07/05/07 第3回がん対策推進協議会議事録 照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室             木 村(内線2945)     小 山(内線2946) 第3回 がん対策推進協議会 日時 平成19年5月7日(月)12:30〜16:30 場所 厚生労働省 専用第22会議室 ○出席委員(18名、50音順、◎会長、○会長代理)  内田委員、海辺委員、江口委員、◎垣添委員、景浦委員、柏木委員、関原委員、  高嶋委員、富樫委員、中川委員、仁昌寺委員、埴岡委員、廣瀬委員、○廣橋委員、  本田委員、三成委員、麦島委員、門田委員 ○議題  1.がん対策推進基本計画の重点事項等について  2.その他 ○武田室長 定刻となりましたので、ただいまより第3回がん対策推進協議会を開催い たします。  委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきましてまことにあり がとうございます。深く感謝申し上げます。  本日は、中川委員が御都合により若干おくれて到着されるとの御連絡を受けておりま す。なお、委員総数18名の皆様に御出席をいただいておりますので、定足数に達してい ることを御報告申し上げます。  それでは垣添会長、よろしくお願いいたします。 ○垣添会長 皆さん、こんにちは。本日は、がん対策推進協議会の第3回ということで、 大変御多用の中、委員全員、今、御案内のように18名御出席いただきまして、まことに ありがとうございます。委員の皆様方が、いかにこの協議会が大切であり、かつ、これ からつくられようとしている我が国の、国のがんの基本計画がいかに重要であるかとい うことを認識しておられる証しではないかと思い、大変感謝しております。  加えて、これまでの議論で、この議論の時間が大変短いということで事務局にいろい ろ努力してもらいまして日程調整その他をした結果、本日は4時間という大変長丁場で あります。それから次回も4時間ということで、たしか夜大分遅くまでかかるというこ とでありますが、多分2回分の時間がセットできたのではないかと考えておりますが、 この時間を使いまして十分な御議論をいただければ大変幸いでございます。どうぞよろ しくお願い申し上げます。  まず、議題に入ります前に事務局から資料の確認をしてください。あわせて、事務局 から報告事項があると聞いておりますので、そちらもお願いいたします。   ○武田室長 まず、資料の確認をさせていただきます。  資料1.委員からの意見  資料2.第1回及び第2回がん対策推進協議会の主な概要  資料3.がん対策推進基本計画イメージ(たたき台)  資料4.がん対策推進基本計画(案)に対する御意見の募集について  資料5.がん対策推進基本計画関係スケジュールについて  別途配付.委員からの意見(別途配付等)  配付いたしております資料は以上でございます。資料の過不足等がございましたら、 お申し出いただきたいと思います。   ○垣添会長 よろしゅうございましょうか。   ○武田室長 それでは、ここでカメラ撮りは終了させていただきますので、御協力のほ ど、よろしくお願いいたします。  報告事項を1点だけさせていただきたいと思います。資料4をごらんいただければと 思います。今回、がん対策推進基本計画の案を策定するに当たりまして、広く国民の皆 様からも御意見を募集することといたしました。募集期間は、本日7日から21日までと してございます。なお、手続の関係上、まだ厚生労働省のホームページには掲載されて おりませんが、本日中には掲載されるということを申し添えておきます。  以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。  では、議題に入りたいと思います。本日は前回に引き続きましてがん対策推進基本計 画について検討していくことになりますが、まず事務局から資料の内容に関して御説明 いただければと思います。   ○武田室長 それでは、御説明いたします。委員の皆様方には事前にお送りしているも のがほとんどでございますので、簡潔に御説明いたします。  資料1に関しては、前回の協議会でそれぞれの委員の皆様方から文書にていただきた いということでお願いしていたものでございます。5月1日までに委員の皆様からちょ うだいした御意見を、資料1にまとめております。そして、一番最後の「委員からの御 意見(別途配付)」に関しましては、5月1日以降、その後、部分的な差しかえを含めて 委員の皆様からいただきました御意見についてまとめたものでございます。つまり、資 料1と別途配付と合わせて委員の皆様の御意見と御理解いただければと思います。  資料2に関しては、過去2回行われましたがん対策推進協議会における主な概要でご ざいます。内容に関しては、全体的なもの、それから「はじめに」関係、すなわち資料 3で提示いたしましたがん対策推進基本計画イメージの順番にほぼまとめて採録いたし ております。  資料3については、前回の協議会で提示したものと同じものでございます。  資料4に関しては、今御報告いたしました。  資料5は、がん対策推進基本計画関係スケジュールについて(案)ということでござ います。これについて簡単に御説明いたしますと、過去2回、4月5日、17日、それぞ れ2時間ずつ協議会を開催いたしました。そして本日、5月7日についても、4時間と いう長時間でございますがお集まりいただきまして、これからがん対策推進基本計画の 重点的事項等について御議論をいただきたいと考えております。また括弧づきで、今、 御報告いたしました一般の国民の皆様方からの意見募集を7日から21日まで並行して 行うというものでございます。  そして、5月18日、もう2週間も先ではありませんが、ここでも第4回がん対策推進 協議会ということで、これも予定としては夕方から4時間という長丁場で大変恐縮では ありますが、この中でがん対策推進基本計画事務局(案)について御議論をいただきた いと考えております。  そして5月30日に、第5回のがん対策推進協議会によりましてがん対策推進基本計画 (案)について最終的に御議論をいただきたいということでございます。  それらを受けまして、6月中に閣議決定、国会報告等を行うことに関しては、前回、 前々回にも御説明いたしたとおりです。また、それを受けまして年度内に都道府県がん 対策推進基本計画の策定を各都道府県で行っていただくことに関しても、前回、御説明 いたしたとおりでございます。  以上でございます。   ○垣添会長 ありがとうございました。  それでは、資料1として「委員からの意見」というのを取りまとめられており、また 別途配付で「委員からの意見」ということで、内田委員と中川委員と廣橋委員の差しか え部分とが合わさっております。これを意見を提出された各委員に順次、まことに恐縮 ではありますが、お1人5分くらいで資料に沿って御意見を述べていただければ大変幸 いです。約1時間半を予定しておりますが、そのように進めさせていただきます。  まず、内田委員からお願いいたします。   ○内田委員 別途配付の資料の最初のページでございます。  私からは、資料の提出がおくれたということで、まずおわびをしたいと思います。  個別の目標につきましては、個々の御専門の委員からたくさん意見か出ることと思い ますので、資料に目を通した上でその意見について御発言させていただきたいと思いま す。  私が一番申し上げたいのは、2段目のところから書いております部分でございます。 日本の医療は危機的な状況にある。医療崩壊とも破壊とも言われ、現場は荒廃し、特に 一部の勤務医の疲弊は極限に達している。この原因についてですが、ここのところを解 決しない限り、日本の医療そのもの、またがん医療に関しても、現場を担う医師がこれ からどんどん不足してくるであろうということを懸念しての発言でございます。  原因の第1は過重労働ということで、これは言うまでもないことでございます。医師 の偏在、不足、事務負担の増加、平均在院日数短縮等に伴う業務量の増加といったもの。 加えて「立ち去り型サボタージュ」と言われるような現象の結果、残された医師がさら に過酷な状況に追い込まれる現状があるということ。  もう1点は過大な責任ということであります。結果が思わしくない場合や、患者、家 族が納得しない場合に、訴訟あるいは刑事訴追といった医師に対して直接的な責任を問 う傾向が、患者、マスコミ、司法等の各方面にみられ、このことが医療現場の萎縮診療 や過剰診療といったものにもつながりますし、一方で新たな医師のなり手が、リスクの 高い診療科を目指すということがなくなってきているということでございます。実際に 産婦人科、小児科といったところだけではなく、近年の外科志望の学生、医師の減少と いったものは非常に危機的な状況にあると認識しております。  このまま抜本的な改革の方向が示せずに推移すれば、近い将来、産科、小児科のみな らず外科系を中心とした救急やがん医療にも深刻な状況をもたらす。さらには内科系医 師にも波及する可能性が大きいと考えております。  このような中でいかなるがん対策の基本計画、数値目標等を策定したところで、医師 を中心とした医療資源の深刻な不足から、その達成が極めて困難になることは明らかで はないかと考えました。医療は、医療提供者と患者が協力し信頼関係を築くことによっ て成立するものであると考えています。すなわち、医療提供者が患者の視点に立って適 正な医療を提供することが、これまで数々の検討会あるいは発言の中で強調されてきま した。一方で、現在はほとんど言及されることがない患者を初めとする医療を受ける側 が医療提供者の視点に立つということも、同様に非常に重要なことであると考えていま す。  このような視点が欠落した中で個々の委員が自身の立場からの主張をぶつける議論と いうのは、十分な成果をもたらすことができないのではないかと強く危惧をしておると ころでございます。今回のがん対策推進基本計画の策定に当たっては、まずこの点を議 論し、前文の「はじめに」という部分において言及されることを希望しております。こ のような機会が与えられたことを、垣添先生並びに諸兄に感謝したいと思います。  現状では、一昨日の新聞にもございましたが、京都大学からの話で、患者側からの医 療提供者に対する暴言や暴力というのが日常茶飯事になっているという話もございまし た。こういう状況の中で非常にリスクの高いがん診療というものに携わる医師は、それ だけのリスクを個人の責任あるいは病院の責任においてもとても負えるものではないと いう認識でおります。これは何がいけないのかということを考えていかなくては、この 協議会の場で考えるということではなくて、いろいろな場で検討しなくてはいけない問 題だと思いますし、知り合いのドクターの中には、これは教育制度そのものがいけない のではないかとまで言う方もおりますが、こういう深刻な医師・患者関係の危機といっ たものも前文で触れる必要があるのではないか。それなくして適正ながん対策の方針の 策定といったものもできないのではないかと強く感じて、こういう報告にさせていただ きました。  以上です。   ○垣添会長 内田委員、どうもありがとうございました。大変重要な御指摘だと思いま す。確かにがん対策基本法が患者さんのため、あるいは国民のためにつくられたことは 事実でありますが、今、医療の現場は、内田委員も御指摘され、前回でしょうか、門田 委員も御指摘になったと思いますが、大変危機的な状況になっていて、その部分を抜き にして我が国のがん対策は考えられないということであります。この協議会で扱いきれ るものではないとは思いますが、「はじめに」とか前文の部分に一部、ぜひこのことは盛 り込みたいと考えております。  続きまして、海辺委員。   ○海辺委員 では、富樫委員と共同で出しました意見と、それからほかに埴岡委員、本 田委員、三成委員の5名で共同で提出いたしました意見につきまして、私が御説明でき る部分を説明させていただきます。  まず初めに、最初に提出いたしました2名で書きました資料には、がん対策基本計画 の目的として、たたき台で出ました大きな目的二つに関しては、あれで基本的にいいの ではという感覚を持っておりましたが、個別の目的のところが、患者の視点からいたし ますと、それぞれが個別に充実することではなくて、患者が診断されてから治療が終了 するまでという長いスパンで見たときに、それぞれが充実して機能していてほしいとい う視点から、まず最初に提出いたしました3枚の紙を出させていただきました。  そしてこちらに書きましたとおり、基本計画は患者が納得できるがん医療を実現する ためのものであることを踏まえた上で、がんの検診から……、検診といわず診断でもよ ろしいのですが、から治療が終了するまで、治療が継続して提供される医療の実現。ふ だんの生活に近い日々や時間を生み出すがん医療の提供、患者の望む医療を行いながら も持続可能な医療提供体制と医療機関運営基盤の見直し。まさに今、内田先生がおっし ゃったような医療機関が疲弊してつぶれていってしまってはひとつも患者のためになり ませんから、そこの部分も患者の委員としてぜひ申し上げておきたいと思いました。  さらに、個人が自分に適切なケアを選択するために必要な情報と機会の確保。私は、 患者の代表委員といたしまして、患者も自分の治療に関してはきちんとした情報を得て、 そして責任をとっていくべきであるという考えに立って発言してまいりました。その中 できちんとした公平な情報がそれぞれの患者に、どのような環境におりましても与えら れるべきであるという考えから、このように申し上げました。  続きまして、5月1日の日付で提出いたしました資料に移りますと、今の目的を具体 的に絵に描いたモチにしないための計画というものを表にして出しました。  持ち時間が5分しかないので、あとは読んでいただければと思うのですが、強調して おきたいのは進行管理の部分。きちんとそれができなかった部分に関して、なぜできて いないのかというのを、インターネットの利用、その他適切な方法により公表していた だくべきではないかと考えております。  その後、都道府県がん対策推進計画やケア構想など、適切な時点でまたこの協議会が 開かれて、進捗報告を受けるべきであると考えてここに書かせていただきました。  あとの部分は、どうぞお読みいただければわかるようになっておると思います。  そしてこの細かい表に関しましては、いきなりこれを見るだけではなくて、それぞれ 補足説明が必要かと存じます。時間が限られておりますので、私はこの中の3番の診断 治療、4番の医療ネットワークというものに関して御説明いたします。  まず、大変文字が小さくて見づらいかとは思うのですが、3番の細い一番上の帯のと ころに、「質が高く納得できるがん医療の実現」、これは全体目標の1番のBと2番とに 通じている目標という意味です。そして、質が高く納得できるがん医療の実現のために 何が必要かということを考えましたら、「難治がん特別診療加算」というものを新設すべ きではないかと考えました。生活習慣病ですと指導管理料がありますが、悪性腫瘍に関 してはそのような指導管理料はございません。そういう個別のことに関しては中医協が 管轄だと思うのですが、現場の中で本当に治してあげたいという気持ちだけではどうに もならないところまできていると思いますので、このようなものを新設すべきだと考え ました。  そして、これは私たちは非常に重要な課題であると思って、「重点」として赤をつけて おります。  続きまして、「標準診療実施自己申告制度の導入」。これについてはペーパーで、これ が標準治療であるということをチェックしたり、標準治療でない場合にはなぜそういう 治療を行っているのか。例えばいついつのこういうエビデンスに基づき、今までの標準 治療ではこの患者さんにはもう効果がないのでこのような治療を行っておりますという、 1枚書く手間がふえますが、手間の分に対してもきちんとした診療報酬をつければ真っ 当な医療が確保されるのではという観点から、これを導入するべきと考えました。  3番目「ドラッグラグ・ゼロ病院モデル」事業の実施。ドラッグラグをなくそうとい う取り組みに関しては、治験のあり方に関する検討会ですとか有効で安全な医薬品を迅 速に提供するための検討会ですとか、あと、未承認薬使用問題検討会ですとかいろいろ なところで検討されまして、以前と比べますと大分よい状況になってきつつありますが、 やはりドラッグラグはあります。そのような中で、どこで何が行われているかわからな いような野放しの状態ではなく、まずそのモデル事業として開始すべきではないかと。 国内では未承認だけれども海外のエビデンスできちんと。だから、エビデンスのあるも のです。未承認の薬をなんでも垂れ流しにという意味ではございません。きちんとした エビデンスのあるものをモデル事業としてやってみるべきではないかと思って、こちら に書かせていただきました。それは拠点病院がメインになってやるべきではないかとい うことで、このように書いてございます。  そして医療ネットワークにつきましては、これは切れ目のない、見放さないがん医療 の実現に必要なものということで挙げてみました。一番重要になるのは、地域連携クリ ティカルパスの実施ではないかと思います。そしてその地域連携クリティカルパスは、 パスの作成、実施などの主体となるのは都道府県ですが、実際にクリティカルパスを作 成するのは拠点病院になるのではと思います。そして、そのクリティカルパスに従って 患者はその意義を理解し、クリティカルパスに基づいた受診をしていけば、難民になら なくて済むのではないかということで、このようなものを重点課題といたしました。  あとについては、お読みいただければと思います。長くなりましたが以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。  では江口委員、お願いします。   ○江口委員 特に緩和医療からみたがん対策の具体的方策ということで絞り込んで資料 を提出しました。  緩和ケアを必要とする患者に対して、いつでもどこでも最適な緩和ケアを受けられる 体制が必要です。早期からの緩和ケアへのアクセスを考えると、すべてのお医者さんと いうことになります。すべての医師が緩和ケアの窓口になりうるのかということには幾 つかのポイントがあります。緩和ケアの認識は、すべての医師の必須事項です。プライ マリーケアの段階でその患者さんに関する緩和ケアの必要性を考えていただいて、それ 以降のことについては窓口から緩和ケア専門家にコンサルトするということになります。 その窓口となる知識や判断力をすべての医師に備えてもらう教育研修体制が必要です。  実際には、地域緩和ケアを考えると、その地域の保健・福祉行政関係者の協力もない と進みませんので、そういう方々も含めた連携組織をつくる必要があります。  次に、コンサルテーションを引き受ける専門家や緩和ケアに従事する医療スタッフの グループ、こういう人材を育成する体系的なプログラムが必要です。  地域緩和ケアネットワークでは、在宅医療も当然含まれますが、現実にはがん患者さ んでは24時間の在宅療養が可能ということは必要になります。副担当医やグループ診療、 介護スタッフなどとの間に情報共有と連携体制を組み替える必要があります。  地域で行われている緩和ケアの質の合理的な評価指標を早急に確立すべきです。緩和 ケアに対する市民の認識を啓発することも非常に重要であり、きっかけとして地域ボラ ンティアの育成といったものも考えられます。  緩和ケアの領域では、新しい治療法の開発に関して、従来学会の取り組み等、なかな か進まない部分もあったわけですが、この分野でも新しい薬剤や治療法の開発は非常に 大事なことであるので、欧米に劣らぬ多施設共同試験の仕組みをつくる必要があります。 る。  具体的な方策をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございました。  では、続きまして景浦委員、どうぞ。   ○景浦委員 私は都道府県からの委員が1人ということもございまして、今回、このた たき台に対して、全国の都道府県がどのようにお考えかということについて一応調査を かけさせていただきました。それを後ろの方にまとめて出しておりますので、後ほどゆ っくり見ていただいたらと思います。その都道府県からの意見と私の意見とを合わせて 発表させていただきます。  1点ですが、今回の基本計画に関しては、患者さん、また家族を初めとする国民が、 国ががん対策にどのように取り組んでいこうとしているのかという具体的な姿勢を期待 を持って見ておられるのではないかと感じております。そういったことからも、基本計 画の中ではできるだけわかりやすく、そして各団体といいますか、国であったり都道府 県であったり市町村、医療機関などが基本法を実効あるものにしていくためにどういう 部分を担ってどのように実施していけば良いのか、できるだけ明確に示すことで、各関 係者が力を合わせて基本計画が実際にどんどん動いていくのではないかと思っておるわ けです。  そのため、基本理念を具体的にあらわすものとして、全体目標としてのがんの死亡に 追加して、私はできれば「罹患の減少」というのを入れていただきたいと思うのです。 そうすることによって1次予防の重要性を示すこともできます。またもう1点は、2番 目の全体目標に「その家族」と「生活の質の向上」という文言を入れていただきたいと 思います。これまでのがん対策が研究に重点が置かれていたものを、方向を少し修正し ていることが明確になるのではないかと思います。全体目標をきちんと示すことで国民 に対して基本計画の幹をあらわせるのではないかと感じております。  それに関連して、基本方針の3で患者さん本人の意向が反映される云々という記載が ありますが、この点についての具体的な対策とか目標についての記述が求められている のではないかと考えております。  全体的なものとして以上の点を要望したいと思うのですが、都道府県からの、より細 かい意見は3点ございます。1点目は、何といっても財政的に国がしっかりとがん対策 を進めていくことについての姿勢を明確に示していただきたいということです。