医療安全管理者の
業務指針および養成のための研修プログラム作成指針
−医療安全管理者の質の向上のために−
厚生労働省 医療安全対策検討会議
医療安全管理者の質の向上に関する検討作業部会
平成19年3月
目 次
はじめに
I.医療安全管理者の業務指針
1.医療機関における医療安全管理者の位置づけ
2.本指針の位置づけ
3.医療安全管理者の業務
1)安全管理体制の構築
2)医療安全に関する職員への教育・研修の実施
3)医療事故を防止するための情報収集、分析、対策立案、フィードバック、評価
4)医療事故への対応
5)安全文化の醸成
II.医療安全管理者の養成のための研修プログラム作成指針
1.本指針の位置づけ
2.研修プログラムの企画についての考え方
3.研修の対象者
4.研修において習得すべき基本的事項
1)医療安全の基本的知識
2)安全管理体制の構築
3)医療安全についての職員に対する研修の企画・運営
4)医療安全に資する情報収集と分析、対策立案、フィードバック、評価
5)事故発生時の対応
6)安全文化の醸成
5.医療安全管理者の継続的学習について
おわりに
医療安全管理者の質の向上に関する検討作業部会委員
はじめに
医療の質の向上と安全の確保は国民の願いであり、医療機関が最優先に取り組むべき課題のひとつである。医療機関の管理者は、自ら安全管理体制を確保するとともに、医療安全管理者を配置するにあたっては、必要な権限を委譲し、また、必要な資源を付与して、その活動を推進することで医療機関内の安全管理に努めなければならない。
厚生労働省は、平成14年4月、医療安全対策検討会議においてまとめられた「医療安全推進総合対策」(報告書)を基に、平成14年10月には病院および有床診療所に、平成15年4月には、特定機能病院および臨床研修病院に医療安全管理体制の整備を義務づけた。さらに平成17年6月には、医療安全対策検討会議において、「今後の医療安全対策について」(報告書)がまとめられ、これに基づき、平成18年の医療法改正により、医療安全管理体制の整備を行う医療機関の拡大等を図ったところである。また、平成18年4月の診療報酬の改定では、医療機関において専従の医療安全管理者を配置していること等を要件とした、医療安全対策加算を新設した。
さらに、医療機関における医療事故の発生防止対策等については、平成12年、国立病院等の安全管理指針作成のための「リスクマネジメントマニュアル作成指針」の検討を行い、平成14年には、「医療安全推進総合対策」(報告書)を基にした医療安全ハンドブックを作成し、広く医療安全の推進について周知を図っているところである。しかし、これまで医療安全管理者の業務および研修等についての検討は行っていない。
現在、医療安全管理者の業務指針の作成および教育・研修の実施においては、各医療機関および医療関係団体がそれぞれの立場で取り組んでいる。しかしながら、基本的な考えや、その内容は様々である。
医療安全管理の考え方としては、厚生労働省において平成14年4月にまとめた「医療安全推進総合対策」において、医療安全管理とリスクマネジメントを同義とし、リスクマネジメントは、医療に内在するリスクを管理し、患者の安全を確保するという意味を含んで用いられている。しかしながら、リスクマネジメントは組織防衛を目的に用いられることがあり、この場合は患者の安全管理とは目的が異なる。
本作業部会では、現状において医療安全管理者が行っている業務および現在実施されている各研修会の内容を踏まえたうえで、組織防衛ではないリスクマネジメントを含む医療の質の向上と安全の確保を目的とした、医療安全管理者の業務指針とその業務内容に応じた医療安全管理者養成のための研修プログラム作成指針を作成した。本指針は、個々の医療機関において医療安全管理者の業務を検討する際、あるいは関係団体等が医療安全管理者の養成のための研修を行う際の参考に資することを目的としている。
I.医療安全管理者の業務指針
1.医療機関における医療安全管理者の位置づけ
医療安全管理者とは、各医療機関の管理者から安全管理のために必要な権限の委譲と、人材、予算およびインフラなど必要な資源を付与されて、管理者の指示に基づいて、その業務を行う者とする。
2.本指針の位置づけ
