07/04/12 第26回社会保障審議会医療保険部会の議事録 社会保障審議会医療保険部会(第26回)議事録                      平成19年4月12日(木) 専用第22会議室(合同庁舎5号館18F)  糠谷部会長 定刻になりましたので、ただいまより第26回医療保険部会を開催いた します。本日の委員の出欠状況について、御報告申し上げます。本日は逢見委員、山本 文男委員、井伊委員、齊藤委員、西村委員、多田委員、大内委員より、御欠席の連絡を いただいております。岩本委員は若干おくれるとのことでございます。また、岩村委員 は途中で退席されますので、委員の皆様には御承知おきをお願いいたします。続きまし て、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りいたします。逢見委員の代理とし て小島参考人、齊藤委員の代理として高橋参考人、多田委員の代理として櫻井参考人の 御出席につき、御承認をいただければと思いますが、いかがでしょうか。 (異議なし)  糠谷部会長 ありがとうございます。それでは、議事に入らせていただきます。本日 は前回に引き続き、医療保険制度の改正後の状況について報告を受けたいと思います。 まず、前回の部会以後、後期高齢者医療のあり方に関する基本的考え方が取りまとめら れ、また、パート労働者への健康保険適用の拡大に関する政府案がまとまりましたので、 それらに関する報告を受けたいと思います。次いで、全国健康保険協会の設立に向けた 準備状況についての報告を受け、最後に医療費適正化に関する施策についての基本的な 方針(案)等が示されておりますので、その内容について説明を受けたいと思います。 なお、本年3月末をもって高齢者医療制度の運営主体である後期高齢者医療広域連合の 全都道府県での設立が完了しておりますので、参考資料として配付をしております。  それではまず、後期高齢者医療のあり方に関する基本的考え方について、事務局から 報告をお願いいたします。  原課長 医療課長でございます。前回、3月1日の医療保険部会で、後期高齢者医療 のあり方に関する特別部会での、医療のあり方に関する基本的考え方のたたき台をお示 しいたしまして、委員の方々から御意見をいただきました。私どもで、委員の方々の御 意見を取りまとめた上で、おおむね、たたき台の流れの中で読めるというふうに考えて おりまして、今回、この基本的考え方の中では、前回のたたき台での柱立ての項目を、 さらに説明する形で、今回、この考え方を作成いたしました。おおむね先生方の意見を 取り入れられたものと考えております。  ただ、支払いの方式等についてのものにつきましては、この基本的考え方を、昨日、 最終的に取りまとめて、現在、パブリックコメントを募集している最中でございまして、 それらも踏まえた上で、今後、診療報酬を決めていく段階で、それぞれ参考にさせてい ただきたいというふうに考えております。  それでは資料1について、簡単に御説明をさせていただきます。前段の、この前書き の部分でありますが、これは経緯について書かせていただいております。平成18年6 月に、国会の中で、後期高齢者医療制度の関連の法律が通りました。その後、その際の 参議院の審議における附帯決議の中で、「後期高齢者医療の新たな診療報酬体系につい ては、必要かつ適切な医療の確保を前提とし、その上でその心身の特性等にふさわしい 診療報酬とするため、基本的な考え方を平成18年度中を目途に取りまとめ、国民的な 議論に供した上で策定すること」とされています。これを受けまして、現在、パブリッ クコメントを募集している最中でございます。  この部会では、今まで5回のヒアリングを含めまして、7回、論議を重ねてまいりま した。その中で、後期高齢者の心身の特性、基本的な視点及び課題等について取りまと めさせていただきました。これが、この基本的考え方の性格でございます。今後、この 基本的考え方をもとに、広く御意見をいただいた上で、さらに論議を深めていくという ふうにしております。人口の高齢化が進行する中で、安心して生活できるよう、特別部 会として、この後期高齢者の思い、安心して必要な医療が確保されるという思いを念頭 に置きつつ、これから診療報酬体系の骨子の取りまとめに向けて議論をしていく、これ が前段の部分でございます。  そして1つ目の項目、後期高齢者の心身の特性についてでございますが、これは前回 のたたき台から言いますと、大幅に変わったところはありませんが、前書きに続いて項 目を3つ挙げております。1番目が、老化に伴う生理的機能の低下により、治療の長期 化、複数疾患への罹患が見られる。2番目が、多くの高齢者に、症状の軽重は別として、 認知症の問題が見られる。3番目が、少し文言がふえております。新制度の被保険者で ある後期高齢者は、この制度の中で、いずれ避けることができない死を迎えることとな る。少し、後期高齢者の説明を加えさせていただいたということであります。  それから、基本的な視点ということで、以上の3つの特性等から、次のような視点で 医療を考えてもらいたいということです。ここもおおむね、たたき台のままでございま す。まずは、文言を少し変えましたが、後期高齢者の生活を重視した医療ということで、 長期療養が必要になる、後期高齢者の医療の場合に、その生活というものも意識した中 で医療をしていかなければいけない。それから2つ目が、後期高齢者の尊厳に配慮した 医療。75歳以上の方々が被保険者でありますので、少なくとも75年間は人生を過ごし てこられた方々が対象になります。そういう意味で、その尊厳というものを重視した医 療が必要になるだろうというふうにまとめております。それから3つ目の項目は、少し、 家族という言葉もふえましたが、後期高齢者及びその家族が安心・納得できる医療とい うことで、これはいろいろな御意見がありまして、安心だけではなくて、納得できる医 療という形にまとめております。  3つ目が、後期高齢者医療における課題ということで、これは5点、たたき台のとき にもお示しいたしましたが、これはそのままでございます。繰り返しになりますが、読 み上げますと、1番目が、複数の疾患を併有しており、あわせて心のケアも必要となっ ている。2番目が、慢性的な疾患のために、その人の生活に合わせた療養を考える必要 がある。3番目が、複数医療機関を頻回受診する傾向があり、検査や投薬が多数・重複 となる傾向がある。4番目が、地域における療養を行えるよう、弱体化している家族及 び地域の介護力をサポートしていく必要がある。5点目が、患者自身が、正しく理解を して自分の治療法を選択することの重要性が高い。この5点について、課題として特に 取り上げたわけでございます。後の文章は、以上の項目についての説明を少しつけさせ ていただいております。  4番目が、後期高齢者にふさわしい、これらを踏まえた医療の体系ということで、こ こでは全体として、まず入院医療、それから在宅や外来での医療、それから介護保険等 との連携、そして4番目に終末期のケアということでまとめております。ここも大幅に 変わったところはありませんが、1番目の項目、急性期入院医療にあっても、治療後の 生活を見越した高齢者の評価とマネジメントが必要である。これは前回のときにも説明 させていただきましたけれども、急性期入院医療自体は、若人と大幅に変わったもので はいけないという前提はもちろんでありますけれども、その中で、急性期入院医療にお いても、後期高齢者の退院後の生活というものを見越した上で、その治療計画等を立て ていく必要があるだろうということが指摘されておりましたので、その説明を少し加え させていただいております。  それから、急性期の入院医療が終わった後、外来や、あるいは在宅での医療になるわ けですが、居住系施設を含む在宅を重視した医療として、特に慢性化する疾病でありま すので、生活の中で、どのような医療が求められるかということで項目を立てています。 1つ目が、訪問診療、訪問看護等、在宅医療の提供をする必要がある。2つ目が、複数 疾患を抱える後期高齢者を総合的に診る医師が必要になる。それから、医療機関の機能 特性に応じた地域における医療連携が必要である。このようにまとめております。ここ では、以上の3項目について、中身の説明をしておりまして、まず、地域での療養生活 を安心して送ることができるための信頼感の確保された在宅医療が必要である。そのた めに、医師、歯科医師、薬剤師、看護師等の医療関係者が協力して、チームとして対応 する必要がある。それから、この場合に中心となる連携の調整役として、医師が置かれ る仕組みが重要ではないか。そのためにも、この後期高齢者を総合的に診る医師が必要 であり、これらの養成が必要になってくるということでございます。  また、在宅医療で、ずっと在宅でいられればいいわけですけれども、病状の悪化等も ありますので、在宅医療を後方支援する医療機関との連携等が必要になる。さらに、在 宅医療で、これもヒアリングの中で大きく言われていましたが、全身状態の維持にも重 要である、継続的な口腔管理、あるいは複数の病気を持っていますので、複数の医療機 関からお薬などが出されるわけでありますけれども、その際の重複投薬等々があります ので、それをしっかりと防止できるような、薬局での医薬品の管理、それから、当然な がら重要な柱としての訪問看護と、こういうようなものが、今後必要になってくるだろ う、と。それから、いわゆる外来の通院医療についても、やはりこの後期高齢者を総合 的に診る医師が中心となって、しっかりとその医療についても提供していく必要がある と考えております。  それから、3番目の項目として、介護保険等他のサービスとの連携のとれた一体的な サービスの提供が必要である。ここは、特に高齢者が療養をしながら生活をするという 上で、介護保険のサービスというものが欠かせない方が多いわけでありますけれども、 そういうときに、医療サービスとの一体的な提供ができるように、主治医やケアマネジ ャーの連携ということも必要になってくると考えております。  4番目に、終末期の医療の点ですが、この2点については、たたき台のとおりであり まして、患者及び家族と医療関係者の信頼関係に基づく緊密なコミュニケーションが必 要である。その中で、患者あるいは家族の希望を尊重しつつ、その尊厳を保つことに配 慮した医療を実現していくべきである。今後、終末期医療をどうするかという点は、国 民の関心も高いわけですので、今後とも慎重に議論を行っていくべきであると考えてお ります。また現在、厚生労働省で、終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会 において、ガイドラインが出てまいりました。そういうものを参考にしたいと考えてお ります。  それから、その他として、これらの、新制度でのものについて、当然ながら後期高齢 者の負担というものが入っていますので、それを考慮して制度が持続可能なものとなる ように留意すべきであるということがあります。また、後期高齢者にふさわしい医療の 体系を、いきなり完成型まで持って行くのは難しい。先ほども言いましたように、スタ ッフの養成等も必要になりますので、そういう意味では段階的に取り組みを進めていく 視点も必要であるという点をつけ加えさせていただきました。  6ページ及び7ページについては、これは特別部会の開催経緯を参考につけておりま す。また、お手元の資料では、その次のページ以降に、大内委員から「後期高齢者の医 療及び医療保険制度に関する日本老年医学会の考え方」というペーパーをいただいてお ります。これは3月1日の時点で、大内委員は御欠席でございまして、それに対してこ ういう意見があるということで、ちょうだいいたしました。大内委員のこのペーパーに つきましては、特別部会の方では、委員の方々にお配りしておりますが、前回、医療保 険部会ではお配りしていなかったということで、今回、つけさせていただきました。  後期高齢者医療のあり方に関する基本的な考え方についての説明は以上でございます。  糠谷部会長 ただいまの報告につきまして、御質問等があればお願いいたします。  鈴木委員 終末期は非常に難しい問題であり、ガイドラインを提示されましたけれど も、まだなかなか、国民的な合意形成を得るというところまでは、ほど遠いとまでは申 しませんけれども、まだ相当なハードルがあるというふうに思っております。この終末 期に関しては、本当に慎重に対応していただくようにお願いしたいと思います。  糠谷部会長 御意見、よく承りました。  神田委員 今回の報告は、大変よくまとまっておりますし、基本的な方向については、 私どもも理解をし、賛同するわけでありますけれども、ただいまの考え方の中の大きな キーワードの一つに、「総合的に診る医師」というもののとらえ方が中心になっている ような気がいたします。これはもう、とても大切なことでありますけれども、現状がど うだということを考えると、そういう体制になっていませんし、それから、その方向性 も、現実にはまだ見えていません。したがって、これをよく理解をし、あるいは進めて いく上では、「総合的に診る医師」というものの概念を、やはり共通のものを、まず、 我々の中で築いていく必要があるだろうということが一つあります。  それから、実際に現場でそうした役割、機能を果たせるドクターが、どの程度いらっ しゃるのかという実態について、こうしたものも、きちんと調査をし、把握する必要が あるような気がいたします。問題は、これからどう養成していくかということでしょう けれども、後期高齢者のこの医療制度は、いよいよ来年からスタートするわけですので、 今後これをどのような形で養成し、どういう目標のもとに、総合的なドクターを形成し ていくのか、つくっていくのか。