘍ボード、テューマーボード、あるいは単にカンファレンスということで、複数の診 断・治療の専門家が一人の患者さんの周りに集まって、最適な治療法を選ぶ。あるいは、 先週、先々週の治療はそれでよかったかというような議論をするということが、だんだ んと全国的に広まっていくということが、がん医療全体をレベルアップするという立場 での御発言かと思います。ありがとうございます。   ○関原委員 13ページの個別目標が非常にわかりにくい。ほかのところでは拠点病院 に何か置くと書いてあるのですが、ここだけ2次医療圏に置くとなっています。「2次 医療圏に緩和チームを複数整備する」という、地域にチームがあるというのは、非常に わかりにくいと私は思ったのです。2次医療圏に、拠点病院を一つ置くということはわ かっているのですが、地域に、チームを複数整備するというのはどういうことなのか。 これは非常にわかりにくいと思ったのですが。   ○垣添会長 わかりにくいということはわかりました。先に廣瀬委員、それから江口委 員。   ○廣瀬委員 9ページのがん医療のところで、放射線療法及び化学療法の推進並びに医 療従事者の育成があります。しかし10ページになると、この最初のパラグラフはがん の専門医認定に関して、3行目で「専門医が養成されている。また、関係学会等が協力 して……医師の認定制度も新たに創設されつつある」と、この二つは医師に限定して書 いています。  次に1行あけて、「看護師・薬剤師等については国や学会等において各種の研修を実 施し」とあります。看護師や薬剤師は化学療法のことも大いに関係するので、単純に 「各種研修を実施している」では、余りにも医師と濃淡があり過ぎる書きぶりではない でしょうか。  ここはもう少し、薬剤師もそうですが、やはり看護の学会と専門職団体が一緒になっ て認定をしているという10年の実態があるわけですから、ここはもう少し、医療従事 者にも焦点を当てた育成にも記述していただけるとよいかと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○江口委員 緩和ケアのところですが、先ほどの関原委員の御意見と同じく「複数整 備」というところは文言が少しおかしいと思います。拠点病院において専門的に緩和ケ アチームが設置されるた場合に、外部からのコンサルテーションも受けるような緩和ケ アチームを置くことになります。複数整備というところは、単独チームではとてもすべ てを引き受けられません。複数チームをおくということが、緩和医療をより有効に推進 する一つの方策ではないかと思います。文章、文言を少し変えないといけないかと思い ます。  緩和ケアの普及・啓発、研修推進などについては現在でも多数の研究会、研修セミナ ーなどが開かれています。しかし参加医師が非常に少ないことや、それらに参加しない 医師に対してどのようにしたら全体の緩和ケアの質を向上させることができるのかとい うことが問題となっています。従って卒後の臨床教育において緩和ケアの研修を実習期 間を含めて義務化するということが必要です。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○中川委員 13ページの緩和ケアの個別目標の最後のパラグラフですが、確かに緩和 ケアの推進の指標をどうするかというのは大変に難しい問題なのですが、この「適当で はないことから参考指標とする」と、医療用麻薬の使用量を。ただ、やはり本来は、痛 みがとれているというところが目標であって、そこを何とか書き入れていただきたいと 思います。そのためにはそもそも、緩和ケアの評価指標というものが要るわけですが、 それは緩和医療学会でも進んでいるはずですので、それと合わせて、有痛率を減らすな り、除痛率を高めるなり、非常に難しいとは思うのですが、何かそういうことを御検討 いただければと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○江口委員 確かに、緩和ケアの有用な評価指標というのは確立されていません。この 計画に入れる文言としては、例えば「合理性のある指標で評価する」などでしょうか。 公的班研究などで検討されている合理性、妥当性、信頼性などが検証できたような指標 を使うことになります。   ○垣添会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。   ○埴岡委員 全体に個別目標が少し具体性に欠けるという感じがあります。現在すぐ明 確になっている目標が少ないという点があるかと思います。ですから、すでにある目標 以外にも、新しい目標の開発や指標測定を並行して進めて、できたものから基本計画に 取り込んでいくということを、個別目標の全体に係るような形で入れていただければと 思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○江口委員 「その他」のところに、告知や、がん患者と医師とのコミュニケーション 技術が書いてありますが、「その他」の分類ではいかにも添え物的にみえます。実際は 緩和ケアの中にコミュニケーションなどを入れてしかるべきではないかと思います。   ○垣添会長 どうぞ。   ○麦島委員 16ページの上から9行目に、働き盛りや子育て世代のがん患者や小児が んの子供を持つ家族を支援する体制のあり方について研究を進めていくと記載されてい ます。これは研究事業というような意味合いではないかと思うのですが、そのように理 解してよろしいかどうかということと、もう一つは、子供のQOLは非常に重要な問題 です。治療期間中の教育の問題で、特に院内学級の件なのですが、集団生活をしていな いと、学業に復帰したときにいじめとか落ちこぼれの原因となります。是非とも教育を 均等に受けられる状況にしていただきたいと思います。  というのは、国公立の附属病院、あるいは小児病院は院内学級を持っているのですが、 私が勤務している私立の大学付属病院などは持っていないのです。申請していますがス ムーズに受理されません。ですから、都道府県によって対応は違いますが、ぜひ教育の 均等化、平等化という意味でも、治療期間中の子供たちがQOLを維持するためにも、 院内学級をぜひ設置していただくようにお願いいたします。  それからもう1点、小児がんについての長期フォローアップを含め、今後一層の対策 を講じていくと記載されていますが、これは非常に漠然としています。同じ文言が記載 されているのですが、長期予後のフォローアップというのは、一つは体制の整備という ことが大事ではないかと思います。幸いにして、がん治療研究事業として今年度、小児 がん治療患者の長期フォローアップとその体制整備に関する研究ということで採択して いただきました。大変にありがたいと思っていますが、やはり長期予後のフォローアッ プという表現だけでなく、フォローアップ体制の基盤整備という内容を含んだ文言にし ていただけたらありがたいと思っています。よろしくお願いします。   ○垣添会長 ありがとうございます。本田委員。   ○本田委員 同じ場所の16ページの小児がんについての長期予後のフォローアップと いうところですが、これは長期予後というような意味合いでは、先ほど富樫委員も発言 されていましたが、サバイバーと呼ばれる、今はがんを克服したという方でもいろいろ な後遺症を持ったり、いろいろな問題があるということで、アメリカなどでも今、サバ イバー支援のあり方の研究は大きく取り上げられていると思いますので、小児がんに加 えて、全般のサバイバー支援のあり方というか、そういう調査研究のようなものも、視 点として加えていただければありがたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。高嶋委員、それから関原委員。   ○高嶋委員 15ページの診療ガイドラインのところの個別目標ですが、診療ガイドラ インの採用状況は非常に評価が難しいと思います。今は診療ガイドラインに沿って大体 の病院がクリティカルパスを作成しているので、クリティカルパスの整備と、クリティ カルパスに沿った診療がどの程度やられているかというのを、目標にしてもよいかなと。 例えば、国立病院機構では臨床指標評価の中に、クリティカルパスでの診療を50%以 上入れようという数値目標を既につくっていますので、これはかなり使えるかなという 気がします。   ○関原委員 14ページの在宅医療の個別目標は、「選択できる患者の数の増加を目標と する」ですが、こういう指標しかないのか。この在宅という意味は、施設在宅なども含 めているのか、病院での死亡を減らすことなのか。数が少しでもふえたらという個別目 標では余りにプアだという感じがするものですから、もう少し何か御検討いただけない ものかと。在宅医療の向上の指標が、こういうことなのかどうかということ。  それから、15ページのその他の「医師のコミュニケーション技術の向上に努める」 とありますが、技術の向上に努めるというのは、だれが努めるのか。「がん医療に携わ る医師は」ということでしょうか。あるいは、技術向上のトレーニングを進めるという ことなのか。   ○垣添会長 16ページですね。わかりました。2行目。   ○関原委員 告知等を行う医師のコミュニケーション技術の向上を求めるのであれば、 「がん医療に携わる医師は」とか、もう少し主体を明確にしてもらった方がよいのでは ないかと。  それから、幾つかあるのですが、「研究を進めていく」というのは、大いに研究をし てもらったらよいのですが、やはり基本計画なのだから、「育成などの体制整備を図 る」といったことの方がよいのではないか。「研究を進める」ということでは、基本計 画ではないという感じがします。次の子供のがんについても、体制のあり方について研 究を進めていくということであって、もう一歩踏み込んだことにしないと、基本計画で はないという気がします。   ○垣添会長 ほかにいかがでしょうか。   ○中川委員 在宅緩和ケアの部分ですが、緩和ケアをやっていると、在宅の部分は本当 に地域によってかなり違います。東京にいると、在宅に持ち込める率はどうしても下が らざるを得ない。これは、患者さんが在宅を望んでいないわけではなく、つまり受け入 れ側のコミュニティがないのです。ですから、在宅緩和ケアというのは基本的に、地方 に行けば行くほどやりやすくなる。ここでは一律に書かなければいけないのはわかるの ですが、地域の特性を考慮した上でということをぜひ入れていただきたいと思います。   ○埴岡委員 15ページの最後の行からの、ガイドラインの個別目標のところですが、 「すべてのがん種についての診療ガイドラインを作成するとともに」とありますが、つ くることが目的ではなくて、「届けること」、「使うこと」が目的なので、「作成し」 の後で「無償で公開するとともに」というような文言を入れていただきたい。それから、 先ほど出たように、こうした診療ガイドラインに基づいてクリティカルパスが普及して いくということも大切だと思います。  