07/04/10 第7回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議の議事録について       第7回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議 日時 平成19年4月10日(火)14:00〜16:00    厚生労働省専用第15会議室 ○桑田介護保険課長 それでは、定刻となりましたので、第7回「介護保険制度の被保 険者・受給者範囲に関する有識者会議」を開催させていただきます。本日は、お忙しい ところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  初めに、本日の委員の出席につきましてですけれども、紀陸委員、矢田委員から御欠 席の連絡を承っております。紀陸委員の代理として日本経済団体連合会・経済第三本部 長の高橋様に御出席いただいております。それから、矢田委員の代理として神戸市保健 福祉局高齢福祉部長の森田様に御出席いただいております。  それでは、京極座長よろしくお願いいたします。 ○京極座長 それでは、本日の議題に入ります。まず、事務局から本日の資料の確認及 び説明をお願いします。 ○桑田介護保険課長 お手元に資料をお配りしてございますが、まず確認させていただ きます。  議事次第の次に、資料1といたしまして「有識者調査におけるクロス集計」、前回お配 りした集計で、さらにクロスしたもの、これを資料1としてつけております。  資料2といたしまして「被保険者・受給者の範囲の拡大に伴う保険料の見通しについ て―ごく粗い試算−」というペーパーをつけております。この資料1、資料2は、前回 いただきました宿題に可能な範囲で対応させていただいたものでございます。  資料3は「介護保険の被保険者及び受給者の範囲の在り方についての論点整理」とい うもので、これがきょうの議題の主たる論点・材料になろうかと思います。  それから、これに対しまして、資料4−1〜4−4までということで、小島委員、紀陸委 員、関委員、堀委員それぞれ4名の委員の先生方から意見書を提出いただいております のでお配りしております。  以上、本日の資料でございます。  それでは、早速でございますけれども、資料を御説明させていただきたいと思います。 ○梶野補佐 A3版の資料1と資料2は前回の宿題への回答として用意させていただい た資料であります。  まず資料1でございますけれども、これは前回提出しました有識者調査の問4→問8 →問9→問10のクロス分析を行ったものであります。  このA3の資料の左端を見ていただきますと、まず問4で「介護保険制度の被保険者・ 受給者の範囲に関する将来的な在り方についてどう考えますか」ということで、青色が 「拡大」、黄色が「現在は慎重」、ピンクが「拡大反対」となっておりますけれども、そ れぞれの選択肢につきまして、例えば下の段、問4で「拡大」を選んだ方が、問8で「被 保険者(保険料負担者)と受給者との関係についてどのように考えますか」、「一致すべ きか」それとも「一致しなくてもよい」か、どちらを選んだかというのをそれぞれ細か く分析できるように図示したものであります。  まず、左の水色の方で順に追っていきますと、まず「拡大すべき」と選ばれた水色の 方は451人ですけれども、問8で「一致すべき」と選んだ方が水色で243人、ピンク色 が「一致しなくてもよい」ということで166人。  さらに下の段に行きまして問9で今度は「受給者の年齢」でありますけれども、ここ は「全年齢」という方と「一定年齢」で区切るべきという方どちらを選ばれたかという ことを見ますと、まず問8で、243人「一致すべき」、水色のところで見ますと、「全年 齢」を選ばれた方が200人。  問10で、今度負担者でありますけれども、負担者は4つ質問がありまして、「働いて いる者」、「20歳以上」、「25歳以上」、「30歳以上」とありましたが、この中で「働いて いる者」86人、これが一番多かった。  問4の上から流れで見ますと、問4では「拡大」、そして問8で「一致すべき」、問9 で「全年齢」、そして問10で「働いている者」、こういう流れで見るものであります。  真ん中の黄色の「現在は慎重」と選ばれたもの、右のピンクの「拡大すべきではない」 と選ばれた方の流れも同じような流れで見ていただければと思います。そこで前回どう いう御指摘をいただいたかと申し上げますと、問8で、被保険者と受給者の関係につい て「一致すべき」か「一致しなくともよい」という御質問がありますが、問8では「一 致すべき」という方が多かったわけですが、問10では、どういう御意見が多かったかと 申し上げますと、「30歳以上」、「働いている者」という方が多いと。つまり問8で被保 険者と受給者が「一致すべき」と選ばれた方で、問10で「30歳以上」というふうに一 定の年齢で区切っているということであれば、問9も「全年齢」ではなくて「一定年齢」 という方が多いはずだと。確かに「一定年齢」も多かったのですが、同じように問9で 「全年齢」を選ばれた方が多かったというのはどういうことかという御質問がありまし たので、このクロス集計で見ますと、まず、真ん中の黄色の「現在は慎重」を選ばれた 方でありますけれども、その方で、問9の上から3段目の水色「全年齢」94人、81人と 結構いらっしゃるのと、それから、左の水色のラインで申し上げても、問10で「働いて いる者」というふうに水色を選ばれているのですが、問9で「全年齢」という方が圧倒 的に人数が多いということで、トータルで見て、水色の「全年齢」という方がまあまあ いらっしゃったということであります。  続きまして、資料2でありますけれども、これも前回宿題をいただいたのですが、被 保険者を拡大した場合に、税金から保険料の部分にどのくらい移るのか、あるいは負担 額、保険料への影響はどうなるのかといったことなどにつきまして御照会がありました ので用意させていただきました。資料は、前回被保険者範囲について検討しました平成 16年の介護保険部会の資料を提出しております。  その理由でありますけれども、新しい介護給付費の見通し、それに基づいた新しい介 護保険料の試算につきましては、本年秋以降にお示ししたいと考えています。その理由 ですが、介護保険制度につきましては、昨年4月に改正されたばかりでありまして、新 たに創設されました予防給付、地域密着型サービスといった新しいサービスのデータが まだ半年分ぐらいしか出ておりませんが、最低限1年分は見た上でそれをベースとして 推計する必要があると考えております。  それから、被保険者を拡大した場合は、障害者自立支援法に係る給付費を推計する必 要がありますけれども、現在の障害福祉サービスのうちどの部分が介護保険制度に移る のかということを新しく検討する必要があります。それから、昨年10月から障害者自立 支援制度が施行されたばかりですので、その給付費を推計するためには、やはり今年秋 まで、昨年10月からの1年分のデータが必要ということで、今回、前回の資料ではあり ますが、平成16年の資料を用意させていただきました。  このときの試算の前提でありますけれども、2ページ、まず「試算の考え方」であり ますが、ポイントが4つありまして、1つは「被保険者・受給者」については0歳と、 または保険料を負担する者の年齢と同じにするというパターンを2つ用意しております。  2つ目に「保険料を負担する年齢」ですけれども、これは4パターンで、35歳以上、 30歳以上、25歳以上、20歳以上。  3つ目の「保険料負担割合」でありますけれども、40歳未満の方の保険料を半額にす るかどうか。  4つ目として、「給付サービスの範囲」として、在宅サービスだけなのか、施設サービ スも合わせるのかということで、それぞれ4項目について幾つかのパターンで試算をし ているというのがこの考え方であります。  3ページ目でありますけれども、「給付の範囲」についての前提ですが、今までの介護 保険の給付に加えまして「若年要介護者」に対する「介護サービス」を、新たな対象と して試算しています。  「若年」の範囲は、0歳以上65歳未満。  「要介護者」は、障害の種類や原因を問わず介護ニーズを有する者としています。  ここで2つポイントがありまして、1つは、0歳以上39歳以下の方の給付が新しく入 ってくると。  2つ目は、40歳から64歳の方も、特定疾病の限定が外れますので、その限定が外れた ことによる給付増が加わるということであります。  当時の障害者の制度の介護サービス部分の全部が移るということではなくて、表のよ うに、在宅サービスについては、利用者の訓練とかの給付がありますので介護サービス 部分は1/2程度と仮定。  施設サービスにつきましては、3/4程度と仮定しています。  その結果、下の注にありますように、平成16年度予算の障害者福祉サービス事業費 7,500億円のうち、約6割(4,500億円)が介護サービスに該当するということにしていま す。7,500億円のうち障害児分は約100億円ということで計算をしています。  4ページ目ですけれども、「給付費(増加分)の推計方法」でありますが、「在宅サービ ス」については、まさに給付費でありますので、イコール「(1)利用者数」に「(2)一人あ たり給付費」を掛けた数字になります。  「(1)利用者数」はどういうふうに仮定されているかと申し上げますと、「介護サービス」 の利用者数約22万人が、平成26年度には36万人に増加すると見込んでいます。この「36 万人」というのは、当時の13年の国民生活基礎調査で「手助けや見守りを要する者」の 数を基に推計しています。  「(2)一人あたり給付費」ですが、これは9万円が、介護保険の施設給付費と同水準に なると見込んでいるということであります。基本的には施設サービスも同様であります。 ただし、一人あたり給付費が伸びないと仮定しています。  6ページに飛んでいただきまして、いずれにしても、いろんなパターンが幾つもある のですが、ここでは6通り抜粋させていただきました。  まず、保険料負担年齢が(20歳以上)<被保険者・受給者=0歳以上>。  保険料負担割合が、40歳未満も同額(若年者の方も同額)、サービスは在宅、施設も 同額ということですと、上から2番目の段、平成18〜20年度3,900円が3段目に「範囲 を拡大した場合」ということで、2,800円(▲1,000円)となります。範囲を拡大すること によって1,000円下がる。  一番下で、給付費は7.0兆円で(+0.45兆円)、障害者のところから4,500億円移りま すが、トータル的には範囲は拡大されることによって1,000円下がるということであり ます。  7ページ目は同じ前提ではありますが、40歳未満の保険料だけ半額として計算してお ります。先ほど1,000円下がっておりましたが、(▲500円)ということで500円下がる。  8ページ目でありますけれども、今度は保険料負担年齢を(30歳以上)<被保険者・受 給者の年齢を30歳以上>ということで仮定しますと600円下がるということであります。  9ページ目でありますが、これは同じ仮定で、40歳未満を半額にした場合ですが、こ の場合は1号被保険者の保険料は200円下がるということです。  10ページ目でありますけれども、これは3つ目の仮定でして、保険料負担年齢が(20 歳以上)<被保険者・受給者=20歳以上>。一番最初の仮定と違いますのは、受給者が0 歳ではなくて20歳以上になっているということであります。この場合は保険料が真ん中 の▲のところを見ていただきますと1,100円下がるということです。20歳未満の給付費 の分を見なくて済むということで、最初の仮定の1,000円よりは100円多く下がる効果 があるということであります。  それから、11ページですけれども、これは40歳未満を半額にした場合でして、500 円下がるという当時の推計であります。  続きまして、資料3に移りますが、今回の主な議題でありますけれども、「介護保険の 被保険者及び受給者の範囲の在り方についての論点整理」ということで、これまでの議 論、有識者会議だけではなくて、前回の会議でこれまでずっと議論をしてきた経緯を踏 まえるべきという御意見もありましたので、平成16年の社会保障審議会介護保険部会な どの議論も踏まえまして、事務局において論点整理を行ったものであります。  