07/03/09 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 平成19年3月9日議事録 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所   平成19年3月 9日(金) 10:00〜   東海大学校友会館「望星の間」 2.出席委員(17名)五十音順    飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、○大 石 了 三、 大 平 勝 美、    岡 田 義 昭、 川 西   徹、 白 幡   聡、 高 松 純 樹、    中 村 雅 美、 花 井 十 伍、 平 澤 博 之、 比 留 間  潔、    幕 内 雅 敏、 三 谷 絹 子、 三 村 優美子、 山 口 一 成、    吉 澤 浩 司    (注) ◎部会長  ○部会長代理  他 参考人4名   欠席委員(5名)五十音順    朝 倉 正 博、 小 幡 純 子、 高 橋 孝 喜、 宮 崎 久 義、    宮 村 達 男 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)   関   英 一(血液対策課長)、   植 村 展 生(血液対策企画官)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○血液対策課長 それでは定刻となりましたので、ただ今から平成18年度第2回血液事 業部会を開催いたします。この会議は公開で行うこととなっておりますので、よろしく お願いいたします。  本日は、朝倉委員、小幡委員、高橋委員、宮崎委員、宮村委員から欠席との連絡をい ただいております。高松委員と花井委員は遅れてまいられます。現在、委員22名のうち 15名の出席をいただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げま す。  去る1月24日に薬事・食品衛生審議会の委員の改選がありました。これに伴い、総会 において各部会長の選出が行われ、本血液事業部会においては、引き続き、池田康夫先 生に部会長をお願いすることとなりましたので、御報告申し上げます。  それから、血液事業部会の委員に異動がありましたので、御報告させていただきます。 東北薬科大学臨床薬剤学教授の水柿直道先生、医療法人西城病院理事の清水勝先生、慶 應義塾大学大学院経営管理研究科教授の田中滋先生が退任されまして、九州大学医学部 附属病院薬剤部長の大石了三先生、名古屋大学医学部附属病院輸血部教授の高松純樹先 生、青山学院大学経営学部教授の三村優美子先生に新たに御就任いただいております。  また、本日の会議には、参考人として、日本赤十字社血液事業本部より、田所憲治先 生、沼田芳彰先生、中西英夫先生、豊田九朗先生、当部会の需給調査会の座長でありま す、血液製剤調査機構専務理事の高野正義先生にお越しいただいておりますので、よろ しくお願い申し上げます。  以後の進行につきましては、池田部会長にお願い申し上げます。 ○池田部会長 先生方には、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうござ います。ただ今課長から御紹介がありましたが、引き続きこの部会長を担当させていた だきます。先生方にはよろしく御協力のほどお願い申し上げます。  まず、先ほど事務局から報告がありましたが、委員の改選により、これまで部会長代 理を務めてくださいました水柿氏が退任されました。薬事・食品衛生審議会令第7条第 5項の規定により、部会長代理は部会長が指名することになっております。新たに就任 されました大石先生にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうござ います。それでは、大石先生には部会長代理席の方にお願いいたします。  それでは、議題1「平成19年度の献血の推進に関する計画(案)について」の御審議を お願いいたします。これは、血液法の規定により、計画の策定に当たっては、厚生労働 大臣の諮問を受けて、当部会で審議し、答申することとされております。  委員の皆様には、昨年12月に部会を開かせていただき、「平成19年度の献血の推進 に関する計画(案)」について非常に御熱心な討論をしていただきました。その後パブリ ックコメントの募集が行われて、意見が提出されております。これらを参考にして、事 務局で修正案が用意され、本日、改めて、この場で先生方の御意見を伺い、部会として の意見をまとめて、答申案としたいということです。  最初に、事務局からこの案について説明をお願いいたします。 ○事務局 議題1「平成19年度の献血の推進に関する計画(案)について」御説明いたし ます。資料1を御覧ください。1ページが諮問書です。献血の推進に関する計画につい ては、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律、いわゆる血液法の規定により、 厚生労働大臣が毎年度、翌年度の計画を定めるものとされておりますが、本計画を定め ようとするときにはあらかじめ薬事・食品衛生審議会の意見を聴くものとされておりま す。  これまで、献血の推進に関する計画については、血液事業部会での議論が3月という こともあり、都道府県の献血推進計画の策定にも影響を与えていたことから、12月に当 部会を開催し、都道府県の献血推進計画の策定、日赤支部と血液センターの次年度の献 血の受入計画の策定に役立てられるよう、平成19年度の献血に関する計画の事務局案を お示ししたところです。  本計画案については、平成19年1月22日〜平成19年2月20日の間、厚生労働省の ホームページに掲載し、広く一般の方々から意見の募集を行いました。その結果、7件 の意見をいただきました。お寄せいただきました意見とそれらに対する当省の考え方に ついて、御報告させていただきます。  9ページの意見1は、「全血及び成分献血の年間回数制限を廃止していただきたい」 とのことです。  この意見に対する考え方ですが、400mL全血献血や成分献血に係る採血基準は、ヘモ グロビン値の回復等、採血により身体に生じる影響を考慮して定められたものです。現 行採血基準の設定当時と比べ、献血に来られる方の体重等が変わってきていることから、 平成18年度より、年間献血回数を含めた採血基準の在り方について研究が行われており ます。  10ページの意見2は、「国及び都道府県、採血事業者は、献血が社会にいかに貢献し ているかを献血者に伝え、重要性を意識付けて反復的かつ善意に基づく献血につなげる ため、血液製剤を使用した患者や家族の意見を収集し、まとめた内容を盛り込んだ印刷 物を作成するなどして、献血者や今後献血が見込まれる人々に配布する」との意見です。  この意見については、献血をしていただく国民の方々に、献血の重要性、意義を理解 していただく観点から、今後の献血推進の取組を検討する際の参考とさせていただきた いと思います。  11ページの意見3は、「献血の普及啓発のために、教育によって献血に関する知識の 普及を図る必要がある。また、その際には「献血血液の利用実態」「副作用による健康 被害の可能性」「感染症に関する知識」などについても正しく教える必要がある」との 意見です。  厚生労働省では、献血についての正しい知識の普及啓発を図るために、高校生を対象 とした資材を作成しております。全国の高校に配布するとともに、厚生労働省のホーム ページで公表しております。また、その資材の中で、意見のありました「献血血液の利 用実態」「副作用による健康被害の可能性」「感染症に関する知識」についても記載し ております。今後とも、いただいた意見を参考とさせていただき、こうした情報の充実 の検討に努めていきたいと考えております。  12ページの意見4と意見5です。意見4として、「献血体験の促進に関しては、高校 で行われている集団献血では、それを受け止める生徒の側に強制力が働くことから、高 校生の集団献血は廃止すべきである」、意見5として、「企業や学校における集団献血 は、内部の人間関係において、強制力が働くおそれがあり、そのことからHIV感染の 心配がありながらも、集団内の人間関係から断れずに献血してしまう場合があるかもし れない。人権に配慮され、自由な意志が尊重される環境を整えるとともに、誤って献血 してしまった場合の連絡方法についても、周知徹底していただきたい」との意見です。  意見4、意見5に対する考え方ですが、厚生労働省では、「献血」を「自発的な無償 供血」としております。学校において献血の受入れを行う場合であっても、企業におい て献血の受入れを行う場合であっても、また献血場所がどこであっても、この考え方に 変更はありません。国民の献血への協力は、あくまで自発的にするべきものであり、献 血の強制があってはならないと考えております。  また、日本赤十字社では献血に御協力いただいた方に対し「輸血を受けられる患者さ んのために」という印刷物を配布しております。不特定多数の異性と性的接触をもった 方、男性の方で男性と性的接触をもった方、エイズ検査で陽性と言われた方、麻薬・覚 せい剤を注射した方、さらには今申し上げた内容に該当する方と性的接触をもった方に は、血液センターへ連絡をいただくようお願いしているところです。  13ページの意見6は、「献血は、本来、個人の自発的な行動なので、血液検査結果の 健康管理への活用をやめるべきである。過剰なサービスは、サービスを受けることを目 的とした献血を増やすこととなり、結果的に安全性確保に問題が生じるのではないだろ うか」との意見です。  この意見に対する考え方ですが、献血者に対する血液検査のサービスは、献血者本人 の健康管理に資するだけではなく、健康な献血者の確保のためにも重要な施策であると 考えております。なお、献血は善意に基づく道徳的行為であって、感染症検査サービス を受けることではないということです。献血される方々には、輸血を受ける患者の安全 のため、感染した可能性があるときは献血をしないという、安全で責任のある献血とい う基本的な考え方が重要です。御指摘の検査目的の献血者は、本来の善意の献血を目的 としているのではなく、血液製剤を介して、輸血を受ける患者に病気を移す可能性のあ る感染症の検査を目的として献血に訪れる人のことです。そのようなことがないよう、 検査目的の献血の危険性や、そのような行為が倫理的に許されるようなものではないこ とを周知したり、問診時、採血後に検査目的献血者に対する呼び掛けを行ったりするこ とにより、献血血液の安全性の確保に努めてまいる所存です。  14ページの意見7は、「現在の高校生の健康状況について調査を行い、実態に応じた 安全な採血基準の設定を求めるとともに、現行の採血基準については、年齢の引下げを 行い、400mL献血の採血年齢の引下げを行わないよう求める」との意見です。  この意見に対しての考え方ですが、現在、厚生労働省では、様々な観点から科学的根 拠に基づく採血基準の見直しを行っています。献血者の健康保護と輸血を受ける方の安 全性確保等の観点から、採血基準の見直しを実施しており、その結果を踏まえて今後の 検討を行う予定です。近年若年層に多いと言われる睡眠不足、体調不良などについては、 採血前に医師による問診を行っており、そのような方からは、採血を行わないよう留意 し、採血による健康被害が発生しないように努めております。なお、献血後、希望され る方には、血液検査の結果をお知らせしております。その結果を日ごろからの正しい生 活習慣、健康管理のために御活用いただきたいと考えております。  以上、お寄せいただきました御意見とそれに対する当省の考え方について、御報告さ せていただきました。これらの意見等を踏まえて、事務局において平成19年度の献血の 推進に関する計画(案)を作成しております。2ページ〜8ページです。献血推進計画の 構成は、第1節「平成19年度に献血により確保すべき血液の目標量」、第2節「前節の 目標量を確保するために必要な措置に関する事項」、第3節「その他献血の推進に関す る重要事項」です。  昨年12月の血液事業部会にお示しした事務局案と、今回の案との違いですが、主な変 更点は、一点目として、第2節「前節の目標量を確保するために必要な措置に関する事 項」の中で、「国民各層」との表現がありましたが、「各層」を取って「国民」とした ことです。具体的には4ページの第2節の1番、「献血に関する普及啓発活動の実施」 の上から3行目、「広く国民に対し」というところです。もう1か所は6ページの(2)「献 血運動推進全国大会の開催等」の上から2行目、「広く国民に献血に関する理解と」の ところです。  