07/04/27 第30回厚生科学審議会感染症分科会 第30回厚生科学審議会感染症分科会議 事 録 日 時:平成19年4月27日(金)15:00〜16:05 場 所:厚生労働省9階 省議室 議 題  1)感染症部会・結核部会への委員指名について(会長報告)  2)インフルエンザ(H5N1)の政令指定の延長について(協議)    3)感染症法の施行状況について(報告)    4)新型インフルエンザ対策ガイドライン(フェーズ4以降)について(報告)    5)その他 (議事内容) ○三宅課長補佐 定刻でございますので、これより第30回厚生科学審議会感染症分科会 を開会させていただきます。委員の皆様方には御多忙中のところ御出席いただきまして 誠にありがとうございます。  私は4月1日付での人事異動で健康局結核感染症課課長補佐を拝命いたしました杉江 の後任の三宅でございます。課長も三宅でございますが、私も三宅でございます。よろ しくお願いいたします。  本日は、平成19年度に入り、初めての分科会であり、また、臨時委員の改選後の初め ての開催になります。 それでは、本分科会の開催に当たりまして、外口健康局長よりごあいさつを申し上げま す。 ○外口健康局長 健康局長、外口でございます。本日は、委員の皆様方におかれまして は、御多忙中のところ、第30回の厚生科学審議会感染症分科会に御出席いただきまして 誠にありがとうございます。  この分科会で御議論いただきました感染症法の改正、すなわち感染症の予防及び感染 症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律につきましては、これは現 在6月1日の施行に向けまして、準備の最終段階の作業を進めているところでございま す。なお、この感染症法の改正につきましては、昨年秋の臨時国会で審議され国会で成 立いたしましたけれども、その国会の審議の中で、例えば付帯決議等におきまして、結 核対策において結核予防法が果たしてきた役割の大きさとか、あるいはいまだに結核が 主要な感染症である現実等を踏まえ、結核対策の一層の充実を図ること等の御意見、御 指摘をいただいておるところでございます。私どももこういった意見を踏まえて、十分 今後の施策に対して配慮していきたいと考えております。  一方、新型インフルエンザ対策につきましては、これは事前準備がますます重要にな ってきているところでございます。本日御報告させていただきますように、3月末には フェーズ4以降のガイドライン、これは13種類のガイドラインになりますけれども、こ れを完成させるなど対策に力を入れているところでございます。また、予算面でも通常 予算のみならず補正予算や予備費も加えて予算の確保に努めているところでございます。  本日は、インフルエンザ(H5N1)の指定感染症の指定延長に関してなど、先生方の専 門的かつ大局的見地からの貴重な御意見をいただきますようお願い申し上げます。 簡単ではございますが、私のあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い いたします。 ○三宅課長補佐 健康局長はほかに公務がございますので、これで退席させていただき ます。 (外口健康局長退席)  次に、事務局側の職員を御紹介させていただきます。  岡本参事官。  三宅結核感染症課長。  滝本感染症情報管理室長。  正林感染症対策企画調整官。  小野課長補佐。  三木課長補佐。  それでは、後の進行は宮村会長によろしくお願いいたします。 ○宮村会長 それでは、本日はよろしくお願いいたします。  さて、きょうの議事の進行でございますが、お手元の議事次第に沿って進めていきた いと思います。  まず、事務局より資料の確認を行った後、資料の説明をしていただきますが、委員の 先生方には円滑な議事の進行について御協力をよろしくお願いいたします。  それでは、まず資料の説明につきまして事務局からお願いいたします。 ○三宅課長補佐 わかりました。ここで、カメラ撮りをされている方がいらっしゃいま したら終了させていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。  それでは、資料の確認に移らせていただきます。  1枚目が議事次第でございます。  2枚目が資料一覧でございます。  次が資料1「厚生科学審議会に設置された分科会及び部会一覧」。  資料2−1「インフルエンザ(H5N1)に係る法制的対応の基本方針」、これは先立って 郵送させていただきました資料等をこのページのみは少し修正をさせていただいており ます。  資料2−2「指定感染症について」。  資料3「改正感染症法の施行状況について」。  資料4が「新型インフルエンザ対策」。  参考資料1が「厚生科学審議会令(抄)」。  参考資料2が「インフルエンザ(H5N1)を指定感染症として定める等の政令」。  参考資料3が、最後でございまして「新型インフルエンザガイドライン概要集(フェー ズ4以降)」でございます。  不足等ございましたら、事務局までお知らせくださいますようお願いいたします。 ○宮村会長 それでは、早速議題1についてでございます。厚生科学審議会の資料があ ると思いますが、参考資料1にございます。そこの第六条第2項で「部会に属すべき委 員、臨時委員及び専門委員は会長(分科会に置かれる部会にあっては、分科会長)が指 名する。」とございます。感染症法の改正について、分科会において集中的に審議を今ま でしてまいりましたけれども、法律の成立に伴いまして、今後、法施行に伴う詳細な議 論を行う必要がございます。そのために、再度これらの検討を充実させるために感染症 部会、結核部会において検討する必要が出てまいります。  そこで、本日ここでそれぞれの部会に属する委員を指名させていただきたいと思いま す。今までの審議経緯等も考慮いたしまして、あらかじめ事務局と相談いたしました。 資料1の1枚目をめくっていただきますと、感染症部会に属する委員会の名簿の(案) が記載されています。