論点は5つありますが、まず1点目、これまでの議論の経緯や、障害者自立支援法制 定など関連分野の状況変化を踏まえ、介護保険の被保険者・受給者範囲拡大問題を、改 めてどのように考えるかということでありますが、1つ目の「○」は、平成17年の改正 法の附則において、「政府は、介護保険制度の被保険者及び保険給付を受けられる者の範 囲について、社会保障に関する制度全般についての一体的な見直しと併せて検討を行い、 その結果に基づいて、平成21年度を目途として所要の措置を講ずるものとする。」と規 定しています。  2つ目の「○」で、社会保障に関する制度全般についての一体的な見直しを検討した 「社会保障の在り方に関する懇談会」の報告書においては、「介護保険制度の将来的な在 り方としては、介護ニーズの普遍性の観点や、サービス提供の効率性、財政基盤の安定 性等の観点から、年齢や原因を問わず、全ての介護ニーズに対応する『制度の普遍化』 を目指すことが方向として考えられる。他方で、これについては、若年層に負担を求め ることについての納得感が得られるかどうか、保険料の滞納や未納が増加しないか、ま た、若年層の介護リスクを保険制度で支えることに理解が得られるかといった点にも留 意する必要がある。このため、こうした個別の論点を精査し、プロセスと期限を明確化 しつつ、関係者による更なる検討を進める必要がある。」としました。  3つ目の「○」で、平成18年4月に施行された障害者自立支援法においては、3障害 の制度格差の解消などが行われ、障害者保健福祉政策においては多くの改革が行われた。  4つ目の「○」、なお、ここで介護保険制度と障害者福祉制度の適用関係について、改 めて確認しますと、現行制度においては、  (1) 両制度に共通するサービスについては、一般制度がある介護保険制度を優先し、2 ページ目(2) 介護保険制度にないサービス等については、障害者福祉制度を適用するとい う仕組で、下の絵のようになっております。実際に、既に65歳以上の高齢障害者につき ましては、こうした組み合わせが適用されている。  被保険者・受給者の対象年齢を引き下げる場合にも、若年障害者に対して、こうした 組合せの仕組みを適用することが適当と。  このような適用関係でありましたので、(いわゆる「普遍化」)ということをしても、 障害福祉制度の全体を介護保険制度に「統合」するということではないということであ ります。  最後の「○」ですが、被保険者・受給者の範囲については、以上のような経緯等を十 分踏まえて、検討する必要があるのではないか。  3ページ目、2点目ですが、範囲を拡大するとした場合には、「高齢者の介護保険」と いう制度の枠組みを維持するのか、それとも要介護となった理由、年齢を問わず、全て の介護ニーズに応えることを目的とした制度の(いわゆる「普遍化」)の方向を目指すの か。  1つ目の「○」ですが、現在の介護保険制度の枠組みは、実質的には「高齢者の介護 保険」。  2つ目ですが、「高齢者の介護保険」の枠組みを維持すべきという立場から主張されて いる理由は、(1) 40歳未満の若年者の納得を得ることが難しく、国民健康保険料に上乗 せして徴収する現行の方式では保険料の未納や滞納が増えるおそれがある。  (2) 若年者が要介護状態になる確率は低く、また、その原因が出生時からであることも 多いということで、税を財源とする福祉政策において行われるべき。  (3) 「普遍化」の具体的内容について、十分な検討がなされていない。社会保障全体の 給付と負担が将来どのようになるかがわからない。  それから、3つ目の「○」で、「普遍化」の方向を目指すべきとの立場から主張されて いる理由ですが、5点ありまして、(1) 年齢で制度を区分する合理性は見出しがたい。ド イツやオランダ等の欧米諸国においても、年齢や原因などによって介護制度を区分する 仕組みとはなっていない。  (2) 40歳から64歳までの者が原因を問わず保険給付を受けることが可能となるととも に、難病に伴う身体等の障害を有する者等が、要介護状態であるにもかかわらず公的サ ービスを受けることができないという「制度の谷間」の問題が解消される。  (3) 介護保険財政の面では、制度の支え手を拡大し、財政的な安定性が向上する。  (4) 高齢者ケア、障害者ケアともに「地域ケア」を目指しておりまして、年齢や障害種 別を超えたサービスを提供できるようにするため、制度の壁は取り除くべきである。  (5) 障害者に対する介護サービスのうち、共通部分につきましては、制度の普遍化によ り、地域のサービス利用環境が改善され、サービスの均一化・平準化が進む。  次の「○」ですが、平成17年の介護保険制度の改正のときにもこの問題が議論された わけですが、そのときの部会の意見は「介護保険制度の将来的な在り方としては、要介 護となった理由や年齢の如何に関わらず介護を必要とする全ての人にサービス給付を行 い、併せて保険料を負担する層を拡大していくことにより、制度の普遍化の方向を目指 すべきであるという意見が多数があった」とする一方、「被保険者・受給者の範囲の拡大 については、極めて慎重に対処すべきであるという意見があった」とし、「その可否を含 め国民的な合意形成や具体的な制度改革案についてできる限り速やかに検討を進め、結 論を得ることが求められる」としました。  次の「○」、今回の有識者調査において、「被保険者・受給者の範囲を将来的に拡大す べきかどうか」という質問に関しましては、前回御説明したとおり「拡大すべきである」 が32%、「将来的には拡大の方向も考えられるが現在は慎重であるべき」が42%、「拡大 すべではない」が20%という結果でありました。  上記のようなことを踏まえ、被保険者・受給者の範囲を拡大する場合の基本的方向を どのように考えるべきか。  5ページ目、3点目でありますが、「普遍化」の意味や効果、「普遍化」を目指す上で解 決すべき課題(普遍化に伴う問題点)は何か。また、「普遍化」した場合に、高齢者向けサ ービスと若年障害者に必要な介護サービスの共通の程度や、高齢者と障害者のサービス の相互利用(いわゆる「共生型サービス」)の是非についてどのように考えるか。  1点目で「普遍化」の意味については、先ほど述べたとおりであります。  2点目、「普遍化」の効果につきましても、2において述べたとおりであります。  3点目ですが、「普遍化」を目指す上で解決すべき主な課題としては、  (1)として、低所得者に配慮した利用者負担の在り方を検討すること。  (2)として、要介護認定区分を若年者にも適用可能なものとすること。  (3)として、高齢者及び若年障害者のいずれにも適用可能なケアマネジメント手法を開 発すること、といった点が挙げられるのではないか。また、職員の養成・訓練等に十分 な時間が必要ではないか。  次の「○」でありますが、高齢者と障害者のサービスの相互利用(いわゆる「共生型サ ービス」)や相談・窓口一本化については、  介護保険制度が今後目指す基本方向は、「地域ケア」であり、このことは障害者福祉サ ービスにも共通する。  利用者、特に障害者にとってサービス選択肢が拡大する。  年齢に関係のない長期継続的な相談・支援が可能になる。  サービス提供が効率化する。  相互扶助意識の高揚につながるといったことから、サービス水準の低下を招かないよ う配慮しつつ、その推進を図るべきではないか。  続きまして6ページ、4点目でありますが、被保険者・受給者範囲を拡大するとした 場合の制度設計として、どのような選択肢が考えられるのか。また、制度設計の具体化 に当たって留意・検討すべき課題は何かということで、大括りに3類型に整理しており ますが、考え方といたしましては、介護保険制度においては、被保険者としての負担と 受給者としての給付は連動することが基本となること、また、有識者調査結果において も、「被保険者と受給者の範囲は原則として一致すべき」という意見が多かったこと等を 踏まえると、被保険者・受給者の範囲を拡大した場合の制度設計の選択肢は、大別する と次の3類型に整理されるのではないか。 (A類型)「高齢者の介護保険」という現行の制度を維持するが、介護保険財政の安定 化等の観点から、現行の被保険者・受給者の範囲を30歳に引き下げる。 (B類型)「普遍化」を全面的に進め、要介護状態となった原因や年齢を問わず介護保 険制度によるサービスを受給できることとし、具体的には ・被保険者(負担者)は、稼得収入のある全ての者とした上で、 ・稼得収入のない児童・学生などに対する給付は、家族給付として位置付ける。 (被保険者の範囲を20歳というような一定年齢で区切ると、稼得能力のない者に対 しては、家族給付で対応するという仕組みが機能しない。)という考えで、負担者に ついては、稼得収入のある全ての者としております。 (C類型)「普遍化」を進めるべきとの立場に立つが、障害児に対するサービスについ ては、「教育、訓練」という側面が色濃いこと、出生時からの障害については税を財 源とする福祉政策で対応すべきとの議論もあることなどを勘案し、制度の対象年齢 については、給付、負担ともに20歳以上とする。 ○ 制度設計の具体化に当たっては、いずれの案についても、新たに保険料を負担する者 の納得を得ることが重要な課題となるが、B類型及びC類型については、先ほど3で述 べた課題に加え、次のような点も検討する必要があるのではないか。 (1) 第1号被保険者と第2被保険者の区分をそのまま維持することができるのかどうか。 (2) 若年者に対して保険料を軽減すべきかどうか。 ○ その他、一括実施か段階実施かなど実施方法をどう考えるか、実施時期をどう考える かという課題もあります。  最後、論点の5になりますが、被保険者・受給者の範囲拡大に問題に関し、今後、ど のような進め方をするのが適当か。 ○ 介護保険の被保険者・受給者の範囲については、制度の「普遍化」を目指すことを、 将来的な方向として考えるべきではないか。 ○ 上記の将来的な方向を前提として、当面、本問題にどのように対応していくのか。 ということであります。 以上であります。 ○京極座長 どうもありがとうございました。資料1、2、3の説明を伺いました。特に 論点整理については、前回よりも丁寧に整理されているという印象を受けました。 それでは、先に御意見をいただきました委員の方々から、資料の御説明をお願いいた します。初めに、小島委員よろしくお願いいたします。 ○小島委員 資料4−1で、私の意見書が出ておりますので、ポイントについて簡単に御 説明したいと思います。  この意見書は、これまでにも発言したもので、前任者である花井からも何度か発言し ている内容でありますが、改めて文章で今日提出をさせていただきました。今の論点整 理では5点ほどありましたけれども、必ずしもそれに全てマッチしているわけではあり ません。これまで発言している内容を文章で整理したということでご理解いただきたい と思います。  まずは、1ページ目の「1.現行介護保険制度の問題点」ですが、これについては詳し く説明することはありません。介護のニーズというのは、高齢者特有のものではなく、 年齢や理由を問うべきではない。現行の65歳以上を基本にしている給付について合理的 な理由はないのではないかというのが第1点目の問題点です。 2つ目のところでは、現在、第2号被保険者は40歳から64歳、これは若年障害者を 含めて保険料を負担していますけれども、給付については、現在16特定疾病に限定され ている。いわば負担と給付の関係という社会保険の原則にも反しているのではないかと 考えております。  3つ目は、ここは「制度の谷間」という問題であります。難病等の患者の方など、若 年要介護者でありながら介護保険の給付も受けられない、あるいは障害認定も受けられ ないという中で、両方の制度を利用できないという、「制度の谷間」に陥っている人たち がいる。こういう問題をどう解消するかということが今問われているのだろうと思って おります。  「2.介護保険制度の普遍化について(介護保険を真の社会保険へ)」というところで す。