それからその後ですが、16ページの5行目、関原委員もおっしゃいましたが、「体制 の整備に向けた研究を進めていく」ですが、これはできれば「体制の整備を行う」とい う形にならないものでしょうか。  それから1段落置いて、16ページの11行目、「働き盛りや子育ての世代のがん患者 や小児がんの子供を持つ家族を支援」とあります。先ほどから何度か出ていますが、や はりがん経験者、サバイバーを支援することも大切ですので、ここにもサバイバーを入 れていただきたいです。また、基本計画の他のところにたくさん出てくるがん患者・家 族等の文言の「等」の中にはサバイバーも含んでいるというふうに、考えられるように していただきたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○内田委員 15ページの一番上の個別目標のところですが、在宅という限定はこれか らの医療提供体制の中に少しなじまないということを思います。要するに、一人暮らし のお年寄りとか老老介護といったときに、在宅という限定をすると、それが非常に限定 された範囲の場になってしまうということで、施設等も含めた多様な選択がこれから必 要になってくるし、その中で施設療養等も含めた多様な医療提供体制というのが求めら れてくると思いますので、ここのところは「住みなれた家庭や地域での多様な療養を選 択できる」という形にして、がん患者の在宅を初めとする居宅での死亡割合という形に していただかないと、病院以外の死亡が在宅という限定は、これからの医療提供体制の 中では非常に厳しいものがあるというふうに思っています。  それを支える地域での在宅・居宅を中心とした医療提供体制の構築ということが、チ ーム医療ということになると思いますけれども、そういうものを地域で構築していくと いうことをうまく表現して、盛り込んでいただければと思います。   ○垣添会長 ほかにいかがですか。   ○景浦委員 13ページですが、ここで緩和ケアの医師の数を増加させるということに ついては、非常に重要な点だと思いますが、ただ、個別目標のあらわし方というか書き 方として、「原則として全国すべての2次医療圏において」という表現をもう少し御検 討いただきたいと思います。  というのは、これはうちの担当者から指摘をしてもらったのですが、改正医療法の第 30条の3に基づく基本方針の中で、実は「4疾病5事業に係る医療提供体制の確保に ついて」という部分で、この4疾病にがんが含まれているわけですが、その中で明らか に、従来の2次医療圏ごとの計画ではなくて、「地域の実情に応じた計画を作成するこ とに留意する必要がある」と書かれています。2次医療圏の中で医療体制を完結させる と記述すると、実態から離れてしまう虞がありますので、13ページのこの部分と、20 ページの相談支援センターのところも同じように2次医療圏という表現がありますので、 これもあわせて御検討いただけたらと思っています。   ○垣添会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。では、もう少し先へ参りま す。17、18、19ページ、20ページのがん登録の上まででいかがでしょうか。   ○江口委員 言葉の問題ですが、病理の遠隔診断の部分で「バーチャルスライド」とい う言葉が出ています。ここに「バーチャルスライド」という具体的な言葉が出ていると、 違和感があります。現実には、バーチャルスライドではすまされない問題もわかってき ており、言葉を変えていただきたいと思います。  「がん種」という言葉がありますが、これはがんの種類を言っているのでしょうか。 普通「がん種」と言うと、「腫瘍」の「腫」と書くことが多いのですが、もし種類のこ とを言っているのであれば、誤植と間違えられるので、「すべてのがんの種類」と書い た方が良いと思います。一般的に、医学書などでは、「がん腫」というのはがんの腫瘍 ということを示しています。  18ページの現状のところで、がん情報サービス向上に向けた地域懇話会を開催して いるとありますが、これは具体的にどの程度開催されているのですか。地域によっては、 まったく行われていない所もあるようです。すでに全国で開催されているのですか。   ○垣添会長 やっています。  逐次、拡大しつつある。   ○江口委員 「各都道府県と協力して」と書いてあるので、既に全国的に行われている と誤解される可能性があるので、コメントしました。   ○垣添会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。   ○門田委員 17ページの(3)の個別目標の上のパラグラフですが、「医師はより専門的な 診療が求められるがん患者が受診した場合には、必要に応じ、医療機関を紹介するなど、 がん患者が適切ながん医療を受けられるように日ごろより注意を払うことが望まれる」 と。これは当然の話で、しかもこれを「望まれる」というようなことを書くべきではな いのではないか。当然のことで、書くのであればもっと厳しく書くべきだと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○富樫委員 関連して。門田委員から当然のことと御意見がありましたが、現実にはそ うされていない患者も少なくないので、ぜひ厳しく書いてください。   ○垣添会長 どうぞ。   ○埴岡委員 17ページの下から9行目に、「国立がんセンターは、我が国のがん対策の 中核的機関であり」と、国立がんセンターに関しての記述があります。私も以前から国 立がんセンターが日本のがん対策の司令塔になってもらいたいと欲していますので、こ ういう「中核的機関であり」という書き方は好ましいと思います。しかし、今のそのま まの延長線上にあるのではないとも考えます。ですから、「国立がんセンターは、その あり方を見直しつつ」などと入れていただければと思うのですが。  もう一つ、国立がんセンターに関して「拠点病院への技術支援を行うなど」とあるの ですが、これからは情報発信、あるいは戦略の提示が重要と言われていますので、「技 術支援や情報提供を行うなど」のような形で少し新味が出せないかと思いますが、いか がでしょうか。   ○本田委員 私もかねてから、国立がんセンターにぜひ中核的機関となっていただきた いと思って発言してきたので。ただ、現状としてそういう方向をより強化していくとい う意味合いを強めるためにも、「中核的機関として牽引していくよう、努めなければな らない」というような感じで、厳しく書いていただいた方がよいのかなと感じています。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○関原委員 私も、ここのところは非常に大きな進歩だと思います。「がん医療の中核 的」ではなくて、がん対策を中核的にやるというか、これはまるで厚生労働省のような 話だと私は思ったのです。対策をやる中核機関というなので、これは個別の医療だけで はなくて、患者のサポートなりいろいろなことを含めて、これはそういうことなのです か。中核的機関というのは、そういう位置づけですか。今の中央病院と研究所と、それ から局があって、その局がそういうことをやるということなのですね、この書き方から 見ると。   ○廣橋会長代理 はい、がん対策情報センターがつくられて、人材育成、研修、あるい は情報の発信とか、そういったものに取り組んで、がん対策の実際の事業の一部を担っ ていく、その中核的な役割を果たしていくということだと思います。そういう方向を強 化していくということだと思います。   ○垣添会長 それでは、20ページのがん登録から。   ○埴岡委員 その前の「がん医療に関する相談支援及び情報提供」の部分に関して、2、 3点述べさせてください。20ページの個別目標のところに、20ページ13行目から 「がんに関するパンフレットの種類を増加させるとともに、当該パンフレットを配布す る医療機関等の数を増加させるほか、当該パンフレット及び患者必携をすべてのがん患 者及びその家族の手に届けることを目標とする」とあります。ここに、我々が提案した 幅広い情報を患者に提供するしっかりとした冊子ということで、患者必携というものを 入れていただいて、大変うれしく感じています。これは基本計画の基本理念のところに もあった「がん患者の意向を尊重した医療を提供していく」ということに強く関係して います。がん患者においても、よくがんについて知って、勉強しつつ、ある意味で医療 に参加していくためにも、大変に役に立つと思います。患者が情報を知った上で治療や 医療を選択していくという意味でも、非常に大切だと思います。  それで現在、配られている冊子は大体10数ページの薄い体裁のものなのです。しか し、恐らく先ほど申し上げたような趣旨からすると、がん患者必携というのは、ここに ダミーの本をお示ししますが、こういう400ページくらいのものです。がんになった らまず知っておきたい数10の項目、主ながんの種類に関しての簡単な解説、補助療法 など様々な症状への対処法、生活の支援に関すること、患者会の情報、患者の体験談、 がん患者さんが今の相談支援センターにしてくる主な100の質問と回答などが入って いる。「地域連携クリティカルパス」などといきなり医師が言ってもわからないので、 用語集も入っているといい。そういうイメージのもので、がんになった人は必ず1冊持 っている。すぐに全部を読むわけではなく、それでいい。最初は自分の当面の関心があ るところを読めばいい。また、医師や看護師が患者さんと一緒に読むといい。医療者が 患者さんに話すときに「このページです」と示しながら説明するといった風にも使える。 患者さんは、家に帰ってからじっくり読んでみる。患者さんは、自分の治療が進展して いくにつれて、自分の関心や理解が進むにつれて、患者必携の必要なところを読んでい く、と。  こうしたイメージの本ですが、これが20ページ15行目に書いてあるようにすべて のがん患者・家族に届くようになれば、日本全国のがんに関する理解力や生きる力が非 常に高まって、医療者も含めて非常にコミュニケーションがしやすくなる。たとえば、 「患者必携の280ページを見てください」と言えば、コミュニケーションができると いう形になっていくのではないかと思います。  それから、富樫委員が所属されているあけぼの会などでは、『私のカルテ』という冊 子をつくっておられます。がん患者が医師と対話しながら、自分で自分の診療の記録を つけていくというものです。一種の母子手帳型の、ずっと自分が持っていく冊子です。 患者必携では、さきほど説明した情報ブックのパートと、この「私のカルテ」の二つが セットになっている。また、患者必携には、「携帯できるがん情報センター」のような 側面もあります。患者必携として、そういうものが広まっていくというイメージを私は 持ったのですが、これが着実に実施されて、本当にすべてのがん患者・家族に届くよう にしていただきたいと思います。  それから電話に関してですが、電話相談に関しては今、それぞれの病院の相談支援セ ンターが電話を受け付けるということで、全国的にそれぞれの地域で電話を受けられる 体制をつくろうということになっているようです。