07/03/19 介護保険料の在り方等に関する検討会 第1回議事録 日時 平成19年3月19日(月) 13:30〜15:00 場所 都道府県会館101大会議室 ○桑田介護保険課長  それでは、定刻となりましたので、まだ若干お見えになっていない委員の先生方もお られますけれども、ただいまから第1回目の介護保険料の在り方等に関する検討会を開 催させていただきたいと思います。  本日は、年度末のお忙しい中にもかかわらず、お集まりいただきまして誠にありがと うございます。  私は、厚生労働省老健局介護保険課長の桑田と申します。よろしくお願いします。本 検討会の進行につきましては、座長が選出されるまでの間、便宜私が務めさせていただ きたいと思います。  本日の委員の皆様方の出席状況でございますけれども、神戸市の保健福祉局高齢者福 祉部長の森田委員が御欠席ということでございまして、代理として濱田課長に御出席い ただいております。  それでは、初めに、事務局を代表いたしまして、老健局長からごあいさつ申し上げま す。 ○阿曽沼老健局長  お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。  この検討会でございますけれども、介護保険制度の保険料の在り方について御議論い ただきたいということでお集まり願いました。介護保険料につきましては、御案内のよ うに、定額の保険料でスタートいたしました。制度発足当初は全国平均で2,900円とい うことでスタートいたしましたが、その際に低所得者に配慮する必要があるだろうとい うことで、低所得者の軽減措置を一方で講じなければならないと。他方、市町村が保険 者を引き受けるということでございましたので、市町村の事務負担も軽減しなければな らないと2つの要請がございまして、その結果、段階別の保険料という形になったわけ でございます。その後6年経過をいたしまして、今7年目に入っておりますが、かなり のスピードで給付が増えました。その結果、保険料の水準がかなり上がってまいりまし た。その結果、段階別の保険料の段階、言わば階段の部分がかなり高くなってきたとい う現実がございまして、所得が1円違えばかなり介護保険料が違うという現実が生じて まいりました。  また他方、税制改正の影響もございまして、平成16年以降所得税法、地方税制の改正 がございました。この税制改正の影響によりまして、例えば、地方住民税の非課税限度 額が変わるということによりまして、所得は全く変わっていないんだけれども、税制改 正それ自体の影響によって、介護保険料が変わってくるという現実もまた一方で生じて まいりました。  これらの点につきましては、私ども経過措置、激変緩和措置を講じまして、できるだ け支障がないようにという取り組みをしてまいりましたけれども、所得段階別保険料を 維持する限りは、必ず所得の変化あるいは税制改正の変化によって影響を受け得るとい う現実がございます。それについては、国会等でもかなりいろいろな議論がございまし て、税制改正の影響を受ける今の制度でいいのだろうか、あるいは階段の段差が大きい 今の制度でいいのだろうかといったような議論がございました。大臣からも指示がござ いまして、私どもとしても制度がスタートして7年目になりますけれども、本来の在り 方を議論すべき時期に来ているだろうということで、この所得段階別の保険料の在り方 について御議論いただきたいということで先生方にお集まりいただきました。学識経験 者の方と、現実に市町村で事務に当たっていらっしゃる方を含めて、広い範囲からお集 まりいただいたということでございます。なかなか難しい課題ではございますけれども、 国民にとってみれば大変関心の高いところでもございますし、多くの保険料が年金から 天引きされるという現実がございますので、相当影響が大きい話でもございますので、 そこは多角的に、かつ、慎重に御議論いただかなければならないだろうと思っておりま す。  大変お忙しい中お集まりいただいて恐縮でございますけれども、できるだけ精力的に 御審議いただいて、何とか成案を得ていただければ大変ありがたいと私ども存じている 次第でございます。  開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げました。 ○桑田介護保険課長  それでは、続きまして、お手元に資料をお配りしてございますけれども、その御確認 をお願いしたいと思います。  座席表、それから、検討会の議事次第とございまして、資料が6つ用意されておりま す。資料1として、本検討会の開催要項。  資料2として、検討会のメンバーリスト。  資料3として「介護保険料の制度の概要等」という横長の冊子。  資料4といたしまして「介護保険料の現状等」ということで、これも横長の冊子をつ けております。  資料5として「介護保険料の賦課方式についての指摘」という縦長の資料をつけてお ります。  資料6でございますが、今回のメンバーの南方委員から提出された資料でございます。  以上、よろしゅうございましょうか。  それでは、資料を御確認いただいたということで、続きまして、御出席の委員の先生 方を御紹介いたしたいと思います。資料2のメンバーリストの順に御紹介したいと思い ます。  早稲田大学の菊池教授でございます。  東洋大学経済学部の駒村教授でございます。  慶應義塾大学大学院の田中教授でございます。  青山学院大学法学部の台助教授でございます。  福岡県介護保険広域連合の藤総務課長でございます。  日本大学経済学部の沼尾助教授でございます。  仙台市健康福祉局保険高齢部の南方介護保険課長は、間もなく到着されるという連絡 が入っております。今日は仙台から急遽、新幹線で駆けつけていただいております。  鳥取県南部町の健康福祉課、森岡課長でございます。  先ほど御紹介しましたけれども、神戸市の森田部長におかれましては、本日は所用で 御欠席ということでございますので、代わりに濱田課長に御出席いただいております。  以上、メンバーの先生方の御紹介でございます。  続きまして、厚生労働省側の御紹介をさせていただきたいと思います。  まず、中央が先ほどごあいさつ申し上げました阿曽沼老健局長でございます。  私の方から右側が御園審議官でございます。  老健局、石塚総務課長でございます。  同じく老健局、川尻計画課長でございます。  私は、司会の桑田でございます。  私の左隣、梶野介護保険課長補佐でございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。  ちょうど仙台の南方課長が今お着きになりました。  それでは、本日御出席予定の方皆さんそろったということもございまして、本会議の 座長の選出を行いたいと思います。ここでは誠に僭越ではございますけれども、事務局 からの御提案ということで大変恐縮でございますが、座長を田中委員にお願いできれば と考えておりますが、いかがでございましょうか。 (「異議なし」と声あり) ○桑田介護保険課長  それでは、御異議なしということでございますので、田中委員にこの検討会の座長を お願いしたいと思います。  それでは、座長席の方にお移りいただきまして、以下の進行をお願いしたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 (田中委員、座長席へ) ○田中座長  では、御指名でございますので、議事進行役を務めさせていただきます。 