07/03/29 社会保障審議会介護給付費分科会第42回議事録 社会保障審議会 第42回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成19年3月29日(水) 午後1時から午後4時まで 如水会館(スターホール(2F)) 2 出席委員:天本、井形、池田、井部、漆原、大森、沖藤、 神田(代理:浜野参考人)、喜多(代理:)、木下、木村、紀陸(代理:高橋参考人)、見坊、田中(滋)、田中(雅)、池主、対馬、永島、木村(裕)、村川、矢田(代理:森田参考人)、山本、中田の各委員 3 議題  (1)介護報酬改定後の動向について  (2)療養病床の転換支援に係る諮問及び報告  (3)重度化対応加算等の経過措置の見直しに係る諮問  (4)その他 ○藤井企画官より資料1及び資料2の説明。 (大森分科会長)  これらについて、何か質問等あれば発言いただきたい。   (木村(裕)委員)  質問と、データの有無を確認させていただきたい。訪問介護における身体介護と生活援助の割合がわかるデータはあるか。説明では、地域密着型サービスの利用は月ベースで徐々に増えているということだが、実際にはサービスの広がりがいま一つというような感じを受けているがこの状況についてどう考えているか。また、都道府県別に何か特徴的な傾向が見られるのかどうか、またそういったことがわかるデータがあるか。   (藤井企画官)  身体介護と生活援助の利用割合については、集計を行い、報告できるものと考えている。また、都道府県ごとの特徴について、この資料のデータは保険者から上がってきたデータであり、都道府県単位でも月報の集計をしているところ。都道府県単位の状況についてあまり解析していないが、夜間訪問介護サービス等については、大都市部に非常に多いといったような形の傾向があるように見受けられる。このあたり、もう一回解析を行い、特徴的なものがあれば、次回説明したい。  地域密着型サービスは4月からスタートしたものであり、今回、11月までのデータを出したところであるが、例えば、夜間対応型訪問看護については27事業所とあるが、平成19年2月末現在では67カ所に増えている。小規模多機能型居宅介護については、運営方法等の相談等を受けているような状況であり、適宜相談を受けながら、事業所数が伸びていくよう厚生労働省としても支援しながら自治体のノウハウを共有したい。 (川尻計画課長)  小規模多機能居宅介護の事業所数については、今回お示ししているデータでは約380ということであるが、2月末であれば488となっている。爆発的に増加したいわけではないが、全国で毎月50カ所ずつ、ほぼ順調に増えてきている。さらに、それぞれの事業所ごとの状況に応じて、市町村独自の報酬も設定できるという仕組みとなっている。地域でそれぞれのよさというのが認識されながら、増えてきているという状況であると認識している。 (大森分科会長)  資料のうち、事務方で用意できるものがあれば、次のこの会議を待つのでなく、用意ができたものから送っていただくという手配をしてはいかがか。 (藤井企画官)  承知した。 (天本委員)  平成18年4月は診療報酬と介護報酬が同時改定ということであり、医療保険給付との介護保険給付の整合性を保とうという大きな目的があったと考えられる。  その中で、介護保険においてリハビリテーションサービスの医療保険からの連続性について体制が整っていないことから、通常であれば平成20年4月までの診療報酬を途中で改定をして、医療保険の中に維持期のリハというものを創設した。しかし、介護保険では在宅のリハビリテーションといった視点が非常に立ち遅れているという現場からの意見が記述されて、そして中医協でも維持期リハというものを至急検討していく必要があるということが附帯決議の中にも入っており、介護報酬改定後の動向という際に、療養病床の問題では、医療保険と介護保険との役割分担という継続性、連続性という視点で報酬改定の動向という視点を見ていただきたい。  今回は介護保険のリハビリテーションにおいて、医療保険の流れをむしろ拡大して受けていかなければいけないというメッセージにもかかわらず、介護保険では訪問看護ステーションからのPT等の訪問を制限しているだとか、通所リハビリテーションでも大規模通所では減算されることとなっており、総枠的にリハビリテーションが制限されており、逆行している方向にあるということをどのように解釈するのか。リハビリテーションに関して医療保険からのメッセージに対して、どのように認識しているのか。そして、附帯決議に対してどのような対応をとろうとしているのか。 (鈴木老人保健課長)  御指摘のとおり、平成18年4月は診療報酬と介護報酬の同時改定であったが、リハビリテーションについては、原則として医療保険で急性期、回復期のリハビリテーションを行う、介護保険で維持期のリハビリテーションを行うという仕分けをしたが、介護保険でも医療保険からスムーズに患者の移行が保障できるようにということで、2点手当てを行ったところ。  1点は、短期集中リハビリテーション実施加算の創設により、個別性も含めて医療保険から移った方に短期集中的にリハビリテーションを行い、もう1点は、リハビリテーションマネジメント加算、これは多職種でしっかり計画を立てることを評価した加算であり、我々として手当てを行ったところであるが、今御指摘のとおり、中医協の調査では、「介護のリハビリテーションは医療のリハビリテーションと同じ医療機関で受けたい」とか、または、「お預かり機能なしの短時間のリハビリテーションを受けたい」というような御希望もあったことから、今回、保険局とも相談し、当面、介護保険で対応できない部分について、一部医療保険で維持期のリハビリテーションに対応していただくということとともに、私どもの方では平成18年、今年度から、そういう短時間のリハビリテーション、個別性のより高いリハビリテーションについて、患者にとってみれば医療保険であろうと介護保険であろうと、サービスは連続的に提供されなければいけないということはお説のとおりであるので、そういうことで省内でよく話し合いをしながら、スムーズな、シームレスな形でサービスが提供できるようにぜひ検討させていただきたい。 (天本委員)  医療保険では2年間を待たず1年間で緊急措置の対応をした。平成20年4月に診療報酬改定もあるわけであるが、介護報酬改定は21年4月といったように、医療保険の現場に対応したスピードと非常に時間的な差があるのではないかと思われるので、平成21年といわず早急な対応をお願いしたい。 (鈴木老人保健課長)  御指摘のように、医療保険は平成20年、平成22年の改定があり、介護保険は平成21年の対応であるが、省内で連携をとる中で、当面、次回の介護報酬の改定まで、医療保険で先ほど申し上げたような措置をとることで調整をしているところであり、我々としてもしっかりデータを蓄積した上で、次回の改定で対応させていただきたい。 (天本委員)  医療保険の維持期リハビリテーションとは外来のリハビリテーションであるという観点が抜けている。介護保険も医療保険も同時に一生懸命これから在宅医療を進めようというところ、介護保険の訪問リハビリテーションを平成21年まで放っておくのか。これが在宅医療を進めようとしている医療保険、介護保険の姿勢なのか。 (鈴木老人保健課長)  訪問のリハビリテーションについて、我々としても原則としては介護保険でぜひやらなければいけない、またはやった方がいい対象という方がいることは認識している。例えば、家の中に閉じこもっているような方に何らかの形で外に出てきていただく。ただ、基本的な姿勢としては、やはり通所リハビリテーションが中心になると考えており、今回、維持期について通所を医療保険リハビリテーションでの対象にしていただいたということであり、我々としてもエビデンスをしっかりと蓄えた上で対応させていただきたい。 (池田委員)  認知症ケアのサービスの利用状況についてお伺いしたい。今、利用者にしても家族にしても大変問題になっているのは、認知症ケアの問題であるというのは間違いないと思うが、認知症の自立度でいう1と2は適切な対応により在宅生活はほぼ可能であるということ。しかし、自立度3、4の方たちをどうケアするかというのが非常に重要なのではないか。グループホームに始まる一連のケアサービスの利用状況の中で、要介護度別の利用状況はわかるが、認知症の自立度別によるサービスの利用状況はわからないか。定期的でなく、一定の期間によるものでもいいのでお願いしたい。  理由は、グループホームの利用者が半分以上は認知症自立度2以下であるためである。もちろん認知症自立度1、2の方がグループホームに入ってはいけないということを言うつもりは全くないが、むしろ自立度3と4で一番家族が大変な状況に置かれている人たちが、実はサービスを受けることができないということであれば極めて問題であって、この受け皿をどうするかということが非常に大きい問題ではないかと思う。 (藤井企画官)  今回示した調査では、認知症の自立度でそれぞれのサービスの利用状況を分類することはできないため、また新たに調査設計等をしなければいけない問題だと思われる。局内でもその方法等について議論したい。 (池田委員)  もう1点申し上げると、要介護度が低い認知症の方は手がかかるというのは、事実と違う。要介護認定のシステムはかなり精緻化されており、かなり多くのサンプルを調べてみたが、要介護1程度の方はほぼ自立度2以下であり、要介護2程度でも、自立度2以下が7割から8割を占めるということで、実は要介護度別と認知症の自立度の分布というのはかなり重なっている。  したがって、要介護度別でも類推はできるが、抽出調査でもいいが、何らかの形でしっかりと実態を押さえなければ認知症サービスの向上というものが具体的に図れない。その意味でお願いをした。 (大森分科会長)  データの読み方について、池田委員から読み方の例を示されたが、現場の方がどう考えているかという点を含め、とりあえずデータが取れるのであれば取っていただく。どの段階になるかわからないが、お願いしてよろしいか。 (川尻計画課長)  2点申し上げたい。グループホームについては利用料等の実態調査を毎年行っている。その中で、データを提供できるような施設があった場合に併せてとる方法がある。または、新たに調査研究という方法でやるか、どちらか工夫して努力をしたい。 (木村(隆)委員)  特定事業所加算について。本来の目的は、中重度者や支援困難なケースで、在宅において質の高いケアマネジメントをやっていくというものである。いろいろ調査を行うと、地域包括支援センターが介護予防のケアプランをやり切れずどうしても受けてほしいという場合、算定要件で、「35件を超えておらず、かつ、介護予防支援業務の委託を受けていないこと」ということで、結局この算定ができなくなる。また、中重度者全体の中で6割を超すというのは非常に高いハードルだということが現場から報告がある。  都道府県において主任介護支援専門医研修を受講する際、主任介護支援専門員の受講要件は満たしているが、枠がないため、地域包括支援センターの職員を優先し、介護支援専門員の受講を拒むという状況が起きている。主任介護支援専門員の配置ということができなければ、前段申し上げたような要件どころの話ではない。今、在宅でしっかり支えていくべきときに、事業所が大変大事なところだと思う。47都道府県全てで事業所の介護支援専門員で主任介護支援専門員研修の受講要件を満たした者が全員受講できるよう、研修会を開催していただき、人員配置を早く整備していただくよう要請したいと思うので、厚生労働省から都道府県の担当の方に指導していただきたい。 (藤井企画官)  特定事業所加算は質の高いケアマネジメントをやっていただく目的から設けたわけであり、しっかり地域でリードしていただくということでこうした要件にしているが、主任介護支援専門員、地域包括支援センターを優先させていただいたことは初年度ということもあり御容赦いただきたい面があるが、主任介護支援専門員となる方々について、研修の機会を提供するのは当然であるので、昨年来、自治体には要請してきており、先ほどの話も含め、十分な研修の場をもって、主任介護支援専門員になれるような状況になるよう努力をしていきたい。 (木下委員)  栄養改善加算、口腔機能向上加算等は実施率が非常に低いが、もともと必要ないにもかかわらず、このサービスがあるのか、またはシステムがよくないのか、または報酬が極端に低いという評価なのか。もう1点、このサービスを導入したときに予想されたサービス量というのがあったのかどうか。何%ぐらいサービスがあるということで予算を立てたのかということをお聞きしたい。  また、介護療養型医療施設についてであるが、データとしては出ていないが、前の介護施設等の在り方に関する委員会おいて、夜勤加算の算定が1%以下だということが出ていたが、その経過がどうなっているか。サービス開始時に何%ぐらい加算されていたのか。1%ということは、ほぼ算定されていないということで、その原因について考えられることは、介護療養型医療施設では要介護4、5の方が80%以上ということで、とても2人では足りない状態だということ。夜勤の人数を増やす場合、総人数は変わらないため、1人当たりの夜勤時間数が増えることになり、夜勤加算の算定条件である1カ月72時間以下に触って算定できないのではないかと思う。そのあたりのデータがあれば教えていただきたい。  地域密着型サービスの動向で夜間対応型訪問介護について。事業所数が11月で27、現在は67に増えているということだが、施設ケアを少なくして在宅に進めるということで整備されてくると思うが、訪問介護の総数が恐らく2万以上ある中で67といっても非常に少ない数で、果たして夜間対応訪問介護が今後定着していくと予想されるのかどうか。67というと、県に1カ所、これで在宅サービスが整備されるのかという疑問があるので、そのあたりについてもお答えいただきたい。  リハビリテーションについて、介護保険のリハビリテーションは通所リハビリテーション、外来リハビリテーションを中心にし、訪問リハビリテーションはあまり重要視していないというようなお答えであったかと思うが、医療のリハビリテーションが終わった時点で、通所リハビリテーションや外来リハビリテーションに移行できる状況ではない。ここで当然訪問リハビリテーションが必要になる。退院してすぐに外来に通えるという状態ではないと思われるので、その連携がまだ十分でないような気がするがいかがか。 (鈴木老人保健課長)  まず、口腔栄養等の加算の取得状況について極めて低いのではないかという指摘について。冒頭にも申し上げたが、これは4月から11月の年度途中の集計であり、大きな制度改正も含めた4月の改定であったので、年度が終わるまで様子をみた上で、具体的に、例えば対象の人はどうであったのか、提供する人、提供する事業所の箇所数、それから、算定の要件がどうだったのかというところも含めて評価をしたい。  2点目の介護療養型医療施設の夜勤加算について、1%の取得率と72時間の夜勤の算定要件というのが関係あるのではないかということであるが、分析をさせていただき御報告したい。  最後に、医療保険リハビリテーションとの関係で訪問リハビリテーションについて。決して訪問リハビリテーションが大事でないということではない。むしろ訪問リハビリテーションの場合には、介護でもPT、OT、STという専門職が提供することから、医療保険であろうと介護保険であろうと、大きな差は基本的にはないと理解している。ただ、つなぎをしっかりして、その際に利用者から見て、大きな落差があるということのないようにすべきだという点は、御指摘のとおりであり、その旨で対応させていただきたい。 (川尻計画課長)  夜間対応型訪問介護は、夜間専用の訪問介護事業である。この夜間専用型の訪問介護を創設した際は、利用者数が200人から300人程度なければ、専用のオペレーションセンターを置いて、人を夜間張りつけるということは難しいということであり、基本的には大都市部中心に普及するものと考えていた。ただ、1型と2型とあり、オペレーションセンターを設置しない形態も、かなり報酬は違うが認めており、こういった2つの事業特性に応じて、大都市部以外でも普及していくのではないかということも期待している。しかし、何百箇所も事業所が増えるということは想定していない。 (天本委員)  平成17年10月から、食費と居住費が保険給付から外れたことについて、この報告書の中には見えないが、どれくらいの額になっているか。考え方としては、制度設計上給付から外したにかかわらず、利用者負担1、2、3段階の方に保険料からそこを補足している。居住費、食費なので、一般的な生活保護費だと思うが、その額が適度であればいいが相当な額になっている。年間数千億ということが正しいのかどうか、数字を明確にしていただきたい。入所されている方にのみ保険料がこういった使われ方をしているということがこれからの制度として整理はどうなのか。この2点について、説明をお願いしたい。 (桑田介護保険課長)  補足給付の実績であるが、1昨年の10月に導入され、そこから半年間の平均では1月当たり約170億程度となっている。それ以降は若干170億よりは増えて、170億から180億といったところで推移している。  170億という数字が、保険料の上昇抑制だとか、給付の重点化・効率化という観点からどのように評価できるかという点について申し上げると、制度上補足給付の導入が目的というより、むしろホテルコストについて基本的には利用者に御負担いただくということにより、給付の重点化・効率化という中で、給付費、あるいは必要な費用額が一定程度抑制されることを期待して導入した制度であるが、平年度ベースで約3千億節減という効果が出ている。 (天本委員)  約2千億というものが保険料、介護給付をいろいろなサービスを受けたいと。施設サービスももっと欲しいというニーズがあるにもかかわらず、本当ならセーフティネットの生活保護としての費用負担すべき問題を保険料でみていることについて、委員の方々に議論していただくのか、学識経験者にこの辺について議論していただくのか、これは検討課題として、そのためにいろいろな、例えばリハビリサービスを用意するものが、あるいは施設サービスをもっと欲しいというニーズがあるにもかかわらず、そこに制限が加わっているということであれば、本来の介護保険料の目的が少しそれてきているのではないかということを危惧しており、問題提起させていただいた。 (田中(滋)委員)  保険の使い方という意味で確認であるが、すべての統計資料に1人当たり費用額と書いてあるが、これは1人当たりの保険給付額との解釈でよろしいか。 (藤井企画官)  給付額と費用額の違いについて、費用額については、自己負担分も含めたものとなっている。 (田中(滋)委員)  1割の自己負担額を含んだ額ということか。 (藤井企画官)  そのとおり。 (田中(滋)委員)  しかし、天本委員の言われた食費・居住費のように、利用料に出した分については含まれていないことになる。 (藤井企画官)  食費・居住費については含まれていない。 (田中(滋)委員)  一般に費用について説明すると、社会がシステムを支えるために要した費用という意味では、利用料も費用であり、天本委員の言われた生活保護費が何か給付したとすれば、これも費用といえる。しかし、ここでの費用とは保険給付額プラス一部負担額を指している。したがって、制度変更があったときに、例えば、この資料1の13ページを見てわかるように、1人当たり費用が変わったとはいえ、この意味で施設の運営の費用が変わったわけでもなく、社会が投じている費用が変わったわけでもない。ただの保険に関わる給付プラス自己負担額が変わったことを示す統計となっている。今回、介護給付実態調査はこれを1人当たり費用と呼んでいるが、本当はプラス利用料の動向はどうなっているだとか、施設としてはどういう経営状態になるかだとか、補足給付でそのうち賄われているのはどういう部分かが分かった方が、社会の費用の使い方としてはわかりやすく、利用料も見えるようしていただきたい。 (大森分科会長)  非常に説得的な御主張だと思うので、事務方で検討してはいかがか。 (鈴木老人保健課長)  次回以降、冊子をまとめる際、しっかりと給付プラス自己負担ということが明示されて、どの費用、どのコストを計算しているのか、どの額を指しているのかということが分かり、比較できるようにさせていただきたい。 (永島委員)  家族会の会員に、改定が終わってから、アンケートを行っているところ。まだすべてまとまってはいないが、介護保険というより、生活全体で確実に支出が増えている実感があるということが多く寄せられている。介護保険の給付は、少しずつ様々なところで増えているが、利用者の立場では、介護保険、医療保険、または税制の改正などにより、結局、支出が増えている。それは、年金など限られた支出の中で暮らしていく方にとっては非常に大きな圧迫になっているという声が多くあがっている。このことは、当分科会の委員の方々は、それぞれ御自分のところで上がったり下がったりということだと思うが、利用者は生活全体で考えている。この点をご留意いただきたい。  地域密着型サービスについて、例えば、市町村や半径2キロ以内とう単位での使い方ができないものだろうか。地域密着型サービスでも、道路を隔てて向うは隣の市というような状況もあるので、何か緩和措置のようなものはないのかという悩みもあった。  また、地域包括支援センターでは認知症についての理解が薄いのではないかというような声もあった。これからの研修において認知症についてもより力を入れていただけたらと思っている。  訪問介護について、同居人がいる場合でも日中1人のような場合もあるので、その辺も何かならないかとか、様々な意見が寄せられており、実態として申し上げておく。 (川尻計画課長)  地域密着型サービスについて、確かに市町村の指定ということになっているが、A市とB市の境界でA市側に事業所があるという場合に、B市がA市の同意を得て二重で指定するということは法律上も認めており、また、市町村の間でうまく話し合いができれば、越境利用というのも可能な形にはなっている。何か具体的な事例があれば、そこは調整をするように何か働きかけはしたい。 (大森分科会長)  認知症の話は、広い意味で言えば、公の機関の方々が認知症についてもう少し勉強していただき、地域の単位でいろいろ学習会を開くなどしていかなければならないのではないか。全国的にまだばらつきがある。  例えば、しっかりと認知症について理解していない警察官がいることは問題であり、突然自分の行くところがわからなくなり、交番へ行くと、警察官が「ふざけるな」と怒ったということなど、社会のあらゆるところで理解を進めるということは絶対に必要である。御意見としてもっともだと思うので、我々もその方向で検討していきたいと考えている。 (桑田介護保険課長)  永島委員がおっしゃった問題提起の最初部分に若干関連する事項であるが、参考配布している「介護保険料の在り方に関する検討会」の資料において、若干今の論点に関連する部分があるので、一言説明したい。  この資料の3枚目は、現在の第1号被保険者の保険料についての設定の仕方の図だが、こうした保険料の設定の仕方についてしっかりと再検討したいという趣旨で設置した。この検討会を行うに当たって1つの大きな問題意識というのが、今の御発言に関連することである。ご覧いただくとわかるとおり、介護保険料の設定の仕方は、所得段階別に段階的に上がっていくという形をとっている。  段階別の設定の仕方として、基本的には、本人が市町村民税を課税されているか、課税されていないかという線が1つの大きな分かれ道になっている。  その結果、先般の一連の税制改正の結果等々により、年金収入の額は変わらない場合であっても、高齢者に対する税制上の特例措置がなくなったために、非課税だった方が課税されるに至ったというケースが出てくることとなった。こういった方にしてみると、税金が課税され、それにあわせて保険料の設定される段階も上がってしまう。結果として、負担が増えてくるという、まさにおっしゃったような1つのイメージであると思う。この設定の仕方は、一定の検討の結果を経ての制度であるので、見直す際には慎重な吟味が必要だと思うが、こういった問題意識も踏まえて検討したいということと、この検討をする際には、老健局だけで検討するのではなく、国民健康保険や市町村民税など、こういった方々とも情報を共有しながら検討していきたいと考えている。 (森田参考人)  小規模多機能型居宅介護という新サービスができ、神戸でも6カ所ほどあり、現在13カ所ほど整備中である。事業者によると、なかなかサービス利用に結びついていないということである。原因を聞くと、ヘルパーが変わってしまい別れるのが惜しい、デイサービスの利用回数が減ってしまい行きづらい、そういう声があり、介護報酬自体は市町村で独自で増やすこともできるという制度になっている。小規模多機能型居宅介護は、施設に代わる在宅を支える最後の切り札ではないかと思っており、何とか円滑に運営できるように、また、運用状況などを検討していただき、今後の介護報酬や運営基準など、御議論いただければと思っている。 (池主委員)  介護予防の通所リハビリテーションの口腔機能について。先ほど、本当の意味でのニーズがないのではないかというご意見があったが、実質はニーズは結構あると考えている。ただ、事業所に派遣する歯科医院の診療所の在り方の問題だとか、実態と合わない制度的な規制があるということにより、ニーズがあって診療所側も対応したいという意欲が十分ありながら、実現できていないという実態があるということについて、今後改正をしていただきたいと思っている。 (木下委員)  認知症について、池田委員から3、4のあたりが一番問題だという話があったが、認知症を正確に判断するというシステムがまだよくない。要介護認定では、認知症や問題行動があっても、要介護3以上にはなかなかなりにくいという。実際はそういう方に非常に手間がかかっているという現状や、判定不能もMに入るという現状もあるので、もう少し実態に合わせた評価ができるようにして、リハビリと同様、医療と介護の谷間がないようなシステムにしていくべきだと思うので、検討をお願いしたい。 (天本委員)  資料2の10ページ、訪問看護のところを見ていただきたい。これから在宅医療を進める際に、訪問看護というのは必須であり、訪問看護が伸びなければ在宅医療は非常に困難である。ここの統計を見ても、ほとんど伸びていないということについて、今、病院で看護師がいろいろ問題になっているが、これからは病院以上に地域に看護師の需要が高いという認識を行政自身もしっかりと持っていただかないと、地域ケアが進んでいかないという問題が深刻になってきている。訪問看護の体制そのものも24時間体制といったようなことで、看護師も労働条件など厳しくなっているが、平均在院数が短くなる、高齢者が増えるなど、いろいろな意味で訪問看護というもののニーズが増えているにもかかわらず、こういう状況なので、ぜひ調査分析をして、具体的な対応策というものを考えていただかないと困る。ますます少なくなっているような印象さえ、現場では持っており、この辺りについて、ぜひ具体的な検討を進めていただければと思う。 (大森分科会長)  もう少し時間が経過していってわかってくる側面もあるので、現段階である程度数値をとれるものはとっていただき、できるだけ早くお示ししていただきたい。