二点目は、前回の事務局案で第3節「その他献血の推進に関する重要事項」としてい た「献血者が安心して献血できる環境の整備」を、7ページの第2節「前節の目標量を 確保するために必要な措置に関する事項」の2番としております。以上が、昨年12月の 血液事業部会にお示しした事務局案との主な変更です。 ○池田部会長 ありがとうございました。昨年12月に先生方に御議論いただきまして、 その後のパブリックコメントでは非常に重要な問題も幾つか指摘されてきております。 その意見の考え方等も、先生方のお手元にあると思います。この部会でもこれまで議論 されてきたことがかなり入っていると思います。献血の普及の問題、高校生の学校での 集団献血の問題、あるいは検査の利用等、部会でもいろいろ御議論いただいたところか と思います。  訂正されたところは、前回ワーディングの問題で「国民各層」という言葉遣いは余り 適切ではないのではないかということがあり、「広く国民」あるいは「国は」という言 葉遣いに変えたのであろうと思います。ここで先生方から、この案について、パブリッ クコメントのことも踏まえて、御意見を伺いたいと思います。御質問、御意見等はござ いますでしょうか。 ○大平委員 パブリックコメントについてですが、意見1で、「過去の献血履歴が分か らず、献血の予定が立てにくくなった」という意見が出ています。この面では、現在新 しく作られた献血カードには3回ぐらいの履歴が印字されるということです。今はもう 少しカード自体のいろいろな機能が高まっていると思います。せっかく今作られている ところで、もう少し機能の高いものと言うといろいろ大変かもしれませんが、もう少し 情報が入るような形の献血カードを作っていただいて、そして、献血者が血液センター などへ行ったときに自分で献血の履歴などが調べられるようなカードを考えていただけ たら有り難いと思います。  もう一点は、献血の年齢の問題で、意見7のところです。体重の問題で、体重があり そうな方でも、体内の血液の循環量は体重とは余り比例しないという話も聞きますので、 その辺の研究はどのような進ちょく状況にあるのか、事務局で分かりましたら教えてく ださい。 ○池田部会長 二つ御意見が出ました。献血の普及のところで前回も御議論がありまし たように、健康な方が反復して献血してくださることが非常に大事だということもあり、 献血手帳がカード化されたということですが、これについて事務局あるいは赤十字の方 からコメントはありますか。 ○田所参考人 献血カードについては、確かに3回しか過去の献血履歴は表面上表記さ れていないわけです。代わりに、何を献血したいときには次はいつ献血できるかという ことは明示してあります。200mLはいつ、400mLはいつということは書いてあります。こ こでおっしゃっている、予定が立てられないという意味では、より予定が立てやすくな っていると思います。確かにここでは見えないわけですが、3回分は書いてあるので、 記録していただくために用紙をお配りし、記録をしやすくしていただくような工夫はセ ンターでもしているところです。  それから、VVRが、体重の多い人でも起きるのではないかということですが、確か に、脂肪ばかりだと言われれば、循環血液量は少ない場合があるわけです。しかし、ど のぐらいの血液を採るべきか、200mL、400mLという定まったもの以外については、体重 だけではなくて、今、血液センターでは、身長、体重から循環血液量を算定して評価を 行っております。標準的なものから大きく外れた方はどうするかと言われると難しいで すが、循環血液量を基礎として判断しているということです。 ○池田部会長 ほかに御質問、コメントはありますでしょうか。パブリックコメントに 対しての考え方等についても御意見を伺えればと思います。前回も、献血普及のために、 中村委員から、地域のコントリビューションというか、住民に密着した献血の普及の話 題等も出ていたように記憶しておりますが、何か御意見はございますか。  前回かなり御議論いただきましたし、特に献血量の問題等は随分御意見をいただきま した。訂正したところにも余り問題はないと思いますが、いかがでしょうか。特に御意 見がないということであれば、今後、「平成19年度献血推進計画」を告示するに当たり、 厚生労働省で、法令的な観点から形式的な修正がありました場合には、部会長に一任し ていただくということでよろしいでしょうか。その点だけの修正になるということで、 基本的にはこの推進計画については部会で認めていただいたと理解してよろしいです か。それでは、そのようにさせていただきます。  次に、議題2「平成19年度の献血の受入れに関する計画(案)の認可について」です。 これは、血液法の規定により、厚生労働大臣の認可を受けなければならないことになっ ており、これに当たっては、審議会に諮問することとされているわけです。  この計画は、採血事業者である日本赤十字社から提出されたものでありますので、こ の場で委員の皆様の意見を伺い、部会としての意見をまとめて、答申したいと思ってお ります。  それでは、日本赤十字社から説明をお願いいたします。 ○沼田参考人 日本赤十字社血液事業本部の沼田です。どうぞよろしくお願いいたしま す。委員の先生方には、日ごろより血液事業の推進、運営につきまして御指導と御協力 を賜り、この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。  平成19年度献血受入計画について御説明させていただく前に、昨年度の本部会におけ る委員の先生方の御意見、御指摘を踏まえ、参考資料として今年度4〜12月の実施結果 を提出しております。お手元の「平成18年度献血受入計画(平成18年度4〜12月)にお ける取組状況と平成19年度献血受入計画の策定について」を御覧いただきながら、平成 18年度献血受入計画における現在までの進ちょく状況の概要について御報告させてい ただきます。  これは、平成19年3月9日という日付が入っております。初めに、血液確保量と血液 使用量との分析結果を御報告いたします。別紙1-1、各都道府県別血液確保量等一覧(平 成18年4〜12月)を御覧ください。表の一番下の左側になりますが、各血液センターの 受入計画量Aの4〜12月の累計は146.8万Lであり、献血量Bは139.6万Lで、達成率 は95.1%でした。献血量が受入計画量を下回っていますが、これは、各血液センターが 受入計画を基本としながらも、医療機関からの受注状況と血液製剤在庫状況を勘案し、 それぞれの地域において需要に応じた採血を行った結果であり、全国的には安定供給が 確保されております。  また、血液量139.6万Lに対し、輸血用血液使用量である供給量と、原料血漿送付量 の合計使用量Cは135.5万Lとなっています。使用量に対する献血量は103.1%で、献 血量に対して3.0%に相当する4.2万Lが未使用量となっております。右側にある未使 用量の欄を見ますと、一部にマイナス表示されている血液センターがあります。これは、 前年度からの血漿製剤貯留保管による繰越在庫があったことがその理由です。  本文に戻っていただいて、3、血液製剤の安定供給等に係る取組について御説明いた します。2ページですが、(1)血液事業本部の取組としては、本部に、献血者確保や血 液製剤の供給等について検討する「血液事業推進委員会」を設置し、この委員会の下に 「安定供給促進小委員会」(原則毎週金曜日開催)を設置し、全国の輸血用血液製剤の需 給状況と原料血漿の確保状況を把握するとともに、輸血用血液製剤の安定供給を確保す るための対応策の検討を行い、各血液センターへの指示などを行っております。  一方、各血液センターにおきましては、「需給計画委員会」を原則として毎週開催し、 採血・製造・供給の予測に基づく在庫シミュレーションを行い、各種輸血用血液製剤の 需給計画を検討しております。  次に、別紙2-1〜4について御説明いたします。別紙2-1は、3月6日(火)午前6時 の全国血液センターの血液型別赤血球製剤の在庫状況です。右下の全国血液型別を見ま すと、各血液型とも130%以上の安定した在庫量を確保していることが分かります。例 年春先の今時分が一番安定した在庫状況であり、これから学生の卒業式、学校の春休み、 企業の年度末、人事異動等のため、学校献血、企業献血が一時的に極端に減少すること から、3月後半〜4月初旬に掛けて在庫状況が厳しくなる傾向があります。  別紙2-2は、基幹センターブロックごとの在庫状況です。各ブロック共に安定した在 庫を保有しております。  別紙2-3は、2月1日からの全国在庫状況の推移です。このように、血液事業本部に おいては、毎日午前6時現在の全国血液センターの赤血球製剤の在庫を確認し、注意報 水準・警報水準に陥らないよう常に全国の需給状況を確認するとともに、赤血球製剤の 在庫状況を厚生労働省へ報告しております。また、各血液センターにおいても各都道府 県へ同様に情報を毎日提供しております。こういう需給予測を行い、血液不足が見込ま れる血液センターについては、管理職を血液事業本部に呼んで、今後の採血計画の見直 しや献血受入時間の延長、臨時配車の体制などの具体的な対策を講じるよう直接指示し ております。  別紙3は、平成15年度〜平成19年度の供給実績と今後の供給見込みです。  別紙4は、平成17年度、平成18年度の在庫量のグラフです。御覧のとおり、平成18 年度においては、全国の適正在庫、これは1日の平均使用量の3日分相当ですが、61,450 単位を下回ったことは現在のところありません。  以上御説明しましたように、献血受入計画を数字の上では達成できておりませんが、 献血受入計画をベースとしながら、血液需要に応じた需給管理を行い、安定供給が現在 図られているところです。  本文の3ページに戻っていただいて、5、平成18年度献血受入計画の進ちょく状況に ついて御報告いたします。血液事業本部から各血液センターに示した重点項目は、国の 献血推進計画と連携した(1)若年層を対象とした対策、(2)企業における献血の推進対 策、(3)複数回献血者確保対策、(4)目標量を確保するための全般的な対策の四点です。  (1)若年層を対象とした対策として、小中高生を対象にした血液センター等の見学受 入れです。これは、夏休みなどの時期に、体験学習を通じて献血に触れ合う機会を設け、 献血への理解を深めてもらおうとするものです。大学生等を中心とした若年層には、献 血への理解促進を図るために、内容的に少し高度な血液事業の紹介等、セミナーの開催 に取り組んでおります。これらの事業の本年度上半期における各血液センターの取組状 況は、それぞれの事業において、およそ150回で1万人、60回で5,200人の参加が得ら れております。  (2)企業における献血の推進対策として、新規協力企業の開拓、特に、献血バスの派 遣までには及ばない、協力人数が少ない企業を中心に、献血ルームや移動献血会場への 協力企業の開拓に取り組むこととしております。これらについては、平成17年度にはお よそ24,000企業の献血協力をいただきましたが、これを今後5年間で倍増しようとする ものであり、血液センターでは本年度上半期で既に22,000企業の献血協力が得られてい るところです。  (3)複数回献血者確保対策については、「複数回献血クラブ」会員の募集を増強して おります。「複数回献血クラブ」会員への献血依頼及び理解促進のための情報提供の実 施を行っております。これらについては、各血液センターに「複数回献血クラブ」を設 置し、平成18年11月末現在で55,000人の登録者を確保し、情報提供や献血依頼を行っ ており、本年度に延べ75,000人にEメールを使って献血を依頼し、応諾率は23%の実 績を上げております。なお、平成17年度の全国の複数回献血の状況については、実献血 者330万人のところ、2回以上献血に協力された方は92万人であり、今後、平成18年 度における統計と比較し、成果を検証してまいります。  (4)目標量を確保するための全般的な対策としては、大きな意味で、広報活動への取 組や、各種キャンペーンの実施が挙げられます。血液事業本部が主体的に行う全国統一 キャンペーンとしては、「愛の血液助け合い運動」「クリスマス献血キャンペーン」「は たちの献血」を全国各地で展開しました。現在実施している「春の献血キャンペーン」 については、3月2日に渋谷でオープニングイベントを実施いたしました。  このほか、資料にはありませんが、今年度は、国の御支援もいただきまして、初めて 全国的な「いのちの献血俳句コンテスト」を実施いたしました。昨年11月から本年1月 に掛けて俳句の作品を募集し、小中高生を中心に約30万作品、小中高で27万作品の応 募がありました。