07/03/22 第7回中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会議事録 第7回中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会 1 日時  平成19年3月22日(木) 10:00〜12:00 2 場所  厚生労働省6階共用第8会議室 3 出席者  ○ 参集者     今野委員、小川委員、金子委員、倉知委員、小林委員、佐藤委員、原川委員、     堀江委員、村上委員、輪島委員  ○ 事務局     岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長     土屋障害者雇用対策課長、浜島障害者雇用対策課調査官、     白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、     澤口障害者雇用対策課障害者雇用専門官、手倉森障害者雇用対策課課長補佐、 4 議題  (1) 中小企業に対する雇用支援策の強化について  (2) その他 5 資料    資料1:前回(第6回)研究会における主な意見    資料2:中小企業における障害者の雇用の促進に関する論点整理 ○今野座長(以下、「座長」)  時間になりましたので、ただ今から第7回中小企業における障害者の雇用の促進に関 する研究会を開催させていただきます。今日の出欠状況ですが、藤原委員と森戸委員は 御欠席でございます。それでは、議事に入りたいと思います。前回の研究会では、論点 整理を行って、全般的な議論をしていただきました。そこで、今日はその論点のなかの、 中小企業に対する雇用支援策の強化というところに少し絞って議論をしていただければ と思います。前回の総論的な議論ではかなり広めの議論があったんですが、改めて少し 論点を絞って議論をさせていただければという趣旨でございます。そこでまず、事務局 から今日配付している資料について御説明をいただければと思います。 ○事務局  まず、資料1といたしまして、前回第6回の研究会における主な意見をまとめたものを 配付いたしております。また、資料2といたしまして、中小企業における障害者の雇用 の促進に関する論点整理ということで、前回お出ししました論点整理に加えまして、前 回の意見も加えた形で配付させていただいております。以上です。 ○座長  それでは、前回議論したように、中小企業に対する雇用支援策の強化についての論点 については、論点1から論点4までございます。資料2のページでいきますと、3ページ以 降になりますが、順番に、論点1、論点2、論点3、論点4というふうにやっていきたいと 思います。まず、論点1について、事務局から簡単に説明をいただいて、議論をしたい と思います。それでは、よろしくお願いいたします。 ○事務局  3ページをご覧ください。3ページの2で、中小企業に対する雇用支援策の強化という ことでございます。まず、論点1では、中小企業におきます障害者雇用についての理解 の促進についてということで、論点をまとめております。中小企業における障害者雇用 についての理解の現状について、どのように考えるか。また、それを踏まえ、理解の促 進を図るために、どのような対策を講ずるべきか。ということで、(1)といたしまして、 障害者雇用について、特に中小企業では経営トップの理解がないと進まないと考えられ るが、経営トップの理解を促すためには、どのような方策が効果的と考えるか。(2)とし て、障害者を1人も雇用していない企業において、障害者雇用についての理解を進めてい くためには、どのような方策が効果的と考えるか。(3)として、中小企業における理解の 促進のためには、行政や関係機関からの働きかけだけでなく、中小企業団体や中小企業 同士の連携を活用し、自主的な取り組みを促進することも効果的なのではないか。また、 具体的に、どのようにして実質的な取り組みを促進すべきか。(4)として、障害者の理解 を深め、障害者雇用を進めていくためには、中小企業と福祉施設や特別支援学校との交 流や連携を、地域レベルで進めることも効果的ではないか。以上の4つの論点となって おります。 ○座長  あと、その下にこれまで出た意見が簡単に整理をされておりますので、そのようなも のも見ながら、自由に議論をしたいと思います。それでは、始めましょうか。どうぞ。 何でも結構ですので。いかがですか。小川委員、どうぞ。 ○小川委員  私は、障害者自立支援法という状態のなかで、やはり地域のなかで、どんな障害者に つきましても、特徴を生かしていただけるという状況は理解しているつもりでございま すので、やはり、支援という状態になりますと、中小企業の方々と障害者の懇談的な方 向がとれるような制度、仕組みということを、行政側にも御指導いただければ非常にい いのではないかと感じとっております。私の地元では、自動車の備品関係の中小企業で も障害者が大分活躍している状況は現実に認めておりますので、全ての零細の企業の方 々にも理解していただけるような支援策を講じていただければという思いでございます。 ○座長  他にどうですか。 ○金子委員  私ども精神障害者の場合、全国の職親連合会というのがありまして、精神の障害者を 雇用の前の段階から訓練して受け入れていただいております。この団体でいろいろ研修 会なんかもやっておりますけれども、小さな団体なものですから、研修会やなんかをや りたいといっても、非常に事務局としては弱いということもあります。そういうことで、 そういう小さい企業が障害者を雇うといっている実際の実例とかを、雇っていらっしゃ らない企業の方にも情報を提供したいと思いながら、なかなか十分にはできていないと いうことがありますので、大きな団体や会ではなくて派遣も、そういう地域地域でそう いうことができるようなことを助けていただくような制度があると、入りやすいなと思 います。 ○座長  どうぞ。 ○堀江委員  これからの自立支援法が始まりますと、各市区町村、自治体が主体となって、いろい ろな雇用施策を進めていくわけなんですが、そういったところには、まだ全くノウハウ がありません。例えば、中野区でしたら、中野区のなかにはそういったノウハウもなか ったわけですね。最前線はハローワークの窓口ですから。そこで、やっぱり、先ほど金 子委員もおっしゃったような新しい制度で、緊急一時的な事業の創出が望ましいのかな と考えていることがあります。以前、中野区で私どものやっているジョブコーチ事業を スタートさせるときに、中野区は約16,000社の会社があるんですが、そのうち150社程 度しか雇用率対象の事業所というのはないんですね。あとの残りは、ほとんど中小で、 中もないぐらいで、ほとんど1人、2人とかという状態の自治体ですので、ほとんど税収 が上がらないということで、そのときに活用した資金というのが、緊急雇用創出事業で した。地震の後の雇用対策のお金であるとか、そんなお金を使って、失業者をジョブコ ーチに仕立てて、各企業に派遣するというようなことをやりました。自治体にお金がな いので、国のお金を100%いただいて、失業者を福祉の人材に育て直しをして、各企業に 派遣をするというようなことを、2年間という時限つきでやったことがあります。  そういったお金の問題と、その使う先としては、市区町村を対象としたものを1つ起 爆剤として考えていただけると有り難いと思います。市区町村はお金がないところが多 いので、ただ中小企業の実態としては市区町村のなかにたくさんあるというところでは、 国が直接手を出せないエリアでもあるのかなと思いますので、市区町村ができるような 事業を1つ検討していただくと、具体的に進められるのではないかと思います。空店舗 対策事業ですとか、そういったところに活用できるのではないかと思います。 ○座長  答えはいいですか。 ○堀江委員  はい。こんなこともあるのではないですかということをお話しさせていただきました。 今までの活動のなかで、そういう活用の仕方をして、地域が活性化したという経験を持 っているというところからお話しをさせていただきました。 ○座長  どうぞ。 ○倉知委員  理解の促進というテーマなので、1つはまず、関心を持ってもらわないといけないと いうことです。雇用納付金制度を適用して、まず関心を持ってもらおうということです。 そして、関心を持ってもらうだけでは解決しないと思うので、例えば、トライアル雇用 の制度を活用します。ところが、今は助成金つきですから、限定されていると思うので す。それをもっと広げて、助成金なしでもいいから、もっと自由に活用できる仕組みを、 要するに、やっぱり経験をしないと理解のしようがないというのがあるので、経験のハ ードルをちょっと下げて、ちょっとやってみようというようにハードルを下げてみると いうのと、もう1点が、やっぱり、理解しようと思っても、どう理解していいか分から ないということがあると思うので、相談窓口が要るのかなと思うのです。でも、今、急 に相談窓口といっても難しいので、私は障害者雇用支援をやるような企業を育成すると か、そういう仕組みができたら、もっともっと企業同士で支援していくような、そんな 理解・促進の仕組みができるのではないか。その3点を思っています。 ○座長  一番最後のところをもう少しお話ししていただけますか。 ○倉知委員  例えば、企業の障害者雇用のノウハウを蓄積する、要するに企業としてやれるように する仕組みです。今、障害者雇用をやっている企業は、本来は違う仕事をやっていると 思うのです。障害者雇用を支援するような企業というんですか。そういう事業もあって いいのではないかという気がするのです。これは、多分、企業でないと、そういうノウ ハウというのは難しいのかなという感じもしているのです。だから、専門職が必ずしも 公的機関に全ている必要はないし、そういうことをする専門職があってもいいのかなと 思います。