いろいろ問題提起もあり、大きな話、具体的な話もあるので、できるだけ、この分科会で議論できることは議論してまいりたい。   ○鈴木老人保健課長より資料3から資料6の説明。 (大森分科会長)  まず御意見を伺った上で、最初の諮問事項について、本分科会としての結論を得たいと思う。 (山本委員)  問題が2つある。  1点目。どうしても療養病床から出ていかなければならない方が出てくるのではないか。行くところがない。これほど細かく転換促進策を打ち出すのなら、なぜ家を建ててあげると言わないのか。これは重大な問題である。  2点目。ご承知のように当直は週4日以上はしてならないとか、または人員配置の基準だとか、そういったものは全く入っていない。これは問題である。  また、少し話が出たが、看護体制が大きく変わったこともある。診療報酬が変わったものだから、大病院が看護師を集めていったという現実がある。療養病床などの看護師が多く大病院に引き抜かれているということは事実である。私が大学病院に入院していたときにこのことを聞いたが、中小の病院は困るのではないか。  看護師が絶対的に足りない。結果として、外国から連れてくればいいじゃないかという議論になる。教育すれば看護技術は十分できるかもしれないが、しかし日本人にはなれない。看護にとって最も大切なことは、人と人とのつながりである。機械的に看護を行ったとしても、人というのは感情があるのだから、それだけではよくならない。私の経験からこれは言える。  だからやはり日本の医療というのは日本人がやるべきである。それを崩している。今回の療養病床転換促進策においても、病室や食堂や廊下などに基準の緩和措置を講じても、看護師など職員の勤務の体制は厳しいものにしたままである。  例えば、ある施設で今回の措置をすべて講じたとしても、看護師が10人いるとして、5人しかどうしても手当てができない場合があるならばどうするのか。制度の上で人が足らなくなった場合である。厳しい制度であるから人が足らなくなる。また、当直を4日以上してはいけないといっているが、大手の病院ではあまり違反していないだろう。ただし、地域で一生懸命に医療をやっている診療所などは実際に厳しい。そういう人員構成になっている。  したがって物理的な療養病床転換促進策だけではなかなか転換は進まないだろう。真剣にそういった地域を考えていただけるならば、地域を考慮した制度作りが大切なのではないか。  もう1点申し上げたいのは、今日の会議で話した内容は事前に全部公表しているではないのか。マスコミに。新聞に載っている。この場で審議をして、ここで答申するべきであるのに、事前に全部報道されてしまっている。問題である。この場で審議をして、決定したことを報道するのであれば大いに結構である。 我々が真剣に審議すべきところに水をさすようなやり方はやめていただきたい。悪意がないということはわかっているが、十分配慮すべきではないのか。 (大森分科会長)  何かお答えは。 (鈴木老人保健課長)  私の先ほどの説明について補足させていただくと、1点は、療養病床の転換支援について、本来、利用者の方にとって必要な、例えば在宅療養の支援というものは、自宅だけではなく居宅系サービスについても同時平行で進めていかなければならないと思っており、退院をしていただく方については、先ほど説明した有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅など、さまざまな複合的な施設もあわせて考えさせていただければと思っている。  それから、山本委員ご指摘のソフト面の措置についてであるが、これからどうするかということを我々の方でも検討させていただいて、それはしっかりと現場の意見をご指摘のように取り入れた形で、無理のない形でお示しできればと考えている。  また、新聞報道の件について、我々の方では、本日諮問・答申をさせていただくということで手続を進めさせていただいていた。昨日の朝、そういう報道があったわけだが、我々は昨日与党に説明をし、そのほか問い合わせがあった場合にも、手続としては分科会に諮問させていただく予定であるとは申し上げているわけであるが、ただ、ご指摘のように、本来、この場で諮問をさせていただいて、答申をいただくことについて、当然、各委員のみなさまに公正中立な議論、それを受けての答申という流れであるべきで、あたかも、事前に決まっているかのような報道というのは、我々にとっても非常に遺憾であるし、我々も心してこのような報道にならないよう、マスコミの問い合わせ等に対する対応については心していきたいと考えている。 (大森分科会長)  よろしくお願いします。 (天本委員)  山本委員の意見に全く同じで、毎日新聞などにおいても決定した文章になっている。悪意はないだろうが、アンフェアであることは事実である。最近の傾向としてあまりにもこういうことが多すぎる。介護療養型医療施設の廃止においても、十分な議論がなされたどうか、非常に問題を持っている。  療養病床の再編についても、これはニーズによるものなのかどうか。もちろんニーズの中に在宅医療推進、住宅の整備、そういったニーズがあることは間違いないが、現在、介護療養病床も医療療養病床は、要介護4、5、医療処置の多い人などにとってはまさにニーズがあるのではないか。これは減るはずがない。次回、我々は統計を出す予定でいる。平成18年12月の国立社会保障・人口問題研究所のデータにおいて、2025年から90歳以上の人たちは非常に増えることが見込まれている。また、がん、脳卒中、認知症や心不全も増える。当然90歳の人は病気があれば必ず介護が必要になる。要するに、介護と医療が必要な分は増える。私は介護療養型医療施設の廃止は政策的に間違っていると思っている。要するに、ニーズのもとにこれからの推計をしなければならない。あまりにも財源という側面から考えている。統計、データやエビデンスに基づいて、同じ国立社会保障・人口問題研究所で立派な数字が出ているわけで、亡くなる人が160万人というのは、2025年で終わっているが、その後まだ増えていくことになる。このことが統計上わかっているにもかかわらず、政策的に進めるとことの結果、一旦減らしたものをまた増やすとなると大変な問題となるだろう。  先ほども在宅、多様な住宅とおっしゃったが、そこには訪問看護ステーションが入らなければならない。しかしステーション数は一向に増えていない。要するに、全部財源に基づく政策では大きな間違いを起こすのではないかということを私は指摘しておきたい。 (漆原委員)  今の諮問書案について、これは介護保険法の規定に基づいて、指定介護老人福祉施設及び介護老人保健施設の人員、設備や運営の基準に係る省令改正というような説明だった。  当面の追加措置という説明だったが、今回、施設基準、いわゆるハード面だけの諮問になっているが、先ほどの山本先生の指摘と関連するが、人員配置とか運営の基準というのは全く緩和するなどしないのか。まず1点、前回お示しいただいた療養病床のアンケート調査の結果、約3割がその行く先を決めていないとのデータがあった。これらの人たちに老健施設に転換を進めるために、これからの議論をするという話があった。そして施設基準の緩和措置を今回提示した。これでは全くアンケートの30%の人たちを後押しする根拠にはならないのではないか。人員基準について新たに考えられると考えているのかどうかを伺いたい。  そして、介護療養型医療施設も含めて、介護保険3施設にこれまでのそれぞれ果たしてきた役割というものがあると思うが、ここでの人員の配置具合により役割というものが決められている部分があるので、この辺りのことが決まらなければ、なかなか選択に資するというところまでいかないのではないか。  人員や運営の基準が変わらないのであれば、今までの老健施設と全く同じものに設備だけ変わらないで転換を迫っていくのかと考えていたし、特に、福祉施設に転換が可能と今回書いているが、かなりハード的にはプアなものであり、そこで同じ役割を果たせいうのか。介護老人福祉施設も老健施設も、この先、転換する先の施設のイメージが全くわいてこないということであるので、ぜひその辺りもあわせて検討されるべきだったのではないか。  諮問書の中に、老健施設に関しての経過措置について、療養室の面積だけが23年度末までとなっているが、経過措置というように書いてある。ただ、他の基準は半永久的なものとされている。また、次のページにある介護老人福祉施設には、「経過措置を認めることとする」としか書いていない。経過措置という言い方は、期限がついた一定の期間のものを言うのか。  これらを考えてみると、介護老人福祉施設にも、介護老人保健施設にも、基準、設備、人員はわからないが、運営理念、経過などが異なる2つのタイプがこれから半永久的に存在することとなっていく。こういうふうに解釈をせざるを得ないが、これらを国民のために、どのように区別して、国民に、利用者に情報を提供するのか。  今回、設備基準、施設基準のことが非常に強く第一弾として出されているわけだが、ここでどのようなサービスが受けられて、どのような機能を果たせるのか、そういった利用者や国民がわかりやすい体制を崩さないようにすることが非常に大切であるので、その辺のご配慮をお願いしたい。