07/03/28 第36回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録について           第36回労働政策審議会職業能力開発分科会 日時 平成19年3月28日(水)10:00〜                                                       場所 厚生労働省5階共用第7会議室 ○今野分科会長 時間になりましたので、始めたいと思います。まだ、玄田委員と江上 委員がいらしていませんが、いらっしゃる予定ですので、開催させていただきます。今 日は第36回の労働政策審議会職業能力開発分科会でございます。本日、所用により黒 澤委員と河西委員がご欠席でございます。まず、職業能力開発分科会に所属されます委 員の交代がございましたので、ご報告いたします。交代委員の名簿がお手元の資料のい ちばん最後の頁にありますので、ご参照いただければと思います。この名簿の中で小栗 委員に代わりまして、日本基幹産業労働組合連合会の瀧澤委員がご就任されていますが、 本日は所用により欠席されています。  厚生労働省の事務局については前回の分科会から変更はございませんが、事務局を代 表して奥田局長からご挨拶をいただければと思います。 ○奥田職業能力開発局長 おはようございます。いま会長から事務局の変更はないとい うことですが、4月1日になりますと、実は若干代わりますが、本日はこの体制で開催 をさせていただきます。本日は年度末という非常にあわただしい時期に開催をいたしま して、皆様方にはこのようにお集まりをいただきまして、誠にありがとうございました。  本日の分科会では最初に省令案要綱の一部改正について諮問させていただこうと思っ ております。1つは機械・金属関係の訓練科の訓練基準に関して、昨今の技術進歩に併 せまして訓練内容を変えていくという内容ですが、これに関する訓練基準の改正を行い たいということ。もう1つはキャリア形成促進助成金制度の改正等についてということ です。第3以降についてはすべて報告事項ですが、最初に来年度予算が26日に成立し、 それを受けまして来年度の職業訓練計画が確定しましたので、この内容についてご報告 を申し上げたいと思います。  また、来年度の能力開発行政関連の予算も併せて成立しましたので、この内容につい ても概要をご説明させていただこうと思います。これはすでに夏の段階で予算案という か、概算要求の内容でご説明をしていますので、もう一度思い出していただく意味でご 説明させていただこうと思います。  最後に2月15日に内閣官房長官を主査とする成長力底上げ戦略構想チームというと ころで、成長力底上げ戦略が決定されました。これは19年度以降、私どもの行政にと っても非常に大きなかかわりを持ってくる内容だと思いますので、現段階で皆様方にお 知らせできます内容について、ご報告を申し上げたいと思っています。  いずれの事項についても新年度における私ども能力開発行政にとり、非常に重要な事 項だと思っておりますので、皆様方のご審議をよろしくお願い申し上げたいと思います。 ○今野分科会長 ありがとうございました。それでは議題に移ります。最初の議題は、 「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。これにつ いては厚生労働大臣より、労働政策審議会会長あて諮問がなされたところであり、これ を受けて本分科会において審議を行うものです。まず、事務局より説明をしていただき たいと思います。 ○久保村能力開発課長 資料1−1、職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省 令案についての資料に基づき、ご説明をしたいと思います。冒頭局長からお話がござい ましたように、この内容は職業訓練の基準についての見直しを行いたいというものです。 職業能力開発促進法19条の規定に基づき、同法施行規則の中に第10条から15条です が、訓練課程ごとの訓練の対象者であるとか、教科・訓練時間・期間などについて基準 が定められているわけです。その中で、主要な産業分野にかかわる訓練科については、 標準的な実施方法について規則別表においてその内容が示されています。この別表につ いては制定後すでに10年が経過する中で、近年非常に技術動向が急速に進歩、変化し ていて、若干乖離が見られるということで、各都道府県からも見直しの要望が上がって いたところです。  そのため、これを順次見直しを行うことにして、訓練の実際の実績や要望の数等を勘 案して、優先度の高い分野から行うことで、前年度、金属・機械分野について有識者で 構成される専門調査員会を開催したところです。その検討結果について、報告書をまと めていただいていて、この報告書の内容に基づいて見直しが必要と判断された規則別表 第2、普通過程の部分、別表第4、短期課程の部分、この中身について改正を行うとし ているものです   また、規則第37条により、普通課程及び短期課程の普通職業訓練を担当するために は、原則として訓練科に応じて対応する職についての職業訓練指導員の免許が必要とさ れています。今回、新設する科がありますので、これを担当するために必要な免許職種 を示す必要があるということで、別表第11に関しても所要の改正を行っているところ です。さらに今回の改正は4月1日の施行を予定していますので、現に受講している皆 様方が不利益を被ることのないようにということで、附則において経過措置を定める内 容になっています。 資料1−2の3頁に、若干細かい具体的な内容が付けてありますので、アウトラインに ついてご説明いたします。別表第2です。普通課程の普通職業訓練に関する内容を定め ているわけで、その中の金属加工系以下、その具体的な訓練科の内容が定められていま す。専門調査員会の報告書の中で、どういうことが言われているかを簡単にお話し申し 上げます。金属加工や金型の分野については実際の現場においてCADやCAMシステ ムが導入されていますし、加工についてはNC工作機の導入がすでに一般化されていま す。こういうことに伴い、生産機械が複合化するとともに非常に精度が高くなっていて、 そういうものにも対応していく必要があります。  設計をして具体的に加工してという課程に進んでいくわけですが、設計情報自体がす でに電子データ化されることが進んでいて、この実験課程をシミュレーションすること が可能になっているという変化もあります。  4番目として新素材、異分野との複合技術が導入されてきています。最後に機械保全 や安全衛生の分野について、事前に防止するとか、トラブルシューティング、危機回避 の考え方がだいぶ進歩してきていて、こういう内容についても織り込んでいく必要があ るのではないかということで報告がされています。  これを受けて3頁の別表第2の最初の金属加工系に教科に一として系基礎、二、専攻 というところがありますが、右側にラインが引いてあるのが改正しているところです。 その下に訓練時間があり、1年間の課程、通常は1,400時間、訓練基準で決まっている ものです。その配分についてまず見直しを行っています。基礎系の学科については従来 270時間だったものを250時間に短縮しています。これについては中身を見ますと、先 ほど申した安全衛生の部分について強化するとともに、既存の部分、基礎系については 一部省略することが可能だという報告もいただいているので、その辺で節約した部分を 実技に回しています。実技の部分で60時間ほど増やしており、主に先ほど申し上げま したコンピュータ操作基本実習やCADの基本実習、安全衛生作業法を強化する形で改 正が行われています。  あとは大体似たような改正なので一部飛ばしていただき、6頁の左側、機械技術科と いう科を新設しています。これは各都道府県などにおける実際の機械系の訓練科目を見 ると、大ざっぱに申し上げて、機械製図、機械技術といった具体的に製図から加工に入 っていく中で、複合的な訓練科目がだいぶ見られるようになってきています。これは技 能、技術の複合化で、多能工化というか、いろいろなことができるようにしなければい けないということがあり、そういう要請に対応するものです。したがって、訓練期間を 2年とし、訓練時間も2,800時間で設定しています。内容的に言いますと、機械の加工 についての基本的な部分を勉強していただき、金型工作法、金属加工法、機械保全法と いう実践的な部分を一通りできるようにするというものです。  7頁です。別表第4は短期課程の訓練ですが、金属プレス科について新たに内容的に は金型の学科を強化して取り組むとしています。また、安全衛生についても強化する内 容になっています。現在金型は我が国の基幹産業として非常に重要な部分になっており、 ある程度応用的な部分が、最初からできるようなところまでの仕上がり像を想定しなが らやっていくということでの改正です。  別表第11、同頁のいちばん左側です。これは訓練指導員の免許職種の規定です。免許 職種については機械科という免許職種ですが、この中に訓練科として新たに新設された 機械系機械技術を加えて、訓練科についても機械科の免許で実施できるとしたところで す。  これは平成19年4月1日に施行したいということで、具体的にはこの資料には付い ていませんが、附則で経過措置を設けることにしています。具体的に申し上げますと、 経過措置についてはすでに訓練を実施している人が不利にならないようにということで、 受講している部分については改正後の訓練科目の中の一部について省略をして、訓練期 間や訓練時間を短縮することができると規定しています。  もう1つは従来の訓練基準でそのままやることも可能ということで、なお、従前の例 によることができるという規定を第2項で設けることにしています。今回の改正内容に ついては以上です。 ○今野分科会長 ありがとうございました。それではただいまの説明についてご質問、 ご意見をお願いいたします。 ○水町委員 具体的な規則の中身ではなく、前提となるところなのですが、資料1−1 で、前年度に有識者等で構成される専門調査員会が設置されたと書かれています。この 専門調査員会というのは、常設のものなのか、それともこのために前年度だけとりあえ ず設けられたものなのか、かつ、これは全国に1つあるのか、それとも各地域や都道府 県の中で設置されているものなのかという点を教えていただければと思います。 ○久保村能力開発課長 専門調査員会については厚生労働省が設置しているもので、訓 練基準の見直しを行う必要性のために設置されたものです。10年ほど停滞していたので 新たにメンバーを入れ替え、組織し、今後、6、7年をかけて必要な優先順序の高い訓 練分野については見直しを行っていくことで、常設の形で何年かやっていきたいと考え ています。 ○水町委員 全国に1つですか。 ○久保村能力開発課長 全国に1つです。 ○水町委員 それで例えば地域ごとにいろいろニーズが違う場合に、その地域のニーズ というものを吸い上げるようなシステムになっているのかどうか。 ○久保村能力開発課長 専門調査員のメンバーについては相模原にある職業能力開発総 合大学校の先生や東京校の職業訓練を担当している方、一部企業で、今回の場合ですと 工作関係はオークマの技術担当のリーダーの方、安全衛生関係のコンサルタントの方を 入れています。全国的な動向についてはきちんと把握をしていただいていると思ってい ます。  