私ども連合は、この介護保険制度の発足以来、あるいは法律ができる前から、基本 的には被保険者(保険料負担者)とサービス、受給者を一致すべきだという原則を主張 しておりました。法律施行以後は、被保険者・受給者の範囲拡大を強く求めてきたとこ ろであります。  この介護保険制度は法律が成立したのが1997年11月、制度発足が2000年4月からで すけれども、当時は、高齢者介護に対する緊急な対応が急がれたということが1つ大き な要因があった。それから、若年障害者に対する要介護認定基準、あるいはケアマネジ メントといったようなことが必ずしも十分検討されていなかったということで、とりあ えず65歳以上を給付対象とした今回の介護保険制度(高齢者介護保険)というような性 格でスタートせざるを得なかったと思っております。  その後の状況の中で、前回の法律改正に向けた社会保障審議会介護保険部会における 平成16年12月の意見書の取りまとめは、基本的には年齢あるいは理由を問わずにとい うことで、全ての人を対象にする介護保険、制度の普遍化を目指すべきだというのが多 数意見であった。既に被保険者・受給者の範囲拡大については一定の方向性は出されて いるのと思っております。  それから、改正介護保険法、2005年に成立しました介護保険法についても、附則の第 2条には、「平成21年度を目途として所要の措置を講ずるものとする」という見直し規 定がある。この趣旨は、いわば被保険者・受給者の範囲を拡大するという方向での見直 し規定と理解すべきと思っております。それから、衆議院・参議院両院の厚生労働委員 会の附帯決議「平成18年度末までに結論を得られるような新たな検討の場を設けるべき だ」に基づいてこの有識者会議が設置されている。これらの法律、あるいは国会の意思 を重く受けとめる必要がある。そのため、制度創設以来、残された受給者あるいは被保 険者の範囲の拡大について、これ以上、結論を先延ばすべきではない。  ということで、3.で、結論的に言いますと、被保険者・受給者の範囲については、私 どもとしては、被保険者につきましては「医療保険加入者」に拡大するということ。そ して受給者については、年齢を問わない「全ての介護が必要な人」に給付をするという ことで、制度の普遍化をすべき、そういう基本的な考え方であります。  4.では、被保険者・受給者範囲を拡大する際の課題についてということであります。 まずは、若年障害者(若年要介護者)の認定基準、要介護認定やケアマネジメントについ て、十分な検証を行うということと、現行の若年障害者に対するサービス水準の低下さ せないということは当然必要な措置だろうと思っております。さらに言えば、若年要介 護者のニーズに対応するように、新たなサービスメニュー、そういうものも含めた対応 が必要ではないかと思っております。  それから、2つ目のところです。ここは若年障害者と現行の介護保険のサービスメニ ューの共通する部分については、介護保険を優先するという、現在の65歳以上の仕組み、 それを基本にした被保険者・受給者の拡大ということで対応すべきです。介護保険のメ ニュー以外の必要な障害者サービスについては、障害者施策で対応する、そういう整理 が必要だと思っております。  その際、若年障害者も当然保険料を負担していただくということでありますので、障 害者の就労支援と所得保障の充実が必要だろうと思っております。とりわけ就労困難な 重度障害者に対する所得保障の確立ということは極めて重要なテーマだと思っておりま す。そういう意味では、低所得者に対する一層の利用料の軽減措置ということも併せて 検討すべきだろうと思っております。  最後に、現行制度の中でも、この「制度の谷間」と言われる問題、特に難病患者等の 若年要介護者につきましては、保険料拠出にかかわらず介護保険の給付サービスが利用 できないということであります。早急にこの「制度の谷間」の問題については解消する ことが必要だと思っております。  以上です。 ○京極座長 ありがとうございました。それでは次に、紀陸委員の代理でお越しいただ いております高橋様よろしくお願いいたします。 ○紀陸委員(代理・高橋経済第三本部長) 経団連の高橋と申します。よろしくお願いい たします。きょうは本当は紀陸が出席予定だったのですけれども、参議院の厚生労働委 員会に急遽参考人に呼ばれましたので、出席できません代わりに私に行ってこいという ことで参りました。  資料4−2に即して簡単に御説明したいと思います。私どもとしては、介護保険制度の 被保険者・受給者範囲の拡大について慎重であるべきだという考えを持っています。内 容は紙に書いているのでお読みになればわかると思いますが、1から言いますと、我々 の考える介護保険制度というのは、そもそも加齢に伴う介護リスクに備えること。この 介護リスクはかなり多くの人に見られることですから、それは社会保険方式でリスクシ ェアしていくということは十分納得を得られるということで、ある程度、受給者の範囲 を限定して、受給者と被保険者の範囲を一致させながらやっていくことは十分理解得ら れると思います。  その下にありますように、親の介護になると、その家庭が非常に悲惨なことになると いうことはよくわかっていることですから、40歳以上の人については、お父さんもお母 さんが当然60、70になると介護の可能性が高くなりますから、その人たちに負担を求め るということも介護の社会化という観点から非常に理解できるということで、40歳以上 で介護保険制度をつくるということは我々としては納得できる制度だと思います。  ただ、一方で、最後にありますように、若年者にそこを求められるかというと、20歳 とか25歳の人は介護の可能性は非常に遠いと。自分の親を見ても、介護給付を受ける可 能性も非常に少ない。そうすると負担が当分数十年間続いて、それから給付がやってく るという形を保険制度の中で仕組めるのかというと、若干それは無理ではないかという ことから、我々としては慎重であるべきだと、1つはそういうことです。  2番目としては、障害者の方を「普遍化」という形で入れようという考えはあります が、障害者の場合、出生に伴うところがありますので、加齢による介護とはかなりリス クが違うと。誰もが介護を受ける可能性があるわけではないので、その点は別に考えた 方がいいと。しかも、障害者の場合、特に重度障害の方について保険料を求めることが 実際上できるのか。私はかなり気の毒だと思っていまして、保険料を求められない以上、 それは保険料の負担がなくて給付があるということからいうと、これは社会保険ではな くて、まさに公費でもって支えるという制度の方がずっと望ましいと。国民全体が公費 でもって、そういった人たちを支えていくという制度の方がいいだろうというふうに思 っております。  きょう出された論点の紙に即してちょっと言わせていただきますと、我々は慎重であ るべきであるということですが、何もしなくてもいいのかというと、そう思ってなくて、 5ページの(いわゆる「共生型サービス」)、これが非常にメリットがあると思います。 我々聞いた範囲でも、高齢者の方と障害者の方で共通にできる相談窓口とかグループホ ーム、デイサービス、そういうものは特区制度の中でかなりうまくいっているというこ とを聞いていますので、これをぜひ全国展開していくというような形で推進を図ってい くべきではないか。べきではないかということに対しては、我々はべきであるというふ うに考えています。  それから、もう1ページ、次のページですけど、将来的に拡大する場合、どうしたら いいかということについて、我々はまだ拡大すべきではないという意見ですが、はっき り言って、介護保険制度がどうなるかはまだよくわかっていません。新しい予防給付を 入れて、果たしてどの程度負担が増えていくのか、給付が増えていくのか。また、療養 病床の再編が今後行われると思いますが、その結果どれだけ介護ということに医療から 移っていくのか、その辺も見えてきません。ですから見えてこない以上、今、すぐにど うこうするというのは時期尚早だと思いますが、将来的には、このA類型にあるように、 場合によっては、受給者・被保険者の範囲を30歳に引き下げるということも視野に入れ た上で、保険の範囲を見直していくべきではないか。少なくとも今の介護保険制度がど うなるかはよくわかりません。だから、将来的には、この点も含めて検討していきたい というふうに考えております。  以上であります。 ○京極座長 ありがとうございました。それでは、次に関委員よろしくお願いいたしま す。 ○関委員 これまでヒアリングですとか、いろいろな形で御意見を伺って、私なりに被 保険者・受給者範囲の在り方について考えてきておりました。どのタイミングで意見を 言うといいのかわからなかったので、今回初めて述べさせていただく意見もあります。  4点挙げておりますが、1点目としては、制度理念を明確に掲げ直すべきではないかと 考えています。介護保険制度は「要介護高齢者のための保険制度」としてスタートしま したが、機が熟したことをもって「全ての要介護者のための保険制度」に制度理念を掲 げ直すべきではないでしょうか。  その際は、制度理念を掲げ直したことを明確に提示すべきです。というのも、要介護 高齢者のための保険制度という点が広く浸透しておりますので、今回のヒアリングなど でも、介護保険とはそういった制度ではなかったのだろうか、といった疑問が多くあり ました。ここで制度理念を展開し直すということを決めるのであれば、その点は明確に 説明をしないと、これは財源論だけを理由に、お金が足りないから被保険者の範囲を広 げるのではないかといった意見なども出やすくなっているのではないかと思います。  私自身は、そういった財政的な理由以上に、介護保険制度というのは、次にも説明し ておりますように、本来は全ての要介護者のための制度であるべきだと考えております。 そういった制度理念に則って、それに立ち戻ることが現在の状況では以前と比べて可能 となってきたので、理念を掲げ直して、よりよい制度をつくっていくのだという、もっ と明るい方向性を明確に説明していくべきです。  この点をもう少し説明しますと、心身の機能喪失によって生じる生活上のハンディキ ャップ、すなわち要介護状態という生活障害に対する給付としての介護の目的・性格に、 高齢者・障害者という年齢の違いで本質的な差異はないと考えています。介護保障制度 のあるべき制度原理・理念に則ると、制度の「普遍化」を進めて、全ての要介護者に対 する基本的な介護サービスは、1つの制度によって保障すべきではないでしょうか。  介護保険制度創設時は、高齢者に対する介護保障の充実が社会的に切実な課題であり ましたし、この下の注にもあげましたように、医療保険制度の財政問題、老老介護、家 族介護における虐待、措置制度の弊害といったいろいろな問題があり、まずは高齢者に 対する介護保障制度を充実しなければいけないという声がありました。  加えて、障害者に対する福祉サービスの整備が遅れていたことから、高齢者に対する サービスとともに保険給付を開始することが難しかったということと、若年者の関心の 薄さから、若年者にも保険料負担を求めることは難しいのではないかという懸念の声が 出されておりました。こうして、高齢者のために介護保険制度を創設する喫緊の必要性 があって、障害者への同様の給付制度の整備を待っていては制度導入が遅れたために、 制度導入への理解を得て新しい法制度を円滑に実施すべく介護保険制度は現行の形で創 設されたと私は理解しております。  現在は、障害者自立支援法が施行され、若年者も含めた介護保険制度の理解も高まり つつありまして、機は熟しているのではないかと考えています。先ほどの御意見でも、 なかなか若年者の理解を得られないのではないかという声もありましたが、私が日ごろ 学生などと接して話しておりますと、介護問題に対する関心は高まっております。とい うのも最近テレビで介護の問題を取り上げるものが多くなっておりますし、祖父母の介 護などを実際に経験している若い人もおります。以前以上に若い人の介護問題に対する 理解度は、必要とあれば何かやらなければならないのではないか、制度的に充実した方 がいいのではないかというふうに高まっているのではないかと考えております。  