そういうことを、企業としてやれるようにし、そのような育成と、国がそう いう事業を委託するとか、そんなようなものがあったら、少し理解が進むような支援が できるのかなという気がします。 ○座長  まだそういうのはないのですか。 ○倉知委員  いくつか出始めてはいると思うのですけれども、国の仕組みとしてはないですね。企 業がそれぞれ独自にやっている感じだと思います。 ○金子委員  ちょっとそれに関連してよろしいですか。例えば、障害者と企業をマッチングさせよ うとかという企業はありますけれども、それは一時的な支援では駄目で、定着のことが 一番大事だと思うんですね。そこのなかで、やっぱり支援機関とか、そこの連携がある とかという人材もいないと、ただ、就職させるだけでは駄目なので、その辺の仕組みと いうのが、やはり一工夫必要だろうなという感じはします。  この間、東京のあるハローワークでちょっと会議がありまして、伺ったんですが、そ こは東京都全体の雇用率よりはるかに今進んでいまして、やっぱり、そこも小さな企業 が多いんですけれども、そこで企業主へのアンケート、当事者へのアンケートをやった ら、やっぱり、少しでも障害者を雇用したことのある事業主がかなり理解があって、雇 いたくないというところは、接触がないというところが多いので、やっぱり接触する機 会を図るということだと思います。やっぱり接触する機会があると、それが理解を進め るというか、雇っても大丈夫かなというふうに思える1つのきっかけになると思います ので、何か、そういうトライアル的に受け入れてみるという経験があると、すごく違う のではないかという気がします。 ○座長  どうぞ。 ○原川委員  以前にも申し上げたかと思いますけれども、私どもは今、私どものなかで厚生労働省 のこちらの事務局の方と一緒に研究会をやっておりまして、そこで出た意見を御紹介し ておきたいと思います。中小企業がなぜ障害者雇用が少ないかということについて、調 査をしますと、経営上、メリットがあるから雇用しているという企業は案外少ないとい う結果が出ています。私どもの委員会のなかでも、経営者の立場からいいますと、障害 者を雇えることにメリットがあるという認識が少ないのではないかということで、もう 少し、そういう認識を持ってもらった方がインセンティブ効果というのがあるのではな いかという意見がありました。  では、例えば、どういうふうなメリットがあるかということですが、例えば、社内の 成長要因になるということです。大体、社会的責任、CSR要因ということで雇用してい るというのが多いわけですけれども、結果として、雇用した結果、その他の従業員の成 長に役だったとか、あるいは、作業改善が促進されたとか、そういった社内成長要因と いうものの効果もかなりあるということです。そういったことに、後から気づいて、さ らに障害者の活用を広げたという例もあるということであります。そういうことから、 経営者にメリットがあるということを認識してもらう、気づいてもらうということが、 雇用の拡大に繋がるのではないかという意見がありました。  雇用拡大のためには、何はともあれ、経営者に、とにかく前向きになってもらいたい、 前向きになってもらうことが重要であるという意見もありまして、もちろん社会的責任、 義務というのも大切でありますけれども、そもそも障害者を雇用するということが企業 にとってもメリットになるということを訴えて、経営者に前向きになってもらうという ことが重要ではないかということでございます。 ○座長  この論点のなかの(3)に、中小企業団体や中小企業同士の連携を活用し、自主的な取り 組みを促進することも効果的ではないかというのがあるんですけれども、原川委員、い かがですか。この点については、どうですか。 ○原川委員  これはその通りだと思います。 ○座長  何かいいアイディアはありますか。 ○原川委員  資料に、中小企業団体あるいは中小企業同士の連携を活用しというふうにありますよ うに、中小企業の団体、協同組合とか、業種別の業界とか、そういった団体をターゲッ トにして普及していくということが、1つ、効果的な方法としては考えられるということ だと思います。もう1つは、先ほどいいましたようなことを、そういう団体を中心に呼び 掛けるということが非常に重要であると思いますけれども、その中小企業団体と地域あ るいは障害者の団体あるいはハローワークとの接点をつくるということが非常に重要で はないかと思います。 ○座長  どうぞ。 ○輪島委員  相談窓口の関係でいいますと、私ども日本経団連と東京経営者協会では、平成9年から 企業の人事担当者向けに障害者雇用相談室というものを持っていて、企業の人たちがや はり日頃の業務のなかで、障害者雇用を常に考えているというわけではないので、例え ば、どうやって雇用の促進をしたらいいのかとか、極端なことをいうと、ハローワーク から「明日ハローワークに来なさいと言われたときに、明日、何と言ったらいいんでし ょうか。」というような相談も含めて、企業側は企業側のなかで、聞きたいことを情報 交換をするということは、やはり必要なんだろうなというふうに思います。ですので、 この3番のところでいうと、やっぱり自主的な取り組みのなかで情報交換ができる、こ こへ行ったらどうか、ここへ行って相談しなさいとか、この地域ではこういうところが 支援をしていますよという情報が、企業のなかでもらえるような仕組みというのが、有 機的に繋がっていくのではないかと思います。  それで、基本的には、経営トップの理解というのは、やっぱり外側からはハローワー クとか、行政のところから、経営トップにどうやって理解をしてもらうのかということ と、それから、今申し上げた、企業同士で情報交換をどういうふうにするのかというこ とと、それから、やはり3ページ目の4つ目に書いてありますけれども、最近は支援機関 もありますから、支援機関のところでどうやってアプローチをしてやるのかというとこ ろに、トップの理解促進を進めるためにはそれしかないだろうと思います。そのために は、倉知委員がおっしゃったように、やってみるということが重要であると思います。 やはり、トライアル雇用みたいなことをやってみて、判断してもらうという、そういう ツールを用意するというのが効果的なんだろうなと思います。 ○座長  今おっしゃられた相談窓口はたくさん相談がくるのですか。たまにですか。 ○輪島委員  暇ではないです。 ○座長  小林委員、どうぞ。 ○小林委員  先ほどのメリットの問題ですけれども、障害者を雇ってはっきり言ってメリットはな いわけです。もちろん、先ほどのお話しのように、雇うことによって他の社員が精神的 にプラス面があるということは、それは確かにあるとは思います。けれども、それにあ まり比重を置くのはどうかなと思います。それと、それに関して、ちょっと皆さんにも 考えていただきたいし、御意見もお聞かせいただきたいのですが、障害者を雇うよりも、 何といいますか、雇わないといわゆる罰金を払わなければならないわけですね。ところ が、障害者を雇用するよりも、罰金を払って解決した方がいいんだというような話をよ く聞きますが、いかがでしょうか。この辺のことも、やはり手だてを考えておかないと、 ちょっとまずいのではないかなと思います。実際にそういう例があるとすればですね。 ○座長  今の小林委員が言われたのは、納付金のことですね。 ○小林委員  そうです。 ○座長  はっきり言えばそういうことですね。実はですね。その点については、次回にまた集 中的に議論したいと思っていますので、よろしいですか。ちょっと整理をさせていただ きたいと思います。大変重要な論点だとは思います。 ○金子委員  関連していいですか。私どもでも精神障害者の人を受け入れて、そういった事業所に 調査したことがありまして、やっぱり、いろいろな障害者が一生懸命やろうということ で、社員の人たちの雰囲気が変わったとか、障害者に対する理解が変わったとか、社内 的にも社外的にも、いろんな考え方が変わって、社員が良くなったというメリットも出 てきているところの話もあります。それから、現に、私ども今、いわゆる一般の健常者 の人を含めて募集していますけれども、健常者が必ずしもいい人とは限らないし、そう いう意味では、質的なことでいうと、障害者がいろいろなミスをしやすいからという事 例が出てくることによって、社内でいろいろなことを変えるきっかけになるというので す。それが、例えば安全衛生なんかについて、うちの会社は事故を起こさないような会 社になってきているということもあります。だから、障害者を雇うことが必ずしもマイ ナスというふうには私は考えていません。それをどう生かすかということだと思ってい ます。 ○座長  原川委員のおっしゃっていることですね。 ○金子委員  そうですね。 ○原川委員  ちょっといいですか。私がメリットと言ったのは、要するに企業が人を雇うというの は、仕事の効率性とか、個人の能力とか、いろんなコストとかということを考えて、総 合的に経営的な要因を考えて雇うわけですが、これからの社会では、やはり障害者も普 通に働くという意識を経営者に持ってもらうためにはどうしたらいいかということを言 っているわけです。そのメリットを突出させて、メリットがあるから雇うという意味で はなくて、要するに社会的責任ということだけで、あるいは、納付金、調整金みたいな もので罰則を前提にしたような下で普及をしようと思っても、なかなかそうはいきませ ん。そこは、もう少しそのやり方を考える必要があるのではないかと思います。やっぱ り、普通に受け入れられるようにするにはどうするかということを考えていかなければ なりません。企業の方でも、そういう面でいえば、経営のなかで考えれば、やっぱりメ リットというのは当然必要であり、社会的責任ということも重要ですけれども、企業は 雇用する以上は、そういう隠れたメリットというのか、あるいは、人を雇うメリットと いうものを見いださなければいけないということでありますから、そこは、先ほど言い ましたように、経営者の雇用に対するインセンティブを与えるという点において、この メリット意識を持つということは欠かせません。