07/03/13 第7回福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録 第7回 福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録 1 日時   平成19年3月13日(火)15:00〜17:30 2 場所   厚生労働省共用第8会議室(6階) (東京都千代田区霞ヶ関1−2−2) 3 出席者  ・参集者(50音順)    石井委員、小川委員、志賀委員、高井委員、武田委員、時任委員、中井委員、   原委員、東馬場委員、松為委員、松井委員、松矢座長、宮崎委員、山岡委員、   輪島委員、伊古田氏(村上委員代理)  ・オブザーバー   職業能力開発局能力開発課 三富主任職業能力開発指導官   社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 小森調査官   文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 水野専門官  ・事務局   岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長、土屋障害者雇用対策課長、   浜島調査官、白兼主任障害者雇用専門官、矢田障害者雇用対策課長補佐 4 議題 (1)就労支援を担う人材の分野横断的な育成及び確保について (2)その他 5 資料  資料1 「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会」第       1回から第6回までに出された主な意見  参考資料 障害者の就労支援を担う人材について(第5回研究会配付資料) 6 議事 ○座長  定刻になりましたので、ただ今から「第7回福祉、教育等との連携による障害者の就 労支援の推進に関する研究会」を開催いたします。本日の委員の出欠について、佐藤委 員、原田委員、森委員が所用により欠席という連絡を受けております。また、輪島委員 が少々遅れての御出席になります。また、村上委員の代理として、伊古田氏に御出席い ただいております。高齢・障害者雇用対策部長は少し遅れて御出席とのことでございま す。  前回、事務局から説明がありましたように、本研究会のテーマを3つの柱に分けてお りまして、前回と今回と次回の3回に分けて、各項目毎に議論を深めていくことになっ ております。前回は、就労支援機関の今後の在り方について御議論をいただきました。 本日の議題は、就労支援を担う人材の分野横断的な育成及び確保についてです。議論に 入る前に、前回の議論について、事務局から整理・集約した資料が用意されております ので、簡単に御説明をお願いします。よろしくお願いいたします。 ○事務局  事務局からお手元の資料につきまして御説明いたします。資料は2種類用意してござ います。資料1の方でございますが、第1回から第6回目まで出された主な意見というこ とですけれども、前回おつけいたしました資料に、前回御議論いただいた御意見を追加 いたしております。追加した意見につきましては、中をめくっていただくと、それぞれ の項目のカテゴリー毎に黒丸でつけている部分が、前回の御意見として追加した部分で ございますので、御確認いただければと思います。  それから、参考資料としまして、これまで何回か配付させていただいた資料でござい ますが、障害者の就労支援を担う人材ということで、現行制度の現状の人材を整理した ものでございます。議論の参考につけております。以上でございます。 ○座長  それでは、就労支援を担う人材の分野横断的な育成及び確保について、意見交換を行 いたいと思います。それで、今御説明いただいた資料の11ページのところから、就労支 援を担う人材の分野横断的な養成及び確保ということで、従前の主な意見をまとめてあ ります。これを参考にしていただけると有り難いと思います。それと、今御説明いただ きました、障害者の就労支援を担う人材についての表が整理されておりまして、なかな か便利なので、これなども少し参考にしながら御意見をいただければいいかと思います。 くくりとしては、(1)各分野における人材の育成・確保、という項目と、(2)ジョブ コーチ(職場適応援助者)の育成・確保、という、2つで整理してあります。  これから、2時間20分間ぐらい議論できるのですが、この2つが大きな柱になっていま すので、前半1時間ほど、各分野における人材の育成・確保についていろいろ出してい ただいて、その次に、ジョブコーチ関係の御意見をいただくというふうに、2つに分け た方がよかろうと思いますので、こういう関係で進めていただきたいと思います。 しかし、(1)のなかの(1)から(7)までありますが、この順序はかまいませんので、委員の 皆様方が関係している領域について、前回も指摘しているけれども、もう少し強調した いということも含めて、まず、各分野における人材の育成・確保というところから、御 意見をいただきたいと思います。  従前にも申し上げていますけれども、連携に関わって人材の問題は非常に重要です。 キーパーソンとかコーディネーターとかですね。いろいろまた、もう少し専門性を高め たり、あるいは配置も手厚くとか、いろいろあると思いますけれども、そういった点で、 前回まで出された意見をもう1度強調されても結構ですので、出していただければ有り 難いと思います。それでは、どうぞ。中井委員からどうぞ。 ○中井委員  中井でございます。就労支援の人材に関して必要とされる資質は3つあると思ってい ます。1つ目は、個々人の障害特性等のアセスメント力です。これについては、職業セ ンターのカウンセラーが一番高いレベルにいらっしゃると思います。2番目が、個々の 企業の職場の仕事に関するアセスメント力です。これは、企業の障害者採用担当が一番 高いレベルにあると思っています。3番目が、その両者をマッチングさせるためのアセ スメント力、結びつける力です。これは、安定所の障害者担当の方であろうと思ってい ます。この3つの力が企業にとって一番関心があります。基本的には、教育段階とかを 除きまして、企業にとって一番関心のあるのは、採用の部分でございますので、そのよ うに思っております。もちろん、就職後のフォローも大変に大切でございます。  それで、カウンセラーさんについては、我々の経験では、最低10年以上、20年ぐら いの経験がないと、何か頼りがないと思っています。失礼なことなんですが。こうした 人材を育てるためには、やはり既にやっていただいている、いろいろな障害特性だとか という基礎理論がございますね。リハビリテーションの基礎理論の習得と、ケースの積 み重ねといいますか、数多くの何百というケースを経験された方が、やはりツボをつい たいい御指導をいただけていると思っております。サラリーマンでも20年選手ぐらいに ならないと、かなり複雑な案件というのは処理できないというのが素朴な感想でござい ます。  そこで、私はその人材について、どこに一番重点的に配置すべきかと考えますと、安 定所の障害者担当の方に一番高いスキルをもっていただきたいと思っています。やはり、 就労支援のキーパーソンだと思っております。医療の現場に例えますと、ドクターの役 割をする人がいるんだろうと思います。医療ですと、看護師さん、レントゲン技士さん、 作業療法士さんと、いろいろな方をまとめて、的確な指示を出して、医療をやっていく 中心人物が要るということです。ちょっと詳しいことは分かりませんけれども、法律の 体系上も安定所の方が中心になって動いていただきたいと思っています。  しかし、伺っていますと、やはり安定所の方は数年で転勤されます。それからまた、 一般行政官の方で、障害者雇用に関しての専門的なスキルを積んでおられないというよ うな噂も聞きますので、ここがネックではないかと思っています。  そして、非常に差し出がましい意見を申し上げて恐縮なんですが、1点目は、1つの案 としましては、安定所の行政官の方については、専門職化して、やはり専門知識を集中 的に付与する施策か、あるいは、現在一番高いレベルにある職業センターのカウンセラ ーさんを、きっとできないと思いますけれども、行政官に採用していただくとか、その ぐらいのことをやっていただくと、ぐっと進むのではないかと思います。  就労支援にはいろいろな方式があって、既に御報告がなされていましたけれども、渋 谷方式とか、テレビでも放映された敦賀方式とかありますように、安定所の方が中心に なって動くのが一番効果的ではないかと思っています。  片方では、19年度からさらに雇用率未達成企業に対する指導を強化いただくというこ とで、これはある意味で、最も有効な就労支援策だと思います。障害者雇用という社会 的責任を果たさない企業に対しては、やはり御指導いただくのが当然でありますし、あ る種の強制は駄目ですけれども、経営の自由とか採用の自由がございますので、やはり 公権力が背景にあるというのが有効であると思っています。  それで、これからちょっと失礼なことを申し上げますけれども、一方で、福祉関係の 就労機関の方に私もいろいろお話を伺ったりする機会もあるんですが、企業の事情をご 存知ないのではないかと、ちょっと、非常に心配しております。つい最近でも、精神の 障害者の就労支援で、10名のチームを組まれて企業に就職させられたということでした。 保健所とか市町村とか、いろんな作業所の方とかですね。それを3カ月に1回ずつ10名で 集まるんだということなんですが、我々の実感で考えると、そんなことする必要は全く ないし、個々のケースで、どういう組み合わせが必要かというのはあるんですけれども、 そんなものは要らないし、極めて非効率であります。  それから、私どもに来られた精神の方の訓練のことですが、精神の方が4名3カ月来ら れたんですが、50代半ばの方が半分の2人おられて、お2人とももう就職は諦めておられ るんですね。その方を訓練して、どう仕事をさせるのかなと思います。福祉の方という のは、善意で、すごくいい方なんです。サラリーマンはワイシャツは白いけど、腹は黒 いということなんですけどね。そのように、人間的にはもうみんな素晴らしい方なんで すけれども、ちょっとずれているんではないかなと心配しています。  失礼なことをついでに申し上げたら、1人訓練するのに、こちらは知的の方の例です が、700万円かかっているというのですね。それで、半数弱の方は就職ができていない とおっしゃるんです。それが本当に効率的な就労支援なのか疑問です。そこは就業・生 活支援センターもやっているところなんです。  もう1つ、やはりセレクトしていただかないと、企業としては採用できませんと申し 上げたら、「福祉の世界にセレクトはありません。平等です。」とおっしゃるんです。 それだったら、なんぼお金をかけてもたまりません。もちろん、お一人お一人を大切に しないといけないということはありますが、やっぱり労働力として送り出していただく ということを是非お願いしたいと思います。  もう1つ、別の就業・生活支援センターですが、我々がみたら知的の方ですが、半数 の方はすぐ就職できるかなという方たちでした。我々のところで働いている知的障害者 の人よりもよくできる方がいらっしゃるのです。そこでは、5年間訓練するとおっしゃ っています。それは違うのではないかと思いました。もちろん、就職先がないからなん でしょうけれども、そんなお話などがあります。  もちろん、一生懸命やられていて、非常にいいなという就業・生活支援センターの方 もいらっしゃいました。ある精神の就業・生活支援センターの方ですが、そこは3カ月 間徹底的に訓練をするということで、そこでアセスメントして、見極めて、企業に送り 出して、この数年間でもう80名を企業就職させているとおっしゃっています。そういう ところもありますし、私は最終的には自然淘汰されていくのだと思っていますが、企業 の立場からしますと、企業は人なりということで、採用というのは極めて重要な、企業 の命運を決するようなことなんです。だから、いい人が採れるかどうかというのは、我 々の最大の関心事です。やはり、本当にそういう企業にマッチした人を送り出していた だけるのかというのを、非常に危惧しております。そういう意味で、未達成企業の指導 を強化するということは、非常にいい方向に動いていると思うのですが、そこでまた、 過去に我々が経験したようなミスマッチで、いろんなトラブルになりますと、障害者御 本人の方も不幸ですし、我々も大変苦労するんですね。だから、そういうことにならな いように、是非、丁寧なマッチングをお願いしたいと思っております。非常に大変失礼 なことをたくさん申し上げて恐縮なんですが、意のあるところを汲んで御賢察いただけ れば幸いでございます。 ○座長  1つはハローワーク関係ですね。ここにある表にも、職業指導官と雇用指導官が概ね 15年から25年の行政経験がある者となっていますが、やはり基本的には、障害者の就業 促進というか、雇用のいろんなプロといいますか、要するに今出ているようなマッチン グの重要さをきちっと理解して指導していただくというような、ハローワークの専門職 員に関して、1つ新しい御意見だったと思います。場合によっては職リハ、障害者職業 センターのずっと長くやってきた方を、行政官に配置したらどうかというようなことも 触れられておりました。そういったこととか、あとは、福祉の、これから就労移行支援 事業、あるいは継続支援事業も、移行支援事業と密接に関連しながら始まっていくので しょうけれども、福祉の現場の職員の意識といいますか、企業の理解というようなこと が大切ではないかという御意見でございました。いかがでしょうか。委員のなかでは、 福祉関係の代表といえばおかしいですけれども、そういう委員もいらっしゃるんですが、 東馬場委員、どうでしょうか。 ○東馬場委員  手厳しい御意見をいただきました。全部が全部そうではないと思うのですけれども、 過去を振り返りますと、私どもの方でも、授産と更生という言葉がありまして、授産に 向いているのか、向いていないのかというような議論が、利用開始時にはあります。以 前、小川委員の勉強会に参加させていただいたときも、非常に行動障害の重い人がスー パーで働いていらっしゃるだとか、企業に就職されているみたいなことを見せていただ いたこともあります。一概にどの人をもって、例えば、働く能力があるのかないのかと いう部分については、本当に物差しがないという状況で、ある種の勘というような世界 で動いていたのかも知れません。今回、就労移行支援のチェックリストみたいな形で出 していただきましたので、あれを参考にして、これから動いていくと思うのです。  