07/04/24 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会 平成19年4月24日議事録 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会 議事録 1.日時及び場所   平成19年4月24日(火) 14:00〜   厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(12名)五十音順    赤 堀 文 昭、 大 石 了 三、 奥 田 晴 宏、 北 田 光 一、    木 津 純 子、 楠   文 代、 合 田 幸 広、○棚 元 憲 一、    富 田 基 郎、 長谷川 紘 二、◎早 川 堯 夫、 渡 邉 治 雄    (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(2名)五十音順    中 島 恵 美、 橋 田  充  3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合安全管理監)、   新 見 裕 一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構品質管理部長)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会日本薬局方 部会を開催させていただきます。委員の先生方におかれましてはお忙しい中御出席いた だきまして、誠にありがとうございます。  本日は14名の当部会の委員のうち12名の御出席をいただいており、定足数に達して おりますことを御報告申し上げます。また、本会議は日本薬局方に関する審議でござい ますので、公開にて開催いたしますこと、御承知おきをお願いしたいと存じます。開催 に際しまして、大臣官房審議官、医薬担当の黒川よりごあいさつ申し上げます。 ○審議官 医薬担当審議官の黒川でございます。本日は、先生方には大変御多忙の中を 日本薬局方部会に御出席いただき、本当にありがとうございます。  御案内のとおり、日本薬局方は、公衆衛生上極めて重要な医薬品につきましてその本 質や性状、試験法、さらに一般的に使われる規格試験法等を定める極めて重要な基本文 書であり、また歴史的にも、さらに国際的にも重要な知的集積であると理解しておりま す。最近では国際化に伴いましてハーモナイゼーションも進んでおりますが、医薬品に 求められる性質、すなわち必要な場合にどこでも一定の効力のあるものを繰り返し安定 的に供給する、そのようなことにおいて薬局方が担う役割は時代を経ても、あるいはそ のような国際化の流れを経ても変わらないものと信じております。  委員の皆様におかれましては、このような文書の性格、また当薬事・食品衛生審議会 そのものについての国民の信頼や業務につきまして何とぞ御理解をいただきまして、格 別のお力添え、科学的な知見や豊かな経験を基にされました厳正な御意見といったもの をいただきますよう、お願い申し上げます。簡単ではございますが、私のごあいさつと させていただきます。  なお、大変申し訳ありませんが、私は中座させていただきます。どうぞよろしくお願 いいたします。ありがとうございました。 ○審査管理課長 本日は、本年1月に委員の改選がございました後の最初の部会になり ますので、初めに委員の御紹介をさせていただきたいと存じます。  部会長の独立行政法人医薬品医療機器総合機構の早川堯夫先生でございます。麻布大 学獣医学部教授の赤堀文昭先生でございます。九州大学病院薬剤部教授・薬剤部長の大 石了三先生でございます。国立医薬品食品衛生研究所有機化学部長の奥田晴宏先生でご ざいます。千葉大学医学部附属病院教授・薬剤部長の北田光一先生でございます。共立 薬科大学実務薬学講座教授の木津純子先生でございます。東京薬科大学薬学部教授の楠 文代先生でございます。国立医薬品食品衛生研究所生薬部長の合田幸広先生でございま す。国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部長の棚元憲一先生でございます。徳島文理 大学薬学部教授・薬学部長の富田基郎先生でございます。昭和大学名誉教授の長谷川絋 司先生でございます。国立感染症研究所副所長の渡邉治雄先生でございます。  なお、本日は、中島恵美先生と橋田充先生のお二人から御欠席との御連絡をいただい ています。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。独立行政法人医薬品医療機器総合 機構理事、また審査センター長の豊島でございます。同機構安全管理監の川原でござい ます。同機構品質管理部長の新見でございます。ごあいさつが遅れましたが、私は厚生 労働省医薬食品局審査管理課長の中垣でございます。よろしくお願いいたします。それ では部会長の早川先生、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○早川部会長 早川でございます。それでは進行係を務めさせていただきますのでよろ しくお願いいたします。本日は委員の先生方におかれましては大変お忙しいところ日本 薬局方部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。議事に入らせていた だきます前に一つお諮りしたいことがございます。  先ほど、委員の改選がなされた旨の報告がございましたが、薬事・食品衛生審議会の 規定に従いますと、各部会においては部会長が部会長代理を指名することになっており ますので、それに従いまして、部会長代理を指名させていただきたいと思います。私と しては棚元委員にお願いいたしたいと存じますが、よろしいでしょうか。ありがとうご ざいます。それでは、部会長代理は棚元委員にお願いいたしたいと思います。それでは 棚元委員、こちらへどうぞお願いいたします。  それでは議事に入らせていただきます。本日の審議事項は二つございます。まず、第 十五改正日本薬局方第一追補(案)について御審議をいただき、続きまして、第十五改正 日本薬局方第二追補以降の新規収載候補品目(案)及び日本薬局方新規収載候補からの削 除品目(案)について御審議をお願いいたしたいと考えております。それでは、審議に入 りたいと思います。まず、事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは配付資料の確認をさせていただきます。まず、本日お手元に配付し ておりますものとして、議事次第、座席表、委員名簿となっています。次に、事前に配 付させていただきました資料としましては、諮問書、資料No.1-1といたしまして「第十 五改正日本薬局方第一追補改正案の概要」。資料No.1-2といたしまして「第十五改正日 本薬局方第一追補(案)」、こちらは2分冊となっております。資料No.2といたしまして 「第十五改正日本薬局方第二追補以降の新規収載候補品目(案)及び日本薬局方新規収載 候補からの削除品目(案)について」、資料No.3といたしまして「第十五改正日本薬局方 第一追補の参考情報(案)」、資料No.4といたしまして「日本薬局方標準品製造者登録の 導入について」、資料No.5といたしまして「第十六改正日本薬局方原案作成要領につい て」。以上7種類の資料を配付させていただきました。また、本日、左上に「当日追加 資料」と明記しております資料1部を配付させていただきました。