07/03/06 労働安全衛生法における定期健康診断に関する検討会 第5回議事録 第5回労働安全衛生法における定期健康診断等に関する検討会                  日時  平成19年3月6日(火)                      18:00〜                  場所  ホテルハートイン乃木坂                      (健保会館)312号 ○和田座長 ただ今から第5回の労働安全衛生法における定期健康診断等に関する検討 会を開催いたします。  早速ですが、これまでの検討会での議論を踏まえ、報告書(案)が本日事務局から出 されていますので、それに関して議論したいと考えています。しかも、委員の皆さま方 には前もってお送りし、一応チェックしておいていただいております。今回は、すべて につきまして改めて慎重に審議したいと考えています。各項目ごとに審議を進め、でき ましたら十分審議していただき、なるべく本日中に結論を出したいと考えていますので、 よろしくお願いいたします。まず資料の説明をお願いいたします。 ○衛生専門官(一戸) お手元の資料として議事次第、名簿、座席表をおめくりいただ き、資料1「労働安全衛生法における定期健康診断等に関する検討会報告書(案)」に 基づいて、説明させていただきます。  4頁目、「はじめに」ですが、検討会の目的として「労働者の安全と健康の確保及び 快適な職場環境の達成を目的として、昭和47年に労働安全衛生法が制定され、以来、今 日まで我が国の安全衛生水準の向上に寄与してきた。現在、労働安全衛生法に基づき約 5,000万人の労働者に対して健康管理をはじめとする労働衛生管理が行われるに至って いる。昭和22年に制定・施行された労働基準法及び旧労働安全衛生規則では、労働者 が常に健康な状態で労働に従事するには、結核等の感染症をできる限り早期に発見する ことが必要であり、そのためには定期的な健康診断の実施が不可欠であるとの認識に基 づき、労働者に対する健康診断を行う義務が事業者に課されてきた。  さらに、昭和47年に制定された労働安全衛生法による健康診断では、労働基準法以 来の結核対策を中心とした胸部エックス線検査及び喀痰検査に血圧測定等が追加される など、感染症以外の健康管理を目的とする項目が追加されてきたが、とりわけ作業関連 疾患としての脳・心臓疾患に適切かつ効果的に対応するための項目として平成元年に血 中脂質検査、心電図検査等が、平成11年にHDLコレステロール、血糖検査が追加さ れ、現在の定期健康診断となった。  定期健康診断においては、高脂血症や高血圧、糖尿病など脳・心臓疾患等につながる 所見を有する労働者が増加しており、およそ2人に1人(48.4%:(平成17年定期健康 診断結果報告)が有所見という状況にあります。さらに、業務によって生じた脳・心臓 疾患により労災認定される件数(平成17年度330件)が、近年、高止まりしており、 過重労働対策とともに、脳・心臓疾患の発症要因への対策を進めていくことが求められ ている。  一方、中高年の男性を中心に肥満者の割合が増加傾向にあるが、肥満者の多くは、糖 尿病、高血圧、高脂血症等の危険因子を複数併せ持ち、これらの危険因子が重なるほど 脳・心臓疾患を発症する危険が増大することが医学的に判明している。特に内臓脂肪型 肥満はこうした脳・心臓疾患のリスクと密接に関係しているとされ、これに着目した 「内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)」の診断基準が示され、内臓脂肪型肥 満に着目した保健指導の重要性が明らかとなった。平成18年6月に制定された、高齢者 の医療の確保に関する法律(以下、高齢者医療確保法という。)では医療保険者が、 40歳〜74歳の被医療保険者を対象に、特定健康診査・特定保健指導を行うことが義務づ けられ、さらに、この特定健康診査・特定保健指導を行うにあたり、参考とする「標準 的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」が厚生労働省健康局の検討会において平成 18年7月にまとめられた。この「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」は、 「内臓脂肪症候群」に着目し、脳・心臓疾患及び生活習慣病を効果的に予防するための 健康診断の項目等が、新たな医学的知見を含めて示されている。  定期健康診断等については、これまでも作業関連疾患としての脳・心臓疾患に適切に 対応するという観点から項目の追加が行われているが、「標準的な健診・保健指導プロ グラム(暫定版)」の中で示された健康診断の項目には、労働者の脳・心臓疾患の予防 に資するものがあり、これらを労働安全衛生法上どのように取り扱うべきか。さらに、 労働者に対する保健指導を行うにあたって特定保健指導との関係をどのようにすべきか 等の課題について、厚生労働省労働基準局では本検討会を開催し、これらの考え方をと りまとめることとした。  本検討会では、関連団体からの意見聴取を行いつつ所要の検討を行ったので、以下に その結果を報告する。 ○和田座長 以上が、はじめに、検討会の目的です。経緯とか流れとか、目的とその変 遷、今回の検討会の目的を簡潔にまとめていただいている所です。何かご意見ございま したら、どうぞご自由にご発言いただきたいと思います。 ○堀江委員 「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」に基づいて検討してき たわけですが、その後、この検討会が2カ月行われない間に、健康局保険局のほうで検 討会が行われたということは承知しているのですが、その結果変更点があったように伝 え聞いております。この報告書が出ますのが、それよりも後になるというと、そちらの 動きについては一定の考慮をしなければならないように考えているのですが、その内容 はいかがなものですか。 ○和田座長 こちらは、一応労働安全衛生法にしたがって検討項目とするということで、 あちらはあちらで立場があって検討されているわけです。問題となるところだけは検討 するという形で、今回やりましょうということになっています。 ○堀江委員 特に、暫定版の中の変更はなかったという認識でよろしいですか。 ○衛生専門官 どの辺でしょう、項目とか。 ○堀江委員 どの辺があったのか分からないのですが、変更があれば。 ○衛生専門官 変更点は。 ○生活習慣病対策室長 変更点というか、本日こちらに出ている報告書の案にほぼ沿う ような形の議論があったように思っています。 ○堀江委員 もう少し具体的に教えていただけないでしょうか。 ○衛生専門官 今回議論することになっています項目についてですが、まだこれは確定 しているわけではなく、一度議論していただいたという形に今なっています。項目につ いては、以前、お手元に第1回の資料があるかと思いますが。 ○堀江委員 2つ大きくあると思います。1つは、どういう項目が必須項目かというこ とに基づいて、労働安全衛生法の一般定期健康診断の項目とのすり合わせをやってきた という経過があると考えています。もう1つは、その結果の取扱いについて、労働安全 衛生法との差違がある点について、やはり、すり合わせを必要として検討してきたと思 っています。その2点について変更があれば、それぞれ教えていただきたいと思います。 ○衛生専門官 第1回目の検討会の資料を、お手元に配付させていただいていると思い ますが、この資料7というのがあります。下に頁数が振ってないのですが、新旧対照表 というか、比較表があります。 ○和田座長 今回の検討会は、その資料が我々の出発点になっていると考えていただい ていいのではないかと思います。それについて議論を重ねていき、最終的に健康局のほ うで決めるとすれば、我々の結論を待って決めるという立場にあると考えておいていた だければと思います。今日は、我々がいちばん初めに与えられた資料に基づいて議論し ていただければと思っています。 ○衛生専門官 第1回目の検討会資料、資料7です。 ○堀江委員 すぐに分からないのですが。 ○衛生専門官 端的にもう。 ○堀江委員 これは当初検討していた項目だと理解しているのですが、現状もこのまま ということでよろしいのですか。 ○衛生専門官 右側の暫定版の項目については、まず下のいちばん右側にあります、血 糖検査のヘモグロビンA1cが、暫定版では必須項目で○になっていると思うのですが、 今度出された健康局の検討会の資料では、これは血糖検査とどちらかでよいということ になっています。  それから下の血清クレアチニンと血清尿酸については必須項目になっていますが、健 康局の検討では、必須項目から選択項目に変わっています。 ○和田座長 本日の検討会は、そのいちばん初めの資料に基づいて、我々がどう考える かを是非議論していただきたいということです。 ○堀江委員 いまご説明いただいたわけですが、変更点は考慮しないということでよろ しいわけですね。 ○和田座長 だから、それをもとにして一応考えましょうということです。 ○堀江委員 わかりました。この間に、健康局保険局のほうの議論が進んだように聞き ましたので、もしかしたらご説明いただけるかと思い、質問させていただきました。 ○和田座長 何かご発言はありませんか。イントロでわかりやすく書いてあると思いま すが、特に。 ○堀江委員 5頁の2番の項目ですが。 ○和田座長 まだそこまでいっていません。 ○堀江委員 1番ですね、失礼しました、ございません。 ○和田座長 取りあえず1番は特に大きな問題ないと思いますが、これでよろしいです か。 (了承の声) ○和田座長 では2番に移りたいと思います。よろしくお願いします。 ○衛生専門官 続きまして2番「定期健康診断等の健診項目(問診項目も含めて)につ いて」です。内臓脂肪症候群に着目し、生活習慣病や脳・心臓疾患患者等の減少のため に行う標準的な健診・保健指導の内容について、最新の知見を踏まえた検討が行われ、 今般標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)が公表された。その中で示されてい る主な健診項目の中で、労働安全衛生規則に規定されていない項目を中心に、労働安全 衛生の視点も含め、主に医学的な観点から項目の必要性等について検討した。  「問診項目」です。(1)「喫煙歴」です。喫煙者の虚血性心疾患、脳卒中による死 亡の危険度は非喫煙者に比べ約1.7倍高くなるなど、喫煙は脳・心臓疾患の強いリスクフ ァクターであることが明らかであるとともに、喫煙本数や喫煙年数に応じて脳・心臓疾 患のリスクが上昇することも明らかである。喫煙歴については、その有無等を聴取する ことで脳・心臓疾患のリスクの高い者を把握し、適切な対応をとることが可能となるが、 既にほとんどの健診機関における問診票に、喫煙歴を確認する欄が設けられ、これまで も労働安全衛生規則に規定されている自・他覚症状・既往歴等を聴取する中で確認され ている。喫煙歴については、引き続き自・他覚症状・既往歴等の中で聴取することとし、 事業者は、高齢者医療確保法の規定に基づき、医療保険者から求めがあった場合には、 特定健康診査に該当する他の定期健康診断項目の結果とともに、喫煙歴及び後述の服薬 歴等の情報をあわせて提供することが妥当である。なお、定期健康診断時に喫煙歴の聴 取が徹底されるよう周知する必要がある。  (2)「服薬歴」です。降圧薬や高脂血症薬などの服薬を確認することは、労働者の 健康状態を把握し、血圧や血液検査などの健診結果をより的確に評価するために重要で あり、脳・心臓疾患の予防にも寄与するものであるが、服薬歴については、これまでも 労働安全衛生規則に規定されている既往歴の中でチェックされている場合が多いと考え られる。このため、脳・心臓疾患(脳卒中・心臓病)等の既往歴とともに、降圧薬・高 脂血症薬・糖尿病薬の服薬の確認については、引き続き既往歴の中で聴取することとす る。 その他の疾患の服薬歴については、医師の判断によるところとすることが妥当である。  次は「健診項目」です。(1)「腹囲」。加齢や日常生活などにおける通常の負荷に よる血管病変等の形成、進行及び増悪という自然経過の過程において、業務による過重 な負荷が加わることにより、発症の基礎となる血管病変等がその自然経過を超えて著し く増悪し、脳・心臓疾患が発症する場合があることは医学的に広く知られている。最新 の医学的知見によれば、脳・心臓疾患発症の危険性が、肥満・高血圧・高脂血症・高血 糖の4つを合わせ持つと相対的に13.3倍になるなど、複数のリスクファクターが合併す るとリスクが高まる(multiple risk factor 症候群)ことが明らかになっている。  肥満の指標として、これまでの各種健診や調査研究においては、主にBMI(Body Mass Index:体重(kg)/身長×身長(cm^2))が用いられてきた。