どうぞ御協力よろしくお願い申し上げます。  議事に入ります前に、検討会の会議の公開等の取扱いについてお知らせいたします。 厚労省の会議はみなそうですけれども、この会議議事録及び資料は原則公開ということ になっておりますので御承知置きください。  では、早速ですが、この検討会の開催要綱、介護保険料の制度概要等の現状、資料に ついての説明をお願いいたします。 ○梶野介護保険課長補佐  それでは、御説明いたします。  まず、本検討会を開催する趣旨ですけれども、資料1の開催要綱をごらんください。 1に趣旨が書かれております。介護保険の第1号被保険者の保険料につきましては、先 ほど局長からもお話があったように段階的に設定されているわけですが、いろいろな問 題が指摘されましたので、よりよい制度に改善していくため、今回有識者の方々にお集 まりいただき、検討会を開催することとしました。  次に、2の主な検討課題ですけれども、保険料の賦課方法の在り方について、定率負 担方式の導入の是非も含めて検討するということであります。  2つ目に、その他と記載されていますが、これは後ほど御説明いたしますけれども、 介護保険の利用者負担の制度も保険料の段階制度と似たような制度となっておりますの で、保険料の見直しを行うと利用者負担の制度にも影響を及ぼすこともあり得るという 意味で、その他としております。その他いろいろな影響を及ぼすところを考えなければ いけないという意味で、その他としております。  運営につきましては、先ほどお諮りされたように原則公開ということです。  以上が、研究会の趣旨や検討課題であります。  続きまして、資料3「介護保険料の制度の概要等」について御説明させていただきま す。  まず、1ページ目ですけれども、介護保険制度の仕組みであります。財政面を中心に 簡単に御説明させていただきます。  左上の図をごらんいただきますと、給付の総費用につきまして、まず利用者本人が原 則1割を負担して、残り9割の給付費について保険料と税金で半分ずつ賄う仕組みとな っています。保険料で賄う50%につきましては、第1号被保険者と呼ばれる65歳以上の 高齢者と、第2号被保険者と呼ばれる40〜64歳の人口の数で按分します。そうしますと 、65歳以上の高齢者群は現在では19%と計算されまして、保険者である市町村はその分 について個人単位で介護保険料を賦課して賄うことになります。その徴収方法ですけれ ども、基本的に老齢基礎年金等の年額18万円以上の方は天引き徴収という形で徴収され まして、それ以外の方は自分で納めていただくということになっております。 天引き徴収されている方々は約8割という状況であります。  もう一つのポイントとしまして、介護保険制度は3年で1サイクルとなっています。 市町村は3年を1期とする介護保険事業計画というものを策定しまして、3年ごとに見 直しを行います。保険料につきましては、3年ごとに事業計画に定めるサービス費用、 3年間の給付費用を見込んで、その見込額に基づいて3年間を通じて財政の均衡を保つ ように設定します。  最後に、左に財政安定化基金とありますけれども、これは市町村が通常の努力を行っ てもなお生じる保険料の未納や予想を上回る給付費の伸びによって財政不足が生じるわ けですけれども、それについては都道府県にあらかじめ設置した財政安定化基金から、 資金の貸付、または、交付を受けることができます。借りた分につきましては、次の保 険料に上乗せして返すという仕組みになりますので、単年度で財政不足が生じても直ち に一般財源を繰り入れるということをしなくて済むという制度になっています。  続きまして、2ページ目です。この絵は、第1号被保険者の65歳以上の方の介護保険 料の制度そのものですが、これは低所得者の方に配慮して負担能力に応じて負担を求め る観点から、市町村民税の課税状況等に応じて段階別に設定しています。標準は6段階 でして、市町村民税が非課税の方の中でも4段階に分かれています。図で言いますと、 赤字で書いてあるところです。  まず、第1段階ですが、生活保護受給者の方でして、賦課される保険料額は保険料基 準額に0.5、これが標準的な割合になりますが、これを掛けたものとなります。ここで 保険料基準額と申しますのは平成18年度から平成20年度で申し上げますと、全国平均で 4,090円です。実際は各市町村、各保険者が3か年のサイクルで定めます。  第2段階ですけれども、これは世帯全員が非課税で、本人の収入が80万円以下の年金 だけの方とか、正確に申し上げますと年金収入と地方税法上の合計所得金額の合計額が 80万円以下の方で、保険料基準額に掛ける標準的な割合はこれも0.5となっています。  次に、第3段階ですけれども、世帯全員が非課税者で、本人の年金収入が逆に80万円 を超える方。この保険料基準額に掛ける標準的な割合は0.75になっています。  第4段階ですけれども、本人は非課税なのですが、世帯に課税されている方がいると いう場合でして、保険料基準額に掛ける標準的な割合は1.0となっています。  第5段階以降は、市町村民税が課税される方でして、第5段階と第6段階の違いは、 地方税法上の合計所得金額が厚生労働省令で定める基準所得金額未満か以上かの違いで して、現行では基準所得金額を200万円と定めています。ですので、合計所得金額が200 万円未満か以上かで、第5段階か、第6段階かに区分されることになります。標準的な 割合は第5段階が1.25で、第6段階が1.5です。  なお、200万円の根拠ですけれども、これは第1段階から第3段階の被保険者が基準 額よりも軽減される総額面積。左のへこんだ部分の面積と、第5段階、第6段階の被保 険者が基準額よりも多く負担する面積、出っ張った部分の面積が同じ額になるよう相殺 されるような額として計算される値が、この期は200万円ということになります。  3ページ、これは一人当たりの介護保険料額の計算のポイントでして、保険料収納率 など細かいことを除きますと、基本的には左の青色にありますように、第1号被保険者 が収納すべき保険料総額を第1号被保険者数そのもので割るというよりは、補正した人 数で割って算出するものです。ここで第1号被保険者数をどのように補正するかと申し ますと、下の点線の中にありますように、第1・第2段階の方は先ほど御説明したとお り0.5人分としてカウントする。第3段階の方は0.75人分としてカウントするというふ うに積み上げていった値。そういうふうに第1号被保険者数を補正した数で割ると、全 国平均ですと今回は4,090円ということになります。  続きまして、4ページですが、このように介護保険料がなぜ段階別設定制度であるか という趣旨についてであります。  まず、第1号の介護保険料は、国民健康保険料とか定率ではなくて定額を基本として います。これは自立した高齢者が共通の介護リスクに対応するため、保険料を拠出し合 うという基本的な考え方に立って定額にしております。しかしながら、所得の低い方に そのまま一律の保険料を課すことはしないで、保険料を軽減することとしております。 そのため、おのずと段階制度になるということであります。なお、その際きめ細かく対 応するため、世帯の負担能力も着目して区分を設けることとしております。  