07/03/19 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 平成19年3月19日議事録 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録 1.日時及び場所   平成19年3月19日(月) 10:00〜   弘済会館 4階「椿」 2.出席委員(8名)五十音順   ○赤 堀 文 昭、 石 川 光 一、◎大 野 泰 雄、 菅 野   純、    黒 木 由美子、 白 濱 龍 興、 鈴 木 和 夫、 長谷川 和 俊、 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(2名)五十音順    出 川 雅 邦、 森 田 昌 敏 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)   佐々木 弥 生(化学物質安全対策室長)、    吉 田   淳  他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 ただいまより、平成18年度第1回薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会を開催 します。事務局から事務連絡を簡単にさせていただきます。同部会の総定員数は10名で すので、定足数が過半数の6名ということになっています。本日は8名出席、欠席2名 ということで、この会議は定足数に達していることを御報告申し上げます。なお本会議 は公開で行われています。資料、議事録の方も公開となっています。開催に先立ちまし て、黒川達夫大臣官房審議官より、一言御挨拶申し上げます。 ○審議官 皆様、おはようございます。厚生労働省大臣官房審議官で医薬品を担当して おります黒川と申します。今日は各委員の先生方、大変お忙しい中御参集頂まして本当 にありがとうございます。また日ごろから厚生労働行政に対しまして、格別の御理解と お力添えを頂いておりまして誠にありがとうございます。  御案内のとおり、国民の保健衛生に対する関心は極めて高いものがございまして、特 に生活、産業に密着した毒物劇物の安全対策については、私どもにとって大変に大きい 厚生労働行政の柱と考えております。今日は第1回ということで佐々木室長の方から経 緯等を詳しく御説明申し上げると思いますが、何卒その趣旨を御理解の上、忌憚のない 御意見を賜りますよう、よろしくお願いいたします。今日は本当にどうもありがとうご ざいました。 ○化学物質安全対策室長 化学物質安全対策室長の佐々木でございます。部会の先生方 におかれましては大変お忙しい中、御出席頂ましてありがとうございます。この部会自 体、約1年半ぶりということでございますけれども、委員の改選がございまして初めて の部会となっております。後ほど委員の先生方を御紹介させていただきたいと思います。  この1年間の化学物質関連の行政につきまして、簡単に御報告申し上げたいと思いま す。1点目ですが、前回の部会での審議結果に基づき、毒劇物の指定等を平成18年4月 にさせていただいているところです。また皆様御承知の化学品の分類及び表示に関する 世界調和システム(GHS)ですが、これの分類作業については関連の3省庁合同で分類 作業を進めていて、その結果につきましてはNITE(製品評価技術基盤機構)の方で公 表しているところです。私どもとしましては、その関連のパンフレットを作成し、利用 可能な状況にしていますので、是非御利用頂ければと思います。  本日は、新たに6物質の毒劇物への指定等について、御審議をお願いするところです。 そのうちの1物質については、前回もございましたけれども、OECDの文書に基づい ての評価となっています。よろしくお願いします。  最後に、GHSの考え方に基づいて毒劇物の指定に関する判定基準を改正ということ で、パブリックコメントをお願いしていました。この件については後ほど事務局から御 説明し、御審議を頂きたいと思います。本日は委員各位の皆様、忌憚のない御意見を頂 きますよう、お願い申し上げます。ありがとうございました。 ○事務局 ありがとうございました。いま佐々木室長からもお話がございましたが、今 年の初めに部会委員の改選がありました。初めての毒物劇物部会ですので、委員の先生 方を御紹介させていただきます。薬事・食品衛生審議会で毒物劇物部会の部会長は大野 委員に決定されました。大野先生、よろしくお願いします。 ○大野部会長 よろしくお願いします。 ○事務局 次に各委員の先生方を、あいうえお順で御紹介します。赤堀文昭先生。石川 光一先生。菅野純先生。黒木由美子先生。白濱龍興先生。鈴木和夫先生。長谷川和俊先 生。また森田昌敏先生、出川雅邦先生は欠席されています。以上10名でございます。薬 事・食品衛生審議会令におきまして、部会長に事故があるときには、当該部会に属する 委員又は臨時委員のうちから、部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理するこ とになっています。部会長に部会長代理を御指名頂きたいと思います。 ○大野部会長 今回、協力してくださっている委員の先生方は、皆さん毒性関係に深い 知識がある先生方ですけれども、毒劇物調査会で長らく私と一緒にいろいろ審議に参加 してくださっていた赤堀委員に部会長代理をお願いしたいと思います。赤堀委員、よろ しくお願いします。 ○事務局 ありがとうございます。それでは大野部会長の御指名により、赤堀委員に部 会長代理をお願いしたいと思います。赤堀委員、よろしくお願いします。また赤堀委員 におかれましては、部会長代理席の方にお移りいただきたいと思います。それでは大野 部会長、議事進行をよろしくお願いします。 ○大野部会長 それでは審議に入らせていただきます。今日の配付資料の確認をしてい ただきたいと思います。事務局からよろしくお願いします。 ○事務局 配付資料を説明します。今回検討頂く毒物又は劇物の指定に係る3物質の資 料について資料1から3があります。劇物の除外に係る2物質の資料について資料4と 5があります。さらに毒物及び劇物の指定見直しに係る1物質の資料について資料6が あります。毒物劇物の判定基準の改定案について資料7と参考資料7-1〜7-4が添付され ています。資料番号を振っていませんが、参考資料として現在の毒物劇物判定基準を付 けています。