以上でございます。 ○早川部会長 ありがとうございます。委員の先生方、資料はおそろいでしょうか。お そろいでしたら議題に入りたいと思います。まず、審議事項1の議題であります第十五 改正日本薬局方第一追補にかかわる案件について、事務局から資料を基に御説明をお願 いいたします。 ○事務局 御説明いたします。資料No.1-1「第十五改正日本薬局方第一追補改正案の概要」 を御覧ください。まず、日本薬局方の作成に関して簡単に御説明いたします。1ページ の1.日本薬局方の作成です。日本薬局方は、薬事法第41条の規定に基づき、医薬品の 性状及び品質の適正化を図るために作成されている規格基準です。薬事法第41条の規定 については、平成14年の薬事法改正により、これまで第2項の第1部、第2部という構 成に係る規定が削除されました。これにより、日本薬局方の構成は科学技術の進歩等に 応じて速やかに変更することができることとなり、本日、机上に置かせていただいてい る昨年3月に告示いたしました第十五改正日本薬局方では、従来の第1部、第2部とい う構成を廃止しております。  次に、日本薬局方の改正についてです。5年ごとに全面的な改正を行っており、5年 の間に2回追補として一部を改正しております。今回の一部改正は、昨年3月に告示い たしました第十五改正日本薬局方の一部改正であり、1回目の一部改正であることから 「第十五改正日本薬局方第一追補」と称しています。一部改正の具体的な内容について は、後ほど御説明いたします。  2ページを御覧ください。日本薬局方の改正公示年月日と収載品目数の変遷をまとめ ているものです。初版が明治19年に公示されてから100年余りの歴史があり、今日に至 るまで、医薬品の開発、試験技術の向上に伴って改訂が重ねられています。収載品目数 については、十一局から追補改正を行っておりますが、御覧のとおり、過去における追 補改正においては、収載品目数として数十品目の増加となっていました。しかし、今回 の追補改正においては、収載品目として84品目の増加ということで、品目数の大幅な増 加が図られていることがお分かりいただけると思います。  3ページの3.第十六改正日本薬局方の作成基本方針等です。昨年7月に当部会におい て御審議いただいた結果を基に、日本薬局方の改正について日本薬局方作成基本方針を 取りまとめております。詳しくは、この資料の6ページ以降に参考資料として付けてお ります。本基本方針において日本薬局方作成の5本の柱として、保健医療上重要な医薬 品の全面的収載、最新の学問・技術の積極的導入による質的向上、国際化の推進、必要 に応じた速やかな部分改正及び行政によるその円滑な運用、日本薬局方改正過程におけ る透明性の確保及び日本薬局方の普及を挙げています。この基本方針を受けて第十五改 正日本薬局方第一追補(案)を作成しています。  4.日本薬局方の審議体制について御説明します。平成16年に独立行政法人医薬品医 療機器総合機構が設立され、日本薬局方原案の作成を機構において行うこととされまし た。これにより、日本薬局方の原案作成審議に必要な委員会をすべて機構において設置 しております。具体的には、4ページの審議組織を御覧ください。総合委員会の下に18 の委員会が設置されており、ここで詳しい原案の審議を行っております。機構において 審議・作成された局方原案を厚生労働省に御報告いただき、本部会に諮問・答申をいた だく体制としています。なお、当部会の下に日本薬局方調査会を設置しておりましたが、 この日本薬局方調査会が従来行ってまいりました局方に係る調査等を、機構において設 置された委員会にて行うこととしましたため、本年1月に日本薬局方調査会を廃止して おります。  5ページの5.第十五改正日本薬局方第一追補の審議経過には、十五局大改正以降の審 議の経過について記載しております。「参考」として示しておりますとおり、平成17 年9月より本年3月まで機構において計142回の審議を重ね、局方原案の審議を行い、 取りまとめられ、本年3月末に機構から厚生労働省に原案の報告をいただいています。 この報告を基に、本日、当部会において御審議をいただいております。  続きまして、第十五改正日本薬局方第一追補改正案の概要について御説明します。当 資料の13ページから改正案の概要、15ページから新旧対照表などの資料、資料No.1-2、 これは2分冊となっていますが、第十五改正日本薬局方第一追補(案)です。資料No.1-1 の13ページ以降を基に御説明します。  通則についてです。通則とは、日本薬局方全般にかかわる共通のルールを定めたもの です。その中で、日本薬局方における主な単位を通則9において規定していますが、こ れにmol、mmol、mmol/L、Pa・sを追加し、pHを削除するというものです。  生薬総則についてです。生薬総則とは、生薬にかかわる共通のルールを定めたもので す。その中で、生薬総則1において生薬総則及び試験法を適用する生薬を規定していま す。医薬品各条への生薬の新規収載に伴い、今回、改正を行うというものです。  製剤総則についてです。これは、製剤にかかわる共通のルール及び各種剤型ごとの定 義、製法、保存方法などを規定しているものです。その中で、一つ目として、エキス剤 の項に、現在記載されている軟エキス剤及び乾燥エキス剤以外に、濃縮液等があること から「通例」という文言を追加するというものです。二つ目として、眼軟膏剤の金属性 異物試験法の判定基準を製剤総則から削除し、その判定基準を一般試験法の眼軟膏剤の 金属性異物試験法にて規定するというものです。三つ目として、チンキ剤の製法の一つ である冷浸法の浸出方法を改正するというものです。四つ目として、先ほどの眼軟膏剤 と同様に、点眼剤の不溶性異物検査法及び不溶性微粒子の判定基準を製剤総則から削除 し、その判定基準を一般試験法に移すというものです。五つ目として、流エキス剤の重 金属試験法について、改正を行います。  一般試験法についてです。一般試験法とは、医薬品各条に共通する試験法、医薬品の 品質評価に有用な試験法及びこれに関連する事項を定めたものです。現在日局において 規定しております試験法は、23ページに一覧として掲げております。今回新規に追加す る試験法と改正する試験法については、○印を付しております。新規に追加する試験法 は点眼剤の不溶性異物試験法で、これは今まで製剤総則において規定していたものを一 般試験法において規定するというものです。改正する試験法は全部で9試験法です。液 体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーについては、それぞれ、システム適 合性を追加するというものです。微生物限度試験法については、日・米・欧、三薬局方 における国際調和に伴い全面的に見直しを行うというものです。先ほど製剤総則の眼軟 膏剤及び点眼剤の改正について説明させていただきましたが、製剤総則の改正に伴い一 般試験法の眼軟膏剤の金属性異物試験法及び点眼剤の不溶性微粒子試験法を改正すると いうものです。  続きまして、同資料72ページ以降を御覧ください。医薬品各条についてです。医薬品 各条とは、個々の医薬品原薬や製剤の規格を規定しているものです。今回、十五局第一 追補においては、新規収載品目として90品目を新たに収載することを予定しておりま す。これは、保健医療上重要な医薬品を積極的に収載するという作成基本方針に基づい て新たに収載するというものです。