しかしながら、近 年、腹囲(内臓脂肪)と脳・心臓疾患の発症との間に関連があるとする報告が数多くな されており、BMIに比べ、腹囲(内臓脂肪)がより正確に脳・心臓疾患の発症リスク の把握ができると指摘されている。さらに腹囲が日本内科系8学会や国際糖尿病学会、 米国の専門検討委員会の内臓脂肪症候群の診断基準にも必須項目として取り入れられて いる。 このため、腹囲を把握することは、作業関連疾患である脳・心臓疾患を予防する観点か ら、労働安全衛生上必要なものである。なお、事後措置については、労働安全衛生規則 の保存様式の中で記載することとなっているBMIが、それのみで事後措置を求められ ることはなかったのと同様に、腹囲のみで事後措置を行う必要はなく、また、安全配慮 義務も腹囲を測定することにより拡大するものではないと考えられる。このように、本 検討会としては、腹囲を定期健康診断等の項目として労働安全衛生規則に規定すること が医学的には妥当と考える。なお、労働者等の協力が得やすいように、自己申告など腹 囲測定の省略基準を設けるとともに、着衣による測定及び自己測定等の簡便な測定方法 を認めるなど、今後運用上柔軟に対応できるよう配慮することが望ましいと考える。  また、40歳未満(35歳を除く。)については、他の健診項目、(肝機能検査、貧血検 査等)と同様に、医師の判断により省略可とすることが妥当である。  (2)「血清尿酸」。血清尿酸は内臓脂肪蓄積に伴う代謝状況を反映し、内臓脂肪が 蓄積した場合には尿酸合成が亢進するため、内臓脂肪症候群のリスクマーカーとして重 要であるとともに、最近の知見では動脈硬化性疾患の独立したリスクファクターとして も指摘されている。このため、他の健診項目から得られる情報と併せて、脳・心臓疾患 のリスクファクターの状況をより適切に把握することが可能となる。しかし、腹囲等と 尿酸値は連動するため、尿酸値を測定する必要がないのではないかという意見もあり、 本検討会においては、定期健康診断の項目に追加するまでの必要性はないと考える。  これは先ほども申し上げましたが、健康局のプログラムの現在の検討状況でも、必須 項目からは除かれているところです。  (3)「LDLコレステロール及び総コレステロール」。LDLコレステロールは、 いわゆる悪玉コレステロールと言われ、動脈硬化性疾患診療ガイドライン(日本動脈硬 化学会)でも、単独で動脈硬化の強いリスクファクターとなると指摘されており、脳・ 心臓疾患のリスクを評価する上で重要な項目となる。ガイドラインにおいても、治療目 標値はLDLコレステロールを主体とし、血清総コレステロール値を参考値とすると記 載されており、総コレステロールに代えて、LDLコレステロールを定期健康診断項目 に導入することが妥当である。省略基準は、現在の他の健診項目(肝機能検査・貧血検 査等)と同様(40歳未満(35歳を除く)は医師の判断により省略可。)にすることが妥 当である。  (4)「ヘモグロビンA1c及び血糖・尿糖」。糖尿病は脳・心臓疾患を含め様々な 合併症を引き起こすため、糖尿病の疑いがある者を早期に把握することは非常に重要で ある。糖尿病の疑いがある者を把握するためには、従来、空腹時血糖(食後10時間以上 経過した際の血糖)が用いられてきたが、健診受診者の状況によっては必ずしも正確な 値が得られない場合もあり、空腹時血糖だけでは、糖尿病の疑いがある者を正確に把握 することが難しいことがある。  一方、ヘモグロビンA1cは、過去1〜3カ月程度の平均血糖値を反映しており、採 血の前日や当日の食事の摂取に影響を受けないため、ヘモグロビンA1cを測定するこ とで、糖尿病の疑いがある者を正確に把握することが可能とされている。こうしたこと から空腹時血糖を測定できない場合については、食事の影響を受けないヘモグロビンA 1cの実施が望ましいと考えられるが、スクリーニング検査である定期健康診断の必須 項目としては、費用対効果等を総合的に勘案すると、簡便な尿糖検査を血糖検査ととも に実施することで、血糖検査だけで把握できない糖尿病の疑いのあるものや耐糖能異常 者を把握することも可能となることから、現在省略可能な尿糖検査を、ヘモグロビンA 1cの替わりとして必須項目とすることが妥当である。  (5)「血清クレアチニン」。腎機能に関する健診項目は、現時点では尿蛋白のみと なっている。血清クレアチニンは、腎機能の低下に伴い上昇する検査項目であるが、近 年腎機能の低下の原因が、糖尿病によることが多くなってきており、人工透析の導入患 者数でも、糖尿病患者の割合が多くなってきている。また近年、慢性腎臓病(Chronic Kidney Dicease:CKD)が重視され、脳・心臓疾患の予後規定因子として、その管理が 重要とされている。しかし血清クレアチニンは、腎機能が大きく低下した際に上昇する ため、早期の腎機能異常の発見のためのスクリーニング検査としての位置づけが明確で ない。このため、新たな健康診断項目として、すべての労働者に対して一律に実施する 必要はないと考える。この血清クレアチニンも、先日の健康局の検討会では必須項目か ら選択に変更となっています。  (6)「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」において、医師の判断によ り実施する項目(尿潜血・ヘマトクリット値・眼底検査)。医師の判断により実施する 項目については、それぞれの項目の必要性については理解できるものの、定期健康診断 としてすべての労働者に一律に実施すべきものとは言えず、定期健康診断等の結果から、 こうした検査項目(尿潜血・ヘマトクリット値・眼底検査)の実施が必要かどうかの判 断も含めて、要精検、要医療として医療機関において実施するのが妥当である。これら については、健康局の検討会でも、扱いは変わっていません。以上です。 ○和田座長 この2番の項目は、本日のいちばん重要な議論の対象になると思います。 では、よろしくご発言いただきたいと思います。上の順番あるいは2の初めの項目につ いて、何かありますか。 ○堀江委員 2のはじめにとありませんが、問診項目の前の段落についてです。公表さ れたという文言の後に、次の文章の挿入を提案したいと思います。「労働安全衛生法に 基づく一般定期健康診断の目的は、労働者の健康情報の保護に関する検討会報告書(平 成16年9月6日厚生労働省発表)において、その3(1)利用目的の特定とそれによる 制限。ア利用目的の特定という項目におきまして、「法定の健康診断は、その結果に基 づき事業者が適切な措置を講じることにより、労働者が健康を確保しながら就労できる ようにすることを目的としている。」と記載されている。したがって、「標準的な健診 ・保健指導プログラム(暫定版)」の中で示されている主な健診項目、以下はそのとお りです。  その後、労働安全衛生の視点というところですが、労働安全衛生法に基づく一般定期 健康診断の目的に照らして、各項目の必要性等について検討した。  というふうに修正し、それによって労働安全衛生法の目的というものをここで述べて おくことが重要だろうと考えました。以上です。 ○和田座長 ご提案ですね。何かそれに関してご意見ありますか。 ○労働衛生課長 考え方ですが、ただいま委員のご指摘は、要するに定期健康診断の健 診項目の検討は、かつての検討会の健診の目的に沿ってやるべきだというのを入れろと、 そういうことですか。 ○堀江委員 労働安全衛生法の目的というものを明らかにしておくことが、この結果の 取扱いにおいて、ものを考える上で非常に重要であると。それは健康情報ですので、目 的を明らかにするというのは現在広く行われて、また必要であると言われていることで すので、ここで明らかにしておくことは重要であろうと考えました。労働安全衛生法の 目的、健康診断の目的は一度検討して報告したことがありますので、同じ国の検討会で すので、その文言を入れることがより明確になるのではないかと考えた次第です。 ○労働衛生課長 ただ、検討会の報告書については一般的な話をいっていると思います。 あえてここで触れるよりは、もう「はじめに」に一度今回の検討の趣旨というのは入れ ていますので、そこまでは必要ないのではないかと考えます。  あと労働安全衛生法に基づくという趣旨、いちばん最後のところですが、原案では 「労働安全衛生の視点も含め、診断学的な観点からそれぞれ検討した。」と。これは当 然法的な趣旨も含めてやっているということで、趣旨は変わりませんので、あえて手直 しは必要ないのではないかと考えます。 ○堀江委員 議論がより明確になるという意味では入れたほうがよくて、入れないこと の意味は、特にないように思いました。 ○和田座長 やはりこういう報告書というのは、なるべく簡潔にしたいという私の趣旨 です。それから、これは言わずもがなのことであるわけですね。安全衛生法の趣旨とい うのは、特に、この健康情報に関する検討会できちんとまとめたというわけではなく、 それをただ引用しただけのことです。それまでに延々としてそういう労働安全衛生法に 関する趣旨は伝わっていて、それの中でやっているわけです。情報保護に関する検討会 では、それをただ引用した形になると思うのです。そこで改めて新しく出したというこ とではありません。ここに、健康情報の検討会の話を持ってきて、わけを分からなく混 乱させるのはあまりよくないと思います。これも当然のことで、「労働安全衛生法の視 点を含め」というところに全部入っていることだと思うのです。 ○堀江委員 現場におりますとそこまで読み取れないと思いますので、入れたほうがい いと思います。 ○和田座長 ほかの先生方はどうですか。 ○堀江委員 一般健康診断の目的というのはよく議論はされていますが、国の報告書に 一度載った文章がありますけれども、あまり広く知られていません。特に、今回のよう に項目の検討をする際には、目的が何かということを明確にすることは極めて重要なこ とだと、私は考えています。 ○和田座長 それは当然のことであって、そういう目的でやっているわけです。「はじ めに」のところできちんと述べていますので、あえて細かいことを入れてわけが分から なくなってしまう可能性があるのです。すっきりと理解できるようにしたほうが、私は いいのではないかと思います。 ○堀江委員 書いたほうが理解できるように思います。 ○今村委員 堀江先生のお考えは十分よくわかりますが、全体のバランスということも あります。もう1つ、今回特に、この特定健診・保健指導があってはじめて、この検討 会が設けられていると、私理解しているのです。ですから、単純に労働安全衛生法の中 だけの健診項目をどうするというお話ではなくて、まず最初に特定健診・保健指導と、 どう整合性を取るかというスタートがあることを考えてみれば、あまり労働安全衛生法 のことを、この2の部分の分量として、いま堀江先生がおっしゃったような文章をずっ と入れてしまうと、逆に意味が薄れてしまうかなと考えています。まあ、このぐらいで 良いのかなというふうには、事前に思っていました。 ○堀江委員 しかし、違う法律の健診項目のすり合わせですので、それぞれの目的を比 較する表があってもいいくらいだと、私は思っていますが、いかがでしょうか。 ○和田座長 それは「はじめに」のところで理解できるし、労働安全衛生法の視点を含 めというところに凝縮していると思うのです。あえて入れる必要はないと思うのですが、 相澤先生のご意見はどうですか。 ○相澤委員 堀江先生のご意見は当然ですが、最初のはじめのところで入れるならあれ ですが、十分はじめのところでは歴史的な経過とか書かれていますので、この項目のと ころではむしろ労働安全衛生規則のほうの観点ですので、また入れると混乱する可能性 もあります。十分わかっているところですので、入れなくても、原文どおりでいいので はないかと、私は思います。 ○堀江委員 それでは相澤先生のおっしゃるように、「はじめに」のところに入れてい ただくことを提案したいと思います。 ○和田座長 「はじめに」のところで、一応その趣旨はちやんと述べていると私は思う のですけれどもね。 ○労働衛生課長 事務局としても、「はじめに」のところで十分この検討会の趣旨等わ かっていただけると。その後で、健診項目をかえる前提として2番に出てくるというだ けですが。 ○堀江委員 確認ですが、前回の検討会の目的はそのまま生きていると考えてよろしい ですか。 ○労働衛生課長 前回と申しますと。 ○堀江委員 私が先ほど引用した検討会の労働安全衛生法の定期健康診断の目的を一度 報告したことがありますが、その目的が否定されているわけではないということですか。 ○労働衛生課長 それは当然のことだと思います。検討会でまとめていただいた検討会 の意見として生きていると考えています。 ○堀江委員 国が発表したものとして正しいということですね。