現在、 市町村で行っておりますがん検診に関しても個人負担があるとか、以前は補助事業であ ったものが今は一般財源化しているとか、全体的に見ますと後退しているようなここ数 年の傾向がございますので、それをちゃんと修正して積極的に進めていくのだという姿 勢を示していただく必要があると思います。  2点目としては、先ほど海辺委員から非常に詳しい表で示しておられましたが、国、 都道府県、また学会や医療者がどういう部分を担うかということを明確に示していただ くことによって、我々も、都道府県として、より行政的な取り組みがしやすくなると感 じております。  3番目として、これは国に対してのお願いですが、この中でも出てきますが、がん登 録制度の確立、それから1次予防であるたばこ対策の強化、3番目として職域とのがん に関しての連携の強化、4番目として検診機関の精度管理、つまり、検診機関がきちん とした検診が実施できるような明確な体制づくり、そうした点について国として取り組 んでいただきたいと感じておりまして、以上が私からの意見でございます。   ○垣添会長 ありがとうございました。  続きまして、柏木委員、お願いいたします。   ○柏木委員 たたき台を読ませていただいて、それから各委員からの意見を読ませてい ただいて、それから1回目の討議に参加をして、全体的にたくさん申し上げたいことは あるのですが、総花的になっても何も残らないと思いまして、今日は意図的に一つのキ ーワードだけ申し上げたいと思います。それは評価というキーワードです。  対策室ができて、いろいろな対策をこれから進めていかれるわけですが、非常に大切 で案外抜けてしまうことが評価だと私は思っています。今までの私自身の経験からもそ うなのですが。例えば今、私の関心がある緩和ケアということから言いますと、緩和ケ アチームというのがどんどんふえていますが、すごくばらつきがあって、いい働きをし ているところもあれば、名前だけのところもありますので、それをきちっと評価をする 手段を用いないと、これはそれこそ絵に描いたモチになると思います。  それから、厚生労働省の方でもそうですが、在宅での看取りとか在宅での緩和ケアと いうことで力を入れて、これは非常にいいことなのですが、在宅での医療支援診療所と いう制度、これも物すごく差があって、どこかできちっとした評価をしないと力になっ ていかないと思います。  今、拠点病院の話題が随分出てきていますが、この拠点病院も、その後の働きが本当 にきちっとなされているかどうかという評価なしには、いい働きが持続しないと思いま す。  先ほど、モデル事業の話が出ましたが、モデル事業をして、そのモデル事業をもとに してその後の広がりが出てきたときに、その広がりの評価ということがなされないと、 働きそのものが具体的な力を発揮していかないと思います。  26ページに、これは評価ということの一つの具体的な例として、緩和ケアというもの の評価の方法の少し各論的なことが書かれています。これはすべて、これからがん対策 推進というところで進めていく上でかなり共通点があると思うのですが、まず、クオリ ティインディケーターという考え方があります。これは、そのケアを提供しているとこ ろの診療録とかさまざまなデータベースから抽出して、そこが主体的にやる病院なら病 院、緩和ケア病棟なら緩和ケア病棟ですね、あるグループのホームであれば例えばグル ープホームでのピアレビューという言葉がありますが、そのスタッフかみずからやる。 これはかなり患者さん御自身の評価と一致しないことがあります。  それから2番目の、ここに遺族調査と書きましたが、これは亡くなった方の場合の遺 族調査ですが、家族調査でもいいわけで、がんの患者さんを持っておられる御家族がど のような評価をされるかということ。  一番大切なのは3番目の患者評価で、あらゆるがんの治療、それから緩和ケアという ことに関して、患者さん自身がその受けた治療なりケアをどのように評価をされるか、 その患者さん自身の評価なしにいい働きはできていかないわけです。ですから、がん対 策を推進していく上でその対策の評価ということを、ごくごく当たり前のことなのです が、かなり意識して対策の評価を継続していくのだという姿勢を持ってスタートしない と決してうまくいかないと思いますので、対策の評価ということの強調をどこかでまと めてしていただければいいのではないかと思います。  以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。  続きまして、関原委員、お願いします。   ○関原委員 私は28ページからということで、この委員会は基本的には厚労大臣がつく られる計画に対して意見を言うということなので、厚労省が出したたたき台というもの をベースに私はここで意見を書きました。  最初のイメージというところが、前回お話ししたのですがどうもしっくりこないので、 私なりに、なるべく厚労省の言葉を生かして書きかえたわけです。  最初に、がん対策の取り組みということを書きました。まくら言葉として、国は日本 のがん対策は大事だということを認識してやってこられたということで、1の最後に「そ の結果、国民皆保険の下で」というのは、非常に安い医療費で「全ての国民が比較的高 いレベルのがん治療が受けられるようになった」というのは、これはまぎれもない事実 なので、この評価をまずしたい。  2番目は、さはさりながら現在の課題ということで、がんは非常にふえている、また はどんどんふえていくということを最初に書きました。  次のページにいきまして、この7行目以下のところが今の評価ということで、ここを もうちょっとクリアに書く。我が国のがん治療は外科を中心に非常にいいけれども、実 は化学治療、放射線治療は欧米に比して非常に見劣りしている。また、緩和治療、在宅 治療やがん情報の提供、あるいはがん患者や家族へ支援体制も不十分ということで、こ こには書いてありませんが、これががん難民という言葉を生んでいるわけですし、地域 間格差あるいは病院間格差、医師不足ということが大きいということで、急増するがん 患者のQOLの充実が不可欠であるというのが現在の評価です。  3番目は、今回の基本対策は、いろいろ書いてありますが、基本は5行目に書いてあ るように政府が責任を持って策定するということである。  最後に、この策定で掲げたいろいろな目標は、すべての国民ががん検診を受けて、ま た禁煙を行う等、国民全部が取り組まない限りこれはできないということを最初に国民 全部に訴える、ということで締めくくった方がいいのではないかというのが私の基本的 な考えなわけです。  次の基本方針のところで、ここでは「基本理念を基本方針とする」と書いてあるので すが、僕は基本理念と基本方針は全然異質なものだと思っているわけです。法律に書い てある三つが基本理念だということであるとしたら、これを実現するためのアクション 計画に近いものが基本方針だということなので、次の三つではないかと。即ち、第一は がん死亡率の大幅な低下、第二は患者の苦痛を緩和し、QOLの改善を図るためのがん 医療の質の向上を目指す、それから、三つ目はがん医療の地域間格差、病院間格差を是 正して医療の連携を推進する。この三つが基本的な方針ではないかと思います。  そういうことなので基本方針としては、「国、地方公共団体はがん患者を含めたすべて の国民ががん対策の中心であることを明確にし、がんによる死亡の減少とがん患者の苦 しみを軽減し、QOLの向上を図るために、今挙げた三つの点を基本方針としてがん対 策基本計画を策定をするが、そのために必要な財政措置を講ずる」と最初に絶対に書か ないとだめだと。「財政措置」を入れることは不可欠だと思います。ただ、では必要なお 金は幾らかというのは別問題で、それが現時点で全くクリアになっていないということ だったものですから、「必要な財政措置は講じる」の文言は絶対入れるということにしま した。  次の11ページに書いてございますが、この「基本計画を実現、達成するためには、 全体目標と個別目標並びにその達成時期を定める」というものをまくら言葉にして、「こ の目標の進捗状況をフォロー、監視するための体制」、この協議会のメンバーでも何でも いいのですが、「そういうものを設ける」ということで締めくくるべきではないかと思い ました。  これが計画全体のところで、今度は個別計画といいますか、その後の重点的に取り組 む課題と分野別というのが並んでおります。この重点的に取り組む課題と分野別課題が 一緒になってしまってわかりにくいということで、ここに挙げられた三つを重点にする のであれば、なぜこれが重点なのかということをもうちょっと明確にすべきではないか と思いました。  分野別については追加資料の20〜23ページに書いてあるとおりです。特に申し上 げたいのは、がんの予防及び早期発見のところの検診の問題で、ペーパーには市町村に おけるがん検診と老健法の問題が色々書いてあるのですが、最後に「配慮が望まれる」 と結ばれている。これは非常に変な話であって、老健法の生活習慣病とがん検診の一体 的な運営をぜひやるべきではないか。がん検診の数値目標をどうするかもめていますが、 生活習慣病の数値というのは高く設定され、特に働き盛りの年齢層の受診を雇用者に義 務づけるなど、こちらは非常にきつい縛りがかかっているものですから、生活習慣病検 診とがん検診を一緒にしてやることにすれば、これは受診者にとっても非常に便利です し、目標管理もやりやすいはず。この一体化は厚労省の中の話だと思うのですが、ここ はぜひ一体化してほしい。  その次にがん医療のところの(1)で「放射線・化学治療の推進及び医療従事者の育 成」と書いてありますが、この医療従事者の育成というところは非常に大事な項目であ って、これは専門医が不足しているとか、先ほどの勤務医の過重労働などを含めて、が ん専門医の教育や育成とかコメディカルの育成というのは独立項目として一つ、ちゃん と書くべきではないかと思います。  医療機関の整備のところで、これは拠点病院の拡充ということが書いてありますが、 今回の目的はがん医療の均てん化にありまして、それは拠点病院の充実につながると思 います。現在の2次医療圏に1カ所、だから300以上に拠点病院ができるわけで、限ら れた予算の中で、あるいは人の中で、全ての拠点病院を一律に充実するということは、 資源が限られているだけにないものねだりではないかと。逆にそういうことやると、が んの医療の質的な向上にはつながらないと思うわけなので、今回、拠点病院という言葉 が非常にたくさん出ているわけですが、拠点病院のあり方の見直しというのはぜひ入れ ていただいて、本当に拡充しなければいかんのは一体幾つぐらいの病院なのか、そこと 連携するのはどうするのかというところについて、少し突っ込んで書き込んでいただき たいというのが私の主張でございます。  以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。  続きまして、高嶋委員、お願いします。   ○高嶋委員 初めに、医療現場が非常に危機的な状況にあることにつきましては、現場 を預かっている人間としまして、内田委員の意見に全く賛成でございます。  私は、イメージ全体像について少し意見を書きました。  最初に「はじめに」というところがあって、その後のこの骨子の部分については、た たき台の4ページにあります全体目標を置いて、その下に個別目標、これは重要な項目 について並べかえて、この個別目標について現状とそれを達成するための目標という形 に書いていった方が、全体的にすっきりするのかなという気がいたしました。  それから全体目標についても二つに分けてありますが、これを一つにして、例えば「す べてのがん患者の苦痛を軽減しつつ、がんによる死亡者」、これは前回も出ましたが、「75 歳未満の死亡者数を20%削減する」、そういった文言にした方がすっきりするかなとい う気がいたしました。  個別目標について重要な点は、化学療法の専門医が非常に不足しているという問題が あります。これは前回も少し申し上げましたが、化学療法には、手術可能ながんを対象 にして治癒を目的とした化学療法と、それから手術不能の進行がんあるいは再発がんを 対象にして、症状緩和等、延命を目的とする化学療法とありますが、これを二つに分け て考えないといけないと思います。現在、問題になっておりますのは、この二つを外科 医を中心に行っているというところであります。理想的には、化学療法というのはすべ て腫瘍内科医が行うのが理想だと思いますが、日本では多分不可能だと私は考えます。 したがいまして、術前・術後療法については、外科医を含めて個々のがんの専門医がこ れに当たる。腫瘍内科医は化学療法全般を管理しながら後者の部分を担当するといった 役割分担が必要かと思っております。  そうしますと目標としては、拠点病院には最低1名の腫瘍内科医。これには、今、日 本臨床腫瘍学会が認定しておりますがん薬物専門医が当たると思います。それと、各拠 点病院が担当する各がんの化学療法が行える医師、これは今後、認定が進むと思います がん認定医、それから既存のがん関連の専門医がこれに当たる。これを配置するべきだ というのが現実的だと思います。  日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医が今、126名誕生しております。これが今後、 年間150名を目標に認定していきますので、5年以内に拠点病院の数には達する。しか しながらかなり偏在がありますので、これを全体に行き渡らせるためにはかなりまだ時 間がかかるかなという気がしております。  もう1点は、検診の問題についても前回お話しましたが、検診は早期のがんを発見す るだけではなくて、これが死亡率の低下につながらなければ意味がないということで、 例えば乳がんのマンモグラフィ検診では50%ぐらいの受診率がいるということですの で、各臓器別のがんについても受診率をそういった観点から目標を定めていただきたい と思います。  がん専門病院の整備でありますが、これは拠点病院の適正配置が非常に重要だと思っ ております。例えば愛媛県では、景浦先生らの県の指導によりまして、2次医療圏にと らわれず、がん患者の流れを考慮して七つの拠点病院を指定しております。そうします と、愛媛県全体の70%がこれでカバーできます。70%のカバー率がありますと均てん化 が進みますし、拠点病院に地域がん登録への協力を義務づけることによりまして地域が ん登録も非常に進むと考えておりますので、今後、ある程度、全県のがんのカバー率を 考慮して指定していく、あるいは再指定を行う、そういったことが必要かなと思います。  以上でございます。   ○垣添会長 ありがとうございました。  続きまして、富樫委員、お願いします。   ○富樫委員 皆様には、8ページの表を開いていただきたいと思います。4月25日に、 私ども患者代表有志と、国会がん患者と家族の会の議員の先生方と意見交換会を開く機 会がございまして、厚生労働省の外口局長も一緒にいらっしゃって意見交換をさせてい ただいたのですが、そういう機会を与えていただいたことに感謝しておりますし、今回、 委員全員の個別の意見を募集していただいた垣添会長にもとても感謝しております。  その場で私はお話しさせていただいたのですが、5回の意見交換会と2回の協議会を 通じて、たった2時間で18人の御意見を皆さん均一に聞くというのはなかなか難しいと いうことでお話ししましたら、事務局の方たちが回数をふやし、時間をふやしていただ いて、とてもこれも感謝しております。ただ、それぞれの立場からの代表ということで なかなか率直な意見というか、私たち患者は患者の言いたいこと、やってくださいみた いなことが多かったりしたのですが、それはお互い、先ほど内田委員がおっしゃってい たように、それぞれの立場をわかって話を続けていかなければいけないなと、すごく感 じた次第です。  そのときに患者会の人たちにもお声をかけましたら、20を超える患者の方たちが意見 を出してくださいましたので、これをまとめて今、垣添会長に提出させていただきまし た。これを集約すると、8ページにあります表の「全体目標」の「1.10万人の命を助 けよう」、「A.がん予防(1次、2次予防)の推進で年5万人の削減」、「B.治療成績 の向上と地域格差をなくして年5万人削減」「2.すべてのがん患者と家族に安心を届け よう」。これは、切れ目のない医療をしていただくという、がん患者及び経験者、家族の 身体的・精神的苦痛を解消、ということに大体まとまると思いましたので、こちらに全 体目標として挙げさせていただきました。  そして私は、10番の「情報提供・教育」というところのお話をさせていただきたいと 思います。この表は、大まかな施策とそれぞれの実施主体ごとの「国」「都道府県」「市 町村」「医療保険者」「国民・患者」「医師等」「学会」「拠点病院」が、その施策に対して どういうことをしたらいいかということと、あと、先ほどありましたが「評価」、「項目」 として「中間目標」「最終目標」ということでつくってあります。みんなの意見を出し合 いましたので、なかなか不完全な数字だったりということもありますが、一応短い期間 でつくりあげたものをとりあえず説明させていただきます。  この基本法ができたというのは、がん難民を少しでも少なくしようというのがまず第 一の目標ではないかと思いますので、納得いく医療を受けるために何が必要かというの をここに書いてみました。がんと診断されたら、全員の方がすべての患者への相談支援 センターによる病初期相談の提供をする、ということについて、それぞれの役目を書い てみました。  患者としては、それを利用することで主体的な治療参加のきっかけとなる、というこ とですね。そして評価としては、この相談率を中間では80%、最終的には全員の方がい くようにという目標を挙げてみました。  そして、すべてのがん医療拠点病院にピアカウンセリングの場を設置。私どもは患者 会でいろいろな電話をお受けしたり、ワークショップなどを開きますと、家族や医療従 事者とお話ししてもなかなか気持ちをわかってもらえるというのが難しいのですが、患 者会の人とお話をすると、そうよねという共感を受けるということで、ピアカウンセリ ングはとても重要な問題ではないかなと思います。患者の悩みは経験者である先輩患者 が一番よくわかるのではないかなということで、利用することで心のケアに役立てる。 これも、中間目標、最終目標には100%全員が利用できるようにしたいということです。  がん対策情報センターがどのような状況にある患者、家族にも役立つ情報を提供する こと。今できあがっているホームページ等を見ますと、どちらかというと元気になると いうか、そういう患者さん向けに書いてあるような感じがしますので、多様な状況、厳 しい状況、再発、難治がんの方も含めたそういう項目も必要ではないかと考えておりま す。  この中で重点目標として、「治療方針の決定及び変更時の医師による詳細な説明の確実 な実施」ということを挙げてみました。しっかりした説明を受けることが、それがイコ ール医療だということを患者も意識して、先生方にもそれがちゃんと点数としてつくよ うな制度になると、先生たちも一生懸命説明してくださるのではないかなと思いました。 診療報酬の支払いをそういうふうにしていただければいいなと思います。  私たちは講演会やワークショップをして一生懸命、患者にも病気のことがどうだとい うことを、患者教育と一言で済ませるものではないのですが、なるべくするようにして おります。中には個々の意見もありまして、知りたくないという方ももちろんいらっし ゃいますが、治すためにはというか、命を長くするためには自分の病気を把握すること はとても大事なことだと思いますので、患者側も一生懸命勉強するようにしたいと思っ ております。  11番の「患者参加」。患者、国民の視点を生かしたがん政策ということで、がん政策 に参加できる人材の育成ということで、人材育成プログラム作成をぜひしていただきた いと思います。  次が、がん政策の策定のがん患者関係者等の参加。このように私どもが今、5人、6 人、参加させていただきますが、国レベルでも都道府県レベルでも、さまざまな場面で 国民、患者、市民の代表として患者がますます責任ある参加をしていかなければならな いと感じておりますので、ぜひこれを実現させるようなプログラムができるといいなと 思っております。  また、島根県ではことし、がん患者会人材育成事業等に166万の予算がついているそ うです。がん患者サロンで中心となって活動している人などを対象に、カウンセリング の基礎、医療保険制度の解説、がんの最新情報等を内容とした研修会を開催するという ことでついているそうです。  私からは以上です。   ○垣添会長 どうもありがとうございました。  続きまして、中川委員、お願いいたします。   ○中川委員 それでは、委員の方に資料の追加をお願いします。遅くなりまして申しわ けございません。別途配付資料の2ページ目が私の意見であります。がんの臨床医は大 事な会議におくれたり、当日資料を出したり差しかえたり、大変めちゃくちゃなことを やっておりますが、生活の忙しさがこういうところにあらわれるのかなと、御容赦いた だきたいと思います。  たたき台を見ながら多少詳しく書いてきましたが、適宜はしょって別途配付資料を中 心にお話ししていきたいと思います。  まず2ページ、がん対策推進基本計画についての総論的な考え方。恐らくもう議論が 出ていると思いますが、がんの患者さんのための基本計画ということはそのとおりでご ざいますが、がんの場合にはほかの難病と違って、何せ2人に1人弱ががんに罹患する 時代になりましたので、つまり、通常ならば国費投入が患者さんと国民との間のトレー ドオフになるところが、実のところ、家族レベルで考えればこれは一致するというのが がんの非常におもしろいところであります。したがって、患者さんのことを考えるとい いながら、それはその向こうにある全家庭の考えることにつながる。これが今回の基本 計画の総論的な考え方になろうかと思っておりまして、この点では全委員がこの考えの もとに結束していただくことを求めるものであります。  3ページは、たたき台の幹の部分という議論も前2回でございました。