07/03/07 第6回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議の議事録について 第6回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議 日時 平成19年3月7日(水)16:00〜18:00    弘済会館4F萩の間 ○桑田介護保険課長 それでは、定刻となりました。山本委員におかれましてはちょっ と遅れられるということでございますので、第6回「介護保険制度の被保険者・受給者 範囲に関する有識者会議」を開催させていただきたいと思います。本日は、皆様方にお かれましてはお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。 本日の委員の皆様方の出席について、最初に申し上げますと、貝塚委員、矢田委員か ら御欠席という連絡を受けております。 それでは、京極座長よろしくお願いいたします。 ○京極座長 それでは、本日の議題に入ります。 まず、事務局から本日の資料の確認及び説明をお願いいたします。 ○桑田介護保険課長 それでは、お手元の資料を確認させていただきたいと思います。 資料番号が振ってございますのが1から5までございます。 資料1が「介護保険制度の被保険者及び受給者の範囲に関する有識者調査報告書」で ございまして、これは昨年の秋以降、調査していたものの結果がまとまりました。その 報告書でございます。 資料2でございますけれども「介護保険の被保険者・受給者の範囲に関する海外調査 の概要」ということで、海外の事例を幾つか調べておりますので、これをまとめたもの でございます。 資料3、1枚紙でございますが「社会保険料と税の特徴」という資料を用意しており ます。 資料4でございます。ヒアリングにおける議論の整理案ということで、前回、前々回 とヒアリングをお願いしたわけでございますけれども、そのときに出ました御意見を整 理したものの案という形で、事務局の責任においてとりあえずまとめております。 資料5でございますが「議論のとりまとめに向けた主要な論点(案)」ということで、 幾つかの論点を取り上げさせていただいております。 以上、資料番号を振った資料のほか、本日、堀先生から配付資料ということで、2種 類御用意いただいておりますので、御紹介しておきます。「社会保険方式と社会扶助方 式」と「介護保険制度の被保険者・受給者の範囲についての意見」という2枚紙でござ います。これを席上にお配りさせていただいております。 以上、資料でございますけれども、よろしゅうございましょうか。 (「はい」と声あり) ○桑田介護保険課長 それでは、早速でございますが、資料の説明に入らせていただき たいと思います。 まず最初に、資料1と資料2を事務局から説明させていただきまして、1ラウンド御 議論いただいて、その後、資料3〜5を説明して、第2ラウンドの議論ということで考 えさせていただいているところでございますが、このうちの資料2につきましては、実 際、現地調査を行った医療経済研究機構の本田様から御説明をお願いしたいと考えてお りまして、そういった意味でも、この席に本田様に同席いただいておりますので、御紹 介しておきます。 それでは、資料1でございます。アンケート調査につきまして御説明申し上げます。 ○梶野補佐 それでは、資料1ですけれども、このオレンジ色の冊子「介護保険制度の 被保険者及び受給者の範囲に関する有識者調査報告書」と書いてあるものです。 まず、2枚ほどおめくりいただいて、下に「2」と書いてあるところで「調査概要」 の「2.調査対象」ですけれども、有識者の方2,880 名。内訳は、研究・教育、報道・ 評論、地方公共団体、高齢者団体、労働界、経済界、医療保険者、若年者団体、障害者 団体、介護サービス提供事業者、障害者サービス提供事業者。 「3.調査時期」は、昨年12月から今年の1月までの2か月間。 「5.回収状況」は約半分でして、49%。 「6.回答有識者の属性」、簡単なものでありますが「(1)男女構成」で、男性が 76%。 右のページで「(2)年齢構成」ですけれども、特に50歳代が多い。 「(3)職業構成」ですが、ごらんのような状況になっています。 「(4)居住地域(都市規模)別」。都市の規模別に、大体、分布しているような状 況です。 それで、調査内容ですけれども、全部で大体、14〜15問聞いております。ですので、 今回、説明させていただきますのは被保険者拡大に関するところということで、16ペー ジをお開きいただきたいと思います。「4.介護保険制度を普遍的な制度へと見直すこ とについて」というところでありますが、ここは「(1)被保険者・受給者の範囲に関 する将来的な在り方について」で甲、乙、丙と3つの選択肢で、甲は「現行の被保険者 ・受給者の範囲を拡大して、要介護の理由や年齢の如何に関わらず給付を行う制度を目 指すべきである」という設問です。 乙が「将来的に被保険者・受給者の範囲を拡大する方向も考えられるが、現在は慎重 であるべきである」。 丙は「実質的には『高齢者の介護保険』である現行の介護保険制度を維持し、被保険 者・受給者の範囲を拡大すべきではない」。この3つの選択肢で聞いております。 それで、範囲を拡大すべきとする有識者が31.9%。正確には6つで、拡大すべきとい うのと、どちらかといえば拡大すべきだ、この2つの合計です。 それから、将来的に拡大する方向も考えられるが、現在は慎重であるべき。「乙に賛 成」「どちらかといえば乙に賛成」という御意見は42.2%。 丙の、拡大すべきではない、どちらかといえば丙で拡大すべきではないという御意見 は、合わせて18.4%というふうに意見が分かれております。 17ページの方は、このデータを性別、年齢別、それから職業別にクロス集計したもの であります。例えば、年齢の欄に「20歳代*」「75歳以上*」とか「*」が付いており ますけれども、これは人数が少ないということで、一応、注を付けております。 次に18ページでありますけれども、それぞれ甲、乙、丙の3つの意見について、その 理由を伺ったものであります。 まず、甲の「拡大すべき」と回答した有識者の方に、その理由を5つの選択肢で複数 回答でお聞きしたところ、理由として最も多かったのは「『介護ニーズの普遍性』を考 えれば、年齢で区分する合理性・必然性は見出し難く、すべての人を対象とした『普遍 的な制度』を目指すべき」。これが8割。 次いで「制度の支え手を拡大し、介護保険制度の財政的な安定性を向上させるべき」 というのが41.5%。 「高齢者・障害者ケアともに『地域ケア』を目指しており、両者のサービスには、共 通する部分があることから、年齢や障害種別を超えたサービスを提供できるようにする」。 これも同じく、4割ぐらいということであります。 20ページになりますが、乙の「将来的に拡大する方向も考えられるが、現在は慎重で あるべき」を選ばれた方の理由ですけれども、これは3つの選択肢で示しておりまして、 理由の中で一番多かったのは「社会保障全体の給付と負担の将来が不透明であり、現時 点では最終判断できない」というのが62.5%で最も多かった。 次に「改正介護保険法の円滑な施行や給付の効率化を優先させるべき」が41%。 それから「施行後間もない障害者自立支援法の定着を図ることを優先すべき」が35% という状況であります。 22ページですけれども、丙の被保険者・受給者の範囲を「拡大すべきでない」とする 理由ですが、これは4つの選択肢で、一番多かったのが「若年者が要介護状態になる確 率は低く、これまでどおり税を財源として行われるべき」というのが69%。 「家族の介護負担の軽減効果があるのは中高年層であり、若年者に保険料負担を求め ることについて納得が得られない」という意見が42%。 それから「若年者の介護保険料は、医療保険の上乗せ徴収であるため、国民健康保険 等において未納や滞納が増えるおそれがある」という御意見が35%という状況になって います。 24ページですけれども、今度は「5.被保険者・受給者の対象年齢を引き下げるとし た場合に制度設計上検討すべき事項について」ということで、まず制度論として、問8 では2つ聞いております。この真ん中の四角の中に設問が書かれておりますけれども、 1つ、甲の意見ですが「被保険者(保険料負担者)と受給者の範囲は原則として一致す べきである」。乙は「被保険者(保険料負担者)と受給者の範囲は必ずしも一致しなく ともよい」。その2つについて伺いました。 それで「(どちらかといえば)一致すべきである」とする御意見は54.9%。それから 「(どちらかといえば)一致しなくともよい」という御意見が34.8%という状況であり ます。 26ページですが、被保険者・受給者を拡大した場合の受給者の年齢について伺ったと ころ「(どちらかといえば)全年齢を対象とすべきである」とする御意見が42%。これ に対して「(どちらかといえば)一定年齢によって区分すべき」とする御意見が47%と いうことであります。 28ページで、今度は負担者の範囲の方ですけれども、被保険者・受給者を拡大した場 合の介護保険料を負担する者の年齢及び対象について4つの選択肢で伺いましたが、最 も多かったのは「『30歳以上』を対象とする」の27.7%。 「働いている者は、年齢にかかわらず、対象とする」というのが24.8%。 「『20歳以上』を対象とする」という方が19.8%。 それから「『25歳以上』を対象とする」という方が7%という状況であります。 次に30ページですが、被保険者を拡大した場合に、40歳未満も拡大していくわけで すが、仮に拡大した場合の40歳未満の方の保険料水準についてどうすべきかというのを 伺いましたが「(どちらかといえば)世代を問わず同水準にすべき」とする御意見が30 %。一方「(どちらかといえば)世代間ごとに設定すべき」とする御意見が53.6%とい う状況で「(どちらかといえば)世代間ごとに設定すべき」とする御意見の方が多かっ たということであります。 32ページですが「8.年齢や障害種別にかかわらないサービス提供の取組について」 ということで、障害者や高齢者の方が同一のサービスを受ける「共生型サービス」や「総 合的ケアマネジメント」の推進についてお聞きしました。 これは「(どちらかといえば)推進すべきである」とする御意見が37.6%、一方「(ど ちらかといえば)推進すべきでない」とする御意見が46.2%ということであります。 以上が、調査結果の大体の概要であります。 ○医療経済研究機構 それでは、引き続きまして、諸外国の障害者施策・介護施策の現 地調査の結果につきまして、概要を報告させていただきます。資料2をお開きいただけ ればと思います。 まず、資料の構成を最初に御説明いたしますと、今回、調査をいたしましたドイツ、 オランダ、イギリス、スウェーデン、各国ごとに2枚ずつの資料を付けております。 各国共通するんですが、1枚目に介護サービスに関するもの、2枚目には介護サービ ス以外の障害者支援施策ということで、それぞれ1枚にまとめております。そのうち、 2枚目の介護サービス以外の障害者支援施策については「1.社会参加支援」「2.就 労支援」「3.所得保障」の3本の柱に分けて、それぞれ、その概要をまとめるという 形になっております。 それでは、まずドイツから御報告をさせていただきます。1ページをお開きください。 ドイツの場合は、介護保険法、社会扶助法に基づいて介護サービスが提供されており ます。 「2.事業主体」としては、介護金庫。実質は公的医療保険の保険者が兼ねていると いうことになっております。 「3.加入者」としては、公的医療保険の加入者は全員強制加入しておりまして、年 齢による制限はございません。 なお、ドイツでは一定所得以上の被用者や自営業者は公的医療保険に強制加入でない ということで、とはいっても、国民の約9割が公的医療保険に加入しているという状況 にございます。 「4.給付」の「(1)内容」ですが、在宅サービス、施設入所サービスのほか、現 金給付がございまして、これは家族介護手当と、親族や知人などによる代替介護手当と いうものがございます。 「(2)支給限度額」でございますが、ドイツは要介護度が3段階に分かれておりま して、要介護度、サービス種類ごとに上限が設定されております。 そこに、ホームヘルプサービスの場合のそれぞれの要介護度の上限を例示させていた だいております。