ということを申し上げたのです。 ○座長  それでは、この辺で、次の論点に移りたいと思います。論点2について、事務局から 簡単に説明願います。 ○事務局  それでは、5ページをお開きください。論点2ですが、ここでは中小企業において障害 者を雇用する際には、マッチングについての論点をまとめております。中小企業におい て、障害者を雇用する際に、マッチングの面でどのような課題があると考えられるか。 また、それを踏まえ、中小企業において、どのように取り組み、さらにそれに対して、 どのような支援を行うことが考えられるか、(1)として、中小企業においては、障害者雇 用の経験が少ない企業が多く、具体的な雇用に結びつけるためには、トライアル雇用の 活用や、職場実習の積極的な受け入れを進め、その経験を雇用に繋いでいくことが効果 的と考えられるがどうか。併せて、ハローワークにおいて、同行紹介や管理選考等、関 係機関とも連携したきめ細やかな職業紹介を行う必要があると考えるがどうか。(2)とし て、中小企業においては、大企業に比べて職務毎の業務量に限りがあると考えられるこ と等から、障害者の雇用機会をさらに拡大するためには、職務の分析、再整理を通じて 仕事を生み出すことが重要であると考えるがどうか。また、このような取り組みを中小 企業に促すためにはどのような支援が考えられるか。(3)として、中小企業における障害 者雇用を促進するためには、雇用管理等について改善を図ることも重要ではないか。ま た、その場合、どのような支援が考えられるか。以上となっております。 ○座長  では、どうぞ。 ○原川委員  もう出ているのかも知れませんが、私は2回欠席しているものですから。私どもの委 員会でも出たことなんですけれども、マッチングという点でいえば、1つは、障害者の 方が会社の必要とする能力を持っているかどうかということが重要になるということも 指摘されているわけです。その人がどういうことができるかということを、もう少し情 報として、企業の方が欲しいという意見がございます。個人情報というところで、なか なかそういう情報の入手は困難だということはありますけれども、それを何か情報が分 かるような、企業が知ることができるような仕組みを欲しいという意見がございますが、 重要なことだと思います。  もう1つは、我々の実態調査によりますと、障害者に適した職務がないというような 認識が、かなり経営者の間にあります。中小企業に適した職務というものをやっぱり創 り出す、あるいは、障害者に適した職務を集約するというか、そういった作業が必要な のかなと思います。行政の役割としては、そういったところをもう少し中小企業に、そ ういうノウハウとか、具体的な助成金的な支援でもいいんですけれども、そういった具 体的な支援を少し考えていく必要があるのではないかと思います。 ○座長  今お話を聞いて思いついたんですが、例えば、中小企業で障害者を雇用されて、仕事 をやってもらっている1,000個の事例とかというデータベースがあって、それを見ると、 大体どういう使い方があるか、こういうケースだったらこういう雇用の仕方があるとか、 そういうことが分かるということがあるといいということでしょうか。 ○原川委員  そうですね。それと、やっぱり情報という点でいえば、人材バンクというのがありま すが、私は普通の人よりこういう能力がありますというように、何か自分の能力をアピ ールするような仕組みがあったら、経営者としてはより分かりやすいのではないかと思 います。例えば、こういう能力の人を探したいという場合、あるいは、働きたいという 障害者の方がいた場合に、その人と話をすれば分かるんでしょうけれども、広く一般社 員と同じような採用をするときに、そういう人を探すという場合に、そういう仕組みが あったら便利なような気がします。 ○座長  健常者の人を中途採用するときには、当然、中途採用して欲しいと思う人は、いろい ろ職務経歴書などを作りますよね。それを出して、いかがでしょうかとやるわけですが、 そういうのは、健常者と障害者は違いますけれども、形態は違っても、障害者版の職務 経歴書みたいなものがあったらいいという、そういう御提案ですか。 ○原川委員  そういうのも1つの方法だと思いますけれども。 ○座長  ただ、職務経歴書というわけにはいかないので、何か能力を表現するものということ ですかね。 ○堀江委員  それに関してなんですが、今、厚生労働省の方から研究委託を受けて研究を進めてい まして、3月末でいったん終了するんですが、引き続き、実際に現場で使わせていただ きたいなと思っています。求人側からすると、経歴書だけではなかなか実態をお伝えで きないということがあるので、職務経歴の他に、言葉で思いを伝えられない人がだんだ ん多くなってきたりとか、自分の状態を伝えられない求職者たちが現状では増えてきて います。そういうことがすらすら書ける人は、多分、有料職業紹介とか、ハローワーク の窓口からすぐ就職ができてしまっています。私どものところでは、パソコンが何分間 でどれぐらい打てるとか、そういった具体的な項目をつくって、今まとめているところ です。もう1つは、求職者側である障害者の方からみても、企業の情報というのが、今 のところ求人票しかありません。そうすると、PC入力と書いてあっても、どんなスキル が求められるのか、そういったことが全く掴めないというところで、もう1つ、企業側の プロフィールもつくっているところなんです。研究を進めていると、やっぱりそこのと ころにギャップがあるなと感じます。会社側がお求めになっている人材と、それから仕 事を探している障害のある方たちのギャップというのが大変広いんだなと思っています。 この格差をどうやって埋めていくかということです。だから、いくら情報を出したとし ても、そこのところに格差を埋めていく何かがないと、多分、いろんなツールや仕組み をつくったとしても、その意識のギャップというか、障害者の現状と企業が求めている 人材像みたいなもののギャップを埋めていかないと、実際的には進んでいかないのでは ないかと思います。 ○座長  ちょっと分からなかったんですけれども、こういう人材が欲しいと求人側が出してく る能力プロフィールと、就職したいという障害者が持っていらっしゃる能力とが、全然 ギャップがあるという意味ですか。 ○堀江委員  はい。それを今作り始めていて、実際現場で使ってみたいなとは思っているんですけ れども、やはり今の御意見なんかを聞いていると、会社のお求めになっている人材とい うのは、これができて、あれができてというイメージであって、実際に今働きたいとい う人たちは、そういうことがなかなか訴えられないとか、そこまで到達しないとか、あ るいは、周りの支援者によって見つけてもらえない、力を見いだしてもらえない人たち が、実態として多いということです。そこのギャップを埋める作業というものを別にし ていかないと、ツールがあったとしても、仕組みがあったとしても、進まないという気 がします。 ○座長  ちょっとしつこいようですけど、それは求人側が障害者の方を意識した能力プロフィ ールをつくっていないということですか。 ○堀江委員  それは、企業が、ということですか。 ○座長  それはもちろん、求人側がです。 ○堀江委員  それはご存知ないからであって、一生懸命うちのデータファイルなんかを見て、こう いうような仕事をということで作って下さったとしても、個人個人で違いますので、そ このところのマッチングというのは、やはり難しいですね。 ○座長  しつこいようですけど、本当はオーバーラップしているところがあるのに、お互いに 表現が悪いから、マッチングできないというのと、そういう表現の問題ではなくて、元 々、求人側が出すこういう人材が欲しいという能力プロフィールが健常者ばっかり考え てしまっているから、もともとオーバーラップするところがないんだという話では、全 く話が違いますね。今のお話しというのは、ちょっとよく分からなかったんですが、前 者なのか、後者なのか、よく分からなかったんです。 ○堀江委員  両方あるような気がします。ですから、その中間で、障害者のプロフィールを聞き取 る人と、それから、企業のプロフィールとかニーズを聞き取る人がいません。ここのと ころは、ハローワークの雇用指導官とかがノウハウを蓄積していただいて、そこの調整 をうまくしてもらうと、つくったツールも生かせてくるという気がしているんです。 ○座長  今のお話しは、結局はハローワークとか、真ん中に入った人が、会社側が一般的には 求人ニーズを持ったとしても、それをもう1度、障害者版に翻訳する作業をしますとい うことをおっしゃっているわけですね。そういうことですかね。 ○堀江委員  その通りです。ありがとうございます。 ○座長  本当はそういう翻訳をしなくても、プロフィールが描ければ一番いいわけですね。 本当はですね。 ○堀江委員  今、その手がかりをつくっているところなんですが、是非現場で試していただいて、 フィードバックしていただくと、もう少し現場で生かせるものが使えるかなと思います。 ○金子委員  それに関連してなんですけれども、自分でつくったプロフィールがですね。あまり世 間のことを知らない人が自分でつくるわけですので、現実認識とのギャップがあります。 プロフィールではいいことを書いてあるけれども、実態がそこまで届いていないという ことがあると、雇う方は困るということがあります。だから、結局そこのところの現実 認識がちょっとまだできていなかったり、大勢の人と自分を比べる機会が少なかったり ということで、そこのところがもう1つ、福祉施設の方だけではやはり無理なのかなと いうことからいうと、やっぱりトライアル的な現実の場に即して、自分で現実見当がよ りできるようになってこないと危ないかなということです。 ○座長  そういうことは別に障害者の方だけではなくて、大学生なんてみんなそうですよ。 ○金子委員  でも、よりそういう機会が少なかったということがあると思うのですね。 ○座長  全体的に健常者もそうだし、障害者の人たちもそうですけれど、雇われる方も、雇う 方も、具体的なスキルは何が必要かということをお互いに交換して、マッチングすると いう経験は、日本は全体的にないので、それは障害者だけの問題ではないところはある と思います。 ○金子委員  ただ、障害者の方の場合、今まで閉ざされていたとか、自分が駄目だという経験のた めに、非常に頑なになっている可能性があったりして、そこのところが、現実的な認識 で、自分を変えていくとか、チェンジしていくというところが、割合時間がかかるとい うのがあると思うのですね。 ○輪島委員  今、何をやっているのかというと、就労移行のためのチェックリストというのを作っ ていて、それが堀江委員がいっている福祉側の方で、この障害を持っている人がどうい う状況で、どういう訓練をしたのかとか、どこへ行って、何をやった経験があるのかと いうようなことを、また、朝ちゃんと起きられるのかとか、食事ができるのかとかとい うことを列挙して、それはチェックリストなのか、プロファイルシートなのか、表現は いろいろなんでしょうけど、その人がどういう状況なのかということを、とりあえず共 通データとして、それは中野がやろうと練馬がやろうと、どっかがやろうと、大体同じ ような結果がでてくるような、そういう共通言語をとりあえず支援者側でつくりましょ うということです。では、企業側はそれを見て、どういうふうにするのかというのも、 同じように見て、評価ができるような仕組みをつくりたいと思うのですが、どうもそこ はまだ福祉側の方でつくっているだけで、企業側がそれを利用しようというふうなこと になると、非常に膨大な資料なので、一つひとつ分析するまでに時間がかかって、今の ところ使えないなというところです。しかし、今、それは模索をしているということで す。  もう1つ、先ほど座長がおっしゃったように、企業側がマッチングのために求人を出 します。でも、それは大体が身体障害者の方のイメージで、東京でいうと、ホワイトカ ラーの職種のようなことで、パソコンができてというように、事務という形で出てくる のです。でも、事務というのは何かというのは、やはり分からないので、データ入力が できればいいのか、それとも、何ができればいいのか、エクセルができればいいのか、 ワードができればいいのか、それがどれぐらいのスペックなのかというのを、ある程度 求人側のニーズを下ろして欲しいということです。これは障害者も健常者も同じ話なん ですが、なかなかそこら辺が、特に企業側の障害を持っている人たちのイメージがまだ あんまりできないので、明らかに精神障害者の方を雇用しようと思った求人情報なんて 出てこないわけです。そこのところで、こういう仕事だったら、こういうことですね。 じゃあ、それは知的障害の人もできますよねとか、精神障害者のこういう人だったらで きますよねという翻訳の作業がないと、やはりマッチング機能は高まらないだろうなと いうことなんだろうと思います。そうなので、かけ離れているものを、少し少し落とし て、企業側のハードルの高い求人ニーズを落としてこないと、マッチングまで落ちてこ ないということです。では、そこまで落としたけれども、そういうマンパワーが実際に いるのかというところがまた難しくなっているので、そこはトライアルで当てはめて、 ちょっと違うんだけれども、やはりちょっとトライアルでやってみて、やるしかないと いうことだろうと思います。  それから、原川委員が先ほどおっしゃったなかの一番最初の点で、非常に企業側とし て重要だと思っているのは、ハローワークからのマッチングといいますか、この人の情 報という提供の在り方が、やっぱりそこも個人情報の関係があって、うまく機能してい ません。例えば、身体障害者でこういう方ですよと言っていても、実は知的障害の重複 障害があったりなんかするということは、実は教えてくれません。だから、やってみて、 面接してみて、この人は知的障害もあるのではないかと聞いてみると、いや、あるんで すけれども、それはまあまあというようなこともありがちです。十分な情報が企業側に 提供されないということも実際にはあるので、そこは、そもそものところで、マッチン グをするための疎外要因があるのが実態だと思っています。 ○座長  どうぞ。 ○倉知委員  今までの話の流れで、もちろんツールの話もそうですけれども、やっぱりそのツール をうまく繋ぐ人材の話になってきてしまうと思うのですね。今、いろいろな社会資源を 見てみますと、就労支援でいうと、今度の自立支援法の就労移行支援事業者と、それか ら、いろいろなところで今厚労省がつくっている就業・生活支援センターがあると思う のですが、私は今、その2つの施設でそういう人材が確保できるような財政状況でない ような気がするのです。ですから、ちょっと、今いる人材を本当に確保するというのは、 現実的に非常に大変ではないかなと思うのです。堀江委員みたいな人はそういないよと いう感じがするんです。本当にそういう専門職が必要であれば、そういう人材を確保す るようなことを意図したセンターにしていかないといけません。今の就業・生活支援セ ンターは、あの予算で、そんな人を雇えるはずがないと思いますし、就労移行支援事業 者だって、本当にやっていけるのかというぐらい厳しい状況だと思うのです。そうなっ てくると、残ってくるのは、もう地域障害者職業センターしかないと思います。あとは、 先ほどちょっとお話ししたような、企業支援を仕事として行う企業をどう育成していく のかという、この2点ぐらいしか私は今思いつきません。ならば、職業センターのなか に、もうちょっと企業支援という部分もきちっと強化していくようなことをやっていく か、または、企業がやれるような仕組みをつくって、そういう人材がちゃんと抱えられ るような予算のなかでやっていく仕組みをつくっていくとか、あと、第2号ジョブコーチ をうまく派遣できるような仕組みをつくっていくとか、そういうふうにしていかないと、 人材というのは確保したくても、できないのではないかという気がします。 ○座長  企業でやろうというときに、企業でやるんだから、ただというわけにはいきません。 そうすると、どこからお金をとるのかという話になります。そのサービス対価をどこか らどのように持ってくるのか、そこが問題ですね。 ○倉知委員  そこは、育成といったのは、一時的には国がそういうことを育成していかないといけ ないと思います。中小企業からとるというのは、東京なら可能かも知れませんが、地方 ではちょっと厳しいのではないか。福岡でもちょっと厳しいかなとみています。そこの 財政は当面は必要だと思います。 ○金子委員  そういうことからいうと、2号ジョブコーチをもうちょっと使いやすくしていただくと か、それから、人によっては、非常に短いとか、ちょっと短いということもあるので、 その辺の使いやすさを配慮して欲しいと思います。また、私どもなんか、若い社員たち が実質的なジョブコーチをやっているんですけれども、その2号ジョブコーチをとれない という状況もありますので、その辺ももうちょっと検討していただければと思います。 だから、2号ジョブコーチと、あるいは業務遂行援助者の辺りがどうにかならないのか なと思っています。 ○座長  先ほど輪島委員が言われたこととの関連なんですけど、例えば、身体の場合と精神の 場合では、要するに企業側が求人ニーズを表現する仕方が違うんだというような趣旨の ことをおっしゃられて、それが何故そうなのかということをちょっと考えていたんです が、つまり、例えば、事務作業が必要ですというような表現だと、精神と身体では当然、 向こうの対応ができるかどうかは違いますよね。あるいは、入力をして欲しいというこ とでも、もしかしたら違うかも知れない。ということは、その障害の種別によって表現 の仕方が違うというのは、実は、やって欲しい仕事のスペックの切り方がまだ粗いとい う可能性もあるわけですね。もう一段階細かく落としてあげれば、それは全部できるか も知れない。だから、そういう意味では、表現の仕方がまだ悪いのではないかとちょっ と思ったんですが、どうですかね。 ○輪島委員  おっしゃる通りで、障害を持っている人を雇用するというとき、まだまだ身体障害者 を雇用すればいいというようなイメージしかないということだろうと思うのです。身体 障害者ならこういう仕事だったらあるよというところしか発想がありません。そうなる と、やっぱりもう少し下りてきて、ハードルを落とさなければいけないことも事実です し、もう少し噛み砕いた、この仕事をして欲しいというような情報を出さないと、それ は無理です。それは、障害を持っている方だけでなく、健常者に対する求人も全く同じ です。特に中小企業であれば、業務が細分化されているわけではなくて、総務のこの仕 事といったら、いろんな仕事があるわけです。そうすると、マルチでいろいろなことが できた方がいいわけで、事務というイメージがなくなるわけです。そうすると、細分化 しないと求人はマッチングしないだろうなと思います。 ○座長  そうすると、もしかしたら、特に中小企業の場合は、個人が担当する職域が普通広い ので、でも、障害者はそんなに職域を広く担当できないとすると、個々の職務の表現の 仕方よりは、職域設定が実は非常にアンマッチで、そっちの方の問題が大きいというこ とはあり得ますね。 ○輪島委員  ついでにですが、倉知委員がおっしゃったように、人材の関係でいくと、企業側は福 祉施設にいくと、この人は働けるか、働けないかというのは、割と直感で分かって、マ ンパワーとして、この人を採用しようか、訓練もできるねとなる。