第99回労働政策審議会労働力需給制度部会   議事概要


1   日時

平成19年5月29日(火)   13:30〜

2   場所

中央合同庁舎5号館職業安定局第一会議室

3   出席者

<委員> 公益代表:清家委員、北村委員、鎌田委員
雇用主代表:輪島委員
労働者代表:長谷川委員、市川委員、古市委員
<事務局> 坂口需給調整事業課長、田中派遣・請負労働企画官
篠崎需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐
佐藤需給調整事業課長補佐

4   議題

   労働力需給制度に係るヒアリングについて
   その他

5   議事経緯

   清家部会長より、「労働力需給制度に係るヒアリング」として、紹介予定派遣の実態についてのヒアリングを行い、その後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の諮問に係る審議を行う旨、また、これらを非公開とする旨を発言。
   その後、紹介予定派遣を行う2企業及び派遣労働者3名からヒアリングを行った。ヒアリングの議事要旨は以下のとおり。


1   紹介予定派遣を行う企業からは以下のような意見があった。

(会社の概要について)

紹介予定派遣の売上げは、全体の約1%程度。
紹介予定派遣に特化した派遣労働者の募集、求人の確保は行っていない。
部署としては高齢者を中心に扱っている。金融系が多い。

(各事業主の基本的な状況について)

[A社]

男女比は2対8、年齢層は20〜35歳で全体の約80%、希望職種は、約7割が事務系の職種。
事務系が約6割、その他の4割は、営業系、IT系、販売系、編集系が各々1割ずつ。
紹介予定派遣期間は2〜4か月が約6割。4〜6か月が約2割、1〜2か月が約2割。
直接雇用に結びついている割合は、約75%
紹介予定派遣後の派遣先での雇用形態は、正社員が約6割、契約社員が約4割。

[B社]

男性がほぼ100%。年齢は、55〜60歳が約8割、残り2割は60歳以上と50歳代の前半。
財務関係の仕事が多い。
紹介予定派遣の期間は、3〜6か月の間で100%。
直接雇用に結びついている割合は、中高年の場合はキャリアを持っている方なので、直接雇用に結びついている割合は、ほぼ100%。
紹介予定派遣の派遣先での雇用形態は、正社員が約1〜2割で、基本的には契約社員。60歳を超えると、1年間の契約社員という雇用形態が多いので。

(派遣先から労働条件が明示される時期)

紹介予定派遣の派遣契約終了前1か月から2週間あたりがほとんど。
細かい部分は、直接雇用に至る1か月くらい前。大体何百万円という年収は派遣が開始されるときに明示済み。

(紹介予定派遣をする労働者に対する教育訓練)

スタッフの持っているスキル等によって変わるが、基本的には教育訓練はしている。内容は、コミュニケーションスキル向上の研修、OAスキル向上の研修、コンプライアンス上の問題である情報管理の基礎知識等。
中高年の場合は、その道何十年というキャリアを買っての紹介予定派遣であるので、それに対して特別の教育訓練は実施していない。教育訓練というよりは、肩書きを持った方が契約社員等になるので、その場合の考え方のリセットなどの部分は結構長い時間をかけて派遣前にしている。

(職業紹介に至らない場合の理由)

約7割が労働者側からの辞退。理由としては、仕事内容が自分には合わないのではないか、職場環境にフィットしない、給与など待遇面における条件など。一方、約3割が受入企業側からのお断り。理由は、スキル、知識不足、社風にマッチしないこと。
ほとんどないが、2、3あったのは、基本的には労働者側からの辞退で、雰囲気に合わない、ちょっとリセットができなかったということ。企業側からというのは高齢者の紹介予定派遣では未だ経験していない。

(労働者派遣法への対応や要望について)

紹介予定派遣制度については、現行の制度がいちばん良いのではないかと思っている。6か月という試用期間で適性を見極めるよう、指針として出しておいていただけるのは非常に有り難い制度だと思う。
今の制度で特に問題はないと思う。


