07/03/09 第1回社会保障審議会医療部会の議事録について 第1回社会保障審議会医療部会議事録              日時 平成19年3月9日(金)16:00〜              場所 厚生労働省省議室 ○企画官 定刻になりましたので、ただいまから社会保障審議会医療部会を 開会します。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をご出席いただき まして誠にありがとうございます。  議事に入ります前に、私から委員の皆様方をご紹介させていただきます。 日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長の小島茂委員です。国立国際 医療センター名誉総長の鴨下重彦委員です。全国市長会(岩手県宮古市長) の熊坂義裕委員です。社団法人全国自治体病院協議会会長の小山田惠委員で す。名古屋セントラル病院院長の齋藤英彦委員です。東京SP研究会代表の 佐伯晴子委員です。社団法人日本精神科病院協会会長の鮫島健委員は本日は ご欠席で、代理として同じく社団法人日本精神科病院協会副会長の山崎學参 考人がご出席です。全国知事会(熊本県知事)の潮谷義子委員ですが、本日 は代理として熊本県健康福祉部医監の尾方克巳参考人がご出席です。日本通 運健康保険組合理事長の島村勝巳委員です。公立学校共済組合九州中央病院 長の杉町圭蔵委員です。社団法人日本医師会副会長の竹嶋康弘委員です。慶 応義塾大学経営大学院教授の田中滋委員です。社団法人日本経済団体連合会 社会保障委員会医療改革部会部会長補佐の堤健吾委員です。社団法人日本医 療法人協会会長の豊田堯委員です。社団法人日本医師会常任理事の中川俊男 委員です。社団法人全日本病院協会副会長の西澤寛俊委員です。社団法人日 本歯科医師会副会長の箱崎守男委員ですが、本日は代理として社団法人日本 歯科医師会専務理事の内山文博参考人がご出席です。東京大学法学部教授の 樋口範雄委員です。社団法人日本看護協会副会長の古橋美智子委員です。社 団法人日本病院会副会長の村上信乃委員です。社団法人日本薬剤師会副会長 の山本信男委員です。日本経済新聞社論説委員の渡辺俊介委員です。  なお本日は、九州大学大学院医学研究院教授の尾形裕也委員、NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML理事長の辻本好子委員、全国町村会 (福岡県添田町長)の山本文男委員から、ご欠席との連絡をいただいていま す。  続きまして事務局を紹介させていただきます。医政局長の松谷でございま す。医政・医療保険担当審議官の白石でございます。医政局総務課長の二川 でございます。医政局総務課参事官の上家でございます。医政局指導課長の 佐藤でございます。医政局医事課長の栗山でございます。医政局歯科保健課 長の日高でございます。医政局看護課長の野村でございます。医政局国立病 院課長の関山でございます。保険局医療課長の原でございます。保険局総務 課老人医療企画室長の山本でございます。なお申し遅れましたが、私は医政 局総務課企画官の中村でございます。よろしくお願い申し上げます。  本日は、本部会が新メンバーとなって再開される初めての会合ですので、 はじめに医政局長の松谷からご挨拶申し上げます。 ○局長 委員の皆様方、大変お忙しいところお集まりいただきまして、あり がとうございます。医療部会の再開に当たりまして一言ご挨拶を申し上げま す。社会保障審議会医療部会の委員として先生方にご参画いただくことにな りまして、誠にありがとうございます。御礼を申し上げたいと思います。  我が国の医療を巡る環境は、ご存じのとおり急速な少子高齢化の進行、医 療技術等の進歩への対応、また安全で安心できる医療を求める国民の要請な ど、大きく変化をしているわけでございます。国民の医療に対する安心、信 頼を確保し、そして質の高い医療サービスが、適切に受けられる体制を構築 していくことが求められているわけでございます。  こうした中で、患者さんの視点に立った、安全・安心で質の高い医療提供 体制を構築するという観点から、医療部会でのご議論を踏まえまして、ご存 じのとおり昨年、医療法、医師法等の改正を行ったところでございます。現 在、この改正法を踏まえまして、患者さんの医療の選択の支援のための医療 機能情報の提供制度の創設、また医療機能の分化・連携を推進して、切れ目 のない医療の提供を行うための医療計画制度の抜本的な見直し、また医療安 全対策の総合的推進、そして医療法人制度改革などに取り組んでいるところ でございまして、新しい改正法の下で良質な医療の提供に努めてまいりたい と考えている次第でございます。  医療提供体制の確保、医療政策に関するさまざまな課題については、今後、 順次、ご議論いただきたいと考えておりますけれども、本日は、現在、社会 保障審議会の下に特別に設置されている後期高齢者医療の在り方に関する特 別部会で、ご議論いただいている後期高齢者医療の在り方につきまして、医 療部会としてもご議論いただきたく、委員の皆様に本日、ご参集いただいた 次第でございます。先生方におかれましては、どうかそれぞれのお立場から 活発なご審議を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げまして、冒頭のご 挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。 ○企画官 次に本医療部会につきまして、二川総務課長より簡単にご説明を 申し上げます。 ○総務課長 当社会保障審議会医療部会の位置づけにつきまして、ご説明申 し上げます。社会保障審議会医療部会につきましては、社会保障審議会令第 六条第一項に、社会保障審議会に部会を設置できる旨が定められておりまし て、平成13年7月13日の社会保障審議会におきまして、当医療部会の設置 が決定されているところです。  この医療部会の設置の目的は、医療を提供する体制の確保に関する重要事 項の調査、審議となっています。前回の医療部会は平成16年9月から平成18 年2月まで、23回にわたって開催されています。ですから今日は1年ぶりぐ らいということになろうかと思います。医療提供体制の在り方につきまして、 平成17年12月に意見書を取りまとめていただいたところですが、それを受 けまして昨年、医療法、医師法等の改正を行ったということです。  現在、社会保障審議会におきましては、後期高齢者医療の在り方に関する 特別部会が設置されていて、後期高齢者医療制度の創設にあたり、後期高齢 者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるような、新たな診療報酬体 系を構築することを目的として、後期高齢者医療の在り方についての議論が 進められているところでございます。  今後、この特別部会におきまして、後期高齢者の新たな診療報酬体系の基 本的な考え方をまとめるに当たりまして、予め医療提供体制の観点からも議 論を行う必要があるといったことのため、当医療部会を再開することとした ものでございます。今回、メンバーを新たにしていますけれども、まずはた だいま申し上げましたような趣旨で検討をお願いするということでございま すので、よろしくご審議のほうお願い申し上げます。 ○企画官 続きまして本医療部会の部会長についてですが、社会保障審議会 令第六条第三項の規定により「部会に属する社会保障審議会の委員の互選に より選任する。」とされています。親審議会の委員でいらっしゃいます鴨下 委員、齋藤委員、竹嶋委員、山本文男委員、渡辺委員にご相談申し上げまし たところ、引き続き鴨下委員ということでご回答いただいていますので、鴨 下委員に引き続き医療部会長をお願いする次第です。鴨下部会長に以降の議 事進行をお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いします。 ○部会長(鴨下) 鴨下でございます。ただいま企画官からご説明がござい ましたような次第で、大変僭越でございますが部会長を務めさせていただき ます。局長のご挨拶にもございましたが、私は後期高齢者の特別部会に出さ せていただいておりました。そういうことが大きな理由でございますので、 今日は特にその問題を集中的にご議論いただくことになっています。時間は あまり長くありませんけれども、是非、活発なご審議をお願いしたいと思い ます。  議事に入らせていただくわけですが、社会保障審議会第六条第五項の規定 により、私が不在のときに議事の進行をお願いする部会長代理を、部会長で ある私が指名することになっています。これにつきましては齋藤委員にお願 いしたいと思いますので、ご了承いただきたいと思います。よろしくお願い します。  また、先ほど事務局から本日の参考人のご紹介がありましたが、これまで 委員が欠席の際には、代わりに出席される方の扱いにつきまして、事前に事 務局を通じて部会長の了解を得ること及び当日の部会におきまして承認を得 ることにより、参考人として参加、発言いただくことを認めるということに なっておりましたので、今後も同様の取扱いにさせていただきたいと思いま す。よろしいですか。              (了承) ○部会長 ありがとうございます。本日の会議につきまして改めて、社団法 人日本精神科病院協会副会長の山崎學参考人、熊本県健康福祉部医監の尾方 克巳参考人、社団法人日本歯科医師会専務理事の内山文博参考人、このお三 方の出席をお認めいただきたいと思います。よろしいですか。              (了承) ○部会長 ありがとうございます。なお、社会保障審議会運営規則に基づき、 本医療部会は議事録も含めまして原則公開となっていますのでご承知おきい ただきたいと思います。本題に移りますが、医療制度改革の関連法が、いま ご説明があったように昨年の通常国会において成立したところでございます。 現在、4月に向けて、医療機能の分化・連携を推進し、切れ目のない医療の 提供を図るための医療計画制度の見直し等をはじめとした医療法等の改正に ついて施行準備を進めているところであります。また、平成20年度に向けま して、75歳以上の後期高齢者の方々を対象とした高齢者医療制度の創設「後 期高齢者の心身の特性にふさわしい診療報酬体系の構築などにつきまして、 施行準備が進められているところでございます。  本日は、現在「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」で検討が進め られている「後期高齢者医療の在り方」について検討状況等の説明を受けた 上で、委員の皆様方からご意見をいただき、特別部会における「基本的考え 方」の取りまとめに向けた議論に供していきたいと考えています。  