07/03/27 第11回社会保障審議会統計分科会議事録 第11回 社会保障審議会統計分科会 議事録 1 日  時  平成19年3月27日(火)9:50〜11:30 2 場  所  厚生労働省専用第22会議室(18階) 3 出席委員  今田 幸子、大江 和彦、斎藤 英彦、土屋 了介、        ◎廣松 毅         (五十音順、敬称略、◎:分科会長) 4 議  題  (1)WHO−FICネットワーク会議(2006年11月チュニス)の報告  (2)ICD専門委員会の検討状況の報告等  (3)ICF専門委員会の検討状況の報告等  (4)その他 5 議  事 ○福島企画課長 委員の先生方がおそろいになられましたので、ただいまから第11回 の「社会保障審議会統計分科会」を開催させていただきます。委員の皆様方にはお忙し い中を御出席いただきまして、誠にありがとうございます。 私は昨年9月に統計情報部の企画課長を拝命いたしました福島と申します。どうぞよ ろしくお願いいたします。 審議に入ります前に、社会保障審議会委員の任期の満了に伴う委員の交替がございま したので、御報告させていただきます。 北村惣一郎委員が御退任されまして、新たに1月29日付けで名古屋セントラル病院長 の斎藤英彦委員に社会保障審議会の委員、それから統計分科会の委員として御就任をし ていただいております。 ○斎藤委員 よろしくお願いします。 ○福島企画課長 それから本日は所用のために欠席でございますが、岩田委員におかれ ましては社会保障審議会委員の任期が満了となりましたけれども、本年1月29日付けで 改めて社会保障審議会委員に御就任いただきまして、引き続き統計分科会の委員にも御 就任をいただいているということでございます。 次に、本日の出席状況でございますけれども、先ほど紹介させていただきました岩田 委員のほかに大竹委員、それから柏女委員、西郷委員、津谷委員及び中川委員が御欠席 というこということでございます。 なお、御出席いただきました委員が3分の1を超えておりますので、会議は成立して いますことを御報告申し上げたいと思います。 次に、分科会長の選任についてでございます。 分科会長は、社会保障審議会令第5条第3項に基づきまして、「当該分科会に属する 社会保障審議会委員の方々の互選により選任する。」ということになっております。こ のため、分科会会長につきましては、廣松委員、岩田委員、それから斎藤委員で互選し ていただきまして、引き続き廣松委員に分科会長をお願いするということになりました ので、御報告をさせていただきたいと思います。 また、当部のメンバーに若干変更がございまして、人口動態・保健統計課の保健統計 室長の中野が本日初めて参加させていただいております。 ○中野保健統計室長 着任は昨年の夏でございましたけれども、この部会には初めて出 席させていただきます。よろしくお願い申しあげます。 ○福島企画課長 それから当部部長の桑島でございますけれども、所用のために 10時40分を目途に途中で退席をさせていただきますけれども、御了承いただけますよ うお願い申し上げます。それでは、廣松分科会長、以後の進行についてよろしくお願い いたします。 ○廣松分科会長 廣松でございます。引き続き統計分科会長を務めさせていただきます。 よろしくお願い申し上げます。座って、失礼します。 本日は年度末にもかかわらず御出席いただきまして誠にありがとうございます。議事 に入ります前に、社会保障審議会令第5条第5項におきまして、「分科会長に事故があ るときは、当該分科会に属する委員または臨時委員のうちから分科会長があらかじめ指 名する者が、その職務を代理する。」というふうに規定されております。この分科会長 代理に就きましては、本日御欠席でございますが、引き続き岩田委員にお願いをしたい と存じます。よろしくお願いいたします。 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。 本日の議事は、お手元の議事次第にございますとおり、大きく三つございます。最初が 「WHO−FICネットワーク会議(2006年11月チュニス)の報告」、 2番目が「ICD専門委員会の検討状況の報告等」、 3番目が「ICF専門委員会の検討状況の報告等」でございます。 それでは、まず最初の議題でございます「WHO−FICネットワーク会議 (2006年11月チュニス)の報告」に関して、事務局から御説明をお願いいたします。 ○首藤疾病傷害死因分類調査室長 まず、事務局から説明させていただく前に資料の確 認をさせていただきたいと思います。お手元に配布させていただいております資料は議 事次第という形で、ホッチキス止めされたものが1ページから22ページまで、資料1か ら11までが一冊でつづられております。 資料12が別止めで、「生活機能分類の活用に向けて(案)」が1ページから21ペー ジまででございます。 三点目が参考資料ということで、頭に「人口動態速報」と書かれているもので、つづ りとして22ページでございます。 この三セットおそろいでございましょうか。 それでは、議事次第に従いまして、まず資料1です。WHO−FICチュニス会議の 報告をさせていただきます。 資料1、1ページ目でございますが、このWHO−FICチュニス会議というのはW HOの国際分類ファミリー(Family of International Classification)が年に一度集 う年次会議でございまして、一昨年は統計分科会長にホストになっていただきまして、 東京で開催されたものが、昨年はチュニジアの首都チュニスで開催されました。そこは 期間として平成18年の10月29日から約一週間です。WHO、協力センター、オブザー バー等世界16か国から112 名が参加をしてディスカッションされました。 主に大きなトピックといたしましては、一つは国際生活機能分類、いわゆるICFの 派生分類としまして「小児青年版」というものがWHO−FICの中で正式に承認され ました。これにつきましては後にICFのところでもう少し詳しく説明をさせていただ きます。 それから、WHOが、WHO−FICの組織再編を行いまして、新たに三つのグルー プが立ち上がっております。これについては少し大きな話ですので、4ページをごらん いただきたいと思います。 4ページ目、WHO−FICネットワーク組織図ということで、チュニス会議前とチ ュニス会議後というふうになっておりますが、チュニス会議の前まではWHOの本部の 下に協力センターからなるWHO−FICのネットワーク、その下に五つの委員会と一 つのグループという組織になっておりましたが、これに加えて新たに三つのグループが 立ち上がっております。 一つは下にありますMorbidity Reference Group というものでございます。 ICD は死因統計のための分類として100 年以上の歴史を有しております。そういう意味で基 本的なコンセプトはMortality をベースにしたコンセプトで構成されているのですが、 昨今、Morbidity のための分類としても広く活用されております。しかし、これまで、 WHO−FICネットワークにおいて、Morbidity の観点からICDを検討するという 組織がありませんでした。そのため、Mortality とMorbidity をしっかりと分けて、そ れぞれの観点からICDを検討していこうと、新たにMorbidity Reference Group が立 ち上がっております。  それからもう一つは生活機能分類グループ。これは主としてICF国際生活機能分類 に関するものになります。WHOがICFを正式に承認し数年経ち、いよいよ実際に活 用していく段階に入っておりますが、それを検討する受け皿、検討する組織というもの が正式にはありませんでした。そのため、しっかりとICFの検討をするための生活機 能分類グループを新たに立ち上げております。  それからもう一つ、ターミノロジーグループというものでございますが、これはチュ ニス会議後の表の右の端の方にWHOターミノロジーネットワークという点線で囲まれ た組織と関連するものです。WHO−FICというのはFamily of International Clas sification つまり国際分類ファミリーあり、分類の集まりでございます。それに対しま して、WHOはTerminology 、日本語でどう訳せばいいのか明確な和訳は定まっていな いのですが、医学用語というか、用語に関する別途ネットワークの構築を、現在検討中 です。そのネットワークを彼らはWHO−FIT Family of International Terminol ogyと呼んでおり、WHO−FICと同じような形でのネットワークをイメージしてお ります。そして、ターミノロジーとクラシフィケーションをリンクさせることを視野に 入れております。 このターミノロジーグループというのは、この国際的なターミノロジーネットワーク をWHOが構築した暁には、ターミノロジーとクラシフィケーションをリンクさせる組 織、つまり二つのネットワークの連携を図るための組織としてWHO−FICサイドに 設置されたものでございます。