先ほど、中井委員の企業サイドの採用という部分ですけれども、私ども福祉サイド部 分でいきますと、やはりフォローなんですよね。先ほど50歳というケースの方の話が出 ましたけれども、例えば、50歳の方でも働きたいという希望をお持ちの方もいらっしゃ います。例えば、かんでんエルハートでは駄目でも、例えば、豆腐屋さんだったらいけ るかも知れないというようなところもあるかも知れません。そこのマッチングみたいな ものは非常に重要なところだと思います。そのフォローの仕方というところが、本当に 一番のカギとなっております。今、授産施設から企業に1%しかいっていないという声も あって、いろんな施設に聞いて回りました。そのときに、やっぱり返ってくる言葉は、 生活を誰が支えるの、どうやって支えていくのというようなことが、即答で返ってくる 部分があります。確かに、就職させてあげたい。けれども、例えば、家庭基盤がちょっ と弱かったり、財産管理の部分で弱かったり、異性関係の部分でトラブルに巻き込まれ やすいみたいなところがあって、どうしてもそこの施設ないし事業所のスタッフが時間 外にフォローしているというところで、何とか維持できているというのが今の現状だと 思います。  今、働くという分野で焦点を当てられて、この委員会も動いています。私どもは、ど うしても24時間のうち8時間は働いているんだったら、あとの16時間というところで、ど のようなサポートをしていったらいいんだろうかみたいなところを、ちょっと自立支援 法のなかの枠組みを使いながらやっていこうとは思っています。ちょっと、お答えにな っているかどうか分からないんですけれども、やっぱりフォローしながら、例えば、 「また明日もかんでんに働きに行こうな」みたいなところを、2号ジョブコーチさんな んかも使われてやっていらっしゃるのかと思うのですけれども、多くの企業が2号ジョ ブコーチさんを持っていらっしゃるわけでもありません。豆腐屋に行っている子につい ては、やっぱり、たまに一遍顔を出してやって、「どうや、頑張っているか」というよ うな声掛けをするとしないで、大分違ってきます。その辺の物差しがちょっとないのが 申し訳ないのですが、それが今の福祉の現状であるという感じです。 ○座長  ありがとうございました。企業について、あるいはその就業支援といいますか、企業 のなかで働くためのいろいろな条件づくりということと、それから、地域生活の支援と、 その両方が必要だということですね。特に、それが知的障害者について必要であって、 精神障害者でも必要だろうということで、就業・生活支援センターができていったんで すね。それが地域にあるべきで、ですから、障害保健福祉圏域ということで考えれば、 将来400カ所ということですね。そこのセンターでは、その両方が強くて、福祉の方の 人たちの意識の改革と、それから、企業の方の働きかけもうまくいくはずだろうという のが設計なんですね。ですから、そういう意味では、就業・生活支援センターの重要性 ということもありますが、今の議論に関係して、いかがですか。 ○宮崎委員  中井委員からキャリアというお話をいただいていますが、就労支援のリーダー格を育 成するような仕組みがないという指摘が、今までの議論のなかにもありました。やはり、 キャリアは、しっかり考えていかないといけないだろうし、目的をもった形で研修、啓 発、育成、研鑽ができることが必要です。その一方で、今、東京を始めとして、全国的 に障害者雇用がすごく進んでいるなかで、就労支援を担っていくスタッフをたくさん育 成していかなければいけない。裾野を広げていくという点と、中井委員のおっしゃるよう な、経験豊富なスキルを持った人たちを育成していかなければいけないし、そこで、今 座長のお話のあったような、就業・生活支援センターが実際に地域でいろいろな機関を 育成するというところにも関与したり、手助けしたりということも必要だと私は思いま す。そういう意味では、ケースをたくさん持ってスーパーバイズをし、それが経験にな って、いろいろな場合に対応できるという、1つの例として、20年というお話が出たん だと思うのです。たくさんの場数を踏むという意味でも、やはり就業支援を中心にやっ ていく機関をしっかりとつくっていかないといけないと思いますし、これまでの委員会 のなかで、高井委員、武田委員の方からも御指摘があったように、今の形でスキームを つくっていったら、就労支援スタッフの人たちが居着かないため、処遇の改善とか、イ ンセンティブを与えるような研修体系をきちんとつくっていくことであるとか、職責に 応じた補助金の制度みたいなものを設計していくことであるとか、次の展開に繋がって いくような形をつくっていかなければいけないと思います。そういうなかで、私どもの 機構がやってきたいろいろな研修、この表のなかにもカンンセラーの研修が出ておりま すけれども、非常に体系的にやってきています。それが結果として、10年、20年と培っ た経験として、企業にとってプラスになっていると思うのです。そういったことを、就 業・生活支援センターにも求めていきたいと思います。そういうことが地域のなかでで きていかないと、なかなか裾野を広げるだけの対応だけになってしまいうまくいかない のではないかと思います。そういう意味で、しっかりと裾野を広げる方と、長いスパ ンで育成できるようなスキームの、両方の側面をしっかり議論していく必要があるので はないかと感じるところです。 ○座長  ありがとうございます。では、武田委員どうぞ。 ○武田委員  先ほどキャリアというお話があったんですけれども、私どももやっと動き出したばか りで、まだ全体が見えてはいないんですが、養護学校との連携をとるようになったとき に、養護学校によって就労支援の取り組み方がとても違うんだなということを感じさせ てもらっています。そのなかで、やはり、4年とか5年とか就労に向けての教育を担当し ていらっしゃる先生がいるところは本当に熱心に取り組んでいただいております。学校 教育の場面でも、もう3年で変わるというのではなくて、そういった専門性の高い方が いらっしゃることによって、とても大きな効果を上げるのではないかなということを感 じています。それこそ、中井委員の御指摘があったように、あとでジョブコーチの研修 のところで申し上げようと思っているんですが、実は、本当に恥ずかしいことなんです が、私も含めて、労働施策をどこまで理解しているかというと、本当にまだまだこれか らというのが現状でして、先般も研修させていただいたときに、労働の制度を知らない 人が福祉施設の職員にこれだけ多いのかというのに、ちょっと唖然としました。これか らだと思うので、そこに期待をしたいと思っています。要は、研修に出ようとしている 人たちがいるということをプラスにみていきたいなというふうには思っているんですが、 もっともっと自立支援法の就労移行のなかに就労支援員という配置がありますので、そ ういった人たちを本当に労働施策を見据えた研修をやっていかないと、これまでの福祉 の流れのままでやっておくと、先ほどありましたように、企業のことを知らないとおっ しゃった御指摘はまさにその通りです。昨年度、私どもは企業のヒアリングをさせてい ただいたときに、初めて企業訪問をした職員が大半だったんですね。そういった仕掛け をどうつくっていくかというのは、ちょっと私ども福祉施設の職員の研修のあり方を見 直さないと、福祉サイドの勉強はしっかりしてきていますが、労働施策のところの研修 をいかに図っていくか。企業が何をどのように考えているかということを研修する場は、 是非つくっていただきたいなと思っています。 ○座長  ありがとうございます。私も今のそのキャリアのことでは感ずることがありまして、 ここでは文科省の調査官もいらっしゃっておりますが、東京においても、やっぱりベテ ランの進路担当をしている人たちがずっと進路担当でいられるかというと、そうではな いんですね。教員として育成していくということでいくと、今は進路指導で相当活躍し てもらったけれども、次は肢体不自由の部門を体験して欲しいという、優秀な進路指導 の教員が、次の異動のときに、肢体不自由児校の小学部とか中学部に異動させられてし まう。そういうことが形式的に行われているんですね。やはり、本人は進路指導として、 その教員としてキャリアを積んでいきたい。あるいは、高等部でキャリアを積んでいき たいと思っていても、一般の人事はそういうふうに進んでしまうということがあります。 このことは非常に重要なので、こういう社会参加、職業参加をどうするかというときに、 専門の教員をどういうふうにして確保していくかというのは、致命的な問題なんです。 そういったことは、ここは連携ですので、きちっと文部科学省の方にもお願いしたい点 だと思います。座長が意見を言ってはいけないんですが、その分野で仕事をしているも のですから、強くそのことを感じます。ありがとうございます。どうぞ。 ○松井委員  大学関係者がこのなかに何人かいますので、ちょっとその観点から話をさせていただ きたいと思います。6番目の大学における教育というところと関連すると思いますが、 社会福祉士等の養成ですね。  まず、社会福祉士等の養成については、今、見直しが行われているということではあ りますが、現在の枠組みでは、例えば、社会福祉士の一環として、障害福祉論というの をとることになっています。それに関連して、例えば、実習先はあくまで社会福祉関係 施設に限定されているわけですね。だから、例えば、職業センターに仮に関心をもって、 そこに行きたいと思っても、それは認められません。ですから、そういう意味で、職業 支援に関わる人たちが福祉士から出てくることを期待すれば、そういうカリキュラム自 体の見直しも検討しなければいけないと思います。  ただ、これは福祉関係の大学に共通していると思いますけれども、せっかく養成して も、その専門分野に行くのかというと、実際に行く人たちは、おそらく平均すれば2割 になりません。だから、福祉専門家として養成しても、8割は一般の民間企業に行って しまうというのが実態だと思います。ですから、将来的には、例えばアメリカのリハビ リテーションカウンセラーのような職業分野の支援をする専門職の養成ということが、 あるいはあるかも知れませんが、現実的に考えれば、今の日本でそれを導入することは ほぼ 不可能だと思います。  そこで、例えば、モデル的に、いくつかの大学で、例えば、半期、半期というのは大 体13か15ぐらいのコマ数ですけれども、学生だけでなくて、その大学の周辺で、就労支 援に従事している人たちのレベルアップというか、そういう意味で、半期、地域の様々 な関係者、さっき中井さんの方でかんでんでの取り組みを踏まえて、非常に的確な意見 をおっしゃいましたけれども、企業関係者も含めた、いわゆるオムニバス方式で、そう いうカリキュラムを組んで、特にさっき宮崎さんがおっしゃったように、そういう就労 支援でちゃんとスーパーバイズができるような人たちを、とりあえず養成するというよ うなことは、大学にとっても、おそらく地域貢献の一環として、魅力あるものにできる と思うのです。もっとも、その大学の努力で全部やれということになると、それは問題 があるかも分かりませんけれども、少なくとも一定のインセンティブを提供することに よって、とりあえずそういうトライアルで数校やって、それが非常に有効であるという ことであれば、ブロック単位に1つぐらいのそういう場を設けるということも有効な手 段になるのではないかと思います。 ○座長  大学で就業支援関係の専門の講座を、どこか1学期に13回ないし15回ぐらいのカリキ ュラムを組んで、学生はもちろんですけれども、就労支援、あるいは福祉関係でこれか ら就労支援をやろうという人たちも聴講できるような講座の予算を、厚生労働省と文部 科学省に協力してつけていただく。そういうような御意見だったかと思います。他にい かがでしょうか。どうぞ。 ○志賀委員  人材について、いくつかの意見が出ております。また、違う意見からということで、 私たちの神奈川でやってきたこれまでの経過を簡単に触れながら、考え直してみたいと 思います。1992年頃に私たちは障害者雇用システム研究会ということで、特に知的障害 者を雇用するためにどうしていけばいいか。企業の側からすると、どういった職務が合 っていて、どういった職域にして、労働条件はどうしていって、そのための管理体制は どうしていけばいいのかというのを、まず研究する。逆に、障害者を送り出す側として は、どういうふうに育成して、どういった人が比較的企業に望まれ、企業に見合った働 きかたができていくのか。それから、実際に会社に入っていく際には、どういったステ ップを踏んで、今であれば、トライアル雇用とかの制度があるんですが、当時のない段 階で、どのようなやりとりをしながら、ハローワークの制度を使いながら、助成金を使 いながらやっていくかというのを勉強し始めた。なぜ勉強し始めたかというと、私たち の、当時は民間の診療所で働いておりましたが、直接私は就労支援の業務をやっており ませんが、そのとき、いくつか職場を見に行ったなかでは、会社で就労はしているけれ ども、ほとんど戦力になっていない方、養護学校等から入ったそういった方もいらっし ゃいましたし、逆に、ものすごく戦力になって、労働時間もかなり長く、過酷な条件で、 ここまでやるのかというようなところもありました。いろんなところがあって、基本的 には、ある程度の規模の企業のなかで、ある程度の戦力となりながら、しっかりとした 権利擁護を確保しながらやっていくような、知的障害者が働ける環境は当時全くなかっ たんですね。そういったものをお互いに創っていこうと始めました。何もなかったから、 やり始めました。それまでのノウハウが何もない、支援が何もないところでやり始めた ということです。それをやっていきながら、だんだん組織も、勉強会のグループも大き くなって、今はNPO法人障害者雇用部会となっておりますが、そのなかで、働き続ける ためにというテーマにシフトをしてやっております。  1つは、会社として同じように、組織がだんだん同じことを続けて、職務が比較的少 ないなかで、異動がなかなかできない。モチベーションが下がっていく。あるいは、指 導員のモチベーションをどうするか。それから、会社のなかでは、提案制度等を出しな がら、障害者にいかにやる気持を出させるか。そういった試みをお互いに情報交換した り、逆に支援者側としては、知的障害の場合、特に年齢が高くなることによって、本人 の精神的な、あるいは肉体的な問題もありますが、やはり御家族の高齢化による単身生 活に移った際の財産管理の問題、それから、いわゆるヘルパーを入れての、言い方は悪 いですけれども、企業で戦力として働いてはいるんですけれども、高齢者のケアマネジ ャーからみると、「要介護1か2ぐらいの支援をしているのね。」