本指針は、安全管理を行うことを主たる業務とする医療安全管理者のための業務指針であり、安全管理以外の業務に従事しているか否かに拘わらず、「医療安全管理者として行うべき業務」を明確にするものである。なお、事故発生後の患者や家族への直接的な対応等を医療安全管理者が行うかどうかを含めた組織防衛としてのリスクマネジメントに関連した業務については、各医療機関の規模や機能に応じて判断すべきものと考える。
3.医療安全管理者の業務
医療安全管理者は、医療機関の管理者から委譲された権限に基づいて、安全管理に関する医療機関内の体制の構築に参画し、委員会等の各種活動の円滑な運営を支援する。また、医療安全に関する職員への教育・研修、情報の収集と分析、対策の立案、事故発生時の初動対応、再発防止策立案、発生予防および発生した事故の影響拡大の防止等に努める。そして、これらを通し、安全管理体制を組織内に根づかせ機能させることで、医療機関における安全文化の醸成を促進する。
1)安全管理体制の構築
安全管理のための体制の構築としては、次のようなことがある
(1) | 医療機関内の安全管理体制の構築および推進のため、職種横断的な組織としての安全管理委員会や安全管理部門等の運営に参画する。また、必要に応じて医療機関の管理者と協力し、ワーキンググループやプロジェクトチーム等、事故の内容や緊急性に応じて適宜対策を立案できる組織体制を構築する。 |
(2) | 安全管理に関する基本的考え方や、安全管理委員会その他医療機関内の組織に関する基本的事項等について明示した、安全管理のための指針を策定する。 |
(3) | 安全管理に関する委員会等の組織の活動についての、定期的な評価と円滑な運営に向けての調整を行い、目的に応じた活動が行えるように支援する。 |
2)医療安全に関する職員への教育・研修の実施
医療安全管理者は、職種横断的な医療安全活動の推進や、部門を超えた連携に考慮し、職員教育・研修の企画、実施、実施後の評価と改善を行う。
(1) | 研修は、内容に応じて職員の参加型研修となるよう企画する。 |
(2) | 研修は、具体的な事例を用いて対策を検討するような企画を行う。 |
(3) | 企画に際しては、現場の職員だけでなく患者・家族、各分野の専門家等の外部の講 師を選定するなど、対象および研修の目的に応じたものとする。 |
(4) | 研修について考慮する事項 (1) 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か、限定した職種への研修か b. 部署・部門を横断する研修か、部署及び部門別か c. 職階別の研修か、経験年数別の研修か (2) 研修時間とプログラム a. 研修の企画においては、対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する。 b. 全員への周知が必要な内容については、複数回の実施やビデオ研修等により、全員が何らかの形で受講できるようにする。 c. 研修への参加状況、参加者の意見、反応等を把握し、研修の企画・運営の改善に活かす。 (3) 研修内容の例 a. 医療の専門的知識や技術に関する研修 b. 心理学・人間工学・労働衛生など、他分野から学ぶ安全関連知識や技術に関する研修 c. 法や倫理の分野から学ぶ医療従事者の責務と倫理に関する研修 d. 患者、家族や事故の被害者から学ぶ医療安全に関する研修 e. 医療の質の向上と安全の確保に必要な知識と技術に関する研修 f. 患者、家族、医療関係者間での信頼関係を構築するためのコミュニケーション能力の向上のための研修 |
(5) | 研修実施後は、研修担当者とともに、参加者の反応や達成度等について研修の評価を行い、改善を行う。 |
(6) | 院内巡視や事故報告による情報を基に、各部署・部門における、安全管理に関する指針の遵守の状況や問題点を把握し、事故の発生現場や研修の場での教育に反映させる。 |
3)医療事故を防止するための情報収集、分析、対策立案、フィードバック、評価
(1)医療安全に関する情報収集
医療安全管理者は、医療事故の発生予防および再発防止のための情報を収集するとともに、医療機関内における医療安全に必要な情報を院内の各部署、各職員に提供する。情報としては、次のようなものが考えられる。