区切る指標というか負担能力を判断する指標としては、市町村の所得捕捉、事務負担 に配慮して、既存の個人住民税の課税情報を用いることとします。このため、第1号被 保険者の介護保険料は、先ほど御説明したような段階別の定額制ということになってい ます。  続きまして、5ページです。この保険料制度ですけれども、前回の平成17年改正にお いて2つの見直しを行っていますので、御説明します。  まず、1点目として、見直し前までは全部で5段階が標準でしたけれども、所得の低 い方に一層きめ細かく配慮するため、旧第2段階を2つに区分して、新しく新第2段階 というものをつくりました。これが先ほど御説明差し上げた、例えば、年金収入80万円 以下だけで暮らされている方に適用される保険料段階であります。  続きまして、6ページです。平成17年の見直しの2つ目として、保険料の段階区分設 定を弾力化しました。見直し前は、市町村民税が課税されている層は原則2区分。市町 村の裁量で最大3区分までしか設けられないということでありましたけれども、見直し 後は無制限に設定できるようにしまして、市町村が被保険者の所得状況に応じてきめ細 かく保険料段階の設定を行うことができるようになりました。  7ページ目です。今度は、税制改正の影響について御説明したいと思います。個人住 民税につきましては、平成16年度と平成17年度の税制改正で、まず1つ目、公的年金等 控除の最低保障額を140万円から120万円に引き下げました。2つ目として、高齢者の非 課税限度額を廃止しました。このため、個人住民税の課税と非課税の境界線、課税され るかどうかの境界線ですけれども、これが例えば、公的年金だけを受給されている65歳 以上の夫婦世帯の場合で計算しますと、平成17年度は266.6万円でしたけれども、平成 18年度からは生活保護1級地につきましては211.0万円、2級地につきましては201.9 万円、3級地につきましては192.8万に下がりました。下の式は、その計算根拠を説明 したものであります。  ところで、生活保護の級地区分ですけれども、これは何かと申し上げますと、地域に おける物価水準の差などを生活保護基準に反映させることを目的とした制度でして、例 えば1級地ですと基本的に大都市とかその周辺でして、2級地は県庁所在地を初めとす る中都市、3級地はその他の市町村ということで、その地域によって額を変えていると いうことであります。  続きまして、8ページ。こうした税制改正の影響で、介護保険料にも影響が出るわけ ですけれども、それは先ほど御説明したように、市町村民税とリンクしているからであ りますが、例えば、この絵で第3段階の方は所得が全く変わらなくても非課税者から新 しく課税される。先ほどで言いますと、220万円の方ですと新しく課税されるというこ とですので、保険料段階が第5段階に上昇します。  または、第2段階の方の配偶者が非課税者から新たに課税されるということで、自分 は非課税者のままなんですが、相手の配偶者の方が新しく課税されることによって、自 分が第2段階から第4段階に上昇するというようなケースが生じました。  こうした保険料額が急激に上昇することを避けるために、当方では3年間で段階的に 引き上げるように激変緩和措置を講じているという状況であります。  続きまして、9ページ目です。保険料とは別に、今度は介護保険施設の利用者負担に ついて御説明申し上げます。特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所される要介 護者の方は、原則として負担はまず施設サービス費の1割を負担します。そのほかに、 食費・居住費を負担していただくことになっています。しかし、所得の低い方につきま しては軽減措置を講じておりまして、1割負担の利用料につきましては、高額介護サー ビス費というものが支給されます。それから、食費・居住費につきましては、補足給付 が支給されます。この段階区分は全部で4段階でありますけれども、第1〜第3段階ま では保険料の段階区分と同じであります。それから、第4段階も保険料の第4、第5、 第6を合わせたものとなっています。  続きまして、10ページ目です。利用者負担につきましては、平成17年に見直しが行わ れまして、左の図から右の図に変わっているわけですけれども、特に右の表ですが、食 費・居住費を保険外とする見直しが行われております。各段階における1割負担の額と 、食費・居住費の合計額はこの絵のとおりでありまして、所得の低い方には軽減措置が 講じられます。特に、上から2番目の第2段階の方を見ていただきますと、第2段階の 方は例えば老齢基礎年金だけで生活されている方ですが、この方は新たに食費・居住費 を含めても改正前の利用者負担4.0万円と比べて、3.7万円に引き下げられております。  続きまして、11ページ以降ですけれども、これまでの基本的な介護保険料と利用料の 概要で、11ページ以降は参照条文です。  簡単に御説明しますと、まず、11ページの第129条2項にありますように、介護保険 料は政令で定める基準に従って各市町村が条例で定めるということ。  それから、12ページでその政令をごらんいただきますと、基準がいろいろ書かれてお りますが、これは先ほど御説明差し上げたとおりの内容であります。赤字の部分をごら んいただきますと、市町村民税の課税・非課税と連動しているということがわかります。  続きまして、13ページですが、同じく政令で、先ほどのものが標準的な6段階の基準 でありますけれども、ここは何段階でも設定が可能な多段階設定について書いたところ でございます。  ここでポイントが2つほどあります。1つは、保険者は課税層に関しては自由に区分 数を設定できます。非課税者の方は第1〜第4段階の対象者の定義は定められています ので、保険者の判断で対象者の定義を変えることはできません。それから、それぞれの 区分において保険料の乗率が標準として定められておりますけれども、先ほど御説明差 し上げた0.5とか0.75とか1.25という値ですが、これはあくまで標準的なものですの で、保険者の判断で変更が可能となっております。  14ページは、所得税法の雑所得や公的年金等控除に関する参照条文となっています。  15ページは地方税法でして、これは先ほど御説明した市町村民税均等割の非課税限度 額に関する参照条文を15ページ、16ページと、その法令をつけております。  以上が制度の概要で、続きまして、資料4の介護保険料の現状を御説明させていただ きたいと思います。  まず、1ページ目ですけれども、これまでの全国の介護保険料の加重平均の推移です。 各保険者が定めておりますが、平均の数字です。平成12〜14年度までの第1期保険料 は2,911円。平成15年度からの第2期は3,293円で、第1期から13%伸びている。第 3期は4,090円で、第2期から24%伸びたという状況であります。  2ページ目の表は、各保険者が定める保険料基準額がどのくらいの額なのかの分布を 500円単位で見たものです。一番保険者数が多いのは3,501〜4,000円以下のところで、 600の保険者が入っています。下の方を見ますと、2,500円以下の保険者も14いる一方 で、6,000円以上の保険料を定めているところもあるというような状況であります。  3ページ目のグラフは、第1期からの保険料基準額の分布状況を見たものです。