07/04/24 平成19年4月24日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日 時:平成19年4月24日(火)13:30 〜17:30 ○場 所:厚生労働省共用第8会議室 ○出席者: 委 員  青木委員、大野委員(部会長)、尾崎委員、加藤委員、斉藤委員、      佐々木委員、志賀委員、米谷委員、山内委員、山添委員、吉池委員、 鰐渕委員 事務局  松田基準審査課長、河村課長補佐、吉田課長補佐、近藤専門官 関係省庁 農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 秋元係長      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 水野係長      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 原田係長 1.開  会 2.議  題  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について ・ シフルメトフェン(農薬) ・ ジメトモルフ(農薬) ・ フルフェノクスロン(農薬) ・ ジノテフラン(農薬及び動物用医薬品) ・ ジフロキサシン(動物用医薬品) ・ ドラメクチン(動物用医薬品) ・ アボパルシン(飼料添加物及び動物用医薬品) ・ グルコン酸カルシウム(飼料添加物) ・ 二ギ酸カリウム(飼料添加物) ・ ギ酸カルシウム(飼料添加物)   (2)その他 3.閉  会 ○事務局 ただいまから農薬・動物用医薬品部会を開催させていただきます。本日はお 忙しい中お集まりいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日は井上委員、豊田委員より欠席のご連絡をいただいております。農薬・動物用医 薬品部会の委員14名中12名のご出席をいただいており、部会委員総数の過半数に達し ておりますので、本日の部会が成立しておりますことをご報告いたします。 それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後のご審議につき ましてよろしくお願い申し上げます。 ○大野部会長 それでは審議に入らせていただきたいと思います。初めに事務局から配 付資料の説明をお願いいたします。 ○事務局 配付資料の確認をさせていただく前に1点ご連絡を申し上げます。 当初、農薬4物質について基準値案をご審議いただく予定でしたが、海外資料の確認 等、基準値案の検討に時間を要しておりまして、本日ご審議いただく農薬は3物質とな りましたのでおわび申し上げます。それでは資料の確認をさせていただきます。 まず議事次第でございます。全部で4枚となっております。2枚目が配付資料の一覧、 最後の4枚目が農薬・動物用医薬品部会の委員の名簿となってございます。資料1-1が 農薬シフルメトフェンの資料でございます。47ページからが部会報告の資料1-2となっ ておりまして、総ページ数56ページの資料となっております。資料2-1が農薬ジメト モルフの評価書でございます。29ページ以降が資料2-2、部会の報告案となっておりま して、総ページ数47ページの資料でございます。資料3-1が農薬フルフェノクスロン の資料でございます。51ページ目以降が部会報告案となっておりまして、総ページ数で は77ページの資料でございます。次が、農薬・動物用医薬品となっておりますジノテ フランの評価書でございます。資料4-1-1が農薬にかかる評価という形になっておりま して、69ページ目以降に4-1-2といたしまして、動物用医薬品としてのジノテフランの 評価書が添付してございます。総ページ数では72ページの資料となっております。資 料4-2が部会の報告案となっておりまして、総ページ数では47ページの資料でござい ます。資料5-1が動物用医薬品ジフロキサシンの資料でございます。31ページ目以降が 資料5-2、部会の報告案となっておりまして、総ページ数では38ページの資料でござい ます。資料6-1が動物用医薬品ドラメクチンの資料でございます。29ページ以降が資料 6-2、部会報告案となっておりまして、総ページ数では42ページの資料でございます。 資料7-1が動物用医薬品アボパルシンの資料でございます。3ページ目以降が資料7-2、 部会報告案となっておりまして、総ページ数では6ページの資料となっております。続 きまして飼料添加物でございます。8-1が評価書となっておりまして、13ページ目以降 の8-2が部会の報告書となっております。総ページ数では15ページの資料となってお ります。資料9-1が飼料添加物二ギ酸カリウムの資料でございます。13ページ以降の資 料9-2が部会の報告案となっておりまして、総ページ数では15ページの資料でござい ます。資料10-1が飼料添加物ギ酸カルシウムの資料となっております。13ページ以降 が資料10-2、部会の報告案となっておりまして、総ページ数では16ページの資料とな っております。参考資料1が食品摂取量の一覧、5ページ目以降に参考資料2といたし まして、食品健康影響評価の進捗状況等の一覧表となっております。総ページ数では21 ページの資料でございます。過不足等ございましたら事務局までご連絡をお願いいたし ます。 ○大野部会長 ありがとうございました。過不足ございますでしょうか。  それでは審議に入りたいと思います。本日は、食品中の残留農薬等にかかわる残留基 準の設定ということで、農薬が3種類、農薬及び動物用医薬品が一つ、動物用医薬品が 二つ、飼料添加物及び動物用医薬品が一つ、飼料添加物が三つということで、全部で10 品目を審議していただくことになります。  まずシフルメトフェンから説明願うことになりますが、今日審議する資料に関しては、 あらかじめ先生方に送って見ていただいているところでございますが、よろしくお願い いたします。  それでは事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料1-1、シフルメトフェンという農薬につきましてご説明申し上 げます。 資料1-1の4ページをごらんいただきますと、食品安全委員会の評価書でございます が、審議の経緯ということで書いてございます。 この農薬につきましては新規の登録申請があったものでございまして、平成17年10 月に農水省から厚労省に基準策定依頼があったものでございます。厚労省から食品安全 委員会に、食品安全基本法に基づきまして、食品健康影響評価の依頼をしていたもので ございます。今般、食品安全委員会で食品健康影響評価が取りまとめられましたので、 これを踏まえまして基準の策定の審議をいただくということでございます。 資料の33ページから総合評価ということで、各種毒性評価の結果が出てございます ので、それに沿いましてご説明申し上げます。 33ページ、III.総合評価でございます。動物体内運命試験、ラットということでやっ てございます。排泄経路は尿及び糞中ということで、残留性はなかったということでご ざいます。 次のパラグラフで、ミカン、ナス等につきまして植物体内運命試験が行われてござい ます。これにつきましては果実、葉の表面等では分解されていたということでございま す。主な代謝物はB-1ということで、後ろの方に出てございますが、代謝物が出たとい うことでございます。 土壌中の運命試験につきましては記載のとおりでございます。加水分解、土壌残留試 験も行われてございます。 毒性試験でございますが、急性毒性につきましてはラット、マウス、また、ウサギを 用いまして目の刺激試験、皮膚の刺激試験もやられてございます。皮膚の感作試験はモ ルモットで行われてございまして、これにつきましては陽性だったということでござい ます。 亜急性毒性試験ということで、ラット、マウス、イヌについて行われて、それぞれ無 毒性量が出てございます。慢性毒性試験につきましてはラット、イヌで行われてござい ます。発がん試験につきましてはラット、マウスで行われてございますが、いずれも発 がん性は認められなかったということでございます。  繁殖毒性につきましてはラットで行われてございまして、繁殖能への影響はなかった ということでございます。  発生毒性試験はラットとウサギで行われてございますが、いずれも催奇形性等の異常 は認められなかったということでございます。  遺伝子毒性につきましては細菌、培養細胞等で行われてございますが、いずれも陰性 であったということでございます。  これらの毒性試験を取りまとめたものが35ページの表でございます。各試験におけ る無毒性量、最小毒性量ということで一覧表になってございます。  繁殖試験が、親世代がF1の雄の無毒性量ということで9.21mg/kg体重/日、この値を ADIの設定根拠にされてございます。  ADIでございますが、安全係数100をとって、0.092mg/kg体重/日と設定されてござ います。これが食品安全委員会の評価書でございます。  これを受けまして基準値の策定ということでございますが、部会の報告書案というこ とで、47ページから取りまとめさせていただいてございます。  資料1-2でございますが、品目名シフルメトフェンということでございます。用途は 殺虫剤、ダニを殺すということで殺ダニ剤でございます。作用機構の詳細は不明でござ いますが、ハダニに対して選択的に作用することが知られてございます。構造式、物性 についてはここに記載のとおり、化学名も記載のとおりでございます。  今回新規登録ということで、適用の作物、その使用方法につきまして表にまとめてご ざいます。かんきつ系のくだもの、りんご、なし、モモ、おうとう、スイカ、メロン、 いちご、なす、お茶ということで、今回適用の範囲と使用方法について記載しておりま す。  作物残留試験の結果ということで、6番から書いてございますが、分析の対象という ことで、シフルメトフェン、代謝物B-1を分析対象の化合物として選択してございます。 分析法はここに記載のとおりでございます。  49ページから、みかん、なつみかん、すだち、カボス、りんごということでそれぞれ 記載してございます。これらにつきましては、53ページに作物残留試験結果一覧表で示 させていただいてございます。  これらを踏まえまして基準値案ということで、54ページに示させていただいてござい ます。その他スパイスにつきましては今回、みかんの果皮について、みかんの中身とは また別個に結果が出てございます。それを採用しまして20という値を設定してござい ます。根拠になった作物残留試験については、一番右端の欄に掲載してございます。  52ページ、諸外国の状況でございますが、新規の薬剤ということでございまして、ま だ国際基準も設定されていないということでございます。米国、カナダ、EU、オース トラリア、ニュージーランドについて調査しましたが、いずれの地域また国につきまし ても基準の設定はないということでございます。  今回、残留の規制対象ということで、シフルメトフェン本体と代謝物も割合的に残留 が認められているということでございましたので、シフルメトフェンと代謝物B-1の総 和という形で規制したいと考えてございます。  食品安全委員会の評価書におきましても、暴露評価についてはシフルメトフェンと代 謝物B-1と総和で設定されているということでございます。  基準値案につきましては先ほどご説明させていただいたとおりでございます。基準値 案に基づきまして、資料の55ページ、それぞれの作物の摂取量、基準値案から、今回、 TMDIで計算させていただいてございます。  一番下のカラムでございますが、国民平均で見ますと、ADI比で5.1%、高齢者の方 で5.7%、妊婦の方で5.0%、幼小児で13.2%ということで、いずれもADIの80%以下 ということでございますので、この基準値案で、事務局としては提案させていただいて ございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまの説明に対してご質問、コメントあ りましたらお願いいたします。 ○佐々木委員 54ページの表ですが、脚注の最後に、最大残留値を暴露評価に用いたと 書かれているんですが、暴露評価には残留値を用いられているんでしょうか。この評価 ではなくて、基準値設定に用いたという意味で書かれているんでしょうか。 ○事務局 ここは基準設定に用いたという意味です。基準値設定の際の評価に用いて、 先ほど差し上げた暴露評価のところはTMDIでございますので、基準値案の数字を掛け 算して足し上げてございます。 ○佐々木委員 脚注はこのままでよろしいんですか。言葉としては。 ○大野部会長 ちょっと変ですね。 ○事務局 「基準値策定に用いた」か、その辺の表現ぶりに変えさせていただきます。 ○大野部会長 そういうふうに変えるということでよろしいですか。 ○佐々木委員 はい。 ○大野部会長 ほかにございますでしょうか。 ○志賀委員 評価そのものは特に問題はないと思いますが、参考までに伺いたいんです が、 この薬剤、7ページでいきますと、殺虫剤の一般的ないろいろな作用機作以外のものと いうだけで、全く不明と受け取れますね。 細かい文字はいいかと思いますが、資料1-2の47ページのところも、詳細は不明で あるが、ハダニに対して選択的に作用すると。この言葉にあえてこだわりますと、一般 的にこんなものという知見があるんでしょうか。全く不明なんでしょうかね。 これをベースで毒性を考えていく上で、どういう作用機作ということは多少とも情報 があれば参考になるかという気がいたしますが。 ○事務局 ここのところは再度確認したいんですが、記載ぶりはともかくとして、7ペ ージの安全委員会の評価書に書いてある以上のものはないということですが、報告書の 記載ぶりをもう少しこちらの方に合わせてもよろしいということであれば、そこは修正 させていただきたいと思います。 ○志賀委員 細かいですが、そうしますと、47ページの最初のところは、ひょっとした ら、細かく言えば「詳細は」は取った方がいいのかなと。全く不明ではないかという気 がいたします。 ○大野部会長 いろいろ作用はあるけれどもキーポイントがわからないということのよ うですね。 ここのところは「作用機作は不明であるがハダニに関して」という表現に変更すると いうことでいかがでしょうか。よろしいですか。 ほかにいかがでしょうか。 ○山添委員 今回の厚労省の案ではなくて、食品安全委員会から来ているところの文面 でわかりにくいところがあるんですが、11ページで代謝物が同定されているんですが、 下から3行目に、主代謝経路は2-メトキシエトキシカルボニル基の脱離というのがある んですが、37ページに代謝物の表がありまして、A-18、A-20が主代謝物になるので、 その構造を見ますと、シアノ酢酸あるいはヒドロキシ酢酸となっているんですね。 ということは、脱離したのは、2-メトキシエトキシ基が脱離したのであって、2-メト キシエトキシカルボニル基が脱離したのではないので、「カルボニル」を取ってしまった 方がいいのではないか。一度尋ねていただけないでしょうか。 ○事務局 事務局の方から確認させていただきます。 ○大野部会長 確認をお願いいたします。ほかにございますでしょうか。よろしいです か。 若干修正はございましたが、評価そのものに関しては特にコメントはなかったという ことで、この残留基準ということで設定させていただくということでよろしいですね。 では、そういうことにさせていただきます。 