去る2月25日に受賞式を行い、厚生労働大臣賞を始めとした各賞を 15名の方々に手渡したところです。以上が、平成18年度献血受入計画における、献血 者確保のための取組状況です。  資料2の平成19年度献血受入計画について御説明いたします。平成19年度献血受入 計画については、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」の第11条と同施 行規則第4条の規定に基づき作成いたしました。また、国が作成した献血推進計画と記 載内容の連携を図ることに留意して作成いたしました。なお、この献血受入計画は、法 律にもありますように、あらかじめ各血液センターが都道府県の意見を聞き、それを集 約したものです。また、これから御説明いたします献血受入計画の核となるものは、血 液事業本部から各血液センターへ指示し、それをもって各都道府県と協議されているも のです。  3ページの「平成19年度献血受入計画について」を御覧ください。この度は、血液法 第11条と施行規則第4条の規定並びに前回の献血受入計画の審議における委員の先生 方の御意見を踏まえ、1.当該年度に献血により受け入れる血液の目標量、2.前項の目 標量を確保するために必要な措置に関する事項、3.その他献血の受入れに関する重要事 項についてを整理し、申請いたしました。  1.当該年度に献血により受け入れる血液の目標量については、各都道府県における過 去3年間の輸血用血液製剤の需要動向と原料血漿の必要量から安定供給を確保するため に、来年度は全血献血で約130万L、血小板成分献血で約30万L、血漿成分献血で約 32万Lの合計約193万Lを確保することとしております。なお、都道府県別の目標量に ついては、別紙1にお示ししたとおりです。この目標量については、作成過程において、 献血推進計画における目標量と一致するように作成しております。  これらを献血者数に換算いたしますと、全血献血は200mL献血で63万人、400mL献血 で 294万人の合計357万人、血小板成分献血は76万人、血漿成分献血は72万人となり、 合計で505万人の受入れを予定しております。  2.前項の目標量を確保するために必要な措置に関する事項です。(1)献血受入体制で すが、別紙2-1は平成19年度の各採血種ごとの目標量及び稼働数です。各血液センター においては、献血の目標量を確保するために、献血種別にも配慮しながら、過去の献血 実績に基づき、施設別(献血ルーム、献血バス、出張採血)の月別、週別、日別の献血受 入体制を策定しており、これらをもって、都道府県と献血受入計画等を協議し、基礎と なる年間の献血バスの配車計画等を定めております。  表の一番下の合計に記載のとおり、血液センターの稼働日数は延べ9,734日、献血ル ームの稼働日数は延べ39,844日、移動採血車の稼働台数は延べ50,455台、オープン献 血が 1,782回であり、合計で101,815稼働と計画しております。  平成18年度の計画と比較してみますと、全体で1,566稼働が減少しております。その 内訳を見ますと、血液センターの稼働日数が350日減少、献血ルームの稼働日数が約 1,750日増加、移動採血車の稼働が約3,000台減少となっております。この理由は、平 成18年度の計画の献血者522万人から、平成19年度は505万人に減少していること、 この供給量の減少傾向に伴うもの、並びに効率的な受入れに努めた結果であると考えて おります。  別紙2-2は、平成19年4月1日現在の献血受入施設数等について、及び平成19年度 の献血受入施設整備予定についての資料です。平成19年4月1日現在の献血受入施設数 については、血液センターは全国で67施設ありますが、そのうち37血液センターで献 血を受け入れることとしております。また、献血ルームは全国で118か所、移動採血車 は302台あります。また、成分採血を行うための装置については1,925台保有しており ます。  平成19年度内の献血受入施設の整備については、御覧のとおり、受入体制としては大 きな変化はありませんが、この中で、献血ルームは、東京都の場合、立川と八王子の献 血ルームを統合し、規模を拡大し、立川に新たなルームを設置する計画です。また、鳥 取県における休廃止は、米子市の西部出張所の受入れを移動採血に振り替え、休止する ものです。  受入計画の本文に戻りまして、(2)献血者の利便性に配慮し、立地条件等を考慮した採 血所の設置、移動採血車による計画的採血等、効率的な採血を行うための献血受入体制 の整備及び充実を継続的に検討いたします。(3)献血者が安心して献血できる環境整備と して、平成18年10月から開始された献血者健康被害救済制度の適正な運用に努めてま いります。また、職員研修を実施し、献血者の処遇向上を図るとともに、アンケート調 査の実施等により献血者の要望を把握し、献血受入体制の充実に努めます。(4)献血者の 健康管理に資するため、献血者全員に7項目の生化学検査成績、400mL成分献血者には 血球計数検査成績を引き続きお知らせいたします。これら(2)〜(4)については、献血推進 計画に対応した記載内容とさせていただいております。  (2)献血者の確保対策です。少子高齢社会において、献血者の確保は重要な課題です。 国の献血構造改革に従って、需給の安定及び安全性の向上の観点から、若年層及び複数 回献血者の増加を中心として献血者の確保を図ります。そのために、国の献血推進計画 と連携した基本的な受入方策と各都道府県の献血推進計画と連携した地域事情に見合っ た受入方策により献血者の確保に努めます。また、健康な高年齢層の献血受入推進につ いても検討してまいります。なお、各都道府県血液センターにおける主な取組は、別紙 3のとおりです。  血液事業本部では、国の基本方針及び献血推進計画に呼応した献血者確保対策を基本 とし、献血者確保の基本的対策について、各血液センターへ献血受入計画の策定の通知 と同時に指示しております。以下(1)〜(4)がその基本的対策です。全体としては、先ほど 御報告いたしました、平成18年度の取組を継続しながら、国の献血推進計画に沿ったも のとしております。また、新たな検討課題として、先ほど申し上げました、高齢化社会 の中で、健康な高年齢層の献血者確保についても検討することとしております。  (1)若年層への献血に関する普及啓発、複数回献血の受入増加及び年間を通して安定し た血液確保のためのキャンペーンの実施や各種広報媒体を活用し、国、都道府県及び市 町村と連携して積極的な広報活動を展開いたします。このほか、インターネット等を活 用した情報提供及び情報収集を行う。国が作成した献血推進キャラクターを積極的に活 用する。  (2)献血推進団体や青少年ボランティア組織等との連携を構築し、献血者の確保及び将 来の献血に向けた普及啓発活動を行います。毎年12月に展開されるクリスマス献血キャ ンペーンは、学生献血ボランティアが実施主体となっていることから、これらの活動を 支援してまいります。  (3)企業との連携を深め、献血者の確保を図ります。献血協賛企業ロゴマークを活用す る。こういうロゴマークを厚生労働省で作成していただきましたので、このロゴマーク を使用し、様々な形で企業に協賛していただけるよう、活動してまいりたいと思ってお ります。  (4)複数回献血者の組織化を推進するとともに、献血者に対するサービスの実施内容に ついて検討を進め、複数回献血者の確保に資することといたします。特に、複数回献血 者に健康相談などのサービスの提供を検討し実施していきたいと考えております。  別紙3は、47都道府県センターの取組をまとめたものです。血液センターでは、血液 事業本部の指示による献血者確保対策を基本としながらも、都道府県と協議し、それぞ れの地域事情を反映した都道府県献血推進計画と連携した献血者確保の取組を計画して おります。  平成19年度の各血液センターにおける献血者の確保対策の具体的数値目標について は、最初に御説明した資料に、別紙5として、47都道府県血液センターを添付しており ます。平成19年度は、これらの血液事業本部が示した基本となる確保対策項目に、各血 液センター自らが数値目標を設定し、具体的取組の進ちょく状況を分析、評価すること としております。こうした血液センターの取組については、血液事業本部において、各 地の情報を収集し、全国会議等において各地の取組事例を紹介する機会を設けたり、ま た、各血液センター独自の取組を毎月報告させたりし、月間情報として印刷、製本して 配布する等、献血者確保のための新たな取組に関する情報の共有化を図っております。  3.その他献血の受入れに関する重要事項です。血液事業本部では、国の基本方針と献 血推進計画に基づき、日本赤十字社としてこれらの方針、計画に沿った献血の受入れに 関する重要事項について計画することとし、記載しております。  (1)血液製剤の安全性向上のための対策。国及び都道府県と連携し健康な献血者の確 保に努めます。平成18年10月に「献血カード」を導入し、献血者本人確認の利便性の 向上と適正な運用に努めました。引き続き、検査目的献血の防止のための「安全で責任 のある献血」の普及に努めます。さらに、問診業務の充実強化に努め、安全な献血の受 入れを図ります。これらについては、問診票の改訂を平成19年度に検討していくことと しております。  (2)まれな血液型の血液確保。まれな血液型の献血血液は、基幹センターにおいて在 庫状況を把握し、必要に応じ医療機関へ供給いたします。また、まれな血液型の献血者 には、登録を依頼するとともに必要に応じ献血を依頼いたします。  (3)血液製剤の在庫管理と不足時の対応。この対応については先ほど具体的に御説明 いたしましたので省略させていただきます。  (4)災害時等における危機管理。災害時における広域的な需給調整等の手順に基づき、 国、都道府県及び市町村と連携して需要に見合った献血確保及び円滑な血液供給に努め ます。血液事業本部では、血液事業危機管理ガイドラインを定め、血液センターに体制 整備を指導するとともに、本部内では、危機管理対応手順を定め、事故対応なども含め、 不測の事態に備えております。  (5)献血受入計画の分析と評価。献血の受入状況について、国、都道府県及び市町村 へ情報を提供いたします。また、その分析と評価を行い、次年度の献血受入計画の各種 施策の検討に資することといたします。  以上が平成19年度献血受入計画の概要です。今後とも、各都道府県や献血協力団体、 ボランティアの方々の理解と協力をいただき、我が国唯一の採血事業者としての責任を 持って、年間を通じた安定的な献血者の確保と安定供給に努めていく所存ですので、ど うぞよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今、日本赤十字社から、資料2「平成19 年度の献血の受入れに関する計画(案)の認可について」、そして血液事業本部から出さ れた「平成18年度献血受入計画(平成18年度4〜12月)における取組状況と平成19年 度献血受入計画の策定について」の御説明をいただきました。この部会でも、実際にど ういう取組をして、それがどのように実ってきたかということについても議論していか なければいけないというような委員の先生方の意見も多かったように記憶しておりま す。  平成19年度の献血受入計画の策定について、委員の先生方から御意見を伺いたいと思 います。 ○比留間委員 ここのところ安定供給が非常によくできていると医療機関でも実感して います。とりわけこの1月には全血製剤に保存前白血球除去を導入し、実際大変なこと も起きて、そういう過酷なことにもかかわらず安定供給がなされたことは、血液センタ ーの御努力のたまものであると敬意を表します。  これは、2年前にイギリスの渡航歴で献血者が減ったときの逼迫したことから考える と、本当にそれ以後非常に安定供給がうまくいっていると感心します。その原因は、今 御説明があった、安定供給促進推進委員会など、リアルタイムに安定確保量を決め、そ れを監視して確保するという努力のたまものであろうと私は分析します。  一方、今年はとりわけスギ花粉症が少ないとか、インフルエンザのアウトブレイクが 少し弱まっているといった外的要因もあるのですが、その辺について日本赤十字社とし てはどのように分析しているのでしょうか。 ○沼田参考人 保存前白血球除去についてですが、バッグの一部に除去フィルターの不 具合が発生し、400mL献血で7,000人の血液を出すことができなくなりました。これは、 全国で1日に約14,000人から献血をいただいていますので、全国の半分の血液が瞬時に 使えなくなったという状況です。これに対応するため、全国の血液センターでは、増車 や時間延長など、もろもろの施策を行い、3日間ぐらいで回復することができました。 