諮問書にそういう配慮をするというようなことを一文書き加えていただければありがたい。 (鈴木老人保健課長)  まず、「経過措置」という文言についてご説明させていただきたい。  法律的に経過措置とは、本則ではない措置のことを経過措置という名称にしており、この場合、明言的に23年度末までと書いているものを除いては、建て替えるまでの恒久措置ということでご理解をいただきたい。  また、確かに今回ハード面を先に検討し、諮問させていただいているわけだが、当然ソフトの部分、特に人員の配置や今ご指摘いただいたように、これが今の施設とどのように違って、国民や利用者の方から見て混乱がないようにするにはどうするかについては、我々としても非常に大切であると認識しているところであり、遠くない時期に、我々の方としても第二弾を皆さま方にご相談させていただきたいと考えている。  天本委員から介護療養型医療施設の廃止についてさまざまご議論いただいたが、我々としても、医療の必要度の高い方々については、医療保険の医療療養病床というところで手当てをしていただいて、必ずしも医療の必要度の高くない方々については老健施設等に転換をした上で対応させていただきたいと考えているところ。もちろん老健施設だけではなくさまざまな施設があり、自宅に加えて、居宅系のサービスというのも非常に大切だと考えており、今回、有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅などへの転換促進策として一歩踏み出したわけであるが、今後もさまざまな形を複合的にやっていただくにはどうすべきか。訪問看護をはじめとして、さまざまなサービスも非常に必要だということも認識をしており、その辺りについても意を用いていきたいと考えている。 (大森分科会長)  確認だが、配慮するというようなことを答申の文章の中に書くべきだという主張でよいか。今の答弁であれば、第二弾があり得るとのことであり、今回は施設についての基準の措置である。諮問書だけ読むと、人員や運営について決めていないので疑問は起こるが、先ほどの発言では、やはりその次にまだ待っているテーマがあるのでという御理解でいかがでしょうか。 (漆原委員)  承知した。運営や人員の基準など、基準全体に関わるものであれば、その結果、出てくるものをわかりやすく説明する配慮が必要だということは入れてほしい。 (大森分科会長)  わかりました。 (木下委員)  まず、山本委員と同じだが、多分今回で3回目だと思うが、先に新聞報道されてしまったことは、遺憾だということを改めて表示したい。  その記事に、介護療養病床は医師も看護師も人員配置が少なく、収支が悪くなるから転換しない、3,000億円経済的効果がある、といった記事があったので、これは厚生労働省からこういった情報が出たのか、新聞記者が勝手に書いたのかわからないが、記事として非常に遺憾だということを表明しておきたい。  次に、資料5の4ページ、介護老人福祉施設における経過措置について、介護療養型医療施設から特別養護老人ホームへ転換できるという内容であるが、この場合は社会福祉法人を設立しなければいけないということになるが、老健施設と病院の合築はお示しの資料で認められることとなるが、介護老人福祉施設についてはどうかということと、新規の介護老人福祉施設はユニットケアしか認めないということが打ち出されているが、これとの関連はどうなるかということ。  また、先日、都道府県における医療病床アンケート調査結果というのが出され、これに伴って地域ケア計画が今年の秋までに計画されるということだが、今、面積基準についてはある程度出たが、今後の老健施設の機能や人員配置についてはまだ明らかにならない状態で都道府県の療養病床アンケートが実施されたわけであり、今後、人員配置、機能等について明らかになってきた場合、今年度秋に設定されるものがその後変わってくる可能性があるのかどうかということの確認をしたい。  それと、療養病床の最終推計値として15万床というのが前回出ていたが、この数字を計算した担当部局はどこかということ。また、新しい資料が多く出されたので、今後、この数字について見直しがあるのかどうかということについてお伺いしたい。 (川尻計画課長)  まず、前半部分で、介護老人福祉施設の御質問が幾つかあったが、療養病床を転換する場合、また、全く新しく建物を新築する場合に、医療施設と特別養護老人ホームなどの福祉施設を合築するということができないという規制はない。  そして、ユニットケアの義務づけについてお話があったが、特別養護老人ホーム、老人保健施設もそうだが、ユニット型の施設というのは出てきており、将来、20年、30年、これから建てる場合には、そういうものを推奨させていただいているところであり、認可は都道府県の役割であり、補助金も既に都道府県の役割であるが、ユニット型でなければ指定しないということは申し上げておらず、そこは周知をさせていただいているつもりである。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  構想の関係については、この秋を目途に都道府県の方で策定作業を進めていただくことになる。  その策定に当たっては、先般公表したアンケート調査の結果を1つ基礎データとして活用していただくということになるが、実際のところ、未定ということが非常に多かったということもあり、また、今後さらに介護施設等の在り方委員会において、老健施設等における医療提供の在り方をどうするかといった議論も開始したところ。  そういったデータやここで御報告している転換支援措置と、今回は第一弾だが、また第二弾ということもあるので、それらもあわせて各医療機関の方々に情報提供しながら、各医療機関の経営判断をお願いしていくと。その結果をまた各都道府県で取りまとめて、構想として積み上げていくような形にしたい。 (大森分科会長)  15万床をはじき出した担当部局はどこか。 (鈴木老人保健課長)  御承知のように15万床というのは、医療療養病床がどのぐらいの数になるかということで、当時、療養病床の再編計画をつくらせていただいたときに推計として出させていただいた数字であるが、現在、具体的な数をどうするかというところで、関係の方々とも詰めさせていただいている。担当部局は保険局になるが、我々も十分連携をとっていく所存である。 (天本委員)  転換支援策により、例えば半年後に老健に転換した場合、当然老健施設の人員配置基準になる。そうすると、老健にはなったがサービスは低下するということでいいのかどうか。前回の資料の中で、介護職員等の看護職員の人員配置基準並びに実態状況という報告があった。そのときには、介護療養型は6対1で17名、100名に対して基準上はいいが、実態は30.5名というように倍ぐらいの人が必要だと。そういう機能を老健に、例えば12名ということになると、機能面で全く対応できないということとなり、机上の理論だけで転換を進めているということになりかねない。これは、あくまでも人員配置基準と一体的な形であり、要するに順番が間違っているわけである。新たな老人保健施設の機能は、介護療養型医療施設を減らすために、どういう対象群で、どういう機能を持つのか。それにはどれぐらいの人が必要なのかというのが、あまりにも財源政策ばかりに目がいっており、ハードだけできても、人の整備が間に合ってない。これでは経営もできないし、まず、アウトプットにおいて、重介護の、しかも医療処置をする人たちへの対応が不可能であるので、現実的に転換できないのではないか。 (高橋参考人)  私は療養病床再編は政策的判断は間違っていなかったと思っているし、ぜひ推進していただきたい。データとしても、介護型療養病床で医療がほとんど必要ない人がかなり多くいるということで、それは老人保健施設なり介護型施設に移るべきだという判断をし、国会でも様々な議論をして、長い間の審議の中で決めたものである。むしろ社会的入院への対応が随分遅れてきたわけなので、しっかりとしたケアということを考えたということはいいことだと思っている。  2点申し上げたい。1点目について、先ほど課長から今後ソフトの対策も考えていきたいという話があったが、今回のハードの対策を打ち出すに当たって、療養病床アンケートで転換が未定になっている割合が非常に多いからという理由であれば、さらに態度を保留していれば、さらにハードの措置が出てくるのではないかという懸念がある。ハード面に関する措置はもう打ち切りということなのかどうか。今後はソフトに展開してくるということで政策を考えているのかどうか、そこを確認したいというのが1つ。  2点目、先ほどの山本委員の発言にもあったが、人が一番大事なのではないか。施設を用意するということだけではなくて、しっかりとケアをしてあげるということで安心を与えてあげないと、高齢者は安心してそこに移っていけない。本音では移りたくない、なぜ移らなければいけないのという意見があると思うので、施設から在宅へということは決まった方針の中で、きめ細かくしっかりと受け皿整備をしていただきたい。 (鈴木老人保健課長)  天本委員からは、ハードの部分とソフトの部分、時期がずれているのはどうかという御議論であったが、我々としてもできる限り早くハードの部分については、緩和の方向性をしっかりと提示させていただいた上で、ソフトの部分についても利用者の方が不安を抱くことのないよう、しっかりとしなければならないし、実際に施設経営している方についても、将来の方向性が見えるような形で、できるだけ早く方向性を打ち出したいと思っている。  また、高橋代理人から、ハードについてはこれで打ち切りかという御質問があったが、我々としては、様々な運営をしている方々から挙がっている声について、当面できる範囲として今回措置させていただいたということで、次はソフト面についての対応を考えたいが、ただ、この段階で我々の立場としては断言することはなかなか難しく、今回はおおむねハードについてであり、次はソフトを措置したいと考えている。  それから、確かに実際にケアをする人の問題が、特に医療福祉サービスの場合は中心だというのはおっしゃるとおりであり、我々としても療養病床を老健施設に転換していただく場合には、入所したまま転換するわけであり、何らかの理由によって在宅に戻る、または居宅系の施設に移るという場合には、場所を移動していただくことになり、その場合にも、まさに御指摘のように、きめ細かく対応させていただき、実際に移行に伴う様々な障害が生じないように考えていきたい。 (村川委員)  本日御提示いただいた追加措置で、7つの柱で示していただいたわけであるが、昨年、一昨年からの議論を踏まえ、私は基本的に進めていただいてよいのではないかと思っている。  その際に、3点ほど留意していただきたい点がある。1点は、先ほど山本委員をはじめ少し触れられたが、やはり利用者の方々が不安を持たないような、丁寧・着実な進め方をしていただくということが第一だということ。  2点目としては、今日、7つの追加措置の御説明の中で、まだ見えにくかった点の中で、経営モデルについて、できる限り早い機会に示していただいて、今日の御提案の基本的な運営基準、施設基準、さらには税制、融資条件の優遇など、非常にきめ細かい対策も打たれているわけであるが、事業者の方々が不安のないように、ぜひ経営モデルは早い時期にお示しいただきたい。  3点目としては、制度改革を進めていく中で、近い将来、第4期、または第5期の介護保険事業計画の中では新たな整合性を持って、訪問看護等、関連するサービスの充実等の方向性が見える改革をぜひ進めていただきたい。 (木村(裕)委員)  連合としては、社会的入院を解消するということが大きな目的であり、ぜひ療養病床の再編を平成23年度末という明確な期限の中で進めて、円滑に実施される必要があると考えている。  追加支援措置については、先ほども人員配置の問題、または利用者の受け皿の問題、さまざま発言が出たが、こういうものを含めて、または地域医療や居宅介護サービスの充実を図りながら進めていかなければならない。療養病床アンケートの結果でも、3割が転換意向について未定だということである。支援したくないところもあるかもしれないということであるが、もしかすると、追加措置がまたあるのではと期待を持っているところもあるかもしれないので、そういうふうになっては困ると申し上げたい。医療の必要度の低い人に対する良質なケアを提供するということが何よりも大事であり、そのためにも療養病床の再編を円滑に進めていただきたい。  もう1つは、施設基準のところで、1人当たりの床面積が緩和されており、経過措置としてはやむを得ない部分であるが、良質な療養環境の確保という点からは好ましいことではないので、23年度末までという明確な期限のもとで改善が図られるよう努力をしていただきたい。  また、第3期介護保険事業計画における定員枠について、参考資料の5ページで特例について書いてある。医療区分1の患者が多く、経営困難な医療機関の特例という中に、(1)の医療区分1の患者割合が当該都道府県の平均値を超えていることという条件がある。療養病床のアンケートで都道府県の平均値を見てみると、沖縄が24.9%、高いところで富山県の49.5%ということで、かなり開きがある。この開きについてどう考えればいいのか。平均値を超えていることが妥当な数値なのか、その考え方について教えていただきたい。  それから、都道府県及び市町村の協議により転換を可能とするということになっているわけであるが、介護保険事業計画策定委員会などに諮るなどして、被保険者や関係者の意見を聞く場をぜひ設けるようにしていただきたい。  その際には、特例の(3)にあるように、地域ケア体制の確保を図る上で必要不可欠であるということについて適切な判断がなされるよう、十分な協議が行われるようにしていただきたい。 (大森分科会長)  私としては諮問にお答えすることを諮りたいと考えているが、今まで疑問や主張の中で、当然私どもの分科会として今後も持続的に検討しなければならない課題もあり、御議論の受け答えを前提として、今回は当面の経過措置をとらなければならず、省令の改正に関わる部分について本日諮問があるので、私としては今までの御議論を前提にした上で、これで進めていただくという答申を出してもいいのではないかと思っているが、そういうことでよろしいか。 (天本委員)  諮問書の中に、人員配置基準の問題について書き入れることを要望する。21年になって人員配置基準が決まるとなると、せっかく諮問を出しても、実際に運用が進まないのではないかということを危惧している。先ほど経団連の方がおっしゃられたが、介護療養型医療施設は介護保険施設であるので、入所している方は社会的入院ではないわけで、この点については明らかにしておきたい。介護施設の中で重看護・介護の人たちを対象とした施設であり、これは立派な介護施設の役割である。日医として、次回、なぜ介護療養型医療施設が必要かという統計的な資料をお示しして、廃止になったものをどうするということよりも、その対象群をいかに医療と介護が必要かという点を、それは当然老健施設の医療の在り方ということにもつながると思うので、この諮問書の中に、人員配置基準についても検討を至急する必要があるということを何か書き込めないか。 (大森分科会長)  いかがか。 (鈴木老人保健課長)  今の御意見は、諮問に対する分科会としての報告案を了承するというだけではなく、何らかの形で文言を書き込めないかという御意見であるか。 (天本委員)  療養病床に入所している方の状態像や、対象群を見れば、どうしてもハードだけでは解決つかず、人員配置上の問題があるので、しかもそれを平成21年まで実際には待てない。要するに、転換を早く促進しようとしているわけである。21年からでは、介護療養型医療施設の廃止まで3年しかないため、できることは早期に措置することが私は重要だろうと思っている。 (大森分科会長)  私も当然そのように次回は諮っていかざるを得なくなると思っており、それは当然のことと了解しているので、今回の施設基準についての改正は、これ自身として認めることとしてはいかがか。今、天本委員がおっしゃったことは、直ちに検討しなければならないので、そのことを私どもの報告文の中に書くかどうかということであるが。 (天本委員)  報告文は皆さんの御意見であり、私は私の意見を出したまでである。 (大森分科会長)  承知した。私としては、今のことは当然であり、また、事務方も第二弾と言っているので、これを転換していくということを前提に当然のことではないかと思うが。 (高橋参考人)  座長の意見に賛成である。先ほど事務方も今後措置することがまだあるとしっかり明確に言っているので、了解した上で、答申はこの答申で出して、諮問どおりでいいのではないかと私は思う。 (大森分科会長)  分科会としては天本委員のような御意見を当然前提にして、その審議の結果として今回は了承するということで答申するという御了解いただけるか。 (天本委員)  21年の通常のスケジュールよりも早くという解釈でよろしいか。 (大森分科会長)  それでよろしいか。 (鈴木老人保健課長)  具体的な方向性を取りまとめるという意味では、我々としても早急に検討しなければいけないと思っている。   (大森分科会長)  それでは、こういう形で諮問に対して答申をするということで御了解いただいてよろしいか。 ○川尻計画課長より資料7及び資料8の説明。 (大森分科会長)  この件について、御質問等、御意見を伺う。 (井部委員)  重度化対応加算についてであるが、経過措置がこの3月までということは、平成18年度の当初にわかっていたことであり、1年間の間に看護師を確保して、重度化、または看取りへの対応の体制を整えるという趣旨で介護給付費分科会で了承されたものと認識している。  看護師の確保が難しいという理由だけで、看護師のいない施設と看護師を配置してケアの充実に取り組んでいる施設が同じ加算をとれるという措置の延長は、本来は望ましくないと思うが、やむを得ず経過措置を来年3月まで延長するということであるので、重度化対応加算の本来の趣旨ができるだけ損なわれることのないように、経過措置のもとで加算をとる施設及び国や都道府県には、次のような点について十分留意して取り組んでいただきたい。  