やはり中長期的に、きちんとスケジュール的なものを 持っていないといけないのではないか。私は都道府県の立場でありますけれども、やは り現場では、どうしても心配が募ってくるような気がいたします。したがって、これか ら、この考え方をもとに、いろいろ議論がスタートするとすれば、実務的には、そうし た総合医というものの、これからの形成をどうしていくのかを、ぜひとも、国としても 方向性を出していただいたり、あるいは現状把握に努めていただきたい、そんな気が強 くいたしております。  とりわけ臨床研修制度というものが、今のような体制になって、医師不足というのは、 どこの地域でも本当に大きな課題になっています。それとの関係もありますので、特に 総合的な対応が避けられないと思います。これは希望でありますけれども、ぜひとも、 国においても、あるいは関係機関においても、お取り組みを願いたい。我々都道府県の 立場でも、できるだけ協力していきたいと、そんなことを思っております。以上です。  糠谷部会長 ありがとうございました。今の神田委員の御指摘は、ごもっともなこと かと思いますが、事務局から何かコメントはありますか。  原課長 「総合的に診る医師」ということで、名称をどうするかは、いろんなところ で、いろいろ議論されておりますが、ただ、明確な定義はと言われると、なかなか、ま だ、そこまではっきりしたものはつくっておりませんけれども、ある程度おおまかなイ メージとしては、共通に、大体そういう人が要るんだろうなあということは、多分、一 致しているんだろうと思います。現在それがどれぐらいかということについては、私ど もも現時点では承知していませんし、今後、当然ながら、これをどんどん養成していく 必要があるという点では共通に考えております。  現段階で、このような方々を、どういう形で、いつごろまでに、どれぐらいのペース で養成していくのかという点についての計画も、今現在は、はっきりしたものがありま せんけれども、そのあたりは、実は報告書でも、段階的に取り組めというところで、少 し、まとめさせていただきましたので、また今の御指摘も踏まえまして、現状あるいは 今後の養成等については、内部でも検討を進めていきたいと思います。  唐澤課長 総務課長でございます。神田委員から御指摘のあった点は、実は大変重要 な点でございまして、特別部会の方でも、大変大きな議論になった点でございます。正 確な定義をどうつけるかというのは、いろいろ議論がありますけれども、ただ、臓器別 に診る先生がたくさんいるという状態では、やはり、都合がよくないのではないか、と。 医療のあり方として、もっと総合的な形を目指すべきではないかという点については、 大体、皆さんの意見は一致しておりました。  ただ、そういう先生方を、どうやって養成するのかという点については、今の私ども の方の、この、医師の養成という点では、医政局が担当しておりまして、医政局にも、 そういう問題意識がありますし、それから、医療関係団体の皆さんの方でも、やはりそ ういう事柄について考えていかなければいけないという問題意識の提起が出てきていま す。  それから、資格そのものについては、これにぴったりのものは、今はまだありません。 もちろん総合診療学会とか、プライマリ・ケア学会とか、いろんな学会がありますけれ ども、それを全部共通とした合意の制度までにはなっていないわけでありまして、そう いうものを、どういうふうに考えて、議論をして、つくっていただくかということは大 変重要な点で、御指摘のとおりだと思っております。  神田委員 ありがとうございます。いずれにしても、今回の考え方は、私もよく読ま せていただきましたけれども、この考え方が円滑に前へ進んでいくかどうかという、本 当に決め手になるような気がします。総合的な医師というのが、コーディネートに重点 を置くのか、あるいはトータル医療に重点を置くのかによっても、これは随分違ってき ます。今、お話しのように、専門化・分化がどんどんされている中で、総合的な医療と いうものが、ともすれば調整役、コーディネート役だけに行くことを意味するとなると、 また認識が変わってまいりますので、いずれにしても、この総合的な診療医というのを、 どのようにとらえていくのかということを、まず、やはり、きちんとコンプリートする ことが必要であるような気がいたします。絵に描いた餅にならないように、ぜひとも、 そのあたりは積極的にお取り組みをいただきたい。これは希望ですので、意見として申 し上げました。よろしくお願いいたします。  鈴木委員 今の関連ですけれど、在宅医療における主治医というのは、ほとんどが日 本医師会の会員だと思います。日本医師会としましても、御指摘の点は重要な課題とい うふうに把握をしておりまして、今、鋭意検討中であるということだけ、お話ししたい と思います。  神田委員 ありがとうございます。  古橋委員 この内容が取りまとめられたということについては、この、後期高齢者の 医療の指針が出たということで、私どもも、大いにこれを考えて羅針盤にできると思う のですけれども、大切なことは、こういうふうに大変いい内容で取りまとめられても、 実態と実像がどうなっていくのかということが、大変気がかりです。  一つは、基本的な視点で、生活を重視した医療ということに対して、これに異論を唱 える方はいないと思うのですが、まだ、医療を提供する側は、急性期の治療の医療モデ ルというものについては大変深く、幅広く、ここにたどり着きつつあるし、これに向か っての努力は、医師を中心になされていると思うのですけれども、生活を重視した、生 活モデルの中の医療というものについては、さまざまな取り組みはありますけれども、 まだしっかりたどり着けているかというと、そうでもないのではないでしょうか。そう いう点では、チームでやっていく医療と、ここの基本にもありますように、高齢者と家 族が、同じレベルの参加者であるということが非常に重要でありまして、やはり、チー ムでやっていくということを、名実ともに展開していく努力がなされないといけないと 思います。もちろんそこでは、医師は重要な役目をしていらっしゃいますけれども、医 師が支配をしていくのではなくて、重要なチームの一員としての機能を期待したいと思 います。  もう一点は、老健局としての、介護保険を司っておられるところと、医政局、保険局 の、医療保険を司っておられるところの、組織横断的な制度を構築していくための機能 というのは、本当に連携ができているんだろうかということを大変疑問に思うことがあ ります。いわゆる縦割りの行政というのが、やっぱりある。これは診療報酬のリハビリ テーションの領域でも問題になりまして、急性期・回復期リハから維持期のリハに移っ ていくというとき必ずしも、きちっと議論ができていたのかどうか。そういう移行に対 しても、用意は必ずしも十分ではなかったのではないか。療養病床の転換に関しても、 保険局と老健局は、組織横断的な同じ土俵の中で、十分、議論をしていただいているの かというようなことを考えますと、この、一つ屋根の下で、フロアが違うだけなのに、 そういう点での息は本当に合っているのかということが気がかりです。  高齢者医療というのは、生活を重視した医療です。格段に保険局、医政局と老健局の 担当の皆様も、十分にそこのところの検討と一体的運用という言葉がここに書かれてい ますので、その実現に向かって、やはり実体をつくっていただくということを、ぜひお 願いしたいし、医療提供者も、この理念のもとでやっていく必要があると思うのですが、 まだ、十分とは言えないという気がしていますので、そこをお願いし、一方我々、医療 を提供する者にも、課題と努力が求められているということを発言したいと思います。  糠谷部会長 ただいまの、特に後段のところは、ごもっともなところだと思いますが、 どなたかお願いいたします。  唐澤課長 厳しい御指摘でございますけれども、単なる連携を越えた、一体的なサー ビスというものが必要ということで、委員の先生の御指摘を踏まえて、こういうおまと めをいただきましたので、今の御指摘をしっかり受けとめさせていただいて、今後の検 討に生かさせていただきたいと思います。ありがとうございます。  河内山委員 今の古橋委員のお話にも関係するのですが、この報告の中にも、高齢者 の生活まわりをバックアップする、地域とか家庭とか、そういうものの力が弱体化して いる??介護力が弱体化しているという表現がありますけれども、やはり地方都市も大 都市も、同じように、地域とか、いわゆる家族とか、そういうものの力が、これは単に 医療だけではなくて、子育ての問題もそうですし、それから防犯の問題もそうですが、 近年、非常に低下をしているということが、枚挙にいとまがないと思います。  したがって、高齢者の生活を支えていくということは、そういう地域力とか、あるい は既に核家族化が進んだり、あるいは高齢者のみ世帯というのが非常にふえていますの で、家族というものを、どういうふうに位置づけるかは、ちょっと別枠として、社会の 問題とするならば、この地域力を高めていくようなことを、同時進行でやっていかない と、最終的にはまたお医者さんの世界に??療養病床の問題もそうですが、結局は病院 とか病室に、人間は帰らざるを得ないという状況があると思います。したがって、これ は厚生労働省だけの話ではないので、今は老健局との連携を御指摘になりましたけれど、 かなり幅広い話だと思います。  今度は、総合的に医療をマネジメントしていただく先生方にも、実はお医者さんの世 界、あるいは介護関係の世界だけではなくて、もう少し全体として地域のケアをマネジ メントするという意味では、相当、今までとは違う感覚の役割を果たしていただく必要 があるのではないか。したがって、これは今後の非常に重要なポイントだと思いますけ れど、単に医療の専門家というのではなくて、本当に地域力とどう連携していくかとか、 さらには地域の中で、実はいろんな資源が眠っている。そういうものを、コミュニティ ビジネスとしてどういうふうに活性化していくかとか、これは高齢者医療の話だけでは ありませんが、本格的な高齢社会というものを、いわば「幸齢社会」にするためには、 いろんな仕掛けが必要ではないかという感じがしていますので、ぜひこれは、医療保険 部会だけの話ではありませんので、そういう、かなり幅広の感覚を持って、この高齢者 医療制度を考えていくと、解決策が見つかるのではないかというふうに思っています。 これは感想です。  渡辺委員 今回、この後期高齢者医療制度のあり方の基本的な姿勢が固まってきて、 大変、その要点をしっかりととらえていると評価したいと思います。実際の医療の体系 というところで、実際の体系は本当にこれからつくっていくことだと思います。その中 で、やはり在宅における医療というものを支えるための、ここでも書かれていますが、 チームというのは、単に個人的なチームでは決してなく、組織的なチームづくりが必要 だと思います。そういう意味では、各地区においては、そういう地域としての連携をき ちっととるシステムをつくっているところもありますし、そういうところを参考にしな がら、全国的に、それぞれの医療関係者、また介護関係者もひっくるめた体制をつくる という道筋を明らかにしていくことが非常に重要であろうと考えていますので、より具 体的な体制をつくるときに、そうしたものを明確にしていっていただきたいと思います。  私は歯科の立場ですが、歯科としても、生活を支える医療という位置づけを、私たち はしていますので、そういう意味で、高齢者がきちっとした口腔の機能を果たして、そ して、より健康である、そうした高齢者を育てるという意味においても、一生懸命、努 力していきたい。また、その中心になるのは、やはり総合的にこれを診るドクターが必 要でして、そのドクターとの連携を常に図っていきたいというふうに考えております。  対馬委員 前回も申し上げましたので、ごく簡単にさせていただきますけれど、先ほ ど来出ていますように、総合的に診る医師というのは、やはりこれは私ども健保連とし ても本当に重要だろうというふうに思います。そこがきっちりしていないと、そこを起 点に回していくといいますか、まさに神田委員がおっしゃったとおりだというふうに思 いますので、そこをこれから、我々としてもよく議論していきたいというふうに思いま すので、どうぞよろしくお願いいたします。  糠谷部会長 ほかに何かありますか。よろしいでしょうか。ただいま、たくさんの有 益な御意見をいただきました。さらにそういう点も踏まえて、今後、詰めていきたいと 思っております。きょうはいろいろ議題がありますので、よろしければ、次の議題に移 らせていただきたいと思います。  では続きまして、パート労働者に対する健康保険適用の拡大について、事務局から報 告をお願いいたします。  岩渕課長 保険課長でございます。資料2に基づきまして、パート労働者に対する健 康保険適用の拡大について、御説明を申し上げます。本件につきましては、前回、3月 1日の医療保険部会におきまして、厚生年金の適用拡大の検討状況等と健康保険の適用 拡大をした場合の、負担と給付の変化などについて御説明を申し上げたところでござい ます。その後、政府、与党において、検討が進められ、政府案がまとまりましたので、 前回の部会以降の経過を中心に御説明を申し上げたいと存じます。  資料2の1の部分でございますが、医療保険部会の後、3月6日に、社会保障審議会 年金部会のパートワーキングにおいて報告書が取りまとめられました。そして、これを 踏まえて3月13日に、厚生労働省案が公表されております。その後、3月中旬から下 旬にかけて、自民党の年金委員会等、また、公明党の社会保障制度調査会等、さらには 与党年金制度改革協議会等において、関係団体のヒアリング及び議論が行われました。 