こうしたことから、今後は要介護状態という生活障害に対するニーズは全て同一の制 度によって保障していった方が、制度がシンプルで利用しやすくなる上に、「制度の谷間」 で給付を受けられない人の出現も回避しうるのではないでしょうか。  このほか、ここでは挙げませんでしたが、先ほど説明をいただいた論点の4ページ目 や5ページ目に挙げられているとおり、制度の普遍化により、地域におけるサービス利 用環境は改善され、サービスの均一化・平準化が進む上に、利用者、特に障害者にとっ てサービスの選択肢は拡大し、アクセスが改善するでしょう。年齢に関係のない長期継 続的な相談支援が可能となり、サービス提供は効率化し、する。相互扶助意識の高揚に もつながる。こういった利点が、普遍化することによって生じるのではないかと考えて おります。  そこで、社会状況の変化、数年といっても、この数年、どんどん社会は変化しており ますので、その変化をここで確認し、制度理念を掲げ直した改革を行うことが可能とな ってきたことを明確に提示した方が、改革への社会的理解も深まるのではないでしょう か。  2点目に、被保険者・受給者範囲をどうするかについて、私は範囲は全年齢として、 保険料免除制度をさらに完備すべきだと考えております。  要介護ニーズを全て同じ制度で保障する方がいいと、これまで説明したとおり考えて おりますので、そのためには、障害児も含めた要介護者全てを受給者として、全国民を 被保険者とする制度がよいのではないでしょうか。  同時に、ここがこれまでの論点整理とはちょっと違った点なのですが、20歳未満の者、 及び負担能力のない者の保険料は減免すべきと考えています。さらに、もし免除という ことが、保険制度の保険料拠出という関係から抵抗があったり、保険料を拠出するとい うのはそれなりに意義があることですので、その観点を評価しますと、例えば規定の保 険料負担能力がない者は、一律100円とか、50円とか、そういった支払える保険料を負 担させるという新しい発想の制度を導入してはどうかとも考えています。例えば学生と 食事に行くと、学生はなかなかお金がないので教員が負担するわけですが、全部全てご ちそうするのではなくて、100円でも500円でも払ってもらう。それによって意識が少 し違ってくるように思います。少しだけでも出すということは、保険制度の中では意味 があることではないかと思い、こういった制度を提言してみました。  もう少し説明をしますと、要介護者を、就労する者や所得のある者で支える制度が望 ましいと考えますが、稼得能力のある全ての者を被保険者とすると、早くから働き始め た20歳未満の者の負担感や不公平感が高まるのではないでしょうか。注にも書きました が、全国民を被保険者として20歳未満は一律保険料を減免することによる利点は、格差 の是正です。若い20歳未満の労働者は、社会的弱者である場合が多く、大学へ進学せず 早期に就労せねばならない者により多くの負担を課す制度は、格差を助長しかねません。  さらに要介護状態というのは、老齢に伴い発生する場合が依然として多いので、医療 のように、全年齢にニーズが生じやすいわけではありません。むしろ要介護状態に対し て社会構成員が連帯して備える介護保険制度は、老後の所得保障を連帯して支える年金 制度に類似する側面もあります。そこで保険料の主たる負担者は、年金制度と同様、成 年としての責任が発生する20歳以上とすべきであると考えます。  ただし、年金制度においても減免制度がありますように、負担能力のない者について は保険料を減免すべきです。減免対象となっても、もし障害者(要介護状態)となった場 合は給付を受けることができるわけです。そして要介護状態を支える社会的な責任が発 生する年齢を20歳とするために、20歳未満の者は一律に、先ほど述べましたように保 険料免除、または定額負担とする。つまり、結局は20歳未満の者が要介護状態になった 場合は、社会全体で保障していくということを考えています。  こうして20歳未満の者の保険料を一律免除とするならば、これらの者に対する保障は 税金で行うべきであるという意見も先ほどもありましたし、あると考えられます。しか し、私は、要介護状態については1つの制度で対処するという、制度の連続性やシンプ ルさがもたらす利点を優先すべきであると考えます。社会保障制度は難しく、授業で説 明するのも非常に苦労しておりまして、わかりやすい制度というのが重要なのではない でしょうか。。  3点目に、普遍化するのは共通サービスであるという点を明確に提示する必要性をあ げました。  この点は、今回ご提示いただいた論点資料でも明確に説明されてはいるのですが、こ れまでのヒアリングや色々なところで話しをしても最も混乱が多いのが、この点なので、 ここに掲げさせていただきました。  介護保険の対象を全年齢とするとしても、介護保険が保障の対象とするのは、全年齢 に共通するサービスであるという点を明確に提示すべきです。基本的な給付としての介 護サービスの目的・性質に、高齢者・障害者という年齢の違いで本質的な差異はありま せんが、それぞれの特質によってニーズが異なる点もあります。例えばよく出てきたの に、障害者の方が高齢者よりも移動介助のニーズが高いといったお話がありました。  この点、介護保険給付の対象は共通サービスであり、先ほども出ました共生型サービ スなどであり、高齢者、障害者それぞれに固有なニーズについては、介護保険に上乗せ または横だしする形で、別途給付していくということを明確に提示していくことが肝要 となります。  とりわけ制度改革に際する若年障害者(若年要介護者)の不安が高いということを今回 も実感しました。それを取り除くためには、普遍化後の障害者自立支援制度の役割を明 確に説明し、独自のニーズは別途保障されることをわかりやすく提示する努力を続ける べきでしょう。  最後4点目として、保険料徴収の方法を再検討すべきではないかという意見を述べて おります。  これは、制度を変えるのは少し大変なのでちょっと難しいかもしれませんが、どうい ったことかといいますと、被保険者・受給者の範囲を全年齢とし、負担能力のない者の 保険料を減免するに際しては、保険料徴収方法を再検討しないと整合性がないのではな いかという考えです。  第2号被保険者について、医療保険に合わせて徴収する現行制度においては、負担能 力のない者は被扶養者という形で保険料を支払っていません。その際も、別の者が保険 料を負担しているわけですが、保険料負担者の姿が明確には見えにくい形となっていま す。全ての成人が保険料を負担し、負担できない者は減免対象とした方が、減免対象者 以外の者が、同様に減免対象者を支えているということがより見えやすくなるのではな いでしょうか。  例えば、これまでも、先ほども出ましたが、保険料の滞納が増えるのではないか、未 納が増加するのではないかといった意見があります。しかし実際は、国民健康保険料に 上乗せする場合、被扶養者は支払わないわけで、その親が滞納したら滞納は増えますが、 若年者の滞納はおきにくい制度となっています。社会的なイメージとしては、若い人が 滞納するのではないかというふうに、どこかイメージに誤りが起きやすい形と現在はな っているような気がします。そこでより分かりやすく、全員が負担するけれども、払え ない者は免除しているのだという形にした方がいいのではないでしょうか。結局は就労 する者、所得のある者が保険料を負担するとしても、負担している者は、誰を支えてい るのか、誰が一体どれぐらい支えているのかといったことが明確にわかる方が、保険料 支払いのインセンティブにつながり、反対に未納なども減るのではないかと考えます。  そこで、基本的に被扶養者という形での負担免除の制度をこれからは減らしていき、 個々人が保険料を負担する形として、払えない者は減免の対象としていった方が望まし いと考えております。  すみません、長くなりました。 ○京極座長 ありがとうございました。それでは、最後でございますけれども、堀委員 よろしくお願いいたします。 ○堀委員 私の意見は、前回出しましたペーパーでほぼ尽きております。きょうは、そ れの補足というような感じでペーパーをつくりました。 1ページは、今回出された論点整理についての意見ということで、結論としては、被 保険者・受給者とも範囲拡大。 制度設計はB類型に賛成する。ただ、これは原則的にということであります。  (2)の個別事項についての意見は、細かい点なので省略をします。  その他の意見として、これは前回のペーパーの補足ということなのですが、(1)のとこ ろですが、若年者は要介護リスクの発生確率が低いということで、範囲拡大に反対する 意見がありますけれども、全く発生しないということであれば、被保険者とすることは できないのですが、若年者といえども病気とか、あるいは交通事故で発生すると。  リスクの発生確率が低くても保険の対象になるということは年金保険の障害年金とか び、火災保険等を考えても明らかです。  むしろ、発生確率が高い者同士が加入する仕組みは、保険として成り立たない。  ただ、若年者と高齢者を同じにすると、高齢者の発生確率が高いので、若者から高齢 者に再分配がなされるということですけれども、これは再分配の程度は低いかもわかり ませんけれども、これは医療保険でも行われていることであります。  私的保険は、個人の負担と給付が1対1の関係にあると。給付反対給付均等の原則が 成立する必要があるのですが、社会保険では、こういう社会政策的な目的ということ、 扶助原理に基づいて、被保険者間の再分配が許されると、あるいはそれが望ましいとい う場合があるのではないか。  2点目の論点ですけれども、40歳未満の者はいずれ40歳以上になるわけです。現行制 度で、「40歳未満の者は負担ゼロ・40歳以上の者は(範囲を拡大した場合よりも)高い負 担」という形から、範囲を拡大することによって「40歳以上の高い負担を、40歳未満時 に前倒しで負担することによって低い負担にする」ということも考え得るのではないか。 単純にこういうふうに考えることはできないので、拡大によって高齢者の負担も減ると いうこともありますので、単純ではないのですが、こういうことが言える。  企業負担ですけれども、今、言った企業負担も増える。高齢者の負担が減る分増える のですけれども、ただ、40歳以上の労働者を多く雇用する企業は、40歳未満の労働者を 雇用する企業よりも介護保険料を多く負担しているわけです。これはパート労働者をた くさん雇用している企業とそうでない企業の負担の不公平があると同じ問題なのですが、 企業間の負担の公平の観点からも、雇用政策として、これは中高年者というのか、40歳 以上を差別するというのか、雇用で差別するという面もありますので、望ましいことで はないのではないか。  (4)なんですけれども、今回の人口推計で、将来的には高齢化率が40.5%になると。 そういうことを考えると、介護保険はいずれ若年者の負担なしには制度を維持できなく なることは明らかだと思います。今の若者が高齢者になったときに、そのときの若者か ら保険料を負担してもらうということなら、現在の若者も現在の高齢者の介護負担をす べきではないか、こういう発想が必要ではないかと考えています。  (5)は省略します。  以上です。 ○京極座長 手短にお話いただきましてありがとうございました。  それでは、議論をしていきたいと思います。ただいまの事務局の説明及び資料をいた だきました委員からの御意見も踏まえて、きょうは主として資料3の論点整理について 御質問や御意見がございましたらお願いいたします。どなたからでも結構でございます。 きょう御意見いただいた方は、二度になりますので、恐縮でございますけど、ほかの 方を中心に、代理出席の方もどうぞ御自由にお話いただきたいと思います。もし差し支 えなければ、なるべく全員ということでございますので、矢田委員の代理の森田様から お話いただけませんか。 ○矢田委員(代理・森田高齢福祉部長) 神戸市の市長の代理でございます森田です。し ばらく欠席していましたので様子がわからないのですが、前回の議論を聞いていますと、 方向性をどうするかという基本的な問題と、時期をどう考えるか、こういうふうな2つ の問題があるかと思います。  