07/04/25 平成19年4月25日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所    平成19年 4月25日(水)  13:30〜 厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(12名)五十音順    新 井 洋 由、 飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 庵 原 俊 昭、    守 殿 貞 夫、 竹 内 正 弘、 田 村 友 秀、 早 川 堯 夫、   ○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、 山 口 一 成  (注)◎部会長 ○部会長代理      欠席委員(4名)   上 原 至 雅、 岡   慎 一、 土 屋 文 人、 前 崎 繁 文 3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、    森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、    佐 藤 岳 幸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、    坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、    望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、    田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催い たします。本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。当 部会委員数16名のうち11名の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりま すことを御報告いたします。飯沼委員は御出席という返事をいただいておりますけれど も、何かの御都合で遅れているのだろうと思います。上原委員、岡委員、土屋委員、前崎 委員からは欠席の御連絡をいただいております。  本日の審議に先立ち、4月23日に開催されました薬事・食品衛生審議会薬事分科会に おいて審議されました、薬事・食品衛生審議会薬事分科会における利益相反の取扱いにつ いて事務局から御報告申し上げます。お手元に、「薬事・食品衛生審議会薬事分科会にお ける利益相反問題への対応について」という紙を配らせていただきましたので、これに基 づいて御説明申し上げます。  1番は、ルール作りに向けた今後の対応です。年内を目途に分科会としてのルール(申 し合わせ事項)を策定する。具体的には、ワーキンググループを設置し、寄付金等の実態、 諸外国の状況等を踏まえて検討を行う。この正式ルールができるまでの間の取扱いです が、別紙2(3ページ)を御覧ください。ルールが策定されるまでの間、この申し合わせに 基づいて運営をしていくというものです。1番は、過去3年間に審議品目の製造販売業者 からの寄付金等の受取実績があり、その受取額が過去3年間で年間500万円を超える年が ある場合退室をしていただくということです。この寄付金等の扱いについては、具体的取 扱の1番にあるとおり、コンサルタント料・指導料、特許権・特許権使用料・商標権によ る報酬、講演・原稿執筆その他これに類する行為による報酬、委員が実質的な受取人とし て使途を決定し得る研究契約金・(奨学)寄付金、実際に割り当てられた額で算出していた だくわけですがこれを含むということになっております。なお株式については、当該年度 においては、保有している当該企業の株式の株式価値も金額の計算に含めることにさせて いただいております。上の2番ですが、過去3年間いずれも年間500万円以下の場合は出 席し、意見を述べることができるが、議決には加わらない。ここにただし書があり、寄付 金等が、講演・原稿執筆その他これに類する行為による報酬のみであって、かつ、過去3 年間いずれも年間50万円以下の場合、これは議決にも加わることができるということで す。このような形で、とりあえずルールができるまでの間は運用させていただくことに、 4月23日の分科会において決議されたところです。  したがって、本部会における先生方におかれましては、3ページの下から5行目の3番 ですが、当該品目の審議が行われる審議会開催日を起算日とする過去3年間について、開 催の都度自己申告をしていただく。さらに、審議会において、事務局により各委員の参加 の可否について報告するとともに、その取扱いについて議事録に明記するということとさ せていただくこととなっておりますので、そういう意味で申しますと、各委員に調査ある いは作業をお願いすることになるわけですけれども、何とぞ事情を御勘案の上御協力をい ただきますようお願い申し上げるところでございます。  