それぞれ有識者ですので、地域のそういう実情についても議論の中で反映されている のではないかと思っています。都道府県のニーズは当然私どもとしては汲み上げている わけですが、現地調査まではやっていません。特に地方に調査をかけるという形で、で きる範囲内でそういうものは対応しているのではないかと思っています。 ○水町委員 訓練自体は都道府県でそれぞれ行われていることですね。 ○久保村能力開発課長 都道府県及び雇用能力開発機構のセンターで行っています。 ○水町委員 その強化なり課程自体は全国一律ですか。 ○久保村能力開発課長 実はこの訓練基準は標準的なものを定めているだけで、それに 則って実施された場合は技能照査を最終的に行い、技能士補という称号が取得できるよ うになっています。これは技能検定の前提になる受験資格につながるものなのですが、 多くの県では訓練基準にそぐわない訓練、いま非常に変化をしているので、委員がおっ しゃいましたように地域の実情や訓練生のニーズ等を反映して、一部違ったものも実施 しているわけです。それは私どもとして当然認めているわけです。そういう訓練をやっ た場合には、もちろん技能、技術は身に付くわけですが、先ほど言いました技能手法の 資格が取れないなど、一部そのような技能検定の受験資格が取れないということがあり、 訓練基準はそういう規制になっています。 ○水町委員 そこの全国一律で決めているものと、認めているけれども、技能検定等で 実際には使えないというものの間の齟齬が大きくなっているとすれば、制度全体の見直 しを少し検討しなければいけないかということを、今日の時点ではないですが、これか ら検討していただければと思います。 ○久保村能力開発課長 訓練基準については従来からいまおっしゃいましたようないろ いろな議論がありまして、基本的なあり方そのものも見直すべきではないかという議論 が内部にもあり、従来から検討してきているところです。ご意見も踏まえまして、今後 さらに深めていきたいと思います。 ○中村(正)委員 ご意見を申し上げたいと思います。今回、規則を見直したのはよし としているわけですが、先ほどの内容を聞きますと、コンピュータの操作、CAD・C AM・NC加工実習など、極めて時代遅れの見直しではないかと率直に申し上げざるを 得ない。いまごろ本当に見直す時期なのかということで、一定期間を決めて定期的な見 直しをやる必要があるのではないか。これから電機なども見直しをしていくという話を 聞いていますが、電機などというのは1年経ったら、もうガラッと中身は変わっていき ます。5年も10年も、これは44年からでしょう。極めて時代遅れですし、定期的な見 直し期間を設定して、見直していくべきではないかと思っていますので、是非ご検討い ただきたいと思います。 ○久保村能力開発課長 実際この間非常に長いブランクがありまして、私どもとしても 大変申し訳ないと思っています。今回、着手をして、定期的にきちんと見直しをしてい かなければいけないと思っております。内容についてですが、確かにご指摘の点はあり、 最先端のものを教えることも当然必要な部分はあると思うのですが、職業訓練の場合は 一応基礎から教える仕組みになっており、例えば汎用施盤を教える所はいまはもうほと んどないと思うのですが、そういうところの操作も、一応経験していないとなかなか現 場で難しいのではないかという面もあるので、そういうところから現場に入る基本的な 仕上がり像としての実践技能者を描いてみて、それに到達できるような訓練内容として いきたいと思っております。  一応その道の専門家の方たちにやっていただいていますので、報告書の内容は妥当な ものだと我々は思っています。いまのご意見も踏まえ、できるだけきちんと見直しがし ていけるようにやっていきたいと思っています。 ○今野分科会長 ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。それでは当 分科会としては職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱については妥 当と認める旨の報告を、私から労働政策審議会会長あてに行うということにしたいと思 います。よろしゅうございますでしょうか。 (異議なし)                (報告文案配布) ○今野分科会長 それでは案文を読んでいただきます。 ○久保村能力開発課長 それでは私が読ませていただきます。  平成19年3月28日、労働政策審議会会長菅野和夫殿。職業能力開発分科会分科会長 今野浩一郎。「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について。平 成19年3月28日付け厚生労働省発能第0328001号をもって労働政策審議会に諮問の あった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。記 「職業能力開発促進 法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、厚生労働省案は、妥当と認める。 以上です。 ○今野分科会長 これでよろしゅうございましょうか。 (異議なし) ○今野分科会長 ありがとうございました。それではその文面のように報告させていた だきます。  次に2番目の議題です。「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱につい て」です。これについては厚生労働大臣より、労働政策審議会会長あて諮問がなされた ところです。これを受けて、本分科会において審議を行うということです。まず事務局 より説明をいただけますか。 ○石田育成支援課長 資料2−1です。冒頭、局長から申し上げましたようにキャリア 形成促進助成金、認定訓練の補助金の改正に伴うその部分についての雇用保険法施行規 則の改正についてのご説明です。これも概算要求のときに一度ご説明をさせていただい た内容のとおり、今般予算が成立しましたので、それに伴う必要な部分の施行規則の改 正をさせていただくものです。  資料2−1の要綱ですが、具体的な制度改正については参考資料をその後ろに付けて おり、7頁の横の表です。まず、キャリア形成促進助成金についてです。基本的には事 業主が事業内職業能力開発計画に基づき作成した年間職業能力開発計画に基づいて、従 業員に職業訓練等を受けさせた場合に、訓練等に要する費用の一部を助成する制度です。  この助成金も含めて別途、雇用保険部会等でご議論いただいた雇用保険の三事業の見 直し、その中で規模の大幅な縮減等の指摘を踏まえ、今般利用実績の少ないメニューを 廃止、メニューの統合等を図ることで全体の予算の圧縮をすることとしています。  具体的には左側が現行、右側が改正です。現行は訓練給付金から下まで6つのメニュ ーがあります。この中の4つ目、利用実績が低いキャリア・コンサルティング推進給付 金を廃止するとともに、訓練給付金と2つ目の職業能力開発支援促進給付金の2つを統 合し、新たに訓練等支援促進給付金という形で創設し、右側のように4つのメニューに 整理することにしています。  新設する冒頭の訓練等支援促進給付金ですが、これは訓練に対して助成を行う従来の 訓練給付金、自発的能力開発に対して助成を行う職業能力開発支援促進給付金の2つの 内容を基本的には引き継ぐものとしています。これも先ほど言いました三事業の見直し、 圧縮の要請を踏まえ、通常の訓練にかかる部分についても大企業への助成を廃止するこ ととし、他方、右側の四角の点線で囲ったうちの2つ目、非正規労働者に対して訓練を 実施する場合、あるいは実践型人材養成システムとして訓練を実施する場合など、政策 的に必要な部分、今回新しく手当をしたところですが、ここについては引き続き大企業 も含めて助成を行う。助成率も高率とするという予定にしています。  自発的な職業能力支援に対する部分についても、引き続き大企業も含め助成を行うと しています。その下の評価推進給付金以下についての変更はありません。キャリア形成 促進助成金の関係は以上です。  6頁に戻っていただき、認定訓練助成事業費補助金についての改正です。この認定訓 練助成事業費補助金はご承知のとおり、都道府県が認定訓練を実施する事業主等に対し て、費用の助成を行う場合に、その一部を補助する制度です。19年度においては認定職 業訓練として行われる実習併用職業訓練の導入促進を図るためということで、都道府県 自らが実習併用職業訓練の導入促進に向けた事業を実施する場合に、その経費を補助す る対象にすることを新たに加える予定にしています。  この部分は自治事務として、都道府県が認定職業訓練の振興を図っています。その都 道府県の協力を得るために、通常の認定訓練助成事業費補助金の補助率を超えて、必要 な経費を補助することにして、具体的には訓練希望者と中小企業事業主団体等のマッチ ングを支援する経費として、県内の高等学校進路担当者、あるいは認定訓練を実施する 中小企業事業主団体等に対する説明会の実施にかかる経費、あるいは認定訓練を実施す る中小企業事業主団体等が設置するコーディネーターに対して、都道府県が相談援助を 行う場合の経費を想定しています。  これについては平成22年の3月31日までの措置として予定しています。 ○今野分科会長 ただいまの説明でご質問、ご意見はございますか。 ○佐藤委員 4頁のキャリア形成促進助成金のところの支給要件の(1)で、「次のいずれか に該当する事業主」ですが、その(i)、(ii)、(iii)で (i)の「従業員」とは何か。 (ii)の「青少年」とは何か。「雇い入れ」というのは有期も無期もなのか。(iii)の「短 時間等労働者」というのは通常の労働者は転換なので、いわゆる上の正社員転換だと思 うのですが、短時間と限定してあるのは、つまりフルタイムの有期の人の正社員転換は 入らないのですか。この辺の(i)、(ii)、(iii)の従業員だったり、短時間に限定した りと、この(i)、(ii)、(iii)の(iii)だけが労働協約や就業規則に定めるというのが 付いていて、(i)、(ii)、(iii)がなぜこのようになっているのかがよくわからないので すが、その辺をご説明いただければと思います。特に転換のところはフルタイムの有期 は対象外なのか。 ○石田育成支援課長 現行の事業の説明ですが、1つ目の「従業員」は雇用保険の被保 険者です。 ○佐藤委員 雇用保険に入っている20時間以上ということですか。 ○石田育成支援課長 はい。2つ目の「青少年」は年齢で15から35未満ということで す。 ○佐藤委員 (ii)は雇い入れて雇用保険の被保険者になった人ですか。ある者という のはそういう意味ですか。有期、無期ではなくて20時間以上の。 ○今野分科会長 石田課長、ちょっと検討していただいて、後でまとめてもう一度答え てください。ほかの質問を先に受けておきます。 ○西原委員 今回キャリア・コンサルティング推進給付金が廃止されたのですが、廃止 理由でいま利用実績が低いという話があったのですが、なぜ利用実績が低かったのか、 そこをどういう分析をされたのかお聞きしたいと思います。 ○今野分科会長 これも石田課長ですか。 ○石田育成支援課長 はい、私です。キャリア・コンサルティングについて利用率の低 迷ですが、いろいろな要因が考えられます。いまひとつ企業サイドにおいてキャリア・ コンサルティングに対する効果、必要性の理解がなかなか十分に浸透していないために、 この助成金のインセンンティブが、実際に使っていただくところまでの動機につながっ ていなかったかと考えています。