方向性としては、例えば「制度の谷間」にある方の問題ですとか、年齢にかかわらず 「普遍化」というような方向で、これまでも議論がされているということであれば、そ れは普遍化の方向だろうと思います。普遍化の意味というのが、この資料3の1で書い てあるところあるのですが、なかなか普遍化の正しい意味が少し意をとらえてございま せん。基本的には0歳からということと、高齢による疾病とか、そういう条件をつけな い、そういう年齢条件を一切つけないというのを「普遍化」の意味ととるのかどうか、 そのあたり少し議論が必要かと思います。  それから、被保険者の範囲で、実務的なことですが、所得のある方を全ての被保険者 とするという場合の実務が、例えば市町村等で行う場合にどうなるのか、若干心配して ございます。  介護保険制度を今やってございますけれども、給付が増えて保険料が高くなってござ います。第4期、平成21年度からの保険料がどうなるのか。そのときに市民の方の理解 が得られるのかということは非常に不安を抱いてございます。背景としては、平成20 年度から始まります後期高齢者の医療制度がありまして、その保険料が個人主義でもっ てお一人おひとりにかかってくる。また、その財政調整で国民健康保険ですとか、そう いったことにも影響があろうかと思います。  また、税制改正で現在経過措置をしてございますが、その経過措置がなくなるのが平 成20年からということですから、いろんな高齢者の方の負担が増えるという、そういう 要素が20年度でいろいろ出てくる中で、平成21年度の介護保険料がどうなるのかとい うことについては危惧を持ってございまして、そういったことも含めて御検討いただけ たらと思います。  以上です。 ○京極座長 ありがとうございます。それでは喜多委員。 ○喜多委員 たくさんの方から意見書が出ておるわけでありますが、実際に介護の窓口 をやっております市長会としても何らかの意見を出すべきだと思いますが、時間が限ら れておりましたので、いまだ意見の集約はやっておりません。しかし、私ずっと委員と して出させていただいて申し上げておるのは、前回も申し上げましたけれども、この被 保険者・受給者範囲に関する有識者会議の問題の当初に「普遍化」ということの意味を もう少し徹底して議論をしておく必要があったのではないかなとこう思っております。 どうも問題が風呂敷広げすぎてしまって、私、すぐ障害者問題とこう触れますから、何 か反対みたいに言われていますが、そうではなしに、本来介護保険の制度の中で範囲を 拡大するのか、受給者をどうするのかという問題ですから、介護保険の制度の中の議論 から出発を私はすべきだと思っておったのですが、それがなかったということですから、 もう一回、仕切り直しをする必要があるのではないか、このように前回は申し上げたわ けです。今でもそのように思っております。  今回、資料の3をいただきました。まず、なぜそういうことを申し上げるかといいま すと、1ページ目の真ん中辺にありますが、要するに「一体的な見直しを検討した『社 会保障の在り方に関する懇談会』の報告書」云々とこうあるのですが、ここらあたりと、 本来はもし少し社会保障の在り方の筋道を明確に出しておられたら、こんな混乱した議 論には私はなってこなかったのではないかと思います。その方向づけがすっきりしてな いということが大きな原因ではないかと思います。  それと5ページになるわけですけれども、「普遍化」の意味合いを書いておられるので すが、「『普遍化』の意味や効果、『普遍化』を目指す上で解決すべき課題は何か」、この 辺まではいいのですが、その後出てくる言葉からいくと、そこまでこういう課題が初め にあったのかどうかという議論はやってなかったと思うんです。いきなり障害者問題が 中へ入ってきたということがありますから、この議論のまとめ方がやはり少し偏ってお るのではないか、私はこのように思っております。  その前のページですが、4ページ、「17年の介護保険制度の改正の際にも議論され」云々 というのがここに書いてあるのですが、「制度の普遍化の方向を目指すべきであるという 意見が多数であった」ということが書いてあります。確かに私もおりましたので、「普遍 化」という言葉は、介護保険の普遍化については賛成だというのは確かにあります。私 も個人的には賛成であります。  しかし、その後にありますが、「被保険者・受給者の範囲の拡大については、極めて慎 重に対処すべき」、これは何かといったら、その普遍化の議論をしてないのにいろいろ言 うのはおかしいですよ。慎重にやっぱりやって、1つひとつ階段を上がるべきですよと いう意見であったと思います。私はこちらの方に賛成をいたします。意見を言った方に 入っておるわけです。この辺の整理が十分にされないままに、いわゆる障害者問題、支 援費の失敗による自立支援法ができた。それで障害の方々はまだ不安感を持っておられ る。その中で、介護保険と一体化というのが、一番初めから出てしまったところに議論 の方向づけが少しおかしかったのではないかと思っています。  まだ、時間がありますから、私はもう時間がないのではないかという御意見もありま すけど、確かにそうかもわかりません。それならば急いでやればいいわけでありまして、 普遍化をすることについて基本的には反対ではありませんし、市長会も、今回のいろん な議論については、90%ぐらいが反対だという意見出ていますが、決してそれは全てが 反対だということではないわけでありますから、その辺のところを斟酌していただいて、 もう一度仕切り直しをしていただければいいと思います。  先ほどの4人の方の御意見聞いておりました。紀陸委員の御意見には、市長会として は、ある程度これをバックアップできるのではないかと私は思っておりますし、それか ら、小島委員のおっしゃっていることも、立場上私は理解はできますけれども、果たし てそうなれば、財源とか徴収とか、いろいろ制度を実行していく窓口の市町村としてど のように対応するのかということになりますと、これはやっぱり問題が出てくると思い ます。  キャッチフレーズでいきますと、関委員がおっしゃった制度原理に則った利用しやす いシンプルな制度にするということが介護保険でも求められている。そういう意味から、 内容はともかくとして、もう少しシンプル、国民がぱっと聞いて、すぐ判断できるよう な制度改正に努めていただきたい、このように思っております。 ○京極座長 ありがとうございました。貝塚委員。 ○貝塚委員 この1ページにある「社会保障の在り方に関する懇談会」というのは、私 が座長やっておりまして、その際に、結局社会保障の問題というのは、この時点で、今 発生していることが予見できたかというと、それは程度の差はあるのでしょうが、ある 程度は予見できたかと思いますが、事態がこういう形で深刻になるかどうかということ は、当時にはわからなかったというのが、残念ながらそういうことであって、従来の社 会保険のシステムの中でどうしようかと。高齢化が進んだときどうすべきかという話が 大体議論の中心であったと思います。 ところがいろんなグループといいますか、社会保険の中ではいろいろなグループがあ って、違った取り扱いを受けられていることも間違いないと。そうなると、社会保険と しては、そういう人々も全部含めて統一的あるいは合理的な公平な制度をつくった方が いいというのはもっともであって、そういう点では今回の御議論は一応その方向には従 っているということで結構ではないかと思います。  ただ、実際のいろんな徴収方法とか、どういうふうに徴収するかとかという話まで制 度を変えるということになりますと、喜多委員も言われておりますが、実際の保険料の 徴収のやり方というのは、現在のように労働市場が非常に変わってきて、要するに正規 の労働者の数の比重が減ってきているわけですね。パートタイムないし、それを少し延 長線上に置いたような雇用形態が非常に不安定になっている状況で、ちゃんと保険料が うまく取れるのかどうかというのは非常な問題ではないか。したがって、皆保険という ときに、昔のような形で、税金がうまく取れるのか取れないかとか、保険料がうまく取 れるか取れないとか、そういう話と関係している部分のところが非常に実質的には重要 であって、できる限り穴が生じないようにすべきであって、その辺の工夫が一番重要で はないか。穴があれば、そこで不公平感が必ず出てくるということに、残念ながらそう ならざるを得ないので、その辺の全体としての設計を十分に考えて提案をなされるべき ではないかというのが私の意見として申し上げます。 ○京極座長 ありがとうございました。小方委員よろしくお願いします。 ○小方委員 私、個人的には本当に今悩んでいるというか、どっちつかずというのが正 直なところでありまして、本日も範囲の拡大その他に御賛成の意見と反対の意見も伺っ ておりまして、いずれにも正直申し上げて理解できる部分がございます。賛成というと ころでは、特に谷間のところに置かれておられる介護の必要な方にはやはり手を差し伸 べるべきだと思いますし、一方で、若年者の方に本当に負担等々を付加したときには理 解が得られるのかどうか、この辺も非常に気になるところであるわけであります。 前回も申し上げましたが、一応国民的な合意形成という観点から見ますと、きょうも クロス集計ということで、有識者の調査の結果を示していただきましたが、前回申し上 げたとおり「拡大すべき」という、この調査結果のデータでありますが、約34%であり ますし、「慎重」もしくは「拡大すべきではない」という回答が約7割弱あるというとこ ろを、国民の皆様の意見ということでとらえますと、前回申し上げましたけれども、ち ょっと慎重にならざるを得ないというのが私の意見でございます。  財政の問題と本当に受給者・被保険者の範囲の問題と考えたときには、財政という部 分では、身障者の各団体の方々のヒアリングをしたときにも申し上げましたが、まだ定 着をしてないということであれば、ここは福祉という面から、やはり税で対応するのか ということと、今の介護保険については、先ほど観念論をもうちょっと変えて検討すべ きではないかという関委員の御意見もありましたけれども、現在のところは、イメージ としては、やはり高齢者のための介護と、こういうふうなイメージが国民の皆さんには 多いと思いますので、ここは今ある保険制度でしばらく何とか乗り越えていけないのか なと。ちょっと中途半端な意見で恐縮なんですが、本音のところはそういう意見でござ います。  以上であります。 ○京極座長 ありがとうございました。大島委員よろしくお願いします。 ○大島委員 私も聞けば聞くほど何だかよくわからなくなってくるというところがあり ます。各論と総論が入り乱れていますし、前にもお話しましたが、この会議がそもそも スタートするときの前提というのは一体何だったのかよくわからなくなってきているよ うな感じがしまして、整理がつきにくいのですが、私なりに考えていることをお話した いと思います。  私はこの会議のスタートのときの前提を、今までの社会保障の在り方についての検討 会を含めた議論の延長上にあるというふうに考えました。これは勝手に考えただけかも わかりませんけれども、その中で、今、幾つかの話が出ていますが、「普遍化」の方向で 行くということについて、これもそんな話はあった、なかったというような話が出てい ますけれども、私は議事録を読まさせていただきまして、その方向で考えるというのは 一定のコンセンサスが得られているということではないかと考えてきました。それから、 できるだけ早くこの問題については結論を出すような状況に来ていると考えてきました。 これは私がこの会議に臨んだときの心構えというか、前提と思ってきたのですが、どう もその辺の議論が、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりしているのでよくわからない というのが正直なところではあります。  しかし、要介護状態というのは年齢によって変わらない。そして要介護状態は、どん どん増加している。同時に費用が増加している。これについては社会全体でカバーして いくしかないと。