これが他のサービス種類ごとについても設定されているということで ございます。 「(3)利用者負担」ですが、この上限を超える部分については利用者負担というこ とになります。 それから、施設につきましては、食費・家賃については利用者負担ということになっ ております。 なお、低所得者等への配慮ということで、所得や資産、あるいは障害の程度などを勘 案して、扶助が必要な方、要扶助者の利用者負担は社会扶助により負担をするというこ とになっております。 「5.受給者」につきましては、日常的な活動を行うのに6か月以上ぐらいの継続的 な期間、援助が必要になる者ということになっております。 「(2)認定手続」としましては、家庭医が介護が必要かどうかというのを判断いた しまして、本人の申請により、医療保険の医療サービス機構でございますMDKにおき まして要介護度の認定を行います。 「6.財源」ですが、これは基本的に保険料財源でありまして、料率は全国一律1.7 %。被用者の場合は労使折半、自営業者等の場合は全額自己負担というようになってお ります。 次のページをお開きください。介護サービス以外の施策でございます。 枠外に書いてございますように、これらの支援策は単一制度から給付されるのではな くて、年金保険、医療保険、災害保険等の社会保険などの各制度から給付をされます。 これらの各制度がどのような形で支給するかということなんですが、簡単に言いにくい ところがあるんですが、例えば、「○医学的リハビリテーション」というのがあります が、それを例示に挙げて御説明いたしますと、そのリハビリが必要になる原因の病気・ 障害が、通常の職務外の病気などによる場合には医療保険から、労働災害などが原因で ある場合には災害保険から、それから、戦争被害などによる場合には戦争被害補償から というような形で区分けがされることになっております。 いずれでもない場合で、かつ、その人が年金保険の被保険者である場合には、年金保 険から支給される。それらのどの制度にも入っていないということになりますと、社会 扶助によって対応するという形になります。 実態の認定としましては、そこの枠で囲んである資料の「(1)事業主体」のところ にございますが、これらの各制度の運営者が事業主体なんですが、その各事業主体の保 険者などによるジョイントサービスセンターというのが各行政区に設置されておりまし て、そこが窓口となって、あなたはどの制度から給付を受けるべきかということを判断 するという形になっております。 社会参加支援ということですが「(2)支援内容」をごらんいただきますと、医学的 リハビリテーションや社会統合支援、就学前児童などの早期特別教育やコミュニケーシ ョン支援などがございます。 それから、公共交通機関の運賃の割引などがございます。 「(3)支援対象者」としては、身体、精神、知的障害を有する者で、各保険者等の 事業主体が定める認定基準を満たす者というふうになっております。 「(4)財源」としては、各保険者等、各制度ごとの運営主体の財源ということで、 例えば労災保険の場合には雇用主の保険料が財源になりますし、年金保険や医療保険の 場合であれば労使折半という形になります。 保険制度にも入っていない方というのが、社会扶助ということになります。 次に「2.就労支援」ですが、就労支援は、今のような事業の運営者に加えまして、 国の雇用サービスオフィスというのが加わります。 「(2)支援内容」としては、キャリアアドバイス、就労統合支援。これは、雇用義 務とか補助金とかということですが、そのほか、職業訓練センターなどがございます。 なお、20人以上の職場では重度障害者を職員の5%雇用する義務があるということにな っております。 なお、これは後に申し上げるオランダ、イギリスにおいては、従前、このような割当 雇用の仕組みはあったんですが、現在では廃止されております。 「(4)財源」といたしましては、各保険者ごとのサービスは、先ほど申し上げたと おりですが、連邦雇用局が行う就労支援につきましては国税ということになっておりま す。 「3.所得保障」で「(1)事業主体」については今までと同じですが「(2) 支援内容」としましては、一時的保障としての各種手当、中長期的保障としての各種年 金というものがございます。 要件といたしましては、障害や疾病で生活費を得ることができなくなった者で、認定 基準を満たす者ということになっております。 次に、3ページをお開きください。「2.オランダ」でございます。 オランダは、特別医療費保障法(AWBZ)と、障害者サービス法(WVG)という ものが介護サービス。この2つが大きな法的枠組みになっております。 なお、障害者サービス法は、2006年にWMOという社会支援法に移行することになっ ております。 「2.事業主体」につきまして、AWBZは国、障害者福祉サービスは市町村でござ います。 「3.加入者」は、全住民ということになっております。 「(4)給付」の「(1)内容」としては、そこにございますような、長期入院、ナ ーシングホーム、各障害者への給付などがありまして、非常に広範な内容になっており ます。 WVGの方は、住宅改修・移送などの社会参加支援のサービスを行っておりま す。 「(2)支給限度額」については、AWBZでは審査によってサービス量が決まりま すし、WVGは所得に応じて給付率が決まります。 「(3)利用者負担」ということなんですが、AWBZにつきましては施設入所につ いて6か月以上か以下で、そこに書いてあるような金額の負担上限がございます。在宅 介護につきましては、時間当たり12ユーロということがあります。18歳未満は、自己 負担はございません。 WVGの方は、所得を基に算定されるということになります。 AWBZの施設入所につきましての利用者負担というのは、そこに書いてありますよ うに、単身、夫婦でそれぞれ、そこに書いてあるような金額が手元に残るように配慮が されております。 「5.受給者」としては、年齢の区分は特になく、サービスを必要とする者というこ とで、認定機関としてはケア審査中央機関(CIZ)というところが行っております。 WVGにつきましては、地方自治体ごとに、このCIZの判定結果や申請書類の内容 を参照して実施いたします。 「6.財源」でありますが、AWBZは基本的に保険料財源と利用者負担により構成 されておりまして、御案内のとおり、給付範囲の拡大などとともに保険料率が大変上昇 しておりまして、1969年の0.4 %から2005年の13.45 %というふうに急速に上昇して おります。 WVGの方は、一般財源でございます。 次に、4ページをお開きいただければと思います。介護サービス以外ということです。 「1.社会参加支援」は、WVGで行われるわけですけれども、地方自治体が事業主 体となり「(2)支援内容」としては住宅改修や移動手段としての車いす、交通サービ ス、通訳サービス、福祉用具などがあります。言わば、物を介在したものを対象とした 支援策ということが言えるかと思います。 それで、障害を有するすべての者に対して行われておりまして、認定は地方自治体ご とに行われております。 「2.就労支援」につきましては、就業能力に応じた仕事と所得法(WIA)、社会 雇用法(WSW)というものが枠組みになりまして、WIAにつきましては社会雇用省、 社会保険事務所。社会雇用については、地方自治体となっております。 「(2)支援内容」としては、WIAの方では最初の2年間、雇用主が職場復帰を支 援しつつ賃金の70%を支払い、2年経過後は、残存稼働能力により得られる賃金と、も ともとの賃金と現賃金との差額の一定割合を支給するということになっております。 社会雇用というのは、就労自体を提供するということでございます。 割当雇用は、先ほど申し上げましたように、現在では廃止されて、オランダではござ いません。 「(3)支援対象者」といたしましては、認定としては、社会保険事務所が雇用主に よる職場復帰支援の有無を判断した後、障害程度のアセスメントを医療面、労働面の両 方で行うことになっております。 社会雇用につきましては、地方自治体が認定いたします。したがって、就労の可能性 をできるだけ探った後ということになります。 その結果として「3.所得保障」ですけれども、WIAの方から賃金の70%、若年者 については最低賃金額が支援をされることになります。 ただ、その場合の支援対象者としては、WIAの方は、障害発生から職場復帰支援を 受けて2年経過しても残存稼働能力が20%未満で回復の見込みがない障害者に対して 行われるという形になります。 次に、5ページ「3.イギリス」でございます。 イギリスは、介護サービスは、コミュニティーケア法と国民保健サービス法、NHS 法によって提供されておりまして、コミュニティーケア法によって提供されます社会サ ービスは地方自治体、NHSは御案内のとおり、国ということになっております。 全住民が加入者でありまして、在宅サービスが、そこに書いてあるようなものが提供 されます。現金給付も、NHSから提供される訪問看護、健康指導などの医療的なサー ビスもございます。それと、施設サービスとしてのケアホームがございます。 「(2)支給限度額」としては、自治体によって異なるんですが、今、申し上げまし たように、NHSから提供されるサービスがございますので「(3)利用者負担」のと ころを見ていただきますと、NHSのサービスには原則自己負担はない。それに対して、 社会サービスの方からは、例えば全国的統一基準が施設についてはあるものの、在宅サ ービスなどは自治体で異なっておりますので、同じ介護サービスの中でも負担の状況が 違ってきているということが課題となっております。 「5.受給者」としては、介護が必要な高齢者、障害者及びその介護者ということに なっています。 地方自治体の社会サービス担当部局が、基本的に認定手続を行います。 国は、受給の認定の指針を作成しておりますけれども、認定に用いる情報項目は自治 体によって異なるということになっておりますが、主にかかりつけ医、主治医から情報 を得るというようなところはすべての自治体でかなり共通しているようでございます。 「6.財源」といたしましては、社会サービスの方は、地方税及び国からの交付金。 それから、NHSは税中心で、保険料からの拠出金でも構成されております。 次に、6ページをお開きください。「2)介護サービス以外の障害者支援」というこ とで、コミュニティーケア法やNHS法によるサービスが行われておりますが、在宅サ ービスとしましては相談支援、移動サービス、住宅改修、理学療法、コミュニケーショ ン支援などが行われております。 それから、職業訓練支援・雇用支援、駐車場無料、あるいは運賃の減免といったよう なことが行われております。 ここでも、多少、制度の入り乱れがございまして、福祉用具のうち、眼鏡などはNH Sから補助が受けられるようになっております。 次に「2.就労支援」ということでございますけれども、これは国の公的職業紹介所 であるジョブセンター・プラスというものが認定主体になっております。 そこに、8つの支援内容がございます。なかなかこなれた日本語がありませんでした ので、そのまま英語で書いてございますけれども、大きく3つの種類がございまして「(1) Remploy 」というものですが、これは公益的組織で、いわゆる障害者のための特別事業 所、仕事の場を提供するものがございます。 もう一つの類型といたしましては、(2)や(3)、(5)、(6)辺りが該当いたしますけれども、 事業主に対して金銭的な支援をしたり、あるいはサポートワーカーの設置をして、障害 者の就労を支援するといった、いわゆる就労支援措置がございます。 それから、(4)、(7)、(8)でありますような、いわゆる職業訓練プログラムといったよう なものがいろんな対象者に対して行われておりまして、(8)などは滞在型の職業訓練プロ グラムというふうになっております。 「(4)財源」は、税でございます。 そして「3.所得保障」といたしましては、各種手当や優遇税制がございまして、大 きく5つの種類がございまして、障害者介護の費用に対する手当、就業できないことに ついての手当、それから、最低保障的な意味で、所得審査が付いた手当や、あるいは優 遇税制というものがございます。それから、コンペンセートするという意味の補償的手 当がございます。 