こうしたプロセスを経て、4月3日に自民・公明両党において、この適用拡大の案につ いて了承がなされ、4月中旬に閣議決定の予定ということになっております。  3月6日に出たワーキンググループの報告書の概要ですが、労働時間等の面で正社員 に近いパート労働者に厚生年金の適用範囲を拡大すべきという基本的な考えのもとに提 言がなされておりまして、具体的な基準としては、「週の所定労働時間が20時間以上の 者」という労働時間要件に、一定以上の賃金水準と一定以上の勤続期間を組み合わせる こと。また、企業経営への影響を考慮し、施行までに十分な期間を設けること。一定規 模未満の中小企業について一定期間適用を猶予する措置を設けること。そして医療・介 護保険は、できる限り同一の基準で適用拡大することが基本であること。こういったこ とが、年金部会のワーキングで提言されたわけでございます。  これを受けて3月13日の厚生労働省案においては、さらに具体的な適用基準案が提 示されておりました。この適用基準でございますが、第1に、労働時間については「週 所定労働時間が20時間以上」であること。かつ、第2に、賃金水準については「賃金 が月額98,000円以上であること」。かつ、第3に、勤務期間について「勤務期間が1年 以上」であること。かつ、第4に、「従業員300人以下」の中小零細事業所の事業主に は、新たな基準の適用を猶予するということ。また、厚生年金で新たに適用対象となる 者については、健康保険・介護保険も一体的に適用すること。施行時期については、制 度の周知や企業の対応など十分な準備期間を設ける観点から、日本年金機構の発足(平 成22年1月予定)も見据えつつ、政令で定めること、という提案になったわけでござ います。  これについて、社会保険の適用拡大の際に、実際にどういう影響があるかということ の試算を公表しておりますけれども、新たに適用対象となるパート労働者数は10〜20 万人、それから事業主負担の増加額は年金、健保・介護をあわせて200〜300億円。厚 生年金分が100〜200億円、健保・介護分で100億円程度ということでございます。  その後、与党において議論が行われたわけですが、先ほど申し上げたような形で議論 がなされまして、下から2番目の丸印に書いてあることですけれど、以下申し上げる内 容が織り込まれるとともに、パート労働者の社会保険適用の拡大については、被保険者 の範囲を見直すものであるという観点から、「被用者年金制度の一元化等を図るための 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」と一本化すること、それから十分な準備期 間を設けるべく、施行日は平成23年9月1日とすることが決定されたわけでございま す。  厚生労働省案からさらに変わったものとして、新たな適用基準や、中小企業への適用 を猶予する措置の期間については、法律に明記すべきであるということが加わりました。 また、新たな適用基準における「賃金月額98,000円」については、賞与や通勤手当、 残業手当等の最低賃金法で賃金に算入しないものに相当するものを除くこと、というこ とになりました。また、学生については、その立場の特性から適用の対象外とすること、 ということでございます。  以上のとおり政府案がまとまりまして、4月中旬にも閣議決定される予定でございま す。  以下、参考資料をつけてございますけれども、今申し上げた経過に沿ったものがつい ております。参考資料1は、先ほど御紹介しましたワーキンググループの報告書でござ います。概要をつけてございます。それから参考資料2は、6ページからになりますが、 3月13日に公表いたしました、厚生労働省案のポイントでございます。また参考資料 3として、先ほど申し上げました、この適用拡大に伴う事業主負担の増加額の推計の資 料がございます。  最後に以上の内容を盛り込んだ、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保 険法等の一部を改正する法律案の要綱の、健康保険関係部分の抜粋がございます。11 ページをごらんいただきますと、これは適用条件を法定するということで、第2にあり ますように、これは厚生年金保険法等の一部改正について書いている部分を引いている わけでございますけれども、7といたしまして、1週間の所定労働時間が同一の事業所 に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満であり、かつ、次の 1から4までのいずれかの要件に該当するものは、厚生年金保険の被保険者としないこ と、となっておりまして、先ほど御説明した内容が列挙されております。また、8のと ころに、健康保険法について、7に掲げる厚生年金保険法の改正に準じて、所要の改正 等を行うこと、となっております。また次のページには、経過措置の規定が設けられて おりまして、先ほども御説明しました中小事業主にかかる適用除外の経過措置等が規定 されているところでございます。説明は以上でございます。  糠谷部会長 ただいまの説明について、御質問等がありましたらお願いいたします。  小島参考人(逢見委員代理) 感想というか意見を申し上げます。今回の、このパー ト労働者に対する健康保険適用の拡大については、基本の方で議論されてきた年金部会 のワーキンググループ等の報告書を踏まえて、厚生労働省案、そして最終的には与党・ 政府の案という形で、今回、法案が出されるということですけれど、基本的に現行の厚 生年金あるいは健康保険の、被用者保険の適用については、年金も健保も同じ基準で適 用しているということになりますので、そういう意味では年金と、厚生年金と健康保険 の適用基準について同じ基準ということは妥当なことだと思いますけれども、今回示さ れている拡大の基準のところについては、私どもとしては、問題があるというふうに思 っております。基本的には雇用労働者はすべて原則、被用者年金あるいは被用者健保を 適用すべきだというふうに思っております。一定の経過措置は踏まえても、そういう方 向に持って行くべきと思いますけれども、今回は極めて限定的な拡大になっているとい うことですので、当初想定されたといいますか、今回の適用拡大の趣旨である、パート 労働者に対する均等待遇あるいは格差是正ということが、果たしてこの10万から20万 の拡大ということで達成できるのか、これは極めて問題であるというふうに思っており ます。そこは、きょうは意見ということで申し上げておきます。  糠谷部会長 ほかに、よろしいでしょうか。よろしければ次の議題に移らせていただ きます。続きまして、全国健康保険協会の設立に向けた準備状況について、事務局より 報告をお願いいたします。  岩渕課長 資料3、「全国健康保険協会の設立に向けた準備状況について」でござい ます。1ページをごらんください。政府管掌健康保険については、昨年6月の健保法改 正により、平成20年10月に、新たな保険者として全国健康保険協会を設立するという ことになっているわけでございます。その設立に向けて、昨年11月に、設立委員を任 命し、設立準備のための議論を開始したところでございます。設立委員会の開催経過等 を書いてございますが、これまで3回、開催されておりまして、公法人化の概要、政府 管掌健保の現状、それから社会保険庁における改革状況、準備状況など、また協会の理 念・運営方針はどうあるべきか、さらに組織人員等はどうあるべきか、といったことで、 今、検討が進行しているところでございます。  2ページをごらんください。設立委員会の名簿がございます。星野進保委員長、それ から当部会の委員でもいらっしゃいます岩村正彦委員長代理を初めといたしまして、12 名の設立委員が、任命されております。  3ページをごらんください。設立委員会における検討課題とスケジュールでございま す。協会の発足が20年10月を予定しているところですので、協会の発足のおおむね1 年前となる今年の秋までを目途として、法人の理念・運営方針や組織人員の骨格、職員 の採用基準・労働条件を固めることができるように検討を進めるということが、基本的 なスケジュールでございます。主要な検討事項として、法人の理念、運営方針、定款、 組織人員の骨格、これについては今年の夏ごろを目途としております。また職員の採用 基準・労働条件の策定は、今年の秋ごろを目途として行う。さらには職員の採用、運営 規則、予算・事業計画、その他重要事項と、こういった事項について検討をお願いして いるところでございます。  4ページは、今申し上げた事項についての、スケジュールのイメージでございます。 現在は、法人の理念・運営方針と、組織人員についての議論が行われているところであ りまして、今後さらに、職員の労働条件・採用基準、さらには職員の募集・採用といっ たプロセスに進んでいくということでございます。また、点線から下にあるように、社 会保険庁においても、協会に対して業務を引き継ぐ準備が進められているところでござ います。  5ページをごらんください。これは第1回の設立委員会の会議資料ですが、協会につ いては公法人化の趣旨を踏まえ、保険者としてのあるべき姿を志向し、事業主や被保険 者の意見を反映した自主自律の運営のもと、被保険者の利益を実現できるよう、保険者 機能の強化や業務の効率化等を進めていくという方向で検討していく必要があるとされ ているわけでございます。その際、右側の矢印の中に入っているような、公法人化のメ リットと考えられる事項??ここには「予算や定員等に関する制度的な制約の縮小によ る機動的・弾力的な事業展開」等が書いてあるわけですけれど、こういったメリットを 生かして、左側にあるような、自主自律の運営の確保、保険者機能の発揮、業務の効率 化の推進、安定的な財政運営、内部統制の確保、公正な運営の確保といった目標を達成 すべしという方向で検討していただいているところでございます。  6ページ以降は参考資料になりますけれども、6ページは今般のこの政管健保の公法 人化の概要についての資料でございます。それから7ページは、都道府県別の保険料率 の設定方法等についての資料でございます。協会においては都道府県支部単位で保険料 率を設定していただくことになっているわけですが、20年10月の協会発足の直後は全 国一律の保険料率を適用するということになっておりまして、その後1年以内に都道府 県支部単位の保険料率に移行するという仕組みになっております。今後、こういった都 道府県支部間での年齢調整、所得調整等も含めた、この都道府県単位保険料率の算定基 準等を政省令等で定めていくということでございます。  それから8ページをごらんください。この後は、3月に国会に提出された日本年金機 構法案の概要資料でございます。この法案では、社会保険庁の廃止・解体と年金新法人 の設立について規定されているわけでございます。この新法人の設立ですが、平成22 年4月までにおいて政令で定める日としておりまして、現在のところ22年1月を予定 しているところでございます。全国健康保険協会の発足が20年10月ですので、それか ら1年と少したった後の設立という関係になるわけでございます。  医療保険との関連ということで申し上げますと、資料の10ページをごらんください。 この中ほどより下の部分、「3.法人の業務」というのがあります。この2つ目の丸に、 健康保険法及び船員保険法の規定により法人が行うこととされた事務として、全国健康 保険協会の管掌する健康保険及び船員保険に関する適用及び徴収というのが掲げられて いるわけです。したがって、社会保険庁が存続している間は、保険庁が適用・徴収事務 を引き続き行う。また、年金新法人の設立後は、同法人がこれを担っていくということ になっているわけでございます。説明は以上でございます。  糠谷部会長 ただいまの説明について、御質問等がありましたらお願いいたします。  鈴木委員 7ページのところの、都道府県単位保険料率ですけれど、地域間の格差と いうようなところが問題となるであろうということから、日本医師会としては反対の立 場をとっているのですけれど、都道府県支部間で年齢調整・所得調整を行うことになっ ているというようなことで、多少の調整機能があるように、私は理解をしたのですけれ ど、この辺の御説明をお願いいたします。  岩渕課長 資料の7ページで申しますと、ただいま委員から御指摘がありましたとお り、都道府県支部ごとに単位保険料率を設定する場合に、年齢構成の高い県ほど医療費 が高くなる。したがって保険料率が高くなる。また所得水準の低い県ほど、同じ医療費 でも保険料率が高くなるということがあります。したがって、全国健康保険協会におい ては、都道府県支部間で年齢調整・所得調整を行うこととなっているわけでございます。  下の図ですけれど、中ほど左側にA県とありますが、年金調整、所得調整を行わない と、調整前の料率としては非常に高くなる。例えば年齢構成が高く所得水準の低い県で、 そういったことが起きるわけですが、そこから年齢による要因を調整する、さらには所 得による要因を調整する、ということを経て、料率を決定するという方向でございます。  具体的な調整の方式をどのようにするかということは、これから決めていくというこ とでございます。また、下の注にありますが、都道府県支部単位保険料率になることで、 保険料率が大幅に上昇する場合には、激変緩和措置を講ずるという方針でございます。  鈴木委員 今、非常に、地域での医療費の格差といいますか、それが一方で問題にな っています。こういう、都道府県別の保険料というものが決められることによって、医 療内容まで制限されていくということのないように、この調整機能は十二分に発揮して いただきたいというふうに考えております。  