07/04/25 第29回労働政策審議会安全衛生分科会議事録 第29回労働政策審議会安全衛生分科会 1 日 時 平成19年4月25日(木)11:00〜12:00 2 場 所 厚生労働省 省議室 3 出席者 (委 員)公益代表 和田委員、今田委員、北山委員、内藤委員、  名古屋委員、平野委員 労働者代表 高橋委員、古市委員、中桐委員、芳野委員 使用者代表 伊藤委員(代理)、加藤委員(代理)、金子委員(代理)、  豊田委員、松井委員、三浦委員、山崎委員、 (事務局)      小野安全衛生部長、山越計画課長、高橋安全課長、金 井労働衛生課長、平野化学物質対策課長、春日化学物 質評価室長、矢島生活習慣病対策室長(代理)、深田医 療費適正化対策推進室長、松岡医療保険課長 4 議事録 ○分科会長 時間になりましたので、第29回労働政策審議会安全衛生分科会を 開催いたします。相澤委員、鈴木委員、仲田委員、眞鍋委員、伊藤委員、加藤 委員、金子委員は所用のために欠席されています。  本日は労働政策審議会令第9条に規定します定足数を満たしていますので、 当分科会は成立していることを申し上げます。なお、本日欠席の伊藤委員に代 わって、東京商工会議所産業政策部長の橋本様、加藤委員に代わって、JFEスチ ールス株式会社の安全衛生部長の高橋様、金子委員に代わりまして、日本アイ・ ビー・エム株式会社豊洲事業所健康支援センターの産業医の中村様に、代理出 席をいただいています。  議事に移ります。本日の1つ目の議題は、前回に引き続いて「労働安全衛生 規則の一部を改正する省令案要綱について」です。資料は前回説明させていた だいていますので、早速審議に入ります。ご意見、ご質問がありましたら、ご 自由にご発言ください。 ○松井委員 事務方に確認ですが、すでにパブリックコメントが付されている と思うのですが、締切はまだきていないようですが、これまでに寄せられた意 見にどのようなものがあったのか、現在把握している限りで教えていただきた いのですが。 ○労働衛生課長 ただいまのところ7件きています。内容的には「腹囲の検査 を追加することについては慎重であるべき」といった意見が出ていますが、ま だ7件ということでそれに対するすべての意見ではないと考えています。あと 今回の指摘と外れたような意見がありましたが、それは省略させていただきま す。 ○松井委員 前回の審議会で、今回腹囲を中心として安衛規則に規定すること が諮問されたことは承知しています。ただ、その前の4月2日に分科会長が、 座長として検討会の報告を出すに至る過程で、さまざまな論文があって、腹囲 のほうがBMIよりもいいということについての話がありました。その件につい ては、先週金曜の夕方に事務方からやっと論文の一覧表が送られてきただけで あって、私どもとしては、そこの部分について十分に精査ができていなかった という状況があります。  その限られた時間内で調べたもので恐縮なのですが、少しは調べた範囲で申 し上げますと、その中のデータでは日本人を対象としたものはなかったと記憶 しています。そこについて、まず分科会長でも事務方でもいいのですが、確認 をしたいのは、日本人を対象としたものでどれだけ調査があって、どういった エビデンスに基づいて今回こういう諮問がなされたのかについてのご説明を、 もう1度お願いしたいと思います。論文がたくさんあるからということだけで はなくて、それを教えていただきたいと思います。  申し上げたいのは、安全衛生法の規則に規定することは、事業者に対して罰 則をもって強制するというものであって、一般的な意味での健康管理あるいは 予防をしていくことの意味合いとは、私どもとしては相当違っていると認識し ています。  もう1つ重要なことは、高齢者医療確保法においては、今回の特定健診は義 務づけといっても、もちろんいままであまり対象とされていなかった被扶養者 があるということは十分承知していますが、いちばん高いところで8割、低い ところでは65%があればいいでしょうというハードルが敷かれています。他方、 今回これを行うことについては、事業者に100%これをやらないことについては 罰則をもって強制する。もう1つ重要なことは、こういうことについて就業の 場、働く人たちを対象としてこういった調査をして、どれだけ嫌がる人がいた のか、積極的にやってくれたのか、そういう部分の調査は行われたことがある のか。  私どもとして非常に懸念しているのは、現実にやろうとしたときに、会員企 業から忌避する従業員も結構いたということで、そういう者に対してどうやっ て対応したらいいのかという問合せもきているわけです。こういうことについ ての考え方が、十分に整理したものとなっていると思えない。