それから、その次のページに結核部会に属する委員会の名簿の(案) がございますが、委員の方には、このような形で御了承願えますでしょうか。よくごら んください。 (「異議なし」と声あり) ○宮村会長 それでは、異議がないということで皆さんお引き受けいただくということ でございます。案のとおりに各部会の委員を指名することといたします。  なお、数名の委員の先生方につきましては、感染症部会と結核部会の両部会を兼務し ていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  今後、各部会において検討していただきたい内容につきましては、これから事務局か ら御説明を申し上げます。 ○三宅課長補佐 ありがとうございます。資料1の1枚目を見ていただきます。感染症 分科会がこの分科会でございます。その下に今回をもちまして部会、感染症部会と結核 部会をもう一度しっかり再開していただくことになりました。感染症分科会におきまし ては、広く感染症一般にかかわることについて検討していただきたいと考えております。 そして、それぞれの部会におきましては、結核部会においては結核にかかわること、そ して感染症部会におきましては、個別の疾患等それぞれの固有のものにつきまして、こ の部会の下にワーキンググループをつくるなどして今までも運営させていただいたとこ ろでございますので、感染症部会につきましては、個別の疾患、結核部会においては結 核、分科会におきましては全体ということで役割分担をさせていただければと思ってお ります。よろしくお願いいたします。 ○宮村会長 引き続きまして、議題2に移ります。昨年の4月の第26回の分科会で、 指定感染症と位置づけるべきとの意見をとりまとめたインフルエンザ(H5N1)について、 その政令指定の延長について、今回、検討していきたいと存じます。検討に当たりまし て、まず事務局より説明をお願いいたします。 ○三宅課長補佐 では資料2−1を私から、資料2−2を法令担当の小野の方から説明 させていただきます。  まず資料2−1でございますが、昨年4月、第26回の分科会の際に政令指定を検討 していただいた資料をもとに、その後の現状を踏まえてつくり直したものでございます。 よって、上の3つは、昨年1年前の資料をもとに作成し直しております。もう一度読ま せていただきます。  2005年12月に行動計画を策定し、「WHOフェーズ4宣言に基づき、ウイルスが確定 次第速やかに、感染症法に基づく指定感染症への政令指定を行うとともに、検疫法へ適 用させるための政令改正を行う。」ということとなっておったところでございます。  そして、その当時の状況といたしましては、このように、平成15年(2003年)12月 以降、トリからヒトへの発祥事例が多発していた。  WHOの医療施設向けの感染対策指針においてトリ−ヒト感染の段階から入院等の 措置を推奨。  平成18年(2003年)1月段階では、トルコで発生した鳥インフルエンザの患者から 検出されたウイルスにおいて、ヒトの細胞へ結合しやすい変異が見られ、トリ−ヒト感 染が容易になってきていることを示唆。  このような行動計画、状況を踏まえ、平成18年6月12日をもちまして、ここの答申 を受けインフルエンザ(H5N1)を感染症法の指定感染症に政令指定、検疫法の検疫感染 症に政令改正をさせていただいたところでございます。  そして約1年たった現在の状況でございますが、平成19年1月〜2月、国内で、ヒト への感染源となるトリの感染事例が多発ということで、国内においても少し事件が起き てきていること。  そして、世界的にヒトへの感染事例の終息はみられず、患者発生国が拡大している。 WHOによると世界で患者数が291人出ているということでございます。それは2ペー ジ目のページをおめくりいただきますと、その内訳等が書いてございます。  このように現在でも引き続き対策をきちんと打っていくことが必要だというふうに 我々は考えております。  一方、ウイルスの病原性や感染性等に大きな変化は認めていないとして、WHOによ るフェーズの変更はございませんということで、より強い措置を必要とするかについて はそう多くはないのではないかと考えております。  また、今後とも、強いヒト−ヒト感染力を持つウイルスの出現等、その変異に応じた 対応の強化を可能としつつ、引き続き、入院の措置等の発動が可能となるよう備えてお くことが必要だと。最低限の入院の措置等をきちんと担保しながら、一方で、一類に指 定しなければできないような交通遮断等の措置の可能性も余地を残しておくと、そのよ うなことが現在では必要な段階ではないかということを考えております。  以上のことを踏まえますと、我々の事務局としましてはインフルエンザ(H5N1)の指 定感染症の政令を延長する。引き続き、それは二類感染症に準じた取扱いでいいのでは ないかというのが我々事務局からの考えでございます。  続きまして、資料2−2の説明をお願いいたします。 ○小野課長補佐 ただいま三宅の方から説明ありました今回の指定感染症の政令の関係 で、法令面ということで、補足になるかもしれませんが、御説明いたしたいと思います。 資料2−2が、そもそも指定感染症というものの感染症法における位置づけを説明して おるものでございます。お手元の参考資料2で「インフルエンザ(H5N1)を指定感染症 として定める等の政令」というもので、これが昨年の6月に定めた指定感染症指定の政 令ということになります。  こちらの政令でございますが、資料2−2の、まず、上の方の六条7項で「指定感染 症」ということで、既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症及び三類 感染症を除く。)