07/03/12 第3回介護施設の在り方に関する委員会平成19年3月12日議事録 社会保障審議会介護給付費分科会 第3回介護施設等の在り方に関する委員会議事録 1 日時及び場所  : 平成19年3月12日(月) 午後2時〜4時46分             全国都市会館 大ホール(2F) 2 出 席 委 員 : 天本、池田、井上、井部、漆原、沖藤、喜多、木下、木村(小 島参考人)、紀陸(遠藤参考人)、田中(滋)、田中(雅)、 対馬中田、新田、前田の各委員             神田、村本、山本の各委員は欠席  3 議題  (1)療養病床アンケート調査結果について  (2)療養病床の入院患者の状態像と必要なケアについて  (3)その他 ○ 川尻計画課長より、初出席委員の紹介、本日の出欠状況の報告が行われた。 ○ 大森委員長より挨拶。 ○ 榎本地域ケア・療養病床転換推進室長より資料1から資料3を資料に沿って説 明。 (大森委員長)  まずアンケート調査結果を踏まえつつ、療養病床転換の対応策について、これからど ういう方策を推進していったらいいかということなどについて、少し自由に議論した後、 実際の入院患者の皆さん方のケアについてどのように考えればいいかの方策について主 として議論していきたい。 (天本委員)  資料2の(3)急性増悪のあった患者の割合ということで、このまま読むと、文章だ けだとたかだか10%かというようだが、これは説明の中では、一般病床あるいは急性期 病床に転院した人が1割という言葉が入っていたが、どのように解釈するのか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  ご指摘の点については、資料1の68ページの(3)の18番ご覧頂きたい。「3ケ月以 内の急性増悪の有無」ということだが、ここにあるように、「貴院の入院患者で、7月 以降に急性増悪により急性期病院への転院、一般病床への転棟などがあり、治癒後再度 貴院へ入院した経過の有無について、あてはまるものに○をつけてください」というこ と。 (天本委員)  転院したということ。療養病床だから、医師も看護師もいる。当然そこの中で急性増 悪して治療された人もいるわけだから、その数値は今回の調査では出てこなかったとい うことが。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  これは10月1日現在入院している方について調べているので、ほかの病院に10月1 日現在転院をしていて、現に療養病床にいない方については、ここでは出てこないとい うことになる。 (天本委員)  重要な役割として、他の介護施設のところとの違いで、介護療養型で程々の治療が行 われて、また、もとに復帰している人がかなりいる。医療療養病床あるいは介護の療養 病床では急性増悪においては転院せず加療し継続して入所している人はかなりいるとい うことが重要である。 (木下委員)  追加をお願いしたいが、転院して死亡したり、そのまま一般病床にいる方は入ってな いのか。再度療養病床に入っている方ということで、そこでかなり数的に解釈の違いが あるように思う。再度入院されたというので、このタイトルが誤ってとられる可能性が あるので、もう少し考えてもらいたい。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  説明に当たり、そういった指摘があったことは念頭に置いて説明する。 (木下委員)  説明というよりタイトルのつけ方が不適切だと思う。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  調査票のタイトルをそのままつけたため、今後、資料作成に当たって留意する。 (木下委員)  調査票にあるからといって、非常にこれは誤解を招くというか、1割だけが急性増悪 したということなので、タイトルを変えて、あるいは調査項目を括弧でつけるとか、こ れを読み替えましたとかする方が適切ではないか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  先ほどの解釈を明記するようにする。 (前田委員)  資料1の52ページのデータについて、前々回の検討会で療養病床全体38万を15万、仮 の数字として、そこまで減らす方向で考えていくという、その問題と今回の資料1の52 ページの18のアンケート調査に関連するかと思うが、これは複数回答なので非常にデー タの読み方は難しいが割り切って読んでいくと、1/3抽出ということだったが、回収 率との関係などもあって、多分これは全体として1/4抽出ぐらいの数字になっている のではないかと察する。これでいくと、全体としてこのまま医療療養病床にいた方がよ いという数が3万7,901人ということで、大体4倍するとこれで15万ということになる。  他方で介護療養病床にいた方がいいという数が3万弱ということで、これも4倍する と12万ということで、大体12万弱の数字のギャップが計算としては出てくるわけである。 アンケート調査ではもちろん老健の施設に回すよりもこのまま療養病床にいた方がより 十全なケアができるということで、ほかの施設に回すという数が控えめに出されたとい う背景もあるかもしれない。また、今後の老健の施設における医療の在り方、これはま だ検討が不十分なので、今後の在り方によってはこういった判断が変わってくるかとは 思う。今回のデータについて、どのような感想を持っているのか。 (大森委員長)  事務方でどのように受け取っているかということか。 (前田委員)  はい。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  まず、今回のデータについて、まだ再編成1年目ということもあるので、そういう意 味ではまだ途中段階の状況にあるのかなと考えている。一方で、介護療養、医療療養に いたいという希望も多い。これは医療機関の転換意向もそうであるし、一方で患者さん の状態から見てもそうした方がいいというような状況もある程度出てきているというこ ともある。その辺りを今後各医療機関と情報交換を行い整理して進める必要が出てくる のではないか。一方では特に未定の医療機関も多いので、その未定の方に対して、なぜ 未定になっているのか要因をよく整理して、それに対する対応をさらに整理して考えて いかければならない。  療養病床の目標については、医療療養病床について、先ほど15万床と前田委員から御 指摘あったが、それは一昨年の中医協の方で、医療区分を導入した際に、その状況を当 てはめてみるとそれぐらいになるだろうということで出した数字だが、今後さらにどの ような数字を設定していくのか、また整理をしていくことになっているので、これが必 ずしも一概にそれに当たるのかどうかという、まずそもそものところから整理をしてい かなければならない。 (大森委員長)  1年目としては様子を見ている人もいるかなと。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  それなりに未定の方、あるいは医療療養病床として残る数出ていたのかなと思ってお り、そこのところは、今後関係者とよく整理をしていく努力をこの結果からは求められ ている。 (天本委員)  15万床というのはいろんなところで使われているが、数字ありきでの話はしないでい ただきたい。15万床というのは、あくまでも厚生労働省の保険局の政策で、エビデンス ニーズに基づいているものではない。 (池田委員)  資料2の2ページの件だが、さっき榎本室長が説明からあったが、「医療区分1の患 者に対する医療処置の状況」のところ、無回答が医療も介護も大体40%ということにな っている。これをどう読めばいいかということだが、ほかの設問を見るとノーアンサー とか不明というのは非常に少ない。それと医療処置の定義についてはかなり細かく書い てある。上の一番の最後に「その他」というのも入っているので、どこかに「○」をつ けるはずなので、「無回答」というのは要するに何もやってないというのが大体40%あ ると読んでいいのか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  ここの「無回答」は、まさに文字どおり回答がなかったということで、そこが実際に なかったのかどうかというのはこれだけでは不明確。   (大森委員長)  池田委員、その点について、ご回答ください。 (池田委員)  医療措置の定義のところに何もしなかったという項目はなかったので、結果的にこう なったと理解するのがごく自然だ。 (大森委員長)  御意見ありますか。 (天本委員)  無回答である。無回答は無回答ということで飛躍した個人的な解釈はこういう場では 議論してほしくない。 (池田委員)  これは個人的な解釈ではない。だれが読んでも、そうとしか読めないということを私 は言っている。 (木村委員代理:小島参考人)  資料の読み方で少し、事務局の方でどう見ているかということだが、資料1の34ペー ジに医療区分の調査結果が出ている。これは昨年の10月時点で入院されている方の医療 区分ということだが、先週、中医協の方に配布された資料の中に、昨年の10月時点での 医療療養病床の医療区分の割合が示された。そのときは昨年の7月から医療区分が導入 されているので、その前の医療区分の結果と、昨年の医療区分が導入された後の10月時 点での医療区分の結果を見ると、医療区分1ないし2の比率が下がって医療区分3の比 率が高くなっているというのがたしか中医協に配られた資料、それは医療保険の方の対 応の療養病床だと思う。  そのときに議論になったのは、それはどう読むのだと。入院患者が入れ代わったのか。 