私は先ほど申しましたように、「後期高齢者医療の在り方に関する特別部 会」にも参加させていただいていますので、皆様方のご意見を踏まえて、特 別部会の議論にもこれから参加していきたいと思います。また、本日の後半 では、昨年6月に成立した医療法等の改正内容及び施行準備状況等につきま して、事務局から報告をいただくことになっています。まず事務局から後期 高齢者医療の在り方についてのご説明をお願いします。 ○保険局医療課長 本日、後期高齢者医療の在り方に関する資料としては、 資料1−1から1−6まで用意しています。資料1−1は、後期高齢者医療 の在り方に関する部会そのものについてのご説明です。資料1−2は、その 部会で2月5日に検討いただいた際の医療の在り方についての検討のたたき 台です。以下、資料1−3から資料1−6については、その際に出た意見、 ヒアリングに使われた資料の抜粋、あるいは制度そのものの説明になってい ます。今日は資料1−1と資料1−2について説明させていただき、あとご 質問等があれば参考資料等を基に説明させていただきたいと思います。  資料1−1の1頁目をご覧ください。この部会の設置の趣旨ですが、昨年 の健康保険法等の一部を改正する法律により、75歳以上の後期高齢者につい て、平成20年4月より独立した医療制度を創設することとされています。こ のため、この独立した後期高齢者医療制度の中で、後期高齢者の心身の特性 にふさわしい医療をどのように提供するのか。またそのための診療報酬をど のように構築するのかを検討するために、この社会保障審議会の中に専門の 部会として、この特別部会を設置したものでございます。特別部会の委員は、 先ほどからご案内のとおり当医療部会の部会長である鴨下先生、また社会保 障審議会医療保険部会の部会長である糠谷真平先生、そのほか各界の有識者 あるいは現場で活動されている方々等で構成させていただいています。  2頁目をご覧ください。昨年の10月5日にこの特別部会の第1回目を開催 しました。設置の趣旨等、あるいは後期高齢者医療について、それぞれの委 員からご意見を頂戴しました。その後、10月25日の第2回から12月12日の 第5回にかけて、それぞれ後期高齢者の心身の特性等に基づいた高齢者医療 の在り方、あるいは地域医療の現状について、各職種の方々からもご意見を 頂戴したところです。最後の第5回には終末期医療について、法律的な観点 あるいは現場でのお話等についてヒアリングを行いました。  3頁ですが、これらのヒアリングを基に、本年の2月5日に第6回の部会 を開催しました。この際に、後ほど説明する検討のたたき台をご提示しまし て、その中でご意見を頂戴したところです。この特別部会におきましては3 月末を目途に、後期高齢者医療の在り方についての基本的な考え方を出そう と思っています。その際、関係するこの医療部会や、つい先日の3月1日に 開催された医療保険部会において、関係の方々からご意見を頂戴したいとい うことで、本日ご説明させていただいています。  特別部会のほうで基本的考え方を取りまとめた後は、パブリックコメント を実施し、それらの意見も踏まえて春から夏にかけ、最終的には夏から秋ご ろを目途に、後期高齢者の新たな診療報酬体系の骨格を取りまとめていきた いと思います。またその診療報酬の話に入った際にも、当部会でご意見を頂 戴したいと考えています。その際にはよろしくお願いしたいと思います。  資料1−2ですが、これは先ほど説明しましたように、2月5日の第6回 後期高齢者医療の在り方に関する特別部会で提出した資料です。1頁目をご 覧ください。これは表題ですが、副題として「〜後期高齢者の心身の特性に ふさわしい医療の在り方をどのように考えるか〜」という副タイトルを付け ています。なお、この検討のたたき台の作成につきましては、ヒアリングや 各委員からのご発言を基にさまざまな意見がありましたけれども、それを大 筋として組み立て直して、このたたき台を作成したものです。  2頁目をご覧ください。第1に後期高齢者の心身の特性をどのように捉え るかということです。さまざまなご意見がありましたが、ここでは3つにま とめさせていただきました。(1)は、老化に伴う生理的機能の低下などに より、治療が長期化したり、あるいは慢性の疾患を複数罹患したりという方 が多く見られる。(2)は、多くの高齢者に、症状の軽重は別として、認知 症の問題が見られる。この説明の中には7、8割の患者さんに少なくとも見 られるというご意見もありました。(3)は、この後期高齢者医療制度は75 歳以上ですので、亡くなられるまでずっとこの保険制度でいきますから、い ずれ避けることができない死を迎えるという特性も考える必要があるだろう というふうにまとめています。そのほか、高齢者になると非常に個人差が大 きくなる。同じ年齢でも非常に個人差が大きいのだというご意見もありまし た。  2として、これらの心身の特性を踏まえた医療を考える際に、基本的な視 点をどこに置くかということです。ここでは3つの視点を考えています。後 期高齢者の生活の中での医療ということで、生活をされる中で医療がどのよ うな形で関わっていくのか。2つ目に後期高齢者の尊厳に配慮した医療です。 いちばん若い方が75歳ですし、それまでの人生を生きてこられたわけですか ら、その方々の人生を大事にした医療はどうか。また亡くなられる場面も出 てきますので、そのときにその方の尊厳を重視した医療が必要ではないか。 そのような視点が重要だということです。3つ目は後期高齢者が安心できる 医療です。これに関連しては安心して、さらに納得できる医療という視点が 重要ではないかというご意見もありました。  3頁ですが、後期高齢者医療における課題ということです。ここでもさま ざまな課題がありましたけれども、粗々ですけれども5つの点でまとめてい ます。(1)は複数の疾患を併せて持っている。さらに併せて心のケアも必 要である。それが十分できているのかどうかという課題です。(2)は慢性 的な疾患のために、その人の生活に合わせた療養を考える必要があるという こと。長期間にわたる療養生活ですので、生活というものを中心とした療養 の在り方も必要ではないか。(3)は複数医療機関を頻回受診する傾向があ るということ。これは多数の疾患を持っている方も多いわけですので、複数 の医療機関を受診する傾向がある。またそれによって検査や投薬が重複して くる傾向があることも示されていました。(4)は地域における療養を行え るよう、弱体化している家族や地域の介護力です。生活の中での医療という ことを考えると、どうしても家族や地域の介護力も重要ですので、それをサ ポートしていく体制も考える必要がある。(5)は患者自身が、正しく理解 して自分の治療法を選択することの重要性が高い。ここは自己の治療法の選 択の重要性ですが、その前に正しく理解する。その理解をしてもらうための 支援が医療のほうでも必要ではないかというご指摘があったわけです。  4頁をご覧ください。後期高齢者にふさわしい医療の体系ですが、ここも さまざまなご意見がございましたけれども、ここでは4項目にまとめさせて いただきました。(1)は急性期医療です。後期高齢者の医療の中でも、当 然ながら急性期の医療の場面はたくさんあるわけですし、その急性期医療の 中で若い方々の医療と差を付けるということは、当然あってはならないわけ です。ただ、急性期医療にあっても高齢者の場合は慢性化することもありま すし、治療後の生活を見越した、高齢者の評価やマネジメントが必要ではな いかというご指摘がありました。ここではCGAという手法やGEMsとい う手法が紹介されていますので、ここで並記しています。  (2)は、慢性化することから長期化する療養ということを考えると、居 住系の施設なども含みますが、在宅を重視した医療が必要ではないか。その 中で、かかりつけ医による訪問診療や訪問看護、あるいは訪問歯科診療や口 腔衛生の管理指導、あるいは服薬指導も大事になってきます。ここでは患者 さんが居住している場所に出向いて、行うサービスが重要ではないかという ご指摘でした。  在宅の医療を進める上で、そこに至るまでもそうですが、医療機関の急性 期、回復期を担当する所など、そのような機能特性に応じた医療連携が必要 であるということ。それはまさしく、それぞれの地域にどういう医療資源が あるか、それぞれ千差万別ですけれども、その中で考えていただいた地域マ ップの中での連携の取れた医療が必要であるという指摘がありました。複数 疾患を抱える中で、この高齢者を総合的に診る医師を養成していく必要があ るのではないかということです。  (3)は安らかな終末期を迎えるための医療です。いずれ人生の終末期を 迎えるわけですけれども、その際に十分に理解した上で患者の自己決定を重 視する姿勢が必要ではないか。この中でも特に「十分に理解した上で」とい うところを強調すべきだとの意見もありました。特にがんなどでは十分な疼 痛緩和ケアが受けられる体制を構築すべきだということです。 (4)は介護保険と医療関連の保険ですが、この保険の連携が取れていない という指摘があちこちであります。そういう意味で介護保険サービスとの連 携のとれた、患者さんを中心とした一体的なサービス提供の視点が必要であ るということも指摘を受けたところです。  以上が2月5日の特別部会でお示した、たたき台です。この際に出された 主な意見については資料1−3、ヒアリング等でこのたたき台をまとめる際 に使った参考資料が1−4、ヒアリングで出されたさまざまなご意見につい ては1−5にまとめています。また1−6は先ほど申しましたが、制度につ いて簡単にまとめています。資料の説明は以上です。 ○部会長 ありがとうございました。ただいまの説明、そして資料に関する ご質問等も含めて、自由な意見交換をお願いしたいと思います。できるだけ 大勢の委員にご発言いただきたいと思いますので、お1人の発言時間はあま り長くならないようにお願いしたいと思います。どなたからでもどうぞ。 ○中川委員 たたき台の3頁の3の(1)に「心のケアも必要となってくる」 という記載がありますが、この「心のケア」というのはどういう状態に対し て行うもので、ケアというのはどういう内容なのか。例えば薬物療法を含め て医療というものが必要だという意味なのかどうなのか。それとも見守りだ とか精神的な支えだとか、そういうことを言っているのかというのが1つで す。  (5)の後期高齢者の「患者さん自身が、正しく理解をして自分の治療法 を選択することの重要性が高い」という文章ですが、ちょっと意味がよく理 解できません。後期高齢者自身が、自分の治療法を正しく理解するというこ との困難さは十分に考えられると思いますけれども、その辺のところはどう いう意味なのか。