次のページには、今回の審議品目が、外国製造承認で、申請者がアマシャム株式会社、 現GEヘルスケア、さらに国内の製造販売業者が日本メジフィジックス株式会社というこ とで、その2社について今回調べさせていただいたわけですが、今後ともこのような形で チェックをしていただくことを考えております。この取扱いについてよろしくお願い申し 上げます。以上、利益相反につきます4月23日の分科会について御報告させていただい たところです。  以後の議事進行は池田先生にお願い申し上げます。なお、出席させていただいておりま す大臣官房審議官の黒川は、要務のため途中中座させていただきますことをあらかじめ御 了解いただきますようお願い申し上げます。 ○池田部会長 まず、事務局から配付資料の確認と、資料作成に関与された委員、先ほど 課長からお話がありました利益相反に関する申出状況について報告をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。先ほど御説明いたしました、「利益相反問 題への対応について」という資料が1部のほか、議事次第、座席表、当部会委員名簿を配 付しております。また、その議事次第に記載されております資料1〜5については事前に 送付させていただいております。このほかに資料6「審議品目の薬事分科会における取扱 い等の案」、資料7「専門委員リスト」、それから資料1-1として本日の議題1の資料の 一部、同種同効品一覧表等の差換えを付けさせていただいております。それから、資料ナ ンバーは付いておりませんけれども、「新医薬品の承認について」と題した1枚紙を配付 しております。  次に、平成13年1月23日の薬事分科会申し合わせに基づく、資料作成に関係された委 員の確認でありますが、本日の審議品目について関与委員はいらっしゃいません。また、 先ほど御説明申し上げました、本年4月23日の薬事分科会申し合わせに基づきます利益 相反に関する申出ですけれども、本日の審議品目について退室される委員、あるいは議決 に参加しない委員はいらっしゃいません。  本日の審議事項の議題2「放射性医薬品基準の一部改正」については、議題1で御審議 いただきますメタストロンに係る基準各条の放射性医薬品基準への追加に関するもので すので、議題1と議題2は合わせて御審議いただければ幸いです。以上です。 ○池田部会長 本日は、ただ今御説明がありましたように、審議事項が2議題、報告事項 が3議題です。それでは、事務局からの説明のとおり、議題1と議題2は合わせて審議を したいと思いますので、議題1及び議題2について機構から概要の説明をお願いいたしま す。 ○機構 議題1、資料1、メタストロンの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要 否、外国製造承認の可否等について、及び議題2、資料2、放射性医薬品基準の一部改正 について、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  まず議題1、資料1について御説明申し上げます。なお、本日資料1-1を関連する資料 として追加でお手元にお配りしております。本剤は、β線を放出するストロンチウム89 を、塩化ストロンチウムの形で含有している放射性医薬品です。  本剤は、非放射性ストロンチウムと同様、骨への集積、特に骨シンチグラフィ陽性の骨 転移部位に集積する薬物動態学的性質及び、β線による放射化学的機序によって、癌の骨 転移部位の疼痛を緩和すると考えられております。  癌の骨転移部位の疼痛に対しては、原疾患に対する治療に加えて、WHO癌性疼痛治療 における基本原則の下に、薬物療法、外部放射線照射、手術等が行われますが、これらの 治療が実施されても痛みが継続する場合や、多発性の骨転移を有するために、手術や外部 放射線照射の実施が困難な場合など、骨転移部位の疼痛緩和が困難なケースが存在いたし ます。本剤は、このような癌患者の疼痛に対し、有効性を示す薬剤として申請されました。  本剤は、1986年にカナダで、米国では1993年に承認されて以降、現在までに海外41 か国で承認されております。国内では、1996年に承認申請が行われましたが、1999年の 抗悪性腫瘍剤調査会における審議の結果、申請時に提出された国内第III相試験の質は低 く、結果の信頼性に乏しいため、本剤の有効性を判断することができないとの評価となり ました。この調査会での指摘を受けて、申請者は新たに追加第III相試験を実施し、機構は 2004年に提出された本試験結果を中心に審査を行いました。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料7にございますとおり11 名の委員です。なお、資料7に1点誤記がございまして、安藤正志委員の所属が、現在は 香川大学教授となっておりますが、国立がんセンター中央病院乳腺腫瘍内科医師というこ とでございますので、失礼いたしました。  品目の説明に戻らせていただきます。品質、毒性、薬理、ADMEについて大きな問題 は認められませんでした。主な臨床試験成績としては、先ほど申し上げました国内追加臨 床試験でございます。