いろいろ調べ ていきますと、安倍総理が今国会の中で3ページの中盤にあるようなことを言われてお りました。これをまとめますと、治療の初期からの緩和ケア、放射線治療の専門医など の専門医の不足、がん登録の推進、それからセカンドオピニオンあるいは相談支援体制、 こういうことを答弁の中で御指摘になっておられました。第1回の厚生労働大臣のご挨 拶の中に、4ページ目、これも議事録的なものから引いてきたのですが、放射線治療と 化学療法を担う専門医の育成、初期段階からの緩和ケア、情報の収集提供体制とがん登 録、こういうことを御指摘になられて、まさにここはよく符合していると思います。  したがって、骨子の部分は4ページの中盤にあるような四つの項目、すなわち「放射 線治療・化学療法を担う専門医の育成」「早期段階からの緩和ケアの実施」「情報収集提 供体制の整備」「がん登録の充実」、このようにまとめられるべきであろうというのが私 の意見でございます。  5ページにいきまして、全般的な指摘事項としては、私は国民病などのわかりやすい 言葉を使っていただくことが、がんの患者さんだけでなく、その背後にある全家庭、全 国民にとって必要である。したがってもう少し平易な、恐らくこの手の基本計画の中で はかなり平易なものだと思いますが、さらに一層わかりやすい表現、場合によりました らここにありますような図表を用いるなどして、国民全体にわかりやすいものにしてい ただければと思います。  6ページですが、個別の指摘事項を今述べるべきかどうかわかりませんが、大事なと ころだけ、させていただきます。  まずたたき台の「はじめに」の部分ですが、がんをめぐる状況のがんの医療費につい ての記載がよくわかりません。これは、お金をかけていると誇っているのか、かけてい ないといっているのか、よくわかりません。これは私は、医療費が今後もっと払われる べきだろう。その背景には国民全体という視点が必要である。  これまでの取り組みと今後の展開は、多少自画自賛かなと。ちょっとこれは辛口であ りますが、この辺は考えていただきたい。  それから、これまでの取り組みと今後の展開については、問題点を指摘することで幹 の部分がはっきりしますので、「これまでの取り組みと問題点及び今後の展開」とした上 で、基本計画の幹をまずここで明記するということが必要ではないかと思います。  続けて、平成19年度から23年度の5年間を対象というのは、これは5年ごとに基本 計画に検討を加えるという条文もありますので、10年を対象とするべきではないかと思 います。  基本計画のところですが、これは前回2回目でも少し議論がありました「がんによる 死亡の減少と苦しみの軽減」という表現ですね。これはちょっと厳しい言い方かなと思 いまして、「がんによる死亡の減少、適切ながん医療の普及」、これは基本法にも書いて あります。それから「がん患者の生活の質の維持・向上」、これは16条に書いてありま す。このような表現にかえていただくのが適切ではないかと思っております。  それから、「がん患者を含めた国民全体ががん対策の中心である」という記載がありま すが、これは大変評価できると思います。  2ページの「がん研究の推進及び研究等の成果の普及・活用・発展」。ここで、「がん 対策を推進していく原動力は何々に資する研究である」という文章があるのですが、ち ょっと中身があいまいで、しかもわかりにくいと思います。そもそもがん対策を推進し ていく原動力は何かというのは私もよくわかりませんし、がんの研究が重要であること は論を待ちませんので、記述を少しお考えいただければと思っております。  3ページの「がん患者の意向を尊重したがん医療の提供体制の整備」は、基本法の第 2条第3項の「がん患者の置かれている状況に応じ、本人の意向を十分尊重して治療法 等が選択されるよう体制の整備を図る」、この方が意味がはっきりすると思うのです。こ うするためには、たたき台にある提供体制、相談体制、がん登録の整備だけでは明らか に不十分でして、セカンドオピニオンに関する記載が必要だと思っております。  例えば、先ほど最後に委員の先生方にお配りした資料の2ページの上、これは子宮頸 がんに対して日本と欧米でどれぐらい手術をしているかというデータでございますが、 一番わかりやすいのが黄色で書かれている子宮頸がんのII期を、日本では8割型、手術 をしている。ところが、仏、独、英、米ではおよそ2割である。ここには明らかにセカ ンドオピニオンの仕組みが生かされていないと思います。このようなことがないように していくことが必要で、セカンドオピニオンの記載をぜひ入れていただきたいと思って おります。  8ページ、ここからは個別目標、数値目標を私なりに考えて、やや理想論的に多種記 載しておりますが、特にアンダーラインを引いたところをお願いしたいと思っておりま す。  まず放射線治療についてですが、件数の増加。これは、配付資料の1ページの下です。 日本ではがん患者の約25%が放射線治療をしております。ところが、これは欧米では6 割以上。この25%という数字を倍増できないかという趣旨でございます。  医学部における担当教官の問題がありまして、放射線治療は多くの場合、放射線診断 と一つの放射線科という中でくくられております。この中で、配付資料の4ページの上 にありますのは、防衛医大を入れた80の医学部中、放射線治療学講座があるのはたった 15%。のみならず、放射線治療の責任者が教授である、つまり医学部で放射線治療を専 門とする教授がいるかという点については、たった30名しかいない。この環境の中では、 次の世代を担う放射線治療医が生まれてこないというのは必然ではないかと思います。 これを倍増しようということであります。  品質管理の問題がありまして、これはお時間がかかるかもしれませんので、後で機会 があればお話しさせていただきたいと思っております。  緩和ケアについて。がん専門医に対する緩和ケアの必修化は、一部医学部の中で代行 できるということを含めて、これをぜひお願いしたいと思います。  それから有痛率。日本は麻薬の使用量が少ないこともあって、資料の7ページ、8ペ ージにありますように大変痛みがとれていない。除痛率というのが7ページに書いてあ りますが、その定義の問題があるかもしれませんので、私はあえて有痛率。これは、先 ほど江口先生が言われた症状、QOLの数値化という問題を含みますが、まずこの数値 化を図った上で有痛率を減らしていく必要がある。  ちなみに、8ページの上を見ていただきますと、これは大変厳しいデータなのですが、 末期の膵臓がんに対して痛みどめをしたか・しないか。これは、するか・しないかをく じ引き試験でやったという。よく93年にこんなものをやったと思いますが、これを見ま すと、実は痛みどめを使った方が長く生存しておられます。つまり緩和ケアというのは、 症状緩和だけでなく延命効果すらあるということを御理解いただきたいと思います。  意見の方に戻りまして、在宅療養支援診療所に対する緩和ケア研修の必修化、これも ぜひお願いしたいと思っております。  9ページ、がん登録の問題。これは私の持論なのですが、法制化の議論をする。法制 化するというよりも、法制化の議論について検討する必要があると思っております。  配付資料の8ページの下、これは私が独自に1871名の一般人に対して、がん登録に賛 成かどうか。がん登録自体に対しては85%が賛成。ただし、本人が未告知の場合には賛 成が47%と、半分以下になります。つまり、まだまだがん登録の仕組みそのものに対す るコンセンサスがあるとは思えません。したがって、やはり法制化の議論をこの基本法 の中ですることが必要かと思っております。  その他、がん診療のナショナルガイドラインの作成。  それから、ぜひお願いしたいのが初等期段階でのがん教育。これは時間がかかっても 必ず非常に強い力を持ってくると思っておりますので、これもお願いできればと思って おります。  セカンドオピニオンについては先ほど申しましたが、これはセカンドオピニオンを行 う医療者に対するインセンティブがないとなかなかできにくいのではないかと。それか ら、そもそもセカンドオピニオンがまだまだ知られておりません。PR活動も低いと思 っております。  がん検診に関しては、エビデンスのある検診、つまり子宮頸がん、大腸がん、乳がん、 これに関しては検診受診率の倍増を目指したいと思っております。  もう少しだけお話しさせてください。11ページの個別・分野別の施策に関して。たた き台の8ページに、放射線治療や化学療法の質の問題があります。欧米に比べて質も担 保されていない。それは質の検証をするすべがないのですから、これは専門家の不足や 実施件数の少なさを指摘するにとどめていただきたい。  9ページに、放射線治療の中で実は、後でお話ししたいと思いますが、特に品質管理 をする人材が少ない。たたき台には「放射線治療計画を立てたり精度管理を専門的に支 援したりする人材が必要であるという意見もあることに留意する」となっておりますが、 私は、「線量計算や物理的な精度管理を専門的に支援したりする人材が必要である」とい う文言にしていただきたいと思っております。  駆け足で申しわけありませんが、このあたりを指摘したいと思います。ありがとうご ざいました。   ○垣添会長 どうもありがとうございました。  続きまして、仁昌寺委員、お願いします。   ○仁昌寺委員 私は、資料の47ページをごらんいただきたいと思います。がん検診の実 施主体であり、そしてまた住民への健康教育を実施するという立場から意見を述べさせ ていただきたいと思います。  たたき台の中には検診というのは個別の施策の中に位置づけられておりますが、「がん 検診の受診率向上を目指した積極的推進」という1項目を重点施策に取り上げてはどう かということを述べたいと思います。がん対策推進の理念として掲げられておりますが んによる死亡者の減少、そしてまたすべてのがん患者の苦痛の軽減という目的達成のた めの一つといたしまして、がん検診の重要性を確かなものとしての位置づけが必要では ないかということでございます。今まで、昭和58年度の老人保健法の施行以来、検診受 診率は低迷した状態だということがこれまでも何回も述べられておるところでございま すが、1次検診、そして精密検診、そういったものが充実することによりまして死亡率 が改善され、また国民のQOLも改善されるということを実際に経験しているところで ございます。  がんにかかる人たちは微減の傾向ということでございますが、死亡率はそれにも増し てかなり改善されているということが日本対がん協会の報告書にも書かれておりますと おり、がん検診の早期発見、早期治療ということは、これらのがん対策推進のビジョン を考えますと大変重要なものではないかと考えます。当町といたしましてもがん検診に 今まで積極的に取り組みまして、70%前後という高い受診率になりましたし、精密検診 も80%以上ということを考えますと、そのことによって死亡率が大変改善されてきてい るところでございます。  その検診活動を積極的に推進するために大切なことといたしましては、住民と医療機 関、さらには行政の連携体制の構築を重視した取り組みが検診の積極的推進の中に一つ 盛り込まれれば、大変成果が期待されるのではないかと考えます。今、検診は、行政が 1次検診を行い、そして精密検診になった人が通知をもらってそのまま医療機関という 縦割りの中で実施されておりますが、1次検診をせっかく受けた人を精密検診までつな いでいくことが市町村の役割ではないかと考えております。医療機関との綿密な連携体 制を構築することによって未受診者のフォローができますし、あるいはきめ細かな指導 を行うことによって、がん予防に対する意識もまた高まってくるのではないかと考えて いるところでございます。  今後の活動の取り組みの具体的なものの中に、国民、私どもは住民という表現をいた しますが、住民を核とした連携体制の構築というものが、検診を受けた住民にとっても 本当によかったと思えるような検診に結びついていくのではないかと考えます。一度受 けて、また翌年もきちっと受けていくという体制を築き上げていくためには、住民と行 政とそして医療機関の三者の綿密な取り組みが重要になってくるのではないかと考えて おりますので、具体的な実践活動の中にもこういった連携体制の構築重視というものが 盛り込まれればありがたいと考えております。  また、受診率の数値目標の設定が先ほど来からお話しされております。数値目標を掲 げながらそれにみんなが努力していくことと、それから、その目標が設定された背景、 考え方、そういったものもしっかり示す。そして検診活動を力強くバックアップするた めの国の方針を明確にすれば、なお私ども市町村自治体の職員としては、がん検診に熱 心に取り組んでいける土台がつくられるのではないかと思っております。  今は社会環境が大変変化してまいりまして、メタボリックシンドロームの対策を含み ました医療制度改革、介護保険制度改革、あるいは自殺、それから児童虐待というふう に保健課題はどんどん増加してまいりまして、私どもはどれに力を入れてどういった方 向で実践活動をしていけばいいか迷う場合がございます。そういった中で自治体が何を 重点施策にして事業を進めていくかというときに、国の財源の裏づけが大変重要かと考 えます。平成10年度に、補助金、負担金という形から一般財源化になりました。それは 市町村の独自な事業という位置づけになったこともあって、市町村としてはまた別な課 題にいろいろ埋没するという状況もございますので、今回のがん対策基本法が施行され たことが、各自治体にとっても本当に私たちの事業、それから活動を力強くバックアッ プしてくれる基盤づくりになっていくようにしてほしいと思います。  そういうことを踏まえて、今は一般財源化という位置づけにはなっておりますが、交 付税の一つの算定基準にしていただき、市町村自治体のがん検診のあり方をもっと力強 いものにしていただければ、従事する職員、首長、それらみんなが一緒に取り組んでい けるのではないかと思います。また、自治体においては、医療機関とかなり綿密な連携 をとることによって、今、いろいろと医療の件に関しても議論されておりますが、一番 底辺のところで連携ができていけば、また新しいがん治療あるいはがん対策が生まれる のではないかと考えております。がん検診の受診率向上というものが分野別施策という 位置づけにはなっておりますが、もう少しクローズアップした位置づけになったならば、 市町村としての役割も強く打ち出していけるのではないかと考えているところでござい ます。  以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。  では続きまして、埴岡委員、お願いします。   ○埴岡委員 私は、本日の資料1「委員からの意見」の5ページから11ページまででご 説明いたします。なお、本日資料の資料3に現状の「がん対策推進基本計画イメージ(た たき台)」がございます。そちらもご参照いただければと思います。  5ページですが、私ども5人、有志で出しました資料、タイトルが「がん対策の推進 に関する基本的な計画(たたき台)」となっております。これが私たちのイメージするが ん対策推進基本計画でございます。  現状のたたき台では、「はじめに」ということで現状認識等があるのですが、突き詰め ていえば、これはなくてもいいのかなと。  基本方針はがん対策基本法案に書いてありますので、がん対策基本法のとおりという ことでいいのではないかと。  そして現状のたたき台の「全体目標(10年間)」というものが4ページにございます が、私どもの案では表の8ページの左上、「全体目標」がそれに該当します。  そして現状たたき台の4ページに「個別目標」が列記してありますが、そこに私ども のA3横置きの3枚の表が入るというイメージです。  私どもの案は5ページから11ページまで数ページの紙ですが、この続きはというと、 これで終わりです。これですべて基本的にはがん対策推進基本計画に必要にして十分な ものは入っているのではないかというのが、私どもが3日間、40時間かけて議論してこ れをまとめたときの結論でございます。このがん対策基本計画の幹となる部分が何かと いうことについて多々ご意見が出ているわけですが、その観点からよくよく考えて作成 いたしました。われわれの案のような表現型の方がシンプルで明快であって、だれが何 をすればいいかはっきりわかる。それから、現状たたき台のように施策ごとに散文形式 で書きますと、さまざまな当事者の間の連携とかそういうことが非常にわかりにくくな ります。私どものA3横置きの表を見ていただければ、これを達成するためにはだれが何 をすればいいかということが一目瞭然ではないかと思います。  このがん対策推進基本計画は単なる報告書などではなくて、これから全国の47都道府 県、2000市町村が受け取って現場を動かしていくわけですが、その観点からしましても、 現場が動かしやすいというか、みんながやる気になりやすいものでなければならない。 表にしておけば、国がこれをやってくれるのだから、がん患者はこれをやらなければい けないよねとか、学会も当然これは取り組まないとまずいとか、そういうことが非常に わかりやすいのではないか。みんながやっているのにどこかがやっていないので全体が 動かない、といったこともなくなる。  これまでは、えてしてそれまでの経緯ですとか縦割りの施策分野等から施策を考えて きたわけですが、私たちは患者の救命とQOLに直結するという観点から有効な施策を 盛り込んだ。がん難民がたくさん発生し、あるいはがん拠点病院の傘下やネットワーク の下に入ってこない患者さんがたくさんいたわけで、それをそのままにして、幾らたく さんの対策を打ったり資源投入をしても、その恩恵にあずからない人がたくさん出てく るということになります。私どもとしては「切れ目のない医療」を基本的に「すべての 患者さん」にもたらすという観点から、各分野の章立て、そして各分野の中の個別の施 策を抽出していきました。  ということで、絵に描いたモチにならないようにしなければならない。これまで24 年間、がん対策をしてきたわけですが、これまでとは違うんだぞというメッセージを日 本全国に与えて、目標の結果を出すことに向けてみんなが奮い立てるような計画にしよ う。そういう思いを込めて私どもはつくりました。  6ページ、7ページは、お読みいただければこのとおりです。  これから、A3横置き表によって、手短に幾つかの個別施策の項目を私から説明させて いただきます。  表2項目の8番のブロックの「がん登録・統計」のところですが、まず、「情報の管理 と利用」ということに関して明確にする。評価尺度については、全がん患者に対する予 後判明率を採用して、このような数字を採用してはいかがかと。  第2項目としては、「確実な実施の保証」という観点から、患者登録率を尺度に表に記 載したような形で目標としてはいかがか。各当事者のやるべきことに関しては、このよ うな表現ではいかがかということです。  次に表3枚目の10番ブロック、「情報提供・教育」でございます。今はがん難民が発 生する仕組みをそのままにしておいて、発生した難民をどう救済したりリカバリーする かを一生懸命やっているという状況ですが、そもそもがん難民が発生しない仕組みを組 み込むことが必要です。すべての患者さんががん拠点病院のネットワークに何らかの形 で一度はタッチをする形にするのがいいのではないかと我々は考えました。例えば病初 期にがんと診断された段階で、400ページといった分厚さの「がん患者さん必携」とい うものと、それから「私のカルテ」みたいな薄い冊子の両方を必ず60万人全員がもらう。 がん拠点病院に行って受け取ることも考えられる。今までのように60万冊、冊子を刷っ たがどれだけ患者さんに届いているか分からないというのではなくて、60万人全員に届 けるというように発想を変えることが大切です。サービスの流通すなわちサービスを届 けるという側の視点から考えていくということです。  10番の第6項目、第7項目、第8項目を説明します。第6項目は、県別のがん対策白 書を作成して、毎年、各県の進捗状況を見ていい事例を広めていこうというもの。  「DPC等ベンチマーク情報システムの稼動」ですが、現在、5年生存率等だけに脚 光が当たっている部分がありますが、もちろんそれは大変重要ですが、その他の臨床指 標等が今、DPCデータをベースに集められるようになっておりますので、それを活用 したデータベースをつくって成績を比較することで成績向上に資してはいかがかという ことです。  「レジメン・プロトコル・臨床試験データベースの作成と公開」。患者の視点からしま すと、いい医療が幾ら行われても、それがどこにあるかわからないのではよくないとい うことで、現在、検討されている臨床試験のデータベースだけではなくて、そこにプロ トコルとかレジメンも入ったようなものをつくっていただければということです。  12番のブロック、「財政」のところを簡単に説明いたします。まず、「『分かる、見え る、がん関連予算集計表』の作成」この会議でも各省庁の予算案を出していただいてい ますが、いまひとつ我々としてどのように施策に生かしていいのかわからないのは、施 策ごとに省庁横断的な情報になっていない、あるいは県予算と国予算が一緒に書いてな い。また、費目の細目が書いていないので、現実にどういう予算かがわからないという ことです。施策ごとに予算を寄せて集計した年報を毎年つくっていくということがあれ ば、非常に効率的な予算運営ができるのではないかということ。そして次の項目は、「が ん対策推進基本計画で必要とされた予算確保」ですが、これは重点項目としております。 予算に関してはがん対策基本法8条において、「必要な手当をする」ということが書いて ありますので、これについても洗い出しをする。  以上でございますが、このがん対策基本計画の策定というのは、これまでのような計 画作成プロセスを踏襲するのではよろしくない。議員立法で全議員一致でできたがん対 策基本法に基づいたものですし、その作成について大変注目されているものですから、 いまご説明したようなイメージで施策を洗い出すことが必要だと思います。