しかし、世界的に先進国を見ると全 国からの電話を1カ所で受けるといったコールセンターができていて、全国どこからで もいつでも電話して相談できるというふうになっています。その利点は、いつでもかけ られるということと、標準的なサービスが提供できるということです。また、相談支援 センターやがん対策情報センターへのつなぎにもなります。いろいろな冊子を受け取る ための窓口にもなります。ですから、この項目の中に、「いつでも相談できる電話相談 窓口の設置に、官民ともに取り組むことも重要である」というようなことを入れていた だければと思います。  それから、個別目標のところに「3年以内に相談支援センターを概ね1箇所程度整備 するとともに」とあるのですが、これは「1箇所以上」ということではないのですか。 以上です。   ○垣添会長 はい。わかりました。ありがとうございました。廣橋委員、それから埴岡 委員、どうぞ。   ○廣橋会長代理 今御説明になった患者必携ですが、そういうものも有効だろうと思い ますが、今、がん対策情報センターではかなりパンフレットを強化しようとしています。 そのパンフレットの中には、いろいろながんの種類の患者さんに共通に必要な情報、今 お話になったようなことのパンフレットと、それから各臓器がんのパンフレットとあり ます。まずそういう共通のものを整備して、さらに必要に応じてどのパンフレットを見 ればいいのか、あるいはどのようにすればアクセスできるのかというようなことが書か れているパンフレットと組み合わせて提供していくことで、まずはかなりの目的が果た せるのではないかと思いますが、いかがですか。   ○埴岡委員 大切なのは、やはり普及率であり所持率だと思います。今、国立がんセン ターの冊子も60万部印刷されていると聞いています。しかし、それが実際にがん患者 さんの何割に到達しているか、ということが一番の問題だと思います。例えば冊子が 30種類できたとしても、適宜タイムリーに患者さんが必要なものをピックアップでき ればいいのですが、これは持っているけれどもそれは持っていないというような形にな ります。もちろん現在、順次作成中の冊子もこれはこれで非常に有効ですけれども、患 者必携はまったく別のものです。患者必携は、がんになった人は必ず拠点病院の相談支 援センターへ行って、あるいはお医者さんからかもしれませんが、これを1冊もらって おく。そして、それとは別に適宜各論のものについては、現在作成中の冊子と出会える ときがあればピックアップする。  患者必携として全員が同じものを必ず持っているということが大変有効になると、私 は想像します。   ○廣橋会長代理 共通のものをなるべく全員に伝えていくということは確かにそうだと 思います。   ○埴岡委員 そうです。みんなが必ずもっている患者必携は分厚い本の形で、がんの種 別などの個別冊子は薄い形のものです。   ○垣添会長 景浦委員、どうぞ。   ○景浦委員 先ほど述べました相談支援センターの件ですが、現在、既に拠点病院にセ ンターがございますので、20ページの書き方ですと、各都道府県で、拠点病院のない 2次医療圏にも3年以内に相談支援センターを整備すると理解しなければならないのか、 都道府県が今後こういった計画を作成していくに当たってどのように理解していくかと いう点で、後ほど細かい説明会があるとは聞いておりますけれども、もう少し明確にし ていただけたらと思っております。   ○垣添会長 ありがとうございます。中川委員、それから麦島委員、どうぞ。   ○中川委員 パンフレットというか、埴岡委員のものはバイブルというかブックですね。 これは私の持論ですが、やはりがんになる前からがんを知るということが、結果的にが んのクオリティーと、恐らく結果的にはがんの医療費も下げる方向に行く。  これは荒唐無稽なアイデアですが、極端にいえば成人式の日に国民全員に渡してしま う。それはお金がかかるかもしれませんが、多分非常に大きな効果がある。これはこの 計画と直接関係ないことで、個人的な考えですが、そういった方向に行ってもいいので はないか。  私は埴岡委員の発想は非常によくわかります。   ○垣添会長 ありがとうございました。麦島委員、どうぞ。   ○麦島委員 21ページの下から7行目のところに「小児がん登録の整備など、がん登 録のあり方についてさらなる検討を行っていく」という文言がありますが、「小児がん 登録の整備」というのは漠然とした表現のように感じております。「小児がん登録シス テムの再検討」という表現にしていただきたいと思います。  と申し上げますのは、成人のがんの登録に関してはがん拠点病院を中心にお考えのよ うですが、小児がんを主に診療している施設は小児病院です。小児病院はがん拠点病院 になれませんので、そういったことも含めて、小児がん登録システムの再検討をお考え いただければ大変ありがたいと思っております。   ○垣添会長 それでは門田委員、本田委員。   ○門田委員 私は埴岡委員、あるいは中川委員がおっしゃったことは非常に重要なこと だと思います。医療の現場にいて一番重要なことというのは、特にがんの患者さんの場 合、多くの方が初めて病気になったということで、とにかく人生がひっくり返ったよう な感じで来られるわけです。  ですから、今、がんになった方の話が埴岡委員からあったと思います。そして中川委 員からはその前にということで、非常に重要で、成人式ではなく、ここでは「がん医療 に関する相談支援及び情報提供」という形になっておりますが、やはり教育が欠けてい ると思います。生死の教育も欠けていますし、がんが死につながるということもあるわ けですが、ここのところを、時間はかかるけれども、何らかの形で盛り込んでいくこと も必要ではないかというふうに思います。ぜひ考えていただきたいと思います。   ○垣添会長 中川委員、それから本田委員。   ○中川委員 前々回に申し上げたのですが、この計画とずれていく可能性もありますけ れども、私は成人式と申し上げましたが、本当はやはり小学校です。小学校の教科書に、 人は死ぬと書いてほしい。ただ、これは基本計画と違いますので、少しそれますが、本 当はそういうところからやることが医療をよくします。   ○本田委員 別の意見ですが、私も教育のことはすごく重要だと思っておりまして、ぜ ひ小学校教育に、体のことを知るということや命を知るということ、中でもがんを扱う というようなことは、ぜひ文部科学省の課長もいらっしゃることですし、何らかの形で 検討していただきたいと考えています。  また、一つ意見ですが、20ページの個別目標の4行目「がんに関するパンフレット の種類の増加」というところですけれども、そのこと自体はとてもいいと思いますし、 実際、現在も患者さんなどを交えてのワーキンググループという形でパンフレットを作 成していただいているということで、それはとてもいいことだと思っているのですが、 ある程度、どういうものが必要なのかという患者の意向みたいなものを聞くという段階 が今は全くない中で、取り急ぎがんセンターがこれをつくるという中で患者の意見を聞 くという形になっているのが現状だと思います。  簡単なもの、ありふれたという言葉はよくないかもしれませんが、書店などで簡単に 手に入るようなものとは違うものから先につくっていくとか、なかなか情報が得られな いものから先につくるべきだという声もありますし、何からつくっていくかというとこ ろに「患者の視点も考慮しつつ」というようなことをぜひ加えていただければと思いま す。   ○垣添会長 ありがとうございます。三成委員、どうぞ。   ○三成委員 補足になるのですが、私は中学校でがんの講演をしたことがありますが、 やはり死についてしっかり教えることは非常に大切なことで、死を意識することによっ て初めて生を知るような感じになりますので、これは初等教育で非常に大切なことでは ないかと思います。  あるいは、今は家族が家の中で死を迎える場面がほとんどありませんので、いわゆる 子供が死体を見るということがほとんどないわけです。その辺から、いわゆる生に対し て軽んずるようなところもあるのではないかと思いますので、がんを含めて、死に対し てきちんと教育するというのは非常に大切だと思っております。   ○麦島委員 小児科医の立場から、この問題は非常に大きな問題だと思っております。 特に文部科学省の方もおられるので御存知だと思いますが、たしか以前調査があったと 思います。ごく普通の小学校3年生だったかを対象にして、人は死んだらどうなるのか という質問をしたときに、30%くらいの子供たちが、また生き返ると返答したそうで す。  これは考えさせられる問題で、今、三成委員がおっしゃったように、命とか生といっ たことに関しては、ぜひ教育の面でもお考えいただきたいと思いますし、ここがこれか らのがんの問題についてもつながっていくのではないかと思います。ぜひその辺を御検 討いただきたいと思っております。   ○垣添会長 ありがとうございました。富樫委員、中川委員、どうぞ。   ○富樫委員 今の話はとても重要なことですけれども、私自身、今こうして元気にして いるがん患者ですが、私が乳がんにかかったときに、知人からは、私は死ぬ人だという 感じで見られました。これはやはりがん患者としてはすごく精神的な苦痛、社会的な苦 痛を感じるところなので、がんだけではないですが、やはり命ということに関して、命 は限りあるものだということは絶対に初等教育でかなり入れていただきたいということ を文部科学省の課長にお願いしたいと思います。  日本は、死とか病気ということを表沙汰にしない。普通の会話でも、話をすると嫌が るということが大勢ですが、それは絶対に間違いだと思います。人間というのは絶対に 死ぬ。  私もがんになったときはとても死ぬことが怖かったですけれども、人間の死亡率は 100%だという話を聞いたときは安心する感じがしました。  ですから、がん患者がそういう特別な目で見られないように、でも人間はいつかは死 ぬということを、ぜひ初等教育のところで強調していただきたいと思います。  もう一つ、この患者必携は、今、患者のためにということを皆さんおっしゃっていま すが、この患者必携があることによって、ドクター、看護師の方たちも、日常の業務な どについてすごく助かると思います。やはり今、患者が困っているのは、先生からの詳 しい説明を自分が納得するまで聞けないということが問題だと思いますので、まずこう いうバイブルがあれば、先生方がすごく助かるのではないかと私は思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。中川委員、海辺委員、どうぞ。   ○中川委員 セカンドオピニオンのことに少し触れたいのですが、19ページの一番上 のパラグラフに「担当医に遠慮せず相談ができるよう、必要に応じて他の医療機関に相 談を受けられる体制を整備する」とあります。これはまさに大事なことですが、この基 本法の中でも、セカンドオピニオンという部分は非常に大きく書かれていたと思います。  