これは原則、全員で負担するのがよいと私自身は考えています。  一番大きな問題は財源問題に尽きるのだろうと思いますが、私は関委員の考え方に基 本的に同意というのか、よく本当にまとめていただいたという感じでお聞きしました。 財源問題が非常に大きな問題ではありますけれども、重要なのは理念の問題だというふ うに思います。だからきちんとした理念を立ち上げること。そのうえで制度設計の原則 というのをどう考えるかといえば、これは公平な制度であるということで、これは全員 が負担をするということと、広く薄く、そしてもちろん負担能力のない者に対してはき ちんとした配慮がとられるということだと思います。  2つ目は、先ほどからも出ていますように、納得のできる制度。これはわかりやすい 制度であって利用のしやすい制度であるということだと思います。この総論のところに ついての了解が得られないと各論へは進めないと思います。  繰り返しますけれども、財源問題が非常に大きな問題であるということはよく理解で きますけれども、この総論部分でコンセンサスが得られなければ、また、総論と各論が 入り乱れていったり、過去の議論のところに戻ったりということの繰り返しになります。 それをずっと続けることが、いいのか悪いのかよくわかりませんが、それをやるのだっ たら、この会議の前提条件は一体何なのかということをきちんと整理していただいて、 そこからスタートをしていただきたいと思います。  以上です。 ○山本委員 最初、介護保険制度を決めたときによく考えればよかったんですよ。とこ ろが、ばかげた話ですけど、最初は保険料500円だったんですよ。500円だからいいじ ゃないか、やろうじゃないかといって大分言われました。しかし、とうとうそれは実現 しませんでしたけれども。それから、もう一つは、雇用の創出を図るというんですよ。 介護保険そのものの本質から外れているんですよ。だから雇用の創出を図る。20万人ぐ らいの雇用が生まれると、こう言ったわけですね。当時これを最初につくるときに、だ れが言ったかということは抜きにして、そういうのがある程度支配したんです。 ですから、私たちはこういう制度をつくっても、かなりきちんとしたものでやらない と、だんだん膨張して、しまいには負担に耐えられなくなるぞということを主張してま いりましたが、あまり私どもがそういうふうに言うものですから、500円でどうだとい う話まであったんです。しかし、結局それは議論であって、結論にはなりませんでした けれども、実際に介護保険を実施していきますと、一番悪いのは、決めたことがどんど ん拡大解釈していったんですね。 だから、業者の人には、こんなに得をするように制度をこしらえたのに、何で利用し ないんですかとか、あるいはまた、何でもいいから、介護らしきものだったら全部受け なさいよというような勧め方をしたんですよ、当初。だから、それがどんどん広がって いって、正直なところ言うと、私どもの町でも、そういう介護をやるいろんな施設がい っぱいあって知らないんです、全然知らない。ところがこのごろ調べてみると、そうい う施設が小さな町なのに、うちだけでも何十かあるんですよ。そういうのをどんどんつ くるようにつくるように勧めていったわけなんですね。 だから、今おっしゃるように、 これを運営していくためには財源が膨大なものでなければならなくなってしまったんで すね。しかも、これだけで行きましょうと当初決めていたものが、どんどん膨れていっ たというところに今日のこういう大変大事な根幹に関するようなことの議論が難しくな ってきたんですね。  だから当初決めたとおりにきちんとしたもので行けばよかったのですけれども、膨れ るだけ膨らまそうということになった。そして、去年あたりから、余り膨れすぎたから、 規制をかけましょうと、今度規制をかけた。そして規制かけたけれども、いや、あれは 余り悪かったから、今度はやめましょうとか、介護保険ほどくるくる変わるものはない なという感じです。障害者の問題が当時起こりまして、その後、これを実施してから障 害者の問題が出てきたんです。 私は25歳以上の人たちを被保険者にして、給付の対象者は0歳からしたらどうだとい う意見を出しました。しかし、それは意見だけであって、誰もそれがいいということに はなりませんでしたが、保険者の年齢を引き下げるということについては、これは皆さ んは余り反対はありませんでした、当時。ですから十分これは議論をしたのですけれど も、そのときに進めればよかったんですよ、私はそう思う。もう何年たちますか、そう いう議論をしてから。ところが全然それが途絶えてしまって、そして、このごろになっ て、ようやくまたこれが出てきたわけですね。  だから私どもにしてみると、これは昔の話ではないかなというような感じがするので すが、しかし、そんなことを言っても始まりませんので、原則として、建前として、介 護保険で該当するような人、言うならば、介護してあげなければならない人たちにきち んとしたものをつくって、そのとおりにやっていくというやり方をすることが大事です よ。やってみたけど、うまくないからすぐ変える。だから、いつの間にかそんなものが できていったというようなやり方をするから、だからだんだんこういう議論になってし まっていくんですよ。  言いかえますと、きちんとした制度をつくったなら、きちんとした制度が、きちんと 乗れるように、それは国としても努力をして実施をしていく、皆さんたちに、それを徹 底するように努力していくことが必要ではないか、そういうように思います。時々、そ の都度変更するようなことだけはやめてほしいと思いますね。一番困るのは我々なんで すよ。だから今度これで行きましょうと。いいですか、今の地域支援センターというの が盛んにやられているのですが、これもまだ軌道に乗っていないんですよ。乗っている ところもあるかもしれません。しかし、まだ乗ってない。乗ってないけれども、また、 こういうことをやろうと言って、今、議論されているようなことをやるということにな りますと、また崩れてしまいますよ。だから、きちんとひとつこういうことで行きまし ょうと言って決めたら決めたとおりに、それが軌道に乗るまでは次のことをぽんと出す ようなことはやめてほしいと思います。そうしないと、これはいつまでたっても同じ議 論の繰り返し、繰り返し、これはたらい回しになってしまうんですよ。というように、 私は思いますので、そこらあたりをもう一回、思い直していただきますようにお願いし たいと思います。  それから、先ほども話が最初のときに出ておりましたが、後期高齢者医療が来年の4 月から実施されます。今準備段階で各県とも一生懸命準備をしておりますけれども、保 険料がいまだに決まってないわけですよ。幾らにするのか、ここはさっき話が出ていま すように、介護保険料は4,090円というふうに全国平均は出ておりますが、高齢者医療 の保険料はいまだに決まってないんですよ。もし、この高齢者医療保険料がかなり高い ものであったとする。今言われているのが6,200円とか言っておりますから、そのまま 6,200円とすると、今度はこれは75歳以上の人たちですから、かなりの問題が起こると 思いますよ。だから、皆さんたち、ああいいでしょうと言って納得するようなわけには いかないと思いますよ。介護保険と同じ道をたどるのではないかと私は思います。です から、そこらあたりもよく連携をとりながら、どういうふうにしていけばいいのかとい うことをもう一回考えていくことが必要ではないかと私は思います。  高齢者医療保険は医療保険で別だからいいやと、こういうふうなことで行かれたので は、実際現場の方ではうまくいかない。全部国でつくって実施は市町村なんですから、 だから市町村で、考えただけでも、今、高齢者医療とこの介護、どっちとも一緒にやれ なんていったら大変な苦労があるだろうと。これも破綻するだろうと思いますね。だか ら、そこらあたりをどう考えておられるのか。先ほど意見が出ておりましたが、私はも っともだと思いますね。だから、そこらあたりをきちんとしていただくと議論がしやす いのですけれども、きょう初めてこの席に出てきて、きょうのような議論するようなこ とを聞くと、なるほど、そうかなと思うかもしれませんが、最初に議論したのはこれは 7年ぐらいになるんですよ。  喜多さんと私は最初からおりますからよく知っていますよ。だから、そういうのを何 で7年間も同じようなことばかりを議論するのか、これが聞きたいですね。だから、も う少しきちんと進めていったら、今ごろこんな議論をしなくても済んだのではないでし ょうか。今から何年やるつもりですか。それをお尋ねしたい。今から何年間この議論を やっていって最終的に結論を出すというお考え方なのか。あるいはなぜ7年間も放置し てきたか、それもお聞きしたい。随分最初のころは、みんなかんかんがくがく、お互い に議論し合った。かなり厳しい議論しましたよ。向こうの人が言ったら、こっちは反対。 こちらの人が言うと、今度は向こうの方から反対が出るというような、それは大議論で したよ。あれだけ長い時間かけてやったのにもかかわらず、それがそのまま放置されて、 それでこのごろになってようやく出てくるなんていうのはもってのほかですよ。  だから、そういうふうなことをしないで、決めたことをきちんと実施できるような提 案をしていただくことが一番大事ではないでしょうか。高齢者医療とこれと一緒になり ますから、今、難しいと思いますよ。難しいと思いますけれども、どう理論的にそれを 片づけて、そして皆さんに納得してもらうかということの方が大事だと思います。中身 のあれがこうだというようなことはその次でいいと思います。だから、やること、する こと、考えることはみんな同じではないですか。だから、もう少しそこらあたりを役所 の方がきちんとやっていただかないと、同じ議論の繰り返しをまたやるのかと、こうい うことです。  憎たらしいこと言ったのですけど、そのとおり言わないと、あなた方は聞いてくれな いので、それを申し上げておきたいと思いますから、考えておいてください。お願いい たします。 ○京極座長 ありがとうございました。厚労省サイドでお答えすることは、また後でま とめていただくとして、本有識者会議については、社会保障審議会の各部会と違いまし て、あくまでも基本的な方向性を示すということで、その後はバトンタッチするという ことになるかと思います。  次に、大森委員は座長代理なので一番最後でよろしいですか。 ○大森委員 はい。 ○京極座長 竹中委員。 ○竹中委員 関委員が書かれているシンプルにというのは、私もすごく重要なことかな というふうに思いながらお話を聞いていたのですけど、今、昔の話も出たので、ちょっ と私も言いますと、高齢者の介護の問題は、本当に少し前までは大きな社会的問題では なかったですね。つまり高齢者で介護が必要な人が非常に少なかった時代でしたから。 ですから、そのときに、要介護であるとか、何らかのそういった介助・介護が必要であ るというのは障害者でありますから、障害者の問題で障害者施策ということでずっと国 も地方自治体も対応してこられたと。  ところが長寿社会と言われる時代が来て、一気にその中で比率として、そういった介 助・介護が必要な高齢者が増えてきたということで、高齢施策としても介護のことをと らまえなければならないだろうと。しかも、若い障害者を、私なんかもそうですけど、 子供が障害者であって、親が一生懸命介護をするというのと違って、やはり高齢になる と、ご家族皆さんそれぞれの生活リズムとかも全部できている中で、両親あるいは片親 がそういう状態になって、非常に介護の問題は家庭全体、社会全体の根幹にかかわって くるような問題になったと。ただ、これを高齢者の介護という問題で、それを社会化し ていこうということで介護保険できたことは別に正しかったとは思うのですが、私が思 うには、シンプルにと言い方で言うと、この問題は、若年障害者と高齢障害者の問題な んですね。高齢者の介護の問題と障害者の問題ではなくて若年者障害者と高齢障害者の 問題。  そういうシンプルな見方をすると、それを国民全体でどのように支えるのかという議 論になる。これは厚生労働省の機構改革的なものも必要になってくるのか。