【医療機関内の情報】
(1) | 医療事故およびヒヤリ・ハット事例報告 |
(2) | 患者や家族からの相談や苦情 a. 外来診療や入院中の出来事に関する患者や家族からの相談や苦情 b. 患者相談窓口の担当者やソーシャルワーカー等が直接対応した相談や苦情 c. 電話や投書による相談や苦情 |
(3) | 患者及び職員への満足度調査等の結果 |
(4) | 院内の各種委員会の議事録 |
(5) | 院内巡視の結果 |
(6) | 各部門、部署の職員からの情報提供 |
【医療機関外の情報】
(1) | 各種専門機関の情報 a. 厚生労働省や医療事故情報収集等事業の登録分析機関 b.(独)医薬品医療機器総合機構、病院団体、職能団体 等、 医療安全に関して重要な情報を発信している専門機関の情報や通知 |
(2) | 各種メディアの報道 新聞やテレビ、雑誌、インターネットなどの医療安全に関する報道 |
(3) | 研究報告等 各種学術誌や専門誌、インターネット等に掲載された医療安全に関する研究や活動報告 |
(4) | 専門家からの情報 |
(2)事例の分析
事故等の事例については、職員や患者の属性、事故やヒヤリ・ハットの種類、発生状況等の分析を行い、医療安全に必要な情報を見出す。また、事例の事実確認を行い、医療事故の発生予防および再発防止に資する事例については、必要に応じて各種の手法を用いて分析する。事例の分析については、現在広く医療機関において使用されている方法として、次のようなものがある。
【事故発生後の原因分析を目的としたもの】
(1) | 根本原因分析(RCA : Root Cause Analysis) |
(2) | SHELモデル |
(3) | 4M-4E |
【危険箇所の特定と事故の発生予防を目的としたもの】
(1) | FMEA(Failure Mode & Effects Analysis) |
(3)安全の確保に関する対策の立案
医療安全管理者は、事例の分析とともに、医療安全に関する情報・知識を活用し、安全確保のための対策を立案する。対策の立案に当たっては次の点を考慮する。
(1) | 実行可能な対策であること |
(2) | 各医療機関の組織目標を考慮した内容であること |
(3) | 対策に根拠があり成果が期待されること |
(4) | 対策実施後の成果や評価の考え方についても立案時に盛り込むこと |
(4)フィードバック、評価
医療安全管理者は、医療安全に関する情報や対策等について、各部署や職員へ伝達する体制を構築する。具体的には、組織のラインを通じての情報提供とともに、定期的な医療安全ニュースの配布や職員への一斉メール配信等の方法によりフィードバックし、周知を図る。また、対策実施後の成果について評価し、評価に基づいた改善策を検討・実施する。
4)医療事故への対応
医療安全管理者は、事前に事故の発生に備えた対応を検討する。また、医療事故が発生した場合は、関係者の事故への対応について支援するとともに、事故によって生じる他の患者への影響拡大を防止するための対応等を行う。さらに、再発防止のための事例の調査や報告書の取りまとめ等に協力し、あわせて院内各部署への周知を図る。
(1)事故発生前の対策
職員に対して事前に、緊急の報告を要する医療事故等の範囲や、勤務時間内および勤務時間外における医療事故発生時の報告体制等を盛り込んだ対応マニュアルを作成し、院内各部署に周知する。
(2)事故発生時の対策
医療安全管理者は、事故発生時の初動対応として、管理者の指示に基づいて、次のような点が適切に行われるよう、必要に応じて支援する。
(1) | 医療事故発生現場の調査と関係者からの詳細な事実確認 |
(2) | 所属長への連絡等の対応マニュアルに沿った実施 |
(3) | 医療事故に関連した破損器材や処置内容、データ等の保全 |
(4) | 機器や薬剤が関与した場合の医療機関内の関連部署への連絡と製造販売業者への連絡や対応の依頼 |
(5) | 患者、家族への事故の連絡や説明の実施(患者、家族への直接の対応については、組織としての姿勢を示すことになるため、医療機関の管理者またはそれに準ずる者が行うことが望ましい。) |
(6) | 一連の診療や処置、患者・家族への対応や説明内容について、遅滞なく正確に診療録・看護記録等に記載すること |