また、すべ ての施策が実現できるのではないにしても、われわれの示したような表形式にしておく ことで、何がどういう障壁でできないのかということも分かってきて、さらに対策を考 えることができるようになるという考えも盛り込まれております。  というわけで、私どもとしましては、本協議会におけるがん対策推進基本計画に関す る今後の議論は、私たちが示したたたき台をたたき台にして進めていただいた方が、早 く成案ができるのではないかと思っている次第です。以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。  続きまして、廣瀬委員、お願いします。   ○廣瀬委員 私は、看護職能団体の一員として出席しております。看護師の数は多いわ けですが、こういう一定領域において熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護 をできる者を、私ども職能団体はこの10年、育成してきました。このたび、がん対策推 進基本計画のこのたたき台の中で、看護師がどうやって貢献できるかということを私は 考えてきました。それは、がん患者及び家族をサポートするシステム、仕組みには、組 織とその機能、そして人、これにどう看護が意図的に配置されていくかということでは ないかなと。それで役割を担っていくということだと思っております。  たくさんの皆様方の御意見や提言の中には、がんの予防、治療、研究についての重要 性、さらなる質の向上という人材育成ということで、医師を中心として書かれておりま す。私どもは、同時に看護師等に対しても積極的に意図的に今回の計画の中に入れてい ただかないと、なかなかその役割が果たせない。  例えば私どもの昨年11月の調査では、がん診療連携拠点病院179に調査をしました。 がん関連の認定看護師である、ホスピスケア、がん性疼痛看護、がん化学療法看護、乳 がん看護の認定看護師は6カ月以上の教育を受けておりまして、これらが昨年699人全 国で活動していました。しかし、179の拠点病院には25%しか働いていませんでした。 あとは一般病院で働いていました。現在、認定看護師教育の需要が高いですので、今後、 毎年420人輩出しますので、5年後では2700人のがん関連の認定看護師となります。あ と、看護系大学院を教育修了している質の高いケアができ、倫理調整や研究も役割とす る、がんの専門看護師も現在、非常に少ないですが、79人います。今後毎年約20から 30人輩出していく計画をしています。  これらの専門性の高い看護師を、がん拠点病院の均てん化にぜひ位置づけていただき たい。提言の中にもございますが、がん医療に関する相談支援や情報提供、特に患者さ ん、家族の学習能力、学習支援というところで活用していただきたい。  もう一つは、緩和ケアチームの活動範囲が、現在は病棟だけですが、これが緩和ケア 外来の設置や、在宅ケア、訪問看護ステーションとの連携で、専門性の高い看護師をぜ ひ意図的に配置をして使っていただきたいと思っております。  私の意見は53ページから71ページです。資料の3で、第2回のたたき台が出ていま すので、それの中で追加という文章を入れましたので、そこを御説明させていただきま す。  特に1ページで、二つ目のパラグラフで「厚生労働研究班の推計によれば」というと ころで「女性の3人に1人とされている」。その次に「したがって、身体的苦痛のみなら ずがん告知や治療選択等に伴う心理的苦痛、がん手術後、後遺症をもたらす社会的苦痛 を伴う慢性病として生活習慣病や長い経過をたどる慢性病の継続的支援や、手術後も引 き続き必要な日常生活の調整に関する支援が求められる」、こういう文章を入れた方が適 切かなと考えました。  次に4段落目ですが、「これは国民病である」というところの「一層高まっている」と いうところからですが、「一方、がん患者の約半数が、治療説明時もしくは治療方針決定 時のいずれかの場面において不満や不納得を生じている。がん難民の」、これは下の1に 説明していますが、「状況も存在し、セカンドオピニオンも含めた患者への情報提供の重 要性も指摘されている。したがって、医療を受ける機会が均等に与えられ、国民が納得 できるがん医療が望まれる」、これを入れていただきたいと思いました。  がん難民についての出典はここに書いてございます。がん患者128万人のうち68万人、 狭義でも33万人。がん難民は非がん難民に比べて保険診療費が5割増、総医療費は7割 増です。  苦痛の軽減はQOLで非常に重要で、ここは「すべてのがん患者の苦痛の軽減」とい う説明では漫然としております。「疼痛等の身体的苦痛のみならずがん告知や治療選択等 に伴う心理的苦痛、がん手術後遺症をもたらす社会的苦痛を緩和し、包括的な患者満足 度の向上を目標とする」という内容がいいかなと思っております。  次に、4ページの全体目標の苦痛のところの書き方を、先ほど説明しました「身体的、 精神的、社会的苦痛の緩和による包括的な患者満足度の向上」といたしました。  次に54ページですが、たたき台は個別目標のところで、「放射線療法、化学療法の推 進及び医療従事者の育成に関する目標」については、「集学的治療における専門領域の異 なる(外科、内科、放射線科など)医師並びにがん医療にかかわる多職種」に、放射線 看護認定看護師を日本がん看護学会が検討している状況があります。これらのことも含 みます。「在宅療養支援診療所を連携調整し、患者の窓口となる専門性の高い看護師をが ん拠点病院に配置」。「相談支援センターには必置」ということでございます。  次の数値目標の在宅医療に関する目標のところで少し加えました。緩和ケア病棟と在 宅療養支援診療所を連携調整する専門性の高い看護師、これはホスピス認定看護師やが ん性疼痛の認定の看護師等ですが、あとは日本財団と連携して、約3週間の緩和ケア養 成研修をしています。これらの者が約700名ほどおりますので、配置していくというこ とを追加しております。  次に10ページで「取り組むべき施策」の中の第2段落で、これはたたき台の6ページ ですが、ここにも「専門的な緩和ケアを提供できる外来を拠点病院に設置していくとと もに、がんに関して専門性の高い医師や看護師を配置していく」を追加してほしいと思 います。  次に14ページの5段落目ですが、ここにも「拠点病院を中心として緩和ケア病棟、緩 和ケア外来」を入れてほしいと思います。  次に19ページの「その他」の第2段落目に、「このため、関係者等はがんの専門医」 その後に「及び専門性の高い看護師等の育成については、認定に関係する学会や専門職 団体等が協力すること。また、学会や専門職団体、医療関係団体(別添)の協力により」 ということを、少し丁寧にきちっと入れていただきたいと思います。  あと、私の方では、参考資料といたしまして、がんの専門看護師の資料を提出してい ます。   ○垣添会長 資料の説明はそれまでにしていただけますか。   ○廣瀬委員 はい。では、資料の方はごらんください。よろしくお願いします。   ○垣添会長 ありがとうございました。  では続きまして、廣橋委員、お願いします。   ○廣橋会長代理 資料の72ページをごらんください。  まず、「基本的考え方」ですが、従来の第3次対がん10か年総合戦略では、研究、予 防、医療の向上が総合的に行われてきたわけですが、今、国民、そして患者さんたちか ら強く求められているのは、良質の医療の提供と均てん化を強力かつ早急に進めること だと思います。これにのっとって、総合的な取り組みを今までの戦略に基づいて一層進 めるだけではなくて、患者の視点に立った医療の充実を重点的に行うべきだと考えます。 そういう視点に立つと、今後10年間の共通目標、代表目標として、がん死亡率の減少と、 もう一つ、すべてのがん患者の苦痛の軽減、あるいは言葉は変わるけれどもそれに対応 するもの、こういった二つの代表目標が必要だと思います。  II以下には、この代表目標を実現するためにどういう対策が必要かということを考え たものがまとめてあります。そして72ページの1の「がん死亡率の減少」、これを中心 に今日はお話ししたいと思います。  76ページには、患者さんの苦痛の軽減についても一応記載しました。この苦痛には、 先ほどからQOL等々の表現もございましたが、身体的な苦痛だけではなくて心の苦痛 の両方を含んでおりますし、こういう問題についてはぜひ患者さん代表の方々の御意見 を尊重して決定すべきものと考えております。  戻りまして72ページの「がん死亡率の減少」についてです。計画を実効性のあるもの にするためには、具体的な目標を掲げて取り組みを進めることが必要であると思います。 そこで、がん死亡率、年齢調整死亡率で75歳未満のものを考えておりますが、このがん 死亡率を10年間で20%減少するというのを目標にすべきではないかと思います。  その根拠、20%減少とする背景としては、既に2005年から2015年の10年間で10% の減少が見込まれる。毎年1%ぐらいの死亡率の低下が今起こっていますので、10%の 減少は自然の減少として見込まれるということであります。そして、これから後に述べ ます対策を総合的に推進することによってさらに10%加速させて、合わせて20%減少さ せることを目標にしたいと思いますし、こういたしますと10年後もさらに減少効果は続 いていくわけですから、非常に大きな成果が出ることが期待できると思います。  年齢調整で75歳未満とすることについてでありますが、これから高齢者がふえて、そ こでのがん死亡の割合は非常にふえてまいります。一方、がん死亡は40歳から89歳の 年齢層において死亡原因の1位を占め、特に50歳から74歳においては死因の4割以上 を占めるということで、働き盛りのがん死というのは非常に重大な問題であります。そ こで、働き盛りのがん死亡減少をがん対策の最優先課題とすることと、それから高齢者 におけるがんの診断には不確実性がありますので、そのデータで目標が不正確にならな いようにするということをあわせると、対象年齢を75歳未満とし、年齢調整死亡率で 20%削減とするのが適当と考えます。  一方、痛みの問題、あるいは患者さんや家族のQOLの問題については、全年齢のも のを対象として設定すべきであるのは言うまでもありません。  次に、表をごらんください。この表にはこれらの対策、たばこ対策、がん検診の推進、 均てん化の推進、こういったことによってどの程度死亡率の減少が見込まれるかを推定 してまいりました。このデータは、国立がんセンターがん対策情報センターの祖父江部 長が、同センターの他の専門家や大阪成人病センターの研究者らと協力して計算したも のであります。  まず、たばこ対策でありますが、WHOのたばこ喫煙に関する枠組み条約に規定され ている各種の方策、価格、課税、受動喫煙防止、普及啓発、広告規制などの推進をする ことによって喫煙率が半減すれば、2015年における死亡率は1.6%減少するだろうと予 想されます。さらに強力に推進されて喫煙率が4分の1となれば、2.9%と計算されます。  次にがん検診の推進については、対象者の名簿を整備して個人向けの受診勧奨を徹底 することで、受診率を50%まで上げるということができますれば、2015年における死亡 率の減少は3.9%になります。受診率を70%にするためには、検診提供体制の見直しが 必要かと思いますが、そこまで実現できれば6%程度の死亡率の減少が見込まれるとい うことです。  均てん化の推進。5年生存率が施設間で差があるけれども、これが一番いいところの レベルですべてのがん患者さんが10年間の間に治療されるようになるということを均 てん化と定義いたしまして、それが主要5臓器で行われた場合には3.2%、全臓器でそ ういう体制が実現できれば4.9%の死亡率の減少効果が、2015年における死亡率の減少 として期待できます。  これらを組み合わせまして、例えばたばこ対策で喫煙率の半減、がん検診の推進の受 診率50%、均てん化の推進が全臓器で10年でできる、というふうにいたしますと、合 わせて10%の追加的な死亡率の削減が期待できるということで、20%の削減という目標 を掲げるのは、難しいですけれども、きちんとした対策をとれば実現可能な目標ではな いかと考えられるのであります。  74ページのがん医療の均てん化について、さらにもう少しお話ししたいと思います。  今、本当に求められているのは、患者さんそれぞれが最適のがん医療、緩和医療、そ して生活、人生の質の向上などが得られる、そういった医療が提供されるということで すが、これは科学的根拠に基づく診療ガイドラインに沿った治療やケアを行うことがで きる専門家チームを擁するがん診療連携拠点病院が整備されることであると思います。 そのために、多施設共同臨床研究や人材養成、情報提供などを総合的に実施することが 必要です。近年のがん治療法の急速な進歩にかんがみますと、臨床研究、そしてそれを 支える基礎研究をあわせて推進するのも大事なことです。  多施設共同臨床研究の推進ですが、診療ガイドラインを進歩させていく科学的根拠を つくり出すのが臨床試験です。現時点で最もよいと考えられる治療と、それ以上によい かもしれないという治療を比較するというのが第III相試験で、その前の段階が第II相試 験ですが、こういう多施設共同臨床試験に参加してその時点での最新・最善の治療を受 けること、すなわち、臨床試験こそがん治療のゴールドスタンダードといわれる場合も あります。  臨床試験は拠点病院で実際に行われておりますが、さらにそれが拡充されて行われて いきますと、拠点病院のレベルが上がって施設間の格差も是正されるという側面もあり ます。そのために、がん診療連携拠点病院における研究者主導の臨床試験の支援体制の 整備、CRCや臨床試験管理室の整備を促進することが必要ですし、中央にはその支援 機構であるデータセンターを国立がんセンター内に整備しておりますが、さらにこれを 充実させていくことが必要かと思います。  こういったことで行われるしっかりとした科学的、倫理的な臨床試験を、保険診療と して公認して推進することが大事であると考えられます。  次に人材養成です。もちろんこれは、今までも何度も指摘がありました。専門的にが ん診療を行う医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師等の養成が急務でありますが、必 要数やその養成・確保については別途、議論が必要であると思います。  患者の立場に立った医療に関する情報提供。がん患者が本人の意志を尊重して治療法 の選択が行えるように、標準治療に関する正しい治療だけではなくて、地域の医療機関 の医療供給体制に関する情報が十分に提供される、相談支援体制が強化されることが必 要だと思います。  がん登録の整備についても、もう何度もお話が出ました。がん対策を戦略的に進める 上だけではなくて、患者さんに最適の医療を選択してもらう上でも必要不可欠の情報で あると思いまして、この整備を推進する必要があります。  今申し上げましたように、代表目標を設定して、そのための対策、そしてその対策の 実現のための施策というふうに整理すると、全体の施策が非常に有効な基本計画がつく れるのではないかと思っております。こういった対策の実施に関しては、国立がんセン ターとしてはぜひその牽引役としての役割を果たしていきたいと思いますし、独法化し た後でもそのつもりでおります。  以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。  続きまして、本田委員 お願いします。   ○本田委員 私は、個人的に出しました資料の90ページ、91ページと、あと、5人連 名で提出いたしました5ページから、A3の表に基づいて御説明させていただきたいと 思います。  まず、90、91ページで出させていただいた【1】、【2】、【3】の一番初めの「基本認 識」というところですが、これはイメージに対しての意見ということでこのように書き ました。基本的に、今回のがん対策基本法に基づく基本計画で、目に見える成果をきち んと国民に示す、もしくは成果が急には見えなくても何かが変わった、もくしはがん難 民がさまよわなくてよくなったじゃないか、という実感をできるだけ早い時期にもたら す、そういう項目をきっちり入れていかないと国民の失望につながると思います。やっ ぱりだめなんだ、というようなイメージにつながってしまうことが一番よくないと思い ますので、がん医療を変えていくのだということを、国民に分かるようにするというこ とを、一つの大きな共通認識にしていただきたいと思います。もちろんそれには質の問 題とかいろいろあると思いますが、そういう基本認識でありたいと思います。  【2】は後にして【3】ですが、協議会の立場の明確化に関してです。これは、5人 で提案しました紙の6ページの進行管理の「さらに」という下から書いているのですが、 基本法では、がん対策推進協議会の位置づけというものが明確にされていないので、そ こを基本計画の中できちんと明確にしておく必要があると思います。対策の進行管理を して、最終的な評価はここがするのだと。次期、第2期の基本計画に対するさまざまな 進捗状況を分析していくのも協議会なのだということを明確にしておくべきだと思いま す。それぞれの評価などを実際に分析するのは委員会を設けていけばいいと思いますが、 最終的には協議会がするのだ、だから報告は必ずこの協議会が受けるのだということを 明確にしておかないと、宙ぶらりんになっているのがちょっとよろしくないと感じまし た。  それに関連して、厚労省から資料3で提出されている21ページの6「基本計画の見直 し」のところに書かれていることは、どういう意味かよくわかりません。私と同じよう に書かれている委員も何人かいらっしゃいましたが、「国立がんセンターは平成22年4 月に独法化することが決定されていることから、これに伴い、必要に応じ基本計画の見 直しを行うこととする」というのは、これは「国立がんセンターが基本計画の見直しを 行うこととする」と読むような文章だったら、ちょっといかがでしょうか。逆に、国立 がんセンターが独法化したときには、その位置づけについてはまたそのときに見直した らいいのだという意味であればわかるのですが、ちょっと疑問に思っています。基本計 画のなかで、国立がんセンターが独法化した場合に担う役割を明確にするのも、基本的 には協議会で行うべきではないかと考えています。  【2】に当たるところは、個人的意見というよりも、5人連名の資料で少しだけ御説 明したいと思います。  まず大目標ですが,これは私自身としても「がんによる死亡者の減少」ということが 一つ必要だと思います。また、たたき台(イメージ)として出されている「すべてのが ん患者の苦痛の軽減」というのは、気持ちはわかるのですが、この「苦痛」という言葉 が、とりようによっては、痛みさえ取り除いておけばいいのだと読まれかねない。ちょ っと乱暴ですが、治るがんと治らないがんと大きく分けた場合に、治らないがんは苦痛 だけ取り除けばいいんだよといっているように聞こえなくもないので、この表現につい て懸念を感じます。現状では、放射線治療にしても抗がん剤治療にしてもさまざまな研 究が進んでいく中で、そうではなくて、治らないがんでも元気な日、充実した日を1日 でも長くしていくことで、結果的にはがんとともに生きて寿命を全うする場合もこれか らは多々出てくるかと思います。なので、この苦痛という言葉について、広い意味で、 受けたい治療が受けられない苦痛という意味では苦痛なのかもしれませんが、もう少し いい表現がないのかなと考えました。  ただ、知恵が余り働かなくて、黄色いA3の表の8ページの全体目標、先ほど富樫委 員からも説明がありましたが、1の方は予防とか早く見つけることで救命する。もしく はがんになっても、質のいい治療で救命する。救命するという部分はいいのですが、も う一つの方を、私たちは安心を届けるということで痛みも苦しみも、治療を受けられな いという不安にも、安心というものを届けるという表現にしてみたのですが、これもベ ストではないと思いますので、そこら辺のよい言葉を考えるべきではないかと思います。 ただ、心はそういうことです。  5人連名で提出したA3の表に関してですが、私が説明の担当になっているのが、ま ずブロック1と2の「予防」と「早期発見」のところです。ここは、私などが何やかや 言うまでもなくて、既に議論もされているところだと思いますが、私たちなりにちょっ と考えたのは、予防のところで、未成年者の禁煙というところにターゲットを絞った目 標設定も追加してみたらどうかと思いました。これはだれも否定のしようがない問題で すし、これは将来のがん患者を減らしていくという意味でも、がんだけではなくていろ いろな病気に対しても必要なことではないかと思い、このような目標設定を一つ提案し ます。  もう一つの早期発見のところは、いうまでもなくがん検診のことです。ここで三つ書 いてありますが、一番言いたいことは、エビデンスのあるがん検診を着実に進めていっ てもらいたいということです。その場合にエビデンスというのは、国内ではなかなか難 しい部分もあるのかもしれませんが、だれでも何でもすべて検診を受ければいいという 時代ではなくなってきたと思います。検診をすることによる不利益というものも議論さ れる社会になってきました。そういう中で、そういうエビデンスに基づいた検診という ものについて、足りないものは研究し、それを進めていくという基本理念を忘れないで いただければいいなと思います。  もう一つが、第5ブロックの5「スタッフ育成」というところです。ここに関しては、 放射線治療医とか化学療法の専門医もしくはそのスタッフとかということがいろいろ先 ほども言われているので、個々については申し上げませんが、基本的にこれから都道府 県が地域医療計画に基づいてがん医療の計画も立てる中で、幾つかの都道府県の方に伺 ってみると、がんに関してもどういう専門医、どういうスタッフかどれぐらい必要なの かという点について、その地域計画を立てる中で計算できると伺いました。こういう数 字については、よく学会とかで計算されると、いろいろな思いもあって上乗せの人数、 より多くの人数が必要だとおっしゃるということもなきにしもあらずかと思いますが、 都道府県は支払いという部分も考えますので、妥当な数字を算出できるのではないかと 感じています。