第98回労働政策審議会労働力需給制度部会 議事概要

1 日時

平成19年4月26日(木) 9:30〜

2 場所

中央合同庁舎5号館職業安定局第一会議室

3 出席者

<委員>

公益代表 :清家委員、北村委員、鎌田委員

雇用主代表:輪島委員、成宮委員

労働者代表:長谷川委員、古市委員

<事務局>

鳥生職業安定局次長、坂口需給調整事業課長、

篠崎需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐、

佐藤需給調整事業課長補佐

4 議題

5 議事経緯

清家部会長より、「労働力需給制度に係るヒアリング」として、特定労働者派遣事業の実態についてのヒアリングを行い、その後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の諮問に係る審議を行う旨、また、これらを非公開とする旨を発言。

その後、特定労働者派遣事業を行う2企業及び派遣労働者4名からヒアリングを行った。ヒアリングの議事要旨は以下のとおり。

(1)特定労働者派遣事業を行う企業(技術者派遣を行う2企業)から以下のような意見があった。

(労働者の属性について)

○ 20代、30代が多い。

○ 男性技術者が多い。

(派遣労働者に対する教育訓練について)

○ 研修センターを設置している。

○ 仕事を通してキャリアアップをしていくので、労働者が自分のキャリアを生かせるような業務に配属することが社員満足度につながる。

○ 年に1回は必ずスキル、キャリアのチェックをし、契約期間中も継続して研修システムを使えるようにしている。

(派遣労働者の採用、処遇について)

○ 新卒採用は大学、大学院卒が主体、中途採用は実務経験者が対象。

○ 初任給は、大手メーカーと遜色ない。福利厚生は企業として整備すべきものは整えている。

○ 専門学校卒、大学、大学院卒が多い。

○ 派遣料金と賃金は単純に連動するものではなく、社員としての人事制度としての給与体系の中で処遇。

○ 通常の会社どおり、退職金制度から始まって、いろいろ福祉厚生制度を取りそろえている。

(特定労働者派遣事業とすることのメリット)

○ お客様にとっては、市場や経営環境の変化に合わせて柔軟な労働力が活用できる。労働者にとっても、安定した雇用のもとで企業の枠を超えて複数の業務を経験しながら、技能の蓄積ができる。企業にとっては、登録型であれば、いくら教育投資しても、労働者が違う派遣会社から派遣されたら投資のリターンがなくなるが、常用型なので、安心して教育投資ができる。

○ 流動化した外部戦力を産業界全体で最適配置することによって、産業界全体の市場競争力の強化に資することができる。

○ 正社員としてしっかり雇用して、しっかり教育体制も作って管理しながら、派遣先の技術サービスに参加するので、顧客の安心感が高い。お客様(派遣先)で長期的に働く社員をきちんと育成して技術蓄積をすれば、自らで業務ノウハウを高めて、お客様にさらに高い品質の仕事を提供することができる。

○ 就社ではなく、就職型の若者が増えている現在、若者が一流企業の開発に携わって、自分なりに存在意義をしっかり見いだして、そこの中にしっかり雇用の安定、生活の安定、キャリアアップが出来ているということは社会にとってもマイナスではない。

(労働者派遣法への対応や要望)

○ 常用雇用型派遣と登録型派遣とは異なるビジネスモデル、異なる雇用形態であることを認識してほしい。

○ 「雇用申込み義務」について、雇用の安定を図ることが目的であると考えるが、そうであれば、常用雇用型についてはすでに雇用の安定が図られており、そうでない登録型とは、法律上も明確に区分してもらいたい。

○ 「雇用申込み義務」について、特定派遣事業者にも義務がかかるのはおかしいのではないか。正社員として働いていた派遣労働者が、引き抜きにかかり、派遣先の準社員となったという例もある。

○ 派遣先が「雇用申込み義務」を回避するため、配置転換や、指導を受けるかもしれないと思ったお客様が3年を前にいったん契約を全部解除してしまうということがある。派遣先についてもまだプロジェクトがあるのに人を替えなければならない、労働者にとっても技能蓄積が中途半端になるという問題があるので、常用型派遣については別の取扱いとしてもらいたい。

○ 事前面接については、常用型派遣の場合専門性が高い業務が多いが、専門性が高い仕事ほど実際に派遣先も労働者本人もしっかり面談しておかないとうまくいかないので、この部分はむしろ、マッチングの精度を高め、労働者のキャリアアップを図ることができるというメリットの方を理解してもらいたい。

(その他)

○ 技術者派遣は、1つのプロジェクトで3年程度継続が平均であるが、長いと10年を超えるケースもある。

○ エンジニアの約3分の1が、1年間の間にいわゆるローテーションとしてプロジェクト、あるいはお客様(派遣先)を変更する。

(2)特定労働者派遣事業で働く派遣労働者から以下のような意見があった。

(現在の働き方を選んだ理由)

○ ものづくりに携わっているが、そういうことが好きであり、また、管理職になるなどにより、それ以外の仕事にあまり煩わされたくないから。

○ ものづくりに携わりたかったため。メーカーの正社員であるかどうかは自分の中ではあまり問題にならなかったから。

(現在の会社を選んだ理由)

○ 社員教育に力を入れている会社だったから。

(就業場所が他社の事業所であり、それが一定期間後に変わることについての考え)

○ 全く新しい業界や仕事にチャレンジできるので非常におもしろい。

○ 顧客の満足と自己能力の向上を図りたいと考えているので、就業場所が自社の中であろうが外であろうが、こだわりはない。

○ 同一派遣先の同一の部署に10年から15年派遣に行っていると、そこでは習熟度や専門性が高まるので、派遣先から高い評価を得るが、いったん失業すると、次の労働市場での価値がなくなっていることもある。今現在の労働市場が必要としている技術等を使いこなせることが求められており、派遣とは、こういったことを常に意識しておかなければならない働き方である。

(賃金等の処遇について)

○ 賃金等に関しては、世間一般並みに処遇されている。社員寮等の福祉厚生についても、世間一般の企業と同等であると思っている。

(事業主による教育訓練について)

○ 派遣前も派遣後も経験に応じて行われている。

(常用雇用であることのメリット)

○ メリットとしては、収入には安定があり、また組織の一員として連帯感を持てるところがある。

(労働者派遣法への対応や要望)

○ 雇用申込み義務を回避するために、3年未満で契約を終了する場合や、雇用申込みをしても有期とする企業もある。その業務を続けていきたいと考える技術者がそれができない現状があり、また、新卒や若年層についても、派遣先でレベルアップをしていくという機会が失われているのではないか。常用型の派遣については、対象外にするか、一定の緩和をお願いしたい。

○ 特定派遣においては、雇い入れ申し入れの対象外にしていただきたい。

○ 常用雇用の形で、既に正社員として働いていて、雇用は確保されているので、雇用申し込み義務から除外されてもいいと考えている。

○ 事前面接は行われていない。

○ 顔合わせをしないことに不安が残ることがある。どこまでOKにするのかという問題はあるが、ある程度認めてもらいたい。

照会先

厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係

〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2

TEL03(5253)1111(内線5747)


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