厚生労働省 の中で、年齢問わず若年であれ、高齢であれ、障害者問題をどう考えるかというような 取組が必要ということになるのかもわかりませんが、私はそちらの考え方の方がシンプ ルであるなというような思いをしております。一日も早く、今おっしゃっているように、 非常に長い議論をされているのですけど、ある意味、何歳であれ、障害を持つ、あるい は介護を必要とする事態があるということがこれだけはっきりしているわけですから、 何歳であれ、それに対して必要な策を官・民力を挙げて取り組めるようにするという観 点から、至急お話し合いを前に進めていただきたいなというふうに思います。 ○松下委員 きょうで7回の委員会があって、いろいろ皆さん方の御意見、あるいはヒ アリングをした外部の方の御意見を聞きながらいろいろ勉強させてもらいました。私な りの意見があるのですが、その1つの背景は、私自身が、こんなことを言うのはあれで すが、精神科の医者で、長年精神障害者の福祉を含めていろんなことに携わってきてい た。それともう一つは、認知症の高齢者を専門としているもので、特に要介護認定委員 会の中でいろいろ実態を知っているということもあって、そういうことも含めて、私の 意見を述べさせてもらえば、端的に言えば、本当にこの「普遍化」という言葉がいいの かどうかわかりませんが、すべての障害者がきちんと対象となって一本化すべきではな いかというのが私の考えであります。  細かいことはもう時間がないのであれですが、きょうの御意見で言うと、あるいは前 回もそうですが、堀委員と小島委員と関委員ですか、非常に詳しく御報告なさったこと に全く賛成・同意をしております。ただ、細かいことに関しては、例えば被保険者を何 歳にするかどうかという問題があるでしょうが、これは被保険者を何歳以上にするかと いうような問題は、恐らく保険料の徴収とかなりリンクすることなのだろうと直感的に 思うのですが、やはり私の基本的なスタンスとしては、法的にいう成年、つまり20歳が 成年で、あるいは20歳以上が成年であれば20歳以上。将来、恐らく18歳とか16歳に なるのでしょうが、そういう時代はまた18歳とかという、そういうのを1つの基準とす べきではないのかということが一応頭の中にあります。ただ、保険料の徴収その他のこ とでどうなるのか、その辺がうまくいくのかどうかよくわかりません。 それから、若い人のコンセンサス、合意を得られるかどうかという議論が少しありま したが、それはシステムがなじめばそれはそれなりに合意が得られていく。なじまない 当初の間は合意を得られないでしょうが、だんだんこういうようなシステムをつくって、 若い人も応分の責任を負わなければいけないという状況になれば、それはそれなりにき ちんと合意が得られてくるのではないかというふうに私はかなり楽観的には考えており ます。 それで基本的な姿勢としては「普遍化」にまさに賛成でありますが、ただ、喜多委員 とか山本委員がおっしゃいましたように、現場で直接実施するのは区市町村なわけで、 区市町村がかなり混乱をしている。あるいはこういうことで業務が非常に増えてくる。 実際に区市町村でマンパワーがあるかとか、お金の問題がどうかという問題が多少恐ら く出てくるだろうと思うので、恐らく市町村がきちんとやれるような、ある意味での準 備態勢というのか、そういったことをやっておかなければいけないことが1つ。  もう一つは、今回の議論の中では、サービスその他については何も議論になりません が、サービスの充実に関しては国が大きな責任があるので、どういうサービスを受ける という紙の上での問題ではなくて、実際として、本当にそういうサービスが得られてい るのかどうかという問題、あるいは得られ得るのかどうかという問題は現場としてはあ るのではないかと思うので、そういうことも含めた議論も一応考えておかなければいけ ないのではないかと思います。そういう意味で、理念的には、私は「普遍化」賛成とい う立場をとっております。  以上です。 ○京極座長 大森委員からいただきまして、あと、発言で言い残したこと、その他あり ましたら、皆さんから、今度は順番問わず御自由にお願いしたいと思います。 ○大森委員 この介護保険は地域保険の性格を強く持っているものですから、したがっ て、喜多委員、山本委員がおっしゃっているように、市町村の現場は大変なんです、も ともとこの仕組みをつくったときから、ですから御苦労が多くて、実際に動いてみまし て、その後、幾つか気がついたこともありますし、直さなければいけないことがあった ものですから、多分厚労省の方もいろいろ制度に手をかけて直して、私もそのことに責 任がないわけではありませんけれども、そうやって少しずついいものに変えていこうと。 介護保険の方は少なくとも当初どうするかという議論はあったのですけれども、一応 高齢者ということを念頭に置いていましたから、これに適合的なシステムをどうやって つくるか。そのときの最大の問題点は、保険料をどの層から何歳からお願いするかとい う議論を相当やりまして、私どもが基本的に、これは社会連帯の仕組みなどで一応成人 から、正しい道筋であるというふうに打ち出して、これがもともと理念の筋だと私は考 えていたのですけれども、いろいろな経緯がございまして、特に政治的高度な判断で40 歳になったということがございまして、戻すならそれに戻してもらいたいと私は思って いるのですけど、それからたちましたので、20歳に戻すことはもはや私は不可能だと思 うんです。 そうすると、基本的にいえば、全国民的なレベルでこれが納得できるためには、いつ でも、誰でも、どこでも、介護が必要な場合については一定のサービスがきちんと行わ れるのだというのは、高齢者を対象にした、もともと介護制度ですけれども、理念は同 じなんですよ、いつでも、誰でも、どこでも、ケアが必要の人たちには一定の仕組みで きちんとサービスが行き渡るのだと。それをできるだけ市町村の現場を入れてやりたい のだという、この仕組みそのものは変えなくてもできると思うんです。それを「普遍化」 と言っているのですけど、とりあえず普遍化をした場合に、どういうことがどういうふ うになるかというよりも「普遍化」というそれ自身の意味をもう一度明確にするという ことはそれほど難しいことではないので、次回のペーパーで、ぜひともそれを打ち出し てもらいたいと私は思っています。 先ほど松下先生からお話があったのですけど、今、介護保険の現場で最大に深刻に問 題化しているのは認知症問題なんです。介護保険の方は、当初は認知症という方々がそ れほどたくさん出るということを想定しなくて制度設計をしていたのですけれども、実 際に介護保険やって初めてわかったことなんです。認知症の方々が、どのくらい、どこ にどういうふうにおられるか。まだ全部わからないのですけど、相当数に及んでいまし て、この人たちに対するケアは、実は介護保険制度としても組み直さなければならなく なる、サービスの在り方も仕組みも。 その点でいうと、もう一度組立直すという今がチャンスでして、これを遅らせると、 また現場の方が大変になるものですから、もうちょっと私は時間的にゆとりがないと思 っていますので、この機会にきちんとした「普遍化」の仕組みを打ち出して国民に問い かけていくということが正しい道筋ではないかと思っているわけです。 いろいろ御心配等がございまして、実際の徴収をどうするか、いろいろ細かいサブシ ステムの設計ございますから、それはいろいろ工夫しながら段階的に、一挙に多分でき ないと思いますから、段階的に組んで、どういう段階でどうなるかという一種の工程表 みたいなこともきちんと提示することによって、広く国民の理解を得ていくと、そうい う方向ではないかと。大筋としてはいろいろ御意見が違うのですけれども、大筋は「普 遍化」の方向を打ち出すということについては、有識者会議はそれほど強い異論はない のではないか。 問題はそのときにどういう問題が出てきて、それにどう対処すればいいかということ について、できるだけ説得的な議論をするというのが大筋の方向ではないかと、私はそ ういうふうに思っていますし、最初から私はそういう意見でずっとまいってきています ので、ぜひともその方向で取りまとめを座長にお願いいたしたいなと思っています。 以上でございます。 ○京極座長 ありがとうございました。委員の中で、まだ、言い足りなかったこと、あ るいはきょう発表というか、ペーパーを出した関係で発言を控えていただいた方。 ○喜多委員 今、大森先生がおっしゃったのでちょっと補足をさせていただきたいので すが、先ほど山本委員も25歳という御意見多数あったとおっしゃいました。今、大森先 生もそのような同種の発言、私も当時、同じやるなら25か20歳でやれと。これは当時 の審議会の委員の大多数の方がそういう御意見だったと思うんですよ。ところが政治的 に曲げられたということで40歳になってしまった。それを今度は年齢を下げるというこ とが「普遍化」であると。イコール普遍化になってくるわけですが、それをもう一回や るということであれば恐らく反対はないと思うんですよ。 しかし、そうじゃなしに、ほかの者が困っている制度があるから、それをここへ入れ て、それで「普遍化」というから話がややこしくなっているのであって、介護保険制度 としては、初めに審議していた、いわゆる成人になったから、当然それは掛けていきま しょうよ、対象にしましょうよというところまで最終的には戻すよということになれば、 それが「普遍化」だということであれば余り議論は私はやりとりはなくなってくると思 います。 そういう意味では、先ほど私原点に戻して普遍化について議論してくださいと、こう お願いしたのは同じような意味でございますので、よろしくお願いをいたします。 ○関委員 先ほどから若い人の理解が得られるかといったことがたびたび話題になって きておりましたが、議事録にもありましたように、前回議事録の14ページなんですけれ ども、調査では、若い方が範囲を広げることについて前向きだったりとか、そういう印 象があったというようなお話がありました。こういったクロス集計をもし出せれば、そ の点少し明らかになるのではないかと思うので、できましたら、よろしくお願いします。 あと、もう一点、細かい点ですが、私の出しました資料3ページ目にちょっとミスが ありました。注12ですけれども、上から2段目に、介護サービス費は約7,500億とあり ますが、これは4の間違いです。 以上です。 ○京極座長 4,500億。 ○関委員 4,500です。訂正をお願いします。 ○堀委員 大島委員が理念の重要性を強調されたと思います。大方の意見としては「普 遍化」ということが理念としてふさわしい、こういう意見ではないかと思います。そう いう理念を立てることは極めて重要だし私も賛成なのですが、ただ、余り底流としては 出されてないかもしれませんけれども、これから介護費用をどう調達するか、そういう 問題がある。そこは非常に重要な問題で、そもそも介護保険というのは、高齢者の医療、 老人福祉法でやっていた福祉サービスが税ではやっていけないと。それで介護保険にし て財源確保しようと、そういう面もあったわけですね。 財務確保、ファイナンスの問題 も私は重要だと思っています。 その点で、一言ちょっと補足しますと、保険料を払う側のうち、労働者側というか、 それは賛成しているのですが、そうでない方は、そういうことを余り前面に出してはお られないのですが、その点があるのではないかと思うわけですね。この点、少し言いま すと、ペーパーでも書いたのですが、介護費用が増えてくると、いずれ40歳以上の人の 企業負担というのは増えてくるわけですね。20歳に拡大しても増えるし、増えるという のか、要するに40歳未満に課さないことによって40歳以上の負担が増えてくる。それ は企業側もその負担をしなければいけないという、これは先ほど言いましたように、高 齢者の負担が、当然そういうことによって減ってくるというのもありますので、単純に は言えないのですけれども、そういった点をよく考える必要があるのではないかと私は 思っています。 ○京極座長 時間が大分押してきましたので、あと数名ということですが、どうぞ。 ○山本委員 さっき私が申し上げたのは、当初決めたとおりにやってくれということを 言ったのですが、後はつけ足しを言ったのですが、今考えても障害があるんですね。