07/02/28 保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会第5回議事録 第5回   保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会 議事録                   日時:平成19年2月28日(水)                      12:30〜14:30                   場所:霞ヶ関東京會舘ゴールドスタールーム                      (霞が関ビル35階)                   照会先:保険局総務課医療費適正化対策推進室 (内線3181) ○出席委員(敬称略・五十音順)  赤星慶一郎、内田健夫、漆崎育子(草間朋子代理)、押野榮司、小島茂、久代登志男 (田村政紀代理)、小池啓三郎、櫻井正人、白川修二、田中一哉、辻一郎、津下一代、 対馬忠明、中村嘉昭、奈良昌治、松岡正樹、水口忠男、峯村栄司    ○参考人(敬称略)  (財)結核予防会専務理事 金子洋  (社)全国労働衛生団体連合会専務理事 梶川清  (財)予防医学事業中央会常務理事 山内邦昭   ○厚生労働省出席者  白石大臣官房審議官、岩渕保険局保険課長、神田保険局国民健康保険課長、深田保険 局総務課医療費適正化対策推進室長、山本保険局総務課老人医療企画室長、大島保険局 総務課医療費適正化対策推進室企画官、梶尾保険局総務課医療費適正化対策推進室企画 官、矢島健康局総務課生活習慣病対策室長、勝又健康局総務課保健指導室長 ○次第 1.開会 2.議題  (1)「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」の見直し(報告)    ・「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会」報告    ・後期高齢者の保健事業  (2)特定健診・保健指導の準備状況    ・日本人間ドック学会/日本病院会    ・(財)結核予防会    ・(社)全国労働衛生団体連合会    ・(財)予防医学事業中央会    ・(社)日本医師会  (3)特定健康診査等実施計画における目標値及び後期高齢者支援金の加算・減算 について  (4)特定健診・特定保健指導の委託について    ・集合契約の実施上の論点    ・健診・保健指導機関が「標準的な健診・保健指導プログラム」の基準を満たし ているかの確認方法 3.閉会 ○梶尾企画官 ただいまより、第5回「保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策 に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様方には、ご多忙のところお集まりいた だきましてありがとうございます。出欠の確認ですが、本日は草間委員、河内山委員、 田村委員、山本委員から事前に欠席のご連絡をいただいております。なお、草間委員の 代理として日本看護協会の漆崎様、田村委員の代理として日本総合健診医学会の久代様 にご出席いただいております。何人か遅れている委員の方がおられますけれども、まも なくお見えになるものと承知しております。  また、今回は特定健診・特定保健指導の準備状況を紹介していただくということで、 健診・保健指導機関の方々をお招きしておりますので、私から紹介させていただきます。 結核予防会の金子洋様、全国労働衛生団体連合会の梶川様、予防医学事業中央会の山内 様です。以後の議事進行は辻座長にお願いいたします。 ○辻座長 議題に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○梶尾企画官 式次第、座席表の後に配付資料一覧が1枚あり、そこに資料1から資料 10まで記載があります。その資料が後ろにあります。 ○辻座長 議題(1)「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)の見直し」につい て事務局から説明をお願いいたします。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 資料1の(1)に基づき、標準的な健診・保健指導 プログラム(暫定版)の見直しに係る論点について、健康局の「標準的な健診・保健指 導の在り方に関する検討会」での審議状況をご報告いたします。  まず健診項目ですが、血糖検査については、空腹時における採血を原則としても、必 ず空腹時に採血を行えない場合がある。そのような問題がいろいろあるということが指 摘されております。  また、ヘモグロビンA1cについては、過去1〜3カ月程度の平均的な血糖値を反映 しているわけですが、この問題としては、検査が高価であるとか、検査費用を考慮した 場合に必ずしも空腹時血糖とヘモグロビンA1cの両方を実施する必要はないのではな いかという議論もあります。  そういう観点から、血糖検査としては、ヘモグロビンA1c検査を実施することが望 ましいということをまずやった上で、そのヘモグロビンA1c検査を実施した場合には、 必ずしも通常の血糖検査を実施する必要はないという方向になっています。逆に、ヘモ グロビンA1c検査を実施しない場合には、これは確実に空腹時に採血ができるように 徹底しなければいけないことになっております。  尿検査ですが、腎機能障害を早期に把握するためには、血清クレアチニン検査よりも、 尿蛋白検査が有効だということで、ヘモグロビンA1cや、通常の血糖検査において糖 尿病有病者・予備群をある程度把握することは可能であるけれども、血糖検査を補完す るためにも、尿糖の検査を実施することが必要だということです。  それから、尿潜血検査については、尿蛋白検査を実施した場合には、脳・心臓疾患対 策としては必ずしも実施する必要はないのではないかということになっております。  血清クレアチニンですが、腎機能障害を早期に把握するためには、血清クレアチニン 検査よりも、尿蛋白検査が有効だという考え方です。尿蛋白検査を必須項目とした場合 には、必ずしも血清クレアチニン検査を実施する必要はないという方向になっておりま す。  尿酸については、メタボリックシンドロームのリスクマーカーとしては重要であるけ れども、その尿酸値に異常を認める場合には、既に多くの方々はほかの項目である、腹 囲、血圧、血糖検査で異常を認めることが多く、必ずしも必要とすることはないという 方向になっております。  2頁で、保健指導対象者の選定です。服薬中の者に対する取扱いですが、血圧降下剤 等を服薬中の者については、継続的に医療機関を受診しているということですので、栄 養、運動等を含めた必要な保健指導については、医療機関において継続的な医学的管理 の一環として行われることが適切であるということになっております。  LDLコレステロール、喫煙歴、尿酸の中では、追加リスクとしては喫煙を用いるこ とになっています。  3番目で、保健指導判定値及び受診勧奨判定値です。中性脂肪とHDLコレステロー ルの受診勧奨判定値については、保健指導の判定値と、受診勧奨判定値が同じであると いう問題があります。そういう意味では、判定値を満たした場合には必ずしも服薬治療 が必要なわけではないため、一律に受診勧奨とする必要はないのではないかというご指 摘がありました。  そういうことを踏まえ、現在、老人保健事業で使われている判定値、要医療判定値が 中性脂肪300mg/dl以上、HDLコレステロールは35mg/dl未満であるということで ありますので、今回は受診勧奨判定値についてはこの判定値を用いるということとして、 今後必要があれば見直すことになっております。  空腹時血糖及びヘモグロビンA1cの保健指導の判定値ですが、保健指導の判定値の 見直しについては、糖尿病学会からWGの資料をいただいております。その考え方は、 保健指導としては空腹時血糖は100mg/dl以上とする。これに合わせてヘモグロビンA 1cについては空腹時血糖値、これに対応する値として5.2%を用いるという考え方に なっております。  随時血糖については、食後30分、2時間といろいろ時間の経過があるわけですので、 一律の基準である140mg/dlを用いるのは不適当ではないのだろうかということです。 そういう意味では、ヘモグロビンA1c又は確実な空腹時血糖の採血を原則とすべきで あるということです。万一空腹時に採血が行われていない場合であっても、現行の随時 血糖検査を用いるのではなくて、空腹時の血糖の保健指導判定値を用いて、保健指導対 象者を選定することとしてはどうかということになっております。  受診者への結果通知をする際には、食事摂取後の時間を勘案して、糖尿病の疑いの有 無等について通知するという方向で流れています。  以上の点をまとめたものが新旧対照表です。本日は時間の関係もありますので、これ はお目通しいただければと考えております。健診の関係は以上です。 ○勝又健康局保健指導室長 新旧対照表の34頁です。保健指導の実施のところで、基本 的な事項ということで、標準的な保健指導のプログラムの定義、保健指導の要件につい ては高齢者医療確保法の施行後において、保健指導の実施や成果を分析する中で実施す べき要件については今後評価を行うということ。本プログラムについては、保健指導の 実施状況とか、必要に応じて見直しを検討するということで記載しております。その後 は情報提供、動機づけ支援、積極的支援のそれぞれの定義づけについて記載しておりま す。  35頁で保健指導の実施者です。前回もお話がありましたように、保健指導については、 医師、保健師、管理栄養士が中心となって担うこととすることになっております。初回 面接、対象者の行動目標・支援計画の作成、保健指導の評価に関する業務を行う者とい うのは、医師、保健師、管理栄養士であること。ただし、法施行後5年間に限り、一定 の保健指導の業務経験のある看護師については行うことができると記載しております。  対象者の支援計画に基づく実践的な食生活、あるいは運動等の実践指導については、 医師、保健師、管理栄養士以外に、食生活、運動指導に関する専門的知識及び技術を有 する者ということで、健康・体力づくり事業財団が認定する健康運動指導士や、事業場 における労働者の健康保持増進のための指針に基づく運動指導、産業栄養指導、産業保 健指導担当者等が実施するというように記載しております。  また保健指導において、特に禁煙指導を提供する場合には、禁煙指導については禁煙 補助剤の活用が有効であることから、医師、薬剤師等と連携を図ってくださいというこ と。それから、保健指導のための一定の研修を修了し、認定資格を有する日本医師会認 定健康スポーツ医等を活用することが望ましいということを付け加えております。  保健指導を実施する者については、一定の研修を修了していることが望ましいという ことで、今後、次回の検討会のときには、一定の研修というのはどういうものなのかと いうことについてご提示させていただきたいと考えております。  42頁は保健指導の実施要件です。1月17日の検討会でお示ししたものを、一通り新 旧対照表に落としております。変わったところは46頁の支援のポイントのところです。 個別支援については、真ん中辺りの(6)のところで支援ポイントと書いてありますけれど も、個別支援のところで、基本的なポイントが5分20ポイントということです。電話A についても5分20ポイントということでしたが、これまでさまざまなご意見をいただき、 面接による保健指導の効果が上がっているということで、面接にインセンティブを働か せるということで、個別支援については5分20ポイント、電話Aのポイントを5分15 ポイントということで5ポイント下げております。そこの部分を変更しています。  65頁は、特定保健指導の委託基準です。最後から3つ目の○の巡回型とか移動型で保 健指導を行う場合も、委託先の事業者の施設で行う基準と同じとする必要があるという こと。また、委託と医療保険者が自ら実施する場合にも、同じこの基準を満たす必要が あるということを付け加えております。  さらに保健指導として、運動を提供する施設、例えば健康増進施設、あるいはスポー ツクラブなど、一定の負荷をかけるような施設については、日本医師会が認定する健康 スポーツ医を配置するなどにより、安全の確保に努めていただきたいということ。