であって、法律の方の規定の全部または一部を準用しなければ、当該疾 病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものというこ とで指定をいたしまして、感染症法の規定を、一年以内の政令で定める期間に限り、政 令で定めるところにより準用するということで、七条1項に規定がされております。  これに従って、昨年指定をしたのが、先ほどの平成18年の政令ということになります。  七条2項の方を、今、線を引いておりますけれども、ごらんいただくと、この「政令 で定められた期間は、期間の経過後なお準用することが特に必要があると認められる場 合は、一年以内の政令で定める期間に限り延長することができる。」というふうに規定が されております。  さらに「政令を定める制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ厚生科 学審議会の意見を聴かなければならない。」ということで、本日これから御審議をいただ くということになっております。  指定感染症の指定の政令でございますが、簡単に内容を2番のところに書かせていた だいておりますが、感染症法の規定をインフルエンザ(H5N1)について準用する規定が どれかということ。それから、都道府県の事務処理に係る事務区分等を定めるというこ とになっております。  (別添)、次のページめくっていただきまして、2ページ、3ページが現在インフルエ ンザ(H5N1)について感染症法の規定の発動があるものを右側に「○」、ないものは「×」 という形で整理をしております。「○」のところをごらんいただくと、基本的な性格とし ては、先ほど三宅から説明がありましたが、二類感染症にほぼ準じた扱いということで 規定の適用があるという形になっております。  なお、資料2枚目、3枚目の方で、白抜きになっている部分については、これは四類 感染症の鳥インフルエンザとして規定の適用があるものを白抜きにしているということ で、準用の有無のところが「×」になっているものであっても鳥インフルエンザとして 適用があるものというところがあるということになっております。  1枚目に戻っていただきまして、こちらの政令につきましては、昨年6月12日から施 行ということで、1年を経過した日にその効力を失うということで、6月には失効とい う扱いになっております。先ほどの説明にありましたとおり、現在の状況等を考えまし て、この失効の日をもう一年先に延ばすという改正を行いたいというふうに考えており ます。  私の方からは、以上になります。 ○宮村会長 今2つの御説明がありました。最終的に現状とこれからの提案でございま す。その前に1つ確認ですが、現状ではWHOによるフェーズは変更なしということは フェーズ3であるということですね。 ○三宅課長補佐 はい、そうです。 ○宮村会長 それでは、審議、ディスカッションしていただく前に、感染研の岡部委員、 専門の立場からコメントを、現在のH5N1の状況について補足いただけませんか。 ○岡部委員 現在のH5N1の状況、ここの資料、今、三宅補佐が読まれた2−1のところ にもありますけれども、H5N1、トリにおいては感染はおさまるところなく広がっており ます。その影響を受けて実際にヒトでの感染者が出ているのでは最近ではエジプト、イ ンドネシア等々であります。ただ、幸いなことに、ヒトからヒトへの感染が起きたとい うところは非常に限定的で、特定の家族感染であって、広くヒトからヒトに広がってい るわけではない。しかし、ヒトへの感染が二百数十名起きている中で、致死率は六十数% に及んでいるという状況にあり、また、ヒトへの感染は非常に危惧されています。した がって、WHOでは、まだヒトからヒトへ広くは広がっていないということでフェーズ 3のままにはなっています。御存じのように我が国では、ことしH5N1のトリの間でのア ウトブレークが宮崎あるいは岡山であったということがあります。  幸いにこれも非常に早い対応で、数十羽単位で見つかるということはほかの国ではあ り得ないわけですけれども、それで見つかって淘汰をして一応はおさまっているという のが我が国の状況と言えます。したがって、H5N1に対する警戒状況としては変わらない。 それから、ヒトへの感染としては、むしろアラートが少し上がっているというような状 況であるといえます。 ○宮村会長 そういう状況を踏まえて、今回の事務局の提案について。 ○岡部委員 続けて済みません。実は海外出張中のウイルス第三部の田代部長ともこの 件については相談をしたのですけれども、指定した当時の状況と、現在の状況として、 急にヒト−ヒト感染が広がっているというようなことではない。しかし問題点がなくな ったわけではもちろんないわけですので、依然、引き続いて同じような状況でもしヒト 感染が起きた場合には十分な警戒を持って対処する必要があるだろうと考えられます。  それから、政令指定を決めたときに、現在ヒト−ヒト感染がないのに、二類あるいは 指定感染症ということで隔離その他が必要かどうかという議論があったと思うのですが、 現在の状況でヒト−ヒト感染に行くような遺伝子変化などはいつ起きるかわからないこ とと、患者さんが出てからすぐにわかるわけではないので、やはりこの場合は事前対応 という意味で、患者さんには御迷惑をかけるわけですけれども、本人のためと全体のた めということで二類並みにしようという議論があったと思います。ですから、その状況 が変わらないので、私も田代部長もこのまま指定を続けていただいた方がいいのではな いかという結論でした。 ○宮村会長 以上事務局及び専門家の御意見ですけれども、これについて委員の先生方 の御意見を求めます。  思いますに、事務局の説明、それから、今の専門委員の先生の説明を踏まえまして、 妥当な適切な処置ではないかというふうに思います。  それでは、このインフルエンザ(H5N1)の案について、現状にかんがみまして、引き 続き政令において指定感染症としての指定を延長することによって対応することが必要 でございまして、また準用すべき規定につきましては、従来どおり「二類感染症」に準 ずるということで御了承いただけますでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○宮村会長 それでは、これを了承いたしますので、よろしくお願いいたします。  