それではジメトモルフの審議に入らせていただきます。事務局から資料の説明をお願 いいたします。 ○事務局 ジメトモルフにつきましてご説明申し上げます。  資料2-1の4ページに、この農薬につきましては審議の経緯ということでまとめられ てございます。  平成9年に初回の農薬登録がございまして、途中、ポジティブリストにかかる残留基 準の設定がございます。また、農林水産省から適用拡大の連絡がございまして、それに 伴って基準設定の依頼があったわけでございます。これらを受けまして、食品安全委員 会に食品健康影響評価を依頼していたものでございまして、今般、評価書が届いたとい うことでございます。19ページに評価がまとめられてございますので、それに沿いまし てご説明申し上げます。  動物体内運命試験といたしまして、ラットで確認してございます。低用量で速やかに 吸収されて、主に糞中に排泄されたということでございます。  ぶどう、じゃがいも、レタス等につきまして植物体内運命試験を確認してございまし て、大部分は植物の表面で残留したということでございます。また、土壌中運命、加水 分解、光分解、土壌残留が確認されてございます。  急性毒性につきましてはラット、マウス、亜急性につきましてはラットとイヌ、慢性 につきましてはラット、マウス、イヌ、発がんにつきましてはマウスとラット、繁殖毒 性についてはラット、発生毒性についてはラットとウサギということで確認してござい ます。  いずれにしましても、発がん性、繁殖への影響、催奇形性は認められなかったという ことでございます。遺伝毒性につきましても認められなかったということでございます。  ADIでございますが、20ページからの各試験における無毒性量の一覧ということで、 今回は、海外の基準を参考に暫定基準を置いているということもございまして、農薬抄 録以外に米国、豪州、EUの評価書も合わせて見てございますが、その結果も合わせて 書いてございます。それらにつきまして無毒性量の試験の結果はいろいろありますが、 食品安全委員会といたしましては、ラットの2年間発がん性試験、20ページの左から四 つ目、2年間発がん性試験の雌の11.3mg/kg体重/日を最小無毒性量という形で評価して、 これをもってADIの設定ということにしてございます。  豪州ではラットの2世代の繁殖を使ったり、EUでは2年間慢性毒性を評価してござ いますが、食品安全委員会としましては、ラットは2年間発がん性試験の11.3 mg/kg 体重/日を用いたということでございます。安全係数100ということで、ADIを0.11 mg/kg体重/日で設定してございます。  これを踏まえまして、部会の報告書という形でまとめたものが29ページからの資料 でございます。  品名といたしましてはジメトモルフ、殺菌剤でございます。菌体の細胞壁の形態、形 成を阻害するということで、菌体の正常な発育を阻害するということで作用するという ことでございます。化学名、構造式、物性につきましては記載のとおりでございます。  適用病害虫の範囲と使用方法につきましては5番から書いてございますが、今回、「作 物名」に四角囲みをしているところが、適用拡大で新たに申請があった部分でございま す。小豆、大豆、えだまめ、ミニトマトでございます。これらにつきまして適用拡大の 申請があったということでございます。  米国から、レタス等につきましてインポートトレランスというものがありましたので、 それの使用方法を(2)で書いてございます。  これらを踏まえまして基準を設定するわけですが、作残試験の結果につきましては32 ページから書いてございますが、それらをまとめたものが38ページからの一覧表でご ざいます。  43ページから基準値案をまとめたものでございます。基準値の現行のところに網で色 をつけているところがございますが、それが、ポジティブリスト導入に当たって暫定基 準を設定したということで、海外の基準、また、登録保留基準等を参考にして基準値を 設定した部分でございます。  今回はそれらの部分と併せて、後から、適用拡大申請のあったもの、インポートトレ ランスで要請があったものについては、基準の設定、見直しということで置かせていた だいたところでございます。  登録の有無のところで「申」と書いてございます。これが今回、適用拡大の申請があ った部分でございます。大豆、小豆、トマト、えだまめということで挙げてございます。 それぞれ作残試験に基づきまして基準を設定したところでございます。  従前と同様に、♯マークがついているところは、先ほどの使用方法外の方法によって 作残試験が行われたというところでございまして、若干多いんですが、これらにつきま しては一つ一つ、どうしてこういう使用の仕方になったとか、申請者に確認をとりまし て、その中身を加藤委員等に確認いただきまして、基準設定に使えることで基準案を策 定してございます。括弧囲みになっているところは、海外、特にアメリカの作残試験を 参照した部分でございます。  36ページに戻りまして、海外の方で乳牛における残留試験ということで、飼料由来で 口から入るということで、それぞれの濃度につきまして摂食させて、肉また乳について 分析がなされてございます。  これらに基づいた残留試験の結果に基づいて基準値案を、先ほどの表の最後でござい ますが、畜産物について設定させていただいてございます。  ADIの評価といたしましては、先ほどの食品安全委員会の評価のとおりです。諸外国 の状況といたしましては、国際基準は現在ございません。米国、カナダ、EU、オース トラリア、ニュージーランドについて調査したところ、米国についてはぶどう、レタス 等の作物、オーストラリアにつきましてはぶどう、ネギ等、カナダについてもじゃがい も、ニュージーランドについてはぶどうに残留基準が設定されているということでござ います。  残留の規制の対象でございますが、ジメトモルフ本体ということでございますが、こ れにつきましては、冒頭に化学式がございましたが、E体とZ体ということで、本体と して規制するということでございます。基準値案につきましては先ほどの表のとおりで ございます。  暴露評価ということで、46ページに一覧表を出させていただいてございます。TMDI で計算してございますが、基準値案に摂取量をそれぞれ掛け合わせて足し上げたところ、 国民平均で10.1%、高齢者の方で10.1%、妊婦の方で7.2%、幼小児で16.8%というこ とで、いずれもADIの80%以内で、この基準値案を提案したいというところでござい ます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。ただいまのご説明に対して質問、コメントござ いますでしょうか。 ○加藤委員 ミスが一つありますので訂正していただければいいと思いますが、36ペー ジ、第7項、乳牛における残留試験の第2パラグラフ、「196ppm/頭day」と記載してあ りますが、これは「196mg/頭/day」というのが正しいです。 ○大野部会長 ありがとうございます。修正お願いいたします。 質問ですが、先ほど、使用方法以外の方法で作残試験をしているというお話がありま したが、どうしてそういうことをやっているんですか。本来、適切に、使用方法に従っ て使用するのが前提ですが、今回、ほかのものでも随分使ったようですが。 ○事務局 毎回問題になるんですが、申請者の方の試験の計画なり、今後の申請のこと もあって、今回の申請と違うやり方にもいろいろ踏み込んでやられているということで すけれども、総量的には変わらなかったりする部分があったり、また、ほとんど影響が ないやり方を組み込んだりして計画されて試験をやられているというところでございま す。 ○大野部会長 本来、有効な用量で使っているはずなので、将来、別の用量で使う可能 性があるというのはちょっとわかりにくいかなと。 ○事務局 我々が聞いていますのは、開発の過程でいろいろな用量なりがあって、それ を試験の中に組み込んでいく。当然、そこには薬効試験が合わせて入ってくるとは思い ますが、そういうような理由と聞いていますが。 ○加藤委員 私の知っている例でのごく一部ですが、今の例について補足させていただ きますと、開発するまでの長い経過があるわけですね。最初の段階から、最終的な、薬 害が出ないでちゃんと効くような製剤の組成を確実に決められるわけじゃなくて、当初 予定していたものが、試験データを積み重ねていくうちに、ある特定の気象条件のとき には、例えば薬害が、ある一部の地域では出てしまうとか、そういうことがあるわけで す。 そうすると、適用方法を正式のものにするときには変えざるを得ないというのがあっ たりするときに、もとの残留データ、全部破棄してしまって新しく追加するかというと きに、ごく一部、例外的に出る薬害であれば、そのほかの薬害が出ないような条件でや られたデータであれば使えると思いますので、そういったものをこういうデータに使っ ておられる。そういうことが一例です。それよりもっと複雑なことが、開発の段階で一 部起きているんだろうと思います。 ○佐々木委員 ほかの剤でも♯がすごく気になったんですが、例えば設定の濃度より2 倍の濃度でやられたデータを採用する場合は、残留値を単純に半分に見積もるとか、基 準値を設定するときにデータを工夫して生かすということは考えられてはいないんでし ょうか。 濃度が2倍でたまたまやってデータもあったと思いますが、あるいは収穫前日数が短 かったようなものに関して、そのデータは当然、短いものは高い値が出ていますが、そ の値を採用せずに、ほかの値を採用するとか、原則は一番高い値を採用していますけど、 そういったことは、基準値を考えるときに何か工夫はできないんでしょうか。 ○事務局 適用外使用につきましては一つ一つ作物ごとに、何でこうなったかという理 由と、適切にかけてもばらつきがあるものがあって、何でこういうばらつきが出たかと いうものがありますので、一つ一つ理由を確認して、適用外使用をすべて認めるわけで はなくて、これはいくらなんでもというのもありますし、その中でも最大値で、これは 本当にとれるものか、こっちの方がいいんだというのももちろんありますので、そのこ とは一つ一つ個別で確認しています。 濃度が2倍になったから2分の1とかの方法ですと、一つのルールになってしまいま すが、そうではなくて、それぞれについての条件なり、背景なりを確認しながら、基準 値の参考にしているところでございます。 ○大野部会長 本来は使用方法に基づいて試験をして、残留値をはかって設定するとい う原則なので、そういうことが余りないように、使用方法に基づいてやるように指導し ていただければありがたいんですが。 ○事務局 この部分につきましては、以前の部会でもお話し申し上げましたけれども、 17年に農水省からメーカーの方に、作残試験の適正化ということでご指導いただいてい ると聞いています。いままで集積したものがありますが、今後新しく試験がなされるも のにつきましては、その辺も加味した形で試験をされると聞いてございます。 ○大野部会長 今回のはTMDI、EDIもそうですが、ADIに対する比率がそれほど高く ないので問題にならないかなと思いますが、わからないことも出てくるかもしれません ので、なるべくそういうふうにして、適切な試験に基づいたことをやっていただければ ありがたいです。 ほかにコメントございますでしょうか。 ○佐々木委員 細かいことですが、46ページのTMDIの高齢者のところに、ほかの剤 では畜水産物の摂取量のデータがないのでと書かれていたような気がしたんですけれど も、肉類一つだけですが、記載はここでは必要ないんでしょうか。 ○事務局 ほかのものに準じて記載するようにします。つけ加えます。 ○佐々木委員 値には関係しませんけど。 ○事務局 注意書きということで。ありがとうございます。 ○大野部会長 ほかにございますでしょうか。 ○山添委員 作残試験のところで、E体とZ体を区別して結果が示されているんですが、 作物によって、E体の方が高い場合と、Z体の方が高い場合があるんですね。これはど ういうふうに理解をすればいいんでしょうか。例えば加藤委員、何か。 ○加藤委員 最初に見たときに疑問を持ちまして、よくよく考えたら、ぶどうでいきま すと、E体とZ体は同じ時点の数字じゃないんですよ、大部分のところは。例えば1日 から7日後の最大残留量は何とかであったという格好で書いてありますので、E体とZ 体の比率は、ある特定の時期で、同じ作物で見ますと一定の傾向にあるんですが、ここ で出る数値は、反対の傾向が出ていたりするような表現になってしまっています。 ○山添委員 わかりました。どうもありがとうございました。 ○大野部会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。よろしいでし ょうか。  ご意見ないようでしたら、この報告案をもちまして当部会の報告ということにさせて いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。  では、次にフルフェノクスロンについてお願いいたします。 ○事務局 資料3-1から、フルフェノクスロンにつきましてご説明申し上げます。 4ページ、この農薬につきましての審議の経緯が書いてございます。 これは古い農薬でございまして、平成5年に初回農薬登録がなされてございます。最 近では16年に農水省から厚労省に、適用拡大に伴う基準策定の依頼がございましたの で、当方から食品安全委員会に健康影響評価を依頼したものでございます。  途中、ポジティブリスト制度の導入ということで、いわゆる暫定基準の告示がござい ました。また、追加適用拡大申請もその間ございまして、審議を進めていただきまして、 今般、食品安全委員会から評価書が届いたものでございます。  これを踏まえまして、適用拡大部分の基準値の設定、また、ポジティブリスト制度導 入時に暫定基準を置いてございますので、その部分の検討ということでございます。  資料の31ページから総合評価がございます。  この薬剤につきましては、ラットとイヌにつきまして動物体内運命試験が行われてご ざいます。排泄経路は尿及び糞ということでございます。植物体内運命試験ということ で、はくさい、トマト等ということで、代謝物は認められなかったということでござい ます。土壌中の運命試験、加水分解、光分解、土壌残留が確認されてございます。  32ページから毒性試験の結果が記載されてございます。  急性毒性につきましては、ラット、マウス、イヌについて確認されてございます。亜 急性につきましてはラット、マウスで確認されてございまして、神経毒性はなかったと いうことでございます。慢性毒性はラットとイヌで行われてございます。発がん試験に つきまして、マウスとラットで行われてございます。マウスの発がん試験で肝細胞がん、 血管系の腫瘍の増加が認められたということでございますが、肝細胞がんにつきまして は、対照群との間に有意差は認められなかったということでございます。これは肝細胞 がんと腺腫との発生の合計ということで、対照群との間に有意差はなかったということ。 肝・複製DNA合成試験が陰性であったということと、発現の頻度が、バックグラウン ドのデータの範囲内であったということ。対照群の発現率がバックグラウンドの範囲を 下回ったことから、この発がん試験で見られた肝細胞がんにつきましては、この剤の投 与によるものではないと考えられてございます。  血管系の腫瘍の増加につきましても、マウスの背景病変の一つということで結論づけ られてございます。