仮に、これで安 衛法上の規則として規定するならば、では忌避した人はしょうがないのだと言 ってくださるなら、それはまた話は別ですが、そういう場合にどういう取扱い をするのかについての回答は、私どもは持ち合わせていません。  現在、日本人を対象とした形での調査がどれだけ蓄積されていて、どういう データに基づいて行われたのかを、もう一度明らかにしていただきたいと思い ます。 ○分科会長 いちばん初めの件だけは私も関係するので、述べさせていただき ます。検討会でその論文をチェックしたわけではありません。検討会である委 員から「国際的に認められていない」という主旨の発言があったので、それは 大変だと思って、検討会が終わった後、私が個人的に調査しただけのことです。 あくまでも、私個人の勉強の結果ということです。したがって、これが検討会 においてそれを論議したとか、そういう意味ではありません。  繰り返しになりますが「国際的に認められていない」という主旨の発言があ ったものですから、調べたところそうでなかったので安心したということを述 べたものです。これはあくまでも国際的に認められていないということを言わ れたものですから、それでは国際的な論文を調べてみましょうということで論 文を調べたら、全部で100いくつ出てきて、全く論じていないのが80ぐらいあ って、そのうちの20が論じていたということです。それだけの結果を言っただ けのことです。 ○労働衛生課長 日本人のデータについて、先日の9日の分科会の席上で説明 したとおり、心臓の冠状動脈疾患のある方とない方の比較ですが、冠状動脈疾 患のある方については内臓脂肪が広いという日本人のデータもあるわけですし、 そういうものを踏まえて、日本の内科系8学会がメタボリックシンドロームの 診断基準を出している。それを踏まえて、単なる生活習慣病対策ではなくて、 脳・心臓血管障害対策、いわゆる作業関連疾患としての対策として、腹囲が重 要であるということで、今回お諮りをしているということです。  検査を忌避する場合の取扱いですが、これについては事業者の方も健診をや っていただくことが重要ですし、また労働者の方も受けていただくことが重要 なので、その辺はお互いの理解、あるいは事業者から積極的に忌避しないで受 けていただくよう説得していただく、あるいは勧めていただくことで対応して いくものだと考えています。 ○松井委員 説得できなかったときはどういう取扱いにするのでしょうか、そ こを聞きたいのです。 ○労働衛生課長 そういうことがないように努力していただきたいと。 ○松井委員 努力するのは前提で申し上げているのであって、そうでない場合 はどういう取扱いになるのかをお聞きしているのです。 ○労働衛生課長 忌避されて、絶対に嫌だという場合、そこをやれというのは 難しいというのは、実態上あるわけですので、その辺はできるだけ受けていた だきたいということを前提にしながら、受けていただかなかったことをもって、 直ちに事業者に罰則が及ぶということではないのではないかと考えています。 ○高橋氏(加藤委員代理) 報告書の中に「腹囲を測定することによって、安 全配慮義務を拡大するものではないと考えられる」とありますが、健康情報と いうのはおしなべて、知れば知るほど安全配慮義務に結びついてくるというこ とを懸念している向きがあります。  我々企業としては、従業員の健康は大事なことですので、いままでも法の66 条の7に基づいて、各社各様にさまざまな努力はしております。そのときに、 付加的なことをやっている場合もありまして、特に大手企業の場合ですと健診 項目にとどまらず多くの項目をやってきているわけですが、それには必ず従業 員あるいは組合の同意手続を経て、プライバシーに配慮しながらやってきたと いう経過があります。  その一方で、そこでわかって、例えば精密検査が必要である、あるいは専門 医の受診をしたほうがいいということが縷々あります。具体的に申し上げると、 例えば紹介状を書いて専門医のところに行ってもらうとか、あるいは精密検査 を受けて結果をフィードバックしていただくとか、さまざまなアクションを繰 り広げているのですが、その中でどうしてもそういうことに従ってくれない方 が出てきます。いわゆるコンプライアンスの悪い方ということでしょうか。そ ういうケースで困るのは、民事上の問題、あるいはクレームになると、それを 会社はいろいろ知っていたではないか、そのための指導義務あるいは配置義務 をさせなかったということが出てきます。  そこでお願いしたいことは、そういうときにどこまで指導義務とか、フォロ ーアップのための中身を担保すべきか、ということです。