それから、これが「相談支援及び情報提供」というところに入るということもわかる のですが、前後の順番等で、セカンドオピニオンの部分が比較的わかりにくいように思 いますので、もう少しはっきりするような形にしていただきたいというふうに思います。   ○海辺委員 先ほどからたくさん意見が出ていた教育の部分と、がん患者必携の部分に ついてですけれども、私も2児の母として、やはり命の問題は大きいと思いますし、ま た、病気について知っているということは一生の宝になる部分もあると思いますので、 ぜひその部分の取り組みは必要だと思います。  また、一般の方々にも、折に触れ、がんという病を健康なうちに知っておいていただ くということは非常に重要なことではないかと感じております。  患者さんや御家族を見ておりましても、一度がんで家族を送ったことのある方が、家 族の中で2人目のがん患者が出たときは、一度1人送っている体験があるので、もとも と持っている知識などのいろいろな部分があって対応が違うと感じられる部分もありま すので、やはり一般向けの教育のような部分も必要かと思います。  また、がん患者必携に関しましては、私の患者会などにファクスなどで相談が来た場 合なども、私は医師ではありませんから医療相談などは受けられませんけれども、こう いう治療を受けるということがたくさん書いてある中で、私などが客観的に見ても、比 較的いい医療というか、真っ当な医療なのに、その御本人は、自分はがん難民になって しまったというような訴えで書いてある。必携のようなものがあれば、「あなたの場合 は何ページではないかと思いますので、もう一度よくお読みになってください」「その 上でコミュニケーションをとってください」というようなことを患者会としてもアドバ イスできることがあるかと思いますので、やはりそのようなものがあり、そして『私の カルテ』のようなものがあれば、自分の病状や受けている治療法などがきちんと記録で きて、自分で把握できます。それをもとに、ほかの人から客観的なアドバイスを受ける という作業ができるようになると思いますので、ぜひその部分は早い取り組みがなされ るとよいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。関原委員、どうぞ。   ○関原委員 私はどなたの意見にも反対はないのですが、やや水を差すようですけれど も、実は1年に60万人ががんにかかるとしたら、こういった必携などを本当に求めて いる人は1割だと思います。9割の人は、廣橋委員がおっしゃるように、簡単な2、3 枚のもので理解をして、先生と話してやるというのが普通ではないかと、私は自分の経 験にも照らして思っています。  つまり、この協議会のメンバーはみんながんに非常に関心が高い人ばかりですが、毎 年罹患する60万、あるいは百数十万の患者達を対象に、政策としてどういうことをす るべきかということになると、各臓器別の簡単なパンフレットのような理解し易いもの が絶対に必要だし、それで相当に足りるということを率直に思います。  例えば私は今、年金の会社におりますが、国民の最大の関心は年金です。9割が年金 が一番だということで、医療よりも圧倒的に大きいです。しかし、ほとんどの人は年金 の1階部分とか2階部分ということさえ知りません。そういうレベルです。みんな年金 に関心がありながら、それでは少し詳しく調べようという人は実際にはそんなに多くあ りません。  もちろん必携があった方がいいに越したことはないですが、プライオリティーとして 何をするかということになると、60万人のうち、55万人の人が簡単に見て理解できる ようなものをちゃんと整備するということで、それをベースに相談支援センターやコー ルセンターというところで詳しい話が聞ける方が現実的だと思います。  やはり書物を見て理解するということは、がんについてはそんなに易しいことではな いと思うので、そこはもう少し現実的に考えて、必携に近いようなものを読みたい人に 対しては、現に本屋へ行けば必要なものはあるというふうに思っています。  つくること自体については批判しませんが、現実的かどうかということも踏まえて、 政策上やっていった方がいいのではないかというふうに思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。  それでは少し先へ進めます。20ページの「がん登録」から22ページの少し上の「が ん登録に関して」までで御意見をお願いします。   ○廣橋会長代理 がん登録は重点項目ですが、個別目標が大変弱いと思います。まず、 院内がん登録を実施している医療機関を増加させるということはいいですが、その次に、 拠点病院における登録の実施状況に関する実態調査、分析を行うことを目標にするとあ りますが、地域拠点病院での院内がん登録は義務化されるものですので、もう一歩、目 標を踏み込むべきではないかと思います。  例えば、すべての拠点病院において標準登録様式に基づく院内がん登録が実施される。 そして、診断から5年以内の登録症例の消息、フォローアップのデータがきちんと得ら れるようなこと、例えば95%以上のところでそれが得られるというくらいのことをは っきりと明確にすることが一つです。  それから、がん登録の実務を行う人たちの研修が非常に大事なので、必要な研修の受 講者数を5年以内に500名以上にするとか、そういったことを明確にしたらどうかと いうふうに思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。埴岡委員、どうぞ。   ○埴岡委員 院内がん登録に関してはかなり方法論も確立していますし、既に標準様式 がつくられて研修なども進められていますので、できれば廣橋先生がおっしゃったよう に個別目標をもっと高めることが好ましいのではないかと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。中川委員、どうぞ。   ○中川委員 お手元にA4用紙1枚の少し色のついた紙を配付させていただいたのです が、21ページの一番下に、「諸外国では法律に基づき実施していることを参考とし」と いうことがあります。  私は前からがん登録に関心がありまして、講演会などの場で、一般の市民の方ががん 登録についてどういう御意見を持っておられるかということを調査してまいりました。 これまで一般市民の2077名の方に対して、ここにあるような、「がん登録に賛成です か」、それから「(4)本人に告知しなくても、許可を得ないで登録していいとお思いです か」ということを重点的にまとめてみました。  そうしますと、結果として、がん登録に賛成というのは85%です。ところが、本人 未告知で登録可ということになると、47%と半数以下になります。  ただ、本人未告知で登録というのはがん登録の原則ですので、この結果を見ると、や はり国民の中にコンセンサスがあるとは思えない。  したがって、恐らく諸外国で法律化しているというのは、国民の中での議論をしよう ということだと理解しておりますので、法制化の議論があってしかるべきではないかと いうふうに思います。   ○垣添会長 ほかにはいかがでしょうか。   ○内田委員 今回の計画によって院内がん登録が拠点病院で義務化されたということで、 非常に大きな進展を見ているというふうに思います。  私も今の中川先生の御意見に賛成で、やはり法制化の検討と地域がん登録の具体的な 目標設定というのを盛り込んだ方がいいのではないかと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。富樫委員、どうぞ。   ○富樫委員 患者の立場としても、いろいろと問題はあると思いますが、治療やデータ というのはとても大事だと思います。現在治療中の身ですが、やはり自分がどうなるか ということについてはいろんなデータが大事だと思いますので、法制化して、きちんと がん登録を推進していくことをぜひ早くしていただきたいと思います。   ○垣添会長 ほかにはよろしいですか。それではもう少し先へ進みます。22ページの 「(5)がんの予防」、それから23ページ、24ページの「(6)がんの早期発見」に関 してはいかがでしょうか。   ○廣橋会長代理 がんの予防についてです。20%の年齢調整死亡率を低減するという ことの根拠は、予防、検診、均てん化を推進すること、そして予防の中でも特にたばこ 対策を強化すること、それによって初めて20%の削減ができるということを前回にお 示しして、20%の削減という目標が全体目標として採択されたという経緯があったと 思います。そういう面から、「喫煙率の半減」という目標がここに書き込まれなかった ことは大変残念です。  たとえ半減という数値目標が出せなくても、「喫煙率の低減」あるいは「たばこをや める人の割合を高めること」といった表現ができないのか。あるいはそれも難しいので あれば、もう少し具体的に、たばこの問題に関して、喫煙率を下げるための方法、具体 的な施策の方で、世界保健機関の枠組み条約で規定されている各種の方策について今ま で以上に確実に推進することとか、あるいは禁煙を促す環境を整備するとか、禁煙治療 などの禁煙成功に必要なサポートを提供する体制を整備するとか、そういった方策を盛 り込むというような、今まで以上に取り組むということを何か示さないと、目標の実現 ということについての根拠も失ってしまうわけですから、そこを何とか考えていただき たいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。景浦委員、どうぞ。   ○景浦委員 ただいまの廣橋委員の御意見に全く賛成です。我々行政側も、こういった がん対策を進めていくのに、先ほど言いましたたばこ対策その他の予防対策を進めてい く根拠としてこの計画の中にきちんと書かれておりますと、行政的にもそういった施策 を進めていきやすいということがございますので、ぜひそうした点についての御配慮を いただきたいと思っております。   ○垣添会長 目標として具体的な数値を挙げることがなくても、きちんと内容が記述で きることが大事であるという御指摘かと思います。  仁昌寺委員、どうぞ。   ○仁昌寺委員 たばこの対策については今の意見と同じですが、やはりたばこというの は産業と農業ということも絡んでまいりまして、各地域では非常に推進しにくい部分も 出ておりますので、やはりこういった施策の中できちんと位置づけるということが大事 かと思います。  それから24ページの個別目標のところですが。   ○垣添会長 24ページはこれから入りますので、ちょっと待ってください。   ○仁昌寺委員 わかりました。   ○垣添会長 埴岡委員、どうぞ。   ○埴岡委員 たばこに関しては、第2回協議会のときに、「成人の喫煙率を男性女性と もに半減」という話でコンセンサスがとれたと思います。かつ、そのように新聞報道も されました。それが基本計画に盛り込めないというのはどうしてなのかという感じです。  