いずれもこの剤の投与の影響ではないと考えられてございまして、 発がん性はないものと評価されてございます。また、ラットにつきましては発がんがな かったということでございます。  繁殖毒性試験につきましては、ラットについて確認されてございまして、繁殖への影 響はないということでございます。発生毒性試験につきましてもラット、ウサギで確認 されてございまして、 催奇形性は認められなかったということでございます。  遺伝毒性につきましては各種試験が行われてございますが、チャイニーズハムスター の卵巣培養細胞を用いた染色体異常試験で陽性が認められてございますが、ほかの試験 がすべて陰性だったということでございまして、特段問題になるような遺伝毒性はない ものと結論づけられてございます。  毒性評価の一覧表が33ページから表にまとめられてございます。  今回はイヌの1年間慢性毒性試験、一番下でございますが、雌の3.7mg/kg体重/日と いう値をADIの設定根拠としてございます。  34ページですが、安全係数100をとって、ADI 0.037mg/kg体重/日という値をADI として評価して設定してございます。これを踏まえまして当方で、基準値案の部会の報 告書ということで、51ページから作成させていただきました。  品名はフルフェノクスロンでございます。用途は殺虫剤でございます。昆虫の体内に 取り込まれますと、キチン質の合成が阻害されるということで、幼虫時の脱皮に影響す るということでございます。化学名、構造式は記載のとおりでございます。  適用病害虫の範囲、使用方法につきましては、次のページから表になってございます。  今回、適用拡大の申請がなされたものにつきましては四角囲みで示してございます。 大豆、えんどう、ししとうということで、56ページの最後に三つ並んで書いてございま す。  これらについて作残試験の結果が、56ページから文章で出てございますが、68ペー ジから表で記載されてございます。この作残データに基づきまして基準値案ということ で、72ページから示してございます。  この剤も、ポジティブリスト制度導入時にいわゆる暫定基準を置いてございますので、 そのものにつきましては網がけをしてございます。  この中で、0.02 ppmと置いてあるところがございます。これらにつきましては本来 一律基準0.01ppmで規制すべきところ分析上の観点から、ポジティブリスト制度で基準 を置く際には、一律基準まで分析ができないだろうということで、当時の定量限界値で ある0.02 ppmという値を置いたものでございます。  今回、分析法で一律基準0.01 ppmまで分析可能ということが確認されましたので、 一律基準で規制できるということで、今回、適用拡大等がないものにつきましては基準 を落として、一律基準の適用ということで規制したいと考えてございます。  米とか小麦とか、0.02 ppmと現行の基準ございますが、これらにつきましては、こ の基準案が通れば一律基準ということで規制されるということでございます。大豆のよ うに、登録の有無のところで「申」と書いてあるところは今回、登録申請があったとこ ろでございます。  ○印につきましては従前から登録があったものでございますが、新たなデータ等が出 たものにつきましては、そのデータを踏まえて基準を見直してございます。  66ページでございます。7番、ADIにつきましては、先ほどの食品安全委員会の評価 のとおりということで、0.037mg/kg体重/日ということでございます。  諸外国の状況でございますが、国際基準はまだ設定されていないということでござい ます。  米国、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージーランドについて調査したところ、 米国について、りんご、なしに基準が設定されているということでございます。  規制の基準としましては、フルフェノクスロン本体ということで規制をすることにし てございます。  基準値案は先ほどの表のとおりでございまして、次のパラグラフにつきましては先ほ ど申し上げたとおり、ポジティブリスト制度導入時に、本来、一律基準で設定するとこ ろを、分析表の観点から、0.02 ppmを置いたものにつきましては今回、一律基準で規 制する方向で設定し直した旨記載しています。  暴露評価につきましては、資料の75ページからの表でございます。TMDIで試算し てございます。76ページに書いてございますが、ADI比で国民平均で42.8%、高齢者 の方で46.8%、妊婦の方で33.4%、幼少児の方で77.6%ということで、TMDI試算で もADI比が80%を超えていないということでございますので、この基準値案を提案し たいと考えてございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。今のご説明に対して質問、コメントございます でしょうか。 ○佐々木委員 小さなことですが、72ページの表の下の方に「サラダ菜」の文字が抜け ていますので、修正が必要だと思います。 ○事務局 作物残留試験のところですね。これはきれいにします。 ○佐々木委員 もう一つ伺いたいんですが、作物残留試験の値をピックアップするとき に、検出限界以下という記載は0とカウントして、数字がある中で一番大きい値をとっ ていらっしゃるんでしょうか。 例えば73ページの真ん中辺にメロン類果実というのがあるんですが、そこに0.002 が二つ書いてあるんですが、もとのデータではたぶん0.005以下というデータも並んで いたんですけれども、分析機関によって検出限界が違う場合、どちらをとる原則にされ ているんでしょうか。 ○大野部会長 メロン類果実のところが、あるデータでは0.005だったと。 ○佐々木委員 以下というのがあります。0.005以下はどこまで低いかはわからないし、 もしかすると0.004かもしれない。例えば検出限界がひどく違うデータが並んでいた場 合に、それをどういうふうに扱うかということですが。 ○事務局 分析は2カ所で、公的機関とメーカーの試験でやるということですが、今回 につきましては、先生おっしゃったように検出限界が0.005ppm以下の機関と、 0.002ppmという低い値がありましたので、今回それを採用させていただいたというこ とでございます。 特にこっちを使う、こっちを使わないということではなくて、それぞれのデータごと で見ています。 ○大野部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○加藤委員 単純な数字のミスのところです。59ページのだいこんの根の方、「散布後 14〜30日の」と書いてあるので、下の葉っぱの方と同じ13〜30だったと思います。 62ページの大豆の下の方、「4,000倍希釈液計1回散布」になっていますが、ここは 「計2回散布」だったと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに。 私の方から聞きたいことがあるんですが、この薬物は比較的半減期が長いですよね。 こういうものについて蓄積性試験はやらないんですか。蓄積性試験のデータが載ってな いので。要求しないんですか。 最初に登録したのは93年ということなので、そのころには要求していなかったのか なと。イヌでの半減期が随分長かったと思うんですけど。 ○農林水産省 魚への濃縮試験ですよね。 ○大野部会長 イヌでの半減期が長かったので。投与した後の半減期が1カ月ぐらいで、 資料の10ページ、人間の体で蓄積してくることをチェックしないのかなと。人間はも ちろん実験できませんが、半減期が長いものについて、どのくらいたまってくるのか。 ○加藤委員 通常の場合、ラットの代謝試験で、血漿中濃度の半減期が長い場合には、 ホットな反復投与をやることになっているんですね。それに相当するのは9ページの低 用量の反復投与試験だと思うんですが。 低用量28回反復しての試験で、今、農薬の方で求めている、先生がおっしゃった蓄 積性試験に相当するもの、これが試験であろうと思います。そのほか土壌中での半減期 が長いものも、蓄積するものがありますが。 ○大野部会長 わかりました。ほかにございますか。よろしいですか。 特にご意見がなければ、本報告案をもちまして今回の報告とさせていただきたいと思 いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。そのようにさせていただきま す。 次はジノテフランの審議に入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 ジノテフランにつきましてご説明申し上げます。  資料4-1の5ページ、この剤につきましては一度この部会でもご審議いただきまして、 昨年の7月に一度基準値を告示したものでございます。平成14年に初回の農薬登録が ございまして、16年に適用拡大に伴う基準設定の依頼がございまして、一度、食品安全 委員会に健康影響評価を依頼して、17年6月に1度目の食品健康影響評価の結果が当方 に参りまして、部会では17年9月、11月に審議をいただいたものでございます。18年 2月に分科会で承認いただきまして、昨年7月に基準値の告示をしてございます。その 後またすぐに、適用拡大に伴う基準値策定の依頼が当方にございまして、再度、食品安 全委員会の方に食品健康影響評価の依頼をしていたものでございます。  さらに動物用医薬品としましても、承認にかかる食品健康影響評価の依頼の要請がご ざいまして、農薬の部分と動物用医薬品の部分と合わせて安全委員会の方で評価をいた だいたということでございます。  毒性評価につきましては、従来のものと変わっていないようですが、この資料の69 ページから、「ジノテフランを有効成分とする動物体に直接適用しない動物用殺虫剤の食 品健康影響評価について」ということで、動物用医薬品としての、食品安全委員会の評 価書でございます。  71ページからですが、ジノテフランにつきまして、これは殺虫剤でございますが、国 内では動物用医薬品としての使用はないが、殺虫剤として農薬の登録がなされていると いうことでございます。海外では動物用医薬品として、米国でネコ用のスポットオン剤 が使用されている。農薬としては、これは広く使われているということでございます。  今回、薬剤の名称でございますが、フラッシュベイト、エコスピードということで同 一製剤ということで、製造内容は次のとおりということで、主剤はジノテフラン、効能 は畜舎またはニワトリ舎の、また、その周辺のハエの成虫の駆除でございます。動物の 周辺環境のために使用するということでございます。  用法・用量は書いてあるとおりでございますが、畜舎内またはその周辺で、ハエの成 虫の発生、棲息する場所に塗布したり噴霧するということでございます。動物に直接か けるものではないということでございます。  その他のところの情報といたしまして、乳化を目的として界面活性剤が使用されてい ますけれども、これらにつきましては外国政府機関、国際評価機関で評価されているも の、また、既に洗剤として使用されているものであるということでございます。  その他、これらのものが使用されていますが、いずれにしても食品添加物とか薬品の 添加物としても既存で使用されているものということでございます。  安全性についての知見でございますが、農薬としての使用実績が既にあるということ でございます。  海外での使用状況でございます。国際機関では評価は行われていませんけれども、 EPAでcRfDが0.02mg/kg体重/日という値である。また、農薬の評価に関しまして、食 品安全委員会におきまして0.02mg/kg体重/日というADIがすでに設定されたということ でございます。  これらの既存の知見がある中でございますが、今回、農薬の適用拡大と、動物用医薬 品としての剤にかかわる承認申請に関して評価をいただいているということでございま すが、その評価は次のページでございます。  本剤のADIとしましては、農薬の評価と同様、ADIとして0.02mg/kg体重/日という のが適当かどうかということでございます。  動物用医薬品として見た場合、先ほど申しましたように、この剤自体は動物へ直接噴 霧するものではございませんで、畜舎またニワトリ舎及びその周辺の壁の柱に塗ったり、 噴霧してハエを退治するものでございますので、動物体に直接適用しないということが まず1点。  また、畜舎等に噴霧したときに動物体の中に入るんじゃないかという部分でございま すが、非常に揮発性が低いということでございます。動物が吸入して体内暴露するとい うことは考えづらいということでございます。  最悪のケースといたしまして、噴霧された薬剤の5倍量が直接、ニワトリとか牛に噴 霧された場合を想定した試験でも、血液、卵、乳、いずれからもジノテフランは検出さ れていないということが確認されているということでございます。  こういうことから、動物用医薬品として適切に使用される限りにおきましては、この 成分が食品を通じて、人の健康に影響を与える可能性は無視できるということです。動 物用医薬品としましては、使用の用法・用量を加味した上で、こういう評価がこれまで の評価と併せてなされているということでございます。  食品安全委員会の農薬の評価、動物用医薬品の評価を踏まえまして、部会の報告書案 ということでまとめたものが資料4-2でございます。品目名につきましてはジノテフラ ンでございます。用途は殺虫剤でございます。化学名、構造式につきましては記載のと おりでございます。  2ページからですが、適用病害虫の範囲、使用方法ということで、今回、適用拡大に なった部分につきましては、作物名、使用方法につきまして四角囲みしてございます。 稲のところでございます。300倍、25L /10aというところでございますが、そこは新し い使用方法として適用拡大されている。  8ページ、9ページに、チンゲンサイ、こまつな等、かぶ、にんじん、とうがらし、 さやえんどうに四角囲みがございますが、こういったものが今回、適用拡大の対象にな っているということでございます。  18ページから、作物残留試験の結果ということで記載させていただいています。  今回、報告書につきましては、従前から基準が既に定まっているものにつきましても 記載してございまして、作物残留試験の結果のところで下線を引いてある部分がござい ますが、この部分が今回新たに加わったところでございます。作物残留、既存の登録の あるものについて、使用方法が変わった部分で新たに残留試験が加わったもの、稲とか がそうですが、作物そのものが加わったものということで記載しているものもございま す。  これらの作残試験の結果をまとめたものが35ページからの表でございます。今回新 たになっている部分、先ほどの下線の部分でございますが、網がけで色づけをさせてい ただいている部分でございます。  この剤につきましても、先ほどの剤と同じように、適用外使用ということで♯マーク のついている部分が多いものでございます。これらにつきましては一つ一つ確認をして、 加藤委員にも見ていただきながら、残留値の検討を行わせていただきました。その結果 が43ページからのものでございまして、基準値案ということで挙げてございます。登 録の有無のところに書いてございますが、そこが今回申請があったものでございます。  これらにつきましても、例えば米につきましては、先ほどの使用方法が変わったとい う部分がございますので、新しい使用方法に基づいて作残試験の結果を加味した場合に 基準値を、これは上方修正してございますが、1ppmから2ppmに修正したものもござ います。  