福祉の人が企業側に くると、この仕事とこの仕事を合わせると、この目の前の、自分のところの施設のこの 人が、例えば30時間の仕事ができる。でも、企業側からすれば、それは分からない。そ こは、人材がそれぞれのところに住み分けられてきて、しかもそこの交流がないので、 そこのマッチングがない。そこがマッチングすれば、もう少し噛み砕いたところできる なかで、5ページの(1)にあるように、ハローワークは今、同行紹介と管理選考、特にミ ニ管理選考みたいなものを都内ではいっぱいやっていて、東京体育館でやるような大き な就職合同説明会のようなフェアではなくて、そういうことを今、地道にやっているの で、そこのところのマッチング率は高くなっています。そこはもっとやる必要はあると 思いますけれども、ただそこも限界があるので、そこをうまくマッチングする土俵をま ず整えて、そこにうまいミニ管理選考を乗っけないと、それは難しいということなんだ ろうなと思います。 ○座長  何となく、このテーマについては、大体やらなければいけないことが収斂してきます ね。という勝手なまとめにして、次の論点にいきたいと思います。では、論点3にいき ましょうか。お願いします。 ○事務局  7ページをご覧ください。論点3ですが、ここでは障害者の中小企業における職場定着 に係る論点をまとめております。障害者の中小企業における職場定着に関し、どのよう な課題があると考えられるか。また、それを踏まえ、中小企業においてどのように取り 組み、さらに、それに対しどのような支援を行うことが考えられるか。(1)として、中小 企業自らの取組に対して、どのような支援が考えられるか。(2)として、中小企業におい ては、障害者の雇用管理に関するノウハウが不足していたり、企業内で職場定着の推進 体制を独自で十分に確保することが困難である場合もあると考えるが、どうか。(3)とし て、上記(2)のような場合において、障害者の雇用管理に関するノウハウの提供、職場定 着の推進体制の在り方等について、どのような支援が考えられるか。(4)として、障害者 の職場定着のためには、生活面に関する支援も重要であると考えるが、どうか。また、 その場合、どのような主体がその支援を担うことが適当と考えるか。以上となっており ます。 ○座長  いかがですか。本当は雇用してもらう前に、このようなテーマは発生しないんですけ どね。どうぞ。 ○原川委員  このテーマに沿うかどうかちょっと分かりませんけれども、定着をどのようにして図 っていったらいいのかということに関して、中小企業からすると、もちろん雇用に関す る情報もそうなんですが、雇用管理に関する情報というのも少ないということがありま す。例えば、うまく管理している好事例とか、そういうものの提供が必要であるという ふうなことだと思います。我々の委員会なんかで出た意見としましては、好事例という ことをよく言いますけれども、あんまり好事例というのはどうかという意見があって、 今、企業の悩みとしては、障害者の方を雇った場合のソフト面の悩みというのが大きい ということなんですけれども、そうすると、好事例というところは一般の企業からする と、事情が大分違って、かけ離れていて、なかなか手が届かないということで、参考に ならないというようなこともあります。そういうことで、一般の中小企業からみると、 遠い存在だというふうに思われて、あまり見向きもされないというようなこともあるよ うです。それならば、いわゆる好事例ということにとらわれないで、一般的な事例とい うことで、派手な事例でなくても、地道な事例でも、一般的な事例というものをもう少 し多く紹介をするということが必要ではないかと思います。行政もそういった点もよく 認識をして、情報提供をしていく必要があるのではないかと思います。 ○座長  いま、原川委員が言われたソフト面というのがよく分からなかったんですが、例えば、 コミュニケーションの問題とか、職場に溶け込むとか、あるいは人間関係とか、そうい うことですか。 ○原川委員  それだけではなくて、例えば、通勤手段の問題とか、薬を飲むとか、いろいろ生活面 のこととかですね。あと、労働時間をどうしたらいいかとか、賃金をどうしたらいいか とか、というところも含めてですね。 ○座長  本当は、何か一度職場実習かトライアル雇用をやってからやれたら一番早いのですね。 どうですかね。大運動なんかどうですか。堀江委員、どうぞ。 ○堀江委員  定着について経験したことからお話しすると、やはり事前に雇用サポートをする段階 の設計がきちんとできていないと、私どもが行った段階では、これは仕事と人が結びつ いていないよねとか、それから、こういう制度を企業に御案内していないではないかと か、そういうことがとても今、私の業務では増えてきているんですね。やっぱり、遠回 りのようですけれども、最初のところで、こういった業態であれば、こういう制度があ ってとか、きちんと雇用サポートの設計をして差し上げるというのが一番失敗の事例も 少なくなると思います。1回失敗が発生すると、やっぱり現場の一緒に働く方たちは、 やっぱり駄目だよねとか、もう雇いたくないというところに繋がるし、障害のある方も、 就職なんて恐くて嫌だなとか、そういうところに繋がっていきます。この雇用サポート を最初に設計するところに実は人もいないし、お金もついていないという問題がそもそ もあると思うのです。例えば、ジョブコーチの制度なんですけれども、私どもの、私が もう1つ活動しているNPOでは、第1号ジョブコーチが3人いるんですが、最初の御相談は ジョブコーチの謝金の対象にならないんですね。でも、そこの入り口のところで企業の アセスメントと利用者のアセスメントをきちんと繋げておかないと、後で問題が発生し ます。それで、中野の事業団の職員としては、その辺りは全部動けますので、最初の制 度の説明ですとか、こういった方針でやりましょうという設計ができるので、そのジョ ブコーチの考えを導入する前は、本当に10人採用してもらったら、6人ぐらい辞めてしま うとかということがあって、これは何だろうということで、ジョブコーチの手法と理念 を採り入れていたんです。そうしたところ、ここ3年間かの定着率というのは90%ぐらい が定着しているんですね。事前に相当きちんと企業と利用者のアセスメントをすり合わ せをすることで、問題が回避できるというところは実感としてありますので、定着の前 に設計をきちんとすることだと私は考えています。 ○座長  今おっしゃった雇用サポートといっても、いろんな面があると思うのです。例示とし ていくつかおっしゃいましたけれども、その他にもいろいろとあると思うのですが、そ ういう雇用をサポートするために1つのパッケージみたいなものはあるんですか。つま り、チェックリストがあってですね。 ○堀江委員  私どもは持っております。 ○座長  そうですか。 ○堀江委員  はい。それは、企業の大きさに拘わらず、企業のニーズによって組み立てていくもの なので、大企業だろうと中小企業だろうと、それは変わりないと思っています。 ○倉知委員  もちろん今、堀江委員がおっしゃったことはその通りで、そういう形で進んでいって も、多分問題はいろいろ起こってくると思うのです。職場不適応の問題というのは、大 きなトラブルが起こって、それが原因でというよりも、何か小さなことの積み重ねとい うことが非常に多いと思います。だから、理由をと問われても、何か毎日の積み重ねで、 結局、あるとき、ばっと吹き出してきたということがありますので、やはり、日常的な 支えが大事なんだろうという気がするのです。その支えも、もちろん技術的なサポート もそうですが、精神的なサポートというのがすごく大事だと思っています。企業の人を どう精神的にサポートしていくのかというところが、特に中小企業では大事ではないか とものすごく感じています。そうなると、日常的に、では企業をどうサポートしていく のかということが重要になってくるのですが、そこはなかなかメインの仕事になり得な いという問題があるんですね。例えば、障害者支援施設であれば、障害のある人を支援 していることがメインで、それに付随して企業を支援するという形になると思うのです ね。だから、どうしても後回しになってしまうから、後手々々になってしまうのかなと いうことと、例えば、自立支援法だと、その後の定着支援というのは、仕組みがないん ですね。やりなさいよとは言っているけれども、やってペイできる仕組みが全くないわ けだから、現実的にはボランティアでやりなさいということですから、無理なんですね。 ですから、雇用支援機関はどうしても副次的になってしまうし、自立支援法のなかでも、 そんな仕組みがないしということで、後は、ジョブコーチをどううまく使おうかといっ ても、ジョブコーチは今職業センターが全て握っている状況ですから、自由に使えませ ん。何かいろんなものが後手々々に回っていて、気持ちはあってもなかなかできないと いうのが現状ではないかという気がします。 ○座長  今の倉知委員のお話しは、こういうことが原因だとおっしゃられたので、こうすれば いいということは何かないですか。 ○倉知委員  もうちょっと企業の定着支援を、本当に優先してやるというものがない、そういう部 署がないというか、そういうことをやる人というよりは、部門がないということだろう と思いますので、そこをつくっていかないと、解決しないのではないかなという感じが してしまうのですね。私なんか、そこはちょっと悲観的になってしまうのですが。 ○堀江委員  自立支援法のなかで各市区町村が必要とする地域の事業を考えなさいというのがある のですが、中野区ではやっぱり定着支援がどんどん増えてきたというところで、ここは 相談事業に移行させようかということがありますが、これはまだ考えの段階でです。も う1つは、既存の居宅支援事業の移動支援というのがあるのですが、そのなかに、通勤支 援も入れましょうということで、今年の春から取り組みを始めることにしました。