それ から、保健指導対象者が勤務する事業者に、保健指導業務を委託する場合は、その事業 者の産業医が中心的な役割を担って保健指導を実施する、というところが追加されてお ります。  67頁は具体的な基準です。先ほど、35頁で保健指導の実施者を記載しておりましたの とプラスして、あとは保健指導の業務を統括する者というのは、常勤の医師、保健師、 管理栄養士で、常勤の管理者が置かれていることとなっております。ただし、管理上支 障がない場合は、保健指導機関の他の職務に従事し、又は同一の敷地内にある他の事業 所、施設等の職務に従事することができる者とするということで、管理者の配置につい て書かれております。  それから、cのところには対象者ごとに支援計画を立て、対象者の保健指導計画の作 成、対象者の行動変容の状況の把握、あるいは評価といったものの実施については統括 的な責任を持つ医師、保健師、管理栄養士が決められていることを追加しております。  fについては、保健指導プログラムに応じて、再委託先や、他の健康増進施設等との 必要な連携をきちんと図ること。それから、保健指導対象者がもしも治療中である場合 には、主治医ときちんと連携を図ること、ということについて追加しています。以上が 保健指導の部分です。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 資料2の(1)後期高齢者に対する健診・保健指導 についてということで、これも「健康局の標準的な健診・保健指導の在り方に関する検 討会」の結果をご報告させていただきます。  まず、75歳以上の後期高齢者については、75歳となる前までに特定保健指導について は既に行われてきていると考えられるわけです。そういう意味で、後期高齢者において は、生活習慣の改善による疾病の予防効果というよりも、むしろQOLの確保のほうが 重要ではないだろうかという観点です。そういう意味で、本人の残存能力をできるだけ 落とさないようにするための介護予防が重要となってきているというポイントです。  その一方で、糖尿病等の生活習慣病を早期発見するための健診は重要であるという考 え方です。それを踏まえて、健康診査については、まず後期高齢者についても、早期発 見するための健康診査は重要でありますと。そういう意味で、健診項目については、75 歳未満と同様としてはどうか。ただし、積極的な減量等を一律に行わないのであるなら ば、腹囲については医師の判断で実施するということでいいのではないのだろうか。  それから、心電図等についても、医師の判断により実施する項目については、健診機 関の医師が、この必要性も含めて判断して、受診勧奨と判断された者については、医療 機関において必要な検査を実施するという考え方でいいのではないかということです。  後期高齢者については、健康診査の主な目的が、生活習慣病を早期に発見し、必要に 応じて医療につなげていくということであるならば、糖尿病等の生活習慣病については かかりつけ医を受診している者については、必ずしも健康診査を実施する必要はないの ではないかということです。  保健指導についても、後期高齢者の方々は、むしろQOLの確保ということですので、 一律にやるというのではなくて、やはり本人の求めに応じて健康相談、保健指導の機会 を提供していく体制を確保することが重要であるということです。  4番目は地域支援事業ということで、65歳以上の方々が、市町村によっては後期高齢 者に対して健康診査と地域支援事業については共同で実施することが望ましいとまずは 考えられますし、同様のことから、前期高齢者についても特定健康診査についても、な るべく地域支援事業における生活機能評価と共同で実施することが望ましいという考え 方です。以上です。 ○山本老人医療企画室長 資料2の(2)です。後期高齢者を対象とする保健事業につ いて、健康局の検討会で一定の整理をしていただきましたので、ここからは医療保険者 としてどのような形で実施していくか、ということを今後検討課題として挙げさせてい ただいております。  まず法律上の整理ですが、後期高齢者の保健事業については、この度の新しい法律で、 広域連合に努力義務が課せられております。先の検討会で検討していただきましたQO Lの確保であるとか、介護予防との関連の重要性であるとか、糖尿病等の生活習慣病を 早期発見するための健診の重要性という点を踏まえ、広域連合でどのような形で実施し ていくかがポイントになると思います。  広域連合は、基本的には支部を持たない、職員数も限られているという限界がありま すので、被保険者からの健診の申込みの受付けであるとか受診券の発行、健診結果の受 付け、被保険者への通知、あるいは請求の確認といったものについては、極力従来の老 人保健法に基づく健診事業の主体である市町村との連携を深め、基本的には円滑に実施 していくため事務委託をしていくということが大変重要なポイントになるのではないか と考えております。  具体的な方策として、(案1)としては健診事務を市町村に全部委託していくという 場合。(案2)として事務の一部、例えば受診券の発行等について委託をしていく場合 が考えられるのではないかと考えております。  資料2の(3)に、実施方法についての流れ図を付けてあります。例えば、(案1) のように市町村に全部委託していくということでありますと、広域連合が特定健診の契 約を担当する部署である市町村の部署と委託契約を結び、委託料を支払う。その市町村 から健診事業者に再委託をする。被保険者の方々には市町村から受診券を送付するとい う形で流れていきます。健診事業者からは、特定健診のほうで、国保連が健診データを 管理していくという流れがありますので、極力その流れに乗っていくとするならば、後 期高齢者についてもこうした流れを使って健診データを送付していただき国保連でデー タを管理する、というやり方が考えられるのではないかと思っております。  (案1)と(案2)のメリットとしては、市町村の介護予防の観点からの生活機能評 価との共同実施がよりやりやすくなるということが挙げられるのではないかと考えてお ります。  費用負担については、基本的には広域連合が実施する保健事業に係る経費については、 保険料財源で賄っていくというのが原則になっております。都道府県内均一保険料で動 かしていくことになりますので、各市町村ごとの事業の実施方法であるとか、あるいは 受益する事業量によって何らかの形で各市町村に分賦金等で負担を求めていくといった 方策も含め、費用負担の在り方について今後検討していく必要があるのではないかと考 えております。  いずれにしても、具体的には地域の実情に応じて、広域連合と市町村との間で、どの ような形をとるのが円滑にいくのかという観点から、よく話合いをしていただくことが 重要だと考えております。私どもとしては、何らかの指針、ガイドラインを示すべく、 市町村の実務を担当している方々との意見交換をしながら詰めていきたいと考えており ます。以上です。 ○辻座長 ただいま、標準的な健診・保健指導プログラムの見直し、あるいは後期高齢 者の保健事業の在り方について報告をいただきましたけれども、これについてご質問、 ご意見がありましたらお願いいたします。 ○田中委員 後期高齢者の保健事業についてですが、これは健康局の委員会でも出たわ けです。本来保険局で詰める話だと思って、そこでの発言は控えていたわけです。後期 高齢者保険者、そしてそれを構成する市町村の状況について、広域連合の設立等につい て我々の組織も参加してやっております。広域連合のシステム設計も中央会でやってお りますので少しは見えております。そうやって見えている中で、このことについて一言 申し上げておきます。  1つは、後期高齢者医療制度というのはこれから発足して進められるわけですけれど も、財政収支がどうなるか全く見通しがわからないということがあります。これは何を 言わんとしているかというと、そういう背景には高齢者の心身の特性という意味から、 医療費はどのぐらい伸びるかわからないという背景。それから、負担する75歳以上者の 保険料負担にしろ、一部負担にしろ、本当に厳しい状況と。要するに、被保険者にとっ ては厳しい状況だということです。要は、できるだけ余計なことはこの制度の中ではや らない、ということが大事ではないかと思うわけです。  特に、健診・保健指導について申し上げますと、広域連合という県単位の保険者で、 どれだけ保健事業というものが徹底してできるのか、という見通しがある方がいらっし ゃったら教えていただきたい。まず、マンパワーについてどうするのだとか、いろいろ な問題があります。それでは、構成する市町村でと言われても、市町村は広域連合から 委託される業務でてんてこ舞いしているわけです。要するに、資格管理業務とか、保険 料賦課徴収業務、給付管理業務、これは広域連合だけではできなくて、市町村にどんど ん振ってきているわけです。  この財源もマンパワーもどうしたらいいか、ということで市町村はあっぷあっぷして いるわけです。このように、それぞれの市町村にもかなりの業務が必要となってきてい る中で、どう対応するのか。私どもの市町村にたくさん見えますけれども、いまは国保 の話ではなくて、広域連合にどう対応したらいいかということで財源とマンパワーにつ いて、いま国会問題になろうとしています。  市町村に頼もうとするときに、市町村の一般衛生を頼むとするのならば、まずは義務 化されている市町村国保の責任ある特定健診・保健指導をどうするか、ということで市 町村の一般衛生はかかりきりにならなければいけないです。それから、被保険者の被扶 養者問題もそこに来るかもしれない。そのように、市町村に委ねる部分というのは非常 に厳しいということです。  後期高齢者の制度発足に当たって、まずは医療給付をどう確保し、医療給付の財源を どうするかということが最大の決めるべきことであって、そのほかの健康づくりなどと いう話は、とても対応できないという状況下にあろうかと思います。それは、健診・保 健指導をやることによって医療費効果はあるよとか、そういうことは理屈としては理解 できるのですけれども、そういうことに対応できる背景には全くない。  本日は、市町村長を代表して山本会長がここの委員ですけれども、私は山本会長とも このことは話をして、できたらこういった場等でその話をしていただきたいと思ってお ります。これは、理屈だったらどうにでも考えられるのですけれども、それを受ける市 町村から見たら大変なことだということをひとつご理解いただいて、政府のほうも詰め ていただきたいと思います。以上です。 ○神田国民健康保険課長 いまのご発言について、基本的な考え方だけご説明させてい ただきます。確かにおっしゃられるとおり、高齢者の保健事業については、特定健診・ 保健指導と違って義務づけではなくて努力義務になっているわけです。ただ、これまで 老人保健事業等で健診を受けてきているわけですので、それが受けられなくなるという ことは、やはり継続的に健康管理をしていく観点から、それはしていく必要があるので はないかというのが現在のこの取りまとめられている内容かと思っております。  おっしゃられるとおり、後期高齢者の医療制度において、市町村が保険料の徴収や窓 口業務をするということになっていることは確かでありますけれども、現在の案で言う と、具体的な健診については、いま市町村が老人保健事業等で実施している枠組み、今 後は国保が特定健診等を契約するということになろうかと思いますけれども、基本的に はその枠組みを使って、費用を広域連合が負担していくというのが、健診に関しては基 本的な位置づけではないかと思っております。  ただ、ご指摘のとおり後期高齢者の広域連合の保険料で賄われるというのは、75歳以 上の方の保険料で賄われるということですので、「多々ますます弁ず」という形で、非 常に高額の保健事業を展開する財源的なゆとりは必ずしも大きくはないと認識しており ます。  保健指導部分に関してですけれども、保健指導のところに書いてありますように、基 本的には広域連合自身が保険料財源でもってマンパワーを雇い上げて保健指導をしてい くということではなくて、従来も健康相談という形で一般衛生で行ってきている体制の 中で、求めに応じて健康相談等に対応していただくということで、あまり過重な負担が かからないように、特定健診後の保健指導のように、非常に継続的に長く集中投入して 指導する形でない形で、一般衛生のほうで受け止めていただくような形で実施していく のが現実的ではないかということで、現在このような形になっているということかと思 っております。  