機構は、国内追加第III相試験結果を確認した結果、当該試験での本 剤の有効性に関する情報は十分とはいえず、検証的な評価がなされていないと判断しまし た。しかしながら、欧米では1990年代前半に本剤が承認され、既に一定の使用実績が蓄 積されていること、放射線自体の感受性に民族差があるとは考え難いこと、及び複数の国 際的な教科書や診療ガイドライン等で、本剤の使用についての記載内容があり、これらを 総合的に判断して、機構は緩和医療領域での使用において、臨床的に本剤の有効性は期待 できると判断いたしました。  安全性については、国内追加第III相試験を中心に評価した結果、主な副作用は骨髄抑制 であり、本剤投与後には骨髄抑制に注意した患者観察を行うよう注意喚起していく必要が あるものと判断しております。  本剤の副作用については、癌化学療法、緩和医療及び放射線治療の専門医の下で、個々 の患者での癌に対する治療歴を考慮して、慎重に患者選択を行うとともに、慎重な患者観 察と適切な措置により対応可能と判断しております。  しかし、国内での副作用に関する情報は十分ではなく、国内での骨髄抑制からの回復期 間や、本剤を再投与した場合の安全性に関する情報が不足していることから、承認条件と して、製造販売後に一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間、全例調査を実施す る必要があると判断しております。また、海外での承認時と異なり、現在では骨転移によ る骨関連事象の抑制を目的として、ゾレドロン酸等のビスホスホン酸製剤が使用されてい るため、ビスホスホン酸と本剤との薬物動態学的及び薬力学的相互作用については、今後 も検討を行うよう申請者に指示しております。  以上の審査の結果、機構は、「固形癌患者における骨シンチグラフィで陽性像を呈する 骨転移部位の疼痛緩和」の適応について、本剤を承認することは可能と判断しました。本 剤は、新有効成分含有医薬品であり、再審査期間を8年とすることが適当であり、原体及 び製剤は劇薬に該当すると判断しました。また、生物由来製品又は特定生物由来製品に該 当しないと判断しました。  次に議題2、資料2を御覧ください。本剤の承認に伴いまして、放射性医薬品基準に塩 化ストロンチウムを追加する必要があり、資料2として基準案を示しております。議題1 については薬事分科会への審議を、議題2については薬事分科会への報告を予定しており ます。御審議よろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 塩化ストロンチウム、販売名メタストロンですけれども、固形癌患者にお ける骨シンチグラフィで陽性像を呈する骨転移部分の疼痛の緩和を目的にして審査をし てほしいということです。先生方の御意見を伺いたいと思います。 ○堀内部会長代理 これは、外国で発売されてから10年くらい経っているわけです。途 中で、骨腫瘍調査会等で御意見があったということですけれども、このように遅れてきた 大きな理由はどういうことでしょうか。 ○審査第一部長 いちばん大きな理由としては、前回の申請、これは旧審査センターのこ ろの審査ですが、そのときに抗悪性腫瘍剤調査会の中でいろいろ御審議をいただきまし た。審査報告書の43ページですが、当時申請時に提出していただいた国内臨床試験の質 が極めて低いということで、当時の調査会で御判断いただき、調査会あるいは当時の医薬 品医療機器審査センターの方から、次のような問題があるということで申請者側に指摘を いたしました。その中で、申請者側として、再度それを踏まえて追加で臨床試験を行いま して、そこにだいぶ時間がかかったということです。平成8年に1回目の承認申請がなさ れてから11年経つわけですが、いちばん大きな時間的要素というのはそこだと思います。  もう一つ申し上げるのであれば、その後2004年に追加試験が提出されたわけですが、 その後については申請者側とのやり取りということで、これがいわゆる国内企業の承認申 請ではなく、外国の企業が直接厚生労働大臣に対して申請をするという、外国の直接製造 承認という形態です。間に、いわゆる国内管理人といわれる日本企業の人間が入っている のですが、そことの連絡のやり取りがなかなかうまくいかず、レスポンスが遅かったとい うことが、時間がかかった2番目です。 ○守殿委員 本剤の反復投与については、尿中排泄型で、半減期等は短いようですのであ まり問題はないかと思います。反復投与の場合は3か月に1回となっています。それをも し間違って1か月に1回打ったような場合に、排泄とか、そういう形での放射性物質等の 懸念、あるいは本剤そのものの直接的な解毒剤・中和剤的なものは何かあるのか、その辺 をお聞きします。 ○審査第一部長 少なくともβ線を放出する物質ですので、そのβ線をスカベンジャーの 形で何か取り出すということは、このストロンチウム製剤からはございません。お答えに なっているかどうか分かりませんが、本剤の適応のために放射性医薬品を投与された患者 が、管理された施設から退室を可能とする基準が平成10年に厚生労働省から発出されて おります。