いまそれを特に訂正す るということではないということですか。 ○労働衛生課長 検討会の意見として。 ○和田座長 検討会でのものですからね。 ○堀江委員 もちろん承知しています。 ○和田座長 国が法律として決めたわけではないですから、検討会として出された。 ○堀江委員 こちらも検討会ですので。 ○和田座長 もちろん検討会として意見を出すわけですから、これをそのまま法律にす るなんていうことは一切言っていないわけです。 ○堀江委員 それは重々承知しているのですが、同じ検討会ですので、同じ目的を掲げ たら、よりはっきりするのではないかというふうに考えます。 ○和田座長 その前の検討会は、健康情報保護に関する検討会ですから、こちらの検討 会とは全く立場が違います。やろうとすることが違うわけですから、そこへ持ってきて ほかの検討会のものを盛り込むというのは、私はあまり賛成しません。 ○堀江委員 「はじめに」のところで労働衛生の流れを歴史的に説明していますので、 いちばん最近に示された定期健康診断の目的というのは、ここで確認しておくことは意 義があると思いまして、申し上げましたが、これで明らかであるというのであれば、文 言そのものについては入れてほしいと思っていますので、その意見があったということ だけお聞きおきいただければと思います。 ○和田座長 その意見はあったということだけは承知し、最終的なまとめで考えたいと 思います。それでは結構です。その次、問診項目の喫煙歴のところはいかがですか。 ○堀江委員 確認ですが、喫煙歴のこの表現の仕方になりますと、いわゆる労働安全衛 生規則51条に基づく事業者の結果の保存をした際の、個人健康管理結果表(様式5号) の中の項目の問診のところに、これが記入されるという書き方でよろしいのですか。 ○和田座長 はい、それはそのとおりだと思います。 ○労働衛生課長 もう1つはこの辺です。 ○堀江委員 ちょっと確認です。たしか、この特定健診の制度は保険者の求めがあれば、 事業者はそのデータを電子化して提供しなければならないということになっていたと思 いますが、問診のところも、この項目を電子的に変換して提供するという、こういう実 態が生じるということで理解して構わないのですか。 ○衛生専門官 電子化する必要は、いまのところはないです。 ○堀江委員 ない。本当ですか、電子化して渡すのかと思っていました。 ○衛生専門官 事業者には努力義務がかかっています。義務ではないです、電子化する 義務までがかかっているわけではありません。 ○堀江委員 努力義務ですか、分かりました。 ○和田座長 ほかに、喫煙歴のところで何かありますか。 ○堀江委員 私ばかりで申しわけないですが、このいちばん最後のところに、次の文を 追加してはどうかと提案したいと思います。「喫煙歴については、それに基づいて保健 指導をすることが重要であり、その結果に基づく就業上の措置を検討する際には、労働 者に対する保健指導を徹底した上で、就業上の不利益な取扱いが行われないように十分 配慮すべきである。また、喫煙歴を保健指導のみに利用する場合については、その結果 を産業医や保健指導の医療職に保存させるよう努める必要がある」。以上です。 ○和田座長 先生が今おっしゃった提案は、何を意味しているのですか。よく理解でき ないですけれども。 ○堀江委員 読んだだけですので、ご理解できない点もあろうかと思いますが。 ○和田座長 保健指導をすることは重要であるのは、当然ですね。その結果に基づき、 就業上の処置を。 ○堀江委員 話を続けさせていただきますが、保健指導だけをして、就業上の措置をす る必要はないと言いたいところなのですが、安衛法の健診は、結果に基づく就業上の措 置と、事業者の義務がかかっていますので、その際になるべく労働者の不利益な取扱い、 すなわち雇用の保証とか労働条件の低下といったことが、これに基づいて行われるよう な、そのために入れるものではないということを伝えたかったわけです。 ○和田座長 今までも問診で、産業医は場合によっては聞いているわけです。それにお いて、先生がおっしゃったような取扱い上の何か不利益とか、そういうのがあったとい うことはないと思うのです。今までもやっていることです。それから検討処置するのは 当然です。保健指導するのは非常に重要なことであるけれども、保健指導を徹底しとな ると、産業医のほうでは保健指導は努力義務ですから、なるべくやったほうがいいでし ょうということ。そのためにはもちろん喫煙による脳・心臓疾患の予防という立場から やるということで。労働衛生上は、作業関連疾患の1つの対策としてやることに意義が あるわけです。産業医はやるべきであるということは、これは当然のことであるわけで す。そのために喫煙歴を聞くわけですから、それは当然であるわけです。その結果をど うするのでしたか。 ○堀江委員 私も、医師が喫煙歴を聞くのは当然のことであると思っています。この際 事業者が結果を記録し、何に利用するのかという点については特に利用目的がないわけ ですので、その際は保健指導のためだけに使うということで医療上のファイルに保存し、 事業者の手元に必ずしも保存しなくともよいということにすべきではないかと考えた次 第です。 ○和田座長 でも、これは法定健診ということになれば、利用者の元に置かなくてはい けないことになるわけです。 ○堀江委員 そうなりますと、今までとは違う体制ができるということになります。 ○労働衛生課長 先ほども説明しましたとおり、従来から喫煙歴の聴取は行われてきた ということですので、今回のこの報告書がまとまったから、出たからといって、その取 扱いが変わるものではないということが1つ考えられます。また、喫煙歴のみが、要す るに就業上の不利益につながるというご指摘ですが、何で喫煙歴だけが不利益につなが るのかはっきりしない面もありますけれど。 ○堀江委員 いま喫煙歴の話をしているから、そう申し上げています。 ○労働衛生課長 ですから、ほかの項目についても不利益になることもあるかもしれま せん。なぜ煙草だけあげるのか……。 ○堀江委員 就業の措置とは関係ないと思うからです。 ○労働衛生課長 おそらく就業上の措置というのは、医師の意見をもとにして事業者が 必要と判断した場合は就業上の措置を取るということですので、医師がその必要性がな ければ、当然事業者のほうには就業の措置としての意見は出ないということです。即喫 煙歴がわかると、不利益を被るということではないと思います。 ○堀江委員 今までは、健診機関の医師が喫煙歴を聴取していて、その記録は健診機関 に留め置かれていた。これからは事業者の手元に記録されるということになる点は、変 更だと思っています。その記録を、不利益な取扱いに利用しないということです。 ○和田座長 その健診票には、ちゃんと喫煙を聞いたら喫煙のことについて書かなけれ ばいけないわけですから、健診の医者だけが知っているというわけではなくて、明記さ れるわけです。事業者が知るのは当然のことであるわけです。今までもそうしていたわ けです。そういうのが健診票に記入された限りにおいては、事業者はそれを知らなくて はいけないわけです。それに対して安全配慮義務をきちんとやらなくてはいけないので、 その項目だけでそういうことは。 ○堀江委員 やはりこういう議論があるからこそ、目的のところは大事だと思うのです。 ○和田座長 そうでもないと思うのですけれどもね。 ○労働衛生課長 いずれにしろ就業上の措置というのは、医師の意見をもとに事業者が 必要があればやるということですので、その辺はちょっと間違わないでいただきたい。 そういうデータがあればすぐ就業措置とかにならないということです。 ○和田座長 医師が、それは必要と認めたときには、それに基づいて医師が意見を述べ て。それに基づいて事業者が考えるわけです。労働者と話し合って、考えるということ になるわけですから、そういう段階がちゃんとあるわけです。ただ、それをすぐに出し て、事業者はそれでもって就業措置をぱっとやってしまうという意味では全くないと思 います。ちょっと先生、恐れすぎているのではないかと思うのですけれども。 ○相澤委員 喫煙は非常に大事な健康習慣、禁煙といいますか。大事な健康習慣で、保 健指導をするには非常に必要な情報だと思います。肥満も、そういう意味ではそうです ね。今まではBMIというので出て。これはもう、いわゆる就業上の問題が起きるかも しれませんから、それは今までどおりやっていたわけです。喫煙だけを取り上げること はちょっと今までのやってきたことと特別変わりはないと思いますので、それほど大き な問題にならないと思います。 ○堀江委員 喫煙が医学的に重要なリスクファクターがあることは全く否定するつもり はありません。今までも健診機関において、あるいは一般要項において喫煙歴は必ず聞 くものだと、私は考えています。そうではなくて、これは労働安全衛生法の定期健診で 事業者の手元の記録として、喫煙歴という項目を残すことの検討をしているわけですの で、そこの点については新たな変更ですから、これは。 ○和田座長 変更ではない、今までどおりです。 ○労働衛生課長 それは変更ではない場合で、今までと同じ。 ○安全衛生部長 そのように書いているのですけれど。 ○堀江委員 そうなのですか。 ○和田座長 全く同じですよ。 ○安全衛生部長 これまでも、労働安全衛生規則で規定されている自・他覚症状、既往 歴等聴取する中で、喫煙歴は確認されている。この喫煙歴については、引き続きこの中 で聴取することとするということで、労働安全衛生規則上の取扱いは全く変わらないと いうことです。ですから、そこはちょっと誤解されているのではないかと。そうであれ ば、いま先生のご異論点もそれで解決するように思います。変更はない。 ○堀江委員 変更はないということでよろしいですか。 ○安全衛生部長 事業者によって当然記録しなくてはいけない。 ○堀江委員 しかし、今までは問診とありましたけれど、問診ではないな。喫煙歴って、 なかったのではありませんでしたか。 ○衛生専門官 喫煙歴はないのですけれど、取扱いは変わらないと。 ○安全衛生部長 項目として新たに入れるのではなくて、今の問診の中で聴取されてい るので、引き続きそういう方向でやっていけばいいのではないか。新たに項目として起 こせということを言っているのではないです。 ○堀江委員 先ほどの票の1の資料7のところには、マルがついていなくて、高齢者医 療確保法にマルがついている項目なのですが、これではないということですか。これは あるということですか。 ○安全衛生部長 ですから、その中に含まれて聴取されているから、マルがついていな い。単独の項目として明示されていないからということです。 ○堀江委員 多くの方、誤解ないのだったら、現状で変わらないということで理解しま す。 ○和田座長 服薬歴のところで何かありますか。これも現状でチェックされている場合 が多いわけで、そのままやりましょうというだけのことですね。では、重要な健診項目 1番は腹囲です。 ○今村委員 下から5行目、「なお」というところです。ちょっとここが気になるとこ ろで、「なお、労働者等の協力が得やすいように」ということで、以下省略であるとか、 着衣をしたままの簡便な測定法というような文言で書かれているのですが、できれば労 働者の協力が得られないような場合には、やはりそういった方法も考えておいたほうが いいのではないかという書きぶりにしておいて。原則としては、やはりきちんと。 ○和田座長 やはり協力してもらうべきであるということですね。 ○今村委員 ええ。というふうに私は思っているのです。そうでないと、この根本が揺 らいでしまうのではないかなと。 ○和田座長 なるべく労働者は協力して、自己管理という立場から協力してもらうとい うのが、本来の筋ですから。 ○今村委員 そういう意味だと。 ○和田座長 そのとおりだと思います。 ○労働衛生課長 労働者の協力を得るというのが基本的にあるわけですので、実際に強 制して引っ張ってきて腹など測るわけにいきませんので、やはり協力をいただきながら やると、そういう趣旨ですので、これでお願いできればと思うのですが。 ○堀江委員 私も、ちょっとそこのところ提案があるのですけれども、よろしいですか。 私の提案は、そこのところについては、「また腹囲を測定する際には、労働者の協力を 得て、正確な測定が行われるように配慮することが望ましいと考える」。やはりこの文 脈からいきますと、正確に測定するということが重要だということをずっと言っている わけですから、労働者の協力が得られやすいように配慮するという文脈のほうが、正し いような気がします。 ○今村委員 私も、協力を得られるようにというところは全く、ただ堀江先生とほとん ど申し上げていることはたぶん同じで、正確に測らなくてはいけないということがまず 前提です。それには労働者の方の協力が絶対必要だと。協力を得られるためにはいろい ろな方法を考えるべきだというのは、そのとおりだと思います。  