また本日ですが、既にお配りしている資料について正誤表がありますので、 A4で1枚の正誤表をお配りしています。以上ですが、もし不備等がありましたら挙手 をお願いします。よろしいですか。 ○大野部会長 議題に入りたいと思います。議題1として資料1に示されている1-ドデ シルグアニジニウム=アセタート(別名:ドジン)について、審議に入りたいと思います。 事務局から説明をお願いします。 ○事務局 名称が別名ISOの名称としてドジンとなっています。農薬(殺菌剤)として 用いられているものですけれども、日本ではまだ農薬の登録がされていない物質です。 この度、原体と65%製剤の毒性試験データが提出されました。資料1の物質の物性につ いては別紙1を御覧ください。若干黄色がかった微粒粉末ですが、通常の取扱いにおい ては安定に存在するものです。  次に別紙2の毒性試験の結果についてですが、まず原体の毒性試験について、経口と 経皮は毒物・劇物に該当していませんが、吸入が毒物に相当する結果となっています。 また刺激性については、特に眼について重度の刺激性ありとなっています。  次に65%製剤の毒性試験の結果についてです。原体と同じく、経口と経皮については 毒物・劇物に該当しない結果となっています。吸入については劇物と普通物の境界値と なっています。眼刺激性については原体と同様、重度の刺激性ありとなっています。  調査会におきましては、この物質の原体については毒物として、65%以下の製剤につ いては劇物として指定することが適当との結論でした。審議のほどよろしくお願いしま す。 ○大野部会長 ただいまの説明で原体は毒物、65%製剤は劇物に指定するという案です が、いかがですか。特に問題ございませんか。 ○菅野委員 問題ないのですが、質問です。残り35%というのはどういう成分になるの でしょうか。 ○大野部会長 いかがですか。何か資料がありますか。 ○事務局 お待ちください。回答に時間がかかりますので、差し支えなければ後でよろ しいですか。 ○菅野委員 結論には関係ないと思います。 ○大野部会長 後でその件は確認していただくということで、その点を確認した後、最 終的な結論を出したいと思います。これはペンディングということで、次の議題にいき たいと思います。資料2のO-エチル=S-プロピル=[(2E)-2-(シアノイミノ)-3-エチルイ ミダゾリジン-1-イル]ホスホノチオアート(別名:イミシアホス)について、御説明を お願いします。 ○事務局 別名ISOの名称としてイミシアホスという名称を現在申請中とのことで す。この物質は新規農薬として農薬取締法に基づく農薬登録の申請があったことに伴い、 毒物又は劇物としての該当性の照会を農林水産省から受けているものです。用途として は作物の根に寄生する線虫の防除剤として使用される予定です。この物質の物性につい てですが、別紙1にあるとおり常温では透明の液体で、通常の取扱いでは安定して存在 します。毒性試験の結果は別紙2を参照いただくと、まず原体についてですが、経口に ついては劇物、皮膚と吸入については普通物となっています。  次に1.5%製剤についてですが、経口と経皮については普通物、刺激性については刺 激性なし、眼については軽微な刺激性ありとの結果になっています。  調査会では、この物質の原体については劇物に指定し、1.5%以下の製剤については劇 物から除外することが適当との結論でした。審議のほどお願いします。 ○大野部会長 いかがですか。原体が劇物、1.5%製剤は普通物という案です。私が質問 するのもおかしいのですが、急性吸入毒性のところでダストと書いてありますけれども、 これはダストでよろしいのでしたか。常温で液体なのでエアロゾルかミストか蒸気か、 その辺かと思ったのです。 ○事務局 簡単に暴露方法についての試験結果の概要を説明します。暴露チャンバーの 上部に取り付けた噴霧装置を用いて、被験物質混合空気を生成し、4時間、鼻のほうに 暴露しました。試験空気生成装置による試験物質消費量と暴露チャンバーの内空気流量 から、理論暴露濃度を算出するとともに、試験空気中被験物質濃度をHPLCで分析し て暴露濃度を計測しています。 ○大野部会長 被験物質に空気を吹き付けて分散して、それで吸入させているのですね。 そうするとミストではないですか。よろしいですか。では修正していただくとして、ほ かの点はいかがでしょうか。 ○黒木委員 事前の説明で、1.5%製剤のほうは粒剤と伺ったような気がするのですが、 原体は液体、1.5%製剤は粒剤でよろしかったでしょうか。 ○大野部会長 1.5%製剤ですが、いかがでしょうか。 ○黒木委員 1.5%製剤について吸入毒性試験の記載がないというのは、粒剤であったた めという理解なのですが、調査会の方ではおそらく資料は出ているかと思います。 ○大野部会長 あまり詳しく覚えていないのですが、赤堀委員は覚えていますか。 ○赤堀部会長代理 随分前でしたので。 ○大野部会長 資料には書いていないでしょうか。 ○事務局 確認しますので、後でよろしいでしょうか。 ○大野部会長 分かりました。これは吸入毒性がないということについて、その確認と いうことが必要だということですね。 ○事務局 経口試験については1.5%粒剤で試験を行っています。 ○大野部会長 そうすると、1.5%製剤は粒剤であるということですね。 ○事務局 そうです。 ○大野部会長 吸入毒性はやろうと思ってもできないと、意味がないのでということで す。黒木委員、よろしいですか。 ○黒木委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは少し表現のところを修正するとして、 急性経口毒性の値が劇物に相当するということですので、原体は劇物と、1.5%製剤につ いては2,000mg/kgでも死亡しないと、ほかのところを見ても問題ないということで、普 通物ということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。ではそのようにさせ ていただきます。資料3ですが、3-(アミノメチル)ベンジルアミン及びこれを含有する 製剤ということで、これについての御説明をお願いします。 ○事務局 名称は3-(アミノメチル)ベンジルアミンで、エポキシ樹脂の硬化剤として使 用されています。国際機関で毒性調査が行われた物質の一つで、そのデータから毒性が あると見られるものです。