そこは介護対応の療養病床等の比較を見てみないとなかなか分析は難しいとのことだっ たが、そうすると、今回の34ページの方に、すべて介護型療養病床の方は医療区分を実 施してないということがあるので、これからだけでは判断できないが、そこは、今療養 病床を抱えている医療機関は介護型も医療保険型も両方併設しているというところが多 いと聞いている。そうすると、昨年7月以降のところで、入院患者の入れ替えというか、 医療区分が低い方については医療保険の対応の療養病床から介護保険の方に移って、介 護保険の方の対応の入所されている方で医療区分が高い方については医療対応の方に移 動したと。その辺の入院患者の移動というか、その辺の動きは調査か、あるいはそうい うことは把握しているのか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  今回の調査は10月1日のピンポイントで調べているものであり、その動態がどうなっ ているかということまではこの調査ではわかりかねる。 (大森委員長)  今、お話のあったようなことの資料とどこと比較するかについて、何か今のような傾 向があるのではないかという御指摘だから、それを裏づけるような数値があるかどうか ということになる。 (鈴木老人保健課長)  少し確認したい。中医協の資料のことだが、中医協は3月7日にあり、そのときに、 一昨年(17年)の9月の段階と、昨年(18年)10月の段階と比較をしている。17年9月 の段階では、医療区分1が52.9%、2が38.3%、3が8.8%という、大まかに言って5、 4、1くらいの比率であったのが、18年10月の段階では、医療区分1が30%、医療区分 2が51.8%、医療区分3が18.2%ということで、3、5、2ぐらいの割合に変化をして きているというデータがあるので申し上げる。 (大森委員長)  小島さん、よろしいですか。 (木村委員代理:小島参考人)  少しその辺が読み取れるかどうか、調整したいと思う。 (田中(滋)委員)  資料1の15ページ以降に転換意向が出ている。これは大変おもしろいところだが、こ こで質問票を見ると、転換意向というのは、実は転換決定したという場合と、決定は本 当できるかどうかわからないけど、こうしてみたいという希望を述べている場合と、本 当に決定した場合、自分のところの人員配置とか設備の上から不可能かもしれないけれ ども、望めるならこうしたいという場合と、制度が変わればというのといろんな意味が 入っているので、実はまだ「未定」というのはたくさんあるのはある意味理解できる。 「未定」と答えているところは意外と賢いかもしれない。いずれこれを繰り返し聞いて いくことになると思うが、制度を変えた場合もそのうちに調べていただきたい。特に52 ページ以降の患者像を見ると、介護療養の場合、特養に移った方がいいという人は結構 おられる。現在では特養に変えるということは不可能である。もちろん併設法人をつく ればできるが、直接変えることはできないので、そうすると制度上特養に変わるという のは多分出てこないはず。  同じく有料老人ホームについても、今度の法改正から変わるけど、この時点でまだな い。選択肢が今言ったように本当に決定したのか、なれるかどうかわからないが、願望 として言っているのか、制度さえ変わればなりたいという3種類の答えが混じっている。 そういうのが読めるように今後さらに調べながら政策を決めていくことが大切。  同じような今後という意味でいうと、25ページに併設している事業所のことが出てい る。これは現状調査としては正しいが、資料3では大変いい質問が書いてあり、資料3 の「○」の3つ目だが、「入院・入所だけではなく、多様な住まいにおける療養生活の 継続・選択を支援するためには、どのような点に留意すべきか」と書いてある。これに 対応するアンケート項目がない。今後もし転換するとしたら、単に建物の転換だけでは なくて、25ページの表にあるような、ほかの地域向けのサービスとして、どんなものを 展開していくのかということも知っていくのも必要。 (対馬委員)  今の質問と関連するが、事務局でわかれば教えていただきたいが、52ページのところ、 施設としてどういった意向かというのとは大分差があると思うが、このあたりは患者に とって望ましいというのは、医療の必要度とか介護の必要度ということなのか、それと もそれ以外に、例えば家庭状況とか、そういったことを踏まえての話なのか、そのあた りはどうなのか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  一応ここでは、ここの18のタイトルにあるような聞き方で記入をお願いしたところ、 実際記入されているのは恐らく医療機関の医師の方とか、看護職員の方だとか、そうい う医療機関の職員の方が記入していると思う。その際には、患者票のそれぞれに記入し ていただいているので、いろいろなことを考慮した上でそこでは記入されているのでは ないかと考えている。 (対馬委員)  ということは、いろいろなことというのは、家庭状況なんかもある程度入っているの ではないかということか。例えば介護する人がいる、いないとか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  はい。 (対馬委員)  わかった。 (天本委員)  このデータにも出ているように、独居、あるいは日中独居といったような形がほとん どの方々なので、社会的要因というのは、在宅でのくらしというのは非常に難しいこと が読み取れるのではないか。ニーズとすれば、このままもう移さないでほしいというと ころ。終わりの住みかを重介護の人でも望んでいることが読み取れるのではないか。 (井上委員)  1点教えて欲しい。資料1の15ページのところの先ほどの転換意向だが、設問として は複数回答が可能というふうに思うが、実際には複数の事業展開を考えるというような 回答はどれくらいあったのか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  転換意向であるが、これはまさに療養病床の建物、病床そのものをどう転換するのか ということを聞いており、その際には何になっていたか、それを1つ記入するとしてい る。 (井上委員)  1つということは。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  もちろんどういうものを選ぶかというのは選択肢がいろいろあるが、基本的には1つ 記入する。ただ、後ろの方のどういう施設がいいのかと、患者票の方で調べたもの、こ れは複数回答ということで回答している。 (井上委員)  後ろの52ページの方から見れば、1つの医療機関が複数のいろんな事業を展開すると いう方が正しい方向性ではないか。それに対して設問自体は1つしか選べないという形 になっていたが、これからの方向性を考えると、1つの医療機関がここでの設問ではほ とんど居住系に転換する意向しか聞いていないが、居住系や居宅ケアなどをやっていく という方向性を少し検討してもいいのではないか。 (天本委員)  我々医療機関側からすると、要するに転換後の具体的なイメージが見えない。例えば 老健が、今のままの老健でしか制度上はっきりしているわけではないので、要介護4、 5の人で、ほどほどの医療を受けている対象者を新たな老健の機能面で考えるし、もう 一つは法的な位置づけ、それから経営面、この3つの大きな柱がある。法的な面で医療 処置がまだ看護師の業務独占がどうなるかというのが医政局、あるいは看護課として明 確に示されてない。要するにこの法的な「経管栄養」といわれる体の中に注入するとい うことで、実際に病院でも死亡事故が起きたりして新聞なんかにも出ている。それから 胃瘻などにおいてもスピードによって嘔吐して肺炎を起こしたりする。要するに注射と 同じようなこと。そういう法的な位置づけを、現在は看護師の業務独占ということで法 的に明確に位置づけになっているにもかかわらず、これが介護施設で行われることが法 的にいいのかどうなのかをこの会で明確にしたい。我々は今の法律から考えれば病院で しかできないわけだから、この抱えている患者への機能を考えれば、やはり医療施設を 選ぶわけである。  それから、機能面とすれば、ここの資料にも出ているが、法的人数の約倍近くを介護 療養型で抱えているということが明らかになっている。それを老健という数のもので見 ていけないので、要するに基準の数以上で対応している。新たな老健の人員配置基準が 明確になってないのに転換して今までの機能を維持できるのか決められない。先にむし ろそちらの受け皿整備の議論をしないと、我々として突然先になくすという話だけが出 てきているという非常に矛盾があるので、「未定」というのは当たり前。医療療養病床 の機能面を考えれば、そういう道しか選べられないということがあるので、明確にこの 場でしていただきたい。 (大森委員長)  今の話は、医政局マターでもあるから、今日直ちにというわけにいかない。そちらの 方も検討に入っているのか。こちらだけで全部なんかカバーできない。そちらの方も何 か考えてくださらないと受け取れない。 (鈴木老人保健課長)  確かに天本委員がおっしゃるように、介護施設で看護職がいない場合にどの程度医療 行為とされたものができるかという問題がある。それは併せて、今日2番目の座長に整 理をしていただいた転換したものについて、もしくは転換する、元の施設に入っている 人にどういうサービスを提供するかというところと密接に関連すると思うので、我々と してもこの検討委員会の意向を受けながら関連局とも相談しながらやっていきたい。  少し戻るが、先ほどの井上委員の質問の関係で言うと、資料1の62ページを少し見て いただきたいが、転換の意向についてだが、先ほど1つしかという話が出たが、ここは 病床別に書いてあるので、例えば100床療養病床を持っていることがあれば、何床これ に行って何床これに行くというような選び方で、ただ、100床をこっちもこっちもとい うのは、それはできない質問票になっている。   (井上委員)  今のところでもう一回、確認をしたいが、資料1の62ページのところで、例えば医療 に40残って老健に60行くというような考え方がある。そのように複数のところに「○」 をつけたという回答はどれくらいあったのか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  そこは時間をいただき整理させていただきたい。 (中田委員)  資料2の4ページで、「療養病床入院患者にとって対応が望ましいと考えられる施設 等」ということで、これは私アンケート調査結果を見て少しびっくりしたのだが、老健 よりも特養、特に介護療養病床については特養が30%を超える数字が出ていて、医療病 床と合わせも全体で25%超えるぐらいの特養に対するニーズが強い。先ほどいろんな意 見があったが、多分対象となる方は要介護4、5であって、また低所得が結構多いので はないだろうか。そういう意味で自宅に戻る方が困難な方がこういう調査結果に出てい る。  それと現状の特養の優先入所基準というのがあり、それに照らし合わせると、療養病 床に入院している方の行く先はおのずと特養になりつつ、しかも療養病床にいる方が特 養への入所順位が上位にランクされる。そうすると、改正に合わせて相当な特養の利用 者が多くなってくる。  一方、資料2の2ページの、「医療区分1の患者に対する医療処置の状況」だが、こ れは介護療養病床では経管栄養が約24%ぐらいか、喀痰吸引が10%等々、そのほかいろ んな医療的な処置が必要という方がいるので、そういう意味から、特養が医療処置の必 要性の高い方をどう処遇するかが、これから介護施設の在り方ということで検討しなけ ればならない。このアンケート調査を何回やっても、その辺がきちんと整備されないと、 老健も含めて、きちんとした回答が出ない。  今後、特養の在り方については意見したいが、それは後でやることなのか。 (大森委員長)  お話しください。 (中田委員)  そういう状況から、まず1つは、特養の設備、人員配置基準の見直しは必要だろう。 少なくとも、看護職員の配置を増員しなければこういう方の受け皿にはなり得ない。  それから、2つ目は、医的行為というか、このようなことについては、介護職員に認 めるような制度改正を早急にやらなければいけない。  3つ目は、今、全国一律に行われている特養の個室ユニット化、いわゆる新型特養だ が、低所得者層の入所が困難、なかなか受け入れられないことから、これは見直しが必 要。  それから、4点目は、低所得層の受け入れについては、私は養護老人ホームも受け皿 の重要な役割を担うことから、明確な位置づけが必要。  最後、もう一点だが、以前、私はこの委員会で介護施設の適正規模についての資料請 求をした。介護施設事業所が適正規模に達しない事業者が淘汰されるのは介護保険が制 度として正常に働き、市場が機能している証拠だというふうに言っているのだが、この ことから、今、私は国が推薦している地域密着型サービスと言われるような、特養、老 健も全部29床以下ということについても、この現状から、私は見直す必要がある。 (田中(雅)委員)  資料3の方から、先ほど田中委員もおっしゃっていたが、入院・入所だけではなくて、 多様な住まいにおける医療生活の継続ということについての支援について検討事項とし て挙がっている。このような多様な住まいにおける療養生活ならば、在宅においても、 また多様な住まいにおいても、24時間安心の医療体制の整備ということも念頭に置いて 考えなければいけない。ここにおいては、今の療養病床にいる方々をどのような施設に 移すかというのはあったが、今ほどおっしゃったように、対応が望ましいと考えられる 施設の中には、資料2の4ページ中において在宅というケースも挙がっている。そうい うことを考えるならば、地域における24時間安全の医療体制ということをどうするかに ついても検討すべき課題。  それで、これは事務局にお願いするが、参考資料の中の7ページに「在宅療養支援診 療所」についての説明がある。これについて少し説明してください。 (大森委員長)  今のこと関係ありますね。少し事務局の説明をして欲しい。   (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  参考資料の7ページになる。「在宅療養支援診療所について」ということで、これは 先般、中田委員から指摘があり用意したもの。在宅療養支援診療所の届出状況だが、昨 年の7月1日現在で9,434件という状況。また、在宅療養支援診療所を取るためには当 然要件が必要なので、7つほどの要件がある。  保険医療機関であること。24時間連絡を受ける医師又は看護職員を配置して、連絡先 を文書で患家に提供する。診療所において、他の保険医と連携で、診療所を中心として、 患者の求めに応じて、24時間往診が可能な体制を確保する。また、診療所あるいは訪問 看護ステーション、医療機関の看護職員との連携で、医師の指示に基づいて、24時間訪 問看護の提供は可能な体制を確保する。また、いざというときに、診療所あるいは他の 保険医療機関と連携して、在宅療養患者を緊急入院ということが受け入れられる体制を 確保する。また、医療、介護サービスの連携を担当するケアマネージャーと連携をする こと。あるいは診療所での在宅看取り数を報告するといったような要件が課されている。  8ページは、仙台市内で看取りまで行っている診療所の例ということでまとめたもの である。  事務局でも、保険局医療課の方にいろんな資料はないかということで問い合わせ、今 ある資料ということで、この2枚を用意した。 (大森委員長)  これ、もう少し新しいものは、増えているのか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  増えているのではないかという話もあるが、直近の数字は、今この数字である。 (大森委員長)  田中(雅)委員、とりあえずこの数字が出てきているが、これは地域では非常に重要。 これがどのように増えて、体制が整うのかというのは重要になる。 (田中(雅)委員)  これについては数字がないと前もって聞いているが、まだ、全国にこの時点において は9,434件という数である。そういう意味では、先ほど言ったが、地域における安心の ニーズの医療体制の整備ということを考えるならば、地域格差とか多分生じていると思 われる。、本来ならば、各都道府県の状況、あるいは市町村の状況等についても具体的 に知らせることで、本当の意味の国民の皆さんにとって、病院か施設かという選択では なくて、在宅に暮らし続けることの意味も出てくるのではないか。 (紀陸委員代理:遠藤参考人)  質問だが、それぞれ療養病床で転換の支援策があったが、それに関して、19ページと 23ページで、病床の転換意向の数が出ている。細かく見ると県によって大分差があり取 組が大分違うが、これは県の後押し等の姿勢の差などがあった結果だと読み取れるのか、 あるいはそもそも受け手の側の方が積極的だったのか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  これは各県によっても、まず療養病床の数そのものが違っていることがある。あと、 事務局としても自然体で各県から協力いただいたものを淡々と集計したという状況で、 結果としてこのように大きな差が出てきているということ。これがどうして各県ごとに これだけ大きな差になっているのかというのは、また、各県の話を聞きながら考えてい く必要がある。   (紀陸委員代理:遠藤参考人)   ぜひ、その辺の分析をして欲しい。   (中田委員)  参考資料の7ページから11ページにかけて、在宅療養支援診療所と訪問看護ステーシ ョンについては、私、前回資料請求した。在宅療養支援診療所については、設置数がこ の数字であり、要件がこうということで資料もらったが、実際にどの程度機能している かということがこの資料からは見えてこない。  ただ、1つ提案したいのは、在宅療養者を支えていくための支援施設は、診療所だけ でなくて、地域の実情に応じて、病院も含めて広く対応できる仕組みが必要だ。例えば、 地域の実情によっては診療所のみではなくて、病院も含めた支援施設という位置づけに した方がいいのでは。  それから、訪問看護ステーションの設置数については、この6年間余り増えていない という資料だが、地方ではやっぱり看護師等の人材確保が大変だということで運営が大 変厳しいと聞いている。特にへき地や過疎地におけるこうした訪問看護系の居宅サービ ス事業がより推進されるように、適切な報酬単価というものを設定しなければならない。   (前田委員)  関連してだが、在宅療養支援診療所というのは、恐らく内科系の診療が多分大部分で はないかと想像するわけで、ただ、一方では、どうしても老人になると、眼科や耳鼻咽 喉科のような特殊診療の必要ということもある。より安心な医療体制という点でなかな か自分では病院に行けない。さらには特養においても人手不足で外来に連れて行っても らいたいけれども、なかなか行きにくいような状況もあるという中で、特殊診療も含め ての在宅療養支援、特養も含めての支援といったものを、先ほどの病院も含めてという 発言もあったが、検討してもらいたい。 (沖藤委員)  質問というよりもお願いだが、今までの話は利用者本人の意識とか、家族の思いとか が抜きの状態で施設の在り方が考えられている。それで資料2の4ページを見ると、「 療養病床入院患者にとって対応が望ましいと考えられる施設等」というのは、あくまで も施設で、回答者は施設長とは限らないで、いろんな役職の人が書いているようだが、 施設の側の人の回答。入っている方、あるいはそこに高齢者をあずけている家族からす ると、例えば介護型療養施設だと思いずっと入れていて、制度が変わって、平成23年ぐ らいになると、それが本人の希望とは関係なしに、特別養護老人ホームになってしまう とか、老人保健施設になってしまう。