というような単身の生 活をされています。というようなやり方をどうしていくかというのを、だんだん考えて います。  それともう1つは、知的障害の方だけでは、企業が今障害者雇用をしていこうという 流れには、残念ながら応えられません。私たちの地域には、働ける知的障害の方をタイ ムリーにお出しできないということがあります。そこで、精神障害の方の働く活躍の場 というのは、会社はどう考えていけばいいのか。育成側としては、これまでは短時間と いわれているけれども、30時間以上、20時間以上働ける人たちを、どういうふうに見極 めて、どういう訓練をしていけばいいのかというのが、だんだんテーマとして浮かび上 がってきました。これは何故かというと、今までのものが蓄積されてきたというのでは なくて、うまく使えていない。どこにも何もない。誰に聞いても、よく分からない。と いうような中で、やはり自分たちで考えていかなくてはなりません。  地域で、あるいは仲間で考えていかなくてはならないというようなことが、すごく大 きな動機で、それが直接、私たちは社会福祉法人を運営しておりますので、それが就労 移行支援事業の大切なノウハウになっておりますし、就業・生活支援センターとしての 定着支援の大切なノウハウになっています。企業としては、障害者雇用をしていく上で の、すごく大きな実績になり、知恵になっていくという面での良さがあったと思います ので、そういった面では、まだまだ、いわゆる固まったものではなくて、こういう障害 者をこういうふうに会社に入れますというふうに決まっているのではなくて、ずっと変 化し続けているなかでの求められているということで、こういうふうなというのは、な かなか自分たちの仕事をしていくなかでは、すごく違和感を感じているというのが、ち ょっと今のところの私の思いです。 ○座長  ありがとうございました。神奈川の場合、実際には、NPOを立ち上げられる前にはそ ういう雇用システム研究会というような民間の任意団体をつくって勉強を進めてきまし た。そういうものが、知的障害だけでなくて、精神障害者を含めての雇用・就労支援の 在り方についての提言をする力を持ってきているというか、そういう1つの背景も踏ま えた御意見だったと思いますが、いかがでしょうか。原委員どうぞ。 ○原委員  教育分野の人材育成のことも先ほどちょっと話題になりましたので、それに関わりな がらお話をと思っています。前にもこの場でお話したんですが、進路指導を担当してい る教員については、各学校正副2名ずつ進路指導主事という形で、各学校に必ずはいる わけです。先ほど、学校の教員も異動があって、又は複数年進路指導を担当していない ことがあってという話がありました。実際、そうしたことが以前はありまして、1年毎 に、つまり学年進行で、1年毎に進路指導主事が変わるということがありましたし、場 合によっては、3年、4年と続くことがなくて、学年が変わると人が変わる。窓口が変わ るということで、関係機関からは非常に見えづらい状況があったと思います。そういう なかで、実は進路指導担当を内部側からみると、いわゆる進学から就職、そして、福祉 分野での福祉就労まで含めて、学ぶことが大変多いものですから、内部の教員からみる と、負担感があるわけです。ですから、できるだけ1年毎に公平に役割分担をしましょ うという考え方になるわけです。そのことは、結果として、児童生徒に良い教育を与え る機会を失うことになるわけです。そうした状況があったと思います。そういうなかで、 時代が大きく変わってきて、いわゆる就労の部分についても、労働法、それから自立支 援法と、学ぶべきものが非常に多くなりましたし、学校教育が社会参加をどう支援して いくか、自立をどう支援していくかというところが、非常に問われ始めていますので、 多様な就業体験も出てきております。ですから、益々進路指導担当の力量が求められて いますし、学校内部と外部を繋ぐ役割として、専門性が問われているのだと思っていま す。  そういうなかで、問題となるのは、やはり専門性がある者が複数年学校の窓口として、 関係機関の窓口として、業務ができることが1つあると思いますし、もう1つは、内部向 けに外部との連携調整、連絡調整も行うのですが、内部の教員向けに啓発を行わなけれ ばいけない立場でもあるのです。例えば、先ほどもお話がちょっと出ましたけれども、 名刺を持っていない教員が多数おります。服装がしっかりしていなくて、注意を受ける 教員も多数おります。笑っておられる方もおりますので、繰り返さなくてもいいかも知 れませんが、これはいわゆる関係機関からすると、どこに連絡をとればいいのか、誰が 責任者なのかというのが非常に見えづらくて、よく注意を受けるわけです。親の会から も、卒業された方にちゃんづけで呼ぶのは失礼ではないかという意見もいただいたこと もあります。そんなことから、内部の教員向けのいわゆる啓発、研修を行うことも業務 として入ってきております。今日のまとめのなかにもそうした内容が入っているんです が、ですから、その進路指導担当が、内部にある程度啓発的に関わることができるため には、その進路指導担当をバックアップするような研修機会であったり、又は、バック アップするためのいわゆるシンクタンクというか、そうした専門性のネットワークがあ ると、大きく学校全体に良い効果をもたらすと思われるわけです。  1つの例なんですが、東京都ではアドバイザー制度ということで、企業の皆様にここ 2年間作業学習の改善についてアドバイスを受けました。24校あるうちに、新しい職域 の作業を採り入れ始めておりまして、12校が最近就職の職域として多くなっている清掃 分野での作業を起こしてきています。事務補助の分野でも、5校、24校中5校ですから、 高い比率です。それから、接客、接遇関係で3校というふうに、ここ1、2年で、そうい った新たな職域に対応した学習内容をとり入れようというふうに変わってきました。そ れらは進路指導担当が1人で行っているのではなくて、今聞いていただいたように、企 業の皆様からのアドバイスがあって、それを校内で一緒に検討するなかで、変化が出て きているわけです。そういう意味で、進路指導担当の専門性を高める研修機会を持つと いうことと、もう一方で、それらの担当者が校内に効果的な啓発ができるように、専門 的なバックアップが、連携が可能になるような、そうした工夫が必要かなと思っており ます。  その意味では、ハローワークの雇用指導官との繋がりであるとか、職業センターのカ ウンセラーとの繋がりであるとか、そうした専門分野の、また、特例子会社の雇用が進 んでいる方々のアドバイスであるとか、そうしたバックアップがあればいいと感じてい るところです。  もう1点追加ですが、教員養成の段階で、是非キャリア教育であるとか、進路指導に ついてのことを追加していただきたいと強く思っています。介護等体験で、特別支援学 校に数多大学の学ぶ時期に訪れることは、非常に良い効果があったと思っています。そ れだけに、卒業後の社会自立に向けて、学校がどういう機能を持っているのかをしっか り学ぶ機会を、教員養成の段階で位置づけてもらうことも大事なことかなと思っていま す。以上です。 ○座長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。小川委員どうぞ。 ○小川委員  先ほどの中井委員の御発言に関連してなんですが、私はどちらかというと、福祉施設 の職員が就労支援に携われるような方向で、ジョブコーチであるとか、それから、その 他の就労支援の実践と人材養成に関わってきましたので、その観点で少し意見を述べさ せていただきます。それで、先ほどの御意見は非常に現実を捉えた御意見だと思ってい まして、否定するつもりは全然ありません。そちらの方向にならないように、いろいろ な努力をしていかなければならないと思っています。  では、ハローワークとか障害者職業センターであるとか、そちらの方の機能をできる だけ強化をしてやっていくべきかというと、1つは、その方向性というのは必要なのか も知れませんが、やはり、それだけでは足りないというふうに私は思っています。  1つは、数の問題です。障害者の就労支援は、大企業と、それから、中小企業と、多 少戦略を分けて考える必要があると思っています。大企業の場合には、近年、特例子会 社もその発展で、1つの事業所でかなり多数雇用されますし、それから、企業の側でも、 障害者雇用の体制を丁寧に整えていただけますので、外部の支援機関が役に立つ範囲と いうのは限定されてくるのだと思います。その場合には、先ほど、中井委員がおっしゃ っておられたように、ハローワークさんであるとか、そういう労働関係の方からの送り 出す機能というのを整理するということで、一定の成果が得られるのではないかと思い ます。ただ、これから、雇用指導も強化されるといわれている中小企業の場合、1カ所 で雇用される人数が多くありません。  この間、ちょっと試算をしてみましたら、間違っていないといいんですが、100人か ら299人の事業所規模の雇用率をコンマ1ポイント上げるために、大体4,000数百ポイン トの新規の雇用が必要となりました。1カ所で雇用される人数が少ないですから、かな りきめ細かい指導と支援の数が必要になってきます。これが、果たしてハローワークの スタッフを増強したとしても、そこでカバーできるかどうか。それから、小さい企業の 場合には、どうしても企業のなかで十分な体制を整えるというところに限界がある場合 もありますから、かなり外部の機関が継続的に支援をしていく必要があるのではないか と思います。  もう1つ、これは必ずしも、必ずそうなるとは言い切れませんけれども、全体的な傾 向としては、大企業で雇用される方の方が比較的職業能力が高い方が多くて、中小企業 で採用される方の方がより手厚い支援が必要で、より継続的な支援が必要な方たちが多 いように思えます。そういうことを考えますと、地域で障害者就業・生活支援センター、 それから、就労移行支援事業、この辺の地域に根ざした福祉施設での就労支援というの も、やはり強化していかなければいけないのではないかと思います。ただ、現状の就業 ・生活支援センターや就労移行支援事業は、現状でいいかというと、決してそうは思っ ていません。この委員会でも、何回か発言させていただいていますが、例えば、就労移 行支援事業が、ノウハウのないところが雨後の筍のように数が増えるということは、益 々先ほど中井委員がおっしゃられたような、企業にとってメリットの少ない、デメリッ トの大きい結果になってしまうと思っています。やはり、一定の専門性を持ったところ が、地域のなかで就労支援を担っていく。そして、役割分担として、大企業の就労支援 をできる機関と、それから、もう少しきめ細かい、地域に根ざした支援が必要な中小企 業をサポートするような支援機関と、綺麗にはいかないかも知れませんが、多少の棲み 分けが必要ではないかと思います。  そうすると、先ほど宮崎委員がおっしゃられていたような、非常に専門性が高い部分 の人材養成と、それから、そこの裾野を広げるということの両方が必要だという意見に、 私も賛成です。イメージとしては、できるだけ障害者就業・生活支援センターが現在の 障害者職業センターと同等の専門性を持つことが理想だとは思いますけれども、なかな かそこまでいくのには時間と、それから、そこで雇用される、働く人たちの待遇、給料 その他の問題など、その辺の改善が必要だと思います。これは、若干長期的な目標にな ると思いますが、そのときに、障害者就業・生活支援センターは職業センターに近い専 門性を持つことをコンセプトにした方がいいのではないかと思います。  あと、人材養成のレベルとしては、現場、職場のなかで、とりあえず仕事の支援や職 場のマナーの支援に当たられて、生活支援の方も多少できる、いわゆるジョブコーチ、 狭い意味のジョブコーチの養成、それから、中井委員がおっしゃられたようなマッチン グやアセスメントをきちんとできるレベルの人材の養成、そして、最終的に、障害者就 業・生活支援センターの責任者のような、地域のネットワークをきちっとつくって、地 域の就労支援をマネジメントも含めて担える人材養成、3つぐらいのレベルで考える必 要があるのではないかと思います。  あと、松井委員がおっしゃられた大学での教育のこともちょっと触れたいと思います が、実は私、半期で障害者就労援助技術論という、あまり多くの大学にはないと思うの ですけれども、そういう授業を大妻で担当させていただいて、学生に就労支援の基本的 なことを教育しておりますが、自分の経験で考えますと、半期の授業で押さえられるの が、先ほど3つのレベルといった一番低いレベルというか、入門レベルの人材のイントロ ダクションの部分を押さえられるように思います。そうしますと、より中程度、高度の 専門性を養成するには、最終的には大学院レベルの養成ぐらいが必要なものではないか というイメージを持っています。以上です。 ○座長  ありがとうございました。地域密着の支援機関の力をどういうふうにつくっていくか ということで、3つの機能というか、要素で分析されました。他にどうでしょうか。志 賀委員どうぞ。 ○志賀委員  先ほどの話と全く違う話なんですが、私たち、仕事にしていくときに、私たちの職場 並びに近隣で非常に大切な人たちがいます。何かといいますと、社内で多くの特例子会 社あるいは障害者雇用を先駆的に進められている方は、社内で職務を切り出したりとか、 外注になっているものを戻したりとか、そういった面で、非常にいいアイディアを出し て、障害を持つ方にいい仕事を創る、あるいは、障害者雇用ができるいい場所をつくれ る方がいらっしゃるところが多いのですが、実態としては、今、いろいろな雇用指導が あるなかで、雇用率の問題で、「障害者を雇用しなさい。こういったところに障害者は いますよ。」という話はあるんですが、実際に、そのときに、どこで、どういう形で障 害者を雇用すればいいかということを、一緒に企業の立場になって考えていただける人 材というのが、やはり非常に大切です。私たちの職場のなかにもそういう人材を置いて いますし、外部にもそういう方がいらっしゃいます。その人たちがいないと、私たちの 就労支援の仕事は全く成り立ちません。  今回、このなかに、ハローワークの雇用指導官の方がありますが、民間の会社のなか で、そのような問題について、非常に丁寧に対応していただいて、なおかつ、これまで 経験のある方、東京にもハローワークのなかにそういった業務をやっていただいている 嘱託の方はたくさんいらっしゃいます。