これらも、税が財源でございます。 最後に「4.スウェーデン」でございます。7ページをお開きいただければと思いま す。 スウェーデンにおきましては、大きく3つの法律が中心になりまして、社会サー ビス法は今まであった法制度を1982年にまとめたものです。それから、特定の機能障害 者に対する援助及びサービスに関する法律(LSS法)、アシスタント補償法(LAS S法)というものが施行されております。 前者2つは、コミューン、市町村で運用されておりますけれども、LASS法につき ましては国、社会保険庁の所管となっております。 「3.加入者」は、全住民でございます。 「4.給付」の「(1)内容」としては、社会サービス法の下では、そこに書いてご ざいますような在宅サービス、施設サービスがございます。施設サービスといたしまし ては、1992年のエーデル改革後に各種施設サービスが一本化された特別住宅と、個別の 障害を持った高齢者、若年障害者に対する小規模グループホームというものがございま す。 それから、現金給付が支給されます。 LSS法、LASS法におきましては、相談個別援助、パーソナルアシスタント、ガ イドヘルパー、生活アシスタントなどが提供されます。なお、週20時間を超えるパーソ ナルアシスタント費用になりますと、これは国所管のLASS法の方から費用が補償さ れて、週20時間以内であればLSS法で対応されるという形になります。ですから、2 0時間以上のパーソナルアシスタントの費用補償になりますと、社会保険庁がその認定 に入ってくるということになります。 「(2)支給限度額」は、コミューンによって異なっておりますけれども、ここでも 2002年から国が自己負担の上限と手元に残すべき最低保障額を決定するということに なっております。 「(3)利用者負担」は、社会サービス法につきましてはコミューンによって異なっ ておりますが、施設サービスである特別住宅では家賃・食費も実費負担。それから介護 サービス費の一部を負担、訪問介護でも利用頻度と収入による利用者負担がございます。 LSS法につきましては、原則的に無料ですが、家賃と余暇、レジャーの費用は徴収 ということになっております。 「5.受給者」につきましては、社会サービス法については介護が必要な高齢者・障 害者ということですが、LSS法、LASS法につきましては特定の機能的障害者とい うことになっております。 「(2)認定手続」につきましては、先ほど申し上げましたように、LASS法に関 するところについて社会保険事務所が、それ以外はコミューンの福祉事務所のアセスメ ントオフィサーが認定をするということになっております。 「6.財源」は、税でございまして、社会サービス法がコミューン、LSS法が、サ ービスによりコミューンまたは、県に当たりますランスティング、LASS法は国とな っております。 次に、8ページをお開きください。 「1.社会参加支援」というのがありますが、これは幾つかの法制に分かれておりま して、LSS法がカウンセリングや相談助言、移送サービス法などにより交通サービス、 保健医療法におきましてリハビリや補装具の支給等、自動車補助令におきまして自動車 の購入・改造のための補助が行われます。 先ほど、LSS法というのは特定の機能的障害のある者ということですが、もうちょ っと詳しく御説明しますと、そこにありますように「(1)知的障害者、自閉症」「(2)成人 期の脳障害による重度・恒常的な知的機能障害者」、その他というふうになっておりま す。 それから、保健医療法で機能的障害者に対してリハビリ等が行われるわけですが、1 点、注をいたしますと、保健医療法自体は、本来、全国民に対する医療サービスの提供 を目的としているものでございます。 「(4)財源」は、税でございます。 次に「2.就労支援」ですけれども、ここでは保護雇用法や社会サービス法などが根 拠となっておりまして、ただ、実際上、社会サービス法やLSS法からは日常活動の世 話とか提供とかということでありまして、就労支援においては、むしろ国の労働市場庁 といったようなところが重要な働きを担うことになっております。 「(2)支援内容」といたしましては、障害者雇用による雇用主への補助金の支給、 保護雇用の場としてSAMHALLという社会工場というものがございます。それから、 公共部門における保護雇用、補助者つきの雇用、特別職業訓練所などがございます。 「(4)財源」としては、税でございます。 「3.所得保障」ですけれども、これも疾病保険、労災保険、失業保険などを根拠と しておりまして「(1)事業主体」はそれぞれの保険者であります。 「(2)支援内容」といたしましては、疾病保険の枠組みから出るのが傷病手当、障 害手当、障害年金などでありまして、労災保険と失業保険からはそれぞれ労災手当と失 業手当が出ております。 各保険者からの保険料によって成り立っておりますけれども、失業保険につきまして は基金の会員の会費以外に国庫補助などもかなり投入されたというふうに聞いておりま す。 以上、概略でございますが、説明を終わらせていただきます。 ○京極座長 どうもありがとうございました。特に外国の調査はなかなか難しいので、 御苦労があったと思います。 今、資料1と2について御説明をいただきましたけれども、とりあえず、この事務局 の資料1と2の説明について御意見・御質問等がございましたら、お願いいたします。 それでは、最初に有識者の調査からいきましょうか。どうでしょうか。 座長が言うことではないんですけれども、至極、今の状況は上がっていると率直に感 じたんですけれども、どうでしょうか。どなたでも結構です。 どうぞ。 ○紀陸委員 御説明のございました16ページ、制度の見直し、将来の在り方というとこ ろなんですけれども、読み方がいろんな観点からできるかと思うのでございますけれど も、この甲、乙、丙、3区分ございますけれども、慎重だというところと拡大すべきで はないという、ここの乙、丙の答えが多いということが伺えるのではないかというよう な受け止め方をいたしております。 感想的な意見でございますけれども、前回のヒアリングの際にも、特に障害者の方々 から非常に声として強かったのは、やはり自立支援について拙速な統合について批判が 多かったというふうに受け止めておりまして、この問題については、やはりそんなこと を急ぐというと後で非常に問題が起きるというようなことが強くうかがわれまして、こ の問題に対する対処の仕方というものもそういう面に表れているのではないかというの が私ども、印象を持っております。 感想めいたことですけれども、以上であります。 ○京極座長 この内訳が17ページに書いてありますけれども、事業者団体、障害者団体、 それぞれは、丙はそれほど多くないという感じで、だから、どう解釈するかです。甲プ ラス乙で見るか、乙プラス丙で見るかによって同じ統計が違って見えてきますので、客 観的に、今、こうであるということで、ほかに御意見がございましたらお願いいたしま す。 どうぞ。 ○大森委員 今のところの「将来的」です。現在はだったらわかるんですけれども「将 来的」というのがあいまいなんです。非常に近い将来と、相当遠い将来があるので、将 来的には統合なんだけれども、今は慎重だ。将来とはいつぐらいのことか。 もう議論は相当やっているんだけれども、なおかつ、まだ将来で、将来とはどういう 時間幅のことか、その解釈によるのではないでしょうか。基本はそうなんだけれども、 今はと言っているので、将来というのはどういうことか。設問をつくったときには、将 来とはどういう想定ですか。 ○京極座長 医療経済研究機構というよりは、調査を依頼した側の事務局の方でお答え いただいた方がいいのではないかと思います。依頼された方が困ってしまうのでね。 ○桑田介護保険課長 確かに、将来といったときに、ごく近い直近の将来と、中長期的 な将来と不明確だというふうな御指摘でありますけれども、質問をつくったサイドのイ メージとしては、将来といっても、ごく直近の将来ということではなくて、中長期的な 先というロングスパンのイメージでございます。 ○京極座長 よく調査でやるときは、意識調査とかで将来はどこによるかによって、解 答する側がみんな自分のイメージで書きますので、多少、幅ができてしまうんです。 ほかにどうですか。 どうぞ。 ○堀委員 今の点ですけれども、下の図の書き方がまずいので誤解を与えるのではない ですか。現在は慎重であるべきだというのではなくて、拡大の方が全然出ていないので、 誤解を与えると思います。 ○京極座長 具体的には、どうした方がいいんですか。 ○堀委員 例えば、将来的に拡大する方向もあるが現在は慎重とか、少し丁寧にした方 がいいのではないでしょうか。これでは非常に誤解を招くと思います。 ○京極座長 そうですね。乙の設問そのものはいいんですか。将来的に拡大する方向が 考えられるというふうに言った上で、現在は慎重である。その方が、現在は慎重である と書いてあるから、それだけ見ると、将来はどうなのか、あいまいとしているというふ うに受け止められかねない。 設問の乙はちゃんと書いてあるんです。この辺はいろいろ、世間に発表するときには 慎重にしていただきたいと思います。 ほかにどうでしょうか。 これは、本当に関係団体がたくさん回答されていますけれども、特に市町村関係者、 それから、介護・医療サービス提供者が一番多いんですけれども、市長さんの喜多委員 はどうでしょうか。市長会の実感もあると思うんですけれどもね。 ○喜多委員 前のときも申し上げましたけれども、市長会で別に調査をやっているんで すが、それから行くと、やはり90%が慎重になるべき、または拡大すべきでないという 意見に今のところはなっているわけです。 先ほどから聞いていますと、現在とか将来という言葉が云々という議論によって、こ の数字が変わるのではないかというのもありますけれども、私、最初から申し上げてい るように、なぜ急に介護のところに障害者を入れるんですかということを私は何回も申 し上げてきたと思うんです。その辺のところが、介護保険を出発させた時点と、現在と の違いをどうだというふうに、明快なる説明が今までなかったと思うんです。 したがって、今、議題になっているこの調査の原案のときに、私、見せていただいて、 市長会としてはこういうアンケートを今の時点で取るのは反対ですと申し上げたはずな んです。結果としておやりになりましたから数字が出ていますけれども、市町村の方々 でこのアンケートに応じられた方の数字は全体の平均よりもやはり慎重だ。この4番目 の質問でいっても高い数字が出ておるというのが現状です。 ○京極座長 あと、山本委員の方で町村会の観点でどうでしょうか。 ○山本委員 私はずっと来ていないので、よく事情はわからないのですけれども、これ だけを見ていますと、いわゆる希望的なもので「将来的」と書いたのではないかと思う んです。それから、こういうものがあった方がいいという希望ではないでしょうか。「将 来的」というのは、そういうことで書いたのではないかと思いますけれども、今、そう いうことを議論をしているよりも、もっと具体的な中身の方が大事ではないかと思いま す。ですから、今までずっと何回かあったんでしょうけれども、私は出席していないの で経緯がわかりませんが、いずれにしても見直しをする時期が来ていることだけは間違 いないと思います。 ただ、要らぬことを申し上げるようですけれども、しょっちゅう何かを変えればいい というようなやり方はやめるべきだと思います。せっかく定着しているものが、また変 えることによってかえって紛争を起こしたり不安を与えたりすることが多いんです。で すから、こういう言葉の「将来的」というのは、そういう意味で曖昧模糊のことをやっ ているんだということを表明するようなものではないでしょうか。だから、これは少し 勉強した方がいいのではないでしょうか。私はそう思います。 ○京極座長 ほかにどうでしょうか。何でも構いません。 関委員、どうぞ。 ○関委員 26ページの「(2)受給対象者の年齢について」という設問の答えをどう理 解したらいいかという点について、もし解釈を持っていらしたら、それをお伺いしたい と思います。 といいますのも、24ページの「(1)被保険者(保険料負担者)と受給者の関係」と いうところを見ると「(どちらかといえば)一致すべきである」という意見が多いです。 そして、28ページの「6.