これは、献血者の方々の御協力と、また血液センターの努力であると思っております。  今年度はどうしてこれほど安定しているかということですが、暖かいということが一 番の原因ではないかと思っております。また、昨年度は5月、6月に非常にたくさんの 数の献血者に来ていただきましたが、今年度はそういう厚みといいますか、たくさん来 る、来ないということをなくすように血液センターで努力した結果もあるかと思います。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○花井委員 献血受入計画について、各センターの取組内容を全体化し、より分析して ということを毎年言っていたのですが、今回は全体として各取組の効果等も分析されて、 受入計画の具体的取組についての事業本部の機能がかなり充実してきたという感じがし ます。  しかしながら、今回の受入計画の、4ページの基本的受入方策と具体的取組が、事業 本部が各センターにこういうことをと、具体的事例を挙げながら(1)〜(4)までを出してい ると思うのですが、この内容についても、統計や、厚生労働省の研究班、また日赤内の 研究等で、こういう効果というのはなかなか定量化しにくいのですけれども、より高い 分析をして、次年度の献血受入計画までには、この具体的取組の中身の部分の充実を図 っていただけたらと思います。  もう一つは質問です。全体の取組の平成19年度の計画を見ると、計画なのですからあ れもこれもやろうという計画をしてもいいと思うのですが、計画が少ないところも見受 けられます。例えば、県によってセンターのマンパワーに凸凹があると思うのです。そ ういう所は合同してやるというような取組はあるのですか。九州などでは結構凸凹があ るように見えるのです。佐賀県の企業の受入れは、本部が出した中で、最初にロゴマー クを活用するとだけ書いてあります。マンパワーの凸凹によって、自治体を超えてそう いうことをやるということがあり得るのかどうか。 ○沼田参考人 全国的なキャンペーンについては本社が行う、各都道府県のキャンペー ンについては各都道府県のセンターが主体になって行うということがありますが、御意 見のように、各都道府県の血液センターにおいては、一生懸命やる所とやらない所が出 てきている状況があります。  それを平均化するために、基幹センター単位でのキャンペーンも行っております。で すから、マンパワーが少ないセンターにおいては、基幹センターの管内で行うキャンペ ーンのときに便乗してやってもらうというような形で実施しております。ただ、御指摘 のように、センターによって温度差がありますので、その辺については、本部の指導の 下に、全国統一したPR活動ができるような体制に取り組んでいきたいと思っておりま す。 ○池田部会長 それぞれのセンターの温度差について、本部で指導する、あるいは基幹 センターが意見を言うということもあるけれども、センター間で協力し合うというよう なことが実際に起こっているかどうか、花井委員がおっしゃるのはそこですよね。 ○沼田参考人 情報提供としては、先ほど御説明いたしましたように、月刊情報誌を出 して、各血液センターがどのようなPR活動を行っているか、例えば、このようなティ ッシュを作りました、このようなPR物を作りました、献血者には今こういうものを配 布していますとか、こういうキャンペーンを行って、こういうニュースリリースを出し たら、テレビ局何社、ラジオ局何社で取り上げていただきましたなど、各地の血液セン ターで行っている活動については、月刊情報誌によって情報を共有しております。今後 については、各広報担当又は渉外担当の全国会議などにおいて、情報の共有化と能力の 均一化を図っていく活動をしてまいりたいと思っております。 ○花井委員 具体的に何県というのは現状ではまだないけれども、基幹センター中心で やっている場合には合同ですることはある、情報の共有はしているという理解ですね。 根拠が大事だと思いますので、研究所でそういう統計的なものや、プッシュメールの交 換が一番分かりやすいと思うのですが、幾らプッシュメールを送ったらどれだけあった など、そういう研究を進めていって、毎年この4ページの基本的な受入方策と具体的取 組のところがどんどん分厚くなっていくようにしていっていただいたら、目に見えて非 常にいいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 今回は平成18年度の受入計画の進ちょく状況を御報告いただいて、若年 層を対象とした対策であるとか、複数回献血者確保の対策、企業における献血の推進対 策など、それぞれがどのようなプログレスをしているかということについても、随分詳 しく御報告いただきました。その辺もいかがでしょうか。 ○中村委員 細かいことですが、資料2の4ページの下の段に、献血推進団体等の話が ありました。このいろいろな活動は、日赤独自でやっているのですか。例えばどこかの 団体とタイアップされているのですか。企業と直接関係はないのですが、若年層であっ たら教育委員会とタイアップされているというようなことは、実際にやっておられるの でしょうか。  それから、香川県では、献血を確保するときに、休眠企業の掘り起こしがありました。 これは具体的にどのようにやっておられるのか、御存じでしたら教えていただければと 思います。企業にはいろいろな事情があると思うのですが、一度献血を団体がやったけ れども、いろいろ問題があったのでということであれば、休眠企業の掘り起こしは問題 であると思います。そうではなく、単に面倒であるからやらないということであれば、 休眠企業の掘り起こしも効果があるとは思うのです。その辺の事情を御存じであれば、 教えてください。 ○沼田参考人 最後の御質問の香川県のお話ですが、私は具体的には承知していないも のですから、調べてお答えしたいと思います。一般論としては、休眠企業の掘り起こし は、一時やっていただいたけれども、何らかの事情により、現在はやっていただいてい ない。私の経験から、その何らかの事情というのは、職場の担当者が替わられたからと いうものです。積極的な担当者のときはやっていただいたけれども、職場の福利厚生の 担当者が替わられて、余り熱心でない方になったという事情がある場合は、休眠企業と してやっていただきます。  もう一つは、昔は血液センター側で、100人いないと献血バスを1日など出せません という、鷹揚なことを言っていた時代がありました。ただ、今は1日3か所、4か所巡 りをやっておりますので、20人でもいらっしゃったら、4か所巡りをすれば80人にな ります。昔は数が少ないからと言って血液センターが余り積極的でなかったために休眠 になった所は、20人でもいいですのでお願いいたしますという形で掘り起こしている場 合があります。  最初の御質問の協賛企業活動の推進事業は、厚生労働省と協力してやっております。 例えば献血協賛企業推進活動の実施に係るロゴマークの取扱いについてや、実施要綱な どを作っております。これから活動して、先ほどお示ししたロゴマークを使って、人数 が少なくて献血の実施はできないけれども、献血に協力していますというPRならでき るということで、例えば「我が社は献血に協力しています」という新聞広告を出すとか、 あるライオンズの方にはその社の製品の段ボール箱に「献血に御協力願います」という ロゴを入れていただいています。それを入れるのは、段ボールを作るときに、自分の会 社の名前の横に少し印刷すればいいので、それほどお金は掛かりません。そういう企業 にも「献血協賛企業」というロゴマークを使っていただいて、いろいろな方面で、献血 に協力しているのだということで、世間の力を集結していって、献血者の募集につなげ たいと思っております。 ○中村委員 新しい試みを始められたのは非常にいいのですが、その後、それが確かに 効果があったかどうかということを、常にウォッチしていただければと思います。無駄 と言ったらおかしいのですが、努力をされても効果がない、掛けた労力の割に反応が少 ないとなると、やりがいがないと思います。確かに実績が上がっているということをウ ォッチされて、機動的にいろいろな対策を講じていかれるのがいいかと思います。始め られて1年、2年で効果が現れるものではないと思いますが、少なくとも5年のレンジ で見られて、確かに効果が現れてきているということが少しウォッチされればいいのか と考えておりますので、よろしくお願いいたします。 ○大平委員 今回、具体例がたくさん出ていて、大変よくまとめられていると思います。 前にもお話した、こういう具体例を出していただきたいというところでのもう一点は、 反省点のようなところで、今まで活動してきて協力していただけなかった点など、気付 いた点があったら、それを提示していただけると、逆に、社会に対してこのような点を、 日赤だけではなく、国全体など、いろいろな点で呼び掛けることができるのではないか ということの、一つの目印になるのではないかと思います。どんどんやっていくという ことの提示はよろしいと思いますが、やっている中で協力いただけない点などは、日赤 の方たちが努力されている中でも、多分、多々あると思うのです。そのような点を挙げ ていただくことも大事ではないかと思います。  もう一点は、ここでは献血のための具体的な措置なので、直接的かどうかは分かりま せんが、病院や医療機関へのPRについてです。献血を一生懸命していただくことは、 医療者を通じて、患者やいろいろな方に大変役立っているということを、この中ではな かなか拾えていなかった部分があります。病院へのどういう働き掛けがあるのか、それ を医療関係者にも分かっていただいて、直接医療に携わる方たちに献血の重要性を知っ ていただくことが、いろいろな所での献血推進や普及につながっていくのではないかと 思いますので、この点をよろしくお願いします。 ○池田部会長 私から一つ御質問があります。「複数回献血クラブ」では会員を募集さ れていますが、今、会員数の推移は大体どのようになっているのですか。今、55,000人 ぐらいいらっしゃるというお話で、75,000人ぐらいをめどに、もう少し増やしたいとい う理解ですか。これは、ここ1、2年で急速に会員数が増えてきたという理解でよろし いですか。 ○沼田参考人 はい。 ○池田部会長 先ほど応諾率が23%というお話をいただきましたが、例えばこういう血 液が不足しているというようなときに、今こういう状況になっているので献血をお願い できるかという格好で問いかけをすると、23%ぐらいの方が応諾してくれたという理解 ですか。 ○沼田参考人 一般的には、献血に御協力いただきたいというおはがきを出しています。 その場合は、10%ぐらいの応諾率です。このクラブでは、インターネット又は携帯電話 を使って、Eメールでやっております。ですから、応諾率23%というのを、どうにかク ラブの会員の方の御理解をいただいて、30%、40%ぐらいに持っていきたいと思ってお ります。外国では、メールによる応諾率を50%まで上げようという試みをやっている所 もあります。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○三村委員 先ほどの中村委員のお話と少し重なるところがあるのですが、せっかくキ ャラクターや、ロゴマークや、「クラブ」という名称になりましても、それがどれぐら い一般的に認知されているかということが、その力を大きく左右すると思うのです。先 ほど効果ということを強調されましたが、せっかくロゴマークをお作りになったので、 まずはそれをきちんと広く認知させるという、一種のコミュニケーション上の工夫を少 しやっていただくと、それを付けることで、企業側が、これをやっているのだという、 一つのプライドの形になるであろうと思います。  また、最近、企業ではCSRという活動に非常に熱心に取り組んでいますし、CSR レポートというものも非常によく出されていますので、必ずその中に組み込まれるよう な形で使っていただくと、せっかくのものが生きるのではないかと思います。できれば そのような工夫をお願いしたいと思います。 ○比留間委員 先ほどの大平委員の御質問に関係して、都立病院に勤める者として、東 京都の取組を御紹介させていただきたいと思います。東京都では、東京都輸血療法研究 会というのを、年に1回開催しております。これは、東京都血液センターと、東京都の 共済と、東京都医師会の後援の下で行われています。その医療関係の研究会の中で、献 血表彰式を取り入れており、医療関係者のいる前で、献血に功労してくれた方が御紹介 されるわけです。恐らく全国でも取組が少ないのではないかと思います。各都道府県で も血液センターが県と一緒に主催している研究会はあると思います。