そういった方たちの専門性、ノウハウというの をもっともっと脚光を当てていただいて、人材が多ければ多いほど、今ちょっと小川さ んの方から100人から299人といいましたけれども、そういった会社のいろんな障害者雇 用、1人、2人、3人を増やすためのそういったことにも、もっともっとアイディアを出 していただいて、逆に、そういうしっかりしたいい場所ができれば、出す側としてもハ ードルが低くなります。あるいは、フォローが非常にやさしくなります。あるいは、場 合によっては、労働条件が非常にいい職場ができます。賃金も比較的生産性が高くてい い場所ができて、非常によく回っていきます。  教育や福祉側の人材という話にどうしてもなりがちですが、先ほど、雇用システム研 究会障害者雇用部会の話をしましたが、やはり片方だけの人材育成だけでは、ここは絶 対うまくいかないと思っております。地域のなかにそういったペアができることが必要 です。そのためには、そういう企業のなかで、そういったことを一緒に考えていける人 材が必要です。これまで全く、あまり脚光を浴びていない人材の問題については、是非 御議論いただきたいと思っています。 ○座長  ありがとうございました。輪島委員いかがでございましょうか。 ○輪島委員  ちょっと遅れてまいりまして、大変失礼しました。全体があまり見えないなかでお話 をしていいのかどうかよく分かりませんが、最近、どこでも同じことを言うことにして いるのですが、障害者雇用全体のグランドデザインをどうやって作るのかということを 申し上げています。それによって、どこに、どんな人材が必要なのかというのもやはり 考えないといけないだろうということです。  6−1報告で見ると、1,500万人に1.52という実雇用率を掛けると、28万カウントで、 同じところで、1,500万人の常用雇用者に1.8を掛けると、35万人か何かで、その差が 要するに法定雇用率を達成するための不足数です。8万人が雇用されると、基本的には 法定雇用率を全社が達成をするということになるので、一義的には、障害者雇用促進と いうところの1つのターゲットが8万人ということになるんだろうと思います。  未達成企業は38,000社あって、そのなかで、1人不足と2人不足が30,000社ですから、 38,000社のなかの30,000社、つまり、80%が1人か2人採用されればいいということにな ると、約40,000社とすれば、2人ずつ採用されれば、基本的にはクリアをしていきます。 ただ、中小企業の問題もあるし、大企業で不足をしている50人以上のところもありま すから、そこのところも当然、中にはぼつぼつがありますけれども、バランスをとる にしても、平均的にいうと、未達成企業の38,000社が1社2人ずつ採用すれば、大体法 定雇用率を達成するという仕組みで、目標としては、多分そういうところに設定をす るんだろうと思います。  では、そのなかで、80,000人という人をどうやって手当するのかということになるわ けです。すると、ハローワークには15万人の求職登録者がいるわけで、そこのところは 十分お釣りがくるはずですが、そういうふうにはなっていません。ということになると、 まず15万人のハローワークの求職登録者のなかで何人働けるのかということを出す必要 があります。それから、原委員の学校のところですけれども、特別支援学校全体で、単 年度の卒業者数は12,000人から15,000人ですので、その2割が就職をしているというこ とですので、そこの就職率を上げていかないと、そこも埋まりません。それ以外のと ころですと、やはり残りの8割の人は福祉のところへいっているということなので、ど うしてもその8万人を埋めるためには、福祉のところからどうやって人を出すのかとい うことになります。そうなると、去年の4月18日に連携通達というのが出ていて、全体 のなかで、どういう施設があって、どういう活動をしていて、どういうふうになってい るのかということを、基本的には連携して、掘り起こしをして、現状把握をしてくださ いということになっているわけです。それによって、福祉の全体像は見えてくるだろう し、そのなかで、どれぐらい、どこから出てくるのかという見通しがつくのかどうかと いうことになります。  では、マンパワーはどこから出すのか、その間のツールをどういうふうにするのかと いうと、1つはトライアル雇用があって、それは年間8,000人で9億円の予算が19年度は ついています。そうすると、8,000人ですから、8万人足りないとなると、10年分の90億 円を単年度で注ぎ込めば、そこの橋渡しはできます。それから、委託訓練も6,000人の ところで何億円かついていますけれども、そこのところをどうするか。それで、橋渡し のところのトライアル雇用というのを使うのか、使わないのか。というようなところを、 全体につくってみて、それに、企業のなかで必要な人が、どういうスキル で、2号ジョブコーチであれば、それのスキルはどういう人で、どういうふうな職場開 拓をして、どうやって受けとめて、就労の継続をするためにはどういうスキルが要るの かということが分かってきます。出す側からいうと、原先生がおっしゃったような、学 校の体制をどういうようにするのか。それから、福祉の方でどうやって出すのか。それ を出す仕組みのなかで、A型とB型をどういうふうに位置づけるのか。というようなと ころで、全体のデザインができて、それに必要なマンパワーと、そのマンパワーの育成 をどういうふうにするのかということになります。それと、多分地域では、ハローワー クは箇所数は増えるわけではないし、職業センターもそういう意味では数が増えるわけ ではないので、そういう観点からいえば、職業リハビリテーションという専門性を高め るというところで連携をしていくということで、やっぱり、基本的に動いていくのは福 祉のところで、どうやってマンパワーとして人材を出していくのかというスキームをど うやってつくるのかということになります。それがないと、おそらく8万人は埋まらな いだろうと思うので、その点を、全体のなかでどうするのかということかなと考えてい ます。総論で大変恐縮ですが、そういうことを思っています。 ○座長  ありがとうございました。要するに、やはり障害者雇用対策のグランドデザインとい うことを想定しながら、必要な人材育成をする必要があるのではないかということです ね。システムづくりも入っているのですけれども、併せて考えていくべきではないかと いうことです。例えば、東京都の場合ですが、この4月から永福高等養護学校、特別支 援学校ですが、1学年100名でスタートして、要するに300名規模の養護学校ができて、 毎年100名、100%就職ということを目指しています。これを多摩にもつくりまして、多 摩には100名と50名ですが、全体で250名の生徒が毎年出て、100%の就職を目指します。 それから、普通科ですね。高等部だけの普通科で今30%まで就職率を上げていますので、 約300名出ております。そうすると、東京都は毎年250名の卒業生を企業にお願いしなけ ればならないとなって、そういう意味で、先ほど、原委員がおっしゃったような企業の アドバイザー制度を設けたり、それから、永福ではコンサルタントを置いて、企業との 連携で100%を目指すという体制を考えて進めようということです。  それも、十分であるかどうかという議論はありますが、学校教育では、そういうきち んとした目標を達成するには、学校だけの努力では絶対できません。企業の協力ととも に、その企業の協力で実際にマッチングがうまくいくように、学校をサポートしていく ようなシステムとか、そういうものを組み立ててやっているようなんですね。私はそこ の内部にはおりませんけれども、当然、そういうことを考えていかないと、連携といい ましても、連携倒れになります。連携の場合には、それが力になるような計画性と、人 材もちゃんと配置していくシステムをつくっていくということが必要なのではないかと 思います。座長の立場で申し訳ございませんが、輪島委員の御意見に対する感想めいた ことを申し上げました。  他にどうでしょうか。東馬場委員どうぞ。 ○東馬場委員  今の輪島さんのグランドデザインということに本当に共感しているんですが、聞いて いて気づいたのですが、小川委員の方から100名から199名の従業員がいる会社で0.1%ア ップするのに、4,000人の障害者を雇用しなければいけないという話になって、また、 一番冒頭に中井委員の方から言われました企業側が行っているアセスメントという部分 ですね。私どもの方のセルプで個別支援計画の本を作っておりまして、アセスメントと いう項目に一番重きを置いております。やっぱりその人の希望、ニーズというものがど こまであるのかというところですね。300人を超える大きな企業さんがやはりその専門 の人材を用意して、本人のニーズを聞き取るということは、しっかりされると思うので すが、逆に、中小の企業の方で、それだけのアセスメントが取れるのかというと、それ はちょっと差別になってしまうかも知れませんが、十分聞き取りができないのではない かと危惧をしてしまうのですね。  やっぱり、今、短時間雇用とかパート雇用というものがどんどん増えてきていまして、 前回の委員会でも私はちょっと発言させていただきましたが、本人が週40時間働きたい んだというようなことや、年休も欲しいんだという形で、正規職員で雇ってくれという 希望があったときに、そこの企業側が、ちょっと、とりあえず15時間でとか、10時間で 週1日か2日でといった話になっていったときに、ちょっと半年様子をみてというような ことも当然あるかも知れませんが、やはり、就職という量ではなしに、質というものを もう一遍調査しておかないといけないのではないかと思います。  障害者の就職の数が伸びたという部分は、神奈川とか、東京とか大阪では伸びている かもしれませんが、300人以上の企業がない地方になったときには、本当に短時間労働 とかパートでいってしまっているかも知れません。逆に、国民健康保険にも入れないと いう状況があるかも知れません。だから、一握りのといったら失礼ですけれども、そう いう一握りの働ける障害者だけに目を当てるのではなくて、全体的に、一体日本にある 障害者が、例えば20時間の雇用保険に入っていらっしゃる方が何人いらっしゃるのか。 例えば、30時間働いて、社会保険に入っていらっしゃる方が何人いるのかというのを、 やっぱり一度きちんとデータを出して、そして、これから今、養護学校が特別支援教育 という話で、雇用へと踏み出すということになったときに、例えば2007年というものが スタートになって、2008年でもいいんですが、そういうようにして動いていくべきでは ないかなと感じています。  それと、もう1点私が個人的にちょっと気になっているところです。文科省の方もい らっしゃるので、今、自立支援法のなかでは15歳から18歳の人たちが利用できるサービ スが児童デイサービスしかないんですね。養護学校高等部にいけばいいのかも知れない のですが、児童デイですからね。逆に、かつての先人たちは腕に能を入れるだとか、足 に能を入れるというような形で、一生懸命職業訓練をされた時代もあったかと思うので すね。一番大切な15歳から18歳という時期に、学校に行けなくて、例えばニートになっ ているだとか、仕事もなくてぷらぷらしているという状況を、何とか、その辺の人たち にも職業訓練という陽を当ててあげないといけないのではないか。ただ18歳になったか らね、という話になると、ちょっとまたしんどいかなという気がしているところです。 これはちょっとお願いです。 ○座長  高等部の全員修学というか、そういう体制は進んでいるんですが、小中学校を卒業し て在宅状態の、そういう15歳から18歳のいわゆる青年期に入った人たちのデイサービ スの対象者というのは、どのぐらい見込まれますか。どのぐらいいらっしゃいますか。 そういうことの関連ということですよね。 ○東馬場委員  そうですね。その辺の数値も欲しいと思いますね。それから、付け加えますけれども、 私は、自立支援法の活用の仕方のなかに、例えば特例子会社で月から金まで働いていま す。それで、例えば、土、日の世界で、地域活動支援センターを使っていますだとか、 企業就労もしながら、福祉の制度も使うというようなことも、10月から新事業に移行し ているところは、そういうように動いています。そこで、やっぱりそこで人材の話にな るんですが、自立支援法の内容と労働サイドの内容の両方が分かっていないと、その人 が働き続けるということが維持できないということになると思います。 ○座長  分かりました。そうだと思いますね。そこら辺の実態が欲しいところですね。これか らは、デイサービスも、要するに1時間、2時間といようなサポートもあるわけです。 ですから、短時間労働の人だと、仕事は午前中に終わってしまう。午後の時間は有効に 過ごすというようなことがあるべきというか、望めば可能であるということが、ちゃん と用意されているということがおそらく必要になってくるだろうと思います。そういう ふうに理解してよろしいですか。そうすると、かなり大きな課題になると思います。高 井委員どうぞ。 ○高井委員  一番最初に中井委員から非常に手厳しい御意見をいただいたので、出遅れてしまって、 なかなか発言する機会がなくて、悲しい思いをしていたんですが、輪島委員がやっぱり 雇用率を達成するためには、福祉側が頑張らないとあかんと言われた言葉に励まされて、 今から発言しようと思っています。  まず1点は、昨年10月から障害者自立支援法の全面施行が始まって、就労移行支援事 業者がたくさん増えてきて、この4月には2,000事業者にもなろうかといわれていると聞 いております。最近あったある研修会のなかで、就労移行支援事業者で手を挙げている ところ、それから、自立訓練に手を挙げているところが、とりあえず2年間何もしない でいいから、報酬単価がいいので、手を挙げようと思っているところも、この2,000件 のなかにはたくさんあるという意見がありました。この話は、精いっぱい育てて送り出 すということをやってきた福祉施設にとっては、本当にショックだったんですね。そう いう意味では、今、こういう時期ですので、就労移行支援事業者には就労支援担当者と いう人材が必ず15名に対して1人置かなければならないとうたわれているわけですが、 今始まったばかりですが、就労担当者の中には、恥ずかしながら、労働施策であるとか、 最近障害者の労働者性ということが問題になっていますが、そういった労働基準法等に ついても、あまりにも無知な担当者が多く、いいことだと思ってやっていることが、本 当は違法になっているようなこともよくあるんですね。