90品目のうち化学薬品は60品目あり、例えば、保 健医療上重要な医薬品ということで汎用されているものとしてアムロジピンベシル酸塩 やオメプラゾールといったものを収載しております。さらには、添加物としてデンプン グリコール酸ナトリウム、漢方処方エキスとして医療上汎用されている桂枝茯苓丸エキ ス、半夏厚朴湯エキス、2品目を収載することとしております。また、新規収載品目の ほか、 171品目について各条の改正を行うことを予定しております。改正する主な点としては、 資料105ページ〜108ページを御覧ください。  なお、お配りしている印刷物により見にくいものがございましたら、当日追加資料の 2枚目からの資料と差し替えをお願いいたします。  化学薬品等における主な改正点については、製剤総則において規定している各製剤試 験を医薬品製剤に規定するというものです。また、生薬等については、ヒ素や重金属等、 純度試験について主に改正を行うというものです。今改正においては、医療上重要な医 薬品を積極的に収載することを一つの大きな柱として局方を作成し、90品目と大幅に収 載品目数を増やすことができました。これとは別にもう一つの大きな柱として、既に収 載となっている品目について見直しを行っていく、さらには分かりやすい局方の策定を 目指すということで、今回、既収載品目の整備を行いました。その結果として、171品 目を改正するに至りました。また、このほか、承認整理などにより市場に流通されてい ないことから、スルフィンピラゾン等の6品目を削除するというものです。  最後になりますが、同資料112ページを御覧ください。標準品についてです。医薬品 各条への新規収載、既収載品目の改正及び削除に伴い、アムロジピンベシル酸塩標準品 など11品目を新たに収載し、スルフィンピラゾン標準品等4品目を削除するというもの です。また、後ほど御説明いたしますが、日本薬局方標準品の製造者登録の導入に伴い、 資料112ページ中段以降にありますとおり、標準品の項の記載の整備を行いたいという ものです。  資料にはございませんが、ここで一点お諮りさせていただきます。日本薬局方標準品 のうちエンドトキシン100標準品に係る事項についてです。本標準品の安定供給ができ なくなったため標準品から削除するというものです。本標準品は、一般試験法、エンド トキシン試験法、エンドトキシン試験法の標準原液の項において使用する標準品であり、 現在、100単位と10,000単位が規定されているところです。このうち100単位について は、製造環境による影響を受けやすく、さらには非常に希薄であるなどの理由により、 従来よりその製造が非常に困難であるものです。現在に至るまでは、十分な試験検査を 行い、標準品の安定性を確認し、正確な試験を実施できる標準品を製造・頒布してまい りましたが、先ほども申し上げましたとおり、製造環境による影響を受けやすいため、 製造方法変更や原料ロットの変更などによりその活性が低下してしまうということで、 本標準品の製造・頒布が困難な状況となり、現在、100単位の製造・頒布を一時中止し ているところです。  一方、10,000単位については、品質を確保した上で安定的な供給が可能であるために、 100単位に代わり、10,000単位で対応いただくよう周知しているといった状況です。こ のような状況下であることから、今般、現行の100単位を廃止し、10,000単位に統一す るとともに、日本薬局方における規定においては、単位を明記せず、その名称を「エン ドトキシン標準品」と改めたいと考えております。なお、御了承いただきますれば「エ ンドトキシン標準品」と名称を改め、また、関連する項目についても、記載整備等の改 正を行いたいと存じております。  以上、エンドトキシン標準品に係る件と併せまして、第十五改正日本薬局方第一追補 につきまして、御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。 ○早川部会長 ありがとうございました。本日、委員が改選された後の第1回目の部会 ということで、日本薬局方の薬事法上の位置付け、収載品目数の変遷、第十六改正日本 薬局方の作成の基本方針、その審議体制、第十六改正に向けてのマイルストーンとして の第十五改正日本薬局方第一追補の審議経過、第十五改正日本薬局方第一追補改正案の 概要について通則・製剤総則・生薬総則、以下6項目にわたって御説明いただいたわけ ですが、ただ今の御説明につきまして御意見、御質問はございますでしょうか。どのよ うなことでも結構です。 ○合田委員 最後のエンドトキシン標準品の件は、改正されて第一追補になると考えて よろしいのですか。 ○事務局 お許しいただければ今回改正ということで、それを含めた形で考えておりま す。 ○早川部会長 削除するということですね。 ○合田委員 中の文章も、多分10,000単位とか何かあるのですね。ですから、そこが対 応した形で変わる、これとは変わるということですね。 ○早川部会長 そうですね。 ○事務局 関連した形でさせていただきたいと思っております。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、日本薬局方 の一部改正であります第十五改正日本薬局方第一追補につきましては御了解をいただい たものとして、次の審議議題に移らせていただきたいと思います。  審議事項2の議題であります第十五改正日本薬局方第二追補以降の新規収載候補品目 及び日本薬局方新規収載候補からの削除品目にかかわる案件について、事務局から資料 を基に御説明をお願いいたします。 ○事務局 説明させていただきます。今後、日本薬局方に収載すべく審議を行っていき たいと考えます、第十五改正日本薬局方第二追補以降の新規収載候補品目(案)について、 及び新規収載候補からの削除品目(案)について、本部会にて御審議いただきたく議題と して挙げさせていただきます。資料No.2及び本日配付いたしました当日追加資料1ペー ジ目の「資料No.2 参考資料」を御覧ください。  現在の日本薬局方新規収載候補品目数及び日本薬局方への収載状況については、追加 資料にあるとおりです。新規収載候補品目は、日本薬局方作成基本方針に基づいて収載 候補品目を選定しております。平成14年には136品目を、平成15年には70品目を、平 成16年には119品目を、平成18年には153品目をそれぞれ選定し、その一部は既に第 十五改正日本薬局方に収載され、また、今改正の第一追補に収載予定となっています。  本日御審議いただく新規収載候補品目(案)と言いますのは、現在ある収載候補品目に 追加するというもので、その品目(案)が資料1ページに記載されている8品目となりま す。今回候補品目(案)として挙げさせていただいた品目と言いますのは、昨年8月に第 十六改正日本薬局方作成基本方針を作成し、その中で新規収載の方針を示しております が、その方針に合致するものとして、製造販売企業より独立行政法人医薬品医療機器総 合機構に対して新規収載の要望があった品目です。  新規収載の要望は随時受けており、その要望のあった品目について総合機構の日本薬 局方原案審議委員会総合委員会において審議がなされ、今回要望のあった品目は、日本 薬局方への新規収載候補品目として既に選定されている原薬を使った製剤であることか ら、医療上重要な医薬品として位置付け、委員会において御了承いただき、本省に報告 をいただきました。機構からの報告については、資料2ページ「別紙」以降のものです。  