高橋参考人(齊藤委員代理) 資料3の5ページに、全国健康保険協会の機能として、 保険者機能の発揮ということが挙がっています。これは、ぜひ発揮していただきたいの ですけれど、一方で、これは後から説明があるでしょうけれど、資料4の3ページ目に、 特定健診、特定保健指導、あるいはメタボリックシンドロームの減少率のお話があって、 かなり、正直言ってチャレンジングな数字を挙げていると思います。これは、この保険 者機能をかなり強化していかないと実施できないのではないかと思うので、その辺の取 り組みは、具体的にどういうふうにされていくのか、御説明をお願いします。  岩渕課長 まず、協会の発足は20年10月ですけれども、特定健診、特定保健指導と いう新たな医療費適正化対策は20年4月からスタートするわけでありまして、まずは 現在の政府管掌の健康保険の仕組みで、目標達成に向けた取り組みを進めていかなくて はいけないということでございます。  それから20年10月以降、協会発足後については、政府管掌の取り組みを承継すると いうことになるわけですが、保険事業について、どのような体制でこれを推進していく かということは、これからまた設立委員会で御議論いただくこととしております。  いずれにしても、保険者機能の強化につきましては、協会は全国健康保険協会管掌健 康保険の保険者として、この被保険者の利益を実現するという観点から、十分な企画調 査の機能も持たなくてはいけませんし、また、それを関係各方面に発信していくという ことも重要な役割として期待されていると考えているところでございます。そうしたこ とも含めて、保険者機能の強化について、今後、設立委員会で御議論いただいた上で取 り組んでいくということかと考えております。  対馬委員 今の質問なり意見なりとのかかわりもあるのですけれども、保険者機能の 発揮というのは一番重要であろうということなのですが、今回、日本年金機構の方で徴 収なり適用なりはやって、保険の給付とか保健事業なり、料率の設定の方を全国健康保 険協会の方でやるということになりますよね。そういう意味で、保険者機能というと、 やはり全体的に言うと一体的に運営していく方が望ましいということがありますので、 制度の枠組みがそうなったということは承知していますけれども、できるだけ設立の準 備なり、また実際の中で、まさに真の一体的な運営をしていって保険者機能を発揮でき るようにということを、ぜひ、よろしくお願いしたいというふうに思います。  松岡課長 社会保険庁の医療保険課長でございます。適用・徴収については、厚生年 金と政管健保について、同時に適用・徴収させていただいていますので、そういった関 係で、両者の適用と徴収を、日本年金機構の方で行うというような取り扱いをしており ます。これは事務の効率化を図るという観点から、やらせていただくという考え方です。  そのほか、健康保険の給付の部分については、全国健康保険協会の方でやっていくこ とになろうかと思いますので、そこの中での、保健事業とかレセプトの点検とか、医療 費の分析とか、そういった点での保険者機能を発揮していくといったことが、できるの ではないかというふうに考えております。  唐澤課長 対馬委員から御指摘のあった点は大変大事な点だと思いますので、徴収は、 これは日本年金機構が実施するという仕組みになっているわけですけれども、当然、保 険者として、保険料の水準、徴収の仕組み、実態、あるいは収納率というものに関心を 持って運営をしていただくということは大変大事な点ですので、そこには高い関心を持 って運営していただけるようにしていきたいというふうに考えております。  櫻井参考人(多田委員代理) 資料3の、主要な部分でなくて恐縮ですが、最後の 13ページの中ほどの、「4.その他」というところで、2つ目の丸ですけれど、保険医 療機関等に対する指導・監査等の事務は、地方厚生局において実施するものとする、と いうのがあります。これは現在、都道府県単位にある地方社会保険事務局というのが廃 止されて、その権限、事務が、地方厚生局に移管されるということだと思います。これ は今回の改革の流れの中でこうなるということで、やむを得ないことだと思いますが、 医療保険の実務の中で、診療報酬を適用するのは、いろんな加算等の関係で、承認なり 届出というのがあるわけですけれど、医療機関の方から見ると、現在はそういったもの が、都道府県の中で完結するわけですし、また、私は審査支払機関の立場でもあるわけ ですが、審査支払機関の立場でも、そういった情報を社会保険事務局の方から、都道府 県の中で??審査支払機関も都道府県内にありますので、適時・適切に反映できるとい うことになっているわけですが、これがすべて地方厚生局ということで、ブロック単位 の行政に委ねられると、その辺がスムーズに行くのかどうかという懸念が若干ありまし て、それがうまくいかないと、適正な審査支払にもマイナスの影響になりますので、そ の辺は何かお考えがありましたらお聞かせください。  八神室長 保険局医療課の保険医療企画調査室長でございます。今、御指摘の話で、 保険医療機関等に対する指導・監査、それから今お話のありました届出等ですが、今は 各都道府県単位で社会保険事務局の方で事務を行っているわけですが、今回の改革で、 社会保険庁を見直すという中で、各都道府県にある社会保険事務局がなくなってしまい ます。今、御指摘のように全国8ブロックにある地方厚生局に事務を下ろしますが、都 道府県単位できちんと届出等ができるように、あるいは監査・指導もきちんとできるよ うな形で、地方厚生局の仕組みとして、8ブロックの下に何か支部的なものができない かというようなことを、今、あわせて考えておりますので、できるだけきちんとできる ような方策をとっていきたいと思っております。  櫻井参考人(多田委員代理) よろしくお願いいたします。  糠谷部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしければ、続きまして医療費適正化に関 する施策についての基本的な方針(案)について、事務局から説明をお願いいたします。  深田参事官 医療費適正化対策推進室長をしております、深田でございます。資料4 で、参考資料が3つあると思います。まとめて資料4で概括して御説明申し上げたいと いうふうに思っております。今般、医療費適正化に関する施策についての基本的な方針、 それから参考資料の方を見ていただきまして、全国医療費適正化計画(案)、それから 特定健康診査等基本指針(案)というものを作成いたしました。資料4の1ページをご らんください。法の施行は20年の4月からということになっておりますけれども、そ れぞれ医療費適正化計画の作成、あるいは特定健診の実施に当たっては、その準備が必 要であるということで、案の段階のものを19年4月にお示しするということで準備を してまいりました。これを踏まえて各都道府県の皆様、あるいは各保険者の方々におい ては、それぞれの計画の作成をお願いしたいというふうに考えているところでございま す。ですから、ちょっとわかりにくいのですが、案の状態のままで公表されまして、20 年の4月までは「(案)」は取れないという形になります。  そこで最初の、主なスケジュールのところで、それぞれの関係を少し御説明したいと 思います。医療費適正化計画というものをつくることになっておりまして、中身は、主 なものが2つございます。それは療養病床の再編の目標を定めること。それからもう一 つが、生活習慣病予防としての特定健康診査や特定保健指導の、それぞれの目標を定め るということ。これが主な内容のものでございます。あるいはその評価の方法なりを定 めていくというものでございまして、この、療養病床の再編目標数については、それぞ れ県の医療費適正化計画において定めていただくという形になっておりますが、その目 標をそれぞれの県で定めていただくに当たって参酌するような算定式をお示しするとい う形になっているところでございます。  これが療養病床の再編の関係ですが、あわせてもう一つ、再編後の受け皿の問題があ ります。この受け皿の方を担当するのが地域ケア整備構想というものでありまして、こ れも同時に地域ケア整備指針案という形でお示しをするという形になっております。こ の4月に両方をお示ししまして、先ほど御批判をいただきましたが、整合性のとれた形 でお示しをしたいというふうに考えております。順番は少し後になって、6月ごろにな りますが、介護施設のあり方委員会というのを老健局で行っておりまして、そこで老健 施設における医療提供のあり方についての検討というものがまとまってまいります。こ れが転換していく形になります、医療療養から転換していくところの、老健康施設など の受け皿における医療のあり方というものが、ここで示されるという形になります。  これらを踏まえまして、各都道府県においては、受け皿の関係では地域ケア整備構想 を定めていただきまして、医療費適正化、つまり療養病床の再編の方の関係で言います と、それは医療費適正化計画という形でまとめていただく形になっておりまして、20 年の4月に、それぞれ、医療費適正化計画として定められる。地域ケア整備構想は、作 成されますと、それが21年4月から始まる第4期の介護保険事業支援計画の方に反映 されるという形になりますし、地域ケア整備構想で必要とされた療養病床については、 医療計画の方に反映されて、必要病床数に算定されていくという形になりまして、医療 計画も、このようなものを含めて、20年4月には各県で医療計画ができ上がる、とい うようなスケジュールで進めているところでございます。  ちなみに医療計画については、基本指針案が既に示されておりまして、現在、各県で 作業をされているところではありますが、作成するに当たっての指針等については、今 後、4疾病5事業がありますので、それぞれごとに作成された上で各県に示されていく という形になってまいります。あわせて、今後重要となってくるのが後期高齢者の医療 ですが、きょう、最初に議題になりましたように、基本的考え方というのがまとまった ところでありまして、夏から秋にかけて、診療報酬体系の骨格が示され、来年の4月に は次の診療報酬改定と同時期になりますが、後期高齢者の医療診療報酬について示され るという形で進んでいくこととなります。  それでは、きょうのテーマでございますが、医療費適正化計画の仕組みから御説明し たいと思います。次のページ、2ページをごらんください。医療費適正化計画について は平成20年4月に施行されることとなっておりまして、医療費適正化計画についての 仕組みは先ほど御説明したとおりですが、基本的な指針というものを国の方で示すとい う形になっております。  中に書くのは目標の参酌標準という形になっていまして、2つございます。1つは先 ほども出てまいりましたが、健診・保健指導の目標値。もう1つが療養病床の再編成の ための参酌標準。この2つが主な内容でございます。その次に書くのが、それぞれ各都 道府県で作成していただくことになる医療費適正化計画や、あるいはその評価に関する 基本的な事項を定めるということになっておりまして、これらを踏まえまして、国と都 道府県が、期間を5年間とする医療費適正化計画を、それぞれつくっていくという形に なってまいります。  都道府県医療費適正化計画については、国も同じですが、まず健康の保持の推進に関 する目標ということで、これは健診・保健指導の目標という形で示されます。それから 医療の効率的な提供の推進に関する目標というので、これが療養病床の再編成に関する 参酌標準という形で示されることになります。全国計画では、療養病床については、後 で出てきますが、各都道府県医療費適正化計画の中で示される、転換予定の数をもって、 それを積み上げた形で示していきたいというふうに考えておりまして、これは一体のも のとなるということであります。それぞれ取り組むべき施策なり、協力・連携の体制な り、あるいは計画期間中の医療費の見通しなどを、それぞれつくっていということでご ざいます。  なお、この医療費適正化計画については、関連する健康増進計画、これは健診の関係、 保健指導の関係がございます。それから医療計画、これは療養病床の関係がございます。 それから介護保険事業支援計画、これはまさに療養病床の転換先の老健施設なりの受け 皿の関係になります。それぞれ、それらとの整合性を持った形で定めるということにな っておりまして、それぞれ連携を持って進めていきたいというふうに考えているところ でございます。なお、医療費適正化計画については、PDCAのサイクルで評価をして いくということでありまして、進捗状況の評価は、計画策定年度である20年度の翌々 年度には、進捗状況の中間評価を行うという形になっておりまして、その結果は公表し た上で、必要であれば、当然、計画については見直しをしていく。あるいは基本的な指 針についても見直しをするということになってまいります。また、5年のサイクルです ので、計画終了年度については、その翌年には実績の評価を行っていくということで、 次の計画に反映させていくというような形になってまいります。  次をごらんください。医療費適正化に関する施策で、ポイントとなる点について御説 明したいと思いますが、まず最初が、特定健康診査、特定保健指導の関係でございます。 各都道府県で達成すべき目標というのは、これは国も県も同じですが、平成24年まで の5年間が過ぎた、5年後でありますが、特定健康診査の実施率、つまり健診実施率が 70%以上。それから特定保健指導の実施率については45%以上。これを目標値として 定めようということでございます。