1点目は、経過措置のもとで重度化対応加算を算定する施設は、看護師の採用計画を立てて、確保対策をとるということをするということと、看護師不足が騒がれている状況ではあるが、例えば急性期の病院でも看護師の待遇の改善や、または柔軟な勤務体制の導入、子育て支援の充実などといった努力をして、看護師の確保や定着に取り組んでいる病院が数多くある。施設側の経営努力も含めた取組と、介護施設の看護師採用に対する国や都道府県の支援体制が必要であると考えている。  もう1点は、経過措置のもとで重度化対応加算を算定する場合に、重度者へのケアや看取りのプロセスについての研修を行うことを必ず実施していただきたい。特に看護職員は、医師の常駐が定められていない特養においては、唯一の医療職であるので、入所者のアセスメントや、あるいは医療処置の判断をする責任者になるわけであり、救急時の対応や、または看取りなどの研修を実施して、特に看護の質の保障を図るということが加算の算定の必須条件であると考えている。  以上、2点についてはぜひ留意していただきたい。 (大森分科会長)  留意せよというのは、今回の答申については、何か書き込めという御主張か。 (井部委員)  書き込んでいただきたい。 (大森分科会長)  いろいろ御意見を伺いたいが。 (中田委員)  今、井部委員から御意見いただきましたとおりであるが、今後看護師の採用計画等を十分立てて、何とか重度化対応ができるようにしたいと考えている。ただ、特養の入所者の問題については、介護保険制度施行直後から、優先入所基準というものを各都道府県で作成しており、その後、要介護4、5といった重度者が非常に多くなってきたという事実もある。もう1点は、昨年の4月の制度改正で、重度化、看取りいった加算制度が創設された。私たちは、加算制度というのはよりよいケアの構築だとか、これから求められる介護のケアの質の方向性であると受けとめて、全会員にできるだけ対応するようにということで働きかけてきたわけであり、今年度、特養に従事する看護師、准看護師を対象とした特別研修も実施している。また、NPO法人の日本介護支援協会と共同で、看取りケアについて調査研究事業も3年前から行っており、介護保険施設における看取りケアの理念構築だとか、実践する場合のプログラムというようなことにつき、それなりに成果を出しており、その成果に基づいて、全国で研修会も実施しているところである。また、認知症の実践研修も今年度から老施協とし手取り組んでおり、このような研修事業を通じて、できるだけ重度化、看取りなどに積極的に取り組んでいこうというわけであるが、残念ながら、実態はまだまだであるので、この1年間、経過措置をいただきまして、私どもも全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているので、ぜひ御理解をいただきたい。 (大森分科会長)  主たる関係者の間で了解が取れたということであるが。 (高橋参考人)  重度化対応加算で1点お聞きしたいのは、看取りの場が介護施設になるということについて、実際に例が増えてきているのかどうか。加算により安心して介護施設に入るという傾向がはっきりでてきているのかどうかということを確認していただきたい。  もう1点は、井部委員からも、やむを得ないという発言もあり、私も1年延長は仕方がないかと考えているが、もし1年後にも看護師による体制が整備されなかった場合は、延長より重度化対応加算の抜本的な見直しが今度必要になってくるのではないかと考えている。今度は、質の問題とか点数だとか、その辺りについてどのようにお考えになっているか。 (川尻計画課長)  まず、特別養護老人ホームにおける看取りが増えているかということについてであるが、今、手元に資料がないためお答えできない。直感的には増えていると考えているが、具体的なデータは、看取り介護加算をとっている割合がどのように推移するかということで、少し時間をおいて見ていくと分かるのではないかと思っている。  それから、できるだけ多くの施設がこの加算をとることが望ましいということだが、あと1年経過措置を延長して、この間とっていただくという考え方で御提案を申し上げているということである。 (木下委員)  計画を出すということですけれども、本当に実効性があるのかどうかということで、あまり必要ではないかというような気もしますので。  また、なお書きについては、これから介護施設の在り方等に関する委員会で広く医療供給体制などについて討議されるため、特筆しなくてよいのではないか。 (見坊委員)  2点質問したいが、看護職員の不足の状況というのは非常に報道されており、私もしばしば入院するので、その実態を身近に感じている。大変なことと思っている。特に夜間の看護体制の強化。これは非常に大変で、現在の経過措置を1年延長して、何とか成果を上げると、この努力の方向も先ほど御意見として承った。現状は、単に重度化対応ということを含め、夜間の体制というのは非常に難しい状況にあるのか、どんな感じであるか、お伺いしたい。  2点目は、常勤の看護師に代えて、常勤の看護職員とありますが、常勤の看護職員、これは准看護師を含んでいるわけであるが、それ以外にどういう方が看護職員というふうに算定されるのか、その辺をお伺いしたい。 (川尻計画課長)  特別養護老人ホームについては、看護職員の夜勤は義務づけられていないので、通常、介護職の方が夜勤をされている。そういう場合に健康管理の面で問題があったときに、24時間体制でオンコール体制をとって、看護職員に相談をしてもらうような体制をつくろうというものである。この体制が63%ぐらいとれているというのが現状である。  また、先ほどの看護職員が何を含むのかということについては、看護師又は准看護師のみということである。 (村川委員)  この議論については、先ほどの井部委員や中田委員の話で基本的なところは尽きているかなという感想はあるが、私もこの分野に近い専門家の一人としてあえて申し上げたいのは、一般論としては、介護保険制度改革一連の流れを見ても、ケアの質の向上を進めているわけであるから、知識と経験を有する看護師の方、または介護福祉士の方に軸になってほしい。ただ、看取りの努力など、現場の努力ということも見ていかなければならないことから、そういう意味で今回の経過措置はやむを得ないのではないか。当面、御指摘もあったように、社会福祉法人等による研修計画、人材戦略などは今後しっかり立てていっていただきたいと思っている。 (池田委員)  今回の諮問自身については、看護師不足ということもあり、1年の限定ということでやむなしということでいいと思うが、特養ですら看護師が確保できないということでは、訪問看護でどれほど看護師が確保できるのか。恐らくは共通した問題を秘めていると思われる。前段で天本委員も強調されたように、訪問看護というのは、いわば在宅介護の極めて要であるわけで、これが全然伸びていないというのは、非常に不安を感じている。したがって、1年延長するということはそれでいいと思うが、介護の分野における看護師の確保、または業務の役割といったものをかなり鮮明に打ち出して、集めてもらうという構造を作らなければならないのではないか。つまり、特養の問題だけではないという問題意識を強く持っている。  それともう1点は、准看を使ってもいいという話があったので、ついでに申し上げると、老健局の問題ではないが、社会福祉法の改正があり、准介護福祉士というものができるというふうな流れになっている。准看護師とは少し流れは違うと思うが、フィリピンとの条約の問題もあってやむを得ない部分があるということは認めるが、専門職の下にまた何か作るということがいかがなものかということと、実際、期限を切っても、安い労働力であれば、それが継続して使われるような形になるだろうという恐れは非常に強いということがあるし、もっと乱暴に言えば、准介護福祉士というのは、国家試験に落ちた証拠というものをはっきり見せた職種で、これほどある意味で侮辱的な職種はないと思う。そういった面から、専門職をもってケアに当たるという本来の厚生労働省の姿勢がきちんとしているわけなので、それに沿って今回の問題も考えてほしい。 (天本委員)  直接この諮問と関係はないが、介護施設の医療の在り方について、経管栄養などは食事のように思われがちであるが、薬を注入したりもする。しっかりと胃の中に入っているかどうか確認するとか、病院で気管支に入って事故で亡くなるといったぐらいの危険性の高いようなものをこれからどうするのか。それから、医療提供の場としての特別養護老人ホームの法的な整備もまだできていない。看取りということで実態を推進する、これは特養入所者の気持ちとして、ここで最後まで生きていきたいという方がいるのはよくわかるが、やはり安心して職員がしっかりと働けるような法的な位置づけをしていただきたい。昭和24年の法律がそのまま運用されているようなことでなく、これから地域ケアを推進しようということにおいては、そこは避けて通れない問題だろうと思うので、そこがしっかりと整理されないで、老健施設で簡単に受け入れるというものではないと思うので、医療提供の場としてまだまだ整備すべきことがあると思うので、早急な体制整備をしていただきたい。それから教育が始まるので、なるべく早くやっていただかないと、在宅医療が進まない。 (大森分科会長)  ほかに検討する場がないので、この分科会でいろいろ意見が出て、私どもの権限を超えるようなテーマも議論せざるを得ない。