もし、そういうことがあるのだとしたら、利用者 の利用意向という本人の自己決定ということで介護保険はスタートしているはずだから、 趣旨とずれていく可能性がある。  転換するときには、よくよく家族や利用者の意向、気持ち、症状の問題だけではなく て、精神的な部分で、あなたはどこに行って最後をどうしたいかと、丁寧な調査をやっ ていかないとちょっと不安。  今回の調査は、施設の調査ということでいいが、今後、こういう調査をする時には、 せっかく施設に調査票を送って、患者票というものもつくったから、入院している患者 さんたちの意向も家族なりに調査することを併せてやって欲しい。   (大森委員長)  今後の検討事項の(3)が、ややそういう含みを持っていて、単にある施設から施設だけ でなくて、いろんな住まい方もあるし、いろんな希望があるので、そういう形で転換を するときにどういうことが大事になるかということも同時に考えていきたい。促進策の 中にそれを入れ込まざるを得なくなる。 (沖藤委員)  特に在宅というのが医療療養で2割、介護療養で1割弱ぐらい出るが、それは本人が 自宅で可能だと思っているとか、家族が自宅で可能だと思っているのか、そういうのが わからないで施設の側の人の目で自宅と答えている。要介護者が高齢化し、なおかつ介 護している人も高齢化しているこの現状にあっては、介護ができないから、療養病床に お願いしているのに、入所者は一体どう考えればいいの、という不安が起こる。今度の 転換問題では実際にみんな不安がっている。 (漆原委員)  今の沖藤委員の意見にも少し関連するが、これは全体のアンケートの結果とすると、 どうも選択肢を余りきっちり示されないままのアンケートだったから、施設は当然困惑 している。そして患者さん・利用者の方々は、できればこのまま施設にいたいと考えて いる。ここがもし転換し、再編されるということになれば、どこへ行ったらいいかわか らないと言うような結果が大枠ではないかと感じる。もう少しアンケートの中で、施設 というより療養病床の転換先として老健施設等、あるいは田中委員がおっしゃったよう に別法人をつくらなければ特養の選択肢はない。それから居住系サービス等についても、 有料老人ホームが医療法人に開放というか、確保されることはおおむね情報として聞い ているが、そういった選択肢が示されないまま、将来どうするのかと聞かれても3割以 上のところがわからないと、これは答えるのが当然。  そして患者さんだが、基本的には参考資料の1ページ、まさに最後の療養場所の希望 ということで考えると、男女ともに50%以上の人が病院で最後の療養をしたい。そして、 特別養護老人ホームを指すと思うが、全体の資料から見ると、老健施設の選択肢が施設 の側からも本人の側からも利用者の行く先としても選択されないというところ、これは 老健施設が通過施設であるとか、最後の療養の場所が適さないことが十分理解されてそ うなっているのか。そうではなくて、これまでこの委員会以外のところで聞こえてくる 意見、「介護難民」の問題とか、それから療養病床を廃止するならば、大幅に基準を緩 和したこの療養病院がそのまま残るのだという話があって、こういう選択肢がされてい る。  この参考資料1の「最後の療養の場所の希望」であるが、できれば、在宅という数字 を増やすために、これは転換先ではなくて、国の大きな方針であるので、そういった意 味では老健施設等の在宅支援の部分を拡充していくといった視点もぜひ考えてもらいた い。  また、既存の医療法人等についても、先ほどからいろいろ議論があるどんな施設に転 換したらいいか、どんな機関を併設する意思があるのかがあるが、この辺についても、 最後の療養場所で病院を選ぶという人が男女ともに50%以上ということから考えると、 医療サービスがどこについているかがかなり重要な選択肢の1つにとらえられている。 療養病床の転換先として、そういったものも含めた居住系サービス、あるいは特別養護 老人ホームに医療が十分かかわれるような体制を併せて考えていく必要がある。 (木下委員)  資料2で幾つか確認したい。最初は、中田委員の質問に関連するが、4ページの一番 右で、介護療養病床(医療区分1)で、特養に行くのがいいという部分が30%あるが、 この人たちの医療処置の内容が別に出せるのか。2ページにある介護療養病床のところ にある喀痰吸引、経管栄養等がこの部分だけ別に抽出できるのかが1つ。  それと10ページ、一番下の(参考1)に、介護老人保健施設で看護職員のいない日が 1日もなかったというのが70.7%といった数が出ているが、これだけ見ると、老健では 夜多くの施設で看護職員がいると読み取れるが、n数が355と少ないことと、ここの利 用者の数が何人かということ。100人の施設に1人いるというのと、50人の施設に1人 いるというのではかなり違いがあると思うが、その辺の数が出せるかどうかということ。  一番下の(参考2)の介護療養型医療施設の夜勤基準で、夜勤2人の配置等を評価す る加算(夜勤勤務等看護(1))と書いてあるが、これが1%と書いてある、ここにこ れを載せた意図が何かということと、加算の内容がどうかということを説明してもらい たいことが1つ。  それと13ページ、介護保険3施設において提供しているリハビリテーションの状況が 3施設で比べてあるが、これは月に1回でも受けた人の数が多分出ているが、その頻度、 数もある程度問題になるので、その辺のデータも出せるかが1つ。  14ページ、死亡場所だが、これは語句の訂正を願いたい。下の表の一番上、介護療養 型医療施設、これは「入所前」、「退所者」、「退所後」と書いてあるがこれは「入院」 という言葉に置き換えてもらいたい。  それともう一つ、資料1に基づいて、この秋には都道府県の整備構想ができるという 話だが、話があったように、資料1の中身は非常にまだ不安定というか、不十分な状態 で、これで都道府県の地域整備構想ができて、それで固定されてしまうとかなり問題が あるが、その辺の見直しとか、拘束力というのがどのようになっているか。 (大森委員長)  幾つか質問あったので、それでは順番にお願いする。 (鈴木老人保健課長)  数字的なものから、まず、資料2の10ページのところで、夜勤の看護職員がいなくな った日数(参考1)というグラフがある。これについて、下の(参考2)のところで、 介護医療型医療施設の夜勤基準云々を載せた意図は何かということで、具体的に点数が どのくらいというこの2点だが、要は老人保健施設において、基準上は夜間看護職がい る必要はないということだが、実際上、nの大きさとか、それはまた後で調べるが、7 割以上のところにいるというところがある。(参考2)のところは、介護療養型医療施 設、これは基準上夜間看護職員がいなければいけないが、それに加えて、加算として加 えているところがどのくらいあるかは1%であると書いているので、正しく伝わらなか ったかもしれない。これは23単位ということが介護報酬である。  それから2ページにある介護療養病床のところにある喀痰吸引、経管栄養等がこの部 分だけの数字は今すぐ出てないので、幾つか指摘があったことについては、次回以降ま た細かい数字を出させていただきたい。 (川尻計画課長)  最後に、各県で今年の夏から秋にかけて地域ケア整備構想をつくる前提として、事務 局として、この委員会の議論も踏まえて、新しい施設ケアの在り方とか、あるいは各種 の政策メニューというものをあらかじめ明らかにしないといけないし、そういうことも 踏まえて、各県が構想を作る段階で、各医療機関の意向、入所者、あるいは家族の意向 というもののリサーチもするべきだと考えている。 (木下委員)  今の10ページのところの夜勤の加算のところだが、これは非常に複雑な制度でわかり にくいので、少しつけ加えたいが、実際に夜勤を2人配置していても、週の夜勤の労働 時間が72時間以内でなければ加算にならないとか、いろいろ制限があるので、実際に2 人いてもこの加算の対象にならない状況はたくさんある。実際には夜勤2人いる施設が かなりある。 (天本委員)  先ほど中田委員が、特養のことで、いろんな制度改革や、職務要件という法的な整備 が必要でなければ、今のままでは医療処置などは受けられないといったことは非常に重 いこと。今後の患者さんの移行にあっては、特に介護療養型がなくなるということでの 医療の必要な人がそちらに現状行っているが、特養自体が居宅ではないので医療の提供 の場ではない。診察室は医療提供可能だが、生活の場である部屋での医療処置というの は法的には行えないので、北海道などにおいては既に指導が入っている。そういうこと が、私はいいとか悪いとかというのではなしに、法的なものがそのようなものを放置し た中で介護療養型の在り方という場合には、きちんとそこの法的なものも、機能・経営 面だけでなく、そこをきちんとした裏づけをまず行政側がしないと、受け皿の問題とし て、数が予測できない。  先ほどケア構想の問題が出たが、指針という形で、国の指針を出す間に、そういうよ うな、これからの機能がどうあるかというのがわかっていない時点で数値が出るはずが ない。  それから、老健が先ほどから議論になっているが、10ページにおいて、老健で看護職 員がいて、実態はこうだと言われているが、法的には、あの人数では夜勤構成はできな い。だからこれは努力においてやっているということなので、法的にこれからはきちん と必要であれば、必要な人数配分を置かなければいけないし、介護療養病棟だと病棟と いうことで明確になっている。要するに身近なところに看護師がいるということであっ て、この老健は1つの施設にどこかに看護師がいるよといったような形なので、これか らの機能面を考えると、特に医療的な機能面をきちんと整理しないと現実的な問題解決 にはつながらない。 (井部委員)  参考資料についてだが、参考資料の2に「看護職員の働き場所について」という資料 について説明願いしたい。 (大森委員長)  後で一括するが、今日の議論でどうしてもここは関係しているとお考えならどうぞ。   (井部委員)  看護職員の人数配置の問題が、先ほどから議論されており、看護職員がいないのだっ たら、もっと医療行為を拡大したらどうかといった意見も出されていることに関連する。 看護職員の働き場所と看護師そのものの人数、参考資料の2ページについて、これは考 えておくべきことだが、この働き場所のグラフを見る限りは、看護師が病院と診療所以 外の場所で働く人が増加している。これが1.6減少して、そちらに行っているというよ うな説明が上にあり、看護職の働きが期待されているが、一方で病院や診療所でも必要 とされていて、介護老人福祉施設の働いている割合はほとんど変わらない。横線の1.8%、 黄色のところの介護老人保健施設の2.7%と余り変わっていないが、一方で居宅サービ ス等というところが多少増えている。このように介護施設での看護職の働きが期待され ていて、それに応えなければならないが、看護職員の再配分にはどんな傾向があるのか、 少し説明をお願いする。   (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  参考資料の2ページは、とりあえずここでは割合ということで出している。ここで記 述しているのは、割合で少し見たときにどんな傾向なのかということをこの枠の中では 分析したもの。これは看護課の調べだが、看護師の、現に病院とか診療所とかそれぞれ で働いている看護師の数自体は、平成14年から17年にかけて、総数、一番左の端の括弧 のところに各年下の方に入れてあるが、増えてきているという状況である。  そういう中で、特に居宅サービスの部分については、従前、平成14年ベースだと、1.6% ほどだが、2.5%に増えてきたということで、全体の数からすればまだ量は少ないが、 増えてきているという状況である。  そのほかの施設については、もちろん全体の数が増えているので、例えば老人保健施 設とか、訪問看護ステーションとか、老人福祉施設のそれぞれで働かれる看護師の数自 体はもちろん増えてきている状況。 (井部委員) 私は様々な医療行為が多いことがこの資料でも出ているので、基本的には免許を持った 看護職が対応できるようにしていくのがいい。それで限られたマンパワーをどう配分す るか、あるいは魅力的な職場としてどう誘導するかということが非常に大きな課題であ る。   (天本委員)  今、事務局から説明があった認識と現場とでは非常に大きくずれており、介護施設あ るいは在宅施設での看護師不足、これは深刻な問題である。また、介護職員も介護の学 校を卒業して半分ぐらいしか介護現場に入って来ないという実態が我々現場から把握で きている。ただ、全国的な統計は出ていないが、看護師のこの報告において、訪問看護 ステーションの割合はここ4〜5年ほとんど伸びていない。これから在宅医療を進める 際に、先ほど在宅療養支援診療所の話があったが、訪問看護あってこその在宅医療なの で、もっともっと訪問看護のスタッフ、介護施設での、本来、介護施設というのは、む しろ介護療養型のような重い介護5、4の人が集まるところが介護施設のこれからの在 り方だろう。そういう意味においても介護施設での看護師のこれからのニーズは非常に 高めていかなければいけないので、事務局が足りているような感覚では、我々現場とは ずれている。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  事務局としては、足りている、足りてないと言っているのではなくて、全体の数とし てどう推移しているのかということを先ほど説明したつもりである。 (大森委員長)  天本委員がおっしゃったように、仮にいろんなことを考えていくときに、訪問看護師 の役割は重要。全部医師ができるわけではないので、そういう体制が整わない限り地域 の医療とか在宅というのはなかなか進まない。 (天本委員)  これは訪問看護師あって在宅医療、我々日本医師会としても、在宅療養支援診療所が 出てきたが、あれはパーフェクトな在宅療養支援診療所で、まだまだ一人で在宅医療を 行う医師もいる。その医師も当然訪問看護ステーションと連携をとるということなので、 訪問看護あってこその、我々は地域を病棟としてとらえるという中で、やはり病棟の中 の看護師が非常に一生懸命動いている。地域でもそれあって、そこを我々医療機関・医 師がかかわっていくと。もちろんヘルパーも、他職種協働ということを強く強調してい る。 (大森委員長)  転換がどういう形で運んでいくかはまだこれからだが、転換後も療養病床で入院患者 がおられるので、そこで何らかの意味で介護ケアが必要。その介護ケアの在り方、でき れば改善するためにはどんなことを考えていけばいいかが、この課題になっている。そ こについて意見をお願いしたい。   (井上委員)  今、「今後の検討事項」というところの介護サービスの提供に、先ほどから随分看護 の話が出ている。そのあたりについて、私もいつも考えている。例えば、今、特別養護 老人ホームでは実態として、経管栄養や喀痰吸引を施設によっては介護職員がやってい るという事実が正直なところある。それに対して、実際それは法律に違反しているわけ で、目の前にそれを必要とする人がいればやってしまうというようなスタッフの現状が ある。それに対して、その状況を放置はずっとはできないというのがあって、それにつ いて何らかの方針を出していただきたい。それを看護でずっとやるのか、あるいは何ら かの形で介護にも委ねていくのかということを議論したいのが1点。  それと2つ目が、先ほどから夜間の看護配置という話が出ているが、例えば老人保健 施設で夜間看護配置をきちんと置こうとする場合には、常勤で全部回そうすると看護職 員が、9人から10人ぐらいは必要。それは1人看護師の夜勤が月に何回できるかとなる が、そうすると当然老人保健施設の規模というものがそこで最低限のものとして決まる。 それが80床という形に現状ではなっているが、これから地域密着型の老健施設などをつ くろうとした場合に、それは29床以下でつくることになるので、そこに夜間の看護職員 は今の基準では絶対に置けないという現状がある。そう考えると、老人保健施設の機能 がやはり1つではないだろうということが出てくる。  それとあともう一点、29床以下のいろんなサテライトの特養があったり、老人保健施 設があって、先ほど中田委員からも規模の問題のお話があったが、この1年間、サテラ イト型特養というものを見た。もちろん母体があるものだから、母体を含めての全体の 規模数となる。それと、あと1つの法人が、1つの小さいものをやるというのは全く前 提条件が違っているので、その2つをどう考えるかということも議論していただきたい。 (天本委員)  看護師の問題は法的な問題での位置づけを明確にしてほしいというのは、先ほどの意 見と同じだが、医療療養病床から、これから介護に流れてくる中で想定されているのは 医療区分1である。医療区分1の中にこの医療処置ということで経管栄養の人たちが入 っている。そこの医療必要度が低いということで医療区分1とされているが、これは医 療必要度が低いというよりも、これは指示の変更が少ないということで、その内容とい うのは医療処置である。したがって、医療処置の医療区分1を診療報酬でコストよりも 非常に低い位置づけで、要するに病院で必要ないという形でこれに流れてくると、介護 の受け皿として、そういう法的整備ができてないところに、そういう意味で我々は「医 療難民」という言葉を遣った。したがって、そこをきちんと整理したい。  それから、この検討事項の中での質問だが、既存の病院を活用することで、医療療養 病床、介護療養病床から転換する際に、有床診がある。病院と有床診とで、既存の転換 ということで、有床診は既存のものの活用ということには壁があるように聞いているが どうか。 (大森委員長)  今の質問は。 (天本委員)  例えば、平成24年までは医療療養病床は6.4平米でいいと。有床診療所の場合には8平 米でなければいけないという私の情報が間違っているのか。 (鈴木老人保健課長)  最後の点だが、今、療養病床を持っている病院については、居室面積は、23年度まで の間は6.4平米のままでいいと、そのかわり24年度以降は8平米という老健の基準とする。 ただし、廊下は応急措置で今のままでいいとなっているが、有床診の場合には、その緩 和は今のところ適用されていないので、天本委員の指摘のように、病院と診療所の間で 格差があるということ。   (天本委員) 今、それが明確になったわけであるので、有床診というのは、地域に非常に密着した大 きな社会資源である。そういう意味において、受け皿がないから有床診ということで在 宅に帰れないということで、有床診療所で、社会保障としての機能の役割を担ってきて、 今回いろんな意味で、この転換の問題も入っているので、整合性もない。病院はいいが、 有床診療所はだめだと、この辺の見直しをぜひお願いする。 (木村委員代理:小島参考人)  私も2点、1点目は、先ほどの井上委員が指摘された、今、介護施設で実施されてい る医療行為といわれる、実際は介護職員がやむを得ず行っているということについては、 連合が昨年実施した調査でも実態はそうなっている。その辺をどうするか。これは介護 保険法の見直しについて国会決議の中にも、早期に検討しろということで検討の場を設 けることになった。ぜひそこは早急に検討すべき課題である。  それから、この資料2の5ページ、6ページにある各介護3施設で行われている医療 行為の実態が示されている。5ページの方は日常的な医療行為、経管栄養、喀痰吸引と いったようなところで、療養施設内での処置というのはそれなりの比率を持っており、 6ページの方は、最後のところの死亡2週間内における医療処置ということで示されて いる。