この2点を教えていただきたいと思います。 ○部会長 お答えいただけますか。 ○保険局医療課長 心のケアですが、ここは中川委員が言われた後半の部分 で、医療の面だけでなく療養を支えるようなところのご意見があったわけで す。3の(5)の部分ですが、ここはまさしく治療法の自己選択が重要だと いうご意見があったわけです。これは別に高齢者に限らないではないかとい うご意見も、もちろんありましたけれども、さらにここはターミナルケアの ところでの治療法の選択ということもあって、その治療法を選択するときに 自己選択が非常に重要になってくるだろうというご指摘があったのと、自己 選択を重要視する前に、まずは十分に理解していただくことが必要であろう ということ。その部分は、ご指摘にありましたように後期高齢者になればな るほど逆に理解してもらいにくいですけれども、そこは正しく理解させる努 力をさらにすべきなのだというご意見がありましたので、こういう形にまと めています。 ○豊田委員 後期高齢者の医療の場合に、いちばん問題になるのは認知症の 問題だと思います。先ほども説明がありましたが、70%から80%の人たちが 何らかの認知症の症状を持ってくる。こういう中で、ただいまの患者自身が 正しく理解して治療法を選択するとか、自己決定をするというのは非常に大 きな問題がありますし、それが半数以上いるということを考えると、簡単に こういうことで規定してよろしいのかどうか検討が必要だと思います。 ○部会長 ほかにご意見はございますか。事務局からは後で少しまとめてお 答えいただくようにしましょうか。小山田委員、どうぞ。 ○小山田委員 実際に後期高齢者の医療に携わっている立場から、今まで特 別部会でまとめられた中で、少し薄いのではないかと感じる点を1つだけお 話させていただきます。実際にこのようないろいろな特性を持っている後期 高齢者の医療は、介護と不可分なわけですが、それを扱う医師の資質はどう あるべきかというところです。というのは、これは後期高齢者になればなる ほど、心身的な特性を持っているわけですから、それに対応できる医師は一 体誰なのか。医師の誰もができるわけではありません。かかりつけ医のすべ てのドクターができるわけでないのです。いろいろなベースを持った専門的 な知識、幅の広い技術、知識を持っている方でも出来ない。  そうした観点から、私どもは、この特性に合った医師の養成、評価という ものが必要だという考え方から、国民健康保険診療施設協議会と2年ほど前 から協議いたしまして、こうした面での特性を十分に踏まえた上で、医療提 供できる医師の養成の制度を考えまして、包括医療ケア認定制度というもの を創設してあります。これはもう発足しているわけですが、これに関連する、 こうした面でのいろいろな学会があります。そうした学会とも今後、いろい ろ調整を図りながら、なるべく統一した形での養成と認定を行って、より質 の高い後期高齢者に対する医療を提供したいと考えています。そうしたこと を推し進めていくのだという、医師側の積極的な取組みを、是非、この部会 でも検討していただきたい。システムや考え方は十分に私どもはこれで理解 できますが、その点、もう少し突き詰めていただければということで発言し ました。 ○部会長 ありがとうございました。重要なご指摘だろうと思います。 ○佐伯委員 私たちの国を今まで支えてくださった高齢者の方を、このよう に安らかな最後を迎えていただくまでのいろいろな仕組みを作るということ は、もちろん大変結構なことであると思いますが、ご説明いただけなかった 資料1−6の2頁に運営の仕組みというのがあります。現役世代からの支援 ということをもう少しご説明いただきたいなと思います。というのは、いま 現役世代と言われる人々の人口がかなり少なくなっていますし、これから生 まれてきて20年経って成人を迎えた人たちの人数対、いま75歳でこれから 例えば20年ぐらいはこの保険制度の恩恵に浴するであろう、その人たちの人 口の比率を考えると、あまりにも負担が現役世代というか若い人たちに重す ぎることになってはいけませんし、そのあたり、どういうものまでを医療費 の対象とするのか。あるいは混合診療にするのか。大まかなことで結構なの ですが、その財源、世代間の負担についてのお考えをご説明いただきたいと 思います。 ○部会長 いま、3つぐらいの問題が出ていると思いますが、それぞれに事 務局からお答えいただけますか。まず豊田委員の認知症のご質問です。 ○保険局医療課長 具体的に認知症の方を想定して、その方にどのような方 法で理解させるか、その方法を具体的に持っているわけではありません。そ れは参考資料のほうにもいくつか出ているのですが、だからこそ余計にいろ いろ方法を考える必要があるのだというご意見はいただいています。具体的 にこれをどう実現していくかというのは、私どもがいま回答を持っているわ けではないということです。 ○部会長 小山田委員のご質問の専門医というか、医師の問題です。 ○保険局医療課長 これは先ほど、このような在宅のために、例えば高齢者 を総合的に診る医師の養成が必要ではないかという指摘があったということ で、これはまさしくこの部会などで大いに議論していただいて、私どもでそ の方々を活用させていただいて、診療報酬を組み立てていきたいと思ってい ます。 ○部会長 あとは佐伯委員からの問題提起で、お答えいただけますか。 ○保険局老人医療企画室長 佐伯委員からのご質問ですが、お手元の参考資 料1−6の2頁の中ほどで、運営の仕組みというのをご覧ください。現在で も老人医療費を国民全体で支える仕組みとして老人保健制度というのがあり ます。これについては公費と老人保健拠出金という各保険者からのご支援に よって、いま共同事業として賄っているという状況です。  ただ、現在の老人保健制度については、現役世代と高齢者ご本人の負担関 係が明確ではないという問題点のご指摘をいただいていましたので、このた びの医療制度改革で、新たに後期高齢者医療制度という独立した制度を作り、 財源の負担割合としてはこの資料にありますように、ご本人からは制度発足 当初は給付費の1割の保険料負担をしていただき、公費を5割入れる。残り は後期高齢者支援金ということで、いわゆる現役世代(0歳〜74歳)の各医 療保険者から、加入者の頭割りという形でご負担をしていただこうというこ とになっています。ここら辺の負担割合を明確にしていくということで、か つて指摘されていた問題点を解消していこうと考えています。  もう1点は、そうは言っても少子高齢化社会が進んでいき、若人の数が少 なくなっていく中で、負担感が将来的に増加していくのではないかという問 題があるかと思います。これについては少子高齢化の進展度合いを見て、高 齢者ご本人の負担割合である1割と、現役世代が負担していただく約4割と いう部分について、負担割合の見直しをしていくという制度設計になってい ます。  制度発足当初の最初の2年間は、1対4ということになりますけれども、 それ以降、次の財政運営期間である平成22年度以降については、若人の人口 の減少割合の半分は高齢者ご本人の負担ということで、保険料負担のほうが その分厚くなってくるという形で、また算定されることになっているという ことです。 ○熊坂委員 全国市長会から大橋委員に代わり、今回から参加させていただ きました。今日は山本委員がご欠席ですが、今回のこの後期高齢者医療制度 に向けて、最終的に責任を持つのは市町村ということになるかと思います。 市長会には東京23区も入っていますので人口の9割を抱え、総理も市町村民 になるわけですが、そういう中でいちばん困っているのは、いま小山田委員 もお話されましたが、一体誰が診るのかという医師不足の問題です。その医 師不足のところが解消されないと、後期高齢者医療も結局、総合的に診る医 師とか自己決定の重視ということが書いてありますが、それがまずできない というところです。後期高齢者医療制度の中で医療資源の整備というところ も、この部会において、もし文言として、これを支える前の段階の医療体制 が非常に重要になってくるのではないかと思っています。そこもご検討いた だければありがたいと思います。 ○田中委員 資料1−2は大変よくまとめられていると思います。3の後期 高齢者医療における課題と、4のふさわしい医療の体系との関係ですが、3 で課題を提示して4で答えを書いてあるわけではないのですよね。両方とも 問題点が書いてあります。3はいわば理念レベルの問題点ですね。(3)だけ は理念レベルではないですが、あとは心も考えましょうとか、生活に合った 療養とか、地域の力をつけましょうと理念レベルで課題が提示されています。  4も。ふさわしい医療の体系に欠けているものを何とか作らなければいけ ないと、これも課題が並んでいますが、この4つに限らずほかにもあるかも しれません。高齢者の評価とマネジメントは欠けている。訪問診療や訪問看 護をできる人が足りない。緩和ケア体制が足りないなど、特に4は先ほども 出ていたように重要で、これは誰が足りないかわからないですね。サービス 提供が必要であると言っているけれども、両者の連携を取れるコーディネー ト機能を担う人が欠けていると言っているわけです。  だから3の理念レベルの課題提起と、4の具体的な提供体制で欠けている ところとの連携が取れずに、2つの違った次元での課題を確かにここまでま とめていただいていますが、本当は理念レベルの課題と具体的な提供体制論 での課題、そして、できればそれに対する答えというロジックが付くと、も っとよい報告になるというか、私たちも協力しなければならないとなる。質 問ではなく感想です。 ○部会長 いまのはご感想かもしれませんが、事務局に対する新しい課題で すね。これも後でお答えいただければと思いますが、ほかにご意見はござい ますか。なるべく関連したことをお願いしたいと思います。 ○樋口委員 うまく関連しているといいのですが、ご説明を伺って2点だけ、 1つは小さな点あるいは具体的な点です。もう1つは少し大きな点になりま すが、資料1−2の4頁目のところです。これはだんだん具体的な話になっ てきていて、これでも抽象的なものですけれども、とにかくこの文章自体は、 私みたいなぼんやりした人間が読んでいると、いちいちもっともなことばか りで、逆にここからどういうことを発見していったらいいのだろうかと思う ぐらいです。私が最近経験したことで、(2)で先ほどのご発言と関係があ るのですが、私の友人のおばあちゃんが在宅で91歳で亡くなったのです。と きどきは通院されていたのですが、それは遠い所の大きな病院で、朝亡くな られて大往生であるというわけです。そこの病院へ電話をかけたら救急車で 運んで来いと言われて、しかし、もう亡くなっていますから救急車は運べな いのです。