そうした取り組みの中で、実際、では本当にどれぐらい何が足りていな いのかについて、そろそろそういう数字を出して議論してもいい時期なのではないかと 感じます。これは、がんに限らず、政府の方で、また医師全般の需給の問題、特に小児、 産婦人科などについてまた議論をするとも伺っていますが、そういうものとあわせてこ ういう考え方を一度入れてみてはどうかと感じています。そこで具体的に議論すべきで はないかと。  もう一つは教育についてです。ここに、コアカリキュラムの充実とか腫瘍学講座とか いろいろ書きましたが、現実問題として文科省でも、コアカリキュラムの中に腫瘍学と いうものを新たに立てられたとか、がんプロフェッショナル養成プログラムとか、いろ いろ新しい取り組みをされているとうかがっているのに、この場では一度も紹介されて いないと思います。せっかくですので、そういうものも含めて紹介いただき、さらにそ こをどうしたらいいのかという議論をしてはどうでしょうか。このがん対策推進基本計 画というのは厚労省だけの対策ではないですよね。その辺もぜひあわせて示していただ きたいと思います。それに基づいてできる目標を立てるべきではないかと感じました。  最後ですが、ブロック9の「臨床研究」です。一つは、どんな研究がどれぐらい行わ れているのか、これまでも何度も意見交換会でも議論されましたが、そういうものがわ からない。厚労省に伺いますと、この予算による研究はこのホームページに書いてある とか、あれはこちらに載っているとか言われますが、そういうものに普通の人はなかな かたどり着けません。きちんと、そうした研究はあわせて明確に示していくべきではな いかと考えます。研究費も税金に基づくものですし、その研究に基づいてよりよい医療 を開発されていけばとてもありがたいことなのですが、厚労省にしても文科省にしても、 研究費の使い方の問題、事件が、いろいろと起こりましたよね。そういう現実から考え ても、明確にしていくことは重要だと思います。そういうことで、がん研究年報みたい なものがあってもいいのではないかと思い、提案します。  もう一つが、研究評価の患者参加システムというものを提案します。これは日本版C ARRAと書きましたが、別にアメリカのとおりにする必要は全くなくて、日本にあっ た形態のものを考えればいいと思います。よく患者参加というと、そういうことに患者 さんもしくは患者の意見を代表するような人を入れると、それは患者の言いなりになら なければいけないのかという反発をいただくことがあります。全くそうではないと考え ます。患者の言いなりではなくて、一緒に同じ土俵に立って考えて理解し合うことが目 的で、それこそが重要だと思うのです。内田先生が初めに、患者が医療者に暴言、ハラ スメントがふえてきたとおっしゃいましたが、現実にそういう傾向はあるのかもしれま せんが、一緒に考える土俵がないので、わからないので、一方的にどなりたくもなるよ という状況が生まれている場合もあると思います。ここで患者に参加してもらって、そ れぞれの社会的立場のもとに、この研究はどうだね、こういうものはもっと必要なのだ よ、と研究者が患者代表に説明することで、それを患者代表の人たちが患者会とか社会 一般に説明していくというよい関係が築けるのではないかと思いますので、ぜひそうい うあり方を創設していただきたいと思います。  最後の臨床試験(治験)全般の推進ということで、これは先ほど廣橋委員の資料にあ りましたが、ここで私が一つ問題に思っているのは、治験の場合はGCPの基準がある と思いますが、臨床試験に関しては被験者保護に関する単なる軽い指針しかなくて、被 験者保護というものが余り重要視されないまま動かしていける状態になっているかと思 います。今の時代はだんだんそういうこともなくなっていると信じたいのですが、でも、 それでもやはり患者の意向を無視して勝手に臨床試験に入られていたという実例も聞き ます。これから臨床試験を進めていく、そしてエビデンスを開発していってよりよい治 療をやっていくのだと研究者の方、医療者の方たちがそういう意欲を示していかれるた めにも、そして国民に理解してもらうためにも、ここのところをきっちり法制化なり基 準化なり法令化なり、ちょっとわかりませんが、していかないと、なかなか理解は得ら れないのではないでしょうか。  個人的に思うのは、がん難民とよく言われますが、最もがん難民となっているのは、 再発をして、もしくは進行がんで、もともとの主治医からさじを投げられてしまって、 もしくは主治医がやっていた治療が説明不足などで不信に思って、適切な医療を求めて さまよってしまう人たちのことだと思います。そして、再発、進行がんの方は、ほかの 病院にいってもなかなか受け入れてもらえない現実があります。なので、拠点病院はそ ういう患者さんを全員引き受けなければいけないことにするというのはどうでしょうか。 そうすると症例も集まりますので、臨床試験も打診しやすくなるかもしれない。それぐ らい思い切ったことがあってもいいのかなと、個人的には思っています。  以上です。   ○垣添会長 どうもありがとうございました。  続きまして、三成委員、お願いいたします。   ○三成委員 私は、先ほどの連名の中の9ページ、緩和ケアについてお話をしてみたい と思います。  地域連携パスにおける緩和の視点の必須化ということで、県等の地域医療計画の策定 を実施するに当たって、地域の連携パスであるとか緩和ケアのクリティカルパスとかい う大変重要な問題があるわけで、例えば地域連携パスはどこでもうたわれておりますが、 現実問題としてははかばかしくなく、全然進んでいないわけです。一部のところがモデ ル的に地域のお医者さんと医療界と連携をとっておられるところもありますが、全体と しては非常にそこの部分がおくれておりまして、ぜひとも医療界の協力を得ながら地域 連携パスができるようにしていきたいと思います。これはお金のかからない問題でござ いますので、目標についても当初より100%を目指してやっていかれたらどうかと思い ます。  在宅緩和ケアを行う医療機関の地域医療計画における指定ということで、指定要件を 満たす医療機関を研修受講等にして選定をする。現実問題として、準指定病院がある部 分、重要な呼吸器系の患者さんを抱えていたりするわけで、あるいは島根県においては 東部と西部で非常に落差が激しいわけで、そういうことも踏まえて在宅患者のうち、県 指定の医療機関が全体に平均的にカバーが向上できるような形でやれる方向に向かうと いいと思います。初年度最初としては半分程度、後半では100%それをやっていくこと が必要ではないかと思います。  次に、サバイバーシップの件です。サバイバー実態調査がなかなか行われていないの が現状かと思います。実際、治療を受けてそのまま退院をして、その後、痛み、あるい は経済的な問題、あるいは心の問題等、いろいろ問題を抱えて生活しておるわけですが、 そういうところのケアプランをどのように作成していくかということで、その手始めと してまず調査策定に協力してやっていかなければいけないのではないかということで、 目標として調査報告とケアプランの策定、最終的には次期基本計画へそれらをもとに反 映して、さらに飛躍した目標に向かっていくということにする。  それから、相談支援センターのサービスへサバイバー対応を実施する。現状での拠点 病院における支援センターでそういう患者の人を受け入れをしていただいて、実際に相 談を受けていくという形にやっていただきたい。これもすぐできることですので、ぜひ やっていただきたいと思います。  島根県では、関係者にこの表を見ていただきまして、非常にそれぞれの持ち場と役割、 目標がはっきりしていますので、ぜひ進めていただきたいというお言葉をちょうだいし ております。過去における個別の議論ではなくて、国あるいは地方、そして患者一体と なって計画が実の上がるような形で進むように審議をお願いしたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございました。  続きまして、麦島委員、お願いします。   ○麦島委員 麦島でございます。よろしくお願いいたします。  第1回及び第2回の協議会の概要に、各委員はそれぞれの立場からではなくて総括的 な立場から発言していく必要があると記載されておりますが、その点については十分理 解した上で、あえて小児がんの現況について少しでも御理解いただけたらと思い、私は 93ページから96ページまでの中で問題点をいくつか記載させていただきました。そし て今回は、この中から五つの問題に絞って、患者あるいは国民の立場と、医療従事者の 立場で意見を述べさせていただきたいと思います。  1番目に、小児がん治療の現況でございます。小児は既に成人のがんに比較して長期 生存率並びに治癒率が高いので、私どもは医療従事者と家族あるいは患者とが一丸とな って治癒率100%にすることを目指しております。現在では約70%の患者さんが長期生 存もしくは治癒が期待できるところまできております。しかし、治療抵抗性あるいは再 発される患児の予後は極めて不良でありまして、毎年1000名に近い尊い命が失われてお ります。治療中の患者総数は現在、約2万人。それから、現在、約10万人の長期生存者 がいると推定されております。3年後の2010年までには若年成人の250人に1人が小児 がん経験者になると言われております。  小児がんの治療は一般病院では行われておりませんで、小児病院あるいは大学附属病 院、あるいは特殊な病院で、専門的な知識と経験のある医療スタッフのもとで行われて おります。集学的治療の中で、化学療法は主として小児科医が行っておりますが、最近 の小児科医の不足と時間的な束縛、精神的なストレスから、小児がんの治療に当たる小 児科医は年々減少しております。また高齢化しているのが現状であります。  このような中で時間的な余裕がないことから、先ほど内田委員もおっしゃられており ましたが、コミュニケーション不足あるいは患者との不信感が生じることは、現場でし ばしば経験することでございます。小児がんに関連している医師は疲弊しております。 そして、小児医療では、新生児医療あるいは小児救急に対しては手厚い国の支援がござ いますが、小児がん治療に関しては医療従事者も医療体制の被害者であるように私は思 えます。そして、診療報酬についてもぜひ検討していただくことを提言いたしたいと思 います。  ちなみに、私がおります大学附属病院でも、小児病棟のベッド数は60ベッドあるので すが、その半数近くが小児がんの患者で占められております。本来でしたら脳腫瘍、こ れは白血病に次いで頻度が多いのですが、このような患者さんの化学療法も小児科医が 行うことが望ましいわけですが、実際には白血病とかその他の固形腫瘍の治療で、手が 回らないのが現状でございます。  2番目に、がん患者のQOLの向上に関してでございます。患者、家族のQOLにつ いても追加が必要であると考えております。患者のQOLの向上を実現するには、多く の人手と入院施設、設備、それから小児の場合は院内学級、家族支援体制が不可欠でご ざいます。専門施設がこれを担えるような医療費の設定や、遠方から頻回に面会に来ら れる家族、あるいは長期滞在する患者と家族、あるいは留守宅のサポートなど、社会的 な援助が不可欠であることも、予算化を視野に入れて検討していただきたいと思ってお ります。  3番目に、長期フォローアップの件でございます。治療の進歩によりまして、先ほど 述べましたように小児がん患者の長期生存者は年々増加しております。しかし一方で、 生存者の多くは内分泌障害あるいは心臓機能障害、視聴覚障害、あるいは最近では2次 発がんが高頻度にみられることが既に判明しておりまして、個々の患者が持つリスクに 対応した形で提供できる長期フォローアップガイドラインが既にアメリカでは公開され ております。わが国でも早急にガイドラインを作成し、診療科の枠を超えて小児がん患 者が抱えるリスク情報を共有し、統一したフォローアップ体制を構築する必要があると 思います。そのためには、共通プログラムの作成とその実施のための拠点モデル構想を 目的とする必要があると思います。  小児がん長期生存者は、人数掛ける年の換算で成人の数人分に該当いたします。先ほ ども述べましたが、長期的には多くの小児がん患者さんが蓄積してまいりますので、健 常な納税者の育成につながることも配慮すべきと考えております。  また、長期フォローアップを実施するに当たっては、慢性特定疾患研究事業による医 療費の補助が重要であります。治療終了後、増悪がない場合には、5年で打ち切りにな る、あるいは20歳以降になった場合の打ち切りが大きな問題となっております。具体的 には、検査費用あるいは治療費の負担が家族に、あるいは本人に大きくのしかかってお ります。ぜひその点について財政的支援を検討していただきたいと考えております。  4番目に、がん登録に関する件でございます。がん登録に関する最終目的は法制化す ることですが、この点を視野に入れて具体策を打ち出す必要があると考えております。 我が国の地域がん登録は、その実施が都道府県の判断にゆだねられており、実際に施行 している府県は小児の場合は10数カ所に過ぎません。そのために、地域がん登録を利用 しての小児がんの罹患率の把握は不可能でございます。また、現在、小児がんの治療を 行っているのは小児病院が中心となっておりますが、この小児病院ががん拠点病院とし て認定されておりませんので、がん拠点病院からのデータの収集は不十分でございます。  そこで、小児がん登録については、成人の登録システムと異なる小児がんの治療施設 を中心とした登録システムの構築が必要と考えております。例えば成育医療センターに 登録センターを設けるというのも一案だと思います。これらの点についてぜひとも提言 させていただきたいと思います。  最後に、緩和ケアの問題でございます。この問題は、小児でも同じでございます。小 児のホスピス、特に末期がん、あるいは治療抵抗性のがんのお子さんたちの御兄弟と一 緒に過ごせるような環境整備も必要であるかと思います。この領域に関してはほとんど 情報がございません。また、兄弟の支援、それから特に若い母親、ときには父親の相談 相手など、医師や看護師の手が届かないところへの支援が大切であると考えております。 実際に病院などの医療現場では問題になっておりますので、この点も成人と同様に提言 に加えていただきたいと思っております。  以上でございます。   ○垣添会長 どうもありがとうございました。  それでは、大変お待たせいたしました。最後になりますが、門田委員、お願いします。   ○門田委員 私は、3点について述べさせていただきたいと思います。最後の97ページ です。  最初の一つ目は、現在のたたき台についてであります。このたたき台の今の内容が、 皆さん、同じような感じで見ておられるようですが、重複しているというか前後してい るということで、なかなかわかりにくいという感じがいたします。それで基本方針ある いは重点的に取り組むべき課題云々というようなことが出ておりますが、似て非なる形 が続くということでございまして、これは大幅に変える必要があるのではなかろうかと 考えます。先ほど、たしか関原委員がおっしゃられましたが、基本方針の中に本来やる べき内容のことを入れる。あるいは先ほど廣橋先生も多分同じようなことをおっしゃら れましたが、ここのところの重複を避けてはっきりとした方向性をまず示して、そして 今度は個々のものについて肉づけをしていくという形にしていくことが、多分わかりや すい計画になるのではないかと思います。  そして、97ページに書いておりますが、全体目標というものがまず最初にないと、基 本方針も出てこないだろうという感じでおります。前回、ディスカッションされたとお りでございまして、死亡者数の減少。それから痛みに関して、先ほども話題になりまし たが、痛みということよりも、私は生活の質の向上、あるいはQOL云々という形のポ ジティブな表現をしていただいた方が、多分読みやすいのではないかと思いますし、ま たそれに伴って、その下に具体的目標という形で挙げておりますが、それぞれのことに ついてさらに詳細に、幹、枝という順番にいくような形で整理していくことが一つ大切 ではないかということであります。  二つ目ですが、これは記載しておりませんが、全体的に放射線療法及び化学療法の推 進云々という形で文章がずっと進んでいくということに、外科系の人間として少し違和 感を感じるということを前にも申し上げたのですが、ここ数年は、どこを頑張っても急 に人をふやすことは簡単にできるわけではない。ということは、今やっている人間をい かに上手に使える形にもっていくかということをしつつ、長期的な方向性を整えていく 必要性があるということをこの中に入れていっていただいた方が、外科の人間としてと いうことを言うべきではないのですが、多分多くの患者さんを現在扱っている人たちが 外科系でございますので、そういう内容を少し入れさせていただいた方がいいのではな かろうかという感じがいたしました。  そして、一つだけ御報告を兼ねて申し上げたいと思うのですが、がん治療の専門医と いうところで、専門医とがん治療認定医というものの考え方が今は出てきて、この1〜 2年、認定医の問題がいろいろディスカッションがありまして、やっと昨年末に完成し て、ことしの、実はもう1〜2週間のうちに法人格をとって、そしてその次の段階とし てことしじゅうに教育、それからセミナーをし、試験をして認定をする、こういう段階 までやっときました。  これは、御存じない方のために少しだけ報告させていただきますと、日本癌学会、日 本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会及び全がん協の全国の全がん協の病院と、この四つの 学会・施設が一緒になって一つの認定制度を構築する。どちらかといいますと、学会単 位で専門医制度を構築するのでは学会のエゴが入るなどいろいろな批判がありましたが、 こういう複数の学会で新たにスタートする認定医制度、これは専門性を高めるという分 化していく方向ではなくて、最低限必要ながん治療の基本を確実に身につけ、そしてさ らにそれぞれの領域で専門医、あるいは認定医を持っている人たちが信頼できるがん治 療を担当していただける人という形にしようとしている、というものがやっとスタート できましたので、それもぜひ盛り込んでいただいた方が、今、我々が均てん化という表 現をしている中で、わかりやすい方向性ではないかと思います。  3点目は、これも本当の最後の98ページに挙げておりますが、これは私は前回も申し 上げましたが、法律に基づいて基本計画を出すという非常に重要な計画だという位置づ けを考えますと、今の医療のところで患者の皆さんがいろいろおっしゃられる問題点の 多くは、原因はいろいろと我々が頭の中で考えることよりももっともっと具体的なので すね。人が足りない、お金が足りない、医療費が抑えられるというようなことなのです。 現場で患者さんが求めておられるものはどうしても十分できないということが原因にな っている可能性が非常に高いと思います。  そういった意味で私たちが考えますのは、医者も中には、ひょっとするとうまく患者 さんと対応できない人もいるかもしれませんが、多くは制約の中で生活させられている という現状を無視できないということです。こういう内容も含めて医療費というもの、 あるいは医療者、医師あるいは看護師、そのほかのコメディカルの人たちをいかにどう 処遇するかということは避けて通れないと思います。ここで文章では過激なことを書い ておりますが、日本の医療費がGDPの8%というのは非常に少ない。G7の中では最 低をいっていることは有名なことでございます。かつてはイギリスが最低で、日本より もっと悪かったものを、ブレア政権にかわって医療費を5年間で1.5倍にもっていくと いうことを断行したのです。そのために、日本は追い越されて最下位になっている。そ ういう状況で、G7最低を走っている我々が、特に高齢者がふえてきている今の段階で さらにこれが必要になってくるときに、医療費を抑えるだけではなかなか難しかろうと。 何らかの形でこのところを文章の中に入れるべきではないかと考えます。医療従事者に 関しても一緒です。  そして最終的には、仮にこれが文章として最後の閣議決定までいかないということが あるかもしれませんが、これは今は国民のディスカッションの対象にすべきではないか と強く思うので、何らかそういうあたりの工夫を入れた計画書を考えるべきではないか と思っております。  以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。  各委員が包括的な立場から、あるいはそれぞれの御専門の立場からさまざまな御意見 をいただきました。5分とお願いしましたが、実際にはかなり熱のこもった御発表もあ りましたので、かなり予定をオーバーしましたが、あえて皆さんの生のお声をお聞きす る立場をとりました。ですから予定より進行はおくれておりますが、大変長丁場であり ますので、ここで提案ですが、10分ほど休憩をいたしまして3時10分から全体的な討 論に入りたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。では、3時10分に再開とい うことでよろしくお願い申し上げます。 −休憩− −再開− ○垣添会長 それでは、予定では4時半までですから、あと約1時間20分ほどあります が、これまでの前半の長時間を使いまして、各委員のお立場から大体この基本計画に盛 り込まれるべき内容は語られたのではないかと思いますが、より具体的には、前回の第 2回の議論も受けながら最終的なまとめに向けてだんだんと収斂させていく必要があろ うかと思います。  そこで、このがん対策基本法が成立し、国の基本計画が打ち立てられたときに、国民 から見ても、あるいはがんの患者さんや家族がごらんになっても、我が国のがん対策が このようにすっきりとした形で展開されるのだ、というのが目に見えることが重要であ るということは繰り返し御議論いただきました。