そう すると、やっぱり市区町村が就労に関わるどういうニーズがあるのか、どんな課題があ るのか、そういうのが市区町村にはなかったので、そういうようなイメージを出してい ただいて、例えば、中野区では通勤に関してはジョブコーチではなくてこういう団体が やっていますよという情報提供をすれば、地方自治体の行政マンはものを考えてくれる のではないかと思います。モデルを提示してくれれば、考えてくれるのではないかと思 います。私たちの場合は、私たちの事業団の取り組みのなかから、もうここまでくると パンク寸前ですからということで、だから、通勤のところと定着のところをやって欲し いということで、区のなかで制度化をしていく動きができたわけです。そんなものを他 の自治体でもやっているところはあると思いますので、障害者自立支援法の使い方とし て情報提供をしつつ普及してもらってもいいかも知れません。 ○倉知委員  今ちょっと時間をいただいたので、思いつきをお話しします。まさに相談支援事業し かないというか、これはとても重要だなと思いのですが、いかんせん市町村単位なので、 これはどうしようもないというのと、あとは、ジョブコーチをもうちょっと地域で自由 に使えるようにしたら、今のところそれが一番使いやすくなるのかなという気がしてい ます。例えば、自立支援法の就労移行支援事業者のところにジョブコーチを置くことが できて、そこの判断で、そういう企業支援をジョブコーチ制度としてどんどん使ってい けるとか、もうちょっとジョブコーチを自由に使えるようになったら少しは違ってくる のかなという感じはします。 ○座長  その場合でも、ジョブコーチがいないといけないですよね。さっきの人材問題にまた 返るわけですね。 ○倉知委員  でも、ジョブコーチで金が入るとなると、多少は違うかなと思います。 ○輪島委員  定着支援のところでいうと、やっぱりジョブコーチがみるしかないと思うのです。だ けど、今は支援の期間が3カ月に限られています。でも、ジョブコーチが離れた後も、絶 対にゼロにはなりません。だから、月に1回行くだけで十分に事足りるんだけれども、自 分の勤務20日のなかの必ず1日はそこに行かなければいけません。支援期間でどんどん就 職をする人が増えれば増えるほど、その時間がとられていきます。 しかも、それは1年ずっと続いていて、絶対ゼロにはならないのに、そこがみられていな いというところが、やはり制度上つらいところだろうと思います。しかも、どんどん出 しなさいといっていて、ストックが貯まってくるのに、そこのところをみる仕組みがな いということがつらいということだろうと思います。 ○座長  金子委員どうぞ。 ○金子委員  今のことと同じで、就職させればさせるほど、施設の方は大変なんだということです。 ○座長  佐藤委員どうぞ。 ○佐藤委員  この職場定着のところで、今お話しがあったところとちょっとずれてしまうと思うの ですが、これまでの御意見のなかでの8ページの上から2つ目の丸のところで、第5回で 金子委員や輪島委員からの御意見ということで、企業OBのノウハウなどの活用というこ とがあります。  ちょっと御参考までなんですが、私ども商工会議所は今全部の都道府県でやっている のですが、障害者の方の雇用という視点は今までは率直にいってありませんでした。こ ういう中小企業に対して、大企業のOBの方ですとか、研究機関にいた方ですとか、そう いう方にボランティアベースなんですけれども、出向いていっていただいたり、いろい ろな方法で技能や経営のノウハウを伝授していただいたりという仕組みが始まっていま す。ですから、こういう方法で、どんなふうにしていくと、障害者の雇用の促進という 今回の研究のテーマに結びついていくのか、もしアイディアがあれば是非教えていただ きたいと思います。私どもの方でも考えてみたいということが1つです。  それから、もう1つは、論点のどこに入るか分からないのですが、これも手前味噌み たいな話で恐縮なんですが、企業で働かれるに当たっての技能の1つということで、私 どもはいろいろな検定試験をやっております。なかには、例えば、昔からある珠算の試 験ですとか、あるいは簿記の検定試験で、例えば視覚障害のある人向けに点字を使って ですとか、音声を使ってですとか、受験をしていただくための手段をどうしたらいいの かというような開発をやっている部分もあります。今回の研究会のテーマとの関係で、 どんな可能性があるのか、ちょっと漠然としていますけれども、雇用の促進というなか で、そういう技能の促進について、それは本当に技術的な部分だと思うのですが、何か 今回の研究会の議論の視点の1つに加えられないかなと思いまして、発言をさせていた だきました。 ○座長  今おっしゃられたのは、前半の大企業OBを中小企業にボランティアベースで送ると いう一種のシルバーボランティアですが、これは、現実としてかなり進んでいるので すか。 ○佐藤委員  進んでいまして、まず、それぞれの地域で、それを提供できますというOBに登録をし ていただいて、商工会議所はその地元の企業に宣伝をして、こういう仕組みがあって、 こういう登録をして、こういうことを伝授していただける方がいるから、どうですかと いうふうに間に入って、御紹介をしたりしています。最終的には当事者同士ということ で、OBの方と中小企業の社長が話をしてみて、ではやりましょうということになります。 ボランティアベースというのは、交通費程度の支給だけなのか、もう少しお出しをする のか、その辺は決まりはなくて、話し合いで決めてもらっています。今、具体的な数字 を持ってきていないので、また必要であればお持ちいたします。 ○座長  そのなかに、障害者の関係を入れようと思えば入りそうですか。 ○佐藤委員  それが可能なのかどうかですね。いろいろ御意見をいただいた方から、どういうこと が仕組みのなかに入れば雇用の促進に繋がり得るのかですとか。全く思いつきの域を出 ていないのですが、そういう既存の仕組みがありますので、何か活用の可能性があるの かどうかと思いまして、ちょっと御紹介させていただきました。 ○座長  現実として、ジョブコーチみたいな機能で、ボランティアの人が入ってきているとい うのはあるんですか。どうなんでしょうか。どうぞ。 ○堀江委員  協力員というような形で取り組んでいる自治体もあるんですけれども、やはり会社さ んのなかに入るので、事故とかを考えたときには、ボランティアという形はちょっと合 わないなという気がします。輪島委員は、企業OBの方たちを活用されているというのを お聞きになっていないですか。 ○輪島委員  よく分かりません。 ○座長  今の意味がちょっと分からなかったんですが、ボランティアだと、会社に行ったとき にそぐわないというのはどういう意味ですか。 ○堀江委員  例えば、ボランティアは事業団の職員ではないので、いろいろな通勤途上の事故です とかあっても、もともと空いた時間を使ってというところでやっていますので、そうい ったものは合わないだろうということです。お隣の杉並区では協力員という形で、時給 をお支払いされて、一部活用されているようです。 ○座長  どうぞ。 ○金子委員  私どもの場合、ちょっと違うんですけれども、精神の障害の人は必ずしも仕事のやり 方を教えなくても、一緒にいるだけで安心できるというような形のサポートが必要とい うこともあるんですね。ですから、そういうことでいえば、技能的に同じようなことの 仕事の先輩でなくてもかまいません。それは、雇用でなくても、ボランティア的な形で、 どういう形でお給料を払うかという工夫の余地はあると思うのです。ただ、公的なとこ ろで、それをどうやっていくかとか、それから、今後、そういう制度としてどういうふ うに使っていくかというのは、いろいろ工夫が必要だと思います。だから、どういう役 割を担ってもらうかという辺りのことを、もうちょっとはっきりした方がいいのかなと いう気がします。 ○座長  どうぞ。 ○倉知委員  今の金子委員のことに関連して言えば、心の支えの部分だと思うのですね。精神の障 害のある方には確かにそういうことが必要な方も多くて、ピアサポートみたいな形なら 可能性はあるかなと思っているのですが、企業でもジョブコーチの仕事の一部なので、 その他の仕事はできませんというわけにはいかないし、それを求められてくるときに応 えられないということがあるので、そのピアジョブコーチの導入をどうしようかなと考 えていて、私はまだはっきり結論が出ていません。精神の方の心の支えの部分としては ピアな方のジョブコーチの存在意義はあるのかなと思っていますが、ちょっと、それよ り広げるのは困難かなという感じはしています。そうではない形の、全く知らない方の ボランティアでくる方が、果たして心の支えになれるかどうかというのは、その人のマ ッチングの問題もあるので、一概にいいとはいえないのかなという思いもあります。 ○座長  そのボランティアというのは、何をイメージするかですが、非常に広いじゃないです か。 ○倉知委員  私は専門家ではないということで考えています。専門家ではない方だけれども、誰か いるよというイメージなんですね。 ○座長  そうですか。僕のイメージしていたのは違うイメージで、ODAでシルバーボランテ ィアで行っている人は完全にプロとして、その仕事に責任を持っていって、先ほどのい ろいろな労働災害などにも対応した形で行っているわけですね。僕はそんなのをイメー ジしていたものですから、全然違うイメージをしているなと思いました。金子委員、ど うぞ。 ○金子委員  具体的にいいますと、うちなんかでは、私は昔NHKにいたんですけれども、そこのOBで、 つまり清掃がうちのメインの仕事としてやっているんですが、清掃ができるわけではな いけれども、その人が清掃をするときに付き添ってあげればいいということで考えてい ます。