第1 〜第3期にかけて山の高さが崩れて広がっているということで、保険料基準額の分布が 広がっていることがわかります。  4ページ目は、保険料段階別の保険者数を見たものであります。標準は6段階ですけ れども、何段階も設定できるということを御説明差し上げました。基本的には6段階で ある保険者が全体の8割以上を占めておりますが、最高で10段階まできめ細かく定め ている保険者もあります。  5ページ目は、保険料基準額を都道府県別に示したものです。これを見てもわかりま せんので、次のページがグラフにしたものであります。一般的に西高東低と言われるよ うな状況が見られます。  続きまして、7ページであります。これは各期における保険料の段階格差を見たもの であります。介護保険料の上昇に伴って階段の幅も増加しておりまして、制度創設当初 は1段階階段が上がると、その幅は728円でありましたけれども、第3期では1,000円 を超えています。つまり、先ほどの税制改正の影響ですと2段階上昇しますので、2,000 円以上上昇することになるということです。  8ページ目は、介護保険料の各段階ごとの被保険者数の割合を示したものであります。 制度創設時は旧第3段階、平成12年度の水色のところですけれども、つまり本人は非 課税ですが、世帯に課税者がいるという方ですけれども、41%ということで一番多い状 況でした。しかし、平成18年度では33%まで減少しています。  次に、平成17年度と平成18年度を見ていただきますと、左から2番目のピンク色の第 2段階ですが、これは平成17年度は36.6%でしたけれども、平成18年度に新第2段階と 第3段階に分かれたわけでありますが、このピンク色の16.6%と黄色の10.7%を足して も27%ということですので、平成17年度の37%に比べると10%ほど減少しています。  一方、右から2番目の紫色の第4段階を見ていただきますと、平成17年度は12.7%で したが、22.4%まで10%増加しています。これは税制改正により非課税者の方が課税者 に移ったという影響が大きいと考えられます。  9ページは、厚生労働省の国民生活基礎調査からデータをとったものでして、65歳以 上の方がいる世帯について世帯構造別、つまり単独世帯とか夫婦のみの世帯とか、3世 代世帯といった世帯の構成割合変化を見たものであります。一番左の単独世帯と夫婦の みの世帯は昭和61年からともに増加しています。  一方で、右から2番目の3世代世帯は減少しています。昭和61年では水色の3世代世 帯が圧倒的に多かったわけでありますけれども、平成17年度では夫婦世帯や単独世帯よ りも少ない割合まで変化しています。  現行の介護保険料で標準割合1.0、つまり保険料基準額がそのまま適用される段階と いうのは第4段階ですけれども、これは本人は非課税ですが世帯に課税者がいるという 方です。つまり、単独世帯の方は第4段階には適用されません。それから、夫婦世帯の 世帯主も多くは第4段階が適用されません。配偶者の方は適用される。つまり、1.0が 適用される標準的な段階は、現在多い世帯である単独世帯とかそういった世帯が占めて いるわけではない。つまり、標準としている1.0段階がメーンの主流の世帯ではないと いうのは問題ではないかといったような御指摘もいただいているところであります。  以上が、現状を説明したものであります。  最後に、資料5として、各方面からの保険料制度についていただいた御指摘を紹介さ せていただきます。  まず、1ページ目ですけれども、平成16年の社会保障審議会介護保険部会の意見です 。下には全国市長会からいただいた要望で、第1号保険料について世帯概念を用いてい る賦課方法の在り方を含め、より公平な保険料設定となるよう見直しを行うこととなっ ております。  2ページ目以降は、最近の国会審議の話で、先ほど局長からもありましたけれども、 先ほどの税制改正の話とか、保険料がだんだん引き上がっていまして階段の幅が大きく なっているとか、そういった御指摘をいただいておりまして、2ページの下線部分は、 大臣の方から早急に検討会を開いて検討するということを指示したと書かれています。  3ページ、4ページも同じようなことで、5ページに下線が引いてありますけれども、 これは基本的に大臣の同じような答弁であります。  以上で、説明を終わります。 ○田中座長  ありがとうございました。  引き続き、南方委員から、御提出された資料について説明をお願いしたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○南方委員  仙台市の南方でございます。よろしくお願いいたします。  この資料作成の趣旨でございますけれども、左上の括弧に書いてございますように、 メモとなっておりまして、今回私がこの後予定されているフリートーキングの中で発表 したいと思っておったものでございます。  実は、今回事前に資料を拝見いたしましたところ、とりわけ厚生労働大臣の答弁にも ございますが、市町村の事務負担の軽減を図るために定額制を用いたと読めるようなと ころがございまして、市町村への事務配慮だけで定額制ということではなかったし、定 率性か定額制かについては、もう少し別の議論があっただろうと思います。ただ、その 議論の中で市町村の事務負担にも配慮するというようなことだったと思っております。 この仕事を長くさせていただいているものですから、当時の記憶を思い起こしてまとめ てメモにしたものでございます。発表で間違いがあると申し訳ないので、事務局に事前 に見ていただいたら、資料にすると言われてちょっとびっくりしたんですけれども、以 下、中身を説明させていただきます。  当時、一律定額や定率制ではなく、現在の段階保険料が採用されたかについては、い ろいろありましたけれども、主に次の4つだったのではなかったかと思っております。  (1)は、当時の保険料試算が大体月額2,500円程度だったということで、全体として 負担水準が低い。したがって、定率制にしなくても負担能力の格差を調整する必要性は 当面は低いので、定額制でもいいのではないかというお話であったと思います。  (2)は、先ほどから出ております市町村の負担軽減を図るという観点から、既に市町 村が把握しております住民税の課税状況を基に保険料を計算した方がいいのではないか ということ。  (3)でございますが、第1号被保険者は65歳以上の方でございますので、基本的には 稼督年齢層ではない。そういうことから、高齢者の世帯内での所得移転の政策的必要性 は必ずしも高いとは言えないのではないかというようなことでございました。  (4)でございますが、介護保険の給付というのは定型的なものであって、医療保険制 度と比較して著しく高額な給付が発生することはない。当該給付を賄う保険料負担を著 しく高額にするのは、給付と負担のバランスの観点から問題があるのではないかという ようなことであったかと思います。  更に、補足させていただきますと、市町村の事務負担の軽減を図るという国の配慮に つきましては、当時、保険者をどこにするかという大議論がございまして、国か県か市 町村かということで、最終的には市町村ということになったんですけれども、その中で 市町村が保険者になるに当たっては、保険者を重層的に支える仕組みをつくってほしい。 