保険料の負担者の範囲について」を見ると、「働いている者」 とか「30歳以上」が多い。そうすると、24ページの設問からすると、対象者についても 「30歳以上」や「働いている者」を受給対象者と考え、P26の設問については「(どち らかといえば)全年齢によって区分すべき」と答える人が多くなるはずです。ところが、 「(どちらかといえば)全年齢を対象とすべきである」とあまり差がないというのはど ういったことなのかということです。 障害児を受給対象者に含めるかということが大きな論点かと思うんですけれども、こ の設問からは、その点への意見が明確には出ていない。乙には「高齢化に伴うリスクを カバーするもの」という表現が入ってしまっていますので、そこで混乱しているのかど うか。 例えば、自由記載欄に何か、この設問と関連して、障害児を範囲の対象にすべきかす べきでないかという意見が出ていましたら教えていただきたいと思います。 ○京極座長 事務局、お願いします。 ○梶野補佐 例えば、問8で甲を選ばれた方が問9でどういうことかという、更にこれ をクロス集計で見たいという感じですか。 ○関委員 それが一つ、明らかにする方法ですし、最後の自由記載欄のところが簡単に まとめられていますので、そういったところでもし、これに関連する答えがあったら教 えていただきたいと思ったんです。 ○梶野補佐 それでは、クロス集計は次回お示ししたいと思います。 ○関委員 特に、ほかに何か、この点をどうとらえられているとか、事務局のご意見は いかがなのでしょうか。 ○京極座長 一言なので、必ずしも社会保険がこうだと思って回答している人もいるし、 また、そうではない方もいらっしゃるので、なかなか簡単にはいかないと思います。 ○桑田介護保険課長 確かに、これはまとまったばかりなので、1つはクロス集計とい うことだと思うんですけれども、全般的に見て、例えば年齢に着目して、若い層がどう 考えておられるか、あるいは高齢者層がどう考えられておられるかということについて 見ても、例えば案外、若い層の方が年齢にかかわらずみたいに、要はどちらかといえば そう思うという人と、総合点を足してみると、案外、若い方が広げることについて前向 きだったりとか、そういう印象がちらっとあったので、そういったことも含めて、年齢 別にどうかだとか、クロス集計をして分析してみたいと思っております。 ○梶野補佐 26ページの方は考え方が出ていまして、甲は普遍化ということで、基本的 には受給者の年齢はかなり下まで下がってくる方が多いと思うんです。それから、乙の 方は高齢者の介護保険ということですので、どちらかといえば受給者の年齢で言うと、 区切るわけです。 そうすると、問8で受給者と負担者の年齢を一致すべきを選ばれた方、高齢者介護保 険でそういう選択肢を選ばれた方は、受給者も負担者も一定の年齢で区切るような選択 肢を選ばれたと思いますけれども、ただ一方で、受給者は、例えば障害者の方まで含め るけれども、負担は一定の年齢で区切るべきという意見もありますし、受給者と負担者 を一致させるのであれば、受給者も負担者も限りなく年齢を下げるべきという意見もあ りますので、そこは分析させていただければと思います。 ○京極座長 よろしいですか。この問題ばかりで、まだいろいろクロスしたりなどして、 もう少し詳細に確認をし、持ち帰りまして、また御意見をお寄せいただければと思いま す。 2番目の資料の海外ですけれども、ちょっと私が気がついたところで、スウェーデン の8ページの「コミューン・ランスティングの福祉事務所」で、スウェーデンのランス ティングは医療事務組合みたいなものなので、社会保険事務所はあれだけれども、福祉 事務所はコミューンごとにあるので、そこは明確に区別された方がいいかと思います。 ○医療経済研究機構 わかりました。 ○京極座長 あと、これは難しい調査で、よくこういうイラストになったと思うんです けれども、先生方で海外にお詳しい方もいらっしゃいますし、何か印象でもありました らお願いしたいと思います。 どうぞ。 ○山本委員 やっと昔を思い出しまして、さっきの将来的なところは7年前に大議論を やって、結局、結論は出ていませんでしたけれども、被保険者の年齢はどこまでにする のが一番適当であるとか、受給者はどうするかという議論は7年前に大分したんです。 それを今ごろ、いまだに何もしていないのにこういうことを出すというのは少しどうか しているかと思います。 あの当時は、私は保険料を払う人の年齢というのは25歳以上にすべきであるというふ うに言いました。それから、受給者は0歳以上にしなさいというふうに言ったんです。 ところが、役所の方は障害者をどうするかというのが念頭にあって、そればかりを中心 に考えてきた。したがって、皆さんの意見とは合わないでそのままになってきた。そう いうことを、今、思い出しているんですけれども、あれだけの議論をしたものですから、 一応の形付けたまとめは当然すべきだろうと思っておりましたけれども、全然そういう ことがいまだにないというところが非常に残念だと思います。 ですから、はっきりしたものを出して、これでどうでしょうと言って議論をするなら わかるけれども、こんなあやふやな議論ばかりをやっているんだし、前へ進むことはな いと思います。それが1点目です。 2点目は、このヨーロッパのことをいろいろと報告されましたけれども、あそこはボ ランティアが大きいと私は思うんです。私が行ったときなどは、訪問介護・在宅介護な どというのはほとんどがボランティアなんです。ドイツなどもそうです。だから、そう いうような中身がこれには書いていないんです。ただ、こういうことだけでしょう。だ から、それでは私は判断のしようがない。 だから、ヨーロッパの国々が日本よりもすぐれた制度を持っているとは私は思いませ ん。むしろ、日本の方が今は進んでいると思います。ですから、こういうヨーロッパの ものを出してどうでしょうかなどというのは少し遅れているのではないか。そんな感じ がします。悪口を言っているのではありません。実感を言っているんです。 だから、もう少しこういうものは具体的に、ここはこういうふうにやっているから日 本とは違います。しかも、医療給付とかあれはコミューンが保障しますとか言っていま すけれども、保障をしても、例えば10万円要るのに5万円やっても保障はしているとい うことになるわけです。これはそういう言葉です。本当に要るのは10万円です。 ある施設に行きました。ところが、そこの所長が私どもに悔やんで話をしたのは、実 際には1人当たりこれぐらい費用がかかる。それを半分しかくれない。国は半分しか見 てくれません。だから、本人たちの負担が過重になって泣いていますと言うんです。だ から、もう少しそこの辺りをわかってほしいと私も思いますと、そこの日本で言う老人 ホームみたいなところの所長がそう言って悔やんでおりました。 だから、そういうことが書かれているのなら、この外国の実際はいいです。ところが、 そんなことは書いていないではないですか。これはこうこうという建前だけ書いている だけで、中身がないわけです。だから、もう少し検討するならば、そういう中身までよ く書いて出すべきではないかと思います。 悪口ではありません。私は実際のことを申し上げているんです。だから、こんなもの はペーパーの損でしょう。資材の無駄遣いみたいな感じがします。 それから、さっきの話は、7年前にあれだけ議論しました。あの議論を無にして、ま た新たな議論を起こすなどというやり方は適当でないと思います。だから、もう少し具 体的にきちんと来たところは来たところでちゃんと出して、そして皆さんいかがですか という検討をしていただくならわかりますけれども、新たなもののようなやり方をする のはすべきではないと思います。だから、少しそこの辺りを何とか反省をしてもらいた いと思いますが、いかがですか。返事をしてください。 ○京極座長 どうもありがとうございました。それでは、事務局の方から何かありまし たらお願いします。 ○桑田介護保険課長 確かに、厳しい御指摘でございます。この範囲をどこまでにする かというのは、おっしゃるとおり、介護保険制度をつくるときからの議論で、かつ2年 前の法律改正の前の段階でもどうするかということをかなり御議論いただいた部分であ りまして、その辺の議論の蓄積を踏まえた上で議論するべきだというのは非常に受け止 めたいと思います。 ただ、こういった形のアンケートというのは、その時点でもやっていなかったので、 そういった意味では、今回は一つの現段階でのアンケートといったことで、この結果も 踏まえながら、かつ、これも生かしながらという形でこれから議論をとりまとめていた だければと思います。 ○京極座長 それでは、堀委員、その次に小島委員で、次の資料の問題に入りたいと思 いますので、それではお願いします。 ○堀委員 おっしゃるとおり、日本と外国では違うので、日本の実情を踏まえて、日本 の制度をつくっていく必要がある。ただ、制度づくりというのは幾つかのテクニックと いうのがあるので、そういったものは参考になるのではないかと思います。 私の印象なんですけれども、これは社会保険方式の国が2つ、それから、社会保障方 式が2つ、いずれの国も、少なくとも介護サービスについては年齢によって区別をして いないというふうに感じました。 そういう程度です。 ○小島委員 既に介護保障の制度についてはこの有識者会議の第3回の会議で各国の概 要についてデータが出されております。今回はそれに加えて、社会参加支援、あるいは 就労支援という点、更には所得保障など、それをサポートする制度がどういう条件であ るかということを調査していただいたということですが、先ほど山本委員が指摘された とおり、その水準がどうかということが書いていない。それが十分かどうかというのは わかりませんけれども、一応、制度としては各国の状況があるということだと思います。 その中で一つだけ質問なんです。先ほどの御説明の中でも2ページ、ドイツの「2.就 労支援」の「(2)支援内容」の中に障害者について、20人以上の職場では5%の雇用 の義務づけということであります。日本の場合は1.8 %の法定雇用率がある。それもな かなか守られていないというような実態であります。先ほどの御説明では、ドイツは5 %の雇用義務はあるけれども、オランダ、イギリスではかつてはあったけれども、いま はないということです。かつては5%ぐらいの法定雇用率を規定していたんだけれども、 ほぼクリアーできたので、今は法律で決めなくても十分障害者の雇用が済んでいるとい うことで、日本で言う法定雇用率というのが法律でなくなったというように理解してい いんでしょうか。 ○医療経済研究機構 十分調べ切れていないところもあるんですが、むしろ割当雇用み たいな仕組みを導入していたけれども、やはりそれがうまくいかなかったというのが感 じです。 ○日本総研 今回、実際に調査に行った者なんですけれども、イギリスもオランダも、 登録された障害者を何%雇用するという仕組みで、まず自分が障害を持っているけれど も就労したいということで登録をする仕組みだったんですけれども、まず、その登録障 害者というのを十分に選べなかったというのが1点目です。 それから、一応、義務づけではあったんですけれども、罰則規定が非常にあいまいだ ったために、それで実効性が低かったので、結局、うまくいかなかったためになくなっ たというのが実態のようです。 ○小島委員 わかりました。 ○京極座長 それでは、資料がほかにございまして、次に資料3〜5についてまとめて 事務局から御説明をお願いいたします。 ○梶野補佐 それでは、資料3の「社会保険料と税の特徴」という資料を御説明させて いただきます。これは、首相官邸で開かれておりました社会保障の在り方に関する懇談 会、平成17年7月26日の提出資料をそのまま使っております。 まず2点で、1点目は収入の面から社会保険料と税の特徴を整理したものです。下の 段は使途の面から特徴を整理したものです。 まず、収入の面からですけれども、この表で、まず「基本的性格」ですが、社会保険 料は保険給付を前提とした特定財源。税の方は特定の使途にかかわらず充当が可能な一 般財源。 「負担の個別的調整」ですけれども、両立と所得上限で負担額が詳細に設定されてい ますので、個々人の状況に着目して負担を個別的に調整するということが比較的容易。 