動物愛護の観点から、国においてもただ闇雲に動物試験を実 施することがなかなか説明できなくなっている現状を踏まえ、海外で既に一定の評価を 受けている評価文書などを積極的に活用し、なるべく動物試験を実施しないで効率的に 毒劇物の指定を行っています。  昨年同様、SIDS文書を取り扱ったわけですが、SIDS文書について簡単に説明 させていただくと、経済協力開発機構では高生産量物質、すなわち世界で1,000t以上製 造されている物質について、加盟各国の政府で分担し、現存するすべての毒性試験報告 や文献を集め、初期リスク評価のためのスクリーニング用データセットを作成し、SI DS初期評価会議にて評価を行っています。データ集であるSIDS文書は、SIAM の評価が終わった後、インターネット上で公開されています。現在、200物質程度公表 されているところですが、そのうち毒性が強く、なおかつ、国内である程度流通してい るものについて、毒劇物の指定の候補として、今回上げさせていただきました。  この物質の物性についてですが、別紙1を参照していただき、無色の液体で通常の取 扱いでは安定して存在しています。毒性試験の結果は別紙2を参照していただき、まず 原体についてですが、経口については普通物、吸入については劇物と普通物との境界値 となっています。また皮膚腐食性については腐食性ありという結果になっています。  次に8%製剤の結果です。吸入については劇物相当ではないという結果が得られてい ます。また皮膚腐食性についてはMild irritantという結果になっています。5%製剤 の結果では皮膚腐食性なしとの結果になっています。  調査会におきましては、この物質の8%以下の製剤については劇物から除外すること が適当との結論を頂きました。審議のほどよろしくお願いします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。原体は劇物、8%以下のものは普通物という案です。 特に問題ありませんか。ありがとうございます。そういうことで原体は劇物、8%以下 のものは普通物ということにさせていただきます。次に資料4ですが、これは非常に長 いので、別名メタフルミゾンの審議に入りたいと思います。それについて説明をお願い します。 ○事務局 この物質は別名、ISOの名称としてメタフルミゾンとなっています。先ほ どのイミシアホスと同様に新規の農薬で、殺虫剤として農林水産省から毒物・劇物の該 当性の照会を受けているものです。用途としては殺虫剤となっています。有機シアン化 合物ですので現在は劇物に指定されています。  この物質の物性についてですが、別紙1を参照していただき、白色の粉末であり通常 の取扱い下では安定に存在しています。また別紙2を参照していただき、経口、経皮、 吸入については普通物の結果となっています。また皮膚と眼の刺激性については、どち らも刺激性なしとの結果が出ています。  調査会におきましては、この物質の原体及び製剤は劇物から除外することが適当との 結論でした。審議のほどよろしくお願いします。 ○大野部会長 シアンの基を持っているということで劇物相当ということですが、安全 性試験をやったら普通物相当ということです。御意見をお願いします。特に問題ないで しょうか。 ○石川委員 この物質は光学異性体のE体とZ体が9対1の割合で入っている、そうい う混合物であるということですね。 ○事務局 その物質で試験を実施しています。 ○石川委員 混合物でのデータということで、E体、Z体単独での毒性データがあると いうことではないということですか。 ○事務局 はい、そうです。 ○大野部会長 その9対1に含んでいるものについて劇物として除外するということで すね。よろしいですか。ありがとうございました。次は資料5で、バリウム=4-(5-ク ロロ-4-メチル-2-スルホナトフェニルアゾ)-3-ヒドロキシ-2-ナフトアート及びこ れを含有する製剤についての審議です。事務局から説明をお願いします。 ○事務局 現在、バリウム化合物として劇物に指定されている物質です。この物質につ いての用途は印刷インキ、塗料ということになっています。この物質の物性についてで すが、別紙1を参照していただき、赤色の粉末固体で通常の取扱いでは安定に存在して います。毒性試験の結果についてですが、別紙2を参照していただき、経口、経皮、吸 入のすべてにおいて普通物との結果になっており、皮膚、眼ともに刺激性なしとの結果 になっています。  調査会では、この物質の原体及び製剤は劇物から除外することが適当との結論でした。 審議のほどよろしくお願いします。 ○大野部会長 バリウム化合物ということで、そのままでは劇物に該当するのですが、 安全性試験をやったら普通物相当であるということで、普通物にしたいということです。 いかがでしょうか。特に問題はありませんか。ありがとうございます。ではそのように させていただきたいと思います。資料6で、2-ジフェニルアセチル-1,3-インダンジ オン及びこれを含有する製剤についての審議ですが、説明をお願いします。 ○事務局 名称は2-ジフェニルアセチル-1,3-インダンジオンです。既に原体と製剤 については毒物に、ただし、0.005%以下の製剤については劇物にそれぞれ指定されてい ます。この度、0.5%製剤、0.1%製剤、0.005%製剤の毒性試験結果がそれぞれ提出され、 毒物劇物の閾値の変更を検討することとしました。この物質についてですが、用途は殺 そ剤です。  この物質の物性については、別紙1を参照していただき、常温で結晶状の粉末であり、 通常の取扱い条件下では安定に存在しています。また別紙2を参照していただき、原体 についてですが、経口については試験によって差はありますが、毒物相当の結果となっ ています。  0.5%製剤についてですが、経口は500mg/kgということで普通物との結果になってい ます。0.1%製剤についてですが、6,700mg/kgで試験をしたグループのみ死亡率が10% という結果になっています。刺激性については72時間後には解消していますが、眼刺激 性についてありとの結果が出ています。0.005%製剤についてですが、経口・経皮はすべ て普通物という結果です。また皮膚刺激性と皮膚感作性については、陰性との結果が出 ています。この製剤については吸入試験は原体・製剤ともに実施されていません。ただ し、劇物除外の申請のあった0.005%製剤は、粒状の製剤をレーヨンを混合している和 紙の袋に充填した製品のみが該当するということで、吸入暴露は考えられないとのこと です。  