いままで申請があって、ほかにも、新しい知見で基準が上方修正になったものがござ います。例えばかぶの根は0.2ppmから0.5ppmと上がってございますし、しゅんぎく についても5ppmから20ppmと上方に修正されてございます。  これらの基準値案に基づきまして暴露評価ということでございますが、45ページから の表でございます。TMDI試算で行ってございます。  46ページの下の方にADI比で、国民平均が12.9%、高齢者の方が13.9%、妊婦の方 が10.3%、幼小児の方で23.4%ということで、いずれも80%を下回っているというこ とでございます。  事務局といたしましては、この基準値案で提案したいと考えてございます。ほかの部 分につきましては、従前の報告書を踏襲した形で作成してございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。今回、加藤委員にチェックしていただいたとい うことでございます。  今のご説明についての質問、コメントはございますでしょうか。 ○斉藤委員 19ページに書いてございます分析法の概要のところで、「高速液体クロマ トグラフィーを用いて定量」となっているんですが、検出器の記載がないんですが、液 体クロマトグラフィーのUVとか質量分析器とか蛍光とかいろいろあるかと思いますが、 ほかの農薬はすべて書いてあるんですが、これだけ書いてないので。 ○事務局 確認します。 ○斉藤委員 仮にUVであったとしてですが、今回の報告書は比較的UVを使われてい るのが多いんですが、報告書に、UV検出器と紫外分光光度型検出器とか、表記が違う のが混在していますので、統一された方がよろしいかなと思います。 ○事務局 改めさせていただきます。 ○大野部会長 よろしくお願いします。検出器の方見つかったら教えてください。 ほかにご意見ございますでしょうか。 ○尾崎委員 今回の事務局案ではなくて、前の評価書に関してのコメントはこの場でも よろしいんでしょうか。 ○大野部会長 いただいたご意見、食品安全委員会に伝えた方がいいことがあれば伝え させていただくことになると思います。 ○尾崎委員 7番、開発の経緯の2行目から、普通は「作用機序について」という記載 がここから始まると思うんですが、この2行にわたる記載が何を言いたいのかわからな い。非常に単純に「作用機序はニコチン性アセチルコリンレセプターに対する刺激作用 による」と1行で書けばよろしいと思うんですが。ちょっと気になったものですから。 ○大野部会長 私も読んで、おかしいなと。親和性がないのに、なぜアゴニスト作用が 緩和するんだということで、変だなと思いますが、どうしましょうかね。 ○事務局 当部会の方で委員の先生からそういうご意見があったということはお伝えし たいと思います。 ○大野部会長 もとの報告を確認できなかったので何も言えなかったんですけど、そう いうご意見があったということを伝えてくださるようお願いします。 ○事務局 先ほどの分析のところですが、確認しましたところUV定量ということです ので、記載ぶりは斉藤委員ご指摘のようにどちらかに統一する形で表記させていただき たいと思います。 ○大野部会長 よろしくお願いします。ほかにご意見ございますでしょうか。 ○佐々木委員 45ページの表の上に「高齢者」という字が抜けています。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。よろしいですか。 ほかにご意見がなければ、この報告案をもって本委員会の報告とさせていただきたい と思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。そのようにさせていただ きます。 ○大野部会長 次の議題、ジフロキサシンについてのご説明をお願いいたします。 ○事務局 動物用医薬品ジフロキサシンの説明をさせていただきます。  資料5-1が、食品安全委員会から当大臣あてに、17年8月25日付、ジフロキサシン のADIでございますが、0.0013mg/kg体重/日ということで通知がなされているものでご ざいます。  1ページめくっていただきますと、食品健康影響評価の概要となっております。  (2)の効能・効果といたしましては、ジフロキサシンがニューキノロン剤に属するもの であるということ、また、グラム陰性菌に加えて、多くのグラム陽性菌に対しても有効 であるということが記載されております。  また、通常使用される形態につきましては塩酸塩の形で使用されているものでござい まして、国内では豚の細菌性の肺炎というものを対象に使用されております。欧州にお きましては食用動物全般に対しての使用が認められている状況でございます。  食品健康影響評価の取りまとめでございます。  23ページの3、「食品健康影響評価について」でございます。本剤はニューキノロン 剤でございまして、関節影響に関する知見が記載されております。キノロン剤は、未熟 な動物における関節痛とか関節膨張等の、いわゆる関節障害を引き起こすことが知られ ております。このため、本剤につきましてもビーグル犬を用いて実験がなされておりま して、最も低い用量の影響は、NOAELとして1.0mg/kg体重/日が求められているもので ございます。こちらが毒性学的影響で最も低い値という形になっております。  24ページは繁殖毒性及び催奇形性が記載されております。これについては催奇形性は 認められなかったということが記載されております。  次の段落でございますが、遺伝毒性、発がん性についてでございます。遺伝毒性試験 につきましては、in vitroにおきまして染色体異常試験とか、哺乳類培養細胞を用いま した前進突然変異試験で、いずれも代謝活性系の有無にかかわらず陰性を示しておりま す。  また、UDS試験におきましては101μg/Ml以上の用量で陽性の所見が認められてお ります。  しかしながら、ジフロキサシンの代謝物でありますサラフロキサシンという物質があ りますが、こちらでも陽性所見が得られているということ、また、代謝物であるサラフ ロキサシンにつきましては、in vivoまたはin vitroのラットの肝細胞におけるUDS試 験で陰性であるということから、in vitroで認められた遺伝毒性がin vivoで発現する可 能性は低いとまとめられております。  マウスにおける2年間の発がん試験、ラットにおける2年間慢性毒性/発がん試験併合 試験でございます。このいずれにおきましてもがん原性は認められなかったということ でございまして、生体において問題となる遺伝毒性発がん性を示さないものと評価され ているところでございます。  本剤につきましては抗菌性物質ということでございまして、24ページの一番下の段落 でございますが、微生物学的影響のエンドポイントというものが求められております。  25ページの「一日摂取許容量(ADI)の設定について」の上、5行目でございますが、 Peptostreptococcus、8菌株でございます。この8菌株におけますMIC50の0.5μg/mL  というものが微生物学的影響としては最も低い、そして評価は可能な値という形にな っております。これらの毒性学的影響、微生物学的な影響を踏まえて、25ページの最後 の段落でございますが、ADIの設定についてということで評価がなされております。  第1段落といたしましては、遺伝毒性、発がん性を示さないと考えられておりますの でADIを設定することは可能であると考えられていること。そして、毒性学的影響にお きましては若齢犬、ビーグルでございますが、これで認められました関節影響、NOAEL1 mg/kg体重/日というものが毒性学的影響度が一番低く、こちらからADIを算出する場合 には0.01mg/kg体重/日となることが記載されております。  しかしながら、微生物学的影響を勘案した場合には、先ほどもご説明しました Peptostreptococcusというものの菌種における影響量というものを勘案してADIを算 出いたしますと、下の計算式にございますとおり0.0013mg/kg体重/日という計算が得ら れております。  微生物学的影響と毒性学的影響を比較した場合には、微生物学的影響の方が低いとい う結論が得られておりますので、微生物学的影響を参照いたしまして、食品健康影響評 価につきましてはADIを0.0013mg/kg体重/日という形で設定しているものでございま す。  続きまして、本部会の報告書でございます。31ページからの資料5-2となっておりま す。  1ページ目といたしましては、ジフロキサシンの概要が記載されております。これは 先ほど来ご説明申し上げているとおりでございます。  次のページをおめくりいただきますと、(5)といたしまして、適用方法及び用量が記載 されております。本剤につきましては一日1回、体重1kg当たりジフロキサシンとしま して2.5〜5mgを飲水に溶かしまして3日間経口投与するものでございます。休薬期間 は7日間とされております。  2番といたしまして、対象動物における分布、代謝ということが記載されております。 この試験の段落の末尾でございますが、ジフロキサシンが生体内に入った場合にはN− 脱メチル化体というものが生成されるわけでございますが、これがジフロキサシンの親 化合物というものに対する残留の比率につきましては5.4%であったということが報告 されているところでございます。  3番といたしまして、対象動物における残留試験の結果でございます。分析の概要に つきましては、1番といたしまして、対象化合物はジフロキサシンでございます。2番 の分析法の概要は、蛍光検出器を用いました高速液体クロマトグラフィーで分析がなさ れております。  33ページから、具体的な組織における残留が記載されております。(2)は、豚にジフ ロキサシンといたしまして5mgを体重当たりに投与いたしまして、その残留量を経過日 数とともに確認しているものでございます。  この表にございますとおりに、筋肉、肝臓、腎臓、脂肪、小腸、肺につきまして残留 量の確認がなされております。試験日につきましては、投与後日数といたしまして1、3、 5、7というものが記載されております。  本剤につきましては、豚に対しては休薬日数は7日となっておりますので、試験日の 欄につきましては7日をごらんいただきますと、いずれも常用量では定量限界以下に、 下がっているということがご確認いただけると思います。  4番につきましては、許容一日摂取量ADIの評価でございますので、先ほど来ご説明 申し上げているとおりでございます。  34ページの5番、諸外国における使用状況につきましては、表に書いてございますと おりに、EUにおきまして牛、豚、家禽、養殖水産動物に使用が認められて、残留基準 が設定されております。国際専門家会議でございますJECFAにおきましては評価がな されておりません。  休薬期間を取りまとめますと、牛、豚、家禽がございまして、牛についてはEUで46 日、豚については、先ほどご説明しましたが、日本では7日、家禽類につきましては、 EUにおきまして24時間というものがございます。  6番といたしまして、残留基準値の案でございます。残留の規制対象はジフロキサシ ンでございます。  (2)といたしまして基準値の案でございます。基準値につきましては、この文書にござ いますとおりに、牛、その他の陸棲哺乳類、ニワトリ、その他の家禽、魚介類に関しま しては残留試験データが今回提出されておりません。このため、適正な残留量が確認で きないということがございまして、これらの基準値につきましては設定しないとする方 向で検討いたしております。  詳細にご説明申し上げますと、牛につきましては、5番の休薬期間の表で、EUにつ いて46日というものが設定されております。しかしながら、EUにおきましてはごく一 部の国のみ使用されているということでございまして、今後、使用が拡大することは想 定されていないということ。  また、若干内容が異なりますが、EUから日本に対しては現在、牛肉、いわゆる牛由 来製品につきましては、BSEの観点から輸入もできない状況がございます。  豚については、EUについてMRL残留基準が設定されているところでございますが、 EU域内においては使用の承認がなされておりません。これはEUの域内に輸入される 豚肉を対象に規制をかける観点から設定されている基準でございまして、実際のところ はEUの中では使われていないものでございます。  もう一つ、家禽類でございます。家禽につきましては、EUに24時間というものがご ざいます。これについてはEUの中で使用は認められております。しかしながら、EU におきましては、本剤はニューキノロン剤であるということも勘案いたしまして、使用 実態が全くないということ、そしてまた、これに伴いまして残留性のデータも全く提供 されないということがございまして、今般、34ページの6の(2)に書いてございますよ うな内容で基準値を設定したいというものでございます。  具体的には36ページをごらんいただければと思います。今ご説明申し上げた内容を、 別紙1にございますジフロキサシンの残留基準値の一覧表に取りまとめますと、このよ うな形となります。  牛については残留性試験の成績が確認できないということをもちまして、今般、基準 値案としては削除したいと考えているところでございます。豚につきましては今般、農 林水産省等より情報が提供されておりまして、そのデータに基づきまして0.02 ppmと いう数字を設定したいと考えております。  一方、筋肉(その他の陸棲哺乳類)、筋肉(ニワトリ)、筋肉(その他の家禽)、魚介類につ きましては、従来はポジティブリスト制度を導入する際に基準値を設定しておりました が、先ほど来説明しております理由に基づきまして、これらの基準については削除した いというのが事務局からの提案でございます。  35ページに暴露評価がございます。今般設定いたします基準値の案に基づいて暴露評 価でTMDI試算でございますが、ADI比では国民平均で1.05%、小児で0.37%、妊婦 で1.11%、高齢者1.03%でございます。  以上が本案につきましてのご説明でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまのご説明に対する質問、コメントは ございますでしょうか。いかがでしょうか。 ○佐々木委員 37ページの表ですが、高齢者と国民平均で、肝臓や腎臓の値が違うよう ですが、それはなぜでしょうか。 ○事務局 こちらにつきましては転記ミスでございますので修正させていただこうと思 います。 ○大野部会長 ちょっとわからなかったんですが、どこですか。 ○事務局 37ページで、肝臓と腎臓という部分がございまして、こちらの値が違ってい ると。国民平均と高齢者の部分が同じになっていないとおかしいわけでございまして、 肝臓が、例えば国民平均が0.0034μg/人/日であれば、高齢者が0.00255μg/人/日になっ ている点が間違っておりますので、ここは国民平均の数字と同じになりますということ で、修正をしたいというものでございます。 ○大野部会長 よろしくお願いします。ほかにございますでしょうか。 ○尾崎委員 この表で、妊婦のTMDIが0μg/人/日、0μg/人/日、0μg/人/日となって いるんですが、数値の扱い方がわからないので質問なんですが、生活感から言うと、妊 婦はレバーなんかをたくさんとってもいいように思いますが。 ○大野部会長 そうですね。いかがでしょうか、この値は。 ○吉池委員 今、手元にデータがないのですが、豚の肝臓については非常に摂取頻度が 低いものでありまして、国民健康栄養調査の中での妊婦の人数は極めて限られておりま して、そこでの頻度として、たまたま観察された人数の中で0であると。0という数字 しか取り出せませんので、結果的に平均摂取量が0となっているんだろうと思います。 ○大野部会長 そういうふうに計測しているわけですか。 ○吉池委員 データがありませんので、おそらくニワトリのレバーについては多少頻度 があるだろうと思いますが、豚については摂取者がいなかったということで、外挿する ということは考えられなくはありませんが、通常と同じやり方を考えると、このような 結果になると。 ○事務局 ありがとうございます。今ご説明していただいたとおりでございまして、後 ろに参考資料で摂食量のデータがついております。こちらの3ページをごらんいただき ますと、牛、豚という非常にカテゴリーの広い範囲で取りまとめた場合には、妊婦の場 合には0.8という数字がはまっておりますが、個別の畜種に拡大をして細かく見た場合 について該当がなかったということで、今般は0μg/人/日という形にさせてもらってい るところでございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。 ○志賀委員 いま、たまたまご説明いただいたので目に入ったんですが、参考資料の3 ページの表、「牛、豚、羊、馬、山羊、その他の内蔵」は「内臓」ですね。 ○大野部会長 修正をお願いします。ほかにございますでしょうか。 特になければ、この答申案をもって、本会の答申とさせていただきたいと思いますが、 よろしいでしょうか。それではそのようにさせていただきます。ありがとうございまし た。 次にドラメクチンについての説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして資料6-1、動物用医薬品のドラメクチンについてご説明をいたし ます。 1ページ目が、食品安全委員会から当大臣あてに通知をいただいておりますドラメク チンの食品健康影響評価の結果でございます。結論といたしましては、ADIといたしま して0.001mg/kg体重/日と設定されているところでございます。 5ページ目に審議の経過が記されております。本剤につきましては平成17年3月11 日、農林水産大臣から食品健康影響評価が求められているものでございます。また、厚 生労働大臣からは平成17年9月13日、食品健康影響評価を求めたものでございます。 結果につきましては平成18年6月8日、同大臣あてに通知がなされているものでござ います。 具体的な評価書の概要でございます。6ページ目に評価の概要が記載されております。 1番に書いてございますとおり、本剤につきましては、当初の承認から一定の期間、 これは6年でございますが、これが経過したために再審査が行われまして、食品安全委 員会で評価が行われたものでございます。主剤はドラメクチン、(2)にございますとおり、 効能・効果につきましては、内部寄生虫、外部寄生虫の駆除となっております。  2番といたしましては、再審査における安全性に関する知見等というものがございま す。 (1)ヒトに対する安全性につきましては、国内では豚、牛の駆虫剤として使用されて いるものでございまして、諸外国でも同様の目的で使用がなされております。評価につ きましてはJECFA、米国のFDA、ヨーロッパのEMEA、このような機関でADIが設 定されておりますが、過去、日本においてADIの設定はなされておりません。  (2)といたしまして、安全性に関する研究報告でございます。当初の承認から、調査期 間中のメドライン等を含むデータベースを調べた結果でございますが、安全性を懸念さ せる研究報告が得られなかったものでございます。  (3)といたしましては、承認後の副作用についての報告があるかないかというものでご ざいます。豚につきましては約12,000頭につきまして調査が行われております。牛に つきましては約550頭前後の調査が実施されております。承認時には把握されていなか った新たな副作用が認められなかったというものでございます。  3番といたしまして、再審査にかかる評価でございます。従来、国際機関においては 評価がなされておりましたが、わが国においてはADIの評価がなかったものでございま して、今般、再審査に合わせて評価がなされた結果としましては、ドラメクチンとして 0.001mg/kg体重/日というADIが設定されているところでございます。  この評価書の具体的な内容につきましては9ページ以降に記載がなされております。  1の(2)効能・効果といたしまして、ドラメクチンにつきましてはStreptomyces avermitilisと、特定の株が産生するアベルメクチン類に属する化合物がございます。動 物用の内寄生虫の駆除剤として使用されているものでございます。作用機作につきまし ては、膜貫通性のグルタミン酸開口型Cl-イオンチャネルに作用いたしまして、Cl-イオ ンの膜透過性を増加させ、これによって神経細胞や筋肉細胞の膜を過分極させるもので ございます。  健康影響評価の具体的な中身につきましては22ページをごらんください。こちらに 概要が取りまとめられております。  3番といたしまして「食品健康影響評価について」でございます。  繁殖毒性、催奇形性でございます。こちらにつきましては、児動物につきまして体重 増加の抑制は認められたということが、下から2行目に書いてございます。ここから NOAELというものが0.3mg/kg体重/日で求められております。なお、マウス、ラット、 ウサギにつきまして催奇形性が認められなかったものでございます。  遺伝毒性/発がん性でございます。発がん性試験につきましては実施されておりません。 その理由につきましては、後段以降の段落に書かれておりますが、ドラメクチンにつき ましては、in vitroのAmes、マウスリンフォーマを用いた突然変異試験、不定期DNA 合成試験、in vivo におきます小核試験、いずれにおいても陰性であったというもので ございます。このため、遺伝毒性はないと考えられているところでございます。90日ま での亜急性毒性試験におきましても発がん性を疑わせる知見は得られなかったものでご ざいます。  類縁の化合物についての記載が以降ございまして、類縁の化合物でございますアベル メクチンというものがございますが、こちらも遺伝毒性は陰性であるということ、げっ 歯類を用いた2種の発がん性試験において発がん性は認められていないということ。ま た、アベルメクチン以外の類縁の化合物でございますイベルメクチンというものがござ いますが、こちらについては比較的長い臨床経験がございますが、使用に関連した副作 用が報告されていないというものでございます。  これらのことから、評価書におきましては、発がん性試験を欠いてもADIの設定は可 能であると評価がなされているところでございます。  次に毒性学的影響のエンドポイントでございます。2行目に書いてございますが、イ ヌの92日間の亜急性毒性試験におきます散瞳から、NOAELが0.1mg/kg体重/日という 形で求められております。本剤につきましては寄生虫駆除剤でございますので、抗菌性 物質ではないという観点から、微生物学的影響の報告は特段ございません。  22ページの最後の段落でございますが、ADIの設定についてという部分でございます。 23ページの段落の末尾をごらんいただければと思いますが、先ほどご説明しました毒性 学的影響の最も低い値を参考にして設定されておりますNOAEL0.1mg/kg体重/日から、 安全係数を100と設定いたしまして計算されておりますADI、こちらは0.001mg/kg体 重/日という数字となっております。  次に部会の報告案でございます。29ページから資料6-2として掲載してございます。  1番の概要といたしまして、品目名はドラメクチンである。2番は、先ほどもご説明 しましたが、外部寄生虫、内部寄生虫の駆除でございます。(3)といたしましては化学名、 30ページ、(4)といたしましては構造式が記載されております。  (5)には適用の方法及び用量が記載されております。ドラメクチンにつきましては(1)か ら(7)にございますとおりに、牛から始まりまして泌乳牛、豚、ヒツジ、シカ、トナカイ に使用が認められているものでございます。  2番の「対象動物における分布、代謝」につきまして、(1)としては、牛における分布、 代謝、(2)といたしましては、豚における分布、代謝試験の結果を記載してございます。  31ページの3が対象動物における残留試験結果でございます。  32ページの(1)といたしまして分析の概要がございます。分析の対象化合物につきま してはドラメクチンであるということ。(2)といたしまして分析法の概要、蛍光検出器付 の液体クロマトグラフを使用しているものでございます。(2)以降に、組織における残留 がございます。  以降、(1)から、牛の各組織における残留が記載されております。牛、豚、34ページか らはヒツジでございます。35ページからがシカでございます。こちらに各使用方法等に 基づいた残留性の試験結果と、各組織における残留量が取りまとめられております。36 ページには、泌乳牛にも使用されるということでございますので、(8)といたしまして、 所定量を処方した場合における、乳中への残留量が確認をされているものでございます。  37ページに4番といたしまして、ADIの評価がございます。これは先ほど評価書の 中で説明した内容と同一でございますので、説明は割愛をさせていただきます。  38ページで、5番といたしまして、諸外国における使用状況でございます。残留基準 につきましては、こちらに記載してございますとおり、米国、EU、豪州、カナダ、ニ ュージーランドを調査したところ、米国、EU、豪州及びニュージーランドにおいて、 牛、豚等に使用が認められているものでございます。また、JECFAにおいても評価が なされておりまして、1μg/kg体重/日が設定されております。  休薬期間について、各国で規定されているものを表に整理いたしますと、5番に書い てございます表のとおりとなります。横欄に家畜の種類、縦欄に薬剤の剤型の種類です。 まとめますと、このような表になるものでございます。  6番といたしまして基準値の案でございます。(1)としては、残留の規制対象はドラメ クチン、(2)としては基準値の案でございます。基準値の案の文章に書いてございますと おり、ニワトリその他の家禽、卵、魚介類、ハチミツにつきましては、諸外国において も使用が認められていないということ、残留試験成績も存在しないということでござい ますので、今般、残留基準を設定しないという形で考えているところでございます。  具体的な基準値の案につきましては40ページをごらんください。別紙1といたしま して、ドラメクチンの現行の基準、基準値の案をお示ししております。  まず牛でございますが、国際基準が設定されていることも考えまして、現行基準値の 案は国際基準に準じたものとなっております。牛の食用部分につきましては、*の3番 でお示ししているとおり、牛の肝臓を参考に、その他の食用部位を設定させていただい ております。  次に豚でございます。豚につきましてもコーデックスの基準が設定されているもので ございます。  ここで1点ご説明申し上げたいのは、豚の筋肉につきましては、コーデックスの基準 が0.005ppmという数字で設定されております。ポジティブリストを導入する際には、 コーデックスの基準があるものはコーデックスの基準を優先して採用するということか ら、0.005 ppmを、現在の基準の中でも設定しているところでございます。  しかしながら、0.005 ppmという数字は、他の臓器等と比較して非常に低いというこ とがございまして、今般、JECFA等で評価がなされた基データを改めて確認をさせて いただきました。  結論といたしましては、平均値±標準偏差が報告されておりますが、その値は4 ppb ±3 ppbということが報告されております。つまり0.005 ppmという数字自体が、そも そも維持が困難と考えられる残留基準ということでございます。  今般、私どもといたしましては、国際機関にも報告がなされております残留性試験の 成績を踏まえまして0.01ppmという数字を設定させていただきたいという提案でござ います。  一方の脂肪につきましては、これも国際基準に準拠したもの、肝臓、腎臓も準拠して おります。食用部分につきましては、豚の肝臓を参照に設定しているものでございます。  筋肉(その他の陸棲哺乳類)につきましては、先ほど使用対象の中にヒツジ、シカ、ト ナカイがあるということをご説明申し上げましたが、3種類の畜種の中で、シカのデー タを参照しております。シカのデータが最も残留性があると考えられる観点から用いて いるものでございます。  これに基づいて設定した結果といたしましては、筋肉が0.01 ppm、脂肪が0.02 ppm、 肝臓、腎臓も0.02 ppm、食用部分につきましては、肝臓、腎臓の値を参照いたしまし て0.02 ppmという数字を設定しております。乳につきましては、国際基準に準拠いた しております0.015 ppmを設定しているところでございます。ニワトリ以降の卵につき ましては使用が確認できないということと、当然ながら残留性の試験成績も確認されな いという観点から、ニワトリ以降につきましてハチミツまでは基準値の削除を提案して いるところでございます。  次に暴露量でございます。39ページでございます。(3)といたしましてTMDI評価を 行っております。国民平均につきましては19.9%、小児につきましては51.9%、妊婦に つきましては20.9%、高齢者につきまして19.6%という数字となっております。  以上が事務局からの報告でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。今の説明についてのコメント、ご意見お願い いたします。質問もお願いします。 ○尾崎委員 37ページのADIの評価に関してですが、イヌのデータから0.1mg/kgとい うことで出てきて計算される数字だと思いますが、このイヌというのはビーグル犬でし ょうか。 といいますのは、イベルメクチン類は、この後にディスカッションが書かれているん ですけれども、コリー種で非常に感受性が高いことがわかっていて、その原因が、その 後にあるようなp-糖たん白質の変異だという議論もあるところです。 文章では議論されているんですが、この問題について、この場で事務局の詳しい説明 を伺っておいたほうがよろしいのではないかと思います。 ○大野部会長 いかがでしょうか。イヌの種類ということですが。 ○事務局 食品健康影響評価の内容でございまして、当方が説明できるのは、どのよう に評価がなされたのかということしかご説明できないわけですが、お手持ちの資料の16 ページをごらんいただければと思います。 こちらにおきまして、イヌを用いました91、92日間亜急性毒性試験が報告されてお ります。この前段落におきまして初期の試験が実施され、後段落におきまして、散瞳に 対するNOAELが決定されなかったがために、再度ドーズを設定いたしまして、これに 基づいて試験がなされたというものでございます。対象のイヌの種類はビーグル犬が用 いられております。 