この介護型療養病床の転換をしたときに、今、ここに処置をされている方が、ど こで処置を受けるかということで、引き続き医療療養病床に残るということであればそ れでいいが、そのことについては7ページにある医療保険と介護保険の守備範囲の図が 出ていて、7ページの一番下については、日常的な医学的指導管理については介護保険 で各3施設では対応することになっているが、一番問題は、この最後のところの医学的 指導管理というところを引き続き介護保険というだけでやるのかについては、医療保険 との関係をもう一度整理する必要がある。そこは介護保険適用の施設、あるいは在宅介 護と介護保険と医療保険による関係というような見直しということは少し検討する課題 ではないか。 (田中(雅)委員)  アンケート調査の中に、30ページによると、主傷病名が、認知症の方が全体として 9.2%、介護療養病床等においては15.4%の方がいるというデータが出ている。認知症 の方々のケアに対してはグループホームなどの小規模単位のケアというのは有効的だと いうことは既に介護保険制度が発足して6年の中で実証されているわけだが、転換する 方向の中において、グループホームを望むところは、データとすれば0%に近い数とい う実態である。しかし、例えば病院という施設、貴重な資源というものを有効活用する ということも大事だが、現在、実際に認知症対応型の共同生活介護を行おうとするなら ば、事業所を行うために、併設事業所と玄関を2つにしなければいけないとか、様々な ある程度の制限がある。それは当然認知症のグループホームというのは生活の場所とい うことになるから玄関があって当たり前という発想だが、そういった転換を図る場合に おいても、有効な活用するための方策を今後考えなければいけないのではないか。また、 認知症の方々のケアの在り方についても、これまでの従前の療養病床におけるケアでは なくて、生活を重視したようなケアが実際行われるような体制づくりやケアの質の確保 といったことをやはり議論していく必要がある。  それから、もう一点だが、先ほどから介護職の医療行為の問題が出ている。前回の委 員会において、日本介護福祉士会の過去の調査においても、かなりの割合で介護職が医 療行為に関連していると述べたが、直近のデータで日本オストミー協会の調査がある。 オストミー協会から、日本介護福祉士会に調査依頼があって行ったものだが、ストーマ 器具を交換したことのある介護職は半数以上あったと報告されている。当事者団体から は、医療行為に対して、看護師が絶対行わなければならない看護的な処置というものと、 ある意味では介護職が携われるものをもう少しきちんと定義も含めて整理をすべきでは ないかという意見もいただいた。そういうことを含めて、本当に医療の必要の高い人た ちが施設や在宅においても暮らし続けることの保障と介護職の医療行為と併せて検討し ていただきたい。 (田中(滋)委員)  現在、入院中の方々の医療人数を今後どう満たすかについてだが、もう一つ大切なの は、資料1の44、45ページにある所得状況である。現在入院中の方々で、低所得の方が 介護療養病床の場合約半数いる。こういう方々が介護療養病床でないところに移るとし たらどうするか。住まいへの配慮が必要。かつて特別養護老人ホームに介護保険ができ たとき、非該当の方が結構なパーセンテージおられて問題になった。まさに特養が貧し い身寄りのない方の住かとして機能してしまった時代があった。  あるいは医療機能、介護機能と住まい機能と3つ、それぞれ重なるが、別なものなの で、決してこの方々の住まいニーズに対する配慮を考えないと間違った使い方になるか もしれない。  資料2の14ページに、ちょっと古いが、特別養護老人ホームに入っている方の平均在 所日数が載っている。特別養護老人ホーム1,430日というのは、これがもし特別養護老 人ホームがナーシングホームだとすると異様に長い。つまり、ここは住まい機能を果た している。住まいはきちんと別に考えるということをしないと、こういう高度な機能を 持ったところを別なニーズで使わなければならなくなる。  もう一つ、参考資料の7ページ、8ページに、在宅療養支援診療所のことが載ってい る。8ページに載っているこれは「『在宅療養支援診療所』のイメージ」と書いてあっ て、前のページの7ページの9,434件のイメージではない。9,434件のトップテンに入る ところのイメージで9,434はすべて在宅療養患者180名、重症患者はないから、もしタイ トルがあるとすれば、8ページの方の「在宅療養支援診療所」の最もすぐれたイメージ とか書かないと、素直に読むと9,434件全てがこのようだと初めて見た人は思ってしま う。   (池田委員)  これからの問題は、私は3段階に分けて考えた方がいいのではと思う。今とこれから と近未来。現在は1920年代の方たちが75歳以上の後期高齢者の方たち、10年たてば、ま た新しい世代か入ってくる。世代文化が違うので、それに応じた形で地域ケア体制をつ くっていく必要がある。  まず今の段階は、現在入所・入院されている方のケアというものを引き続きどう保障 していくか、深めていくかということが中心になる。したがって、療養病床が廃止され ていくベッドがあるとするならば、それの受け皿としての施設的機能というものを地域 でどこまでどのようにつくっていくのか。具体的な施策というものの議論をする時期で はないか。そういった意味で、たたき台的なものを事務局の方から出していただいて、 これは急ぐ必要がある。  これからの話だが、これからはある意味、施設機能を分解してみたらどうか。分解し て、それぞれの機能を考えてみたらどうか。施設の機能を分解すると、基本的には、先 ほど田中委員がおっしゃったことをもう少し細かく分類してみると、要するに住まいと 食事と介護と医療と見守り、多分この5つの要素に分解できる。それぞれの機能という ものが現在の施設は融合的に構成されている。しかし融合されているからがゆえに融通 がきかない。例えば療養病床などにおいては、医療が優先して住まいと介護が貧弱なも のになっているのではないかという議論もあるし、逆に特養の方では、介護というもの が優先して、医療がかなり手薄になっているのではないかとか、問題がある。  これを解決する一番いい方法は1回分解することで、住まいは新しい自宅というもの をどこまで整備していくかということにかかる。これは非常に重要な問題でそれなりに 動いているが、新しい住まいというのは新しい自宅。自分の自宅に戻るのではなくて、 新しい住まいに住むという、その発想の転換がこれからは必要になる。  ヨーロッパとりわけ北欧においては、ほとんどが単身老夫婦のみである。そういった ところに巡回型の介護が回りケアを支えている。そう考えると、これからの日本という のは北欧をそのまま容認することはできないが、学ぶ必要はある。  そうすると1番が住まいをどうするかである。2番は食事である。1ケ月90食、1回 2,000円掛けると18万もかかって、それはとてもやっていられない。会食や配食である ならば1食400円、3食780円でもやっているところもある。もちろん見栄えも味も栄養 も考えるということで。それをどうシステム的にしていくかということ、これを本格的 に考えなければいけない。  介護については、介護保険の役割だから、質の向上、とりわけマネジメントというも のをどう向上していくかということが最大のテーマになり、それはそれで動いていく。  医療は、先ほど天本委員以下皆さんがおっしゃったとおり、これは訪問看護の充実に 尽きる。残念ながら訪問看護は介護保険が始まって唯一伸びていない事業。高齢者1人 当たりの給付で見ると横ばいである。そこのところを、もう少し地域の訪問看護に看護 師が動ける、政策誘導みたいなのを本格的に考えなければならない。7年たって全然伸 びてないので、そこを非常に重要視して取り組む必要がある。  一番難問は見守りである。見守りは基本的には、私は24時間の見守りではないレベル の見守りであれば、デイと巡回介護でかなりフォローできる。今の日本の訪問介護はほ とんど滞在型である。滞在型というのは滞在している部分については、2時間なら2時 間については見守りできるが、後の22時間は全く見守りができないということになる。 巡回で行けば、一定の見守りが必要としている人は、1日5〜6回巡回することによっ てはるかに見守りの厚さは広がる。軽度の認知症の場合であればデイがかなり大きな役 割を果すし、24時間見守りが必要であるとするならばグループホーム。あるいは小規模 多機能の機能を重視することになる。そのような形で、今の時点の問題は、実際に入所・ 入院されている方をどう受けとめていくかという議論を一つやる。  もう一つ、これからの特に「多様な住まいにおける療養生活の継続・選択を支援する ためには」と書いてあるわけだから、具体的に、個々の機能に着目して地域で造ってい く。近未来とはそれが完成したときであり、今、団塊の世代が60歳で、あと15年する と要介護高齢者になりやすい75歳以上になる。さらに25年経つと、大体死に絶える。 死に絶えると大体日本の介護問題というのは完全にヤマを越して、今のまま施設を作っ ていけば、そういう施設はがら空きになる。そうした未来を考える必要がある。   (大森委員長)  当面の今のように転換の話で、今、お話した具体的な施策で早急に進めなければいけ ないこともある。私たちの議論を待っていたのでは遅くなることもある。ただし、片一 方で、転換していく全体の考え方とか到達点のイメージがないと簡単に転換できないし、 どのぐらいの量になるかわからないということがあるが、同時並行で何かやっていかざ るを得ない。今やらなければいけないようなことについて、少し大きな議論しているが、 政策当局は何かそういうことを考えざるを得ない。