調査会では、この物質の0.1%より多い製剤については毒物に、0.005%より多く0.1 %以下の製剤については劇物に、0.005%以下の製剤で殺そ剤であるものについては劇物 から除外することが適当との結論でした。審議のほどよろしくお願いします。 ○大野部会長 原体は毒物相当ということですが、今まで0.005%以下のものについて は劇物と判定されて指定されていたわけです。それを今回、0.005%以下は普通物とした いということです。御審議をお願いします。 ○赤堀部会長代理 調査会のメンバーでもあり、そこで十分議論しまして、その結果と して部会に上がってきました。この部会で私が発言するのはルール違反かという気はす るのですが、いまだに疑問として残るところがありますので、委員の先生方の御意見を 頂ければと思います。  原体毒物の製剤を毒物・劇物から除外するということでは、本日の資料7の別紙1の 2枚目になりますけれども、真ん中あたりに「2.毒物劇物の製剤の除外に関する考え方」 というのがあります。そこの最後にただし書がありますが、「毒物に判定された物の製 剤は、原則として、除外は行わない」という項目があるのです。この項目からいくと、 安全性が確実に担保されていなければならない。原則規定に当てはめないということで あれば、そうでなければならない(安全性の担保)と思います。この毒物は殺そ剤で抗凝 固作用による致死的な作用なのです。この0.005%を3日間から5日間連続して投与す ると、ネズミは確実に死にますという効能を謳っているのです。  しかしながら、急性毒性試験で1回5,000mg/kgですから、体重200gのラットにする と1g相当ぐらいになるでしょうか。それを食べさせても全く毒性徴候も死亡例も見ら れないという結果が出ているのです。  毒物劇物の調査会では出された急性毒性データに基づいて毒物であるか劇物である か、あるいは除外するかどうかの判断をするということですので、出されたデータは適 正に行われているものと思って、結果的に了解したはずなのですが、実際に殺そ剤の毒 性作用を考えた時に3日間の摂取で致死的な経過をとるにもかかわらず、1回大量投与、 すなわち100倍量投与しても全く毒性徴候は出てこなくて安全であるということが、少 し理解しづらいところがあります。  現に私も20年以上も前になりますが、同じ系統の殺そ剤で5日から7日間投与した ら、致死率100%の抗凝固性の殺そ薬があって、それを100倍量1回、イヌに投与しま したら確実に100%死亡しました。このことから考え、もちろん、今回提出されたデー タそのものは信頼できると思いますが、この種の毒物では劇物からも除外するという判 断でいいのかという気がしています。しかも大原則で除外することはできないと言いな がら、それを除外しようということですから、すなわち、原則を採用しないということ を考えたとき、もう少しデータが必要かと思ってずっと心に引っかかっているのです。 この部会ではトキシコロジーの先生方もたくさんおられますので、あえて、御意見を頂 ければと思います。 ○大野部会長 1日当たりの餌の摂取量というのは、ラットの場合はどのくらいでした か。体重1kg当たり数グラムではなかったでしたか。 ○赤堀部会長代理 多くても30gどまりですからね。 ○大野部会長 30gですね。 ○菅野委員 とりあえず、20gぐらいで計算していいのではないですか。 ○大野部会長 3日間か4〜5日間で確実に死亡するというのは、これを混ぜた餌だけ を食べたときに死亡すると。 ○赤堀部会長代理 ということだと思うのですが。 ○大野部会長 ほかのものは食べていない。 ○赤堀部会長代理 いや、恐らく他のものも食べて、そのうえで毒餌をまたは毒餌だけ を摂取することを考えて有効性を謳って、市販されていると思います。 ○大野部会長 そうですね。体重1kg当たり20g食べるとなると、いま投与量が体重1 kg当たり5gですから、もしこれだけを食べるとするとそれ以上ということになります ね。死んでもおかしくないのかと、大体1/4ですか。4倍ぐらいのをさらに5日か4日 間食べて16倍。10倍以上食べたことになります。急性毒性だと血液凝固が遅くなった とか、そういうのは指標に入っていませんから、はっきり死ぬとかそういうことが出れ ば分かりますけど、出ない場合は分からないですね。 ○赤堀部会長代理 毒物から除外できないという原則を当てはめないで除外できるとす るならば、生き死にだけではなくて、もう少しこの物質の毒性作用から考えられるもの をチェックしてみて、それでも安全ということであれば除外してもいいと考えられます が、その辺のデータは十分でなかったという気がしております。 ○黒木委員 今回規定が変わって、毒物に指定されたものは、製剤は除外しないという 大原則を作るとすると、今回除外してしまうとそれが例となって後々いきますから、慎 重にするためにもう一度毒性を考えていただいたほうがよろしいかと思います。特に殺 そ剤の毒性をネズミを使って試験するというのは、それこそが少し難しい問題かと思い ますので、赤堀委員が言われるように血液のほうのデータであるとか、今回は慎重にし てもよろしいかと思います。 ○大野部会長 今回、これを毒物から外すというのは、製剤の0.005%を5,000mg/kgや っても死亡しなかったということだけなのですか、ほかに理由はないのでしょうか。こ の「毒物に判定された物の製剤は、原則として、除外は行わない」とあるわけですけれ ども。 ○赤堀部会長代理 調査会では、動物はラットを使って全く死亡しなかったと。また、 毒性徴候も全く現われなかったという報告が出てきていますので、それに基づいて 0.005%は劇物からも除外しようという結論になったと理解しています。 ○大野部会長 考え方としては毒物と指定されても、製剤の段階で投与可能最大ぐらい まで投与しても問題ないような場合には、外すということなわけですね。ただ、この場 合には、本当に毒性徴候が出ていなかったのかというのは疑問であるということですね。 ほかの先生はいかがでしょうか。 ○菅野委員 私は新人なのでよく分かっていないところもあると思いますが、毒物にな っていて殺そ剤であるというところは無視できない。毒性学的には慎重にならざるを得 ない。抗凝固作用の単回投与における所見というのは、普通の見方では絶対見えていな いので、メカニズムが分かっていながら、そこの部分を該当種である齧歯類に対して見 ていないというデータを、そのまま単回毒性でNOELが取れたと言っていいかという 問題は、毒性学的には無視できないと思います。  