なお、その結果となってくるものの一つですが、メ タボリックシンドローム対策ということで、その該当者及び予備群については、政策目 標としては平成27年度末時点で、20年と比べて25%以上減少させるということを目標 として、政策は掲げておりますが、27年までの線を引いた直線上の、24年時点という ことになりますと10%ということで、ここだけは20年と比べた減少率という形で掲示 をさせていただきたいというふうに考えております。  なお、これらの実施については、かなり関係する部局が非常に多くあります。まず、 健診の項目、あるいは保健指導のプログラムというものを作成するために、健康局の方 で検討会を立ち上げて検討をしていただいて、まとまってきております。それから私ど もの保険局の方では、実際に初めて行われる保険者さんが非常に多いため、その実施体 制について、例えば決済をどうやっていくのかとか、契約をどういうふうにしていくの か、特に被用者保険の方は、被扶養者の方も一緒にやるということで進めますので、そ ういった方々については、どういう形で進めていったらいいのか、というような点につ いて、関係者の間でかなり御議論をいただきまして、6回、検討会を開いてまとめてい ったものでございます。  その結果、次のページをごらんください。国全体としての目標、あるいは各県におい て達成をお願いしたい目標値が、先ほどの3ページのものですが、その次の4ページ目 は、目標値の設定の考え方でございます。目標値については、27年を目標にして25% を達成するためには、どれくらいの割合がどうしても必要なのかという形で計算をして おります。もちろん、メタボリックシンドローム対策を進めていく上では、こういった 健診や保健指導を充実させるということは当然ですが、あわせて予算措置も必要となり ますけれども、ポピュレーションアプローチというのも、啓発活動として非常に重要な ことでありまして、これは厚生労働省の中でも予算を獲得した上で、違う部局になりま すが進めていきたいというふうに考えているところでございます。  健診の実施率が70%、それから保健指導の実施率については、25%の政策目標を達 成するために、どうしても必要であろうというのが、やはり27年には60%ぐらいが必 要で、そのためには45%ぐらいが必要ではないかということで設定をしたものでござ います。なお、各保険者にとっては、それぞれ置かれている状況が実は異なっておりま す。被用者保険でも本人の方が多いところ、あるいは被扶養者の方の割合が非常に多い ところというのがあります。  一つ言い忘れましたが、この健診事業については、労働安全衛生法上の事業主健診と いうのも実は大きく関係しています。本人さんはそちらで健診を受けられるということ で、同じ健診項目になると、データをいただくだけで、そちらの分はとれるということ でありまして、あちらの方はかなり義務化された健診というふうになっておりますので、 そちらの方も一緒にならないかということで、これは違う部局になりますが、御検討を お願いしているところでございます。4月9日には一緒にしようということで、腹囲の 測定というのがないものですから、それについて諮問がなされているところでありまし て??申しわけございません、まだ本決まりでない段階で御説明することになりました けれども??なるべく早く一緒にしていただければということで、お願いをしていると ころでございます。  それから、そのために各保険者は、先ほど言いました事業主健診を行っているところ は本人の方は事業主さんがやっていただけるということで、保険者の方はする必要がな くてデータをいただけるという段取りをつけていくということができるわけですが、被 扶養者の数が非常に多いと保険者がやらなければいけないということになりますので、 この被扶養者の割合が多い、あるいは国民健康保険であれば働いている人ではありませ んので、住民にかなりの部分、一生懸命、啓発をして来ていただくというようなことで、 困難度合いがかなり違う面もございます。そこで、それぞれの保険者の特性に沿った健 診の実施率を、この目標値の中で定めていきたいというふうに考えておりまして、参考 資料3をごらんいただきたいと思います。  参考資料3の5ページでございます。特定健康診査の実施にかかわる目標という形で 定めておりまして、健保組合あるいは共済関係の組合については、当然、事業主健診が 行われているということもありますので、これについては少し高めの、80%の割合の目 標とさせていただいております。また、政管健保や健康保険組合あるいは国民健康保険 組合の中でも、総合型という、いろんな企業の方が一緒になっておられるようなところ があります。こういった政管に似たような形態のところについては、やはり中小企業の 方が非常に多いということもありまして、実施については、かなり難しい面もあるので はないかということで少し低めのものにしておりまして、国保については実績等も勘案 して65%というような形で、ある一定の数字を置いて、計算をして出しております。  なお、これらの数字については、まだやったことがない、初めて取り組まれる保険者 さんも非常に数が多いということもありますし、当然、PDCAサイクルで実施すると いうことでもありますので、ある程度進んだ時点で、中間年でもう一度、実施状況を見 ながら決めていこうということで、見直しをその時点で行っていきたいというふうに考 えているところでございます。また、この特定健康診査については、後期高齢者の医療 制度における、支援金の加減算に反映させるという仕組みになっているところですが、 これもまだ実際の実施状況が把握できる状況にないという段階ですので、ある程度デー タが定まった時点でもう一度議論をして、その時点で、これは政令や省令のレベルにな ってきますが、定めていきたいというふうに考えております。あくまでも実際の動き方 を見ながら、どういう形でやっていくのが公平なのかというのを考えながら進めていき たいということで考えたいというふうに思っております。  次に、戻りまして、資料4の5ページをごらんください。今度は、医療の効率的な提 供の推進に関し、都道府県において達成すべき目標の考え方ということでありまして、 療養病床の再編の考え方でございます。基本的な考え方としては、療養病床は、医療の 必要度の高い方は医療療養としてそのまま残っていただくということで、必要な療養病 床は医療療養として確保するということですが、介護療養については、平成23年度末 に廃止ということが法律上決まっておりまして、医療必要度の低い方については、老健 施設等に転化をしていっていただく、というような形で考えているところでございます。 あくまでも施設自体が転換できないかということで検討したいということでありまして、 患者の方々の追い出しにつながるようなことには、ならないようにしたいというふうに 考えております。  そこで、療養病床の病床数について、24年度末時点でどういうふうに設定していく かということですが、下の1と2によって設定をしていきたいというふうに考えており ます。1は、算数の基本的なところですが、医療保険適用の療養病床。これは医療療養 ということですけれど、医療療養の病床数の現状の数を把握しております。これは18 年10月時点で法改正後、新しいデータとしてとれるものをとっているところでござい ます。  そこの現状の数から、bというところで、これは医療療養の中でも医療区分1と医療 区分2の方の、医療の必要度の低い方が、中でもいらっしゃるのではないかということ で、大体3割ぐらいではないかというふうに思っておりますが、そういった方々につい ては転換をしていただく。そういった方々のベッド分については転換をしていただくと いうことで、この方の分を差し引いて、cという形で、あとはcを足して、これを介護 保険の介護療養の方にいらっしゃる方で、この方々については、医療区分3という重い 方もいらっしゃいます。それから医療区分2の中でも、ここにも重い方もいらっしゃる ということですので、こういった方々は、当然、医療療養の方で引き取らなくてはなら ないということでありまして、この、「a?b+c」というようなもので基礎数をつく ります。つくった上で、これを18年10月現在の数字として確定させて、20年時点で は、これを合計すると、推計ではありますが、大体15万床という形になります。  これをベースにして、2番ですが、あくまでも実施していただくのは各都道府県です ので、各都道府県においても、今後とも高齢化の状況は続いていきます。後期高齢者の 人口はふえていくということ、それから救命救急医療を充実したり、あるいはリハビリ テーションの体制の強化を図ったり、あるいは在宅医療、あるいは地域ケアの推進に、 どういう考え方で臨んでいかれるかといったような点も総合的に勘案していただいて、 実情も加味していただいて、これを1番の数に加算していただくというようなことで考 えているところでございます。  あくまでも、これについては後期高齢者の伸びで、各都道府県ごとのものがまだ出て いません。もうちょっと先になるのではないかというふうに思いますけれども、出まし たら、また、各都道府県が作業できるようにお示しをしたいというふうに思っておりま すし、それぞれの必要となるデータについても、我々の方でお届けをして、実際の実情 に合った形でやっていただけるようにしたいというふうに考えております。日本全体で 見て、後期高齢者の人口の伸び率にすると、大体20%ぐらいになるのではないかとい うふうに思われておりますので、そういったものも全体としては勘案しながらというこ とを考えたいというふうに思っているところでございます。  療養病床の再編成という問題は、いろんなところで、いろんなことが言われていると ころでございますけれども、療養病床の再編成については、医療の必要度の低い方が多 く入院されているような施設については介護保険の方、老健施設などに転換していただ くということを中心として考えているところでございますが、実はこの仕組みは、目標 を決めて誘導していくというか、転換をスムーズに進めていくという施策でもって行っ ていくという形になっておりまして、強制的に何かの命令をかけて行うとか、そういっ たことは法律上は予定されておりません。  あくまでも、再編成に当たっては、地域のニーズ、介護のニーズの動向や、あるいは 利用者の動向も踏まえた形で、医療機関自らが主体的に判断をしていただくという形で 進めていきたいと思っておりまして、今後出てくるものとして、転換後の老健施設の医 療のあり方なども示されますので、そういったところでのものも十分見ていただいた上 で転換を進めていっていただければというふうに思っているところであります。そうい った環境整備が重要だと思っておりますので、今後とも進めていきたいと考えておりま す。  また、転換に対する助成措置あるいは支援措置については、これまでも示しましたし、 つい3月末にも、老健局の方から新しい転換の追加策も示されたところでありまして、 いろんな支援措置も講じながら、医療機関が主体的に判断できるように、支援をしてい きたいというふうに考えているところでございます。なお、先ほども申し上げましたが、 全国レベルでの療養病床の目標数については、今年の秋ごろを目途に、各県から、それ ぞれの地域における設定状況を踏まえて、設定をしていきたいというふうに考えている ところでございます。  その関係の資料が、資料4の最後のところ、7ページにございます。今申し上げたよ うなものを、ポンチ絵のようなものにしてお示ししたものでありまして、現時点で回復 期リハ病床を除く療養病床については35万床ございます。回復期リハ病床については、 療養病床の中にも実は回復期リハを担っている病棟がありまして、この病棟は、あくま でもちゃんと一定期間の間に一生懸命リハビリをして退院をしていくという施設ですの で、あくまでも長期入院のための施設ではないということでありまして、これは少し精 査をして、外していく対応をしていきたいというふうに考えておりますが、全体として 18年度で35万床ございます。これについて20年度から医療の必要度の高い方を医療 療養の方に集めていただいて、医療の必要性の低い方を多く持っておられるようなとこ ろについては老健施設なりケアハウスなりに移っていただく、病床転換をしていただく というような形で進めていきたいと思っております。あくまでもベースとなる算定式に 各都道府県が実情を加味して設定していただくということで、医療療養の数は各地域で 決めていただきたいというふうに考えておりますし、全国レベルで機械的に算定すると、 先ほど申し上げたように15万床という形となってまいります。  1ページ戻っていただきまして、6ページですが、もう一つ、医療費適正化の施策に ついては平均在院日数の縮減というものも、一つの政策目標として掲げたところでござ います。16年の在院日数の全国平均の数字を、当時、最も低かった長野県との差を、 27年までに半分にしようという目標のもとで、在院日数を短くするということを進め ていきたいというふうに考えているところでございますが、18年の病院報告で出てく る在院日数、これはもう少し時間がかかるわけですけれども、それから18年の病院報 告における各都道府県の平均在院日数と、一番短いところの在院日数との3分の1?? これは27年までの9年間と24年までの6年間ということで、差し引きした9分の3を 約分して3分の1ということですが、そういったものを目標として掲げて、いろんな対 策を講じていきたいということで、目標として掲げているものでございます。  糠谷部会長 ありがとうございました。なかなか重要な計画というか施策だと思いま すが、御質問等があればお願いいたします。  河内山委員 すべてにわたっていえることですが、新しい制度設計をするときに、最 終的にはこういう細かな数字が必要になる。例えば特定健診の目標や健康指導の目標数 値がないと計画にはならないわけですけれど??