したがって、後期高齢者医療制度の担当部門に行政事務として極めて大きな過重がか かるということには必ずしもならないのではないかと思います。 ○田中委員 いまの国民健康保険課長の話について一言申し上げます。要するに先ほど 申し上げたとおりで、75歳医療者といった心身の特性が非常に現れる人たちに対しては、 市町村に介護保険がありますし、いまおっしゃったように一般衛生もあります。そうい うところに委ねる部分がかなりあるということだと思います。だから、そこでしっかり 振り付けをやってもらうことにより、後期高齢者に責任を持たなければいかん、保健事 業は義務化でなくてもやらなければいかん、という意識になっている人たちに、できる だけ軽い思いで医療給付のほうを適正に執行してもらうということ。  健診についてはあるではないか、ということを随所でいろいろな方が言われるのです けれども、これまで健康づくり施策が思ったほど成功してこなかったのは、健診だけや ってきたからうまくいかなかったわけです。今度は保健指導をしっかりやる、というと ころに力点を置かないと、医療費効果も何も見えないわけです。保険者が義務化して、 我々がやるということは、健診をやるためにやるわけではなくて、保健指導をしっかり やって、医療費効果が出るためにやるわけです。保健指導ができなければ、一般衛生で 健診だけやっていてもらっていいのです。そういうことであります。 ○櫻井委員 国保の発言が続いて恐縮なのですけれども、私は特定健診の検討会と思っ て出てきていたのですが、後期高齢者の者が出てきておりますので発言させていただき ます。資料2の(2)のところに、費用について各市町村に分賦金等で何らかの負担を 求める必要があるのではないかと書いてありますが、分賦金ということは、市町村の公 費財源ということを想定されているのではないかと思うのです。そうだとすると、負担 を求める必要があるのではないかということの理屈といいますか根拠についてはどう考 えるのかということ。国保の場合と比較してみた場合に、これについて国のほうの財政 的な支援ということを想定されているのか、この点をお伺いしたいと思います。 ○山本老人医療企画室長 健診の費用については、保険料財源で賄っていくというのが 原則であろうと思います。その上で、医療給付と同様に、受益を受ける自治体の負担を どのように考えていくかということで、広域連合の中で構成自治体の中で、費用負担の 在り方を議論していただき、4のような方策についても今後の課題として検討していく ポイントになるのではないかということで挙げさせていただいております。  この保健事業をどういう財源で運営していくかということについては、平成20年度の 保険料試算が医療給付も含めてどういう形になるのかというのを、私どものほうでよく 精査した上で、どういう対応があり得るかを検討していきたいと思っております。 ○漆崎(草間委員)代理 資料1の(2)の52頁です。特定保健指導では、行動変容等 を促す、本人の自己決定ができるように支援するということで、プログラムができてい ると思うのですが、52頁の9番の実施体制表を見ますと、対象者1人に対して、A社が 電話A、電話B、B社が個別面接等々となっています。対象者がいろいろな会社で指導 を受けるとなると、一貫した保健指導がされず、ばらばらな保健指導になってしまうの ではないか。  個別面接で支援計画を立てた会社が必ずしも、中間評価、6ヶ月後の評価をするわけ ではないので、保健指導の評価も十分に出来ないことが危惧されます。なるべく1人が 責任を持って、できるだけ1施設で実施できる体制作りが必要ではないか。これらを補 う方策など検討されているのか。その辺はいかがでしょうか。 ○勝又健康局保健指導室長 積極的に保健指導を実施する場合には、A社、B社という ことで再委託をすることも出てくることを考え合わせ、最終的には保健指導の効果を評 価していかなければいけないという大きなことがありますので、67頁で先ほどご説明さ せていただきましたように、cのところで対象者ごとに支援計画を実施し、そして保健 指導を実際にやっていくときの一連の状況を見ていただくような、統括的な責任者を置 いていただくことで、保健指導の質を担保していただきたいと考えているところです。 ○漆崎(草間委員)代理 その辺で再委託もあり、分業もできる、協力業者等を設定す るということも、資料10で触れておりますけれども、現実にはもっと保健指導が効果的 に評価できるように、なるべく1カ所で、そして関係機関との協議ができ、評価ができ るように、お互いに情報交換もできるような体制を図っていただければと思います。よ ろしくお願いいたします。 ○小島委員 2つあります。1つは、後期高齢者との関係です。74歳までの特定健診の データ、最後のところはたぶん市町村国保ということになるのでしょうけれども、そこ から75歳になった場合に、74歳までの健診データはどういう扱いになるのですか。最 終的に74歳のときに加入していた保険者のところにとどまっているのか、あるいは後期 高齢者のほうへ移ったときには、その個人のデータはこちらに移るのか、その辺の議論 とか検討はされているのですか。  もう1つは前回議論されたかもしれないのですが、私は出られませんでしたので、今 回の特定健診の健診項目と、労安法に基づく事業者健診の検査項目の違いの調整。これ は関係部局で調整しているということのようですけれども、最近日本経団連のほうから は、できれば労安法に基づく事業者健診のほうの項目を増やすことについては反対だ、 という要望書、意見書が出ていたと思うのです。それらを含めて、どういう調整状況に なっているのか。  そこは、加入者、被保険者の立場からしても、事業健診と特定健診が二重になるよう なことについては避けるべきだと思っております。その辺の調整状況について現段階で のご報告をいただきたいと思います。 ○梶尾企画官 1点目のデータの関係ですが、74歳までのところは各保険者で保存して くださいとなっています。広域連合のほうはそういう規定にはなっていないということ です。それで、74歳まで持ってきた分をそこで捨ててしまうのかということもあります ので、そこについて法令上何かの整理ができているわけではないのですが、データを広 域連合に移すことが考えられるだろう、その際に、こういう形でデータが移りますよ、 ということは本人にお伝えすることは必要なのですけれども、そういうことで活用の仕 方を考えていく必要があるだろうということを検討していきたいと思っております。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 2点目のご質問の労安法との関係の検討会はまだ残 っておりますので、そちらのほうとの調整はこれからまだ若干残っている部分がありま す。 ○内田委員 後期高齢者の健診・保健指導についてはだいぶまとめた意見が出されてい ますが、もう1つがん検診について、これは行政が実施することになっております。今 回の特定健診とダブルというか、実施者が違ってくるということで、この辺の調整とい うのは必要になってくると思うのです。実施期日が異なった場合であるとか、あるいは 同日実施した場合の初診料に当たる部分をどちらが負担するのかとか、いろいろ調整が 難しいです。これは都道府県、あるいは市町村に投げてもなかなか調整が進まないとこ ろがあるので、やはり厚生労働省でモデルケースみたいな形で調整を入れていただくの がいいのではないかと考えております。この点はいかがでしょうか。 ○矢島健康局生活習慣病対策室長 がん検診については、平成20年4月以降、健康増進 法に基づいて、各市町村にやっていただくことになる予定です。実際にそこのところの 作業はこれからやっていかなければいけないところがあるものですから、いまの段階で どうするかということは、これから決めていかなければいけないところだと思っており ます。がん検診については、従来どおり市町村にお願いするということでありますので、 そこのところはほかの健診もありますので、どのようにするかということは今後議論に なってくるところかと思います。 ○内田委員 もう少し先の話だというのはわかるのですが、そこのところの調整をびし っとしていかないと、折角がん対策基本法ができて、検診受診率を上げるというような 話が出ている中で、2日間にわたって健診をするとか、がん検診が別立てになるという 話になると、検診受診率のほうにもかかわってきますから非常に大きな問題になってく ると思いますので、その辺のところは厚生労働省で是非指導性を発揮していただいて、 全国的にこういう形で実施するのだという枠組みを作ってもらったほうがいいと考えて おります。 ○辻座長 内田委員のお話は全くそのとおりでありまして、特定健診・保健指導が完備 されていくのは非常に頼もしく思っているのですが、その一方でがん検診は少し差が出 てきているのかというところがあります。がんも循環器も含めて、トータルに健康を管 理していかないと、なかなかうまくいかない部分があります。また、先ほどおっしゃっ たように、別々の実施主体で、別々の日にちでやったりすると、受診者そのものにも、 あるいは市町村にとっても負担が増えてきますので、その辺も含めて今後そういう方向 性で頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  議題(2)に移ります。本日は、平成20年度からの特定健診・保健指導の実施に向け た取組み状況について、5名の委員及び参考人からお話をいただきます。大変短くて申 し訳ありませんけれども、1人5分以内でお話いただきまして、その後一括してご質問、 ご意見をいただきたいと思います。最初に、日本人間ドック学会の奈良委員よりお願い いたします。 ○奈良委員 この検討会には、日本病院会予防医学委員会の委員長と、また人間ドック 学会の理事長という立場で出席させていただいております。その傘下の会員施設数は約 3,200ありまして、そのうち人間ドックの指定及び認定施設が約800あります。それら の施設のメンバーが中心になって、特定健診と特定保健指導について研究し、この事業 に対応していこうというわけです。  私ども人間ドック事業を行っていますが、今回は特定健診と特定保健指導という新し い理念に基づいた事業であるわけですが、保険者の皆さんから委託を受けて、いかに円 滑に運ぶかということが問題です。これが、受診者の方々にとっても、効果的で安心で きるものでなければならないということです。  本日は、その取組みの中で3点に絞ってご報告申し上げます。その第1は人材の養成 です。私どもの会員施設の職員を、教育研修として、特定保健指導を有効に適切に行う ことができるように、知識や技術を修得させ、また企画し、評価できる人材を養成しよ うということです。  この職種を、私たちは人間ドック健診情報管理指導士、通称人間ドックアドバイザー と呼んでおります。特定保健指導のプログラムに従って、基礎編と計画評価編、そして 技術編に分けて講義と実習を行い、養成していこうという考え方です。  講師は、人間ドック認定医という、私どもの学会が認定している認定医と、現場でご 活躍いただいている保健師、管理栄養士が中心となり、テキストも独自に作っていく考 えです。  資料3の1枚目をご覧ください。養成の対象を、医師、保健師、管理栄養士としてお ります。医師には研修医を含みます。この職種の者が、今回の保健指導プログラムで定 められている所定の研修を受けて、修了すれば認定書を交付いたします。認定書は、日 本病院会と日本人間ドック学会認定ですが、本人の承諾を得て、ホームページに公表す ることにしております。この認定期間は5年間で、5年を過ぎるともう一度研修を受け ていただき、更新となります。  次に看護師の問題ですが、これは一定の実務経験がある者で、施設長の推薦を必要と するという条件付きで、平成23年3月までの期間に限り、研修を受けていただき、修了 書のみを発行いたします。それから、データ管理などで事務職がいないとこの事業は回 りませんので、事務系をオブザーバーとして参加を認めることにいたしました。