そういう所には医 療機関関係者が集まってくるので、是非そういう所で献血表彰式などもやられたらいい のではないかと思って、僭越ながら御紹介させていただきます。 ○池田部会長 大事な取組かと思います。そのほかに何か御意見はありますか。ないよ うでしたら、議題2「平成19年度の献血の受入れに関する計画(案)の認可について」は、 御了解いただけたことにいたします。なお、事務局では、部会の意見を踏まえて、この 計画の認可の手続を進めていただきたいと思います。日本赤十字社では、この受入計画 に基づいて献血の受入れを円滑に実施していただけるようお願いします。  次に、議題3「平成19年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)について」です。 この議題に関しては、血液法の規定により、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて策定 するものとなっております。  この計画は、3月6日に行われた需給調査会の検討を経ており、委員の皆様には、こ の場で皆様の御意見を伺って、部会としての意見をまとめていきたいと思います。  それでは、本日、参考人としてお呼びしております需給調査会の高野座長から調査会 の概要を御説明いただき、その後、事務局から詳細についての説明をお願いします。 ○高野需給調査会座長 需給調査会の座長を務めております、血液製剤調査機構の高野 でございます。「平成19年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)について」、概略 を御説明いたします。  本計画は、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第25条に基づいて、血液 製剤の安定供給を確保するため、翌年度の血漿分画製剤の需要や製造、輸入の供給目標 量、原料血漿の確保目標量などに関して決めるもので、血液法施行後、今回で4回目の 作成となります。平成19年度の需給計画(案)については、昨年11月16日と本年3月6 日の二度にわたる需給調査会の審議を経た上で、本日、血液事業部会に報告するもので す。  内容については、大きく二つの問題があります。一点目は、平成19年度に確保される べき原料血漿の量の目標です。これは97万Lとしております。前年度が93万Lですの で、4万L増になります。主な要因としては、アルブミン製剤と免疫グロブリン製剤の 献血由来製剤の需要が増加したことです。二点目は、平成19年度の原料血漿の標準価格 です。原料血漿の確保のために必要と考えられる費用を、原価計算方式により積算して 決めております。これに平成19年度は白血球除去の導入に伴う経費や、原料血漿増加の ための費用を加え、採血の分類ごとに費用を計算し、その合計額を確保量の97万Lで割 って、1L当たりの価格を算出しております。原料血漿の中心である凝固因子用製剤に これを当てはめますと、1L当たり13,020円となります。平成18年度の単価よりも130 円の減額となりました。この二点が大きな点です。詳細については事務局から説明して いただき、私の話はこれで終わりたいと思います。 ○事務局 それでは、事務局から資料3「平成19年度の血液製剤の安定供給に関する計 画(需給計画)(案)について」の詳細を御説明させていただきます。平成19年度の需給計 画(案)に関しては、需給調査会の高野座長から御説明いただいた内容で、血液法第25 条第5項により、本日諮問させていただくものです。2ページ〜7ページが、需給計画 (案)の本文です。内容、構成等に関しては、平成18年度の需給計画と同様です。  全体の構成は3ページにあります。第1「平成19年度に必要と見込まれる血液製剤の 種類及び量」は、5ページの別表第1になります。第2「平成19年度に国内において製 造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標」は、6ページの別表第2に なります。第4「平成19年度に原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目 標」は、7ページの別表第3になります。第3「平成19年度に確保されるべき原料血漿 の量の目標」は、97万Lとしております。第5は、原料血漿の配分になります。4ペー ジの1が原料血漿の種類ごとの標準価格、2が日本赤十字社から国内事業者への原料血 漿の種類ごとの配分量になります。  まず、平成19年度の原料血漿確保目標量(案)ですが、9ページを御覧ください。これ は、平成19年度の血漿分画製剤の安定供給を図るために必要な原料血漿確保目標量を決 めるものです。平成19年度は昨年度より4万L増の97万Lを目標量の案としてお示し しております。その主な要因としては、アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤の需要 増加があります。  アルブミン製剤の需要増加の要因としては、これまでの適正使用の推進、輸血管理料 の導入などによる国内献血由来製剤の利用促進に加え、昨年9月から国内献血由来製品 による5%250mL規格の供給が開始されたことによる影響が考えられております。28ペ ージを御覧ください。アルブミン製剤の平成19年度における自給率の見込みは、63.4 %となっております。  免疫グロブリン製剤の需要増加の要因としては、外国事業者から国内事業者への技術 移転により、静注用人免疫グロブリン製剤のポリグロビンが、輸入製剤から国内献血由 来製剤に切り替えられました。これらの要因の影響として考えられております。29ペー ジを御覧ください。こちらの平成19年度における自給率の見込みは、95.8%となってお ります。  なお、血漿分画製剤というのは連産品ですので、アルブミン製剤及び免疫グロブリン 製剤の増に伴い、乾燥濃縮人アンチトロンビンIIIなどについても、全体的に増となって おります。それにより、その他の分画製剤用の原料血漿の希望量が、前年度に比べて11 万L増となりました。ただし、凝固因子製剤製造用の原料血漿の希望量については、前 年度に比べて6.5万L減となっております。この主な要因としては、血液凝固第VIII因子 製剤の国内血漿由来製品の需要がそれほど伸びなかったことによるものと考えられてお ります。  これらの要因により、平成19年度における国内各社の原料血漿受入希望量は、凝固因 子製剤製造用が6.5万L減の70万L、その他の分画製剤製造用が11万L増の52.7万L となっております。総量としては122.7万Lとなっておりますが、そのうち、その他の 分画製剤製造用は、凝固因子製剤の製造過程から発生する脱クリオ血漿での利用が可能 です。これについては、9ページの3にありますように、これらによる供給可能量であ る28.7万Lを差し引いて、原料血漿の必要量は94万Lとなります。  ただし、10ページの(2)に記載してありますように、必要量の94万Lに加え、将来、 安定的に原料血漿の確保をする必要に備え、昨年度と同様に3万Lの上乗せを行いまし た。これによって、平成19年度の原料血漿確保目標量(案)を97万Lといたしました。 この97万Lの目標量の確保と、これに基づく国産原料による製剤の供給については、関 係者の皆様に御努力いただくようお願いしたいと考えております。  続いて、12〜13ページは、原料血漿の目標量である97万Lを確保するための都道府 県別原料血漿確保目標量(案)です。原料血漿の確保については、従来から都道府県別に 目標を定めて御協力をいただいております。これは、全体の確保目標量の97万Lを、各 都道府県別に割り当てたものです。計算の考え方は従来どおりですが、昨年度までは平 成 12年の国勢調査結果を基準としており、今回からは平成17年の国勢調査結果を基準と しております。  続いて、17ページを御覧ください。こちらは、平成19年度に配分される原料血漿の 標準価格の考え方です。これは、日本赤十字社から血液製剤の製造販売業者等に配分さ れる原料血漿確保のために必要と考えられる費用を勘案した上で、標準価格を積算した ものです。算定の基本的な考え方は、昨年までの考え方をベースとしております。  まず、血漿成分採血については、おおむね必要経費を積算しております。ただし、昨 年度までと同様に、献血全般に共通する事項、サービスに係る経費は除きます。また、 全血採血及び血小板成分採血については、輸血用血液製剤の製造が主たる目的であるこ とから、原料血漿の確保費用は一部に限定して積算しております。ただし、平成19年度 においては、赤血球製剤の白血球除去の導入に伴い原料血漿の製造に生じた費用と、原 料血漿の確保のため新鮮凍結血漿から転用するために生じた費用の二点を含むこととし ました。  積算は、これまでの年度と同様に、まず凝固因子製剤用について、経費の積算を行っ ております。配分量は、確保目標量の97万Lとして、原料血漿の確保から供給までに必 要な経費を積み上げ、1L当たりの単価を算出しております。算定の根拠は、日本赤十 字社から提出されたデータに基づき、原則として平成16年度及び平成17年度実績の平 均を使用しておりますが、これに白血球除去を導入したことにより、全血採血及び血小 板成分採血において1採血当たりの原料血漿量の減少を考慮しております。こちらは、 白血球除去に伴い、新たに採血バッグに組み入れたフィルター内に白血球を含む血液が 少量残り得るため、白血球除去後の血液量が減少し、赤血球と分離された後の血漿量が 若干減少するためです。具体的に申し上げますと、400mL採血における1採血当たりの 原料血漿量が、従来の0.24Lから0.23Lに減少、血小板成分採血における1採血当たり の原料血漿量が、従来の0.25Lから0.21Lに減少しております。  積算する費用の内訳については、15ページを御覧ください。費用は、採血から原料血 漿として製造、保管するまでに必要な材料費、人件費、経費及び日赤の管理センター等 への原料血漿の輸送・貯留保管経費である管理供給費で構成されております。積算する 費用は、200mLと400mLの全血採血、血小板成分採血については、材料費としてシング ルバッグ代相当分と製品表示ラベル代、人件費として、従来からの原料血漿の凍結・一 時保管費に掛かる製剤職員費に加え、全血採血においては、原料血漿の確保のため、新 鮮凍結血漿から転用するために生じた作業経費、労務費相当を加算しております。  これについては、全血採血由来の新鮮凍結血漿製剤の供給量が減少している一方で、 国内献血由来の血漿分画製剤の製造量の増加により、平成19年度における原料血漿の確 保目標量が増加されたことで、新鮮凍結血漿製剤として供給を考えていた部分を原料血 漿に転用することによって、原料血漿の確保を図ることとしました。このことから、新 鮮凍結血漿製剤から原料血漿に転用される血漿分については、全血採血由来の白血球除 去工程を含む製造作業に掛かる費用、労務費相当分についても原料血漿のコストとして 積算計上したものです。  経費についても、従来からの凍結・保管費に掛かる経費に加え、全血採血においては、 白血球除去による安全対策の導入に伴い生じた経費を一部加算しております。管理セン ター及び分画センターの供給管理については、従来どおりの経費を積算しております。  なお、血漿成分採血については、従来どおり、材料費は全額、人件費は凍結・保管費 に掛かる製剤職員費及び医師、看護師、検査職員、事務職員の必要経費、経費は凍結・ 保管費、成分献血登録者に対する依頼経費、処遇費の一部、検査機器等の保守関連経費 等、そして管理センター及び分画センターの供給管理費を積算することとしております。  以上を一覧にしたものが、16ページの表です。今申し上げたような方法により積算さ れた1採血当たりの経費を原料血漿確保割合に換算して、採血別に確保目標量を掛けて、 確保費用を算出しております。その総額を97万Lで除して、それに消費税を掛け、1L 当たりの単価を算出しております。この結果、凝固因子製剤用については、平成18年度 の単価13,150円より130円減の13,020円となっております。  その他の原料血漿については、17ページにありますように、昨年までと同様、凝固因 子製剤用との価格割合を、今回の改定率をベースに、それぞれ比例計算で算出しており ます。その結果、その他の分画製剤用が平成18年度の単価よりも110円減の11,870円、 ペーストについては、II+IIIが500円減の50,090円、IV-1が150円減の15,060円、IV -4が 150円減の15,760円となっております。18ページ以降は参考資料ですので、適宜御覧い ただければと思っております。