今後の予定としては、本日この新規収載候補品目(案)について本部会にて御審議いた だいた後に御了承いただきますれば、近日中に公表し、その後、総合機構において日局 収載に向けて審議を行っていくこととなります。  続きまして、新規収載候補からの削除品目(案)について説明させていただきます。資 料にある11品目は、過去に日本薬局方新規収載候補品目として掲げたのですが、その後 承認整理などにより市場に流通されていないことから、新規収載候補品目から削除した いと考えている品目です。過去の日本薬局方新規収載の方針においては、その一つに、 日本薬局方外医薬品規格などの他の規格集に既に収載されている品目を日本薬局方へ移 行しようといった方針も掲げておりました。  しかしながら、これらの品目は、必ずしも医療上汎用性があるとは言えない品目、つ まり、現在では既に承認整理などによって市場への流通がない品目があったというもの です。今回、市場への流通がない11品目を日本薬局方への新規収載候補から削除したい と考えております。以上、第十五改正日本薬局方第二追補以降の新規収載候補品目(案) として8品目、日本薬局方新規収載候補からの削除品目(案)として11品目につき、御審 議をお願いいたします。 ○早川部会長 ありがとうございました。第十五改正日本薬局方第二追補以降の新規収 載候補品目については既に多くのものが挙げられており、それについて鋭意収載すべく 検討しているところです。それに加え、製造販売企業から基本方針に合致するものとし て要望があったものについて、新たに収載候補品目としたい、それから、既に挙がって いる候補の中から、基本方針に照らして必ずしも適切でないと現時点で判断されたもの について、削除したい、このような提案です。御質問、御意見がございましたらお願い いたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、第十五改正日本薬局 方第二追補以降の新規収載候補品目及び日本薬局方新規収載候補からの削除品目につき ましては御了解いただいたものとして、今後の手続等について事務局から御説明をお願 いいたします。 ○事務局 第十五改正日本薬局方第一追補につきましては、今後、パブリックコメント、 WTO通報などを行い、日本薬局方の改正を行うこととなります。また、薬事分科会に 報告をさせていただきます。新規収載候補品目及び収載候補からの削除品目につきまし ては、当該品目を公表した後、順次審議等を行うこととなります。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今の御説明に対してコメント、あるいは 御質問等はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本日の審議事項は終了いた しましたので、次に報告事項に移らせていただきます。まず、報告事項の1、第十五改 正日本薬局方第一追補の参考情報(案)について、事務局から資料を基に御説明をお願い いたします。 ○事務局 第十五改正日本薬局方第一追補の参考情報(案)について報告させていただき ます。資料No.3と当日追加資料の6枚目〜9枚目にあります「資料No.3 差し替え資料」 を御覧ください。資料1ページに参考情報(案)の概要、2ページに日本薬局方に掲載さ れている参考情報の一覧、3ページから新旧対照表、19ページ以降が参考情報(案)とな っています。  このうち、資料No.3の2ページの参考情報一覧表について一部訂正箇所がありますの で、当日追加資料の6枚目を差し替えていただければと思っております。具体的には、 14の「第15改正日本薬局方における国際調和」の改正のところに○が抜けていました ので、そちらに追加ということです。また、資料No.3の21ページ〜23ページの「第十 五改正日本薬局方における国際調和」の改正案については、横が印刷されていないもの、 文言が欠落しているものが一部ありましたので、当日追加資料7枚目〜9枚目を御覧い ただきたいと思います。申し訳ございませんでした。  今般の第十五改正日本薬局方第一追補の施行に伴い、遺伝子情報を利用する生薬の純 度試験1項目を新たに追加いたし、製薬用水の品質管理、第十五改正日本薬局方におけ る国際調和、非無菌医薬品の微生物学的品質特性の3項目を改正する予定としておりま す。  日本薬局方における参考情報の役割についてですが、これは、日本薬局方と一体とし て運用することにより日本薬局方の質的向上や利用者の利便性向上に資することを目的 として、医薬食品局長通知として発出されているものです。  参考情報に収載する内容として具体的には、今回改正予定である第十五改正日本薬局 方における国際調和のような、国際調和事項の局方収載状況を示すもの、同じく今回改 正予定である非無菌医薬品の微生物学的品質特性のような、一般試験法や通則等での重 要事項の解説や補足をするもの、今回新規収載の遺伝子情報を利用する生薬の純度試験 のような、先端技術を応用した新しい試験方法などを収載するというものです。以上、 参考情報(案)について報告させていただきました。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして、御意見、御質問 はございませんでしょうか。 ○合田委員 遺伝子情報を利用する生薬の純度試験のナンバーが31になっているので すが、これは、新しいものは後ろに付けていくという方向なのですか。アイウエオ順で はないのですか。 ○事務局 追補においては一番後ろに付けまして、大改正で順番をまたアイウエオ順に 直すことにしております。 ○合田委員 了解しました。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次の報告事 項の2、日本薬局方標準品製造者登録の導入について事務局から資料を基に説明をお願 いいたします。 ○事務局 日本薬局方標準品製造者登録の導入について報告させていただきます。資料 No.4「日本薬局方標準品製造者登録の導入について」、及び当日追加資料の最終ページ、 「資料No.4(下線部訂正)」を御覧ください。  先ほど日本薬局方の一部改正の件で説明させていただきましたとおり、日本薬局方は、 薬事法第41条の規定に基づき医薬品の規格基準等を規定しているものであり、日本薬局 方標準品の項においては、医薬品の試験や分析に用いられる標準品を定めております。 日本薬局方標準品全312品目中、抗生物質標準品129品目については、国が直接製造・ 頒布することとしており、実際には、国立感染症研究所で製造・頒布されています。ま た、抗生物質以外の標準品183品目については、国以外の特定法人として財団法人日本 公定書協会1社を指定し、製造・頒布を指示しています。  今般、国が指定する機関以外の機関においても一定の条件を定めることなどにより標 準品の品質確保、つまりは医薬品の品質は確保できるものと考えられることから、厚生 労働大臣が別途必要な条件を定めた上で、標準品の製造業務を厚生労働大臣の登録を受 けた民間機関等が実施できるように、その登録に関し必要な基準等を定めることを考え ているところです。具体的な登録規程の内容としては、資料No.4の3ページ以降に記載 しております。登録を受けた機関が製造する標準品については、日本薬局方の標準品の 項において規定することとしており、具体的には、資料1-2の1冊目の32ページ以降に 記載されています。  