ここまでは検討事項として皆様に議論していただいてまいりましたが、これからは2 〜3の報告事項がございます。事務局からお願いをいたします。 ○小野課長補佐 お手元の資料3に基づきまして「改正感染症法の施行状況について」 ということで御説明したいと思います。冒頭、局長あいさつの中でございましたが、感 染症法の改正ということで、昨年の臨時国会の方で審議成立しまして、12月8日に公布 になったということで、2段階施行になっておりまして、結核予防法の感染症法への統 合については4月1日と。それから、病原体の管理の関係の規制については、6月1日 の施行ということで、現在作業を進めておるということになります。  前回、第29回の感染症分科会の方で、感染症法の今回の改正の政省令、指針等につい て御審議いただいたところでございますが、本日はその後の状況ということで御説明い たしたいと思います。  まず、4月1日の施行分ということで、こちらは既に施行がされているものになりま すけれども、政省令の策定ということで関係政令の整備等に関する政令、省令も整備等 に関する省令ということで、結核予防法の廃止、感染症法への統合に伴う関係法令の改 正を一括して行ったところでございます。  それから、前回の分科会で御議論いただきました感染症法の基本指針と言われる感染 症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針の改正、結核については、従前の基 本指針と言っていたものを引き継ぎました特定感染症予防指針、これを3月に公布とい う形で成立させております。  それから、4月1日の施行ということで、特にこれまで結核予防法に基づく結核対策 というのが感染症法への移行ということで、その施行に向けた様々な、特に都道府県、 保健所等の疑義紹介に対する回答といったものを都道府県へ配布を行ったり、あるいは 都道府県等の担当者に対する説明会なども開催をしまして、実際の対応に当たる自治体 への説明等も行ってきたところでございます。特に結核予防法に基づき措置の対象とな っていた方、こちらについては法律の位置づけが変わるということに伴って混乱の生じ ないよう、必要な移行のための取扱いといったものも通知を出したり、あるいは説明会 等で説明をするといった形で、平成19年3月まで対応を進めまして、この4月から施行 という形になっております。  それから、2番目の6月1日施行分ということで、こちらも政省令の策定というのを 3月から、また今月にかけて行っております。特に病原体の関係の様々な基準であると か、詳細手続等を定めました省令につきましては、今月の17日までパブリックコメント を行いまして、近々公布という運びで今最終作業を進めておるところでございます。  それから、法令のほかにも、当然新規の規制になりますので、様々な告示、通知、実 際、許可、届出等をしていく上での手引きであるとか、マニュアルといったものを準備 しております。告示については、今回、病原体管理の規制対象から除外される病原体の 指定、あるいは病原体の運搬に関する基準であるとか、あるいは防護服等々の規格等を 定めていくということにしております。  それから、マニュアル等につきましては、こちらにあります運搬の関係、許可、届出 の手引きといったものの作成を進めておるところでございます。  それから、今後でございますけれども、厚生労働省のホームページ、病原体等所持者 等に対します説明会という中で制度の周知徹底を図っていくということで、全国今7か 所、回数的には9回を予定しておりますけれども、こういった中で説明を行ったり、あ るいは事前相談という形をとっていきたいと思っております。  こちらに挙げております厚生労働省のホームページの方で、法規制の内容であるとか、 情報については、今後、随時掲載していくという形で制度の円滑な施行を図っていきた いと考えております。  以上になります。 ○宮村会長 ありがとうございました。今、報告でございましたけれども、これについ て御意見、御質問、委員の方からありますでしょうか。 ○倉田委員 意見というか、お願いですが、バイオセキュリティ上の基準というのはよ くわかっていますけれども、それに沿って施設が適切にできているかどうかという問題、 そういう評価というのは日本に査察制度がありませんから、どこも受けてないわけです ね。ですから、そこのところは、私、前からこの法律をつくるときに施設の問題でそれ なりの対応をしなければ……と言い続けています。よその国はみんなそういうものに関 して膨大な金をいろいろなところに出して施設面も整えているんですね。これは1年前 から申し上げてきたところなのですが、その辺のところがどういうふうに対応するかと いうことをちゃんと説明しないと、それによって罰則規定が適用される場合は、そんな ことなら全部検査やめましょうという方向にいろいろな方が電話をかけてくる。ちょっ と待ってくださいということを言っているのですが、もう一つ、上の方に書いてある運 搬の問題、この届出、だれが運ぶのか。隣の3キロ先の保健所から持ってきたりすると きにどうするか、そういう非常に具体的な問題になってきますと、この運搬の届出の仕 方のところはどういうふうに書いてあるか、今までのでは全く見えない。まただれが運 ぶのか、自分の車で運んだらどうなるか、そういうことに関しても、わかりやすいもの をつくってもらう必要があろうということです。  今までのものは、関係者として私が読んでもなかなかわかりにくい面があるので、ウ ランを運ぶのと病原体を運ぶのはまるで違うので、その辺を同じ適用でやってしまうと とんでもないことが起きるということです。警察の最初の案はそうなっていたようです ね。それが変わって適切な案になっているかどうか。