具体的に申し上げる と、私どもは産業医がそういう仕事をしているのですが、産業医が紹介状を書 いて指示をすればそれで終わるのか、あるいはそれを繰り返し数回やって、初 めて指導義務を尽くしたという言い方になるのか。今回これと連動して、そう いった指導義務、配置義務ということになると、それをどういう範囲まで対応 すべきか、こういうのが現実的な課題として話題になっています。この辺を含 み置いて、今後議論を重ねていただければという要望です。 ○橋本氏(伊藤委員代理) いまの安全配慮義務の話ですが、前回もお話申し 上げて、「腹囲の測定のみで配慮義務を問うものではない」というお答え等々を ちょうだいしているのですが、その辺の部分で今後に対する不安が消えないと ころがあるので、その辺について重ねて検討、そういうことがないという形で ご検討いただければと思っています。  それと、前々回等、伊藤委員から再三お話申し上げているのですが、今回の 腹囲の追加ということで、費用関係に若干懸念があります。どのぐらいになる のか聞いてみたところ、若干の費用が上がってきたのですが、この問題につい ての答えとしては「基本的に測定方法の工夫等によって、新たな経費負担、費 用発生はない」というお答えを厚生労働省からはお伺いしていますが、この点 について、経費の心配は消えない部分があるので、この辺の周知等には重ねて ご配慮願いたいということを強く思っています。 ○松井委員 すでに意見としては出ていると思いますが、今回腹囲を測定する ことによって、事業者がどれだけの就業上の措置をとるのかについて、本当に それが可能なのかどうかというのは疑念があることを申し上げたいと思います。  基本的にメタボリックシンドロームという形で、それほど進行していない状 況の分野についてまで、企業として本当に何らかの措置をするのかしないのか。 そういう場合に実際上、就業上の措置がとり得るのかどうか。そして基本的に は生活習慣に大きく関与するところがありますので、それを企業側にどれだけ 求めるのか。  その整理としては、おそらく特定保健指導で保険者がやればいいのだという 整理には、検討会の報告書ではなっていると思うのですが、それならばなぜ企 業側にそういうものを罰則つきで求めるのか。そのロジックがどうしても私ど もとしては理解できないし、それを企業側の人事権あるいは指揮命令権の範囲 内でどれほど対処できるのか、難しい面があると思っています。  別の言い方をすると、腹囲の大きな人については、もう少し体を動かす部署 に異動させてやればいいのかとか、そういう仕事のある企業なら、もしかして それは可能かもしれませんが、そのようなことで配置をすべきではないと考え ている次第です。基本的に、メタボリックシンドロームの予防のために、今回 企業側に義務づけることについては問題があるのではないかと思います。  もう1つ重要なことは、いまの二次健診給付についての取扱いを、どういう 方向性で考えていけばいいのか。この点についての整理が十分になされていな いと思うのですが、事務方としては、どういう考え方をすればいいのか。二次 健診給付は、企業として特定保健指導、特定のほうで行えばいいという整理を していけばいいのか、その点についての考え方はどうなのでしょうか。 ○労働衛生課長 まず1点目の就業上の措置ですが、これまでもBMIを活用し て、当然BMIだけではなくて他の血圧なり、血中脂質、血糖を組み合わせて就 業上の措置をされていたと考えています。それに腹囲が加わるということで、 他の項目との組合せになると思うのですが、産業医等の判断によっては、就業 上の措置がなされるものと考えていますし、ご指摘のあった、例えば体を動か すといったことは保健指導でなされるものと考えています。就業上の措置とは 別のものと考えていただく必要があると考えているところです。  いずれにしても、先ほど申しましたように、腹囲というのは、脳・心臓疾患 障害、いわゆる作業関連疾患の予防に重要であるといったことも含めて、今回 お願いをしているわけです。  2点目の二次健康診断給付の件ですが、これは労災補償部で検討を進めるとい うことで、まだ本分科会の審議が終わっていませんので、この審議の内容を踏 まえて、労災補償部として検討されると理解しているところです。 ○松井委員 いずれにしましても、こういう健診項目についての議論に特化し ていたと思うのですが、本来それを追加するときに事業者が行うこと、あるい は保険者が行うこと、あるいは従業員、労働者が行うことを、よりもっと整理 した形で、現場が回る仕組みをきちんと議論してもらわないと、役割分担が明 確ではないのではないか。