抗生物質以外の標準品であるアザチオプリン標準品からワルファリンカリウム標準品 までを、別に厚生労働大臣が定めるところにより厚生労働大臣の登録を受けた者が製造 する標準品といたし、抗生物質標準品であるアクチノマイシンD標準品からロキタマイ シン標準品までを、これまでどおり、国立感染症研究所が製造する標準品と改正を行い たいと考えております。本件については、日本薬局方の一部改正と併せて意見募集等を 行い、告示などの手続を行うこととしております。以上、日本薬局方標準品製造者登録 の導入について報告させていただきました。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして、御意見、御質問 はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次の報告事項の3、第十 六改正日本薬局方原案作成要領について事務局から資料を基に説明をお願いいたしま す。 ○事務局 第十六改正日本薬局方原案作成要領について報告させていただきます。資料 No.5を御覧ください。本要領は、先ほど審議体制について説明させていただいた独立行 政法人医薬品医療機器総合機構において設置しております、専門家及び業界の方から成 る委員会において検討・審議され、取りまとめられた後、本年3月9日付け総合機構品 質管理部事務連絡として発出されたものです。  本要領の目的ですが、医薬品の具体的な原案を医薬品製造販売企業において作成いた だいており、この原案を作成する際の作成方法、記載方法など第十六改正日本薬局方の 作成に当たって必要な事項を定めることにより、原案の完成度を高め、委員会審議を円 滑化し、さらに日本薬局方全体の記載整備を図ることを目的としております。  内容としては、第一部と第二部に分かれています。第一部には、日本薬局方の医薬品 各条を改正するに当たり、必要とされる具体的な原案の作成方針、記載方法などを定め ております。第二部には、規定の様式による医薬品各条原案の作成及び提出ができるよ う、注意事項などを定めております。以上、第十六改正日本薬局方原案作成要領につい て報告させていただきました。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今の御説明につきまして、御意見、御質 問がございましたらお願いいたします。 ○富田委員 ここに文部科学省の学術用語集と書いてありますが、どこからがこの基準 で言語を表記し、片仮名に直すときにその言語を、例えば英語かドイツ語かというとき には、今は全部英語にするのですか。これは学生に説明するときに非常に分かりにくい のです。例えばチトクロムは、ドイツ語ではチトクロムですが、今はこの学術用語集で はシトクロムなのです。「チ」と「シ」とすると辞書が違ってくるので非常に困ってい るのです。ところが、最近はサイトカインはサイトカインで記載されているのです。学 術用語集の片仮名表記は、「cyt」は「シト」なのです。それをどこからの基準でそ のように切り替えられたのか、何か基準はあるのですか。 ○早川部会長 コメントはございますか。 ○機構 総合機構からお答えします。明確なお答えではないのですが、基本的には、問 題なければ、従来慣用的に局方で使っている用語をそのまま使用している形になってい ます。ですので、現段階でどこまでという明確な基準は特に、この記載要領に書かれて いる以上のものは持っていないという状況です。 ○富田委員 私たちは、例えば「y」を書くときが一番困るのです。これは、アミノ酸 で、チロジン、それからリジンですね。ドイツ語表記ではチロジンでいいのですが、英 語で読むと、本来はタイロシンです。これは昔のドイツ語表記で使われているからいい のですが、新しい用語になってきたときには、ほとんどをUSPのスペルに合わせた方 が私たちは学生に教えやすいのです。サイトカインはサイトカインでいいと思うのです が、その辺をどこかで書いてくれればいいのですが。 ○安全管理監 物質の名前についてはINN、特に医薬品の一般名のような場合にはア ルファベットの表記を日本語に読み替えるときのルールがありまして、基本的にはそれ で読み替えているということです。シメチジンなどは英語ではサイメチジンですが、ア ルファベットのつづりをそのまま日本語読替えのルールでするとそのようになるので す。ただ、物質名としてINNなどにならないようなもの、富田先生がおっしゃったよ うに、サイトカインやチトクロムのようにそのもの自体がないようなものについては、 やや慣用的に一番通りがいいものを使っているという状態ではないかと認識しておりま す。 ○富田委員 それから蛋白も、普通、生化学では片仮名で書くのです。今は「蛋」の漢 字が使えるようになったのですが、ほかの生化学の方の辞典では片仮名で「タンパク」 と書くのです。ところが、この薬局方だけが平仮名で書かれるものですから、国家試験 でも蛋白を書くときはこちらに合わせるのです。そうすると、生化学を教えている人た ちは何となく違和感を感じるのです。平仮名で「たん」と書いて、漢字で「白」と書く のです。その辺が少し。検索するときにそれがばらばらに行ってしまうものですから、 私たちとしてはとてもやりにくいところがあるので、どこかに統一してほしいというの は、十五改正のときにも少し申し上げたのですが。 ○合田委員 私が答える立場かどうかは分からないのですが、基本的には化学物質の字 訳基準が決まっていますので、化合物の名前があった場合には、どこの国の発音かは関 係なく、字訳基準に従ってやっています。ですから、「y」は大抵「i」として読むよ うにルールがありますので、そのルールでやっているはずです。  ただし、化合物で、非常に特殊で、こちらの方が日本語として一般的であって、それ 以外に通用しないという場合には、例外にされる先生がいらっしゃる。特に医薬品の場 合では、既に医薬品として用いられているのでその名前は変えられないという場合があ ります。例えばモルヒネのようなものであれば、モルフィンにはできない。既にモルヒ ネとして日本で使われていた名称の場合、それ以後変えられないというものは特例とし て、医療の現場で混乱を起こすのでそのまま使うというのは、確かあったと思います。  しかし、基本的には全部字訳基準のルールがありますので、局方の基本原則はそれで 行っているはずであると思います。特に化合物名はそうなっているはずです。ですから、 例えば英語でどう発音しようとも、日本語のルールでの字訳基準に従って、基本的には その名前で片仮名書きをしているというのが実際であると思います。蛋白の場合は、片 仮名か平仮名か、どこが決められたのかは分かりませんが、多分、局方上の先例があっ て、そこのままに従っているのではないかと思います。  ただ、局方は法律ですので、逆に言うと、こちらの方が優先順位が高いのかもしれま せん。我々は常に局方を見て、そこで書いていればそれに従っていくことになるのだと 思います。 ○奥田委員 追加させていただきます。合田委員から御説明があったように、例えば化 合物の医薬品の名前ですと、字訳基準に従ってほとんど機械的に読み替えていきます。 これが確かに原則です。ただし、ここにもありますが、例えばアミノ酸のリジンは、字 訳基準ですとリシンということになります。また、今の若い方々は、皆さん恐らくリシ ンということで習われていると思います。これについては幾つか議論をしたことがあっ たのですが、ある世代から上はリジンだと言う方もいらっしゃったことも事実です。  