税の方ですけれども、多種多様な租税から徴収していますので、個々人の負担の個別的 調整が難しい。 3点目の「収入の安定性」ですが、社会保障財源に特定されていますので、社会保険 料の方は使途が政治的に左右されることもなく、景気変動にも、定額保険料や所得比例 の上限があるので、影響が少ない。それから、給付と負担の関係が比較的明確ですので、 負担引上げ時の合意が得やすい。 税の方ですけれども、財源が特定されておりませんので、使途が経済的事情や政治的 要因に左右されやすい。法人税や所得税などは、景気変動の影響を受けやすい。 4点目の「コスト意識」ですけれども、社会保険料の方は給付と負担の関係が比較的 明確で、負担引上げを通じてコスト意識が高まって、給付適正化へのインセンティブも 働きやすい。 税の方ですが、給付と負担の関係が明確ではないので、負担引上げを通じたコスト意 識というのが高まりにくく、給付の適正化へのインセンティブが働きにくいということ であります。 それから「(2)使途の面から見た社会保険料と税の特徴」ですけれども、まず「税 負担が適しているもの」は、生活困窮者、低所得者に対象を限定した生活保護等でして、 これらは事後的な救済を目的としていますので、拠出を前提とした社会保険制度の対象 とできない。 2番目に「社会保険料負担が適しているもの」ですが、これは給付がある程度所得に 比例している年金の報酬比例部分とか、雇用保険などです。給付が所得に比例していま すので、負担も報酬に比例させる必要がある。公費負担の対象としにくい。 3点目ですけれども「社会保険料と税のどちらでもなじむもの」として、給付が所得 に関係なくなされるようなもので、医療保障とか老人福祉です。これは、給付の所得と の相関がゼロ、または度合いが小さくて、社会保険料・税どちらでもなじむということ であります。 続きまして、資料4であります。これは、前々回、昨年11月と前回の今年の2月に行 いました関係団体のヒアリングの結果の概要を簡単に事務局の方で整理させていただい たものであります。 1ページ目、11月のサービス提供団体のヒアリングの結果の概要であります。 まず1点目です。介護保険の受給者範囲を拡大することについては、大半が「基本的 に賛成」との立場でしたが、一方、被保険者(保険料負担者)の範囲の拡大については 「十分な時間をかけて国民のコンセンサスを得る努力が必要」といった、慎重な意見も ありました。 2点目に、高齢者向けサービスと若年障害者向けサービスの共通化が可能なのかとい うことにつきましては、まず1つ目「年齢にかかわらず、介護の必要度によって共通化 可能」という御意見もありました。 「障害者や難病患者に対しては、老人以上に個別性の高い対応が必要」「狭義の介護 部分は共通だが、障害者(児)に対しては、療育や訓練面でのプラスアルファが必要」 といった御意見もありました。 おおむね共通した御認識は、入所施設サービスでの共通化はいろいろ課題が多いです が、通所介護、通所リハビリなど通所型サービスは施設と比べれば共通化がしやすいと いうことであったかと思います。 3点目ですけれども、高齢者と障害者が同一のサービスを利用する「共生型サービス」 とか、相談窓口の一元化につきましては「利用者、特に障害者にとってサービスの選択 肢が拡大し、アクセスが改善する」という御意見。 年齢に関係のない長期にわたって継続的な相談・支援が可能である。 サービス提供が効率化するする、相互扶助意識の高揚につながるといった肯定的な御 意見が大半でしたが、一方で、サービス水準が低下しないよう、職員配置基準等につい て十分な検討が必要という御指摘もありました。 2ページ目の4点目に、サービスの共通化や一元化を進めていく上での課題としては、 どのような御指摘があったかというと、要介護認定・障害程度区分の客観性を高めてい くことといった御意見や、高齢者、若年障害者のいずれにも適用可能なケアマネージメ ント手法の開発といった御意見が多くの団体から御指摘を受けました。 また、現場での混乱を生じないよう、職員の養成や訓練などをしていく必要がある。 そのため、十分な準備期間も必要だということも各団体の共通の御認識だったかと思い ます。 2番目に、先月の障害者関係団体のヒアリングの概要です。 1点目に、被保険者・受給者範囲の拡大の是非につきましては、自立支援法の定着を 図ってから議論すべきであって、現時点で意見集約を行うのは困難、あるいは不適当と いった御意見がおおむね共通した意見だったと思います。 2点目は、将来の方向につきましては、高齢者福祉と障害者福祉の理念と手法が異な っているので、財源面からの安易な統合論は排すべきといった御意見や、利用者、事業 者、行政、企業、市民など、異なる立場の意見を集約して、これからの在り方を統合的 に議論すべきという御意見がありました。 3点目は、今後、被保険者・受給者の範囲の拡大の問題を議論するに当たりましては、 まず利用者負担、低所得者に配慮した利用者負担の在り方とか、それぞれの障害特性に 配慮した要介護認定在り方とか、特に重度障害者の方に配慮したサービスの在り方とい うことが課題になるといった御意見や、権利擁護システムの在り方を検討すべきといっ た御意見もありました。 以上、ごく簡単にまとめさせていただいた資料です。 ○京極座長 資料5もお願いします。 ○桑田介護保険課長 資料5を今回、出させていただきました趣旨でございますけれど も、ちょっと先走って申し上げますと、今後のこの会議でございますが、一応、めどと しては5月中ぐらいに何らかのおとりまとめをいただければありがたいなというスケジ ュール感で今、事務局としては考えさせていただいております。 そういったスケジュール感を念頭に置きまして、次回、4月に予定させていただきた いと思っておりますけれども、4月にはとりまとめに向けて論点整理の段階に入ってい ただければありがたいなと思っておりまして、この資料5はその論点整理に向けた論点 を、とりあえず事務局の方から幾つか項目を出させていただいたということで、次回ま でに今回、出させていただいたものに対して、本日、御議論いただきましていろいろな 御意見が出ると思いますけれども、そういったことを踏まえながら肉付けしていって、 論点整理のための資料を準備させていただきたいという、そのつなぎのためのイントロ 的な資料ということで、資料5を付けさせていただいています。 内容でございますけれども、大きく5点、挙げております。 主要な論点として、1つ目は、数年前と違って、大きな状況変化は何かというと、障 害者自立支援法の制定などを始めとする状況変化が起こっておりますので、こういった ことを踏まえまして、介護保険の被保険者・受給者範囲拡大問題を、現時点で改めてど のように考えるのかというのが1つ目の大きな論点でございます。 2つ目でございますけれども、仮に被保険者、受給者の範囲を拡大するとしたときに、 1つは制度の性質として、高齢者の介護保険という現在の制度の枠組みを維持するのか、 それとも要介護となった理由、年齢を問わず、そういったリスクは年齢に関わらず生じ るのだから、そういったことを踏まえて「普遍化」の方向を目指すのか。 これについては、先ほど御紹介したアンケートでも、4割台ということで、ほぼ拮抗 した感じではございましたけれども、それが2つ目の論点と思います。 3つ目でございますが「普遍化」といったことについて考えてみたときに「普遍化」 の意義や効果、例えばこれまでの議論でも、年齢にかかわらず要介護リスクはあるんだ、 あるいは制度の谷間に落っこちる方がおられるといった方もありましたけれども、そう いった意義や効果。 あるいは普遍化を目指すとしたときに、その上で解決すべき課題。これも、これまで の議論の中では、例えばそもそもそういったことについて保険制度になじむのか、保険 料という形になじむのかとか、若年層の方々の理解も得られるかだとかさまざまな論点 を出されておりますけれども、そういったこれまでの議論を踏まえて、再度、意義や効 果、あるいは解決すべき課題は何か。 それから、より具体論として、高齢者と若年障害者に必要な介護サービスの競争程度。 これも、先般のヒアリングのところでもいろいろ御意見が出ましたけれども、介護サー ビスの競争の程度やいわゆる共生型サービス、例えば富山のこのゆびとーまれの皆様方 に来ていただいて御議論いただきましたけれども、そういった共生型サービスの是非に ついてどのように考えるのかというのが3つ目の大きな論点でございます。 4つ目でございますけれども、被保険者、受給者範囲を拡大するとしたときの制度設 計として、どういった選択肢が考えられるのかどうか。 これも、2つ目の論点では、例えば高齢者の介護保険という制度の枠組みを維持する としたときに、例えばその上で負担を40から更に下げるというパターンもあれば、そう ではなくて、本当に全面的に普遍化するという論点かもわからないし、あるいはこれま での議論の中でも障害児の方々はちょっと別の要素があるという議論もありましたので、 そういったことを踏まえて、部分的な普遍化というか、類型もあるかもわからないし、 どういった選択肢があるのだろうかということと、そのような制度設計の具体化に当た って、留意、検討すべき課題は何かというのが4つ目の論点でございます。 5つ目には、今後の道行きというか、スケジュール感、進め方として、この範囲拡大 問題に関し、今後どのような進め方をするのが適切と考えるかという5つの論点をとり あえず提出させていただいております。 以上です。 ○京極座長 どうも御説明ありがとうございます。 先ほど、課長の方から触れられたんですけれども、5月はやはり中間まとめな感じで、 ここですべてまとめて結論を出してしまうということはないと思うんですが、ともかく これは有識者会議でございますので、この会議の中でこういう骨格でまとめてみたらど うかということを得たいということだと思います。 ただいまの事務局の説明につきましては、御質問、御意見ございましたらお願いいた します。 それから、堀委員からペーパーが出ていますので、まずそれを伺ってから御議論した 方がいいかと思いますので、よろしくお願いします。 ○堀委員 資料は2つありまして「介護保険制度の被保険者・受給者の範囲についての 意見」に即して説明します。 お読みいただければわかるんですけれども、若干補足をしながら説明したいと思いま す。 まず、範囲拡大の是非ですけれども、結論的には、被保険者・受給者とも範囲を拡大 すべきである。 これは、理由の(1)に書いてありますように、従来、普遍化と言われています。体系化 というのは、やはり年齢を通じて介護サービスを1つの適正法で行う。 効率化というのは、やはりその人に合うサービスと高齢者のサービスが別であると非 効率になるのではないか。 もう一つ付け加えたいのは、有効化とかあるいは効果的ということを付け加えてある んですが、それは障害者に対するホームヘルプサービスをやっていない市町村がかなり あるというデータが前に出たんですけれども、結局拡大すれば、そういったところはな くなるということもあるのではないか。 要介護の発生率が低いことを理由に反対する意見もあるわけですけれども、若年者に も要介護リスクが全く発生しないわけではない。私的保険ならともかく、社会保険では リスクの発生確率に関係なく適用することが可能。 医療保険についてもそうなんですけれども、社会保険というのは保険原理と扶助原理 というのがありまして、保険原理というのはリスクに応じた負担なり給付なりというこ となんですけれども、扶助原理というのは、リスクが低い人からリスクが高い人への再 分配という機能もありますので、必ずしも発生率によって決められるわけではないんで す。 (2)ですけれども、先ほどの資料では保険料と税という財源だけの問題で議論されてい たんですが、私が財源だけではなく、社会扶助方式と社会保険方式ということで考える と、社会保険方式はたくさんメリットがあるから、やはり介護保険として年齢を拡大し た方がいいんではないかと思っています。 社会保険方式と社会扶助方式。社会扶助方式というのは、一般的には税方式と言われ ていますけれども、必ずしも財源だけではないので、社会扶助方式というのが一般の学 会ではそういうふうに言っております。 社会保険方式と社会扶助方式については、別紙に違いとか性格とか書いてありますの で、後でお読みいただきたいと思います。 (3)の時期尚早論は先延ばしではないかということです。先ほど、山本委員からもあり ましたように、もう介護保険法を制定する1990年代半ばから先延ばしになっているので、 いつかは決定する必要があるんだ。ただ、段階的に施行もあり得るのかなという感じは します。 「2 対象者の年齢」ですけれども、原則として、全年齢層に適用すべきだと思って います。 ただし、政治的に困難というのは、国民の合意が得られない場合はということで、そ ういった場合には一定年齢に限ることも認められよう。 その理由は、(1)で、適用対象を年齢で区別すべき理由はないんではないか。 先ほど、諸外国の報告にもありましたけれども、介護サービスを年齢によって区分し ている国はほとんどないということです。 (2)は、障害児について、被保険者の被扶養者として対象とするといった場合には、例 えば30歳以上とした場合には、20歳以下の方の障害児については対象にならないとか といった問題が生ずるのではないかということです。 2ページの「3 保険料の負担者」は飛ばしまして、「4 保険料の負担水準」のと ころです。 これも原則として、第2号被保険者並みの保険料負担とすべきではないか。 ただ、これも国民の合意、コンセンサスが得られない場合には、軽減することも認め られるであろう。 その理由なんですけれども、社会保険料は原則として保険事故発生確率に関係なく、 保険料を設定するということで、例えば医療保険では、高齢者が傷病にかかる確率は高 いんですけれども、そういう確率に応じた保険料にはなっていない。 したがって、介護保険でそういうものを確率に応じた保険料リスクにすると、医療保 険などに波及するおそれもあるのではないかという理由なんですが、これは原則であっ て、先ほど言いましたように、現在、若い者の負担ということを世代間の公平というこ とで問題になっているわけですから、そういうものが国民のコンセンサスが得られなけ れば、このことについて軽減することも考えられるんではないか。 「5 利用者負担の負担水準」についても、原則として応能負担の要素を強めた形で、 若年者も高齢者並みの負担とすべきではないか。 ただ、そこに書いてありますように、若年障害者は資産形成が困難であったという事 情を考慮すべきかもしれない。 しかし、施設入所の場合は生活全面的に公的に負担をするということで、それはある 程度の負担を課してもいいんではないかと思います。 以上でございます。 ○京極座長 ありがとうございました。 それでは、事務局の用意した資料、冊子と、今、堀委員から補足の資料説明がござい ましたが、それを踏まえてこれから質疑応答に入りたいと思います。 まず、紀陸委員。 ○紀陸委員 今の先生の御意見と資料3が、何を言いたいのかよくわからないのですが、 結局、負担と給付の対応関係が明確である社会保険の方式がいいということを言いたい ための教科書的な整理だと思います。 教科書的な整理はいいんですけれども、既に現実に、例えば国民年金ですね。実質的 には、崩壊しているような状況ですね。未納、未加入免除があれだけ多くて、1号のと ころは基本的に応能負担の徹底で、ちょっと妙な仕組みだと思います。 そういう現実が片方にこれだけありながら、またこっちでこういう制度を入れて、こ の社会保険の考え方が教科書的できれいだからやってみましょうかという論議の整理で いいのか。 社会保険庁があれだけもだえて、なかなか実際には問題が解決しないで、1つの制度 自体が崩壊してしまうような現実が片方にはあるわけですね。そういうことをまた追い かけてやる可能性があるかもしれないですね。こういう資料3のような整理でいいです よといって済むのか。問題はそれだけでは済まないだろうという気がしております。 もう少し税の方でも、例えば消費税のことをきちんと考えるとかいうようなことでな いと、問題の方向性が見えてこないんではないか。 さっきの資料1のところで、データで出ていますけれども、全体的にどちらとも言え ないとか、方向性が非常にあいまいですね。 恐縮ですけれども、資料1の8ページをもう一回見ていただければありがたいと思っ ております。 「介護保険料が高くなっても、給付の充実を優先すべき」という質問に対して「どち らともいえない」が4割、「どちらかといえば賛成」「どちらかといえば反対」が、そ れぞれ約25ぐらいあるわけです。どちらを向いているのか。保険料が高くなっても、給 付の充実をすべきであるのか、すべきでないのか、どっちも読めないですね。国民の多 くの人たちが、いろんな階層とか年齢の方だっておられますけれども、この中で方向性 を見出すというのは非常に難しい。 このアンケートの年齢とか職業の特性をうまくつなぎ合わせて解析しても、大きな方 向性が本当に出てくるのか。 そういう意味で、この論議については、介護保険ではなくて、ほかの社会保険の実態 を見据えて、慎重に論議すべきだというのが、ここから浮かび出てくる結論だと私ども 思っております。 ○京極座長 ありがとうございました。 先ほど出たように、資料1は意識調査なので、どうすべきかと聞いても、今、国民が どう思っているかというザインを確認するだけで、本当にそこからどうすべきかという ゾルレンを出すことには必ずしもならないと思います。 サポートの税と社会保険の特徴は、本有識者会議でまとめるときには、おっしゃった ような消費税の問題とかいろいろあるわけで、ただ、社会保険方式なのか、社会保険料 なのかそこもちょっとはっきりしていないし、私としては古いものを追加していただい た。必ずしも十分な表ではないけれども、しかし、少なくとも、官邸で議論したもので ありますので、そこには経済界の方も加わっていてね。 どうぞ。 ○桑田介護保険課長 資料3の趣旨ですが、1点だけ補足的に注釈的に申し上げさせて いただきますと、これを渡した趣旨は、税と社会保険料と比較して、社会保険料の方が 性格的に優れているからそちらの方へということでは決してなくて、これまでの議論の 過程で、それこそ紀陸委員以下の御議論でも、そもそも拡大するときに拡大した階層が 社会保険料に本当になじむのか。むしろ税ではないかという御議論もあったものですか ら、ではそもそもこの際、1つの参考として減点に返ったときに、社会保険料と税はこ ういった特徴がありますよ。それぞれメリット、デメリットだとか、向き、不向きが多 分相反しているんだと思うんですけれども、これはそうですよ。 そうした上で、(2)でありますけれども、使い道の面から見ると、社会保険料と税 とどっちがなじむかというと、例えばこういったものについてはこれがなじみますよと いったことを、とりあえずそういった参考としてお出ししたということで、ですから社 会保険料がいいとか、悪いとかではなくて、まさにそのような議論をしていただくため の1つの資料としてお出ししたということでございますので、補足的に言わせていただ きます。 ○京極座長 これはこの有識者会議の認定した資料ではないので、官邸で出されたとい う事実をここで確認したということでございます。 ほかにどうでしょうか。 喜多委員、どうぞ。 ○喜多委員 先ほど、課長の説明でちょっと気になるんです。 いろいろ触っている資料5のところなんですが、これは次回にいろいろまとめてとか おっしゃっていますから、今日はあえてそうたくさん言いたくはありませんが、気にな ったのは、拡大した場合云々という言葉がある。想定をされて、あらかじめ想定されて これをまとめるというふうに私は聞こえたわけです。そういう点、非常に危険だなと思 っております。 私は、この審議を原点に戻していただきたいと思うんです。一番初めにいただきまし た有識者会議についてというものをもらいました。ここには、主な検討課題というのは、 被保険者及び受給者の範囲の課題について、その中で給付の側面と負担の側面があって、 3番目に障害者の施策との関係というのが書いてあるんですが、どうもその後の議論は、 障害者問題になってきておると、それが非常にクローズアップされて、1番目と2番目 の問題が余り成功されていないまま今日まで来ているのは、議論が混乱している大きな 原因ではなかろうかと思うんです。 これも議事録を見ていただくとわかりますが、私はその当時、表現として衣の下から 鎧が見えているじゃないか。介護保険の中に無理やり入れようとしているんではないで すかと、そんな会議をやったって仕方がないじゃないですかということを申し上げたと 思うんですが、まず、給付の側面から見れば、今やっている介護保険をどのようなサー ビスで、どうしていくのかという議論はやった覚えはありませんね。それはなかったと 思いますし、そういう資料がまだ出てきていません。介護の幅を広げるのか、普遍化に ついてはだれも反対はしていません。 私は、今日、堀委員のをいただきましたけれども、一番の理由について、私は介護保 険創設のときから、普遍化を全部やるべきだと、おぎゃあと生まれてからやるべきだと 申し上げましたけれども、これはお金の問題と、いわゆる介護のいろんな給付の問題も あって、年寄りだけにのされたと思っていますが、それをどうするかという議論が本当 にされたのかどうか。 それから、2番目の負担の側面ですけれども、支え手の範囲をどう考えるか。これは、 恐らく事務局の方は、お金が足りなくなって、国から出す財政も足りなくなれば、保険 料もどんどん上がっていく。初め800円でできるとおっしゃっていた介護保険が、今、 私のところでは、平均4,700円台になっている。次の第4次になれば、恐らく7,000円 台、一番高く払う人は、月額1万円以上の保険料を払うということになる。果たして介 護保険制度として成り立つのかどうかという問題があるわけです。 それに年齢を拡大して云々という話は、これもやはり衣の下から鎧が見えている。要 するに保険料をもう少し低年齢化して、そこで直そうという姿勢があると、なかなか最 初から10年立てば2.5倍になるではないかという議論が物すごくあった中で、そのまま 今日まで黙り込んできている、この実態の解明を、今、しないで拡大ということ自体が 私は理解ができない。この辺の資料は、違うとおっしゃるのならば、出していただきた いと思います。 今は、非常に介護保険料が上がっていると、私は申し上げておりますが、当時の厚生 省がお出しになったデータは、10年経てば2.5倍に保険料がなる。勿論、負担も2.5倍 になるわけですが、その予定の範囲内に来ています。 したがって、厚生省としては、初めから制度をつくられたときの予定どおり来ている ということが、私はそれが正論ではないかと思います。 しかし、それで本当に国民が負担に耐えられるのかどうかということから考えれば、 当然この負担の側面からどうすべきかという議論をしなければいけないけれども、そう いう初めらかのことを隠しておいて、障害者を入れるから、そして年齢を下げれば、介 護料が増えるから、それで何とかなるというところで議論されているところが、非常に 私は混乱しているんではないかと思います。 したがって、そういうところを整理をしておかないと、こういう有識者会議の結論と いうのは出ないんではないかと思っております。 ○京極座長 ありがとうございます。 ○山本委員 同じようなことを申し上げたいんですが、もう一つ、こういうのは皆さん が同意をしてもらえないと改正は難しいんです。なぜ、そういうふうに申し上げるかと いうと、介護保険はどんどん上がっていくわけです。今、お話があったとおりですがね。 ところが、もう一つは、来年の4月から実施をする高齢者の医療保険ですよ。これが また保険料として膨大な額になるんです。今、6,200円、介護保険は4,200円ですね。2, 000円差があるわけです。高齢者医療保険の6,200円を私はちょっと調べてみたら、半 分の50%の人が、いわゆる低減措置を受けられる。半分の人は私のところでは受けられ ないんです。 ですから、負担がどんどん増えていく負担増という圧迫感が高齢者の人たちに来るん です。だから、今はまだやっていないから、ぴんと来ないんです。高齢者医療保険はど んなんですかといったって、ほとんどの人が聞き慣れない言葉だし、知らないんです。 ですから、来年の4月になりますと、実施することになりますから、保険料がべらぼう に高いんです。 したがって、次に、今の平均値だけでいきますと、1万400円を負担しなければなら ないわけです。介護と医療だけです。