現在は、ターミノロジーネットワークがまだ出来ており ませんので、設置はされましたが、活動を待っている状況でございます。 1ページ目にお戻りください。 今回のWHO−FICの年次会議は、チュニスというアフリカで開催されました。こ れは、WHOの用語になりますが、インフォメーションパラドックスというものを念頭 に置いた開催地となっております。真に情報が必要な地域や国から情報が上がってこな いという状況を、WHOはインフォメーションパラドックスと呼んでおり、今回、アフ リカで開催されることを契機にアフリカ各国あるいはアジア各国が集まり、どのように インフォメーションパラドックスに取り組んでいくのかという特別なセッションが開催 されました。  その他と致しましては、各委員会から各委員会の活動等が報告がされまして、それか ら2ページになりますが、新しい新規グループにつきましても、チェアの選任、今後ど のようなディスカッションをしていくのかについて議論されました。少し特筆すべきは 2ページ目の中ほどに、アジア・パシフィックWHO−FICネットワークミーティン グというのがございます。まだWHO−FICの組織の中では明確に位置づけられては おりませんが、WHO−FICに関するリージョナルな組織として、アジアとパシフィ ックのメンバーを中心に集いました。ここにございますように、オーストラリアから中 国、フィジー、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、タイという9か国の 代表が参加し、今後の対応を地域として展開していくことを検討するリージョナルなネ ットワークミーティングが開催されました。WHO−FICの中では、こういった地域 別の取組は初めてでございます。 このアジア・パシフィックのネットワークの活動をたたき台、参考にして、将来的に は他の国、アフリカであるとかアメリカであるとか、そういう国においてもネットワー クの展開を考えていきたいというのが、WHOの意向です。  アジア・パシフィックのリージョナルなネートワークでは、それらの国の中におけま すICD、ICFといったようなクラシフィケーションあるいはそれらをどのように活 用して正しいデータセットを取っていくのかといったことを中心に、検討が進められて いく予定です。    WHO−FICの本年の年次会議はイタリアのトリエステで10月28日から開催され る予定になっております。   次に、3ページ目の別紙でございます。生活機能分類グループという新たに三つ出来 上がったグループの一つでございます。ICFを中心として議論するグループでござい ますが、これらは立ち上げとほぼ同時に待っていましたと言わんばかりに世界的な有志 が集いまして、この1〜8にあるようなプロジェクトを展開するということが決定して おります。これに対して、各国に具体的にヒューマンリソースの貢献をWHOが呼びか けているところでございまして、順次これらのプロジェクトを進めていくフレームワー クが出来つつあるという状況でございます。  プロジェクト1につきまして。ICFは、もともと理念的に開発されたものですが、 コーディングについて、ある程度のガイドラインは示されているものの、具体的なコー ディングの在り方等については、各国に委ねられているところがございます。各国から のフィードバックを参考に具体的なコーディングの基準、より精緻な基準をつくってい こうと動いております。後ほどご説明させていただきますが、ICFの専門委員会にお きましても、こうしたWHOにおけるコーディングの基準づくりの動きに貢献・対応す べく、わが国におけるたたき台として、評価の基準案を作成したところでございます。 プロジェクト2のICFのアップデートの勧告について。ICFは出来上がってまだ 一度もアップデートもリビジョンもされておりません。今回、ICFを具体的に使いな がら、よりよいものにしていくためにアップデートを行うというICFの改正の枠組み が出来上がりました。流れとしては、このFDRGというのがICFの改正のたたき台 をつくり、WHO−FICのより上の組織に上げていくということになります。 その他と致しまして。元々WHOは、ICFを現時点ではヘルスケアインターベンシ ョンのアウトカム評価に使いたいと考えており、ICDとICFの調和も検討していく 予定です。また、ICFを具体的に測定して尺度として品質を管理しつつ統計的に活用 する方法の検討、そのためのトレーニングあるいは教育用の資料の開発、倫理的側面に ついての検討、ICFの一つの構成要素である環境因子の検討、ターミノロジーやオン トロジーとの連携、といったさまざまなプロジェクトが今後展開され、国際的に活発な 議論を行っていくこととなりました。 以上で、WHO−FICのチュニス会議の報告を終わらせていただきます。 ○廣松分科会長 ありがとうございました。ただいまの御報告に関しまして何か御質問 ・御意見ございますでしょうか。 このチュニスの会議には日本からは大体何人ぐらいの方が出席されたのですか。 ○首藤疾病傷害死因分類調査室長 全体で約10名でございます。実は今回はデビゲー ションとしては加盟国の中では最大数でございました。おそらく2位であるオーストラ リアより「8名だったので、日本に負けた」との話が出ておりました。 ○廣松分科会長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。もし、まだ何かご ざいましたら、後ほどまとめて御意見を伺う時間を取りたいと思いますのでその時にお 願いします。 ○大江委員 少々よろしいでしょうか。 ○廣松分科会長 はい。どうぞ。 ○大江委員 ICHIというのはどういう動向になっているか、何か情報があれば教え ていただけますか。 ○首藤疾病傷害死因分類調査室長 ICHIは基本的にはオーストラリアを中心に開 発が進められてきたのですが、オーストラリアサイドから報告がなされまして、開発に 当たっては極めて厳しい状態にあるということでございました。場合によっては開発を 断念せざるを得ないようなディスカッションもなされております。これにつきましては、 いろいろディスカッションが行われましたが、結局、オーストラリアが各国に積極的な 貢献を呼びかけてはきたものの、厳しい状況の一番の要因は、リソースが足りないこと だと考えられています。 ○大江委員 ありがとうございました。 ○廣松分科会長 それでは、次に進ませていただきます。2番目の議題でございます。 「ICD専門委員会の検討状況の報告等について」、これも事務局からお願いいたしま す。 ○村山人口動態・保健統計課長 6ページの資料の2をごらんいただきたいと思います。 ICDの専門委員会につきましては、資料の2の右肩にあります平成13年の7月30日 に、本分科会におきまして、委員会の設置規定を決めていただいた後、臨時の委員会を 設置し、開催してきたところであります。昨年の2月13日の本分科会におきまして、先 ほど説明がありましたようにWHOにおいてICDに関する活発な動きがあること、あ るいは大きな枠組みの議論があるということで、統計分科会長のご了解により、常設の 委員会として疾病、傷害及び死因分類専門委員会、ICD専門委員会の設置をお認めい ただきまして、次の7ページにございますように、第1回の会合を昨年の7月に、第2 回を昨年の12月に開催し、合計二回開催されたところでございます。 8ページにございますように、ICDの専門委員会を常設委員会として設置するに当 たりましては、後ほど御説明させていただきますけれども、ICDの10から 11への改訂、それから先ほど説明いたしましたMorbidity(疾病統計)での新たな動き等 々を背景といたしまして、各医学会等の協力も得まして、総勢27名と非常に大人数の方 々に委員をお願いして発足したところです。◎をつけてございますが、座長は横浜労災 病院の院長の藤原先生にお願いしているところでございます。検討内容等につきまして は、室長から説明させていただきます。 ○首藤疾病傷害死因分類調査室長 それでは引き続きまして、資料の4、9ページから 御説明を続けさせていだきます。  ICDのこれまでの経緯と致しまして、ICD−10は1990年版が1990年にWHO において採択されまして、WHOからの勧告を受け、わが国でも1995年1月から適用さ れました。従来、WHOはいわゆるリビジョン(改訂)のフレームワークしかなかった のですが、新たに、アップデートという日本語では改正と訳しておりますが、ICD− 10のまま少しずつバージョンアップしていくというフレームワークをつくっております。 WHOでは、2004年の10月にICD−10の一部改正であるICD−10の2003年版の勧告 を行っております。これに呼応する形で、わが国でも社会保障審議会統計分科会の下に 疾病、傷害及び死因分類部会を設置しまして、ICD−10の2003年版準拠を適用してい るところでございます。 