これからいろんなところで説明会 もやられるようですが、そこをきちんとわかりやすい説明をする必要がある。  この面倒くさいということによって、病原体が全部放棄されるのは非常に簡単な、す る方にとっては、オートクレーブかけてしまえという意見があちこちから入ってきます。 特に病院サイドですね。そういうことになってしまうと、せっかく感染症法で本来ねら ってきたことが全部壊れてしまう。ということは、今後の日本の感染症対策に非常にマ イナスの面を引き起こすということになります。  そういうことで、今回、改正される分のところで、罰則規定にかかわるところの運用 の仕方というのは気をつけないと、日本の感染症対策を根底から壊す。私は昨年最初の ときに同じことを言っていますが、そこを注意されて、わかりやすい説明と同時に実効 可能な方向への説明をする必要と責任があると思います。  施設については、前々から繰り返しですが、きちんとした対応を、テロ対策という部 分があるわけですから、それに対しては感染症法だけの問題ではできない部分がありま す。これも私1年前から言い続けてきたことですので、ぜひ、何かのことをしないと、 問題は数年たってみたら、病原体のサーベイランスが壊れてしまい、患者のサーベイラ ンスは全部届出がありますが、病原体の方は何も来なくなったということにならないよ うにやはり気をつけていく必要がある。そういう点についてわかりやすい説明をこれか ら地方へ行ってやられるときにしていただく必要があるかなと、それはお願いです。  今この場におられる方々は、大方議論に参加されてきた方々ですが、3,4年して、 関与した方々がいなくなり、法律文書だけが特に犯罪取り締まり的行為が一人歩きを始 めたことを厳重に厚労省として注視していく義務があります。 ○宮村会長 これについてお答えができますか。 ○倉田委員 私、答えは求めません。 ○宮村会長 いいですか。 ○岡部委員 今早急の答えじゃなくていいのですが、関連して、運用上の問題点でお願 いがります。今の倉田先生がおっしゃったのは、病原体が分離された後のことで、それ に対する注意等々だと思うのですが、ここの分科会でも随分議論になったと思うのです けれども、患者からの検体、これがいつまでたっても誤解があるのか、あるいはどこか で曲解されていくのか、患者さんの検体の搬送、現場から得られたものにも厳しい制限・ 制約を加えた場合、例えば地方衛生研究所、検査機関、あるいは私たちの研究所に送る ときに非常に厳しいことになり、現場における病原体の検索というのは難しくなります。 ということは感染症の診断が十分にできなくなるということで、この審議会で議論した のでは、少なくとも患者診断用に影響が及ばないようにということと、それから、きち んとした、これは倉田先生も触れられた病原体としてのサーベイランス、さらなる検索 が十分にできるということを十分配慮して運用を図っていただきたいということを再度 念を押しておきたいと思います。 ○宮村会長 お二人とも重大な指摘だと思います。運用について、それから、説明につ いて十分注意をして、効率よくこの法律が有効に施行されて、そして国の感染症対策に 役に立つようにぜひ心していただきたいと思います。  ほかにコメント、御意見等ございますか。  もしなければ、次の議題4に移りたいと思います。議題4は、「新型インフルエンザ採 択ガイドライン(フェーズ4)について、事務局より御報告ください。 ○正林感染症対策企画調整官 新型インフルエンザ対策、特に先般公表されましたフェ ーズ4以降のガイドラインについて御説明をしたいと思います。資料4をごらんくださ い。  まず最初に、今、国全体でどんなことをやっているかでありますが、先ほど来お話あ りましたように、行動計画が策定されています。過去2回ほど改訂もなされています。 フェーズ3までのガイドラインが昨年6月に公表されています。フェーズ4以降につい てのガイドラインが先般公表されました。抗インフルエンザウイルス薬、タミフルであ るとか、リレンザ、こういったものを備蓄しております。  ワクチンについても、プレパンデミックワクチン、インフルエンザ(H5N1)の株を使 ったワクチンを製造し、備蓄に努めているところでございます。  それから、インフルエンザ(H5N1)については、先ほどのお話にありましたように、 指定感染症・検疫感染症として定めてございます。  対応の訓練、昨年の9月、ことしの2月に2回ばかり訓練を行いました。9月のとき は、中央政府だけで机上の訓練を行いました。また2月は地方自治体にも入っていただ き、机上訓練と実際の実地訓練と併せて総合的な訓練を実施いたしました。  それから、国際協力としても、厚生労働省・外務省それぞれ様々なことを行っていま す。例えば、50万人分の抗インフルエンザウイルス薬を海外のシンガポールに備蓄する といったこともしております。  話戻りまして、ガイドライン(フェーズ4以降)のガイドラインですが、これはきょ うお越しの岡部先生に専門家会議の座長としておまとめをいただきました。参考資料3 をごらんください。  このガイドライン、全部で250ページにわたる大変膨大な量のガイドラインでありま して、全部説明するとかなりの時間を要します。1ページ目のこの図をもって簡単に説 明したいと思います。  全体概略図とありますけれど、全部で13本のガイドラインがあります。まず、水際対 策ということで(検疫のガイドライン)というものがございます。これは国外で仮にヒ ト−ヒト感染が発生したときに、それが国内に流入することを検疫でもっていかにして 防いでいくか、これをまとめたガイドラインであります。例えば飛行機で来る場合に、 仮に機内に有症者がいた場合は、検疫官が機内に乗り込んで行って、その有症者の方を 診察したり、あるいは検体をとって検査に出したりして、必要があれば停留したり隔離 をしたりと、その具体的な手順を示してございます。  