風邪ぐらいは地域の方で診ていた医師がいたと思いますが、そう いうことでもないというので、周りには死亡診断書を書いてくれる医師はい ない。遠くの大病院から先生が駆け付けてくれるかといったら、そんなこと は不可能だということで、都会だとみんな同じような状況になる。  ここにあるように、在宅を重視した医療で複数疾患を抱える後期高齢者を 総合的に診る医師が本当にいてくださると、これは亡くなったときの話です けれども、亡くなったときにも、そこに連絡すればちゃんと死亡診断書を書 いてくれるようになっていれば、遺族は安心できるわけです。この場合はど うなったかというと、警察がやって来て検死をするということになったので す。いま都会ではこういう体制がないために、多くの場合にそうなるのです。  私はたまたま東京大学にいますが、東京大学の医学部では何年か前に老年 病科という科を設置して、よく考えたら小児科というのがあるのに何で老年 病科はないのだろうかと思います。つまり病気ではなくて人を診るのだとい うことになれば、ここにもあるように高齢者の人というのはいろいろな病気 を抱えていますから、そうすると科ごとに全部受診していくのでは本当に大 変なので、総合的に診てくれる医師を育てていこうとしているわけです。今 後、高齢社会がどんどん進んでいくわけですから、どんなに遅くても遅すぎ ることはない。やらなければいけないことはやらないといけないので、そう いう方針を立てていただけるのがいいのかなと、私は身の周りの事件から感 じました。  2つ目は、この文章を見ていて、結局、どういうふうに読むのだろうかと いうことです。いま、我が国の医療でここに書いてあるようなことはまだ全 くか、あるいは部分的か、十分でないということをむしろ書いている。そう すると、今後どうしていくかについては2つの視点が必要で、これら全部が 同じ程度に必要なのか。私は学校の先生なものですからすぐ何点と言います が、みんな20点とか30点とか0点というわけではなくて、いろいろあると 思うのです。だから足りない部分として、いまどこがいちばん緊急で足りな いのかという話と、対応策として医師をつくると言ってもそう簡単につくれ るわけはないので、時間のかかる話と、比較的時間が短く何らかの形で対応 できるものとの優先度というのか、ここで書かれていることを、そういう形 で並べ直すとどういうふうに見えてくるのか。非常に抽象的な質問ですが、 何か補足していただければありがたいと思います。 ○部会長 これも後で事務局からお答えいただけますか。村上委員、どうぞ。 ○村上委員 ここに確かに老人の特徴が書いてあって、老人が入院してくる と長期化しますし、複数ありますので、いちばん問題だと我々も考えている のは、とにかく長期化するとADLが低下する。そうなると戻すに戻せなく なる。ふさわしい医療の体系と4にありますが、在宅はなかなか難しいとい うことになると、地域でどうやって受け止めるかということになります。  そうすると、確かにふさわしい医療の体系の中に介護保険の一元化と書い てありますけれども、ここのところで私が伺いたいのは、医療に対する公費 負担については国が5割とか、保険者が4割とか説明がありますね。この介 護に対する公費負担は同じようなことで、一元化された考え方ができるので しょうか。今日、ご出席の医療課長は保険局ですし、これは老健のほうのこ とですが、どういうつながりになっているのか、これは協議された形で出て いるのでしょうか。 ○竹嶋委員 お話が負担の割合というか、当然大事なことでそこにも入って いるようですが、しかし、今日の資料を見ますと、いろいろな団体から出し ていますね。当然、そこはご議論があるのだと思いますが、まずそこを伺い たいのです。それぞれの資料説明が団体からあるのですね。 ○部会長 この資料はずいぶんたくさん出ているのですが、これをできれば 非常に簡潔に、ここで。 ○竹嶋委員 一応は出るわけですね。 ○部会長 ただ、これを仮に朗読したら時間がありませんので、それぞれお 出しいただいているところは適宜、見計らってご説明いただければと思いま す。 ○竹嶋委員 わかりました。それを伺った上で、たたき台としてお作りいた だいている。確かにヒアリングをおまとめになっているから、いろいろ難し いところがあるだろうと思いますが、資料1−2の2頁に基本的視点とあり ます。まさにそうなので、生活の中での医療はそういう捉え方をしよう。あ るいは尊厳に配慮した医療、安心できる医療ということですね。3つの柱で す。私は日本医師会ですが、私たちも今年1月に在宅における医療介護提供 体制ということで、先ほど言葉が出ていましたけれども、私たちは「かかり つけ機能」と表現しています。それを充実させていこうと公表しています。  そういう中で、1995年に独居老人が9.5%だったようです。それが10年後 の2005年には15.2%になっています。つまり在宅を進めていくときに、そう いうふうな方々がおられるということを、まずはきちっと把握しておかなけ ればいけない。私たちのと厚労省がお出しになった、このたたき台の中の尊 厳と安心を創造する医療は一緒ですね。暮らしを支援するというのは厚労省 のは生活の中での医療ということで、これも一緒ですが、もう1つ、私たち は3つ目に地域の中で健やかな老いを迎える、それをサポートする医療とい うのを3つ目に入れました。今後、地域整備ケアと言葉は大変きついですが、 要するに地域の中で医療、介護を整備していくと同時に、地域住民の方々が 一緒に支えていく。そういうものを医療介護関係者と作っていく。そういう 視点も必要だろうということで、私どもはこういう考え方をしているという ことを申し上げました。 ○杉町委員 いま、村上委員も言われたのですが、75歳というか後期高齢者 になって病院に行くと、病名が2つ3つ4つと多くの病名が付きます。そう いう意味では、これは医療部会ですから医療のことについてディスカッショ ンするというのはよくわかりますが、同時に、例えば認知症でも福祉のほう である程度カバーできますから、福祉のほうと医療のほうが車の両輪という か、特にお年寄になったら医療にばかり頼らず、福祉のほうでカバーできる 部分もかなりあるだろうと思いますから、両面から検討する必要があるので はないかという感じを持っています。  いま、厚労省がいろいろ取り組んでいる医療費削減ですが、そのことがち ょっと見え隠れして表には出てきませんけれども、特に65歳以上になると若 い人の4倍ぐらい医療費がかかるという話も聞いています。75歳以上ですと もっとかかるのでしょうけれども、医療費削減というのが目的というか、後 期高齢者にふさわしい医療の体系という中に医療費を削減しようという気持 がかなりあるのかないのか。こういうことはないわけはないと思いますが、 具体的にそうであったら、こうしたらこれくらいになるとか、そういう具体 的な数字が少し出てこないと、なかなかディスカッションしにくいと考えて います。 ○中川委員 いま、たくさんのご質問があって、事務局側がお答えになる前 に、我々の提出した資料のお答えになっているところがたくさんあるので、 よろしければ簡単に資料の説明をさせていただけないでしょうか。 ○部会長 できるだけ短くお願いします。 ○中川委員 「後期高齢者医療の在り方についての日本医師会の考え方」と いう、パワーポイントの印刷したものがありますので、恐縮ですがそれをご 覧ください。日本医師会としての意見を述べさせていただきます。1枚めく っていただいて右下の数字が1とあるところです。医療をとりまく環境とし て、過去3回の診療報酬改定はいずれも引下げで、特に2002年と2006年に は技術料である診療報酬本体が大幅に引き下げられました。医療機関は、医 療の質の向上を図って安全性を確保していくことが非常に困難になっていま す。また骨太の方針2006には、今後5年間で社会保障費を一気に1.1兆円削 減する方針が明記されていますが、このままでは全国の地域医療は完全に崩 壊するのではないかと危惧しています。その上で意見を述べさせていただき ます。  次に2番です。現在、厚生労働省を中心に議論が進められている後期高齢 者医療については、第1に適正化という名の医療費の抑制が全面に出すぎて いること。次に予想される格差への配慮が欠落していること。後期高齢者の 心身への特性の配慮が不足していること。高齢者の独居や老々世帯の激増を 考慮していないこと。認知症を持つ高齢者の自己決定は困難であるという認 識が少ないこと。そして終末期医療の選択肢が限定的であることといった問 題点を指摘したいと思います。  3番をお願いします。このグラフをご覧ください。75歳以上の人口に占め る単身者比率は95年の12.8%から、2005年には17.0%に上昇しています。 夫婦とも75歳以上の世帯も2005年には16.3%となっていて、合わせて33% 以上にもなっています。在宅で医療を受けたり、看取られることが困難な高 齢者が急増しています。  4番をお願いします。日本医師会は中医協で医療難民と介護難民の問題を 指摘しましたが、高齢者人口の増加に伴って、医療療養病床などの慢性期病 床の必要性はますます高まってきます。現在の高齢化率を基に推計しました。 医療療養病床の必要数は医療療養病床の入院患者のうち、医療区分1で医療 の必要性の高い患者および医療区分2・3を合わせた66.8%と、福岡県医師 会の調査で判明した介護療養病床の入院患者で医療区分2・3に相当する 38.7%です。また介護施設等の必要病床数は医療および介護療養病床の入院 患者から、それぞれ在宅可能な約1割と、医療療養病床が必要な患者を引い た数で、これらを将来の高齢者人口に比例するとして推計したものです。  結果は、このグラフに示すように医療慢性期病床と介護施設等を合わせた 必要慢性期病床数は、2015年44万床、2025年には51万床になります。した がって、いまの後期高齢者イコール在宅療養という限定された議論は、将来 の後期高齢者への配慮を欠くものと言わなければなりません、  5番をお願いします。医療療養病床の推計の前提を示します。仮に一部の 在宅復帰等を実現しても、受療率が変化しない限り高齢者人口の増加で、必 要とされる入院(入所)施設は増加します。実際には超後期高齢者とも言え る人口が急増しますので、受療率はむしろ増加していくと考えられます。  6番です。日医総研が昨年、約2,000名を対象に実施した「国民意識調査」 では、一般国民は夜間や休日の診療、救急医療体制に次いで、入院(入所) 施設の整備が重要であると考えていることがわかりました。  7番をお願いします。