それから、可能な限り市町村の事務負担に配慮して欲しいという意見が多く出されまし て、そういったことも国が考慮してくださったのだと考えております。  それでは、市町村のどういうところが事務負担なのかという話になるわけですけれど も、以下賦課方式、そして、特別徴収、所得段階別の保険料と大きく3つに分けてご説 明します。  1番目につきましては、いわゆる税の情報を使うことになるんですが、当時、税情報 を介護保険側では余り多く持っていないということがございました。それから、地方税 法の22条だったと思いますが、税法上の守秘義務があって、なかなか介護保険側に税 の情報を渡せないんだというお話もございました。それでは所得の額とか課税・非課税 といった最小限のものをいただくしかないので、そういうところを落としどころにした らいいのではないかというようなことでした。それから、いわゆる国保の所得割方式と か本分方式とか旧ただし書き方式とかあるんですけれども、その当時はいろいろ議論が ありまして、旧ただし書き方式というのが一番公平なのだろうという話がございました。 しかし、そこには保険料賦課の基礎となる総所得金額を初め、各種の所得の損失の繰越 控除を戻さなければいけない、あるいは損益通算も戻さなければいけないというような ことがありまして、保険者の事務負担が大きくなるということがございます。  もう一つは、保険料を年金から控除するという特別徴収を実施しております。その対 象者は8割を超え、今では9割近くになっておりますが、特別徴収というのは年に1回 しか保険料を変えることができないという仕組みでありまして、年の途中で税額等の更 正が入った場合に、仮に保険料が1円違っても特別徴収を1回中止しなければいけない。 普通徴収に切り替えなければいけない。次に、特別徴収できるのはまた次の年だという ようなことで、非常に市民にとってもわかりにくい、住民にとってもわかりにくいとい うようなこともありましたし、この手続も市町村にとって大変大きな事務負担になると いう話もございました。  所得段階別保険料ですと、ある程度所得段階に幅がありますので、所得が違っても結 果的には同じ段階であれば、改めて保険料を賦課し直さなくてもいいという利点があっ て、こういう方がいいのではないかというような話もありました。  もう1枚おめくり頂きます。その後どうなったかという話なんですけれども、いわゆ る当初2,500円程度だというようなお話でしたが、実際は先ほどのご説明にもあったよ うに、今は第3期目で4,090円と非常に高くなりました。間差額も1,000円を超えて、 収入にちょっとしか差がないのに保険料はものすごく高くなるというようなことが出て まいりました。  それから、制度を実際に運営してみての話なんですが、基準保険料額は、第4段階の 基準額が本人非課税ということについて、なかなか住民の理解が得られにくいという面 がございました。  (3)でございますが、世帯分離の増加と書きました。保険料は個人単位で賦課するこ とを原則といたしておりますが、低所得者へ配慮することになるが、何をもって配慮す るかということで、世帯の課税・非課税の状況を用いることとなりました。しかし、間 差額が大きくなったこと、あるいは先ほど御説明のあった利用者負担の補足給付が始ま ったことから、住民票上の世帯分離をするということが盛んに行われるようになったと 聞いております。ただ、申し訳ないんですが、数字的に何世帯あるかとかは把握してお りません。そのことを次の「○」2つで記載してございます。  それから、(4)の賦課方式の関係でございますが、国民健康保険は応益割・応能割 の部分がありますけれども、一応定率制を採用しておりまして、応能割については一般 的に大規模市町村は所得割方式、中小規模市町村は旧ただし書き方式を採用しておりま したが、平成15年だったと思いますけれども、旧ただし書き方式の計算方法が制度改正 によって簡便化されましたので、最近は大規模な市町村の中でも旧ただし書き方式に切 り替えるところが多くなっていると聞いております。  それから、間もなくできる後期高齢者医療も、まだ正式には言われておりませんけれ ども、これも定率制で旧ただし書き方式になるのではないかということでございます。 そうなると、介護保険は医療保険ほどの高額な給付ではないというものの、国保がいわ ゆる定率制の旧ただし書き方式、後期高齢者医療も旧ただし書き方式ということで、高 齢者にとって介護保険料の算定の仕組みだけが所得段階制ということになると、なかな か住民の理解も得られなくなる可能性があるのではないかということで、制度を取り巻 く環境が変化してきているのではないかと思っております。  以上でございます。 ○田中座長  ありがとうございました。御意見を資料として出していただきました。  では、残りの時間は皆様方から自由な意見を伺いたいのですが、意見の前に事務局か らの資料説明、または南方委員からの資料説明についての質問はございますでしょうか。 ○台委員  先ほどの南方委員の御説明に関係して、事務局の方になるのかわかりませんけれども 、南方委員のメモで言いますと、1枚目の真ん中やや下の賦課方式にかかわって、旧た だし書き方式を採用するとした場合に、いろいろな税情報が必要になるというお話があ りました。税務当局との間の情報の提供、導入時にいろいろな制約があったというお話 があったんですけれども、今では所得情報あるいは課税についての情報提供の制限とい うのはどのようになったのか、もしわかりましたら。 ○桑田介護保険課長  その辺りは、いわゆる税情報でも特に課税されている方々の税情報というのは同じよ うにやられている。問題は、課税されていない部分の情報をどの程度入手できるかとい うことです。これについては、市町村によっても必ずしも一緒ではないという話も聞い ていますので、その辺り実際にどのように実務的に、どの辺までがなされていて、ある いは場合によってはここまでしかなされていないとか、その辺りの状況は調べてみまし て、わかった範囲でまた次回にでも御報告したいと思います。 ○田中座長  よろしいですか。自治体の方が何かお答えをお持ちならば、言っていただいてもいい ですが。 ○森田委員(代理:濱田氏)  現状として、税情報は税以外の目的のために使ってはな らないという大原則がありますけれども、介護保険制度で必要だから、それを例外的に 認めるかどうかというのは、市町村の個人情報の保護条例によって違うと思います。我 々のところでは例えば審議会の審議を経て認めることができるとか、そういうことがあ りますけれども、厳しい市町村でしたら、その辺は制約があると聞いております。 ○田中座長  条例によって違うわけですね。ありがとうございました。  ほかに資料に関する質問はございますか。 ○駒村委員  多分、資料の出所が違うと思うので技術的には難しいのかもしれませんが、もし、あ れば教えてください。所得段階別被保険者の加入割合等が8ページにありますが、8ペ ージと9ページはクロスというか、9ページの区分けの中で各団体がどうなっているか ということはデータ的にはできないんですか。こういうように細かく現状を見ていきた いので、9ページの世帯別の段階を知ることはできませんでしょうか。  それから、もう一つ、資料の確認なんですけれども、南方委員の出された1ページ目 の理由の(1)なり(4)というのは、南方委員の個人的な見方ではなくて、政府部内で平 成12年に議論された保険料の考え方を整理したものと読んでいいのかどうか、その2点 を教えてください。 ○南方委員  私事でございますけれども、平成12年に介護保険が始まりましたが、平成9年から準 備のためにこの仕事に就かせていただいております。そのときは法案審議も含めていろ いろな議論が国の方でございました。老健局というのは非常に優しいところでして、途 中経過も含めて市町村に公開してくださいました。その辺の資料を読んで私が取りまと めたものでございますので、必ずしもこれが国の見解だったということではございませ ん。当時の記憶を思い起こすと、こういうことだったのではないかということでござい ます。 ○田中座長  ありがとうございます。  前段の質問については、いかがですか。 ○梶野介護保険課長補佐  クロスができるかどうかにつきましては当方としても分析したいと思いますので、例 えば、第4段階ですと先ほど御説明したように、夫婦のみの妻の方、多くは妻だと思い ますが、その方なのか、それとも3世代世帯の方なのかとか、その辺は研究させていた だきたいと思います。 ○田中座長  ほかにいかがでしょうか。 ○沼尾委員  「介護保険料の制度の概要等」の6ページで、先ほど保険料段階設定の話があって、 もう一方で、現状の4ページで、段階別の保険者数で7段階以上の設定をしている保険 者が大体2割ぐらいあるということだったんですけれども、7段階以上で設定している ところというのは、1.5を超えて例えば1.75とか2.0とか上の方に伸ばしていっているの か、それとも1.5の間をかなり小刻みにする形にされているのか、その辺りはどういう ふうに段階設定をされているのかというところを教えていただければと思うんですが。 ○桑田介護保険課長  これは保険者によってまちまちなんですけれども、例えば10段階に設定している保険 者などを見てみますと、1.0の次に1.25まで飛んでいるところもあれば、1.0の次に1.20 とか1.19と刻んでいるところもあります。10段階までいきますと、1.50よりも右の方に 1.75、2.0と2.5まで行っているところもありますし、1.52、1.62、1.71、1.81と、非常 に細かく刻んでいるところもあって、結構まちまちです。  ちなみに政令指定都市などで見てみましても、1.0の次は1.10で刻んでいるところもあ ります。 ○沼尾委員  なぜそれを伺ったかというと、先ほど上の段階を200万円で切るという話をしたとき に、1.0より少ないところで取れない部分と1.0を上回るところで取れる部分とのマスを イコールにするというような形で全国ではつじつまが合うようにというお話だったと思 うんですけれども、要するにそれぞれの保険者ごとに、先ほどの19%分を誰がどう割る かという再分配に関する話だと思うんですが、そのときに例えば、第1〜第4段階まで をう少しブラケットを緩めるような形で設定を変えたり、あるいは高額所得者からより たくさん保険料を取るようにしたりとか、それぞれいろいろな対応があり得ると思うん ですけれども、その傾向がどうなっているのかというところを伺いたいというのが質問 の趣旨なんですが。 ○桑田介護保険課長  おっしゃっているのは、要は1.0よりも下のところでの調整はあるかということです ね。1.0よりも下のところでは、箱の数は増やすことはできないですね。したがいまし て、そこについては、これもまちまちなんですが、例えば第2段階を0.5ではなくて 0.5と0.75の間に設定しておられるような保険者さんもありますし、第3段階の0.75を 0.75よりも下に設定しているところもあるし、あるいは、第4段階の1.0自体を0.9と 設定しているところもあります。  それから、そこの設定に恐らく裏腹の関係があるのでしょうけれども、例えば第1段 階を0.5未満にしている一方で、第8、第9、第10辺りを2だとか2以上にしていると ころがありまして、そこは本当に保険者さんのポリシーごとに多分まちまちだと思い ます。 ○田中座長  介護保険の精神、自治体のごとの工夫が認められている現れなのでしょうね。  ほかに質問はございますか。 ○菊池委員  今のことに関連してなんですが、そもそも1号〜4号まではそれより上と比べて縛り を掛けているというところの考え方というか趣旨というか、保険者の社会保険であると いう性格を意味するということでは取らないというのは認めないけれども、そうでなけ れば広く認めるというのは考え方してはあると思うんですが、ちょっとその辺の考え方 を教えていただければと思います。 ○桑田介護保険課長  そうですね、ですから、介護保険制度の場合、やはり仮に生活保護を受けておられる 方でもゼロにはしない。要は、一人一人が自立した高齢者としてお互いに支え合うとい うような観点から、例えば、考え方として第1段階の人でもゼロはだめだと設定してい るということなんですね。 ○田中座長  本日は時間が短いので、あと30分ぐらいしかないのですけれども、質問していただい ても結構ですが、委員方々のからの御自由な意見もお聞きしたいと思います。今日は自 由意見で結構です。差し当たりこの資料を基にお考えになったこと、あるいは日ごろ業 務をなさっている自治体の方々でお考えがおありの点、あるいは学問的視点から原理原 則から発言をなさりたい、何でも結構ですので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○台委員  時間がありませんので口火を切る意味で。これから先生方からいろいろ教えていただ きながら、私の考え方が変わることも多分あるのだと思いますけれども、今お話を伺っ た段階、特に、南方委員のお話も伺った段階での印象として1つお話をしておきたいと 思います。社会保険料としての在り方を考えた場合に、同じ保険者の中での助け合いの 仕組みであるということで、一面、応能的な負担であることが望ましいということがあ ります。ただ、その一方で、介護にしてもあるいは国保の場合もそうだと思いますが、 要は目的税以上に目的が特定されていて、毎年毎年の支出を必ず賄っていかなければな らない、勿論、介護保険の場合には3年で収支均衡といったバッファーがあるわけです が、単純に考えると、収入が落ちたから医療あるいは介護のサービスの量や質を落とす というわけにはいかない、これは逆に言うと、それだけ保険料の収入が安定している、 課税上の政策変更ですとか、あるいは景気変動に対してある程度は鈍感であることが望 ましいだろうと思います。  今回は、課税最低限が下がって、短期的には増収の方に向いている話ですから、財政 問題、来年あるいは3年間の介護費用をどうするかという問題には至らないわけですけ れども、仮にの話ですが、例えば、逆に減税のために課税最低限が上がってしまったと いうことがあるとしたら、短期的には来年あるいは3年間の介護費用をどう賄うか、そ ういう財政問題が起こるわけですし、また、中期的には中間所得層に更にきつい負担を 乗せなければならないという事態が生じていたわけです。そういう意味で言うと、なる べく政策変更あるいは景気変動というものに対して鈍感であることも望ましいという面 もあるだろう、このように、応能負担でありつつ外形標準的な賦課の構造であることが 望ましいということから言えば、先ほど南方委員からお話のあった国保のただし書き方 式というのは、もし、実務に乗るのであれば、今の段階では非常にあり得べき話なのか なという印象を、今日のお話を伺って持ちました。 ○田中座長  ありがとうございました。  今日は別に結論的な意見は必要ないので、何でも日ごろお考えのことを言っていただ ければと思います。 ○駒村委員  南方委員の資料の1ページにある理由の(3)(4)を見ていただくと、(4)はそうなの かなと思いながらやや疑問ですが、南方委員の見解に対して疑問というよりは、こうい う議論があったのかなという疑問です。(3)の方はこういう考え方がもし仮にあったと するならば、これは平成12年の話ですが、この後、大きな年金改革があって、年金の性 格が大変変わってきているわけです。基礎年金、報酬比例部分関係なく将来一律で下が っていくということを考えれば、やはり高齢者世帯内での所得再分配というものの必要 性が高まっているのではないかと思います。  もう一つは、給付時の再分配、自己負担のところが先ほどの話で利用負担について階 段状になっていて、社会保険は給付時再分配というのは原則としては正論ではなく 、 やや説明がつかない部分もあったわけですが、実際問題としてはさまざまな部分でこう いう給付時の再分配も始まっておりますので、その辺の考え方も一度整理した方がいい のではないかという最初の感想でございます。 ○田中座長  ありがとうございます。補足給付に限らず、いろいろと給付費を通ずる再分配があり ますからね。高額療養費とか高額介護サービス費、そういう点も考えよという御指摘で した。  自治体の方も日ごろお考えのことを言っていただければ結構でございますが。 ○南方委員  先ほど資料の中でも事務局から御紹介いただきましたが、全国市長会の要望が資料5 の1ページ目に出てまいりました。私も全国市長会の幹事をしているものですから、ち ょっとだけお話をさせていただきたいと思います。  この保険料の賦課については、創設当初から各自治体の頭を悩ませるいろいろな課題 を含んでおられました。そういったことから、全国市長会の中に介護保険対策特別委員 会というものがあるんですが、その中に1号保険料の在り方に関する検討会というもの が設けられました。平成14年、制度が始まって2年も経っていないうちに立ち上げま して、そこから約1年半市長会の仲間でいろいろ議論をいたしました。特に、今回の制 度改正の転機となった第2段階を細分化することとか、多段階制にすることなどもいろ いろ議論させていただきました。それはそれで国の考え方についても理解をできたので すが、ただ、世帯の概念、非課税・課税を持ち込むことについては、幹事の間でも賛否 両論がございまして、結論が出ませんでした。最終的にはベストな方法とは言えないけ れども、現時点において低所得者に配慮する手法として、課税・非課税、世帯概念を持 ち込まざるを得ない、次善の策ということで仕方がない。ただ、今回はこれでいったん 終わりにするけれども、やはり市長会としても将来的にはもう少し公平感のある賦課方 式を創っていただきたいと国に要望していこうということが、先ほどの要望文でござい ます。  ここにはその要望文しか書いていないんですが、そのほかに2つ要望がございまして、 1つは、そもそも低所得者へ配慮した分を他の被保険者がかぶらなければいけないのか どうかという点について、市長会としてはちょっと疑義があります。なぜならば、国保 は非課税世帯が3割ということで保険基盤安定制度があります。今もこのように言うの かどうかわかりませんが、そのような救済措置がございます。ところが、介護保険につ いては、低所得者に軽減した分を所得のある人から取るということで面積を同じにする というやり方なんですが、そもそも非課税者が6割、7割もいる制度の中で、その市町 村内の高額所得の人から取って埋めることが、本当にそれでいいのだろうかという議論 がありました。市長会としては低所得者に対する軽減については、やはり公費を入れて 他の被保険者の負担軽減を図るようにお願いしたいというものでございます。  もう一つは、市町村の勝手な言い分になるかもしれませんが、いずれ賦課方式を変え るということになりますと、電算システムの変更・修正も含めて相当な時間がかかりま す。それから、市民への周知も結構時間がかかります。そういうことで、もし何か事を 起こすに当たっては、市町村の意見を十分聞いてほしいことと、周知やシステム改修の ための時間を十分いただきたいということをお願いしております。市長会の立場でとい うことでお話し申し上げましたが、そういうこともございますので御紹介したいと思い ます。  以上です。 ○田中座長  ありがとうございます。世帯概念が、本来は個人保険である介護保険にどう合うか、 それから、世帯非課税とは理念とは関係なく、便宜上の区分けにすぎない。 それから、もう一つ、低所得者についての配慮は別もあり得ると言っていただきました。 ○菊池委員  今のお話に少し関連するんですけれども、私も今回どこまでやるかというのは別にし て、世帯というものをどう考えるかというのは非常に重要だと思っていまして、先ほど 世帯分離が起こっているという話をしていましたが、たとえば障害者自立支援法にして も、国保にしても、いろいろな場面でとにかく世帯を単位として賦課していくというの がある一方で、介護保険は特に個人にかなり根ざした制度だと思いますけれども、ある 意味で被保険者側の選択で賦課のされ方がかなり変わってしまうというような制度の在 り方をどう考えるかというのは、ちょっと大きな話なんですが、私自身は非常に関心が あるところであります。  もう一つ、これも今回の検討課題からちょっと外れるかもしれませんけれども、国保 の徴収方式なども念頭に置きながら考えていく場合に、更に高齢者の方が第1号被保険 者の対象であるという状況で、国保は資産割とかストックの方にも目を向けた仕組みが あるんですが、そういった部分はどう考えていくのかなというのが個人的には関心のあ るところであります。 ○田中座長  選択肢によって広い意味の課税額が違ってきてしまう制度への疑問と、高齢者の資産 に対する着目はこちらにはないけれども、それでいいのかという御指摘ですね。 ○沼尾委員  先ほどの南方委員のお話ともかかわるんですけれども、やはり保険料徴収を通じてど こまで負担配分の応能的な仕組みを入れていくかというのは、結構重要なポイントなの かなとは思っています。  そのこととの関連で申しますと、今度から個人住民税が定率方式になったということ で、累進がなくなったわけですね。税法上も1の率ということで、税率を複数段階、自 治体が独自に制定するということも認められていないというような仕組みになりまして、 まさに応能的、累進的な構造というものが住民税の場からなくなってしまったと。他方、 介護保険のみならず国保の場合でも、所得割を取っている自治体などは税制改正の影響 による負担構造の急激な変化への対応で非常に苦労しているというようなことを聞いて いますので、そういった税制との整合性も踏まえつつ、介護保険制度の中でどこまで市 町村ごとというか、保険者ごとにこういう負担の累進的な構造を入れるのか、あるいは 外すのかということを、今後慎重に検討していく必要があるのかなと思っています。 ○田中座長  ありがとうございます。 ○桑田介護保険課長  今、何人かの先生から御意見をいただいたわけでございますけれども、一つ重要なテ ーマというのは、高齢者間での再分配、公平性の問題をどう考えるかというのが、大体 皆さん問題提起されていたと思うんです。駒村先生がおっしゃったように、例えば、南 方委員が出された資料の(3)では、当時の相対的な話としては、恐らく高齢者世帯内で の所得移転の必要性は高いとは言えないという議論があったのかもわからないけれども 、ただし、現在を考えてみると、それは大きい重要な、まさに御議論いただきたい論点 の一つだと思いますし、そういった御議論をいただく中で、今、沼尾委員がおっしゃっ ていただいたような税制だとかほかの制度でどう扱われているかといったことも十分参 考にしながら、御議論いただければ私ども大変ありがたいと思っております。  それから、もう一つ、南方委員がおっしゃった市長会での議論等々の延長の中で、低 所得者への配慮の方法として、同じ保険者の区域の中での他の被保険者がかぶる必要が あるのかというのが非常に大きな御議論だったという話で、今でも恐らくそういった問 題意識はお持ちだと思うんですけれども、それについては1点だけ補足説明させていた だきますと、これもさまざまな議論がある部分なんですけれども、保険者によって、例 えば、低所得者の方がウェートが高い保険者とウェートが低い保険者がございますね。 ある意味低所得者、例えば第1段階、第2段階の人の割合が随分多いというのは、保険 者の責任ではなくて、そういったことが起こっていると。そういった地域において、地 域内だけで負担関係を成立させようとすると、要は保険を与える力が弱いものですから、 そういった地域の第5段階、第6段階の人の保険料がやたらと高くなって、平均的な保 険料水準が上がってしまうという問題が生じるわけで、そのような市町村の責任ではな い部分についてのイコールフッティングの妨げになるような格差は、調整する必要があ るという問題意識から、私どもとしては調整交付金という枠組みをつくっております。 これは全体の給付額の25%を国費で負担するんですが、そのうちの5%を調整枠として 活用して、例えば今、御議論が出たような低所得者の割合がほかのところよりも多いと ころについては、交付金の交付率を高くすると。逆に、高額所得者の多いところについ ては、少し小さい率で勘弁してもらうみたいなことで調整枠に使っていると。ただ、調 整交付金はそのような制定自体が、果たして適切かどうかというのも大きな論点として あることは承知していますが、一応制度としては調整交付金という枠組みの中で、一定 の調整行為はしているということは補足させていただきたいと思います。 ○田中座長  ありがとうございます。  自治体の側からはいかがですか。 ○森岡委員  いろいろと聞かせていただいておりまして、私が今思っておりますのは、やはり定額 の部分と率の部分、いろいろこれから議論になると思いますけれども、やはり元になり ます税情報がどれだけ確保できるのか、そういったところが今後大事なことになるのか なと思っているところでございます。 ○田中座長  藤委員はいかがですか。 ○藤委員  いろいろな話を聞かせていただいて大変参考になっております。勿論、出た意見の中 で当然、今後議論していかなければいけない問題はたくさんあると思っております。  その中で私どもが思っているのは、保険者として、要は私どもは単独市町村ではござ いません。幾つかの市町村が集まって構成しております広域連合という組織でございま すので、単独の市町村の場合と若干意味合い、基本的な考え方が違うところがあります ので、その辺も含めて今後皆さん方の意見を聞きながら、同じ保険者として介護保険法 をどういうふうに、言い方はおかしいかもしれませんが、処理、適切な方法で運営・運 用していくための私どもに知恵をいただければなとは思っておりますので、単独の保険 者の皆さん方とはちょっとお考えが違うというところを今後お示ししていきたいなとは 思っております。 ○田中座長  いろいろな立場の方の意見が加わってまとまると。  濱田さん、いかがですか。 ○森田委員(代理:濱田氏)  私の方から、特に保険者としてふだんやっておりますと、市民からの制度のわかりや すさ、我々から言うと市民への説明のしやすさなんですけれども、その点で今の制度の 世帯概念というのは非常に説明しにくいということは感じております。  説明しにくい内容として大きく2つありまして、1つは、ほかの制度との兼ね合い。 今度は後期高齢者医療の制度ができますけれども、同じ高齢者を対象にしていますが、 片一方で世帯概念が入って、片一方で世帯概念が入らないというのは、市民の感覚から すると何でだということになります。  もう一つは、世帯概念を取り入れているために、実態として、いわゆる逆転現象とい うのが起こっております。例を出しますと、年金収入の場合だけで見ましても、夫が160 万円でしたら第3段階です。妻が70万円でしたら第2段階です。世帯で見ると年金収入 は230万円なんですけれども、230万円より少ない220万円の世帯であっても、220万円す べて夫の年金であったとしますと、夫は第5段階、本人課税になります。それから、妻 は世帯課税ですから第4段階になります。年金ゼロ円。すると、年金収入が世帯で低い 方がはるかに保険料が高いというような現象が、これはなかなか実質的な負担能力で説 明できないというものがございますから、この辺は問題だと思っております。 ○田中座長  ありがとうございます。その問題点は、大変重要な点ですね。  それから、低所得層から取れなかった分を高所得層が埋めるのがいいかどうかという 御議論もありました。高所得層が社会的に負担するのは構わないかもしれないけれども、 低所得層の人を埋めるために計算をする形でよいのかを議論すべきではないかとのご指 摘もありました。  また、世帯内の年金所得の区分によって、1人が年金を取っているか、2人であるか によって逆転現象が起きる点も御指摘いただきました。  一応一通り言っていただきましたが、もう一言という方はいらっしゃいますか。よろ しゅうございますか。では、短い時間でしたけれども、大変実のある議論を皆さんから していただきました。また、今後それぞれのお立場から、今の神戸もそうですが、実態 を踏まえた話あるいは学者の側から理論を踏まえた話を更に続けていきたいと存じます。  では、本日の予定の時間になりましたので、ここで終了したいと存じます。事務局か ら何かございましたらお願いします。 ○桑田介護保険課長  本日はありがとうございました。本日の御議論の中でも事務局に対して宿題も出まし たので、現実、地域でどういったことが起きているかといったことも整理した上で、次 回にまたお集まりいただければと思っております。そういったことで、今日の段階では 次回の日程をお決めいただくことは難しいと思いますので、また追って調整させていた だいて御連絡させていただきたいと思います。 ○田中座長  委員の方としても、始まる前は何となくどういうイメージかつかみにくかったと思い ますが、1回皆さんと議論してみると、より問題点の理解が深まりましたので、みなで 考えてまいりたいと存じます。  本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。 《照会先》 厚生労働省 老健局 介護保険課 梶野、大崎 03-5253-1111(内2262,2260)