それから、国内で、もし入ってきてしまった場合に、それを一刻も早く対処するため に、まずサーベイランス、もし疑わしいケースがあった場合は直ちに医療機関から行政 機関に対して御報告いただく、そういった仕組みについて具体的にどのような仕組みで、 あるいはどういうケースだったら報告するかといったことをまとめたのが(サーベイラ ンスについてのガイドライン)でございます。 (飯沼委員退室)  1件目が見つかった場合にどのように対応するか。まず、そのケースについてよく調 べて、その方が、例えばどういう方と接触してきたのかとか、それはだれからもらった のか、あるいはだれにうつした可能性があるのか、それを細かに調査する必要がありま す。そのやり方をまとめたのが(積極的疫学調査のガイドライン)であります。  それから、最初のケースが起きた場合に、そこから感染が広がっていくわけですが、 その感染拡大をいかに早期に食いとめるか、その具体的なやり方をまとめたのが(早期 対応戦略についてのガイドライン)です。例えば初発のケースがあれば、その周辺の方々、 その方と接触したであろう方々に対してタミフルを予防的に投与するとか、あるいはそ の地域、その方が通っている学校とか、あるいは職場、学校を例えば休校にするとか、 職場については出勤をしないようにしていただくとか、そういった薬以外の対処方法に ついても具体的にまとめたものがこのガイドラインでございます。  それから、医療機関、恐らく患者さんが出れば医療機関に入院していただくことにな りますが、その医療機関がどういう体制をもって対処していくか、それをまとめたのが (医療体制に関するガイドライン)でございます。マスコミにも報道されましたが、例 えば発熱相談センターとか、「発熱外来」とか、すなわち有症の方が余り何も考えずに、 普通に診療所の外来を訪れてしまった場合に、場合によっては、その診療所の外来で多 くのほかの患者さんにうつしてしまう可能性があります。そういったことをできるだけ 防ぐために、最初に心当たりある有症者の方は、保健所に「発熱相談センター」という ものを設置していただいて、そこにまず電話をしていただく。保健所から、そういうケ ースであれば、こういう医療機関を受診してくださいという指示をいただいて、しかる べき医療機関を受診する。医療機関で場合によっては、限りなく可能性が高いというこ とであれば入院をして隔離をするとか、そういったことについてまとめたガイドライン でございます。  それから、医療機関でどのように検査をするか、それをまとめたのが(医療機関にお ける診断検査についてのガイドライン)です。  さらに医療機関の中で感染が広がる可能性もありますので、いかにして院内感染を防 いでいくか、それをまとめたものが(医療機関における感染対策ガイドライン)でござ います。  さらに、ワクチン、ワクチンにはプレパンデミックワクチンとパンデミックワクチン というものがございます。プレパンデミックワクチンというのは、今、あるインフルエ ンザ(H5N1)という株を使ってつくるワクチンです。パンデミックワクチンというのは、 実際にヒト−ヒト感染が発生したときにその株を使ってつくるワクチンです。先ほど申 し上げましたが、プレパンデミックワクチンについてはもう備蓄を始めたところですけ れど、それをどのように、だれに対して使っていくのかとか、そういったことを具体的 にまとめたガイドラインがこの(ワクチンに関するガイドライン)。  それから、(抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドライン)、これは先ほど申し 上げましたけど、抗インフルエンザ薬を備蓄してございます。一応平成19年度いっぱい でタミフルについては、予定の治療分としては2,500万人分完了する予定で、既に国の 分、1,050万人分の備蓄が終わったところです。このガイドラインの中では、こうした 備蓄した抗インフルエンザウイルス薬をどのように使っていくか、そんなことをまとめ たガイドラインでございます。  それから、右に移っていただいて、新型インフルエンザが発生した場合に、まず企業、 職場、そうしたところではどういう対応をしたらいいのか。そもそも発生する前には一 体何をしたらいいのか、発生してしまった場合にどういう対応をとるのか、企業の中で の対応をまとめたものが(事業者・職場におけるガイドライン)でございます。  それから、個人とか一般家庭・コミュニティといったところ、国民お一人おひとりが 一体どういう準備をしておいたらいいのか。もし発生してしまった場合にどういう行動 をとったらいいのか、そんなことをまとめたのが(個人及び一般家庭・コミュニティ・ 市町村ガイドライン)でございます。  それから、発生した場合、あるいは発生する前に、どのように国民の方々に情報を提 供していくかということをまとめたのが(情報提供・共有に関するリスクコミュニケー ションに関するガイドライン)でございます。  最後13本目ですが、残念ながら新型インフルエンザが国内にまん延してしまって、次 から次へと非常に数多くの方がお亡くなりになった場合に、場合によってはなかなか火 葬が間に合わないとか、そういった事態も想定されます。そうした場合にどのようにご 遺体を扱っていくのか、そんなことをまとめた(埋火葬の円滑な実施に関するガイドラ イン)、こんなものも作ってございます。  こうした全部で13本のガイドラインを岡部先生を中心とした専門家の方々にお集ま りいただいた専門家会議で、去る3月26日におまとめをいただいたところでございます。  何かもし補足することがございましたら、岡部先生よろしくお願いいたします。 ○岡部委員 専門家会議の司会役をやらせていただいたのですけれども、膨大な作業で はありました。取りまとめのときに申し上げてコンセンサスが得られている1つは、ガ イドラインが13本出ておりますけれども、実際には新型インフルエンザという病気は目 の前に存在をしていない。新型インフルエンザウイルスというのも目の前にはないので、 かなり仮想というか、推測でやらなくてはいけない部分がある。