だから、そういうことも含めて、 就労支援担当者を対象に研修をしっかりとやっていくことが大切だと思います。是非そ ういう制度化を義務付けていただきたいということが1点です。  それから、就業・生活支援センターの方ですけれども、9月のヒアリングのときにも 申し上げましたように、3名の職員でたくさんの人たちを支援するというなかで、本当 にギブアップ状態です。就労支援のノウハウを身につけていくという部分では、確かに 研修も大事ですけれども、やっぱり実践を通して学んでいくということが、とても多い んですね。だから、研修も大事ですし、実践を通して、ハローワークさんや職業センタ ーさんや、企業の方と一緒にやっていくなかで身についていくものもたくさんあると思 っています。一方、スタッフリーダー研修みたいなものはもっと早期に受けられるよう な配慮をいただきたいと思います。障害者職業総合センターで行われているリーダー研 修というのは、4年以上経たないと受けられないということですが、例えばうちの職員 の場合、前歴も十分あり、人材としては、絶対にスーパーバイズできるぐらいの人だと 思っていて、2年目から毎年駄目を知りつつ申し込んでいたんですけれども、やっぱり 4年経たないと駄目だと言い続けられています。そういった意味では、やっぱり、いい 研修を必要な人にタイムリーに受けれるような配慮を是非していただきたいと思ってい ます。  あと、キャリアアップというところでは、宮崎委員が言われたような、そういうやり 方を是非やっていただきたいと思っています。それと、職業センターの職員ですけれど も、10年、20年経ったなかでは、かなり専門性を持っておられて、我々を指導していた だく立場の方がたくさんいらっしゃる反面、そんなに経験があるわけでもなくて、現場 の状況を知らない職業カウンセラーもたくさんいらっしゃいます。地域にはそういう現 状があると思うのですね。そういう意味では、職業カウンセラーの人は、事務的、管理 的な仕事があまりにも最近増えてしまって、本来の職業カウンセラーがやるべき仕事と いうのが、やられていないのではないかと思うことがよくあります。だから、本来の専 門性を高めて、我々を指導してくださるような、そういう職業センターの役割を果たし ていただけるような場面をつくっていただきたいと思います。 ○座長  ありがとうございました。大変重要な御提言だったと思います。どうぞ。 ○宮崎委員  高井委員から厳しいお話をいただきまして、我々も反省しながら対応しなければいけ ないと思うところもございます。先ほどの就労移行支援者の研修では、職業リハビリテ ーションをどう進めていくのかという点をしっかり分かっていただくためには、私ども であったり、就業・生活支援センターさんがノウハウを伝授していくような形づくりを していかなければいけないし、そういう意味での、スーパーバイズというか、指導的な といったらちょっと就労移行支援事業者に失礼かも知れないですが、福祉の専門でずっ とやってこられただけでは分からない職業の分野について、橋渡しをするにはどうした らいいのかというのを、しっかり伝えていくというのが、地域センターであり、就業・ 生活支援センターの役割だと思っています。最初の第1点目については、地域のセンタ ーとしても、しっかりやっていかなければいけないと思っています。  2点目の部分で、実態として、リーダー研修を早く受けられたらというお話の部分は、 分からないではないんですけれども、4年経ってはじめて受けられるという意味をまた 逆に考えると、企業の方からしたときに、1年のキャリアで既にリーダーになれるよう な専門家が専門家なのかという点もあると思うのです。中井委員とかからまた御意見を いただければと思うのですが、やはり、いろいろな場数を踏んでいるなかでキャリアを 積んで、知識だけではない経験を含めてやはり考えなければいけないというところもあ ると思います。4年経ってどのぐらいの方が研修を受けられるか。担当者の感覚的な部 分でいえば、半分以上の方が4年経ったらそこにいらっしゃらないという実態があるわ けです。実際に、そこの施設のなかでの人事異動があったり、あるいは御本人がいろい ろな事情で辞められたりというようなことはあるんだと思いますが、地域で就労支援を しっかりやっていこうとするときには、スタッフリーダー研修をいかがですかと声掛け をしたときに、半分近くのところがもう既にそういう職員がいなくなつていますという こと自体もまた考えれば、先ほどお話したように、長く就業・生活支援センターにいら れるような環境づくりという意味での処遇の改善であったり、対応もしていくべきでは ないかと考えるところです。そこで、キャリアに裏打ちされた形の補助金だとかが出て くるとか、そういう方がいらっしゃるときに、レベルの高い、階層化した委託費が発生 するとかという形をつくっていくことが必要なのではないかと思います。単に、研修を 早くに受ければいいというだけではなくて、やはり経験というのも重要で、それは福祉 の部分での経験はお持ちなのは分かりますが、職業リハビリテーションのなかでの経験 もしっかりとみていただくというのは、私は必要だと思います。  あとは、カウンセラーの方が少し事務作業だとかが多いのではないかと、以前にも輪 島委員からも御指摘いただいたりしました。実態として、事務作業が多くなっているわ けではなくて、非常に利用者の方が増えてきているということからです。その結果、そ れぞれの対象に対しての対応が増えてきているということと、もう1つは、発達障害、 高次脳機能障害、あるいは、うつ病等のリワーク支援という、何回も御相談を繰り返し たりしなければいけないようなタイプの障害者がたくさん増えてきています。限られた 時間のなかでたくさんの方を対応させていただくためには、少し手薄になってしまった り、マンパワー不足が発生しているというのは、確かにあるだろうと思います。そうい うなかで、新しい業務、また、難しい業務が増えてきていますから、カウンセラーの役 割分担を決めるときに、そこの組織の都合のなかで、やむを得ず、まだ年次の若いカウ ンセラーがジョブコーチ担当のカウンセラーになってしまうということが、どこかのセ ンターでは発生する可能性は大いにあると思っております。組織運営上では、やはり主 任カウンセラーがカバーをしたり、組織としてしっかりと対応できるような形をつくっ て、地域センターを運営していくべきだと思っています。また、そういうふうに各セン ターは運営していると思います。確かに、非常に忙しくなっているなかで、一人ひとり の対応が手薄になっているという御指摘については、我々も反省しながら、でも、より よい支援を、よりたくさんの、より難しい対象者の方たちにしているというところにつ いて、御理解いただきながら、また一緒に連携をとっていければと思いますので、よろ しくお願いいたします。 ○座長  どうぞ、武田委員。 ○武田委員  意見ではないんですが、先ほどの東馬場委員のところで、15歳から18歳まで児童デイ サービスしかないということだったんですが、間違っているといけないんですが、確か、 その方たちも福祉事務所の了解があれば、自立支援法のサービスは全て使えるのではな かったでしょうか。 ○東馬場委員  改めて市町村に聞いて、確認しておきます。 ○武田委員  確かそうだったと思いますし、うちも実際、養護学校へいくのをやはり拒否される親 御さんがいらっしゃって、一般校にいって、結局、1年でやめてしまってという方が利 用されてもいたと思います。確か、そうだったと思いますので、ちょっと確認をお願い できればと思います。そういう方たちがいらっしゃると思いますので。 ○東馬場委員  ちなみに私が住んでいる担当市からは、児童デイしかないと言われましたので、また もう一遍確認をしておきます。 ○座長  それでは、松井委員どうぞ。 ○松井委員  先ほど宮崎委員からいろいろ詳しく地域センターについての役割についての話をされ ましたけれども、地域センターの専門性をより生かすためには、やっぱり直接サービス の部分をどう調整するかということが求められてくると思うのです。地域センターは、 これまで様々なメニューをどんどん増やす形で展開していっていますけれども、やはり 今のキャパシティーというか、人数からいって、特に、今後就業・生活支援センターを どんどん増やして、最終的に、仮に400にするとします。それに対して、専門性を持って いる地域センターがどう関わっていくのか、支援していくのかということです。その意 味で、地域センターの直接サービス部門をもう少し軽くして、その余った部分について は、やはりそういう地域にある資源、就業・生活支援センターあるいは就労移行支援事 業も含めて、専門的な立場から支援できるような、そういう仕組みをきちっとつくって いくということが、今、地域センターの役割を今後さらに高められるわけでしょうし、 それから、総合センターの役割にしても、やはりそういう連合的な立場から、ノウハウ を広げていくというか、そういう形の整理をきちんとしていただきたいと思います。 ○座長  山岡委員どうぞ。 ○山岡委員  私は今宮崎委員がおっしゃったことに賛同しているんですけれども、我々も保護者と して、就労支援をしていただける方とか、いろいろな方と接するんですけれども、非常 にいい方だと思う方には、若い方が多くて、いつの間にかおられなくなってしまうとい うようなことがあります。やはり、そこにキャリアプランでありますとか、将来どうや っていけるのかというところが、なかなか見えないようなところがあるのだと思うので す。おっしゃられた通り、若くていい方がいらっしゃることがあるのですが、なかなか 居着けないといいますか、次のキャリアが形成できないというような状態があるのかな と感じています。やはり、質量ともにたくさんの方に支援者になっていただきたいので すが、そのためにも、若い人たちが目指せるようなキャリアプランでありますとか、そ ういうものをつくっていかないと、やっぱりいい人がなかなか出てこないのではないか というのが1つあります。  それから、もう1つは、学校教育のなかで、就労に向けたいろんな支援をしていただ いているところでありまして、特に特別支援学校においては、いろいろな取り組みをし ていただいているわけですけれども、発達障害とか、後で障害になったケースなどでは、 いわゆる盲・聾・養護学校から小学部、中学部、高等部と王道を行くようなオーソドッ クスなスタイルでいく人ばっかりではなくて、通常の高校でありますとか、いろいろな 学校にいるわけです。たまたま私は、昨年末ぐらいに、教員の方を相手に、今回テーマ になっているような障害者雇用の制度でありますとか、いろいろな就労支援の制度など を含めてお話させていただいたことがあるんですが、非常に不評でありました。要する に、中学生とか、あまり直接関わっていない方は関心がないんですね。従って、非常に ご存知ないわけですけれども、特に発達障害なんかの場合でいきますと、就労に向けて 移行支援といいますか、そういうものがどうしても必要になってくるケースがあります。 特別支援学校だけではなく、一般校のなかにも一部そういう支援の必要な方については、 例えば、インターンシップでありますとか、就業体験でありますとか、移行計画が必要 な方がこれから出てくるだろうということを考えると、一部はその教員養成であります とか、あるいは、そういうところのなかでだけではちょっと足りないと思うのですが、 盲・聾・養護学校だけではなく、そういったところでも、将来的に自立や就労していく ということに繋げるのが教育だというふうに私は思っていますので、そこのところをき ちっとできるような仕組みや人材を是非つくっていただきたいと思っています。 ○座長  小中高等学校に在籍する発達障害の児童生徒のキャリア形成といいますか、キャリア 教育というようなこともきちんとするような体制づくりといいますか、そういうことに ついて御提言をいただいたのだと思いますが、原委員、どうぞ。 ○原委員  私も同様な意見でして、例えば、昨年の春、東京で304名就職しているわけですが、多 分、この場合、就業体験の機会ということでは、概数ですけれども、600から700の事業 所の協力を得ていると思われます。それを考えますと、高校に通っておられる方や在宅 の方も含めて、就業体験というのは、社会参加していく上で非常に重要な学ぶ場である と思っています。  今、中学校段階での就業体験が徐々に地域で始まってきていますし、高校段階でも、 就業体験というのが非常に有効であるということや、又は、不登校気味であった方がそ うしたところで自信を取り戻してというところもよく聞くところであります。そのよう なことからしますと、雇用でのバックアップと、もう1つは、学ぶ場のバックアップで すね。将来の担い手である生徒の学ぶ場は、これは障害の有無に拘わらずだと思うので すが、そうしたことをこれからの企業や事業所にも、社会貢献の一環として捉えていた だくことも大事かと思っています。  その場合には、多分負担がかかりますので、もちろん学校側も十分な事前指導、進路 指導をした上でお願いすることになるわけですが、この受け入れ先の負担をどう軽減す るか。又は、何らかの補助をするか。そうしたことも必要かと思うのですが、小さな会 社であればあるほど、又は、大きな企業で製造ライン等を持っている場合、それぞれの 立場で難しさがあると思うので、そこを検討してもらうことが今後益々重要だと思って います。雇用の前段階の、就労意識を高める学びの場の保障として検討してもらえると、 卒業後の福祉から企業就労への意欲も高まるのではないかと思われますが、いかがでし ょうか。 ○座長  ありがとうございました。特に、特別支援学校は従来通りのいろいろな経験や方法が あって、それを改善していくことが重要ですけれども、小中学校の発達障害については これからというところなので、今の原委員の提言のところの、発達障害がある児童生徒 に適した支援方法について、やっぱり小中高等学校でも、人材も含めて考えていくとい うことだと思います。  まず、(1)の方について意見を出していただきましたが、これから、(2)の方も含めて 御意見をいただきたいと思います。(2)はジョブコーチについてです。1号、2号ジョブ コーチがありますが、2号については、企業の方々からのいろいろな提言もあるかと思 いますが、ジョブコーチに焦点を当てながら、後半の意見交換を進めたいと思います。 いかがでしょうか。中井委員、どうぞ。 ○中井委員  すみません。またまた少数意見で、あくまでも議論活性化のために申し上げておりま すので、御理解いただければ有り難いと思います。