ただ、この文脈で言ってしまうと、もう本当に着衣を着たり、自己申告でいいよとい うことが前提のように見えてしまうなと、ちょっと思ったものですから。その前提の協 力を得やすいようにというところであれば、いま堀江先生がおっしゃったように、正確 に測る。協力が得られないのだったら、こういう方法もあるというような形のどちらか にしていただけるといいかなと思います。 ○労働衛生課長 お二人の委員の意見を見て、ちょっと事務局で検討させていただいて、 また座長にもご相談させていただければと思います。 ○和田座長 腹囲のところはいろいろご意見もあろうかと思いますが、どうですか。 ○堀江委員 たくさんありますので、ちょっと切りながら説明させていただきたいと思 います。まず6頁の、肥満の指標として「これまでの」とある段落のところです。2行 後に、近年腹囲(内臓脂肪)と脳・心臓疾患の発症との間に関連があるとする報告が数 多くなされており、上付き文字の3と4があります。ここは後ろのほうに、事前にいた だきましたので、こちらの本に載っている論文がありますので、オリジナルを取り寄せ て検討いたしました。ちょっとわかりませんが、健康局や保険局のほうで十分検討され た結果、非常に重要なものを載せてあるという理解であろうかと思うのです。13頁の4) のAsia Pacific Journal Clinical Nutritionの論文ですが、冒頭に日本人を含むと出て きます。実は、いま手元にあるオリジナルの文献は、44の研究論文をレビューしている 文献です。ただ、その中で腹囲を測っているものだけを抽出し、新たなコホートを作っ て検討しているものです。44の研究のうちの6個が採用されている形になっています。 その数字が4万5,988人ということですが、文献を読みますと日本人は入っていません。 入っているのはオーストラリアの研究が3つ、中国本土が2つ、香港が1つで、日本人 のデータがないということですので、この記載は誤りで、日本人のエビデンスではない ということが分かりました。  この文献の289頁に図の1があります。これはお配りはしていないのですが、文献を 取り寄せていただければ、その中にオーストラリアが3で、アジアが3つになりますの で、アジアとオーストラリアのハザードでしょう。これはコックスの比例ハザードモデ ルですので、ハザード比が載っています。その95%信頼区間を見ますと、オーストラリ アでは腹囲のハザード例使用が1.3で、95%信頼区間は1.1〜1.4ということで有意です。 アジアの3つの研究については、ハザード例使用が1.2で、コンフィデンスインターバ ルが0.9〜1.4ということで、アジアについては有意ではないという研究です。この結果 は、要するに腹囲はアジア人については比例ハザードモデルでは有意が出ていないとい う研究になってしまいます。ですので、ここに記載するには適当ではないのではないか という気がします。 ○和田座長 いま当たっていないので、どうぞ。 ○労働衛生課長 これについては関係局ともうちょっと打ち合わせをして、実際の内容 を確認させていただいて、堀江委員のほうにご報告させていただければと思います。 ○堀江委員 そうしますと、この研究が腹囲と狭心症のリスクについて証明していると いうふうにも読めるのですが、もう1つの研究は脳卒中だけ研究しています。そういう 意味では、少しほかの文献があれば、それを根拠として示すべきかなということを考え ました。  もう1つ、14頁の5番の文献も、その次の文章で出てくるものですから、そちらもコ メントを差し上げたいのです。ここも、内科系の学会、日本内科学会、高血圧学会、糖 尿病学会、この分野の8学会の基準ということになっているのですが、オリジナルを拝 見しますと、基準を作るための論文ではなく、1つの実際のオリジナルの研究というデ ザインでした。ただ、デザインは断面調査ということで、対象者は肥満外来に来た人も 含んでいます。そういう意味では、労働者ではないということです。ここに、1,193人 の対象者にCTをやったと書いてあって、これ自体はそうなっています。実はよく読み ますと、その中で腹囲を測定したのは一部748人しか測定していません。ここの表現は、 このままですと1,193人に腹囲を測定したのかなと思われますので、修正が必要かと思 います。ちなみに男性が554人、女性が194人のデータから導いた基準ということです。 私もこれ以上確認していないのですが、この文献が載せられていますので、これが本当 に8学会の根拠になった文献とすれば、女性は194人のデータで、日本の学会は決めた ということになるのかなというふうに思います。  それでここにもありますように、BMIと腹囲は両方測定されています。その比較を されているのですが、これは連続変数で両方とも取り扱っています。腹囲と、CTで測 った内臓脂肪面積との相関係数を出しています。腹囲は男性で0.68、BMIは男性で 0.61ということで、どちらも高い有意が出ています。特に、BMIに腹囲を加えたら、 その差があったということは記載されていません。女性については腹囲が0.65、BMI が0.63ですので、BMIと腹囲はほとんど変わらないということで、追加するほどの根 拠はないのかなというふうに思います。  この研究は腹囲と、CTで測った内臓脂肪との相関について、腹囲だけを取り出せば 確かに有意だと指摘しているのですが、BMIとの差を示した文献ではないということ になります。  合わせて、この文献はもう1つ研究しています。循環器疾患のリスクファクター、す なわち血糖の耐糖能の異常、あるいは脂質の異常、あるいは高血圧と、通常4つあるう ちの残りの3つですが、それと腹囲と、あるいはBMIの関係を調べてあるのかなと思 ったら、それは調べてありませんで。そのリスクファクターと比較しているのは、BM Iとリスクファクターが関係しているかどうか。それと内臓脂肪のCTで測った面積と リスクファクターが関係しているかどうかということで、そちらの関係は両方とも有意 に出ています。ちなみに腹囲はやっていませんので、BMIを25というところで切り ますと、感度が0.54、54%。内臓脂肪のCTで測った面積で切ると、感度は69%とい うことで、CTでやればリスクをつかまえるには少し有意というふうな結果が出ていま す。したがって腹囲とそのリスクファクターの関係を直接証明していない文献になって いますので、これ以外の文献があればそのほうが望ましいのかなと思いました。  それと、この文献上、私の読み間違いかもしれないのですが、先ほどの194人の女性 と554人の男性は、一緒にして内臓脂肪の面積を測っておりまして。男女差というもの を検討せずに、内臓脂肪100平方センチメートルというのを出しているというような結 果です。 ○和田座長 男女差できちんと出して、それで85、90と決めたという論文が明確にあ ったはずですね。 ○堀江委員 この文献についてはそういうふうになっていないということです。あと内 臓脂肪が100以上か以下か、腹囲が90センチ以上か以下かということで、単相関で線 を引きますと、女性は90センチになっています。表の散布図があるのですが、そのド ットを数えますと、腹囲が90センチ未満のほうが実は内臓脂肪が100平方センチを上 回っている数が多いというふうに思います。90センチの数値というのが本当にこれで、 この文献から出ていますが、これでは見逃しが多いのではないかなというふうに考えま した。 ○今村委員 今の堀江先生のいろいろ細かいご指摘というか、もとの論文を私も目を通 しているわけではなく何とも申し上げられないのですが、堀江先生のご意見としては、 いまあったように引用されている文献の中身に若干の解釈の違い等があるから、この検 討会としては載せないほうがいいというご意見なのか。そもそも腹囲そのものの測定に ついてどうかという、そこがはっきりしないように思います。 ○堀江委員 ちょっとデータの検討ばかりしていまして、すみません。まずは、この文 献をここへ載せるのにはちょっと適切ではないということです。併せて、そのほかにこ の件についていくつか、2カ月ありましたので文献を検索していましたら、このメタボ リックシンドロームの概念そのものについてのいろいろな違う学説についての論文が、 ブリティッシュメディカルジャーナルとか、あるいはダイベテスケアとか。糖尿病の学 会を中心にいろいろと最近大量に出ていまして。多くのものはフラミンガムスタディの リスクのほうが、むしろリスクファクターとして使える。それに腹囲を入れることで、 特に心疾患あるいは脳卒中、特に心疾患が研究されています。心疾患の予知あるいは予 防につながるとは言い切れないという論文もたくさんあるようです。  結論から言いますと、今までBMIや体重というものはよく測られていましたが、腹 囲を追加することで心疾患の予測がつくようになるかどうかというのは、これは保険局 健康局の検討会で十分なされているとは思ったのですが、私のほうでは見つけきれなか ったという次第です。したがって、結論としては腹囲を追加するほどの根拠は、この文 章では示せないのかなというふうに思いました。そこで、文章の変更の提案があります が、続けて読んでよろしいですか。 ○和田座長 はい。ただ8学会がそろって、一応腹囲が重要であるということを決めて、 それで提案しているわけですから、それはちゃんと根拠があるはずですからね。 ○堀江委員 私も、あるはずだと思っているのですけれども。 ○和田座長 8つの学会がまとまって、しかもそういったことを提案するはずがないと 思うのです。 ○堀江委員 また国際的な論文の中に、いくつか批判的な論文があるというのも、我々 の検討会としても折角ですので述べておきたいと思います。 ○和田座長 日本でもいろいろそれに反対する人もいることはいますが、全体的な考え 方をして、学会の考え方としてこういうふうに提案しているわけですから、それはやは り尊重すべきだと私は思いますけれども。 ○堀江委員 一昨日行いました内科学会の検討会で、まだ検討作業中で、女性の腹囲の 基準については将来的には80センチに改める可能性があるということを議論していま した。ですので、ある意味では学術的な論争がまだ続いているという感じがしています。 ○和田座長 それは腹囲は重要だろうと、もしそちらが確実となれば、また改めて検討 するということで十分ではないかと思うのです。現状における学会の提案はこのように なっているわけですし、根拠がなければ学会としては、サイエンスの学会ですから出す わけないわけですから、それが出しているのですから根拠はないとは言えないと思いま す。根拠なしで出すわけないわけですから、それがこのように決めているわけですから、 それに従うのが、現在の日本の医学において正しいことだと思います。 ○今村委員 いちばん最初に私が、いちばん最後の文章を申し上げてしまったので順番 が逆になっているように思うのですが、堀江委員と私の間で意見が出たときに、堀江委 員は「正確に測ることが大事である」とおっしゃったように認識しているので、腹囲そ のものを項目として入れることについては、同意されているという理解だと思ったので すが、そうではなかったのですか。 ○堀江委員 労働安全衛生法に入れる必要はないのではないか。しかし、健康局はこれ が重要だと認めていて、しかも労働者がこれを2度も受診するというのは、明らかに効 率が悪いですから、1度の受診で済ませる仕組みを考える必要があると考えています。  そうしますと、いま現場では、数年前になりますがC型肝炎の検査を実施する際に、 これは保険者が実施するのですが、事業者の実施する健康診断の機会を捉えて、保険者 の検査をすることが合理的であるという考えから、事業者に協力をしなさいという要請 が通達で出ていますが、例えばそういったものを利用して、健康局に協力をしながら、 事業者として1度の健診で腹囲を測定することが、制度としていちばん円滑ではないか と考えました。 ○和田座長 健康局としては、正しい科学的な根拠でもっと各学会の主催で、これが作 業関連疾患を含めた心臓疾患の予防が重要であるということで採用しているわけですか ら、同じ厚生労働省の中で見解が違うとなると、少し困ることになると思いますし、健 康局の考え方を取り入れて、基本的な考えとして据えるべきだと考えています。 ○堀江委員 そこで具体的な報告書の文言を検討してみて、修正点があるのですが、読 み上げてよろしいですか。 ○和田座長 どうぞ。 ○堀江委員 先ほどのところの続きですが、ここには「近年」のあとで、「腹囲との関 連」とあるのですが、ここに引用されている論文に立ち返りましたところ、あまりはっ きりしませんので、少なくともCTで測った内臓脂肪量と、脳・心臓疾患とのリスクと の間に関連があるとは証明できるのですが、腹囲というものが本当にサイエンスがある のであれば、それを引用して、そこはいいと思います。  