その人は週に何回か来て、電話応対やらして、その障害者がこんなことで仕事を 終えましたというような電話なんかをとったりしています。ある程度、この人はどうい う人だということを知っているという情報はあるけれども、お給料的には非常に安く来 てもらっているというような形の、いわゆるピアではなくて、高齢者の方ですけれども、 そういうイメージだったんですね。ちょっと御紹介させていただきました。 ○座長  多分、佐藤委員が言われた商工会議所でやっていて、紹介している高齢者の方は、一 種の中小企業に対するコンサルタントだから、報酬の支払い方はいろいろあると思いま すけれども、素人としてボランティアで入るというプログラムではないと思うのですね。 専門家として入るということなので、いろんなタイプがありそうですね。  他にございますでしょうか。では、もう1点だけ残っていますから、最後の論点4につ いていきましょうか。お願いします。 ○事務局  9ページをご覧ください。論点4では、複数の企業が協働で障害者の雇用の場を確保す る仕組みについて論点を設定しております。中小企業において、障害者の雇用機会を拡 大していくためには、職務の分析・再整理を通じて仕事を切り出す、生み出すことが重 要であると考えられるが、中小企業においては、個々の企業では障害者雇用を進めるた めに十分な仕事量を確保することが困難な場合もあるのではないか。その場合、複数の 中小企業が協働して障害者の雇用機会を確保する仕組みについて、どのように考えるか。 以上です。 ○座長  ありがとうございました。この件については、これまでも何回か出ていまして、方向 についてはもう皆さん賛成でいらして、具体的にどうするかということだと思います。 既に、これまでもいろいろアイディアをいただいていますが、改めて議論をしてみたい と思います。どうぞ、小林委員。 ○小林委員  何社かで協働でということですが、我々の立場で言わせていただくと、唯一の職業で ある鍼灸マッサージの施術所を設けていただいて、そこで働けるようにしていくという 方法があるのではないかということで、御提案をさせていただいたんですけれども、ま ずは、やはりどういうレベルでやるかは別としても、モデルケースをつくっていく必要 があるのではないかと思います。 ○座長  どうぞ、輪島委員。 ○輪島委員  小林委員がおっしゃった通り、リネン系は整理ができているんですけれども、どうも 実態が難しいので、モデルでやるしかないと思います。19年度で予算を入れているので はなかったですか。 ○障害者雇用対策課長  今、モデルでというお話しがあった点については、来年度の納付金で行う調査研究事 業の1つとして、中小企業が一緒に仕事を出し合って、地域のなかで障害者の方の働く 場を設定してみるという事業をいくつかのところでモデル的に実施していただけるよう な調査研究事業をやろうということで、19年度に予算を組んでございます。 ○座長  ということは、やるということですね。どうせだったら、やる前から大体シナリオを 作って、こんなのだったらうまくいくよというようなものがあった方がいいですよね。 モデル事業をする前にですね。そこで、中小企業が集まるといっても、どうやって集ま るのですか。 ○障害者雇用対策課長  例えば、今までの御意見のなかでもいただいておりますように、まず事業協同組合の ような既に企業が集まっている場所を活用して、そこに仕事を集めてみるとか、あるい は、地域の商店街のなかで商店街振興組合みたいなものもあると思いますが、そういっ た既存の枠組みのなかで、中小企業が一緒に動いていくというような場面が既にある部 分があると思います。そういったところを活用してみるというのは1つの案ではないかと思 っています。 ○座長  そういう場合は、雇用責任は誰になるんですか。事業協同組合になるんですか。 例えばですけど。 ○障害者雇用対策課長  考え方としては、どこと雇用契約を結ぶかということになりますと、やはり事業協同 組合とか、そういうところと結んでいただくという形になるのではないかと思います。 ○座長  どうぞ。 ○原川委員  事業協同組合を使うというのは、私ども中小企業の事業所団体を指導する団体として は、これは結構なことだと思うのですけれども、事業協同組合というのは、いろんな種 類がありまして、今出ましたように、団地として1カ所に集積しているものとか、商店街 として1カ所に集積しているものというのは極わずかでありまして、あとは、大体散らば っているんですね。狭いところは1つの市町村に散らばっているものから、広いところは、 1つの都道府県のなかに、あるいは、またがって複数の都道府県に構成員が散らばってい るというようなものもあるわけです。各中小企業がそれぞれ分散して立地しているよう な場合は、なかなか仕事を集めるということになると、1つの施設をどこかに確保しな ければならないというような問題が出てくると思います。そういう場合には、何らかの 支援をいただかないと大変だと思うのですが、団地組合とか商店街というところでは、 組合が雇って、仕事を構成員から出してもらって、どこかその団地のなかに作業所をつ くって、そこで作業をするというようなやり方はあると思います。あるいは、各構成員 が雇った人を組合に出向してもらって仕事をやってもらうとか、もちろん仕事は出して もらうわけですけれども、あるいは、団地組合ですと、共益部分というのがありまして、 例えば、各工場とかは個人の企業が持っているわけですが、団地と同じように、道路な ど共益部分というのがありまして、そういうところの保守管理とか、そういう仕事とい うのは協同組合の直轄でできると思います。そういうように、いろいろやり方があるん ですけれども、それが労働関係で、派遣とか、職業紹介とか、そういうところとどうい うように接触するかというところを考えておかないといけないと思いますが、我々とし ても団地組合、商店街なんかの意向も聞いておかないといけませんし、あるいは、実態 として、もしやるとすれば、どういう点が問題になるかというようなことも、ちょっと 調べておかないといけないと思っております。  もう1つ、この9ページの意見の一番下の倉知委員の意見のところにもあるんですが、 中小企業等協同組合法のなかに、事業協同組合というのが位置づけられているのですが、 それと同時に、同じ組合の種類として、もう1つ企業組合というのがあります。その企 業組合というのは、個人4人が集まって設立できるというものです。事業協同組合とい うのは、事業者が4人集まらなければできないのですけれども、企業組合というのは、 事業者でなくても、個人が集まればできるというもので、定款に書きさえすれば、どん な事業でもできます。それから、企業組合というのは、1つの法人でありながら、1つの 財布であるんですね。要するに、個々人が別々に稼ぐのではなくて、個人がいろいろ仕 事をして、その稼ぎは組合にいったん納めてしまうわけです。それを給料的なもので、 あるいは活動した分量に応じてもらえるという仕組みで、我々としては創業の組織とし て使うということを今やっております。現実として、障害者の方が入って、そういう企 業組合をつくっているというのはあるんです。ただ、障害者だけではなくて、その家族 とか、保護者的な方も中に入ってやるわけですけれども、そういった方法もあります。 要するに、経営と労働が一致した組織ですから、自分が出資をして、自分が働いて、自 分が経営をするというような形なんですけれども、そういった協同組合という組織があ りますので、これを大いに使ったらいいのではないかと思います。 ○座長  自営業の集まりみたいなものですか。 ○原川委員  自営業の集まりではなくて、個人の集まりなんですけれども、それは、普通の主婦で も、リタイヤした高齢者の方でもいいし、障害者の方でもいいし、極端なことをいえば、 学生でもいいということです。そういう人たちが1つの法人格を持った企業組合という 組織をつくって、その組織のなかで資本と労働を持ち寄って、その組織を経営するわけ ですね。自分たちが働き手であると同時に、運営者でもあるというような組織です。で すから、1つの創業体というような位置づけだと思います。 ○座長  先ほど小林委員から1つの例として出されましたけれども、他の業務で何か切り出し て、実際に協働でやるというのは、どんな仕事があり得るのですかね。具体的にモデル 事業をやろうというときに、それは考えないといけないわけですから。堀江委員はプロ ですから、大体、この仕事とこの仕事でこう切り出せば、大体これで出来上がりとかい うようなことはイメージできるのではないですか。 ○堀江委員  実際に中野区内でやったことなんですけれども、清掃事業主さんたちが15社で組合を つくっていらっしゃいました。そこは全て障害者雇用の義務のない規模の会社さんなん ですね。そこは生き残りをかけていて、どんどん単価が下げられていくなかでも、区役 所の清掃ですとかもきちんと受けられるようにということで、組合をつくっていらっし ゃいました。それだけでは障害者雇用は進まないということで、この団体の人たちがNPO を創ったんです。そこで清掃に特化したジョブコーチの養成研修をして、そこに養護学 校の子たちを吸収をしていったまでは良かったんです。ですが、やっぱり小さな会社の 集まりで、区役所の仕事も確実に取れるという入札の決まり事もなかったものですから、 大きな現場は取れなくて、結局、会社のなかで採用されたんですけれども、本当に2時間 とか3時間の細切れの時間帯なので、午前はここの場所へ、午後はここの場所へいってと いうように、結構厳しい労働環境になってしまいました。今の使い方としては、そこで トレーニングをさせていただいて、私たちがそこから就職をお手伝いしましょうという ようなことになっています。そうすると、経済的な負担も会社さんにあまりかけなくて いいので、実態としては、そんなことも調べていかないと、やってみたはいいけれども 結局、1つの会社に負担がかかってしまったということはあります。