これは我々にも問題があるんですが? ?得てして、いろいろ厚労省さんに質問をしたり要望をしたりすると、だんだん制度が 複雑になってきて、何のためにやっているのかとか、適正化に本当に役に立っているの かというのが、どこかへ吹っ飛んでしまうきらいが、最近どうもあるような気がします。 これは繰り返し繰り返し、意味内容というのを、関係者の方だけではなく、広く国民に PRする必要があると思います。何か、健診を受けてウォーキングをすれば、それだけ でいいんだというようなことでも、また過ちを犯しますし、そういうことをやらないと、 またよくないんですけれどね。これは非常に難しい問題だと思います。それは、いろん なことに全部関係して、今回の大きな制度改革でも、市町村の現場で、多分、今年の3 月の定例の議会では、後期高齢者医療制度はいいけれども、システム改修にお金がかか ってしょうがない、と。そこばかりが、多分、論点になっていたんだろうと思います。 ですからやはり、なぜそういうことを、この大きな費用をかけてやろうとしているのか ということが、なかなか、伝わるようで伝わらないというようなことがありますので、 我々ももちろん努力しますけれど、厚労省の制度設計をされる中核におられる方は、い つもそれを心がけていただきたいというふうに要望します。  神田委員 いよいよ県計画もつくらなければならない時期になってきましたので、大 変、都道府県の立場でも、今、重い責任を感じながらおります。全国知事会からも、当 初、今回の医療制度改革に対して御要望を申し上げた一番の基本は、市町村もそうです し、我々都道府県もそうですが、住民に近いところで行政を運営しておりまして、本来 的な目的は、やはりそういう住民の方の健康を、我々はどう守っていくのか、それから、 良質な生活をどう確保していくか、というところにあるわけですので、医療費を押さえ 込んでいくというような視点では、本来的に哲学として行政運営はできません。したが って、合理化やら適正化ということは、もちろん我々も大変重要な課題だと思っており ますけれども、基本的には地域住民の健康をどう守っていくかということに大変責任が あると思っているところでございます。  そういうふうに思うと、いよいよこれから、適正化計画などで数値目標が上がってま いります。いろんな形で数字が出てくる。これはもう、都道府県、市町村、全部、さま ざまな置かれた条件が違います。例えばベッド数も全然、密度も違いますし、あるいは 介護体制も違うわけです。そういう中で、数値の目標を達成できるかどうかということ がひとり歩きしてしまうのではないか。当初から私どもは懸念しておりましたけれども、 その結果に対して、地方が責めを負うというようなことがあると、これはやはり住民と のあつれきが出たり、県行政あるいは市町村行政というのは、なかなか前へ進んでいか ない。  先ほど、これは強制のものではないというようなお話で、これはもう従来からおっし ゃっていただいておりますけれども、数字の特性として、やはり、ひとり歩きしてしま いかねない。例えば長野県が一番短いというようなことのランキング的な話になって、 どうも、それがいいことなのか悪いことなのかというような議論が飛んでしまうような ところもある。したがって、どうか、ぜひとも、これからの中で、数値目標を掲げるこ とは、計画を進める上で極めて重要なことだと思っておりますが、その扱い、あるいは 運用については、厚労省の方におかれましても、ぜひとも御配慮を願いたいと思ってお ります。  それから、先ほどの御説明を聞いて安心しましたけれども、この適正化計画やら医療 計画やら介護計画やら、これらは複雑に絡んでいるわけでありまして、昨年、法律が改 正されたときには、第3期の介護計画などが先行して少し動き出していた。それから実 際に参酌標準がどうなるのかわからない中で、かなり我々も混乱をしたところでござい ます。したがって、ぜひともその辺の連携を上手にやっていただき、早め早めに情報提 供をいただきたいというのが2点目でございます。  それから3点目は、やはりこういう大きな制度改革の中で、先は見えない部分もあり ますけれども、医療機関や市町村さん、そして究極は国民に、まだまだこの方向性がよ く目に見えていないところがあるので、PRや啓発について、一生懸命やってはいらっ しゃるのだと思いますが、余り成果が挙がっていないのではないかと、私は率直にそう 思っております。もちろんまだ、今まで途上にありましたので、なかなか啓発やらPR もしづらい部分はあったとは思いますけれども、これからその部分をうまくやらないと、 もう来年のことですから、ぜひとも、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  我々は、冒頭、申し上げたとおり、県もこの重要な役割を担うわけですので、重い責 任を感じながら、諸準備を進めております。もちろん国と連携しながら、これは一生懸 命取り組んでいきますけれども、今申し上げたような点についても、十分御配慮をいた だき、あるいは御留意をいただいて、よろしく前へ進めていただきたいと思っておりま す。  鈴木委員 20年4月の、療養病床の再編目標数が15万ということであるのかどうか、 お答えをいただきたい。  大島企画官 資料4の5ページに1番と2番がありまして、1番の方に「a−b+ c」とございます。これは足元の医療療養の数から、bとして、老健等に変わっていく 部分を差し引きまして、逆にcとして介護療養で医療療養の方に入ってくる部分を加え まして、足元ベースの数字を計算するものが、この1番であります。2番は、各都道府 県がここに列挙してある事項を総合的に勘案して実情を加味していくという部分であり ます。  1番の部分を、機械的に今の時点の数字をもとに計算すると、足下の時点で15万床 になるということでありまして、目標数ではありません。目標自体はあくまで24年度 末の時点ということで、1と2によって設定をするという形であります。  唐澤課長 今お尋ねのありました、目標数の設定の仕方について、もう一度申し上げ たいと思いますが、1番の計算式は、現状をベースにして、目標数15万ということを 設定しております。先ほど神田委員からもお話がありましたように、それぞれの地域の 実情というものがあり、これは高齢化の実情も違いますし、それから療養病床の数、人 口の構成等の違いがありますから、そういう、ここにあるような後期高齢者人口の伸び 率やリハビリテーションの強化による重症化予防といったものを入れて、そして各都道 府県で目標数というものをお考えいただく。それで私どもの方は、この基本的な方針の 案を、今回、お示しいたしますけれども、各都道府県で作成したものを、全国で集計い たします。それを踏まえて私どもの目標というものを、来年の4月の時点で作成する。 そういう形になってまいります。  それから先ほどの御指摘の中にありましたように、こういう新しい適正化の仕組み、 それから特定健診のような新たな健診の実施ということについては、今まで、なかなか 審議会などで検討中で、確定的なことが言えないことが多くて、十分伝わっていない点 があるのは事実であろうと思いますので、そこは私ども、それからいろんな関係者の方 にも御協力をお願いして、啓発、PRといったものに努めてまいりたいと考えておりま す。  鈴木委員 平成20年度、4月の目標数15万ということを、実は2度も、説明で聞か されました。資料4の5ページの1番の、この数式自体に欺瞞があります。説明では、 医療の必要度を重視ということで、医療区分1をはじくというようなお話でしたが、療 養病床の実態調査、アンケート結果によると、医療の必要度を重視するならば、区分1 から外せないという患者さんがたくさんおります。これは乱暴であります。15万床あ りきの数式であって、実態を反映していません。  また、医療機関が自ら転換するということですけれど、15万床ありきであれば、強 制していないとは言いながら、強制そのものでしかありません。資料を見ていると、参 考資料2の10ページに、回復期リハは除くとは書いてありますが、平成24年度におけ る全国の療養病床は、ここは我々は一貫して、療養病床に対しては2010年が24万、 2015年が27万必要ということでもって、調査結果をもとに主張しておりますところか ら、ここには25万5,000床という数字が当てはまらなければなりません。ここが15万 床ということでは、その差の10万床をどう国民に説明するのか、私どもとしては理解 に苦しむばかりであります。是非を問われれば、この療養病床再編案はノーであります。  大島企画官 1番のところの、「a?b+c」というところの御質問だと思います。 bのところで「(医療区分1)+(医療区分2)×3割」、それからcのところですと 「(医療区分3)+(医療区分2)×7割」と書いてございまして、恐らくここにつき まして、医療区分1の中でも医療療養にとどまるべき人がおられるであろう、それから 医療区分2はすべて医療療養として残す部分ではないかというところでの御発言だと思 います。この点については、医療区分1の方あるいは医療区分2の一部の方で、医療面 での対応は、看護師による対応を中心とすることによって、老人保健施設でのケアによ る対応ができる方があるという前提で考えております。そういうところの考え方の違い はあろうかと思いますけれども、こういう形で目標を設定して、今後の姿を描いていっ てはどうかと考えております。  糠谷部会長 私は素人だから、今の鈴木委員のお話、それから事務局のお話を伺って、 よくわからない部分がありました。この医療区分1、2、3というところは、大体確立 された分類がなされているのですか。それから、その3割、7割というのは、どういう 計算なのか。専門家はおわかりなのかもしれませんが、御説明をお願いいたします。  唐澤課長 若干、技術的なことに入ってしまって恐縮です。原課長から後で補足して いただければと思いますけれど、医療区分1、2、3というのは、昨年4月の診療報酬 改定において、療養病床の入院患者さんの医療の必要度を分けたものです。これは実態 調査を実施して、中医協の調査委員会によって、この3つの医療区分、1〜3を分けま した。順番は、医療区分3が一番重い方。医療区分2は、その次の方。医療区分1は割 と低めの方ということでございます。これは時点にもよりますけれども、今の時点では、 医療区分1の方が3割から4割の間くらい、医療区分2の方が5割弱くらい、それから 医療区分3の方が2割くらいというような構成で、今の時点ではそれぞれ入院をしてお られるという形です。  御議論のところは、一つは、どういう症状の方が、この医療区分1、2、3に入るか ということについては、昨年の実施の際に、おおよその合意はありますけれども、しか し、なお検証をして、さらにこの医療区分1、2、3に入っているのは適正かどうかと いうことについては検証中の議論をいただいているところでございます。これは中医協 で実施しております。  それから次の、もう一点でございますけれども、それでは、療養病床から転換をして いただく方の医療の必要度、これはここに細かく書いてありますが、一番重い医療区分 3の方は、医療療養病床で受けなければいけないだろう、と。これは医療の厚いところ が必要だろう、と。それから医療区分2の方は、その次に医療の必要度は高いけれども、 全部が全部、10割が、医療の療養病床で受けなくてもいいのではないか、と。私ども は、そのうちの7割くらいの方は医療の療養で受けなければいけないけれども、3割く らいの方は介護の今の施設というものを、工夫をしていただいて、受け入れることがで きるのではないかと、このように思っているわけでございます。それから医療区分1の 方は、この対象の方は、一応、全員の方が介護の施設の工夫によって、ケアをする目的 で受け入れることができるのではないかと、そういうふうに考えているところでござい ます。ただし、ここについては、御議論がございます。以上でございます。  鈴木委員 今の、医療区分の解釈が、そもそも我々と異なっておりまして、医療区分 1、2、3がきちんと整理されていないという結果は、中間報告として提出されており ますので、その曖昧な医療区分に基づく再編は納得できません。  糠谷部会長 御意見、承りました。ほかに御質問等はありますか。  高橋参考人(齊藤委員代理) この問題は、先ほど神田委員がいみじくも正しくおっ しゃったとおり、啓発が非常に不足しているということで、国民の中に不安をあおって いるところがあると思います。そこは正しく理解していただくことに対する努力が、や はり厚生労働省に求められるのではないかというふうに思います。  医療費適正化ということはよくわかるのですが、「適正化」があまりに前に出てしま うと、好ましくなくて、むしろ今後の医療提供体制のあり方が、今のままでいいのかと いうことを、きちんと議論した方がいいと思いました。例えば医療区分1の方、あるい は2の方にも、医療が必要な方がいらっしゃるとすれば、そういう人は療養病床ではな くて、例えば介護施設で適切な医療を提供できる、あるいは居宅で医療が提供できると いう形に変えていくような仕組みとか、あるいは慢性期ではなくて、これからは急性期 に医療資源を集中的に投入していくというような、そういう医療提供のあり方の仕組み も説明しないと、単なる金の削減のために犠牲になるのかという国民の意識は払拭でき ないと思いますので、そこをよく説明していただきたいと思います。  古橋委員 今の、資料4を中心にした御説明を受けながらも、後期高齢者医療の広域 連合とか、先ほどあった、全国健康保険協会の設立とか、この医療費絡みに関しても、 都道府県が、お取り組みにならねばならないことが、一挙に、本当にたくさん出てきて いるというふうに感じました。