詰まるところ、ここを変えると、今までのラベル等に非常に影響してくるので、どう しても急激な変化はしづらいというのが一つの要素になり、今までの歴史的なものを引 きずっている部分がある。ただし、原則はあくまでも、例えば国際一般名で決められた ものであれば、それに従って機械的に訳していく、それ以外のものについては、今まで の継続性を大事にしている部分があるので、先生が御指摘のように、必ずしもルールど おりに行かなくてケース・バイ・ケースになっている部分がある、ということかと思い ます。 ○早川部会長 これは、いろいろな立場からの要望があります。一つは、先ほど来御説 明になっているように、医薬品そのものはINNで決まってくる、あるいは名称委員会 で決まってくるので、ルール上は動かないということです。また、例外的に、慣用的に 使われているもので人々に最も受け入れられているものについては、それはそれとして 使っている。あるいは、薬局方は法律的な性格も帯びているので、そういう目から見て 急激に変化するといろいろな混乱を引き起こすものについては、よほどのことがない限 りはそういう状態で維持していっている。それ以外に判断に迷うときは、いろいろな意 見の中で、先ほどの学術用語集にのっとって考える。このような整理で、何か一つのル ールのみでコントロールしているわけではないという、答えになるような、ならないよ うな話なのですが。 ○富田委員 検索があるから、学生に教えるときは結局は原語で引けと言わざるを得な くなるのです。言葉の最初の発音が違うと非常に、先ほど言ったチトクロムは3種類あ るのです。生化学界ではシトクロムなのです。ところが、アメリカの医者が訳すときは いつもサイトクロムですから、サイトクロム、チトクロム、シトクロムと3種類が出て くるのです。そうすると、日本語でインターネット検索をしたときにばらばらに出てく るので、学生が「ないですよ」と言ってくることがあるのです。しかし、原語で引くと 幾らでも出てくるということです。今の日本のままで行くと検索文化に合わなくなって くるので、そろそろどこかで、厚労省辺りが医薬品だけでもそろえてくれるとうれしい と思います。 ○早川部会長 逆に言えば、医薬品に関しては、そろっているという言い方ができるの であろうと思います。つまり、薬局方に書かれている言葉遣いが、言わば薬に関しては、 日本の規範であるという理解。 ○富田委員 医薬品ではないあれが確かにそうなのですね。 ○早川部会長 例えば学問の世界で、そのルーツからの言葉遣いをしていたり、あるい は英語、ドイツ語等からの言葉遣いをしている、そういうことではないかと思います。 ○富田委員 医薬品は一緒ですね。医学用語など、学問のところがいろいろ変わってき てしまって面倒なことになるのですね。分かりました。 ○審査管理課長 正直、なかなか難しい点を富田委員から言われたと思います。部会長 がおっしゃったように、答えになっているかなっていないかは、いろいろな理屈がある のであろうと思うわけですが、抽象論で言っていてもなかなか気が付かない、また、富 田委員も先ほど来のお話の中で、一つのルールだけでも解決しない問題であると。しか も、これは教科書ではないので、教科書だけ変えればそれ以外の影響がないというわけ ではなくて、医薬品の生産、出荷、販売、病院のシステムまですべてに影響する話です。 ですから、特に医薬品の名称などは安易に変えられないところがあります。一方では、 薬学教育と余りに違った用語を使っいるのもまた問題かと考えています。  そういう意味から言うと、例えば薬学会になるのか、薬学協議会、薬学教育委員会の ようなものがあるかどうか知りませんが、そういうところから局方のこの言葉について は若干困っているというような具体論をリストアップしていただいて、またこの部会な り、あるいは機構の委員会なりで、ではそれについてはどういう言葉に統一しようなど の個別具体的な議論をしていかないと、このルールでやりましょうというのは、なかな か難しい議論であろうと思います。 ○早川部会長 各界には各界のルールがあるということですので、少し課長がサジェス チョンされたように、この言葉は薬学教育上、あるいは一般的に考えてどうしても不都 合、不適切とまではいかないが、より改善が望ましいのではないかということがありま したら、挙げていってもらった方が、より具体的な議論にはなるかという気がします。 ○合田委員 一つ例を出しますと、実は漢方処方が、これまでサイエンスの世界でも、 それから同じように医学の雑誌の世界でも、いろいろな表記、特に英語表記が混乱して いました。しかし、各学会が集まりまして、そこで統一的なローマ字表記、英語表記を 決めることを3年掛かって行いました。それを基にして、日本薬局方の今の漢方処方エ キスの表記がなされています。これは一例ですが、そういうもので非常に混乱が起きや すいものは、最終的には薬局方が一つの法律ですからそこに出口があるかもしれません が、その前の学会のレベルである程度統一をされると、局方もその結果を反映させるこ とができ非常にやりやすいかと思っています。 ○富田委員 漢方処方のときは、漢字で書かれます。そのときの表記名に関しては、中 国の漢方とは全然違って書いているのですか。そこが少し分からないのです。 ○合田委員 見ていただくと分かりますけれども、今は英語名のローマ字表記の話をし ましたが、あくまでもこれは日本語ですので、中国と全く違います。中国は漢方ではあ りませんので、話は違います。 ○富田委員 中国で実際に使っている処方をこちらに持ってきている場合もあるわけで す。そういう場合はどうなのですか。向こうの名前をそのまま使うわけではないのです か。 ○合田委員 ものが違いますから、それは同じものでありません。少し話は外れますが、 基本的にはそれは、その国の言語で読んでいる読み方のものなのです。ですから、韓国 が書いているものは、韓国語で読んだものです。たまたま漢字が同じ表記をしていると いう考え方です。漢字の読み方は違います。日本の読み方も、韓国の読み方も、中国の 読み方も違います。それから、処方の内容は全部違いますので、それはそのことについ て統一はできない。ですから、日本での読み方の統一を図っているわけです。日本での 読み方の統一を図って、そのものについてローマ字表記がどうであるかということにつ いての統一を図っているということです。  どこにハイフォネーションを入れるか、どういう表記をするかというのは、検索を考 えた場合に非常に重要です。一定のルールで、日本の漢方処方についてはローマ字表記 をこうしましょうと決めてあります。漢字ですと西洋文化圏には通じませんので、そう いう表記の統一を図りました。例えば、チトクロムにするかサイトクロムにするかとい うのが、現実的に学問の世界の中である程度統一されれば、その統一に従ってそうであ るからということがあれば、局方であってもそのものに従って統一するということは、 当然あり得るのであろうと思います。 ○富田委員 各条の処方のところを見ると、漢字で書かれているから、何となく読みで 入れられていっているから、そうすると、非常に複雑で私も分からないのですが、あれ は日本語として読まれたので、あのまま中国に持っていくと全然違う漢字になるのです か。 ○合田委員 中国は漢字の体系が違います。中国で使用されている漢字は中国のものと してアイデンティティーがあるわけです。 ○富田委員 中国語で医薬品がこちらに輸入されても、それは原語主義ではなくて、漢 字の場合は漢字で輸入するのですか。 ○合田委員 日本で承認がないですからそれはできないです。