また、第3回協議会資料3の「がん対策推進基本計画イメージ(たたき台)」では、 「がんの予防及び早期発見」の分野の「取り組むべき施策」の項で、7ページの4行目 からの「たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約が発効したことから」云々のと ころで、「同条約に規定されている各種の方策を適切に行っていく」とあり、各種の方 策には価格も課税も明記されていました。それも消えてしまった。私は、できれば、た ばこ増税で価格を上げて、消費量は減って、その増税をがん対策目的税のような形でが ん医療の充実に充てるということになると三方一両得になるのではないかと考えます。 中期的には税収も落ちないのではないかと思います。廣橋委員がおっしゃったように、 たばこに関してはもう一歩踏み込んだ、何らかの書き方ができないでしょうか。また、 価格、課税という前回案にあった文言に関しては入れていただきたいと感じます。   ○垣添会長 ありがとうございます。内田委員、どうぞ。   ○内田委員 この件に関しては、事務局の方からなかなか盛り込むのが難しいといった 説明がいろいろとございまして、私も前々回の検討会でその点を申し上げたのですが、 非常に難しいという状況で、政治的な場での解決策とか、なかなか突破口が見えないと いう気がしておりますので、別の形での文言を盛り込むということはやはり必要ではな いかというふうに思います。  増税もなかなか政治的には容認できないのではないでしょうか。  消費量を抑えるということですから、税収ではなく、たばこ農家とか生産業者とか、 それから流通の方では、やはり消費量を抑える。税金の方はキープできますが、そちら の方の圧力というのが非常に強いのではないかというふうに感じます。  ですから、具体的な目標というのはなかなか出しにくいという感じはしますが、少な くとも公的な場所での禁煙ということはもう出てきていますから、エリア禁煙を広げる 取り組みを進めるとか、そういった具体的な突破口をどこかでつけなければいけないと いう気がしております。いつまでも政治決着で先送りにするという時代ではないのでは ないかというふうに思っています。   ○垣添会長 ありがとうございます。関原委員、どうぞ。   ○関原委員 私も最初に半減ということを申し上げたのですが、日本の今の状況を踏ま えると、我々の意見などは厚生労働省の人もみんなわかった上での苦渋な判断だと私は 思います。この協議会が全会一致でとにかく半減を決めたけれどもできなかったという のは世の中の人がみんな知っていることになったので、それだけでも大いに議論した意 味はあった。最終的に政治家の先生方がこの案を見て、「協議会で決まったのに半減目 標がないではないか」というふうな話につながっていくことを期待しつつ、こういう場 で何回も議論をして、意向をはっきり表明する中で実現するしか仕方がない。それが今 の日本の状況であるということで、我々が考えていることと厚生労働省の意見がそれほ ど違っているとは思いません。  ただ、皆さんがおっしゃっているように、せめてたたき台よりも後退しているという ことについては承伏しがたいということなので、そこのところはもう少し織り込んでも らいたいということではないでしょうか。  あとは、むしろこの議論をベースに、先生方にしろ、我々患者団体にしろ、民間でこ ういう運動をアクティブに進めて、それが次の政治を動かし、行政を動かすということ につながるということをやっていこうという第一歩ではないかと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。海辺委員、どうぞ。   ○海辺委員 まさに今、関原委員がおっしゃったようなことを考えておりまして、例え ば地域での禁煙の取り組みなどに関しましては、情報をオープンにして、このような取 り組みをして、このような効果が上がっているという情報が上がってくるだけで、患者 会といたしましても、そういう地域に関して「ありがとうございます」というふうに表 彰したり、順位づけをしたりというようなことが可能かと思います。  そういったことから草の根的に禁煙対策を広げていくというようなあり方もあってい いのではないかというふうに感じたものですから、禁煙に対する取り組みの情報をきち んと収集するという対策もあるのではないかというふうに考えておりまして、そういう ことがどんどんオープンになっていくということで対策が進むということもあるのでは ないかというふうに考えております。   ○垣添会長 ありがとうございました。門田委員、どうぞ。   ○門田委員 私もいろいろとお話をさせていただいて、今の状況はわかっているという ことです。ただし、昨日の毎日新聞の記事を読みましても、この協議会の委員が常識的 な判断をしたというふうな文章になると、果たしてこの協議会がそうなのか、そうでは なく、協議会でいろんな意見があってまとめられたのか、そのあたりの情報は正しく出 していただくということが基本ではないのかと思います。  やはり数値目標云々ということは今回織り込まなくてもいいということが皆さんの御 意見であればそうだと思いますが、しかし、今目標としていることは何かというふうな ことを何らかの形で残していくということで、また話題を次につくっていける可能性が あると思うので、そのあたりの工夫をぜひお願いしたいというふうに思います。   ○垣添会長 ありがとうございました。大変貴重な御発言だと思います。  それでは少し先に参ります。23ページから24ページにかけての「がんの早期発見」 についてお願いします。  江口委員、どうぞ。   ○江口委員 検診における精度管理と事業評価について、文面では「十分検討する」と なっていますが、定期的な精度管理や事業評価を行うとすべきです。いまや「実際に検 討をする段階」ではなくて、きっちりと実行していかなければいけないと思います。  それから、「精度管理に関しては地域の医療機関の協力体制をしっかりと整備する」 ということをはっきりと明文化していただきたい。   ○垣添会長 仁昌寺委員、先ほどは失礼しました。どうぞ。   ○仁昌寺委員 今、江口先生もおっしゃいましたけれども、やはり検診を効率的、効果 的なものにしていくということになりますと、地域での医療機関の存在と連携が非常に 重要になってまいります。  個別目標のところにも、「すべての市町村において事業評価が実施されるとともに」 というふうな書き方で書いてございますが、やはりここの体制づくりの面も、「地域の 医療機関も含めた」とか、あるいは「どういうエリアで検討評価をしていくのか」とい うふうなところがはっきりしていた方がいいのではないかというふうに思います。  今、市町村では検診を実施して、報告はいたしますけれども、ほとんどの町村ではそ れがどういう状況なのか、各町村の結果、あるいはがんの発見状況というふうなものは、 みんなの報告したものの方には戻ってきていないということもありまして、やはり自分 たちの事業の評価そのものができていないということもありますので、個別目標、ある いは実施体制のところにも、「地元の医療機関も含めた」、そして「どういう範囲で評価 をしていくか」というところが明確になればよろしいかというふうに思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。高嶋委員、どうぞ。   ○高嶋委員 個別目標のところに、「乳がん検診、大腸がん検診50%以上」という目標 を立てておりますが、このためには正確な受診率を出す必要があります。今我々で一番 問題になっておりますのは、保険診療で検診を受ける方がかなり多いということです。  特にがん専門病院の場合、そういった人たちがたくさん来られて一般の外来を圧迫し ているという状況がありますので、都道府県でそういった計画をつくるときに、「検診 は医療機関ではなく検診機関にかかる」といったことをきちんと指導できるような体制 をぜひお願いしたいと思います。   ○垣添会長 内田委員、どうぞ。   ○内田委員 このたたき台の中でも指摘してあるのですが、23ページの「(2)取り組む べき施策」の上に、「平成20年度以降、がん検診等については健康増進法に基づく事 業として引き続き市町村が行い、生活習慣病に着目した健康診査については医療保険者 が行うことになる」という記載があります。  それから24ページには、「(3)個別目標」のすぐ上のところに、「老人保健法による基 本健康診査等については、市町村において同じ会場で実施されている場合もあるが、平 成20年度以降も、受診日、受診場所、費用負担などについては、受診者の利便性が損 なわれないよう配慮することが望まれる」ということがありますけれども、現実的にこ れが全く別のシステムで行われるということになると非常に問題が大きくなりますので、 ここのところは「望まれる」ではなく、「必要である」くらいの強い文言にしていただ かないと、そして政府がそれについて取り組むという姿勢を示していただかないと、市 町村にとっては非常に取り組みにくい状況になってくると思いますので、ぜひそこはも う少し強い表現にしていただければと思います。   ○垣添会長 景浦委員、どうぞ。   ○景浦委員 がん検診については、確かに受診率の件と、検診でどれくらいがんが発見 されるかという、広くいえば精度管理といった二つの問題があると思います。一次検診 は検診機関が実施し、スクリーニングをかけて、要精査となった人たちについて、先ほ どある委員がおっしゃっておられたように、医療機関へ行って二次検診として精密検査 を受け、最終確定するという2段階を経ていきます。そこで、24ページにありますよ うに、「市町村において精度管理」云々というのは、一つの市町村がいろんな検診機関 に一次検診を委託している場合が多いものですから、検診機関それぞれの精度管理も徹 底する必要があると思います。  どのように正確に疑わしい事例を拾い上げ、しかもその確率がどれくらいきっちり拾 えているか、または見逃し例がないかといったことについて、市町村レベルでこういっ たことを期待するのはなかなか難しいのではないか。やはりこれは受託する検診機関ご とにそういったことを実施していかないと、有効な検診とはならないのではないかとい うようなことを感じております。  また、その下に、「科学的根拠に基づくがん検診を実施している市町村数を参考指標 として」といった文言がございますけれども、この意味が私にはちょっとわかりにくく 思います。科学的根拠に基づかないがん検診を実施しているところはないのではないか と思いますので、どなたか御説明をいただければと思います。  今の市町村では、そういった意味ではかなりきちんとした検診がされているのではな いかと思います。   ○垣添会長 江口委員、内田委員、どうぞ。   ○江口委員 対策型検診の場合には、「科学的根拠に基づく」というと、実際に死亡率 減少効果という有効性が証明されているということだと思います。