私 は喜多さんと意見は一緒ですが、それをやるにしても障害があると思うんです。その障 害は何かというのは申し上げませんけれども、それは乗り越えることができるかどうか ですよ。役所の方がその障害を乗り切ることは私は不可能ではないかと思うんですが、 それができるならばきちんとしてやってもらえばいいんですよ。 1つは、法的に障害者の支援法ができていますね。できて、まだ今2年目ですか、で すから、これも1つはクリアしないと、我々の言っていることと合わないんですよ。そ ういうような事務処理上の障害も幾つかあると思うかもしれませんが、それはお互いさ まですから処理はできると思うんですけれども、あなた方の力の及ばない障害が2つあ るんですね。だからそれがクリアできるかどうかですよ。  それをできるならば、当初、私どもが言ったように、年齢のことは別として、私は25 歳と言っている、片一方は20歳と言っていますけれども、対象者を障害者の問題が片づ けば全員でいいんですよ。だから介護保険は、全国民は全部介護保険の受給者になれる ということにすれば問題は片づくわけですね。ところがその前に障害が2つある。この 障害を乗り切ることができるかですよ。できるならどんどん進めてください。できんな ら、余り人に迷惑かけん方がいいと思いますよ。以上です。 ○紀陸委員(代理・高橋経済第三本部長) 普遍化のことに別に反対するわけではないで すが、普遍化すべきなのは多分給付の点であって、保険料のところではないのではない かなというふうに思っていまして、保険料のところなかなか徴収が難しいというのが多 分一番基本的な問題だと思います。7年前と一番違っているのは多分働き方がどんどん 変わって不正規の人が増えてきて、また所得捕捉というのも非常に困難になっている。 その中で保険料というのはどういう制度で保険料を取っていくのか。所得で取ればいい といいますが、所得というのは全く捕捉できないんですね。多分これを市町村に迷惑か けると、市町村は本当に嫌がってしまうと。そんな人の捕捉なんてできない。 私はむしろ消費税みたいな形で、税制の中で簡素に取れるところからやっていくとい う、そのことである程度年齢的に納得できる人の層から保険料を取っていくということ の組み合わせでしかこの制度は維持できないと。そういう意味では、今、40歳以上で保 険料を払ってやっていくという制度はそれなりの合理性を持っているのではないか。 ○京極座長 消費税の問題、いろいろ議論ありますので、今の時期は深く議論できない と思います。○矢田委員(代理・森田高齢福祉部長) 市町村の立場から申し上げますと、 いわゆる20歳から、そういう保険料をいただくという場合に、1つは、今、介護保険料 は2号被保険者は健康保険料に上乗せして取っているわけですが、その取り方は一人当 たり同じ額なんですね。所得の多寡というのは反映されていませんので、一人当たり幾 らというふうな定額で決めるのであれば、今の介護保険の仕組みを、今、40歳というの を20歳まで下げることによって、何らかの医療保険に加入されておられますから、今の 仕組みの延長で徴収することは可能なわけですが、そういう所得を反映していいのかど うか、そういう基本的な議論ですね。一人当たり同じ額でいいのかどうか、そういう議 論はあろうかと思います。 それから、「普遍化」の方向の中で、介護保険でどこまで見るのか。そして介護保険以 外の部分でどうするのか、そういうあたりの線引きというのは保険を運営している保険 者としましても非常に重大な関心がありますので、そういった点については、かなり障 害と高齢者というのは、給付で違う部分がございますので、そういったところについて も十分御留意いただきたいと思います。 ○京極座長 貝塚委員、社会保障審議会へいずれバトンがこちらの検討会から行きます ので、社会保障審議会で具体的な詰めをすることになると思いますけど、何か。 ○貝塚委員 具体的な詰めは社会保障審議会全体としてやるというのではなくて、制度 設計の基本はきっちりと押さえていただいて、それに従ってということではないかと思 います。 ○京極座長 時間も来ましたので、最後に竹中委員。 ○竹中委員 ちょっと補足というか、先ほどの発言でもし誤解があったらいけないと思 って、先ほど若年障害者と高齢障害者という言い方をしたのは、いわゆる障害者施策に 高齢者施策を全部ひっつけていきなさいという意味では全然ありません。若年障害者の 問題というのは、これは徹底した私は就労支援だと思っていますので、ただ、介護とい う部分に関しては、共にひと括りにできるだろうと。それから、お金が足りないから、 こういう議論をしているのではないかというふうに言われることに対して非常におそれ といいますか、あるようですが、お金がなくなって真剣に議論するというのは別に当た り前のことなので、こんなぎりぎりの状態になって、一日も早く、お金がないよね、と いう話も堂々といいますか、やって私は当然のことだと思っています。そのときに保険 料だけではなく、今もちょっと発言出ましたけど、消費税とかの話もそのうちいずれき ちんとかんでくるのだろうなというふうに思っています。 ○京極座長 ありがとうございました。  最後に事務局の方で何か、質問も大分出ていましたので、簡単に答えていただいて終 わりにしたいと思います。 ○桑田介護保険課長 1つは、関委員の方から、クロス集計の補足的な意味で、年代別 の傾向みたいなものがあればクロス集計をというふうな御提案ありましたけれども、現 実に1つだけ御紹介しておきますと、例えば問4で「受給者の範囲に関する将来的な在 り方についてどう考えますか」という質問に対して、大ざっぱに20代、30代というか、 要は30代より下の人、40〜64歳というのは第2号被保険者の層、65歳、第1号被保険 者というこの3つの年齢階層に分けて集計したものが私の手元にあるのでそれを御紹介 しておきますと、例えば65歳以上(1号被保険者)の方は「拡大すべき」というのが27.6% で、「拡大すべきはない」というのもやっぱり27.6%でほぼ拮抗しているのですが、こ れに対して2号被保険者(40〜64歳)の方は、「拡大すべき」というのが34.1%で、「拡大 すべきではない」というのが19.3%。20〜30代につきましては、「拡大すべき」が31.7% で、「拡大すべきではない」というのが18.3%であります。 ですから、いずれの階層も、確かに「現在は慎重」というのが4割前後で一番多いの ですけれども、「拡大すべき」、積極論と「拡大すべきでない」という反対論を比べると、 64歳以下の方はむしろ賛成の方が多いと、そういうふうになっているというのが1つ御 紹介しておきます。 もう一つ、問9で、これは受給の話なのですけれども、「拡大した場合、介護保険制度 の受給の対象となる者の年齢についてどのように考えますか」ということについては、 これは例えば65歳以上の方は、「全年齢」を対象とすべきという方が40.2%で、「一定 年齢」以上が51.9%で、「一定年齢」以上が多いと。40〜64歳という第2号被保険者の 方も「全年齢」を対象とすべきというのが42.4%に対して、「一定年齢」以上で区切る べきだというのが48%ということで、「一定年齢」の方か多いのですけれども、「20〜30 代」の人については、「全年齢」を対象とすべきというのが46.8%で、これに対して「一 定年齢」以上というのが39.9%ということでございまして、30代以下の方については、 拡大する場合は「全年齢」を対象とすべきと、ざっくりですけれども、そういったこと がございますので、御紹介いたします。  それから、御質問といいますか、厳しい御指摘として山本委員からあったわけでござ いますけれども、これまで何で7年もかかっているのだということにつきましては、き ょうもいろいろ御議論があったとおり、そもそも制度発足当初からそういったことは視 野に入れて審議会等でも御議論いただいたのですが、ただ、その方向での結論を制度創 設当初は得るには至らなかったので、引き続き検討課題となっている中で、先般の介護 保険制度の大きな見直しの際にも、当然前からの引き続きの検討事項ということで、こ れも熱心に御議論いただきましたけれども、そのときにも残念ながら、その方向での結 論を得るに至らずに、また、附則で、さらに引き続きの検討事項として位置づけられた という、こういった経緯で今日になっているということでございます。  しからば、いつまで検討するのかということについては、これはなかなか難しい御質 問でございますけれども、いずれにせよ、きょうお話出た中でも、今現在どうかという と、きょういろいろと御議論いただきましたけれども、そもそもこの議論で積み重ねて いった中での有識者アンケートの結果だとか、あるいはヒアリングで皆様方がおっしゃ った内容でございますとか、さらに制度的な環境という意味では、これも山本委員御指 摘されましたけれども、高齢者医療が始まるという、そういった中でのタイミングとし てどうか。あるいは自立支援法が、今の状況で自立支援法がこういった状況のときにタ イミングとしてどうか、そういった様々な現在の環境の中でどの程度までというふうな、 いつごろまでにというのはなかなか事務局としてはあれなんですけれども、そういった 中で、きょうも何人かの先生から御議論いただきましたけれども、率直な気持ちとして は、ただ、そうはいっても方向性が定まらないのではないか、いつ定まるのか、これは 大島先生からも御指摘いただきましたけれども、ただ、今回7回もかけて御検討いただ いているわけでございますので、僣越でございますけれども、できればということで、 一定の方向性をこれを機会に方向性を定めつつ、それからもう一つは、大々的な制度の 見直しの議論もありますが、ただ、可能な部分は一歩でも二歩でも進めることができれ ばというふうな気持ちも持っておりますので、そういった気持ちではございますけれど も、いずれにせよ、きょうの議論を踏まえて、我々も次回に向けて考えていきたいと思 っていますし、また、そういった取りまとめの議論をしていただければと思います。  そのような方向性を定める等々の議論の中で、これも御指摘いただきましたが、そも そも「普遍化」というのは何かということが非常に重要だというふうな御指摘ございま した。今回も一応の簡単な要介護となった理由、年齢問わず、全ての介護ニーズに応え ることを目的とした制度、いわゆる「普遍化」ということで簡単に書いておりますけれ ども、このあたり、再度こちらとしても議論いたしまして、また、次回きちんと御議論 いただければありがたいなと思っております。  以上でございます。 ○京極会長 時間が来ました。これは座長の言うことではございませんけど、きょうの 意見の中で、かなり原点に戻ってということが強調されましたので、大変深まった議論 ができたのではないかと思います。 それと同時に、この数年間、日本の社会経済は大きく変化があって、特に障害者施策、 私も責任ございますけど、なかなか方向性が固まらなかったし、実行もやっとことしの 4月から全面施行になったような感じもありますので、それから非正規雇用が物すごく 増えたとか、経済情勢が非常に不安定だったとか、特に景気低迷からやっと明るさが見 えてきた、そういう状況変化もあったので、それは厚生労働省だけ責めるわけにいきま せん問題も結果的にはあると思っています。 時間が来ましたので、きょうの討議はこれで終了したいと思います。どうもありがと うございました。 ○桑田介護保険課長 最後一言、次回のお願いでございますけど、次回は5月21日を予 定しております。本日様々いただきました御意見を踏まえまして、座長とも御相談させ ていただきながら、中間的な報告書(案)といったものを事務局で作成しまして、そのと きにお示ししたいと考えております。その報告書(案)について御議論いただければと思 っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○京極会長 本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。 照会先 老健局総務課 上村 連絡先:03−5253−1111(内線3918) 1