そうしますと、13万円ぐらいになるわけです。そ れを高齢者の人が一人ひとりが保険料負担するんですから、これに対する反発は必ず出 ると思いますよ。 そういう時期にこれをやったら、恐らく同意を得られないと思いますね。負担ばかり 来るじゃないかということになると思うんです。今ごろ遅いんですよ。先ほどから話が いろいろありましたが、もっと前になぜやらなかったかです。それを今ごろ出すから、 ちょうどそれとがっちり合って、これは同意は得られないと思いますよ。だから、そこ をどうしたら乗り切ることができるか、皆さんたちに納得をしてもらえるかということ を考えなければいけないと思います。大きな障害が高齢者医療保険は決まっているわけ ですから、来年の4月1日から実施するんですから、そのために広域連合はみんな各県 で組んでいるわけですから、そうすると、そのときに保険料が皆さんに行ったときに、 初めて、何でこんなに高い保険料を払うんだということになるわけです。出発のときに 介護と2,000円の差があるんです。だから、これは高負担というよりも、もうむちゃく ちゃな負担だという、そういう印象を与えるんですよ。そういう時期に、今からやって、 さっきのお話のように、5月に改めてこういうのを出しますと言っているけれども、実 際に議論していくと、来年になっていくわけです。だから、そこら辺りも考えて、どう してもっと早くやらなかったんですか。ちょうど一番悪い時期にこれをやろうとする、 これは恐らくここの皆さんたちが同意したって、とても国民的な同意は得られないと思 います。そこら辺りがちょっと心配なんです。あなた方の方で、十分その辺りを検討し て、どうしたらうまく行くか。 それから、介護保険ほどくるくる変わる制度はないですよ。日本の国始まって以来の 特徴ではないですか。ですから、これでいいでしょうと、やっと安定していたら、また 変える、今、地方の市町村というのは、大変迷惑しているんです。制度を変えるもので すから、やっとこれで落ち着いたかと思ったら、ころっと変えるものですから、また、 それに切り替える、しょっちゅう人手と資金が必要ということになるわけです。 ですから、もう少し安定の方向に向かって、きちんとしたものにしておいて、それか ら次のものを考えていくというのならわかるけれども、途中で、いつもいつもちょうど 海の波が変化するようなやり方をするというのはやめた方がいいと思いますよ。 だから、我々市町村はみんなどうしようかと困っているんです。やっと、これで落ち 着いた、今度はうまくいくだろうと思っておったら、今度はこう変えましょうと変える。 何であんなに変えるんですか。あなた方でそういう病気がはやっているんですか。非常 に迷惑千万です。 だから、そこの辺りも考えて、この制度がもう少し、いつ、どういう時期にこれを出 したらいいのかとかということを十分考えた上で出してください。今出して、ちょうど 来年に降りかかるようになったら、これは猛反発を食らいます。私は高齢者医療保険だ けでも収まらぬのではないかという心配をしています。これは恐らく反発すると思う。 だけれども、今は、まだみんなが知らないからいいんです。だから静かなんです。し かし、来年の4月から実施をしていきますと、保険料を払うときに初めてわかるんです。 75歳以上の老人一人ひとりが保険料を払うんですから、そういう時期にこれをもっと出 したら、またかということになって猛反発です。だから、そういうことも考えて十分配 慮した方がいいと思います。 余りくるくる変えるのはやめてください。今ごろになって出して、これはもっと前に 出すべきです。こういうのを乗り遅れというんです。だから、そういうふうに注意をし ていただいたらどうでしょうか。 勝手なことを言いましたけれどもね。 ○京極座長 いずれにしても、この問題は、関委員の御指摘にあったように、社会保障 全般の中でということなんだけれども、この全般というときにすぐ体系の中でと考えて しまうんだけれども、社会保障の変化が、この介護保険の議論の前提として、これから 将来、何が起きるかという前後もわきまえて、やはり議論しなくてはいけないという点 は御指摘のとおりだと思います。 どうぞ。 ○小方委員 今日、御説明をいただきました有識者の調査だとか、あるいは諸外国の調 査の結果を踏まえますと、個人的な印象としましては慎重論の方がウエート的には高い のかなというような気が、まずいたします。 ちょっとイメージは悪いんですけれども、先ほども議論がありましたが、こういう問 題は7年前からずっと議論されていたんだということですから、ぼちぼちそういう結論 は導き出されなければいけないのかとは思うのでありますが、ヒアリングの結果を聞い ていましても、例の障害者の方々の自立支援法もまだ定着をしていない。 あるいは介護の問題も、5年ごとに一応見直すというルールになっているということ からしますと、一つの選択肢としましては、慎重論というものが賛成派を上回っている 現状から踏まえますと、時期的に、いつごろにもう一度、この議論をするということを 決めた上で、先送りという言葉は余り好きではないのでありますけれども、そういった ものも一つの選択肢なのかなというような気がいたします。 その中で、先ほど喜多委員のお話にありましたように、次回のテーマが拡大ありきの ような状況になっていくというのはいかがかなというような気がいたしますものですか ら、その辺も踏まえた、白紙に戻してというとなかなかまた大変でございますので、ひ とつ、そういった目で、こういうせっかくの会議が開催され、何度かこういう議論を進 めてきたわけでありますが、現状を踏まえた上で、冷静にもう一度、慎重さというとこ ろを踏まえますと、そういったことも意見の一つとして議論していただいたらいいかと 思いますので、申し上げます。 以上です。 ○京極座長 ありがとうございました。 それでは、大島委員どうぞ。 ○大島委員 いろんな御意見を聞いていると、慎重にというのは確かにあるんですが、 要介護状態というのは、とにかくどんどん増えることは間違いない。今でも増え続けて いるわけです。増え続けているということは、当然、手間がかかる。手間がかかるとい うことは、お金がかかる。財源が目の先でショートしてくるというのが見えているとい うのが多分状況だろうと思うんです。 それを考えると、先延ばしはできないという考え方が、そこに多分、出てきているん だろうというふうに私は理解していたんですが、慎重論というのが確かにあって、先延 ばしするというのは危険だというのはいいんですが、既に財源がショートするというこ とは見えている状況で先延ばししたら一体どういうことになるのか。それはそれで十分 な時間をかけて議論をすればよろしいですという状況にあるのかどうか。それをまず聞 いた上で、先延ばしするかどうかというのは決めなければいけないのではないかという 感じがするんです。 地方の話などを聞いていると、私は余りそういった点は詳しくないんですが、相当に 厳しそうで、とにかく財源が必要になることだけははっきりしているわけで、その財源 をどこかからか持ってこなければいけない。持ってこなければいけないということにな れば、国の予算配分の在り方を変えるのか。そうでなければ、どのように絶対量を増や すのか。私の頭の中では、どちらかしか考えつかないんです。 それで、絶対量を増やすしかなければ、一体、そのリスクをだれが負うのかという話 でしかない。そのリスクは、最終的には個人に来るにしても、国がその全体を設計して やるのか、あるいは地方にどのくらい任せるのか、あるいは企業がどれくらい持つのか といったようなバランスの問題などが多分出てくると思うんですけれども、先ほどから 地方のお話を聞いていると耐えられないという話が出てきているので、どこまで行った ら本当に個人の生活レベルのところで破綻してしまうのか。このまま先送りしたら破綻 しますというものを数値とかで、具体的に出していただければ、どのぐらい急がなけれ ばいけないかというのも見えてくると思うんです。その辺のところが、話を聞いていて 全然わからないんです。 その辺のところはまだゆとりがあるということで構わなければ、これは1年、2年か けてゆっくりと話し合った方がよほどいいと思いますし、その辺のところの見通しにつ いてお話を伺いたいと思います。 ○京極座長 そこは、事務局で答えられるかどうかというとあれなので、とりあえず小 島委員の御意見・御質問を伺いましょう。 ○小島委員 私、この有識者会議に途中から交替して出ているんですけれども、山本委 員、喜多委員は介護保険がスタートする前から関わって、今、実際、市町村で担われて いるということで大変御苦労をかけていると思います。山本委員もおっしゃいましたよ うに、まさにこの介護保険スタートのときから被保険者の範囲、あるいは給付者の範囲 をどうするかというのはずっと検討課題になっていた。前回の見直しの中でも議論をさ れて、介護保険部会では意見書を2度にわたって出しています。平成16年12月のとき には、基本的な方向性としては被保険者・受給者の範囲の拡大という方向が示された一 部、それに対する慎重な意見ということもありましたけれども、方向性は示された。し かし、それが具体的な前回の法改正には入らなかった。しかし、これまでの介護保険部 会関係では方向性としては大体示されたと私は理解をしております。 それで、改めて今回、有識者会議が持たれたというのは、介護保険の5年後の見直し が行われて、そして、新たな障害者自立支援法が実施に移されたということがあります ので、そういう新たな法改正の実施を踏まえて、更にこれまで議論されている方向性を、 具体的にどうするかというところが、今、問われているのではないかと思います。 障害者自立支援法についても、3年後、2009年の見直しということが法律に書かれて おります。それらを念頭に入れながら、もう一度、これまでの議論として、昨年の7月 の第3回のこの有識者会議では、各論点についての意見が一応出されている。そこでも、 これまで介護保険部会等で出された意見を、もう一度繰り返してというところがあるか と思います。障害者団体等の当事者のヒアリングなども前回行われたので、当事者の思 いがどこにあるか、何が課題かということも含めて、もう一度、この有識者会議で整理 をしていくことは必要だろうと思っております。そういう立場で私としては参加してい るつもりであります。 そういう意味で、この適用の範囲の問題について先延ばしにすべきでないという立場 で参加しております。是非、これまでの経過を踏まえて、今、どういう状況にあるのか、 あるいは新たな段階ということで、具体的に何が求められているかということをはっき りしておく必要があるだろう。今年度中に一定の結論を出せという国会決議も出されて おりますので、そういう国会の議論も踏まえて、この有識者会議としての役割というの もあるんだと思っております。そういう意味で、5月を目途にということでありますの で、そこはやはり精力的に論議をしていく、あるいは関係者の合意を得ていくというよ うな具体的な作業というのは必要であると思っております。 ○京極座長 どうもありがとうございました。 私の方から言うのは語弊がありますけれども、この論点はこれから議論するためのあ くまでもたたき台ということで、この論点を次回は深めるということですけれども、ち ょっと喜多委員とは別のニュアンスなんですけれども、高齢者の介護の立場から範囲を どうするかという見方もあると思いますけれども、逆に障害者の立場から介護をどう見 るかという、両方のアプローチがあると思うんです。 前回、ヒアリングでは障害者団体のかなり厳しい御意見も出ましたけれども、果たし て障害者施策はこのまま自立支援法の下で、大分、予算は増えたけれども、円滑に進む かどうかという不安感もあるやに聞いておりますけれども、その辺で委員の中で、特に 竹中委員とか松下委員、いかがでしょうか。 どうぞ。 ○喜多委員 今の座長の発言を聞いていますと、ちょっとおかしい。私、はっきり言っ ておきますけれども、いつも言っていますが、介護の普遍化については制度ができる前 から言っているわけです。おぎゃあと生まれてから死ぬまで一本でいったらいいではな いかというのが私の信念ですからね。 ところが、なぜ、これがおかしいのかといったら、障害者もそこに入れるとおっしゃ るから、ちょっと異質のものを別に入れるのはおかしいのではないですか。