そのあとでの文章を読み上げますが、「その一方で」としまして、「いろいろな考え方 がある」ことを少し言及しておくことが、現代の国際的な文献に基づく検討をしたとな るのではないかと思って、その一方で、内臓脂肪症候群の概念については一層の医学的 な検証が必要であるという報告もある。また、日本の内科系8学会による腹囲の判定基 準では、内臓脂肪が蓄積しているものを見逃がすおそれがあるという報告も文献があり ました。その報告があると。さらに、腹囲の測定結果と発生率が関係していることが指 摘されているさまざまな疾病について、実際に研究ではなされていますが、これを集団 を対象に腹囲を測定して、発生率が低下した、あるいはBMIとの差があったという研 究が見当たりませんでしたので、そういう報告は認められていないのではないかと思い ます。  したがって、さらに追加ですが、加えて、腹囲の測定ですが、これはまだ一般社会に おいて、健康診断機関等における精度管理についても、今後一層の普及が待たれている のが現状ではないかと思います。そのような文言を入れたらどうかと思います。  したがって、労働安全衛生規則において、事業者において腹囲の測定を義務づけるこ と及び労働者に法的な受診義務を課すことまでの十分な根拠があるとは認められない。 ただし、高齢者医療確保法において、腹囲の測定は必須であることを考慮すれば、労働 者が1度の受診で検査を受けることが可能であるよう配慮して、労働安全衛生法に基づ く一般定期健康診断を実施する際に、同時に保険者が腹囲の測定を実施することについ ては、適正な測定と情報の安全管理が実施できるような措置を講じた上で、事業者とし て協力することが望ましい、としてはどうかと思います。 ○和田座長 CTを撮るのがいちばん正確でいいわけですが、健診でCTを撮ることは 不可能ですから、その代替として腹囲がいちばん適切であるということで選んでいるわ けです。  それと、先生は結果のアウトカムが出た報告がないということですが、それは当たり 前のことであって、これからそういった結果を出そうとしているわけです。ですから、 まだ結果が出ているはずはないと思いますが、ある程度客観的に裏付ける根拠はいろい ろと出ているから、8学会でもそれを採用しているわけですから、医学的に誤った取扱 いではないと考えていいのではないかと思います。 ○堀江委員 先ほども文献上出ていたように、CTとの関連は腹囲が0.68、BMIが 0.61ですので、さほど差がなくて、BMIはいまもやっているところは多いので、BM Iで十分ではないかと思えるのですが、いかがでしょうか。 ○和田座長 しかし、メタボリックシンドロームの考え方と、従来の健康診断の考え方 というのは全く違うわけです。いままでは、例えばBMIを測る、血圧を計る、糖の代 謝機能を計る、その各々について管理していきましょうというのが、いままでの考え方 だったわけですが、これからはメタボリックシンドロームという考え方の下に、まず腹 囲を測って、それがある程度誤差はあるにしても、それが内臓脂肪を表すものであって、 内臓脂肪が増えることによって、血圧を高くしたり、脂質の代謝を害したりとか、一連 の流れがあって、その流れに従って、やがて動脈硬化が出てきて、血圧が高くなって、 糖代謝が異常になって、マクロのアンジオパシーが出てきて、その後に細かいマイクロ アンジオパシーというのが出てくるという流れがつくられているわけです。  したがって、そういったことを把握することによって、個別にきちんと健康指導がで きるわけです。全員同じようなことをやるわけではないのです。リスクのどの辺に自分 がいるかを把握して、それに従って個別指導しましょうというのが、これからのやり方 だと考えるわけです。  したがって、血圧が高いからあなたは汁を全部残しなさいとか、いままでやってきた そのような指導ではあまり効果がないわけです。したがって、そのような指導をきちん とできる体制をつくりたいというのが、一つあるわけです。 ○堀江委員 腹囲については、研究ベースで集団に対してそれを適用して、BMI以上 に効果があったという論文がもしあれば、採用することを検討してもいいのかと思える のですが、そういうものは見当たりませんでしたので、BMIと変わらない、あるいは フラミンガムスタディーのリスクファクターを使ったほうがいいという研究もあるよう ですので、まだそういう意味では、学問レベルの検討の最中なのかなと。 ○和田座長 8学会で診断基準まで作っているわけですから、そこはある程度クリアし ていると考えるべきだと思うのです。 ○堀江委員 それは変更という話も聞いていますので。 ○和田座長 それについて、どのような議論が出ても、それは後でここが違っているか ら、こうするという論文が、次から次に出てくるのは当然ですから、ある程度客観的な データが出て、それによって体制がつくられて、8学会が認めて、それでやりましょう となっているわけですから、医学的な根拠は十分にあると思いますが。 ○堀江委員 学会も健康診断項目を検討するために基準を作っているわけではないと思 いますので、こちらはそれを国民に対して、この場合は事業者に対して実施義務、ある いは結果の保存義務を課すこと、及び労働者に強制的に受診させることまでを含めて審 議しなければいけないので、そこまでの議論をするには、まだ学会レベルでの議論を待 つほうが賢明ではないかという気がします。 ○和田座長 学会でも診断基準を作っているわけですから、根拠がなければ診断基準は できるわけがないわけですから。 ○堀江委員 文献を取って検討しましたが、その検討結果よりも学会の診断基準のほう が正しいということであれば、従わざるを得ないわけです。 ○和田座長 とりあえずは、現状においては、日本の8学会で認められて、これが正し いと考えられているわけですし、ある程度機序も解明されているわけです。したがって、 もちろんいちゃもんを付ける論文は次から次に出てくると思いますが、基本的な線とし て確立されたものとして考えていいのではないかと思います。したがって、これは十分 にこれからの予防医学に応用できると考えるべきだと思うのです。 ○堀江委員 一般予防医学に応用することは、やってみる価値のある研究ですし、その ような集団のトライアルというのは積極的にやられて、結果を示す必要があると思うの ですが、ここは労働安全衛生法ですので、事業者に義務づけて、労働者にも受診義務を 課して受診させるところまで、果たして根拠があると言えるのか疑問です。 ○和田座長 十分に根拠があると思うし、何度も言っていますが、一般の臨床において は、体重を測って、BMIを測って、あなたはなどということは一切最近はしません。 それで、メタボリックシンドロームの考えの下に、きちんと患者に話をして、それに基 づいてきちんとした指導、治療を進めているのが臨床医学ですから。 ○堀江委員 私の修正の提案と原著論文を検討した結果は以上です。 ○和田座長 もしあれでしたら、論文に関しては、もう1回オリジナルを取り寄せて1 回検討しますが。 ○労働衛生課長 ただいま和田座長がおっしゃった通り、文献については事務局でも再 度調べてみたいと思いますが、基本的に事務局としては和田座長と全く同じ考えで、8 学会で学問的には決着しているということで、学問的な観点からいうと健康診断に入れ るべきだという考え方です。 ○和田座長 何かご意見はございますか。 ○相澤委員 健康診断に入れられたということは、いままで十分に検討されてきたと考 えざるを得ないので、ここでは一般健康診断とどのようにマッチングさせるかが議論さ れていて、これを最初からやり直すと、我々は全部それを読まなければいけないし、い ままでの文献を全部読まなければいけません。そこまではできないと思います。ある程 度制限があるわけですから、いままでの検討を信じざるを得ないのではないでしょうか。 ○堀江委員 信じてはいましたが、文献を読むとそのようなことであったということを、 縷々報告申し上げた次第です。 ○和田座長 たぶん健康局で検討したときに使われた文献をそのまま引用されたのです か。 ○安全衛生部長 いまのご議論というのは、腹囲と脳・心臓疾患の発症リスクの関係が 医学的な知見として、現段階で確立しているかということだと思うのです。各先生から もおっしゃられたように、基本的に確立しているのではないか、堀江先生は一部そうで はないのではないかということです。  ご議論があるように、健康局のほうでも検討されて、高齢医療法のほうであのような 方向を出しています。そこでいろいろと使われているという、そこの医学的知見を前段 に書いてあります。そこら辺を説明してもらったらよりわかりやすくなるのではないか と思います。 ○生活習慣病対策室長 ご指摘のところで思い当たる節もあるので、正確性を期す上で、 もう少し表現を丁寧にしたほうがいいところは直したほうがいいかと思っています。 ○堀江委員 まだ医学レベルでの議論が続いているという点については、健康局や保険 局では、どのようにお考えなのでしょうか。 ○生活習慣病対策室長 8学会では答えが出て、診断基準として出ていて、これを基に 現場では動いていると認識しています。 ○安全衛生部長 もしそうだとすると、それについて堀江委員のご理解もいただけるの だとすると、個々の論文の精査は先ほど指摘がありましたので関係のところにしてもら えばいいと思うのですが、そこがきちんと医学的知見を裏づけられるような資料を引用 する形にすればいいと思いますが、そこの基本的な部分はどうでしょうか。 ○堀江委員 例えばですが、2006年4月15日に出たブリティッシュメディカルジャー ナルの中には、現在心血管リスクの評価については、フラミンガムスタディーによるも のが使用されていて、メタボリックシンドロームの概念はそれを上回るものではないと いうようなことが記載されていますし、またダイアビティスケアの2006年7月7日の 文献を見ると、心血管障害とメタボリックシンドロームの間には、フラミンガムスタデ ィーに付け加える知見はないという指摘もあります。この辺の文献は日本のものではな いのですが、これを考慮する必要はないのかと単純に思った次第です。  それと、この日本のものかと思っていた引用文献に日本のものがないということもわ かりましたので、そのレベルのものを労働者の受診の強制義務があるという国の政策ま で入れてしまうというのは、少しプロセスが早すぎるというか、本当にそれが意味のあ るものかどうか、私は否定しているわけではなくて、医学論争が続いていますので、私 としては、これが将来はっきりとBMIに置き換わるような指標として定着し、また精 度管理が確立すれば、入れることは一つの考え方ではないかと思うのですが、まだ医学 論争が続いていて、なおかつヒアリングでもあったように、健康診断機関が測定しても 7cmの誤差があるというようなものによって、正確にリスクが判定できそうもないの で、そういったものをここに新たに付け加えるほどの意義はないのではないかと思いま す。  別の視点があるので、追加して述べますと、腹囲については高齢者医療確保法に基づ く、特定保健指導の対象者に該当するかを判別する指標になることから、従来のBMI の結果とは異なり、その結果に基づく就業上の措置を検討する上では、労働者に対する 保健指導を徹底した上で、就業上の不利益な取扱いのないように十分に配慮すべきであ ると思います。  この意味というのは、体重やBMIと違って、腹囲については保険局の指針を見ると、 この結果によって、高齢者医療確保法の高齢者医療支援金の額が減額されたり換算され たりするようなことがあるようですので、腹囲の大きさによって、もちろんそれにリス クファクターの数がある程度あれば、そういう人たちはメタボリックシンドロームの予 備軍である、あるいは該当者であるということで、お金に連動しているということにな っているので、お金に連動している指標ということで認識されますと、当然体重やBM Iとは違った指標として、労働者や使用者には映ってしまう面があります。したがって、 それを考慮した上での不利益な取扱いが労働者に対して行われないように、十分に注意 する必要があると思います。  まとめますと、腹囲についての医学的な検討は、まだ国際的にコンセンサスが得られ ていないということ、それから腹囲の指標は体重と違って、保険者の支援金の算出に連 動していることから、極めて機微な情報であり、労働者の雇用の問題につながる恐れが ありますので、その点は十分な配慮が必要であるということ、それとヒアリングの中で 出てきたように、腹囲の測定は健診機関でも、まだ十分に精度管理ができていないので、 それについては一定の配慮をし、場合によっては、測定が正確にできるようになってか らの導入を考えるべきではないかと思います。