ビーグル犬に対する試験の結果といたしましては、ドーズの0.3、この投与群の雌1 頭における軽度から中程度の散瞳があったということを論拠に、その下のドーズであり ます0.1をNOAELとして決定したということが記されているところでございます。 ○大野部会長 ビーグル犬を使ったということですけれども、p-糖たん白の変異によっ て感受性がかなり違うと。 ○事務局 もう1件、追加でご説明するのであれば、20ページをごらんいただければと 思います。ここには一般薬理試験といたしましての報告がございまして、こちらではコ リー犬が使われているということもございます。 ○大野部会長 この差というのはどのくらいあるんですかね。コリー犬と普通のイヌと の間の差ですね。 ○尾崎委員 これは全体の平均ということではなくて、SNIPsで決まってくるものです ので、非常に感受性の高いイヌがたまにいて中枢毒性を示すということが知られている わけです。 ○大野部会長 それが10倍程度なのか、もっと高くなっちゃうのか、どうなんですか ね。 ○尾崎委員 そこは知識がないんですけれども。 ○大野部会長 JECFAの方では、安全係数100を適用したADIは十分な安全域がある と判断しているということですね。JECFAの判断を信頼して、考えをここでも採用す るかどうかということになると思うんですが、いかがでしょうか。 ○山添委員 p-糖たん白、確かにいままで有名な話ですが、ヒトではあまり出ないんで すね。 p-糖たん白には、いわゆる遺伝子の変異は、たくさん、いろんな位置に起きていて、そ のことで一貫したデータは出ていないということもあるし、今回使っているのは残留性 の問題ですよね。それがどの程度のレベルまでいけばリスクが出るかどうかという議論 ですけれども、ここで残留のレベルで見て、本当に影響があるか考えにくいので、確か にMDRの ノックアウトマウスとか、特定のコリー種のサブコロニーでは確かに影響は出るけれど も、ヒトの集団においては、この使用レベルでは問題がないと判断していいんじゃない かと思います。 ○大野部会長 いかがでしょうか。今のご意見について。 ○斉藤委員 報告書の21ページのp-糖たん白の記述のところに、コリー犬の母集団の 中にはMDR1遺伝子の4塩基対の欠損があることが明らかにされているという記述も ありますので、山添先生のご報告のとおりでよろしかったような気がします。 ○大野部会長 ヒトに対してはあまり懸念することがないという判断でよろしいでしょ うか。 ○斉藤委員 コリー犬の場合は特殊遺伝子の欠損があるということで。 ○大野部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○佐々木委員 40ページのその他の哺乳類の基準値案ですが、筋肉と脂肪の基準値の差 が2倍しかないんですが、ほかの豚や牛では脂肪に蓄積性が高いので15倍の値がとら れていますが、これは特に問題にならないんでしょうか。脂肪の方がもう少し高くなく ても大丈夫かという意味ですが。 ○事務局 その他の陸棲哺乳類につきましてはシカのデータを使っているということを ご説明いたしました。シカのデータは42日という休薬期間に対しまして、21日までの データしかとられていないという状況でございます。他の陸棲哺乳類、牛等になると思 いますが、このような家畜等の減衰を見た場合に、さらに21日間という休薬期間を考 えた場合に、今般、0.02 ppmという数字で十分ではないかという考えに至っているわ けでございます。 ○加藤委員 今の件に関して、私も、この基準がどうしてこういう根拠で出てきたのか よくわからなかったので、補足で教えていただきたいんですが、シカの残留データをお 使いになっているということがありますが、休薬期間、シカについてはEUで42日、 ヒツジについては豪州で、これはオーラルで投与したものですが、14日、ニュージーラ ンド35日、ドーズの差は多少あるんですが、休薬期間を考えると、オーストラリアや ニュージーランドのデータの方が高い残留になるんじゃないかと想像するんですが、ニ ュージーランドやオーストラリアの残留データというのはなかったんでしょうか。 ○事務局 ご指摘の点はオーラルドレンチという種類の剤だと思います。これにつきま しては、確かに豪州とニュージーランドにつきましては登録がございまして、使える状 況にはあるわけですが、実際には全く使用されておりません。使用実態が確認できない ということでございます。ですので、参照すべきデータも存在しないということでござ いまして、今般、オーラルドレンチについては参考にしておりません。 ○加藤委員 わかりました。 ○佐々木委員 もう1点ですが、41ページのADI比ですが、四捨五入して示された方 がよろしいんじゃないでしょうか。ほかのに合わせて。 ○事務局 わかりました。他と横並びをとりたいと思います。ありがとうございます。 ○吉池委員 細かいことで恐縮ですが、29ページの(2)の用途のところで、最初のドラ メクチンはStreptomycesということですが、「算出」が間違っているようで、「産生」 ですね。 32ページ以降の表1からの数値のあらわし方と脚注ですが、脚注が、数値は平均値プ ラスマイナス標準偏差で示すとなっているんですが、そうじゃないあらわし方のパター ンが多くて、脚注と中身のあらわし方が少しすっきりしないような印象を受けます。 両括弧で書いてあるのはおそらくmだろうと思いますが、(3)とか(2)、この辺も脚注 を入れておかれた方が数値が読みやすいと思いますので、よろしくお願いしたいと思い ます。 ○事務局 ありがとうございます。書き方が違うのもありますね。 ○大野部会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。よろしいでし ょうか。 それでは、この報告案をもって、この会議の報告とさせていただきたいと思いますが、 よろしいでしょうか。では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。 次にアボパルシンについてのご説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして、動物用医薬品及び飼料添加物としても使われておりましたアボ パルシンにつきましてご説明申し上げます。資料7-1でございます。 1ページ目が、本年の3月23日に食品安全委員会より当大臣あてに通知がなされてお ります、食品健康影響評価に関する通知でございます。  本ペーパーにつきましては、「記」以降に書いてございますとおりに、まずアボパルシ ンという物質につきましては、部会報告案の中でも説明いたしますが、国内、主要国に つきまして、製造、販売、使用につきまして、その実態が全く確認できない物質でござ います。  通常、このような場合におきましては、私どもリスク管理機関といたしましては、ア ボパルシンの食品中の残留基準をもはや設定することはできず、これは削除せざるを得 ないという形になってまいります。このようなことを前提条件といたしまして、食品安 全委員会におきましてご評価をお願いしたというものでございます。  その結論といたしましては、まず残留基準を削除するということに伴いまして、私ど もは食品衛生法第11条の規格基準を、告示の370号に書かれておりますが、370号の 中には一般規則といたしまして、いわゆる抗菌性物質につきましては規格基準が定めら れている場合を除きまして、含有してはならないという規制がかかっております。です ので、基準を削除し、含有してはならないという規定で管理することとし、このような 観点を踏まえた場合には、もはや食品安全委員会として、食品健康影響評価は不要であ るという結論に至ったというものが、この通知書の中に示されている内容でございます。  末尾にございますが、第11条第1項第1号の食品健康影響評価を行うことが明らか に必要でないときに該当すると認められるというものが通知されているものでございま す。  続きまして部会の報告案でございます。資料7-2でございます。3ページでございま す。  こちらに概要といたしましてアボパルシンと書いてございます。(2)の用途、牛、豚、 ニワトリの飼料効率の改善を目的として使用がなされていたというものでございます。  その効能ですが、以下に書いてございますとおり、アボパルシンはStreptomyces candidusより産生されるグリコペプチド系の抗生物質であるということ。ニワトリの顕 性並びに不顕性の壊死性腸炎の予防等に伴う飼料効率の改善を目的としまして、飼料添 加により使われてきたものでございます。  別の観点から見ますと、アボパルシンというものがメチシリン耐性のブドウ球菌、い わゆるMRSAの特効薬でございますバンコマイシンという抗生物質がございますが、こ ちらに類似した化学構造を有しているということがございます。国内におきましては昭 和60年の10月でございますが、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律に基 づきまして、ニワトリ用の飼料添加物として指定がなされております。  しかしながら、90年代の後半より、アボパルシンを添加した飼料を摂取した動物から グリコペプチド系耐性の腸球菌が発見されてきた経緯がございまして、バンコマイシン もこの系列に属する抗生物質であるという観点から、平成8年の11月、わが国におき ましては販売の自粛等が行われまして、平成9年3月に農林水産省におきまして、飼料 添加物の指定も取り消されている状況でございます。(3)につきましては化学名、(4)につ きましては構造式及び物性が記載されております。  4ページの2番といたしまして食品健康影響評価でございます。これは先ほどごらん いただきました1ページ目の通知の内容が記載されているものでございます。  3番、諸外国の状況でございます。アボパルシンにつきましては、EU、豪州におきま して、牛、豚、ニワトリに対して飼料効率の改善を目的として使われてきたものでござ います。しかしながら、EUにおきましては1997年に使用が禁止されております。豪州 におきましては2000年に登録が取消になったということでございます。  しかしながら、豪州におきましては登録の取消が出された後も、一定期間は残留基準 を保持するという規制でございまして、実際に残留基準がなくなったのは2006年でご ざいます。現時点におきましては、わが国を含めまして、アボパルシンの製造販売、流 通、使用は確認されていない状況でございます。  4番、残留基準の設定でございます。  残留基準につきましては別紙のとおりでございますが、まず残留基準、そもそもポジ ティブリスト制度を導入するに当たりまして、定量下限値に基づいて残留基準が設定さ れておりました豪州の残留基準を参照して設定したところでございますが、2006年に豪 州においてもアボパルシンの残留基準は削除されているということでございます。諸外 国におきましても製造、使用等の実態が確認できないということでございます。  このような物質でございますので、今般、残留基準につきましてはすべて削除という ことで対応したいと考えておりまして、削除した後には、告示370号にお示しをしてお ります、抗菌性物質は食品に含有してはならないという規定が適用されるものでござい ます。   具体的な基準値は特にないわけでございますが、5ページに別紙といたしまして、ア ボパルシンの基準値の案をお示しをさせていただいております。現行の基準値につきま しては、豪州の基準値を参照に設定をしたものでございます。基準値の案にお示しをし ております*3につきましては、告示370号に示す、いわゆる抗菌性物質につきまして は食品に含有してはならないという規制で、今後、管理がなされていくということでご ざいます。  事務局としての提案といたしましては、アボパルシンの残留基準につきましては削除 させていただきたいということでございます。  内容につきましては以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。基準案は0ということです が、ご意見ございますでしょうか。 ○山内委員 前回の会議でお話があったニトロフランが、食品において不検出とされる 農薬等の一覧表に記載されて、使われてはならないものと分類されていると認識してい るんですが、アボパルシンについてもそのような不検出の農薬などの一覧表に入れて、 検出されてはいけないものとして考えるものには当たらないのでしょうか。 ○事務局 考え方といたしましては、不検出と言われているもの、これは告示の中で規 定をしているものでございますが、そもそも物質の毒性が非常に強いもの、端的に言っ てしまえば、発がん性等が認められるような物質、このようなものは不検出という非常 に厳しい管理を行うというものでございます。 今般のアボパルシンにつきましては、アボパルシンを用いることにより発生する可能 性のある薬剤耐性菌の観点というところから、この物質の使用規制が現在なされてきて いるということでございますので、現行、我々が今定めております不検出の考え方とは 一線を画すものだと考えているところでございます。 ○大野部会長 含有してはならないということは、不検出ということは同じことじゃな いですか、実質的に。考え方がどう違うのか。 ○事務局 見かけ上は、確かに試験法をもって規制しているという点では変わらないと 思っております。ただ、位置づけといたしましては、告示に位置づける物質について、 検出法も定めて厳密に管理がなされるという観点では、告示で示す不検出というものが、 毒性学的観点から、その位置づけを変えているというものでございます。 ○大野部会長 規制するとなったものについては測定法を示して、必要に応じてはかる ということを前提にしているということですか。 ○事務局 不検出は、告示の中でも試験法とセットでお示ししておりますので、その試 験法をもって判断するものでございます。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。 ○山内委員 はい。 ○大野部会長 吉池先生、お願いします。 ○吉池委員 5ページ目の表の脚注4ですが、「オーストラリアにおいては定量下限値に 基づき設定されていたが、2006年に取り消された」とか、これはもうない値ですよね。 そういう脚注にした方がいいかなと思います。 ○大野部会長 そのように訂正をお願いします。 ○事務局 はい。ありがとうございます。 ○大野部会長 ほかにご意見ございますでしょうか。 ○米谷委員 一般的なことですが、動物用医薬品についても、うちの方で試験法をいろ いろつくっておりますし、標準品がないものにつきましては本省の方にお願いして、標 準品を探してもらっているところでございます。 動物用医薬品の中では、20ぐらいがなかなか標準品が手に入らない、物が出回ってい ないということがございまして、その中で、公的機関にも分けてもらえないようなもの が五つございます。一般の分析機関には行き届かないのが20ぐらいございます。  そういうものにつきまして、一つは基準審査課の方から試薬メーカーに、つくってく ださいというようなことをおっしゃっていますけれども、それははかる必要がないとい いますか、基準が削除されていくようなものですと、つくってもらったけれども使いよ うがないといいますか、不検出の通知の方で使われるかもしれませんが、そういうこと もございますので、この種の情報はできるだけ早く仕入れていただいて、実際使われて いないんだとしたら分析法もつくる必要はないですよ、あるいは標準品を探すような努 力もしなくていいんじゃないかと思うんですが、その辺はどう対応していただけますで しょうか。 ○事務局 今般のアボパルシンのような事例は少ないのではないかなと思っております。 確かに先生ご指摘のとおり、試験法の開発につきましては当然ながら、標準品がなけ れば何も検討できないということは当たり前でございますので、現行公的機関でも入手 が困難なものが5、一般の検査機関で手に入らないものが20というお話でございます。 このようなものにつきましては今後また、実態等も確認しながら先生とご相談をさせて もらえればと思います。 ○米谷委員 再確認ですが、先ほどのご質問へのお答えとしまして、検出されてはなら ないということですが、毒性学的な点から、それほど問題ではないので、要は使われて いないということだけなので、告示法でのNGにはせずに、普通の通知法の分析で、は かるときにも分析していただければいいということでございましょうか。もちろん標準 品が入ればという話ですが。 ○事務局 先ほども毒性という観点でお話をさせていただいたんですが、今回のアボパ ルシンは、いわゆる告示で位置づけている不検出物質とは、毒性上、一線を画すもので ございますので、通常の抗生物質と同じ考えですから、位置づけるならば、通知に位置 づけるような形で実施するような形になろうかと思います。 ○大野部会長 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。  ご意見がなければ、本文書をもって、この会議の答申案といたしたいと思いますがよ ろしいですか。それではそのようにさせていただきます。どうもありがとうございまし た。  次はグルコン酸カルシウム、飼料添加物ですが、それについての説明をお願いいたし ます。 ○事務局 部会長に一つご提案でございますが、これから三つ続きます飼料添加物につ きましては、一つにグルコン酸カルシウム、次に二ギ酸カリウム、ギ酸カルシウムとい う形で並んでおりまして、毒性の観点からいいますと、最初に二ギ酸カリウムをご説明 いたしまして、その後にギ酸カルシウム、最後にグルコン酸カルシウムという形の方が、 説明をするのに、ご理解をいただくのにもその方が楽ではないかと思いまして、資料8 を資料10の次に回させてもらえればと思います。二ギ酸カリウムからのご説明とさせ ていただければと思いますが、いかがでございますでしょうか。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。では、9-1の二ギ酸カリウムの説明からお願いい た します。 ○事務局 資料9-1、飼料添加物の二ギ酸カリウムでございます。 1ページ目、19年3月15日に、食品安全委員会から厚生労働大臣あてに通知をいた だいております食品健康影響評価の結果でございまして、「記」以降にございますとおり、 二ギ酸カリウムは飼料添加物として、至適添加量の範囲で使用された場合、食品を介し て、ヒトの健康に影響を与える可能性を無視できると考えられる旨、通知がなされてお ります。  具体的な評価書の内容でございますが、5ページ目をごらんください。こちらに審議 の経緯がございます。  本剤につきましては平成18年の11月27日、当大臣及び農林水産大臣から食品健康 影響評価が求められているものでございます。また、本年3月15日に両大臣あてに食 品健康影響評価が通知されたものとなっております。  評価書の中身でございます。6ページをごらんください。こちらが二ギ酸カリウムに かかる食品健康影響評価に関する審議の結果でございます。  III以降から始まる部分でございますが、その中の数字の3番に、外国における許可状 況及び使用状況等というものがございます。  二ギ酸カリウムにつきましては、飼料効率の改善等を目的といたしまして使用されて いるものでございます。安全性の評価につきましては、二ギ酸カリウムについては、EU におきまして2001年、2002年に評価が実施されております。評価の結果といたしまし ては、飼料添加物として推奨される範囲で使用される限りは消費者への有害性はないと 評価されております。  2006年には再評価も実施されておりまして、こちらにおいても有害性を示す新たな知 見は得られなかったということ。また、飼料添加物として推奨される範囲で使用される 限りにおきましては消費者への有害性はないと評価をされているところでございます。  7ページをごらんいただきますと、JECFAの評価の記載がございます。JECFAの評 価につきましては、ADIとして3mg/kg体重と設定されております。  ギ酸単体の場合がございますが、ギ酸につきましては酵素阻害活性によるものと思わ れているところでございますが、他の脂肪酸よりも明らかに毒性が強いということ。し かしながら、蓄積性の毒性作用については知られていないということが報告されており ます。  次に安全性に関する試験成績の概要でございます。  1番といたしまして吸収、分布、代謝、排泄に関する試験でございます。二ギ酸カリ ウムにつきましては、その化学的な特性から、体内と同じ条件の中性ないしはアルカリ 性という条件下では、ギ酸イオンとカリウムイオンに解離することが報告されておりま す。  (1)「ギ酸について」ということで、ギ酸については一般的な代謝中間体であるという こと。代謝により酸化されて二酸化炭素となることが知られているということ。生体に おけるギ酸の酸化は、主として肝臓と赤血球において、葉酸依存性の代謝系路を介して 行われるという報告がなされております。  ギ酸濃度の体内の残留性に関する部分でございますが、(1)の「ギ酸について」の文章 の末尾の部分でございます。豚について経口投与の試験が実施されております。この結 果におきましては、至適添加量付近のギ酸塩を添加した飼料を給与した試験におきまし て、対照群と投与群で、組織中のギ酸濃度に差はなかったということが報告されており ます。  (2)「カリウムについて」でございます。カリウムの内容が前段に書いてございまして、 後段につきましては飼料投与試験の結果が書いてございます。こちらでは豚にギ酸塩を 添加した飼料を給与した試験の報告がなされておりまして、28日間の高用量投与につき まして、血清中カリウム濃度が増加したということ。しかしながら、至適添加量付近の 投与群におきましては対照群との差は見られなかったということが報告されております。  カリウムにつきましては、腎機能が正常であれば、ふだんの食事からの摂取によって 代謝異常、いわゆる高カリウム血症でございますが、こちらを引き起こすことはないと されている旨報告されております。  2番以降には毒性試験の結果が報告されております。8ページをごらんください。  (2)短期毒性試験につきましては、剖検におきまして、用量依存的に胃の肥厚が認めら れたということが報告されております。しかしながら、この胃の変化というものは、文 章の末尾でございますが、標的臓器毒性というより刺激性による変化とされているとこ ろでございます。なお、全身毒性を裏づけるデータは認められなかったことが報告され ております。  (3)長期毒性発がん性試験が報告されております。9ページをごらんいただきますと、 こちらで被験物質を投与した結果が報告されております。  まずラットにつきましては、胃の偏平上皮/基底細胞過形成の発生率が増加したという こと。がんの発生は見られなかったということ。その他の肉眼的、病理学的所見につい ては変化は見られなかったということが報告されております。マウスにつきましてもほ ぼ同様な結果が得られているものでございます。  (4)変異原性試験が報告されておりますが、in vitro、in vivo、両試験ともにすべて陰 性の結果が得られているものでございます。  1枚おめくりいただきますと、(6)その他の試験が報告されております。こちらは皮膚 感作性の試験が実施されておりますが、陽性反応は誘発されていないということが報告 されております。  3番においては対象家畜を用いました飼養試験が報告されておりまして、対象家畜に 何ら影響を及ぼしていないということが報告されているところでございます。  5番としまして食品健康影響評価でございますが、二ギ酸カリウムが体内におきまし てはギ酸イオンとカリウムイオンに解離をして、それぞれが独立の体内挙動を示すとい うことが書かれてございます。ギ酸につきましては、通常の代謝中間体でありまして、 葉酸代謝におけるメチル基転移に関係し、代謝がなされているものでございます。カリ ウムにつきましては、腎機能が正常であれば代謝異常を起こすことはないとされている ことが報告されているところでございます。  さらにギ酸の毒性試験についても言及がなされておりまして、先ほどご説明いたしま したラットに対する、胃の偏平上皮/基底細胞過形成発生率増加につきましてNOAELが 得られているわけですが、発がん性はなかったということが確認されているものでござ います。  11ページですが、対象家畜を用いました飼養試験につきまして、ギ酸濃度は、至適添 加量に対して、対照群と差は出なかったということが報告されております。  このような結果から、ギ酸塩を飼料添加物として使用した場合であっても、家畜の体 内で速やかに代謝がされるということ、蓄積する可能性が低いということ、これらのこ とから、ヒトが対象家畜由来食品の摂取によって有意な二ギ酸カリウムの暴露を受ける 可能性は極めて低いと結論されているところでございます。さらに変異原性試験も陰性 であるということと、遺伝毒性物質ではないと考えられること、このようなことを総合 的に勘案した場合、飼料添加物として、至適添加量の範囲で使用された場合につきまし ては、食品を介してヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると報告されていると ころでございます。  13ページをごらんください。資料9-2、部会の報告案でございます。品目名といたし ましては二ギ酸カリウムでございます。2番といたしまして、用途は飼料効率の改善で ございます。3番、化学名としては二ギ酸カリウム、4番には構造式、物性でございま す。5番につきましては適用方法と用量でございまして、体重がおおむね70kg以内の豚 用の飼料に添加をするものでございます。至適添加量は1.8%以下、これは重量比でご ざいますが、このようになっております。  諸外国における使用状況につきましては、EUにおきまして2003年に、飼料効率の改 善を目的に豚用飼料への添加が認められているものでございます。  14ページ、7番、残留試験の結果でございますが、先ほど来ご報告申し上げていると おりでございまして、対象家畜を用いた飼養試験が実施されており、対照群と投与群で 差は認められなかったということが報告されております。  8番についてはADIの評価となっておりまして、これは先ほどご説明したとおりでご ざいます。この評価を踏まえまして、9番の残留基準の設定につきましては、評価結果 を踏まえまして残留基準を設定しないという報告案としたいと考えているところでござ います。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。今のご説明についての質問、コメントござい ますでしょうか。ございませんでしょうか。 それでは、この答申案で、この委員会の答申としたいと思いますが、よろしいでしょ うか。ありがとうございます。そのようにさせていただきます。 次にギ酸カルシウムのご説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして、飼料添加物でありますギ酸カルシウムについてご説明を申し上 げます。  1ページ目が、本年3月15日に食品安全委員会から通知がなされております健康影響 評価の結果でございまして、こちらは先ほどの二ギ酸カリウムと同じ結論となっている ものでございます。 5ページ目が審議の経過でございます。平成18年11月27日、当大臣及び農林水産 大臣から健康影響評価を求めまして、本年3月15日に評価が通知されたものでござい ます。 評価の内容につきましては6ページとなります。ギ酸カルシウムにかかる食品健康影 響評価に関する審議の結果が取りまとめられております。 IIIの3に、外国における許可状況及び使用状況等というものがございます。ギ酸カル シウムにつきましては、EUにおきまして1970年以前より、すべての家畜・家禽用飼料 に用いることができる防黴剤で使われていたものでございます。JECFAの評価におき ましては、ギ酸のヒトに対するADIは先ほどご説明したとおりでございまして、3mg/ kg体重という形で設定がされております。毒性に関する部分の記載も全く同一でござい ます。  二ギ酸カリウムにつきましては、先ほどご説明したとおりに、EUにおきまして既に 評価がなされているものでございます。 7ページをごらんいただきますと、安全性に関する試験成績の概要がございまして、こ ちらに1番といたしまして、ギ酸カルシウムの動態が示されております。こちらは化学 的特性から、ギ酸イオンとカルシウムイオンに解離をすることが示されております。 (1)のギ酸につきましては、先ほどの二ギ酸カリウムと同一の内容でございますので、 説明は割愛させていただきます。 (2)カルシウムにつきましては、カルシウムに対しての一般的な知見等が記載されてお ります。後段の部分につきましては、「消化管から」というところから始まる部分でござ いますが、消化管から吸収されたカルシウムにつきましては骨に貯蔵されまして、血中 のカルシウム濃度の変動に伴って、カルシウムの出し入れで血中濃度を一定に保つとい うことが報告されております。 副甲状腺機能亢進等が原因で起こります高カルシウム血症の結果として、尿路または 胆嚢につきまして結石を生じるということがあるわけでございますが、正常な生理条件 下で、歯及び骨以外の組織内にカルシウムが蓄積するということは知られていないもの でございます。 7ページ目、末尾の2番から毒性試験の結果が報告されております。8ページをごら んいただきますと、単回経口投与につきまして、ラットやマウスに関する報告がなされ ております。こちらにつきましては概ね経口で2,000mg/kg体重という単回経口投与の報 告がなされております。これはLD50でございます。 (2)短期の毒性試験は、1番としてイヌ、2番としてマウスについて報告されておりま すが、いずれも悪影響は見られていないというものでございます。 (3)といたしましては、長期毒性、世代繁殖、催奇形性、催腫瘍性試験についての報告 がなされております。こちらについては、悪性の腫瘍は認められていないということ、 慢性毒性は認められていないということが前段の末尾に記載されているところでござい ます。 9ページをごらんいただきますと、2行目の後段からですが、生殖・発生毒性は認め られていないということが報告されております。 (4)長期毒性/発がん性試験でございます。こちらにつきましてはラット、マウスにつ いて報告がなされております。こちらの内容につきましては、二ギ酸カリウムを投与し たときの結果でございまして、これを引用した形で記載がなされておりますので、先ほ どの説明と内容は同一でございます。 (5)変異原性試験につきましてはin vitro、in vivo、in vivoにつきましては小核試験で ございますが、これが実施されております。いずれも結果は陰性でございます。 10ページに5番といたしまして、食品健康影響評価について取りまとめられておりま す。 