ちょっと質問とずれ てしまって、すみません。 ○座長  輪島委員、いかがですか。 ○輪島委員  やっぱり清掃なら清掃で、先ほど原川委員がおっしゃったように、共用部分のところ の管理をどういうふうにするのかというものがあれば、あるのかなというふうにも思え ますし、月曜日はA社に行って、火曜日にはB社に行ってということを単純にいっている だけなので、モデルでできるのかどうかということですね。 ○座長  抽象的に考えるとできそうですが、具体的に考えると、難しそうですね。どうぞ、金 子委員。 ○金子委員  例えば、今、印刷とかなんかというのは、印刷などの紙ベースは減っていますけれど も、そういうものとか、それから、ダイレクトメールとか、そういうのを同じような業 種とかから受けて、一緒にやるとかという手はあるかも知れません。発送するとか、逆 に郵便物を配るとか。何か、そういうふうに外に出て、清掃みたいにそこへ行ってでは なくて、そこにいながら発送をするとか、印刷をするとか、そういう情報を流すとか、 例えば、今は、ファックスなんかも流すところを増やしているというし、そういうとこ ろを請け負っている業者もいます。あとは、チラシなんかを配るとか、そういうところ で実際に障害者が働いているのもありますけれども、そういう仕事を受けるとかという ようなこともあるかも知れません。それが、受ける企業がマッチするかどうかというこ とでいうと、ただ、その隙間的なことを拾い出して、地域でもってやるという方式もあ るのかなと思いました。 ○座長  私が例えば障害者の人たちを集めた清掃の会社を創って、それで中小企業A社、B社、 C社、D社、E社の仕事を引き受ける。これと何が違うんですか。そのA社、B社、C社、 D社、E社を会員制にしてあげれば、機能的にはほとんど一緒ですかね。会員にしないと 一緒にならないですかね。 ○金子委員  ただ、そこでジョブコーチをつけることができるかどうかですね。小さな会社でジョ ブコーチを1人つけるとかというのは難しいですから。 ○座長  ですから、私の会社ではつけるということにします。すると、それとあんまり変わり ませんか。どうですか。ちょっとイメージしているんです。 ○障害者雇用対策課長  制度の面で申し上げれば、今、座長がおっしゃったような場合には、雇っているとこ ろで雇用率がカウントされるということになって、仕事を出しているA社からE社は仕事 を出しているというだけで、雇用に関しての責任を持っていない状況なので、今の現状 の制度では、今野先生のおやりになる清掃会社のところでカウントをされるということ になります。ここで、こういう論点を設定させていただいているのは、その時に、A社、 B社、C社からみると、中小企業のグループとして、例えば、その辺りの雇用の責任をあ る程度分担をするとか、今お話しがあったようなジョブコーチをつけるとか、何らかの 条件の下に、先生がおっしゃったような会員制的なものとして、それはグループで雇用 の責任を持つんだというような形が出来てくれば、これは場合によっては、雇用率を共 同で担う、あるいは、難しいかも知れませんけれども、分割をするとか、どちらかとい えば、グループ全体で雇用率をカウントするという方法かも知れませんけれども、そう いったことが考えられることではないかと思います。現状の問題としては、おそらく制 度的にはそういうものがないこともありまして、現に動きとして、本当にそういうよう な例があるのかというお話しになりますと、今、皆さんからもいろいろアイディアを出 していただきましたけれども、現にそういうものが本当に進んでいるかというと、我々 も1つ2つぐらいしか事例を知りません。その1つの事例も非常に苦労して、今そういう 形での雇用ができなくなってしまっているというふうに伺っていますので、何らかモデ ル的につくっていった上で、制度的な裏打ちがないとなかなか進まないという部分はあ るのではないかと思っております。 ○座長  何か事業協同組合みたいなものでつくると、事業協同組合から外れた会社は入れにく いとか、あるいは、意思決定が多分非常に遅くなってしまうとか、何か、それよりは会 員制の方が非常に柔軟ではないですか。要するに、会員の契約の問題ですね。契約をど ういう契約にするかに依存するということですよね。どうぞ。 ○原川委員  座長のおっしゃる会員制というのは、仕事を出す方のことを言っているんですか。 ○座長  まず会員契約を結ぶということです。 ○原川委員  私なりに整理しますと、事業協同組合というのは会員組織なんです。まさに事業協同 組合というのは法人格を持っていて、個々の中小企業が構成員になっているわけです。 そこから仕事を出して、そして、事業協同組合が雇った人で仕事をするという形が1つ あります。  それから、中小企業が連携をして、事業協同組合という組織を持たなくても、連携し て座長のおっしゃった特例会社をつくるというのはあります。ただ、それは請負という ことになるので、その会員をバックにして、個々の中小企業をバックにして、そういう 1つのネットワークをつくって、そこから仕事を供給してもらうというような請負的な 契約を結ぶという方法が考えられます。  もう1つは、先ほど私が申し上げましたような企業組合方式というのは、会社を企業 組合にするのと同じなんですよ。要するに、事業主が会社を創ってもいいし、個人の障 害者の方自身が企業組合というものを創り、自分が企業組合のなかのメンバーになって、 そこで仕事を請け負う、その仕事を自分がやるということ、それも請負になるわけです が、それを収入として、法人を経営するということになります。そのときに、仕事をく れる企業のネットワークづくりをどうするかということが、特例会社を創るのと同じな んですけれども、そういうように、いろいろな運営主体があって、どういう法人組織に なるかというところが1つのポイントであると思うのです。 ○座長  私が変な例を持ち出したのは、協同組合か何かで、皆さんが会員になると、参加の権 利は平等だから、そうすると、民主的に運営しなければいけないとなれば、意思決定に 時間がかかりそうだと思ったからです。誰が責任者かはっきりしないので、いろいろ難 しいことが起こるかも知れないので、それだったら、私が責任をとるということにして しまって、その代わり会員契約を結んでくださいということにしたらいいだろう。そし て、会員契約のときに、例えば3年は必ず仕事を出すとかですね。何かそういう一種の 雇用上の責任が発生するような契約を結んで、そして、私は好きなところへいって営業 をする。業界団体にとらわれない、好きなところへ行って、業界団体に捕らわれない領 域ということもあり得るかなと思って、ちょっと言ってみたのです。何れにしても、い ろいろシュミレーションをして、いい形を考えないと、モデル事業も大変かなという含 みもありました。  でも、会員にするというのは難しいですね。仕事を出してくれる企業を募るというの は、なかなか難しいと思うのです。ただ、例えば、何でもいいんですけど、最近福利厚 生でアウトソーシングが進んで、それを請け負う会社がでてきている。この会社は、た とえば社宅の管理を多くの会社から請け負っているわけですね。それと似ているんです ね。それを長期契約にしてもらってですね。それと似ているのではないかなと思ったも のですから、そうしないと、これを運営する方がかなり自由度が落ちる可能性があるか なとちょっと思ったものですから。 ○原川委員  契約の仕方にもよると思うのですね。 ○座長  そうなんですね。契約の仕方が問題になると思うのです。 ○原川委員  仕事を出す方で、仕事を出さなければならないという契約は、なかなか難しいと思い ます。 ○座長  例えば、雇用契約でも、有期契約3年が目途だから、業務契約も3年にしてもらってで すね。必ず3年間は出すとかですね。ということで、そろそろ時間になりましたが、こ の件については、やるのはいいぞということでは、皆さん御意見が一致していると思い ます。あとは、どうするかということですが、今日いろいろ御意見をいただきました。 それでは一応今日考えておりました4つの論点について、順番に御議論をいただきまし たので、今日はこの辺で終わりたいと思います。  次回ですが、もう1つの論点整理で、中小企業における経済的負担の調整の実施とい うのがございます。今日、小林委員からもありましたけれども、重要な論点のテーマで す。この点について次回には議論をしていただきたいと思います。日程については、現 在調整中ということですので、決まり次第皆さんにお知らせしてお集まりをいただくこ とにしたいと思います。それでは、最後に何か事務局よりございますか。 ○事務局  次回研究会につきましては、ただ今座長からお話しがありましたように、日程が決ま り次第事務局から御連絡をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。また、 第6回の研究会の議事録の未定稿をお配りさせていただいておりますので、内容を御確 認いただきまして、ホームページ上でも公開したいと思います。メールでも同じものを 御案内いたしますので、御意見等ございましたら、今月中に事務局まで御連絡いただけ ればと思います。 ○座長  本日の議事ですけれども、議事録公開ということでよろしゅうございますか。(「異 議なし。」)では、公開ということにさせていただきます。それでは、これをもちまし て本日の研究会は終わりたいと思います。ありがとうございました。 【問い合わせ先】   厚生労働省職業安定局 高齢・障害者雇用対策部   障害者雇用対策課 雇用促進係   〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2   TEL  03(5253)1111(内線5855)   FAX  03(3502)5394