事業の 全体像を把握してもらい、プログラムの基礎編を中心に研修をしてもらう考えです。そ して第1回の研修会は、本年4月20日を予定しています。基礎編から計画・評価編、技 術編と進んで、できるだけ多くの人間ドックアドバイザーを養成し、平成20年からの本 格施行に備えたいという考えです。  私ども日本病院会には、診療情報管理士の養成という、35年の経験を持つ教育制度が あります。最近、ようやく評価されてきた職種で、診療報酬点数も付くようになり、受 講者が急増し、認定者は現在1万2,000人ほどおります。この人間ドックアドバイザー も時代の要請に合わせて、これから必要とされる職種であると考えております。私ども 人間ドック事業は、日本病院会と健康保険組合連合会がタイアップして開始してから、 既に48年の歴史を持ち、受診者も被保険者の方々を中心として、年間に290万人になり ます。特定健診については、まだ予測しづらいところもありますが、私どもはこの人間 ドックアドバイザーは、1万人以上は必要であると思っております。やはり、人材が第 一であるということで取り組んでいく考えです。  第2点は、情報の提供です。特定健診を受けた方は、健診結果などから判定して、情 報提供と動機づけ試験、積極的支援という階層化が行われ、保健指導されるわけですが、 その手段としてのツールを標準化し、効率化しようということで、お手元の資料の一部 にありますように、パンフレットを作成しております。これを各施設が有効に使って普 及させていく考え方です。これは、資料3の2枚目です。  その中身については、受診者共通の基本情報と、対象者個人の中間に合わせた情報提 供、そして動機づけ支援や、積極的支援の対象となる方への情報提供ということで、合 計11種類を作る計画です。受診者にわかりやすい、使いやすさを中心に考えた、私ども 独自のものを作っております。また、集団指導の手法として、新しくビデオを作り、普 及させていくつもりです。  最後に、施設の評価です。やはり、第三者的な評価を受けて、改善すべきところは改 善し、質の向上を図り、受診者の安心を期することがなによりも大切です。私どもは、 既に人間ドック施設の機能評価を取り入れて、3年間経過いたしました。この制度をベ ースにして、特定健診、特定保健指導施設にも機能評価を導入しようということです。  具体的には書面による評価と、訪問による評価の2段階があって、一定の評価基準を 設け、第三者を入れた評価委員会を設置してこれを認定し、5年間の更新制といたしま す。基本的に人間ドック施設機能評価と同じ考え方であります。ただ、評価項目は当然 のことながら少なく、簡略させるということです。これも現在準備中で、この6月から 対応できるように進めております。これが資料3の3枚目です。  以上の3点を中心に説明させていただきましたが、私の報告はこれで終わらせていた だきますが、今回の医療制度改革から、生活習慣病対策に取り組む趣旨を私どもは非常 に重く受け止めて、また私どもの半世紀に近い人間ドックと予防医学の経験と、誇りを 持って取り組んでまいりたいと思っているところであります。貴重な時間をありがとう ございました。 ○辻座長 ありがとうございました。次に、結核予防会の金子様お願いいたします。 ○金子参考人 結核予防会専務理事の金子です。本日は大変貴重な時間をいただきまし てありがとうございました。資料4に基づいて説明させていただきます。当会は、昭和 14年に設立され、かつて我が国最大の国民病でありました結核の予防や早期発見のため の検診などを行ってまいりましたが、この検診は保健指導と一体で行ってきました。結 核検診のピークは、昭和40年代の半ばごろですが、当時の受診者数は年間約4,000万人 に上っております。これらの方々を検診車等を駆使して、全国津々浦々を網羅してまい りました。  そして、結核の罹患率、有病率の減少が顕著になっていく中で、結核予防会の支部は、 こうした実績と経験を活かして、市町村や住民の要望に応えるため、成人病健診と健康 支援事業の普及・拡大に貢献してきました。健康支援事業とは、健診後の事後指導会、 栄養相談や定期健康相談、健康教室や健康トレーニング等、地域のニーズに応じた健康 支援の場づくりです。  また、昭和50年には、「全国結核予防婦人団体連絡協議会」が設立されて、この会員 は今日でも全国150万人を数えております。この結核予防関係婦人団体は、結核予防を 国民運動に高めるために大変大きな力を発揮いたしました。  こうした経験と実績を踏まえて、本結核予防会本部では、昨年の秋に、「健康ネット ワーク事業本部」を本格的に立ち上げて、全国規模での受託体制の整備とサービスの質 の確保に努めて、また結核予防婦人会組織とも連携して、地域・職域における生活習慣 病予防を再び国民運動にまで高めていきたいと考えております。  特定健診・特定保健指導への具体的対応ですが、平成17年度現在、結核予防会本部・ 支部では、労安法の事業主健診と、老健法の自治体基本健診を合わせて、約760万件受 託しております。そのほかに胸部検診は約666万件、市町村住民のがん検診は約700万 件、学校健診・人間ドック等全体合わせて約3,000万件の実績があります。  また、企業からの求めに応じて、本部・支部連携による全国的なネットでの広域健診 事業を立ち上げて、検査項目・価格及び検査基準についても統一して健診データの一元 管理や、請求の一括処理を既に行っているところです。  平成20年度からの特定健診においては、これらの実績を持つ直営105の健診実施施設 を中心として、提携医療機関、また本日もいらっしゃいます予防医学事業中央会など、 当会と親密な関係にある団体、あるいは医療保険者の指定医療機関と連携させていただ くことで対応したいと考えております。  特定保健指導については、常勤の300名の保健師等を中心に、提携を進めつつある保 健指導機関との連携の下事業を展開していく所存であります。また、当会は実施率を上 げるだけではなく、結果を出せる質の高い保健指導を行うために、平成17年度から本 部・支部が共同して、「健康支援者養成研修」を実施しております。特定保健指導は、 メタボリックシンドロームの該当者や、予備群をどれだけ減らすことができたかという 結果を求める事業でもありますので、行動変容を起こさせることができる、高いスキル を持った専門家をどれだけ確保して養成していけるかが最大のポイントと考えておりま す。このため、この研修では講義を受けるだけの研修ではなくて、OJTで10人の保健 指導を義務づけております。また、トップレベル専門家の指導の下で、研修修了者間で の業績発表と総合評価を行って、質の確保と向上に努めています。  既に当会は、11支部において、国保ヘルスアップ事業を実施又は実施予定です。また 平成18年度におきましては、福岡県と千葉県で「標準的な健診・保健指導プログラム暫 定版」に基づいた試行事業の一翼を担っております。そして、平成19年度においては、 複数の医療保険者の要望に応じてモデル事業を展開いたします。この保健指導の具体的 な事例については、本日封筒の中に入れております資料の中に実例がありますので、是 非ご参照いただきたいと思います。  こうした具体的方法についてのノウハウを蓄積し、全国組織としての責任を全うする ため「健康ネットワーク事業本部」では、この別添の黄色い資料にありますような、各 界の専門家・有識者による「指導評価委員会」を設置し、質の向上と精度管理の徹底に 努めております。  次に、業務処理・データ管理システムの構築です。これは、極めて質の高いサービス を保険者向け、受診者向けに提供する機能を有しております。健診結果の階層化、保健 指導等の記録の管理はもとより、受診者向けのサービスでは、双方向のデータ管理が可 能な「生涯健康管理システム」として構築したいと考えております。また、保健指導に も有効に活用できるシステムとして考えておりますので、詳細は資料4や、同封の資料 を是非ご覧いただきたいと思います。  4頁は被扶養者への対応、あるいは代行業務に関してです。私どもは、かつて国民病 と呼ばれた結核検診と同様に、全国どこにお住まいの被扶養者であっても、これまでの 実績やノウハウを活かして、健診・保健指導を実施する体制を構築する準備を進めてお ります。また、業務処理・データ管理システムの整備により、支払代行や、請求事務、 受診券の発行や未受診者に対する受診勧奨等を含めた管理業務など、代行的な機能につ いても引き受ける用意があります。  終わりに、私ども本事業への対応は、日本の健康づくりの一翼を担う結核予防会の責 務と考えております。当会は、準国立研究所としての結核研究所がありますが、これは 国際的にも高い評価を受けているところです。生活習慣病予防についても、新たに研究 部門を設立し、特に保健指導を中心に、実践的な研究に本格的に取り組むこととしてお ります。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○辻座長 ありがとうございました。続きまして、全国労働衛生団体連合会の梶川様お 願いいたします。 ○梶川参考人 全国労働衛生団体連合会の専務理事をしております梶川です。私どもの 団体は、通称全衛連と呼んでいただいておりますが、昭和44年に設立されましたので 40年近くの歴史があります。特に、職域における健康診断を中心に、労働者の健康管理 に携わってまいりました。  平成元年度から今日まで、優良な労働衛生機関育成のための総合精度管理事業に取り 組んでまいり、また、平成11年度から8年間にわたり、労働衛生サービス機能評価機構 を設置し、機能評価をやってきております。現在私どもの会員は119機関です。総合精 度管理事業に参加していただいている連携機関とともに、全国で345施設でネットワー クを組んで、健診等の事業に携わっております。以下は、本日お配りしております資料 5に基づいて説明いたします。  最初は2枚目です。345施設のネットワークで全国をカバーしております。その年間 の健診実績は6,700万人で、おそらく我が国最大だろうと思います。そのうち会員が7 割をやっております。これらの健診サービスは、先ほど申しました総合精度管理事業、 労働衛生サービス機能評価事業により質が担保されていると考えております。  次に資料の3枚目です。全衛連傘加の機関が、良質で豊富なサービスを提供しており ますが、特徴点を申し上げます。医療保険者と、事業者の共同事業も積極的に今後推進 していきたい。データ処理、費用の請求も、依頼者の方々の要望に応じて振り分けるよ うなことができるようにいたしたいと思います。医療保険者が独自に追加する人間ドッ ク等のオプション検査項目についても、依頼者の求めに応じて、法定健診と区分して送 受信するなど、柔軟に対応してまいります。  3番目に、現在健保連が検討しているような代表保険者による共同情報処理システム のようなものが構築されてまいりますと、代表保険者等によるデータの一括送受信を行 うことができるように私どもも対応してまいりたいと考えております。なお、全衛連に 健康情報センターを設置する構想を現在持っております。代行機関の機能を持つという 資料説明がありますが、この構想は全衛連は傘下の健診・保健指導機関に対して、請求 ・支払いの代行もサービスとして提供いたしたい。同時に、事務点検などの機能を発揮 することにより、医療保険者にとってはデータ分析がしやすくなるとの考えに基づくも のです。  資料の4枚目です。特定保健指導にも幅広く対応してまいります。1点目は、特定健 診実施後の保健指導の重要性に鑑み、情報提供、動機づけ支援、積極的支援にも幅広く 対応してまいります。  次に、保健指導を独自に実施できない健診機関については、保健指導専門機関との連 携を行い、特定健診と特定保健指導のサービスを一体的に提供できる事業をするように 努めてまいります。  5頁は、平成20年に向けた事業推進の準備状況です。今年1月に全衛連に事業推進委 員会の性格を持っている、「特定健診・特定保健指導事業の実施に関する検討委員会」 を設置いたしまして、検討を行っております。主な検討事項は、事業全体の総合計画立 案、医療保険者との事業契約、代行機関業務の在り方、傘下の健診保健指導機関に対す るアウトソーシング委託基準適合指導です。