今の池田委員はそういうことをおっ しゃったのではないかと私は理解している。 (川尻計画課長)  例えば、急いでやらなければいけないことは、天本委員からもお話があったが、今あ る特例措置等々でバランスを考えて見直さなければいけないものもある。それから、先 ほど木下委員からあったような、転換の話をより円滑に進めていくために、もう少しリ サーチをして、ケアの在り方を考えなければいけないものもある。それから、今、池田 委員がおっしゃったように、近未来という問題についてどういうふうに対応していくか ということがある。  これからの進め方について、まず速やかに実施できるもの、しなければいけないもの については、次回の委員会をやるのを待たずに進めさせてもらえないかと考えている。 場合によっては、介護給付費分科会で諮り、そして進めるべきものもある。  それから、引き続き、この委員会で、そして老健施設あるいはそれ以外の介護施設も 含めて、どういうケアの在り方がいいか、あるいは医療の提供の在り方がいいか議論い ただくものがある。  それから、そういうことを議論する中で、施設の機能をもう少し分解的に考えていっ た場合に、在宅療養支援診療所とか訪問看護ステーションの問題を含めて、どういう組 み合わせを考えていくべきか、こういう3つの問題があると思っている。そこら辺の問 題については整理をした上で、次回に何らかの形で資料を準備したい。 (大森委員長)  3月29日に看護給付費分科会がある。今、そういう予定になっていると思うが、今の 話はそういうことなのか。こちらとの関係をどうするかがあるので、一応給付費分科会 の方から、我々としては中につくっているから承っているが、給付費分科会は部会とし て何かやらなければいけないことも出てくるという話なのか。 (川尻計画課長)  介護給付費分科会については、3月29日に介護保険制度の改正からちょうど1年たっ たので、その施行状況を説明しようと思っている。それからもう一つは、まさに療養病 床の転換に際して早急に実施できるものについて諮らせていただく、といった2点のこ とを事務局としては考えている。 (大森委員長)  そうすると、今日今後の検討事項(案)というのが出てきていて、自由に議論してい るが、このうち、まだ今指摘があったように、少し細かく調べたり、現地のことがわか らないとなかなか進まないこともあり、意見の中で、これに即してもう少し具体的な議 論が進め得るようにもなる。この今後の検討事項をこの委員会としては、事務方の考え 方として、これを少し詰めていきたいと、そういう意向なのか。 (川尻計画課長)  ケアの在り方、あるいは医療提供の在り方については、そういう意見を踏まえて整理 し、次回のこの委員会で議論をいただきたい。 (大森委員長)  議論、ある程度、具体的なイメージないと意見交換しにくいが、今後の在り方につい て、天本委員、何か御意見あるか。   (天本委員)  池田委員からの御発言は、私も同意である。現場としても、我々医療機関事業者とし ても、将来の船の方向性というものが見えない限りは計画が立てられない。職員も次は どうなるのというようなことで、老健自体も今まで一生懸命きたものが、また世の中の いろんな話を聞く。そうすると単年度計画しか立てられないということで非常に燃え尽 きている。そういう意味においては、せめてこれからの、池田委員がおっしゃるような 10年後ぐらいを想定してやらないといけない。そこが見えなければ今の問題は語れない。  今回でも医療療養病床、介護療養病床を議論しているが、これから移ろうという老健 のデータは1つも出ていない。要するに老健の課題というものと療養病床の課題という ものを、それがぶつかった形で方向性を決めるならいいが、たかだかまた今月いっぱい でというような形で、これからの将来の20年、30年というものを決められても非常に混 乱している。介護療養型の施設の廃止そのものがこういう議論あってから本来ならある べきだし、その議論が一切なされないでこのような形で進んでいるので、これからの問 題というのは非常に重要だろう。介護療養型だけを議論しているが、むしろ介護施設と すれば、重い人を見る、その対象群をどうするかということだが、本来ならば、特養、 老健をどう住まいに移していくか、そういう議論だって、田中委員から出ていた特養と いうのは、まさに特定施設に一番近い施設であるはずなので、そういう議論も全体像を 議論しないと、介護療養型だけの議論だと部分最適になるということで非常に危惧して いる。 (大森委員長)  ここに出ている課題の1のことを少し具体化すると、多分、今、天本委員から指摘の ようなことを議論するのではないかと私も理解しているので、少しそれを具体的に提示 していただいて議論に入らないといけない。 (漆原委員)  今後の検討項目の事項の中に随分いろいろこれからのことが検討されるようだが、基 本的には、介護療養型病院の転換先として一番大きな団体として指名されているわけで、 老健施設はこうあるべきだということを少し話したい。これまで老健施設というのは、 昭和60年に中間施設懇談会という報告でなされてきたが、その当時から附帯事項みたい な形で、将来には老人病院と老健施設、あるいは特養含めて一元化を検討するというよ うなことが書かれていて、これがずっと一緒になってきている。  しかし、この老健施設ができて、中間施設というものを理解してもらうために、特別 養護老人ホームとどこが違うのだとずっと言われ続けてきた。老健施設は内部的ではあ るが、協会が老健施設の理念と役割というものをきっちり決めて施設の皆さんに理解を していただくようにずっと運営をしてきた。したがって、今、その理念に相当合致して いる。在宅支援施設であること、医療と福祉を併せて提供する総合施設であること。そ れからリハビリテーションの提供施設であること。在宅復帰施設であるからには、在宅 生活を支援する施設であること。それから、ボランティアさんとかいろいろ地域の人た ちの相談に乗る地域に開かれた施設と、こういったことで、5つの役割というものをず っと掲げてきている。  それと、もう一つは、療養病床の転換先ということで、療養病床と比較することであ るならば、老健施設の医療は総合施設の割には薄いではないかと批判もあった。利用者 の増、役割といった機能の問題、これも両方が併存しているからこそ分けられている実 態があった。現実的には療養型に入っている利用者の方と老健施設に入っている利用者 の方は、先ほどの資料でも、かなり違った様相を見せている。  それから、3点目、老健施設はこれまで大体おおむね100床規模97〜98床が平均のベ ッド数であるが、規模が問題で、29床までの小規模多機能の問題がいろいろ議論されて いる。療養病床の転換ということを考えると、療養病床の規模は1病院当たりの規模は 非常に小さなものから、大きなものには500〜1,000みたいな病床数を抱えたところがあ る。こういったことも含めて考えると、私たちのこれまでやってきた老健施設と同じカ テゴリーで議論ができるのかどうか。それから、老健施設とは言っても、老健施設、在 宅復帰を、本当に旗頭に抱えてきているには、長期療養の方が必然的になっていること もまた事実。  これからの老健施設とすれば、先ほど井上委員からもお話があったが、老健施設は1 つのカテゴリー、あるいは役割、理念、機能で語れる時代ではなくなってきているので はないか。しかし、今度の療養病床が、とりあえず老健施設というところに転換すると いうことならば、今までの老健施設と1つのカテゴリーの中でやっていきたいというの が老健をやってきた者の希望でもある。しかし、実際にはこの委員会の中でどこまで議 論されたのか、はっきりわからなくなるほど、周りから、「介護難民」がどのぐらい出 るのかとか、療養病床がスムースに老健施設に転換できるためにはかなり緩和しなけれ ばならないのではないかとか、いろんな議論がその中ではされている。  今後の検討課題の中に、例えば「既存の建物を活用した療養病床の転換を進めるため に」、鈴木課長から部屋は8平米で廊下は仕方がないという話があったが、そのほかの 食堂の広さ、あるいは老健施設にはリハビリテーション施設が必置になっている。それ から、デイケアが必置義務になっていて、いろいろ形としてはある。これは必ずしも同 じである必要はないのかもしれないが、もっと緩和しなければいけないような事情にこ れから変わっていくのではと心配である。  それから、「将来の見通しや地域の様々なニーズに応ずることができるよう、転換後 の施設・サービスの形態の多様化」と書いている。確かに転換後に、今の老健の役割を そのまま担うものではなくてもいいが、例えば療養型病床から転換してくる老健施設が あるとすれば、従来の老健施設との整合性をこの多様化の中でも図ってもらいたい。  それから、「多様な住まいにおける療養生活」、これは医療法人において有料老人ホ ームが可となる。これならば老健施設にとっても、これまで長期化している入所者の退 所先として考えられ、こういった住まい、あるいは他の施設ということを考えても、利 用者の一番の安心を保障するのが医療であることがデータの中でかなりはっきり出てい る。ここからも、ぜひ医療法人なり、これらの老健施設なり、今までの病院なりが積極 的に取り組めるようにと思う。  基準緩和をされるときに、従来の老健施設とも整合性をちゃんと図っていただきたい ということ。それから多角化、あるいは住まいへの転換等についても、従来の老健施設 の方向先としても御配慮いただければありがたいなということが1つ。  それから、規模の問題等で、同じ老健施設というところで整理がしきれるのかどうか ということも含めて議論したい。 (木下委員)  夜間の看護配置ということで、24時間看護師が必要だという意見がたくさん出ている が、夜間に看護師を配置するためには労働基準法を守って、今の介護保険の基準を守っ て何人の看護師が必要かということをぜひ示して欲しい。