有効性が証明されて いて、なおかつ精度管理がきちんとしているということもにじませて、「科学的根拠に 基づく」ということを言っているのだと思います。  つまり、その検診を行うことによって、そのがん腫の死亡率が、検診を行わない場合 に比べて明らかに低減できるということが証明されていることが有効性の科学的証明で す。   ○景浦委員 がん検診は以前は老人保健法に基づいて市町村が実施をしていましたが今 は法には基づきませんが、継続して行われています。実施方法等については市町村から 受託を受けた検診機関も国が示しているがん検診に関する指針に基づいて実施をしてい ますし、それを確認して市町村も委託しておりますので、あえてこのように書く必要は ないのではないかと思いました。   ○垣添会長 ありがとうございます。最初におっしゃった検診機関の精度管理と、ある いはその結果の公表といいますか、それがないと、なかなか市町村のレベルではうまく いかないという御指摘だと思います。ありがとうございます。  内田委員、どうぞ。   ○内田委員 最初の御指摘の点ですけれども、今のがん検診のシステムでそこのところ を正確に把握するというのは困難であると私は思っております。ですから、市町村主体 の現行のがん検診の実施の仕方で、それを精度管理、それからいろんなデータを正確に 把握するということは非常に困難であると私は思います。  要するに、今回、生活習慣病をターゲットにした特定検診というものがスタートして 保険者に義務化されましたけれども、その辺のところのシステムそのものを検討する必 要がある時期に来ているというふうに思いますが、いかがでしょうか。  ですから、「がん検診のあり方について検討する」という文言を1行入れていただい た方がいいと思います。   ○垣添会長 関原委員、どうぞ。   ○関原委員 今の話については私も前に紙に書いて出しました。つまり、がん検診は任 意で生活習慣病メタボ検診は義務だということではなく、義務にそろえた方がいいので はないかということで、あえて言うと、「損なわれないように配慮する」とか、「一緒に やった方がいいのではないか」というふうな言葉で何となしにまぶしてありますが、も う一歩突っ込んで、書けるかどうかということだと思います。  私は、その部分をもう少し書いた方が現実的だし、エコノミクスとしてもその方がい いのではないかと思いますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。  それから、やはり50%以上というのは、いろんな精度管理などの問題はあるとして も、相当高いレベルだと思います。今はここに書いてあるように13.5%から27.6%で すので、2、3倍にするというのは並大抵のことではなく、先ほどの死亡率の2割とい うことに匹敵するくらいのことなので、この数値目標を打ち出す以上は、これから相当 の努力を各論のところでやっていくということをコミットすることなので、みんなでよ く考えていく必要があると思います。これが盛り込めたというのは非常に大きいと思い ます。   ○垣添会長 やはり今は毎年同じ人が受けていますが、できれば2年に1回は別の人た ちに、つまり検診を一度も受けていない人を呼び込むということを考えることが非常に 効率的になるのではないか。それだけでも、非常に機械的な考え方をすると、受診率が 倍になるのではないかというようなことを。   ○関原委員 目くらましみたいなことではなくて、やはり実態的に5割くらいに。   ○垣添会長 そうですね。景浦委員、どうぞ。   ○景浦委員 先ほどの内田委員からの御発言ですが、がん検診の実施状況は都道府県に よってかなり違っており、私どもの愛媛県では、かなり大きな検診機関ががん検診を受 託していますので、そこのところのいろんなデータを県が集めることによって精度管理 もある程度できていくことを申し上げました。しかし、都道府県によっては、例えば医 師会とか診療所などのいろいろなところで受けているようですので、そういう場合は、 やはり市町村で精度管理をしていかなければなりませんので、全国的な平均的な記述と なれば、やはり先ほど内田委員が言われたような形で、全体的な話として書いていただ く方がよろしいかもしれません。   ○垣添会長 ありがとうございます。門田委員、どうぞ。   ○門田委員 予防のところですけれども、たばこよりももっとダイレクトに関係してい る肝炎ウイルスの問題については、最初のイントロのところには書いてありますが、そ のままの状態になっているので、どうかと思います。  やはり我が国のC型肝炎対策とかそういったことで取り組むべきではないか、あるい は個別目標といったあたりに、C型肝炎、あるいはウイルス性肝炎の問題を少し記載し た方がいいのではないかという気がします。   ○垣添会長 ありがとうございます。内田委員、どうぞ。   ○内田委員 今の門田委員の発言で思ったのですが、先ほど、学校教育に死などの問題 を盛り込んでほしいという要望が出ましたけれども、あれはなかなか我々のこの会議で は反映しにくいところだと思いますが、予防のところで、学校教育なり何なりという文 言を少し触れてはいかがでしょうか。   ○垣添会長 わかりました。ありがとうございます。それでは少し先へ行ってよろしい ですか。  それでは24ページ、25ページの「(7)がん研究」に関してお願いします。  廣橋委員、どうぞ。   ○廣橋会長代理 前回に、「全体目標20%死亡率削減」のところで、その基盤として医 療の均てんが非常に重要であるという話をしました。特に患者さんの求めている質のよ い医療の均てんには、多施設共同での臨床試験を実際に行う、現状で一番すぐれている 医療と、もっとすぐれているかもしれない医療を比較するような臨床試験を実際に行う ことが非常に大事であるということをお話ししました。それを受けて、がん研究のとこ ろに、現状と取り組むべき施策の記載があります。  25ページの一番上のところに、「臨床研究の基盤整備については、がん対策情報セン ターが多施設共同して臨床研究を実施する際のデータセンターとして機能し、新しい治 療法の確立を支援している」と書いてありますけれども、実際にこの体制はまだ十分で はなく、機能強化が必要であるという状況ですので、そこを明記しておかないと、もう できているというふうに誤解されるとまずいので、申し上げておきたいと思います。  したがって、取り組むべき施策の方も、基盤整備として、臨床研究コーディネーター、 生物統計家も必要です。データマネジャーの配置などが行われて、「治験臨床試験が行 われるような体制が必要である」ということが書いてありますけれども、拠点病院と国 立がんセンターの両方を合わせてこういう強化が必要で、ネットワークをつくって臨床 試験が行われるということで、治療のゴールドスタンダードを実現していくということ ができるのではないかと考えております。   ○垣添会長 ありがとうございました。高嶋委員、どうぞ。   ○高嶋委員 関連したことですが、臨床研究のうち、特に医師が自主的に行う臨床研修 については、ここから標準的治療が生まれてくる非常に重要な研究ですが、この研究に は、治験にありますように、GCPといった法的な規制がありません。  やはり現在は各臨床試験グループが内々で取り決めていろいろとやっているわけです が、臨床試験の質を担保することと、臨床試験を行う上ではいろんな障害がたくさんあ りますが、それを取り除くために、やはり法的な整備ということも今後考えていただき たいと思います。  例えば今の日本では、抗がん剤は各がん腫別に非常に細かい適用が決まっております。 新しい標準的治療を研究する場合には、やはりそれを無視してやらないとできないわけ ですが、それが今はできていないということで、やはり日本発の情報が欧米に出せない というところがある。そのあたりはぜひ検討をお願いしたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。埴岡委員、どうぞ。   ○埴岡委員 がん研究に関して、がん対策やがん政策に関する研究も入れていただきた いです。例えば、このがん対策推進基本計画に関しましても、進捗管理をどうしていく か、目標設定をどうしていくかといったところが難しい。こうしたことも重要な研究分 野だと考えます。  それから、25ページの「取り組むべき施策」のところの5行目、6行目に、「なお、 研究を実施する際には国民の意見をより一層反映するように取り組んでいくように努め る」とありますが、この後に、「また、研究の選択や評価などに関して、患者や一般の 参加を進めていく」というようなことを入れていただければ、もう一歩進めるのではな いかと思います。  以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。本田委員、どうぞ。   ○本田委員 私も「取り組むべき施策」の「なお」の部分、もしくは下から四つ目のパ ラグラフの「がんに関する研究がどういう場所で」のどちらかの部分に、国民、もしく は患者がどのようなことを必要としているという視点を考慮するとか、患者や国民の参 加に関する記述をぜひ入れていただきたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。門田委員、どうぞ。   ○門田委員 私も同じようなことを感じたのですが、やはり臨床試験の現場で一番困っ ているのは、なかなか参加していただけない、なかなか難しいというところが非常に大 きく響いていると思います。  この研究のところに入るのか、あるいはその後の「がん患者を含む国民等の努力」の どちらかに、「臨床研究そのほかに積極的に参加する」という内容をぜひ織り込んでい ただきたいというふうに思います。どちらがふさわしいかはまた検討していただければ と思います。   ○垣添会長 本田委員、どうぞ。   ○本田委員 今、門田委員がおっしゃった、「国民、患者が臨床試験等の臨床研究に積 極的に参加する」ということが後方にきちんと書いてあって、それはとても大事な視点 だと思うので明記することは重要ですけれども、二つの視点があって、もう一つはどう いう研究を実際にしていくのか、そういう企画の部分への患者参加ということが進まな いと、やはり研究に対する理解というものがなかなか広がっていかないという現実もあ ります。  それから、患者、国民が望んでいる研究にはどういうものがあるのかという、吸い上 げといいますか、視点が広がるという効果もあると思いますので、そこの部分にも参加 をさせていただければ、より一層理解が広がるのではないかと思っております。二つの 視点で入れていただければと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。  それでは26ページの「第4、がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な 事項」ということで、「関係者の連携」、「都道府県」、「関係者の意見」、「がん患 者を含む国民等の努力」の、28ページの「ニ」のところまでについてお願いします。  