特にアウトソーシング委託基準適合指導の (1)から(4)までの個別課題は、平成19年度上半期までに基本検討を終えることを目指して おります。  終わりに当たり、ただいまご説明させていただいた全衛連の新規事業の取組方針と、 事業運営の特徴の要点は、資料1頁にまとめております。プレゼンテーションの機会を 与えてくださいまして、誠にありがとうございました。 ○辻座長 ありがとうございました。次に、予防医学事業中央会の山内様、お願いいた します。 ○山内参考人 先ほどプレゼンテーションのあった結核予防会様と全衛連様とは、我々 の会員支部も重複して参加しているところがたくさんあります。そういうことで私から の報告は、ダブっているところはなるべく避けて、我々の特徴的なことだけをご報告申 し上げたいと思います。  予防医学事業中央会は、その前進である日本寄生虫予防会から計算いたしますと、ち ょうど半世紀にわたって、こういう運動を全国的に展開しております。まさに平成20 年から開始される特定健診・特定保健指導の考え方を、我々は半世紀もやってきたのか なという自負を持っております。と申しますのは、事前の教育、健診、(当初は検便) 治療、再感染の予防という一連の流れで活動を行って参りました。いま言われているP DCAサイクルをそのままやって来た団体です。  本部組織は全国的な広報活動、調査研究、データ収集、その分析と研究教育事業を行 っています。実際の具体的な仕事は、各県の支部が行っているわけです。それについて は資料6の4頁にわたっているものをご覧いただきながら、私の話を聞いていただきた いと思います。基本的な考えとして、平成20年から実施される特定健診、特定保健指導 については、地域職域の連携ということを最重要に考えて、医療保険者の皆様方に喜ん でいただけるサービスを提供していきたいと考えております。  私どもの特徴的なことだけを申し上げますと、資料6の3頁の図をご参照下さい。我 々がいままでやってきた中での全国展開とは、健康保険組合様、事業者様と契約をした 場合、全国どこで健診を受けても同じ結果を出せる広域ネットワーク健診事業を、平成 6年より実施してまいりました。約350カ所の健診医療機関と提携して、16万5,000人の 健診実績を持っております。平成11年では年間、5万5,000人の広域ネット事業として の健診を実施してまいりました。この全国展開をさらに充実させ、拡大してまいりたい と考えております。労働安全衛生法の各種健診、平成20年以降の特定健診、がん検診等、 すべての健診を効率よく実施し、健診実施率を上げ、健診の料金もリーズナブルな形で ご提供できるように考えております。  次に特徴的なものは、精度管理です。広域ネットワーク事業健診を全国展開する場合 に最も重要なことは、精度管理であると考えております。日常の精度管理や外部精度管 理、日本医師会や日本臨床検査技士会などの精度管理に参加するのはもとより、ほかに JCCLSの標準化基本委員会の委員のメンバーとしても参加しております。特に本会 の特徴の1つは、検査データの共有化事業だと考えております。この事業は33の支部が 参加をして、10項目の血液生化学の検査を、同一の精度管理の試料を用いて毎日2回測 定し、1カ月ごとに報告させ、外れ値が出たら改善の指導を行い、各支部間の検査の共 有化を図っております。平成20年からは10項目にプラスして、LDLコレステロール 検査を新しく入れることにしております。そのほかに全国的な集団の健康度診断システ ムというのを立ち上げております。全国270万件のデータを分析して基準値を作り、そ の比較により、集団の健康度の診断を行い、健康度の課題抽出と課題改善のための具体 的な戦略を提案することも可能です。  保健指導については、医師、保健師、管理栄養士、運動指導士の研修を定期的に開催 して、均一かつ精度の高い保健指導ができるような計画をしております。一部は実施中 です。標準化された保健指導プログラムを作成し、それを提供し、かつ、そのプログラ ムに従って保健指導の実施をするように準備中です。なお、評価と分析のシステムも現 在準備中です。これらについては神奈川県支部をはじめ、先進支部の事例を学んで検討 して、システム構築を図っているところです。  最後にセキュリティーとプライバシー保護についてです。個人情報保護に関する管理 規定が定められ、遵守されている機関と連携しております。したがって安全と安心を約 束できると考えております。当然のことですが、事故などについての保険加入などには 万全を期しております。  以上、ご説明申し上げましたが、私の資料はそのまま図式化してありますので、後ほ どご覧いただきたいと思います。また、予防医学事業中央会の資料の袋の中には、実際 にやっております代表的な東京都支部、神奈川県支部の具体的な流れ、具体的な健康づ くりのサポートシステムの流れ図なども書いてありますので、是非ご利用いただきたい と思っております。どうもありがとうございました。 ○辻座長 ありがとうございました。最後に日本医師会の内田委員、お願いいたします。 ○内田委員 今回の特定健診・保健指導に関しては、質の担保、効率的な運用という点 で、医師のかかわりなしには考えられない、新しいシステムではないかと考えています。 日本医師会はご承知のとおり、病院も含めて日本全国のほとんどの医療機関、医療施設 が加入している団体です。今回の健診保健指導に関しては、受診勧奨や医療機関受診中 のものも含めて、一貫した体系的な、なおかつ個別的なきめ細かい対応という点で、医 師会が提供するサービスは最高の水準のものを確保できるのではないかと考えておりま す。医師会は日常の医療業務において、はるかにリスクの高い業務を行っている所です ので、その精度管理や個人情報保護を含めて、特定健診・保健指導にかかわる十分な対 応ができる体制があるのではないかと思います。  資料7にお示ししたのは、地域の医師会も含めて、日本医師会が受託するパターンを 想定して、いくつかのパターンに分けてご提供しました。まず1頁の上の段です。医師 会には医師会病院や健診保健センター、検査・健診センターといったものを含めて、共 同利用施設というのがあり、これを持っている医師会が結構あります。そこの施設を活 用するというパターンでは、こういう形でのサービス提供が考えられるのではないかと いうことでお示ししております。この中では保健師や健康スポーツ医、運動指導に携わ る方、看護師等も含めて、個別の支援からその後の対応という形で受託するということ を示しています。  2点目は、医師会の個々の医療機関を活用するというパターンです。この場合には地 域の医師会が代表して契約し、受託するという形になると思います。従来の老健事業を 受託していたパターンに乗る形での受託となると思います。この場合には医師会が受け て、医師会の施設で健診および保健指導を実施するという形になっていくかと思います。 また、この場合には今後、詰めていかなくてはいけない課題として、栄養士会の方とか 看護協会の方たちにも、是非協力体制を築いて、一緒にやっていければと考えています。  2頁の上の段は、公的健康増進施設型ということで、社会保険関連施設等を活用して、 地域の医師会がそこにかかわっていくという形で考えました。  その下は民間健康増進施設型ということで、施設利用を行って保健指導を行うもので す。この場合にも日医認定健康スポーツ医という形で、嘱託など、いろいろな形でのか かわり方があると思います。これは運動指導の実施においてかかわっていくということ を想定しております。  3頁の上の段は、民間事業者と連携してこの事業を行うというパターンを書いており ます。  4頁に関しては、公的保健サービス施設型ということで想定をしております。  最後の5頁ですが、糖尿病学会と糖尿病協会と日本医師会が糖尿病対策推進会議を立 ち上げて、いま全国的に活動を展開しているところです。この中にはさまざまな方が加 入しております。そういう方たちの協力を得て活用するという形で、特定保健指導につ いて、特に栄養指導のかかわりのところが重要になってくると思いますが、こういう受 託のパターンを考えてみました。 ○辻座長 ありがとうございました。ただいま5名の方から、各団体における特定健診 ・保健指導に対する対応準備状況についてご説明いただきましたが、これについて委員 の方々からご質問、あるいはご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○田中委員 内田先生に最後の資料についてお聞きします。「地域医師会による受託例」 ということで、いちばん左に地域医師会や医師による指導などがあって、各頁にもそう いった枠があるわけですが、最初の1頁だけなのか、運動指導というのが抜けているわ けです。1頁では日医認定の健康スポーツ医の運動指導というのは意識されていないの か、どうなのでしょうか。そこだけを確認いたします。 ○内田委員 いま健康スポーツ医は、全国的にたぶん2万人を超えていると思います。 当然、地域医師会にもたくさんいらっしゃいます。そういう先生方と連携をするという か、協力してという関係はあります。 ○田中委員 それでは、これからはこの図の中に含まれるのですね。 ○内田委員 はい、そうです。 ○赤星委員 各団体のほうで積極的に取り組まれるということで、心強い限りですが。 私は前回のこの検討会のときに、事後指導等のサービスの中身と価格設定との関係は、 どのように考えたらいいかという質問をしました。それに対しては次回、つまり今回、 その辺りのことも含めてというお話があったと思うのです。しかし今回のご説明の中に は、価格という点がなかったように思います。どのように考えたらよろしいのですか。 ○大島企画官 いままで価格の試算がなかなか出来なかったわけですが、健康局の検討 会で保健指導の基準が決まりましたので、できるようになるのではないでしょうか。今 日も価格の話があれば、1つの参考になったかと思いますが、価格というのはなかなか 微妙な話でもあり、今後の状況をもうちょっと見ながらということもあろうかと思いま す。経団連さんのほうでも、いろいろな情報を集めていただいたりしておりますので、 また新たな状況がわかれば、次回にでもご報告いただければと思っております。  逆にご質問するようで恐縮ですが、次回の際にそういう資料をご提供いただくことは 可能でしょうか。私どもとしても、保険者向けに保険料を試算する上で、健診や保健指 導の粗々の単価を示さなければならないと考えております。年度が明けてからいずれか のタイミングで、都道府県を通じてそういう情報を提供したいと思っております。 ○赤星委員 私ども経団連の中でも検討いたしますが、多少難しそうだと思いますのが、 今日ご説明いただいた団体の皆様と、経団連の中の私どもの部会では、民間で事後指導 をやりたいと思っています。部会内部の意見を聞いた上で、どのようにするか回答させ ていただきたいと思います。ただ次回ぐらいには民間企業からもということは、是非と もお願いしたいところです。 ○押野委員 財団法人結核予防会さんにですが、今回の特定健診、特定保健指導では、 特に肥満を対象にした場合、栄養指導、食生活に関する保健指導というのが、非常に大 きなウエイトを示すのではないだろうかと考えます。いま資料4の中を見たら、105の 施設があって、管理栄養士が96名、健康運動指導士が98名となっています。それぞれ の専門職が専門性を発揮して、効果ある保健指導をすることが大事だろうと思いますの で、是非、管理栄養士の活用と雇用も併せてご検討いただけたらと思います。 ○金子参考人 先生がご指摘のとおりです。管理栄養士のみならず、食事と栄養とが保 健指導全体でとても大切なので、そのための特別のシステムも組んで、保健指導を行っ ていきたいと考えております。また、常勤の管理栄養士をネットワーク推進事業本部に 置いて、全国の管理栄養士との連携とか、中身の濃い指導をしていきたいと考えており ます。よろしくお願いします。 ○辻座長 ほかによろしいですか。戻ることもあろうかと思いますが、次に移らせてい ただきます。議題の3は、「特定健康審査等実施計画における目標値及び後期高齢者支 援金の加算・減算について」です。まず事務局から説明をお願いします。 ○梶尾企画官 それでは資料8についてご説明したいと思います。資料8の1頁に、 「目標値の参酌標準(特定健康審査等実施計画)」というのがあります。