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今の高野需給調査会座長、あるいは事務 局からの御説明について、委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと思います。い かがでしょうか。平成19年度の安定供給に関する計画と、原料血漿確保目標量、これは 先ほど来、御議論いたしましたが、特に平成19年度に配分される原料血漿の標準価格の 考え方等についてです。標準価格の考え方をこのように整理することによって、それぞ れが昨年と比べると安くなったということです。高野座長、何か付け加えることはあり ますか。あるいは調査会での議論について、特に付け加えることはありませんか。 ○高野需給調査会座長 先般の調査会では、原料血漿の価格がずっとほぼ同じできたの が130円下がって、確保目標量も増えてきたということで、大変いいことではないかと いう意見が大方でした。 ○池田部会長 安定して確保できるようになった。アルブミン製剤に関しては、適正使 用ということで、全体として使用量が減ってきて、国内自給率が上がってきているとい う好ましい傾向にあることが、先生方にお配りした資料からもうかがえると思います。 それを踏まえ、安定供給ができるようになったことを含めて、価格が下がったというこ とで、いい方向に行っているのではないかというのが、需給調査会の委員の先生方の御 意見であると伺いましたが、部会の先生方の御意見はいかがでしょうか。 ○大平委員 少し細かい点ですが、日赤に血液事業本部ができて、集約化が進んでいる と聞いております。今回、価格を決めていく中で、集約化によってどの程度経費的な削 減ができたのか、また逆に、いろいろな検査などが導入されて、かなり価格に転嫁しな くてはいけない点があったのかどうか、分かる範囲で結構ですから、お教えいただけた ら有り難いと思います。 ○中西参考人 集約に係る効果というお話ですが、平成18年度から本格的に検査の集約 を行っております。平成19年度内に全国の検査施設を約10か所にするということで、 今進めております。検査の器械なども、長年使っている検査機器を更新したりして、集 約などの費用も大変削減できております。しかしながら、まだ進展している途中で、実 際に現状価格にどのように集約の効果が現れているかについては、今の段階ではまだ集 計ができておりません。その辺については、平成18年度決算をもちまして、明らかにさ せていただきたいと思っております。ただ、この集約の効果以外に、今回の原料血漿の 価格が下がったことに関しては、平成17年度からの全血、赤血球製剤の安定的な確保も 寄与しています。また献血者の御理解をいただきながら400mL献血を進めていることに 関しても、コストの低減につながっていると考えております。 ○平澤委員 原料血漿の価格が安くなった部分の恩恵は、誰がどういう形で受けること になるのですか。 ○血液対策企画官 原料血漿は、日本赤十字社から民間企業側への配分の標準価格とい うことで、このように単価を決めさせていただいております。一方、この原料血漿を使 って、国内献血由来の血液製剤の製造が、民間企業3社で行われます。具体的にはアル ブミン、グロブリン、その他、献血由来の血液製剤が製造・供給されます。  今回、単価が下がった一番大きな要因は、93万Lから97万Lに供給量が増えるとい うことで割替えしますと、単価が下がるわけです。これも、そこから作られる血液製剤 の供給が増えていくであろうということでの効果によるものです。供給された原料血漿 で製造される血液製剤の需要・供給が伸びていく、それが国内自給の推進にも寄与する であろうというのは、昨年の製造体制の在り方検討会、あるいはワーキンググループで も議論された一つの要因です。そのためには、国内企業における献血由来製剤のアルブ ミンやグロブリン等について、もっと需要が増えるようなPRも含めた、あるいは理解 を深めるような努力も行われるであろうということで、今回、原料血漿の単価が下がっ た部分の経費については、私どもから企業に対しても、国内献血製剤の理解の促進、あ るいは医療機関に対しての説明などの努力に向けた経費に使ってもらいたいと申し述べ ているところです。 ○池田部会長 国内自給の達成にますます向かっていけるのではないかということです ね。 ○白幡委員 6ページの別表第2のところで2、3お伺いしたいと思います。一点目は、 先ほど人免疫グロブリンのポリグロビンの御説明がありましたが、これを日赤で作るよ うになって、国内血漿由来の量がどれぐらい増えると予測されるのかという点です。二 点目は、乾燥濃縮人活性化プロテインCがゼロになっていますが、これは単に平成19 年度は作る予定がないという意味でゼロになっているのですか。三点目は、私はアンチ トロンビンIII製剤に国内血漿由来以外のものがあることは余り認識していなかったので すが、両方使われているのかどうかという確認です。その三点を、どなたかお分かりに なれば、教えていただきたいと思います。 ○田所参考人 日本赤十字社がグロブリンを作ることによって、新たに血漿の必要量が 増えるかということについては、御存じのように、血液はグロブリンやアルブミンに分 けていくわけです。従来グロブリンは作っていなかったわけですが、今までアルブミン を作っていたので、新たに赤十字社が必要とする量は、特段増えていないと思います。 ○白幡委員 先ほどの高野座長の御説明で、目標量が増えたのは、アルブミンとグロブ リンと御説明になったように思ったものですから。 ○高野需給調査会座長 トータルな部分ですね。 ○白幡委員 昨年に比べて国内血漿由来のトータルが増えた要因としては、アルブミン とガンマグロブリンと先ほど御説明になったように思うのです。それが、グロブリンに 関しては、ポリグロビンNのせいなのかと思ったので、それがどのぐらいこの中に反映 されているのかということをお伺いしたかったのです。 ○池田部会長 それはいかがですか。グロブリン製剤が、赤十字で作ることになって、 3万L増えたことに対して、どのぐらいのところを占めているかという御質問ですね。 それは事務局の方で今調べさせていただきます。あとの二点についてはいかがでしょう か。プロテインCがゼロになっているのは、平成19年度はプロテインCを作らないとい うことですか。 ○高野需給調査会座長 在庫がありますから、作る理由がないということです。 ○池田部会長 乾燥濃縮人アンチトロンビンIIIについては、国内、国外の比率はどうな っているのですか。これは全部国内ですか。 ○岡田委員 量は少ないですが、海外のものが1社あります。ただ、比率としては非常 に低いです。 ○池田部会長 それでは、先ほどの御質問について、いかがですか。 ○高野需給調査会座長 先ほど申し上げたのは、日本赤十字社のグロブリン、ポリグロ ビンの製造に関しては、特別新たなものは必要ないということです。グロブリン自身は いろいろな免疫疾患、自己免疫疾患等の治療に使われて、総量としては増えているので はないかと思います。より詳細なデータを事務局から出していただければと思います。 ○池田部会長 今の時点では、基本的には今まで作っていなかったけれども、血漿の分 画によって新たに出てくるものを利用するわけですから、その分だけ著しく増えること はないという理解でよろしいのでしょうか。 ○高野需給調査会座長 日本赤十字社の分についてはそういう理解です。 ○血液対策企画官 事務局から御説明いたします。統計的にはっきりと数字が出ている わけではありませんが、参考資料の29ページを御覧ください。基本的に従来は輸入であ ったポリグロビンが、平成18年度の秋から、日本赤十字社の献血由来のものに切替えが 開始されています。29ページの青い棒を見ていただきますと、平成18年度が3,284kg に対して、平成19年度は、全面的に国内のものに切り替わっていくであろうということ を見越して、3,630kgに増えていく、率にいたしますと、従来91.4%であったものが、 95.8%へということで、4ポイント以上上がっていくであろうということです。この部 分は、日本赤十字社の製造に切り替わることの寄与というように御覧いただければと思 います。平成18年度の途中から切り替わっておりますので正確な数字ではありません が、これぐらいの寄与ということはうかがえるかと思います。 ○池田部会長 そのほかによろしいでしょうか。 ○花井委員 細かい話ですが、6ページの別表第2の血液凝固第VIII因子は「(遺伝子組換 え型含む)」でいいと思うのですけれども、7ページの別表第3「平成19年度に原料血 漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量」の血液凝固第VIII因子の「(遺伝子組換え型 含む)」は、多分外すものであると思います。 ○池田部会長 そうですね。では、その訂正をお願いします。そのほかによろしいでし ょうか。よろしければ、今後、「平成19年度血液製剤の安定供給に関する計画」を告示 するに当たり、厚生労働省で、法令的な観点から形式的な修正がありました場合には、 部会長に一任いただくということで、先生方の御了解をいただきたいと思います。  議題4の「その他」ですが、「血液製剤の安定供給に関する計画」(需給計画)につい ては、平成20年度の計画から、献血推進計画と同様に、計画を策定する段階から当部会 で審議を行って、意見を取りまとめ、答申することにしたいと考えております。これに 伴って、薬事・食品衛生審議会の血液事業部会の中にある需給調査会を平成18年度をも って廃止したいと考えておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありが とうございました。ただ今の件について、御了解いただいたということで、来年度から は、先生方に血液製剤の安定供給に関する計画についても、献血推進計画と同様に、策 定する段階から御審議いただくことにしたいと思います。  次に、報告事項として、日本赤十字社から報告をいただきたいと思います。 ○豊田参考人 日本赤十字社血液事業本部の豊田と申します。資料4を御覧ください。 日本赤十字社では、今年1月16日から白血球を除去した全血採血由来の輸血用血液製剤 の採血と製造を開始しております。採血バッグは白血球除去フィルターを組み込んだ新 たなバッグを使用しておりますが、その白血球除去フィルター内部の隔壁シートに0.1 〜0.3mmの微細な貫通穴が生じたために、十分に白血球が除去されないという事例が発 生しました。その対応については、資料4にもありますように、報道関係者にも公表し ておりますが、その顛末について御報告申し上げます。  採血バッグですが、こちらに採血いただいた血液が入ります。下の方に白血球除去フ ィルターが付いており、白血球が除去された血液が下のバッグにたまります。今回の不 良はテルモ社のバッグで、白血球除去フィルターの内部に不具合が発生したものです。 日赤では直ちに、不具合のおそれのあるバッグ(以下対象バッグ)の未使用分を使用し ないようにいたしました。医療機関に対しては、対象バッグ以外のバッグから製造され た輸血用血液製剤を可能な限り優先して供給いたしました。  しかしながら、安定供給に支障を来すおそれがありましたので、同製剤が不足して、 御依頼に対応できない場合には、安全を期すため、ベッドサイド用白血球除去フィルタ ーを添付して対象バッグから製造された製剤を供給させていただきました。また、既に 対象バッグから製造された製剤が供給された医療機関には、同様にベッドサイド用白血 球除去フィルターを御使用いただくようお願いいたしました。さらに、同製剤の輸血を 受けた患者については、経過観察をお願いして、副作用が認められた場合には速やかに 血液センターにお知らせくださるようにお願いいたしました。  対象バッグから製造された製剤の安全性については、採血バッグとしての気密性及び 無菌性は保持されていますので、感染症等の問題はありません。また、同製剤64例の残 存白血球を測定したところ、すべて白血球の基準1×106個/バッグ以下でした。献血者 の安全性については、この不具合は、白血球除去フィルター内の隔壁シートの貫通事象 ですので、外気との接触のおそれはなく、採血バッグとしての気密性及び無菌性は保持 されているため、問題はありません。  資料の4ページを御覧ください。表になっており、事例1〜4まであります。事例1 が今回の事例で、不具合の発生数は16件です。これらはすべて製品にすることなく、減 損廃棄しております。表には数字が載っておりませんが、最終的な供給本数は3,194本 でした。