日本の医薬品としてどう であるかというのが基本ですから。 ○早川部会長 合田委員が説明しているのは、日本の医薬品、生薬としてどういう表記 の仕方をするかについて統一したというお話ですね。 ○合田委員 そうです。ですから、桂枝茯苓丸エキスというのは桂枝茯苓丸エキス以外 の何ものでもないのです。それは、漢字では日本で局方に書かれている漢字を書きます し、ケイシブクリョウガンエキスという呼び方をしますし、桂枝茯苓丸エキスというロ ーマ字表記はもう一定のものと決まっています。そのものについては、生薬学会、東洋 医学会、和漢医薬学会の三つの学会で全部了解が取られて、ではそれで行きましょうと なります。  そのものは海外に発信するときにはローマ字で決まっていますから、そのもので例え ば副作用情報などは全部発信されます。1年ほど前からすべての医学系の論文も含めて 表記はそれですると決まっています。過去にはsiに書くのか、shiに書くのかなど ローマ字表記がばらばらであったために、同一のものであることが外人には分からなか ったのです。それが、今は、日本から発信するものについては、一定のルール上で表記 が決まっているから、誤解がない。日本のこの医薬品であることが分かる。そういう方 向性でやっています。 ○富田委員 勉強になりました。ありがとうございました。 ○早川部会長 限られた分野では、そのように統一が取りやすいであろうと思うのです が、例えば生命科学の分野のように、発見の歴史からいろいろな分野の方がかかわって いるような場合には、多分呼び方がそれぞれの立場で随分違っているので、そういうも のを統一していくのは意外に難しいかもしれません。先ほどのアミノ酸一つにしてもリ シンなのかリジンなのか、英語読みではライシンとも言うのですか。我々が学んだころ はリジンと言っていたのですが、今は一般的にはリシンと言うようです。 ○合田委員 リシンと言うと、区別がないので難しいです。 ○早川部会長 私はリシンというと毒物のような気がしていたのですが、最近の大勢の 意見を聞いていると、アミノ酸はリシンと言うのです。 ○富田委員 濁らないのが今の大勢です。インスリンだけは、suなのにスなのです。 インズリンではないのです。本当の表記からいくと、その辺が難しいのです。 ○早川部会長 昔はインシュリンと言っていたのですが、シュとはとても読めないとい うことで、今はインスリンになったのです。 ○安全管理監 インスリンはどこかの段階で一斉に変えたのです。 ○富田委員 本当はsは濁らない方がいいと思うのですが。 ○安全管理監 リシンの関係などですと、日本語は外国語と違ってLとRの発音の違い がないので、そういう点はどうしてもINNなどにずっと御苦労いただいているのです が、どうしようもないという部分があります。 ○早川部会長 余り議論を展開すると大変なことになるのであれですが、この前も大激 論になったのは、括弧の順番をどうするか。1個だけ括弧のときはいいのですが、2個 目、3個目、4個目といったときに、2個目にこういう括弧を持ってくるのか、激論が ありました。大方がそれでいいということであれば、その方に統一してしまえばいい話 であると思うのですが、その前に、先ほども御議論があったように、これはどう考えて も不都合であるという御要望があればいただいて、それを局方的に議論するということ は、今後の課題として考えておきたいと思います。よろしいでしょうか。 ○富田委員 5年ほど前から気になっていただけの話ですから、いいです。 ○合田委員 別件ですが、今の原案作成要領は英語訳される可能性はありますか。 ○機構 総合機構から出したものですが、現時点ではまだ英訳の予定はありません。 ○合田委員 USPやEPはそういうことは全く気にされないでしょうが、私が付き合 っていますアジアの諸国は、こういうものを持っていないので、そういうものがあると 是非見せてくれと言われます。しかし、私が英訳するのはできないということで、本当 はこういうものも英訳されていると、ほかの国で役に立つことがあるかと思ったりはし ています。それから、韓国の方は日本語が読める方が多いですから、せめて日本語でい いので、サイトですぐ取れるなど、そのようなことでもあるといいかと思います。 ○機構 総合機構のウェブサイトには掲載しています。 ○安全管理監 英訳の方は少し中で相談させていただきますが、場合によっては英訳し た後のチェックなどをお願いするかもしれません。先生方の御協力をある程度いただけ るという前提で検討させていただきます。 ○早川部会長 これは記載要領なので、英訳が元の日本語と違った意味になっていると、 問題であると思います。なかなか難しいかもしれません。 ○合田委員 そのことはよく分かっています。 ○大石委員 前に戻りますが、資料1-1の15ページ、新旧対照表のところに単位が書い てあります。これはこのように書き改めるということですが、この中でpHがなくなった というのは、どういう意味ですか。 ○機構 pHは単位ではないということで、今回、この通則の9項からは削除しました。 ○大石委員 以前はどういうことで入れてあったのですか。 ○機構 その経緯はよく分からないのですが、以前から9項にはpHがあり、今般、もう 一度通則9項について見直しをしたところ、単位としてはふさわしくないものが入って いたということで削除しています。ただし、医薬品各条の方には当然のことながら、pH の規定は残されています。 ○大石委員 資料5の6ページに消されているものも全部項目として挙がっています が、これは問題がないのですね。 ○安全管理監 「単位及び記号」という形ですので、ここは記号という意味で残ってい ると思います。 ○富田委員 SI単位であったら時間も主なものに普通は入れますが、薬局は、ものの 関係を重視されるせいか、ずっと時間のsを主な単位に入れない。SI単位であったら 最初の基準のものであるから普通は入れると思うのですが、これを見ると十六局でも、 7ページに時間を別にして書いてあるのです。「秒」、「分」、「時間」、「日」を使 うと。せめて秒はs、分はmin、時間はhくらいは使ってもいい気がするのですが、こ れは駄目なのですか。時間はSI単位の基本であるから、ものにこだわるのではなく、 単位であったら入れた方がいい。  気になるのは、35ページの下から6行目を見ていただくと、「例1 流量:35cm/秒」 とあります。このように書かれる可能性が出てくると嫌なのです。化学の論文のところ ですから、これはやはり秒と書かないで、sと書いた方がいい気がします。「何箇月」 というのはよく分かります。それは確かに日本語で書いた方がいい気がしますが、実際 問題としては、こういうのは例としてこのように書くのですか。 ○早川部会長 今おっしゃっているのは、35ページの7)流量のところですね。「35cm /秒」がsであっていいのではないかということですね。 ○富田委員 半角の「/」でsと書く方がかえって簡単ですし、私たちは分かりやすいと 思うのですが、そうもいかないですか。 ○早川部会長 それはこれからの検討課題かもしれませんが、多分、薬局方全体を書き 直さないといけないということなので、今までこういう使い方できて、つまり読む方、 利用される方がそれできちんと理解していただければそれでもいいという方針ではきて いるのです。これはあくまでも記載要領ですので、どうしてもこうでなくてはいけない ということでもないのですが、なるべく従来の延長線上で統一を図りましょうという趣 旨ではあるので、従来から「/秒」という言葉で大方の人は違和感がなく使ってきたの であろうと思うのです。