また、いろいろ失礼なことを申し上 げると思いますけれども、御容赦いただきたいと思います。  私は、ジョブコーチというネーミングにまず非常に違和感を覚えています。いわゆる 2号ジョブコーチですが、いわゆる仕事、業務遂行、作業というのは、あくまでもこれ は企業の問題なんです。仮に社外のジョブコーチの方に作業プロセスをこう変えなさい と助言いただいたとしましても、万が一怪我をしたら、企業としては安全配慮義務違反 です。だから、あくまでも雇用契約上といいますか、労働契約上の義務は企業が果たす べきなんです。どういうふうに工夫するか。あるいは、人間関係をどう調整するか。ま た、環境調整をするかというのは、企業の仕事だと思います。ですから、少数意見で恐 縮ですが、ジョイントコーチというふうにもし変えていただければと思います。この人 は、こういう特徴があります。こういうところは不得意です。こういうところは得意で す。そういうことを企業に提供していただくのです。もちろん、サジェスチョンをいた だいたり、調整するというのは大切でしょうけれども、あくまでもこの人にどういう仕 事のさせ方をするか、どういう職場環境をつくるかというのは、企業が責任を持ってや るべきだと思います。これは、大企業であれ、中小企業であれ、法理論上、当然だと思 います。  それで、中小企業の方が、いろいろ工夫できないとか、何とかおっしゃるのは、大変 失礼ですけど、それは言い訳です。自分のところの従業員をどう戦力化するか、どのよ うに安全に力を出してもらうかができないような会社は、早晩潰れます。ちょっと言い 過ぎかも知れませんが、1人や2人の障害者の人を雇ってですね。もちろん、一定のアセ スメントを経てのことですが、うちの人だって、8、9割は全然問題なく、知的の人も精 神の人も働いているわけです。普通の人なんですね。だから、そこをあんまり難しく考 えない方がいいのではないかと思います。  だから、あくまでも丁寧なジョイントをしていただくということは必要でしょうけれ ども、企業にそれなりの雇用義務があるわけですから、やらすべきだと思います。仮に、 経営収支が悪いのだとすれば、それは別の手だてをしていただくべきであって、もちろ ん職域開発コンサルタントとかという御意見もありますが、それが有効な局面もあるか も分かりませんが、基本的にはそれぞれの企業でちゃんとやっていただくべきものでは ないかと思います。少数意見で、アンチテーゼということで御理解いただければ有り難 いと思います。 ○座長  今のことは、主として呼称の方が問題ですか。 ○中井委員  教科書なんかを拝見しましたら、やっぱりそういう仕事の中身に及んでいます。事業 を開発されるとかですね。環境調整、それは分かるんですけれども、それは最終責任は 企業がすべきことで、これは労働契約上の義務だと思います。そこを、仮に何か社外の ジョブコーチに言われたからといって、万が一の怪我をされたとき、企業としては安全 配慮義務違反を逃れることはできません。追加で言わせていただくと、それは実際に中 小企業でも経営している社長に聞くと、そう言いますね。失礼ですけど、ジョブコーチ の人は、見ているだけです。我々の作業をどうこうせいというのは、やっぱりその社長 が責任を持って決めるものです。だから、あくまでも、ジョイントしていただくこの人 は、この辺はお金が不得意ですとか、あるいは、コミュニケーションが不得意ですとか、 そういうことについて、この職場では、この辺を御配慮いただきたいというのは、どん どん情報提供していただいて、支援していただくのがいいと思います。仕事そのもの、 業務そのものは、あくまでも企業に責任を持たせて、ちゃんとやらせるべきではないか ということで、ちょっとジョブコーチの定義と、名称について述べさせていただきまし た。  そして、2号ジョブコーチは当然なんです。自分のところの従業員の人を日常生活、 社会生活から、それから仕事も全部、専門的に勉強して、指導すべきだと思っています。 ちょっと物議をかもしてばかりで、申し訳ありません。 ○座長  いいえ。ありがとうございます。では、小川委員、お願いいたします。 ○小川委員  中井委員のおっしゃる通りだと思います。これで終わってしまうと活性化になりませ んので、私もジョブコーチについてはかなり進めてきた方ですので、ある意味、同様な 問題を考えております。ジョブコーチという言葉に、そろそろ違和感を覚えるべきかな というふうにも思っております。ただ、このジョブコーチという言葉が広がることによ って、就労支援というのは事前の評価や訓練だけで終わるのではなくて、やはり企業と きちんと連携をして、企業のことを理解して、そして、企業をサポートすることが必要 という、この概念が広がったというのは、これはジョブコーチという言葉の、職場に入 るんだというキーワードの重要さだと思います。  それから、もう1つ、ジョブコーチというキーワードの持つ意味は、前半の議論に絡 むかも知れませんが、やはり就労支援というのは、地域のなかで進めていく必要があり、 それは、職業リハビリテーションの対象が身体機能をお持ちの方だけではなくて、知的 障害や精神障害をお持ちの方に広がることによって、地域で支え続けることが必要だと いうことです。そうした場合に、地域の福祉施設が、やはりその職場に出かけていって、 企業と協力して、継続的にサポートすることが必要という概念をもたらすのに、ジョブ コーチというキーワードは非常に重要な意味を持っていたと思います。  やはり、アメリカで生まれたジョブコーチというキーワードを日本の文化に合わせて 広めることによって、ここ5年から8年ぐらいかけて、その考え方が広まったということ で、ジョブコーチのキーワードの持つ意味は私はあるんだと思います。ただ、そう思い つつ、随分実践のなかで、日本でもアメリカでもジョブコーチの概念というのは変遷を してきて、今ジョブコーチはどうあるべきかということについては、全く中井委員がお っしゃる通りだと思います。ジョブコーチはその言葉で仕事を教えるのではなくて、ジ ョブコーチはジョブのコーチではないというのが少なくとも私たちが進めているジョブ コーチの研修の一番最初に徹底して教えることです。あくまで障害者雇用の主体は企業 にあります。仕事を教える責任も企業にあります。そこを誤ったら、逆に企業の邪魔を するジョブコーチになってしまいます。まず、ここを押さえることから、研修というの はスタートします。  ただ、やはりたくさんの企業さんがおられるなかで、最終的に企業の責任まで持って いくときに、外部の支援機関がどの程度のノウハウを提供する必要があるのか。また、 ここで提供できないような、ノウハウの持っていないジョブコーチが入ると大きな問題 が起こるわけで、ここで一定の期間が必要になると思います。やはり、企業が責任を持 って、企業が自分のところのノウハウで障害者雇用を進められるようになるまで、ジョ ブコーチというのは一定の質のジョブコーチであれば関与する意味があるのではないか と思っています。  そのように考えると、やはり大企業さんの場合には、はなから外部機関が入る必要性 と、その役割範囲というのは限定されていて、当初から2号ジョブコーチを育てるとい う方向性は、ある程度それでいいのではないかと私も思っています。  今年度から、職場適応援助者の2号というこの制度が誕生して、企業のなかに直接そ のノウハウを最初から持っていただくという、この路線はいいと思います。あとは、や はり1号の方が、一定の規模の企業を対象に基本的なスタンスをわきまえて、企業が最 初は持っていない方法と技術をきちんと伝達する、そういうジョブコーチを養成すると いうことが必要だと思っています。こういう転換のなかで、どこかのタイミングで、や はりジョブコーチというこの名称が非常にマイナスであり、逆に誤解を生むということ であれば、職場適応援助者養成研修という職場適応援助者という名称もありますし、例 えば、私たちがジョブコーチという言葉を使うのがマイナスの時期がくれば、この言葉 については使わなくすることもやぶさかではないと思います。  ちょっと付け加えると、アメリカでは、当初、やはりジョブコーチということでこう いう支援のスタイルがスタートして、ただ、やはりジョブコーチという名称は違和感が あるということで、エンプロイメントスペシャリストという、より広範囲な就労支援の 専門家であるという名称が発展して、ジョブコーチというのはかなり狭義のものを意味 するんだというふうにスライドしてまいりました。活性化にお答えしつつ、実は中井委 員と私も同じことを考えておりまして、ジョブコーチというのはそうあるべきだと考え ているということを申し上げたわけです。 ○座長  ありがとうございました。時間がまだありますので、どうぞ。 ○武田委員  中井委員の発言は面白いと言えば語弊があるんですが、本当に現場のことをそのまま 教えていただけると思っています。実は、先週1週間、職場適応援助者の地方出前講座 というのをさせていただきました。なぜそれをやったかといいますと、幕張で行われて いる年4回の研修というのは、助成金を受けられる法人でしか受講することができませ ん。そのように、要件が非常に厳しいものがあります。そして、今年度から小川さんと ころと大阪と2カ所、民間が職場適応援助者の養成研修の指定を受けられてということ なんですが、両方合わせても4回で、応募者というのは3倍以上でしたよね。ですから、 応募しても受講できない状況がありました。何とかもっと受講できる機会をつくれない かということで、今年たまたま県プロジェクトの研究をさせていただいている関係で、 提案し、検討していただき、実施することができました。島根のような地方で、中央の ように研修や実習のできる企業もないところで、どういった問題が発生するのか。ある いは、メリットとしてどんなことがあるのかということも含めて検討したいということ でやりました。近くだということもあり、大阪の雇用支援ネットワークの本当に多大な る御苦労をかけながら、変更申請を出していただいて、私たちとしてできることは本当 に些細なことでしたが、事務局の方が大変な思いをなさいました。最初は果たして20名 もくるのだろうということだったのです。島根という非常にアクセスの悪いところで、 でやったとしても、そのニーズはありました。20名の定員に対して、36名でしたか、3倍 という数ではなかったのですが、応募がありました。もう1つよかったのは、やはり島根 というところでやって、22名の受講者のうち、3分の2が島根の方だったために、そこで ネットワークができたというのがありまして、可能な限り地域障害者職業センターであ ったり、島根の労働局の方に講師をしていただいたということと、それと、絶対島根だ ったら聞くことのできない大阪の企業の方に講師に来ていただくとか、都会でなければ 聞けない講師の方が多数、1週間にわたって研修を受けるという、本当に素晴らしい機会 を得ることができました。是非、こういった出前講座のようなことを、多分小川さんた ちは大変だろうなとは思うのですが、年1回でも2回でもいいですので、企画していただ ければと思います。そのことによって、地方が活性化する1つの起爆剤にもなるなとい うことと、何より民間がいいなと思ったのは、単に助成金活用だけの職場適応援助者の 養成ではなくて、グループ就労のためであったり、知識を身につけるという、この3つ の目的で募集がありますので、是非この機会を広げていただきたいと思います。 そういったメリットがとてもありました。ただ、反面、本当に先ほども言いましたが、 福祉施設の職員がこれだけ労働に対して低い意識であるということには正直驚きました が、これをどうにかしないと、1%問題というのはいつ解決するんであろうかということ を思いましたし、先ほど養護学校の先生方の服装というお話がありましたが、実は、せ めて開講式と最後の閉講式ぐらいはもうちょっと、フォーマルとは言わないけれども、 せめてジーパンでは来ないで欲しいと思っていたんですが、蓋を開けたら、ジャージで 来る方もありましたし、ジーパンという方もありました。うちの職員には、ネクタイま では要らないが、ブレザーは着て来るようにと言っていましたので、幸いにもうちのス タッフはそれなりの服装をしてきてくれました。その働くという意味を、福祉施設の職 員がどこまで理解しているのか。遊びに来ているのではないよということです。どうし ても、福祉施設はフレンドリーさがとても求められますので、裃を着ないでというとこ ろが、就労の場まで持ち込まれると、そこの意識改革も、かなり企業の方に言っていた だきました。もう1つは、税理士さんのお話というのがとても新鮮で、こういった研修 の機会をとにかく増やしていただきたいというのがありましたので、ちょっと経験談と してお話をさせていただきました。 ○座長  その出前講座にかかった資金について、ちょっと聞き漏らしてしまったのですが。 ○武田委員  実は、多分地方でやると、事務局の負担がとても大変だと思いますので、そこのとこ ろの経費が、どれぐらいプラスでかかるのかというようなことを研究で報告させていた だいて、提言させていただこうと考えています。その代わり、少なくとも3分の2は島根 の方ですので、宿泊費や旅費は要らないということになります。幕張での場合は全てみ ていただけるんですが、民間研修は受講料と往復の旅費と宿泊費というのは、受講者負 担となります。それぐらい負担して当然だと思うのですけれども、それが民間事業者は お金がないなかで大変なんですが、受講者側には多分経費の軽減になったかと思います。 肝心の事務局というか、2つの民間の事業者にとっては、とても大きな支出になってき ますし、もう1つは、お金だけではなくて、来ていただく講師の方が泊まっていただい たり、往復の移動時間、要するに拘束時間が長くなるというマイナスの点もたくさんあ ります。プラスもいっぱいあるけれども、マイナスもあるというようなことを少し今整 理をしているところです。多分、概算で80万円ぐらいプラスでかかるのではないかと思 っています。 ○座長  いずれにしても、そういう出前というか、各地域でそういう研修が組織できるという のが理想的だと思います。ありがとうございます。どうぞ。 ○小川委員  続けてで申し訳ありません。今の件に関連してなんですけれども、地方でそういう研 修が必要だということはおっしゃる通りだと思います。ただ、就労支援全体の研修と、 職場適応援助者養成研修の研修というのは、分けて考える必要があると思っています。 