また、安全を期すため出庫保留にしておりました製剤は合計7,716本ありまし た。これらは、血液が不足した事態に備えて有効期間内は保存しておりました。ただ、 有効期限が切れた段階で、6,870本は研究用として活用いたしました。残念ながら846 本はやむを得ず廃棄処分とさせていただきました。献血者の方々には大変申し訳なく思 っております。  事例2及び3は、同じメーカーの白血球除去フィルターの不具合です。さらに事例4 は、別のバッグメーカーの白血球除去後の血液採取バッグの不具合です。これらはすべ て輸血用血液製剤の製造工程で確実に排除しているため、製品になることはありません。  日本赤十字社としては、製造工程の外観確認を徹底して、同様の不具合を排除してお ります。また、バッグメーカーに対しては、改善を指導し、既に血液センターではその 改善措置を講じた対策品を使用しております。今後、二度とこのようなことを起こさな いよう、再発防止に全力を注ぐ所存でございます。 ○池田部会長 新たに導入された白血球除去のキットの不具合によって、製剤の製造過 程での出庫停止という状況が起こったということです。今回は医療機器メーカーが提供 した採血バッグの不具合により生じた問題ですが、赤十字社はその影響で白血球除去不 良の可能性のある製剤への対応が求められたわけです。その不具合を検知して以降、今 の御報告にあったような格好で、安全性の確保、あるいは安定供給の確保に努めたとい う報告をいただいたわけです。この件に関して、委員の先生方の御意見を伺いたいと思 います。いかがでしょうか。 ○比留間委員 先ほども申しましたように、これだけ供給できない状況でありながら安 定供給を確保したことに関しては、再び敬意を表したいと思います。  ただ、一点確認したいことがあります。私は平成11年6月28日の安全技術調査会か ら付き合わせていただいておりますので、そういう立場から聞かせていただきますが、 1×106という白血球除去の基準をそこで設けたわけです。当時、ヨーロッパで1×106、 アメリカで5×106でしたから、我が国としてはより厳しい1×106を選んだということ で、大変当を得た基準であろうと思います。この運用に関しては、安全技術調査会でも きちんと決めていなかったと思うのです。基本的には、1%を抜き打ちして、そのうち 95%が1×106以下であればOKとするということであろうと思うのです。ただ、この 1%を抜き出すのは、一体どの期間を抜き出して、一体どの期間で判断してゴーサイン を出すのかということに関しては、極めてあいまいであろうと思います。その辺は実際 にはどうなっているのかをお聞きしたいのです。 ○豊田参考人 今は100本につき1本、抜取りをやっております。今の段階ではほとん ど適合しており、テルモ社の1月、2月分で99.1%という高い適合率を維持しておりま す。ただ、私どもの方で、同じ建物の中に白血球数を測定する部署がありまして、そこ で血液センターから送ってきた検体を常にモニタリングしております。ですから、そこ で外れるようなものが多く出ましたら、直ちに次の行動、注意喚起を行って、対応して いきたいと思っております。 ○比留間委員 そうしますと、やはり今後もこういうことが起こる可能性があるのでは ないかと思うのです。100というのは、リアルタイムで、100本いったらOK、次の100 本OKというふうにやられているのですか。 ○豊田参考人 常に積算しておりまして、100本ずつの単位ではなく、100本のうち何本 というふうに。 ○比留間委員 区切りがないのですね。 ○豊田参考人 はい。連続しております。 ○比留間委員 ですから、ある面で言えば、後追い的なクオリティーコントロールであ ろうと思うのです。これを前向き的なクオリティーコントロールに変えていかないと、 こういう事態は今後とも発生する。バッグはテルモ社一つを責めるのはたやすいことで すが、これは医療器具すべてが持って生まれたリスクですので、こういうことは当然今 後とも起こる可能性があると踏んだ方がいいであろうと思います。そうなると、例えば の案ですが、1日区切りにして、1日分の血液製剤の1%を区切って、そのうちの95% が1×106であれば、そこは全部OKと出すようにすれば、今回を振り返ってみまして も、ほとんど廃棄せずに済んだのではないかと思うのです。ですから、期間をいつ区切 るかは別として、前向き的なクオリティーコントロールを、これは実は世界ではやって いないので、大変な負担になることは重々承知ですが、そういうことを考えていかない と、今後また起こる可能性があるのではないかと思います。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○三谷委員 二点教えてください。まず一点は、実際にこのような製剤を輸血されてし まった患者さんに関して、副作用に関する報告は全くなかったのかどうかということ。 もう一つは、医療現場からの質問です。こういう不具合のある血液製剤が供給されて、 連絡があったときには患者さんに既に輸血が済んでしまっているような場合、どのよう に御説明したらいいのか非常に悩んだのですが、患者さんに対する御説明に関しては、 赤十字社の方から多少御指導があるものなのか、あるいは個別の医療機関又は医師の対 応に任されているのか、教えてください。 ○池田部会長 患者さんへの対応ということで、非常に重要な点であると思いますが、 いかがでしょうか。 ○田所参考人 副作用例については、医療機関に、使用した患者さんについては副作用 があれば御報告くださいというお話をさせていただきまして、関連製剤を使った方々で は5例の報告をいただいています。悪寒、発熱、蕁麻疹というようなものでした。1例 は、発熱があって、患者さんから表皮ブドウ球菌が出たという代物でした。白血球除去 の目的は発熱等の副作用を防ぐことで、製剤中に白血球が非常に多かった、あるいは患 者さんもそれに対する抗体を持っていたというような条件で出るわけですが、今回の5 例が輸血によるものである、あるいは白血球除去が不十分であるために起こったという 明確なものが出たのは、残念ながらというか、幸いにもというか、ありませんでした。 その比率は、この製剤以外で受けている副作用とそれほど大きく変わるものではなかっ たと考えています。  それから、今回の白血球除去の不具合について、医療機関の方でもどういう状況かよ く分からないので説明はできないというお話がありましたので、こちらの方でも「患者 の皆様及び御家族の方々へ」というような文を作らせていただいて、医療機関の方にも お配りさせていただきました。 ○池田部会長 主治医が患者さんにどういうふうに説明をするか、あるいはその後どの ぐらいの期間どのようなフォローアップをするのかを含めた対応が患者さん側には非常 に大事になってくるのではないかと思うのですが、これは直後の発熱反応だけを考えて おけばいいのか、もう少し長いレンジでフォローアップしなければいけないとなると、 これは非常に難しい問題になってきてしまうと思うのです。その辺はいかがですか。 ○田所参考人 この説明文の中では、今回の事態の説明と、何か問題があれば先生方に お話くださいということを書いております。では、どれぐらいその副作用をモニターし たらいいのか。当初想定されていたものについては、発熱等の急性の副作用ですので、 輸血直後には大体分かるものですから、長期間は必要ないであろうと思います。もっと 長いのはないのかということについては、輸血を、従来は白血球が除去されていないも のが、今回は白血球を除去して少し減らした中で起きたものですから、不具合で多少白 血球除去が不十分であったわけですが、従来入っていた以上のものが増えるわけではな いという意味で、従来あった副作用より大きなものが将来的に起きるということではな かろうと思います。ただ、例えば、白血球がなければ、ある日からは一応減らすことに していたと。なければ起きなかったものが、何らかの格好で起きたのではないかという ことについては、何とも予測のし難いところがあると思います。 ○比留間委員 田所先生の言いにくいところを代わってお話して日赤をかばうつもりは ないのですが、輸血に伴うリスクは多種多様あります。それぞれの重要度をやはり医療 関係者は理解すべきであろうと思うのです。これはウイルスが混入したなどというもの とは全く質の違うものであるということをまず判断すべきであろうと思います。第一、 1回限りの輸血には白血球除去フィルターは保険が通っていないこともあって、今まで 外科の手術では何もしないで、白血球が1×108〜1×109ぐらいのものをどんどん入れ ていたわけです。そのようなことをしているという認識を医療機関は持っているか持っ ていないか分かりませんが、白血球除去の副作用についてもよく理解しないままそうい うことをやっていて、今回このようなことが起こったからといって大変危険なことが起 こったと大騒ぎするのは、やはり医療機関側の輸血に関する理解度の不足など、そうい う輸血管理体制の不備も挙げられるわけであって、それはなかなか日赤だけを責めるわ けにはいきません。やはり輸血のリスクというものは、冷静にそれぞれの重要度を考え て、そういうことで患者さんに御説明するというようなこと、要するに、冷静な対応が 必要ではないかと思います。  ちなみに、私の病院でも、やはり医療現場が混乱しました。三谷先生のおっしゃると おりで、大変でした。医療現場では、どのように患者さんに説明しようかと、混乱の極 みでした。私の病院では、このうち5ロットが供給されたのですが、実はちょうど私は、 そのような白血球をカウントする技術の研究をしていたもので、その5製剤の白血球を カウントしてみたら、すべて1×104以下なのです。基準が1×106ですから、楽にクリ アしているのです。ですから、フィルターも付けずにそのまま患者さんには輸血させて いただいて、無駄にしないで済みました。これは余計ですが、そこも追加させていただ いて、要するに、輸血のリスクを冷静に判断した方がいいのではないかということを言 わせていただきたいのです。 ○池田部会長 ただ、この小さなリスクがこれから大きなリスクに発展する可能性を考 えて対応する、それは、医療機器メーカーも、赤十字も、医療機関もそういう考え方に 立たないといけないのかと思います。 ○比留間委員 もう一つ、発熱は確かに白血球が原因ですが、白血球除去フィルターで 発熱を予防できるのは、わずか50%にすぎないのです。白血球除去フィルターをしても 発熱反応は起こりますし、蕁麻疹も出ます。そういうことで、白血球除去の効果と、そ のリスク軽減度というのは、冷静に判断すべきではないかと思います。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○山口委員 私も、今回の事例から何を学ぶかということになれば、一つは、今の比留 間先生の言葉ではありませんが、非常に緊急性あるいは大きなリスクが予想されている わけではないものを全国一斉にある日からやるという、そこまでのリスクマネジメント の必要があるのかと思いました。例えば、ある地域から順番に始めていく。もちろんそ れは、何年にもわたってというのは少しおかしいと思うのですが、少なくとも2、3か 月以内に全国で順次やっていく。そういう選択も今後あっていいのかと思いました。 ○岡田委員 今回の原因となったテルモのバッグは、特定の製造ロットだけにこういう 不具合が見付かったのか、それともアトランダムに複数のロットで見付かったのか、そ れは分かっているのでしょうか。テルモも全く検査をしていないわけではないので、そ れを擦り抜けたとなると、テルモ自身のこういう不具合を見付けるようなシステムをも う少し改良してもらわないと、今後もまた起こるということがあります。それが特定の ロットだけに起こっていれば、ちょうどそのときに何らかのトラブルがあってこういう 事態が生じたということになるのですが、複数のロットにわたって起こったとなると、 テルモ自身の製品のチェックが、現状ではそういうものの不具合をチェックできないと いうことなので、今後も続くということで、大分厳しいことを考えなければいけないか と思ったりします。どうなのでしょうか。 ○豊田参考人 今回の対象は16ロット、約2万バッグでございます。テルモ社では既に こういうものを発見できるように自動の装置を導入しておりまして、その対策品を3月 3日から全国の血液センターで使用しております。 ○池田部会長 先ほど申し上げましたように、今回は今の時点では大きな問題にはなっ ておりませんが、岡田委員が言われたように、このことから何を学ぶか。山口委員から は、そのリスクマネジメントをもう1回考え直すという御意見もございましたし、ある いは、この製造過程のチェックをどのようにするかという見方も一方であるのかと思う のです。