それから、ICD利活用の促進につきましては、WHOは分類に関するビジネスプラ ンというのをまとめております。そのビジネスプランの中で、ICDの改正を行いなが ら2015年を目途としてICD−11への改訂(リビジョン)を行うということになって おりまして、このような活動を積極的に推進するために新たにモービリティ・リファレ ンス・グループ、いわゆる疾病分類グループ等を設立しながら、そのICD−11に向け た枠組みづくりを構築しつつあるということでございます。 それから、わが国の対応といたしまして。このようなICDに関する国際的な情勢が 活発化していることを踏まえ、かつ、2003年版の適用をご審議いただいたICDの部会 におきまして、ICDの改訂についてWHOが作り上げたものを国内に単に適用するだ けではなく、作り上げる段階からもっと積極的に貢献すべきであること、また、日本に 適用に関しても様々な問題があるので、ほぼ恒常的に議論をする枠組みが必要であると いう御指摘を受け、ICDに関する疾病傷害死因分類委員会を設置するに至っておりま す。 それから、1ページおめくりいただきまして、資料の5でございますが、ICDのリ ビジョンとアップデート、これはよく混同いたしますので、機会があるたびに何らかの 資料を提出させていただきまして、説明をさせていただいているところでございます。 このリビジョンというのは改訂と呼んでおりますが、従来、大体10年に一度のサイクル でICDの改訂を行っていたものでございます。 ICD−1から10までは、ずっとこのリビジョンのサイクルだけでほぼICDのバージ ョンアップは進められていたということでございますが、ICD−10以降、アップデー トというICD−10の中での一部バージョンアップというフレームワークをWHOが つくりました。その中でも大改正と小改正、メジャーチェンジとマイナーチェンジと呼 ばれるものに分かれます。この大改正というのは新しいコードを追加したり削除したり といった、ある程度統計的なデータ等に影響を与え得るようなものを改正する枠組みで あり、三年に一度。そして小改正、これは簡単な誤字・脱字を含めた、あまり統計デー タ等にも大きな影響を与えないと思われるものを改正する枠組みであり、毎年行うとい う形になっております。  1ページめくっていただきまして、このように、ICDのバージョンアップというの は11に向けての大きな動きと同時に、まだアップデートというサイクルも継続して行わ れておりまして、2つの活動を同時に展開しつつ、ICDをバージョンアップしていく という形になっているということでございます。ですので、ICD−11を待たずにIC D−10のアップデートの中で改定できるものは各国からの意見を入れて次々と変えて いっております。議論をどのように区分していくのかといったことについては、ICD のリビジョンが具体的に始まった段階にもう少し具体的に整理されるものと考えられて おります。 いずれにしろ、これはWHOにおけるICDのアップデート、リビジョンの話でござ いまして、WHOが変えたから即わが国に適用ということではございませんので、ある 程度、統計的なデータの継続性等も視野に入れつつ、このWHOがバージョンアップし たものをわが国にどのように適用していくかにつきましては、また統計分科会におきま しても議論していただきたいと考えております。 それから、12ページ資料6でございますが、ICDのリビジョン(改訂)に向けたW HOの取り組み状況ということでございますが、これはWHO側の担当官が発信してい るものです。まだ公式にネットワークにおいて認められたというものではございません が、WHO担当官ベースではこのようなスケジュールでICDの改訂に臨みたいという 考えです。 まず2006年、もう既に2007年になっておりますが、三つの視点、つまり科学、臨床、 公衆衛生という視点から作業計画を作成し、そして2008年にはICD−11の草案とし てαバージョンを公開したいということです。αバージョンといいますのはWHO−F ICのネットワークのメンバーや専門家向けの草案になります。そして2010年にはIC D−11のβ版を公開。このβ版とは、もっと幅広くデータの検証等フィールドテスト等 を行うためのものでございます。このβ版を2010年につくり上げたいとのこと。そして 2010年にはより広く一般的なレビューを受けて、2014年にWHOの世界保健総会に提出 ・承認を経て、2015年以降、各国が順次導入するというスケジュールを暫定的に考えて おります。  これから七年、八年といったような時間が必要になる少し長期的な話ではありますが、 そうは言っても、もうα版というのが当初の予定では来年には公開されてくるというス ケジュールであり、全体のフレームワーク(枠組み)等についての議論は、この一年、 二年でほぼでき上がっていくのではないかと考えております。 それから、改訂のプロセスについて、組織図が13ページにございます。これは改訂の プロセスを概念的に示したものになります。4ページのWHO−FICのネットワーク の組織図と比べ合わせると少しはっきりするかと思いますが、WHOの分類チームとい うのはWHO本部の、この分類に携わる組織であり、ICDの改訂に関与するところは、 チュニス会議後の組織図のマトリックスの右から二つ目にございます分類改正改訂委員 会URC(Updating and revision Committee)という常設の委員会になります。この常 設の委員会の下に改訂運営会議というものを、ICDの改訂を行うための組織として別 途つくり上げる予定です。  そして、その改訂運営会議の下には、恐らく10〜20程度のワーキンググループとい うものが設置されまして、具体的に与えられたテーマあるいは対象となるチャプター (章)ごとになるのか、その辺りはもう少し具体的に議論が展開されますが、ディスカ ッションされる予定です。ワーキンググループでの知見が、この改訂運営会議に上げら れて、そこで取りまとめられたものが分類改正改訂委員会で承認されて、WHO−FI Cの年次総会で決議承認され、最後にはWHOの世界保健総会に挙げられるという意思 決定のプロセスで、議論が進められる形になっております。いずれにせよ、この改訂運 営会議というのがICDの改訂に関する中核的な組織になると位置づけられております。  この第1回目の改訂運営会議が来月日本で開催されることが決定しております。その ことについて御報告させていただきたいと思います。15ページの資料7でございますが、 「改訂運営会議開催次第」とございます。WHOはこの第1回目のリビジョンに向けて の改訂運営会議を日本で開催することを決定し、4月16日の月曜日、東京において、1 0時から11時半、WHOが主催となりまして、プレスカンファレンスがフォーリンプレ スセンターで行われ、WHOがこれからリビジョンに向けて取り組むということを、国 際的に発信致します。  同日午後、日本のICD専門委員会の先生方と懇親昼食会を経て、省内の省議室にお きまして、意見交換を行う予定です。わが国においてICDに関し専門性の高いメンバ ーと、ICDの改訂の作業を実際に行う中核的な改訂運営会議のメンバーとの意見交換 会が開催されるということでございます。 それから、17、18日、場所を小田原に移しまして、改訂運営会議のメンバーにより今 後のICDの改訂の方向性等につきまして、具体的なディスカッションが行われること になっております。  このような形でICDの改訂の活動が、これから具体的に、国際的に展開される状況 になっており、わが国ではICD専門委員会の先生方を中心に、関係する学会等の協力 を得ながら対応していきたいと考えております。 以上で御報告を終わらせていただきます。 ○廣松分科会長 ありがとうございました。ただいまの御報告に関しまして、御質問あ るいは御意見ございますでしょうか。 ICD−11に向けての改訂作業が実際に開始され、そこに日本も積極的に関与すると 位置づけていただいておりますので、専門委員会の皆様方にはこれから色々と大変な御 努力をお願いしなければいけないことになろうかとも思いますが、是非、よろしくお願 いしたいと思います。 大江先生、専門委員会のメンバーでいらっしゃいますが、何か、補足という点ござい ますでしょうか。 ○大江委員 いいえ、特には。 ○廣松分科会長 よろしいですか。 ○大江委員 はい。 ○廣松分科会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。 先ほどのWHO−FICの説明でもありましたけれども、WHOの組織というのはな かなか複雑というか、少し聞いただけではすぐに把握するのは難しいですね。ただし少 なくとも、大変積極的に活動していることはよくわかりました。よろしいでしょうか。 それでは、続きまして、第3番目の議題でございます。これは「ICF専門委員会の 検討状況の報告等」でございます。ではよろしくお願いいたします。 ○村山人口動態・保健統計課長 16ページの資料8でございます。ICF専門委員会で すが、生活機能にかかる委員会ということで、これにつきましては、昨年の2月13日、 統計分科会におきまして、生活機能にかかる委員会というものの設置の規程、ここにご ざいます16ページの規程を統計分科会でお認めいただきまして、この規程に従いまして、 統計分科会長の了解を得て委員会が発足したということでございます。 この背景につきましては先ほど説明がありましたように,チュニス会議におきまして FDRGのように生活機能のためのグループができるなど、それからアップデート等々 大きな動きを背景としてこのような規定をお認めいただいたという経緯でございます。 資料9、17ページでございます。開催状況につきまして、第1回を昨年の7月に開催。 その後、12月。それから本年の2月ということでこれまで三回開催させていただいてお ります。 それから18ページに本ICFの専門委員会の名簿を付けさせていただいております。 9名の方に委員をお願いしております。この委員のお願いの仕方につきましては、生活 機能分類という分類の性格から、WHOから、三者構成で審議することを勧められてい ます。三者構成といいますのはもともと障害分類から発達した経緯もあり、生活機能の 当事者、高齢者をもちろん含みますが、当事者、それから生活機能に関する専門家、お 医者さんなどを含む専門家、それからいわゆる学識経験者という三者構成です。この勧 告に従いまして、9名の方々に委員をお願いしております。座長は福島県立医科大学医 学部教授の丹羽先生にお願いしております。この検討の内容につきましては、また室長 の方から説明させていただきます。 ○首藤疾病傷害死因分類調査室長 それでは続きまして、ICFの専門委員会におけま す検討状況を報告させていただきます。19ページ資料10でございます。 まず、ICFの関するこれまでの経緯でございます。もともとICF(国際生活機能 分類)というのは、ICD(国際疾病分類)の第9回改訂に際しまして、WHOがIC Dの補助分類として発表した国際障害分類に端を発しております。その後、単に心身機 能による生活機能障害を分類するという考え方でなく、生活機能という人間を総合的に とらえた観点からの分類として活動や社会参加、特に環境因子といったところに大きく 光を当て、その概念の拡充及び質的変容を行いまして、国際障害分類の改訂版という形 で、2001年5月のWHO総会において国際生活機能分類が採択されました。その際、W HOは、このICFをICDと並ぶ国際分類の中核として位置づけました。  19ページ下方、ICFの利活用の促進につきましてもICD同様WHOは分類に関す るビジネスプランを策定し、その方向性を定めております。20ページに入りまして、そ のような活動を支えるために、先ほど御報告させていただきましたとおり、WHO−F ICのネットワークの中にICFに関する専門的な委員会、生活機能分類グループが設 置され、昨年10月に正式に発足しております。  ICFに関する検討あるいは世界的な普及が推進されるというような国際的動向を 受けまして、かつ、ICFにつきましては国内でもさまざまな方々がその重要性等を認 識して利活用されているケースも多くなっているため、解釈の統一化や正しい普及がな されなければ、混乱を来す恐れもあることを受け、ICF(生活機能分類)の専門委員 会が設置されました。国際的な活動への展開と国内への正しい普及を目的といたしまし て、昨年から三回の会議を開催しております。  資料の11でございます。これはまだ仮称でございますが、国際生活機能分類の小児 青年版について御報告をさせていただきます。この国際生活機能分類の小児青年版とい うのは特にICFというのが開発された段階で、小児とか青年期と、あるいは発達とい ったような概念を盛り込んだ時期の生活機能特性というものが十分に盛り込まれていな いのではないかという意見が多数寄せられたことを受け、そういった内容を特に補完的 に分類する目的で、ICFの派生分類として開発されたものでございます。 派生分類と申しますのは、資料少し戻りますが、5ページをご覧下さい。これが現在 WHO−FIC(Family of International Classification)の形でございます。IC DとICF、それから、先ほど大江先生からも御質問いただきましたICHIというも のを中核に据えつつ、それぞれ例えば国際疾病分類腫瘍学第3版というのは、国際疾病 分類の腫瘍のところをより精緻に詳しく分類できるように派生させたものでございまし て、このように中心分類のある特定の部分、いわゆる特定の概念をより広げた形ででき 上がったものが、派生分類と呼ばれています。ですから、このICF−CYは、基本的 に、各中心分類とリンクできる形になっております。補足になりますが、関連分類は、 基本的には保健、医療、福祉の分野で非常に重要な国際的な分類とありますが、直接的 に各中心分類とはリンクできる形にはなっていないというものでございます。 このICF−CYというのは、このWHO−FICの中でICFの派生分類という形 で昨年正式に承認をされたという形でございます。現在はWHOの中で正式に勧告をす る手続を内部で進めているところでございまして、もうしばらくしますと、正式な出版 物あるいはウェブ上で告示される予定となっております。わが国におきましても、告示 された際にはICFの専門委員会等で、その具体的な翻訳の作業等に入っていただきま して、国内への普及に努めたいと考えております。 ICF−CYについてもう一度戻らせていただきまして、資料21ページにございます 概要について。ICF−CYはICFの派生分類という位置づけでございまして、18歳 未満の新生児、乳幼児、児童、青年を対象としております。この18歳未満という年齢の 設定は基本的には国連総会において採択されております児童の権利条約に準拠している ものでございます。  ICF本体は総合的なものでございますが、ICF−CYは成長発達期の特徴を記録 するための必要な詳細な内容について、ICFを補完する形で開発されております。 ICF−CYは、臨床家、教育者、政策決定者、家族、本人、研究者等が小児・青年 の健康と生活機能の特徴を記録するために用いることを目的としており、小児・青年の 生活機能の上での問題、また小児・青年に関係の深い環境因子についての施行の枠組み みと共通の用語を提供するものです。  ICF−CYは小児・青年の健康生活機能の発達に関する専門・政府部門・国境を越 えた共通言語であるというふうに概念的には非常に幅広いものをとらえておりまして、 これらをより具体的にどういうように活用して展開していくかというのは国際的な議論 が、今後展開されていく予定です。WHOは、各国が国内への適用等について議論し、 同時に、国際的に連携を図り知見等を共有化していくことを求めております。 以上がICF−CYの御説明でございます。  最後に、資料の12「生活機能分類の活用に向けて」という冊子がございます。 御説明をさせていただきたいと思います。 「生活機能分類の活用に向けて」、これはICFの専門委員会において、御議論をい ただいたものでございます。具体的なICFの利活用に向けまして、特に活動とか参加 の状況というのを評価するということがICFの中で定められておりますが、その評価 の基準につきまして現段階ではかなり抽象的な評価軸の設定となっております。これに ついては各国で具体的な評価を行い、各国での知見を反映させて、より具体的な評価方 法を国際的に定めていきたいというのがWHOの現在の方針でございます。この流れを 受けまして、具体的なICFをどのように活用していって、どのように評価すべきなの か、特にこの活動と参加の部分にスコープを当てて、国内に普及するために取りまとめ られたものです。これは現時点では案でございまして、御意見等がございましたら頂戴 したいと考えております。そのため、 1ページおめくりいただいた裏表紙にございますように、このために専用の当疾病傷害 死因分類調査室のE−mailアドレスを明示させていただいております。 この「本書の目的・活用方法等」、2ページ目でございますが、本書は、WHOで開 発・勧告されましたICFについて専門家だけでなく、当人や家族を含めまして、医療 や介護等に関係する方や、健康づくりや社会参加等に取り組んでいる方を対象に、かな り幅広い分野におきましてICFの活用の一助となるように、特に活動と参加の分野に ついて暫定的な評価点を導入する手引きとしていただくことを目的としたものでござい ます。  これはICFの専門委員会の役割でもございますが、具体的に各施策に直接リンクを してどのように使うかというものではなく、国際的な標準に合わせつつ、ICFに基づ く評価をする場合に、人によって評価の方法等がずれないように標準軸を定めたもので ございます。その適用等につきましては、やはり幅広いところが想定されますが、個別 具体的な政策適用の範疇について事細かに踏み込むという趣旨のものではございません。  