ですから、NOELというレベルでなくて何が起こっているかというほうが、こうい う毒物の場合は重要であるという観点から、見直しの中で原則として毒物を除外しない と言っているのは、おそらくそういうことだろうと思うわけです。メカニズム的にシビ アなものが含まれているから、薄まったからと言って本当に大丈夫かということが、た ぶん陰に隠れているのだと思います。この製剤は特にこれの典型例かもしれないので、 フリーパスでは通せない内容だと思います。  ただ、種を変えてイヌにしたらコロッといく場合もあるでしょうし、人間の場合は出 血傾向で皮膚に斑点が出るかもしれないでしょうし、いろいろ考えられますけれども、 毒劇の判定手順の場合は、どのくらいの暴露を想定して規定しているのか、私は分から ないのですが、いずれにしても、これはフリーパスは少し難しいのではないかと思いま す。 ○大野部会長 毒劇物のほうの目的というのは、事故とか自殺とかで急性的に摂ったと きに大きな障害を与えるものは、厳しくコントロールしようというのが目的だと思いま す。 ○菅野委員 その場合、2、3回飲むというのはありですか。 ○大野部会長 それは必ずしも想定していないのではないかと思います。ただ、この場 合、2、3回摂って死亡するというのは、それだけ死ぬんだから単回投与でも何も出て いないというのはおかしいのではないかと、そういうことだと思います。もう少し詳し く観察すれば出ていたのではないかと。 ○菅野委員 そのほうが正しい見解だと思います。 ○赤堀部会長代理 調査会に出された資料は妥当なものであったと理解しております が、先生のおっしゃる、調べてもらいたいところのデータはなかったというところがあ るかもしれません。 ○大野部会長 ほかの先生、いかがでしょうか。 ○鈴木委員 LD50以外のデータというのは全然持って来ないのですか。 ○大野部会長 単回投与毒性実験は、当然、症状とか顔色とか、ネズミの顔色というの は変ですけれども、チェックするのは当然なのです。ただ、ガイドライン上はそうなっ ているのですが、実際には薬だけしか出していないことはよくあります。 ○赤堀部会長代理 データでは、一般状態にも特記すべき事項、変化はなかったという 記載があります。 ○菅野委員 このメカニズムでは、外見上は何も起こらなくていいわけですね。 ○大野部会長 特に短期的に、当日は何も出なくてもおかしくないですね。何日か経っ てから出てくる可能性はありますけど。ただ、一応2週間観察しているので、そのガイ ドラインに則ってやっていれば、そういう強い毒性が出るのだったら必ず分かるはずで すけれども。 ○赤堀部会長代理 トキシコロジイストの先生方もおられますので、どういうデータが あれば判断できるという、その辺のところの御発言を頂けるとありがたいと思います。 ○菅野委員 やはり抗凝固を見るのではないでしょうか。本当に見ておられないのでし ょうか、どうなのですか。 ○赤堀部会長代理 それは見ておりません(データが提出されておりません)。 ○大野部会長 原則として、そういうものに関しては反復投与したら毒性が出るものに 関して、その毒性のメカニズムが分かるものについては、そのメカニズムに則ったチェ ックを単回投与にもしてもらって、それで何も出ていなければいいだろうし、その関係 で毒性が出ていれば判断はそのデータに基づいて、また判断を考えるということかと思 います。この場合には凝固に対する影響が5,000mg/kgでどのくらい出ているかです。 ○菅野委員 その用量を3日やると死ぬのですね。 ○大野部会長 そうでなくて、これはこの製剤を3日間から5日間やっていると死ぬと、 そういうことですね。 ○赤堀部会長代理 はい、製剤とし、殺そ効果があるということです。 ○菅野委員 そういう意味では、反復投与の致死量ではあるわけですね。 ○赤堀部会長代理 それに関するコメントとしては1回投与だから毒性は出なかった と、これは数回に分けてやらないと致死効果は出ないという回答でした。 ○大野部会長 先ほど、1日当たり体重1kg当たり20gぐらい餌を食べると。これを 0.005%製剤を餌と同じように、ずっと20mgぐらい摂るような状況で初めて死ぬのか、 これだけずっと5,000mg/kgを摂っても死なないのか。そういう可能性もありますね。 ○赤堀部会長代理 この部会なり調査会の審議事項ではないかもしれませんが、効果が あるとして売っている一方で、これだけやっても死なないと、極端なことを言えばです ね。もし死ぬものであるとすると、1回の投与量は致死量を大きく超していますから、 3日間の投与でなければ毒性徴候は全く発現しないというのは理解しづらいところがあ る、その辺のところの疑問が解けていないのです。ただ、効くか効かないかは、毒物劇 物の判定に関係ないということですから、出てきたデータで毒物であるか劇物であるか、 また、それから除外できるかの判定ということであると、出てきたデータからは除外で きるということでした。 ○鈴木委員 吸収率が一定であって、サチュレートされているということですね。連続 的にずっとやればずっと入っていくけれども、1回の投与の場合には一定量だけしか入 らないからと、そういうような用量-応答関係に属するということですか。 ○大野部会長 そういう可能性もあると思います。 ○菅野委員 抗凝固というのは、メカニズム的にはどこに効くのでしょうかね。血小板 ですか。 ○赤堀部会長代理 ビタミンK依存性の血液凝固因子生成の抑制作用があります。 ○菅野委員 それを枯渇させるわけですね。完全枯渇するのに3日かかるかもしれない。 ○大野部会長 そうです。 ○菅野委員 でも単回でも凝固の低下にはつながるかもしれない。ただ、メカニズムが 分かっているから。 ○赤堀部会長代理 ただ、私がこだわったのは、先ほど申し上げたように、20年以上前 にイヌにクマテトラリールを5日間から7日間、1mg経口投与で100%致死効果のあっ た経験と、また、同じイヌに対して1回投与100mg/dogで、これも100%の死亡を確認 しておりますから、この系の殺そ剤でも連続投与の致死量の100倍量やれば確実に死亡 すると思っておりました。ただ、ラットでは100倍以上やることはできないかもしれま せんので、そのデータがないということも事実です。 ○大野部会長 いかがですか。これについて調査会の方に差戻してもう一度検討してい ただく。