合田委員いかがですか。 ○合田委員 これは昔聞いた話ですが、法律の文書に近いので、基本的に意味がはっき りあるものは日本語で書いた方が意味として明確になるでしょうという考え方でされて いると聞いたことがあります。要するに、sと書いてしまうと、sという記号としての 意味しかないので、何かが起きたときに、そのsは何かということを別に定義しなけれ ばいけなくなります。ですから、ナノメートルなどについて片仮名でナノメートルと書 くのは、英語で書いてnmと同じ意味であろうからと。そちらから来ているものですが、 秒は日本語の言葉として意味が規定されていますので、そういうものはそう書くのだと いう具合に、昔、薬局方をやり始めたときに習った記憶が私はあります。早川先生が言 われたように、多分、従来からそうしていて、そのものを直すと非常に混乱があるから というのが本質的なところであろうとも逆に思います。 ○早川部会長 書き方についてはいろいろな御意見があろうかと思いますが、なかなか それを統一的に、どちらかに偏ってしまうとまた別な方向から御意見も出てくるという、 いろいろなバランスの中で多分この記載要領は出来上がってきている。もちろん先生方 からこれから改良すべき点があるということで御意見を賜れば、それについて検討する ことは機構としてはやぶさかではないわけです。ですから、是非御提案をいただければ と思います。ほかにいかがでしょうか。 ○富田委員 細かい点ですが、16ページの下から17行目に注1とあります。「例 ペプ チド性及びたん白質性医薬品」のところの注1の2行目、A鎖T31はグリシンアミドと 書かれていますが、TはGに直さなくてはいけません。アミノA鎖のC末はグリシンア ミド、G31です。 ○早川部会長 注1のところですね。692行目ですね。 ○富田委員 一文字表記ですと、グリシンアミドはTでなくGです。実際にそのページ を見ていただくと、14ページの下から4行目、A鎖の最後はG-NH2になっています。 細かいミススペルで、申し訳ないです。 ○早川部会長 それでは、これは確認をしていただいて。 ○機構 確認の上、訂正させていただきます。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。この日本薬局方原案の作成要領については、 今後は取りあえずこれに従ってやっていくということですか。 ○機構 基本的にはこれに沿った形で、記載の統一を行うとともに、ここに書かれた審 議方針に従って、十六局に向けて原案を作っていく予定です。ただし、原案を作る過程 の中で内容について見直しが必要となった場合は、適宜改正ということで、機構の方か らまた事務連絡という形で公表していきたいと考えています。 ○早川部会長 先生方も、お気付きの点がありましたら、是非機構に寄せていただけれ ばと思います。ほかに何かございますでしょうか。 ○木津委員 教えてください。先ほど富田先生から出た35ページの流量の点です。秒と いうのは合田先生の説明で分かったのですが、その上の1610のところに液クロは「毎分 1.0mL」とあります。「毎分」と書くのと「/秒」と書いてあるのは、意味があるのです か。 ○早川部会長 おっしゃる意味は、「1.0mL/分」と書いてもいいのではないかというこ とですね。 ○木津委員 そういうことです。論文で結構そのように、液クロは今まで違うように書 いていたものですから。でも、これに載ったら、これからというか、私の今までの論文 の書き方が不注意であったと思うのですが。 ○早川部会長 そういうことではなくて、これは日本薬局方の中での約束事で、学術論 文もこうあるべしということでは必ずしもない。多分、学術論文も論文ごとにその書き 振りについては規定があって、こう書いてくださいということであろうと思うのです。 雑誌ごとに多少ニュアンスが違う書き振りですよね。局方ではこう書いてきたという意 味で、先生の方の書き方を縛るものではない。 ○木津委員 それはいいのですが、液クロは毎分1.0mLで、ガスクロは35cm/秒という のは、少し違和感があったので、理由があるのか教えていただこうと思ったのです。 ○早川部会長 多分、それほど深い意味はないと思います。 ○安全管理監 ここにも例と書いてあるとおりで、必ずしもこのとおりに書けというこ とではなく、例示という形で書いてあるということだそうです。 ○早川部会長 十五局はこれに合わせてあるのですね。ここは多分、十五局から余りい じっていないですね。 ○安全管理監 液クロとガスクロはやはりそろえた方がいいのでしょうか。 ○早川部会長 そうですね。 ○安全管理監 では、例示をそろえますか。 ○機構 ここの部分については、十五局の原案作成要領にはなくて、今回、十六局の原 案作成要領を作るに当たって入れた部分です。御質問がありました点については、ほと んどは1610行目の「流量:毎分1.0mL」という書き方になっています。先ほど御指摘い ただいた1641行目の書き方はほとんど例としてない状況です。ですので、局方の中では 基本的には毎分何mLという書き方にそろえてある状況です。 ○早川部会長 今からでも1641のようなところは変えられるのですか。 ○機構 変えることは可能です。 ○早川部会長 なるべく統一を取った方がいいですね。どうもありがとうございました。 ほかにいかがですか。 ○棚元部会長代理 これも細かいところですが、16ページの3.7.3で、分子量は2004 年の国際原子量表によるとなっているのですが、これは既に新しいものが出ていますし、 食品添加物公定書では2005年のものを使っていると思います。恐らくこれは十六局のと きの最新のものを使うことになると思いますので、この辺の表記を最新のものなど、そ ういった形にした方がいいと思います。 ○安全管理監 ここは、新しいものが入手できるのであれば、そう訂正します。 ○機構 原案を作成していただく段階では、2004年の国際原子量表の値で計算したもの を提出してくださいという意味です。最終的に局方に載るときには最新版に改めるとい うのは、審議の過程の中で行います。 ○早川部会長 これはいつも最後に一番新しいもので計算し直しているのですかね。最 後に一斉に統一を取るというやり方であると思います。ほかにいかがでしょうか。よろ しいでしょうか。それでは本日の審議・報告事項が終了いたしましたので、その他、事 務局から何かありますか。 ○事務局 日本薬局方においては、先ほどもありましたが、国際化の推進を一つの作成 方針としておりましてその中で英文版の作成を掲げているところです。机上にあります 第十五改正日本薬局方は昨年3月に告示したところでありますが、その英文版の作成を 現在行っていまして近日中に完成する予定でございます。完成いたしましたら委員の先 生方に郵送にて送付させていただきますので御確認いただきたいと思います。  また、次回の日本薬局方部会の日程等につきましては、事務局にて調整しまして、改 めて御連絡させていただきたいと思います。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは以上をもちまして本日の日本薬局方 部会を終了いたしたいと思います。委員の先生方、どうも御苦労様でした。  ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 化粧品専門官 辻(内線2743)      - 1 -