関原委員、どうぞ。   ○関原委員 私はこの必要な事項の1番目は、やはり財政措置だと思います。まず1番 に財政措置をする。5番に書いてあるものを最初に持ってくるべきだと私は思います。  それから、財政のところに「効率的・重点的な財政措置」とありますが、「効率的な 財政措置」というのは言葉として変なのではないかと思います。必要な財政措置と効率 的な手法というようなことであって、文章には、「財政措置を継続的に行っていく。た だし、使い方については効率的・重点的に配分します」ということが書いてありますけ ど、「効率的・重点的な財政措置」というのは言葉として何となく変だと思う。  これを最初に持ってきてもらうのが一番だと思います。   ○垣添会長 わかりました。そうしますと議論が全部絡みますので、途中で区切りまし たけれども、26、27、28、29ページまでの全体を含めて、「がん対策を総合的かつ計画 的に推進するために必要な事項」を御議論ください。  今、関原委員から財政措置を一番に上げるべきだという御指摘がありました。ほかに いかがでしょうか。  門田委員、埴岡委員、どうぞ。   ○門田委員 私も関原委員の意見に大賛成であります。場所はそちらに持ってきていた だきたいのですが、この文章も、「基本計画による取り組みを総合的かつ計画的に推進 し、全体目標を達成するためには」まではよくわかるのですが、「がん医療を推進する 体制を適切に評価するようなきめ細やかな措置を講じるなど」という説明文が入るため に、わかりにくくなるのではないかという感じがします。   ○垣添会長 これは恐らく事務局としても大変苦しい文章だろうと思います。要するに、 言いたくて仕方ないけれども言えないことなのだと思います。   ○門田委員 それでは、これは仕方ないということでしょうか。   ○垣添会長 埴岡委員、どうぞ。   ○埴岡委員 私も財政に関して順序の入れかえ等で強調していただくのはありがたいと 思います。  そして、私が述べたいのは「都道府県による都道府県計画の策定」のところに関して です。やはりこの計画がつくられて、これから都道府県がどう受けとめて、それから各 地でどういう協力体制ができていくかということが非常に大事なことになると思います。 その辺に関して少し記述を加えればいかがかと思います。  それから、例えば「各地におけるがん対策の推進においては多くの関係者の力を結集 できるように連絡会議を設置するなどが望ましい」といったような、つくり込み方など に関して何らかの記述ができないかということがあります。  もう一つ考えていただきたいのは、このがん対策推進協議会には、法律によって、が ん患者及び家族、あるいは遺族代表というものが参加されているわけですけれども、都 道府県においても、都道府県のがん対策推進計画を策定する際に同じような協議会がつ くられて、そこにがん患者、家族、遺族等が参加するというところを書き込んでいただ ければということです。   ○垣添会長 ありがとうございます。江口委員、どうぞ。   ○江口委員 28ページに、「目標全体の達成度の評価」などについてかなり詳しく記述 があります。恐らく長期的な視野での目標達成度に関しての記載だと私は考えるのです。 しかし、重点項目などの個別目標がディスカッションされてきましたが、市民が容易に そういう情報を得られるような毎年の個別目標の指標を公開するとしてください。  検診、治療の放射線や化学療法の実施状況、緩和ケアについても同様なことが言える と思います。  具体的には、都道府県で医療白書などを出すときに、こういう項目を全部入れていた だく。そうすると、毎年、市民が容易にがん対策推進の状況に関する情報を得られると いうことになるのではないかと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。廣瀬委員、それから埴岡委員、どうぞ。   ○廣瀬委員 26ページの「がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事 項」の中に、全体的に最初から疑問に思っていたのですが、今がん拠点病院は280く らいですね。今度は370ともっとふえていくと。   ○垣添会長 どこまでになるかはまだ決まっていませんが、もう少しふえることは間違 いありません。   ○廣瀬委員 がん拠点病院の要件の中に、今回、ここの中に入っているのは、「がん医 療に関する相談支援及び情報提供」と、「がん登録」が必須要件ですね。  がん医療の均てん化というときに、総合的に計画的に推進するために必要な事項とい うことでは、「がん拠点病院」、「均てん化」、「質を保証する」というような文章は 入れなくてよろしいのでしょうか。  そもそも築地のがんセンターのがん対策情報センターというのは、そういう意味では がん拠点病院の拠点みたいな位置づけですね。   ○垣添会長 情報の均てん化という観点からすると、国立がんセンターのがん対策情報 センターから一般的な信頼に足る情報を出して、個別の情報に関しては拠点病院の相談 支援センターで応じていただくということに一応概念的な整理はなっています。  それから、拠点病院の指定条件としては、がん登録もがん医療も相談支援センターも 非常に重要ですけど、やはり一番は診療機能ではないかと思います。   ○廣瀬委員 といいますのは、20ページで、先ほどパンフレット等の細かい資料の配 付などのいろんな意見が出たときに、私は、やっぱり関原委員がおっしゃったように、 フェース・ツー・フェースでいろんなことを双方向性で情報交換したり、学習能力のサ ポートを受けたりといったことをするという意味では、やはり当面はがん拠点病院の均 てん化というのは重要ではないでしょうか。   ○垣添会長 おっしゃるとおりだと思います。  では埴岡委員、どうぞ。   ○埴岡委員 今から申し上げることの幾つかは基本計画の中に入り、幾つかは附帯文書 のようなものに入るのかも知れません。まず、これは本編に入ることだと思いますが、 5年間の中で、中間評価を入れてはいかがかということが一つです。  それから、以前から出ておりますけれども、基本計画では別途実施計画がつくられる のだと理解しております。つなぎとして、基本計画に、本計画に基づいて実施計画がつ くられるということを記載する必要があります。実施計画の詳細はまた別途文書で書か れるのかもしれません。また、その運営とか進め方については別紙になるのかもしれま せん。  それから、実施計画に関しましては、以前から議論に出ていましたけれども、施策ご とに役割分担を明記したような、表形式なども活用したわかりやすい計画とするなどと 記述しておくことも必要だと思います。あとは、今回は個別目標としてゴールをいくつ か書いておりますが、どういうシナリオで達成していくのかということも少し描いてい く必要があると思います。個別目標は、基本的にはほとんど5年目の設定となっていま すけれども、できるものは1年目、3年目の通過ポイントを実施計画の中に書いていく ことが必要だというふうに感じます。  それから、その際の当協議会の役割ですけれども、がん対策基本法におけるがん対策 推進協議会についての記述があいまいという点はございますが、そうした実施計画の策 定ですとか、毎年の進捗状況を見ていくといったようなことも協議会がやっていくべき と考えます。協議会だけではないかもしれませんけれども、「協議会としても関与して いくべきではないか」というような点を、書くことが必要です。本編にも、附帯文書み たいなものにも必要で、それをどう書くのか、考えることが必要だと思います。   ○垣添会長 ありがとうございました。関原委員、どうぞ。   ○関原委員 私も今の埴岡委員の話と一緒で、最後のところに「この計画はがん対策の 基本的方向について定めたもの」とありますが、そこがどうもひっかかって、やはりが ん対策の基本方針を定めた基本計画が「方向」というのはちょっとおかしいと思うので、 やはりこれは「基本方針を定めたものである」というふうにして、その基本方針に基づ いて、例えばさっきのがんの受診率50%ならそれを達成するための策をこれからどの 場、部署でつくるということがどこかに書いていないと、なかなか目標の達成状況、効 果などを評価するといっても評価しようがないわけです。  もうちょっと計画をブレークダウンしたものを、特に重点施策についてはちゃんとど こかでつくって、その実行計画をフォローするようなことがないと、「方向です」とい うふうに言ってしまって終わりというのは、何とはなしに締めくくりとしてはどうかと いうふうに思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。内田委員、どうぞ。   ○内田委員 26ページの「関係者等の有機的連携・協力のさらなる強化」のところで、 「ハ 学会は、一般医療に携わっている医師も」云々とありますが、学会が教育・研修 のカリキュラムを組んでいただくというのは大変いいのですが、一般医療に携わってい る医師の研修・教育ということを考えますと、やはりここのところは関係団体も入れて いただいた方が恐らくいいと思います。  もう1点は、一般医療に携わっている医師が、地域で在宅医療なり緩和ケアなりをや ると申しましても、実際にがんの患者さんというのは非常に地域、在宅で診る期間とい うのは短いですし、一つの医療機関に年間何十人も来るわけではないということを考え ますと、そこではやはり何が重要かというと、地域クリティカルパスということと、病 診連携、そして地域ケアのチーム体制を組むということが非常に重要になってきますの で、その点を連携のところにぜひ入れていただきたいというふうに思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。埴岡委員、どうぞ。   ○埴岡委員 実施計画をつくる際に留意すべき点があると思います。今回の個別目標に おいても、目標の示し方が基本的に5年後の目標となっていますが、国民や患者さんが、 がん対策推進基本計画ができたことによって何が変わったのか、それで分かるでしょう か。5年たったその後に目標が達成できたかできなかったかがようやくわかるというこ とでいいのでしょうか。それでは、がん対策基本法ができて基本計画ができたことで何 かが変わろうとしているということが理解されない部分があると思います。  そういう意味で、実施計画については、「1年目には何が終わっている」というよう な里程標を入れていただきたい。よく言うファースト・スモール・サクセスも必要です。 最初に、これができるようになるという具体的なことを、かなり広く、患者さんあるい は医療機関に恩恵があることにおいて示す。5年計画だけれども、「1年目にこれとこ れが変わる」ということが目玉として入っている。そういう形の進捗計画の組み立てに なればいいと考えます。   ○垣添会長 ありがとうございます。本田委員、どうぞ。   ○本田委員 屋上屋かもしれませんけれども、私も、埴岡委員、関原委員がおっしゃっ たように、「基本計画をブレークダウンしたものをどういうふうにやっていくのか」、 「どういうふうに評価していくのか」という実施計画をつくるということをまず明記す ることと、そういうものに対して、協議会というものも何らかのかかわり、進捗状況の 評価というようなものを、半年か毎年かわかりませんけれども、ちゃんと報告を受けて 評価をするというような、協議会の役割の明確化ということも書き込んでおくべきでは ないでしょうか。  それは別紙になるのかもしれませんけれども、ある程度きちんと書いておかないと、 計画だけをつくるというだけでは無責任ではないかと感じます。   ○垣添会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。  一応、皆様方に御協力をいただきまして、初めから終わりまでを通してごらんいただ きました。もう少し時間がありますので、今度は全般を通して不十分なことや言い足り なかったこと、あるいは指摘し落としたことなどがありましたら御発言をいただきたい と思います。   ○門田委員 ポンチ絵はまた別のディスカッションになりますか。   ○垣添会長 今日でも結構です。   ○門田委員 先ほども少し触れましたけれども、今回の全体目標は今ディスカッション されたとおりですし、全体の構想というのはうまく書けているような気がするのですが、 均てん化ということも一つの大きな柱であったものがこの中には盛り込まれていないと いうのは、何か工夫が必要ではないかという気がします。   ○垣添会長 わかりました。埴岡委員、どうぞ。   ○埴岡委員 私の冒頭の発言で間違ったところがあったかも知れないのでもう一度申し 上げます。9ページの2行目、3行目、4行目のところに関してです。「75歳未満の年 齢調整死亡率の20%減少」は10年計画なので、2007年から2016年です。その後にある 「5年生存率の改善」については、かつて「5年生存率の20%改善」という政府の公約 として決めたものがあり、この年限は2005年から2014年です。さきほどは年限を間違え たかも知れません。  そして、私が申し上げたのは、生存率の20%改善も当然達成された上で死亡率の 20%減少も達成されなければならないということです。そういう意味で、3行目の 「5年生存率の改善」というところを、やはり健康フロンティア計画、それからアクシ ョンプラン等で設定していた「5年生存率の20%改善」も達成するという書きぶりが 好ましいと考えております。そういう意味で申し上げておりました。   ○垣添会長 ほかにいかがでしょうか。関原委員、どうぞ。   ○関原委員 締めくくりみたいな話ですが、私は去年の9月の検討会の資料も全部見さ せていただきまして、相当幅広くヒアリングもされたし、データもとられたし、協議会 でこれだけやったということで、この種のものとしては非常に珍しいというふうに自分 では思っています。  ただ、それだけやったけれども、ここに書いてあることというのは、ここにおられる 方から見たら、基本的にはそう目新しいことではなくて、ある程度共通認識を確認した ような話が多いと私は思いますが、結局、基本計画というものの性質上、こういうもの だということで私は理解できるので、大事なことは、今後具体的な実行計画を早くつく って、その中に極力数値目標や導入時期の目標を入れて、とにかく目に見える形で実行 して、それをフォローしていく。変な話、そっちの方がより重要なものですから、そこ のところをどういう形でやるかということは、繰り返しになりますが、ぜひ厚生労働省 の方で御検討をいただいて、また我々に球を投げていただくというふうな形で進んでい けたら大変ありがたいというふうに思います。   ○垣添会長 何人かの委員も既に御指摘のことでありますけれども、大変重要なポイン トでございます。ありがとうございます。  廣瀬委員、どうぞ。   ○廣瀬委員 先ほどから実施計画別紙というような発言がございますが、この会は次回 もありますよね。   ○垣添会長 次回で一応取りまとめです。   ○廣瀬委員 そのときに出るのでしょうか。  2回目のときに埴岡委員が出されたものを少したたいたものというのは、今日は出な いわけですか。   ○垣添会長 いえ、結局、これは基本計画ということで、あれは言ってみれば実施計画 の進捗管理をする上で非常に役に立つ表ではないかということですので、この基本計画 の中には入ってこないことになると思います。   ○廣瀬委員 そうしますと、先ほどから何人かの方が言われている実施計画というのは、 今回は出ないという話ですか。   ○垣添会長 この基本計画が閣議決定されて、都道府県の計画がどんどんつくられてい く過程で、実際にそういう実施計画をどう進めるかということが議論されていくのでは ないかと思います。  とにかくここで実施計画までをつくるとなると、日程的にも業務的にも、とてもその 任ではありません。   ○埴岡委員 5月30日で審議が一段落をするとして、その後、協議会が別途実施計画 策定などにかかわるべきと考えますが、それに関しては、ここでは議論はしないという ことでしょうか。   ○垣添会長 そういう意味ですか。勘違いをしていました。  次回で一応、がん対策基本計画に関するこの協議会の意見がまとまると思います。そ れを厚生労働大臣に答申して、閣議決定され、さらに都道府県の計画がつくられていく というのが全体の流れだと思いますが、一方で、この基本計画をさらに実施計画にかみ 砕いていって、それをどう進めていくかということに関してこの協議会がどうかかわる のか、かかわっていくことは間違いないのですが、どうかかわるかに関しては事務局で 何か検討をされていますか。   ○武田室長 最初のところでも御説明させていただきましたけれども、がん対策基本計 画は、今、委員の皆様からいろいろとお話がございました基本方針をまとめたものとい うものの案をつくっていくに当たりまして、非常に多彩な御意見をいただいたというこ とでございます。  そして、その後、その基本計画に基づいて、具体的な実施計画、これは分野によって も、かなり具体的なところが既にできているところもあれば、かなり根本的なところか ら考えなければいけない部分という差もございますが、そういうものに関しまして、ど ういうような形でやっていくのか。さらに協議会の方に対してどのような任を担ってい ただくのか。  先ほど報告とかそういったお話も出ておりましたが、それにつきましてはまたこちら の方でも検討させていただきたいというふうに考えております。   ○垣添会長 協議会の委員の皆さんは、必ず一定時期ごとに報告を受けるとか、あるい はどのように進んでいるかという実施計画に基づいた進捗もぜひ知りたいという御希望 が非常に強いし、そうでなければ委員になった責任を果たせないという御意向だと思い ますので、その辺のことを十分に踏まえて、これから先のこの協議会のあり方に対して、 委員の皆様方に十分納得をいただけるような計画を立てていただければというふうに思 います。  ほかにいかがでしょうか。埴岡委員、どうぞ。   ○埴岡委員 本来、基本計画と実施計画がセットで基本計画だと思いますが、今回は日 程的な問題があったので2パートに分かれたのだと思います。そういうふうに考えると、 実施計画も基本計画ということであるのかなと思います。ですから私たち協議会委員も これからもコミットしなければいけないのかなと考えます。   ○垣添会長 本田委員、どうぞ。   ○本田委員 この協議会が始まるころに、専門委員なども加えて分科会をつくるとか、 ワーキンググループをつくるという話もたしかあったと思います。そういうことも含め て、その中には当然この親協議会のすべてが入るといろんな分野になるし、その分野の 専門家がいないという問題もあるでしょうけれども、何らかの形でそれぞれが参加して 実施計画をつくっていくというような理解でよろしいでしょうか。   ○垣添会長 それはこれまでに何度かそういう議論がありましたし、先ほど事務局から も説明がありましたように、既にかなりまとまっている部分もあれば、そうでない部分 もあって、特にそうでない部分で重要な部分に関してはワーキンググループや何らかの 班をつくって検討を進めていくということは皆さんの合意をいただいていると思います ので、そういう作業を進めていく上で、必要に応じてこの委員にもまたいろんな役目を お願いするということに恐らくなるだろうというふうに思います。  ほかにはよろしいでしょうか。  それでは、今日は随分とたくさんの意見をいただきました。最終的には厚生労働省が 案をつくって閣議決定をするものでありますので、これから各省協議というものがあっ て、閣議決定できないと基本計画ができ上がらないというようなことになります。そう なると元も子もなくなりますので、文言に関しては私と事務局に御一任いただければ大 変ありがたいと思います。  もちろん、委員の皆さん方の御意向は私も十分理解しているつもりですので、実現に 向かって最大限努力するつもりではありますけれども、何しろこの基本計画が閣議決定 されないと意味がないということがありますので、その辺のことを御理解いただきたい と思います。  それから、協議会委員から御指摘があったさまざまな提案に関しましては、実効的に 担保されるように、事務局としても最大限の努力をしていただければと思います。よろ しくお願いいたします。  それでは、まだ少し予定の時間よりはありますけれども、本日の会議はここまでにし たいと思います。最後に事務局から何か報告がありましたらお願いします。   ○武田室長 それでは事務局の方から御連絡させていただきます。次回の本協議会の開 催は、5月30日水曜日の10時半から12時半のあたりを予定しております。会場等の 詳細につきましては、後日、いつもどおり事務局より改めて御連絡させていただきたい と思っています。  以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。それでは本日の協議会はこれで終了したいと思 いますが、本日頂戴しましたさまざまな意見を事務局には取り入れていただくことと、 それから、現在パブリックコメントを求めておりますので、ホームページで行った国民 からの意見も取り入れまして、次回までにがん対策推進基本計画の案を最終案として提 案していただければというふうに思います。  それに盛り込めないその他の意見に関しては、がん対策推進協議会委員からの意見集 として整理させていただきたいというふうに考えています。  また、この意見集は、今後都道府県ががん対策基本計画をつくっていく上で極めて重 要な参考意見というか情報になると思いますので、基本計画とあわせて各都道府県の方 に提示したいというふうに考えております。  本日は夜遅くまでの大変長時間にわたって熱心な御討議をいただきましてまことにあ りがとうございました。これをもちましてこの会を閉じさせていただきます。ありがと うございました。                                    −了−