したがって、情報を密 に国連にとれるようにアンテナを非常に高くして、情報が入って来次第、かなり柔軟に 対応する必要があるだろう。つまり今までのガイドラインというと、往々にして金科玉 条、これ根拠でしか動かないといったようなことが見られることがあるわけですけれど も、そこは柔軟に対応すべきであると。そして、また、米国の例などをとりましても、 逐次いろんな知見が加わるごとに新たに修正を行っていますので、そういったようなこ とも、あのガイドラインを検討したワーキンググループなどが動きながら修正を加えて いく。今後、そこら辺は柔軟に扱うべきだということでコンセンサスが得られておりま す。  それからもう一つ、コンセンサスを得るとして討議されたのは、昨今問題になってい る抗インフルエンザウイルス薬タミフルであります。タミフルだけが備蓄されているわ けではありませんけれども、中心になっているのがタミフルであるところから、H5N1感 染、これはフェーズ3の場合で起きたときですけれども、それからフェーズ4以降で、 仮に新型インフルエンザウイルスが発生したときにどう扱うかというようなことについ て議論がありました。  しかし、いわゆる今生じているインフルエンザと、H5N1、ヒト感染が生じた場合の危 険性、恐らくは新型インフルエンザも数的に質的に危険度が高いものであるということ であるので、少なくとも現在の知見でタミフルというものがたとえ異常行動があったと しても、現在の段階でそれは使用せざるを得ない薬ではないかということで、方針につ いては変わりがないということでコンセンサスが得られております。  ただし、タミフルという薬物と現在言われている異常行動その他の副反応というもの については、これは科学的に検証をきちんと続けていただきたいということを加えて委 員会のときのコメントになっています。 ○宮村会長 ありがとうございました。これについて、委員の先生方から何か御意見。 ○澁谷委員 検疫のガイドラインのところなのですが、成田と関空というのが出てくる のですが、理由をお知らせいただきたいということと、もう一つ、発熱相談センターに ついては、これはガイドラインに示されているわけですけれど、実際の運用に当たって は対応マニュアルのようなものをお考えなのかどうかをお知らせいただきたいと思いま す。 ○宮村会長 正林調整官お願いします。 ○正林感染症対策企画調整官 検疫についてですけれど、2か所というのは、恐らくま だドラフトの段階で2か所だと思うのです。空港については、そのほか2空港増えまし て、全部で4か所になりました。なぜ、そうしたかというと、発生国から帰ってくる飛 行機なり船というのは、全国にあるどこの検疫所、空港なり港なりに到着する可能性が あるわけですけれど、帰ってくる船なり飛行機をある程度着く場所を限定しておかない と、例えば対応する人材の集中投資とか、そういうことを考えたときに非常に非効率に なってしまう。できるだけ入ってくる入口は狭めた方がいいということで対応すべき場 所を限定的にするという、こういう考えで整理をいたしました。  それから、発熱相談センターについてのマニュアルですけれど、まだ、そこまでは思 いが至っておりませんで、もし、仮につくるとなったら、恐らく保健所の御協力なり、 保健所に主体的になってつくっていただくことになるかもしれないなというふうに思っ ております。 ○宮村会長 よろしいでしょうか。 ○澁谷委員 はい。 ○宮村会長 ほかに御質問等ございますか。このガイドラインはどういう状況、また、 どういうタイムラインで決まっていくのですか。こういうガイドラインが成立した後と いうことになっていくのか。○正林感染症対策企画調整官 ガイドラインを1月30日に、 まずドラフトの段階でパブリックコメントにかけました。非常に数多くの御意見をいた だきまして、その意見を踏まえて、今回3月26日に成案としていただきましたので、ま ず、私どもまとまった後、とった行動は、これをできるだけ皆さんに知っていただくた めに、厚生労働省のホームページに載せました。自治体に対しては早速配布をさせてい ただきました。  それから、最近、あちこち私講演で引っ張りだこですけど、例えば企業とかいろんな ところに出かけて行っては、このガイドラインの内容について周知を図っているところ でございます。 ○宮村会長 ありがとうございました。ただいまいただきました御意見につきましても、 今後の運用の参考にぜひしていただきたいと思います。  それでは、きょう考えました議案はこれで終わりですけれども、その他で何か委員の 先生から、御意見あるいは提案がありましたら。植田委員どうぞ。 ○植田委員 首都圏で発生しています麻疹についてお伺いしたいのですけれど、岡部委 員さんなのか、課の方なのか。私どもの地方ではサーベイランスの週報とか月報とか、 いわゆる業界のニュース程度でございまして、市民は何も、オンエアはあったのかもし れませんけど、少なくとも活字で市民が知るようなことになっていませんで、このゴー ルデンウイークを控えまして、小さい子どもというより、むしろアクティビティの高い 若者たちがゴールデンウイークに田舎の方に遊びに来はしないかとか、帰省しやしない かとか、母子保健の領域では予防接種してない子どもは首都圏に行くなとか、どういう ふうに周知していいものなのか、少しマスコミで読んだのは、国の方は海外旅行に対し てはウォーニングをなさっていたのが記事でも出ていたのですけれど、余り全国的にウ ォーニングが発せられているように感じないのですけれど、いかがでしょうか。 ○宮村会長 どなたが?岡部委員お願いします。 ○岡部委員 現状をちょっとお話させていただきたいと思うのですけれども、はしかと いう病気は御存じのように五類感染症で、定点から報告されています。同じく、病院定 点から成人麻疹(15歳以上)の報告が来ますが、それらの数は非常に限られており実態を 正確に反映しなくなっています。