二つ目の○でございますが、評価方法については一定の指針等はWHOも示しており ますが、詳細な具体的な活用方法について、現在は各国の判断に委ねられている状況に ございます。ですので、WHOでも各国での使用状況あるいはデータの還元等を望んで おり、そのことを受けて、暫定的に評価的基準を定めるということでございます。  そして、3ページ目でございます。ICFの評価を用いるときの基本的な考え方でご ざいますが、基本的にICFというのは個別な分類項目というのが設定されております。 それぞれの項目、例えば歩行については短距離の歩行といったような分類項目がありま すが、分類項目単独では意味をなすものではございません。その分類項目に対してそれ ぞれ評価が行われるということになっております。 分類項目。これは非常に多岐にわたっておりまして、基本的に全人的に把握すること は可能な設計となっております。ただ、すべての場面におきましてすべての項目を評価 するというものではございませんので、実際の活用の際にはそれぞれの目的に応じた活 用方法があると考えられております。 健康状態、環境等、さまざまな要素が生活機能に対して相互に影響を与え得るという のもICFにおける非常に重要な概念でございますので、そのことにつきましても記載 されております。 4ページ目でございますが、まず基本的にICFというのは人間の生活機能に関する 項目をアルファベットと数字を組み合わせた方式で表す形になっております。そして、 第1レベル、第2レベルというように次々と細部に項目が設定されておりまして、例え ば第1レベルでa4という分類では運動・移動というふうにグルーピングされておりま す。それがもう一つ細かく、a450となると、その中でも歩行と、そしてa450の中でも 更に1つ細部に下りますとa4501長距離歩行となります。そして、この長距離歩行の状 況について評価を行い、a4501の後にピリオドを置きまして、ピリオド以下については 評価を記載するという形になっております。  ICFの構成要素間の相互作用ということでございますが、4ページの下の図と5ペ ージの上の図をご覧下さい。これはICFの概念を表すものとして非常によく使われる 図です。生活機能の中の左の端にございます心身機能・身体構造は、視覚、聴覚といっ た機能と身体の構造になります。これらは、例えば歩行であるとか、家事・職業能力と いった活動に影響を及ぼすことになります。そして、その活動というものはスポーツで あるとか仕事といった参加に影響を及ぼします。そういったように心身機能・身体構造、 活動、参加というのが相互に影響を与えるというのが生活機能の概念でございます。そ して、環境因子というものと、個人因子というのが更にそれに影響を与えると考えられ ております。 環境因子というのは例えば社会的な制度であるとか、すみません、この制度というの はシステムといった制度の誤りございますが、それとサービス、人間環境であるとか物 的な環境等であり、活動や参加に影響を与えることになります。そして個人因子につき ましても、活動や参加に影響を与えるということで、ICFでは、それぞれの構成要素 について分類の項目が設定され、評価ができる形になっております。ただ、取り急ぎ、 WHOとしては、活動と参加をきちっと評価するところに重点を置いています。わが国 としましても、まず活動と参加の方法について、たたき台として軸を定めたいというこ とで取組を開始したところでございます。  具体的な活動と参加の評価方法について、7ページになります。WHO−FICでの 流れに沿い、「活動」と「参加」の評価方法をわが国としては優先して取り組む方針で す。この「活動」と「参加」というのは定義がなされておりまして、「活動」とは課題 や行為の個人による遂行のことであり、個人的な観点からとらえた生活機能を指すもの とされています。「参加」というのは、生活・人生場面へのかかわりのことであり、そ れは社会的な観点からとらえた生活機能を表すとされています。「活動」の概念と「参 加」の概念というものにつきましては、誤解を与え得るところでございますので、具体 的な活用例を普及させつつ、国内に正しく普及していきたいと考えているところでござ います。 そして、少し中身を省略させていただいて、具体的な活用の方法で、評価の方法でご ざいますが、10ページ以降の暫定案でございます。「活動」は、課題や行為の個人によ る遂行ということになりますが、実行状況と能力というものがきちんと分けて考えられ ております。実行状況というのは個人が現在の環境の下で行っている「活動」の状況と いうことで、そして能力というのは、ある行為や課題を遂行する個人のある意味ポテン シャルと言ってもよろしいのでしょうか、についてということであり、実際にしている のか、できるのか、ということをICFでは区別しようとしております。同じように 「参加」につきましても、実行状況と能力を区別しようとしております。  あとは13ページ、14ページに評価点をつけるに当たっての原則、それからICFを 活用した「活動」及び「参加」の評価につきまして、より具体的に示されておりまして、 そして、具体的なケースといたしまして、19ページ以降、「ICFの評価点の使用例」 ということで、ある40歳男性Aさんのエピソードということで、バイクで転倒して脊髄 損傷と診断された方に対してどのようなアプローチをしたかというケースを少し例とし て挙げさせていただきまして、それをICF上評価するとどのようになるかと、19ペー ジの後半から20ページの前半までは一連のストーリーが書かれておりますが、ICFを 用いて評価をするとどのようになるかということを解説させていただきまして、最終的 に数字として表した場合が21ページの一番下にございます。「活動」で、例えばa4104 「立つ」ことについては、この(1)、(2)、(3)、(4)、(5)というのは 19ページから20ページと呼応して時系列を示しており、ICF的に評価をするとこうい うものを例示しております。  ただ、この具体的なエピソードにつきましては、ICFというものを使用する例とし て挙げているものでございますので、これは理解のしやすさを目的としたものでござい ます。 ICFの具体的な活用の方法というのはもっと潜在的には多様なものであると考えら れますので、この使い方をこのような形でICFを使って、現場でこういうような活動 を展開するという意味ではなく、ICFを用いて評価を行う場合のわかりやすさという ものを目的とした使用例であるということを御理解いただきたいと思います。 以上で、ICFの専門委員会の御報告を終わらせていただきます。 ○廣松分科会長 ありがとうございました。ただいまの御報告に関しまして、何か御質 問・御意見ございますでしょうか。 ○齋藤委員 全く素人でよくわからないのですが、ICFがあって、小児・青年版とい うのがあって、派生分類というのが出来たわけですね。それは当然、18歳以下の成長期 に特有な心理的、いろんな身体的な問題があるということでできたと思います。そうす ると、いずれはまた75歳以上の後期高齢者を対象にしてできる可能性がありますね。た だ、グローバルには18歳以下の人間が圧倒的に多く、日本のように高齢化した社会は余 りないので、今は必要でないとしても、何十年か経てばそういうものかできるのでしょ うか。 ○村山人口動態・保健統計課長 まず、ICF自体が、今おっしゃったように小児・青 年、それから高齢者も含むすべての方を対象とするというコンセプトでできております ので、まず、この中に今おっしゃった高齢者も既に含まれている。それで申し訳ないで すけれども、一番最初の厚い冊子の18ページをご覧いただくと、委員名簿が入っており ます。この名簿の一番下のところ、長谷川省吾先生という方に委員をお願いさせていた だいていますが、この方は全国老人クラブ連合会の常任理事で、先ほどの三者構成の言 葉で言えば、当事者に該当する方でございます。 このICFはスコープとしてすべての人間を対象にしています。実は私もICFの対 象者で、生活機能の評価がされる対象ということになります。具体的には私は眼鏡がな いと見えませんので、この眼鏡をかけることで見るという生活機能が改善している。で すから、先ほどの評価点基準でいくと、まず実行状況としては、今は見えていますけれ ども、眼鏡がないと見えない。眼鏡をかけたことで見えるということで、点何とか何と かと、こういう表示をされることになります。もちろん、高齢者も同じですし、障害の 方も同じですが、小児青年の場合には特有のものがあるということで、ICFの中で更 に追加的に派生分類を作成するという考え方のようです。 おっしゃるように高齢化が進んでいく中で、もちろん高齢者版が出てくる可能性はあ りますが、ICFは全員をスコープ、対象にしているので、高齢者はこの枠組みの中で 進めていこうというのが現在の考え方でございます。 ○首藤疾病傷害死因分類調査室長 少し補足させていただきますと、現在、やはりWH Oの中でも、ICFの設立当初からICFのコンセプトの中で発達・成長をとらえた概 念というのは、やはり非常に弱いというところは指摘されていてCYが開発されるに至 ったのですが、高齢者に関しましては、当初から生活機能低下者の最も典型的なものと して高齢者をとらえて、高齢者の生活機能低下の状況をどのように抽象的に把握するか という観点から開発されているところもございます。もちろん、障害者から発したので すが、単に障害者だけではなくて、高齢者も生活機能低下者、非常に重要な対象者であ るということで開発されていたので、それ自体に対して不備があるとか、視点に欠けて いるものがあるという指摘は現時点では受けておりません。もし、それがあるとすると、 おそらくICFの中でアップデートしていくという可能性が高いかもしれませんが、今 は現に各国で使い始めている段階ですので、ICFの利便性、利活用がどうかというフ ィードバックを受けて、WHOが検討するということです。今の段階では高齢者につい て派生分類をつくるということは全く議論としては伺っておりません。 ○廣松分科会長 他にいかがでしょうか。どうぞ。 ○土屋委員 ICFが先ほどおっしゃったように障害の分類から生活機能というポジ ティブな分類であるのは大変いいことではないかと思いますが、先ほど資料 12の5ページですか、この活動と参加のところに集約していくということで、それに影 響する因子として下の方に環境因子と個人因子。特に環境因子の中を見ますと、物的環 境とか人的あるいは社会環境、これらはいわば援助とか補助とか支援とか、そういった ことになると思いますが、実際に活動とか参加の、今、結果のデータを見ると、この環 境がどうなっているのかということが実際にこれを解釈するときに大変興味深いことに なると思います。ですから、これが含まれて見えるということが大変大事ではないかと 考えます。。 そういう考えでいきますと、先ほど大江先生がICD−10のところで、ICHIがど うなったかという御質問があったかと思うんですが、以前ICD−9の頃、プロセデュ ア(医療行為)の分類というのがあったかと思いますが、我々医療の現場にいますと、 死因から今度疾病の分類へ大きく変更し運用するときには勝手が良くなると思うんです が、そのときにやはり医療行為ということと絡めた分類が出てくると大変実務的に応用 しやすいのではないか。これが暗礁に乗り上げているのは大変残念だなという気がしま す。 ○首藤疾病傷害死因分類調査室長 先生のおっしゃられることは本当にもっともだと 思いまして、それは再度WHOの方にも日本側からコメントとしてお伝えさせていただ きたいと思います。いずれにせよ、全てにおいてWHOの取組というのは概念的にきれ いに整理・理解されていないのですが、一番の問題はやはりリソースに尽きるという状 況になっております。 ○廣松分科会長 他に。どうぞ。 ○今田委員 すみません。全く素人の質問ですが、若者向きに発達という考え方が新し く導入されて、旧来型の新しいバージョンが生まれてきたという御説明だったと思いま すが、それはどのように理解したらよろしいでしょうか。発達ということは若者が成長 して、いわゆるデベロップしていく。成人の場合にはそういう発達は止まって、それと は異なりケアだとかそういう発想があるということだろうと思いますが、どこがどう違 うのでしょうか。どういう部分が、若者を対象に発達することを前提にして評価する場 合の分類という考え方なのでしょうか。私などの素人が見てどう考えればよろしいのか。 その辺り、簡単に教えていただければ。 ○村山人口動態・保健統計課長 資料の22ページの「(3)開発過程」に少し書かれ ています。「理論的な根拠」云々とありますが、その下の(2)のところでしょうか。「児 童・青年を対象とする際の諸問題」ということで、通常の私どもが成人した場合と少し 異なると、児童・青年の場合ですね。成熟・自立への途中過程だとか、あるいは発達の 遅れといっても個人差がある中での発達の遅れで、本当に成人が遅れていることと意味 が異なるとか、そういう置かれている状況が成人を評価する場合と比べ経過的な位置づ けにあるということを意識して、別途このようなものを作った。ICFは、もともと全 人的な評価の枠組みとして障害分類から発展してつくったが、経過的な人たちというこ とで別途更に追加的に見られるものを設定したというのがCYの考え方ではないかと思 っております。 ○今田委員 哲学はわかります。具体的にここで言っているのは、ここでの使用のどう いう点に表れているのか。 ○溝口ICD室員 ICD室員の溝口と申します。補足で説明をさせていただきます。 今、御指摘があったように、ICF−CYの具体的なところがどこに出ているかという お話でございますが、実はこの資料で先ほどから御提示させていただいております、例 えば資料12でございますが、こういったものはICF本体の方でございます。ですので、 一連の説明の中でICF−CYに特化したものはまだ出てきておりません。この資料の 12はICF本体部分において、各国に委ねられているまだ具体的な評価点基準がないと ころを、具体的に出させていただいているものでございます。 ICF−CYの方も説明させていただきましたが、これはまだ、今後、日本語版をど のように出していこうという状況でございまして、委員御指摘のような具体的な項目が どうというのは、実はまだこの資料の中では出てきていないことになります。 補足いたしますと、WHOの方でも、ICF−CYを勧告するところまでは決定され ましたけれども、例えばホームページですとか、刊行物といったものはまだ出していな い状況でございまして、事務局修正もまだ入る可能性が残っていると伺っておりますの で、まだ詳細を出すには至っておりません。 ○廣松分科会長 よろしいでしょうか。 ○今田委員 はい。 ○村山人口動態・保健統計課長 補足ですけれども、先ほどの資料のICFの資料の中 で、私が言いそびれてしまったのですが、21ページをご覧いただきたいと思います。21 ページの資料11です。21ページの2のところです。「国際生活機能分類−小児青年版 ICF−DYの国内の適用について」とあります。先ほど説明を省略させていただいた んですが、(1)のところ、今、補足がありましたように、WHOによるICF−CY の勧告は、まだWHO側におきます事務局整理が済んでいないので、まだ行われており ませんが、WHOによる勧告は必ず行われる予定です。  その次の(2)で「国内への適用に関する検討」の考え方でございますけれども、元 々これは統計に関する基本的事項でございますので、WHOから勧告がございましたら、 勧告につきまして、この統計分科会に報告させていただこうと思っております。それを 受けまして、中身は個別具体的なので、ICF専門委員会におきまして、日本への適用 について御検討いただき、その検討結果をまたこの統計分科会に報告いただいき、ご了 解が得られましたら、現在のICFの赤い本のように、国際生活機能分類のICF−C Yという形で、私どもの方から日本での普及という観点から刊行するという手順を考え ております。勧告の具体的な内容が参りましたら、この分科会に御紹介・報告させてい ただき、今申し上げた手順で進めていきたいと考えておりますので、御了解いただけれ ばありがたいと思います。   ○廣松分科会長 ありがとうございました。他にいかがでしょう。どうぞ。 ○大江委員 ICFについて構造を真剣に読んだのは初めてなんですが、大分理解でき たつもりですが、少しまだわかっていないのは、例えばこの資料12の中で、「活動」と 「参加」については実例が挙げてあるわけですね。「活動」の中には例えば、用具の支 援があった場合にはどの程度できるかということが、その小数点以下3けた目のコード に表れているわけですけれども、用具といっても具体的にそれが松葉杖なのか車椅子な のかというような用具の種類によってアビリティは変わってくると思うんですね、評価 の基準点というのは。そういう用いる支援用具の情報というのはこの背景因子に含まれ ているこの環境因子のコードで併記するというのが実際の使い方になるんでしょうか。 ○村山人口動態・保健統計課長 今おっしゃった辺りのところは、実は元々このICF は、先生から御指摘がありましたように、環境因子も合わせてみるのではないかという ことかと存じますけれども、今回まだそこまで議論が進んでおりません。そのため、例 えばこのパンフレットの13ページに、少し書かせていただいておりますが、「評価点を つけるに当たっての原則等」の中の4つ目の○です。個人の生活機能の変化を把握し、 共通認識を得るために、評価点を付けるだけでなく、当人の状況等について記載するこ とが望ましいのではないか等の意見があります。これは委員からの御指摘のように、参 加と活動の基準だけだとよく見えない部分があるだろう。かといってまだ環境因子に関 しましても議論が進んでおりません。