(7) | 医療事故に関与した職員の精神的ケア等のサポート |
(8) | 医療機関の管理者が行う当事者以外の職員や他の患者に対する説明、および地域住民からの問い合わせへの対応 |
(3)再発防止
医療安全管理者は、必要に応じて医療機関の管理者により設置される事故調査委員会(事故の原因を調査するための組織体)の運営を助け、事例の調査や報告書の取りまとめ等に協力する。
また、医療安全管理者は、事故調査委員会において提言された再発防止策等について、院内各部署への周知を図る。
5)安全文化の醸成
医療機関における安全文化の醸成のための業務には、次のようなことがある。
(1) | 医療安全管理者は、職員から安全管理委員会にヒヤリ・ハット事例や事故情報が遅滞なく報告され、安全管理委員会において原因の分析が行われ、必要な対策が検討・実施され現場に生かされるよう、全職員に働きかける。 |
(2) | 医療機関内から提供された医療安全の情報が、適切に生かされた事例の紹介等を行う。 |
(3) | 医療安全に関連する情報収集、情報の提供、研修の開催等それぞれの場面に、職員とともに患者・家族が参加することで、医療安全の確保についての職員及び患者・家族の意識が高まるよう働きかける。 |
(4) | 医療安全の確保のためには、関連する情報の収集および提供が必要であり、その情報の活用にあたっては、個人の責任を追求するものとならないように配慮する。 |
(5) | 全職員が、医療安全について自らのこととして考え、医療現場から積極的に取り組むよう、職場の医療安全意識を高める。 |
II.医療安全管理者の養成のための研修プログラム作成指針
1.本指針の位置づけ
医療安全管理者とは、各医療機関の管理者から安全管理のために必要な権限の委譲と、人材、予算およびインフラなど必要な資源を付与されて、管理者の指示に基づいて、その業務を行う者である。そのため、医療安全管理者の養成研修を計画するにあたっては、安全管理業務を遂行するための知識や技術を習得できるよう考慮する必要がある。
本指針においては、このような研修を計画するにあたり盛り込むべき基本的な事項について述べる。
2.研修プログラムの企画についての考え方
研修プログラムは、下記4に述べる、医療安全管理者が研修において習得すべき基本的事項の全てを盛り込むことが必要である。
研修プログラムの展開にあたっては、一定期間に集中的に行う方法と、断続的にいくつかの単元に分けて行う方法が考えられる。断続的な研修プログラムを作成する場合は、内容に重複や漏れがないように組み立てることが求められる。また、医療安全管理者には実践能力が特に求められるので、研修の方式としては、講義のみならず演習を加えることが必要である。研修実施後には、企画内容、実施状況等についての評価を行う。研修の企画にあたっては、計画・運営・評価を一貫して行ない、効果的な研修が行えるように、研修の運営に責任を持つ者を配置することが望ましい。
3.研修の対象者
本指針で示す研修の対象者は、現在、医療機関の中で医療安全管理者として医療機関全体の医療安全管理に携わっている者、または、医療安全管理者としてその任にあたる予定のある者とする。
4.研修において習得すべき基本的事項
医療安全管理者には、医療機関の管理者から委譲された権限に基づいて、安全管理の業務を行うために、医療に関する専門的知識のほか、実践能力が必要である。
具体的には、以下の1)から6)の事項に関する知識や技術の習得が考えられる。
1)医療安全の基本的知識
(1) | 我が国の医療安全施策の動向、医療事故発生のメカニズムやヒューマンエラーなどに関する基本的知識 |
(2) | 医療安全に資する心理学や人間工学および労働衛生等、関連分野の安全管理に関する知識 |
(3) | 医療の質の向上と評価に関連する知識 |
(4) | 安全管理に関する法令や制度、指針等の知識 |
2)安全管理体制の構築
(1) | 職種横断的な組織作りに関すること (1) 組織運営に関する基本的知識 (2) チーム医療に関する基本的知識 (3) 会議運営の技術や適切なコミュニケーションに関する知識 |
(2) | 院内の安全管理体制に関すること (1) 安全管理部門や委員会の業務 (2) 医療安全管理者の役割と業務 (3) 安全管理部門と他部門との連携 |