したがって、最初のほうで申し上げたよ うに、腹囲を測定するというのであれば、保険者の測定に対して、事業者は協力すると いうこと、それからその結果の保存については、就業の措置に利用する必要はないと思 うので、できるだけ産業医や保健師等の医療職に保存させるように努める必要があると 考えました。それが私の意見です。 ○安全衛生部長 ここに書いてある国際糖尿病学会、米国の専門検討委員会、この辺り の診断基準にも、必須項目で取り上げられているという事実です。いまおっしゃられた ように、国際的にも確立していないというのは、大きな流れとして言えるのでしょうか、 そこのところだと思うのです。もともとの原案は、そういうところを踏まえた上で書か れています。これは労働安全衛生だけではなくて、高齢医療法の際でも、いろいろな検 討会での知見として、いろいろな専門家も入られていたと思うのですが、そういう基本 的な了承の下で、このような知見として出されて、あのような形で腹囲の重要性の位置 づけがなされていた。いまの堀江委員の意見が、いまも医学会において大勢を占めてい るのだということなのかどうかということです。我々としては、ここに書いてあるよう な内外の医学的な知見というものが、基本的に確立しているのだと考えています。先ほ ど和田座長、あるいは相澤委員からもご意見のあったようなご理解だと思うのです。 ○堀江委員 確立と申し上げた点は、国際糖尿病学会に、診断基準があるという点では、 確かに診断基準はあります。しかしながら、それに対する、例えば米国糖尿病学会、あ るいはヨーロッパの糖尿病研究協会等においては、批判的な立場のグループもありまし て、いろいろなディスカッションが続いているということのように考えています。それ から、先ほどご紹介したようなメジャーな雑誌におけるようなコメントが出ているとい うのが事実だろうと思いました。 ○生活習慣病対策室長 健康局の検討会の専門家の先生方も、いまご指摘の点があるこ とを踏まえた上で、これを作られていますので、そういう意見があることは認識はして います。 ○和田座長 どのような学会の学説に対しても必ず反対が出るのは普通ですが、全体的 に、客観的に見て、それが採用すべきものであるということで、国際医学会でも、我が 国の8学会でも認めたわけですから、それはいろいろないちゃもんを付けようと思えば いくらでも付くのが、医学会の例ですが、そういうのがだんだんあれしていくわけで、 しかし、それがある程度確立されたから、国際的ないろいろな学会でも、診断基準に入 れているわけです。診断基準に取り入れるということは、かなり確実なものでないと取 り入れるはずがないわけですから、それは確立されたものと考えていいのではないかと 思います。  先ほど述べたように、BMIと同じような価値を持っているとしても、これからの保 健指導のやり方とか、リスクの考え方というのが、メタボリックシンドロームの考え方 でがらりと変わるということです。それが非常にいいことであると考えているわけです。 先ほど述べましたように、メタボリックドミノというのが、非常に重要であることはわ かってきていますし、流れとしていくという考え方です。そして、どの段階で、どのよ うに指導するかとか、そういうことが客観的にできるようになるわけですから、ただ単 に昔のように、血圧が高いから高血圧の専門家に治療してもらいなさいとか、そういう 段階ではないわけです。予防の段階に入っているわけで、血圧でも140ぐらいでもリス クはあるわけで、他のものが揃っていればリスクはあるわけですから、そのような立場 でこれからは予防をやっていくべきであって、血圧がちょっと高くて、中性脂肪がちょ っと高くて、耐糖能に少し異常があれば、それだけでリスクは10何倍になってしまう わけですから、そういうことを考えたら、ただ血圧だけで考えるとか、代謝異常だけで 考える時代は終わっていると思うのです。そのような流れで、しかもリスクのあるもの をきちんとつかまえて、しかも理論的に個別予防ができるということがいいわけですか ら、いままでのBMIより遥かにいい手法なのです。そういうことを考えれば、当然こ ういったことを採用していくべきだと思います。 ○堀江委員 是非BMIよりも、腹囲のほうが集団のリスクファクターの発見に有効で あったという論文を、ここに採用して載せていただくことをお願いしたいと思います。 ○和田座長 学会とか、国際学会が採用しているわけですから、何か根拠があるから採 用しているわけですから、学会へ問い合わせれば、ある程度わかるかもしれないですね。 ○労働衛生課長 少なくとも健康局で議論をしているのですが、医学的な妥当性から、 メタボリックシンドロームの診断基準の暫定指針の中で取り組んだわけですので、それ 自体がおかしいような発言をされても、納得できるものではないと考えています。 ○堀江委員 先ほど申し上げたようなBMIよりも腹囲を測定するほうが、集団の心血 管リスクの発見に有効であるという文献はあるのでしょうか。そのような検討はされた のでしょうか。 ○生活習慣病対策室長 いまおっしゃっている論文は、腹囲の考え方は日本がいちばん 進んでいるので、そこの将来のリスクよりも、先ほど座長が説明したように、基本的な 概念として、内臓脂肪が出てくるアディポネクチン、サイトカイン、そのメカニズムか らの説明でやっているものです。 ○堀江委員 病態生理学的には確かにわかるのですが、集団に適用した際に有効である という論文はあるのでしょうか。 ○生活習慣病対策室長 そこは確認しないとわかりませんが、少なくともその議論はあ りませんでした。いま指摘のあったような議論ではない議論で、やっています。 ○堀江委員 ということは、検討が十分にされていないとも考えることができると思い ます。 ○生活習慣病対策室長 いいえ、検討ではなくて、そのようなものがメカニズムとして 根拠があるという議論でした。 ○堀江委員 メカニズムはあると思います。集団に適用した場合の有効性についての議 論があるか。 ○生活習慣病対策室長 先生が何をおっしゃっているのかよくわからないのですが、基 本的に、集団といっても個々のメカニズムが明確だということは、この議論の中でなっ ています。 ○堀江委員 これは論文があるかないかの話ですから、調べればわかることだと思いま す。 ○和田座長 初めは論文なんかないです。理論的なものを立てて、それからやっていく わけです。そういったことで、それは論文がないから駄目だというわけではないと思い ます。これからの問題ですから。 ○堀江委員 これは労働者に強制的な受診を課すので、それなりの根拠が必要と考える 次第です。 ○和田座長 その根拠としては、先ほど言ったうにBMIより遥かに利点が多いという こと。 ○堀江委員 その論文があればよろしいと思います。 ○和田座長 そのメタボリックドミノという考え方は臨床ではみんな使っています。 各々のものを見ていて、血圧が140になったら、いままでの医者は「そんなものは大丈 夫だ」と言っていたものが、それはリスクの高いスコアのものが揃ったかという考え方、 そのような予防医学的な考え方が背景にあるわけです。とりあえずそういうことで、文 献は一応当たってみて、保険局でも文献を出してもらって、いままでの保険局での議論 の過程において、どのような過程で採用したのかを教えていただければと思います。次 に「尿酸」に関しては何かご意見はありますか。 ○今村委員 事務局に教えていただきたいのですが、下の3行で「しかし、腹囲等と尿 酸値は連動するため」とあって、この「等」は具体的にはどのようなものを指している のでしょうか。 ○労働衛生課長 脂質とか、他の検査項目です。 ○和田座長 メインの血圧など、基本的な項目と連動するということですね。 ○今村委員 ここに取り立てて腹囲だけを挙げると、何となく違和感があったので。 ○和田座長 そうですね。 ○労働衛生課長 具体的に書いたほうがよろしいでしょうか。 ○今村委員 具体的に書いていただくか、何か別の表現にするか。 ○和田座長 血圧とか、血中脂質とかと連動するということで。 ○労働衛生課長 そのように書いたほうがいいですね。 ○和田座長 よろしゅうございますか。次に「LDLコレステロールと総コレステロー ル」に関して、何かございますか。LDLコレステロールはある程度測れるようになっ てきましたし、間接法だったものが直接測れるようになりましたし、理論的にはLDL も遥かに関係するわけですから、これはいいですね。  次に(4)の「ヘモグロビンA1cと血糖、尿糖」に関してはいかがでしょうか。 ○堀江委員 (4)については、3つ目のパラグラフで、「食事の影響を受けないヘモ グロビンA1cの実施が望ましいと考えられるが」となっていますが、私は「望ましい と考えられる」で止めて、次の文章を挿入することをご提案したいと思います。「した がって、定期健康診断の必須項目として追加することが適当である。しかし」としまし て、そのあとは少し飛びますが、「簡便な尿糖検査を空腹時血糖とともに実施すること で」というところにつなげます。そして、下から2行目のいちばん最後のところで、 「可能となる」とありますが、そこは「それが可能と医師が判断する場合については、 省略可能な項目とすることが妥当である」と文章を書き替えたらどうかと思います。  即ち、前半の2つのパラグラフで述べていることは、血糖だけでは糖尿病の見逃しが ある。耐糖能の異常というのは、就業の措置に結構利用されていると私の調べた範囲で も出ていたので、これについては、原則ヘモグロビンA1cを測定してはどうかという ことをもう少し強調して、しかしながら、尿糖検査と、空腹時の血糖検査が組み合わせ てできるような場合については、医師が判断すれば省略できるという文脈にしてはどう かと思ったのですが、いかがでしょうか。 ○和田座長 同じようなことになるわけですが、ヘモグロビンA1cの意義というのは、 臨床的には現在のところ、糖尿病の治療がうまくいっているかどうかの判定には、非常 に有効であるというのが最も大きなメリットなのです。糖尿病の発見には、空腹時血糖 が最も鋭敏であるというのは基本的な事実なのです。したがって、ヘモグロビンA1c というのは、糖尿病が発見されて、治療を始めたり、治療をしなければいけないという ことで、きちんとコントロールされているかどうかを見るための指標だったわけです。 そういったことで使われているので、必ずしもヘモグロビンA1c、もちろん両方のど ちらかをやればある程度はわかるわけですから、どちらかをやればいいと思うのです。  空腹時血糖で、非常に早期ものが見つけにくいというのは、空腹時血糖のファスティ ングオステオランスはいいのですが、食後の血糖がいまいちばん問題になってきている わけです。それをどのようにしてチェックするかということで、ヘモグロビンA1c空 腹時の血糖は正常で、食後の血糖が少し高いぐらいでは、ヘモグロビンA1cはすぐに は上がってこないのです。ですから、それよりも、その前後を含めて尿糖が測れれば、 ある程度確実にできるという考え方なのです。したがって、必ずしもヘモグロビンA1 cだけを固執して議論することはないと思うのです。  血糖を測らないで、ヘモグロビンA1cを測った場合、食後である程度は同じような 意味は持つだろうとは思うのですが、基本的にヘモグロビンA1cというのは、治療が きちんといっているか、コントロールがうまくされているかの指標だったわけですから、 そういったことは3次予防になってしまうわけです。したがって、必ずしもヘモグロビ ンA1cを両方とも入れろというのは、費用、効果から見ても、そのあとで糖尿病が発 見されて、きちんとコントロールされているかどうかと見るときには、非常に有力です。 しかし、それは3次予防、臨床でやるべきことだという考え方です。  したがって、空腹時血糖が基本であって、食後の高血糖をある程度カバーするために、 尿糖は必ず測りなさいということで、かなりカバーできると思うのです。 ○労働衛生課長 この空腹時血糖検査が基本ですが、ヘモグロビンA1cで代替しても いいとなっていて、今回はヘモグロビンA1cを必須化したいということです。ただ、 空腹時血糖はより正確にするために、血糖検査も省略しないでやりましょうという趣旨 ですので、前と大きくは変わらないということです。 ○和田座長 そうですね、原則的にはどちらをやってもいいわけですね。ですから、原 文の報告書の考え方でいいと思うのです。「血清クレアチニン」に関しては何かご意見 はありますか。よろしいですか。これは3次予防と考えるべきであって、全員に課すべ き検査ではないと考えます。確かに、そこに書いてあるようなCKDを学会は盛んに主 張して、その数が非常に多いことを主張されていますが、これは安衛法で考えるべき問 題ではないですよね。  その次の(6)の「尿潜血・ヘマトリット値・眼底検査」に関しての考え方は、ここ に書いてあるような考え方でよろしゅうございますか。これはあまり問題ないと思いま す。3に入りますので、よろしくお願いします。 ○衛生専門官 3番の「保健指導」についてご説明します。労働安全衛生法に基づく保 健指導は、事業者の努力義務として位置づけられ、労働者の健康保持、増進に大きな役 割を果たしているが、一方、高齢者医療確保法では、医療保険者に特定保健指導の実施 が義務づけられている。前者では、例えば視・聴力等の作業起因性健康障害及び作業適 正に関わる保健指導が必要に応じて行われるが、後者では、健診項目において視・聴力 等の項目を必要としていないために、こうした項目に対する保健指導は行われないと考 えられる。  高齢者医療確保法に基づく特定保健指導と、労働安全衛生法に基づく保健指導の実施 方法等が整備されない場合には、労働者は生活習慣に関しての保健指導を重複した形で 受けることになると想定されます。  また、労働安全衛生法に基づく保健指導は、産業医・保健師等により行われているが、 同法に基づく「事業場における労働者の健康の保持増進のための指針(THP、「Total Health promotion Plan」、指針」により行われている保健指導等については、事業者ま たは労働者健康保持増進サービス機関等において保健指導・栄養指導・運動指導に係る 専門的な人材によりサービスが提供されている。  こうしたことを踏まえ、労働安全衛生的な観点から特定保健指導と労働安全衛生法上 の保健指導のあり方及び専門的な人材の活用等について検討を行った。  (1)「特定保健指導と労働安全衛生法に基づく保健指導の実施について」。労働安 全衛生法に基づく保健指導は、産業医、保健師等が中心となり事業者の努力義務として 行われており、生活習慣のみならず労働者の作業環境等の背景も考えた包括的な保健指 導となっている。また、労働者を対象とする高齢者医療確保法に基づく特定保健指導は、 生活習慣の改善が主な目的であるため、生活習慣の指導という面では両者は一致する。  このため、労働安全衛生法における保健指導と、特定保健指導を併せて実施すること により、労働者に対してより効果的、効率的な指導ができるので、医療保険者において は、労働安全衛生法に基づく保健指導を行う際に、特定保健指導の実施を希望する事業 者に対して、特定保健指導の委託ができるようにすることが望ましい。  (2)「人材の活用について」。専属産業医等のいない事業者については、医療保険 者との連携を図り、THPで養成した産業保健スタッフの人材活用という観点からも、 こうした産業保健スタッフを有する医療機関や健診機関に、医療保険者から特定保健指 導を委託してもらうことにより、特定保健指導のみならず、産業保健の視点も加味した 保健指導を労働者が受けられることとなる。  このため、行政においても、THPで養成した産業保健スタッフの活用が推進できる ように、産業保健における保健指導の体制整備に努める必要がある。  この際、THPにおける人材養成の段階で、標準的な健診・保健指導プログラムの観 点を加えることが望ましい。また、産業保健の中心的な役割を担う産業医の講習におい ても、標準的な健診・保健指導プログラムの観点を含めて、研修を行うことが望ましい。 以上でございます。 ○和田座長 3に関して、ご意見をいただければと思います。初めの段落はそんなに大 きな問題はないと思います。(1)についてはいかがでしょうか。 ○堀江委員 この段落のあとに、次の文章を追加することをご提案します。「また、保 険者が特定保健指導を実施する際に、事業場の作業環境や作業の様子についての情報を 有しない保健師等が、就業上の措置の要否、または実現可能性について判断をすべきで はない。しかし、実際には、特に事業者が労働安全衛生法に基づく保健指導を実施して いない場合などにおいて、就業上の措置が必要ではないかと疑う事例もあるということ が考えられる。このように、保険者による保健指導で、就業上の措置の必要性が疑われ た場合には、本人の同意を得る努力をした上で、事業場の健康管理を担当する医師や保 健師等に必要な情報を提供することが望ましい」。以上です。 ○和田座長 特定保健指導は、安全衛生法における産業医の指導をするということは、 現在のところは考えられないことではないですか、それはすべきことではないのは当た り前のことではないですか。特定保健指導というのは、メタボリックシンドロームに基 づいて、それに対する指導はするけれども、特定保健指導をする人が、労働者の職場に おける環境も知らなければ、誰も知らない人なのに、そんなことできるはずがないわけ で、それをやれということは一切言っていないわけですよ。これは当たり前のことでは ないですか。実際に、実施していないような場合が疑われることがあるということで、 疑いのある事例に先生はお遭いになったかもしれませんが、それはあくまでも事業者が 産業医とか、地域産業保健センターの先生とか、産業保健スタッフに対してお願いする ことであって、特定保健指導をする保健師が、それをやりなさいということは一切無関 係なことだと思うのです。それは制度上の区別をきちんとしないとまずいと思います。 ○堀江委員 早口で申し上げたので誤解があるように思いますが、制度上は違うことは 当然のことです。しかし、実際に保険者が、労働者である被保険者を目の前にしたとき に、さまざまなことを被保険者がお話になることは想定すべきではないかと思っていま す。  その際に、保険者の権限で仕事に関係あることについても指導をしてはいけないのは 当然ですが、そこで例えば過重労働とか、メンタルヘルスの話題が出て、それを産業医 に言わなければならないと感じたときには、私は産業医のその情報を是非お伝えいただ きたいと思っているわけですが、産業医は知らなくてもよろしいでしょうか。 ○和田座長 それは指導内容からいって、それが出る可能性は少ないし、出るようなこ とがあれば、それは安衛法に基づいた事業者の責任においてやるべきことであるわけで す。 ○堀江委員 そうしますと、メタボリックシンドローム以外の話が出た場合には、そこ で切るということでしょうか。 ○和田座長 そこまで立ち入る必要はないということです。 ○労働衛生課長 特定保健指導についてやり方が健康局で固まってきまして、積極的な 介入をするのかとか、動機づけをするとか、いろいろなやり方がありまして、まず1回 目の面接をして、その上で必要があれば、電話なり、ファックスなりで追っていくとい うことです。あるいは積極的なほうでは、中間評価と最終評価とあるのですが、そこで、 なぜご指摘のような労働安全衛生法の就業上の措置が入ってくるのかが理解ができない のですが。 ○堀江委員 簡単なことですが、一般の労働者が保健師の前に来たときに、その方は勝 手なことをしゃべることはよくあると思うのですが、それはご理解できないでしょうか。 ○労働衛生課長 先生のおっしゃっているのは、実行上それがあることは否定しないの ですが、実際に、それが例えば被保険者の方に、「あなたの医師に言ったほうがいいで すよ」とか、「事業者に相談したほうがいいです」とか、そのような実行上の話は、こ こであえて書くものではないと考えています。 ○堀江委員 実態としては、万が一そこで仕事に絡む話が出たら、それは産業医に伝え るべきであるという考え方そのものは、否定されないでしょうか。 ○労働衛生課長 実行上でやっていらっしゃる場合はあると思います。それを禁止する とか、そこまではいかなのではないかということです。 ○堀江委員 そこで勝手な指導をされるよりは、産業医を中心とした指導につなげてい ただくのがベターではないかと思って申し上げたのですが、そうではないということで あれば仕方がないということだと思います。そのような実態はあると思っています。事 務局としての考えでしょうから、委員としての考えをもう少し聞いたらどうでしょうか。 ○労働衛生課長 この報告書は、あくまでも労働者のためにいちばんいいのは、特定保 健指導の観点も、産業保健の観点も含めて、指導するといちばんいいという観点も含め て、この流れを書いているということで、堀江委員からのご指摘は全く別の話をしてい るような感じですが。 ○今村委員 保険者の仕事として、当然、いまの保健指導というガイドラインに出てい るようなものの中には、堀江委員のおっしゃっているような就業上のいろいろな問題を 聞き取るようなことは一切ないわけです。そのときに、実際に来られた方がそのような ことをおっしゃることが絶対にないとは言えないのですが、保健師であるとか、医師で あるとか、管理栄養士が、それを積極的に聞いていってということは現実的には考えに くいと思います。聞きたくないけれども、言われてしまったということはあるかもしれ ません。 ○堀江委員 その場合を想定しています。 ○今村委員 そのときに考えられるのは、それは本来、労働安全衛生法の中でやらなけ れば、産業医は産業保健の中でやらなければいけないことですので、私も実際上、診療 の中でそういうことを聞けば、「それは産業医に話さなければ駄目だよ」という話をし て、それで終わりないのではないかと思うのです。だから、書き込んでしまうと、本来 保険者の責務でないようなことまでやらなければいけないような誤解を招く可能性が非 常に高いのではないかと思って、あえてそこは書く必要はないかなと思っています。 ○相澤委員 いろいろなケースが出てきて、例えば就業上の制限が必要な場合に保健指 導をします。その場合のことも出てくるし、その場合に外注で来られた保健指導の方が 適当かどうかということも出てくるし、いろいろな問題が出てくるので、ここで一つひ とつを書くと、かえって混乱するのではないかと思うので、このくらいで、基本的なこ とですので、それでよろしいのではないかと思うのです。 ○堀江委員 私は書いたほうが現場の迷いが少ないと思いましたが、書かないほうがい いという意見が多いのであれば、仕方がないと思います。ただ、その際に就業に関する ことを聞いてしまった保険者が、事業者にそれを伝えなかった責任というのは、場合に よっては問われることもあると考えています。 ○和田座長 それは特定保健指導の趣旨と目的が全然別ですから、そこは問われること は絶対にないです。 ○堀江委員 実態としてあり得ると思っています。私にはわかりません。 ○和田座長 保険局は、特定保健指導をする人に職業上のこともしなさいということは 指示するのですか。 ○堀江委員 そのようなことは申し上げておりませんし、指示はしません。 ○和田座長 保険局に聞いているのです。 ○生活習慣病対策室長 今回の制度の範囲はそちらまで入っていません。 ○和田座長 それは守備範囲外ですよね。 ○生活習慣病対策室長 当然そのように認識しています。 ○和田座長 よろしゅうございますか。(2)については、これは是非こういうことを お願いしたいということですから、これは要望的なことです。ここは望ましいというこ とでよろしゅうございますね。次に4番の「健康診断結果の取扱い等について」です。 ○衛生専門官 4番に移ります。「健康診断結果の取扱い等について」です。(1) 「健康診断結果の保存方法・提出方法等の取扱いについて」。労働安全衛生法において 事業者に対して健康診断結果の保存を義務づけているが、媒体等の保存方法については 特に定めていない。一方、高齢者医療確保法においては、大量の健康診断等の情報を処 理するため、標準的な電磁気様式での保存・提出が検討されている。  高齢者医療確保法では、医療保険者が労働安全衛生法に基づく定期健康診断の結果を、 事業者に対して求めることができるため、労働者の健康診断結果等の情報について標準 的な電磁気様式での提出が期待されている。しかし、労働安全衛生法において、標準的 な電磁気様式での保存・提出を規定すると、特に中小事業者を中心として、事業者の負 担が大きいため、事業者に対して一律に法令上求めるのではなく、事業者自ら標準的な 電磁気様式で健診結果を提出できる健診機関を選定するなど、データの提供等が大きな 負担とならない範囲で、医療保険者に協力することが妥当と考えられる。  そこで、特定健康診査の情報提供を円滑に実施するために、高齢者医療確保法に基づ く特定健康診査、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の健康診断の結果を、電子的 に入・出力できるシステムが開発され、健診機関が容易に入手できるようになることが 望まれる。こうしたことで、健診機関において事業者へ提出するデータと医療保険者へ 提出するデータの各々を簡単に作成することも可能となり、事業者の負担軽減につなが る。  さらに、健診機関がこうした電子化に対応できない場合であっても、中小企業等の事 業者が定期健康診断の実施時に、労働者に対して定期健康診断の情報を医療保険者に提 供する旨を明示することで、特定健康診査項目以外の定期健康診断項目の情報提供が可 能となる。