今後、そういう意味合いも込めて企業における職業能 力開発推進者に対する、キャリア・コンサルティングに関する講習を実施するといった 助成金以外の手法で、まず普及促進を図っていきたいと考えています。 ○西原委員 財政的にもさまざまな中で当然統廃合をやっていかなければいけないので すが、いろいろなご説明の中で利用実績が低い要因の部分を、どう対応していくのかと いうことが問題であって、例えばいまご説明があったところで、その政策目的が達成で きなかったわけですから、その要因に対してどう手を打つのかというところが、強調さ れて政策につながっていかなければならないと思っています。結果系の話だけで統廃合 というのは理解につながらないのではないかということを申し上げておきたい。これは この問題だけではなく、そういうことだと思っています。 ○今野分科会長 それでは石田課長、先ほどの佐藤委員の質問についてセットでもう一 度整理していただけますか。 ○石田育成支援課長 1つ目と2つ目は先ほどのとおりです。3つ目の「短時間等労働 者」ですが、期間の定めのない契約を締結している労働者であって、1週間の労働時間 が同一の通常の労働者のいわゆる所定労働時間に比べて短い、かつ定める時間数未満で あるという者と、期間の定めのある有期の者という両方を非正規という形で捉えること にしています。 ○佐藤委員 そうすると(iii)はフルタイムの有期の人は入るのですか。「短時間等労働 者」と書いてあったので入るのですか。 ○石田育成支援課長 はい、入ります。 ○佐藤委員 入るのですね。そうすると(i)と(iii)は基本的には相当重なるという ことですね。 ○石田育成支援課長 そこはそれぞれぶつからないように。 ○佐藤委員 (i)の能力職業訓練はやるわけですね。ということは、極めて高度化に ついてですね。 ○石田育成支援課長 はい。今回この(iii)の部分を加えましたので、ダブる場合は相 当あります。 ○今野分科会長 労働協約、就業規則はいいのですか。 ○佐藤委員 ここだけなぜ入っているのですか。 ○石田育成支援課長 これは短時間労働者に対してきちんとした制度に基づいて、技能 の高度化なりを図っていただくという、そこの部分を労働協約または就業規則の定めに よって制度を作っていただくことを担保するために規定しているものです。 ○今野分科会長 よろしいですか。何か長谷川委員、ご質問はありますか。 ○長谷川委員 こういう助成金なのですが、先ほどの説明で説明会をするというのはわ かったのですが、私が言う話ではなく中小企業の人から聞いたほうがいいと思うのです が、いろいろな制度を作っても、比較的中小企業はなかなか使えない。使っているのは 大きな企業ばかりだという指摘があって、今回は中小企業と書いて中小企業に対する支 援だと思うのですが、なぜ中小企業が助成金の活用がうまくできないのかということに ついて、調査したりヒアリングをしたことは厚生労働省はあるのでしょうか。  なぜそういうことを言うかというと、私はこの間、社会保険労務士の人に聞いたので す。審議会をやるといつも中小の人たちは助成金の使い勝手が悪いというけれども、そ れはなぜかと聞いたら、例えば宮城県栗原郡築館で企業の人は、そういうのを使うため のいろいろな申請をするときに、仙台まで行かなければいけないというのです。宮城県 栗原郡築館から仙台まで行って、助成金の説明会を聞いて、書類を作って申請してとい うのがすごく面倒なのだそうです。それだったら、もうそんなのはやめたというのです。 そういう意味ではハローワークがやるわけだから、そういうものを、ハローワークの中 で助成金の書類も受け付けるとかすれば、もっと使い勝手がいいのではないかというご 指摘を受けました。今回、見直しの中で廃止されたキャリア・コンサルティングの推進 給付金は非常に利用率が低かったと。私も三事業の統廃合のときに、利用率が低いとこ ろをバサバサと思い切りよく切ったわけです。切りすぎではないかと思ったぐらい切っ たのです。なぜ利用されないのかということと、中小企業の人たちが事業団体で訓練を やることを、もう少し行政が一緒に手伝ってやらないと、実を結ばないのではないかと 思うのです。  先日、介護安定センターの会議があって、そこで介護士の研修の話が話題になったの です。研修を受けると言ってもすごく難しいし、介護の事業をやっている所は大きい所 から小さい所まで、NPOからさまざまなのですが、非常に研修が難しいという話が出 たのです。おそらく中小企業の人たちはそういうことを言っているのだと思うのです。 こういう制度が実際に生きたお金になって、これがあってよかったとしないと、また一 定の時期がきて、利用率が24%だからもうやめましょうという話になるので、もう少し 厚生労働省はハローワークの近くまで出て行って、商工会議所の皆さんや業界団体の皆 さんと一緒になってこの助成金や研修のやり方などを説明して、こういうものを活用し てやっていくことが必要なのではないかと思います。  訓練は必要だということで助成金の予算をとっているのですが、最後の決算のときに なってくると実施率が悪いとか、慌てて最後の辻褄合わせみたいな使い方をしたりして 批判されるわけです。もう少しここは工夫が必要なのではないかと思います。 ○今野分科会長 広い意味で問題提起ですので。 ○石田育成支援課長 全般的なご議論で私が1人で答えるのもどうかと思いますが、若 干事実関係から申しますと、キャリア形成助成金に関しては、実績的には大企業を上回 って半分以上は、むしろ中小の方にご利用していただいていることが1つあります。そ の上で、先生がおっしゃるように、然はさりながら、やはりなかなか使い勝手の悪いと ころがある。それは我々も問題意識を持っています。1つは社労士法の改正のときに、 ご本人が必ずしも申請窓口に行かなくても、社労士に代わりにその書類手続きをやって いただけるような形に、この間の改正でさせていただきました。機構のセンターの窓口 なのですが、関係する計画の作成も、都道府県の職業能力開発協会でやっている所があ りますが、これを両方がワンストップでできるように出張サービスをするとか、一方の 方はこちらに来ていただいて、1回で済ませるようにするなど、少しずつそういう形で の努力はさせていただいています。先生のおっしゃったのは、もう少しハローワーク等々 との連携ということだと思います。ハローワークにおいても一定のパンフレットを置く など、そういう形での周知の部分でのお手伝いはさせていただいています。これからの 課題だと受け止めさせていただければと思います。 ○森岡総務課長 事業主というか、事業主団体が訓練をするのは、特に中小企業は非常 に難しいという問題があります。能力開発機構の中期目標、中期計画がこの5カ年の見 直しのときに当たっていて、今後は機構においてももう少し事業主支援や、自分の所で 訓練をやるということに加え、事業主や事業主団体に対してノウハウを広めていくとか、 そういったものについてもう少し力点を置いて取り組んでいく方法もやっていこうと思 っています。 ○今野分科会長 いずれにしても大変大きな問題提起がされましたので。 ○久保村能力開発課長 いま長谷川委員からもございましたように、能力開発の行政施 策は、きちんとご説明をすると非常にいい制度だと皆さんに言っていただくことが多か ったのです。ただ、それがわかりやすく伝わっていないと思います。例えば今回実習併 用型訓練などについてもなかなかわかりにくいということがありましたので、中央会の 皆さんにも実際にでき上がる前のものを見ていただいて、直していただいたりというこ とをやってまいりました。ほかのものについてもそういったわかりやすい資料を作り、 いろいろなところで目に触れていただくような努力とともに、説明会も、例えばハロー ワークがやる説明会に機構の職員も入れていただいて、こういった制度を説明させてい ただくとか、商工会議所の会議に呼んでいただいてご説明に行くとか、中央会のいろい ろな団体の会議に呼んでいただいて行くなど、もっと制度の内容をお伝えするためのい ろいろな努力をさせていただきたい。また、社労士に非常に中小企業との間をつないで いただいていますので、社労士会とも連携を取りながら、社労士のいろいろな機関誌等 があるので、そんなところにもわかりやすい資料を載せていただくなど、そのような努 力をしていきたいと思います。 ○今野分科会長 それでは江上委員どうぞ。 ○江上委員 いまの長谷川委員の話にも関連しているのですが、ここに実績が小さな数 字で書いてあります。例えば訓練給付金だったら平成17年度実績は57億円が36万人 に配賦された。こういうものをもう少し中身が見えるようにご報告いただくほうがいい かなと。だから、対象者が中小企業なのかとか、大きく分野別など。そうすると、実際 にやったものがどのような傾向として使われたかが見えるかと思うので、少しそこまで 理解できるといいと思います。  もう1つは中小企業と大企業の費用の助成割合を19年度から若干変えていますね。 例えば訓練給付金が大企業のOff−JTに要した費用は中小企業のみにするとか、こ れは大企業なしにするなど、微妙に大企業が3分の1になったり廃止になったり、ある いは実践型人材養成システムのOJTの場合は1人1時間当たり600円は中小も大企業 も一緒でとか、次のOff−JTの場合には3分の1、4分の1とか、職業能力評価推 進給付金については中小と大企業は同じ比率で今年も実践するとか、いま大企業の正社 員の賃金水準はかなり高くなって、格差が出てきている中で、大企業と中小企業の割合 をどのような根拠で1つひとつ決められているのか、そこが少し理解がいかないところ なので教えていただきたいと思います。 ○石田育成支援課長 大企業と中小企業の実績が必要であれば、次の機会にでも資料を 出させていただきたいと思いますが、17年度でキャリア形成助成金全体で金額は大企業 が23億8,000万、中小では36億、合計で60億といったところです。資料は別途提出 させていただきたいと思います。  補助率の関係は基本的には左側に書いてあるように、もちろん中小の大変さに着目し て3分の1の高率にして、大企業は4分の1が基本です。そういう中で今回特にいじっ ていませんが、3つ目の能力評価推進給付金を創設した際に、これについては特に大事 なものであるということで、他の補助率に比べて4分の3ということで、高率の助成を セットしました。これは引き続きそういうことでやるということです。  今回、先ほどご説明させていただきましたが、三事業の見直しの中で、特に企業サイ ドの代表の方とかのご議論がいろいろあった中、全体を縮減する中でどうするかという ギリギリの議論をしていただいた中で、通常型についての大企業については、今回は対 象にはしない。ですので、その部分については3分の1、4分の1という基本パターン は、そのまま今回も維持する。然はさりながら、今回は政策的に新しく加えた非正規に 対するもの、あるいは実践型に対するものについては、若干上乗せしたものでインセン ティブを高めようということです。  自発的というのも昨年から創設させていただいたもので、まだ始めたばかりのものを 大企業とはいえ、やはり自発的なものについては支援していただこうということで、昨 年と同様の助成率を維持していると理解していただければと思います。 ○今野分科会長 よろしいですか。 ○江上委員 何かデータとか、根拠みたいなものは特にないのですね。 ○今野分科会長 例えば3分の1というのはどういう根拠かとか、4分の1というのは どういう根拠なのかということですか。 ○江上委員 大企業の自己啓発支援金が、企業内のサポート費用がどれぐらい平均値が あって、1人当たりがどれくらいでとか、何かそういうような多少数字的なもので、こ れは3分の1、これは4分の1と決めているとかという。 ○石田育成支援課長 キャリア形成助成金に限りませんが、三事業の中に多くの助成金 なりがありますが、基本的にそういう形ではやらせていただいていませんので、基本を 決めてそれに対して新しく政策的に高いものはもう1つ助成率はアップしようという形 でのセットの仕方をさせてもらっています。 ○今野分科会長 なぜ3分の1か、なぜ4分の1か、なぜ5分の2でないかと、そうい う話ですね。 ○江上委員 そうです。だから、大企業について3分の1だったり、4分の1だったり、 同等にしたりいろいろあるので、政策的な狙いでインセンティブを働かせるということ とか、交渉でというようなことで進めておられる向きは理解しました。 ○佐藤委員 規模は製造業と分けてでしょうけれども、常用労働者数、つまり非正規が たくさんいても常用だと規模が大きいとなったり、これはそういうようなことですか。 ○今野分科会長 この大企業、中小企業の定義ということですね。 ○佐藤委員 はい。運用上はどうなっているのかとか。 ○石田育成支援課長 常時雇用する労働者ということですね。 ○佐藤委員 非正規がたくさんいても常用であれば、大企業でたくさんいれば、それは いい。 ○森岡総務課長 常時雇用する労働者数ですが、期間の定めのない雇用者のみでなく非 正規の方でも所定の要件を充たす分については、そのような非正規の方が結果としてず っと入っているということは、常時1人いるということになりますので、常時労働者が 何人いるかということです。 ○今野分科会長 そういうことですか。 ○水町委員 一般的に労働法全体で常用労働者の非正規ですよね。期間の定めのある労 働契約であっても、それを反復更新していたり、実際上継続している場合には、カウン トに入れるのです。 ○佐藤委員 そうすると、かなり実際上そういう人が多いので、小売やサービスは基準 はほとんど大企業です。パートをたくさん、常時しているのは多いです。そうすると、 みんな大企業でやっているのか、運用がわかるといいですね。事実上はみんな大企業に なってしまうと思います。 ○水町委員 カウントは事業場単位ではなくて企業単位ですよね。 ○佐藤委員 企業ですね。 ○今野分科会長 企業単位ですよね。ではちょっと後ろで検討してください。ほかに質 問はありますか。 ○石田育成支援課長 後で説明させていただきます。 ○佐藤委員 正しい説明のほうがいいでしょうから。 ○今野分科会長 ほかにございますでしょうか。それではいま佐藤委員が言った宿題が 残っていますが、回答がなくても、これ全体としてはご承認いただけるかどうかをお諮 りしたいと思うのですが、いかがでございましょうか。 ○中村(紀)委員 2頁の一部改正の(四)のところです。「平成22年3月31日まで の間、認定訓練助成事業費補助金として、中小企業事業主等が行う認定訓練を振興する ために必要な援助を行う都道府県に対し、厚生労働大臣が定める額を交付するものとす ること」と。これについて質問ですが、もともと雇用保険は企業が出していますね。こ の文章を読みますと、いわゆる各都道府県の中にある中小企業がそういう訓練をしよう としたときに、そこに対して都道府県がいろいろ支援するので、それに厚生大臣が定め た額を補助として出しますと言っているのですが、実はその前の(二)とか(三)には、 厚生大臣が定める方法により算定したという、きちんとしたルールが明確になっている のです。最後の(四)だけは厚生大臣が定めた額をポンと都道府県にあげますと書いて あるのです。非常にこれが不透明でクリアではないのですが、なぜこういう文章になっ ているのでしょうか。 ○石田育成支援課長 ほかのものは員数とかそういったもので、いろいろな形で金額が 変わるような性格のものですが、これについてはいわゆるソフト支援というか、先ほど 申したようにコーディネーターを設置したものに対して都道府県が相談体制を取ります と言ったら、その都道府県に対して定額で100万弱というものを。ここに何の意味があ りますかというと、通常ですと必ず都道府県に対して我々は大体2分の1とか3分の1 という補助率で、これはここに定める外のところには普通に書いているのですが、この 部分はご説明で申し上げましたように、どうしても新しく法律で作った実習併用型につ いて、都道府県にもお手伝いをしていただきたいというときに、都道府県は財政状況は 厳しいので、ここについてはそういう補助率という世界を外して、彼らの自己負担がな くても、この必要な経費はこれだけですというものを標準的に定めたものを決めて、そ こだけは定額で差し上げると。 ○中村(紀)委員 それは都道府県が。 ○石田育成支援課長 すみません、これは要綱で先生方にお見せしているのですが、細 かい条文の部分では従来と同じように厚生労働大臣が定める基準に従って算出した額と 書かせていただいています。最終的にはそう書いていますが、定額で差し上げるという ことをわかっていただくために、こういう表記をさせていただいています。 ○中村(紀)委員 誤解は大丈夫でしょうか。法律の一部改正ということで、このまま の文章になって出てくるわけですね。 ○石田育成支援課長 これは要綱ですので、この下の条文は正確に書かせていただきま す。 ○中村(紀)委員 わかりました。 ○今野分科会長 それでは先ほどの会社規模についてはわかりましたか。まだですか。 ○石田育成支援課長 常時雇用する労働者ですけれども、2カ月を超えて使用される者 であって、かつ週当たりの所定労働時間が当該企業の通常の従業員と概ね同等である者 という形で整理させていただきます。 ○佐藤委員 大企業が300人以上で卸・小売は30人でしたか。 ○石田育成支援課長 それぞれの業種に応じてです。 ○佐藤委員 業種に応じて、たしか卸・小売は30人以上でしたか。 ○石田育成支援課長 卸・小売は100人です。 ○佐藤委員 100人ですか。 ○今野分科会長 制度は複雑ですね。ほかにご質問はございますでしょうか。よろしい でしょうか。いろいろご質問はございましたが、当分科会としては「雇用保険法施行規 則の一部を改正する省令案要綱」について、妥当と認めるということでよろしゅうござ いましょうか。 (異議なし) ○今野分科会長 それでは妥当と認めるという旨の報告を私から労働政策審議会会長あ てに行うこととしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。                (報告文案配布) ○今野分科会長 また案文がございますが、案文はご覧になっていただくと、先ほどと ほとんど一緒ですので、今度は読み上げないでご覧になっていただきたいと思います。 よろしゅうございますでしょうか。 (異議なし) ○今野分科会長 それではこういう報告案文にさせていただきたいと思います。ありが とうございました。  これ以後は事務局からの報告の案件になります。議題としては3番目ですが、「職業訓 練実施計画の報告について」です。 ○久保村能力開発課長 資料3−1です。「職業訓練実施計画の概要」については経緯を 申し上げますと、平成16年3月1日に雇用能開機構が独立行政法人化されたわけです が、独立行政法人の制度上、国から法人に対して指示をするのは3〜5年の単位で中期 目標の形で行うことになりました。訓練の規模等は年度単位で変動するので、その辺り を担保するために、機構法の改正と併せて能開法の改正を行い、第15条の7を新たに 規定し、国が設置する能開施設において実施される訓練の対象者数を毎年示していける ようにしたということです。  3−1をお開きください。職業訓練実施計画ですが、これは毎年なので、今回は平成 19年4月1日から平成20年3月31日までの期間を定め、発出することになっている ものです。  2の労働市場の動向ですが、雇用失業情勢は厳しさが残るものの、改善に広がりが見 られます。しかし、地域差が見られ、あるいは若年者を中心として、ミスマッチは依然 大きいという認識です。特に若年者については、いわゆる就職氷河期に正社員となれな くてフリーターに留まっている年長フリーターや、ニートと言われる方たちもだいぶ減 ってきてはおりますが、まだ高水準で推移をしている状況もあります。  ものづくりの部分については、2007年問題等もあり、熟練技能者が引退過程に入って いく状況の中で、技能継承問題が言われているところです。  障害者については、新規求職申込件数が増加をしております。特に、障害者雇用促進 法の改正等により、精神障害者の数が増えてきて、訓練を受けたいという人たちも増え てきている状況もあります。また、母子家庭、生活保護を受けておられる方たちに対す る自立を総合的に支援することにも、力を入れていかなければいけないということにな っております。  実施する職業訓練の対象者数及び主な取組ですが、離職者訓練については14万3,800 人ということで、前年と比べて約18%減になっております。その内、委託訓練は11万 で、70数%の比率になっております。こういう中で、今回の主な取組としては、民間教 育訓練機関を活用した委託訓練をしっかりやっていきたいと思っております。  効果的な実施のための取組の中で、2つ目のポツの就職実績に応じた委託費の支給で すが、だいぶ就職率自体が上がってきたので、就職率によって1万円、2万円という形 で委託費の支給を一部付加して行っておりますが、その就職率のボーダーラインを少し 引き上げる。50%、70%だったものを、55%、75%とする形で、就職率がより高くなっ た場合にインセンティブを出していく形にしたいと思っております。  在職者訓練は9万4,500人で、平成18年度に比べて1割の減となっております。民 間ができない、特に高度な部分に限定して実施していく方針でやっていきたいと思って おります。  (3)学卒者訓練ですが、7,300人で前年よりも400人ほど減っております。これに ついては普通課程活用型のデュアルシステムをやっていましたが、いままで補助金や委 託費で行っていました。3年間のモデル事業で国として特別お金をつけていたのですが、 今回は既存のシステムの中に組み込んでいただく形にしており、そういうことで数が若 干減っているということです。  障害者に対する職業訓練については重点で、全体として1万300人、トータルでも400 人ほどの増となっております。  次の頁ですが、障害者については、アンダーラインを引いておりますが、主な取組と して、平成19年度から新たに発達障害者を対象とした公共職業訓練を試行的に実施し ていきたいと思っております。効果的な実施のための取組の中で、定員の充足状況や就 職状況の低調なものについては、きちんと分析をし、経費の部分も見ていく形でやって いきたいと思っております。  もう1つ、若年者も重点ですが、日本版デュアルシステムについては、来年度は3万 2,000人、短期課程活用型の部分で3万人が民間への委託訓練、2,000人は6カ月の機 構で行う施設内訓練を新設したいということで、全体として拡充をしております。