その中には、投与された患者が退室、あるいは帰宅する際には、周りの被曝を 防止する観点から、一定の基準以下でなければその施設から出てはいけないという基準が あります。ですから、退室する際にはその基準内であるかどうか、ということを確認して いただかない限り、患者は施設から出られませんので、仮に月1回ということで投与され た場合であっても、基準を超えた場合には出られないと思います。  ちなみに、投与量1バイアルを1か月投与した場合、半減期等を勘案しますと、計算上 は超えることはないと我々は理解しております。 ○守殿委員 その点のことが、添付文書の「9.その他の注意」の5ページの(2)に当た るわけですか。 ○審査第一部長 御指摘のとおりです。 ○守殿委員 もう少し詳しいものはないですか。 ○審査第一部長 了解いたしました。この放射性物質を扱っている先生は、たぶん通知に ついては御承知かと思いますが、その辺が正確に伝わらないといけませんので、表現につ きましては検討させていただきます。 ○守殿委員 前立腺癌での放射性シードが相当問題になりましたので。 ○山口委員 私も同じことなのですけれども、これはRI管理区域での最初の投与という ことになるのですね。 ○審査第一部長 基本的に普通の診療施設ではなくて、きちんと管理された施設でないと 投与はできません。その管理された区域から退室できる基準というのが平成10年に設け られたということです。 ○山口委員 そういう記載がないのかと思いました。 ○審査第一部長 了解いたしました。両先生からの御指摘を踏まえて申請者の方には指導 させていただきます。 ○池田部会長 44ページに、先ほど堀内委員から御指摘がありましたように、非常に時 間がかかっているということで、審査も長期化したことは、申請者が自ら招いたこととし て云々と書いてあります。それで、厚生労働省の方から指示しても、その回答が得られる まで時間がかかっているといった社内の体制があったわけですが、会社としてのこの体制 は改善されているのでしょうか。 ○審査第一部長 劇的な改善というのは、どう数値で測ったらいいのかは非常に難しいと ころではありますが、少なくとも私どものこれまでの審査の過程で、さまざまな指導を行 っておりますので、問題点の認識、あるいは事の重要性ということは、申請者あるいは国 内で管理いたします選任製造販売業者は理解していると我々は思っています。  ただ、本日そういう御指摘をいただきましたので、本部会でも再度そういう問題点が指 摘されたということで、より重く受け止めるようにということと、今後の対応については しっかりやるように、ということは合わせて伝えたいと思います。 ○池田部会長 これは、まだ十分に情報を収集しなければいけないことがあるという説明 が先ほどありました。骨髄の抑制の回復の期間とか、反復投与した場合にどうなるかとか いろいろあったわけです。安全性と有効性については、全例調査ということになりますね。 具体的にどんな全例調査をする体制を整えているのかを参考までに聞かせてほしいので す。会社の体制として、おそらく具体的な指示を大分されたと思うのですけれども、会社 がその指示に応えて、体制をどのぐらい整えているか。詳しいことはなかなか難しいと思 うのですけれども。 ○機構 正確な会社体制の資料は手元にないのですが、今、向こうから来ている回答とし ては、大体MRが約□□名程度、安全性を担当する職員が□□名程度といったような数字 だったと記憶しています。  御指摘がありましたように、会社側の体制ですとか、例えば回答の文書を見ても、なか なかスムーズに対応するのが難しい会社でありますので、今後この部会での御指摘も踏ま え、体制の話ですとか、調査する内容を比較的手厚くというか、CRFに至るまで見てい くような対応をこちらは予定しています。 ○堀内部会長代理 米国では使用量が10分の1に減っていることが報告書に記載されて おります。ヨーロッパではあまり減っていないということですけれども、日本における使 用の予測はどうなっているのでしょうか。特に前立腺癌で疼痛が起こるような状況が減っ てきたために、減っているのではないかという米国の話が出ております。 ○審査第一部長 日本の使用量という、将来の予測については後で補足させますが、アメ リカではなぜ減っているかというと、ほかの核種、サマリウムという核種がありますが、 こちらを使う品目が承認されましたので、ストロンチウムからそちらに移行しているのが 原因のようです。ただ、EUの場合には、まだサマリウムは承認されていませんので、ス トロンチウムを使っているということです。 ○機構 予測患者数ですけれども、該当するページは審査報告の32ページ及び42ページ です。結論から申しますと、大体最初の1年間は□□例程度の見積りとなっております。 32ページの真ん中に記載してありますように申請者の見積りは、端数がどれぐらい正し いかということはあるのですけれども、6年目に年間□□例という回答を得ています。当 初は、1年間で□□例程度というところですので、まずこの1年間でしっかり調査をさせ るという方向で指示をしたいと思っております。 ○堀内部会長代理 骨髄抑制がかなり出る可能性があるといわれています。