あわせて医療保険者においては、特定保健指導の実施等に必要なデータ以外 は、情報の漏えい等がないよう廃棄することにより、労働者の個人情報保護の要請と事 業者の情報提供に際しての負担軽減のバランスをとることが可能となる。  (2)「個人情報の保護について」。高齢者医療確保法で行われる特定健康診査・特 定保健指導では、健康診断結果を継続的に管理し、経年的に有効活用することが重要な 点とされており、その中で労働者の健康情報については、事業者から医療保険者へ、医 療保険者から医療保険者への移動が考えられる。  労働者の継続的な健康管理という観点からは望ましいものの、健康に関する情報は労 働者の個人情報であるということに留意しつつ、医療保険者はその保管・管理に際して、 情報の保護に十分に配慮する必要がある。  また、雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項と しては、産業保健業務従事者以外の者に健康情報を取り扱わせるときは、これらの者が 取り扱う健康情報が利用目的の達成に必要な範囲に限定されるよう、必要に応じて健康 情報を適切に加工した上で提供する等の措置を講ずることとなっており、こうした留意 点についてより理解を得る努力が必要である。以上でございます。 ○和田座長 何かご意見がありましたらどうぞ。 ○今村委員 (1)の後段の部分の「さらに」というところがあるのですが、ここの文 章がわかりにくかったのでご説明いただきたいと思います。「さらに健診機関がこうし た電子化に対応できない場合であっても、中小企業等の事業者が定期健康診断の実施時 に、労働者に対して定期健康診断の情報を医療保険者に提供する旨を明示することで、 特定健康診査項目以外の定期健康診断項目の情報提供が可能となる」という文章です。 これはわかりにくいのですが。 ○衛生専門官 健診機関が電子化されていれば、電子データで事業者ももらって、それ を医療保険者に提出するだけでいいのですが、紙媒体でしかもらうことができないよう な場合については、第三者提供に当たらないように、特定健康診査項目以外の部分につ いては、基本的に見えないように墨塗りするとか、そういった措置が必要になってくる わけです。  ただ、その労働者に対して、健康診断をやるときに、こういった情報も含めて、医療 保険者に提供するということを事前に明示しておくことで、第三者提供に当たらないこ とになりまして、事業者においては墨塗りをするとか、医療保険者にデータを提出する 際の作業が軽減されるということで、実質上の負担は軽減されるということです。 ○今村委員 わかりました。 ○堀江委員 いまの点ですが、提供する旨を明示すれば、労働者が同意しなくても可能 となると読んでいいですか、労働者の同意を前提とした文章ですか。 ○衛生専門官 これは医政のほうのガイドラインでもありますが、黙示による同意とい うことです。 ○堀江委員 黙示による同意は、利用目的は想定される範囲のものであるということだ と思いますが、果たしてそういう解釈で大丈夫でしょうか。 ○衛生専門官 基本的には、医療保険者は特定健康診査の項目以外のところに ついては必要としていませんので、廃棄さえしていただければいいかと思います。 ○堀江委員 確認ですが、事業者側が明示すれば、本人の同意は要らないということを 言っているわけですね。 ○衛生専門官 基本的に拒否されれば、それは事業主は配慮すべきだと思いま す。 ○堀江委員 それも含めて言っているわけですか。 ○衛生専門官 はい。 ○堀江委員 それは事実上、同意したということをもってということですか。 ○衛生専門官 そうです。 ○堀江委員 わかりました。  もう1点ですが、事前の意見は出していたのですが、現場において出向者というのが かなりおりますので、出向者は出向元の健康保険組合に残っていることがありますが、 実際には出向先で労働安全衛生法の健康診断を実施していることがあると思います。し たがって、出向先がいくつもあると、出向先のいくつもの会社から、出向元の健保組合 に情報が必要になって、保険者としては何種類かの会社からいただくことになると思い ますが、その辺は10頁の上のほうの文章で、考慮してあると読んでよろしいのでしょ うか。 ○労働衛生課長 逆に教えてほしいのですが、特定健康診査の情報がうまく伝わるかど うか、要するに出向先のB社で安衛法を受けていますね。 ○堀江委員 「B社」とは何ですか。 ○労働衛生課長 出向元がA社で、出向先をB社としますが、その辺は。 ○堀江委員 もう1回申し上げましょうか、A社の従業員が雇用を継続されていて、B 社に出向している場合に、実際の指示、命令はB社で行われているので、労働安全衛生 法の健診はB社で行われているケースがあると思います。その場合、B社の数が1社で はないこともよくあることから、実際にはA社の健保組合に所属している人間が、たく さんの出向先で行った労働安全衛生法の定期健康診断の結果の提供を求めて集める必要 のある事態が生じると考えています。そのことです。 ○労働衛生課長 B社が医療保険者から求める、あるいはB社が安衛法の健診結果を出 すだけの話なのです。 ○堀江委員 そうです。 ○労働衛生課長 それ以上、何が問題なのかがわからないのですが。 ○堀江委員 わからないのなら結構です。 ○衛生専門官 どこにいても、個人は特定できる形に情報が出されるはずです。 ○堀江委員 出向先がかなりあって、実態としては小さなところがたくさんあるので集 める必要が出てくると考えています。単一健保のようなものを想定すればおわかりいた だけるかもしれないのですが、単一健保で、たくさんの出向先に出ている場合に、そこ の健診結果を元に集めてくる作業が発生するので、そこをやりやすくしていただく配慮 があればいいなと思いました。あまり名案がないのですが、そのように考えている次第 です。10頁の上のほうに中小企業のようなことが出てきますので、その辺の文章で、十 分に理解できていない点もあるのですが、健診機関等が一括であれば、そこから事業者 を経由せずに、そのような手続きがしてあれば、健診機関から自動的に保険者にいく仕 組みを考えて、そこをクリアするということですよね。 ○衛生専門官 実際はそのような運用になると思いますが、法律の条文上は、事業者を 介して提出することになっています。それは契約で。 ○和田座長 細かい運用に関しては、保険局である程度考えてくださることになるので す。 ○堀江委員 (2)の個人情報のところですが、最初のパラグラフのいちばん最後の文 章で、「医療保険者はその保管・管理に際して、情報の保護に十分に配慮する必要があ る」ということですが、私の提案を読みますと、「医療保険者は、情報と保護と利用の 均衡に十分配慮して取り扱う必要がある。しかし、現場で判断に迷うさまざまな事例が 考えられることから、想定される事例については適切な対処方法について指針を示すこ とが望ましい」ということを入れてはいかがかと思います。 ○労働衛生課長 その辺の医療情報の保護について、我が方だけの対応ではない部分も。 ○和田座長 保険局の対応になるのではないでしょうか。 ○生活習慣病対策室長 必要があれば、各局とも対応すると思いますので、あえてここ で言わなくても大丈夫ではないかと思うのですが。 ○堀江委員 それではやめてください。 ○和田座長 まとめのところをお願いします。 ○衛生専門官 5番の「まとめ」です。本検討会では、「標準的な健診・保健指導プロ グラム(暫定版)」の中で示された健診項目について、労働安全衛生の視点も含めて、 主に医学的、科学的な観点から検討を行うとともに、労使団体、健診機関の団体からも 意見聴取を行い議論を重ねてきた。その結果を要約すると、下記の通りとなる。  ・腹囲を健診項目に追加。(40歳未満(35歳を除く。)は医師の判断により省略可と するなど、測定の省略基準を策定。簡便な測定方法を導入)  ・総コレステロールを健診項目から削除し、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL コレステロール)を追加(40歳未満(35歳を除く。)は医師の判断により省略可)  ・尿糖の省略基準血糖検査を受けた者については医師の判断に基づき省略可を削除。  ・その他喫煙歴等の聴取を通知等で徹底。  今後、労働安全衛生規則の改正等を行うに際しては、早い段階から、事業者等に規則 改正の内容及び定期健康診断と高齢者医療確保法に基づく特定健康診査の関係等の周知 を十分に行い、円滑な施行が行われるよう配慮が必要である。また、保健指導について も、本検討会の示した方向に沿った対応がなされるよう期待したい。  なお、定期健康診断項目とともに、見直しを行う必要のある他の事項等については、 事務的にその見直しを行うことが適当と考える。  おわりに、今回は「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」で示された健診 項目の中で、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目となっていない項目に範囲を 絞った形で検討を行ったところである。しかし、労働安全衛生法に基づく定期健康診断 項目や労働安全衛生法に基づく事後措置・保健指導のあり方については、時代とともに 変化する医学的な知見を踏まえ検討する必要があり、その際、国全体の健康保持増進に 係る政策や健康診断等の実施義務のある事業者、特定健康診査等の実施義務のある医療 保険者及び健康診断の受け手であり、自己の健康管理が求められている労働者それぞれ の役割分担も踏まえ、今後在り方を検討することが望まれる。以上でございます。 ○和田座長 最後のところですが、いままでの議論を簡潔にまとめたものですが、いか がでしょうか。 ○堀江委員 私の主張は、四角の括弧の中の1行目については、腹囲を健診と同時に測 定するよう事業者に協力を要請するということに留めるべきではないかというのが意見 でございます。 ○和田座長 いままでに何回も議論したところですが、いろいろなものに関して反論は あるのは当然ですが、客観的な事実として、日本の多くの学会、国際学会でも認められ ている十分な根拠があるから採用されているところですし、保険局の検討においても、 非常に重要な項目であるということで採用しているわけですから、客観的に見れば重要 で、採用すべき項目だと考えると、先ほどの議論ではそのようになったと思うのですが、 それとBMIよりも遥かに、これからの健診のいちばん初めの機序として、初めの項目 としては非常に重要である、先ほどのメタボリックドミノと話ましたがそういう観点か らいっても非常に重要であること、それからアドバサイドという理論的な根拠、インシ ュリン抵抗性などの根拠をもって、そのような根拠をもってきちんとした理論武装もで きている、学問的な病態も明らになっているということで、学問的にも十分に信頼でき るものであるということ、したがって、これからの予防医学、脳・心臓疾患に対する予 防医学、リスクの評価に関しては、両方とも採用すべき項目であると、先ほどの議論で はそのような感じになったのですが、今村委員はどうですか。 ○今村委員 私はこの項目に追加については結構です。ただ、お願いなのですが、先ほ ど6頁で申し上げた腹囲の測定についての表現については、四角の括弧の中と整合性が 取られた形で記載していただくように、あたかもここは簡便な方法だけでいいのだよと、 そこの文言を考えていただければと思います。 ○和田座長 そうだと思います。 ○相澤委員 私も腹囲については、これから十分なエビデンスが必要になると思います。 BMIも、体重も測定することになっているので、これとの関係を疫学的に調査する必 要があるので、それを期待を込めて、腹囲も追加するということでいいのではないかと 思います。 ○和田座長 そのようなことが各委員の意見ということです。それを勘案して、最終的 なまとめとしたいと考えています。  長い間ありがとうございました。特に堀江委員には、よく検討していただいて、いろ いろとご提案をいただきましてありがとうございました。他にご意見はございませんか。 委員の皆様の協力の下に検討を進めてきましたが、今回の報告書の案を本検討会の意見 とさせていただきたいと思います。本日の議論で、報告書の記載について一部修正、ま た追加する必要があるかとも思いますが、細かい表現については座長にご一任いただけ ればと思うのですが、よろしゅうございますか。                  (異議なし) ○和田座長 どうもありがとうございました。本日をもって本検討会は終了とさせてい ただきます。委員の皆様、検討会の運営に対するご協力に感謝いたします。どうもあり がとうございました。 (照会先)厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課 電話03−5253−1111(内線5181,5495)