つまり、幹と枝と葉がすっきりと見え るような形にするということでありますが、そういう意味で全体目標と言いましょうか、 それを前回いろいろ御議論いただきました死亡者の減少と苦痛の軽減でありますが、死 亡者の減少に関して言うと、今日、廣橋委員からかなり具体的な数値に裏づけられた提 案がありました。それから苦痛の軽減に関しては、これだけですと、肉体的な苦痛がと れればいいという誤解を招く可能性があるというようなご議論があって、つまり精神的、 肉体的、あるいは社会的な苦痛を配慮した必要があるのではないかという御議論があり ましたが、この全体目標に関してもう少し御発言いただくことがありましたらお受けし たいと思います。  あとは、これは修文がどうしても必要だと思います。もしお許しいただいてこれは私 と事務局にお任せいただければ、委員の皆さんにこれまで御発言いただいた内容を受け て訂正し、次回、また御提案したいと考えておりますが、もしこの全体目標に関して御 発言いただくことがありましたら、お受けしたいと思います。   ○柏木委員 私は、がん患者と家族ということが必要ではないかとずっと思っていまし て、例えば緩和医療を確実に推進するための具体的方策のところに「がん患者の苦痛を 軽減し、療養生活の質を向上させる」という項目がありますが、特にホスピスという仕 事をしてきて、末期の患者さんの苦痛というのは当然なのですが、家族がやはり物すご く大きな負担を負います。それから治療の途中においても、患者さん自身の苦痛と同時 に、一緒に伴走している御家族の苦痛というのも非常に大きいと思うのです。ですから、 がん患者の苦痛の軽減というと非常にまとまりやすいのですが、ぜひその中に家族を入 れることが必要ではないかなとずっと思っていまして、それをまず提言したいと思いま す。   ○垣添会長 ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思います。がん患者さんは 治療を受ける当人でありますけれども、同時にその家族は患者さんと同様の、あるいは 場合によるとそれ以上の精神的な苦痛を味わうということに関しては、ここにおられる 皆さん、多分御異論はないと思いますが、がん患者及び家族という視点でこの目標を語 るという点はよろしゅうございましょうか。ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。   ○埴岡委員 現在の議論は、がん対策の「全体目標(10年間)」に対する議論と理解し てよろしいでしょうか。   ○垣添会長 はい。   ○埴岡委員 私ども5人で出したペーパーに関して、もう一度ご説明しますが、全体目 標は、1「10万人の命を助けよう」という表現。そして、それを2本に分けて、「がん 予防の推進で5万人」、それからいわゆる均てん化的なことですが「治療成績の向上と地 域格差をなくすことで5万人」と書いています。まず、パーセントではなくて数字で示 したのは、例えば20%とかいった場合、そのインパクトが国民的にはわかりにくい部分 があるのではないかと。例えば交通事故による死亡の何倍なのだとか、日露戦争の戦死 者を上回っているのだとか、そういう意味で何万人の命といった方が訴求感があるとい うことが1点です。  それから、それに関して国民の意識を高めるためにも予防と治療の両面を車の両輪と いう形で表現した方がよかろうということで、「がん予防で何万人、均てん化で何万人」 ということで立てています。この数字に関しては仮に入れておりますので、廣橋先生そ の他の先生方、専門家の数字と整合性を出していただければいいと思いますが、こうい う書き方をしているのはそういう意味からです。  また、先ほど柏木先生からご指摘がありましたが、私たちの案では全体目標2として は「すべてのがん患者と家族に安心を届けよう」としており、我々も家族を含めてがん 関係者ととらえておりますので、家族を含めることに関して賛成いたします。   ○垣添会長 ありがとうございます。後段の部分に関しては全く意見の一致をみると思 いますが、前段の10万人の命を助けようというのは、パーセンテージより一般の方に受 け入れやすいことではあろうかと思いますが、この部分に関してもう少し御発言があり ましたらお受けしたいと思いますが。   ○関原委員 私は、10万人という数字なら国民に非常に受けとめやすいのですが、これ が例えば7万5000人とか、先ほどの廣橋先生の2割というのは、今はがん死32万人で すから6万何千人ということですよね。6万人という話になると、人数がいいのかどう か。やはり10万という大台の数字を出すのであれば非常にインプレッシブだと思うので すが。そこがどうかなという気がするのです。確かに交通事故死は八千何百人ですから、 それの9倍だというのは数字的には大変大きいわけですが、受ける印象というのはどう かなと思って。2割減らすというのも、5万とか6万という半端な数字を掲げるよりバ リューがあるかなと思ったのですよ。   ○垣添会長 いかがでしょう。   ○海辺委員 やはり交通事故の何倍であるとかそういう観点から、だからこそ今、こう いう対策がこれほど必要とされているのだという感覚でいけば、半端すぎるのもどうか なというところがあるのですが、数もいいかなと思うのですが、それに関しては両方並 べてみて比較して次に譲ってもいいのかなと思うのですが、そんなのではいけないでし ょうか。   ○垣添会長 それはなかなか難しいのではないですかね。つかみの数で例えば5万人、 5万人、合わせて10万人というのは非常にわかりいい可能性がありますが、実現可能性 という観点からすると、廣橋委員ががん対策情報センターの専門家と大阪成人病センタ ーの専門家の意見を集めてかなり精緻に分析してくれていますので、もしお差し支えな ければその数値で、75歳未満の年齢調整死亡率で20%削減ということで、結果的には6 万人か7万人ぐらい減るということを目標にしているわけですが、そういう形で取りま とめるということでいかかでしょうか。よろしゅうございますか。わかりやすさと同時 に実現可能性ということも問われておりますので、とりあえずここは廣橋委員から御提 案いただいた75歳未満で年齢調整死亡率で20%削減ということにさせていただきます。  それから、すべてのがん患者の苦痛の軽減に関しては、先ほど埴岡委員も説明されま したが、がん患者及び経験者、この経験者も大事ですよね、それから家族の身体的・精 神的苦痛の解消、あるいはこれに社会的苦痛まで加えるかどうかということだと思いま すが、家族も大事だし、それからがんのサバイバーシップに対する配慮も必要であると いうことで、それからQOLというような議論もいろいろありましたが、ここの部分を 少し修文することで取りまとめることでよろしゅうございましょうか。ありがとうござ います。  それでは、個別目標はこの前、途中までしか議論できませんでしたが、これで何か御 発言いただくことがありましたらお受けしたいと思います。その後、今日は重点的に取 り組むべき課題ということを中心に議論をさせていただきたいと思いますので、ここは 足早に通り過ぎたいと思っておりますが、個別目標に関して、何か前回以降でぜひここ は御発言したいということがありましたらお受けしたいと思います。   ○門田委員 内容として、先ほども申しましたが、全体と個別というところの関連性を もう少し整理した方がわかりやすいのかなと。順番も関連性に乏しいような気もします ので、幹、枝という感じの方がよろしいかと思いました。   ○垣添会長 ありがとうございました。そのとおりで、上の大目標と個別目標との関連 性が、ちょっとここではばらばらに出てきている感じがしますので、それはぜひ修正い たしたいと思います。   ○埴岡委員 先ほどの議論をぶり返すつもりはないのですが、私の理解が間違っている のかもしれないのでうかがいます。全国で均てん化によって5年生存率で死亡者数の 6.8%削減とかということは、これは人命計算は可能なのですね、廣橋先生。60万人掛 ける6.8%で例えば4万800人、あるいは約4万人とかといって、同じことですよね。 そういう意味ではパーセントと数字は対応させることは可能なのですよね。誤解があっ てはいけないと思ったので、伺いました。  次いで、個別目標のあり方なのですが、一応私ども18人のうち5人で、計画全体のあ り方ということで、1回目、2回目の本協議会でもお話をさせていただいていたのですが、 言葉で言うのもわかりにくいかなということで、本日、5人連名で「がん対策の推進に 関する基本的な計画(たたき台)」ということで別案を出しておりますので、これに関す る皆様のご意見を伺えればありがたく存じます。  といいますのも、計画のあり方そのものに関して議論が不十分な感じがします。要す るに、国をあげてみんながどの立場でも取り組めるということが大切です。今日、多く の方々が言われていましたことも含めますと、この5人で出してあります計画案もなか なか利点があるのではないかと思います。もちろん、私どもの計画案も直すべきところ は多々あると思います。しかし、これをもむ方が、結局、計画策定までのトータル時間 が短く済むのではないかなという考えもあります。そこで、ざっくばらんにこれに関す るご意見をいただければと思います。我々としては、個別意見ではなくて、包括的なが ん対策推進基本計画(たたき台)ということで出しておりますので、相応の扱いをして いただければと思うのですが、いかがでしょうか。   ○垣添会長 わかりました。5ページにあります5人の委員の連名による「がん対策の 推進に関する基本的な計画(たたき台)」の、例えば目次、こういう形で構成していくと いうような考え方に関して、何か御意見がありましたらお受けしたいと思いますが。   ○高嶋委員 これは図譜としてこういった形のものをつけて、本文は本文としてこの計 画目標について文章を書いて、これはその補助的なといいますか、これに落とし込んで いって、一見、非常にわかりやすいような形にするというのも一つの手かなと思います。   ○垣添会長 私もこれを拝見していて感じましたのは、進捗管理をしていく上で各だれ が何をすべきかということと項目がマトリックスで非常に整理されていますから、その 上で非常に役に立つのではないかと思いますが、これを本文のような形でやると余りに も膨大な感じがするかなという気がして拝見しておりましたが、いかがでしょう、ほか に御意見がありましたらどうぞ。   ○江口委員 今後の都道府県レベルの推進計画も含めてわかり易い形式としては、タイ ムスケジュールや評価目標などを解説図表のように添付することは必要ではないかと思 います。   ○垣添会長 ありがとうございます。進捗管理、数値目標、それがどう達成されたかを 中間管理し、最終的に公表していくということは、この基本計画ができあがって都道府 県の計画ができて実際に動いていくときにどうだとかということをあれする上で、大変 な労作だと思いますので、もし委員の皆さんから特に御異論がなければ、5人の委員の 連名で出された「実施すべき対策の内容と実施主体及びその目標の一覧」の3ページ、 これをぜひ本文に付するような資料としてつけさせていただくことでいかがでしょうか。   ○柏木委員 それに関していいですか。賛成なのですが、ただ、本文の内容と表の内容 との間に例えば齟齬がある場合がきっとあると思うのです。内容的には両方ともいいの ですが、例えば緩和ケアの部分を見ますと「地域連携パスにおける緩和の視点の必須化」、 これはとても大切なことで私は大賛成なのですが、本文とこれがどういう関係になるか ということが全く説明なしにされると、非常におかしなものになるのではないかと。で すから、両方並行して出す場合にそのつなぎが必要で、やや独立したものであるとか何 らかの説明がないと、何の説明もなしに一緒に出るとやや混乱するのではないかと思い ました。出すことに関しては賛成なのです。   ○垣添会長 わかりました。   ○中川委員 こういう表をつくるのは大賛成で、ただ、今、柏木先生がおっしゃったよ うに、もともと条文があって、幹、枝という議論がある中で、こういう形式の中にそう いう条文を落とし込んでいく作業が必要なのだということだと思うのです。これそのも のが本文と別にこのままということは、ちょっと難しいと思います。それは、これを見 ますと枝葉の議論にもちゃんと対応していて、つまり早期発見の中に検診とか云々とあ るわけですね。緩和ケアに関してもそういう連携パスあるいは在宅に関する指定という ことがあって。ただ、例えば赤く書いてある「重点」という項目がありますね。それが もし幹だということになれば、また幹の議論が別に必要になってくると思います。です から、こういう形の表現をとる、そして本文を流し込むということに関しては大変重要 だと思っております。   ○垣添会長 ありがとうございました。   ○埴岡委員 この案の趣旨がもしまだわかりにくかったらと思い、ごく簡単に説明を付 け加えさせていただきます。  まず計画のあり方として、日本全国のがん対策に取り組む人が非常にわかりやすい、 また、みんなで取り組めることが大切だと思います。その観点からどういう形の表現型 にするのがいいのかがポイントです。私は複数の方の意見を伺いましたが、だれが何を すればいいかわかりにくいものでは、これまであまり効果がなかった計画とか報告書と 同じようになってしまうということです。ですから、だれが何をすべきかということを 明確、シンプルに書いた方がいいだろう。あと、「望ましい」とか「検討すべし」とかと いう表現で散文的に書かれていても、既にあることの寄せ集めであれば、かえってわか りにくくなるのではないかということもあります。ですから、ひとえに各地での取り組 みがやりやすくなるのはどちらの案がよいかという観点でみていただければと思います。 基本的には、がん対策基本法で目的などのことは書いてあります。基本法で明記してあ る目的に関して、基本計画を策定する際にがん対策の目的についての文言等を議論して 時間を費やすよりは、現場が動けるプラン作りに徹した方がいいというのが趣旨です。  それから、幹、枝の議論ですが、幹は大きく違いません。全体目標に関して既存のた たき台と私どものたたき台は基本的に同じでございます。そして、次には個別目標のと ころは、それぞれ12ブロックの目標群に対応しております。ただ、記載の仕方が非常に 大切でした、それぞれの当事者を書いて役割分担をはっきりするのが今、一番求められ ているのではないかということで、施策と各当事者の役割の表の形にとりまとめたもの でございます。そして、これまでのがん対策推進アクションプラン2005や、第3次対が ん10か年総合戦略など、既存の計画や目標に記載されていることをやめて、今回の基本 計画にあることを始めるというのではないわけですから、既存のものは基本的にすべて 推進しなければならない。今回の基本計画に必要なのは、既存の計画や目標などをどの ように実現していくかということであり、特に我々の案の施策表などに書いてあること に関して、がん対策基本法ができたことによりこのような形で推進をしていこうという ことで、特記をするということです。  基本的には施策ごとにだれが何をするかを表形式で明確に記載をして、あとは施策の 重点づけに関しては提出した施策表では重点マークを仮に打っておりますので、効果の 大きさ、実現性、費用対効果、喫緊の課題といった観点から、がん対策基本法の第2条 と照らし合わせて重点項目を選択していけばよい。そういう考えでつくったものです。  以上です。   ○垣添会長 ほかに御意見はありましょうか。   ○本田委員 私がお伺いしたかったのは、今、これを最後につけてとおっしゃったこと が、もしかして私の考えていることと同じことなのかどうか伺いたかったのです。スタ イルとして文章の中でも明確にできること、そういうやり方が当然あるかと思うのです が、こういう一覧になっていてだれが何をするのだということをきっちり最後に、文章 のものをこのスタイルに落とし込んだものを最後につけるという考え方のことをおっし ゃっていたのですか。   ○垣添会長 私はそう考えていました。つまり、文章で重点目標から個別目標からずっ と書いていって、それを全部、だれがいつまでに何をどういうふうにやるかというのが わかるような形で、こういうマトリックスの表を最後につける。ただしその中身が、先 ほど柏木委員から、本文の方とこちらがきちんと対応していないと大変読みにくい形に なるという御指摘があったわけです。ですから私は提案は、多分委員の皆さんは、この ように表で整理していただいたのは大変わかりいいという御意見が多いと思いますので、 これをつけることに関しては何も問題はないと思うのですが、中身に関してそれぞれが 御専門の立場で、例えば緩和医療に関して本文と表に書いてある部分で整合性が欠ける 部分がないかどうかといったことをそれぞれ点検いただいて事務局に御意見を寄せてい ただければ、次回の議論のときに反映できるのではないかと思いますが、いかがでしょ うか。   ○本田委員 私自身としては、ここに挙げている大目標ではなくて、例えば未成年者の 喫煙、一次予防云々と個々のがありますよね。これがすべてだと思っていない、これも 必要だと私たちは考えているのですが、もっといい議論がいっぱいあったので、そうい うものをこういうスタイルに落とし込んでいくと見えやすいのではないかという思いだ ったので、基本的には同じなのかなと感じました。   ○垣添会長 私も未成年者の喫煙はアピールする非常に大事な項目だと思いますので、 ぜひ生かしたいと思っておりますが、多分これをもうちょっと強化していく形になるの ではないかと思います。   ○海辺委員 確認なのですが、こういう文章のものと、さらにそれと対応したこれがで きるという理解でよろしいのですよね。だから、ここが真っ白になってここのが載って くるということではなくて、いろいろと両方が整合がとれるものにたたいていくという 理解でよろしいのでしょうか。   ○垣添会長 私はそう考えていますが。   ○関原委員 私はこれは非常によくできていると思うのですが、実はこういうペーパー はいろいろな場で作られているのですが、説明をつけないと理解できない。例えば、項 目として「必要医療」「ネットワーク」「資源の算定」などという言葉を書くとすれば、 こういう意味ですと全部定義なり説明を書いて、相当膨大な基本計画書をつくらないと 理解されないのですね。注釈なしにこれをわかっている人はごく限られているわけです。 例えば「国民・患者」と書いて「リスクも含めた理解と参加の自己決定」などと書いて も、これはどういう趣旨なのだということを含め、ここに書かれているのは要約であっ て、別途、これらの内訳が欧米でよくあるように文章で長々と書かないと。これは何の ことかというのは、専門家の人はわかるのだけれど、国民に向けてこれがすべてですと いうふうにいってしまうと、このペーパーのせっかくのバリューが生きてこない。もし 欧米流の基本計画書にするわけで、これはだから70ページとか80ページになるのです。 これは、実は私も金融でこんなのはしょっちゅうやっていたわけです。果たして基本計 画というのはそういう形でつくるのかどうかというのが、僕の疑問なのです。   ○垣添会長 それは議論の対象ですね。   ○関原委員 そうしないと、国民とか患者の方は、書かれていても何のことかわからな いですよ。   ○垣添会長 わかりました。   ○廣瀬委員 5ページにがん対策推進に関するたたき台で、資料1、2、3、4、5と あります。既に第3次対がん10か年総合戦略や均てん化推進に関する検討会報告書やア クションプラン等、国が公表し、それぞれ機関が実施していると思っています。しかし 結局、成果があがっていないという現実の中で、今回、A3の3枚は、先ほどから関原 委員がおっしゃっていましたように、確かに説明を本文の中に入れれば十分わかりいい と思うのです。実際に担当する分野や当事者そして評価をどうしていくかというには、 目標設定が明確でないとだめなのです。全体目標は今のたたき台の全体目標で、先ほど 会長が確認された4ページのがんの二つの全体目標に合っているわけですし、問題は、 個別目標がたたき台の4ページに書かれているのが少しばらけているというのもありま す。私は基本的には今回のA3の8、9、10は大いに取り入れて、従来のものでない、 もっとわかりやすい、絵に描いたモチにならないような計画案にすべきだと思います。 このA3のものは大変貴重ないい資料だと思っておりますので、入れてもらいたいと思 います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○武田室長 事務局から失礼します。一番最初のこの議論のところで、第1回目、第2 回目の協議会でも先生方にいろいろと御議論いただいたと思うのですが、先ほど関原委 員からもお話がありましたように、例えば基本的な方針という大方針のようなものを中 心とした基本計画、それからまたさらに具体的に進めていくものとしての戦略にぶら下 がる戦術のようなもの、こういうものはつなぐ何かしらのノットが必要である。そうい うものをつくっていくに当たって、指標であるとか目標であるとか、現時点においては さらに検討しなければならない。現実にないものもかなりありますので。そのようなも のも踏まえてまずは基本的な大方針、そういうものをこの基本計画でまとめた上で、下 にぶらさがっていくようなものをマトリックス等も一つの手法として用いながら継続的 につくっていくというような御議論もあったやに記憶しておりますので、そこら辺もあ わせて議論を。  つまり簡単に言いますと、限られたスケジュールの中ですべてカチッと戦術のところ まで、ない指標のところを1週間、2週間でつくるわけにはなかなかいかないと思いま すので、そこら辺のところもあわせて御議論いただければと思っております。   ○垣添会長 それは確かにこれまでの議論でもありました。ただ、今、議論されている のをこういうマトリックス形式の表に整理すると、やるべきことと当事者と進捗管理が 非常にやりやすくなるということで、基本的には皆さん、歓迎しておられるのではない かと思います。