ですから、今後、再発防止のためにどのような手立てが取れるかというところ も、非常に重要になってくるのではないかと思います。そのほかにいかがでしょうか。 ○中村委員 確認させてください。資料の4ページです。事例1、2、3、4とありま すが、事例1が今回御説明のあったケースであると思います。万全を期して7,716本の 出荷を保留にしたということですが、846本については廃棄したという御説明が先ほど ありました。欄外の※1「安全を期するために出庫保留にした製剤については、有効期 限内においては血液が不足した事態に備えて保管。その後、大部分を研究用途として活 用した。」というのは、846本は完全に捨てて、7,716本引く846本を研究用に回したと 理解してよろしいですね。 ○豊田参考人 そうです。 ○中村委員 その場合、研究用途というのは、過去にもこういう例があるのですか。回 すというとおかしいのですが、廃棄するものを研究用途に回すということはあったので すか。 ○豊田参考人 過去にこういう大きな回収はございません。採血後にこういうことが起 きたことはありません。今回は研究用として、無菌試験や抜取り試験、あるいは研究で お使いになりたいというところにお出ししております。 ○中村委員 過去に研究用に出されていないというのは、こういうトラブルがなかった ということなのですが、研究用途には過去に出した例がないという理解でよろしいです か。 ○豊田参考人 こういう事態が起きてということでございまして、期限切れなどのもの は研究用として使わさせていただいております。 ○中村委員 研究用途というのは、どういう用途なのですか。 ○豊田参考人 私どもで言うと、無菌試験、抜取り試験の製品の試験、あるいは企業や 大学や研究所で御依頼があってお出しする譲渡の部分がございます。 ○中村委員 今回のケースは、研究用途に出される本数としては異常に多いということ はないですか。 ○豊田参考人 多いと思います。 ○中村委員 研究用途としてどこへ出したのですか。 ○豊田参考人 研究に必要な原料として、企業にお出ししております。 ○吉澤委員 1月16日から始めた段階でこの質問は適切かどうか分からないですが、少 なくとも1月16日以前は何もしないもの、つまり、白血球除去をしないものを輸血して いたわけですね。その時点でどれぐらいの副作用があったかという裏は取れているので しょうか。  それから、もう一つ伺いたいのは、この白血球除去フィルターを導入するに伴って、 多大な費用が追加して必要になると伺いました。それは、先ほどの議題で話題になりま した、原料血漿の値段を下げるために大変な努力をされたようですが、そのことと、ど のように関係するものなのでしょうか。 ○田所参考人 副作用がどれほどあって、それがこの処置によってどれほど改善したか という問題ですが、発熱あるいはアレルギー等の副作用については、現状は、医薬品の 副作用報告制度に基づいて報告を受けてやっております。ただ、それは必ずしも医療機 関で実際に起きている数がすべて報告されているものではなく、主に重篤、中等症以上 のものが報告されているということです。余りはっきりした推定ではないのですが、病 院において推定10倍ぐらいはあるであろう。毎年2,000件程度の報告があるわけですが、 発熱、蕁麻疹が1個2個出たというような小さなものを含めれば、10倍以上はあるので はないかと推定されています。そういう意味では、その実態の基礎になる数がつかめて いないということがありまして、評価をするのは大変難しい状況が一つございます。そ れから、もう一つ、ベッドサイドでも白血球除去が行われていましたので、一層その違 いを明確にするのは難しい現状がございます。 ○吉澤委員 費用はどのようになっていますか。 ○血液対策企画官 費用の点は事務局から御説明させていただきます。先ほどの需給計 画のところでも申し上げました、原料血漿価格の積算の中に、白血球除去の導入に伴う 経費、安全対策の強化のための経費は積算して、先ほどの原料血漿の価格に反映させて います。同時に、この1月16日から始まりました白血球除去製剤、赤血球あるいは今後 貯留の後に提供されます血漿等の製剤については、白血球除去済みであるということで 「LR」という表記になっていたと思いますが、従来の製剤と、製剤の名前も切り替え ています。その新しい製剤につきましては、薬価基準が昨年定められておりますが、薬 価基準策定の際に、所要の経費が積算された原価計算に基づく、所要の経費が積算され た製剤で薬価が設定されております。 ○幕内委員 片一方は上がって、片一方は下がるというのは、ますます格差が広がるの で、濃厚赤血球、全血、FFPの積算根拠も出す必要があるのではないでしょうか。そ れから、ここには書いていないのですが、FFPは、血漿の分画製剤ではなく、血液の 分画製剤ですから、それも出さないとアンバランスな気がします。また、今、白血球の 話題が出たので、厚労省及び日赤は、白血球除去ということと、ラジエーションという ことをどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。 ○池田部会長 白血球除去と照射ということですね。いかがですか。 ○田所参考人 放射線照射は、輸血後GVHDを抑えるためのものです。完全に防ぐた めには、104以下でないと予防はできないであろうと言われています。今は106で、GV HDを白血球除去によって確実に抑えるということはまだ証明されておりませんので、 放射線照射と白血球除去は併用せざるを得ないと考えております。 ○幕内委員 厚労省はどのようにお考えでしょうか。 ○血液対策企画官 白血球除去の導入につきましては、先ほど比留間先生からも御紹介 がありましたように、安全技術調査会で御議論をいただきまして、そこでの議論を踏ま えて、その必要性、それから、どういう基準をもってその判断をしていくかというよう なこと、また、導入に当たっての準備等も含めまして、106を基準とし、95%以上の適 合率でもって判断をして導入という、そういう制度で導入させていただいたものです。 そういう意味で、それと組み合わせた形で現状は運用させていただいているところです。 ○幕内委員 日赤と厚労省は、例えば臓器移植などにおいては、輸血する血液のラジエ ーションは必要ないという見解ですか。 ○田所参考人 もう少し正確に言うと、104以上でも輸血後GVHDが起きる可能性が あるから、白血球除去では、106という、その100倍以上多いものでは不十分というこ とであると思います。 ○幕内委員 いろいろ因子はあると思いますが、今、田所先生のおっしゃったことは正 常の人で輸血をしたときのことです。そのときと、免疫抑制剤を使う移植という状況の 話は大分違うので、その辺の安全性についてはどのように厚労省及び日赤はお考えなの かをお伺いしたいのです。 ○田所参考人 移植後のGVHD等も防ぐことを想定するならば、白血球除去で十分と は言えないであろうと思います。 ○幕内委員 厚労省はどのようにその辺をお考えなのか。移植におけるラジエーション の問題と、通常に手術をして、あるいは手術以外のことで輸血をしてGVHDが起こる という問題と、話がかなり混同していて、先ほどの話ではないですが、現場は混乱して いるのではないかと思います。いかがでしょうか。 ○池田部会長 手術そのものも多少は免疫不全になるわけですから、著しい免疫不全と しては、今、幕内委員が言われたように、移植という、非常にいいエグザンプルがある わけですが、免疫不全状態での輸血と、通常の外科手術あるいは通常の輸血で、白血球 除去の位置付けをはっきりできるかということですね。 ○幕内委員 はっきり申し上げますと、白血球除去が行われた血液を使えば、移植のと きにラジエーションをすると保険が削られるという問題が生じているのです。私どもは、 それは奇異な感じがするのです。その辺の厚労省の御意見もお聞きしたいと思います。 ○池田部会長 先生がおっしゃっているのは、白血球除去を使って、更にラジエーショ ンをすると、保険で駄目であるということですか。 ○田所参考人 保険評価機関ではないので分かりませんが、本来の目的から言えば、全 然別のものですので、片方やったから片方は保険を通さないということではないと思い ます。 ○池田部会長 基本的にはラジエーションで防ぐという形になるのであろうと思うの で、先生がおっしゃった、そういうことが現実に行われているとすれば、それは多少効 用するのかと思います。 ○比留間委員 厚労省に代わってお答えするわけではないですが、幕内先生がおっしゃ るように、特に外科の手術で、白血球除去フィルターを使って、なおかつ照射すると、 保険で切られていたという現状が今まであったのです。それは、査定委員によっても随 分違うのですが、フィルターの適応自体が、頻回輸血の患者さんで、10回以上見込まれ るような人というふうに切られていたので、基本的には白血球除去をかけた上で照射を するということです。白血球除去をかけても、1×106ですから、ほとんどがTリンパ 球で、1×106のTリンパ球は、完全にGVHDを起こす可能性が残存するわけです。 これを除去するためには放射線照射を併用しなければいけないというのが定説です。た だ、これからは、1月19日のような事態が起こらない限りは、すべてフィルターをかけ ていただくので、あとは多分、照射しても、保険で切られないで済むのではないかと思 います。幕内先生の御希望がこれから通る時代になるのではないかと思います。 ○幕内委員 省の中で連絡していただいて、是非それを削らないように御意見をしてい ただきたいと思うのです。現場でも、医者もそうですが、省側も、みんな結構混乱して いるのではないでしょうか。 ○池田部会長 ありがとうございます。臨床現場での幕内先生の御意見は、検討してい く重要な問題であると思います。時間の関係もございますので、赤十字からの今回の白 血球除去キットの不具合による問題についての議論はこれで打ち切らせていただきたい と思います。 ○大平委員 白血球除去の導入は大変議論されて、保険点数上も、薬価の方ですか、上 乗せされてというところで、今回の問題は臨床上さほど影響はないという専門家の先生 方のお話ですが、患者からすると、そういう情報が入るというところでは、やはり不安 はあるのであろうと思います。そのような点での不安を解消するための情報が、医療機 関の先生たちに御負担を掛けるところも一杯あると思いますので、今回は添付されてい ませんが、患者・家族向けのそういう書類が出ているのであれば、お見せいただきたい と思います。  もう一点は、機器メーカーとの契約について、このような問題が生じることを契約の 中でいろいろうたわれていると思いますので、そのような点は、これの保証というもの も日赤できちんと対処されているのかどうかをお聞きしたかったのです。 ○池田部会長 大平委員の御指摘は、非常に大事であると思います。こういう不具合が 起こって、医療機関あるいはメディアに報告を出したということですが、やはり患者さ んが一番大事であろう。その患者さんの視点から大平委員にお話をいただいたわけです。 医療機関の方によろしく御説明をということで、医療機関がそれを受けて説明すること は一番大事であると思うのですが、そこのところは赤十字も一緒になって考えることが 恐らく必要であろうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。その点で、先 ほど大平委員も言われたように、患者さんに説明する文章をどのような格好で出したか ということを、もしそれをお持ちでしたら、大平委員にも見せていただきたいと思いま す。  大事なことは、再発防止のために何ができるかということで、委員の先生方からも幾 つか、その製造過程のチェックも含めて御意見をいただいたのですが、新しい技術の導 入もありますし、やはりその製造工程でのチェック等をきちんとしていくというような こともやっていかないといけないと思います。安定供給は一番大事ですが、それと同時 に、安全性の確保という点に十分に御配慮いただくことが大事かと思います。  今日は、赤十字のこの報告について、委員の先生方から、非常に熱心な御討論をいた だきました。大平委員の最後のコメントも含めて、是非赤十字の方でも、血液製剤の安 全性の向上に向けて御努力をお願いしたいと思います。  本日の議題は以上です。先生方には、長時間にわたって熱心な御議論をいただきまし て、ありがとうございます。次回の日程は、おって先生方に御連絡をしたいと思います。 本日は、どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 齋藤(内線2906)      - 1 -