そういう点の議論はもっと十分に尽くして決めてい くべきものと、私どもとしては考えています。 ○労働衛生課長 それにつきまして、労働安全衛生法における定期健康診断に 関する検討会でも、事業者、労働者、医療保険者の役割について今後検討すべ きということはありますが、それについてはなるべく早く対応したいと考えて いますし、その折はご協力をお願い申し上げます。 ○高橋氏(加藤委員代理) ただいまの件に関連するのですが。健診項目に限 らないのですが、それに基づいて保健指導を、医師、保健師、栄養士等がやる ということで展開されますが、そこの過程で得られた情報が、自己申告、ある いは健診時の問診ではわからなかった情報というのが縷々出てくることがござ います。  そういうときも、事業者はいろいろと知っていたので配慮義務があったと、 これが一般的な考え方だと思うのですが、そういうことが起きる。配慮義務を 尽くすことは吝かではないのですが、それを例えば事業場の産業医とか産業看 護職、そういう方に、いまのコンセプトでやった枠組みの中で出てきた情報、 それが適宜必要なことが産業保健スタッフに反映されるようなことを、ある程 度考えていただいたほうがよろしいと思います。  それがないと、産業医が基本的に責任者としていながら、それが指導という ベースになると自分のところを離れていって主体者が別になる。本人は言った つもりだった、言った本人が、事業者のやる健診で言ったのか、今回の制度で 言ったのかを区分して、しゃべってはくれないのではないかと思うのです。そ ういう点も今後ご留意いただけたらありがたいと思います。 ○分科会長 他にございますか、よろしゅうございますか。他にご発言等がな ければ、当分科会としての取りまとめを行いたいと思います。報告文(案)を 事務局から配付していただきます。                (報告文(案)配付) ○分科会長 お読みいただいたと思いますが、報告文はこれでよろしいでしょ うか。 ○松井委員 繰り返し申し上げていますが、まず労働者の健康保持・増進を積 極的に進めるためには、事業者、医療保険者、労働者が、それぞれの役割を踏 まえて、密接に協力しながら取り組むことが不可欠だと考えております。事業 者と医療保険者については、来年4月からの高齢者医療確保法の施行に伴って、 一層連携、協力していくことが求められますが、労働安全衛生法上の措置と、 高齢者医療確保法上の措置が明確に区別されて、事業の現場で対応を巡って混 乱を来す恐れがあることを懸念しております。  これは従業員の立場からすると、事業者が行っているのか、保険者が行って いるのか分からないというケースも十分あるからです。そして重要なことは、 肥満を中心に、それはすぐになるものではなくて、従業員、労働者自身が自覚 して対応するものであって、自らの努力によって症状を変えなくてはいけない。 そういう態度変容が行われないと、いくら企業側が何らかの措置をとろうとし ても、あるいは保険者による指導を行おうとしても、なかなか変えられないと 認識をしています。  脳・心臓疾患及び生活習慣病の効果的予防のために定期健診の項目の追加を 審議するだけでは、私どもとしては不十分であると考えておりますし、労働者 側の積極的な受診や行動変容に向けた努力を求めていくことなしに、今回この ような措置をとるとしても、初期の目的は達成できないと考えております。本 分科会の審議においては、こうした最も基本的な事柄について、私どもとして は十分な議論が尽くされたとは思っておりません。したがいまして、今回の答 申の手続及び内容の双方については、疑念があります。  というのは、繰り返し聞きましたけれども、日本におけるエビデンスがどの 程度集積されているかについては再度聞きましたが、内科8学会が決めたから ということしかなくて、そこが決めたものについては、女性については200に 満たないデータに基づいたもので、こういった安全衛生法の義務としていくこ とについては、やはり懸念があるということは言わざるを得ません。エビデン スに基づいた形での対応を是非お願いしたいと思っています。  答申文には、下の尚書きのほうですが、3者の役割について検討の場を早急に 設けることが盛り込まれています。この点については、是非評価をしたいと思 います。国民全体の健康保持・増進を効果的に図っていくための仕組みづくり について、十分に時間をかけて検討がなされ、実りのあるものになっていくよ う強く要望する次第であります。以上です。 ○分科会長 他にございますか。 ○中桐委員 私はこの結論でいいと思っているのですが、是非事業者にも、現 在の健康診断制度でも実施していない事業者というのがあるわけです。