障害者の65 才以上の人は入っているではないかというのはありますけれども、それは障害者として 介護保険に入ってもらっているわけではないんです。国民として、介護に必要な年齢と して入っていただいている。だから、それを下へ下げていくということについては私は 全然反対でも何でもないわけです。しかし、その議論が整理をされないまま、しきりに 障害者とおっしゃるからおかしくなってくるわけで、前回のあれを聞いていましても、 恐らく各団体の皆さんもそういう思いだと思うんです。 自立支援法をつくったけれども、今、市町村は大混乱している。そういうものをやは りきっちり整理をしないと、そんなものをほかのところへ入れたって、それは制御でき ないです。その辺はひとつ、きっちりと割り切って、ここは介護の有識者会議ですから、 整理をしてもらわないと混乱をしていると思います。 ○京極座長 ただ、一応、今日は中村社会・援護局長と中村障害保健福祉部長が出席さ れていまして、両局共管で進めていますので、介護保険だけの中の検討ということでは 必ずしもないと思います。それで、両局またがったこういう検討会ができていると思い ます。 ただ、おっしゃっているように、障害児とか障害者という言葉で健常者と対立 させるのではなくて、障害児でも障害者でも介護サービスを必要とする面においては共 通面があるということで議論を整理するのか、それとも障害者という特別なものを入れ るか入れないかという御議論と、確かにおっしゃるように違う議論で、赤ちゃんから年 寄りまで介護サービスを必要とするということであれば、それは障害者の定義ではなく て、実際にどの程度、必要かで見るべきだという考えもあると思うんです。この辺は論 点整理の一つだと思います。 どうぞ。 ○堀委員 例えば、障害者に介護保険を適用するのではなくて、介護保険の適用範囲を 全国に広げて、その中で要介護者。だから、若年障害者というのはちょっと問題で、若 年要介護者に対しても介護保険の給付を行う。 自立支援法というのは、介護だけではなくて、訓練とかいろいろなサービスがあるの で、その中で要介護サービスだけについては介護保険を適用するというふうに理解すべ きではないかと私は思います。 ○京極座長 ちょっと、さっきの整理の仕方が正しい整理かどうか反省するところもあ りますけれども、ただ一応、松下委員と竹中委員はそういう御専門の立場もありますけ れどもね。 ○竹中委員 関さんからさっきからお手を挙げられています。 ○京極座長 それでは、関委員からどうぞ。 ○関委員 すみません、話がまた違ってきてしまうんですけれども、私は方向性として、 被保険者と受給者とも範囲を拡大すべきだと考えているんですが、3点、どうしたらよ いか悩んでいる論点があります。 1点目は、40歳未満の者の保険料負担の水準をどうするかという点。 2点目は障害児。若年要介護者というのはいい言葉だと思いましたが、それをどうす るのか。つまり、これまで税で行ってきた福祉サービスについて、保険という形で障害 児をケアしていく場合、どう理念を転換すべきなのかという点。そして、どうその経費 を負担していくかということで悩んでいます。 3点目は、保険料負担の方法です。これについては、例えばこのアンケートにおきま しても、22ページで「若年者の介護保険料は、医療保険の上乗せ徴収であるため、国民 健康保険等において未納や滞納が増えるおそれがある」として、現行制度と同様に医療 保険制度に則る形が提唱されています。しかし、必ずしも方法はそれに限られるわけで はなくて、介護は医療と年金の間のような領域であると考えると、年金と同じような形 で徴収する方法も考えられます。これから徴収方法を変えるというのは大変ですが、そ ういった方法も負担の公平性を考えると、検討の一つとしてあるのではないかと考えて います。結局は働いている人が払う形になっているわけですが、被扶養者と免除者の違 いをどう考えるのかという点でも、どういった形で徴収するのかというのは、新たな論 点として検討すべきではないでしょうか。この3点の悩みとの関係で、次回までという のは難しいかもしれないんですが、できれば資料としてデータなどを提供していただけ ると嬉しいと思っていることがあります。 それは何かといいますと、1つは保険料の負担と給付との関係が、普遍化の方向で制 度を変えた場合どうなるのか。今の介護保険制度は、保険料の負担者は40歳以上の者で、 給付を受けている者は65歳以上の者という形になっています。この制度を例えば、負担 者・受給者ともに20歳以上に変えた場合、その受給対象には20歳以上の障害者も入っ てくるわけですが、そのときに保険料については年齢層毎に何%ぐらいずつ負担して、 給付は何%ぐらいずつ受けることになるのか。つまり負担の割合がどう動くのか、形が 変わるのか。そういうところが、もしわかるような資料があればと思います。 それと、現在、障害者に対するサービスは税金で担っているわけですが、それを保険 制度にした場合、一体どの程度、税金から保険に負担額が動くのか。年齢層毎に負担額 はどう変わるのか。そういった財源の移転についてもわかればと思っています。 なぜ、こういう点が疑問になっているかといいますと、だれがどう負担するのかとい うのは、38ページの表にあるように、今は、高齢者の保険料は19%、若年者の保険料は 31%、公費は50%となっています。しかし、例えば障害者を含めた場合、将来的に公費 はこの50%のままでいいのかとか、第2号被保険者の負担をこのままとして、第3号と いう形を加えてつくって、それの保険料を安くするという方法も検討すべきかと考える からです。 いずれにせよ、若年者の保険料負担を一体全体の何%とするべきか、また制度をそう いうふうに変えることができるのか、何歳から一体どれぐらい負担したらいいのだろう かということを考えるにあたって、ちょっと難しいんですけれども、そういった基礎デ ータがわかればと思います。 次に、今までヒアリングを伺っていて、障害者団体においても混乱があると思ったの は、共通するサービスと独自で別個に提供されるサービスが存在するという点です。つ まり、移動介助ですとか、障害者に特に必要とされるサービスは、これからも自立支援 法を通して提供していくと思うんですが、何については介護保険による共通するサービ スとするのか、何については別のサービスとするのかがより分かる形に提示できないで しょうか。具体的なサービスの名称以外に、今、一体どれぐらいお金が何に使われてい て、現在ある障害者に対するサービスの中の、これについては、この程度の給付額につ いては保険制度に移るといった、サービスとお金の移動がわかるような資料があれば、 具体的に考えられるのかなと思いました。いろいろと難しいことをお願いしまして、す みません。よろしくお願いします。 ○京極座長 3点いただきました。 まだ発言されていない点でもよろしいです。松下先生、どうぞ。 ○松下委員 私は前々回から今日の会議も含めて、ヒアリングとか調査とかそういう資 料を出していただく会であって、それをベースに個々の委員がどういう意見を持つのか というのは、次回以降、恐らく議論されるだろうと思っていたんですが、たまたま堀委 員がこういう意見書を出されたので、皆さんそれぞれの意見を活発に出されて、私自身 は戸惑っていますので、また私の意見は次回以降に出したいと思います。 本当は先ほど言えばよかったんですが、この資料、報告書に関して、座長は国民の意 識のザインとおっしゃるけれども、私はあくまでも有識者に対して、こういうアンケー トの項目で調査をしたら、こういう結果が得られたというだけにすぎなくて、これが本 当に国民の意識を反映するかどうかは、また別もの。どうしてかというと、一番の問題 は、若年者の意識が非常に重要だということは、これまで何回も皆さんから語られてい るけれども、この調査は20代の人たちの調査がほとんど反映されていない。数が非常に 少なくて、本当にこれは国民の意識を反映しているかどうかがわからないので、これは 少し値引いて見なければいけないと私は思っている。先ほど言えばよかったと思うんで すが、そういうことで、次回以降、私の意見をいろいろ出させていただきたいと思いま す。 ○京極座長 ありがとうございました。 竹中委員、どうぞ。 ○竹中委員 余り意見というか、私の立場というか、参画させていただいたときの状況 というのは、小島さんと同じような状況で、既に介護保険に関していろいろ議論がされ、 そして、それがまた改正されるということだとか、それから、介護のことをもう少し幅 広く見直すという前提があって、この会議が開かれた。それで、私自身もそこで意見を 言うべき立場になったというふうに理解をしているんです。 そういうときに、殊さら障害者という何か別枠の一つの人種があるかのように、ここ で何度も話が出てくるというのが物すごく日本的だなと思っていて、これだけ分けたん だと、悲しいことだなと、要は何かサポートがあったり、それがテクノロジーのサポー トであったり、人のサポートであったり、制度のサポートであったりですが、そういう ものがあれば働けるという層の人と、そういうものがあっても働けない層の人とか、そ ういう分け方をするならわかるんです。でも、そうではなくて障害者か高齢者かという 言い方というのは、もうそろそろ議論のベースとして終わりにした方がいい、介護を受 けながら働ける人が絶対います。 ですから、その人にとっては、働くための介護はどのようなものか語られたらいいし、 介護を受けても働けない人はいます。でも、その人たちにとっての生活の介護はどうい うことかというベースでお話が進んでいただきたいと思います。ですから、当然介護の 問題で年齢等々の拡大した形で考えられるというのは、もうこの時代には当然だと考え て、この議論に参加しています。 それから、1点、全然関係ないことで大変申し訳ないんですが、喜多委員、他の委員 が発言されているときに、個別に会談をするのは是非やめていただきたい。ほかの皆さ ん方の御意見もお聞きいただきたいと思いました。 以上です。 ○京極座長 介護保険発足当時、検討したときには難病問題とか、そういう方も当然対 象に入っていいんですけれども、これは実際には40歳から支給する第2号被保護者につ いてのみ、当時は15特定疾病だったけれども、認めて、あとはだめという形に絞ってし まったわけですけれども、やはり障害という定義もいろいろありますけれども、現に介 護を必要とする難病の方等をどうするのかということも含めて考えなければいけないし、 障害児をどう考えたらいいかということも、障害児にとらわれないで、病気の子どもで もいいんですけれども、そういう0歳からの支給についても、理念的には余り異論がな いと思います。財源的にどうするかということの議論が1つあるわけで、その辺りも整 理し直して、次回、ひとつ事務局の提案資料を充実させていただきたいと思います。 一応時間が来ましたので、大変申し訳ないんですけれども、6時終了ということでご ざいますので、本日の討議はこれで終了したいと思います。よろしいですか。 それでは、事務局から連絡があればよろしくお願いいたします。 ○桑田介護保険課長 今日は本当に厳しい御指摘も含めて、活発な御議論をありがとう ございました。先ほど申し上げましたとおり、次回については議論のとりまとめに向け た主要な論点ということで、本日資料5としてお出ししたものに、まさに今日の議論を 踏まえて、タイムオーダーとかいろいろと御意見をいただきましたので、そういったこ とも踏まえて肉づけして、かつシミュレーションについて、どの程度まで御要望にお答 えできるか、ちょっと自信がないんですが、努力しつつ、そういった参考資料も含めて 御提示できればと思っておりますので、御議論をよろしくお願いいたします。 次回は、4月10日を予定しております。次回までに、先生方の中であらかじめ御意見、 今日も堀先生からいただいたわけでございますけれども、そういった御意見があれば、 それはお出しいただければと思いますけれども、その際には恐縮ですけれども、その前 の週の6日ぐらいまでにいただければとありがたいと思っておりますので、ひとつよろ しくお願いいたします。 本日は、どうもありがとうございました。 ○京極座長 それでは、これで終了いたします。どうもありがとうございました。 照会先 老健局総務課 上村 連絡先:03−5253−1111(3918) 1