厳し い財政事情、また景気がだいぶ好転していることもあり、訓練の規模については所要の 見直しを図っておりますが、その中で重点分野についてはしっかりと力を入れてやって いくということで、トータルとしては重点化を図っております。  次の資料3−2は、具体的な数字がありますので、またお目通しいただければと思い ます。 ○今野分科会長 ありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問をお願いします。 ○水町委員 2点あります。1つは、基本的に職業訓練は厚生労働大臣が厚生労働省令 で定めるところにより実施することになっています。国で一律にやることが難しい所に は民間委託をする方向に進んでいるように思いますが、雇用促進政策、特に地域雇用促 進政策の中では、都道府県のイニシアティブを活かして、都道府県や市町村など自治体 が自主的に、自発的に計画を作り、それに対して国が助成する方向に進んでいて、雇用 促進政策と職業能力開発政策は、リンクしないと有効に回らないと思うのです。そこの 2つの関係が、必ずしもうまくいっていない。  一方で、地域差があると書いてありますが、地域差に対して、果たして国が一律と民 間委託で十分解消できるかというと、そこで問題があると思います。雇用促進政策との 有期的な連動を図りながら、自治体や地域のイニシアティブをどう活かしていくかとい う方向で検討することが必要ではないかと思います。これは平成19年度からすぐ書き 直してやることはできないと思いますが、平成20年度以降の課題としてご検討いただ ければと思います。  もう1点は、障害者についてです。具体的に障害者の職業訓練について伺ったところ、 かなり内容が陳腐化しているというか、実際企業では障害者の雇用がかなり進んでいて、 先進的な例ではノーマライゼーションで、普通の人と障害者が一体となって、特に差な く働いています。なのに、障害者の職業能力開発機構で何をやってきたかというと、企 業であまり使えないようなものをやってきて、また旧態依然のものしかやっていないの です。もっと、パソコンなど企業で実際使えるようなことを学校で鍛えた上で来てほし いと。そこに非常に格差があるという話を伺ったのです。いちばん最初の話とも少しつ ながりますが、障害者の職業能力開発校において具体的にどういう訓練をするかの中身 も、再検討を行っていただければと思っております。 ○久保村能力開発課長 1点目ですが、職業訓練の仕組みについては、国が直接行う部 分と都道府県が行う部分と、訓練校の数自体は都道府県のほうが圧倒的に多いわけです が、その2つの流れがあります。都道府県で行う部分は基本的に自治事務になっており、 都道府県が独自に企画・立案をして行える形になっております。経費的な部分は、国が 行う部分については、国が直接能開機構に交付金の形でお金を配っているわけですが、 都道府県に対しても、職業訓練にかかる交付金及び補助金を支出しており、都道府県が 独自に行う訓練の経費的な補助も行う仕組みになっております。  それぞれの役割分担については、能開機構は、主にセーフティーネットとしての最小 限の国の政策方針に基づいたものを忠実にやっていただく部分と、都道府県は地域の実 情に基づいて、地域の産業ニーズ、あるいは訓練ニーズに基づいた訓練をやっていただ くといった整理になっており、そういう意味で、それぞれが分担をしながら、あるいは 連携しながらやっている仕組みになっております。  それぞれの訓練計画自体については、都道府県が機構の分も含めて一元的に取りまと め、厚生労働省に報告というか、いろいろ相談をしていただく形になっております。そ の中で、地域の実情に合わせた訓練が実施できるようにということで、私どもも指導を しているところです。  そういう意味で、今回の職業訓練実施計画自体については国が行う部分のみ書いてあ って、都道府県が交付金等を使って自主的にやる部分は、指揮命令の関係がないため、 法律的にもそういうことができない部分もあるので除かれております。委員がおっしゃ るとおり、連携については現在の仕組みはできるようになっているわけですが、そうい う面ではまだまだ不十分な点があるかと思いますので、さらに留意をしてやっていきた いと思っております。 ○水町委員 実施する機関は別々になっているわけですね。 ○久保村能力開発課長 そうです。 ○水町委員 利用する側としては、本来であれば、セーフティーネットでやる基礎の部 分と応用の部分が一体として連携しながら受けられるといいのですが、機関が別になっ ていて、制度が別になっているということですね。そこの連動を、ここに書いてある地 域差を踏まえて、国の政策の中でも活かしていけるようにできればと思います。 ○久保村能力開発課長 仕組み的にはそういう仕組みができてはいるのですが、十分機 能しているかどうかはご指摘のとおりの部分もあるので、私どもとしても主導権を発揮 しながら、県の自主性も活かしながらやっていかなければいけないと思っております。 ○水町委員 どちらが主導権を取るかは、またいろいろ議論があると思いますが。 ○久保村能力開発課長 それはさらに検討し、努力していきたいと思っております。  障害者の訓練についてですが、いまご指摘があったように、従来は施設内の障害者校 で主にやるということで、訓練規模も非常に小さかったのですが、平成16年から委託 訓練の仕組みを導入して、その中で先ほど申し上げたように1万人を超えるぐらいの訓 練規模になってきました。民間委託については、いろいろな多様な機関に委託をしてい るので、それぞれ民間のノウハウを活かしながらやっていただいている部分があり、就 職率も徐々に上がってきているわけです。施設内訓練については、いまご指摘のあった ような問題点があり、いまは知的障害者もパソコンはリテラシーとして全員勉強してい ただく仕組みに変えてきてはおりますが、時代のニーズに合った訓練科目に変えていく ことがどうしても必要なのですが、ご指摘のとおり一部それに即応していない部分があ ります。  そういう意味で、今回の職業訓練実施計画においてもその辺りを明確にする意味で、 先ほど申し上げたように、障害者訓練は充足状況や就労の就職の状況を見ながら中身を 見直し、実施しなさいと改めて言っているところです。これについては、私どもも今年 度から来年度にかけて少し本腰を入れて取り組んでいきたいと思っておりますので、い まご指摘の点は問題点としてきちんと受け止めてやっていきたいと思っております。 ○長谷川委員 水町委員のおっしゃったことと関係するのですが、今回、国会に地域雇 用対策法がかかっていますが、地域雇用は都道府県と自治体、厚生労働省、出先、地場 の企業等の人たちで一緒にやろうということで、自治体が出すようになってきましたね。 それと職業訓練が一緒になってくると、雇用対策と能力開発がマッチングするのだと思 うのです。だから、いまだと雇用対策は雇用対策で打っていく、職業訓練は職業訓練で 打っていくとなっているのですが、折角地域雇用対策でスキームができたので、そこに 乗せながら、どういう訓練が必要なのかなど地域の企業からの意見を聞いてやっていく と、もっと生き生きしてくるのだと思うのです。いままで縦だったところを、もう少し 横で連携させて、折角地域雇用対策法ができてくるわけですから、今年は間に合わない でしょうが、それに能力開発も乗せていくような、次の計画を準備するといいのではな いかと思いました。 ○久保村能力開発課長 いまの行政の仕組み自体が、地方にいくと労働局と都道府県と 能開機構もあるという状況の中で、能力開発行政のまとまりが、主として都道府県にお 願いしているわけですが、そういう面でのいろいろな問題点が指摘されていると私ども も受け止めております。いま地域法の改正などによって機関ができて、その中でいろい ろ全体としての協議が行われているので、その辺りは私どもも積極的に参加をしながら、 雇用対策の中での能力開発の位置づけをきちんと意識しながら、行政展開できるように 努力していきたいと思っております。 ○井上委員 実際にあったケースの報告と、意見を述べたいと思います。私どもの加盟 組織の組合が、この春の生活改善要求の中で、その会社が障害者の法定雇用率を達成し ていなかったことが数値で出てきて、それを達成させるということで要求を出したので す。会社側も、それに基づいて障害者を採用しようといろいろ探されたようなのです。 私どもの加盟組織には高齢障害者支援機構も入っているのですが、そういう所に問合せ をして新規の採用ができないかと、いろいろと奔走されたようなのですが、すぐに働け る形で障害者を登録しているものがなく、結果的にその会社で障害者を採用することが できなかったのです。そのようなことがあって、組合側も会社側も非常に残念だと言っ ていたのです。そういう意味で、先ほどから職業訓練と雇用促進のリンクという話が出 ておりますが、折角きちんと能力開発したとしても、出口の採用のところがうまくいっ ていないケースが見られたかなと思ったので、実際にあったケースをお話しました。 ○久保村能力開発課長 基本的には、ハローワークでその辺りの相談は一元的に行って いると考えておりますので、ハローワークに相談していただいて、思うように全部採用 できるかどうかは別として、求職者がいないことはない気もするのですが。 ○井上委員 ハローワークにも行かれたようなのですが、残念ながら。 ○久保村能力開発課長 その辺りの対応が不十分だったこともあります。確かに、訓練 をしたあとの出口が非常に大事な部分ですので、就職率はかなり高くなってきておりま すが、そういう面ではまだ就職できない方もいらっしゃるので、引き続き力を入れてい きたいと思います。 ○玄田委員 ニーズという言葉が8回出てくるのです。どうしたらニーズがうまく適っ たと言えるかと考えていたのですが、就職実績は非常に大事だし、それに応じて訓練な いし給付を変えていくのは、どんな政策でも必然だと思うのです。景気が回復してくる ので、これから就職実績は上がっていくと思うのです。ただ、とにかく就職さえすれば いいとか、とにかく人がほしいのでという形にならないようにするためには、ニーズに 合っているとすれば、大変難しいと思いますが、正規社員でも非正規社員でもある程度 定着率が上がるのではないかと思うのです。先ほど出口で採用とおっしゃいましたが、 本当の出口はそこだけではなくて、ある程度教育訓練をすることによって、定着率も上 がると。絶対定着率が大事かと聞かれると不安なのですが、ニーズということを考える と、ある程度定着率も一歩先の指標として見ていかないと。その辺りはある程度見越し た上で訓練ないし成果を見ていくほうが、ニーズという言葉に合致するかと思うのです。 どうやるかはわかりませんが、アフターケアのようなものが大事だと思いますので、可 能であれば是非それも含めてご検討いただきたいと思います。 ○久保村能力開発課長 私どもは、ニーズに合っているかどうか、具体的な指標として は就職率があって、そこをこれまでも追求してきたわけです。いま玄田委員がご指摘の ように、どれだけ定着しているのかはいろいろな場面でも問われていますが、従来のス タンスで言うと、なかなかそこまで能開施設としてフォローするのは難しい面があって、 現実問題としてできていないのが実情です。ですから、統計的なものはないのですが、 それでは済まない世の中になってきております。私どもとしては、全体的な統計として 整理するのは難しいにしても、1つの追跡調査的に、訓練を終了した人の就職のあとの 状況をサンプル調査のような形ですることは可能だと思っております。