(3) | 組織内の安全管理に関する委員会等の活動の評価と調整に関すること |
3)医療安全についての職員に対する研修の企画・運営
研修対象者の選択とそれに応じた研修の企画・運営および研修の評価・改善に必要な事として以下の事項が考えられる。
(1) | 研修受講者の背景、事前の知識、学習意欲等の把握の仕方 |
(2) | 研修の企画に関する知識 時期の選定、講師や対象者の選定、内容と到達度の設定、方法の選定(講義形式・演習形式等)、年間計画の立案 |
(3) | 医療安全のための教育教材とその活用法 |
(4) | アンケート等による参加者の感想やテスト結果分析など、研修評価の方法 |
(5) | 研修計画全体の評価 |
4)医療安全に資する情報収集と分析、対策立案、フィードバック、評価
(1) | 医療事故報告、ヒヤリ・ハット報告制度および院内報告制度 |
(2) | 医療安全に資する院内外の情報を収集する方法 |
(3) | リスク評価の方法 (1) 結果の重大性や発生頻度からからみた事象の重大性やその対応の緊急性についての分類の方法など(業務フロー分析、RCA、リスクアセスメント等) (2) 事故発生予防のための方法(業務フロー分析、FMEA等) (3) 危険を発見するための能力開発方法 |
(4) | 事例の分析方法 (1) 定量的分析の基本 (2) 定性的分析の基本 |
(5) | 事故の発生予防、再発防止対策の立案、フィードバックに関する事項 (1) 安全対策立案の基本 (2) すでに検討あるいは確立されている安全対策例 (3) 安全対策や再発防止策等についてのフィードバック、周知の方策 |
(6) | 対策評価のための知識、技術、方法 |
5)事故発生時の対応
(1) | 医療事故等発生時の対応に関する基本原則 |
(2) | 事故発生時の初動対応に必要な知識 |
(3) | 医療事故に関与した職員の事故発生後の精神的ケアについて |
6)安全文化の醸成
(1) | 医療機関内において、事故事例やヒヤリ・ハット事例の報告と共有が効果的に行われるための体制の整備 |
(2) | 事故の発生予防や再発防止が効果的に行われる体制の確立 |
(3) | 発生予防や再発防止を目的とするため、事故やヒヤリ・ハットの報告者を非難しない組織文化の醸成 |
(4) | 医療従事者と患者、家族とが情報を共有し、患者、家族の医療への参加を促すための具体的な方策 |
5.医療安全管理者の継続的学習について
本指針では、医療安全管理者が習得すべき知識や技術について述べた。いうまでもなく医療安全管理者が医療機関において期待される役割やその責務は大きいことから、ここで述べた内容の研修を受けただけで、医療安全管理者の責務を果たすのに十分とはいえない。従って、医療の安全管理に携わるものとして、継続的に学習と経験を積み重ねていくことは必須の要件である。
また、医療安全管理の業務を遂行する中で得られた情報や知見について、医療機関内で共有して事故防止に役立てるとともに、学会発表などを通して、医療安全の推進に役立てるよう努力することが望まれる。
おわりに
本作業部会では、医療安全管理者の業務指針および養成のための研修プログラム作成指針を作成した。今後、医療の質の向上と安全の確保のために、医療安全管理者が医療機関内において積極的に活躍できるよう本指針が活用されることを期待する。また、今後得られる知見をもとに、本指針のさらなる内容の充実が図られることが求められる。
医療安全管理者の質の向上に関する検討作業部会
委 員
鮎澤純子 | 九州大学大学院医学研究院助教授 |
飯田修平 | 練馬総合病院長 |
石川雅彦 | 国立保健医療科学院政策科学部長 |
河野龍太郎 | 東京電力(株)技術開発研究所 ヒューマンファクターグループマネージャー |
木下勝之 | (社)日本医師会常任理事 |
楠本万里子 | (社)日本看護協会常任理事 |
佐藤秀昭 | 石巻市立病院薬剤部門長 |
嶋森好子 | 京都大学医学部附属病院看護部長 |
寺井美峰子 | 聖路加国際病院医療安全管理室 専任リスクマネージャー |
福永秀敏 (部会長) | 国立病院機構南九州病院長 |
◎ 五十音順 |