2   紹介予定派遣を利用した労働者からは以下のような意見があった。

(紹介予定派遣により就職することを選んだ理由)

就職活動をする中で、インターネットで紹介予定派遣制度を知った。第三者から自分のことを分析していただける、その上で職業を紹介していただけるということを初めて知り、まずは応募してみよう、やってみようと思ったのがいちばんのきっかけ。
就職活動を経験したことがなかったので、正社員になる道としていちばん入りやすかったのが、紹介予定派遣だった。半年間で正社員にもしかしたらなれるかもしれないという可能性があるということで選んだ。
面接が終わってから、「紹介予定派遣」と突然言われた。

(紹介予定派遣を利用する派遣会社を選んだ理由)

インターネットで就職先を探していて紹介予定派遣制度を知り、そのままその会社を選んだ。
派遣で事務の経験をするのも初めてで、派遣に関しての知識がほとんどなかったので、大手の会社やよく耳にする会社が、いろいろ会社を紹介してくれるのではないかということで選んだ。

(紹介予定派遣の期間について)

6か月。
6か月。(現在紹介予定派遣中)
半年の紹介予定派遣だったらしく、半年過ぎた時に面接が再度あった。

(紹介予定派遣中の派遣先による教育訓練・福利厚生)

派遣元で2週間の研修制度と、月に一回のフィードバックの制度があって、その都度今の派遣先でどうなっているのか等派遣元に確認していただいた。
社員と一緒に研修に参加したり、とても充実した内容で、教育訓練を受けている。派遣先に行く前に研修というのを受けないといけないシステムで、就業した後も、月曜から金曜日まである研修の中、いつでも受けに来られるシステムだった。
ない。

(紹介予定派遣終了後の派遣先での直接雇用における労働条件)

2年契約社員。
派遣先での直接雇用の労働条件は分からない。(現在紹介予定派遣中)
正社員でなく、契約社員をさらに1年やれということを言われ、その後に正社員の道が開けるという話しだった。

(派遣先での直接雇用における労働条件の明示の時期)

紹介予定派遣が終わる2か月前に、この仕事を続けて良いかという明示があって、1か月前には、書面と言葉で説明してもらった。
まだ分からない。(現在紹介予定派遣中)

(職業紹介又は採用に至らなかったことの有無と至らなかったときの理由)

まだ至っていない。(現在紹介予定派遣中)
雇用されることを自分が拒否した。理由は、正社員になれるのではないということや、給料の面等そんなにいい待遇でもなかったこと。

(紹介予定派遣のメリット・デメリット)

メリットは、自分の分析の他に第三者から自己分析をしてもらえる、それを踏まえて仕事を紹介していただける、そして仕事を試してみることができるといった部分。自分は仕事を続けているが、辞めてしまった人もいる。3か月くらいで自分に合わないと思った場合は、残りの期間はもしかしたら続けていく気持ちがないのに仕事をしなければいけないという期間ができてしまうのがデメリットかと思う。
メリットは、半年間体験でき、その中で派遣先が自分に合う合わないを決められるということ。半年間の中で自分をどれだけスキルアップさせて、ここに就職したいというアピールの期間でもあると思う。デメリットは、反対に本当にここで就職できるのかどうかという不安が常に付きまとうことと思う。派遣で働いている業務内容、時間、給料の面に関しても、いざ社員になったらどうなるのかという不安もある。
メリットは、社員になっていないので感じていない。デメリットとしては、こちらは面接をされていて、もちろん履歴書も出している以上、企業の方もそのつもりで半年後だとか、正社員で採用する際には、こういう条件でこういう待遇で採用しますよだとか、全く分からないのはちょっとずるいなという気持ちが、おかしいんじゃないかなっていうふうには感じた。

(労働者派遣法への対応や要望について)

こういうふうに面接したら条件を提示するとか、派遣の期間は何か月とかいうのは、必ず先に決めてという指針があればもっと良い制度になるのではないかと思う。



照会先
厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係
〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2
TEL03(5253)1111(内線5747)



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