先ほどの中井委員の御発言とも関連するんですが、やはりジョブコーチというものがど ういうものなのかのコンセプトと、要するにジョブコーチというものはどういう役割を するものなのか、どういう専門性、方法、技術が必要なものなのかというところをきち んとしないといけません。それをしないで、職場適応援助者養成研修という、この一定 の助成金の要件になる研修が、各地で数多く開催されることに、私は若干の危惧を覚え ます。  一般就労支援の研修であれば、いろいろなスタイルのものが必要で、それこそビジネ スマナーについての研修であるとか、先ほどからおっしゃられている労働のいろいろな 制度に関する研修も必要ですが、やはり企業に入っていって、職場適応援助者という位 置づけで支援をすることがどういうものなのか。そこについての一定の品質管理はきち んとしなければいけないと思っています。前回、私がジョブコーチの養成についてここ で発表させていただいたときに、宮崎委員の方から、講師あるいはカリキュラムについ てどういうふうになっているのかという御発言もありましたが、そこの品質管理をきち んとしないといけないという趣旨での御発言だと私は理解しています。ここについては、 数を増やす必要はありますが、厚生労働省の方でも、品質管理については慎重にしてい ただきたいと思っています。そこをちょっと誤ると、企業にとっても、働く障害のある 人にとっても、メリットはありません。  すみませんが、もう1つ、ジョブコーチについては話したいことがありますので、よ ろしいですか。私は先ほど3つのレベルで就労支援の人材について考えるといいました が、最初に、協力機関型ジョブコーチという制度がございました。あれについては、障 害者職業センターのカウンセラーの指示の下で、職場での支援を行うというものです。 おそらく仕事の支援、それから職場でのルール、マナーの支援、この辺が主な守備範囲 になっていたと思います。本当に一番入門編で、カウンセラーの指示の下にそこを行う という部分です。  今回、第1号職場適応援助者になったことによって、マッチングまで自分でしなけれ ばならなくなりました。ハローワークと協力して職場開拓をして、事業所さんにもジョ ブコーチというものがどういうものなのかを説明をして、そのインフォームドコンセン トを事業所さんにも、障害のある人にとって、そこでやはりジョブコーチの役割をち ゃんと説明する必要があるわけですね。それから、企業のアセスメントもきちんとして、 初期の集中支援もきちんとして、フォローアップもきちんとする。そのときに、これは ジョブコーチがどの程度支援をすべきか。ただ見守っているだけでいい支援なのか。そ ういうようなプランニングもきちんとしなければなりません。これが2番目のレベルに なると思います。  3番目のレベルがやはり就業・生活支援センターの責任者のレベルであって、そうい うジョブコーチ支援も含めて、地域の就労支援をどういうふうに組み立てていくのか。 ハローワーク、就労移行支援事業との連携、養護学校との連携、そこをどういうふうに 組み立てていくかというのが、3つ目のレベルになると思います。さらにいえば、その 上に、大企業さんが特例子会社を立ち上げをするというときに、コンサルティングがで きるようなスーパージョブコーチのようなレベルの存在も、一部では必要とされます。 ただ、全国的にみれば、そこの人数というのはそんなに多くなくてもいい。現行の制度 と絡めていえば、そういうようなレベルの段階を考えています。以上です。 ○座長  ありがとうございました。輪島委員どうぞ。 ○輪島委員  平成19年度の幕張の総合センターでの2号ジョブコーチの養成計画は80人あるはずで す。職業センターの危機感は、19年度に80人が埋まるだろうか、要は、2号ジョブコー チの応募者が80人手を挙げてくれるだろうかということです。実際に、助成金の要件 のところと、人を育成するというところが、今、一緒になってしまっているので、そ こをやはり外しておかないと、2号ジョブコーチの育成についても少し足枷になってし まうので、その点、御検討をいただく必要があるだろうと思います。それから、そうい う意味でいうと、やはり小川さんがおっしゃった通り、それから中井さんがおっしゃっ ている通り、機能分化というのはいつかはしてくるはずなので、その点の整理というこ とも必要だと思います。  それから、もう1つは、小川さんが前回この場でおっしゃったように、前回のJCネット の育成で、2号ジョブコーチと1号ジョブコーチを一緒に研修をすることによって、それ ぞれの効果が出たという話も幕張の担当者の方には説明しましたが、要件上、その80人 は2号ジョブコーチ用でとっているので、そこに1号ジョブコーチは入れられないという ようなことをおっしゃっていました。そこら辺を、やはりリジットになり過ぎていると いうふうにも思いますので、その点も含めて御検討いただきたいと思います。 ○座長  どうぞ。 ○松井委員  今の話とは直接関係ないんですけれども、先ほど職業センターの話に触れましたが、 松矢先生も私も機構の業績評価委員会に入っているんですね。例えば、職業センターで 取り組んでいるジョブコーチについて、いわゆる就職率を例えば80何%というような目標 値が決まっています。それで、もし職業センターがいわゆるパイオニア的な役割を果た していくというのは、特に非常に難しいケースを中心に対応するとなると、そういう80 %というのは極めて無理があるというふうに思うのです。もう既にああいうふうなター ゲットができてしまうと、それをダウンさせるというわけにはいかないから、非常にカ ウンセラーは苦労していくのではないかと思いますけれども、今後、役割を見直すので あれば、やはり、もう少し難しい、あるいは、どんどん失敗するケースもあるというこ とを踏まえた評価の尺度の在り方というか、そういうことが検討されてもいいのではな いかと思います。  それから、これはこのテーマと外れるかも知れませんが、現在パートタイム就労も含 めて、かなり多様な働き方が増えていますけれども、例えば、職安なんかの応募の条件 なんかをみますと、大体、最低賃金のレベルの仕事が、障害者の人たちにはほとんどだ と思うのですね。そこで、例えばパートでやると、それでは生活が成り立たないという か、先ほど高井さんもおっしゃっていましたけれども、いわゆる職業のポリティーを、 ちゃんと就職すれば、そこのなかでちゃんと成長していけるというか、長期的に取り組 んで、この人にとってそれがいいんだというふうな、そういう仕事をきちっとつくって いくということです。仮にパートで生活できないんであれば、それをきちんと手当でき るような仕組みを、やはり制度としてつくっていくことをしないと、いくらこのジョブ コーチなり、就職支援なりで頑張っても、結局、なかなか納得できない、本当にこれで 良かったというふうになかなかいえない面があるのではないかと思います。かんでんエ ルハートさんは違うか分かりませんが。  もう1つは、ちょっと日本の制度と合わないかも知れませんけれども、いわゆる就職 支援なり、あるいは2号ジョブコーチで、職場のなかでサポートをする人たちが確かに できてきているわけですけれども、しかし、それはあくまで企業の立場から支援してい るわけで、本人の利益代表というか、本人を守るような仕組みは、日本の企業のなかに は残念ながらないのではないかと思うのですね。例えば、ドイツの場合は、重度障害者 代表ということが、例えば5人以上雇われているところであれば、そういう人を配置し ています。だから、本当に本人の立場で相談して、本人の立場で企業に対して、人事に 対して、いろいろ代弁してくめるというか、そういうセーフティネット的なものが残念 ながら企業のなかにはありません。だから、そういうものも併せてつくっていく、ある いは将来的に検討する必要があるのではないかと思いますので、この専門的な支援と併 せて、そういうことも今後の課題としていただきたいということを発言させていただき たいと思います。 ○座長  ありがとうございました。それでは、時任委員どうぞ。 ○時任委員  ちょっとテーマから外れやすい話なので、ずっと我慢をして抱えていたんですが、時 間が迫ってまいりましたので、どうしても発言させていただきたいと思っています。私 どもが労働ということを考えるときに、盲・聾・肢体不自由、これらは身体障害ですね。 それから、知的障害と精神障害があります。そのなかで、仕事を会社の方から見たとき に、この人に何ができるかなというのは、それぞれ、例えば、視覚障害でも弱視の方と か、聴覚障害の方とか、肢体不自由の方とか、知的障害の方とかですと、この人に何が できそうだという見通しがきくだろうと思うのです。ところが、全盲の者については、 一体あの盲人がうちの会社に来て、何をやれるのかという前提が出てしまうのです。こ のように、重度視覚障害の者の就労というものは非常に難しい状況にあります。そこで、 先ほど特例子会社の場合にはということがありましたが、見えない者でも、これはでき そう、あれはできそうという仕事を、1つの会社のなかで集めてくると、例えば、全盲 の者が1人分の仕事というのもあり得るかなと思っています。実際に世間様の盲人に対 する認識というのは、その辺であります。私が実際に進路指導の立場で、あんまマッサ ージ指圧師の免許を持った卒業生を企業内のマッサージ師として就職させていくときに、 「あなたはご飯が食べられますか」とか、「トイレに入って自分でやれますか」とか、 というような質問から始まるんです。認識はそんなところですので、是非、ジョブコー チの養成のなかでは、たくさんの多様な障害についての理解がいくような養成を是非や っていただきたいと思います。これが1点です。  もう1点は、全社協障連協というのがあります。全国社会福祉協議会のなかに、障害 者の全国団体の連合協議体がございまして、そこで今、今度の自立支援法というのは、 負担増だけが出てきてしまって、所得保障がついていないので、今後所得保障をどうし ようかという研究会を持っております。そこで私が申し上げたことは、最低賃金の除外 をどうするんだということです。これをきちんとやらないと、結局、所得保障なんかは なかなかいきません。それが1つです。  それから、もう1つは、56人から300人の中小企業を義務化していかないと、やはり採 用の数が増えないだろうと思います。その辺のことを今後研究する必要があるだろうと 言っております。以上、3点について申し上げました。 ○座長  他にどうでしょうか。高井委員、どうぞ。 ○高井委員  直接的に人材育成というわけではないのですけれども、これはお願いです。ジョブコ ーチ支援事業は助成金制度ということですので、民間企業のなかに入ってジョブコーチ 支援をするときに、ジョブコーチに対して助成金が支給されるわけですけれども、近年、 自治体で雇用が少しずつ進んできております。そんななかで、ジョブコーチが自治体で 支援した場合、助成金の支給対象にはならないんです。確かに納付金制度のなかでやっ ているものですので、対象ではないということはよく分かりますけれども、でも、自治 体が今後障害者雇用を進めていくためには、やはりジョブコーチ制度の活用必要不可欠 であり配慮していただきたいというふうに思っております。それはなぜかといいますと、 今回、市町村では障害福祉計画の作成が義務づけられましたが、多くの自治体の方は障 害者雇用について知らないことが多く、具体的に何をどうしたらいいか分からないとい うことがたくさんありました。考えられる仕事といったら、本当に障害のある方を馬鹿 にしているのではないかと思うような仕事を考えて、それをまとめて障害者の方にして くださいというような仕事の集め方をしていて、とても失礼だなと思います。そういっ た意味では、そこにジョブコーチが入ることによって、自治体の公務員一人ひとりのみ なさんが、障害を持っている方を雇用して、障害のある人たちを働く労働者として、ま た同僚として、どう支援していくかということを、学んでいただくいい機会にもなると 思いますので、是非、自治体のなかでもジョブコーチを有効に使えるような方策を考え ていただきたいと思っています。今すぐは無理であれば、制度改革のなかでは、是非考 えていただきたいと思っております。 ○座長  ありがとうございました。私も賛成です。宮崎委員どうぞ。 ○宮崎委員  先ほどの小川委員の御発言には私も同感で。実際にジョブコーチの養成研修のほかに、 私どもは、就業支援基礎講座という名称で、関係機関、福祉機関、医療機関の皆様に対 して、職リハを情報提供していくというようなことをやっています。このときに、やは り両者の違いをしっかりつけていきながらやっていかないといけないと思っております。 就業支援についてどういうふうにやっているのかというのを知識として持っていただい て、理解を広めていくというだけでは、ジョブコーチとして現場で支援していくことが できません。先ほど小川委員がおっしゃったように、理念の部分から入って、しっかり と教えて、対応していけるようにしなければ、企業に非常に迷惑をかけてしまうという ことになるでしょうし、実際にジョブコーチの養成研修だとかということになれば、理 論的なことを座学でやっていけばいいというだけではなく、ロールプレイ的なものも必 要です。先輩ジョブコーチにつきながら、1人2人が一緒に職場に行って、実際の支援の ところで一緒に学びながら、どんなふうに対応したらいいのか、手取り足取りのアドバ イスということも必要です。あるいは、グループディスカッションのなかでケーススタ ディーをやったり、どういうふうなところが課題なのかという討論会をやったりという ような、自分たちの支援を深めていくというような対応が必要です。先ほどの時任委員 のお話のように、いろいろな障害種類に対してどう対応していくかということ。全ての 障害種類を知っているジョブコーチというのはなかなかいないので、そこで皆でケース スタディをしながら、よりよい支援をしていけるような形づくりをしていくためにも、 やはり最初の養成研修の段階から、いろいろな方法で養成研修をしていかなければいけ ないと思いますし、それができるような法人でなければ、やはり養成研修は難しいんだ ろうなと思います。そういう意味で、前回の委員会には資料として提示いただいていた のですが、外形的なジョブコーチ養成機関の要件は、事務局から出されていました。要 件の部分については整理はされているけれども、あとは中身というか、それぞれの形だ けではなくて、それができるだけのスキルを持っていただいているところでなければ、 徒に数を増やすというのは問題だろうと思います。