その検討していただくときの内容に関しては、5,000mg/kgで本当に何も出てい なかったのかどうかを確認していただくのと、この製剤を使うときに3日から5日間投 与で死亡するということを宣伝文句に使っているわけです。投与してラットがどのくら い食べるのかということだと思いますが、その状況をチェックしていただく。現在の 5,000mg/kgで、それより少ししか食べないのに、3日や4日、5日で死んでしまうのだ としたら非常に大きな問題だし、これよりずっとたくさん食べているときに初めて死ぬ のか、その辺のところです。調査会の方でもう少し詳しく調べていただいて、その上で 調査会に意見を求め、こちらでそれを受けてまた判断するということで、いかがですか。 よろしいですか。ではそういうことで、この物質については調査会に差戻しして検討し ていただくことにしたいと思います。とりあえず0.005%以下を普通物にするというこ とに関しては、今のところ却下ということで、再検討ということです。 ○黒木委員 1点、お願いなのですが、事務局の方にもお願いしてありますけれども、 原体と製剤と剤形が異なる場合がありますので、製剤の剤形を明記してほしいというこ とです。それは毒性の表及び物理化学的性状のところです。物理化学的性状の別紙1は 原体に関してのみですので、そこに製剤何パーセントはどういった剤形であると記載す ることで、試験内容が理解できるようにしていただければと思いますので、よろしくお 願いします。 ○大野部会長 製剤の性状を明記していただきたいということです。次回からそういう ことでよろしくお願いします。審議事項1のときに、希釈したときの製剤で35%は何だ ったのかというお話がありましたが、何か分かりましたか。 ○事務局 いま資料を調べているのですが、即答はできかねますので後で事務連絡か何 かで文書で回答させていただきたいと思います。 ○赤堀部会長代理 毒物・劇物判定の結論には影響しない御質問だったので、ご質問に 対する回答は委員の先生方に後から事務的に報告するということでこの審議に関する結 論は出るのではないかと思います。 ○大野部会長 結論は提案の内容で、65%以下を含有する製剤は劇物に指定すると、原 末は毒物ですけれども、そういう結論に関してはよろしいでしょうか。 ○石川委員 まさにいま黒木委員が言われたように、製剤の剤形がどういうものかとい う情報があれば、例えば水和剤ならばそれなりの副成分を入れているだろうということ で、残りの35%は大体想像がつくのだと思います。 ○菅野委員 この場合、両方ともダストなので、あまり極端に違わないだろうと思われ ますので、結論としてはよろしいのではないかと思います。 ○大野部会長 では、そういうことで結論としては事務局の提案のままということにさ せていただきます。あとで情報提供をお願いします。資料2はミストであったかどうか ということでしたが、それに関しては先ほどの実験のやり方から見るとミストであると 思われるということで、ここは修正するということでお願いします。 ○菅野委員 1.5%が粒剤かどうかを最終確認していなかったということですね。それは 粒剤なのですか。 ○事務局 粒剤です。 ○菅野委員 では、それは問題ない。 ○大野部会長 よろしいですか。次は議題7の「毒物劇物の判定基準の改正について」、 資料の説明をお願いします。 ○事務局 毒物劇物の判定基準の改正についての説明をさせていただきます。今回は毒 物劇物の判定基準について二つの事項の改正を考えています。一つは製剤の除外に関す る考え方のうち、製剤について知見がない場合を追加する改正、もう一つは製剤の除外 に関する考え方のうち、表現を一部見直した改正です。  製剤の除外に関する考え方のうち、製剤について知見がない場合を追加する改正につ いて説明します。本改正部分については、昨年度の毒物劇物部会においてパブリックコ メントを募集する前に、資料7-1の「御意見・情報の募集について」に対する御意見を お聞かせいただいた内容です。今回はパブリックコメントも終了し、当該部分の毒物劇 物の判定基準に反映させるために御審議いただくものです。判定基準(案)については別 紙1、新旧表については別紙2を御覧ください。  現在の判定基準の問題点として、除外規定を設けないものについては、劇物に指定さ れてしまうと、ごく少量でも意図的に混入すれば劇物の規制の枠組みの中に入ってしま うということです。もともと毒劇法の主旨である人が飲んだり吸ったり触ったりすると きに、急性的に生理機能に影響があって、保健衛生上の観点から規制しなければいけな いという立場からすると、微量で本当に毒性がないと通常思われることまで規制してい る点に問題があります。  別紙2の新旧表を参照していただくと、2として製剤の除外に関する考え方というの があります。これに基づいて除外することは今までも可能だったのですが、これはあく まで毒性試験があった場合にのみにこれを適用する。試験データがないものについては 下限値を設けられないので、安全のサイドから今までは考慮がなされないという形で整 理してきたところです。ただ、今般の事情を考えますと、動物愛護の観点からなるべく 動物試験はやらない方向でという考え方があります。  話は飛びますが、次にGHSについて簡単に説明させていただきます。参考資料7-3 を御覧ください。GHSとは化学品の危険有害性に関して世界共通の分類と表示を行い、 正確な情報伝達を実現し、人の健康や環境の保護を目的として国連で作成され勧告され たものです。  勧告の内容は、国際基準のシステムに基づいて化学品が有する様々な有害性について の程度を分類し、その有害性に見合った世界統一のシンボルマークや取扱いの注意をラ ベルに付すこととされています。またGHSに基づく化学品の有害性の分類は現行27 種類あり、それぞれについてその有害性の程度、区分によりラベルを付けるシンボル、 注意書き、注意喚起などが定められています。その中で毒性の基準というものがあって、 ここまで毒性が強いものについては、どくろマークを付けましょうという基準が勧告の 中に含まれています。  参考資料7-4ですが、116ページです。混合物の考え方ということで、いわゆる加算 式において分類しましょうと、特に試験はせずに加算式から毒性を類推し、ラベル表示 を行っても構わないという、ある意味で国際基準のようなものが出ています。これは単 純には半分に薄めれば毒性値が半分になるという式です。