労働者 側に求めるのと同時に、そちらの責任を事業者自身も、特に中小企業の場合に 多いようなのですが、決められていることをしていない事実もたくさんありま すので、その辺は使用者側の団体できちんと対応していただきたいということ を要望したいと思います。 ○分科会長 特にご発言がないようですので、本報告(案)で報告させていた だきます。安全衛生部長からご挨拶がございます。 ○安全衛生部長 各委員の皆様方には、4月2日以来合計3回にわたって、非常 にこの問題につきまして幅広い精力的なご議論をいただきまして、本日、ただ いま取りまとめをしていただきました。本当に皆様方のご尽力、和田会長はじ め各委員の皆様方のご努力に対しまして、改めてこの場をお借りして厚く御礼 を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。  本日のご報告をいただきましたので、踏まえまして、速やかに所要の手続を 進めまして、円滑な施行に努めてまいりたいと思います。今後とも引き続き、 ご指導ご協力のほどよろしくお願いをいたします。本当にありがとうございま した。 ○分科会長 次の議題は「新規化学物質の有害性の調査結果に関する学識経験 者の意見について」の報告です。本件は労働安全衛生規則第34条の17に基づ く報告になります。事務局から説明をお願いします。 ○化学物質評価室長 資料2をご覧ください。新規化学物質の関係についての ご報告です。まず、有害性の調査の仕組みについてご説明します。資料の後ろ から2枚目の参考2です。新規化学物質を製造し、または輸入しようとする事 業者においては、労働安全衛生法に基づいて一定の有害性の調査を行って、そ の結果を厚生労働大臣に届け出るとされています。  この有害性の調査は、発がん性という観点から、微生物を用いる変異原性試 験、またはがん原性試験とされています。届出を受けた厚生労働省としては、 学識経験者から意見を聞いて、必要に応じて追加試験を実施し、必要な措置を 講じるようにしているところです。これとともに、届出のあった物質について は、すべて官報によって名称の公表を行っているところです。  必要な措置ですが、下から2段目にあるように、厚生労働大臣による勧告が 制度です。これとともに、健康障害防止措置にかかる指針を局長通達として示 していまして、この指針に基づく措置について事業者に要請しているところで す。この結果については、名称の公表後1年以内に労働政策審議会に報告する こととなっていまして、本日の報告はこれに基づいて行われているものです。  1枚目です。今回ご報告するのは、平成18年6月27日から平成18年12月 27日までに、官報に名称が公表された新規化学物質953物質について、学識経 験者から意見を聞いた結果、43物質について強い変異原性が認められると判断 されたところです。  その43物質の一覧については、2〜3枚目に一覧を付けています。内容は、公 表年月日、名称、用途、措置状況です。措置状況に「指針対象」と書かれてい ますが、これは先ほど申しました局長通達の対象として、措置を講じていただ くよう要請しているものです。要請の内容ですが、設備の密閉化、局所排気装 置の設置などのばく露防止対策と、作業環境の測定、労働者に対する教育、作 業記録の保存等です。  次に4枚目の参考1をお開きください。これは制度発足以来、今日までの間 の状況で、指針に基づいて通知している物質の合計です。これまでに490物質 を指針に基づく措置として通知しているところです。私からの説明は以上です。 ○分科会長 本件について、何かご質問等がありましたらどうぞ。 ○豊田委員 直接本件の中身には関連しないのですが、資料の後ろから2枚目 に決議上のスキームが書いていますが、私どもが常々最近思いますのは、こう いう議論をされるときに「学識経験者からの意見聴取」と書いていますが、昨 今リスク評価などが非常に進んでいます。そういった意味では、ここの時点で できるだけ幅広い有識者の方の意見を取り入れてほしいと思います。具体的に 言いますと、産業界もこういったリスク評価は非常に進めているので、もう少 しここの時点で幅広い意見を聴取して、より適切な答申をやっていただきたい と思います。 ○分科会長 他に何かございますか、よろしゅうございますか。他にご発言等 がなければ、当分科会として「新規化学物質の有害性の調査結果に関する学識 経験者の意見について」の報告を承ったこととします。  本日の会議は以上をもって終了します。議事録への署名は芳野委員、三浦委 員にお願いしたいと思います。皆様、お忙しい中、どうもありがとうございま した。 照会先:労働基準局安全衛生部計画課(内線5476)