実際にきちっとした支援がてきるよ うな法人に、しっかりと支援をしていただいて、先ほどいった専門家を育てるという対 応を図っていく必要があるでしょうし、今後、民間の法人でどんどんできるようになっ たら、我々高障機構ではバックアップしたり、いろいろな情報提供をさせていただいた り、今までもってきたノウハウを提供していくというのが使命なんだろうと思っていま す。今、ジョブコーチをたくさん増やさなければいけないということが、これからの計 画のなかで出てくると思いますが、そういう観点から、民間の方だけにすぐにやってく ださいといっても、それだけの講師陣も揃わないでしょう。このため、我々地域の障害 者職業センターがそれぞれの地域で民間の方がやっていかれようとするときに、一緒に 協力していきながら、先ほど武田委員もおっしゃったように、実際に島根でやろうとし たときに、センターの職員も協力したというような実績も報告していただきましたけれ ども、そういった官民連携というか、一体的な形で、ジョブコーチの養成というのをし ていくべきだろうなと思っています。  その辺は、個人的な意見なんですが、もう1点は、先ほどの輪島委員の御発言のなかの 1つにも絡むかも知れないのですが、やはり助成金の今のスキームというのは、私個人的 には少し問題を抱えているところがあると思います。実際に、質の高いジョブコーチと 質が低いジョブコーチが1日稼働して、同額の助成金が支払われていたりとか、どういう 対象者であっても支援日数だけで助成金が払われているスキームを見直していかないと、 たくさんの回数いけばよりたくさんお金が出るというジョブコーチの助成金のスキーム を見直していかないと、これからだんだんジョブコーチが増えていったときに、質の高 いジョブコーチがきちんと維持できるかというような課題にも繋がってくるのではない かと思います。  本来私どもの法人がやっていることにケチをつけているような意見なので、あくまで も個人的な意見としてはそう感じているというところを御報告させていただきました。 地域センターとしても民間の研修にも協力をさせていただきたいし、よりよい形で質の 高いジョブコーチをつくっていかなければ、これからの地域が活性化しながらよりよい 支援に繋がっていかないので、そういう観点で協力をさせていただければと考えている ところです。 ○座長  ありがとうございました。武田委員どうぞ。 ○武田委員  ちょっと先ほど私の言い方がまずかったかもしれないんですけれども、養成研修の指 定を受ける機関はあまり増えないで欲しいと思っています。なぜかというと、やはり品 質保証ということ、品質管理ということを小川委員もおっしゃったんですが、本当に実 際に地方の事務局を受けさせてもらって、すごい大変なことをなさっているなと思いま した。あれだけの中身のあることをするところは、そうそうできるものではありません。 お手伝いを我々は地方としてすることはできますが、あの品質をどこが提供できるかと なると、本当にそのことはかなり厳密にしていかないとできません。それと、もう1つ、 小川委員のところでは、初任者研修を受けた人が受けるシステムに確かなっていますよ ね。違いましたか。 ○小川委員  それは仲町台センターにおけるセミナーのときはそうでしたけれども、今は違います。 ○武田委員  今は違うんですか。実際に新宿なんかでよくセミナーをされていて、何かそういうふ うに二段構えになっていて、今回やっていてつくづく思ったのは、やはりとても知って いる方も、制度を知らない方もいっしょにやって、そのことの良さももちろんあったん ですけれども、少しこれからのことでは、今はまず数ということもあるでしょうが、そ ういった配慮、品質管理というところがとても重要ではないかなと思っています。ちょ っと私の言い方がまずかったかなと思っています。 ○座長  その点、実際にはJCネットと、大阪もありますけれども、そういう講習会をやったな かで、どういう課題があるかというのは、そういう民間が担うジョブコーチの養成の質 のレベルを高めるにはどうしたらいいかというところも是非出していただければと思い ます。要するに、そうした質の高い研修機関はもちろん高障機構もそうなんですけれど も、そういう民間で今指定されて始まっているものの質を確保して、たくさんの方が研 修できるというような状況づくりというのは、やはり根拠をちゃんとさせて是非進めて いきたいものだなと思いますので、よろしくお願いいたします。そろそろ時間がきてい るのですが、もう1つ、原委員どうぞ。 ○原委員  ちょっと別の話題で申し訳ないのですが、進路指導担当の話は今日話題になりました けれども、1点お願いをしたいのですが、高等学校の段階の進路指導については、早期 選考防止の関係で、就職協定がありまして、9月の半ばにならないと企業との繋がりが 出てきません。ですから、基本的には、高校段階の進路指導については、企業訪問等は できないわけです。いわゆる選考が解禁になるまでの間は。そうしたことからも、高校 生の生徒については、いわゆる企業見学等も9月以前については、配慮が必要になって くるわけです。そういった部分と、いわゆる特別支援学校で行われている進路指導にお いては、元々就業機会、雇用のチャンスが非常に少なかったこともありまして、基本的 には高等学校と同じように行っておりますけれども、その就業体験又は見学と、それと 学習の一環として行うものと、いわゆる就職・採用に関わる進路指導と分けて、区別し て考えてきております。先ほどの話になるのですが、いわゆる中学校、高校での就業体 験又は進路指導のノウハウということを考えたときに、特別支援学校のノウハウは非常 に活用できるものであると思いますし、その辺りの、高等学校と特別支援学校の進路指 導の共通性というか、確認を少ししておくことがこれから高校に通う発達障害の方々の 支援も考えたときに、大事になると思いましたので、ちょっと一言申し上げました。 ○座長  そうすると、高等学校でも特別支援学校のノウハウというか、教育の実際の指導の方 法とか、それと進路指導の体制が高等学校でも特別支援学校の経験が活用できるような、 そういう制度的な柔軟性が欲しいということですね。ありがとうございました。それで は、松為委員どうぞ。 ○松為委員  いろいろお話を伺わせていただきまして、私も基本的にはその育成に関していきます と、1つは新人の研修という格好で、先ほど松井先生がおっしゃっていたような大学教 育等に関しては、教育学部とか社会福祉学部、あるいは心理学系統もこれは一緒だと思 っているのです。そうした人もやっぱり学校教育のなかでちゃんとやってもらいたいし、 それから先ほど小川先生がやられたように、実際に既にいくつかでやっているところも ありますよね。そういった意味で、私も大学人になりましたから、皆さんのお話を伺い ながらやりたいと思うのです。  実は、もう1つ、私は最近2、3年何をやっているかというと、キャリアカウンセラー の研修をやっているんです。このキャリアカウンセラーというのは、考えてみたら、実 は、要するにキャリア問題に関してある種専門家なんですね。障害者はやっていないん ですけれども。この前にやった研修のなかで、やっぱり今なぜキャリアカウンセラーに 対して私どものところに研修に来てくれるかというと、キャリアカウンセラーの実際の なかで、ニートを含めて、結構軽度発達の人も含めて、そういう人たちが結構多くなっ てきているという話をよく伺います。私がこの前に研修したのは、そういった意味で、 現在のキャリアカウンセラーの枠のなかでは難しいので、要するに、リファーという格 好で、自分たちが対応できないものに関しては、周りの専門家の方に繋ぐような、その ための研修をしてくださいという話もありました。ということで、東京、大阪、あっち こっち研修したんですけれども、つくづく思うに、キャリアカウンセラー自身というの は、いわゆる労働省のいろんな認可プログラムでちゃんとやっているわけですね。数と しても全国的に確か万単位いるはずなんですよ。そういった人たちは、先ほどの、例え ば、ジョブコーチのいわゆる専門的なレベルの裾野の広がりといいますか、裾野の広が りの一番最初のベースの段階で使わない手はないと思うのです。そういった意味では、 いわゆるキャリアカウンセラーに関しては、例えば認定とかいろいろ団体等ありますか ら、そういったところに、これから先の時代を見ていきますと、いわゆる特に障害を持 った人たちに関してのカリキュラムをちゃんと組むように要請するか、あるいはまた、 キャリアカウンセラーの例えばプログラムの認定とか申請みたいになったときに、そう したものに入れてもらうように話すとか、そういった形のものが多分必要だと思います。  さっきの大学教育のなかでは、この前、全国の大学協の社会福祉の委員会をみたけれ ども、腹の立つような感じで、全然センスの鈍い連中ですから、ちっとも考えていませ んから、そういった連中をいつまでも相手にしてもしようがないので、自分たちがやっ ていくよりしようがないところがありますよね。ただ、キャリアカウンセラーさんとは ちょっと違うんですよね。やっぱり、いわゆるカウンセリングに関する基本的なテキス トを長い間やっていて、スーパーバイザーさんは結構よくやるんですね。実際、例えば、 私の方がうつの人たちのプログラムを一緒にやっていても、産業カウンセラーさんとか キャリアカウンセラーさん自身が非常にこういった障害者問題に関わってきますし、で すから、非常に裾野の広がりといいますか、いわゆる職業カウンセラーを含めた専門職 としての就労支援、ジョブコーチを含めた育成するその一番最初の、ともかくあさり方、 人の集め方ということで、そういった人たちに対して、是非とも私は何か厚生労働省の 方で誘導できるような政策的なものが欲しいと思います。そこだけちょっと一言言わせ てもらいます。 ○座長  ありがとうございました。時間がきましたので、ここで終わりにしたいと思いますが、 この連携の研究会なんですけれども、要するに障害のある方々を支援するという立場で、 教育、福祉、それから企業等、ここで関係者が集まっているんですが、例えば、働きな がら暮らすということを考えると、やっぱり所得保障の問題というのは非常に重要な問 題にもなってきます。特に先ほどいろいろ出ておりますけれども、別の研究会では、多 様な就業形態ということでパートとか、要するに20時間、30時間までの短時間とは切り 離した、もっと多様なパートというところも研究のテーマになってきています。そうな ってきますと、確かに多様な就業形態で働いていくんですが、暮らしということと密接 に関連するので、その最低限をどうするかということの分野を越えた研究会もないと、 我々がここでこういう議論をするのは、障害のある方に対しては、働け、働けというこ とばっかり言っていて、暮らしの内容とどういうように結びつけていくのかというよう な議論であれば、当然所得の問題にもいくだろうと思います。だから、私はそういうも のは、やはりこの連携というものに併せて、やはり研究会として欲しいなと思うわけで す。所得保障の専門家と我々が協議できるというか、研究できるということも必要にな ってきます。おそらく企業側も多様な就業形態で賃金形態ということは前提としていく と思うのですね。そのときに、暮らしの方は、やはり企業として責任を持たなければな らないということになりますと、それは当然賃金の問題になってきます。それは、やは り所得保障ということを入れていかないと駄目なので、やっぱりそういった連携という か、要するに縦割り行政を崩した形で、障害者の雇用と就業、あるいは福祉と雇用の関 係を考えていくというのが必要になると思います。ちらほら出ておりますので、感じて いるところを述べさせていただきました。  それから、あと、やはり職業センター、教員もそうですけれども、一応職業センター の職員の方も大変労働密度が高い、非常にタイトな仕事をなさっていて、現場も知って おりますし、教え子もカウンセラーになっておりますので、大変な業務だと思います。 しかし、一応きちっとした専任の職業として保障されていますが、今日出ているいわゆ る福祉施設の職員の身分というのは非常に保障されていません。それはつくづく私は思 いますのは、今、私の大学は福祉学科をつくって3年目で、来年完成年度を迎えますが、 あっちこっちから、先生のところで人が要るでしょうということで、お願いします。要 するに、専任であっても、地理的にちょっと不便なところだと、職員が埋まらないんで すね。つまり、経済状況が良くなると、福祉の職員がいろいろやっても、なかなか埋ま りません。もう嘱託だったらなおさら埋まらないという状況です。そういう非常に厳し い状況があります。そうなると、やはりキャリアを積んで、育てていくということです よね。そこを福祉側は願っても、それだけの処遇の条件がなかなかつくれないというの が現実です。ですから、この人がいい、絶対伸びるだろうと思っても、その人の将来の キャリアを我々が、そういっても返られないわけです。そうして流れていってしまう。 やっぱりそこのギャップを踏めないと、我々の今の議論も全然役に立たないという気が いたしますので、私は、やっぱり、どこかで福祉の人材法が必要だと思います。やっぱ り少子高齢社会のなかでスペシャリストが必要です。それをどういうふうにきちっと確 保していくのか。やっぱり人材法だと僕は思っています。こんなことを最後に言いたい のは、こういう議論がちゃんと実っていくには、そこのベースですね。福祉の働く人た ちの条件がもう少しよくならないといけないのではないかと思います。それは感想でご ざいます。どうも蛇足のようなものですけど、失礼いたしました。  では、本日の人材養成についての議論をうまく出していただきました。ありがとうご ざいました。それで、最後に今後の日程等について事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  次回は4月23日の月曜日の10時から12時でございます。テーマは1つ目の柱の雇用、福 祉、教育等の連携による就労支援の効果的な実施について御議論をお願いしたいと思い ます。場所は厚生労働省内の会議室を予定しております。 ○座長  よろしくお願いいたします。最後になりますが、次回研究会の会議の公開につきまし ては、公開としても特に差し支えない議題だと思いますので、公開の取り扱いとしたい と思います。また、本日の議事につきましても、議事録を公開しても差し支えないと考 えますが、御意見はございますでしょうか。(「異議なし。」の声。)  ありがとうございます。では、これをもちまして本日の研究会は終了いたします。ど うもお忙しいなか、ありがとうございました。 照会先 職業安定局障害者雇用対策課雇用対策係(内線5854)