そのほかでも、もちろん、医療計画もありまして、先ほ ど、知事でもあられる神田委員の御意見を拝聴したのですけれど、都道府県の取り組ま なければならないことが、加速度的に膨張してきている。従来、ともすれば中央集権的 になされてきていた、こうした、医療行政が、こういうふうに都道府県に移っていくと いうことは、これからは適切なことだろうと思うのですけれども、都道府県がとても大 変で、お手上げになってしまうのではないかとか、そういう、都道府県のお立場での、 この準備とか、エネルギーとか、そういう部分というのは、本当にどうなのだろうか、 と。  私は実は、全国都道府県の看護協会長から、いろいろな、住民がお受けになる医療サ ービスとか現実的な内容の混乱というようなことを、協会の立場でいろいろお伺いする のですけれど、都道府県の取り組みの温度差とかバラツキが、非常に発生する可能性も あるのではないかという思いがいたします。要は都道府県のこうした大きな改革への取 り組みの準備状況とか、言い方が非常に平板ですけれども、やる気とか、足並みはいか がなのでしょうか。現段階で、都道府県の立場で担わなければならない、目の前のこと が多いように思って、伺っていましたが、そのあたりは、厚労省としてはどう臨んでい らっしゃるのでしょうか。神田委員からも、そのあたりの現実的な都道府県の状況とい うものを教えていただきたいと思います。サービスを受ける国民や都道府県民の立場か らすると、県毎の温度差、格差といったことが気になると思いますので、そのあたりに ついてお尋ねしたいと思います。  糠谷部会長 まずは事務局からお願いします。  深田参事官 厚生労働省の関係でございますが、各都道府県の方には、非常に、今回 の医療構造改革、医療計画、あるいは医療費適正化計画、介護保険の地域ケア整備構想 といった、一連の大きな改革がありますが、これについては各都道府県も非常に努力を いただいておりまして、専任の職員や、まさにそれを考える組織横断的な組織を用意し ていただいております。我々の方も、昨年は2回でしたが、準備のためにということで、 いろんなテーマで御説明を申し上げたり、あるいは何か医療計画のものが出るときには 集まっていただいて、説明会を開いたりというようなことでお話しをしてきたところで ございます。  今般も、4月に入りまして、医療費適正化計画の関係とか、地域ケア整備構想なども 出てまいりましたので、来週には県の担当の方も来ていただいて、御説明をしたいとい うふうに思っております。その際には、医療計画の関係もありますので、それも含めて 一体で御説明ができるようにしていきたいというふうに思っております。  あわせまして、県の職員の方には、実は今おっしゃったような、新しい仕事がかなり ございます。医療費の推計などは、まさにそのとおりだと思いますので、こういった点 についても、実は保健科学院というところで研修の体制をつくっておりまして、これま でも2回、今年もまた続ける予定にしておりますが、県の御担当の方に来ていただいて、 医療費の推計の方法や、いろいろな計画のつくり方など、実際の実例に則した研修をし ていただいているところでございます。  我々としては、委員のおっしゃるとおり、多くの面で県に期待しなければならない部 分がかなりありまして、そのためには、県の方にどれだけの支援をしていくかというの は非常に重要なことだというふうに思っております。特にこういう形でだんだんと施行 が近づいてきて、準備が出てきて、ものが表へ出てくるという時期になりますと、そう いった関係も、さらに濃い内容のものをしていきたいというふうに思っております。あ わせて県に対する支援体制ということで、我々厚生局に、今年から医療構造改革のこの 関係の仕事の担当の職員を2人から3人、ちゃんと専任で置くようにしております。そ のように準備をしておりまして、各ブロック単位ではありますが、県の御担当の方と、 よく意思疎通ができて、情報交換ができて、その人を通じたら、我々の方にもちゃんと 情報がとれるように、あるいは担当が非常に多岐にわたっており、我々の役所の中も多 岐にわたっていますので、それぞれの担当とちゃんとつながっていけるように、工夫を していきたいというふうに思っております。  神田委員 御心配をいただきまして、かえって恐縮しておりますが、医療あるいは福 祉というのは、やはり住民のニーズの最も高い行政分野ですので、これはもう、我々は、 正面から取り組まなければいけないという覚悟を持って、今回の医療制度改革について も、職員も汗を流しているところです。  仕事量がふえる。それは、物理的にふえるということもありますけれども、やはり大 きな変革期でありますので、例えば地域の医療機関の皆さんとの、さまざまな調整、あ るいは市町村の助言や指導、あるいは住民の皆さんにきちんとメッセージを送る。これ をやるためには、先ほどもちょっと申し上げたとおり、できるだけ早く、我々が情報を キャッチしたり、あるいは政策を固めたりして、先へ先へと発信していくことが必要で す。昨年の6月以降、ちょっといろいろ、その辺はバタバタしたこともありました。と いうのは、なかなか前が見えなかったものですから。これから、いろいろ制度設計が具 体化していく中で、厚労省の方と連絡を密にして一生懸命取り組んでいきたい。今、お 話しのように、かなりいろいろと、サポート体制もしていただけるということですので、 それは感謝しながら、一緒にやっていきたいと思っております。  一番重要なことは、都道府県も一生懸命、あるいは市町村の皆さんも一生懸命に取り 組むわけですが、基本の、例えば診療報酬体系というのは国の責務でいろいろ、権能も 含めてやっていただいているわけですので、究極はやはり国がきちんと責任を持ってい ただく。あるいは制度設計についても、きちんとそれを、責任を持って進めていただく という、そういう部分をきちんと出していただかないと、我々の立場は、ちょっと中間 にあって難しいところがあるんです。したがって、本来的には国の責務で国がきちんと 責任を負ってやっていただくというところが、我々のよりどころでもありますので、ぜ ひともお願いを申し上げたいところです。この医療改革を進めていく上では、さまざま な困難がありますけれども、やはり国の姿勢、方向をはっきり示していただくというこ とが必要だと思います。いずれにしても、お気遣いいただきましたけれども、我々も頑 張って、都道府県の立場で取り組んでいくつもりでございますので、よろしくお願いい たします。  小島参考人(逢見委員代理) この資料4の5ページに示されている、療養病床の目 標数の出し方ですけれど、これについての意見と、一つだけ質問があります。意見とし ては、確かに現時点で、このa、b、cの計算式でいくと15万床ぐらいが目標になる という説明ですけれど、それはこの資料の最後のページ、7ページにある現行の療養病 床の、医療型と介護ということで、スタートは介護療養のこの12万床を24年には介護 保険の適用から外すというところが一つあって、それに伴って、療養病床全体の再編を どうするかという議論の中で、この目標数というのが出てきているというふうに思って おります。基本的にはこれまでの議論の中で、私どもとしては介護療養の12万床を介 護保険から外すということについては賛成をしてきたところであります。それを含めた 全体の療養病床の再編の数が、どのくらいがいいのかということは、そこは議論のある ところだと思います。  そういう意味で、今回示されている、このa、b、cで、現行の医療区分1、2、3 の比率、この式からいくと、現行では15万床ぐらいという目標になるということです けれど、その際の、例えばこの式のbの、医療区分2のところの、削減あるいは転換見 込みという、その3割が妥当かどうかという点、あるいはcのところの、医療区分2の 7割が、これも療養病床への転換の見込み数ということですが、この7割が妥当かどう かというところは議論としてある。必ずしも、3割、7割というのは、どれだけエビデ ンスがあるかというか、そういうものとして決まっているのかというのは議論があると ころだと思っています。そこは意見としてありますので、そういうところについての検 証なりが必要ではないかというふうに思っております。  それと、先ほど鈴木委員から、こういう療養病床の目標のところに、医療区分1、2、 3というのを使うのは、いかがなものかということがありました。医療区分の1、2、 3も、今、いろいろ問題があるという指摘がありましたけれども、私どもの受けとめ方 としては、医療区分の1、2、3というのは、これは医療の必要度について分けたとい うことになりますよね、それについては、それなりの妥当性はあるのではないか、と。 ただ、中医協の議論では、医療区分1、2、3と、それからADLによる区分の中で、 診療報酬のあり方として妥当かどうかということについては、今、検証されているとい うことで、そこについては検証はしていると思いますけれど、医療区分1、2、3の分 け方自体が、それが問題だというふうには、私どもでは受けとめていません。ただし診 療報酬の、いわば点数のつけ方については、確かにケア時間等の関係で、検証は必要で あるというふうに思っていますので、そこは意見としてあります。  もう一つ、最後に5ページのcのところですけれど、介護保険の療養病床から転換す る見込みのところで、医療区分3と医療区分2の7割というところについて、医療保険 適用の療養病床は医療区分1、2、3をみんな分けていますけれど、介護保険適用の療 養病床については、必ずしも医療区分1、2、3というふうに分けていないので、そう すると県の段階で計画をするときには、すべての介護保険適用の療養病床について、現 在の医療区分1、2、3にもう一度分けるということになるのか。ここは質問です。  大島企画官 昨年10月の段階で、都道府県には、各医療機関にアンケート調査をや っていただいていまして、その中で半分ぐらいの病院について3分の1抽出の患者調査 で、介護療養についてもデータを測定していただいています。全体で1万人から2万人 程度だったと思いますけれど、そういうデータはありまして、県によってはそれを使っ ていただいたり、あるいは再度また調査をしていただくことになります。都道府県ごと に具体的にどうしていくのかは県と相談していきたいと思っております。  唐澤課長 補足させていただきます。御指摘のように、介護報酬上の仕組みでは、医 療区分が自動的に適用されることにはなりません。これは、医療保険の診療報酬は医療 区分を分類して請求していただく形になりますけれども、介護保険はそうなっていませ んので、介護療養型の入所施設の方に対して、先ほど申しましたような独自の調査を既 にやっていただいているところです。全部はカバーできていませんけれども、そういう 形で工夫をしていただいて、医療区分の判定をしていただきたいと、そういうふうに考 えているところでございます。  山本(信)委員 意見が一つと、それから事務局に伺いたいのですが、まず、全体か ら見て、何か事をしようとするときには、基本的に目標値を決めなくてはいけないとい うことはよくわかります。そうした意味で、その目標値を決めるということについては、 やむを得ないのかもしれませんが、それにしても、全体として、今回伺った計画を拝見 していると、まずは数値ありきというような感じが否定できません。私も皆さんがおっ しゃるように感じました。  そういった意味で言えば、明確に目標値を達成するということであれば、その示され た数字が、国民に対して十分に、我々が説明できるような状況や、説明できる数字にし ていただきたい。先ほど神田委員がおっしゃったように、やはり国民のニーズは高いわ けですから、数値目標を決められて、そこに進んでいくというからには、当然、なぜそ うなのかというのを十分に説明できる何かが要るのではないかと思います。そのあたり をきちんとデータなり説明の手助けとなると資料なりをお示しいただきたいというのが 一点です。  それからもう一点、今度は質問ですが、もし理解が違っていたらおっしゃってくださ い。先ほど古橋委員もおっしゃったように、都道府県に対する、かなりの負担がかかり ます。調査から始まって計画をつくって検証までしなくてはならないわけですから、さ らにその結果を国は詰めて整理をしてまた何かする、そういう形になるわけですけれど、 その中で、この1〜2年の間に全体の計画を立てて、何年間か動かしたら中間的な調査 をし、かつ、それに基づいて5年目にまた洗い直しをし、計画を組み直す。PDCAと いうサイクルで回るんだという御説明が当初ありましたけれど、そうしますと、今、資 料4にあるのは適正化計画ですから、いよいよ適正化していこうという中で、最初の、 資料4の2ページでしょうか、一番最後の方に、場合によっては都道府県別の診療報酬 の特例を設けてもいいということが示されています。この結果、患者の負担が上がると いうことと、下がるということと、両面があるわけですけれども、その一方で、当初出 てきた、全国保険者協会の設立というところを見ると、7ページでは、医療費の状態に よっては県別に保険料率を変えるということになります。そうすると住んでいる方々は、 自分たちで元気に生きていく、あるいは各都道府県がさまざまな施策をして、健康な生 活をして、なるべく医療費を減らそうと思っても、たまたま何かの要因で医療費がふえ てしまう。その結果、保険料は高く取られる。加えて負担金もあるいは減るかもしれま せんが、ふえる可能性も考えられるわけで、どうも二重の負担を国民だけが背負うよう な形になるのではないかというふうに見えるのが、この医療費適正化計画のように思え るのですが、その辺は、そういう理解でよろしいのでしょうか。  