ただ、この中身をすべて基本計画の答申の中に今、盛り込めるかという と、これはちょっと難しいかもしれないというのは私も感じます。ですからこれは、今、 基本的なストラクチャーとして文章で記述した部分を補強する形でこういう付表をつけ る。ただし、その中身に関しては、場合によってはワーキンググループをつくったりな どして、さらにそれを強化していくような作業が今後、スケジュール的な観点からもう 少し必要になってくるということなのかなという気がします。  ただ、先ほど関原委員が言われたように、この基本計画というのが本当に幹になる部 分をピシッと書くだけにするべきなのか、それともかなり包括的な何十ページにわたる ようなものを書くべきなのか、そのあたりに関してもう少し御意見をいただければと思 いますが。   ○海辺委員 先ほど廣瀬委員がおっしゃったように、これまでにもこちらの資料に挙げ てあります基本法以外に対がん10か年戦略ですとかアクションプラン2005ですとか、 いろいろないいものが出てきておりましたが、いまいち国民の視点、患者の視点から見 まして、どれがどのように機能してどのような結果が生まれているのかというところが 見えづらいものだったと思っております。それで、実はほかのがんに関係する検討会の 報告書等をすべて積み上げたら、既にかなり膨大な量になっていると思うのです。そう いう資料がもう既にある中でまた新しく膨大な資料をつくるよりは、まずできるところ を明らかにして、今度の6月からの地域の都道府県のプランに少しでも多くのこの内容 を反映できるような形でやっていくことを、国民に対しても明らかにしていかなければ いけないと思いますので、このプランの中身そのものは、とてもじゃないけどまだ無理 というところとかいろいろあるとは思うのですが、そういう中身に関して、こちらの文 章の中で足りていないものをこちらに載せるという作業をしていけば、6月に間に合せ ることができていいものができると感じているのですが。   ○垣添会長 わかりました。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。   ○埴岡委員 プロセスとして逆ではないのかなと思います。個別目標としてこうした表 をつくって、必要であれば解説として文章を書き下していくのかなと思います。時間の 制約があるなか、この表を詰めていかなければなりません。また、個別施策として網羅 されておらず足さなければいけないものもあると思います。我々の案の個別施策別の評 価の項目及び目標値については、専門家の意見等でもんでいただく、あるいは当面は評 価方法を空白にしておいて継続研究をしながら1年後に明確に決めるということが必要 な施策項目もあると思います。しかし、構造としては、何の施策に関して主にだれがど のように取り組むということを決めて、それから書き下し文があるのかなと。そうでな いと、現状のたたき台のように作っていきますと、ある施策に関してすべての主体がそ ろっていなかったり、一部分は記載されているけれども何らかの当事者については書か れていないということになって、施策の実現可能性が損なわれてしまいます。ですから、 むしろ表からアプローチした方が早いのかなというのが私の考え方です。   ○廣橋会長代理 この表は、がん対策全体を考える上で非常に大事な表だと思うのです。 しかし、今、基本計画をまとめていくためには、こういうところをより重点にしようと か、まだわからないところは今後の課題にしようとかという判断があって具体的な基本 計画ができて出ていく。一方、この表は、この協議会が、あるいはワーキンググループ がずうっと検討を続けて見直していく、あるいは充実していく。そして次の基本計画が できるときにさらに新しく内容をそこにつけ加えていくもとの資料であって、直接これ を今回の基本計画としてすぐに出すというものとは区別して考える方が良いのではない かと思いますが。   ○垣添会長 ほかにこの表に関してもう一、二、御意見がありましたらお受けしたいと 思います。   ○柏木委員 純粋な質問なのですが、表を作成されるときに予算的な背景はしっかり考 慮をされたのかどうか。例えば「国」のところで、診療報酬の新規設定というようなこ とが情報提供、教育の重点課題として挙げられていますが、これはかなり大きな予算を 伴うことだと思うのです。だから予算の考慮がないと、ただ単に理想論といいますか、 こうしたらいい、ああしたらいいという、私はきちっと詳細に見ていませんが、一番の 質問は、予算ということの配慮がどの程度なされたかということを聞きたいのです。   ○埴岡委員 確かに予算や必要費用について金額を述べることは難しいので、尋ねられ てもごく粗々の数字しか言えません。しかし問題は、どうせ予算がつかないだろう、恐 らくだめだろうということで、この協議会委員が、すべて自主規制的に、少しでも障壁 がありそうなことはすべて不明確にするというアプローチが正しいのかどうかです。現 在、がん対策基本法と協議会委員の使命によって求められているものを洗い出して、そ れが実現できる施策セットを提示するのが役割ではないでしょうか。その中で採用でき ない施策があったことや、何らかの障壁があってできなかったということを明らかにす るのも、重要な考え方だと思うのです。門田先生もおっしゃいました。トータルな医療 資源が絞られているということの問題があること、そして、やったらいいことをやれば みんな疲弊していくだけの状況があるということ。そういう中で洗い出し作業をして、 できたことはできる、できなかったことはなぜできなかったかということ、そのプロセ スを見えるようにすることが今こそ大事ではないかと。そういう意味で我々はこれを出 しているということです。聞かれたら、すごく粗い単位でこのぐらいの金額としか言え ないので、申しわけございません。   ○関原委員 僕は、今のような意見は全くそのとおりだと思うのです。今回は基本計画 をつくって世に問うわけなので、誰が読んでわかるように書く。もし埴岡さんの提言さ れた形であるとしたら、全部文章化してやらない限り、これは相当なページになります が。先ほど言ったように特に実施主体ごとのアクションの項目に国民とか患者というの を入れた場合に、彼らのリスクも含めどういうことが求められるのかというのを解かり 易い文章にした相当膨大な計画書にするのかどうかなのです。埴岡さんの言っているこ とについては、間違っているとかそういうことではなく、そのような形の計画書にする のかどうかです。   ○中川委員 だれが計画書を見るかによって視点が違うと思うのです。例えば仁昌寺委 員とか廣瀬委員とかのお立場だったら、やはり表にまとめた方が早い。ただ、僕は、こ のがんの問題は国民が知るという視点が非常に重要で、わかりやすく、もちろんそれが 網羅的でなくてもいいという意味ではないのですが、やはり文章としてわかりやすいも のであってほしいなというのは非常に願いです。そのことが結果的にはがんの対策の推 進につながると心から信じておりますので、両方ともいるのだろうなと思いますが。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○海辺委員 今の関原委員の御質問に関する文章としては、例えばたたき台の20ページ のところなどに、「がん患者及びその家族はがんに対する治療及びその結果について責任 を共有することが望まれる。なお、そのためにはがんに関する知識を得たり相談するた めの体制整備や支援が必要である」とはっきりと書かれています。それがどのようなと きに必要であるかとか、そのために何が必要であるかということがこの表に落とし込ん でありまして、例えば10番の情報提供、教育のところなどには、まずすべての患者にが ん患者必携を届ける。そういうマニュアルを片手に置いておけば、あの先生の説明は何 だったのだろうかというお話を自分で家でフィードバックするときにも役立ちますし。  そういうことで、この文章を読んだときには理解できても、どういう場面でどう関係 するのかというときにこちらの表とも対応しているし、この表はそういった意味で基本 計画の文章と対応していかなければいけない部分があると思うので、そういう観点から、 基本計画のたたき台の文章を見て足りないものをこちらに補う、こちらで足りないもの はこちらに補足するという作業が必要なのではないかと思うのですが。   ○関原委員 いや、私の言っているのはまさにそういうことで、それを書いていったら 相当膨大になる、そういう計画書をみんなでつくろうというのかどうかということなの です。   ○垣添会長 それはスケジュール的にいって不可能だと思うのです。   ○関原委員 そこのところなのです。   ○垣添会長 ですから私は、これは会長の立場での発言ですが、骨格になる部分をきち んと文章化していって、それを補足する形で、だれがいつまでにどういうふうに実現す るかというA4の表をつくる。ただ、この中身に関しては、例えば今、予算の議論があ りましたが、あるいは用語として十分理解できないという話もありましたから、本文と の整合性を含めた、これは多分かなり膨大な作業になると思いますので、こういう整理 をするという部分だけの合意をいただいておいて、そこの具体的な内容に関しては今後、 引き続き議論していくという形にまとめさせていただきたいと思いますが、いかがでし ょうか。   ○内田委員 この協議会でやるのは基本計画をつくるということですよね。   ○関原委員 そうなのですよ。   ○内田委員 この表になっているのは実施計画ではないのですか。   ○関原委員 私は、この協議会が基本計画を別につくるのではなくて、厚生労働省がつ くるものに対して意見を申すというのが法律に書いてあるわけですね。つくるのはあく までも厚労省の方ですから、最初に申し上げたようにこの協議会の性格として、できる だけ我々の意見をよく反映させてもらうような建設的な意見を言うというのがこの協議 会ではないかなと。法律には「意見を聴く」というふうにしか書いていないわけなので、 ここでつくるというのは全くスタンスが違うのですけれども。   ○内田委員 実質的にはこの「基本計画のイメージ(たたき台)」というのが出されて、 それに対する意見を述べているわけですから、今日も皆さんがそういう形での御意見を お述べになったということで、それを今後このたたき台の中に盛り込んでいくという話 ですよね。ですから、私はこの表は実質的には実施計画に当たるものだと考えているの です。ですから、今回この検討会で行うのは「基本計画のイメージ(たたき台)」に対す る意見を挙げて、それを盛り込んだたたき台、本当に決めるところのたたき台をつくり あげるということであって、その後にこういう表をつくって落とし込んでいく作業が必 要になってくる。その実施計画の中では、関原委員がおっしゃっているように非常に細 かく現実に即した、実際にやっていけるような内容を盛り込んでいかなくてはいけない という感じで受けとめたのですが。   ○垣添会長 本来、この協議会に求められている役割はそういうことだろうと私も考え ています。ですから、一応これまでたたき台としてまとめられてきたものに関して、今 日いただいたような各委員の意見を取り入れた形で全体的な文章化をする作業を進めて いきたいと考えています。そして今後、繰り返し申しますが、委員の一部の方から出し ていただいたA3の表のような形で、今後、進捗管理とか目標管理をしていく上で必要 な部分を、これは少し時間をかけて議論をして取りまとめて、厚生労働省に対して参考 資料として提示するという形になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。   ○埴岡委員 最後にしますが、よろしいでしょうか。協議会の役割ですが、私は公の場 でがん対策基本法の策定に関与された国会議員の先生方からは、基本計画は行政がつく るのではなく協議会の委員がつくるつもりでやってくださいよと言われました。それを 真に受けるのが間違っているのかもしれませんが、協議会としては基本計画全体に責任 を持っていくつもりでなければいけないのかなと思っています。また、協議会は基本計 画に関して意見を述べる役割があるということですが、計画のたたき台を出す、対案を 出すという形で意見を述べる方法もあるかと思い、対案作成を5人ででやった次第です。  それから、がん対策はここで基本計画をつくって終わりではないので、日本の47都道 府県、2000市町村、あらゆる医療関係者などが、既存のたたき台のような計画と私ども がお示ししたようなたたき台による計画と、どちらが受け取りやすいか、ぜひ皆さんに 考えていただきたいと思います。また、国民にもどちらがわかりやすいかということも 含めて考えていただきたいと思います。  それから、いったん書き下し文にしてから表にするのはなかなか難しくて、表にしよ うとすると漏れがあったり意味があいまいだったりすることがわかってくることも多々 あると思います。ぜひ作成プロセスとしては常に当事者を考える形から書き下し文を考 えていただきたいと思います。私としては、5年後にどちらが有効な計画になるかとい う観点から、2案を検討してたたき台を選択し、その先に進めていただければと思いま す。以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。少し先に進ませてください。  重点的に取り組むべき課題ということで、前回はほとんど議論できませんでしたが、 今日、何人かの委員からも御指摘の放射線療法、化学療法の推進、それから緩和医療、 がん登録、柳澤厚生労働大臣の本協議会での冒頭のご挨拶にも、それから安倍総理の話 の中にも挙がっていたということでこの三つが取り上げられておりますが、これに関し て少し御意見を求めたいと思いますが、いかがでしょうか……。  多分、これまでこの三つの重点課題が出てくる背景みたいなものの説明が必ずしも十 分でないというような御発言を委員のどなたかがなさっていたと思いますが、その部分 の配慮は当然必要だと思いますが、この部分に関していかがでしょう。特に例えば放射 線療法と化学療法の推進並びに専門医の育成という観点からしますと、これは長期的に は大学におけるオンコロジーの講座の話とか、あるいは医学部における放射線療法とか 化学療法の教育とかそういったことまでさかのぼっていく話で、他省庁との関連も出て まいりますが、門田委員が御指摘のように、現実には外科の先生方が多く例えば化学療 法なども担当しているという観点で、短・中期的な目標と長期的な目標を含めて放射線 療法及び化学療法の推進並びに専門医の育成といったことを考えなくてはいけないので はないかと。ですからその部分の補足がもうちょっと必要ではないかと考えております が、例えばこの1に関してもし御発言いただくことがありましたらお受けしたいと思い ます。   ○中川委員 追加でお配りした資料の1ページ目の下にグラフがあります。2ページ目 の下側に、これは読売新聞の4月26日の記事でありますが、拠点病院の中にがんの専門 医がいないという記事であります。私は、門田先生がいるからではないのですが、日本 のがんの外科医は、特に消化器領域では世界一なのです。これは自他ともに認めること だと思うのです。ただ、そこの外科医の供給がどうかということまでは非常に難しい問 題で、今、この現実に拠点病院の専門医の数、2ページ目の下のところですが、抗がん 剤の専門医が例えば拠点病院にゼロのところが53施設、放射線に至っては60、抗がん 剤で1人のところが33、放射線1人が72と。0人と1人と比べて雲泥の差があるかの ように見えるのですが、専門医が1人いるということは学会に行けないということなの ですね。ですからこの0、1というのが、例えば放射線治療で0、1合わせて132。こ れは286の全部の回答ではなくて160ぐらいの回答です。こういう現実があるのだとい うことを認識していただく必要があるのだと思います。   ○垣添会長 これに関して、門田委員に御発言いただきますが、その前に均てん化の作 業の一つとしてがん診療拠点病院を次々に指定しておりますが、関原委員はその委員の お一人でもありますが、先ほど意見発表のときに、拠点病院の選択と集中、あるいは指 定の見直しとか、あるいは適正配置のことも検討する必要があるのではないかという御 発言をいただきました。そして現在、286病院が指定されていますが、その中身が、先 ほどの読売新聞の記事のように相当のでこぼこがあることは皆さん御承知のとおりだと 思います。ただ、それを出発点にしてどう我が国のがん医療全体を均てん化していくか ということが問われているのだと思いますが、そういう意味からすると、門田委員がこ れから御発言になられる話は非常に重要なのではないかと思います。   ○門田委員 そういう前置きをされると余りしゃべれないのですが、ここに本田委員が いらっしゃるわけですが、例えばこれは用心しないといけない。前にもいつか意見交換 会のときに発言したことがあるのですが、こういう記事をどう読むかということは非常 に重要ですよね。このように専門医が少ないのだという形に使われていますが、私は放 射線の方は知りませんが、抗がん剤の方は認定を始めたのが2年前ですよ。あのときに、 同時に臨床腫瘍学会と癌治療学会が個別の専門医制度を発足しようとして、こういうこ とをやっていたらいろいろ複雑になるのではないか、ということでディスカッションが 始まった。その一番最初のときには廣橋先生も一緒にディスカッションに加わっていた だき、何とかこれを整理しようとしました。結果として、認定医制度ということで学会 を超えた制度を構築し、癌治療に関する基本的なものをカバーできる医師をとにかく認 定して、そしてその人たちが、これはパーフェクトかどうかは別として、今よりましな 医者をつくるのだという方針でスタートした。それが先ほど報告したように、やっと今 年になって全体の学会でやるというのが初めてできるようになった。  その過程で、たまたま臨床腫瘍学会の専門医が2回、多分2回だと思いますが、承認 された数がこれで、それを当てはめて考えて、これほどおかしいということを言うこと の方がおかしいのですよ。ですから、それよりも現実問題、治療されている外科医も内 科の先生方も、この資格をもたずにやっている人はたくさんいらっしゃいますが、それ を否定するようなこういう文章を記事にするから、国民の皆さんが誤解することとなり、 がん難民ができてくるのですよ。ですから私は、こういう記事は用心して読むべきでは ないかと思います。   ○中川委員 一言。おっしゃるとおりなのです。今日は虚心坦懐に記事を読んでしまっ たので。ただ、放射線治療について言いますと、拠点病院の中にそもそも放射線治療が できないところも10幾つございます。この認定医については私どもはこれしかありませ んので、そもそも放射線治療ができないところが認定医。ただ、これが現実だというこ とも御承知いただければと思います。   ○垣添会長 拠点病院に関しては、今、県の基幹施設と一般の拠点病院という2層構造 にしていますが、今の日本の現状を考えると、場合によると放射線治療がなくて拠点病 院の指定を受けること自体がおかしいという議論は当然されていますので、場合による と当座は3層構造にする必要もあるのかもしれないという議論もこれからされようとし ています。そういう厳しい状況の中で、いかにがん医療の均てん化を進めていくかとい う話です。  もう一つ、今、門田委員が御自分の意見を発言されるときに報告された3学会と全が ん協が一緒になった認定医制度が発足したということ、これは近・中期的ながん医療の 向上の上では非常に重要な動きではないかと私は思っています。ですから、その動きと 拠点病院の選択と集中と強化が進んでいくと、かなりことは動いていくのではないかと 思っていますが。   ○江口委員 専門医の資格制度については、資格の名称と中身が一致していないとまず いと思います。確かに外科だけではなく内科でも一般診療として抗がん剤を扱っている 医師は、一般診療としております。人手がなくやむを得ず化学療法も行うこともありま すが、一方、数多く化学療法化学療法を扱っていれば自分は専門家だと思っている人も いるわけです。ところが最近では、専門医制度をもっとクオリティの高いものにしなけ ればいけないということが社会的にもいろいろ指摘され、薬物療法の専門医をつくるこ とに結びついてきているわけです。ですから、現状の診療内容をそのまま認める資格制 度でなく、今後、より質の高い薬物療法の専門医を世の中に出すという方向で議論にも っていくべきだと思います。  それから、例えば放射線腫瘍医は確かに数は少ないのですが、なぜ若い医師が放射線 腫瘍医を専攻しないのかということも一つの大きな問題としてあります。医師制度的に 何人ふやすとか保証するとかいっても、実際に若い医師が、希望をもって専攻するよう な状況をつくる必要があります。   ○本田委員 門田先生の御意見に対しては、そういうふうに読んでいただきつつも、こ ういう視点もあるということを改めて言わせてください。  私が一つ言いたかったのは、1の「重点的に取り組む課題の放射線療法及び化学療法 の推進並びに専門医等の育成」とあるのだけれども、この中に書いてある4パラグラフ は全部、医師とかスタッフの数を育成しさえすればできるようにしか読めないというこ となのですね。放射線療法とか化学療法を推進するというのは、専門医、担当スタッフ さえいればできるのかといったら、違うと思うのです。そこら辺もちゃんと書いていた だきたくて、例えば細かい話になるから、「具体的には」というのは、内田委員がおっし ゃったように、私は実施計画というのをきっちりつくっていくというのはある意味、賛 成なのですが、ただ、この中でも養成して体制を構築するだけではなくて、例えば今ど きは新しい薬が承認されてもDPCの中では病院の赤字になるので使ってくれないとい う現実もあると聞きます。そういう体制を構築というのは人だけではないので、そこを ふやすべきではないかと感じました。   ○垣添会長 既に廣瀬委員も御発言くださいましたが、例えばがん医療を進めていく上 では看護師も、放射線に関していえば放射線物理士とか、要するに品質管理も非常に重 要である。