日本医師会は基本的な方向性として、2008年度を制 度創設の第1ステージと位置づけて、拙速を避け、高齢者医療の激変による 混乱を招かないこと。地域や個人の間の格差を是正すること。制度の完成を 介護補助との同時改定が予定される2012年度を目安にして、十分な議論を尽 くすことを主張します。  8番をお願いします。日本医師会の基本的な考え方としては、第1にハイ リスク群である75歳以上を対象に、保険というよりも保障原理で運営するこ と。第2に、そのために財源構成のうち、公費、特に国庫負担割合を段階的 に引き上げること。 第3に高齢者自身の保険料は応能負担とし、一部負担 金は一律にすることを提案したいと思います。更に格差を生じさせる地域ご との特例診療報酬の設定は避けるべきです。診療報酬については、急性期と 慢性期の急性増悪は、出来高払いとします。また、「後期高齢者=在宅医療」 という限定された議論から脱却すべきです。具体的には現在の病床数をある 程度維持し、同時に在宅居宅環境の整備を進めることを強く求めます。また、 終末期医療については、多様な看取りを認め、多くの選択肢を提供すべきだ と考えます。  9番、75歳以上では、疾病の発症率、受療率、医療費が急速に高まるため、 保険原理はそもそも機能しにくくなります。そこで保障原理で運営し、公費 負担を給付費ではなく、医療費の9割に引き上げることを提案したいと思い ます。  10番、これまで老人保健法では、法改正によって公費負担の割合を給付費 の50%まで引き上げてきました。医療費ベースで見ると、27%〜45%への引 き上げです。これを段階的に引き上げて、90%にまで引き上げるというもの です。  11番、ハイリスク群である後期高齢者の医療は「保険」というよりも「保 障」です。一方、一般は「保険」なので公費の投入は行わないことで、後期 高齢者への公費負担9割を実現します。これと同時に、一般からの後期高齢 者支援金は廃止します。一般については更に3割となっている自己負担割合 を2割に引き下げます。2006年度予算で見ると、一般と後期高齢者、現在は 老人保健ですが、併せて公費が10兆円投入されています。後期高齢者に公費 を集中的に投入しても、日本医師会案に示すように、公費負担は10兆円です。 一般医療保険への公費投入はなくなりますが、後期高齢者支援金、現在の一 般の保険料から出ている老人保健拠出金もなくなるので、保険料・自己負担 として徴収する額は19兆円ですみます。この試算によると、現在の厚生労働 省案に比べて1兆円の財源が不足となりますが、これについては国民の皆さ んに新たな負担をお願いしなくても、政管健保に比べて保険料率が著しく低 い健保組合等の保険料率を、政管健保並みの80/1,000に引き上げることで、 0.9兆円ほどの財源が捻出され、更に標準報酬月額の上限を引き上げることで、 被用者保険と国民健康保険との財政調整を行うなどによって捻出することが できると考えています。  12番、日本医師会は終末期医療の基本理念として、第一にご本人・ご家族 の意思を尊重することと同時に、医療提供者の倫理に基づく最善の医療を逸 脱しないこと。そして、ご本人・ご家族が希望する多様な看取りの形を提供 することの3つを掲げています。  13番、我々が昨年行った国民意識調査では、「自分自身が末期がんなどにか かって終末期医療を受けるとすれば、どのような場所が理想だと思いますか」 という質問をしています。回答を見ますと自宅を選んだのは患者さんの 25.8%、国民の33.8%で、いずれも3割程度にとどまっています。現在の議 論は終末期の在宅での看取りという方向で進められていますが、受け手であ る患者、国民は必ずしもそれを望んではおらず、多様な看取りを可能にする 柔軟な制度設計が求められています。  14番、終末期における診療報酬の在り方を示します。基本的には「急性期」 と「慢性期の急性増悪」が出来高払いという原則で、多様な看取りの形を提 供するための診療報酬の改定が求められます。個々の病態を考慮しない画一 的な、まして医療費抑制のための支払い方式や点数設定は、絶対に避けなけ ればなりません。  15番、終末期における診療報酬の方針としては、後期高齢者といえども年 齢によって差をつけないこと。医師はその倫理において最善を尽くし、決し て効率化を優先しないことです。なお、診療報酬は大きく技術料、薬・材料 代、在院報酬という、いわゆるホテルコストに分けられますが、ここに示す ように、それぞれの系ごとにコストに見合った報酬を設定し、例えば技術料 と薬・材料代を一緒にしてまるめるといった包括化にすることは行わないこ ととします。  16番、また、検討のたたき台にありましたCGAとか、GEMsといった 急性期は、急性期医療における評価が定まっているものではありません。た たき台に記載する前に、中身を十分に評価し、運用の可能性を検証すべきで す。  17番、最後に格差の問題に触れなければなりません。都道府県医療費適正 化計画、地域別保険料の設定、都道府県別の特例診療報酬の設定は、間違い なく地域によって受ける医療が異なるという格差が生じます。更に一部負担 金の増加は、医療機関の受診を控えるという、個人間の格差につながります。 高齢者は若年時の稼得能力を引きずりますので、所得格差は拡大します。日 本医師会としては、後期高齢者医療の格差の拡大を極力防ぐために公費、特 に国庫負担割合を引き上げ、地域別の保険料の設定は特に慎重にし、特例診 療報酬の設定はしない方向に行くべきことを強く申し上げさせていただきま す。以上です。お時間ありがとうございました。 ○部会長 ありがとうございました。これは財政負担の問題、診療報酬のこ とは、この部会よりは、むしろ医療保険部会のほうでご議論いただいて、向 こうからもそれに対する考えが上がってくるのだろうと思いますので、高齢 者医療の在り方について、特に残りの時間でご議論をいただければと思いま す。 ○山崎参考人(鮫島委員代理) 先ほどもあったのですが、後期高齢者とか、 終末期医療というのは、在宅にシフトしていくという方向は、結果的に医療 費を非常に増大させる話だと思うのです。けっして医療費を削減する話には ならないと思うのですが、施設収容よりも在宅療養のほうが安いという幻想 にとらわれていると思うのです。当然、在宅のサービスを多くすれば、時間 的なロスだとか、あるいは準夜・深夜の介護力とかいう労力が増えるわけで すから、それについての負担というのは、当然増えると思うのです。したが って後期高齢者、あるいは終末期を在宅に持っていったときに、相当の医療 費負担が増えるということを国は覚悟をして、そういう政策を取っているの かというのをお聞きしたいのです。  ちなみに、精神科の場合、精神科の医療を1985年でしたか、イタリアで精 神科病院を廃止して、すべての患者を地域にというのを15年かけてやったの です。そうしたら、その精神科にかかっている費用が地域に倍の費用がかか るようになっています。したがって地域に患者さんを出すことは、非常にい いことなのですが、高齢者の場合はそのように生じる費用が相当大幅に増え ることが1点。もう1つ在宅支援の診療所とか、あるいはいま問題になって いる救急医療の現場で非常に裁判が増えているのです。終末期とか後期の高 齢者を在宅で看たときに、診療所の担当の先生方が患者さんの家族に、何か あったときに訴えられる。しかも、結果として亡くなったときに、法的な訴 追を受ける問題がかなり多くこれから発生してくるかと思うのです。そうい う危険を負担してまでも開業医の先生方が、在宅を頑張ろうという覚悟があ るのかどうかを心配しています。 ○部会長 今までご発言のない方にお願いしたいと思いますが、堤委員から、 ご意見でしたら簡単にお願いいたします。 ○堤委員 簡単にさせていただきます。日本経団連として意見というか要望 です。この在り方のレポートに書いてあるように、後期高齢者というのは、 身体機能の低下であるとか、疾病の状態で個体差もある、ということが書か れていますが、やはり大事なことは、そういった状況をきちんと体系立てて、 きちんとした治療の根拠を作っていただくことが大事です。それが本人の納 得なり、後期高齢者の場合は特に、家族の納得につながっていくのではない かなと思っています。また、そういったことができなければ診療報酬の決定 も、なかなか難しくなってしまうのではないかなと思います。  2番目は、この在り方のレポートについては、あくまで高齢者ご本人の立 場に立ったと私は認識をしていますが、ここの医療部会は提供サイドの話が ありますので、ここの考え方として、効果的・効率的な医療提供の視点とい うのは、極めて重要なのではないかと申し上げたいと思います。下にいくつ かの例示を掲げていますが、極めて保険財政も厳しい状況ですので、この4 つの観点も踏まえた形で最終的には診療報酬体系が設定されていくことを、 私どもとしては要望したいというところです。以上です。 ○内山参考人(箱崎委員代理) 1-2の資料ですが、4頁に後期高齢者のふ さわしい医療体系という流れの中で、先ほど原医療課長からかかりつけ医に よる訪問診療、あるいは訪問看護等の流れの中で、口腔ケア、訪問歯科診療 といった発言をされていたわけですが、このたたき台を私どもから見ますと、 後期高齢者医療制度には、歯科医療はあまり必要ないのではないかというこ とを危惧をしているわけです。私どもとしては診療報酬云々というよりも、 後期高齢者医療制度に対する歯科医療の重要性を今日、後期高齢者医療制度 に関する基本的な考え方として、資料出しをさせていただいていますので、 是非ご認識をいただければと発言させていただきたいわけです。  私どもとしては、後期高齢者医療制度は、その本質的な目的は、いわゆる 人が自立した形で生活のできる、いわゆる健康寿命の延伸にあると考えてお ります。1頁の資料の中にありますように、我が国の男女の平均は82歳の平 均寿命です。ですが、自立した形、健康寿命は76歳でして、この6年間をい かに健康寿命を平均寿命に結び付けていくか、近づけるかということこそ、 後期高齢者医療制度に対する基本的な考え方なのだろうと思っています。  私どもは歯科医療を「食べること、話をすること」という人間の生きるた めの根源に関わる生きる力を支援することとして捉えて実践してきています。 資料7の13頁にあるような口腔ケアというものを書き出しをさせていただい ているわけですが、口腔ケアと同時に、2頁目に、こういう歯のなくなった 方に義歯を入れたりするという装着、あるいは改善、維持機能を継続的に行 うことによって、2頁にあるような全身の機能の維持・向上ができるのだと いうことです。そうすることが元気なお年寄りをつくる目的のために、私ど もとしては是非、後期高齢者医療制度の歯科医療の重要性を委員の皆様方に ご認識をしていただくという趣旨で、今日資料を配付させていただきました。  