2001年、2002年のときに、我が国では20万、30万人 の患者さんが発生したということですけれども、MRワクチンの接種導入あるいは一切 でのワクチンのカバー率の向上ということで、ここの1〜2年ぐらいは年間の報告数が 500人〜600人ぐらい。多分1万人を切っている状況ではないかということが続いてはお りました。  ことしの状況なのですけれども、小さい子どもさんでのはしかの発生、五類の定点で ひっかかってくるのはそれほど大きくないのですけれども、実は中学、高校、大学とい ったような、少し年長者でのアウトブレークというのが首都圏で起きております。特に 東京が多く、それから昨年問題があった千葉、周辺の埼玉県、そういったようなところ での発生が多く見られております。この成人麻疹として届けられる15歳以上の方のはし かということでいえば、2001年の流行を上回りそうな勢いで増えております。  実例でいえば、ある都内の高校は、春休み中ではあったのですけれども、登校停止を して、はしかのワクチン接種を緊急に行って何とかそこはおさまったのですけれども、 ある大学、これは7,000規模のマンモス大学ですけれども、そこでは100人以上の患者 が確認され、緊急にワクチン接種を大学生でありますけれども、やっているという状況 です。それから、ある高校は、今、緊急に登校停止措置をとって、そうすると全国大会 に出られないとか、教育上の問題も出てきております。  私たちはこの定点のほかに、別に患者さんの把握を臨床医から報告を受けているので すけれども、ことしに入って、それが200人ぐらいの報告の中で、100名以上が東京か らの報告であります。もちろん人口にもよると思うのですけれども、首都圏で大きく広 がっているというのがあります。  WHOのマニラ、つまり西太平洋地域事務局では、2012年を目標にしてelimination、 はしかをゼロに近くをしようということで、各加盟国がそれについて我が国を含め承認 しています。その結果として、日本ではMRの導入、あるいは2回接種ということが行 われていますが、そこから漏れてきている年齢層での発生が多くなっているというのが 現状であります。ちなみに、WHOではアジア地域で現在注意しなくちゃ国、人口の多 い中国、はしかのワクチン接種がうまくいっていないパプアニューギニア、そしてコン トロールが十分いってない日本というふうに心配されております。 ○宮村会長 というはしかの今の現況でございます。ほかにございませんか、岡部委員。 ○岡部委員 この場での議論には、今のところは用意されてないのでないと思うのです けれども、この状況については、今、WHOとCDCがしきりに私のところに問い合わ せをしております。日本への旅行者への勧告をどうするかとか、かつて我が国から外に 行くときには予防接種をなんていったことが逆の状況になりつつあるので、これはちょ っと余り格好のいいことではないので、ぜひとも国としての対策が必要だろうと思いま す。  それから、高校あるいは大学というところで自主的に任意のワクチン接種ということ をスタートして、例えばある大学では3,000人を目標にワクチン接種を行っているので すけれども、それは任意でいいのですけれども、それがあまねく行き渡ると、今度はワ クチン不足というような問題になるので、全体のバランスを考えていかなくてはいけな いというのも、一大学あるいは一地域で考えられることではないだろうと思います。ぜ ひ、この機会に、五類感染症ではありますけれども、国際的な問題にもなりますので、 アクションをとっていただきたいと切にお願い申し上げます。 ○三宅課長補佐 国でございますが、我々結核感染症課も、今、全国一律に何かをする ところまでは検討しているわけではないのですが、流行している東京、埼玉各自治体と は連絡をとっておりまして、その方々から情報をいろいろ得たり、それを感染研の方々 に少し連携をしていただくようにしてお願いしていただいたり、実際に感染研の方々が 大学等の対策会議に出ていただいたり、その周辺の保健所の方の相談に乗るなどして、 学術的・科学的な対策をある程度支援していただくとともに、また血液対策課の方で、 通常今MRワクチンの方が使われておりますので、今回の麻疹ですと未接種者に対して は麻疹のみのMの単味のワクチンが必要となります。そうすると普通の適切値で使われ ないワクチンですので、それの在庫調整、在庫がどうなっているか、それをどういうふ うにするか等については血液対策課を中心に連携をとらさせていただいているところで ございます。  以上、御報告でございます。 ○宮村会長 ありがとうございました。  それでは、きょうの議題はすべて終了いたしました。次回以降の予定につきまして、 事務局から御説明ください。 ○三宅課長補佐 次回以降は、まず感染症法の施行に伴い必要な検討を分科会、部会の 適切な場でそれぞれ議論していただきたいというふうに考えております。具体的には、 先ほど申し上げましたとおり、分科会におきましては、感染症全般にかかわる課題を、 各部会におきましては、感染症固有の課題について検討をお願いすることになりますの で、よろしくお願いいたします。日時、議題につきましては、追って事務局より連絡さ せていただきます。 ○宮村会長 それでは大分時間早くきびきびと終わりました。これで本日の分科会を終 わります。本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。  これで閉会といたします。                                     (以上)                        (照会)                                       厚生労働省健康局結核感染症課                           担当:近藤(内)2379                                佐藤(内)2386                             TEL03−5253−1111