それは来年度取 り組んでみたいと思っておりますので、どういうことになるかはいまの段階では明確に は言えませんが、是非やってみたいと思います。 ○佐藤委員 政策評価をやれるような形だと、いま安定のほうも雇用情報のシステムを 見直していますね。能開のリンクはどうなるかわかりませんが、一定の訓練を受けて就 職したというと、本来は雇用保険のデータとうまくリンクすればわかるのです。  折角システムを作り直している時なので、個人のデータは全然ないわけですから駄目 ですが、政策評価に結びつくような、全体としてこういう訓練を受けて就職した人がど のぐらい定着しているか、あるいは給付金を受けた所での定着率がどうかとか、やれる のです。ですから、もう少し政策評価できるようなシステムに作り直す。ちょうどやっ ているところなので、いまのうちにやらないと間に合わないのです。安定と能開のシス テムをつなげるようにというのも、是非やっていただきたいと思っております。 ○久保村能力開発課長 いまでも、ハローワーク関係で受講指示のデータや受講推薦の データは、一応コードで登録されるようになっているのですが、それがクロスで集計さ れない仕組みになっているのです。集計として取れるのがいちばんいいので、その辺り は私どもからもできるだけ申入れをしながら検討していきたいと思います。 ○今野分科会長 先ほどおっしゃった追跡調査をするときに、委託訓練なども考えてい るのですか。 ○久保村能力開発課長 いまのところ、まず施設内をやってみようと思っています。委 託訓練のほうは、名簿の管理などいろいろ問題もあって、どこまでできるかよくわから ない面もあるのですが、できれば両方やりたいと思っております。 ○今野分科会長 先ほど、委託訓練との関係で、最近就職実績が良くなったのでボーダ ーラインを上げたとおっしゃっていましたね。私が委託訓練を受けているとすると、ボ ーダーラインの上げ方が予測できないと商売の仕方が決まらないのです。それが非常に 難しいと思ったのです。ですから、これを地域に展開すると、就職状況が悪い所はボー ダーラインを下げてもらわないと、同じ努力で実績が違うなど難しい問題があると感じ たのです。 ○久保村能力開発課長 予算が政府原案で決まった段階で、各都道府県及び全専学連な どの受託先の主な団体に、そういう予定であることはお話しており、一応了解をいただ いているところです。いま分科会長がおっしゃった2点目の問題については、制度を最 初に設計したときに、求人倍率と都道府県別の就職率がどのようにリンクしているかを 見たら、全くリンクしていないのです。  例えば、大雑把に言うと、大都市圏のほうが低いのです。むしろ、青森のような所の ほうがかえって就職率が高かったりしたという面があって、必ずしも全体的な雇用失業 情勢の中での求人倍率だけにリンクしているわけではないことがわかってきました。し たがって、前回最初にやったときもそうですし、今回も改めて数字を取り直してみたの ですが、やはり比例する、相関するデータが出てこなかったので、全国一律でやりたい と思っております。 ○玄田委員 いまのボーダーラインの件ですが、引上げについては是非慎重に検討すべ きではないかと思いました。先ほど、フリーター・ニート等については数の上ではやや 改善したとおっしゃっていて、私も同様な認識をしているのですが、考えてみると、そ こでも無業者ないしは不安定雇用者、ある意味では就職困難者が残ることになるのです。 景気が良くても、なかなか就職にたどり着くことができないとすれば、いまおっしゃっ たような全体的なマクロ的な求人動向とはかなり違う人たちが、いま本当の訓練を求め ていると考えると、もしかしたらこれから訓練を必要とする人たちは、これまで以上に より慎重かつ持続的な訓練を必要とする人たちかもしれません。それをマクロ情勢で引 きつけて、就職が良くなったから当然上がるべきだと考えないほうが、特に公的な職業 訓練・能力開発の役割としては望ましいかと思いますので、そこは是非慎重にご検討い ただきたいと思います。 ○久保村能力開発課長 主として財政的な要因によって、そういう見直しを行わなけれ ばいけない仕組みになっているのですが、いま玄田委員がおっしゃったことは非常に貴 重なご意見で、そういう議論も当然あるのだろうと思います。今後の見直しにあたって は、その辺りも十分配慮しながら、財政当局にもそういう理屈も説明できるかと思った ので、よく検討して対応していきたいと思っております。 ○今野分科会長 こういう訓練の政策評価は難しいといつも思うのです。例えば、先ほ ど出た障害者の話ですが、就職率を上げるのは簡単なのです。能力の高い障害者を入れ ればいいだけなのです。非常に重度の人は受けないとか、そういう行動を取ってしまう。 そうすると、たまたま重度の人が多く来た所は、就職率が落ちてかわいそうですね。就 職率一本で計るというのは、難しいですね。 ○久保村能力開発課長 その辺りに、私どもとしては非常に問題意識を持っています。 特に、施設内訓練において障害の軽い人をいっぱい入れているのではないかという議論 があり、国会でもいろいろ言われているのです。これは、役割分担として民間の委託と、 施設内でそれだけお金も使っているわけですから、きちんとした施設を持ってやってい る所は、より障害が重く、就職にあたって高度な支援をしていかなければいけない人た ちを入れていくべきではないかと。新しい障害、非常に難しい対応の障害を持った方も 増えているので、そういうところに積極的に取り組んでいってこそ、存在意義があるの だと思っています。先ほど書いてあった言葉の中にはそういうことも含んでいるのです が、そういうところはきちんとやっていかなければいけないということで、平成19年 度に向けて、各地方に対しても私どもの考え方をきちんと示していきたいと思っており ます。 ○今野部会長 ほかにご質問はありますか。  それでは、第4の議題は「平成19年度職業能力開発局重点施策と予算案の概要につ いて」です。 ○森岡総務課長 資料4−1に基づいてご説明します。冒頭に局長より申し上げたとお り、概算要求については前回の審議会でご説明しましたので、特にそれから変わった点 等を中心にご説明します。  予算額は1,448億円です。概算要求は1,458億円でした。大きな項目として何か落ち たわけではなくて、細かい積上げの中で積算等が見直され、減少になっているものです。  一般会計は157億円です。労災勘定、これは障害者雇用施設等のものですが4億円、 雇用勘定が1,287億円です。大半が雇用保険のいわゆる三事業分のお金です。  若者の人間力の強化と働く意欲の向上は211億です。これは、実践型人材養成システ ム、前回の通常国会で成立した能開法に規定したものですが、この普及のためのモデル 事業等の予算が3.7億円です。また、次の産学官の連携による「実務・教育連結型人材 育成システム」、いわゆる日本版デュアルシステムですが、これが74億円となっており ます。  フリーター25万人常用雇用化プランの102億円の中で、新規に要求した年長フリー ターに対する常用就職支援システムは、実習先行型訓練、年長フリーター自立能力開発 システムとして、年長フリーター向けに土日と夜間で訓練をするシステムを開発し、実 施しようというものです。これについて認められたところです。  産学官連携は、日本版デュアルシステムの再掲です。  フリーター・ニートを初めとする若者自立支援施策、地域若者サポートステーション の拡充強化については、メンタル面のサポート等の相談を行えるような強化を図るとと もに、箇所数50カ所の増要求です。これについては、50カ所の要求はそのまま認めら れております。ちなみに、すでに企画競争入札で入札を行っており、50カ所を超える応 募をいただいた中で50カ所の選定が終わったところで、明日新聞発表される予定にな っております。  「若者自立塾」事業については、25カ所から40カ所の増要求でしたが、入所率等は、 まだ始まったところで、これからの施策であることも含め、30カ所の増となったという ことです。こういった若者対策を行っていただける団体等が増えてきて、団体に対する 大臣表彰を実施したいということについては認められたところです。  学生から職業人への円滑な移行の支援ですが、若者向けキャリア・コンサルティング 普及促進事業についても認められているところです。  非正規労働者の正社員化への機会拡大です。先ほど、キャリア形成助成金の中でもご 説明しましたが、正社員転換のための非正規労働者に対する企業内職業能力開発を促進 する。非正規労働者から正社員への転換のための教育などを行う等の、企業の非正規労 働者の能力開発の助成金ですが、これについて認められたところです。また、派遣労働 者等に係る能力開発・キャリア形成ですが、これは派遣・請負労働者について、主要な 業務分野ごとに能力開発、能力を得るための望ましいモデル、キャリア形成支援計画を 策定していきたいと、またその普及を図ろうというものです。これについても認められ たところです。  経済社会の活力の向上に向けた人財立国の実現です。今回、産業界が主体となって行 われる「2007年ユニバーサル技能五輪国際大会」の連携を図ることとしており、これの 支援を図るということから、10億円の予算が認められております。なお、委員の皆様の お手元にバッジをお配りしましたが、これはユニバーサル技能五輪のバッジで、私ども の局長等もつけておりますが、なるべく多くの方、特に若い方にこれを見ていただき、 ものづくりのすばらしさを体験していただいて、より機運の醸成を図っていきたいと考 えておりますので、PR方お願いたします。  また、ものづくりの魅力に対する理解の促進として、工場、能力開発施設の開放や高 度熟練技能者を工業高校等へ派遣するといった事業を実施することとしております。中 小企業等の技能の円滑な継承に対する支援についても、助成金として行い、さらに情報 提供等を行うこととしております。  職業生活を通じた能力開発の推進は44億円ですが、これについてはキャリア・コン サルタントの資質向上、キャリア形成支援の推進ということで、キャリア・コンサルタ ントに対する研修指導等をやっていきたいということです。キャリア・コンサルタント の能力評価試験の統一的実施、資格更新制度の在り方について検討を行うこととしてお ります。  能力開発制度については、のちほどご説明する底上げとも絡みますが、能力評価基準 等を作っていく、eラーニング導入等をしていくことについて普及を促進していくこと にしております。  障害者対策ですが、障害者に対する能力開発の推進について、1つは一般校を含めた 公共職業能力開発施設における能力訓練の推進ということで、障害者校だけではなく一 般校でも障害者の訓練をしていきたいということで実施することとしております。また、 発達障害者についても職業訓練をモデル的に実施していきたいと考えております。  地域の障害者支援機関を活用した実践的職業訓練として、障害者の態様に応じた委託 訓練を実施していきたいと考えております。障害者職業能力開発プロモート事業として、 政令指定都市でこういった障害者の能力開発を行っていただくことに対する支援です。 これについて6カ所認められています。  外国人労働者問題への適切な対応として、能力開発局では研修・技能実習制度の適正 化を図ることから、受入れ機関等への巡回指導を行うための業務を実施しております。 ○今野部会長 ありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問をお願いします。 ○水町委員 質問なのですが、3頁(1)の上から2番目の○の派遣労働者等に係る能 力開発・キャリア形成の仕組みの整備(新規)のところで、「望ましいモデルやキャリア 形成支援計画を策定し」とあるのですが、これをもう少し具体的に教えてください。ど ういう形でやろうとお考えになっているのでしょうか。  もう1つ、先ほどのこととも関わりますが、5頁の上から2番目の○で、地域の障害 者支援期間を活用した実践的職業訓練の推進で、委託訓練を拡充するということですが、 委託企業とは、これまで具体的にどういう企業に委託されているのかを教えてください。 ○亀島基盤整備室長 派遣労働者のキャリア形成の仕組みの話ですが、これは派遣事業 に精通した事業主団体に委託をして、普及を図りたいということです。具体的にどのよ うな検討をしていただくか、どういうモデルを作っていただくかですが、派遣と請負と 両方を書いておりますが、主には派遣労働者です。例えば製造業の派遣の中では、請負 の部分もキャリア形成で関わってくるので、その場合は併せて検討していただこうとい うことで、派遣労働者のキャリア形成を主体としたモデルと考えていただくのが適当で す。 ○水町委員 事業主団体というのは、派遣企業が形成している団体ですか、それとも派 遣先、いわゆるメーカー等も含めたものですか。 ○亀島基盤整備室長 公募する予定ですので言い切ることができないのですが、結果的 には派遣企業を傘下とする団体が手を挙げてくださるのではないかと予想しております。 ○水町委員 今後の条件として、ユーザーだけではなく送り先としている企業といくつ かの条件、例えば、実際は派遣元と派遣先とそこで働いている人のニーズなどが、全部 吸い上がってきて計画を立てるのがいちばんいいと思いますが、公募の条件にそういう ものがついているのか、ついていないのか。 ○亀島基盤整備室長 公募の前なので、いまの段階で考えているということで、必ずこ うなるわけではないとのご理解の上で聞いていただきたいと思います。例えば、派遣元 の企業だけでキャリア形成の計画が立てられるわけではないので、1つには有識者の方 や派遣先の企業にも入っていただいて、検討していただく仕組みを公募の事業要件に組 み入れ、そういう委員会を作って、それを母体に検討していくことは想定しております。 ○久保村能力開発課長 民間に対する障害者の委託訓練ですが、平成18年度は6,300 人ほどの規模の予算がありました。受託先は、いちばん多いのは民間企業で31%という ことで、就職はある程度念頭に置きながら、個別の企業に企業実習として入っていくも のが多くなっております。あとはNPOや社会福祉法人がそれぞれ20%強ぐらいあり、 専修学校が14%ぐらいです。  業種はデータがないのですが、職種的にどんな訓練を受けているかというと、OA、 パソコン、IT、Webといったパソコン系がいちばん多いのですが、製造加工や介護、 食品製造・販売、清掃といった職種で訓練を受けていただいている状況になっておりま す。 ○水町委員 いちばん多い31%の民間企業は、職業能力開発を生業としている企業なの ですか。 ○久保村能力開発課長 違います。 ○水町委員 一般にやっている中で、一部として受託しているということですか。 ○久保村能力開発課長 要するに、就職をある程度念頭に置きながら、訓練が終わった ら雇っていただけるということで、企業実習的に入って訓練を受けていただくもので、 企業自体は教育訓練をしている企業ではありません。 ○水町委員 就職前のトライアルというか、研修的なものとして一部に組み込まれてや っている例が多いということですね。 ○久保村能力開発課長 ですから、すぐ就職できないけれど、現場でもう少しトレーニ ングしないとまずいという人についてはそういうことになっておりますし、すぐ就職で きるけれど、直ちに本採用するのは難しい場合はトライアル雇用を使うと、大体そのよ うな仕分けになっております。 ○水町委員 その他は公益法人であったりNPOであったりするということですね。 ○久保村能力開発課長 受けている所は、障害者の支援をしているNPO法人が21%で す。作業所や授産施設等の社会福祉法人が24%で、障害者の支援をやっている機関で訓 練を受けていただくということです。 ○西原委員 正社員転換のための非正規労働者に対する企業内職業能力開発の促進の中 身はというのと、額が700万というのがイメージが合わないのですが、具体的にどうい うことですか。 ○石田育成支援課長 それは、先ほど私が省令改正のところでご説明した、いわゆるキ ャリア形成助成金を使って非正規の方の正社員化を図るという型の、事業主に対する支 援の部分の予算です。前回の分科会でもどなたかからご発言があったと思うのですが、 700万というのは、通常の助成に対する助成率の引上げの部分についてのみここで計上 しているのと、キャリア形成助成金は実際にやっていただいたあとでの申請の形になる ので、今年度実際に予算が出てくるということで、とりあえず初年度の芽出しの予算と 考えていただければよろしいかと思います。 ○今野分科会長 ほかにいかがですか。  よろしいでしょうか。それでは、5番目の「成長力底上げ戦略」についてご説明をお 願いします。 ○森岡総務課長 資料5−1です。成長力底上げ戦略については、すでにご承知のとお り、2月15日に内閣官房長官を主査とする関係省庁次官級が集まった「成長力底上げ 戦略チーム」で取りまとめられ、2月16日の経済財政諮問会議に報告されたものです。  全体の概要ですが、基本的な姿勢として「働く人全体」の底上げを目指すことになっ ております。成長戦略の一環として、経済成長を下支えする基盤(人材能力、就労機会、 中小企業)の向上を図ることによって、働く人全体の所得・生活水準を引き上げつつ、 格差の固定化を防止することを目指すものです。「機会の最大化」による「成長力の底上 げ」を図るということで、単に結果の平等を目指す格差是正策とは異なり、意欲のある 人や企業が自らの向上に取り組める「機会」を最大限拡大していこうということです。 人材の労働市場への参加、生産性の向上を図ることで、他の成長戦略と相俟って、経済 の活力を維持・向上させ、経済成長を高めることを目指すものです。  3本の矢ということで3つの施策戦略からなっております。1つ目が「人材能力戦略」 です。「職業能力を向上させようとしても、能力形成の機会に恵まれない人」への支援を 行うものです。「就労支援戦略」は、「公的扶助を受けている人などで、経済的自立を目 指していながら、その機会に恵まれない人」について、自立を図っていってもらうもの です。「中小企業底上げ戦略」は、「生産性向上を図るとともに、賃金の底上げをしよう としているが、その機会に恵まれない中小企業等」に支援し、生産性向上、賃金の底上 げを図っていこうというものです。  今回ご説明するのは、1つ目の「人材能力戦略」の部分です。戦略の基本構想の1が、 人材能力戦略、能力発揮社会の実現で、誰でもどこでも職業能力形成に参加でき、自ら の能力を発揮できる社会を実現していこうということです。1つ目が「職業能力形成シ ステム」です。「ジョブ・カード制度」と通称がついておりますが、これはのちほど絵で 簡単にご説明します。  大学・専門学校等を活用した「実践型教育システム」は、文科省の施策です。  3頁をご覧ください。内閣府のほうで色刷りで作成したものが白黒になっていて、大 変見にくくて申し訳ありません。「能力発揮社会」の実現として、職業訓練が厚生労働省 の部分ですが、能力形成プログラムとして事業主各業界ごとの評価基準に基づいて、O JTと座学を組み合わせた多彩な職業訓練メニューによって能力開発をし、評価基準に 基づいた訓練をして、出来上がりをしっかり評価するということです。右側の真ん中が 黒くなっている所、「ジョブ・カードの就職活動への活用」と書いてある所ですが、ジョ ブ・カードに訓練実績や評価を記録していくものです。ジョブ・カードには、そのほか 職業能力やキャリア形成に関する経歴等についていろいろ記載していくことになると考 えております。  一方、文科省で行う学校教育の実践的な教育について、大学・短大・高専・専門学校 等で学生以外に適用できる多様な教育プログラムを産業・企業等と連携して開発し、履 修証明もジョブ・カードに記載する構想になっております。  こういった構想を実施するために、平成19年度(官民による)構想委員会を設置し、 基本構想等の検討を行うということです。また、先行的プロジェクトですが、審議会で もご議論いただいている実践型人材養成システム、日本版デュアルシステムが先行的プ ロジェクトと位置づけられているので、これを平成19年度しっかり実施していくとい うことです。平成20年度以降は、推進協議会を設け、さらに発展させていくことにし ております。  地域での取組ですが、ジョブ・カフェ、ハローワークと、当然訓練を受講し、就職あ っせんの段階で連携する必要があります。キャリア・コンサルティング等をしっかり実 施していくことにしております。  4頁ですが、「職業能力形成システム」の部分が少し詳しくなっているものです。職業 能力形成機会に恵まれない方ということで、母子家庭の母、子育て終了後の女性、フリ ーター等幅広く挙げられていますが、こういった方についてハローワーク、ジョブ・カ フェでしっかりキャリア・コンサルティングをやっていこうということです。ここで相 談・準備支援をして、今後企業見学等も実施し、希望する方に対して職業能力形成プロ グラムとして、1つは実践型が先行モデルですが、雇用訓練方式(雇用型)で企業が雇 用して、OJTと教育訓練機関の座学を組み合わせて、数か月から2年間やるというこ とです。新卒者が中心になりますが、フリーター等の就職困難者もやっていただきます。  委託訓練方式ですが、訓練を企業等、教育訓練機関になると思いますが、そこに委託 して企業内のOJTと座学を組み合わせ、数か月から2年間で行っています。これは、 いま日本版デュアルシステムで実施しているものが先行モデルになると思います。これ はフリーターや子育て終了後の女性、母子家庭の母等の就職困難者を対象として想定し ております。  それぞれの訓練についても、評価基準に基づいた訓練カリキュラムを開発し、それに 準じた訓練を行っていただき、その訓練の実績についてOJTをやっていただいた企業 等において評価をしていただき、その記載をしたものをジョブ・カードの形で持って歩 けるようにしようというものです。ジョブ・カードの交付ということで、職業能力・キ ャリア形成に関する経歴等を記載し、就労に活用できるようにしようというものです。 記載内容としては、職業能力形成プログラムの履修実績、評価基準を活用した評価結果、 技能検定、その他のもので、持って歩けるようにしたいということです。この訓練を実 施した結果によって、OJTをやった企業でそのまま採用していただける場合、その企 業では採用枠がない等の問題があって採用できない場合は、またキャリア・コンサルテ ィングをして、他の企業でその評価を活かして採用していただくことになろうかと考え ております。それぞれを実施するために官民共同構想委員会を設置し、平成20年度以 降は推進協議会でやっていこうということです。  