問題点として資料の3頁に、本制度の歯科医療の課題として、ご提示を申 し上げているところです。縷々説明をしたいわけですが、時間の関係上、3 点ほどに絞られると思います。治療面ですが、後期高齢者のある方は、先ほ どいろいろ議論が出ていましたが、全身のいろいろな疾患をお持ちである。 そして、機能が低くなった方の治療であるということです。したがって継続 的な口腔の管理が不可欠です。在宅になりますと、ある程度、機械を持ち込 まなければいけないということ、それからかかりつけ医を初めとする看護あ るいいは介護の方々との連携が不可欠だという形です。  3点目として、私ども反省をするところですが、歯科的取組への重要性が 高齢者の方々に、「あきらめ」という面もあろうかと思いますが、かかりつ け歯科医の機能を支援するような評価を是非していただきたいということで す。仮称ですが、私どもは地域の歯科医療センター的なことを発想していま して、それが不可能ならば、地域連携センター、地域連携ケアシステムとい うものを、是非お作りいただければと思っています。  最後としては、75歳になったときに、何か節目健診で口腔診断の制度化を 是非お願いしたいと思っています。まとめに1-2の資料においても、私ども としては、何か全然見えてこないのを非常に危惧しています。  先ほど樋口委員からも「在宅医療で、誰が一体診るのだ」というお話もあ りましたが、私どもから見ますと、通常の大病院の手法が私どもはあります が、日ごろのかかりつけ医を、よいお医者さんを選んでそこに通う、機能の 分担も必要ですが、そういう流れの中で、在宅によって看取られるというシ ステムも考えなければいけないのではないか。逆に言いますと、日ごろのお 付き合いというもの、そこから医療が出発するのではないかと感じています。  在宅医療を行っている先生方もたくさんおられます。プライマリケア学会 の先生方と私ども歯科医師の医科歯科連携によるワークショップを2月17日 に行いました。在宅医療を取り組んでいる15名のプライマリケア医の先生方 が参加をしてくださいまして、在宅医療における医科歯科連携はどうあるべ きかという議論が戦わされたわけです。ここで申し上げることは、在宅を真 剣に取り組んでいる医者もたくさんおられるということを認識していただき たいと思います。以上です。  ○部会長 では、看護を優先しますか、数分でお願いします。 ○古橋委員 説明のありました1-2の2頁、特別部会でご検討になりました 基本的な視点の2番です。この3つとともに、先ほど医師会の委員の先生か らも加えて、「地域の中で健やかな老いを迎えること、それを支える医療が 重要である」というご発言がありました。  全くそういうことに共鳴、同感する中で、私どもは後期高齢者医療という のは、介護サービスとは不可分である。小山田委員もおっしゃっていました が、そこが非常に重要だと思います。その中でこの基本的な視点の中で、生 活の中での医療ですので、根本的なは高齢者がどこで暮らすのかが非常に重 要ですし、どこで日々の時間をお過ごしになるのかも重要です。自宅以外で あったら、それは全部病院と介護保険施設であるのかということです。最近 は自宅以外の居住の場ということも出てまいりますが、それは一体、具体的 にどういうものなので、独居の高齢者、あるいは国民すべてがそういうもの をどのように具体的にイメージできるのかということの検討も、単に医療と いうことではなくて、介護も含めながら更に高齢者の住宅ということに対し ての構想も要るのではないかと思っています。その中でやはり地域の中で老 いを迎えられる、老いを時間的に過ごせるという点では、日本看護協会的に は、安心できる訪問看護も重要であると思っています。ご意見も出ましたが、 私どもも在宅医療が安上がりであるからと、在宅ケアが安く上がるからとい う視点では、決して国民は合意もしないし、そこに向かってはくださらない と思っています。そういう点では、在宅医療が望む方に提供できるという体 制づくりが重要だと思っています。  提出しました資料の説明をする時間がないと思いますので、ここに3点だ け後期高齢者が24時間、365日、安心、納得できる訪問看護は、もっと考え られていい、そして看護職もそこに向かって実践力、あるいはミッションと か、コミットするという意思を高めなければいけないと思っています。  もう1つは看取りですが、先ほど樋口委員からもありましたように、在宅 で亡くなった後、死の診断は医師です。でも、連れて来いとおっしゃる方は たくさんおられます。そして、不確かで運べば、そこである意味で挿管がな されたり、集中的な医療が展開する場合もありますが、そうした体制は、特 に後期高齢者ではいいのか。そういう点では、ターミナルケアと死の診断に 関しては、ガイドラインが新たに整えられるべきだと私どもは考えています。 それはいま申し上げたようなたくさんの事例からです。  あとは、過剰な医療の見直しも否定できずでございます。そういう辺りも 望まない医療が医療サイドの判断によって、これは医療側からは適切に判断 したということになろうかと思いますが、そういうものについても、例も資 料に挙げておきました。やはり見直しがなされていく必要があるのではない かと思っています。 ○部会長 看護協会にも大いに頑張ってもらわないと、これは立ちゆきませ んので、よろしくお願いします。あと、西澤委員と、山本委員にご発言をい ただきます。手短にお願いします。 ○西澤委員 一言だけです。今回の特別部会でまとめた案は読んでいていい なと思うのですが、読んでいて、医療という言葉を使いながら医療そのもの、 要するに診療のことと、それから提供体制のこと、両方をまとめてただ医療 としか表現していない。わかりづらいので、是非これを整理して書いていた だければありがたいと思います。それだけです。 ○山本(信)委員 資料の1-2ですが、その中で問題点として薬の問題が記 載されています。私ども薬を提供するのが担当ですので、そうした観点から 医療全体の中でもちろん議論がされるべきだと思います。一体、薬はどうな ってしまうのかというので、多少意見を述べさせていただきます。  お手元に資料をお配りしてありますので、後でお読みいただければ結構で すが、従来言われていることは資料にもありますが、病気が増えて、その結 果、薬が増える。したがって高齢の方々についてみれば、無駄な薬があるの ではなしに、必要な薬がきちんと飲まれなければいけないという状況だと思 います。にもかかわらず、身体的な特性に合った制度を作ろうという中で言 えば、例えば認知症が増えてなかなか理解ができない、あるいは生理機能が 落ちて副作用が増えるということについて、私ども十分に注意をしなければ いけないと考えています。  薬学的な視点をもって、その薬がどう使われていくかについては、どこに おられても高齢者の方にかかわらず、当然注意をすべきですが、特にお年寄 りの方々にとってみれば、そうしたことが自分で管理できないケースもある でしょうし、理解ができにくい部分もありますから、そうした部分について は、私ども十分に関わりたいと考えています。  そのためには、地域にあっては薬剤師だけではなく薬局がいつでも使用で きる。先ほど24時間の体制というのがありましたが、薬局もそうでして、い つでも薬局を使える体制を組んで、休日・夜間についても提供できる体制を 組みたいと思っていますが、そういった中で入院という状態と、外来。特に 通院のできる方と在宅の問題が出ていますが、つまり通院ができない患者さ んを考えてみると、3つのステージがあって、それぞれ薬剤師の役割が多少 違っています。例えば病院であれば、先ほどの樋口委員のお話にもありまし たが、1つの医療機関におりますので、その中では薬剤師もチーム医療の1 人として、他の医療職と連携しながら十分に患者のケアができる。ベッドサ イドに行って状況の判断ができる。そういった意味では十分な仕事をしてい るはずですし、退院時には外来の方々のほうに、あるいは薬局に向かって情 報提供もしている。ところが、入院から外来にいきますと疾病が増えて、い くつかの医療機関を受診をしなければならない。そのときの状態を考えます と、そうしたものを一元的に管理できるような、つまり患者さんにとってみ れば、馴染みの医者がいらっしゃるので、馴染みの薬局を見つけて、そこへ いつも薬をもらいに行くという一元的な管理をすることが極めて安全でしか も効果的な服薬ができますし、もし、無駄があるとすれば、そうした無駄も 排除できると考えています。  一方で在宅になりますと、ご本人の意思にかかわらず、在宅にしなければ ならない。確かに保護看護の方も含めて、さまざまな方が周りに取り巻いて いるわけです。もちろん私どももお邪魔をするわけですが、必ずしも十分に 医薬品について管理できているわけではない。その例について入れています が、そうしたものを、他職種の方々と連携をしながら、きちんとした服薬を する。あるいは安全な服薬ができる体制を私どもとしては組んでいくことが、 本来、高齢者にとって最も良い医薬品という視点から見た見方ではないかと 考えています。  ここは費用の話をする場所ではないと部会長が言われましたので、そうい った意味からすれば、今後組まれていく後期高齢者の医療制度、あるいは医 療診療報酬体系を考えるときには、必要な薬なり医療そのものが、過不足な く患者さんの手元に届くような制度設計をすることが必要なのだろうと私ど も考えています。特に薬の部分が比較的物が高いということで、いつも悪者 にされてしまうわけですが、必要な薬が必要な場所に届かない状態について は、極めて不幸ですので、そのようなことがないような制度を作っていただ きたいと考えています。 ○島村委員 健保連としても今、この件について議論をしています。我々独 自な議論をしているつもりでしたが、改めて並べて拝見しますと、特別部会 の語り合いとあまり大きな相違はないという感じがします。そういう意味で は簡単に申し上げます。  後期高齢者の生活を支えるという視点が、まず基本にあってということが、 我々の考え方です。そこから終末期につながっていくシームレスな体系を構 築することが重要であるということがまず第1点です。第2点は、終末期医 療に関与するであろう、いわゆるかかりつけ医の在り方についてです。かか りつけ医にふさわしい総合診療医の育成システムを早期に確立すべきである ということ。最後にいま過度に専門特化した現行の医師の育成システム、い わゆる標榜制の下では、標榜科目の妥当性、また我が国がこれまで享受して きたフリーアクセスの在り方など、かかりつけ医をそのまま登録医のような 制度にすることについて機能させるためには、先行して解決すべき課題がま だ山積しているように思います。