唐澤課長 まず、政管健保の方の保険料の御指摘については、当然これは政管健保の 加入者の中だけのお話です。健康保険組合、共済組合、国民健康保険は別の、関係のな い話です。その中で、政管健保の方で申し上げておりますのは、所得と年齢については 調整をいたします。具体的な方法はもちろんこれから決めますけれども、例えば年齢に ついては、高齢者の加入率が高ければ、全体の平均と同じとみなして計算をした場合に 幾らの医療費になるか、その差については、年齢が高いというのは、それぞれの支部の 責任ではありませんから、それはみんなで持ちましょう、という形になるわけです。  それから所得については、例えば仮に同じ1万円という保険料を負担するとしても、 平均所得が30万円の地域と60万円の地域では、例えば30分の1で3%という保険料 率になるのか、あるいは60分の1で1.5%という保険料率になるのかは、これは所得 水準の違いで、それは公平とは言えませんので、今は同じ保険料率で適用しているわけ ですが、そういう所得の違いについては、みんなで持ちましょう、という形になるわけ です。  残った、それぞれの地域の医療費分については、つまり年齢も所得も全部残った後の ものについては、それぞれの地域の実情を反映させていただいて、保険料を設定してく ださい、と。そのかわり、医療費も下がれば保険料はその分安くなります。そういう、 それぞれの支部地域で、ある程度、独自の運営ができるようにしたということです。  それから、この適正化計画の全体的な枠組みについては、実は昨年来、随分、議論を しておりまして、委員の先生が大分、おかわりになったものですから、ちょっと技術的 なことで繰り返しになって恐縮ですけれども、この診療報酬の特例の議論については、 ここにある表現のとおりの法律の条文になっております。大変多くの議論がありまして、 各都道府県間において、要するに公平でなければならない、それから合理的でなければ ならないという、かなり条件を限定した上で、こういう特例の議論になっています。も ちろん、それをどういうふうに適用するかということについては実施状況を見て、評価 をして、皆さんで御議論をしていただくことですので、この特例についても、必ずこの とおりのまま実施するということが決まっているわけではありません。こういう枠組み があるということです。そういうことで、まだ実施をする前に、これがどんな形で発動 されるか、どんなものになるのかということは、まだ与件として申し上げるところには ございません。こういう法律上の枠組みがあるということでございます。  糠谷部会長 定刻を過ぎておりますが、もうしばらく議論を続けたいと思います。  対馬委員 療養病床の関係ですが、これは健診なんかですと、2年後というのは、平 成20年度から2年やって、それから再度見直しをするという計画ですよね。この病床 については、それはどうなっているんでしょうか。  深田参事官 参考資料1をごらんください。この医療費適正化計画の中でも、療養病 床の数値目標というのが5ページからずっと並んでいるわけですけれども、5ページの 2番という中に、「これらの目標値については」というところがあると思いますが、同 じことでありまして、やはりPDCAのサイクルで評価していくということになってお ります。  対馬委員 そういうことであれば、健診の方もそうなんですけれど、やはり何かの目 標がないといけないということもありますし、さらにPDCAの、Cの段階できっちり やっていくということであれば、療養病床についても在宅療養の支援診療所がどうであ るかとか、老健にどういう形で医療が入っていくかとか、あとは医療提供体制がどう変 わるかといったことを踏まえて、もう一度見直すということであれば、やはり、現在の この数字そのものも、1年半ぐらいから2年ぐらい前にかけてでしょうか、随分議論し たわけですから、当面はこういった数字でもってやっていくということがよろしいので はないか。これは意見です。  櫻井参考人(多田委員代理) 2点あります。今回の改革で、後期高齢者の独立保険 制度をつくった趣旨というのは、従来の老人保健にかえて独立した保険者によって医療 費適正化を含む保険者機能をきちんと果たしてもらいたいということだったと思うので すけれど、そういうことで47の新しい保険者ができる。新しい制度に基づく新しい保 険者ができるわけですね。そういった、新しい保険者の意向というものを、国の政策な り地方の政策に、どう反映していくのかというのを、これから考えていかなければなら ないと思うのですけれど、具体的に、今回出された資料の参考資料1の3ページのとこ ろ、3番目の、都道府県医療費適正化計画の作成のための体制の整備ということで、中 ほどの「(二)関係者の意見を反映させる場の設置」の2行目あたり、関係者として最 後のところに「保険者(法第七条第二項に規定するものをいう)」と書いてありますけ れど、これは具体的には、私の理解では、健康保険法なり国保法なり共済等の、従来の 保険者を指していますので、そういった意味では、この高齢者医療確保法に基づく新し い保険者というのはここに入ってこないんですが、その点、どう考えておられるのかと いうことが1点目。  それから、今、御説明がありましたけれど、5ページのところで、参酌標準等が使わ れているわけですけれども、これは都道府県計画なのですが、特定健診なり保健指導と いうのは保険者に義務づけられているものですから、保険者がデータを持っていて、私 どもの国保の場合には、これは住民保険ですので、都道府県単位の数字が出てくるわけ ですが、特に健保組合さん等の場合は、なかなかこういう都道府県単位の数字は出てこ ないわけです。これは現実に保険者協議会でも、一番大きな問題になっているところで すけれど、この辺の、都道府県の適正化計画におけるこの数値というもの、あるいは改 善率とか実施率等の実績値を、どのようにとらえようとするお考えなのか。これが2点 目の質問です。  大島企画官 ここで言う保険者には、国保、健保、共済であり、後期高齢者医療広域 連合は入らない趣旨で書いてあります。それは特定健診、特定保健指導が40歳から74 歳までの被保険者を対象とするということで、こういう形で列挙してあるのですが、必 要があれば「等」の部分がありますので、都道府県の判断で、広域連合を加えていただ くことは、特段、問題はないと考えてます。  唐澤課長 補足させていただきます。表現の仕方が、旧来の保険者を書いてあるとい うことで、広域連合を除外したいということではありません。保険者として関係ある方 は基本的に全員入っていただきたいという趣旨でございます。  大島企画官 データに関しましては、今後は保険者の方で特定健診、特定保健指導の 結果は電子的に保存されますので、こうしたデータを基に、例えば各県ごとの保険者協 議会が分析を行うことを考えております。  櫻井参考人(多田委員代理) ただ、今の御説明でも、少なくとも被用者保険の健保 組合等、あるいは共済等については、住民単位での都道府県の数字というのは、なかな かできないと思うのですけれど、その辺はいかがですか。  唐澤課長 私から申し上げます。今の保険者単位で、事業所にお勤めの方、あるいは 被扶養者の方で集計をしている医療費で取っておりますので、住所とぴったりつながっ ているわけではありません。そこで、県単位の数字を、既存の資料あるいは新しい方法 で、どういうふうに作成していくか。これは私どもの今の調査担当部門の方で、今、い ろいろ工夫をしている途中ですので、それについてはまた、関係の皆さんにお知らせで きるようにしていきたいと思います。  岩本委員 2点、質問があります。1つは医療費適正化について、この部会で議論を して、生活習慣病の予防と平均在院日数の短縮について御説明があったときに、私から 申し上げたことがあるのですけれど、医療費適正化には、さまざまな手段で取り組んで いかなければいけないというふうな認識のもとで、そういう手段は非常に重要であるけ れども、さらにいろいろ考えて、追加的に積み上げてくださいというような趣旨のこと を申し上げました。そしてきょう、医療費適正化計画ということで出てきたものは、こ れだけをやるような感じの説明資料になっています。厚生労働省としては、医療費適正 化に向けて、これを重点的にやるということなのか、これだけやるのか、そこをお伺い したい。これが1点目です。  2点目は、PDCAサイクルの中で目標を設定するということは、やはり努力を引き 出すということが大事なわけですけれど、今回、都道府県がそれぞれ目標を設定してく るということになった場合に、どういうふうに設定してくるのかということが、やはり 課題になってくると思います。低めのハードルを置いて楽に越えるというふうなことで は、PDCAサイクルとしてはうまく回っていかないということになろうかと思います。 それぞれに、いろいろ問題点、課題点があると思いますが、私が気になったのは、最後 の平均在院日数の短縮というものです。これはさまざまな要因が結びついて、その結果 として表れてくるのですが、これを各都道府県はどのように設定していったらいいのか ということが、きょうの御説明の資料だけではわからないのではないかというような気 がします。  それと、その背景ですけれど、全国平均と長野県の格差を縮小するというふうに説明 がありました。具体的に何日短縮するという書き方になっていないということは、そこ のスピリットを読み取れということだと思うのですが、要はベンチマーキングと一緒に なってくるんですが、長野県が、平均在院日数が短くて医療費も少なくて済んでいると いうことは、長野県がラッキーなわけではなくて、そこにはいろいろと努力している、 医療費適正化に向けてのかぎが、いろいろとあるはずです。各都道府県はそれを学ぶこ とによって医療費を縮小することができるのではないかという、そういう地域差に着目 した議論があるのだと思います。  そういうことであれば、各都道府県が努力をすることによって得られる目標について も、いろいろ差が生じる可能性があるわけなので、そもそも全国目標としてこういう数 字が立ってきて、それで各都道府県が立てるときに、じゃあ、長野県と北海道はそれぞ れ1日ずつ短縮するように頑張れという話なのか、それとも平均在院日数が長い県は特 に努力して、目標をもっと高く置けという話になるのかということが、このままでは読 み取れない。具体的にどのような根拠で、ここのところをつくっていったらいいのかと いうことで何かお考えはあるのかということを伺いたいと思います。  大島企画官 最初の点についてですが、医療費適正化計画は、法律上、国民の健康の 保持の推進に関する目標と医療の効率的な提供の推進に関する目標を二本立てにしてや っていこうという構成になっております。第1期においては特に国民の健康の保持に関 しては、特定健診と特定保健指導の推進によってメタボリックシンドロームを減らすこ とを計画の柱に据えることとしております。それから医療の効率的な提供に関しては、 療養病床の再編成を柱に据えます。各都道府県が計画の中でそれ以外の項目を設定して いただくことは、当然可能でありますけれども、国のガイドラインとしては、その2本 の柱について、目標を決め、施策を定めるための基本方針を示していきたいと考えてお ります。  それから平均在院日数の関係については、それぞれの県の平均在院日数と、最短の県 の平均在院日数を比較して、その差を9分の3に短くしていこうという考え方です。し たがって、平均在院日数が長い県は、最短県と長い日数差を9分の3に短縮すること、 短い県は、その短い日数差を9分の3に短縮することになり、そういう形で目標を設定 します。  鈴木委員 ちょっと医療区分のところで誤解があると思われるのは、医療区分1は医 療の必要のない人が入っているのではなくて、医療の必要度の低い人たちが入っていま すが、その人たちを介護の施設に移すと、介護では対応できない。ですから医療療養型 にいることが必要だということを申し上げておりますので、御理解いただきたいと思い ます。  渡辺委員 最初に数字ありきですと、国民は非常に不安に思うのではないかと、私は 心配いたします。実際に5年間で20万というと年間4万床ずつ減らさなければいけな い。実際の数値がそう出てくるかどうかは別としても、大変不安に感じるのではないか、 と。その受け皿がどうかというところの形が見えれば、国民もそれなりの安心感が出る のではないかと思います。この7ページにもあるように、老健施設なりケアハウスなり、 それについても同じようにこういう計画がありますよ、これが並行して行くんですよと いう形が見えてくると、かなり安心できる。そこのところを、国でこうします、あるい は都道府県にきちっと支援をしますという形を、こういう計画のときに、もう、されて いるのだろうとは思いますが、それを見せていただけることが、国民にとって非常に安 心感を与えることではないかと思いますので、その点、一点だけお願いいたします。  糠谷部会長 時間も大分過ぎておりますので、大体、よろしいでしょうか。本日も、 いろいろと御意見をちょうだいいたしました。この部会として意見をまとめるという性 格のものではございませんけれども、厚生労働省におかれましては、省として案をまと めるに当たっては、本日出た意見もよく御配慮いただいて、決めていただきたいと思い ます。  それでは、予定の時間を大分過ぎましたので、本日はこれまでとさせていただきます。 今後の開催時期は未定ですけれども、開催が決まり次第、事務局より御連絡することに したいと思います。本日は御多忙の折、長時間ありがとうございました。これにて終わ りといたします。 (終了) (照会先) 保険局総務課企画調査係 代表 03−5253−1111 内線 3219