改正法に基づ いて、国のほうで特定健康診査等実施計画の基本指針の案を、一応今年度中にまとめる ということで作業を進めております。その中で健診の実施率、保健指導の実施率等の全 国目標をどうするか、また各保険者が計画を立てる際に、参酌する目標値の標準をどう するかというのを決めることが必要ですから、本日、その案をお示ししているところで す。  1頁が全国目標です。表の(3)に、「平成27年度の目標値25%減」と書いてあります。 これは医療制度改革の政策目標である平成27年に、25%の減少を達成することに向けて、 健診の実施率と保健指導の実施率をどう設定するかというものです。健康診査について は平成20年度の実施率を、全国平均で60%と置き、保健指導については20%と置き、 その後4年間あるいは7年間の間に、いずれも段階的に実施率が高まっていくような過 程をたどっております。  保健指導を行うことによって、どれだけの改善が図られるかということについては、 モデル事業の実績を踏まえ、保健指導による改革・改善効果の定数を置いて、毎年の健 診・保健指導の実施率については階段上に上がっていくようなものを、さまざまに置き ました。健診のほうは、平成20年度が60%、24年度が70%、27年度が80%、保健指 導のほうは、平成20年度が20%、24年度が45%、27年度が60%と置いた場合、減少 率の効果は平成24年度で10%の減少、27年度で25%の減少という数字になっておりま す。平成27年度の25%の減少の達成に向けて、さまざまに置いた数字で、平成24年1 回目の計画期間中の実施率の目標は、全国をならした数字として健診の実施率を70%、 保健指導の実施率を45%としてはどうかというのが全国をならした目標値の素です。  では、各保険者別ではどうかというのが2頁になります。保険者別の参酌標準につい ては、保険者の種別によって、置かれている状況が違うということを踏まえた設定が必 要ではないかということを、従来の会議でも申してまいりました。第2期である平成25 年以降も、相変わらずそうやって違いを出すかどうかというのは、第1期の計画をやっ てみて、やはり違いが必要だろうということになればそういたします。そこは先の話で すが、第1期については差を付ける必要があるのではなかろうかと。ただし差を付ける にしても、保健指導と該当者・予備群の減少率については、差を付ける理由もなかなか 難しいのではなかろうかと考えています。  一方、健康診査については、「設定理由」に書いてありますように、被保険者と被扶 養者がおられるわけですが、被保険者部分については、事業主健診による受診率向上の 勘案可能な度合が、保険者の種類によって違ってくるだろうということで、保険者の種 別で3区分しています。ただ被扶養者は、特に区分しないことにしてはどうかというこ とで、3頁の上のほうに表があります。被保険者本人については、単独型の健保組合と 共済組合を1グループ、中小企業が多い総合型の健保、政管、国保組合については1グ ループというように分けてはどうかと。市町村国保及び被保険者保険の被扶養者、ある いは国保組合の家族組合員については同じ数字で、40歳から74歳までの5,700万人を、 こういう形で区分して全体をならすと、大体70%ぐらいになります。  その下の網掛けが付いている表をご覧いただきますと、単独型の健保組合では左側の 被保険者本人が467万5,000人、被扶養者が243万人です。それぞれ本人に85%、被扶 養者に65%という数字を当てはめて過重平均しますと、78.2%ということで約8割です。 こういったことをベースに、前の頁に戻りますと、単独健保と共済が80%、総合健保と 政管、国保組合が70%、市町村国保が65%という数値にしてはどうかということです。  なお、前回もご説明しましたが、参酌標準の性格というのは、各保険者はこれを参考 に、自分のところの保険者としての計画を立てるものです。健診と保健指導については、 平成24年の数字はこれでお示ししましたので、これを参考にしていただきます。平成 20年、21年、22年、23年の数字をどうするかは、各保険者の判断で決めていただきま す。もちろんどこの保険者も、平成20年度に60%から始めなければならないという話 ではないわけです。結局はこの目標に向けて、どういう数字を設定するかです。  3頁の下のほうに○が書いてあります。健診実施率との関係で単独型健保、あるいは 共済組合は、ならしてこういう比率だから80%という形で、前の頁で80%、70%という 一律の数字を置いていますが、同じ80%、70%のグループ内の保険者でも被保険者や被 扶養者の構成が、平均的な割合と大きく異なる保険者もあり得るわけです。そうすると、 平均的な保険者と比べて過度に厳しい又は緩いということが起きます。いま80%という のをお示ししましたが、1つの案としては式で示すことによって、式が参酌標準だとい う案もあり得るのではなかろうかと思っています。なお、この案にした場合、各保険者 の計画においては、参酌標準だといくらになりますが、うちの保険者はいくらにします というのを一応出していただくということが、評価との関係で出てきますので、必要に なってくるのだろうと考えております。  4頁は「健診の実態」です。現状において単独型と総合型で、それぞれどの程度の比 率かというのが出ています。また、下の表には労働安全衛生法に基づく事業主健診は、 約9割近くの方が受けておられるとか、政管健保として行っている比率は、ほかと比べ てだいぶ低い数字になっているというのが出ています。老人保健事業のところは、国保 の方や各被用者保険の被用者が入っている数字ということで、こういった現状になって います。以上が参酌標準の目標値に関する案の説明でした。  前回もご議論いただいて、最終的に政令を決めるのは平成23年度ぐらいだという話を 申し上げておりますが、6頁以降は加算・減算についての若干の論点提示です。6頁は 「加算・減算の指標とする項目の定義」です。健診の実施率については前回も示したと おりで、保健指導の実施率についての式は変わっていません。この中で前回までは、積 極的支援と動機づけ支援の両方を合計数でやっていたわけですが、積極的支援のほうを よりやったということでの評価を高めるべきではないかというご議論がありました。  10頁に、前回出た議論ということで整理をしております。10頁の(2)に書いてあります ように、積極的支援の実施率をより高くし、評価できるようにすべきではないかという ことがありました。そういうやり方をするかどうかというのは、今後の加算・減算のル ールの決め方にもかかわってくることなので、現時点ではなかなか決め難いわけです。 さらに、そもそも積極的支援のほうを、より高く見るような実施率の計算式にするかど うかということについて、どちらをより高くするとか低くするというのは、現時点では なかなか決め難いことではなかろうかと思っております。式としては合計数という形で 出すと。ただし、いずれは評価して使うということもあり得ないとも言えませんので、 それぞれのデータは取っておき、報告を求めるという形にしてはどうだろうかと考えて おります。  6頁に戻ってください。「メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率」 については、算定式を若干見直しております。6頁の算定式にありますように、前回は 分子に括弧が付いていない式をお示ししました。そうしますと基準年度の該当者だった 者が、当該年度に予備群に改善した人が、改善したことにならないのではないかという ご指摘がありました。そこで当該年度が分子で予備群にあったとしても、初年度、基準 年度に該当者だった人は分子から除くという形にすれば、そこは改善されることになる のではなかろうかという式を考えてみたのです。この点については後ほど、また別な論 点という形でご説明いたします。  ここで若干、式の説明をいたします。2つ目のポツにありますように、予備群の数と いうことで、分母分子を書いております。特に初年度は健診の実施率が低いので、階層 化されてきた数が非常に少ない形になります。だんだんと実施率が高まっていくと、階 層化されてくる数が多いものですから、明らかになったそのままの数ということではな くて、2つ目のポツにありますように実数ではなく、割合を対象者数に乗じて、これだ けいたはずであるという数字を使います。  3つ目のポツにありますように、被保険者集団が高齢化していくという効果がありま す。それも単に各保険者がそれぞれ4年ずつ年を取るというだけではなくて、特に国保 などの場合、60歳以上がどんどん流入してきます。それに加えての高齢化効果というの もあるものですから、これについては全国平均的な保険者集団を仮定した形で、年齢補 正という形を取ります。それによって平成20年では何人いたはずだ、24年では何人い たはずだという形での比較をしてはどうかと考えております。  4つ目のポツは、年齢補正をするといっても、最初はそんなにきめ細かくはできない ので、年齢を2つ、男女で2つというように、4区分ぐらいの補正にとどまらざるを得 ないのではないだろうかということです。  最後のポツは、平成24年度になっても健診実施率が極めて低い保険者だと、年齢補正 を5歳区分でやっていった場合に、非常に精度の低いデータになってしまうことがあり ます。24年度に至っても相当低い健診実施率の場合は、保健指導の実施率も当然低い形 になりますし、計算もできないので全部駄目だったということにするというのも考えら れるのではなかろうかと書いております。  先ほど、該当者から予備群になった人の式の工夫を申し上げました。7頁でご説明い たしますと、いま申し上げたような年齢補正とか、標準的な年齢構成に代えてというよ うに、推計値でやろうとしているときに、先ほどの式ですと、個人を追いかけるような 形になるという問題点があります。平成24年度に該当者だった人が、20年度はどうだ ったかというのを、個人を追いかけてやることになります。今回の作業というのは、全 般的に個人を追いかけての報告というのは想定していません。そのような中でこれだけ にそれをするのかどうかということも論点になります。  その問題を回避しながら、該当者から予備群になった者を評価するにはどうすればい いのか。8頁の表で「全数分」と書いてありますのは前回と同じ式で、該当者+予備群 /該当者+予備群という式で出します。そのほかに該当者がどれだけ減ったのかという 数字を出すことにしてはどうだろうかと考えています。この場合に該当者と予備群は、 どちらかというと相対的に該当者のほうが少ないということと、該当者には介入度合の 大きい積極的支援をし、予備群の場合は動機づけ支援にとどまって、改善度合が違って いるということがあります。こうやってきり出すとそこの数字は、先ほどの10や25と いうのとは若干違った数字になってくるというところもあり、分けた場合にどういう数 字にするか、あるいは評価の仕方をどうするかというのが、論点としてもう1点出てき ます。  9頁は年齢補正のイメージですので省略いたします。10頁は先ほど(2)だけをご説明し ましたが、(3)もいまの中でご説明したようなところですので、見ていただければと思い ます。  11頁は「評価方法に関する論点」です。前回、評価方法というのは、国の参酌標準で 定めた数字で評価するのか、保険者が計画で定めた数字なのか、各保険者が計画で定め ているのに、国のほうでやるということでいいのかというご意見もあったことはあった のです。しかし加算・減算の物差しとしては、全国一本のほうがいいのではなかろうか ということで、国の基本方針で定めた参酌標準の評価の物差しがいいのではなかろうか というように、もう一度書かせていただいております。「参酌標準の活用方法」という のは、今後の論点です。積極的支援のほうをより高く見るか、該当者から予備群に変わ った人が多ければ、そこを評価するのかといったこともあろうかと思います。  12頁は、「3つの指標と加算・減算との関係」です。前回ご説明をした際に、考え方 として、例えば健診の実施率や保健指導の実施率は、保険者の努力のしようはあるけれ ども、第1期は始めたばかりで減少率はなかなか難しいので、実施率のほうを評価の基 本とすべきではないかというご意見がありました。逆に減少率のほうが何より大事なの で、そちらのほうをより高く見るべきではないかというご意見もありました。