そういう意味で拙速な導入を避け、十分に 議論を尽くすべきだということを申し上げたいと思います。以上です。 ○竹嶋委員 先ほど西澤委員からございましたように、提供体制についてこ の会ではというお話がありました。1つだけこれ要望として議事録に残して いただきたいと思います。それは、地域格差ということを私どもの委員から 申しました。これを後期高齢者医療制度の中でもなくしていく。その中で有 床診療所があります。私どもこれは、いま地方で有床診療所が頑張っていま の医療を支えている。特に東北、青森、岩手それから九州、四国、北陸、こ の辺りは多くの有床診療所が病院の代役を果たしてやっています。この有床 診療所については、後期高齢者医療制度の議論の中でパブリックコメントの 中に、医療法第30条の3に基づき、厚生労働省大臣が定める基本方針が出て います。その中で医療計画に関する基本方針について、「居宅等における療 養、入院医療の提供も可能である有床診療所の特性などを考慮することが重 要である」と明記してあります。先ほどどなたかやはり、効率的に動いてい る面もあるわけです。非常に診療費が安いのです。これは上げてもらわなけ ればいけませんが、それは横に置いても、非常に効率的に動いている面もあ ります。このところは是非、後期高齢者医療制度の基本的な考え方、あるい は診療費体系の中に配慮をしてほしい。そういうことを要望させていただき ます。よろしくお願いいたします。 ○部会長 どうもありがとうございました。いつも医療部会は時間が足りな くて申し訳ないのですが、ここで事務局からお答えできることだけお答えい ただいて、後は皆様方から必要なご意見があれば事務局にファックスかメー ルかで流していただくことにしたらいかがかと思いますが、それでよろしけ れば課長からお願いいたします。 ○保険局医療課長 まず、どれに答えるか迷ってしまいます。たくさんのご 意見をありがとうございました。ご指摘の点で、これはあくまでたたき台で すので、内容的にも加除を当然考えていますし、また、書き方の問題等につ いてもご指摘のあった点を踏まえて直していきたいと思います。その中でい くつか質問として出されたものがありました。例えばここに書かれている、 確かにいまやれていないこと、どれを優先してやるのか、その考えがあるの かということでしたが、いま具体的にどれをいちばん優先してやるというこ とを決めているわけではありません。これから特別部会でも更に議論を進め てまいりますので、その中で優先度を考えていきたいと思います。  介護の費用との一元化ができないかというご質問がありましたが、これは 昨年、法律が通って、後期高齢者医療制度という独立した保険制度を作るこ とが決まって、まだ、実際には来年の4月からになるわけなので、まだ実行 にもなっていない段階でその支払い等、その仕組みをがらっと変えるという ことは、たぶん無理だろう。ただ、いろいろなご意見の中で、後期高齢者、 生活を中心に考えると医療サービスと介護サービスが一体的に提供されるべ きだと。これは非常に強いご意見として伺っています。ですから、制度的に 支払いの仕組みは変えるとしてもたぶん先になるでしょうが、支払方法は別 としても、その中で一体的にできるような方法は考えていきたいと思ってい ます。  ここで在宅という面が非常に強調して書かせていただいたわけですが、こ れは別に何でもかんでも在宅に移すという意味で書いたわけではありません。 これから伸ばしていかなければいけない分野としてたぶん在宅医療があるの であろう。例えばいま現在、病院の中で療養されている方で、必ずしも病院 でなくてもよい方がたくさんおられるわけです。そういう方を例えば在宅で みていく、そのためには実は在宅のほうの受け皿がないから、退院ができな いという状況ももちろんあるわけです。そういう意味では在宅の受け皿をど んどん、いろいろな方面から作っていきたい、そういう意味でこの在宅のと ころを重視をしているわけです。だからといって、毎日診察をし、あるいは 朝晩バイタルチェックをして処置をするという方を在宅にもっていって、安 く上がるかというと、たぶんそれは安く上がらない、これは山崎委員のご指 摘のとおりだと思います。  一方で、それでも在宅で療養したいという方がおられたときに、費用もか かりますから、それをどの程度の形で見ていくのかというのはこれからの課 題だとは思いますが、あくまで、ご本人の希望をできるだけ叶える形で考え ていくべきではないかと思っています。それは看取りの場面においても、自 宅で無理矢理、亡くなっていただくということは毛頭考えているわけではな くて、自宅で亡くなりたいという方が、いま環境がなくて自宅では亡くなら ないという状況を、できればそのご希望が叶えられるような方向での体制を 組んでいただいて、診療報酬としてはそういうものを評価していくというこ とを考えているわけです。たくさんございましたので、この程度でお答えを しておきたいと思います。  いずれにしても、在宅にしろ入院にしろ、医療の提供をしていただくのは 医師であり、歯科医師、薬剤師、看護師さんの方々ですので、特に在宅の面 はいま全国で非常に遅れていると言われているので、全国のあらゆる所で訪 問診療なり訪問看護なり、訪問歯科診療なり、薬剤管理ができるように、ま た関係の会の方々には是非ともお願いをしたいと思っています。以上です。 ○部会長 ありがとうございました。まだいろいろご発言があろうとは思い ますが、一応この辺で、ほぼ予定の時間になりましたのでこの議題につきま しては終わらせていただきたいと思います。なお、先ほど申しましたように、 意見等がございましたら、事務局にファックス、メールでもいただきまして、 その後の取り扱いについては、事務局と私とにご一任いただければありがた いと思います。キーワードとしては、今日は本当にいいご意見を出していた だいていますので、それを是非特別部会に医療部会の意見として反映させて いただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。  もう1件ですが、引き続きまして、今般の医療法改正等の内容、それから 施行、準備状況等につきまして、事務局から報告をいただければと思います。 ○企画官 私から資料2に基づいて前回の医療法改正の内容及び施行、準備 状況についてご報告を申し上げます。残りの時間がかなり迫ってきています ので、簡潔に報告させていただきます。資料2の1頁です。昨年国会に提出 しました「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を 改正する法律」です。通常国会におきまして成立を見たところです。その大 半の部分が本年の4月から施行になるということで、いま現在施行に向けた 準備を進めているところです。  法律の内容ですが、平成17年12月8日にこの医療部会としておまとめを いただきました報告書に基づきまして、立法化を図ったものです。大きく6 つの柱を立てた法律でした。1点目の「患者等への医療に関する情報提供の 推進」ですが、この中では患者さんに対して医療に関する情報を十分に得ら れ、適切な医療を選択できるよう支援するという考え方に基づいて、1つに は医療機能情報提供制度を新たに創設することになっています。  中身としては資料にも付けていますが、各医療機関から所定の項目につい て報告を各都道府県にいただき、その都道府県においてその情報を集約した 上でインターネットで地域の住民等へ公表していくという仕組みのものです。 この一定の項目を決めるに当たりましては、医療情報の提供の在り方等に関 する検討会を医政局の中に設けまして、4回ほどご議論をいただいた上、い まその結果に基づいて最終的に省令告示を公布する作業を進めています。  この情報提供の推進に関してはもう1点、医療に関する広告規制の見直し を法改正の中で行っています。これについても医療に関する広告、これまで かなり個別的に限定をかけた形になっていたわけですが、包括規定方式とい うことで、かなり広告できる範囲を広げるということで、その範囲について も今月中に最終的に省令告示の形で明らかにしていくことにしているところ です。  2点目の「医療計画制度の見直し等を通じた医療機能の分化・連携の推進」 です。医療計画については、これまでの制度を大きく見直し、脳卒中、がん、 小児救急医療等の事業別に具体的な医療連携体制を、しっかり医療計画の中 で形作っていただくことにしているところで、制度の改正自体はこの4月か らですが、20年4月からは各都道府県において新たに作っていただく医療計 画に基づいて、しっかりとした機能連携を図っていただくということで考え ています。  3点目の「地域や診療科による医師不足問題への対応」です。医師不足問 題、非常に喫緊の課題ということで、さまざまな取組を進めていますが、法 律上の問題としましては、各都道府県で設置いただいていました「医療対策 協議会」を、法律上の制度として位置づけて、これまでにも増してその機能・ 役割を重視していくことにしているところです。参考資料としても付けてい ますが、医師確保対策関連の予算についても、来年度は、本年度の予算に比 べてかなり大幅な拡充措置を図っているところでして、今後、地域の実情を 踏まえて、きめ細かく対応をしていきたいということで考えています。  2頁目ですが、4つ目の柱が「医療安全の確保」の点です。これについて も各都道府県等で設置している医療安全支援センターを法律上の制度として 位置づけるということ。あるいは医療安全確保の体制確保の義務付け等を、 ベッドを持っていない診療所にも拡大する等の措置を講じています。併せま して、行政処分を受けた医師・歯科医師等に対する再教育の義務化等々の改 正を行ったところです。  いまの点とも絡みますが、5番目の柱としての「医療従事者の資質の向上」 です。再教育の義務化の話に加えて、看護師・助産師等については、現行の 業務独占規定に加えて、名称独占規定を設ける等の改正を行ったところです。 医療法人に関連しても大きな改革を行っていまして、医業経営の透明性、効 率性の向上を目指すということで、財務諸表等の公表の仕組みを整備すると いうことを行っています。  併せまして、公立病院等がこれまで主として担ってきていたような社会的 な事業、例えば、へき地医療、小児救急医療等ですが、こうした医療を担っ ていただく医療法人の新たな類型として、「社会医療法人」制度を創設する ことを行ったところでして、この制度についても来年度から動き出します。  7点目の「その他」のところの2つ目の○に書いてありますが、有床診療 所に対する規制の見直し、その他、所要の改正がございます。