やはりチーム医療が非常に重要であるということですから、ここに書いてあ ることは必ずしも十分でないというのは私もそのとおりだと思います。  それから、せっかく文部科学省の医学教育課長が在席しておられますので、そして委 員の御発表のときに文科省の話も聞きたいという御発言がありましたので、短時間、今 の文科省の取り組みをお話しいただければ。   ○文科省医学教育課長 文部科学省の医学教育課長でございますが、お時間をいただき ましてありがとうございます。  今日の関係で言いますと、医療関係者の養成ということが私どもは一番大きな課題で ございます。その観点から、最近のこととして二つ大きな動きが出ております。今日お 示しいただいた資料の中にも書いていただいているのですが、医学生が卒業までに勉強 しなければいけない最低限必要な事項として、今までもなかったわけではないのですが、 今回、腫瘍、がんを大きく取り上げまして、それを独立させた形で、放射線療法あるい は化学療法、緩和ケア、それ以外もいろいろな事項を立てて勉強しなければいけないと いうことを決めております。大学においてはそういう方向が国から示されていることに ついては承知されていますので、これを踏まえてそれぞれの大学の中でのカリキュラム 改正が今後進んでいくというのが一つございます。  それから卒後の問題です。今申し上げたのは卒前の問題でございますが、卒後の問題 といたしまして、これは医師のみならず看護師、あるいは医学物理士、あるいは放射線 技師なども人材養成の対象になってくるわけでございますが、がんに関する専門性をも った方々を大学院教育と連携させる形で養成していくこととしております。先ほど本田 委員からも名前が出ましたが、がんプロフェッショナル養成プランというものが19年度 予算で認められまして、今まさに各大学がその内容について案を練っている。実を申し ますと明日が締め切りとなっておりまして、今、各大学がその内容を組んでいるところ でございます。  私どもはその中で、もちろん専門家の養成ということも非常に重要ではありますが、 それと並んで実際の地域の医療機関やあるいは患者さん方との連携も非常に重要な観点 であると考えております。あるいは各大学が、大学の中でだけ行われればいいのではな くてもっと広域的な対応も必要であり、均てん化にも資することが重要だということで、 幾つか具体的な要件をかませまして、その要件を満たしていることを前提として評価を 行い、最終的には14のプロジェクトを選定し、各プロジェクトに対して1億円の資金援 助を行うというプログラムをこの19年度から始めることになっております。   ○垣添会長 ありがとうございました。文部科学省の卒前教育と卒後教育の両方の取り 組みを、短時間に大変要領よく御説明いただきました。ありがとうございます。   ○中川委員 1点だけ補足させてください。今のがんプロフェッショナル養成プランの 中にも、コメディカルが一つの柱になっておりますね。今、会長が言われたように、放 射線治療の場合には、江口先生は、なんでふえないのだろうと。この色つきの1ページ に、患者さんの数は指数的にふえているのです。確かにおっしゃるとおり、医者がふえ ない。そうしますと今の若いお医者さんは、そんなところには絶対いかないです。給料 がよくなければいかないですね。例えば東大医学部の卒業生、昔は外科、内科だったの です。今は皮膚科、眼科、形成外科です。放射線だって絶対だめなのです。  しかも、4ページの上ですが、ボスもいない。80の医学部の中に教授と称する者は30 しかいない。東大にもいない。それは冗談ですが。それが現実なのです。ですから、な かなかインセンティブが働かないのは事実です。  ただ、もう一つの背景に、会長が言われた品質管理あるいは医学物理という理工系の 専門家を含むコメディカルの存在が日本にはほとんどない。今の資料の3ページに、日 米の放射線治療のマンパワー比較というのがございます。アメリカには私どものような 専門医が5000名いて、日本は500名。このことはいいとしましょう。ただ、アメリカに は物理系のコメディカルスタッフ、日本でいうと医学物理士、あるいは品質管理士とい いますか、これが医者と同じ数だけの5000名いるのです。日本には20名足らずなので す。つまりそこは、日本は伝統的に医者が全部やりなさい、そういう仕組みです。もう これは破綻ぎりぎりです。ですから、入ってきません。  そこで、実はもう一つ、白黒の資料をお配りいたしております。これは日本医学放射 線学会、日本放射線腫瘍学会等がこれから要望書を厚生労働大臣に上げる内容でござい ます。これは、昨年度末に医政局指導課から、医療機器にかかわる安全管理をいわゆる 国家資格のある方々にだけ絞ったということであります。これですと、実は医学物理士 等の国家資格のない理工系のコメディカルが入ってこられないのです。これをやります と、さらに若いお医者さんはそんな地獄みたいなところにいくわけはないということに なります。これは、専門医をふやすのは大変なのですがコメディカルをふやすというこ との方が容易でございます。これはぜひご検討いただきたいと思いまして、資料を持参 いたしました。   ○垣添会長 わかりました。ありがとうございました。冒頭に内田委員からも、それか ら最後に門田委員からも御指摘のとおり、今の医療の現場における荒廃といいましょう か、これはこの場におられる方は皆さん承知しておられるかと思いますが、これは答申 の最初の部分とか何かにしっかり書き込む必要があろうかと思っています。  まだいろいろ御意見がおありなことはよくわかっておりますが、2番目の治療の初期 段階からの緩和ケアの実施に関して、少し御意見をいただければと思いますが。   ○海辺委員 先ほどからずっと手を挙げていたのですが、なかなか当たらなかったので 手短に話させていただきます。  一つ、この重点的に取り組むべき課題で私がどうしても申し上げたかったのは、今、 とにかく患者とかがんの医療現場で望んでいるのは、疲弊しないで機能するということ もすごく求められていると思うのです。例えば1番に戻って恐縮なのですが、「放射線療 法及び化学療法の推進並びにその専門医等の育成」と書いてあるこの文言を見ただけで、 例えば今、現場にいらっしゃる高嶋先生とか江口先生とか門田先生が、もうこれでなん とか化学療法に対しても見通しが立ったとお感じになれるのかどうか。私が非常に心配 しておりますのは、いろいろといいことが書いてあるものはたくさん出ているのですが、 どうもそれが機能していなくて、中途半端にアクションプランなどが出るせいで余計に 現場が疲弊している場合もあるのではないかというふうなことをすごく感じます。いい ものが書いてあって、それに対して手当もきちんとしてあって、その計画どおりに実施 されれば非常に喜ばしいのですが、いいことだけ書いてあって、予算も中途半端にしか ついていないせいでかえって、やれと言われた現場が余計疲弊してたまらなくなって逃 げ出していくというようなことになっては非常に困ると思うのです。それに関して、本 当にこの重点的に取り組むべき課題ということで書かれていることで現場の先生方が、 いや、ありがとう、これで私たちは安心してやっていかれる、とお感じになっているの かどうか、お伺いしたいのですが。   ○垣添会長 そんなはずはないでしょう。そんなことは書いていないですよ。現場は、 門田委員が最後に発言されたとおりですよ。 ○埴岡委員 重点的項目を決めるその戦略性と正当性なのですが、なぜ重点項目を決め るのかということと、なぜこの三つなのかということを説明しないと、あとになって理 解できないし、不適切であったということになりかねないと思うのです。ですから、正 当化するためには、対策はたくさんあるけれども特にこれが重点であるとか、がん対策 基本法2条「基本方針」に挙げてある1項、2項、3項に関して一番効果的なものはこ れであるとか、あるいは全体目標に関して最も効果が大きいですとか、あるいは全体の 施策セットの中でネックになっているのでこれから始めなければいけないとか、なぜ重 点施策を決めるのか、どのように決めたのかということをはっきりしたいものです。後 からみたら、何か政治的に決まったのか、声が大きい項目に決まったのかわからないと 思いますので、そこをぜひ書いていただきたい。正当化するには、がん対策基本法にひ もづけるか、効果が最大である、あるいはボトルネックを解消するといった説明になる のだと思います。  それから、海辺委員の話と一部絡むのですが、重点課題候補にあげられている「放射 線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師等の育成」に関して、例え ば人材育成をしても、これはがん診療をよくする必要条件ではあると思いますが十分条 件ではないと思うのです。我々の施策表にあったように、まず地域がん対策計画で、そ れぞれの2次医療圏で医療スタッフの必要算定数があって、次に、みんなでお医者様を 育てていって分け合うということがあって、さらに、医師が育って配置計画に沿ってそ こにはまっていくという連関が成り立ってはじめて、医療の質が上がっていくと思いま す。そうでなければ、ただ、医療者を育てていくということだけになれば、例えば47 都道府県のうち10県だけがお医者さんが潤沢でほかはそうではないというふうになっ てしまいます。ぜひ戦略的な施策セットとして、必要条件的な施策と十分条件的な施策 の組み合わせで、現実に効果が出るような形に組み立てをしていただきたいと思います。   ○垣添会長 冒頭言われたなぜこの三つなのかということですが、それは埴岡委員が繰 り返し御指摘のがん対策基本法の基本理念の第2条の2項と3項、つまり科学的知見に 基づく適切ながんにかかわる医療を受けることができるようにするということと、それ から、本人の意向を十分に尊重してがんの治療方法が選択されるようながん医療を提供 する体制の整備というところからきているのだと私は考えています。ですから、それは 十分説明はできるのではないかと思いますが。   ○埴岡委員 基本法2条と基本計画の基本方針の章の内容とはひもづくのですが、基本 法と重点3項目との関係が私にはちょっとわかりません。   ○中川委員 この協議会のあり方、あるいは基本計画はだれがつくるかという議論が少 しあったので、それとも関係するのだと思うのです。例えばこの協議会がつくるのだと いう考えと、それから厚労省とつくっていく、あるいは厚労大臣がつくっていく。その 中で、少なくとも厚労大臣の発言というのは重いと思うのです。それがすべてではない としても重い。その中で、一部分は埴岡委員に僕も賛成したいのは、果たしてこの三つ なのかということになります。というのは、私の意見書差しかえ部分の中の4ページ目 に、厚労大臣の発言として「放射線・化学療法、それから初期段階からの緩和ケアの実 施。そして情報の収集・提供体制の整備やがん登録等」、このように言われたのですね。  そのことから私は、1、2、3、4と挙げております。これは、放射線・化学療法を 担う専門医の育成、早期からの緩和ケアの実施、それからがん医療に関する情報収集・ 提供体制の整備、それからがん登録の制度の充実。これは、どこまでを三つとする、ど こまでを四つとする、ただそれだけなのですが、そういう点では情報提供・収集の部分 に関しては、もう一つ柱があってもいいのではないかなと。基本理念からすると、セカ ンドオピニオンもそこに含まれる感じが望ましいのではないかなと思います。   ○垣添会長 セカンドオピニオンの話はここには入っていませんから、それは今日の何 人かの方から御発言いただきましたが、やはり加える必要はあると思います。それから 情報収集の重要性は、本来、患者会やそういう団体からの非常に強い要望がありました から、場合によってはもう1本、柱を立てるくらいのつもりで書き込まなくてはいけな いのではないかなと私も考えています。   ○柏木委員 推進のための条例に基づいてということは、それはそれでいいと思うので すが、もっともっと基本は、重点項目というのは、少なくともこの委員会の中でこうい うことをすることによってそれが必ず患者さんと御家族のためになる、そういう視点が あるからそうなのだ、そういう流れはどうしても必要ではないかと思うのです。ただ、 例えばがん登録制度の充実ということ、これは患者さんから出てくるはずがないのです ね。もっとがん登録の制度の充実をしろというふうなことは、直接患者さんから出てこ ない。しかし、全体の流れの中でがん登録制度を充実することは必ず患者さん、御家族 の利益になる。何が一番言いたいかというと、どこかに大切な柱を推進することによっ て、それは視点として患者さん、御家族のためになるということをこうこうこういう理 由で確信するのでこれを進める、そういう文章というか意図というかそれを盛り込む必 要があるのではないかと思います。   ○垣添会長 そのとおりですね。つまり、がん登録の重要性は患者さんから出てくるは ずはないというのはおっしゃるとおりで、ただし、これは我が国のがん対策を進めてい く上でここから挙がってくる情報は必須のものであることも事実ですが、そこをうまく つなげる文章が必要だと。   ○柏木委員 そうです。   ○関原委員 私は31ページにも書いたのですが、先ほど埴岡さんのおっしゃったのと同 じで、三つの重点というのはなぜかというのは書かないとだめだと。その理由は、前回 出たたたき台の3ページのがん医療の均てん化の中に、放射線医療や専門的な知識と技 術を持った医療従事者の育成に努める。そして、また緩和医療のことも書いてあるので すね。そして次に重点施策にもまたそれが書いてあるのですね。また個別のところにも。 至るところに書かれているから、要するに何が本当に重点であるのか解り難い。  ですからここで重点項目として書くのなら、単純明快に、「日本のがん医療は外科医が 中心で欧米諸国に比べ、放射線医療とか化学治療のためのお医者さんが非常に少ない。 更にコメディカルがいない。集合的な治療がおくれている」と書く。それを、ああでも ないこうでもないと書いてあるから焦点が定まらないです、ともうちょっと白黒をはっ きりさせて評価をクリアにしないと、対策も浮かんでこない。あちこち散りばめて書い てあることを含めて、もうちょっと単純にクリアにしてもらいたいというのが私の願い です。   ○垣添会長 これまで1回、2回といただいた御意見、それから今日たくさんいただい たものを取り入れた形で、たたき台の内容に関しては相当修文しなくてはいけないのは 間違いないと思います。   ○景浦委員 全体目標というのが先ほど議論になりましたが、死亡者減少のためには1 次予防、2次予防をしっかり実施する必要があります。もちろん医療の部分も必要なの ですが、それを合わせて、今、7万人とか8万人とかの死亡者を減らしましょうという ことを全体目標として明確に打ち出しておりますね。そうなってきますと、我々都道府 県行政がかかわれる部分といいますか力を入れられるのは1次予防、2次予防のところ なのですが、残念なことに、今、議論になっています重点的に取り組むべき課題という ところにそういった項目が全く出てきておりません。  多くの委員さんからの意見にもありましたが、たばこ対策は必要であるとか、検診を 強化して受診率を上げないと死亡率の低下にはつながらないとか、そういう非常に貴重 な御意見をいただいているにもかかわらず、この重点的に取り組むべき課題のところに は全く出てきていません。そうした点に触れずに全体目標の死亡者数を減少させるとい うのは、非常に齟齬があるというのでしょうか、一体どういうふうにしたらいいのだろ うかと思います。都道府県が今後、計画を立てるときには、国の計画を参考にしながら つくっていきますので、重点的に取り組むべき課題として、しっかり1次予防、2次予 防の位置づけをしておいていただきたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。それをやってずうっと積み重ねていくと、総花的 で何を言いたいのかわからないという批判をされて、それでちょっと行ったり来たりし ているところがあるわけですが、ただ、がんで亡くなる人を減らす上で1次予防、2次 予防の重要性は論を待たないと思います。先ほど廣橋委員の説明の中でも、それがこれ だけ達成されたらこうなるという推測を述べておられましたが、廣橋委員、どうぞ。   ○廣橋会長代理 重点的に取り組むべき課題というのがまずあって、その後、分野別の 施策があっていろいろな施策がある。それには縦軸も横軸もあるのです。そして、その 中に先ほどの重点的な課題がもう一回出てくるのですね。この構成には非常に違和感が あります。重点的な課題、一たん説明されたものがまた一般的な課題の中でもう一回説 明される。それよりは、全体の課題がこうなっている、その中でこうこうこういう理由 でこの分野は重点的に進めるべきである。その一つには、基本法の精神に基づいてこう いう分野が重要である。あるいはもう一つ、がんの死亡率を下げるという大きな目標の 実現のためにはこういう分野が必要である、というのをその後に書かれて整理をされた 方がわかりやすいのではないかなと思いますが。   ○垣添会長 おっしゃるとおりだと思います。ストラクチャーがかなり狂っているとこ ろがあると思います。   ○埴岡委員 簡単に申します。廣橋先生の意見に賛成です。正当化するには、まず第2 条の基本方針、理念のところに書いてあることが一つの根拠。次は、死亡者数の20%の 減少など基本方針に一番効果が大きいということ。そして、先ほどどなたかがおっしゃ ったように、その重点的項目を記述する際には、実効性が保証されるような書き方にす ること。そして廣橋先生がおっしゃったとおり、基本的には施策を洗い出しておいて、 一番肝となっているものを重点施策に選ぶということ。やはり第2条と20%削減にひも づけるというのがすっきりするかと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○本田委員 私は、先ほどの景浦委員のお話に対応してというか、私の意見なのですが、 基本的に今回の主たるメッセージというのは、やはり安心だと思うのです。死亡者を削 減する、救命するというのは確かに重要かもしれませんが、そもそもこの時代、ちょっ と言葉はいけないかもしれませんが、がんになるまで長生きできるようになってきて、 でもがんになる人は確実にいて、そして救命できるところは救命することが絶対必要な のだけれども、がんになった人でも、なってしまっても安心、さまよわない、言葉はマ スコミ的かもしれませんが、がん難民にさせない、がん難民を生まないということだと 思うのです。確かにすべてが足りないかもしれないけれども、1次予防、2次予防のと ころに今回は力点を置くのではなくて、がんになってもさまよわないというところに力 点を置いていただきたいと感じています。   ○垣添会長 ありがとうございます。その意見はたびたびいただいておりますし、それ から、このがん対策基本法が成立する背景として、患者さんや家族の、あるいは国民の 要望が非常に強かったことを一番の基本として踏まえてすべての議論が始まっていると 私は理解しています。そういう意味で、先ほども埴岡委員が指摘されたがん対策基本法 の基本理念の2条の2、3というのは非常に重要であろうと考えています。それを踏ま えた上で進めていく。  そしてその際に、死亡者を減らすという観点からしたら、景浦委員も御指摘のように 喫煙対策とか、あるいは仁昌寺委員も御指摘の検診対策というのは非常に重要で、これ は必ず触れる形にはなると思います。だけど、その中で特にがんの患者さん、家族に直 結する重点的な項目としてここに挙がっている三つという書き方をできるだけわかりや すく整理することが必要なのではないかと思っております。   ○埴岡委員 本日の会議では、たたき台の全体目標の次にある10項目ばかりの個別目標 の検討には触れなかったのですが、前回、このうちの3つぐらいについては議論があり ましたが、他の項目については議論がないままに……。   ○垣添会長 今日はそこへ触れたつもりなのですが。それは、議論がほとんどが表の方 に移りましたので。だからあれは内容的にはあの表の方に入っていると思いますから。   ○埴岡委員 承知しました。それでしたら、個別目標に関しましては、具体的には私ど もがA3用紙の施策リストに立てております12分野のテーマを個別目標として採用して いただけるようにお願いします。ともかく、がん難民を生まないようにすること。いろ いろな対策やサービスをただ実施するだけでなく現実に患者に到達させること、そうい う観点から、できるだけ私どもの計画たたき台の施策表にある柱を参考にしていただき たいと申し添えておきます。   ○垣添会長 大分長い議論をいただきましたが、そろそろ予定の時間になってきていま す。司会の不手際で必ずしも十分御議論いただけなかったのは申しわけないのですが、 ただ、最初の約2時間を使って各委員がお考えの、あるいはこの推進協議会として厚生 労働大臣に答申するものに盛り込むべき内容はかなり十分にお聞かせいただいたと思い ます。それとあわせて資料も提供していただいていますから、これを両方あわせて、次 回、多分事務局からたたき台といいますか原案みたいなものを出して、それで皆さんに 御議論いただくことになると思います。  あと、今後のスケジュール等に関して事務局から何かありましょうか。   ○武田室長 では、事務局から事務連絡をさせていただきます。  次回の開催でございますが、あらかじめ御案内のとおり5月18日・金曜日で、まこと にこれも恐縮でございますが、夕方からということで先生方には18時から22時という 形で御案内させていただいております。ただ、同じ会場で直前まで会議がございまして、 18時半から22時半ということになってしまう可能性も多々ございます。これは、会場 等を含めまして、2、3日中に早急に先生方に最終的な御連絡をさせていただきたいと 思っております。以上です。 ○垣添会長 では、これで第3回の推進協議会を終わらせていただきます。どうもあり がとうございました。                                    −了−