ギ酸カルシウムにつきましては、体内でギ酸イオンとカルシウムイオンに解離をいた しまして、それぞれが独立の体内挙動を示すということ、ギ酸は通常の代謝中間体であ りまして、葉酸代謝におけるメチル基転移に関係し代謝がなされるということが記載さ れております。  末尾から3行目、対象家畜を用いました飼養試験の結果でございますが、こちらは二 ギ酸カリウムを用いた結果についての報告でございます。二ギ酸カリウムにおきまして は、対照群と投与群につきましては有意な差がないというところでございますので、ギ 酸の有意的な暴露もないであろうということが記載されているところでございます。  さらに二ギ酸カリウムを用いた変異原性試験では陰性、かつ、ギ酸カルシウムを用い たAmes試験についても陰性であるということ等を踏まえた場合に、ギ酸カルシウムに ついては遺伝毒性はないと考えられる旨、評価がなされております。  これらの評価の結果から、ギ酸カルシウムにつきましては残留性が低く、かつ、遺伝 毒性、発がん性物質はないということでありますので、飼料添加物としての至適添加量 の範囲で使用された場合に、食品を介したヒトの健康に影響を与える可能性は無視でき ると評価されているところでございます。  13ページに資料10-2といたしまして、部会の報告案が記載されております。  1番につきましては品目名、ギ酸カルシウム、2番は用途、飼料効率の改善でござい ます。3番は化学名、4番は構造式及び物性、5番は適用方法、こちらも体重がおおむね 70kg以内の豚用飼料に添加をするということでございます。至適添加量につきましては 1.0から1.5%の重量比で用いる形になっております。  6番は諸外国における使用状況でございまして、EUにおいては1970年以前より防黴 剤として使われていたものでございます。米国におきましては1992年に、カルシウム の補給を目的といたしまして、豚用の飼料に添加することが許可されております。  14ページ、7番に残留試験の結果でございますが、ギ酸カルシウムとしては残留性試 験は実施されておりません。残留性につきましては、先ほどの二ギ酸カリウムを用いた ものを引用する形となっております。  なお、ギ酸カルシウムの体内挙動または代謝につきましては、以降に記載される文書 のとおりでございます。  8番につきましてはADIの評価でございまして、これは先ほどご説明した内容と同一 でございますので、説明は割愛させていただきます。  15ページ、9番といたしまして、食品安全委員会の食品健康影響評価を踏まえまして、 残留基準を設定しないとという報告案としたいと考えているところでございます。  説明については以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。ただいまのご説明についてのご質問、ご意見ご ざいますでしょうか。 ○佐々木委員 二ギ酸カリウムの方で質問すべきだったかもしれませんが、残留試験結 果のところに、今回はカルシウムイオンに限定されているんですが、先ほどのはカリウ ムのことに触れてないんですけれども、ギ酸のことだけしか書かれていないんですが、 追加しなくてもよろしいでしょうか。先ほどの14ページになるんですが。 ○事務局 先生ご指摘の部分は、資料9-1の7ページの(2)「カリウムについて」の部分 で、カリウム濃度に言及した飼養試験があるという部分だと思います。こちらを記載す るという形でよろしいわけでございますでしょうか。 ○佐々木委員 その方がよろしいのかなと思ったんですが。こちらでカルシウムに触れ てありますし。 ○事務局 ご提案のとおりにさせていただきたいと思います。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。それではそういうことでお願いします。  ほかにございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、ギ酸カルシウムについても、この報告案をもって、この会議の答申案とさ せていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。  次にグルコン酸カルシウムについての説明をお願いします。 ○事務局 順番が逆になってしまいましたが、資料8-1、資料添加物グルコン酸カルシ ウムについての食品健康影響評価の結果でございます。本年3月15日に通知されてい るものでございます。 審議の経緯につきましては、5ページ目をごらんいただきますと、平成18年11月27 日に、当大臣及び農林水産大臣から健康影響評価の依頼をいたしまして、3月15日に評 価の結果をいただいたものでございます。 評価書の内容でございますが、6ページに、グルコン酸カルシウムにかかる食品健康 影響評価に関する審議の結果が記載されております。 IIIの3番をごらんいただきますと、起源または発見の経緯等が記載されております。 グルコン酸カルシウムにつきましては1861年に、ブドウ糖を塩素で酸化するというこ とから、カルシウム塩として単離されたものでございます。米国におきましてはGRAS で取り扱われているものでございます。EUにおきましても、家畜への使用が認められ ている状況でございます。  JECFAにおける評価につきましては、グルコン酸塩類といたしまして1998年に評価 が実施されております。結論といたしましては、ADIを設定する必要はないということ が評価されているところでございます。  毒性情報等が掲載されておりますMEDLINEやTOXLINEで文献検索を行いました が、グルコン酸カルシウムににつきましては、安全性に関する新たな知見は報告されて いない状況でございます。  7ページのIVとしまして、わが国における食費添加物としてのグルコン酸カルシウム にという記載がございます。  グルコン酸カルシウムににつきましては昭和38年に、食品衛生法の規定に基づきま して、食品添加物として、カルシウムを強化する目的で指定がなされている食品添加物 でございます。また、末尾にございますが、動物用医薬品やヒト用の医薬品として、カ ルシウム製剤の目的で使用されている実態がございます。 4番、安全性に関する試験成績の概要でございます。こちらにはグルコン酸カルシウム が、グルコン酸のカルシウム塩でございまして、体内挙動といたしましては、グルコン 酸とカルシウムに解離するということが記載されております。 (1)はグルコン酸について記載しておりまして、吸収されましたグルコン酸については、 グルコースの代謝経路でありますペントースリン酸サイクル、このサイクルにおきまし て容易に代謝あるいは尿中に排泄されることが考えられているところでございます。  投与試験でございますが、イヌ及び豚についての投与試験の結果が記載されておりま す。イヌにつきましては経口及び静脈投与試験が実施されておりまして、血漿中のグル コン酸濃度が、投与後12時間後に検出限界以下になったということ、ブタにつきまし ては、グルコン酸ナトリウムを経口投与した試験におきましては、血漿中のグルコン酸 濃度が、投与後24時間後には定量限界未満になっていることが報告されているところ でございます。  2番のカルシウムにつきましては、ギ酸カルシウムの部分でご報告した内容と同一で ございます。説明については割愛をさせていただきます。  8ページに毒性試験の結果が報告されてございます。毒性試験につきましては、(1)と して単回投与毒性試験が報告されております。マウスの静脈内投与の場合のLD50が 1,210mg/kg体重、ラットへの静脈内投与の場合のLD50が952mg/kg体重、マウスの皮 下投与の場合につきましてはLD50が2,890mg/kg体重という報告がなされている旨記載 されております。  (2)短期の毒性試験につきましては、1番のラットが70日間の亜急性の反復投与でご ざいます。2番といたしましては、ラットの4週間反復投与毒性試験が実施されており ます。  1番につきましては、試験の期間中に2匹が死亡しておりますが、組織に明らかな変 化は見られなかったことが報告されております。2番のラットの4週間の反復試験につ きましても特段の影響は確認をされていないということでございます。一部胃境界縁の 肥厚が認められている報告がございますが、境界縁につきましてはげっ歯動物に特有の 組織であるということ、そして、胃境界縁の肥厚はヒトにとって毒性学的に重要でない とされている観点から、こちらについては評価の対象とされておりません。  9ページ、(3)としまして、ラットの28日間の反復投与の試験等が報告されております。 (3)については長期の毒性試験が報告されておりますが、こちらにおきましても特段の影 響は認められていないという報告でございます。(4)といたしましては変異原性の試験、 こちらにつきましては、Salmonella typhimuriumを用いましたAmes試験が実施され ております。こちらにおいて、S9の有無にかかわらず陰性であったということが報告さ れております。  (5)といたしましては発生毒性試験の報告がございます。10ページに結果が書いてご ざいます。結論といたしましては、末尾の2行にございますとおり、母動物及び胎児の 生存に影響はなかったということ、催奇形性は見られなかったということが報告されて おります。  3番といたしましては、対象家畜を用いた飼養試験が報告されております。本試験に おきましてはグルコン酸カルシウム、陽性対照といたしまして乳酸カルシウムを用いた 試験が実施されております。  この両群でございますが、血清中のカルシウム及びPTH、こちらは副甲状腺ホルモン でございますが、その濃度につきましては、グルコン酸カルシウムを添加したいずれの 群も有意に低い値を示さず、陽性対照群である乳酸カルシウム給与とほぼ同等の値を示 しているものでございます。  5番といたしましては食品健康影響評価でございます。グルコン酸カルシウムを飼料 添加物として使用した場合ですが、家畜の体内に蓄積する可能性は非常に低いというこ と、さらに過剰摂取による障害があらわれた対象家畜由来の食品をヒトが日常的に摂取 する可能性は非常に低いと考えられること、また、Ames試験で陰性であるということ、 本物質との関連が疑われる明らかな有害性が示唆された所見は現在のところは報告され ていないということでございます。  グルコン酸カルシウムは食品添加物、ヒト用医薬品や動物用医薬品という目的でも使 用されておりまして、安全性に特段の問題があるとは考えられないとされております。  これらの結論から、グルコン酸カルシウムは飼料添加物として使用された場合、食品 を介してヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると報告されているところでござ います。  続きまして部会の報告書の案でございます。13ページからの記載となっております。  1番といたしましては品目名グルコン酸カルシウム、2番は用途、カルシウムの補給 でございます。3番といたしましては化学名、4番といたしましては構造式及び物性、5 番は適用方法及び用量、こちらは牛等の飼料に添加をするというものでございます。特 段用量制限等は、現在のところはございません。  6番、諸外国における使用状況でございます。本品につきましては、アメリカにおい てGRASで取り扱われております。また、EUにおきましても、1999年から家畜の飼 料への添加が認められているものでございます。JECFAにおきましてもADIを特定せ ずという形で、グルコン酸塩というグループで評価がなされております。  残留性試験の結果でございますが、こちらにつきましては残留試験は実施されており ません。なお書き以降につきましては、グルコン酸カルシウムのが体内の動態をお示し をしているものでございます。  8番はADIの評価、これは先ほどご説明申し上げたとおりですので、内容については 割愛をいたします。  9番、残留基準の設定でございますが、食品安全委員会における評価の結果を踏まえ まして残留基準を設定しないという案としたいと考えているところでございます。  説明については以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。今のご説明に対してご質問、コメントございま すでしょうか。いかがでしょうか。 ○山添委員 意味がわからないので教えていただきたいんですが、14ページの8、許容 一日摂取量(ADI)評価の2段目の2行目、「さらに過剰摂取による障害があらわれた対象 家畜由来食品」、障害があらわれたというのはどういう意味でしょうか。「過剰摂取した 家畜に由来する食品」だけでも意味は通じるのかなと思うんですが、そういう意味では ないということですか。 ○事務局 先生のおっしゃるとおりでありまして、私どもも食品安全委員会の評価書を 引用しているものでございまして、その辺につきましては安全委員会のほうにも、ご意 見があった旨をお伝えする形にしたいと思っております。 ○大野部会長 私も山添先生がおっしゃるように修正したほうがよろしいと思いますの で、お願いします。  ほかにございますでしょうか。 ○加藤委員 13ページの2の用途の3行目の最後、「晶析しグルコノデルタノラクトン」 になっていますので、後ろの「ノ」は要らないと思います。 ○事務局 ありがとうございます。 ○大野部会長 ほかにございますでしょうか。ございませんか。 それでは、この報告案をもって本部会の報告といたしたいと思いますが、よろしいで しょうか。ありがとうございます。そのようにさせていただきます。 本日の審議は終わりましたが、事務局から、今後の手続について説明していただけま すでしょうか。 ○事務局 今後の手続についてご説明いたします。 本日ご審議をいただきました農薬及び動物用医薬品でありますジノテフランにつきま しては、食品安全委員会からの通知を待ちまして部会報告書とさせていただくこととし ます。 農薬でありますシフルメトフェン、フルフェノクスロン、ジメトモルフ、動物用医薬 品のジフロキサシン、ドラメクチン、飼料添加物及び動物用医薬品でありますアボパル シン、飼料添加物グルコン酸カルシウム、二ギ酸カリウム及びギ酸カルシウムにつきま しては、食品安全委員会からの通知を受けておりますので、本案をもちまして部会の報 告書とさせていただきます。  今後の手続につきましては、食品衛生分科会にお諮りするとともに、農薬及び動物用 医薬品ジノテフラン、動物用医薬品ジフロキサシン及びドラメクチン、飼料添加物及び 動物用医薬品アボパルシンにつきましては、パブリックコメントの手続を進める予定と しております。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございます。「その他」というのがございますが、何かござい ますでしょうか。 ○事務局 来月の本部会の開催日程でございます。5月25日、金曜日の午後を予定して おります。時間、場所につきまして追ってご連絡を申し上げたいと思っております。ご 確認のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。その他ございますでしょうか。 ○事務局 事務局からは特段ございません。 ○大野部会長 それでは、長らくご審議ありがとうございました。これをもちまして本 日の部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2487、2489)