1年延長で本当に大丈夫かというほどの危惧があり、1年延長するのであれば、両当事者の間で、施設側も看護師の方からの強い要請に応じられるということであれば、これはどこかで明記すべきだと思う。  また、全体の看護師の確保というようなこともあるが、特段にこれについては、重度加算の問題については1年延長するということがあるので、何か努力してもらいたいなということをなお書きで足せればと思うが、考えさせていただいてよろしいか。代理と一緒に相談し、答申文を整えてまいりますので、しばらく時間をいただいてよろしいか。 (答申文の調整のため休憩) (川尻計画課長)  それでは、「記」のところを読ませていただく。  諮問のとおり改正することを了承する。  なお、各介護老人福祉施設等は、看護師の確保に関する計画を立て、看護師の確保に努めるとともに、看取りに関する研修の充実に努めること。また、厚生労働省及び都道府県は、各介護老人福祉施設等における看護師の確保に対する支援措置を講ずること。 (大森分科会長)  特養関係者の方にとっては「努めること」と言い切るのが少し強いかと思うが、これくらいの努力をお願いしたいと考えている。  それから、「研修の充実」と書いてあるのは、事実行われているが、充実許可をお願いしたいということが前段であり、その後は、厚労省と都道府県に特段の支援策についても講ずるように要請したいという趣旨。本案で本日答申してはいかがかという提案であるがいかがか。 (井形分科会長代理)  特に会長の強い希望があり、これを20年まで延ばす場合、そのうちまた21年まで延びるのではというムードに受け取られることを非常に懸念している。介護保険の導入当初は、実は看取りというのは想定外であった。福祉は看取りを担当しなくてよいという発想だったが、今はむしろ介護施設で亡くなる方が急速に増えつつあるわけで、それに対する対応、看取り加算がついたということは、介護施設でも対応しなければいけない義務ができたという意味だと思うので、研修、あるいは看取りに対する技術の向上も図りながら、看護師の充足はぜひ実現していただきたい。 (高橋参考人)  今すぐまとめた答申なので、厚労省として考えがまだ固まっていると思えないが、「支援措置を講ずること」というのは、具体的にどのようなイメージを持てばよいのか。 (川尻計画課長)  特別養護老人ホームの看護職員の仕事をできるだけ幅広い形で看護関係者に知っていただくということも大事であるし、都道府県単位でいわゆるナースセンターなどがつくられているが、そういった間の風通しが必ずしも現状でよいと言い切れないところもある。それから、研修の話もあったが、これは各施設や各団体に任せるだけではなく、厚生労働省としても様々な形でバックアップをしていきたいと考えている。 (木下委員)  ナースバンクの話が出たが、情報保護ということで、そこに応募した看護師と施設側は直接交渉できない、情報をもらえないという現状であるのか。ナースバンクの中で両方を引き合わせるということができないということを聞いたが。 (川尻計画課長)  具体的な運用については、今、こういう形で宿題をいただいたばかりなので、よく関係局の方と詰めて、当然守るべき法律はあると思うが、できるだけ工夫できるようにしていきたい。 (木村(裕)委員)  なお書きのところの「看護師の確保に努める」というところで、労働環境をきちんと改善していただきたい。もともと資格を持っていても働きたくないという人たちがいるわけなので、労働環境の改善に努めていただけることを意味すると受けとめて、この内容については支持をしたい。 (大森分科会長)  それでは、こういう形で諮問に対して答申をするということで御了解いただいてよろしいか。 (天本委員)  参議院の附帯事項で介護施設の医療の在り方等を含めてというのは、どこでどのような形で審議するのか、あるいはタイムスケジュールについて。今年度ではなかったか。その辺りを確認したい。 (川尻計画課長)  介護施設の在り方委員会が当分科会と同時平行で進んでいるので、そちらで先ほどのソフトの部分を、介護給付費分科会は、省令等、諮問答申に関わることを最終的に議論いただくが、その前段階としてのソフトの部分、在り方について、在り方委員会で精力的に夏前に御検討いただければと思っている。 (天本委員)  在り方委員会の予定というのは、いつ開かれるかわからず、事務局側だけのスケジュールで進んでいるように思われるので。 (川尻計画課長)  決して事務局側だけの都合で進んでいるわけではなく、5月、6月に向けて、また委員の方々の日程の調整をさせていただいて、精力的に開催させていただければと考えている。 (木村(隆)委員)  今日の諮問事項と関係なかったので先ほど言わなかったが、資料4の4ページであるが、確認とお願いをしたい。  医療法人経営の選択肢の拡大という中に、高齢者専用賃貸住宅、いわゆる高齢者居住法に基づき登録したものとあるが、今回の医療法人経営の場合は、いろいろ条件が上積みでつくというイメージがある。それから、注意書きに、単なる高齢者専用賃貸住宅経営は不可となるが、今考えられている要件の違いについてまず教えていただきたい。 (古都振興課長)  基本的に有料老人ホームの経営についても、もともと医療法人であることから、医療をやることが本務であると。したがって、それに関連したサービスを法律上やることになっており、有料老人ホームも医療法改正の中で運営できるようになったということ。  そうすると、法律上の整理からも、その他保健衛生に関連することなど、一定程度医療法人としてやるべきことをやってほしいということ。または、今や福祉事業もできるようになっているので、当然そういう一定の枠はあるのだろうということ。何でもアパートでもいいんだということにはならないあり、むしろ、医療法人が持っている機能をぜひ生活相談だとか、見守りだとかに生かしていただくことこそ安心を提供できるということで考えているので、有料老人ホームとの類似性等も考えながら、条件をつけてさせていただければと考えている。 (木村(隆)委員)  もう1点、私は逆に単なる高齢者専用賃貸住宅について、違っていれば申し訳ないが、当初のころのグループホームのような、もっと言うと、宅老所的なことでどうも走っていってしまうのではないかと危惧しており、地域で住まいとして自宅でないところに住むというのは非常にいいことだと思うが、一番大事なのは、密室状態にしないということであり、地域に交流できるような要件を前提に、このような賃貸住宅を進めていただきたいし、運営面からは、昨年の4月からある小規模多機能型の居宅介護で義務づけられた運営推進会議だとか、地域の町内会長などが入っていろいろ交流していくだとかいう形で進めていただければと思う。  医療法人だから高いハードル、医療法人以外は低いということではなく、もともと住居というものをオープンにできるような仕掛けをつくっていただきたいと考えている。 (古都振興課長)  当然医療法人の持っている機能は大変生かしていただきたいと思っている。ただ制度上は住宅という扱いになり、入居者が個人の生活というものもあるので、当然そこはいろいろ工夫する中でと理解しているし、さらに、高齢者専用賃貸住宅、一定の要件を満たせば、介護サービスの適用事業所にもなれるということになっているので、そんなことも考えながら、これから地域との連携を法人としてやっていただくということが妥当ではないかと理解している。 (木下委員)  介護施設の在り方委員会でお願いしたが、制度の簡素化をぜひ図っていただきたい。先ほど申し上げた栄養ケアマネ、口腔ケアについても、少し制度が複雑ではないかという気がしているので。今度、介護療養型医療施設でも、介護サービス情報の公表ということが始まるということだが、介護サービス事業所数、それに単価を掛けて、一体どれぐらいのお金がかかっているかということと、多分これは利用者のためにということで、情報がたくさんあるのはいいと思うが、本当に有効な情報かどうかということを今後検証して、この辺りも簡素化できるものは簡素化していった方がいいのではないかと思うので、その辺りを考えていただきたい。 (井部委員)  もう1点、高齢者医療の在り方の検討の委員会があると思うが、天本委員が頻回におっしゃられる医療処置をだれが行うのかという問題は、もう1つは高齢者の医療に対してどこまで介入するのかといったことについても並行して検討していかないといけないと思うので、現在、胃ろうについて検討しているが、幾つかの医療行為について検討していくとかなり時間がかかると思うので、ここをもう少しスピードアップして、高齢者の医療そのものがどうあったらいいのかということも考えていくべきではないかと思っている。 (鈴木老人保健課長)  高齢者の医療に関する研究会のことと思うが、我々も、保険局、医政局も、中身について承知をしているので、3局が一緒になって、将来の医療のビジョン、その中の内訳ということについて話していきたいと考えている。 (大森分科会長)  それでは、本日は諮問の答申ができたことについて御礼申し上げて、これで分科会の審議を閉じさせていただきたい。 ○大森分科会長より閉会の宣言 1