その場合には ストロンチウムが骨に吸着していますから、長期にわたって骨髄抑制が起こる可能性があ ります。報告書にも記載されていることですけれども、それについて注意喚起するとか、 G-CSFを使えることにはなっていますけれども、もう少し注意喚起をする必要はない のでしょうか。普通の抗癌薬を使う場合と少し意味合いが違うかと思います。 ○機構 骨髄抑制の注意が、たぶん二つの観点があると判断しております。一つは、本剤 投与後に起きてくる骨髄抑制のマネジメントということで、こちらの今の判断としては、 添付文書の該当する部分は何か所かあるのですが、特に強いのは警告の2番で記載したつ もりです。  もう一点、骨髄抑制が起こってくるということで、この薬を使うことにより、例えば本 来は予定していた抗癌剤や、癌に対する治療や、外部放射線照射などができなくなるよう な状況が起こり得るという意味でも注意喚起が必要ということで、その二つの観点から、 警告ですとか使用上の注意で、そういう点に注意して患者選択をしてくださいということ で注意書きをいたしました。 ○堀内部会長代理 警告の2番ですね。 ○機構 はい。 ○堀内部会長代理 この薬の場合には、連続的に骨髄の細胞が叩かれていることになると 思いますので、そこをもう少し明確に記載すべきではないかということです。 ○機構 はい、対応させていただきます。 ○池田部会長 通常の抗癌剤であれば、非常にネーダーになるというか、骨髄抑制が強く かかるところが何日間と大体見当がつくわけです。この場合で、これまでの使用経験から いって非常に長く続いたものとか、イリバーシブルになってしまったものとか、そういう ものの情報があると、おそらく使う方たちに参考になるのではないかと思うのです。実際 には、回復しない例もあり得るわけですね。 ○機構 国内の試験では、骨髄抑制から回復していないという患者はいないのですが、た だその骨髄抑制の間に、審査報告にも記載し、警告にも書いたのですが、起因したことが 考えられる死亡例がありますので、やはり注意喚起は必要だと思っています。  あとは、製造販売後の中で、骨髄抑制の最低値に至るまでの期間とか、回復の有無とい ったものは情報収集し、それを提供していく必要があると思っています。 ○池田部会長 そうですね、それをやはりお願いしたいと思います。 ○庵原委員 2点あります。1点目は、効能・効果のところで固形癌という言葉を使われ ているのですが、これは広い意味の癌と解釈していいのかということです。即ち、肉腫も 含まれるのかというのが1点目です。  2点目は、小児への安全性云々というところで確立されていないと書かれているのです けれども、これに関しては欧米では小児への適用ないしは使用経験があるのか。もしそう いうのがあるようでしたら、今後小児への拡大という見通しはあるのかというところをお 願いいたします。 ○機構 2点目の御質問への回答から申し上げますと、小児に関する検討はされていない 状況です。  1点目の、固形癌患者におけるということで、御存じのとおり血液悪性腫瘍については ここから除いていて、肉腫については記載を含めていないつもりで書いています。おそら くこの薬の対象患者になってくるのが、海外のガイドライン、教科書、あるいは実際に臨 床試験に入った患者像を見ると、おそらく前立腺癌とか乳癌である程度の生存があって、 かつ骨転移があって、いろいろな治療が行われても十分疼痛緩和ができなかったといった ような患者がおそらく中心になると思っています。ここは肉腫を含めないような認識でも 特に現場に問題が起きるようなことはないだろうと考えております。回答になりましたで しょうか。 ○庵原委員 神経芽細胞腫とか、ほかに骨転移する癌腫、肉腫はいくつかありますので、 そういうものに対しては効果はないという解釈なのですね。 ○機構 ないというデータもないのです。 ○庵原委員 そういうことも、ないということですね。 ○機構 そうです。検討されていないので分からない、というのがお答えになってしまい ます。 ○池田部会長 機構の方から説明がありましたように、これまでの臨床試験その他で、必 ずしも十分な効果・安全性等が検討されているわけではないけれども、国外で非常に古く から使われているということ。そして疼痛ケアの一つの方法として理解してもよろしいの ではないか。ただし、市販後にいくつかやっていかなければいけない重要な問題を指摘す る、という格好で審議が進んでいるわけですけれどもよろしいですか。やはりこれはまず いとか、そのような御意見等はございませんか。 ○堀内部会長代理 ストロンチウム89は、ストロンチウムに中性子を当てて作っている わけですが、比活性が問題になるだろうと思います。それについては、2倍くらいの比活 性では有効性に差がないのではないかという議論がされていると思います。ロット間で中 性子を照射してストロンチウム89に変化しているもの、たぶんそれは区別して取り出せ ないのではないかと思いますが、どのようなデータになっているのでしょうか。ロット間 の違いとはどうなのでしょうか。再現性があるような比活性になっているかどうかという ことです。 ○審査第一部長 逆に堀内先生の御指摘は、いわゆるストロンチウム88という安定同位 体に中性子を照射して、いろいろな核種がその後崩壊してできるわけですが、その中でい ろいろな核種の中には、β線以外のものも放出するような異核種の発生があるのではない か、それでコントロールはできているのか、という御質問でよろしいでしょうか。 ○堀内部会長代理 その問題と、標識されるものとされないものとがあると思います。標 識されたものが今問題になるので、その場合骨に吸着する全体のストロンチウムの中でス トロンチウム89の割合が問題になってくると思うのです。量が少ないからあまり関係が ないという捉え方でよろしいかどうかということです。 ○審査第一部長 細かいデータは後で補足してほしいのですが、例えば不純物、それから 放射化学的な不純物をコントロールするために本日お示ししました資料2にありますよ うに、放射性医薬品基準が設けられております。その中で純度試験として、例えばγ線の 放出異核種であるとか、β線の異核種、あるいは化学的な物質の確認試験、純度試験とい うのが設けられているところです。  資料のロ-31ページを御覧ください。この中で、実際に本品の放射能濃度ということで、 ストロンチウム89がどれだけ全体にストロンチウム化合物として占めるか、ストロンチ ウムとして見るかということについては、ここに書いてあるとおりです。ここに設定根拠 等が書いてあります。  資料のロ-32ページのところに、規格値として設定した範囲内、いわゆる表示量の±10 %を規定する放射能の範囲内にあったということで、ばらつきはそうないというのが、た ぶんロ-32ページの結果と解釈されると思います。 ○池田部会長 核種の純度も、それから標準化された放射性溶液の活性というのも、これ は一定の範囲内に収まっているという解釈でいいということですね。 ○審査第一部長 はい、おっしゃるとおりです。 ○池田部会長 そのほかによろしければ議決に入りたいと思います。これからは、議決に 入るときには先ほど課長から説明がありましたように、議決に入れない委員がいるという ことです。本日は全くその心配はなく、皆さん議決に入れるということで進めさせていた だきます。本剤の承認及び放射性医薬品基準の一部改正を可としたいと思います。本剤は、 新有効成分であり既存の類薬はありませんので、薬事分科会に上程し、審議をすることと させていただきます。また、放射性医薬品基準の一部改正については、薬事分科会に報告 とさせていただきたいと思います。  次に報告事項に入ります。順次説明をお願いいたします。 ○機構 議題1、医療用医薬品再審査結果について報告いたします。資料3-1〜3-4の四 つの医薬品再審査確認等結果通知書、「塩酸セフェピム」、「塩酸イリノテカン」、「テ セロイキン(遺伝子組換え)」及び「セルモロイキン(遺伝子組換え)」を御覧ください。  これらの品目について、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績等に 基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられてい る承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、即ち効能・効果、用法・用量等の承認事項 について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものであります。 ○機構 議題2、資料4、新キットの承認についてです。昨年度承認されました、当該ウ エアの新キット製剤は1品目で、塩酸グラニセトロンをプレフィルドシリンジ製剤とした ものです。サンプルと添付文書は数は少ないですが、ところどころに置かせていただきま したので御参照ください。 ○事務局 議題3、優先審査指定品目の審査結果についてです。資料5を御覧ください。 優先審査品目の取扱いについては資料の2ページにその概要を示しております。薬事法第 14条第7項に、厚生労働大臣は、承認申請された医薬品が、希少疾病用医薬品、その他 医療上特に必要性が高いと認められるものであるときには、当該医薬品の審査を、他の医 薬品の審査に優先して行うことができるという規定があります。  その指定に当たり、こちらの参考に示しております考え方として、まず適応疾病の重篤 性、そして医療上の有用性を総合的に評価して判断することとしております。  資料の1ページに戻りまして、今回報告する品目はドキシル注20mg、成分名ドキソル ビシン塩酸塩です。本剤はドキソルビシン塩酸塩のリポソーム製剤であります。平成19 年1月に、エイズ関連カポジ肉腫を効能・効果として承認されているものであります。  今般、本剤につきまして再発卵巣癌(ミューラー管を発生起源とした卵管癌、腹膜癌を 含む)に関する適用追加の申請がなされたものであります。  適応疾病であります再発卵巣癌については、一般の卵巣癌に比べても予後不良であり、 生命に重大な影響がある重篤な疾病であると判断いたしました。  