それと看護業務の話が出てい たが、これを介護でできるようにする方向もあるが、そのときの事故に対する責任体制、 あるいはそれに対する評価をどこでするか。その辺の職員の安全保障、利用者の安全保 障、そこまで考えないと、単に業務を開放するというだけでは済まないような気がする のでその辺も併せて考えてもらいたい。  それと認知症の数がかなりの数が出ているが、その症状かなり幅が広いというか、グ ループホームで対応できるものから、かなりの医療が必要な認知症まであるのでひとま とめにして考えるのはかなり危険なことがある。  先ほどから在宅支援が大事だということや、訪問看護も出ていたが、悪化した時にい つでも入所・入院ができる保障も必要。地域でのケアのグループ化や在宅サービスから 訪問看護、介護保険施設、あるいは病院まで含めた在宅支援機能をどう持っていくかと いうことを考えなければいけない。  それと既存老健と介護療養型医療施設から転換する老健を同様として考えるのか、 別々にして考えるのかという議論もしておかないと内容に差が出てくる。  建物の入口が別でなければいけないとかいろんな規制があるが、介護療養と医療療養 だと1つの建物でやっていて、そこに一部が老健に移ったときに玄関別に作ることにな るので、その辺の考えをどうするか。  それから、転換する時の手続の簡素化ということも考えていかなければいけない。 (対馬委員)  今回の入院者などを見ると、82.6歳が平均になっていて、まさに後期高齢者そのもの になるわけだが、今現在、後期高齢者医療の在り方に関する特別部会の検討が大分進み つつある。後期高齢者になると、医療とか介護とか、やはり生活そのものの中に医療も あり介護もありとなる。後期高齢者を支える全体的なサービスの問題ということで大分 議論がされている。  在宅療養支援診療所の問題、リハビリの問題、こういった介護施設の在り方について 議論する場合に、様々なほかの委員会等々との関連が出てくるので、できれば、節目節 目で検討内容を紹介して、それをまたこの議論の中に反映させていくことが必要。 (天本委員)  看取りの問題がこの検討事項の中に入っているが、これが資料2の15ページにもある ように、療養病床53.3%、老人保健施設5.9%といった形で、療養病床をなくすという ことで、この看取りの問題というのは非常に大きい。これから高齢者医療の在り方では、 現在100万人以上亡くなっている方々の高齢者の9割が病院で亡くなっている中で、介 護施設での看取り、在宅での看取り、多様な看取りということが議論になっているが、 介護療養型を廃止するのは全く逆行しているような形であり、余りにもこのデータが、 療養病床53.3%、老健5.9%にこれを持ってくるというのはかなり医療の在り方を議論 しなければいけない。  また、本日の参考資料1の12ページにオランダの統計が出ている。要するに世界とい うのは、病院のベッドを減らして、今までの介護施設は多様な住まいへという流れの中 である。介護の施設というのは重看護の介護に集中すると、この流れとも日本は逆行し ている。重看護の介護の人を医療施設で見ようという今後の在り方というものは非常に 重要だ。その点も含めて、この海外の資料とか看取りの現実の今の実態を見る中で、あ る方向性というものを早く現場に示していただきたい。現場には事業計画というものが あるし、職員の職務要件をどのように業務改革したらいいかといった問題もある。  先ほどちらっと事務局から特例措置が出たが、安易な特例措置などを持ち込まずに、 これからの長い高齢社会を乗り切るにはどうしたらいいかという形で議論をしていただ きたい。何しろこれは十分な多角的な議論の中から、介護療養病床が廃止という形が行 われていなく余りにも急な決め方では。  転換後の受け皿整備の問題も至急検討すべきだ。 (大森委員長)  それでは、参考資料を簡単に説明して欲しい。 ○榎本地域ケア・療養病床転換推進室長より参考資料を資料に沿って説明。 (井部委員)  点滴の扱いだが、点滴は今回の資料1の69ページには、点滴というのは「中心静脈点 滴を行った場合を言う。なお、末梢静脈点滴は含みません」といって点滴を出している が、以前の調査は、点滴というのは末梢で、別に中心静脈というふうに別記載がある。 先ほどどのくらい医療処置があるかというときに、資料2の5ページを見ると、点滴が 左から4番目にあって、一番右側に中心静脈栄養が別になっているので、データの整合 性をとった方がいい。中心静脈栄養をやっているということと末梢点滴はかなり医療処 置としては違うので、そこは訂正した方がいい。 (鈴木老人保健課長)  今、御指摘のあった資料2の方の5ページは少し古い調査でして、調査の時点が違う ので若干切り方が違う。誤解のないように、資料のラベリングをきちんとしたい。 (木下委員)  今の参考資料の個室ユニットケアについてだが、4ページに少し理念が書いてあるが、 具体的には5ページの調査結果をもとに平成15年から導入されたということで、1番目 に、自分の居場所(個室)が確保されること、ベッド上で過ごすのではなく、リビング に出て行くようになる。  2番目に、リビングで自分の食器に食べられる量を盛りつけ、自分のペースで食事を すると、食事量が増え、残飯量が減るということで、「食べたい」という意欲を刺激。  3番目に、排泄の自立ということで、近くにトイレがあるとポータブルトイレの設置 数が減るということが書いているが、これが具体的な個室ユニットケアのイメージとす ると、こういう方々は要介護度が幾つなのかということ。こういう人が施設に入らなけ ればいけないかどうかという問題がある。  今、個室ユニットケアに入られている方が、もしこういうことができないとすると、 どういう理念で個室ユニットケアを運営するのかということをある程度また示していか なければいけない。真ん中の表と食事量と残飯量ということがあるが、建替えた後はカ ロリー数が増えて残飯量が減ったということが書いてある。対象となった方々の年齢が どうかということ。単に食事摂取量が増えたことがいいのか。今、盛んにメタボリック シンドロームとか言われているので、入所者が肥満になってまずいのかな。1,580Kcal というのは決して少ない量ではないので、その辺のことも考えないと、単に数字だけで は決められない。  それで参考資料4ページ戻ると、黄色のところの下から2行目だが、「この個別ケア を実現するために、特別養護老人ホームや老人保健施設では『ユニットケア』を導入す る施設が増えてきている」と書いてある。これは特別養護老人ホームだと個室ユニット ケアでないとできないというふうになっているので、施設の意思に反して、理念なく、 増えているということなので、この辺はどう考えるかということ。先ほど中田委員から 指摘あったが、要介護4、5の方を中心に見ていくことになると、適切なのか、あるい は個室ユニットケアの中身、理念、人員体制をどうするかなどはもう一度は検討し直す 必要がある。 (井上委員)  資料の1の24ページのところに、「建設年度別病床数」というものが出ている。先ほ ど池田委員から、今をどうするかということと、何十年か後を目指してどうするかとい うお話があったが、例えば、ここの昭和56年以前の建物というのは、未来像に合わせて 建物をつくり直すということが多分できる。1から新しいものをつくればよいのかもし れない。でも一方で、平成9年から後に建てられたものは、そういうものをつくること が非常に建築として難しい。改修するのも難しいという現状がある。施設は住居と食事 と介護がパッケージとなったものとして建物をつくっているから、それを分解して、そ うでないものをつくるというのは現実として非常に難しい。あるいは建物の立地もまた 変わってくるということもあって、これから、新しい未来像に向けてつくれる建物と今 ある建物を活用しないといけないというのは、やはり描けるものが違うという現状があ る。 (大森委員長)  おおよそよろしゅうございましょうか。本日はこんなところで。 (天本委員)  資料2の6ページだが、亡くなるまでのいろんな処置をやっているところで、喀痰吸 引、採血、レントゲン検査、抗生物質投与等々において、老健では、この調査ではゼロ ということになっていると、こういうところに、今議論している大きな1つの流れがあ り、介護療養型が老健へといったようなことで、老健協会側からも議論が出ていたが、 老健協会としても、老健施設としても、今度の転換ということがあるならば、余りにも 違うというところを、箱がどうなるかというよりも、今いらっしゃる人の利用者のサー ビスをいかに低下させないできちんとで、できればよりよいサービスにといったことで 考えないと、単なる転換促進といったようなことで、実際老健施設は今までやってない 機能を、全く新しくやろうとして、しかも法的な整備ができてないというところを非常 に短兵急に決めないようにしていただきたい。 (大森委員長)  よろしゅうございますか。そうしましたら、本日は、一応これまでとするが、次回に ついてアナウンスメントがあるか。 (川尻計画課長)  次回の日程だが、今回この委員会でご議論いただいたような中身も含めて一定の整理 をしたい。具体的には、既存の建物を使いながらどうやって転換していくかというとき に、3月中に措置できるものについては、介護給付費分科会にかけながら措置をしてい きたい。それ以外の問題については、地域ケア整備構想をつくっていただくある程度前 に、きっちり整理をすることも必要なので、それに向けて5月ぐらいをめどに整理をし て、日程をセットしたい。具体的には、各委員のスケジュールを聞いて調整をさせてい ただきたい。 ○大森委員長より閉会の宣言。  照会先: 老健局 地域ケア・療養病床転換推進室       TEL 03(5253)1111(内2176、2177)