これは現在内閣府で取りまとめたもので、平成19年4月以降構想委員会を設置して、 さらに中身を詰めていくことになるわけです。いずれにしても、ジョブ・カード、訓練 が産業界に通用するものになることが非常に重要だと考えているので、構想委員会で企 業の方々にもご協力をいただきながら取りまとめ、なるべく産業界でこれなら使えると いうものに仕上げる必要があると思っております。ご協力の方よろしくお願いします。 ○今野分科会長 それでは、ご意見、ご質問をお願いします。 ○玄田委員 ジョブ・カードについて要望なのですが、いわゆる履歴書の空白の問題に 対する1つの公的な対応であることを目的の目玉に加えていただきたいのです。底上げ 戦略と関わってくると思いますが、実際には非常に高い生産性を発揮できながらも、氷 河期等の影響で履歴書に空白があるということで、ある種の低い期待を持たれたり、本 人自身もというのがたくさんあるので、すでに空白になっているものを埋めていくとい うことでもあるし、空白を出さないことも含めて、履歴書の空白に対する対応を公的に やるのだということを、すべてとは言いませんが、その問題があって、それがあったと しても十分に働けるのだということを入れていただくと、いろいろな意味でいいかと思 います。 ○佐藤委員 これから詰めるということですが、いま玄田委員がおっしゃったような履 歴書の空白について、教育プログラムを作って、訓練を受けて埋めていくと思うのです。 これは、評価基準を作って、プログラムを作って、それを入れると言ったら、いつまで 経ってもできません。来年度の話なのでしょう。私はそれを否定はしませんが、大事な のはその他から入れていくことだと思います。  何かというと、いろいろな経験がある。仕事の経験について、評価基準などなくても 実際何をやっているかを入れておくことが非常に大事で、評価基準ができてプログラム ができて、その中で受けたものだけを入れるのは現実的ではないと思います。分類はあ とからやればいいのです。まずは、アルバイトであれ何であれ、NPOの活動でもいい と思いますが、そういうものがあれば入れておくことからやらないと、いつまで経って も動かせないのではないかと思います。できたときには使えなくなってしまうことにな らないようにしていただきたいと思います。  ですから、どういうことをいままで経験してきたのかが書いてあれば、コンサルタン トの人も雇う側も、その人の能力を見ながらインタビューすればわかるのです。そうい うものも、一緒に入れていただくことから始めていただくとありがたいと思います。 ○今野分科会長 これは、お二人は厚労省に言っていますが、厚労省が作ったペーパー ではないのですが。 ○森岡総務課長 これは内閣府で取りまとめられて、当然厚生労働省の次官、厚労審も 入った会議でまとまっているので、相談を受けながらやっているものです。今後、官民 構想委員会を立ち上げて取りまとめるものですが、1つは玄田委員からご指摘があった ように、履歴書の空白、こういうことができるということが皆さんにわかるようになっ て、この人はこういうことができるのだとわかる紙を持って歩き、能力に基づいて採用 してもらえることを目指していくのが基本的な考え方です。佐藤委員のご質問に対する お答えにもなると思いますが、まず、こういうことができるのだということをしっかり 書ける様式にしたいと思っております。  佐藤委員からの、評価を待っているとなかなか進まないのではないかとのご指摘です が、すでに評価基準についても、事務系とプラスアルファ23職種作っております。ま た、日本版デュアルシステムでも、施設内型でやっているのはOJTの評価をすでに始 めているので、そういったものを活用しながら、できるところから評価基準もしっかり 作って、産業界の方々に、こういうことが書いてあれば採れると思っていただけるもの にしていく必要があると考えております。 ○中村(紀)委員 母子家庭の母親に対する訓練と書いてあるのですが、小学校前の子 どもを持つ母子家庭の方のための保育の問題を、併せて解決する形でこれを持っていか ないと。子育て中、母子家庭の方が訓練を企業に委託されてそこに入った場合、身分は どうなるのですか。社員ですか。  いま、いわゆる認可保育園に子どもを預けて行く場合には、必ず就労証明書がないと 入っていけないのです。ですから、身分がどういう形であるかによって、子どもは預け られない場合があるのです。ジョブ・カード制度の中で、何かもらったらそれを持って いけば認可保育園に入れるようなリンクをつけてあげるとか、以前にも申し上げたかと 思うのですが、公共の職業訓練所の中に託児所をつくってくださいと。そこに子どもを 預けながら、その間勉強することができたらいいのではないかと申し上げたのですが、 是非新しい構想の中で、再度母子家庭の母親の就労支援を考えていただければと思いま す。 ○今野分科会長 そういう要望ということでよろしいですね。 ○中村(紀)委員 はい。 ○森岡総務課長 訓練期間中の身分については、雇用訓練方式の雇用型のほうでは、実 践型と勘案していますが、この場合は有期または常用雇用の形で雇用されています。雇 用契約があることが前提になりますので、こちらのほうで企業に受け入れていただけれ ば、雇用になります。  一方、委託訓練方式は雇用されることにはならないので、雇用契約にはなっておりま せん。従来から、訓練期間中の保育のあり方についてはご議論いただいておりますので、 引き続き検討していきたいと思います。 ○中村(紀)委員 まだ答えが出ていないのですね。 ○久保村能力開発課長 保育の問題、特に母子家庭の母の対策については、現在検討会 をつくって福祉サイドといろいろ話合いをしており、来年度に向けて政策的に強化をし ていかなければいけないということになっております。その中で、私どもからは、保育 の部分を担保しないと、なかなか訓練を受けられないのではないかとの問題意識を投げ かけております。  私どもが直接やることについては、前回委員からご指摘もあって内部的にいろいろ検 討したのですが、託児所自体を訓練校につくることについては、都道府県ではいくつか 取り組んでいる例があるのですが、能力開発対策として託児所をつくるという話になる と、予算の執行の面で若干問題があるとの議論もあります。 ○中村(紀)委員 雇用保険から21世紀職業財団のほうに、事業所内保育所という形 で補助金が出ていますね。それの拡大解釈のようなことはできないのでしょうか。 ○久保村能力開発課長 やろうと思っていろいろ調整をしたのですが、なかなかうまく いきません。その辺りは、いまおっしゃった財政の問題やどういう形でつくるのかなど、 解決しなければいけない問題もあるので、福祉との連携等も含めて、引き続き検討した いと思います。 ○今野分科会長 もう少し待ったら、いい成果が出るとのお答えでしたね。 ○水町委員 1つだけ意見です。プログラムや評価を作るという佐藤委員のおっしゃっ たことと同じなのですが、国でプログラムや評価基準、認定基準を一律に作る場合に、 地域の多様なニーズがなかなか吸収できない問題があると思うのです。職業訓練で、国 の基準と違うので、地域のところは認定として救い上げられないという話がありました が、いちばん理想的なケースとしては、地域の企業なり業界団体の意見を、どういうニ ーズがあるかを継続的に聞いて、その意見を吸い上げられるシステムにして、中身を柔 軟に変えていく。あまり国が最初にガチッと決めてやっていき、実際何年か経って全く 使えないものにならないように、地域の多様性や時代の変化を入れられるカードなり基 準にしてもらうことが大切だと思います。 ○長谷川委員 1つは、3頁の学校教育のところで、学生以外に適用できる多様な教育 プログラムとありますが、これはおそらく厚生労働省の職業訓練と学校と両方で出てく るのだと思うのです。そのときのジョブ・カードの認定は、同じものだと思っていいの ですか。地大がこれで儲かるかどうか不思議です。母子家庭の母と子育て終了後の女性 とフリーターの訓練を大学がやるというのですが、そんな余裕が大学にあるのかなと思 うのです。それはさておいたとしても、同じような認定基準を使うのですか。 ○森岡総務課長 地域のそれぞれの訓練基準がニーズに対応できないかということです が、1つは構想委員会、推進協議会においては中央でやりますが、構想委員会、推進協 議会ではジョブ・カード制度、訓練能力開発プログラムの大枠について構想するもので、 それぞれの訓練基準やプログラムについてはそれぞれの業界団体、また、特に労働者の 範囲があるので、そういったものを含めて、そこの中で作っていただいて、評価システ ムにもつなげていければと思っております。産業界と連携しながら作っていこうという ものですので、国が主導的にこれだと全部決めるのではなく、産業界においてこの範囲 であればこの基準で、この訓練をやればいいという形のものをそれぞれやっていきたい ということです。 ○水町委員 なるべく中央集権的産業界ではなく、地域の意見も聞いて、地域に合った 基準にしていくと。 ○森岡総務課長 さまざまなニーズ、ご意見等も踏まえて、我々が主体的に動かせませ んが、構想委員会等にも反映させられるように連携を取っていきたいと思います。  また、学校教育の実践ですが、これは文科省で「実践教育」と言っているものです。 これについては、訓練と同じに評価するのではなく、ジョブ・カードの中でいろいろな ことが書き込まれるというイメージで、最後の出来上がりがどうなるかわかりませんが、 こういう訓練の履修履歴も持っている、職歴も持っている、学校の実践型教育の履修証 明も入っているということで、そういったものを合わせてこの人が何ができるのかがわ かるようになっているということだと思っております。実践教育と訓練が同じになって いるのではなく、これはこれで履修証明がついてくるということだろうと考えておりま す。 ○長谷川委員 最後にもう1つ、これを見ると構想が非常に大きくて、また計画倒れに なるのではないかと心配しているのです。前にYES−プログラムをやりましたが、それ とは全然関係ないのですか。これは非常に似ていると思ったのですが、何でああいうも のがあるのにそれが出てこないで、私はこれが出てきてジョブ・カードと聞いたときに、 YES−プログラムの焼直しなのかと、別名なのかと思ったのです。YES−プログラムが あるのならそれを使えばいいわけで、わざわざみんな集めて、やるのなら1回ぐらいで これでと言って、企業が採りますよと言えばいちばんいいわけで、採らない限りどうし ようもないわけです。 ○森岡総務課長 YES−プログラムは、皆様ご承知のとおり、若年者の基礎的能力につ いて、各講座等を受けて、その実績があるということで、揃えば証明書を出そうという ものです。今日の構想は、実際のOJTを含めた実践型またはデュアルシステムの訓練 を行ってこういうことができるようになったと評価して記載するものです。そういう意 味で、YES−プログラムも当然ジョブ・カードに記載されていくものの1つと考えてお ります。 ○今野分科会長 よろしいですか。久しぶりの分科会だったので、だいぶ議論があって 時間をオーバーしましたが、この辺りで終わりにします。  最後に議事録についてですが、私も署名をしますが、労働者側は西原委員、使用者側 は山野委員にお願いします。  それでは、今日はこれで終わりにします。ありがとうございました。 【照会先】厚生労働省職業能力開発局 総務課 総括係 (内5738)