またシン プルなやり方がいいのではないか、逆にきめ細かくやるべきではないかというご意見も ありました。  そして下のほうに○×の表があります。前回、○×の付き方には8通りあって、率の 使い方からすると、さらに無限に組合わせがあるというご説明をしましたが、それを若 干丁寧に、こんなにたくさんあるでしょうという形で作っているわけです。これに加え て、未達成で×と付けているのがあります。しかし同じ未達成で×だとしても、達成が 程遠かった場合とわずかに足りなかった場合とで同じ×なのか、3つの○×は同じ評価 なのか、例えば30点、20点、50点というようなことにしないのかなど、さまざまな議 論がありました。この1カ月の間に、いろいろなご意見を頂戴しているところで、いろ いろな考え方がありました。これについては実際に初年度以降、どんな数字が出てくる かというところも正直言ってありますので、実施状況を見て後年度を判断するというこ とが、適当なのではなかろうかということです。  13頁に図が付いております。要するに右側にある後期高齢者支援金というのを、各保 険者にご負担いただいて納付いただきます。その中に一部、加算・減算ルールというも のがあります。左側の絵では、保険者G、H、I、J、Kは減算になって、AからFま では加算になっていて、加算についてはその度合が違うということになりますが、Gか らKに対応する白い点々の長方形分の面積に対応するだけの額を、AからFに10%の範 囲内でとどめることで、点々と外側の四角をはみ出して、それ以上行かない範囲で加算 をするという形を想定しております。  なお、14頁にほかのさまざまな論点案があります。いずれにせよ今後、また検討とい うことですが、最初から10%全体に使ってやるのか、先ほど80%、70%、65%というこ とで、保険者によって健診の目標値を変えてはどうかというご提案をしましたが、同じ 目標になっているグループ内での相対評価にとどめるべきではないか、というご意見も ありました。あるいは平成24年度の分が達成しなかった所は、20年度が相当低かった ので、24年度にだいぶ頑張ったときは、そういう評価の仕方があってもいいのではない だろうかなど、いろいろな論点がさらにあるのではなかろうかと思っているところです。 後半については論点の紹介を中心に申し上げました。 ○辻座長 ただいまのご説明について、ご質問あるいはご意見をいただきたいと思いま す。 ○対馬委員 意見が1つと質問が1つあります。意見としては最後の所で、現時点では 評価方法の枠組みの議論にとどめる、2、3年後に改めてというご説明がありましたね。 今まさにプランの段階ですが、実際には動かさないと。特に保健指導辺りは、全くやっ たことがないわけですから、そういう意味ではここに書いてあるとおりだろうと思うの です。ただ、評価方法の枠組みの議論ということでは、全国的に参酌標準を使うべきで はないかと書いていますよね。健診の実施率が70%とか45%とか、ここに数字が具体的 に出ていたり、保険者ごとに変えてはどうかといったことも出ていますよね。しかし参 酌標準自体も机上で計算すると、逆算していって25%ということになるのかもしれませ ん。参酌標準自体もやはり2、3年はやって見直すべきではないかと思うのですが、い かがなものかというのが1点です。  もう1点はいまの話と関連するのでしょうけれども、6頁の最初の◆に、平成25年度 納付分だけは、基準年度である平成20年度との対比でやって、26年度以降は対前年比 較となっていますね。ここのものの考え方が私はよくわからないのです。例えば基準で ある平成20年度というのが、かなり確度が高いというのであれば、基準年度でずっとや っていくというやり方も当然ありますよね。そうではなく、対前年度で改善したかどう かを見ていくというのであれば、平成25年度納付でもそういう考え方はあり得ます。24 年度との対比で見ていけばいいわけですから。そこのものの考え方が、どういうベース になっているかというのがよくわからないので、ここを教えていただきたいと思います。 ○梶尾企画官 まず1点目のほうです。ご指摘のありましたとおり参酌標準自体も、先 ほどの私の説明からして、まずは相当仮定を置いてということになっています。したが って実際に実績が出てきてどうかということは、途中で評価をしないといけないと思っ ております。今回の医療費適正化計画の仕組みというのは、仕組み上、中間年での見直 しが組み込まれています。保険者の契約の関係についても中間年での見直しというのは、 念頭に置きたいと思っております。そのときにどういうデータが出てきているか、そし てどういう参酌標準にするかという議論は、当然あり得るだろうと思います。 ○大島企画官 2点目ですが、メタボリックシンドローム該当者、予備群の減少率の比 較は、毎年毎年、前年との比較でやっていく形というのが基本かと考えております。例 えば基準年を決めて、5年後にどうなったかということでいきますと、その次の評価は 5年後にしかできないので、5年間固定するのもおかしいのではなかろうかということ になり、基本は毎年毎年の比較で見ていくというのが、柔軟な対応になると考えます。 ただ1回目の平成24年の段階ですと、前年のデータが十分にあるかどうかや、5年間で どう変わったかというのも見たほうがいいのではないかということもあって、最初に限 っては平成20年と24年の比較で見る方がよいのではないか。そして始まって以降は、 毎年毎年の増減で評価をしていくという形を取ってはどうかと考えて、この案をご提案 しております。 ○対馬委員 意味合いはわかりましたが、最初の平成20年度というのも、いま現在は、 はっきりしていない段階ですよね。ですから、こういった方式が本当にいいかどうかと いうのも、22、23年の見直しのタイミングで、もう一度議論すべきではないかと思いま す。 ○大島企画官 確かに平成20年度はデータが十分にないので、一定の計算式により推計 値を用いる案を示しておりますが、いずれにしても中間年の段階では、評価に関するも のは全体的に議論の対象にすべきだろうと思いますので、ご指摘の点も対象にして考え たいと思います。 ○津下委員 特定健診の実施率、保健指導の実施率、参酌標準についてお尋ねします。 現在の老人保健事業の健診の中で、受診率の算定が難しいのは、治療中の方をどう取り 扱うかという辺りが明確でないところです。今回の特定健診の実施率については、40歳 から74歳の全加入者を分母とするということですね。分子については特定健診を受けた 方と、医療機関にて受診中の方については健診のデータを保険者が把握している数を足 し込んだもの、というように取ればよろしいのでしょうか。 ○大島企画官 そうです。 ○津下委員 そういうことで治療中の方も含めて、保険者が健診を受けているかどうか を把握するという考え方ですね。  特定保健指導の実施率に関しては、今回の資料1の(1)の10頁のステップ4で、治 療中の医学的な管理を受けている方は、特定保健指導は実施しないというようになって おります。このとき、メタボリックシンドロームの該当者というのは保健指導の対象者 であって、医療に入っている人を除くか除かないかというのは、どう定義されるのでし ょうか。 ○梶尾企画官 そこは分母からも抜けます。 ○津下委員 そういうことになりますと、該当者が要医療になって、より重症化して抜 けた場合は、減ったという形になるのではないかと思うのです。該当者が減る理由とし ては、保健指導が奏功して予備群に戻ってくる、要はよくなって減るというのが一方で ありますが、悪くなって「治療中」に抜けた場合は、悪くなったけれど該当者は減った ということで、矛盾が生じるのではないかと思うのです。その辺りについてはどのよう に解釈すればよろしいのでしょうか。 ○梶尾企画官 もちろん分母からも分子からも抜けるという形になります。医療のほう に行って抜ける分が出てくるというのもそうですが、ここは両方から抜けることによっ て処理することにせざるを得ないのではないかと思っております。 ○津下委員 特定保健指導の実施率というのは、対象者をきちんと限定して、その実施 者/対象者ということで、分母からも分子からも抜けるというのはわかりましたが、(3) のメタボリックシンドロームの該当者および予備群の減少率に関しては、いかがでしょ うか。該当者から予備群に戻った方の評価については、将来的に該当者と予備群の数を 分けてきちんと評価することも考えていくということで、一本化して合算することでは ないというのは、これから前向きに積極的支援に乗り出すインセンティブになるかと思 います。  しかし該当者から受診中の方を除いてしまい、どんどん受診者になってしまって該当 者が減るというのは、メタボリックシンドロームの該当者が減少するというプラスの評 価とは逆になってしまいます。メタボリックシンドロームの該当者および予備群の数に ついては、患者の数も足して評価しないと、きちんと予防効果として見られないのでは ないでしょうか。もしくは受診中の方が医療機関で一生懸命、生活習慣改善支援をして いただいて、糖尿病の患者がどんどん予備群になったと。そういうものも、やはりプラ スに評価されないといけないかと思うのです。ですから(2)の保健指導実施率と(3)の該当 者、予備群の数というのは、やはりきちんと分けて議論されることが必要ではないかと 思います。 ○梶尾企画官 ご指摘はわかりましたので、検討させていただきたいと思います。ちゃ んと適切な数字が出せるようにすることが必要と思います。 ○赤星委員 同じく、1頁の特定保健指導の実施率の所です。例えばある会社の健保組 合で100人が引っかかって、その100人を特定保健指導の対象としてやったとします。 しかし20人が途中で続かなくなったという場合、少なくともそこまでにポイントがいく つかあると思うのです。実施率の対象に入るのですか。それとも最初から省かれるので すか。 ○梶尾企画官 基本的に実施完了ということで、そこは実施率をカウントしたいと考え ております。費用の支払いはやったのに応じてということになるのですが、保健指導を 実施したかどうかについては、完了をもって判断ということが適切ではないでしょうか。  これは、いまのは途中でやめたことがわかっているケースの場合です。年度を跨いで いる場合は初回時でカウントしましたが、途中脱落が明らかな人は外すという整理です。 ○赤星委員 そういうことでいくわけですか。それに関連して、もう1つ質問します。 実施率を上げようと思ったら、例えばある保険者が「途中でやめたら駄目じゃないか。 何が何でも受けなさい」、もしくは保険者以外の人が、「途中でやめるなど認めない」 と言うことが必要になるかと思うのです。もし、そういう強制力があるとしたら、その 根源は何になるのでしょうか。保険者と被保険者の関係では、強制力は出ないかと思う のです。 ○大島企画官 例えば健診しない方について、健診しましょうという勧奨をしたり、保 健指導の対象に引っかかった方に、保健指導を受けましょうという勧奨をすることは、 保険者の機能の1つとして当然出てまいります。実際に保健指導が始まった段階で、保 険者にはその情報がまいりますので、その人が継続的にやるように、保険者として働き かけることも含まれます。しかし、いまご指摘がありましたように、それを強制させる 権限はありませんので、まさに働きかけをしてご本人の納得が得られるかどうかという ところまでです。本人が「やっぱりもうやめたい」というのなら、本人の意思のとおり になります。 ○田中委員 非常によくまとめていただいていると思いますし、ご苦労だったと思いま すが、今この数字を示されても、我々には対象者数がはっきり見えないし、体制につい てもまだはっきり見えない状態ですので、この数値目標等については議論できる状態に はないわけです。1、2点お聞きしたいのは、最終的に各保険者が、自らの支援金が果 たして加算なのか減算なのか、どれぐらいなのかが算定でき得るための算出方法を示さ れるのがいつなのかというのが1つです。  それから算定要件の中に、男女とか年齢といったものが入っているわけですが、健診 実施率やそれぞれの実施率に影響を与える要件として、我々のいわゆる地域保健の中で も格差があるのです。へき地、過疎、離島といった地理的要件は、どういうように考え たらいいのでしょうか。