こういう基準が世の中の方に あって、毒劇に関してはいつまでも動物試験がないと判定できないというスタンスが、 動物愛護の点からももたないという問題が根底にあります。  事務局の方で今考えているのは、別紙2の新旧表の旧判定基準に除外の考え方という ことで、2の(1)の(1)に劇物相当の毒性と比較して1/10程度、例えば経口ならLD50 の劇物の基準値というのは300mg/kgですが、その1/10の3,000mg/kgまで毒性が薄まっ たものについては除外してもいいという規定があります。この3,000mg/kgに相当する濃 度を、先ほどのGHSに示されている加算式を使って逆算し、類推して濃度を求め、計 算式から下限値を設定できないかということです。その点を考慮したのが、新判定基準 2の(2)です。GHSとの違いは劇物除外に関して安全率10を見ているという点です。  次に劇物の除外に関する考え方の一部について、表現を見直した改正について説明し ます。別紙2の新旧表を御覧ください。先ほど説明しましたように劇物除外の考え方は 2の(1)の(1)、劇物相当の毒性と比較して1/10程度、例えば経口ならばLD50の劇物の 基準値というのは300mg/kgですが、その1/10の3,000mg/kgまで毒性が薄まったものに ついては除外しても構わないという規定があります。この記載の方法では、LD50の数 値が大きいことを毒性作用が小さいと表現しています。つまり経口毒性ならば劇物の基 準値300mg/kgと比較して、毒性作用が1/10程度を3,000mg/kgと記載しています。この 表現では毒性作用の大小と基準値の大小を個別に考える必要があることから、あくまで 数値の大小のみで表現することにしました。  なお、先の調査会では参考資料7-2のパブリックコメントに関する回答を御覧いただ き、その後、別紙1の判定基準(案)を送付させていただきましたが、今回の見直しに関 する箇所については特段御意見はありませんでした。以上、審議のほどよろしくお願い します。 ○大野部会長 いまの御説明について、質問等、何かコメントはございますか。GHS の基準だと、例えば製剤で劇物と指定されているもので1/10ぐらいの濃度だというと き、実際に試験をしたら結果は劇物相当でないと。ただ、うちの基準だと半分の濃度に してまだ劇物のままですね。そういうときに国際的な運送のためのラベリングは劇物で ないと、ところが、日本に入ってきたときには劇物相当だということで劇物という表示 になるのですか。 ○事務局 ラベル自体はGHSの基準に基づいて付いているもので、日本に入ってきた 場合は医薬用外劇物という、法的に基づいた表示をしなければいけないことになってい ます。 ○大野部会長 2の(1)の(1)のところで、劇物の最も大きい急性毒性値の10倍以上と考 えるものという、この10倍というところの考え方は調査会に出ていた人間は分かるので すが、この部会の先生方の中には、その理由が分からない方もおられるのではないかと 思います。どうして10倍にしたのか、あるいはそういうセーフティファクターを設けな ければいけなかったのかについて説明していただけますか。私から説明しますか。 ○事務局 お願いします。 ○大野部会長 これは、先ほども少しありましたが、製剤にするときに何パーセント製 剤については毒劇物から外すとか、そういう除外をするわけですけれども、その時に試 験したときの製剤は必ずしも、それがずっと全部規制がかかるわけではないですね。例 えば先ほど65%製剤とありましたが、そのときの35%は水で希釈する場合もあるし油で 希釈する場合もあるし、いろいろなもので希釈する場合があるわけです。法律上は65% 以下のものについては例えば普通物としてしまうと、水で希釈しようが油で希釈しよう が全部普通物になってしまうのです。ところが安全性試験をしたときには、例えば吸収 の悪い水で希釈しているとなると、現場のときには場合によってはもっと吸収の良い溶 剤で希釈する場合もあり得る。そういうことで実際の現場での使い方のばらつきを考え て、10倍のセーフティファクターを設けておいてやるのが安全だろうという考え方で、 この10倍となったと私は理解しています。赤堀委員、いかがですか。 ○赤堀部会長代理 そうだと思います。 ○大野部会長 ほかに何か質問がございますか。 ○長谷川委員 別紙2の(1)のところで、いまのGHSの考え方を取り入れるというこ とですが、(1)の文章に「急性毒性が強いため劇物に判定された物の製剤を除外する場合 は」と書いてあります。除外を申請する等そういう場合はこうだと言うのですが、これ が適用されると自動的にそういう場合はではなくて、次により除外されることになると いう状況になってしまうのではないかと思います。除外する場合はというよりは、次の 条件を満たす場合はすべて除外されるということですから、そういう意味合いになるの ではないですか。 ○大野部会長 これは自動的に除外されるのですか。 ○事務局 いいえ、あくまでこの審議会の方にかけさせていただくことになります。 ○長谷川委員 そのたびごとに判定するということなのですか。 ○事務局 はい、そうです。 ○大野部会長 そうすると、この表現でよろしいのではないかと思います。 ○長谷川委員 1回、1回判定するということならいいと思います。 ○大野部会長 ほかに御意見はございますか。 ○石川委員 確認ですけれども別紙2の2の(1)の(1)のところですが、新旧で表現を変 えただけで基準は変わっていないわけですね。現行のほうは毒性が最も弱いものと比較 して1/10程度というのは、数値のほうで表現すれば急性毒性の最も大きい値の10倍と いう表現に変えますということで、判断基準そのものは同じだということで、分かりま した。 ○菅野委員 その10倍の概念の中には、溶媒をうまく選ぶとかえって反応して活性化さ れるようなものの安全性も担保する形なのですか。それとも油で溶かす分には安全だけ れども、水で溶かすと非常に中間的なラディカルみたいなものができてしまうものが、 化学物質の構造式上もう予見されているものはやめておくとか。そういうことはこの10 倍に含まれているのですか。そういうものは未然に別途に撥ねておくのですか。 ○大野部会長 これはあくまで原則だと思うのです。 ○菅野委員 そういうものは、ここで撥ねることになると。 ○大野部会長 ええ。審議した上で、そういう危険性のあるものについては撥ねるとい うことになるのではないかと思います。 ○菅野委員 分かりました。 ○黒木委員 危険性のあるものは撥ねるということは、調査会の方には溶剤の名前やパ ーセントが全部出てきて、それが審査できる状態にあるという理解でよろしいですか。 ○大野部会長 調査会のときは毒性実験をやった報告書がきますので、その報告書を見 ればですね。 ○黒木委員 製剤の中に何が含まれるかは見えるということで、よろしいわけですね。 ○大野部会長 そうです。 ○黒木委員 農薬の製剤ですと、メタノールなどを含んでいるようなものもありますの で、それはきっと危険率は10倍ではないだろうという感じがします。 ○大野部会長 そうですね。 ○黒木委員 それは分かるということですね。 ○大野部会長 企業からデータを頂いたものについては、そういうデータが出てきます。 ただ、出ない場合も自主的に既存の文献とかを調べて、こういう指定をしたいというと きには、必ずしもそこまでの詳しいデータがなかったときもあると思います。それでも 疑問が出たときには元の論文を当たって調べることはできますので、大丈夫だと思いま す。 ○黒木委員 分かりました。 ○赤堀部会長代理 黒木委員の御指摘は非常に大事なことなのですが、事務局の方に確 認させていただきます。毒物や劇物から除外するというときの製剤は、有効成分以外の ものは明確になってすべて出てきているでしょうか。例えば大きな意味で界面活性剤で あるとか、有機溶媒であるという表現なのか、有機溶媒の中でメタノールがどれだけ入 っているとか、界面活性剤だとどういう成分がこれだけ入っているとか、そういうデー タが出てきた上での製剤の成分が分かるかどうかという意味ですね。多分、そこまでは 出てきていないように思ったのですが、いかがですか。 ○事務局 それについては、おそらく個別にデータを求めることになるのだろうと考え ています。一応、今回、この判定基準を了解いただくと、製剤について知見がない場合 に対して、これが除外できないかという感じで申請が来ると思います。その際には、今 先生が言われたデータも含めて調査会で議論いただいて、必要であればそういうデータ を追加で出していただく。もしない場合には従来どおり、試験をやっていただくことに なるのだろうと思います。ですから、これは今後、これを適用する個別ごとの判断を積 み重ねた上で、おそらく何らかのガイダンスみたいなものができてくるのではないかと 考えています。 ○赤堀部会長代理 黒木委員の御意見は、製剤のデータが出てきていればいいというの ではなくて、できればその製剤の中にどんなものが含まれているかも知りたいという意 味ですか。例えば製剤で毒性がないというデータが出ていれば、特にその製剤の中に入 っている有効成分以外のものが、どんなものであるかというのはよろしいですか。 ○黒木委員 調査会の方でそれが検討されていれば、いいかとは思います。ただ、メタ ノールを挙げたのは、ラットでは毒性が出なくて、ヒトに特異的に毒性が出てくるよう な溶剤も実際は使われているものがあるからです。中毒情報を提供する上では、そうい ったものを加味して皆さんに提供していますので、もし毒劇物の判定の中にそういった ことも含めるのであれば、調査会には必要なデータかと思います。 ○赤堀部会長代理 事務局の方にお願いしておいていただければと思います。 ○大野部会長 それは必要に応じて、そういう情報を出していただくということでいき たいと思います。ほかにございますか。 ○菅野委員 先ほどの殺そ剤を仮に10倍ルールに当てはめると、実際にはどうなります か。 ○赤堀部会長代理 5,000mg/kgで死亡例なし、中毒徴候、一般徴候も全くないというこ とですから当然これに当てはまるということで、調査会では、出されたデータから見る と除外できるだろうという結論になったと理解しています。 ○菅野委員 10倍ぐらいかけても影響ないということですね。 ○大野部会長 ただ、これは劇物を除外するときの条件です。毒物を除外するときの条 件を書いてあるわけではないのですが、それでも引用して判断したということです。 ○赤堀部会長代理 それでよかったでしたか。私の勘違いでしたか。今の菅野委員の御 質問はどうでしょうか。 ○事務局 この物質の6番目については、特にGHSの基準を当てはめたわけではあり ませんので。 ○赤堀部会長代理 失礼しました。 ○大野部会長 当てはめても大丈夫かということですね。資料7の説明に関して質問い ただいたわけですが、先に進んでよろしいですか。メソミルを使った殺人未遂事件があ ったということで、そういう化学物質を使った犯罪や事故があった場合に、いまの毒劇 の取締法上、今までの規制がよかったのかどうかを検討して、今までより基準を厳しく することも状況によってはあり得ますので、そういった事件があったということについ て事務局から説明していただきたいと思います。いかがですか。 ○事務局 ただ今お話のあったメソミルですが、これは昭和43年の毒物及び劇物指定の 改正を行った際に、当時、提出された経口毒性値を基にして、当時の判定基準で劇物に 指定されたものです。これは原体及び製剤を「劇物」に指定しています。いま、お話に ありましたが、最近、この物質を使った各種事件が発生していることから、最新の毒性 データに関する情報収集を行っています。指定等の見直しの必要があるデータが提出さ れた際には、当然ながらこの審議会で審査をしていただいて、所要の判断をしていただ くということになりますので、その点、事務局から情報提供いたします。 ○大野部会長 情報が集まったところで、調査会や部会に出していただいて、必要に応 じて審議していただくということで、よろしいですか。ありがとうございます。ほかに 何か連絡事項がありますか。事務局からありますか。 ○事務局 ありがとうございました。本日、御審議、御決議いただいた件につきまして は、次回の薬事・食品衛生審議会に御報告させていただきます。整理しますと、資料1 から資料5については、そのような形で薬事・食品衛生審議会の方に御報告させていた だき、また資料6の分については調査会の方に差戻しということになっています。また 次回の部会の日程についてはまだ未定ですので、改めて後日日程調整をさせていただき ます。よろしくお願いします。以上です。 ○大野部会長 それでは本日の部会は、これで終了させていただきます。ありがとうご ざいました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 化学物質安全対策室 室長補佐 吉田(2910)      - 1 -