どのような評価点をつけていくのか、あるいは、 コードはあるんですが、どのように使っていくのかについて、委員会の知見が得られて おりません。それであればコメントというのでしょうか、そういった形で補っていくの ではないだろうかという意見もございまして、現段階ではそこまでございます。環境因 子の具体的な使い方はまだ委員会でも議論ができていない。一応コード体系はあること はあるんですが。 ○大江委員 委員会で議論されていないので、使い方はまだ決まっていないということ は、言い換えると、ICF自体では生活機能と背景因子をどのように組み合わせて記述 するのかという取り決めを一切していないということなんでしょうか。つまり、それは 言い換えると各国にまだ委ねられている段階であるという、そういうことでしょうか。 ○村山人口動態・保健統計課長 もっと言えば、13ページの下のところにあります評価 項目コードの後の評価点のつけ方、この三つを今なんとか表示しておりますが、これ自 体がそもそも各国にどのようにするか委ねられていると。 ○大江委員 私の聞きたいことはそういうことではなくて、全体のある一人の生活機能 が何によってどういう生活機能があるのかなど、環境はどうなのかという、その全体を 組み合わせてその人の状態が記述できるはずだと思うんですが、その全体の生活機能と 背景因子と健康状態をどう組み合わせて書くか、というようなことはあまりはっきりと はまだ提示されていないという、これから議論されるものであるということなんでしょ うか。 ○村山人口動態・保健統計課長 まだ議論されていなかったと理解しております。 ○首藤疾病傷害死因分類調査室長 実は、全くそのとおりというかまだ議論されてござ いません。実はICF、この資料の5ページ目にございますように、「参加」や「活動」 を評価するというのも大事ですが、それらがお互いにどう影響しあっているかという、 この矢印の部分をどう評価するかということが非常に大事な話でございまして、例えば 環境因子が活動に与えている影響という矢印をどのように評価するのかについても、お そらくプラスやマイナスという形では評価はできるんですが、程度までの評価というも のについて、活動と参加をどう評価するかまでは、ディスカッションが始まったくらい ですので、今後、FDGRの専門的なワーキンググループでディスカッションされてい くというところで、全体像としての評価の枠組みというのはまだ定められておりません。 ○大江委員 わかりました。それから、今後のことにはなると思いますが、こういうI CFのコーディングを具体的にこの実例で見ると、現実問題、日常の診療でもしこれを、 例えば入院時の状態を例えばICFコードを振りなさいと言われると、かなりタイムコ ンシューミングなタスクだと思います。現場の医療者にとっては。仮にこれを理解して いたとしても、かなりICD−10のコーディング以上に難しいものだと思うんですが、 そうすると、価値というのは非常によくわかりますし、今後こういうものが標準的にコ ーディングされていくことも重要だということは当然理解されると思いますが、こうい うものができてきて、何か具体的にコーディングをするときに、どのくらい人的あるい は経済的コスト、時間的コストがかかるのかについても合わせて、少し早い段階から調 査していく必要があるのではないか。そうしませんと、こういうものがあるから、入院 時の状態をICFコードで振りなさい、振って出しなさいといったことが次々とこれか ら起こってくると思います。例えばいろいろな統計調査のためにですね。そうしたとき に、それがそれだけの時間とコストをかけて価値のあるものかということはやはり常に 評価されなければいけないと思いますし、そうしませんと、現場の医療で当然それに割 かれるコストが増えるわけですから、その辺りはこのICFの委員会で今後併せて検討 いただきたいと思います。 ○村山人口動態・保健統計課長 今、先生のおっしゃるとおりでございまして、18ペー ジの委員の方々の中にも当事者あるいは専門家、あるいは場合によっては今、先生がお っしゃった意味でのユーザーとして使ってみてそういった知見を得たいという御意見を お持ちの方もいらっしゃいますので、是非それについても委員の方から結果をおまとめ いただいて報告していただき、この分科会でも御議論いただければと思っております。 ○廣松分科会長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。 私の感想として、先ほどの特にCYの方はかなり漠然としたもので、これから輪郭と いうかアウトラインが決まるだろうと思いますが、個人的に経験しましたことで言いま すと、総務省の行政評価局で少年非行対策の、その施策に関する評価の手伝いをしたこ とがありますが、そのときに少年非行とは、ここの考え方でいくと、発達過程の途中と いうか途上であるがゆえの反社会的な触法・不法行為なのか、そうでないのか、という ことが議論になりました。これは将来の理想的な状況かもしれませんけれども、こうい うICF−CYのような一つの何というか基準のようなものができれば、そういう評価 も大変やりやすくなるだろうと思います。ただし一方で、今、大江先生がおっしゃった とおり、それを誰がコーディングするのかという点は大きな問題だと思います。 いずれにしましても、WHOのICD、ICFは両方とも何というのでしょうか、標 準化しようという試みであって、それに関しては日本としてもサポートしていくべき動 きではないかというふうに思います。 ほかに、どうぞ。 ○土屋委員 確かに大江先生の心配は私もしています。これは統計情報部の責任ではな くて、保険局側の責任かと思います。 どの辺でこれを活用するかと、このICFの方ですね。これはやはり7ページのとこ ろ、「活動」と「参加」の定義をきちっと書いておいていただくと、リハビリのPT、 OTや何かには大変有用ではないかと思います。こういうどこで使うかというところを はっきり示されると大変有効に使えるのではないかと思います。PT、OTの方がこう いうことを理解されていると、客観的な評価をかなり早くできるのではないかと。です から、これを先ほど言われたように、一般の医療の中に全部入れられてしまうと、大江 先生が言われるように大変な混乱を招くので、その辺りも含めて、分科会の先生方ある いは専門の先生方にアピールをよくやっていただいておいた方がいい。 ○廣松分科会長 ありがとうございました。ちょっと時間が迫っておりますので、とり あえず三番目の議題は以上にさせていただきまして、実は本日は議題とは別に事務局か らもう一つ報告事項があると伺っております。その点に関してよろしくお願いします。 ○村山人口動態・保健統計課長 最後の冊子でございますが、参考資料につきまして御 説明させていただきます。 参考資料の1でございますが。これは2月21日に人口動態統計の速報として公表させ ていただいたものです。昨年の2月にも人口動態の、人口の動向について御報告させて いただきましたので、関連ということで今回も御報告させていただきます。 この人口動態統計速報は2月に公表しておりまして、平成18年度人口動態の動向をま とめて、範囲は少し違いますけれども一番早い結果ということで御報告、公表させてい ただいたものでございます。 ここでは3ページをご覧いただきたいと思います。人口動態の動向につきましては出 生、死亡、婚姻、離婚等ありますが、月の変動が激しいということで、季節変動を除き ました当月を含む過去1年という季節変動をならした形での統計でながめておりまして、 出生は18年の1月を底としてずっと増加傾向にあるということでございまして、特にマ スコミ等から合計特殊出生率はどうなるのかという議論がございました。先般の国会等 で厚生労働大臣から平成18年の出生率は1.3 台になる可能性が高いという答弁があり ましたので、それについて御説明させてもらいます。  6ページをご覧いただきたいと思います。出生数の動向から合計特殊出生率について 若干のことが説明できるということでございます。6ページにございますように、出生 数といいますのは、女子の人口とそれから合計特殊出生率、15歳から49歳までの年齢 別出生率の合計でございますけれども、それにあと年齢構成の違いの三つをかけ算した ものになっている。年齢構成の違いというのは今、団塊ジュニアが30代前半におります が、そういう状況におきましては、どの年齢も同じ場合に比べて若干プラスマイナスが あるわけですが、その分を計算したものです。 下の平成16年から17年の動きを見てもらいますと、15から49歳の女子人口は毎年 大体1%程度減少している状況。それから年齢構成の違いというのは団塊ジュニアが30 代を超えて出生率の低い方に移っていっていますので、これも下がっている傾向という 状況でございます。18年の出生数につきましては先ほど申し上げませんでしたが、増加 傾向ということで、速報ベースでは2.9 %の増加、約3%の増加でございます。そうし ますと、女子人口が1%程度の減ということでございますので、差し引き、合計特殊出 生率に大体4%程度の増加がないとこの式は成り立たない。