それがいわゆる健診・保健指導の体制の整備にもつながってく るわけです。本当に民間業者が、不採算地域に足を運んでくれるのかといった要件もあ ろうかと思うので、もう少し要件というものの中に行き渡るものを考えてもいいのでは ないかと。  次に、算定する要件と言いますか、大きく3項目ありますが、そのウエイトはどうな るのですか。それぞれの健診率や実行率がどれぐらいのウエイトになるのか。  もう1つは、この中の減少率についてです。私は先ほどの対馬委員のご意見に同調い たします。こういった健康づくりの施策というのは、まさに短期的適正化対策ではない と言われているように、かなりの期間を持たないと効果の出ないことだと思うのです。 そうすると、前年度比較というのがどれぐらいのことなのか。やはりその者に対して一 定の対応をし始めてから何年目かで効果が出てくるわけですから、そこら辺りは考えな ければいけません。また、年齢によっても効果が出てくる度合が違うということもあり 得るわけです。厳しい状況の中で保険者から集めてくる金を、いわゆる支援金として出 すわけですし、本来必要ではない加算・減算みたいな措置をやろうというのですから、 そこはかなり精緻な、納得できる要件をつくってもらわなければいけないのではないか と思います。  それから、さまざまな論点の中で、いわゆる保険者グループ内で加算・減算をすると いう考え方もあると書かれておりますが、私は、これはいいなと思います。やはり全体 で競い合うことも大事かもしれませんが、支援金責任というのがそれぞれの制度ごとに 1つあるわけですから、いい意見が出ているなと思いました。 ○大島企画官 1点目のいつかというご質問については、14頁に「2、3年後に改めて」 と書いております。医療費適正化計画は中間年に中間評価を行うことになっており、そ れが平成22年度になります。平成20年、21年とデータが集まり始めますので、21年ぐ らいから準備を始めて、22年度にある程度の方向性の議論をして、加算・減算が始まる 25年度に間に合うように、政令や省令の規定を書くことにいたします。それが平成22 年なのか23年なのか、あるいは24年なのかというのはまだ決めておりません。  年齢や男女以外の地理的要件も勘案するというのは、議論としてはあり得ると思いま すし、そういう議論が中間年の議論で出ることも想定したいと思います。ただ客観的な データとして、男女や年齢は分かりますが、地理的要件ということになりますと、各加 入者の方々の住所地がへき地にあるかどうかという、そう単純ではない分析をしないと ならなくなります。健診結果のデータの中には、郵便番号情報も入れるような方向で検 討していますが、集まったデータでどこまで分析可能かという、技術的な制約の面もあ ろうかと思います。  メタボリックシンドローム該当者、予備群の減少率を年々で見るか、一定期間で見る かという点は、それぞれにメリットもデメリットもあるところだろうと思っております。 当初の5年間は加算・減算の対象から外れますが、5年経った時点で、5年間で見てい くのか、毎年見ていくのかという2つの案があります。私どもとしては5年刻みでイベ ント的にやってしまいますと、その間の抜けた4年間はどうやっていくのか、5年間の 評価をずっと固定させるのか、それともその4年間は何も評価しないのかといった問題 点が大きいと考えております。小さな値になるかとは思いますが、毎年毎年の減少率を 見ていくほうが公平性や各保険者の方々の納得の得られやすさの点で、よりいいのでは ないかと考えております。もちろん、ここら辺も含めて中間年のときに議論の対象にし ていただければと思っております。 ○辻座長 まだご意見はあろうかと思いますが、予定した時間にだいぶ近づいておりま すので申し訳ございません。この議論は非常に重要なところですし、厚生労働省のほう で今年度中に案を作成することとしている、特定健康審査等基本指針、あるいは医療費 適正化基本指針の中に、今回ご議論いただいた目標についての記載がされますので、こ の辺は次回の検討会で、かなり大きな議論になろうかと思います。したがって委員の皆 様方におかれましては、今日か明日など、ご都合のいいときに事務局のほうに事前にご 意見を出していただければ、それを反映していただけると思います。これについて今日 の検討会では、これくらいにさせていただきたいと思います。  それでは議題(4)、特定健診・特定保健指導の委託について、手短かにお願いいたし ます。 ○梶尾企画官 資料9と資料10について、実務的に議論をしてきたことをご報告いたし ます。まず、資料9は集合契約の際、どう整理するかというのがいくつかあったものを 整理したものです。1頁は、保険者は被扶養者の住所地を必ずしもわかっていない中で、 どこの都道府県、どこの市町村の集合契約、国保ベースの契約に参加すればいいかとい うことです。わからない場合は全県、全地区で参加するという形にしますと、1年経っ たら大体分かってきますので、特段把握していて限定できる保険者以外は、全都道府県 で参加することにしてはどうかということです。  2頁は、受診に来られた方が集合契約に参加しているかどうかがわからないと困ると いうことで、それについては3頁と4頁に書いてあります。3頁には文章がダーッと書 いてありますが、4頁の左側に、受診券の案が書いてあります。この下のほうに網掛け で「契約取りまとめ機関名」という欄があります。ここに例えば全都道府県の国保ベー ス契約だけの場合は何も書かない、一部の県ではやらないという場合は除く県を書く、 あるいは全都道府県の国保ベース以外に全衛連と契約している場合は、「全衛連」と書 いておくとか、「結核予防会」と書いておくと。そうすると、健診機関側は自分がどれ かというのはわかりますので、あとはその保険者との契約がどういうようになっている かという確認をして、請求することにしてはどうかということです。  5頁に、集合契約と個別契約が混在するケースがあります。各医療機関、医師会のグ ループの中にもあったり、人間ドック学会のグループにもあったり、全衛連のグループ にもあったりします。そこに両方が書いてあるものが来た場合、それをどういうように するかということを記載しています。  6頁は市町村の契約条件で集合契約を結ぶということです。単価や健診項目について は、そこの地域に則りますが、市町村の現在の契約ということになると、受託者は受託 者の役割や責任分担等々で、若干違いがあることがあります。地域によって責任関係が 違うという形だと、被保険者側もなかなか煩雑になりますので、単価と健診項目部分以 外の所は、私どものほうで標準的な契約内容を整理して、統一化したいということが書 いてあります。  7頁は、集合契約における健診機関の選別です。集合契約に参加しますと、どこに行 ってほしいとか、どこには行ってほしくないということは、契約にぶら下がっている健 診機関なら、保険者側で限定はできないわけです。例えばある市と契約をして、北のほ うには結核予防会の病院があっても南のほうにはない、北のほうは結核予防会のほうに 行ってほしいとか、南のほうは市町村ベースがいいと保険者が思ったとしても、北のほ うはここに限るというようにはなりません。集合契約はそんなにきめ細かなところまで は、なかなか難しいのです。ただ、保険者がそういうように本人にお伝えするのは構い ません。そうは言われても、それ以外のところにに行ったから駄目ということにはなり ません。一応保険者の希望もあるのですが、契約上はなかなか除けませんということを 記載しております。  なお、いま「国保ベースの契約」と申しましたが、先ほどのがんの話にもありました ように、肝炎や胸部レントゲンなどを一般衛生と一体にする。いまは老人保健でやって いるものを、国保には国保、一般衛生には一般衛生の健診があって、少なくとも費用部 分は国保の部分と一般衛生部分と違うということは、別にあるかと思うのです。ここで 言う国保ベースというのは、一体的にその地区でやっているとしても、あくまでも国保 の部分を被用者保険の集合契約も利用するという意味合いで使っている、ということを 補足いたします。  最後の資料10は、例えば健診については資料1の20頁から22頁にありますように、 アウトソーシングの基準というのが定められました。保険者はアウトソーシング基準を 満たしている所に契約をしてくださいということです。それを満たしているかどうか、 どういうように確認するかというのは、自己申告のルールになります。これももう少し 精査が要るかと思いますが、資料10の3頁以降にあります様式、基本的な情報やアウト ソーシング基準に書いてある人員体制、受動喫煙対策、精度管理といったことについて、 ちゃんとやっていますということにチェックを入れる形でホームページに載せると。そ のホームページは自分の所のものでなくても、どこかの機関のページなりに載せると。 支払基金に一覧表のホームページがあって、そこにURLを登録しておくという形で確 認をすると。自己申告を信用するということになりますが、そういった形での情報公開、 開示を通じての確認でどうだろうかということを検討しているというご報告です。 ○辻座長 この点は実務処理の上での議論の報告ですが、ご質問などがありましたらど うぞ。 ○内田委員 この受診券が非常に複雑で、たぶん窓口でかなり混乱するのではないか、 ミスが増えるのではないかという印象を持っております。そこでQRコードを付与する ことについて、ご検討いただけないかという要望を出しておきます。 ○梶尾企画官 検討します。 ○対馬委員 集合契約であれ個別契約であれ、選ぶときはサービスの中身と価格になる というのは当たり前だと思うのです。そのときに選択できるかどうかというのは、先ほ どお話に出てきた、価格がどうかというのが1つあります。  それからもう1つ。集合契約の利点というのは、大きな団体が窓口に立って契約でき るというのがメリットです。しかし一方で、団体対団体が価格まで決めて本当にいいの かという、独禁法上の問題があると思うのです。そこのところをできるだけ早くクリア にするなり、方向性を出していただくなりしていただければと思います。 ○梶尾企画官 それも調整したいと思います。 ○櫻井委員 当初からの疑問ではあるのですが、要するに被扶養者の場合、住所もわか らないし、いま内田先生からご意見がありましたように、保険者によって自己負担をど のように取ったらいいかもいろいろあるわけです。また、個別契約もあり団体契約もあ りで、請求先を迷うところがあると。これは結局、基本的に現物給付にしようとしてい るから、こういう問題が生じるわけですよね。法律自体、基本的には療養費払いの仕組 みで書いてあるわけですから、そういう形にすれば医療機関は来た人からということに なります。  例えば国保ですが、市町村のほうも従来どおりご案内を出して、市町村が国保で払う けれども、被扶養者の場合にはそこで一旦全額徴収していただいて、被用者の方が保険 者に請求して償還払いをしてもらうような形にすれば、こういう壮大な仕組みやそれに 伴う手数料などは、一切要らなくなるのです。そういう原点に帰ることはできないので しょうか。非常に複雑な仕組みにどんどん、どんどんはまり込んでいっているという感 じがするのです。これは最初から持っている疑問なのですが、その点はいかがでしょう か。 ○大島企画官 これはWGでもかなり議論になったところです。そもそも償還払いの膨 大な事務量を、何とかなくせないだろうかというのがスタートになっております。なお、 これはあくまでも任意と言いますか、参加するかどうかは各保険者の自由選択ですので、 自分の所は償還払いでやりますというのは、保険者としてはあり得ることではあります。 ○辻座長 まだご議論はあろうかと思いますが、時間が過ぎてしまいましたので、本日 はこれで終了とさせていただきます。事務局から今後のスケジュールについて、ご説明 をお願いいたします。 ○梶尾企画官 次回ですが、委員の方々には事前に日程調整にご協力いただいておりま すので、すでにお知らせしているかと思います。一応3月28日の水曜日、午後1時から ということで予定しております。ご出席いただければと思います。よろしくお願いいた します。場所等はまたご連絡させていただきます。 ○辻座長 以上で第5回の検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。    (了)