一方、医療上の有用性については、本邦においては再発卵巣癌に対し、タキサン系製剤 と白金含有製剤の併用療法や、パクリタキセル、ドセタキセル水和物、塩酸イリノテカン の単剤投与が行われており、既存の治療法が存在していると言える。また、本剤の有効性 につきましては、主な臨床試験の結果を見ますと、ノギテカンを対象とした、海外第III相 比較試験におきまして、生存期間に有意な差は見られず、またパクリタキセルを対象とし た海外第III相比較試験でも、全生存期間が本剤群で46.6週、パクリタキセル群が56.3週 と、本剤が特に有効性が優れているとは判断できませんでした。  安全性につきましても、副作用の発現プロファイルは異なるものの、特段本剤が優れて 安全だと判断できる結果は得られておりませんでした。  以上の点より、本剤につきましては、有効性、安全性について既存治療に比べ、特に優 れていると判断することはできないと考えられることから、本品目を優先審査品目に指定 しないこととし、通常審査とすることとしたものです。 ○池田部会長 ただ今、事務局から報告事項を三ついただきました。4品目について医薬 品の再審査結果です。もう一つは、グラニセトロンの静注液の新しいキットの承認と、そ してただ今御紹介いただいたトキソルビシン塩酸塩のリポソーム化ということで、優先審 査指定品目の審査結果についてということで報告をいただきました。この御報告について 御意見はございますか。 ○守殿委員 マキシピームについてですが、皮内反応を廃止といいますか、やらなくてい いという時点から、アナフィラキシーショックの発現頻度に以前と変わりはなかったと か、その辺の調査結果は出ているのでしょうか。今、厚生労働省の別の課でやっておられ るみたいですけれども、本剤についてのものがあれば教えてください。 ○池田部会長 いかがでしょうか。 ○守殿委員 ちまたでは、特に増えたという話は聞いておりませんので、そうではないと 思いますけれども、せっかく調査をして分かっておられるのなら教えてください。 ○審査第一部長 具体的にどこの部分というか、報告書には特記しませんが、特段問題に なったという事例は私どもも報告を受けていませんし、承知はしていない状況です。 ○守殿委員 先ほどのメタストロンのところで質問すればよかったのですが、本剤はビス フォスフォネートとはどういう関係になるのですか。前立腺癌の骨転移に使うビスフォス フォネートですが、承認には関係ないのですが教えてください。 ○機構 特に、前立腺癌領域でもビスフォスフォネートが用いられていると思うのです が、結論からいうとビスフォスフォネートとメタストロンとのお互いの有効性に与える影 響とか、安全性に与える影響は検討がなされておらず分からないので、今後文献調査も含 めて指示事項として検討するようにと言っています。  推測としては、たぶん先生がお考えになっておられるとおり、ビスホスホン酸が破骨細 胞のところの骨吸収を止めることで、メタストロンへの有効性に影響を及ぼす可能性は推 測できますし、逆にメタストロンが骨に沈着することで、ビスホスホン酸の影響、骨関連 事象を抑制するという影響にどういう影響を与えるかというのは全く未知ではあるので すが、そこに影響するかもしれないという推測はあるのですけれども、そこに対しての具 体的な情報は今はないといった状況です。  海外での承認時期が古かったこともあり、海外での規制当局でこういう議論はなされて おりませんので、今後の検討事項として情報収集をしていく必要があるだろうと思ってい ます。 ○池田部会長 報告事項についてほかに特段御意見がなければ、この報告事項については 御確認いただいたということにさせていただきます。  本日用意いたしました議題は以上ですけれども、事務局から何か報告はありますか。 ○事務局 先ほど御説明いたしました、「新医薬品の承認について」という資料ナンバー の振っていないものをお配りしておりますけれども、過去に当部会で御審議いただいた品 目の承認状況について報告させていただきます。去る3月23日に開催されました薬事分 科会を経まして、本日配付しましたリストに記した新薬を4月18日に承認いたしました ので御報告いたします。右側に担当部会がございます。第二部会で御審議いただいたもの はバルトレックスとアバスチンです。  また、次回の部会については既に御案内のように5月30日(水)午後2時から開催させ ていただく予定でございますのでよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 品目については、この調査もありますので少し早目に先生方にどういう品 目がということは、それを課長からお願いいたします。 ○審査管理課長 最初に御報告申し上げました利益相反との関係ですけれども、私どもが 聞いておりますところによりますと、例えば大学の会計課でありますとか、そういう所属 機関に調査をお願いしなければならないという事情があると聞いておりますので、議題を 決定し次第、先ほど御覧いただきました確認表とともに、関係する会社名を添えて、資料 の発送は通常2週間前となっておりますけれども、それよりできるだけ早く送付したいと 考えております。