有床診療所に ついては、これまでいわゆる48時間規制がありましたが、こうした規制を撤 廃するとともに、併せて医療計画上も在宅医療や産科など、地域において必 要とされる医療を担っていただく有床診療所については、病床過剰地域にお いても設置できるような措置も講じたということです。  次の頁以降については、いま申し上げたようなことを、それぞれの項目に ついて詳しめの資料を付けていますので、後ほどご覧いただければと思いま す。  12頁です。いま申し上げたようなことで作業なり、準備を進めていて、大 半の部分については、今年の4月から施行になるものです。現在パブリック コメントに付せさせていただいている事項も多々ございます。今月中には省 令告示を公布して、4月からの円滑な施行に向けて更に最後の詰めの作業を していきたいと考えています。私からは以上です。 ○部会長 本日は部会に新しいメンバーにお加わりいただいていますので、 ただいまの報告に関して、もしご質問、ご意見等があればお願いいたします。 何かございますか。 ○山崎参考人 いまの資料の8頁に、「医療従事者の資質の向上」というと ころで、改正内容に「戒告」等業務停止を伴わない新たな行政処分の類型と 書いてあるのですが、具体的にこれはどういうことか。最近、非常に救急と か、特に産科の医療現場で、一方的な司法の介入があって、医者が被疑者扱 いされるという事件が多発しているのです。そういう場合は刑事処分がきち んと決まってからそうなるのですか。福島の大野病院とか、神奈川の堀病院 とか、調査が入りましたよね。入った段階でこういうふうになるのか、ある いは刑事処分がきちんとしてからの処分なのでしょうか。 ○医事課長 通常この行政処分は、刑事罰が確定してから処分をするのがほ とんどですが、中には民事裁判が起こっている、それだけで処分される場合 もあります。ただし、これは刑事処分を受けたら自動的に処分するというこ とではなくて、それについて医道審議会でその内容について、十分審議して、 その中身に応じて処分をするという手続になっています。 ○熊坂委員 1頁の3番ですが、医師不足問題に対しての考え方をお聞きし たいのです。全国市長会においては、医師不足が非常に問題になっていまし て、地域医療崩壊の危機ということで、医師確保に各首長が奔走している状 況なのですが、この医師不足については、日本医師会も経済力に見合った医 師数の確保ということで、1月に方針を発表されたようですが、国、厚生労 働省におきましては、確かに昨年の8月に新医師総合確保対策が出されまし て、11の医大に定員増ということになりました。いまの医師不足問題のこの 対応では自治体はこれから、5年、10年同じような状況でいくのかなと、大 変暗い気持になっているわけですが、国として絶対的な医師不足と、あくま でも地域格差、地域の偏りとか、各科の偏りとか、臨床研修制度とか言って いますが、その絶対的な医師不足という考え方というのはないのかというこ とです。よく市長さんと話すたびにそのようなことが話題になるのですが、 これに対しての考え方をお聞きしたいと思います。 ○部会長 これはどなたがお答えいただけますか。 ○医事課長 これは毎年、医師数は3,500〜4,000増えているわけです。あと は需給検討会では、今後それは均衡から過剰に向かうということが言われて いるのですが、そこで足りるか足りないかという議論よりも、いま偏在があ るというのは事実でして、それについて解消する方法などについて、いろい ろな対策を講じて、これについてはその県とも協力をしながら進めていかな ければならないと言っているわけです。そこで足りるか足りないかというこ とよりも、その偏在を解消するための、あらゆる取組を進めていくことのほ うが重要だと考えているわけです。 ○村上委員 いまのお二人の質問に関連するのですが、医師不足のところで すが、医師不足というのは、いま病院医療が崩壊しかかっている。その場合 に先ほど医事課長がお答えになった刑事処分が決まってから行政処分をやっ ているということなのですが、最近の処分を見ていますと、かなり重いので す。医療事故を起こして簡易裁判で罰金刑30万ぐらいでも、6カ月とか1年 の医業停止とか、そういうことにおいて勤務医が非常に萎縮していろいろな ことができなくなっているという状況を判断の上で、最近特に重くなったの ですが、そういうことを配慮なさったのでしょうかということです。 ○部会長 お答えできますか。 ○医事課長 最近、重くなったかどうかというのは、結果をそれぞれご覧い ただくしかないのですが、先ほど申しましたように、医療事故に関わる処分 については、もちろん裁判の情報も得ますし、本人から、あるいはその関係 者からの情報も得る場合もありますが、いろいろな情報を集めて、それを医 道審議会で丁寧に議論をして、その上でどういった処分が妥当かということ を議論しています。ですから、軽くするとかいうことではなくて、その実態 を丁寧に審議した上で処分している、というふうにご理解いただきたいと思 います。 ○古橋委員 違う角度からの質問ですが、今回の医療法改正等については、 大変大きな改革で、従来のところから脱皮も始まるのだという期待感もある のですが、今回の改正の中では、都道府県の医療行政の主体性とか、気運、 意欲、取組ということが、非常に重要だという気がしているのです。そうい う点では私は以前、都道府県の職員でしたときに、県の医療行政官はどうし ても、霞が関の方を向いて従われるというような感覚もなきにしもあらずで したし、医療のリーダーでいらした医師会の意向に対しても、かなり配慮と 神経を使っていたということを記憶で思い起こします。  そういう点では、都道府県の主体的な医療行政の新しい方向に対しての力 量という言い方は変ですが、そういうことに対する準備状況とかは、どのよ うなところにあるのかという気がしています。都道府県はいまどのような体 制、新しい医療計画もあります、医療情報もあります、そのようなところを お伺いしたいのです。  もう1点は、医療情報提供に対して、在り方検討会で大筋の内容もお固め になりまして、パブリックコメントにかけられましたが、それに対するパプ リックコメントの反応はどのような内容であったのかを教えていただけるの か、その辺りをお伺いたいと思います。 ○指導課長 都道府県の医療行政全般、特に今回の医療法改正の後に、どう いう準備状況であるかというご質問でした。私どもも常に都道府県の方向を 向いてばかりやっているわけでもないのですが、例えば産科とか小児科の集 約に関する、再編化、重点化に関する動きのようなものについては、適宜、 法改正以来ウォッチしているというか、情報を集めて状況を伺っています。 これはアンケートの形で実施することもありますし、また、先般は担当課長 会議のようなものを開きましたので、そういう場を利用して、常にその動き についてはお伺いをしています。  医療計画の話が出ましたが、医療計画については、平成20年4月までには 作っていただくことにしていますので、いまこの時点で都道府県に今すぐ作 ってください、まだですかというほどまだ機が熟していないと承知していま す。先ほどパブリックコメントの話が出ましたが、基本方針については、今 月中に出して、考え方を示して、更に平成19年度の早い段階で医療計画の作 成のための指針になるような、いわゆるガイドラインのようなものを出して、 それを見ていただいた上で、県で作り始めていただくという感じになるので はないかと思います。 ○企画官 いまのご質問の2点目の医療機能情報提供制度の関係ですが、検 討会でおおむねの内容を固めていただいた後、パブリックコメントに付させ ていただいた状況になっています。現在はその結果を踏まえて、最終的に決 定をして省令告示を出すまでの過程にあるわけです。パブリックコメントを いただいたご意見、当然賛否両論という形ではありますが、基本的に医療の 情報提供を進めていくことには賛成というお立場の方からのご意見のほうが 多かったと認識をしています。  個々の項目については、こうした項目は要らないのではないかというご意 見もあれば、もっとこうした項目が必要なのではないかということも当然、 両面ありました。最終的にいま調整をしている段階です。 ○部会長 堤委員で終わりにしたいと思います。 ○堤委員 医療計画について教えていただきたいのです。基本的に5年のロ ーリングだというふうに伺っているのですが、5年でいわゆるPDCAとい いますか、プラン・ドゥ・チェック・アクションは、かなりサイクルが長い なという感じがしています。企業でも中期計画を立てますが、毎年ローリン グするわけです。そのPDCAへの回し方は、政策目標なりその達成目標は 5年であるけれども、それは例えば予算は毎年度付くわけですし、法改正も やられるわけですから、その大きな5年の計画とともに、毎年のローリング があると考えてよろしいのでしょうか。 ○指導課長 結論から言うと、そのように考えていいと思います。ただし、 これまでは、どちらかというと、総病床数を基準病床という名前で、病床数 の管理という側面が非常に強かったので、これをあまり頻繁に変える意味が あるのかどうかということで、5年ぐらいにしていました。先ほど中村から お話もしましたように、4疾病5事業、がん、脳卒中だとか、そうした重要 な疾患についても計画を立ててくださいとしていますから、こういう新たな 部分が付け加わったとすると、これまでもあったと言えばあったのですが、 より具体的になりましたので、いまご指摘のあったように、適宜見直しをし ていただくことは必要になってくるのだろうと思います。 ○部会長 まだご発言がおありかもしれませんが、ほぼ予定の6時近くにな りましたので、本日はこれで終わらせていただきたいと思います。事務局か ら今後の本部会の在り方についてお願いいたします。 ○企画官 今後の本部会の開催時期についてですが、後期高齢者医療の在り 方に関する特別部会のご議論の状況を踏まえつつ判断をさせていただきたい と思っています。改めてご連絡を差し上げる形にさせていただきたいと思っ ています。先ほど部会長よりお話いただきましたとおり、本日いただきまし たご意見につきましては、事務局において整理をした上で、部会長と相談さ せていただき、最終的には後期高齢者医療の在り方に関する特別部会に提出 させていただきたいと思っています。  もしご意見があれば事務局にお寄せいただくようにという部会長のご指示 もありました。特別部会に提出する資料を準備する事情もありますので、で きましたら来週の水曜日、3月14日までに事務局にご意見等をお寄せくださ い。 ○部会長 本日はどうもありがとうございました。  照会先 医政局総務課 高島 柳田 連絡先:03−5253−1111(内線2519)