年齢構成の違いがまだあり ますので。 ところが、平成17年の実績は1.26で、1.26が1.3 台に乗るにはどのぐらいの増加率 が必要かというと、大体3%ぐらいです。ということで、今申し上げましたとおり、合 計特殊出生率は女子人口の減があるために、大体4%程度の増が見込まれますので、結 果として1.3 台になる可能性が高いというのが大臣の答弁の根拠になっているという ことでございます。 あと、7、8、9のところは婚姻が増えている理由ということで、特に9、10ページ は私ども統計情報部でやっております縦断調査が婚姻の増加の背景の根拠を説明するデ ータを提供しているので併せてつけさせていただいております。 それから、13ページ参考資料の2でございます。これにつきましては、先ほどICD の中で説明がありましたけれども、ICD−10の2003年版について統計分科会におい て厚生労働大臣への答申のための手続をしていただきまして、平成18年の1月から適用 になっておりますが、人口動態統計で2003年版の初めての実績が得られましたので、 13ページの右上にありますように、平成18年の7月18日に適用に伴います実績として 公表させていただきました。専門委員会にも公表させていただきましたので、今回、統 計分科会にもお示ししております。 主なところとしては、14ページにありますが、C型肝炎の統計、感染症ベースで見た ときに急激な変動が見られるとか、それから14ページの2のところで耐性菌に関する分 類の改変、それから私ども原死因ということで死亡統計を取っておりますが、そのルー ルの変更も2003年版の適用の中にありましたので、そのために従来の統計の変動がある というようなコメントをお示しさせていただきまして、最後、19、20、22のところで、 実際に公表した統計上に表れた相違を見てもらったということでございます。 手短で恐縮ですが、以上でございます。 ○廣松分科会長 ありがとうございました。ただいまの御報告に関しまして何か御質問 等ございますでしょうか。少なくとも、出生数とか出生率に関して今大変注目を浴びて いるというか、一般的に関心が高いようです。それは大変いいことだと思いますが、た だ結果として、それが出生率の上昇するような方向に働くのかどうかは、よくわかりま せんね。 ○今田委員 団塊ジュニアの人たちがちょうど出産する。その人たちの効果でもって出 生数は上昇しているという理解は正しいわけですよね。その結果として合計特殊出生率 を出したときに、そういう年齢構成とか、そして結果として合計特殊出生率も上がるだ ろうという今の御説明なのですか。 ○村山人口動態・保健統計課長 ちょっと補足させてもらいますと、8ページをご覧い ただくとわかりやすいと思います。8ページの下を見ていただくと、これが典型的なも のだと思いますが、グラフが4本、右上がりのものと右下がりのものと走っております。 まず、右上がりのところを見てもらいますと、これが30〜34歳。これが団塊ジュニア の動きです。これは結婚の動きですが、日本の場合は結婚の後に出生がきますので、ほ ぼこれで見られると。右上がりにずっとなっていますように、団塊ジュニアはもっと前 からずっと結婚が増えてきております。これは人数が増えるほかに率も上がってきてい るので、おっしゃるように団塊ジュニアが出生の上に率も寄与し、人数の上でも寄与し ているというのが一点です。  それから、もう一つ、右下がりの実線がございます。これは20代の前半と20代後半 ですが、ずっと下がっておりますが、17年の7月から止まっておりまして、そこが横に 動いています。これは何かというと、前のページをご覧いただきますと、7ページの二 つ目の○のところで、20代の前半と20代の後半のところの初婚率というものの対前年 差、17年のところを見てもらいますと、20代は、未婚化・晩婚化で下がってきましたが、 17年におきましては20代前半は0.0 、20代後半は+0.3 ということです。これは平成17 年の前半が下がっているから差が小さいのであり、後半は上がっているので、実は20代 は結婚が増えています。それも出生の増加の要因となっています。ですから、突き詰め ていうと、合計特殊出生率の効果というのは、もちろん団塊ジュニアの効果もあります が、今回は20代の出生率の効果も期待できるというのが結論です。   ○廣松分科会長 よろしいでしょうか。 ○今田委員 その団塊ジュニアは少しずつずっと上がっていきますね。要するに、出生 適齢期をだんだん過ぎていく。そうすると、出生数が減っていく。だけど、20代のとこ ろはまだこれから可能性が高いので、この20代が上がっているということは長期的に見 て出生数の増加を相殺していくだろうという、そういう読みですか。 ○村山人口動態・保健統計課長 6ページをご覧いただきたいと思います。申し訳ござ いません。 今の話は大変重要なところでございまして、まず、6ページのところで下にグラフが ございますが、まず横長にずっといって、急に下がっているグラフ、これが女子人口の 人数そのものです。これは平成9年から下がっていきまして、あと15年間も下がること は、この人たちはもう生まれていますので、わかっている。今より1割減ります。それ から年齢構成の違いとは、この波うっているグラフです。これは団塊ジュニアが、出生 率とは関係なく、出生率の高いところにいるかいないかについてしかいってないのです が、平成15年にピークを過ぎて、今は下がりつつある。だから、団塊ジュニアの人数の 効果はこれから薄くなるというのがあります。 ところが、もう一つの合計特殊出生率は、これは人数と関係なく率だけですので、お っしゃっているように今回は上がりそうだ。上がっている要因としては30代の今おっし ゃったジュニアの分と、それから18年につきましては20代の分もあるということです が、基本的には合計特殊出生率が同じ場合には女子人口は減るばかり、1割ぐらい減り ます。年齢構成の違いは団塊の世代の動向のグラフがその前にありますけれども、大体 2割ぐらい落ちているんですね、ピークから。ですから、団塊ジュニアについてもこれ から低下していき、15年ぐらいで2割ぐらい下がる。結局、合計特殊出生率が同じ場合 には出生数は3割減ります。簡単に言うと80万ぐらいになってしまうことはわかってい るわけですね。 ですから、これから20代の人たちが出生率を上げてくれないと、つまり3割ぐらい上 げてくれないと、もっというと1.7くらいになってくれないと、今の出生数は維持でき ないという現実でございます。 ○廣松分科会長 よろしいでしょうか。他にどうでしょうか。少し予定しておりました 時間を過ぎておりますが、他に全体を通して何か御質問あるいは発言ございますでしょ うか。 私の方から最後に一言。先日、人口動態・保健統計課長それから保健統計室長もおい でになっていましたが、開原先生と別の会議でお目にかかったときに、大変、大きな御 発言がございました。今、確かにICD、ICF等の分類に関して国内でも専門委員会 を設けて熱心に御討議いただいている最中ですが、診療科とおっしゃったんでしょうか、 そういう診療を行う組織に関する分類がかなり古くなっている。ただしこれにはかなり 医療法に規定されているという制約がございますが、どうも現在の統計報告等で取ろう としている診療科の分類が現実に合っていないというような御指摘がございました。こ の問題は当然、統計情報部なり、あるいはこの統計分科会で議論すべき論点ではないか と感じました。分類を変えるということはかなり大きな作業になるだろうと思いますが、 少なくとも外部からそういう御指摘があったということだけはやはり、この統計分科会 として真摯に受け止めなければいけないと思いました。 具体的にこの統計分科会でどのように扱うかはまた事務局等と御相談をしながら考え ていかなければいけないと思いますが、少なくとも現在公表されている、特に医療関係 の統計に関しては、そういう問題点があるという御指摘があったことだけ、最後に一言 私の方から申し上げておきたいと思います。 それでは、本日の議事は以上でございますが、よろしゅうございますでしょうか。事 務局の方から発言はありますか。 ○福島企画課長 長い間御審議をいただきましてありがとうございました。次回の統計 分科会の開催につきましては、また別途日程を調整させていただきまして、改めて御案 内をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○廣松分科会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。大変お忙しいところ、ど うも長時間ありがとうございました。                 照会先 厚生労働省 大臣官房 統計情報部                     企画課 統計企画調整室 統計企画係                     電話 03-5253-1111(内線7373) 1