先生方には作業をお願いすることになって甚だ恐縮ではありますけれど も、御協力いただきますようお願い申し上げます。 ○堀内部会長代理 利益相反の件ですが、先ほどの申し合わせの2番の後半部分の「ただ し、寄付金等が、講演・原稿執筆その他これに類する行為による報酬のみであり、かつ、 過去3年間いずれも年間50万円以下の場合は、議決にも加わることができる」となって います。例えば、奨学寄付金の場合にはいくらであっても寄付を受けていれば議決には加 われないことになります。本来これは逆ではないかと思うのですが違いますか。研究費と して奨学寄付金でもらうのは個人でもらっているわけではなく、会計は事務部が全面的に 行っておりますので考え方が逆ではないかと思うのですがいかがでしょうか。 ○審査管理課長 堀内委員がおっしゃられますように、この点については正直申し上げて いろいろな議論があるのだろうと考えております。今回23日の分科会での御議論、ある いは我々の説明をもう少し詳しくさせていただきます。当面のルールというのは、現行の FDAのルール、これが大体10万ドルというのを基本としている。その中で、今、堀内 委員がおっしゃられました講演とか原稿執筆というのは大体1万ドルを基本としている。 しかしながら、このFDAのルールというのは、今、改正に向けてパブリックコメント中 で、そこが5万ドルを基本としているという事情が一つあります。もう一つの事情はEM EAです。EMEAというのは欧州医薬品庁ですが、そこでもやはり同じようなルールが ございまして、ここでは5万ユーロを一つの基準としています。  これらを勘案しまして、円とユーロの勘算、あるいは円とドルの換算とかいろいろある のだろうとは思いますけれども、一つの目途として500万円というのをまず出してきたわ けです。  それとともに、今、御指摘がありました講演や原稿執筆という問題ですけれども、私ど も薬事・食品衛生審議会に御参画いただいている先生方というのは、それぞれの分野で、 いわば第一人者的に御活躍いただいているものと考えております。そういう意味から申し 上げますと、いろいろな雑誌あるいはいろいろな所で執筆ですとか、講演等の依頼という のがあるのだろうと考えております。  したがって、その講演や執筆というようなところまでもゼロでなくてはいけないという ことになると、議決に加われる先生方が非常に減ってしまうのではないかということを正 直申し上げて心配し、懸念し、さらにはFDAのルールでも先ほど申し上げましたように、 現行ルールでは1万ドルという規定がここの点についてはあるということから考えます と、全体の10万ドルが改正案では5万ドルとなっている。1万ドルを考えると、5,000 ドルとなる。即ち50万円というような、いわゆる欧米にとりあえず緊急的な措置として 倣って、ここを決めて提案させていただいたという事情です。  今後、前回の分科会におきましても、基本的にこの暫定ルールというのは白紙で、正式 ルールに向かって、ワーキンググループで実態であるとか、欧米の運用であるとか、よく よく調べた上でまた議論をするということとなっておりますので、そういう意味で御理解 を賜れば幸いです。 ○守殿委員 学会の寄付はどうなのですか。 ○審査管理課長 先生方が学会長を務めていて、学会運営のために寄付をもらうというこ とはあると思います。これは、3ページの具体的取扱の2番に「本人名義であっても学部 長あるいは施設長等の立場で、学部や施設などの組織に対する寄付金等を受け取ってい る」とあります。すなわち、学会長という立場で学会の運営のためにもらったことが明ら かなものというのは、この積算に入れないということで考えております。 ○守殿委員 そうでないと、学会に参加する人もその恩恵を被っているわけです。全学会 がそうです。 ○山口委員 ここで議論することでもないのかもしれませんけれども、こういう形で自己 申告ではなくて、メーカーから申告させるというのは議論になっているのでしょうか。 ○審査管理課長 そういう手法というのも、正式なルールを策定していく中では一つの論 点として挙がるのかもしれません。ただ、いつも欧米のものばかり持ってきてと言われる のだろうとは思いますけれども、欧米はいずれにおいても自己申告でやっているという所 もあります。いろいろな作業をこの場に出てきていただく、あるいはこの場に出てくるた めに、事前にいろいろな検討をしていただくだけでも大きな負担になっているというのは 承知しているわけです。甚だ恐縮ではございますが、それに加えて今回またお願いするの も恐れ多いことではございますけれども、何とぞ事情を勘案し、御協力を賜りますようひ とつよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 これについては、年内を目途にワーキンググループでルールを作るという ことで、それまでの対応策としてこれでいこうということですので御了解をお願いしたい と思います。本日はこれで第二部会を終わらせていただきます。どうもありがとうござい ました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 河野(内線2734)